Vol.56 出羽の刺客 安藝ノ海すべての記録は破られるためにあるといわれるが、いまも破られていない相撲界の記録に双葉山の69連勝がある。しかし、連勝記録というものは微妙なもので、続いている間はあまり意識されず、ストップした時点で記録として認められるようなところがある。双葉山の連勝を止めた安芸ノ海も、そういう形で歴史に名を残した力士であった。安芸ノ海は18歳の時、出羽海部屋に入門し、昭和7年2月に土俵を踏んでから、15年には関脇で優勝して大関に昇進、17年に照国とともに横綱に推挙された。非力ではあったが素早く左を差して一気に持っていくスピードのある取り口であった。 安芸ノ海は出羽海部屋の秘密兵器であった。安芸ノ海の相撲は双葉山の受けてたつ相撲をかき乱すのではないかと期待されていた。 |
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