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35.反り技待望論
和の終わりから平成の始まりにかけて、相撲界は「巨漢力士の時代」に移行した。すなわち双羽黒や大乃国が綱を張り、小錦が大関へと駆け上ったあたりだ。その後、日本人の体格向上や外国人力士の台頭などによって「巨漢の時代」が続いている。今や身長170センチ台のソップ型は小兵と呼ばれかねない。小さいイメージがある朝青龍でさえ、身長は185センチ、体重は143キロもある。
しかし力士が大型化すればするほど、小兵力士の活躍も際立ってくる。前述の平成初期には琴錦、安芸乃島、旭道山、舞の海といった小兵力士たちが、小気味良い速攻や鮮やかな技能相撲で土俵を沸かせていた。
在の幕内にはモンゴル力士が7人もいる。これは「相撲王国」青森の5人をもしのぐダントツの最大勢力だ。彼らは一様に、組んでから始まるモンゴル相撲の基礎を持ち、それがゆえに多彩な技を持っている。
モンゴル力士たちの技巧派ぶりは、フィニッシュの投げ技に留まらない。そこに至るまでの過程でも、相手の懐深く潜ったり、タコのように足を巻きつけたり、手で相手の足を取ったり払ったり…およそ稽古では習得できないような奇手珍技をとっさに繰り出す。モンゴル力士の台頭は、長い目で見れば、大相撲の技術がよりレベルアップするきっかけになりそうな気がする。
挿絵と文章は関係ありません
の究極の業師であるモンゴル力士たちの活躍に、私は秘かに期待していることがある。それは反り技を見たいという願望だ。これだけ技能力士が群雄割拠する時代にあって、反り技だけはなかなかお目にかかることができない。
反り技は全部で6種類あって、居反り、撞木(しゅもく)反り、掛け反り、たすき反り、外たすき反り、伝え反り。いわばプロレスで言うバックドロップや各種スープレックスのように、体をのけ反らせながら相手を後方に投げる豪快なものだ。多くの場合、小兵力士が大柄な力士を相手にしたときに成立する。
は一度だけ見たことがある。忘れもしない平成5年の初場所で、智乃花が花ノ国相手に決めた「居反り」がそれだ。智乃花の小さな体が弓のようにしなり、相手を背中から土俵下に転落させた瞬間は、テレビ桟敷で狂喜乱舞したものだ。
先場所(平成18年初場所)千秋楽で、幕内最軽量の安馬が惜しい相撲を見せた。雅山の突き押しに土俵際まで追い込まれ、一か八かの大勝負に出たものだ。結果、安馬は雅山の178キロの巨体に押しつぶされてしまったが、もう少しタイミングが速ければ、あるいはもう少し深く潜っていれば、反り技が成立したかもしれない。智乃花以来11年、そろそろ二度目の反り技を見てみたい。
(2006/02/01)
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