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05.さらば安芸乃島
成2年に東奥商事に入社。以来13年間、大相撲星取クイズを愛好してきた。今でこそ、こうして相撲エッセイなんぞを書いたりしているが、最初から相撲に詳しかったわけではない。会社の先輩にあれこれアドバイスしてもらいながら予想力士を選んだものだ。クイズに初めて参加した時の9点枠力士は今でも忘れない。安芸乃島だった。先場所をもって安芸乃島が引退を表明したとき、ふとそのことを思い出して、改めて安芸乃島の偉大さを実感した。安芸乃島は13年前には既に幕内力士で、なおかつ9点枠にふさわしい実力を誇っていたのだから。
関脇という言葉がある。これは単に「最高位が関脇」というだけの力士には当てはまらない。不運にも大関にはなれなかったが、長く関脇の地位を保ち、時には上位を脅かし、時には優勝争いに加わるような存在感を発揮した力士だけに贈られる称号だ。安芸乃島はまさに『名関脇中の名関脇』と言っていい。史上最多の金星数と三賞獲得数が、彼の、いぶし銀のように輝く現役時代を物語っている。
挿絵と文章は関係ありません
芸乃島のインタビューは口数が少ない仏頂面で有名だ。なんとかコメントを取ろうとするアナウンサーとの対比が滑稽で、相撲ファンにとっては「隠れた人気コーナー」だった(もっとも平素の安芸乃島はむしろ多弁で冗談好きとか)。安芸乃島には、全ては土俵で主張するという美学があった。実際、土俵上の安芸乃島は絵になっていた。四股を踏むときに真っ直ぐに高々と上げる足の見事さ。仕切りで両手を付いて相手を待つ潔さ。決して体にサポーターを巻かないことも、その美学の現れであったろう。肩を大ケガして手術した翌場所ですら、安芸乃島は痛々しい傷痕をむき出しのまま土俵に上がっていた。
士が引退するたびに一抹の寂しさを感じずにはいられない。とりわけ安芸乃島は特別な存在であった。これで、入社時から見てきた力士は一人もいなくなった。私もそろそろこの会社で「年寄」の部類に入ってきたということだろう。
(2003/07/01)
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