episode 50:
そして今.....
青森といえばリンゴ、です。
しかし青森リンゴの歴史はせいぜい100年。南部馬は1000年ものあいだ青森の経済を支えてきた名産品です。しかし今となっては「南部馬」という言葉さえ知らない人がほとんどではないでしょうか。
現在の青森県東部から岩手県北部に至る、いわゆる「南部地方」は、太古の昔から良馬の産地として名を馳せてきました。鎌倉幕府以後は、歴代幕府や朝廷の「御用達」とされ、名だたる武将のほとんどが南部馬にまたがっていたのです。歴史の表舞台に現れぬ無名の馬たちも、農耕や運搬の手段として日本人の生活を支えてきたのです。
馬は数ある動物の中で、最も人間社会に貢献してきました。人を乗せて歩くだけでなく、馬車や馬ソリを運行し、木材や地曳き網も引っぱり、荷物を背負い、田畑を耕し、戦争にも従いました。あるいは人間と共に競技をし、競争もしました。その糞は作物を養い、時には自らが肉となって食されもしました。これほど人間と密接に生きてきた動物が他にいるでしょうか。
とりわけ南部馬は、その数も、貢献度でも、他の追随を許しません。
そんな南部馬も近代化という時代の波に呑み込まれ、やがて消滅していきます。車や農耕機械が普及すると共に、その居場所がどんどん狭められていったからです。それは南部馬に限った減少ではありません。今や日本じゅうの街路や田園から馬の姿が消え、もはや「どこかに行かなければ見られない動物」になってしまいました。
ここ青森県十和田市は、馬産によって生まれた街です。不毛の大地に人工河川が引かれ、産馬組合が発足し、軍馬補充部が設置され、セリ市の盛況によって市街地が形成されていきました。馬によって興った街、それが十和田市です。私たちは十和田で乗馬を愛好する者の誇りと責任感から、南部馬の情報発信に務めています。このコーナーをホームページに掲載することで、一人でも多くの方が南部馬の足跡を認識されることを願っています。
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