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子なき母「徳二」と名づけ育ていし 駒も召さると友は知らせぬ |
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とこしえに健やかなれと祈りつつ 別れ惜しみてたてがみ撫でぬ |
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この馬もわれになつきて肥り来ぬ 共に御国の盾と征かまし |
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わが身さえ心に添わぬこともあれ 打つな懲らすな物言えぬ馬 |
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年老いし愛馬の汗を思いやり 険しき山道 下馬で行く兵 |
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雨に濡れ泥にまみれて砲車引く 愛馬の尻を涙して打つ |
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水飲みの少なき夜は眠られず 深夜に起きて水飼いに行く |
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せせらぎを見つけてうれし われよりも馬に汲まんと水嚢を解く |
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けものながら神に近けり 見よ兵と砲火をくぐり弾丸(たま)運ぶ馬 |
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ふるさとの便りに秘めしお守りを 病める愛馬にかけて祈りぬ |
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共に来て共に死なんと誓いしに 青のみ散りし雪の国境 |