星取ニュース
2024/09/23
千秋楽、豊昇龍は千秋楽で給金を直し、初めて大関かど番になるピンチを脱した。
結びの琴桜戦。立ち合いから押し込み、切り返しも交えて揺さぶる。
守勢に回った相手を休まず攻め、「とにかく集中した。本当に勝ってよかった」と表情を緩めた。
先場所は13日目から休場。
今場所前は十分な稽古を積めず、序盤戦で3敗となるなど存在感を発揮できなかった。
大の里の大関昇進は決定的。
「やっぱり負けられない。自分もやってやる、という気持ちでやりたい」と気合を入れた。
千秋楽、心技体を15日間、完璧に整える難しさを知ってから大の里が賜杯を抱いた。
夏場所で初優勝を決めた相手だった阿炎の引き落としに屈して2敗目。
師匠の二所ノ関親方が、初V&横綱昇進を決めた大関時代の2017年初場所で挙げた14勝に並ぶことはできなかった。
「夏場所が12勝で、親方から『もっと高い優勝争いをしろ』と言われて13勝できたが、ホッとした気持ちがあった。14勝したかった。次に向けた課題」
高田川審判部長は、黒星締めにも「どんどん前に出て、相手を倒す相撲は(審判部でも)すごく評価された。今日みたいなこともありますが、前に出ていって(引き技を)たまたま食ってしまった。前に出る意識があるからこそ」と前向きに評した。
土俵下の優勝インタビュー中、25日の臨時理事会の開催を八角理事長が受諾したと聞くと「まだまだ」と口元を引き締めた。
「それに向けてしっかり、さらに高みを目指して頑張りたいなと思います」。
喜びに浸るのは千秋楽後の夜だけ。
史上初のちょんまげ大関として駆け出す準備に入る。
千秋楽、霧島は大栄翔を突き出して5場所ぶりに12勝を挙げ「久しぶり。前に出られてよかった」と胸を張った。
7月の名古屋場所で関脇に転落し、大関返り咲きを目指す。
昇進の目安は「直近3場所を三役で33勝以上」とされ、8勝、12勝と積み重ねた。
九州場所は1年前に優勝しており「(大関に)戻りたい思いが強い。頑張るしかない」と決意を込めた。
千秋楽、「昭和の大横綱」大鵬の孫の王鵬が、自己最高位の西前頭2枚目で9勝目を挙げ、九州場所の新三役を有力とした。
東前頭4枚目の正代戦は成績、番付から、勝った方が次の小結という意味合いが強い一番。
これを終始攻めて左四つから寄り倒した。
東前頭7枚目で12勝した若隆景らとの兼ね合いだが、両大関を破るなど内容も充実。
祖父の大鵬、父の元関脇貴闘力に続き、3代にわたる三役なら、大関琴桜と同じ道をたどる。
今場所は「持っているものを出せば上位で戦える」と、手応えを感じた。新三役については「上が詰まれば上がれないこともある。しっかり勝っていくしかない」と、過度な期待はせず冷静だ。
今場所2日目に3度目の対戦で初めて勝った関脇貴景勝が、その取組後に引退。
かつて付け人を務めた大関に「最後が王鵬でよかった」と言われた。
「心を受け継いで相撲を取っていきたい。最後に相撲を取れてよかった」と、恩返しを誓っていた。
千秋楽、福島市出身の「大波3兄弟」の次男で西前頭3枚目の若元春が11勝目を挙げ、来場所での三役復帰を確実にした。
若元春は今年の夏場所まで関脇だったため、3場所ぶりに三役に返り咲く見通しとなった。
同日開かれた三賞選考委員会では、大波3兄弟の三男で東前頭7枚目の若隆景が初の殊勲賞に選ばれた。
三賞は2年前の秋場所以来5度目。
若隆景は、今場所で優勝した関脇大の里を12日目に破り、千秋楽も白星を重ねて12勝の好成績を収めた。
千秋楽、岩手県盛岡市出身で西前頭13枚目の錦木は、西前頭7枚目の美ノ海に押し出しで敗れ、11勝4敗で秋場所を終えました。
幕内では自己最多タイの11勝をあげた錦木は初の敢闘賞を受賞しています。
千秋楽、37歳の宝富士が2016年名古屋場所以来となる2桁白星を挙げた。
腰の重さを生かし、頭をつけて粘ろうとする遠藤を押し出し。
「最後にいい相撲で締めくくれた」と、支度部屋では笑みが絶えなかった。
今場所は、十両への転落も見えていた西前頭15枚目。
「次は番付が上がり、大負けしてしまう可能性がある。しっかり稽古をしないといけない」と気を引き締めた。
千秋楽、前日に十両優勝を決めた尊富士が時疾風を下して13勝2敗で今場所を取り終えた。
立ち合い鋭く当たって左おっつけで前に出ながら左上手を取って一気の寄り。
持ち味の速攻で快勝し、新入幕優勝した春場所以来3場所ぶりに初日から出場した15日間を締めくくった。
新十両だった初場所、新入幕だった春場所、そして今場所。
15日間出場した場所は全て13勝2敗という驚異的な記録も残した。
西十両11枚目で13勝を挙げ、来場所の幕内復帰が確実に。
「まだ先があるから、もっと稽古してもっと強くなりたい」とさらなる高みを見据えた。
「次に向けて課題もあるのでしっかり修正して、また一から良い相撲を取って相撲界を盛り上げられれば」。
来場所、再び幕内の土俵で暴れ回る姿が見られそうだ。
千秋楽、日本相撲協会定年の65歳の誕生日となった立行司の第38代木村庄之助(高田川、本名今岡英樹)が結びの琴桜−豊昇龍を裁き、約50年の行司人生に幕を下ろした。
打ち出し後は後輩の行司たちから拍手で送り出され「ぐっと来るものがあった」と感無量の様子だった。
19年初場所から務めた式守伊之助時代を含め、立行司としての差し違えは12度。
苦労も多く経験し「もっとうまく裁けたのではないかと思う」と正直な心境を吐露した。
千秋楽、日本相撲協会は22日、振分親方(35=元前頭旭日松)が、同日付で退職したと発表した。
現役時代は、175センチと小兵ながら、全中王者にも輝いたレスリング仕込みの軽快な動きと、強じんな足腰を武器に、最高位は東前頭11枚目だった。
豪快な塩まきなどでも人気を集めた。
21年6月に引退し、大島部屋の部屋付きとして後進を指導していた。
22日に千秋楽を迎え、懸賞総数は史上最多となる2455本に達した。
昨年秋場所の2325本を更新。
1日当たりの最多は14日目と千秋楽の196本。
2024/09/22
14日目、大関・琴櫻が勝ち越しを決めた。
行司が軍配を返していない中で立ち、阿炎を突き押しで圧倒。
連続勝ち越しは13場所に伸ばしたが「満足していないし、目標はそこではないから」と淡々と話した。
埼玉栄高の1学年上の貴景勝が引退を発表。
「早く追いつきたいと思って頑張ってきた。同じ位置に上がれてうれしかった。しっかり見習っていきたい」と先輩を思いやった。
14日目、関脇大の里が、自己最多の13勝目を挙げて夏場所以来、2度目の優勝を決めた。
結びの一番で、大関豊昇龍を押し出しで破った。
大関昇進の目安とされる「三役直近3場所で計33勝」を上回る34勝目。
昇進問題を預かる日本相撲協会審判部が千秋楽の22日に臨時会議を開くことを決め、大の里の大関昇進が事実上、決定した。
大の里はちょんまげ姿で、今年春場所に史上初のちょんまげVを果たした尊富士を上回る2度目の優勝。
前例のないちょんまげ大関となる見込みだが、二所ノ関部屋関係者によると、来場所には大銀杏(おおいちょう)を結える可能性があるという。
そのため、10月1日から始まる秋巡業が、ちょんまげ大関と触れ合い、取組を見守る貴重な機会となりそうだ。
14日目、関脇霧島が高安との元大関対決を制して11勝目を挙げ、来場所以降の大関復帰に向けた貴重な1勝を挙げた。
霧島は優勝へ生き残りをかけた3敗同士の対戦を制したが、結びで大の里が勝ったため3度目の優勝はならなかった。
支度部屋を引き揚げる時はまだ優勝が決まっておらず、「残り1つあるのでしっかり取りたい」と話していた。
それでも11勝として、来場所以降の大関復帰への足固めにはつながった。
13日目に引退を発表し、年寄「湊川」を襲名した元大関の関脇貴景勝が21日、東京・両国国技館で引退会見を行った。
第一声は「燃え尽きました」。
土俵上とは違う柔和な表情で、わずかに笑みを浮かべながら話した。
「小学校3年生から相撲をやって、横綱になることだけを夢見てきました。横綱を目指す体力と気力がなくなったので引退しました」。
そう続けた時は、涙をこらえているように見えた。
信念は「勝っておごらず、負けて腐らず」。
これから親方として後進の指導にあたる。
「武士道精神を持った、今の時代には不向きかもしれませんが、根性と気合を持った力士を育てていきたいです」。
14日目、若元春はおっつけてから左を差すと、じっくりと右で上手も引き、力強く琴勝峰を寄り倒した。
1月の初場所以来となる2桁白星。
三役復帰へ前進したが、「現状に満足していたら、番付はどんどん落ちる」と浮かれた様子はない。
遅咲きの30歳は「まだまだ相撲人生は半ば。成長しないといけない」と自らに誓った。
14日目、若隆景が大栄翔を寄り倒して11勝目を挙げた。
兄の若元春も琴勝峰を寄り倒し、10勝目。
「大波3兄弟」の次男、三男がそろって2桁勝利となるのは、2年前の秋場所以来だ。
「下から前にという意識でした。自分らしいいい相撲が取れました」と若隆景。
千秋楽の高安戦には初優勝した一昨年春場所以来となる幕内での12勝目が懸かる。
「最後まで自分らしい下からの攻めをしていきたい」と意気込んだ。
14日目、平幕錦木が立ち合いから王鵬を圧倒し、幕内で初の11勝目。
「どう頑張っても10番しか勝てなかった」と自己記録更新を喜んだ。
大の里の結果次第では、千秋楽で大の里との対戦が組まれる可能性もあった。
優勝を懸けた一番を体験することはできなかったが、初日から8連敗した名古屋場所の悔しさは晴らすことができた。
14日目、尊富士は勝てば優勝だった嘉陽との一番は寄り倒しで完敗。
しかし、3敗で追っていた千代翔馬が敗れ、今年初場所以来2度目の十両優勝を決めた。
「思った立ち合いじゃなかった。立ち合いがうまく合わなかった」と反省し、「ま、明日ですね。いい相撲をとりたい」と切り替えた。
今年初場所で十両優勝、続く春場所で110年ぶりの新入幕優勝を飾った。
その後はけがで夏場所を全休、名古屋場所は途中出場も左大胸筋の負傷で2連勝後に休場した。
4場所ぶりの皆勤で実力は示した。
2024/09/21
13日目、琴櫻は大の里に屈して6敗目を喫し、昨年九州場所からの連続2桁勝利が5場所で途切れた。
7勝目を挙げてから3連敗で、大関昇進後は初となる負け越しも頭をよぎる苦境。
支度部屋では険しい表情を崩さず、質問を手で制して受け付けなかった。
最初の一番は左上手を引いて攻めきれず、押し込まれて土俵際で同体に持ち込むのが精いっぱい。
取り直しは寄りにあっさりと土俵を割る完敗で、粂川審判長も「根(気)がない」と手厳しかった。
13日目、大の里が大きな大きな自己最多タイの12勝目をつかんだ。
琴桜に挑戦した結びは土俵際でもつれて、軍配は大関に。
しかし、物言いの末、同体となって生き残った。
取り直しでは、右差し&左おっつけの今場所必勝パターンで寄り切り。
大関昇進の目安となる三役での直近3場所で合計33勝を積み上げ、勝てば2度目の優勝という状況まで自力でたどり着いた。
「勝ちはないと思った。よくて、もう一丁と」と正直に打ち明け、土俵下の自身を振り返った。
前日の初黒星のショックはなかった。
「後半は気持ちだと思っている。負けて、より一層集中できた。気持ちを切らさず、土俵下で待っていた。(取り直しは)落ち着いてましたね」と振り返った。
13日目、霧島が豊昇龍の切り返しで豪快に転がされ3敗目。
トップの大の里に再び2差をつけられて、優勝争いから後退した。
今場所は春から抱えていた首の痛みに悩まされることなくいい流れでここまできていたが、最終盤で痛恨の黒星。
「まぁ、残りしっかり相撲を取っていく」と淡々と話していた。
日本相撲協会は20日、元大関で幕内優勝4回の関脇・貴景勝が現役引退し、年寄「湊川」を襲名したと発表した。
協会の理事会で承認された。
21日に東京・両国国技館で引退の記者会見を行う。
引退届を提出した師匠の常盤山親方は20日、「18日夜に貴景勝が部屋に来て、引退の意向を伝えてきた。(貴景勝には)『よくやった』と伝えたい」と報道陣の取材に答えた。
13日目、小結・大栄翔が2敗の前頭15枚目・高安を下して8勝目を挙げ、3場所連続の勝ち越しを決めた。
高安のもろ手突きからの突っ張りに対し、下からあてがいながら突き返して一気に前に出て押し出し。
優勝争いに名を連ねる好調力士を圧倒し「前に攻める相撲が取れた。突き押しでここまでやってきたので、負けたくない気持ちがあった」と会心の内容に充実感を示した。
13日目、若隆景が白星を2桁に乗せた。
低く当たって欧勝馬を押し込み、タイミングのいい引き落とし。
「先に攻められたのはよかった」と淡々と振り返った。
幕内に復帰した先場所も11勝。
力強い取り口からは、右膝の大けがからの復調ぶりを感じさせる。
「一生懸命、少しでも自分の相撲を取ろうとしている」と思いを述べた。
13日目、またも鉄人記録だ!
明生に押し出しで敗れ7敗目を喫した玉鷲だが、この日の土俵で、過去5人しか到達していない幕内連続出場1000回の大台に乗せた。
今場所は通算連続出場記録で歴代トップに立つなど、「鉄人」ぶりを発揮している。
幕内連続出場の1000回以上は<1>高見山1231回、<2>巨砲1170回、<3>黒姫山1065回、<4>寺尾1063回、<5>長谷川1024回で、歴代6位が玉鷲の1000回となっている。
右膝関節炎のため11日目から休場していた東前頭13枚目の北勝富士の再出場が20日、決まった。
14日目の21日に竜電戦が組まれた。
13日目、西前頭13枚目・錦木が、小結・平戸海をはたき込んで、10勝目を挙げた。
7場所ぶりとなる2桁白星に「勝ち越せないと十両に落ちると思っていました。2桁勝てるとは。あとは無理をせずに、ケガをしないようにがんばりたいです」と振り返った。
この日は、米大リーグのドジャース・大谷翔平が史上初となる51本塁打、51盗塁の快挙を達成。
同じ岩手県出身のアスリートの活躍に「やばいですね。僕はお酒と相撲の二刀流です」と笑顔で語った。
13日目、高安が3敗目を喫し、自力優勝の可能性が消えた。
もろ手から攻めたが、大栄翔の圧力に後退。
思わずはたいてしまい、土俵を割った。
「前に出られなかった」。
さばさばと言った。
休場明けの今場所は日を追うごとに調子を上げ、優勝争いに加わった元大関。
「しょうがない。あしたに向けてベストを尽くす」と誓った。
13日目、東前頭16枚目の白熊が休場した。
日本相撲協会に「外傷性足関節症にて3週間の安静加療が必要」との診断書を提出した。
休場は春場所以来2度目。
12日目の狼雅戦で寄り切られて4勝8敗となり、負け越しが決定。
取組後は左足首を気にするそぶりを見せ、足を引きずるように引き揚げていた。
今場所が新入幕だったが、幕内残留は厳しくなった。
13日目の対戦相手、宝富士(伊勢ケ浜)は不戦勝となった。
今場所の十両以上の休場者は、再出場する剣翔(追手風)を含めて11人目。
13日目、1敗で十両単独首位の尊富士が獅司を下して12勝目を挙げ、4場所ぶり2度目の十両優勝に王手をかけた。
立ち合い鋭く踏み込んで強烈な右おっつけで一気に前に出て、そのまま右から押し倒すように突き落としを決めた。
相手に何もさせず、一丁押しのような一方的な攻めで圧勝。
「集中していた。自分の相撲を取るだけだった」と力の違いを見せた。
2024/09/20
12日目、琴櫻は元大関の関脇・霧島との一番。
2度目で立ち合いが成立したが、右差しと左上手を許した。
土俵際で投げの打ち合いになったが、相手の上手投げに屈した。
勝ち越しに王手をかけてから連敗で5敗目。
支度部屋では「切り替えます」と言葉少なだった。
12日目、大関豊昇龍は関脇阿炎に寄り倒しで敗れ、6敗目を喫した。
立ち合い、阿炎の変化に対応できず前のめりに。
一気に形成不利となり、土俵際で寄り倒された。
最後はたたき付けられるような格好となり、土俵で仰向けに。
痛恨の一敗で、6勝6敗となった。
取組後、豊昇龍は「まさか変化とは。ちょっと気合い入り過ぎちゃった。ほんとに頭になかった。勉強になりました。笑うしかない」と苦笑い。
残り3日となり、「しっかり集中してやりたい」と前を向いた。
12日目、関脇大の里は元関脇若隆景に寄り切られ、初黒星を喫した。
大関昇進の目安となる直近3場所の通算33勝まであと1勝とする中、連勝が11で止まった。
立ち合いのもろ手突きから前に出た大の里。
一気に寄り立てた土俵際で若隆景に体を入れ替えられて逆転負けを喫した。
支度部屋では「攻めの甘さが出た」と反省を口にした。
優勝争いは1敗の大の里を2敗の霧島、高安が追う展開。
13日目は大関琴桜との取組が組まれた。
12日目、霧島は過去の対戦で10勝3敗の琴桜を破り2敗を守った。
右四つで寄り立て、土俵際での投げの打ち合いを制し「大関に戻りたい気持ちが強く、今までやってきたことを一から見直してきた」とうなずいた。
大の里とは10日目の直接対決で敗れ、自力優勝の可能性はない。
残りを全勝して3度目の賜杯へ望みをつなぎたい。
「優勝争いは久しぶり。次の一番に集中する」と引き締まった表情で話した。
12日目、王鵬が自己最高位の西前頭2枚目で勝ち越しを決めた。
熱海富士との一番。
左をおっつけてから差し、右もねじ込む。
後退しながらも土俵際で肩透かしを決め、「しっかり我慢できた」と納得顔だった。
今場所は2大関を撃破するなど、存在感が増している。
2場所連続で給金を直し、新三役へ前進した24歳。
「しっかり集中していけたらいい」と気合を入れ直した。
12日目、東前頭4枚目・正代が、西前頭筆頭・翔猿を押し出して、2場所連続での勝ち越しを決めた。
今場所は上位総当たりの番付だったが「上位戦では力負けして、その先ズルズルいきそうだったが、切り替えてできたので良かった」と振り返った。
支度部屋では大関取りに挑んでいる大の里の一番を見届け、プレッシャーのかかる心中を推し量った。
続けて自身が大関として在位した20年11月場所から22年九州場所までを回顧し、「失った2年間。でも、いい経験だった」と、周囲からの重圧と戦った2年間を振り返った。
12日目、平幕若隆景が全勝だった関脇大の里を止めた。
土俵際で執念を見せて寄り切り9勝目。
右膝手術からの復活を感じさせる相撲でトップに2差とし、優勝の可能性も残した。
この粘りこそが真骨頂だ。
初優勝した22年春場所、高安との優勝決定戦をほうふつとさせる下半身の粘り。
支度部屋のモニターで見守った兄の若元春も「差せ!いけいけ!残せ!」と絶叫した。
持ち味を存分に発揮した白星。
若隆景は「何とか残せてよかったかな。
俵の中にいる限り、諦めることはない。
最後まで一生懸命、相撲をとれてよかった」と、納得の表情を見せた。
12日目、平幕・宇良が平幕・遠藤との勝ち越しがかかった力士同士の対戦を寄り切りで制し、9日目からの4連勝で勝ち越した。
宇良の勝ち越しは、新三役昇進を決めた昨年九州場所以来5場所ぶり。
西小結につけた今年初場所以降、連続6勝。
西前頭4枚目だった夏場所は初日から6連勝後、8連敗を喫して負け越すなど苦しい土俵が続いていた。
12日目、苦しい幕内デビュー場所が続いている西前頭14枚目の阿武剋が、ベテラン玉鷲と対戦。
立ち合いから突き放しかけたが、すぐに逆襲の突きを受けると徐々に後退。
たまらず右から引いてしまい、相手を呼び込んでしまうと、そのまま後退し押し出された。
序盤の5日間を1勝4敗と苦しみ、中盤戦は一進一退の星取りで進んだが、前日の新入幕同士の一番で白熊に敗れ7敗目。
崖っぷちの状況で迎えたこの日だったが、負け越しが決まってしまった。
場所は残り3日。
幕尻までは下に2枚半の番付があり、残る土俵に幕内残留をかける。
12日目、高安が厳しい攻めで2敗を守った。
回転の良い突っ張りで平戸海を懐には入れさせない。
相手がたまらず引いたところで一気に前に出て、「落ち着いて、よく見て相撲が取れた」と納得の表情を浮かべた。
休場明けの今場所。
序盤戦は取りこぼしもあったが、「どんどん体が動くようになってきた。尻上がりに良くなっている」と声は明るい。
賜杯争いの終盤で失速する苦い経験を重ねてきた元大関は「伸び伸びやって、お客さんに喜んでもらえるようにしたい」と話した。
12日目、西前頭15枚目・宝富士が勝ち越しを決めた。
西十両2枚目・獅司に攻め込まれたが、粘って得意の左をのぞかせると、いなして崩して右上手もつかんで寄り倒した。
給金直しのNHKインタビューでは「ホッとしました。最後まで諦めずに攻めようと思ったので、最後はがむしゃらに出て、それが良かったですね」と安どの表情を浮かべた。
12日目、東前頭16枚目で新入幕の白熊が4勝7敗の崖っぷちで迎えたこの日、狼雅と対戦。
一度は右四つ、左上手も引いて胸を合わす体勢になったが、その上手を切られ劣勢に。
十分に体勢を整えた狼雅に、両まわしをがっちり引かれて寄り切られた。
5日目から5連敗を喫した後、連勝で盛り返したが、これで負け越しが決定。
これで4勝8敗となったが、場所は残り3日ある。
幕尻までは下に1枚の番付があり、1つでも多く白星を重ね幕内残留を決めたいところだ。
12日目、春場所で新入幕優勝の十両尊富士が十両千代翔馬を寄り切って11勝目(1敗)を挙げた。
10日目は十両東白龍にはたき込まれて初黒星を喫し、11日目は対戦相手が休場したため不戦勝となっていた。
この日の取組後に、尊富士は「慌てて前回(10日目)負けたので、修正しながら慌てずに取りました」と納得の表情を浮かべた。
十両の優勝争いでは、唯一の2敗だった千代翔馬に土をつけ、早ければ明日の13日目に尊富士の優勝が決まる。
このまま白星を積み重ねれば、来場所での幕内復帰も視界に入る。
「十両優勝? そんなに意識はしていないし、15日間取りきるだけ。自分の取組でしっかり戦う。幕内復帰? そう思わないと、勝ち星は挙がっていかない。そういう意識でやっていく」と、返り入幕へ闘志を燃やした。
2024/09/19
11日目、琴桜と豊昇龍の両大関がともに黒星を喫した。
琴桜は小結・大栄翔に押し出されて痛恨の4敗目。
初優勝に向けては極めて厳しい状況となった。
温厚な琴桜にしては珍しく支度部屋の風呂場で絶叫し、悔しさをあらわにした。
報道陣の問いかけには「すいません…」とだけ話し、険しい表情で宙を見つめた。
一方の豊昇龍は東前頭5枚目・宇良に送り出されて5敗目。
2度目のVの可能性は消滅した。
支度部屋での取材には応じなかった。
関脇・大の里が無傷11連勝で大関取りにまい進する中、両大関が優勝争いの蚊帳の外に追いやられる結果となった。
11日目、単独トップの関脇大の里が、物言いがついた琴勝峰との一番を制して全勝を守った。
大関昇進の目安とされる「三役での3場所合計33勝」へ、あと1勝と迫った。
どこまでも前へ前へ。
勢いは止まらない。
大の里が右を差して突っ込み、引いた琴勝峰へ左腕を伸ばして一押しの直後、腹ばいになった。
物言いはあくまで確認。
相手の左足が先に土俵を割っており、引き締まった表情で軍配通りの勝ち名乗りを受けた。
11連勝で単独トップを守った。
支度部屋で積み上げた白星についての質問が飛ぶと、珍しくさえぎった。
「いやいや、気にしていない。一日一番、集中して頑張ります」。
節目で手綱を緩めるつもりはない。
11日目、東関脇の霧島が、変化して敗れた前日を反省し、前に出る意識で勝利をつかんだ。
「昨日は良くない立ち合いをしたので、まっすぐ行こうという気持ちだった」。
動きのある攻防となったが、最後は阿炎をはたき込んだ。
大の里から2差を確保。
「まだ残りはたくさんある。次の場所にもつながる相撲を取りたい」と意気込んだ。
11日目、宇良が押し相撲で豊昇龍を圧倒した。
大関の突き押しにも低い姿勢を保ち、左からの強烈なはず押しで横を向かせて一気に送り出し。
取組内容については「分からない」などとけむに巻いたが、表情には充実感が見て取れた。
2大関を撃破。
9日目の琴桜戦でも、真っすぐ押して白星を手にしていた。
多彩な技も魅力の一つだが、八角理事長(元横綱北勝海)は「宇良は重かった。いいはず押しだった」と褒めた。
11日目、西前頭9枚目の欧勝馬が明生を破って勝ち越しを決めた。
3敗勢で唯一白星を挙げ、数字上では優勝争いにも残った。
今場所初めて幕内後半戦の土俵に登場して明生と対戦。
立ち合い当たりながら左へ動き、右四つに組み止めて前に出ながら左上手投げを決めた。
新入幕だった夏場所に続き、11日目で早くも勝ち越し。
「8番では(番付が)そんなに上がらないのであと2番、できれば4番勝ちたい」とさらなる星の上積みを見据えた。
11日目、東前頭13枚目、北勝富士が、秋場所11日目の18日から休場した。
10日目を終えて6勝4敗で、日本相撲協会に「右膝関節炎」との診断書を提出した。
11日目の対戦相手、玉鷲は不戦勝。
11日目、平幕の錦木が、若隆景との2敗対決を制して9勝目を挙げた。
幕内では4戦全敗だった相手に「あれしかないです」と、土俵際に追い込まれながらも右からの小手投げで逆転した。
先頭の大の里を2差で追うが「別にトップを走ってるわけじゃない。大の里はめちゃくちゃ強いし。一番一番、積み上げていく」と平常心を強調した。
11日目、苦しい土俵が続いている新入幕コンビが、この日の土俵で直接対決。
東前頭16枚目で7敗を喫している白熊が、西前頭14枚目の阿武剋を寄り切って、踏みとどまった。
立ち合いは阿武剋が踏み込み勝ちしたように見えたが、得意でない左を差した白熊が、かいなを返しながら、右はおっつけるように攻め立て、あおるように寄り切った。
日体大で1学年上の白熊が、先輩としてのメンツを保った一番。
両者とも4勝7敗と苦しい土俵が続く中、幕内残留、そして残り全勝での勝ち越しを目指す。
11日目、高安が遠藤との実力者対決を突き出しで制し9勝目を挙げた。
まわしを取らせるとうるさい相撲巧者を突っ張りで一蹴。
「一方的に攻められたので良かった」と笑顔を見せた。
2敗を守って優勝戦線に踏みとどまった34歳の大関経験者。
「意識しても優勝できないので。なるようになる。その日の相撲でベストを尽くしていい相撲を取れたら」と無欲を強調した。
11日目、西前頭15枚目の宝富士が武将山を破り、幕内残留が確実となる7勝目を挙げた。
得意の左を一瞬のぞかせて振りほどかれると、今度は差し手にこだわらず突き放してどんどん前に出て押し出し。
「引いたらいつもついてこられるので」と積極的に前に出る意識で快勝した。
11日目、春場所で新入幕優勝を果たして以来3場所ぶりに初日から出場している西十両11枚目の元幕内・尊富士が10勝目を挙げた。
対戦相手の島津海がこの日から休場。
入門以来初めての不戦勝に「そういう日もあるんじゃないですか」と苦笑いしていた。
取組前の支度部屋では終始リラックスした様子。
初黒星の翌日は良い休養になったようだ。
2024/09/18
10日目、横綱が休場する中、番付最上位として臨んでいる東大関の琴櫻が、豪ノ山を寄り切りで破り、勝ち越しに王手をかける7勝目を挙げた。
立ち合いから突き放して出た大関だが、差し手を払うように嫌われると、ハズ押しで一気に出られた。
気が付けば土俵際まで攻め込まれたが、瞬時に入った右の下手が命綱になった。
体勢を整え、まわしを引きながら逆襲の寄り。
追い詰められたのとは反対側の土俵へ豪ノ山を寄り切った。
10日目、大関・豊昇龍が西前頭4枚目の琴勝峰を下して6勝目を挙げた。
琴勝峰の突っ張りに対して押し返して応戦し、一度左からいなされて泳いだ場面もあったがすぐに体勢を立て直して攻め返して押し倒し。
「しっかり見ながら攻めていけた。はたいて来るのは頭にあった」と動きの良さを見せた。
これで7日目から4連勝。
押して前に出る相撲が増え、調子を上げてきた。
10日目、星の差1つで追っていた大関経験者に奇襲を選ばせた事実が、その地位に値する地力の一番の証明になった。
大の里が、立ち合いで左に変化した霧島を難なく捕まえ、右差しと左おっつけの必勝パターンから寄り切って10連勝。
天王山をあっさり乗り越え、リードを2差に広げた。
「落ち着いて対応できた。しっかり集中できた」。
大関昇進の目安とされる「三役での直近3場所で合計33勝」まであと2勝としても、落ち着き払っていた。
土俵下で一番を見守った師匠の二所ノ関親方は「(霧島が)毎日、いい立ち合いをしていたので、どうかと思ったけど消極的にきてくれた。霧島の作戦負け」。
単独トップの弟子を満足させるつもりはない。
それでも、迷いない攻めへの集中力について「そこだけは良かった」とうなずいた。
10日目、霧島が2敗目を喫し、優勝争いから後退した。
立ち合いで左へ動いて左上手を取ったが、右差しと左おっつけの大の里に一方的に寄り切られた。
「立ち合いが全くダメだった。全然思った通りにいかなかった。立ち合いで変わるつもりはなかった」と完敗に反省しきり。
ふがいない元大関に八角理事長は「恥ずかしいし、格好悪い。こんな相撲を取るようではこれから先、大の里に勝てない」と、あきれ顔だった。
頸椎(けいつい)椎間板ヘルニアで秋場所3日目から休場中の関脇貴景勝の今後の進退について、師匠の常盤山親方が17日、今場所中に結論を出す見通しを示した。
「どちらにしろ、場所中には決めたい。近いうちに結論が出ると思う」と言及した。
貴景勝はかど番の先場所で5勝10敗に終わり、通算30場所在位した大関から転落。
今場所は1場所で大関に復帰できる10勝以上を目指したが、初日から万全には程遠かった。
慢性的な首の痛みに悩まされ、今年は5場所で勝ち越し1度、休場は4度と苦境にあえいでいる。
10日目、優勝経験者の若隆景が、遠藤との2敗対決を制し、幕内復帰から2場所連続の勝ち越し。
立ち合いで低く当たってから突き落とす内容に「あまり良くなかったけど、体が動いてくれた」。
2敗の平幕では番付最上位で、上位戦が組まれる可能性もあるが「勝ち越しに気を抜くことなく、集中したい。しっかり下から攻める相撲を取りたい」と最後まで口調は落ち着いていた。
10日目、錦木が前に出る相撲を貫いて輝を押し出した。
4場所ぶりの勝ち越しを10日目に決め「気が楽になった。番付が落ちることもないし、十両にも落ちないし」と上機嫌。
11日目は同じ2敗の若隆景と対戦。幕内では4戦すべて敗れている相手だけに「明日勝てれば、調子に乗れるかもしれない」。
苦手を克服し、さらなる上昇気流に乗る構えだ。
10日目、苦しい幕内デビュー場所が続いている西前頭14枚目の阿武剋が、連敗回避の4勝目を挙げた。
金峰山に、もろ手で突き放されたが、左四つから右もこじ入れ、最後は右のまわしを離しながら慎重に寄り切った。
1勝4敗の6日目からは白星と黒星が交互に並ぶ、いわゆる「ぬけぬけ」の状態が続く。
連勝はないが連敗もなし。
どこかで、この規則性を打破し、連勝で波に乗りたいところ。
そのチャンスの11日目は、新入幕同士の白熊と対戦する。
10日目、大関経験者の高安が休場明けで3場所ぶりに給金を直した。
自身の左腕を手繰ってきた錦富士の動きに対応し、圧力をかけて押し出し。
「回り込まれたが、しっかりついていけた。気持ちを引き締めて臨んだ」と振り返った。
場所前はけがの影響で満足に稽古を積めなかったそうだが、2敗を堅持し優勝争いにも絡む。
「勝ち越してほっとした気持ちもある。あとはけがをしないようにやりたい」と足元を見詰めた。
10日目、西十両11枚目の尊富士が、今場所初黒星を喫した。
東10枚目の東白龍にはたきこみで敗れ、初日からの連勝は9で止まった。
立ち合いで相手に変化された。
それ自体は「一応、頭に入っていた」と振り返ったが、さらにはたかれ、手をついた。
不戦敗を除けば、新入幕優勝を遂げた今年の春場所14日目以来の黒星。
「勝ち負けのスポーツなので、負けは負け」と受け止めた。
それでも優勝の可能性はまだ残る。
「(残り)5日あるので修正したい。しっかり次の相手に準備するだけ」と気持ちを切り替えた。
2024/09/17
9日目、土俵下に飛び出した琴櫻が呆然とした表情を浮かべた。
全勝の大の里の背中がかすむ、痛すぎる3敗目だ。
得意の右を差すでもなく、前に出るでもなく、様子をうかがうように宇良の当たりを受けると、頭一つ低い相手にじりじり押されて土俵際。
覆いかぶさるような体勢から、わずかに引く動きを見せた次の瞬間、下から押し上げられ、腰が伸びて土俵を割った。
珍しく真っすぐ押し出されてしまった大関について、土俵下の九重審判長は「宇良は目いっぱい押してはいない。相手に引かせるように徐々に押していった。もったいない。『どうしたの?』と聞きたい」と驚きを隠さなかった。
9日目、大関豊昇龍が合口の良い平戸海の壁となり、3連勝で今場所初めて白星を先行させた。
もろ手突きの立ち合いから、即座に相手の左腕を手繰って体勢を入れ替え、隙を見て右を差した。
さらに腕を返してすくい投げで快勝。
平戸海との対戦成績を5戦全勝とした。
「攻めたのはよかった。寄りたかったけど(腕を)返したら投げになった。気合を入れていった」と胸を張った。
大の里の天敵で土俵では3戦全勝だけに「当たるのを待ってます」と手ぐすね。先場所は不戦敗も「負けは負けだから」と、勝手に雪辱の思いを加味していた。
9日目、大関とりの期待がかかる大の里は、一方的に若元春を寄り倒して全勝をキープ。
差し手争いで後手に回って敗れた先場所の反省も生かし、距離を取って攻め立てて「体が動いてくれてよかった」とうなずいた。
10日目は、ただ一人の1敗霧島との関脇対決。
勝てば賜杯にぐっと近づくが「一日一番、千秋楽まで目の前の相手に集中するだけ」と冷静だった。
9日目、関脇霧島が、優勝争いを盛り上げる。
平幕西前頭5枚目の湘南乃海を寄り切って1敗をキープ。
自己最速の9日目での勝ち越しを決めた。
唯一の1敗力士は、全勝で単独トップの大の里と10日目に激突する。
首痛で大関陥落も、痛みが癒えて本領発揮。
ボクシング井上尚弥が所属する大橋ジムの大橋秀行会長(59)から授かった金言も胸に、序盤から白星を並べて勢いを増していく。
自分より45キロ重い相手を圧倒した。
大関経験者の霧島が、190キロの湘南乃海を下して勝ち越し。
立ち合いで左を軽く差し、右前まわしも取って十分な体勢をつくると、反撃の余地を与えなかった。
初対戦とはいえ、巡業や稽古では胸を合わせたことがあった。
「重いし、あまり長く取りたくない」。イメージ通り、一気にけりをつけた。
9日目、東前頭5枚目の宇良が、大関琴桜を押し出す殊勲の“銀星”を挙げた。
下から突き起こすような押しで大関をズルズルと後退させた。
東土俵に押し込み、さらに琴桜の引く動きにつけ込み、そのまま押し出した。
対戦成績で、ここまで3勝6敗で連敗中だったが、執念の押しの一手で5勝4敗と、再び白星を先行させた。
大関戦勝利は、1場所3勝した今年3月の春場所(初日=豊昇龍、3日目=霧島、5日目=琴ノ若)以来、3場所ぶり。
取組後、NHKのインタビューに呼ばれた宇良は、大歓声を受けての一番に「気持ちで負けないように頑張りました」とし、励みになることは?という問いに「お客さんの声援です」と返答。
10日目以降については「一生懸命、頑張ります」と短く答えて引き揚げた。
9日目、1分半近い熱戦への大歓声と拍手の中心で、若隆景が翠富士を土俵下まではじき飛ばした。
立ち合いで右を差して小兵のの動きを封じ、圧力を掛け続けてもろ差し。
切れ目ない攻めで完全復活の気配を感じさせる寄り切りで、2敗を守った。
「根負けしないように、最後まで集中してやるだけだった」と淡々。
相手の必殺の肩透かしも封じて「止まった時点で頭に入れ、下から(攻める)という意識でいけた」と振り返った。
9日目、東前頭8枚目の遠藤は西前頭6枚目の豪ノ山を下し、再入幕から2場所連続となる勝ち越しに王手をかけた。
西前頭11枚目の輝は西前頭16枚目の北の若に敗れ、7連敗で負け越しが決まった。
遠藤は立ち合いで左に変化。
豪ノ山を難なくはたき込み、「プランの中の一つとしてあった」と明かした。
4連勝と波に乗ってきており、「しっかりと相撲を取れるように準備する」と語った。
9日目、元大関で東前頭15枚目高安は北勝富士をはたき込み、5連勝で7勝目を挙げた。
「おっつけられて、右のまわしが遠かった。なんとか(相手を)起こしてうまくさばけた」
すぐに左を差したが、相手の強烈な右おっつけに後退。
右上手も切れた。土俵際で回り込みながら、右の喉輪で逆襲。
相手との距離が開いたところを左へ体を開いて、はたき込んだ。
9日目、西十両11枚目の尊富士が無傷の連勝を「9」に伸ばした。
西14枚目の欧勝海に何もさせない。
立ち合いもろ差しから、右を巻きかえられてもかまわず出て一気の出足で寄り切った。
「差さないと思ったけど、流れの中ですね。差しても喜ばず。うっちゃりとかあるんで落ち着いていきました」と会心の相撲を振り返った。
今年春場所で110年ぶりの新入幕優勝を飾った。
その場所で痛めた右足首のけがで夏場所を全休。
復帰に向けた稽古で左大胸筋を痛めて名古屋場所も初日から休場したが、8日目から出場。
2連勝後に再休場した。
番付を下げた今場所だが、力差を見せつける9連勝となった。
2024/09/16
8日目、琴櫻は連敗はせずに2敗を守った。
まわしを引けずとも、差し手争いで正代の体勢が崩れたところを見逃さなかった。
長い腕を伸ばし、土俵際で粘る元大関を押し出し。
「切り替えてやった。しっかり攻められた」と、7日目の若元春戦で喫した黒星を引きずらなかった。
大関在位4場所目。
初めての賜杯を獲得するには、これ以上の取りこぼしは許されない。
大の里を2差で追い、「自分らしい相撲を取っていけば、星は上がってくる。しっかり辛抱してやっていきたい」と後半戦を見据えた。
8日目、西大関・豊昇龍は西前頭3枚目の若元春を破り4勝4敗と五分の星に戻した。
立ち合いで左差しで組み止めたが、右が取れない。
相手に寄られたが、土俵際で右からの首投げ。
捨て身の投げで星を五分にした。
8日目、関脇大の里が幕内御嶽海を力強く押し出して無傷の8連勝。
幕内で勝ち越し一番乗りを果たした取組後は「良かったです。一日一番、しっかり集中するだけ。まだ1週間ある。この1週間が大事。しっかり頑張りたい」と気持ちを引き締めた。
今場所の成績次第では大関昇進の可能性があるなか、角界内での評価もうなぎ上りだ。
大の里の師匠、二所ノ関親方の兄弟子にあたる西岩親方は「(今場所の大の里は)ヒザを曲げて相撲を取ることができているのと、左からのおっつけ。今までは馬力、パワーで相手を圧倒する相撲だったけど、一つずつ技術を身に付けて成長しているなと感じる」と分析する。
8日目、霧島は動きのいい宇良を冷静にさばいた。
「中に入ったら、うるさい相手」と突き放して距離を保つ。張り手を交えながらじっくり攻め、押し倒した。
「最後まで諦めずに前に出てよかった」と内容には納得の様子。
調子を上げながら無傷の大の里を1差で追って折り返し、「毎日、一番一番という感じ」。
大関経験者が自信をのぞかせた。
8日目、小結平戸海は連敗を2で止め、5勝目を挙げた。
先場所敗れた隆の勝に、何度も前まわしを取りに行ったがことごとく不発。
土俵際まで押し込まれた。
それでも体をのけぞらせて、相手の突きをかわすと逆襲。
スピードを生かして押し出した。
「内容は全然ダメだけど立ち合いは踏み込めた。体は動いているので、もっと攻めたい」。
大関とりの足固めへ、三役で2場所連続2桁白星に意欲をみせた。
8日目、成績次第で大関昇進の可能性がある関脇大の里が幕内で、全勝なら幕内復帰が確実な西十両11枚目の尊富士が十両で、ともに唯一のストレート勝ち越しを決めた。
大の里は御嶽海を、尊富士は朝紅龍を、ともに押し出し。
大の里は5月の夏場所で所要7場所の史上最速優勝、尊富士は3月の春場所で110年ぶりの新入幕優勝と、歴史の扉を開いた。
次代を担う2人が幕内、十両と舞台は違うがそろって強さを示し、優勝争いを引っ張る。
2024/09/15
7日目、大関琴桜は横綱休場により、番付最上位として臨んでいる場所で手痛い2敗目を喫した。
若元春が得意とする左四つに持ち込まれ、胸が合う形となった後に上手が切れて後退。
土俵際で懸命に踏ん張るも、耐えきれなかった。
初優勝を目指す中でトップ大の里との差は2に広がり、「切り替えます」と声を絞り出した。
7日目、大関豊昇龍が“ダメ出し”を払拭する3勝目を挙げた。
正代に頭から鋭く当たり、右手で一押し。
相手が下がったところを追いかけ、両手で力強く押し出した。
礼儀正しく懸賞を受け取り、一礼して土俵を下りた。
二押しで決着をつける電車道に「思い切って自分らしい相撲を取れた」と喜んだ。
前日13日の結びの一番。
王鵬にすくい投げで転がされると、不満げな表情を見せ、一礼せずに土俵を下りた。
慌てた呼び出しに引き留められ、再び土俵に立って一礼した。
この日、師匠の立浪親方から怒られたことを明かし、「切り替えて頑張れ。しっかり礼をすればいい」と送り出されたという。
反省から、快勝にも「昨日のことは仕方ない。僕が悪い」と険しい表情。
「2度とそういうことはしないようにしたい」と約束した。
7日目、成績次第で大関昇進の可能性がある関脇大の里が、幕内での自己最長を更新する7連勝を飾った。
取組前まで2連敗中だった小結平戸海を、一方的に寄り切る完勝。
同学年のライバルを破り、無傷で単独トップを守った。
今場所12勝で到達する「三役で3場所33勝」の大関昇進目安には残り5勝。
勢いが止まる気配はなく、いよいよカウントダウン突入だ。
7日目、元大関が元気だ。
もつれて土俵下まで吹っ飛んだのも、攻めの勢いがあったからこそ。
霧島が初顔の琴勝峰を寄り倒し、物言いがついたものの軍配通り。
前への意識が実り、1敗を死守した。
「きれいにやられたかなと思いましたね」と支度部屋で苦笑し、正直に打ち明けた。
受ける意識がなかったからこその結果。
「前に足が出てたんで、そこだけ良かった。後ろに下がるんじゃなく、最後まで諦めずに取って、次につながる相撲かなと思う」
7日目、平戸海が立ち合いのミスで大の里に一方的に敗れた。
「下に入ろうと思った」と、立ち合いで相手の両手をはじくような動きを見せた。
だが不発に終わり、右をねじ込まれて完敗。
「考え過ぎて当たれなかった。当たってないのでダメ」と、視線を落とした。
勝てば直接対決3連勝だったが、対戦成績は2勝2敗となった。
7日目、王鵬は2大関に続いて関脇阿炎も撃破。
自己最高位の西前頭2枚目で3連勝とし、白星を先行させた。
相手の引き技に落ちず、厳しい攻めをしのいで突き落とし。
「しっかり前に出ることができているので、白星が続いていると思う」と手応えを口にした。
顔面に相手の頭部が当たる場面もあり、勝負がついた後の土俵では少しよろけるようなしぐさを見せた。
右目は変色して腫れ上がり、支度部屋では、つらそうな表情で患部を冷やしていた。
7日目、東前頭3枚目・御嶽海は、東前頭5枚目・宇良に押し倒しで勝った。
宇良が引いた瞬間を逃さず一気に前に出て力強い相撲を見せた。
初日以来の白星を挙げ、連敗を5で止めた。
中日の15日は西関脇・大の里と対戦する。
過去6場所では1度顔を合わせ、御嶽海が押し出しで勝っている。
7日目、西前頭3枚目の若元春が、大関琴桜に圧勝で5勝目(2敗)をあげた。
立ち合いの鋭い踏み込みから主導権を握り、最近3連敗中だった大関に何もさせずに寄り切った。
「気持ちで負けないよう前に前に攻めることができた」
昨年初場所から8場所連続で三役の地位を守り続けた「次期大関候補」は、2場所連続負け越し。
出直しの場所で奮闘が続く。
「星数は考えていない。相撲内容も攻めているのが多い。自分らしい相撲をとっていきたい」。
力強く、存在感を示した。
7日目、錦木が通算連続出場1200回を記念星で飾った。
阿武剋に鋭い出足で左を差し、前に出て寄り倒し。
22年に部屋で新型コロナ感染者が出たことによる不戦敗を除くと、これで600勝600敗。
勝率5割での節目到達に「ちょうどいいね。なかなかいないでしょ。(星が)五分の人って」と驚きつつ喜んだ。
連続出場記録には「上には上がいる」と控えめ。
次の節目は700勝700敗、かと思いきや「あと200も相撲取らなきゃいけないの?」と困惑? 顔。
今場所5勝目で、早くも先場所の勝ち星に並んだ。
「形が悪くても前に出られている。勝ち先行で行きたい」と力を込めた。
7日目、初日から圧巻の6連勝で七日目を迎えた十両十一枚目・尊富士が、取組前に花道に登場。
土俵に向かうまでの風格と所作に「横綱級だ」「礼が素敵」などファンが感嘆する一コマがあった。
取組では無傷の7連勝を飾った尊富士が、倒れた相手力士を抱え起こすなどの気遣いも見せ「心技体」の強さを体現してみせた。
2024/09/14
6日目、大関琴櫻は御嶽海を寄り切って5勝目を挙げた。
手に取った金メダルの重みを思い出しながら、琴櫻が盤石の右四つで御嶽海を寄り切って1敗をキープした。
親交があり、NHKテレビ中継でゲスト解説を務めたパリ五輪レスリング男子グレコローマンスタイル77キロ級金メダリストの日下尚(三恵海運)の前で、連敗せず、しっかり追走モードに入った。
3度の優勝を誇る元大関に先場所、際どい相撲で敗れていた。
しかし、今場所はしっかりやり返して、「落ち着いて取るのが一番。しっかり出し切ってつなげていくことが大事じゃないですか」と納得の表情。
「刺激をもらったんで」と日下への感謝も忘れなかった。
6日目、大関昇進の可能性がある関脇大の里は正代を押し出して、ただ一人全勝を守った。
大の里は元大関の正代を立ち合いのもろ手突きから押し出して、自己最長タイとなる6連勝を飾った。
NHKのテレビ中継で解説を務めたパリ五輪レスリング男子グレコローマンスタイル77キロ級金メダリストの日下尚も「化け物(のように)強い。技術うんぬんじゃなく、シンプルに強さにビビりました」と目を丸くしたほどの圧勝だった。
左からおっつけて、右を差すという文句なしの攻めにも、大の里本人は「一日一番集中するだけなので」。
今場所の定番フレーズを繰り返し、浮かれることはなかった。
6日目、西前頭2枚目の王鵬は大関豊昇龍をすくい投げを下して3勝目を挙げた。
王鵬は2日続けて結びで大関を破った。
豊昇龍を左からのすくい投げで豪快に土俵にたたき付け、星を五分に戻した。
相手の掛け投げの勢いを生かすような逆転だったが、「反応したというか、(投げを)待ってるくらいの気持ち」と落ち着きを強調した。
「昭和の大横綱」といわれる大鵬の孫。
「(結びで)気負うという感覚は分からないけど、みっともない相撲を取れない気持ちでいる」と頼もしかった。
6日目、三役経験者の幕内若元春が関脇阿炎を送り出して4勝目(2敗)。
取組後は「気合が入っていたし、しっかり立ち合いで当たれている」と納得の表情を浮かべた。
6日目、人気の前頭五枚目・宇良が、抜群の身体能力でフェイントを見せ、前頭六枚目・豪ノ山をはたき込みで下して4勝目を挙げた。
宇良のフェイントに、解説を務めた中村親方も感心した様子で「これ反応でやっていますからね」と述べ、お手上げといった様子で絶賛した。
互いに大阪府寝屋川市出身の同郷対決となった一番。
技巧の宇良に馬力の豪ノ山と、好対照な持ち味の両者。
これまでの対戦成績は4番取ってすべて宇良が勝っており、豪ノ山にとってはなんとか苦手意識を払拭したい相手でもある。
だが今回も宇良が一枚上手だった。
立ち合い低く当たった宇良に対し、突っ張って相手を中に入れさせない豪ノ山。
互角の突き押しでぶつかり合う激しい相撲となったが、繰り返し当たった次の瞬間、宇良がぶつかると見せかけてふっとかわし、相手を見失った豪ノ山は空を切って前のめりに突っ伏した。
見事なフェイントで勝利した宇良は4勝目。
6日目、西十両11枚目の尊富士が、無傷の6連勝を飾った。
関脇経験者、東13枚目の碧山との一番。
立ち合いに181キロの巨体でぶちかまされたが、尊富士は真っ向勝負。
うまく下からあてがいながら、1歩も下がることなく一直線に押し出した。
全く危なげない完勝だった。
今場所ファンの注目を集めていた“漆黒”の化粧まわしを大胆チェンジ。
「またかっこいい化粧まわししてる」「素敵すぎる」など、またも反響が相次いだ。
尊富士は今場所、化粧まわしでもファンの注目を集めている。
“漆黒”の化粧まわしは一見すると真っ黒だが、じつは八咫烏(やたがらす)が。
六日目の土俵入りでは心機一転、真っ赤な下地に眼光鋭い顔がデザインされた化粧まわしを着用。
これは地元・青森県五所川原市の立佞武多(たちねぷた)で、ファンからは「赤も似合う」「こっちも素敵」「配色渋い」「またかっこいい化粧まわししてる」と注目するコメントが相次いだ。
2024/09/13
5日目、全勝だった大関琴櫻は王鵬に寄り切られて初黒星。
5度目の対戦で初めて王鵬に敗れ、初日からの連勝がストップ。
立ち合いから攻め立てながら粘られて出足が止まり、最後は上体が起きて根負けしたように寄り切られた。
埼玉栄高の2学年後輩に苦杯をなめさせられ「切り替えていきます。集中するだけ」とだけコメント。
八角理事長は「(王鵬の)右の下手です。がっちり引いていた。琴桜は上手だけでは…」と攻めの厚みの差が勝敗の分かれ目とした。
5日目、豊昇龍は“リトル豊昇龍”との会話で連敗を脱出した。
相撲巧者の御嶽海に、立ち合いすぐに左を差すと、右上手も取って万全の寄り切り。
3日目は熱海富士、4日目は翔猿と、平幕に連敗しており「前に出る意識で『強い相撲を』と思っていた。切り替えて取ることができた」と胸を張った。
切り替え方法を問われると「自分自身と話した。『情けない!』『またか!』と」と、元サッカー日本代表の本田圭佑のような回答。
そんな内心の葛藤を経て「まあ、負けは負けだからね」と、取り戻した平常心を勝因に挙げていた。
5日目、関脇大の里が隆の勝を押し出し、初日から5連勝で単独トップに立った。
気負わず、足元を見つめながら取組に集中し、白星を重ねている。
土俵でも支度部屋でも、脇目も振らなかった。
大の里が見据えるのは、あくまで自分自身の土俵だけ。
立ち合いから圧力をかけ続け、万全の右差しから隆の勝を押し出し初日から5連勝とした後、支度部屋ではテレビの見えない位置で取材に応じ、着替えを済ませた。
単独トップに立った結びの決着の瞬間を見届けず、帰路に就いた。
5日目、小結・大栄翔が正代を下して2勝目を挙げた。
立ち合いから突き放せず正代の圧力に後退したが、相手の左腕を手繰りながら回り込んでとったり。
土俵際ギリギリ残り、物言いが付く際どい勝負を制した。
とったりでの白星は、初土俵から12年間で2度目という珍しい決まり手。
激しい突き押しが持ち味の大栄翔としては「攻める相撲を取りたいので、こういう相撲では…内容が悪い」と反省しきりだった。
5日目、小結・平戸海は、左のど輪で関脇・霧島の上体を起こすと、左に体を入れ替えて一気に押し出した。
「差されないようにしていた。取組内容は覚えてない」と語り、支度部屋では付け人と体の動きを何度も確認。
無心でつかんだ勝利だった。
場所前の荒汐部屋への出稽古では、霧島との三番稽古で1勝4敗と苦戦。
それでも「あの稽古が実になっている」と、元大関と肌を合わせた経験を生かした。
序盤を終えて4勝1敗。
先場所は新小結で10勝を挙げて大関取りの起点をつくり、秋も勢いは止まらない。
八角理事長は「今場所、2ケタ勝ったら大関取りだよ。次(九州場所)は地元だしね」と長崎出身の24歳に期待を寄せた。
5日目、ともに横綱の祖父を持つ2人の対決は、24歳の王鵬が5度目の挑戦にして初めて琴桜を破った。
「やっと勝てたという気持ちですね」としみじみと語った。しかも結びの一番に「気持ちいいですね。いい相撲を取ろうと思ってやってますね」と表情を緩めた。
差し手争いから琴桜に押し込まれると、王鵬は俵を伝って回り込んだが相手得意の右四つになった。
「止まってはいけないと思った」。
琴桜に分があったが体力負けしない王鵬は粘って残すと右下手を取り、左も差し込んで寄る。
根負けしたように土俵を割らせた。
高田川審判長は「王鵬の粘り勝ち。力がついている」と評価した。
5日目、正代は苦手の大栄翔に白星目前まで迫りながら、逆転で初黒星を喫した。
相手の突きを下からあてがい、引きに乗じて前に出た。
だが土俵際で左腕を手繰られて体勢を崩し、とったりで前のめりに倒れて連勝は4で止まった。
大栄翔戦は30度目で9勝21敗となった。「いい出足だったけど、合口の悪い相手だし焦った。もったいなかった」と、唇をかんだ。
それでも前に出る好内容に「流れとしては悪くない。切り替えたい」と、好調維持を口にした。
5日目、返り入幕から2場所目で東前頭7枚目の若隆景が、初日黒星スタートも、その後は4連勝と波に乗り、序盤の5日間を4勝1敗と好調キープだ。
機敏な動きで湘南乃海を揺さぶり、最後はタイミング良くはたき込んだ。
初顔合わせの一番でも「自分の相撲に集中」。
最後まで相手に流れを渡さず、「先に攻めることができた」と先手必勝を貫いた。
返り入幕から2場所目で東前頭7枚目。
初日こそ黒星を喫したが、その後は4連勝と勢いに乗る。
「まだまだ先は長い。気を引き締めてやっていきたい」。
幕内優勝経験者が、さらに白星を伸ばしていく。
5日目、西前頭15枚目の宝富士が錦木を破って4勝目を挙げた。
立ち合いすぐに左四つに組み合うと、右おっつけから右上手を取って寄り切り。
「自分の形で自分の相撲が取れた」と納得の内容だった。
初土俵からの通算連続出場1298回を記録。
元幕内・飛騨乃花を抜いて歴代単独10位に浮上した。
今場所中に通算連続出場の最多記録を塗り替え歴代1位に君臨する玉鷲を引き合いに「10位はたいしたことない」と謙遜していたが、大卒に限れば1位の“金字塔”だと知ると「それはうれしいですね」と頬を緩めた。
学生時代もケガで大会を欠場したことがないという37歳。
「人生で一回も休場してないんですよ」と誇らしげに胸を張った。
5日目、大関経験者の高安が貫禄を示した。
新入幕の白熊の当たりを受け止め、攻めをしのいで左四つ。
豪快な上手投げで土俵にたたき付け、「辛抱して取った」と振り返った。
先場所は左胸のけがで2日目から休場し、東前頭15枚目まで番付を落とした今場所。
星一つ先行して序盤戦を終え、「これをきっかけに精進していく」。
冷静に先を見据えた。
5日目、西十両11枚目の尊富士が、連勝を5に伸ばした。
同8枚目の白鷹山から突っ張りを受けるも下がらず、もろ差しから寄り切った。
前日を終えた時点で生涯勝率88・2%(途中休場による不戦敗を除く)を誇り、相撲を取って負けたのはわずか10度。
その内の1敗を、幕下時代の昨年九州場所で白鷹山に許していた。
それでもこの日は、危なげない内容で勝利。直接対戦成績を2勝1敗とし、「落ち着いてやれた」とうなずいた。
2024/09/12
4日目、琴櫻は危なげない内容。
すぐに右を差し、過去5戦全勝だった熱海富士を問題にしなかった。
前日の翔猿戦は際どい勝負での白星だったが、この日は一気に前に出る内容で4連勝とした。
「いい相撲を取れた。目の前の一番一番に集中して、結果につなげるだけ」と先を見据えた。
4日目、豊昇龍は完全に翔猿の術中に、はまった。
翔猿がフワッと立つと豊昇龍も警戒して見て立った。
立ち合いでいろんなことをしてくる相手で、中に入れさせたくないという立ち合いだった。
見るなら見るでいいが、中途半端に出ていったところをまんまと翔猿にスカされた格好だった。
場所前の横審稽古総見ではいい稽古をしていたのに1勝3敗は意外だ。
毎日毎日うまく自分の相撲を取ることは難しいとはいえ、考えすぎてか気持ちと体の歯車が合わないようにも見える。
2日目の大栄翔戦はもろ差しから一気に寄り切っている。
あの相撲が取れるのだから、何とか気持ちを切り替えてほしい。
4日目、大の里が持ち前の圧力を発揮した。
大栄翔の突っ張りをあてがいながら前進。
のぞきかけた右を突きつけるようにして一気に押し出した。
初日からの4連勝にも「何も考えていない」と表情を変えずに言った。
初日こそ薄氷の勝利に見えたものの、徐々に本来の前に出る取り口が目立ってきた。
「一日一番、集中して頑張る」と繰り返し、成績次第で可能性がある大関昇進に向け、無心を強調しているようだった。
4日目、小結平戸海が会心の速攻を披露した。
低くて鋭い踏み込みから中に飛び込むと、王鵬に何もさせずに寄り倒し、「足も出ていた。久々にいい相撲」。納得の表情を浮かべた。
大関昇進の足固めとしたい場所で、内容も伴って3連勝。
動きの良さの要因を聞かれると、「立ち合いのことしか考えていない。あとは体に任せている」。
大きな手応えを感じている。
4日目、西前頭筆頭の翔猿が、前日3日目に逃した“銀星”をガッチリとつかんだ。
立ち合いで大関豊昇龍が、警戒心から踏み込まずに見てきたが、もろ手突きから押し込み、返す刀でタイミング良く引き落とし。
たまらず豊昇龍が左手をつき、2勝2敗と星を五分に戻した。
「攻め切れてよかった。自分のペースで取れた。切り替えというより『やるしかない』と思っていた」と、静かな口調で胸を張った。
4日目、初日からの4連勝は、初優勝も大関昇進も果たす前の2020年初場所以来。
4年ぶりの好発進ともなれば、自然と舌も滑らかになる。
「慣れないことはするもんじゃない。疲れますよ」と正代。
言葉とは裏腹に、笑顔に充実感がにじむ。
若元春に対して胸で当たり、ぐっと前に出る。
「このまま押し切っていいか迷ってしまった」。
土俵際から攻め返されたが、捨て身で放ったすくい投げで土俵にはわせた。
初日から目立つのが、持ち前の圧力。
足の運びも良く、内容が伴う白星が続く。
この日も「押し込んだから、後ろに(投げを)振り抜くスペースがつくれた。前に出られているのはいい流れ」と手応え十分。
師匠の時津風親方も「いい相撲が取れている。(10勝した)先場所から体が戻ってきた」と、力強さがよみがえりつつあると見る。
4日目、関脇経験者の東前頭7枚目・若隆景が軍配差し違えで3勝目(1敗)を手にした。
業師の宇良との一番。攻め込んだ若隆景だが、土俵際で逆転を食らったとして軍配は宇良に上がった。
しかし物言い。
協議の結果、攻防の過程で宇良の左足が俵を踏み越していたとして軍配差し違え。
若隆景が押し出しで白星をつかんだ。
前日3日目は琴桜−翔猿の微妙な一番に物言いがつかず。
この一番は行司差し違えとなった。
4日目、北の若の動きをよく見ながら前へと圧力をかけ続け、タイミング良くはたき込み。
37歳のベテランは14歳若い相手を元気な相撲で下した。
通算連続出場回数で歴代10傑入りしたことを宝富士は知らなかった。
取組後に報道陣から伝えられると、「10位は大したことない。1位(1632回の玉鷲)がいるんで、どうしてもかすんじゃう」と謙遜したが、立派な記録である。
初土俵以来、15年半に渡って休むことなく1297回も土俵に立ち続け、10位の飛騨乃花に並んだ。
4日目、春場所で新入幕優勝しながら故障で十両に転落した尊富士が初日から4連勝し、幕内返り咲きへ好発進した。
相撲どころの伝統を、重圧でなく力にしていく。
3場所ぶりに初日から土俵に立つ春場所Vの尊富士が、幕内経験者の友風の当たりをしっかり受け止めてから、右に動いて引き落として4連勝。
明治中期から141年間、幕内に名前を連ね続ける青森県出身力士の歴史を担うため、1場所でも早い幕内返り咲きへ突き進む。
2024/09/11
3日目、番付最上位として臨んでいる東大関の琴櫻が、結びの一番で翔猿と対戦。
過去の対戦成績は9勝6敗ながら、最近は4連勝していた相手だが、土俵際でもつれた。
右四つで組み合う形で琴桜が押し込んだ西土俵。
翔猿が右から逆取ったりか、投げか微妙な動きだったが、すっぽ抜ける形となり、押し出そうとした琴桜も目標を失う形で、両者同時に土俵に落ちた。
軍配は琴櫻に上がったが、NHKの正面解説を務めた舞の海修平氏がスロー再生の後に「これは物言いをつけなければいけません」と話したほどの微妙な勝負だった。
だが物言いはつかず、敗れた翔猿も土俵に未練を残すような表情で退き、花道を引き揚げた後の通路で大声を発するほどだった。
3日目、大関豊昇龍が2敗目を喫した。
過去2勝3敗で直近2連敗中だった熱海富士と対戦。
鋭い立ち合いで右四つに組んだ大関が攻めたてた。
しかし残されて左上手を取られ、胸を合わされると体格差で寄り切られた。
初日は隆の勝に押し出された。
あっけない相撲に師匠の立浪親方は「お客さんをがっかりさせる相撲はいけない」と苦言。
前日に豊昇龍は「目が覚めた」と話していたが厳しい相撲となった。
横綱照ノ富士が休場で、番付最上位者として場所を引っ張っていく立場。
課題の序盤で黒星が先行した。
3日目、関脇大の里は西前頭2枚目の王鵬を寄り切り、初日から3連勝とした。
紙一重の勝利だった初日以降、取組を重ねるごとに内容は充実しており、この日も前に出る相撲で相手を圧倒。
「一日一番集中する」と充実した表情で語った。
大の里は勢いのある立ち合いで、一気に前進すると、引いた王鵬を3秒で寄り切った。
4日目は小結大栄翔との一番が組まれ、師匠の二所ノ関親方は「自分のペース、相撲を取っていけるかが大事だ」と話した。
3日目、かつての地位を目指す上で、勢いに乗っていけそうな白星になった。
霧島にとって隆の勝は、幕内での過去12戦で1勝しかしていない合口が悪い難敵。
「やり返す。勝っても、負けても勝負にいきたい」。
強い負けん気で臨んだ。
先場所は張って出たところを反撃された。
師匠の音羽山親方は過去の対戦から「(相手の)突きについていってしまう」ことで消極的になっていたと指摘。
まわしが取れれば勝機はあると見ていた中、突き押しをあてがって左で上手を引くと、すかさず投げて仕留める。
「やっと連敗を止めた」。
同じ過ちは繰り返さなかった。
3日目、平幕の熱海富士が大関豊昇龍を寄り切りで破り、今場所初勝利を挙げた。
土俵だけでなく支度部屋でも、活発な熱海富士が戻ってきた。
取材を断る日々が続いたが、今場所から付け人との反省会からの流れで、ぽつりぽつり。
豊昇龍の攻めをしのいで得意の右四つで寄り切った22歳初白星で、土俵上の気合満点の表情はファンを引きつける笑顔に変わった。
「勝ったんでよかった。でも、ちょっと攻めが遅かったかな」
2場所連続11勝での優勝次点から一転し、負け越した初場所後から、師匠の伊勢ケ浜親方の方針でテレビ以外の取材を受けなかった。
取材解禁のお達しは受けていない。
それを伝えた上で、大関撃破を振り返った。
3日目、大関経験者の正代が好調ぶりを示した。
過去4戦全敗だった湘南乃海との一番は力強く当たって左を差し、右からはおっつけて一気の攻め。
「迷わず出られた」と満足そうな表情を浮かべた。
初日からの3連勝は新大関として迎えた2020年11月場所以来。内容も伴っており、「前に出られていることが一番。余裕が生まれている」と手応え十分に言った。
3日目、玉鷲が38年ぶりとなる大記録の更新を白星で飾った。
初土俵からの通算連続出場を1631回に伸ばし、青葉城を抜いて歴代単独1位に。
かつて自身の付け人だった輝との一番は頭で当たり、強烈な突き押しに喉輪を交えて押し出し。
3日目での初勝利で大きな節目に花を添え、「前に出られてよかった」と笑顔を浮かべた。
歴代1位に並んだ前日よりも緊張感があったという。
幕内最年長の39歳は「うれしい。お客さんはもちろん、力士にも褒められたことがうれしい」と感慨に浸っていた。
3日目、新入幕の阿武剋が高安を破って幕内初白星を挙げた。
高安がもろ手突きから突っ張って左差し右上手と先手を取ったが、上手が切れたところで形勢逆転。
阿武剋が浅い右上手から出し投げで崩して頭をつけ、左で浅い下手も引き付けて万全の体勢を作って寄り切った。
連敗スタートから待望の幕内初白星。
しかも相手は大関経験者であり「学生の時からテレビで見ていた人なので、当たれてよかった」と感慨を込めた。
堂々の勝利だが「稽古場で10番やったら2〜3番しか勝てない。今日はたまたま運が良かっただけ。実力ではまだまだ自分が頑張らないといけない」と謙虚に話した。
3日目、西十両11枚目の尊富士が、横綱の助言も生かして3連勝とした。
アマチュア時代にも顔を合わせたことのある西10枚目藤青雲との対戦。
日大出身の自身に対して、相手は明大出身。
「学生のときからうまさのあるイメージ」という相手に、鋭い立ち合いから有利に運ぶ。
「ちょっと横に送られそうになった」際に右上手を切られたが、慌てることなく対処。
危なげなく押し出した。
2024/09/10
西関脇・貴景勝が、10日の秋場所3日目から休場した。
2場所連続の負け越しで大関から転落した貴景勝は今場所で10勝以上すれば大関に復帰できるが、首の痛みが癒えず、初日から2連敗していた。
2024/09/10
2日目、一気の出足で快勝だ。
出場する力士の中で、番付最上位として臨んでいる東大関の琴櫻が、東前頭筆頭の隆の勝と対戦。
先場所、12勝3敗の優勝同点で今場所も初日に大関豊昇龍を破った隆の勝の勢いを、立ち合いから吸収した。
巨体をぶつけるような強い当たりで、隆の勝の出足を止めると、二本がスッと入った。
休まず寄り立てると、隆の勝の体がフワッと浮く。
一度は残り腰を見せた隆の勝に対し、再び体勢を十分に整えた琴櫻が、すきなく寄り切った。
これで2連勝。まだ気の早い話だが、年間最多勝争いで46勝とし、やはり連勝発進の関脇大の里に1差をつけトップに立っている。
2日目、大関豊昇龍が完勝で初日を出した。
突き押し相撲の小結大栄翔と対戦。
低く鋭い立ち合いで右を差し、相手に間を与えない一気の出足で寄り切った。
砂かぶり席では応援してくれる「高須クリニック」の高須克弥院長が、パートナーの漫画家・西原理恵子さんと観戦していた。
その目の前で迎えた結びの一番。
しっかりと大関の責務を果たした。
2日目、大の里は冷静だった。
翔猿が突っ掛けた後の立ち合い。
足取りを狙ってきた相手を難なくかわすと、自身の正面に置くようにして圧力をかけ続けて突き出した。
「落ち着いて対応できた」と淡々と言った。
初日は物言いがつく際どい相撲で白星を拾っただけに「体もついてきて反応できた。よかったと思う」とまずまずの様子。
成績次第で大関昇進の可能性がある場所で2連勝発進し、「また集中して」と気合を入れ直した。
2日目、関脇・貴景勝は初日から2連敗となった。
立ち合いのあたりといなしで西前頭2枚目・王鵬の体勢を崩しかけたが、その後の攻め込む足が出ず。
左四つに組み止められると、力なく土俵を終わった。
取組後は「明日は明日なので、また準備する。自分としては精一杯やっていくだけ」と言葉少なく語った。
10勝すれば1場所での大関復帰となるが、苦しい序盤戦を強いられている。
八角理事長は「稽古をしていないから仕方がない。気持ちはあるけど、稽古をしてないから、そうそう甘いものではない。稽古をしないと重さが出ない。気持ちはまだ終わっていない。気力ですよ、気力。振り絞ってやっていますよ」と語った。
2日目、自己最高位で今場所に挑む王鵬が、3度目の対戦で大関経験者の貴景勝を破り初白星を挙げた。
過去2戦とも押し切られる形で2敗。
この日は貴景勝のいなしを土俵際で残すと、前に出ながら右上手をつかんで寄り切り。
2019年夏場所から翌年九州場所まで付け人をしていた埼玉栄高の3学年先輩へ、恩返しの白星となった。
2日目、返り入幕から2場所目で東前頭7枚目の若隆景に、初日が出た。
明生を相手に、当たった後、左からいなして相手の体勢を崩すと、欲しかった右の前まわしを瞬時につかんだ。
左もおっつけながら、一気に明生を向正面に運び寄り切った。
初日は美ノ海に、うまく取られ黒星発進だったが、2日目で白星を挙げた。
幕内優勝経験者で大関候補の呼び声も高かった若隆景が、さらに星を伸ばして上位かく乱をファンは期待している。
東前頭10枚目、玉鷲が秋場所2日目、初土俵からの通算連続出場が1630回となり歴代1位の元関脇・青葉城に並んだ。
モンゴル出身の玉鷲は2004年初場所初土俵で、08年秋場所に新入幕を果たした。
幕内在位は歴代9位タイの90場所。
幕内優勝は19年初場所と22年秋場所の2回で、殊勲賞2回、敢闘賞1回、技能賞1回を獲得している。
2日目、新入幕の阿武剋にとっては、ほろ苦い幕内連戦となった。
前日の初日は竜電に寄り切られ、心機一転で臨んだ、この日の宝富士。
警戒していた宝富士得意の左を封じるために、右を固めて立ったが、アッサリと左差しを許した。
自分も左を差したが、右の上手は遠いまま、宝富士には右上手を与える苦しい体勢に。
何とか左に回り込みながら、右を巻き替える動きも見せたが、ズルズルと後退するだけ。寄り切られて土俵を割った。
連敗スタートとなったが、土俵はまだ13日間、残されている。
気持ちを切り替えて3日目に臨む。
2日目、西十両11枚目の尊富士が、貫禄の2連勝を飾った。
初日の大青山に続いて新十両の木竜皇と対戦。
鋭い立ち合いで右を差し、左上手を取ると一気の出足で寄り切った。
初日の取組後に「相手は新十両。
負けじと元気な相撲をと思っていた」と話したが、その言葉をこの日も貫いた。
今年春場所で110年ぶりの新入幕優勝を飾った。
その場所で痛めた右足首のけがで夏場所を全休。
復帰に向けた稽古で左大胸筋を痛めて名古屋場所も初日から休場したが、8日目から出場。
2連勝後に再休場した。
今場所は鍛え上げた上半身の張りで、十両の土俵では力差を見せる。
2024/09/09
8日、秋場所を初日から休場した横綱照ノ富士の診断書を公表し、5日付で「糖尿病、両変形性膝関節症で3週間の休業加療を要す」との内容だった。
休場は2場所ぶり、横綱在位19場所で11度目。
夏巡業で膝を負傷し、師匠の伊勢ケ浜親方は「膝が悪いと運動できない。汗を流せるようになれば血糖値も下がる」と説明していた。
秋場所後の秋巡業で復帰を目指す。
初日、大関・琴櫻が3場所ぶりに白星スタートを決めた。
成長著しい小結・平戸海との一番は立ち合いから前へ出たが、回り込まれて右を差され、逆襲を許した。
だが土俵際で左小手に振りながら相手の体勢を崩すと、最後は突き落とした。
「集中していけたんじゃないですかね」と淡々と振り返った。
横綱・照ノ富士が休場し、出場力士の中では番付最上位となった。
結び前で大関・豊昇龍が敗れ、迎えた結びの一番だったが看板力士がしっかり白星で締めた。
だが琴桜は「関係ないですよ。同じ気持ちで臨んで、結果としてそこにつながればいいです」と冷静に語った。
初日、成績次第で大関昇進の可能性が浮上する関脇大の里は物言いがつく相撲で平幕熱海富士をはたき込み、白星発進した。
大の里は勝つには勝ったが、内容的には反省点が多かった。
立ち合いで右差しにいったが、熱海富士が左前みつを取りにきて完全には差さないまま出ていった。
左のおっつけも高すぎ、絞るような形ではなかったため、土俵際で残され、逆に一気に出られた。
土俵際、左足一本で残したものの物言いがつく薄氷の白星だった。
初日、1場所での大関復帰を目指す貴景勝が、口をとがらせ、悔しさを押し殺すようにして花道を引き揚げた。
黒星発進に「自分の相撲を取りたかったが、取れなかった」。首に古傷を抱える中、先行きが不安視されるスタートだ。
大関経験者の御嶽海に頭で当たって押そうとしても、相手は下がらない。
右差しを許して起こされ、力なく後退。9度目のかど番で臨み、大関陥落が決まった7月の名古屋場所と同様に、一気に持っていく馬力が足りないのは明らかだった。
初日、名古屋場所の勢いそのままに、隆の勝が初日から会心のスタートを切った。
得意の右を差し、休まず前へ。「怖がらず前に出られているのでよかった」と笑顔を見せた。
豊昇龍とは過去8回の対戦で2勝。
分が悪い大関の胸を借りるため、場所前に豊昇龍がいる立浪部屋へ出稽古した。
ところが、その日は豊昇龍が境川部屋へ出稽古した日と重なった。
「何できょうなんですか?」とすれ違った豊昇龍に言われたが明生、出稽古に来ていた阿炎とで申し合いはできた。
初日、若元春が白星スタートを切った。
喉輪を交えた大栄翔の攻めに土俵際まで追い込まれたものの、うまく左からあてがって反撃。
力強く押し出し、「狙い通りではないが、食い止めて前に出られた」と振り返った。
3場所ぶりの勝ち越しを目指す。
「白星、黒星よりも、まずは内容」と先を見据えた。
初日、新入幕の阿武剋にとっては、ほろ苦い幕内デビューとなった。
竜電と対戦。
左四つを選択したが、上手は取れず、逆に竜電には差し勝たれる形となり、右上手を引かれた。
相手十分な形で何ら反撃の糸口すらつかめず、アッサリと寄り切られた。
初日、シロクマが描かれた着物で場所入りした新入幕の白熊が、力強い攻めで白星スタート。
北の若に前まわしを許したが、左でおっつけてから前に出て上手でまわしを引き、寄り切った。
得意の右四つになれなかったが「新入幕っぽい思い切った相撲が取れた」と笑顔。
師匠の二所ノ関親方の胸を借りて番付を上げた25歳は、初めて手にした懸賞について「まずは親方にいい報告ができる」と恩返しの手渡しを宣言し、声を弾ませた。
初日、東十両11枚目の尊富士が白星発進を飾った。
鋭い立ち合いからまず左前まわしを取り、休まず前へ。先場所幕下で全勝優勝の大青山を寄り切って完勝した。
力の差を見せつけるような勝ちっぷり。
「相手は新十両。負けじと元気な相撲を、と思っていた」と振り返り、「初日に土俵に上がれたことにほっとしている。今までやってきたことをやるだけ」と、うなずいた。
初日、今場所から昇進した木村容堂改め第42代式守伊之助が、まずは初日を無事に終えた。
終盤の2番を落ち着いて合わせ、「まだ初日が終わったばかり。気持ちを緩めず頑張りたい」と穏やかな口ぶりで語った。
江戸時代から代々受け継がる“譲り団扇(うちわ)”ではなく、この日も以前から使ってきた軍配を手にした。伝統の団扇は2日目以降に使用予定という。
行司の最高位にあたる立行司が2人そろうのは15年春場所以来9年半ぶり。
木村庄之助は今場所で定年を迎えるため、来場所から再び1人戻る。
2024/09/07
大関・琴櫻は6日、千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋で最終調整し、横綱照ノ富士の休場により出場力士では番付最上位となる秋場所へ「今まで通り、変わらずに思い切ってやるだけ。できる準備をしっかりして場所に臨む」と自覚をにじませた。
この日の稽古では本場所用の締め込みを着け、重りを持ったすり足やぶつかり稽古で胸を出して汗を流した。
大関昇進から3場所は全て2桁勝利と安定感がある。
横綱不在の場所で初優勝への期待が高まり「気持ちを出してやっていく」と静かに闘志を燃やした。
日本相撲協会は6日、秋場所の取組編成会議を開き、初日と2日目の取組を決めた。
成績次第で大関昇進の可能性がある関脇大の里は初日に熱海富士、2日目には翔猿戦が組まれた。
昇進の目安は「直近3場所を三役で33勝以上」。
大の里は新小結で初優勝を飾った5月の夏場所で12勝、新関脇だった7月の名古屋場所は9勝で、今場所で12勝すれば目安の数字には到達する。
昇進問題を預かる審判部は三役で3場所連続の10勝以上を原則としながらも、高田川部長はこの日、大の里について「前へ出る圧力はあるが、押されたときに引き気味になる。先場所もそういう相撲が何番かあった。前へ出れば相撲もよくなって、気持ちもいい。内容を見ていく」と先場所の9勝には言及しなかった。
秋場所で新入幕を果たした東前頭16枚目の白熊が、2桁白星で三賞受賞に意欲をのぞかせた。
6日、茨城県内の部屋で基礎運動などで汗を流した。
稽古後は「緊張してきました」と、初日が近づき、高ぶる胸の内を明かした。
この日の取組編成会議で初日は北の若、2日目は錦富士との取組が決定。
ただ「人から対戦相手を聞かされると必ず負ける」という験を担ぎ、相手は聞かずに集中力を高めた。
2024/09/06
東横綱照ノ富士が秋場所を休場することが6日、決まった。
同日に発表された初日の取組に入らなかった。
先場所で10度目の優勝を遂げたが、場所前は膝の痛みや糖尿病で調整が遅れていた。
照ノ富士の休場は2場所ぶり22度目、横綱在位19場所で11度目を数えた。
初日からの休場は昨年11月の九州場所以来。
今場所は2場所ぶりの横綱不在となった。
2024/09/06
夏巡業終盤に腰を痛めた関脇阿炎は5日、東京都中央区の荒汐部屋で同じく出稽古の関脇霧島や小結大栄翔らと6番取った。
肘の不調で番数は少なかったが「もう大丈夫。そうでなかったら稽古していない」と言葉に力を込めた。
関脇で10、8勝と勝ち越しを続けている。
腰痛の発症から2週間余り。
状態が懸念される中で「申し合いを毎日やることはできなかったが、自分なりにできることをやってきた」と語った。
5年ぶりに関脇に転落した貴景勝が「ぶっつけ本番」で大関返り咲きに挑む。
5日、都内の部屋で四股などで汗を流し、秋場所に向けた本格的な稽古を打ち上げた。
師匠の常盤山親方によると、かど番で5勝10敗だった7月の名古屋場所以降、相撲を取る稽古はしていない。
それでも10勝以上なら1場所で復帰する特例で、再び大関を目指す決意だ。
体には張りがあった。
大粒の汗と相まって、若々しさを取り戻していた。
「関脇貴景勝」は、5年前も今も変わらず、大関への意欲を体現していた。
ただ5年前とは違い、慢性的な首痛を抱える。
名古屋場所から1カ月余り。
首痛で相撲を取ることができなかった。
それでも稽古後、首の状態について「だいぶいい」と即答。
言い訳せず、退路を断った。
続けて「やれることをやってきた。結果が全て。やり切るだけ」と、3日後の初日を見据えた。
小結大栄翔は5日、東京都中央区の荒汐部屋で同じく出稽古の阿炎、霧島の両関脇らと11番取った。
場所前は大関琴桜の佐渡ケ嶽部屋など精力的に各部屋を回った。
30歳の実力者は「しっかり稽古できたのではないか。本場所の一番に生かしていきたい」と話した。
長かった夏巡業を終え、短い調整期間で秋場所を迎える。
「疲れはみんな一緒。その中でやれることをやるのが大切」と力説。
「序盤戦でいい内容の相撲を取れれば、流れに乗っていける」と自信をうかがわせた。
先場所は敗れながらも優勝決定戦に進出した幕内隆の勝は快進撃の再現を狙う。
5日は東京都板橋区の常盤山部屋で相撲は取らず、四股などで調整。
「体はいい感じ。積極的に攻める相撲を取れば、いい勝負ができる」と元気だった。
東前頭筆頭で臨む今場所に向け、佐渡ケ嶽部屋への出稽古で大関琴桜に胸を借りるなど意欲的だった。
2022年春場所以来の三役復帰を見据え「初日から全力で頑張る」と闘志を燃やした。
秋場所を控えた8月末、荒汐部屋では出稽古に来た力士を含めて多くの関取衆が次々と申し合い。
幕内に復帰して2場所目となる若隆景は低い姿勢からの速攻、強烈なおっつけと本来の持ち味を存分に発揮。
「少しでも状態を上げられるように。しっかりと稽古をする」。
黙々と汗を流す姿は、関脇にいた頃と同じだ。
昨年の春場所で右膝に大けが。
手術と懸命なリハビリを乗り越えて幕下から再起し、名古屋場所で1年ぶりに番付を幕内に戻した。
「一日も早く上がれるようにやってきた。待っていてくれた人がたくさんいる」。
2桁白星と結果がついてきたことはもちろん、土俵に立てる喜びをかみしめた。
現役関取最年長の東前頭10枚目玉鷲は5日、東京・墨田区の片男波部屋で弟弟子の十両玉正鳳と8番取ったほか、2人の力士を相手に相撲を取る同部屋独特の稽古で仕上げた。
秋場所2日目には初土俵からの通算連続出場が1630回となり、史上1位の元関脇青葉城に並ぶ。
「記録に並んで、抜いて。そんな場所がついにやってくる。自分でもそのときになってみないと、どんな気持ちになるか分からない」と苦笑いを浮かべた。
新入幕を果たした阿武剋が5日、千葉県習志野市の阿武松部屋で稽古を行った。
申し合い稽古では、幕下の勇磨、土佐緑、秋良、三段目の荒雄山の4人を相手に連続で14番。
前ミツを引いての攻めやもろ差し速攻、突き放しなど幅広い取り口を試した。
今月3日と4日は大嶽部屋へ出稽古。
幕内・王鵬や兄弟子の十両・阿武咲と稽古を重ねたという。
この日、ちょんまげを結って初めて稽古に臨んだ。
幕下15枚目格付け出しで昨年九州場所初土俵を踏んでから10カ月。
出世の速さに髪の伸びが追いつかず前日の稽古まではざんばら髪だったが、ようやく結えるようになった。
「常に引っ張られているような感じでちょっと痛い」とまだ慣れていないようだったが「(髪が)前に垂れてこないので良い感じ。(秋場所)初日にお披露目ですね」と笑顔を見せた。
11月に福岡市で行われる大相撲九州場所を前に、日本相撲協会の親方たちが県庁を訪れ、「多くの人に足を運んでもらう事で、力士も力が出せる。九州場所を大いに盛り上げていきたい」と抱負を述べました。
5日県庁を訪れたのは、日本相撲協会の理事を務める直方市出身で元大関・魁皇の浅香山親方など九州場所を担当する5人の親方です。
浅香山親方たちは服部知事と面会し「多くの人に現地に足を運んでもらい九州場所を盛り上げたい。多くのお客さんが来ることで力士も力が出せると思うので、イベントを行うなどして、相撲を身近に感じてもらえるようにしていきたい」と抱負を述べました。
2024/09/05
名古屋場所でV10を果たした横綱照ノ富士の秋場所出場は厳しい状況だ。
師匠の伊勢ケ浜親方は4日、東京都江東区の同部屋で取材に応じ「見たら分かるでしょう。内臓とかも調子が悪いから、体にぶつぶつもいっぱいできてるし」と話した。
秋巡業後は相撲を取る稽古をしておらず、秋巡業中に、持病の糖尿病で体重が10キロ減ったことを明かしていた。
8月29日の横審稽古総見も欠席した。
関脇大の里は4日、茨城県阿見町の二所ノ関部屋で相撲を取らず、押しを受ける稽古を重点的に行った。
守勢の状況を想定して幕下以下の力士の攻めを残し、192センチの長身を丸めて前に出る動きを確認。
「しっかり体勢を立て直すことを意識した。いい感じだ」と本番を見据えた。
成績次第で大関昇進の可能性がある24歳の大器。
2日に師匠の二所ノ関親方と17番取り、意欲がさらに増したという。
「自分の立ち合いをさせてもらえなかった。上にいった方のすごさを感じた。勉強していく」と話した。
秋場所へ向けた時津風一門の連合稽古が4日、国技館内の相撲教習所で行われ、関脇霧島は小結大栄翔らと26番で22勝4敗と好内容だった。
四つ身や突き、押しなど多彩な取り口で「前へ出ることを意識した。他の力士からも『だいぶ調子が戻ったね』と言われた」と笑顔で語った。
痛みを抱える首も回復傾向で、頭をつけて攻める場面も。
師匠の音羽山親方は「気持ちも上向いてきた。あとは立ち合いで、がつんと当たることだ」と評した。
大関復帰へ出直しの場所だが、入門当初に掲げた「横綱」の夢は変わらない。
「高い目標を立てて、頑張っていくのが楽しい」と意欲的だった。
秋場所2日目に通算連続出場1630回で史上1位の青葉城に並ぶ39歳の玉鷲は「気にしていない。自分はまだ現役なので」と大記録を目前に平常心を強調した。
4日は両国国技館内の相撲教習所で行われた時津風一門の連合稽古に一門外から参加。モンゴル出身の後輩の関脇霧島や幕内欧勝馬らと7番取った。
所属する片男波部屋は力士4人と少ないため「人がいっぱいいるところで稽古した方がいい」と狙いを語った。
21歳の十両伯桜鵬が4日、東京都江東区の伊勢ケ浜部屋での稽古を欠席した。
部屋関係者によると、複数の力士とともに先週末に溶血性レンサ球菌(溶連菌)に感染。
発熱などの症状で静養し、秋場所の出場に支障はない見通しだという。
十両・尊富士が4日、東京・江東区の部屋で秋場所に向けた稽古を行った。
同部屋の幕内・熱海富士、錦富士らを相手に鋭くスピードある立ち合いなど、持ち味を見せた。
3日から相撲を取る稽古を再開したといい、「僕の持ち味はやっぱりスピード。そこは強化しているつもり。きょうも熱海富士関に『前より動き、スピードがよくなった』と言われて、結構うれしかったですね。そうやって言われると場所につなげられますし、不安もなく、場所に向かえるなと思います」と手応えを語った。
2024/09/04
大関・琴櫻は3日、千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋で、出稽古に来た小結大栄翔や幕内隆の勝らと13番取った。
6番目で左足首を痛がるそぶりを見せたが、一呼吸置いて再び土俵へ。
秋場所が迫る中で「気合です。こういう気持ちも15日間を闘っていくには重要」と頼もしかった。
足を滑らせてのアクシデントに冷静に対処。
自身で状態を見極め「休むこともできるが、やれるなら稽古した方がいい。痛くても我慢して出ないといけないこともあるから」。
戻った後の7番は患部をかばうこともなく、力強い出足を見せた。
関脇・霧島が3日、秋場所に向け、東京・中央区の荒汐部屋へ出稽古を行った。
若元春、若隆景、同じく出稽古に来ていた小結・平戸海、北の若との幕内力士の申し合い稽古で計16番取って、11勝5敗。
稽古終盤は平戸海と三番稽古の形になり、5勝1敗の好内容だった。
稽古後は「久しぶりに楽しい稽古ができた。楽しかった」と繰り返し、充実した表情を浮かべた。
16番という番数については「もう少しやりたかった」と振り返った。
大関陥落の一因にもなった首の不安については「大丈夫」と語り、「体も動いている。もちろん早く(大関に)戻りたい。このような感じで稽古を一生懸命やれれば」と秋場所へ向けて意気込んだ。
小結・大栄翔が3日、千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋へ出稽古し、大関・琴桜らと計13番取った。
毎場所直前の恒例となっている佐渡ケ嶽部屋への出稽古。
大関・琴桜、幕内・琴勝峰、同じく出稽古に訪れた幕内・隆の勝、王鵬の4人を相手に充実の汗を流した。
8月31日には錣山部屋で関脇・阿炎、関脇・霧島、幕内・御嶽海らとも稽古。
本場所での対戦が予想される力士の約半数と手合わせし「上位のメンバーで良い稽古ができている。キツい稽古ができていてありがたい」と充実感をにじませた。
小結・平戸海が3日、秋場所に向け、東京・中央区の荒汐部屋へ出稽古を行った。
若元春、若隆景、同じく出稽古に来ていた関脇・霧島、北の若との幕内力士の申し合い稽古で計20番取って、10勝10敗。
「いい稽古ができた。踏み込んでいけたので良かった」と振り返った。
稽古終盤は霧島と三番稽古の形になり1勝4敗。
「あまり勝てなかったが、何番かいい相撲を取れた」と手応えを口にした。
荒汐部屋への出稽古は初めてだったという平戸海。
荒汐部屋の若隆景とは7月の名古屋場所で初対戦し完敗した。
先週は若隆景が境川部屋に出稽古に来たこともあり、この日は自ら稽古に出向いた。
ともに体重が130キロ台で幕内では軽量に入る。
優勝経験のある実力者を相手に4勝4敗。
「(若隆景との稽古は)勉強になる」と、充実した表情を浮かべた。
秋場所へ向けては「立ち合いからの出足。
2、3歩目を意識していきたい」と語った。
幕内・隆の勝は3日、千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋に出稽古して、大関琴桜らと14番取り「先場所からのいい流れで来られている。自信になっている」と充実の表情で語った。
佐渡ケ嶽部屋に出向くのは2日連続で、琴桜を力強く寄り切る相撲もあった。
元関脇の29歳の実力者は、東前頭筆頭で臨む秋場所に向け「しっかりと勝ち越して、来場所は三役に上がりたい」と明確な目標を掲げた。
元関脇・若隆景は3日、東京都中央区の荒汐部屋へ出稽古に来た関脇霧島、小結平戸海らと5勝6敗だった。
鋭いおっつけを生かして攻める一方、立ち合いで押し込まれる場面もあった。
昨年3月の春場所で右膝に大けがを負い、再起の途中で「上位の力士と稽古できるようになってきた。当たり負けしないようにしたい」と口元を引き締めた。
1年ぶりの再入幕の先場所は11勝を挙げ、秋場所は東前頭7枚目に浮上。
「自分の相撲を取る」と自らに言い聞かせた。
幕内・玉鷲が3日、秋場所に向け、東京・江東区の高田川部屋へ出稽古を行った。
幕内・竜電、同じく出稽古に来ていた十両・千代翔馬と8番。
得意の突き押しに持ち込めない場面もあったからか、「全然だめですね。順調じゃないです」と苦笑いを浮かべた。
今場所初日から出場すると、2日目には元関脇・青葉城の持つ連続出場記録史上1位の1630回に並ぶ。
大記録がかかる玉鷲は「それは、やっぱりみんなの記録です。みんなの支えのおかげ。自分だけの記録じゃない」と周囲のサポートに頭を下げつつ、「盛り上げる気持ちで頑張りたい」と気合を入れていた。
8月31日に福島県須賀川市で行われた白熊の十両優勝・新入幕祝賀会に出席しました。
私も地元にはお世話になっていますが、故郷はいいですね。
白熊は中学から新潟県に相撲留学したので思い出は少ないかもしれませんが、改めてありがたさを感じたのではないでしょうか。
よりいっそう恩返しの思いは強くなったはずです。
入門2年で白熊も新入幕を果たしました。
春先はけがなどもあって2場所連続で負け越し。
少し冬眠をしていましたが、名古屋場所では別人のような取り口で十両優勝しました。
要因は本人の意識が変わったこと。
見るからに稽古量は増えましたし、大の里が優勝したことでこのままではダメと奮起したようです。
名古屋場所前の稽古も良かったですし、場所後もいつも以上に中身が濃い稽古をしています。
2024/09/03
大関・琴櫻が2日、千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋で秋場所へ向けての稽古を行った。
この日は関脇・阿炎、小結・大栄翔、幕内・隆の勝、王鵬が出稽古に訪れており、弟弟子の幕内・琴勝峰も含め5人を相手に連続で15番取った。
同じ相手と続けて取る「三番稽古」の形式ではなく、申し合い形式で代わる代わる相手を指名。
「その方が体力的にキツい。相手が元気(な状態)で来ることもあるので、その中で力を出せた」と自らを追い込んで実りのある稽古を行った。
突き押し相撲を得意とする相手が多い中で、組み止めて自分の形に持ち込む時もあれば押し返して圧力勝ちする場面も。
「やるのはしんどいですよ」と苦笑いしながらも「持っていかれないようにしないといけないし、タイプの違った稽古もできる」と充実感を得ていた。
大関から陥落し、大相撲秋場所では関脇として臨む貴景勝が2日、東京・板橋区の部屋での朝稽古に参加した。
四股やスクワット、腕立てなどの基礎運動で汗を流し、稽古終盤では幕下・若ノ勝を相手に土俵外でぶつかり稽古を行った。
9度目のカド番で迎えた7月の名古屋場所で5勝10敗に終わり、2度目の大関陥落が決定。
関脇に降下するのは、最初に大関から番付を下げた2019年秋場所以来となった。
夏巡業は全休。
今場所で10勝を挙げれば、1場所での大関返り咲きがかなうが、首には慢性的な痛みを抱える。
師匠の常盤山親方は「(状態は)徐々に上がってきている。最初は立ち合いだけだったが、今はぶつかり稽古もしている」と初日へ向けて段階を踏んでいるが、「これからガンガンやるのは、首の具合もあるので、ぶつかり稽古ぐらいです」と語り、今後も慎重な調整が続く。
小結・平戸海は2日、東京・足立区の境川部屋で幕内佐田の海や幕下力士と計18番取って17勝。
得意の右差しから一気に寄る速攻がさえた。
「けがをしないように気合を入れてやっている」。
3日には荒汐部屋へ出稽古に赴き、初日へ向けて熱が入る。
新小結だった7月の名古屋場所で10勝を挙げたが、秋場所では4関脇となったことから番付は小結に据え置かれた。
新小結で10勝をマークしながら次の場所も小結にとどまるのは昭和60年春場所の北尾(のちの横綱双羽黒)以来39年ぶり史上2人目だが、「これまで番付運はよかったと思っているので、今回は仕方ない」と切り替える。
隆の勝が2日、千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋へ出稽古し、大関・琴桜らと計14番取った。
この日は関脇・阿炎、小結・大栄翔、幕内・王鵬も同じく出稽古に訪れており、佐渡ケ嶽部屋の幕内・琴勝峰も含めた5人でまずは申し合い稽古。
鋭い出足で5連勝する場面もあり、調子の良さをうかがわせた。
最後は大関・琴桜と3番。
得意の右差し速攻での好内容も見せた。
名古屋場所は12勝を挙げ、横綱・照ノ富士との優勝決定戦に進出する大活躍。
「前の三役の頃(約2年半前)よりも押す力が強くなっていると思う」と自信を深めており「先場所の勢いのまま行ければなと思います」と秋場所(8日初日、東京・両国国技館)へ意気込んだ。
2024/09/02
30日、千葉・松戸市の佐渡ケ嶽部屋で幕内琴勝峰と10番取って8勝2敗だった。
夏巡業で腰を痛め、秋場所への本格的な稽古は再開したばかり。
「やれる範囲でできることをやっている」と慎重な姿勢だった。
この日は得意の右四つで寄る内容が多く、土俵際でいなして逆転する粘り強さもあった。
「いい稽古になった。相撲勘はそんなに落ちていない」と話す。
弟弟子に助言する場面も多く「若い衆が上がってくればうれしいし、いい稽古相手になる。相乗効果なので」と部屋頭の自覚を示した。
復調を目指す大関豊昇龍は8月31日、東京・台東区の立浪部屋で稽古し、幕内明生らと17番取り、すり足や四股などでも精力的に汗を流した。
明生には7勝3敗で「動きが硬い気がする。まだ稽古不足」と満足しなかった。
先場所は右内転筋を痛めて13日目から休場。
完治せず、夏巡業も終盤に加わった。
この日は右差しからの出足を残される場面もあったが「大丈夫。初日までの残り期間で調子は合わせられる」と前向きに話した。
食事量は変わらなく、体重は5月から7キロ増えて149キロに。
持ち前のスピードには影響がない様子で「簡単に押されなくなった。いい方向に重くなったと思う」と語った。
秋場所で大関昇進の可能性がある関脇大の里が2日、茨城県阿見町の二所ノ関部屋で、師匠の二所ノ関親方と17番続けて取る異例の稽古を行った。
「親方は立ち合いの駆け引き、タイミングのずらし方が本当にすごい。いい勉強、いい稽古になった」と話した。
馬力で勝る大の里に対し、二所ノ関親方は現役時代さながらの左おっつけや厳しい寄り身で応戦。
大の里は10勝7敗と勝ち越したが「自分は得意の右を差せず、逆に左を差されたら何もできない。密着されて巻き替えも難しかった」と驚きを隠せなかった。
1日、東京都墨田区の時津風部屋に出稽古し、同じ元大関で幕内の御嶽海や正代らと6番取って3勝3敗だった。
大関陥落の先場所は8勝止まりで1場所での復帰を逃し「まずは今場所で2桁勝つこと」と目標を語った。
この日は休む予定だったが、御嶽海が訪れると聞いて変更。
軽めの調整で汗を流した。
古傷の首痛は回復傾向にあるそうで「もう大丈夫だと思う。出稽古での番数も増やし、ペースを上げていく」と意気込んだ。
31日、都内の部屋で幕下以下を相手に15番取って全勝。
鋭い出足から一気に寄り切ったり、押し出したりといった好内容の相撲を続けた。
25日までの約1カ月で、19会場で行われた夏巡業に参加。
疲労も蓄積していたが、秋場所番付発表の26日、健康診断だった27日と、部屋の稽古が行われず「2日間休んで、巡業の疲れは取れました」と、状態の良さを感じていた。
若元春が1日、東京都中央区の部屋で稽古し、9番の申し合いをこなすなどして汗を流した。
出稽古に訪れた幕内明生とは6番とって5勝1敗。
当たりをしっかりと止めて、素早く得意の左四つに持ち込む内容が光った。
申し合いは「やらないつもりだった」というが「あれだけ来てくれたし、時間に余裕もありそうだったのでやろうかなと」と、明生の意欲に熱のこもった相撲で応えた。
31日、千葉県松戸市の部屋で稽古し、大関琴桜と11番とって3勝8敗だった。
得意の右四つだけでなく左四つの形も見せ「相手が嫌がる相撲をとれるように。ガムシャラにいきたい」と狙いを明かした。
再入幕した初場所から4場所連続勝ち越し中。
「気持ちは強くいかないとダメだというのがわかった」とメンタル面の変化を好成績の要因に挙げた。
昨年10月に長男が誕生。「自分一人じゃないので」と父親としての責任が芽生えたことも、成長につながっている。
新入幕の白熊が鉄紺(鉄色と緑の中間のような色合い)の締め込みで挑むことを明かした。
31日に茨城・阿見町の部屋で行われた稽古で、「鉄紺」新しい締め込みを締めて、なじませた。
「かっこいい。(目が)つまっていて柔らかい。硬さもある」とうれしそうだった。
新十両だった昨年秋場所からは「褐返し(かちがえし)」だったが、新入幕の今場所から新調した。
2024/08/30
秋場所へ向けた横綱審議委員会(横審)による稽古総見が29日、国技館内の相撲教習所で行われ、山内昌之委員長は所用、7月の名古屋場所で10度目の優勝を遂げた横綱照ノ富士は糖尿病と膝の負傷を理由にともに欠席。
照ノ富士の欠席は横綱昇進後では初めて。
委員長と番付最高位の横綱が不在という極めて異例の総見となった。
土俵を引き締める横綱がいない。
鋭い視線を向けるはずの横審委員長の姿もみえない。
委員長を含め9人いる委員のうち4人が欠席。
大関から陥落し、秋場所で10勝すれば大関復帰となる関脇貴景勝も首痛で不参加とあって、稽古は抑揚を欠いた。
出席した委員で在任期間が最も長い都倉俊一委員は「いつもと比べておとなしい感じ」と言葉を選びつつ、間延びした空気をみて取った。
秋場所に向けた横綱審議委員会による稽古総見が29日、両国国技館の相撲教習所で行われました。
横綱・照ノ富士が不在となる中、存在感を見せたのが大関・琴櫻です。
今年の夏場所の番付発表に合わせて「琴ノ若」から元横綱で5度の幕内優勝をあげた祖父のしこ名「琴櫻」を襲名。
偉大な祖父のしこ名で臨んだ2場所では11勝4敗、10勝5敗と勝ち星を積み上げました。
しかし夏巡業中に腰を痛めたという琴櫻。
状態が心配されましたが、この日に行われた稽古では同じ大関の豊昇龍相手に勝ち越すなど回復の兆しを見せています。
「徐々に徐々になので、うまく探りながらの部分もありましたけど、でも出来なかったことを考えるとしっかり序盤から出来たのでそこはプラスに考えていきたい」とコメント。
秋場所を前に、横綱審議委員会による稽古総見が29日、国技館内の相撲教習所で行われた。
大関・豊昇龍は大関・琴桜らと16番の相撲を取った。
最初は小結・大栄翔を指名し、もろ差しから寄り切った。
琴桜との三番稽古(同じ相手と続けて取る)では、最初の手合わせで寄り切り。
だが、もろ差しを許し、一気に寄りきられる場面もあり5勝6敗。
「6敗か。しょうがない」と悔しそうだった。
豊昇龍は名古屋場所で右内転筋挫傷で、13日目から休場した。
夏巡業は最後の3日しか参加できず。
体重も先場所から10キロ増えたという。
この日が復帰後初めての本格的に相撲を取る稽古だった。
それでも「ケガが治ったわけじゃないけど調子は悪くない」と前向きに話した。
秋場所に向けた横綱審議委員会(横審)による稽古総見が29日、両国国技館の相撲教習所で行われた。
24日にぎっくり腰を発症し、夏巡業最終盤で離脱していた関脇阿炎は、申し合いの番数こそ3番にとどまったが、軽快な動きで復調をアピールした。
関脇大の里、前頭御嶽海を立て続けに破ったところで、痛そうに腰に手を当て、直後に前頭翔猿に敗れた。
それでも稽古後は「連続で取ると、どうしても腰に痛みが出てしまう。でも、今はもう大丈夫」と、明るい表情で話した。
ぎっくり腰で巡業を離脱後、2度のはり治療で劇的に痛みが引いたという。
当面は、量よりも質を重視した稽古を続け「出稽古もしていくつもり」と、夏場所に続く2度目の三役での2桁白星を目指していく。
秋場所に向けた横綱審議委員会(横審)による稽古総見が29日、両国国技館の相撲教習所で行われた。
成績次第で大関昇進の可能性がある関脇大の里は、計9番で5勝4敗。
積極性に欠く姿勢に、日本相撲協会役員の八角理事長からは稽古不足を指摘され、境川巡業部長からはゲキが飛んだ。
大関昇進への気迫、がむしゃらさを求められた。
横綱照ノ富士は糖尿病と膝痛、関脇貴景勝は首痛で不参加だった。
初土俵から順風満帆だった大の里にとっては、初ともいえる“ダメ出し”連発だった。
関取衆の申し合い序盤で雷が落ちた。
「大の里、お前、目の前だろ! かぶりついてでも、やらんか!」。
1カ月近い夏巡業中からモヤモヤを募らせていた、境川巡業部長の大声が響いた。
目の前で申し合いが決着しても、次の相手として名乗りを上げない消極的姿勢を怒られた。
これには稽古後、大の里も「頑張ります」と反省した。
新三役だった名古屋場所で10勝した小結平戸海が、幕内の申し合いで先陣を切って元気な姿を見せた。
「大人数なんで、しっかり稽古することを意識して。(人数が)多いのでとにかく最初に行かないと」。
気合十分で18番取って7勝。
終盤には大関琴桜から指名された。
長崎出身で、準ご当所となる九州場所での大関とりのためにも、秋場所は大事な15日間。
「やっぱり前に出ること。引かずに攻めて、2桁勝利を目指して頑張りたい」と意気込んだ。
2024/08/29
28日、健康診断が国技館で行われた。
夏巡業を急性腰痛(ぎっくり腰)で途中離脱した関脇・阿炎は「もう全然大丈夫」と強調した。
24日の巡業(神奈川・座間)中に腰を痛め、「もう(相撲人生が)終わったと思った」。
25日の巡業最終日(同・横須賀)を休場すると、患部にはりを打ち、安静にしたという。
「自宅にいると子どもに乗っかられるかもしれないので、部屋で寝泊まりした」と明かした。
その後、医師の勧めで歩行やサイクリングで“リハビリ”。
この日の健診では幕内・若元春らと談笑する場面もあった。
29日の横綱審議委員会による稽古総見は土俵に上がる予定で「場所まで少しずつやっていく」と話した。
関脇大の里が史上最速大関昇進へ、勝負の秋場所に挑む。
27日は力士会に出席。
「前の場所は考え過ぎた反省もある。あまり考え過ぎず、思い切って自分の相撲を取り切りたい」と抱負を語った。
新小結の夏場所で12勝で優勝し大関昇進の起点となったものの、新関脇の名古屋場所は9勝にとどまった。
高田川審判部長は大関昇進について「基本は三役で3場所10勝以上。(名古屋は)2ケタいかなかったということ。(条件は)来場所の内容次第で変わってくる」と厳しい評価。
大関から陥落し、秋場所では関脇として臨む貴景勝が28日、東京・板橋区の部屋で行われた朝稽古に参加した。
四股や重りを持ちながらのスクワット、腕立てなどの基礎運動で調整。
この日の取材対応は控えた。
自身のトレーニングの合間には、幕下以下の弟弟子たちが土俵上で行う申し合い稽古にも目を配った。
193センチの高身長を誇る三段目・隆勝生には、身長を生かす立ち合いの姿勢をアドバイス。
「体は大きいんだから、自信を持て」と背中を押した。
さらに首を痛めた幕下・若ノ勝には、首に負担をかけないようなぶつかり稽古のやり方を助言。
自身も慢性的な首痛に苦しむ中で、自らの経験を弟弟子たちに惜しげもなく伝えている。
師匠の常盤山親方も「強くさせてあげたいという思いがあるから。自分の知っている知識を教えてくれている」と信頼を寄せる。
28日、東京・両国国技館での力士健康診断後に報道陣の取材に応じ、東前頭2枚目で新三役昇進を目指す秋場所へ抱負を語った。
9月3日に22歳となる大器は「年齢的にも伸びていかないといけない。頑張りたい」と成長を期した。
熱海富士は25日まで夏巡業に参加し「相撲は取らなくても稽古場には出るようにしている」と体を動かし続けた。
横綱照ノ富士に上手の取り方を助言され、十両尊富士に立ち合いの出足の重要性を説かれたという。
最近2場所は前頭筆頭で2大関を破りながら、7勝8敗で新三役の座を逃した。
「大関に勝っても他に負けたら星としては一緒。負けないように」と闘志をにじませた。
初土俵からの連続出場記録2位を持つ関取最年長の幕内玉鷲が、秋場所初日から出場すると2日目に史上1位の元関脇青葉城の1630回に並ぶ。
28日は両国国技館で健康診断に参加し、鉄人ぶりを支える体と心のポイントを語った。
苦手な採血の注射を乗り切った玉鷲が、笑顔で健康レクチャーを始めた。
まずは精神面。「ストレスをためないこと」ときっぱり。
「生きることに対して毎日、感動して生きることですね」と、大ベテランならではの心構えを明かした。
名古屋場所2日目の霧島戦で左大胸筋を部分断裂し途中休場した高安が、秋場所へ向けて稽古を再開していることを明かした。
序二段、三段目の力士に胸を出しながら治療とトレーニングを継続。
「やりすぎてもね。もうね、30万キロぐらい走った車ぐらい乗ってますから」と自分のペースを保ちながら調整を進めている。
けがに泣かされ今年は15日間の皆勤は春場所だけだが、「(番付は下がっても)一喜一憂しない。幕内の土俵に上がっていることを感謝しながら」と前向きに話していた。
2024/08/28
関脇大の里が、秋場所の成績次第で可能性のある大関昇進を「先のことは気にせず」と一時封印すると決めた。
小結の夏場所は12勝3敗で、史上最速の所要7場所で優勝。
同じく成績次第で大関昇進もあった、関脇の名古屋場所は9勝6敗にとどまった。
大関昇進目安は三役で3場所33勝。
数字上、今場所12勝で到達する。
最近2場所で霧島、貴景勝が連続で大関から陥落。
ファンだけではなく、相撲協会内にも新大関誕生を期待する空気が漂うが「考え過ぎず自分の相撲を取りたい」と淡々と話した。
冷静さが鍵を握ると知った、先場所の教訓を生かすつもりだ。
秋場所で10勝以上すれば大関に復帰する貴景勝が27日、同国技館で行われた力士会に参加した。
パリ五輪を見て力をもらった。
「柔道とか一対一で闘う競技は自分も好きだから。オリンピックは4年に1回なんで。自分たちは相撲界で生きていて、スパンが早い分大変なこともあるけど、挽回しようと思ったら比較的回数が多いんで。そういうのを考えながら見てました」と気持ちを奮い立たせてきた。
かど番だった7月の名古屋場所は5勝。
慢性的な首痛で大関からの陥落が決まった。
しかし、秋場所へ向けて「いい状態になるようにやることをやって。いかにいい状態で場所に入るかっていうことを考えて。結果はあとから」と全力を尽くしていく。
福島県須賀川市出身の白熊が東十両8枚目から東前頭16枚目に昇格し新入幕を果たした。
福島市出身の「大波3兄弟」とともに福島県内出身の幕内力士は3人となった。
日本相撲協会によると、福島県内出身の力士3人が同時に幕内となるのは1960(昭和35)年3月場所以来、64年ぶり。
7月の大相撲名古屋場所で、左膝前十字靱帯(じんたい)断裂などの大けがを負って途中休場した、大関経験者の朝乃山が27日、東京・両国国技館で行われた関取衆による力士会に参加した。
同場所千秋楽2日後の7月30日に約2時間かけて左膝を手術。
今月10日ごろの退院から、2週間ほどしか経過していないが、松葉づえなどを使うこともなく、軽快に歩くなど元気な姿を見せた。
ほとんどの関取衆から欠席するものと思われており、姿を見せると「大丈夫なの?」「出られるの?」などと質問攻めで、驚きの声が相次いだ。
力士会後は通常のスピードで、自力歩行で帰途に就いた。
その際に取材にも応じ「普通に歩けますよ。サポーターを着けているので大丈夫。リハビリの運動と思って歩いています」と、笑顔で現状を説明した。
ただ現在、下半身はトレーニングなど筋力維持のための運動をできておらず「歩くぐらい。上半身は(トレーニングを)やっている。やらないとダメなので」と、四股、すり足などの基礎運動は、再開のメドも立っていない様子だ。
師匠の高砂親方はかねて「年内の復帰は難しい」と話していた。朝乃山はこの日、復帰時期については「師匠、病院と相談して。しっかりと治すことが優先」と、未定を強調した。
2024/07/29
千秋楽、先場所まで2場所連続で途中休場していた横綱・照ノ富士が苦しみながらも賜杯を抱いた。
ともに目標にしていた2ケタ優勝と名古屋での初優勝を達成した。
「ホッとしている。約束を果たせたかな」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
本割で大関・琴桜に初めて敗れた直後、3敗同士の隆の勝との優勝決定戦は「どっしり構えていこうと思った」という。
当たって右のど輪から双差しで寄り立ててきた相手に、照ノ富士は俵に詰まりながら右を巻き替える。
体を入れ替えると左上手もガッチリ取った。
土俵際は腰を落とし、右のかいなを突き付けて寄り切った。
千秋楽、かど番で5勝10敗と負け越し、関脇への転落が決まった大関貴景勝が、現役続行を公言した。
名古屋市内で行われた常磐山部屋の千秋楽パーティーで意志を明らかにした。
負け越しが決まった13日目の照ノ富士戦後、同市内の部屋宿舎で進退を含めて師匠の常盤山親方と話し合い、秋場所で10勝以上が条件となる特例での大関復帰を目指す方針を確認していた。
常盤山親方によると、パーティーの席上で「頑張ります」と述べた。
夏巡業も初日から参加する予定という。
千秋楽、大の里が2場所連続で殊勲賞を獲得した。
新入幕から4場所連続の三賞受賞は史上初。
「ありがたいことです」と話した。
千秋楽は優勝が懸かった隆の勝に立ち合いから後手に回って一方的に押し出された。
「いいところも悪いところも出た。しっかり修正して来場所頑張りたい」。
今場所は9勝に終わったが、大関昇進に関して高田川審判部長は「内容を見て」と見解を示した。
千秋楽、平戸海はうまさも見せて琴勝峰を下し、新小結の場所で10勝に乗せた。
左で前まわしは引けなかったが、相手の右腕を抱えてとったりで仕留めた。
躍進の要因を「引かないと決めていったのがよかった」と自己分析。
決して大きくはない体で、けれん味のない相撲が光った。
目標だった技能賞獲得と2桁白星を達成。
「十分できた」と充実感たっぷりに振り返った。
千秋楽、愚直に前に出た隆の勝が、初の優勝決定戦で照ノ富士を後退させた。
だが、横綱の壁は高かった。
しのがれて最後は右四つを許し、寄り切らた。
取組後の花道と支度部屋で、何度もギュッと目を閉じて悔しさをあらわにした。
「優勝は簡単にできないと思い知らされた。またチャレンジします」と笑顔も見せた。
関脇経験者が自己最多タイの12勝と敢闘賞。
左膝前十字靱帯断裂などの大けがで大相撲名古屋場所を5日目から休場した元大関で東前頭12枚目の朝乃山が、30日に東京都内で手術を受けることが、28日分かった。
高砂部屋付きの若松親方は「復帰まで半年から1年かかるだろう」と見通しを語った。
存在感を示した。
千秋楽、優勝経験者で元三役の幕内若隆景が幕内北勝富士を渡し込みで下して11勝目。
取組後は「最後まで前に出られたので、良かったと思います」と充実した表情を浮かべた。
昨年春場所で右ヒザ前十字靱帯断裂の大ケガを負った。
長期離脱で幕下まで転落したが、今年の夏場所で十両優勝。
今場所は1年半ぶりの幕内勝ち越しを果たした。
千秋楽、十両は人気力士の白熊が12勝3敗で優勝した。
3敗で並んでいた獅司が伯桜鵬に敗れ、自身は時疾風を撃破。
頭が真っ白になるほど極度の緊張のなか「止まったらダメなので、前に出ました」とがむしゃらに攻めた。
場所前には師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)に胸を借りるなど充実した稽古も実った。
来場所は新入幕が濃厚となり「まだ上では通用しないのでもっと稽古します」と意欲十分だった。
大相撲名古屋場所は28日、千秋楽を迎え、懸賞総数は1759本に達し、2017年の1677本を上回って同場所最多となった。
1日当たりの最多は千秋楽の154本。
2024/07/28
14日目、勝てば優勝が決まった照ノ富士は、隆の勝にいいところなく敗れた。
立ち合いで相手の右腕を手繰りにいって失敗。
左からおっつけられ、一気に攻め立てられた。
金星を与えて2敗目を喫した後の支度部屋では、付け人が報道陣を制して無言。
これまでの攻める姿勢が見えなかった一番を八角理事長は「楽にいこうと思ってしまった」と指摘。
まだ隆の勝と1差あり、優位な状況は変わらないが、賜杯の行方は千秋楽に持ち越された。
14日目、かど番で13日目に負け越し、大関陥落が決まった貴景勝は休場せずに土俵へ上がった。
頭からの当たりが通じず、琴桜との大関対決で押し出され、大関として自己ワーストの9敗目を喫した。
普段と変わらず、朝稽古で体の状態を確認し、見学の子供を呼び寄せて交流。
気持ちも高めた。
「一生懸命、勝つことだけに向けてしっかり準備することを心がけた」と土俵入りと取組時の大声援に応えたかったが、力を出し切れなかった。
14日目、大の里が千秋楽、優勝の行方を左右する。
横綱に1差とした隆の勝との対戦が組まれた。
支度部屋ではその対戦が決まる前。
美ノ海を立ち合い一気の破壊力で押し出し、9勝目をあげた。
自身の三役で2場所連続2桁白星もかかる大きな一番となるが「まだ終わってないんで。明日の一番、集中してやります」と短い言葉に力をこめた。
14日目、小結・大栄翔が西前頭5枚目の湘南乃海を下して8勝目を挙げ、2場所連続の勝ち越しを決めた。
立ち合い当たってすぐに右へずれて右から突き落とし。
「まず当たってから攻めようと思っていたけど」と冷静な判断で初顔の相手を難なく退けた。
7勝目を挙げてからの連敗を2で止めて14日目で勝ち越し。
「ひとまずよかったけど、土俵際で負けたりするもったいない相撲も多かった。連敗もあって、切り替えているつもりでも相撲に出ていた」と反省を口にした。
14日目、大逆転優勝の可能性を残した。
東前頭6枚目の隆の勝が、優勝争いを独走していた横綱照ノ富士に快勝。
一方的に寄り切り、全て照ノ富士を相手に通算3個目の金星を挙げた。
11勝3敗とし、2敗の照ノ富士とは1差。
1場所15日制が定着した1949年(昭24)以降、13日目を終えて2差から逆転した前例はない。
他力の要素はあるが前代未聞の快挙に挑む。
14日目、美ノ海は大の里の破壊力に初優勝の可能性が消滅した。
ただ本人は「それ(優勝の可能性)は残ってないです。何日も前から」と変わらず平然だった。
星よりも相撲内容を悔やむ。
「もうちょっと自分の相撲をとりたかったけど、途中であごが上がってしまった。小さい力士がやっちゃいけないこと」。
大健闘の場所だが「けっこうボロボロ。ちょっと気を抜いたらすぐかぜ引きそう」と笑った。
14日目、若隆景が厳しい攻めを披露した。
王鵬に低く当たり、右を差して前進。
土俵際で小手に振られたが、相手の右足を取って崩し、そのまま押し出した。
「前に攻めることができてよかった」と納得の表情を浮かべた。
右膝の大けがを乗り越え、幕内では関脇だった2022年秋場所以来、11場所ぶりとなる2桁白星に到達。
「一日一番、自分の力を出し切ろうとしてやった結果」とさらりと言った。
2024/07/27
13日目、照ノ富士は貴景勝を落ち着いて仕留め、優勝に王手をかけた。
タイミング良くはたきを決め、「圧力がかかっていた」と自己分析した。
大の里に土をつけられた11日目も含め、今場所はよく前に出ている。
「いい感じで圧力をかけることができているから、相撲が良くなっている」と言い、状態が上がっていることを実感。
節目となる10度目の賜杯獲得は目前だが、「あと2日もある。その日、その日の積み重ねだから」と気は緩めなかった。
大関豊昇龍が名古屋場所13日目の26日から休場した。
師匠の立浪親方によると、3敗を守った12日目の琴桜戦で股関節付近を痛め、日本相撲協会に「右内転筋挫傷で約3週間の安静、加療を必要とする見込み」との診断書を提出した。
豊昇龍は12日目を終え、単独トップの照ノ富士と2差で優勝の可能性を残していた。
立浪親方は「仕方がない。力が出ない状況では、お客さんもがっかりする」と述べた。
13日目の対戦相手、大の里は不戦勝。
豊昇龍の休場は1月の初場所以来。
13日目、かど番で負け越して関脇への2度目の転落が決まった大関貴景勝が27日、現役続行を決めた。
師匠の常盤山親方が明かした。
秋場所で2桁勝利が条件の特例復帰を目指す。
横綱照ノ富士に敗れて8敗目を喫し、大関からの陥落が決まった26日の取組後、貴景勝は「まだ場所中なので、先のことは…」と今後について明言しなかったが、名古屋市天白区の常磐山部屋宿舎で師弟で進退も含めて話し合い、再起を決断。
師匠は「本人の意志を尊重」する方針を示していた。
13日目、大の里が思わぬ形で勝ち越しを決めた。
大関豊昇龍の休場により不戦勝で8勝目を手にした。
過去3戦全敗だった相手。
「しっかり準備してきたつもりだった。また来場所(の対戦)に向かって頑張りたい」。
残り2日に三役で連続2桁白星がかかる。
「残り2番、集中してやります」と気合を入れ直した。
13日目、東関脇霧島が平幕隆の勝に押し出しで敗れて、6敗目を喫した。
この結果、10勝以上で今場所を終える可能性が消滅し、1場所での大関復帰はならなかった。
霧島は2度目のかど番だった夏場所を首痛の影響で1勝6敗8休で終えて、在位6場所で大関から陥落。
1場所で大関に返り咲くには10勝以上を挙げる必要があったが、今場所は4日目からの3連敗が響いて、厳しい状況が続いていた。
13日目、平幕隆の勝が関脇霧島を押し出し、3場所ぶりの2桁勝利を挙げ、優勝争いで踏みとどまった。
相手が立ち合いで繰り出した張り手にひるまなかった。
「低い姿勢なら持っていかれることはない」と考えた下から下からの粘り強い押しが光った。
14日目は結びで横綱照ノ富士との一番が組まれた。
負ければ横綱の優勝が決まる一方、金星を手にすれば千秋楽まで自身の初Vの可能性を残せる大一番となるが、「挑戦者として思い切りぶつかって、どれだけ自分のいい相撲が取れるか。作戦なんてない」と無心を強調した。
13日目、平幕美ノ海が、同学年の小結大栄翔を送り出して、3敗を守った。
鳥取城北高出身の美ノ海と、埼玉栄高出身の大栄翔の対戦は高校時代が最後。
プロでは初めてとなっただけに、「朝起きたときとか、(懐かしさを)感じました。土俵に上がる前は楽しみだなぁと」と感慨深げなところをみせたが、勝負は別。
「土俵に上がってからは何も考えないタイプなので」と取組に集中し、入幕5場所目で初の2桁勝利を決めた。
13日目、優勝、関脇経験のある若隆景が、新小結の平戸海を圧倒。
右を差し、左からはおっつけて厳しく攻め、最後は胸の辺りを押して土俵下まで飛ばした。
初顔の新鋭に実力を示した一番を「内容も良かったんじゃないですかね」と自賛した。
再入幕で東前頭14枚目。
今場所初めて幕内後半で相撲を取り、「雰囲気も違うし、気合も入る」。かつては当たり前だった舞台で、存在感を示した。
2024/07/26
12日目、横綱照ノ富士は前日初黒星の影響なく、阿炎を力強く寄り切り1敗を守った。
「昨日は昨日。まあよかったんじゃないか」。
13日目に3敗3力士が負けて貴景勝に勝てば目標に掲げていた10度目の優勝が決まる。
しかし「まだ早いだろ」と厳しい表情のまま、「まだ3日もありますから」と目の前の相撲に集中する。
12日目、豊昇龍が逆転の首投げで、3敗で並んでいた琴桜との大関対決に勝った。
もろ差しを許して攻め込まれながらも、右で首を巻いて足も掛けながら仕留めた。
「内容は良くなかったが、残してしっかり勝ってよかった」と一息ついた。
5連敗していた難敵を退けてトップの照ノ富士との2差をキープ。
「まだ横綱戦があるので、しっかり集中して最後までやりたい」と気合を入れ直した。
大きく後退した琴桜は「結果が全て」と言葉少なだった。
12日目、かど番の大関貴景勝が、いよいよ崖っぷちに追い詰められた。
先場所初優勝の関脇大の里に、上手投げで敗れて5勝7敗。
9度目のかど番脱出には、残り3番を全勝するしかなくなった。
慢性的な首の痛みで、今年は先場所までの3場所を皆勤したことはなく、苦しい土俵の連続。在位30場所目の大関死守へ、13日目の横綱照ノ富士戦から3連勝を目指す。
12日目、新関脇の大の里が、大関貴景勝を破り2ケタ10勝に望みをつないだ。
貴景勝の当たりをまともに受け、一気の押しで土俵際まで後退。
だが、右上手をつかむと体を左に開き、右足一本で残しながら上手投げを決めた。
取組後、NHKのインタビュールームに呼ばれた大の里は、相撲内容を問われ「良かったかなと思います。集中できてたかなと思います」と、いつものようにハキハキと答えた。
前日は横綱照ノ富士、そしてこの日は大関を撃破。
勝ち越しに王手をかけ「残りあと3日。やるべきことを、先のことは考えずに目の前の一番一番を、しっかり集中してやりたい」と話した。
12日目、遊牧民パワー≠ナ大関復帰となるか。
関脇霧島が幕内熱海富士を寄り切って7勝目(5敗)を挙げた。
取組後は「立ち合いからいい流れでいけました」と納得の表情を浮かべた。
大関から陥落した霧島が、1場所で復帰するためには10勝が必要。
すでに5敗を喫しており、残り3日間で一敗も許されない。
12日目、新小結・平戸海の相撲っぷりが光った。
長崎県出身の24歳が、押し相撲の豪ノ山を圧倒して勝ち越しを決めた。
「いい相撲が取れた。まずは一安心」と振り返った。
頭からの当たり合いから左右ののど輪で押し込まれたが、平戸海の動きが速かった。
ここから頭を低くして反撃する。逆にのど輪気味の押しから攻め立てると相手の体が立った。
二の矢も早い。鋭く懐に飛び込んで豪ノ山に残す暇を与えず押し出した。
12日目、大関経験者で東前頭10枚目の正代が、2場所ぶりの勝ち越しを決めた。
取り直しとなった一番で、琴勝峰を豪快な上手投げで下した。
最初の一番は、琴勝峰に攻め込まれ土俵際、逆転の突き落としで執念を見せたが、軍配は琴勝峰に。
物言いがつき協議の結果、琴勝峰の足の甲がかえるのと、正代の体が土俵につくのが同時とみて、取り直しとなった。
12日目、平幕の美ノ海が3敗を守った。
新入幕だった昨年九州場所に並ぶ自己最多の9勝目。
優勝争いに名を連ね、鳥取城北高の1学年後輩の横綱・照ノ富士を2差で追走する。
美ノ海は武将山に押し出されたかに見えたが、際どく残って同体取り直しに。
「負けたと思った。次は踏み込んで前に出ようと」と巡ってきたチャンスをものにした。
勝っても負けてもあまり感情は表に出さない性格。
2桁勝利に王手をかけても「あまり変わらない。いっぱいいっぱいです」といつもの穏やかな表情だった。
12日目、再入幕の遠藤が7連勝で8勝目。
北勝富士に押し込まれた土俵際で数本のさがりをつかみ、俵伝いに回り込んで送り出した。
先場所は8年ぶりに十両へ転落。
1場所で幕内に復帰した。
幕内では昨年秋場所以来の勝ち越しとなった33歳は「またこんな日が来るとは思っていなかった。毎日、きょうで最後という気持ちで取っている」。
人気力士の必死の土俵が、館内を盛り上げる。
2024/07/25
11日目、横綱照ノ富士が、座布団が舞う花道を表情を変えずに引き揚げた。
夏場所に続き大の里に連敗。
初日からの連勝が10でストップした。
初日から丁寧に報道陣の取材に応じ続けていたが、初めて取材を拒んだ。
取組前に「優勝の仕方を知っている。序盤で集中して勝っている。うまい流れになっている」と照ノ富士を高く評価していた八角理事長だが、敗戦を見届けると「まわしを取って、勝ったと思ったのでは」と一瞬の隙ができたことを指摘した。
11日目、琴櫻は痛恨の3敗目。
霧島に素早い動きから左上手を取られていなされ、体勢が崩れたところを寄り切られた。
ただ、全勝の横綱照ノ富士も敗れ、首位と2差は変わらず。
12日目は豊昇龍との3敗対決。
悲願の初優勝へ負けられない闘いに向け「切り替えます」と絞り出し、必勝を誓った。
11日目、豊昇龍は土俵際での逆とったりで3敗を死守し、優勝戦線に踏みとどまった。
阿炎にもろ手で突かれ、右喉輪でのけ反らされながらも、その腕をたぐって転がした。
「集中していた。体が動いてくれた」と納得の口ぶり。
昨年の名古屋場所で初優勝し、大関昇進を決めた。
ゲンの良い場所という思いはあるが、残り4日へ「優勝とか考えず、一日一番、しっかり取っていきたい」と無欲を強調した。
11日目、大関かど番の貴景勝は、気迫あふれる相撲で連敗を免れて5勝目。
突き押しの応酬から、豪ノ山を左からいなして突き落とした。
取組中に口を切ったよう。止血をしつつ、「集中して、やることをやるだけだった」。
残り4日間で横綱、大関との対戦も残す中、12日目は3月の春場所で敗れた大の里の挑戦を受ける。
「もう一度、気持ちをつくり直してやる」と表情を引き締めた。
11日目、横綱を突き落としで土俵にはわせた大の里が、1度だけ大きくうなずいた。
そして、座布団が乱舞する中で勝ち名乗り。
結びで勝ちっ放しの照ノ富士戦と、これ以上ない舞台で連敗を止め、存在感を示す6勝目をもぎ取った。
右の相四つの横綱に左上手を許したが、右の差し手を抜いて相手が突っ込んできた一瞬のチャンスを逃さなかった。
「とっさ。完全に相手に(まわしを)取られて、動こう動こうと思った。気合を入れ直して残り5日間、頑張ることだけを考えていた」
11日目、5敗となり、1場所での大関復帰へ後がなくなった霧島が、2敗だった琴桜を破った。
鋭く踏み込んで、左からのおっつけや、いなしで崩して寄り切る完勝。
よく一緒に稽古する大関を撃破し、「負けない気持ちで、と思っていた」と納得顔だった。
厳しい星勘定は頭に入れず残り4日間に臨む。
「勝ち負けは関係ない。思い切りいくしかないので考えることはない」と構えた。
11日目、西前頭12枚目の美ノ海が、幕内では自身最速の11日目で勝ち越しを決めた。
同6枚目の王鵬と対戦。
もろ手で立った相手をかいくぐるように、左の前まわしを一瞬で引くと、右も差して前進。
かいなを返しながら反撃のいとまを相手に与えず、万全の体勢で寄り切った。
11日目、右膝の大けがを乗り越え、1年ぶりに番付を幕内に戻した若隆景が勝ち越しを決めた。
千代翔馬との一番は巻き替えられた後、右で上手を引いて頭をつけ、うまく出し投げを打った。
幕内では関脇だった昨年初場所以来、9場所ぶりとなる給金にも、感慨に浸ることはない。
「特にそういう感じはない。まだ残りがあるので、気を抜かず自分らしい相撲を取っていく」。
そう言って先を見据えた。
2024/07/24
10日目、横綱照ノ富士が霧島を小手投げで下し、全勝優勝した21年九州場所以来の初日から10連勝を飾った。
「立ち合いは少し高かった感じだが、前に圧力をかけられたので良かった」。
10度目の優勝へ独走状態だが「まだ残り5番もあるから」と緩めない。
ひげをそったことを問われると「何でも理由をつけたがるな。ひげは伸びたらそるだろ」と一蹴した。
10日目、相手の武器を封じてから攻め切った。
琴櫻が、がっちり引いた左上手からの投げで大の里を転がし、12場所連続勝ち越し。
ただ一人、2敗をキープした。
3度目の対戦だった夏場所は大の里に深い右差しを許して寄り切られていた。
左を固めてぶつかりおっつけて隙を見せず、大関の意地で嫌なイメージを断ち切った。
「(先場所を)頭には入れていたけど、自分の相撲をしっかり取ろうと思った」。
倒れ込みながら投げ、立ち上がる際には両手を力強く「パチン!」。
何げない動きに充実感をにじませた。
10日目、大関貴景勝は、かど番脱出へ痛い黒星となった。
阿炎を一気の出足で軍配をもらったが物言い。
左手が先に落ちたとして行司軍配差し違えで6敗目を喫した。
相撲の流れは完全に大関だったが「まあ負けは負けですね」。
上位と対戦を残す厳しい終盤戦となるが「最後の一番まで相撲をとるだけなんで」と決意を示した。
10日目、大の里は琴桜に敗れ、5勝5敗。
得意の右を差したが、左上手を許す。
寄って前に出た力を利用され、上手投げを喫した。
先場所は大の里が琴桜の上手の方に寄って勝った。
今場所は、同じ上手投げでも琴桜が大の里の足の間に左足を入れて投げた。
この一番に向けての準備という面でも琴桜に分があった。
10日目、関脇・霧島が5敗目を喫し、大関復帰の10勝まで崖っぷちとなった。
横綱・照ノ富士に低く当たるもきめられて、後退した。
最後は小手投げで完敗。
「頭付けて中に入ってみようと思った。中に入れたが、きめられた」。
過去全敗の相手だが「緊張はなくて思いきりいこうと思った」と振り返った。
10日目、東前頭10枚目・正代が7勝目を挙げて、勝ち越しに王手をかけた。
西前頭8枚目・金峰山の突っ張りに土俵際まで追い込まれる。
それでも右に周って体を残しての突き落とし。
大きく白星を先行させての残り5日間に「だいぶ心に余裕ができてくる。気を抜かずにやっていく」と笑顔で語った。
10日目、再び幕内へと帰ってきた若隆景が3敗を堅守した。
土俵際でうまく体勢を入れ替えると、一気の攻め。自分より小さな翠富士をスピードとうまさで上回った。
「いつも通り、下からです。なんとか最後まで押せました」。
目指す攻めは1つ。
一切の迷いはない。
昨年春場所で右膝前十字靱帯を断裂。
まだ、稽古をしすぎると膝が熱を持つなど万全ではないが、優勝経験者であり大関候補となった力士。
番付は幕内下位だが、その実力は誰もが認めるところだ。
東十両2枚目尊富士が10日目から再び休場した。
師匠の伊勢ケ浜親方によると、場所前の稽古で左胸を痛めた。
初日から休場していた今場所は、8日目から出場して2連勝。
再出場せずに治療に専念する。
10日目の対戦相手、大奄美は不戦勝となった。
尊富士は新入幕優勝を遂げた3月の春場所で右足首を負傷し、5月の夏場所を全休して十両に転落した。
2024/07/23
9日目、横綱照ノ富士は小結大栄翔を上手出し投げで下し、9連勝とした。
完全に乗っている。
「とにかく、圧力をかけないと持っていかれることが多いから。構えて待つと持っていかれること多いから」と、まわしにはこだわらずとにかく攻めた。
過去8勝5敗(不戦敗除く)と大栄翔のパワフルな押し相撲に屈することもあったが、今場所は休場明けとは思えない動きの良さを見せつけている。
9日目、琴櫻は落ち着いていた。
新小結平戸海に右を差されたが、慌てない。
しっかり腰を備えて寄り返し、最後は押し出し。
「いつも通り集中してやっただけ。しっかり攻め切れたのでよかったんじゃないか」と振り返った。
これで4連勝。
大関以下の役力士ではただ一人、2敗を守って横綱を追う。
「その日の一番のために準備しているので、あしたもしっかりやっていければいい」と泰然と話した。
9日目、大関貴景勝が御嶽海を押し出し、4勝5敗とした。
今場所は9度目のかど番。
7日目まで2勝5敗と大関陥落の危機を迎えていたが8日目、9日目と今場所初の連勝で盛り返してきた。
「しっかり準備して明日もやるだけ。15日間、自分の一番いい状態にすること。それを明日やるだけ」と気持ちにぶれはない。
9日目、大の里が痛恨の敗戦を喫した。
立ち合いから腰高になり、消極的なはたきで墓穴を掘って豪ノ山に押し出された。
支度部屋では、まげを結い直すこともなく、「また明日。集中して頑張ります」と淡々と話し、足早に引き揚げた。
成績次第では、場所後の大関昇進の可能性もあったが、照ノ富士とは4差。高田川審判長は「悪い癖が出た。押し込まれたときが課題」と指摘した。
9日目、しぶとく白星を重ねた。
霧島は立ち合いこそ踏み込めなかったものの、右で前まわしを引いて明生を攻め返す。
「久しぶりにまわしを取ることができたのがよかった」。
すかさず引き付けながら相手を起こし、寄り切った。
大関復帰を目指す今場所。
初日から3連勝と好発進しながら、4日目からの3連敗で失速した。
2桁白星が求められる中、思い通りの立ち合いができず、「もっと当たることができれば、相撲も取りやすい」。
苦悩の日々が続く。
9日目、幕内最年長の前頭9枚目、玉鷲が竜電を下手投げで下し、5勝目を挙げた。
現役中に死去した同部屋の名横綱、玉の海が一度も休場しなかったことを意識して、連続出場記録を伸ばしながら奮闘している。
一人じゃない。
玉鷲は、ご当所で片男波部屋の大先輩横綱と一緒に戦っている気持ちでいる。
鋭い出足から竜電に何もさせず、一気に押し出して5勝目。連敗を3で止め、白星を先行させた。
「(連敗中は)嫌な3日間でしたね。きょうこそ前に出ようと。自分のいいところを出さないと勝てないので」
9日目、平幕の美ノ海が十両で対戦して以来、4年ぶりの顔合わせとなった千代翔馬を下手投げで下し、2敗を守った。
「立ち合いは0点なので。あとは我慢して取れたかなと思います」と粘りの相撲で全勝の照ノ富士を2差で追う。
ただ、美ノ海に優勝争いに加わっているという意識はない。
「関係ないです。(横綱は)負けないんじゃないですか。僕が連勝でむこうが2敗なら考えますけどね。強い方が連勝なので」と笑って受け流した。
9日目、東十両2枚目・尊富士が東十両筆頭・時疾風を押し出して、途中出場から2連勝とした。
持ち前の出足のするどい相撲にも「まあまあです」と表情を変えることなく振り返った。
2024/07/22
中日、立ち合いから格の違いを見せつけるような相撲だった。
照ノ富士は湘南乃海より頭一つ低い姿勢で踏み込んで押し込むと、右を差し、左上手をがっちり。
あっという間に自分の形に持ち込んで寄り立てる。
相手は右からの投げで局面を打開しようとしてきたが、詰めは怠らない。
腰を下ろして押し出した。
初顔合わせの挑戦を盤石の取り口で退け、「落ち着いてじっくりやろうと思っていました。まわしも取れたし、圧力が掛かっていたから良かったんじゃないですかね」と汗をぬぐった。
これで無傷の8連勝だ。
照ノ富士の全勝ターンは横綱昇進以降では4度目。
過去3度(令和3年秋、同年九州、昨年夏)は、いずれも賜杯を抱いている。
中日、会心の一番だった。
大関かど番の貴景勝が1場所での大関復帰を目指す霧島を圧倒。
鋭く踏み込み、引きにも乗じて土俵下まで押し出した。
3日ぶりの白星でようやく3勝目を挙げ、「勝たないといけない。負けるよりはいいと思う」。
表情は引き締まったままだった。
朝稽古では、てっぽうなど基本動作を確認し、筋力トレーニングにも励む。
万全の状態には遠い中、「強くなったり、弱くなったりはしない。自分の力を出せるように準備をするしかない」と真摯(しんし)に土俵と向き合う。
中日目、大の里は足を飛ばした翔猿の奇襲にも冷静だった。
立ち合いの右蹴手繰りにも構わず前進。
鋭い出足で攻め、豪快に土俵下まで押し出した。
4連勝と勢いが出てきて「良かった。目の前の一番に集中するだけ。また明日から頑張っていく」と気を引き締めた。
序盤戦は雑な取り口で黒星が先行したものの、ようやく本領を発揮してきた。
土俵下の粂川審判長は「いろいろと対策されたが、対応し始めている」と評価した。
中日、新小結の平戸海が平幕・明生を寄り切り、5勝目を挙げた。
立ち合いで押し込まれたが左へ回り込んでしのぎ、反撃開始。突き放して押し返し、最後は右差し、左は前みつを引いて土俵外へ運んだ。
「引いて自分で体勢を崩すことが多かった。我慢して引かなかった」。
心掛ける我慢を、土俵上で体現して会心の勝利だった。
中日、西前頭筆頭の熱海富士は左前頭2枚目の若元春を寄り切り、3度目の対戦で初勝利を挙げた。
立ち合いすぐに相手得意の左四つ。
劣勢かと思いきや、左下手をつかんで右は巻き替えを狙いつつ、圧力を加えた。
相手の右上手投げにも崩されず、そのまま寄り切った。
中日、正代が若隆景との2敗対決を制した。
劣勢となった中、出し投げを打たれたが、うまく回り込んで突き落とした。
大関だった2022年名古屋場所以来となる6連勝。
「足がよく動いている。反応もいい」と納得の表情を浮かべた。
後半戦では、役力士との対戦が組まれる可能性も。
優勝経験者の正代は手ごわそうな存在だが、本人は「(戦うのは)嫌だ…。上位の人の方が取っているので、相手はやりやすいかも」と言った。
中日、新入幕優勝を遂げた3月の春場所で右足首を痛め、5月の夏場所から休場が続いていた東十両2枚目の尊富士が途中出場。
1敗だった阿武剋に快勝し、「(観客の多さに)体が硬くなったが、自信を持っていけた」と一息ついた。
関取との稽古は最近再開したばかりで、「(実戦)感覚はないが、やっていくしかない」ときっぱり。
初めて大いちょう姿で土俵に上がり、「慣れてない。髪が伸び続けるので結うしかなかった」と笑った。
2024/07/21
7日目、「満員御礼」の結びで、この日一番の歓声が上がった。
照ノ富士はとったり、肩透かし、出し投げで揺さぶる宇良の攻めをことごとくしのぐ。
「じっくりいこうと思っていた」。
右で下手を引いて動きを止めると、力尽きた相手は土俵を割った。
勝負が決し、敗者を土俵下に追いやることはない。
健闘をたたえるかのように、相手の背中に手を添えた。
膝の古傷に加え、腰や左脇腹などにも不安を抱える。
「痛くないところはない」と言うほど、満身創痍(そうい)で土俵に上がっている。
状態が不安視されたものの、長い相撲にも乱れることなく、初日から7連勝。
「まだ半分以上も残っているから」と慢心はない。
7日目、今場所はかど番の大関貴景勝が、新小結の平戸海に寄り切られた。
5敗目を喫した後は厳しい表情を浮かべながら言葉を絞り出した。
「まぁ、勝たなきゃ何の意味もないんで。また明日からしっかりと準備をしていきます」
平戸海との激しい突っ張り合いは、懐に入られると、休まず前に出る相手の圧力に耐えられなかった。
土俵際へ詰められてそのまま俵を割った。
八角理事長は「稽古が足りないから馬力不足。馬力がないから、相手が余裕をもって取れる」と厳しく指摘した。
7日目、阿炎にとって今場所一番の相撲だった。
立ち合い、もろ手で御嶽海を突き起こすと、そのまま右のど輪を効かせて一気に押し出し。
会心の内容に「一発で持っていくつもりだった」と表情も晴れやかだ。
場所前の稽古はしっかり積めたという。
その要因の一つが、愛知県東海市の錣山部屋の稽古土俵に今年から付いた鉄骨造りの大きな屋根。
昨年まではイベント用の大型テントで土俵を覆っていたが、雨が入ってくることがあり、「立派なものを作っていただき、ありがたい」と阿炎も感謝を口にする。
7日目、じわじわ前に出て、相手を寄せ付けなかった。
大の里が力で圧倒して3連勝。
中日を前に今場所で初めて白星が先行した。
熱海富士に左のまわしを取られて得意の形に持ち込まれたが、大の里は冷静だった。
「腰の重い相手なので勢いに任せるのではなく、落ち着いてしっかり前へ出られた」。
得意の右四つで力強さを見せつけて寄り切り、納得の表情を見せた。
7日目、関脇・霧島が連敗を止めて、4勝目を挙げた。
これまでの対戦成績が8勝8敗と五分の大関・豊昇龍との一番。
立ち合いで力強く踏み込んできた相手に、左へ体をずらしながらいなして引き落とし。
1秒4で決着をつけた。「立ち遅れてしまった感じで、向こうの方が早かったですし、良い出だしではなかったです。内容は良くなかったです」と反省を語った。
7日目、新小結・平戸海が大関・貴景勝を破った。
立ち合いの大関の突っ張りにも後退せず、負けじと突き返した。
途中のいなしによろめきかけたが、持ち前の俊敏な動きで立て直し、最後は右をのぞかせ、左の前回しを取って寄り切った。
「突き合いは想定していた。下から攻めて最後はまわしに手がかかって良かったです。いい相撲が取れたかなと思います」と振り返った。
7日目、平幕・宇良が、7戦全勝とした横綱・照ノ富士を今場所、最も追い詰めた。
立ち合いで押し込まれたが相手右かいなをたぐって回り込む。
そして押し込むと、今度は相手左かいなを肩すかし。
もろ差しから前へ出て、照ノ富士が肩越しに左上手を取りにきても切り、右下手投げを打ちながらさらに回り込んだ。
最後は左を深く差し込まれてバンザイ状態になり、勝負あったが、その奮闘に場内は歓声と拍手に包まれた。
「追い詰めてはないです」。
取組後、言葉少なに応じた宇良はさらに、「自分の力では測れません。相手の力量と対等でなければ測れない。全然足りません」と照ノ富士への敬意から、善戦とは認めなかった。
7日目、湘南乃海が欧勝馬との平幕2敗対決を制して5勝目を挙げた。
夏場所で優勝争いの単独先頭も経験。精神面を上積みし、先場所を上回る快進撃を狙う。
「体がしっかり反応できた」と納得顔で振り返った。
7日目、元大関の平幕・正代が佐田の海を下し、3日目からの5連勝で2敗を守った。
5日以上白星を連ねるのは、大関だった22年名古屋場所以来2年ぶり。
前頭2桁台という陥落後では自身最も低い地位で徐々に存在感を増してきた。
「出足が速かったのがよかった。初日が出てから気持ちも乗ってきた」と会心の内容に充実感を示した。
7日目、8日目の十両の取組が発表され、春場所で新入幕優勝を果たすも、右足首を痛めた影響で夏場所を全休し、名古屋場所は初日から休場していた十両尊富士(25)=伊勢ケ浜=が途中出場。阿武剋と対戦する。
十両から出直しの今場所は東十両2枚目。
全休の場合は幕下に落ちる可能性があった。
尊富士は当初、名古屋入り前に相撲を取る稽古の再開を目指していたが、場所の1週間前に入ってようやく解禁するなど、調整が遅れていた。
幕内優勝経験者の十両転落は史上19人目で、優勝場所から1場所で幕内の座を失うのは史上最速。
記録について「気にしてもしょうがない。これからしっかり前向きにやっていく」と言及していた。
2024/07/20
6日目、横綱照ノ富士は翔猿を押し出し、ただ一人6戦全勝とした。
1敗勢がいなくなり、6日目を終えて首位と後続が2差つくのは1998年春場所以来。
一人横綱が、追随を許さなかった。
照ノ富士は立ち合いの後、二度三度と組み合った体を離されたが、全く動じず。
技を繰り出そうとする翔猿を土俵際に追い込むと、最後は左から投げ付けるかのように押し出した。
技巧派の印象が強い相手にも「(やりにくさは)特にない。微妙なタイミングのずらし方がうまいだけで、変な大技を出したりする力士じゃないから」とものともせず。
自らの相撲に「落ち着いて取れている」と納得の表情を浮かべた。
6日目、大関豊昇龍は、負ければ2年連続の名古屋場所優勝が大きく遠ざかる中、同体取り直しの末に薄氷の白星を拾った。
取組前まで5勝4敗と合口が良くはない宇良に、最初の一番は「一気に攻められてビックリ」と、同体に持ち込むのが精いっぱいだった。
これで目が覚め、取り直しの一番は「何でもいいから思い切っていこうと思った」と、逆に鋭い出足で一方的に突き出した。
「次の相撲に集中して頑張りたい」と、白星を手にして前向きに話していた。
6日目、カド番の大関・貴景勝が4敗目を喫した。
立ち合いから平幕・若元春に頭で当たった。
得意の突き押しで、前に出たが本来の力強さは鳴りを潜めた。
押し切れないと、左ですくい投げを打つも決められず。
体勢を整えた若元春に右上手を許して、最後は送り出された。
「もう(時間は)戻って来ないので明日に向けてやっていきたい」と悔しさをかみしめた。
6日目、新関脇大の里が幕内明生を寄り切って星を3勝3敗の五分に戻した。
取組後は「落ち着いていたので良かったです。どっしり構えて相手の動きに対応できた。連勝できたことが一番良かった。また明日から集中して頑張ります」と表情を引き締めた。
6日目、もがいても、もがいても、前に進めない。
大関復帰を目指す霧島の苦境を象徴するような取組だった。
立ち合いの後、すかさず喉元を目がけて突っ張り始めた。
右、左、右、左…。
手数の多さに、連敗脱出に懸ける思いの強さがにじんだ。
だが、懸命の突きも、重さに欠けた。
今場所の連勝中「いい時は前に足が出ているので、それを忘れず」と話していたが、この日は前に足を運べなかった。
小兵ながら馬力のある平戸海ににじり寄られ、皮肉にも突きを繰り出す度に後退していく。
残す間もなく押し出された。
3連勝の後、3連敗。
支度部屋では付け人を通じて取材を断り、無言のまま引き揚げた。
6日目、中卒たたき上げの新小結平戸海が、度胸の良さで先場所まで大関の霧島に快勝した。
2度突っかけた後で、立ち合いこそ慎重になって押し込まれた。
それでもガムシャラに押し返し、まわしにこだわらず、体を預けて押し出した。
「足が出てよかった。2回、突っかけたけど、思ったよりも踏み込めた。体が動いている」。
10勝以上で大関特例復帰を狙う難敵を破っての五分の星に、胸を張った。
6日目、東前頭13枚目の北勝富士が錦富士を下して3勝3敗の星を五分に戻した。
立ち合いから突き放して一気に押し込むと、左上手を取って右喉輪で押し出そうとするが決めきれず。
土俵際で残した錦富士にもろ差しを許して攻め返されると、最後は倒れ込みながらの右小手投げで勝負を決めた。
攻防のある内容に「お客さん的には盛り上がってよかったんじゃないですか。やっている方はしんどいけど」と苦笑いした。
6日目、平幕若隆景は輝を土俵際まで追い詰め、押し切ろうとしたが、その勢いを逆用されて押し出された。
2敗目となり、全勝の照ノ富士との差を広げられた。
若隆景は「最後の詰めの部分」と繰り返し、不満げだった。
それでも、立ち合いから鋭くいく姿勢は崩さない。
「下がって待つ相撲じゃないので。切り替えてやっていきたい」と語った。
2024/07/19
5日目、2場所連続途中休場明けの照ノ富士が、盤石の内容で豪ノ山を一蹴した。
突き押し自慢の相手に素早く左上手を引くと、右をおっつけて出て力強く押し出した。
6秒7の圧勝劇に「立ち合いから当たれて、その流れでまわしを取れたから良かった」と淡々と振り返った。
花道で左腕を気にするしぐさを見せたが「大丈夫」と問題なしを強調。
初日からの5連勝は、4場所休場明けながら8度目の優勝を飾った昨年夏場所以来となる。
ただ一人の全勝を堅持したが「まだ10日間もあるからね」と泰然としていた。
5日目、カド番大関の貴景勝が連敗を止め、2勝目を挙げた。
序盤戦を黒星先行で終えたが、前へ出る自らの相撲を取り戻しつつある。
立ち合いで押し込まれる場面もあったが、簡単に引かない。
こらえて2本が入ると一気に走った。
土俵際での逆転技もある宇良だが、かまわず出ると、相手の足が俵を割った。
5日目、新関脇大の里は関脇霧島を押し出して2勝目を挙げた。
今場所初めて、持ち味の前に出る相撲で白星を手にした。
2勝3敗と黒星先行で序盤戦を終えたが「気持ちを切らさず、今日勝てたのは大きい」と手応えをつかみ、中盤戦に向かう。
大器が大関復帰を目指す霧島を寄せ付けなかった。
突き、押しで攻めきり、大の里は「状態は良くないので、思い切っていった」と振り返った。
デビューして初めて黒星が先行する展開で苦しみ、兄弟子の白熊は「昨日はめっちゃへこんでいた」と明かす。
八角理事長は「馬力がある。自分の良さを出せているのはいいこと」と転機になることを期待した。
5日目、平幕御嶽海が大関琴桜を下手投げで下した。
御嶽海は2勝3敗。琴桜は2敗目を喫した。
投げの打ち合いとなった土俵際。
御嶽海は右手で琴桜のさがりをつかんだ。
物言いがつく微妙な勝負となったが、その執念が少しの差で白星を呼び込んだ。
「今場所は体が動いている。悪くないんで、負けた相撲も」。
まだ黒星が先行しているが、確かな手応えを口にした。
5日目、三役復帰を目指す平幕翔猿が動きの良い明生を押し出して、2日目から4連勝。
「良い感じに動いている。良い相撲で勝てている」と納得の表情を見せた。
6日目は全勝の横綱照ノ富士と対戦する。
昨年の名古屋場所では3日目に金星を挙げているが、「まあ…。特に変わらないんで」。
闘志を内に秘めながら再度の殊勲を狙う。
元大関で東前頭12枚目、朝乃山が名古屋場所5日目の18日、日本相撲協会に「左膝前十字靱帯(じんたい)断裂、左膝内側側副靱帯損傷、左大腿(だいたい)骨骨挫傷で、現時点で約2カ月間の休務加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
5日目、若隆景は2日目から4連勝。
タイミング良くいなして美ノ海の体勢を崩すと、得意の右を差して一気に寄った。
内容が伴う白星に「一生懸命、いい相撲を取ろうと思った。徐々に良くなっている」と手応えを口にした。
昨年3月の春場所で負った右膝の大けがを乗り越え、幕内に復帰した今場所。
序盤をいい形で終え、「あしたからもしっかり集中して、一番一番、自分らしい相撲を取りたい」と淡々と話した。
腰痛で初日から休場していた東前頭15枚目の千代翔馬が、6日目の19日から出場することが18日、決まった。
宝富士との対戦が組まれた。
5場所ぶりに幕内に戻った千代翔馬は「腰椎椎間板ヘルニア」で6月末に手術を受けた。
2024/07/18
4日目、2場所連続休場明けの横綱照ノ富士が一気の寄りで御嶽海を下して4連勝。
4日目にして早くも単独トップに立った。
3日目終了時点まで全勝は照ノ富士を含め5人いたが、土俵に上がるまでに他の4人にすべて土がつく展開。
さすがに横綱は悪い波には飲まれなかった。
取組後は「良かったんじゃない。まわしが取れたし。ちょっと高かったような印象あるけど」と冷静に振り返った。
4日目、琴櫻が2日目から3連勝と調子を上げてきた。
立ち合いでしっかりと踏み込み、若元春の横への動きにも対処。
もろ差しから一気に出て寄り切った。厳しく、かつ速い攻めを披露し「集中して取れたと思いますし、しっかり反応できた」と満足顔だ。
この日も他の大関が敗れた中で1敗をキープ。
「一日一番切り替えてやっていくことが大事」と言い聞かせるように話した。
4日目、かど番の大関貴景勝が、東前頭4枚目の翔猿に敗れて3敗目と序盤戦で厳しい星数となった。
立ち合いから激しい突き合い。
しかし、右の突きが抜けたところをうまく交わされ、最後は送り投げを食らった。
埼玉栄高の先輩でもある翔猿は「動きはいいです。明日からも頑張ります」と話した。
4日目、大の里が平戸海の注文相撲に不覚を取った。
同じ2000年生まれで、5月の夏場所は真っ向勝負を挑まれて完敗した相手。
次世代のライバル同士と目され、熱戦が期待された一番であっさりと突き落とされた。
夏場所で初賜杯を抱き、成績次第では、今場所後の大関昇進の話題が出る可能性もある中、早くも3敗目。
「毎日頑張るだけ。集中して頑張る」と自らに言い聞かせた。
4日目、平幕玉鷲が金峰山を押し出して連敗を回避し、3勝目を挙げた。
重い金峰山をなかなか押し切れず、差されそうにもなったが小手投げで振りほどいた。
最後まで押しに徹して勝負をつけた。
「止まったら絶対相手が有利になるから」と関取最年長の39歳が攻めきった。
このまま休まず出場を続ければ、来場所2日目には青葉城が持つ初土俵以来の通算連続出場記録(1630回)に並ぶ。
それとは別に、この日は幕内連続出場が976回となり、貴闘力を抜いて単独7位に。
「1000まであと2場所ですか。辞めた後のお酒のいいおかずになる」と、記録を更新していくことも励みになっている。
東前頭12枚目・朝乃山が18日の名古屋場所5日目から休場することがわかった。
この日の朝、師匠の高砂親方が取材対応し「全十字靱帯が切れていた。手術するしかない。『こうなった以上はしっかり治そう』と話した」と明かした。
手術をすれば完治までは半年以上かかる見込みで、関取陥落はほぼ確実となった。
朝乃山は昨年夏場所の再入幕から8場所で6度目の休場。
2024/07/17
3日目、照ノ富士が完勝で無敗を守った。
けんか四つの若元春が相手でも、差し手争いにはこだわらなかった。
立ち合いではじき飛ばすと、相手得意の左四つでも全く寄せつけずに寄り切った。
「意識したのは、ちゃんと当たること。先手を取っていれば左(四つ)でも取れないことはないから」。
前回対戦した初場所では金星を配給した相手に、力の差を見せつけた。
「ここからが大事」と自らに言い聞かせていた。
3日目、大関・貴景勝が2敗目を喫した。
幕内・熱海富士(伊勢ケ浜)に立ち合いで低く当たった。
さらにいなしてはたいたが、勝負を決められず。
組み止められると、最後は寄り倒された。
「あまり覚えてないけれど、ダメだから負けた」と唇をかみしめた。
9度目のカド番で再び黒星が先行した。
「また明日に向けて集中していく」と切り替えた。
3日目、新関脇・大の里が小結・大栄翔をはたき込み、初白星を挙げた。
この日は自身のしこ名の由来となった大ノ里(本名・天内萬助)ゆかりの天内家の当代である天内司さん(71)が観戦。
連覇を狙う今場所はまさかの連敗発進だったが、ゆかりある人の目の前で勝利を届けた。
3日目、関脇霧島が豪ノ山を上手投げで下し、関脇で10勝という特例での大関復帰へ、初日から3連勝と好スタートを切った。
先場所まで豪ノ山との対戦は1勝2敗。
馬力のある相手にリードを許している。
それだけにこの日は慎重だった。
場所前の出稽古で胸を合わせている。
「稽古場と同じ相撲でしたね。しっかりと相手の動きを見て。それがよかった」と上手を取って豪ノ山の動きを止め、さらに頭をつける万全の体勢から勝負を決めた。
3日目、出番前、熱海富士は広い名古屋場所の支度部屋で激しく体を動かしてから花道に向かう。
21歳のみなぎる力は連日、土俵で遺憾なく発揮されている。
この日は貴景勝の当たりを受けた後、いなされ、体が泳ぎかけたものの、そこからが重かった。
素早く向き直って左をのぞかせながら体を入れ替えると、左上手をがっちり。
大関を勢い良く寄り倒した。
体勢が大きく崩れないのは稽古十分な証拠だ。
土俵下で勝負を見届けた高田川審判長も「熱海富士は力が付いている。強いですよ」と高く評価する。
熱海富士は師匠の伊勢ケ浜親方の方針で、相撲に集中するため取組後も報道陣に口を開かないが、テレビの殊勲インタビューでは「前に出られたんで良かったと思います。落ち着いて出られたかな」と柔らかい表情で語った。
3日目、先場所を全休して平幕で出直しとなった朝乃山が、締め込みを変えて心機一転の3連勝だ。
初顔合わせとなった美ノ海は同学年で、高校、大学時代に数回対戦している間柄。
「高校の時から(美ノ海は)左を取ったら強いというのは知ってますから」と右まわしを取らせなかった。
簡単に引かずにこらえて得意の左上手を取って前に出ると、右も差して万全の形に。
「右が深く入ったので体を密着させた。胸を合わせれば大丈夫」と寄り切った。
2024/07/16
2日目、横綱照ノ富士は苦手の明生を圧倒し、そろって勝った3大関とともに上位安泰とした。
鋭い踏み込みから、まわしにこだわらず前に出続けて寄り切り、連勝。
2連敗中で、最近6度の対戦で2勝4敗だった相手を寄せつけなかった。
勝っても反省の弁が口をついた初日の平戸海戦から一転「久しぶりに当たれたから、よかったんじゃないか。2連敗していたけど、相手うんぬんじゃなくて自分の体との戦い」と手応えを口にした。
2日目、9度目の大関かど番の貴景勝は連敗を免れた。
返り小結の大栄翔を一気に攻めることはできなかったが、頭をつけ合った後、タイミングの良いはたき。
「集中して、気持ちだけちゃんと入れてやった」と振り返った。
5月の夏場所は首の古傷が悪化して途中休場。
「千秋楽が終わらないと分からない。やり切った後の結果」と気を引き締めた。
2日目、新関脇の大の里は3場所ぶりの連敗となった。
春場所から2連勝中だった若元春を立ち合いから、突き押しで攻めたが、左差しから左四つを許して形勢逆転され、最後は押し倒されてあおむけ。
土俵に座り込んでショックを隠せなかった。
取組後の支度部屋では「初日よりも前に攻めたけど、相手の形になってしまった」と反省しつつ「残り13日間ある。ここから集中してもう一度、しっかり考えて自分の相撲が取れるように」と切り替えを強調した。
2日目、東前頭2枚目・若元春が関脇・大の里を破った。
立ち合い、もろ手で突いてきた相手の圧力に土俵際まで追い込まれるが、得意の左差しが入り形勢逆転。
大の里が引いたところで一気に前進し、最後は右手1本で押し倒した。
取組後は「たまたまですね。土俵際では焦ったが、体に染みついているものが出せた」と振り返った。
大の里には直近2場所で連敗中だったが「今日の勝ちはたまたま拾った勝ち。来場所も当たると思うので、次に向かっていきたい」と元関脇の実力者は今後のさらなる対戦を見据えた。
2日目、人気力士の宇良が連勝発進した。
同じ出身地の「大阪・寝屋川対決」となった豪ノ山に対し、押し込まれたが土俵際で、屈伸運動のように膝を曲げて残すと、きれいに二本が入った。
そのまま、対角線を走り、寄り切った。
先場所は初日から6連勝も、7日目から8連敗で負け越し。
ファンは先場所の二の舞いは踏まずに白星を並べることを願っている。
2日目、大関経験者で東前頭12枚目の朝乃山が、3場所ぶりに連勝発進を決めた。
取組前まで10勝3敗と合口の良い北勝富士を破り、初日から7連勝した初場所以来の好スタートを切った。
先場所は直前の春巡業で右膝を負傷し、全休した。
錦木をすくい投げで破った初日は、3月の春場所14日目に、優勝が懸かっていた尊富士戦で挙げて以来の白星だった。
取組後は「踏み込んでいけたけど、先に右を差されて、焦って巻き返す形になった」と、手応えと課題が入り交じった内容だったと自己分析した。
2日目、平幕若隆景は狼雅を相手に右を差し、左を巻き替え万全の体勢に。
間髪入れず前へ出て押し出した。
幕内では2023年春場所13日目の小結琴ノ若戦以来、479日ぶりの白星だった。
「やっと戻ってきたなという気持ちです。早く幕内の土俵で取りたいという思いでやってきたので」
勝った瞬間に一段と大きくなった拍手。
「ようやく戻ってきたんだと改めて実感した。また明日に向けて気を引き締めてやっていこうと思います」。
幕内優勝も果たし、今もけがさえ治れば大関候補。
目指すところはまだ先にある。
2024/07/15
初日、2場所連続休場から再起を目指す横綱照ノ富士は新小結平戸海を寄り切り、白星スタート。
貴景勝、豊昇龍、琴桜の3大関に次々と土がつく波乱の初日。
そんな悪い空気を横綱が見事に振り払った。
「初日だし、きょうはちゃんと締めたいなと思ってました」
平戸海に食い下がられてまわしが引けず、抱え込んで攻めあぐねた。
だが左上手を引くと、これで万全。
余裕を持って寄り切った。
初日、大関かど番の貴景勝は力なく明生に屈した。
頭で当たり、突き放そうとしたが、前まわしをつかまれて封じられる。
引いて呼び込み土俵を割り、「負けたので駄目だった」と淡々と言った。
休場明けで、首の古傷に不安を抱える。
9度目の窮地脱出に向けて厳しいスタート。
「集中してやっていきたい。やることをしっかりやりたい」と切り替えに努めた。
新関脇・大の里の初日に土がついた。
初顔合わせの御嶽海との立ち合いで得意の右を差せず。
元大関に左差しを許すと、一気に押し出された。
「(立ち合いは)ダメだった。修正して頑張ります」と言葉少な。
中学時代から「目標にしていた」アマチュア横綱の先輩に完敗。
連続優勝かそれに準ずる成績ならば大関昇進の可能性があるだけに「明日へしっかり切り替える」と強調した。
初日、関脇霧島が10勝以上での大関特例復帰に向けて、好発進した。
取組前まで6勝7敗と合口の良くなかった高安に粘り勝ち。
首を痛めて大関で2場所連続して負け越した先場所までとは違い、相手の突きにもひるまなかった。
何度も低い姿勢から組みつき、最後は寄り切り。
「先場所までの2場所は初日に負けていたのでよかった。『ここで緊張してどうする』と気持ちをコントロールして戦えた」と、心身充実をうかがわせた。
初日、再小結・大栄翔が大関・琴桜を破って白星発進とした。
立ち合い当たってすぐに少し右へずれると、左おっつけ右喉輪で一気に前に出て相手の右への回り込みも許さず押し出し。
「前に出る良い攻めができた。初日にしては良い相撲取れた」と会心の内容だった。
2場所連続で初日に琴桜と顔が合い、2場所連続勝利。
今年に入ってから4場所連続で場所前には佐渡ケ嶽部屋へ出向いて胸を借りており「良い稽古させてもらったので、稽古場で良かった相撲を取ろうと思った」と本場所の一番に生かした。
初日、東前頭筆頭の明生がかど番の大関貴景勝を押し出して白星発進した。
9度目のかど番となる貴景勝は厳しい初日となった。
立ち合い、大関が突き放しにくるが、明生が右前まわしを取って動きを封じる。
まわしを切られてもかまわず前に出て、貴景勝の上体を起こして一気に押し出した。
先場所は西前頭5枚目で10勝5敗の好成績で三役復帰に王手の地位まで番付を上げた。
「前に出る相撲がとれました。しっかり当たるだけであとは体が動いてくれるなと何も考えずにいけた。小手投げにしっかり対応していけました。(名古屋は)勝っているイメージはある。いい相撲をとっていきたい」と話した。
初日、西前頭筆頭の熱海富士が、先場所も初日に対戦して勝利した大関豊昇龍を“連破”した。
右四つの展開。
先に両まわしを許した大関に攻めたてられたが、じっくりと構えた熱海富士ががっぷりに組み、体を生かして圧力をかけて寄り切った。
念願の三役昇進を目指す熱海富士は、最高のスタートを切った。
初日、平幕の御嶽海は、先場所覇者の新関脇大の里を出足鋭く押し出した。
3大関は全て敗れ、2場所続けて初日に大関陣総崩れとなった。
悲鳴とどよめきを巻き起こしながら御嶽海が、大の里を完封した。
低い立ち合いで密着して相手の必殺の右差しを許さず、電車道の押し出し。
優勝3度の大関経験者の意地が、先場所で史上最速の入門から7場所で賜杯をつかんだニューヒーローをねじ伏せた。
「しっかり集中して、自分の相撲が取れた。自分のことだけ考えて、自分のできる範囲で」と冷静に振り返ってから「(大の里は)若手だし、緊張してただろうから」。
相手を気遣う余裕が、完璧な内容の証拠だった。
初日、休場明けの土俵で、朝乃山が新たな装いで幸先の良いスタートを切った。
これまでの黒や紫とは印象が異なる鮮やかな緑の締め込みを初めて着用して土俵に上がり、「着けてる僕も明るくならないといけない」と決意を示した。
右膝に不安を抱えながらも、再び上を目指すため、心機一転で真夏の土俵に向かう。
4カ月ぶりに朝乃山が土俵に上がると、明るい締め込みが輝き、会場から大きな歓声が沸いた。
立ち合いで鋭く踏み込み、錦木の出足を止める。
左上手を取れず、浅いもろ差しを許したが慌てない。
巻き替えを狙った右をねじ込み、すくい投げを決めた。
14日、大相撲名古屋場所を初日から休場した東前頭15枚目千代翔馬が提出した診断書を公表した。
千代翔馬は6月28日に腰椎椎間板ヘルニアの手術を受け、「安静を要するため、7月14日から28日の名古屋場所は休場とする」との内容だった。
14日、大相撲名古屋場所を初日から休場した東十両2枚目尊富士が提出した診断書を公表した。
尊富士は右足関節の外側側副靱帯(じんたい)損傷で「12日より2週間の加療を要する」との内容だった。
2024/07/14
2場所連続休場から再起を懸ける横綱照ノ富士は13日、名古屋市瑞穂区の伊勢ケ浜部屋で最終調整し、本場所で使用する紺色の締め込みで汗を流した。
立ち合いからの動きを入念に確認。
稽古後は見学に訪れた知人と談笑するなどリラックスした様子だった。
場所前に相撲を取った日数は少なく、師匠の伊勢ケ浜親方が「稽古量が物足りない」と懸念する状態。初日は5日の出稽古でぶつかった新小結平戸海の挑戦を受ける。
連続優勝を目指す関脇・大の里が13日、愛知・安城市にある部屋で稽古を行った。
四股やすり足など基礎運動をこなした。
「場所前の調整はいい感じにできた。初日、そして前半戦が大事だと思っている」とうなずいた。
夏場所後は優勝パレードや役力士としての仕事もあったが、「忙しいといえば忙しかったがしっかり稽古ができた」と手応えは十分だ。
1場所での大関復帰を期す関脇霧島が13日、名古屋市内の部屋で四股など基礎運動を中心に約1時間、最終調整した。
濃い紫色の新しい締め込み姿を披露。
初めて本場所で着用することを明かした。
濃い紫は、実は縁起のいい色だ。
先代師匠の陸奥親方が1991年初場所で初優勝した時も着けていた。
「色を決める時は先代と一緒に決めた。こういう色の方がいいかなって」と説明。
大事な場所を前に2代目も、くしくも同じ色をチョイスした。
首痛の影響で大関から陥落。
ただ、今場所前は出稽古も重ね「先場所前より稽古できている。気持ち的に焦りはない」と手応えはある。
初日は高安、2日目は御嶽海と対戦。
元大関の2人を退け、大関復帰へのスタートダッシュを決める。
13日、大相撲名古屋場所を前日に控え、名古屋市中川区の荒汐部屋で調整稽古を行った。
この日は本場所用の締め込みを着用。
四股などの基礎運動で汗を流した後、三段目・寛龍を相手に一丁押しを13本行い、立ち合いの感触を入念に確かめた。
名古屋入り後は他の部屋の役力士とも充実の稽古を積んでおり「場所始まってみないと分からないけど、コンディションは良いかなと思います」と好感触を得ていた。
先場所を全休した朝乃山は東前頭12枚目で復帰の土俵に臨む。
4月に右膝を負傷し、本土俵に上がるのは4カ月ぶりとなる。
復帰戦の相手は元小結の錦木となる。
腰の重いベテランだが、朝乃山が今年の初場所、春場所と2連勝している。
日本相撲協会は公式ユーチューブチャンネルで、朝乃山が荒汐部屋に出稽古した際の動画を公開。
対戦の可能性がある元関脇若隆景や、若元春らと激しく相撲を取っている様子が紹介され、朝乃山は「準地元力士なので、精いっぱい頑張る」とメッセージを寄せた。
13日は会場で土俵祭りが営まれ、審判部の親方衆らが15日間の安全を祈願。
会場前には朝乃山らののぼりが掲げられ、本番へ熱気が高まった。
1年ぶりの幕内復帰を果たした東前頭14枚目の若隆景が13日、名古屋市中川区の荒汐部屋で調整稽古を行った。
この日は本場所用の青色の締め込みを着用し、まずはすり足や鉄砲などの基礎運動。
そして幕下・丹治を相手に一丁押しを8本行い、おっつけで下から攻める形も何度か確認した。
名古屋入り後は、出稽古に訪れた大関・豊昇龍や関脇・霧島、幕内・朝乃山らと連日のように稽古を積んでおり「良い稽古できた。しっかり準備してきた分、明日から力を出していければ」と充実感を得た。
大相撲名古屋場所は14日、初日を迎える。
13日は会場のドルフィンズアリーナで恒例の土俵祭が行われ、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)らが土俵の安全を祈願した。
13日、名古屋場所初日から休場する十両尊富士は部屋で体を動かした。
師匠の伊勢ケ浜親方は状態次第で途中出場の可能性を示唆しているが「出たい気持ちはあるけれど、親方の判断もあるので」と複雑な胸中を明かした。
春場所で110年ぶりの新入幕優勝を飾ったが、痛めた右足首の回復に時間を要しており、今場所の成績次第では幕下転落の可能性がある。
2024/07/13
12日、大相撲名古屋場所の取組編成会議を開き、2日目までの取組を決めた。
夏場所で初優勝した新関脇・大の里は、初日に西前頭2枚目・御嶽海、2日目に東前頭2枚目・若元春と対戦。
今場所も賜杯を抱けば一気に大関昇進の機運が高まる可能性がある。
大の里が愛知・安城市の部屋宿舎で調整。
本場所仕様の青色の締め込み姿で、四股やてっぽうで汗を流した。
新関脇は連続優勝か、それに準じる好成績なら一気に大関昇進を引き寄せる可能性が出てきそうだ。
初日の御嶽海とは初顔合わせで、稽古場でも胸を合わせた経験はないという。
元大関との対戦を知ると少し驚いた様子で「初めてですね。一日一番集中して頑張ります」と静かに闘志を燃やした。
12日、愛知・蟹江町の部屋での稽古で、明るい緑色の締め込みを初めて着用。
これまでは黒、紫と、落ち着いた色合いの締め込みで本場所や巡業に臨んでいたが、全く異なる系統の色で今場所を戦い抜くことを決めた。
稽古後、当初は報道陣に「これ、似合ってないですよね?」と、自信なさそうにたずねていた。
それでも「せっかくいただいたものなので、思い切って変えてみようと思って」と、自らに言い聞かせていた。
初日から休場と発表されました。
2024/07/12
2場所連続休場中の横綱照ノ富士が大相撲名古屋場所に出場することが11日、決まった。
師匠の伊勢ケ浜親方が明言し「稽古量は物足りないが、責任感が強い。最後までしっかり取り、優勝を目指してやらないといけない」と語った。
大関・貴景勝が11日、9度目のカド番で迎える名古屋場所へ向けて最終調整を行った。
この日は名古屋市内の部屋宿舎で四股や筋力トレーニングを行った。
先場所は古傷の首の痛みが原因で、2日目から途中休場。
首の状態については言及しなかったが、この日の稽古では首を気にする仕草はほとんど見せず「あとは調整するだけ」と語った。
4日には愛知・大府市の芝田山部屋へ出稽古に出向くなど稽古を積んできた。
初日まで残り3日と迫り「場所で集中してやるだけ」と意気込んだ。
関脇霧島は11日、名古屋市西区の佐渡ケ嶽部屋に出向き、大関琴桜、同じく出稽古の小結大栄翔らと計15番取って11勝4敗だった。
琴桜とは2勝2敗で、左差し手を返して力強く寄り切る相撲もあった。
動きも素早く「ここでやったことを場所で出せれば」と手応えを口にした。
直前に調子を崩した最近2場所と違い、今場所は「頭でもちゃんと当たれているし、何よりここまでけがなくやってこられた」との自信がある。
2桁勝利で大関に戻れるが「10勝じゃなく、優勝が目標」と力強かった。
新小結に昇進した平戸海は「気持ちの面も強くなってきた。自信がついてきた」。
厳しい稽古で知られる境川部屋で鍛えられた。
試練の日々が実を結びつつある。
2016年春場所で初土俵を踏んだ中卒たたき上げの24歳。
同じ長崎県出身の師匠、境川親方の最高位に並び、「一つの夢だった。超えられるように頑張りたい」と目を輝かす。
名古屋入り後も充実した稽古を積んでいる。
5日には立浪部屋に出稽古し、番数を重ねた。
同じく出稽古に来た横綱照ノ富士に指名されて胸を借りた。
「雰囲気にのまれるな」と助言も授かりながら、懸命に攻める。
何度はね返されても、正攻法を貫いて前に出た。
2024/07/11
横綱・照ノ富士は10日、名古屋市の部屋宿舎で名古屋場所に向けて稽古を行った。
相撲は取らず、すり足やゴムチューブを使ったトレーニング。
その後は土俵外で幕内・宝富士を相手に立ち合いの確認をした。
稽古後の取材には応じなかった。
5日は名古屋市内の立浪部屋に出稽古し、新小結・平戸海を相手に11番。
状態は「徐々に良くなっている」と話していた。
分厚いサポーターを着ける両膝には不安を抱えており、この日は椅子代わりのビールケースに腰を下ろす時間も長かった。
宝富士によると前日も同様に土俵内でのぶつかり稽古を行ったという。
左脇腹痛などによる2場所連続休場からの復帰に向け、慎重な調整が続く。
新関脇の大の里が10日、場所前初の出稽古として名古屋市西区の佐渡ケ嶽部屋に赴き、計21番取った。
関脇霧島らと15番をこなした後、大関琴桜とは3勝3敗と互角の勝負。
「すごくいい稽古ができた。感覚的にいいものをつかんだ」と充実感をにじませた。
関脇霧島が10日、名古屋市の佐渡ケ嶽部屋に出稽古し、大関復帰に向けて復調を印象づけた。
同じく出稽古に来た関脇大の里、小結大栄翔らと精力的に稽古し、計15番で8勝7敗だった。
大の里には2勝4敗だったが、勝った2番はいずれも、前まわしを引き、頭をつけて一気に寄り切りと持ち味を発揮。
勝敗以上に状態の良さを印象づけた。
「体の動きも良くなってきた」と、手応えを口にした。
名古屋場所は「みんなに優勝のチャンスがある。自分も3度目の優勝を目指すつもりでやる」と、力を込めて話した。
十両・尊富士が10日、名古屋市内の部屋宿舎で名古屋場所に向けて、相撲を取る稽古を再開した。
幕下以下の力士を相手に頭からぶつからず、立ち合いを受け止める形で4番を取った。
その後は土俵外でぶつかり稽古をしながら、立ち合いの動きを確認した。
「状態もわからないので、いろいろ確認しながらです」と語った。
3月の春場所で110年ぶりとなる新入幕優勝の快挙を果たしたが、14日目の取組で右足首を負傷。
その影響で5月の夏場所は全休を余儀なくされた。
この日は稽古中に師匠の伊勢ケ浜親方と5分近く話込む場面もあり「出場する方向でいます。
『状態は大丈夫です』と伝えて、いろいろ話しました」と説明。
出場の判断は場所直前に師匠と行う予定だという。
2024/07/10
名古屋場所を前に、佐渡ケ嶽部屋の大関琴櫻関が8日、各務原市那加手力町の手力雄神社を訪れ、戦勝祈願をした。
第53代横綱の祖父も訪れたことのある神社に足を運んだ琴櫻関は「たくさんの人に応援してもらっている。力に変えて、いい報告ができるようにしたい」と決意を新たにした。
9度目のかど番で臨む大関貴景勝が9日、名古屋市天白区の常盤山部屋で稽古し、途中休場明けの今場所の出場を明言した。
数日前に熱中症のような症状で体調を崩し、相撲を取る稽古は控えているという。
それでも「問題ない。場所に向けて頑張るだけ」と気迫をにじませた。
先場所は古傷の首の痛みで2日目から休場。
この日は四股やてっぽう、上半身の筋力トレーニングなどに励んだ。
「今、焦ってもしょうがない。5、6月にやることはやってきた」と冷静に語った。
師匠の常盤山親方は「ぶっつけ本番でも出ないと」と悩ましそうに話した。
小結・大栄翔が9日、愛知・名古屋市の佐渡ケ嶽部屋に出稽古し、12番相撲を取った。
追手風部屋は全44部屋の中で名古屋市内から最も遠い三重・鈴鹿市に宿舎があり、佐渡ケ嶽部屋までの道のりは約63キロ。
この日は朝6時半頃に宿舎を出発して、1時間40分を要したという。
これまでは移動時間を考慮して名古屋場所前は出稽古に出向くことはなかったが、前日には50キロ離れた愛知・東海市にある錣山部屋への出稽古も敢行。
「部屋の力士は強い人たちがそろっていますけど、みんな30歳を超えてケガもあるし、毎日稽古をできなくなってきたので、若い子ときつい稽古をしないといけない」と狙いを明かした。
この日は幕内力士の申し合い稽古で琴勝峰、王鵬、豪ノ山、錦木の4人を相手に計8番。
最後は大関・琴桜の指名を受けて4番相撲を取った。
得意の突き押しも健在で「今日もいい稽古はできている。このままこの調子でいければ」と語った。
王鵬が9日、名古屋市の佐渡ケ嶽部屋に出稽古し、10番相撲を取った。
幕内力士の申し合い稽古では琴勝峰、大栄翔、豪ノ山、錦木の4人を相手に計8番。
最後は大関・琴桜の指名を受けて2番相撲を取った。
名古屋入りをしてからは精力的に出稽古しており「最初に比べたら体が動くようになっていると思います」と状態は上向きだ。
稽古途中では右眉の上部から出血。
本場所の取組でも目元付近から出血することがあり「自分がズレてしまっただけです。僕の悪いクセなので、血が出ていない時の方が調子いいと思っていて、真っ直ぐ当たれているということなので。疲れてくると横を向いてしまいます」と説明した。
2024/07/09
横綱照ノ富士は8日、名古屋市瑞穂区の伊勢ケ浜部屋で稽古し、幕内錦富士らと9番取った。
左脇腹痛などで2場所連続休場中。
14日の初日まで1週間を切った名古屋場所へ、今後の調整内容が重要となりそうだ。
稽古後は報道陣の取材に応じなかった。
両肘と両膝にテーピングを施し、基礎運動の後は立ち合いからの流れを確認。
幕下の若手力士に土俵際の残り方を実演し、助言していた。
錦富士を鋭い当たりで一方的に寄り切る場面もあった。
今場所に向け「最善を尽くす」と話していた照ノ富士。
5日には出稽古に赴くなど、地道に調整を続けている。
師匠の伊勢ケ浜親方は出場可否を明言せず「本人はやれることをやっている」と語るにとどめた。
右膝のケガで大相撲夏場所を全休した東前頭12枚目・朝乃山が8日、愛知県蟹江町の高砂部屋で、出稽古にきた西前頭15枚目・狼雅、弟弟子の西十両4枚目・朝紅龍と計13番の申し合いを行った。
4月25日の春巡業木更津場所で、右膝関節内側側副靱帯を稽古中に損傷。
他の部屋の関取との申し合いは右ヒザ負傷後、初めてで、名古屋場所へ向けた調整ペースを上げてきた。
「必死に取っています。下がって取ると危ないと思うので、攻めて前へ出る相撲を取ります」と2場所ぶりの出場へ意欲を見せた。
元幕内の十両伯桜鵬(20=伊勢ケ浜)が8日、名古屋場所に向け、名古屋市瑞穂区の伊勢ケ浜部屋で幕内の熱海富士、錦富士らとの申し合いを行った。
先場所は右腕の負傷などで途中休場から再出場も負け越し。
一時は落ちたという体重も戻り「状態は良くなってきた。いい稽古ができている」と充実感を漂わせた。
新入幕だった昨年の名古屋場所ではざんばら髪で千秋楽まで優勝争いを演じ、敢闘賞と技能賞を獲得。
「名前を覚えてもらった」と感慨深げに語る。
8月で21歳になるホープは「番付は下がったが、十両で優勝争いをして、また幕内で活躍したい」と再起を期した。
尊富士(25=伊勢ケ浜)が8日、十両転落で臨む名古屋場所へ「出る方向ではいる」と出場の意向を明言した。
110年ぶりの新入幕優勝を果たした春場所の14日目に右足首を負傷。
回復が遅れ、先場所は全休していた。
まだ相撲を取る稽古は再開できていないが、名古屋市瑞穂区の伊勢ケ浜部屋で患部にサポーターを施し、ぶつかり稽古やすり足などに励んだ。
今場所はぶっつけ本番になりそうだが「(出場への)気持ちはずっと変わらない。気負わず、自分が今やれることを精いっぱいやるだけ」と意気込んだ。
名古屋場所の新弟子検査が8日、名古屋市内で行われ、昨年の国体成年個人優勝で日大出身の川渕一意(かわぶち・かずま)(22)=大阪府出身、木瀬部屋=ら受検した4人全員が身長167センチ以上、体重67キロ以上の体格基準を満たした。
2024/07/08
古屋場所を控えた6日、横綱照ノ富士が名古屋市の熱田神宮で奉納土俵入りを行った。
太刀持ちに同じ伊勢ケ浜部屋の熱海富士、露払いに翠富士を従えて不知火型を披露。
約5000人の見物客を沸かせ、「暑い中、見に来てくれた方がいるのはありがたい」と語った。
1月の初場所で復活優勝を遂げた後、2場所続けて途中休場。
10度目の優勝を狙う名古屋場所に向け、「最善を尽くしてやっている。いい成績が残せるように、できることを考えてやっている」と述べた。
土俵入りの前には、照ノ富士に加え、琴桜、豊昇龍、貴景勝の3大関や八角理事長らが参拝した。
大関琴櫻は7日、名古屋市西区の部屋で出稽古に来た幕内王鵬らを相手に12番取って9勝3敗だった。
14日に初日を迎える名古屋場所へ着々と調整を進めている。
悲願の初優勝に向けて「変わらずにやり切るだけ。優勝したら、またその先も見えてくる」と静かに闘志を燃やした。
準備運動の際は左足に足袋を履き「少し割れてしまった」と説明。
相撲を取る際にはテーピングを施したが、動き自体に問題はなかった。
日曜日とあって見学客の中には子どもも多く、稽古後は丁寧に写真撮影やサインに応じていた。
名古屋市内も猛暑が続く。
父で師匠の佐渡ケ嶽親方によると、熱中症で相撲が取れない状態にならないよう、番数を普段より抑えているという。
「まずは暑さに勝つのが最優先。15日間を闘い抜かないといけない」と語った。
大関豊昇龍が愛知県扶桑町の境川部屋に出稽古し、順調な調整ぶりを示した。
扇風機の風に時折当たって涼みながら、新小結平戸海、同じく出稽古の関脇霧島と18番連続で取って12勝。
「いい稽古ができた。しっかりこのままやっていきたい」と話した。
元気のいい平戸海を2度もつり落とすなど力強い内容だった。
「いい感じ。優勝したいね。けがしないことを大事にしたい」と気を引き締めた。
5月の大相撲夏場所で初優勝した新関脇大の里の祝賀パレードが7日、出身地の津幡町中心部で行われ、沿道に詰め掛けた2万5千人(町発表)が祝福した。
師匠の二所ノ関親方とオープンカーに乗り込んだ大の里は「思い出のある道をパレードできて感慨深い」と喜び、14日初日の名古屋場所へ気持ちを新たにした。
紋付きはかま姿の大の里は午後4時半に町文化会館シグナスを出発し、町役場までの約1キロを30分ほどかけて移動。
沿道からの声援に手を振って応えた。
町役場前で開かれた報告会では「名古屋場所では、もう一度(優勝を)目指して頑張りたい」と決意を語った。
名古屋場所で1場所での大関返り咲きを目指す関脇霧島が、精力的に出稽古を重ねている。
6日は愛知県扶桑町の境川部屋で新小結平戸海、同じく出稽古の大関豊昇龍らと8勝4敗。
「やっと調子が戻った感じがする。こういう稽古をやっていたら問題ないと思う」と手応えを口にした。
陥落の一因となった首の痛みは快方に向かい、2日間の荒汐部屋、立浪部屋と4日連続の出稽古。
「やっぱり当たらないと相撲が取れない。そこから前に出ること」と語る。
師匠の音羽山親方は「昨日より今日と良くなっている。当たりをもう少ししっかりしていけばいい」と評した。
霧島は「子供から『パパ優勝してね』と言われている」と意気込む。
大関復帰の条件となる2桁勝利だけでなく、賜杯を狙っていく。
名古屋場所に向け、新小結の平戸海が6日、愛知・扶桑町にある部屋で18番の相撲を取った。
出稽古に訪れた大関・豊昇龍、関脇・霧島らと7勝11敗。
負け越しはしたものの、右を差して寄るなど得意な形で存在感をみせた。
「考えてというより思い切りいこうと思った」と振り返った。
前日5日は立浪部屋へ出稽古。
猛暑の中、横綱・照ノ富士、豊昇龍、霧島らと28番の相撲を取っており、2日で計46番相撲を取った。
師匠の境川親方が同部屋で豊昇龍らに声をかけ、実現した。
平戸海は「ありがたい。いい稽古が出来た」と同親方と応じてくれた豊昇龍らに感謝した。
夏場所を自身初めてけがで全休した幕内朝乃山が6日、平幕下位では異例の番数となる可能性のある優勝経験者対決に意欲を見せた。
同日は、愛知県蟹江町の高砂部屋宿舎での朝稽古でてっぽうや若い衆に胸を出すなどして調整した。
6月下旬の稽古で右目上を負傷して7針縫ったが、経過が順調なら週明けに出稽古を解禁。
「できることをしっかりやる」と、好取組をイメージして仕上げていく。
遠藤は酷暑が続くなか、7日は三重・鈴鹿市の追手風部屋で部屋の小結大栄翔、幕内翔猿らと14番(7勝)取った。
黙々と続ける根気強さが、心を磨く。
大相撲元幕内木村山の岩友親方、木村守(きむら・まもる)さんが6日未明、療養中の病院で死去した。
日本相撲協会が同日発表した。
42歳だった。関係者によると、心臓の病気で入院していた。
葬儀・告別式は未定。
和歌山県御坊市出身。
和歌山・箕島高から東洋大を経て春日野部屋に入門し、2004年春場所初土俵。
相手との間合いをうまく取る突き押しを武器に、08年初場所新十両、同年名古屋場所で新入幕を果たした。
幕内在位16場所で、最高位は西前頭7枚目。
14年初場所限りで引退し、春日野部屋付きの親方として後進を指導。
名古屋場所の担当親方を長く担った。
相撲協会の公式ユーチューブでは軽妙な語り口で大相撲の魅力を伝え、ファンの人気を集めた。
l 2024/07/05
4日、愛知県大府市の芝田山部屋へ、名古屋場所に向けた初の出稽古を行い、十両・島津海と連続10番取った。
8勝2敗の内容は、最初の3番こそ立ち合いから押し込まれる場面があったが、徐々にエンジンがかかると、前へ圧倒する取り口が増えた。
残り9日間の稽古で仕上げていく。「なるようにしかならない。初日に合わせることだけ考えていく」。
迷いのない表情で言い切った。
4日、愛知県安城市の二所ノ関部屋で稽古し、十両白熊らと14番取って10勝4敗だった。
鋭い出足の一方、四つ相撲で劣勢に回る場面もあったが「しっかり追い込めた。先場所がいい結果で今場所はすごく大事だが、細かいことは気にせず伸び伸びやっていく」と充実の表情で話した。
仕上げのぶつかり稽古では、まわし姿の師匠の二所ノ関親方の胸を借りた。
腰の重い親方を何度も押しては転がって砂にまみれ「すごくきついが、ありがたい。自分の押しはまだまだと思った」と感謝した。
1場所での大関復帰を期す関脇霧島が4日、名古屋市内の荒汐部屋へ2日連続で出稽古し、復調の手応えをのぞかせた。
関取衆と13番の申し合いで10勝。
持ち味のまわしをとって素早い動きで攻める内容が多く「前より稽古ができているかな。だいぶ体がよくなっている。これから本当に楽しみ。調子が戻ったら負けないという気持ち」と力強く話した。
新三役となった小結平戸海は4日、愛知・扶桑町の境川部屋で幕内佐田の海、十両妙義龍、対馬洋と関取衆との申し合い(勝った者が何度も取る)で、最初の一番から13連勝するなど16勝2敗と気を吐いた。
初土俵から約8年半で三役となり「頭が起きなくなってきたし、自分でも力がついてきたと実感できる」。
立ち合いの鋭い踏み込みから左前まわしを取り、右差しから一気に走る速攻相撲を磨く。
5月の夏場所で初優勝を飾った新関脇大の里とは同学年で、先場所は平戸海が快勝した。
昨年の名古屋場所以来となる幕内上位に番付を上げた御嶽海が4日、出羽海部屋と同じ愛知県犬山市に宿舎を構える時津風部屋へ出稽古した。
久しぶりの上位に「緊張してますよ」と話したが、目指すことは決まっているのでぶれることはない。
尊富士、大の里とちょんまげ力士の優勝が続いている状況にも「(意識は)もうないかな。前だったら若手に負けないっていうのあったけど。若い力士が場所を盛り上げてほしいですね」と自身のことに集中する。
4日、名古屋場所に向けて愛知・大府市の芝田山部屋へ出稽古し、同じく出稽古にきた幕内一山本、十両島津海と計17番取った。
うだるような猛暑の中で「スタミナが奪われた」といい、後半は一方的に押し出される場面も。
「急に暑くなって、準備ができていなかった。慣れていかないと」と苦笑いした。
元関脇の実力者は夏場所の2場所ぶり勝ち越しで東前頭6枚目に上昇。
2日に結婚を発表した妻からは「絶対に戻らないとね」と三役復帰へハッパをかけられているといい「しっかり稽古して、上がるしかない」と意気込んだ。
2024/07/04
2日、名古屋市瑞穂区の伊勢ケ浜部屋で幕下力士と8番取り、名古屋場所へ始動した。
左脇腹痛などで2場所連続休場中。稽古後は報道陣の取材に応じなかった。
照ノ富士は関取衆が申し合いを繰り広げる中、四股やてっぽうなどの基礎運動でじっくりと汗を流した。
左右の肘と膝にサポーターを施して土俵に上がり、立ち合いからの流れの確認や土俵際で寄りを残す動きなどを何度も繰り返した。
この日の稽古中には師匠の伊勢ケ浜親方と言葉を交わす場面もあった。
腰や両膝などにも不安を抱えるだけに、慎重な調整が続きそうだ。
3日、名古屋市の佐渡ケ嶽部屋宿舎に出稽古に来た王鵬や錦木らと12番取った。
厳しい暑さの中、得意の右四つやもろ差しに持ち込むなど、持ち前の圧力を生かして全勝。
「できる限りのことをやってから場所に臨むことができればいい」と決意を示した。
大関3場所目となる名古屋場所で初優勝を狙う。
横綱だった祖父のしこ名を継承して臨んだ5月の夏場所は、11勝4敗と4場所連続で2桁白星に到達しながら、賜杯には届かなかった。
「やることは変わらない。そこ(優勝)に向けてしっかりやっていく」と意気込んだ。
9度目のカド番で迎える大関・貴景勝が3日、相撲を取る本格的な実戦稽古を再開した。
この日は名古屋市内の部屋宿舎で同部屋の幕内・隆の勝と12番取った。
先場所は古傷の首の痛みが原因で、2日目から途中休場となった。
だがこの日の稽古では、立ち合いで頭から当たる場面もあった。
久々となった相撲を取る稽古の自己評価は「別に普通ですよ。しっかり体を動かそうという感じで」と多くは語らなかったが、名古屋場所に向けてはひとつ明るい材料となりそうだ。
患部の首の状態についても「大丈夫」と語った。
今後は「調子を見ながら」と自らの体と相談しつつ、徐々にペースアップをしていくもよう。
カド番脱出がかかる勝負の15日間に向けては「頑張るだけです」と短い言葉に決意を込めた。
3日、名古屋市中川区の荒汐部屋へ出稽古し、関取衆の申し合いに参加した。
この日は関脇・霧島と十両・北の若も出稽古に訪れており、荒汐部屋の幕内・若元春と若隆景の三役経験者2人も含めた5人の豪華メンバーで申し合い稽古が行われた。
6月中は部屋で稽古を積んでおり、関取衆との実戦稽古はこの日が夏場所後初めて。
「幕下とは桁違いに速くてびっくり。幕内のスピード感に慣れるように」と苦笑いしながらも少しずつ感覚を取り戻した。
大関とりの足固めを目指す関脇大の里が3日、師匠の二所ノ関親方の38歳の誕生日に合わせて「名古屋の稀勢の里超え」を目標に掲げた。
師匠は、大関時代の2016年の12勝が最多。
関取として最初で最後のドルフィンズアリーナでの15日間で、ハイレベルな優勝争いを目指す。
夏場所、12勝3敗で史上最速の初土俵から所要7場所で初優勝したが、師匠を教訓に満足していない。
「親方も『12勝3敗で優勝できなかった』と言っていたし、13勝2敗で優勝できなかった時(同年春、夏など計6場所)もあった。一日一番、集中して頑張りたい」
この日は愛知県安城市の部屋宿舎での朝稽古で、十両白熊を相手に7勝2敗など相撲を取る稽古を再開。
「追い込まないといけない時期なので」と暑さに負けず、仕上げていく。
3日、名古屋市中川区の荒汐部屋へ出稽古し、計16番取った。
この日は関脇・阿炎と十両・北の若も出稽古に訪れており、荒汐部屋の幕内・若元春と若隆景の三役経験者2人も含めた5人の豪華メンバーで申し合い稽古が行われた。
首のケガによる途中休場を含む2場所連続の負け越しで大関から陥落。
関脇以下のため、申し合いで最後に土俵に入って相手を指名しながら取り続ける“大関仕様”ではなく勝ち残り形式から参加した。
しかし途中から気合が乗ってきたのか、若隆景と阿炎に連勝した後に北の若と連続で11番。
大関時代を思い出すような三番稽古で充実の汗を流した。
10勝以上すれば1場所で大関復帰となる名古屋場所へ、ここから調子を上げていく。
1日、日本相撲協会から発表された。
平戸海が新小結に昇進。
愛知県扶桑町の部屋で会見に臨んだ。
「ひとつの夢でもあったのでうれしいです。目標ですね」と語る。
三役の地位は「正直、厳しかったと思うが、上を目指して頑張ってきてよかった。力が違いすぎてあきらめかけたこともあったが、稽古を頑張ってきてよかった」とかみしめた。
アマエリートに対するライバル心も隠さない。
春場所は新入幕の尊富士、先場所は所要7場所の大の里と同年代の力士が優勝を飾った。
「自分も頑張らないといけないと思った。(自分もの気持ちは)ありますね」ときっぱり言った。
3日、名古屋市中川区の荒汐部屋で関取衆の申し合い稽古に参加した。
この日は関脇・霧島、阿炎と十両・北の若が出稽古に訪れており、幕内・若隆景も含めた5人の豪華メンバーで申し合い稽古が行われた。
関脇だっ夏先場所は右足親指のケガで途中休場があり4勝8敗3休。
名古屋場所は東前頭2枚目に番付を下げた。
まずは三役復帰を目指して再出発となるが「変わらず自分の出せる力を出すだけ」と心境の変化は特にないようだった。
2日、青森・三沢市出身で27歳の女性と結婚していたことを明らかにした。
幕下時代に知人の紹介で知り合ったという。
挙式披露宴は来年に行う予定。
今場所で幕内通算30場所となる隆の勝は力強い押し相撲を得意とし、関脇に5場所在位。
この日は名古屋市天白区の常盤山部屋で四股などの基礎運動で汗を流した。
「状態は悪くない。しっかり稽古して追い込んでいければ。もう1人ではないので、より一層頑張らないといけない」と決意を新たにした。
3日、名古屋市の部屋で、兄弟子の大関・琴桜、出稽古にきた平幕・錦木、平幕・王鵬と名古屋場所へ向けた計11番の申し合いを行った。
昨年九州場所で十両優勝して再入幕すると、4場所連続勝ち越し中。
21年初場所での自己最高位・東前頭3枚目が目前の東前頭7枚目まで番付を戻して臨む15日間へ、「前へ出るからこそ、いろんな技が繰り出せる。馬力、圧力をつけていきたい」と意気込んだ。
先月9日、結婚披露宴を東京都内のホテルで開いた。
3年前に知り合い、昨年6月9日に婚姻届を提出。
同年10月には長男も誕生した。
3日、愛知県豊明市の藤田医大病院を訪れ、小児科病棟に入院中の子どもたちと交流した。
新入幕の先場所は10勝5敗で敢闘賞。
質問コーナーで今後の目標を聞かれ「大相撲で一番強くなること。今場所は全員に勝ちたい」と宣言した。
欧勝馬は昨年に続いて2度目の訪問。
「病気やけがを抱えながら頑張っている。自分たちも15日間、しっかり相撲を取り切りたい」と気持ちを新たにした。
3日、名古屋市港区の高田川部屋へ出稽古し湘南乃海、輝と稽古。
最後は5人の力士を同時に押すぶつかり稽古で締めた。
名古屋場所を皆勤すれば初土俵から無休の通算連続出場は1628回となり、次の秋場所で史上1位の青葉城(1630回)の記録に挑むことになる。
「やることをちゃんとやって、それでいて守りに入らない」と39歳になっても挑戦者の気持ちは変わらない。
3日は愛知県蟹江町の部屋で下半身を中心にじっくり鍛えた。
名古屋入り前の稽古で右目上を7針縫う負傷。
「ここの抜糸が終わるまで相撲がとれないんで」。
土俵には上がらなかったが2時間以上、基礎運動を中心に酷暑の中でたっぷりと汗を流した。
夏場所で小結に復帰したが、直前の春巡業で右膝を痛めて全休した。
今場所は東前頭12枚目に番付を落とし、再び上位を目指す。
抜糸が済めば、週明けにも出稽古を予定。
「どこに行くか、全く決めていない」と話し、「関取衆と相撲をとってみないと。(番付の)近い相手と稽古したいですね」と話した。
再入幕する若隆景が、出稽古に訪れた関脇・霧島、同・阿炎らと7番の申し合いを行った。
立ち合いで動いてきた阿炎には冷静に対応し、もろ差しになると最後は寄り切った。
霧島には2勝1敗で「霧島関とは1年半ぶりに稽古した。入門から稽古したこともあるし、すごく懐かしかった」と汗を拭った。
昨年春場所で負った右膝の大けがにより、長期離脱。
関脇から4場所連続休場を余儀なくされて幕下まで転落した。
昨年名古屋場所以来の再入幕に「15日間しっかり戦いたい」。
右膝の状態についても「完璧に治ることはないが、徐々に良くなってきている」と手応えを示した。
その名古屋場所が長く開催されてきたドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)の移転新築工事が進められている。
2022年7月に起工式が行われ、オープンは2025年夏の予定。
名古屋城を中心とした城址公園である名城公園(めいじょうこうえん)内での移転となり、現在の位置から900mほど北に建設される。
移転新築の目的は、1964年に建てられた施設の老朽化とともに、現代において規模や機能がスポーツの国際大会を開催するための国際水準を満たしていないため。
2026年に愛知県と名古屋市が共催するアジア最大のスポーツの祭典であるイベントの会場として利用できるように整備を進めることとした。
2024/05/27
千秋楽、琴桜は豊昇龍との大関対決を制して11勝に星を伸ばした。
既に大の里の優勝が決まっており逆転優勝の夢はついえていたが、最後まで気持ちを切らさず左小手投げで勝利。
「勝って締められてよかったけど、悔しい」。
偉大な祖父のしこ名を襲名した場所で、悲願の初優勝に届かず悔しさが募った。
「結果を受け入れて稽古に励むしかない。自分が強くなればいいだけ」と必死に前を向いた。
千秋楽、4敗勢で唯一、自力での逆転優勝の可能性があった阿炎は大の里に完敗し「圧力で負けた。向こうが強くて自分が弱かった」と潔く負けを認めた。
決定戦に持ち込むことは「考えてなかった」と無欲で臨んだが、本割から優勝決定巴戦まで3連勝して賜杯を抱いた22年九州場所の再現ならず。
それでも三役で初めて2桁勝利を挙げて大関獲りの起点をつくり「目指しているものに近づいている」と確かな手応えを得た。
千秋楽、角界の超新星が快挙をやってのけた。
単独トップで迎えた新小結大の里が関脇阿炎を押し出し、12勝3敗で初優勝を果たした。
初土俵から7場所目の賜杯獲得は最速で、新三役の優勝は67年ぶり。
初の殊勲賞と2度目の技能賞にも輝き、新入幕から3場所連続の三賞受賞は25年ぶりだ。
7月14日に始まる名古屋場所では新関脇として準ご当所の土俵に上がる。
支度部屋で記者の質問に涙ぐみながら答える大の里の父・中村知幸さん
大の里の歴史的Vを、家族が実家の石川県津幡町から駆け付けて見届けた。
幼少期に指導した父・中村知幸さんは、初黒星を喫した2日目の高安戦で大の里が足首を痛めていたことを明かし、休場の可能性を尋ねると「そんなことは思ったことない」。
場所中のやり取りを振り返り「自分を信じる力が、彼の強み」と声を震わせた。
母朋子さんは、初日と千秋楽に東京屈指のパワースポットとして知られる小網神社にお参りし、必勝を祈願したという。
賜杯を手にした息子の勇姿に「頼もしい。わが子じゃないみたい」と感慨深げだった。
千秋楽、4敗の大栄翔は勝って優勝決定戦進出に望みをつないだが、出番は回ってこなかった。
琴勝峰に激しい突っ張りからの引き落としで快勝。
その後、大の里の優勝が決まっても「もちろん悔しい気持ちはあるけど自分のやるべきことはやった」とすがすがしい表情だった。
8場所ぶりに転落した平幕で11勝。
1場所での三役復帰を確実とし「ここからまたスタート」と大関獲り再挑戦を見据えた。
千秋楽、平戸海は自己最高位の東前頭2枚目で、5連勝で9勝目。
来場所での新三役昇進に大きく前進した。
大関経験者の御嶽海に一度は追い込まれたが、左で前まわしをつかむと休まずに攻め、「9番も勝てると思っていなかった」と表情が緩んだ。
地道に番付を上げてきた24歳。
優勝した大の里を破るなど奮闘した。
「いつも通りに稽古をするだけ」と淡々と先を見据えた。
千秋楽、西前頭14枚目・欧勝馬は勝てば新入幕での敢闘賞の決まる西前頭10枚目・金峰山との一番。
右差しを狙ってきた相手に土俵際まで押し込まれるも、すかさず頭をつけて左上手を左前まわしに入れ替えた。
低い姿勢で相手の体を浮かせながら寄り切り。
「勝ったらもらえるというのは場所に来て知った。緊張した。自信になる。体が良く動いた」と振り返った。
千秋楽には来日10年目で、初めて来日した母・セレングーさんが国技館に応援に駆けつけた。
当初は観戦予定がなかったが、師匠・鳴戸親方の計らいでチケットが用意された。
「花道では母の姿が見えた。三賞を獲得した姿も見せられてうれしい」と笑顔を浮かべた。
千秋楽、1敗で十両単独首位の若隆景(29=荒汐部屋)が對馬洋(30=境川部屋)を下し、14勝1敗で十両優勝を決めた。
立ち合い左にずれて相手の当たりをかわし、向き直るところを押し出し。
14勝の好成績で締めた。
1年ぶりに関取として15日間の戦いに臨んだ先場所は、初日から7連勝するなど好調だったが9勝6敗に終わった。
「先場所は後半崩れたので、しっかり最後までいい相撲を取ろうと思っていた」。
今場所は最後まで力の違いを示した。
大相撲夏場所は26日に千秋楽を迎え、懸賞総数は1980本に達した。
1日当たりの最多は初日の173本。
2024/05/26
14日目、豊昇龍が特別な相手に意地を示した。
新入幕の欧勝馬とは、モンゴルから同じ飛行機で来日した間柄。
左から張ってすぐに右で上手を引き、難なく寄り切った。
「負けたくない気持ちだった」。
4敗対決を制し、誇らしげに言った。
連敗スタートから巻き返し、賜杯獲得への望みをつないで千秋楽を迎える。
「(優勝は)考えていない。一番を大事にしたい」と冷静に足元を見詰めた。
14日目、琴櫻が4敗と優勝争いから1歩後退した。
直近7連勝中と相性の良い阿炎に押し出しで敗れ、トップから陥落。
立ち合いから前に出て土俵際に追い詰めたが、体を入れ替えられると一気に押し出された。
支度部屋では「ちょっとすみません」とだけ一言。
その後は質問に応じなかった。
千秋楽は結びの一番で豊昇龍との大関対決。
大の里の結果次第ではあるが、逆転優勝へ勝利を目指す。
14日目、関脇・阿炎が2022年九州場所以来、2度目の賜杯に望みをつないだ。
3敗でトップタイだった大関・琴桜を土俵際からの逆転で押し出し、4敗を死守した。
千秋楽は単独先頭で3敗の新小結・大の里との一番が組まれた。
再び首位を引きずり降ろし、大逆転Vを狙う。
自らの力で優勝に望みをつないだ。
1差でトップを走っていた大関・琴桜との結びの一番。
阿炎は立ち合いで突っ張ったが、相手がひるむことなく前進。
土俵際まで追い込まれた。
それでも必死に相手の右手をたぐって背後をつき、形勢逆転。
強烈なのど輪と腹を突いて押し出した。
「しっかり体が動いて良かったと思います」。
7連敗中と苦手にしていた相手から白星をつかみ、4敗を死守した。
14日目、小結大の里が、初土俵から所要7場所の史上最速優勝、さらには67年ぶりの新三役優勝に、王手をかけた。
経験の差だった。
落ち着いた表情で土俵に立った大の里は、立ち合いすぐに右を差した。
そのまま寄り立て、相手をよろめかせ、最後は力強く押し出した。
逆転の隙など全く見せない完勝。
新入幕から3場所目ながら、毎場所、横綱や大関らと顔を合わせて優勝を争ってきた。
今場所初日には、横綱照ノ富士も撃破。
幕内前半で星を伸ばした湘南乃海とは大舞台の場数が違う。
「15日間、しっかり戦い抜くだけ。また明日」。
初優勝に王手をかけても一喜一憂しなかった。
14日目、大栄翔が激しい押しで高安を下し、4敗を守った。
今場所は平幕へ陥落したが、実力者であることを証明。
優勝の可能性も残した。
1差で大の里を追い、千秋楽は琴勝峰と対戦。
勝てば優勝決定戦に進む可能性もあるが、プレッシャーもなく「ほんとに、明日の一番に集中して。自分が気にすることじゃないんで。いい相撲を取って終わりたい」と話した。
14日目、新入幕の欧勝馬が大関・豊昇龍との4敗対決に敗れ、優勝争いから脱落した。
立ち合い豊昇龍に少し右へ動かれて右上手を許すと、上手出し投げから一気に寄り切る速攻に屈して完敗。
「うまくやられた。当たってくると思っていた」と悔やんだ。
14日目、16年春場所以来、8年ぶりに十両で相撲をとる人気力士の東十両3枚目・遠藤が、志摩ノ海を寄り切って12勝目をあげた。
相撲巧者らしい取り口だった。
差し手争いで相手が引いたタイミングを逃さず、左差しから一気に前へ出た。
終始関取のペースだったとの問いに「そうですか。そう見えたならよかったです」と表情を緩ませた。
十両でも人気ぶりは変わらず。
呼び上げられると大歓声が沸き起こる。
「自分はその(盛り上げている)つもりはないですけどね」と言い、若隆景に1差で千秋楽を迎える優勝争いも「そこまでの意識を持ちたいですね」と自然体を貫く。
元三役の優勝経験者が、完全復活に近づいた。
14日目、十両若隆景が新十両阿武剋をはたき込んで13勝目。
1敗対決を制して単独トップに立ち、十両優勝に王手をかけた。
若隆景は「集中を切らさず相撲を取れた。(状態は)悪くないと思います」と取組を振り返り、千秋楽へ向けて「明日の一番に集中して。自分らしい相撲を取るだけです」と気持ちを引き締めた。
2024/05/25
13日目、豊昇龍が翠富士を小手投げで9勝目をあげた。
2連敗発進も10日から4連勝で優勝争いも1差に詰めてきた。
「(優勝争いの意識は)全然。連敗から始まってるんで」と言いつつ、「(大関の責任感は)それもあるしね。残り2日、頑張っていきたい」。
終盤に調子を上げてきたが「何でか分からない。教えてほしいね」と笑顔で話した。
13日目、琴櫻は湘南乃海との3敗対決を制し、トップを死守した。
立ち合いで右に動いて上手出し投げ。
あっさりと勝負を決め、3連勝とした。
「(相手が)仕切り線からずれていた。横から攻めようと思った結果、ああいう形になった」。
3敗は大の里と2人だけ。
初優勝も見えてきたが「また明日の相撲も集中してやるだけ」。
14日目の阿炎との結びの一番を見据えた。
13日目、関脇若元春が新入幕の欧勝馬を優勝争いから引きずり降ろした。
3敗で優勝争いのトップに並んでいた欧勝馬に、いったんは右下手を取られたが焦らない。
「若いし、動ける相手だが、落ち着いていけた」と慌てずに回しを切って押し出した。
新入幕の欧勝馬とは稽古場でも相撲を取ったことがなかった。
「自分の星数も相手の星数も気にしてないが、一番気にしていたのは初顔ということ。肌を合わしていない、初顔はやりづらい」。
そんな状況だったが、しっかりと三役力士の意地を見せた。
13日目、関脇阿炎は明生を突き落とし、9勝目を挙げて4敗を堅守した。
14日目は、3敗の大関琴桜と直接対決、新小結大の里との対戦も残しており、自力優勝の可能性はある。
13日目、新小結・大の里が3敗とトップの座を堅持した。
西前頭4枚目・宇良に押し出しで快勝し、10勝目。
阿武咲以来となる史上2人目の新入幕からの3場所連続2ケタ白星の快挙を達成するとともに、大関取りの起点とした。
大関・琴桜は東前頭10枚目・湘南乃海との3敗対決を制し、こちらも首位を守った。
1差の4敗で大関・豊昇龍、関脇・阿炎、平幕の大栄翔、湘南乃海に新入幕の欧勝馬を加えた5人が追う展開となった。
大の里が業師をねじ伏せた。
立ち合いで頭を低く下げて、懐へ潜ろうとする宇良をもろ手突きで横向きにさせ、鋭い出足で一気に押し出し。
土俵下まで吹っ飛ばした。
新小結で堂々の10勝目を挙げた一番はイメージ通りだ。
目を閉じて「圧力をしっかりかけられた」と静かに振り返った。
13日目、大栄翔が「攻めるしかない思いだった」と御嶽海を電車道で押し出し、4敗を守った。
昨年秋場所以来の2桁勝利へも王手をかけた。
名古屋場所での三役復帰を確実にするとともに、優勝争いにも生き残り「先頭を走っているわけではない。残り2日、自分の相撲が取れるように」と一日一番の土俵に集中する。
13日目、湘南乃海が琴桜の上手出し投げに屈し4敗目。
優勝争いから一歩後退した。
支度部屋では自分から「言うことないです。すいません。ありがとうございました。自分が弱かっただけです」と一気に話し、1人になると充血した目をぬぐった。
14日目は大の里との割りが組まれている。
まだチャンスはある。前を向くしかない。
13日目、快進撃でつかんだ格上挑戦は、粘り及ばなかった。
欧勝馬が、三役初挑戦で若元春に押し出しで敗れ、4敗目を喫して2番手集団に後退。
土俵上で首をかしげたが、下を向くことはなかった。
「当たって、自分のできることをやろうと思った。左だけは差させたくなかったけど、差されちゃった」。
ただ、落胆の色はない。初めての幕内後半の土俵を「楽しいっすよ。負けても勉強なので」と振り返った。
13日目、16年春場所以来、8年ぶりに十両で相撲をとる人気力士の東十両3枚目・遠藤が、同じ1敗だった阿武剋の浴びせ倒しに敗れて2敗に後退した。
立ち合いで左四つに組み止めて膠着(こうちゃく)状態となった。
右からの上手投げで仕掛けた遠藤だが、そのタイミングで体を寄せられた。
「ま、いっぱいいっぱいやったので。いい稽古になりました」と苦笑いで振り返った。
2024/05/24
12日目を終えて3敗のトップに4人が並び、混戦模様に拍車が掛かる土俵。
ここにきてようやく大関が存在感を示し始めた。
御嶽海に快勝して給金を直した豊昇龍は復調ぶりを問われ、「いつも通り、しっかり集中している」。
眼光の鋭さも戻ってきた。
3敗だった大関経験者を問題にしなかった。
すぐに右で上手をつかむと、引き付けて一気に寄り切る。
「良かったと思う。すぐにまわしを取ろうと思った」と自賛の取り口だった。
12日目、琴櫻は薄氷の白星。
若元春が得意の左四つに組まれて上手を与え、投げを打たれたものの、わずかに相手が倒れるのが早く、軍配通りに勝ち名乗りを受けた。
物言いがついた一番の内容には反省しつつも、「もう一丁、という気持ちをつくっていた」。
3敗を死守してトップに並んだ。
混沌(こんとん)とする賜杯争いは残り3日。
「しっかり目の前の一番に集中してやるだけ」と短い言葉に決意を込めた。
12日目、新小結・大の里が平幕・宝富士との3敗対決を制した。
もろ手で当たると、右を差した。
力強く押し出して9勝目を挙げて「良かった」と短く振り返った。
11日目は大関・豊昇龍に下手投げでひっくり返されて完敗した。
師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)は「昨日、12勝3敗は優勝じゃないという話をした。将来のために頑張ろうと言った」ことで吹っ切れた様子。
大の里も「昨日から切り替えられた」と師匠の助言が生きたようだ。
八角理事長は「宝富士の右だけを気を付けていた。内容は完璧でしょう」と讃えた。
湘南乃海が敗れ首位に並んだが「気にしない」と足元を見つめた。
12日目、西前頭7枚目・御嶽海は大関・豊昇龍に寄り切りで敗れた。
踏み込んできた豊昇龍に左を差され、そのまま右で上手を取られると、なすすべなく土俵を割った。
星は8勝4敗。
13日目の24日は、西前頭筆頭・大栄翔と対戦する。
直近6場所では2度顔を合わせ、1勝1敗となっている。
12日目、湘南乃海は引いて墓穴。
左差しを狙って踏み込んだが果たせず、阿炎に突き放される。
たまらず相手を呼び込んでしまい、よろめきながら土俵を割った。
「切り替えて頑張る」。
悔しさを押し殺すように言った。
連勝は3で止まり、単独トップから転落した。
八角理事長は「勉強じゃないの」と述べ、初めて終盤戦で優勝争いを経験する26歳の成長を願っているようだった。
12日目、新入幕の前頭14枚目・欧勝馬が西同9枚目・正代をはたき込み、3敗を死守した。
2敗で単独首位だった東同10枚目・湘南乃海が3敗に後退したため、先頭に並んだ。
先場所は尊富士が110年ぶりの新入幕優勝を果たして話題をさらったが、今場所も快挙の予感が漂ってきた。
トップは大関・琴桜、新小結・大の里を加えた4人で、12日目を終えて3敗が首位は2003年名古屋場所以来。
1差に大関・豊昇龍、関脇・阿炎、平幕の大栄翔ら7人がひしめく大混戦となった。
12日目、西前頭16枚目・宝富士は4敗目を喫した。
新小結・大の里との3敗対決は、もろ手で起こされると相手得意の右差しを許し、なすすべなく最後は押し出された。
「完敗です。右を差されてちょっと動けなかったですね」と脱帽した。
痛恨の黒星となったが、2敗で単独首位だった湘南乃海が3敗に後退したため、トップとは1差で変わらず。
初賜杯の可能性は残されているが「ないです。上位は強いです」と苦笑い。
37歳のベテランは「久しぶりに上位と取れたので、もっといい相撲を取れれば良かったですね。明日から頑張ります」と切り替えていた。
12日目、16年春場所以来、8年ぶりに十両で相撲をとる人気力士の東十両3枚目・遠藤が、立ち合い変化で11勝目をあげた。
同じ石川県出身の輝との一番。
「最善の策でした」と遠藤は立ち合い変化で突き落としを決めた。
前日11日目に初黒星も引きずらなかった。
「切り替えは普通にできないタイプじゃないんで」と言った。
すでに幕内復帰濃厚は星数をあげた。
十両の優勝争いは阿武剋、若隆景と3人が1敗で並ぶ展開。
「(優勝は)無理と思ってるし。千秋楽に土俵に上がっているかも分からない。そんなことを考える余裕はない」と遠藤節で話した。
2024/05/23
11日目、192センチ、181キロの巨体が宙に浮いた。
満員の館内にどよめきが起こる。
大関豊昇龍は大の里を背負うと、そのまま下手投げで豪快にひっくり返した。
柔道の一本勝ちのような目の覚める決まり方に「気持ち良かったよね」。
新小結を結びの一番でトップから引きずり降ろし、喝采に酔いしれて花道を引き揚げた。
立ち合いで素早く右下手を奪う。
大の里の持ち味の休まない出足と馬力を封じ、余裕ができた。
一呼吸置いて前進してくる相手に対し、待ってましたと言わんばかりに勢いを利用して、土俵へ投げつけた。
自身は4敗を死守し、「ここで星を挙げないと。大関として強い相撲を取りたかった」と誇らしげだった。
11日目、元横綱の祖父からしこ名を受け継いだ2代目の大関琴櫻が、50年ぶりに「琴櫻」として勝ち越しを果たした。
明生との3敗対決は、苦しみながらも上手投げ。
優勝争いに踏みとどまった。
祖父が最後に果たした74年春場所以来の勝ち越しにも「まだ終わっていない。しっかりと自分の相撲を取っていきたい」と力説。
逆転での初優勝を見据えた。
11日目、新小結の大の里は、結びで豊昇龍に完敗して3敗目。
並走していたトップから後退した。
立ち合いの出足を止められ、右を差し合った体勢で左からおっつけようと体を寄せたところ、右下手投げで転がされた。
これで初顔合わせだった初場所から3場所連続、同じ決まり手で黒星。
取組後の支度部屋では今場所初めて報道陣に背を向けて悔しさを隠そうとせず、「また明日から頑張ります」とだけ語った。
11日目、西前頭筆頭の大栄翔が宇良を退けて8勝目を挙げ、2場所ぶりの勝ち越しを決めた。
立ち合いは相手の動きを警戒して踏み込まず、中に入れさせないように見ながら突っ張りを繰り出した。
はたいたところを渡し込まれそうになったが、右上手投げを打つと相手の方が一瞬早く落ちた。
「危なかった。突き切りたかったけど反応できることも大事」と動きの良さにも手応えを得た。
11日目、西前頭7枚目・御嶽海は西前頭13枚目・美ノ海に寄り切りで勝ち、2場所連続の勝ち越しを決めた。
立ち合いから勢いよく頭で当たると、美ノ海の引きに乗じてそのまま寄り切った。
左足の負傷を感じさせない力強い相撲で、星を8勝3敗とした。
12日目の23日は東大関・豊昇龍と対戦する。
11日目、東前頭10枚目・湘南乃海が単独トップに立った。
西同16枚目・宝富士との2敗対決を小手投げで制した。
神奈川・大磯町出身で中学卒業後に角界入りした、たたき上げの26歳。
同県勢65年ぶりの優勝へ向け、首位をひた走る。
勝負を決めた瞬間、フッと息を吐いた。
トップ2敗で並んでいた宝富士との一番。
立ち合いで左を差されたが、相手の右上手を許さず、左腕を抱え込んで小手投げ。
優勝争いの緊張感でも「集中できて良かったと思います」と相手に得意の形をつくらせず、冷静な取り口で2敗を守った。
結びでは同じく2敗の大の里が敗れ、単独トップに躍り出た。
11日目、欧勝馬が琴勝峰を寄り切り、新入幕で勝ち越しを決めた。
「勝ち越してよかったですね。我慢できてよかった」。
優勝争いに絡む位置にいるが「全然意識していない」。
一方で、2桁勝利には「あと一番勝ってから考えます」と、笑みを浮かべた。
11日目、16年春場所以来、8年ぶりに十両で相撲をとる人気力士の東十両3枚目、遠藤(33=追手風)の連勝が10で止まった。
関脇経験者の若隆景の肩透かしに敗れた。すでに幕内復帰は濃厚な星数だが、花を添えたい優勝争いで並ばれた。
「あと4日しかないですからね。1日1日、しっかりやるべきことをやるだけ」と切り替えた。
大相撲の西十両3枚目、千代翔馬(32=九重)が日本国籍を取得したことが22日付の官報で告示された。
年寄名跡の襲名には日本国籍が必要で、現役引退後に親方として日本相撲協会に残る資格を得た。
日本名は後援者から名前をもらい、石橋翔馬の予定。
2024/05/22
10日目、琴桜は巻き替えてもろ差しに持ち込んだが、腰の重い高安を攻め切れず。
土俵際で振り回されるように投げられ、前に落ちた。
支度部屋では目を伏せて口を真一文字に結び、絞り出すように「切り替える」と一言。
初賜杯獲得に向けて手痛い3敗目を喫し、ショックを隠せない様子だった。
7日目から右足親指の靱帯(じんたい)損傷を理由に休場していた東関脇若元春が、22日の11日目から再出場することが21日、決まった。
前日9日目に大の里を破った平戸海との対戦が組まれた。
6日目の大栄翔戦で黒星を喫した際に負傷し、10日目まで3勝4敗3休。
残りを全勝すれば勝ち越すチャンスが残されている。
10日目、小結大の里は押し相撲の豪ノ山に押し勝った。
立ち合いで右からかち上げて相手の勢いを止めると、二の矢の押しで一気に土俵際へ。
さらに回転の速い突っ張りを繰り出し、押し倒した。
9日目に8勝目を挙げた過去2場所よりは1日遅いが、新入幕から3場所連続の勝ち越しに「よかった」とひと安心。
11日目は過去2戦2敗と苦手な大関豊昇龍戦だが「明日から5日間、集中して頑張る」と力を込めた。
10日目、西前頭筆頭の大栄翔が王鵬を下して7勝目を挙げた。
激しい押し合いから一度右でいなして横から崩して押し出し。
「今日はよかった。自分の相撲を取ることが一番なのでそれを心掛けました」。
先手を取って攻め続け、連敗を2で止めた。
初対戦だった先場所は、埼玉栄高の後輩にまさかの完敗。
場所前には佐渡ケ嶽部屋で何度か手合わせもあり、2度目の対戦できっちり意地を示した。
10日目、腰を痛めて途中休場したとは思えない力を示している。
平幕の高安が苦しみながらも琴桜を破り、再出場した9日目から2日連続の結びの一番で2大関を倒した。
支度部屋で報道陣に感想を問われると、少し間を置いてから「やっぱり、最高ですね」と喜びを表した。
狙った右まわしを立ち合いで取れず、計算が狂った。
それでも引いたり体を入れ替えたり足を運んだ末に、左上手をつかむ。
にじり寄ったが残され、反対に相手が出てきたところで、強引に左から投げを試みた。
右下手の大関と投げの打ち合いになり、先にはわせた。
「思い通りにいかなかった。左まわしが生命線だった」。
粘りと意地の白星だった。
10日目、琴勝峰は御嶽海を押し出し、3連敗から7連勝で勝ち越しに王手をかけた。
「今日はちょっと守りに入りすぎた」と反省しつつ「体は動いている。見過ぎた感じはありますけど、当たってからは普通に流れでいけた」と振り返った。
同部屋の兄弟子、琴桜の大関昇進に刺激を受ける。
「まだ終わっていないので集中したい。とりあえず勝ち越すこと」と表情を引き締めた。
10日目、湘南乃海は動きのいい翠富士を中に入らせず、「我慢ができた」。
相手が引いたところを一気に押し出した。
自身最速、10日目で給金を直しても「まだ終わってないので」と表情を緩めない。
役力士の休場が相次ぐ大混戦の場所。
2敗でトップに並ぶ、たたき上げの26歳は「集中している」と短い言葉に気合を込めた。
10日目、勝って引き揚げてきた宝富士に気の早いファンから「優勝だ」の声が降り注いだ。
2敗を守って、幕内の勝ち越し一番乗り。
花道の奥で、近大相撲部の同期である千田川親方と笑顔でグータッチを交わした。
落ち着いた取り口だった。
一山本の突き押しをよく見て受け止めると、右から強烈に押っ付けて相手を起こす。
最後は万全のもろ差しで寄り切った。
10日目、十両の遠藤が、島津海を右からの豪快な上手投げで下して、初日からの連勝を10に伸ばした。
8年ぶりに幕内の座を失った今場所は、東十両3枚目で1場所での幕内返り咲きを確実にした。
下がりながらの内容に「イメージ通りではないけど」と前置きしつつ「しっかり反応して、白星につながったと思います」とうなずいた33歳。
動きの良さを「たまたまですね」と謙遜したが「できすぎ。満足しています」と終始、穏やかに振り返った。
2024/05/21
9日目、大関豊昇龍が大関経験者の幕内高安に屈して4敗に後退。
2度目の賜杯は、風前のともしびとなった。
高安は腰痛で3日目から休場し、この日が再出場の初戦。
一方で、豊昇龍にとっては過去1勝7敗(不戦を除く)と合口の悪い天敵≠ナもあった。
大関はやりにくさを感じていたのか、なかなか手を付かない。
相手に左を深く差されて後退すると、苦し紛れの小手投げも不発。
最後はすくい投げで豪快に土俵に転がされた。
審判長の粂川親方は「高安が、うまく左を深く差した。あれで豊昇龍が動けなくなった」と指摘。
八角理事長は「豊昇龍は手をつくのが遅い。自分でリズムを崩している」と手厳しかった。
9日目、大関・琴桜が土俵際からの逆転勝ちで2敗を死守した。
東前頭5枚目・阿武咲の鋭い当たりに後退したが、右足一本で残して右から突き落とした。
「いい相撲ではない中で、しっかり体が反応してくれた」と振り返った。
1敗勢が敗れて首位に並んだ。
「もちろん、攻めて勝った方がいいが、こういうのも一つの星につながれば、次が変わってくる」と淡々とした表情だった。
同じ佐渡ケ嶽部屋付きで、幕内後半戦の粂川審判長は「懐が深いし、重たい。(相手は)あそこ(土俵際)まではいくが、そこから押せない」と粘り強さを評した。
9日目、新小結の大の里は、平戸海に立ち合いで前まわしを探られ、はたいたところを一気に押し出されて2敗目を喫した。
勝てば単独トップだったが、右差しを封じられてしまい、相手の対策の巧みさを「そうなんじゃないですか」と認めるしかなかった。
新三役での勝ち越しもかかっていたが、「考えていない」と重圧を否定。
「頑張ります」という言葉を繰り返して、気持ちの切り替えを強調した。
9日目、東前頭2枚目・平戸海が首位を走る新小結・大の里を止めた。
鋭く踏み込んで左前まわしをつかみ、相手得意の右差しを封じて前進。
一気に押し出した。電光石火の内容に「しっかり踏み込んで、引いたところを攻めようと思った」と、うなずいた。
9日目、大関経験者で東前頭3枚目の高安が、6日間の休場から再出場していきなり、結びの一番で“銀星”を挙げた。
優勝争いに踏みとどまりたい大関豊昇龍をすくい投げで破り、4敗に後退させた。
自身は休場で1つの不戦敗はあるが、土俵に立てば全勝。
3勝1敗5休とした。10日目も結びの一番で大関琴桜戦。
トップが2敗で5人が並ぶ混戦場所で、カギを握る存在に浮上した。
9日目、上松町出身で西前頭7枚目の御嶽海は、西前頭10枚目の金峰山に勝って勝ち越しに王手をかけました。
19日の取り組みで痛めた左足のけがが心配された御嶽海。
立ち合い直後に左へかわすと、上手投げで金峰山を破りました。
9日目、東十両3枚目・遠藤が無傷の9連勝を飾り、1場所での幕内復帰に大きく前進した。
同7枚目・獅司を上手出し投げで下した。
2016年春場所以来、8年ぶりに十両へ番付を下げた土俵で快進撃を続けている。
十両土俵で意地の9連勝だ。
遠藤は、獅司の押しに耐えて左四つで組み止めると、前に出た相手に最後は右上手出し投げを決めた。
激しい攻防で館内を沸かせると大きく息を吐き、「相撲を取った気がした。久々に動いたかもしれない」とクールに振り返った。
1場所での再入幕にも大前進。
それでも「毎日いっぱいいっぱいなので、それどころではない」と必死さを強調した。
2024/05/20
中日、役力士の半数以上が休場し、くしの歯が欠けたような場所。
結びで王鵬の挑戦を退けた琴櫻は「辛抱して相撲が取れた」と一息ついた。
トップとの1差を維持して折り返し、大関の面目を保った。
距離を取ろうとする王鵬に対して慌てず、勝機を探る。
まわしにこだわらずに突き返し、じわじわと圧力をかけて押し出した。
「気持ちで負けないよう、冷静でいられた」と振り返る。
大関3連破を狙っていた相手にも、「自分は自分。関係ない」と余計な気負いは見せなかった。
中日、土俵際まで後退した大の里が次の瞬間、踊るように大きく右に飛んだ。
勢いよく突っ込んできた大栄翔は目標を失って前にばったり。
軽快な身のこなしで1敗同士の対決を制した大の里は「たまたま体が反応した。2日目に負けてから修正して、どんどんエンジンが掛かってきている」と明朗な口調で振り返った。
大栄翔の出足を警戒し、この日の朝稽古後には「向こうは絶好調。立ち合いが勝負かな」と話していた。
その立ち合い。突き起こされそうになりながらも、うまくこらえてバランスを崩さなかったことが白星につながった。
土俵下で大の里の取組を見届けた九重審判長は「ひらめきというか、相手の次の攻め方が分かっているように動いている。イメージができているのでしょう。大栄翔の土俵の空気感ではなかった。大の里の空気になっていた」と評価する。
中日、急性腰痛症で3日目から休場していた大関経験者で東前頭3枚目の高安が、9日目から再出場することが決まった。
復帰土俵は、いきなり結びの一番で、大関豊昇龍戦が組まれた。
高安は初日に前頭若元春、2日目に小結大の里を破り、連勝発進しており、9日目は2勝1敗5休から、勝ち越しの可能性を残して復帰することになる。
中日、上松町出身の西前頭7枚目・御嶽海は、東前頭10枚目・湘南乃海に押し出しで勝ち、6勝2敗とした。
立ち合いは大柄な相手の当たりにひるみかけたが、すぐさま押し返して土俵際に持ち込み、最後ははたき込まれながらも正面に追いやった。
押し出した際に土俵に左太ももを打ち付け、取り組み後に痛がる様子もあった。
中日、平幕の宝富士は竜電を寄り切って、1敗をキープした。
宝富士が重い腰で竜電に寄っていく。
土俵際で下手投げ。
ほぼ同時に倒れ込んだ。
微妙な勝負にもの言いがついたが、投げる前に竜電の足が出ていて、軍配差し違えで宝富士が7勝目。
勝ち越しに王手をかけ、大の里と並んで首位を走る。
今後を見すえて「ほんのちょっと油断した。この甘さだと、これから勝ちきれなくなる」と勝っても自身を戒めた。
中日、東十両3枚目の遠藤が無傷の8連勝で給金を直した。
幕内の土俵に立ち、新入幕の時疾風との一番。
土俵際まで攻め込まれたが、相撲巧者ぶりを発揮する。
投げの打ち合いで左の下手を抜きながら、くるりと右に回って仕留め、「勝ってよかった」と実感を込めた。
2016年春場所以来、約8年ぶりに十両に転落した今場所。
1場所での幕内復帰に前進し、「これ以上、前向きになることはない」。
普段は口数が少ないが、舌も滑らかだった。
2024/05/19
7日目、豊昇龍は大関の責務を果たせなかった。
同じ2018年初場所初土俵で同学年の東前頭4枚目・王鵬との結び。
おっつけられ、強烈なのど輪で上体を起こされ、主導権を握れず。
肩透かしで体勢を崩されると、防戦一方で引き落とされた。
3敗に後退。
三役以上の過半数が休場する中、頼みの大関も安泰とはならなかった。
7日目、大関琴櫻が宇良に今場所初めて土をつけ、単独首位から引きずり下ろした。
頭をつける相手の攻めを辛抱強くこらえ、最後は強烈な押しを繰り出して豪快に倒した。
これで5勝目。
大関の意地を見せたが「あわてず落ち着いていこうと思った」と冷静な口ぶりだ。
この日から大関霧島と関脇若元春が休場。
出場を続ける看板力士の責任は重いが「しっかり土俵を務めることが、そういう(責任を果たす)ことにつながる」とした。
大関霧島が7日目、日本相撲協会に休場を届け出た。
「頸椎(けいつい)症性神経根症で約2週間の加療を要する」との診断書を出した。
師匠によると3月の春場所前から首付近に痛みを抱えており、この日から4日ほど検査入院する。
大関在位6場所目の今場所は、かど番で6日目まで1勝5敗。
再出場はせず治療に専念するため、事実上負け越しが確定。
7月の名古屋場所は関脇に転落する。
関脇若元春が7日目、右足親指の靱帯(じんたい)の損傷により休場した。
師匠の荒汐親方によると、3敗目を喫した6日目の大栄翔戦で痛めた。
再出場の可能性については今後、本人と話し合う。
7日目の対戦相手、関脇阿炎は不戦勝。
7日目、大の里が我慢の相撲で1敗を守った。
初顔の熱海富士に左上手を与えて後手に回ったが、土俵際で回り込み、下手出し投げで仕留めた。
「立ち合いが完全に相手のペースだった」と反省しつつ、「残って逆転に成功したのは、体が動いているということ」と手応えもあった。
二つ年下、21歳の熱海富士とは今後、何度もぶつかるだろう。
三役の座は先につかんだ大の里だが、「自分が学生の頃から(相手は)関取。幕内で対戦できてうれしい」。
敬意も忘れなかった。
7日目、西前頭筆頭・大栄翔が1敗を守り、全勝が消えたためトップに並んだ。
東同2枚目・平戸海の引きに落ちず、攻勢に転じて押し出した。
先場所は引き落としで敗れており、「先場所それ(引き技)で負けているので、しっかり考えてやった」と反省を生かした。
7日目、結び勝率100%!
東前頭4枚目の王鵬が大関豊昇龍を引き落としで破った。
前日17日の大関霧島戦に続く結びの一番の連勝だけでなく、春場所の横綱照ノ富士からの金星を含めて3戦3勝。
中日も結びで大関琴櫻に勝てば「結び王」襲名だ。
7日目、人気力士の西前頭4枚目・宇良が敗れて、全勝力士がいなくなった。
大関琴櫻と対戦。
立ち合い、左から絞って出る宇良の流れも引いてしまい、そこを一気に出た琴櫻に押し倒された。
7日目、西前頭11枚目の北勝富士が新入幕の欧勝馬を下して4勝目を挙げ、白星先行とした。
立ち合い低く当たって強烈な左おっつけで相手の右差しを封じると、もろハズで下から押し上げて一気に前に出て押し出し。
好調の新入幕を退け「良い相撲取れてよかった。ああいう相撲取ると気持ちいいですね」と笑顔で振り返った。
7日目、37歳のベテランは、冷静に足元を見詰める。
「相撲人生もそんなに長くない。引かない、という気持ちで前に攻める自分の相撲を見せたい」と宝富士。
現役生活の終盤と認識しているからこそ、力士としての生きざまを体現しようとしている。
6日目に喫した初黒星を引きずることなく、「切り替えるしかない」と臨んだ一番。
得意の左を差せず、197キロの巨体を生かした水戸龍の圧力に後退したが、攻めに転じようとしたところ、相手は足が乱れて腰砕け。
驚いたような表情を見せ、「大きな勝ちだ」と喜んだ。
8年ぶりに幕内から陥落した東十両3枚目の遠藤が7連勝とした。
東十両6枚目の白熊を引き落としで破り、十両で唯一の勝ちっぱなしとなった。
立ち合いすぐ左に引き落とし、あっさりと勝負を決めた。
「勝っていることがなにより。星が出ているのはいいこと」と淡々としていた。
2024/05/18
6日目、豊昇龍は翔猿を退け4連勝。
うるさい相手だったが右上手引いて捕まえ、どっしりと寄り切った。
「しっかり動きを見ながら取ることができた」
初日から2連敗。
それでも日に日に本来の動きの良さが発揮されてきた。
「体はいい感じで動いていると思う。しっかり集中して、自分の相撲を取ることしか考えていない」と話した。
6日目、大関・琴櫻が、過去2戦2勝の新小結・大の里に屈し、痛恨の2敗目を喫した。
胸で当たったが、すぐに右を差された。
左上手を取り、下がりながら投げに転じたものの、追撃されて寄り切られた。
今場所前の稽古では苦戦した相手だったが「関係ないと思います」と影響を否定した。
トップからは2差に後退。
「しっかり修正してやれることをやっていきます」と必死に切り替えた。
6日目、大関霧島が夏場所7日目の18日、日本相撲協会に休場を届け出た。
大関かど番の今場所は6日目まで1勝5敗。
負け越しが決まれば、7月の名古屋場所は関脇に転落する。
7日目の対戦相手翔猿は不戦勝。
霧島の休場は新大関だった昨年7月の名古屋場所以来。
6日目、新小結・大の里が、大関・琴櫻から初白星を挙げて4連勝。
5勝1敗とした。
琴櫻との立ち合いで両脇を締め、体をぶつけた。
大関の脇が空いた隙を見逃さず、得意の右をねじ込んだ。
「体が動いてくれた」と、相手の投げに乗じて一気に寄り切り。
4秒0での完勝に「何も考えていなかった」。
口元を引き締め、土俵上でうなずいた。
6日目、大栄翔が会心の立ち合いから突進し、若元春を一方的に倒した。
2大関2関脇を破るなど5勝1敗とし、「しっかり当たれているし、落ち着いて攻めている」と納得の表情を浮かべた。
3月の春場所で負け越し、8場所ぶりに三役から転落。
「悔しい気持ちは強い。1場所で早く戻りたい」と闘志満々だった。
6日目、前頭四枚目・宇良が前頭七枚目・御嶽海を上手出し投げで下し、無敗キープの6連勝を遂げた。
土俵中央で御嶽海を受け止めた際には、宇良の鍛え抜かれた腕の筋肉が突如、ググっとたくましく隆起し「腕の筋肉すごい」「さすが握力キング」と大いに盛り上がった。
全勝対決の一番。
立ち合い頭を下げて当たった宇良は、下がらない御嶽海に押し返されたが、力比べの直後、素早く腕をたぐって右に回り込むと、まわしを掴んで華麗な上手出し投げを決めた。
6日目、西前頭7枚目・御嶽海は西前頭4枚目・宇良との全勝対決に臨み、上手出し投げで敗れた。
今場所初めて土がつき、連勝が5で止まった。
相手の低い当たりを受け止めた御嶽海。
おっつけながらじわりと前に出たが左を手繰られて体が入れ替わり、上手を取られて土俵の外へと送られた。
6日目、返り入幕の37歳、宝富士は新入幕の欧勝馬にはたき込まれ、今場所初黒星。
初日からの連勝は自己最長タイの5で止まり、記録更新はならなかった。
立ち合いから右に動いた相手をつかまえられず、最後は足が流れて土俵に手をついた。
取組後の支度部屋では、5日目までと変わって厳しい表情。
それでも「また頑張ります」と決意を語り、気持ちを切り替えていた。
日本相撲協会は大相撲夏場所6日目の17日、東京・両国国技館で理事会を開き、西幕下11枚目の琴恵光(32=佐渡ケ嶽、本名・柏谷充隆、宮崎県延岡市出身)の引退と、年寄尾車の襲名を承認した。
後日、引退会見を開く。
琴恵光は07年春場所で初土俵を踏み14年九州場所で新十両、18年名古屋場所で新入幕を果たした。
最高位は21年名古屋場所の東前頭4枚目で、幕内は通算29場所を務めた。
先場所は東十両12枚目で1勝14敗で負け越し。
8年ぶりの幕下陥落となった今場所は休場していた。
2024/05/17
5日目、琴櫻がうるさい翔猿を相手に会心の白星。
右でまわしを引いて捕まえると、あとはじっくり前進して寄り倒し、「慌てず取れたんじゃないかな」。手応えを口にした。
初日黒星の後は立て直し、出場している3大関の中で唯一、1敗で序盤を終えた。
「変わらずやるだけ。自分のできる準備をしていく」。
表情を変えずに気を引き締めた。
5日目、かど番の大関霧島が新小結の大の里に寄り倒され、4敗目を喫した。
先に左上手を取るも、大の里に右下手から攻め立てられ、寄り倒された。
物言いがついた際どい相撲だったが「まあ相手が強かったですよ。止まらなかった」と潔く負けを認めた。
序盤の5日目にして4敗。
かど番として厳しい状況だが、本人は動じた様子はない。
支度部屋に戻って座ると鼻歌を歌った。
そんな様子からは腹をくくった覚悟が垣間見える。
5日目、新小結・大の里が大関・霧島を撃破し、3連勝を飾った。
右を差して土俵際へ。
寄ったが、両者がジャンプして土俵外へ。
軍配は大の里に上がったが、物言い。
長めの協議の末、軍配通りになった。
「結果どうこうよりも攻めるつもりだった。相手に先手を取られて内容が良くなかったが勝ちに結びついて良かった」と振り返った。
5日目、流れるような取り口で「満員御礼」の館内を沸かせている。
立ち合いで錦木の懐に入った宇良が、一気に寄り立てた。
次の瞬間、タイミング良く引いて鮮やかな肩透かし。
腰の重い相手を難なく土俵にはわせた。
初日からの5連勝は初めて。
取組後の支度部屋では、何を聞かれても涼しい顔で「分からない」「何もない」。
本場所中に宇良が相撲内容を振り返ることは、ほぼない。
5日目、西前頭7枚目・御嶽海は西前頭5枚目・明生を寄り切りで破り、連勝を5に伸ばした。
押し合いから左を差されるも、我慢の末に体を入れ替え寄り切った。
6日目の17日は西前頭4枚目の宇良と対戦する。
直近6場所では2度顔を合わせ、1勝1敗となっている。
5日目、幕内・佐田の海が通算700勝を挙げた。
元大関・正代にもろ差しとなると、一気に寄り切った。
「一気に走ろうとは思ってなかったが体が反応してくれた」と会心の相撲にうなずいた。
3勝2敗と星が先行し、「初日と2日目が悪すぎた。流れはこれから」と意気込んだ。
5日目、返り入幕の幕尻、西前頭16枚目の宝富士が東十両筆頭の大奄美を寄り切って、17年春場所以来の初日から5連勝を決めた。
先場所は12年ぶりに十両へ転落。
歴代6位の幕内連続出場が990回でストップした。
満身創痍(そうい)の37歳は落ち込み、気持ちも切れかけたが、家族の支えなどで奮起。
1場所で幕内に返り咲くと、勝ちっ放しで序盤を終えた。
2024/05/16
4日目、豊昇龍に力強さが戻ってきた。
右の相四つの平戸海との激しい攻防。
上手を与えた中、右からの投げでしのいだ後、休まずに攻めて土俵下に寄り倒した。
「慌てるのではなく、しっかり(動きを)止めようと思った」。
場所前に手合わせをしていた相手。
快勝とはいかなかったが、勝機を逃さない冷静さも光った。
2連勝で星は五分に。
勢いも出てきた大関は「もっと柔らかい相撲を取らなければいけない」と反省も忘れなかった。
4日目、大関・琴櫻が、父で師匠の佐渡ケ嶽親方の56歳の誕生日を白星で添えた。
東前頭2枚目・豪ノ山との一番は左を差しきれず、突き押し自慢の相手の圧力に後退した。
だが土俵際で左上手をつかむと、俵の上で左足一本を残しての投げで腹ばいにさせた。
「土俵際は(豪ノ山が落ちるのが)見えてはいたので、あとは反応じゃないですかね」と冷静に振り返った。
琴ノ若から改名し、祖父で元横綱の「琴櫻」のしこ名を継いで初めて上がった土俵で黒星スタートも、2日目から3連勝を飾った。
師匠に白星のプレゼントを届けたが、琴櫻は「良かったんじゃないですか。(気合のノリは)変わらないです」と、照れ隠しのように淡々と語った。
4日目、カド番の大関・霧島は、西前頭筆頭・大栄翔に押し出され、早くも3敗目となった。
霧島は大栄翔を土俵際まで押し込んだ。
相手の反撃もいなして、大栄翔は土俵を割りそうになった。
霧島は「勝ったと思った」と動きを止めた。
それでもこらえ、反撃を受け、押し出された。
「本当は出て行きたかった」と負けを悔やんだ。
4日目、初土俵から所要6場所で新三役に昇進した大の里が、相手十分になりながらも関脇・若元春を破った。
昭和以降で2位のスピード出世を果たした23歳の新小結は「本当に体が動いている」と好調さを口にする。
立ち合いはもろ手で突いて右を差しに行ったが、相手得意の左四つに組まれた。
それでも「止まったらダメ」と冷静だった。
動きの中から勝機を見いだす。
最後は左からの突き落としを決めた。
「流れでもぎとった勝ち」と振り返りつつ「内容は良くない」と反省も忘れない。
4日目、業師の宇良が正攻法の押しで翠富士を下して初日から4連勝。
これまで幕内で3連勝は3度あったが、その壁を破って自己記録を塗り替えた。
ただ、本人は4連勝には無関心。
「何もないです」とポツリ。
自己記録だと聞いても「知らなかったです。覚えてないです」と続けた。
そして、関心がない理由を「意識しても意味がないところじゃないですか。
今日勝てば記録更新なんて思って取らないですし」と話した。
2度の大けがで幕内から序二段まで番付を下げた経験を持つからこそ、連勝に一喜一憂しない。
4日目、上松町出身の西前頭7枚目・御嶽海は、東前頭5枚目・阿武咲に下手投げで勝ち、連勝を4に伸ばした。
初日から4連勝は、新大関として11勝4敗の成績を残した令和4年3月の春場所以来。
立ち合いから押し込まれたが左を伸ばして圧力をそぎ、右下手をつかんだ。
土俵際、強引な寄りに慌てず放った投げは、うまさと力強さが光った。
4日目、返り入幕の宝富士が4連勝。
友風の突き手をあてがい、土俵際でうまく体を開いてはたき込んだ。
「前に攻める相撲を取っていかないと厳しい」と反省しつつも、白星が並んでいるだけに表情は明るい。
「しっかり稽古を積むことができた」という今場所は持ち前の腰の重さを生かした相撲も目立っている。
初日から5連勝となれば、2017年春場所以来。
37歳は「若い時は連勝すれば調子が上がってくるが、最近は緊張してしまう」と笑った。
4日目、東十両3枚目の遠藤が、無傷の4連勝を飾った。
武州山に押し込まれたが、土俵際ではたき込み。
左足1本で耐えて白星となった。
「勝ちになったんで良かったんじゃないですか」と振り返った。
8年ぶりの十両で連勝を続けている。三役経験がある実力者は「これ以上ないですからね。4番が、5番にはならないですからね」と、勝率100%に納得していた。
2024/05/15
3日目、豊昇龍が初白星をつかんだ。
大栄翔の突き押し、いなしに体勢を崩しかける場面もあったが、耐えて立て直すと、最後は素早く攻めて寄り切った。
2日目までは前に出ることができなかった。
師匠の立浪親方から「内容が悪い」と苦言を呈され、「きょうこそはしっかりやらないと」と気合を入れ直して土俵に上がった。
大関として5場所目。
3連敗は免れ、「落ち着いて相撲が取れた」と安堵の表情を浮かべた。
3日目、大関琴櫻が2連勝で幕内通算200勝目を挙げた。
立ち合いは平戸海の突っ張りを受ける形になったが、肩越しの左からの上手出し投げで形勢逆転。
相手を土俵際に追いやると、圧力をかけて押し出した。
初日こそ黒星だったが、琴ノ若のしこ名を今場所から改め、琴櫻として初の白星先行。
幕内通算200勝は「知らなかった。自分の相撲を心がけてやっていく」と話し、今後も白星を積み上げていくことを誓った。
3日目、カド番の大関・霧島が2敗目を喫した。
東前頭筆頭・熱海富士との立ち合い、低く当たったが、跳ね返された。
圧力に引いてしまい、左に動いたが、背中を向けてしまった。
最後は強烈な一発で押し倒されて尻もち。
その勢いのまま土俵下まで転がり落ちた。
「久しぶりに変な落ち方した」と苦笑し、唇をかみしめた。
3日目、関脇若元春が豪ノ山を破り、通算400勝を挙げた。
土俵際まで押し込まれたが、いなして崩すと逆に押し出した。
若元春は「立ち合いはしっかり当たれた。押し込むには至らなかったが、流れの中で向こうが崩れたところを前に出た。先場所は胸から行って圧力に負けたので、今場所は頭から、起こされないようなイメージで行った。思っていたような相撲じゃなかったが、はたきにいってからは攻められたので、そこは良かった」と振り返った。
3日目、新小結の大の里は、初顔合わせの翔猿の素早い動きに惑わされず、右を差して捕まえて寄り切った。
初黒星を喫した2日目の高安戦を踏まえて「自分で下がって危ない相撲だった。反省を生かしてやりました」と積極的に圧力をかけた。
白星先行を「連敗しなかったのが一番」と振り返り「これから役力士との対戦が増える。
一日一日を大切に頑張る」と気を引き締めた。
3日目、結びで組まれた霧島戦。
低い姿勢を保ちながら、動きの良い相手を正面に置いて攻めた。
圧力勝ちして大関を土俵下まで転がし、「落ち着いていた」。
上位戦でも、もう気後れはない。
土俵を下りるまで引き締まっていた熱海富士の表情が、花道で一変した。
手にした分厚い懸賞金の束を何度も見ると、目を丸くして破顔一笑。
いかにも21歳らしい姿だった。
3日目、幕内・高安が日本相撲協会に「急性腰痛症で約2週間の安静加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
休場は、腰痛などによる1場所2度の休場があった今年の初場所以来で17度目。
3日目の対戦相手、阿炎は不戦勝となった。
師匠の田子ノ浦親方によると、同日の朝稽古で痛めたという。
元大関の高安は2日目に小結・大の里に快勝し、ここまで2連勝と好調だった。
田子ノ浦親方は「力が入らない。まずは何とか治すこと」と説明した。
3日目、平幕の御嶽海が昨年秋場所以来の3連勝スタートを飾った。
元小結の錦木に何もさせずに寄り切り。
鋭い踏み込みから、もろ差しに持ち込んで密着して無駄なく圧力を伝えた。
「自分の相撲しか考えず、貫くことができた。白星につながってよかった」。
幕内で3位タイの183キロの体重がある錦木の腰の重さを、まるで感じさせない完璧な攻めに納得の表情だった。
3日目、新入幕の欧勝馬が、無傷の3連勝を飾った。
左からの上手出し投げで友風の体勢を崩して送り出し。
「イメージ通り。自分の考えた相撲がとれていることがいい」。
最近は対戦相手の動画を見ないで、土俵に上がっている。
「これまで(研究して)相手の動きに合わせてしまっていた。自分がやりたいことをやる。稽古場でも、本場所でも。それで体が動く」と好調の理由を説明した。
3日目、勝って引き揚げてきた支度部屋、多くの記者に囲まれた宝富士は「まだ3連勝ですよ」と言って照れくさそうに笑った。
確かに、まだ大騒ぎするほどの連勝ではないかもしれない。
それでも再入幕の37歳が元気なことは明るい話題だ。
狼雅との一番は、相手に右をねじ込まれそうになったところから我慢して左を差し勝つ。
得意な形に持ち込んで堂々と寄り切り。
「休まず自分から攻めていったのが良かったです」と小さくうなずいた。
2024/05/14
2日目、横綱照ノ富士が、日本相撲協会に「左肋(ろく)軟骨損傷、右変形性膝関節症により3週間の安静加療を要する」との診断書を提出し、休場した。
両国国技館で取材に応じた師匠の伊勢ケ浜親方は「膝と脇の肉離れ。(脇は)痛すぎて力が出ない状態。せきをしただけで痛いらしく、きつい、戻すぐらいの痛み止めを飲んでも、良くならない。膝は古傷」と説明した。
新三役の小結大の里に敗れた、前日12日の初日取組後から師弟で話し合い、休場を決めた。
2日目、大関・豊昇龍は、西関脇・阿炎に押し出しで完敗、苦しい連敗スタートとなった。
立ち合いから突き押し自慢の阿炎の強烈なもろ手にのけぞり、わずか1秒7の速攻にあらがうことすらできず、土俵下に転落。
屈辱的な黒星に、悔しさで顔をゆがませた。取材には応じず、取組後は無言を貫いた。
八角理事長は「阿炎の突っ張りは体重が乗っていた。昨日(横綱、大関の総崩れ)があったから、下の力士も俺も頑張ればできるんだというね。若い大関が多いから気持ちはあるけど、体がついてこない。気持ちはあるけど体が空回りしている」と指摘。
2日目、琴ノ若から改名した大関・琴櫻が初勝利を挙げた。
東前頭筆頭・熱海富士を肩透かしで下した。
「琴櫻」の白星は、元横綱の先代・琴櫻が現役最後の白星を挙げた1974年春場所14日目(3月23日)以来、50年ぶりとなった。
初日から1横綱4大関総崩れとなった今場所。
その上、この日から横綱・照ノ富士、大関・貴景勝が休場した中、偉大なしこ名を継いだ大関が主役の座を狙う。
2日目、大関貴景勝が、2場所連続の途中休場を決めた。
師匠の常盤山親方によると慢性的に抱えている「首のヘルニア」を悪化させたという。
先場所は勝ち越しを決めた後の14日目から休場していたが、常盤山親方は「再出場はない。かど番となるが、7月(名古屋場所)に向かってやろうと思っている。治療優先」と説明した。
全休なら7月の名古屋場所は、9度目のかど番となる。
阿炎は取り口に迷いがなかった。
右喉輪で豊昇龍をのけぞらせると、そのまま一気に走って押し出し。
過去3勝10敗だった大関を圧倒し、「立ち合いで当たれて、よかったんじゃないかと思う」と納得顔だった。
2年ぶりに番付を関脇に戻した今場所。
「一番一番が大事。しっかりとした相撲を取りたい」と表情を引き締めた。
2日目、初日に横綱照ノ富士を破った新小結の大の里は、大関経験者の高安の圧力に引いてしまい押し出されて完敗。
連勝はならなかった。
師匠の二所ノ関親方の弟弟子にあたるベテランに圧倒され、「修正して頑張ります」と繰り返した。
土俵際で右足首をひねるような場面があり、土俵上で気にするしぐさも見せていたが、支度部屋では「大丈夫です」ときっぱり。
しっかりした足取りで引き揚げた。
2日目、新進気鋭の若手に、大関経験者の34歳が立ちはだかった。
高安は、初日に横綱照ノ富士に完勝した新小結の大の里を退けた。
「よかったんじゃないか」という短い言葉に充実感がにじむ。
しっかり当たり、馬力のある相手を受け止める。
はたきに崩されることなく前に出て、土俵際での回り込みを許さなかった。
九重審判長は「はたいてくることも計算していた。力ではなく、体のさばきで勝った」と評価。冷静さも光った一番だった。
2日目、前頭七枚目・錦木が、前頭八枚目・隆の勝を幕内では3年ぶりとなる決まり手“網打ち”で下し、1勝目となる勝ち星を挙げた。
発生確率0.1パーセントの珍しい決まり手に、ファンからは「見られてラッキー」「初めてみたかも」と興奮気味の声が寄せられた。
2日目、西前頭7枚目・御嶽海は西前頭6枚目・翠富士と戦い、小手投げで勝った。
差されて寄られるも土俵際で粘り、鮮やかな逆転を決め、連勝スタートとなった。
3日目の14日は東前頭7枚目・錦木と対戦する。
直近6場所では3回顔を合わせ、御嶽海は2勝1敗となっている。
2024/05/13
初日、「ぶっつけ本番」の影響が出た。
照ノ富士が約2年ぶりに、2場所連続黒星発進の屈辱を味わわされた。
うなずく大の里とは対照的に、唇をかんで顔をしかめた。
先場所は腰痛のため7日目に休場。
春巡業は皆勤し、終盤の4月下旬から相撲を取る稽古を再開し取組も行っていた。
しかし、2日の稽古総見で土俵に上がる前に左脇腹を痛めて一転、今月に入って相撲を取る稽古はできていなかった。
前日11日は「今できることを精いっぱいやる。自分との闘い。ぶっつけ本番」と意気込んでいたが、この日は報道陣には無言で引き揚げた。
初日、大関豊昇龍は春場所に続き、初日黒星となった。
熱海富士に立ち合いで左上手を許し、苦しまぎれに投げたところで上手投げを喫した。
自身の取組前に3大関が敗れる悪い流れを止められなかった。
先場所は11勝4敗の準優勝。
昨年名古屋場所以来の優勝を目指す中、いきなりつまずいた。
取組後は取材に応じず、表情は硬かった。
初日、琴ノ若改め琴櫻も、悪い流れにのみ込まれた。
元横綱の祖父と同じしこ名を継いで上がった初日。
「琴櫻〜」の大声援の中、立ち合いで左差しを狙った。
大栄翔の攻めに耐え、一時は土俵際まで追い込んだ。
しかし突き押しで逆襲されて黒星発進。
「切り替えます」と短い言葉を絞り出した。
初日、大関貴景勝が先場所は初顔合わせで勝利していた平戸海に雪辱を許した。
立ち合い一気の攻めを受けると、あっさりと押し出された。
春場所では、かど番脱出後の大関琴ノ若戦で負傷。
右大胸筋損傷などで14日目から途中休場し、春巡業も全休した。
2日の稽古総見には参加も、大関陣との申し合いで1勝5敗と苦戦。
状態が心配されていた。
この日は取材対応なく、足をひきずるようにして会場を後にした。
初日、大関霧島がかど番の初日でなすすべなく敗れた。
立ち合いでまわしがとれず、豪ノ山の素早い攻めにあっさりと土俵を割った。
春場所は5勝10敗と屈辱の負け越し。
場所前は精力的に出稽古を行って調整してきただけに、出はなをくじかれた形。
支度部屋では取材に応じなかった。
初日、新小結・大の里が、照ノ富士をすくい投げで破る大仕事で、横綱戦初勝利を挙げた。
初顔合わせで屈した初場所の雪辱を果たし、2018年初場所の貴景勝以来となる新三役初日での横綱撃破。
観戦した母・朋子さんに最高の「母の日」のプレゼントを贈った。
初日は1横綱4大関が全滅する波乱のスタート。
デビュー7場所目、ちょんまげ頭の元アマチュア横綱が場所の主役を奪う。
初日、東前頭筆頭の熱海富士が、大関豊昇龍に完勝した。
立ち合いで狙った左上手をつかみ、大関が強引な投げ技にきたところうまく体を寄せて、最後は上手投げを決めた。
「(上手の)いいところが取れた。いい相撲がとれたと思います」。
同部屋で仲のいい尊富士が先場所、110年ぶりの新入幕優勝を果たし、大きな刺激を受けた。
今場所は休場した尊富士の思いも背負い、悲願の初Vへ好発進した。
初日、西前頭筆頭の大栄翔が、大関琴櫻を圧倒して白星発進した。
立ち合いから本来の圧力で押し出した。
場所前に稽古で胸を合わせてきた。
「いい稽古をさせてもらったので、結果につなげることができた」と話す。
今場所は昨年春場所から7場所死守してきた三役の座から陥落した。
久々の平幕も「意識はしていません」ときっぱり。
優勝経験もあるだけに、復活に向けて好発進となった。
初日、東前頭2枚目の平戸海が、大関貴景勝を押し出した。
立ち合いから一気の出足で大関を圧倒した。
「いい相撲だった。立ち合い負けしないよう、しっかり当たっていけた。感覚はよかった」と会心の白星を振り返った。
初日、西前頭2枚目の豪ノ山が、かど番の大関霧島を押し出して白星発進した。
立ち合いから一気の攻め。
らしい相撲での快勝に「前に出られたのでよかったです。自分の相撲をとれるよう、前に出ようと思った」と振り返った。
初日、高安は若元春の形になりかかった中、胸を合わせて圧力をかけ、「攻めに転じることができた」。
内無双で崩してから力強く押し出した。
3月の春場所で11勝を挙げて東前頭3枚目まで番付を戻した。
今場所からは青系統の色の締込みを着け、34歳は「気持ちを新たに」と意気込む。
まずは関脇を倒し、「初日としてはいい。次につながる」と納得顔だった。
初日(12日・両国国技館)1横綱4大関が全て敗れる波乱のスタート。
出場した5人以上の横綱、大関陣の総崩れは、1横綱5大関だった2006年秋場所6日目以来。
初日では昭和以降初の事態となった。
2024/05/12
横綱・照ノ富士は11日、優勝額贈呈式に出席し、10度目の優勝を目標に掲げた。
今場所は左脇腹痛で十分な稽古ができていない中での「ぶっつけ本番」。
ただ、3場所連続で休場していた1月の初場所では強行出場し、9度目の賜杯を手にした経験もある。
初日は新小結・大の里を下し、徐々に調子を取り戻し初場所の再現を狙う。
大関2場所目の琴ノ若改め琴櫻は、元横綱の祖父のしこ名で臨む初めての場所。
初日と重なった母の日に、先代琴櫻の長女でおかみの母・真千子さんへ記念の白星を届ける。
偉大な祖父のしこ名を襲名した琴櫻が、新たな歴史をつくる。
今日初日の“改名初戦”の相手は西前頭筆頭の大栄翔。
春巡業や場所前の稽古で何度も手合わせしてきた埼玉栄高の先輩相手だが「しっかり自分の相撲を取ることだけ集中すればいい」と無心を強調した。
日本相撲協会は11日、夏場所15日間の懸賞申し込み総本数を2254本と明らかにした。
新規で12社の申し込みがあり、昨年夏場所前の1850本を上回った。
力士指定本数の上位は貴景勝、琴櫻の両大関、平幕御嶽海の順だった。
2024/05/11
2日の横綱審議委員会による稽古総見で相撲を取らなかった横綱照ノ富士が、大相撲夏場所への出場を決めた。
総見で稽古を回避した理由は左脇腹痛。本人は9日の報道陣の代表取材に「せきをしたら痛めた。ちょっとした痛みは残っている。せきをするのが怖いよ」と明かした。
相撲への影響はゼロではないだろうが、同日の伊勢ケ浜部屋での稽古では十両伯桜鵬の当たりをがっちり受け止めるなどして表情は明るかった。
10日、大相撲夏場所の取組編成会議を開き、2日目までの取組を決めた。
新三役の小結・大の里は、初日に結びで横綱・照ノ富士と対戦。
いきなり注目の一番が組まれた。
殊勲星で波に乗り、先場所で110年ぶり新入幕Vを決めた尊富士に続き“ちょんまげ旋風”の再現を狙う。
宮城期待の星が、幕内土俵の晴れ舞台に挑む。
時疾風は今場所前、出稽古に来た霧島、豊昇龍の両大関らの胸を借りた。
所属する時津風部屋には、普段から幕内上位の力士が多く集結し、実力者と肌を合わせてきた。
それだけに「毎回来てくれるメンバーなので、幕内で取るからといって変わったことはない」と“予行練習”はバッチリだ。
稽古では豊昇龍を寄り切るなどの見せ場もあり、「自分の形になって勝てたので、自信になる」と手応えをつかんでいる。
2024/05/10
横綱・照ノ富士が夏場所に出場することが10日、決まった。
この日、日本相撲協会は両国国技館で取組編成会議を開き、照ノ富士が初日の取組に入った。
照ノ富士は3月の春場所を腰の負傷で7日目から途中休場。
今月2日の横綱審議委員会による稽古総見では、左脇腹を痛めて相撲を取る稽古を急きょ、回避した。
都内の部屋での稽古が公開となった9日には「軽い肉離れじゃないかな、とは思いますけどね。せきをしたら痛めてしまった。ずっと筋肉が固まっていた部分を、せきをしたら急激に痛めたというか。ちょっとした痛みは残っている。せきをするのが怖い」と自身の状態を明かしていた。
夏場所に向け、大関・豊昇龍が東京・台東区にある立浪部屋で稽古を行った。
相撲は取らず、幕下以下の力士に胸を出し、指導した。
「稽古は今日まで。今は本当に動けているし、巡業からいい稽古が出来ている」と胸を張った。
春場所で110年ぶりの新入幕優勝を果たした幕内・尊富士が、夏場所を休場することが9日、決まった。
師匠の伊勢ケ浜親方が明言した。
尊富士はこの日、患部の右足首にサポーターを施し、土俵周りで四股やゴムチューブを使ったトレーニングなどの基礎運動にとどめた。
報道陣の取材には応じなかった。
代わって師匠が「四股も満足に踏めず、稽古していない」と状態を説明。
4日の取材対応時に尊富士自身は「自分でも出たい気持ちもある反面、しっかり治さないと、と不安な部分はありますし…。いろいろ難しいですよね」と複雑な胸中を吐露していた。
2024/05/09
右大胸筋損傷などで先場所を途中休場した大相撲の大関貴景勝が8日、夏場所に向け「できることはやってきた。後悔もないし、どれだけ自分の体がやってくれるか」と出場を明言した。
この日は東京都板橋区の常盤山部屋で幕内隆の勝と10番取って7勝3敗。
首にも古傷を抱える中、頭で激しく当たって一方的に押し出す相撲もあった。
27歳の大関は「感覚は徐々に良くなってきた。調子がいいと思っても本場所で駄目な時はある。場所前の調子は考えない」と冷静に語った。
大関・霧島が8日、東京都墨田区の時津風部屋へ出稽古して計23番取った。
大栄翔と7番、錦木と8番、再び大栄翔と6番、最後に新入幕・時疾風と2番。
3人を相手に連続で23番、約30分間相撲を取り続けた。
前日は時津風一門の連合稽古で25番取っており、連日の20番超え。
今月3日の出稽古では首の痛みによって8番で切り上げていたが、この日は立ち合い頭で当たれるようになっており復調ぶりがうかがえた。
大関経験者の小結朝乃山が、約3年ぶりに三役復帰の夏場所を休場することが決定的となった。
8日、都内の部屋での稽古は、土俵周りでの四股など基礎運動中心に終始。
4月25日の春巡業で右膝内側側副靱帯(じんたい)を損傷、全治3週間と診断されて以降、稽古参加は前日7日に続いて2度目だったが、まだ土俵には立てていない。
「気持ちは出たいけど体が『出るな』と言っている。
今は7月場所に出るつもりでやっている」と唇をかんだ。
膝の負傷は初めてだけに慎重な姿勢を崩さない。
約1週間前まではギプスで患部を固定しており、右足全体の筋力が落ちた。
特に右太もも裏は「すぐつる。衝撃だった」と、経験したことのない状態に戸惑った。
両足の筋力の差も激しく、元の感覚を取り戻すまでには時間を要する見通し。
相撲を取る稽古も、再開時期のめどが立っていない。
新小結に昇進した大の里が8日、茨城県阿見町の同部屋で十両・白熊との3番稽古で7勝3敗だった。
三番稽古では相手の左差しを切りながら前に出ていく攻めや迫力満点の立ち合いから一気に前に運ぶなど、順調な仕上がりをアピール。
「いいイメージで取れて良かった」と納得の表情だった。
西前頭筆頭・大栄翔が8日、東京都墨田区の時津風部屋へ出稽古して計29番取った。
ず平幕力士の申し合いに参加し、計4人を相手に16番。
いきなり8連勝するなど力を示し、その後は大関・霧島と7番、一度退いてから再び6番取った。
「来たからにはやらないと。番数多めだったので最後疲れてしまったけど、集中して良い稽古できたかな」。
先場所前よりも状態は良く、充実感をにじませた。
西前頭11枚目・北勝富士が8日、東京都墨田区の時津風部屋へ出稽古した。
強烈な喉輪や、立ち合いから四つに組みにいく相撲など幅広い取り口を見せた。
「思った以上に体を動かせている」と夏場所への好感触を口にした。
首や膝に故障を抱えており十分な稽古ができない中だが「先場所よりは力が入るような気がします」と復調の気配を見せた。
尾車親方が日本相撲協会を近日中に退職することが8日、関係者の話で分かった。
一昨年4月の定年退職後は再雇用の参与となったが、任期満了の70歳を待たずに退く。
尾車親方は佐渡ケ嶽部屋に所属した現役時代、がぶり寄りを生かして優勝2度。
引退後は尾車部屋の師匠として豪風、嘉風の両関脇らを育て、協会では事業部長など理事を5期10年務めた。
2024/05/08
大関・豊昇龍が4日、東京・墨田区の時津風部屋に出稽古をし、21番をとった。
この日は出稽古に7人の関取衆が訪れ、時津風部屋の2人を含む計9人の関取による申し合い稽古が行われた。
豊昇龍は御嶽海と3番、錦木と5番、時疾風の3番まで、力強い立ち合いで相手を圧倒して11連勝。その後は明生、欧勝馬とも取って前日の17番を上回る計21番で17勝を挙げた。
稽古を振り返って「いい感じになってきいているから、ちょっとずつ番数を増やしていきたい」と手応えを口にした。
大関霧島が、ボクシング井上尚弥のTKO勝利を刺激に、時津風一門の連合稽古で圧倒的な存在感を見せつけた。
7日、東京・両国国技館の相撲教習所で行われた、所属する一門の連合稽古に参加。
関取衆最多の25番取って23勝2敗と絶好調だった。
前日6日は東京ドームで井上の試合を観戦。
「素晴らしい試合。すごい力になったし『オレも頑張らないと』と思った。だから今日は調子が良かったのかな。イメージ通りに稽古できた」と笑顔で話した。
右膝を痛めている大相撲の小結朝乃山は7日、東京・墨田区の高砂部屋で四股を再開し、夏場所の出場には「今の状態ではまだ出られない。無理して出たら、力士人生が縮んでしまうかもしれない」と慎重な姿勢を示した。
今場所は約3年ぶりに三役復帰を果たし、大関返り咲きへの一歩を期待されている。
30歳の元大関は4月25日の春巡業で負傷し、右膝内側側副靱帯損傷で全治3週間と診断された。
この日は右膝下にテーピングを施していた。
最近はけがが増え「他の部分はかばいながら相撲を取れたが、膝をかばってやることはできない」と苦渋の表情で語った。
10日午前の取組編成会議までに結論を出す必要があり、師匠の高砂親方は「まだ日にちがある。(休場の)話をするのはまだ早い」と述べた。
新小結の大の里が7日、千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋に出稽古し、大関琴桜を圧倒した。
鋭い出足から圧力をかけて押し込むなど6勝2敗。
「本当にいい稽古だった。状態としてはだいぶ良い」と充実感を漂わせた。
琴桜には過去2戦全敗だったことから、師匠の二所ノ関親方に出稽古を直訴。
「不安な状態で場所を迎えたくなかった」。
所属する二所ノ関一門の連合稽古以外で他の部屋へ出向くのはこの日が初めてで、「無駄にしたくなかった。いい感覚をつかめた」と振り返った。
西前頭筆頭大栄翔が7日、東京・両国国技館の相撲教習所で行われた、所属する時津風一門の連合稽古に参加した。
関取衆の申し合いで14番、霧島と8番。
計22番は大関霧島の25番に次いで関取衆で2番目に多く、10勝12敗だった。
霧島に土をつけたのは大栄翔だけで「いい稽古ができた。自分の相撲を取れたのも、何番かはあった」と、手応えを口にした。
夏巡業大相撲岐阜場所(岐阜新聞社など主催)が8月6日、岐阜市長良福光の岐阜メモリアルセンターで開催される。
会場には横断幕が設置され、開催ムードを盛り上げている。
5年ぶりの開催で、横綱の照ノ富士、大関の貴景勝、琴櫻らが参加する予定。
公開稽古や取組などを披露する。
日本相撲協会の枝川親方(元幕内・蒼樹山)が7日、藤枝市役所を表敬訪問。
大相撲夏巡業・藤枝場所の開催を北村正平市長にアピールした。
藤枝場所は8月7日に静岡県武道館(藤枝市前島)で午前9時から行われる。
市内で巡業が開催されるのは2008年以来16年ぶり2回目。
静岡県出身の翠富士や熱海富士も参加予定で、親方は「本場所と違い、お相撲さんもリラックスして気軽にサインや握手に応じます。公開朝稽古もあり、近くで迫力を感じられます。たくさんの市民の皆さんに楽しんでほしい」と話した。
2024/05/07
2日の稽古総見で、直前に土俵に上がることを回避した横綱照ノ富士が4日、東京・江東区の部屋で行われた稽古に参加。
またも土俵には入らなかった。
土俵周りでの四股やゴムチューブを使ったトレーニングに終始。
稽古総見当日に痛めたとみられる、左脇腹を時折触って気にする場面もあった。
稽古後は無言で引き揚げた。
師匠の伊勢ケ浜親方によると、今後は状況を見ながら稽古再開を模索する。
横審も大絶賛だ。
2日、横綱審議委員会による稽古総見が国技館で行われた。
大関豊昇龍は相撲を12番取って7勝5敗。
横綱照ノ富士が稽古を回避した中、大関陣最多の番数をこなしてアピールした。
横審の山内昌之委員長は「(大関2場所目の)琴桜は、はつらつとしていた。しかし、豊昇龍はそれに立ちはだかって先に横綱になるのは許さないという気迫、先輩(大関)としての責任感を感じた。豊昇龍の頑張りに期待したい」と絶賛。
横綱候補として期待を寄せた。
大関・琴ノ若改め琴桜が5日、千葉・松戸市の部屋で出稽古に訪れた大栄翔と王鵬、弟弟子の琴勝峰の幕内3人を相手に計13番をとって12勝だった。
力強い大栄翔の突き押しや王鵬の立ち合いをしっかり受け止めた。
大栄翔と4番、王鵬と6番とって全勝。
琴勝峰に一度寄り切られただけで、大関が12勝1敗と力の差を示した。
それでも取組後に首をかしげる場面もあり、「相手に攻められていたので」と現状の内容に満足していない。
「場所前終盤で仕上げられるように」と本場所を見据えた。
気になるケガの状態は?
2日、国技館で横綱審議委員会(横審)による稽古総見が一般公開で行われた。
大関貴景勝は琴桜ら大関同士の申し合いで6番取り、1勝5敗と精彩を欠いた。
春場所は8度目のカド番を脱出する一方で、首の古傷の影響もあり14日目から途中休場。
春巡業も全て欠場した。
貴景勝は「(番付)上位と相撲を取るのは(3月の)春場所以来。久しぶりだったので、感覚を確かめながら。少しずつ、少しずつ判断しながら」と話し、あくまでマイペースで調整していることを強調した。
カド番の大関・霧島が6日、東京・墨田区の時津風部屋に出稽古をし、17番。
肩周りや左腕にテーピングをしながら、勢いのある立ち合いをみせた。
最初の手合わせでは元大関・御嶽海に左を差して寄り切った。
首付近への不安を口にしていたが、この日は頭からのぶつかりも見せて16勝。
「久しぶり。首の状態をみて頭からぶつかった」と明かした。
夏場所に向けて好材料だ。
師匠の音羽山親方も稽古場を訪れ「頭から当たれていれば、首に原因がないことが分かった。
右膝を痛めている小結朝乃山の出場が6日、厳しい状況になった。
師匠の高砂親方は「まだ分からないが、無理をして出る必要はない」と出場に慎重な見解を示した。
6日は東京都墨田区の高砂部屋での稽古を休み、初日まで1週間を切った段階で四股も再開できていない。
元大関で30歳の朝乃山は4月25日の春巡業で負傷し、右膝内側側副靱帯(じんたい)損傷で全治3週間と診断された。
今月2日の横綱審議委員会による稽古総見は欠席。
今場所は約3年ぶりに三役復帰を果たしたが、調整は大幅に遅れている。
高砂親方によると痛みは和らぎ、通常の歩行は可能になったと説明。
「しっかり治してから出したい。本人と話し合って決める」と述べた。
新小結の大の里が5日、茨城・阿見町の二所ノ関部屋で稽古し、十両白熊らと11番取って8勝3敗だった。
入幕3場所目は序盤から横綱、大関陣との対戦が確実。
23歳のホープは「初日に全開でいけるように頑張るだけ」と気合を入れた。
2日の横綱審議委員会による稽古総見では、大関陣と互角の内容だった。
それでも「今のままでは駄目。何かを変えないと横綱、大関には勝てない」と危機感を口にする。
申し合いに加わる前に、立ち合いからの流れを何度も確認し、理想の形を模索している。
新入幕から2場所連続で11勝を挙げたが、豊昇龍と琴桜には2場所とも敗れており、両大関の攻略が鍵になる。
「春巡業中は大関陣と稽古できなかった。総見の経験を無駄にしないように」と三度目の正直を期した。
西前頭筆頭の大栄翔が4日、夏場所に向けて、千葉・松戸市の佐渡ケ嶽部屋に出稽古した。
大関琴桜とは8番取って3勝5敗。
うち連続で取った7番は、最後に連敗するまでは常に大栄翔が白星を先行させる流れで、先場所まで7場所連続で三役を務めた実力を発揮した。
回転の速い突っ張りの威力は変わらず「自分の相撲を何番かは取ることができた。ここから場所に向けてギアを上げていきたい」と、一定の手応えを感じた様子だった。
西前頭5枚目・明生が3日、東京都墨田区の時津風部屋へ出稽古して計11番取った。
まず平幕力士6人による申し合い稽古に参加し、新入幕の欧勝馬や正代らを相手に8番。
その後、同部屋の大関・豊昇龍と3番取って充実の汗を流した。
明生は春巡業の全日程を休場。
提出された診断書には「尋常性疣贅(ゆうぜい)」と記されていた。
疣贅とは、いわゆる「いぼ」のこと。
「1年以上前から気にはなっていた」と左足のかかとに違和感を感じており、春場所後の3月26日に手術。
「切開して深くえぐった」という。
大相撲春場所で110年ぶりの新入幕優勝を飾った尊富士が、右足首を負傷した影響で夏場所の出場を迷っている。
春場所14日目に右足首を痛め、春巡業は全休。
4日の朝稽古では、患部にテーピングを巻き、ぶつかり稽古には参加したが、相撲は取らなかった。
東前頭17枚目から同6枚目まで一気に番付を上げた夏場所の出場については「出たい気持ちがある反面、しっかり治さないとという不安もあって難しい」と揺れる思いを明かした。
琴勝峰が5日、千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋で計15番取った。
まずは平幕3人による申し合いで、出稽古に訪れた大栄翔と王鵬を相手に12番。
その後、兄弟子の大関・琴ノ若改め琴櫻と連続で3番取った。
「圧力ある人たちなので良い稽古になります」と充実感。
再入幕から2場所連続で勝ち越しており「毎場所勝ち越しを続けていけるように頑張りたい」と夏場所への意気込みを述べた。
初土俵から約2年半で新入幕の欧勝馬は30日、東京都墨田区の鳴戸部屋で記者会見。
元学生横綱は十両で2年近く足踏みし「ファンや後援会の方から『もう十両は見飽きた』と言われ、頑張ってきた。
やっと上がれてうれしい」と語った。
モンゴルから同じ飛行機で来日した豊昇龍は大関になり、日体大の後輩の大の里は新三役に昇進。
「頑張って稽古すれば自分も三役まではいける。早く対戦したい」と気合十分だ。
師匠の鳴戸親方は部屋創設から初の幕内力士に「真面目にこつこつやってきた。もっと上を目指して前に出る相撲を磨けばいい」と期待した。
日本相撲協会の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士、青森県つがる市出身)らが30日、つがる市役所を訪れ、今年8月21日に同市の伊藤鉱業アリーナつがる(市総合体育館)で、夏巡業の「大相撲つがる場所」を開催すると報告した。
10月行われる秋巡業大相撲相模原場所(大相撲相模原場所実行委員会主催)を前に、日本相撲協会巡業部の枝川親方(時津風部屋、元前頭筆頭の蒼樹山)が4月30日、同市役所を訪れ、本村賢太郎市長を表敬訪問した。
同市で巡業が行われるのは2019年10月以来、5年ぶりになる。
枝川親方は約200人の力士らが巡業の前日から相模原市内に宿泊すると明かし、「お相撲さんが相模原の夜の街を歩いているかもしれません」と、市民が土俵を離れた力士の姿を見る機会にもなると話した。
日本相撲協会の秋巡業「大相撲倉敷場所」の10月27日開催が決まり、鳴戸親方(元大関琴欧洲)が1日、倉敷市役所を訪れ、伊東香織市長に報告した。
市内での巡業は2019年秋以来5年ぶり5回目。
岡山県内では昨秋の岡山、真庭市以来。
日本相撲協会は1日、4月16日に開いた「能登半島地震復興支援・勧進大相撲」での入場料金全額やグッズの売上金など2733万8699円を能登半島地震で被害を受けた石川県に寄付すると発表した。
石川県出身の大鳴戸親方(元大関・出島)、竹縄親方(元関脇・栃乃洋)が7日に石川県庁を表敬訪問し、馳浩県知事に渡す予定。
内訳は入場料金全額が2523万5955円、売店売上の一部が124万7026円、館内募金全額が85万5718円だった。
2024/03/25
千秋楽、霧島は50秒の熱戦の末に琴ノ若を上手投げで下し、5勝10敗で今場所を終えた。
師匠・陸奥親方(元大関・霧島)が4月に定年を迎えて部屋を閉鎖するため陸奥部屋所属として臨む最後の一番。
気力で大関対決を制した。
2桁黒星は三役昇進以降ワースト。
首を痛めていたことを明かし「いろいろな思いがあった。親方の最後を飾るために(ケガも)良い経験として」と最後まで土俵に上がり続けた。
今後は師匠の陸奥親方とともに音羽山部屋へ転籍する。
千秋楽、豊昇龍が大の里を下手投げで破って11勝目を挙げた。
立ち合いで左前みつを狙ったが果たせず。
それでも、得意の右で下手を引くと即座の投げで土俵下まで転がした。
「優勝は逃したけど今場所は楽しかった。尊富士の全勝を止めた。そこは満足しておこうかな」。
優勝を争った新星2人の壁になり、自らに及第点を与えた。
千秋楽、琴ノ若は現在のしこ名で取る最後の一番を白星で飾れなかった。
霧島との大関対決で上手投げを残せず、行司軍配差し違えで黒星。
新大関場所は終盤まで優勝争いに加わったものの10勝で終わった。
来場所から祖父で先代師匠が名乗っていた琴桜を襲名する意向。
「また来場所しっかりやります」と絞り出すように話した。
千秋楽、西前頭筆頭の朝乃山が関脇・若元春に敗れて9勝6敗で今場所を取り終えた。
けんか四つの相手に差し負けて左四つになると、上手が取れず左下手も切られ、若元春の巧みな攻めに完敗。
「最後に負けているから何も意味ない。どうしても2桁勝ちたかった」と悔やんだ。
千秋楽、大の里は敢闘賞、技能賞のダブル受賞に輝き、来場所の新三役昇進も確実にした。
千秋楽は大関・豊昇龍の右下手投げに屈するも、先場所に続く11勝は立派だった。
過去に例のない13日目終了時2差からの奇跡の逆転優勝はならなかったが、尊富士とともに堂々と「荒れる春場所」の主役を担った。
二所ノ関部屋がある茨城県阿見町では、地元住民らが同部屋の大の里の初優勝を願い、応援に声をからした。
千秋楽まで優勝争いを演じ、あと一歩で初優勝を逃したが、「よく頑張った。地元の誇りだ」「次は絶対優勝していつか横綱になってほしい」と、ざんばら髪で大相撲界を沸かせた「地元の星」をたたえた。
千秋楽、東前頭16枚目の遠藤が、3場所連続で5勝10敗と大きく負け越し、来場所の十両陥落が濃厚となった。
御嶽海に押し出され、4連勝締めとはならなかった。
16年夏場所から、約8年間守ってきた幕内からの陥落が現実味を帯びる状況は、自身も理解しているが12〜14日目には3連勝するなど意地も見せた。
これに「来場所につながるか?」と問われると「そうですね」と即答。
幕内の座を守ることができなかったことを節目とした、現役引退の可能性はまるで見せなかった。
千秋楽、新入幕の東前頭17枚目・尊富士が豪ノ山を押し出し、13勝2敗で初優勝を遂げた。
前日14日目の取組で右足を負傷。
救急車で大阪市内の病院へ搬送される事態で出場も危ぶまれた千秋楽。
師匠の伊勢ケ浜親方に直訴しての強行出場で白星を飾った。
史上最速の所要10場所で、110年ぶりの新入幕V。
さらにまだ大銀杏を結えないちょんまげ力士の優勝も初。
尊富士は三賞も殊勲、敢闘、技能すべて獲得した。
師匠の伊勢ケ浜親方は「よく頑張ったね」とたたえた。
NHKのテレビ解説では感極まった様子も見せ、「そりゃね。心打つものがね」。
ケガを押して大記録を達成した弟子の長所を「気の強さ」とし、「まだ幕内の一番下ですし、目指すものはいっぱいある。
自分の相撲をしっかり貫いて上を目指してやってほしい」と期待した。
また、場所後に行われる春巡業について、7日目から休場した横綱照ノ富士は出場するが、尊富士は休場する見込みだと明かした。
千秋楽、西十両2枚目の水戸龍(29=錦戸部屋)が碧山(37=春日野部屋)を下して12勝目を挙げ、21年名古屋場所以来自身2度目の十両優勝を決めた。
立ち合い右を差しにいくも、前傾姿勢の碧山に左からおっつけられて差せず。
それでも前に出て圧力をかけ続けて力強く押し出した。
今場所は積極的に前に出る相撲が目立っており「最後も前に出て勝ててよかった」と好内容を振り返った。
敗れれば4敗の欧勝馬(26=鳴戸部屋)との優勝決定戦にもつれ込む一番。
前日に「2番取るのは嫌」と自力で決めることを宣言しており「負けることを考えずにやった」と見事に有言実行を果たした。
千秋楽、日本相撲協会は25日に東京・両国国技館で評議員会を開催し10人の理事を承認し、選出された理事による新理事会で互選で新理事長を決める。
現職の八角理事長(元横綱・北勝海)の再選が確実で、15年に急死した北の湖前理事長(元横綱)の後を受け実質5期目に突入する。
1月の役員候補選挙では無投票で理事候補10人が決定。
二所ノ関一門の高田川親方(元関脇・安芸乃島)、時津風一門から勝ノ浦親方(元幕内・起利錦)、伊勢ケ浜一門から浅香山親方(元大関・魁皇)が新たに名を連ねた。
2024/03/24
14日目、大関豊昇龍は痛恨の黒星で、2度目の優勝の可能性が消滅した。
立ち合いで右に動いて琴ノ若の上手を取りに行った。
だが見透かしていたように、鋭くは踏み込まなかった相手に左を差されて体を預けられ、寄り倒された。
得意の右からの投げを繰り出すことができなかった。
大関同士としては初対戦だった相手の大きな体に押しつぶされた格好となった。
14日目、大関貴景勝が春場所14日目の23日、休場した。
13日目の大関琴ノ若との一番に送り出しで勝利。
勝ち越してかど番脱出に成功も、その取組の際に右大胸筋付近を痛めたとみられる。
ここまで8勝5敗だった。
貴景勝の休場は今年初場所に続いて12度目。
14日目の対戦相手、大関霧島は不戦勝。
14日目、新大関の琴ノ若が豊昇龍の逆転Vの可能性を消した。
投げにきたところで、うまく体を寄せての寄り倒し。
「(豊昇龍の投げは)頭にはありました。体がよく動いたと思います」。
大関の勝ち越しとされる10勝をクリアした。
それでも「別に。優勝争いに入れていないんで、そこは」と笑顔はない。
千秋楽は今のしこ名で最後の相撲となる予定だが、「それは師匠と話して決めるんで」とだけ話した。
14日目、西前頭筆頭の朝乃山が、大関経験者として、幕内優勝経験者として意地を見せ、番付の重みを示した。
勝てば文句なしで、110年ぶりの新入幕優勝と、所要10場所という最速優勝記録更新だった尊富士を破った。
相手の出足を組み止め、右をねじ込むとグイグイと前に出て寄り切った。
取組後、胸の内を明かした。
「(尊富士が)単独で先頭を走っていて、自分に勝ったら110年ぶりという歴史があった。どうしてもそれだけは避けたいと思っていた」。
偉業達成を許した相手として、後世に名を残してしまう屈辱を味わわされたくなかった。
その一心で、前へ、前へと出続けて白星をつかんだ。
前夜も「相手が今場所、どうやって取ってきたかを見た」と、今場所の尊富士の取組映像を見て研究。
「土俵に上がったら、目の前の相手との一番に集中した。
力を出し切った。
「自分の相撲を信じて」と胸を張った。
14日目、直前の一番で、勝てば優勝だった尊富士が敗れただけでなく、負傷して車いすで花道を引き揚げた。
館内がざわつく中で、ざんばら髪の大の里が落ち着いて白星を積み上げた。
長い手を生かした阿炎のもろ手突きに下がらず、相手が前に出てきたところをはたき込み、「相手の動きを見て、体が反応できた」。
土俵下の浅香山審判長は「引いたけど、立ち合いでしっかり当たっているから」と評価した。
14日目、西前頭10枚目・御嶽海は東前頭13枚目の竜電を突き落としで破り、昨年の九州場所以来2場所ぶりの勝ち越しを決めた。
竜雷の当たりをいなして突き落とし、8勝6敗とした。
千秋楽の24日は、東前頭16枚目の遠藤と対戦する。
直近6場所では2回顔を合わせ、御嶽海が2勝している。
14日目、勝てば110年ぶりの新入幕優勝だった尊富士が元大関の平幕朝乃山に寄り切られ、2敗目を喫した。
尊富士は右足を負傷した。
大の里は小結阿炎をはたき込んで3敗を守った。
豊昇龍は琴ノ若に寄り倒され、4敗目。
賜杯は尊富士と大の里に絞られた。
千秋楽に尊富士が豪ノ山に勝つか、負けても大の里が豊昇龍に敗れれば初優勝が決まる。
3敗で並べば平幕同士による優勝決定戦となる。
2024/03/23
13日目、豊昇龍が豪ノ山との3敗対決をすくい投げで制して優勝の可能性をつないだ。
押し込まれたが、右から豪快にすくって土俵へはわせた。
12日目に今場所初めて土をつけた尊富士が若元春に完勝した。
「スゲーな、アイツ。オレ、倒したからいいや。自慢できる」。
千秋楽の優勝決定戦での再戦を思い描き「誰か2人(尊富士を)倒してくれないかな」とまずは朝乃山に願いを託した。
13日目、3連敗中だった貴景勝は、琴ノ若との大関対決で左上手を許す苦しい展開で粘り、すくい投げから背後を取って送り出して勝ち越した。
かど番を脱出したが、勝ち残りの土俵下で表情をゆがめ、支度部屋では付け人に右胸付近の痛みを訴える場面があった。
取材には応じずに引き揚げた。
13日目、新大関琴ノ若が貴景勝との大関対決に敗れ4敗目。
「結果がすべてなんで」と下を向いた。
来場所からは祖父のしこ名「琴桜」を襲名するため、琴ノ若のしこ名での優勝は今場所がラストチャンスだった。
1敗の尊富士を逆転する可能性がなくなり「ちょっとすいません」と唇をかんだ。
13日目、大関経験者で西前頭筆頭の朝乃山が、4連勝で勝ち越しを決めた。
幕内では取組前まで7勝4敗、直近は2連勝中だった小結阿炎を破った。
相手のもろ手突きの立ち合いから、回転の速い突っ張りを受けながらも、左上手を引いて出し投げを打った。
阿炎にはすぐに向き直されたが追撃し、土俵際まで押し込んだが、反撃に遭った。押し返されたが、朝乃山は上体の柔らかさで、のけぞりながら圧力を逃がし、相手がバランスを崩したところを突き落とした。
8勝5敗とし、来場所で3年ぶりに三役に返り咲く権利を得た格好となった。
13日目、東前頭2枚目の熱海富士が平戸海を下して8勝5敗とし、2場所ぶりの勝ち越しを決めた。
すぐに右四つに組み合うと体勢の低い相手に先に上手を引かれて攻め込まれたが、重い腰で残して右下手を引いて攻め返しながら左上手もガッチリ。
両まわしを引き付けて胸を合わせて力強く寄り切った。
東前頭2枚目で勝ち越しを決め、新三役昇進へ一歩前進した。
西筆頭の朝乃山が勝ち越していたり西5枚目の大の里が10勝を挙げていたりと三役争いは混戦模様。
静岡県出身では94年ぶりとなる三役昇進へ、残り2日間の戦いにも注目だ。
13日目、東前頭4枚目翔猿が東前頭筆頭の宇良をはたき込みで破った。
「我慢比べですね」と評する動きの大きなくせ者同士の対戦となったが、「体が動いてくれた」と勝利に満足感をみせた。
これで7勝目。勝ち越しに前進し「あと2番頑張ります」と気持ちを引き締めた。
13日目、平幕の大の里は大栄翔の押しに少し後退するも、焦ることなくタイミングよくはたき込んだ。
これで10勝目。
「この地位で2桁勝つことを目標にしていたので、うれしいです」と素直に喜びを表現。
192センチの深い懐を生かした取り口には、魅力が詰まっている。
新入幕だった先場所は11勝。
新入幕から2場所連続での2桁は2022年名古屋場所、秋場所ともに10勝を挙げた錦富士以来。
「先場所と違って番付を上げて2桁勝てたのは、自信になりますし大きなこと。(千秋楽まで)勝てばマックス12勝ですし」と白星を積み上げていくつもり。
13日目、「角界の鉄人」の異名で知られる西前頭7枚目の玉鷲が史上7位の幕内出場1300回を果たした。
史上1位は旭天鵬の1470回。
東前頭16枚目の遠藤に引き落としで敗れた。
13日目、東前頭16枚目遠藤が西前頭7枚目の玉鷲を破り、連勝で4勝目を挙げた。
立ち合いで右に変化し、玉鷲を引き落とした。とっさにひらめいたのかと聞かれ、「そんなことできたらいいんですけど、あれしかできなかった」と苦笑した。
「あと2日、精いっぱいしっかり準備しないといけない。気は抜けないですね」と気持ちを引き締めていた。
13日目、歴史的な優勝へ自ら王手をかけた。
尊富士が関脇・若元春に快勝。
1世紀以上、誰も成し遂げられなかった新入幕優勝が、14日目にも実現する可能性が高まった。
立ち合いが素晴らしい。
鋭く立つと左を差して押し込んだ。
さらに、自慢のスピードに加えた工夫が見られた。
止まらず右に振って相手にたたらを踏ませると、双差しに持ち込み寄り切った。
「よく覚えていないが体は動いていた」と会心の速攻相撲を振り返った。
2024/03/22
12日目、がぜん注目を集めている相手を前にして、豊昇龍の闘志がかき立てられないはずがない。
「楽しみにしていた」という尊富士との一番。
自身の強みを見せつけ、新入幕の快進撃をようやく止めた。
「しっかり集中できていた」。
負けん気の強い大関が、風格たっぷりに言った。
右から張って出たが、鋭い出足を受けて土俵際まで後退した。
ただ、ここからが豊昇龍の真骨頂。
狙ったまわしは引けなくても、柔軟で強い下半身を生かし、鮮やかな小手投げで余裕十分に逆転。
「うまく反応した。体も動いていた」と自賛した。
12日目、休場明けのカド番大関・貴景勝は関脇・若元春に元気なく寄り切りで敗れ、5敗目。
勝ち越しに王手をかけてから、足踏みが続いている。
12日目、大関琴ノ若が大の里を小手投げで下し、3敗を守った。
11日目は初日から10連勝していた新入幕の尊富士の壁となれなかったが、「引きずったり考えたりしない」と自分の中で消化。
この日は「集中していけた。自分が余計なことをしたら持っていかれる。そこだけ集中して」と大関としての自信を胸に、ざんばらの大の里を引きずり下ろした。
関脇・若元春は、ここまで6勝5敗。
12日目、大関・貴景勝との対戦。
踏み込んで右のまわしとった若元春が、そのまま一気に貴景勝を寄り切った。
これで7勝目、勝ち越しに王手をかけた。
12日目、返り小結の阿炎が勝ち越しを決めた。
高安に押し込まれたが、うまく回り込んでしのぐ。
頭を上げずに耐えた後、腰の重い相手を押し切り、「よく攻めることができた」と満足げだった。
入門時の師匠だった元関脇寺尾が死去したことを受け、今場所前に錣山部屋付きだった立田川親方が部屋を継承。
環境が変わった中で好結果を出したが、「まだ終わっていない。集中してやっていく」と気合を入れ直した。
12日目、大関経験者で西前頭筆頭の朝乃山が、今場所初の3連勝で7勝5敗とし、勝ち越しに王手をかけた。
今場所で金星を挙げている西前頭3枚目の隆の勝に、立ち合いから相手の右のど輪で上体をのけぞらせたが、すぐに反撃して右を差して寄り立てた。
相手に寄り返されたが、前に出続けると、ようやく左上手を引いて寄り切った。
3年ぶりの対戦だったが、過去5勝1敗という合口の良さを継続させた格好となった。
12日目、幕内2場所目の西前頭5枚目大の里が、痛い3敗目を喫し、ざんばら髪として初優勝の快挙が遠のいた。
2日連続の大関戦&結びの一番となった琴ノ若戦に小手投げで敗れて9勝3敗。
新入幕で11勝した先場所に続く、幕内2場所連続2桁白星はお預けとなった。
すでに単独トップの尊富士とは対戦を終えて敗れており、自力での逆転優勝の可能性は消滅。
12日目、豪ノ山が大栄翔が前掛かりに押してきたところをはたき込みで破った。
「勝てて良かった。立ち合いしっかり当たることを意識した」。
9勝目を挙げたことで優勝争いにも絡んできた。
「全然分からない」としながらも「残りも全部勝てれば」。
まずは13日目、大関豊昇龍との3敗対決が組まれた。
大阪・寝屋川出身。
地元の声援を力に大仕事に挑む。
12日目、東前頭16枚目遠藤が西前頭9枚目琴勝峰をたたき込みで破り、3勝目を挙げた。
5日目から7連敗を喫して負け越し。
16年夏場所以来、約8年間守ってきた幕内残留の可能性が遠のいた中での取組となったが、この日は相手の力をうまくさばき「(体が)動いたね」と振り返った。
結果が出ていなかっただけに「だいぶズルズルしたけどね」と自虐しつつ、「勝つに越したことない。あんまり余計なことを考えず、次の日もってなるしね。前向きになるよね」と話した。
12日目、初日から11連勝で単独トップの東前頭17枚目の尊富士が、初黒星を喫した。
大関豊昇龍に小手投げで敗れた。
新入幕の初日からの11連勝は、1960年初場所の大鵬に並ぶ最長だが、記録更新はならなかった。
それでも唯一、2敗だった大の里が敗れ、2差は変わらず半歩前進。
早ければ14日目にも初優勝が決まる。
新入幕優勝を果たせば、1914年(大3)5月場所を、所要11場所の史上最速で制した両国以来、110年ぶりの快挙と同時に所要9場所の最速優勝となる。
支度部屋に戻った尊富士は、飾らずに「あー、クソッ!」と、悔しさをあらわにした。
相手は大関で自身は新入幕。
番付の違いなど戦う前から分かっている。
ただ、同学年で最も出世している豊昇龍に、ただただ勝ちたかった。
だからこそ心の声が漏れた。
「見ての通りです。(緊張は)なかった。しょうがない。勝ち負け、勝負なので」。
自らに言い聞かせるように話したが、何度も唇をかんだ。
2024/03/21
11日目、霧島の負け越しが決まった。
もろ差しを狙ったが、若元春に得意の左を差され、力なく後退して完敗。
今場所はいいところがなく、「これから直していくしかない」と自らに言い聞かせた。
精彩を欠いた要因に稽古不足を挙げた。
5月の夏場所は2度目の大関かど番で迎えることになり、「落ち込むことはないので、いい経験と思ってやりたい」と話した。
11日目、豊昇龍が辛抱強く大栄翔を退けた。
相手の攻めを左右にいなしてしのぎ、最後は突き落とし。
足腰の良さを生かし、「(相手が)見えて、落ち着いて相撲が取れた」と納得顔。
勝ち越しを決めたが、「うれしいことじゃない。しっかり最後までやっていく」と笑顔はない。
12日目は全勝でトップを走る新入幕、尊富士の挑戦を受ける。
快進撃を止め、大関の面目を保つ覚悟だ。
11日目、大関貴景勝は結びの一番で大の里に敗れ、かど番脱出は持ち越しとなった。
ざんばら髪の大の里の挑戦を受けた貴景勝。
立ち会いで相手の圧力に押し込まれると、懸命にのど輪、張り手を繰り出して相手の勢いを止めようとした。
だが引こうとしたところを一気に押し込まれ、最後は勢いよく土俵の下まで飛んでしまい、危うく観客と衝突するシーンもあった。
11日目、新大関琴ノ若は新入幕の尊富士に寄り切られて痛恨の3敗目。
優勝争いから一歩後退し、支度部屋で悔しさをかみしめた。
相手の鋭い出足を一度は食い止め、前に出たが、懐に飛び込まれて反撃されると、なすすべなく土俵を割った。
12日目もここまで2敗と勢いがある大の里の挑戦を受ける。
「切り替えていきます」と言葉を絞り出し、自らを奮い立たせた。
11日目、大関経験者で西前頭筆頭の朝乃山が、連勝で6勝5敗とし、今場所初めて白星を先行させた。
今場所で初金星を挙げている東前頭3枚目の王鵬を破った。
立ち合いで右を差せなかったが、左からのおっつけで相手を横向きにした。
そのまま前に出て最後は寄り切り。
王鵬には、十両だった昨年春場所の初顔合わせこそ敗れたが、その後は3連勝とした。
今場所は初日に大関貴景勝に敗れて以降、勝ったり負けたりが続き、星を五分に戻すことはあっても、白星先行には至らない展開続き。
ようやく白星先行となり、3年ぶりの三役返り咲きの可能性が出てくる勝ち越しに前進した。
取組後は「相手の右肘に、ちゃんとあてがいながら崩して攻められた」と、左からのおっつけの良さを勝因に挙げた。
11日目、正念場で大器であることを示した。
大の里が大関を初めて撃破。
貴景勝を土俵下のたまり席まで吹っ飛ばす力強い相撲で連敗を阻止し、トップと2差に踏みとどまった。
結びの一番。
立ち合いから圧力で一気に後退させた。
いなしにも焦らず付いていく。
たまらず引いた大関に乗じて、前傾姿勢になりながら前進。
最後は豪快に押し出した。
前日の尊富士戦は後手に回り、痛恨の2敗目を喫した。
「昨日の反省を生かして、腹を決めて前に出るだけだった。体が動いてくれた」。
修正力を見せ、終始圧倒した。
先場所に続く2桁勝利にも王手をかけた。
「今場所は関脇に勝って、大関にも勝てた。先場所より成長していると思う」と手応えも十分だ。
11日目、東前頭16枚目遠藤が東前頭9枚目北勝富士に突き落としで敗れ、9敗目となった。
立ち合いはしっかり当たったが、そのまま左膝から崩れ落ち「まあ、こんなもんだ」と力なく話した。
16年夏場所以来、約8年間守ってきた幕内残留の可能性も遠のく1敗。
集まった報道陣に「皆、それが気になるから聞きたいんでしょ?」と苦笑しながら、「それ相応の力。こんなもんだって。それも含めて想定内」とつぶやいた。
11日目、巨人、大鵬、卵焼き――。
昭和に絶大な人気を誇った大横綱の持つ最長記録に、ついに並んだ。
幕尻の尊富士が大関初挑戦で新大関の琴ノ若を破り、新入幕連勝を幕内優勝32回の元横綱・大鵬と同じ11にまで伸ばした。
持ち味のスピードを存分に生かした。
一度は押し込まれるも素早く体をずらす。
距離ができた瞬間に「とっさの反応」と相手より先に前に出て右を差すと一気に寄り切った。
「流れが良かった」と素直に喜んだ。
2024/03/20
10日目、大関霧島は平戸海の下手投げに屈し、7敗目を喫した。
右張り差しは不発に終わり、平戸海にもろ差しを許して腰が伸びる。
最後は強引な右上手投げに左下手投げを合わされた。
支度部屋ではうつろな表情を浮かべ、報道陣の問いかけに無言を貫いた。
10日目、大関・豊昇龍が関脇・若元春を上手投げ下し7勝目。
V争い生き残りへ3敗を死守した。
迎えた結びの一番だったが勝負は一瞬。
豊昇龍が立ち合いで右に素早く変化し対応できなかった若元春を破った。
10日目、新大関の琴ノ若は力強い攻めを披露。
王鵬を左からおっつけていなす。
体勢が崩れた相手を難なく寄り切り、「集中していけたかなと思う。体が動いてくれた」と落ち着いて振り返った。
10日目で給金を直した。
「まだ場所が終わったわけじゃない。気を引き締めてやっていきたい」。
11日目には全勝の新入幕、尊富士の挑戦を受ける。
優勝争いを占う一番を前に「自分のやるべきことをやるだけ。そんなに変わらない」と表情を変えずに言い切った。
10日目、東前頭筆頭の宇良が小結・錦木を破って5勝5敗と星を五分に戻した。
立ち合い左に動きながら潜って相手の右足をつかむと、足取りで崩して一気に前に出て押し出し。
速攻の得意技で地元・大阪のファンを大いに沸かせた。
10日目、東前頭4枚目翔猿が休場した。
途中休場は新型コロナウイルス関連の2022年名古屋場所を除けば初めて。
10日目の対戦相手、豪ノ山は不戦勝となった。
師匠の追手風親方(元幕内大翔山)によると、腸炎が原因。
下痢や発熱の症状はあるが、新型コロナウイルスとインフルエンザは陰性だった。
11日目の取組が発表され、西前頭2枚目明生との取組が組まれた。
10日目、平戸海が大関戦初勝利を挙げた。
不振の霧島相手に立ち合いで素早く2本差し。
一気に攻め込むと半身で粘る相手に体を密着させて、下手投げで破った。
「しっかり中に入ろうと思っていた。入ってもろ差しになれた」。
大関には巡業などの稽古で指名されることが多く、恩返しの勝利。
「こういう相撲で勝てて自信になります」と笑顔を爆発させた。
10日目、東十両5枚目の翠富士が琴勝峰を下して5勝5敗で星を五分に戻した。
立ち合い当たって右をのぞかせるとすぐに右へ体を開いて十八番の肩透かし。
2日連続の必殺技を決め「目標はあと5連勝。5連続で肩透かし決めます」と2桁勝利を視野に入れた。
10日目、大の里は持ち味の馬力を生かした相撲を取ることができなかった。
立ち合いの出足を尊富士に止められると、下がりながら右からの投げ。
そこを一気に攻め込まれ、2敗目を喫した。
勝てば1敗で尊富士とともにトップに並んでいただけに、大の里は「楽に勝とうとしてしまった」と悔やむと「最低の相撲を取ってしまった」と自身を責めた。
10日目、立ち合い左からの強烈なおっつけで攻めると、美ノ海に前まわしを引かれるも、かまわず出ていき勝利。
決まり手は“極め倒し”で、日本相撲協会の公式サイトによれば発生割合0.1パーセントの非常に珍しい特殊技である。
勝った玉鷲は4勝目。
19日には日本国籍を取得したことが官報に告示されたことも話題を呼んだ。
10日目、遠藤が東前頭16枚目で負け越しが決まった。
得意の右上手を引いても攻め切れず、金峰山の反撃を受けて土俵を割った。
10日目での8敗に「勝たないとね。負け越しは悔しいし、みんなそうだよ」とつぶやいた。
2016年春場所以来、約8年ぶりとなる十両転落もちらつく厳しい状況。
残り5日に向け、「精いっぱいやるだけ。勝てば気持ちいいだろうが、落ち込んでも仕方ない」と先を見据えた。
10日目、ちょんまげ姿の尊富士が、鋭い立ち合いから右を差してざんばら頭の大の里を足を止めずに押し出した。
まだ大銀杏(おおいちょう)が結えない同士の首位決戦。
新入幕の尊富士が1敗だった入幕2場所目の大の里を倒して無傷の10連勝を飾った。
単独トップの重圧とは無縁。
「声援がすごいと思ったけど、土俵では自分と大の里だけ」と集中できた。
勝敗の鍵を握っていた相手の右差しを完封してみせた。
110年ぶりの快挙へ。
優勝争いも2番手との差を「2」に開き、1914年(大3)5月場所の両国(元関脇)以来となる新入幕Vや、両国の所要11場所を上回る9場所のスピード優勝に大きく前進した。
11日目は2敗を守って勝ち越した新大関琴ノ若との初大関戦に挑む。
2024/03/19
9日目、霧島はようやく3勝目。
重さのある錦木にしっかり当たると、喉輪などで先に攻め続けて寄り切り、「何より勝てたこと(が一番)」。
黒星先行の厳しい状況でも、師匠の陸奥親方から受けた「次につながる相撲を取れ」との励ましを胸に土俵に立つ。
「勝っても負けても、自分の立ち合いを取り戻せるようにしたい」と課題を見つめた。
9日目、大関貴景勝は翔猿を下し、かど番脱出へあと1勝とした。
新大関の琴ノ若も関脇大栄翔を退けて2敗を守ったが、豊昇龍は翠富士に屈して3敗に後退。
霧島は錦木を寄り切って3勝目。
新入幕の尊富士は小結阿炎に快勝し、9連勝で単独トップを譲らず、関脇若元春を破った大の里が1敗で追う。
返り小結の錦木は負け越し。
新大関での勝ち越しに王手≠かけた。
9日目、新大関の琴ノ若が関脇大栄翔を下して7勝目(2敗)を挙げた。
取組後に琴ノ若は「しっかり攻めて、自分の相撲が取れた」と手応えを口にした。
大関候補の相手を力強く押し出す快勝には、審判長を務めた粂川親方も「落ち着いていた。一方的な相撲だった」と高評価を与えた。
9日目、小結の阿炎が、新入幕の尊富士に押し出されて3敗目を喫した。
もろ手で起こしにかかるが、低い立ち合いのまま圧力をかける相手の攻めを防げなかった。
なすすべなく敗れ、「圧力が強くて、押し負けたかんじ」と脱帽した。
9日目、翠富士が豊昇龍を十八番の肩透かしで下し、3敗へ引きずり下ろした。
昨年春場所以来の豊昇龍戦の連敗も5で止め「狙い通りでしたね。また勝ち続けられるように頑張りたい」。
21年初場所の初顔合わせからは4連勝しており、その再現への意欲を語った。
全勝で優勝争いの首位を走る弟弟子・尊富士への援護射撃にもなり、「程よいアシストになりました」と笑顔を見せた。
9日目、大の里が関脇若元春を寄り切り、三役から初白星を挙げた。
大の里はざんばら髪として史上初の優勝を目指す。
しこ名通りのスケールの大きさで勝ち切った。
大の里は立ち合いで若元春をはじき飛ばすと、圧力をかけて前進。
左を差される相手得意の形になり、1度は寄り返されたが構わず出続けた。
粘る相撲巧者に体を預け、圧力だけで初めて三役から白星を挙げた。
「土俵際で差され、慌てる形になったけど、役力士に勝って自信になった。先場所よりは成長したと思う。止まったらねじ伏せられるので、多少ガムシャラでも前に出た」と胸を張って話した。
10日目、無敗の新入幕尊富士と互いに勝てば初優勝に前進する直接対決に臨むことになった。
9日目、新入幕の尊富士は役力士との初対戦にも動じなかった。
小結阿炎のもろ手突きをあてがい、一気に攻めて押し出し。
馬力で上回り、「何をされても対応できるように準備はしていた。自分の相撲を集中して取り切れた」。
館内を沸かせた完勝を冷静に振り返った。
ただ一人全勝をキープ。
兄弟子の照ノ富士が休場した中、主役に躍り出ている。
憧れの存在は常に頭にあり、「横綱が場所にいなかったら、誰かが活躍しないといけない。いつまで頼っていても、僕らが成長しない」と力強かった。
日本相撲協会は18日、元幕内で西幕下36枚目の照強(29)=兵庫県南あわじ市出身、伊勢ケ浜部屋=が引退届を提出し、受理したと発表した。
阪神・淡路大震災が発生した1995年1月17日に被災地で生まれ、最高位は2020年秋場所の西前頭3枚目。
幕内在位は22場所だった。
2024/03/18
8日目、大関・霧島が苦しい6敗目だ。
くせ者の東前頭4枚目・翔猿との一番は、動かすとうるさい相手を突っ張り合いから右四つに組み止めた。
だが、右前まわしを許し、頭も着けられた。
それでも右かいなを返していたが、強引に肩越しから左上手を取りにいき、上体が浮いた。
そこをつけ込まれてあっけなく寄り切られた。
支度部屋では報道陣に言葉を発することなく会場を後にした。
8日目、カド番の大関・貴景勝が2敗をキープした。
5日目に照ノ富士から横綱初挑戦金星を挙げた東前頭3枚目・王鵬との一番。
強烈な突き合いにも屈せず前進。
何度も頭からぶつかり、気迫あふれる押し相撲で快勝した。
会心の内容での6勝目にも「いつも通りです。(後半戦も)いつも通りやるだけです」と平常心を強調した。
八角理事長は「必死さが伝わってきますよ。勝ち越しに向けていい勝ちだった」と褒めた。
8日目、新大関の琴ノ若が、挑戦を受ける立場で迎えた初の結びの一番を快勝した。
2敗で優勝同点だった、先場所で敗れていた関脇若元春を押し出し。
立ち合いから攻め続ける好内容で、トップを2差で追う6勝2敗とした。
2敗目を喫した5日目夜にかけられた、父で師匠の佐渡ケ嶽親方の言葉で、重圧から解放されて本来の動きを取り戻した。
新入幕の尊富士が、無傷の8連勝で単独トップを守った。
8日目、小結阿炎が連敗を2で止めて優勝戦線に踏みとどまった。
くせ者の宇良を中に入れず、距離をとって押し出した。
「自分の距離でくっつかないように、しっかりできたと思います」。
初日から5連勝も6日目、7日目と大関戦で連敗した。
「気分いいとかはないけど、続けていきたい」と気合を入れ直した。
8日目、大の里は難敵玉鷲を破って1敗とトップ尊富士との1差を守った。
玉鷲の圧力に真っ向から対抗し、押し合う展開。
1度はのど輪で押し返されたが、下からあてがってこらえると、右を差して前に出た。
土俵際での相手の突き落としにも「ビビらずに押し切れた」と逆転を許さなかった。
初顔合わせだった先場所に続く白星に「当たる時の感触は分かっていた。思い切って当たることだけ考えた。連敗しなかったのは大きい」と、勝ち越し王手に胸を張った。
8日目、尊富士がただ一人、ストレート勝ち越しを決めた。
三役経験者の竜電を、低い立ち合いから押し込みながら右上手を取り、休まず攻めて最後は押し出した。
11年技量審査場所で9連勝した魁聖以来7人目となる新入幕で初日から8連勝。
しかも新入幕が単独トップで折り返すのは、1場所15日制が定着した49年夏場所以降で初の快挙。
「全く想像していなかった。どこまで幕内でできるのか不安もあった」と笑顔で明かした。
2024/03/17
7日目、大関霧島が、過去1勝9敗の“天敵”隆の勝に敗れ手痛い5敗目を喫した。
立ち合いから突き放され、1度は土俵際で身をかわすも冷静に押し出された。
「まっすぐに行くことしか考えていなかった。負けても次につながる相撲を取っていきたいという気持ちだった」。
体調自体は「元気ですよ」。
リズムの悪さも「たまたま」というが結果につながらない。
「気持ちを上げるためにもいい相撲を取るしかない。次につながる相撲のためにも、どんどん前に行くことを考えて土俵に立っている」と前を向く。
7日目、豊昇龍が大関の意地を見せた。
好調な阿炎の突き押しに引くことなく前進。
最後はあおむけに押し倒して2敗を死守し、「攻めたかった」と息をついた。
7日目、琴ノ若が2度目の連勝で5勝目を挙げた。
鋭い立ち合いの明生に右を差されたが、慌てずに対応。
左で抱えて振り回し、小手投げで仕留めた。
「差されるのは良くないけど、体は反応していた。慌てて墓穴を掘ったら意味がない。落ち着いて取ろうと思った」と、危なげない取組に納得顔。
無敗の新入幕尊富士、1敗の幕内2場所目大の里と、経験の浅い2人を2敗で追う展開も「余計なことを考えずに準備したい」と、初優勝の思いは封印していた。
7日目、西前頭筆頭の朝乃山は、関脇大栄翔を押し出し、3勝目を手にした。
5連敗中だった苦手な相手から約3年ぶりに白星を挙げても「今日の相撲は今日で終わり。明日に向けて準備する」と気を引き締め直し、折り返しの中日を見据えた。
7日目、東前頭5枚目翠富士が、西前頭7枚目玉鷲との初顔合わせの一番を引き落としで勝利した。
若い頃から「頑張れよ」「体作れよ」と何かと気にかけてもらっていたと言い、「ついにやれるな」と気合十分で臨んだが、立ち合いが合わず「合ってなかったですね。勝てて良かったですけど、不本意ですね」と苦笑い。
“恩返し”が不完全燃焼に終わったこともあり、「また当たることもあると思うので負けないようにしたい」と語った。
7日目、大の里は初顔合わせだった先場所に続いて阿武咲に敗れ、初日からの連勝が止まった。
立ち合いから右差しを狙って前に出た。
だが相手に右に回り込まれるうちに、左を差されて最後はすくい投げで土俵を割った。
初黒星で尊富士と並んでいたトップから後退。
「不利な体勢で寄ってしまい勝ち急いだ」と、唇をかんだ。
一方的に敗れた先場所と比べ「内容はまだよかった」としたが「土俵際の甘さが出た」と、反省していた。
7日目、新入幕の尊富士が湘南乃海を寄り切りで破り、初日から7連勝として単独トップに立った。
尊富士は鋭い出足から、湘南乃海の巨体を一気に持っていった。
「絶対に気持ちで負けたくないので。土俵に上がったときだけは、心を鬼にしているつもり」
出世が早すぎてまだ大銀杏も結えないが、初日から無傷の7連勝に浮かれることもない。
新入幕力士が7日目を終えて単独トップに立つのは1991年九州場所の貴ノ浪以来、実に33年ぶりとなった。
2024/03/16
6日目、1人横綱が窮地に陥った。
先場所優勝の横綱照ノ富士が、3日連続で金星を配給した。
西前頭3枚目の隆の勝に寄り切られて痛恨の4敗目。
横綱昇進以来初めて相撲を取っての3連敗となった。
2場所連続の賜杯で目標にしてきた10度目の優勝を狙っていたが、6連勝の大の里、尊富士との差は4に広がった。
横綱照ノ富士が春場所7日目の16日、日本相撲協会に休場を届け出た。
2場所連続優勝を狙った今場所は、ここまで2勝4敗と不振だった。
6日目、大関かど番の貴景勝が気迫を見せた。
激しく頭で当たり、強烈な突き押しで初顔の平戸海を攻め立てる。
圧力を受けた相手が思わず土俵を割った。
好内容にも「いつも通り」。
険しい表情は変わらなかった。
8度目の窮地脱出に向け、波に乗れそうな白星。
古傷を抱える首の状態は気がかりだが、「思い切ってやるだけ」と気合を入れ直した。
6日目、初日から無傷の5連勝だった返り小結の阿炎の挑戦を受けた一番。
琴ノ若は「相手の星数は関係ない」と誓って臨んだ。
気負うことなく仕留め、新大関としての実力を示した。
長い腕を生かした突き押しを受けても、うまく左に回り込みながらいなしていく。
「どんな形でも辛抱して、自分の相撲を取り切るだけだった」。
最後は土俵際で突き落として決着をつけた。
6日目、西前頭3枚目隆の勝が横綱照ノ富士を相手に2つ目の金星を挙げた。
22年名古屋場所以来となる横綱戦。
自分の相撲だけに集中し、「とにかく足を出そう」と中に入り、もろ差しで寄り切った。
同年5月場所以来の金星に「うれしいですよ。やっぱり」と喜びをかみしめた。
6日目、大の里が4日目に金星を挙げた明生に何もさせず押し出し、自己最長タイの6連勝。
口元を引き締め、勝ち名乗りを受けた。
両親が観戦に訪れた5日目は不戦勝で残念がったが、心身のバランスはキープしている。
「落ち着いて慌てず。うまく立ち合いで(力が)伝わった」。
右を差し、まわしに手がかかりそうになった場面もあったが「覚えていないっす。前に出ることに精いっぱいだったので」と体の動きに任せ、ひたすら圧力重視だった。
6日目、風格すら漂う。
初日から6連勝を飾った新入幕の尊富士。
二重、三重に取り囲んだ報道陣に好成績の感想を聞かれると「そういう感情はない。やれば結果はついてくる」。
落ち着いた表情で、淡々と話した。
2024/03/15
5日目、照ノ富士がピンチに陥った。
王鵬の攻勢に手を焼き、強引な左からの小手投げも不発。
あっさりと土俵を割った。
2日連続の金星配給は、昨年名古屋場所以来3度目。
過去2度は休場に追い込まれた。
不戦敗を含まず序盤5日間で3敗したのは、横綱昇進後初。
顔を紅潮させて引き揚げてきた支度部屋では、付け人が即座に取材を断った。
大関霧島が5日目でようやく初白星。
明生に突き起こされかけたが、タイミング良く左に回り込んではたき込んだ。
ほっと一息つくように、勝ち名乗りを受けた。
浅香山審判長は「内容は良くないかもしれないが、取りあえず勝つことが大事」と胸中を思いやる。
白星を良薬とし、中盤戦で巻き返したいところだ。
5日目、関脇・大栄翔が若元春との関脇対決を制して2勝目を挙げた。
立ち合い頭で当たって強烈な突き放しで土俵際まで攻め込むと、一度残されてから左喉輪で起こしておいての引き落としで仕留めた。
「土俵際で慌てずに攻めれた。勝ち急いで負けたら意味ないので」。
土俵際逆転のはたき込みで敗れた過去の対戦経験を生かし、一気に決めにいかず勝負どころを見極めた。
小結阿炎は小結錦木を突き落として無傷の5連勝を決めた。
5日目、宇良が新大関の琴ノ若を破り、またご当所の館内を沸かせた。
おっつけた右をのぞかせると、圧力をかけてからタイミング良く肩透かしを決めた。
取り口については「精いっぱい頑張りました」と詳細を語らないが、八角理事長は「押す力がなかったら残される」と指摘。
馬力が増したことを評価した。
上位陣総当たりだった序盤戦は、3人の大関を撃破して白星先行。
三役復帰が懸かる中盤以降に向け、「大事にやっていきたい」と気合を入れ直した。
5日目、熱海富士が粘り強く取って貴景勝を撃破。
突きを受け、大関にはたかれても動じない。
しっかり攻め返して押し出した。
内容も伴う白星に、「思い切りいくだけだった。落ち着いていた」と笑みがこぼれた。
貴景勝には本割で過去2戦全敗。
昨年の秋場所では優勝決定戦で屈した。
「ずっと負けていて、勝ちたかった」。
序盤戦で白星を先行させ、「まだ10番ある。あした頑張る」と今後を見据えた。
5日目、大器に覚醒の予感が漂った。
王鵬は照ノ富士を突き放し、喉輪、おっつけで押し込む。
差した右のかいなを返し、小手に振られても慌てない。
体勢の崩れた相手を寄り切り、「気分がいい」。
誇らしげに花道を引き揚げた。
横綱初挑戦で金星獲得。
稽古で胸を出してもらった経験もなく、「朝からすごい緊張感があった」と言うが、堂々とした取り口を披露。
館内を騒然とさせ、「歓声と拍手が普段の相撲と全然違う」と口ぶりに実感を込めた。
昭和の大横綱の祖父・大鵬、父の元関脇貴闘力に続く、親子三代金星は史上初となった。
5日目、東前頭5枚目の翠富士が隆の勝を破って2勝3敗とした。
隆の勝の押しに少し後退しながらも、タイミングよく右からいなして崩して押し出し。
「ちょっと押されたけど、とりあえず当たっていくことだけを考えた。小さい人は先に攻めていかないといけないので」。
立ち合い大の里に一発で持っていかれた前日の反省が生きた。
これで幕内100勝目。それを報道陣から知らされると「へ〜そうなんですか」と初めて知った様子
5日目、入幕2場所目の西前頭5枚目大の里は、対戦相手の金峰山が休場したため、不戦勝で5連勝とした。
取組がなくなったことには「やりたかったですね。稽古してたんで」。
両親も応援に駆けつけていたといい、残念がった。
5日目、元大関で西前頭8枚目の高安が東前頭8枚目の阿武咲を上手出し投げで破り、4勝目を挙げた。
「動きが良かったですね、今日は。良い踏み込みができたし、ちゃんと当たれて次の手も早かった」と満足感を示した。
5日目、新入幕の東前頭17枚目・尊富士が初日からの連勝を5に伸ばした。
東十両筆頭の時疾風と対戦。
低い姿勢の立ち合いから素早く左を差し、休まず攻めて押し出した。
「相手どうこうではなく、最後まで力を出すこと。一瞬で勝負が決まる競技なんで頭で考えてもしょうがない。
どの地位でもやることは変わらない。
土俵をしっかり使って、自分の相撲をとる。それだけです」と言った。
2024/03/14
4日目、横綱照ノ富士は明生に寄り切られて2敗目を喫した。
明生は二つ目の金星。新大関琴ノ若は隆の勝を下して3勝目。
豊昇龍は王鵬を、かど番の貴景勝は宇良を退け3勝としたが、霧島は朝乃山に敗れて4連敗。
阿炎が若元春との無敗対決を制し、土つかずは大の里と尊富士を含む3人になった。
4日目、霧島は精彩を欠いて初日から4連敗となった。
がむしゃらに前に出る朝乃山の攻めに守勢に回ると、消極的な引きで墓穴を掘り、あっさりと寄り切られた。
場所前の精力的な稽古がウソのような不振。
八角理事長も「霧島は集中力がない。初日に負けて相撲が狂ってしまった」と厳しかった。
この日も支度部屋では取材に応じず、結びで敗れた照ノ富士とモンゴル語で反省会を開き、会場を後にした。
4日目、東小結阿炎が、西関脇の若元春を一方的に突き出して全勝対決を制した。
立ち合いでしっかりと先手を取り、「たぐられたり、いなされたりを考えていたので対応できて良かった」と振り返った。
若元春とは親友で、食事に行ったり、妻同士も仲良しと家族ぐるみの付き合い。
場所前も「お互いに頑張ろう」とは話をしたが、「場所に入れば会話はしない」と目の前の1番1番に集中している。
この日は師匠の錣山親方が解説を務め「今まで見た中で1番」と内容を褒めた。
阿炎は「うれしいですね」と笑顔を見せながら、「今日の相撲を意識してできるように頑張ります」と先を見据えていた。
4日目、西前頭筆頭の朝乃山は、大関霧島を寄り切り、2勝目を手にした。
能登半島地震の被災地を勇気付ける活躍で「できれば白星を届けたい。相撲を取る姿を見ていただき、喜んでもらえたらうれしい」と話した。
4日目、明生が昨年夏場所に続き、照ノ富士から金星を挙げた。
もろ差しを果たすと、休まず出て横綱を土俵外へ追いやり、「しっかり足を前に運べた。無我夢中で出るしかなかった」と自賛した。
ともに2011年技量審査場所初土俵。
同期だと水を向けられると、「立場が違い過ぎます」と苦笑い。
横綱戦を「(番付)上位にいないと当たることができない」と捉えるが、三役経験者は金星にならない地位にいたいはずだ。
1月の初場所を盛り上げた期待の星が、今場所も主役の一人となりそうだ。
大の里が翠富士を問題にせず4連勝。
「持ち味を出せば、おのずと結果は出る」と自信がにじむ。
相手は身長174センチの小兵だが、低く当たっておっつけると一気に前へ。
勢いそのままに、土俵下へ吹っ飛ばした。
「深く考えずに、走ることだけ考えた。止まらないで攻められたのはよかった」
4日目、西前頭12枚目島津海が休場した。
日本相撲協会に「左腓腹筋(ひふくきん)不全断裂で、今後約3週間程度の通院加療を要する見込み」との診断書を提出した。
休場は22年名古屋場所以来、6度目。
4日目に対戦の東前頭14枚目の錦富士が不戦勝となった。
4日目、新入幕の東前頭17枚目・尊富士が無傷の4連勝を飾った。
同15枚目・妙義龍に押し出しで快勝した。
1958年の年6場所制以降初土俵では、最速タイ(付け出し除く)の所要9場所で新入幕を果たした新星候補が、上々の滑り出しを見せている。
2024/03/13
3日目、照ノ富士はうるさい宇良をねじ伏せ、連敗を免れた。
すぐに左で抱えてつかまえ、最後は右肘で首の辺りを押して土俵下に吹っ飛ばした。
「まあ、落ち着いていこうと思っていたから。動きを止めれば、というところ」と納得顔だった。
初日は錦木に不覚を取ったものの、「いつも言っているが、その日の一番に集中するだけ」と切り替えた。
序盤戦で確認したい事は「体づくりじゃないか」と話し、節目の10度目の優勝へ状態を上げていく。
3日目、霧島の調子がなかなか上がってこない。
22年初場所以来となる初日からの3連敗。
支度部屋では前日に続いて取材に応じなかった。
もろ手から低い姿勢の宇良を押し上げて土俵際まで攻め込むが、相手の突き落としに足が流れて前に落ちた。
大阪入り後は連日精力的に稽古を行ったが、本来の出足、安定感が影を潜める。
八角理事長は「霧島は流れが悪い。それを断ち切るのも実力だ」と奮起を促した。
3日目、かど番の大関貴景勝は明生をすくい投げで破り2勝目。
逆転勝ちで連敗を免れた。
馬力を欠いた立ち合いで明生を押し込めず、逆に土俵際まで追い込まれたが左腕を差し入れ、起死回生のすくい投げでたたきつけた。
2日目まで無言を貫いていた取組後の支度部屋では、取材にも対応。
多くを語ることはなかったが「いつも通り」「明日頑張ります」と少ない言葉に闘志をにじませた。
3日目、前日に黒星を喫した新大関琴ノ若は連敗せず、白星を先行させた。
巻き替えの応酬からもろ差しになり、振りほどいた錦木を力強く突き出し。
「落ち着いて取れた。何かを変えても仕方がない。自分のやれることを考えてやった」と悪い流れを引きずらなかった。
錦木とは場所前も佐渡ケ嶽部屋で手合わせを重ねていた。
土俵下の粂川審判長は同部屋付きで琴ノ若を指導する。
「錦木の小手投げも頭に入っていただろう。常に圧力をかけていた」と冷静な取り口を評した。
3日目、よく伸びる腕に、阿炎の好調ぶりがうかがえる。
大栄翔に突きをあてがわれてわずかに下がったものの、強烈な喉輪で攻め立てた。
のけぞった相手を一気に押し出し、「集中して、自分の相撲が取れている」。
言葉に充実感がにじんだ。
返り小結で初日から3連勝。
霧島、貴景勝の2大関を撃破し、内容も充実している。
1月の初場所は5連敗スタートだったが、今場所は長い手足の先まで神経が行き届いているよう。
「(相手の動きが)スローに見える瞬間が増えてきた」と手応え十分に言った。
3日目、宇良が土俵際の逆転で霧島を破った。
攻め込まれたが、低い体勢でもぐりながら、左からうまく突き落とした。
反応の良さを見せた取り口にも「分からない」と普段と変わらず言葉は少ない。
大阪府寝屋川市出身。
「とても過ごしやすくて好き」と言うご当所での場所で、初日の豊昇龍に続いて大関を撃破。
この日も館内を大いに沸かせた。
3日目、大の里が同じ23歳の平戸海を相手に大物ぶりを発揮した。
低い立ち合いで中に潜り込まれたが、かまわず前に出る。
左からおっつけながら192センチ、183キロの巨体を生かしてグイグイ圧力をかけて寄り切り、初日から3連勝を決めた。
「立ち合い迷ったが攻める意識を忘れず止まらずにいけたのがよかった。体を生かして、めちゃくちゃでもいいからとにかく攻めようと思った」
同世代の平戸海に「意識するものはあった」という。
中学を卒業して入門したたたき上げの平戸海は大相撲界で大先輩。
それだけに「今日の一番は大きなものだったと思う」と言った。
3日目、34歳の元大関で、西前頭8枚目・高安が初日から3連勝を飾った。
24歳の琴勝峰を44秒9の相撲で寄り切った。
右上手を取った際に、相手のまわしが伸びてしまい、引きつけられず。
それでも冷静に我慢強く勝機をうかがう経験値の高さを見せつけて完勝した。
「(逆転されないように)土俵際だけ警戒しました。
上手がちゃんと取れず、(まわしを)取り直したが引きつけが効かなかった」と振り返りつつも、「立ち合いもいいし、しっかり踏み込めている。続けていきたい」と好スタートに手応えをつかんでいた。
3日目、新入幕で東前頭17枚目の尊富士が、初日から3連勝を飾った。
鳥取城北高の同期で、ともに無敗の狼雅との顔合わせ。
立ち合いで、やや半身になって左上手を取りに行くと、前のめりにバランスを崩した相手を見逃さず、そのまま左から上手投げで仕留めた。
22年秋場所の初土俵から所要9場所での新入幕は、年6場所制が定着した1958年以降としては、常幸龍と並んで付け出しを除いて最速だった。
2024/03/12
2日目、照ノ富士はうるさい宇良をねじ伏せ、連敗を免れた。
すぐに左で抱えてつかまえ、最後は右肘で首の辺りを押して土俵下に吹っ飛ばした。
「まあ、落ち着いていこうと思っていたから。動きを止めれば、というところ」と納得顔だった。
初日は錦木に不覚を取ったものの、「いつも言っているが、その日の一番に集中するだけ」と切り替えた。
序盤戦で確認したい事は「体づくりじゃないか」と話し、節目の10度目の優勝へ状態を上げていく。
2日、新大関・琴ノ若は、立ち合いで大関経験者の幕内・朝乃山の圧力に後退し、そのまま押し出された。
序盤戦で土がつき「内容が悪いだけ」と悔しさをにじませた。
東日本大震災の発生から13年を迎えた3月11日。
福島市出身の若元春にとっては、忘れられない「特別な日」だ。
「地元に明るいニュースと笑顔を届けたい」。
自身の活躍で故郷を勇気づけたいとの思いを胸に土俵に上がった。
明生を問題にしなかった。
突き起こしにきた相手に対し、すぐに右で上手を引くと、休まず攻める。
投げにも動じず、土俵外へはわせた。
「先場所から前に攻めることを意識してやっている」。
満足そうに言った。
2日目、返り小結の阿炎が持ち味を発揮。
突き押しで貴景勝を攻め、引きに乗じて前に出てきた大関を上手投げで仕留めた。
左足一本で踏みとどまる土俵際のうまさを披露し、「体が動いている」と納得の表情を浮かべた。
初日の霧島に続いて大関を撃破。
三役で初日からの2連勝は初めてで、「しっかり集中して土俵に上がることができている」と手応えを口にした。
2日目、大関経験者の意地が勝った。
西前頭筆頭・朝乃山は、立ち合いの圧力で新大関・琴ノ若を後退させると、そのまま押し出した。
初日は黒星スタートだっただけに、「切り替えて、思い切っていきました。前に出る相撲が取れて良かったです。勝たないと上に上がれないですし、負ければ自分が弱いだけ。いかに冷静になれるかでした」と納得顔だった。
3月1日に誕生日を迎え、30歳初勝利にもなった。
2日目、入幕2場所目の大の里は豪ノ山を寄り切り、2連勝とした。
力強い当たりで相手の上体を起こすと、右を差して前進し「立ち合い負けしないことを意識した」と納得の表情。
日体大出身で新入幕の先場所は11勝を挙げ、敢闘賞を受賞したホープ。
2歳上の中大出身の相手とは学生時代にも対戦経験があり「負け越していると思う」という。
「嫌なイメージがあったので勝ててうれしい」と喜んだ。
2日目、新入幕で東前頭17枚目の尊富士が、日大の9学年先輩の遠藤を破り、2連勝を飾った。
立ち合いで突っ張って出たが、主導権を取るまでには至らず、相手得意の左四つに組む展開。
相撲巧者を相手に、左を差して圧力をかけ、右上手を取ると迷いなく前に出て寄り切った。
2024/03/11
初日、横綱照ノ富士は目標の2ケタ、10度目の優勝へ、まさかの黒星発進となった。
錦木を右四つがっぷりに組み止めながら攻めきれず、左を巻きかえられると上体が起きて寄り切られた。
番付会見では「まずは場所の時の疲労をとること」と話し、3場所ぶりの出場で優勝した初場所の反動を含めていた。
支度部屋では付け人を通じて取材を断るなど、厳しい表情を見せていた。
初日、モンゴル出身の2大関はともに不覚を取った。
霧島は阿炎の引き落としにあっさりと手をつき、熱戦を期待した館内にはため息が充満。
昨年は初優勝した思い出深い場所で出はなをくじかれ「全然前に出ていない。何もできなかった。これから直していく」と切り替えに努めた。
豊昇龍は宇良を攻め込みながら肩透かしに横転。
悔しそうに唇をかみ、支度部屋では取材に応じなかった。
初日、大関かど番の貴景勝は、朝乃山を退けて白星発進。
立ち合いで突いて出て、攻め返されそうになったところを、タイミング良くはたいた。
一息つけそうなものだが、ほっとした様子は一切見せない。
取組後の支度部屋では付け人が報道陣を制し、取材に応じなかった。
大阪入りした後の稽古も非公開にしている。
勝ち越して8度目の危機を脱するまでは、ぴりぴりとしたムードが続きそうだ。
初日、新大関・琴ノ若が、幕内・熱海富士を下し、白星発進した。
琴ノ若は相手の当たりを受け止め、「しっかり踏み込んで、あとは流れで取れた」。
なおも向かってくる相手を右に開き、はたき込んだ。白星発進にも「いつもどおりです」と淡々と振り返った。
本場所の場内アナウンスで初めて「大関・琴ノ若」と呼ばれた。
取組前に館内は大盛り上がりだったが、「集中していた」と飲まれず。
26歳は「(地位が)上がって何が変わるわけではない。やることをやる」とブレずに相撲を取り切った。
初日、小結阿炎が、節目の取組を白星で飾った。
もろ手突きの立ち合いで、大関霧島の上体を起こし、主導権を握った。
相手がやや強引に、阿炎の両腕を下からはね上げようとしてできた隙を逃さず、とっさの引き落としであっという間に勝負をつけた。
昨年12月に、入門時の師匠だった先代錣山親方が亡くなった。
1月の初場所では、師匠代行として指導していた当時部屋付きの元小結豊真将の立田川親方が、同場所後に正式に「錣山」名跡を襲名。
「新生錣山部屋」所属として最初の取組で大関を撃破した。
初日、返り小結の錦木が照ノ富士を撃破。
横綱の寄りを土俵際で耐え、左を巻き替えてもろ差しに。
持ち前の力強さを発揮して攻め返し、「やられそうになったが、ぎりぎり残れた」と振り返った。
新小結で挑んだ昨年秋場所は、直前での右脚のけがにも泣いて5勝止まり。
3場所ぶりに戻ってきた三役で絶好のスタートを切った。
「とりあえず6番。過去の自分に勝たないといけない」と意気込んだ。
初日、平幕宇良がご当地場所で大関豊昇龍を肩透かしで破り白星発進。
「(相撲の流れは)分からない。15日間、お客さんに喜んでもらえるような相撲を取りたい」と気を引き締めた。
NHKでテレビ解説を務めた舞の海秀平氏は「(宇良が)勝った瞬間、桜が満開になったような桃色のタオルが…」と指摘していた。
初日、今場所も活躍が期待される大の里は好スタートを切った。
鋭い当たりから右差しで剣翔を一方的に寄り切り。
西前頭5枚目に躍進した有望株は腰の重い相手に力を発揮し「ほっとした。すごい声援があった」と喜んだ。
NHKでテレビ解説を務めた舞の海秀平氏は、「剣翔も左の上手を取ったんですが、苦しくてどうしようもなくて、嫌々上手投げを打ちにいったように見えました。そこを大の里は右手を突きつけていくような見事な寄りでしたね。体の寄せ方がうまかったですね。横綱、大関を破るだけの力はありますからね」と期待していた。
尊富士は新入幕場所の初日を白星で飾った。
右上手は切れたものの、左からの出し投げで崩して日大の先輩に当たる大奄美を後ろ向きにした。
「硬くなると思った」という一番で、うまさを発揮。懸賞も獲得し、「幕内を感じる」としみじみ話した。
初土俵から所要9場所で入幕した24歳のホープ。
テーピングが施された右脇腹に痛みを抱えるが、「やるしかない。大丈夫」と気合を入れ直した。
2024/03/10
新大関琴ノ若は、春場所初日を控えた9日、大阪府松原市の佐渡ケ嶽部屋で最終調整し「何も変わらず、今まで通りやるだけ」と平常心を強調した。
新たな看板力士へ高まる期待をよそに、表情は落ち着き払っていた。
本場所用の締め込み姿で四股やすり足などの基礎運動で汗を流し、仕切りの所作などを確認。
初日前日の流れをこなし「あとは自分の相撲を取るだけ」と冷静に語った。
母校の埼玉栄高から大関昇進記念で贈られた2本目の化粧まわしを稽古後に試着。
先輩で憧れの元大関豪栄道と同じ黒基調で、自ら希望したデザインに笑みを浮かべた。
西前頭筆頭の朝乃山は、三役復帰を懸けて土俵に向かう。
初日は大関貴景勝、2日目は新大関琴ノ若との対戦が組まれた。
初日から大関戦が続き、さっそく正念場を迎えることになる。
9日は会場で土俵祭りが営まれ、親方衆らが15日間の安全を祈願した。
会場前には朝乃山らののぼりがはためき、本番へ熱気を高めた。
2024/03/09
8日、大相撲春場所の取組編成会議を開き、2日目までの取組を決めた。
新大関・琴ノ若は、初日に東前頭2枚目の熱海富士と、2日目に大関経験者で西前頭筆頭の朝乃山と対戦することが決まった。
琴ノ若はこの日、大阪・松原市の部屋でぶつかり稽古など軽めの調整。
後輩力士にアドバイスを送る場面もあった。
大関として初めての場所を迎えるが「普段通りやっていくだけ。違いを感じる必要はない。番付が変わろうが自分らしくやるだけ」と平常心を貫く構えを見せた。
8日、大相撲春場所の取組編成会議を開き、初日の幕内と十両、2日目の幕内の取組を発表した。
1年前の春場所では番付上に看板力士が1横綱1大関しかおらず、7日目以降は貴景勝の休場によって昭和以降初の横綱大関不在という異常事態。
あれから1年で新たに3人の大関が誕生し、今場所は21年名古屋場所以来約3年ぶりの1横綱4大関という豪華な布陣となった。
日本相撲協会は8日、春場所15日間の懸賞申込総本数が1717本と発表した。
昨年春場所前の1606本を上回った。
力士指定本数の上位は大関貴景勝、宇良、朝乃山の順。
新大関琴ノ若は4番目に多い78本だった。
2024/03/08
大関豊昇龍は7日、大阪市住吉区の立浪部屋で幕内明生や幕下以下の力士と計12番取って春場所前の本格的な稽古を終えた。
稽古用の白まわしではなく、本場所で使用する青色の締め込みを着用。
「本番モードになる」と集中力が高まった様子だった。
明生とは激しい突き、押しの攻防を繰り広げる相撲もあり、3勝1敗。
先場所14日目から休場する原因となった右膝にはテーピングを施していたが、影響はなさそうだ。
「しっかり動けているから、ああいう相撲が取れる」と満足そうに話した。
大関貴景勝が、8度目のかど番で迎える春場所に出場することになった。
師匠の常盤山親方が7日、「もちろん出る。休む予定は全くない」と明言した。
貴景勝は1月の初場所で首の古傷が悪化し、4日目から休場。
今月4、5日に行われた二所ノ関一門の連合稽古を欠席していた。
常盤山親方は「首は心配だが、出てみないと分からない。本人は結果を残すつもりで出る」と話した。
新大関として迎える琴ノ若は7日、場所前の本格的な稽古を打ち上げた。
この日は大阪・松原市の部屋宿舎で、出稽古に来た関脇・大栄翔、小結・錦木、幕内・豪ノ山と20番取って12勝8敗だった。
豪ノ山に3連敗するなど苦戦し、いらだちを見せる場面もあった。
「昨日、今日と連続(での手合わせ)だったので、向こうも考えてくるでしょうし。それよりも自分の内容が悪かったですね」と反省を口に。
残りの2日間はコンディション調整を軸にした稽古になる予定で「しっかり明日、明後日で修正して」と話した。
関脇・大栄翔が7日、春場所に向け、大阪・松原市の佐渡ケ嶽部屋に出稽古を行った。
新大関・琴ノ若、小結・錦木、幕内・豪ノ山らと取って8勝6敗だった。
新大関を相手に持ち味の突き押しを発揮する場面もあった。
「強い人とやるのが一番なので。大関とできるのはありがたいですし、力を出す稽古なので、良かったと思います」と汗を拭った。
場所前は琴ノ若に加え、霧島や豊昇龍ら他の大関陣とも胸を合わせたという。
「番付上位の人といっぱいやったので、いい稽古ができました」と充実の表情だった。
2024/03/07
6日、2場所連続10度目の優勝が懸かる春場所に出場する意向を示した。
大阪市東成区の時津風部屋への出稽古後に「出るに決まっている」と語った。
ここまで態度を明らかにしていなかった。
6日は元大関の幕内正代と11番連続で取って全勝。
素早く左上手を引いたり、腰を振ってまわしを切ったりする動きも見せ「少し力を出すとか、調整してという感じ。先場所前と比べても、調子は変わらない」と話す。
4日は荒汐部屋に出向いて関脇若元春と10番取った。
先場所で敗れた2人と胸を合わせ、一定の手応えを得たようだ。
先場所覇者の横綱ながら出場の可否を問われる状況に「最近休場ばかりしているから、そういうことを聞かれる」とぼやく。
仕切りの際に苦悶の表情を浮かべるなど気がかりだが、目標とする2桁優勝の大台を目指す。
6日、大阪・松原市の部屋宿舎で出稽古に来た関脇・大栄翔や元大関の幕内・朝乃山らと24番取って17勝7敗だった。
「ただ番数をこなすだけではなく、中身をしっかり自分で求めて、悪いところは修正して、ということをやりながらしっかり稽古できたかなと思います」と振り返った。
朝乃山との新旧大関対決は熱のこもった内容で、7番続けて取って4勝3敗だった。
もろ差しで勝つ相撲もある一方で、巻き替えに乗じて寄られる場面もあった。
新大関は土俵に入ってから、しばらく他の力士と取った後に朝乃山を指名した。
理由については「苦しくなってからの稽古ですし、辛抱どころだったり苦しい場面で力を出せるように。(右の)相四つですし、がっぷりなので、力が入るじゃないですか。その分(体力が)削られますし、ごまかしきかないので。そこを集中してやろうと」と説明。
新大関場所に向けて、自らを追い込んでいる様子だった。
6日、春場所に向けて大阪・松原市の佐渡ケ嶽部屋宿舎に出稽古を行った。
新大関・琴ノ若とは3勝4敗で、合計では10勝6敗だった。
関脇・大栄翔、小結・錦木ら多くの関取衆が集まり「いい稽古になったと思います」と充実の表情だった。
琴ノ若とは幕内では昨年秋場所の1度のみ。
春場所の対戦を見据え、初めて佐渡ケ嶽部屋を訪れたという。
力強い寄りで新大関を圧倒する場面もあり、大関経験者の実力を見せた。
「柔らかいし、重いです。力強さも増しています」と琴ノ若の成長を認める一方で「僕も負けたくない気持ちはありました」と意地ものぞかせていた。
6日、大阪市東成区の時津風部屋に出稽古し、幕内正代らと7番取った。
昨年の春場所は初日から10連勝の快進撃で賜杯レースを盛り上げた。
「昨年と同じ5枚目だし、今年もワンチャンスある」と再現を誓った。
昨年10月4日に第1子となる長女が誕生し、今年の2月14日には晴れて結婚式も行った。
公私ともに充実している27歳の小兵は、今年中の新三役を狙っており「大阪は験がいいと思っている。いい結果になることを信じたい」と笑顔で話した。
23歳の大器の快進撃は続くか。
初土俵から6場所目、幕内2場所目の大の里が春場所で西前頭5枚目まで番付を上げた。
上位とぶつかる地位で真価を問われる。
「自分はまだ新弟子。初心を忘れずに一番、一番取っていくだけ」と謙虚な姿勢で挑む。
大阪府寝屋川市出身の豪ノ山にとって、幕内で初めて臨むご当所場所。
連日のように上位陣が集まる部屋に足を運んで力を磨く。
6日は、大阪府松原市の佐渡ケ嶽部屋へ出稽古した。
「場所まであと少し。気合、入ってます。幕内で帰ってきたので良い成績を残したい」と意気込む。
大関琴ノ若らと15番取って4勝11敗ながら、前に出ようとする姿勢が際立った。
「自分の相撲を徹底しないと上の人とは闘えない。攻め続けたい」と言葉に力を込めた。
2024/03/06
5日、大阪府松原市の佐渡ケ嶽部屋宿舎での二所ノ関一門の連合稽古に参加し、琴ノ若と2日連続で手合わせした。
8連勝スタートを含めて12勝を挙げた。
右四つで組み、出し投げから寄り切る攻めを「頭をつけて取っていきたい。それが自分の相撲」と振り返って「大関が4人で、誰が先に(横綱に)上がるか。負けたくない」と気合十分だった。
4日、堺市の荒汐部屋に出稽古し、関脇若元春、幕内翠富士と11番取って鋭い動きを見せた。
先場所は右膝を痛め、10勝3敗で迎えた14日目から休場。
「膝の調子もいいし、けがも治った。本場所で頑張るしかない」と明るい表情だった。
今場所から4大関となったが「そこは気にしない。自分の相撲に一日一番、集中してやればいい」と冷静な口調。
大関昇進後は優勝がなく「今の目標としてやっている」と視線を鋭くさせた。
5日、大阪府松原市の佐渡ケ嶽部屋宿舎での二所ノ関一門の連合稽古に参加し、霧島と2日連続で手合わせした。
土俵を割って壁をたたいて悔しがる場面も。
3勝どまりだったが「前に攻めて土俵際でやられたり、もったいない相撲も多かった。修正して気持ちをつくっていけばいい」と冷静だった。
5日、堺市の荒汐部屋に出稽古し、関脇若元春や同じく出稽古の関脇大栄翔らと6勝7敗だった。
三役復帰を目指す場所を前に積極的に上位陣に挑み「強い人と稽古ができている」と充実感を漂わせた。
1日に30歳になったばかり。
立ち合いでさまざまな形を試しながら若元春に1勝4敗、大栄翔には1勝2敗だった。
内容面では前に出る姿勢が目立ち「稽古場で攻めの相撲を取れば場所にもつながる。しっかり攻めたい」と狙いを語った。
5日、大阪府松原市の佐渡ケ嶽部屋で行われた二所ノ関一門の連合稽古で、小結錦木らと8番取った。
元横綱大鵬の孫で24歳の大器は初めて上位陣総当たりの地位に浮上。
先場所は10勝5敗と好調で「しっかり前に出る相撲を取っていけば、勝ちにもつながっていく」と気合を入れた。
新大関琴ノ若は埼玉栄高の2年先輩に当たり、本場所での対戦も予想される。
「いい相撲を取れれば。自分ができることをやるだけ」と語った。
5日、春場所での3場所連続勝ち越しと、夏場所以降での金星&三役の最年長記録更新に意欲を示した。
同日は大阪府松原市の佐渡ケ嶽部屋宿舎での二所ノ関一門の連合稽古に参加し、申し合いとぶつかりで順調な仕上がりを見せた。
11月で40歳。
不惑を迎えるまでに目指す金字塔がある。
まずは、1940年1月場所で大潮が39歳5カ月で記録した金星の最年長記録。
春場所は西前頭7枚目。
「この番付だと横綱と当たれないよね。もっと上に行って挑戦したいし、楽しみにしたい」
その先には、戦後で名寄岩の38歳3カ月を上回る史上最年長三役が待っている。
玉鷲自身、2015年に初めて三役に昇進を果たした験の良い大阪で、6年ぶりの3場所連続勝ち越しを決め、足掛かりをつくりたい。
2024/03/05
4日、堺市の荒汐部屋に出稽古し、関脇若元春と10番続けて取って5勝5敗だった。
出稽古は場所前初めてとなり「本格的に力を出して稽古するのは久しぶりで、動きを確かめたかった。悪くはない」と語った。
先場所2日目に敗れた若元春に対し、左四つがっぷりで「力を抜くな。有利な体勢じゃないか」と攻めを促す場面も。
熱のこもった内容だった。
初場所は「何とか乗り切れたという印象しかない」と述懐。
春場所出場は明言しなかったが「しっかり力を出し切って最後までやり切る」と抱負を述べた。
二所ノ関一門の連合稽古が4日、大阪市の芝田山部屋で行われ、一門外から加わった大関霧島が新大関琴ノ若との三番稽古(同じ相手と続けて何番も取ること)で汗を流した。
切れのある速攻で優位に立って8勝3敗。
先輩大関の力を示し、「お互いに力を合わせて取れた。いい稽古ができた」と話した。
大の里や王鵬らとの申し合いでも圧倒するなど、「相撲を取るスタミナが戻っている」と充実感をにじませた。
春場所に向けた二所ノ関一門の連合稽古が4日、大阪市内の芝田山部屋で行われた。
かど番の大関貴景勝は、首の痛みで連合稽古に姿を見せなかった。
師匠の常盤山親方は「首はだんだん良くなっているが、大事を取って休んだ。中途半端な相撲を取るのは失礼ですから」と5日に行われる連合稽古も欠席するという。
部屋では4日連続で隆の勝と相撲を取るなどしており、春場所に向けての調整は問題はないことを強調した。
春場所に向けた二所ノ関一門の連合稽古が4日、大阪市内の芝田山部屋で行われ、大関同士が火花を散らした。
先達の大関に食らいついた。
琴ノ若は、同じ相手と続けて当たる三番稽古で霧島に挑み、連続11番。
「負けた中でも、攻められた相撲があった」と冷静に分析した。
頭をつけて低い体勢から攻めてくる霧島に苦しめられたが、189センチ、172キロの体格を生かして先手を奪うと、馬力ある相撲で土俵を割らせる場面も。
終わって見れば3勝8敗という悔しい結果にも「負けた相撲を勝ちにつなげられれば」と前向きになれた。
4日、堺市の荒汐部屋で充実の稽古を積んだ。
出稽古に来た横綱照ノ富士と5勝5敗の五分など計19番。
「なかなかやってもらえることではない。得たものは大きかったし、ありがたい」と話した。
7場所ぶりの平幕から1場所で関脇に復帰。
大関豊昇龍とは5番取った実力者は「自分らしい相撲を取っていきたい」と意欲的だった。
春場所に向けた二所ノ関一門の連合稽古が4日、大阪市内の芝田山部屋で行われた。
平幕の大の里が、二所ノ関一門の連合稽古で存在感を示した。
一門外から参加した大関霧島に挑んで3番。
鋭い出足から押し出して1勝をもぎとった。
他にも、幕内王鵬らと計9番取り5勝4敗とし「疲労が残ってきつかったが、充実した稽古を積めて良かった」と汗をぬぐった。
入幕2場所目に向けても「初心の気持ちを忘れず、しっかり準備したい」と意気込んだ。
2024/03/04
2日、大阪市住吉区の住吉大社で奉納土俵入りを行い、2場所連続10度目の優勝を目指す春場所へ向け「できることをやっていく。大阪の皆さんに元気な姿をお見せしたい」と心境を語った。
大相撲春場所後に陸奥部屋が閉鎖されることを受け、所属する大関霧島が同じ時津風一門で、元横綱鶴竜が師匠を務める音羽山部屋に転籍する方向で調整していることが2日、関係者の話で分かった。
陸奥親方(元大関霧島)は4月に65歳となって日本相撲協会の定年を迎える。
元鶴竜は現役時代、所属していた井筒部屋が師匠(元関脇逆鉾)の死去に伴って閉鎖となり、陸奥部屋に移った。
引退後も部屋付き親方として同じモンゴル出身の霧島を指導しており、昨年12月に独立して創設された音羽山部屋への転籍を大関が強く希望しているという。
陸奥部屋の他の所属力士についても、時津風一門の部屋に移る方向で調整している。
2日、大阪・堺市の追手風部屋へ出稽古に赴き、訪れた大関霧島と5番取って全勝。
関脇大栄翔にも8勝1敗、計15勝4敗と俊敏な動きで攻め勝った。
大阪入りして初の出稽古で「いい稽古ができた。よく動けた」。
初優勝を飾った昨年名古屋場所後に大関となり、2月中旬には昇進披露宴が催された。
「たくさんの人の顔をみて応援、期待の高さがよくわかった。それに応えなければ、と実感できた」。
「きょうのような相撲が取れれば、膝も大丈夫」と、春場所での再起に自信をみせる。
大相撲の魅力を発信するイベント「うめきた場所」が3日、JR大阪駅前の商業施設で5年ぶりに開催され、大関・琴ノ若らが参加した。
取組に加え、初っ切りや髪結い、子供との稽古と盛りだくさん。
約3000人が見守った。
子供相撲では白鵬杯2位の実力者と熱戦?を展開し場内を沸かせた琴ノ若は「こういう機会に子供たちが相撲を目指す気持ちを抱いてくれるのは大事。大切なイベントだった」と収穫を口にした。
3日、堺市の追手風部屋で20番取り、出稽古の大関霧島には4勝7敗。
鋭い出足で一気に押し出す内容もあり「自分の相撲も何番か取れた。いろんなことができる大関に対応できていた」と手応えを得た様子だった。
昨年春場所は12勝3敗で霧馬山(現霧島)との優勝決定戦に惜敗した。
大関昇進争いで先を越され、埼玉栄高で後輩の琴ノ若にも追い抜かれた。
6場所連続関脇の実力者は「昨年は全ての場所が悔しかった。大阪からいい年になるようにしたい」と巻き返しを期した。
3日、大阪・大東市にある宿舎で幕下以下の力士と12番の相撲を取った。
得意の押しで格下を圧倒したが、立ち合いで遅れ、押し出される場面もあり9勝3敗。
大阪入り後は猛稽古を続けており、「いい稽古ができている。でも、今日は立ち合いが悪かったし、今は疲労感もある」と話した。
4〜5日は二所ノ関一門連合稽古が行われ、大関・琴ノ若、同・貴景勝らが参加予定。
役力士からの指名も予想され、大の里にとっては力試しのチャンスで「いい経験になる」と前向き。
番付は、10枚ジャンプアップし、西前頭5枚目。
「春場所の目標は勝ち越し」と控えめに語るが、充実した調整をしているようだった。
1日、節目の30歳の誕生日を迎え「まだ腐りたくない。もっと上を目指す。まだまだ行けるという気持ち。良い年にしたい」と思いを新たにした。
大阪市中央区の高砂部屋での稽古後に取材に応じた。
大関復帰の目標へ、まずは三役返り咲きを目指す。
「今場所は横綱大関、三役以上と当たる。自分の型になり、自分から攻めていけば勝機はある」と意気込んだ。
大相撲春場所の新弟子検査が2日、大阪市内で行われ、昨年10月の国体成年個人8強で幕下最下位格付け出し資格を持つ松井奏凪人(19)=福岡県出身、宮城野部屋=ら受検した27人全員が身長167センチ、体重67キロ以上(中学校卒業見込み者は165センチ、65キロ以上)の体格基準を満たした。
内臓検査の結果を待ち、初日に合格者が発表される。
年6場所で最も志願者が多い春場所では昨年の33人を下回り、義務教育修了が受検資格に定着した1973年以降で最少となった。
鳥取城北高出身の松井は171センチ、118キロでパス。
「やっとスタートラインに立った。毎日いい稽古ができて充実している」と語った。
2024/02/28
昨年、大相撲春場所で初優勝を飾った大関霧島が27日、大阪府庁を訪れ、吉村洋文知事から前年優勝力士に贈られる優勝盾を授与された。
「もちろん優勝したい」と吉村知事に連覇を約束した霧島は、最後に大阪府広報担当副知事の「もずやん」と相撲をとる一幕も。
「もう1つ上を」と横綱を目指す霧島が、右からの突き落としで転がしていた。
27日、大阪府松原市の佐渡ケ嶽部屋で大阪入り後初の稽古を行い、四股や重りを背負ってのすり足などで汗を流した。
相撲を取らなかったが、春場所に向けて「体もある程度戻ってきた。結果は自分で引き寄せるもの」と意欲をにじませた。
大阪に入る前は多忙を極める中、幕内琴勝峰との申し合いなどをこなした。
「稽古はきちんとやってきた。朝に稽古場に下りられない日が続くかと思ったが、そんなことはなかった」と浮ついた様子はなかった。
今後は部屋で調整し、出稽古に来る力士と胸を合わせてペースを上げていく。
父で師匠の佐渡ケ嶽親方は「協会の看板である横綱、大関はさまざまな仕事をこなさなければいけない。その中でも体は全くしぼんでいない」と心配していなかった。
関係者によると、大関昇進披露パーティーを9月29日に都内で開く予定にしている。
地位の重みを実感する日々に、琴ノ若は「音を上げている場合ではない。お祝いしてもらっているので感謝。うれしい悲鳴」と活力にす
27日、堺市西区の荒汐部屋で10番の申し合い稽古を行った。
右膝前十字靱帯断裂の大ケガから長期休場を経て春場所で関取復帰を果たした弟の若隆景と6番。
もともと取り口的に苦手としている中で、もろ差しを許して寄り切られたり逆に喉輪で力強く押し出したりと互いに持ち味を発揮した。
「やっぱり強いですよね。調子戻してますね」。
弟の復調ぶりを肌で感じた。
入幕2場所目で西前頭5枚目に躍進した大の里が27日、大阪市内で行われた力士会後に取材に応じ「びっくりした。10枚も上がるなんて想像していなかった。春場所は初めてなので勉強の気持ち」と心境を語った。
初場所は西前頭15枚目で11勝を挙げた。
この日は大阪府大東市の二所ノ関部屋で幕下力士と10番ほど取り、大阪での稽古をスタート。
今場所もざんばら髪で臨む23歳の大器は「(デビュー前の)1年前は丸刈りで大阪に来たので感慨深い。勝ち越そうが負け越そうが、何ごとも経験だと思う」と快活に話した。
26日、大相撲春場所の番付を発表し、右足の負傷で、昨年夏場所から4場所連続で負け越し十両に陥落した錦富士(十和田市出身)は、10勝5敗で5枚上げ東前頭14枚目となり、1場所で幕内に復帰した。
2024/02/01
大相撲初場所で優勝同点の13勝を挙げた琴ノ若が、満場一致で大関に昇進した。
1月31日、東京・両国国技館で大相撲春場所の番付編成会議と臨時理事会を行い、承認した。
千葉・松戸市の部屋で行われた昇進伝達式には、父で師匠の佐渡ケ嶽親方と並んで臨んで口上。
「謹んでお受け致します。大関の名に恥じぬよう、感謝の気持ちを持って、相撲道に精進してまいります」
と祖父で元横綱琴桜の先代師匠の言葉と、母校埼玉栄中、高相撲部の部訓を込めた。
大関琴ノ若として1場所土俵に立ち、その後、50年ぶり「琴桜」復活となる改名の意向を示した。
2024/01/29
千秋楽、休場明けの横綱・照ノ富士が、上の番付を目指す2人の挑戦を退けた。
復活を印象付ける9度目の優勝を決めた。
本割は、直前に優勝の可能性が消えた3敗の大関・霧島を、持ち上げるように抱え込んで寄り切り。
2敗で並んだ琴ノ若との優勝決定戦に持ち込んだ。
真剣なまなざしで立った大一番。
相手の双差しを巻き替え、じわじわと追い詰めて土俵下に転がした。
支度部屋に戻ると、息を切らしながら「力を出し切ったと思う」と話した。
千秋楽、大関霧島が初の綱とりで厳しい現実に直面した。
横綱照ノ富士に寄り切られて11勝4敗で終えた。
「けがなく15日間を終えられてよかった」と言いつつ、初の綱とりには「プレッシャーは厳しかった。また、頑張りたいです」。
気持ちをすぐに切り替え、横綱へ新たに挑戦する。
千秋楽、関脇琴ノ若が、悔し涙で事実上の大関昇進を決めた。
本割は東前頭4枚目翔猿を、上手投げで破って13勝2敗。
同じく2敗を守った横綱照ノ富士との優勝決定戦は、寄り切りで敗れて初優勝は逃した。
それでも、ともに関脇の先々場所9勝、先場所11勝と合わせ、大関昇進目安の三役で3場所33勝に到達。
日本相撲協会審判部は、31日の臨時理事会招集を要請し、了承された。
臨時理事会で昇進を見送られた前例はなく、事実上「大関琴ノ若」が内定した。
千秋楽、三賞選考委員会が開かれ、前頭筆頭の若元春が殊勲賞に初めて選ばれた。
三賞受賞は技能賞を獲得した昨年の夏場所に続き2度目。
千秋楽では10勝目を挙げ、来場所の関脇復帰も確実にした。
若元春は今場所2日目では横綱照ノ富士を破り、初の金星を挙げた。
千秋楽では前頭5枚目の錦木に勝ち、4場所ぶりの2桁勝利となる10勝5敗とした。
若元春は「番付を落としての三賞。満足せず、貪欲に上の番付を目指してやりたい」と話した。
千秋楽、千秋楽の国技館をこの力士が沸騰させた。
小結・宇良が、前頭五枚目・竜電を珍手「伝え反り」で下し、そのアクロバティックな取組に「なんじゃこりゃー!!」「これどうなってん?」「すごい技が出た」など驚きの声が寄せられた。
千秋楽、西前頭7枚目の朝乃山は、関脇大栄翔に引き落とされ、9勝3敗3休で今年最初の土俵を終えた。
能登半島地震で被災したふるさとに元気を届けたいと土俵に立ち「物足りない部分はあるけど、自分なりに土俵の上で闘う姿を見せられた」と思いを寄せ、来場所は三役復帰に挑む。
千秋楽、新入幕の大の里が玉鷲を破って11勝目を挙げ、初の敢闘賞を獲得した。
立ち合いから力強く前進。
土俵際に追い込むと、タイミング良く引き落としで39歳のベテランを転がした。
今場所は12日目に結びの一番で横綱・照ノ富士にも挑戦。
史上最速の金星は逃したが「想像していなかった15日間だった。(結びの)あの空気感で相撲を取れたのは大きい」と実感を込めた。
千秋楽、新十両優勝を決めている尊富士が時疾風を破って13勝目を挙げた。
鋭い立ち合いから一気に前に出て押し出した。
「前に出ればケガしないので、良い相撲取れたかなと思います」。
今場所、勝った13番のうち11番は一気に前に出る圧倒的な内容。
稽古場で前頭筆頭の熱海富士と互角に渡り合う実力を持っており、十両の土俵では敵なしを印象づけた。
幕内下位と十両上位の成績の兼ね合いで、来場所の新入幕が確実な状況に。
新十両から1場所通過は遠藤以来、平成以降5人目。
初土俵から所要9場所で昇進となれば、年6場所制となった1958年以降では常幸龍に並ぶ最速タイ記録(付け出しを除く)となる。
大相撲初場所は28日に千秋楽を迎え、懸賞本数は2088本に達した。
1日当たりの最多は初日の177本。
2024/01/28
14日目、相撲を取ることなく2敗のトップを守った照ノ富士。
豊昇龍の休場を知っても、「体がなまってしまう」と支度部屋での準備は普段と変えず、土俵で勝ち名乗りを受けた。
初めて経験する不戦勝に「(自身の)不戦敗はいっぱいあるのだから、1回ぐらいはいいんじゃないか」といつもより表情は柔らか。
3場所連続の休場から復帰した中で尻上がりに調子を上げ、力強い相撲が戻ってきた。
復活優勝を懸け、一人横綱が千秋楽に臨む。
14日目、綱とりが懸かる霧島は痛恨の3敗目を喫し、自力優勝の可能性がなくなった。
大関昇進に挑む琴ノ若を相手に攻めて出たところをいなされ、あえなく後ろ向きに。
悔しさのあまり、取材には無言を貫いた。
師匠の陸奥親方は「緊張していた。体が動かなかった」と手厳しく言った。
千秋楽は過去10戦全敗の照ノ富士戦。
八角理事長は「終わったわけではない。最後まで力を出し切ることが大事」と奮起を促した。
14日目、豊昇龍は日本相撲協会に「右膝内側側副靱帯(じんたい)損傷で約1週間の加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
3敗目を喫した13日目の霧島戦で痛めた。
千秋楽も出場しない。
豊昇龍は優勝争いでトップの照ノ富士、霧島、琴ノ若の3人を1差で追っていた。
14日目の対戦相手、照ノ富士は不戦勝。
豊昇龍の休場は昨年の初場所以来。
14日目、連敗を免れ、初賜杯と大関昇進へ望みをつなぎたい一番。
立ち合いで2度、突っ掛けた琴ノ若の表情はいつも以上に険しく、トップで並ぶ大関を前に肩の力が入っているようにも見えた。
もろ手で立った霧島に体を起こされた。
のど輪で動きを止められたが、ここから流れるように反撃。
勢いよく突き返し、慌てて前に出ようとした相手をいなしてから右でまわしを引く。
一気に勝負をつけ、「しっかり体が動いてくれた。我慢できたと思う」。
冷静な動きを見せたのは大関ではなく、琴ノ若の方だった。
13日目は横綱照ノ富士に完敗し、単独トップの座を明け渡した。
父で師匠の佐渡ケ嶽親方によると、「本人は悔しがっていた」。
部屋に帰ってから四股を踏み、切り替えに努めたという。
終盤戦で綱とりを狙う大関を破り、自己最多に並ぶ12勝目。
大関昇進の目安とされる三役での直近3場所の合計33勝まで、あと一つに迫った。
二つの大願成就が懸かる千秋楽に向け、琴ノ若は「まずは取組に集中しないと意味がない。やり切るだけ」と真っすぐ前を見据える。
その表情から気負いは感じられない。
14日目、関脇・大栄翔が前頭6枚目の金峰山を下して8勝目を挙げた。
回転よく突っ張った大栄翔が左へ左へ回り込む金峰山を土俵1周分追いかけ、最後は強烈な左喉輪で横向きにさせて押し出し。
母と兄が枡席で見守る前で7場所連続となる勝ち越しを決め、確かな実力と安定感の高さを示した。
14日目の勝ち越し決定はこの7場所で最遅。
既に6敗を喫して2桁勝利の可能性はなくなっており「ひとまず勝ち越しはよかったけど、勝ち越しが目標ではないので。そういう意識を持ってやらないと」と悔しさをにじませた。
14日目、西前頭2枚目の阿炎が、場所前の錣山親方死去も乗り越え、7連勝で勝ち越しを決めた。
立ち合いも計算通りだった。
「右のおっつけが強いので、ちょっとずらしていこうと思った」。
若元春の右を警戒し、少し左に変化気味。
押し込まれても、土俵際で引き落としを決め、最後は相手の足が出るのを確認するかのようにジャンプして残した。
物言いがついたが、軍配通りの結果に笑顔を見せた。
14日目、大関経験者で西前頭7枚目の朝乃山が、再出場後、2連勝を飾った。
昨年9月の秋場所千秋楽以来、2度目の対戦となった西前頭筆頭の熱海富士を寄り切り。
立ち合いから右を差して寄り立て、前のめりに倒れたが、先に相手の足が流れて土俵を割っていた。
「(相手は)体が大きいので、下手にがっぷりになると、重たいので攻められないかと思って、下から、下からいった。土俵際は負けたかと思った。下を向きすぎていたのは反省」と、胸をなで下ろしていた。
14日目、新入幕の大の里が、佐田の海を切り返しで破って10勝目。
場所前に師匠の二所ノ関親方から課された新入幕場所での”稀勢の里超え”を果たした。
師匠の新入幕は2004年の九州場所で9勝6敗だった。
立ち合いで許した左上手からの投げを、左足一本でこらえて反撃に転じた内容に「慌てずに上体でこらえるだけでなく、下半身も使えてよかった」と納得の表情。
9日目からは琴ノ若、豊昇龍、照ノ富士への役力士挑戦で3連敗したが、これで2連勝。
「負けを無駄にせずやるだけ。15日間が終わってから、(師匠に)報告したい」と白星締めを誓った。
14日目、尊富士が12勝目を挙げて後続に2差をつけ、22年秋場所の栃武蔵以来となる新十両優勝を決めた。
初土俵から所要9場所目での十両優勝は、幕下付け出しを除けば12年秋場所の常幸龍に並ぶ史上最速記録。
後ろに下がって負けたことがこれまで一度もないという圧倒的な馬力を誇る新星は、この日も一気の電車道で勝負を決めた。
「気負うことなく自分を信じた」と堂々としており、取組後も「全然集中は切れていません」と言い切った。
2024/01/27
13日目、横綱照ノ富士が琴ノ若を単独トップから引きずり下ろした。
「(琴ノ若は)今場所を見ても圧力がすごいし、落ち着いて相撲を取っている。落ち着いてさばいていこうと思った」と右四つから寄り切った。
琴ノ若には「残り2日、むこうも勝負じゃないですか」とエール。
照ノ富士も4場所ぶり優勝のチャンスだ。
「万全でない中で、できることをやっていく」と冷静に話していた。
13日目、2敗で並ぶ大関対決。
同じモンゴル出身の好敵手を退け、綱取りの懸かる霧島が優勝争いのトップに並んだ。
先に右上手を許したが、相手が前に出た瞬間に勝機を見いだした。
豊昇龍の体をややつり上げ、重心の寄った右足を自身の左足で蹴って豪快に転がした。
取組後は「相撲内容は良くなかったが最後(の結果)が一番大事。勝って終わったので」と安堵(あんど)した。
13日目、大関昇進を目指す関脇琴ノ若は横綱照ノ富士に寄り切られ、2敗目を喫した。
照ノ富士も11勝2敗。
気が付けば横綱の形だった。
立ち合いで右を差した琴ノ若が、左ものぞかせてもろ差しを狙いつつ前に出たが、巻き替えられて棒立ち。
最後は照ノ富士得意の右四つからの寄りに屈して2敗目。
大関とりへ横綱戦初勝利でアピールはならず、単独トップの座からも引きずり下ろされた。
照ノ富士相手に6度目の正直ならず、引き揚げた支度部屋でショックをにじませた。
これまで間を置かずに答えてきた最初の質問に、30秒近く沈黙。
「切り替えます」とつぶやくのがやっとだった。
13日目、西前頭7枚目の朝乃山が再出場し、東前頭3枚目の豪ノ山を小手投げで仕留め、勝ち越しを決めた。
朝乃山は「まだ2日ある。2桁勝利も目指せる」と闘志を燃やす。
5日ぶりの本場所の土俵はなかなか始まらなかった。後から手を着いた朝乃山がつっかけ、3度目でようやく立ち合い成立。
相手の鋭い出足に下がったが冷静だった。
突き、押しを下からあてがってしのぐ。
右で抱えると豪快な小手投げで逆転した。
休場原因の右足首のけがについて「大丈夫。動けるようになったから出ている」と強調。
相撲内容には「前へ出て攻めたかった」と反省も忘れなかった。
13日目、新入幕の大の里が隆の勝を破って9勝目を挙げた。
立ち合い胸から当たった大の里が隆の勝の右喉輪を下から跳ね上げて右を差すと、前に圧力をかけ続けて一気に押し出した。
4日ぶりの会心の白星に「落ち着いていけてよかった」と胸をなで下ろした。
13日目、右膝の大けがから再起を期す元関脇若隆景は7戦全勝で幕下優勝を果たし、確実としている来場所の十両復帰に花を添えた。
4場所連続休場から復帰2場所目で「まだ反省点はあるが、先場所より体が動いている実感はある」と手応えを口にした。
幕内優勝経験者の幕下制覇は令和元年九州場所の照ノ富士以来2人目。
NHKでテレビ解説を務めた宮城野親方は「去年の九州場所より本当によくなってきましたから、日に日に場所ごとによくなっていくんじゃないですかね。早く幕内で相撲が見たい」と復活を期待していた。
13日目、元幕内で西幕下5枚目の伯桜鵬が、東十両12枚目・千代丸を寄り切りで破り、3場所ぶり復帰の土俵を白星で締めた。
左おっつけから左を差すと、やや膠着(こうちゃく)状態となったが、相手の巻き替えに乗じて寄り切った。
「組んでしまいましたけど、自分の形で相手が不十分だったので、落ち着いていきました」と振り返った。
新入幕だった昨年名古屋場所で優勝争いを演じたが、同年8月末に左肩を手術した影響で秋、九州場所と連続で全休を余儀なくされた。
3場所ぶりの復帰となった今場所は幕下に転落。
全勝での優勝を目指していたが、6勝1敗で終えた。
「全勝を目指していたので、ダメですね。自分が弱いから負けた。(今場所の)相撲内容は0点です」と自らに厳しく振り返った。
2024/01/26
12日目、横綱・照ノ富士が、西前頭15枚目・大の里を上手投げで下して5連勝。
最高位として10年ぶりとなる新入幕力士の挑戦を退け、2敗を堅守した。
3場所連続休場明けから逆転Vへ、13日目は1敗で単独トップの大関昇進を目指す関脇・琴ノ若と対戦する。
大の里は4敗目で優勝争いから脱落。
照ノ富士の貫禄勝ちだ。
立ち合いは低く当たって踏み込んで左前まわしを取った。
大の里も右を差して左をおっつけながら前に出たが、腰の高さが違っていた。
最後は豪快な上手投げ。
12日目、霧島は玉鷲との激しい攻防を制した。
最後はタイミング良くはたいたが、突き押しに後退した場面を反省。
「自分から攻めたかった」と首をかしげた。
横綱昇進を懸ける中、賜杯争いでトップと1差をキープしている。
13日目の相手は同じモンゴル出身の豊昇龍。
「相手よりも自分のことを考える。絶対に負けない気持ち」。
2敗同士の大関対決へ闘志を燃やした。
12日目、豊昇龍は隆の勝に付け入る隙を与えなかった。
素早く中へ入り、右を差す。
下手をがっちり引いて相手を豪快に裏返し、「いいんじゃないか。立ち合いも狙い通りで、動きも悪くない」。
内容にも納得した。
場所前の稽古総見では精彩を欠いた上に、右膝を痛めた。
状態が不安視された中で4連勝発進。
「しっかり体が動いている」。
5、6日目に連敗したが、そこから6連勝。
11日目は新入幕で快進撃を見せた大の里を難なく退け、格の違いを示した。
相撲っぷりは確実に上向いている。
12日目、優勝争いで単独トップを走る関脇琴ノ若が、2差で追う西前頭14枚目の阿武咲を、はたき込みで破り1敗を堅守した。
13日目は、過去5戦全敗の横綱照ノ富士と対戦する。
時は来た。
琴ノ若にとって勝てば大関昇進と初優勝が、グッと近づく大一番がやってくる。
過去5戦全敗の照ノ富士戦が、13日目に組まれた。
それに先立ち、この日は阿武咲の当たりを受け止め、重い腰で相手の突き、押しを下からあてがいながら、反撃の機会をうかがった。
その矢先、相手が足を滑らせて前のめりに倒れてはたき込み。
1敗を守って先場所に続く11勝目に到達し「落ち着いて取れた。体が動いてくれたのでよかった」とうなずいた。
休場していた朝乃山が、2場所ぶりの勝ち越しに向け13日目から再出場します。
今場所7日目まで全勝だった朝乃山は、中日の玉鷲戦で敗れ右足首を負傷、9日目から休場していました。
朝乃山は、12日目まで7勝2敗3休。
残り3日間、勝ち越しをかけて戦います。
13日目の復帰戦の相手は、東前頭3枚目の豪ノ山です。
12日目、東前頭10枚目の玉鷲が幕内出場1284回。
安芸乃島を抜き単独史上7位。
同1位は旭天鵬の1470回。
玉鷲「へえ、7位になったんだ。いつも言うけど現役の間は(記録は)気にしないよ」。
12日目、再入幕の琴勝峰が若元春を寄り倒しで撃破し幕内では1年ぶりの勝ち越しを決めた。
相手得意の左差しを許したが、土俵際で強引に振って体を入れ替え逆転勝ち。
「前に落ちてもいいから(土俵際は)がむしゃらにいった。久々の幕内で勝ち越して良かった」と安堵(あんど)の様子だ。
昨年6月に結婚し昨秋に長男も誕生。
「帰ったら家族がいる。今の一番のやりがい」と好調の要因を挙げた。
12日目、新入幕で西前頭15枚目の大の里の記録ずくめの金星はならなかった。
結びの一番で初顔合わせの横綱照ノ富士に敗れ、8勝4敗。
金星を期待した場内のファンからは、ため息が漏れた。
大の里は、照ノ富士に土俵下まで投げられた。
体当たりの立ち合いから真っ向勝負。
右をのぞかせて前に出ようとしたが、相手は動かない。
次第に棒立ちにさせられ、それでも強引に前に出ると、誘い込まれるように上手投げで仕留められた。
「立ち合いで当たったけどビクともしなかった。さすが横綱だと思った。頭が真っ白。何も自分の相撲を取らせてもらえなかった」と唇をかんだ。
12日目、新入幕で東前頭17枚目の島津海が、うれしい勝ち越しを決めた。
相手の美ノ海十分の形に組み止められたが、粘り腰で踏ん張り逆転の小手投げを決めた。
取組後、NHKのインタビュールームに呼ばれた島津海は「(新入幕まで)12年かかったので、すごくうれしいです。相手の形になったけど、辛抱して、ああいう形で勝ててよかったです」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
新入幕勝ち越しをかけた一番とあり「(勝ち越しを)意識して硬くなって(立ち合いで)当たれなかった」と素直に吐露。
9日目から4連勝で給金を直した相撲内容には「踏み込んで先手、先手で攻めているのがいい」と自己分析。
番付発表の際に宣言した、技能賞という目標には「全然(自分には技能は)ありません」と苦笑したが、残り3日の土俵に向けて「力を出し切って、会場を沸かせる相撲を取りたい」と話した。
2024/01/25
11日目、2敗を守った横綱照ノ富士は、12日目に新入幕の大の里との割りが組まれたことを聞かれても、表情ひとつ変えなかった。
「まあ、誰とあたっても、その日の一番に集中してやっていく」
この日は阿武咲を寄り切った。
3場所ぶりの復帰でここまで十分に務めを果たしてきている。
「当たろうと思ったけど、相手の体勢を見て変わった。調子は悪くはないけど、よくもない。徐々に…」と本人にとってはモヤモヤした相撲だったかもしれないが、藤島審判部副部長は「ものすごく集中している。今日はよくある動きだったが、乗ってきている」と評価した。
11日目、勢いに乗る新鋭を力でねじ伏せた。
大関・豊昇龍が新入幕の大の里を退けた。
立ち合いで右が入り、左で上手をつかむと、前に出てくる相手の勢いを利用するように右から下手投げを決めた。
強い足腰を生かして体重で40キロ以上重い相手を転がし、「狙い通り、まわしを取れてよかったと思います」と冷静に語った。
ざんばら髪で白星を伸ばしてきた大の里とは高校生以来の対戦だったことを明かした。
当時1学年下だった相手に勝ったことを振り返りながら、「(対戦を)楽しみにしていた。絶対に負けたくなかった」。
新入幕の力士が大関と対戦するのは、2020年秋場所で貴景勝に敗れた翔猿以来という一番で、大関として格の違いを示した。
11日目、大関昇進を目指す琴ノ若が、また一歩前進した。
王鵬の突き押しを下からあてがい、攻勢の手を緩めずに押し出し。
「攻め続けた分、慌てないでいこうと思った」。
埼玉栄高の後輩に貫禄を見せつけた。
1敗のトップを死守。
2場所連続となる2桁白星に達した。
昇進への機運は高まりつつあるが、「まだ場所は終わってない。変わらず、自分のやってきたことをやるだけ」と平常心を強調した。
11日目、若元春が6日目から6連勝で給金を直した。
得意の左が差せなくても、おっつけながら前進。冷静に動いて玉鷲を押し出し、「しっかり足が出ていた。思い切って取れている」と納得の表情だった。
関脇から東前頭筆頭に落ちた今場所は照ノ富士から金星を奪うなど、内容のいい取り口が続いている。
「目の前の一番に集中することを心掛けている」と充実感を漂わせた。
11日目、新入幕の大の里が初の大関戦で敗れ、3敗に後退した。
豊昇龍との立ち合いで右を差したが、同じく右を差した豊昇龍に下手投げを食らった。
「簡単にまわしを取られてしまった。相手は格上だけど、自分の持ち味を出し切れなかった」と悔しそうだった。
完敗した10日目の関脇・琴ノ若戦とは立ち合いを変えた。
それでも勝てず、「2日連続でダメだった」と反省。
だが、幕内後半戦の審判長を務めた藤島親方は「昨日はもろ手で失敗して、今日は思い切り当たりにいった。立ち合いはよかった」とうなずいた。
2024/01/24
10日目、横綱照ノ富士は幕内金峰山を豪快な上手投げで一蹴。
8勝目(2敗)を挙げ、首位と1差を堅守した。
今場所は、腰痛の影響による3場所連続の休場明け。
中盤まで無事に乗り切り「体がなじんできた感じがある。ケガをしてから、やれることが少しずつ増えてきた」と復調へ手応えを口にした。
10日目、霧島が我慢の相撲で白星をつかみ、しぶとく2敗をキープ。
阿武咲の突き押しをあてがってしのぎ、土俵際で持ち前の反応の良さを生かしてはたき込んだ。
苦戦を認め、「どうかなと思ったが、勝ててよかった」と一息ついた。
綱とりを狙う場所でまずは給金を直し、優勝争いでもトップを1差で追う。
「一番一番、目標に向けてやっていく。意識して相撲が取れているので、先も見えてくる」と言い、終盤戦の自身に期待しているようだった。
10日目、番付の重みを示した。
大関とりの関脇琴ノ若が、新入幕の西前頭15枚目大の里との1敗対決を制した。
中盤戦を終えて9勝1敗。同じく1敗だった前頭阿武咲も敗れ、優勝争いの単独トップに立った。
新入幕として110年ぶり、ざんばら髪として史上初の優勝が期待される大の里に完勝。
何もさせずに寄り切った。
祖父は、自身が9歳の時に亡くなった元横綱琴桜。
故人と大関昇進で受け継ぐことを約束した、しこ名「琴桜」を襲名する日が現実味を帯びてきた。
10日目、福島市出身で幕内筆頭の若元春は王鵬と対戦。
押し出しで勝利し5連勝。
これで7勝3敗と勝ち越しに王手となった。
24日は玉鷲と対戦する。
10日目、東前頭10枚目の玉鷲が西前頭筆頭の熱海富士を破って勝ち越しに王手をかけた。
昨年から旋風を起こす18歳下の熱海富士に動き負けせず、土俵際で押し倒した。
この日で幕内出場1282回となり、元横綱白鵬と並んで歴代8位タイとなった。
今年11月には40歳となるが、角界の鉄人は衰えることをしらない。
今年40歳を迎えるとは、とても思えない。
39歳の玉鷲は18歳下で、番付では上位の熱海富士を破った。
取組後、戻ってきた支度部屋では「楽しかった。気持ちがいい。(年下に勝つのは)どこの世界でも気持ちいいでしょ」と満面の笑みを浮かべた。
10日目、平幕の阿武咲が綱とりを目指す霧島に敗れて2敗に後退した。
阿武咲があと一歩のところで霧島にはたき込まれた。
攻めの流れをつかみかけていただけに悔しそう。
「なかなか中に入れてくれなかったですね。左をのぞかれてちょっと慌てました」と振り返った。
2日目からの連勝は8で止まったが、11日目は照ノ富士戦。
「また明日っすね。相撲を取れることに感謝です」と気持ちを切り替えた。
10日目、1敗対決は、新入幕の大の里が大関昇進に挑む琴ノ若に寄り切られ、2敗目を喫した。
琴ノ若に完敗した大の里だが、新入幕での三役挑戦は貴重な経験となった。
「やっぱりうまいし、強かった。自分のよさを伝えたかったけど、まったくできなかった」と力の差を痛感させられたが、「この時間は基本的に部屋にいる時間ですし、想像していなかったし、ワクワクしますし」と話した。
11日目は大関豊昇龍と対戦する。
「同じ失敗を繰り返さないように、気合を入れて集中していきたい」と再び上位に挑む。
2024/01/23
9日目、照ノ富士が借りを返した。
昨年の名古屋場所で不覚を取った錦木との一番。
もろ差しを許したものの、強烈にきめて右から投げを打ち、相手の体勢を崩すと、得意の右四つに持ち込んで寄り切った。
「しっかり形になれた」と納得の表情だった。
3場所連続の休場から復帰した今場所。
前半は不安定な内容もあったが、徐々に本来の姿を取り戻しつつある。
「久しぶりにしっくりきた」と手応えを口にした。
9日目、綱とりの霧島は行司差し違えの一番で正代を退けて連敗を免れ、2敗を守った。
照ノ富士は錦木を、大関豊昇龍は竜電を下して7勝目。
大関昇進に挑む琴ノ若は関脇大栄翔に快勝してトップの1敗を堅持。
新入幕の大の里が給金を直し、トップは、1敗だった朝乃山の休場による不戦勝で白星を手にした阿武咲を加えた3人。
9日目、大関・豊昇龍は、平幕・竜電を寄り切りで下し、勝ち越しに王手を掛けた。
立ち合いから右上手を引くと、左四つで寄り切った。
完勝での7勝目に「相手は柔らかいし、力が強い。がっぷり四つにはなりたくなかったので、先に先に攻めていった。よかったですね」とうなずいた。
優勝争いではトップの1敗に関脇・琴ノ若、平幕の阿武咲、新入幕・大の里の3人。
1差で追いかける大関は「そこは気にしていない。一日一番。その日の一番を大事にしていきたいです」と、意気込んだ。
9日目、大関昇進が懸かる琴ノ若が、大栄翔との関脇対決を制し、優勝争いの先頭を守った。
埼玉栄高の先輩でもある大関候補のライバルを寄り切った。
前日8日目は通算2度目の不戦勝。
それでも取組がある日と同じ準備をして、流れを変えずに勝ち越しを決めた。
中1日の取組でも、相撲勘は失わず、体の反応はさえ渡っていた。
琴ノ若は立ち合いから、大栄翔の突きを浴び続けた。
だが、ことごとく下からあてがい、威力を軽減。
1度は引く場面があったが、喜んで出てきた相手に返す刀で右を差して勝負あり。
体を密着させ、一気に前に出て寄り切った。
「下がる場面があったけど考え直して我慢して、攻めに変えられたのがよかった。体がしっかりと動いて、反応良く相撲を取れた」。
9日目、宇良が新三役“初勝利”を挙げた。
貴景勝の休場による不戦勝はあったが、相撲を取っての白星は今場所初となった。
4連勝中と好調で初顔の熱海富士に対し「強い相手だと思って臨みました」。
立ち合いで低く当たると、相手の勢いをうまく使い、肩透かしで破った。
勝ち越しの望みをつなぎ、「残りも頑張りたい」と巻き返しを期す。
9日目、西前頭3枚目の北勝富士が休場した。
日本相撲協会に「右膝関節挫傷により、約2週間の加療と1月場所の休場を要する」との診断書を提出した。
北勝富士は8日目の豊昇龍戦を押し出しで敗れ、土俵下に尻から落下。
その場で古傷の右膝を押さえながら動くことができず、最後は両脇を担がれる形で花道へ移動し、そこから車いすに乗せられて引き揚げていた。
西前頭7枚目の朝乃山が初場所9日目の22日、休場した。
敗れた8日目の平幕玉鷲戦で負傷し、同日に日本相撲協会に「右足関節捻挫で全治2週間を要する見込み」との診断書を提出した。
10日目も休場する。
師匠の高砂親方は「2、3日様子を見ようということになっている」と話した。
休場は2場所連続で11度目。
9日目、圧勝の土俵上で大の里が2度、わずかにうなずいた。
新入幕で勝ち越し一番乗りを決めたリアクションはそれだけ。
立ち合いの圧力を生かして右をねじ込み、ぐいぐい前へ出て最後はきっちり腕を返して明生を寄り切り。
誰よりも冷静に勝ち名乗りを受けた。
「自分の良さの立ち合いをぶつけた。特別なことをやってるわけじゃない。厳しく攻めた」。
勝ち越しは場所前の第一目標。
師匠の二所ノ関親方が審判として土俵下で見守る中で決めた孝行に「勝ち越しを一番近くで見てもらえた」と少しだけ表情を和らげた。
9日目、東十両10枚目の尊富士(24=伊勢ケ浜部屋)が欧勝海(22=鳴戸部屋)との新十両対決を制して9戦全勝とした。
鋭く踏み込んで一気に押し込んでおいてのはたき込み。
立ち合い相手に左から張られたが「そんなの分からなかったです」と全く問題にしなかった。
師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)や部屋の横綱・照ノ富士(32)からは「集中を切らすな」とアドバイスを受けており、ここまでしっかり持続させた。
2024/01/22
8日目、照ノ富士は何とか連敗を免れた。
狙った右差しを果たせず、竜電に右上手を与えて頭をつけられた。
我慢する中、左から起こして寄り切り、「下手だけは取らせないように。取られたら残せないと思った」。
2敗での折り返し。
3場所連続休場から復帰した今場所は、相手を圧倒する相撲が少なくなっている。
「何とか白星を取っている感じ。悪い考えを持たないように自分を追い込んでいる」。
後半戦に向けて、自らに言い聞かせるようだった。
8日目、大関霧島が「自分が引いてしまうと、いろんな攻めをしてくるので」と警戒していた翔猿に、手痛い2敗目を喫した。
低い体勢のまま繰り出す相手の突きを嫌がり、たまらず下がってしまった。
注意していたはずの攻めを許し、土俵際でも残れず押し出された。
全勝がいなくなりトップに並ぶチャンスを逸し、取組後の取材には応じなかった。
8日目、小結・高安が21日、「インフルエンザB型感染、急性腰痛症の再発により約10日間の自宅療養および安静加療を要する」との診断書を日本相撲協会に提出して休場した。
休場は今場所2度目で通算16度目。
8日目の対戦相手で、大関昇進を目指す琴ノ若は不戦勝となった。
1年ぶりに三役に復帰した元大関の高安は初黒星を喫した2日目の大関・霧島との取組前に腰を痛め、3日目から休場。
6日目(19日)に再出場したが、20日の夕方から発熱があった。
8日目、豊昇龍が押し出しで北勝富士を下したが、取り組み後にアクシデントが起こった。
勢いよく突っ張り合った両者。
それでも大関が最後は力強く北勝富士を押し出した。
だがお尻から土俵下に落下した北勝富士はその場で右膝を押さえながら動くことができず。
場内からは大きな拍手とともに「頑張れー!」と激励の声がわき起こったが、苦悶の表情を浮かべ自力で立ち上がることができなかった。
最後は両脇を担がれる形で花道へ移動し、そこから車いすに乗せられて引き揚げた北勝富士。
再び国技館は大きな拍手に包まれたが、右膝は古傷でもあるだけに、その状態が気がかりだ。
8日目、会心の相撲で綱獲りの大関を撃破し、翔猿の表情も和んだ。
「久しぶりにいい相撲が取れた」と納得顔だ。
低い姿勢から圧力をかけて、一気の押し出し。
星も4勝4敗の五分に戻し「体の動きは悪くない。思い切りやっている」と口調も滑らかだ。
8日目、元大関の幕内・朝乃山が初黒星。幕内・玉鷲ののど輪で後ろに反り返った。
それでも下がらず右を差したが、すくい投げで転がされた。
「玉鷲関に突き落とされて、足からバランスを崩して落ちた」。
土がつくと土俵下でしばらく、立ち上がれず。
支度部屋でも右足を気にするそぶりをみせたが「大丈夫」と気丈にふるまった。全勝が止まったことについては「いいんじゃないですか。1敗くらいして」と開き直った。
8日目、39歳の鉄人が、節目の一番で大仕事をやってのけた。
平幕の玉鷲が、全勝で単独トップだった朝乃山を引きずり降ろした。
得意の右四つを許す万事休すの展開から巻き返し。
押し込まれながら、土俵際で右の腕を返してすくい投げを決めた。
館内を沸かせる好取組で5勝目に「もちろん気合が入っていたので、勝ってよかった。まわしを取られたくないと前に出ていく気持ちが良かった」とうなずいた。
支度部屋の風呂場では横綱照ノ富士らと鉢合わせし、「またやったな」とねぎらいの言葉を贈られたと笑みをこぼした。
これで通算出場は1576回。安芸乃島を抜いて史上10位に到達し、現役ではもちろん1位。
鉄人健在を示す偉業だが「全く気にしていない。自分も強い相手と戦えるのは楽しいし、お客さんも楽しいと思う」と声を弾ませた。
8日目、西前頭11枚目の王鵬が琴勝峰との2敗対決を制して6勝目を挙げた。
立ち合い頭で当たり合ってから押し込まれた王鵬が左へ回り込んではたくと、琴勝峰は前にのめって土俵を飛び出した。
勝った王鵬は「立ち合いからすごい勢いだったので必死で余裕はなかった。もっと前に出たかった」と納得の内容ではなかったが、ライバル撃破に安どした。
8日目、新入幕の西前頭15枚目大の里が、憧れの郷土の先輩を破り、優勝争いの先頭に並ぶ1敗を守った。
石川県出身対決となった10歳上の西前頭13枚目遠藤との初顔合わせで押し出し。
新入幕が、昭和以降最速タイ(もう1人は伯桜鵬)の所要3場所だった遠藤に、同3位の所要4場所で果たした大の里が完勝し、勝ち越しに王手をかけた。
8日目、新十両の尊富士(24=伊勢ケ浜)が獅司(27=雷)を下して、十両で唯一のストレート勝ち越しを決めた。
立ち合いで鋭く当たると、一気に前に出て押し出し。
「相手が大きいから、とにかく下から。集中してやった」と完勝につなげた。
ストレート勝ち越しについての感想を問われると、「特に(ないです)。一日一番なので」と引き締めた。
「勝ち星にかかわらず自分の相撲を取ろうと思っていた。これが勝ちにつながっている」とし、「勝ち越しても気持ちは変わらない。終わるまでは気を緩めない」と次なる戦いを見据えた。
2024/01/21
7日目、3場所連続休場明けの横綱・照ノ富士は元大関の正代に敗れ、中日を前に早くも2敗目を喫した。
正代戦の立ち合いでもろ差しを許すと、小手に振るも上体を完全に起こされた。
何とか両腕できめにかかったが、体勢を作る前に相手に左からすくわれ、寄り倒された。
屈辱のあお向け。
館内に座布団が飛び交う中、険しい表情で土俵を引き揚げた。
7日目、横綱昇進がかかる大関霧島が、予期せぬハプニングにも動揺することなく6勝目を挙げた。
北勝富士と対戦。
激しい突き合いの流れから三役格行司が転んでしまうトラブルにも落ち着いて相撲を取り、盤石の寄り切りで1敗を守った。
7日目、平幕力士との対戦が組まれる前半戦での連敗は避けたい。
大関昇進を目指す琴ノ若にとって、辛抱する局面だった。
「目の前の一番に集中した。それが結果につながったと思う」。
竜電を寄り切り、1敗を死守。
踏みとどまった。
先場所敗れた相手だけに「悪い形になりたくない」と慎重だった。
7日目、西前頭筆頭の熱海富士が阿炎を破って3勝目を挙げた。
左前ミツ狙いの立ち合いから押して一気に前に出ていき、突き押し得意の阿炎を電車道で圧倒した。
支度部屋に戻ってくると「めっちゃ良い相撲だった〜」と笑顔で一言。
自他ともに認める会心の内容だった。
7日目、西前頭4枚目の正代が横綱照ノ富士を破り、4勝3敗と白星を先行させた。
「止まってしまうと厳しい。あの形になるしかなかった」と立ち合いから鋭い出足を見せた。
足を動かし続け、もろ差しにすると、優位な体勢から一気に土俵際に追いつめて、自身2つ目の金星を挙げた。
「座布団が飛び始めたところで、初めて実感が湧いた」。
会心の相撲内容を振り返り「久しぶりに終始攻めた相撲だったんじゃないかと」とうなずいた。
7日目、平幕朝乃山は明生を寄り切り、ただ1人の全勝をキープ。
単独首位を保った。
しかし、支度部屋では「内容が悪い」と不満げな表情。
差し手争いから力強く前に出たが、「左上手が取れなかった。もっと下から攻めないとダメ」と首をひねった。
単独首位で重圧も大きくなっているが、「たくさんの声援をいただいている。白星を出し、それに打ち勝たなければいけない」と自らを鼓舞した。
7日目、現役関取最年長の39歳、東前頭10枚目の玉鷲は隆の勝を押し出して4勝目。
白星を先行させ、「通算出場」が1575回となり史上10位の安芸乃島と並んだ。
「気にしていないけど、名前を出させてもらってありがたい」
10日目の土俵に立てば「幕内出場回数」が史上8位の元横綱白鵬と並び、11日目には7位の安芸乃島に追いつく。
現役トップの「通算勝ち星」も、この日の4勝目で796となり、元横綱貴乃花を2つ上回った。
8勝すれば元横綱稀勢の里の800勝に並ぶ。
初土俵から休みなく出場し、史上2位の「通算連続出場」も9月の秋場所中には首位に立つ。
7日目、並外れた圧力を物語る立ち合いの衝撃音が、初場所の幕内前半の土俵の新たな名物になりつつある。
新入幕の大の里が王鵬との1敗対決で踏み込むと同時に右を差し、速攻で寄り切った。
「エンジンがかかって、ギアが上がってきた」と立ち合いの手応えは上々。
だが、まだ全開じゃない。
「強い相手とやるためにもこれ以上に。器用なほうじゃない。一歩に集中し、立ち合いを追求したい」
平幕、碧山が右ひざを痛めたため、20日、7日目から休場することになりました。
前頭17枚目の碧山は今場所、初日から6連敗するなど精彩を欠いていて、19日の取組のあとには足を痛めた様子を見せていました。
その後、東京・両国の国技館にある相撲診療所で診察を受けた結果、「右ひざ前十字じん帯断裂」の疑いと診断されたため、日本相撲協会に休場を届け出て、7日目の20日から休場することになりました。
碧山の休場は3年前の夏場所以来6回目で、20日対戦する予定だった阿武咲は不戦勝となります。
師匠の春日野親方によりますと、今後、入院して治療にあたるため、再出場はできないとしています。
日本相撲協会は大相撲初場所7日目の20日、元十両で西幕下16枚目の千代嵐(32)=本名渡辺慶喜、千葉県出身、九重部屋=の引退を発表した。
2007年春場所初土俵。
押しを武器に11年秋場所で新十両に昇進した。
13年名古屋場所で左膝を負傷。
十両から転落した後、22年初場所で昭和以降で最長となる49場所をかけて関取復帰を遂げた。
2024/01/20
6日目、横綱照ノ富士が、長期休場前の最後の一番で敗れた東前頭4枚目の翔猿との“因縁”対決を制した。
立ち合いで張ってきた相手の指が目に入り感情のコントロールが難しくなったと反省し「格下の相手にあれだけ熱くなってしまった自分が恥ずかしい」。
周囲の注目とは裏腹に、特に意識はなかったというが「(仮に)先場所負けたから根に持っていたらアホな話」と言葉は激しかった。
1敗を守るも、動きについてはまだまだ納得していない様子だった。
6日目、綱取りに挑む大関・霧島が、1敗を守った。
突き押し自慢の東前頭3枚目・豪ノ山を相手に立ち合いから右で張って左を差すと、右上手もつかんで危なげなく寄り切った。
先場所は立ち合いで当たり負けして突き落とされた。
不覚を取り「すごく悔しかった。絶対に負けない気持ちだった。走ったら止まらない相手。(張り差しが)こんなにうまくいったのは初めて」と自画自賛だった。
幕内後半戦の浅香山審判長は「張り差しでずらして、止めて組んで、考えた相撲だった」と評していた。
6日目、大関昇進の可能性がある関脇琴ノ若は見せ場なく若元春に押し出され、初黒星を喫した。
四つ相撲同士の対戦だったが、立ち合いから最後まで突き、押しで攻めてきた相手に、終始主導権を握られた。
初の大関とり場所での初黒星。
取組前まで朝乃山と並んでいた優勝争いのトップから陥落した。
「結果は結果。気持ちの問題。引きずらないようにしたい」と淡々と話した。
6日目、腰を痛めて休場していた小結高安が“復帰戦”を白星で飾った。
大関霧島に敗れた2日目以来の土俵は、小結宇良との対戦。
潜り込まれた高安だがうまくしのぎ、最後は投げの打ち合い。
宇良を頭から土俵に突き刺すような豪快な上手投げで2勝目を挙げた。
大関経験者の高安は今場所、1年ぶりの三役復帰となった。
2日目の取組前に負傷し、3日目に「急性腰痛症で約2週間の安静加療を要する見込み」との診断書を提出して休場。
5日目まで1勝2敗2休だった。
6日目、場内の温かい拍手が、今年の初勝利の特別な意味を彩った。
西前頭二枚目の阿炎が持ち味のもろ手突きとのど輪で豊昇龍の動きを封じてから引き落とし。
大関撃破で連敗を5で止め、昨年12月に60歳で死去した師匠の錣山親方への手向けの白星をつかんだ。
6日目、大関経験者で西前頭7枚目の朝乃山が土つかずの6連勝。
5戦全勝で並んでいた関脇琴ノ若が敗れたため、6日目にして優勝争いの単独トップに立った。
腰の重い錦木相手に、右四つの体勢になったが左上手が取れない。
状況を打破しようと左を巻き替えたが、錦木に逆の右を巻き返され、狙っていたもろ差しの体勢は取れなかった。
腰が浮いたところを攻め込まれたが、下手投げを打ちながら回り込み、最後はその左からの下手投げでけりをつけた。
やや強引にも見えた巻き替えに、報道対応した日本相撲協会の八角理事長も「錦木は腰が重いから巻き替えにいったんだろうが危なかった」と指摘。
さらに、かねて朝乃山の課題に挙げていた上手の取り方についても「おっつけながらの上手になれば本物だが、まだまだ(以前のようには)戻っていない。
上手が深いから、もっと下から引きつけるように取らないと」と求めた。
東前頭8枚目北青鵬が初場所6日目の19日、日本相撲協会に休場を届け出た。
師匠の宮城野親方によると、5日目の湘南乃海との取組で古傷を抱える右膝の状態が悪化した。
再出場は厳しいという。
5日目を終えて2勝3敗だった。
北青鵬の休場は十両だった2021年11月の九州場所以来。
6日目の対戦相手、竜電は不戦勝。
6日目、王鵬が祖父に当たる優勝32回を誇る昭和の大横綱・大鵬、納谷幸喜さんの命日に初勝利をあげた。
遠藤を受け止め、右で突き落としを狙った。
倒せなかったが、体勢を崩すことには成功。
そこを見逃さず一気に前へ出て押し出した。
4連勝に「立ち合いは思った形とは違った。でもしっかりを前を向いて圧力をかけられた」と充実感があふれ出た。
19日は大鵬、納谷幸喜さんが72歳で死去してから11年になる。
孫の王鵬にとっては特別な日だったが、5連敗中だった。
6日目、新入幕の大の里が幕内宝富士を一方的に押し出して5勝目(1敗)。
大の里は実力者の宝富士に完勝。
取組後は「良かったと思います。みんな強い相手なので、自分の武器をぶつけていきたい」と初々しく意気込んだ。
2年連続アマチュア横綱の実績を引っ提げ、昨年夏場所に幕下10枚目格付け出しでデビュー。
昭和以降3位タイの所要4場所で新入幕を果たした今場所は、序盤から大器の片りんを見せつけている。
2024/01/19
5日目、3場所ぶりに出場した照ノ富士は北勝富士をうまさと出足で圧倒し、4勝目を挙げた。
照ノ富士自身は「まだ全然だめ」というが、自らの置かれた立場の厳しさ以上に、横綱がいる意味が重なる場所の序盤を1敗で乗り切った。
5日目、綱獲りの霧島が終始防戦一方の展開から逆転勝ちした。
阿炎の猛攻を受けて俵に詰まったが、うまく回り込むと相手の足が勢い余って出た。
まさに“綱渡り”の勝利。
「しっかり場所前に稽古をしたことが(粘りに)出た。
最後まで残して頑張ったのが良かった」と振り返った。
連敗は許されない中、薄氷の白星をつかみ1敗を死守。
「一番一番集中して」と平常心を強調した。
5日目、大関豊昇龍が幕内豪ノ山に屈して土がついた。
豊昇龍は豪ノ山が先に両手をついてから合わせにいったが、一気に寄り切られる完敗。
取組後は取材に応じず、沈黙を貫いた。
5日目、関脇・琴ノ若が小結・宇良を送り出しで下し、初日から無傷の5連勝を飾った。
大関にまた一歩近づいた琴ノ若の盤石な相撲に、ファンも「上手い!」「強さが際立つ」と称賛の声を寄せた。
大関取りを目指す琴ノ若は五日目、新三役・宇良と対戦。
素早く動いて翻弄してくる宇良を落ち着いて捕まえると、上手を深く取ってから背中を奪い、送り出しを決めて危なげなく5連勝を遂げた。
琴ノ若は先場所で11勝、先々場所で9勝を挙げており、大関昇進目安とされる“3場所33勝”まで残り星8つと迫った。
ABEMAの視聴者も「上手い!」「盤石」「強さが際立つ」「余裕あるな」と称賛した。
5日目、関脇・大栄翔が東前頭筆頭の若元春を下して4勝目を挙げた。
鋭い立ち合いからの突っ張りで先手を取ったが、タイミングよく右からいなされると体勢を崩されて左四つに。
突き押し得意の大栄翔が相手十分の左四つに組み合う絶体絶命の状況となったが、まわしは与えず機を見て右から強烈な突き落としで転がした。
腰の痛みのため、大相撲初場所を3日目から休場している小結 高安が19日の6日目から再び出場することになりました。
高安は1年ぶりに三役に返り咲いた今場所、2日目に大関 霧島に敗れたあと「急性腰痛症」でおよそ2週間の治療を要する見込みだと診断され3日目から休場していました。
18日、日本相撲協会が発表した6日目の取組で高安は新小結の宇良と対戦が組まれ、再び出場することが決まりました。
休場が決まった際、師匠の田子ノ浦親方は「状況を見てだが、よくなれば再出場も考えたい」と話していました。
5日目、泥くさくトンネルを抜けた。
西前頭筆頭の熱海富士が、右差しを許すまいと右腕を手繰って頭をつけて粘る翔猿を、倒れ込みながら押し出して2024年初白星。
初日からではワーストだった4連敗を力強く止めてみせた。
引き揚げた支度部屋での第一声は「やっとだよ」。
質問が飛ぶ前の独り言に、安堵(あんど)感をにじませてから「長かった。切り替えて結果が付いてくれば思い、落ち着いて攻めました」
5日目、東前頭三枚目の豪ノ山の出足がさえわたった。
立ち合いから一気に前へ。
豊昇龍に上手を取られたが、お構いなしに勝負を決めた。
「足も前に出たのでよかった。前に前に。踏み込んでいけた」。
2勝目だが3日目の白星は不戦勝。
大関を破って”新年初白星”となった。
先場所の対戦では豊昇龍と仕切りで呼吸が合わず、立ち合うまで3分を超えた。
じらされ続けた豪ノ山は押し出されて4敗目。
後味の悪い内容となった。
その一件について話を振られると、「意識はしない」ときっぱり。
今回は押し相撲の豪ノ山らしいすっきりとした勝ち方となり、「前に出ないと自分の相撲を取らせてもらえないのは分かっているので」と迷いは全くない。
5日目、朝乃山にとって特別な日の一番を白星で飾った。
この日は2020年に亡くなった近大時代の恩師、伊東勝人さんの命日。
元大関の威厳を示して平戸海を問題にせず、土つかずの5連勝とした。
今年の目標に掲げるのは三役復帰。
「(伊東さんに)毎場所結果で恩返しする」との強い思いが、原動力になっている。
5日目、新入幕の西前頭15枚目大の里が、2連勝を飾り、序盤戦5日間を4勝1敗の好成績で通過した。
西前頭17枚目の碧山を立ち合いから押し込み、1度いなされたが、向き直して再び押した。
最後まで休むことなく攻め続けて押し出した。
立ち合いからの良い流れに「よかったと思う。前半戦(序盤戦)は、あまり立ち合いが良くなかったので、もう1回、攻める意識で行こうと思っていた。体が動いていたのでよかった」と、今場所は前日まで少なかった、内容にも納得の取組だった。
2024/01/18
4日目、3場所連続休場明けの横綱・照ノ富士が、今場所初の連勝を飾り3勝1敗とした。
突き押し自慢の東前頭3枚目・豪ノ山の当たりを受け止め、相手の右腕をたぐって左上手投げで転がした。
ただ「立ち合いで踏み込めるかどうか、ちょっと迷いがあった」と浮かない顔で振り返った。
初顔の挑戦には「若く勢いがある子がどんどん出てくるのは、いいことだと思いました」と歓迎しながらも、自身の動きには「まだまだ全然」と首をかしげた。
白星は伸び始めているが「(動きの良さは)勝ち星で変わることじゃない。本場所もそうだが、そうじゃないときも日に日に、という感じですね」と話していた。
4日目、霧島が翠富士の肩透かしに不覚。
横綱昇進が懸かる場所は4日目で土がついた。
小兵に中に入られて腕をきめにいったものの、相手が動きを止めず、果たせない。
すくい投げで崩されたところをうまく転がされ、「つかまえようと思ったが…」と言葉少なに振り返り、「またあしたから頑張ればいい」。
八角理事長は「安全に勝ちにいき過ぎて、思い切りがなかった」とみた。
4日目、大関貴景勝が初場所4日目の17日、「頸椎(けいつい)症性神経根症により今後2週間程度の安静加療を要する見込み」との診断書を日本相撲協会に提出して休場した。
師匠の常盤山親方によると、2日目の熱海富士戦後に首の状態が悪化した。
右腕に力が入らない状態だと言い、「今朝本人と話したら『休場させてください』と連絡がありました」と説明した。
続けて同親方は「無理をさせたくない。再出場はありません」と明言。
「本人からできないと言ってきたわけだから相当痛いはず」とおもんぱかり、「一生懸命にやってきたから。体が一番大事。ゆっくり治すように集中して休ませてあげたい」と話した。
貴景勝の休場は昨年7月の名古屋場所以来で11度目。
これにより4日目の新小結宇良の不戦勝となった。
貴景勝はこのまま再出場せず負け越すと、3月の春場所は8度目のかど番となる。
4日目、大関昇進の好機を迎えている関脇・琴ノ若が、無傷4連勝を飾った。
成長著しい西前頭筆頭・熱海富士の当たりを受け止め右をのぞかせると、体を開いて肩すかしで転がした。
「集中して取れたかなと思います。頭で考えるより先に、体がしっかり動いていると思います」と好調ぶりをうかがわせた。
看板力士への挑戦場所で、ここまでは上々の序盤戦だ。
4日目、関取衆最軽量116キロの東前頭2枚目翠富士が、大仕事をやってのけた。
2場所連続優勝を目指す綱とりの大関霧島に快勝。
得意の肩透かしで、無敗だった相手に土をつけた。
さらに結婚していたことも判明。
今場所後の2月14日には、都内で式を挙げることも分かった。
3場所休場明けから復活優勝を狙う、兄弟子の横綱照ノ富士の援護射撃にもなる今場所初白星。
巻き返して、来場所の新三役に望みをつなぎ、喜び二重奏、三重奏へとつなげるつもりだ。
4日目、ひたすら耐えた北勝富士が逆転の突き落としを決めて3勝目を挙げると、「よく耐えたな」「根性見せたね」と館内が大きな拍手に包まれた。
立ち合いもろ手突きで攻めた阿炎。
やや引いてから前に出ると、強烈なのど輪で北勝富士の上体を押し上げていく。
だがなんとか耐えた北勝富士が最後、右からの突き落としを決めて勝利をもぎ取った。
館内は拍手喝采。
逆転勝利を遂げた北勝富士は息も絶え絶えの様子で鼻を手で拭っていた。
4日目、元大関で西前頭7枚目・朝乃山が、平幕では唯一の無傷4連勝を飾った。
東同8枚目・北青鵬を寄り切った。
初日から4連勝は、再入幕で12勝した昨年夏場所以来。
この日は阪神大震災から29年となった。
今年の元日には能登半島地震が発生し、富山出身の朝乃山も心を痛めており、白星で少しでも被災地に勇気を与えていく。
大の里が島津海を圧倒し、新入幕同士の一番を制した。
3日目に初黒星を喫して「(気持ちが)軽くなった」。
土つかずだった相手に何もさせず土俵下まで吹っ飛ばし、「先場所で負けているので意識した。自分の立ち合いができた」。
注目を集める23歳の大器。
まずは勝ち越しを目標に掲げる。
「一日一番、集中してやるだけ」と言葉に力を込めた。
2024/01/17
3日目、3場所連続休場明けの横綱・照ノ富士が、連敗を免れた。
西前頭2枚目・阿炎をとったりで退け、2勝1敗で白星を先行させた。
照ノ富士は、阿炎の右のど輪を食らって上体がのけぞったが、左からいなして後ろを向かせるも、すぐに相手が反応。
再び左からいなしたが、距離ができて阿炎の逆襲を許した。それでも下がりながらのとったりで転がした。
調整不足が懸念されていたが、照ノ富士自身も「昨日(2日目)の相撲もそう。稽古が足りていない」と認めた。
ただ一方で「万全ではないが(腰などの)痛みの具合はよくなっているのは事実。もう少し時間をかけてやっていきたい。15日間取り切るのが大事」と皆勤に意欲を見せた。
3日目、綱とりに向け、取りこぼしだけは避けたい序盤戦。
ここに課題を抱える霧島が、優勝した先場所に続き初日から3連勝を飾った。
「稽古のおかげ。一生懸命、力を出してやっているから」。
早くも力を発揮している。
立ち合いで予想より低く熱海富士に当たられた。
思わず引き、あっという間に土俵際へ。
ここからが真骨頂だ。下がりながら左を差し、すくうように揺さぶり体を入れ替えた。
間髪入れずに右も差し、まわしを握って相手の上体を起こす。
最後は反撃の隙を与えず寄り切った。
「考えてきたな」と相手の立ち合いを褒めつつ、「焦らず攻められた」と貫禄を漂わせた。
3日目、琴ノ若が相手のお株を奪う肩すかしで、3連勝を飾った。
自身よりも15センチ身長が低い、174センチの翠富士に潜り込まれないよう、踏み込みすぎない立ち合いを選択。
得意の肩すかしを狙える体勢だった相手の両腕をきめ上げ、さらに右をのぞかせると、上から押しつぶすように相手の得意技で勝負を決めた。
「落ち着いて取れた。(肩すかしを)打たせないように、相手に圧力をかけながら攻めた。
(自身の肩すかしは)たまたま」と、冷静に話した。
元大関で、東小結の高安が初場所3日目、日本相撲協会に「急性腰痛症で約2週間の安静加療を要する」との診断書を提出し、休場した。
1年ぶりに三役に復帰した今場所は、2日目を終えて1勝1敗だった。
高安の休場は昨年5月の夏場所以来。
師匠の田子ノ浦親方によると、2日目の大関霧島との取組前に体を動かしている際に痛めた。
師匠は「良くなれば、可能性はある」と述べ、回復次第では再出場する見通しを示した。
3日目の対戦相手、豪ノ山は不戦勝。
3日目、若元春が初金星を挙げた2日目に続き、今度は“銀星”となる大関貴景勝撃破に成功した。
立ち合いから一気に土俵際に押し込まれたが、耐えて残すと反撃。
まわしにこだわらずに前に出て突き出した。
「弱気にならずに取ろうと思っていた。気持ちで負けずに押し返せた」と胸を張った。
続けて「三役でもないので勝つ相撲よりも、自分が取りたい相撲と考えていた。押し込まれても我慢した」と話し、引きやはたきで逃げずに勝ちきり胸を張った。
3日目、カザフスタン出身の東前頭6枚目・金峰山が一山本を破って2勝1敗とした。
長い腕を生かした持ち味の突っ張りで一気に前に出て完勝。
「突っ張られないようにした。前回負けているのでその悔しさもあって力入った」と先場所の雪辱を果たした。
この白星が通算100勝の節目。
日大を卒業して21年九州場所で三段目付け出しデビューしてから約2年、これまで負け越しは2場所だけの通算100勝58敗と高い勝率で番付を上げてきた。
早いスピードでの100勝到達に「うれしいですね。早過ぎたかな?」と自分でも少し驚いた様子だった。
3日目、元大関で西前頭7枚目の朝乃山が3連勝発進した。
白星への道筋は右四つだけじゃない。
立ち合いで左を深々と差して一気に前へ。
脇を締めた右も差し、けんか四つの湘南乃海に何もさせずに寄り切った。
「左がうまく入って体を密着させて、右は差されないように固めて立てたと思います」。
稽古場で右四つに組めなかった経験をしっかり生かしたが「まわしを取らないとだめ」と反省。
新たな攻め手はまだまだ、伸びしろを秘めている。
3日目、新入幕の島津海は宝富士を寄り切り3連勝とした。
27歳の新入幕が連日、活気ある相撲で館内を沸かせている。
初日から白星を2つ並べた島津海。
この日は幕内在位72場所のベテラン宝富士との対戦だった。
島津海がもろ差し狙いなのに対して、宝富士の得意は左四つ。
焦点だった差し手争いを制したのは島津海だ。
身長175センチ、体重160キロの体を低く構え、相手の左腕を下から何度もはじき上げる。
動きの中で抱き付くように2本差すと、一気に走って寄り切った。
次々と新世代の力士が登場する角界だが、2024年は豊作の年になるかもしれない。
3日目、序ノ口の取組前に行われた「前相撲」には東・西に分かれて計13人の力士が登場。
まだ本場所デビュー前の初々しい様子の中にも、早くも関取クラスの体格を誇る者も含まれ、ファンから「新弟子多いな!」「強そう」といった声が飛び交うことになった。
2024/01/16
2日目、3場所ぶり復帰の横綱照ノ富士が、早くも初黒星を喫した。
元関脇の平幕、若元春と対戦。
相手の得意な左四つになられ、さらに右上手を許す苦しい展開に持ち込まれた。
1分40秒余りにわたる長い相撲となり、最後は土俵際まで押し込まれて寄り切られた。
189日ぶりの白星で好発進を切った照ノ富士だが、2日目にして金星を配給した。
師匠の伊勢ケ浜親方に自分から「出たい」と進言して出場を決めた。
稽古不足で師匠すらどこまでできるか分からないという厳しい状況下で臨んでいる。
まさかの敗戦だが、まだ星は五分。立て直しを図りたい。
2日目、横綱昇進がかかる大関霧島が、難敵を攻略して2連勝を飾った。
先場所で敗れ、さらに場所前の稽古で全く歯が立たなかった高安を力強く押し出した。
雪辱に燃えていた。
「稽古場で負けていたので、自分から思い切り当たっていくことだけを考えた」と、まわしにこだわらず前に出続け高安から白星をつかんだ。
横綱昇進がかかる場所で難敵から会心の内容を見せ、「力を出し切って次につながる相撲ができた」と喜んだ。
2日目、大関豊昇龍が翠富士を押し出して2連勝とした。
「とりあえず前に詰めてくると思った。あまり無理せずに集中してやろう」と翠富士の鋭い立ち合いに冷静に対処。
腕を手繰ってうまく体を入れ替え、押し出した。
初の綱とりに挑戦中で大関霧島について問われると、「それぞれのこと」とキッパリ。
モンゴル時代から同じ柔道場で稽古をし、各界入り後の対戦も、豊昇龍の8勝7敗と熾烈(しれつ)な争いを繰り広げている。
それでも意識はせず「自分のことしか考えていない。自分のことに集中する」と引き締めた。
2日目、大関昇進の好機を迎えている関脇・琴ノ若が連勝発進を飾った。
東前頭3枚目・豪ノ山を相手に立ち合いから踏み込んだが、押し返された。
だが右四つで食い止めると、左上手もつかんだ。
最後はタイミング良く体を開いての上手投げ。
「慌てないようにと思っていました。すぐに投げるのではなく、圧力負けしないで、うまく体を開いたと思います」と、うなずいた。
この日は幕内300回出場の節目。
ただ父で師匠の佐渡ケ嶽親方が歴代10位の幕内1260回出場を記録しているだけに「毎回、引き合いに出しますけど、師匠はどれだけ長いんだという話ですよ。まだ顔じゃない(身分不相応の意)です」と苦笑していた。
2日目、自らの武器を信じ、貫き、平幕若元春が初の金星を獲得した。
横綱照ノ富士に幕内3度目の挑戦で初勝利。
左四つでがっぷり組み合い、「自分の型に自信を持って取り切れた」と胸を張った。
立ち合いは突き放し、圧力を受けても下がらなかった。
動きの中で左を差し下手を引き、右上手も奪った。
左右ともに一枚まわしながら、最も力が出る得意な体勢。
一度は勝負に出たがこらえられると、土俵中央で膠着(こうちゃく)すること約30秒。
その間、肘を張りまわしを遠ざけ、横綱に上手を取らせなかったのが良かった。
最後は渾身(こんしん)の力を振り絞り、まわしを引きつけて寄り切った。
2日目、大関経験者で西前頭7枚目の朝乃山が、初日から2連勝を飾った。
十両だった昨年初場所以来、1年ぶり2度目の顔合わせとなった、最近2場所勝ち越し中の東前頭6枚目金峰山を破った。
初日は、先々場所で十両優勝、先場所で一時優勝争いの単独先頭に立つなど、最近2場所好調の一山本に快勝。
勢いに乗りそうな気配が漂い始めた。
2日目、西前頭13枚目の遠藤が隆の勝を押し出して初白星を挙げた。
「初日が出てよかった。変わらず一生懸命。自分ができることをやるだけ」と表情を変えずに振り返った。
能登半島地震の被害が大きい石川県穴水町出身。
この日は能登半島などがデザインされた化粧まわしを使用した。
「少しでも元気を送れるように頑張ります、また明日も」と話した。
2日目、新入幕の大の里が琴勝峰を破り、2連勝とした。
どよめきの中で、ざんばら髪の大器は冷静だった。
大の里が、立ち合いから琴勝峰に圧力をかけ続け、押し倒しで土俵下まで吹っ飛ばして2連勝。
十両だった昨年九州場所、本割と優勝決定戦でいずれも敗れた相手にきっちりやり返した。
同じ失敗はしない。
先場所は2番とも、左上手を許して攻め込まれ、投げで転がされた。
「思い切って当たって、動きの中で」。
まわしを探る暇も与えずに密着した一気の攻めを振り返り、少しだけ表情を緩めてうなずいた。
2024/01/15
初日、腰痛などによる休場から3場所ぶりに復帰した横綱・照ノ富士が、白星発進した。
新小結・宇良の右腕をきめながら豪快に振り、力強く押し出した。
白星は昨年の名古屋場所初日以来、189日ぶりとなった。
この日は横綱審議委員会(横審)による場所総見だった。
“御前”で貫禄を示し、復調ぶりをアピールする形ともなった。
初日、綱獲りの霧島は若元春を冷静に引き落とし白星発進。
「もっと前へ出て内容のいい相撲を取りたかった」と反省するも、「集中はできていた」とうなずいた。
この日の朝稽古後、師匠の陸奥親方から「稽古場では近くで見てやれるが、本場所では1人。しっかりやれよ」とハッパをかけられた。
春場所後に日本相撲協会の定年を迎える師匠への恩返しに向け「いつも通りいけばいい」と平常心を強調した。
初日、豊昇龍が先場所は初顔合わせで敗れていた熱海富士に雪辱した。
立ち合いすぐに右下手を引くと、最後まで離さなかった。
下手投げで振って相手の体勢を崩すと、そのまま寄り切った。
「先場所は攻めすぎた。今場所は攻めすぎないことを意識した」と、相手をよく見て快勝。
右膝のサポーターは、9日の稽古総見で倒れた際、俵に打ちつけた際の打撲だというが「大きなケガじゃないから大丈夫」と、笑顔で話していた。
初日、大関貴景勝は立ち合いで変化してきた翠富士に冷静に対処し、初日白星をつかんだ。
6、7日に行われた場所前の二所ノ関一門の連合稽古は首痛の影響で不参加。
7日までは相撲を取る稽古も再開しておらず、調整不足ではと心配されたが、初日に間に合わせてきた。
「明日も集中してやります」と力を込めた。
初日、大関昇進待ったなしを強烈に印象づけた。
大関とりの関脇琴ノ若が、西前頭2枚目の阿炎に快勝。
立ち合いから相手の突っ張りに上体をのけぞらせたが、1歩も引かずに前に出続けた。
距離を詰め、相手のリーチの長さを封じて最後は土俵下まで押し出した。
「我慢して取ることができた。(相手の引きは)頭にあったけど、慌てないことだけ考えた。落ち着いて、狙い通りに取れた」と、納得顔で話した。
初日、高安が北勝富士に圧力勝ち。あてがいながら難なく押し出した。
「前に出ることができた。体がうまく動いた」と納得の様子。
2場所連続で10勝を挙げ、1年ぶりに三役に返り咲いた。
場所前にあった横綱審議委員による稽古総見では霧島、豊昇龍の2大関を圧倒するなど、好調ぶりを印象付けており、「いいスタートを切ることができた。やることをやってきたので」。短い言葉にも自信がにじむ。
初日、自己最高位の前頭筆頭まで番付を上げた熱海富士は、豊昇龍に寄り切られて黒星スタートとなった。
取組前には、昨年の秋、九州と2場所連続で優勝争いに加わった活躍が評価され、受賞した東京中日スポーツ、中日スポーツ制定の「幕内最優秀新人賞」の表彰もあって「評価していただいた分、これからが大事になる」と気合を入れ直していた。
初日、大関経験者の西前頭7枚目・朝乃山は、先場所は一時優勝争いの単独先頭に立っていた同い年の一山本を圧倒した。
立ち合いから突いて出てきた相手に、左おっつけで対抗。前進を許さずに反撃し、押し出した。
先場所は初日から7日間休場していただけに「初日から出られたのはうれしい。今日の初日のために稽古してきた」とうなずいた。
富山市の実家は、能登半島地震から日常を取り戻したというが「土俵で戦う姿を見せて、相撲で恩返しするしかない」と、北陸地方を勇気づけたい思いは強かった。
初日、上松町出身の東前頭9枚目・御嶽海は、西前頭9枚目・明生に押し出しで勝ち、白星発進した。
物言いがついて取り直しとなった一番も圧力を弱めず、自分の相撲を取り切った。
最初の取組は一気の出足を見せたが、土俵際で回り込まれた。
取り直しの一番も同じような展開となったが今度は反応よく足を運び、動く相手を逃さなかった。
2日目の15日は西前頭8枚目・平戸海と当たる。
過去2回対戦し、いずれも御嶽海が敗れている。
初日、新入幕の大の里は武将山をはたき込んで幕内白星デビュー。
幕下、十両をそれぞれ2場所で通過し、昭和以降3番目のスピード出世を果たした23歳は「立ち合いの集中を欠いていた」と相手の当たりを受ける内容を反省を忘れなかった。
石川県津幡町出身で、能登半島地震の被災地に対しても「いい姿を見せたい。一日一番、集中する」と思いを寄せていた。
2024/01/14
初場所で横綱昇進が懸かる大関霧島が、気力充実で初日に臨む。
同場所初日を翌日に控えた13日、会場の東京・両国国技館で行われた優勝額贈呈式に出席。
昨年11月の九州場所で2度目の優勝を飾り、今場所優勝なら昇進濃厚。
初の綱とりへ「気合でいくと決めたので頑張るだけ」と力を込めた。
初日は昨年全6場所で三役の東前頭筆頭若元春、2日目は場所前の稽古総見で3戦全敗、本場所では過去5勝7敗と苦手の小結高安と、いきなり難敵が続く。
さらに過去10戦全敗の横綱照ノ富士も出場するが「当たったらやるしかない。逃げることはない」と、天敵撃破での昇進を見据えた。
式典は昨年秋場所優勝の大関貴景勝も出席し「いつでもやってやるという気持ち。一生懸命、気合を入れてやるだけ」と力説した。
西前頭2枚目・阿炎が13日、初場所へ向けた最終調整を行った。
土俵に降りてから約1時間半、四股やすり足の基礎運動と一丁押しなどで汗を流した。
初日に琴ノ若、2日目に大栄翔と、大関昇進を狙う両関脇と対戦する。
「(相手は)強いけど、しっかり自分をぶつけていけるように集中して取りたい」と気持ちを高めた。
初場所は14日に両国国技館で初日を迎える。
13日には土俵祭りが営まれ、日本相撲協会の八角理事長や審判部の親方らが15日間の安全を祈願した。
新型コロナウイルスなどの感染症対策で力士は出席しなかったが、一般客約600人が見守った。
日本相撲協会の芝田山広報部長は初場所に向け、「(力士)それぞれが攻防がある熱のこもった相撲を繰り広げてもらいたい」と奮起を求めた。
能登半島地震で大きな被害が発生している中、「相撲をしっかり開催することで、被災者の皆さんへの応援、励ましを伝えなければならない」と強調した。
館内に募金箱を設置するほか、協会としての支援は今後検討する。
日本相撲協会は13日、初場所15日間の懸賞申込本数が2366本と発表した。
昨年の2007本を上回り、新規は10社。
力士指定では貴景勝と霧島の両大関、関脇琴ノ若、前頭御嶽海が人気を集めた。
2024/01/13
3場所連続休場明けの横綱・照ノ富士は初日に新小結の宇良、2日目に若元春と顔を合わせる。
会議後に取材に応じた審判部の佐渡ケ嶽部長は宇良戦が今場所を占う一番になる可能性が高いと指摘。
「宇良にかき回されて負けるようでは(横綱の)腰、膝がやはり悪いのかなとなる」と見解を述べた。
大関昇進に挑む関脇琴ノ若は12日、千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋で立ち合いの確認などを行った。
本場所用の締め込みで汗を流し「上へ上がるにはただの白星ではなく、内容のいい相撲が求められる。
そのための準備はしっかりしてきた」と意気込みを語った。
今場所は初日から1横綱3大関がそろい、戦いは激しさを増す。
「気持ちで負けないこと。苦しくても辛抱すれば、いい相撲が取れる」と気合を入れる。
初日は難敵の阿炎戦が組まれ「どんな相手でも負けない気持ちでぶつかる」と集中力を高めていた。
大相撲で富山市出身の大関経験者、西前頭7枚目の朝乃山が、元日に起きた能登半島地震の被災者を勇気づける、2桁白星と優勝争いを誓った。
初日を2日後に控えた12日、都内の部屋で調整。
自身はコロナ規律違反の6場所出場停止処分から復活半ばだけに、故郷への思いも背負って戦う決意だ。
3月に30歳になる。
今場所が20代最後だ。
節目の年が暗い出来事で始まった分「この1年が勝負」と決意も新た。
謹慎休場を除き、年6場所で唯一、初場所は負け越しなしと験の良さも後押し。
北陸地方に明るい話題を届ける24年にするつもりだ。
大相撲初場所で第38代木村庄之助(64)=高田川=が誕生した。
第41代式守伊之助が昇格し、2015年春場所以来約9年ぶりに行司の最高位が復活した。
本名は今岡英樹(いまおか・ひでき)。
12年初場所で第11代式守勘太夫を襲名。
13年夏場所から三役格。
19年初場所から立行司に昇進し、第41代式守伊之助に。
24年初場所から木村庄之助となった。
2024/01/12
横綱・照ノ富士が初場所に出場することとなった。
師匠の伊勢ケ浜親方が11日、明言した。
照ノ富士は腰痛などの影響で3場所連続休場中。
初日から出場すれば3場所ぶりで、昨年夏場所以来の優勝を目指して復帰の土俵に臨むこととなる。
一人横綱が3場所ぶりに土俵に帰ってくる。
出場可否判断のリミットとなる取組編成会議を前日に控え、照ノ富士の師匠・伊勢ケ浜親方は「出ることになっています。本人は“調子が良い”と話している」と明かした。
大関霧島が11日、都内の時津風部屋を訪れ、錦木や正代ら関取衆と29番(23勝6敗)取って、出稽古を打ち上げた。
初の綱とりに挑む初場所直前でも稽古量を落とさず、調整してきた。
「場所が来るのが楽しみ。いつもと変わらずにいきたい」と決意を語った。
前日にも時津風部屋に行き連続33番相撲を取り、この日も錦木、正代、王鵬、豪ノ山、北青鵬を次々と指名して三番稽古を行った。
まわしにこだわらず、のど輪を交えた攻めから押し出したり、隙を見て豪快な投げを繰り出したり。
それぞれの力士に応じて攻め方を変える様子を見せた。
先場所敗れた豪ノ山とは最多の11番取り、力強い押しに残せず土俵を割った際に「あー、くそぉ〜」と悔しそうに声を出す場面もあった。
稽古後には「30番取るのが目標だった。ちゃんと稽古はやれている」と手応えを口にした。
大関昇進を狙う関脇琴ノ若は、千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋で出稽古に来た関脇大栄翔と10番続けて取り、5勝5敗だった。
「ここまで内容の濃い稽古を積めた。挑戦できることに感謝して、精いっぱいやっていきたい」と奮闘を期した。
昇進すれば、母方の祖父で横綱まで上り詰めた先代師匠の「琴桜」を襲名予定。
一方、父で師匠の佐渡ケ嶽親方から受け継いだ現在のしこ名にも強い愛着を抱き「何場所か大関としてやってから変えるのもいいかなと思う。師匠への恩返しにもなる」と考えを巡らせた。
関脇大栄翔が千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋へ出稽古し、大関昇進に挑む関脇琴ノ若を相手に突き、押しの感触を確かめた。
8、10日も訪れており、9日の稽古総見を含めて4日連続で琴ノ若と手合わせ。
「一番勢いがあるし、実力がある。気持ちを入れてやった」と汗を拭った。
昨年は6場所全てで勝ち越したが、大関昇進が期待された名古屋場所では9勝止まりと勝負どころで力を発揮できなかった。
「そこがもう1つ上に行けない弱さ。今年はいいスタートを切って、優勝もしたい」と決意を新たにした。
自己最高位の西前頭筆頭で臨む熱海富士がこのほどスポーツ報知の取材に応じた。
昨年は秋、九州場所で優勝争いし、角界の次代を担う力士として注目を浴びた。
新三役が目前の2024年は初賜杯への期待が高まる。
真価が問われる新年の土俵へ「熱闘」の2文字に思いを込めて、躍進を誓った。
東前頭3枚目の豪ノ山が、目標の三役昇進へスタートダッシュを決める。
11日、都内の時津風部屋で出稽古に訪れ、大関霧島らと熱のこもった三番稽古をした。
出足を止められて敗れる場面は多々あったが、低い当たりから一気に持っていくなど見せ場も作った。
前日にも同部屋を訪れて霧島と2日間で計22番取るなど充実した稽古を積めたことに「場所前に大関と良い稽古ができた」と感謝を口にした。
2日連続で大関の胸を借りて稽古を積んだことについて「相撲も圧倒される内容も多く、まだまだだなと思うのが多かった。足を止めると勝てないと分かったので、自分の前に出る相撲でいきたい」。
今年の目標には三役昇進を掲げており、「ゆっくりはしてられない。上がれる時に上がりたい」。
22年九州場所から7場所連続で勝ち越しと勢いに乗る25歳。
初場所からエンジン全開へ。
「毎場所が勝負。今場所もしっかり勝ち越せるようにいきたい」と誓った。
富山市出身の朝乃山関は、能登半島地震で被災した人たちへの直筆メッセージを朝乃山富山後援会に寄せた。
「頑張ろう北陸!!頑張ろう富山!!」と結んでいる。
北青鵬が11日、都内の時津風部屋へ出稽古に訪れ、大関霧島らと13番相撲を取り調整した。
「体も動いてますし、いろんな人と良い稽古もできてます」と話し、今年の目標について「絶対に三役に上がるという気持ちで頑張らないといけない」と気を引き締めた。
現役最長身の204センチの恵まれた体を武器に昨年春場所で新入幕を果たし、幕内6場所目は東前頭8枚目で臨む。
師匠の宮城野親方からは「去年の自分よりもさらに上へ」と言われ、「初場所から優勝争いができるようにしたい」と誓った。
注目の大器が、いよいよ幕内の舞台に立つ。
192センチ、183キロと堂々たる体格を誇る23歳の大の里は、幕下10枚目格付け出しデビューから所要4場所で新入幕を果たした。
「1日でも早く番付を上げて、上にいきたい」と大志を抱く。
初めて力士として新年を迎えた1日。
故郷の石川県を能登半島地震が襲った。
津幡町にある実家も停電や断水の被害を受けた。
「能登が好きなのですごく悲しい。初場所で頑張って、いい姿を見せるのが一番」とあふれる思いを口にした。
近年は混戦続きだけに、親方衆からは「大の里は優勝候補の1人」との声も上がる。
本人は「まずは勝ち越しを目指す。先のことは考えない」と謙虚に語る。
2024/01/11
横綱昇進に挑む大関霧島が10日、東京都墨田区の時津風部屋へ出稽古し、同じく出稽古の幕内北勝富士らと連続で33番取り、24勝。
「いろいろと調整してみたかった。もっと取れたな」と貫禄を漂わせた。
「立ち合いで当たって、そこから残す」ことをテーマに臨んだ。
昨年の九州場所で敗れた幕内豪ノ山とは最も多く胸を合わせた。
低い当たりを受け止め、豪快に投げたり、万全な四つの体勢で寄ったりするなど強さを示した。
「もうちょっと当たれれば良かったけど」と反省しつつも、息が上がる相手とは対照的にスタミナ面でも余裕を感じさせた。
大関貴景勝は10日、東京都板橋区の常盤山部屋でスクワットなどの基礎運動で調整した。
首に不安を抱え、思うような稽古ができていないが「下半身さえしっかりつくっておけば大丈夫。しっかり準備して初日に感覚を合わせていく」と前向きに語った。
この日も器具を使って入念に首をケア。
首周辺を付け人に押させると、思わず顔をしかめた。
師匠の常盤山親方は「首の調子が全てだが、場所には出る。痛みが分かるのは本人だけなので任せるしかない」と話した。
初場所で大関昇進に挑む関脇・琴ノ若が10日、出稽古に訪れた関脇・大栄翔との三番稽古(同じ相手と続けて取る)で汗を流した。
同じ大関候補の実力者を相手に10勝5敗。
突き押し自慢の相手に下がる場面はあったが、圧力をかけての寄りなど力強さも見せた。
「続けて(強度の高い稽古を)できているので、いいんじゃないですかね」と手応えを語った。
「師匠を超える番付だし、先代に追いつくために行かないといけない番付なんで、そこは死ぬ気で取りに行かないといけないなと思っています」と勝負の場所への覚悟を示した。
2024/01/10
横綱審議委員会による稽古総見が9日、東京・国技館内の相撲教習所で行われ、腰の負傷で3場所連続で休場している照ノ富士は、霧島、貴景勝の両大関、関脇大栄翔を指名して稽古。
まわしが取れれば安定した取り口を見せ「悪い流れではない。大丈夫だと思う」と振り返った。
出場に向けても「そのつもりでいます」。
まだスタミナ面に不安があるが、八角理事長は「序盤を乗り切れれば大丈夫だと思う」とポイントを挙げた。
横綱審議委員会による稽古総見が9日、東京・国技館内の相撲教習所で行われ、横綱昇進に挑む霧島は平幕に3勝したが照ノ富士に2敗、高安に3敗と横審へのアピールとはいかなかった。
本人も「調子は悪かった。番数少なかったですね。あんまりよくなかった」と不完全燃焼。
昇進するには越えなければいけない壁である照ノ富士に対しては、「久しぶりに横綱とやって、力負けしました」。
初日までの4日間で追い込んでいく。
初場所に向け、時津風一門が国技館内の相撲教習所で連合稽古を行った。
一門外から大関・豊昇龍が参加。
合計では18番取って10勝8敗。
うち、霧島との大関同士の稽古では1勝4敗だった。
豊昇龍は霧島に“もう一丁”を求めたが、応じてもらえず。
豊昇龍は「(最後は)熱くなっちゃったな」と笑顔ながらも、自ら稽古を切り上げた霧島にはご不満の様子。
横綱審議委員会による稽古総見が9日、両国国技館内の相撲教習所で行われた。
大関・貴景勝が横綱・照ノ富士と8番の相撲を取り、復調をアピールした。
貴景勝は照ノ富士の指名を受け、土俵に上がった。
「自然とそういう流れになった」。
最初の手合わせでは敗れたが、続く対戦ではハズで起こして、押し出した。
4度目の対戦でも得意の押しで押し出した。
2勝6敗に終わったが「自分より番付が上なので精いっぱい当たっていこうと思った。肌で感じられてよかった」と手応えを感じていた。
6、7日の二所ノ関一門の連合稽古は首の不安のため欠席していたが、「今のところはいつも通り」と安心した様子。
初日に向けては「一番良い状態でやれることを毎日考えている」と意気込んだ。
今年も横綱昇進を目標にすることを明かした。
初場所で大関昇進に挑む琴ノ若。
「考えることも大事だが、考え過ぎて硬くなっても仕方がない。できることをやる」。
重圧をよそに、迷いはない。
稽古場では無心に汗を流す。
7日に千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋であった二所ノ関一門の連合稽古では、一門外から参加した霧島らと手合わせ。
大関より先に土俵に入っており、体力が消耗している状態での踏ん張りを意識。
「そこで辛抱できるか。我慢して勝機を見いだすことが大事」。あえて負荷をかけ、自らを追い込む。
横綱審議委員会による、東京場所前恒例の稽古総見が9日、東京・両国国技館内で行われ、大関経験者の小結高安が、大関2人を圧倒した。
霧島と豊昇龍の2人に3度ずつ勝ち、大関戦6連勝。
最後は前頭若元春も退け、無傷の7連勝で随一の存在感を示した。
圧力をかけて寄り切ったり、低い姿勢の相手を突き落としたりと攻めも多彩。
「(番数は)少なかったけど、我慢強く取ろうと思っていた。いい稽古ができた。(状態は)悪くはない」。
2大関に押し込まれても踏ん張って逆転など粘り強さも光った。
自己最高位の西前頭筆頭で臨む熱海富士は都内の伊勢ケ浜部屋で幕内宝富士と新十両尊富士を相手に29番取った。
人気上昇中の21歳のホープは「応援してくださる方が増えるのはうれしい。番付を上げたい」と今年の抱負を語った。
2場所連続で千秋楽まで優勝争いに加わり、今場所は初めて上位陣総当たりの位置に浮上。
「昨年で大体のことを経験したので緊張することもないかなと思う。強い人ばかりなので勝てるようにしたい」と頼もしかった。
元大関で富山市出身の朝乃山が9日、東京・両国国技館内で行われた横綱審議委員による稽古総見後に取材に応じ、1日に起きた能登半島地震を受けて、「自分たちは土俵の上で戦い、北陸の人に勇気を与えたい」と語った。
富山県内でも大きな揺れや津波が発生。
1日は東京にいたため、親族らに電話で安否を確認したという。
まずは三役復帰を目指す中、初場所では故郷に明るい話題を届けたいところ。
「皆さんが少しでも元気になれるように。昨年よりも良い一年にしたい」と意気込みを示した。
二所ノ関一門連合稽古が6日、東京・墨田区の高田川部屋で行われ、新入幕の大の里が大関・霧島と5番とった。
多くの幕内力士が見つめる中、霧島は元アマ横綱を指さした。
大関と相撲を取るのは初。
「びっくりましたし、先場所優勝している方に胸を借りるつもりでいった」。
最初の手合わせでは、鋭い立ち合いで押し込み土俵際へ。
網打ちで逆転負けしたものの、いきなり看板力士を慌てさせた。
その後も善戦し、稽古場の親方衆と関取衆はホープの相撲に目を奪われた。
4度目の対戦では一気に押し込み、押し出した。
霧島には1勝4敗だったが「指名は驚いたし、緊張していた。思うようなことができなかった」と振り返った。
2023/12/05
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2023/11/27
千秋楽、貴景勝は「立ち合いがすべて」と押し切れず、霧島に突き落とされた。
3度目の綱とりの主役は9勝に終わった。
今年1年を振り返り、「けがもしたし、優勝もしたし。妥協したつもりはないし、一生懸命やってきたが、また頑張るしかない」。
来年初場所は霧島が綱とりに挑む。
今度は自身が試練の壁となる。
千秋楽、大関・霧島が春場所以来、2度目の優勝を飾った。
1差で追っていた平幕の熱海富士が敗れて決まると、結びの一番で大関・貴景勝に突き落としで勝ち、13勝2敗とした。
霧島の優勝を見届けた師匠の陸奥親方は、照れくさそうにこうつぶやいた。
「あっぱれ。いい親孝行だな」。
来年4月に定年を迎える鹿児島県出身の師匠が最後となる九州場所。
大関昇進時に「霧島」のしこ名を譲り受けたまな弟子も「親方から素晴らしい名前をいただいて、優勝したいという気持ちでした。優勝できてよかった」と感無量の表情で2度目の賜杯を抱いた。
熱海富士が敗れたことで決まった優勝だが、結びで貴景勝から13勝目を奪って締めた。
来年の初場所は綱とり。入門を決めた8年前に師匠と交わした約束を、果たすときがきた。
千秋楽、豊昇龍が自画自賛の好内容で今年を締めた。
鋭い踏み込みから、立ち合いで大栄翔に、突きを繰り出す間を与えずに左を差した。
振りほどこうとする相手に何もさせず、一方的に寄り切り。
「今場所で1番いい相撲を取れた」と、うなずいた。
新大関の先場所は千秋楽に勝ち越しを決めたが、今場所は2桁白星。
1段階成績を上げたが、1場所先に大関に上がったライバルの霧島に、大関として初優勝で先を越され「悔しい。稽古して来場所は狙っていきたい」と力を込めた。
千秋楽、琴ノ若が、初賜杯の可能性を残していた熱海富士を退けて白星で締めた。
頭で当たってきた相手の圧力に負けず、タイミング良く土俵にはわせた。
「落ち着いて相手が見えていた。体が反応した」。
11勝目を挙げ、5度目の敢闘賞も獲得。
新関脇で臨んだ9月の秋場所から白星を20個積み上げた。
来年1月の初場所は大関昇進を懸けることになるが、「また稽古を積んで、良い形で臨めるように準備したい」と気を引き締めた。
千秋楽、小兵、くせ者、業師と、数々の異名を持つ西前頭筆頭の宇良が、31歳にして来場所の新三役に大きく前進した。
自身より29センチも高い、現役最長身204センチの北青鵬を押し倒し。
もろ差しで組みつくと、肩越しの上手を許さず、肩透かしで相手の体勢を崩して攻め立て、7勝7敗同士の一番を制した。
前夜は「しんどかった」と、寝付きが悪かった。
それだけに「勝ち越せてよかった」と、ホッとした表情を見せた。
千秋楽、またも初優勝はお預けとなった。
優勝した大関霧島を、1差で追っていた西前頭8枚目の熱海富士は、関脇琴ノ若に引き落とされて11勝4敗。
霧島の取組前に、優勝が決まる展開となった。
大関貴景勝との優勝決定戦に敗れた先場所に続いて優勝に迫り、2場所連続となる敢闘賞を受賞。
三役をうかがうところまで番付を上げると予想される、来年1月の初場所の雪辱を誓った。
初優勝の壁は高かった。
頭からぶつかったが圧力は伝わらず、1度離れた直後に二の矢で頭から突っ込むと、ひらりとかわされた。
前のめりに倒れ込み、唇をかみながら立ち上がった。
支度部屋では霧島の取組を放心状態のままテレビに視線を送った。
「またダメだった…。今場所も上位では勝てない。厳しい」。
独り言のようにつぶやいた。
千秋楽、一山本は金峰山をはたき込み、幕内自己最多の11勝目を飾って初の三賞、敢闘賞を受賞した。
「めちゃくちゃ緊張しました」。
敢闘賞はこの日の相撲に勝てばの条件付きだったが「(知っていたかに)それはもちろん。トロフィーは一生の宝物にしたい」。
先場所は13勝で十両優勝。
つけてきた力を実証した。
「来場所は番付が上がる。そこでしっかり勝負できるようにしたい」と意気込んだ。
地元の人々も祝福した。
木村清彦町長は「初の三賞受賞は郷土の誇り。けがに気をつけて自分の相撲が取れれば、星を重ね、さらに上を目指せると思う」と期待を寄せた。
一山本の母校、大野農業高(北斗市)の相撲部顧問、布施美樹さんは「けがを機に、基礎に重点を置くようになったことで持ち味の突き出しを安定して取れるようになったのではないか」と分析。
同高OBでもある布施さんは、一山本が中学3年の頃から相撲を教えてきた。
9月に一山本が帰郷した際は、十両優勝を祝おうと部員みんなで胴上げしたという。
「先場所、今場所と活躍が続き、後輩たちの大きな励みになっている」と喜んだ。
千秋楽、西十両筆頭の琴勝峰が、3度目の十両優勝を果たした。
本割は、もろ手突きの立ち合いから朝紅龍を一気に突き出し。
先に取組を終えていた大の里と並ぶ12勝3敗とした。
大の里との優勝決定戦では、先に左上手を引いて振り回し、遠心力を使って上手投げで仕留めた。
先場所までは10場所連続で幕内を務め、11場所ぶりとなった十両土俵で、実力を示した。
返り入幕が確実な来場所は、1年前に幕内優勝を争ったが「今年と来年では、また違う。その時、その時に気持ちをつくって、挑戦する気持ちでいきたい」と、挑戦者の気持ちで臨むことを強調した。
今場所で初土俵から丸6年。
来年を飛躍の年にしたい思いをにじませた。
千秋楽、1年納めの九州場所が幕を閉じた。
今場所も連日の満員御礼で、今年は本場所開催全90日のうち、87日で満員御礼の垂れ幕が下がった。
盛況ぶりに日本相撲協会の八角理事長も「おかげさまです。協会員みんなが頑張った、かいがあった。お客さんに観てもらってナンボ。(コロナ禍から)よく戻ってきたと思う」と感慨深げに話した。
来場所は大関霧島の綱とり場所になる。
ただ理事長自身、一人横綱の経験があるだけに、現状に歯がゆさを感じざるを得ない。
「もう(横綱が)出てもいい。遅いぐらいだ。一人横綱になって普通は1年以内に(横綱が)出るでしょう」と、番付上で照ノ富士の一人横綱が、13場所連続となっている現状からの打破を、次期大関候補らに求めた。
2023/11/26
14日目、大関・貴景勝は関脇・大栄翔に完敗で、5敗目となった。
立ち合いから猛然と突いて出てくる相手に何もできず、突き出されて最後は土俵下まで転落した。
支度部屋では「立ち合い負けしたから。負けた原因はたくさんある」と悔しさをにじませた。
先場所は11勝4敗で優勝。今場所、ハイレベルな成績での連覇なら綱取りの可能性もあったが、絶望となっている。
賜杯のゆくえは、14日目終了時点で大関・霧島と平幕の熱海富士の2人に絞られていた。
優勝の可能性も消え、精神面での難しさを問われた貴景勝は「それは関係ない」と否定。
2023年最後となる千秋楽の霧島戦へ「14日間やってきたことを最後に出すだけですね」と語った。
14日目、大関霧島が平幕熱海富士との2敗同士の直接対決を寄り切りで制し、12勝2敗で単独首位に立った。
霧島は4場所ぶり2度目の優勝に大きく前進すると同時に今年61勝目で初の年間最多勝を決めた。
2位の関脇大栄翔と1勝差で残り1日での逆転が不可能となったため。
千秋楽は、大関貴景勝と対戦する。
14日目、大栄翔が貴景勝を突き出しで破り、9勝目。
初の年間最多勝に望みをつないだ。
過去5勝18敗の大関に快勝し「自信になる一番だった」と好感触だ。
千秋楽の豊昇龍戦に勝ち霧島が敗れれば61勝で並び、70年の北の富士、玉の海以来となる複数での年間最多勝に輝く。
来年の大関獲りにつなげるためにも2桁には乗せたいところで「最後も集中して、自分の相撲を取る」と気合を入れた。
14日目、琴ノ若は連敗を「2」で止め、来場所以降の大関昇進へ価値ある2桁白星に到達した。
互いに四つ相撲の湘南乃海と、立ち合いから突き、押しの応酬。
上手を許したが、前のめりになった相手を見逃さずに突き落とした。
優勝消滅で今場所後の大関昇進ムードも沈下したが、今年全て三役で、直近の11勝、9勝に続く10勝目。
「自信を持って明日、取り切りたい」。
昇進の望みをつなぐべく、優勝を狙う熱海富士戦での11勝目へと視線を向けた。
14日目、大関経験者で初日から7日間休場していた東前頭筆頭の朝乃山が、14日目にして会心の白星を挙げた。
同じく大関経験者で東前頭2枚目の正代に、立ち合いすぐに左上手を引くと主導権を握った。
右の差し手争いも制すると、鋭い出足のまま寄り切った。
これで3勝4敗7休。復帰土俵の8日目に勝った貴景勝戦は受ける展開、2勝目を挙げた前日13日目の若元春戦は辛勝だったが、ようやく内容も伴った完勝を飾った。
正代とは先場所も14日目に顔を合わせていたが、その時はもろ差しを許して完敗していた。
それだけに、この日の取組後は開口一番「先場所は2本差されて負けたので、しっかりと立ち合いで踏み込んだ。左(上手)が取れたのでよかった」と話し、雪辱の思いの強さをうかがわせた。
14日目、5連敗スタートから、星を5分に戻しただけに喜びもひとしおだろう。
前頭筆頭・宇良が、前頭四枚目・豪ノ山を粘りの相撲で撃破し、7勝目をあげた。
勝利を決めた瞬間の宇良の表情を受け、視聴者からは「超うれしそうにしてたなw」「嬉しそうだ」などの声が寄せられた。
立ち合いから豪ノ山の鋭い攻めに、押された格好の“業師”宇良だったが、下から攻めのタイミングを伺うなど、粘り強い相撲を見せる。
宇良は左まわしを取ると、低い体勢で前へと圧力をかけ、ジリジリと豪ノ山を追い込み、最後は寄り切った。
14日目、熱海富士は優勝争いから後退した。
大関霧島との2敗対決。
得意の右は差したものの、まわしは引けず。
巻き替えからもろ差しを許して力尽きた。
「(大関の強さに)言うことはない」と完敗を認めた。
成長著しい21歳は何度も首をかしげ、「あしたあるんで。頑張ります」。
悔しそうに言葉を絞り出し、支度部屋を後にした。
14日目、大関霧島が12勝目で今年の61勝目を挙げ、初の年間最多勝を確定させた。
2位の関脇大栄翔と1勝差で、残り1日での逆転が不可能となった。
千秋楽で霧島が勝つか、大栄翔が敗れれば単独での最多勝となる。
大関以上の年間最多勝は2021年の横綱照ノ富士以来2年ぶり。
霧島は九州場所前の時点で49勝の2位だったが、7日目から8連勝するなど星を伸ばした。
日本相撲協会の八角理事長は自らの経験を踏まえ「年間を通して、いい相撲を取れた証しでもある」と評価した。
津幡町出身、大の里は25日も勝って11勝とトップタイを守りました。
大相撲14日目、十両優勝へ、負けられない大の里。
相手は日体大の先輩、朝紅龍(あさこうりゅう)。
立ち合いから激しくぶつかると、体格差を生かして、相手を土俵際まで追い込み押し出しで、11勝目を挙げました。
これで琴勝峰(ことしょうほう)と並んでトップタイ!26日は千秋楽。
十両優勝へ期待が高まります。
14日目、右膝前十字靱帯断裂の大ケガから4場所ぶりに復帰した東幕下6枚目の元関脇・若隆景が千代の海を下して5勝目を挙げた。
立ち合い左で張って右を差しにいった若隆景が、相手の左突き落としに体を寄せてついていって押し出し。
前に出る一方的な内容で今場所最後の相撲を締めくくった。
復帰場所を5勝2敗で取り終えると「まずはケガなく終えられたことがよかった」と安どの表情。
序盤は1勝2敗になるなど本来の実力を発揮できずにいたが、最後は4連勝。
「徐々に体も動いてきた。また来場所に向けてしっかり体を作っていきたい」と、関取復帰を懸けて臨む来場所を見据えた。
2023/11/25
13日目、貴景勝が豊昇龍との大関対決を制し、4敗を守った。
だが、打ち出し後の取組編成で14日目に2敗の大関・霧島と幕内・熱海富士の対戦が決まったため、2場所連続優勝の可能性がなくなった。
13日目、落ち着いていた。
霧島は先場所で不覚を取った関脇大栄翔との一番を前に「自分の形でいこう」と誓った。
強烈な突き押しにも下がらない。
足腰の良さを生かし、あてがって起こす。
タイミング良くはたき込み、年間最多勝争いでトップに並んでいた相手に快勝した。
2敗を堅持。
平幕の熱海富士と優勝争いで先頭に並ぶ。
新大関として臨んだ7月の名古屋場所は休場もあって負け越し、いきなりかど番に。
先場所も賜杯争いに絡めなかったが、今場所は大関として初めての2桁白星に到達した。
「いつも通り。自分のやることをやっていく」と平常心を貫く。
13日目、琴ノ若は名古屋場所で11勝、秋場所で9勝をあげて今場所を迎えたが、残り2日を勝ち11勝となっても3場所合計は31勝で、大関昇進の目安となる直前3場所33勝には届かない。
支度部屋では落胆の表情で「残り2日?余計なことを考えず切り替えていきます」と必死に前を向いた。
13日目、元大関の正代は金峰山の押しに圧倒され、2場所ぶりの負け越しが決まった。
前日の12日目、宇良にとったりで敗れた際、倒れ込んだ相手に左膝に乗られ、しばらく立ち上がれなかった。
一夜明けて痛み止めをして臨んだ一戦。
「土俵に上がれば痛みはなかった」というが「(痛みより)怖さが先に立ってしまった」と険しい表情だった。
13日目、西前頭3枚目の翔猿が北青鵬を下して6勝7敗とした。
翔猿は幕内で最も背の低い1メートル73。
対する北青鵬は現役最長身の2メートル4。
31センチ差の対戦は、最小兵の翔猿に軍配が上がった。
立ち合いもろ手突きで距離を取ってから左に動いて相手の右腕を手繰って後ろについて送り出し。
小よく大を制して場内を沸かせた。
翔猿は、北青鵬が新入幕した頃から対戦を望んでいた。
普段から技とスピードで大きな相手を翻弄している翔猿だが、ここまで身長差のある相手と相撲を取るのは初めて。
「デカいね。おかしい(笑)」というほど、土俵上で向き合うとその大きさは想像以上だったようだ。
「つかまってはいけないなと。考えたとおり取れた」と狙い通りの勝利。
「宇良関の相撲を勉強した」と、同学年の同じ小兵の相撲からヒントを得た。
13日目、熱海富士が耐えて大きな白星をつかんだ。
大関経験者の高安の攻めに前傾姿勢を保ってしぶとく応戦し、「いつも通りに落ち着いていこう」。
土俵際で体を入れ替えて押し出し、「前に出ることができた。勝ててうれしい」と一息ついた。
14日目の結びで、2敗でトップに並ぶ霧島との直接対決が組まれた。
優勝争いは大関と自身の2人に絞られたが、「みんな強い。まだ2番ある」。
初の賜杯が近づく中、一切の油断はないようだ。
13日目、西前頭9枚目・御嶽海は西前頭12枚目・玉鷲を押し出しで下し、先場所に続いて勝ち越しを決めた。
給金直しは2場所連続。星は8勝5敗。
頭で当たって圧力をかけた御嶽海。
出足を止められてもどっしり低く構え、タイミングを逃さずに前に出て土俵の外に運んだ。
14日目の25日は8勝5敗の西前頭13枚目・剣翔と戦う。
直近6場所で2度当たり、いずれも御嶽海が敗れている。
13日目、2019年の九州場所以来、4年ぶりに幕内に復帰した東14枚目・友風が西11枚目・平戸海を押し出して7勝6敗。
19年の名古屋場所以来の勝ち越しに王手をかけた。
会心の相撲だった。
立ち合いに頭で当たって下がることなく好調な平戸海を押し出した。
「まわしを取らせたくなかった? ハイ。その通りです」と笑いをかみ殺したドヤ顔で、囲んだ報道陣を見回した。
13日目、西前頭14枚目・一山本は、同5枚目・翠富士の変化に屈した。
もろ手で立ったが、相手にかわされると四つんばいになった。
4敗目で優勝争いからも脱落した。
「(変化は)あるかなとは思っていましたが、もう少し警戒するべきでしたね。(翠富士は)気持ちが強い。僕にはあの大舞台で変化できない。僕にもあの気持ちが欲しいです」とサバサバした表情だったが、悔しさをにじませた。
幕内では自身2度目の2ケタ白星に王手をかけているだけに「勝てるように頑張ります」と切り替えていた。
13日目、新入幕の30歳美ノ海が勝ち越しを決めた。
7勝目の後から3連敗で迎えた佐田の海とのご当地対決。
押し合いから追い込まれたが、土俵際で逆転のすくい投げを決めた。
「自分の相撲ではない。最後もあまりやらない動き」と反省しながらも「勝ち越しはうれしい。諦めずに最後までと思っていた」と語った。
残り2番で2桁白星もかかる。
「番付を上げるのも大事だが、土俵に上がることはもっと大事。そこに感謝したい」と謙虚な言葉を残した。
2023/11/24
12日目、大関・貴景勝が12日目にようやく勝ち越した。
関脇・若元春との立ち合いで低く当たった。
得意の左を差そうとする相手を右でいなした。
バランスを崩した関脇を押し出した。
「始まったら内容はあまり覚えていない」と必死に積み上げた白星だった。
場所前に古傷の首付近を痛めた。
綱取りがかかる今場所は頭から何度も当たれず、突き押しは本来の姿は影を潜めた。
それでも底力で勝利を重ねた。
支度部屋ではしばらく沈黙した後、「また明日の相撲に集中するだけです」。
すでに4敗を喫し、横綱昇進は極めて厳しいが、看板力士は土俵に上がる。
12日目、大関豊昇龍が平幕の熱海富士に屈して星を落とした。
頭から当たって前に出たが、土俵際で突き落とされて逆転負け。
4敗(8勝)に後退し、大関初優勝は厳しい状況となった。
報道陣の取材には応じず、沈黙を貫いた。
この日の取組後、叔父の元横綱朝青龍は自身の「X」(旧ツイッター)を更新し「攻めて前に落ちる事大切!! またやり直せる。また覚える、考える」などとメッセージを立て続けに投稿。
無念のおいへ向けてゲキを飛ばしていた。
12日目、霧島が大関の意地を示した。
左上手を奪って右で前まわしを引く。
粘る琴ノ若をじっくり寄り切った。
大関昇進を目指す関脇を下し、「相手のことはあまり考えず、自分のことを考えていた」。
大関昇進3場所目で初めての2桁白星に到達し、優勝争いの先頭に並ぶ。
賜杯獲得に向け、「いつも通りに自分のことを考えてやるしかない」と気合を入れ直した。
12日目、関脇大栄翔が3連勝で給金を直した。
「何でもしてくる」と翠富士の立ち合いを警戒。
じっくり見ながら得意の突き押しで土俵際へ追い込み、一気に突き倒した。
「(相撲内容が)良くなっている」と納得顔だった。
勝ち越しはこれで6場所連続。
「ひとまず良かった。残り3日が大事。集中して頑張る」。
貪欲に2桁白星を目指す。
12日目、関脇琴ノ若は天敵の大関霧島に敗れて初優勝が遠ざかった。
立ち合いから、大関に頭をつけられて前まわしを許す苦しい体勢。
右下手こそ引いたが腰高で、じっくりと攻められ寄り切られた。
これで霧島には4連敗、直近9度の対戦で1勝8敗。
すでに豊昇龍、貴景勝には勝っており、勝てば3大関撃破で自身の今場所後の大関昇進に近づいていた。
それだけに「内容が悪い。何もできなかった」と唇をかんだ。
12日目、東前頭5枚目の阿武咲が西16枚目の錦富士を下して3勝目を挙げた。
低い立ち合いから相手が少し引いたところを中に入って一気に前に出て寄り切り。
電車道の速攻で会心の白星をつかんだ。
この両者は青森・三本木農業高相撲部の同期で、小学生の頃から県大会などで何度も対戦してきた間柄。
阿武咲は幼い頃から錦富士に負けたことは一度もなく、プロ3度目の対戦でも快勝した。
6日目から続いていた連敗は6でストップ。
それでも「今日1勝1敗ですけどね。ひっくり返されたので」と苦笑い。
立ち合いが成立したのは3度目で、1度目は錦富士に突っかけられて土俵下まで転げ落ちていた。
「あれ、わざとですよね。止まってくれたらいいのに(笑)」。
冗談めかして言えるのも仲が良いからこそ。
「でも熱くなったらダメだと思った。熱くならずにできてよかった」と冷静に自分の相撲に集中した。
12日目、西前頭8枚目・熱海富士が初の結びで大関戦初勝利という大仕事をやってのけた。
豊昇龍を土俵際で突き落として逆転。
2敗でトップの座を守った。
先場所、優勝決定戦に進出した21歳の若武者が、今度こそ賜杯をつかみにいく。
大関・霧島は関脇・琴ノ若との2敗対決を寄り切りで制し、首位を並走。
3敗で琴ノ若と平幕の一山本が追う展開となった。
大関・貴景勝は勝ち越しを決めた。
12日目、平戸海(長崎県平戸市出身)が同じ4敗だった美ノ海(沖縄県うるま市出身)とのご当地対決を制して、3場所ぶりの勝ち越しを決めた。
鋭く当たって、一気に押し出し。
「今日はすごく良かった。立ち合いでしっかり当たれた。(勝ち越しで)とりあえずほっとしています」と満面に笑みを浮かべた。
12日目、平幕一山本が頭からかまし、重い腰の錦木を後退させた。
土俵際で右四つの体勢になったものの、「前に出るしかない」と圧力をかける。このがむしゃらさが勝利を呼び込み、3敗を守った。
連勝もあれば連敗もするタイプ。
取組後の取材では開口一番、「(連敗が)2で止まってよかった」と笑わせた。
今場所の優勝争いは2敗と3敗の計4人に絞られつつある。
相撲どころといわれる北海道出身力士の優勝は1991年春場所の横綱北勝海が最後だ。
どさんこ力士への期待は高まるばかりだが、本人は全くといっていいほど気負いがなく、トレードマークの笑顔を浮かべながら「(意識は)全然。(心配しなくても)大丈夫っす。まずは2桁。3日で1番勝たなきゃいけない。来場所のために1番でも」と受け流した。
2023/11/23
11日目、今場所での綱とりは絶望的となっている大関貴景勝は、関脇琴ノ若に屈して4敗目を喫した。
立ち合いで突き放せず、いなされて左上手を許して後ろを取られ、そのまま送り出された。
埼玉栄高の後輩に完敗。
「負けたので、何かしら原因はあると思う」と、表情を変えずに痛い黒星を受け止めた。
優勝争いでもトップと2差に後退。
2場所連続優勝が遠のいたが「また明日、集中してやるしかない。しっかりオンとオフを切り替えてやっていきたい」と懸命に前を向いた。
11日目、大関霧島は結びの一番で、若元春を寄り切り、2敗を死守した。
左四つ、右上手のまま押し込み、土俵際での逆転のうっちゃりへの警戒も怠らなかった。
「危なかった。やられる可能性もあるので、しっかり腰を下ろして」と盤石の攻め。
優勝争いの行方は混戦模様となり、星が落とせない状況だが「しっかり稽古してきたから。最後なんで自信を持っていくしかない」と引き締めた。
11日目、豊昇龍は大関経験者の朝乃山との力相撲を制し、給金を直した。
右の相四つの相手に上手をがっちり引かれたが、持ち前の下半身の粘りで耐え、土俵際での投げの打ち合いを制した。
「前に出ることができた。落ち着いていた」
千秋楽に辛くも勝ち越した先場所よりも余裕を感じさせる相撲っぷりに、「しっかりと稽古をしたので、自信の問題かな」と胸を張る。
トップを1差で追う終盤戦。「集中して頑張る」と気合を入れた。
11日目、大関相手に余裕すら感じさせた。
関脇・琴ノ若は厚い胸板で貴景勝を受け止める。
左からいなし、送り出し。
「しっかり反応よく取り切れた。自信にしていきたい」。
冷静に口を開いたが、3大関のうち2人を撃破して2敗を死守。
大関昇進の機運が一気に高まってきた。
粂川審判長は「そういう話も出てくるでしょう。内容もいい。大関にいい相撲を取っている」と昇進の可能性を明言。
勢いだけではなく、そう言わせるだけの地力がついてきた。
11日目、翠富士が2場所連続の勝ち越しを決めた。
4日目から7連勝と波に乗っていた平戸海との一番。
「前に出ていこうと思った」。
強烈なおっつけで相手の体を起こす。
距離をつくったところで中に入り、押し出した。
初日から10連勝した3月の春場所は優勝が頭にちらついたが、今場所は「意識せずに取れている」。
伊勢ケ浜部屋の弟弟子、熱海富士も9勝と好調。
負けじと白星を重ねていくつもりだ。
11日目、熱海富士が新入幕の美ノ海を撃破し、9勝目を挙げた。
立ち合いで素早く前みつを取りにきた相手を封じ、圧力をかけて前に出て力強く押し出した。
霧島、琴ノ若と並んでトップを維持し、12日目に初めて結びで取ることが決定。
対戦相手が豊昇龍だと聞くと「お〜〜。終盤って感じですね。まあ頑張るす」とリラックスした表情のまま会場を後にした。
11日目、佐田の海が連敗を2で止め、6勝目を挙げて再び白星を先行させた。
左四つ、右上手で攻勢から新入幕の北の若に体を入れ替えられたが、すかさず力強く寄って寄り倒し。
「よく残せた。目いっぱい寄っていた相手の体が浮いたのかな。もっと早く攻めて終わりたかったが」と苦笑いしながらも「いつも同じ相撲は取れない。今日のように残せたのは大きい」と手応えも語った。
11日目、平戸海が同じ3敗だった翠富士に完敗し、連勝は7でストップした。
3場所ぶりの勝ち越しはお預けとなり、優勝争いからも後退。
幕内では翠富士に過去2戦2勝と合口は良かったが、中に入れず押し出された。
「立ち合いで当たれず、受ける感じになってしまった。(勝ち越しは)そんなに考えずにいけたが…」。
12日目には4敗で並ぶ美ノ海とのご当地対決。
「切り替えていきます」と言葉を残して会場を後にした。
11日目、西前頭14枚目・一山本が、連敗で3敗目。
首位の座から陥落した。
関脇・大栄翔のもろ手で上体を浮かされると、次の瞬間に引き落とされた。
「相手が強かったです。番付の違いってこんなにあるんだなと思いました」と三役の力に舌を巻いた。
11日目、十両の水戸龍と志摩ノ海の一番は、今場所2度目の「水入り」の大熱戦となった。
志摩ノ海が左上手を引いて頭をつけた体勢で動きが止まり4分38秒が過ぎたところでいったんストップ。
再開後も長引き、計6分の死闘を水戸龍が制した。
水入りは今場所7日目幕内の北青鵬―翠富士戦以来。
1場所で2度の水入りは平成以降で初の珍事となった。
勝った水戸龍は「残り(4日)の分も全部取ったぐらい疲れた」と苦笑いしていた。
2023/11/22
10日目、綱とり継続はなるか。
2場所連続優勝を目指す大関貴景勝が小結阿炎を下して7勝目(3敗)。
首位と1差に接近した取組後は「今日は今日で、集中した。優勝争い?明日の相撲に集中して、その先にそれはあると思う」と気持ちを引き締めた。
秋場所は4場所ぶりの優勝を果たす一方で、星数は11勝どまり。
今場所での横綱昇進には好成績&好内容での連覇が求められていた中、中日までに平幕に3敗して絶望的な状況となった。
この日も後ろへ下がりながらのはたき込み。
審判長の浅香山親方(元大関魁皇)は「引いて勝つ相撲が多い。褒められた相撲ではない」と厳しい評価を下している。
10日目、霧島が錦木を送り出しで勝ち、2敗をキープ。
1敗の一山本が敗れたことで、琴ノ若らとトップタイに立った。
霧島が大関初Vを視野に置き、トップタイで終盤戦に突入する。
中盤戦の最後は先場所負けている錦木。
「先場所の取組を見て」敗因をチェックしてから土俵に上がった。
「先に上手を取られたら先場所のようになる可能性もあるので。自分から攻めたかった」と先に踏み込んで起こしにいった。
そこからすぐにいなしたところは「流れで引いたっすね」と反省していたが、背後について送り出し。
軽快な動きを披露し「勝ててよかった」と振り返った。
先場所は9勝6敗。
優勝争いに残れず悔しい思いをしたが、それを晴らすように先場所で負けた力士には錦木を含めてすべて勝っている。
11日目に対戦する若元春にも先場所は負けている。
1つ1つお返しをしながら白星を重ね、大関初Vへと向かう。
「まだ早いんで」と優勝争いは意識の外にあるが、「5日間しかないんで、思い切り自分の相撲を取っていきたい」と集中モードに入っている。
10日目、勝負を焦るような取り口で2連敗を喫して迎えた21日の朝。
大関豊昇龍は師匠の立浪親方から「一日一番、しっかりやれよ」とハッパをかけられた。
場所中としては珍しく向けられた言葉に気合が入る。
「もう終わったこと」と気持ちを切り替えた。
10日目、関脇・大栄翔が前頭筆頭の朝乃山を下して6勝目を挙げた。
鋭い立ち合いから回転よく突っ張ると、相手の引きに乗じて左喉輪で一気に前に出て押し出し。
四つ相撲の元大関に対し「差されたりまわしを取られたりしたら勝てないので」と自分の相撲を取りきった。
ここ2日は土俵際の逆転で星を落としていたが、しっかり切り替えて連敗ストップ。
「負けが続くと気持ち的にも乗らない。連敗しないことを意識した」と会心の相撲で悪い流れを断ち切った。
10日目、琴ノ若が、初顔合わせの豪ノ山の圧力に後退したが、こらえて左からの上手投げで転がし、8場所連続勝ち越しを決めた。
直近6場所は関脇、小結での勝ち越しで「自分の中で、自信にしてもいいのかな」と充実の口ぶりで振り返った。
2敗でトップに並んで「やってみないと分からないけど、自分の相撲に集中してそこにつなげられれば」と気合十分で優勝争いを見据えた。
10日目、大関経験者で初日から7日間休場していた東前頭筆頭の朝乃山は、前日9日目の大関霧島戦に続く連敗で、今場所2敗目を喫した。
関脇大栄翔に押し出され、1勝2敗7休。
大栄翔にはこれで、不戦敗を含めて最近4連敗、通算の対戦成績でも7勝13敗となった。
9日目に霧島に敗れ、すでに今場所の負け越しは決まっていた。
それでも前日の取組後は、勝った貴景勝戦よりも「前に出ていて、むしろ内容はよかった」と話していた。
さらに「前に出たので、明日につながる負け。一方的にやられたら(気持ちが)落ちていたけど、本当にあと1歩のところだったので。負け越した後の一番一番が大事になってくる。必死に取っていきたい」と続け、復調を感じ取っていた。
10日目、熱海富士の圧力が光った。
湘南乃海に低く当たり、右からのおっつけ。
左はずで押し込み、一気に土俵外へ追いやった。
幕内復帰後、2場所連続の勝ち越しに「うれしい」と笑顔を見せた。
2敗を守り、トップに並んだ。
先場所は千秋楽まで優勝争いをリードした21歳。
「(経験を)生かせるのであれば、生かしたい。頑張りたい」と終盤戦を見据えた。
琴恵光は10日目、日本相撲協会に「左膝関節内側側副靱帯(じんたい)損傷で約2週間の治療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
休場は新型コロナウイルス関連(22年名古屋場所)を除けば初で、07年春場所の初土俵から続けていた連続出場が1043回で止まった。
32歳となった前日9日目。
北青鵬に敗れた後には「もう少し自分の持ち味を出したかった」と悔しさをかみしめていた。
誕生日を迎えたことに「この歳まで相撲を取れていることは自分の力だけではなく、周りの人たちの力があるから」と感謝していた。
10日目、平戸海が前日まで単独トップの一山本に快勝し、3連敗後の連勝を7に伸ばした。
相手が引いたところを突いて一気に寄り切り。
「考えた通りに取れた。中に入ったら(相手は)引くと思ったので、そこを突こうと」と狙いがはまった形だ。
まずは3場所ぶりの勝ち越しに王手。
「7連勝は入幕してから初めてでうれしいが、あと一番、切り替えていきたい」と3敗で並ぶ翠富士とぶつかる11日目の一番を見据えた。
10日目、西前頭13枚目の剣翔が北青鵬を破って5勝目を挙げた。
立ち合いすぐに右四つに組み合うと左も巻き替えてもろ差しに。
腹をぶつけてガブってから、最長身2メートル4の大きな北青鵬を高々と吊り上げて前に出て寄り切った。
もろ差しの体勢から「上手が切れなかったから吊るしかない」と豪快な技を選択。
「思った以上に重かった」としながらも「中に入って吊れない人はいない。僕が一番重いから」と幕内最重量187キロの巨体を生かした。
10日目、1敗で単独トップを走っていた一山本が平戸海に寄り切られ2敗に後退した。
トップという硬さがあったのか聞かれると「じゃっかん…。硬くなったつもりはないんですけど。優勝を意識していませんと言っている時点で意識している」と自己分析した。
ただ、2敗になってもまだ優勝争いでトップタイ。
「ぼくの見せ場は終わりました」と笑みを浮かべたが、硬さは抜けたようにも見えた。
2023/11/21
9日目、大関貴景勝は、横綱昇進が極めて厳しくなった前日8日目朝乃山戦の黒星を引きずらずに快勝した。
錦木に立ち合いから先手を取ると、タイミングの良い引き落とし。
相手を前のめりに倒した。
「毎日やることは一緒。どういう状態でもやっていかないといけない」ときっぱり。
疲労についても「みんな同じ条件。集中して切り替えてやっていきたい」と、2差で追う優勝争いに視線を向けた。
9日目、霧島は大関経験者・朝乃山を退けて2敗を死守した。
立ち合いから相手の馬力に押し込まれて辛抱の展開。
最後は押し込まれながら、捨て身のはたき込み。物言いが付いたが、軍配通りに白星を拾った。
「まわしを取らせないように我慢した。稽古のおかげ」。
年間最多勝争いでも56勝で先頭の大栄翔に並んだが、「意識してない。自分の相撲を取りたい」と意気込んだ。
9日目、大関豊昇龍は、琴ノ若戦3連敗を喫した。
立ち合いから右ののど輪で押すも両脇が空いたところを狙われ、右四つを許して万事休す。
189センチ、170キロの体を密着させられるとこらえられず、あえなく寄り倒されて痛恨の3敗目。
取組後の取材には応じなかった。
9日目、豪快に大関を土俵下まで吹っ飛ばした。
琴ノ若が、結びの一番で大関・豊昇龍の突き押しをしのぎ、右四つに組んで寄り倒して2敗対決に完勝。
最高の形で連敗を止め、今年の対大関の戦績を4勝3敗とし、勝ち越しにリーチをかけた。
これで対豊昇龍は3連勝。
「(これまでも)攻めていく相撲はあったので、自分の相撲を取りきれば勝ちにつながっていく」。
冷静な振り返りの中に自信がのぞいた。
土俵下で見守った師匠の佐渡ケ嶽審判部長は「良い勝ち方をすると、覚えるんじゃないですか? 体の寄せも良かった」。
2連敗した前夜、宿舎に戻ってからも四股を踏んでいたと明かし、師匠目線で「力士にとって大事なこと。皆、琴奨菊(秀ノ山親方)らの背中を見ているから」と元大関を手本とする姿勢を評価していた。
王手をかけた幕内で初の年6場所オール勝ち越しは通過点。
琴ノ若は「いろいろな事を目指していく上で、皆さんに認めていただけるように、地力をつけていきたい」。
次の番付へ、白星を連ねていく。
9日目、前頭筆頭・宇良が小結・阿炎を引き落としで下し、3勝目を上げた。
頭四つの状態から宇良が素早くしゃがみ込んだ瞬間に、阿炎の巨体が生まれたての小鹿のようにバランスを失ってゴロリと転倒。
一瞬の出来事に客席は沸き、ファンからは「ハンドパワー」「空気投げ」と驚きの声も相次いだ。
低い姿勢で下から攻める宇良と、よく見て突いていった阿炎。
両者が頭四つの体勢で組み合い、しばしこう着状態となったが、その直後、宇良が素早く腰を下げて屈伸するようにしゃがむと、186センチの阿炎の大きな体がゴロリと転がった。
一瞬の出来事に館内からは大きな歓声が沸き起こった。
勝った宇良は3勝目。
9日目、熱海富士は、初顔合わせの阿武咲をはたき込んで2敗をキープした。
土俵際に追い込まれてからの逆転に「前に出たいです」「前に出られていない」「もっと前に出たかった」と、反省の弁を3連発で並べた。
2場所連続勝ち越しへあと1勝としたが「明日からしっかり」と目先の勝利よりも、内容重視の心構えを強調していた。
9日目、平戸海が3連敗からの6連勝を飾った。
新入幕の狼雅に対して左上手を素早く取り、振ってから頭を付けて寄り倒す力強い内容。
「体格、身長とも差がある相手なので、頭を付けていこうとは思った」。
先場所まで幕内での連勝は4が最長。
6連勝に「落ち着いているし、体も動いている」と満足そうだった。
9日目、返り入幕の西前頭14枚目、一山本が、関取としては自己最速9日目で勝ち越しを決め、単独トップを守った。
圧力のある玉鷲を立ち合いから一方的に突き出す完勝。
4度目の対戦で初めて勝ち、調子の良さを示した。
普段はもろ手突きの立ち合いが多いが「手だけでは押し切れないので、頭からかました」と、立ち合い負けしなかったことを勝因に挙げた。
「遠くの目標よりも1日1日の積み重ね。次の目標は2桁。優勝は…。ちょっとはチラつくかな」と笑って話した。
9日目、新入幕の美ノ海が2敗を守った。
相手の遠藤は美ノ海が日大1年時の主将。
「話しかけられないくらい雲の上の人。(対戦は)楽しみというより怖いのが一番だった」。
プロ、アマを通じて初対戦という今回は、遠藤のいなしをこらえ、相手が出てきたところで肩透かしに沈め「うれしい気持ちが強い」と顔をほころばせた。
トップとは1差。
沖縄出身力士として初の賜杯も狙える位置にいるが「考えていない。さすがにそこまで余裕はないです」と強調した。
2023/11/20
8日目、大関貴景勝の3度目綱とりが事実上、終了した。
朝乃山の下手投げに屈し、3敗目を喫した。
先場所優勝も11勝で、今場所での横綱昇進には高いハードルが課せられていた。
貴景勝も3敗目の重みを十分に感じていた。
「いつも通りでした。(相撲内容は)あまり覚えていない。(体が)動いていない」と厳しい表情で言った。
中日を終えて1敗も一山本1人だけという大混戦場所。
2場所連続優勝の可能性は消えていないが、横綱昇進に向けては圧倒的な力を示す必要があった。
厳しい土俵が続く。
「明日、頑張るしかないですね」。
気持ちを切り替え、大関の務めを果たしていく。
8日目、大関候補の大栄翔は早くも3敗目。
「内容は悪くない。後半戦も集中してやりたい」と気合を入れ直した。
昇進の目安となる直近3場所合計33勝に届かないことはおろか、首位を走る年間最多勝争いでも豊昇龍、霧島に1差に迫られ、苦境に立たされている。
阿炎を突き起こして攻め込んだが、土俵際に落とし穴があった。
回り込まれて引き落としを食い「悪いところが出た。もっと落ち着いて攻められたら良かった」と声を落とした。
8日目、琴ノ若は過去8勝3敗と合口の良かった正代に不覚を取り、2連敗。
大関昇進の目安となる直近3場所の合計33勝へ後がなくなった。
「負けたのが全て。切り替えて、またいい相撲が取れるようにしたい」と視線を落とした。
立ち合いから元大関を押し込みながら、突き放せず、左おっつけに手を焼いた。
腰が上がって寄り切られ「土俵際はもっときっちりと攻めていかないといけない」と、自らに言い聞かせるように語った。
8日目、取組前の土俵下、朝乃山の足は震えていた。
左ふくらはぎのけがの影響で、自身初となる途中出場の初日。
大関貴景勝との一番で緊張感に襲われた。
「前に出る相撲を取りたかった。必死さが伝わってくれたならうれしい」。
強敵相手に執念で、2020年春場所以来の白星をつかみ取った。
8日目、前頭4枚目の豪ノ山が2大関撃破の勢いに乗って関脇・若元春も破った。
相手得意の左を差されかけたが、右喉輪で振りほどいて逆に右を差して馬力で圧倒。
「引かずに前に出られている」と会心の内容に手応えを得た。
初めての上位陣総当たりの地位で4勝4敗の折り返し。
持ち味の押し相撲が通用しており「そうしないと勝てないので」とさらに徹底していくことを誓った。
8日目、錦木が大関豊昇龍を破って6連勝とした。
強烈な突きに後退したが、重い腰を生かしてこらえる。
タイミングのいい小手投げで逆転し、「土俵際で残れたから良かったと思う。太っているので」と笑みを見せた。
2連敗スタートからの巻き返しにも、「順調と言えば順調だけど、勝ち越さないと。千秋楽までには勝ち越します」。
控えめに目標を明かした。
8日目、幕内・熱海富士が隆の勝を破って連敗を2で止め、6勝目を挙げた。
立ち合いで得意の左上手は引けなかったが、左で抱えて頭をつける体勢に。
相手が右差しで強引に出てくるところを左へ回り込みながら土俵際逆転の小手投げで仕留めた。
「勝てたのでよかったです。連敗止まったので」。
3日ぶりに笑顔を見せた。
8日目、平幕の一山本が7勝目。
宝富士の圧力を受けても「我慢できた」。
喉輪で攻めて相手と距離をつくり、タイミング良く突き落とした。
7日目に引いた相撲で初黒星を喫し、師匠の放駒親方から「前に出なきゃ駄目と言われた」。
助言をしっかり生かした。
伸びる星数にも「目の前の一番しか見えていない」と冷静。
勝ち越しの懸かる9日目の一番に向け、「どれだけ平常心で取れるか」と気を引き締めた。
8日目、新入幕の美ノ海がトップと1差の2敗をキープした。
2敗で並んでいた再入幕の友風を押し出し。
左前みつを取る得意の形にはならなかったが「踏み込めた。距離があると張り手が来るので、距離を詰めていった」と振り返った。
ここまでについて「まだ半分ですね」と語り「気持ちが後ろ向きな負けがない。前に出て取れている」と納得の表情だった。
2023/11/19
7日目、貴景勝が土俵下まで吹き飛ばされ、あおむけに転がった。
同じ押し相撲の平幕豪ノ山に為す術なく完敗。
横綱昇進を目指すうえで痛恨の2敗目だ。
立ち合いで当たり負けし、押し返そうとするも、ほとんど前に出られない。
左からいなそうとしたところで、相手に右を深く差されて万事休す。
一気に寄り切られた。花道の奥で取組のリプレイを確認した後、支度部屋で「負けたら理由が必ずある。ただそれだけ」と口数少なく答えた。
7日目、関脇・大栄翔が小結・北勝富士を下して5勝目を挙げた。
立ち合い強烈な突き放しで先手を取ってから激しく突っ張り、右へ回り込む相手を逃さず攻め続けて最後は豪快に吹っ飛ばした。
「思い切りやりました。今日はよかったと思います」と会心の内容。
「決まるまで集中して落ち着いて取ることを意識した」と厳しい攻めで埼玉栄高の先輩を圧倒した。
7日目、6日目まで全勝だった琴ノ若は宇良にとったりで敗れ、今場所初黒星を喫した。
低い姿勢の相手を押し込めず、左腕をたぐられて振られ、腹ばいになった。
「しっかり当たって流れで取ろうと思っていたが、ついていけなかった」と無念の表情。
それでもまだ1敗。
今場所は13勝すれば、大関昇進目安の直近3場所合計33勝に届く。
「しっかり切り替えていくだけ」と気持ちを奮い立たせた。
左ふくらはぎ痛で大相撲九州場所を初日から休場していた、元大関で東前頭筆頭の朝乃山が8日目から出場することが18日、決まった。
復帰の一番は先場所優勝の大関貴景勝戦が組まれた。
残る8日間を全勝すれば勝ち越しとなり、来年1月の初場所で三役返り咲きの可能性を残した。
朝乃山は10月末に秋巡業で負傷し、日本相撲協会に「左腓腹筋(ひふくきん)損傷で3週間の安静加療を要する」との診断書を提出して休場。
出場停止中を除き、初日からの休場は初めてだった。
師匠の高砂親方によると、17日に朝乃山から「出たい」と申し出があり、本人と相談して決定した。
高砂親方は「心配なところはあるが、四股やすり足ができるようになってきた。
出るからには最後まで。けがなく取ってほしい」と語った。
7日目、宇良が業師ぶりを発揮し、館内の喝采を浴びた。
琴ノ若に対し、低い体勢で頭をつけた展開から、さっと体を開いて相手の左腕をつかみ、とったりで土俵にはわせた。
無傷の6連勝だった関脇を止めても、「気分がいい、とかはない。そんなことを考えて別にやっていないので」と笑顔はない。
5連敗スタートから2連勝し、集中力を高めているようだった。
7日目、正代が2日連続で関脇を破って3勝目。
得意の左を差した若元春に圧力負けすることなく、「前に出ることができた」。
最後は土俵際ですくい投げ。
物言いがつく微妙な勝負となったが、軍配通りに白星を手にし、「寄りに来たので、投げるスペースがあった」と冷静だった。
熊本県出身で準ご当所となる九州場所。
元大関は「何とか競り合うことができている」と手応えを口にする。
大きな声援を背に、ここから星を伸ばしていきたいところだ。
7日目、憧れの先輩に恩返しを果たした。
豪ノ山が先場所に続く2度目の挑戦で、大関貴景勝から初白星。
「場所はまだあるので、喜んでいられない」。
支度部屋では笑顔一つなく、低い声でとつとつと振り返った。
「押し負けないように、引かずに前に出ようと思った」。
低く当たり、激しい突き押しの応酬にもひるまない。
相手が左からの突き落としを狙ったところで中に入り、土俵下へ追いやる。
同じ関西出身で、大関は埼玉栄高の2学年先輩。
子供の頃から背中を追ってきただけに、口ぶりこそ淡々としながらも、こみ上げるものはあっただろう。
幕内3場所目の今場所は自己最高位の東前頭4枚目。
同じ大阪府寝屋川市出身の師匠、武隈親方は「まだまだこれから」としつつ、「馬力は通用している。いろいろな経験をしたことで上位陣の雰囲気や感覚が分かってきた」と成長を認めている。
6日目の霧島に続き、連日の大関撃破となったが、まだ黒星が一つ先行。
「残りも気を引き締めてやるだけ」と先を見据えた。
7日目、北青鵬が翠富士と水が入る7分近い大相撲を上手投げで制した。
「ま、長いですね。右を差して前に出たかったけど無理だった。特に何も考えずにいきました」。
204センチの長身を生かし、上手を取っての持久戦が得意の相撲。
「あの体勢はしんどくないんで。疲れたとかはないです。我慢して相手が仕掛けてきた感じです」。
連敗を4で止めた。
「それが大きい」と笑顔を見せた。
7日目、佐田の海が6日目の熱海富士に続き、一山本にも快勝して土をつけた。
相手の突っ張りを手繰ると、引きに乗じて一気に前へ。
「珍しく(前に)落ちなかった。冷静さがあったのかな」と足の運びを自賛した。
熊本県出身の36歳は元気な相撲を披露して白星先行。
「土俵に上がったら、五分だと考えている。相手の調子がいい、とか考えている余裕はない」と胸を張った。
2023/11/18
6日目、大関貴景勝は直近の本場所で5連敗していた翔猿を送り出しで下し、1敗を堅守した。
貴景勝は支度部屋で「いつも通りです」と2度つぶやき、翔猿を送り出した攻めを振り返った。
今場所、毎日のように繰り返している言葉だが、記録に目をやると特別な一番。
負ければ34年ぶりに大関としての連敗記録に並ぶ屈辱を、冷静な突き押しで相手もろともはじき飛ばした。
天敵だった。
埼玉栄高の4学年先輩の翔猿には、昨年の九州場所から5連敗。
大関が関脇以下の力士に6連敗となれば、小錦が幕内安芸ノ島に屈した1989年秋場所以来だった。
6日目、大関・霧島が痛い2敗目を喫した。
東前頭4枚目・豪ノ山の突っ張りを食らい一気に後退した。
手繰ろうとしたが空振り。
最後はあっけなく突き落とされた。
「勝ち負けなので、悪いところが出たと思う。足が一歩前に出なかった」と唇をかんだ。
6日目、大関豊昇龍は高安の小股すくいに屈して初黒星。
他の2大関は2場所連続優勝を狙う貴景勝が翔猿を下して1敗を守ったが、霧島は豪ノ山に圧力負けして2敗。
関脇琴ノ若が返り小結の北勝富士を退けて6連勝とし、土つかずは平幕の一山本を加えた2人に。
大栄翔、若元春の両関脇は敗れた。
6日目、関脇・琴ノ若が、自己新の無傷6連勝を飾った。
再小結・北勝富士戦は、相手自慢の激しい突っ張りを何とか我慢。
左からのいなしで立て直すと、最後は目いっぱい腕を伸ばして突っ張り、一気に土俵外へと押し出した。
激しい一番を制し、「離れすぎたり、苦しい体勢になったら(相手は)馬力を発揮するので、そこで勝負しないようにした。引いたのはよくなかったが、相手の間合いにならないように押し返し、辛抱して取れました」とうなずいた。
6日目、ベテランの域に入ってきた大関経験者が、若い大関を豪快にひっくり返し、館内を大いに沸かせた。
結びの一番で高安が豊昇龍に土をつけ、「小股すくい」の決まり手に「序二段以来かな。十数年ぶりか」。
余裕たっぷりに振り返った。
豊昇龍の突き押しをうまく回り込みながらしのぎ、左を深く差して動きを封じた。
苦し紛れの掛け逃げを狙う大関の右足を持ち上げ、引っこ抜くように後ろに投げ捨てる。
土俵下の佐渡ケ嶽審判部長(元関脇琴ノ若)は「いい流れで取っている。ずっと高安の攻めが光っていた」とうなった。
6日目、豪ノ山が霧島を破って大関戦初勝利を挙げた。
強烈なぶちかましから激しく突っ張って相手の足が流れたところを突き落とし。
今場所まだ2勝目のため表情に緩みはないが「うれしいですね」と素直な心境を語った。
霧島には稽古場で何度も指名されて胸を借りたことがある。
その時はなかなか勝てなかったが「気合入れて思い切りいったのがよかった」と本場所の土俵で“恩返し”を果たした。
6日目、身長204センチの大器がふわりと浮く光景に観客は大いに沸いた。
33歳の錦木が22歳の初顔、北青鵬を怪力でつり出した。
右へずれて立った相手にもろ差しを果たし、足を進める。
粘り腰に攻めあぐね、左から振って土俵中央へ。
相手が肩越しの左上手をつかんだ瞬間、勝負に出た。まわしを引き付けて豪快につり上げ、土俵から出した。
錦木は連敗スタートから4連勝。
北青鵬とは場所前に稽古したそうで「感覚はあった。つってしまえばこっちのもの」と上機嫌だった。
反対に北青鵬は4連敗。
「全く駄目。上手を取れたけど、腹に乗せられたら利かない」と残念がった。
6日目、西前頭8枚目の熱海富士は初日からの連勝が5でストップした。
立ち合いで右を差したが左上手でまわしを引けず、徐々に佐田の海に上体を起こされて寄り切られた。
今場所初黒星に「負けたか。くっそー」と花道で声を上げた21歳は「悔しい。負けたんで、切り替えて頑張ります」と言葉少な。
「すいません」と取材を切り上げて引き揚げた。
6日目、封印したはずの引き技で、辛くも勝ちを拾った。
前に出る相撲を徹底してきた一山本が一転してこの日ははたき込み。
「前に出ようと思ったが、押し切れませんでした」。
再入幕の30歳は、ばつが悪そうだった。
立ち合いから両手で突いて押し込んだ。
2度、3度と頭を当てながら突き、前に出る展開。ところが4度目だった。
反撃する錦富士の首の背後に右手を当て、後ろに引いてしまう。
これに乗じられて俵に詰まりながらも何とか左に動き、はたいて転がした。
2023/11/17
5日目、2場所連続優勝を狙う大関・貴景勝は連敗を免れた。
大関経験者の東前頭3枚目・高安の左かち上げを右でいなした。
体が泳いだ相手に体を預けて押し出した。
「しっかりおっつけて。いつも通り。相手がどうこうと言うより自分がどうしていくか」と振り返った。
先場所が11勝4敗での優勝だったため、綱取りにはハイレベルな成績でのVが求められる。
その中で4日目の明生戦で不覚を取り、早くも初黒星を喫したが、序盤の5日間を4勝1敗で終えた。
5日目、大関・霧島は連敗を免れた。
西前頭2枚目・明生をはたき込んだ。
4日目に貴景勝を撃破している明生の当たりを受け止めると、右からいなして回り込み、さらに出てくる相手を左からいなして勝負を決めた。
霧島は「立ち合いはちょっと下がったけど、焦らずに行けた。昨日(4日目の高安戦)は自分の相撲を取れなかった。負けても思い切り行こうと思っていた」と振り返った。
「内容はよくなかったけど、勝って流れはいい。調子はよくなっていくと思う」と中盤戦以降を見据えた。
5日目、大関・豊昇龍と前頭四枚目・豪ノ山の取り組みで場内が騒然となった。
待ったなしの状況となったが、豪ノ山が右手をついている状態で、豊昇龍がまったく手を下ろさず、じっと豪ノ山をにらみ続けた。
行司が「待ったなし」、「手をついて」とうながしてもまったく手を下ろさないまま、80秒間が経過し、豪ノ山がたまらず立ち上がって、仕切り直しとなった。
この際、豊昇龍は土俵下の審判部から注意を受け、小さく頭を下げた。
再度待ったなしで仕切り直したが、これも立ち合いがなかなか合わず。
ようやく立ちあうと立ち遅れて、豪ノ山に押し込まれたが、なんとか反撃して押し出しで5連勝を飾った。
5日目、琴ノ若は踏み込んで大栄翔の当たりを止めると、タイミング良く肩透かしで仕留めた。
4連勝同士の関脇対決に快勝し、「相手の圧力を止めて、自分の流れにできた」と納得の表情。
初日から5連勝は幕内では初めてで、「雑にならないで、集中してやっているのが(白星に)つながっている。しっかり準備するだけ」と冷静に話した。
5日目、熱海富士が新入幕の昨年九州場所で敗れた琴恵光に勝利し、「初日から5連勝は初めて。ちょっとうれしいですね」と幕内自己最多の好発進を喜んだ。
立ち合ってすぐに左上手を引く万全の相撲で力強く寄り切り「落ち着いて取れている」。
先場所の悔しさを糧に初優勝も期待される中で「まだこれから長いんで」と気を引き締めた。
5日目、2019年の九州場所以来の幕内復帰となった東前頭14枚目・友風が全勝の東12枚目・玉鷲を引き落として3勝2敗とした。
頭で当たって玉鷲の突き押しにも負けない圧力をかけた。
最後は右のど輪でワンプッシュして引き落とした。
「はたいたより開いた、体が動いている感じですね。相手は39歳? 尋常じゃない圧力なので、精いっぱいやりました。対戦したこともあるし、何度も稽古していますから、のど輪の強さはわかっています。うまく対応することができました」と笑顔を見せた。
4日目はまともに引いて2敗目。
悪い癖が出てしまったと反省。
部屋付きの中村親方には「出してしまったこと(悪い癖)は忘れろ。切り替えが大事」と改めて背中を押されたという。
入門した時の師匠、尾車親方からは「あまりヒヤヒヤするような相撲は取らないでくれ。心臓に悪い」とのラインが届いたという。
序盤の3勝2敗。
「まだまだ、これからだと思っています」と引き締めていた。
5日目、3場所ぶりに再入幕の一山本が北の若を押し出しで退けて初日からの連勝を5に伸ばした。
全勝は豊昇龍、琴ノ若、熱海富士、一山本の4人となった。
引き技を完全に封印した。
一山本は立ち合いからひたすら真っすぐ攻め込んで、そのまま北の若を押し出した。
「いい相撲だったと思います。思い切り当たってどうにかしようと思って」。
これで初日からの5連勝。
顔には笑みが浮かんだ。
5日目、沖縄出身力士として17年ぶりの新入幕となった美ノ海が好調だ。
ベテランの宝富士に対し、左で前まわしを取る得意の形は決まらなかったが、相手の左を手繰ってから後ろに回り込み、送り出した。
「立ち合いが合わず、ふわっと立ってしまったが、そこから反応できた」。
3日目から3連勝でトップと1差をキープ。
2023/11/16
4日目、敗れた取組の映像を確認すると、切り替えるように「ふーっ」と大きく息をついた。
先場所覇者で横綱昇進を目指す貴景勝は明生に屈し、序盤で痛い黒星を喫した。
苦境にも落胆は見せず「毎日やってきたことを信じてやるしかない」と淡々と語った。
頭で当たって先手を取ったが、攻めきれなかった。
過去に8勝5敗、最近は3連勝としていた明生に対し「いつもと違うと思った」。
突き、押しで応戦されて戸惑ったのか、続くいなしに体が大きく泳ぎ、一気の寄りに土俵を割った。
4日目、大関霧島は高安に突き落とされて初黒星を喫し、令和3年秋場所以来となる初日からの4連勝はならなかった。
支度部屋では厳しい表情で無言を貫いた。
NHKでテレビ解説を務めた舞の海秀平氏は「思い切り鋭くもろ手突きというふうには見えないですし、前まわしを狙いにいったというふうにも見えないですし、ちょっと変わり気味に上手を取りにいった動きでもないですしね、全部中途半端」と指摘。
「立ち合いで何とか(相手を)捕まえて自分の体勢に持ち込めるんだろうなという、ちょっと予想が甘かったのか。あとは崩れ方ですよね。ちょっともろいですよね。腰が痛いのか背中に痛みがあるのか」と心配していた。
4日目、2度目の優勝を狙う大関豊昇龍が乗ってきた。
先場所敗れた翔猿を盤石の攻めから寄り切り、初日から4連勝を飾った。
立ち合いでうるさい相手の動きを止められたことが勝ちにつながった。
がっちり組み止め、すかさず右を差して身動きを封じた。
左上手も取って、体を密着させながら土俵外へ持っていった。
「つかまえればいいと思っていた。相手をよく見ながら取れて、悪くなかった。集中できている」と手応えを感じていた。
4日目、関脇・大栄翔が宇良を押し出して初日から4連勝とした。
立ち合い相手を見ながらもろ手で突き放し、下からあてがおうとする宇良を圧力で吹っ飛ばした。
先場所は引いたところを押し出されて敗れた相手。
「しっかり見て攻めようと思った。うまく攻めれたと思います」と狙い通り快勝につなげた。
2日目は豪ノ山に攻め込まれていただけに「内容は攻める相撲で良いリズムで来ている。良くなっていると思います」と調子は上向いてきた。
4日目、祖父・元横綱琴桜、父・元関脇琴ノ若の佐渡ケ嶽親方のサラブレッドが完全開花の兆しを見せた。
関脇琴ノ若が小結阿炎を一方的に押し出し、初日から4連勝を飾った。
「流れの中で攻めたし、前に出る意識だけ。やれることはやって、明日からもしっかり続けていきたい」。
今年は三役ですべて勝ち越し。
大関も見据える中で力を示していく。
4日目、ご当所の元大関正代が初日を出した。
初顔合わせの豪ノ山にやや当たり負けしたが、左を差してから突き落とし。
「立ち合い?どうですかね…。当たり負けか…。まあ、左がのぞいたので…」と淡々。
それでも「初日が出てほっとしたか?」と問われると「そうですね。それが一番でかいですね」と笑みを浮かべた。
4日目、高安が厳しい攻めを披露した。
霧島に対し、左からかち上げ気味に出て突き起こす。
休まず攻めて右から突き落とし、「しっかり踏み込んだ。腰の重さを出せた」と満足そうに振り返った。
持ち前の圧力を存分に発揮し、好調の大関に土をつけた。
元大関の意地を示し、「この相撲をきっかけに、いい相撲を取りたい」と先を見据えた。
4日目、平幕熱海富士が竜電をはたき込みで下し、初日から4連勝とした。
何度も俵に足が掛かるピンチをしのいで、土つかずの4連勝。
熱海富士は竜電に前まわしを取られて攻め込まれたが、重い腰で残して最後ははたき込んだ。
1分超えの熱戦に、支度部屋に戻ってもなかなか息が整わずに「しんどいっすね」と苦笑い。
下がりながらの決着を振り返って「ダメですね。前に出ないと」と反省も忘れなかった。
4日目、38歳で臨む最後の一番は「久しぶりに自分の相撲が取れた」。
戻った支度部屋で玉鷲が破顔一笑した。
頭で当たって左おっつけ、右喉輪で佐田の海の上体を起こす。
さらに一押しで土俵の外へ追いやった。
これで幕内出場回数を歴代単独9位の1261回に伸ばした。
感想は「毎日、相撲を取っているから。それは後で」とあっさり。
記録にこだわらない姿勢を見せるが、師匠の片男波親方は「あいつが言っていることは逆だから」。
4日目、今場所、幕内に戻った岩内町出身の一山本が勝って、4連勝としました。
九州場所で返り入幕となった前頭14枚目の一山本は、初日から3連勝で、4日目は前頭14枚目の友風と対戦しました。
一山本は、立ち合いの突き押しのあと、友風が引いたところを逃さず、一気に前に出て、「押し出し」で勝ちました。
4日目、新入幕の狼雅が剣翔を破って幕内初白星を挙げた。
互いに得意とする右四つに組み合うと、左上手を引き付けて力強く前に出て寄り切り。
「自分の相撲が取れたかな」と完勝に笑顔を見せた。
2023/11/15
3日目、秋場所を制し、成績次第で綱とりが浮上する可能性のある大関貴景勝が、初日から9連勝した2021年九州場所以来、2年ぶりに3連勝スタートとした。
宇良を正面に置いて突き出し、この日も「いつも通りですよ」と冷静。
「準備だけはしっかり。それだけは勝ち負け関係なくできるので、徹底していく」と土俵への心構えを語った。
3日目、大関3場所目の霧島は、大関経験者の幕内・正代を寄り切りで下し、無傷3連勝とした。
立ち合いは左前みつに手が掛からなかったが、厳しい左のど輪攻め。
右上手を取って前に出ると、最後は両手で押し出した。
完璧な内容に「前に出られてよかったですね。いい流れになっている」と、手応えを口にした。
カド番だった先場所は本来の力が発揮できず、9勝6敗に終わっただけに今場所は雪辱に燃えている。
絶好調の大関は4場所ぶり2度目の賜杯に向け、「勝ち負けを考えずに自分の相撲を取る気持ち。あまり考えずに、一番一番取っていくだけです」と、気を引き締め直した。
3日目、大関豊昇龍が、本割では連敗中だった小結北勝富士を破って3連勝で結びの一番を締めた。
立ち合いで左差しを狙ったが突き放されると、前に出た直後に、タイミング良くはたき込んだ。
初優勝した7月の名古屋場所の優勝決定戦では勝っていたが、先場所までの最近2場所の本割では敗れていた難敵を退けた。
「相手を見ながら相撲を取りたかった。落ち着いてできたので良かったと思います」と振り返った。
新大関だった先場所は、3日目を終えて1勝2敗と黒星が先行していた。
その後、白星が先行したのは、ギリギリで勝ち越しを決めた千秋楽。
そこから一転、今場所は連勝街道。
貴景勝、霧島の2大関とともに星を伸ばし、横綱不在の場所を盛り上げている。
3日目、関脇大栄翔が平幕高安を押し出し、無傷の3連勝とした。
11月14日は故郷・埼玉県民の日で、2016年から8連勝(19年は不戦勝)とし、2度目の賜杯へギアを上げていく。
故郷の血が騒いだ。
大栄翔は高安のはたきを何度もこらえると、最後は力強く押し出し。
「相手の動きについていけるように攻めた。自分の相撲が取れている」と大きくうなずいた。
3日目、若元春はうるさい翔猿に冷静についていき、得意の左四つに持ち込んで寄り切った。
過去8勝2敗と合口のいい相手。「(動きは)頭に入っていた」と納得の表情だった。
大関候補として、まずは2桁白星が目標。
白星を先行させたが、「もっと早く自分の形をつくりたかった」と反省も忘れなかった。
3日目、関脇・琴ノ若が西前頭2枚目・明生を大逆手(おおさかて)で下し、無傷の3連勝を飾った。
幕内では2010年初場所14日目に把瑠都が決めて以来となった。
初賜杯を抱けば、大関への機運が一気に高まる可能性もある土俵。大技で逆転した勢いに乗り、白星を積み上げる。
初日からの3連勝は3場所ぶり。
父で師匠の佐渡ケ嶽審判部長は土俵下で執念を見届け、「よく粘った。肩越しの上手だったけどね。大逆手は私もやったことはない。稽古でももちろんないよ」と評価した。
3日目、21歳の熱海富士は今場所も好調だ。
先場所は最後まで優勝を争う大活躍。
2場所続けて初日から3連勝とし「前よりも落ち着いて取れている」と成長を実感している。
顔つきにはたくましさが増してきた。
大きな金峰山を左前まわしから一気に寄り切り「前に出られたのが良かった」とうなずく。
この日は自らを含めた伊勢ケ浜部屋の幕内4人が勝利。
「みんな頑張っているので、僕も頑張らないと。まだまだ始まったばかり」と意欲を新たにしていた。
3日目、玉鷲は突き放して平戸海にまわしを与えず、タイミング良く引き落とした。
初日からの3連勝は5場所ぶりだが、「まだまだ。気を抜いては駄目」。
言葉と裏腹に笑みがこぼれる。
幕内出場が歴代9位に並ぶ1260回に。
感慨に浸る様子はなく、「(現役を)やめたら、お酒のいいつまみになる」とおおらかに言った。
3日目、3場所ぶりに再入幕した一山本が、剣翔を寄り倒して初日から3連勝を決めた。
速い回転の突きで剣翔を押し込み、右四つになっても止まらずに前に出た。
突き押しが得意の一山本だが、左ではなく右四つなら「少しは相撲が取れるんで。ああなったら前に出るしかない」と勝因を口にした。
剣翔とは十両での対戦を含めて、これで9戦全勝。
「逆に緊張するんです。そろそろ負けるんじゃないかとか、嫌なイメージも湧く。でも、土俵に上がればしっかり相撲が取れてたかなと思います」と波に乗っていきそうな気配がある。
押し相撲は流れが大事。
「初日から2日間はあんまり足が出てなくて、引かれてギリギリだったんですけど、今日はしっかり前に出ていい相撲を取れたかなと」。
このいい流れを切らさず白星を重ねていきたい。
3日目、沖縄県出身力士として17年ぶりの新入幕を果たした美ノ海(同県うるま市出身)が、同じ新入幕の北の若に快勝し、2勝1敗で白星を再び先行させた。
立ち合いからすぐに左前まわしをつかみ、出し投げを打ちながら圧力をかけて最後は寄り倒し、「出し投げで決めにいったが、相手のまわしが伸びたので切り替えた。
この3日間、引いての負けがない。いい相撲を取れている」と語った。
この日は母校・鳥取城北高の生徒が修学旅行で会場に。
30歳の先輩は大きな声援を受けた。
「ありがたかったです」。
ただ同校は横綱照ノ富士らも巣立った全国屈指の強豪。
「自分は修学旅行に行っていないんですよ。試合が入っていたし…」と少しうらやましそうだった。
2023/11/14
2日目、貴景勝が正代に勝ち2連勝。
細かく盛り上がった臀部(でんぶ)の筋肉や、内側にボコッと膨らんだふくらはぎに、基礎固めの跡が表れている。
3度目の綱とりに挑む貴景勝が初日から連勝。
昇進には高いレベルでの優勝が求められる中、好発進を決めた。
先場所で苦杯をなめた正代をもろ手で突き起こし、土俵際まで追い込んだが残され、反撃に遭う。
右に動いていなし、それでも押され、最後は両足を俵にかけながら回り込んで引き落とした。
自身の取り口が不満だったのか「立ち合いで押し切れなかったが」との質問には沈黙を貫いた。
2日目、大関・霧島が連勝スタートを飾った。
小結・阿炎のもろ手も構わず一気に押し出し。
最近は3連敗中の相手だったが「変なことは考えず、しっかり前に出ようと思っていました。自分の相撲を取ろうという気持ちでした」と振り返った。
大関在位3場所目。
まだ2ケタ白星はないが、一年納めの九州場所で好発進だ。
それでも「一日一番、集中するだけです」と、あくまで冷静だった。
2日目、大栄翔が豪ノ山との取り直しの一番の末に白星。
最初の相撲は激しい突き押しの応酬から、両者が前のめりに落ちた。
「本当に分からなかった」。
軍配は自身に上がったものの、同体とみなされる。
取り直しの一番では先に圧力をかけ、出てきた相手を引き落とした。
埼玉栄高の後輩との熱戦を制して連勝スタート。
「まだまだ序盤。攻め急がずに落ち着いて取れている」と冷静だった。
2日目、初白星を挙げた若元春が、右膝の大けがから4場所ぶりに復帰した弟の元関脇若隆景へ思いを語った。
幕下から再起に挑む3兄弟の末弟へ「この世界はけがで落ちていく人はたくさんいる。違和感はないが、肉親なので早く戻ってきてほしい」と言葉をつないだ。
左四つで力強く明生を寄り切り「中途半端だったが自分の形になれた」と話す。
初日は敗れた若隆景へ「ともに負けじと切磋琢磨してきた仲。頑張ってほしい」とエールを送りつつ、自分も勝利を重ねていく構えだ。
2日目、関脇琴ノ若が高安を押し出し、通算300勝をマークした。
押してくる相手をいなして、逆に押し返して勝負をつけた。
「相手がいることなので、完璧にというのは毎度毎度ないですけど、自分の形にするための対処は稽古場でもしている。
自信を持って取れればいけると思っている」
通算300勝の話題を振られると「知らなかったです」と笑い、「聞いてもなかったです」。
父でもある師匠は通算782勝。
「師匠はもっといってますし、半分にも満たない。早く抜けるように頑張りたいです」と通過点でしかない。
目標はまだある。
今年の初場所で三役に昇進してから、秋場所まで全場所で勝ち越し。
着実に力を蓄えながら、大関へと向かっていく。
2日目、翔猿が埼玉栄高の同級生、北勝富士を送り出し、プロでは三段目だった平成27年秋場所での初対決以来、9戦目で初白星。
アマ時代を含めても高校2年3月の全国高校選抜大会個人戦以来、13年ぶりの勝利となり、「(うれしさは)思ったより…普通です」と言いながらも「へへっ」と笑った。
超難敵を破っての今場所初勝利に「ここから(連勝と)いきたいですね」と意気込んだ。
2日目、前頭七枚目・北青鵬が前頭八枚目・遠藤を強引な上手投げでねじ伏せ、2勝目となる勝ち星を上げた。
規格外のスケールで下した北青鵬に、解説の豊ノ島も「説明ができない」と唖然となっていた。
北青鵬の豪快な攻めに、ABEMAで解説を務めた元関脇の豊ノ島はしばし無言になった後、「説明ができないですね……」と唖然とした様子。
「こういうの習っていないので……でも(上手が)取れるから仕方ないですよね」と続けると、豊ノ島は「でも上位に行くことを考えたら、あれだけに頼るのではなくて、(上手を)浅く取るということもやっていかないといけないような気もします」とアドバイスも送っていた。
2日目、西前頭8枚目の熱海富士が大関経験者の御嶽海を盤石の攻めで寄り切って2連勝を飾った。
優勝同点と躍進した先場所に続き、幕内3場所目となる九州でも序盤から存在感を発揮する。
その力の源は中学時代。
同郷で静岡・熱海市出身の女子プロゴルファー渡辺彩香とは同じトレーナーの下で練習を積んできた。
弟のようにかわいがってくれた国内ツアー5勝の渡辺からのエールも励みに、先場所あと1歩で逃した史上最速優勝を目指す。
2日目、返り入幕の友風が4年ぶりに幕内で白星を挙げた。
力強い突き押しで宝富士を寄せ付けず、「前に、という気持ちだった。歓声が多かったので、本当にうれしかった」と、ほっとした表情を浮かべた。
西前頭3枚目だった2019年の九州場所で右膝に大けが。
西序二段55枚目まで番付を落としたが、懸命に稽古に励むなどして返り咲いた。
「言い表せない苦しみだった。でも、こういう形で土俵に立てている」と感慨深げに語った。
2023/11/13
初日、連覇を狙う大関・貴景勝が、白星スタートを飾った。
先場所初日に敗れた小結・北勝富士を押し出して雪辱した。
大関として優勝した翌場所は過去2度とも黒星発進だったが、3度目にして“鬼門”を突破。
先場所は11勝4敗での賜杯だったため、綱取り成功にはハイレベルな成績での優勝が求められる中、意味のある白星をつかんだ。
6日の連合稽古を古傷の首の違和感で欠席。
首の状態が心配されていたが、この日の相撲内容に八角理事長は「今日の当たりを見れば、大丈夫だろう」と分析。
大関として過去2度の優勝翌場所は、ともにけがで途中休場しているだけに、慢心は一切ない。
「今日を一生懸命やった人だけが次に進める。その日をやり切った人だけが、次の日に戦う資格がある。そう言い聞かせています」。
初日、霧島が白星スタートを決めた。
西前頭筆頭・宇良に寄り倒しで快勝した。
鹿児島県出身で師匠の陸奥親方のしこ名を継いで初めて迎えた九州場所。
ゆかりのある土俵で好発進した。
3大関が初日そろって白星を挙げるのは、20年11月場所以来(4大関を除く)となった。
「宇良関は最後(土俵際)に変な残り方をする。考えながらやった」と冷静に話した。
白星発進も「一日一日が大事」と浮かれる様子はなかった。
横綱・照ノ富士が休場し、看板力士への期待は大きい。
八角理事長は「落ち着いていた。圧力をかけていて、中に入ってからは慌てなかった。稽古があるから自信もある」と高評価した。
一方で「自分のペースで、自分の相撲で先までいきたい」と語る。
初日、大関2場所目の豊昇龍が、秋場所で負けた正代を突き出して白星スタートを切った。
先場所のことは「負けたけどそれは気にしてない。相撲は勝ち負けが当然なので。負けた相手とか考えてなかった」と硬くなることはなく、「初日だしいい流れをつくりたいと思った。しっかり集中して相撲が取れた」と満足げに振り返っていた。
初日、年間最多勝争いでトップに立つ関脇大栄翔が持ち味を存分に発揮した。
もろ手から突き押しで明生を攻め立てて問題にせず。
「初日としては良かった。出稽古もしてきたし、力がついている」と手応えをにじませた。
この白星で年間52勝目。
今月10日には30歳となり、「応援してくれる人のために頑張りたい」と言葉に力を込めた。
初日、返り三役の小結阿炎が、持ち味全開で快勝発進した。
もろ手突きの立ち合いから、同じ押し相撲の豪ノ山のいなしにもこらえながら、回転の速い突っ張りを出し続けて押し出した。
昨年、貴景勝、高安とのともえ戦の末、初優勝を飾った九州場所で、再び存在感を見せることを予感させるような好内容だった。
錣山部屋付きの立田川親方は、秋場所後に右肘の内視鏡手術を受けたことを、解説を務めたNHKのテレビ中継で明かした。
その上で「1週間ぐらい前から徐々に相撲を取り始め『調子はいい』と言っていたので出ることになった」と、当初は休場も視野に入れていたが、状態を上げて臨んでいたことも付け加えていた。
初日、幕内・北青鵬が隆の勝を破って白星発進とした。
右を差して隆の勝の出足を止めると、相手の出方を待って土俵中央で1分が経過。
2メートル4の長身と長い腕を生かして左上手をつかむと、引き付けてじっくり前に出て最後は両上手で寄り切った。
この日は22歳の誕生日。
「去年は上を目指して少しずつ上がってきた。22歳の年は、6場所全部勝ち越して自分にとって最高の1年にしたい」と決意を新たにした。
この日、父・エンフテブシンさんと母・バルハス・アリューナーさんが北海道から応援に駆けつけ、枡席で観戦。
エンフテブシンさんは「初日だし誕生日だったのでよかったですね」と笑顔で息子の白星を祝福した。
初日、幕内・熱海富士が妙義龍を破って白星発進とした。
立ち合いすぐに右を差して左で抱えて相手の動きを止めると、じっくり前に出て左から豪快な小手投げ。
「右が入ってよかった。落ち着いていたかな」と完勝に笑顔を見せた。
先場所は11勝を挙げて優勝決定戦に進出する大活躍。
今場所は自己最高位の西前頭8枚目まで番付を上げて臨むが「やることは変わらないので」と平常心で自分の相撲を取りきった。
初日、佐田の海が琴恵光とのご当地対決≠ノ快勝した。
この日の観客数は6564人。
昨年の初日には出なかった「満員御礼」の垂れ幕が下がった館内を大いに沸かせた。
鋭い踏み込みから右前まわしをつかみ、左を差してかいなを返しながら寄り倒し。
「起こされると浮いてしまうので、低く当たっていった。初日に勝つと気持ちが乗りやすい。良かった」と喜んだ。
初日、一山本は先場所で自身2度目の十両優勝を飾り、夏場所以来の返り入幕。
突いてくる東白龍に土俵際ではたかれて倒れたが、物言いがつき、東白龍の右足が先に出ていたとして軍配差し違えで白星となった。
「相手は引いてくるので、そこだけ気をつけて我慢しようと思っていた。勝てて良かった」。
けがをすることが多いという九州場所。
「けがをしないように、いい相撲を取れれば」と幕内では初場所以来の勝ち越しを目指す。
初日、沖縄県出身として17年ぶりの新入幕となった30歳の美ノ海(同県うるま市出身)が、同じ新入幕を狼雅を寄り切って、幕内力士としての初白星を飾った。
左前まわしを素早くつかみ、出し投げで攻め、力強く寄った。
「(相手の左)足が土俵を割ったのが分かった」と勝ちを確信して力を抜いたが、取組はそのまま進行。
逆に寄り切られて狼雅に軍配が上がった。
幕内力士として初白星。
「もう中堅の年齢だし、浮足だってはいない。いつもと変わらない」と強調しながらも「(幕内力士だけに許された)専用の座布団に座れたのはうれしかったですね」と笑みを浮かべた。
初日、新入幕の北の若が、23歳の誕生日を幕内初白星で祝った。
けんか四つの錦富士を突き起こすと左上手を引いて得意の右四つをつくり、休まずに攻め続けた。
最後は右のど輪も加えて寄り倒した。
場所前から磨いてきた前に出る力を発揮した。
「相撲のことに集中しすぎて誕生日のことを忘れてました。思い通りの攻めができた」と喜びをかみしめた。
幕内初白星にも浮かれる様子はない。
「明日も切り替えて、1つでも多く白星をつかめるように頑張りたい」。
新型コロナウイルス感染防止対策として、口をつけずに形式的に行われていた大相撲の「力水」の所作が12日、2020年初場所以来、約4年ぶりに再開した。
36歳の佐田の海は先場所までと同じく、口に水を含まずひしゃくを返してしまい「しっかり忘れていた」と苦笑い。
33歳の錦木は「久々すぎて『どうだったっけ』と思った」と戸惑っていた。
コロナ禍以降に関取になった力士にとっては、新鮮だった様子だ。
北青鵬は「ひしゃくに口をつけたのは初めて」と驚きの表情。
新入幕の北の若は「やっと本来の相撲らしい形に戻ってきた。幕内の初日からできたのは感慨深い」としみじみとしていた。
2023/11/12
大関貴景勝が九州場所初日を翌日に控えた11日、福岡・篠栗町の常盤山部屋で最終調整を行った。
福岡入りした後の稽古で首の違和感を訴え状態が心配される中で、この日は相撲は取らず四股やてっぽうといった基礎運動などで汗を流した。
稽古後、集まった報道陣の取材には応じず、無言のまま後にした。
師匠の常盤山親方は「痛いとは本人から絶対言わない。一緒にご飯を食べる時とかに首の状態のことを話している」と愛弟子の体調を気に掛けていた。
関脇・若元春が11日、福岡県須恵町の荒汐部屋で、あす12日に初日を迎える九州場所への最終調整を行った。
本場所で締める黒の締め込み姿で稽古場に現れ、四股などの基礎運動と一丁押しで汗を流した。
番付発表後は時津風部屋や木瀬部屋へ出向いて大関陣ら積極的に稽古。
「豊昇龍関や霧島関とも取れた。(調子は)良いと思います」と好感触を得て「あとは場所で取ってみないと分からない」と気持ちを高めた。
2場所ぶりに三役に復帰した小結阿炎が11日、同じ埼玉県出身の関脇大栄翔、小結北勝富士との三役同士での対戦で連勝を誓った。
2003年九州場所での青森県勢(若の里、高見盛、岩木山)以来となる同一都道府県出身の三役3人の”埼玉ダービー”を制し、大関とり再挑戦の勢いにつなげる。
20年ぶりの記録の当事者となり、声も弾んだ。
「大栄翔関と北勝富士関と一緒に頑張りたいし、負けたくない気持ちはあります。自分のメンタルを支えるというか、スイッチが切れないような状態にするために、そういうのも意識して」。
3人とも突き押しが武器。
真っ向勝負で場所に熱気を注ぎ込む。
東前頭の正代が11日、日本相撲協会の公式X(旧ツイッター)で意気込みを語った。
ご当所となる正代は動画で「九州出身力士として精一杯頑張りますので、応援よろしくお願いします。ぜひ見に来てください」などと述べている。
これに対しファンからは「熱い応援をします!! |ω・`)ガンバッテ!」「いけいけ、正代!」「正代関 同じ熊本出身なので応援しています」などと声が寄せられている。
九州場所は12日から26日まで福岡国際センターで行われる。
鹿児島県出身の幕内明生は11日、福岡県糸島市の立浪部屋で筋力トレーニングなどを行い、最終調整した。
ご当地場所へ向け「頑張らないといけないという気持ちになる。大きな声援を力に変えないといけない」と一層の奮起を期した。
三役返り咲きを狙った先場所は西前頭筆頭で7勝8敗。
「上を倒さないと先は見えてこない」と悔しさを味わった。
初日は過去4勝14敗で「苦手」という関脇大栄翔に挑み「最初に自分の相撲を取れれば、体が動いてくる」と気合を入れた。
1年納めの大相撲九州場所は12日に福岡国際センターで始まる。
照ノ富士は3場所連続休場で横綱不在。
先場所覇者の大関貴景勝が中心の優勝争いは混戦が予想され、霧島、豊昇龍の両大関、大栄翔、若元春、琴ノ若の3関脇に注目が集まる。
貴景勝はハイレベルな成績で2場所連続優勝を果たせば、横綱昇進の機運が高まる。
11日は会場で土俵祭りが営まれ、日本相撲協会の八角理事長や審判部の親方らが出席し、15日間の安全を祈願。
力士は参加しなかったが4年ぶりに一般公開し、約60人が見守った。
昨年同様に観客数の上限は設けず、通常開催で実施する。
2023/11/11
昇進問題を預かる審判部の佐渡ケ嶽部長は10日、九州場所で2場所連続優勝を目指す大関貴景勝について「変化ではなく、貴景勝らしい突き、押し相撲を見せてほしい」と言及した。
先場所の優勝決定戦で平幕熱海富士を立ち合いの変化で退け、勝ち方が物議を醸していた。
先場所の貴景勝は11勝4敗と低い優勝成績で、綱とりにはハイレベルな成績と内容が求められる。
「審判部としては本当に最後まで見てみないと」と述べるにとどめた。
先場所で10勝の関脇大栄翔は大関昇進に再挑戦。
佐渡ケ嶽部長は若元春、琴ノ若の両関脇も含め「3人並んでいるかなという感じ」と強調した。
関脇・大栄翔が10日、30歳の誕生日を迎え、本紙の取材に応じた。
この日、部屋の稽古は休み。
番付発表後は出稽古を含む連日の激しい稽古で疲労も溜まっており、治療を受けて体をしっかり休めた。
20歳で新十両昇進、21歳で新入幕を果たすなど若い頃から活躍してきた大栄翔は、関取10年目となる今年ついに30代の大台に突入した。
「30か〜。自分が子供の頃は30歳ってすごい大人に見えていたな」としみじみ。
それでもベテランの域に入るのはまだ早く「変わるのは数字だけなので。30だからって急に弱くはならないし、衰えるわけでもない」と心身ともに元気いっぱいだ。
現在、年間最多勝争いの単独首位に立っており、2日後に迫った九州場所の成績次第では大関昇進の可能性もある。
節目の年を迎え「30歳を機に、また一段と強くなりたい」と決意を新たにした。
元大関で、東前頭筆頭の朝乃山が10日、九州場所の休場を決めた。
10月28日の秋巡業で負った左ふくらはぎ肉離れの回復が間に合わなかった。
福岡市中央区の高砂部屋宿舎での稽古後に取材に応じた朝乃山は「痛みが取れれば、出るつもり」と話し、回復次第で途中出場する意向を示した。
朝乃山は日本相撲協会に「左腓腹筋(ひふくきん)損傷で3週間の安静加療を要する」との診断書を提出した。
休場は7月の名古屋場所以来で10度目となる。
新型コロナウイルス対策のガイドライン違反による6場所出場停止を除き、初日からの休場は初めて。
九州場所(12日初日・福岡国際センター)で4場所ぶりに復帰する元関脇で東幕下6枚目の若隆景(荒汐部屋)は、初日に西幕下6枚目の嘉陽(二所ノ関部屋)との取組が組まれた。
10日の取組編成会議で決まった。
28歳の若隆景は春場所で右膝を痛めて途中休場し、4月に靱帯再建手術を受けていた。
夏場所から3場所連続で全休し、2018年夏場所から守ってきた関取の座を失った。
強烈なおっつけが武器の相撲巧者で、一時は大関候補筆頭の呼び声が高かった。
2023/11/10
横綱・照ノ富士が9日、腰痛のために九州場所の休場を決めた。
師匠の伊勢ケ浜親方が明言した。
休場は3場所連続19度目で2場所連続で初日から横綱が不在となった。
照ノ富士はこの日、福岡県太宰府市の伊勢ケ浜部屋で立ち合いの確認などを行った後に休場を師匠に申し出た。
伊勢ケ浜親方は「ちょっと無理ですね。(膝など)他は調子がいいが、腰だけが悪い。いなされると対処できないし、前に出ると痛みが走る。相撲が取れないからね」と説明した。
照ノ富士の今場所の全休は濃厚で、今年の15日間皆勤は夏場所のみ。
慢性的な膝のケガも抱えており、復帰への道のりはかなり険しいものとなってきた。
大関・霧島が9日、福岡県志免町の時津風部屋に出向き、幕内・正代、錦木、関脇・大栄翔の3人を相手に計17番取った。
最初に正代と5番、次に錦木と3番取ってそれぞれ全勝。
一気の押しやもろ差し速攻で相手を寄せ付けない内容が目立った。
最後に大栄翔と9番取って5勝4敗。
馬力で圧倒される相撲もあったが、まわしを取れば強さは健在だった。
時津風部屋への出稽古は6日連続。
25番、26番、27番、29番、41番と日に日に増やしていったが、この日は少し番数を抑えた。
「昨日、一昨日と良い稽古をしたので。体の様子を見ながらやっている」と理由を説明。
それでも、九州場所まで3日と迫った中での17番は十分な稽古量と言えるだろう。
秋場所で優勝同点の西前頭8枚目の熱海富士が、充実の調整で九州場所に挑む。
9日、福岡・太宰府市の伊勢ケ浜部屋で稽古。
本場所初日に向けて「いつも通り良い感じできている」と手応えを口にした。
「巡業に出ていた分、番数はできていないですけど」と振り返る表情からは、トレードマークの笑顔が自然とこぼれた。
「いろんな人とできた」という普段の稽古場とは違う環境で大きな刺激を受けたことも明かした。
福岡入りした後は同部屋の関取衆らと相撲を取りながらコンディションを上げてきた。
普段より番数は少ないが、「一番、一番濃いんで」と、考えて取る相撲で満足した調整が詰めている様子だった。
西前頭16枚目の錦富士が、10月中旬に双子の男児が生まれたことを報告した。
9日、福岡・太宰府市の伊勢ケ浜部屋での稽古後に取材に応じ、秋巡業中の10月13日に誕生したことを明かした。
「コロナ禍で立ち会うことはできなかったんですけど、看護師さんから『元気に生まれてくれました』と連絡がきて。本当にかわいいすね」とメロメロだった。
父として初めて迎える本場所は「いつもと変わらないけど、今までよりも活力的なものはある。体が辛い時にも頑張らないといけないと思う」。
3場所連続2桁黒星を喫している中で、支えてくれる家族のためにも12日に初日を迎える年納めの九州場所で巻き返しを誓った。
元横綱の北の富士勝昭さん(81)がNHKの大相撲九州場所(12日初日、福岡国際センター)のテレビ中継の解説を“全休”することになった。
9日、同局の広報担当者が明らかにした。
“休場”は春場所、夏場所、名古屋場所、秋場所に続き5場所連続となった。
同局の大相撲の公式サイトには、初日のテレビ解説は正面が舞の海秀平さん、向正面は立田川親方(元小結豊真将)が務めると記載され、北の富士さんの名がなかった。
“休場”理由について、同局広報担当者は「個人に関することなので、こちらからお伝えできることはありません」と話した。
2023/11/09
横綱照ノ富士が12日に初日を迎える九州場所を休場することが9日、決まった。
報道陣の取材に応じた師匠の伊勢ケ浜親方は「(出場は)無理ですね。腰が痛くて前に出る相撲が取れない」と説明。
照ノ富士の休場は3場所連続通算19度目で、横綱昇進後は在位14場所で8度目の休場となった。
名古屋場所、秋場所と腰のケガの悪化などで休場し、後に腰骨の一部が折れていたことが判明。
途中合流した秋巡業では終盤に申し合いに参加するなど、徐々に調整のペースを上げて福岡入りしていた。
持病の糖尿病も両膝も問題なかったというが、やはり腰だけは不安を拭いきれなかった。
同親方によると、この日の朝稽古で2人で出場可否について話し合い、3場所連続の休場を決断した。
2023/11/09
8日、痛みを抱える腰の治療のため、福岡県太宰府市での伊勢ケ浜部屋の朝稽古を休んだ。
九州場所の出場可否について、師匠の伊勢ケ浜親方は「検査結果と9日の稽古の状況で最終判断する。出るか出ないかは本人次第」とした。
照ノ富士は名古屋場所を途中休場し、秋場所は全休。
腰骨の一部が折れていたことも判明した。
両膝には古傷を抱えるが、師匠は「腰以外は全て調子がいいと言っている。それだけにもどかしいところだろう」と話す。
福岡入り後は3日に1度ほどの頻度で通院しているという。
照ノ富士は10月13日の秋巡業から途中合流。
終盤には申し合いに参加するなど、徐々に調整のペースを上げていた。
今場所も休場となれば、今年の15日間皆勤は8度目の優勝を遂げた夏場所だけとなる。
大関3場所目の霧島は、福岡県志免町の時津風部屋へ出稽古し、大栄翔と若元春の両関脇らと41番連続の猛稽古だった。
所属する陸奥部屋の稽古休みを返上し「ここで休んだら最初の状態に戻ってしまう。こんなにやったよ、という気持ちになれる。体力的には50番ぐらいやりたかった」と充実の汗。
36勝5敗と圧倒した。
7日は29番取ったそうで、2日間で最近の角界では出色の計70番。
大関でまだ2桁勝利を挙げておらず「調子は上がってきた」と張り切っていた。
大栄翔と若元春の両関脇は8日、福岡県志免町の時津風部屋に出稽古し、大関霧島らと申し合いを繰り広げた。
大栄翔は計24番。
今場所は大関昇進と首位の年間最多勝も懸かる。
好不調の波が消え、今年は5場所全て勝ち越しと安定感がある。
「連敗は少なくなってきた。一番一番の積み重ね」と手応えをつかんでいる。
2場所連続9勝止まりの若元春は計23番こなし、今場所へ「絶対に2桁はクリアしないといけない」と意欲十分。
10月に30歳を迎え「この地位にしがみつくのではなく、もう一個上にいきたい」と闘志を燃やした。
幕内・北青鵬が8日、福岡・志免町にある時津風部屋に出稽古した。
申し合いでは十両・時疾風、幕内・正代(ともに時津風)、錦木(伊勢ノ海)、関脇・大栄翔(追手風)、若元春(荒汐)を相手に計12番。
3勝9敗と負けが先行したが、「体は動いてなくはない。(状態は)いつも通りですね。内容というか動きを重視しています」と、うなずいた。
秋巡業は古傷の右膝の内側側副靱帯(じんたい)損傷で途中離脱となったが、22歳の誕生日と重なる九州場所初日に向けては順調に調整を進めている。
一年納めの九州場所へ「まずは勝ち越して、2桁勝てるように頑張りたい」と言葉に力を込めた。
先場所は優勝同点の大活躍をみせた幕内熱海富士は、伊勢ケ浜部屋で幕内翠富士らと22番取った。
全体稽古終了後には、居残って立ち合いの動きを確認。
「稽古中にはできないことなので。いつも場所前にはやっている」と話した。
自己最高位の西前頭8枚目で迎える幕内3場所目に向け「弱い人はいない。全員が強い」と気合を入れた。
カルビー(東京都千代田区)は、11月12日から福岡市内で始まる大相撲九州場所を盛り上げるため、各相撲部屋に「ポテトチップス 九州しょうゆ」30ケース(360袋)などを贈呈し、親方による試食会を行った。
試食会で不知火親方は、「九州へ来るたびに買ってしまう」とにんまり。
小野川親方も、「場所を観戦しながら食べてほしい」と期待を込めた。
同社九州支店長の興津智幸さんは「相撲協会とタイアップして、九州場所を盛り上げたい」と話した。
2023/11/08
首に違和感を訴えた大関貴景勝は7日、福岡県篠栗町の常盤山部屋で幕内隆の勝と8番取り、6勝2敗だった。
6日は二所ノ関一門の連合稽古を欠席。
ハイレベルな成績で2場所連続優勝を果たせば、横綱昇進の話題が浮上しそうな九州場所への影響が懸念される中、まずまずの動きを見せた。
本人は取材に応じず、師匠の常盤山親方は「状態がいいとは言えないが、完全に休んでしまうと、体をつくり直さないといけない。慎重に考えながらやっている」と語った。
大関・霧島が7日、福岡県志免町の時津風部屋に出向き、幕内・正代と関脇・大栄翔を相手に計29番取った。
まずは正代と6番取って5勝1敗。
そして大栄翔と23番取って17勝6敗。
時間にして約45分間、疲れを見せずに最後は8連勝するなど無尽蔵のスタミナで休みなく相撲を取り続けた。
「大栄翔とは久しぶりで、最後まで力を出して良い稽古になった」と充実感を示した。
連日30番近い猛稽古。九州場所へ向けて調整は順調に見えるが、本人の中ではまだもの足りないという。
「稽古で勝てない時があって調子良くない。調子を戻すには稽古しかない。稽古が足りないと思って、毎日30番ぐらいやれたらいい」とさらなるペースアップを見据えた。
3場所連続で大関昇進に挑む関脇大栄翔は豊昇龍、若元春と3人同時昇進の可能性があった名古屋場所ほど重圧を感じていない。
目安とされる直近3場所合計33勝に14勝が必要で「常に目指してはいるが、前みたいにしっかりと懸かっているわけではない。いつも通りやる」と自然体で臨む。
先場所前は右肋骨(ろっこつ)骨折の影響から急ピッチでの調整を強いられた。
今場所は福岡市西区の追手風部屋で始動した日から幕内翔猿、遠藤らと16番取る充実ぶり。
「前と比べるとしっかりできている」と出足も鋭かった。
今場所直前の10日に30歳の誕生日を迎える。
「変わるのは数字ぐらい。体が急に落ちるわけではない」と意識しない。
2度目の賜杯となれば昇進ムードも高まりそうで、節目の年に大きな夢をつかみたい。
幕内・正代が7日、福岡県志免町の時津風部屋で12番の申し合い稽古を行った。
まずは関取衆の申し合いに参加し、出稽古に訪れた関脇・大栄翔、幕内・北青鵬、弟弟子の十両・時疾風の3人を相手に6番。
その後、大関・霧島に指名されて連続で6番取って1勝5敗だった。
霧島と肌を合わせるのは4日連続で「出稽古に来ていただいているので助かります」と感謝。
ここまでの調整は「順調な方かな」と好感触を得た。
5日に32歳の誕生日を迎え、この日は稽古を見守った鶴竜親方から祝福と激励の言葉を受けた。
熊本県出身の正代にとって、三役復帰目前の東前頭2枚目で臨む九州場所はご当所。
10年目の地元場所へ「良い成績を残せたら番付もついてくる。しっかり初日に合わせて調整できたら」と意気込んだ。
御嶽海ら出羽海部屋の関係者が4日、小城市芦刈町を訪れ、県内の子どもたちと交流した。
ぶつかり稽古で4人がかりの押しに御嶽海が土俵を割ると、見守った父母やファンから歓声が沸いた。
同市三日月町出身の元関脇、初代小城ノ花が出羽海部屋に所属し、現在は長男の二代目小城ノ花が11代親方を務めていることを縁に交流が続いている。
子どもたちとの交流は新型コロナ禍の影響で4年ぶり。
小中一貫校・芦刈観瀾(かんらん)校の相撲場での交流会には小学1年から高校2年までの18人が参加。
出羽海親方の弟の中立親方が四股の踏み方やすり足などの基本を教えた。
ぶつかり稽古では御嶽海と三段目の小城ノ正が胸を出し、土俵際まで攻め込む子どもに「下からもう一押し」などと声をかけた。
交流後には御嶽海らと記念写真に収まるファンサービスも。
主催の市相撲連盟や後援会の関係者は「小城と縁のある部屋なので、九州場所では頑張ってほしい」と話した。
日本相撲協会の枝川親方が7日、横浜市役所を訪れ、来年春の巡業で「横浜アリーナ場所」を行うことが決まったと、山中市長に報告しました。
来年春に開催される巡業「大相撲横浜アリーナ場所」。
人気の現役力士たちの迫力ある取組のほか、公開稽古や客とのふれあいなど、本場所では見られない催しが丸1日行われます。
2023/11/07
横綱・照ノ富士関が5日、福岡県添田町の英彦山神宮で土俵入りを奉納した。
同神宮での土俵入りは初めて。
周辺地域で近年、豪雨などによる災害が相次いでいるため、「四股を踏んで災厄を防ぐ地固めを」と企画された。太刀持ちに翠富士関、露払いに熱海富士関を従えた照ノ富士関が不知火型を披露すると、約600人の観衆から「よいしょ」とかけ声が上がった。
行橋市から家族で訪れた飲食店経営者は「すごい迫力だった。九州場所の活躍に期待したい」と話していた。
大関貴景勝が6日、福岡市東区の佐渡ケ嶽部屋で行われた二所ノ関一門の連合稽古を首の違和感で欠席した。
師匠の常盤山親方によると、5日夜に本人から申し出があった。
ハイレベルな成績で2場所連続優勝を果たせば横綱昇進の話題が浮上しそうな九州場所に向け調整への影響が懸念される。
常盤山親方は「福岡に入ってから痛めた。場所が近いし、無理はさせられない。初日に合わせてくれたら」と説明。
貴景勝は5日の連合稽古で11番取ったが、稽古中に古傷を抱える首を気にするそぶりも見せていた。
二所ノ関一門による連合稽古が6日、福岡市東区の佐渡ケ嶽部屋で行われ、関脇琴ノ若は一門外から参加した幕内豪ノ山らを相手に15番連続で取り、11勝4敗だった。
九州場所に向けて順調な仕上がりぶりを披露し、「いろんな動きができた」と手応えを口にした。
初場所の新三役から5場所連続で勝ち越し。
大関候補として期待が高まる中、「出るからには優勝を狙わないといけない。どんな時もチャンスがあると思ってやっていく」と気合十分だった。
朝乃山が6日、福岡市中央区の高砂部屋で九州場所へ向けた調整稽古を行った。
秋巡業終盤の10月28日に左ふくらはぎを肉離れ。
この日は「まだ足がダメなので、負担にならないように」と上半身のトレーニングに終始した。
初日まで1週間を切ったが、回復はそれほど順調でない様子。
「最初は良い方向だったけど、そこで止まってしまっている。稽古ができていないので不安しかない」。
三役復帰目前の東前頭筆頭まで番付を上げて迎える九州場所へ、複雑な胸中を吐露した。
西前頭筆頭・宇良が2日、福岡市東区の木瀬部屋で出稽古に来た新入幕の東白龍らと計9番の申し合いを行った。
4勝止まりだった昨年春場所以来の自己最高位で臨む九州場所。
「新三役とか筆頭とかどうでもいい。上位と勝負できた感覚が欲しい」と目前まで来た新三役への意識はない。
2年前に唯一の三賞の技能賞を獲得した九州場所。
「九州は好きです。過ごしやすい気候になってきた」。
押しを磨いて、成長した姿をお披露目する場とする。
九州場所を前に、熊本県出身の元大関で幕内正代は6日、ご当地場所へ向け「一番意識している場所。応援を力に変えたい」と強い意欲を示した。
東前頭2枚目で臨み「新年を三役で迎えると気持ちも引き締まる」と気迫十分。
福岡県志免町の時津風部屋で出稽古に訪れた幕内錦木らと13番取り、出足の鋭さが光った。
新小結の先場所は5勝10敗だった錦木は「自分が弱かっただけ」と受け止める。
平幕から出直しとなり「ここから。けがをせず、まずは勝ち越しを目指す」と巻き返しを期した。
幕内・翔猿が1日、福岡市西区の追手風部屋で14番の申し合い稽古を行った。
関脇・大栄翔、幕内・遠藤、剣翔、十両・大奄美の4人を相手に4勝10敗。
実戦稽古が久々だったため「まだまだ相撲勘が戻ってない」と慣らしながらだったが、素速く動いて中に入ったり引き落としを決めたりと随所に持ち味を見せた。
11日後に迫った九州場所へ、ここからさらに調子を上げていく。
出羽海一門の幕内豪ノ山は6日、福岡市東区の佐渡ケ嶽部屋での二所ノ関一門による連合稽古で13番取った。
大相撲九州場所に備え、2日続けて参加し「師匠(武隈親方=元大関豪栄道)に出稽古したいと伝えたら、連合稽古に行けばいいと言われた。いろいろな関取衆とできて良かった」とうなずいた。
入幕3場所目で東前頭4枚目に躍進し、上位陣との対戦も予想される。
稽古熱心な25歳のホープは「挑戦という気持ちではなく、しっかり勝つという気持ちで臨みたい」と頼もしかった。
九州場所の新弟子検査が6日、福岡市内で行われ、今年の全国高校総体個人3位で青森・五所川原農林高の長谷川力響(17)=青森県出身、安治川部屋=ら受検した3人が身長167センチ以上、体重67キロ以上の体格基準を満たした。
内臓検査の結果を待ち、初日に合格者が発表される。
協会の制度改定で長谷川は三段目最下位格付け出し資格を得ていたが、前相撲から初土俵を踏む意向。
検査は183センチ、131キロでパスした。
三段目最下位格付け出しを選ばなかった長谷川は「特に悩まなかった。いずれにしても自分の力をつけていかないと駄目なので、前相撲からでも遅くないと思った」と異例の決断に至った経緯を説明した。
右四つ、寄りが得意で、憧れは同じ青森県出身で師匠の安治川親方(元関脇安美錦)と即答。
付け出し対象の全国高校総体個人3位は、制度改定の9月下旬から1カ月以上前だった。
「もともと前相撲から取るつもりだったので、変えずにやろうと考えた。4年後には十両まで上がっていたい」と目標を語った。
今年の新弟子検査合格者は最大で53人にとどまり、年6場所制となった1958年以降では2012年の56人を下回って最少となった。
2023/11/06
腰痛などで2場所連続休場中の大相撲の横綱照ノ富士は3日、福岡・太宰府市の部屋での稽古後「(腰の)痛みはあるが、動きは徐々に良くなっていると思う。様子を見ながらやってみて」と話した。
九州場所について師匠の伊勢ケ浜親方は「もちろん出るつもりでやっている。痛みなどは本人しか分からないが自分なりに調整するしかない」と話した。
この日はスクワットなどで汗を流してから、幕内宝富士と11番取り全勝。
右四つからの寄りや、左巻き替えからのもろ差しも試した。
九州場所に向けた二所ノ関一門の連合稽古が5日、福岡市東区の佐渡ケ嶽部屋で行われ、先場所覇者の大関貴景勝は関脇琴ノ若、幕内王鵬と11番取り、8勝3敗だった。
一方的に押し込む相撲がなく、はたく内容が多かった。
古傷の首を気にするそぶりも見せたが「いつも通り普通の調整。毎日集中して取り組み、頑張った先に結果がある」と話した。
ハイレベルな成績で2場所連続優勝となれば、横綱昇進のムードは高まる。
昇進問題を預かる日本相撲協会審判部の佐渡ケ嶽部長からは「しっかり当たれていたし、集中すれば本場所でも力は出せると思う」とエールを送られた。
九州場所で大関3場所目を迎える霧島は2日、福岡市南区の陸奥部屋で出稽古に訪れた小結北勝富士、新入幕の北の若と計13番、熱のこもった稽古を繰り広げた。
昇進後は2桁勝利がなく、秋場所も9勝止まり。
「先場所はもう終わった。これから」と気持ちを新たにした。
鹿児島県出身の師匠、陸奥親方は来年4月に日本相撲協会の定年を迎えるため、最後の九州場所となる。
この日は焼酎最大手の霧島酒造(宮崎県都城市)から紫色を基調とした化粧まわしを贈られ「自分にできることは1つしかない」と2度目の賜杯へ気持ちを高めた。
九州場所に向け、大関・豊昇龍が福岡・糸島市内にある宿舎で幕内・明生(ともに立浪)らと申し合いの稽古を20番行って13勝。
福岡入り後、初めて相撲を取ったというが、明生との一番では押し込まれて土俵際まで追い込まれた。
大関昇進に再び挑む関脇大栄翔は福岡市内で精力的に幕内翔猿、遠藤らと16番取り、12勝4敗とした。
先場所前の稽古は右肋骨(ろっこつ)骨折の影響から急ピッチでの調整となっただけに「このままの調子で場所に臨みたい」と充実の表情だった。
21場所ぶりに三役へ復帰した北勝富士が2日、福岡市南区の陸奥部屋へ出稽古した。
大関霧島とは4番取って1勝だったが「(勝った一番は)しぶとくしぶとく取れた。一番でもああいう相撲があれば。量より質です。それに最近気づきました」と内容にこだわった稽古をやっている。
「20番も30番も稽古できないので。すぐ体が痛くなるし。若くないところを逆に利用して」と話すが、場所中に31歳の誕生日を迎えた今年の名古屋場所では、敗れはしたが豊昇龍と優勝決定戦で賜杯を争った。
三役は通算4場所目。過去3場所は負け越しているが、年齢をうまくカバーしながら、まずは三役初勝ち越しを目指していく。
元大関朝潮で先代高砂親方の長岡末弘さんが67歳で死去したことを受けて4日、高砂部屋の部屋頭の幕内朝乃山が、福岡市中央区の部屋宿舎で取材対応。
入門時の師匠の最後の教え「前に出ろ」を胸に、九州場所での活躍を誓った。
入門時の師匠との別れに、朝乃山はうなだれた。
それでも、場所は待ってくれない。
先代高砂親方の訃報を2日に聞いた。
黙とうをささげ、最後の教えを胸に前を向いた。
三役復帰を手繰り寄せ、手向けにしたい。
秋場所で11勝を挙げ、優勝決定戦に進出した幕内熱海富士(21)が3日、福岡県太宰府の伊勢ケ浜部屋宿舎での朝稽古で翠富士ら関取衆との申し合いを行い、九州場所に向けた最終調整をスタート。
「もっとできる。前に出たい」と取り口の課題を挙げた。
秋場所の大活躍もあって、稽古後は大勢のファンに囲まれて記念撮影で笑顔を振りまいたが、自己最高位の西前頭8枚目で迎える九州場所の話題になると「足りないところばかりです」と、表情を引き締めた。
関取衆が多い環境を生かし、出稽古ではなく部屋で番数を重ねていくという。
30日、九州場所の番付を発表し、28歳の友風は右脚切断の危機を乗り越え、宇良に次いで史上2番目に低い地位から4年ぶりの再入幕を果たした。
幕内上位の2019年九州場所で右膝を負傷。
断裂した前十字靱帯の再建など4度の手術を受け、西序二段55枚目まで下がった。
秋場所中には「うれしいというよりも、いろいろな人に感謝の思いしかない」と語っていた。
現在も右脚の感覚は鈍く、土俵上でつまずきそうになることもある。
昨年2月に尾車部屋の閉鎖に伴い、元横綱稀勢の里が率いる二所ノ関部屋に移籍。
師匠にとって、21年8月の独立から初の幕内力士となった。
東洋大相撲部出身の東白龍が入門から4年半かけて新入幕。
「素直にうれしい」と?をゆるめた。
大関貴景勝とは同学年で、専大松戸相撲部時代は埼玉栄の貴景勝と何度も対戦した経験がある。
「6、7回やっていると思います」。
ただ勝ったのは1回だけ。
まだ番付は離されているが幕内という同じ舞台まで上がってきた。
「早く対戦できるように頑張りたい」と気合を入れた。
30日、九州場所の新番付を発表し、沖縄県うるま市出身の美(ちゅら)ノ海が新入幕を果たした。
十両から西前頭15枚目に昇進した。
沖縄県出身の幕内力士誕生は2006年秋場所の琉鵬以来17年ぶり5人目となる。
30日、新入幕を遂げた狼雅が福岡県飯塚市の二子山部屋宿舎で記者会見し、番付表に載った自身のしこ名を見て、「すごく大きく、ちゃんと見える。うれしい」と感慨深げに語った。
ロシア出身の24歳。
初土俵から十両昇進まで4年を費やしたが、入幕は1年で達成。
「いつも師匠に言われているので、攻める相撲を毎日考えながら取っていた」と振り返り、今場所の目標に「2桁(白星)」を掲げた。
二子山親方は、2018年に独立してから初の幕内力士が誕生。
「しっかり稽古もしている。問題ない」と活躍に太鼓判を押した。
30日、大相撲九州場所の番付を発表し、新入幕の北の若は、解説やコラムなど”休場”が続く北の富士勝昭さん(元横綱)からしこ名の一部「北の」を授かった孫弟子として、元気づける活躍を誓った。
東白龍、美ノ海、狼雅を含め、新入幕4人は2013年夏場所以来、10年ぶり。
恩人に満足してもらうため、新入幕はスタート地点に過ぎない。
北の若は、福岡市南区の八角部屋宿舎で会見し、師匠の八角親方の師匠・北の富士勝昭さんの孫弟子として「もっともっと、元気になってもらえるように」と活躍を誓った。
大相撲の元大関・朝潮の長岡末弘さんが67歳で亡くなってことがわかってから一夜明けた4日、都内の高砂部屋前で恵夫人が取材に応じた。
長岡さんは、2日に小腸がんのため自宅で息を引き取ったことを明かし「(長岡さんが)外にいることが多くて、家族でじっくりといることは少なかったので、今は家族で静かに。
2023/09/25
千秋楽、11勝4敗で並んだ大関・貴景勝が、前頭十五枚目・熱海富士との優勝決定戦を制して、4場所ぶり4度目の優勝を飾った。
優勝インタビューでは「絶対負けられないという、強い気持ちでやりました」と優勝決定戦について振り返った。
千秋楽まで熱海富士を星の差1つで追いかける展開となったが、熱海富士が敗れたことで、再びチャンスが巡ってきた。
本割でしっかりと関脇・大栄翔を下し、迎えた優勝決定戦では、立ち会いで左に変化してのはたき込み。
注文相撲は賛否を呼んだが、大関の役目を果たした。
新大関の豊昇龍は千秋楽で給金を直し、来場所のかど番を免れた。
204センチの北青鵬との一番。
中に入ると、足技で崩してから左で渡し込み、優勝の可能性を残していた21歳を転がした。
9日目に6敗。
苦しい状況から終盤で意地を見せた。
「勝ち越せてよかった。勉強になった。来場所に向けて、この気持ちを忘れないようにしたい」と静かに言った。
千秋楽、大栄翔は優勝決定戦進出が懸かった一番で、貴景勝との真っ向勝負に敗れた。
頭で当たり合って正面から激しい押し合い。
「ここが(大関との)差なのかな。弱い部分が出た」と潔く負けを認めた。
名古屋場所中に肋骨を骨折した影響で、場所前に十分な稽古ができなかった中での2桁勝利。
大関獲りにつながる成績を残し「もっともっと稽古して強くなりたい」と悔しさをこらえながら言葉に力を込めた。
千秋楽、朝乃山が優勝争いの先頭に立っていた熱海富士に快勝した。
右の相四つの相手に左からおっつけて組む。
力強く寄り切り、「やることは変わらない。圧力をかけて、攻める気持ちだった」。
西前頭2枚目で9勝6敗。
三役復帰を目指す元大関は来場所に向けて、「稽古をして、しっかりけがを治して、準備したい」と闘志を燃やした。
千秋楽、逆転優勝を目指した高安は結びで霧島の引き落としであっけなく前に落ち10勝5敗に終わった。
支度部屋では表情は穏やかだったが言葉は少なめ。
千秋楽まで優勝を争うのは8度目で「精いっぱいやりました」と淡々と振り返った。
腰などに不安を抱えながらの15日間。改めて力のあるところは証明した。
「来場所に向けてもっと努力していきたい」。
悲願の優勝へ決して諦めない姿勢を示した。
千秋楽、平幕の北青鵬は渡し込みで豊昇龍に敗れ、千秋楽まで優勝を争った15日間の戦いを10勝5敗で終えた。
6日目まで2勝4敗と黒星先行させながら、その後に8連勝。
「13日目まであんまり意識することなかったですけど、14日目に勝って意識しました」という。
優勝は逃したが204センチのリーチを生かした四つ相撲は驚異。
「まわしを取れば通用すると思ってます。右上手、右下手を引く稽古をしていきたいです」と自分の型に磨きをかけていく。
千秋楽、東前頭15枚目・熱海富士は賜杯にあと一歩、届かなかった。
本割で大関経験者の西前頭2枚目・朝乃山に寄り切られると、4敗で並んだ大関・貴景勝との優勝決定戦では変化され、はたき込まれた。
初土俵から18場所目での初Vなら年6場所制となった1958年以降初土俵(幕下、三段目付け出しを除く)では最速記録だったが、及ばず。
記録ずくめの賜杯は来場所以降へお預けとなった。
「(決定戦は)入門してから横綱が取っているのを見てきたし、自分があの場に立てていることを、昔の自分に言いたいですね。勝ちたかったです。目の前にあったんですけどね。本割も決定戦も…悔しいです」
この日は母・武井奈緒さんと、妹・陽奈さんも館内から見守った。
本割の取組前には花道モニターに映った家族2人の姿を確認。
悲願の瞬間を見せたかったが、あと一歩及ばず、「勝ちたかったですね。ダメですね」と唇をかんだ。
史上まれに見る大混戦場所で、一番の存在感を見せた平幕は幕内2場所目で初の敢闘賞に輝いた。
「評価していただけたことはうれしい」。
そう言ったが悔しさは顔に出た。
それでも最後は「稽古が足らないですね。やることがいっぱいある。相撲人生は長いので、強くなりたいです」と顔を上げた。
千秋楽、十両は西7枚目の一山本が13勝2敗で制した。
新十両で元アマ横綱の大の里と2敗で並んでいたが、本割で大奄美を押し出し、大の里は狼雅に敗れたため、21年九州場所以来の2度目の十両優勝が決まった。
名古屋場所で左膝を傷め5日目から途中休場も8日目から再出場。
治療しながらも実戦を重ね、稽古を積んできた。
今場所は優勝よりも再入幕を意識して戦ってきた。
師匠からは「守りに入るな」とアドバイスされた。
「今日は攻めて相撲が取れたので良かった」と満足そうに言った。
石川が生んだ大器が関取デビュー場所でその片鱗(へんりん)を存分に見せつけた。
大の里(津幡町出身、二所ノ関部屋)は十両で一番下の番付ながら初日から9連勝と快進撃を続け、12個の白星を並べた。
破壊力抜群の突き、押しで圧倒する相撲はファンの目を奪い、日に日に大きくなる声援に大の里は「15日間、土俵入りの時から歓声を感じていた。応援してもらえてありがたかった」と感謝を口にした。
狼雅に投げられ、土俵下に転がり落ちた大の里は土俵に手をついて下を向き、険しい表情を浮かべた。
十両トップで並んでいた一山本は先に13勝目を挙げていたが、結果は見ずに土俵へ。
「自分の一番のことだけを考えて相撲を取った」ものの、優勝にはわずかに届かなかった。
取組後は「気にしていない。勝ち越しが目標だったので」と吹っ切れた様子。
新十両の場所としては十分な成績で、体格を生かした相撲は角界内外に「怪物ぶり」を印象付けた。
日本相撲協会は24日、大相撲秋場所の懸賞本数が2325本となり、過去最多だった2018年秋場所の2160本を上回ったと発表した。
千秋楽には204本の懸賞がつき、今場所初日の198本を超え、1日の総数として最多を更新した。
15日間を通して館内に「満員御礼」の垂れ幕が下りる盛況。
八角理事長(元横綱北勝海)は「低い優勝争いになったが、力士は一生懸命やっている。お客さんに喜んでもらえる一番一番の相撲を取った」と話した。
2023/09/24
14日目、大関・貴景勝が新大関・豊昇龍に敗れ、首位から陥落した。
立ち合いから低く当たり突っ張るも、豊昇龍をとらえきれなかった。
距離を縮められず回り込まれると、左腕を抱えられて転がされた。
連勝が5で止まり、「負けなので、それがすべて」と短い言葉で悔しさを押し殺した。慎重にいったかとの問いには「結果論ですね。出来なかったイコール弱い。強くなるしかない」と受け流した。
逆転優勝へ貴景勝は「切り替えではなく、やることはやっている。明日また集中していきたい」と意気込んだ。
14日目、新大関豊昇龍が、大関貴景勝を上手投げで破り、星を7勝7敗の五分で千秋楽を迎える。
「しっかり集中してやろうと思った。(相手は)はたいてくるんで気をつけていった。勝って、何よりよかったです」
立ち合いから突き放し、タイミングで引き技を繰り出してくる貴景勝のパターンを読み切っていた。負ければかど番となる、大きな一番となる千秋楽。
「しっかりあと一番、集中してとりたいです」と自らに気合を注入した。
14日目、関脇大栄翔が捨て身の小手投げで霧島を破り、10勝4敗で優勝争いに残った。
霧島にもろ差しを許す絶体絶命のピンチだったが「攻めるしかないと。(小手投げは)とっさに出ました。(稽古場でも)ないですね」。
これで2桁にも乗せた。
大関昇進を目標に掲げる大栄翔にとって「2桁勝てたことはよかった」と1つの課題をクリア。
千秋楽の貴景勝戦に思い切り臨むことができる。
14日目、琴ノ若が苦しみながら新関脇での勝ち越しを決めた。
金峰山の出足に土俵際へ後退し、左上手投げで逆転。
「勝ち越しはうれしいけど、内容的にはそんなに…」と表情はさえなかった。
先場所の11勝に続く2桁勝利で大関昇進の足固めが期待されていた。
25歳のホープは目標に届かず「地力がなかった。相手がどうこうというより、自分の内容が大事」と反省の言葉を並べた。
それでも三役では5場所連続勝ち越しをマークし、安定感の高さを証明。
「自分にできることを見つめ直す。生まれ変わるくらいの気持ちでもう一回やる」と意気込む。
千秋楽を締めくくり、来場所へつなげたい。
14日目、元大関で東前頭7枚目の高安が千秋楽まで優勝争いに食らいついた。
動きのある翔猿を「よく見て相撲が取れました。手を休めなかったのがよかったですね」と冷静に対処。
勝負どころとみるや、すかさず攻勢に転じて送り出した。
トップの熱海富士とは1差。
千秋楽結びの一番で組まれた霧島との対戦に勝てば、熱海富士の結果次第で優勝のチャンスが巡ってくる。
高安は「もうないでしょー」と優勝への意識はまったくない。
それよりも「明日の千秋楽はいい相撲を取りたい。それだけですね」と内容にこだわっている。
9日目まで1敗を守っていたが、その後にぎっくり腰を発症して失速した。
この日も「あれが全力です。持てる力を使いました」と話したが、残り1日。初Vへすべてを出し尽くす。
14日目、平幕の北青鵬が10勝目を挙げ、初の幕内2桁勝利で逆転優勝に望みをつないだ。
立ち合いで得意の右四つになり、剣翔に何もさせずに寄り切り。
連勝を8に伸ばして「いい感じ。ここまで来たら(優勝を)意識することもあるが、誰が相手でも自分の相撲を最後までやりたい」
千秋楽は「これより三役」に抜てきされ、初の大関戦で豊昇龍に挑戦する。
14日目、東前頭15枚目・熱海富士が初優勝に王手をかけた。
同2枚目・阿炎を寄り切って3敗を死守。
並走していた大関・貴景勝が4敗に後退したため、再び単独トップに立った。
千秋楽で西前頭2枚目・朝乃山に勝てば、年6場所制となった1958年以降初土俵(幕下、三段目付け出しは除く)で最速となる初土俵から18場所目での優勝が決まる。
4勝止まりだった新入幕場所から一転、5場所ぶりに返り咲いた幕内2場所目で躍進する新鋭は「やっと、あと一番。長かったです。(優勝の意識は)まだ番付が下なので、意識することもない。場所がようやく終わりますね」と一息。
語る姿は悠然としたもの。
109年ぶり2人目となる十両、幕内の連続Vへ―。
14日目、新十両の大の里が、再び十両優勝争いの先頭に並び、千秋楽を迎えることになった。
立ち合いで東白龍を突き放すと、左1本で押し、そのまま腕を伸ばして土俵下まで押し倒した。
12勝2敗とすると、その後の取組で1敗だった一山本が敗れて2敗に後退。
12日目に2敗目を喫してから、一山本を1差で追っていた大の里が、再度トップに並んだ。
2人に続くのは4敗の友風だけに、十両優勝は大の里と一山本に絞られた。
取組後は「いい相撲だったかなと思う」と、納得の表情で振り返った。
帰り支度の最中だったが、一山本が敗れたことは支度部屋内のテレビで確認したというが「あまり気にせんと、明日で15日間が終わるので、明日の対戦相手のことだけを考えたい」と、無欲を強調した。
2023/09/23
13日目、霧島が豊昇龍との大関対決を制し、かど番を脱出した。
立ち合いで左に動いて右四つで組み、土俵際まで攻め立ててから上手投げで仕留めた。
「差してくると思って、ずれていった。差されたら何もできない」。
狙い通りだった。
優勝争いには絡めていないが、「自分の相撲を取ることを考える。思い切りいくしかない」。
残り2日、看板力士としての意地を見せる。
13日目、ついに捉えた!
大関貴景勝が、1差で追っていた東前頭15枚目の熱海富士を破り、5連勝で10勝3敗として優勝争いの先頭に並んだ。
大一番で攻め続け、最後は体を預けて寄り切った。
押し相撲の貴景勝が寄り切りで勝つのは全416勝のうち、わずか6度目。
4度目の優勝へ、気迫で白星をつかんだ。
取組後、大関の意地について問われると「どんな相手でも一生懸命やるだけで特にない」と、淡々と語った。
番付の重み、若手の壁になる思いは「周りが言っているだけで、結果的にそうなるようにしてきた。集中してやり切ることが、相撲につながる」と続けた。
13日目、大栄翔が激しい押し合いを制して4敗を守った。
埼玉栄高の5年後輩にあたる豪ノ山に顔を張られる場面もあったが、冷静に押し込んでからのはたき込み。
前日の熱海富士戦に続き、初挑戦の若手を退けた。
7日目から7連勝で「気持ちも乗っている」と勢いは止まらない。
大関獲り継続や逆転優勝の可能性もある残り2日へ「2桁以上勝ちたい。しっかりやっていきたい」と闘志を燃やした。
13日目、関脇の若元春は、剣翔の形になっても負けなかった。
立ち合いで張られ、自身の得意とは逆の右四つで組んでも、まわしを引きつけて攻める。
出し投げで崩してから寄り切り、「大きい相手だが、押し込まれなかった」。
鼻から血をしたたらせ、勝ち名乗りを受けた。
3連敗後の2連勝で、7場所続けて給金を直した。
「勝ち越しで満足せずに。まだあるので、自分らしい相撲を取れるように」と先を見据えた。
13日目、西前頭2枚目の朝乃山は東前頭11枚目の御嶽海との元大関対決を制し、勝ち越しを決めた。
6場所出場停止処分を受け、昨年7月の名古屋場所で復帰してから8場所連続で給金を直した。
御嶽海とは2021年5月場所以来、約2年ぶりの対戦となった。
ともに学生相撲出身で1学年上の先輩だ。
先に手をついた朝乃山。
立ち合いで頭から当たると、御嶽海の突き、押しをしのいで、左上手をつかむ。
右おっつけで起こしながら前に出続け、一気に寄り切った。
14日目は東前頭3枚目の正代との対戦が組まれ、2日連続の元大関対決となる。
正代とは過去8勝4敗で、直近は4連勝中と相性は悪くない。
同じ時期に大関を張った好敵手との一番に挑む。
13日目、悲願の初優勝を目指す東前頭7枚目・高安が北勝富士に送り出されて、厳しい4敗目を喫した。
腰に不安を抱えながらの土俵が続く。
支度部屋で髪を結う間、しばらく質問にも無言を貫いた後に「何とか勝ちたいですね。また明日、準備していい相撲をとりたい」。
14日目は小結翔猿との対戦が組まれた。速い動きの相手への対応が求められるが、もう負けられない。
気力で賜杯への可能性をつないでいく。
13日目、現役関取最長身の204センチ、西前頭11枚目の北青鵬が隆の勝をはたき込み、9勝目をあげた。
優勝争いの可能性も残したが、残り2日に向けて「何も考えずにいきます」と平常心。
7日目から7連勝と不気味な存在で、14日目は8勝5敗の剣翔との対戦が組まれた。
「まわしを取る。自分の相撲をとるだけです」。
まずは幕内で初の2桁勝利を目指す。
13日目、東前頭15枚目の熱海富士は、貴景勝に寄り切られ、3敗目を喫した。
かみ締めた唇は「へ」の字。
取組後の支度部屋。
熱海富士が口元に感情を凝縮させていた。
初の大関挑戦。立ち合いこそ互角以上だったが、貴景勝にいなされて前のめりになり、右差しを許して寄り切られた。
連敗で単独トップから引きずり降ろされた。
「いや〜、負けたっすね。悔しいなぁ」とぽつり。
圧力はかけたが、相手を慌てさせるまでには至らず。
「緊張はなくいけていた。強いっすね、大関だもんな〜。(自身が)顔じゃないっす」と、最後は分不相応を意味する角界用語も持ち出し、完敗を受け入れた。
2023/09/22
12日目、大関・貴景勝が3敗を死守し、優勝戦線に踏みとどまった。
新関脇・琴ノ若に押し出しで快勝。
1敗でトップを走っていた東前頭15枚目・熱海富士が2敗目を喫し、1差に迫った。
13日目は両者の直接対決。
首位から引きずり下ろし、2016年秋場所の豪栄道以来、9人目となるカド番優勝を狙う。
取組の一番前には単独トップ・熱海富士が敗れたが「変わらない」と気持ちは乱れず。
1差に迫る9勝目に「今日は今日で集中してやるだけでした。勝敗は周りが言うことで、一日一番です」と先を見据えた。
カド番Vとなれば、埼玉栄高の先輩でもある16年秋場所の豪栄道以来、史上9人目となる。
「明日の一番、いい形で集中してやる。それがその後につながる。今日、一生懸命やった人だけが明日戦える」と貴景勝は言う。
12日目、21歳の平幕が主役になりつつある秋場所で、関脇大栄翔が壁になった。
役力士にとってはふがいない戦況を食い止めるように、得意の押し相撲を終始展開。
「よく攻めて、自分の相撲が取れた」。
淡々と振り返った。
立ち合いで右腕を伸ばし、熱海富士の肩口を押し上げて相手の腰を浮かせた。
間髪入れず左右から強烈な突きを繰り出し、まわしにほとんど触れさせない。
相手がじれたのか、前のめりに出てきたところを引き落とし、土俵に沈めた。
「100%の立ち合いをすれば押せる。それができた」。
低い姿勢で当たってまわしを取り、快進撃を続けてきた初顔の相手に、何もさせなかった。
12日目、西前頭2枚目の朝乃山は西小結翔猿を寄り切り、勝ち越しに王手をかけた。
得意の左上手をがっちりとつかみ、うるさい相手を力強く仕留め「上手を取れたので、前に出るだけと思って出られた。土俵際もしっかり腰を割れた」と納得の口ぶり。
13日目での勝ち越しを目指す。
12日目、前頭四枚目・宇良が前頭十六枚目・剣翔を掛け投げで下して6勝目を挙げた。
土俵際で抜群の体幹力を見せた宇良の取組に、視聴者も「柔らかさが出た」「Y字バランスみたいなってる」と驚きの声を上げた。
立ち合い剣翔に張られた宇良。
左四つに組まれるも、右前みつを引いた宇良は頭を下げて出し投げを打っていく。
剣翔が残すと、宇良は回り込みながら足を取る素早い攻めを展開。
最後は体を密着させながらジリジリと土俵際まで寄っていき、相手の外掛けにも動じず、右足一本で立ちながら宇良が投げの打ち合いを制した。
掛け投げで勝った宇良は6勝目。
12日目、大関経験者で東前頭7枚目・高安が執念の相撲で3敗を死守した。
新小結・錦木をもろ手で攻めたが押しきれず。
最後は引いて呼び込み土俵際へ追い込まれたが、俵の上に左足一本を残してはたき込んだ。
「精いっぱいの相撲でした」と表情を変えることなく振り返った。
10日目の熱海富士との一番に敗れた際、腰付近を痛めたもようだが、これで連敗を「2」で止めた。
トップの熱海富士とは1差に迫り、優勝戦線にも踏みとどまった。
何度も目前に迫りながら賜杯を逃している。
13日目は東前頭筆頭・北勝富士との一番だ。
12日目、東前頭11枚目・御嶽海は西前頭12枚目・佐田の海を押し出しで下し、勝ち越しを決めた。
夏場所以来、2場所ぶり。星は8勝4敗。
御嶽海は会心の相撲で給金直しとなった。
頭で当たると出足良く前に出て、一気に相手を土俵の外に運んだ。
13日目の22日は7勝5敗の西前頭2枚目・朝乃山と当たる。
直近6場所で御嶽海との顔合わせはない。
12日目、現役関取最長身204センチの西前頭11枚目・北青鵬が、2場所ぶりの勝ち越しを決めた。
大翔鵬を寄り切って8勝目。
7日目から6連勝とした。
「立ち合いは重かったけど、前に出ることができた。(連勝中は)攻める相撲をとることができた」と言った。
幕内ではまだ2桁勝利をあげていない。
残り3日に向けて「まわしを取る自分の相撲をとって勝てるよう頑張りたい」と意欲を示した。
12日目、再入幕・熱海富士は、関脇・大栄翔に引き落としで敗れ、2敗目を喫した。
前日に三役初挑戦で小結・翔猿を下した熱海富士は、大栄翔との大一番。
立ち合いから突き押し自慢の相手に一歩も引かずに食らい付いたが、最後はバッタリと前に落ちた。
支度部屋では開口一番、ため息交じりに「悔しいですね…」と唇をかんだ。
それでも八角理事長は、「熱海富士も引かなかった。いい相撲だった。お互いに足を出してはたかれないようにしていた。熱海富士は予想以上に重たい。がっちり成長している。臆することがない。普段、横綱と稽古から上位慣れしているね。だから初めて上位と対戦しても力が出せる」と評価。
単独先頭で終盤に挑む21歳に対し、「この経験を大事にしてほしい。まだ行けると思うよ。今日みたいな相撲を取れば開けてくる」と期待を込めた。
12日目、新十両で東十両14枚目の大の里が、同級生対決に敗れて2敗目を喫し、初日から守ってきた十両優勝争いの先頭から陥落した。
東十両2枚目の北の若に立ち合いすぐに右を差し、左を抱えて前に出た。
だが左上手を離さなかった北の若に、土俵際で逆転の上手投げを浴び、土俵に突っ伏した。
10勝2敗となり、1敗を守った一山本を1差で追う展開となった。
2023/09/21
11日目、大関・貴景勝が勝ち越しを決め、カド番を脱出した。
関脇・若元春に頭で当たって自慢の突き押しで前へ。
左へ逃れようとする相手を追い、最後は左手一本で押し倒した。
「今日は今日でしっかり集中していきました。自分がどうして、どういう気持ちで準備して、向かっていくのかを考えてやりました」と振り返った。
カド番を脱出し、「結果が全てなので、負け越して落ちればそういう実力しかないから落ちるだけ。勝てばその地位にいられる、誰が見てもわかりやすいことなので。一生懸命やって、あくまで15日間の結果論ですから。今日を頑張ってやった人にしか明日はない。今日を頑張った人にしかやる資格がない」と独特の表現で感想を述べた。
取組後は左腕を気にする場面があったが「大丈夫です」と多くは語らず。
3敗をキープ。
1敗で首位の平幕・熱海富士とは2差がついてているものの、優勝戦線には踏みとどまっている。
「強い方が勝つし、準備だけは誰でもできる。取組が終わったらいったん電池を切って、明日に向かっていく。明日も集中してやっていきたいです。上位はみんな強いから上位にいる」と先を見据えた。
11日目、関脇・大栄翔が5連勝で7勝目を挙げた。
2敗の東前頭7枚目・高安との立ち合いで、右にいなした。
素早く入れ替わると、強烈に押し出した。
「内容もよくなっている」と充実感を漂わせた。
先場所は終盤に右ろっ骨を痛め、大関取りにも失敗した。
夏巡業は途中参加。場所前には出稽古で調整したが、6日目まで2勝4敗と出遅れた。
それでも7日目に新関脇・琴ノ若を倒すと乗ってきた。
「動きもいい。体調面も良くなっている」と本来の突き押しが戻ってきた。
12日目には1敗で単独首位の東前頭15枚目・熱海富士と対戦する。
同じ追手風部屋で埼玉栄高の先輩でもある西同16枚目・剣翔が3敗で首位を2差追走している。
終盤戦に向け「自分の相撲を取って、いい相撲で終わりたい」とキッパリ。
熱海富士を倒し、部屋の仲間を後押しする。
11日目、西前頭2枚目の朝乃山は同5枚目の湘南乃海を寄り切り、幕内通算350回出場の節目を白星で飾った。
6勝目で白星を先行させ、今場所最後の三役戦へ「一日一番、しっかり自分の相撲を取って、明日以降につなげたい」と気合を入れ直した。
朝乃山は本来の右四つとは逆の左を差す立ち合いになった。
先場所の途中休場の原因となった左上腕の負傷を抱えており「止まると苦しい。左を差したからには出るしかない」と覚悟を決め、右でおっつけながら前進し、休まず一気に寄り切った。
「昨日はふがいないというか、悔しい相撲だった」。
10日目には対抗意識を燃やす関脇大栄翔に完敗だったが、黒星を引きずらずに「切り替えて前に出る相撲を取れたのが良かった」と一息ついた。
11日目、高安は立ち合いで大栄翔にいなされ、突き押しで反撃した。
しかし上体が起き、あっけなく押し出されてしまった。
3敗に後退し、支度部屋では報道陣の問い掛けに無言だった。
10日目の熱海富士戦では、土俵に体を強く打ちつけ、付け人の肩を借りて引き揚げていた。
11日目の朝は稽古場に下りず、体のケアに専念。
八角理事長は「ちょっと力が入っていなかった」とトップを2差で追う大関経験者を案じた。
11日目、東前頭9枚目の翠富士が佐田の海を破って6勝5敗で白星先行とした。
翠富士が立ち合いすぐに中に入って一気に前に出ていくと、佐田の海は左へ回り込んで左上手投げを狙いにいく。
翠富士は右外掛けでこらえ、足を絡めたまま右すくい投げで打ち返して決めた。
内掛けから跳ね上げる掛け投げではなく外掛けから覆い被さるような“変則掛け投げ”。
「あれしかできなかったので」と前に出ながら豪快に決めた。
白星先行で残り4日へ。
3場所ぶりの勝ち越しを目指し「熱海富士に番付越されないようにできるだけ頑張りたいです。抜かれたくはないんで」と笑いながら意気込んだ。
11日目、東前頭11枚目・御嶽海は東前頭16枚目・輝と対戦し、引き落としで勝った。
7勝目を挙げ、2場所ぶりの勝ち越しに王手をかけた。
上背で勝る輝にもろ差しを許した御嶽海。
タイミング良く距離を取り、左のど輪で上体を起こして体を開くと相手が前に落ちた。
12日目は5勝6敗の西前頭12枚目・佐田の海と当たる。
直近6場所の対戦成績は御嶽海の2勝3敗。
11日目、熱海富士の左上手投げには驚いた。
立ち合いは翔猿がまわしを取りに行ったというより、熱海富士の鋭い踏み込みが、動きのいい翔猿を組み止めたという感じだ。
そして半歩だけ前に出て左から下に打ち下ろすような上手投げ。
足腰のいい翔猿が一回転するほどの切れ味。
どっちか番付上位かわからない内容だった。
6日目の御嶽海との一番だった。
土俵際の逆転技に「下がって勝っても意味がない。目先の白星にこだわるな」と批判したのを熱海富士が読んでくれたと信じたい。
それ以来、前に出る相撲に変わった。
12日目は調子を上げてきた関脇・大栄翔の胸を借りる。
優勝の難しさ。
残り4日の眠れない夜など何度もこのコラムで力説してきたが、熱海富士が大栄翔というの壁を越えたら一気に走りそうな気がする。
勝ち名乗りを受け、ニコニコしながら引き上げる姿は“ただ者”ではない。
恐るべき21歳である。
11日目、西前頭16枚目剣翔は、北勝富士をはたき込んで8勝目を挙げ、勝ち越した。
優勝争いに身を置いていることを実感する。
幕内下位の剣翔が、今場所初めて幕内後半の土俵へ立った。
番付上位と組まれ、北勝富士をはたき込み。
3敗を守った。
「自分の力ではどうすることもできない。自分の相撲を思い切り取っていくしかない」
立ち合いで押し込む。
いなして、押して。
張り手も飛ばしながら、攻め続けた。
11日目での勝ち越しは5月の夏場所に続き、自己最速だ。
1敗で単独首位に立つ平幕熱海富士とは5日目に対戦し寄り切って白星を挙げたが、2差を縮めるには他力に頼むしかない状況にある。
11日目、新十両の大の里が美ノ海を押し出しで破り10勝目を挙げた。
前日、初日からの連勝は9で止まったが、この日は立ち合いで相手をはじき飛ばして、一気に出る豪快な勝ちっぷり。
「新十両なので元気のいい相撲を取ろうと切り替えた。
2桁勝てて良かった」と相好を崩した。
1敗を守り一山本と首位で並走。
「残り4日間、より一層集中したい」と表情を引き締めた。
2023/09/20
10日目、自身7度目のカド番で臨む大関・貴景勝が宇良を下して7勝目を挙げ、勝ち越しに王手をかけた。
一度は相手に軍配が上がった一番は、取り直しの末に勝利。
3敗を守って優勝争いにも残った。
最初の一番、貴景勝は宇良を一気に押し出したかに見えたが、軍配は宇良に上がった。
「負けはないかなと思った」。
同体の判定となった取り直しの相撲は、立ち合いで相手をよく見て上からはたき込んだ。
10日目、大関の豊昇龍は、若元春をもろ差しから寄り倒し、連敗を3でストップ。
鋭い立ち合いから右を差し、左もねじ込む速攻だった。
「何も考えずにいきました。(連敗中は)いろいろ考えたけど、一日一番しかないので集中してやりました」と納得の表情。
「今場所一番。この気持ちで最後まで頑張ります」と元気も戻ってきた。
10日目、関脇・大栄翔が朝乃山を下して6勝目を挙げた。
立ち合い踏み込んで前に出てくる朝乃山に対して突き返して応戦。
右喉輪でのけ反らせてからの引き落としで勝負を決め、通算500勝目となる節目の白星を挙げた。
序盤戦は得意の突き押しが通用せず逆に押し負けることもあったが、7日目から4連勝で6勝4敗。
「徐々に内容が良くなってきている」。
大関獲り継続の可能性も残す終盤戦へ「あと5番もしっかりやりたい」と意気込んだ。
10日目、新関脇琴ノ若が幕内明生を押し出して、6勝目(4敗)を挙げた。
前日に新大関豊昇龍を破った勢いをそのままに、2連勝。
取組後、琴ノ若は「(昨日は)内容がそんなによくなかったけど、白星にはつながった。今日は、最後まで落ち着いて対応ができた」と、この日の相撲には納得の表情を浮かべた。
明日は、カド番の大関霧島との顔合わせ。
強敵との対戦が続くが「やることをやって、しっかりとやっていくしかないと思うので。目の前の一番を出し切れるように、一日一日集中するだけ」と平常心で挑むことを誓った。
10日目、今場所初の結びで錦木が霧島を寄り切りで撃破した。
立ち合いから圧力をかけて前に出て、大関に何もさせない完璧な内容。
「岩手のブルドーザー」と呼ばれる力強い出足を披露し「雑な相撲が続いていたので良かった。出足も良かった」と満足そうに分析した。
新小結はこの日で上位との対戦を終えて5勝5敗と五分に戻した。
「何とか3勝。最低でも2番」と終盤戦を見据えた。
10日目、平幕・北勝富士が小結・翔猿との同学年対決に押し出しで勝利し、3敗を守って勝ち越しに王手をかけた。
20年春場所以来3年半ぶりの三役復帰にもダブル王手とした。
三役復帰へあと1勝とした。
実現すれば21場所ぶり。
15日間を3分割し、5日ずつの成績を意識するという北勝富士は中盤の5日間を4勝1敗で切り抜けた。
「次の5番も勝ち越せるように」と、あと3勝を加算して、優勝決定戦に進出した先場所の12勝に続く連続2ケタを見据えた。
10日目、高安が1敗でともにトップに並んでいた熱海富士に敗れ、2敗に後退した。
押し合いから引いてバランスを崩したところを押し倒され「ちょっと消極的だった」と反省。
「前向きないい相撲をとりたかったけど、しょうがない。弱いから負けた」と、淡々と敗戦の弁を述べた。
さらにこの取組で腰を痛めたとみられ、付け人の両肩に手を乗せて慎重にゆっくり歩いて帰路についた。
「しっかり体が戦える準備をして、切り替えていきたい」と話したが、優勝争いから一転、11日目以降の出場にも暗雲が垂れ込めてきた。
10日目、相撲巧者の遠藤が3連敗発進から7連勝。
ベテランの妙義龍と3敗同士でぶつかり、低い当たりから相手の引きに乗じて難なく押し出した。
「動くための準備がうまくいっている」。
幕内での7連勝は2019年の名古屋場所以来で、2場所連続の勝ち越しに王手。
「(連勝は)あまり気にしていない。集中はいつもしている」と表情を変えずに言った。
10日目、上松町出身の東前頭11枚目・御嶽海は、東前頭5枚目の豪ノ山を下手投げで下し、6勝4敗とした。
がっぷり四つの力比べとなったが休まず、初顔合わせの一番を制した。
11日目の20日は、東前頭16枚目の輝と当たる。
10日目、5場所ぶりに再入幕の東前頭15枚目・熱海富士が、単独トップに立った。
元大関で東前頭7枚目・高安との1敗対決を押し倒しで制した。
新入幕の昨年九州場所は4勝11敗ではね返されたが、幕内2場所目の21歳が主役の座に躍り出た。
大関・貴景勝は取り直しの末に7勝目を挙げ、カド番脱出に王手をかけた。
同じくカド番の大関・霧島は4敗目で、新大関・豊昇龍は4勝目。
高安が唯一の2敗で追い、3敗で貴景勝、平幕の北勝富士ら5人が追う。
幕内2場所目の熱海富士が、大関経験者の高安に勝って、ついにV争いの先頭に立った。
1敗で並ぶ2人の直接対決。
10日目、東十両14枚目の大の里が今場所初黒星を喫し、1場所15日制が定着した1949年夏場所以降の新十両として、史上初の初日から10連勝はならなかった。
1敗の一山本に、長いリーチののど輪で上体を起こされた。
大の里は右ハズでのど輪を外し、反撃に出たが、一山本に左に回り込れると、足がついていかずにはたき込まれた。
「負けたので、切り替えてまた明日(11日目)から。明日から5日間、エンジンをかけ直して、集中力を高めてやっていきたい」と、自らに言い聞かせるように話した。
2023/09/19
9日目、貴景勝は頭からぶちかますと、豪ノ山の胸に何発も突きを打ち込んでいった。
ひたすら真っすぐ前へ攻めて突き倒し。
「今日は今日のことに集中しようと思った」。
7、8日目の連敗から息を吹き返す会心の相撲で、かど番脱出まであと2勝に迫った。
支度部屋へ戻ると、土俵上で見せていた厳しい表情が一変した。
今場所と同じくかど番だった夏場所と同じ「チーム埼玉栄」の付け人たちと笑みを浮かべながら取組を振り返った。
9日目、新大関・豊昇龍が新関脇・琴ノ若に小手投げで敗れ、早くも6敗目とカド番のピンチに立たされた。
土俵際まで追い詰めたが、物言いの末に行司軍配差し違えで痛恨の黒星。
これで3連敗と苦しい土俵が続いている。
豊昇龍がつかみかけた念願の白星はスルリと逃げた。
結びで新関脇・琴ノ若戦。
立ち合いは右に動いて狙い通りに上手を取ったが、すぐに切られた。
焦りが出たのか、右を差すと、引きに乗じて相手の小手投げに構わずに前へ。
両者もつれるように倒れ込んだ。
際どい判定に立行司・式守伊之助も思わず目をつむり、豊昇龍に軍配。
だが、約2分間の長い協議の末、粂川審判長が「豊昇龍の足の甲が先にかえっており…」とアナウンス。
館内からは悲鳴と歓声が入り交じった。
9日目、先場所に続いて大関昇進に挑む関脇同士の一戦は、持ち味発揮の大栄翔が制した。
突き、押しで休まず前進。
攻めながらはたき込まれた先場所の反省を生かし、引いた相手を土俵下まで押し出した。
白星先行に「良かったと思う」と短い言葉に実感を込めた。
9日目、新関脇琴ノ若が新大関豊昇龍を小手投げで破り、5勝目(4敗)を挙げた。
土俵際まで攻め込まれ、軍配は豊昇龍。
審判から物言いがつき、行司差し違えで白星が舞い込んだ。
しかし、琴ノ若は自身の取組に納得していないようで「勝てたけど、内容はよくなかった」と悔しい表情を見せた。
豊昇龍とは過去2勝10敗と合口はよくないが、先場所に続いて2連勝と苦手意識を払拭しつつある。
「対戦相手とか関係なく、自分の相撲をしっかりと取るだけ。まずは勝ち越しできるように。いい相撲が取れるように、気を引き締めていきたいと思います」と7場所連続の勝ち越しへ向けて力を込めた。
9日目、大関経験者で西前頭2枚目の朝乃山が、3連勝で5勝4敗と白星を先行させた。
21年初場所以来、2年8カ月ぶりの顔合わせとなった前頭玉鷲を寄り切った。
相手は初日から白星がなく、前日8日目にストレートで負け越しが決定と元気がなかった上に、これで対戦成績は朝乃山の5連勝という合口の良さも後押しした。
10日目は、関脇以上では唯一、対戦を残していた関脇大栄翔戦。最近5度の対戦では、先場所途中休場の不戦敗を含めて1勝4敗と、この日とは一転して、合口の悪い相手との顔合わせとなる。
9日目、高安が琴恵光を寄り切って勝ち越しを決めた。
9日目での勝ち越しは若隆景との優勝決定戦に敗れた昨年春場所以来。
「今日まで順調にきました」と手応えを感じているが、本当の勝負はこれから。
10日目には同じ1敗の熱海富士との対戦が組まれた。
単独トップに立つかどうかの大一番となるだけに、「明日は調子がいい相手だから気を引き締めて」と気合を入れ直した。
9日目、再入幕の熱海富士が、勝ち越し第1号を決めた。
金峰山戦は立ち合いで左前ミツを取ると、一気の電車道だった。
新入幕場所は4勝止まりだったが、5場所ぶりの再入幕場所は9日目で自己最速の勝ち越し。
完勝で飾り、「勝ち越せてうれしいのが一番です。新入幕がボロボロだったので、よかったです」とはにかんだ。
この日は「あいつがいないと何もできない」と全幅の信頼を置く付け人・蒼富士が取組で負傷。
急きょ変更のハプニングもあったが、動じずに勝利をつかんだ。
好調の再入幕に、八角理事長も「稽古を積んでいる力士は乗ってくると強い」と期待した。
取組後の支度部屋で先頭で並走する高安の勝利を見届けた熱海富士は、「単独トップに立てないか、厳しいですね」と本音を吐露。
「毎日頑張って、全部勝てればいいなと思う」。
素直な21歳の存在感が増してきた。
9日目、大の里が初日からの連勝を9まで伸ばし、新十両では1場所15日制定着の1949年夏場所以降の最長記録に並んだ。
過去には53年初場所の成山、08年九州場所の翔天狼がマーク。
立ち合いで千代丸が左に動きながらいなしてきたが、動じず盤石の寄り切りに「落ち着いて取れた」と余裕があった。
幕下以下の先場所までは1場所7番。
疲れもあるというが「集中力でカバーしている」と分析。
「残り1週間。一日一番に集中していきたい」と力を込めた。
2023/09/18
8日目、大関・霧島は過去1勝8敗と苦手の東前頭4枚目・隆の勝にいいところなく敗れた。
立ち合いは互角だったが、引いて墓穴を掘り突き出された。
「立ち合いはいつも通り当たって行った。悪くない。そこから体が起き上がって引いてしまった」と振り返った。
合い口の悪さは「全然、考えていない」と否定。ただ幕内後半戦の浅香山審判長は「合い口の悪さがもろに出た。何もできなかった。
8日目、7度目のかど番の大関貴景勝が、取組前まで4連敗中と合口の悪かった小結翔猿にまたも敗れ、5勝3敗となった。
前日7日目は大関経験者の前頭正代に敗れており、手痛い今場所初の連敗。
翔猿戦は5連敗で通算4勝6敗となった。
4度目の優勝が遠のく形で、かど番脱出の勝ち越しには、残り7番で3勝が必要となった。
8日目、若元春が2敗を堅持した。
玉鷲との一番。
つかまえることができず、ベテランと突っ張り合った中、タイミング良くいなしてから、はたきで仕留めた。
「相手に付き合う相撲になった。あまり褒められたものではない」。
狙い通りではない内容に、反省を口にした。
得意の左四つに持ち込めなくても白星を重ね、6連勝での折り返し。
「納得したら終わり。初日から負けが続いたので、一日一日、集中してやるだけ」と、謙虚に先を見据えた。
8日目、大関貴景勝を押し出しで破り、5勝目を挙げた。
大関戦は2大関撃破と好調。
三役対戦もほとんど終わり、格下対戦の後半戦に期待が高まる。
8日目、富山市出身の朝乃山は明生を下し16日から連勝。
星を5分に戻しました。
ここまで3勝4敗と黒星先行の西前頭二枚目・朝乃山は、先場所初日に黒星を喫した西前頭筆頭の明生と対戦。
明生の当たりを受け止めた朝乃山はそのまま土俵際に追い込み「寄り切り」で白星、4勝4敗と星を5分に戻しました。
18日は今場所まだ初日が出ていない西前頭三枚目の玉鷲と顔を合わせます。
8日目、新大関から白星を奪ったというのに、ついついぼやきが出てしまう。
宇良は低く当たって豊昇龍を押し込んだ。
動きを止めずにはたきを繰り出すと、相手はバッタリと肩から土俵に崩れ落ちた。
内容は完璧。
常に主導権を握り続けて勝負を決めた。
しかし、相手は大関なので、「たまたまです。実力的に(白星を)取れないところで取れたのは大きいです。大事にしていきたいですね」と謙虚に振り返った。
8日目、元大関の東前頭7枚目高安が同じく元大関の東前頭11枚目御嶽海をはたき込んで7勝目(1敗)。
東前頭15枚目熱海富士と並んで、優勝争いをリードしている。
高安は取組後、大きな拍手が送られた熱戦を振り返り「今日は力が入っていたし、慎重に行くことしか考えていなかった。(お客さんに)喜んでもらえてよかったですし、それが一番ありがたいですね」と納得の表情を浮かべた。
8日目、東前頭11枚目・御嶽海は東前頭7枚目・高安と対戦し、はたき込みで敗れた。
押し合いから頭を付け、足を取って出ようとしたところ、回り込む相手に頭を押さえられて前に落ちた。
5勝3敗でターンした。
8日目、東前頭15枚目・熱海富士が、東前頭14枚目・碧山を押し出しで下し、勝ち越しに王手を掛けた。
186キロの巨漢・碧山戦は立ち合いから前傾姿勢で前に出ると、相手の強烈な突っ張りにも構わず土俵外へ押し込んだ。
危なげない内容に「前に出られたと思います。いつもどおり前に攻めようと。勝ててよかったです」とうなずいた。
前半戦が終わったが、熱海富士は「疲れという疲れはないです。毎日きちんと寝られていると思います」。
場所前に友人からもらったアロマキャンドルをたき、良質な睡眠につなげているという。
2023/09/17
7日目、7度目のかど番の大関貴景勝は、2日目からの連勝が「5」で止まり、5勝2敗として優勝争いの先頭から後退した。
取組前の時点で対戦成績が15勝6敗と、合口の良い大関経験者の前頭正代が相手だったが、手痛い黒星となった。
正代戦の連勝も「5」で止まった。
初日は同体取り直しの末、前頭北勝富士に敗れたが、その後は連勝していた。
持ち前の突き、押しで2日目は小結錦木、3日目からはいずれも前頭の明生、朝乃山、阿炎、玉鷲と難敵を次々と退けていた。
だが正代に敗れて勢いを止められた格好。
8日目は前頭翔猿との顔合わせとなった。
対戦成績は最近4連敗中で、通算でも4勝5敗と負け越している合口の悪い相手。
4度目の優勝を狙う上で平幕相手に連敗は避けたいところだけに、カギを握る対戦となりそうだ。
7日目、若元春が息を吹き返した。
北勝富士に勝ち、連敗スタートから5連勝。
「100点かと言われれば100点ではないが、悪くはない」。
7月の名古屋場所でかなわなかった大関とりへ、わずかに望みをつなぐ白星を重ねている。
立ち合いで激しく当たってきた相手に、左手で突きを払い、すかさず左下手をつかんだ。
引きつけて胸を合わせれば、勝負あり。
動きを封じて前にじりじり出て、寄り切った。
得意の左四つで、押し相撲の相手を圧倒した。
それでも支度部屋では開口一番、右上手を取れなかった点を反省。
「取らないと振られる体勢だった」。
反撃を食らう余地を残したとして、自己採点は辛口。
にこりともしなかった。
7日目、184キロの持ち前の腰の重さを生かして攻め、9歳年下の新大関を土俵下へと追いやった。
新小結の錦木が豊昇龍を撃破。
相手の鋭い踏み込みにも動じず、力強く左から起こしての押し出し。
「いい相撲だった」と笑みを浮かべた。
この白星で豊昇龍には3連勝とし、「だんだん内容が良くなっている」と納得顔。
5日目の若元春、6日目の琴ノ若には相手に得意な形を許して連敗したが、本来の姿が戻った。
土俵下の佐渡ケ嶽審判部長は「あの体重が生きた」と評価した。
7月の名古屋場所は終盤まで優勝争いに加わって2桁白星。初土俵から所要103場所で新三役に昇進した遅咲きの苦労人は気負うことなく、「平幕でも、三役でも相撲を取るのは一緒」。
8月に33歳となった中、老け込む様子は全くない。
ベテランの域に達しても、自身の伸びしろを実感。
「体の重心の使い方とか、自分にしっくりくるものがあった」と地道に稽古を重ねる。
「器用な相撲は取れない」と、己の弱さを認めることができる謙虚さも、前進を支える。
努力し続けてたどり着いた地位。堂々と土俵を盛り上げる。
7日目、西前頭2枚目・朝乃山が、2020年初場所以来3年半ぶりとなる東前頭2枚目・阿炎戦を押し出しで制し、3勝目を挙げた。
3日目から続いていた連敗を「4」で止め、「しっかり一日一番、自分の相撲を取っていきたいですね」と気を引き締めた。
立ち合いから阿炎の強烈な突きに、体をのけぞらせたが、下からはね上げるようにしてしのいだ。
ジリジリと前に出て、最後は一方的に土俵外へと押し込んだ。
危なげない内容に「怖がらずに前に攻められた。逃げた方向に対応できてよかった」と、うなずいた。
7日目、正代がまた大関を破った。
貴景勝が狙った突き落としにも動じず、強烈な張り手を食らっても、ひるまずに前進。
過去6勝15敗だった相手を力強く押し出し、「逆に思い切りいけた。大関戦だし、引かれたら仕方がない」と胸を張った。
4日目には新大関の豊昇龍を撃破。
3連敗発進から、この白星で3勝目とし、「変な感覚。きょうみたいな相撲が取れるなら、他の相撲ももうちょっと内容良く取れた」と自嘲気味に言った。
7日目、西前頭4枚目の宇良が、初土俵から8年かけて通算300勝を挙げた。
竜電を鮮やかな上手出し投げで退け、4勝目とした。
両膝の大けがで2度の長期休場を強いられ、一時は序二段まで番付を落とした苦労人。
積み上げた白星が大台に到達した。
苦難を乗り越えて到達した節目について「うれしいというのはないです。もうちょっと早くたどりつきたかった」は本音だろう。
回り道をした分、貪欲に相撲を取り続ける。
7日目、幕内・豪ノ山が王鵬を破って5勝目を挙げた。
立ち合い頭で激しく当たり合ってから豪ノ山が突っ張って土俵際まで押し込み、少し押し返されたところで左からいなして後ろについて送り出し。
持ち味の馬力を発揮して2敗を守った。
ともに埼玉栄高出身で、豪ノ山の方が1年先輩。
高卒で角界入りした王鵬に対し、中大卒の豪ノ山は1年半遅れて先場所新入幕。
プロ初対戦が実現し「特に後輩には負けたくない」と先輩の意地を示した。
7日目、高安が翠富士の立ち合い変化に対応し1敗を守った。
星が伸びているから、相手の動きがよくみえる。
よくみえるから、白星が増える。
元大関の平幕高安が4連勝で6勝目。
軽快な動きで、翠富士を封じた。
「落ち着いて、よくみていたから攻められた。組み止めて前へ出られれば、盤石。流れのなかでうまく決められた」
立ち合い、相手が左へ変化。高安の体が泳いで背中をみせたが、鋭く反転。
左のど輪で起こし、左上手を取ってつぶすような上手投げ。
平幕熱海富士とともに1敗を守り、首位に立った。
7日目、平幕の御嶽海が碧山を押し出して5勝目とした。
元大関は前頭西13枚目だった16年春場所以来の前頭2桁の番付で取り、20年春場所以来の対戦となった稽古仲間の先輩へ“恩返し”の白星となった。
7日目、再入幕で21歳の熱海富士が1敗を守り、首位をキープした。
輝にもろ差しを許したが、頭をつけて耐えると、低い姿勢で押し出した。
十両で対戦した先場所ははたき込みで敗れており、「勝てて良かった」と安堵の表情。
6日目は同体取り直しで2番、相撲を取った末に元大関の御嶽海を破った。
疲労も心配されたが、「場所中なので疲れますよ」と話す言葉からも充実感がにじみ出た。
2023/09/16
6日目、大関かど番の貴景勝は玉鷲をもろ手で突いて前進。
最後まで反撃の隙を与えずに押し出した。
2日目から5連勝とし「きょうはきょうで集中していけた。オンとオフで切り替えて、あしたのことをやっていきたい」と淡々とした表情で話した。
7月の名古屋場所は両膝のけがで全休していた。
八角理事長は「稽古していないと、体を鍛えていないと出ない攻め。足が動いているからいい攻めができる」と高く評価した。
6日目、新大関の豊昇龍が、大関経験者で西前頭2枚目の朝乃山を豪快な下手投げで仕留め、星を3勝3敗の五分とした。
「(立ち合い)待ったと思ったんだけどな。『はっきよい』の声がかかっていたし、気を抜いたらだめだと。組んでしまったが、考えて相撲を取りました」
「勝ちたい、勝ちたいと体が硬くなっていた」と2日目から3連敗したが、本来の相撲を取り戻してきた。
「しっかり1日一番。余計なことは考えず相撲に集中してとっていきたい」と引き締めた。
6日目、若元春が翔猿を押し出し、3日目から4連勝と調子を上げてきた。
立ち合いから足を取りにきた相手を冷静に下から押し上げる。
土俵際ではたかれて前へ泳いだが、土俵を割った翔猿より一瞬長く、右足一本で残して勝ち名乗りを受けた。
「いろいろ技のある相手ですから。(自分は)強い力士じゃないので、できることをしっかりやっていかないと」と勝利への執念が勝敗を分けた。
6日目、大関経験者が、新大関の壁にはね返された。
両者、互角の当たりから右四つに組んだ。
左前みつ狙いの豊昇龍は、思惑通りに左上手を引く、一方、左上手が取れない朝乃山は、何とか打開しようと左からの巻き替え、さらには右からの下手投げで攻勢に出た。
さらに寄り立て勝負を決めようとしたが、土俵際で豊昇龍の逆転の右下手投げで転がされた。
八角理事長も「(互いに)よく攻めてよく守った良い相撲だった。最後は豊昇龍の反応の良さが出た」と健闘を評価した。
その上で、朝乃山について注文もつけた。
相撲の流れ自体は「朝乃山のペースだった」と話しつつ「朝乃山からすれば、まだまだ稽古が足りないようだ。もうひと息じゃないかな」。
この4連敗中に、体が流れる場面も見受けられる。
同理事長も「(大関に)上がってきた時のようなドッシリさがない」と指摘。
さらなる奮起を促した。
6日目、前頭四枚目・宇良が関脇・大栄翔を押し出しで下した一番で、土俵際で宇良が迫力満点の一回転の華麗な受け身を披露。
その瞬間、館内が拍手喝采。
観客の表情が一瞬で笑顔に変わると「運動神経やばいわw」「宇良の相撲は楽しい」「宙返りの術」など視聴者も騒然となった。
宇良の華麗な一回転に、ABEMAで実況を務めた清野茂樹アナウンサーも「押し出し! 一回転!」と驚き交じりに叫んだ。
視聴者からも「裏返った」「受け身上手すぎ」「運動神経やばいわw」「宙返りの術」と驚きの声が続出したほか、「宇良の相撲は楽しい」「魅せる相撲」「お客さんもビックリ」と喜ぶファンも相次いだ。
6日目、高安が持ち味を発揮して3連勝。
豪ノ山の強烈な当たりを受け止めると、左、右と腕を伸ばして押し込み、一気に土俵下まで飛ばした。
会心の内容に「あしたにつながる一番。気を引き締めて、またしっかり準備したい」。
相手は武隈親方の弟子。
現役時代の同親方としのぎを削った33歳の大関経験者は、「豪栄道関の雰囲気がある。どんどん強くなると思う」と評していた。
6日目、1メートル74の翠富士が幕内最長身2メートル4の北青鵬を寄り切りで下し、身長30センチ差対決を制した。
相手に肩越しの上手を許したが、「投げに来るのを下手で返そうと待っていた」と慌てず対処。
最後は外掛けで巨体を半身にさせ、左も取って寄り切った。
館内の大声援を受け「大きい人に勝つとうれしい」と笑顔。
3番前に同じ静岡県出身で弟弟子の熱海富士が熱戦を制しており「気合入りました」と自分のことのように興奮した様子だった。
6日目、東前頭11枚目・御嶽海は、東前頭15枚目・熱海富士と戦い、上手投げで敗れた。
2度の物言いがつく際どい攻防の末に星を落とし、4勝2敗となった。
取り直しとなった一番で、もろ差しから前に出た御嶽海。
土俵際でもつれて再び物言いがついたものの、協議の結果、相手の足が残っているとして軍配通りとなった。
7日目の16日は2勝4敗の東前頭14枚目・碧山と当たる。直近6場所は対戦がない。
6日目、再入幕の東前頭15枚目、熱海富士が、御嶽海との1敗対決で取り直しの末、左からの上手投げで粘り勝ち。
再び物言いがついた一番で元大関を倒して「冷や冷やしたけど、3度目の準備はできていた」と体力面の充実をアピールした。
「もっと前に出られるようにしたい。自分のことで精いっぱい」と首位タイは意識せず、先を見ていた。
2023/09/15
5日目、カド番の大関・霧島が意地の白星を挙げ、5日間の序盤を3勝2敗で乗り切った。
元大関で西前頭2枚目の朝乃山を外掛けで退けた。
在位2場所目で早くも初のカド番だが快勝劇を弾みに、まずは勝ち越しまで突っ走る。
朝乃山に得意の右差しを許したが、左上手をつかみ頭をつけた。
元大関の攻めをしのぎながら次第に有利な体勢をつくると、最後は外掛けで転がした。
1分7秒4の長い相撲を制し、カド番の場所で序盤戦を白星先行の3勝2敗でしのいだ。
連敗も止め「頭をつけて絶対に離さない意識だった。最後は思い切りやって良かった」と胸をなで下ろした。
師匠の陸奥親方に足が前に出ていないことを指摘され、実践。
「親方の言うことが一番大事ですね」と感謝した。
5日目、かど番脱出を目指す大関貴景勝が徐々に調子を上げてきている。
三役以上でただ一人、1敗を守り風格を漂わせた。
平幕阿炎とは対戦成績が先場所まで4勝6敗。
考えを巡らせ、いつもの頭からぶちかます立ち合いではなく、もろ手突きを選択。
一気に引かせて押し出した。
この日、NHKラジオ第1「NHKジャーナル」に電話出演した舞の海秀平氏は「場所前の稽古を見てかなり心配だったんですけど、ここまで4勝1敗で切り抜けましたので、何とかかど番は脱出できるんじゃないか。体調も万全じゃないので、今場所は速い相撲で決着をつけたいという気持ちで相撲を取っていると思いますね」と分析していた。
5日目、新大関の豊昇龍が連敗を3で止めた。
玉鷲戦は一時土俵際まで押し込まれ、攻め返した土俵際でも前へ泳ぎかけたが、持ち前の足腰の強さを生かして押し出した。
「勝ちたい、勝ちたいという思いから硬くなっていた」。
師匠の立浪親方からは四股、すり足の基本を徹底するよう諭されたという。
「自分の相撲が取れるようになりました」と早速効果を実感した。
5日目、若元春が3連勝。
得意の左四つで組み、重い腰を生かして粘る新小結の錦木の下手を切ると、力強く寄り切った。
「普通に押したら勝てない。左からいくのは絶対に必要だった」。
狙い通りに快勝した。
大関昇進が懸かっていた先場所は、終盤戦で消極的な取り口が目立って9勝止まり。
今場所は「星のことは考えていない。その日、その日でいい相撲を取っていきたい」と集中している。
5日目、西前頭2枚目の朝乃山は1分を超える激闘の末、東大関霧島の外掛けに屈した。
3連敗を喫し、休場を除き復帰後初めて黒星先行で中盤戦に突入することになり「まだまだある。明日に向けて準備して取り組むしかない」と自らを鼓舞した。
6日目は豊昇龍と組まれ、大関3連戦の最後の一番に臨む。
朝乃山は立ち合いでもろ手突きを受けて組めなかった。
「大関の形にさせてしまった」と言う通り、突き、押し合いから左上手を許してしまう。
息をのむ攻防が続くが、徐々に霧島が有利な体勢になると、頭をつけられ、左外掛けにあおむけに倒れた。
痛めている左上腕を打ちつけ、しばらく立ち上がれなかったが「大丈夫」と話した。
土俵下の浅香山審判長は「互いに攻防があった。霧島が厳しい相撲で朝乃山の形を窮屈にした。見応えがあった」と熱戦をたたえた。
5日目、高安がはたき込みで初顔の湘南乃海を破り、1敗を守った。
湘南乃海はまだ入幕2場所目だが、「気を引き締めて取りました」。
はたき込みという内容に「流れの中なのでしょうがないですけど、ほんとは前に出て勝ちたい」と戒めた。
6日目も入幕2場所目の豪ノ山が相手。
「終盤に向けて、どんどんよくしていきたい。油断だけしないように」と表情を変えず話していた。
5日目、東前頭11枚目・御嶽海は、東前頭9枚目・翠富士と対戦し、押し出しで勝った。
頭を付けておっつけながら前に出る翠富士の攻めをこらえると、相手が体を開きかけて離れた瞬間を逃さずに突いて出た。
6日目は4勝1敗同士となる東前頭15枚目・熱海富士と戦う。
初顔合わせになる。
2023/09/14
4日目、かど番の霧島は覇気がなく2連敗。
阿炎の喉輪にのけ反り、引きにあっさりと手をついた。
取組後は厳しい表情を崩さず、今場所初めて取材に応じなかった。
2連勝で好スタートを切ったかに思えたが、平幕に連敗。
横綱不在で出場力士最高位の責任を果たせていない。
土俵下の佐渡ケ嶽審判長は「(阿炎が)タイミングのいいはたきだった。まだ4日目なので」と巻き返しを求めた。
4日目、カド番の大関・貴景勝が元大関で西前頭2枚目の朝乃山をはたき込み、1敗をキープした。
互いに大関だった2021年春場所以来、2年半ぶりの対戦で快勝。
看板力士の意地を示し、2日目から3連勝とした。
低く鋭い当たりで朝乃山の上体を起こした。
攻め手を休めず、前へ出続け回り込もうとする相手をはたき込んだ。
「集中して取れた。いつも通り」。
幕内500回出場の節目を白星で飾り、2日目から3連勝。笑顔はないが充実感がにじみ出た。
4日目、新大関の豊昇龍は逆転負け。
大関経験者の正代を土俵際まで追い込んだが、仕留め切れずにすくい投げに屈した。
3連敗を喫し、花道を引き揚げる際には首をかしげるような場面もあった。
看板力士としての重圧も感じているのだろう。
八角理事長は「番付の重みというか。成長の過程にあると思う」と思いやった。
4日目、新関脇の琴ノ若が会心の攻めで3勝目。
すぐにもろ差しを果たすと、隆の勝に何もさせずに一方的に退けた。
「集中できている。しっかり踏み込んで前に出ることができた」
大関昇進の足固めを狙う中、体がよく動いている。
「もっと詰めるところを詰めて、しっかり(次の日に)つなげたい」と先を見据えた。
4日目、新小結の錦木が、素早い小結翔猿を懐に入れさせずに寄り切り、三役対決を初めて制しての3勝目を挙げた。
取組後には「投げていないですよね?」と逆質問して、「ある程度は残せると思い、慌てずに相撲を取れた。実力のある相手に勝てたのは良かった」。
勝っても負けても連日、支度部屋では多くの報道陣に囲まれているだけに「もう話すことがないよ」と苦笑いしつつも、リラックスした様子だった。
4日目、西前頭2枚目の朝乃山は西大関貴景勝にはたき込みで敗れ、2連敗を喫した。
2勝2敗となり、白星先行で序盤戦を終えるためにも気持ちを立て直す。
朝乃山は貴景勝の低い当たりで上体が起き、強烈な突き、押しにぐらつく。
右をのぞかせたが、左おっつけを受けて力が通じない。
出足に詰まった土俵際でバランスを崩し、両手をついた。
「圧力をかけて流れを止めたかったが、防戦一方だった」と唇をかんだ。
4日目、阿武咲が193センチ、185キロの湘南乃海を、立ち合いの当たりから一気に押し出して、初日からの4連勝を飾った。
「今場所一番速い相撲じゃないですか。(今場所は)珍しく長い相撲を取ってたんで」と手応えのある内容。
「瞬発的な力を出せた」と持ち味のスピードが光った。
春場所で膝を痛めて途中休場。
今もサポーターをつけている。
「土俵に上がってる以上は…」とけがの話題には触れないが、「装具もつけたことがありますけど、動きが制限されるので。装具じゃない。サポーターですよ」と最低限の保護で秋場所に挑んでいる。
「負けたくないのは誰にも負けたくない。それより自分の相撲に集中していけてるんで」。
3人の平幕が先頭に立つ場所で、実力者の阿武咲が存在感を示している。
4日目、金峰山が御嶽海との全勝対決を制した。
相手の引きに乗じて前に出て押し出し。
「足が出てよかった。体は動いている」と好感触だった。
新入幕で11勝も、その後は首を痛めて思うような相撲が取れず直近2場所連続で負け越し。
ストレッチや治療で徐々に回復し「先場所より良くなっている」と本来の相撲を取り戻した。
好スタートにも「まだあるので、ケガしないように」と気を引き締めた。
4日目、東前頭11枚目・御嶽海は東前頭10枚目・金峰山と対戦し、押し出しで敗れて連勝が止まった。
立ち合いで当たると同時に引き、相手を呼び込む形になって見せ場なく屈した。
今場所初黒星で星は3勝1敗。
5日目の14日は東前頭9枚目・翠富士と戦う。
直近6場所は御嶽海が1勝2敗と負け越し、先場所は突き落としで敗れた。
4日目、初日からのエールの白星がまた連なった。
返り入幕の熱海富士が千代翔馬との1分を超える長い相撲で踏ん張り、最後は左からすくい投げ。
豪快に土俵下まで転がして、幕内では自身初となる4連勝をマークした。
「ホッとしたので」と土俵上で2度うなずいた熱海富士。
ただ、内容には満足していない。
「横綱みたいに前に出ないとダメ」。
同じ右四つが得意の兄弟子・照ノ富士を理想に挙げ、さらなるレベルアップを誓った。
2023/09/13
3日目、かど番の大関霧島が、北勝富士に寄り切られて初黒星を喫した。
突き起こして土俵際に追い込んだがしのがれ、右上手でまわしを許すと圧力で上回られて土俵を割った。
「向こうがまわしを取らせてくれなかった。一番一番、考えていくしかない」と切り替えを強調していた。
これで早くも、三役以上の全勝がいなくなった。
3日目、7度目のかど番の大関貴景勝が連勝で白星を先行させた。
つかまえたい明生を何度も突き放し、最後は頭を下げたところを突き落とし。
初日こそ北勝富士に敗れたが、本来の突き、押しがさえて、他の2大関と2勝1敗で並んだ。
4日目はかつて、ともに大関としてしのぎを削った注目の朝乃山戦。
「誰とやるにしても集中して、100%を出し切る。それだけ」と、自らに言い聞かせていた。
3日目、豊昇龍は序盤で手痛い2連敗を喫した。
大関として初めての結び。
うるさい翔猿に対して見て立ったが、いなしに体勢を崩されて土俵の外へ。
「ちょっと失敗した。これも勉強。まだ始まったばかりなので、しっかりやっていきたい」と言葉を絞り出した。
3日目、大関昇進の足固めを狙う新関脇の琴ノ若が、連敗を免れた。
玉鷲の突き押しをあてがい、左でまわしを引くと一気に決着。
「自分の流れで最後まで取り切れた」と満足そう。
2日目は元大関の朝乃山に屈したが、「きのうはきのう」。
気持ちを切り替え、黒星を引きずることはなかった。
3日目、新小結の錦木が、4年ぶりの対戦となった幕内・朝乃山を破って2勝目を挙げた。
立ち合いで右をねじ込み、下手を取った。
左を差され動きが止まったが、左を巻き替えると、最後は右上手投げ。
「前に行けないから巻き替えたんです」とニヤリ。
「左上手を取られないように頑張った。流れでタイミング良く投げられた」と充実感がにじんだ。
過去2勝6敗で2連敗中。
前回の対戦はお互い幕内だった19年夏場所。
3日目、小結翔猿が結びで豊昇龍を送り出し、7場所連続で大関撃破。
互角の立ち合いを見せて出足を止め、左に動いて相手が体勢を崩したところを攻め切った。
直前の取組で北勝富士が霧島に勝ったのを「自分も負けていられないと思った」と発奮材料に挙げ、三役3場所目で初の勝ち越しに向けて「自分らしく、何でも思い切ってやること。弱気でいかないように」と気合を入れ直していた。
3日目、東前頭筆頭・北勝富士が3大関総なめで無傷の3連勝を飾った。
カド番の大関・霧島に寄り切りで快勝。
平幕力士が初日から3日連続で大関を破るのは、昭和以降5例目で自身2度目の快挙となった。
先場所は優勝決定戦に進出もV逸の悔しさを味わったが、今度こそ初賜杯を手にすべく白星街道を突っ走る。
大関を3連破するのは2019年初場所以来、自身2度目。平幕力士が初日から大関3連破を複数回マークするのは、昭和以降初の快記録だ。
「うれしい」としながらも、「たまたま」と謙遜した。
先場所は優勝決定戦の末に当時関脇の豊昇龍に敗れ、初賜杯をあと一歩で逃した。
「悔しさは一生もの」と振り返るが、自己最多の12勝。
3日目、朝乃山は小結・錦木と対戦し痛い黒星を喫しました。
激しい立ち合いから。
がっちりと組み合い探り合いが続き、朝乃山が仕掛けたところを、錦木が一瞬のすきをついて「上手投げ」。
朝乃山は今場所初黒星で2勝1敗となりました。
「相手が出てくるのを警戒した隙に、錦木関に左に巻き返されてそれにあわせてしまった。それで重心が右の方にいったので、上手投げをくらったかと思う。明日またありますので、きょう負けたことは忘れるしかない。思い切っていくしかない。当たって当たって当たる。当たるのみ。前進あるのみ」
3日目、押し上げて懐に入り込み、相手に何もさせなかった。
東前頭11枚目御嶽海が立ち合いから右でおっつけ、初顔合わせの北青鵬の左上手狙いを封じて速攻の押し出し。
初日からの3連勝は、新大関だった昨年春場所以来となった。
身長179センチが、関取最長身204センチの21歳を圧倒して「自分の相撲だけ意識した。足も動いていたし、体が全体的に機能してくれている」と納得のうなずき。
初日からオール押し出し。
出足の力強さを物語る決まり手に「それしかできないんでね。うれしい」と少しおどける余裕も出てきた。
3日目、佐田の海が物言いの末に琴勝峰を破り、令和3年九州場所以来の初日から3連勝とした。
突っ張ってきた相手にひるむことなく突き返して前進し、最後は倒れ込みながら押し出した。
5月に36歳になったが、「どうしたら体がよく動くか、毎日考えている」と試行錯誤しているといい、今場所は「腰から下に重さがある」と好調を実感。
三役以上の勝ちっ放しがいなくなる中、存在感を発揮している。
2023/09/12
2日目、カド番の大関霧島が幕内明生を押し倒して連勝発進した。
新大関で臨んだ先場所は右肋骨のケガの影響で、6勝7敗2休と負け越し。
カド番脱出へ幸先のいいスタートを切った霧島は「いつも通りやるだけ。一日一番しか考えていないし、それが一番。(余計なことを)考えずに相撲を取っていくことが大事」と気を引き締めた。
2日目、7度目のかど番の大関貴景勝が、復活を印象づける108日ぶりの白星を挙げた。
先場所で、関脇以上を総なめにした新三役の小結錦木を突き落とし。
身上とする突き、押しで攻め続け、5月26日の夏場所13日目、明生戦以来の白星で1勝1敗と星を戻した。
先場所全休の要因となった、両膝のけがからの復調とともに、気迫全開の取り口も戻ってきた。まずはかど番脱出。
その先に4度目の賜杯も見据える。
2日目、豊昇龍が大関初黒星を喫した。
先場所の優勝決定戦で顔を合わせた北勝富士に胸から当たって押し込んだが、右を巻き替えたところではたき込まれた。
取り組み後の支度部屋では「大丈夫。相撲内容は悪くなく、バランスを崩しただけ」と淡々。
「この1敗は気にせず、一日一番でまた一からやっていけたら」と話し、切り替えていた。
北勝富士は新大関の豊昇龍に対して立ち遅れたが、おっつけなどで応戦。
巧みにはたき込んだ。
先場所の優勝決定戦で敗れた相手だけに「特別な雰囲気。その中で相撲を取れたことが財産だし、一生の悔いにもなる」。
そんな思いを抱えながら、初日の貴景勝に続いて大関を撃破。
「2勝は2勝。久々の上位なので、思い切りやっていくだけ」と平然と言った。
2日目、西前頭2枚目・朝乃山が連勝スタートを飾った。
新関脇・琴ノ若を上手投げで撃破。
大関候補の若手を相手に、元大関が意地を見せた。
朝乃山が元大関の意地で次期大関候補をねじ伏せた。
初日の若元春戦に続き、大関昇進を狙う関脇を破ったが「まだ2日目。始まったばかりです」と浮き立つ様子は見せなかった。
執念を見せた元大関に、八角理事長(元横綱・北勝海)も「腰を落として残そうというのがあった。集中力がそれだけある。先場所でけがしてから前に出るいい相撲を取っている気がする」と評価した。
2日目、人気力士、西前頭4枚目の宇良が先輩の“面目”を保った。
ともに大阪・寝屋川市出身で同じ道場で鍛錬した東前頭5枚目の豪ノ山と初顔合わせ。
低い立ち合いで立ち勝った宇良が、豪ノ山の引きに乗じて一気に出て押し出した。
取組後は「ホッとしました」と本音をはき出した。
豪ノ山は入幕2場所目。
新入幕の先場所は2桁10勝で敢闘賞を受賞した。
宇良は一気に伸びてきた後輩との対戦を楽しみにしながら「不安もありますよね。なんだ、こんなもんかと思われたらどうしよう」と冗談めかして話していた。
それだけに気合十分で後輩に幕内の大先輩としても強さを示す必要があった。
今場所の初日はただの1勝に終わらない、格別な思いもこめられた。
2日目、東前頭11枚目御嶽海が2場所ぶりの連勝を決めた。
立ち合いから宝富士に頭をつけ、下から下からおっつけて圧力をかけてて、最後は一気に押し出し。
「我慢できました。気持ちいいですね」と取り口を冷静に振り返った元大関。
2016年春場所以来の前頭2桁の番付での土俵も「だらだら待つよりもいい」と前向きに捉えていた。
元幕内で東幕下37枚目の徳勝龍(37)=本名青木誠、奈良県出身、木瀬部屋=が、現役引退の意向を固めたことが11日、関係者への取材で分かった。
再入幕した2020年の初場所で幕尻優勝。
年寄「千田川」を襲名する見通し。
2023/09/11
初日、在位2場所目で初のカド番大関・霧島が白星発進。
立ち合いから小結・翔猿を突くと、もろ差しになった。
そのまま体を入れ替えると、土俵際でつり出した。
師匠の陸奥親方が現役時代の得意技で退けると「あまりきれいなつり出しではない。でも、最後までよかった」と照れくさそうだった。
初日、カド番の貴景勝は悔しい黒星発進となった。
押し込んだところを土俵際で北勝富士にはたかれて同体取り直しに。
2度目も同じような展開になり、今度は足がついていかなかった。
際どい判定だったが「白星か黒星の世界。負けは負け」と淡々と取材に応じた。横綱不在で、いつも以上に重圧がかかる今場所。
「一生懸命頑張ることしかできない。負けたら責任を果たせなかっただけの話」と冷静に前を向いた。
初日、新大関・豊昇龍が白星スタートを決めた。
東前頭2枚目・阿炎に土俵際まで押し込まれたが、逆転のとったりで「大関1勝」を手にした。
2006年夏場所の白鵬以来、17年ぶりの新大関優勝に向け、白星を積み重ねていく。
引き揚げた支度部屋では「正直に言いますけど、緊張しました」と、ホッと胸をなで下ろした。
初日、琴ノ若が、父で師匠の佐渡ケ嶽親方に並ぶ新関脇の初日を白星で飾った。
大関経験者の正代を組み止めると、圧力をかけ続けて寄り切り。
今場所は、小結で11勝し、大関とりの起点をつくった先場所に続く足場固めの場所。
連続2桁白星へ勢いのつく完勝に「慌てず前に出る相撲を取れた」と納得顔をみせた。
EXILEらが所属するLDH JAPANからの懸賞を手にし「向こうが有名すぎて」と恐縮していた。
初日、錦木が力強く玉鷲を押し出し、新三役初白星を挙げた。
2日に右ふくらはぎを肉離れし、3日間相撲を取らずに治療に専念したというが「痛みはなかった。しっかり当たれて、前に出られたので気にならない。いい相撲でしたね」とにっこり。
「(幕内上位の時と)当たる人は変わらないので、元気に相撲を取りたい」と三役の重圧は感じさせなかった。
初日、西前頭2枚目の朝乃山は、西関脇の若元春を寄り切り、白星発進した。
名古屋場所で左上腕を負傷し、夏巡業の氷見場所では稽古中に右足親指を痛めたもようだった朝乃山。
けがの影響が心配されたが、関脇の攻めに耐え、もろ差しで力強く寄り切り、好スタートを切った。
2日目は新関脇の琴ノ若と対戦する。
初日、東前頭8枚目の琴恵光が、今場所前の婚約発表後、最初の一番を白星で飾った。
立ち合いから突っ込んできた平戸海を左でいなすと、右を差して寄り立て、最後はすくい投げ。
幕内では自己最長となる、4場所連続の勝ち越しに向けて好発進した。
取組後には、年内に婚姻届を提出する意向か問われ「そうですね」と明かした。
ただ、婚約発表を受けて、先場所までとの思いの違いを問われると「特に変わらないです。勝ってよかったな、とは思いますけど、まだ初日なので」と、冷静に話していた。
左肩のケガで今場所を休場している幕内・伯桜鵬が10日までに、「左肩関節脱臼術後」「復帰まで3カ月以上かかる見込み」と記された診断書を日本相撲協会に提出した。
この日、師匠の宮城野親方が報道陣の取材に応じ、完治させる方針を示した。
伯桜鵬は新入幕の名古屋場所で11勝を挙げ優勝争いに絡む大活躍。
場所後は夏巡業を休場して地元・鳥取で治療に専念したが思うように回復せず、師匠と話し合って8月31日に手術に踏み切った。
3カ月以上かかるため、復帰は早くても来年初場所以降に。
このまま休場が続けば九州場所で十両へ、初場所で幕下転落となる。
それでも本人は既に前を向いてリハビリに励んでいるという。
「3カ月の診断は当然。まだ若いから万全に治して。またやってしまえば元に戻ってしまう。焦らないことが大事。ゆっくりやっていきたい」。
目先の番付よりも、期待の大きな愛弟子の将来を案じた。
初日、5場所ぶりに幕内に復帰した熱海富士が琴勝峰を破って白星発進を決めた。
立ち合いで素早く左の浅い上手を引くと、頭をつけて前に出ながら右も差して万全の体勢で寄り切り。
「稽古場で言われていることができたのでよかった」と会心の内容だった。
新入幕だった昨年九州場所以来の再入幕。
幕内土俵入りや勝った後の懸賞金など、十両とは違う独特の雰囲気を5場所ぶりに味わい「幕内帰ってきたっすね」と笑顔を見せた。
日本相撲協会は10日、秋場所初日の懸賞本数が198本となり、一日の本数で過去最高を更新したと発表した。
これまでの最多は今年5月の夏場所千秋楽で190本。
結びの霧島―翔猿には54本が懸けられた。
2023/09/10
10日に東京・両国国技館で初日を迎える。
9日には土俵祭が行われ、日本相撲協会の八角理事長や、審判部の親方らが土俵の安全を祈願。
一般のファン約400人も開放された客席から見守った。
7月の名古屋場所で初優勝を果たした新大関豊昇龍は、早くも「一つ上の番付」を見据えている。
国技館での優勝額贈呈式後に取材に応じ、「番付は変わったが、相手は変わっていない。一日一番を大事にして勝っていけば何とかなる」と意気込んだ。
芝田山広報部長は8日、大相撲秋場所でEXILEらが所属する芸能事務所「LDH JAPAN」が関脇・琴ノ若らの取組に懸賞を提供すると発表した。
相撲協会によると「マネジメント事務所が出すのは珍しいケース」という。
大相撲秋場所を翌日に控えた9日、会場の東京・両国国技館で、本場所開催の安全を祈願する土俵祭が行われた。
東京では20年初場所以来、3年8カ月ぶりに一般公開。
大阪で行われた今年3月の春場所に続き、熱心な相撲ファンらが午前中から会場に足を運んだ。
広報部長を兼任する芝田山親方は、事業部長の立場で取材に応じ「初日から目の離せない取組が組まれた。攻防のある熱い取組を期待したい」と話した。
すでに日本相撲協会から販売する前売り券は、15日間全て完売しているという。
同親方は「あとは、お茶屋さんが持っているチケットが、どのぐらい残っているかまでは分からない。でも、懸賞も昔から比べたら、すごく多くなっているし、土俵に目を向けてもらえているのは確か」と、相撲熱の高まりを口にした。
横綱照ノ富士の休場については、自身の経験も踏まえて「横綱という立場は、中途半端には出られない。次に出てくる時に、どういう気持ちで出てくるかは、師匠と本人の判断。周りの皆さんは賛否両論あるでしょうが、1番つらいのは本人。休めば休むほど、自分がつらくなる」と話し、今後の復活に期待していた。
2023/09/09
新関脇として迎える琴ノ若が8日、千葉・松戸市内の部屋で軽めの調整を行った。
締め込み姿で基礎運動を中心に体を動かし、「昨日まで相撲を取っていたんですけど、今日は締め込みを慣らす程度で。あとは体と向き合って、自分の力が発揮できるようにまた明日もしっかり準備していきたいと思います」と語った。
この日は秋場所の取組編成会議が東京・両国国技館で開かれ、2日目までの取組が決定。
琴ノ若は初日に幕内・正代、2日目に朝乃山戦が組まれた。
期待の新関脇は「やれることはやってきたと思うので、それをどれだけ出し切れるかの勝負だと思う。思い切って行ければいいなと思います」と、意気込んだ。
大関経験者の朝乃山は、8日に行われた秋場所の取組編成会議で、初日が若元春、2日目が琴ノ若と、関脇との2連戦からスタートすることが決まった。
この日は都内の部屋で稽古。
四股、すり足、てっぽうなどの基礎運動、立ち合いの確認を行った。
朝乃山と同様、ともに大関昇進を目指す難敵との2連戦から始まることを聞くと「やるしかない。あさってから初日なので、やるだけですね」と、自らに言い聞かせるように力を込めて話した。
7月の名古屋場所は、左上腕二頭筋部分断裂で途中4日間、休場。
さらに8月27日に地元富山県の氷見市で行われた夏巡業では、朝稽古の際に右足親指も痛めた。
その後は相撲を取る稽古ができない日が続いたが、6、7日に前頭千代翔馬、十両欧勝馬が出稽古に来て、関取衆を相手に「腕とか足は完治していないので(2日間ともに)15番ぐらい」と、相撲を取る稽古を再開した。
「納得はしていないけど、それは仕方ない」と内容には不満が残っている様子ながら、相撲を取る稽古を再開できないまま本場所を迎えるぶっつけ本番は回避した。
日本相撲協会は8日、大相撲秋場所を休場する東十両7枚目の若隆景の診断書を公表し、「右膝前十字靱帯(じんたい)損傷の術後。今後約1カ月間の加療などを要する見込み」との内容だった。
元関脇の若隆景は4月上旬に靱帯の再建手術を受け、5月の夏場所と7月の名古屋場所を全休。
今場所は十両に転落した。
秋場所15日間の懸賞申し込み総本数が8日、2154本と発表された。
新型コロナウイルスの影響を受ける前の2019年秋場所に近い水準に戻ったという。
力士指定本数の上位は貴景勝と霧島の両大関、幕内御嶽海の順だった。
2023/09/08
横綱照ノ富士が、秋場所を休場することが決まった。
8日に発表された初日の取組に入らなかった。
休場は2場所連続で、今場所は横綱不在となる。
両膝に古傷を抱える照ノ富士は、腰椎椎間板ヘルニアなどにより、7月の名古屋場所を途中休場。
夏巡業や、今月2日にあった横綱審議委員による稽古総見には参加したものの、本格的な稽古はできていなかった。
2023/09/08
横綱照ノ富士が7日、都内の部屋で稽古を行った。
7月の名古屋場所を腰痛で4日目から休場後、前日6日までは相撲を取る稽古ができず、約1カ月の夏巡業も取組は1度も行わなかった。
この日は若い衆が申し合いを行う間、土俵回りですり足など基礎運動を行った。
ただ、稽古に集中させたい師匠の伊勢ケ浜親方の配慮で、途中からは報道陣非公開となった。
伊勢ケ浜親方、本人ともに取材には応じなかった。
一般的に初日を休場する場合、初日2日前の午前中から始まる、取組編成会議までに休場届を提出する。
8日朝までに師弟で話し合い、出場可否を決めるのが有力とみられる。
大関・霧島が7日、東京都墨田区の時津風部屋に出向いて15番の申し合い稽古を行った。
幕内・正代、豪ノ山、関脇・大栄翔、十両・天照鵬、輝鵬を順番に指名して連続で15番。
馬力のある相手に対して、出足を止めて四つ相撲に持ち込む展開が多かった。
番付発表後は8月30日から9月1日まで3日間出稽古、2日は稽古総見と連日15番前後の申し合いをこなしていたが、今週に入ってからは1日おきに稽古を休んで回復に努めた。
「毎日ケアしている」。
稽古のしすぎで調整に失敗した名古屋場所の反省と、師匠の陸奥親方の助言もしっかり生かしている。
「出稽古は今日で終わりなので、あとはしっかり体を休めて」。
カド番で迎える秋場所に万全な状態で臨むべく、調整はここから最終段階に入っていく。
関脇・大栄翔が7日、東京都墨田区の時津風部屋に出向いて計12番の申し合い稽古を行った。
まず幕内・正代、十両・時疾風、宮城野部屋から出稽古に訪れた幕内・北青鵬、十両・輝鵬、天照鵬の5人を相手に9番。
最後は大関・霧島から指名されて3番取った。
得意の突き押しの威力は健在で、霧島に引かせて一気に攻め切る場面も。
稽古を見守った宮城野親方からは「自分の形になったら一番強いね」と、持ち味を発揮した時の強さを評価された。
時津風部屋への出稽古は3日連続。
その前日には部屋で幕内・高安と三番稽古を行った。
大関を含む幕内上位陣とのレベルの高い稽古を重ね「良い稽古できてよかった」と充実感を漂わせた。
幕内・豪ノ山が7日、都内の時津風部屋へ出稽古し、大関・霧島と連続で7番取った。
組み止められてもがむしゃらに攻める姿勢を見せ、寄り切って一度だけ勝利。
大関相手に善戦し「場所前に良い稽古ができた。凄く良い経験をさせてもらった」と、自己最高位の東前頭5枚目で臨む秋場所への手応えを得た様子だった。
稽古場に訪れた宮城野親方は「素晴らしいね」と豪ノ山を絶賛。
大関に懸命に食らいついていく姿を見て「必死さが違う。これが(本当の)稽古だ」と褒め称えた。
2023/09/07
腰痛で7月の大相撲名古屋場所を途中休場した横綱照ノ富士は6日、都内の部屋で四股や筋力トレーニングで調整した。
若い衆などに対して積極的に助言を送る一方で、相撲は取らなかった。
秋場所が迫る中、本格的な稽古は再開できないまま。
古傷の両膝が安定しても、腰痛という新たな不安が解消されていない様子で、出場可否に注目が集まる中、取材には応じなかった。
7度目のカド番として挑む大関・貴景勝が6日、都内にある時津風部屋に出稽古した。
場所前初の出稽古では13番取って8勝5敗。
終盤は得意の押しを中心に関脇・大栄翔、幕内・正代らに6連勝で締めた。
帰りがけに取材に応じ「普通。頑張るしかない」と汗をぬぐった。
一方で不安も残した。
先場所は両膝半月板損傷のため全休。
そのためか、本来の出足の鋭さは見られず、幕内・高安には4連敗。
簡単にまわしをとられ、投げられる場面もあった。
稽古を見守った解説者で元小結・舞の海秀平氏は「当たりが弱いので捕まってしまう。当たりの強さが使えないとなると厳しい。今日の稽古だと不安」と心配そうだった。
関脇大栄翔が6日、東京都墨田区の時津風部屋を出稽古で訪れ、大関貴景勝、幕内高安らと相撲をとった。
13番で6勝7敗ながら、持ち味の突き押しの威力は十分。
大粒の汗をしたたらせ「いい稽古ができた。高安関といい稽古ができたし、大関ともしっかり相撲がとれたのでよかった」と収穫を口にした。
名古屋場所は9勝で、大関昇進はならず。
13日目の若元春戦で右肋骨を痛め、場所後の夏巡業も途中からの参加だった。
申し合い再開から1週間が経過し、状態も上向いてきた様子。
秋場所へ「いい感じなので、ここからやっていきたいと思います。もう(初日まで)短いんで」と、どん欲に稽古を重ねる構えをみせた。
幕内高安が6日、東京都墨田区の時津風部屋に出向き、同じく出稽古の大関貴景勝、関脇大栄翔らと相撲をとった。
押して良し、組んで良しの内容で、11番とって8勝3敗。
貴景勝には4連勝し「よかったですね。しっかり当たれたので」と手応えを口にした。
名古屋場所は中盤から失速して7勝8敗と負け越し。
夏巡業も急性腰痛で一時離脱したが、現在の腰の状態は「まあ、ボチボチですね。ケアをしながら」と問題はなさそう。
秋場所へ向けた稽古は「もう、お腹いっぱいです」と十分に積んだとし「いつも通りです」と、順調な調整ぶりをうかがわせた。
幕内・熱海富士が6日、東京都江東区の伊勢ケ浜部屋で26番の申し合い稽古を行った。
幕内・宝富士、幕下・尊富士、研修生のオチルサイハンの3人を相手に計26番。
番付発表後は休みなく毎日稽古を続けており「まだ調子良いとは言えないですね」と初日へ向けてのさらなる上積みを見据えた。
9月3日には、21歳の誕生日を迎えた。
部屋の兄弟子からもらった誕生日プレゼントは、トレーニング用のウオーターバッグ。
すり足や体幹トレーニングの時に持つおもりとして使っているものを新調してもらった。
「トレーニングしがいがあります」と笑顔。
21歳を迎え「年取った感じがします」と冗談交じりに笑った。
「プロに入って3年たつのか…早いですね」としみじみ。
そして「番付を上げていきたい。三役いきたいです」と21歳の抱負を語った。
2023/09/06
腰痛で先場所途中休場の横綱照ノ富士は5日、東京都江東区の伊勢ケ浜部屋での稽古を休んだ。
部屋関係者によると、8月29日の稽古再開から相撲を取っておらず、調整のペースは上がらないままだ。
「勢いのある若い力士とやりたい気持ちは変わらない」と以前に語ったことのある一人横綱。
思いとは裏腹に、秋場所へ心配な状態が続いている。
自身初のカド番で迎える霧島が5日、都内の時津風部屋に出稽古した。
関脇・大栄翔らと14番連続で取って全勝と好調をアピールし「(状態は)いいと思いますよ。昨日休んだからね、ちゃんとやらないといけないと思いました」と、笑顔を浮かべた。
この日は大栄翔、豪ノ山、北青鵬、新十両・朝紅龍らが出稽古で集結した。
申し合いでは正代と3番、大栄翔と6番、豪ノ山と5番。
先場所新入幕ながら、一気に東前頭5枚目まで番付を上げた新鋭・豪ノ山には、組み止めて背後を取っての送り出しや、鮮やかな内無双など圧倒する内容が目立った。
申し合い後には胸を出し、「せっかく来てやっているからね、最後までいい稽古になるようにね」と稽古をつけた。
新大関だった名古屋場所は右ろっ骨などのケガに苦しんで負け越し。
今場所は在位2場所目にして初のカド番となるが、ここまでは順調な調整。
残り5日に迫った初日に向け、確実に仕上げていく。
関脇・大栄翔が5日、東京都墨田区の時津風部屋に出向いて12番の申し合い稽古を行った。
時津風部屋の幕内・正代、十両・時疾風に加え、出稽古組の大関・霧島、幕内・豪ノ山、十両・朝紅龍の計5人を相手に12番。
前に出る圧力のある正代や豪ノ山が相手でも得意の突き押しで圧倒していた。
大関獲りに挑戦した名古屋場所中に肋骨を骨折。
夏巡業は途中から合流したが実戦稽古は行わなかった。
8月30日に部屋で申し合いを再開し、出稽古はこの日が初めて。
「他の部屋の強い人とやりたかったので」と狙いを説明した。
直近3場所で優勝決定戦も含め4連敗中の霧島には、この日6番取って一度も勝てず。
四つに組み合う展開が多く見られた。
夏巡業中には、動きによってはケガした箇所が痛むこともあると話していた。
この日は「大丈夫です」と無事を強調。
成績次第では大関獲り継続の可能性もある秋場所へ、不安要素はなくなってきたようだ。
9月10日から始まる大相撲秋場所で関脇昇進が決まった「琴ノ若」を応援する祝賀パーティーが5日、山形県天童市で開かれました。
琴ノ若は「およそ四半世紀ぶりに関脇琴ノ若を復活させることができた。この地位で山形に帰ってくることができ、光栄に思う」
「下を見てしまったら上がれるものも上がれない。常に上だけを見て一日でも早くてっぺんに上り詰められるようにやっていくだけ」と語りました。
佐渡ヶ嶽親方は「私も先代の師匠から、入門した以上は一番強くなれと常に教えてもらっていた。私は大関、横綱とはなれなかったので、息子に託していきたい。」と語りました。
朝乃山が、相次ぐけがを乗り越えて“復活プラン”を実現する。
秋場所に向けて5日、都内の部屋で稽古。
7月名古屋場所の左上腕二頭筋部分断裂に続いて、8月27日に地元富山・氷見市で行われた夏巡業で右足親指を痛め、相撲を取る稽古はできず、四股などの基礎運動中心に汗を流した。
調整遅れは否めないが「休む気はない」と出場を断言。
年内の三役復帰という今年最大の目標へ「10勝以上を目指す」と誓った。
幕内・豪ノ山が5日、東京都墨田区の時津風部屋に出向いて15番の申し合い稽古を行った。
時津風部屋の幕内・正代、十両・時疾風に加え、出稽古組の大関・霧島、関脇・大栄翔、幕内・北青鵬と豪華なメンバーで行われた申し合い。
身長2メートル4の北青鵬を相手にまわしを与えず一気に突き出したり、上手を取られても切ってハズで押し出したりと動きの良さを見せた。
その後、霧島から指名されて連続で5番。
そのまま大関の胸を借りて押し続ける「あんま」も約5回行った。
最後は大栄翔の胸を借りてぶつかり稽古。
稽古を見守る師匠の武隈親方に叱咤(しった)激励されながら、泥まみれになりながら、力を出し尽くした。
充実の稽古にも「圧力で全然負けているのでまだまだ」と反省しきり。
役力士との力の差を痛感していた。
名古屋場所は新入幕で10勝を挙げ、秋場所は自己最高位の東前頭5枚目で臨む。
「もっとしっかり稽古して、万全の状態でできれば」と上位挑戦を見据えた。
2023/09/05
腰痛で先場所を途中休場した横綱照ノ富士は4日、東京都江東区の伊勢ケ浜部屋で相撲を取らなかった。
両方の膝、肘にサポーターを施して立ち合いを入念に確認。
腰を押さえたり、ねじったりするなど不安をのぞかせた。
皆勤した夏巡業では取組や申し合いを行わず、慎重な調整は変わらない。
2日の横綱審議委員会による稽古総見後は「上に立っている限りはできることを尽くしていきたい」と語っていたが、初日まで1週間を切ってもペースは上がってこない。
新大関豊昇龍は4日、千葉・柏市内で母校の日体大柏高が開いた7月の名古屋場所での初優勝、場所後の昇進を祝う祝賀会に出席し、約200人を前に「大関が終わりではない。番付にはまだ上がある」と横綱昇進への決意を新たにした。
語学などを担当した教諭らから、当時の写真や昔話を披露され「恥ずかしかったけど、楽しかった。自分にとっては大切な3年間だった」。
豊昇龍は当地を「日本の故郷」という。
この日は東京・台東区の立浪部屋で出稽古に訪れた関脇若元春と9番取って6勝3敗。
18番続けて取るなど秋場所に向けて稽古のペースを上げてきた。
関脇大栄翔が4日、埼玉県草加市の追手風部屋に出稽古に来た幕内高安と連続で12番取り、「良い稽古をさせてもらった。圧力を受けられたのはプラスだと思う」と荒い息で汗をぬぐった。
名古屋場所13日目に右肋骨(ろっこつ)を骨折。
8月30日から相撲を取る稽古を再開したばかりとあって、この日は元大関相手に3勝9敗と分は悪かったが、痛みなく相撲を取れるところまで復調しているという。
稽古の最後には、高安に立ち合いの当たりを何度も受けてもらうなど泥まみれになりながら体を追い込んだ。
「稽古が足りていない。(秋場所初日の10日まで)日にちがないんで、やれることをやっていきたい」と語り、5日以降は出稽古を計画していることを明かした。
幕内・北勝富士が4日、東京都墨田区の時津風部屋へ出向いて幕内・正代、十両・時疾風、同じく出稽古に訪れた幕内・豪ノ山の3人と計9番の申し合い稽古を行った。
北勝富士は、名古屋場所で初優勝こそ逃したものの12勝を挙げて優勝決定戦に進出する大活躍。
秋場所では東前頭筆頭まで番付を上げ、昨年夏場所以来の上位陣総当たりが予想される。
「やっと元いたところへ戻れたので楽しみ。若手みたいにがむしゃらにできたら」と意気込んだ。
また、大活躍だった名古屋場所中に右ふくらはぎ肉離れのケガを負っていたことを明かした。
「6日目の朝稽古でぶつかりをしていたらブチッといった。それから毎日痛み止めと治療でなんとか乗り切った」。
星数からは想像もつかないアクシデントが実は場所中に起きていた。
この経験を踏まえ「どれだけ万全でも勝てない時は勝てないし、(体は)関係ないんだなと思った。気持ち一つですね」と新たな発見を得た。
現在は既に回復している様子。
そして「調子悪くても12番勝てたのは自信になった」とプラスに捉えた。
日本相撲協会は4日、延岡市出身で東前頭8枚目の琴恵光関(31)=本名柏谷充隆、佐渡ケ嶽部屋=の婚約を発表した。
父の柏谷正倫さん(59)によると相手は福岡県出身、在住の一般女性。
約6年の遠距離恋愛を実らせた。
幕内・伯桜鵬が左肩の負傷により、秋場所を全休することが4日、決まった。
この日の朝稽古後、師匠の宮城野親方が取材に対応。
秋場所の全休と、先月31日に手術したことを明かし「5月に痛めてリハビリをしていたが、なかなかよくならなかった」と説明。
「先場所の活躍で期待されただけに、師匠として申し訳ない」と頭を下げた。
伯桜鵬本人は、「あまりにも早く新十両になって、新入幕もして、いろいろな方から注目していただいた。正直、左肩は限界だったが、その注目されているところから落ちるのがやはり怖かった。手術の決断に至るまでは、すごく時間がかかった」と悩み抜いた心境を明かした。
鳥取城北高時代に右肩を痛め、卒業後はすぐに入門せず手術を受けた。
だが今度は左肩を負傷。自らの状態について「両肩の関節がすごく小さく、人より肩が弱い」と説明した。
伯桜鵬は「どこまで落ちてもいいと思っている。幕内にいることが目標ではない。夢をかなえるための最善の選択」と強い覚悟を示した。
また「師匠に恩返しをしないといけない。半年後の自分の姿を想像し、僕も含め全員前を向いている。今より強くなって復帰しようと。焦りはもうない」とも言い切った。
完全復活、その先にある夢の横綱へ。
“令和の怪物”が新たな闘いに挑む。
日本相撲協会は4日、東京・両国国技館で10月2日に第80回全日本力士選士権を開催すると発表した。
新型コロナウイルスの影響で2020、21年は中止。昨年から再開された。
2023/09/04
西前頭9枚目、伯桜鵬が左肩の負傷により、秋場所を全休することが4日、決まった。
本人と師匠の宮城野親方が明言した。
8月31日に手術を受けたという。
全休すれば11月の九州場所での十両転落は確実。
伯桜鵬は「左肩の状態は限界だった。どこまで落ちてもいいと思っている。今より強くなって復帰したい」と語った。
宮城野親方は復帰時期について「医師と相談しながら決めていく」と述べるにとどめた。
新入幕の先場所で最後まで優勝争いに加わった伯桜鵬は11勝4敗で敢闘賞と技能賞を受賞。
入幕2場所目も注目されていたが、場所後の夏巡業は左肩関節亜脱臼のため不参加だった。
2023/09/04
審議委員会による稽古総見が2日、両国国技館で行われた。
4年ぶりに一般に公開して実施されたが、腰痛で先場所途中休場となった横綱・照ノ富士は相撲を取らず、ぶつかり稽古で胸を出すのみ。
復活を期す秋場所へ、暗雲が垂れ込めた。
4年ぶりに一般公開された稽古総見。
腰痛で先場所途中休場した照ノ富士は、相撲を取らずに調整した。
現状について「見ての通り、まだ稽古ができていない状態。間に合わせたいと思っています。状態を見ながらやりたい」と慎重な姿勢を崩さなかった。
昇進披露宴が3日、東京都内で開かれ、日本相撲協会の八角理事長、横綱照ノ富士ら約700人が祝福に訪れた。
「こういうパーティーは初めて。夢みたい」と声を弾ませた。
新大関として臨んだ7月の名古屋場所は右肋骨(ろっこつ)の骨挫傷があり、6勝7敗2休に終わった。
現在はけがも癒え、体の状態に不安はないという。
秋場所に向けて着々と稽古を重ねており、「かど番ということは頭に入れず、いつも通りにいけば大丈夫」と自信を示した。
2日、横綱審議委員会の稽古総見が国技館で行われた。
大関貴景勝は新大関豊昇龍、大関霧島らと相撲を12番取って6勝6敗。
4年ぶりに一般公開された稽古総見を終えて「お客さんの前では巡業でも稽古してるけど、みんな番付発表後でピリッとしてる。気合を入れて一番一番集中してやろうと思った。なかなか(番付が)上同士で取れることはないので良かった」と充実感を漂わせた。
和製大関は「自分の相撲人生、上がったり落ちたりなんで。いいこともあれば、悪いことも、常に隣り合わせでやってきた。今年も出だしはいいところから始まって、またケガをして今があるので。いいことが続くように、頑張るだけ」。
復活への強い決意を口にした。
勝負師の顔に満面の笑みが広がった。
大相撲の新大関豊昇龍が3日、美容整形外科「高須クリニック」の高須克弥院長から贈られた飛騨牛を使った絶品肉ずしを堪能した。
都内の部屋で後援者を招いて夕食会が行われ、高級レストランに在籍する一流職人が握るすしが振る舞われた。
飛騨牛をふんだんに使った肉ずしを前に手が止まらず、豊昇龍は「本当にうまいね」と何度もおかわりしていた。
職人から教わって自分で握った肉ずしを若い衆に食べてもらい、感想を聞いてご満悦な笑みを浮かべた。
関脇・若元春が1日、東京都墨田区の時津風部屋へ出向き、同じく出稽古に訪れた大関・霧島らと16番の申し合い稽古を行った。
一昨日に続いて霧島の胸を借りたこの日は9戦全敗。
得意の左四つに持ち込んでも、両まわしを引き付ける十分な体勢になる前に先に動かれて翻弄された。
「やっぱり大関強いですね」と実力差を痛感。
秋場所の成績次第では大関獲り継続の可能性もある中「そこに食らいつけるぐらいの力がないと(大関に)上がれない」と現状を分析した。
幕内・正代とは3番取って1勝2敗。もろ差しを許して馬力負けする場面もあり「自分十分になれていない」と課題を口にした。また「元大関と現大関に囲まれて稽古できるのは幸せ」とレベルの高い稽古環境に感謝した。
あす2日には両国国技館で横綱審議委員会の稽古総見が行われる。
ここまでの調整については「巡業も(番付発表前)ギリギリまでやって、それなりに動いてきているので良いんじゃないですかね」と好感触だった。
新関脇琴ノ若は1日、大関昇進の足固めを狙う秋場所に向け「早く勝ち越して、そこから一つでも積み上げたい。優勝を目指すくらいの気持ちでいかないといけない」と意気込んだ。
先場所は小結で11勝を挙げ、敢闘賞を受賞した。
25歳のホープは千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋で幕内の琴恵光や琴勝峰らを相手に14勝1敗。
189センチ、170キロの恵まれた体で一方的に寄り切る攻撃的な内容が光った。
「今までは出し切れない部分があった。これが当たり前にできないと、上には上がれない」と旺盛な向上心をのぞかせた。
横綱審議委員会の稽古総見が2日、東京・両国国技館で行われ、新型コロナ禍前の2019年秋場所以来、4年ぶりに一般公開された。
新小結錦木が、ぶつかり稽古で右ふくらはぎを負傷。
稽古後に「肉離れした。すごく痛い」と自ら打ち明けた。
関取衆の稽古では、幕内力士では土俵一番乗りで胸を出すなど精力的に動きながら、まさかのアクシデント。
「どうにか治します。そんなにひどくなければ出稽古に行きたい」と出場を目指し、治療と調整を続けていく。
横綱審議委員会の稽古総見が2日、両国国技館で行われ、西前頭2枚目の朝乃山が参加し、番付発表以降で初めて公開で相撲を取った。
ここまでけがの影響で調整が遅れているが、本場所までの残り1週間でスパートをかける。
稽古総見の終盤は、3大関を中心とする申し合い稽古が繰り広げられた。
三役陣が土俵を囲む中、朝乃山も実力者として輪に入った。
左腕にテーピングを施した朝乃山は積極的には相撲を取らなかったものの、新大関の豊昇龍から指名を受け、土俵へ。
鋭い立ち合いから一気に圧力をかけて豊昇龍を押し込むも、土俵際の逆転に屈した。
この日に相撲を取ったのはこの1番のみだった。
豊昇龍は指名した理由について「元大関ですし、いい稽古相手になります」と明かした。
朝乃山は夏巡業で右足親指を痛めた影響で、番付発表以降は相撲を取らずに調整を進めてきた。
指の腫れは徐々に引いており、左腕の状態もみながら調整を急ぐ考えだ。
入幕2場所目で東前頭5枚目の豪ノ山が3日、東京都大田区の武隈部屋で四股やすり足などの基礎運動を中心に汗を流した。
新入幕の先場所は10勝5敗で敢闘賞。
25歳のホープは「自分の相撲を取って勝ち越して、またその上を目指していきたい」と貪欲に語った。
夏巡業の稽古では番数を重ね、新大関豊昇龍にも胸を借りた。
今後の対戦を見据え「挑戦とは言っていられない。勝ちたい」と闘志を燃やす。
4日からは出稽古を見据え「しっかり稽古して、万全の状態で臨みたい」と表情を引き締めた。
左肩痛を抱える入幕2場所目の伯桜鵬は本格的な稽古再開のめどが立たず、心配な状況が続いている。
3日は同じ鳥取城北高出身で宮城野部屋の先輩、元幕内大喜鵬の山口雅弘氏の断髪式を欠席。
師匠の宮城野親方は「また肩が痛いということで、来ることができなかった」と説明した。
20歳の伯桜鵬は先場所で11勝を挙げ、三賞ダブル受賞に輝いた。
だが左肩関節亜脱臼で夏巡業を全休。
2日の横綱審議委員会による稽古総見も欠席した。
宮城野親方は手術の可能性について「病院で検査をしてもらっている」と話すにとどめ、秋場所の出場可否へ言及を避けた。
名古屋場所で十両優勝し、再入幕を果たした熱海富士が3日、21歳の誕生日を迎え、同部屋の横綱照ノ富士を上回る若さでの三役昇進を目標に掲げた。
番付の頂点に立つ兄弟子の期待に結果で応えたい。
得意の攻めは同じ右四つだが、「体の使い方から、そのために必要な鍛え方まで稽古場で教えてもらっている。横綱を信じて、白星につなげたい」と意気込む。
日本相撲協会が29日、十両以上の力士の最新の身長、体重を発表した。
幕内力士の平均は、
身長184・8センチ、体重161・7キロ(前回の計測時から0・3キロ減)
十両の平均は
身長182・8センチ、体重158・3キロ(同1・4キロ増)
関取のうち最重量は
<1>水戸龍=201キロ
<2>大翔鵬=198キロ
<3>剣翔=187キロ
最軽量は
<1>翠富士、輝鵬=115キロ
<3>朝紅龍=120キロ
最長身は
<1>北青鵬=204センチ
<2>湘南乃海、金峰山、獅司=193センチ
唯一の2メートル超えした北青鵬は前回の計測時と変わらなかったが、今後さらに伸びる可能性も十分。
1953年9月場所以降では元横綱曙と並んで歴代最長身に立つが、今後さらに伸びて単独トップに立つことを期待したいところだ。
最短身は
<1>輝鵬=167センチ
<2>武将山=171センチ
<3>翔猿=173センチ。
2023/09/01
腰痛で先場所を途中休場した横綱照ノ富士は慎重に始動した。
28日には腰に痛み止めの注射を打ったとし「痛みは和らいだが、治ったわけではない。その日、その日で状態を見ながらやっていく」。
相撲を取る稽古の再開時期は「分からない」と述べるにとどめた。
昨年10月の両膝手術を乗り越え、今年5月の夏場所では1年ぶりの復活優勝。
「膝は手術してからスムーズに動くようになり、良くなったのかなと思う。あとは腰だけだ」と現状を説明した。
30日、都内の荒汐部屋へ出向いて関脇・若元春と18番連続で取った。
互いに得意とする左四つの展開が多く、右上手からの攻めやもろ差しの速攻で13勝5敗。
関取同士の三番稽古では1番取るごとに「待った」をして呼吸を整えることが多いが、最後の5〜6番は気合が乗り“待ったなし”で取り続けた。
「最後2人で盛り上がったね」と霧島。
若元春の息が上がる中、霧島は無尽蔵のスタミナを発揮して余裕の表情だった。
充実の稽古をこなしながら「これから徐々に体をつくっていく」とまだ始動段階の様子。
名古屋場所前は稽古で追い込みすぎて調整に失敗し、背中の痛みで初日から3日間休場した。
カド番で迎える秋場所へ「疲れた時は休みを取りながら」と先場所の反省を生かす方針だ。
万全な状態で秋場所に臨むために、適度な“待った”を入れながら調整していく。
31日、秋場所で実現する霧島、豊昇龍との大関対決に自信を見せた。
2人とはお互いに大関となって初の対戦となるが、過去、貴景勝がお互いに大関として初対戦したときの成績は3勝1敗。
先輩大関の意地を見せ、7度目のかど番場所で勢いに乗りたい。
同日は東京都板橋区の常磐山部屋で朝稽古した。
誰と取っても一番は一番。
力むことはない。
その一方で、場所の終盤で組まれる看板力士の激突への期待の高さは、誰よりも分かっている。
「ファンが楽しみにしてくれてますから。いい相撲を取れれば。淡々とやれることをやっていく」名古屋場所を両膝半月板損傷で全休し、この日は土俵に入らなかったが、十両貴健斗との立ち合いの確認では、踏み込みを左右両足で試す場面も。
「どっちでもできるように」と準備は着々。
1年ぶりに3大関となる土俵で、主役に躍り出る。
31日、都内の部屋で明生と9番連続で相撲を取り8勝。
中には左下手を許し、土俵際まで追い込まれたが、もろ差しで反撃に転じ最後は寄り切るなど勝負強さを示した。
「見ての通りいい相撲とっていたんじゃないかな」と胸を張った。
新大関となり、大きな注目を浴びる。
先場所までとは違う状況だが、「番付は上がっても相撲を取る相手は変わらない。気にしていない」とキッパリ。
巡業で充実した稽古を送ったこともあり「疲れもある。(場所前稽古の)やり方を変える必要はない。変えるとケガにつながるかもしれない」。
まずは部屋で稽古を積んでから出稽古に赴くつもりだという。
大関昇進へ再挑戦する関脇大栄翔は31日、埼玉県草加市の追手風部屋で十両大奄美や幕下以下の力士らと13番取り「出直しのつもりで稽古し、また一から積み上げていく」と意欲を語った。
先場所13日目の若元春戦で右肋骨を負傷。
夏巡業は終盤から参加して相撲は取らなかった。
申し合いは30日から始めたばかりで、この日の稽古では出足の鋭さを欠いた。
引き技が目立ち「久々で怖さがある。動きは戻っていないが、時間がないので気を張ってやっていきたい」と話した。
今後は「他の部屋の関取衆とどれだけやれるか。そこで調子を測っていく」と出稽古を視野に入れた。
30日、都内の部屋で出稽古に来た大関・霧島と18番の相撲を取った。
5勝に終わったが、得意の左四つは健在だった。
終盤は間を空けない“待ったなし”。
だが、最後は「大関が立て続けに、そんきょして先に手をついたので僕が『待った』をするわけにはいかない。勘弁してください」と苦笑した。
大関取りがかかった先場所は9勝に終わった。
秋場所も成績次第では大関昇進の可能性は残っているが、「いつもと変わらず、昇進は意識しない。でも2ケタ勝利は最低限のハードル」。
本県出身力士として23年ぶりに小結昇進を果たした盛岡市出身の錦木関30日、同市内のホテルで記者会見し、大相撲秋場所に向けて「新三役での勝ち越しを目標に頑張りたい」と意気込みを語った。
7月の名古屋場所では横綱照ノ富士関を破る金星を挙げるなど10勝5敗の好成績。
「全体としては(初の)殊勲賞も取れたし良かった」と振り返った。
28日に発表された秋場所新番付では東小結に。
初土俵から103場所での新三役は史上3番目に遅い記録だが、「あまり気にせずにやっていきたい」と話した。
将来の目標については「上にはまだ関脇、大関、横綱の位がある。何年かかるか分からないが、引退しない限りは上を目指したい」ときっぱり。
「自分が勝っていくところを見てもらい、スポーツや勉強でも諦めずに頑張ってほしい」と周囲への気配りも忘れなかった。
31日、都内の立浪部屋で17番連続の申し合い稽古を行った。
新大関・豊昇龍とは9番取って1勝8敗。
立ち合いの低さを重視しており「できていたと思うけど、2歩目を出すのが難しい」と課題を口にした。
2場所連続で勝ち越し、秋場所では西前頭筆頭まで番付を上げた。
4歳下の弟弟子・豊昇龍の大関昇進には「当然悔しい」と刺激を受けている。
「勝ち越して、まずは三役に戻って、そこからまたスタート」。
三役復帰とその先への思いを語った。
31日、都内の部屋で稽古し、基礎運動を中心に汗を流した。
27日の地元の富山・氷見市で行われた夏巡業の稽古中に右足親指を負傷しており、この日は軽めの調整。
状態については「(土俵の土を)指でかめない。まだ少し痛いですね」と不安をのぞかせた。
故郷での巡業で負傷し、「最後、地元で相撲を取ってケガしたのは悔しい」。
右足は「血管が見えないぐらい腫れていた」という負傷時に比べると、腫れは引いたという。
秋場所の初日は来月10日で、3日には稽古総見も控えているだけに、「明日、テーピングとか多めにぐるぐる巻きにして、できたら少し(相撲を)取りたい。時間もないですし、やらないといけないので」と危機感を示した。
31日、自己最高位の東前頭5枚目で迎える秋場所に向けて「25歳と、すごく若いわけではないので、挑戦者(という意識)とかでなく、しっかり勝っていかないといけない」と意気込みを示した。
武隈部屋での稽古後に取材に応じた。
新入幕だった名古屋場所は10勝5敗で敢闘賞を受賞。
夏巡業では霧島、豊昇龍の両大関ら上位力士に胸を借りて稽古できたことが収穫だったという。
番付を一気に8枚上げた秋場所を前に「もう一度、鍛え直して臨みたい」。
この日は相撲は取らず、四股やすり足、ぶつかり稽古などで汗を流したが、武隈親方によると、9月3日以降は出稽古も検討している。
29日、秋場所を休場する可能性を示唆した。
この日は東京・墨田区の部屋で、ゴムチューブを使うなどして汗。
左肩に故障を抱えるだけに、慎重な調整だった。
稽古後に出席した国技館での力士会後に取材に応じ、「あまり状態は良くない。休場して番付が落ちたとしても、幕内にいることが目標ではない」と述べた。
新入幕の先場所で11勝を挙げ、千秋楽まで優勝争いに絡む大活躍を見せた。
だが左肩関節亜脱臼の影響で夏巡業は全休。
故郷の鳥取県などで治療していた。
30日、東京都中央区の荒汐部屋で三段目力士らを相手に12番の申し合い稽古を行った。
朝7時半過ぎに稽古場に降りると、四股やすり足で入念に体を動かしてから申し合いに参戦。
東三段目90枚目の寛龍と2番、西序二段22枚目の飛騨野と10番連続で取った。
実戦稽古を再開したのは8月後半からで「まだ取り始めたばかり」という。
それでも立ち合いの鋭い踏み込みや下からの厳しい攻めは健在で、格下相手ではあるが全く寄せ付けず12戦全勝。
順調な回復ぶりをうかがわせた。
若隆景は関脇だった春場所で右膝前十字靱帯断裂の大ケガを負い、4月上旬に靱帯の再建手術を受けた。
それ以降は休場が続き、秋場所の番付は東十両7枚目。
今場所も全休なら関取の座を失うことになる。
「復帰に向けて段階を踏んでいる。一日一日で良くなるようなケガではないので、少しずつ積み重ねて今できることをやっていけたら」。
術後すぐは歩くこともできなかったが、懸命なリハビリを経て少しずつ相撲が取れるまでに回復した。
2023/07/27
日本相撲協会は26日、関脇豊昇龍(24=立浪)の大関昇進を正式に決定。
豊昇龍は名古屋市内の部屋宿舎で行われた伝達式で「大関の名を汚さぬよう、気魄一閃(きはくいっせん)の精神で努力いたします」と口上を述べた。
新大関は「どんなことがあっても、力強く立ち向かうという意味」と口上に込めた思いを説明。
「ここで終わるわけじゃない。次(横綱)に向けて頑張りたい」と決意を新たにした。
2023/07/24
朝青龍級≠フポテンシャルだ。
千秋楽、関脇豊昇龍が12勝3敗で初優勝し、大関昇進も確実にした。
本割で19歳の新入幕伯桜鵬、優勝決定戦では幕内北勝富士に連勝して2冠≠達成。
元横綱朝青龍を叔父に持つサラブレッドの実力は「本物」なのか。
元大関琴奨菊の秀ノ山親方は、豊昇龍の潜在能力に太鼓判を押した上で「叔父さんと同じ番付(横綱)までいける」と期待した。
豊昇龍は優勝決定戦で北勝富士を押し出して勝ち名乗りを受けると、こらえきれずに涙を拭った。
表彰式の優勝力士インタビューでは「(涙は)出ちゃったですね。すごくうれしくて。我慢してたんですけど、止まらなかった。誰に伝えたい? 一番最初に親方(師匠の立浪親方)に。その後に叔父さん(元朝青龍)に言いたいです」と喜びをかみしめた。
千秋楽、条件付き受賞だった琴ノ若が、ここまで10連勝していた竜電を寄り切りで退け、11勝目。
4度目の敢闘賞を手にし「まずは自分の相撲を取ることが大事だった。集中してやれた」と胸を張った。
今年初場所で三役に昇進し、2桁勝利は初。
秋場所は新関脇に昇進する可能性が高い。
千秋楽、殊勲賞を受賞した錦木は記録ずくめの場所になった。
前半は照ノ富士や3関脇を撃破するなど夏場所からの14連勝で場所を盛り上げた。
初土俵から103場所目での三賞受賞は歴代最スロー。
千秋楽は敗れたこともあり「最後は勝ちたかった」と笑みはなかった。
それでも秋場所は史上3位のスロー出世となる新三役昇進が濃厚で「新三役で頑張りたいです」と切り替えた。
千秋楽、東前頭4枚目の朝乃山が力強い内容で関脇若元春を寄り切り、再出場した12日目から4連勝で勝ち越しを決めた。
それでも元大関は「勝ち越しは通過点と思っていた。
2桁を勝ちたかったので満足していない」と納得はしていない様子。
右腕の負傷で休場を強いられただけに、三役復帰を目指す来場所へ向け「けがをしない体づくりをしたい」と肉体の強化を誓った。
31歳の北勝富士は初優勝を逃した。
本割で錦木を破り、豊昇龍との決定戦に。
押していったものの、前傾姿勢を保つ相手をはたいてしまい、一気に土俵の外に追いやられた。
「我慢していけばよかった。まだまだ稽古が足りない」と悔しさをにじませた。
賜杯獲得にはあと一歩届かなかったが、幕内では初めての12勝。
敢闘賞も手にし、「またこつこつと稽古していく」と誓った。
千秋楽、新入幕の豪ノ山が先に三賞を決めていた伯桜鵬、湘南乃海に続いた。
ベテランの玉鷲相手に一歩も引かず、逆に相手を引かせて押し出した。
4連勝締めで勝ち星を2桁に乗せ、敢闘賞を受賞。
「しっかり自分の相撲で勝てたので自信になります」と充実した表情をのぞかせた。
新入幕3人が10勝以上を挙げたのは11年九州場所の松鳳山、碧山、妙義龍以来。
「強い人が多いので負けないように」と刺激を受けている様子だった。
千秋楽、新入幕の湘南乃海が敢闘賞を受賞した。
ベテランの妙義龍戦は相手を起こしながら土俵際ではたき込み10勝目を挙げ「欲を抑えてしっかり自分の相撲を取り切ることを意識しました」と話した。
これで昨年の名古屋場所から7場所連続勝ち越し。
成長著しい25歳は「もっと前に出ていい相撲を取って、地元に恩返ししたい」と今後を見据えた。
伯桜鵬は11勝で並んでいた豊昇龍に敗れ、開口一番「悔しいです」。
新入幕で優勝すれば109年ぶりだったが、その偉業達成は逃した。
「優勝は狙っていなかった。勝つための準備をして勝てなかったのが悔しい」。
19歳の新鋭は力の差を痛感し、唇を震わせた。
この日の朝、師匠の宮城野親方から、投げ技に対応するための助言を得ていた。
それでも、得意の左四つから上手投げを食い、裏返しにされた。
師匠が新入幕場所で挙げた12勝が目標だった。
13、14日目にトップを破るなど快進撃を見せたものの、あと一歩届かず「情けない」。
昭和以降で最速タイの初土俵から所要3場所で入幕した逸材は、「稽古して強くなるしかない」。
感情を押し殺すように決意を語った。
新入幕優勝の快挙は逃したが敢闘賞と技能賞を獲得し、新入幕では平成26年秋場所の逸ノ城以来のダブル受賞となった。
千秋楽、三賞は史上最多の7人が受賞した。
名古屋場所千秋楽の23日に名古屋市内で三賞選考委員会が開かれ、
殊勲賞は錦木、敢闘賞は伯桜鵬と北勝富士、技能賞は伯桜鵬を選出。
さらに、千秋楽の一番に勝てば豊昇龍、琴ノ若、豪ノ山、湘南乃海を敢闘賞とすることを決めた。
条件付きの4人が全員勝ったため、計7人が受賞。これまでの最多だった1998年夏場所と2020年初場所の5人を上回った。
2023/07/23
14日目、霧島の負け越しが決まった。
突っ張っていったが、元大関の朝乃山を起こせず、得意の右差しを許してすくい投げで転がされた。
八角理事長は、背中付近の痛みのために4日目からの出場となった新大関を「気持ちと体のバランスが悪かった」と指摘。
かど番で迎える来場所の土俵に万全の状態で上がることを期待した。
14日目、幕内後半戦の佐渡ケ嶽審判長が、打ち出し後に報道陣の取材に応じ、千秋楽を残して3場所32勝に到達した大関とりの関脇豊昇龍について「まだなんとも言えないところですね」と明言を避けた。
そして「これが33勝とか、34勝だったら話が違うと思うんですけど、後は千秋楽の相撲を見てから」。
場所後の大関昇進かどうかは千秋楽の取組が終わった上でと説明した。
この日、大関とりのライバル若元春に立ち合い変化されるも冷静対処し、小手投げで退けたことについては「豊昇龍は若元春の変化に対して、しっかりついていけた。ある意味落ち着いて相撲が取れているのかな」と評した。
新たな大関候補に名乗りを上げた。
14日目、小結琴ノ若が幕内宇良を押し出して10勝目(4敗)。
三役として初めて2桁白星を挙げて、大関とりの起点を築いた。
取組後の琴ノ若は、10勝到達にも冷静。
「最初から上を目指してやってきている。(10勝以上が)当たり前になるぐらいじゃないと、つながっていかない」と、あくまで通過点≠ナあることを強調した。
23日千秋楽の千秋楽は幕内竜電と対戦。
今場所最後の相撲へ向けて「まだもう一番ありますし、終わったわけではないので。明日に向けてしっかり準備して、気を引き締めていくつもり。もう1勝? そうですね。きっちりと終わりたい」と気合を入れた。
14日目、東前頭筆頭の錦木は竜電に敗れ、3敗を守れなかった。
「前に出られたのはよかったけど、最後は棒立ちだった」と反省を述べた。
「負けたくはなかった」という同期生との対決。
4連敗から10連勝を飾った竜電には、先場所に自ら記録した終盤8連勝を引き合いに「僕のマネをしなくていい」と冗談を飛ばした。
優勝の可能性こそ消滅したが、落胆はなし。
「勝って、気持ちよく終わりたい」と前向きに千秋楽での勝利を目指す。
14日目、大関経験者が、勝負にかける矜持を示した。
元大関の幕内朝乃山が新大関の霧島を真っ向勝負で破り、7勝目(4敗3休)。
突き放しにきた相手を右四つで組み止めると、豪快なすくい投げで土俵に転がした。
取組後は「昨日(霧島との)対戦が決まってから、思い切っていくことだけを考えていた。あの投げも思い切ってやった結果。しっかり相手を見てここしかない≠ニいうところで、体が反応した」と振り返った。
朝乃山が結びで相撲を取るは、一昨年の夏場所以来2年ぶり。
当時は大関として格下の挑戦を受ける立場だった。
今回は、逆に挑戦者として臨んだ一番。
「新大関の霧島関に、思い切って自分の相撲を取って勝てたことを少しでも自信にしたい。連日応援していただいている中で、結びで勝てたのはうれしかった。拍手や歓声が力になりました」と謙虚な姿勢で受け止めた。
14日目、北勝富士は、1差だった新入幕の伯桜鵬に屈し、3敗のトップに並ばれた。
「自分の相撲を取らせてもらえなかった。ただ悔しい」と静かに言った。
すぐに左差しを許して胸を合わせ、互いに上手を探る攻防に。
揺さぶってきた相手を押し込んだが、土俵際での詰めが甘く逆転され、「(最後は)腰が抜けて足もそろってしまった。焦りが出た」。
賜杯争いは、豊昇龍を加えた3人に絞られた。
初優勝を懸けて臨む千秋楽に向け、「自分の立ち合いができるように頑張りたい」と己に言い聞かせた。
14日目、竜電が下手投げで錦木を下し、5日目からの連勝を10に伸ばした。
「体勢が悪かったけど、最後まで諦めずにいけた」。
昨年秋場所での11勝以来となる2桁勝利については「まだ最後の一番があるので、前に出る相撲を強い気持ちを持ってやるだけ」と総括は先送りした。
千秋楽で3敗対決が組まれたため、優勝の可能性は消えたが、土俵へ向かう気持ちに変わりはない。
14日目、敗れれば、優勝の可能性が消える一番。
連日館内を沸かせる19歳の伯桜鵬が、北勝富士を土俵際の逆転で破った。
13日目の錦木に続き、優勝争いで先頭にいた力士をまたも撃破し、3敗を死守してトップに並んだ。
「おっつけが強い。やりにくかった」と振り返る。
初顔の相手に対応する相撲勘、感性の良さこそ、新入幕で白星を積み重ねる原動力だろう。
左四つで組み、前日に続いて長い相撲に。
自身が仕掛けたところを突かれて攻め込まれたが、俵に掛かった右足で耐えて突き落とし。
物言いがついても、自信はあった。
「残せている」。
不安げな表情はなく、軍配通りに勝ち名乗りを受けた。
元横綱白鵬の宮城野親方は、新入幕の場所で12勝を挙げた。
偉大な師匠と同じ星数を今場所の目標に掲げ、左肩の痛みにも耐えながら奮闘する。
数字だけでなく、「すごく憧れ」と表現する賜杯獲得も現実味を帯びてきた。
千秋楽は関脇豊昇龍との一番が組まれた。
109年ぶりの新入幕優勝はなるか。
「自分は優勝できるレベルではない。勝てるように準備する」。
大一番を前にしても変わらない落ち着きで、快挙に挑む。
2023/07/22
13日目、大関昇進を目指す豊昇龍が、関脇で3場所連続の2桁白星に到達した。
新大関霧島との一番。
立ち合いで右に動いて上手を引き、頭をつける。
低い体勢から寄り切り、「よかったと思う」と納得顔だった。
同じモンゴル出身で、先に出世を果たした大関に完勝。
優勝争いでも、トップと1差につけて存在感を発揮し、「集中できているので、この感じで頑張る」と意気込んだ。
13日目、大関昇進を狙う大栄翔は、3連敗で痛恨の5敗目。
昇進の目安とされる三役での直近3場所の合計33勝はクリアできなくなった。
若元春を喉輪で攻めたものの、体が伸びてしまい、回り込まれてはたきを食った。
土俵下の粂川審判長は「気持ちばかり前にいっている。いい突き押しだったが、前に落ち始めたから、力が入り過ぎているのでは」と語った。
13日目、若元春が大栄翔との関脇対決を制した。
立ち合いで大関取りのライバルの鋭い押しにもひるまなかった。
土俵際でしのぐと、張り手で応戦。再三ののど輪を弓なりにながら、耐えた。
最後は土俵際で左足1本残してはたき込んだ。
「中々つかまえられず、突かれてしまった。相手の流れではたいて勝った。自分の流れにできなかったので、自己評価はよくない相撲」と反省。
13日目、錦木は我慢比べの末に痛恨の連敗。
左は十分でも、右で上手をなかなか引けない。
伯桜鵬の内掛けを食い、「攻め切れず、押し切れなかった。残念」。
13歳も年下の新鋭に屈しても、表情はすがすがしかった。
トップの北勝富士を1差で追う展開に変わった。
初賜杯獲得の可能性はあるだけに、「残り(2日は)精いっぱいやって、一つでも勝てればいい」と静かに意気込んだ。
13日目、朝乃山は正代を破り、再出場から2連勝を飾った。
立ち合いで左上手を取り、「右脇を締めて体を密着できた」と逃げる正代を離すことなく寄り切った。
「星勘定はしていない」と話し、来場所につながる相撲を取ることに集中。
14日目は大関・霧島と結びの一番でぶつかるが、くしくも2人の番付は2年前の前回対戦からそっくり入れ替わった。
「思い切って相撲を取るだけ。自分から攻めていけば勝機はある」と大関撃破に向けて気合をみなぎらせた。
13日目、西前頭9枚目の北勝富士が単独トップに立ち、14日目にも初優勝を飾る可能性が出てきた。
相撲巧者の遠藤を寄り切って11勝2敗。
幕内での11勝は6度目で自己最多に並んだ。
師匠は八角理事長。
現役理事長の弟子が優勝すれば、1963年(昭38)名古屋場所で、当時の時津風理事長(元横綱双葉山)の弟子の大関北葉山が優勝して以来60年ぶり。
14日目伯桜鵬戦に勝ち、3敗の豊昇龍、錦木が敗れれば初優勝となる。
13日目、新入幕の東前頭13枚目・豪ノ山が勝ち越しを決めた。
剣翔と対戦。相手に引かせたところを一気に出て押し出した。
「ホッとしている部分はあります。止まったらダメだと思っていた。我慢して勝ててよかった」
初日から5連勝も、その後4連敗を喫した。
「切り替えられず連敗してしまった。そこは課題として修正していきたい」。
新入幕トリオ全員が勝ち越しとなった。
豪ノ山がしんがりとなり「出遅れているのでしっかり頑張りたい」とライバル心をのぞかせた。
13日目、ざんばら髪の逸材の快進撃が止まらない。
新入幕の伯桜鵬が2桁白星に到達。
2敗でトップに並んでいた錦木を引きずり下ろし、「13日間やった結果が10勝3敗」。
淡々と話す姿は、19歳とは思えない落ち着きぶりだ。
32歳のベテランとの一番。
土俵際まで追い込まれたが、しぶとく残し、左四つで胸を合わせる。
相手が出てきたところを逃さず、「呼吸が乱れたので足を狙った」。
内掛けであおむけに倒した。
横綱照ノ富士を破るなど、今場所好調の錦木を冷静に仕留めた。
その取り口に土俵下の粂川審判長は「末恐ろしい。左四つのいい形がある。千秋楽まで楽しみ」と評価した。
元横綱白鵬の宮城野親方を師匠に持ち、昭和以降では最速タイの初土俵から所要3場所で新入幕。
最終盤で賜杯争いに絡み、新入幕で優勝を遂げれば、109年ぶりの快挙となるが、「(記録のことは)全く考えていない」。
緊張や重圧を味わっているのか、表情に出さないのは頼もしい。
14日目は単独トップに立つ北勝富士との一番が組まれた。
「しっかり準備してやっていく」。
期待を一身に背負いながら、堂々と戦う。
13日目の21日、元幕内で西幕下5枚目の千代の国(33)=本名沢田憲輝、三重県出身、九重部屋=の現役引退と年寄「佐ノ山」襲名を発表した。
今後は部屋付き親方として後進の指導に当たる。十両から転落した今場所は初日から休場していた。
2006年夏場所初土俵。
激しい突き押しを武器に出世し、12年初場所新入幕。
両膝のけがなどで三段目まで番付を下げたが、再起して返り咲き、幕内を34場所務めた。
最高位は東前頭筆頭。敢闘賞2回、金星1個。
佐ノ山親方(元幕内天鎧鵬、本名南貴由輝)は年寄「北陣」に、北陣親方(元関脇琴勇輝、榎本勇起)は年寄「荒磯」に名跡を変更。
2023/07/21
12日目、高い壁として立ちはだかっている。
新大関の霧島が11日目の大栄翔に続き、昇進に挑む関脇若元春に貫禄勝ち。
看板力士の強さを見せ、「よかったと思う」。
普段通り、表情は変わらない。
短い言葉に余裕がにじんだ。
厳しい攻めだった。
低い姿勢で当たり、強烈なおっつけで若元春に得意の左を差させない。
もろ差しを果たし、相手の体を起こして難なく寄り切った。
日ごろから出稽古で手合わせしている相手。
「絶対負けない気持ち」で寄せ付けなかった。
12日目、2敗対決の北勝富士に押し出された豊昇龍は、2敗目を喫した10日目に続いて取材対応しなかった。
突き押しの北勝富士に先手の攻めを許して防戦一方。
押しをこらえようと踏ん張った左足が土俵外まで出て、勝負あった。
取組を見守った浅香山審判長は「北勝富士がよく動いている。気持ちがよく出ていた」と勝者を称えつつ、「豊昇龍は前に攻めているけど、バタバタしている。明日の相撲だ」ときょう13日目の霧島戦へ、切り替えを勧めた。
12日目、大栄翔があっさりと土俵を割ってしまった。
本来なら土俵際で踏ん張って逆襲するのが大栄翔のパターン。
勝ちたい、大関に上がりたい欲が出てきたのか。
体が膠着(こうちゃく)して、ぎこちない動きになった。
残り3日。
13日目からはサバイバル決戦が始まる。
大栄翔はファーストバトルで若元春との対戦が組まれた。
ターゲットは当然、このライバル決戦である。
目の前の玉鷲を一気に押し出して勢いをつけたいと思ったのかもしれない。
気負いが立ち合いの腰高になって踏ん張る力もなくした。
昇進の目安となる3場所33勝の数字はクリアしないが、今年の初場所での10勝。
春場所での優勝決定戦進出と印象度はかなり高いと思っている。
残り2勝に相撲人生をかけろ。
12日目、若元春は結びの一番で霧島に寄り切られた。
まさに負の連鎖である。
大関昇進の目安は「三役で3場所33勝」。
あくまで目安とはいえ、横綱照ノ富士、大関貴景勝と最上位2人がいない場所とあれば、ハードルを下げるわけにはいかない。
若元春は4敗した時点で残りを全勝しても11勝。
直前2場所は計21勝なので、どう頑張っても32勝止まり。
今場所の大関昇進は消滅が確実だ。
12日目、単独トップだった錦木は、新入幕の湘南乃海に屈した。
相手の立ち合いは映像で確認して臨んだが、「大きくて組めなかった」。左四つからやや強引に巻き替えにいったところ、体勢が浮いてしまい、小手投げで転がされた。
2敗に後退し、北勝富士に並ばれたものの、「終わったことは考えてもしょうがない。切り替えて、あした勝てれば大丈夫」と、さっぱりとした表情で語った。
12日目、左腕を痛めて8日目から休場していた朝乃山が土俵に戻り、翔猿との一番を制した。右をねじ込むと、厳しく攻め続け、すくい投げで裏返しに。
5勝目とし、「まだ力が伝わっていないが、最後は気持ちでやった」と振り返った。
東前頭4枚目まで番付を戻した今場所。
まだ痛みはあるというものの、「出るからには勝ち越して来場所につなげたい」。
元大関は先を見据えた。
12日目、前頭四枚目・宇良が土俵を動き回って粘り、最後は前頭二枚目・御嶽海をとったりで下して6勝目を挙げた。
ファンからは「何でそれが残れるんだ」「熱戦だった」と興奮気味のコメントが相次いだほか、際どい勝負を見極めた行司に「ナイス」「よく見てた」と称賛の声も寄せられた。
立ち合い頭を下げて当たった宇良。
前に出る御嶽海に押されるが、回り込んで残すと、土俵際でも驚異的な粘りを見せて体を入れ替えた。
最後は御嶽海の左腕を取った宇良が、力強いとったりを決めて勝ち星を挙げた。
白熱した一番に館内からは大きな拍手が沸き起こった。
宇良は6勝目。
敗れた御嶽海は10敗目を喫した。
激しい取組を受けて、ABEMAで解説を務めた元前頭の大岩戸は「お客さんは大喜びの相撲ですよね」と感嘆。
続けて「宇良はやりにくそうにも見えましたね。読まれていますもんね」と指摘すると、「御嶽海の調子が悪いので足が出ない。それで一呼吸おいて宇良が体勢を立て直したというのがありました」と勝因を分析した。
12日目、西前頭9枚目・北勝富士が2敗を守り、トップの東前頭筆頭・錦木に並んだ。
同じ2敗の関脇・豊昇龍を立ち合いからおっつけ、組ませなかった。
力のこもった押し相撲で回り込もうとする相手を逃さなかった。
そのまま押し出した。「我慢して細かく圧力を与えられた。しぶとく相撲を取れた」と会心の取組を振り返った。
11日目に連勝が7で止まっていた。
それでもプラス思考だった。
12日目、西前頭10枚目の妙義龍が宝富士を下して6勝目を挙げた。
当たって右でいなしてから浅く二本のぞかせて先に攻めて寄り切った。
ともに学生相撲出身で36歳の同学年ベテラン対決。
この日で妙義龍が通算出場1100回、宝富士が通算連続出場1200回と、互いに節目を迎えていた。それを聞くと「取組の前に教えてよ〜さらに気合入ったのに」と笑顔。
学生時代から対戦があり、幕内で27度目となる顔合わせに「それだけずっとやっているんですね」と実感を込めた。
「大学の時からやっていて、幕内で10年以上もやっているって素晴らしいことじゃないですか。引退している人も多い中で、同級生でまだやっているって」。
現役生活15年目、まだまだ元気な36歳は感慨深げだった。
12日目、新入幕の19歳、伯桜鵬は小結阿炎の激しい突きやはたきに耐えると、最後は低い姿勢で押し出し、初の三役力士との対戦で白星を挙げた。
これで9勝目。
ただ立ち合いは3度合わず、取組後に審判部から注意を受け「迷惑をかけてしまった」。
さらに勝った後、左肩の痛みから土俵の上であおむけに倒れ「あの姿は情けない」と反省。
それでも首位と1差で残り3日へ「やるべきことをやっていきたい」と闘志を燃やした。
2023/07/20
11日目、霧島が大栄翔に立ちはだかった。
相手の激しい突き押しをあてがい、ひるまずに前進。
「攻めて先手を取らないといけない」。
はたきで仕留め、5勝目を挙げた。
大関の座をつかみ、今場所は昇進を目指す3関脇の壁になる立場となったが、「自分が勝つことだけ考えてる」と冷静。
体の状態が懸念された中、3連勝と調子を上げてきており、「あと4日。勝っても負けても、次につながる相撲を取りたい」と先を見据えた。
11日目、大関とりの関脇豊昇龍が終盤戦へギアを上げた。
闘志むき出しの相撲で同じモンゴル出身の玉鷲を押し出し、9勝2敗とした。
大関昇進祝いの予定だった真新しい化粧まわしを着けて幕内土俵入りを行い、気持ちを高めた。
昇進目安の三役で3場所33勝には、残り4日間で3勝。同じく大関とりの関脇大栄翔が敗れて3敗に後退し、優勝争いでも1敗の平幕錦木を1差で追う。
気持ちが入っていた。
豊昇龍は鋭い眼光で玉鷲をにらんだ。
玉鷲の強烈な突き押しをしのぎ、右をのぞかせながら攻め返すと、もろ手で力強く押し出した。
「しっかり相手を見ながらいけた。良いと思います」と納得の表情。
前日には琴ノ若に完敗して2敗目を喫したが、「気にしてません」と引きずらなかった。
11日目、大栄翔は新大関・霧島に屈して3敗に後退した。
まさに蛇に睨(にら)まれたカエル。
大栄翔は相手を見ながらの立ち合いが失敗だった。
逆に霧島に低い立ち合いから突っ張られ頭で当たられて後退。
立て直して前に出ようとしたところをはたき込まれた。
本来なら霧島の立ち合いを大栄翔がやらなければならなかった。
11日目、絶対に負けられない戦いで、関脇・若元春が伝家の宝刀を抜いて大関取りに望みをつないだ。
「三役で直近3場所33勝以上」の大関昇進の目安には12勝が必要だが、前日に敗れて3敗となり、後がなかった。
しかも、相手は賜杯争いでトップを並走していた三役経験者の北勝富士。
重圧は計り知れなかったが、頼みの左四つが力を発揮した。
立ち合いではつかまえ損ねて相手の攻勢を受けたが、「焦りはなかった」と粘り腰で左を差してまわしを取る。
こうなれば若元春の相撲。
一度の寄りでは決めきれなかったが、「この番付で簡単に勝てる相手はいない。その中でしっかりと力を出せた」と左四つの形を崩さないまま寄り切った。
11日目、勢いが止まらない。
錦木が、前回までの対戦成績が1勝6敗だった同い年の遠藤に完勝。
優勝争いの単独トップに返り咲いた。
差し手争いから左を差し、相撲巧者に反撃の糸口も与えず一気に寄り切った。
「苦手意識しかなかった。振られて危なかったが、ついていけた。流れは良いと思う」。
幕内では2018年秋場所以来の2桁勝利に表情を緩めた。
11日目での2桁到達は初めて。
優勝への期待も高まっているが、無欲を強調する姿勢に変わりはない。
「そんなに期待されてもねえ」とはぐらかし、声援が増えていると振られても「増えています?今日なんか相手の方が大きかったですから」とかわした。
既に三役以上との対戦を全て終え、今後の対戦相手は白星が伸び悩んでいる前頭の上位か、白星を伸ばしている前頭の中位以下に限られる。
初優勝へ有利な状況にも思えるが、幕内では11勝以上の経験がないこともあり「(次の目標は)11番。ここから4連敗したら普通の勝ちになる」と足元を見据える。
夏場所の8日目から18勝1敗と人が変わったように圧倒的な成績を残すベテランは、無欲を貫き通すことができるか。
8日目から途中休場していた東前頭4枚目の朝乃山が、12日目の20日に再出場する。
7日目の関脇豊昇龍戦で左上腕を負傷し、4日間休んでいたが、状態が改善し、復帰を決めた。
11日目までに4勝4敗3休で、勝ち越しに望みをつないだ。
12日目は西前頭筆頭の翔猿と対戦する。
朝乃山は「左上腕二頭筋部分断裂で4週間の局所安静を要する」と診断されて休場した。
当初は痛みがあり、力が入らないような状態だったという。
一方で、朝乃山は休場してからも連日、白まわしを着用して朝稽古に参加し、積極的に体を動かして状態を維持してきた。
休場から一夜明けた17日も、左腕に負荷をかけるトレーニングを見送りながら、幕下以下の力士を相手に立ち合いを確認するなど、本番を見据えた稽古に励んでいた。
師匠の高砂親方は「けがはそこまで悪くないようだ。本人の出たいという気持ちが大事。出る限りは一番でも多く勝たないといけない」と語った。
11日目、若元春に敗れ、2敗目を喫した北勝富士は「手応えはあったが、引かれてバランスが崩れた。当たってからの流れは良かったが…」と淡々と振り返った。
優勝争いから一歩後退し、12日目は豊昇龍と2敗同士の対戦。
「まずは2桁(勝利)。連敗ぐせがあるので、しっかり切り替えられたらと思う」と昨年秋場所以来の10勝目を見据えた。
11日目、伯桜鵬は支度部屋へ引き揚げてくるとすぐ、憧れの師匠のもとへ向かった。
新入幕の19歳は元大関の高安に全力で立ち向かい、もろ差しになって送り出した。
勝ち越しを報告すると、師匠から「おめでとう」とねぎらわれたという。
遠藤と並び史上最速タイとなる所要3場所で新入幕。
その11日目での勝ち越しも、遠藤と並ぶ史上最速タイ。
「素直にうれしいですけど、まだ残りがあるんで、あしたから頑張ります」。
表情を変えることなく、心の中で喜びをかみしめた。
幕内で楽しみにしていたのが、師匠が現役時代に戦った相手と対戦できることだった。
もちろん高安戦が初めてではなかったが、師匠が23回対戦し金星を1つ配給している相手だった。
場所前に「常々言われているのが、土俵の上では憧れを捨てて勝ちにいくことが大事だということ」と師匠の教えを話していた伯桜鵬は、取組を終えて「師匠と対戦されている方と相撲を取ることは感慨深くて、うれしい気持ちと怖い気持ちもありますが、(これからも)プロの伯桜鵬として戦いきりたい」と決意を新たにした。
2023/07/19
10日目、新大関霧島が幕内宇良を下して4勝目(4敗2休)。
宇良に土俵際まで攻め込まれる場面もあったが、最後は寄り切って勝負を決めた。
4日目からの途中出場後初となる連勝。
取組後は「(宇良は)何かやってくると気を付けて、考えながら取った。落ち着いていけた。これからだと思います。連勝で乗っていける? 自分の中で、そう思ってやっている」とさらなる連勝へ意気込んだ。
10日目、大関昇進を狙う関脇豊昇龍は小結琴ノ若に押し出されて2敗目を喫した。
俵に詰まった豊昇龍が懸命に残す。
琴ノ若に胸元を突かれても、のど輪で押し込まれても、弓なりになりながら右まわしを命綱≠ノ踏ん張った。
最後は力尽きて押し出されたが、勝負がついた後も、その右まわしは離さなかった。
けがにつながる危険があるため褒められたことではないが、叔父の横綱朝青龍を彷彿とさせる勝利への執念だった。
土俵下で取組を見届けた粂川審判長は、大関昇進を懸ける豊昇龍が重圧を感じているかについて「そうは思わない」としたうえで、11日目以降に向けて「切り替えるだろう」と予想する。
10日目、大関取りを狙う関脇・大栄翔が勝ち越しを決めた。
東前頭5枚目・平戸海を突き落とし、トップとは1差の2敗もキープ。
昇進目安とされる「三役で直近3場所33勝」には、あと3勝とした。
執念で8勝目をつかんだ。
大栄翔は平戸海の鋭い立ち合いにやや下がったが、ひるまずに猛然と突いて前進。
逃れる相手に左前みつを許したが、左に回り込んで突き落とした。
10日目、大関取りを狙う関脇・若元春が痛恨の黒星を喫した。
西前頭5枚目・阿武咲に一気に押し出された。
右かち上げ気味に立ったが効果は薄く、相手の出足に屈した。
「ここまで来たら相手が(得意の左差しを)警戒するのは当然。差せないときに落ち着いて対応しないと。だめなところが前面に出た相撲だった」と唇をかんだ。
昇進目安の「三役で直近3場所33勝」到達には今場所12勝が必要だが、既に3敗目。
ノルマに向けては後がない状況となった。
若元春は「まだあと5日あるので、ここまで来たら勝敗を気にせず、思い切って臨むだけ」と必死に前を向いた。
10日目、最後まで圧力をかけた。
琴ノ若は豊昇龍にもろ差しを果たし、巻き替えに乗じて前進。
俵に足を掛けて耐える相手に、「しっかり攻め切ろうと思っていた」。
のど輪で起こし、はず押しで決着。
好調の関脇を2敗に引きずり下ろした。
豊昇龍には1度しか勝ったことがなく、先場所まで10連敗。
それでも気後れせず常に先手を打ち、付け入る隙を与えなかった。
「止まらず動けた。我慢できた」。
過去には土俵際で逆転の投げを食ったこともある相手を、油断することなく攻め切った。
10日目、幕内錦木が幕内明生を寄り倒して9勝目。
幕内北勝富士とともに1敗を守り、優勝争いのトップをキープした。
平幕優勝も現実味を帯びてくる中、錦木は謙虚な姿勢を崩さない。
「9勝まできたら、2桁(10勝)は勝ちたい。(残り)5日間で、どこかで1勝できれば…」と、かなり控えめな目標を掲げた。
11日目(19日)は2敗の幕内遠藤と対戦。
過去1勝6敗で合口が悪いとあって「まだいける? いけないです。明日の相手を見てください。何で当たるんですか。苦手です」と苦笑いを浮かべていた。
10日目、西前頭9枚目の北勝富士が、玉鷲を押し倒して9勝目を挙げた。
2度目の立ち合いからもろ手を出して果敢に前から攻め入ると、バランスを崩した相手が足を滑らせる格好となった。
「気づいたら相手が転がっていた」と無心だった。
4日目から7連勝と好調を維持することには「前に出ている証拠じゃないですか」と手応えを実感した。
関脇の豊昇龍が琴ノ若に敗れたために、1敗は錦木との2人になった。
終盤戦に向けて白熱化する優勝争い。
苦い経験が今度はいきる。
「前に優勝争いをしたときは気負って肩に力が入った」ことを敗因と分析し、周りに惑わされず自分らしい相撲を貫くことを心掛ける。
10日目、日焼けした肌に、玉のような汗が浮かぶ。
今にも波の音が聞こえてきそうなしこ名。湘南乃海には、やっぱり暑い夏が似合う。
立ち合いで大きな体を武将山にぶつけ、長いリーチでつかんだ上手から出し投げ。
反応よく勝負を決めて7勝目。
新入幕での勝ち越しに王手をかけた。
「やることをやるだけです。自分の相撲をしっかり取っていくことが大事かなと思います」。
言葉数は少ないが強い決意がうかがえる。
暑い名古屋も「特に気にしてないというか、ただ淡々と自分のやるべきことをやるだけ」と取組に集中できている。
10日目での勝ち越しに「よかった。早いに越したことはない」とほっとした様子。
立ち合いで圧力をかけ、千代翔馬の引きに乗じて一気に押し出した。
「集中できた」と納得の表情。
先場所は初日から6連敗し、両膝のけがで7日目から休場。
今場所は東前頭16枚目まで番付を落とした。
それでも、「番付ではなく、自分とどう向き合うか。それはしっかりできている」。
八角理事長は「休場明けで立派」と評価した。
10日目、新入幕の伯桜鵬が7勝目を挙げ勝ち越し王手とした。
立ち合いで琴恵光に右から張られたが「速い相撲を取りたかった」とかまわず左差し速攻で一気に勝負を決めた。
前日は大翔鵬に圧力負け。
「負けた相撲は勝った時の倍ぐらい見直す」と研究して修正につなげた。
「幕内は本当に全員がバケモノ」と強さを肌で実感しながらもここまで好成績。
11日目に勝てば、同じ所要3場所で新入幕の遠藤と並ぶ幕内最速勝ち越しとなる。
2023/07/18
9日目、4日目から出場した霧島が3勝目を挙げた。
連敗を止めたとはいえ、明生に押し込まれて一度は土俵に詰まったように本来の動きには遠い。
今後も大関とりに挑む3関脇ら、難敵との対戦が控える。
苦しい土俵が続く新大関は「一日一番という考え。そうすると調子が上がってくる。次につながる相撲を取りたい」と前を見据えた。
9日目、大関昇進を目指す豊昇龍が勝ち越しを決めた。
9日目での勝ち越しは昨年の九州場所に並ぶ自己最速タイ。
土俵際の逆転で平戸海を退ける薄氷の白星にも「しっかり集中していた。動きは悪くなかったので良かったと思う」と表情を変えず、力強く言い切った。
大関昇進と初優勝が懸かる残り6日間に向けても「気にしていない。一日一番の相撲をしっかりやっていくだけ」と言葉に力を込めた。
9日目、大関とりに挑む関脇大栄翔が、勝ち越しに王手をかける7勝目を挙げた。
阿炎を押し出しで下した。
取組後は「(立ち合いは)しっかり、よく見ていこうと思った。よかった」と、冷静に話した。
阿炎には先場所で敗れていたが「同じ相手に連敗しなかったのは、いいと思う」と、うなずいた。
自慢の突き押しは今場所も健在だった。
初日に正代、2日目に御嶽海、3日目には自身よりも48キロも軽い、116キロの小兵翠富士に何もさせず突き出して3連勝を飾った。
4日目に錦木に敗れて初黒星を喫したが、「悪い相撲じゃなかったが、土俵際だけ。(明日以降に向けて)特に変わらない」と淡々とした。
9日目、大関昇進を狙う若元春は業師の宇良を落ち着いた相撲で退けた。
4連勝で勝ち越しにあと1勝としても「この番付ならそれは当たり前のこと」と泰然と話した。
得意の左を差し、振って相手を呼び込んだが、慌てなかった。
右喉輪で起こして土俵際まで追い詰め、右すくい投げで転がした。
「いろいろとやってくる相手。圧力をかけて前に出られた」と手応えを強調。
一層の重圧がのしかかってくるが「自他共に認められる相撲を取れれば、地位に見合った力士になれる」と前だけを見た。
9日目、東前頭筆頭・錦木が勝ち越しを決め、来場所での新三役を決定的にした。
元大関の西前頭2枚目・御嶽海を寄り切った。
新三役なら、史上3位のスロー記録となる初土俵から所要103場所での昇進へ32歳の苦労人は、1敗を守り優勝争いでも堂々トップを並走。
1928年10月場所の横綱・宮城山以来の岩手県出身力士Vへ白星を積み重ねる。
賜杯争いでトップを並走し、八角理事長は「びっくりしたね。2本差されてからの両上手が好調の理由。落ち着きがある」と評価。
新三役どころか28年10月場所の宮城山以来、95年ぶり2人目となる岩手県出身力士Vの期待も高まってきた。
座右の銘は「念ずれば花開く」。
三賞経験もない苦労人は「まずは2ケタ勝利したい」と地道に白星を積み重ねていく。
9日目、ベテランの北勝富士が新進気鋭の王鵬に快勝。
1敗を守り、5場所ぶりの勝ち越しを決めた。
1敗で勝ち越しを決めたのは、初日から9連勝した昨年の秋場所に次ぐ自身2番目の速さ。
「本当にうれしい。こんなに早く勝ち越すことができてビックリしている」と表情を緩めた。
好調の要因について、師匠の八角理事長は「中に入れなくてもしぶとくね。精神的にしぶとくいくように言っている」と説明した。
この日も低い立ち合いから王鵬を起こし、一気に押し出した。
自身は「(好調の要因は)分からない。リフレッシュできているからかな」と言葉を濁すが、実は本心かもしれない。
コロナ禍によるここ数年の行動制限がなくなったことが、プラスになっているからだ。
「今までずっと出られなかった。おいしいご飯を食べて。サウナも大好きだし」。
優勝争いでも豊昇龍、錦木と並んでトップを走る。
横綱、大関の休場などで波乱含みとなった今場所の主役を奪いそうな勢いだ。
9日目、東前頭16枚目・遠藤が2敗を守り、勝ち越しに王手をかけた。
新入幕の同13枚目・豪ノ山との一番は突き押しで攻め、得意の左差し。
最後は押し出した。
「集中して取れた。良かったです」と振り返った。
先場所は両膝を痛めて7日目から途中休場し、1勝も挙げられなかった。
幕内下位まで番付を下げたが、1差でトップを追走している。
連日のように猛暑が続くが、対処法を問われると「食って寝ること」とキッパリ。
「一日一番なので、しっかり集中して気を抜かずに過ごしたいですね」と静かに前を見つめた。
9日目、昭和以降最速タイの所要3場所で新入幕の落合あらため伯桜鵬の連勝が3でストップした。
東前頭14枚目の大翔鵬と対戦。押し出しで敗れ、3敗目を喫した。
「だれが相手でも、いつも勝つために準備している」と常に口にする。
19歳とは思えない姿勢を示してきたが、またも課題を突きつけられた。
先場所から不安を抱える左肩の影響も否めない。
6日目の豪ノ山戦では外した左肩のテーピングを7日目の遠藤戦から復活させていた。
「テーピングはしないといけないんで」と取組後に話した。
本人は否定したが、やはり過去3戦3敗だった豪ノ山戦には特別な思いがあったはず。
3敗目となったが、底知れない素質はここまで十分に示している。
残り6日間、師匠の宮城野親方の新入幕場所と同じ、目標の12勝へラストスパートをかける。
2023/07/17
中日、霧島は連敗。
小柄で動きのいい翠富士との一番は「まわし待った」を挟んだ熱戦に。
頭をつけた相手の右差しを抱えて抵抗したが、下手投げに屈した。
「我慢して取っていかないといけない。相手も同じくきつい」と反省。
八角理事長は「黒星先行で精神的な粘りがない」と指摘し、新大関の奮起を促した。
中日、豊昇龍は静かに目を閉じ、土俵下で出番を待っていた。
一切の雑音をシャットアウトするかのように、自分だけの世界で集中力を高めていく。
隙は見当たらない。
業師でならす宇良の立ち合いを、まずはもろ手で見極める。
「相手をちゃんと見ながらいこうと思っていたんで。いいんじゃないですか。集中してやりました」。
宇良に体勢を立て直す時間を与えない。
頭を押さえつけるようにはたき込んだ。
幕内で過去3度の対戦で2敗していた宇良を難なく下し、大関昇進を目指す場所で8日目を終えて1敗を堅守。
優勝争いでもトップに並ぶ。
8日目、大関とりに挑む関脇大栄翔が、対戦相手の朝乃山の休場により不戦勝で6勝目を挙げた。
直近2場所で22勝を挙げており、大関昇進目安の3場所33勝へ残り7日で5勝とした。
8日目、左を差せば十分。
若元春は琴ノ若の圧力に土俵際まで後退しながらも、もろ差し狙いの相手に左を差し勝つ。
「ちょっと押し込まれたが、何とかねじ込もうと思った」。
同時に右上手も取り、一気に出て勝負をつけた。
得意の左四つには磨きが掛かり、「戦える武器」と言い切る。
有利な形に持ち込むため、「(左を)差すというより、相手に右を差させない」ことを強く意識。
この日も、左腕をくの字に曲げて脇を締め、相手の右をはね返す。
日頃の鍛錬の跡が見えた。
3連勝で昇進の目安とされる「三役で直近3場所合計33勝」まであと6勝とした。
8日目、錦木が勝ち越しに王手をかけた。
幕内で過去3戦全敗だった翔猿との一番。
左から小手に振って体を入れ替えた後、回り込もうとする相手を倒れながら押し出した。
際どい勝負に「負けたと思った」と笑った。
自己最高位の東前頭筆頭で臨む今場所。
給金を直せば、三役の座も見えてくる。
「流れはいい。一発で決めたい」と意気込んだ。
8日目、人気小兵力士・翠富士が結びで新大関・霧島を破った。
まわし待ったもあり、中断含めて約4分40秒の大熱戦を制しての殊勲星に、大関撃破では異例の座布団が舞った。
満員御礼となった会場から祝福を受け、翠富士も「初めての体験だったのでうれしかったです。疲れました」と目を輝かせた。
幕内朝乃山が名古屋場所8日目の16日、「左上腕二頭筋部分断裂で4週間の安静を要する」との診断書を日本相撲協会に提出、休場を届け出た。
7日目に関脇豊昇龍に敗れて4勝3敗。
取組中、相手の投げを残した際に痛めたという。
8日目の対戦相手の大栄翔は不戦勝ちとなる。
師匠の高砂親方は再出場について「本人次第だが、様子を見て」と話した。
8日目、暑さの増す地で、北勝富士が元気に勝ち星を伸ばしている。
この日は持ち前の低い攻めが光る相撲だった。
高安の右かち上げを左の押っ付けではね上げて止めると、相手の突き押しに頭を上げず、懐に飛び込んで押し出した。
額に大粒の汗を浮かべながら「我慢して取れた。途中、ちょっと引いてしまったけど、うまく中に入れた」と納得顔だ。
1敗で豊昇龍、錦木と並ぶが、まだ本人に優勝争いの意識はない。
「必死なんでね。ここから全部負けたら意味がない。とにかく勝ち越したい」。
先場所まで4場所連続負け越し中なだけに、まずは早めにあと1勝をもぎ取りたい。
中日、19歳の伯桜鵬は湘南乃海との新入幕対決を制し、3連勝で6勝目。
左を差されながらも右の出し投げで横を向かせて寄り切った。
しかし「立ち合いが遅れたので、ああいう相撲になった」。
幕下付け出しから昭和以降で最速となる所要3場所での新入幕を果たし、注目を集める成長株は自らに厳しい。
「あと7番、切り替えて頑張ります」と力を込めた。
2023/07/16
早くもカド番危機だ。
7日目、新大関の霧島が幕内御嶽海に一方的に押し出される完敗。
取組後は途中出場してから初めて取材対応せず、沈黙を貫いた。
今場所は「右肋骨骨挫傷」の診断書を提出して初日から休場。
4日目の出場以降は白星と黒星を交互に繰り返し、波に乗ることができていない。
7日目を終えた時点で、2勝3敗2休。
ここから勝ち越すためには、残り8日間で6勝が必要となった。
今回の途中出場にあたり、師匠の陸奥親方は千秋楽までの出場を厳命=B
霧島自身も「もう休めない」と決意を口にしていた。
このまま出続けて、来場所のカド番を回避することができるのか。
新大関が、早くも正念場を迎えている。
7日目、関脇豊昇龍が元大関朝乃山を上手投げで退け、6勝1敗とした。
強烈な上手投げを2度も打たれれば、さしもの大関経験者も宙を舞うほかなくなる。
「集中してやる気持ちだった。できてよかった」と豊昇龍。
取組後、ほおをふくらませて息を吐く表情が、気迫に満ちた。
他の2関脇に一歩先んじる、6勝目を挙げた。
1度目の投げは、左四つから。
「組む意識はなかった」という状態から、一気に持っていった。
朝乃山に耐えられたが、土俵の逆側に引きずり出してもう一度右上手投げ。
今度は、朝乃山をきれいに投げ切った。
7日目、大関昇進を目指す関脇大栄翔は宇良を押し倒して2敗を守った。
回り込んで逃げる相手を冷静に追いかけて突きを繰り出し、「しっかり見て攻めることができた」と納得の表情。
今場所は4日目と6日目に敗れたが、連敗はせず、「しっかり切り替えられている」と手応えを実感。
5勝目を挙げ、昇進目安の直近3場所合計33勝までは残り8日であと6勝とした。
7日目、三役で2場所連続2桁勝利をあげて初の大関とりに挑む関脇若元春が5勝目を挙げた。
過去1勝3敗の小結阿炎に、はたき込みで勝利した。
前日6日目は明生に快勝したが「圧力をかけたからこそだが、あそこで引きにいくのは。成績も大事だが、関脇として内容も大事。その点、今日はあまりよくなかったかな」と表情を緩めなかった。
場所前から、注目を集める大関とりへの意欲は示さなかった。
それ以上に「番付を1つ上げるより、自分の実力を上げたい」と話していた。
7日目、琴ノ若が錦木を得意の右四つから寄り切り、全勝を消滅させると共に、5勝目を挙げた。
「相手どうこうじゃなく、自分の相撲が取れたのが良かった。一番いい選択肢で一番いい相撲が取れた」。
錦木とは場所前、出稽古で肌を合わせた間柄。当時の記憶をたどりながら、迷いなくぶつかれた立ち合いに手応えを示した。
5日目から3連勝。
「猛牛」が愛称だった元横綱・琴桜の孫が勢いに乗ってきた。
7日目、錦木は小結琴ノ若に屈して土がついた。
もろ差し狙いできた相手の圧力をまともに受け、なすすべなく土俵を割った。
「予想していた形。完敗」とさばさばと振り返った。
出場した三役以上を総なめとはならず、5月の夏場所からの連勝も14でストップ。
「次は連敗記録をつくったらどうしよう」と笑いつつ、「まだ1敗。勝ち越したい」と気持ちを切り替えた。
元大関で東前頭4枚目の朝乃山が名古屋場所8日目の16日、休場した。
7日目の関脇豊昇龍戦で敗れた際、左腕を気にするしぐさを見せていた。
7日目まで4勝3敗だった。
8日目の対戦相手、関脇大栄翔は不戦勝。
7日目、幕内最年長38歳の玉鷲が若々しい相撲で21歳の北青鵬を圧倒した。
204センチの相手をのど輪攻めから休まず、最後は「抱えて走っていった」と寄り切った。
「今日はもやもやはない。気持ちいいね」と心地よく流れた汗をぬぐった。
北青鵬とは初顔合わせだった。
その長身は仕切りの際に驚かされた。
「顔を上げたら(頭の)てっぺんが見えない。あれっ!? と思って、それで待ったした」。
仕切り直した立ち合いでは、そんな心の動揺をかけらも見せない。
さすがはベテランの相撲だった。
1敗で優勝争いのトップに並んだ。
優勝2回の実績を持つが「ないよ。名古屋は絶対にない」と笑い、「明日からも先のことは考えず、楽しくやります」と締めた。
7日目、右足で俵を踏んだまま剣翔をはたき込んだ。
軍配を確認できなかった北勝富士は「負けたと思いました」とあきらめかけた。
勝ったと知って「運がよかった」と表現したが、この日が31歳の誕生日。
「誕生日だから勝てたのかもしれないですね」と笑みを浮かべた。
部屋には地元・所沢の後援会からケーキが届いた。
ほかに「たくさんの方からお祝いのメッセージやプレゼントをいただきました」となれば、発奮するしかない。
これで1敗を守りトップに並んだ。
「夏男なんで」という北勝富士は名古屋に強い。
入門してから負け越したのは1場所だけ。
7日目、有望株の伯桜鵬は遠藤に快勝し、連勝で5勝目を挙げた。
自身にとっては、初土俵から同じ所要3場所で新入幕を果たした先輩。
「よかった」と納得の表情を浮かべた。
遠藤には、小学6年生の頃に巡業で胸を出してもらったことがある。
「まさかこういう日が来るとは。感謝の思いがあったので、すごくうれしい」と感慨深げだった。
2023/07/15
最後まで務めを果たせるか。
6日目、新大関の霧島が元大関の幕内正代を下して2勝目(2敗2休)。
立ち合いから突き放して攻め込むと、最後は突き落として正代を土俵に転がした。
取組後は「真っすぐ当たることを意識した。自分の相撲をとることしか考えていなかった」と振り返った。
審判部副部長の浅香山親方は「相撲を見ているぶんには(ケガの)影響はないかなと思うけど、こればかりは本人にしか分からない。大変だと思うが、気持ちを引き締めてしっかり相撲をとってもらいたい」と一人大関の奮闘を願ったが…。
果たして、どうなるか。
6日目、豊昇龍は過去の対戦で3勝5敗と苦手の翠富士を退け1敗を守った。
相手に中に入り込まれたが、両腕で抱え込みながら足をかけて倒した。
取組後は「集中してやりました。(外掛けは)体の動きでそうなっただけ。いいんじゃないですか」と淡々。
3関脇の中では唯一トップと1差につけているが「星は気にしていない。一日一番集中してやりたいです」といつも通りのフレーズで締めた。
6日目、三役で2場所連続2桁勝利をあげて初の大関とりに挑む関脇若元春が4勝目を挙げた。
西前頭3枚目の明生と対戦。
はたき込んで勝利した。
2敗を守った白星だが、表情は緩まない。
「圧力をかけたからこそだが、あそこで引きにいくのは。成績も大事だが、関脇として内容も大事。その点、今日はあまりよくなかったかな」と反省を忘れない。
6日目、筋肉のよろいで固めた180キロで、錦木が圧力をかけた。
阿炎がたまらず引く。
その瞬間を待ってましたとばかりに攻め切った。
これで先場所からの連勝を「14」に伸ばす初日から6連勝。
豪ノ山、高安と全勝力士が敗れたため、自身初の単独トップに躍り出た。
「困りますね。どんどんプレッシャーがかかってきますから」と言いながらも、「まだ勝ち越してもない。9日ありますから」と笑い飛ばす。
ちょっとしたことで相撲が変わってくるから面白い。
「チャーンスって思って出るのは出るんですけど、頭下げすぎるとか、そういうのはしないようにしてる」。
この日も阿炎にはたかれて手をついたが、しっかりと勝負を決めた後だった。
6日目、元大関で東前頭4枚目の朝乃山が連敗を免れ、4勝目をマークした。
西同6枚目・王鵬との一番は、鋭い踏み込みで前進。
相手の突っ張りをはねのけつつ、引いてきたところに乗じて右をのぞかせ、左上手もつかんで寄り切った。
「王鵬関が(場所前に)出稽古に来て下さったので、その日に何十番も肌を合わせた感覚が少し残っていた感じでした」と振り返った。
宇良が身長204センチの北青鵬との熱戦を制して館内を沸かせた。
肩越しに右上手を取った相手に振られながらも片足でこらえ、土俵際では体をのけぞらせて粘る。
左を深く差した状態から体をうまく入れ替え、最後は背後からまわしをつかんで土俵下へ落とした。
身長差は約30センチ。
「疲れました」と一息ついた。
2020年に引退した長身の兄弟子、希善龍に稽古で何度も投げられた経験が生きたという。
「その時のことを思い出しながらやっていた」と笑みがこぼれた。
6日目、幕内最年長38歳の玉鷲が、平戸海を寄り切って1敗を守った。
好成績だが、支度部屋で記者に囲まれた顔は浮かない。
本来の押し相撲がとれていないのが原因。
「気づいたら差してる。しかも自分から。星を伸ばして本音はうれしいけど、もやもやするね」。
押し相撲のプライドがある。
「今場所だけならいいよ。でも、まだ先があるんだから」。
ただ勝つだけで浮かれない。
ベテラン力士は誇りを示した。
6日目、幕内・遠藤が十両・水戸龍を下して5勝目を挙げた。
立ち合いすぐに左前ミツを引くと、一度は切られたが突き放してから左を深く差してもろ差しに。
水戸龍の右小手投げに合わせてタイミング良く鮮やかな左切り返しを決めた。
ともに日大相撲部で主将を務めた経験のある元アマチュア横綱。
4学年違いのため稽古場で相撲を取ったことはなく、水戸龍にとっては憧れの先輩との初対戦だった。
「うまかった。仕切りの所作から落ち着いていて冷静さが凄い。上体が低くて落ちそうに見えるけどはたいてみたら全然落ちそうになかった」。
心技体充実の先輩の凄さを体感、そして感心していた。
伯桜鵬は場所前から豪ノ山を意識していた。
これまで一度も勝ったことがなく、先場所の十両優勝決定戦を含めると3連敗中。
番付発表の会見では「本当に悔しい。悔しいけど、自分が弱いだけなので」と語っていたほどである。
同じ新入幕同士、初めての幕内での対戦。
もう負けられないという気迫がみなぎっていた。
この日は徹底的に低く攻めた。
相手が我慢しきれず一度、二度と引いてきたのは狙い通り。
しっかり付いて行き、最後は冷静にはたき込んで勝負を決めた。
「素直にうれしい。チャレンジャーの気持ちで行った」。
語る声は小さかったが、充実感はにじんだ。
2023/07/14
5日目、大関とりに挑む豊昇龍が、阿炎に勝利し4勝目を挙げた。
直近の春場所と夏場所で計21勝を挙げた豊昇龍は初日に翔猿、2日目に正代を下して2連勝と幸先よいスタートを切った。
横綱照ノ富士を破って勢いに乗る錦木に前日の3日目に敗れて初黒星を喫しても、「終わったことなんで気にしないです」と前を向いた。
負けん気の強い男が燃えないはずがない。
連敗を避けたいところで4日目の御嶽海を寄せ付けずに星を伸ばし、「しっかり集中してやりました」と淡々と振り返った。
重圧の中、連敗しなかったことが何よりの収穫だろう。
会心の一番を見せた大栄翔が大関昇進が懸かる場所の序盤戦を4勝1敗で乗り切った。
明生が狙った左差しをおっつけで封じ、持ち前の力強い突っ張りを見舞って一気に追い込む。
4日目は腰の重い錦木に対し、土俵際の詰めが甘くなって屈しただけに「きょうは真っすぐ攻めよう」。
明生を正面に置きながら足を運び、最後は腰も下ろす盤石の取り口を披露した。
優勝経験者。
波に乗れば、止められない強さを発揮する一方で、突き押し相撲の力士に多いとされる連敗癖は課題と言える。
4日目に敗れた後は部屋の宿舎に戻る車の中で映像を数度、見返したという。
「落ち込むような相撲じゃない」と精神面を立て直し、冷静に反省点を探して、好内容の白星につなげてみせた。
八角理事長は「落ち着いていた。上出来じゃないか」と評価。
大栄翔自身も「しっかり切り替えてできている。気持ち的にも成長している」。
中盤戦へ向け、自信にあふれる言葉が続いた。
5日目、大関昇進が懸かる若元春は痛い2敗目を喫した。
「関脇としてまだまだ。星の数も、相撲内容的にもまだまだ足りていない」と顔をしかめた。
突き、押しが空回りし、錦木に左前まわしを与えての寄りに完敗。
「一つうまくいかないと簡単に負けてしまう番付。もう少し考えて取らないと」と自らを戒めた。
昇進の目安とされる直近3場所合計33勝には12勝が必要。
八角理事長は「連勝していると気にしないが、負けるとプレッシャーがかかる。これからだ」と奮起を促した。
5日目、東前頭筆頭の錦木が、初日から5連勝と快進撃を見せている。
大関昇進がかかる関脇の若元春を寄り切り、先場所から続く連勝を13に伸ばした。
「主役候補」に何もさせなかった。
錦木は鋭い踏み込みで左前まわしを引き、右おっつけで一気に前進。
棒立ちの若元春を力強く寄り切った。
「珍しく出足が良かった。今場所一番」と自画自賛。
先場所8日目の若元春戦から13連勝とし「元春で始まり、元春で終わるのかと思ったら終わらなかった」と豪快に笑い飛ばした。
自己最高位の東前頭筆頭で臨む今場所も、快進撃が続く。
初日は新大関霧島の休場による不戦勝、2日目には横綱照ノ富士を撃破で4年ぶりの金星を獲得した。
3日目は豊昇龍、4日目は大栄翔、5日目には若元春と大関とりの3関脇を破り、「こんなに勝っていいのかなと思う。自分でもびっくり」。
一躍、名古屋場所の台風の目となった。
5日目、東前頭4枚目の朝乃山は東前頭6枚目の北青鵬に寄り切られ、2敗目を喫した。
優勝争いを期待される今場所の序盤戦で、痛い二つ目の黒星。
先場所敗れた身長2メートルを超す巨漢に雪辱を果たせず、「相手が大きいのでしんどい。悔しさはいろいろある」と唇をかんだ。
朝乃山は、得意の右四つでがっぷりの体勢となったが、相手の右下手投げで土俵際に追いやられた。
懸命にこらえたものの、両まわしを許しての寄りに土俵を割った。
「見ながら当たってしまった。もっと思い切っていけば良かった」と反省しきりだった。
5日目、西前頭4枚目の宇良が3連勝で白星を先行させた。
中学1年のころ、同じ大阪府寝屋川市出身で小学1年だった豪ノ山と稽古をしたことがある。
6学年下の後輩が同じ幕内力士となり「感慨深い。思い出はいっぱいある」と笑顔を見せた。
6月下旬の新入幕会見で「(宇良と)戦えたらうれしい。楽しみ」と話していたことを聞くと、「頑張るだけ。豪ノ山の期待に応えられるか心配だけど」と笑わせた。
5日目、現役最長身2メートル4の北青鵬が2場所連続で朝乃山を破った。
先場所は立ち合い変化で上手を求めたが、今回は正面から相手得意の右四つがっぷりに組み合って堂々の寄り切り。
完勝に「今朝、師匠(元横綱・白鵬の宮城野親方)に“真っ向勝負しろ”と言われた。良い相撲を見せられたかな」と充実感をにじませた。
自己最高位の東前頭6枚目で白星先行。
「まわしを取れば通用している」と元大関相手でも自信たっぷりだった。
5日目、元大関の幕内高安が幕内平戸海をはたき込んで無傷の5連勝。
取組後は「組み止めるのが万全ですけど、相手を押し込むことができた。(体の反応は)少しずつ上がってきている」と手応えを口にした。
昨年の名古屋場所はコロナに感染した影響で全休を余儀なくされた。
2年ぶりとなる出場に「久々の名古屋場所で応援してもらいえるのは励みになる。つまらない相撲だけは取りたくない」と気合を入れて臨んでいる。
5日目、新入幕で東前頭13枚目の豪ノ山が無傷の5連勝。
思い切りのいい突き押しで琴恵光に組ませず、相手がバランスを崩したところをはたき込んだ。
「自分の相撲を取れているのが良いところだと思う。組んだら絶対に勝てないと思っているので、そこは徹底している」。
6日目は注目の伯桜鵬との新入幕対決。
2差をつけているが「負けないように、しっかり気合を入れていければ」と謙虚な姿勢を崩さなかった。
5日目、昭和以降最速タイの所要3場所で新入幕の落合あらため伯桜鵬が2敗目を喫した。
竜電と対戦して寄り切りで敗れた。
新入幕場所で師匠の宮城野親方が敢闘賞を受賞した星数と同じ12勝を目標に掲げ、初日に碧山、2日目に輝と2連勝と幸先よくスタートを切った。
3日目に36歳ベテランの宝富士に敗れて幕内初黒星に、「(感じたのは)相手のうまさ、自分の弱さです」とレベルの高さを痛感。
ただ、ここで崩れないのが、「令和の怪物」。
気持ちを切り替えた4日目に武将山を寄り切り、「少し危なかったけど連敗しなかったのはよかった」と振り返った。
2023/07/13
途中出場の霧島が新大関初勝利を挙げた。
小結・琴ノ若を送り出し、昇進を機に霧馬山から改名後の初白星ともなった。
昭和以降で初日から休場した新大関の途中出場は初めてだったが、快勝で看板力士の意地を示した。
大関取りを狙う3関脇は明暗。豊昇龍と若元春は連敗を免れたが、大栄翔は初黒星を喫した。
三役以上の勝ちっぱなしが消え、全勝は錦木、高安、新入幕の豪ノ山の3人。
照ノ富士の休場で横綱が不在となり、大関以上の出場は霧島だけとなった。
手負いとは思えない堂々たる内容で、霧島が新大関としての1勝目を手にした。
4日目、大栄翔が錦木との全勝対決に敗れ、初黒星を喫した。
鋭い立ち合いから得意の突き押しで先手を取ったが、右喉輪の腕が伸びたところを手繰られて前にバッタリ。
「悪い相撲じゃなかったけど、土俵際をもっと丁寧にいかないと。弱い部分が出た」と悔やんだ。
大関獲りに挑む大事な序盤で平幕相手に痛い1敗。
それでも「明日から切り替えて自分の相撲を」と淡々と前を向いた。
大関昇進を目指す若元春は連敗を免れた。
小柄で動きのいい翠富士を得意の左四つには組み止められなかったものの、「自信がない」という突き押しで圧力をかけ、タイミング良くはたいた。「切り替えは毎日できている」と振り返った。
大栄翔が敗れ、土つかずは平幕の3人。
5日目には、その平幕の中の1人、錦木と当たるが、「余計なことは考えずに集中できている。思い切っていくだけ」と静かに闘志を燃やした。
4日目、錦木が、大関を目指す大栄翔との全勝対決を制した。
土俵際で逆転の引っかけ。
初日から4連勝は、幕内では昨年の名古屋場所以来で4度目だ。
無類の酒好きで、「(一杯)引っかけましたね」と振られると、「自分は引っかけるだけじゃなくて、たくさん飲むから」とニヤリ。
同じ岩手県出身で、米大リーグでも投打の二刀流で活躍する大谷翔平(エンゼルス)に話が飛ぶと「あんだけ投げられて、あんだけ打てるってどういうこと」と感心した後、「自分もあんだけ飲んで、あんだけ相撲を取れたら」と笑った。
朝乃山は阿武咲に対して得意の右を差したが、巻き替えを許して一気に後退。
土俵際のすくい投げで逆転し、辛うじて白星を手にした。
「雑だった。左上手を取れたので、そこで寄り返すのがベストだった」と苦し紛れの投げを反省した。
幕内上位に戻ってきて3連勝。
まずまずの滑り出しにも、元大関は「この相撲じゃ、なかなか通用しない」。
三役以上とはまだ対戦していないこともあってか、表情は厳しかった。
4日目、元大関の高安が4連勝とした。
隆の勝との頭をつけた押し合いからタイミングよくはたき込み。
ただ攻め手を欠いた内容に「うまく回り込めたが、組ませてもらえなかった。相手が引いてしまう相撲を取らないと」と不満そうだった。
馬力で一気に前へ出る相撲は減ったが、勝ちにつなげるところは33歳のベテランの経験値か。
6月に結婚披露宴を開き、発奮材料もある。
トップに立つ状況を「気持ちは前向きになる。精神的には良いのではないか」と受け止めた。
4日目、幕内最年長の38歳、西前頭7枚目の玉鷲が、節目の「鉄人記録」を白星で飾った。
この日で幕内連続出場が886回となり青ノ里、金城を抜いて歴代単独9位に浮上した。
1位は高見山の1231回で現役1位は西前頭15枚目・宝富士の934回。
記念日は押し相撲の玉鷲にとって“珍手”の寄り切りで錦富士を下し、3勝目(1敗)をあげた。
幕内連続出場の記録に「そんなのあるんですか? 知らなかった」と報道陣に逆質問。
記録について「今は感じることないけど、辞めてから感じると思う。記録とか、そのために相撲とってないから」とクールに反応しつつ、「でも勝ってよかったね」と笑顔を見せた。
4日目、西前頭8枚目・錦富士は、西前頭7枚目・玉鷲に寄り切りで敗れ、4日目にして土がついた。
先手を取りながらも惜敗し、「悪くはなかったと思いますが、勝負所で前に出るのを怖がってしまった」と反省した。
先場所中には右足じん帯を損傷。
今場所前は十分な調整ができていない中、右足首をテーピングなどで固めて強行出場に踏み切った。
取組後の支度部屋では、すぐに氷袋をあててアイシング。
ここまでは3勝1敗と白星を先行させており、「その日できることをやれている」と振り返った。
この日(4日目)から兄弟子で横綱・照ノ富士が休場となった。
兄弟子思いで、今月22日には27歳の誕生日を迎える錦富士は「昨日の相撲(照ノ富士が2敗目を喫した翔猿戦)を見て悔しくなったというのはある。
『横綱の分まで』というほど自分に余裕はないですけど、日々勉強させてもらったことをいかして、勝ち星を挙げられたらなと思います」と力を込めた。
4日目、新入幕の東前頭13枚目・豪ノ山が、勢い止まらず初日からの連勝を4に伸ばした。
32歳のベテラン、竜電と対戦。変わらず思い切りのいい立ち合いから、一気に攻め込んで突き出した。
「自分の相撲をとることだけ。しっかり集中できている」と手ごたえを隠さない。
師匠の元大関豪栄道の武隈親方からも「しっかり自分の相撲をとれ」とだけ言われている。
十両優勝した先場所からの流れも失わず、「(幕内は)雰囲気も違うが、自分の間で集中できている」と話した。
2023/07/12
照ノ富士が名古屋場所4日目の12日から休場することになった。
この日、日本相撲協会に休場を届け出た。
照ノ富士の休場は2場所ぶり17度目で、新横綱となった2021年秋場所後では6度目。
照ノ富士は名古屋場所2日目に幕内・錦木、3日目に幕内・翔猿に破れ、2日続けて金星を配給していた。
3日目の取組後には花道奥の通路で付け人の肩を借りて歩くなど古傷の膝を気にする場面も見られた。
また今月1日には弟弟子の幕内・翠富士との稽古で力なく土俵を割り、その後はわずか1番で稽古を切り上げていた。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)は持病のぎっくり腰だと説明していた。
4日目、けがのため初日から休場していた新大関の霧島が出場し、小結 琴ノ若と対戦します。
霧島は今月8日、右の背中付近に動けないほどの痛みを訴え、右ろっ骨の骨挫傷と診断されて初日から休場し、新大関では昭和以降で初めて初日に不戦敗となりました。
しかし、けがの状態がよくなっているなどとして、12日、4日目から出場することを決め小結 琴ノ若と対戦することになりました。
過去の対戦成績は霧島が5勝2敗と勝ち越しています。
ともに四つ相撲を得意としていて、霧島としては30キロ余り重い相手に対して前まわしを取って頭をつけるなど距離を取って攻められるかどうかがポイントになります。
一方の琴ノ若は立ち合いから密着し、体格の違いを生かして圧力をかける形に持ち込めればチャンスが生まれます。
3日目、大関とりに挑む豊昇龍が、初黒星を喫した。
2日目に横綱照ノ富士を破って勢いに乗る錦木にはたき込みで敗れた。
日頃からサポートを惜しまない「yes!高須クリニック」から5本の懸賞を掛けられたが、期待に応えられなかった。
今場所3日目にして初黒星。
「立ち合いは悪くなかったけど、流れがダメだった」と反省しつつ、「終わったことなんで気にしないです」と前を向く。
大関とりに挑む場所は始まったばかり。
昇進目安の「三役3場所33勝」へ白星を積み重ねていきたい。
3日目、大関昇進が懸かる3関脇のうち、大栄翔だけが3連勝。
立ち合いから休まずに前へ出て翠富士を突き出し「何でもする、うるさい相手。しっかり見て、自分の力を伝えられるようにと思った」とうなずいた。
相撲巧者の翔猿や腰の重い剣翔ら、さまざまなタイプがそろう同じ部屋の力士との稽古も連勝を後押ししているようだ。
重圧に負けず、順調な滑りだし。
「気持ちに余裕が見える。さらに自分の相撲を取れるように」と足元を見つめた。
3日目、三役で2場所連続2桁勝利をあげて初の大関とりに挑む関脇若元春が、1敗目を喫した。
大関経験者の正代と対戦し、押し出しで敗れた。
昨年初場所で新入幕を果たしてから今場所が幕内10場所目。
安定感が際立つ。
負け越したのは同名古屋場所の1度だけ。
弟の若隆景を追いかけながら、いつの間にか「大関候補」の立場は逆転した。
場所前、大関とりには「(意識は)まったくですね。何年か前まで幕下をうろうろしていた。今の関脇にいることが夢のよう。上の地位を意識することはないし、意識しないという意識を変えないようにしている」と話していた。
“無意識”だけに3日目という早々の黒星も気にはならない。
切り替えて1番1番に臨む。
3日目、錦木は連日の「主役候補」食いで勢いが止まらない。
大関昇進を狙う関脇豊昇龍を絶妙なタイミングではたき込み。
前日の金星に続き、先場所8日目から続く連勝を11に伸ばした。
「流れはいいですね。(11連勝は)気にせずやります。まだ始まったばかり。どこがいいとか言えない」とベテランらしい落ち着き。
この日に4本増の懸賞金に「イエスですね」と喜んだ。
翔猿が照ノ富士から2個目の金星獲得。
「がむしゃらにいった。止まったら、終わりだったので」。
荒い息のまま、支度部屋で振り返った。
連敗スタートを反省し、「どんどん出よう」と強気な姿勢を保つ。
横綱の攻めを何度もしのぎ、反撃につなげた。
前回の金星は、コロナ下で自粛ムードが強かった昨年の秋場所。
頭上を舞った座布団に「今まで見たかった光景。気持ち良かった」と感慨もひとしおだった。
3日目、東前頭5枚目の平戸海を寄り切り、2勝目を手にした。
快勝で白星を先行させ、「4日目以降もこういう相撲でいきたい」と表情は明るかった。
朝乃山は鋭い踏み込みから右をのぞかせ、じりじりと前に出て左上手を引く。
土俵際で逆転の突き落としを狙う平戸海を落ち着いて退け「無理に出ていったら突き落とされる。じっくり寄り切れた」と手応えをにじませた。
3日目、25歳の豪ノ山が3人の新入幕でただ一人、連勝を3に伸ばした。
40キロ以上も重い大翔鵬を威力十分の突き、押しで圧倒し「落ち着いて取れた。足も体もよく動いて、前に出られた」と自画自賛の内容だった。
先場所は14勝1敗で十両優勝のホープ。
出稽古に励んだ場所前は朝乃山らと番数を重ね、持ち味の押し相撲に磨きをかけた。
「まだまだ先は長い。15日間、しっかり集中して相撲を取っていきたい」と気合十分。
勢いはどこまで続くか。
2023/07/11
2日目の取組が行われ、2場所連続優勝を狙う横綱・照ノ富士が2日にして土がついた。
2場所連続優勝を狙う照ノ富士は平幕・錦木にすくい投げで敗れ、初黒星。
2日にして土がつき“一人横綱”としての貫禄を見せることが出来なかった。
2日目、初日から休場した新大関・霧島は10日、稽古せず治療に専念した。
ケガの状態について、師匠の陸奥親方は「一昨日より昨日、昨日より今日の方が良くなっている。治りが早いですからね」と説明。
少しずつ快方に向かっており、途中出場の可能性については「明日(11日)ぐらいにまわしを締められれば」と話した。
逆に「様子を見てダメなら…」と全休の可能性も示唆。
11日の朝稽古で判断する予定だ。
2日目、大関とりの関脇豊昇龍が、会心の相撲で2連勝を飾った。
大関経験者の正代に鋭い出足から間髪入れずに攻め立て、攻め入る隙を与えず力強く寄り切った。
文句なしの快勝だった。
豊昇龍が正代を強烈なのど輪で起こし、左に逃れて立て直そうとする相手を構わずに追いかけた。
右まわしをつかむと、そのまま一気に土俵外へ持っていった。
初日の翔猿戦では際どい判定にSNS上では物議を醸したが、今回は盤石の寄り切りで完勝。
2連勝について「しっかり集中できている」と手応えを実感した。
2日目、大関獲りに挑む関脇・大栄翔が御嶽海を下して2連勝とした。
鋭い立ち合いから腕の回転よく突っ張り、右喉輪もよく伸びて電車道の突き出し。
完璧な内容に「しっかり当たれて手を伸ばして攻めれた。今日もよかった」と納得の表情で振り返った。
初日の正代戦に続き、2日連続で元大関を圧倒。
大活躍を予感させる上々の滑り出しに「そう考えてやっていきたい」と気を引き締めた。
2日目、若元春は翔猿に張られて右差しを許したが、おっつけながらふりほどいて得意の左四つ。
右上手も取って寄り切った。
若元春の下半身は土俵に張り付いていた。
翔猿が懐に入ろうとした時、体を丸めてバリアを作るようにしてはじいた。
たまらず引いたところを前に出て左を差して左四つ。
ワンテンポ遅らせて引き付けると翔猿の体が浮いた。
2日目、東前頭筆頭・錦木が4年半ぶりの金星を挙げ、波乱の土俵を演出した。
一人横綱の照ノ富士をすくい投げで撃破。
幕内では過去3戦全敗だった難敵から初白星をもぎ取り、連勝スタートを切った。
金星は2019年初場所の鶴竜戦以来、2個目。関取になるまで約10年を要した苦労人が、悲願の新三役昇進に向け白星を積み重ねていく。
「もろ差しじゃないと寄れない。負けてもいいから、ねじ込もうと思った」と誇らしげに汗を拭った。
朝乃山は連敗しなかった。
初顔合わせの宇良との一番。
右を差して寄り、土俵際まで追い込んだところ、抵抗する相手を上手投げで仕留めた。
「自分の相撲を取ることだけを考えていた」。
集中できていたようだ。
黒星発進となった中、「悔しいが、切り替えていこうと思った」と引きずらなかった。
東前頭4枚目まで番付を戻した元大関は「ここから連勝していきたい」と意気込んだ。
2日目、昭和以降最速タイの所要3場所で新入幕の伯桜鵬が、連勝発進を決めた。
十両・輝との立ち合いは頭で当たって右前ミツを取り、勢いを止めた。
「突っ張りが強い相手なので落ち着いていこうと。よかったと思う」。
最後は巧みに出し投げで崩すと一気に寄り切った。
前日に手にした初懸賞は「師匠(宮城野親方、元横綱・白鵬)とお世話になっている家族に贈りました」と明かし、「喜んでいただけてよかった」と感謝。
師匠からは「毎日勝ったら1本ずつくれよ。15個並ぶから」と、冗談交じりにハッパをかけられたといい、「頑張ります」と活躍を誓った。
2023/07/10
横綱・照ノ富士が、2場所連続9度目の優勝へ向け好発進した。
難敵の小結・阿炎を危なげなく押し出し。
霧島と貴景勝の休場で、いきなり大関不在となった土俵を一人横綱がしっかりと締めた。
「いい相撲だと思う。落ち着いて圧力をかけようと思い、その通りできた」と、うなずいた。
動きも良く、両膝などの状態も心配なさそうな様子だ。
「始まったばかりだし、これからが大事」と引き締めていた。
大関とりに挑む豊昇龍は翔猿を押し倒した。
もつれる中で先に手をついたように見える場面もあったが、軍配通りに勝利を手にした。
冷静な表情を浮かべつつ、偽らざる本音がもれた。
「何より勝ってよかった」。
大関とりへの大事な初日。
ヒヤリとしながら、豊昇龍が3関脇白星そろい踏みの最後を締めた。
戻った支度部屋でどっかりと腰を下ろし、安どの色をにじませた。
勝負の場所で、締め込みを新調した。
色は深い青。
「すごくお世話になっている方が作ってくれたので、本場所でも使おうと。自分は青い色が好き。気に入ってます」と明かした。
まわしがなじむのにかかる時間も、「自分は硬い方がいい。意外と動きやすかった」とプラス材料。
そんな“新兵器”が勝ち運も連れてきた。
元大関を圧倒した。
関脇大栄翔は低い立ち合いから両手で当たり、休まず前に出た。
組もうとする正代に反撃の糸口を与えることなく押し出し、「立ち合いから最後まで攻められた。慌てることもなかった」と満足げだ。
程よい緊張を感じながら、満員の会場から送られる声援や拍手を味わう心のゆとりもあった。
「いい緊張感がある。いつも以上に声援をもらっているので、そういう期待に応えられるようにしたい」。
前夜も普段通りに眠れたというだけに、表情も豊か。
大関が懸かる場所に気負いなく臨むことができている。
関脇若元春は立ち合いで踏み込むと同時に左を差した。
右は上手。
こうなれば負けないという万全の型だ。
体を密着させて大関経験者の御嶽海を寄り倒し。
大関とりに挑む3関脇の先陣を切って白星を挙げたが、本人は大関昇進を意識していない。
「大関ってあまり考えてないっすね。関脇という番付も過分だと思うので。関脇という番付をまっとうできること、しっかり自分の相撲を取りきることを意識して」
考え方はずっと変わらないが、集中力は変わってきた。
好きなことに対する集中力は幼少期から飛び抜けていた。
夏場所の12勝で東前頭4枚目まで番付を戻した朝乃山が明生に逆転負けで黒星発進。
土俵際まで2度攻め込みながら上体だけの寄りになり、逆に浴びせ倒された。
「攻め急がず自分の型をつくって攻めたかった。精神面の弱さでしょうか」と反省。
三段目で復帰して1年、今場所は幕内後半戦で上位陣と総当たりとなる。
「お客さんが多いし取りがいがあります」と負けを引きずる様子はなかった。
昭和以降最速タイの初土俵から所要3場所で新入幕を果たした西前頭17枚目の落合改め伯桜鵬が白星スタートを飾った。
三役経験者の東同17枚目・碧山に寄り切りで快勝した。
同じく初土俵から所要3場所で昭和以降最速新入幕だった遠藤は、2013年秋場所の初日が黒星だったため、伯桜鵬の勝利は“最速幕内星”の快挙に。
満員御礼の会場から大拍手を浴び、19歳は「素直にうれしいです」と初々しかった。
2023/07/09
新大関・霧島がけがのため、名古屋場所初日の9日から休場することになりました。
新大関が初日に不戦敗となるのは昭和以降では初めてです。
今場所に新大関として臨む霧島は8日、名古屋市内の病院で診察を受けた結果、右ろっ骨の骨挫傷で、およそ3週間の安静と加療を要する見込みと診断されました。
そして9日、日本相撲協会に届け出て、名古屋場所初日の9日から休場することになりました。
霧島の休場は3年前の秋場所以来、4回目です。
9日、対戦する予定だった錦木は不戦勝となります。
新大関が初日に不戦敗となるのは昭和以降では初めてです。
また、新大関の初日からの休場は平成12年夏場所の武双山以来となります。
今場所は大関・貴景勝も休場していて今場所は初日から大関が不在となりました。
2023/07/09
新大関霧島は稽古を2日連続で休んだ。
稽古熱心な力士だけに珍しいことだが、疲労蓄積による休養とみられる。
4日の出稽古で右肘を痛めながら、その後も懸命な調整を続けてきた。
陸奥部屋関係者によると、これまで病院には行っていないという。注目の新大関は初日に錦木の挑戦を受ける。
大関獲りに挑む関脇・大栄翔が8日、三重県鈴鹿市の追手風部屋で調整稽古を行った。
初日を前日に控え、相撲は取らずに四股やすり足などの基礎運動とぶつかり稽古で汗を流した。
番付発表後は10日連続で休みなく激しい稽古を積んでおり、7日は休み、この日は軽めの運動で調整。
「明日始まってからは緊張感持ってやれるけど、今日までは変に考えても仕方ないのでリラックスして落ち着いています」。
休養をはさみ、勝負の場所への気持ちを高めた。
初日は東前頭2枚目の正代と、2日目は西前頭2枚目の御嶽海と対戦する。
正代には直近5連勝、御嶽海には直近5場所で4勝1敗と合口の良い相手だが「実力のある相手なので思い切ってやるだけ」と気を引き締めた。
大関昇進を目指し、元大関の2人を初日から退けて勢いに乗っていきたいところだ。
大関とりに挑む関脇若元春が8日、名古屋市内の部屋宿舎で稽古し、初日を前に「いい意味で、そんなに緊張感を持ってない。力が出せればいいかな」と自然体で抱負を語った。
オフタイムには、名物のみそ煮込みうどんなどに舌鼓を打ってリフレッシュ。この日は相撲は取らず、10本弱の一丁押しで立ち合いを確認した。
勝負の場所でも、肩に力は入り過ぎず。
腰痛によるペースダウンもあったが「それなりにできたかな」と、ここまでの調整を振り返った。
初日の相手は御嶽海。
若元春は「乗った時の強さはある。いかに相手に相撲を取らせないか」とポイントを挙げ「勝ち越しとか2桁を目指す上で、一つでも負けられない。
気持ちを引き締めていきたい」と必勝を誓った。
5日に死去した父の大道春男さんの葬儀で長野県に帰省していた幕内御嶽海は7日夜、名古屋場所に備えて愛知県犬山市の出羽海部屋宿舎に戻った。
師匠の出羽海親方が8日に明らかにした。
故郷の長野県上松町で行われた7日の告別式では喪主を務めた。
西前頭2枚目の元大関は初日に関脇若元春と対戦。会場のドルフィンズアリーナに飾られた七夕の短冊には「色々と復帰」としたため、大関返り咲きへの意欲をうかがわせた。
北青鵬が8日、愛知・豊田市内の宿舎で最終調整を行った。この日は相撲は取らずに基礎運動を中心に汗を流し、幕内最長身204センチの大器は「順調です。気持ちは変わらず、いつも通り自分の相撲を取るだけです」と、うなずいた。
前日(7日)には同場所の取組編成会議が行われ、初日は幕内・阿武咲、2日目は元大関の高安戦が組まれた。
「(阿武咲は)前にやったことある相手ですし、そうですね。けがのないように15日間、やっていきたいと思う」と、平常心を強調した。
大相撲名古屋場所の開幕を前に場所の安全を祈願する「土俵祭」が行われました。
名古屋場所の舞台となる名古屋市中区のドルフィンズアリーナで8日午前10時から行われた土俵祭には、八角理事長ら相撲協会の役員などおよそ50人が参加しました。
ファンクラブから抽選で選ばれたおよそ30人の相撲ファンらが見守る中、行司が祝詞を上げたあと縁起物のするめや昆布などを土俵の中央に埋めて、場所の安全と成功を祈願しました。
名古屋場所担当の出羽海親方は「横綱照ノ富士の2連覇、新大関・霧島、3人の関脇の大関獲りが見どころだと思います。声出しの応援(が解禁)ということで力士の力になるのではないか」と話しました。
9日から始まる名古屋場所は4年ぶりに声出し応援や座席での飲食が解禁となります。
2023/07/08
照ノ富士が、名古屋場所の優勝争い本命を印象づけた。
7日、名古屋市の部屋で稽古し、同部屋の翠富士、宝富士の前頭2人に計12番で11勝1敗。
敗れた1番も、あえて宝富士が得意とする左四つに組み、さまざまな攻めを試す中で土俵を割ったもので、終始2人を圧倒した。
名古屋場所の会場ドルフィンズアリーナ入り口付近に飾られた七夕の短冊は「無事に15日間 終わらせられますように」と控えめに記したが、稽古後は「どう見える?」と報道陣に逆取材。
仕上がり良く見えるとの回答に「そうやって持ち上げておいて、落とすからな」と冗談交じりに切り返した。
表情も明るく、2場所連続優勝への自信をのぞかせた。
大関・貴景勝が名古屋場所を休場することが7日、決まった。
日本相撲協会は名古屋場所の取組編成会議を開き、2日目までの取組を決めたが、貴景勝は割から外れ、協会に「両膝半月板損傷で約3週間の安静加療を要する見込み」などの診断書を提出した。
綱取りに挑んだ3月の春場所では左膝を痛めて無念の途中休場。
一転、カド番で迎えた先場所は右膝も悪化させながら13日目に勝ち越しを決め、8勝7敗で辛うじて地位を守った。
今場所前は相撲を取る稽古ができておらず、調整が遅れていた。
モンゴル出身の霧馬山改め霧島が新大関として挑む。
派手さがなく、正直、これまで目立つ存在ではなかったものの、誰よりも早く大関に上がったので少々驚いている。
次の大関候補と目されていた豊昇龍や大栄翔らは先を越されて悔しい思いをしているだろう。
親方衆の間では「地味だけど、強いよね」という話にはなっていたが、こういう形になれば盤石という型もなく、つかみどころがない。
私の現役時代にはいなかったタイプで、なんとも不思議な力士だ。
そこが霧島の面白さであり、魅力なのかもしれない。
9日に初日を迎える大相撲名古屋場所で、豊昇龍、大栄翔、若元春の3関脇が大関取りに挑む。
史上初となる3人同時昇進が実現するか注目される。
大関昇進の目安が「三役で直近3場所合計33勝」とされる中、大栄翔は2場所で計22勝、豊昇龍と若元春は計21勝と星を積み上げてきた。
昇進問題を預かる日本相撲協会審判部の佐渡ケ嶽部長は3関脇のここまでについて、ほぼ横一線の評価。
先場所後に霧島が一足先に大関へと駆け上がったことで「3人とも気合が入ってくると思う」とみる。
勝負の場所の捉え方は、それぞれ異なっている。
豊昇龍は「気にしていない。あまり自分からも言わない」、若元春も「上(の番付)を意識することはあまりない。そうやって、ここまでの成績になったので」と自然体を強調する一方、大栄翔は「チャンスがあるので意識した方が良いと思う。自分はしっかり考えてやりたい」とあえて向き合う姿勢。
約2年ぶりの上位総当たりに挑む元大関の東前頭4枚目・朝乃山は7日、愛知・蟹江町の部屋で最終調整を行った。
取組編成会議がこの日開かれ、初日は西同3枚目・明生、2日目は東同5枚目・平戸海との対戦が決まった。
同場所恒例となった関取衆の七夕企画では、短冊に「優勝・三役」としたため、1年前にどん底から再出発した地で自身2度目となる優勝を誓った。
朝乃山が“節目の場所”で願いをかなえる。
幕内として戻ってきた愛知・蟹江町の部屋でこの日、若い衆を相手に申し合いでは10戦全勝。
得意の右四つでねじ伏せ、好調ぶりをのぞかせた。
着実に番付を戻してきた元大関は「やっとここまで戻ってこられた。ここからが本当の勝負だと思う。
7日、大相撲名古屋場所を休場する西前頭12枚目の若隆景の診断書を公表し、「右膝前十字靱帯(じんたい)損傷の術後。
約3カ月間の加療を要する見込み」との内容だった。
元関脇の若隆景は4月上旬に靱帯の再建手術を受け、小結だった5月の夏場所を全休した。
リハビリが長期化し、復帰時期は不透明な状況となっている。
遠藤に並ぶ昭和以降最速タイの初土俵から所要3場所で新入幕を果たした伯桜鵬が、七夕の短冊に決意を記した。
名古屋場所の会場ドルフィンズアリーナ入り口付近に飾られた短冊に書き込んだ気になる内容は「15日間やりきる」。
師匠で元横綱白鵬の宮城野親方も期待を寄せる19歳は初日に碧山、2日目にはスピード昇進の“先輩”遠藤と対戦することが決まった。
初めての幕内土俵で「令和の怪物」がどんな活躍を見せるか、注目が集まる。
2023/07/07
ぶっつけ本番で名古屋場所に挑む。
6日、名古屋市内の常盤山部屋で基礎運動を中心に最終調整。
出場の方向だが、両膝痛の影響で場所前の稽古では一度も相撲を取っておらず、稽古後の取材には応じなかった。
師匠の常盤山親方も「心配なところはある」と表情を曇らせた。
猛暑日となったこの日は全身汗だくになりながら黙々と四股を踏み、すり足では膝の動きを気にするしぐさもあった。
最終的な出場可否の判断は取組編成会議のある7日朝にする見込みだが、この日の午後に収録したテレビ番組「大相撲名古屋場所前夜祭」(8日午後2時放送、CBCテレビローカル)では「一生懸命頑張ります」と意欲を示した。
綱取りの春場所は左膝負傷で無念の途中休場。
一転、カド番の先場所は右膝も悪化させながら何とか勝ち越すなど苦しい状況は続く。
新大関霧島は6日、名古屋市西区の陸奥部屋で下半身を中心に鍛えた。
相撲は取らず、四股やスクワットなどで入念に汗を流し「場所前のいつもの運動をした。予定通りの調整」と淡々と話した。
出稽古は5日の荒汐部屋を最後に打ち上げ。
右肘痛を抱えながら、大関昇進を目指す関脇若元春らと15番ほど取ったという。
「いい内容ではなかったが、稽古を休みたくなかった」と語った。
初日が迫り、負傷の影響が懸念される。それでも「問題ない。やるしかない」と気合を入れた。
御嶽海の父・大道春男さんが、5日に木曽町で亡くなったことが6日に分かった。
74歳だった。葬儀は7日午後12時30分から上松町の玉林院で営まれる。
喪主は御嶽海が務める。
取材に応じた名古屋場所担当部長で、師匠の出羽海親方によると、春男さんは6月下旬に木曽町で行われた部屋の合宿に足を運んでいたという。
5日夕に御嶽海から連絡を受けた師匠は「突然だったのでびっくりしました。帰らせてほしいということだったので、いいよと」。
9日に初日を迎える名古屋場所に向けては「もちろん初日から出ます」と話した。
犬山の宿舎には初日に間に合うように戻ってくる予定。
「あすには帰ってくると思うが、そうなるとお母さん1人になりますから…」と師匠は弟子を思いやった。
「自分を持っている人だと思う。めちゃくちゃ尊敬している」と父のことを話したことがある御嶽海。
名古屋場所は初優勝を飾った2018年にその父も駆けつけてくれた。
師匠は「今場所は頑張るしかない。お父さんのためにも。一番、お父さんが楽しみにしてたわけだから」と話した。
6日、愛知県蟹江町の高砂部屋で名古屋場所へ向けての稽古を行った。
この日は、腰の状態があまり良くないとのことで軽めの調整。
鉄砲やすり足などの基礎運動で汗を流した。
番付発表後は、今月2日までは出稽古に訪れた新入幕の豪ノ山や西前頭6枚目の王鵬と、今週に入ってからは時津風部屋で正代らと、錣山部屋で小結・阿炎らとも稽古を重ねてきた。
「押し相撲と自分より大きな相手に先場所負けているので、そこをどうやっていくか」。
課題を持って苦手克服に取り組んだ。
目標は、先場所と同じく「2桁(勝利)以上」。
さらには「上位で厳しい場所ではあると思う」としながらも「優勝を目指していきたい。これからはそうやって(元大関として)見られると思うので、常に優勝争いしないといけない」と高い目標を掲げた。
6日、名古屋場所に向けて好調をアピールした。
名古屋市内の部屋で稽古し、若い衆と計13番で12勝1敗。
得意の押し、右を差しての一気の寄りなど、軽快な動きを披露した。
稽古後は「いい感じだと思う。先場所前よりも充実した稽古ができている。痛いところもないし、今場所は勝てそうな気がする」と、自信に満ちた表情をみせた。
連日の猛暑で食欲が落ちがちな時期だが「体重は減っていない」と、コンディションづくりも順調の様子だ。
名古屋名物は「うなぎと手羽先を食べました」とニッコリ。
「手羽先は、1人前5本として、8人前食べました。40本! 他にもおつまみを食べました」と、食欲は落ちるどころか、旺盛なようで、持ち前の笑顔で話していた。
大相撲の秋巡業「焼津場所」(同実行委員会主催)が10月12日、焼津市保福島の市総合体育館で開かれる。
市内で大相撲巡業開催は4年ぶり。6日には日本相撲協会巡業部の千田川親方が市役所に中野弘道市長を訪ね、場所開催決定を報告した。
焼津場所には力士含めて計200人が参加。力士による公開朝稽古から始まり、幕内力士による取り組みや横綱の土俵入り、相撲の禁じ手を紹介する初切りなどを行う。
千田川親方は「サインをもらったり、握手をしたりして、力士と触れあってほしい」と呼びかけた。
焼津市出身の翠富士も参加予定。
「小柄なのに頑張っている。戦いぶりを地元の人に見てほしい」と語った。
2023/07/06
5日、三重県鈴鹿市の追手風部屋で15番の申し合い稽古を行った。
幕内・翔猿、剣翔、大翔鵬、遠藤、十両・大奄美の関取衆5人による申し合い稽古が繰り広げられた後、最後に土俵に入った大栄翔が5人を相手に15番連続で取り続けた。
得意の突き押しの威力が光り、自身より30キロ以上重い大翔鵬を一発で吹っ飛ばす場面も。
一度だけ組み合う展開になった翔猿戦では左四つから強烈な引き付けでつり出して四つ相撲の力強さも見せた。
最初は遠藤を相手にいきなり2番続けて敗れたが、その後は立て直して12勝3敗。
「しっかり修正していけた」と振り返った。
5日、愛知・名古屋市内にある宿舎で申し合いを行い、計17番13勝4敗だった。
新三役から4場所連続小結を務める25歳は「(初日まで)もう近いですし、暑さもまた来る。しっかり気持ち引き締めて、あとは(状態を)うまくいいところまで持っていきたい」と、順調な調整をうかがわせた。
名古屋場所では大関取りの起点となる2桁白星を狙う。
好調の小結は「稽古内容がよくなっている。前に出る相撲を意識してやれていたので、それをしっかり本場所で出せるように気持ちをしっかり作って臨みたいです」と力を込めた。
5日、三重県鈴鹿市の追手風部屋で8番の申し合い稽古を行った。
名古屋場所で大関獲りに挑む関脇・大栄翔とは5番取って1勝4敗。
一方的に突き出される内容は一番もなく、持ち前の素速い動きで逆に翻弄する場面も見られた。
内容の濃い8番に「良い稽古している」と充実感。
埼玉栄高の1年後輩にあたる大栄翔を「強いっすわ」と素直に評価し「でもそこにしっかり食らいついていかないと」と対抗心ものぞかせた。
番付を上げて名古屋場所は西前頭筆頭。
三役復帰を見据え「2桁(勝利)目指して頑張ります」と力を込めた。
今度の日曜日、9日から大相撲の名古屋場所が始まります。
それをまえに、奄美大島の瀬戸内町で立浪部屋が合宿を行いました。
地元出身力士の明生も力強い稽古で、見守った住民を喜ばせていました。
奄美大島瀬戸内町出身の明生です。
篠川中学校を卒業後、立浪部屋入りし、夏場所では3場所ぶりに勝ち越し、殊勲賞を受賞。
4年ぶりに地元・瀬戸内町に帰ってきました。
瀬戸内町で2日間行われた立浪部屋の合宿は、明生や関脇の豊昇龍らを一目見ようと多くの住民が会場に詰めかけました。
明生関は「写真撮ってと言われたり握手してと言われたり、すごいみんなのパワーをいただきました」と語りました。
北青鵬は愛知県豊田市の宮城野部屋で稽古し、幕下力士相手に11戦全勝だった。
2メートル4、185キロの巨体を生かした右かいなを返しての寄りは迫力十分。
「今年中に三役という目標を立てている。(前頭)何枚目でも変わりない」と言い切った。
右膝負傷から幕下で復帰した昨年初場所以降、9場所連続で勝ち越し中。
大器は「ケガをしないことが一番。一気に横綱、大関にいけるわけではない。焦る必要はない」と達観したような口ぶりで話した。
西前頭8枚目の錦富士が、不退転の覚悟を見せた。
5日、名古屋市内の部屋で稽古した。
申し合いには加わらず若い衆の胸を借りて立ち合いの当たりの角度などを入念に確認した。
実は先場所終盤に右足の靱帯(じんたい)を痛めており、今もなお万全の状態とは言えない。
それでも「出るからには言い訳はできない」と場所に向けて調整を急いでいる。
錦富士は「まだ相撲を取れる状態ではない。強行出場みたいなところはある」。
痛めたのは先場所終盤。一番でも多く白星を伸ばそうとしていた中で起きたアクシデントにもめげず、場所が終わると治療に専念。
「手術すれば間に合わない」ことを考慮し、リハビリを重ねた。
この日も痛めた右足にテーピングを施して稽古に臨み、「最後3日間ぐらいの段階で相撲を取ってどれくらいできるか」と今後を展望した。
周囲から女優の土屋太鳳に似ているといわれる藤添静香さんと5月に挙式を挙げ、10月には第1子が誕生する予定。
先場所3勝12敗とふがいない成績に終わったからこそ、今場所にかける思いは強い。
名古屋へたつ前に妻から「無理をしすぎず、ダメな時は休むのも勇気だよ」と心温まる言葉をもらって、さらに活気づく。
「なんとしても場所に向けて良い状態でいきたい」。
支えてくれる妻のためにも、暑い名古屋で巻き返す。
5日、三重県鈴鹿市の追手風部屋で9番の申し合い稽古を行った。
同部屋の関取5人を相手に、前さばきのうまさを見せて7勝2敗。
名古屋場所で大関獲りに挑む関脇・大栄翔には、当たってすぐの引き落としと前ミツを引いての寄りで2勝するなど存在感を示した。
遠藤が前頭15枚目以下まで番付を下げるのは、16年夏場所以来7年ぶりのこととなった。
この日は両膝にテーピングが施されていたものの、ケガの影響を全く感じさせない動きの良さを見せた。
6月から精力的に申し合い稽古に参加しており、調整は順調な様子。
本来の実力が発揮できれば、名古屋場所での大勝ちにも期待が高まる。
また、今場所は新入幕の伯桜鵬と番付が近く、初対戦も予想される。
所要3場所での新入幕という最速記録を持つ2人の対戦が組まれれば、幕内前半の土俵に大きな注目が集まるだろう。
名古屋場所で昭和以降最速タイの初土俵から所要3場所で新入幕を果たした、落合改め伯桜鵬(はくおうほう)がこのほど、スポーツ報知のインタビューに応じた。
“令和の怪物”とも称されるホープは幕内の土俵を「夢舞台」と表現し、活躍を誓った。
また、かつてはサッカー少年であり、相撲は嫌々で始めたという事実も明かした。
昭和以降最速、16年ぶりの10代新入幕。
スピード出世に周囲の期待は高まるが、伯桜鵬は驚くほど冷静に語る。
「今までテレビで見てきたところに入れたのはすごくうれしいですし、最速記録も光栄。でもまだ上があります。1つずつ上がっていくという目標を持つのが大事かなと思っています」
十両2場所通過は師匠の宮城野親方と同じ。
2023/07/05
4日、岐阜県瑞穂市の朝日大を訪れ、相撲部の稽古視察と講演会を行った。
直前に迫った本場所に向け「優勝(争い)の中心にいたい」と自信を見せた。
場所へ向けた仕上がり具合を問われ「いずれも準備万端」と答えた横綱。
新大関霧島が誕生し、若元春、豊昇龍、大栄翔が大関とりに挑むというこれまでにない盛り上がりを見せるが横綱は「自分が優勝(争い)の中心にいたい」と語り、主役の座を譲らない決意をにじませた。
また、両膝に不安を抱える横綱は、名古屋市瑞穂区の伊勢ケ浜部屋で軽めの調整にとどめた。
ゴムチューブを使ったトレーニングや段差を付けた腕立て伏せの後は弟弟子への指導に専念。
幕下以下の力士にぶつかり稽古で胸を出し、汗を流した。
新大関の霧島が4日、名古屋市内の佐渡ケ嶽部屋に出稽古したが、右肘に痛みを訴えて途中で切り上げた。
小結琴ノ若らと18番取った後に患部を氷で冷やし、帰り際には「問題ない。大丈夫」とだけ話して車に乗り込んだ。
右肘にはサポーターを施し、申し合いに臨んだ。
右で突き放した際には、肘を曲げ伸ばしして気にする場面もあった。
同じく出稽古で幕内錦木や新入幕豪ノ山と番数を重ねた後、土俵際でもつれた琴ノ若との2番目で投げを打ち、悪化させたようだ。
注目の場所に向け「『さすが大関』と言われる相撲を取っていきたい」と意気込み、精力的に稽古を重ねてきた。
仕上げの調整を行う段階で不安材料が浮上し、暗雲が垂れ込めてきた。
大関昇進に挑む関脇豊昇龍は4日、名古屋市内の佐渡ケ嶽部屋に出稽古し、小結琴ノ若らと18番取って11勝7敗だった。
陸奥部屋に出向いてから新大関霧島とともに同行。
ただ右肘を痛めた霧島との申し合いは実現せず「誘われたのに1度も稽古していない」と苦笑いだった。
関脇大栄翔が、名古屋場所で、2度目の優勝&大関昇進の“ダブル取り”を誓った。
豊昇龍、若元春の両関脇とともに、史上初の大関トリプル昇進の期待が高まる中、4日は三重・鈴鹿市の部屋で稽古。
連続15番相撲を取って13勝2敗と絶好調をアピールした。
昇進目安は三役で3場所33勝。前2場所で計22勝と、他2人の同21勝を1勝リードする。
あえてビッグマウスで退路を断つ、サッカー元日本代表の本田圭佑流で、大輪の花を咲かせる。
大関昇進の目安まで11勝だが「11番勝とうとしたらダメ。優勝を目指す。その結果、大関に昇進できたら」と、堂々と話した。
若元春は名古屋市中川区の荒汐部屋で稽古し、兄の幕下・若隆元を相手に立ち合いの動きを確認した。
腰痛を抱えていることもあって慎重な調整ぶり。「今日は一丁押ししかしていない。頑張ります」などと語り、言葉少なに引き揚げた。
昇進目安は12勝。
初日まで1週間を切った中でのペースダウンは気がかりだが、今後は再び出稽古を視野に入れて調整を進めるという。
北青鵬は12番取り、長身を生かした四つ相撲の強さを発揮して8勝4敗。
自己最高位の東前頭6枚目で臨む名古屋場所は上位戦の可能性もあるが「いつも通りのことをやるだけ」と意に介さなかった。
また、地元・北海道で後援会が発足したことを明かした。
6月下旬に北海道知事や札幌市長を表敬訪問。
故郷の応援を受けて英気を養い「今年中に三役に上がりたい」と先を見据えた。
新入幕の豪ノ山は4日、名古屋市西区の佐渡ケ嶽部屋に出向き、同じく出稽古の新大関霧島に3連勝するなど実力の高さを示した。
得意の突き、押しが光り「思い切り当たって、しっかり足も前に出た。本場所でもいい相撲が取れればいい」と手応えを口にした。
3日も同じ佐渡ケ嶽部屋への出稽古で横綱照ノ富士に胸を借りた。
「上位陣の雰囲気や空気感を味わえて、すごくいい稽古ができている。目標は大きく持っていきたい」と初日を心待ちにしていた。
新入幕を果たした落合改め伯桜鵬が4日、愛知県豊田市の宮城野部屋で19番の申し合い稽古を行った。
最長身2メートル4の幕内・北青鵬や関取最小兵1メートル67の新十両・川副改め輝鵬、腰の重い押し相撲の幕下・向中野らさまざまなタイプを相手に計19番取って12勝7敗。
北青鵬には、まわしを与えずに横から速く攻める動きの良さも見せて1勝2敗だった。
「(北青鵬は)幕内で2場所連続勝ち越しているので、そういう人と取って一つ自信に」と手応え。
初めて臨む幕内の土俵へ、十分な稽古環境と充実の内容で気持ちを高めた。
番付発表後から休みなく毎日稽古しており「けっこう疲れてます」と苦笑い。
4月に痛めた左肩は万全ではなく、この日も大きなテーピングが施されていた。
「ずっと付き合っていかないといけないので、どう工夫して取るかが大事」。
不安を抱えながらも最善の策を模索している。
その中で「ケガしながらでも番数取れるようになってきた。先場所より状態は凄く良い」と調整は順調だ。
夏場所は本格的な実戦稽古が十分にできないまま臨んだにもかかわらず、十両で14勝の好成績。
新入幕場所での大勝ちにも期待は高まるが「幕内という一つレベルの違う舞台になったので、調子良くてもどうなるか分からない」と冷静に足元を見つめた。
富山県警OBらでつくる富山を楽しくする会は4日、朝乃山の大相撲名古屋場所での活躍を願い、富山市古沢の県道沿いに手作りの吹き流しを設置した。
吹き流しは長さ5メートル、直径1・2メートルの赤、青、黄色の布製で、12メートルの支柱に固定した。
一気に横綱まで上り詰めてほしいという思いを込め、「百折不撓(ひゃくせつふとう) 朝乃山」「雲外蒼天(うんがいそうてん) 朝乃山」などとしたためた。
朝乃山が大関昇進時の口上で述べた「愛と正義」を書いた手作りの化粧まわしも設置した。
長谷川敏博事務局長(72)は「優勝できるよう頑張ってほしい」とエールを送った。
大相撲秋巡業の「京都場所」が10月19日、島津アリーナ京都(京都市北区)で開かれる。
新型コロナウイルス禍で、京都場所の開催は4年ぶり。
実行委員会(桝本頼兼委員長)が7月4日、市内で記者会見して発表した。
定員は約7000人。
東日本大震災の避難者や養護施設の入所者、日本文化に関心を持つ外国人留学生ら1000〜1300人程度を無料で招待する。
2023/07/04
3度目の連覇、通算9度目の優勝へ、大相撲の横綱照ノ富士が、いよいよ稽古を本格化させた。
3日、名古屋市の佐渡ケ嶽部屋に、名古屋場所前としては初めて出稽古。
同じく出稽古に来た新入幕の豪ノ山を三番稽古に指名し、力を十分発揮させながら9勝3敗と圧倒した。
4場所休場明けから復活優勝した、先場所同様の強さを見せつけた。
初めて胸を合わせた豪ノ山の予想外の馬力に、3番は不覚を取った。
あえて土俵際まで押させた後、踏ん張りきれず土俵を割り「つえー」と、苦笑いする場面も。
ただ相撲を取りつつ動きの止まった豪ノ山に「そこで終わっちゃダメだ。力を抜くな」などと助言。
終始、稽古をつける形で、9勝3敗以上の力の差、仕上がりの良さを印象づけた。
大関獲りに臨む関脇・豊昇龍が3日、名古屋市西区の陸奥部屋で新大関・霧島と計16番の三番稽古を行った。
途中10連勝と霧島を圧倒し、若元春、大栄翔の3関脇で挑む史上初の大関“トリプル昇進”へまずは好仕上がりを印象づけた。
大関昇進に挑む関脇大栄翔が3日、三重県鈴鹿市の追手風部屋で稽古し「しっかりチャンスを生かしたいという強い気持ちがある。1回で決めたい」と意気込みを語った。
この日は幕内の遠藤、大翔鵬ら部屋の関取衆を相手に10番続けて取り、8勝2敗。
暑さによる疲労の蓄積があるようで「番数も少なく、内容もそんなに良くなかった」と不満顔だった。
昇進の目安となる直近3場所の合計33勝には11勝で到達。
「先のことを考えても仕方がない。変わらずにやることをやって、しっかり場所に臨めれば」と表情を引き締めた。
3日は岐阜放送本社を訪れ、ぎふチャンラジオ「きょうもラジオは !?2時6時」に生出演しました。
三役復帰への意気込みを語るとともに来場を呼び掛けました。
朝乃山関は富山市出身で、高砂部屋所属の29歳。
先場所は幕内力士として2年ぶりの土俵で12勝3敗をマークし、東前頭14枚目から4枚目まで番付を上げ、名古屋場所では勝ち越し、2ケタ勝利、優勝で一気に三役復帰を目指します。
杉山幹夫岐阜新聞社最高顧問から、出げいこなど場所直前の調子を聞かれると仕上がり具合の順調さをアピール。
スナーから寄せられた質問にも笑顔で答えていました。
「(地元の)富山県から車で来やすい名古屋場所ですので、また応援に来てくださる方々も多いと思いますので、しっかり自分の相撲をとりきって、2ケタ以上、優勝を目指してがんばりたいです」
新入幕の東前頭13枚目豪ノ山が3日、名古屋市の佐渡ケ嶽部屋に出稽古し、同じく出稽古に来た横綱照ノ富士に初めて胸を借りた。
この日、佐渡ケ嶽部屋には照ノ富士と豪ノ山の2人に加え、錦木、翠富士、王鵬の前頭3人も出稽古に来た。
佐渡ケ嶽部屋の小結琴ノ若と、琴恵光、琴勝峰の前頭2人を合わせ、計8人もの幕内が集結。
その中で豪ノ山は唯一、照ノ富士の指名を受けて三番稽古、ぶつかり稽古で胸を借りた。
照ノ富士との三番稽古は3勝9敗で、その前に2勝3敗だった関取衆の申し合いと合わせ、5勝12敗だった。
それでも5分以上にわたった、ぶつかり稽古後には充実の表情。
「ありがたいです。横綱に選んでいただけるとは思ってもいなかった。いい経験になりました」と、巡業などを含めても初めて横綱に胸を借り、感謝しきりだった。
「存在感がすごかったですね。思い切って当たっても、全部受け止められた。鍛え直して頑張りたい」。
先場所は14勝1敗で十両優勝したが、前日2日までに先月末から3度訪れた高砂部屋の大関経験者朝乃山に続き、幕内上位との実力差を感じ、発奮材料にしていた。
4日も佐渡ケ嶽部屋を訪れる予定で、新入幕場所に向けて準備に余念がない。
西前頭13枚目琴勝峰が、6月9日に婚姻届を提出、11月には第1子の男児が誕生予定であることを明かした。
名古屋場所に向けて3日、名古屋市の部屋で稽古後、千葉・柏市役所に婚姻届を提出したと説明。
「特別に何かの記念日というわけではありませんが、妻が届を出してくれました」。
6月3日に、同い年の珠奈さんとの婚約を発表。
「その時には言っていませんでしたが、11月に子どもが生まれる予定です。男の子です」と、パパの顔になって話した。
珠奈さんとはまだ同居しておらず「名古屋場所が終わって、すぐに夏巡業があって…。一緒に住むのは8月の終わりぐらいですかね」と、冷静な口調で話した。
新居探し、新生活準備と、慌ただしい日々となるが、新たな家族も増える予定だけに、随所にうれしそうな表情を見せていた。
日本相撲協会の英語圏向けユーチューブチャンネル「SUMO PRIME TIME」が大相撲名古屋場所の新入幕力士を特集。
落合改め伯桜鵬が登場した。
初土俵から所要3場所での新入幕は、遠藤と並び昭和以降1位のスピード昇進。
その伯桜鵬は幕内デビューを前に「今までのような相撲だと通用しないと分かっている。稽古でもう一度自分の相撲の形をしっかりつくって、師匠に教えてもらいながら幕内で戦える相撲を磨いていかないといけない。武道の言葉である心技体を鍛えていかないといけない。応援していただいてる方、お客さんに喜んでもらえるような気持ちのいい相撲を取れれば」と気持ちを引き締めた。
高松市では5年ぶりとなる大相撲の地方巡業が2023年10月に行われることが決まりました。
日本相撲協会の理事で、62代横綱大乃国の芝田山親方が、7月3日に高松市で会見を開き明らかにしました。
この巡業は大相撲高松場所として2023年10月22日に高松市のサンメッセ香川で行い4000人の来場を目指します。
約200人の力士による稽古、相撲甚句、初っ切りという見せ物、幕内などの取り組みを披露します。
高松市での巡業は2018年以来、5年ぶりで、チケットは7月12日からインターネットなどで販売されます。
2023/07/03
2日、名古屋市瑞穂区の伊勢ケ浜部屋で稽古し、部屋の関取衆と計10番取った。
前日の稽古中にぎっくり腰になったことを明かしたが、影響を感じさせない動きを見せ「ちょっと痛みが走ったくらい。まだ1週間ある」と軽症を強調した。
翠富士に5戦全勝とし、宝富士には3勝2敗。
宝富士得意の左四つ十分に組ませる場面もあり「いろいろ試すのが稽古」と説明した。
両膝にも不安を抱える中、じっくりと調整を進めており「毎日、体と相談しながらという感じ。いつものことだ」と自然体で話した。
2日、名古屋場所へ向け、名古屋市内の伊勢ノ海部屋宿舎へ出稽古。
幕内・錦木と26番連続で相撲を取り、19勝を挙げた。
無尽蔵のスタミナだった。
20番過ぎから錦木がヘトヘトになる中でも、霧島のペースは落ちなかった。
「まだまだ何番もできる感じ。20番でも30番でも稽古するつもりだった」と涼しい表情で語った。
立ち合いから押しや左差しなど一番ずつ攻め方を変えた。
狙いを「自分の立ち合いを思い切りやってみた」と明かした。
新大関の場所は注目を浴び、警戒される。
初日に向け「立ち合いを一段階ずつ上げている」と徐々にペースを上げていくつもりだ。
名古屋入りしてから出稽古が続いているが、「暑さにも慣れてきた。これからも出稽古はしていく」と貪欲だった。
大関昇進を懸ける関脇豊昇龍が29日、名古屋市中川区の荒汐部屋へ出稽古し、同じく大関を狙う関脇若元春らと23番取って16勝7敗だった。
持ち味の多彩な攻めが光り「いい稽古になったと思う」と充実感をにじませた。
ライバルの若元春を7勝3敗と圧倒。
関脇経験のある小結阿炎、明生に対しても好調ぶりが際立った。
昇進目安の直近3場所で合計33勝には、自己最多を1つ上回る12勝が必要。
高いハードルに向け「毎日毎日、順調にやれている」と気負いは感じられなかった。
大関取りに挑む関脇・大栄翔が、連続稽古でスタミナアップを図る。
三重・鈴鹿市の宿舎で30日、幕内・翔猿、遠藤らと16番連続で取り、14勝2敗。先場所後から始めた試みといい、「夏場はスタミナがやばいので、連続稽古すれば力がつく」と狙いを明かした。
同じく大関取りを狙うライバルの若元春と豊昇龍は出稽古を中心に調整している。
ただ追手風部屋は名古屋市近郊から車で約1時間半かかるため、休養なども考慮し部屋での調整を選択。
「出稽古できない分、きつくしないといけない」と自らを追い込んでいる。
自慢の突き押しは健在で、翔猿につり出しで勝つ場面もあった。
「四つの対策はできている」と手応えをつかんでいる様子だった。
1日、名古屋市内にある宿舎で幕下以下の力士と10番連続で相撲を取った。
申し合いの最後に土俵へ上がると、相手に許したまわしを切ったり、四つになってからの動きを丁寧に確認した。
兄・若隆元らに9勝1敗だったが、「まだ万全じゃない」と明かした。
前日6月30日は稽古がなかったこともあり、「腰が硬くなっているので、番付が下の力士と動きを確認した。じっくり攻めるイメージだった」と意図を語った。
腰の違和感については「昨日、今日の痛みではない。仕方のないこと」と一大事ではないと強調した。
稽古後はファンにサイン会を行った。写真撮影にも気軽に応じ、笑顔。
ちゃんこ鍋も振る舞われる中、「幕下が長かった。出世した姿を地方の方にみせられるのはありがたい。期待は大いにしてもらってると思う」と気を引き締めていた。
29日、名古屋市の佐渡ケ嶽部屋で名古屋場所に向けた稽古を行った。
申し合いでは20番取り、出稽古に訪れた大関・霧島とは13番で4勝9敗だった。
新大関へ果敢に立ち向かった。
立ち合いから右四つとなると、そのまま寄り切った。
土俵際まで追い込まれても耐えて反撃に転じるなど、「遠慮したら強くなれない。比較的前に向かっている相撲だった」と手応え。
終盤に5連敗を喫して4勝に終わったが「勝ち負けよりもっと内容にこだわりたい」と話し、充実感を漂わせた。
名古屋場所は19年に新十両としてのぞみ、幕内だった21年は初の三賞となる敢闘賞も獲得した。
愛知・蟹江町の部屋で2日、出稽古に来た新入幕の豪ノ山と三番稽古を行い、計14番で11勝3敗。
十両で2場所連続2桁白星、先場所は14勝1敗で優勝するなど、力をつけてきた豪ノ山を寄せ付けなかった。
朝乃山は鋭い立ち合いから距離を詰め、相手得意の突き、押しを封じて寄り切るなど、いきなり7連勝した。
6場所出場停止から、昨年名古屋場所で三段目として復帰して1年。
東前頭4枚目まで番付を戻し、上位戦を迎える今場所に懸ける思いを示すように、気迫のこもった相撲を続けた。
30度を超える暑さの中、屋外土俵での稽古だったが「いい感じで体が動いている。この暑さの中で、しっかり稽古できた。豪ノ山関が来てくれているのはうれしいし、お互いにいい刺激で稽古できていると思う」と、手応えを口にした。
30日、愛知・豊田市内の宿舎で名古屋場所に向け調整した。
新入幕の伯桜鵬、新十両の輝鵬、幕下力士らと10番取るなどして汗を流した。
先場所は元大関の朝乃山の連勝を止めるなど、204センチの長身を生かした型破りな相撲で勝ち越し。
自己最高位となる東前頭6枚目まで番付を上げた。
それでも「気にしていない。変わらずいつも通りです。番付が何枚上がろうと、けがをせず勝ち越して場所を終えることが大事なので」と冷静。
「応援に応えられるように一日一番自分の相撲を取って喜んでもらえればなと思っています」と気合。
師匠の宮城野親方ような右四つを基本型とするが、元横綱・曙のような突っ張りの相撲も目指している。
最近の稽古でも「押し相撲を今、頑張っています」としつつも、一筋縄ではいかないようで「そんなに簡単にはいかない。一歩ずつですね」と話していた。
2日、愛知・蟹江町の高砂部屋に出稽古し、大関経験者の朝乃山に三番稽古で胸を借りた。
計14番で3勝11敗と圧倒された格好。
同行した師匠の武隈親方には「つかまったら何もできない、じゃあ、稽古にならないだろ!」などと怒声を浴びせられた。
ガムシャラにでも振りほどいて、得意の突き、押しの形に持ち込む必死さを求められた。
三番稽古開始から7連敗したが、その助言の成果もあって後半は3番勝った。
稽古後、豪ノ山は「朝乃山関には圧力や腰の重さは到底及ばない」と、素直に実力差を認めた。
それでも番付発表後の愛知入り後、この日で高砂部屋への出稽古は3度目。
「だんだん、できることも増えてきた」と、成果が出ている手応えも感じている。
昭和以降最速タイの初土俵から所要3場所で新入幕を果たした伯桜鵬が30日、愛知・豊田市内の宿舎で名古屋場所に向け、幕内・北青鵬、新十両・輝鵬、幕下以下の力士と計13番取って汗を流した。
鋭い出足からの一気の寄りなど実力を見せ「いい稽古ができているかなという感じです。体力的には徐々についてきていると思います」と手応えを口にした。
蒸し暑い日々が続いており、「地元の鳥取は暑いので、暑さには慣れていると思うんですけど、鳥取以上に暑いです」と思わず苦笑い。
それでも「年6場所あるうちの名古屋場所、この暑さも醍醐味だと思っていますし、逆に九州場所、初場所は寒いので、こういう体調管理もひとつの仕事だと思っていますね」と、19歳らしからぬ落ち着きぶりを見せていた。
盛岡市出身で大相撲の立行司・第27代木村庄之助を務めた熊谷宗吉さんが6月22日、97歳で亡くなった。
小学生で上京して土俵に立ち、若くして最高位を襲名。
半世紀にわたって大相撲の歴史を支えた。
退職から30年以上となる熊谷さんの 訃報ふほう を受け、県内外の関係者に悲しみが広がった。
元テレビ朝日アナウンサーの山崎正(やまざき・ただし)さんが6月25日午後6時52分、肺炎による呼吸不全のため死去したことが30日、分かった。
79歳だった。
2019年に小脳出血で入院後、高次脳機能障害を患い東京都内の施設で生活。
昨年6月に肺炎で入院し、今年1月には新型コロナウイルスに感染。
体力が落ち、寝たきりの状態となっていた。
山崎さんは同局の人気長寿番組「大相撲ダイジェスト」を03年の放送終了まで約30年担当し、大相撲ファンに愛された。
通夜は3日午後6時、葬儀・告別式は4日午前10時、東京都新宿区上落合3の34の12、落合斎場で。
喪主は長男の富洋(とみひろ)氏。
なかいま強「うっちゃれ五所瓦 粘り腰編」1巻が、本日6月29日に発売された。
週刊少年サンデー(小学館)の人気作「うっちゃれ五所瓦」の約30年ぶりの続編となる「うっちゃれ五所瓦 粘り腰編」。
不器用で口下手だが相撲への情熱は誰にも負けない男・五所瓦角が、新たな家族、そしてかつての仲間たちが見守る中、今度は大相撲を舞台に活躍する。
2023/05/29
千秋楽、14日目に8度目の優勝を決めた照ノ富士が、有終の美で締めくくった。
貴景勝を土俵下まで吹っ飛ばす完勝劇。
「2ケタ優勝という思いを強く持って過ごしていたので、それにちょっとでも近づくことができたのはうれしい」と、かみしめた。
支度部屋での記念撮影で賜杯と幼い長男を抱くと、険しかった表情がようやく緩んだ。
両膝の手術と4場所連続休場を乗り越え、14勝の好成績で1年ぶりに賜杯を抱いた。
「出るからには最後まで優勝を争うのが横綱としての宿命」との思いを結果につなげた。
「とりあえず今場所は終わったので、来場所に向けてもう一回、体と向き合ってやっていきたい」と先を見やった。
目標まではあと2つだ。
霧馬山の大関昇進が事実上、決まった。
目安とされる「三役で直近3場所合計33勝」を1つ上回ったことなどを受け、番付編成を担う日本相撲協会審判部が昇進を諮る臨時理事会の招集を八角理事長に要請し、受諾された。
これまで理事会で昇進が見送られた例はない。
佐渡ケ嶽審判部長は「34勝を挙げているので反対意見はない」と説明。
千秋楽、関脇豊昇龍が、大関昇進を事実上決めた霧馬山を破って11勝目を挙げ、大関とりへ大きな1勝を挙げた。
もろ差しで体を密着させると、持ち上げてから下手投げ。
関脇だった先場所の10勝と合わせて2場所で21勝を挙げた。
大関昇進目安は「三役で3場所33勝」で、大きな意味を持つ1勝となった。
「来場所のことはまだ気にしていない。負けた相撲は(研究し)もっと稽古して直したい」と力を込めた。
千秋楽、大栄翔は若元春との関脇対決。
立ち合い、頭から当たって先手を取ると、勢いそのまま突き放す。
懸命に残そうとする若元春をよく見て追い立て、最後は土俵下まで激しく突き倒した。
先場所は小結で優勝同点の12勝、そして今場所10勝。
大関取りへの足場を固めた29歳は「今日が一番、相撲内容が良かった。来場所につながる。上に上がる気持ちでやらなければ上がれない」と表情を引き締めた。
千秋楽、念願だった三賞を手にするも、若元春の表情は変わらなかった。
大栄翔との関脇対決は立ち合いで上体を起こされ、怒とうの突きを受けた。
なんとか右にいなしてしのぐも防戦一方。
最後は、突き倒されて後ろに一回転しながら土俵下に転落した。
千秋楽、元大関の朝乃山は、2年ぶりに立った幕内の土俵を白星で締めた。
重い剣翔と右四つで胸が合って動きが止まった後、上手を引いての寄り。
12勝という結果について「もう1、2番は勝ちたかった」と満足はしなかった。
緊張感のある15日間だったという。
「来場所が勝負。自分の実力が通用するかどうか。しっかり勝ちたい」と言葉に力を込めた。
千秋楽、大関昇進が事実上決まった霧馬山を含め、4関脇全員が2ケタ白星をマークした。
1場所15日制が定着した1949年夏場所以降、初めてのこと。
昇進を預かる審判部の佐渡ケ嶽部長は豊昇龍、大栄翔、若元春の3人が名古屋場所(7月9日初日・ドルフィンズアリーナ)で大関取りになることを明言した。
初の“トリプル昇進”が現実になる可能性が出てきた。
千秋楽、東十両筆頭の豪ノ山(ごうのやま、25=武隈)が決定戦の末に十両優勝を飾った。
千秋楽で北の若を退け1敗を守り、落合との優勝決定戦では電光石火の押し出しで快勝した。
「もともと2番取る意識でした。優勝してほっとしています」。
場所前に出稽古に訪れた平幕の王鵬と稽古を重ねて自信をつけた。
新入幕が濃厚な来場所へ「基礎からしっかり見直して、良い形で場所に入りたい」と意気込んだ。
千秋楽、西十両8枚目・落合(19)=宮城野=が、遠藤に並ぶ昭和以降最速の初土俵から所要3場所での新入幕を決定的にした。
決定戦で敗れ優勝は逃したが、十両2場所目で堂々の14勝をマーク。
名古屋場所(7月9日初日・ドルフィンズアリーナ)では、10代幕内誕生が見られそうだ。
この日の部屋の千秋楽パーティーでは、しこ名が本名から「伯桜鵬(はくおうほう)」へと改名されることが明かされた。
大相撲夏場所は28日、千秋楽を迎え、懸賞総数は1789本に達した。
1日当たりの最多は千秋楽の190本で、2019年夏場所千秋楽の178本を上回り、過去最高を更新。
15日間全てで館内に「満員御礼」の垂れ幕が下りる盛況だった。
2023/05/28
14日目、4場所連続休場明けの横綱・照ノ富士が昨年夏場所以来、1年ぶり8度目の優勝を決めた。
唯一の2敗で追っていた関脇・霧馬山に寄り切りで快勝。
昨年10月の両膝手術などからの復活を遂げた。
3場所連続全休明けで優勝の横綱は1968年秋場所の大鵬、89年初場所の北勝海に次いで3人目となった。
14日目、関脇霧馬山の大関昇進が決定的になった。
番付編成を担う日本相撲協会審判部が千秋楽の28日に部内で昇進を協議することで一致。
関係者によると反対意見はないとみられる。
ここまで11勝3敗の好成績で直近3場所合計34勝をマークし、昇進目安の33勝を上回っている。
モンゴル出身で27歳の霧馬山は小結の初場所で11勝、新関脇の先場所は12勝で初優勝。
今場所も最終盤まで優勝争いに絡む活躍だった。
藤島審判部副部長は昇進への明言を避けたが「素晴らしい相撲を取っている」と高い評価を与えた。
千秋楽に向け「いい相撲を見せてくれるのではないか」とした。
14日目、豊昇龍は剣翔をすくい投げで下して10勝目。
10勝5敗だった先場所に続き2場所連続の2桁勝利に到達した。
立ち合いからすぐにもろ差しになると、引っ張りこまれて後退したが、土俵際で力強くひっくり返した。
千秋楽で対戦する同じモンゴル出身の霧馬山が来場所の大関昇進を大きく引き寄せた。
「先に行かれてしまった。自分も頑張らないと」。
まずは今場所最後の闘いで意地を見せる。
14日目、関脇・大栄翔が明生を下して9勝目を挙げた。
立ち合いから激しい突っ張りで先手を取った大栄翔。
一度は土俵際まで押し返されてバランスを崩したが、再び回転よく突っ張って豪快に突き倒した。
関脇4場所目で初めての勝ち越しを決めてから一つ星を上積み。
「一番一番に集中できている」。
三役での2場所連続2桁勝利に望みをつないだ。
先場所は優勝決定戦で惜しくも敗れたが小結で12勝の好成績。
現時点で2場所合計21勝まで星を伸ばした。
14日目、貴景勝の張り手を4発も浴びながら、若元春はひるまなかった。
下からおっつけながら、ジリジリと前に出る。
「ここまで勝ったことがない大関戦だった。きょうこそは、と思って臨んだ。落ち着いて、気持ちで負けず」。
気迫で土俵下まで押し倒した。
小結で11勝を挙げた春場所に続き、三役で2場所連続の2桁勝利。
名古屋場所での大関とりに名乗りを上げた。
これが若元春の性格なのか、「(大関を)考えてはないですね。今の関脇の番付を、しっかりまっとうすることだけ考えて」と期待を冷静に受け止める。
関取になる前から稽古を重ねてきた霧馬山が場所後の大関昇進を濃厚にしたが「刺激はもらってます。
純粋にすごいなと。ぼくとしては今の番付が精いっぱいで毎日必死に取ってる。
上に上がっていくのはすごいと思った」と素直に敬意を表した。
14日目、錦木は、もろ手突きできた阿炎をいなすと、力強く押し倒した。
7連勝で給金を直し、「最初から連勝したかった。立ち合いからの次の手がいいのでは」と舌も滑らかだ。
負けが込んだ前半戦から見事な巻き返しを見せた32歳は、「何が験担ぎか分からない。何もやらないから」と、とぼけ顔。
大好きなお酒が好調の要因かと聞かれ、「(飲むのは)1年中だから」と豪快に笑った。
14日目、朝乃山が、正代との元大関同士の対決を制した。
一気に攻め込み、土俵際でこらえる相手を寄り倒し。
11勝目を挙げて3連敗を免れ、「思い切っていこうと、切り替えたことがよかった」と一息ついた。
終盤まで優勝争いに絡んだものの、大栄翔、照ノ富士と三役以上の力士には屈した。
「今の自分の力では勝てない。(来場所は)負けないように精いっぱいやりたい」と決意を新たにした。
14日目、東十両筆頭の豪ノ山(25=武隈)が、玉正鳳を押し出して13勝目をあげた。
「内容はよかったと思う。明日もう1番、集中していきたい」。
十両2場所目「令和の怪物」落合も、同じ13勝目をあげた。
来場所の新入幕は確実にしているが、十両優勝で花を添えたい。
「今場所は足が出ているかなと思う。自分の相撲がとれるよう、気合を入れていきたい」と力をこめた。
2023/05/27
13日目、照ノ富士が横綱の貫禄を示した。
大関経験者とはいえ幕内に返り咲いたばかりの朝乃山に今の番付の違いを示した。
右の相四つ。
左から押っつけて前に出る朝乃山の攻めに下がりながら、抜けた右で小手に巻き、最後は土俵に転がした。
取組後の支度部屋では紅潮した顔で「(立ち合いは)しっくりこなかったですけれど、落ち着いてやれたかなと思います」と振り返った。
13日目、大関・貴景勝は勝ち越しを決め、カド番を脱出した。
貴景勝が立ち合いで左に動いてカド番を脱出した。
覚悟の変化だった。
大関の責任を一途(いちず)に追求している寡黙な大関。
観客からのブーイング、周囲の雑音にも耐えて、大関の地位を守るために苦渋の決断を下した。
13日目、大関昇進が懸かる霧馬山が、北青鵬との1分を超える相撲を制した。
長身の相手に肩越しに左の上手を許したが、すぐに切って頭をつける。
左でまわしを引き、外掛けで仕留め、「我慢できた」と汗をぬぐった。
11勝目を挙げ、悲願へまた一歩前進した。
14日目は、1敗で単独トップの横綱照ノ富士に挑む。
「自分の相撲を取れるように、自分から攻めていきたい」と言葉に力を込めた。
13日目、西前頭6枚目の御嶽海は東関脇の大栄翔を寄り倒し、連勝で8勝5敗として7場所ぶりの勝ち越しを決めた。
13日目、大関経験者で東前頭14枚目の朝乃山は、1差で追うトップの横綱照ノ富士に敗れ、10勝3敗で自力優勝の可能性が消滅した。
同じ右四つの照ノ富士に、これで6戦全敗。
立ち合いで相手に右を差させないよう、左はおっつけにいった。
だが相手に左を抱えられ、前への推進力を利用されて小手投げに敗れた。
「横綱の右手が抜けて、押し込んでいく時に左を差してしまったのがダメだった。抱えられて、上体が伸びて、起きてしまった」と、悔しそうに振り返った。
13日目、西十両8枚目の落合が湘南乃海を土俵下まで豪快に吹っ飛ばし、豪ノ山とともに12勝目を挙げ、首位を守った。
師匠の宮城野親方(元横綱・白鵬)は十両2場所目に12勝で優勝して翌場所新入幕。
場所前から12勝を目標に掲げており「うれしく思っています」と一言。
遠藤と並び史上最速となる入門から所要3場所での新入幕、そして憧れの大横綱と同じ道へ大きく前進した。
26日、大相撲名古屋場所後に実施する夏巡業の日程を発表し、昨年より13日増えて18日間の開催となった。
新型コロナウイルス禍による中止から再開された昨年は関東近郊限定だったが、今年は東北や北海道などでも行う。
2023/05/26
12日目、照ノ富士が執念を見せた。
新関脇の若元春が得意とする左四つで組んだが、「ある程度、頭に入っていた」。
場所前の出稽古で手合わせした感覚を生かし、うまく体を入れ替えて寄り倒した。
4場所連続の休場明け。
白星を重ねて周囲の不安をはね返し、1敗で単独トップに立った。
取組後、古傷を抱える両膝を気にするしぐさを見せたものの、「大丈夫。まずは15日間、無事に終わること。最後まで優勝争いに絡まないといけない」。
横綱として強い責任感を示した。
12日目、貴景勝は12日目でのかど番脱出はならなかった。
大関昇進を狙う霧馬山に一方的に寄り切られ、土俵下に転げ落ちた。
両膝にテーピングを施して闘う中、痛々しい負け方で支度部屋の取材にも応じなかった。
大関復帰の2019年九州場所から21場所在位した地位を守れるか。
師匠の常盤山親方は「苦しいと思うが、あと1勝まで来ているから。何とか残り3番を頑張ってほしい」と祈るように話した。
12日目、関脇霧馬山が大関貴景勝を破って10勝目を挙げ、今場所後の大関昇進を確実にした。
霧馬山は陸奥部屋所属でモンゴル出身の27歳。
初場所は小結で11勝し、春場所は関脇で12勝を挙げて初優勝を果たした。
大関昇進は三役で3場所合計33勝が目安とされている。
夏場所で10勝を挙げれば計33勝となることから、場所前に昇進を預かる審判部の佐渡ケ嶽部長が「2桁勝利で千秋楽を迎えてほしい」と10勝が昇進ラインになると明言していた。
12日目、豊昇龍が関脇として意地を示した。
204センチの北青鵬に肩越しに右の上手を許したが、相手の右脇の下に頭を入れるようにして切ると、左から出し投げを打って後ろ向きに。
「しっかり集中できていた」と、手応え十分に振り返った。
成長著しいモンゴル生まれの後輩に巧みさを見せつけ、9場所連続の勝ち越し。
「うれしい。終わったわけじゃないので残りの3番、頑張っていきたい」と気合を入れ直した。
12日目、宇良が幕内では25年ぶりの決まり手「ずぶねり」で翔猿に勝利した。
激しい差し手争いの後、土俵際から相手の懐へ飛び込んだ。
さらに背筋を使って頭でひねり倒すと、翔猿が左側へ1回転しながら土俵へ落ちた。
98年春場所5日目、旭豊が寺尾に決めて以来。
関学大までのアマチュア時代を含め、「記憶にない」と振り返る珍手。
その大学時代、同じ小兵の同級生が得意技にしたことで、逆に受けてきたという。
「人よりは見てきたし、むしろされていた」。当時の経験が思わぬ場面で生きた。
12日目、朝乃山が2敗目を喫し、優勝争いで一歩後退した。
関脇大栄翔に攻め込まれると、そのまま一気に押し出され「相手が下から突いて、まともに受ける形になって、そこから足を運べなかった」と残念そうだった。
幕内の後半戦で相撲を取るのも、三役との対戦も大関時代の2021年夏場所以来、2年ぶり。「久しぶりに遅い時間に取れたし、上位と取れたのも良かった」と話した。
13日目は1敗の横綱照ノ富士に挑む。
勝てば再び優勝争いのトップに並ぶが「緊張すると思う。冷静に、無心で取りたい」と無欲を強調した。
2023/05/25
11日目、照ノ富士は危なげない相撲。
豊昇龍の両肘をがっちりきめると、力強く土俵の外へ運び出した。
「動きが良かった」と満足げに振り返った。
9日目に初黒星を喫したが、「その日の一番はその日で終わっている」と引きずらなかった。
1敗のトップで優勝争いの佳境を迎える。
「あと4日もある。できることをやっていく」と集中していた。
11日目、大関・貴景勝がカド番脱出まであと1勝とした。
同じ突き押し相撲の関脇・大栄翔の突っ張りを下からあてがってしのぐと、機を見て引き落とした。
取材には応じなかった。
八角理事長は「最初の攻防があるから効いた。押せなかったが、押し合ったことが大事ですよ」と分析。
幕内後半戦の藤島審判長は「(9、10日目は)痛い2連敗でしたからね。きょうはいい当たりだったのでは。相手が格下だと落とせないという気持ちになってしまうが、きょうは向かっていったのが良かった」と振り返った。
11日目、霧馬山が寄り切りで平戸海を下し、大関昇進の目安となる三役で3場所通算33勝にあと1勝まで迫った。
初対戦の相手だったが、「自分の形になってゆっくり攻めたのがよかった」。
八角理事長も「強引さがなかった。落ち着いていた。焦らなかった」と内容をほめ、1差で追いかける優勝争いにも「チャンスはチャンス」と話した。
11日目、若元春は、新鋭の東前頭11枚目・北青鵬を退け、新関脇で勝ち越した。
立ち合いから得意の左を差すが、相手に右上手を許し、土俵中央で膠着(こうちゃく)状態に。
じりじりと寄られた土俵際で、起死回生のうっちゃりで逆転した。
だが、「俵を使って何かしてくると思ったのでビビって前に出られなかった。相手が覆い被さってきたので自然に出た。うっちゃりは頭に入れてなかったし、良いことではない」と反省が口をついた。
11日目、通算1000回出場を白星で飾り「攻める気持ちを前面に出していこうと思っていた。自分一人だけの力では成し遂げられないことなので、いろいろな人に感謝したい」と話した。
11日目、土俵際で勝負への執念を見せた。
2年ぶりに幕内力士として出場する朝乃山が白星を2桁に乗せた。
好調の明生に懐に入られても、朝乃山は下がりながら左でまわしをつかんだ。
体をひねるように右から逆転の突き落とし。
相手とともに、勢い余って土俵下へ転がり落ちた朝乃山は「内容は悪いけれど、最後に思い切った結果。左上手を取れていなかったら、たぶん負けていた」と、安堵(あんど)と悔しさが入り交じった表情を見せた。
11日目、幕内・剣翔が元大関の御嶽海を破って8勝目を挙げ、新入幕だった19年秋場所以来となる11日目での勝ち越しを決めた。
立ち合いすぐに得意の左上手を取り、右で浅い上手を引いて外四つで相手に力を出させずに寄り切り。
「ああなったら前に出るしかない。思い描いたとおりの相撲が取れた」と納得の内容だった。
新入幕場所以来、幕内で約4年ぶりの2桁勝利も視界に入る好調ぶり。
「ここ最近に比べて膝の調子が良くないので、長い相撲を取ったらよくないから速い相撲を取るようにしている」と“ケガの功名”だったことを明かした。
11日目、1敗の十両・豪ノ山が、ただ一人全勝の落合を下して10勝目を挙げた。
立ち合い激しく当たり合って左四つに組み合うと先に下手を取られたが、右を巻き替えて豪ノ山が右下手。
左おっつけから左前ミツも引いて相手の上体を浮かせて最後は押し倒し。
“令和の怪物”を土俵上で仰向けにする快勝にも「立ち合い差されてしまったのがよくなかった。はじいてハズで持っていければよかった」と反省点を口にした。
豪ノ山は東十両筆頭で既に勝ち越しているため、来場所の新入幕が確実な状況。
優勝争いで一歩リードする19歳との“頂上決戦”を制して1敗に引きずり下ろした。
優勝争いについては「意識はしてないけど一番一番集中して取っていきたい」と意気込む。
「集中して自分の相撲を取れば良い結果は付いてくる」と信念を貫くことを誓った。
2023/05/24
10日目、前日に初黒星を喫した横綱照ノ富士が意地を見せた。
琴ノ若との攻防を制し、1敗を死守した。
もろ差しを許して土俵際まで追い詰められながらも、左を巻き替えて応戦。
難を逃れると、体を密着させながらじりじりと持っていき、力を振り絞って寄り切った。
ストレート給金をした照ノ富士は、9日目に明生に敗れて初黒星。
過去6勝2敗と圧倒していたが、今回は食い下がられ、速い動きに上体が起きてしまい寄り切られた。
連敗は免れたが、取組後の取材には9日目に続き応じなかった。
10日目、貴景勝はまたも、あっけなく土俵を割った。
かど番脱出へ日を追うごとに緊張感が増す中、平幕相手に痛恨の連敗。
険しい表情で花道を引き揚げ、これまで同様に取材に応じることなく国技館を後にした。
相手は初顔の金峰山。
立ち合いで十分に押せず、いなしに乗じられて攻め込まれる。
簡単に横向きにされ、最後は力なく押し出された。
痛めている両膝の状態の悪さが影響したのか。
入幕2場所目の金峰山が「大関はいつも通りではなかった」と案じた。
10日目、関脇同士の対戦を制して勝ち越しを決めた。
霧馬山が大関昇進を見据えて、最初の関門を突破した。
突っ張りから得意の左四つに持ち込みたい若元春の攻めをしのいだ。
小手に振られようとしたところを外掛けで耐えると、右から手繰るように小手投げを決めて、土俵の外へ転がした。
「立ち合いがいい。やっと当たれるようになった。最後、肘をきめられて怖かったけど、落ち着いていけた」と振り返った。
10日目、右太腿の負傷で初日から休場していた平幕・高安が11日目から出場。
阿炎との対戦が組まれた。
初日の朝稽古で痛め「右内転筋筋損傷で全治に約3週間を要する見込み」との診断書を提出していた。
西前頭5枚目、琴勝峰が10日目の23日、日本相撲協会に休場を届け出た。
「左反復性膝蓋(しつがい)骨亜脱臼で約5日間の休場および安静加療を要する」との診断書を出した。
9日目に隆の勝に敗れ、8連敗で負け越しが決まっていた。
琴勝峰の休場は、新型コロナウイルスの影響で途中休場した昨年7月の名古屋場所以来。
10日目の対戦相手、大栄翔は不戦勝。
10日目、身長204センチの北青鵬がスケールの大きな相撲を披露した。
明生に土俵際まで攻め込まれたが、相手の肩越しに取った右上手を命綱にして、つま先立ちでこらえる。
そして最後は豪快な上手投げ。
「右上手は取れていたので、余裕はあった」と涼しい顔で振り返った。
3連勝で勝ち越しを決め、トップとは1差につける。
それでも、「自分の相撲を取るだけ」と浮かれた様子はない。
10日目、東前頭14枚目の朝乃山は西前頭9枚目の平戸海をはたき込み、9勝目を挙げた。
1敗を堅守し、横綱照ノ富士とともに賜杯レースで首位を走る。
今後は三役陣との対戦が組まれる可能性もあり、朝乃山は「今の自分の力がどこまで通じるのかやってみたい」と意欲を示した。
朝乃山は鋭く踏み込み、まわしを探る。
平戸海の左おっつけに右を差せなかったが、冷静だった。
低く攻めてくる相手に対し、まわしにこだわらず左へ回り、前のめりになったところをはたき込んだ。
朝乃山は「前には出られなかった相撲だが、体がうまく反応してくれた」とまずまずといった表情を浮かべた。
2023/05/23
9日目、自身6度目のカド番の大関・貴景勝は、西前頭4枚目・錦木に寄り切りで敗れ、3敗目を喫した。
大関はこの日も報道陣の取材には対応しなかった。
不戦勝を除いて6連勝中だった合い口のいい錦木戦は、立ち合いで右四つに組み止められると、出足が止まった。
胸が合うと、なすすべなく電車道で寄り切られた。
八角理事長は「こういうこともある。悪くはなかった。まだまだ足りないところがある感じですね」。
終盤は役力士との戦いが続くだけに、10日目の幕内・金峰山戦は落とせない。
9日目、大関取りを期す関脇・霧馬山は、関脇・大栄翔を突き落としで下し、2敗を守った。
大栄翔は、先場所決定戦で賜杯を争った相手。
先場所は本割、決定戦といずれも突き落としで勝利しており、この日で3場所連続となった。
立ち合いは「最初から頭でまっすぐ行こうと思った」と低い姿勢で突っ込んだが、相手自慢の突き押しに土俵際に押し込まれた。
「攻められて最後は下がったけど、力を出せて勝ててよかった。あまりいい相撲ではないですけど」。
それでも右四つに組み止めると、「流れでした」と左からの巧みな突き落としが決まった。
9日目、若元春が、ともに2敗でぶつかった豊昇龍との関脇対決で気迫を見せた。
右からかち上げ、左をねじ込むと、投げにきた相手を切り返し、「番付が並んでいるので、負けてはいられない」と、いつになく意地をにじませた。
トップの照ノ富士らを1差で追う。
ここまで持ち味を発揮しており、「勝っても、負けても、切り替えて、浮き足立たないようにしたい」と自らに言い聞かせた。
9日目、明生が照ノ富士に土をつけた。
しっかり当たった後は肩透かし、出し投げで揺さぶる。
うまく横から攻めて寄り切り、「いろいろなことは考えず、自分のできる範囲で動こうと思った。あまり実感がない」と淡々と振り返った。
初金星。
3場所ぶりに給金を直した。
横綱を引きずり下ろしてトップに並んだが、初賜杯への意識は全くないといい、「自分の相撲に自信を持ちたい。目の前の一番に集中しないといけない」。
浮かれることはない。
9日目、9場所ぶりに再入幕を果たした元大関の東前頭14枚目・朝乃山の力強い足音が下から聞こえてきた。
同10枚目・竜電に左に変化され、左上手を取られて頭を付けられても慌てなかった。
腰を振って、下手を切ってもろ差し狙い。
左が入らないと判断すると、すぐに上手を取って万全の体勢。
最後は引き付けて竜電の腰を砕いた。
今場所は、霧馬山を筆頭に4関脇の大関争いが話題の中心かもしれないが、優勝争いにスポットを当てると3人の1敗勢の中でも朝乃山が一歩、リードしていると思う。
NHKの勝ち越しインタビューで映し出された肩から胸の筋肉が自信に満ちあふれていた。
宮城野親方のように左上手が下から取れれば、さらに強くなる。
2023/05/22
8日目、3場所全休明けの横綱照ノ富士が、ストレート給金を達成した。
休場中に力をつけてきた琴勝峰を押し出して、幕内では21年九州場所以来となる6度目の全勝で折り返した。
平幕の明生と朝乃山がともに敗れて1敗に後退し、早くも単独トップに立った。
初の横綱戦に燃える琴勝峰を圧倒。
当たりを受け止めると右を浅く差し、左で抱えながら前進。
左に逃れる相手に対し、しっかり足を運んで押し出した。
「落ち着いて、圧力をかけられた」と振り返り、21年九州場所以来の全勝ターンには「そうですか」と涼しい顔だった。
8日目、カド番の貴景勝が小結正代を突き出して6勝目(2敗)を挙げた。
休場明けで臨んだ序盤は消極的な相撲が目立っていたが、中盤に立て直して3連勝。
大関残留まであと2勝とした。
元大関琴奨菊の秀ノ山親方は貴景勝の復調の要因を分析するとともに、看板力士として一層の奮起を求めた。
8日目、大関昇進を目指す霧馬山は、業師の宇良を退けて連敗を免れた。
低く当たってくる相手を下からうまく攻め、引いたところを押し倒し。
「前に行く気持ちだった」と振り返った。
7日目は、元大関の正代に消極的な相撲で敗れた。
その反省を生かし、「負けてもいいので、気持ちで負けないように、自分の相撲を取ろうと思った」と満足そうだった。
8日目、東前頭11枚目・北青鵬の魅力は規格外のスケールだ。
元大関の東前頭14枚目・朝乃山との一番。まともに当たったら一気に持って行かれると考えたのだろう。
左に変わって左上手。朝乃山も右を差して、左前まわしをつかむ万全の体勢だったが、北青鵬の人並み外れたパワーが朝乃山を包み込んだ。
204センチ、185キロの体と底なし沼のように深い懐。
最後はクレーンでつり上げるように下手投げでなぎ倒した。
8日目、朝乃山に土がついた。
左上手を狙って横に動いた北青鵬の立ち合いは「予想していなかった」。
長身の相手に苦しい展開。寄って突破口を探ったが、下手投げで転がされた。
2年ぶりの幕内の土俵。
初日から着々と白星を重ね、元大関の貫禄を示してきた中、ストレート給金はならず。
「欲が出たかもしれない。悔しい」と肩を落とした。
8日目、十両・豪ノ山が狼雅を下して8戦全勝とした。
立ち合いすぐに左前ミツを取られ、一気に攻め込まれたが下がりながら逆転の右突き落とし。
今場所初めての攻め込まれる内容に「立ち合い浮いちゃって相手の形になってしまった。まわしを取られて起きてしまった。なんとか勝ててホッとしている」と胸をなで下ろした。
2023/05/21
7日目、照ノ富士は初顔合わせの金峰山に貫禄勝ち。
すぐに右を差して寄り、上手投げで仕留めた。
「落ち着いて取れた。日に日に良くなっている」と納得の表情を浮かべた。
4場所連続の休場明けで無傷の7連勝。
着々と調子を上げているように見える中、「15日間終わってみないと分からない。できることを毎日やっていく」と油断はない。
7日目、関脇霧馬山が小結正代に寄り切られ、2敗目を喫した。
今場所ここまで5勝を挙げてきた霧馬山。
10勝に到達すると、大関取りの目安となる「三役(関脇・小結)で直近3場所合計33勝」をクリアする。
今場所で決めたい思いは強いが、土俵では後手後手に回る相撲が多い。
この日の取組についても本人は「全然ダメでした。何もできなかった」とガックリと肩を落とした。
7日目、苦しい展開にも慌てずに形勢逆転。
三役相手に白星を並べ、大栄翔が安定感を示している。
埼玉栄高の後輩でもある琴ノ若が前に出てくるところを、俵に足がかかりながら回り込み、突き放した。
「(相手の差し手を)うまく振りほどけて良かった」と一瞬空いた間を詰めるように、得意の突きで土俵外へ押し出した。
「稽古場(けいこば)でも必ずしも突き放せるわけではない」というが、「稽古場でやっている動きが染みついている」と日々の鍛錬が実った格好でもある。
7日目、1歳の誕生日を迎えた娘へ、この日の白星は何よりのプレゼントになった。
新関脇の連勝を6日目に「5」で止められた若元春だが、黒星を引きずらない。
得意の左四つから逃げられたが、主導権を渡さず錦富士を押し出して6勝目。
「勝っても負けても切り替えていくのが大事。勝っていくと浮ついた相撲になる。落ち着いて一番一番取れていると思います」。
少しも慌てず、堂々とした内容を見せつけた。
7日目、正代は力強い当たりから霧馬山を一気に攻める。
右を差して寄り切り、「しっかり(体を)ぶつけられた」。
大関昇進が懸かる相手に、元大関としての意地を見せた。
「自分より後輩が(大関に)上がるのは、精神衛生上、良くない」。
過去9勝5敗だった霧馬山とは今場所前、時津風部屋に出稽古に来た際に手合わせ。
「手応えはなかった」と、相手の実力を測りかねていたが、貫禄を示した格好だ。
遠藤はひざの痛みが悪化したため、夏場所7日目の20日から休場となりました。
穴水町出身の遠藤は先場所9勝6敗と勝ち越し、番付を4枚上げて西の前頭2枚目で今場所を迎えました。
しかし初日から6連敗を喫するなど動きに精彩を欠いていました。
師匠の追手風親方によりますと以前けがをした両ひざの痛みが悪化したということで、20日朝、埼玉県の病院で診察を受けたところ、両ひざの関節のねんざで3週間の安静と治療を要すると診断されました。
このため遠藤は日本相撲協会に届け出て夏場所7日目の20日から休場となりました。
7日目、平幕で全勝をキープしている明生は、見ていて気持ちの良い相撲を取る力士だ。
1メートル80、154キロの体は大型力士が増えた今の幕内の中では、決して大きい方ではない。
それでも立ち合いから真っ向勝負で相手に真っすぐ当たる取り口は、歯切れが良い。
佐田の海戦も左差しを狙って前に出ながら、土俵際まで押し込んだ。
そのまま押し切れなかったが、右からいなして肩透かしのような形で突き落とした。
今場所は自分の形に持ち込めなくても、二の矢の攻めが速い。
それだけ体がよく動いている証拠だろう。
腰や肘を痛め番付を落とした時期もあったが、体調の不安もなくなってきたようだ。
7日目、朝乃山は初顔の一山本を寄せ付けなかった。
得意の右差しは果たせなかったものの、圧力を生かして押し出し。
「下からあてがって、最後は相手が逃げる方についていけた」と満足そう。
幕内で初日からの7連勝は、新大関として臨んだ2020年の7月場所以来。
勝ち越しに王手をかけたが、「やるべきことは変わらない。恥ずかしい相撲は取れない」と気を引き締めた。
十両・豪ノ山(25=武隈部屋)が欧勝馬(26=鳴戸部屋)を下して初日から7連勝とした。
頭で激しく当たり合うと、突っ張ってからもろハズで一気に前に出て一方的に押し出し。
「自分の当たりでハズに入って持っていけたので良かったと思います」と完璧な内容に充実の表情を見せた。
場所直前には、時津風部屋に出稽古して関脇・霧馬山(26=陸奥部屋)や小結・正代(31=時津風部屋)らの胸も借りた。
「三役の稽古に混ぜてもらって、上位陣の緊張感や稽古に対する姿勢、雰囲気を感じることができて勉強になりました」。
4関脇が集結する豪華な稽古を間近で見ることで、学ぶことも多かった。
2023/05/20
6日目、4場所連続休場明けの横綱・照ノ富士が土つかずの6連勝を飾った。
西前頭4枚目・錦木を相手に立ってすぐ右差し。
上手には届かなかったが、抱えた左でねじ伏せるように小手投げで転がした。
「とにかく圧力をかけようと思っていた」と冷静に振り返った。
6日目、連敗はしない。
かど番の大関貴景勝が、立ち合いからはじき飛ばす本来の相撲で錦富士を押し出し、4勝目をあげた。
前日5日目の翔猿との一番は、行司差し違えで2敗目の黒星となった。
いやな流れを引きずっての連敗だけは避けたかった。
7日目の相手は業師の宇良が組まれた。
両膝に不安を抱える中で難敵は間違いない。
この日も取材対応はなく、黙って土俵だけに集中する。
6日目、霧馬山はうるさい翔猿に快勝した。
相手の突き押しや巻き替えにも動じず、組んで出て土俵際で上手投げ。
「よく相手のことを見られた」。
過去4勝6敗と合口の悪い相手にしっかり対応した。
大関昇進への目安となる2桁白星まであと5勝。
「一日一番しっかり」と集中している。
6日目、注目の関脇対決は大栄翔の良さだけが目立ちました。
前日の阿炎戦はすかされたような負けでしたが、豊昇龍戦は自分のやるべきことをしっかりやりきりました。
立ち合い100点、土俵際100点。
相手に何もさせないワンサイドの勝利でした。
大栄翔がこだわりを示す立ち合い。
何をするか分からないくせ者に両手を出して動きを止めて、そこから畳みかけました。
一見普通の攻めにも見受けられますが、手で行きながら頭でも行くように立つ独特の動きでした。
相手を懐に入れないという意味では作戦通り。
成長の跡がうかがえます。
6日目、若元春は阿炎の変化を警戒して立ったが、張り差しをまともに受け、簡単に肩透かしを食った。
「頭にないことをやられて足が止まった。ああいうところで対応できないのが足りないところ」と沈んだ声。
新関脇として迎えた今場所、初日からの連勝は5でストップ。
「体は動いている。一番一番勉強だと思ってやる」と気を取り直すように話した。
6日目、明生が幕内で自己新となる初日から6連勝を決めた。
業師の宇良に対して迷わず当たり、腕を手繰られそうになっても構わず前進した。
全勝は3人となり、期待も高まるが「ずっと負け越しているんで先のことは見えてないです。勝ち越したいという気持ちです」と無欲で臨んでいる。
6日目、現役力士最長身2メートル4の幕内・北青鵬が琴恵光を下して5勝目を挙げた。
北青鵬は立ち合い左から張って左で引っ張り込もうとするが、琴恵光が左おっつけ右喉輪で徹底的に距離を取って攻める。
中に入った琴恵光がもろ差しで寄っていくと、抱えた北青鵬が右小手投げで振ってから左上手を引いて寄り切った。
「どこかのタイミングで(まわし)取れればいいと思って最後取れたので」と、攻め込まれながらも絶対的な自信を持つ形に持ち込むまで余裕はあったようだ。
入幕2場所目でここまで5勝1敗の好成績。
先場所は9勝を挙げて勝ち越したが、目標だった2桁勝利には届かなかった。
「敢闘賞を獲れずに悔しい思いをしたので、今場所は優勝争いに絡みたい」。
現役最長身の大きな北青鵬が、大きな目標を見据えた。
6日目、9場所ぶりに幕内に復帰した元大関の朝乃山が水戸龍を寄り切って全勝を守った。
「先に先に攻める気持ちでいった」と手応えを示す左四つの型は、この日引退を表明した栃ノ心との稽古で磨いた。
新入幕直後の18年の巡業から、同じ左四つの朝乃山に声がかかった。
「栃ノ心関からしたら取りやすかったのでしょう。指名してもらったから今がある。少しでも活躍して恩返ししたい」と感謝の思いは尽きなかった。
6日目、日本相撲協会は、ジョージア出身で元大関の東十両5枚目・栃ノ心(35)=春日野=の現役引退を発表した。
栃ノ心は国技館で会見し、今年初場所で負傷した左肩の悪化が引き金となったと説明。
「相撲を取るのが怖くなった」などと語った。
親方になるための日本国籍は取得しておらず、協会には残らない。
2023/05/19
5日目、4場所連続休場明けの横綱・照ノ富士が土つかずの5連勝を飾った。
くせ者の東前頭4枚目・宇良にきめ出しで完勝した。
この日は横綱審議委員会(横審)による本場所総見。
“御前”で復調ぶりをアピールした。
照ノ富士が乗ってきた。
くせ者の宇良との一番。
もろ差しを許しながらも当たりを受け止めると、両腕で抱えて動きを止めた。
必死に抵抗する宇良を意地でも離さず、そのままきめ出し。
「(動きを止めるのが)一番大事だと思っていた。狙っていたわけじゃない。流れでそうなっただけ」と淡々と振り返った。
5日目、カド番の貴景勝が埼玉栄高の先輩・翔猿から2敗目を喫した。
当たって突いたが、足が出ない。
いなされて泳いだところを左四つに組み止められ、上手投げ。
貴景勝もすくい投げを打ち返し、軍配は貴景勝に上がったものの、協議の結果、差し違えだった。
取組後、貴景勝は取材対応せず、横綱審議委員会の本場所総見に出席した山内昌之委員長は、「この場所は試練と受け止めて、乗り越えてほしい」と期待していた。
5日目、大関獲りの霧馬山が小結・琴ノ若を下し、序盤を4勝1敗で終えた。
立ち合いは「稽古場でやっていたのでやってみようと思った」と珍しくもろ差しを狙い、押し込まれながらも左を差して左へ回り込んですくい投げで逆転した。
前日は勝ちを意識して取り直しも含めた2番連続の立ち合い変化。この日は「最初から真っすぐいくと決めていた。負けてもいいから自分の相撲を」と納得の内容だった。
5日目、関脇豊昇龍が、連勝で序盤戦5日間を4勝1敗で通過した。
小結正代に、立ち合いは突いて出ると、流れで左を差して前に出た。
そこから正代に組み止められ、今度は相手の圧力に後退。
だが相手の出足を利用し、右からの上手投げで仕留めた。
「集中して、いい相撲を取れたなと思います」と、胸を張った。
正代の時津風部屋には、場所前に何度も出稽古し、胸を合わせていた。
互いに手の内を知る相手だが「あまり気にしていない。自分のことだけを考えて、自分を信じて、1日1番、しっかり集中していきたいです」と、力強く話した。
5日目、新関脇若元春は、翠富士を寄り切って初日から5連勝とした。
得意の左四つに組み止めると、歓声が先走る。
観客にも勝利の「型」にはまったことが認識されているのだろう。
左差し、右上手。新関脇若元春が翠富士を寄り切って、幕内自己最多の5連勝。
初日からは初めてとなった。
「上手が引けてよかったけど、ちょっと遅かった。つかまえてから止まらずにいけた」
押し込みながら、左を力強くねじ込んだ。
右腕を長く伸ばして上手を探る。
2度目で指先がかかり、胸を合わせると休まず前へ出た。
序盤を無傷で乗り切り、「あまり考えていない。その日の一番に集中している」と表情を崩さなかった。
5日目、阿炎が3連敗中と苦手にしていた関脇大栄翔を突き落として、昨年春場所以来の勝利。
初日から4連勝と好調の相手に今場所初めて土を付けた。
立ち合いから押し込まれたが、土俵際で左へ回り込んで逆転。
「大栄翔関戦はいつも持っていかれるが、しっかり体が動いた」と満足そうに振り返る。
「押し込まれても慌てないで、しっかり集中できた。自分らしい相撲が取れた」と本人も手応え十分の一番だった。
5日目、平幕明生が錦木を下手投げで退け、初日から5連勝を飾った。
5連勝スタートは自己最長タイ。
目を細めて照れくさそうに笑った。
2021年初場所に並ぶ自己最長タイの5連勝発進。
明生は「うれしいっすね」と素直に喜びを口にした。
錦木に対して立ち合いでもろ差しに。
巻き替えられて左を差されて寄られたが、土俵際で逆転の下手投げを決めた。
「もうダメかなと思った」と振り返る展開からの白星に、好調ぶりがうかがえた。
春場所後、逆まつげに長年悩まされていた右目の手術に踏み切った。
医師には「眼球を傷つけて見えなくなると言われていた」という。
光をまぶしく感じて頭痛がするなどの症状も改善。
「ホッとした。痛くなくなった」と日常のストレスが減り、相撲により集中できている。
5日目、朝乃山が碧山を押し出し、5連勝とした。
得意の右差し、左上手にもこだわらず一気に出た。
碧山が左を固めてきたこともあったが「しっかり踏み込めた」と手応えを口にした。
夏場所では4年前、平幕優勝して当時のトランプ大統領から米国大統領杯を受け取った。
この日、サミット出席のため、バイデン大統領が来日。
感想を問われたが「もう過去のこと」とし、波乱に満ちた4年間を踏まえて視線を前だけに向ける覚悟を示した。
2023/05/18
4日目、3場所連続全休していた横綱・照ノ富士が帰ってきた。
翔猿をきめ出して初日から4連勝。誰が優勝するか分からない「戦国土俵」で、番付最高位のプライドを見せている。
4場所ぶりに初日から出場の照ノ富士は、順調に白星を並べた。
「動きを止めることを意識して」と前回対戦した2022年秋場所で不覚を取った翔猿を引っ張り込んで抱えると、つり上げるようにしてきめ出した。
4日目、かど番の大関貴景勝は、相撲巧者の遠藤に相撲をとらせなかった。
立ち合い、左変化ではたき込み。
今場所初めての連勝で星を3勝1敗とし、通算勝利を401勝とした。
テーピングで固めた両膝への不安を抱える中で、大関の座死守へ、必死の土俵が続く。
この日も取組後の取材対応はなかった。
4日目、大関取りを狙う関脇・霧馬山が取り直しの末に3勝目を挙げたが、不安が残る内容だった。
最初の一番は錦富士を相手に左へ変化気味に立った。
前に出るも土俵際でもつれ「(突っ張りを)絶対外さないと思ったけれど相手の動きが速くて外れてしまった」と反省。
行司の軍配は錦富士に上がったが、物言いがつき、同体取り直しとなった。
取り直しの一番でまたも飛んだ。
左四つになって攻めると、最後ははたき込んだ。だが内容について「立ち合いの手があまり合わなかった。思ったとおりいけていない」と不満げ。
3日目に土がついており、連敗こそ免れたが「自分の中でもバタバタしていると感じている。明日からしっかりやりたい」と反省の弁が続いた。
4日目、豊昇龍が連敗を免れた。
阿炎の突き押しに動じず、うまくいなして体勢を整えると、一気に土俵の外へ。
「しっかり落ち着いて、自分の相撲を取った」と満足そうに振り返った。
大関昇進が懸かる霧馬山ら、4関脇がひしめく。
後れは取りたくないところだが、「周りを気にしないで、一日一番、取っていきたい」と、淡々と言った。
4日目、大栄翔は、正代を突いて起こし、1度は引いたものの、思い直したように突き押しを繰り出し、タイミング良くはたきこんで無傷の4連勝。
押し相撲で頂点に上り詰めた八角理事長は「今日は立ち合いから思いきり行かず(相手を)見て行き、無理して出て行かなかった。勝てると思う相手に、安全に勝ちに行くのは押し相撲の力士には難しいこと。今日はそういう相撲を取った」と分析した上で「そういう意味で力をつけた印象」と、こちらは好印象を持ったようだ。
4日目、新関脇・若元春が自己タイの無傷4連勝を飾った。
全勝同士の対決となった小結・琴ノ若との一番を押し出しで快勝。
弟の小結・若隆景が先場所中の負傷で長期休場の見込みとなる中、兄が奮闘している。
浅香山審判長は「自分の形になれば強い。自分の形で勝つことはいいこと」と評価。
八角理事長は「左四つになった後の攻めが速い。おっつけながら左を差すというね。相当に力が強いのでしょう。ここ数場所、自信を持っていて内容がいい」と、成長を指摘した。
4日目、東前頭6枚目の明生が北勝富士を寄り切って、初日から4連勝とした。
明生が北勝富士を破り、令和3年初場所以来の初日から4連勝。
立ち合いから押し込み、体を左に開いていなし。相手の体勢を崩して右差し、左上手を取って寄り切った。
相手がよく見えるそうで、「体が動いている。集中もできている」。
4日目、東前頭14枚目の朝乃山は、盤石の相撲で西前頭16枚目の王鵬を押し出し、初日から4連勝とした。
初顔合わせとなった先場所では痛恨の黒星を喫したが、雪辱を果たし「気持ちだけでいった」と手応えを示した。
立ち合いで当たると、瞬時に右をねじ込み、ぐいぐいと前に出る。
左に逃げる王鵬に冷静についていき、3秒の速攻相撲で勝負を決めた。
先場所を振り返り「悔いが残る一番だった。先場所のことは何も考えないで踏み込んだ」と無心を強調した。
2023/05/17
3日目、一人横綱・照ノ富士は、幕内・遠藤を押し出しで下し、無傷3連勝を飾った。
全勝を守り「始まったばかりですし、(残り)12日もあるのでね。
満足できるような相撲ではないけど、とりあえず勝っているんでね」と淡々と話した。
立ち合いは右を固めて踏み込むと、相手の右腕を手繰って背後を取った。
くるりと一回転して立て直す遠藤に反撃のスキを与えず、一気に押し出した。
幕内後半戦を土俵下で見守った佐渡ケ嶽審判部長は「(横綱は)遠藤の左四つを警戒して脇を固めていった。立ち合いの後も膝が曲がっていた。攻めてもいた」と、横綱の攻めを評した。
3日目、かど番の大関貴景勝が気迫で最初の大ピンチを乗り越えた。
前日に続きテーピングを施した両膝への不安を抱えながら、翠富士を攻め続けて押し出した。
最悪の連敗を阻止して節目の通算400勝を飾り、2勝1敗と白星を先行させた。
NHKの解説を務めた元小結の舞の海氏は「気迫に満ちた相撲でした」と感嘆した。
3日目、初の「大関とり」に挑む関脇霧馬山は阿炎に引き落とされ初黒星を喫した。
阿炎のもろ手突きをこらえて前に出たが、タイミングよく引かれると土俵にバタリと手をついた。
「最後にもう一歩、足が出なかった」と反省。
それでも「直近3場所を三役で33勝以上」とされる大関昇進の目安までは残り12日間で8勝。
「まだ先は長い。これからも自分の相撲を取っていきます」と気持ちの切り替えを強調した。
3日目、関脇大栄翔が、錦木を押し出して先場所に続き、初日から3連勝とした。
一度は組み止められるも右上手を振って体を入れ替え、得意な突き押しの体勢に持ち込んだ。
取組を振り返って大栄翔は「こういう相撲で何番も勝てるわけではないので自分の相撲を取りきりたい」と反省点を口にしたが、星が付いてきていることが何よりの喜び。
「勝ち星が続いているのは良いこと。しっかり集中して相撲を取りたい」と前を向いた。
3日目、新関脇・若元春は、元大関で小結・正代を逆転の突き落としで下し、無傷の3連勝を飾った。
天然理心流か北辰一刀流か。
若元春の土俵際の切れ味鋭い突き落としには目を疑った。
元大関・正代をまさにコマ送り。立ち合いの当たり、スピード、圧力を併せ持つ“四つ相撲のスペシャリスト”が久しぶりに出てきたと思った。
若元春の良さは土俵際の粘りだけではない。
本来、四つ相撲の力士は肩で当たるものだが、若元春は頭で当たることもできる。
圧巻は左の使い方だ。
相手の右のかいな(腕)を絞りながら、下からおっつけて差すので体を浮き上がらせることができる。
職人技といっていいだろう。
3日目、小結・琴ノ若が右からの上手投げで錦富士を倒し、3連勝とした。
立ち合いで右から当たるとすぐさま体を開いて投げ捨てた。
「15日間前へ出る相撲を取り切れないこともある。こういう相撲も自信にしたい」。
春場所は終盤の3連敗が響き2桁勝利を逃した。
終盤対策を問う声にも、「序盤に関しては一日一番しっかり取れている」と眼前の戦いから視線を外さなかった。
3日目、御嶽海は4連敗中だった玉鷲に土俵際まで押し込まれたが、体を入れ替えて逆襲。
押し出して玉鷲との連敗をストップした。
前日の2日目に通算400勝を達成したが、「まだ400勝。負け過ぎました」と幕内優勝3回の元大関には不満の残る白星のペース。
通算401勝目のこの日は「しっかり相手に圧力をかけて勝つことができた。早く500勝に到達するようにどんどん勝っていきたい」と自らを奮い立たせた。
3日目、行司の軍配は琴恵光に上がったが、攻めていたのは朝乃山。
際どい勝負に藤島審判長の手が挙がる。
物言い。「負けだと思ってた」という朝乃山だったが、協議の結果は軍配差し違え。
9場所ぶり再入幕の朝乃山が、初日から3連勝となる白星を手にした。
右を差し、168キロの体を生かして一気に攻めたが、まわしをつかんでいなかったことを「ほんとに勉強不足。というかアホですね」と自分を責めた。
「(勝っても)うれしいとは思わない」と反省の言葉しか出なかったが、「無意識かもしれない」と土俵に落ちるときにたたんだ左腕が執念の白星を呼び込んだ。
初日から休場している小結 若隆景について、手術を受けた右ひざの治療におよそ5か月を要する見込みだとする診断書を公表しました。
荒汐部屋の若隆景はことし3月の春場所で右ひざを痛めて途中休場し、その時の診察では、およそ3か月の治療が必要だと診断されていました。
その後、先月、右ひざの前十字じん帯の再建手術を受けた若隆景について、日本相撲協会は16日、新たな診断書を公表しました。
それによりますと、手術を受けた右ひざについて、先月15日に都内の医療機関を受診した結果、およそ5か月の治療を要する見込みと診断されたということです。
若隆景は先場所まで7場所連続で関脇を務めるなど大関候補としても注目を集めてきましたが、これで長期の休場は避けられず、番付も大きく下げることになります。
2023/05/16
2日目、3場所連続全休明けの横綱照ノ富士が、阿炎を突き落として2連勝を飾った。
初日からの連勝は昨年の1月の初場所以来と8場所ぶり。
課題としていた当たりの強さにも手応えをつかんだ。
2日目、カド番の大関・貴景勝は小結・琴ノ若に寄り切られて早くも初黒星を喫した。
初日には見られなかった両膝のテーピングが貴景勝の現状を物語っている。
初日も土俵から下りるのもつらそうだった。
苦しそうなそぶりをめったに見せない大関のなりふり構わない姿。
琴ノ若の胸に思い切り当たり、押せないと判断するとすぐに引いた。
頭を付け左からいなそうとしたが、圧力がかかってないから全く利かない。
最後は右を差されて上体が浮き上がり、そのまま寄り切られた。
2日目、相撲巧者の遠藤を横向きにさせると、反撃を許さず一気の押し。
文句なしの完勝で、霧馬山が大関とりの場所を連勝で滑りだした。
「相撲はあんまり覚えてないんですけど、流れはいいと思います」
土俵下で勝負を見守っていた藤島審判長も「伸び伸び取ってます。毎日土俵に上がるのが楽しいというぐらい」と評すほど、自然と体が動く。
すべては稽古のたまものだ。
2日目、新関脇の若元春は激しい突き押しで翔猿を土俵下に転がり落とし、初日から連勝発進を決めた。
圧勝劇について「たまたまです」と謙遜しながらも「前に出るしかないと思っていったら相手がはじけて、隙間が空いたのでああいう勝ち方になった」と好調をアピール。
「日々いっぱいいっぱいで相撲を取っているので自信とかはないですけど、状態はいい。あとは変に今の状態を崩さないだけです」と3日目以降も無心で挑む。
2日目、小結・琴ノ若は貴景勝を破って2連勝とした。
右差し左上手の得意の形をつくって完勝。
埼玉栄高の先輩で膝のケガを抱える手負いのカド番大関が相手だが「土俵に上がったら関係ない。相手ではなく自分との勝負」と心境に変化はなく平常心を貫いた。
この日は父であり師匠でもある佐渡ケ嶽親方の55歳の誕生日。
母の日だった初日に続いて父にも白星を届けた。
正代が取り直しの末に白星をつかんだ。
土俵際で突き落とされ、錦富士に軍配が上がったものの、同体とみなされて「チャンスがもう一番ある」。
前に攻め続けて寄り切り、「しんどかった。出足が浅くなったが、最後は体を預けられた」と一息ついた。
平幕に転落した先場所で10勝を挙げ、小結に返り咲いた。
本来の馬力ある相撲を取り戻しつつあり、元大関は「今後につながる」と先を見据えた。
2日目、西前頭6枚目・御嶽海は東前頭7枚目・北勝富士に寄り倒しで勝ち、今場所初白星を挙げた。
御嶽海は通算400勝とした。
3日目の16日は西前頭7枚目・玉鷲と対戦する。
最初の一番は押し切れずに引いたところを寄られて土俵を割り、同体で取り直しとなった。
取り直しの一番は互いに土俵際まで押し込む一進一退の攻防となり、最後は御嶽海が左下手を引いて寄り倒した。
2日目、元大関で9場所ぶりに再入幕を果たした東前頭14枚目・朝乃山が、西同14枚目・妙義龍を寄り切って連勝スタートを飾った。
三役経験豊富な実力者に万全の内容で勝ち波に乗ってきた。
朝乃山はベテラン妙義龍に鋭く当たって右を差し勝ち、左上手もつかんで力強く足を運んだ。
「相手のもろ差しが見えたので、右を固めて差せた。左を引きつけてじっくり寄れた」と手応えをにじませた。
2023/05/15
14日、8カ月ぶりに土俵へ帰ってきた。
休場している間に解禁となった声を出しての応援。
「久しぶりって感じですかね。やっと土俵に立てた。久しぶりに盛り上がる歓声を聞けてうれしいです。一日も早く土俵に戻りたいと思ってやってきました」。
胸に込み上げてくるものがあった。
復帰初戦で正代をすくい投げ。
寄られながらも右腕をこじ入れた。
本来の勝ち方ではなかったかもしれないが、「いつも通りできたかな」と滑り出しとしては合格点。
横綱在位中の連続休場は実に歴代8位の51。
昨年秋場所8日目の錦木戦以来となる238日ぶりの白星をかみしめた。
14日、先場所の綱とりから一転、かど番で迎えた場所で白星発進した。
過去3勝6敗と苦手にしていた東前頭筆頭の阿炎との一番。
立ち合いで押し込まれてひやりの場面もあったが、左からの強烈なおっつけから押し出した。
自身が陥落すれば、大関がいなくなるピンチとなる。
取組後の取材対応はなかったが、大関として生き残る意気込みは土俵の上で示した。
14日、大関取りを狙う関脇・霧馬山が白星発進した。
立ち合いから幕内・翠富士を引いて呼び込んでしまったが、しぶとさを発揮。
土俵際で体を左に開いて肩すかしで逆転した。
緊張や硬さもあったことを明かし「相手が低くてビビって引いちゃった。でもよく残して、流れで勝てた」と安ど。
八角理事長も「踏み込まれて中に入られたけど我慢した。押し返したのは足腰の良さとバランスの良さ」と評した。
東前頭2枚目高安が夏場所初日の14日から休場した。
師匠の田子ノ浦親方によると、同日の朝稽古で右太もも付近を負傷。
日本相撲協会に「内転筋の損傷で全治には約3週間を要する」との診断書を提出した。
初日の対戦相手、豊昇龍は不戦勝。
14日、三段目からはい上がってきた元大関・朝乃山が、21年夏場所11日目以来725日ぶりとなる幕内力士としての白星を手にした。
「725日、長いですね。白星よりも(幕内で)お客さんの前で相撲を取れるのがうれしいです」と感謝の気持ちを込めた。
幕内・千代翔馬との立ち合いは右をねじ込むと、得意の右四つ。
最後は冷静にかいなを返しながら、確実に寄り切った。
大歓声を浴び「土俵に立った時は緊張感があった。前に出て取れたのでよかった」と納得の表情だった。
夏場所は4年前に平幕で初優勝し、トランプ米大統領から大統領杯を受け取った思い出もある。
「ここからが本当の勝負という気持ちだった。前の番付はプレッシャーだが、それに打ち勝てるように。序盤5日間が大事なので集中していきたい」と気合を入れた。
2023/05/14
かど番の大関貴景勝と大関とりがかかる関脇霧馬山が13日、両国国技館で行われた優勝額の贈呈式に出席した。
春場所で初優勝を飾った霧馬山は、自身の額を目にし「かっこいいですね。すごくうれしかった。入った時からいつか優勝するんだと目標にしていた。今日は朝から良い一日」とご機嫌。
「また優勝するという気持ちで」と意気込んだ。
芝田山広報部長は「ここ数場所の相撲内容や勢いが持続すれば、場所後に大関昇進の声が聞こえるのでは」と期待した。
初場所を制した貴景勝は報道陣の囲み取材には応ぜず。
左膝のケガで春場所を途中休場したとあって、緊張感を漂わせた。
西前頭6枚目に下がった元大関の御嶽海は、東前頭6枚目の明生と当たる。
2日目は東前頭7枚目の北勝富士との顔合わせが組まれている。
新型コロナウイルス禍で3年余できなかった場所前の出稽古に励んだ成果を見せて、好発進したい。
大相撲夏場所初日を翌日に控えた13日、会場となる東京・両国国技館で土俵祭りが営まれ、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)や審判部の親方らが15日間の安全を祈願した。
一般には非公開で、横綱照ノ富士や大関貴景勝ら力士は出席しなかった。
今場所は4場所ぶりに横綱、大関陣が初日からそろって出場する。
新関脇だった先場所で初優勝した霧馬山は大関昇進に挑戦。
元大関の朝乃山は2年ぶりに幕内の土俵に上がる。
新型コロナウイルスの5類移行に伴い、本場所約2週間前の番付発表後は認められていなかった出稽古が、今場所から初日直前まで認められた。
2023/05/13
昇進問題を預かる審判部の佐渡ケ嶽部長は12日、夏場所で大関昇進に挑む関脇霧馬山について「1回で決めてほしい。1桁ではなく2桁(勝利)。10勝以上の成績で千秋楽を迎えてもらいたい」と期待した。
霧馬山は三役で11、12勝と続け、先場所で初優勝。
昇進目安とされる直近3場所合計33勝には10勝で届く。
佐渡ケ嶽部長は2場所前に前頭筆頭で10勝、先場所は小結で12勝の大栄翔にも言及。
「筆頭での10勝というのがある。審判部で今後、話をしていかないといけない。今場所の成績にもよる」と慎重な見解を示した。
12日、大相撲夏場所を休場する西小結の若隆景の診断書を公表し、3月24日付で「右前十字靱帯損傷、右外側半月板損傷などで3カ月程度の療養を要する」との内容だった。
4月上旬に靱帯再建手術を受け、師匠の荒汐親方は11月の九州場所までに出場できるかは微妙との見解を示している。
若隆景は先場所まで7場所連続で関脇を務め、大関候補と期待されていた。
休場が長引けば、年内には幕下に番付を下げる可能性が高い。
12日、東京・両国国技館で夏場所の取組編成会議を開き、2日目までの取組を決めた。
元大関で再入幕の東前頭14枚目・朝乃山は「2ケタ以上、絶対に勝ちます」と決意。
元大関が幕内の土俵に戻ってくる。
9場所ぶりに再入幕の朝乃山はこの日、都内の部屋で稽古後に取材に応じ、「2年ぶりの幕内ですし、楽しみではある。けど成績を残さないといけない。自分の相撲を取り切って結果を残したい。2ケタ以上絶対に勝ちます」と決意を込めた。
2023/05/12
大関昇進に挑む関脇霧馬山が11日、東京都墨田区の時津風部屋へ出稽古し、同じモンゴル出身で元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジさんの激励を受けた。
ダグワドルジさんのおいの関脇豊昇龍らとの15番で場所前の出稽古を終了し「きょうは特別。いい稽古ができたと思う」と充実感を漂わせた。
夏場所で10勝以上ならば昇進の目安とされる直近3場所の合計33勝をクリアする状況にも「一日一番、いつも通りにいくしかない」と平常心を強調する。
ダグワドルジさんからは「優勝を経験している人間。自信を持って引っ張ってほしい」との熱いエールが送られた。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は11日、夏場所15日間の懸賞申し込み総本数を1850本と明らかにした。
新規で10社の申し込みがあり、昨年夏場所の申し込み時点を100本程度上回った。
個人では大関貴景勝が142本でトップ。
十両・落合が11日、都内の宮城野部屋で稽古を行い、夏場所(14日初日、東京・両国国技館)への意気込みを語った。
昭和以降初の所要1場所での新十両となった春場所は10勝5敗。
「15日間取り切るのは大変だと改めて感じた。一日一日の切り替えが大事」と学びを得た。
師匠の宮城野親方(元横綱・白鵬)は十両2場所目の04年春場所で12勝を挙げて十両優勝を飾り、翌場所新入幕。
くしくも当時の白鵬と全く同じ西十両8枚目の“令和の怪物”は「自分も12勝したい」と十両2場所通過を目標に掲げ、憧れの大横綱と同じ道を歩むことを誓った。
2023/05/11
両膝痛などで4場所連続休場中の大相撲の横綱照ノ富士について、師匠の伊勢ケ浜親方は10日、夏場所の出場を改めて明言した。
「出るからには優勝を目指して頑張らなくてはいけない。初日、2日目と順調に勝っていければ波に乗れる」と見解を示した。
この日の照ノ富士は東京都江東区の伊勢ケ浜部屋ですり足やゴムチューブを使ったトレーニングなどで汗を流し、相撲は取らなかった。
本人は取材に応じなかったが、師匠は「ちゃんと汗をかいているし、稽古をやれている」と語った。
陸奥部屋で、幕下以下の力士による暴力が判明してから一夜明けた10日、部屋付きの鶴竜親方は、出稽古した部屋頭の関脇霧馬山に同行し、都内の時津風部屋の朝稽古を指導した。
朝稽古では何度も「投げにいかない」「我慢しろ」と助言。
安易な投げを打ちがちな霧馬山に、粘って腰を下ろして寄り切るよう求めた。
稽古後、霧馬山について「いい感じで来てるんじゃないかな。このままケガなくいけば」と、夏場所で10勝以上すれば有力視される、弟弟子の大関昇進を期待している様子だった。
大相撲夏場所を控えた10日、幕内錦富士が東京・江東区の富岡八幡宮で結婚式を挙げた。
お相手は石川県出身で元会社員の藤添静香さん。
11日に婚姻届を提出する。
静香さんとは一昨年10月にパーティー会場で知り合い、錦富士がひと目ぼれ。
同年12月25日のクリスマスに交際を申し込み、その1年後にプロポーズした。
錦富士は「(第一印象は)見た目もすてきなんですけど、中身も含めて絶対にいい人だなと。周りからは土屋太鳳さん(女優)に似ていると言われる」と幸せいっぱい。
10月には第1子が誕生予定で「想定外のこともたくさん起きると思う。そこは2人で手を取り合って1個ずつ成長していけたら」と早くもパパの自覚をのぞかせた。
大関を狙う4関脇が10日、都内の時津風部屋に集合した。
霧馬山(陸奥)、豊昇龍(立浪)、大栄翔(追手風)、若元春(荒汐)らが出稽古に訪れた。
国技館から目と鼻の先の時津風部屋で力のこもった“前哨戦”が繰り広げられた。
先場所優勝の霧馬山は最多の計20番。
圧巻は12番連続での相撲だった。
大栄翔、若元春を撃破するなど9連勝。
「自分から(申し合いに)行きました。番数もちょうどよかった」。
豊昇龍には負け越したが、大栄翔には2勝1敗、若元春には3勝0敗と勝ち越した。
続いたのは同じモンゴル出身の豊昇龍の計19番(13勝6敗)だ。
霧馬山とは3番続けて相撲を取り、3連勝するなど4勝2敗。
だが番数で負けたことを報道陣に知らされると「そうか。もっとやりたかったね」と悔しさもにじませた。
若元春は計11番で3勝8敗も「調子は上がっている」と手応え。
計7番で3勝4敗だった大栄翔も「強い相手だと簡単に押せない。同じくらいの番付の力士とやるのは1番いい」と振り返った。
大栄翔は夏場所まで出稽古する予定がないことを明かした。
大関昇進を狙う4人が顔を合わせるのはこの日が最後となりそうだ。
吉本興業株式会社、株式会社LIVE FORWARDは11日
8月3日に茨城県龍ケ崎市のニューライフアリーナ龍ケ崎(たつのこアリーナ)で
「龍ケ崎市市制70周年記念 大相撲龍ケ崎場所」を開催すると発表した。
同市での巡業開催は約5年ぶり。
横綱・照ノ富士、大関・貴景勝、土浦市出身の高安ら200人の参加を予定している。
関連リンク
令和5年夏巡業 龍ケ崎市市制70周年記念 大相撲龍ケ崎場所
2023/05/10
両膝痛などで4場所連続休場中の横綱照ノ富士が調整ペースを上げてきた。
9日は東京都江東区の伊勢ケ浜部屋で幕内宝富士と10番取って9勝1敗。
新三役を狙う翠富士や錦富士の他、幕下以下の力士にも胸を出すなど精力的に汗を流した。
腰を深く落としたすり足もこなした。
横綱は取材には応じなかったが、8日には師匠の伊勢ケ浜親方が夏場所出場を明言。
万全の仕上がりを目指していく。
大関昇進を目指す霧馬山の他、豊昇龍と大栄翔の3関脇が9日、東京都墨田区の時津風部屋に出稽古し、熱のこもった申し合いを繰り広げた。
最多の22番を取って13勝9敗だった霧馬山は「もう少しやりたかった。久々にいい稽古ができている」と満足そうに汗を拭った。
豊昇龍は霧馬山との手合わせを求め、7番の直接対決は3勝4敗だった。
ともにモンゴル出身で、対抗心をむき出しにした攻防となり「全部がいい感じ。良かった」と白い歯をのぞかせた。
大栄翔は「自分の中ではいつもより稽古できている感覚はある」と充実感を漂わせた。
新関脇の若元春が9日、東京都中央区の荒汐部屋で幕下以下の力士に胸を出し、ゴムチューブを使ったトレーニングでも汗を流した。
「基礎となるところをしっかり見直している。順調に調整できている」と手応えを話した。
小結2場所目だった春場所で11勝。
夏場所では初三賞に意欲を燃やしており「関脇として恥ずかしくない成績を残したい」と意気込んだ。
先場所10勝を挙げて優勝争いに加わった西前頭筆頭の翠富士は9日、東京都江東区の伊勢ケ浜部屋で西前頭3枚目の錦富士らと11番取った。
新三役昇進を狙う夏場所へ「まずは勝ち越し。そうすれば周りの成績次第で、三役昇進もあり得る」と語った。
体重は幕内最軽量の116キロ。
激しい取り口で活躍した小兵の元関脇鷲羽山に憧れており「押し、投げと何でもできる力士。自分もああなりたい」と話した。
西前頭14枚目の妙義龍が、夏場所に向けて、順調な仕上がりを披露した。
7日、都内の部屋で稽古し、前頭佐田の海、平戸海、十両対馬洋を相手に10番取って、8勝2敗。
序盤から8連勝し、豪快な上手投げや鋭い出足で寄り切るなど、多彩な内容だった。
「初日を万全な状態で迎えるため、ハイペースで稽古をしている。若い衆も活気がある」と場所に向けて充実の表情を見せた。
1横綱6大関時代だった12年ごろを振り返り「白鵬関、日馬富士関、琴欧洲関みんなすごかったよね。1場所で三役以上との対戦だけで10番くらいあったからね」と懐かしんだ。
「またあのしびれる雰囲気を味わうためにもう1度、三役に戻りたい」。
これが妙義龍が稽古に打ち込む原動力だ。
陸奥部屋で力士による暴力行為があったことが9日、分かった。
昨年末から今年1月にかけて幕下以下の力士1人が他の力士1人に暴力を振るい、加害者は4月に引退したという。
同部屋は元大関・霧島が師匠を務め、夏場所で大関昇進に挑む関脇・霧馬山が所属している。
2023/05/09
両膝手術の影響などで4場所連続休場中の大相撲の横綱・照ノ富士について、師匠・伊勢ケ浜親方が8日、夏場所の出場を明言した。
「出ます。15日間取り切って、横綱ですので出るからには優勝を目指してやってもらわないといけない」と語った。
進退を懸けるかどうかについては言及しなかった。
左膝負傷で先場所を途中休場し、大相撲夏場所は6度目のかど番となる大関貴景勝が8日、東京都板橋区の常盤山部屋で稽古し、相撲は取らず四股などの基礎運動で汗を流した。
前日は関脇大栄翔や幕内遠藤らが所属する追手風部屋に出稽古。
本人は取材に応じなかったが、師匠の常盤山親方は「もちろん出る」と出場を明言した。
患部にテーピングやサポーターを施さなかったものの、すり足は少しぎこちない足の運びで、痛めたのとは反対の右膝を気にするそぶりも見せた。
9日以降は稽古場での取材を控えるよう師匠を通じて報道陣に求め、かど番脱出に向けて緊張感を漂わせた。
初めての大関とりに挑む関脇霧馬山は8日、東京・墨田区の時津風部屋へ出稽古に赴き、出稽古に訪れた関脇大栄翔らとの申し合い(勝った者が何度も取る)で、29番取って20勝9敗と気を吐いた。
大栄翔も21番(10勝11敗)を取り、直接対決は霧馬山の10勝5敗。
激しい突き合い、土俵際の逆転の投げなど緊張感を漂わせ、敗れても「もう一丁」と願い出て全52番の土俵はほぼ2人の独占状態に。
新型コロナウイルスの5類移行に伴い、日本相撲協会は出稽古を初日直前まで緩和。
所属部屋でただ一人の関取となる霧馬山は、それを有効活用し「大栄翔とやりたかった。このまま1日30番くらいは取っていきたい」とこのペースを維持するという。
稽古を視察した大相撲解説者、舞の海秀平氏は「2人は(番付の)上を目指す者の稽古をしている。(霧馬山は)優勝争いの中心になるのでは」と評価した。
新関脇として臨む若元春が3日、東京都墨田区の時津風部屋に出稽古し、横綱照ノ富士と相撲をとった。
横綱に指名され、連続4番で1勝3敗。
「勉強になった。稽古場で買って(=指名して)いただけることが光栄。しっかり勉強できた」と収穫を口にした。
すべて得意とする左四つに組んだが、最初の一番で寄り切った後は歯が立たず。
がっぷりに組み止めた横綱から「前へ出ろ」、「まわしを切って前へ出ろ」とゲキを飛ばされる場面もあった。
必死の形相で攻めようとしても前に出られずに寄り切られ「重かったっすね。重いし、引きつける力が違う」と脱帽した。
2場所連続小結で勝ち越し、先場所は11勝。
夏場所では大関とりの足固めを狙う。
横綱との対戦が組まれることは確実。
「左四つがっぷりでまわしを許してしまうと、自分の形ではとりきれない。相手十分にさせないように、自分の十分を作っていかないと」と思案を巡らせていた。
大関経験者の小結正代が、夏場所に向けて、心身ともに状態上向きをアピールした。
5日、都内の部屋で稽古し、十両時疾風、幕下吉井を相手に13番取って10勝3敗。
土俵際まで寄られても、左からのすくい投げで逆転したり、豪快に突き倒したりと、力強い内容の相撲を披露した。
先場所は西前頭筆頭で10勝5敗の好成績。
「ケガも治って体が動くようになっている」と、先場所に続き、状態の良さを感じている。
昨年11月の九州場所は、かど番で6勝9敗に終わり、大関から陥落した。
10勝すれば大関に復帰できた1月の初場所も6勝9敗。
「自分らしさがなかった」と振り返る。
大関を務めた2年間を振り返って「勝ちにこだわりすぎていた。前に出るのが怖かった。前に出て、かわされるんじゃないかと思っていた。でも、かわされたとしても、前に出ればよかったと今は思う。ずっと後悔していた」と、しみじみと語った。
コロナ禍で磨きをかけた思考力で夏場所に挑む。
7日、部屋での稽古で平戸海や妙義龍ら関取衆と9番取り、「体の張りは悪くない」と順調な仕上がり。
11勝を挙げて敢闘賞を獲得した昨年の同場所の再現を狙う。
35歳のベテランは、今も強さを追い求めて考えることを怠らない。
きっかけはコロナ禍。
社会が停滞し移動も行動も制限がかかる不自由な環境が、逆に「自分で考えることが身についた」という。
体の使い方を学ぼうと柔術を教わったり、空手のチャンピオンから話を聞いたり。
良いと思えばさまざまなことを取り入れ「コロナというマイナスな期間でも、プラスにも捉えられた」と受け止める。
養った考える力は、今はっきりと武器になっている。
「若いときに聞いても気がつかなかったことが、今はかみくだけることだってあるんですよね。これってどういうことなんだろうと考えるんです。何かヒントはないかといつも考えてます」。
東前頭8枚目として臨む夏場所。
「去年と同じく調子が良く、場所に入りたい」と意気込んだ。
西前頭9枚目の平戸海が7日、都内の部屋で夏場所に向けて熱のこもった稽古を行った。
申し合い稽古では21番をこなし12勝9敗。
相撲巧者の兄弟子、佐田の海を一方的に寄り切る場面もあった。
土俵以外の時間では、境川親方の勧めで、第58代横綱千代の富士の動画をチェック。
自身と同じく、左で前まわしを取る相撲を得意とした昭和の大横綱からヒントを得ているという。
元関脇で西前頭13枚目の逸ノ城が4日、電撃引退した。
この日、日本相撲協会に引退届を提出。
東京・両国国技館で緊急会見を開き、腰痛の深刻化が理由とした。
モンゴルから鳥取城北高に相撲留学し、2014年初場所に幕下15枚目格付け出しで初土俵。
所要4場所で新入幕を果たし、旋風を巻き起こした。
昨年名古屋場所の初優勝が記憶に新しい中、力士生活に別れを告げた。
21年9月に日本国籍を取得したが年寄名跡を取得しておらず、協会には残らない。
再入幕で迎える東前頭14枚目・朝乃山が7日、都内の部屋での稽古後に取材に応じた。
今月1日の番付発表後からは稽古場の木札が十両から幕内に掛け替わり、「あれを見たときは少しは『やっとここまで来たな』というのもありました。けどここで終わりではないです」と実感を込めた。
前日は関脇・大栄翔や元大関の小結・正代らが出稽古に訪れ、約25番。
十両で13勝を挙げた先場所後は、巡業や出稽古で精力的に他の部屋の関取と手合わせしており「いろんな関取衆と相撲を取れている。その中でやっぱり幕内と十両は違うなっていうのを肌で感じましたね」と充実感をにじませた。
2023/03/27
千秋楽、東関脇・霧馬山が3敗からの大逆転で初優勝を飾った。
本割で2敗の小結・大栄翔に勝って優勝決定戦に持ち込んで2連勝。
ともに土俵際での逆転の突き落としで決着をつけ、決定戦では物言いがつく際どい一番を制した。
モンゴル出身力士の優勝は9人目。
新関脇優勝は昨年春場所の若隆景以来、史上4人目となった。
昭和以降初めて横綱、大関が不在となる異常事態の場所で三役力士が締めた。
夏場所では大関取りに挑む。
千秋楽、若元春は左を巻き替えたところを琴ノ若に攻め込まれたものの、うっちゃって逆転勝ち。
物言いがついた勝負を拾い、「鶴竜親方(元横綱)の巻き替えを意識して練習していたのが土壇場で出た」と稽古の成果を強調した。
小結2場所目。
幕内で自己最多の11勝を挙げたが、「目標の三賞に届かなかった」と志は高い。
荒汐部屋に日頃から出稽古に来ていた霧馬山が賜杯を抱き、「刺激を生かせるように頑張りたい」。
千秋楽、小結・大栄翔は関脇・霧馬山に本割と優勝決定戦で連敗し、2度目の優勝を逃した。
最後まで自らの相撲を貫いた。
それでも2度目の賜杯は目前でするりとこぼれ落ちた。
単独で優勝争いの先頭を走っていた小結・大栄翔は本割、優勝決定戦と関脇・霧馬山に連敗。
「土俵際の甘さが弱いところ」。
ともに相手を追い詰めながら、逆転を許した。
先場所で4場所ぶりに2桁勝利を挙げ、小結に戻って迎えた今場所。
光ったのは圧力のある突き押しだった。
初日から6連勝すると、以降も連敗をしなかった。
最後もその持ち味を出したが、及ばず。
「自分の相撲でやっていたので、それで負けたので仕方ないです」と潔かった。
千秋楽、大関経験者の西前頭筆頭正代が2桁勝利で締めくくった。
今場所を盛り上げてきた幕内最小兵の翠富士と対戦。
もろ差しにきたところをがっちり固め、最後はきめ出した。
2桁10勝は大関時代の昨年名古屋場所以来。
「(2桁は)けっこう遠のいていたので素直にうれしい。全体的に持ち味が出た相撲が多かった。それに成績が伴ってきた」と振り返った。
来場所は三役復帰の可能性も。
「持ち味を出せたら成績もついてくる。来場所はもっと自分の相撲をとれるようにしたい」と自信も回復させた。
千秋楽、勝てば三賞受賞となる敢闘賞を獲得できる東前頭5枚目の翠富士だったが、正代に極め出された。
今場所は初日からの10連勝で一時は後続に2差をつけるなど優勝争いを引っ張ったが、その後は5連敗。
「結果的には良かったと思うが、5連敗で勝ち越した気分じゃない」と悔しそうだった。
来場所は再び新三役をうかがう位置へ番付が上がるとみられる。
小柄な体が連敗の原因だと感じているようで「来場所は体をでかくして、いい結果を残したい」とさらなる飛躍を誓った。
千秋楽、カザフスタン出身の新入幕・金峰山が11勝を挙げ、敢闘賞を受賞した。
隆の勝を右の喉輪で押し込み、土俵際で左をたぐられたが、右から力任せのすくい投げで快勝。
「自分の相撲を取ろうと思った。三賞はうれしいです」と笑みを浮かべた。
「いつもと違う場所で疲れた」と振り返るものの、破壊力満点の突き押しは将来性十分。
夏場所に向け「とりあえず8番だけ。勝ち越したい」と控えめに話した。
千秋楽(26日、大阪府立体育会館)、元大関の十両朝乃山(29=高砂)が新十両の落合(19=宮城野)を下し、13勝2敗で15日間の戦いを終えた。
令和の怪物≠ニの注目の一番。
落合にもろ差しを許して土俵際まで寄られる場面もあったが、最後は上手投げで土俵に転がし、元看板力士の貫禄を示した。
一方で、十両逸ノ城(湊)が14勝1敗で優勝を果たし、目標に掲げていた連覇はならず。
朝乃山は「逸ノ城関は安定感があった。悔しい思いを来場所にぶつけていきたい」とリベンジを誓った。
夏場所では幕内復帰が確実。
自身2年ぶりとなる幕内の土俵へ向けて「今のままの相撲だと全然ダメ。鍛え直していきたい」と気持ちを引き締めた。
2023/03/26
14日目、東関脇・若隆景が休場した。
13日目の琴ノ若戦で右膝を負傷し、「右前十字靱帯(じんたい)損傷、右外側半月板損傷、骨挫傷、右外側側副靱帯損傷で3カ月程度の療養を要する」と診断された。
師匠の荒汐親方は「歩けないくらいの状態。結構(症状が)重い」と説明した。
2022年春場所で優勝した若隆景は13日目までに7勝したが、9場所続いた勝ち越しに届かず、来場所は7場所連続で務めた関脇から陥落することが確実になった。
14日目、豊昇龍は右に動いて上手を引き、若元春を豪快に転がした。
「集中してやった。何より勝ててよかった」。
10勝目をつかんだ一番を満足そうに振り返った。
三役昇進後、2桁白星は11勝を挙げた昨年11月の九州場所以来2度目。
優勝争いからは脱落したものの、気持ちを切らさない貪欲さが光る。
千秋楽に向けても「残り一番、気を抜かずやる」と意気込みを示した。
14日目、霧馬山は思わぬ不戦勝で3敗を保った。
千秋楽は結びの一番で2敗の大栄翔と直接対決。
本割、優勝決定戦を連勝すれば、逆転での初優勝が実現する。
2人による争いでは直近では17年秋場所で横綱・日馬富士が大関・豪栄道に2連勝している。
浅香山審判部副部長は「本来なら相撲を取って、勝って迎えるのが一番望ましい。休んだことでどうかな」と影響を案じた。
14日目、小結・大栄翔が2度目の賜杯に王手をかけた。
西前頭5枚目・翠富士を突き倒しで圧倒し、2敗と単独トップの座を死守した。
関脇・霧馬山は関脇・若隆景の休場による不戦勝で、3敗をキープ。
千秋楽は大栄翔と霧馬山の直接対決が組まれ、賜杯の行方は2人に絞られた。
大栄翔が勝てば2021年初場所以来の2度目のVが決まる。
同じ轍(てつ)は踏まなかった。
大栄翔は後続1差で3敗の翠富士戦。
立ち合いは相手が左に変わるのが見えた。
「落ち着いて、相手をしっかり見て攻められたのでよかった」。
昨年秋場所で同様の変化に屈した苦い記憶があり、冷静にもろ手で対応。
すかさず二の矢、三の矢を見舞い、逃げ回る小兵を突き倒した。
2度目の優勝に王手をかける12勝目。
14日目、圧力をかけ続けた正代は右を巻き替えて2本差しに。
竜電を力強く寄り切った。
大関だった昨年7月の名古屋場所以来となる勝ち越しに「気持ちもだいぶ落ちていたので、うれしい」と率直な思いを語った。
平幕からの出直しとなった今場所は、馬力が徐々に戻ってきた印象で、3関脇をいずれも倒した。
残り2日へ「自分の持ち味を出して、来場所につながる相撲で終えたい」と力強かった。
14日目、翠富士は1差で追っていた首位の大栄翔との直接対決で、一方的に突き倒されて4連敗。
初優勝はなくなったが、「相手が強かった」と潔かった。
171センチ、117キロの幕内最小兵ながら、初日からの10連勝で一時はトップに立った。
「いい経験になった。あと一番勝ったら三役もあるかもしれない。最後、集中して頑張りたい」と千秋楽に目を向けた。
14日目、宇良が地元の大阪で勝ち越しを決めた。
東龍に潜るようにして当たって前進。
引き技に乗じて押し切り、館内には大きな歓声が響いた。
初日から3連勝した後に3連敗。
一進一退だった中、3場所ぶりに給金を直した。
「うれしい。最後の一番もしっかり頑張りたい」と千秋楽を見据えた。
14日目、東前頭14枚目の新入幕・金峰山が東前頭2枚目の阿炎を押し出し、勝ち星を10勝へ乗せた。
立ち合いで阿炎の突きを受けたが後退せず、右からいなすと阿炎の体をあっさり泳がせた。
チャンスを逃さず、そのまま押し出した。
「ちょっと危なかった。ケガせずに8番くらい勝てればと思っていた」
阿炎が土俵を割った瞬間、勝利が信じられないかのように目を見開いて立ち尽くした。
阿炎は昨年九州場所の優勝力士。
しかし10日目には元大関の高安も破っていた。
一昨年九州場所、三段目100枚目格付け出しというカザフスタン初の幕内力士は、底知れない潜在能力を秘めている。
14日目、東十両筆頭の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は西十両7枚目の島津海(放駒部屋)を上手投げで仕留め、12勝目を手にした。
十両首位の逸ノ城も勝利したため、1差で千秋楽の逆転優勝に望みをつないだ。
朝乃山は「追い掛ける立場。千秋楽の最後の一番、悔いのないよう自分の相撲を取り切って終わりたい」と前を向いた。
2023/03/25
13日目、新関脇の霧馬山が3敗を守り、優勝争いに踏みとどまった。
遠藤をうまくいなして送り出し。
自身が1度つっかけたものの、落ち着いていた。
東小結で11勝を挙げた先場所に続いて2桁白星に到達。
足腰の強さを生かし、大関昇進への道筋をつくった。
八角理事長は「上がりたい気持ちを前面に出すこと」と今後に期待を寄せた。
13日目、若元春が北勝富士に逆転勝ち。
土俵際まで押し込まれたが、得意の左を差すと反撃に転じて寄り切り、「余裕は全くなかった」と、ほっとしたような表情を浮かべた。
小結2場所目。
三役で初めてとなる2桁白星に「最低限のハードルは10番と思っていた。ここから星を伸ばさないといけない」。
賜杯争いにも絡む中、気合を入れ直した。
13日目、大栄翔がエンジン全開モードに突入した。
明生との立ち合いはもろ手で突くも出足が止まった。
左にいなして立て直すと、土俵際で軽快に動き回る相手に対して攻め急がず。
最後はこん身の突きで突き飛ばした。
「相手を見て攻めようと思っていたので、考え通りの相撲が取れたと思います」。
完勝で11勝目を手にし、賜杯争いでは今場所初めて単独先頭に立った。
14日目は3敗・翠富士戦が組まれた。
12勝目を挙げ、その後に3敗の霧馬山、若元春の2人が敗れれば、千秋楽を待たずに2度目の優勝が決まる。
3敗以内の4人の中では唯一優勝経験があるだけに、八角理事長は「落ち着いてますよね。(V経験?)生きているような気がしますよね。明日が大事ですね」と期待した。
13日目、圧力をかけ続けた正代は右を巻き替えて2本差しに。
竜電を力強く寄り切った。
大関だった昨年7月の名古屋場所以来となる勝ち越しに「気持ちもだいぶ落ちていたので、うれしい」と率直な思いを語った。
平幕からの出直しとなった今場所は、馬力が徐々に戻ってきた印象で、3関脇をいずれも倒した。
残り2日へ、「自分の持ち味を出して、来場所につながる相撲で終えたい」と力強かった。
13日目、翠富士は3連敗で首位から後退した。
左上手を引いて右ハズで頭をつけるも豊昇龍に攻め込まれ、足が流れたところを下手投げで転がされた。
勝ち越しを決めた8日目には「10勝3敗になる夢を見た」と話しており「現実になっちゃった」と苦笑い。
10連勝からの失速にも、明るく振る舞って前を向いた。
負ければ初優勝の夢が消滅する大栄翔戦へ「自分で引きずり降ろして最後まで頑張りたい」と再逆転を見据えた。
13日目、東十両筆頭の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は同7枚目の天空海(立浪部屋)を押し倒し、11勝目を挙げた。
前日の黒星から気持ちを立て直し「昨日(12日目)みたいな相撲は取りたくない。明日につながる相撲を取っていきたい」と残り2番に全力でぶつかる。
2023/03/24
12日目、関脇霧馬山が9勝目を挙げ、大関とりの足場固めとなる三役で2場所連続2ケタ白星に王手をかけた。
結びの一番で関脇豊昇龍を撃破。
立ち合いからすぐに左前まわしを引き、頭をつける得意の体勢となった。
一気に勝ちきれなかったが、じりじりと寄り上手投げで仕留めた。
取組後はリモート取材に応じなかったが、場所前は「できれば勝ち越して、2ケタまでいきたい。硬くならないように(2ケタ白星を)意識しないようにやりたい」と話していた。
前日11日目に勝ち越し、慌てずじっくりと攻めて勝った。
大栄翔は先場所平幕での2場所連続2ケタ白星だが、霧馬山は先場所が小結で11勝。
初優勝の可能性も残しつつ、正真正銘、来場所が大関とりとなる白星へ、あと1勝までたどり着いた。
12日目、若元春は遠藤を小手投げで破り、3敗をキープした。
一直線に寄られて、あっという間に土俵際。
若元春は両足を俵の上に乗せながら、遠藤の左腕を両腕で抱えて左後方に投げ捨てた。
捨て身の逆転で3敗を守ったものの、物言いが付く薄氷の白星に取組後は反省しきりだ。
「最後、残れたと思ったけど、全然、前に攻められなかったので」。
左の相四つである遠藤には、過去3勝1敗と対戦成績でリードしていた。
この日は左から押っ付けて、相手が嫌がったところを差す作戦だったというが、許してもらえず後手に回った。
とはいえ、終盤戦になれば、このような紙一重の勝負をものにできるかどうかは大きい。
2番後で弟の若隆景が、優勝争いのトップを走っていた翠富士を2敗に引きずり下ろす援護射撃≠ノ成功。
初めて賜杯を抱ける可能性が出てきた。
12日目、小結の琴ノ若が明生を寄り切り、3敗を守った。
昨年の春場所以来の2桁勝利に王手。
トップとは1差に迫ったが「目の前の一番に集中して、出し切っているだけ。しっかりと良い相撲をして食らいついていければ。一日一番、出し切れれば結果はついてくると思う。しっかり我慢してやっていければ」と表情を変えずに話した。
12日目、小結・大栄翔が2敗を死守し、優勝争いでトップに並んだ。
東前頭7枚目・北勝富士を一気に突き出した。
「しっかり立ち合いから持って行けました。いい相撲だと思います」と納得顔だった。
これで西前頭筆頭だった先場所に続き、白星を2ケタに乗せた。
「うれしいです」と、うなずいた。
13日目以降に向けては「残り3日間なので、全力で集中して一番ずつやりたいですね」と一戦必勝を期した。
八角理事長は「落ち着いていた。立ち合いはよくなかったけど、その後の攻めは落ち着いていた。慌てなかったですしね。実力がついてきたような感じがしますね」と評価した。
3敗までの5人のうち、優勝経験があるのは大栄翔だけだ。
幕内後半戦の粂川審判長は「横一線だけれども、少し抜けてるのは大栄翔。やはり経験がありますから」と予想していた。
12日目、前頭5枚目の翠富士が連敗を喫し、2敗で大栄翔に並ばれた。
若隆景に突き放された瞬間に右を差されて防戦一方となり、最後は出し投げにばったり。
「両方差していきたかったが逆に差された。攻められている時点で良くない」と残念そうだった。
優勝争いの先頭を走り、周囲からは硬くなっていると思われている様子。
「みんなから『硬くなり過ぎ』と言われる。普通に吹っ切れているつもりですが…」と首をひねった。
12日目、東十両筆頭の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は幕内の土俵で西前頭15枚目の王鵬(大嶽部屋)に寄り切られ、痛恨の2敗目を喫した。
十両優勝を争う逸ノ城は11勝目を挙げたため、2番手に後退。
朝乃山は「あと3日しかない。悔いのないよう目の前の一番に集中し、自分の相撲を取り切って終わりたい」と切り替えに努めた。
2023/03/23
11日目、関脇・豊昇龍が前頭六枚目・遠藤を豪快な上手投げで下し、今場所勝ち越しとなる8勝目を挙げた。
相手を振り回すような投げに、ファンからも「こえー!」「なんて技や」と驚きの声が相次いだ。
立ち合い素早く突いていった豊昇龍。
立ち遅れた遠藤は左に避けるも、豊昇龍はすぐに右上手を引き、ペースを掴んで力強い攻めを展開。
そのまま豊昇龍が遠藤を振り回すように豪快な上手投げを決め、8勝目となる白星を挙げた。裏返しに転がされた遠藤は3敗目を喫した。
豊昇龍の豪快な上手投げに、ABEMAで解説を務めた元前頭・若ノ城は思わず「上手いなあ!」と一言。
同じく実況を務めた舩山陽司アナウンサーも「豊昇龍の投げの強さはもちろんありますが、遠藤があそこまで裏返しになるとは、なかなか見る光景ではありません」と驚き交じりにコメントしていた。
11日目、新関脇の霧馬山が7場所連続となる勝ち越しを決めた。
どっしりと構えて明生の強烈な当たりを止めると、タイミング良くはたき込んだ。
今場所はまだ連敗がなく、優勝争いに踏みとどまった。
初黒星を喫した平幕の翠富士とは2差。
土俵下の浅香山審判長(元大関魁皇)は「まだ読めない。力の差があるわけじゃない」と言い、終盤でのさらなる奮起に期待した
11日目、無傷で快走していた翠富士を止めたのは、小結・若元春の切れ味抜群の「左」だった。
左四つの型に自信を持つ。
激しく当たりあった立ち合いで、狙い通りに左が入った。
回しを取れれば理想だが、好調の相手も得意の肩すかしで形勢逆転を図る。
すかさず足を出して圧力をかけた。
俵の外で尻餅をついた翠富士は「ついてこられた。逃げの技になってしまった」と脱帽した。
11日目、小結・大栄翔が2敗を死守した。
元大関で西前頭7枚目・高安に劣勢となる場面もあったが、押し出して9勝目を挙げた。
単独トップの西前頭5枚目・翠富士に土がつき、優勝争いでも1差と迫った。
大栄翔らしくない相撲だった。
高安にいなされて土俵際まで追い込まれたが、逆に左からいなして息を吹き返した。
立ち合いからの一気の押しが大栄翔の勝ちパターン。
優勝を意識し始めたことは間違いない。
2021年の初場所で平幕優勝。
経験は本場所で生きることもあるが、「もう一度、優勝の美酒を味わいたい」という誘惑になることもある。
大栄翔もどこかで“甘い蜜”を求めてしまっているのかもしれない。
それでも苦しみながら拾った白星。
押し相撲は1個の黒星で大きく崩れる傾向がある。
2敗をキープしたことは今後の希望だ。
11日目、全勝だった翠富士に土がついた。
立ち合いで若元春に組み止められ、得意の肩透かしも不発。
そのまま後退し、押し倒された。
完敗に「右の前みつを狙ったが、相手の左が強過ぎてやられた。肩透かしも逃げ気味でついてこられた」と残念そう。
ただ、後続との差は詰まったものの単独トップは変わらず「できれば全部勝ちたかったが、また明日から頑張りたい」と前向きな姿勢は変わらなかった。
11日目、東十両筆頭の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は同6枚目の豪ノ山(武隈部屋)を上手投げで下し、10勝目を挙げた。
1敗で逸ノ城と並んで首位を守り、残り4番へ「星勘定は気にしないで、自分の相撲を取っていきたい」と語った。
十両優勝争いを演じる豪ノ山との一番。
朝乃山の出足はさえない。
踏み込みが鈍く、勢いのある豪ノ山の出足に下がる。
なんとか右をねじ込み、左上手も取って懸命に寄りを残す。
土俵際でこらえて体を開き、逆転の左上手投げを決めた。
2023/03/22
序盤戦で影の薄かった関脇が徐々に存在感を示し始めている。
10日目、豊昇龍が大栄翔に完勝して2敗に引きずり下ろし、自らの勝ち越しにも王手をかけた。
馬力自慢の大栄翔に何もさせなかった。
立ち合い、左で張って出足を止めて自分のペースに。
はたこうとする相手に、すかさず2本差して勝負あり。
攻撃の手を緩めずに寄り切った。
「よかったと思う」。短い言葉に自信がにじむ。
10日目、小結・琴ノ若が4場所連続で勝ち越しを決め、優勝争いに踏みとどまった。
東前頭2枚目・阿炎の突きを下からあてがい、しのいだ。
最後は押し倒して4連勝。
「もろ手を、頭に入れてメリハリをつけた。落ち着いて取れた」。
相手を分析した成果が出た。
単独トップの翠富士とは2差。
初優勝をかけた終盤戦にむけては「目の前の一番に集中したい」と闘志。
八角理事長も「力を付けた。余裕を持っている」と成長に目を細める。
昭和以降で初めて横綱と大関が不在の異常事態。
三役として場所を盛り上げるため「良い相撲取ればお客さんに喜んでもらえる。持ち味を出せたらいい」。
責任感も口にした。
10日目、大栄翔は手痛い2敗目を喫した。
豊昇龍に立ち合いで張られたが、ひるむことなく前進。
しかし、突き落とそうとしたところを逆に中に入られ、寄り切られた。
「手が抜けてしまった。しっかり相手を見ないと…」と無念の表情。
全勝の翠富士とは2差となったが「さらに集中して一日を過ごしていきたい」と、残り5日間での逆転を誓った。
10日目、西前頭5枚目・翠富士が、11年ぶりの珍手で無傷10連勝を飾った。
いよいよ幕内最小兵171センチの翠富士が独走態勢に入った。
翔猿との今場所初の役力士戦。立ち合いは右の張り差し、左上手。途中で右を抜いて呼び込む形となったが、最後は右ハズで吹っ飛ばした。
決まり手は2012年九州場所で稀勢の里が決めて以来、幕内約11年ぶりの割り出し。
珍手で小結を破った業師は「何年ぶりと聞くと、やっぱりうれしい。勝手に反応してなったと思います」と笑顔を見せ、無傷10連勝には「今後できるか分からないので、このままの流れで勝てたら」と正直に喜んだ。
10日目終了時点で平幕の単独2差は過去2例あるが、いずれも初めての賜杯を手にしている。
割り出したデータ上の初V率は、100%だ。
まさに押せ押せの雰囲気だが、師匠・伊勢ケ浜親方には尻をたたかれているといい、「笑いながら『お前、勘違いするなよ』と言っていただきました」と告白。
「勘違いはしてないです」とニヤリと笑った。
10日目、このコラムで遠藤を取り上げるのは久しぶりだ。
理由は明白。最近の角界のトレンドでもある“群雄割拠”の中に遠藤の名前が入ってないからだ。
しかし、今場所は元気。正代との一番でも立ち合いは頭で当たって低く踏み込んだ。
突き離した後に正代に左を差し込まれたが、立ち合いの踏み込みが良かったから、余裕を持って土俵際でのすくい投げを決めた。
若手の台頭で“昔の名前で出ています”的な力士になっているが、今場所は琴勝峰、阿武咲、平戸海らに勝って若手の壁になっている。
今後、大関を目指せとは言えないが、立派な優勝候補と言い切ることはできる。
若い時から寡黙にコツコツと稽古を積み重ねてきた。
膝を痛めてもテーピングを巻かずに、きれいで立派な土俵を務めた。
私の好きな力士。おもしろい存在だ。
10日目、新入幕の金峰山が元大関の高安を撃破した。
臆せずに突っ張り、相手の引き技にも足腰は崩れない。
最後は押し出し、「勝っても負けても自分の相撲を取ろうと思った」と胸を張った。
カザフスタン出身で初の幕内力士。
勝ち越しにも王手をかけ、「けがをしないように頑張りたい」と短い言葉で意気込みを示した。
10日目、東十両筆頭の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は西十両5枚目の炎鵬(金沢市出身、金沢学院大OB、宮城野部屋)を寄り倒し、「北陸対決」を制した。
9場所ぶりの幕内返り咲きを確実にしている朝乃山は小兵の炎鵬を退け、9勝目を挙げた。
懐に入られる苦しい展開から逆襲に転じ、落ち着いて勝負を決めた。
十両では新十両の落合が敗れ、1敗は幕内優勝経験者の朝乃山と逸ノ城の2人となった。
2敗の落合と東十両6枚目の豪ノ山(武隈部屋)の2人が追う展開で、朝乃山は「星勘定は気にせず、残りも集中して、楽しんで相撲を取りたい」と前を向いた。
2023/03/21
9日目、小結・若元春が阿炎を下して6勝目を挙げた。
もろ手突きの相手に対して立ち合いで左を差して体を密着させ、左ハズで押し込んでから胸を合わせて寄り切り。
「しっかり圧力がかかっていた。左を差して落ち着いて攻めれた」と納得の表情で振り返った。
9日目、琴ノ若は明らかに強くなっている。
正代との2敗対決。
左肩ではじき合って正代の出足を右でおっつけながら残し、差し手を振りほどいた後は突っ張って一気に寄り倒した。
流れのある力強い相撲だった。
幕内に上がった頃は器用な相撲が目立っていた。
押せなかったときは下がっていなしたり、土俵際の逆転技も得意。
上位に定着してからは前に圧力がかかるようになった。
大きな体での圧力が最大の武器でもある。
2敗は当然、優勝圏内である。
群雄割拠の戦国模様を勝ち抜けないと大関も見えてこない。
琴ノ若には「次の大関はオレだ」という気持ちで土俵に上がってほしい。
私は現状、琴ノ若が最も大関に近いと思っている。
決して忖度(そんたく)ではない。
立ち合いの当たりなど課題はあるが、それだけの実力はつけている。
9日目、小結・大栄翔が快勝劇で勝ち越しを決め、1敗を守った。
東前頭筆頭・玉鷲を相手に猛然と突いて出ると、一気に突き倒した。
「今日は本当に前に圧力を伝えられて良かった」と納得顔で振り返った。
1差でトップの翠富士をピタリ追走。
昭和以降で初めて横綱、大関が不在となる事態の中で、三役が意地を見せている。
「本当に、ファンの皆様のために気合を入れてやりたい」と闘志を燃やした。
八角理事長は「背中を丸めて押し方がいい。土俵際も落ち着いている。前回の優勝よりは落ち着いている。経験があるからでしょう。1回の経験は全然、違う。賜杯の経験は大きいと思いますよ」と話していた。
9日目、西前頭5枚目・翠富士が、人気業師・宇良を押し倒しで下し、無傷9連勝を飾った。
動きの速さが光った会心の相撲に、「(勝った瞬間の心境?)『よかったな』という感じですね、『あぶねえ〜』みたいな。
体は動いているから(相手に)引かれても対応できているのかなと思います」とうなずいた。
星を伸ばし、優勝争いの単独先頭を堅守した。身長171センチ、体重117キロの幕内最小兵力士。
初優勝がチラつく毎日で、のしかかる重圧は大きい。
常に正直な26歳は「一睡もできなかった。11時ぐらいには部屋を暗くしたんですけど、本当に寝られなくて、オールでそのまま(今朝の)稽古に行った。これストレスかな〜って」と、不眠を明かした。
静岡出身初のV力士誕生へ、期待は高まるばかり。
10日目は小結・翔猿戦戦が組まれた。
絶好調の業師は「(今日は)しっかり寝たいですね。(残り6日間も)自分を信じてやるだけかなと思います」と、力を込めた。
東前頭4枚目、阿武咲が9日目、日本相撲協会に「両側内側半月板損傷などで約2カ月間の加療が必要となる見込み」との診断書を提出して休場した。
師匠の阿武松親方によると、両膝を痛め、右膝の状態が特に悪いという。
「本人は再出場したいと言っている。様子を見て自分が判断する」と述べた。
7日目の関脇若隆景戦に敗れた際に膝を痛めたそぶりを見せ、8日目まで4勝4敗だった。
休場は昨年夏場所以来で5度目。
9日目の対戦相手、北勝富士は不戦勝。
今場所の十両以上の休場者は横綱照ノ富士、大関貴景勝に続いて3人目となった。
9日目、人気力士の遠藤が2敗を守り、優勝争いに踏みとどまった。
古傷を抱える両膝などサポーターが見られず、今場所はコンディションの良さがうかがえる。
前さばきの応酬から右を差し、左おっつけで攻める。
引いた平戸海を寄り切った。
リモート取材に応じなかったが、充実した表情だ。
32歳のベテランは一昨年夏場所で千秋楽まで賜杯レースを演じるなど土俵経験は豊富。
このまま星を伸ばせば、不気味な存在となるかもしれない。
9日目、高安が碧山を押し出して連敗を2で止め、優勝争いに踏みとどまった。
「自分の形になって前に出られたので、明日につながると思う」。
連敗を振り返り、「気持ちの問題なんで引き締め直した」と言う。
全勝のトップとは2差だが、勝負はここから。
まずは王手をかけた「勝ち越しを目指して頑張ります」と言った。
9日目、大関経験者で東十両筆頭の朝乃山(29=高砂)が、夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)での再入幕を確実にした。
狼雅を破り、5連勝で8勝1敗。
逸ノ城らと並び、十両優勝争いの先頭で勝ち越しを決めた。
全28人いる十両で最上位の番付で、勝ち越せば原則的に番付が上昇する。
正式には5月1日の来場所の新番付発表を待って決定するが、再入幕をほぼ手中にした。
新型コロナウイルス対策のガイドライン違反で、6場所の出場停止処分が出て2年。
大関から三段目まで番付を落としたが、ついに幕内に戻ってくる。
2023/03/20
8日目、小結大栄翔が1敗を守り、全勝の翠富士との1差をキープした。
同じ押し相撲の阿炎を押し出し。
前日7日目に小結若元春に、逆転で今場所初黒星を喫した反省を生かして攻めきった。
その7日目から埼玉栄高の後輩で、仲の良い大関貴景勝が休場。
再出場はしない見通しで、綱とり場所から一転、来場所はかど番となる貴景勝に、エールを送る2度目の優勝を目指す。
全勝と1敗は各1人で、2敗で琴ノ若、正代、高安らが追う。
大栄翔は、止まらなかった。
長い両手から繰り出される阿炎の突っ張りに、何度も上体を起こされた。
それでも右をおっつけると勢いは加速。
休まず攻めて押し出した。
「落ち着いて、しっかり、相手をよく見て相撲を取れた。立ち合いで当たり負けないこと。先に攻めることが、突き、押し同士だと大事。さらに乗っていける」と胸を張った。
8日目、横綱、大関が不在の中、平幕で奮闘する大関経験者の正代が小結若元春を圧倒。
豪快に寄り倒して2敗対決に勝ち、後半戦に向けて勢いを加速させた。
昭和以降で初となる異常事態に、元大関が日に日に存在感を増している。
初場所で大関復帰の特例を生かせず、3年ぶりに平幕まで降下した正代が、持ち前の馬力を発揮した。
左を差して前に出ると若元春が浮き上がる。
13場所の大関在位中でも1場所しかなかった2敗の8日目折り返し。
「先場所に関しては思うような相撲が取れなかった。自分らしさというのが出てくると、気持ちの面でもいい方向に向いていきますね」と充実の表情で取材に応じた。
8日目、西前頭5枚目・翠富士が自身初のストレート給金を決め、単独トップの座を堅持した。
東同9枚目・碧山を寄り切り。
横綱、大関が昭和以降初めて不在となる異常事態の中、幕内で一番の小兵が大きな存在感を放っている。
もう“令和の鷲羽山”と呼ぶべきか。
171センチ、117キロの翠富士が大きな碧山のかち上げにひるむことなく前に出た。
強烈な突っ張りを下からはね上げ、左上手を取って右からの突き落とし。
碧山の体を泳がせると両まわしを取って拝むように前に出た。
小兵の参考書のような相撲だった。
今場所は体が動いて次から次へと技が出ている。
前に出て引いて横に動いて前に出る。
昨年の名古屋場所で10勝を挙げてから幕内上位に定着。
原動力は前に出る力が強くなったことだ。
174センチ、110キロの元関脇・鷲羽山さんの武器も前への鋭い出足だった。
小兵の前への圧力ほど厄介なものはない。
前に出るスピードが上がれば、翠富士に“令和の鷲羽山”のお墨付きをあげることはできる。
おもしろい後半戦だ。
翠富士には三役との対戦が待っている。
どの力士もチャンスだと思っているはずだ。
優勝を占ってほしいと言われても、分からないと答えるしかない。
8日目、西前頭8枚目の宇良が隆の勝を寄り切り、5勝目を挙げた。
隆の勝の突きを素早くかわし左上手を取ると、右ハズをあてがいながら体を寄せて土俵を割らせた。
過去3連敗中の相手にも動じなかった。
「たまたまです。力を出し切れて良かったです」と声を弾ませた。
連日の激しい取組に疲れはたまるが、会場に来るまでの他愛のない会話が息抜きになっているという。
「場所に来るまでのドライブが一番楽しいです。行きより、帰りの方が楽しいです」
話題になるのはおいしかったおはぎの話や格闘技の話など事欠かない。
白星先行で折り返して後半戦へ。
ドライブ中の会話も盛り上がりそうだ。
中日、新入幕で関取最長身204センチの北青鵬が珍しい決まり手「はりま投げ」で琴恵光を破って連敗を3で止め、5勝目を挙げた。
相手の下からの攻めに土俵際まで追い込まれたが、28センチの身長差を生かして肩越しに両手でまわしをつかみ、振り回すように投げ捨てた。
北青鵬はリモート取材に対応しなかったが、琴恵光は「最後に持ち味を出されてしまった」と悔やんだ。
8日目、東十両筆頭の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は西十両4枚目の欧勝馬(鳴戸部屋)をはたき込み、7勝目を挙げた。
初顔の新鋭を速攻相撲で仕留め、幕内復帰が確実となる勝ち越しに王手をかけた。
中日を終え十両の1敗は4人となり、後半戦に向け「自分から圧力をかけ前に出る相撲を取っていきたい」と語った。
盛況の大阪の土俵に、右目付近の傷が痛々しい朝乃山が登場すると、大きな拍手と声援が送られた。
朝乃山は落ち着いた表情で両手をつくと、冷静な取り口で勝負を決めた。
優勝争いのトップで前半戦を折り返し、再入幕も目前に迫ってきた。
4日目の初黒星から完全に立て直し「今日のような相撲がいい。自分の相撲を取っていきたい」と気合を入れ直した。
2023/03/19
貴景勝が春場所7日目、日本相撲協会に「左膝内側半月板損傷」との診断書を提出して休場した。
横綱・照ノ富士は初日から休場しており、横綱と大関の不在は昭和以降、初めて。
師匠の常盤山親方によると、再出場しない意向で、夏場所は6度目のカド番が濃厚。
3日目の正代戦で左膝を痛め、6日目の御嶽海戦は「貴景勝にしては長い(時間の)相撲で負担がかかった」ことで悪化し、病院で診察後の17日夜、本人から休場の申し出があった。
手術はせず治療する。
関脇豊昇龍が竜電を下して白星先行。
注文相撲で勝った6日目とは違い、鋭い踏み込みから鮮やかな肩透かしで仕留めた。
「いいんじゃないか」納得の表情で短く振り返った。
一人横綱の照ノ富士、綱とりを目指していた貴景勝が休場して看板力士は不在に。
土俵を一層盛り上げる奮起が期待される3関脇に対し、八角理事長は「突き抜ける人が出てほしい」と願う。
昨年春場所の新三役昇進以降、しぶとく勝ち越してきた豊昇龍も、一気に殻を破りたいところだ。
若元春は反撃への好機を逃さなかった。
大栄翔の力強い当たりに後退したが、相手の腕が伸びたところを素早く右へ動いて突き落とし。
「タイミングがばちっと合った」と胸をなで下ろした。
もっとも、6連勝中だった相手に先手を奪われた内容に納得はしていない。
貴景勝の休場で横綱、大関が不在となり、三役陣への期待が高まる中、「自分の相撲を取り切る」と気合を入れ直した。
正代は内容の伴う白星で5勝目。
阿炎のもろ手突きに耐えて左を差すと一気に前進。
「落ち着いて取れたのがよかった。体が反応してくれている」と納得顔だった。
今場所は持ち味の力強い相撲が戻ってきており、「いい流れが来ている。続けていけたらいい」。
平幕からの巻き返しを期す元大関が意地を見せている。
7日目、綱とりを目指していた大関貴景勝が休場。
昭和以降で初めて横綱、大関が不在となった土俵で、西前頭5枚目の翠富士が高安との6戦全勝同士の一番を制し、単独トップに立った。
幕内で一番小さな翠富士が、でっかい夢に向かっている。
171センチ、117キロは幕内で最も小さく最軽量。
立ち合いで高安のかち上げに、頭がガクンと揺れた。
それでもひるまない。下から押し上げながら、突き落とし。
全勝対決を制し単独トップに立った。
「肩透かしを狙ったっすけど。結果オーライです。勝てたんで、とりあえずいいのかなあ。いつバーッと負け出すか分かんないんで」。
挑戦者らしく、気負いはない。
八角理事長は、「楽しみですね。小さい力士は夢を与える。小さくても勝てるんだとか、小さい人の目標になれる。気持ちさえあれば、小さくてもお相撲さんになれると」。
7日目、東十両筆頭の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は西十両3枚目の湘南乃海との一番で苦しい体勢からの逆転に成功し、6勝目を手にした。
投げの打ち合いで顔面から土俵に落ちる気迫を示し、右目の上下に痛々しい擦り傷をつくりながらも「絶対に負けたくない気持ちだった」と勝利への執念を見せつけた。
2023/03/18
7日目、本日より貴景勝が休場となり、1点枠力士の補充力士が不在となりました。
この場合、1点枠は『無得点』となります。
よって、本日より千秋楽まで、1点枠は無得点で集計されます。
ご了承頂きます様宜しくお願いいたします。
2023/03/18
大関・貴景勝が7日目から休場すると発表した。
綱獲りに挑む今場所、3日目の正代戦で左膝を負傷。
6日目に御嶽海に敗れて3敗目を喫し、場所後の横綱昇進が絶望的な状況となっていた。
貴景勝の休場は9度目。
この日対戦予定の錦木は不戦勝となる。
6日目、小結・大栄翔が、逆転で三役以上唯一の無敗を守った。
小結・琴ノ若に右差しを許して後退。
土俵際まで追い込まれたが、逆転の突き落としで白星を手にした。
内容は今ひとつだっただけに「今日は立ち合いが全然だめですね。立ち遅れて集中力がなかった。もっと集中しないとだめです」と反省ばかりが口をついた。
勝ち星を拾う形となったが、初優勝した2021年初場所でストレート給金を決めて以来となる無傷6連勝。
「連勝できていると、すべてが良くなるので、すべてをプラスに考えて一日一番という気持ちでやりたいですね」とポジティブにも捉えた。
八角理事長は「立ち合いが大失敗だね」と指摘する一方で、「その後、もがいたのが良かった。元気な人は何とかしようとするからできる。気力の問題ですから。勝っているから気力も充実しているでしょう」と“全勝効果”が白星を呼び込んだと分析した。
幕内後半戦の粂川審判長は「こういう相撲を勝つのは運もあるということ」と評していた。
6日目、幕内最軽量117キロ、西前頭5枚目の翠富士が「ポケモンパワー」で主役候補に浮上してきた。
遠藤を得意の肩透かしで6連勝。
初日からの自己最多連勝をさらに更新した。
取組後は外出を自粛し、ゲームで気分転換しているという伏兵は、7日目に高安との「全勝対決」が組まれた。
今場所初披露の得意技で相撲巧者を沈めた。
遠藤と対戦した翠富士は「立ち合い差し勝ったんで圧力をかけていけた」。
右差し左ハズで押し込み、最後の仕上げが肩すかしだった。
「(肩透かしが)決まると『あっ出たっ』って自分でも思いますね」。
思わず表情も緩む快勝で6連勝とした。
6日目、元大関で西前頭7枚目の高安が初日から6連勝を飾った。
東同8枚目の一山本相手に立ち合いから前に出た。
いなされてバランスを崩しかけたが、こらえると逆襲。
右四つで食い止め、最後は下手投げで豪快に転がした。
「ちゃんと作戦を立てて、土俵の上でそれができている」と納得の表情だった。
好調だが「目の前の一番に気持ちを高めて、ベストを尽くしたいと思います」と冷静に話した。
昨年春場所と先場所、ダブルでの雪辱に燃える高安は、7日目に翠富士との全勝対決。
「いつもどおり、相手を倒すことだけを考えたい」と平常心を強調した。
6日目、東十両筆頭の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は万全の相撲で同4枚目の千代丸(九重部屋)を突き出し、元大関の地力の差を見せつけて5勝目を挙げた。
過去1勝4敗と相性の良くない相手にも完勝し「体は動いている。目の前の一番に集中し、相手をよく見て自分の相撲を取りきりたい」と集中力を高めた。
2023/03/17
5日目、綱取りに挑む大関・貴景勝は西前頭2枚目・竜電を押し出し、連敗を免れた。
綱取り序盤で2敗している貴景勝は、竜電を電車道の押し出しで退け、3勝目を挙げた。
立ち合いは頭でかまし、左ハズで土俵際まで押し込むと、もろ手突きで吹っ飛ばした。
リモート取材にはこの日も応じなかったが、浅香山審判長は「しっかり当たって前に攻めていた。見ていても元に戻ったな、引きずってないという感じがした」と、連敗しなかったことを評価した。
2敗目を喫した4日目と同様、心配される左膝をテーピングで固めたが、不安を払拭するかのような完勝。
依然として綱取りには厳しい状況だが、八角理事長は「これしかないという気持ちでしょう。大変だけど頑張るしかない」と思いやった。
5日目、小結大栄翔が元気だ。
好調な正代を一方的に押し出して5連勝。
立ち合いで当たり勝って、一気に前へ出た。
三役でただ一人全勝をキープしても「前へ出られたが、土俵際を厳しくしないといけない」と、相手に左を浅く差されたことを反省した。
初優勝を飾った令和3年初場所の初日から8連勝した勢いに迫り、「勝ち星が並んで余裕を持って取れている」と気分も乗ってきた。
5日目、伊勢ケ浜部屋の同期生コンビが好調だ。
西前頭5枚目・翠富士と同10枚目・錦富士がともに無傷5連勝。
翠富士は同6枚目・佐田の海を寄り切り、錦富士は同9枚目・平戸海を上手投げと力強い内容で破った。
部屋頭の横綱・照ノ富士が休場する中、弟弟子たちが大阪の土俵を盛り上げていく。
親友であり、ライバルでもある2人の勢いが止まらない。
まず土俵に立ったのは錦富士。
平戸海のもろ手をものともせず、得意の左四つ、右上手をがっちりつかんだ。
前に圧力をかけ続け、最後は豪快な上手投げで転がした。
初の無傷5連勝。「うれしいけど、今日の一日を勝てたという感じ」と冷静だった。
翠富士も続いた。
佐田の海に右差しを許したが、左上手を引きつけた。
幕内で最も低い身長171センチの小兵だが、真っ向勝負。
一気に寄り切り「差し負けたが、すぐ右をおっつけて前に出られた」と納得顔だった。
5日目、休場明けの高安が無傷の5連勝。
大関経験のある実力者が好調な滑り出しを見せた。
ご当地力士で会場の大声援を受ける宇良を相手に激しく突っ張り、背中を突いて土俵に転がした。
途中で右足を狙われるなど「業師」のしぶとい攻めを受けたが「冷静に、よく見て対応できた」と振り返った。
初日からの5連勝は昨年春場所以来。
その場所は10日目まで無敗を守りながら終盤に3敗し、優勝決定戦で若隆景に敗れて涙をのんだ。
賜杯にあと一歩届かなかった場所が幾度となくある高安にとって、初優勝は「悲願」だ。
5日目、東十両筆頭の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は西十両2枚目の栃ノ心(春日野部屋)を電車道で撃破し、4勝目を挙げた。
前日の初黒星を引きずらず、十両では昭和以降初となる元大関同士の対戦を制し、1敗を堅守。
朝乃山は「悔しかったけど、落ち込んでる暇はない。寝て起きればまた取組がくる」と土俵に臨む心境を明かした。
2023/03/17
当社ホームページの稼働が確認出来ました。
成績照会の更新も完了しておりますので、どうぞご利用ください。
商品購入版 成績照会
集計版 成績照会
本日は、サーバー障害により大変ご迷惑をお掛けいたしまして誠に申し訳ございませんでした。
今後とも、よろしくお願い申し上げます。
2023/03/16
4日目、綱取りに挑む貴景勝は、過去3勝5敗の難敵・阿炎に押し出され、痛い2敗目を喫した。
立ち合いの圧力をもろ手突きで止められると、相手速攻のはたきに体勢を崩した。
必死にこらえるも、踏ん張りきれずに、むなしく土俵を割った。
序盤で早くも2つ目の黒星。
リモート取材にはこの日も応じることはなかった。
前日の正代戦後には左膝を気にするしぐさを見せており、患部にテーピングを施して土俵に上がった。
結びの一番を土俵下で見守った佐渡ケ嶽審判部長は「ケガだけが心配です。少しかばっている感じ。阿炎のいなしについていけていなかった。本来の足腰だったら残せていますから」と指摘。
それでも、「責任を持って、テーピングをしてまで出ようという気持ちがありました。無理はしてほしくないですね」と思いやった。
4日目、大栄翔が積極的な相撲で御嶽海を倒した。
「立ち合いから終始、攻められたので良かった。稽古でできていることが場所でもできている」
初日から4連勝は、優勝した2021年初場所以来だが「連勝しているのは良いこと。自分の相撲が取れている時は勝ちにつながっている」とうなずいた。
白星にも、霧馬山は反省を忘れなかった。
圧力があった若元春をとっさにいなして送り出し。
「最後は勝ったのでよかった。相撲的には良くなかった」
大関昇進の足固めを狙う場所。
2桁白星が求められる中、3勝目を挙げた。
星勘定をしたくなる日々が続くが、「一日一番なので、自分のできることに集中するのが一番大事」。
地に足が着いている。
正代の迫力が勝った。
若隆景を相手に左を差すと、抱えるように前進。
最後は胸を押して決着をつけた。
「勢いがあるうちに出たのが良かった」と納得の一番だった。
平幕から巻き返しを期す中、3関脇を全て破った元大関。
好調ぶりを実感しているようで、「よく体が動き、自分らしさを出せている」と口も滑らかだった。
4日目、土俵際で貴景勝をはたきこんだ阿炎は「当たってから動くと決めていた。イメージ通りの相撲が取れたと思う」と落ち着いた表情だった。
幕内での対戦成績は7勝3敗ながら「(貴景勝の)前へ出る力は違う。今の自分では太刀打ちできないので速さで勝とうと思った」という。
昨年秋場所以来の三役復帰を目指す場所で2日目から3連勝と調子を上げてきた。
高安が琴勝峰を突き出し、4連勝とした。
先月28日に33歳となった元大関高安が元気だ。
先場所は千秋楽まで貴景勝と優勝を争った琴勝峰を鬼の形相で突き切り、連勝を4に伸ばした。
「よく見て最後まで前に出ることができた。良い緊張感で落ち着いて相撲が取れている」
足腰の良さが光る。
琴勝峰のいなしに2度体勢を崩されかけたが、そこで踏ん張り、逆襲。先場所は右膝付近を痛め、途中休場しているが、「できることにしっかり取り組んできましたから」と手応えをにじませた。
4日目、新入幕の北青鵬が水戸龍を寄り切り、初日から4連勝を飾った。
関取最長身204センチの北青鵬が無傷の4連勝。
力強い取り口で序盤戦を沸かせる21歳の新入幕力士に、歴代の横綱たちも熱い視線を注いでいる。
水戸龍を相手に立ち合いから得意の左上手を取った。
押し込まれても慌てず、上手をぐっと引いて一気に寄り切った。
4勝の決まり手はいずれも上手を取っての寄り切りだ。
武将山に右上手の体勢から快勝した2日目は「自分的にも反省点がない」と胸を張った。
4日目、東十両筆頭の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は同3枚目の逸ノ城(湊部屋)との幕内優勝経験者対決に敗れ、初黒星を喫した。
過去、勝ったことがない苦手な相手にまたも敗れ「立ち合いは悪くなかったが、まわしを取れないまま前に出てしまった。悪い癖が出た」と悔しさをにじませた。
2023/03/15
綱とりに挑む貴景勝は14日、2連勝としたものの、勝負がついた後に左脚を気にするしぐさを見せた。
正代を猛然と突いて土俵際まで攻め込み、粘る相手を押し出し。左足をやや引きずって花道を引き揚げた。
師匠の常盤山親方は「大丈夫。やります」と4日目以降の出場に支障がないことを強調した。
一方的な相撲内容とは対照的に不安を抱かせる姿が見られ、リモート取材にも現れなかった。
注目の大関は3日の大阪入り後、全ての取材に応じず、沈黙を貫いている。
土俵下で見た粂川審判長は「貴景勝はよく攻めた。終わってから脚を気にしていたから、ちょっと心配だ」と語った。
3日目、小結大栄翔が竜電を押し出しで完勝。
初優勝した2021年の初場所以来、13場所ぶりに初日から3連勝の好スタートを切った。
立ち合いから猛攻を見せた。
竜電に強烈なもろ手ののど輪をあてがい、土俵の外へ一直線の電車道で圧倒。
「きょうも良かったと思います」と胸を張った。
3日目を終えて、追手風部屋勢は絶好調。
遠藤は2勝1敗。
剣翔、大翔鵬、そして同じく小結の翔猿は無傷の3連勝中だ。
大栄翔は「ほとんど3連勝でみんな調子良いと思う。同じ部屋で良いライバルだと思ってやっているので、そういうのがいいのかな」。
“ライバル”よりも先に負けるわけにはいかない。
「勝ち続けたいという気持ち」と闘志満々で先を見据えた。
高安の充実ぶりが光っている。
佐田の海を攻め込み、引きに乗じて前傾姿勢で押し出した。
危なげなく白星を三つ重ねた一番に「自分の流れで相撲が取れた。慌てないで出ることができた」と満足げだった。
場所前も納得できる稽古を積めたようで、「できることはやってきた。持てる力を発揮して毎日取りたい」。
不安のない姿を土俵で見せている。
故郷の声援の力は「想像以上」。
大阪府出身で唯一の幕内力士、宇良がはつらつとした取り口を披露し、地元のファンを盛り上げている。
平戸海との一番。果敢に向かってくる相手を下から突き放し、差し手を許さない。回り込んで体勢を整えると、勝機を逃さず押し切った。
初日からの3連勝は8場所ぶり。
「たまたま」と謙遜したが、強い下半身を武器にした低くて粘り強い攻め、素早い動きには状態の良さを感じさせる。
若手が次々と三役の座をつかむ中、30歳の宇良の番付は一進一退を続ける。
膝に古傷も抱え、「自分にとって15日間完走するのは当たり前じゃない」。
だからこそ、相撲に対する執念は人一倍。
取り口については普段から多くを語らず、「ペラペラ話して相手に種明かしはしない」。
土俵を下りても、勝負師であり続ける。
昨年の春場所は西前頭筆頭で4勝11敗。
地元の期待に応えられなかった悔しさは、もちろん胸の中にあるだろう。
「元気な相撲を見せていきたい」。
ご当所への思いはやはり格別だ。
3日目、新入幕の武将山が王鵬を押し出して初白星。
立ち合いから得意の突き押し、頭からかまして先手を取った。
「ほっとした。下がらずに攻める相撲で勝ち切れた」。
師匠の藤島親方からは「一日一番、切り替えて集中するように」と指導されている。
現師匠が藤島部屋を創設してから、同部屋初土俵の力士では初の新入幕力士。
「これからも真っ向勝負でいく」と気合を入れた。
3日目、東前頭15枚目・北青鵬が無傷3連勝を飾った。
“快進撃の巨人”から目が離せない。
204センチの最長身新入幕・北青鵬は、同じく2連勝中で192センチの金峰山との新入幕対決。
立ち合いで狙い通りに得意の左上手を取ると、右四つがっぷり。
力いっぱいに引きつけながら前へ。
好調の新鋭に何もさせず、最後はドッシリと腰を割って寄り切った。
自己新となる無傷の3連勝を飾ったが、「新入幕同士の意識? 特に何も思うことはないです。いい相撲だったと思います」と淡々と振り返った。
モンゴル生まれで北海道育ちの大器は、八角理事長をもうならす逸材だ。
安定感のある新入幕の活躍ぶりに、「よく前に出るようになった。以前は長い相撲が多かったが、体を生かして前に出るようになった」と指摘。
過去に師匠・宮城野親方に対し、北青鵬の突っ張り習得を進言したといい、この日は「曙のように突っ張りがあれば今後の伸びが違う。先手を取ってからまわしを取ることが大事」とさらなる期待を込めた。
3日目の14日、東十両筆頭の朝乃山は西十両筆頭の東白龍との見応えのある一番を制し、初日から3連勝とした。
立ち合いから相手の攻勢にあうも、こらえて逆襲し、地力を示した。
取組後、朝乃山は汗を拭いながら「自分も必死。気持ちで負けないよう、絶対に勝つぞという気持ちで土俵に上がっている」と決意を語った。
2023/03/14
2日目、目を閉じたまま土俵下で出番を待つ。
自分の世界に入り、集中を高めていく。
綱とりへ連敗だけはできない一番で、貴景勝に迷いはなかった。
玉鷲の引きにも崩れず、危なげなく押し切った。
取組前に「弱気になっちゃだめ」と話していた八角理事長(元横綱北勝海)も、取組後は「いい相撲ですね」。悪い流れは断ち切った。
春は思い出の場所。
初日に続き取材に応じなかったが、場所前に「新十両も大阪場所で、新大関も大阪で決めて。いい節目になってる場所だと思うので」と貴景勝は話していた。
2日目、小結2場所目の若元春は連勝と好発進を決めた。
錦木を左四つに組み止めるも「上手を取れずバタバタしてしまった。あまりいい相撲とは言えないが、足はしっかり出ていたので」。
振り回されながらも攻め続けて最後は寄り切った。
好調に映るが、「はたから見るより余裕ないです。いっぱいいっぱい」と言いながら表情は明るかった。
2日目、大栄翔は持ち前の馬力を発揮。
若隆景を突き起こすと、回り込もうとする相手を難なく押し出した。
関脇を圧倒しての連勝発進に「しっかり自分の相撲を取れている。調子もいいと思う」と納得の表情を浮かべる。
返り小結。「毎場所の積み重ね。目の前の一番を頑張る」と勇ましかった。
2日目、1場所での三役復帰を果たした翔猿も2連勝。
「そこに関してはプラスな刺激。お互いに負けないという良い関係だと思っているので、最後までやっていきたいと思っています」。
ともに埼玉栄高出身の追手風部屋再小結コンビが、互いの存在を“追い風”にして白星を積み重ねていく。
2日目、西前頭筆頭・正代が、7場所ぶりの連勝スタートを決めた。
新関脇・霧馬山に攻め込まれたが、左を差して逆襲。
相手の体を起こして、最後は押し倒した。
「ここ何場所かの中では動けているのかなと思います」と、うなずいた。
2020年初場所以来となる平幕に番付を下げたが、その場所で好調な滑り出しだ。
「序盤からよく体が動いているのは、モチベーションもよくなってくると思うので、なるべく続けていけたらなと思います。ちょっと連勝から遠のいていたので、いい流れが来ているんじゃないかなと思います」と手応えをつかんでいる。
2日目、高安が内容も伴って白星を重ねた。
左からかち上げ気味に出て遠藤を押し込むと、冷静に引き技で仕留め、「前に出られたと思う」。
この2日は「集中して、いい緊張感で相撲が取れた」と言い、心持ちも良く滑り出した。
連勝発進は、東西こそ違うが、同じ前頭7枚目だった昨年春場所以来。
その時は優勝決定戦に進んだ。元大関が快進撃を見せても不思議ではない。
2日目、宇良が2連勝発進。
館内にしこ名を呼ぶ声がこだまする中、大きな碧山を相手に潜るようにして下から攻め、一方的に押し出した。
1月の初場所は終盤に苦しんで7勝8敗。
巻き返しを誓って乗り込んだ地元の大阪の盛り上がりに感謝し、「声援を聞いたら、疲れたとは言ってられない」。
ご当所の期待が最高の発奮材料になりそうだ。
2日目、カザフスタン出身で初の幕内力士となった身長192センチの金峰山は武将山を送り出した。
金峰山は「体が動いている。(北青鵬と)2人で(番付を)上がっていきたい」と意識していた。
2日目、新入幕の北青鵬が204センチの長身を生かした危なげのない内容で、171センチの武将山を寄り切った。
連勝スタートに「反省点がない相撲」と満足そうだ。
初日の取組後は両親をはじめ、多くの知人らからメッセージを受け取ったという。
「『幕内最初の白星がかっこよかった』などと連絡があった。明日からも自分の相撲を取って勝つだけ」と威勢が良かった。
2日目、西前16枚目の剣翔が、十両の東白龍との熱戦を寄り切りで制して2連勝とした。
1度は東白龍に軍配が上がったが、物言いがついて協議の結果、軍配差し違えで勝ち名乗りを受けた。
「負けていたと思っていました」と自分でも分からないきわどい勝負を制しても、「土俵際で絶対にはたいてくると思っていたのに前に落ちたので、そこは反省です」と課題を口にした。
これで初場所に続き初日から2連勝としたが、前回はそこから6連敗と崩れただけにうかれない。
「勝てる時に勝ちたい」と気を引きしめた。
2日目、東十両筆頭の朝乃山は同2枚目の千代の国を一気に押し出し、初日から2連勝とした。
初日には662日ぶりに幕内の土俵に上がって白星を飾っており、大阪の土俵で元大関の地力を見せつけている。
朝乃山は「あしたも初日のつもりで、一日一番、自分の相撲を取りたい」と気を引き締めた。
十両の最後の取組で登場した朝乃山。
土俵に上がると、会場からは大きな歓声が上がった。
2023/03/13
早くも暗雲だ。
初日、綱取りに挑む大関貴景勝が小結翔猿のはたき込みに屈して痛恨の黒星。
取組後は報道陣のオンライン取材に応じず、会場を後にした。
1月の初場所は12勝3敗で13場所ぶり3度目の優勝を達成。
綱取りには「2場所連続優勝」が必要となる中、いきなり出足でつまずいた。
横綱昇進の可否をあずかる審判部長の佐渡ヶ嶽親方は「立ち合いの当たり、出足ともに良かったが、最後に急ぎすぎた。まだ初日ですから。ここから開き直って大関の責任を果たしてほしい」と一人大関に奮起を促した。
初日、新関脇霧馬山が阿炎の突き放しに下がらず、力強く押し出して白星発進。
「先に自分から前へ出ていこうと思った」。
新たな番付で迎える初日にも「いつも初日は緊張する」と笑みが広がった。
大関は貴景勝一人だけで、3関脇4小結が出世を争う。
1月の初場所では小結で11勝を挙げた霧馬山にとって、今場所は大関昇進への足場を固める大切な土俵となるが、「意識せず、考えない。一日一番で」と平常心を保つ。
初日、翔猿が貴景勝を破り、初日から「荒れる春場所」を演出した。
押し込まれた土俵際ではたき込み。
埼玉栄高の後輩でもある相手の綱とりには「意識がなかった」と話す。
この大関に3連勝で「体が動いたのが良かった。うれしいし、自信になる」と満足した。
2場所ぶりに小結復帰のくせ者は結びの一番の歓声が気持ち良かった様子。
「力に変えていきたい。まずは勝ち越しを目指していく」と意気揚々と語った。
初日、東前頭筆頭の玉鷲が、関脇若隆景を破って白星発進した。
立ち合いから、のど輪で押し込み、その後も突き放して攻めた。
だが回り込まれて相手に左を差されると、右前まわしも引かれ、一気に守勢へと回った。
それでも土俵際で逆転の突き落とし。
「よかった。とっさの反応ですね」と、笑顔を交えて振り返った。
部屋の力士は、自身を含めて4人しかいないが、今場所から弟弟子の玉正鳳が新十両に昇進し、この日は先に白星を挙げていた。
「弟弟子の白星が力になったか」の問いに「もちろん、それはありました。それを見て『よしっ、自分も頑張らないと』と思いました」。
玉正鳳は、十両での自分の取組が終わると、序二段力士とともに玉鷲の付け人も務めていただけに「部屋の力士たちのおかげ」と感謝していた。
2日目は結びの一番で、今場所後の横綱昇進を目指す大関貴景勝との顔合わせとなる。
貴景勝は黒星発進となり、連敗は何としても避けたい状況となったが「こっちもこっちで、頑張らないといけないですね」と、対抗心をのぞかせていた。
正代が厳しい攻めを披露した。
豊昇龍に前まわしを与えたものの、左から強烈におっつけて一気に押し出した。
大関候補に対して持ち前の圧力を発揮し、「止まらず前に出て、引きつけさせなかったのがよかった」と自賛した。
2020年初場所以来となる平幕で臨む今場所。
再出発を白星で飾った元大関は「気楽に自分の持ち味を出せたらいい」と冷静に先を見据えた。
高安が盤石の取り口を見せた。
北勝富士に対し、左で上手を引くと、低い姿勢を保ちながら一気に前進。
攻め手を緩めず、力強く押し出した。
関脇だった1月の初場所は右膝を痛めて途中休場。
平幕からの仕切り直しとなる中、「前向きな相撲を取りたい。ベストを尽くす」。
快勝での発進に、元大関の表情は明るい。
初日、スケールが大きい新入幕2人がそろって白星スタート。
204センチの長身で21歳の北青鵬は懐の深さを生かし、右四つから寄り切った。
初土俵を踏んだ3年前の春場所は無観客開催で「寂しかった。やっぱり声援はうれしい。ファンに喜んでもらえる相撲を取りたい」と気合を入れた。
25歳の金峰山は武将山との新入幕対決に快勝。
日大で活躍後、2021年九州場所で三段目100枚目格付け出しデビュー。
カザフスタン出身初の幕内力士になった。
まだ大銀杏が結えない有望株は「緊張した。ここから良くなっていくと思う」と?を緩めた。
初日、元大関の十両・朝乃山が幕内の水戸龍を寄り切りで破った。
幕内の土俵は、出場停止前の21年夏場所11日目以来662日ぶり。
「十両に比べたらお客さんも多い。あの雰囲気で勝ちたいという気持ちになります」。
昨年は出場停止、一昨年は東京開催だったため近大時代に4年間過ごした大阪は3年ぶり。
今場所は幕内復帰目前の東十両筆頭で「出るからには優勝を」と2場所連続十両優勝を見据えた。
日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は12日、4年ぶりの通常開催で初日から満員御礼となった春場所について「ありがたい。大阪は熱心なファンがたくさんいる。戻ってきたなと感じる」と手応えを口にした。
館内の視察で熱気の復活を感じつつ「まだ控えめな感じがして、気を使っている」とも語った。
2日目の13日から新型コロナウイルス感染対策のマスク着用は各自に委ねられる。
相撲協会は取組表に着用を推奨する文面を記載しているが、八角理事長は「個人の判断」との見解を示した。
両膝痛で4場所連続休場の横綱照ノ富士については「次の場所で結果を残せるように、きっちり治して」と述べた。
2023/03/12
大関貴景勝が横綱昇進に挑む。
歴代の横綱はほぼ四つ相撲の力士だった。
押し相撲だった元横綱北勝海は左四つでの寄りも力強かった。
身長203センチの元横綱曙は規格外の長いリーチを生かした突き押しだったので例外的な存在だ。
押し相撲一筋の貴景勝が綱をつかめば、大相撲史においてエポックメーキングな出来事となる。
福島市出身の関脇若隆景と小結若元春が東日本大震災から12年の11日、朝稽古後に取材に応じ、若隆景は「毎年振り返るし、東京などでも地震があった時は思い出す」と胸中を述べた。
若元春は地元ファンとの交流などを通じ、被災地が復興途上であることを実感するという。
「復興の進み具合も地域によって違うし、風評被害もまだある。1年に1度、震災について考えてもらえたら」と神妙な面持ちで語った。
震災発生当時、2人は長兄の幕下若隆元が入門した東京の荒汐部屋に身を寄せた時期もある。
西前頭7枚目の高安が、演歌歌手の妻、杜このみさんとの挙式披露宴を6月に東京都内のホテルで開くことが10日、分かった。
2020年7月に結婚。
21年2月に長女、22年8月に長男を授かった。
10日は大阪市平野区の田子ノ浦部屋で稽古し、幕下以下の力士と21番取った。
右で素早く前まわしを引いて寄る動作を確認するなど、休場明けの春場所へ最終調整。
「何の不安もない状態で初日を迎えることが大事。それができれば場所を面白くできる」と再起への思いを語った。
新入幕を果たした北青鵬が11日、大阪市内の部屋宿舎で最終調整を行った。
身長204センチの大器は「(調整は)順調です」と好調をアピール。新入幕場所だが「特に変わることもなく。十両と幕内でどれだけ違うか。相撲を取ってみないとわからないですけど、楽しみの方が大きいですね」と待ちきれない様子だった。
この日は師匠の宮城野親方の38歳の誕生日でもあった。
北青鵬自身が2年前に初めてまげを結った日でもあるといい、特別な思いがある。
その直後に迎える春場所へ向け「(白星を贈りたいのは)もちろんですし、敢闘賞をプレゼントしたいのもあります」と気合。
そのためには2ケタ白星は欲しいところだ。
「まずは勝ち越しを目指して、そこから意識していきたいと思います」と闘志を燃やした。
大相撲で元横綱白鵬の宮城野親方が東日本大震災から12年の11日、大阪府の宿舎で「日本中が忘れてはいけない日。思いは変わらない。東北の皆さんともお会いしたい」と被災地へメッセージを送った。
この日は38歳の誕生日でもあった。
現役時代は関取衆で構成する力士会の会長として復興支援の中心を担った。
誕生日が春場所期間中に重なることが多く「絶対に負けない。勇気と希望をもたらしたいという気持ちで土俵に上がった」と述懐。
昨年7月から部屋を率いる立場となり「弟子たちにこの気持ちを受け継いでもらいたい。(被災者を)元気づけてほしい」と願った。
先月、少年相撲の国際親善大会「白鵬杯」では、力士会が土俵を再建した岩手県山田町の子どもたちも奮闘した。
「交流が実を結んでいる」と感慨深げだった。
大相撲春場所の土俵祭が11日、会場となるエディオンアリーナ大阪で行われた。
この日は新型コロナウィルス感染対策緩和の一環として、20年初場所以来となる一般公開も実施。
150人が八角理事長(元横綱・北勝海)らとともに15日間の安泰を祈願した。
春場所としては4年ぶりの正常開催。
担当部長の伊勢ノ海親方(元幕内・北勝鬨)は「チケットも順調に売れている。今のところ、大入りは全日(15日間)出ると思う。かなり盛り上がるのではないかと思うし、力士はいい相撲を見せてほしい」と話した。
2023/03/11
横綱・照ノ富士が春場所を休場することが10日、決まった。
昨年10月に手術した両膝のケガだけでなく、10日に提出された診断書には「糖尿病」の病名も加わった。
以前、大関から序二段まで落ちた時に苦しんでいた病気でもあり、再発が心配される。
休場は4場所連続16度目。
前日には実戦稽古も行っていたが、師匠の伊勢ケ浜親方は、休場の決断について「場所に出られるかというと、立ち合いが物足りない」と説明。
照ノ富士は大阪市東成区の部屋での稽古に姿を見せ「毎場所、出たいよ。無理しないと出られない」と胸中を語った。
少しずつ回復はしており、4月の春巡業から復帰の予定。伊勢ケ浜親方は「5月はもう大丈夫。稽古もできていますから。あとは15日間しっかり取れる下半身づくりをしないと」と夏場所での完全復活に期待を持たせた。
10日、春場所の取組編成会議を開き、初日と2日目の取組を決めた。
1月の初場所を12勝3敗で優勝し、横綱昇進に挑む大関貴景勝は初日に小結翔猿、2日目は平幕玉鷲と対戦する。
先場所に続き1横綱1大関の今場所も横綱照ノ富士の休場に伴い、貴景勝が出場する力士で番付最高位。
今場所は観客数に制限を設けず、新型コロナウイルス感染拡大後では4年ぶりに通常開催となる。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は10日、春場所15日間の懸賞申込総本数が約1600本と明らかにした。
新規で8社の申し込みがあり、昨年終了時点での1494本を上回った。
個人では貴景勝が190本でトップ。
2023/03/10
横綱・照ノ富士が9日、春場所を4場所連続で休場する可能性が出てきた。
大阪市内での稽古では西前頭10枚目・錦富士、同12枚目・宝富士と計9番をとったが、宝富士に1勝4敗と苦戦するなど5勝4敗。
稽古後、笑みを浮かべながら「まあまあ。おそらく親方が答えを出すと思う」と話し、宿舎へ戻った。
「出場した横綱は勝たないといけない。あとで話し合い、最終的に決める」と師匠の伊勢ケ浜親方は10日午前に行われる取組編成会議に向け、9日夜に最後の話し合いをすることを明かした。
昨年秋場所を途中休場し、10月に両膝の手術に踏み切った。
その後、2場所連続で全休。
春場所での復帰を目指し、3月に入ると稽古の強度も徐々にあげた。
「(休場後では)一番状態は良い」と話していたが、万全の状態ではない。
伊勢ケ浜親方も「相撲を取れるようになったのは最近。稽古ができても番数が足りない」と慎重な姿勢を示していた。
出場は微妙な情勢で、初場所に続いて1横綱1大関ながら、横綱を欠く寂しい春場所となりそうだ。
関脇の若隆景が9日、大阪・堺市の大鳥大社にある部屋で稽古した。
およそ100人の見学者の前で、兄の小結若元春、十両の荒篤山と相撲を取り8勝3敗と力を見せた。
昨年は同場所で初優勝を飾り「験がいい場所」という大阪の地で順調に調子を上げている。
代名詞の強烈なおっつけは健在。
三番稽古では若元春の差し手を何度もふさいで、再三攻勢をかけていた。
出稽古時に痛めた左わき腹付近も「大丈夫です」と強調。
「毎場所やることは一緒なんで」と場所に向けてもう一段ギアを上げていくと話した。
新関脇霧馬山が9日、堺市の陸奥部屋で稽古し、春場所の目標を「まずは勝ち越し。やるべき相撲を取っていれば結果はついてくる」と掲げた。
土俵で胸を出した鶴竜親方に精力的にぶつかり「久しぶりだった。さすが親方。重かった。力になる」と充実の表情だった。
初場所は小結で11勝を挙げ、今場所は大関昇進への足場を固める重要な闘いとなる。
大関は貴景勝一人だけで、3関脇4小結が出世を争う状況。
「今は誰が上がってもおかしくない。自分も負けたくない。先に先に、という気持ちがある」と意欲たっぷりに語った。
西前頭7枚目・高安が9日、大阪市内にある宿舎で春場所に向けて調整した。
先場所は右膝負傷の影響で途中休場したが、「問題ないです。(調子も)悪くないです」と順調。
若い衆と計12番の相撲に加え、一人一人に胸を出して1時間ほど土俵の中で精力的に体を動かした。
昨年の春場所は若隆景との決定戦に逆転で敗れ、目前に迫った初賜杯を逃した。
「過去の経験は全部生きますから。経験をプラスにして、精神的にもっとずぶとくいきたい」と、1年前の“悪夢”は成長の糧にしている。
この日はWBC日本代表の初戦で、茨城・土浦一中時代は野球部だった元野球少年は「みんな注目している。大谷、ダルビッシュなどMLB選手が4人も来て、すごい強いと思う」と期待。
3月はセンバツ高校野球など話題が豊富なだけに「(相撲も)負けないように頑張りたい」と目をギラつかせた。
幕内宇良が9日、1月下旬にプロ野球・オリックスの平野佳寿投手の自主トレに参加し、異競技から学びを得たことを明かした。
宇良にとって鳥羽高の9年先輩。
相撲部監督だった恩師の田中英一氏が平野の担任でもあったことから、京都府内での“一日入門”が実現した。
体の調子を確認する動き、膝をケガしにくくなるトレーニングなどを教わった。
日米通算221セーブを誇る右腕の体を目の当たりにし「野球のピッチャーって大きいんだなと思いました」と刺激ももらった。
異競技のトレーニング参加は自身初。
相撲に生かせるものは取り入れ、続けている。
「全然できなくて。平野さんが活躍するのもそれだけバランスが整っているから。差を見てみたい」と苦笑しつつ日々勉強。
貪欲な姿勢が、さらなる進化につながるはずだ。
大阪府寝屋川市出身。
ご当所となる春場所では、2016年に関取昇進を決め、17年には新入幕を果たした。
過去5度のうち4度勝ち越しと相性もいい。
この日は大阪府吹田市の部屋での稽古には参加せず、体のケアなどに努めた。
西前頭8枚目で臨む今場所の目標を「力を出し切ること」と掲げた。
2023/03/09
貴景勝は綱とりへ闘志を燃やす。
新番付の発表前には、部屋で隆の勝との三番稽古を始めた。
押し込まずに頭をつけ、左からのおっつけで相手の動きを封じた。
押しが武器の大関。
自身にとっては不利とも言える止まった状況から、すくい投げなどで打開する。
1月の初場所、優勝を決めた千秋楽の琴勝峰戦で見せた投げも、「体が勝手に動くまで、体に染み込ませた」。
日々の稽古で積み重ねてきた技を物にしつつある。
初めて綱とりに臨んだ2年前の初場所は初日から4連敗を喫し、左足首を痛めて途中休場。
改めて好機を迎え、「ここで後悔したら、一生忘れない。それだけはしたくない」と覚悟を口にする。
勝負の時を前に「余計なことを考えてたどり着ける地位ではない。やり切ったという気持ちで終われるような15日間にしたい」と決意を述べた26歳。
兵庫県出身。
準ご当所の大阪で再び最高位に挑む。
関脇・豊昇龍が8日、大阪市住吉区の立浪部屋で春場所に向けて調整。
四股や腕立てなどの基礎運動を行い、土俵下では幕下力士らと軽く胸を合わせて投げ技などの動きを確認した。
初場所は左足首のケガで途中休場しながらも勝ち越し。
春場所の成績次第では大関獲りにつながる可能性もある。
同じモンゴル出身の霧馬山の新関脇昇進でライバル意識はより一層高まっているが「気にしていない。自分は自分だから、やることをしっかりやるだけ」と自らに言い聞かせるようにして集中力を高めた。
この日は本場所で使用する赤の締め込みを着用。
心身ともに“本場所モード”に入っていた。
8日、大阪市福島区の阿武松部屋での稽古後に取材に応じ、東前頭4枚目で迎える春場所に向けて「優勝はすごいことなのだなと思った。一つの乗り越えないといけない壁」と決意を新たにした。
初場所は12日目終了時点で単独首位に立ったが、13日目の大関貴景勝戦から3連敗。
「一瞬だけ現実味を帯び、それがすごく遠く感じた。気持ちの面でもまだまだ弱かった」と潔く受け止めた。
8日、大阪市住吉区の立浪部屋で春場所へ向けての稽古を行った。
前日までは申し合い稽古も行っていたが、この日は参加せず。
四股やすり足といった基礎運動や、おもりを使った体幹トレーニングなどで汗を流した。
1年ぶりの三役復帰だった初場所は5勝10敗と負け越し。
悔しさから得るものはあったそうだが「自分だけが知っていればいい」と胸の内にとどめた。
西前頭4枚目で迎える今場所は「勝ち越したい。しっかり頑張るだけです」と短い言葉に力を込め、三役復帰を見据えた。
右膝を痛め、関脇だった1月の初場所を途中休場した元大関の高安にとって、春場所は西前頭7枚目からの出直しとなる。
「完全に治った。厳しい相撲を取りたい」。表情に充実感が浮かぶ。
2月28日で33歳に。
年齢を自覚する言葉も増えてきた中、原動力は「(番付で)上がりたい気持ち」。
大関の地位を失ってから3年余り。
もう一花咲かせる覚悟は場所ごとに強まる。
兄弟子の二所ノ関親方の下に出稽古し、胸を出してもらった。
佐渡ケ嶽部屋も訪れ、小結琴ノ若らと手合わせ。
「力を出し合ったいい稽古だった」と手応えをつかんだ。
春場所で新入幕となる北青鵬が8日、控えの土俵下で使用する座布団のデザインを師匠・宮城野親方の現役中と同じ配色にしたことを明かした。
大阪の後援者から贈られ、「親方と全く同じ茶色と黄色です。親方の座布団もその方が作っていて、僕があえて頼みました」と笑顔を見せた。
自身のしこ名が入った座布団は幕内力士の証しだ。
最長身204センチ、規格外の新入幕は「唯一、違うのは優勝回数が入ってないこと。(入れられるように)頑張ります!」と角界の頂点を目指し、気合を入れた。
2023/03/08
若隆景が7日、大阪・堺市にある大鳥大社内の宿舎で稽古した。
昨年は、双葉山以来86年ぶりの新関脇Vで初賜杯を抱いており、「験のいい場所なので、気持ちを高めていきたいと思います」と意気込んだ。
春場所は過去6年は一度も負け越しがなく、相性は抜群だ。
6日から大阪での稽古を開始したが、この日の稽古では相撲は取らず。
基礎運動を中心に汗を流した後、若い衆を相手に15本の一丁押しで立ち合いの当たりを確認した。
先月中旬には、稽古中に左ろっ骨付近を負傷したが、ケガの状態については「問題ないですよ」と、順調な回復ぶりを強調した。
9場所連続勝ち越し中と安定感抜群の次期大関候補。
先場所は9勝にとどまっただけに、「2桁という星は大事かなと思います。けど、やっぱり一日一番、自分の相撲を取ることを意識して頑張りたいですね。しっかり準備して、初日に臨みたいと思います」と静かに闘志を燃やした。
西前頭7枚目の高安は7日、春場所に向けて大阪市内の田子ノ浦部屋で三段目以下の力士と連続31番取り、相手に存分に攻めさせながら圧倒した。
関脇だった1月の初場所では右膝下を負傷して途中休場。
平幕からの出直しとなる。
2月28日に誕生日を迎えたばかり。
33歳になって初めての場所に「また1年貴重な経験を積んだということ。いいスタートを切りたい」。
昨年は優勝同点が2、優勝次点が1度。
悲願の初優勝へ気持ちを新たにした。
元大関で東十両筆頭の朝乃山が7日、大阪市中央区の同部屋で幕下以下の力士と18番取った。
仕上げのぶつかり稽古では全身泥だらけに。
肩で息をしながらも「上に行きたい気持ちがある。すぐに結果が出なくても、積み重ねが大事だと思う」と充実の笑みを浮かべた。
春場所は6場所出場停止から復帰5場所目。
関取に戻った先場所は14勝1敗で十両優勝したものの、再入幕には届かなかった。
「試練というか、プラスに考えて。『もう1度上がるぞ』という気持ちになった」と燃えている。
十両には自身の他に栃ノ心、逸ノ城、徳勝龍と4人の幕内優勝経験者が名を連ねた。
「結構ハイレベルだけど、土俵に上がったら関係ない。自分のやるべきことは変わらない」と落ち着いた表情で語った。
埼玉県小鹿野町長留の旅館「宮本家」に「力士風呂」が完成し、7日、お披露目された。
宮本家12代当主の宮本一輝さん(44)は、元大相撲幕内の剣武。風呂場の壁には、「秩父夜祭」の化粧まわし姿の剣武の錦絵(縦120センチ、横71センチ)が掲げられている。
大相撲錦絵師の木下大門さん(76)に依頼し描いてもらった。
所属していた武蔵川部屋に伝わる力士修業心得も展示。
窓からは、土俵祭りで神事に使う榊(さかき)の木が植えられた庭が見える。
脱衣所は、稽古(けいこ)場をイメージして、元横綱の白鵬、日馬富士、横綱の照ノ富士の優勝ミニ額や、相撲部屋で番付の位が描いてある板番付・鉄砲柱などがある。
宿には毎日新聞社寄贈の優勝額や、武蔵丸と白鵬が使った横綱なども展示されている。
木下さんは「夜祭の化粧まわしはすごく細かいので描くのに苦労した。力士の絵がある風呂はここにしかないのではないか」。
宮本さんは「幕内に上がらないと絵番付は描いてもらえないので、幕内に上がれてよかった。風呂に入って大きくなった剣武を皆さんに見てもらいたい」と笑顔で話した。
宮本家の電話は(0494・75・4060)。
2023/03/07
大相撲で3場所連続休場中の横綱照ノ富士が6日、東京都江東区の伊勢ケ浜部屋での稽古後、春場所の出場について「親方(師匠の伊勢ケ浜親方=元横綱旭富士)と相談して決める」と話すにとどめた。
昨年10月に手術した両膝の状態は「日に日に良くなっている」と回復傾向を強調。
この日の稽古では分厚いサポーターを施し、幕内の翠富士や錦富士との申し合いで12番取った。
その合間に「どう、当たれてる?」「重い?」と弟弟子に確認し、錦富士が「最近の中で一番いいと思います」と返すと笑みを浮かべた。
照ノ富士は昨年9月の秋場所を途中休場。
手術後は2場所続けて全休した。
大関貴景勝が綱とりに挑む今場所は一人横綱として存在感を示したいところだが「まだ自分のことで精いっぱい。早く本調子に戻したいという意識で、復活に向けてやっている」と静かに語った。
先場所6勝からの巻き返しに燃える西前頭5枚目の翠富士が6日、東京都江東区の伊勢ケ浜部屋で稽古し、2桁勝利を目標に掲げた。
「勝っていれば、三役に上がっていけると思う。10番勝てるように頑張りたい」と意気込んだ。
先場所は「後半に気持ちが切れてしまった」と13日目から3連敗。
117キロの体重を増やすため、食事量などを見直してきたという。
この日は横綱照ノ富士に胸を借り「横綱より強い人はいない。そういう人と稽古ができるのはありがたいこと」と感謝を口にした。
大相撲の大関経験者の正代が、順調な仕上がりに自信をのぞかせた。
6日、春場所に向けて大阪市内の部屋で稽古をした。
十両昇進をうかがう東幕下3枚目の時疾風と三番稽古を行い、12勝2敗と全く寄せ付けなかった。
口ぶりや表情からも充実ぶりをのぞかせ、「油断しないように、このままいけたら」と気を引き締めた。
昨年末の稽古中に右足親指を痛めた。
休場も考えるほどの負傷だったが、1月の初場所は15日間相撲を取った。
結果は6勝9敗。
10勝を挙げれば大関に復帰できる特例を生かせず、今場所は西前頭筆頭に座り、20年初場所以来となる平幕力士として臨む。
心配された右足の状態も復調しつつあり、「(踏み込みで)もっと蹴りたいですね」と理想に近づくべく調整に励む。
まずは三役に返り咲くところが目標。
3場所連続で負け越しているが、ここで勝ち越しを決めて悪い流れを断ち切る。
1歩、1歩、地道に積み重ねていく。
大相撲春場所がご当所となる大阪府寝屋川市出身の西前頭8枚目・宇良が6日、吹田市の部屋で稽古し、四つ相撲を習得中と明かした。
関学大時代から足取りや居反りが代名詞の業師は、右膝の大ケガで序二段まで転落した経験もあり、増量して押しを磨いてきた。
さらに「四つ相撲を練習してます。できないことをやってます」と、新境地開拓に挑む。
1年前は自己最高位の西前頭筆頭で4勝に終わり、新三役を逃した。
ただ、当時大関だった正代からも勝利し「全然悔しくない。上出来」と前向き。
中入り後の土俵から存在感を発信していく。
小山市外城(とじょう)の栃木県南体育館で8月20日、「夏巡業 大相撲小山場所」(同実行委員会主催)が25年ぶりに開かれることが、このほど決まった。
横綱や大関などの力士、巡業関係者ら約200人が集結する予定。
取り組みのほか、公開稽古の観戦や力士との記念撮影を楽しむことができる。
今月2日には日本相撲協会巡業部の枝川(えだがわ)親方(元幕内蒼樹山)、同実行委の安藤大平(あんどうたいへい)会長、高橋幸浩(たかはしゆきひろ)副会長が市役所を訪れ、浅野正富(あさのまさとみ)市長らに巡業の概要などを説明した。
枝川親方は「力士は間近で見ると迫力がある。夏休みでもあるので、幅広い世代で見に来てほしい」と呼びかけた。
浅野市長は「伝統ある大相撲を見ることができる良い機会。開催日を心待ちにしている」と、25年ぶりの巡業に期待を寄せた。
1場所出場停止の懲戒処分を受けて1月の初場所を全休し、春場所では16場所ぶりに十両へ転落したモンゴル出身の東十両3枚目逸ノ城が腰の手術を受けながらも、「ぶっつけ本番になっても、出る」と強行出場を明言した。
慢性的な腰痛に苦しむ逸ノ城は2月13日に東京都内で内視鏡によるヘルニア除去手術を初めて受けた。
6日は大阪・大東市の湊部屋でぶつかり稽古などで汗を流したが、先月初旬から相撲を取る稽古は行っていない。
弁護士を依頼し、師匠との意思の疎通を遮断する事態へ陥ったが、現在は互いに会話をするなど関係は徐々に改善。
「もう終わったこと。自分が駄目なところもあった。10勝以上を挙げて1場所で幕内へ戻りたい」と出直しを期す。
2023/03/06
綱とりの可能性は?
日本相撲協会の公式ユーチューブチャンネルに西岩親方が登場。
春場所の見どころを解説した。
西岩親方は初めに、大関貴景勝の綱とりについて言及。
「一番の注目は貴景勝の綱とり。初場所で優勝したので、いよいよ連続優勝で横綱昇進というところまできた。ぜひ達成してほしい。地元関西(兵庫)出身ですので、地元の大声援を受けて土俵に上がって、いい結果で春場所が終わるといいと思う」と期待を寄せた。
また、春場所で2場所連続優勝を果たす可能性についても「気迫を前面に出して相撲を取ってほしい。初場所でも何度も流血をしながら、気迫のこもった相撲で勝った相撲が何番かあった。ああいう気迫が春場所でも出ると、十分に優勝を狙える」と太鼓判を押した。
春場所で関脇の豊昇龍が5日、大阪市の住吉大社にある立浪部屋で稽古し、新関脇で同じモンゴル出身の霧馬山に対抗心を見せた。
幕内での対戦成績では豊昇龍が6勝5敗と1歩リードしているが、実力者同士のということもあり拮抗(きっこう)。
霧馬山から番付発表会見で負けたくない相手として名指しされたことについて「同じ関脇の地位だから、俺も負けたくないね」と闘志を燃やした。
小結琴ノ若が5日、大阪府松原市の佐渡ケ嶽部屋で稽古し、大関昇進への起点となる2桁勝利を目標に据えた。
「頭には入っているし、土台をつくれればいい。目の前の一番に集中して、自分の力を出し切るだけ」と決意を口にした。
新小結の先場所は4連敗スタートから立て直し、千秋楽に勝ち越した。
5日の稽古では幕内琴勝峰や琴恵光らに9勝4敗。
三役2場所目に向け「気持ち一つだと思う。思い切って自分のできることをやれればいい」と闘志をかき立てた。
大相撲の関取衆最年長、東前頭筆頭の玉鷲が、春場所の“台風の目”となることを予告した。
4日、都内の部屋で稽古。
同部屋の新十両、玉正鳳と15番の三番稽古を行い、13勝2敗と圧倒した。
部屋の若い衆2人と同時に相撲を取る稽古は「いつもはやっている」というが、この日は疲労などを考慮して行わなかったが、順調な仕上がりをうかがわせた。
勝ち越せば、小結だった昨年11月の九州場所以来、3場所ぶりの三役復帰に大きく前進する。
ただ、本人が目指しているのは「関脇まで戻りたいね」と、19年7月の名古屋場所以来、4年ぶりとなる関脇の地位だ。
大関だった昨年秋場所から3場所連続で負け越し、西前頭筆頭まで番付を落とした正代が再浮上を目指して気持ちを立て直す。
5日は大阪市内の時津風部屋で2人の幕下力士と連続20番取って全勝。
鋭い出足で圧倒した。
関脇に降下した1月の初場所では、10勝を挙げれば大関に復帰できる特例をいかせず6勝に終わった。
春場所では令和2年初場所以来3年ぶりに平幕で取るが、「大関は負けられないという気持ちが強くて精神的につらい部分もあった。正直、少しほっとしている」と自らを解放する。
不振の原因は右足甲の痛み。
手術すれば数カ月かかるとあって「痛みさえ落ち着けば、しっかり当たれる」。
現行のかど番制度となった昭和44年名古屋場所以降、1場所での復帰がならず、再び大関へ復帰した例は所要7場所の魁傑と20場所を要した照ノ富士の2人だけだが、希望の轍(わだち)≠ヘ存在する。
西前頭3枚目で32歳の錦木は3日、東京都文京区の伊勢ノ海部屋で幕下以下の力士に胸を出し、新三役昇進へ気合をにじませた。
これまで春場所後に新十両や新入幕を果たしており「転機になる場所。しっかり自分の体をつくることが大事」と表情を引き締めた。
9勝を挙げた初場所後は立浪部屋などで出稽古に励み「いい調整ができている」と充実した様子。
東日本大震災発生から12年となる11日を前に、盛岡市出身のベテランは「頑張っている姿を地元に届けられれば」と決意を口にした。
西前頭4枚目の明生は4日、大阪市住吉区の立浪部屋での稽古をスタートし「また三役に戻れるようにやっていきたい」と意欲を語った。
小結だった先場所は5勝10敗と負け越し。
「自分が弱いだけ」と一切の言い訳はしなかった。
2月中は左手首を痛めた影響もあり、出稽古を控えた。
不安要素は「全部。(左手首も)良くはない」と苦笑い。
それでも「けがをしていない人はいない。頑張るだけ」と自らを奮い立たせた。
1月の大相撲初場所で千秋楽まで優勝を争って11勝を挙げた幕内琴勝峰が5日、大阪府松原市の佐渡ケ嶽部屋で稽古し、小結琴ノ若や幕内琴恵光に15勝5敗と充実の内容だった。
東前頭5枚目で迎える春場所に向け「あまり意識せず、自分のいいところを出したい」と意気込んだ。
左足首を痛めた影響で、4日に申し合いを再開したばかり。
それでも鋭い出足で琴ノ若に4勝3敗と勝ち越すなど、23歳のホープは地力の向上を印象付けた。
先場所は1場所15日制が定着した1949年夏場所以降で初めて、平幕力士として千秋楽相星決戦に臨んだ。
「経験をプラスに」と抱負を語った。
2023/03/03
関脇若隆景は1日、東京都中央区の荒汐部屋で取材に応じ、2月中旬に十両朝乃山との稽古で痛めた左肋骨付近の状態について「特に、何もない。いつも通り。しっかり春場所に向けて稽古する」と多くを語らなかった。
7場所連続で関脇を務め、大関候補として期待される。
昨年の春場所は初優勝を果たしており「験のいいところ。自分の相撲を取り切ることを意識する。一日一番、下から攻めていきたい」と気持ちを高めた。
小結若元春が1日、東京都中央区の荒汐部屋での稽古後、今場所の目標に2桁勝利と初の三賞受賞を掲げた。
新三役で9勝を挙げた先場所の活躍に満足していないといい「周りからは良かったねと言われるけど、三役として2桁くらいは頑張って勝ちたかった」と貪欲に語った。
さらなる飛躍を期すため、力強く押し込んでから得意の左四つに持ち込む取り口を磨いている。
同部屋で弟の関脇若隆景に刺激を受け「負けたくない。もっと上の番付を目指さないといけない」と闘志を燃やした。
元大関・栃東の玉ノ井親方が、福島県内では4年ぶりとなる夏巡業(2023年8月5日・福島市で開催)のPRに福島テレビを訪れた。
2019年の大相撲夏巡業では、総勢160人の力士が登場し大いに盛り上がった。
巡業は、部屋が違う力士同士が稽古をする姿を見ることができたり、地域の人と力士との触れ合いが魅力だという。
玉ノ井親方は福島とも縁が深い。
先代の栃東が、現在の相馬市出身ということで県内で玉ノ井部屋の合宿も行っていた。
地元の人との触れ合いも楽しかったし、浜風が吹き涼しく稽古しやすい気候で、また合宿に訪れたいと話す。
そして現在は、玉ノ井部屋に福島県出身の力士が4人いるということで、今後の活躍も期待したい。
十両・朝乃山が2日、所属する都内の高砂部屋で稽古を行い、若い衆を相手に約25本の一丁押しで立ち合いの当たりを入念に確認した。
前日1日は29歳の誕生日。
お祝いのメッセージは約70件届いたそうで「もう(来年で)30歳ですし、ゆっくりはできない。早く幕内へ行きたい」と決意を新たにした。
春場所の十両には朝乃山、栃ノ心、逸ノ城、徳勝龍と幕内優勝経験者が4人も名を連ね、十両で史上初となる栃ノ心との元大関対決も予想される。
「先場所よりは厳しい場所になるけど、そこでいかに自分の相撲を取りきって成績を残せるか、非常に楽しみ」とハイレベルな戦いを見据えた。
勝ち越せば幕内復帰確実の東十両筆頭。
「できれば大勝ちして(前頭)1桁台を狙っていきたい」と13勝以上を目標に定めた。
15戦全勝なら、一気に幕内上位へのジャンプアップも可能となる。
2023/03/02
真っすぐに己を貫き、幕内の土俵にたどり着いた。
大相撲春場所を新入幕で迎える武将山は「考えて器用なことができるタイプじゃない。押し込んで、迷わないで、集中する」と胸に刻む。
171センチ、171キロ。
丸っこい体で攻めていく取り口は、相撲を始めた小学2年生の頃から変わらない。
水戸市内にあり、藤島親方の父が指導する道場で基礎を学び、名門の埼玉栄高では主将を務めた。
憧れの存在だった師匠の下に入門。
初土俵から9年をかけて幕内力士の座を手にした。
高校の後輩に当たる大関貴景勝や小結琴ノ若らに出世では先を越された。
幕下時代は焦りもあったが、「最終的には、自分が弱いから上に行けない。やはり稽古するしかない」と心に誓った。
西十両筆頭で臨んだ昨年1月の初場所、2勝13敗とはね返され、1年後の先場所は同じ地位で9勝。
「少しは力がついたのかな」と謙虚に喜べば、真っ向勝負が身上だった師匠も「精神的にタフになり、負けても切り替えができるようになってきた」と成長を認める。
柔らかい表情が印象的な一方、本場所では「あまり笑わないし、極力しゃべらない。集中したい」という武骨さも魅力。
磨き上げた押し相撲を大阪の地で披露する。
春場所は宮城野部屋の凸凹コンビに注目!新入幕で大相撲春場所に臨む現役関取最長身2メートル4の北青鵬が1日、所属する都内の宮城野部屋で幕下力士を相手に15番、相撲を取った。
身長で33センチ低い雷鵬には後ろを取らせる絶体絶命の体勢からまわしをつかんで逆転するなど、まさに規格外の内容。
「工夫したつもり」と自ら考案した“ハンデ戦”の珍しい稽古も披露した。
一方、関取最小兵となる1メートル67の十両・炎鵬も同じ宮城野部屋所属で、見上げるような弟弟子を前に「面白いんじゃないですか」とニヤリ。
新十両の落合ら若手が台頭する部屋で「置いていかれないように」と小さな体に大きな責任感を宿した。
春場所の目標を大きく「2桁勝利と三賞」と公言する北青鵬に対し、初場所中に右眼窩(がんか)底を骨折した炎鵬は「15日間ケガなく」と控えめで、こちらも好対照。互いの魅力を発揮して、大阪の土俵を盛り上げる。
東十両筆頭で元大関の朝乃山が1日、29歳の誕生日を迎えた。
都内の同部屋で稽古し、幕下以下との申し合いで20番とって18勝2敗。
部屋の力士から祝福され「20代最後の年は、去年よりいい年にしたい」と抱負を述べた。
初場所は14勝1敗で十両優勝。
春場所での再入幕はならなかったものの「自分のやるべきことは何も変わらない。しっかり稽古して、土俵の上で白星を取るだけ」と落ち込む様子はない。
春場所へ向け「優勝を目指してやりたい」と意気込み、30歳までの目標を「今年は三役を目指していきたい」と宣言した。
港北区に4年ぶりに大相撲の熱狂が戻ってくる。
横浜アリーナで4月22日(土)、「相鉄・東急新横浜線開業記念?令和5年春巡業 大相撲横浜アリーナ場所」が開催される。
主催は、(株)横浜アリーナ、(株)テレビ神奈川、ランドマークエンターテイメント(株)
前回アリーナ場所が開催されたのは、2019年。
同社の30周年記念事業として、18年ぶりの開催となり大きな賑わいを見せた。
翌年も開催予定だったが、新型コロナの流行で中止に。
今回は、4年ぶりの開催となる。
2023/03/01
両膝痛で3場所連続休場中の横綱照ノ富士は28日、東京都江東区の伊勢ケ浜部屋での朝稽古に姿を現さなかった。
関係者によると、ここ数日は膝の状態が思わしくなく、相撲を取る稽古を控えているという。
この日は部屋には訪れ、ストレッチやお湯で温めて回復に努めた。帰り際には「元気ですよ」とだけ答え、迎えの車に乗り込んだ。
一人横綱の照ノ富士は昨年9月の秋場所を途中休場し、10月中旬に両膝を手術。その後は2場所続けて全休している。
27日、の新番付を発表した。
新関脇に昇進した霧馬山は東京・両国国技館で会見。
会見場で初めて実物の番付を見たといい、横綱、大関に続いて自身のしこ名が記されていることに「よかった。うれしい」と、笑顔を見せた。
小結で臨んだ1月の初場所は、三役として初の2ケタ白星となる11勝を挙げた。
大関とりの起点となる好成績。
それでも大関を目指す意識を問われると「全然まだ。これから、もっと稽古して頑張らないと。『絶対に無理』と思ったこともあるけど近くまで来た。これから、やることをやっていくしかない」と、気を引き締めた。
右膝下部の負傷で初場所を途中休場していた高安が28日、東京・江戸川区の部屋で若い力士を相手に稽古をした。
この日は33歳の誕生日。
「あっという間ですね」と感想をもらした。相撲に打ち込んできたからこそ月日がたつのを早く感じるが、まだまだこれからだ。
「経験してきたことというのは、全部自分のためになりますから。いい経験ができている。その経験を生かすだけ」と気持ちを引き締める。
昨年は春場所、秋場所、九州場所と年3場所で優勝を争った。
苦い経験だったかもしれないが、それが最高の結果につながっていくと信じている。
「相撲を見てくれるファンのみなさんに喜んでもらえるようベストを尽くしたい」と春場所での健闘を誓った。
弟弟子の白まわし姿に満面の笑みがこぼれた。
大相撲春場所で新入幕の北青鵬が28日、都内の部屋で稽古した。
この日から関取の証ともいえる稽古用の白まわしを着けた新十両の落合について「白まわしを着けている落合と稽古をするのも不思議な感じでしたけど、うれしいです」と自分の事のように声を弾ませた。
落合との申し合い稽古では8戦全勝。
部屋頭としての実力を示し、春場所に向けて順調な仕上がりを見せた。
春場所について「良い形で場所に迎えたい。勝ち越して、自分の相撲を取って2桁勝って敢闘賞を取れたら」と意気込んでいた。
2023/01/23
千秋楽、大関・貴景勝が2020年11月場所以来、13場所ぶり3度目の優勝を果たした。
3敗同士となった東前頭13枚目・琴勝峰との相星決戦をすくい投げで制し、4場所連続平幕Vを阻止。
125年ぶりに1横綱1大関となり、横綱・照ノ富士も不在の中、出場力士最高位としての意地を示した。
春場所(3月12日初日・エディオンアリーナ大阪)では再び綱取りに挑む。
千秋楽、史上3組目となる兄弟同時三役を務めた弟で関脇若隆景と、兄で新小結の若元春が千秋楽に勝ち、そろって9勝で場所を終えた。
来場所の新関脇が濃厚の若元春は「一日一日必死に取ってるんで。手応えとか考えてるひまがない。(番付も)あまり考えてないです」。
一方、若隆景は目指していた2桁には届かず、「力がついてる実感はありますけど、上を目指すうえでは力をつけていかなくてはいけない」と奮起していた。
千秋楽、小結の霧馬山が11勝をあげて、初の技能賞獲得に花を添えた。
東前頭5枚目・竜電との一番では立ち合いで左前みつを取った。
頭をつけるも膠着状態が続いたが機をみて巻き替えて寄り切り。
1分を超える相撲を制した。
息を整えて今場所を振り返り、「前に攻める相撲ができてよかった」と話した。
初の技能賞を受賞。
「初めてだしうれしいです」と充実した表情を浮かべた。
三賞は20年初場所の敢闘賞以来2度目。
八角理事長は「力をつけてますよね」と評価。
大関昇進への起点にもなり、来場所は足固めとなる。
同理事長は「隙を見せないでまわしをとったら勝負を付けるなどの相撲を取らないとダメ。もっと稽古しなければいい成績は残せない」とさらなる成長を促した。
千秋楽、幕内・阿武咲が関脇・豊昇龍に敗れ、勝てば受賞の条件付きだった敢闘賞を逃した。
低い立ち合いから押し込んでおいてのはたき込み。
勝ったかに思われたが、はたいた時に左手が豊昇龍のまげをつかんでいた。
「(まげに手が)入った感覚はありました。抜かなきゃと思ったけど抜けなくて…はたきにいった自分がダメでした。攻めきれなかった自分が悪いです」。
12日目を終えて単独首位に立つなど優勝争いを引っ張ったが、13日目から3連敗で10勝5敗。
「久しぶりに緊張やら普段味わえないような感情になりましたし、良い経験だった」と今場所を振り返り「またしっかり頑張るだけです」と潔く前を向いた。
千秋楽、東前頭13枚目・琴勝峰は完敗で初の賜杯を逃した。
大関・貴景勝との優勝を懸けた大一番。
15日制定着後では初めて千秋楽相星決戦に挑むことになった平幕は、立ち合いで起こされると、左差しを許した。
直後に転がされた。土俵に座り込むと悔しそうに顔をしかめた。
立ち上がったときに埼玉栄高の3学年先輩でもある貴景勝に左腕をたたかれた。
ねぎらわれると小さくお辞儀した。
自身2度目の結びを「いつもやっていた取組とは雰囲気が違った。実力不足だなと感じた」。
千秋楽で平幕として初めて相星決戦に臨んだことについては「光栄なこと」と胸を張った。
幕内で自身最多の11勝を挙げた。
初めて敢闘賞も獲得。
「(受賞は)うれしい。今場所は体がよく動いていて、肩の力も抜けていた」と話した。
秀ノ山親方は「すり足などもう1回相撲の基礎運動を見直した。そこら辺が相撲の動きに繋がってる」と明かした。
千秋楽、元大関の西十両12枚目・朝乃山は14勝目をマークし、来場所の再入幕を決定的とした。
14日目に優勝を決めた朝乃山が、再入幕を引き寄せた。
長身2メートルの北青鵬との立ち合いは左上手を取って右差し。
最後は出し投げで崩すように投げ飛ばした。
6場所ぶりの十両復帰場所を終え「15日間相撲を取れたことが幸せで、感謝の気持ちでいっぱい。(十両Vは)一つの通過点」と充実感をにじませた。
同10枚目以下での14勝以上Vは、15日制が定着した1949年夏場所以降では過去7例で、残留は59年秋場所・宇田川の1例だけ。
番付は他力士の成績に左右されるが、今場所は幕内に休場、引退力士を含めて最低4枠が空く見込みで昇進は決定的だ。
千秋楽、出場力士の番付最上位で臨んだ、大関貴景勝の優勝で幕を閉じた新年最初の場所。
15日中、12日で満員御礼の垂れ幕が下がり活況を取り戻した感のある初場所に、報道陣とのリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長も「いつも思うことだけど千秋楽を無事に迎えられて本当にホッとしています」と興行完走に安堵(あんど)の言葉を述べた。
コロナ禍前、最後の場所がちょうど3年前の初場所だった。観客制限など徐々に規制緩和し、今場所はマスク着用での声援も可能になった。
確実に以前の姿に進んでいるように思えるが、同理事長は「ファンの皆さんの後押しがあってこそで、私たちだけでは進められない。
たくさん(会場に)来ていただかなくては進めないことですから」と、あらためて相撲ファンへの感謝の念を伝えた。
その一方で「若くて元気のいい力士たちが本当に我慢している」と感染防止に徹している力士たちにも、ねぎらいの言葉を送った。
2023/01/22
14日目、1度は自力優勝が消滅していた大関貴景勝が、20年11月場所以来、2年2カ月ぶり3度目の優勝に王手をかけた。
関脇豊昇龍をはたき込みで秒殺。
左足首を痛めて10日目を休場し、立ち合い変化も考えられる難敵を、迷いなく攻めて完勝した。
今場所後の横綱昇進の可能性は極めて低くなったが、かえって土俵に集中。
最終盤にして「心技体」が充実し、同じく3敗の琴勝峰との千秋楽相星決戦を見据える。
14日目、若元春、若隆景の兄弟が今場所5回目の同日勝利で8勝6敗と勝ち越した。
若元春は玉鷲の当たりを食い止めて前に出ると相手の小手投げにも腕を抜いて対応し押し出し。
史上初となる兄弟同時で三役勝ち越しを決め「うれしいことだと思います。なんか気の利いたコメント出ないですけど(笑い)よかったと思います」と笑顔を見せた。
若隆景も下からの厳しい攻めで正代に快勝。
2人そろっての勝ち越しには「良かった」とホッとした様子だった。
大関候補に名乗りを上げた。
14日目、小結霧馬山が幕内阿武咲を突き落として10勝目(4敗)。
三役4場所目で初の2桁白星を挙げ、大関とりの起点を築いた。
取組後は「先場所は12日目に勝ち越してから3連敗。いい経験になった。明日(千秋楽)は自分の相撲を取って終わりたい」と残りの一番へ意気込んだ。
14日目、阿武咲は4敗に後退し、優勝争いから脱落した。立ち合いから勢いよく押していこうとしたが足が出ず、霧馬山の左突き落としにバッタリ。
「相手がずれた時に足が止まってしまいました」と振り返った。
12日目を終えて単独首位に立ったが、連敗で初優勝は夢と消えた。
意識しないつもりでもプレッシャーはあったようで「そのへんも含めて自分が弱かっただけです」と悔しさを押し殺すように言葉を紡いだ。
14日目、平戸海が連敗を3で止めて2場所連続の勝ち越しを決めた。
「とりあえずほっとしています」と胸をなで下ろした。
右四つから先に左上手を奪い、琴恵光に上手を与えないように左から引きつけて寄り切った。
「相手の力が強くて頭をつけようとしたが、その隙もなかった。苦戦でした」と顔をゆがめながら勝ち名乗りを受けた。
2桁勝利には届かないが「千秋楽は気合の入った相撲を取りたい」と意気込んだ。
14日目、「花のイチイチ組」と呼ばれる平成11年度生まれ。
同世代の豊昇龍、王鵬ら粒ぞろいの先陣を切る初優勝へ、琴勝峰が王手をかけた。
大栄翔の強烈な当たりを、琴勝峰はグッと踏み込み受け止めた。
まわしをつかむ。万全の体勢から寄り切った。
「立ち合いのことだけ考えて。本当によけいな力が抜けてる。(勝因は)そこだけだと思います」
千秋楽は埼玉栄高の先輩で、過去2戦2敗の大関貴景勝との一発勝負が組まれた。
最初の対戦では「いつも通りいこうと思ったんですけど、高ぶり過ぎたところがありました。ちょっと高ぶり過ぎた分、見られてはたかれました」と琴勝峰らしさを出すことができず沈んでいる。
対戦するのは12場所ぶり。
2年が過ぎた。
当時とは違う、成長した姿を見せる。
14日目、元大関で6場所ぶりに十両復帰した朝乃山が千代の国を寄り倒して13勝目。
1差で追っていた金峰山が敗れたため、千秋楽を待たず十両初優勝が決まった。
1月21日は2017年に死去した富山商時代の恩師である浦山英樹監督の命日。
「1つでも恩返しできたらと思って土俵に上がった」と天国に白星を届けた。
千秋楽も勝てば春場所での再入幕は濃厚。
処分中も支えてきた朝乃山富山後援会の青木仁理事長は「覚悟を持ってやっていた。かっこ悪くてもいいから勝ちたいと」と気迫が伝わった。
14日目は21日、満員御礼となった。
観客上限は通常の約91%に当たる1日約9700人で、千秋楽の22日は既にチケット完売。
日本相撲協会関係者によると、15日間で大入りは12日間となり、想定以上の集客だったという。
今場所から新型コロナウイルス対策の観戦ルールが一部緩和され、マスク越しでの声援が可能になった。
両国国技館は、力士らを呼ぶファンの声で盛り上がっている。
八角理事長(元横綱北勝海)は「戻ってきた感じがある。それに応える、いい相撲内容だ。ありがたい」と感謝していた。
2023/01/21
13日目、一人大関の貴景勝が3敗を守り、再びトップに並んだ。
“流血戦”の末、同学年のライバルで東前頭8枚目の阿武咲を押し出し、単独先頭の座から引きずり降ろした。
優勝争いのレベルを超えていた。
同学年で子供の頃からのライバル。
負けたくないという意地がぶつかり合った“鬼対決”だった。
貴景勝は作戦を練っていた。
立ち合いは頭で当たってすぐに左からのいなしで阿武咲の勢いをそぎ落とした。
その後は突っ張られて押されたが、右の強烈な張り手で再び勢いを止めた。
熱くなった阿武咲が右の張り手を返した時に右の脇が空いた。
その一瞬を貴景勝は逃さなかった。
中に入って一気に押し出した。
13日目、東前頭4枚目・錦富士が、平幕・明生をすくい投げで下し、4勝目を挙げた。
連敗を「5」で止め、「長かったなという思いと、連日負けていましたけど、ちゃんと準備して臨んでいたので、こうやって一つでも多く勝つチャンスが来たんじゃないかなと思います」と、白星をかみ締めた。
さらにこの日は土俵入りの際に、地元団体から成る「十和田市地域農業再生協議会」から贈られた化粧まわしを使用。
今場所から着け始めたといい、「地元の方々協力して作ってくれた物です。十和田はにんにく、長いも、ネギ、ごぼうが日本一ということで、その中でも一番有名なにんにくの『にんにん』というキャラクターみたいです。少しでもPRにつながればと思い、いろんな方に尽力いただき、作れた物です」と、地元の宣伝も忘れなかった。
13日目、たまり席近くまで吹っ飛ばされた阿武咲は、思わず顔をしかめた。
勝てば初の賜杯がグッと近づく一番を落とし、貴景勝と琴勝峰に並ばれる形に。
同学年の小さい頃からのライバルとの大一番だっただけに「張られたときにちょっとむきになって、右が空振りになった」と熱くなり過ぎたことを認めた。
「冷静にいこうと思っていたが…。自分が弱かっただけ。シンプルに悔しい」と唇をかんだ。
幕内後半戦の藤島審判長は「張られてからだけだった。そこまでは攻めていた。阿武咲はちょっとがくっときたような気がする」と分析。
「ライバル、優勝争いという意味でも今日勝てば、というのがあったと思う。そこから切り替えられるか」と背中を押した。
終盤の重圧は「特にない」と阿武咲。
痛い黒星だが、トップに変わりはない。
「切り替えてまた一生懸命やるだけ」と必死に前を向いた。
13日目、勝つか負けるかで今後の展開が大きく変わる阿炎との一番。
いつもは胸から当たって、まわしをさぐりにいく琴勝峰がもろ手で突いて出た。
相手の突っ張りを下からあてがいながら威力を半減させ、最後は右からいなし気味に突き落とした。
阿炎にすれば想定外の立ち合いだったに違いない。
不意を突かれその分、対応が後手に回った。
見方を変えればそれだけよく考えた琴勝峰の相撲だった。
13日目、西十両12枚目の朝乃山は、東十両5枚目の金峰山を突き落としで下し、12勝目を挙げた。
十両首位を並走する両者による大一番で、物言いが付く際どい勝負を勝ちきって1敗を守った。
14日目にも十両優勝の可能性が出てきた。
朝乃山は「周りのことは意識せず、自分との戦い」と先を見据えた。
日本相撲協会は20日、大相撲春場所後の4月に実施する春巡業の日程を発表し、東海、関東地方などを中心に15日間の開催となった。
春巡業は2019年以来4年ぶりの実施。
新型コロナウイルス禍で中止が続いた巡業は、昨年8月の夏巡業から再開していた。
2023/01/20
12日目、大関・貴景勝の今場所での綱取りが絶望的となった。
小結・霧馬山のすくい投げに屈して痛恨の3敗目。
突っ張ったが、前へ出られない。
空いた自身の右脇をすくわれて腹から落ちた。
取組後のリモート取材には応じず、国技館を後にした。
61年ぶりとなる4関脇4小結の中で、真っ先に勝ち越したのは、三役4場所目となる小結霧馬山だった。
大関貴景勝にすくい投げで勝ち、「真っすぐ自分の相撲を取る。その気持ちでやれた」と満足げに振り返った。
12日目、幕内・大栄翔が御嶽海を押し出して8勝目を挙げ、4場所ぶりの勝ち越しを決めた。
回転の良い突っ張りから相手の引きについていって押し出し。
気合の入った表情でまわしを一度たたき、4場所ぶりの勝ち越しをかみしめた。
「しっかり前に出ることを意識していた」と納得の内容だった。
12日目、平幕の阿武咲が2敗を守り、単独トップに立った。
迷いも、恐れも、今の阿武咲にはない。
この日の相手は2度の優勝経験を誇るベテラン玉鷲。
4連敗中と分が悪かったが、勢いに乗る26歳に、そんなことは関係なかった。
立ち合い、馬力のある玉鷲に対し、良い角度で当たって押し勝つ。
突き返されて土俵中央に戻されても前傾姿勢は全く崩れない。
次の瞬間、相手に引かせて、素早く反応。
足を送って一気に押し出した。
「我慢して下から攻められてよかったです。『下から、下から』。それしか考えていませんでした。変な緊張感もなく、のびのびやれています」。
快勝で2敗を守っても、その表情は引き締まったままである。
12日目、琴勝峰が3敗を守って9勝目を挙げた。
右四つで錦木に攻め込まれたが、右へ回り込みながらのすくい投げで逆転勝ち。
狙っていたもろ差しにはならなかったが「自分から動いたので対応できた」と落ち着いていた。
首位と1差で13日目を迎える展開にも「先頭ではないので気にすることなくやっています」とプレッシャーは感じず、自然体で逆転優勝を狙っていく。
12日目、平戸海のもろ手突きの立ち合い。
東龍は予想していなかった。
ただ、頭の中は冷静だった。
背中越しに左上手を取る。
そして投げた。
35歳8カ月でのうれしい幕内初勝ち越し。
34歳11カ月という高齢新入幕記録を持つ小野錦が35歳6カ月で初勝ち越ししたのを上回る、昭和以降の新入幕力士の最高齢記録だった。
12日目、大関経験者で西十両12枚目の朝乃山が、東十両13枚目の湘南乃海を寄り切りで退けて11勝目を挙げた。
前日の11日目に初日から続いていた連勝が10でストップしたが、黒星を引きずることなく、白星を積み上げた。
十両優勝へ、残り3番。
「しっかり自分の相撲を取りきって、良い結果で終わりたいです」と誓った。
2023/01/19
11日目、前日休場し、再出場の関脇・豊昇龍は、東前頭4枚目・錦富士を寄り切って7勝目を挙げた。
豊昇龍が執念で白星を引き寄せ、勝ち越しに王手をかけた。
左足首の捻挫で10日目を休場も、この日から再出場。
右に少し動きながら右上手を取ると、左前みつもつかんで引きつけた。
上手投げで相手の体勢を崩して寄り切った。
「まわしを取ることしか考えていなかった。しっかりこらえてよく集中できたと思う。勝って良かった」と安どした。
不戦敗の翌日に再出場して白星を挙げるのは、21年秋場所の剣翔以来だった。
八角理事長は「執念は立派」と、たたえた。
ただ、この日は取組前から左足を気にするそぶりを見せ、勝利後も足を引きずる場面があるなど、負傷の影響は色濃く残る。
それでも「最後までやる」と力強く宣言した。
11日目、関脇・豊昇龍が執念で白星を引き寄せ、勝ち越しに王手をかけた。
東前頭4枚目・錦富士との立ち合いでは、右に少し動きながら右上手を取った。
左前みつをつかんで引きつけ、最後は上手投げで相手の体勢を崩して寄り切った。
「まわしを取ることしか考えていなかった。しっかりこらえてよく集中できたと思う」と振り返った。
11日目、取組後の取材で琴ノ若は「思い切って行った」と3度口にした。
埼玉栄高の1学年上の先輩でもある大関の圧力に引かない強い気持ちがあった。
立ち合いで遅れた貴景勝の隙(すき)を見逃さず、しっかりと踏み込んだ。
強烈な押しをこらえて前に出続ける。
大関に張られても冷静で、中に入ってひっくり返した。
11日目、迫力満点だった。
38歳の玉鷲が激しい突き押しで32歳の錦木に勝利。
ベテラン同士の白熱の一番に館内は沸いた。
喉輪で先手を取り、腰の重い錦木を突き起こす。
粘られても攻め続けて前進すると、最後は相手が根負けしたかのように土俵を割った。
「自分の考えた通りの相撲」。納得の内容で勝ち越しを決めた。
愚直な押し相撲はもろさもはらむ。
6日目には、立ち合いで動いた若隆景に苦杯を喫した。
それでも「前に出る。はたかれてもいい」。
そんな潔さが玉鷲の魅力だ。
昨年9月の秋場所で2度目の優勝。
しかし、三役に復帰した11月の九州場所は、6勝9敗と星を伸ばせなかった。
年が変わって臨む今場所は「いい環境でできている」。
心機一転、本来の力強い取り口で白星を重ねている。
貴景勝が2敗に後退し、トップとは1差。
賜杯を抱くチャンスは膨らんでいる。
昨年の優勝で、周囲から「2度あることは3度ある」と期待されているという。
気力は充実。
経験も豊富な玉鷲が、終盤戦を盛り上げそうだ。
11日目、東前頭8枚目の阿武咲は東同13枚目の琴勝峰との2敗対決を制した。
立ち合いで右を差す形となったが、下がりながらの右すくい投げで裏返した。
突き押しが得意なだけに、思い通りの展開とはならなかったが、「しっかり落ち着いて取れた」とうなずいた。
琴勝峰は過去4勝1敗と合口は良かったものの、「ものすごく柔らかくて粘りのある力士」と警戒心を緩めず、白星につなげた。
開業間もない新横浜線で、4年ぶりとなる「大相撲巡業」を観に行きませんか。
「新横浜線(相鉄・東急直通線)」の開業(3月18日)から1カ月ほど後となる今年(2023年)4月22日(土)、新横浜駅近くの横浜アリーナでは大相撲の春巡業「横浜アリーナ場所」が予定されています。
2023/01/18
10日目、一人大関の貴景勝が難敵を退け1敗を守った。
過去5勝5敗と五分の小結・明生に右差しを許したが、小手投げでねじ伏せた。
単独トップの座も堅持。
ただ、取組後のリモート取材には応じなかった。
八角理事長は「貴景勝は焦ってはいなかったですね。明生がまわしにこだわりすぎた」と分析。
懸命に一人大関の責任を果たす姿を「よくやっていると思いますよ」と、たたえた。
豊昇龍が左足首を捻挫し10日目に休場した。
3敗目を喫した9日目の若元春戦で痛め、初場所の休場を要すると診断されたが、11日目から再出場する。
錦富士戦が組まれた。
豊昇龍は昨年3月の春場所で新小結に昇進。
それ以降は負け越しがなく、同11月の九州場所では11勝を挙げた。
10日目、新小結の若元春が3連勝。
うるさい翔猿を正面に置き、左を差してつかまえると一気に押し出し。
「落ち着いて取れた。圧力をかけながらじわじわ攻められた」と納得した。
1月17日は祖父の元小結若葉山の命日。
三役として初めて迎えた特別な日に、会心の白星を挙げた。
「毎日、自分ができる精いっぱいを心掛けている。自分の相撲を取り切るだけ」。
気負いは感じさせず、終盤戦をじっと見据えた。
10日目、玉鷲が大栄翔との激しい一番を制した。
同じ突き押し自慢の相手に「絶対に負けたくなかった」。
互いによく手を出し、いなされて土俵際まで後退しても、うまく体を開いて突き落とした。
7日目から白星を四つ並べて7勝。
勝ち越しを目前にしたベテランは「意識しないで、きょうみたいに盛り上げられたらいいと思う」と肩の力が抜けている。
10日目、目の覚めるような出足だった。
阿武咲は左を差して一気に寄る。
土俵際での錦富士の突き落としにも構わず前進。
「集中して取れた」。完勝だった。
錦富士とは青森・三本木農高で同学年。
阿武咲は高校を中退して一足先に角界入りした。
「小さい頃から知っているので、負けたくない気持ちはある」。
昨年7月の名古屋場所での初対戦に続き、手の内を知る相手を圧倒した。
10日目、期待の若手の一人が土俵を盛り上げている。
23歳の前頭13枚目、琴勝峰が幕内で自身最速となる10日目で勝ち越しを決めた。
取り直しになった宇良との一番。
突っ張って前に出ると、懐に潜られ、右足を取られたが、こらえて最後はふり払うように突き落とした。
「何も考えず、気持ちだけでいこうと思った。肩の力は抜けていたので良かった」とくせ者の奇襲にも冷静に対応した。
10日目、元大関の十両十二枚目・朝乃山が十両四枚目・東白龍を押し倒しで下し、初日から10連勝を飾った。
圧倒的な実力を見せた朝乃山は幕内復帰へと近づき、ファンも「つええ」「10勝素晴らしい」と大盛り上がりの様子を見せていた。
2023/01/17
9日目、大関・貴景勝が3日目からの7連勝で1敗を守り、単独トップに立った。
西前頭4枚目・佐田の海に鋭い出足で頭から当たった。
そのまま突っ張り、一気に前進した。
佐田の海に何もさせず、押し出した。
この日は1敗で並んでいた琴勝峰が2敗に後退し、単独トップに。
リモート取材には応じなかったが、八角理事長は「いい押しをしましたね」と、うなった。
9日目、下からの攻めからタイミング良く引き、竜電をはたき込みで退けた。
「先に先に攻めようと思ったのが良かったと思います」。
100点満点の内容ではないだろうが、今場所初の連勝を決めた。
9日目、若元春はすくい投げで豊昇龍を破った。
福島市から駆け付けた両親が見つめる土俵で、若元春が存分に持ち味を発揮した。
関脇豊昇龍との三役同士の一番。
立ち合いが一度、合わなかったが、「逆に『待った』があったからこそ落ち着けた。ひと呼吸置いて自分の立ち合いができた」と、しっかり当たって右のど輪で相手をのけぞらせる。
果敢に先手を取り、ここで左を差せたことが勝因だ。
豊昇龍が局面を打開しようと小手に振ってくると、うまく体を寄せ、投げの打ち合いを、すくい投げで制した。
9日目、ベテランの前頭二枚目・玉鷲が前頭筆頭・翔猿を一気に押し出し、6勝目を挙げた。
敗れた翔猿が遠くへ吹き飛ぶほどの玉鷲のパワーに、解説の西岩親方も「40歳、大関目指せるんじゃないですか」と太鼓判を押した。
9日目、宇良が手品師のような動きを見せて、6勝目を挙げた。
幕内通算100勝目の節目となり、取組後は「そうなんですか? よく頑張っていると思います」と笑顔で自画自賛した。
錦富士と突き合い、頭を上げずに応戦すると、最後は引いてはたき込み。
よろめく相手には触れず、両手で手招きをするように、ぱたぱたと空中を何度もあおぎ腹ばいにした。
空気の力で相手を倒したようにも見える取組に館内も沸いた。
けがから復活した角界きっての人気力士も30歳になったが、「まだまだ伸びしろがある。イケイケな相撲を取れるように頑張ります」と誓った。
9日目、阿武咲が連敗を免れて2敗を守った。
勢いよく頭からぶつかり、一気の出足で北勝富士を圧倒。
理想の立ち合いに「とにかくしっかり当たり、圧力を伝える意識だった」と満足そうだった。
今場所は持ち前の馬力が光る。
「集中して取っている。残りも一番一番、取れればいい」と表情を引き締めた。
9日目、大関経験者で西十両12枚目の朝乃山が初日から負けなしの9連勝とした。
西十両8枚目の北の若を寄り切りで下した。
6日目以降単独トップを続け、十両優勝へひた走る。
「自分より上背があり、まわしを取られたらやっかいだと思ったので、しっかり踏み込んで前に前に攻めれた」と振り返った。
「15日間相撲を取れることへの感謝を忘れない」との気持ちを持ちながら土俵に上がり、新しい顔ぶれがひしめく十両でも大関経験者としての実力を見せつけている。
全勝または1敗での優勝なら十両1場所通過、来場所での幕内の可能性も十分ある。
この勢いのまま、いまだ手にしていない十両優勝へ白星を積み重ねる。
2023/01/16
8日目、大関・貴景勝が6連勝を飾り、1敗を守った。
東前頭4枚目・錦富士との一番は激しい突っ張り合いに。
押し込んだが攻めきれず、相手の反撃を許した。
それでも最後は左に回り込んではたき込んだ。
7日目の翠富士戦に続き、取組後は口の周辺から出血。
顔を赤く染め、花道を下がった。
取組後のリモート取材には応じなかった。
八角理事長は「内容も引いてではなく、横からのいなしが効いていますよ。足が一歩出ている、立ち合いがいいから、流れがいい感じ。しぶとく勝つことを覚えてきた」と評価した。
中日、新小結若元春と関脇若隆景が兄弟三役として今場所2度目の同時白星を挙げた。
最初だった6日目は若元春が不戦勝だったが、この日は兄の若元春が正代を寄り切って4勝4敗。
若隆景も翠富士を送り出して星を五分に戻した。
若隆景は「いつも通り下から攻めようと思っていた。集中して相撲を取っていきたい」と後半戦を見据えた。
中日、豊昇龍は2敗を守った。
立ち合い、前に出てきた佐田の海をよく見て右へ変化し、よろめかせた。
ひと押しで送り倒し、「一日一番、大事に相撲を取りたい気持ち」と淡々と振り返った。
優勝争いの先頭を走る大関貴景勝と平幕琴勝峰を1差で追う後半戦。
叔父が元横綱朝青龍の23歳は「自分の相撲を取って最後まで頑張りたい」と誓った。
8日目、立ち合いからの出足で見せ場を作った正代だが、新小結の若元春に体を入れ替えられ、最後は寄り切られた。
土俵に手をつくと、1場所での大関返り咲きがなくなったことを受け止めるように、息をはいた。
取組後の取材にも応じず、国技館を後にした。
大関に昇進した頃の勢いのある踏み込みは影を潜めた。
初日から連敗し、初白星を挙げた3日目の取組後は「(踏み込みに)ちょっとまだ不安が残るところ。(右)足が気になっていた」と首をかしげた。
「ここから内容もこだわっていけたら」と前を向いたが、その後も調子を取り戻せなかった。
8日目、前半戦を5勝3敗で折り返した霧馬山は「自分の相撲で前にと思った。勝てて良かった」と表情を緩めた。
阿炎の踏み込みが弱いとみるや、逆に相手の得意とするもろ手で先制攻撃。
相手を受け身にさせて一気に押し出した。
昨年春場所から5場所連続勝ち越し中。
大関・貴景勝らとの対戦も残しており、後半戦のキーマンは「一日一番、しっかりやります」と気合十分に話した。
8日目、東前頭4枚目・錦富士は自身初の結びの一番で、大関・貴景勝にはたき込みで屈し、5敗目(3勝)を喫した。
満員御礼となった国技館の結びにふさわしい激闘を繰り広げたが、あと一歩及ばず、「結果として負けてしまったので悔しい」と唇をかんだ。
8日目、東前頭13枚目・琴勝峰が1敗を死守した。
西同16枚目・千代丸との一番。
立ち合いからのもろ手はかわされたが、落ち着いて対処し、最後は押し出した。
「もろ手で来ると思ったので、先手で行こうと思った。うまくいったと思う」と振り返った。
8日目の15日、西十両12枚目の朝乃山は、東十両10枚目の豪ノ山を小手投げで仕留め、8連勝で無傷の勝ち越しを決めた。
単独首位をキープしたまま順調に折り返した朝乃山は「自分の中では通過点。また明日もある。切り替えて思い切っていきたい」と前だけを見据えた。
2023/01/15
7日目、貴景勝が翠富士の挑戦を受けた結びは、互いに張り手を繰り出す激しい一番に。
右差しを許して寄られたところ、こん身の小手投げで裏返しにして退け、「満員御礼」の垂れ幕が下りた館内は大いに沸いた。
八角理事長は「熱くなったね。最後は強引だった」と内容は褒めなかったが、ただ一人出場する看板力士として責任を果たしている。
7日目、連敗せず1敗をキープできるか、片や大関とりの足固めにするためにも3連敗を避けられるか。
この日の好一番だった1敗の平幕阿炎と2敗の関脇豊昇龍の一番は、足腰の良さを見せた豊昇龍に軍配が上がった。
阿炎の得意のもろ手突きからの攻めを、下からあてがいながら防ぐ豊昇龍。
阿炎の攻勢が続いたが、その阿炎が伸ばした右腕を手繰った豊昇龍が体を入れ替えた。
同時に左の上手を深い位置でとり、そのまま体を寄せ寄り切った。
豊昇龍は連敗を2で止め、一方の阿炎は連敗で優勝争いで先頭集団から後退した。
ここまで4勝1敗と過去の対戦成績の相性がそのまま表れるような一番に、報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長は「豊昇龍がうまく(阿炎の右腕を)はね上げた。突っ張りも(阿炎の手を)あてがいながら、うまく回転させなかった」と対応力の高さをほめた。
阿炎の突っ張りに体が立ったが「やっぱり足腰がいい。(突っ張られて体が)弓なりになっているけど(しっかりと)あてがっていた」と身体能力の高さもあらためて評価していた。
7日目、1場所での大関復帰を狙う関脇・正代が崖っぷちに立たされた。
西前頭2枚目・玉鷲にいいところなく突き出され、5敗目。
1場所での大関返り咲きには10勝が必要だが、前半戦で1つも落とせない状況に陥った。
八角理事長は「気持ちで負けていますよ」とメンタル面を指摘。
幕内後半戦の藤島審判長は「自信なさげですよね。本人しかわからないが、可能性がある限り頑張ってもらいたい。復帰とかじゃなくて、まずその日の一番に集中してほしい」とゲキを飛ばした。
7日目、よく伸びる腕に、大栄翔の好調ぶりがうかがえる。
鋭く当たって押し込み、素早い佐田の海が回り込もうとするのを許さない。
一気に土俵下へと吹っ飛ばし、「立ち合いから流れが良かった」と声を弾ませた。
3日目の貴景勝戦こそ、激しい攻防の末に土俵際で逆転を許したが、持ち味を存分に生かして6勝目。
「勝っていることで自信がつき、思い切り取れているのは間違いない」と手応えを感じている。
7日目、は前頭の阿武咲が平戸海を寄り切り、1敗を守った。
阿武咲の迫力が際立つ今場所だ。
生きのいい若手の平戸海を圧倒して、1敗を堅持。
一人大関・貴景勝としのぎを削った小結経験者が躍動している。
貴景勝と同じ押し相撲が身上。
平戸海との立ち合いは互角だったが、足は止まらなかった。
「前みつを取りたかった」という相手の動きを封じ、一気に寄り切った。
「しっかり押せたので良かった」。
勝ち負けにかかわらず、必ず取材に応じる律義な力士のいつもと変わらない口調に手応えがにじんだ。
7日目、14日に現役引退を発表した元関脇隠岐の海改め君ケ浜親方が、9月30日に東京・両国国技館で自身の引退相撲を行うと発表した。
同日、さっそくSNSを開設。自身のツイッター(@sumokamen)で「八角部屋の元隠岐の海です。本日をもって18年の現役生活を引退する事となりました。全国のファンの皆様方には沢山のご声援、激励を賜りまして、本当に有難うございました。今後は親方として頑張ります。宜しくお願い致します」とファンに報告した。
2023/01/14
6日目、一人大関の貴景勝が、先場所の優勝決定ともえ戦で敗れた東前頭3枚目・阿炎に雪辱を果たした。
低く立つと、左からおっつけ気味に攻めて体を入れ替え、最後は押し出した。
取組後のリモート取材には応じなかった。
ともえ戦に敗れた一番を含めると5連敗中だった“天敵”との取組を快勝した。
全勝が消え、1敗を守りトップにも並んだ。
八角理事長は「突っ張られてもうまく下からいなして、落ち着いていた」と評価していた。
関脇高安が初場所6日目から休場した。
高安は4敗目を喫した5日目の琴ノ若戦で右膝を痛め、日本相撲協会に「右脛骨(けいこつ)近位端の骨挫傷で約3週間の安静加療を要する見込み」との診断書を提出。
6日目、大関復帰を目指す関脇正代が幕内翔猿を押し出して2勝目(4敗)。
胸から当たって前へ出ると、逃げ回る相手に圧力をかけ続けて押し出した。
取組後は報道陣のオンライン取材に応じず、国技館を後にした。
昨年11月の九州場所はカド番で負け越して、大関から陥落。
1場所で返り咲くためには10勝が必要となる中、崖っぷちの手前で踏みとどまった。
土俵下で審判長を務めた佐渡ヶ嶽親方は「本来の相撲を取れていた。あの相撲を取っていれば、星は伸びる。これがきっかけになるかもしれない」と期待した。
6日目、大栄翔は小結霧馬山を押し出して1敗を守った。
「しっかり突きを当てられた。立ち合いからよかったと思う。前に出る意識があるんで、いい相撲だなと思います」と自画自賛。
大混戦の場所で2年前の初場所を制した経験は大きな武器。
「場所前もしっかり前に出る稽古をしてきた。そのままの相撲がとれている」と確かな自信を胸に残り9日間に臨む。
6日目、阿炎は勝てば単独トップという結びの一番で、今年初黒星を喫した。
貴景勝に間合いを詰められ、持ち前の回転の速い突っ張りが不発のまま押し出された。
昨年九州場所で初優勝。
勢いに乗って今場所は初日から5連勝した。
平幕優勝した力士の翌場所の初日からの連勝としては、1933年(昭8)5月場所で当時小結、後の横綱男女ノ川の最長記録に並んでいた。
初日から6連勝で、90年ぶり更新とはならなかったが、依然トップ。
次は史上初の平幕での連続優勝を目指す。
6日目、翠富士が粘りを発揮し、豊昇龍との物言いがついた一番を制した。
土俵際まで追い詰められ、左から突き落とし。
自身も土俵下に落ちる際どい勝負だっただけに「ドキドキした」が、軍配は変わらず、4勝目をつかんだ。
3場所続けて幕内上位で戦う。
同年代も多い三役以上の力士への対抗心は強く、「自分で引きずり落とすつもりで勝っていく」と鼻息を荒くした。
6日目、阿武咲は連敗を免れて5勝目。
碧山の重い突きをはね上げながら、引き技にも足を止めずに前へ。
ベテランに土をつけ、「圧力負けせず、下からいこうと思っていた」と威勢が良かった。
好内容が目立つ今場所。
「あしたもしっかり集中して相撲を取るだけ」と気合を入れた。
引退する意向を固めたことが明らかになりました。
隠岐出身のベテラン力士が土俵を降りることになりました。
隠岐の海は、初場所6日目の13日に休場を発表。
TSKが関係者を取材したところ「限界を感じた」として引退を決意したことを、すでに複数の関係者に報告しているということです。
隠岐の海は、島根県隠岐の島町出身の37歳で、2005年に初土俵を踏み、2015年の春場所で自身最高の番付となる「関脇」に昇進しました。
身長189センチの恵まれた体格を生かした取り組みで、殊勲賞を1回、敢闘賞を4回受賞しています。
初土俵から18年…107場所に出場したベテラン力士が土俵を降りることになりました。
2023/01/13
5日目、結びの大関・貴景勝と西前頭2枚目・玉鷲との一番は、3度の待ったによる立ち合い不成立があった。
なかなか呼吸が合わず、4度目でようやく立ち合い成立。
相撲は、貴景勝が電車道で押し出して1敗をキープした。
貴景勝、玉鷲ともに取組後のリモート取材には姿を見せなかった。
幕内後半戦の粂川審判長は「相撲(内容)はいいが、待った3回は良くない」と苦言。
取組後に両力士を呼んで口頭で注意したことも明かした。
5日目、役力士でただ1人、無傷で優勝争いを引っ張っていた関脇豊昇龍に、今場所初黒星がついた。
初対戦から連敗も、その後は4連勝中だった平幕の大栄翔と対戦。
立ち合いで左から張って押し込んだが、残された後は押し込まれ、突き倒しで向正面の土俵下に吹っ飛ばされた。
5日目、関脇正代が小結明生に押し出されて4敗目(1勝)。
本来は格下の相手に一方的に攻め立てられ、力なく土俵を割った。
取組後は報道陣のオンライン取材に応じず、帰路についた。
昨年11月の九州場所はカド番で6勝9敗と負け越し、大関の地位から陥落。
今場所で10勝すれば復帰できる中、序盤の5日間で早くも厳しい状況に追い込まれた。
土俵下で審判長を務めた粂川親方は覇気のない相撲内容に「正代は、ずっと同じことを言うんだけど…」と口にしかけてから「どうなんでしょう」と言葉をのみ込んだ。
5日目、大栄翔は三役以上で唯一、勝ちっぱなしだった豊昇龍に土をつけた。
立ち合いこそ押し込まれたが、押し返し、最後は突き倒し。
「押し込まれたけど、当たれていたし、そのまま落ち着いて、慌てずに最後まで攻められた」と胸を張った。
これで関脇4人全員を撃破。敗れた3日目の貴景勝戦を含め、好内容の取組が続く。2年前の初場所では優勝しており「あの時と同じように意識せずにやりたい」と冷静に話した。
5日目、東前頭2枚目・御嶽海は西小結・若元春に寄り切りで敗れ、3連敗となった。
鋭い立ち合いから一気に土俵際まで追い詰めるものの攻め切れず、反撃に遭って土俵を割り、2勝3敗と負けが先行した。
6日目の13日は、2勝3敗で並ぶ東前頭4枚目・錦富士と対戦する。
先場所は御嶽海が寄り切りで敗れている。
5日目、先場所初優勝の阿炎が、勢いを止めない。
関脇若隆景を、立ち合いのもろ手突き一発でバランスを崩させ、そのまま休まず攻勢を続け、わずか1秒5の速攻相撲で突き出した。
破壊力ある阿炎の相撲に、報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長は「(もろ手突きは)タイミングが良かった。(小兵の若隆景は)的が小さいから阿炎も思いきっていけないだろうと思っていたが、思い切っていった」と阿炎の迷いのなさも評価した。
若隆景の胸中を察するように「肩に力が入りすぎた。阿炎の突きが強いだけに、早く突っ込まないと、と思って肩に力が入りすぎて柔らかさがなかった。仕方ないが」とも話した。
5日目、東前頭10枚目の碧山が昨年夏場所以来となる初日からの5連勝を飾った。
西前頭8枚目の王鵬との一番は突っ張り合いから、引いて呼び込む場面が何度かあったが、最後は体を右に開いての上手投げで決めた。
「粘って、粘って。よく我慢した」とする一方で、内容については「あまり良くはない」と反省も口にした。
序盤の5日間を振り返り、「悪くない」と手応え。
中盤戦に向けては「まだまだ分からないけど、一日一日ケガしないように」と気合を入れ直す。
この日から同部屋で1歳年下の西前頭11枚目の栃ノ心(春日野)が休場となり、「早く元気になってほしい」と思いやった。
5日目、東前頭13枚目の琴勝峰が、関取としては自己最長に並ぶ、初日から5連勝を飾った。
寄り倒しで水戸龍を破り、阿炎、碧山と並び、3人となった無敗の一角に名を連ねた。
高校時代からライバルの関脇豊昇龍とともに、189センチの長身から将来を期待されながら、最近は4場所連続で負け越し。
年男の今年最初の場所で、うさぎ年らしく飛躍を予感させる序盤戦全勝通過を飾った。
2023/01/12
4日目、大関・貴景勝は3勝目を挙げた。
まさに電車道。
低い立ち合いから突っ張って頭で当たる“貴景勝スペシャル”で元大関の御嶽海を圧倒した。
今場所は集中力が一段と研ぎ澄まされている。
2日目の翔猿との一番は前に倒れての黒星。
気にすることはない。
3日目の大栄翔は粘り強く突き落とした。
テレビ解説の錣山親方も言っていた。
カエルのようにピョコンと跳び上がる立ち合いを見せた時は調子がいい証拠。
優勝した場所もカエルの立ち合いが顕著だった。
4日目、馬力自慢の玉鷲の当たりにも、豊昇龍はひるまなかった。
いなされ、土俵に手をつきかけても、ぐっとこらえる。
昨年は右足のけがに苦しんだが、今場所は下半身が崩れない。
すぐに向き直ると、まわしを探って反撃。
2本差してつかまえ、一気に寄った。
実力者との土つかず同士の一番を制し、「集中して自分の相撲を取り切れた」と自賛した。
八角理事長は「前につんのめっても足腰が良いから残れる」と評価した。
4日目、1場所での大関復帰を目指す関脇・正代が早くも3敗目を喫した。
先場所覇者で東前頭3枚目・阿炎にのど輪混じりの突きに防戦一方。
なすすべなく突き出された。肩を落として花道を引きあげ、リモート取材には姿を現さなかった。
3日目は新小結・琴ノ若から新年初勝利を挙げた。
初日からの連敗も止め、「ここから上げていきたい」と巻き返しを誓っていたが、今場所3連勝中の阿炎に屈した。
藤島審判長は「今日勝つと大きかった。でもあと2回負けられるという気持ちで最後まで諦めずにやってほしい」と激励した。
4日目、大栄翔は若隆景に何もさせなかった。
もろ手で突いてから一気に押し込み、最後は喉輪でとどめ。
「立ち合いでしっかり当たれた。足も出ていい攻めだった」と満足そう。
大関貴景勝には惜敗したものの、関脇から3勝を挙げる好発進。
「まだ序盤だが調子がいいことに変わりはない。しっかり集中してやっていく」と気合を入れ直した。
4日目、東前頭2枚目・御嶽海は西大関・貴景勝に押し出しで敗れ、連敗を喫した。
厳しい攻めになすすべなく土俵を割り、2勝2敗の五分となった。
4日目、昨年11月の九州場所で初賜杯を抱いた東前頭3枚目・阿炎が、今場所から関脇に転落した正代を突き出しで下し、無傷4連勝を飾った。初Vの波に乗る28歳は、「しっかりと自分の相撲が取れていると思います」と充実感を漂わせた。
先場所まで大関だった正代との立ち合いは、もろ手突きからの強烈な右のど輪で相手を起こした。
相手の左からのおっつけにも動じず、回転のいい突っ張りで攻め続け、力強く土俵外へと突き飛ばした。
元大関から完璧な内容で白星を挙げ、「集中して取れた一番だと思います」とうなずいた。
4日日、阿武咲が相撲巧者の遠藤を力強く押し出し、初日から4連勝を飾った。
「落ち着いてとれたと思います」と冷静に振り返る。
連勝にも「特に何も考えることはない。やることは変わらないんで、また明日に集中して頑張りたい」と言いつつ、「稽古もしっかりやってきたんで」と自信ものぞかせる。
同じ13年に初土俵の阿炎の優勝に刺激を受け、白星を積み重ねていく。
4日日、碧山は輝に攻め込まれながら、絶妙なタイミングで引き落とし、初日から4連勝を飾った。
「最後、何とか勝ててよかったです。体は動いていると思います」と手応え十分。
17年名古屋場所で13勝、19年春場所でも12勝と優勝争いも経験している。
観客が入り「何年間かこんな雰囲気なかったので、応援はうれしい。自分は相撲に集中してますけど」と力にしている。
2023/01/11
3日目、一人大関の貴景勝が、連敗を阻止した。
過去15勝5敗の西前頭筆頭・大栄翔との一番は激しい突き合いに。
最後は土俵際へ追い込まれたが、右へ体を開いてかわし、突き落とした。
唇からは2日連続で出血。取組後のリモート取材には姿を見せなかった。
高いレベルでの優勝なら綱取りの可能性もある今場所。
連敗は許されない状況だったが、2勝目。
八角理事長は「だいぶ押されたが、よく引かずに我慢してやっていた」と振り返った。
幕内後半戦の佐渡ケ嶽審判長は「見応えのある一番だった。お互いにいい内容の相撲で、貴景勝は下から下から突き返しながら自分の間合いで相撲を取っていた。しっかり修正できていると思った」と評価していた。
3日目、動きのいい翔猿をつかまえると、流れるような攻めで力の違いを見せつけた。
連敗を免れた若隆景は「しっかり一日一番という気持ちでやっている」と淡々。
自らに言い聞かせるようだった。
翔猿には先場所で敗れた。
今場所2日目には大関貴景勝を破った相手だが、「先に攻めることができた」と積極性が戻った。
右四つに組んで動きを止めると、上手出し投げで泳がせて、すかさず送り出し。土俵下の佐渡ケ嶽審判部長は「自分の形。慌てなかった」と評価した。
3日目、豊昇龍の強烈な引きつけ。
大関から陥落したとはいえ、実力者であることに変わりはない御嶽海に、反撃の余地すら与えない。
一歩、また一歩と余裕すら感じさせる寄りで全勝を守った。
「しっかりと集中できてるんで。しっかり落ち着いてるんで。この気持ちで頑張ります」。
3連勝にも「気にしてないんで。一日一番、集中して頑張ります」。
相撲と同様に、コメントからも落ち着きが感じられた。
3日目、1場所での大関復帰を目指す関脇・正代が3日目で新年初白星を挙げた。
新小結・琴ノ若にやや立ち遅れたが、左を差して出足を受け止めた。
体を入れ替えて押し出し、「いい内容ではなかったが、とりあえず初日が出て良かった」と胸をなで下ろした。
取組後に右足を気にする場面もあり、「足に体重をかける相撲を取ってしまったので、嫌な感じはした」と話しつつ、「大丈夫」と明かした。
3日目、東前頭2枚目の御嶽海は西関脇の豊昇龍に寄り切られ、3連勝はならず初黒星を喫した。
豊昇龍には通算3勝4敗。
4日目は結びで西大関の貴景勝と当たる。
3日目、関取最年長38歳の玉鷲が、関脇に復帰した高安を右喉輪中心に土俵際から攻め返して押し出し、初日から3連勝と星を伸ばした。
「体が勝手に動いた。凄く良かった」と満足感をのぞかせた。
これで高安戦の対戦成績を17勝17敗の五分に。
「聞けば長いけれど、やる方にとってはアッという間です」。
2人合わせて70歳対決を制し、意気揚々と両国国技館を引き揚げた。
3日目、勢いだけでなく、安定感も出てきた。
先場所優勝の平幕・阿炎が1歳下の小結を攻め切り、序盤から星を伸ばしている。
立ち合いから明生に踏み込まれても、慌てなかった。
相手が手繰ってきたところを突いて前に出て、最後は押し出した。
土俵下の佐渡ケ嶽審判長は「出足は明生が良かったが、阿炎が腕も肘も伸びていた。先場所と変わらず、調子はいいんじゃないでしょうか」と評価した。
3日目、前頭七枚目・宇良と前頭八枚目・王鵬の一番で、宇良が秀逸な“時間差立ち合い”を披露。
駆け引きの巧みさに、ファンも「すげえ」「タイミングずらした」と驚く一幕があった。
立ち合い仕切り線に先に両手をついたのは王鵬。
一方、宇良はゆっくりと腰を下げると、右手、左手と順に手をついていく。
宇良はすぐにつっかけると思わせながら両手をついたまま動かず、王鵬はたまらずふわりと体を起こしてしまう。
すかさず相手の懐に潜り込んだ宇良は、一気の攻めを見せて押し出しを決め、2勝目となる勝ち星を挙げた。
3日目、阿武咲が初日から3連勝とした。
最初の相撲は押し込んでいった土俵際ではたき込まれて同体取り直しに。
「集中力を切らさずいけた」と次は最後までしっかり足を運んで妙義龍を押し出した。
「押そうという気持ちだけでやりました」。
自分の相撲を貫き、10勝を挙げた昨年初場所以来の3連勝スタート。
4日目以降へ「集中してやるだけ」と気を引き締めた。
2023/01/10
2日目、一人大関の貴景勝に、早くも土がついた。
連日の満員御礼となった国技館の大歓声を、はいつくばった屈辱の土俵上で浴びた。
出場番付最高位の一人大関として結びを務める貴景勝と、くせ者・翔猿戦。立ち合いは右で張られると、出足が止まった。
相手の素早い動きに呼応するように前に出ると、最後は巧みなはたきを食ってバッタリと倒れ込んだ。
2日目に早くも土。
引き揚げる花道では口からの出血で唇が真っ赤に染まった。
この日はリモート取材には応じず、無言で帰路についた。
今場所は照ノ富士の休場で横綱不在。
重圧を背負う大関に対し、八角理事長は「我慢して我慢して我慢したけどね。(翔猿の)策にハマってしまった。切り替えるしかない」と激励した。
2日目、関脇・豊昇龍は新小結・琴ノ若を下手投げで下し、三役以上でただ1人、連勝スタートを決めた。
獲物を狩るような鋭い目から、突き刺さるような立ち合い。
豊昇龍は首から背中、腰が1本の矢のようになって琴ノ若の胸に飛び込んだ。
一度は残されたが、攻め込んだ分だけ余裕があった。
最後は腰を使って体を回転させながら豪快な下手投げでなぎ倒した。
2日目、関脇・正代が、いいところなく初日から2連敗となった。
10勝以上で大関に特例復帰できるが、西前頭筆頭・大栄翔に突き出された。
突き押し自慢の相手に上体を起こされると、防戦一方で土俵を割った。
取組後はリモート取材に応じなかった。
幕内後半戦の粂川審判長は「いいところがない。悪いときと同じ内容。腰が高い」と厳しかった。
2日目、翔猿が高校の後輩の貴景勝を2場所連続で撃破した。
立ち合いで大関の突進をうまくかわしながら動き回って、最後はタイミング良くはたいた。
NHKのインタビューでは息を切らしながら「うれしい」と笑顔。
新小結だった九州では7勝8敗と悔しい結果に終わっただけに「ここから集中して頑張ります」と気合十分に話した。
2日目、東前頭2枚目・御嶽海は東関脇・若隆景を送り出しで破り、連勝を飾った。
立ち合いから一気に押し込むと、回り込む相手を逃さずに差した右から攻めて土俵の外に運んだ。
3日目の10日は、連勝同士の西関脇・豊昇龍と対戦する。
過去6場所の対戦成績は不戦敗を含めて御嶽海の1勝3敗となっている。
2日目、阿炎はもろ手で突いて若元春を起こすと、相手が反撃に転じてきたところを体を開きながら突き落とし。
物言いこそついたが、「取り直しか、勝ちか、どっちかだと思っていた。しっかり前に出たからこそできた」と納得の表情を浮かべた。
先場所で初賜杯を抱いた。
周囲の期待の大きさも感じる中、「一番集中」を胸に刻み、動きが硬くなることはない。
土俵下の粂川審判長は「際どい相撲を拾っていくことで優勝できた。今場所も拾えるかが大切になる」とみた。
2日目、幕内・宇良が、同学年で学生相撲出身の北勝富士を破って今場所の初白星を挙げた。
立ち合い少し潜るようにして北勝富士のもろ手突きを外すと、下から押し上げて突っ張って一気の電車道。
押し相撲の相手に真っ向から押し勝った。
幕内でこれまで4度対戦して全て勝っていたが、いなしを交えた攻めがほとんど。
押しに徹して完勝したのは初めてだった。
会心の内容にも「たまたまです。うまくかみ合ってよかったです」とコメント。
潜るような立ち合いの選択が、相手のもろ手突きに対しては効果的だった。
「相撲ってじゃんけんみたいなものなので、じゃんけんに勝ったかなってぐらい。そんなものだと思います」。
業師らしく、ワードセンスも多彩。独特の表現で勝因を分析した。
2023/01/09
有言実行≠ネるか。
初日、大関貴景勝が新小結若元春を押し出して白星スタート。
取組後は「集中してやろうと思いました」と冷静に振り返った。
今場所は125年ぶりに1横綱1大関となった上に、照ノ富士が昨年10月に両ヒザを手術した影響で休場。
出場力士の番付最上位として土俵に上がることになった。
重圧がかかる立場だが「それはあまり関係ない。自分は目の前の一番に集中してやるしかない」と言いきった。
初日、関脇・若隆景が小結・明生を退け、4場所ぶりの白星スタートを切った。
立ち合いで右のおっつけから右の上手をとって休まず攻めて寄り切った。
取組後、「右の上手を流れの中で取ってから、先に攻めることができた」と納得顔だった。
125年ぶりの1横綱1大関。
大関の有力候補として期待がかかるが、「一日一番、しっかり相撲を取りたい」と目の前の戦いだけを見つめる。
兄・若元春が新小結に昇進し1992年春場所での関脇・貴花田、小結・若花田以来31年ぶりで史上4組目の兄弟三役に。
兄は結びで大関・貴景勝に敗れたが見せ場は作った。
若隆景は結び前で兄の前で白星。
だが「意識はない。一番に集中しようと思った」と淡々と話した。
初日、関脇・豊昇龍が完璧な内容で白星発進とした。
立ち合い左で張って右を差すと一気に前に出て2秒足らずの速攻で翔猿を圧倒。
叔父・朝青龍ばりのスピード感あふれる相撲内容で力の違いを示した。
先場所は途中まで単独首位で優勝争いを引っ張るも最終盤に失速。
今年は初優勝、そして新大関への期待がかかる。
1年間の目標を問われると「口に出さないようにしています」と明かさず、内に秘めた闘志を燃やした。
初日、10勝すれば大関に復帰できる関脇・正代は、東前頭2枚目・御嶽海に寄り切りで敗れた。
大関復帰を期す場所での黒星発進も、「初日なので、あまり意識しないように。初日が早い段階で出たらいいなと思っています」と前を向いた。
御嶽海との立ち合いで土俵際に押し込まれると、左からの押っつけで攻め返した。
それでも、最後は力無く土俵を割り、「(立ち合いで上体が)起きないようには意識していたんですけど。固くなりすぎました。何とか押し返しましたけど、最後まで押し切れなかったので、そこが課題かなと思います」と振り返った。
初日、阿炎が厳しい攻めで新小結の琴ノ若を一蹴した。
立ち合いから主導権を握り、いなしから一気に突き出した。
体が軟らかい四つ相撲の相手に隙を与えず快勝。
「自分の相撲を取り切れた。組まないことを意識した」と和やかな表情を見せた。
九州場所優勝力士として優勝額贈呈式ではファンの拍手を受けた。
「素直にうれしい。いつも通り集中できた」と力強く話した。
初日、初場所は観客上限が通常の約91%に当たる1日約9700人で開催。
中入りでは東京場所で20年初場所千秋楽以来となる満員御礼の垂れ幕が下りた。
声援はマスク着用で認められ、土俵入りではしこ名を呼ぶ歓声が響いた。
黙食を前提に客席での食事が可能になり、飲酒制限も緩和。
八角理事長は初日恒例の協会あいさつで「飛躍の一年にすべく、相撲道にまい進する力士たちの努力を通じて皆さまに感動をお届けできることと存じます」とあいさつした。
2023/01/08
7日、初場所に向けて都内の部屋で稽古し、基礎運動など軽めの調整をこなした。
稽古だけでなく、年末年始も元日以外は部屋のジムでトレーニングを継続。
「しっかり自分のやることを考えているので。やる時はしっかりやって、今場所に向けて頑張りたい気持ち」と仕上がりに自信をのぞかせた。
新小結琴ノ若は、父で部屋の師匠でもある佐渡ケ嶽親方と史上6組目の親子三役を実現させた。
初日に昨年九州場所を制した平幕阿炎と対戦する琴ノ若は電話取材に応じ、「番付にはまだ上がある。気持ちは常に上を向いている」と意欲をにじませた。
年末と年始めには母方の祖父で「猛牛」と呼ばれた先代師匠の元横綱琴桜(本名鎌谷紀雄氏)が眠る千葉・松戸市の「松戸霊苑」を訪れ、墓参りをした。
大関に昇進すれば「琴桜」のしこ名を襲名する約束を生前に交わしており、「喜んでくれていると思うが、『ここで喜んでいる場合じゃない』といわれると思う。まず師匠(関脇)に追いついてもう一つ、もう一つと上を目指していきたい」。
約3年ぶりに平幕に落ちた東前頭2枚目の御嶽海(木曽郡上松町出身)は、5場所ぶりの勝ち越しを目指す。
右肩の故障や新型コロナウイルス禍を受けた稽古不足に足を引っ張られてきた30歳の元大関は、勝ち星をつかみながら立て直しを図れるか、注目される。
7日は本場所中の安全を祈願する土俵祭や優勝額の贈呈式があった。
贈呈式では、昨年9月の秋場所で37歳10カ月(当時)の幕内最年長優勝を果たした玉鷲と、11月の九州場所で初の賜杯を手にした阿炎に毎日新聞社から優勝額が贈られた。
阿炎は前頭9枚目だった九州場所で大関・貴景勝、高安と12勝3敗で並び、三つどもえの優勝決定戦を制した。
三役以上の力士との総当たりが見込まれる前頭3枚目で臨む初場所へ「挑む気持ちを忘れずに、チャレンジャーとして『一番集中』で取り組んでいきたい」と意気込んだ。
2023/01/07
125年ぶりとなる1横綱1大関の場所で横綱が休場し、貴景勝が看板力士の責任を一身に負う。
初日に若元春、2日目は先場所敗れた翔猿と対戦。
佐渡ケ獄審判部長は「相撲がだいぶ良くなってきている」と復調を認め「今場所は一人大関だけど、大関の責任を果たしてほしい」と求めた。
貴景勝は先場所12勝3敗で優勝決定ともえ戦に進出。
場所後の横審では、今場所ハイレベルの優勝で綱取りの可能性も出てくる見解が示されたが、この日の佐渡ケ獄部長は「今のところ何とも言えない」と話すにとどめた。
6場所ぶりに関取に復帰した元大関で十両の朝乃山は、初日に貴健斗と初対戦が組まれた。
関取として大銀杏を結って土俵に上がるのは、出場停止処分前の21年夏場所以来。
14勝以上なら幕内復帰が見えてくる。
番付発表後には「15日間取れる喜びと感謝の気持ちを忘れずに、自分の相撲を取りきって番付を上げていきたい」と話していた。
2023/01/06
東横綱照ノ富士が6日、初場所の休場を決めた。
昨年10月に手術を受けた両膝の回復が万全ではないとみられる。
休場は3場所連続15度目を数え、昇進9場所目で4度目。
先場所に続く全休も確実で、またも横綱不在となった。
史上4組目の兄弟三役となった関脇・若隆景、新小結・若元春が5日、東京都中央区の荒汐部屋で稽古後に取材に応じた。
十両・荒篤山を含めた3人の申し合いでは若隆景が若元春に7戦全勝するなど13勝1敗と順調な仕上がりを披露。
昨年春場所で初優勝した実力者は8場所連続勝ち越し中。
兄の出世も刺激になっているようで「2023年の目標として、もう一つ上へという気持ちがある」と大関昇進への意欲を語った。
史上4組目の兄弟三役となった関脇・若隆景、新小結・若元春が5日、東京都中央区の荒汐部屋で稽古後に取材に応じた。
若元春は思うように得意の左四つになれず7勝8敗。
「なかなか体が動かない」と苦笑いした。
昨年秋、九州と2場所連続で10勝を挙げ新三役を射止めた。
ともに横綱になった3代目若乃花、貴乃花の「若貴兄弟」以来となる兄弟三役の快挙にも「自分の番付を考えている余裕はあまりない。一日一日、集中して必死に取るだけ」と言葉に力を込めた。
日本相撲協会は5日、大相撲初場所(8日初日・両国国技館)を新型コロナウイルス関連で休場する力士はいないと発表した。
昨年12月下旬のPCR検査で陽性判定を受けた力士もいたが、既に回復しているという。
昨年7月の名古屋場所では最終的に全体の3割近い174人の力士が休場し、取組が激減する異常事態が起きた。
次の秋場所からは療養期間が明けた翌日以降の出場を認め、所属部屋全体を全休とする従来の措置を緩和している。
2023/01/05
大関貴景勝が4日、東京・常盤山部屋で稽古し、初場所に向けて順調な仕上がりを見せた。
平幕の隆の勝を相手にした三番稽古では10番取って8勝2敗で締め、「一番一番、考えながら違う相撲を取った」と本場所を想定して行った。
「ここまで来たら、力抜いてやるだけ」と気を引き締めた。
この日の相撲の狙いについて、貴景勝は「突き、押しだけで一気に持っていけたらいいですけど、上位だとそういう展開にならないこともあるので。一気に持っていく稽古も大事ですけど、そうならなかった時の対応とかも意識してやっています」と説明。
4日後から始まる初場所に向けて「最終段階に入っているので。番数は少ないですけど、一番一番しっかり考えて集中してやろうと思った」と口にした。
番付上で1横綱1大関となるのは、1898年(明31)春(1月)場所の横綱小錦、大関鳳凰以来の125年ぶり。
大関としての責任について問われると、「毎場所優勝目指してやっているんで、人数が減ったからって別に変わることはないです。やるべきことをやるだけかなと思います」ときっぱり。
「頭のどこかには必ず逆算してやってます」という初場所の初日に向けて、「気合入れてやるだけ」と誓った。
8場所ぶりの三役復帰で初場所に臨む関脇高安が2日、東京都江戸川区の田子ノ浦部屋で新年の稽古を開始した。
部屋の稽古が休みだった大みそかと元日は「ゆっくり、のんびりと家で家族と過ごしました」と話した高安だが、ずっと頭から離れないのが優勝への思い。
稽古再開のこの日は若い力士を相手にたっぷりと汗を流すと、「やっぱり悔いのない1年にしたいので。結果を出さなきゃいけない、必ず。優勝ですね。意識していかないと近づいてこない。何となくやっても結果は出ないので。新年を迎えて思うのは、1年って早いので。あっという間に1年たったなと思う。1日を大事にしないと」と言葉に力を込めた。
元大関で関脇の正代が4日、今月8日初日の初場所に向けて東京・時津風部屋で稽古した。
すり足や四股といった基礎運動で汗を流した後、幕下の吉井との三番稽古を行った。
土俵際で粘れず敗れた際には「あ〜、もう!」と悔しそうに声を上げる場面もあったが、6勝2敗と終始圧倒した。
稽古後の取材には応じなかった。
正代は自身5度目のかど番となった昨年11月の九州場所で6勝9敗と負け越し、大関からの陥落が決まった。
大関陥落の翌場所となる初場所で10勝以上すれば、再び大関に特例復帰できる。
2023/01/04
初場所を控える中、横綱照ノ富士が着実に復帰ロードを進んでいる。
10月に両ヒザの手術を受けた影響で今場所も休場が濃厚だが、患部は順調に回復。
伊勢ヶ浜部屋専属トレーナーの篠原毅郁氏によると、ヒザにたまった水を抜く処置が不要となり、腫れも治まりつつあるという。
部屋ではまわしを締めて稽古場に姿を見せ、四股やテッポウなど基礎運動で汗を流すことも可能になった。
篠原氏は「(水を抜かなくなったのは)進歩ですね。回復は非常に順調」と前置きした上で「(初場所は)今の段階で相撲を取れていないと厳しいですよね。
トレーナー目線では、もうちょっと時間がかかるかなと。
ドクター(担当医)も『横綱は頑張り屋だから、抑えるべきところは抑えたい』と考えているようです」と現状を明かす。
また、横綱のヒザの状態については「骨棘(こつきょく)を取ったので(ヒザが)グラグラするような感覚を持っているんじゃないかなと。それはヒザの周りの筋肉を鍛えることによって固まっていく。時間とともに解決するでしょう」と説明した。
照ノ富士が目指すのは、あくまで綱の務めを果たすこと。
そのために本人も周囲も妥協する考えはない。
「絶対全勝優勝する、それぐらいのレベルにいかないといけませんし、横綱もそれがお客さまへの恩返しだと。ハンパな状態で出るわけにはいかないと思っていますよ。それに筋肉が付くのも治りも人より3倍早いですからね」(篠原氏)。
焦らず万全の状態に戻した上で本場所復帰を実現させるつもりだ。
大関貴景勝にとって、初場所は土俵人生の大きな節目になるかもしれない。
横綱審議委員会が「相当の成績で優勝」を条件に、場所後の横綱昇進について可能性を示唆したからだ。
綱とり初挑戦の2021年初場所では負け越しており、新春に夢を形にできるか。
現在26歳の貴景勝は19年春、初土俵から所要28場所で大関に。
年6場所制となった1958年以降6番目のスピード出世で、兵庫県出身の大関誕生は39年ぶりの快挙だった。
横綱昇進の条件は2場所連続優勝か、それに準じる成績とされる。
貴景勝は昨年11月の九州場所で賜杯こそ手にできなかったが、12勝3敗で優勝決定戦まで持ち込んだ。
前回の綱とりは初日から4連敗。
左足首も痛めて途中休場を余儀なくされ、かど番に転落した。
直近の貴景勝は首に古傷を抱えるも、3場所連続で2桁勝利を挙げている。
今回の2度目の挑戦で第74代横綱の誕生となれば、兵庫県出身では110年ぶりの偉業。
魚崎村(現神戸市東灘区)出身で1913(大正2)年に昇進した第23代、大木戸以来2人目となる。
報知新聞社制定「令和4年(2022年)第65回報知年間最優秀力士賞」に関脇・若隆景が27日、初選出された。
都内で行われた選考委員会では、春場所の初優勝や初の年間最多勝(57勝)などが評価された。
関脇以下の受賞は1992年の貴花田(後の横綱・貴乃花)以来30年ぶり。
来年は大関昇進の期待がかかる。
初場所初日に表彰が行われ、スポーツ報知杯、賞金が贈呈される。
若隆景が、初受賞の吉報に声を弾ませた。
関脇以下では30年ぶり2人目。
大鵬、千代の富士ら歴代の受賞者を目にすると、「栃若時代からですか。昔から見てきたお相撲さんばかりでみんな横綱、大関。ここに名前を連ねるのは信じられない」と驚嘆。
次期大関の呼び声高い相撲巧者は「名誉ある賞をいただけたことは励みになりますし、この面々を見たら、上を目指さないといけないなという気持ちです」と決意を新たにした。
九州場所で三役として初の2桁となる11勝を挙げ、初場所で大関とりの足固めを狙いにいく関脇豊昇龍が28日、東京・墨田区の立浪部屋で稽古を行い取材に応じた。
九州場所では12日目から3連敗で優勝争いから脱落したが、11日目まで1敗を守って場所を引っ張った。
あらためて優勝への思いを聞かれると「高まったねえ。えへへへ、できなかったけど。ちょっと自信になりましたね」と話し、周囲から大きな期待がかけられている大関とりについては「まあ、近づいたなと思ったっすけど、やっぱり気を抜いちゃいけない思いもあるので。しっかり頑張りたい」と気を引き締めていた。
8場所ぶりの三役復帰で初場所に臨む関脇高安が2日、東京都江戸川区の田子ノ浦部屋で新年の稽古を開始した。
部屋の稽古が休みだった大みそかと元日は「ゆっくり、のんびりと家で家族と過ごしました」と話した高安だが、ずっと頭から離れないのが優勝への思い。
稽古再開のこの日は若い力士を相手にたっぷりと汗を流すと、「やっぱり悔いのない1年にしたいので。結果を出さなきゃいけない、必ず。優勝ですね。意識していかないと近づいてこない。何となくやっても結果は出ないので。新年を迎えて思うのは、1年って早いので。あっという間に1年たったなと思う。1日を大事にしないと」と言葉に力を込めた。
失地回復はなるか。
初場所で、関脇正代が大関復帰をかけた土俵に臨む。
5度目のカド番で臨んだ11月の九州場所は6勝9敗で負け越し。
大関在位13場所での陥落は歴代10位の短命記録≠ニなった。
ここから看板力士に返り咲くことは簡単ではない。
現行のカド番制度が定まったのは、1969年の7月場所から。
大関が2場所連続で負け越せば関脇へ転落し、直後の場所で10勝すれば特例で復帰できる。
約半世紀の間で、特例復帰を果たしたのは三重ノ海、貴ノ浪、武双山、栃東(2回)、栃ノ心、貴景勝の6人(7例)だけ。
直近では先場所の御嶽海が6勝9敗に終わり、大関復帰に失敗している。
初場所で6場所ぶりに小結に復帰する明生が28日、都内の同部屋で15番の申し合い稽古を行った。
十両・天空海や幕下・上戸らを相手に11連勝を含む14勝1敗。
立ち合いの鋭い踏み込みから前に出て圧倒する相撲が目立った。
初場所へ向け、立ち合いと土俵際を特に意識して取り組んだ。
九州場所では初日から3連敗するなどここ数場所、序盤戦が「一番の課題」と自覚している。
「体の乗り方が難しいですね。そこを勝てるようになれば2桁(勝利)も見えてくると思います」。
勝ち越し、そして三役では自身初となる2桁勝利を目指していく。
4関脇4小結と群雄割拠の番付。
「関脇は経験しているので、その上を目指して」と大関を見据える。
弟弟子の豊昇龍が大関獲り足固めに挑む初場所。
「勝ち越しをまず一つの目標にコツコツいきたい」と大きな目標は明言しなかったが「混戦を突破できるように」と次期大関争いに名乗りを上げた。
九州場所で三つ巴の決定戦を制して初優勝を果たした阿炎は、東前頭3枚目に番付を上げた。
「もう自分の中では次の場所に切り替えている」と優勝の喜びに浸ることなく初場所を見据えている。
今後は返り三役、そして大関へと期待がかかるが、「“一番集中”だけなので番付は気にしない」と気持ちはぶれない。
来年へ向け「師匠を番付だけではなく人としても超えていきたい」と、さらなる心身の成長を誓った。
大相撲の東前頭7枚目の逸ノ城が、新型コロナウイルス対応ガイドラインに違反したことについて、謝罪した。
28日、所属する埼玉・湊部屋の朝稽古に参加し、「ファンの皆さんに申し訳ないです。これからしっかり考え直していきたいです」と反省の弁を口にした。
12月26日の日本相撲協会の臨時理事会で、逸ノ城は新型コロナウイルス感染防止策の一環として外出禁止となっていた一昨年11月、昨年8月に無断で2度外出したことが確認された。
これにより、年明けの初場所は出場停止。
だだし稽古に参加することについての規制はなく、現在は復帰する3月の春場所に向けて調整に励んでいる。
この日は幕下の諒兎馬と三段目の昂輝を相手に約20番相撲を取り、テッポウ柱に向かって黙々と突っ張りを繰り返すなど汗を流した。
若い衆に身ぶり手ぶりを交えながら教える姿もあり、師匠の湊親方と話し込む場面も見せた。
「腰の痛みが結構前からずっとあるんで、それを治しながら考えて稽古しています」と現在の状況を説明した。
自己最高位の西前頭8枚目で迎える王鵬が29日、東京都江東区の大嶽部屋で稽古し「全ての場所で勝ち越せるように頑張る」と来年の抱負を語った。
22歳のホープは史上2位の優勝32度を誇る元横綱大鵬の孫。
先場所は2日目から9連勝し、幕内5場所目で初の2桁となる10勝を挙げた。
この日は弟の幕下夢道鵬と兄の三段目納谷を相手に19勝1敗と圧倒した。
先場所は初の三賞に届かず「途中からもらえる気になっていた。それでは駄目だ」と反省。
「見ている人は力が足りないと思ったはず。そう思わせないような相撲を取っていく」と貪欲に述べた。
二所ノ関部屋が2日、茨城県阿見町の部屋で新年の初稽古を行った。
大みそかと元日は休み、この日から申し合いなどを再開。
今年は初場所の初日が8日に迫っていることもあり、師匠の二所ノ関親方は「初場所は正月休みを挟み変則日程だが、元日に(弟子には)初日が近いことを話した」という。
寒い時季で調整が難しい中、幕下・友風ら所属力士が熱い稽古で汗を流した。
日本相撲協会は27日、東京・両国国技館で年寄総会を行った。
冒頭で伊勢ケ浜親方と湊親方が謝罪。
前日26日の臨時理事会で、伊勢ケ浜親方は弟子2人の暴力行為が発覚して理事を辞任、湊親方は弟子の前頭逸ノ城の新型コロナウイルス対応ガイドライン違反が発覚し、減給の懲戒処分を受けた。
ともに「今後はしっかりと弟子の指導にあたります」と頭を下げたという。
2月に暴力問題撲滅の研修会を実施予定。
また芝田山広報部長によると、初場所は「飲食は黙食で。声援はコロナ前に戻す方向で努力」と、観戦ルール緩和の方針を確認した。
2022/11/28
昨年に続き、貴景勝は今年も賜杯を抱けなかった。
ともえ戦では、初優勝に王手をかけた阿炎の突き押しに防戦一方。
序盤の連敗から立て直した大関の意地も最後は実らなかった。
「貴景勝が一番悔しいね」と八角理事長が心情を推し量った。
関脇豊昇龍は白星なら獲得という条件付きの技能賞を手にした。
霧馬山との取組、右上手を取って左を差すも、すぐには勝負を決められず。
上手投げは決まらず、相手の下手投げに耐えて寄り切った。
中盤戦では優勝争いで存在感を示したが、終盤戦での3連敗が響いた。
千秋楽、負け越しが決まった上松町出身で関脇の御嶽海は、前頭5枚目の錦富士と対戦し、寄り切りで敗れました。
立ち合いであたったあと、錦富士に上手を取られた御嶽海は引きつけられ、元気なく寄り切りで敗れました。
大関復帰をかけて臨んだ九州場所でしたが、御嶽海は3つ黒星が多い6勝9敗の成績で終えました。
千秋楽、またしても、東前頭筆頭・高安から初賜杯が逃げていった。
ともえ戦で西前頭9枚目・阿炎が優勝を決めた瞬間を、土俵下の控えで見届けると、目を赤くしながら花道を下がった。
「稽古が足りないというふうに、つくづく思います。もう一回鍛えます」。
リモート取材でも、涙声のようだった。
様々な悔しさを味わった2022年。
高安は「本当に、実りある年で成長できたと思います。勉強になりました。前向きな相撲が取れました。変わらず、上を目指して頑張りたいです」と声を絞り出した。
来年こそ夢を手にする。
千秋楽、幕内・琴ノ若が竜電を破って9勝目を挙げ、来場所の三役昇進を確実にした。
竜電に前ミツを引かれて頭をつけられる苦しい体勢から、左を巻き替えてもろ差しで胸を合わせて前に出て寄り切り。
「自分の形に持っていくまで我慢できたのがよかった」と振り返った。
幕内上位に定着したこの1年、7勝3敗からコロナ関連で途中休場した名古屋場所以外は安定感を見せて全て勝ち越した。
年間勝利数の55勝は、57勝で最多の若隆景に次ぐ成績。
「全部が全部よかったわけではないけど、いろいろ自分の中で成長になる1年だった」と飛躍の年を振り返った。
千秋楽、西前頭9枚目・阿炎が初優勝を決めた。
1994年春場所以来、28年ぶりの3人による優勝決定ともえ戦で、東前頭筆頭・高安、大関・貴景勝に連勝。
2020年に自身の不祥事により3場所出場停止など、どん底を味わった男が悲願の賜杯を手にした。
3場所連続平幕優勝は史上初。
6場所全て違う力士が優勝するのは、1958年の年6場所制以降で31年ぶり3度目。
関脇以下が年間5度制覇も年6場所制で初めてとなった。
阿炎が泣いた。
恩返しの初優勝だ。
28年ぶりの三つどもえの決定戦で高安、貴景勝に連勝し、一気に決着をつけた。
土俵下で行われた勝者のインタビュー。
館内の視線を独り占めしながら、感謝の言葉をつないだ。
不整脈などで休場中の師匠・錣山親方への思いもあふれた。
「本当に迷惑しかかけてこなかったので、少しでも喜んでくれたらいいです…」と目頭を押さえた。
自分をずっと信じ続けてくれたことへの感情が、涙としてあふれ出た。
本割で単独先頭の2敗・高安を引きずり下ろし、進んだ決定戦。
続けて高安を立ち合いのはたき込みで破った。
もう、恐れるものはない。
迎えた大関戦はもろ手突きで前へ、前へ。
足が流れかけながらも、死力を尽くして押し込んだ。
「うれしい。まだ何かウソのような感じで、たかぶってます」。
役力士がいるV決定戦を平幕が制したのは初だ。
東前頭16枚目の照強が初日から無念の15連敗。
巨漢の逸ノ城に肩越しに上手を与え、投げに屈した。
皆勤した幕内力士としては1991年名古屋場所の板井以来31年ぶりの不名誉。
来年1月の初場所で再起を図れるか。
大相撲九州場所は27日に千秋楽を迎え、懸賞総数は1262本に達した。
1日当たりの最多は千秋楽の137本。
十両の優勝争いは決定戦にもつれ込み、欧勝馬(25=鳴戸部屋)が大奄美(29=追手風部屋)を破って混戦を制した。
欧勝馬と大奄美の2人による決定戦となり、頭を下げての押し合いから土俵際に詰まった欧勝馬が相手の左腕を手繰ってうまく体を入れ替え、最後は右で極めるように抱えて押し出した。
勝てばその時点で優勝が決まる本割は「一番だけで決めたかったけど体が硬くなって。今日の一番だけ凄く緊張しました」と力を出し切れなかった。
それでも決定戦で本割の雪辱を果たし「凄くうれしいです」と喜びを表した。
学生横綱の実績を持って入門し、幕下15枚目格付け出しデビューから1年。
「幕下でも優勝、十両でも優勝できたので、もっと大きい目標を考えて上でも優勝できるように頑張りたい」。
早くも幕内優勝を視野に入れ、大きな夢を描いた。
2022/11/27
14日目、一方的な攻めで王鵬を押し出し3敗対決を制した貴景勝は「しっかり準備することしか場所中はできないんで、それをやっただけ」といつもと同じ言葉で淡々と相撲を振り返った。
王鵬は埼玉栄高の後輩で入門後は同じ二所ノ関一門で一時は付け人も務めてくれたが、「勝負になったら関係ない」と無心で下した。
千秋楽まで優勝争いに加わり、大関としての責任を果たしたが「全体的なことは考えていない。千秋楽もしっかり準備するだけ」と今年最後の一番しか見ていない。
14日目、若隆景が8勝目を挙げて年間57勝とし、初の最多勝のタイトルを単独で獲得することが確定した。
取組後のリモート取材では「明日の一番にしっかり集中して相撲を取っていきたい」と話した。
14日目、上松町出身の関脇・御嶽海は大関の正代と対戦しました。
ここまで6勝7敗と、負け越しまで後がなくなってから2連勝で踏みとどまっている御嶽海。
正代を土俵際まで追い詰めたものの攻めきれず、逆に押し返されて、押し出しで敗れました。
御嶽海はこれで6勝8敗となり、4場所連続の負け越しが決まりました。
14日目、高安は右から当たって押し込んだが、輝もよく応戦し、危ない場面もあった。
最後は引いたところを出られて、土俵際でうまく回り込んではたき込んだ。
絶対に落とせない一番で硬くなったのも無理ないが、気持ちで残した感じだ。
千秋楽の相手は阿炎。
今年春場所も2敗でトップに並びながら千秋楽、阿炎に屈し、若隆景との決定戦で敗れた苦い経験もあり、嫌な思いが頭をよぎるだろう。
何度も目前で優勝を逃し、これほど悔しい思いをしている力士はいない。
目いっぱい当たると阿炎には変化もあるし、あまり見すぎると逆に一気に出られる。
慌てず自分の相撲を取り切ることだ。
14日目、阿炎が3敗対決に生き残り、自力での逆転初V権利を手にした。
豊昇龍に左まわしを引かれかけたが、突き放してから右に動いて引き落とし。
過去4戦全敗だった相手から初白星を挙げ「考えてちょっと低く当たろうと。イメージ通りに当たれたので流れがよかった」と自賛した。
優勝争いは3度目。
「全然意識はしていない。自分の相撲を取れるように集中を高めて臨みたい」と本割で高安戦に勝ち決定戦に持ち込む。
東前頭16枚目、照強が崖っぷちに立たされた。
14日目、東前頭3枚目の宇良に押し倒しで敗れ、今場所通算0勝14敗。
27日の千秋楽も敗れて全敗となれば、1991年名古屋場所の板井以来、31年ぶりとなり、不名誉な記録回避に向けて奮闘が期待される。
14日目、平戸海が幕内2場所目で初の2桁白星を挙げた。
中盤まで優勝争いに加わっていた錦富士をもろ差しからの寄りで圧倒。
「考えていた通りの相撲。うれしいです」と顔をほころばせた。
ここに来て3連勝。
千秋楽には家族が応援に来るという。
「この3日間のような内容のいい相撲を取りたい」と意気込んだ。
2022/11/26
13日目、大関貴景勝が2敗で先頭だった豊昇龍を下して3敗を守った。
立ち合いから突き押しで攻めるも簡単には崩せず。
一切引くことなく、圧力をかけ続けて押し出した。
「始まったら覚えていない」と無心で臨んだ一番。
14日目は優勝争いに加わっている埼玉栄高の後輩、王鵬と初対戦する。
「また準備して一生懸命やるだけ」と逆転優勝は諦めない。
13日目、大関からの陥落が決まった一番は寂しい内容だった。
正代は玉鷲に喉輪で攻め立てられた。
右からのいなしが精いっぱいの抵抗。
すぐに押し出された。
表情を曇らせた正代は、取組後のリモート取材に応じなかった。
一昨年の11月場所で新大関となって在位13場所で、2桁白星はわずか2度。
途中休場を含む負け越しは6度で皆勤の2桁黒星も2度あり、通算94勝89敗10休はふがいない。
昇進した頃から10キロ近く体重が減った影響もあったのか、強く当たる立ち合いは影を潜めた。
13日目、若隆景は錦富士を寄り切って7勝目を挙げて年間勝利数を56勝とし、初の年間最多勝が確定した。
あと1勝するか、豊昇龍と琴ノ若がともに1敗すれば単独での最多勝となる。
年6場所制となった1958年以降で関脇以下が年間最多勝となるのは60年の大鵬、92年の貴花田、2019年の朝乃山以来3年ぶり4度目。
取組後の取材には応じなかった。
13日目、西関脇・御嶽海は東前頭5枚目・北勝富士にはたき込みで勝った。
立ち合いに当たって左に動いた御嶽海は、すかさずはたいて2連勝し、6勝7敗とした。
14日目は結びの一番で、かど番で負け越しとなり大関陥落が決まった西大関・正代と対戦する。
過去6場所では御嶽海が3勝1敗とリードしている。
13日目、高安は迷いなく立ち合い、右からかち上げ、突っ張って左差しで王鵬を組み止めた。
今場所、当たって攻め込んでから引く相撲もあったが、引くと付いてこられそうな相手だけに徹底して前に出て、上手投げのタイミングもよかった。
王鵬も敗れたとはいえ、若武者らしく真っ向から応戦したのはすがすがしかった。
豊昇龍が貴景勝に敗れ、高安が単独トップに立った。
残りがまだ3日も4日もあり雑念も入りやすい状況と違い、ゴールの近いあと2日での単独トップなら集中しやすいだろう。
14日目の輝は小細工などしない相手だけに思い切っていける。
何度も優勝争いに加わった経験が生きてきそうだ。
13日目、阿炎は輝を圧倒し、3敗を堅持した。
立ち合いのもろ手突きで相手の上体を起こし、そのまま突き出し。
「集中して立ち合いでしっかり当たれた。2桁勝てたのはうれしいけど、まだ終わりじゃない。集中したい」。
14日目で、3敗対決の豊昇龍戦に全力を尽くす構え。
土俵下で見届けた伊勢ケ浜審判長は「このへんで勝つのは不思議じゃない。もともと三役の力がある」と、現在の地位なら星を伸ばすのは当然という受け止めだ。
13日目、幕内2場所目の平戸海が遠藤を寄り切って9勝目を挙げた。
遠藤の突っ張りで土俵際まで追い込まれた平戸海が一瞬浅く二本差して逆襲に転じ、左四つの体勢でどんどん前に出て寄り切った。
左四つは遠藤が得意とする形。
それでも平戸海は「止まったら負けと思っていたので、四つに組んだ瞬間、前に出ました。馬力で勝つしかないと思って」と攻めを休めず、勢いで勝った。
前日に幕内で初の勝ち越しを決めたが「気が抜けたらダメなので2桁目指してやっています」と慢心はない。
1年前は新十両だった長崎県出身の22歳が、地元・九州の土俵で大きな成長を示した。
2022/11/25
12日目、東大関・貴景勝が、西前頭5枚目・錦富士を押し出して9勝目。
3連勝で3敗を守り、賜杯レーストップを1差で追走する。
回転の良い突き、押しで、新入幕から2場所連続で10勝を挙げている若手成長株を退けた。
貴景勝は、立ち合いから強烈な突き押しで前に出た。2度、3度と圧力をかけて、最後は土俵下へと押し出した。
「今日も昨日の夜からしっかり準備して、相撲を取りました」と言葉少なに振り返った。
12日目、5度目のかど番の正代は大関陥落に崖っぷちまで追い込まれた。
霧馬山に前みつを取られ、振りほどこうと右に回ったが、喉輪で起こされ寄り切られた。
残り3日間で役力士との対戦を残して7敗目。
11日目に難敵の若隆景を退けて5勝目を挙げた際は「攻めは良くなっている」と手応えを口にしていたが、1日で暗転。
取組後のリモート取材には応じなかった。
12日目、関脇豊昇龍が幕内王鵬にはたき込まれて10勝2敗となった。
立ち合いから頭で当たったが、引いた相手に土俵際ではわされた。
取組後は取材に応じることなく、土俵下の佐渡ヶ嶽審判部長は「出足を使って一気に攻めようという相撲に見えた。特に同い年だから気負ってしまったのかなと。でも、見ごたえあるいい相撲だったんじゃないか」と語った。
12日目、大関復帰に失敗した西関脇の御嶽海は西前頭4枚目の佐田の海を押し出し、連敗を6で止めて5勝7敗とした。
御嶽海はかど番継続だった先場所11日目に、佐田の海に突き落としで敗れて8敗目を喫し、大関陥落が決まった。
今場所も負け越しが決まるか否かの終盤戦の土俵で顔を合わせた相手に対し、大関経験者の意地をにじませながら押し勝った。
12日目、東前頭筆頭・高安が、西前頭6枚目・竜電を引き落として10勝目をあげた。
西関脇・豊昇龍が敗れたため、2敗の元大関は優勝争いのトップに並んだ。
立ち合い。得意のかちあげで相手を押し込むと、タイミング良く引き落とした。
2場所連続の2ケタ白星に「しっかりと厳しく攻められました」と胸を張った。
優勝争いの緊張感については「毎日変わらず、淡々と取り組むことができていると思います」と冷静に話した。
八角理事長も「流れが良いですね。一番、一番に集中している感じ」と落ち着いたたたずまいに目を細めた。
佐渡ケ嶽審判長は「落ち着いていたと思います。元大関として色々勉強もしてきたでしょうしね」と酸いも甘いも知る32歳に賛辞を送った。
12日目、平幕の阿炎と輝は3敗を守り、優勝争いに残った。
両者は13日目に対戦する。
阿炎は立ち合いで右へ大きく跳び、若隆景を上手投げ。
「ちゃんと集中できている。これを継続していきたい」と平常心を強調した。
輝は今場所初めて幕内上位に挑み、琴ノ若を押し出した。
7連勝と勢いに乗り「自分のペースで取れている。一日一番で頑張ればいい」と無欲な様子だった。
12日目、失うものはなにもない。
挑戦する立場だからこそ、思い切りぶつかっていった。
王鵬は力強い踏み込みから豊昇龍にぶち当たり、やや押し込んだ。それが大きかった。
豊昇龍は低い体勢から押し返してきた。
だが、立ち合いで有利に運べたため、少し間ができた。
そして俵までも距離をつくることができた。
「引いてしまったけど、めちゃくちゃいい立ち合いができました」。
土俵際、はたき込みが決まった。
1敗と2敗の直接対決。
しかも同期生で、大鵬の孫と朝青龍のおいとあっては否が応でも注目が集まる。
「勝ちたい気持ちは誰に対してもあります。でも気合は自然と入りましたね」。
豊昇龍を自力で引きずり下ろし、2敗で肩を並べた。
12日目、平戸海が幕内で初の勝ち越しを決めた。
北勝富士に攻め込まれたが、土俵際で突き落とし。
物言いも軍配通りに「負けたかなと思ったので勝ててよかった。ホッとしました」。
新入幕の先場所は千秋楽に負け越し。
地元の長崎・平戸から連日駆けつける応援団の後押しに「先場所は悔しい思いをしたので、取り返そうと頑張りました」と話した。
山崎敏広さん(やまざき・としひろ=大相撲の元立行司、第36代木村庄之助)23日午後11時1分、肺がんのため死去、74歳。
鹿児島県出身。葬儀・告別式は29日午前10時30分から東京都江戸川区船堀2の23の14、ふなぼり駅前ホールで。喪主は妻キミ子さん。
64年夏場所で井筒部屋から初土俵。
11年九州場所で行司の最高位、木村庄之助を襲名した。
13年夏場所の定年まで49年間、一度も休場がなかった。
達筆で知られ、番付表の書き手も長く務めた。
2022/11/24
11日目、貴景勝が2場所続けて埼玉栄高の先輩、北勝富士を破って勝ち越しを決めた。
変化ではたき込んだ先場所と違い、頭から激しく当たる真っ向勝負で勝利。
まったく逆の取り口となったが、「今日は今日なので」と特に意識はしていなかった様子。
3敗を守り、首位豊昇龍を2差で追う。
「また明日頑張ります」と、いつもの言葉に決意を込めた。
11日目、カド番の大関・正代が連敗を3で止めた。
関脇・若隆景との一番ではやや立ち遅れたが、左をのぞかせると右もねじ込んで寄り切った。
「ちょっと立ち遅れたのはあったんですけど、それが逆にいい角度で入れたのかなとは思います」と振り返った。
これで5勝6敗。
「その後の攻めも良かったので、あとは立ち合いが硬くなってるかなというところがあるので、そこは気になるところですね。負けが込んできているので、どうしても星の関係でだいぶ意識しているのかなというのはあります」と心境を明かした。
11日目、豊昇龍が御嶽海との関脇対決を寄り切りで制し、1敗を守って単独首位に立った。
勢いの差がはっきり表れた。
関脇同士とはいえ、場所を引っ張る豊昇龍が、来場所の大関復帰という大きな目標を失った御嶽海を寄せ付けなかった。
11日目、大関復帰を果たせなかった西関脇の御嶽海は、西関脇の豊昇龍に寄り切られ、6連敗で4勝7敗と勝ち越しに後がなくなった。
豊昇龍には通算3勝3敗。
12日目の相手は西前頭4枚目の佐田の海。
9月の秋場所千秋楽で1差を追って臨んだ玉鷲との直接対決に敗れ、優勝決定戦に持ち込めなかった高安は「何度でも挑戦する。整理はついている」と潔かった。
その誓いを果たすため、持ち前の力強い相撲を貫いている。
11日目、錦富士との2敗同士の対戦。
迷いはなかった。
かち上げから先手を取り、攻め手を緩めない。
必死に回り込む相手に対し、突き押しで前進。
もつれた土俵際で逆転は許さず、「とてもいい相撲。我慢してついていけた」。
手応えは十分だった。
八角理事長は「積極的。慌てるかと思ったが、土俵際で勝っているからこそ、冷静にいけた」と評価。
錦富士とは秋場所前に出稽古で手合わせしており、その時の感覚も勝負どころで生かされたのだろう。
王鵬とともに1差でトップの豊昇龍を追う。
3月の春場所でも優勝決定戦で若隆景に敗れた元大関にとって、あと一歩で届かない初賜杯。
「いい相撲を取れている」との実感がある中、一年納めの九州場所で念願を遂げられるか。
勝負のときを迎える。
11日目、阿炎が2日目から9連勝と勢いに乗る王鵬に関脇経験者の貫禄を示した。
持ち味の激しい突きで何もさせず、突き出した。
右肘と左足首の手術を受けて先場所は全休しており、2場所ぶりの勝ち越しとなったが「結果としてはうれしいが、まだ終わっていないので」と淡々。
首位と2差の優勝争いにも「考えていない。明日の相撲に集中するだけ」と強調した。
11日目、元横綱大鵬の孫で22歳の王鵬は完敗。
もろ手で立った阿炎の喉輪を交えた攻めに、なすすべなく土俵を割った。
関脇経験者に力の差を示され、トップ並走ならず。
リモート取材には現れなかった。
11日目、関脇御嶽海の1場所での大関復帰が消滅し、大関正代は5勝6敗とかど番脱出に向けて苦境が続く。
来年1月の初場所は1横綱1大関という寂しい番付に陥る可能性がある。
現実になれば、1898年1月の春場所以来で125年ぶりの異常事態となる。
NHKでラジオ解説を務めた北の富士勝昭氏は、「そんな昔の話? それはなるべく避けてもらいたいね」と奮起を促していた。
2022/11/23
10日目、大関貴景勝は霧馬山を退け、連敗を免れて3敗を守った
10日目、カド番の大関・正代が痛恨の6敗目を喫した。
トップの1敗で好調を維持する関脇・豊昇龍に左差しを許して後退。
土俵際で逆転の突き落としを狙ってもつれたが、物言いはつかず。
寄り倒しで敗れて3連敗を喫し、これで6敗目となった。
10日目、豊昇龍は、かど番の大関正代と勢いが違った。
一気の出足で寄り倒し。
土俵際は微妙も物言いはつかなかった。
「自分から攻めたい気持ちがあったのでよかった。(プレッシャーは)あるけど集中できている」と充実感をにじませる。
1敗で並ぶ王鵬は「気にしない」。
ただ優勝争いは「頑張ります」と力をこめた。
10日目、西関脇御嶽海は翠富士に寄り切られて4勝6敗となり、今場所後の大関復帰がなくなった。
1場所で大関に返り咲くには、10勝以上が必要だった。
御嶽海は今年1月の初場所後に大関に昇進。
初めてかど番で臨んだ7月の名古屋場所は2勝4敗で迎えた7日目から休場したが、新型コロナウイルス関連の特例措置によって地位は据え置かれた。
翌秋場所は4勝11敗に終わり、関脇に転落した。
10日目、東前前頭筆頭高安が、小結翔猿をはたき込みで破り、勝ち越しを決めた。
強烈な右からのかち上げで攻めて翔猿を土俵際まで押し込み、前に出てきたところを冷静にはたき込んだ。
「しっかり立ち合い当たれて。その後の流れがよかった」と納得の一番。
2場所連続となる勝ち越しを決めて「次は2桁に向けてしっかり集中していきたい」と意気込んだ。
2敗を守り、1差の関脇豊昇龍と平幕の王鵬を追い掛ける。
今年は春場所と秋場所で優勝争いを経験。
32歳、大関経験者と経験豊富なだけに終盤5日間で崩れる訳にはいかない。
「いい九州場所になるように目指したい」と初賜杯を抱いて、納めの場所で笑う。
10日目、錦富士が会心の内容を見せた。
幕内最重量の逸ノ城に立ち合いから低く当たって先手を取ると、そのまま一気に押し出して8勝目。
3場所連続となる勝ち越しを決めて「相手が重いので、体を起こしてから流れでいけました」と納得の表情を見せた。
大一番を控えるサッカー日本代表の相馬勇紀は友人。
「僕が(左肘を)手術するときにビデオメッセージをくれた」と勇気づけられたことを感謝している。
今回代表入りを決めた際には「テレビでしか応援できないけど頑張ってね」と激励のメッセージを送ったという。
「友人も出ているので注目しています。テレビで応援します」。
もちろん23日の日本−ドイツ戦はテレビ観戦の予定だ。
トップを1差で追って優勝争いに絡む。
「明日からは上位と組まれると思うので思い切りの良い相撲を見せたい」と意気込んだ。
10日目、王鵬が勢いに乗っている。
立ち合い頭で当たって押していこうとしたが、碧山が左から張ってきたことで不本意ながら左を差してしまった。
しかし、右も絞ってもろ差しから力強く寄り切った。
本来は突き押しだが、四つでも取れるところを見せた。
2日目から9連勝。
幕内5場所目でようやく慣れてきたのだろう。
迷いがなく安定感も出てきた。
優勝争いのトップでこれからは当然上位にも当たる。
11日目は阿炎で、スピード負けせず下からどんどん攻められれば面白い。
優勝争いなど頭にはないだろうが、ノーマークは強み。
相撲界のサラブレッドぶりを見せつけてもらいたい。
10日目、西前頭16枚目の平戸海が初の勝ち越しに王手をかけた。
琴勝峰に攻め込まれたが、土俵際で逆転の突き落としを決めた。
「当たり負けしないようにいこうと思ったけど、硬くなって中途半端になってしまった」と反省しつつ、「途中は覚えてないですけど、最後は落ち着いてとれたと思います」と振り返った。
新入幕の先場所は千秋楽に負け越した。
後ろがない幕じりだったが「番付運」に恵まれて幕内に残った。
地元の長崎・平戸からは連日のように応援団が駆けつけている。
「とりあえずあと1番、集中して頑張ります」。
場所後には長崎で巡業が開催される。
応援と期待に恩返しできるよう、気合を入れ直した。
2022/11/22
9日目、貴景勝が新小結の翔猿に敗れ、3敗に後退した。
激しい突っ張り合いで相手の手数の多さに押され、引くような動きを見せたすきをつかれて押し出された。
優勝争いの先頭とは2差となり「勝てなきゃだめだと思う。それだけ。(相手の手数が多かったことは)負けているというのは、そういうことなので」と悔しそうだった。
9日目、自身5度目のかど番の大関正代は小結大栄翔に押し出しで敗れ、5敗目を喫した。
立ち合いで相手に低く当たられて体を起こさられると、そのまま粘ることができず力なく土俵を割った。
今場所2度目の連敗で黒星先行。
取組後の取材には応じなかった。
9日目、関脇豊昇龍が、西前頭4枚目の佐田の海を上手投げで下して8勝目を挙げた。
平幕の王鵬と2人で1敗を守った。
「最初から上手を狙っていたんで、狙い通りの相撲」と会心の内容だった。
これで勝ち越しを決め優勝争いでも先頭に立つが、本人は「気にしないで自分の相撲だけに集中して、1日一番でいきます」と精神を研ぎ澄ませている。
9日目、憧れ続け、ようやくつかんだ大関の地位にもう一度戻るため、絶対に必要なのは10個の白星。
御嶽海は9日目にして5敗目を喫し、早くも後がなくなった。
左四つ巧者の若元春に立ち合いの圧力で勝てず、前に出られない。
警戒していたはずの左差しを許すと防戦一方になり、土俵を割るしかなかった。
花道を下がる表情には覇気がなく、八角理事長(元横綱北勝海)は、「弱気を見せちゃ駄目。気持ちで負けている」と切り捨てた。
9日目、小結玉鷲が、57年ぶりの珍決まり手で2勝目をあげた。
潜り込もうとする東前頭3枚目宇良を、しつこく突き押しで攻めた。
長いリーチをいかし、右のど輪でつかまえ、左手は肩付近に当てながらひねり倒した。
アナウンスされた決まり手は「合掌ひねり」。幕内の土俵では65年九州場所9日目に、大心が前田川に決めて以来の大技だった。
しかし、オンライン取材で笑顔はなかった。
むしろ「いやー、あんまりしたらいけない技だなと思いました。やっぱり間違ったら違う方向にいっちゃうので」と振り返った。
首をつかみながらのひねり技となっただけに、宇良の心配をしていた。
9日目、翔猿はしこ名の通り小兵で動き回るだけというイメージだったが、相撲に厚みを増し、前に出る圧力を間違いなくつけている。
貴景勝戦は立ち合いで右に変化して、後は真っ向から突き押しで攻めた。
動かれたことで貴景勝はよく見ていこうとしたが、思いのほか翔猿の圧力が強く、たまらず引いたところを翔猿が押し出した。
翔猿は準備運動後や三番稽古の前後など、1日3回もぶつかり稽古をこなしていると聞く。
1回だけでも苦しく嫌がる力士もいるが、瞬発力、持久力がつくのがぶつかりだけに、変身ぶりもうなずける。
新小結でここまで5勝4敗は上出来で、優勝戦線を思う存分かき回してほしい。
9日目、小結・大栄翔がカド番の大関・正代を押し出して4勝目を挙げた。
直近6戦5勝と合口の良い正代を相手に、突き放してから右おっつけで一方的に押し出して完勝。
「立ち合いが良かったのでその後の攻めも流れよくできた」と振り返った。
連敗を3で止めて4勝5敗に。
「連敗が止まったことは良いことなので、ここからは連勝できるようにしっかりやっていきたい」と巻き返しを誓った。
9日目、錦富士が1敗の阿炎を突き落とし、2敗を守って優勝戦線に生き残った。
阿炎のもろ手突きをまともに受けて後退したが、右へ回り込みながら右から突き落とすと、支えを失ったように相手が崩れ落ちた。
「十両時代、阿炎関との対戦で相手にならなかったのでうれしい」。
入幕3場所目で、9日目まではいずれも7勝2敗。
最終的に過去2場所とも10勝5敗だっただけに、残り6日間に成長力が問われる。
9日目、大横綱大鵬の孫、王鵬が自己最速での勝ち越しを決めた。
阿武咲の突き押しをこらえると、タイミング良くいなし、最後は送り出し。
「立ち合いでしっかり当たれている。それが結果になってうれしい」と喜んだ。
9月の先場所は終盤に5連敗して2場所連続の勝ち越しを逃した。
今場所は出稽古の成果を実感しており、「集中して相撲を取れていることが一番」。
白星が伴い、自信も深まってきたようだ。
2022/11/21
8日目、若元春を突き出して6勝目を挙げた。
八角理事長は「貴景勝は立ち合いが良かった。押し込む流れができると、余裕が生まれる。」と語った。
8日目、自身5度目のかど番の大関正代は、西前頭4枚目の佐田の海に上手出し投げで敗れて4敗目を喫した。
共に熊本出身という同郷対決。
立ち合いから胸から当たって前に出た正代はしっかり組み止めることができず、左上手を取った相手に出し投げをくらった。
中日を終えて星を五分に戻した。
取組後の取材には応じなかった。
8日目、関脇豊昇龍は小結翔猿を上手投げで退け、7勝目を挙げた。
立ち合い左から張って翔猿を右四つで組み止めると、そこから豊昇龍が存分に土俵を動き回った。
まず左上手を引きつけながら外掛けを繰り出し、決まらないとみるや、間髪を入れず出し投げ。
相手の蹴返しは素早く足を引いてかわした。
差し手争いで後手に回り、外四つの苦しい体勢になってからが真骨頂だった。
伸びていた右の1枚まわしを深く取り直すと、遠心力を効かせて相手を引きずるように振り回す。
最後は自ら深くしゃがみ込みながら上手投げを決めた。
やや粗い取り口ながらも持ち前のバネを生かして豪快に白星をもぎ取り、本人も「動きは悪くないし、体も落ち着いているので、この調子で頑張りたい」と気を良くした様子である。
8日目、上松町出身の西関脇・御嶽海は、西前頭筆頭・琴ノ若に肩透かしで敗れ、3連敗で4勝4敗となった。
中日を五分の星で折り返すのは6勝9敗に終わった今年5月の夏場所以来。
9日目の21日は、東前頭4枚目・若元春と対戦する。
8日目、好調な高安が霧馬山を退け1敗をキープした。
立ち合いから激しい攻防となった一番は、お互い右四つとなったところで、豪快なすくい投げで勝負をつけた。
「我慢して圧力をかけられました。(すくい投げは)流れでうまく決まって良かったです」。
3日目から6連勝と安定感抜群で、初賜杯のチャンスは十分にある。
「毎日やりがいがありますし、精いっぱい良い相撲を取って、九州場所を盛り上げたいです」とさらなる奮起を誓った。
8日目、琴ノ若は御嶽海を破って5連勝。
しっかり当たった後、すぐに肩透かしで仕留め、「思い切って何でもやろうと踏み込んだ。その後は体が動いてくれた」。
元横綱琴桜を祖父に持ち、期待を集めてきた中、19日には25歳になった。
自己最高位の西前頭筆頭で臨んでいる今場所。
新三役昇進も視野に入るが、「上があるので、どんどん力を付けて上がっていければいい」と言い切った。
8日目、一気の相撲で勝負を決めた阿炎。
堂々の取り口に「前に出られてよかった」と声が弾んだ。
もろ手で突いて前へ。
遠藤の上体を起こすと、ほとんど抵抗させずに土俵下へと追いやった。
「集中できていた」。会心の内容だった。
口癖のように「集中」と繰り返す。
突き押しが武器。
雑念を振り払って踏み込むためには、「言葉に出すことが大事。毎日使うようにしている」。
神経を研ぎ澄ませ、あっさりと決着をつけた攻めは理想の形だった。
20日、元小結の千代大龍が日本相撲協会に引退届を提出し受理された。
中日で潔く土俵を去った男は協会には残らず、焼き肉店開業を目指すという。
8日目、平幕の王鵬が1敗を守った。
歴代2位の優勝32回を誇る元横綱・大鵬を祖父に持つ22歳の王鵬。
2日目から7連勝と勢いに乗って、混戦の場所を折り返した。
幕内最年少20歳で新入幕の熱海富士と、今後に期待がかかる若手同士の一番。
前傾姿勢の相手を突き起こしながら前に出て押し出し、「先輩」の貫禄を示した。
2022/11/20
7日目、大関貴景勝は翠富士の奇襲にも慌てることなく対応し、5勝目を挙げた。
立ち合いで左に大きく跳んできた相手の動きについていき、もろはずで一気に押し出しと冷静さが光ったが、「しっかり準備してやりました」と淡々。
今場所も取組後のリモート取材では「一生懸命、明日の準備をするだけ」と繰り返してきたが、それを実践するような白星となった。
地の利≠生かして巻き返す。
7日目、大関カド番の正代が幕内宇良をはたき込みで下し、4勝3敗と白星を先行させた。
取組後は「出足で押し込めたので、最後のはたきにつながった。立ち合いが良かった。続けていければ内容も良くなっていくと思うので、徹底していけたら」と手応えを口にした。
7日目、豊昇龍は力強かった。
突いてから中に入ると、つり上げて若元春の体勢を崩し、左からの外掛けで仕留めた。
6勝目に「悪くない」と言葉少なに振り返ったが、八角理事長は「積極的に2本差し、(本人が)目指す相撲だろう。これを貫き通すことが大事」。
多彩な決まり手で星を並べてきた関脇に対し、正攻法の相撲を評価した。
7日目、、西関脇・御嶽海は西小結・霧馬山に寄り切りで敗れた。
低く当たった相手に前みつを許し、左を深く差されて上体が起きると何もできないまま土俵を割った。
2連敗で星は4勝3敗となった。
中日となる8日目の20日は、4勝3敗の西前頭筆頭・琴ノ若と対戦する。
先場所まで4連敗中と相性が悪い。
7日目、高安はかち上げて主導権を握り、休まず攻めて右からの突き落とし。
安定感十分に大栄翔を破り、「立ち合いの当たりが良かったので、流れも良かった」と自賛した。
6勝目を挙げ、「とりあえず勝ち越しを目指したい」と率直に言った。
混戦模様の今場所。
元大関の初賜杯獲得はなるか。
八角理事長は「かち上げから圧力をかけることが大事。貫き通してほしい」と期待を寄せた。
7日目、先場所の覇者に何もさせない。
抵抗すら許さなかった。
今場所初めて「満員御礼」の垂れ幕が下がった土俵で、平幕琴ノ若が玉鷲を破って3連敗後、4連勝で白星を1つ先行させた。
「前へ出る相撲がきっちりできた。目の前の一番をしっかりやるだけ。そのあとの結果だと思う」
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