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06.三賞の相対性理論
賞は特に活躍が際立っていた幕内力士に贈られる。8勝以上で勝ち越していることが前提で、横綱と大関は対象外。敢闘・技能・殊勲という3部門に分かれ、それぞれ選考基準が異なる。大勝ちした力士に送られるのが敢闘賞ということになっているが、その場所でいちばん多く勝った力士が受賞するとは限らない。例えば大関経験者の雅山や、三役経験の長い土佐ノ海などは11勝しても選ばれにくい。一方で、それまでせいぜい8勝しかできなかった力士が10勝すると受賞してしまったりする。最も可能性が高いのは新入幕力士で、2ケタ勝てばまず間違いなく受賞できる。
も名誉な賞と言われているのが殊勲賞で、横綱や大関を倒した力士が対象となる。その性質上、横綱や大関と対戦しない下位力士には縁遠い。「何人倒せば受賞」という目安があるわけではないが、だいたい2横綱1大関もしくは1横綱3大関ぐらいを倒せば当確。あるいは14勝した優勝力士に、たった1人だけ土を付けた力士なども選ばれる。
ちばん受賞しにくいのは技能賞かもしれない。「該当者なし」に終わることも珍しくない。優れた技能を発揮した力士が対象となるが、決して技巧派とは言い難い力士でも受賞することがある。一般に押し相撲(特に突き押し相撲)より四ツ相撲、大型力士より小兵力士が選ばれることが多い。
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れら3つの賞は、どれもはっきりした選考基準がない。いずれも「印象」とか「存在感」で決まるようなところがある。千秋楽の取り組みが全部終わってから選ぶわけでなく、千秋楽までに候補を決めておかなければならないので、場所の中盤で目立った力士がやや有利だ。序盤での活躍は印象が薄れてしまうし、14日目や千秋楽で強烈な勝ち方をしても、もはや考慮されないからだ。
ばしば受賞している力士も選ばれにくい。上述のように敢闘賞がそうだし、殊勲賞にもその傾向がある。そうした傾向にあって「三賞の常連」と呼ばれる力士は、本当に力があると言っていい。
いつもなら三賞に選ばれてもおかしくない成績でも、その場所にもっと活躍した力士がいたために選ばれないということもある。かつて1横綱4大関(その当時の大関全員)を倒しても殊勲賞がもらえなかった力士がいた。12勝して敢闘賞がもらえなかった力士もいた。だから三賞を取った力士が、その場所で最も活躍したかといえば、あながちそうとも言えない。きわめて相対的な三賞の選考基準に、例えば今場所であれば、若の里や土佐ノ海が少し悔しい思いをしたことだろう。
(2003/08/01)
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