星取ニュース
2022/05/23
千秋楽、3場所ぶり7度目の優勝を果たして大混戦の夏場所に幕を下ろした。
縛られていたものから解き放たれ、横綱照ノ富士の顔にようやく笑みがこぼれた。
国技館の観客が見守る土俵下で行われた恒例の優勝インタビュー。
「優勝の味は?」と質問されると「う〜ん、まあ、やっと終わったなという感じですね」と本音とともにほほ笑んだ。
8日目までに3敗を喫したばかりか、大関陣も三役陣も黒星を重ねた場所をリードしていったのは平幕の力士。
横綱としての責任が重くのしかかる中、「最後まで取り切る気持ちで」と周囲の状況には目もくれず、目の前の一番に集中。
11日目の阿炎戦で「立ち合いで久しぶりに当たった感覚がありました。そこからじゃないですかね」と終盤でついに本来の姿を取り戻した。
勝てば優勝という千秋楽の大一番も、「自信がないと土俵に上がるの失礼なんで。自信を持ってやってますんで」と右前まわしを引き、さらに頭をつける盤石の取り口で大関御嶽海を寄り切った。
貴景勝は物言いがついた一番で正代に勝ち、千秋楽で辛うじて給金を直した。
御嶽海と正代が既に負け越しており、現行のかど番制度となった1969年名古屋場所以降では初めてとなる3大関の「皆勤」負け越しという不名誉な記録が迫っていたが、「自分が弱いだけなので。あまり考えずに一生懸命やることだけ考えた」と淡々と振り返った。
大関の責任を果たせずに混戦を招いた今場所。
「苦しいことはないが、勝ってなんぼの世界なので、白星につなげられない歯がゆさはあった」と悔しがった。
先場所優勝の若隆景は9勝まで伸ばして場所を終えた。
前半は「思うような相撲が取れなかった」と黒星が先行したが持ち直し、千秋楽は阿炎との関脇対決に勝利。
「よく我慢できたと思う」と振り返った。
7月の名古屋場所の成績次第で大関昇進につながるかどうかについて、伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)は、「ちょっと難しい」との見解。
それでも若隆景は、「しっかり自分の相撲が取れるように頑張りたい」と冷静に足元を見つめていた。
千秋楽、大栄翔は志摩ノ海をはたき込み、4敗を守った。
優勝決定戦に備えて結びの一番を待ったが、照ノ富士が優勝を決めて終戦。
「決定戦になったら、気合を入れてやる気持ちで待っていた。ただ11番となるとひとつ変わってくると思っていたので、勝ててうれしい」。
幕内2度目の優勝はならなかったが、三役としては20年7月場所に並ぶ11勝目に力強くうなずいた。
今場所は初日に横綱を押し出しで破り、自身5度目の殊勲賞を手にした。
「自分の中で一番の相撲だったので、自信もついた。あの初日があったからこそ、この千秋楽を迎えられたと思う」と手応え。
2場所連続勝ち越しで、さらなる飛躍を期す来場所以降へ「もちろん、上を目指して日々、精進していきます」と力を込めた。
22日、「おにぎり君」の悲願は、あと1歩のところで届かなかった。
トレードマークの笑顔は消え、険しい表情が広がった。
隆の勝は「落ち着いて前にいきたかったけど、(得意の右を差せず)少し慌てた」と振り返った。
逆に佐田の海にもろ差しを許し、土俵際で鮮やかなすくい投げを決められた。
4敗に後退し「自分らしい相撲が取れなかったのが一番悔しい」と実力を発揮しきれなかった自分を責めた。
千葉県柏市出身。
同県出身者としては1991年名古屋場所で平幕優勝を飾った元関脇琴富士以来の賜杯獲得を目指した。
今場所では鋭い立ち合いから自慢の押し相撲を展開し、4日目から自己最長の9連勝。
12目目まで単独トップに立っていた。
終盤戦にかけて、初めて加わった優勝争いの重圧がのしかかった。
13日目以降は1勝2敗。
「後半戦は精神的に削られる相撲になった」と正直に明かし、「緊張している中でも自分の相撲を取りきる」ことを課題に挙げた。
それでも横綱・大関総なめ(同部屋の貴景勝は対戦なし)を達成するなど快進撃を続け、混戦の夏場所を大いに盛り上げた。
初の殊勲賞にも輝き「自信になる。部屋ではいつも大関(貴景勝)と稽古していますが、これまでの稽古は間違ってないと感じた」と力強く言った。
既に視界は2か月後の名古屋場所に向く。
心身をさらに磨きをかけ「名古屋場所でリベンジをしたい」。
今後こそ、とびきりの笑顔を待ちわびるファンに届ける。
千秋楽、西前頭6枚目の若元春が新入幕から3場所連続で9勝という好成績で場所を終えた。
師匠の荒汐親方によると、13日目に女児が誕生したという。
千秋楽は琴ノ若に寄り切られ、初の2桁勝利は逃したが「手応え自体は感じてないんですけど、自分の相撲は取れてるのかなと。左おっつけて差すという」。
来場所は上位との対戦が予想されるが、「そういう人たちと取れるのは光栄なことなので楽しみです」と話していた。
佐田の海は粘り強さを発揮し、トップに並んでいた隆の勝を破って締めくくった。
優勝の可能性を残して千秋楽を迎え、荒れ模様の今場所で存在感を示した35歳。
幕内で自己最多の11勝を挙げ、「あまり注目されたことがなかったのでありがたい」と照れ笑いした。
新入幕だった2014年夏場所以来となる2度目の敢闘賞を獲得した。
47場所ぶりの三賞受賞は、大関経験者だった出島と並んで4番目に長いブランク。
「相撲が充実し、内容も良いことが白星につながった点を評価してもらえた」と喜んだ。
十両は、錦富士が優勝決定戦を制して、初めての十両優勝を果たしました。
夏場所の十両は21日の14日目まで4敗で3人が並んでいました。
22日の千秋楽で、追手風部屋の大奄美と、伊勢ヶ濱部屋の錦富士の2人が勝って優勝決定戦が行われ、錦富士が大奄美に勝って、初めての十両優勝を果たしました。
錦富士は青森県十和田市出身の25歳。
平成28年の秋場所で初土俵を踏み、ひじのけがに苦しんだ時期はありましたが、おととしの秋場所で十両に昇進しました。
その後、一度幕下に番付を下げましたが、去年の春場所で再び十両に上がり、今場所は十両6枚目で臨んでいました。
錦富士は「うれしいなというのと、やっと終わったなという思いだ。緊張もなく思い切って行けた」と振り返りました。
同じ部屋の横綱・照ノ富士からは場所中の朝稽古での話を明かし「自分が序盤から調子がいいことを知って、『一緒に優勝しよう』と声をかけてもらった」と述べました。
そして「ちょっとずつ形になってきている。一日一番にかける思いを忘れずに、来場所もしっかり取りたい」と意気込みました。
千秋楽の22日、ともに元十両で
西三段目18枚目の彩(30)=本名・松本豊、埼玉県出身、錣山部屋
東幕下55枚目の極芯道(25)=本名・福島貴裕、兵庫県出身、錦戸部屋
が引退届を提出したと発表した。
彩は今場所を5勝2敗で、極芯道は全休した。
大相撲夏場所は22日に千秋楽を迎え、懸賞総数は1625本だった。
3月の春場所から131本増えた。
1日当たりの最多は千秋楽の157本。
今場所は観客数上限が通常の約87%に緩和された。
2022/05/22
14日目、照ノ富士が盤石の相撲で正代を退け、3敗を守った。
立ち合ってすぐに左前まわしを取ると、腰を落として一気に寄り切った。
大関に何もさせず「落ち着いて取れたかなと思う」と優勝争いが佳境になっても、どこまでも冷静だった。
休場明けの場所で初日に黒星を喫するなど、8日目までに3敗と心配されたが、これで9日目から6連勝だ。
復調の理由について「積み重ねじゃないか」と淡々。
横綱の“定位置”ともいえるV争いトップで千秋楽を迎える。
「一日一番集中してやっている。そういうことを気にしてもしょうがないので」と平常心で3場所ぶりの賜杯奪還に向かう。
貴景勝は御嶽海を圧倒し、7敗で踏みとどまった。
頭で当たって上体を起こすと、電車道であっさりと押し出し。
「集中してやろうと思っただけ」と表情を変えずに振り返った。
正代に続いて御嶽海も負け越し。
千秋楽で貴景勝が正代に敗れれば、来場所は3大関そろってかど番で迎えることになる。
番付の重みが問われかねない一番を前に、「初日から変わらず、やり切ることだけを考えている。最後も集中してやっていく」と言葉に力を込めた。
14日目、若隆景は宇良の休場で不戦勝となり、思わぬ形で5場所連続の勝ち越しが決まった。
地元福島から駆けつけた両親ら応援団が見守る中、勝ち名乗りを受けた。
リモート取材には姿を見せなかった。
新関脇の春場所は12勝3敗で初優勝。
今場所は12日目に6敗目を喫し、大関昇進への足場固めの目安となる2桁白星が消滅した。
それでも気持ちを切らさず、13日目に隆の勝を撃破。
阿炎との関脇対決となる千秋楽も白星で締めくくれるか。
14日目、大栄翔は2度目の優勝の可能性を残した。
佐田の海に腕をたぐられ密着されたが、タイミング良く引いて、攻め急ぐ相手をはたき込んだ。
返り三役の場所で、大関とりの足がかりとなる2桁白星に到達。
トップとは1差と不利な状況だが、昨年初場所以来となる優勝は「そんなに考えずにやれている」と無欲を強調した。
14日目、西前頭4枚目の隆の勝が平幕の霧馬山を突き落としで退け3敗を死守し、初の賜杯へ王手をかけた。
横綱照ノ富士とともにトップで千秋楽を迎える。
失意の敗戦から一夜明け、隆の勝は吹っ切れていた。
幕内では過去7戦全勝と合口の良い霧馬山に、鋭い出足から先手を取った。
本来の形ではない左四つに組まれたが、相手の強引な左からの外掛けを利用して突き落とした。
自分の相撲に集中できていたと振り返り「とっさに体が動いてくれた。勝てて良かった」とほっとした表情をみせた。
単独トップで迎えた前日13日目は関脇若隆景に敗れ、3敗に後退。初優勝への重圧からか「場所に来てからめちゃくちゃ緊張した」と出足の鋭さは影を潜めた。
帰り道には取組を見返し「駄目だったところを修正した」と引きずらなかった。
周囲からは「自分の相撲を取れば良い」「楽しんでやってきな」と背中を押され、迷いは消えていた。
14日目を終えて横綱照ノ富士とともにトップをキープ。
本人の口からも「ここまできたら(優勝を)取りにいくつもりです」と力強い言葉が出た。
優勝決定戦を見据えて2番取る可能性について問われると「そうですね。そのつもりでいきます」。
気持ちを引き締めて、初優勝をかけて千秋楽に臨む。
14日目、前頭六枚目・若元春が、前頭十五枚目・一山本をうっちゃりで下した一番は、際どい勝負に物言いがついたが、行司軍配どおり、若元春が9勝目となる勝ち星を挙げた。
視聴者からは「行司よく見てた!」「やっぱり、プロはよく見てるな」といった行司に対する称賛の声が寄せられていた。
立ち合い、正面から当たっていった一山本は強烈なのど輪を徹底するも、土俵際で若元春に残られる。
そこから若元春は右下手を深く取り、勝負を決めようと、うっちゃりを繰り出した。
際どい勝負に物言いがついたが、協議後の場内説明は「ただいまの協議は一山本の足が先に出たかどうかの確認であり、先に出ていました。軍配通り若元春の勝ちと致します」といった内容。
一山本は6敗目を喫した。
14日目、取組前に客席から手拍子が起きた。
おそらく佐田の海へ向けられたものだろう。
前頭12枚目で優勝争いに食らいついていたが、大栄翔にはたき込まれ4敗目。
「もっと下から下から足を出していけばついていけたと思う」と悔しさをにじませたが、まだチャンスは残されている。
「今日まで(優勝争いに)加わってこれたので、それはそれでいいんじゃないかと。
最後、勝って終わらないと気持ち良くないんで勝って終わりたい」と気合を入れ直した。
3大関全員が負け越す危機を迎えている。
14日目、貴景勝が御嶽海との大関対決を制し、貴景勝が7勝7敗、御嶽海が6勝8敗と負け越しが決定した。
正代は13日目に8敗目を喫しており、すでに負け越しが決まっていた。
7勝7敗の貴景勝は、千秋楽で勝ち越しを懸ける。
仮に番付上の大関全員が皆勤して負け越せば、現行のかど番制度となった1969年(昭44)名古屋場所以降では初めてとなる。
2人以上の大関が皆勤して負け越すのは、8年前の14年九州場所での琴奨菊(6勝9敗)、豪栄道(5勝10敗)が最後。
当時は稀勢の里(11勝4敗)を含めた3大関で、琴奨菊と豪栄道は翌場所でかど番を脱出した。
2022/05/21
13日目、主役は最後に登場するもの。
いきなり初日に土がつくと、8日目までに早くも3敗。
ここまで後塵(こうじん)を拝してきた照ノ富士が、ついに指定席であるトップの座についた。
貴景勝の攻めを完全に封じた。
照ノ富士もなかなかつかまえることができなかったが「圧力を前にかけて、落ち着いてさばいていこうと」。
貴景勝の意表をつく猫だましにも「うーん、そうですね、冷静に、落ち着いていこうと思ってましたね」と全く動じなかった。
13日目、現行のカド番制度では初となった大関の7敗対決は御嶽海が正代を寄り切り、東正位の意地を見せた。
敗れた正代は名古屋場所で4度目のカド番。
春場所同様中盤から盛り返したが、2場所ぶりの負け越しにコメントはなし。
伊勢ケ浜審判長は「いつも通り。何も感じないですね」と酷評した。
先場所優勝した若隆景が、隆の勝を3敗に引きずり下ろした。
低く当たり、「先に下から攻められたのでよかった」。
慌てた相手の足がそろったところを、タイミング良く引き落とした。
12日目に6敗目を喫し、今場所の2桁白星はなくなったものの、残り2日の結果次第では、今後の大関昇進に望みもつながるだろう。
「思い切って相撲を取ろうという気持ち」。
一日一番、集中して土俵に臨む。
東前頭6枚目、宇良が夏場所14日目の21日、日本相撲協会に「左足関節捻挫で3週間の休場を要する」との診断書を提出して休場した。
師匠の木瀬親方によると、13日目に関脇阿炎に敗れた相撲で負傷したという。
千秋楽は再出場しない。
今場所は13日目まで9勝4敗と好調で、優勝の可能性を残していた。
休場は十両だった昨年春場所以来で13度目となる。
14日目の対戦相手の関脇若隆景は不戦勝で勝ち越し。
宇良は右膝負傷による2度の長期休場で一時は序二段まで転落。
再起し、昨年名古屋場所で再入幕を果たした。
今場所の十両以上の休場者は幕内の逸ノ城、石浦らに続いて5人目(再出場者を含む)。
速攻で東龍を寄り切り、給金を直した。
新入幕から3場所連続での勝ち越しにも、「あまり意識はしていなかった。一日一日、出せるものを全部出して、しがみついている」と控えめだった。
左四つの形には磨きがかかり、安定感は増している。
「毎日必死で、ぎりぎりのところで相撲を取っている。力は出せているのかな」。
謙虚に振り返った。
13日目、平幕の佐田の海が小結・豊昇龍を寄り倒しで破った。
35歳の佐田の海が22歳の小結・豊昇龍に勝ち、3敗で優勝争いの先頭に並んだ。
立ち合いから右に続いて左も入り、双差しとなった。
相手が強引に投げを打ってきたところを前に出て、寄り倒した。
年齢を感じさせない内容に、八角理事長も「2本差してからが速い。体の寄せ方も良い」と称賛した。
2022/05/20
照ノ富士が力勝負で若隆景を圧倒した。
土俵中央で相手の両腕をきめて機をうかがう。
数呼吸の後、つり上げるように土俵外へ運んだ。
トップの隆の勝を1差で追う終盤戦。
先場所を制した若隆景を難なく退け、「変わることなく落ち着いて取れた」。
取り口に安定感が戻った横綱に、逆転優勝への道筋が見え始めた。
12日目、大関正代が踏みとどまった。
西前頭5枚目の翔猿との取り直しの一番を制して5勝7敗とした。
最初の一番は“奇襲”に対応できなかった。
立ち合いから沈み込んだ翔猿に足を取られて、重心が浮いたまま土俵際に後退。
肩越しの右上手、左からすくって逆転を狙った。寄り倒されるような形で軍配は翔猿に上がったが、物言いがついて同体の判断が下った。
取り直しの一番では、相手の立ち合いを警戒しながら小兵を一蹴。
引きに乗じて一気に押し出した。
来場所のかど番回避に向けて、残り3日間は全勝が求められる。
13日目は7敗同士で同じく後がない大関御嶽海と対戦。自
身を含めて3大関の成績が振るわないことについて「今場所はそういう場所なのかなと思って、あまり悩まずにできたらいい」と切り替えに努めた。
12日目、小結・大栄翔が玉鷲を下して勝ち越しを決めた。
激しい立ち合いで突き起こしてからの引き落とし。
「立ち合いしっかり当たれている。慌てず自分のリズムでよく攻めている」と連日の好内容に手応えを得た。
この日は通算出場800回の節目の日。
初土俵から10年間、休場は一度もない。
「日頃の稽古が一番。基礎をしっかりやらないとケガが多くなると思うので」と頑丈な体作りの秘訣を語った。
まだまだ若い28歳だが「年を取ってくると治療とかも入れながらやらないと。若手に負けないように頑張りたいんですけど」と笑った。
この日の対戦相手の玉鷲は18年間一度も休場していない37歳の鉄人。
先はまだまだ長いようだ。
既に三役に定着しつつある実力者だが、意外にも入幕以来夏場所では勝ち越したことがなかった。
十両で10勝を挙げた15年以来、実に7年ぶり。
その事実を聞かされると「全然知らなかった。それはびっくりしました」と本人も驚いた様子。
5月の土俵に苦手意識があるわけでもなく、「そんな久々だとは思わなかったです。でもうれしいです」と笑顔を見せた。
12日目、「おにぎり君」の勢いが止まらない!
西前頭4枚目の隆の勝が一山本を押し出しで退け2敗をキープし、単独首位を快走する。
4日目から負けなしと連勝街道を続け、自己最長の9連勝。
鍛えぬいた出足の速さを武器に戦う中で残り3日。
混戦の夏場所で初優勝に向けまい進する。
1差の3敗に横綱照ノ富士、平幕の宇良と35歳ベテラン佐田の海の3人が追う。
まん丸とした顔と癒やし系の笑顔で「おにぎり君」の愛称で親しまれる隆の勝が充実感をにじませた。
一山本に完勝しての10勝目。
2桁に白星を積み重ねたのは、幕内では昨年の九州場所以来となる5度目だ。
「(白星が)2桁に乗れたので良かった」と声を弾ませた。
初顔合わせとなった相手の強烈な突き放しを警戒しながら、自分の相撲を貫く。
素早い出足から一気に前に出た。
一山本のはたきを物ともせず押し出した。
わずか2秒の決着。
「本当に調子が良い。いつも以上に気が楽というか、落ち着いて相撲を取れている」と納得の内容が続いている。
宇良の勝利への執念に、館内は大きな拍手に包まれた。
「精いっぱいだった」。
大関貴景勝から白星をもぎ取り、6連勝で優勝戦線に残った。
抜群の身体能力を発揮した。
貴景勝の猛攻を受けて土俵際まで後退したが、弓なりになって喉輪を耐えて左へ。
追ってきたところをもう一度左にひらり。
目の前から相手が消えた大関は、たまらず土俵の外へ飛び出した。
回り込んだ宇良も、勢い余って宙を舞うように転倒。
物言いがついた際どい一番は、軍配通りに宇良が制した。
「勝ててよかった」。
いつも通りの控えめな口調が、充実ぶりを際立たせる。
度重なる膝のけがで、幕内から序二段まで番付を落とした苦労人。
西前頭筆頭に上がった先場所は4勝11敗だった。
「もう一度チャレンジしたいという気持ちで頑張ってきた」。
何度でもはい上がる気持ちの強さこそ、宇良の真骨頂だ。
残るは3日。
賜杯争いは佳境に入ったが、「何も感じていない」とけむに巻いた。
「トップじゃないし、上の人が負けることを祈ってやっているわけではない」。
目の前の一番しか見ていない。
12日目、佐田の海は一本気な力士だ。
「体力があるわけではないので、自分の相撲を取りにいかないと勝てない」。
持ち味は速攻。
志摩ノ海との一番も目の覚めるような相撲だった。
頭で当たって左をのぞかせると一気に前に出た。
得意の右差しではなかったが「とにかく先手を取って攻め込み、あとは体に任せようと思った」。
そのまま押し出し、しぶとい相手に何もさせなかった。
会心の内容に「先手が取れて足もよく出てくれたと思う」。
充実の表情で勝ち名乗りを受けた。
日本相撲協会は19日、夏巡業の日程を発表した。
8月5日から東京・立川市で始まり、5か所で行われる。
巡業は新型コロナウイルス感染拡大の影響で2019年12月の冬巡業を最後に中止が続いていた。
夏巡業は東北や北海道を回ることが多いが、新型コロナ対策もあり関東近郊に限定する形となった。
開催地は以下のとおり。
▽8月5日 東京・立川市(アリーナ立川立飛)
▽同6日 千葉・船橋市(船橋アリーナ)
▽同7日 さいたま市(さいたまスーパーアリーナ)
▽同11日 茨城・古河市(イーエスはなもも体育館)
▽同14日 埼玉・春日部市(ウイング・ハット春日部)
12日目、よもや13日目に、7敗同士の大関戦が実現してしまうとは…。
今場所の大関陣の不振ぶりを象徴する取組が、13日目に組まれた。
この日は正代が翔猿との取り直しの一番に勝ち、何とか5勝目(7敗)を挙げ、負け越しの崖っぷちに踏みとどまった。
だが御嶽海が関脇阿炎に元気なく押し出され7敗目。
この両大関が13日目に「負けた方が負け越し」の一番に臨むことになった。
日本相撲協会の八角理事長も、これには落胆のコメント。
「御嶽海は、いい時は力を出せるが、こういう時は粘り強くなれない。修行が足りないということ」と御嶽海の一番が終わった後に話した後「明日は正代戦。優勝争いの大関戦なら(ともかく)負けた方が負け越し。寂しいよね」と看板力士の名が泣く不調ぶりに、落胆の色は隠せないようだった。
2022/05/19
混戦の様相を呈したまま終盤戦に入った夏場所で、照ノ富士が調子を上げてきた。
1月の初場所で完敗している阿炎に納得の相撲で快勝。
給金を直し、横綱が1差で優勝争いに踏みとどまった。
光ったのは立ち合いの踏み込みの良さ。
阿炎の突き押しにのけぞりながらも、下半身はびくともしない。
たまらず相手が引いたところを逃さず、一気に前へ。
何もさせずに押し出した。
休場明けの今場所は、馬力のある押し相撲の力士に苦戦している。
初日の大栄翔との一番のように、圧力を受けると残せずに三つの黒星を重ねた。
だからこそ、突き押しの強い阿炎を圧倒した一番には「久しぶりに立ち合いで当たった感覚」と手応えを得た。
相手の攻めを受け止めた上で前に出る取り口こそ、目指してきた「横綱相撲」。
佳境で本来の自分を取り戻しつつある。
トップを走る隆の勝、3敗で並ぶ他の平幕4力士に賜杯を抱いた経験はない。
「きょうみたいな当たりができれば」と自信を示した照ノ富士。
逆転優勝へ、視界は開けてきていることだろう。
若隆景が東洋大の先輩、御嶽海との1分以上の熱戦を制した。
土俵際まで寄られても耐え、頭をつけて好機を待った。
相手が腕をたぐりにきたところで一気に寄り切り、「我慢して、よく攻められたと思う」。
土俵上で大きく息を吐いた。
大関昇進の足固めを目指す今場所は、8日目で5敗。
ただ、そこから大関を3連破し、2桁白星に望みをつないでいる。
12日目は横綱照ノ富士戦。「頑張ります」と短い言葉で決意を示した。
11日目、グイッと翔猿をつり上げ、勢いのまま一気に寄った。
つりは師匠の陸奥親方譲りだ。
霧馬山が豪快な技を繰り出しながら、5日目から7連勝で勝ち越し。
3敗を守り、堂々の優勝争いを演じている。
「よかったです。体は動けている。まだ残りがあるので頑張ります。頑張っていきたいです」。
大事な局面だった。
翔猿には幕下、十両時代の対戦を含め、前回の対戦まで3勝7敗と分が悪かった。
優勝争いに加わって突入した終盤戦。
苦手から白星をもぎ取り笑顔が浮かんだ。
11日目、西前頭4枚目の隆の勝が、自己最長の8連勝で単独首位に立った。
おっつけから右を差して組み止めると、土俵中央で膠着状態が続いた。
機を見て右から下手投げを打つと、相手の外掛けにも構わず体を預け、なぎ倒すように寄り倒した。
過去1勝3敗の難敵に対し「投げが得意な相手だったので、自由に動かさないようにした」と対策は万全。
会心の勝利に「もっと、もっと勝ち星を伸ばす」と声を弾ませた。
先場所は4勝11敗と負け越し、「気持ち的に落ち込みました」。
同じ94年度生まれの阿炎、先場所覇者の若隆景の両関脇に水をあけられ、悔しさが募った。
「元の場所に戻りたい」と三役復帰を目指し、奮起して臨んだ今場所。
3日目まで1勝2敗と出遅れたが、そこから1横綱2大関撃破を含む自己最長の8連勝。
10日目には昨年の九州場所以来の勝ち越しを決めた。
勢いに乗り、「もっと上を目指していかなきゃいけない」と意気込む。
ただ一人2敗で優勝争いを引っ張る展開になった。
「そこは意識せず。まだ4日もあるので全然分からない。自分の相撲に集中するだけです」と無欲を強調した。
11日目、東前頭6枚目・宇良が優勝戦線に踏みとどまった。
同11枚目・碧山との3敗対決を制した。
業師で鳴らしたが、自己最重量となった体を生かし、巨漢の相手を堂々の寄り切り。
度重なるけがに泣いた男が、悲願の初優勝へ向けトップを追走する。
「今日も頑張ろうと思って(土俵に)上がりました」。
立ち合いで190センチ、182キロの巨漢の懐にすばやく潜り込んだ。
もろ差しから右の下手に手が掛かると、相手の小手投げと同時に前へ。
体重差34キロも何のその、一気に寄り切った。
5連勝で3敗を死守し、「自分でもここまで頑張れると思っていなかったので、うれしいです」と勝利をかみ締めた。
11日目、佐田の海が力強い相撲で、2場所ぶりの勝ち越しを決めた。
若元春得意の左四つの形になってしまったため、「一気に走っちゃえ」とやや強引に前に出て寄り倒した。
35歳のベテランは今場所好調をキープ。
優勝争いにも残り、「35歳だから衰えるのではなく、若い頃の積み重ねがある。今、一番調子良いと思う。自分らしい相撲が取れれば、白星につながると思う」と胸を張った。
11日目、一山本が志摩ノ海に押し倒しで敗れて3敗に後退した。
立ち合いから突っ張って先手を取ったが、突きが空振りとなったところで「中途半端に引いてまわしを取りにいったら転びました」と攻めきれず自滅。
「集中力が足りなかった」と悔やんだ。
12日目は単独首位の隆の勝と対戦する。
引きずり降ろして再び首位に並ぶためにも「しっかり一日一番取れればいいのかな」と平常心を貫くことを誓った。
2022/05/18
10日目、3敗同士の結び。
豊昇龍が何かするかと期待していたが、何もしなかった一番でもあった。
立ち合いで左前まわしを取った。
問題はその後。
左に回って照ノ富士の横につくのが正解だろう。
膝の悪い照ノ富士は押されると苦しい。
横の動きにもついていけない。
しかし、豊昇龍は右を差しにいって胸を合わせてしまった。
恐らく中に入ろうとしたのだろう、がっぷりでは照ノ富士に勝てる力はない。
作戦ミスといえる。
照ノ富士は落ち着いていた。
豊昇龍の右上手をかかえながら差して、左上手をガッチリ握った。
最後は引きつけて豪快に寄り倒した。
すでに5敗を喫している先場所優勝の関脇若隆景が、力強い相撲で大関正代を寄り切った。
「しっかり体を寄せながらということを意識した。下から攻められた」と納得の表情を浮かべた。
立ち合いから得意の右おっつけで攻めたて、さらに頭を付けて最後は左を差しながら寄り切った。
先場所に何度も見せた鋭い取り口を彷彿(ほうふつ)とさせる内容。
今場所初めてとなる連勝に「あと5日も思い切って取りたい」と語った。
10日目、土俵際からの逆転で白星を伸ばした。
6連勝で7勝目を挙げた霧馬山が混戦の夏場所で存在感を増している。
立ち合いから阿炎の強烈なのど輪を受けて土俵際まで後退したが、回り込んで形勢逆転。
前のめりになった相手をはたき、土俵にはわせた。
「粘られて危なかったけど、よく体が動いた。(はたき込みは)流れで、ですね」と霧馬山。
自然に体が反応し、状態の良さをうかがわせた。
10日目、幕内・北勝富士が大関・貴景勝を押し出して3勝目を挙げた。
前回対戦した昨年の秋場所も勝っており、埼玉栄高の先輩として今回も意地を見せた。
立ち合い右でかち上げるようにして弾くと、貴景勝が少し引いたところを一気に前に出て押し出した。
「当たり負けしないように思いっきり、勝っても負けても前に出るっていう気持ちが強かった」と振り返った。
いつもは立ち合い頭で当たることが多いが、この日は胸から当たっていった。
「自分の新しい相撲を見いだせたような気がする。それをしっかり磨いていきたい」と手応え。
勝ち越しへ後がない7敗から踏みとどまり、逆襲の終盤戦へ良いきっかけをつかんだ。
平幕遠藤を押し出して2敗を守り、勝ち越しを決めた平幕隆の勝は「良い調子でいけている」と目を細めた。
立ち合いで低く当たり、左から差されかけたが、右おっつけで相手の体を起こし、引きに乗じて勝負を決めた。
三役経験のある実力者。
今場所は西前頭4枚目まで番付を落としているが、4日目から7連勝と波に乗る。
「早めに勝ち越したら気持ち的に楽になる。もっと明日からいけるかな」と残り5日を見据えた。
10日目、宇良は立ち合いで左へフェイントをかけてから右へ。
それでも錦木の圧力をまともに受けてしまったが、宇良の動きはさえていた。
右へ回り込みながらの肩透かしが決まる。
これが宇良らしさでもあるのだが、ヒヤリとする場面もあったからかフーッと息を吐きながら白星をかみしめた。
3敗で優勝争いに食らいつく活躍に、ファンは大きな拍手でエールを送るが「いやいや、終わってみないと分からないですね。あしたからずっと負けることも相撲ではありえない話ではないんで。終わってみないと分からない」と一喜一憂することなく、客観的に自身をみつめる。
常に全力を出し切るだけに、終盤は体力勝負になってくる。
4勝目を挙げた6日目に「まだ折り返してないので、何か嫌ですねえ。もう10日目ぐらいの気分です」と話していたが、その10日目を迎えて心身ともに疲労を感じているころ。
優勝争いの前にまずは勝ち越しをかけた11日目の碧山戦。
「元気な相撲を取っていきたい」と気合を入れた。
勝ち越しが懸かった一番で、一山本は師匠の放駒親方の教えを思い浮かべた。
「迷ったときは、当たって前へ」。
琴勝峰に低く当たると、動きの良さを生かして横に回る。
体勢を崩した相手をやすやすと突き出した。
中大から北海道福島町役場での勤務を経て角界へ。
さまざまな競技の実績を条件に、年齢制限の規定が25歳未満に緩和された新弟子検査の合格者第1号だ。
入門当時は「ぼやっとしていた」と、はっきりとは意識できなかった幕内の土俵。
しなやかな突き押しを武器に暴れている。
精神面も成熟してきた。
新入幕で勝ち越した昨年名古屋場所では、7勝目を挙げてから5連敗。
その記憶もあって「ちょっと緊張した」というが、目の前の一番に集中して連勝を3に伸ばした。
2022/05/17
照ノ富士が連敗を免れ、3敗で踏みとどまった。
動きのいい翔猿をなかなかつかまえ切れなかったが、最後はがっちりと抱え、豪快にきめ出した。
前日は隆の勝に一方的に敗れて金星を与えていただけに、気持ちの面を心配していた八角理事長も「落ち着いていたね。きょうは何とかね」。
力強い相撲に胸をなで下ろしていた。
9日目、時すでに遅し、の感もあるけど…。
2勝6敗と苦戦が続く大関正代が、突き押し相撲の関脇阿炎を相手に、見違えるような相撲で3勝目を挙げた。
阿炎のもろ手突きにアゴが上がりながらも、下から必死にあてがいながらこらえると、阿炎がたまらず引いた。
そこを逃さず猛進。
勢いそのままに押し出して今場所初の連勝となった。
前日、豊昇龍に勝った後に「今場所初めてじゃないの?必死に取っている相撲はいいね」と正代の気力をほめた、日本相撲協会の八角理事長は「左からのおっつけが効いていた。きのう1つ勝って体がよく動くようになった気がするね。気持ちが前向きにね」と、ようやくエンジンのかかった正代の心中を察した。
もっとも、大関という協会の看板力士だけに「大関なんだから、もっと前に、だよね」と前半戦からエンジン全開できなかった正代への苦言も忘れなかった。
土俵下で審判長を務めた審判部の佐渡ケ嶽部長も「(阿炎に)引かれても、しっかり肘で挟み付けて持って行った。休まないのが良かった」と、この一番については評価したが「初日から、こういう相撲を取っていれば良かったんだけど」と苦言を呈していた。
豊昇龍は高安の突き押しに後退しながらも、うまくたぐって、とったりで仕留めた。
過去に一度も勝てていなかった相手とあって、「思い切り気合を入れて頑張ろうという気持ちでいった」と、闘志を前面に出して臨んだ。
トップから1差の3敗を守り、10日目は横綱照ノ富士戦が組まれた。
「(取組表は)見ていない。帰ってから見る」。
集中力を保ったままだった。
9日目、霧馬山が大栄翔のお株を奪う押しを見せ、3敗を守った。
大栄翔の突きを下からはね上げてしのぎ、のけ反らせると押し返して前へ。
「よく相手を見て攻めてたと思うんで、よかったと思います」。
大栄翔の攻めにひるむことなく「とりあえず真っすぐ当たって、そっからいこうと思ってて」と気持ちを強く持って臨んだ結果だった。
初日から4日目まで横綱、大関戦が続き1勝3敗のスタート。
その後は5日目から5連勝と波に乗る。
この1年で幕内上位に定着した。
昨年九州場所は新三役にも昇進。
負けが込んでも、千秋楽までけっして気持ちを切らすことなく取り続けることができるのが、霧馬山の強みでもある。
「そういうの(優勝争い)はまだ考えず、一日一番しっかり取りたいと思います」と無欲で挑んでいく。
9日目、隆の勝が同じ押し相撲を得意とする御嶽海に完勝した。
「前傾姿勢を保たれたらきついので、体を起こしたかった」と立ち合いで鋭く当たると、一気に寄り切った。
これで1横綱2大関を撃破し、2敗で首位をキープ。
混戦の今場所だが「自分の相撲を取ることだけ考える」と平常心を貫く。
平幕4人が先頭に並ぶ大混戦に、35歳の佐田の海が食らいついている。
輝に立ち合いで突き起こされた。
そこで冷静に体を開いて得意の右差しに持ち込む。
「体力があるわけではない」と、速い攻めに徹し、押し出した。
「動きながら自分の相撲がとれた」。
2敗を守った取組に満足げだった。
2003年に15歳で角界入りし、最高位は15年名古屋場所の西前頭筆頭だ。
父は元横綱千代の富士と同時期に活躍した同じしこ名の元小結。
「番付で父に追いつきたい」と目標を口にしてきた。
9日目、平幕一山本が千代翔馬を突き出し、トップタイの2敗を守った。
幕内唯一の道産子力士が北海道勢31年ぶりの優勝チャンスだ。
休まず攻めてトップを守った。
一山本は両手で当たって千代翔馬の体を起こすと、速射砲のような突きを繰り出してぐいぐい前進。
一気に土俵の外へ追いやった。
完勝を「手繰られそうにもなったんですけど、しっかり我慢して前に出られたのがよかった」と満足げに振り返った一山本。
初日から5連勝後、2連敗と足踏みしたが、師匠の放駒親方から「小手先で相撲を取るんじゃなくて、もっと思い切り当たっていけ」と助言を受けて再び連勝。
「それがしっかりできていると思う」と手応えを感じている。
勝ち越しに王手をかけ、初めて後半戦で優勝争いのトップに立ったが「まず勝ち越したい」と意識せず。
過去2度の勝ち越しは千秋楽で決めたもので、新入幕の21年春は今場所と同じ7勝2敗から5連敗しており、「そういうことがないように相撲を取れれば」と気持ちを引き締める。
2022/05/16
8日目、照ノ富士が隆の勝に初金星を配給し、3敗に後退した。
春場所は右かかと、左膝の負傷で途中休場。
復帰した今場所も不安定な内容が続く。
前日の勝利後も「立ち合いが全然しっくりこない。早く立ち合いの感覚を取り戻したい」と話していたが、この日も立ち合い負けでの完敗。
1敗力士も消えた大混戦の場所を鎮められるか、横綱の立ち合いが鍵を握る。
正代が過去1勝4敗だった小結豊昇龍を下した。
出足を止めずに寄り倒し、「合口が悪かったので、思い切りいった。圧力負けしなかった」。
苦しむ大関が表情を緩ませた。
好調時の馬力がなく、既に6敗を喫している。
「今場所の中で立ち合いが一番良かった。この感覚を忘れないようにしたい」と努めて前向きに話した。
8日目、貴景勝が大栄翔の攻めをしのぎ、最後は少し余裕を見せながらはたき込んだ。
敗れれば横綱、大関陣は大栄翔に全敗となっていただけに、意地を見せた形だ。
既に3敗を喫しているもののトップとは1差。
「初日から、しっかり準備をして集中してやることだけを考えている。また明日からも集中してやる」と自らへ言い聞かせるように話した。
8日目、琴ノ若は父でもある師匠の誕生日に白星を添えた。
若隆景と投げの打ち合いとなった土俵際。
命綱となった右下手で投げ飛ばした。
15日は佐渡ケ嶽親方の54歳の誕生日。
祖父には元横綱琴桜を持つサラブレッドは「負けて(部屋に)帰るわけにはいかないと思っていたので、勝って良かった」と胸を張った。
8日目、三役経験のある隆の勝が持ち前の馬力で初めての金星を挙げた。
横綱を後退させ、場所の行方も混沌(こんとん)としてきた。
立ち合いのもろ手突きから右のど輪で横綱の上体を起こすと、双差しで圧力をかけた。
体勢が崩れた照ノ富士の左足が土俵を割ったところで、二所ノ関審判が手を上げて勝負はついた。
照ノ富士には6連敗中だった。
「止まったら(横綱は)重い。一気に攻めようと思った」と経験を踏まえ、狙い通りの展開に持ち込んだ。
粂川審判長は「良い相撲だった」とたたえた。
琴勝峰は埼玉栄高で同学年の王鵬と幕内で初めて顔を合わせた。
体を生かして出てくる相手に対し、右で前まわしをつかんで主導権。
うまく攻めて押し出し、「焦らないでじっくりいけたのがよかった」。
熱戦を制し、充実感を漂わせた。
感情を表に出すことが少ない22歳だが、「負けたくない気持ちはあった」と、強烈なライバル心を隠さない。
お互い将来を嘱望されているだけに、今後も注目の一番となりそうだ。
8日目、5人の平幕力士が先頭集団を形勢し、後半戦に突入する大混戦。
相撲王国と呼ばれた、北海道出身の一山本もその中にいる。佐田の海を抜群の反射神経ではたき込み。
2敗を死守した。
長い手足を生かした突き押しが武器。
この日は腕を手繰られたが、土俵際でクルリとまわって大逆転。
「僕もいまいち分かってなくて。気づいたら佐田の海関が落ちていた感じなので」と無我夢中でつかみとった白星に笑みを浮かべた。
先場所は序盤に5連敗したが、終盤は5連勝で盛り返した。
連勝もするが、連敗もしてしまうのが一山本。
今場所も5連勝してから2連敗という展開に、7日目の取組後は「この連敗をどう止めるか。止まらなくなっちゃうので」と頭を悩ませていたが、これでひとまず安心。
「止めたのは大きいです。一番一番、積み重ねていくことができれば」と後半戦に弾みがついた。
優勝争いについて話しを向けられると「何も考えてないです。とりあえず勝ち越せるように」と無欲だが、誰が抜け出してもおかしくない状況にある。
2022/05/15
7日目、照ノ富士が前日、玉鷲に金星配給も連敗は避けた。
遠藤にもろ差しを許す厳しい流れを小手投げでしのいで最後ははたき込んだ。
「立ち合いが全然しっくりこない。ちゃんと当たろうという気持ちだったんだけど。そこから冷静に対応できたんじゃないですかね」と渋い表情。
大混戦の場所だけに「早く立ち合いの感覚をつかみたいと思います」と課題をあげた。
7日目、大関正代は2勝目が遠い。
平幕の北勝富士に押し出されて6敗目を喫した。
立ち合いからのど輪で起こされると、密着できずに突き放されて防戦一方だった。
4日目に初日を出したが、中盤戦から6連勝して立て直した先場所のように勢いが続かない。
大関在位10場所目。
不振の看板力士は「そんなに甘くなかった。(初日を出して流れが)変わると思ったが、悪いところばかり。体調的には問題ないと思うけど、きっかけがつかめていない感じがします。思っている以上に体が動いていない。精神的にも落ち着きがない。どこかで切り替えられたら」と話した。
7日目、大関・貴景勝が平幕の玉鷲を退けた。
丸い体を生かすように実力者を圧倒した。
貴景勝が大関の面目を保ち、中日を前に白星を先行させた。
立ち合いで175センチの小柄な大関は、189センチの玉鷲の深い懐に入って突き起こし、そのまま前に出て押し出した。
大関・御嶽海に続き、横綱・照ノ富士を破るなど好調ぶりが目立つ幕内最年長37歳を相手に、何もさせなかった。
両者と同じ押し相撲を得意としていた八角理事長は「(玉鷲は貴景勝の)体が小さいから当たりづらかったかも。その分、貴景勝は思い切りいかなきゃと開き直れた」とそれぞれの心中を察した。
25歳の大関が体格差を生かし、精神的にも優位に立った。
7日目、小結豊昇龍が「朝青龍ばり」の鋭い出足で関脇阿炎に完勝した。
突き放せば強い相手を素早く組み止め、一気の出足で寄り切った。
元横綱朝青龍、ドルゴルスレン・ダグワドルジ氏のおい。
元横綱白鵬の間垣親方から「出足の鋭さがおじさんに似てきた」と太鼓判を押された。
全勝が消え、1敗も平幕2人。
横綱照ノ富士ら2敗組に残った豊昇龍も主役候補に浮上してきた。
7日目、大栄翔は6連敗中と合口の悪い御嶽海から、昨年の春場所以来の白星を挙げた。
立ち合いから攻めの姿勢を崩さず、のど輪と強烈な突きで体を起こし、反撃の隙を与えなかった。
1横綱、2大関を撃破し「理詰めによく攻めることができた。良い相撲を取れて気持ちが乗ってきている」と手応え十分の様子だった。
7日目、攻めたのは若元春だった。
師匠の荒汐親方が「一つの武器としてできあがっている」と認める左四つで勝負に出た。
軍配は寄り倒した若元春に上がったが、物言いがつく。
差し違えで2敗を守ることはできなかったが、幕内も3場所目となり「内容も全然問題ない」と手応えの日々。
何よりも、場所後にパパとなることがモチベーションを高めてくれている。
「恥ずかしながら、いい夫婦の日に婚姻届を出させていただきました」という夫人とは2020年11月22日に結婚した。
「周りからも、結婚して成績が伸びてよかったんじゃないのと言われます」と公私ともに充実。
そして間もなく第1子が誕生する。
7日目、佐田の海が碧山を押し出しで破った。
幕内に無敗はいなくなった。
無敗の碧山と、1敗の佐田の海の好調平幕対決は、佐田の海に軍配が上がった。
碧山の突き押しをこらえながら前に出ると、相手がたまらず引いたところを逃さず、一気に押し出した。
「頭を上げないように、我慢してとった」と白星を引き寄せた。
2022/05/14
6日目、横綱・照ノ富士が、西前頭3枚目・玉鷲に完敗した。
張り差しに出たが、構わず出てくる相手に一気に押し出された。
これで6個目の金星を配給。
うち3個が玉鷲戦だ。
取組後のリモート取材には応じなかった。
八角理事長は「張り差しにいったのがだめだった。当たりが弱くなってしまった。玉鷲を褒めるべきだが、下がると力が入らない。立ち合いの意識が大事ですよ」と指摘していた。
6日目、上松町出身の大関・御嶽海は、東前頭3枚目の北勝富士と対戦。
立ち合いで左に動き、すぐに上手を取った御嶽海は、そのまま北勝富士を上手出し投げで破りました。
星を3勝3敗の五分に戻した御嶽海、あすは小結の大栄翔と対戦します。
若隆景は高安に対し、右前まわしを取って頭をつけた。
低い体勢でじっくりと攻め、最後は横について送り出し。
初優勝を果たした春場所の優勝決定戦で争った相手に完勝しても、「まあ、一日一番しっかり自分の相撲を取る」と表情は変えなかった。
大関昇進へ足固めをしたい場所。
星を五分に戻しても一息つくことはできない。
「まだまだ。もっともっと下からの攻めを出していかないと」と自分に言い聞かせるように話した。
6日目、関脇阿炎が大関貴景勝を引き落として4勝目(2敗)。
取組後は「素直にうれしい。内容自体はあまり良くないけど、体が動いているからいいと思います」と冷静に振り返った。
玉鷲が止まらない。
もう負けるわけにはいかない照ノ富士は、立ち合いで珍しく右で張ってきたが、「お構いなく。自分の相撲を生かそうと思った」。
右から強烈におっつけて、そのまま前進。
横綱を一気に土俵外へ追いやった。
昭和以降では3位タイの3場所連続金星。
平幕力士が3場所続けて同じ横綱を破ったのは、1964年九州場所から65年春場所まで栃ノ海に勝った大豪以来で、57年ぶりだ。
「信じられないところもある」。
勝ち名乗りを受けても表情を崩すことはなかったが、記録の話に水を向けられると、「すごくうれしい」。
歴史に名を刻み、ほほ笑んだ。
これで5勝1敗。
先場所優勝の若隆景、さらに御嶽海、照ノ富士と看板力士を相次いで撃破した。
それでも、「まだ穴がある。これからも長いので、自分の相撲を取り切るだけ」。
酸いも甘いもかみしめてきた37歳は、快進撃にも浮かれることはない。
34歳だった19年初場所で初の賜杯を抱いた。
さらに心身ともに充実するベテラン。
周囲の期待も自然と高まりそうだ。
6日目、平幕・阿武咲が13日、日本相撲協会に「左肋骨骨折で約1カ月間の加療必要見込み」との診断書を提出して休場した。
師匠の阿武松親方によると、5日目の12日に大関・貴景勝戦で土俵下へ落ちた際に負傷した。
再出場について同親方は「まずはしっかり治すこと。本人は出たいと言っていたので、様子を見て判断したい」と述べた。
休場は2018年春場所以来で4度目。
6日目の対戦相手、翔猿は不戦勝となった。
6日目、35歳のベテランが全勝対決を制した。
平幕の碧山が、一山本を下して幕内唯一の無敗をキープした。
強烈な突きをものともせず、落ち着いてはたき込みを決めた。
初日からの6連勝は20年春場所以来3度目。
今年3月には日本国籍を取得し、氏名をダニエル・イヴァノフから古田亘右(ふるた・こうすけ)に変更した。
気持ちを新たに臨む今場所で快進撃を続ける。
碧山は「しっかり踏み込んで前に前に攻めた。相手のバランスを崩して、最後に決めることができた」と振り返った。
八角理事長は「努力している人が成績が良いとうれしい。35歳だけど、地力を稽古量で維持しているのは立派」と、ブルガリア出身の関脇経験者をたたえた。
過去に2度準優勝に輝いたが、まだ賜杯は手にしていない。
初優勝へ期待がかかるが、本人は「まだまだですね。
半分も終わっていない」と気を引き締めた。
2022/05/13
5日目、照ノ富士が冷静に北勝富士を仕留めた。
右差しで前進すると、小手投げで振った勢いできめ倒した。
「落ち着いて圧力かけて前に出た」と納得の表情。
黒星発進から4連勝と復調気味だが「始まったばかりだし、あと10日もあるので終わってみないと分からない」と淡々。
休場明けの場所で体の状態が心配されるが「大丈夫ですよ」と明るい声だった。
5日目、大栄翔が同じ突き押しのライバルに完勝した。
立ち合いはリーチで勝る阿炎のもろ手突きが優勢だったが、下からのど輪を外して逆襲。
回転の速い突っ張りで一気に押し出した。
「突き押しなので先に自分から攻めることが大事」。
三役、埼玉県出身、得意は突き押しと共通点の多い相手。
先場所は敗れていただけに「悔しい負け方を頭に入れてやった」と気合がみなぎっていた。
幕内最年長37歳の玉鷲が、歴代単独4位となる通算1426回連続出場の節目を白星で飾った。
相手の大関・御嶽海には過去3勝27敗。
圧倒されていたが、恐れずに頭から当たっていった。
「前はバタバタして引いたり逃げたりしたが、今回は自分の相撲を信じて前に出た」。
左のおっつけで相手を起こすと、再び頭で当たり、腕を伸ばして土俵下に追いやった。
八角理事長は「気力がすごいね。頭から(当たって)いくのは気力がないとできない」と称賛する。
土俵下の粂川審判長も「正攻法だからいい。馬力があるから相手も怖いんじゃないかな」と評価した。
5日目、人気業師で東前頭3枚目の宇良が“珍手未遂”連発で観客を沸かせた。
取り直しを含めた西前頭6枚目の若元春との計2番。
最初の一番は相手得意の左四つで攻め込まれ、土俵際の「うっちゃり」で逆転を狙った。
行司は東の宇良に上げたが、物言いがついて同体。取り直しの一番は、足取りかなわず大技「居反り」を仕掛けたが、それを食わなかった若元春に送り出された。
敗れはしたものの、宇良の粘りや奇襲に観客も大きな拍手を送った。
3勝2敗で序盤5日間を終えて、自身の状態は「分からないです。終わってみないと」と目の前の一番に集中。
中盤戦に向けて「元気な相撲を見せたい」と意気込んだ。
若元春が初顔の宇良の巧みな相撲によく対応した。
最初の一番は見事にうっちゃられ、同体とみなされ取り直し。
「際どい相撲だった。粘りがすごかった」。
次はそろりと立ち合い、相手の反り技にも慌てなかった。
最後は力強く送り出し、「体が自然と反応できた」と喜んだ。
新入幕だった初場所から2場所続けて勝ち越し、今場所も4勝1敗と快調に滑り出した。
「星のことは考えていない。ここから落ち着いて自分の相撲を取れるようにしたい」と先を見据えた。
5日目、35歳の関脇経験者の碧山が、20年春場所以来となる初日から5連勝を飾った。
自身より40キロ軽い141キロの千代翔馬を、豪快な小手投げでねじ伏せた。
過去の対戦では、変化やいなしに翻弄(ほんろう)されることも多かったが「怖がらずに頭から当たっていった」。
長く付け人を務めてくれた同部屋の栃丸が、今場所新十両で4勝1敗と好調。
「うれしいですね」と刺激を受けている。
5日目、一山本は突き起こしてからの引きで王鵬を破り、5戦全勝とした。
先場所終盤からの連勝を10に伸ばしたが「前の場所なので、気にすることない。まだ“五山本”なので」と笑った。
場所前から始めた一人暮らしが好調の要因。
好物の鶏肉など「好きなものを好きなだけ食べられるので楽しくやっている」と上機嫌だ。
同じく平幕の碧山も5戦全勝。
2人は6日目に対戦が組まれ、勝った方が単独トップとなる。
2022/05/12
4日目、照ノ富士が壁となって琴ノ若の前に立ちはだかった。
相手は初日から3大関を連破して勢いに乗る24歳の若手。
照ノ富士が負ければ、昭和以降では3例目となる平幕力士の横綱、大関総なめを許すことになる。
休場明けの初日こそ大栄翔に不覚を取ってしまった照ノ富士だが、そこは横綱。
日ごとに調子を上げてきた。
「そうですね、落ち着いてやれたかなと思います」。
まずは得意の右をねじ込み、左上手をつかんで琴ノ若の動きを封じる。
危なげなく寄り切って2日目から3連勝とした。
正代は立ち合いに苦しんでいる。
「自分の中で、決まっていないというほどではないが、つかめていない」。
高安との一番も立ち合いで鋭い体当たりをくらい、跳ね飛ばされた。
だが窮地で粘った。
俵に足をかけ、ねじ込んだ右が命綱になった。
土俵際でくるりと体を入れ替えて形勢逆転すると、低い姿勢で押し出した。
合口の良い高安から初日を出し「やりやすさは感じていないが、同じ組み相撲なので差し身に集中できている」と振り返った。
阿炎が力強く遠藤を土俵下に追いやって3連勝。
うまく相手の腕をたぐって中に入り、一気の寄り。
「突きにくい」と感じ、流れの中で柔軟に対応したことが奏功した。
「集中できている。これを糧に、できることをやっていきたい」と改めて気を引き締めていた。
4日目、小結・大栄翔が突き起こして攻め込んでおいてのはたき込みで先場所優勝の関脇・若隆景を破った。
「立ち合いでしっかり踏み込めているから、流れもいい」と完勝に納得の表情。
先場所「送りつり落とし」の大技で敗れた相手に雪辱を果たした。
突き押しの腕が良く伸びて連日会心の内容。
横綱、大関に続いて関脇も破って3勝1敗と星を伸ばした。
4日目、西前頭3枚目の玉鷲が初土俵からの連続出場を「1425」に伸ばし、歴代4位の元関脇高見山に並んだ。
西前頭4枚目隆の勝に下手出し投げで敗れて今場所初黒星。
初日からの4連勝を逃したが、角界の歴史にまた名を残した。
19年初場所には賜杯も抱いた37歳。
今年は1月の初場所、3月の春場所で金星を獲得した。
衰え知らずの突き押しと明るいキャラクターで人気を集める。
4日目、これぞ宇良というような立ち合いだった。
もぐりこむように体をかがめ、琴勝峰の懐に入る。
体勢はいつもよりさらに低く見えたほど。
間髪入れず前に出て、懐の深い相手に何もさせずに寄り切った。
体がよく動いており、「勝って良かったです」と目を細めた業師。
初日こそ翔猿に敗れたものの、2日目から3連勝。
星も伸びてきたが、「まだ4日目なんで。前半の一部でしかないです。特に(うれしいとか)何もないです」と話した。
4日目、千代大龍は珍手のとっくり投げで翠富士を破り、今場所の初日を出した。
言葉通り、とっくりをはさむように首をはさみこんで投げる技。
幕内では昨年九州場所で阿炎が佐田の海に決めて以来となる。
「決まり手がとっくり投げになってびっくりしました。狙ってできるもんじゃないし。決まり手とか内容じゃなく、1勝できたのがうれしいです」と初白星を喜んだ。
大相撲の三役格行司、木村玉治郎が腰椎椎間板ヘルニアのため、夏場所4日目の11日から休場した。
2022/05/11
照ノ富士に少しずつ力強さが戻ってきた。
頭をつけた霧馬山に対して「じっくりやった」。
慌てず、相手の上体を起こしてから豪快に切り返した。
休場明けで、初日こそ大栄翔に完敗したが、2連勝とした。
「できることはやれているんじゃないか」と納得顔。
3大関が総崩れし、早くも混戦の気配が漂う中、「始まったばかりだし、残りも気合を入れていきたいと思う」と言葉に力を込めた。
2日目に敗れ、迎えた遠藤戦。
技巧派に対して自分の相撲を貫いた。
低い立ち合いから動き続け、主導権を握る。
右から崩し、一回転して体勢を立て直そうとした相手をつかまえると、すかさず左からの上手出し投げ。
「下からよく攻めることができた」。
連敗しなかった安堵(あんど)感よりも、ぶれずに戦った満足感が漂っていた。
春場所後は慌ただしい時間を過ごし、賜杯を手にした者だけが知るその「重み」を実感してきた。
土俵入りでも、しこ名が呼び上げられると、館内からは大きな拍手。
己への期待の大きさは自覚しており、「あまりプレッシャーに感じないように、しっかり自分の相撲を取っていきたい」。
対戦相手からの警戒は高まる。
優勝力士としての重圧も、計り知れないものがあるだろう。
それでも、「そういうものはない。しっかり相撲を取るだけ」。
大関昇進の足固めを目指す場所。
短い言葉に意気込みが垣間見えた。
3日目、小結・大栄翔が大関・正代を一方的に押し出した。
これで正代戦4連勝。
のど輪の腕がよく伸びた会心の内容に「しっかり前に出て圧力をかけられたので良かったと思います」と納得の表情を見せた。
初日の横綱戦に続いて殊勲の星。
「胸を借りるつもりでやっているだけなので、それが良い結果になっている」と上位陣への強さを発揮した。
2日目は敗れたが連敗せず。
「(連敗癖が)一番の課題でもあるので、しっかり切り替えられて良かった」と課題克服へ手応えを得た。
琴ノ若が大関3連破。
御嶽海に追い詰められた土俵際、しぶとく右足1本で踏ん張っての突き落とし。
軍配は相手に上がったが、行司差し違えで白星を手にした。
「攻める姿勢を忘れなかったので、間合いをうまくつくれた」と振り返る。
土俵下の審判長は、父で師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)が務めた。
息子の勇姿にも「私は足元しか見ていないので」と素っ気なく、「もっと攻める気持ちを持ってほしい」と注文も。
琴ノ若は「とりあえず白星になってよかった」と胸をなで下ろした。
新弟子らによる前相撲が始まり、初の東大生力士となった須山(24=木瀬部屋)が初土俵で“プロ1勝”を挙げた。
名前を呼ばれた須山は、タイミングが分からず、行司に促されて土俵に上がった。
プロ初の一番。
相撲経験のない16歳を一気に寄り倒して完勝したが、取組前には緊張した様子も見られた。
大相撲の歴史に新たな一ページが刻まれたこの日、「始まったなという気持ち」と力士人生のスタートに実感を込めた。
師匠の木瀬親方(元幕内・肥後ノ海)は「他の力士の刺激にもなる」と異色の新弟子を歓迎する。
東大相撲部OB会長で日本相撲協会顧問を務める櫟原(ひらはら)利明氏は「相撲エリートだけじゃなく、東大生も相撲をやれるんだと、多様性の象徴になる」と分析した。
2022/05/10
2日目、初日に不覚を取った照ノ富士が、執念で勝利をたぐり寄せた。
先場所12勝を挙げた大関経験者の高安を相手に得意の右四つに持ち込み、しぶとく食らいつく相手を小手投げで土俵にたたきつけた。
攻めきった末の仕切り直しの白星に「慎重に、前に圧力をかけていこうと思った。良かったと思う」と語った。
2日目、阿炎は北勝富士を突き出し、初日を出した。
「よかった。集中できたと思います」。
自己最高位の関脇2場所目。
先場所は同じ新関脇の若隆景が優勝を飾ったが、「星は気にしていない。自分の相撲を取りきれるよう準備していきたい」と邪念は排除する。
2日目、相手の立ち合いにひるむどころか、押し勝ったのは豊昇龍。
そのまま反撃を許さない。
御嶽海が回り込もうとした隙を見逃さず、真正面から押し出した。
「相手は大関だったので、自分を信じて思い切りいきました」。
4度目の対戦で御嶽海から奪った初白星。
成長ぶりをファンの目にしっかりと焼き付けた。
9日、琴ノ若は正代を突き落としで破った。
正代に右下手を許して押し込まれても簡単には諦めない。
琴ノ若は最後の最後、右足1本を俵の上に残して逆転の突き落とし。
微妙な決着となったが、物言いは付かず、執念で殊勲の白星をもぎ取った。
「(取り直しで)『もう一番ある』というつもりだった。ポイントのところは冷静に取れたかな」。
24歳は一切、表情を緩めることなく取組を振り返った。
自己最高位の西前頭2枚目に番付を上げて今場所を迎えた。
真価が問われる地位で、初日の貴景勝に続いて大関を連破。
先場所も正代と御嶽海に勝っており、大関戦は4連勝だ。
「稽古場でできることを少しずつ本場所でも出せるようになってきた。気持ちも乗ってよい相撲が取れている」。
3日目の御嶽海戦も思い切った勝負ができるか。
2022/05/09
8日、大関初優勝を目指す御嶽海が、上々の滑り出しを見せた。
高安にまわしを引かれたが、押しに徹っするとうまく回り込んで押し出した。
「ちょっと立ち遅れました。圧力がかからなかったけど、最後は力を出せてよかったです」
先場所も敗れ、取組前まで8勝20敗と差をつけられていたが「やりにくい相手にこうやって初日から勝てたので、うれしいです。気持ちよく明日からも臨める」と今後の手応えも十分につかんだ。
この日は母の日。御嶽海の母・マルガリータさんも白星のプレゼントを喜んでくれたことだろう。
大関昇進後は初めて母とのテレビ出演も経験した。
「いつもはプレゼント、花とかハンカチとかいろいろあげてますけど、場所がかぶることが多くなって、ぼくの白星がプレゼントでいいねって、楽してますけど。今の自分があるのもお母さん、お父さんのおかげなんで。お母さんには性格も似ていると言われるので感謝しかない」と思いを明かす。
母の日に勝てたことを「いい白星だったと思います。(メッセージは)まだです。送ります、帰ってから」とかみしめていた。
8日、東京・両国国技館で行われ、先場所優勝の関脇・若隆景は北勝富士を降し、白星を飾った。
初日に1横綱2大関が敗れ、上位陣がふがいなかっただけに、冷静さが際立った。
先場所の優勝で注目度が高まる若隆景が勝機を逃さず、三役経験のある実力者を退けた。
8日、小結・大栄翔が結びの一番で横綱・照ノ富士を倒した。
小結に返り咲いた大栄翔が休場明けの横綱を先場所に続いて破った。
低く当たって、突き押しを繰り出すと、下がった照ノ富士の引いた足が俵の外に出た。
大栄翔は「立ち合いが良かった。前に前にと出ることができた」と手応えを語った。
2021年初場所で初優勝した実力者は、横綱昇進後の照ノ富士との対戦成績が3勝2敗。
相手が新横綱だった同年秋場所でも土を付け、強敵ぶりを発揮している。
四方をびっしりと埋めた観衆が、琴ノ若に温かい拍手を送った。
「思い切って前に出ることだけを考えていた」。
24歳の若武者は、真っ向から貴景勝に挑んだ。
大関の圧力に屈することなく、うまくいなして崩し、一気に前へ。
「受け身にならずに攻めようと思った」と、突き押しで対抗。
腰をしっかり落として押し出した。
2場所続けて優勝争いに加わり、自己最高位の西前頭2枚目で臨む。
埼玉栄高の1学年先輩、貴景勝とは過去2戦2敗。
成長のほどを示すには、これ以上ない相手と言えた。
8日、大相撲夏場所初日から休場した東前頭16枚目・石浦が「頸椎(けいつい)捻挫、頸椎損傷疑いで3週間の安静・加療を要する見込み」と診断されたと発表した。
石浦は3月の春場所で首を痛めて4日目から途中休場し、11日目から再出場した。
観客数上限が通常の約87%の9265人に緩和され、コロナ禍の本場所では最も多い人数となった夏場所。
大広間でのちゃんこ販売も復活し、売店などいたるところでにぎわいを見せた。
芝田山広報部長(元横綱大乃国)は、活気が戻りつつあることに喜びながらも「内部で感染しないように対策を立ててやっていく」と引き締めた。
2022/05/08
土俵祭り終了後に優勝額贈呈式が行われ、関脇だった初場所で3度目の優勝を飾った大関・御嶽海と春場所で初優勝した若隆景が出席した。
ともに東洋大出身。笑顔で談笑するなどリラックスムードの2人は夏場所での健闘を誓い合った。
先輩の御嶽海は「3枚もらえて本当にうれしい」と述べると2場所ぶりの賜杯奪還に向け「しっかり4枚目を狙って頑張る」と意欲を燃やした。
後輩の若隆景も「5月場所も頑張ります。応援よろしくお願いします」とコメントした。
8日に東京都墨田区の両国国技館で初日を迎える大相撲夏場所では、先場所12勝で初優勝を飾った関脇若隆景が大関昇進への足固めを狙う。
今場所も勝ち星を2けたに乗せ、名古屋場所で昇進を懸ける形に持っていけるか注目される。
若隆景は「期待の声はすごく伝わってくる。応えられるように、やるべきことをやって臨みたい」と、自分の相撲に集中する姿勢を崩していない。
部屋で稽古相手を務める兄の若元春が「以前と比べて全然勝てない。10番取って1番勝てればよい方。(若隆景は)今、ノリノリなんで。気合もすごい」と語るように、心技体とも充実している。
7日、両国国技館で本場所の安全を祈願する土俵祭りが行われた。
春場所を途中休場した横綱照ノ富士や新関脇優勝した若隆景らに注目が集まる。
そんな中、関脇阿炎がこのほど、日刊スポーツの電話取材に対応。
同居を始めた家族や支えてくれた人への感謝を口にし、夏場所への意気込みを語った。
ようやく家族と一つ屋根の下での生活が始まった。
阿炎は「妻、娘が安心して暮らせるように強くならないといけない」と、父親としての一面を見せた。
新型コロナウイルスの感染対策のため初場所では1日当たり5000人としていた定員は、夏場所では通常の約87%に当たる9265人に緩和され、コロナ下では最多となる。
案内所(相撲茶屋)の営業も再開され、芝田山部長は「久しぶりにたくさんのお客さんが入るので、私たちも楽しみ。
力士たちが攻防のある相撲で盛り上げていけば、お客さんも戻ってくると思う」と期待を寄せた。
2022/05/07
取組編成会議が6日に開かれ、照ノ富士は初日に小結大栄翔、2日目には高安との一番が組まれた。
休場明けの横綱にとってカギとなる序盤戦は、難敵との連戦でスタートする。
四つ相撲にはめっぽう強いものの、馬力のある突き押しを受けると、上体が起きて苦戦する場面が多い。
昨年名古屋場所後に昇進してから、大栄翔とは4度対戦して2勝2敗。
春場所は12勝で優勝決定戦に進んだ高安にはしぶとさがあり、立ち合いで一気に主導権を握りたいところだ。
左膝の古傷などを悪化させた先場所は6日目から休場。
「常に痛みと付き合いながらやっている」と言うように、万全な状態で臨むことは難しい。
師匠の伊勢ケ浜親方は、「とりあえず相撲は取れる状態になっている。気合は入っているようだ」と現状を説明した。
6日、夏場所を前に、東京都墨田区の野見宿禰神社で行われた例祭で土俵入りを披露した。
メッセンジャーRNA(mRNA)治療薬とワクチンのパイオニアであるバイオテクノロジー企業Moderna Inc.(以下、「モデルナ」)の日本法人であるモデルナ・ジャパン株式会社(東京都港区、代表取締役社長:鈴木蘭美、以下、「モデルナ・ジャパン」)は、5月8日(日)より東京、両国・国技館において開催される大相撲五月場所に、懸賞旗を掲出します。
この取り組みは三月場所に続き行われるもので、新型コロナウイルス感染症の拡大により、将来への不安が増している若い人々への応援の気持ちを込めて、若元春関、翔猿関、明生関といった若手力士の取組に懸賞旗を掲出する予定です。
モデルナ・ジャパンでは今後も、様々な伝統行事を通して、日本で生活する幅広い世代の人々に向けて、啓もう・支援活動を展開していきます。
2022/05/06
3日、東京・墨田区の出羽海部屋で稽古を行い電話取材に応じた。
新大関の春場所は優勝を逃したが、優勝に次ぐ11勝をマーク。
自己採点するなら「ほぼ高得点に近い場所だった。横綱、大関は毎回優勝争いに絡まなければいけないんじゃないかというのはありますけど、まあ新大関なんでいいんじゃいないかと、ぼくの中で。気楽にやれました、今まで以上に」と振り返った。
大関に昇進後はプレッシャーから解放され、余裕を持って土俵に上がることができた。
「関脇から大関に上がる緊張感の方が強かった。今は伸び伸びやれてる」と話す。
部屋関係者に新型コロナウイルスの感染者が出たため合同稽古に参加できず、関取衆との申し合いはできないまま場所に臨む。
「不安はない。大関としての仕事をしっかりやりたい」。
3場所連続で2桁勝利を重ねているが、大関初優勝を目指す今場所もまずは「絶対最低限クリアしないといけないので。最低10勝ですね」と目標を定めていた。
3日、報道陣の電話取材に応じ、大相撲夏場所に向け「定着と考えていたら、ダメだと思う。やっぱり上を目指してやっていく。勝ち越し以上を目指したい」と話した。
先場所では8勝7敗と勝ち越し。
今場所で2場所ぶりに三役に復帰するが「いつもと変わらない気持ちでいる」。
自身の課題について「やっぱり連敗をしないようすることが大事。しっかり一番、一番は本当に大事に集中していきたい」と語った。
2020年4月に通い始めた日大大学院を今年3月に修了した。
「相撲界のことをメインにして、ファミリービジネスとつなげて書いた」修士論文は実に40ページ以上に及び、担当教授からも高評価を受けた。
2年間の学業を通じて「相撲界も入門して師匠からいろいろ学んだことを引き継ぐが、同じようなことが会社にもあった。自分も継ぐことになったら、今の師匠の教えを継いでいきたい」。
その上で「簡単ではないんですけど、やっぱり確実に自分のためにはなる。意欲がある人はぜひやってほしい」と呼びかけていた。
3月の春場所で優勝争いのトップを走り続けた高安。
決定戦の末、賜杯は新関脇の若隆景にさらわれたが、死力を尽くしただけに、「また一つ、いい経験になった」と言い切る。
苦い結果も受け入れ、前向きに過ごしてきた。
先場所は持ち前の力強い取り口を披露して自己最多に並ぶ12勝。
初めて決定戦に進み、「ステップアップできた」と振り返る。
夏場所に向け、東京・両国国技館内の相撲教習所であった合同稽古には4日間とも参加するなど精力的。
けがもあって大関から転落したが、最近は納得いく稽古を重ねられているといい、「今が一番強いと思っている」。
口ぶりには自信もにじませる。
立ち合いから主導権を握り、素早く攻め切る相撲を磨いている。
自身の他に関取がいない所属部屋でも稽古量を増やし、さまざまなタイプの力士を相手に相撲を取るなど、工夫を凝らしてきた。
「(本場所で)落ち着いてできれば、負けることはないと思うので、当たり前のことを当たり前にやる」
新十両、新入幕、新三役と平成生まれで最初に出世してきた高安も、もう32歳。
「千秋楽まで優勝争いに加わるのが目標。初日から最後までいい相撲を取りたい」。
酸いも甘いも知り尽くしているからこそ、淡々とひたむきに初賜杯を目指す。
4日、千葉県松戸市の部屋で稽古後、報道陣の電話取材に応じた。
2場所連続で11勝を挙げて千秋楽まで優勝争いに絡み、夏場所は自己最高位の西前頭2枚目。
「攻めていく相撲が特に出るようになった」と自己評価すると「この地位でしっかりいい相撲取りきることが、一つ重要になってくる。気持ちでは負けないようにいければ」と上位戦が多くなる15日間を見据えた。
夏場所は観客の上限が収容人員の約87%で開催。
通常に近い状態に戻る。コロナ禍直前はまだ十両だった琴ノ若は「新入幕の時には無観客だったので、お客さんがたくさん入っているイメージがあまりわかないんですけど、師匠たちが取っていた頃の(イメージ)は多少あって。ああいう空気感で自分も取れるんだなというのは楽しみ」と大観衆の中での土俵を心待ちに。
「力にできるように頑張ります」と気合を入れた。
幕内志摩ノ海が、夏場所後の6月19日に東京都内で結婚披露宴を開くことが4日に分かった。
昨年12月22日に先代井筒親方(元関脇逆鉾)の長女で、元タカラジェンヌの福薗清香さん(34)との婚約を発表していた。
夏場所は披露宴を前にした場所となるが、4日に電話取材に応じた志摩ノ海は「身が引き締まる思いです。プレッシャーはありますけど、守るべき人がいて自分なりに頑張っていきたい気持ちです」と話した。
清香さんとはすでに新居での生活も始めている。
責任も増し、「いい場所にしたい。しっかり調整していい結果を出したい」と稽古に余念がない。
夏場所は、次の名古屋場所へ向けた大事な場所にもなる。
「名古屋はデビューした場所でもあるし、新十両も名古屋。ご当所でもあるので、番付上位で頑張りたい。いろいろな思いがある場所なので、名古屋に向けてはずみをつけていきたい」と気合を入れた。
4日、「昭和の大横綱」大鵬の孫の幕内王鵬が東京・江東区の部屋で調整。
部屋の幕下以下の力士を相手に相撲を20番取って汗を流した。
新入幕で臨んだ1月の初場所は10日目に7勝目を挙げながら、5連敗で負け越し。
春場所の十両転落を経て、返り入幕を果たした。
「(新入幕の場所は)前半戦は良かったので、通用しなかったとは思っていない。あと1番で勝ち越しという気持ちが出て相撲がバラバラになった。しっかり自分の自信のある形で相撲を取っていけたら」と意気込んだ。
その王鵬には、本場所中に欠かさない清めの儀式≠ェあるという。
「朝出る前に、部屋を掃除したり、物を整えたり、帰ってきて洗濯したり…。きれいにして場所に行くというのは、ずっとやってます。(掃除や掃除は)割と好きなほうなので、自分でやる。頻繁に掃除機とか拭いたりとかしています」。
十両以上の関取になれば、掃除や洗濯などは付け人に任せるのが通例。王鵬の独自のこだわりがうかがえる。
今場所の目標は幕内初の勝ち越し。
「幕内で2場所目ですけど、まだ勝ち越していないんで。早く勝ち越して、そこから大勝ちを目指せたら」。
偉大な祖父に近づくために、目の前にある目標を一つずつクリアしていく構えだ。
先場所中に首を痛めた幕内・石浦は、初日から休場と発表されました。
2022/05/03
2日、西前頭筆頭の逸ノ城が新型コロナウイルスの検査で陽性となり、夏場所を休場すると発表した。
同部屋の幕下以下の力士に陽性者が出たため、1日に検査を受けた。
2022/05/02
5月場所での“復権”に向け、闘志を燃やしている横綱照ノ富士。
合同稽古は24日の最終日のみ参加し、時折バクダンを抱えるヒザを気にする様子もあったが、「リフレッシュできた」と自信をのぞかせた。
3度目のカド番を脱出した大関正代が29日、大好きな漫画が脱出の原動力だったと稽古後の電話取材で明かした。
カド番を乗り越え大関在位10場所目となる夏場所に臨む正代は、「春場所の始まったころにジャンプ(週刊少年ジャンプ)のワンピースとか呪術廻戦がすごくアツい時期で、(発売日の)次の月曜日が待てない感じでした。次はどういうふうになるんだろうな、とか。それで何とか精神状態を安定させていた感じです」
春場所は現行のカド番制度となってワーストとなる初日から4連敗を喫しながら、相撲のことを頭から切り離して9勝6敗と大逆転した。
「月曜日が気になりすぎて、どういう展開になるんだろうなとずっと想像していて逆に寝られなかったかも。自分らしさが出ていたのかなと思います」と漫画に助けられたという。
春場所は場所前に感染したコロナの影響もあって調整が遅れたが、今場所は豊山らとの申し合いも積めている。
先場所中盤以降の勢い継続が期待できそうだ。
2日、都内の部屋で稽古後に報道陣の電話取材に応じ、夏場所向けて「しっかり稽古して来ている。体調が悪いとかはない」と順調な調整ぶりを明かした。
大関とりの足固めを期す夏場所。
先場所で優勝決定戦と初優勝を経験したことには「そうですね。勉強になったと思います」と大きさを認めた。
長所である冷静さや平常心を保つメンタルについて、アマチュア時代から現在まで「経験が少しずつ気持ちのコントロールという部分では、良くなっているのかと」と自己分析。
初優勝の経験も「自分の力にしていきたい」と血肉に変える構えだ。
注目される優勝の翌場所。
周囲の期待の声も、もちろん届いている。
「本当に今場所からが大事だと思っている。期待に応えられるように自分もしっかりやるべきことをやって、今場所に臨みたい」と気合を入れる一方「あまりプレッシャーに感じないように、しっかり自分の相撲を取っていきたい」と落ち着いたところをみせた。
2日、電話取材に応じ「調整はすごく順調に進んでいると思う」と手応えを口にした。
2場所連続で優勝争いを演じた後、新関脇として臨んだ先場所は千秋楽で何とか勝ち越し。
「研究されている」と感じたという。
相手の対策を上回るべく、さらなる体幹の強化に着手。
体が起きないように低い姿勢を保つことを意識して、稽古に取り組んでいる。
念願だった妻子との同居も、先月末にスタート。
一昨年7月にガイドライン違反が発覚して3場所出場停止などの処分と部屋での生活を義務づけられ、新婚直後から別居していた。
「本来の形に戻れてうれしい。あらためて守っていかなきゃいけないなと思いますし、気持ちはすごくいい方向に向いている」と意気込みも新た。
長女の世話について「お風呂を担当しています」とうれしそうに“パパの顔”を見せつつ「安心させるためにも、強い自分を家族に見せられたら」と自覚がさらに増した様子だった。
1日、豊昇龍が電話取材に応じた。
この日、稽古が休みだった豊昇龍は、合同稽古前に「若い衆たちと70番近く取った日もありましたね」とし、番付発表後も30番取るなど精力的に汗を流している。
体は仕上がりつつあるようで「(状態は)悪くないです」と話した。
初優勝を果たした関脇若隆景(荒汐)については「すごいなと思いましたね。まあ、悔しい思いもありました」
豊昇龍にとって5歳上の先輩力士ながら、実は親しい関係だと言い「若い衆のときから仲がいい。一緒に合宿とか行っていたので」。
かつて荒汐部屋の合宿に参加したことがあり、三番稽古で互いに鍛えていたという。
夏場所に向けては「(三役)2場所目だし、このままケガせずに勝ち越しを目指したい。そうすれば次の目標も出てくるので」と力を込める。
一方で「次の目標? それは言いません」とその先に見据えるものは内に秘める22歳。
1日、報道陣の電話取材に応じ「大関時代より今は強い。まだまだ伸びしろもあると思っている」と意欲を示した。
32歳のベテランは春場所の優勝決定戦で関脇若隆景に敗れた。
4月下旬の合同稽古には4日間全て参加。田子ノ浦部屋は自分以外に関取がいない環境ながら、1日は東京都江戸川区の同部屋で約50番をこなし「力量的には差があるが、数を取っていけば下半身にも効いてくる」と手応えを口にした。
春場所で12勝をマークして自信を深め、初優勝、大関返り咲きを目指す。
「先場所の調子をしっかりキープして、もう一つ、二つエンジンをかけていきたい」と気合を入れた。
26日、関取衆の身長・体重を発表した。
十両以上の関取による親睦組織、力士会が両国国技館で行われ、会合後に体重を計ることが恒例となっている。
最重量は、5キロ増えて211キロとなった逸ノ城。
200キロ超えは、ちょうど200キロの十両剣翔を含めて2人だけ。
最軽量は十両炎鵬の100キロで、幕内では111キロの照強が最も軽い。
幕内力士の体重増減を見ると、最も増えたのは9キロ増量で141キロの豊昇龍。
8キロ増えて161キロの阿武咲、7キロ増えて184キロの高安が続く。
最も減ったのは、14キロ減で168キロの栃ノ心。
2桁減は栃ノ心だけだった。
幕内力士の平均身長は183・3センチ、平均体重は157・3キロ。
十両力士の平均身長は180・9センチ、平均体重は160・5キロ。
平均体重では、十両が幕内を上回った。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は27日、大相撲夏場所(5月8日初日・両国国技館)に向けて協会員を対象に27日に実施した新型コロナウイルスのPCR検査で、親方や十両以上の力士は全員陰性だったと明らかにした。
大相撲の元横綱 稀勢の里の二所ノ関親方が、今年に入ってから一般女性と結婚していたことが関係者への取材で分かりました。
元横綱 稀勢の里の二所ノ関親方は、茨城県牛久市出身の35歳。
3年前の初場所で引退したあと、荒磯親方として後進の指導に当たり、去年8月には田子ノ浦部屋から独立して、相撲部屋を構えました。
12月には、大相撲に5つある一門の名前の1つになっている由緒ある年寄名跡の「二所ノ関」を襲名しました。
関係者によりますと、二所ノ関親方は3年前に知り合った6歳下の一般女性とことしに入ってから結婚したということです。
現在、二所ノ関部屋は茨城県つくば市に稽古場を設けていますが、ことし6月からは茨城県阿見町に新たに建設した相撲部屋で力士の育成に当たる予定です。
元横綱 稀勢の里の二所ノ関親方は二所ノ関部屋の公式ツイッターで「本日報道がありました通り、結婚をご報告いたします。より一層気を引き締めて、引き続き後進の育成に邁進して参ります。今後とも二所ノ関部屋をよろしくお願い申し上げます」と記しました。
2022/04/18
年間優秀賞 過去の年間集計一覧に誤りがございました。
平成30年(2018年)の内容が、平成29年(2017年)と同じ内容になっておりました。
ご迷惑をおかけ致しまして誠に申し訳ございませんでした。
現在、修正は完了いしておりますで、ご参照頂ければ幸いです。
リンクは下記から。
年間優秀賞 平成30年(2018年)
2022/03/28
千秋楽、途中休場した横綱照ノ富士の現状について、師匠の伊勢ケ浜親方が説明した。
照ノ富士は右かかとや左膝の負傷で、18日の6日目から休場。
伊勢ケ浜親方は「もう上半身のトレーニングはしている。下半身はけがしたばかりだから様子を見ながら」と軽めの運動ながら、すでに始動しているとした。
千秋楽、大関正代が、関脇若隆景の本割での優勝を阻止した。
立ち合いでおっつけをくらってもろ差しとはいかなかったが、うまくつかまえて右をねじ込んだ。
好機とばかりに前に出て寄り切りで下し、9勝でかど番場所を締めくくった。
前日の14日目に勝ち越してかど番を脱出。
優勝争いでトップを走っていた若隆景との一番について「昨日勝ち越してなかったら相当緊張したと思う。伸び伸びやれました。好調と分かっていたので、当たり負けしたら厳しいなと思っていた」と振り返った。
千秋楽、御嶽海が、大関貴景勝を上手出し投げで破って、新大関場所を白星で締めくくった。
今場所は初日から4連勝し、終盤では優勝争いにも加わった。
2場所連続優勝とはならなかったが、11勝で終えて「いいんじゃないですか。悪くはないと思います」と振り返った。
一方で、東洋大の後輩の関脇若隆景が初優勝した話題を振られると「大関として恥ずかしいと思います」と厳しい表情を浮かべた。
千秋楽、新関脇の若隆景が12勝3敗で並んだ元大関の平幕高安との優勝決定戦を上手出し投げで制し、初優勝を飾った。
本県出身力士の優勝は時津山、栃東(初代)に続いて3人目で、栃東の1972年初場所以来50年ぶり。
新関脇の優勝は36年夏場所の双葉山以来86年ぶり、1場所15日制となった49年夏場所以降では初めてで、大関候補に名乗りを上げた。
ともに12勝2敗で千秋楽を迎えた若隆景と高安。
先に高安が敗れ、若隆景は結びの一番で勝てば初優勝が決まったが、大関正代に寄り切られた。
優勝決定戦では高安に攻め込まれたものの、土俵際での驚異的な粘り腰で逆転し、賜杯を手にした。
若隆景は3度目の技能賞に輝いた。
千秋楽、琴ノ若は下手出し投げで豊昇龍に敗れ、この時点で初優勝の可能性が消滅。
「そんなに(優勝争いは)頭に入れていなかった。この相撲を忘れず、この悔しさを忘れず、しっかり来場所に向けてやっていきたいと思います」と唇をかみしめた。
それでも2場所連続11勝で、千秋楽まで優勝争いに絡んだのは立派の一言。
来場所は自己最高位となる可能性が決定的で、さらなる飛躍が期待される。
千秋楽で、茨城県土浦市出身の平幕・高安が優勝決定戦で関脇・若隆景に敗れ、初めての優勝は逃しましたが、馬力のある相撲で初日から優勝争いを引っ張り、敢闘賞を受賞しました。
春場所の優勝争いは、27日の千秋楽で茨城県土浦市出身で前頭7枚目の高安と、関脇・若隆景がいずれも敗れて12勝3敗で並び、優勝決定戦が行われました。
優勝決定戦で高安は若隆景に上手出し投げで敗れ、初めての優勝を逃しました。
高安は「力が足りなかった。最後は気持ちしかなかったので、すべて出し尽くしました」と話していました。
高安は優勝こそ逃しましたが、馬力のある相撲で初日から優勝争いを引っ張り、敢闘賞を受賞しました。
千秋楽、十両は東13枚目の竜電が13勝2敗の好成績で優勝した。
水戸龍を相手に左上手をつかみ、頭をつけるしぶとい相撲で寄り切った。
「相撲をとれることがうれしいです。感謝してこれからもやっていきたい」。
三役経験のある実力者だが、不要不急の外出をした日本相撲協会のガイドライン違反をしたとして昨年夏場所から3場所連続の出場停止処分を受けた。
復帰した昨年九州場所で幕下優勝を飾り、先場所も6勝をあげて関取の座に戻った。
来場所は再入幕を狙える地位まで番付を戻すことは確実となった。
「毎日いい相撲をとろうとやってきたのがよかった。しっかり稽古していきたいと思います」と話した。
2022/03/27
14日目、正代がようやく大関かど番を脱出した。
優勝争いで単独トップだった高安に土俵際のすくい投げで逆転勝ち。
土壇場で意地を見せ、「相手の相撲になったが、最後まで諦めなかった。何かしようとしたのがうまくいった」と胸をなで下ろした。
今場所は初日から4連敗を喫し、「勝つイメージが全然できない状態だった」と振り返る。
「それを考えると、勝ち越しているのがすごい」。
率直に喜びを口にした。
14日目、西大関・御嶽海は西前頭6枚目・琴ノ若に押し出しで敗れた。
4敗目を喫し、優勝の目がなくなった。
千秋楽の27日は西大関・貴景勝と対戦する。
御嶽海は精彩を欠いた。
立ち合い左を差され、右も差されると上体が起き、そのまま土俵を割った。
貴景勝はここまで8勝6敗。
過去6場所では御嶽海の2勝1敗となっている。
14日目、小さな体をぶち抜くような重い押しを、関脇若隆景はあごを引き、下からあてがってしのぐ。
大関貴景勝は押し切れず、思わず引いた。
その瞬間を見逃さなかった。
右を差し、左も差して前へ。
こうなれば過去1勝5敗という対戦成績は関係ない。
伸び上がった貴景勝を難なく寄り切った。トップタイの2敗。
千秋楽で初優勝に挑む。
「押し込まれましたけど、はたかれたときに足が運んだんで。そこはよかった。しっかり踏み込んで下から。そういう攻めですね」
本割で決まるのか、決定戦か、ともえ戦か。
いずれにしてもやることは一緒だからなのか、ここまできても多くは語らず静かに闘志を燃やす。
14日目、幕内琴ノ若が大関御嶽海を押し出しで破り、11勝目を挙げた。
優勝争いでトップの幕内高安が敗戦した直後の一番。
負けた方が、脱落する中で新大関を撃破した。
前日の正代戦に続く、2日連続での大関戦勝利に「踏み込んで負けずに、中に入れればいいかなと。あまり覚えていない」と無我夢中だった一戦を振り返った。
この日の取組前には父で師匠の佐渡ヶ嶽親方から金言≠授けられたことも明かした。
「『相手の方が上なので自分の力を試すと思って思い切っていってこい』と言われた。対策を練っても硬くなるだけ。それで肩の力が抜けた」
先の初場所も終盤まで優勝を争ったことも自信となっている。
その一方で「これで終わりじゃない。今日は今日。明日に切り替えてやっていきたい」と言い切り、最後の一番への集中を強調した。
14日目、単独首位だった元大関の平幕高安が大関正代にすくい投げで敗れ、2敗目を喫した。
立ってすぐ高安は左上手の良い位置を引いた。
正代の寄りを一度こらえてから反転攻勢。
必死の形相で寄り立てていく。
正代を土俵際まで追い詰めた次の瞬間、相手の右からのすくい投げで、ごろんと裏返しに。
悲鳴と歓声が館内に交錯した。
優勝決定は千秋楽へ持ち越しとなった。
高安は土俵から下がる際、わずかに首をひねり、オンライン取材に姿を見せなかった。
土俵下の高田川審判長(元関脇安芸乃島)は「高安は良い形になったけど、そこから出すぎてしまった。いつもならゆっくりジリジリ行くんだけど、焦りが出たのか」と異変≠指摘する。
2年に1度の役員改選に伴い、日本相撲協会が28日に開く理事会で現職の八角理事長(58=元横綱北勝海)の再選が確実であることが26日、関係者の話で分かった。
評議員会で親方10人の新理事を承認し、その後の理事会で理事長を互選する。
15年11月に急逝した北の湖前理事長(元横綱)の後を受け継ぎ、実質4期目に入る。
1月の役員候補選挙では無投票で当選者が決定。
理事候補に新任の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)、11年4月以来の復帰となる陸奥親方(元大関霧島)らが名を連ねた。
2022/03/26
13日目、正代は琴ノ若に苦杯をなめ、13日目でのかど番脱出はならなかった。
「他の相撲と比べてすごく硬かった。意識しないようにしていたけど、意識しちゃうところがあった」と率直に話した。
立ち遅れ、後手に回った。
突き、押しで上体を起こされ、防戦一方で土俵を割った。
6連勝で勝ち越しに王手をかけ「流れを止めたくない気持ちはあった」という。
14日目は高安戦が組まれ、千秋楽は若隆景戦が濃厚。
場所の主役との連戦が予想される。
苦境の大関は「とりあえず自分らしさを出せたらいい。いつも通りに取れたらいいと思っている」と自然体を強調した。
13日目、新大関の御嶽海が意地を見せた。
1敗でトップに並んでいた若隆景を圧倒し、優勝争いに踏みとどまる10個目の白星。
すぐに左を差すと、相手に反撃の隙を与えずに寄り切った。
余裕十分の表情で勝ち名乗りを受け、「(相撲内容は)問題なかった」。
少ない言葉に満足感をにじませた。
若隆景は東洋大の2学年後輩。
絶対に負けられない存在だった。
強烈な対抗意識はたびたび口にしており、2度目の顔合わせとなった2020年11月場所では全く寄せ付けず、「レベルが違う」とまで言い放った。
その後、急速に力をつけてきた後輩には、初めて敗れた昨年の名古屋場所からは五分の対戦成績だった。
それだけに、「しっかり勝ちにいこうと思っていた」。
快進撃の引き立て役になるわけにはいかなかった。
2桁白星に到達し、大関としてただ一人、優勝の可能性は残した。
「一つの目標はクリアできたので、気持ちよく帰りたい。あと2日、頑張っていきたい」。
角界を背負う立場として重責は承知している。
13日目、若隆景は立ち合いで持ち前の厳しさを発揮できず、御嶽海に体を起こされて完敗。
「先に攻められた」と悔しがった。
右上手を狙った動きに、八角理事長は「勝ちたい気持ちが出た。おっつけてからいかないと」と言い、優勝争いの重圧も影響したと分析。
1差で高安を追う状況となり、若隆景は「あと2日、思い切って相撲を取りたい」と自らを奮い立たせた。
13日目、琴ノ若は正代に完勝し、2場所連続の2桁勝利を果たした。
6連勝と勢いを取り戻した大関を強烈な喉輪でのけ反らせ、右上手も取って寄り切り。
24歳の大器は「覚えていない。思い切っていくことを考えていた」と声を弾ませた。
3敗を守ったが、単独首位の高安とは2差。
わずかに残す初優勝への望みをつなげるためにも、負けは許されない。
14日目は御嶽海戦が組まれ、連日の大関戦に挑む。
「相手が誰であろうと、やることは変わらない。気持ちを崩さず、強気に思い切っていく」と頼もしかった。
13日目、悲願の初優勝に向けて、東前頭7枚目高安が単独トップに立った。
大関貴景勝を上手投げで破って12勝目。
1つ前の取組で並走していた新関脇若隆景が2敗に後退した。
14日目に大関正代に勝ち、若隆景が負ければ初優勝が決まる。
新入幕から苦節101場所目で、多くの苦楽を経験してきた実力者がついに賜杯を手にする時がきた。
2022/03/25
12日目、正代が貴景勝との大関対決にも快勝し、6連勝でカド番脱出へ王手をかけた。
当たってすぐ、差した右腕を返しての寄り切り。
「今場所一番いい立ち合いができた」と満足感を漂わせた。
6日目、玉鷲に一方的に突き出されてからV字回復した。
「がむしゃらに取った結果。千秋楽まで続けられたら」と気持ちの切り替えが奏功している。
12日目、御嶽海は高安に寄り切られ、3敗に後退した。
連覇が遠のいた取組後は取材に対応せず会場を後にした。
伊勢ケ浜審判長は「胸を合わせて半身になってしまった。あまりにもまともに差しにいった」と無策だった立ち合いに敗因を求めた。
13日目は1敗の若隆景戦。新大関の存在感を示したいところだ。
12日目、若隆景は俵に足がかかっても、自身の相撲スタイルを貫き通した。
立ち合いは下から鋭く。それでも体格で勝る琴ノ若の出足に後退した。
若隆景は左からおっつけ、右は下手を引いて残すと頭をつける。
こうなると若隆景のペースだ。
体勢が苦しくなった琴ノ若が強引に投げを打ってきたところを、サッと前に出て寄り切り。
高安が登場する結びの一番を前にトップを守った。
「まあ、体が動いていたんで。下からという意識を持って相撲を取りました」と、いつものように淡々と振り返る。
11日目を終えてトップ。
当然ながら賜杯も視界に入っているはずだが「一番一番、しっかり取りたいと思います」と高ぶりも見られない。
この取組を見た八角理事長は「おっつけながら残る意識があったよね。あそこで投げとか苦し紛れにいかないから残れる。よく、最初に寄られたときに引き落としとか投げにいかずに我慢したよね」と一つのことに徹する強さを評価した。
12日目、若隆景に寄り切られ、3敗に後退した琴ノ若は「相手どうこうより自分の問題。攻めきれなかった」と反省した。
立ち合いから若隆景の両足が俵につくまで押し込んだが、痛い連敗。
13日目は11日目の貴景勝戦に続く今場所2度目の結びの一番で大関・正代に挑む。
「切り替えて、前へ出る相撲を取れたら」と前向きに話した。
前日の初黒星の影響はみじんも感じさせなかった。
結びで新大関の御嶽海を圧倒。
1敗を堅持した高安は柔らかい表情で「きょうも気楽に、のびのびやろうと思っていた」。
賜杯争いの中にいる緊迫感が、不思議と伝わってこなかった。
立ち合いで浅く左上手をつかみ、「いいところが取れてペースを握れた」。
胸を合わせると御嶽海の動きが止まる。
慌てず右前まわしも引き、相手の巻き替えに乗じて寄り切った。
優勝戦線に絡むのは1年ぶり。
昨年の春場所は12日目まで単独トップを守ったが、硬さが出て翌日から3連敗を喫した。
何度も味わった苦い経験から学んだのは、「切羽詰まってやってもいい結果は出ない」ということ。
この日の相撲ぶりからは、精神面での進歩が垣間見えた。
2敗力士が消え、若隆景と一騎打ちの様相を呈してきた。
「持てる力を土俵で発揮して、それで負ければ弱いということ。精いっぱい取って後は結果がついてくる」。
経験豊富の元大関。
最後まで肩の力さえ抜ければ、初優勝が見えてくる。
2022/03/24
正代は立ち合いでしっかり当たって宝富士の動きを止めると、タイミング良く突き落とした。
5連勝で白星を先行させ、「気持ちにも余裕が出てくる」と一息ついた。
大関かど番の今場所は初日から4連敗。
「だいぶ苦しい展開だった」と振り返る。
それでも5日目に初日を出してから、「ちょっと変わってきたのかな」。
12日目は貴景勝と大関同士の一番。
苦しい状況は変わらないが、「いい流れが来ているので。止めないようにできたらいい」と前向きだった。
11日目、貴景勝は立ち合いで琴ノ若にいなされたが、すぐに体勢を立て直して反撃。
左から突き落として土俵にはわせた。
正面から当たってこなかった埼玉栄高の後輩に思うところがあったのか、取組後は眉間にしわを寄せた。
けがによる休場明けの今場所、2日目から連敗を喫した。
相撲勘を心配されたが、持ち前の気持ちの強さで徐々に復調。
かど番脱出を決め、無言で引き揚げた。
11日目、前日10日目に2敗目を喫した新大関の御嶽海が、気落ちすることなく9勝目を挙げた。
全勝の高安に土がついたため、再びトップに1差と射程圏に入って残り4日の土俵に臨む。
突き押しの阿炎の、強烈なアゴ付近への突きにもアゴを上げず、したからあてがいながら対応。
距離を開けず突きの腕を伸ばさせず、逆におっつけながらの攻めで圧力をかけ、上体が上ずった阿炎を引き落とした。
1つ負けると、それが尾を引きガタガタと崩れるのが三役常連だった頃の御嶽海で、日本相撲協会の八角理事長も、そのたびに「明日が大事」と連敗しないことを求めていた。
11日目、白星を並べてきた好調の実力者にもひるまなかった。
若隆景は、突き放そうとする高安の脇が空いたところを逃さず、おっつけて食らいついた。
双差しになると、約50キロの体重差をものともせずに前に出て決着をつけた。
「下からよく攻められた」と若隆景。
土俵下で見届けた高田川審判長も「下からおっつけて、いい相撲ですね」と評価した。
11日目、貴景勝に挑んだ琴ノ若は、土俵際で突き落としに遭い、2敗と一歩後退した。
立ち合いでやや右へとずれて大関の意表を突き、一気に巨体を生かして押していった。
ただ、その作戦も実らず、最後に逆転される形となり「思い切りなんでもやろうと気持ちだけは負けないようにいきました。最後の部分、もっときっちりいければ良かった」と振り返った。
11日目、高安についに土がついた。
若隆景にもろ差しを許し、抵抗するも及ばず。
初日からの連勝は10で止まり、若隆景と1敗で並走となった。
取組後はオンライン取材に応じず。
悲願の初優勝に向けて2連敗は避けたい中、12日目は直近の対戦では2連敗中の新大関御嶽海と対戦する。
左肩の負傷により、大相撲春場所7日目から休場した西前頭13枚目の千代の国が12日目の24日から再出場することが23日、決まった。
栃ノ心はくせ者の照強に潜り込まれたが、肩越しにまわしをつかみ、力ずくでつり出した。
豪快な相撲で8場所ぶりに給金を直し、「長かった。よかった」と胸をなで下ろした。
怪力自慢の元大関も、けがなどがあって幕尻近くまで番付を落としている。
それでも、「気持ちは折れていない。まだまだやれる。頑張れる」。
34歳は言葉に力を込めた。
2022/03/23
10日目、相撲巧者のしぶとい相手を攻め続け、星を五分にした。
序盤は元気のなかったカド番大関の正代が、力強さを取り戻してきた。
ともに学生相撲出身で1学年上の遠藤に対し、立ち合いで左を差して組み止めた。
押されながらも右をねじ込むと、今度は一気に前に出て、最後は力強く押し出した。
「攻めが早かったから良かった」と手応え十分の内容だった。
1936年5月場所。
優勝を飾ったのは69連勝へ向けて歩み始めていた新関脇の双葉山だった。
同じく新関脇若隆景の行く先にも同じ光景が見えてきた。
双葉山以来、86年ぶりとなる新関脇優勝。
歴史的な快挙に向け、若隆景は前へ前へ。
10日目、阿炎を寄り切り1敗を守った。
「下からの意識で取れたと思います。自分の相撲に集中してます」。
相撲内容も、日々の言葉も全くぶれることがない。
祖父は元小結若葉山。
今場所は番付を抜き「一つの目標だったのでうれしい」と祖父へのいい報告ができた。
その祖父は、双葉山の弟子として教えを受けた。
双葉山は41年5月に師匠と横綱の二枚鑑札として「双葉山道場」を開設。
若葉山はその「双葉山道場」から42年1月場所に初土俵を踏んだ。
双葉山以来の記録的な優勝を成し遂げられれば、それこそ何よりの恩返しとなる。
10日目、春場所4日目から休場していた西前頭5枚目の石浦が再出場する。
日本相撲協会は22日、11日目の取組を発表し、石浦と西前頭7枚目隠岐の海との対戦が組まれた。
石浦は4日目の16日、日本相撲協会に「頸椎(けいつい)症性神経根症の増悪により2週間程度の安静加療を要する」との診断書を提出して休場した。
2敗目を喫した3日目の琴ノ若戦で土俵下に転落し、しばらく動けない場面があるなど状態が心配されていた。
10日目の時点で1勝3敗6休。
残り5日間で来場所の幕内残留を懸ける。
10日目、西前頭6枚目の琴ノ若は大栄翔の突き押しに押し込まれたが、うまくはたき込んで1敗をキープした。
前に押し込みたかったそうだが「自分の空間で勝負できたので、最後はああなったと思います」とうなずいた。
先場所に続いて優勝争いに絡む24歳。
11日目は結びで大関貴景勝に挑むが「気持ちは変わらず、自分の相撲を取りきるだけです」と静かに闘志を燃やした。
10日目、東前頭7枚目高安が、小結豊昇龍を寄り切りで下し、初日からの連勝を10に伸ばした。
くせ者の相手にもろ差しを許したが振りほどき、次は頭を胸に着けられて粘られた。
攻め手に欠いたが我慢。
次は半身になられて小手投げや首投げを試みられたが、それも耐えてしのぐと力が抜けた豊昇龍を寄り切った。
平幕の初日からの10連勝は10年名古屋場所の豊真将以来で、単独首位をキープした。
悲願の初優勝が近づき「千秋楽まで優勝争いを意識していきたい」とはっきりと口にした。
2022/03/22
9日目、大関かど番の正代は豊昇龍に初めて勝って3連勝。
右上手を与えて攻め込まれたが、圧力をかけて体を寄せた。
過去4戦全敗だった新小結から何とか白星をもぎ取り、「落ち着いて取れた。素直にうれしい」と表情を緩ませた。
かど番脱出まではあと4勝。
「いい流れが来るんじゃないかなとは思っている」。
負けが込み、重苦しかった雰囲気も和らいできた。
9日目、照ノ富士をも沈めた玉鷲の強烈な突き押し。
大関御嶽海はしかも、一瞬立ち遅れたように見える。
押し込まれ、厳しい展開。
だが、巧みに下からあてがいながら、右手でまわしをつかんだ。
水を得た魚のように形勢逆転。
一気に前に出て寄り切った。
9日目の勝ち越し。
新大関としてプレッシャーのかかる場所で、5日目に霧馬山に不覚を取っただけで安定した相撲が続いている。
ただ、今場所初めて応じたリモート取材では「あと2つ勝たないと、大関の勝ち越しじゃないので」と口元を引き締めた。
9日目、新関脇の若隆景が自己最速の9日目での勝ち越しを決めた。
体重で76キロも上回る逸ノ城に抱え込まれ膠着(こうちゃく)状態が続いたが、粘り強くもろ差しになると渾身(こんしん)の寄り。
「我慢して下から、下からという意識。体が小さいんで、しっかり下からという意識を持ってやっています。よく我慢できたかなと思います」。
優勝争いも注目。
八角理事長は「自信がつくのでは。ぎりぎりの勝ち越しではないから。この場所まだあるから」と話した。
9日目、西前頭4枚目の遠藤が、大関貴景勝を寄り倒し、6勝目をあげた。
突き放しにくる大関に対し、右を差して引いたところを一気に出た。
「しっかり集中できてよかったです」と振り返り、ここまでの相撲を「すごくいいわけではないが、相撲がとれている感じです」と話した。
3年ぶりに有観客での大阪場所。
「声援が力になっています」と言った。
9日目、翔猿が捨て身で打ってきた土俵際の下手投げにも冷静に反応した。
琴ノ若はすぐさま小手投げを打ち返し、棒立ちとなった翔猿を続けざまに押し出した。
2人の2敗力士に土がつき、優勝争いが絞られてくる中で琴ノ若は1敗を死守。
伸び盛りを証明するかのように、昨年の名古屋場所の10日目を上回り、自己最速となる9日目での勝ち越しを決めてみせた。
「どんどん前へ攻める相撲を心がけてきて、少しずつ出てきている」
昨年の秋場所はけがで途中休場。
番付を下げていったが、今年の初場所は、千秋楽の取組に勝てばともえ戦出場という大活躍で11勝。
まだ9日目だが、2場所連続で目が離せない存在となっている。
9日目、大関経験者の東前頭7枚目・高安が碧山との激しい攻防を制して初日から負けなしの9連勝を飾った。
重い相手に押し込まれたが、粘って冷静に対処。最後は押し出した。
高安がただ1人勝ちっぱなし。
連勝を「9」に伸ばした。
重量級の碧山が蹴返しをみせるなど必死の抵抗を耐えしのぎ、最後は押し出した。
「全体的に前に攻めた相撲だった」と振り返りつつ、「余計なはたきもあったが、もうやらないようにします、次から」と反省も。
悲願の初優勝に前進も「こういうシーンは今までもあった。いろんな経験があっての今場所。気を引き締めていく」と言った。
4月26日に65歳で日本相撲協会の定年を迎える尾車親方(元大関・琴風)が21日、オンラインで記者会見した。
14歳で佐渡ケ嶽部屋に入門してからの51年間を振り返り、「思い返せば本当にいろいろなことがあった。苦しいことも、つらかったことも、終わってみると、いい思い出」と心境を語った。
2022/03/21
8日目、遅ればせながら、かど番大関の正代にエンジンがかかってきた。
霧馬山を寄り切り3勝目。
今場所初の連勝に「負けている時よりは精神的に安定していると思う」と一時のスランプからは脱しつつあるようだ。
8日目、同じ25歳。
小さい頃からよく知る相手だけに、貴景勝の立ち合いに迷いはなかった。
頭から阿武咲にぶつかると、乾いた音が館内に響き渡る。
土俵下で見た高田川審判長が「強い当たりだった」とうなった。
下から圧力をかけて上体を起こすと、左から狙い澄ましたような突き落とし。
横綱不在の結びを締め、白星が五つ並んだ。
自身5度目の大関かど番。
首には古傷を抱え、先場所は序盤戦で右足首を痛めて途中休場した。
このところ、けがが目立つようになり、成績は浮き沈みを繰り返している。
8日目、新大関・御嶽海が会心の相撲で1敗を守った。
新小結・豊昇龍に頭から当たると、何もさせずに一気に押し倒した。
会心の内容で、新大関での勝ち越しに王手。
取組後のリモート取材にはこの日も応じなかった。
八角理事長は「立ち合いの踏み込みが良かった。立ち合いがいいから豊昇龍が何もできなかった。この立ち合いを15日間やることが(今後の)課題でしょう。関脇だったら一つぐらい負けてもいいと思っていたかもしれない。大関(という地位が)がいい方向にいっている。大関だからいい緊張感でいって、いい方向に出ている。集中もしている。大関というのがいいような気がしますね」と話していた。
8日目、新関脇・若隆景が、業師の西前頭筆頭・宇良を終始、攻め立てて完勝した。
低く鋭い立ち合いから先手を取ると、最後は左押っつけで体を起こし、差した右かいなも返して寄り切った。
「(相手を)正面に置いて、下から(攻める)という意識だった」と振り返った。
新関脇で1敗と好調。
「体は動いていると思う」と話した。
八角理事長は「非常にいい。左からの絞りが良かった。下から下からの正攻法がいいですよ。今後、上位と対戦してもいい内容、おもしろい相撲になると思いますよ。立ち合い負けしないこと。今場所も今後もそれができればもっと上の番付にいける」と期待をかけていた。
8日目、西前頭6枚目・琴ノ若が、相撲巧者で同4枚目の遠藤を馬力で圧倒した。
右を差して前進すると、相手の巻き替えに乗じて押し出した。
琴ノ若は「相手は相撲がうまいので、思い切って何でもやろうと思っていた。最後の最後まで先に攻めることができたと思う」と、うなずいた。
24歳の若武者は先場所、千秋楽まで堂々の優勝争い。
今場所も1敗と好調を維持している。
「星数関係なく攻める気持ちを忘れずに、残りも一番一番頑張っていければ」と気合を入れ直した。
八角理事長は「前に出ようとする意識がある。それをやっていったら力は付いていきますよ。いい体を持っているんだから、使わないのはもったいない。あの(体の)大きさで前に出られると、押し返すのは厳しい」と、評価していた。
8日目、東前頭7枚目の高安の快進撃が止まらない。
攻めの速い相撲へとモデルチェンジした元大関の実力者が、2017年春場所以来の初日から8連勝。
「先に先に先手を取って攻めることができました。全体的に前に出てますから」。
大関時代と同じ183キロまで戻した体を生かして前に出る。
5年前の春場所は兄弟子で新横綱の稀勢の里についていき、2人でトップを並走した。
「部屋の横綱とずっと連勝してたこと覚えてます」。
今場所は単独トップで、悲願の初優勝へ向かって折り返した。
左四つ、押しでも取れる高安だが、大きく変えたのは立ち合い。
師匠の田子ノ浦親方は「今までだったら左を差す立ち合いだった。今は右の上手から攻めている」。
立ち合いの左差し狙いが相手に読まれ、「分かっている相手におっつけられて、体が浮いたりしていた。体も左に流れて、当たりの力を相手に与えられていなかった」と師匠。
立ち合いで右から攻めることで真っすぐ相手に圧力をかけ、速い相撲につながっている。
2022/03/20
7日目、結びの一番に臨んだ、かど番大関の正代が、明生の攻めを何とかしのぎ、すくい投げで破り2勝目を挙げた。
左四つに組みながら、明生の圧力に後退。何とかしのぎ、なおも足をかけられながら寄られたが、体を開いての投げで白星をもぎ取った。
かど番脱出に、依然として苦しい状況に変わりはないが、日本相撲協会の八角理事長は「結びの一番だから、これぐらいの気持ちで取ってほしい」と、この日は闘志が相撲に表れていたことを読み取った。
その上で「大阪のファンだけでなく、地元(出身地の熊本)のファンも応援している。
このまま、あきらめずに頑張ってほしい」と今後の巻き返しに期待していた。
7日目、大関貴景勝が、連日の横綱、大関撃破で勢いに乗る玉鷲を下し、かど番脱出まであと3勝とした。
低く激しくぶつかり、突き押し自慢の相手を一気に土俵外へ押し出した。
3日目に2連敗を喫するも、4日目から立て直して4連勝。
集中するかのように、取組後はオンライン取材に応じずに会場を後にした。
7日目、新大関の御嶽海は阿武咲を引き落として6勝目。
7日目、大栄翔の重い突きをはね上げながら、その時を待った。
一瞬の隙を突いて左からいなし、若隆景が体勢を逆転。
大栄翔を半身にさせ、深く差した両腕で抱え上げながら前へ。
2007年秋場所で安馬が新入幕の豪栄道に決めて以来、幕内では15年ぶり4度目となる「送りつり落とし」の大技を決めてみせた。
若隆景が中学1年生だった15年前に出たその大技は「(見たことは)あります」と記憶にはあった。
ただ「いつも通り下から下からという意識です。
一生懸命取っただけです」と自分の相撲に徹した結果が、新関脇で7日目を終えて1敗キープという好成績につながっている。
7日目、阿炎の気力が充実している。
不祥事もあって遠ざかった三役の地位に、約2年ぶりに新関脇として復帰。
勢いに乗って小結に昇進した時とは「気持ちの部分で違うようにしないといけない」。
そう心に決めて臨んだ大阪の土俵で、高い集中力を保っている。
宇良との一番は、立ち合いがやや合わなかった。
攻め切れず、潜り込まれたものの、冷静だった。
上手投げで相手をはわせ、連敗はせずに5勝目。
「集中していたので対応できた」。納得の表情を浮かべた。
7日目、24歳の琴ノ若の勢いが止まらない。
照ノ富士の休場で横綱不在となった土俵を、けれん味のない相撲でもり立てている。
立ち合いで当たって懐に入ろうとした佐田の海を右からいなし、後ろを向かせて危なげなく送り出した。
34歳の相撲巧者の差し手を封じ「体が動いてくれた」と琴ノ若。
反応の良さが好調さを物語る。
土俵下の錦戸審判長も「粗削りだけど、元気がいい」と評価した。
7日目、高安が北勝富士を退け、大関だった2018年秋場所以来となる初日からの7連勝。
「前に出られたのでよかった。こっちから押し込んでいく流れができている」とうなずいた。
無傷の勝ち越しが懸かる8日目は2敗の若元春との対戦。
好調な相手と初の顔合わせにも「自信がついているし、気力十分でできている。千秋楽まで盛り上げられたら」と自信をのぞかせた。
7日目、西前頭13枚目・千代の国が大相撲春場所7日目の19日、日本相撲協会に「左三角筋筋損傷につき、2週間の安静加療を要する見込み」などの診断書を提出して休場した。
今場所は6日目を終え、4勝2敗だった。
6日目の荒篤山との一番で受傷。
はたき込みで敗れた際には、左肩を押さえるそぶりをしていた。
7日目の対戦相手、平幕・照強は不戦勝。
今場所の関取の休場は平幕・石浦、横綱・照ノ富士に続いて3人目となった。
2022/03/19
6日目、一人横綱の照ノ富士が横綱昇進後で初となる休場となった。
古傷であるヒザに続き、先場所に痛めた右カカトの負傷を抱えながら土俵に立ち続け、普段は痛みを表に出さない男にとっては無念のリタイア。
だが、今後も活躍を続けるためには英断だったという。
照ノ富士が「右踵骨骨挫傷、左変形性膝関節症」で、2020年秋場所以来となる12度目、横綱昇進後で初の戦線離脱となった。
師匠の伊勢ヶ浜親方(元横綱旭富士)は「本人からの申し出。(普段は)自分から言ってくる子じゃない。あの状態で普通に相撲を取っているのが(普通じゃない)」と明かした。
6日目、かど番の大関正代(30=時津風)が、痛い5敗目を喫した。
5日目に横綱照ノ富士から金星を挙げた玉鷲に、立ち合いから一気に突き出される電車道の相撲を取られた。
1勝5敗。
勝ち越しに向けて苦しい状況となった。
「左が入ったように感じたけど、持って行かれた。立ち合い自体は当たれたような気がするんですけどね。密着できなかった。相手の手を伸ばさせてしまった」と悔やんだ。
6日目、新大関が場所の主役を託された。
御嶽海が明生を気迫に満ちた攻めの相撲で寄り切り、連敗を回避。
照ノ富士の休場で横綱不在となった場所で、大関陣でただ一人1敗を守り、場所を引っ張っていく。
その主役は、この日もオンライン取材には姿を現さなかった。
初日から6日連続で無言を貫いているが、場所前は対照的に冗舌だった。
初場所後に新型コロナウイルスに感染。
回復後は基礎運動に重点を置いて汗を流してきた。
不安視する声に対しても「不安はそんなにないですかね。どうにかなります。どうにかさせます」と話していた。
6日目、新関脇の若隆景が小結隆の勝を引き落とし、1敗を堅持。
動きの激しい一番を制し「体は動いているのかなと思う」とうなずいた。
場所の前半は苦戦することが多く、6日目を終えて1敗は幕内12場所目で初めて。
「(優勝争いの意識は)全くない。自分の相撲に集中するだけ」と言うが、得意の後半戦へ向け楽しみな存在になってきている。
6日目、新小結の豊昇龍は阿炎に逆転勝ちし、星をまた五分に戻した。
2連敗スタートから徐々に盛り返しているが、「あまり気にしてはいない。これからが大事」と冷静だった。
持ち味の反応の良さと、足腰の強さには磨きがかかっている。
阿炎に押し込まれながらも、上体を反らせてしのぎ、左はずから一気に押し出し。
「体の動きは悪くないし、あしたから一日一番、大事にしていきたい」と言い切った。
6日目、玉鷲がまた上位陣を破った。
大関正代に何もさせずに突き出し、「自分のスタイルで勝てて、本当によかった」。
5日目に照ノ富士から奪った金星に続く大暴れに胸を張った。
白星の要因を問われると、「自分の相撲を信じて前に出た」ときっぱり。
37歳にしてなお、突き押し相撲一本で上位陣と渡り合える自負がある。
「強い人と当たるほどわくわくする」。
馬力あふれるベテランは、ますます元気だ。
6日目、西前頭6枚目の琴ノ若がしぶとい千代翔馬を上手投げで破り、1敗を守った。
11勝を挙げ2度目の敢闘賞を受賞した先場所の勢いを持続させ、全勝の高安を1差で追う。
立ち合いの張り手がきかず、相手に左を差されると土俵際まで運ばれた。
ここをしのぐと持ち直し、足技もかわす。
少し間を置くと、上手を握った右手で相手をかぶせるように土俵へ投げつけた。
「内容は良いとはいえなかったが、我慢して辛抱して取り切れたと思う。相手の技、足技に対応できるように、瞬時に切り替えられたのは良かった。少しずつ良い相撲を取れてきていると思う」
6日目、東前頭7枚目の高安は志摩ノ海を一蹴して初日から6連勝とした。
立ち合いから一気の出足で押し出し「足を止めないで、いい攻めができたと思う。(全勝は)やっぱり気持ちいい」と納得顔。
今場所は速い攻めが目につく元大関のベテランは「昨年はよく長い相撲を取っていたが、体力という面では後半に響く。厳しく、速く攻めることを心掛けて稽古をしてきた」という。
省エネ効果を後半の優勝争いで発揮したい。
2022/03/18
5日目、かど番で初日から4連敗を喫していた正代が、ようやく初白星を手にした。
阿武咲の押しをしのぎ、つかまえてから上手投げ。
「とりあえずホッとしてます」と素直に語った。
場所前に新型コロナウイルスに感染し、稽古、調整不足は明らか。
取組後は今場所初めてオンライン取材に応じたが、まだ声がかすれ、せき込む場面もあった。
この白星で流れを変えたい。「初日が出たんでこの調子でいけたら」と立て直しを誓った。
5日目、新大関の御嶽海に土がついた。
東前頭4枚目の霧馬山に浅い位置で上手を許し、頭をつけられると上体が起き上がってしまった。
抵抗するもまわしは最後まで切ることができず、外四つの寄りに屈してしまった。
2場所連続4度目の優勝に向けて、前半5日間を1敗で終えた。
取組後のリモート取材にはこの日も現れず、闘志を内に秘めて中盤戦に突入する。
5日目、16日夜に大きな地震に見舞われた福島県出身の新関脇若隆景が、新小結豊昇龍を寄り切って4勝目。
3兄弟の平幕若元春、幕下若隆元もそろって白星を挙げた。
みなぎる気合を土俵で存分に発揮した。
16日夜、地元の福島が地震に見舞われた大波3兄弟≠ェそろって白星。
末弟で番付最上位の若隆景は、短い言葉に思いを込めた。
「(地元へは)そうですね…明日から頑張ります」。
立ち合い、低く当たってから豊昇龍を右のはず押し、左でおっつけながら土俵際まで押し込んだ。
最後は右を差してから体を預けるように寄り切り。
5秒4の会心の相撲を「いつも通りです。自分の相撲に集中して」と静かに振り返った。
5日目、西前頭2枚目・玉鷲が、横綱・照ノ富士から2場所連続の金星を獲得した。
第一人者を押し倒しで圧倒。
37歳4か月での金星は昭和以降の新入幕力士では5番目の年長記録となった。
今の高安には、心身ともに充実ぶりが見て取れる。
ただ一人、白星を五つ並べて「やっと、しっくりきている」。
腰痛など度重なるけがに苦しんできた元大関の声は明るい。
気迫十分の突き押しで、腰が重い宝富士の上体を起こした。
左を差した相手の反撃にも、ぐっとこらえて右からの突き落とし。
「攻め切れなかったが、体が動いた」。
今場所は足腰に持ち前の粘り強さがある。
師匠らが新型コロナウイルスに感染したため、先場所は田子ノ浦部屋の全力士が休場した。
その間、自身は下半身強化に時間を割き、「自分の体を見詰め直すいい機会になった」という。
昨年8月に独立した元横綱稀勢の里との三番稽古はできなくなったものの、その兄弟子から教わった理論的なトレーニング法は今も役立っている。
初日からの5連勝は、大関だった2018年秋場所以来。
苦手意識があったという序盤戦を上々の結果で乗り切り、「内容がいい。引き続き厳しい攻めをしたい」。
復活を期す32歳が「荒れる春場所」で存在感を示している。
13日に大阪市浪速区のエディオンアリーナ大阪で開幕した大相撲春場所で「モデルナ製」懸賞旗が登場し、土俵を彩っている。
新型コロナウイルスワクチンを供給する米モデルナ社の日本法人は「将来への不安が増している若い人々への応援の気持ちを込めて」と27日の千秋楽まで新関脇の阿炎、平幕の宇良、琴ノ若の取組に懸賞を出す。
懸賞旗は対象となる力士の取組前に呼び出しが持って土俵周りを1周するため、来場者の注目を集める。
場内放送で名前が読み上げられ、取組表への記載もある。
話題性も含めて接種を広くアピールしたい狙いもあるとみられる。
2022/03/17
4日目、照ノ富士は2大関撃破と好調な逸ノ城を寄せ付けず3勝目。
あっさりと右を差すと一気に巨体を運ぶ万全の攻めに「体がよく反応してくれた」とうなずいた。
2日目に早々と土がつき、3日目の宇良戦は軍配差し違えで冷や汗の勝利。
不安を抱かせたものの、この日は横綱相撲を披露した。
三役以上では御嶽海が唯一の全勝をキープ。
横綱も「最後までこっちも頑張っていきたい」と意欲十分に話した。
4日目、3年ぶりに観客の熱気があふれる大阪で、大関かど番の正代には春風が吹かない。
この日も白星を挙げられず、初日からずるずる4連敗。
早くも窮地に立たされた。
宇良に左腕をたぐられると上体が伸び、立て直す余裕はない。
後ろに付かれてあっさり土俵を割った。
4日目、貴景勝に一筋の光が見えた。
立ち合いは頭で当たって突き放して突っ張った。
再び頭で当たって突き放す一連の動き。
これが貴景勝のリズム、真骨頂だ。
最後は右からの強烈なおっつけで好調な大栄翔の体を横向きにさせた。
自分らしさを取り戻し、本来の相撲で白星を積み重ねた。
4日目、新大関御嶽海が初日から好調を維持して4連勝。
隆の勝の圧力を受けて引いてしまい土俵際に追い込まれたが、俵に沿って右へ足を運びながら形勢逆転のはたき込み。
肝を冷やしたが、何とか体を残して無敗を守った。
場所前には「今まで目標にしていた2桁(勝利)というのは変わらない。相手よりも自分の相撲を意識したい」と語っていた。
4日続けて取組後のオンライン取材には姿を見せなかったが、一喜一憂することなく目の前の一番に集中する。
4日目、新関脇の阿炎が3連勝と調子を上げてきた。
明生を立ち合いから突き放せず、ふところに潜られたが、右から抱え込んで小手投げ。
「体が動いて、調子がいいのかなと思う」と振り返った。
右手による突きが相手にヒットせず、逆に差されてしまうピンチにも素早く対応できたことに手応えを示した。
2場所連続12勝と終盤まで優勝争いに加わった次の大関候補が、存在感を発揮し始めた。
やはりこの人の相撲は見る者を引きつける。
地元の大阪府寝屋川市出身の宇良が業師の本領を発揮し4日目にして初日を出した。
立ち合いでやや左に動くと、おっつけた右手でうまく正代の左腕をたぐり、横を向かせて勝負あり。
不調の大関に何もさせずに送り出した。
「とにかく自分の相撲を取れるように頑張った」と振り返った。
4日目、3日目の琴ノ若戦に敗れ2敗目を喫した際に土俵下でしばらくうずくまって立ち上がれなかった西前頭5枚目の石浦が日本相撲協会に「頸椎症性神経根症の増悪で2週間程度の安静加療を要する」との診断書を提出し休場した。
前日、土俵下で苦悶の表情を浮かべしばらく動くことができなかったが、その後自力で引き揚げていた。
16日も医師の診断を受けた結果「頸椎症性神経根症の増悪」で2週間程度の安静が必要と診断された。
宮城野親方は再出場について「状況を見てみないと分からない」とした。
石浦の休場は4度目。
宮城野部屋で新型コロナウイルス感染者が出た昨年秋場所以来となった。
今場所の十両以上の力士の休場は初。
4日目、ともに初日から3連勝と好調同士の一番は、元大関の高安が新鋭の琴ノ若を上手投げで破り、初日から4連勝。
良い思い出が多い3年ぶりの大阪で順調に白星を重ねている。
高安にとっては新年幕開けの場所。
2月に32歳となった元大関だが、土俵に上がる喜びにあふれているように見える。
成長著しい琴ノ若と押し合う。相手が得意の右四つになるが、ここからが力強かった。「下から攻めることができて、そこからの右四つだったんで形は良かった」。
不利と思われた中で、若手のホープを上手投げで土俵に沈めた。
「ポテンシャルの高い力士ですから。そこはしっかり集中して、厳しい相撲を取りました」。
気分はいい。
初日から4連勝。御嶽海と並んでトップをいく。
2022/03/16
3日目、照ノ富士が際どい一番を制した。
機敏に回り込もうとする宇良を追い詰めたところで、勢い余って右足が土俵外へ。
軍配を受けた宇良のかかとが先に出ており、辛くも行司差し違えで白星を拾った。
「余裕はあった。(宇良の)上に倒れてもいいぐらいの状態だったが、ちょっと優しさで」と振り返った。
新型コロナウイルスの感染もあり、調整面で不安があった今場所。
2日目は大栄翔に金星を与えていたが、「過ぎたこと。その日の一番に集中して、落ち着いて取れている」と強気の姿勢だった。
3日目、正代は206キロの巨漢・逸ノ城を相手に踏み込めず、右四つになった。
上手も許し胸が合うと、力なく寄り切られた。
過去4勝11敗と合口の悪い難敵を攻略できず、初日から3連敗となった。
八角理事長は、「逸ノ城を相手に止まってはダメ。左を巻きかえるとか何とかしたかった」と分析。
3日目、過去3戦全勝の豊昇龍に右差しを許しながらも構わず一気に出たが、土俵際に落とし穴。
その右からすくわれ、物言いがつくも軍配通りで2連敗となった。
八角理事長は、「密着したくなかった。押せたからそのまま行け、という感じだった。左を差した後、一回冷静になるべきだった」と指摘した。
3日目、西大関・御嶽海は東前頭筆頭・大栄翔を突き落としで下し、3連勝を飾った。
4日目の16日は東小結・隆の勝と対戦する。
御嶽海は大栄翔の出足に後退させられながらも、動じることなく白星を重ねた。
のど輪にのけ反ったが踏みとどまり、最後は右から突き落とした。
隆の勝は1勝2敗。
御嶽海は過去6場所で5回顔を合わせ、対戦のなかった先場所まで4場所続けて押し出しで勝っている。
3日目、新関脇で3連勝と上々のスタート。
しかも相撲内容が抜群にいい。
その若隆景が取組後に話す言葉は、判を押したように「下からよく攻められたかなと思う」。
声を弾ませることもなく、うれしそうな表情も浮かべない。
阿武咲に快勝した2日目に続き、この日も前に出る力が際立った。
先場所まで4場所連続で三役を務めていた実力者の明生に、低く頭で当たると、さっともろ差し。
休まず相手の体を起こしながら寄り切り、「自分の攻めに集中した」。
会心の一番を短く振り返った。
3日目、逸ノ城が大関を連破した。
立ち合いで右を差し勝ち、正代が寄るタイミングで左上手をつかんだ。
後は1メートル90、206キロの体格にモノを言わせて寄り切り。
大関を圧倒する内容にも「相撲は特に変わっていません」と表情を変えない。
2019年春場所は終盤まで横綱・白鵬と優勝を争い、14勝1敗の好成績を収めた。
3年ぶりに観客が戻った大阪場所で、その再現を期待される。
「頑張ります」と短い言葉で決意を示した。
3日目、先場所11勝で優勝争いに絡んだ24歳の琴ノ若が3連勝と元気いっぱいだ。
過去4戦全敗と苦手の石浦をもろ差しからのつり寄りを生かして押し出し。
出足の迫力は増した感があり「いい相撲を取ることだけを心掛けて土俵に上がっている。
それがしっかりできてきた」と自信を漂わせた。
「相手はたくさんいるので恵まれた環境」と語るように、佐渡ケ嶽部屋では弟弟子で22歳の琴勝峰らと十分な稽古を積んできた。
「自分の持っているものを出すだけ。余計なことを考えず、前に出る相撲を心掛けたい」と迷いなく言った。
3日目、豊山は我慢強い相撲で3連勝と好調だ。
幕内で初日から土つかずは2019年九州場所以来。
「勢いで相撲を取っていない。以前の3連勝の時よりもいい」と自信をにじませた。
琴勝峰の突き、押しに土俵際まで後退したが、諦めない。
右差しで残すと、おっつけで逆襲。
さらに左差し、右はずで寄り切った。
内容の伴う結果に「悪くない。ただまだ3日目。ここから何が起こるか分からない」と気を引き締めた。
今場所も右肘のサポーターは欠かせないが、全体的なバランスは良いという。
「体も保ってくれているので、いけるところまでいきたい」と意気込んだ。
2022/03/15
2日目、新大関御嶽海が幕内宇良を一方的に押し出して快勝。
横綱大関陣の中で唯一の連勝スタートを切った。
その御嶽海は史上9人目となる新大関Vを目指す一方で、地元では特別な役割を期待されている。
それは長野県が長年にわたって抱えてきた相撲不毛の地≠フイメージを一新することだ。
新大関の御嶽海が業師の宇良を一方的に退けて連勝発進した。
普段は多弁な男が初日に続き取材に応じなかったのは、今場所にかける気合の表れか。
新大関Vなら2008年夏場所の白鵬以来?年ぶり。
過去に8人しか達成していない快挙へ向けて、好スタートを切った。
2日目、阿炎が新関脇で初白星をあげた。
ベテランの玉鷲を突き出す相撲に「番付は意識していないが、この白星をつなげていきたい」と言った。
幕内に復帰し、2場所連続で優勝争いに絡む12勝の好成績。
今場所も優勝候補にあげられるが、初日は黒星スタートとなった。
「体が動いている。初日は阿武咲関のおっつけに体が浮いてしまった。内容は悪くない」と前向きだ。
好調を自覚しているから慌てない。
大栄翔は立ち合いで横綱に押し込まれたが、右を伸ばして距離を取った。
タイミング良く体を開くと、左喉輪も使ってどんどん前へ。
「休まず攻められた。勝てて本当にうれしい」。実直な実力者が、少しだけ表情を緩めた。
金星は通算四つ目で、照ノ富士からは新横綱だった昨年の秋場所以来となった。
「胸を借りるつもりでやっている。自分でも勝てるのは不思議」。
敗れても熱戦に持ち込むことが多く、第一人者にとっては油断ならない相手となっている。
土俵下で見た高田川審判長は、「久しぶりに期待できそう」と今場所を予想。
初日の正代戦に続いて、上位を相手に本領を発揮している。
3日目には新大関御嶽海に挑むが、「あしたも気合を入れて自分の相撲を取りたい」と大栄翔。
その声にも力がみなぎっていた。
2022/03/14
初日、横綱・照ノ富士が新小結の豊昇龍を寄り切りで降し、白星発進した。
初の三役に昇進して勢いのある22歳の若手を難なく退けた。
照ノ富士は立ち合いからすぐに豊昇龍のまわしを取り、そのまま前へ出て寄り切った。
万全の内容に「落ち着いていられたと思う」と振り返った。
初日、3度目のカド番となった正代は幕内大栄翔に一方的に押し出されて早くも土がついた。
場所前には新型コロナウイルスに感染。
土俵下の錦戸審判長(元関脇水戸泉)は「稽古不足なんじゃないかな。体がふっくらして背中の肉が結構ついていた」と指摘。
2日目以降へ向けて、大きな不安を残した。
初日、先の初場所で右足のけがのため4日目から休場し、5度目のカド番を迎えた貴景勝は、幕内宇良を一方的に押し出して白星発進。
取組後は「いつもと変わらず、全力を出すことを考えていた。まだ始まったばかりなので何も考えず明日から頑張りたい。(体調は)大丈夫」と安堵の表情を見せた。
初日、御嶽海が白星スタートを決めた。
東前頭2枚目・逸ノ城を押し出して完勝。
過去8人の新大関優勝力士は全員が白星発進しており、2006年夏場所の白鵬以来の快挙へ向け第一関門を突破した。
御嶽海の本来の立ち合いではなかった。
当たりが弱く、右かち上げで前に出てきた逸ノ城に押されてしまった。
それでも上体が起きることがなかった。
余裕を持って下がり、右に回り込んで、右のおっつけから顎を引いて押し出した。
大関らしい相撲だった。
夢にまで見た大関という地位が御嶽海を変えたのかもしれない。
先場所までは「早く大関に上がりたい。勝ちたい」という気持ちが強すぎた。
背負っていた重い十字架がなくなったのだろう。
大関という“スイートルーム”に入り、責任さえも心地良く感じている相撲内容でもあった。
初日、大栄翔が過去10勝7敗と勝ち越していたかど番大関の正代に完勝した。
「久々の大阪場所で緊張したが、いい相撲がとれてよかった」。
立ち合いから突き放し、大関に相撲をとらせなかった。
「うれしいし自信になる」。
先場所は三役に復帰も7勝8敗と惜しくも負け越して陥落した。
「1場所で戻りたい」と意欲が通じた。
初日、東前頭10枚目の志摩ノ海が、土俵入りで締めた新しい化粧まわしが注目を集めた。
荒木飛呂彦作の人気連載漫画「ジョジョの奇妙な冒険」に登場する人気キャラクター「岸辺露伴」を描いた化粧まわしを着用。
アップで描かれた顔の両横には、名せりふの「だが断る」が配置された。
また、しこ名は同作品で使用される独特な文字をモチーフとして「シマノウミィイ〜ーッ」と書かれるなど、作品の世界観があふれる化粧まわしだった。
初日、豊山は千代の国を押し出し、2年ぶりに大阪で開催された春場所の初日を飾った。
大阪の後援会関係者が観戦に訪れていた中での白星。
新型コロナウイルス感染対策のため直接的な交流はできないが「目配せするだけでも違うと思うので。多くの方に来ていただいた」と感謝した。
2月上旬に新型コロナに感染し、稽古再開は中旬だった。
「不自由な生活が続いたが、それはしょうがない。体を動かしても問題はなかった」と言うように、影響は少なかったという。
2場所連続で負け越し、西前頭14枚目に甘んじる。
「ずるずると来ている。欲を出して上を目指したい」と意気込んだ。
初日、大阪の本場所で観客を入れるのは3年ぶり。
観客の上限は定員の約75%に当たる約5600人に定められ、初日は約5000人が来場した。
八角理事長は初日恒例の協会あいさつで「3年ぶりに大阪でお客さまをお迎えして本場所を開催できますことは、協会員一同、喜びに堪えません」と述べ、館内のファンも割れんばかりの拍手で歓迎した。
2022/03/13
先の初場所で13場所ぶり3度目Vを果たし、悲願の大関昇進も決め、地元・長野を熱狂させた。
それに後押しされるかのように県は先月、御嶽海に県民栄誉賞を贈呈することを発表した。
県の公式サイトでは「個人又は団体で、広く県民に敬愛され、県の名を高めるとともに、県民に明るい希望を与えることに特に顕著な功績があった方を表彰」と説明され、いわば県で最も栄誉ある賞。
これまで指揮者の小澤征爾、2018年の平昌五輪で金メダルを獲得したスピードスケートの小平奈緒(相沢病院)、菊池彩花、高木菜那(日本電産サンキョー)が受賞している。
12日、小結隆の勝が報道陣の電話取材に応じた。
隆の勝は先場所、7勝8敗と負け越し、今場所は三役在位6場所目ながら初の小結で迎える。
「目標は2桁」と明確に掲げているが、ライバル意識がさらにモチベーションを与えてくれている。
今場所は4人の三役のうち、隆の勝を含めた3人が1994年生まれの同学年。
今場所で若隆景と阿炎に出世レースで追い抜かれ「気持ち的には本当に悔しいですし、ぼくも負けられないなという気持ちになる。本当に倒してやろうという気持ちもあります。(同世代の中で)番付が一番上にいたいという気持ちはあります」と闘志を表に出した。
場所前は新型コロナウイルスに感染し、高熱と味覚、嗅覚障害に苦しめられた。
10日間ほど隔離生活を強いられたが、かど番の大関貴景勝と稽古も積めた。
大関争いにも「(同世代でも)当然、はい、一番先に上がりたいと思います」と決意を語っていた。
2年ぶりの大阪開催となる大相撲春場所は13日にエディオンアリーナ大阪で初日を迎える。
前日の12日は恒例の土俵祭りが行われ、日本相撲協会の八角理事長(元横綱・北勝海)、審判部の親方らが出席。
15日間の安全を祈願した。
新型コロナウイルスの影響で2年前は初の無観客開催だったため、有観客の大阪開催は3年ぶりとなる。
観客の上限は定員の約75%の約5600人。
春場所の高島担当部長(元関脇・高望山)は「お客さんの安心、安全を15日間しっかりやっていきたいと思います」と気を引き締めていた。
2022/03/12
11日、取組編成会議を開き、初日と2日目の取組を決めた。
2場所ぶりの優勝を目指す一人横綱の照ノ富士(伊勢ケ浜)は、初日に新小結豊昇龍(立浪)、2日目に大栄翔(追手風)の挑戦を受ける。
照ノ富士がぶっつけ本番でV奪回に挑む。
取組編成会議後に電話取材に応じた伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)は、弟子である横綱について「そう(ぶっつけに)なりますよね」と本調子ではないことを明かした。
2月4日に新型コロナウイルス感染が判明。
熱はあまり出ず、喉の痛みが主症状だったが、部屋の関取衆も照強以外の全員が感染。
調整は大きく遅れた。
伊勢ケ浜部長は「10日間、何もしていないので、そこはちょっと厳しい。1日稽古を休んだら3日遅れる。稽古できる状態に戻った感じ。稽古してますよ。でも、足りないということ」と説明した。
それでも、優勝争いは横綱の責務だ。
幸い初場所の終盤に痛めた右かかとは完治。
「場所中にでもしっかり稽古して、どこまで良くなるか」とポイントを挙げると「相撲だけはやってみないとわからないので。休んでいたとはいえ、今までの稽古の貯金もある」と底力に期待した。
11日、大相撲春場所の取組編成会議を開き、2日目までの取組を決めた。
新大関御嶽海(29)は初日に逸ノ城(28)、2日目に宇良(29)との対戦が組まれた。
15日間の懸賞申込総本数は1610本で、力士指定では御嶽海が最多だったことが判明。
2年ぶりの大阪開催で、新大関に主役の期待が懸かる。
新型コロナウイルスの影響で、昨年の春場所は東京開催。
2年ぶりとなる大阪の土俵で、注目はやはり新大関だ。
懸賞で御嶽海が1番人気になった。
力士指定で懸けられた本数について、芝田山広報部長(元横綱大乃国)が「御嶽海、貴景勝、遠藤(の順)」と明らかにした。
個別の数字は明かさなかったものの「周りからの期待が大きいということの証しじゃないか」と感じ取った。
1月場所後、コロナ感染者が山のように出た相撲協会。
そんな中、複数いる関取にひとりの感染者も出さなかったのが、佐渡ケ嶽部屋だ。
今場所は前頭6枚目の琴ノ若を筆頭に、同12枚目・琴恵光、同14枚目・琴勝峰らが幕内に顔を揃えている。
もともと稽古相手にも不足しておらず、他の部屋の力士に比べてアドバンテージは大きい。
佐渡ケ嶽勢が台風の目となりそうだ。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は11日、春場所を新型コロナウイルス感染で休場する力士はいないと明らかにした。
全休措置が取られなかったのは昨年九州場所以来。
幕内格行司の木村寿之介(54=大島)は家族内感染で陽性となり、休場する。
角界では1月の初場所後に新型コロナ感染者が続出し、2月9日時点で協会員の累計は252人に上っていた。
2月のトーナメント大会やNHK福祉大相撲は中止になっていた。
米バイオ企業モデルナの日本法人は11日、13日から始まる大相撲春場所で懸賞旗を出すと発表した。
幕内の阿炎、宇良、琴ノ若といった若手力士の取組で掲げる予定。
モデルナは新型コロナウイルスワクチンを日本に供給している。
3回目接種の広がりが鈍いなか、懸賞を通じてワクチン接種を促す狙いもある。
同社は「新型コロナの拡大により将来への不安が増している若い人々への応援の気持ちを込めた」とコメントした。
今後も日本の伝統行事を通じてワクチン接種の啓発・支援を続けるとしている。
モデルナは2021年以降、日本向けにコロナワクチンを供給している。
日本政府と22年分前半までに計9300万回分を供給する契約を結んでいる。
21年に日本法人のモデルナ・ジャパン(東京・港)を設立した。
11日、大阪市内で理事会を開き、1月27日の役員候補選挙で副理事候補に当選した新任の粂川(元小結琴稲妻)、2期連続の若松(元幕内朝乃若)、4期連続の藤島(元大関武双山)の親方3人を選任した。
八角理事長(元横綱北勝海)ら理事候補の親方10人は3月28日の評議員会での承認後に就任が発表される。
年寄総会では2021年度の収支決算についても報告された。
20年から続く新型コロナウイルス禍で、本場所はまだ観客数の上限を設けて開催。
巡業も再開できていない。
詳細は28日の評議員会終了後に発表となるが、約30億円の赤字が見込まれている。
2022/03/11
初場所を制し大関に昇進。
何度もはね返され、何人ものライバルに先を越されて、ようやく念願の地位にたどり着いた。
それでも御嶽海は、「大関だからとかは関係ない。自分は自分」と泰然と構えている。
初日に向けて意識するのは、「押し相撲を徹底する。自分のことをしっかり考える」。
貴景勝、正代の先輩2大関はかど番とあって、ファンは昇進間もない御嶽海に連覇の期待を寄せる。
それは本人も自覚しているが、目標はこれまでと変わらず、「まずは2桁」と断言した。
「今まで通り。受ける立場にはなるが、挑戦者としていく」。
余分な肩の力を抜き、静かに闘志を燃やしている。
幕下から出直し、丸1年かけて自己最高位の関脇にたどり着いた。
阿炎は3年前、新小結に昇進している。
当時の自分自身と比べ、「気持ちの部分で大きく違うと思うし、違うようにしていかないといけない」と話し、春場所へ闘志を燃やす。
錣山部屋での生活を義務付けられて妻子と別居していたが、春場所後には一緒に暮らす予定だ。
それも大きな励みで、「ここで満足してはいけない。たくさんの人に認めてもらえるような相撲取りになりたいと思っている」。
父親として、さらに上を目指す力士として、なお成長する姿を見せたい。
22歳で新小結に昇進した豊昇龍は、「自分がここまで来るとは。信じられない」。
おじの元横綱朝青龍は20歳で新小結。
その背中を追うように、着々と出世している。
初日を13日に控え、会場のエディオンアリーナ大阪では2年ぶりの大阪開催となる本場所への準備が進んでいる。
10日は土俵づくりなどが報道陣に公開された。
新型コロナの影響で2020年は史上初の無観客で実施されたため、大阪の本場所で観客が入るのは3年ぶりとなる。
観客の上限は定員の約75%にあたる約5600人。
マスク着用は必須で大声での声援はできず、拍手が推奨される。
会場正面入り口のスペースには、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)ら、協会に在籍する元横綱7人の現役時代を描いた縦約3.3m、横約1.5mの錦絵が飾られ、雰囲気を盛り上げる。
2022/03/10
新小結で迎える豊昇龍に、叔父が果たせなかった関脇以下での優勝に期待が懸かる。
9日、大阪市内での稽古後に報道陣の電話取材に応じた。
叔父で第68代横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏は、大関2場所目の2002年九州場所で初優勝。
新三役場所の目標は「まずは勝ち越し」と控えめながら、「もちろん優勝したい気持ちはある」と意欲をのぞかせた。
9日、西前頭3枚目の明生が、大阪市内での朝稽古終了後、報道陣の電話取材に応じ、近況や春場所に臨む胸中などを明かした。
春場所の番付で幕内力士42人中、半数が2月までに新型コロナウイルスに感染していることが確認されている。
明生も2月上旬に感染が判明。
40度近い発熱が2日ほどあったという。
その後は、都内の自宅で10日間の隔離期間があり、体は動かせなかった。
ただ、それを明生はプラスにとらえた。
食欲はあり体重減も最小限にとどめられ、さらに「腰もケガをしていて、それを治そうという時期だったので、そこまで神経質な感じはなく、ユックリ休もうという時期だった」と精神的にも冷静に対処できた様子。
2022/03/08
3度目のカド番を迎える大関・正代が4日、電話取材に応じ、2月上旬の新型コロナウイルス感染で味覚障害になったと明かした。
38度を超えた発熱は3日で治まったが「塩分、苦味、酸味、甘味は分かるけど、それが全部バラバラに単体で来る」と独特の症状を経験。
現在は回復したが、療養の10日間は体を動かせず「体力的に少し落ちた。いつもより稽古内容はちょっと遅れている」と不安な心境を吐露した。
同じ学生相撲出身で1学年下の御嶽海の大関昇進は刺激になっており、「コロナにかかったことを感じさせない相撲を取りたい。とりあえず勝ち越しを目指します」と決意を示した。
御嶽海は、とにかく前向きだった。
初場所後の1月31日に新型コロナウイルス感染が判明。
39度の発熱症状もあり、10日間の療養期間で170キロ前後だった体重も164キロまで落ちたというが、場所前の取材対応で悲愴(ひそう)感を一切漂わせなかった。
「逆に場所後の1週間は(取材対応などで)バタバタしていたので、休みを味わえてなかった。プラスに捉えないといけない」。
部屋では基礎運動や、若い衆を相手にした一丁押し(立ち合いの当たりを行う稽古)を中心に調整。
自然体で“大関デビュー”に備える。
新関脇の阿炎が7日、東京都江東区の錣山部屋での稽古後、報道陣の電話取材に応じ「場所へ向けていい感じになってきている」と好調を実感した。
10日の大阪入り前ではこの日が最後の申し合い。
幕下力士と15番程度取り「あとは気持ちを整えるだけ。勝負に対する熱量を高めていく」と意気込んだ。
コロナ対策違反による3場所出場停止処分を経て、昨年九州場所で幕内に復帰。
2場所連続12勝で優勝争いにも加わった。
改心した27歳の実力者は3年ぶりに観客を入れて開催の春場所へ「いろいろな人に見てもらい、変わっていく姿を見せたい」と張り切る。
日本大相撲トーナメント(2月6日)、NHK福祉大相撲(同11日)が相次いで中止となった。
そうしたなかでも開催されているのが「引退相撲」だ。
1月末から2月中旬にかけ、元大関・豪栄道(武隈親方)、元関脇・栃煌山(清見潟親方)、元関脇・嘉風(中村親方)、元前頭・誉富士(楯山親方)の襲名披露が次々と行なわれた。
他にも元関脇・豊ノ島(井筒親方)、元大関・琴奨菊(秀ノ山親方)、元横綱・鶴竜(鶴竜親方)、元横綱・白鵬(間垣親方)ら、10人の親方が髷をつけたまま引退相撲の日程待ちの行列を作っている。
初場所後の感染者に重症者はいないとの発表だったが、糖尿病や高血圧の持病を抱える力士や親方は多い。
その重症化リスクのなかでも開催されるのは、やむにやまれぬ事情がありそうだ。
2022/03/03
新大関の御嶽海は2日、報道陣の電話取材に応じた。
1月の初場所後には、新型コロナウイルス感染が判明。
約1週間の入院を強いられたが「いい休養になった。不安はあまりない」と前向きに話した。
高安の妻で演歌歌手の杜このみが1日、自身のブログを更新。
第2子を妊娠したことを報告した。
出産は夏頃を予定しているという。
杜は「今日は皆さまへご報告したい事があります。お陰様で、昨年2月に長女が誕生し日々愛娘の成長に驚きと喜び、幸せを感じる日々を過ごさせて頂いております」とし、「そして、この度私事で大変恐縮ではありますが、第二子となります新たな命を授かりました」と伝えた。
「とても元気な娘との日々を過ごしながらお腹の新たな命の成長にも感動しとても、幸せで充実した日々を過ごさせて頂いております」としている。
2022/02/21
1983年より大阪市内で観光船を運航している大阪水上バス株式会社(本社:大阪市中央区 社長:奥村茂之)は、公益財団法人日本相撲協会と共同で大阪春場所の魅力を発信する「大相撲クルーズ」を運航します。
大阪市内を流れる大川で、観光船ひまわりと大阪場所会場をオンラインで結び、富士ヶ根親方(元大善)から今大阪場所の見どころなどを伺います。
また、大阪場所前の会場の様子もオンラインで案内し、普段見ることができないような場所もご覧いただけます。
予約サイト
https://eipro.jp/suijo-bus/
【問合せ】 0570-07-5551 (予約センター 10:00〜16:00)
元幕内誉富士の楯山親方(36)が19日に東京・両国国技館で断髪式を行った。
元横綱日馬富士のダワーニャム・ビャンバドルジ氏や横綱照ノ富士ら約300人がはさみを入れた。
2019年9月に引退。
新型コロナウイルス禍などの影響もあり、現役に別れを告げて約2年以上経過しての大いちょうとの別れに「自分らしい断髪式だった。思った以上にこみ上げるものがある。14年、ずっと髪の毛を伸ばして、その思いが全部髪の毛に入っている。それがパッと落ちて、親方としてやっていくんだなという気持ち」と感慨深げ。
新たな髪型は「楽しみ。いろんな髪型で遊ぶっていうのはある。これから徐々に理想の髪型にしていこうかな」と胸をときめかすが、最も心血を注ぐのは後進の育成だ。
「強くなりたいと思ってくれる力士を育てたい。難しいけど、ただ教えるだけではなく相手のやる気を起こさせる、そういうことができれば」と決意を語った。
佐藤政敏さん(さとう・まさとし=大相撲の元十両白岩、日本相撲協会若者頭)17日、腹部大動脈りゅう破裂のため死去、64歳。
秋田県出身。
葬儀・告別式は家族葬で行う。
現役時代は伊勢ケ浜部屋に所属し、最高位は東十両7枚目。
引退後は幕下以下の力士の指導や本場所の運営を補佐する若者頭を務め、浅香山部屋などに在籍。
3月に相撲協会の定年退職を控えていた。
2022/02/14
2月10日の状況
幕内
宇良
十両
平戸海
2月5日から8日までの状況
幕内
千代の国、宝富士、正代、霧馬山、天空海、明生
十両
志摩ノ海、紫雷、美ノ海
2年ぶりに大阪で行われる大相撲春場所(3月13日初日)の開催を知らせる「御免札」が11日、会場のエディオンアリーナ大阪に設置された。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、昨年の春場所は東京・両国国技館で実施された。
2020年の春場所は新型コロナの影響で史上初の無観客での開催だった。
今回は1日約5500人を受け入れる予定。
春場所担当部長の高島親方(元関脇高望山)は「感染対策を第一として、無事に相撲を見ていただきたい」と願った。
新大関御嶽海の闘いぶりも注目で「自覚を持って優勝に絡む成績を残してもらいたい」と熱戦を期待した。
チケットを持っていない人も入れるように館外正面にスペースを設け、グッズ販売や親方衆によるファンサービスも実施するという。
前売り券の販売は13日から始まる。
2022/02/08
11日に東京・両国国技館で開催を予定していた「第54回NHK福祉大相撲」が新型コロナウイルスの感染拡大のため中止となった。
7日、主催するNHK厚生文化事業団などが発表した。
観客や出演者らの健康や安全を考慮した。
相撲界は横綱・照ノ富士、新大関・御嶽海らの新型コロナウイルス感染が発表されており、6日の大相撲トーナメントも中止となっていた。
8日には全相撲協会員を対象にしたPCR検査を実施する。
大相撲の元関脇・嘉風の中村親方(39)の引退相撲が5日、東京・両国国技館で行われた。
断髪式には公明党の山口那津男代表、音楽グループ、ケツイメイシのリーダー、大蔵やプロゴルファーの宮里優作、聖志兄弟、元プロ野球選手の川崎憲次郎ら約250人がはさみを入れた。
土俵上で表情を変えることがなかった中村親方も徐々に感極まって目頭を潤ませる場面も。
最後は師匠の尾車親方(元大関・琴風)の止めばさみで大銀杏(いちょう)に別れを告げた。
19年秋場所中に現役を引退して2年半。
コロナ禍で開催が延期され、直前になって新型コロナウイルスの感染拡大で多くの関取が休場となった。
「不安ばっかりだったが、たくさんの人が来ていただいた。感謝しています」と感無量の様子だった。
断髪式後は美容師の兄弟に髪を整えてもらい、りりしい姿で会見場に登場。
「恥ずかしいですね。でも、まだまげがついているみたい」と感想を述べると「さみしくて、昨日はそわそわしていた。でも切り落とされて親方になったな、という感じがしました」と笑顔を見せた。
2月5日報道
1月26日 鶴竜親方
1月31日 御嶽海
2月 2日 隆の勝、大栄翔、翔猿、碧山、剣翔、大奄美
2月 4日 照ノ富士、貴景勝、若隆景、豊昇竜、豊山、一山本、若元春、栃ノ心、荒篤山、翠富士、錦富士、徳勝龍
春日野親方、竹縄親方、清見潟親方、常盤山親方
※幕下以下の力士は、非公表
2022/01/24
千秋楽、長野県上松町出身の東関脇・御嶽海は横綱・照ノ富士に勝ち、13勝2敗で、2019年秋場所以来3度目の幕内優勝を果たした。
悲願の大関昇進もたぐり寄せる快進撃に、恩師らから祝福の声が上がった。
7連敗中と相性の悪い照ノ富士に対して、立ち合いから一歩も引かず、寄り切りで勝利した御嶽海。
3度目の賜杯を抱くとともに、直近3場所で33勝を積み重ね、大関昇進の目安となる「三役で直近3場所で33勝以上」の条件もクリアした。
優勝インタビューでは大関昇進に向けた臨時理事会の開催の決定を伝えられ、目を潤ませる場面もあった。
千秋楽、福島市出身で東前頭筆頭の若隆景が9勝目を挙げ、来場所からの関脇昇進を濃厚とした。
黒星先行の苦しい前半戦を乗り越えると、後半戦は粘りの相撲で白星を重ねた。
昇進すれば、昨年の名古屋場所以来の三役復帰となる。
若隆景は阿武咲の突き、押しに後退したが土俵際で右に体を開いて何とか残し、逆転の肩透かし。
粘りの相撲で白星をつかみ「しっかり体が動いたかなと思う」と満足げに振り返った。
横綱、大関戦があって初日からは4連敗だった。
そこから諦めずに立て直し、11日目からの5連勝で締めくくった。
「序盤は苦しい展開だったけど、自分の相撲に集中して取れた。一番一番、取り切ることを最後にできた」と収穫を口にした。
23日、人気業師の東前頭2枚目宇良が、自己最高位で勝ち越しを決めた。
巨漢の千代丸に会心の相撲を見せた。立ち合いはもろ手突きを避けるように頭を下げて突っ込むと、のど輪で起こしてハズで攻め立てた。
圧力に耐えかねた千代丸が体勢を崩し、すかさず宇良が押し倒した。
8勝7敗。2場所連続の勝ち越しとなった。
今場所は連敗発進だったが、大関貴景勝ら三役以上を4人破るなど存在感を放った。
「(15日間を通じて)課題が見つかった。(課題は)それは言わないです。(来場所に向けて)終わったばかりであれですけど、来場所も頑張りたいです」。
大阪・寝屋川市出身で、3月の春場所はご当所。
新三役の可能性もあるが「分からないですね、番付のことは」と関心を示さなかった。
千秋楽、豊昇龍は自己最多の11勝目を挙げた。
右四つに組み合った巨漢の碧山に力負けせず、右下手投げで転がした。
11日目から5連勝で終え、春場所では新小結の可能性も出てきた。
「集中できて、いい相撲を取っていた。今場所、本当に良かった」と上機嫌に振り返った。
14日目の正代戦では、叔父の元横綱朝青龍譲りの気迫あふれる取り口で顔から落ち、額から流血。
傷痕は残っていたが「男前になったと思う。ありがとうございました」と笑顔で引き揚げた。
阿炎は、3敗同士でぶつかった琴ノ若を激しい攻防の末に下した。
互いに突いて、いなす展開となる中、引き落としで仕留め、「先手を取って、四つに組まないようにした」と振り返った。
御嶽海が2敗を守って賜杯を抱いたため、優勝決定ともえ戦とはならなかったものの、14日目に照ノ富士から奪った金星も評価され、初めて殊勲賞を獲得。
「思い切り相撲が取れた。自分を全部出せたのかなと思う」と手応えを感じていた。
千秋楽、大相撲初場所が開催されている両国国技館内で同場所の三賞選考委員会を開き、千秋楽の結果に関係なく、受賞力士が決まった。
敢闘賞は、阿炎同様に11勝3敗で優勝の可能性を残し、千秋楽で直接対決する東前頭14枚目の琴ノ若が、昨年7月の名古屋場所以来、2度目の敢闘賞受賞(三賞も2度目)となった。
4敗力士による決定戦となった十両は琴勝峰が矢後を下し優勝した。
本割では緊張してはたき込まれたが決定戦は本来の出足で快勝。
「思い切っていった」と笑みをこぼした。
春場所は1年ぶりの幕内復帰が確実。
今場所初土俵を踏んだ弟(琴手計)にも刺激を受けており「もっともっと強くなりたいと思う場所だったので、稽古して力をつけていきたい」と抱負を述べた。
2022/01/23
14日目、横綱照ノ富士からはいつもの粘りが消えていた。
阿炎の猛攻を受け止めることができないまま押し出されて3敗目。
今場所は栃木山以来、103年ぶりとなる新横綱から3場所連続優勝の偉業に挑んでいるが、最終盤で一歩後退した。
千秋楽は2敗の御嶽海との直接対決が組まれており、逆転の目はあるものの、膝の状態も気になる。
オンライン取材に応じることなく引き揚げていった。
14日目、思い通りに体が動き、狙い通りの相撲を取って、番付の差の通り相手を圧倒した。
関脇の御嶽海が平幕の宝富士を破り、唯一2敗を守って3度目の優勝に王手をかけた。
左四つが強烈な宝富士に、得意な型を出させなかったのが相撲の妙。
「まわしを取られないようにすれば、苦手ではない」と御嶽海は見切っていた。
右を固めておっつけるとともに、左をねじ込み、ぐいぐいと押し込む。
耐えきれなかった宝富士の体が回ったところを、最後は送り出した。
先場所は11勝を挙げた一方、精神的に不安定なところも見せ、終盤に2連敗した。
だが、今場所は取りこぼしがあったものの連敗はなし。
「(精神状態は)最高です。気持ちいいです。今場所はしっかり整えています」と充実している。
14日目、前頭六枚目・豊昇龍と大関・正代の一番は、激しい攻め合いで、場内がどよめく激闘となった。
軍配は正代に上がったものの、物言いがつき取り直し。
豊昇龍は額から出血するハプニングもあったが、その後、気迫あふれる相撲を見せ、寄り切りで正代を下した。
1度目の取り組みで、土俵際、投げの打ち合いとなったが、豊昇龍は倒れ込む際に、手を付かずにこらえて顔から落ちる根性を見せた。
額を思い切り擦り剥き、出血してしまったが、同体取り直しとなった。
ABEMAで解説を務めた元横綱・若乃花の花田虎上氏は「正代の左膝と豊昇龍の顔が落ちるのが同じですね。手をつかなかったからこうなる。手をついてたら負けてましたよ。スローで見ればわかると思いますけど、豊昇龍は“ダメだと”手を引いてますよ」と豊昇龍の勝負に対する姿勢を讃えた。
取り直しの一番では豊昇龍の額から痛々しいほどの出血が確認できたが、まさに気迫といった相撲を見せ、正代を寄り切りで下し10勝目を挙げた。
14日目に組まれた照ノ富士戦。
その横綱に敗れて優勝を決められた阿炎が、雪辱を果たした。
もろ手で突くと、まわしを許さず前進。
冷静にいなして相手の体を崩し、最後は腹を押して土俵外へ運んだ。
2018年名古屋場所で鶴竜から奪って以来、三つ目の金星。
「うれしい。相手は横綱なので、がむしゃらに取ろうという気持ちだった」と振り返った。
13日目は御嶽海に敗れているが、攻めの相撲を取り切った。
優勝争いに踏みとどまっても、「全く考えていない。あしたの一番に集中したい」と力強く話した。
14日目、東前頭14枚目の琴ノ若が関脇の隆の勝を上手投げで破り3敗を死守した。
千秋楽まで優勝争いに加わっている。隆の勝に押し込まれたが、土俵際で上手に手が届いた。
「しっかり体が動いてくれたかなと思います」。
優勝争いについても「最後の最後まで分からないことなので、そこまでしっかりやり切るだけです」と意識せずに臨むつもりだ。
史上12組目の兄弟幕内となった若隆景と若元春が、そろって給金を直した。
幕下では長兄の若隆元も4勝目を挙げ、14日目に勝ち越し。
「3人でできたのは、うれしい」と次兄の若元春。
本名の姓から「大波3兄弟」と呼ばれる彼らにとって、忘れられない日になりそうだ。
新入幕の若元春は今場所、「チャレンジするぐらいの気持ち」で臨んだそうだが、相撲っぷりは堂々。
動きのいい翔猿をつかまえて寄り切り、「何とか勝ててよかった」と喜んだ。
22日、西幕下筆頭の熱海富士(19)、熱海市出身、伊勢ケ浜部屋=が勝ち越しを決め、新十両昇進に大きく前進した。
春場所の番付編成会議で昇進が決まれば、熱海市出身の関取が初めて誕生する。
母校飛龍高の相撲部は喜びに包まれた。
2022/01/22
照ノ富士は隆の勝を圧倒した。
鋭く踏み込み、相手の右を手繰るようにして崩すと、素早く左上手を引いて一気の寄り。
圧力が持ち味の関脇も、なすすべなく土俵を割った。
2敗目を喫した12日目は取組後に、古傷を抱える膝を気にするそぶりも見せていた。
土俵下の師匠、伊勢ケ浜審判部長は「このまま下がらない相撲をしてほしい」と話した。
2敗同士がぶつかった注目の一番。
賜杯争いに踏みとどまったのは御嶽海だった。
阿炎のもろ手突きからの攻めにあてがって前進。
たまらず相手が引いたところで難なく勝負をつけた。
3場所の出場停止などの処分を経て、見違えるような取り口で幕内に戻ってきた阿炎。
終盤まで照ノ富士と優勝を争った先場所の勢いそのままに白星を重ねてきたのに対し、先頭を走ってきた御嶽海は10日目に初黒星を喫し、3日間で2敗。
まさに正念場と言えた。
重要な局面で一歩も下がらずに足を出し、圧力をかけ続けた。
その姿に、八角理事長は、「きょうは勇気があった」と褒めた。
雑念を捨て、存分に持ち味を発揮した攻めに、「以前は負けたら、投げやりになったところもあったが、何とか頑張ろうという気持ちが見えている」。
気迫で追い込んだ。
右太ももを痛め、大相撲初場所11日目から休場していた東前頭10枚目の妙義龍が14日目の22日から再出場することが21日、決まった。
小結大栄翔戦が組まれた。
13日目、東前頭14枚目の琴ノ若が3敗を死守して2桁10勝目をあげ、優勝争いに踏みとどまった。
幕内最年長37歳の玉鷲と対戦。
琴ノ若は左右おっつけからのはず押しで一気に土俵際まで詰めた。
最後に玉鷲が逆転の突き落としを決めたかに見えたが、その前に土俵を割っており、琴ノ若が軍配をもらった。
「相手が先に出たように見えたが、軍配が見えず、物言いもつかなかったのでどうなるかと。徹底して攻められたのがよかった」。
2桁勝利は12勝3敗で敢闘賞を受賞した昨年名古屋場所以来だが、「結果は場所が終わってからで、最後までしっかりいい相撲をとって終わりたい」と優勝争いも意識から外した。
祖父が元横綱琴桜、父が現・佐渡ケ嶽親方の元関脇琴ノ若。
徐々に開花しつつある「伝統の血筋」が、残り2日まで夢をつないだ。
21日、元幕内で東幕下筆頭の旭秀鵬(33)、モンゴル出身、友綱部屋=の現役引退を発表した。
東十両14枚目だった昨年九州場所で6勝9敗と負け越し、幕下に転落した今場所は初日から休場していた。
2007年夏場所初土俵。
右四つ、寄りを武器に11年秋場所で新十両、翌年初場所で新入幕。
最高位は東前頭4枚目で、幕内に20場所在位した。
2022/01/21
12日目、照ノ富士が小結明生に敗れ2敗目を喫した。
立ち合いで相手に踏み込まれ、慌てて前に出たところを肩透かしを繰り出されて土俵外へ追い出された。
取組後は取材に応じなかった。
土俵下の高田川審判長は「焦って出たね。いつもだったら自分の形になってからやるんだけど強引に出過ぎた。いつもと違う戦いだった」と敗因を分析した。
12日目、11日目を終えて1敗の関脇御嶽海。
横綱照ノ富士と並走して優勝争いトップに立つ中、阿武咲の引き落としにあっさり屈して2敗に後退した。
2場所連続の2桁白星で大関とりの足固めを作ったが、勢いに乗れなかった。
12日目、小結明生が、横綱照ノ富士を破って、勝ち越しに望みをつなげた。
立ち合いで照ノ富士にさがりをつかまれたが、腕を伸ばして必死に抵抗。
引いて土俵際に呼び込む形となったが、右に動きながら肩すかしを決めた。
優勝争いでトップに立つ横綱からの白星。
「精いっぱいやりました。うれしかったです。強い横綱に勝てたので自信を持っていきたいと思います」と手応えを口にした。
今場所は初日から腰にテーピングを施していたが、この日はテーピングを施さずに土俵に上がった。
7敗と後がなく「気合を入れました。強い気持ちを持っていきたいなと。集中しました」と痛みを考えることもなく、目の前の一番に集中。
これまで意識してきた同期でもあったが「意識はない。もう横綱なので精いっぱいやりました」と胸を借りるつもりで土俵に上がり、勝ち越しへ望みをつなげた。
やや緊張した面持ちの御嶽海とは対照的に、阿武咲の目には力があった。
勢いよく頭で当たると、両腕を伸ばして上体を起こす。
一瞬の隙を逃さず、体を開いて引き落とし。
「足がそろったところが見えていた。落ち着いていた」。
軽くうなずき、土俵にはった相手の横を悠然と歩いた。
今場所の主役とも言える御嶽海との対戦だったが、「誰が相手でも変わらない。思い切ってやろうというだけ」と平静を保った。
新年恒例の書き初めでは、大きな字で「心」と記した。
その言葉通り、精神面の充実が感じられる。
ついにトップに並んだ。
12日目、幕内阿炎が関脇隆の勝を突き出しで破って、2場所連続2桁勝利を挙げた。
先場所に苦杯を喫した相手に、立ち合いから得意の突きで押し込んでの快勝。
2敗を死守した取組後は「攻められた。師匠(錣山親方=元関脇寺尾)から『今日は引かない方がいい』と言っていただいた。
しっかり自分の相撲が取り切れた」と手応えを語った。
1差で追っていた照ノ富士と御嶽海がこの日に揃って黒星。
2敗で3人が並び、三つどもえの賜杯戦線となった。
しかし阿炎は「意識していない。明日の相撲に集中するだけ」ときっぱり。
まずは13日目の御嶽海との直接対決に全力を尽くす。
12日目、幕内魁聖が休場となった。
日本相撲協会に「左足関節捻挫により1月場所は休養を要する」との診断書を提出した。
直近3場所連続で負け越していた魁聖は、今場所はここまで5勝6敗。
初日に元横綱大鵬の孫で新入幕の王鵬(大獄)に敗れ黒星スターとなったが、4日目から3連勝をマークした。
だが前日11日目に幕内佐田の海に敗れ黒星が1つ先行。
この取組の際、土俵際で左足をひねり決着後は患部を押さえながら苦悶の表情を浮かべていた。
12日目、NHKの大相撲中継の実況で知られる藤井康生アナが、この日が最後のNHKでの実況担当になると明かした。
解説の北の富士さんとのやり取りの中で、北の富士さんが入門のために上京した1957年1月のことが話題になり、その流れで北の富士さんが「そういう時に藤井さんが生まれたんだな」と語った。
藤井アナも57年1月生まれ。
さらに、北の富士さんから「ところで、きょうが最後なの?」と水を向けられ、「NHKの放送としては。大相撲の放送としては。いろいろお世話になりましたが」と感謝。
北の富士さんも「(私の)つまらん話を面白くしてくれました」と、こちらも感謝していた。
2022/01/20
11日目、照ノ富士は必死に抵抗する千代翔馬を寄り切りで退けた。
立ち合いすぐに左まわしをつかんだが、慌てずに攻めた。
「じっくり落ち着いていこうと思っていました」との言葉通り、右上手も取ってから、相手をしっかりと引きつけ前に出た。
御嶽海とともに1敗をキープ。
「あと4日間、集中していきたいと思います。毎日ベストを尽くして頑張っていきたい」と普段通り冷静に話した。
11日目、常に前へ前へと攻めた。
御嶽海は立ち合いから右を差して圧力をかけていく。
正代も大関の意地でこらえ、反撃に出ようとしたが、主導権は渡さなかった。
左上手を引くと胸を合わせ、力強く寄り切った。
「しっかり大関の下に入って、前に出ることを意識しました。四つになったけど、前に出る意識を持っていたのでああいう結果になったと思う」。
今場所元気のない大関相手とはいえ、きっちりと勝ちきった。
三役では自身初の2場所連続2桁勝利を決め「やったことなかったので、素直にうれしい」と喜んだ。
11日目、逸ノ城の逆襲を浴びても、立ち合いで押し込んでいた阿炎には残す余裕があった。
「攻める意識があったんで、それが最後に良かったかなと」
俵を背負ったが右からいなすと、すぐさま左からはたき込み。
「自然と体が動いた感じです」と先場所からの好調ぶりそのままに9勝目。唯一の2敗を守り、照ノ富士と御嶽海を1差で追走していく。
八角理事長(元横綱北勝海)は「最初に攻めてますからね。攻めているから土俵際で残れる」と評価。
藤島審判長も「本来の相撲じゃないが、しのいで勝つあたりが調子いいんじゃないか。力はついている」。
照ノ富士、御嶽海と対戦を組む可能性についても「そういうふうになるかも。一日一日の状況を見ながら、一番最善の取組を作る」とした。
11日目、琴ノ若が2敗と好調の宝富士に圧勝した。
右を固めて相手得意の左差しを封じると、まわしにこだわらずに突っ張った。
「終始先に自分が動いて、最後まで攻め切れた」と納得の表情を見せた。
元横綱琴桜を祖父に、師匠の佐渡ケ嶽親方を父に持つサラブレッド。
勝ち越しを決めたが「上(の番付)を目指さないといけないと、強い気持ちを持っていけている」と貪欲に語った。
11日目、琴恵光が再出発の場所で早々と勝ち越しを決めた。
立ち合い張ってもろ差しになると、出足の勢いそのまま寄り切る速攻相撲。
11日目での勝ち越しは、20年7月場所以来で自己最速タイとなった。
先場所は初日から7連敗を喫して3勝12敗。
「先場所の悔しい気持ちを忘れずに稽古して、それがつながって良かった。(残り4日間も)攻める意識で土俵に上がりたい」と、充実した表情だった。
2022/01/19
11日目、西前頭9枚目の志摩ノ海、東前頭10枚目の妙義龍が休場した。
ともに10日目は白星で5勝5敗としていた。
志摩ノ海は日本相撲協会に「右ハムストリング(太もも裏)損傷で約1週間の加療を要する」との診断書を提出した。
休場は志摩ノ海が序二段だった2014年夏場所以来7度目、妙義龍が19年秋場所以来9度目。
志摩ノ海の対戦相手の遠藤、妙義龍の対戦相手の若元春はともに不戦勝。
今場所の十両以上の休場者は大関貴景勝ら9人となった。
2022/01/19
照ノ富士は阿武咲を危なげなく下し、1敗を守ってトップに並んだ。
目の前で御嶽海に土がついた後の一番にも、「自分の相撲に集中していた」と浮つくことはなかった。
鋭く踏み込んで左でまわしを引き、相手に反撃の隙を与えない万全の寄り。
土俵下の師匠、伊勢ケ浜審判部長は、「前に出ないと、まわしは取れない。いいんじゃないか」と評価した。
10日目、ついに初日からの連勝が止まった。
関脇御嶽海が北勝富士のおっつけに屈して、抵抗むなしく押し出された。
取組後は取材に応じず。
大関とりの足固めとなる2桁白星に向けて、11日目は大関正代と対戦する。
照ノ富士と並走となった優勝争いに向けても、正念場の一番を迎える。
10日目、人気業師の東前頭2枚目宇良が、優勝経験者の小結大栄翔を破って5勝5敗と星を五分に戻した。
強烈な突っ張りを下からあてがい、いなしで崩すと勝機を見いだすように懐に飛び込んだ。
もろ差しとなって一気に走り、飛び込みながら押し倒し。
大関貴景勝ら三役以上の力士4人から白星を挙げた。
残り5日間で勝ち越しを懸ける。
取組後のリモート取材では「今日も頑張ろうと思いました。頑張れたと思います」と振り返り、星が五分に戻ったことについては「考えていないです」と話した。
10日目、西前頭4枚目・北勝富士が会心の相撲で関脇・御嶽海の連勝を止めた。
左右の強烈なおっつけで相手の出足を止め、じわじわと押し込んだ。
それに根負けした御嶽海が引いたのに乗じて一気に押し出した。
「いい当たりから足を運べた」と納得の表情で振り返った。
両者は学生時代からしのぎを削ってきた。
日体大の北勝富士に対し、東洋大の御嶽海。
北勝富士は大学4年の全国学生選手権個人決勝で敗れた。
プロ入り後も火花を散らし、対戦成績はこれで11勝12敗とほぼ互角に。
北勝富士は「元々、負けたくない相手。いい相撲を取れてよかった」と、うなずいた。
快勝に、普段は弟子に厳しい師匠の八角理事長も「会心の相撲じゃないか。きょうは北勝富士を褒めてやってよ」と最大級の賛辞を送っていた。
10日目、阿炎は隠岐の海を押し出しで破った。
2敗の阿炎が存分に持ち味を発揮した。
立ち合いから隠岐の海を猛然と突いて先手を取った。
直後、土俵際に詰まった相手に回り込まれて危ない体勢になったが、素早く反応して向き直る。
腕をたぐるようにして体を入れ替え、押し出した。
10日目で早くも勝ち越しを決め、1敗の照ノ富士、御嶽海に食らいつく。
「うれしく思います。場所に向けて体作りをしっかりできたのが良かった」。
気が緩む様子はみじんも感じられない。
宝富士は一山本の突っ張りにも動じず、4連勝で勝ち越しを決めた。
この日は、2年前に亡くなった近大時代の恩師、伊東勝人さんの命日。
「勝たせてください、力を貸してください、と心の中で思っていた」。
少し照れくさそうに言った。
近大の監督として伊東さんは、左半身になりがちだった宝富士に右の使い方を指導。
「それが今も生きている」と感謝する。
同じ部屋の照ノ富士らを1差で追うが、「気を抜くと、いつもと一緒になる。より気を引き締めて臨みたい」。
元気なベテランは謙虚に意気込みを示した。
2022/01/18
照ノ富士は北勝富士をうまくつかまえて勝負あり。
左下手を深く取ると、投げ捨てるようにして転がした。
「落ち着いてやろうと思っていた。よかった」と余裕たっぷりに振り返った。
9日目で勝ち越しが決まったが、「場所が終わったわけじゃない。残りも頑張っていきたい」。
103年ぶりとなる新横綱からの3連覇を目指し、御嶽海を1差で追う。
御嶽海は危なげなかった。
立ち合いで隠岐の海を押し込み、左右をのぞかせて一気に前進。
「しっかり集中して自分の相撲が取れている」と自信を示した。
相撲内容も伴い、大関昇進の足固めに必要な2桁白星まで、あと一つに迫った。
「目標を達成できるように白星を重ねていきたい」と言う表情は引き締まったまま。
後半戦に入り、集中力はさらに研ぎ澄まされているようだ。
変心≠ナ連敗ストップだ。
9日目、幕内阿炎が幕内妙義龍を破って7勝目(2敗)。
連敗を止めるとともに、幕内での2場所連続勝ち越しに王手をかけた。
妙義龍に押し込まれながらも、とっさに体を開いて引き落としを決めた。
取組後は「体が勝手に動いた。立ち合いはもっと鋭く当たりたいと思っているので、まだ強くなれると思いながらやっている」と振り返った。
9日目、新入幕の東前頭15枚目の若元春は、照強を寄り切って5勝目。
白星を先行させた。
祖父・元小結若葉山の命日、期する思いを白星につなげた。
若元春が照強を寄り切り3連勝。
新入幕の場所で、白星を1つ先行させる5勝目を挙げた。
「流れる感じというか、自分ができるいま一番いい寄りだった」。
立ち合って左差し。
前へ出ながら右上手も取って、引きつけながら直線的に寄って出た。
9日目、元横綱大鵬の孫で元関脇貴闘力の三男、東前頭18枚目の王鵬が、3日目以来の連勝で6勝目を挙げた。
豊山の突き押しを冷静に対処した。
激しい押し合いから1度引く場面もあったが、左を差して回り込みながらすくい投げ。
「立ち合い良かったので何とか勝てた。
しっかり土俵際見えていて慌てなかった」と、新入幕らしからぬ落ち着きようだった。
勝ち越しまであと2勝とした。
「このままいい状態をキープしていきたい。毎日充実している」と、残り6日間に向けて意気込んだ。
2022/01/17
8日目、横綱・照ノ富士は、西前頭4枚目・隠岐の海を万全の寄り切りで下し、1敗を守った。
立ち合いから左四つになると、相手が巻き替えて外四つになったところを前へ。
最後は確実に寄り切った。
会心の内容に「冷静に取れたかなと思います。体が勝手に動いてくれているので」と振り返った。
7勝で折り返し、「終わってみないと分からないので、今のところは悪くはないんじゃないですかね」と調子は上々。
賜杯争いでは1差で全勝の関脇・御嶽海を追うが、「自分の相撲に集中しているだけなので、特に考えてないですけどね」と淡々と話した。
8日目、関脇・御嶽海が大栄翔を退け、勝ち越しを決めた。
難敵に押し込まれても勝機は逃さなかった。
好調の御嶽海が唯一、無傷で場所を折り返した。
1年前の初場所を制した大栄翔の突き押しを下からあてがいながら踏ん張ると、たまらず相手が引いたところで前に出て押し出した。
「絶対押される。我慢するしかない。どこか勝機を見つけて攻めるしかない」としたたかに攻めきった。
8日目、宇良がグングンと白星を伸ばしてきた。
立ち合いで隆の勝の右足を狙って踏み込む。
しっかりと抱きかかえて土俵外へと運び出した。
3日目に貴景勝に土をつける活躍はあったものの、5日目までは上位の壁にはね返されて1勝4敗。
だが、6日目から3連勝とし、折り返し地点で星を五分に戻した。
幕内100回出場を達成。
8日目、東前頭3枚目玉鷲の“鉄人”ぶりにほころび? が出た。
この日は西前頭4枚目北勝富士を退けて6勝目を挙げた。
しかし押し出した際に勢い余って倒れ込み、土俵にみぞおち付近を打ち付けて、苦悶(くもん)の表情を浮かべた。
大事には至らなかったが、04年初場所の初土俵から18年間1度も休場がない丈夫な玉鷲にしては、珍しい場面だった。
取組後のリモート取材で「鉄人でも痛いのか」との質問に対しては笑いながら「痛いっすよ! 同じ人間なので」と強調していた。
8日日、新入幕の東前頭15枚目・若元春が石浦をはたき込み、星を4勝4敗の五分とした。
中日の節目から新しい化粧まわし。
祖父の元小結・若葉山が締めていた化粧まわしを系譜したデザインのものを後援会関係者が発注していたが、ようやくできあがった。
「あこがれだったのですごくうれしいです」。
17日は祖父の命日だが、「特別な日だからという特別な感慨はないです。
毎日が特別なんで」と言った。
元横綱大鵬の孫で元関脇貴闘力の三男、東前頭18枚目の王鵬が、連敗を免れて5勝3敗で後半戦に突入する。
相手をはじき飛ばすような当たりだった。
リーチを生かした突っ張りが持ち味の西前頭14枚目一山本に対して、立ち合いから頭でぶちかました。
そのまま電車道で突き出し。
新入幕の今場所。白星先行で中日を折り返した。
前日7日目は琴ノ若との“横綱の孫”対決に敗れて3敗目を喫したが、引きずらなかった。
後半戦に向けて「まだ元気だし調子いいので、このまま取っていきたい。勝っても負けても、勝つに越したことはないけど、いい相撲を取っていきたい」と意気込んだ。
2022/01/16
昨年秋場所13日目からの連勝が「23」で止まった照ノ富士は、相撲巧者の遠藤に攻められながら落ち着いた相撲で寄り切り。
1敗を守った。
「冷静にとれたかなと思います」。
「昨日のことは昨日のことでしか考えていない。集中して残り頑張っていきたいと思います」。
3場所連続優勝へ再発進した。
7日目、“眠れる大関候補”御嶽海が、お目覚めの7連勝で、優勝争いで単独トップに立った。
前日6日目に、横綱照ノ富士から完璧な押し相撲で金星を奪ったベテラン玉鷲との一番。
立ち合いに押され、やや後退したものの左を差すと迷わず右をあてがいながら前進。
玉鷲に突き押しの距離を与えず、危なげなく寄り切った。
報道陣の電話取材に応じた日本相撲協会の八角理事長は「御嶽海は当たりの重さがある」と、簡単に下がらなかった立ち合いを評価。
下がってからの攻めのうまさにも言及し「左をうまく差した。(それで玉鷲の)右肘が浮いて押せなかった。左を差しての型がいい」と技巧ぶりもほめた。
差した場面も「押し込もうとしているから差せる。圧力がないと玉鷲に突き放される」と攻めの気持ちを察した。
ここまでの7日間は「最高じゃないか。内容がいい。危ない相撲がない」と満点の評価。
7日目、阿武咲が全勝の阿炎に土をつけ、連敗を2で止めた。
「(阿炎は)ほぼ同期みたいで切磋琢磨(せっさたくま)してきたし仲もいい。だからこそ負けたくなかった。いい刺激になる。勝ててよかったと思います」。
自身にとっても大きな5勝目。
「常に上を目指しているし、もっともっと星を積み重ねていきたい」と気合十分に語った。
7日目、琴ノ若と王鵬が対決。
期待の新鋭同士の取組がついに実現した。
2人とも3代続く力士の家系である。
琴ノ若の祖父は猛牛≠フ異名を取った元横綱琴桜、父が元関脇琴ノ若(現・佐渡ケ嶽親方)。
そして王鵬は祖父が昭和の大横綱大鵬で、父が元関脇貴闘力だ。
注目を集めた初対戦で、白星をつかんだのは琴ノ若だった。
「慌てず、落ち着いて取れた」との言葉通り、立ち合いから押し込んで先手を取ると、王鵬が押し返してきたところで肩すかし。
取組後、経歴に話題が集まることについて「言われるものだと思っている。深くは考えず、思い切りやることだけ考えた」と毅然(きぜん)と語った。
大相撲の木瀬部屋所属で、違法賭博関与の疑いがある平幕英乃海と新十両の紫雷が、調査を進める日本相撲協会コンプライアンス委員会に対し、賭博行為を認めたことが15日、関係者の話で分かった。
両力士は埼玉県内の違法賭博店に出入りし、賭博に関与した疑いがあるとして、埼玉県警から事情聴取を受けていた。
捜査関係者によると、同県警が昨年9月に摘発した同県草加市の違法賭博店への出入りが確認されているという。
現在開催中の初場所は、師匠の木瀬親方の判断により、2人とも休場している。
不祥事などの調査を担当する同委員会による答申を受け、処分は27日の協会定例理事会で最終決定する見通しとなっている。
2022/01/15
ベテランに不覚を取った。
6日目、横綱照ノ富士が幕内玉鷲に敗れ、初黒星。
昨年秋場所から続く連勝も23で止まった。
立ち合いから相手の押しに自分の相撲が取れず、最後は突き落とされて土俵に手をつけた。
取組後はコメントを残すことなく引き揚げた。
土俵下の高田川審判長は「玉鷲が鋭く攻め込んだので、受けすぎてパっと透かしたような感じになった」と敗因を分析。
一方で「気にせずに明日から力を出してくれたら」と語った。
6日目、御嶽海が一気の電車道で初日からの連勝を6に伸ばした。
昨年は2度、苦杯をなめている遠藤を相手に左前まわしを取られたが、構わずに前に出て押し出した。
「申し分ないと思います」との言葉通り、言うことなしの内容。
7日目は照ノ富士を破った玉鷲が相手だが「しっかり自分の相撲を取れば負けないと思う。集中できている」と自信をのぞかせた。
6日目、人気業師の東前頭2枚目宇良が“トリッキーな技”を繰り出し2勝目。
ネット上では「宇良関がウラに回って2勝目」「今日は宇良もスゴイ相撲。これは技能賞ものでは」「こういう取り組みがあるから、宇良が好きなんだよね〜」と盛り上がりを見せた。
いつも明るい玉鷲が、普段に増して朗らかな表情を見せた。
大関正代に続き、23連勝中の照ノ富士も破る殊勲星。
2019年夏場所以来となる金星を奪って5勝目を挙げ、「よかった。ようやく勝てた」。
最近は、土俵際まで押し込みながら照ノ富士に勝てず、「止まったら下からもう一度当たっていこう」と心に決めていた。
この日は、立ち合いから一気に喉輪で押し込んだ。
反撃しようとする相手をもう一押しして、いなすように突き落とし。胸中を問われると、「(映像で)見直してから実感したい」。
幕内で最年長の37歳。
難攻不落の横綱に土をつけ、金星獲得の年長記録では昭和以降の新入幕で6番目となった。
「若手に負けない気持ちでいられるようにしている」と、精神面の充実を口にし、自慢の馬力も全く衰えない。
「師匠の教えを素直に聞くことが大事」と、謙虚さを忘れず稽古場に立っている。
19年の初場所で初賜杯を抱いている。
「昔のことなので忘れました」とはぐらかしたが、まだまだ場所を盛り上げそうだ。
6日目、阿炎は志摩ノ海にヒヤリとさせられながらも全勝を守った。
いつも通り立ち合いから突いていったが、うまく下からさばかれ、引いたところを逆に攻め込まれた。
土俵際まで追い詰められたが、ヒラリとかわすように起死回生の上手投げ。
「思ったより手が回転しなかった。引いてしまったけど、流れで体が動いてくれた」と胸をなで下ろした。
6日目、元横綱大鵬の孫で元関脇貴闘力の三男、東前頭18枚目の王鵬が、大関経験者の西前頭15枚目栃ノ心に完勝した。
新入幕の今場所。
6日目を終えて4勝2敗となった。
立ち合いで栃ノ心に前まわしを取られたが、構わずに出た。
土俵際まで押し込むと左四つ、右上手で辛抱強く寄り切り。
「つかまってしまったけど、前傾姿勢は崩れていなかった」。
怪力を誇る栃ノ心を相手に、自信となる1勝。
「めちゃくちゃ重かったです」と口も滑らかだった。
2022/01/14
逸ノ城の挑戦を受けた照ノ富士は、立ち合いで左上手を奪うと、豪快な上手投げで体重206キロの巨漢を転がした。
相四つでやりやすい相手。
「良かったと思います」と淡々と振り返った。
初日の大栄翔戦や、4日目の宇良戦で土俵際まで追い詰められる場面もあったが、無傷で序盤戦を終えた。
5日目の相撲を土俵下で見届けた藤島審判長は「押し込まれていても、慌てていない」と評価。
横綱自身は「あと10日あるんで、残りも気を引き締めて頑張っていきたい」と表情を緩めることはなかった。
5日目、東関脇・御嶽海は西前頭筆頭・霧馬山に押し出しで勝ち、連勝を5に伸ばした。
6日目の14日は西前頭3枚目・遠藤と対戦する。
御嶽海は安定感のある相撲内容で5連勝を飾った。
霧馬山のもろ手突きを払いのけていなして体勢を入れ替えると、最後ははず押しで退けた。
遠藤はここまで2勝3敗。
過去6場所は御嶽海の1勝2敗で、先場所は寄り切りで敗れている。
幕内最年長の玉鷲が37歳の年齢を感じさせない若々しい相撲で2年半ぶりに正代を破り、序盤を1敗で乗り切った。
立ち合いで正代が胸を出すように出るところに頭で当たった。
相手の双差しにもかまわず腕を伸ばして突き放し、休まず攻めて押し出した。
5日目、西前頭6枚目・阿炎は、平幕唯一の無傷5連勝とした。
低い体勢が持ち味の同4枚目・北勝富士をもろ手で起こすと、一気に前進。
回り込もうとする相手を押し出した。
「(内容は)良かったと思う」と、うなずいた。
この日、部屋を出る前に師匠の錣山親方から「いなしを気をつけろ」と助言を受けたという。
「とにかく自分の距離で攻めすぎずというか、前のめりにならないように意識した。北勝富士関はおっつけが上手。おっつけられないように、自分で考えて相撲を取った」と語った。
優勝争いを演じた先場所に続いて、好調な様子。
「場所に合わせて体調管理してきたので、調子はいいと思う」と手応えをつかんでいる様子だった。
5日目、34歳の西前頭7枚目・宝富士が幕内連続800回出場の節目を白星で飾った。
ここまで全勝だった東同5枚目・阿武咲との一番。
好調な相手の押しに下がったが、耐えしのいで土俵際で逆転の突き落としを決めた。
初日は阿炎に敗れたが、その後は4連勝。
「自分のいいところを生かして、連勝も続いているので、気持ちも上がってきていいと思う」と、うなずいた。
記念すべき一番で白星を飾り、「そういう記録の時はだいたい負けているが、今日は勝てたので、今年はいいことがあるかな」と、ほほえんでいた。
棚田好男さん(たなだ・よしお=大相撲の立行司、第34代式守伊之助)4日午後11時、肝臓がんのため死去、80歳。
北海道出身。葬儀・告別式は近親者で済ませた。
花籠部屋に入門し、55年夏場所で初土俵。
貴乃花部屋に所属した06年初場所で行司の最高位の一人である式守伊之助を襲名した。
立行司を務めたのはこの1場所で、06年2月に相撲協会を定年退職した。
2022/01/13
4日目、横綱照ノ富士は宇良にひやりとさせられる場面があったが、最後は突き倒しで全勝を守った。
小手投げを打ったところ、呼び込む形になり、宇良に土俵際まで追い詰められた。
上体はのけぞり危ない場面だったが、粘り腰でこらえ、「落ち着いてできたと思います」。
大関貴景勝が休場し、横綱の責任はさらに増すが、「自分なりに頑張っていきたい」と冷静に話した。
4日目、右足首の負傷で休場した大関貴景勝に、日本相撲協会の八角理事長は治療に専念することを求めた。
3月の春場所は5度目の、かど番で臨む貴景勝。
報道陣の電話取材に応じた八角理事長は「この1年で(貴景勝の休場は)何度目?」と逆質問。
昨年初場所、7月の名古屋場所と、2場所を皆勤しては途中休場が続く大関に「ケガをしない体を作らないと。どれだけ痛めたのか分からないが、体が重たいだけに下がると(余計に)ケガにつながる」と、取り直しになった前日3日目の、宇良との最初の相撲を分析。
「とにかく今は(ケガを)治すことに専念することでしょう」と話した。
取り直しの一番でも、御嶽海は気持ちを切らさなかった。
立ち合いでしっかりと踏み込んで当たると、下から攻めて明生を一気に押し出し。
「(最初の一番は)微妙だったので、取り直しになってよかった。集中はずっとできていた」。
納得の口ぶりで振り返った。
内容も伴って4連勝。
先場所は11勝を挙げており、大関昇進の足固めへ今場所も白星を2桁に乗せたいところ。
「いいんでね。ここから気を引き締めてやっていきたい」と手応え十分だ。
4日目、阿武咲が豊昇龍を寄り倒しで下し、20年秋場所以来の初日から4連勝とした。
突き放しにくる相手に、懸命に体を寄せて右を差した。
「勝負どころはここだなと思った」と休まず前に出て勝負を決めた。
順調に白星を伸ばしているが「まだまだ場所はある。今日は今日なので切り替えて頑張るだけ」と引き締めた。
4日日、西前頭6枚目の阿炎が、初日から4連勝を飾った。
阿炎の長い手足は最大の武器だ。
長い上に速射砲のような突っ張りが繰り出されると、千代の国はたまらず土俵を割った。
師匠の錣山親方がNHKで解説を務めた。
「かなり落ち着いて土俵に上がれる性格ですからね。上ばかり突くから残される。腹も突けばいい」と指摘。
それに対し、阿炎は取組後に「左がうまく使えていない。左を使えれば、そういうこともできると思います」と語った。
物言いがついた一番で妙義龍が辛くも白星を得た。
掛け投げを狙った天空海を押しつぶすようにして、すくい投げ。
相手のまげがわずかに先についており、「もうちょっとで食らいそうだったが、うまく反応できた」と胸をなで下ろした。
先場所は2勝13敗と苦しんだものの、今場所は足もよく動いて4連勝。
「一番一番、集中してやっている。また、あしたから気分良くいきたい」と声が明るかった。
大相撲の出羽海一門は12日、東京・両国国技館で会合を開き、初場所後に実施される2年に1度の日本相撲協会役員候補選挙で、理事候補には現職の出羽海親方(元幕内小城ノ花)、春日野親方(元関脇栃乃和歌)、境川親方(元小結両国)の3人の擁立を確認した。副理事候補も現職の藤島親方(元大関武双山)が立つ予定。
5つある一門のうち、出羽海以外では二所ノ関が3人、時津風が2人、高砂と伊勢ケ浜からは各1人が理事候補に名乗り出る見通し。
立候補者が定員の10人なら2期連続で無投票となる。
2022/01/12
4日目、大関貴景勝が日本相撲協会に休場を届け出た。
今場所は2日目から明生、宇良に連敗していた。
再出場しなければ、来場所はかど番で迎える。
2022/01/12
3日目、3連覇を狙う横綱照ノ富士は幕内霧馬山を上手投げで下し、初日から3連勝とした。
初日、2日目と苦戦を強いられたが、この日は立ち合いから圧力をかけて相手に何もさせなかった。
取組後は「(相手を)正面に置いてじっくりと思った。体が自然に動いてくれた」と淡々とコメント。
貴景勝、正代の2大関が相次いで敗れた後の結びの一番となったが「(心境の変化は)特にない。やることは一つしかない。じっくりやっていこうと思った」と風格を漂わせた。
御嶽海が若隆景に地力の違いを見せつけた。
立ち合いで動いた相手に左上手を与えたが、慌てずにおっつけなどで応戦。
胸を合わせて寄り切った。
先場所、苦杯を喫した東洋大の後輩を退け、「何でも予想していたので、しっかり対応できた」と涼しい顔で振り返った。
大関昇進の足固めを狙う場所で3連勝の好スタートを切り、「気持ちで負けないように、勝つイメージを持ってやっている」。
精神面の充実を強調した。
3日目、小結・大栄翔が大関・正代を破り、今場所初勝利。
1年前の初場所覇者が白星をきっかけに調子を上げていくか。
「いい相撲をとっても、負けたら意味がない。調子はよく、細かいところだと思っている。今日はいい相撲が取れた。(4日目以降に向けて)ここからしっかり盛り返していけるように頑張ります。」と語る。
3日目、宇良が大関貴景勝を押し倒し、初白星を挙げた。
いつも以上に、宇良の一挙手一投足に視線が集まっていた。
どんな技を繰り出すか分からない業師であることだけが、その理由ではない。
前日の正代戦で後頭部を強打し、ふらついていたからである。
慎重な対応が求められる脳振盪(しんとう)。
出場が不安視される中、宇良は土俵に立ち、貴景勝を相手に暴れまわった。
突き押しが強烈な大関に対して、うまく右前まわしを引いて懐に潜る。
拝むよな格好で前へ出ると、土俵際でもつれて同体取り直しとなった。
「そんな何回も相撲を取りたいわけじゃない」。
顔をしかめて2度目の勝負。
今度は立ち合いで当たりながら右に動いた。
土俵際まで走ってしまった貴景勝を勢い良く押し倒した。
新入幕の王鵬は、200キロの剣翔を休まず攻めて押し出した。
3連勝に「調子はいい。体をしっかり動かせていると思う」と満足げだった。
祖父で昭和の大横綱大鵬は、新入幕の場所で初日からの11連勝を含む12勝。
それについて水を向けられると、「あまり気にしていないが、負けるより勝った方がいい。勝てるときに番付を上げたい」。
静かに闘志を燃やした。
尾車部屋付きの中村親方(元関脇嘉風)が初場所後の同部屋閉鎖に伴って、二所ノ関部屋に移籍することが11日、関係者への取材で分かった。
初場所後の理事会で承認される予定。幕内経験者の幕下友風らと移籍する方向で調整中で、元横綱稀勢の里の二所ノ関親方が師匠を務める二所ノ関部屋の部屋付き親方になる。
2022/01/11
追い込まれても動じなかった。
2日目、3連覇を狙う横綱照ノ富士は幕内若隆景を下して2連勝。
相手の低い当たりから腕をたぐられ、押し込まれたものの、最後は小手投げで土俵際に転がした。
初日の幕内大栄翔戦に続いて苦戦とも受け取れる展開となったが、横綱は「落ち着いてやれたんじゃないかなと。一人で相撲を取っているわけじゃない。相手のいることなので、そのときの状況で落ち着いてやっていこうと思っている」と冷静だった。
この日の白星で昨年秋場所13日目から20連勝。
それでも本人は「特に考えていない」と気にしていない。
記録については「そういうことにこだわっているわけではないので」と話すように、まさに不動心≠貫いている。
正代は宇良を潜り込ませず、一気に押し出した。
顔を合わせるのは2017年以来。過去2戦2敗だっただけに、「苦手意識もあって、ちょっとやりづらかった」と率直に打ち明けた。
土俵下に転落した宇良がふらつく場面もあった。正代は「自分は大丈夫だったが、宇良関は頭から落ちたんじゃないかと思う」と、心配そうな表情を浮かべていた。
三役常連の御嶽海が危なげなく2連勝。
大関昇進の期待に応えるべく、新年最初の場所で活躍を狙う。
206キロの巨漢・逸ノ城得意の右四つを封じようと、左から当たった。
相手が前に出てくるところを回り込み、体を入れ替えて最後は押し出した。
「立ち合いで押し込まれたが、下から攻めたのがよかった」と御嶽海。
「ここまではいつも通り。しっかり白星をつなげて気持ちよく進みたい」と話した。
集中力は切らさなかった。
明生が先場所に続いて貴景勝を撃破。
押し込まれたものの、うまく右に回り込んで突き落とし。
大関の圧力に屈せずに白星をつかみ取り、「やれることをやった」と、静かに勝利の味をかみしめた。
昨年は、最後に悔しさを経験した。
けがもあり、十両に落ちていた2020年の7月場所から、6場所連続で勝ち越して新小結に昇進したが、関脇2場所目の先場所で負け越した。
久々の苦さを一年の納めで味わう中、収穫はあった。
10日、人気業師の東前頭2枚目宇良が、大関正代との取組で背部を強打し、車いすで搬送された。
宇良は正代に左を差されると、圧力を逃がせないまま一気に押し出された。
正代とともに土俵下へ落下し、宇良は背面を強打。
なかなか立ち上がることができず、勝った正代も手を貸すなど気づかった。
ともに土俵上へ戻り、正代が勝ち名乗りを受けようとした時だった。
ふらつく宇良は直立できず、行司の式守伊之助や呼び出しも状態を危険視するように声をかけた。
宇良は呼び出しの肩を借りて土俵下へ。
花道で車いすに乗り、治療に向かった。
正代の勝ち名乗りは、間を置いて行われた。
幕内後半戦の藤島審判長は「脳振とうじゃないか。上位にくると圧力のある人ばかり。どうしてもああいう相撲になる」と、宇良の状態を心配していた。
10日、西前頭6枚目の阿炎が千代翔馬を押し出しで下し2連勝とした。
阿炎は「千代翔馬関は技が多いので、自分の距離で相撲を取ることだけ考えた。自分の中でしっかりやっていけば、いい方向にいくと思っている」と手応えを感じていた。
10日、祖父の背中はまだ遠いかもしれないが、いつか新たな時代を背負って立つ。
そう期待せずにはいられない。
新入幕の王鵬が初日から2連勝の好スタート。
昭和の大横綱である祖父、大鵬から受け継いだ素質を開花させるときがきている。
得意は押し。
琴恵光にもろ差しを許す不利な体勢になったが、攻めることしか頭になかった。
左からおっつけながら突き落とし。
「突き落としてしまいましたが、引く気はなかった。正面で我慢して取れた」と持ち味を出し切り白星をつかみ取った。
新しい未来のテレビ「ABEMA(アベマ)」は、「ABEMA大相撲LIVE」と連動したオリジナルサイト『ABEMA大相撲センター試験』をオープンした。 『ABEMA大相撲センター試験』は、1月9日の初場所から放送を開始した「ABEMA大相撲LIVE」との連動サイト。視聴者に場所開催中、力士とともに勝負をする感覚で『ABEMA 大相撲センター試験』に挑戦してもらうことで、より大相撲のことを深く理解し、楽しみながら取り組みを視聴できるというもの。 本場所開催期間中、「ABEMA大相撲LIVE」の番組内で大相撲に関するクイズが出題され、『ABEMA 大相撲センター試験』にてクイズに回答していくと、正答数に応じて番付が発表される。 大相撲と同様に「横綱」「大関」「関脇」「小結」「平幕」と五段階で格付けされ、本場所終了時の番付上位者のなかから抽選で10名に日本相撲協会が発売する「横綱全勝セット」(6,000円相当)がプレゼントされる。
2022/01/10
緊張感漂う初日の相手は大栄翔。
難敵を下しての白星発進に「ちゃんと受けていこうと思ったが、ああいう相撲になってしまった」と、苦戦を強いられたことを素直に認めた。
大栄翔は、新横綱だった昨年の秋場所で初めて金星を与えた実力者。
押し込まれて右足一本で踏ん張った後、休まずに動く相手をつかまえ切れない。
これにいら立ったのか、あまり見せない張り手も繰り出した。
最後は、中に入られかけたところをはたき込み。
「体が自然と動いてくれている」。
理想とする相撲からは遠くても、普段の稽古が生きた。
今年の抱負は、現在6度の優勝回数を2桁に乗せること。
「目標を大きく持たないと、モチベーションは保てない。毎年そういう目標を立てて、それに向けてやっている」。
第一人者だった白鵬が昨年、土俵を去り、言葉には覚悟と自信がより一層にじむ。
「始まったばかりなので、気合を入れていきたい」と自らに言い聞かせた。
慢心なく土俵を務めれば、今年も照ノ富士の一年になる。
9日、大関貴景勝は幕内若隆景を下して白星スタートを切った。
立ち合いから前に出て一気に押し出した大関は「もう終わったこと。また明日に向けて頑張りたいです」と表情を変えることなく振り返った。
昨年は綱とり挑戦失敗や首の負傷もあり2度カド番を迎えたが、いずれも脱出。
一方、先場所は最終的に12勝(3敗)を挙げながらも、13日目の幕内阿炎に黒星を喫してV争いから脱落した。
賜杯は一昨年11月場所から遠ざかっており、今場所にかける思いは強い。
「去年も妥協してやったわけではない。今年も引き続き頑張っていきたい」と静かに闘志を燃やす貴景勝。
9日、大関正代はひやひやの初日となった。
立ち合いから霧馬山を押し込んだ土俵際、残されてもろ差しを許し、逆に土俵際に詰められた。
絶体絶命のピンチだったが、執念の小手投げが決まった。
「土俵際に押し込むのと同時に自分の体も起きてしまって厳しい形になった。白星で始まったのはいいと思うが内容的には…。土俵際落ち着いて寄り切れるよう持っていきたい」と反省しきりだった。
9日、元横綱朝青龍を叔父に持つ、東前頭6枚目の豊昇龍が新年から切れ味抜群の技を披露した。
得意の右四つではなかったが、千代翔馬を組み止めると右からの外掛け。
これがきれいに決まった。
「まあ、一日一番、大事にしていきたい気持ちがあります」。
取組前の幕内土俵入り後に中日スポーツ、東京中日スポーツ制定「第58回大相撲幕内最優秀新人賞」の表彰式があり、佐藤敦東京中日スポーツ総局長から賞状、賞金、記念盾を受け取った。
2002年の初場所で同じ新人賞の表彰を受けた叔父さんは、その年に大関まで駆け上がっている。
伸び盛りの豊昇龍にも叔父さんのような期待がかかる。
部屋では30番から40番の稽古を積み、昨年12月の合同稽古でも20番以上の申し合いを続けた。
「やるだけやってきたので、あとはやるだけですね」。
稽古が確かな自信となっている。
9日、先場所優勝争いを演じた西前頭6枚目・阿炎が完勝発進だ。
もろ手で立って同7枚目・宝富士の体を起こすと、回り込む相手をさらに攻めて押し出した。
「前に出られて相手得意の相撲を取らせなかったのが良かった」と、うなずいた。
今場所も力強い内容での白星。
それでも「一番一番集中して、自分の相撲を取りきる気持ちで臨んでいる」と自らを見つめる。
22年の目標には「見ている人たちに認めてもらえるよう、努力を重ねる1年にしたい」と決意を語っていた。
9日、新入幕の東前頭15枚目の若元春が、西前頭14枚目の一山本を寄り寄り切りで下して白星発進した。
立ち合いで低くぶつかってきた一山本に当たり負けせず、足を踏み込んで前に出た。
「押し込みながら左を差して(右)上手を取るのが1番いい形」と話すように、体を寄せながら左を差し、右上手を取って寄り切った。
見事に白星発進を飾り「緊張は特になかった。何回もやっている相手なので」と堂々と口にした。
弟の若隆景と史上12組目の兄弟幕内で臨む今場所。
弟と同じく「1日一番の気持ちで」と引き締めた。
報道陣に「弟と同じことを口にしている」と突っ込まれると「あれ(若隆景)は集中力を高める『1日一番』。僕のはプレッシャーに負けないための『1日一番』です」と兄弟だからこそ分かる違いを説明した。
9日、「昭和の大横綱」を祖父に持つ大器が、幕内デビューを白星で飾った。
新入幕の東前頭18枚目王鵬が西前頭17枚目魁聖を押し出し。
鋭い出足で三役経験者を圧倒した。
元横綱大鵬の孫で、元関脇貴闘力の三男。
入門から4年で立ったあこがれの幕内の土俵で、好スタートを切った。
会場の熱気に圧倒されながらも、王鵬が迫力満点の押し相撲を見せた。
194キロの巨漢、魁聖に対して、強烈な左おっつけで主導権を握った。
まわしを遠ざけて一気に押し切り「すごく重かったけど、前に運べて良かった」。
191センチ、181キロのホープは納得の表情を浮かべた。
大相撲初場所は2日目、3場所連続優勝に向けて白星スタートを切った横綱・照ノ富士は前頭筆頭の若隆景と対戦します。
今場所に103年ぶりとなる新横綱からの3場所連続優勝がかかる照ノ富士は初日、小結・大栄翔との熱戦を制して白星スタートを切りました。
10日の2日目は前頭筆頭の若隆景の挑戦を受けます。
過去の対戦は照ノ富士が7勝1敗と勝ち越していて、四つに組み合ってまわしをつかむ展開になれば横綱は万全です。
一方の若隆景は持ち味のスピードを生かして動きを止めず、チャンスを探りたいところです。
大関・貴景勝は小結の明生と対戦。過去の対戦は3勝3敗と五分の星で、貴景勝は先場所も敗れています。
大関・正代は前頭2枚目の宇良との一番で、過去の対戦では宇良が2回ともに勝っています。
ともに白星スタートとなった大関2人ですが、2日目は難しい相手との一番となります。
2022/01/09
9日、照ノ富士は昨年の秋場所と九州場所の優勝額贈呈式に出席。
栃木山以来103年ぶりの新横綱から3連覇を期す初場所へ「15日間いい相撲を見せて頑張りますので、応援よろしくお願いします」と静かに闘志を燃やした。
9日、東京・両国国技館で初日を迎える。
8日は土俵祭が行われ、八角理事長(元横綱・北勝海)らが場所中の安全を祈願した。
新型コロナウイルスの感染が急速に広がり、大相撲でも田子ノ浦親方(元前頭・隆の鶴)ら4人が感染して、大関経験者の前頭・高安ら田子ノ浦部屋所属の力士14人全員が全休となった。
東京場所を担当する尾車事業部長(元大関・琴風)は報道陣の電話取材に応じ、「(2021年12月25日に)全員の検査をした時は(陽性反応が)一人も出なかった。
感染力が想像以上に強い。
場所中に感染者が出ないよう15日間、みんなが注意を払って千秋楽を迎えたい」と話した。
日本相撲協会は8日、今年から「3大クイズ」を実施、協力することを発表した。
初級から上級までさまざまなクイズを用意しており大相撲を楽しめる。
「大相撲QUIZ」は目指せ相撲博士!と題し、9日から1日1問連日更新する。
協会特設HP https://www.sumo.or.jp/Entertainment/quizで実施。
「ABEMA大相撲センター試験」は初場所から各本場所で15日間、ABEMA大相撲LIVE放送時間中に大相撲にちなんだ問題を毎日出題する。
ABEMA大相撲の特設ページ https://abema-sumo.com/で実施。
「大相撲検定」は6月に開催を予定。
1500年以上続く日本の伝統文化である相撲の世界をより深く知ることを目的に、オンラインのテスト形式による日本相撲協会公式の検定だ。
詳細は後日、発表する。
2022/01/08
9日に東京・両国国技館で初日を迎える。
一人横綱として2場所目の照ノ富士は、重圧との闘いを苦にする様子はない。
優勝を果たせば新横綱から3場所連続で、1919年夏場所の栃木山以来、103年ぶりの偉業となる。
照ノ富士は初日から難敵の大栄翔の挑戦を受ける。
両膝に古傷を抱える中、最近は強引な取り口が目立たなくなった。
師匠の伊勢ケ浜親方は「優勝を何回もしている。安定感が出てきていると思う」と評価。
今場所も賜杯争いの中心となるだろう。
稽古も本場所も日々の積み重ね。
大関貴景勝はこう肝に銘じている。
苦しんだ昨年を振り返り、かみしめるように「いろいろと経験させてもらった」。
試練を糧に初場所に臨む。
稽古場では表情を変えず課題に取り組んでいる。
若い衆に助言を与えながら、スクワットや腕立て伏せで汗を流す。
時折鏡の前に立って筋肉の付き具合を確認する。
「自分は次の日のことしか考えない」。
相撲を取る相手や負荷の加減など、稽古の詳細な日程を事前に決めない。
微妙な体の変化を意識しながら慎重に進めるのが今の調整法だ。
日本相撲協会審判部の伊勢ケ浜審判部長が7日、関脇御嶽海の大関昇進について「全勝優勝すればそういう話になるんじゃないですか」などと言及した。
9日に初日を迎える初場所の取組編成会議後に、報道陣の電話取材に応じた。
3場所連続の関脇で臨む御嶽海は、昨年9月の秋場所で9勝、同年11月の九州場所で11勝を挙げて、合計20勝としている。
大関昇進の目安は「三役で3場所33勝」。
審判部は初場所が大関とりの場所になると明言はしていないが、同場所で13勝を挙げれば数字上は達成する。
しかし、伊勢ケ浜審判部長は「数字じゃない。それはあくまで目安であって、相撲の内容とかそういうのがありますから。その時の周りの力士たちのこともある。そういうのを全部見て総括的に判断します」と15日間の相撲内容にも注視する構えだ。
その上で「当然、全勝優勝すればそういう話になるんじゃないですかね。そうならないといけないので予想する必要はない。本人が頑張ればいい」と全勝優勝を求めた。
過去2度の優勝を果たしている御嶽海だが13勝が最多。
高いハードルが設けられた。
先場所12勝を挙げて敢闘賞を獲得した前頭阿炎が7日、電話取材に応じ、愛する妻子のためにも快進撃を誓った。
この日の取組編成会議で初日は宝富士、2日目は千代翔馬との対戦が決まった。
部屋で幕下力士らと連日15番前後の稽古をこなし「順調に準備はできている」と不安はなし。
先場所は優勝の可能性が消えた後の千秋楽に敗れ、師匠から最後の気の緩みを指摘されたといい「そう思われないような、集中しきった相撲を取りたい」と意気込んだ。
7日、大相撲初場所で、ゲームなどで人気の「ポケットモンスター(ポケモン)」と伝統的な和柄がデザインされた行司装束や、オリジナルの化粧まわしをお披露目すると発表した。
昨年11月の九州場所から、互いの魅力を発信する取り組みを行っている。
九州場所では、おなじみの「ねずみポケモン ピカチュウ」などの懸賞旗が15日間で計64本出された。
初場所では200本以上の懸賞旗が登場予定。
国技館内ではポケモンにまつわる展示も実施される。
木瀬部屋所属の平幕、英乃海と新十両の芝改め紫雷が、埼玉県内の違法賭博店に出入りし、賭博に関与した疑いがあるとして、埼玉県警から事情聴取を受けていたことが7日、捜査関係者への取材で分かった。
同県警は容疑が固まり次第、2人を賭博容疑で書類送検する方針だ。
日本相撲協会は7日、オフィシャルパートナーの取り組みを今年1月から開始し、3カテゴリーで最上位の「オフィシャルトップパートナー」として、飲料メーカーの伊藤園との契約締結を発表した。
同社は年6度の本場所で広告を掲示し、館内に専用ブースを設置。
情報発信を行っていく。
伊藤園は「おーいお茶」の主力商品で知られる。
相撲とお茶は日本の伝統文化であるという共通項。
伊藤園の本庄大介社長は「相撲とお茶の魅力を世界中に発信し、日本文化の発展と認知拡大に貢献したい」とコメントした。
2022/01/07
大横綱大鵬の孫、王鵬が2018年初場所の初土俵から4年をかけて新入幕を果たした。
191センチ、181キロ。
恵まれた体も受け継いだ21歳は、突き押しを磨き、じっくり力をつけてきた。
「持っているものがどれだけ通用するか楽しみ」。
新年初日を心待ちにする。
先場所は東十両7枚目で11勝を挙げ昇進。
立ち合いから圧倒する相撲も増えてきた。
「地力がついたことを実感できている。得意な形になれば負けない」と自信を深めている。
祖父は新入幕の場所で12勝を挙げている。
「12番に近づきたいとかではなく、しっかり勝ち越して、そこからさらに勝てるように」と王鵬。
一気に番付を駆け上がるつもりだ。
「NHK福祉大相撲」を2022年2月11日(金・祝)に国技館で開催すると報道がありました。
開場:午後0時10分/開演:午後1時/終演予定:午後5時30分
この催物の純益等で、障害者福祉・高齢者福祉の施設や団体などに、福祉車両「福祉相撲号」を寄贈します。
「福祉相撲号」は、これまで全国各地に321台贈呈しており、障害児・者や高齢者の福祉に役立てられています。
2022/01/05
日本相撲協会は4日、田子ノ浦親方と、田子ノ浦部屋所属の幕下以下2力士、一等床山の床鳴の計4人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。
東前頭7枚目の高安を含む全力士14人ら同部屋所属の協会員計18人は陽性者および濃厚接触の可能性があるとして、大相撲初場所の全休が決まった。
今後は保健所の指示に基づき、濃厚接触者の調査や療養などの対応を行う。
場所前に感染者が出て全休措置が取られるのは昨年秋場所の宮城野部屋以来で、横綱白鵬らが休場した。
芝田山広報部長によると、田子ノ浦部屋のマネジャーが4日朝に体調不良を訴え、抗原検査で陽性が判明。
すぐに部屋全員が検査を受けたという。
新変異株のオミクロン株かどうかは不明といい「まだ陽性者が出る可能性もある」と警戒感を示した。
2021/12/23
日本相撲協会はいずれも木瀬部屋に所属する、幕内力士の英乃海と、来月の初場所で十両に昇進する紫雷が、違法賭博に関与した疑いがあるとして、初場所を休場することになったと発表しました。
日本相撲協会によりますと、英乃海と紫雷は違法賭博に関与した疑いがあり、処分の対象となる可能性があるため、師匠の木瀬親方の判断で初場所を謹慎休場させることになったということです。
関与の疑いのある時期など詳しい内容については調査中としています。
英乃海は東京都出身の32歳。
平成24年の夏場所が初土俵で、先月の九州場所は前頭9枚目で8勝7敗と勝ち越していました。
また、紫雷は東京都出身の29歳で、平成26年春場所で初土俵を踏みました。
九州場所は幕下2枚目で5勝2敗で勝ち越して初場所で十両に昇進することが決まり、しこ名を「芝」から改名したばかりでした。
日本相撲協会の芝田山広報部長は「どういう違法賭博なのか調査中なのでわからない。2人だけに限るのかもまだわからない」と述べました。
そのうえで「調査をしてみなければわからないことだが、休場させるという決断にいたったというのは非常に残念であり遺憾だ」と述べました。
幕内志摩ノ海(32=木瀬)が22日に東京・墨田区の部屋で会見を開き、婚約を発表した。
お相手は元タカラジェンヌの天咲千華(あまさき・ちはな)でヨガインストラクターの福薗清香さん(34)。
先代井筒親方で元関脇逆鉾の福薗好昭氏(故人)の長女で、角界とも深い縁がある。
志摩ノ海は角界関係者の紹介で清香さんと10月上旬に初対面し、結婚を前提に交際をスタート。
そこから3、4回のデートを経てスピード婚約となった。
志摩ノ海は「(清香さんは)やさしくて気配りのできる方。
明るく、ともに成長していける関係で家庭を築いていきたい。
身が引き締まる思いで、また相撲に精進できる。
もっと上を目指して頑張りたい気持ちが、さらに持てました」と心境を語った。
清香さんは「笑顔のすてきな方。関取のやさしいお人柄と思いやり深いところにひかれました。厳しい勝負の世界で生きていらっしゃる方なので、家に帰られた時だけでも心が安らいでいただけるサポートをしていければ」と幸せいっぱいの表情だった。
荒磯親方(35)=元横綱稀勢の里、本名萩原寛、茨城県出身=が年寄「二所ノ関」を襲名することが19日、関係者の話で分かった。
師匠を務める荒磯部屋は初場所(来年1月9日初日・両国国技館)から二所ノ関部屋に名称が変更。
既に日本相撲協会理事会でも承認されている。
現在の二所ノ関親方(元大関若嶋津)は来年1月12日に65歳になり定年となる。
「二所ノ関」は五つある一門の一つで伝統の名跡。
関係者によると、将来的には相撲協会の中心を担ってほしいとの期待が込められているという。
二所ノ関部屋は13年に閉鎖されたが、14年12月に松ケ根部屋からの名跡変更で復活した。
2021/12/10
大相撲の年寄総会が9日、東京・両国国技館で行われ、来夏から巡業の再開を検討していることが報告された。
新型コロナウイルスの影響で昨年春場所後の春巡業から中止が続いていた。
巡業開催なら2019年の冬巡業以来となる。
芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「来年春(巡業)までは中止。夏(巡業)以降に関しては状況によって開始する」と説明。
現在、巡業部が収容人数、感染対策など準備を進めている。
相撲の二所ノ関、時津風一門は9日、都内で会合を開き、初場所(来年1月9日初日、東京・両国国技館)後に実施の日本相撲協会役員候補選挙で、二所ノ関一門は理事候補に現職の芝田山親方(元横綱大乃国)、花籠親方(元関脇太寿山)と新たに佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)が立候補する方針を確認した。
出席者が明らかにした。
時津風一門は陸奥親方(元大関霧島)と伊勢ノ海親方(元前頭北勝鬨)が立候補の見通し。
現職理事の二所ノ関一門の尾車親方(元大関琴風)、時津風一門の鏡山親方(元関脇多賀竜)は任期中に定年の65歳になるため立候補できない。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は9日、来年の初場所(1月9日初日、東京・両国国技館)に向けた合同稽古について、今月20〜23日に国技館内の相撲教習所で行うと発表した。
年内には、全協会員を対象とした新型コロナウイルスのPCR検査を実施する予定。
大相撲の伊勢ケ浜一門は6日、都内で会合を開き、関係者によると、来年1月の初場所後に実施見込みの日本相撲協会の役員候補選挙で、理事候補に現職の伊勢ケ浜理事(元横綱・旭富士)を擁立することを確認した。
伊勢ケ浜理事は現在、審判部長を務めている。
現役引退した元横綱・白鵬の間垣親方が今年達成した五つの記録が、ギネス世界記録に認定された。
3日、東京・両国国技館で間垣親方に公式認定証が贈呈された。
認定された記録は、幕内優勝の最多回数(45回)▽横綱在位の最長期間(84場所)▽幕内通算勝利の最多回数(1093勝)▽大相撲通算勝利の最多回数(1187勝)▽幕内全勝優勝の最多回数(16回)。
間垣親方は「最後の最後に、うれしいご褒美をいただきました。今後も親方として精いっぱいがんばります。ギネス世界記録をもらえるような弟子を育てていきたい」とコメントした。
間垣親方は現役時代の2015年に歴代単独最多の幕内優勝回数を更新し、ギネス世界記録に認定された。
日本相撲協会は2日、東京・両国国技館で理事会を開き、来年春場所(3月13日初日、エディオンアリーナ大阪)の開催方法に関し協議し、入場定員数を通常の75%、約5500人予定とすることを決めた。
政府の方針に沿い現在の上限50%から動員数を増やす。
たまり席、いす席は全席販売、通常4人の升席は2人掛けで使用する。
来年初場所(1月9日初日、両国国技館)は従来通り、上限50%のまま開催する。
2021/11/29
千秋楽、横綱照ノ富士が大関貴景勝を力強く押し出して快勝。
自身初の全勝で2場所連続6度目の優勝に花を添えた。
名実ともに一人横綱で臨んだ今場所は重責やヒザの古傷など懸念材料もある中、1962年の大鵬以来となる新横綱からの連覇を達成。
今後も角界のけん引を期待される横綱は、若手力士の壁となって立ちはだかる決意を口にしている。
照ノ富士は初の全勝優勝を達成し「今までできなかったのでうれしい。ちょっとずつ理想の相撲になりつつあるのかな」と充実の表情を浮かべる一方で「(理想の相撲が)引退まで100%になることはない。100%に近い相撲を取るために一生懸命やっていきたい」と今後に向けて気を引き締めた。
千秋楽、大関・貴景勝は、横綱・照ノ富士に押し出しで敗れて3敗目。
最後の一番に敗れたものの、12勝3敗の成績で一年納めの場所を終えた。
立ち合いから押し合った一番。
低く当たる大関に対し、横綱も膝を曲げて受け止める。
離れて見合った状態からいなしてのど輪で攻めたが、こらえた照ノ富士が前進。
はたきにも落ちず、最後は押し出された。
取組後のリモート取材では「もっと強くなるしかない」と、淡々と敗戦を受け止めた。
御嶽海は左四つになると、巻き替えようとする正代を難なく押し出した。
昨年7月場所以来の11勝を挙げ、「気持ちいい。来場所もしっかりと2桁取れる自信になった」。
大関とりへの足掛かりをつくり、手応えを強調した。
八角理事長は白星の数を評価しつつも、平幕相手に3敗を喫した内容に「波をなくすことが大事。気持ちが入らないときこそ、気合を入れるのが大事」と指摘。
御嶽海も「あとは気持ち。しっかり気持ちを乗せていけたら」と課題を自覚していた。
若隆景が躍進の1年を白星で締めくくった。
前傾姿勢の翔猿に、右をのぞかせて攻め込む。
相手がたまらず引いたところを一気に前進。
2勝7敗から6連勝で勝ち越した。
新型コロナウイルスに感染して初場所を全休したが、名古屋場所では新三役に。
「幕内上位で相撲を取れたのは自信につながった。まだまだ地力が足りないので、もっともっと稽古したい」と意欲的に話した。
千秋楽、西前頭2枚目隆の勝が、西前頭15枚目阿炎を押し出しで下して敢闘賞を獲得した。
好調の阿炎に対して、鋭い出足で立ち合いで圧倒。
一気に前に出て押し出した。
勝てば敢闘賞受賞の条件付きだったことを取組直前に知ったといい「少し緊張したけど、本当にうれしいです。勝ててよかった」を笑顔だった。
今場所は11勝を挙げ、上位陣の成績を見ると、来年1月の初場所での三役復帰が確実となっている。
弾みをつける三賞獲得となり「前に出る相撲が評価されたのかなと。自信になるし、いい感じで来場所につながると思う」と手応えを口にした。
千秋楽、東前頭7枚目の宇良は千代丸の足を取りにいったが、あと少しのところで届かなかった。
逆に上手を取られてばったり。
千秋楽を白星で締めくくることはできなかったが、それでも宇良に笑みが浮かんだ。
何といっても初の三賞を獲得。
それも念願だった技能賞だ。
「相撲界に入ってからの夢だったので。1つの夢がかなえられてよかったです」と素直に喜んだ。
けがをする前の2017年夏場所。
入幕2場所目で11勝4敗という好成績を残した。
それでも受賞とならず「技能賞、欲しかったです」と残念そうにつぶやいていた。
今場所は足取り、とったり、肩透かしなど宇良らしさが全開。
三賞選考委員会では満場一致で決まった。
「途中、けがもあって2度と取れないと思っていたので、ほんとにうれしいです」と満面の笑みだった。
千秋楽、西前頭12枚目の北勝富士が、11勝4敗の好成績で終えた。
幕内上位が定番だったが、先場所は休場があり、18年名古屋場所(東16枚目)以来の前頭2桁台で相撲をとった。
それだけに「番付を落とした分、少しは元いた地位に近づけたかなと思います」と話し、「上位と下位の違いを肌で感じた。同じ幕内でも世界が違う」としみじみ話していた。
西前頭15枚目の阿炎は引いてしまい隆の勝に押し出されたが、自己最多となる12勝3敗で終え、敢闘賞を受賞。
新型コロナウイルス対策のガイドライン違反で、3場所出場停止の処分を受けてからは自分と向き合い、押しに徹する素晴らしい内容。
14日目には照ノ富士をあと一歩のところまで追い詰めた。
「自分の相撲で取れたので、すごく意味のあるものだと思います」と話したが、14場所ぶり3回目の敢闘賞にふさわしかった。
それでも「勝って締めたかったというか、自分の相撲を取れずに終わったのでまた課題が出きました」と気を緩めることはない。
「まだ自分自身では変われたか分かってないですけど、相撲と向き合えた1年でした。家族との会話も大事にしてきました。変わるための1年だったので、これで止まらずもっと変われる1年にしたい」と来年への誓いを立てていた。
日本相撲協会は九州場所千秋楽の28日、会場の福岡国際センター内に「満員御礼」の垂れ幕を下げた。
協会広報部によると、東京・両国国技館で行われた昨年1月の初場所千秋楽以来。
この日の千秋楽は、収容人数の半分にあたる約3700人の観客が集まった。
八角理事長は協会あいさつで「コロナ禍の大変な中、今年一年、大相撲を支えていただき、協会員一同、心から感謝しております。本当にありがとうございました」と述べた。
大相撲九州場所が28日に終了し、秋場所中に年間最多勝を確定させていた横綱照ノ富士は77勝だった。
70勝を超えたのは、81勝だった平成26年の白鵬以来7年ぶり。
横綱の年間最多勝は17年の白鵬以来となった。
2位は関脇御嶽海で55勝。
大関陣は正代が52勝で3位、2度の休場があった貴景勝は45勝にとどまった。
今年は新型コロナウイルスの影響を受けながらも、6場所を実施した。
2021/11/28
照ノ富士が一人横綱としての重責を果たした。
初日から白星を重ね、14日目での優勝に「ほっとしている。一生懸命やっただけ」。表情を変えずに話した。
勝てば優勝の一番は平幕阿炎が相手。もろ手で突き、迷わず前進してくる相手のペースで土俵際まで後退した。
しかし左足で残し、相手のハズを外して右で抱える。離れようとしてバランスを崩した阿炎を押し倒した。
横綱白鵬が秋場所後に引退。責任が一層増した九州場所に「受けて立つ気持ち」で臨んだ。
相手の形になっても、最後は負けない相撲が目立った。
この日も押し込まれたように見えたが、あえて自分から上体を起こすことで、相手の上体も起きてつかまえやすくなる。
今場所の阿炎の取組を見て、研究しながら練っていた作戦だった。
両膝のけがなどで序二段まで番付を落とした時に決めたのは「毎日、一生懸命」ということ。
日々の稽古、対戦相手の研究など努力を欠かさない姿勢こそが、新横綱場所からの連覇、今年4度目の優勝を手繰り寄せた。
師匠の伊勢ケ浜親方は「十分責任を果たした」とたたえ、八角理事長も「一人横綱で大変なところをよくやった」と称賛した。
千秋楽は自身初の全勝優勝が懸かる。
「そう簡単なことではない。チャンスがあればつかみたいと思う」。
大関返り咲きを果たし、番付の最高位まで上り詰めた一年を最高の形で締めくくる。
14日目、貴景勝は一方的に正代を突き出して大関対決に快勝した。
前日、平幕の阿炎に敗れた影響は感じさせず、「また、しっかり準備してやった。きょうはきょうなので」と振り返った。
今場所は9日目まで照ノ富士と並走したが、その後2敗を喫し、目の前で千秋楽を待たずに優勝を決められた。
「負けている自分が悪いだけ。別にあまり思うところはない。勝ちたければ(自分が)全部勝てよ、という思い」。
悔しさは隠せなかった。
14日目、御嶽海が大関とりへの起点作りとなる10勝目を挙げた。
おっつけ、のど輪を受けて土俵際に後退も、回り込んではたいた。
夏場所以来の10勝も「後半戦で自分の相撲が取れなかった。もうちょっと早くいけた」と反省。
今年最後の一番に向けて「気持ちよく終わりたい」と昨年7月場所以来の11勝を狙う。
大相撲の元小結・千代鳳が現役を引退し、年寄・佐ノ山を襲名することになりました。
九重部屋の千代鳳は、鹿児島県志布志市出身の29歳。
平成20年夏場所で初土俵を踏み、力強い突き押しで番付を上げて、平成25年夏場所で新入幕を果たしました。
平成26年の夏場所では、小結として初めて三役に昇進しました。
鹿児島県出身力士の新三役は、平成4年秋場所の旭道山以来22年ぶりでした。
また、兄の千代丸も幕内に昇進し、兄弟ともに幕内力士として活躍しました。
千代鳳は、その後、けがなどもあって、平成29年の初場所を最後に幕内には復帰できず、東の幕下12枚目で迎えた今場所は、1勝6敗の成績でした。
日本相撲協会は27日の理事会で、千代鳳の引退と年寄・佐ノ山の襲名を承認したと発表しました。
千代鳳は28日、引退の記者会見を行う予定です。
2021/11/27
一人横綱が2連覇へ王手をかけた。
13日目、横綱照ノ富士が関脇御嶽海を一方的に寄り切って無傷の13連勝を決めた。
危なげない相撲で圧勝した取組後は「集中して当たろうと思っていた。残り2日間、頑張っていきたい」と淡々と語った。
ここまで1敗で並んでいた幕内阿炎と大関貴景勝の直接対決は阿炎に軍配。
本来は横綱と大関の対戦となる割が崩され、14日目に阿炎と直接対決することになった。
照ノ富士が勝てば2場所連続6度目の賜杯を手中に収めることになるが「土俵に上がったら変わらない。一日一番の気持ちでやっている」と格下相手にも一切の油断を見せなかった。
正代が玉鷲を寄り切り、初場所以来で大関昇進後2度目の2桁白星に王手をかけた。
強く胸から当たって左を差して前進。
「立ち合いでよく足が出た。この調子でいきたい」と手応えを語った。これで4連勝。
「九州場所だから一番でもいい相撲を」と地元ファンを喜ばせている。
日本相撲協会は13日目の打ち出し後からコロナ下での協会員の行動制限を緩和し、部屋後援者らとの会食を条件つきで認めたが、大関は「流れを変えるのは良くない」と相撲としっかり向き合う構えだ。
宇良が206キロの巨漢、小結逸ノ城を翻弄(ほんろう)した。
前傾姿勢で頭をつけ、抱え込まれそうになったところで左腕を抜きながら横について相手の左腕を取ると、そのまま振り回すようにして「肩透かし」。
大きな相手を土俵にはわせ、「重かった」と率直な感想を口にした。
これで10勝目。
星が伸びており、東前頭7枚目ながら14日目は関脇明生と顔を合わせる。
連日、三役との対戦が続くが「あと2番あるので、余計に気を引き締めて頑張りたい」と話した。
13日目、英乃海が大関経験者の高安を破り、勝ち越しを決めた。
勝った2016年春場所以来、5年8カ月ぶりに対戦した思いを語った。
「勝てて良かった。いい攻めができた。何より高安関に勝てたことが自信になる。巡業の時は胸を出していただき、アドバイスをいただいた。そういう面でも勝てたのでうれしい。前回は立ち合いから一瞬で勝負がついたが、今回はしっかり相撲を取って勝てた。大関になっても稽古をつけていただいていたので、もう一回顔合わせできたのは本当にうれしい。(恩返しにもなる)できているか分からないが、そういう気持ちで向かっていきました。」
13日目、前頭十五枚目・阿炎は、ともに1敗で並んだ大関・貴景勝との一番。
立ち合い後、互角の押し合いが続くも、阿炎が回り込む貴景勝を押し出して勝利。
阿炎は1敗同士の対決を制し、優勝へ向け望みをつなぐ。
14日目に照ノ富士と対戦。
照ノ富士に勝てば、千秋楽へ望みがつながります。
2021/11/26
連覇を狙う照ノ富士にとって、終盤戦最初の難敵だった。
初土俵が同じ関脇明生には秋場所で不覚を取っている。
気負いが生じかねない状況だからこそ、「落ち着いて取ろう」。
泰然と向き合うよう努めた。
左四つで攻め込まれたが、前回対戦では取れなかったまわしに左手が届いた。
この左下手を命綱として「余裕を持ってやっていこうと思った」。
相手の寄りをこらえると、左足をはね上げながら豪快に掛け投げ。
土俵下まで転がしてみせた。
正代の圧力が光った。
霧馬山に強く当たると、左を差して一気に寄り切った。
先場所敗れた相手に何もさせず、「後半に差し掛かって立ち合いも良くなってきた」。
12日目で給金を直し、手応え十分の様子だった。
熊本出身の大関にとって、大きな声援を浴びる九州場所で勝ち越して「まずは一安心」。
残り3日、優勝争いを左右する存在になるためにも「思い切りいけたら」と言葉に力を込めた。
12日目、大関貴景勝が東前頭5枚目高安を送り出しで下し、1敗を守った。
昨年11月場所以来3度目の優勝に向け、全勝の横綱照ノ富士を追いかける残り3日間。
13日目は、1敗同士で再入幕の阿炎との一番が組まれた。
過去2勝2敗と五分で、ここまで好調な相手を下し、優勝争いへ弾みをつけたい。
貴景勝が大関の強さを見せた。
立ち合いで、高安から右の張り手を受けたが動じずに前へ。
組まれそうになったが力強く突き放し、強烈な左の張り手を浴びせた。
休むことなく突いて出る。
左の張り手が空振りとなり、後ろ向きになった相手を送り出した。
「相手(のこと)よりも、自分が何をするかを考えていた。稽古場でやってきたことをやるだけなので」と堂々としていた。
12日目、東前頭7枚目の宇良が、前日まで2敗と好調な北勝富士との対戦を鮮やかに制して、9勝目をあげた。
頭をつけるような立ち合いから、出てきた相手を誘い込むように自ら下がる。
うまく土俵を回り込みながら、最後はとったりを決めた。
勢い余って振り上げた両腕がガッツポーズのようだった。
取組について「分からないけど、流れた感じはしましたね」と表現。
北勝富士とは同じ年の同期生。
「(幕内で)相撲がとれたのはよかった。平成4年生まれのお相撲さんは優しい人が多いと思います」。
2桁10勝目に王手をかけた。
12日目、俵に足がかかった阿炎だが、玉鷲を押し返すと一気に土俵下に突き出した。
1敗を守る逆転勝ちを生み出したのは反省の日々で培った「深い集中」だ。
9勝2敗と好調だった三役経験者の玉鷲を「押し始めたら止まらない」と警戒していた阿炎だったが、立ち合いで後ろにはじかれた。
しかし、ひるむことなく189センチ、172キロの相手を前傾姿勢で押し戻すと、下からののど輪を連発して勝負を決めた。
2021/11/25
11日目、2場所連続6度目の優勝を目指す横綱照ノ富士が、小結逸ノ城を寄り倒して無傷の11連勝を飾り、単独首位を守った。
相四つの巨漢から、左上手がなかなか取れない展開だった。
左右に振りながら上手を取ると、すかさず圧力をかけて逸ノ城を半身にさせて、頭をつけながら体を預けるように寄り倒した。
直近4連勝中の相手に完勝とはいかず、取組後には首をかしげる場面もあった。
「立ち合いが当たれなかった。納得いく相撲ではなかった」。
前日10日目に同じく勝ちっ放しだった大関貴景勝が敗れ、単独トップに浮上した。
1敗勢2人、2敗勢3人が追走するが、心境については「変わりません」と淡々としていた。
11日目、大関貴景勝が押し出しで遠藤を下し、連敗を回避した。
油断できない相手だった。
遠藤との対戦成績は6勝4敗(不戦勝含めず)で、最近は2連敗している。
「まあ、勝つためにはどうしたらいいか考えただけです。まあまあって感じです」。
前まわしを狙いにきた遠藤をよく見て突き放し、最後はまわしを取られたが、迷わず前に出た。
八角理事長は「よく相手を見ていましたね。いい相撲で勝ってる」と貴景勝の考えた相撲を評価した。
連敗すれば優勝争いから脱落し、目標の2桁勝利も厳しくなる大事な一番。
好不調の波が激しい御嶽海が難敵の元大関を相手に執念を見せ、土俵際で踏みとどまった。
立ち合いは頭からではなく、もろ手突きでいった。
高安の圧力にずるずると下がりかけたが、右に回りながらいなして反撃した。
すぐに左を差しての寄りで勝負あり。
この1年は1勝5敗と分が悪かった相手とあって「最後の最後まで気を抜けなかった」と胸をなで下ろした。
横綱が優勝争いを引っ張る場所で、前頭12枚目の北勝富士が白星を伸ばしている。
三役経験者としては不本意な地位とはいえ、終盤に入っても勢いは落ちない。
幕内最初の取組である「初口(しょっくち)」に登場した北勝富士は立ち合いで距離を取るように右腕を伸ばし、千代丸の懐に入った。
土俵際まで押し込み、最後は後ろを向かせて送り出した。
「自分の距離を大事にとった。相手の力を逃がしながら、うまい相撲が取れたかなと思う」と振り返った。
1差でピタリと追走する西前頭15枚目の阿炎が、この日も業師の宇良を全く寄せ付けず、10勝目を挙げた。
もろ手突きで宇良を突き放すと、懐に飛び込ませまいと威力のある突き押しで宇良を横向きに。
体勢の崩した相手を、そのまま突き倒す快勝だった
。
この相撲に、報道陣の電話取材に応じた日本相撲協会の八角理事長は、阿炎の迷いのなさをこの日も強調。
「突っ張ってから全然、引く気持ちがないから、相手に力が伝わる。だから(宇良の体勢が)崩れる」と解説した。
精神的な充実ぶりにも言及し「とにかくいい相撲を取ろうという意識じゃないかな。勝つんだというのではなく、とにかくいい相撲を、というね。いなされても前に出るんだという」と前向きな気持ちが相撲に表れていることを読み解いた。
三役経験者が加わり、これで優勝争いが盛り上がる。
上位にとっては嫌な存在だが「盛り上げるという意味で、嫌な存在でなく、いい存在だね」と期待していた。
2021/11/24
照ノ富士が豪快に10連勝。
豊昇龍の両腕をきめ、持ち上げるように土俵外へ運んだ。
同じモンゴル出身の新鋭を寄せ付けず、「落ち着いて取れたのでよかった」。
これでただ一人の勝ちっ放しに。
控えの土俵下では、転落してきた高安が古傷がある右膝付近にぶつかるアクシデントもあったが、「大丈夫。あしたから頑張ります」。
短い言葉に充実感を漂わせた。
10日目、大関貴景勝の全勝が止まった。
明生を左から突き落とそうとしたが効かず、状態が浮いて後退し押し出された。
「まあ勝たなきゃいけないんで、よくなかったですね」と貴景勝。
9日目の取組で右膝を強打したことの影響は「ないです」ときっぱり。
照ノ富士に単独トップを許したが、まだ1差。
「しっかり準備するだけです」と11日目に視線を向けていた。
成長株の明生が無敗だった貴景勝に土を付けた。
関脇が存在感を見せた。
貴景勝の突き押しを受けながら丸い土俵をうまく使って回り込み、相手が体勢を崩すと攻勢に転じた。
たまらず大関が引いたところを逃さず、最後は頭をつけるようにして押し出した。
土俵下の高田川審判長は「明生の動きが良かった。攻めながらも圧力を受けないようにして、うまくさばいて引かずに持っていった」と評した。
10日目、西前頭6枚目の玉鷲が碧山を一蹴した。
頭で力強く当たり、そこから一気に突き出した。
190センチ、183キロの巨漢をものともせず2場所ぶりの勝ち越しを決めた。
「良かったです。自分の相撲が取れたと思います」と笑顔をみせた。
10日目での勝ち越しは2019年初場所で初優勝して以来。
2年前の再現も期待されるが「そこはあまり意識していない。優勝争いは全然考えていない」と目の前の一番に集中している。
10日目、東前頭7枚目の宇良がスッと頭を下げて琴ノ若の懐へ飛び込んでいく。
いなされても問題にしない。
足取りの動きを見せながら、もろ差しを奪う。
さぁ、ここからが宇良の真骨頂。
流れるような動きで決めた肩透かしは、何と8日目から3日連続。
これぞ業師。
右膝を大けがする直前の2017年夏場所に並ぶ自己最速タイの10日目での勝ち越しを決めた。
相撲内容を聞かれた宇良の反応が面白い。
「分からないですね」の3連発。
4年前のことも「覚えていないです。今場所は今場所なんで。4年前の話をされても分かんないです」と素っ気ない。
ただ、10日目というスピード勝ち越しには「いやまぁ、奇跡というか、めったにこういうことはないかなと思います」。
声を大にして、あふれる思いを吐き出した。
10日目、北勝富士が7日目からの4連勝で2場所ぶりの勝ち越しを決めた。
佐田の海に土俵際に押し込まれたが「落ち着いて反応できた。後ろも余裕があった」と、はたき込みを決めた。
先場所の秋場所は右膝を負傷して途中休場。
それだけに「勝ち越しは自信になった。今年最後の相撲なので来年につなげたい」と来年1月の初場所を見据えた。
10日目、西前頭15枚目の阿炎は翔猿を全く相手にせず1敗を守った。
立ち合いから突きで後ずさりさせ、その後も攻め手を緩めなかった。
「良かったと思います。
引きや、いなしがある相手なので、しっかり警戒して前に出られた」。
番付は幕内下位ながらも、元は三役経験のある実力者。
「一番一番、集中して相撲を取ることだけ考えている」。
優勝争いのダークホース的存在になってきた。
日本相撲協会の芝田山広報部長は23日、九州場所13日目の26日から、力士ら協会員が守る新型コロナウイルス感染防止対策を緩和し、条件付きで後援者らとの会食を許可すると発表した。
これまで不要不急の外出を認めていなかったが、「行動記録をつける」「師匠の許可を得る」「午後10時前には終了し、帰宿する」ことなどを求め、「接待を伴う店は禁止」とした。
芝田山部長は「13日目からであれば、万が一のことがあっても場所は終了できる。協会員は厳しい感染対策をしてきた。緩和して、気持ちをリフレッシュしてもらいたい」と説明した。
中村親方(元関脇嘉風)が23日、来年2月5日に東京・両国国技館で開く引退相撲をPRした。
昨年10月に開催予定だったが、コロナ禍で2度延期。中村親方は「ようやくという感じ」と感慨を語った。
今回は土俵で相撲も取る意向。
2019年6月に右膝にけがをして同年秋場所で引退しており「19年夏場所の千秋楽が最後の一番だったが、まさかそうなるとは思わなかった。最後の時間を取りたかった」と説明した。
「ご想像にお任せします」という相手とは交渉中。
チケット料金など詳細は12月に公式ホームページなどで発表する。
2021/11/23
照ノ富士が貫禄十分に実力者の高安を退けた。
相手得意の左四つになったものの、上手をがっちりと引いて動きを止めると、圧力をかけながらの力強い寄りで完勝。
「良かったと思う」と納得の表情を浮かべた。
ここまで一人横綱の重圧は全く感じさせず、得意の右四つに組めなくても取り口には余裕がある。
先場所は9日目に初黒星を喫したが、「一日一番、集中していきたい」と言い、普段と変わらず冷静だった。
貴景勝は無傷の9連勝としたが、得意の突き押しだけで仕留められなかった。
豊昇龍にまわしを許し、反撃される場面も。
休まず動いて事なきを得たが、「相撲というのは、なかなかうまくいかない」とつぶやいた。
8日目は相撲内容で完敗だったものの、まげをつかんだ逸ノ城の反則で白星を拾っている。
土俵下の錦戸審判長は「自分の相撲じゃない。小手に振ったりして、本来の調子ではない」と評した。
御嶽海が給金を直した。
明生を突いて攻め、流れの中で引く場面こそあったものの、最後は右四つに組み止めて力強く寄り切り。
「瞬時の判断が正確にできた」と満足そうに言った。
9日目までに勝ち越しを決めたのは、初めて賜杯を抱いた2018年名古屋場所以来。
実力者ながらも調子の波があり、「いつも期待させているだけなので、そろそろ結果を出さないといけない」。
自らに言い聞かせるように話した。
ちょっぴり反省の残る相撲内容でも、この日の白星は素直に喜べる。
7場所ぶりに戻った幕内で勝ち越しを決めた阿炎は、「うれしい」。
短い言葉に実感を込めた。
馬力のある千代大龍にもろ手で当たった。
長い腕を伸ばす前に後退させられたが、「集中して相撲を取れている」。
冷静に相手の動きを見て、タイミング良く引き落とした。
昨年7月場所中に新型コロナウイルス対策のガイドライン違反が発覚。
3場所の出場停止処分を受けて幕下から再出発した。
軽率な行動を恥じ、「相撲と向き合うことを意識していた」という日々。
落ち着いた言葉遣いに反省の念をうかがわせた。
騒動の後は家族と離れ、相撲部屋で生活を続けている。
「自分の中で『よし』、と思えた時、胸を張って一緒に住める」。
自らを律して基礎運動に励み、自己最速の9日目で給金を直した。
支えとなる家族、出直す機会を与えてくれた師匠がいる。
「相撲を取れているという感謝の気持ちで臨んでいる」。
出直しを誓った阿炎が、再起への階段をまた一歩踏みしめた。
2021/11/22
一人横綱が盤石の相撲だ。
8日目、横綱照ノ富士は幕内遠藤を押し出して、初日から無傷の8連勝とした。
立ち合いは相手の激しい当たりに若干、後退を余儀なくされる。
しかしその後は動じることなく、最後は力でねじ伏せた。
抜群の安定感で4場所連続となる自身5度目の中日勝ち越しを決めるも、取組後は「差されないようにと思って当たった。(立ち合いは)ふわっと立っちゃった。差される時もあるんで考えてやっていくしかない」と反省の弁を口にした。
土俵下の伊勢ヶ浜審判部長は「落ち着いて、ここぞというところで前に出ていた。今のペースを崩さないようにやっていけば」と戦いぶりを評価する。
それでも本人は「まだ終わっていない。残り頑張ります」ときっぱり。
4場所連続のストレート給金も通過点にすぎないことを強調した。
8日目、7戦全勝の大関・貴景勝は、小結・逸ノ城との一番に臨みました。
貴景勝は立ち合いで激しくぶつかると、その後は土俵中央で膠着(こうちゃく)状態に。
開始から2分30秒を超え、最後は逸ノ城に土俵の下へ飛ばされます。
軍配は逸ノ城に上がりました。
しかし、ここで「物言い」がつきます。
協議の結果、逸ノ城に「相手のまげを故意につかんで引っ張る反則があった」と認められ、一転して貴景勝の「反則勝ち」に。
貴景勝は苦しみながらも8勝目を挙げ、全勝を守りました。
8日目、御嶽海は立ち合いで隠岐の海に右を差されたが、前に出続けて一気に寄り切った。
寒暖差が苦手という九州場所でも足は動いており「悪くない。しっかり自分の相撲を取っていったら、勝ち越し、その上の2桁も見えてくる」と自信をのぞかせた。
隠岐の海には通算6勝5敗。
9日目の相手は西関脇の明生。
8日目、再入幕の阿炎はもろ手突きから右のど輪で英乃海を攻め、最後は右を差して寄り切った。
2018年初場所で新入幕して以来、幕内で8日目に7勝を挙げるのは初めて。
取材には応じなかった。
20日、日本相撲協会によると浜田真二さん(元幕内豊ノ海、元山響親方)が病気のため死去、56歳だった。
福岡県豊前市出身。
葬儀・告別式は28日午前10時から東京都杉並区和田2の14の6、東円寺会館で行う予定で喪主は妻美香(みか)さん。
200キロを超える巨体を武器に幕内を30場所務め、最高位は前頭筆頭。
1981年春場所の初土俵から一日も休まず、史上8位の1316回連続出場を記録した。
1999年春場所限りで現役を引退。
二子山部屋付きの親方になり、2002年6月に相撲協会を退職した。
2021/11/21
7日目、横綱照ノ富士が、西前頭3枚目妙義龍を下し、初日から7連勝とした。
妙義龍にもろ差しを許したが動じず、がっちり抱えて小手投げで調理。
「正面に置いて落ち着いていこうと思った。焦ってもしょうがないからね」とどっしりとした相撲で完勝した。
これで4場所連続となる初日から8連勝に王手をかけた。
7日目を終えて全勝は、大関貴景勝との2人だけに。
2場所連続優勝に向けて、日に日に期待が高まるが「まだ終わった訳ではない。終わってみないと分からない。1日1日集中してやるだけです」と引き締めた。
正代は3連敗を免れた。
立ち合いで勝てず宝富士に右上手を取られたが、素早く反撃。
「良いタイミングでできた」と、うまく右を差し込み、最後はもろ差しで寄り切った。
前日は隆の勝に敗れ、この日の朝稽古では当たり方の修正に努めた。
「押し込むことができていないのでまだまだ。だんだん調子を上げて連勝していけたら」。
不満の残る内容でも白星を先行させた。
7日目、横綱、大関陣で無傷の7連勝とした両力士を、日本相撲協会の八角理事長も評価した。
平幕の隠岐の海と対戦した大関貴景勝は、最初の立ち合いで隠岐の海が突っかけ、仕切り直しの立ち合は迷いなく踏み込み、ほぼ電車道で隠岐の海を押し出した。
取組前に「貴景勝は(立ち合いで)当たれれば問題ない」と予想していた八角理事長は、そのとおりの展開に「(隠岐の海は立ち合いで)逃げも隠れもしない相手だから、足がよく動いていますね」と迷いのない相撲を分析。
調子の悪いときに出る引きや、いなしもない状況に「いい当たりで押せているし、足が出ているからその必要もない。相手がいい当たりをして、押せないと思うと、はたきとかが出るけど」と心と体がかみ合っている貴景勝の現状を推しはかった。
7日目、関脇御嶽海は新小結霧馬山を下して1敗を守った。
立ち合いから突かれるも、左に開いて突き落とし「前に出たいですけどね。でも、体は動いているのでいいんじゃないですかね」と淡々とした口調で振り返った。
5日目に初黒星を喫し、その後は2連勝ながら「昨日、今日としっくりくる相撲じゃないんでね、納得いかないです」と話す。
それでも結果的に白星を挙げており「それはうれしい。中盤戦、いい形なのでこのまま行きたい」と率直な心境を明かした。
初土俵以来一度も休場のない「角界の鉄人」玉鷲が、被災地への思いを胸に白星街道を突き進んでいる。
2004年初場所から数えて通算1383回目(歴代5位)の相撲は頭から当たった。
そこから見せた押しは16日に37歳になったとは思えない威力。
「(相手が)粘り強いので一気に前に出た」。
大関経験者で腰の重い高安に何もさせず、あっという間に押し出した。
2021/11/20
6日目、2場所連続6度目の優勝を目指す横綱照ノ富士が、盤石の“横綱相撲”で初日から無傷の6連勝を飾った。
左四つから1枚まわしの右上手を力強く引きつけ、抵抗する東前頭3枚目隠岐の海を寄り切った。
形をつくってから攻め立てる内容に「良かったと思います。焦ってもしょうがないので、やるべきことをやっていこうと思っていました」と振り返った。
この日から中盤戦に突入し「体が動いていると思うので、残りも頑張っていきたいと思っています」と話した。
6日目、初日から5連勝の芦屋市出身で大関の貴景勝は前頭4枚目の宝富士と顔を合わせました。
貴景勝は宝富士を押し出しで破って、初日から6連勝としました。
貴景勝の過去2度の優勝はいずれも11月の場所で、今場所も期待が高まります。
6日目、東関脇の御嶽海は西前頭3枚目の妙義龍をはたき込みで下し、連敗せずに5勝目を挙げた。
妙義龍には通算7勝5敗。
7日目の相手は西小結の霧馬山。
6日目、隆の勝は攻め込んだ。
大関正代に土俵際ではたかれて判定は取り直しに。
それでも「悪くないと思っていたので、落ち着いて取れた」。
続く一番も喉輪におっつけと、厳しい攻め。
投げを打たれながらも体を預けるように寄り切った。
今年、5戦全敗だった正代を破り、「気持ち的に大きい。あしたからの自信につながる」とにっこり。
三役以上との対戦を五分で終え、「もう一回、気持ちを引き締め直して、自分らしい相撲を取れるように頑張っていく」と意気盛んだった。
6日目、苦い記憶のある高安との対戦。
2017年名古屋場所、初めての幕内上位戦で、高安との取組で右膝を負傷。
翌場所に状態を悪化させ、1年も土俵から遠ざかることになった。
それ以来の高安戦。
今度も頭を低くして勝機を探る。
張り手をかわしてもぐり込むと、右脚を抱えて鮮やかに足取りを決めた。
「一番一番、一喜一憂しないようにしている。あしたからも変わらず頑張っていきたい」と語る。
6日目、前頭十五枚目・阿炎が前頭十六枚目・佐田の海との一番を“珍手”で勝利しました。
阿炎は立ち合いから激しい突っ張りで押し込みますが、佐田の海にのど輪で状態を崩され、押し返されます。
それでも佐田の海の首を両手ではさみ、ひねり返す珍手“徳利(とっくり)投げ”で勝利。
これで阿炎は横綱・照ノ富士、大関・貴景勝と並び無傷の6連勝。
2021/11/19
5日目、照ノ富士は隆の勝の挑戦も退けた。
右差しで先手を取られたが慌てない。
落ち着いて立て直すと、左上手をがっちり。
たたきつけるように投げた一番を、「よかったと思う」と淡々と振り返った。
序盤戦を5連勝で終えた。
我慢強い取り口について「秘訣(ひけつ)はない。普段やっている稽古が出ている」。
土俵下の師匠、伊勢ケ浜審判部長も「相手を冷静に見ることができている」と評していた。
5日目、横綱、大関陣で無傷の5連勝とした両力士を、日本相撲協会の八角理事長も安定感を評価した。
押し相撲に迷いのない大関貴景勝は、この日も会心の相撲で先場所、苦杯をなめた平幕の妙義龍を押し出し。
この一番は「貴景勝次第。いい立ち合いならいいが、迷ったら差される」と読んでいた八角理事長は「気合を入れてやっていた。ドッシリしている。立ち合いで当たれれば貴景勝のものだから」と迷わず踏み込んだ大関の立ち合いを評価。
5連勝の大関に「これを毎日、繰り返すこと。体が動くし、いい流れでいっている。(15日間は)長いから、いい時もあれば悪い時もある。その都度、一生懸命にやれば、いいこともありますよ」との言葉を投げかけた。
5日目、隠岐の海が力強い相撲で正代に土を付けた。
鋭い立ち合いで左四つになると、迷いなく一気に前へ。
大関をあっという間に寄り切り「攻める気持ちで、挑戦者の気持ちで良い相撲が取れたと思います」としてやったりの表情だった。
36歳とは思えない相撲に、師匠の八角理事長も「なかなかやるな。(大関に)当たり勝っている」と感心した。
5日目、大関経験者である前頭・高安が豊昇龍との一番を寄り切りで制し、4勝1敗とした。
今場所、長い相撲が続いていた高安が、約10秒の速攻で力強さを見せつけた。
立ち合い、期待の若手である豊昇龍を目がけて右肩で猛然とぶつかった。
左四つで胸が合ったが、まわしを切ると右で厳しくおっつけ、前に出た。
土俵際で粘られたが反撃の余地を与えず、最後は寄り切り。
「短い相撲が一番いいですね」。
一方的に勝った会心の一番を、ご満悦で振り返った。
西前頭15枚目阿炎が、平幕唯一の初日から5連勝とした。
東前頭16枚目天空海を押し倒しで下し、自身初の初日から5連勝。
昨年7月場所前などに新型コロナウイルス感染対策のガイドラインに違反し、出場停止処分を受けて一時は幕下まで陥落。
昨年秋場所以来の幕内の土俵に、感謝の気持ちを持って上がる。
立ち合いから強烈な突き押しで天空海を圧倒。
自身初、そして平幕唯一の初日から5連勝としたが「あまり星数は気にしない」と表情を引き締めた。
こまでの相撲内容を、八角理事長も評価する。
「立ち合いに圧力があるから、絶対に引かないぞという突っ張りに迷いがない。相手には、いつか引いてくるんじゃないかというイメージがある。余計に突っ張りが効く。せっかく戻ってきたんだから、この相撲を続けることでしょう」と期待。
2021/11/18
4日目、照ノ富士が粘る阿武咲を退けた。
突き放してくる相手にじわじわ圧力をかけると、中に入ろうとする相手の腕をつかまえ、きめ出した。
この1年の対戦成績が五分と楽な相手ではなかったが、「対策どうこうより、やることは変わらない。やるべきことをやっているだけ」と振り返った。
序盤戦は相手に攻めさせながら自分の形に持ち込む内容の相撲が多い。
横綱は「できることはそれしかないので、頑張ってやっているだけ」と表情を緩めなかった。
2日目から3連勝とした。
立ち合いで胸から思い切って当たると、圧力をかけながら一気に前進。
土俵際で回り込もうとする相手をよく見ながら、最後は左手ではじき飛ばすようにして勝負を決めた。
過去2勝3敗と苦戦していた難敵を退け、弾みのつく白星。
課題の詰めの甘さを見せることはなく、「立ち合いから常に圧力をかけられてよかった」と納得の様子。
八角理事長(元横綱北勝海)は「上がってきた頃の、良かったときに戻った感じ」と高く評価した。
4日目、大関の貴景勝は、大栄翔との一番。
立ち合いから互いに激しい突っ張り合い。
大栄翔は跳んで突っ張りをかわそうとしますが、貴景勝はしっかりついていきます。
最後は大栄翔が体勢を崩したところを見逃さず「突き落とし」。
激しい押し合いを制し、白星をあげました。
大関・貴景勝は、初日から無傷の4連勝。
5日目は2勝2敗の前頭三枚目・妙義龍と対戦します。
4日目、関脇御嶽海が、初日から内容も伴った相撲で4連勝。
この日は200キロ超の巨漢力士、小結逸ノ城を、左右に動かしながら常に攻め続け、いなして中に入り、最後は押し出した。
三役常連の“眠れる大関候補”の好調ぶりに、日本相撲協会の八角理事長も「いい流れになっている。
元々、力はあるからね」と、まずは優勝2回の実力からして、特段の評価は避けた。
それでも期待を込めて「集中できている。それを途切れさせないで1つでも多く、連勝してほしい。
1つ(連勝が)途切れると集中力が切れる、きらいがあるからね」と指摘。
今場所は期待できそう?という報道陣の問い掛けに「毎場所、期待していますよ」と苦笑いで返し、大関昇進の期待がかかって久しいことに「そろそろも何も遅いぐらい。もっと欲を持って自分が相撲界を引っ張るんだ、というぐらいの気持ちでやってほしい」とハッパを掛けた。
協会トップの激励を受け、“万年大関候補”の看板を外せるか−。実力者の残る土俵に注目だ。
4日目、立ち合い、高安は出足の圧力で簡単に志摩ノ海を土俵際まで運び、一気に仕留めにかかる。
だが、回り込まれて押し切れない。
「詰めが甘かったのか、逃げられてしまった」。
ばたばたした末に、互いに頭を付けて動きが止まった。
3分30秒がたつころ、高安の左がようやく入り、右も上手を奪って上手投げ。
長い相撲が決着し、「じっくり相撲が取れました」。
3勝1敗とした元大関が、胸をなで下ろした。
前日に37歳の誕生日を迎えたばかりの玉鷲が力強く3勝目。
千代翔馬が立ち合いで張り差しにきたが、慌てることなく小手に振って相手の体勢を崩すと、すぐに距離を取って突いて出た。
「自分の一番いいのが突き押し。それを出せれば何とかなると思っている」と振り返った。
これで通算700勝に到達。
白鵬が秋場所後に引退したため、現役では最多勝ち星となっている。
「数字にはこだわっていないが、よくやったなと思う」と笑みを浮かべた。
4日目、西前頭13枚目・栃ノ心が九州場所5日目の18日から出場することが17日、決まった。
5日目に東前頭14枚目・輝との一番が組まれた。
大関経験者の栃ノ心は初日に豊山との一番が組まれたが、急性腰痛症のため休場し、不戦敗に。
師匠の春日野親方は途中出場の可能性を示唆していた。
4日目、西前頭15枚目・阿炎は、東前頭17枚目・魁聖を押し出しで下した。
8場所ぶりに幕内の土俵に立つ今場所、自身の初日からの連勝記録を4に伸ばした。
もろ手で立つと、右のど輪で攻める。
194センチの相手をのけぞらせたが、魁聖も194キロの体重と足腰でこらえた。
それでも猛然と前に出ると、たまたらず相手も後退。
最後まで右腕を伸ばして土俵を割らせた。
「やっぱり重い人だったので、まわしを取られたら何もできない。距離を取って相撲を取ることを考えた」。
押しも引きも多彩な阿炎だが、この日は力で押し切った。
2021/11/17
3日目、2年ぶりの福岡開催となった今場所。
一人横綱の照ノ富士は、若隆景との一番。
照ノ富士は立ち合いで若隆景の前回しを取ろうとしますが、若隆景がうまく距離を取ります。
しかし照ノ富士はそれに動じる様子もなく、土俵際に逃げようとする若隆景を冷静に「押し出し」。
若隆景に何もさせない横綱相撲で、白星をあげました。
一人横綱として挑む照ノ富士は、初日から無傷の3連勝。
4日目は3敗の前頭二枚目・阿武咲と対戦します。
初日の黒星で館内をため息でいっぱいにした大関・正代が2連勝で白星を先行させ、今度は多くの拍手を会場に響かせた。
三役経験者で押し相撲に定評のある前頭・阿武咲を押し続けた。
「最初から圧力をかけて1歩、2歩、3歩とちゃんと出る意識を持った」といい、最後は鮮やかにはたき込んだ。
3日目、大関・貴景勝が、新小結の霧馬山を下して初日から3連勝とした。
立ち合い当たってから低く突き上げ、完璧なタイミングで左の突き落とし。
6場所ぶりに序盤3連勝を飾り「始まったら一生懸命やるだけなので。準備だけしっかりして、という感じでした」と話した。
八角理事長も大関の一番を「余裕がある。相手が見えているということ。いなす前の突きがいい」と高評価。
一方では「でも、突き落としは癖になってしまう」と指摘した。
突き押しが身上の25歳。
理事長は「泥臭く泥臭く、前に出る相撲を続けていかないと、優勝はね。でも、さらによくなると思いますよ」と期待を寄せた。
3日目、関脇・御嶽海が平幕筆頭の大栄翔を下し、初日から3連勝を飾った。
前日15日に横綱・照ノ富士を土俵際まで追い詰めた大栄翔との押し合いを制し、「少しのミスが命取りになるので、特に大栄翔関は。自分も負けないようにその突きに対抗できるように我慢した」とうなずいた。
八角理事長が「お互いに力を出し合った」と高く評価した一番。
大栄翔の突きの連発をこらえた御嶽海に対しては「受け身ではなく、自分から圧力をかけた。こういう相撲を続けていくこと。それには精神的な強さが必要になってくる。それが今後、必要だ」と期待を寄せた。
3日目、37歳の誕生日を迎えた西前頭6枚目玉鷲が、東前頭6枚目志摩ノ海を押し出しで破って白星を先行させた。
立ち合いは低く下からもろ手であたり、一気に前に出て押し出した。
「気持ちよく自分の相撲が取れて良かったと思います」と好感触だった。
37歳を迎えたが「あまり意識はしていない。土俵に上がったらやることは決めている。元気よく、若手に負けない相撲を取りたい」と老け込むつもりはない。
2004年初場所の初土俵から、ここまで休場が1度もない鉄人。
「毎日毎日、自分の相撲を取って楽しく、それだけを意識して稽古している」と秘訣(ひけつ)を明かした。
2年ぶりの開催となった福岡のファンに対して「みんなの声援に応えるように、喜ばせたいと思っています」と語った。
3日目、宇良は潜り込むような低い立ち合いで豊昇龍を引かせると、タイミング良く引き落としで仕留めた。
3連勝の好発進にも「何も変わらない」。
淡々とした口ぶりのままだった。
幕下だった2年前の初場所、豊昇龍との対戦で膝を負傷した。
けがから再起する途中だったが、再び長い休場を強いられた。
その相手と「幕内で対戦できたことはうれしかった」と宇良。
少しだけ表情を緩めた。
3日目、東前頭9枚目碧山が、東前頭8枚目琴恵光を突き出しで破って初日から3連勝した。
「いったん、引いた所もあったけど、突きなおせてよかった」と振り返った。
秋場所後の10月23日に、待望の第1子となる長女のモニカちゃんが生まれた。
福岡入りする前に約1週間一緒に過ごすことができたといい「すごくかわいいです。頑張らないとね」と表情を緩ませた。
3場所連続負け越し中なだけに「まずは勝ち越しを目指したい」と帰りを待つ家族に吉報を届ける。
3日目、返り入幕の西前頭15枚目阿炎が、西前頭17枚目松鳳山を突き出しで下して3連勝した。
得意のもろ手突きで松鳳山の上体を起こし、強烈な突き押しで勝負あり。
「次につながる相撲が取れているのでいいと思います」と納得の一番だった。
自身初の初日から3連勝。
報道陣から「3連勝は初めてだと思うが」と問われるも「覚えてないですね」と話すなど、星勘定は意識していない。
昨年7月場所中に新型コロナ感染対策のガイドラインに違反し、出場停止処分で一時は幕下まで陥落した。
ようやく幕内まで戻った今場所では、会場内で自身のしこ名が書かれたタオルを持って応援するファンも多い。
「本当にありがたいと思います。もっと思い切りいい相撲を取りたい」と引き締めた。
3日目、返り入幕の西前頭16枚目佐田の海が、苦手としている東前頭15枚目千代丸を破って3連勝した。
千代丸の突き押しに負けることなく前に出て行き右四つに組み、一呼吸置いて、一気に寄り切った。
千代丸には十両の土俵での対戦を含め、8連敗中と苦手としていた。「何連敗しているか分からないぐらい合口が悪かった」と意識しながらの白星。
「(千代丸は)圧力があるので引かれてもいいや、と思いながらいきました。しっかりと体を寄せて中に入れたのでよかったです」と狙い通りの相撲で難敵を破った。
2021/11/16
15日、豪快なすくい投げで照ノ富士が窮地を脱した。
先場所は苦杯を喫した大栄翔の喉輪にのけ反り、右を深く差されて土俵際まで攻め込まれた。
だが慌てずに右を差し、振った相手の反動も利用して投げ捨てた。
白鵬の引退で文字通り一人横綱の重圧とも闘う照ノ富士は2連勝。
「落ち着いて取れた。相手というより、自分の相撲を取りきることしか考えていなかった」と気概が詰まる言葉で振り返った。
15日、ヤキモキしていた正代ファンが、待ってましたとばかりにひときわ大きな拍手を送る。
大関としてご当所に初凱旋(がいせん)。
1日遅れとなってしまったが、逸ノ城を寄り切り今場所初白星を届けてみせた。
15日、大関貴景勝の復調ぶりに、協会トップの八角理事長も太鼓判を押した。
同じ押し相撲ながら、まわしを狙ったのか、立ち合いの当たりが弱かった阿武咲を頭で当たって押し込むと、何とか回り込もうとする相手を逃さず、向こう正面に一気の押しで土俵下まで吹っ飛ばした。
7月の名古屋場所で首を痛め、先場所はかど番。
その先場所と比較しながら、八角理事長は「押せるという自信だね。先場所は『勝たなきゃいけない』だったけど、今場所は『いい相撲を取るんだ』という気持ちが強いんじゃないかな。(初日に続き)内容がいい」と語った。
さらに「首を痛めたのは、押し相撲にとっては致命傷。頭で当たれないと(威力が)半減するからね」と、何の不安もなく頭から当たれている今場所の、貴景勝の好調ぶりを分析した。
15日、東関脇・御嶽海は西前頭2枚目・隆の勝を押し出しで破り、連勝を飾った。
3日目の16日は東前頭筆頭・大栄翔と対戦する。
御嶽海は、俵に足が掛かりながら盛り返した。
押し込まれたところでかいなを返して右に回り込み、最後は相手の引きに乗じて前に出た。
15日、両者の息遣いまで追ってしまう取組だった。
前頭五枚目・高安と前頭四枚目・宝富士が、3分以上にもわたる熱戦を繰り広げ、視聴者からも「まさに大相撲」「熱戦だった!」といった興奮気味のコメントが続出した。
立ち合い後、左を差して攻めた宝富士。
だが右上手を探るも取れず、じっくりと攻める高安と左四つの体勢となり、こう着状態が続いた。
互いに攻め切れず土俵中央で組み合ったままの両者に、館内からは繰り返し拍手が沸き起こった。
3分近く経過した頃、投げの打ち合いとなって両者残すも、最後は高安がすかさず攻め、下手出し投げで長丁場の一番を制した。
15日、西前頭15枚目・阿炎は、同14枚目・千代の国を突き出しで破って初日から2連勝。
7場所ぶりに幕内に復帰した今場所、好スタートを切った。
突き押し同士の一番は、もろ手で立ってのど輪で攻める。
たまらず後退した相手を、一方的に突き出した。
初日の千代丸戦に続き、持ち味をいかした相撲。
「(前に)出られたと思う。突き相撲同士なので、先手を取らないといけない。先手を取れたのでよかった」とうなずいた。
2021/11/15
14日、初めて番付上の一人横綱となった照ノ富士が白星発進した。
新小結・霧馬山を小またすくいで下した。
やや苦しんだが、新鋭の挑戦を退け最高位の威厳を示した。
白星を重ね、先場所限りで引退した元横綱・白鵬の間垣親方が去った土俵を盛り上げる。
14日、正代は2年ぶりの九州場所にあふれるファンの熱気に乗れなかった。
大栄翔の突き押しをこらえ、いなしたところまでは良かったが、そこから攻めが続かず。
体勢を立て直した相手に押し倒され、「立ち合いは悪くなかったが、その後が出なかった」と悔やんだ。
14日、大関貴景勝が、西前頭筆頭若隆景を突き落としで下し、昨年11月場所以来の優勝に向けて白星発進した。
もろ手つきから一気に攻め立て、左からの突き落としで白星。
「いいスタートを切れればと思っていました。しっかり準備して集中できた。また明日に向かって集中したいです」と充実した表情を浮かべた。
14日、福岡国際センターで初日を迎え、東関脇の御嶽海は東前頭2枚目の阿武咲を寄り切って白星発進した。
阿武咲には十両時代から通算10勝3敗。
14日、大栄翔は武器の突き、押しがさえ、初日から正代を撃破する殊勲の星を挙げた。
通算400勝となり「これまでの積み重ねなのでうれしい。今日の相撲は本当に良かった。体がよく動いて、しっかり攻められた」と言葉を弾ませた。
初場所で初優勝を成し遂げた実力者は、2日目に照ノ富士に挑戦する。
一人横綱から2場所連続の金星獲得となると、初場所のような活躍も期待される。
「明日(2日目)も今日のような相撲を取りたい。自分の力をしっかり出さないと勝てないので、集中していく」と表情を引き締めた。
14日、文句のない内容で白星発進した西前頭5枚目の豊昇龍は「立ち合いが良かったし、前に攻めていたので良かった」と充実した表情だった。
早い立ち合いからの突き押しで志摩ノ海の上体を起こし、さっと右を差した。
相手に左上手を許しながらもぐいぐいと土俵際まで押し込み、右手でまわしをつかむと間髪を入れずに下手投げ。
横転した志摩ノ海を横目に、淡々と勝ち名乗りを受けた。
大関経験者の西前頭13枚目栃ノ心が九州場所初日の14日、日本相撲協会に「急性腰痛症により約2週間の治療を要する」との診断書を提出して休場した。
2019年九州場所以来11度目の休場で、初日の対戦相手、豊山は不戦勝となった。
師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)によると前日13日の朝稽古後に痛みを訴えたという。
成績次第では14年秋場所以来7年ぶりの十両陥落となるが、春日野親方は回復状況によっては再出場を視野に入れる意向を示した。
14日、昨年秋場所以来の返り入幕となった西前頭15枚目阿炎が、西前頭15枚目千代丸を押し倒しで破った。
得意のもろ手つきで千代丸にまわしを与えず、手を休めることなく突いて押し倒した。
久しぶりの幕内の土俵も「変わらずに集中できた」と淡々と振り返った。
2021/11/14
正代が13日、電話取材に応じ2度目の優勝へ強い意欲を見せた。
コロナの影響により福岡での開催は2019年以来、2年ぶり。
昨年は新大関を九州場所で迎えるはずだったがかなわなかった。
福岡に来ても後援者やファンと触れ合うことはできないが、思いは感じている。
「みなさん、2年ぶりということで、待ちに待った感じがしてるんで、期待に応えたいというふうには思っています」。
「ちょっと(九州場所まで)時間が空いたのは残念ですけど、ここらへんでいい相撲を見せて地元の人にいいとこ見せたいなとは感じます。大関に上がって優勝してないんで。優勝するんだったらすね、地元っていう気持ちはありますね。2年ぶりの九州場所ということで、地元なので、それなりに、いつもの場所よりは気合入るのかなあと。入ってもらわないと困るなとは思ってます」
「頑張らないといけないというのは思いますね、自分でも」と言葉をかみしめながら話していた。
大関貴景勝は13日、報道陣の電話取材に「(場所に向けた調整、準備は)しっかりできたと思うんで、あとは力発揮するだけかなと思います」と応じた。
九州場所は2018年に初優勝を飾り、東京開催となった昨年は2度目の優勝。
相性はいいが「もう過ぎたことなので、あまりそういうことは考えず、今年は今年で」と気合を入れた。
13日は、15日間の安泰を祈願する土俵祭りが会場であり、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)や同場所担当部長の境川親方(元小結両国)らが出席した。
昨年は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために11月場所として東京・両国国技館で実施。
2年ぶりの九州場所に境川親方は「白鵬が引退して一人横綱になった照ノ富士や三役陣を中心に活気のある土俵に期待したい」と見どころを話した。
協会は新型コロナ対策のガイドラインで不要不急の外出を制限している。
境川親方は「(九州は)おいしいものもあるけど(協会の)中から感染者を出すわけにはいかない。ファンの皆さんとのふれあいもなく申し訳ないが、今後(の地方場所)に響いてくる。油断することなくやっていきたい」と理解を求めた。
2021/11/13
12日、福岡県新宮町の出羽海部屋での稽古後に報道陣の電話取材に応じ、大関昇進の足場固めに向け、九州場所での2桁勝利を目標に掲げた。
「もう何年も待たせている。(大関を)狙っていないわけじゃない。しっかり目指してはいる。10勝以上で今年を終わりたい」と意欲を語った。
高見山、安芸乃島と並び昭和以降6位の三役在位27場所になり、2度の優勝を誇る。
東京開催だった昨年まで、11月の本場所は3年連続で負け越しと苦手の季節だ。
「2年ぶりの九州でわくわくはしているけど、不安が大きい場所でもある」と気を引き締めた。
12日、九州場所の初日、2日目の取組を発表した。
同日、平幕・大栄翔が宿舎での稽古後に電話取材に応じ、「普段通りに稽古をやってこられたので、あとは場所でしっかり力を出すだけです」と自信をのぞかせた。
前頭筆頭で臨む今場所は上位総当たりで、初日は大関・正代、2日目には横綱・照ノ富士戦が組まれた。
先場所は全勝だった新横綱を9日目に撃破し、金星を初配給させただけに、「自分の相撲を120%出せれば、チャンスがあると思うので、しっかり自分の相撲を取りきることが1番の目標です」と意気込んだ。
再入幕を果たした西前頭17枚目松鳳山が12日、報道陣の電話取材に応じ、ご当地場所への思いを語った。
2年ぶりの福岡開催となった九州場所について「こういうコロナの中で九州場所を開催していただいてすごく感謝もしているし、あと何回九州に現役で来られるか分からない。こういう風な中でも開催してくれることはすごくありがたい」と話した。
14日に初日を迎える九州場所で、大相撲と国民的アニメの「ポケモン」が史上はじめてのコラボ。
土俵では、ポケモンにまつわる懸賞旗が登場する。
千秋楽には、ゲーム「ポケットモンスター」の歴代パッケージを描いた懸賞旗が36枚登場。
また会場には、15日間ファンクラブブースが設置され、来場した子どもには「ピカチュウサンバイザー」と「はじめてブック(シールブック)」がプレゼントされる。
2021/11/11
9月の秋場所で最後まで優勝争いを演じ、西前頭3枚目に上昇した35歳の妙義龍が10日、報道陣の電話取材に応じ、九州場所を控え「三役を狙える位置に戻れてチャンスはある。それに向けて今は準備するだけ」と意気込んだ。
画面越しのオンライン取材でも気合の入りようは伝わってきた。
関取最年長のベテランらしくぎらぎらした覇気ではない。
肩の力は抜け、心の奥で静かに闘志を燃やしているようだった。
福岡県築上町出身の松鳳山が、昭和以降9番目の年長記録となる37歳8カ月23日で再入幕を果たした。
7場所ぶりの幕内で迎えるご当地、九州場所(14日初日)に向け「今でも若手には絶対負けないと思いながら、より若い相撲を取るんだと思いながら相撲を取りたい」と意気込みを語った。
大相撲の清見潟親方(元関脇栃煌山)が10日、東京・両国国技館で来年1月30日に予定している引退相撲の升席観覧券が、所属する春日野部屋がある東京都墨田区のふるさと納税の返礼品となっていることを明らかにした。
既に引退相撲事務局を通じてチケット販売が開始。
14日からは「チケットぴあ」でも購入できるという。
もろ差しからの鋭い出足を武器に三役在位25場所と活躍した清見潟親方。
報道陣の代表取材に「(返礼品は)相撲に興味を持ってもらう一つのきっかけになればと思った。自分としても縁が深い墨田区の力に少しでもなれれば」と話した。
2021/11/10
ご当所の大相撲九州場所へ臨む鹿児島・奄美大島出身の明生は、新関脇から2場所連続での勝ち越しを目指す。
「今年最後の場所なので三役でしっかり勝ち越して、その後の成績はその後から生まれてくると思うので、まずはいい形で勝ち越すことを心がけたい」。
三役に満足することなく、その上の番付もしっかりと見据えている。
「勝ち越しだけじゃその上の番付は見えないし、星を積み上げたい」と意欲を口にしていた。
2年ぶりの福岡開催となる大相撲九州場所で、2場所ぶりの勝ち越しを狙う幕内・豊昇龍が9日、当地の部屋宿舎での稽古後、報道陣の電話取材に応じた。
この日は関脇・明生、幕内・天空海の部屋の関取衆と30番ほど取るなどして調整。「ちょうどいい感じでやっているので体もいい感じで動いているし、しっかり当たれているし、いい感じですね」と好調ぶりをアピールした。
叔父で元横綱・朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏が先月、自身のツイッターで九州場所の来場を示唆した。
叔父の目の前で本場所の取組を見てもらったことはないといい「いいところを見せたい。褒めてもらえる相撲を取りたい。自分の集中力が100%の相撲を取りたい」と意気込みを語った。
先月22日に各相撲部屋に対して、師匠判断で11月5日から稽古見学を可能とする通達を出していたことが9日、分かった。
電話取材に応じた芝田山広報部長(元横綱大乃国)が明かした。
対象は後援者などの関係者や近親者のみで、一般公開はしない。
新型コロナウイルスが感染拡大した昨年春以降、各部屋は協会の通達に合わせて原則的に稽古を非公開としていたが、条件付きで稽古見学が解禁された。
見学者には検温や手指の消毒、マスクの着用などを義務づける。
期間は協会員が2回目のPCR検査を終えた5日以降で、九州場所中も対象。
一方で芝田山広報部長は「ただし感染状況によって再度変更もある」と付け加えた。
元大関豪栄道の武隈親方が9日、引退相撲を来年1月29日に東京・両国国技館で開催することを明かした。
新型コロナウイルスの影響で実施が見合わされ、2020年初場所限りの引退から2年でようやく節目を迎える。
35歳の同親方は電話取材に「コロナで大変な時でも(開催に向け)多くの方に支援していただき、大変ありがたい」と話した。
チケットの受け付けは12月4日に開始する。
2021/11/09
2場所連続の小結で臨む逸ノ城が8日、報道陣の電話取材に応じ、9月の秋場所後に日本国籍を取得してから初の本場所に向け「先場所に続けて勝ち越すこと。あとは2桁。一番でも多く勝てるようにやっていく」と目標を掲げた。
国籍取得により、現役引退後に親方として日本相撲協会に残る資格を得て「相撲しか分からないので、将来ちゃんと日本に恩返しできればいいと思った」と決断理由を明かした。
高砂部屋は5日、ツイッターの公式アカウントに、富山市出身で西前頭10枚目の朝乃山が稽古に励む2本の動画を投稿した。
朝乃山は、日本相撲協会の新型コロナウイルス対策ガイドラインに違反し、6場所出場停止処分を受けている。
処分決定後、稽古の様子が広く公開されるのは初めて。
動画はいずれも、九州場所(14日初日・福岡国際センター)で新十両に昇進した朝乃若との取組。
左足首にテーピングを巻いた朝乃山は、幕内と十両の力士しか着けられない白いまわし姿で汗を流した。
『相撲道〜サムライを継ぐ者たち〜』Blu-ray&DVD 2022年1月26日(水)発売!
1500年以上もの歴史の中で日本人の暮らしに深く根付き、国技・相撲に命をかける強き男たちの生き様を描いた世界初“大相撲”エンターテイメント・ドキュメンタリーのBlu-ray&DVDコンボが2022年1月26日(水)に発売されることが決定!
詳細は下記サイトで!
https://www.amuse-s-e.co.jp/title/sumodo/
2021/11/08
5日、30歳の誕生日を迎え、報道陣の電話取材に対し「区切りの1年にはなる。今まで以上に体のケアは気にしていかないと。まだまだ若い子たちには負けられない」と気持ちを新たにした。
以前よりも食べる量が減ってきているというが「前の年よりもいい年になればいいな」と意欲的だった。
熊本県出身の大関にとって、2年ぶりの九州場所(14日初日・福岡国際センター)はご当地。
「見に来る人も楽しみにしていると思う。成績の面でこだわっていきたい」と2場所連続8勝からの巻き返しを期した。
5日は東京都墨田区の時津風部屋で幕内豊山と約10番取ったという。
5日、9月に日本国籍を取得した小結逸ノ城が本名をアルタンホヤグ・イチンノロブから三浦駿に変更したと発表。
師匠の湊親方(元前頭湊富士)の本名三浦孝行の姓をもらい、駿はしこ名の下の名前から取った。
5日、幕内若隆景が報道陣の電話取材に応じた。
この日は自主的に部屋で体を動かし「いつも通りしっかり準備するだけですね」と、初日向けて調整を続けている。
新小結で臨んだ7月の名古屋場所は5勝10敗に終わったものの、秋場所は9勝6敗。
西前頭筆頭で迎える今場所は「また三役が見えてくる番付だと思うので、しっかり自分の相撲を取りきって勝ち越したいと思います」と気合十分だ。
5日、幕内阿武咲が報道陣の電話取材に応じた。
初日まで約1週間となり、徐々に本場所モードの阿武咲は「しっかり気持ちを高めて、あとは思いきりやるだけかなと思います」と気合十分。
先月25日から4日間行われた合同稽古を皆勤し「そこから動きもよくなって、(部屋の)稽古場で稽古していても感覚自体ものすごくいい」と、体は順調に仕上がっている。
3日、報道陣の電話取材に応じ、2年ぶりの開催となる九州場所に向け「元気な姿を見せたい」と意気込みを語った。
宇良にとって、関取として福岡の土俵に立つのは十両時代の2016年以来5年ぶりとなる。
2年前は右膝の大けがによる5場所連続休場から西序二段106枚目で再出発を果たした場所。
それ以降、ハイペースで番付を上昇させ「最短に近い感じで上がれたと思うが、それでも長かった。関取として九州場所に出られるのはうれしい」と実感を込めた。
4日、電話取材に応じた。
阿炎は日本相撲協会が定めた新型コロナウイルス対策のガイドラインに昨年違反。
3場所出場停止などの処分を受けて幕下まで番付を落とした「試練」を克服し、はい上がってきた。
幕内の土俵に上がるのは昨年の7月場所以来で、「新しい気持ちで変わった自分を見せられたら」と意欲を示した。
秋場所後に引退し、委員待遇年寄として指導普及部に配属予定となっていた間垣親方(元横綱白鵬)が同部に加えて社会貢献部にも配属となったことを、日本相撲協会が5日までに発表した。
協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は10月上旬の時点で、間垣親方の配属が指導普及部に配属になることは明かしていた。
社会貢献部は協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)の直轄部署で、相撲を通じた法人組織としての社会貢献の推進などが目的。
災害支援や地域貢献、福祉活動などを主な活動としている。
2021/10/28
27日、東京都内の部屋で稽古を行い、代表取材に応じた。
ようやく地元のファンに勇姿を見せることができるとあって「2年ぶりですし、大関としていろいろ他の場所と比べて注目もされると思うので自分の相撲が取れたら」と自然と気合も入る。
昨年11月場所はけがのため途中休場となってしまったが、福岡で開催された九州場所は入門から一度も負け越したことがない。
「九州場所ということで、いつもの感じなのか違う感じになるのか行ってみないと分からないですけど。九州だからって気持ちは特別…、とりあえず負けられないっていう気持ちが(ある)。でも注目されるのかなっていう意識はあるんで」と語る。
合同稽古3日目が27日、東京・両国国技館で行われた。
この日から合流した関脇明生は、小結高安、幕内霧馬山らと22番取って15勝7敗。
ぶつかり稽古では高安の胸を借りて約5分、何度も転がされて泥だらけになりながら汗を流した。
部屋には元横綱朝青龍の甥の幕内豊昇龍、十両天空海がいるものの、明生は「関取衆がケガだったりそういったもので稽古内容が落ちてきた」と、合同稽古の参加を決意。
本場所でも対戦が見込まれる相手と体を合わせ「番数と勝ち負けはそこまで意識していない。それよりも、やろうと決めていた動きができればという気持ちで一番一番やりました。いい稽古ができたと思います」と充実の表情だった。
霧馬山は26日、東京・両国国技館内の相撲教習所で行われた合同稽古に参加し、高安らと19番取った。
身長193センチの輝をつり出した場面もあり、「前に攻めて、力を出せていた。本当にいい稽古になった」と得意げに振り返った。
9月の秋場所は西前頭2枚目で9勝。
千秋楽には千代丸をつり出すなど、細身の体ながら筋力も備わってきた。
つり出しは怪力で知られた師匠の陸奥親方が現役時代に得意とした技。
「親方の相撲は昔から見ていて、いつも教えてもらっている。これからもできるように頑張りたい」と意欲を見せた。
合同稽古3日目が27日、東京・両国国技館で行われた。
この日から合流した幕内妙義龍は、関脇明生、小結高安らと11番取って5勝6敗。
稽古後は「三役も来て実力がある人ばかり集まったので、番数どうこうじゃなくていい内容の稽古ができたと思います」と振り返った。
秋場所は千秋楽まで優勝争いに絡み、11勝4敗で技能賞を獲得した。
場所前には初めて合同稽古に参加していたが、本人は「それ(合同稽古と本場所の結果)は別に関係ない」と強調。
その一方で「今は総見も連合稽古もないので、こうやってみんなで集まる稽古はいいことだと思う」と付け加えた。
来場所も活躍が期待される35歳。
それでも「今は体づくりと体調を整えて。そこが一番」と自然体を貫いて九州に乗り込むつもりだ。
合同稽古第2日は26日、東京・両国国技館内の相撲教習所で行われ、元大関で平幕転落が決定的となっている小結高安が15番取るなど、再起へ積極的に汗を流した。
9月の秋場所を右臀部のけがで途中休場して負け越した31歳の実力者は、ともに25歳の霧馬山や阿武咲らを相手に5勝10敗だったものの「若いだけにスタミナがあり、いろんな動きもある。やっていて、身に付くところがたくさんある」と前向き。
「しっかり体をつくり直して、千秋楽まで優勝争いに絡みたい。もう一回、上を目指す」と意気込んだ。
幕内豊山が27日、東京・墨田区の部屋で稽古を行った。
この日は幕下相手に11番。
一方的に押し出す展開が目立ったが、時栄には逆転のすくい投げを許すなど、1勝4敗という結果に「彼(時栄)に勝てないんすよね、ムキになっちゃう。徐々に肌が合ってくると対策できるんですけど、最初は転がされちゃう。幕下で負け越されたらもう立場ないっす」と自虐気味に語った。
豊山は3月の春場所で右腕を負傷したことで「かばって後半失速してしまう」ことが増えたと自己分析。
そこで自身の押し相撲を見直し、上手を引いたり、頭をつけるなど試行錯誤が続いている。
「15日間右手をフルに使うんじゃなくて、どこかで抜くじゃないですけど使わないで済む日があればいい。大事なところで力を使う。今までがむしゃらに相撲を取っていたけど、大人の相撲にしないと」と豊山。
新たなスタイルを確立できるか。
再入幕が濃厚な天空海が27日、都内の部屋で基礎運動を中心に汗を流した。
西十両筆頭の先場所は9勝6敗。柔道出身で内股のような掛け投げを連発し、同技で4勝を挙げた。
幕内に戻り、ファンは期待するが、自重。
一方で期待に応えたい思いもある。「目立てれば目立ちたいですね。いろいろ技の研究、相手の研究もして。一暴れしたいですね、目立ちたいです。目立って損はないですからね」と笑った。
「11月は験(げん)がいい場所。1回も負け越したことがない。我慢して来場所、我慢の場所。どうにか勝ち越して、勝ち越さないと下がっちゃうので、負け越さないように」と、意気込んだ。
日本相撲協会で九州場所担当部長を務める境川親方らが27日、福岡市の住吉神社を参拝し、2年ぶりの開催となる九州場所の安全な開催を祈願した。
同神社では毎年九州場所前に横綱の奉納土俵入りが行われ、ファンから親しまれてきたが、東京開催となった昨年は中止。
2年ぶりの福岡開催となった今年も、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために取りやめた。
相撲愛好家でつくる「九州溜(たまり)会」の安部泰宏会長らと参拝した境川親方は「土俵入りを楽しみにしていたファンの方には申し訳ない。本場所では、一人横綱となった照ノ富士や大関陣が元気いっぱいの相撲を取って盛り上げてくれると思う」と期待した。
日本相撲協会は27日、ゲームなどで人気の「ポケットモンスター(ポケモン)」と協力し、両者の魅力を発信する取り組みを開始すると発表した。
大相撲九州場所では千秋楽にゲームの歴代パッケージを描いた懸賞旗が登場する。
来年1月の初場所では懸賞旗の他、ポケモンのデザインをあしらった行司装束や化粧まわしがお披露目される予定。
芝田山広報部長は「今回の取り組みをきっかけにより多くの人が相撲の魅力を知り、大相撲本場所を楽しんでもらえるようになれれば幸いです」とコメントした。
関連記事はこちら
https://www.nikkansports.com/battle/sumo/photonews/photonews_nsInc_202110270000588-0.html
2021/10/15
日本相撲協会の芝田山広報部長は14日、大相撲九州場所に向けて全協会員が受ける予定の新型コロナウイルスのPCR検査について、28日の1度に変更すると明らかにした。
当初は24日と11月4日の2度実施するとしていた。
変更の理由について、仮に10月28日の検査で陽性判定を受けても、九州場所初日までに治療期間が取れることを挙げた。
また、合同稽古を国技館内の相撲教習所で25日から4日間実施する。
東京・板橋区の自宅で大麻を所持したとして警視庁に書類送検された元十両の貴源治(24)について、東京地検は不起訴処分としました。
大相撲の元十両・貴源治は今年7月、板橋区内の自宅マンションで大麻を所持した疑いで先月、警視庁が書類送検していました。
東京地検は貴源治を今月12日付で不起訴処分としました。
不起訴の理由は明らかにしていません。
2021/10/12
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は11日、大相撲九州場所(11月14日初日・福岡国際センター)に向け、親方や力士ら全協会員を対象とした新型コロナウイルスのPCR検査を、10月24日と11月4日に実施すると発表した。
2度目の検査で陰性が確認された後、部屋単位で福岡へ移動する予定。
2021/10/01
30日、東京・両国国技館で理事会を開き、横綱白鵬の引退と年寄「間垣」襲名を承認した。
理事会では白鵬の間垣襲名を認めるに当たり、年寄として当然守るべき事項を誓約することを条件とした。
白鵬は両国国技館を訪れ、師匠の宮城野親方が同席した上で誓約書にサイン。
5月に年寄名跡を取得したが、その際に年寄資格審査委員会から受けた忠告がその後守られなかったため、条件付きという異例の襲名となった。
引退会見を日本相撲協会公式YouTubeで生配信すると発表した。
記者会見は10月1日午後3時開始を予定。
11月の九州場所は予定通り、福岡市の福岡国際センターで開催することが、日本相撲協会の理事会で確認された。
11月場所は昨年、コロナ禍で東京・両国国技館に会場を変更して実施。
福岡での九州場所は2年ぶりとなる。
芝田山広報部長は「予定通りに。既に先発事務所が福岡に入り、開催を前提に準備を進めている」と語った。
地方場所の開催は7月の名古屋で再開。
芝田山広報部長は「名古屋場所と同じように(11月1日の)番付発表後に(力士らの)PCR検査をし、陰性を確認して順次、部屋ごとに福岡へ入る」と説明した。
感染防止のため、不要不急の外出や出稽古などを禁じた厳しい行動制限は、緊急事態宣言解除後も継続する。
日本相撲協会は30日、理事会を開き、来年の大相撲初場所(1月9日初日、東京・両国国技館)を上限5000人で開催することを決めた。
また、来年の春巡業の中止も発表した。
2021/09/30
現役引退を日本相撲協会に届け出た横綱白鵬のしこ名が、九州場所の番付表にも記載されることが29日、決まった。
協会関係者が明らかにした。
この日、九州場所番付編成会議が行われたが、発表された引退力士のリストに白鵬のしこ名が入っておらず、同日時点で現役の扱いのため。
秋場所を制した横綱照ノ富士と東西に並ぶ最後の番付になる。
白鵬の引退は30日の相撲協会理事会で承認される見込み。
小結逸ノ城が日本国籍を取得したことが29日付の官報で告示された。
年寄名跡の襲名には日本国籍が必要で、現役引退後に親方として日本相撲協会に残る資格を得た。
逸ノ城は鳥取城北高に相撲留学し、全日本実業団選手権個人で優勝。
幕下15枚目格付け出しで2014年初場所に初土俵を踏み、所要4場所のスピード出世で新入幕を果たした。
26日に千秋楽だった秋場所では13場所ぶりに三役へ復帰し、8勝7敗と勝ち越した。
2021/09/27
横綱白鵬が現役引退の意向を固めたことが27日、分かった。
関係者が明らかにした。
進退を懸けて臨んだ7月の名古屋場所で、歴代最多を更新する45度目の優勝を全勝で飾り復活を印象付けたが、右膝の古傷などに長く苦しんでいた。
26日、新横綱の照ノ富士が2場所ぶり5度目の優勝を遂げた。
新横綱の優勝は2017年春場所の稀勢の里以来で、史上9人目。
新横綱が初日から一人横綱で賜杯を抱くのは、戦後初。
単独トップだった照ノ富士は大関正代を圧倒して13勝2敗で終えた。
1差で追っていた妙義龍が敗れ、結びの一番を待たずに決定。
もう一人の横綱、白鵬が休場した場所で重責を果たした。
年内にも第1子が誕生予定で、横綱と一家の大黒柱の責任を果たした。
千秋楽、西前頭4枚目大栄翔が、小結逸ノ城を押し出しで破って10勝目を挙げ、殊勲賞獲得に花を添えた。
巨漢の相手を得意の突き押しで圧倒。
初優勝した1月の初場所以来の2桁白星で締め「全体的に自分の相撲が取れた」と今場所を振り返った。
9日目に新横綱の照ノ富士の初日からの連勝を止める金星などが評価されて、自身4度目の殊勲賞を獲得した。
「本当に光栄なこと。横綱に勝って自信になった一番。これからもそういう相撲を取ろうと思います」と声を弾ませた。
霧馬山が西前頭2枚目で9勝目を挙げた。
千代丸を相手に、「しっかりまわしを取って、頭をつけて」と持ち味のしぶとさを発揮。
最後は176キロの巨体を豪快につり出した。
以前は幕内上位で上位陣の壁にはね返されていたが、「稽古をちゃんとやって、体がしっかり動いていた。来場所も今場所みたいにやりたい」と意気込んだ。
26日、優勝争いで横綱・照ノ富士を1差で追っていた平幕・妙義龍は関脇・明生に敗れ、初優勝には手が届かなかった。
立ち合いで勢いよく当たった妙義龍だったが、関脇・明生の肩すかしに土俵へ両手をつくあっけない幕切れ。
結びに控える照ノ富士の優勝が決まると、館内はため息に満ちた。
待望の賜杯は逃したが「緊張感はあったが精いっぱいやった結果」と晴れやかな表情だった。
10月に35歳となるベテランは、実に8年ぶりとなる技能賞に輝いた。
「派手ではない押し相撲を評価していただき、うれしい」と6回目の受賞を素直に喜び、「まだまだやれると分かった」。
自信を取り戻した関脇経験者、早くも来場所が楽しみになってきた。
千秋楽、東十両5枚目・阿炎は、同9枚目・錦富士をはたき込みで下して13勝目。
14日目に今場所の十両優勝は決めていたが、最後の一番も勝って12連勝で締めた。
立ち合いから強烈な突き押しで押し込むと、こらえて前のめりになった相手を冷静にはたき込んだ。
白星で今場所を終え「いい結果が残せてうれしいです。最後まで集中して、相撲と向き合えたのがよかったと思う」と、自身2度目の十両Vを改めてかみしめた。
平幕だった昨年7月場所中に、協会の定める新型コロナウイルス感染防止のためのガイドライン(指針)違反が発覚。
3場所出場停止の処分で、一度幕下下位まで番付を下げた。
春場所で復帰以降白星を重ね、今場所の成績で再入幕も確実にした。
阿炎は「新しい1歩だと思って、進んで行こうと思います」と、気持ちを新たにしている。
2021/09/26
14日目、新横綱の照ノ富士が、2場所ぶり5度目の優勝に王手をかけた。
結びで大関貴景勝を下して12勝目。
2敗で単独首位をキープし、優勝の可能性は3敗を守った妙義龍との2人に絞られた。
千秋楽は妙義龍が負けるか、照ノ富士が大関正代に勝てば、優勝が決まる。
新横綱場所での優勝は2017年春場所の稀勢の里に続き、1場所15日制となった1949年(昭24)以降では5人目の快挙となる。
14日目、小結逸ノ城が、2018年秋場所以来3年ぶりに三役で勝ち越した。
3敗で優勝の可能性を残していた好調の東前頭11枚目遠藤に勝利。
三役残留を決める大きな白星となった。
立ち合いは左手を出して相手の出足を止めると、すかさず左に引いて土俵際で逆転の突き落としを決めた。
「(遠藤を)中に入れさせないで何とか(勝てた)。(相手は好調だったが)自分のことだけ考えて集中していた。とりあえず良かった」と振り返った。
負ければ7勝7敗となり、千秋楽が給金相撲となっていた。
重圧に関しては「あまり考えてなかった。(千秋楽は)最後しっかり勝って気持ちよく終わりたい」と力強く話した。
14日目、西前頭10枚目の妙義龍が、大関正代に圧勝でただ1人3敗を守った。
立ち合いで左前みつをつかみ、続けざまに右の前みつも引きつけると一気に前に出て寄り切った。
妙義龍の11勝は、2014年名古屋場所以来7年ぶりとなる。
14日目、幕尻、東前頭17枚目の千代の国が、碧山に勝って9勝目をあげた。
決まり手は「つき手」。
昨年秋場所13日目の高安以来となる珍しい決まり手だ。
「あっという感じでしたね。拍子抜けではないが、決まったんだという感じでした」。
何より勝った事実が大きい。
千秋楽に向けて「明日の一番、しっかり集中していきたい」と気合を入れ直した。
大相撲秋場所の十両は元小結・阿炎が12勝目を挙げ、26日の千秋楽を待たずに優勝を決めました。
阿炎は去年、出場停止の処分を受けて一時、幕下まで番付を下げましたが、7場所ぶりの幕内復帰へ大きく前進しました。
秋場所の十両は5枚目の阿炎が持ち味の力強い突き押しで白星を重ね、13日目を終えて11勝2敗で単独トップに立ち、錦木と錦富士が星の差2つで追っていました。
14日目の25日、阿炎は錦木に押し出しで勝って12勝目を挙げた一方、錦富士は敗れたため、千秋楽を待たずに阿炎の優勝が決まりました。
阿炎は「振り返るには早いのであしたの一番に集中します」と話し、気を緩めていない様子でした。
14日目、日本相撲協会は25日、元十両竜虎(本名・川上竜虎、23=尾上)が引退届を提出し、受理したと発表した。
熊本県宇土市出身の竜虎は学生時代に中学横綱に輝き、熊本・文徳高を経て2017年初場所に初土俵。
師匠の尾上親方(元小結浜ノ嶋)のおいっ子としても注目を集めた。
2019年名古屋場所で新十両昇進を果たし、通算十両在位は2場所。
最近は今年3月の春場所から4場所連続で休場していた。
2021/09/25
13日目、重圧のかかる結びで、照ノ富士が単独トップの座を死守した。
3敗の妙義龍と阿武咲が、連続で大関を撃破して迎えた一番。
負ければ3敗の平幕3人に並ばれる中で、2度の優勝経験を持つ難敵を退けた。
13日目終了時で年間勝利数を60に乗せた。
2位で43勝の正代と御嶽海が、仮に来場所まで全勝しても上回らないため、初の年間最多勝が確定。
秋場所13日目で決めるのは、1場所15日制が定着した1949年(昭24)夏場所以降では2005年朝青龍、10年白鵬に並ぶ史上最速タイ。
阿武咲が正代を撃破して3敗を守った。
一度は大関の圧力に土俵際まで後退したが、これを残すと反撃。もろ差しになると一気に走った。
「しっかり下からあてがえた。冷静さもあって、最後まで集中できていた」と納得の口ぶりだった。
昨年の秋場所以来、1年ぶりに白星を2桁に乗せ、残り2日で横綱照ノ富士とは1差。
終盤まで堂々と優勝を争っている。
「光栄なこと。だからこそ一日一番、集中してやれることをやるだけ」と表情を引き締めた。
13日目、西前頭10枚目妙義龍が、大関貴景勝をすくい投げで破り、14度目の挑戦にしてようやく初白星を挙げた。
立ち合いは正面から激しくぶつかった。
距離ができると、互いに腕を伸ばしたりはたいたりしてけん制。
呼び込んでしまい土俵際に追い込まれたが、逆転のすくい投げを決めた。
「今までいろいろ考えすぎて勝てなかった。思い切り踏み込んでから、という感じだった」と狙い通りだった。
貴景勝からようやくつかんだ初白星に「初めて勝ったことが大きい」と声を弾ませた。
さらに、優勝争いで単独トップに立つ照ノ富士に1差でピタリとつく白星にもなったが「何やろ。特には考えてないけど」と淡々と話した。
それよりも「相撲を取れていること、声援をもらえることに感謝してやっています」と話した。
13日目、東前頭11枚目の遠藤は霧馬山をはたき込み、3連勝で10勝目を挙げた。
今年に入って先場所まで両膝や右肘につけていたサポーターや伸縮性のベルトを取り去った。
立ち合ってすぐに、体を右へ開く。俊敏な動きに対応できなかった霧馬山は、つんのめって手をついた。
2秒0。
3連勝で2場所ぶりの2桁白星となり「自然に体が動いた。しっかり集中して相撲が取れた。あしたも頑張る」。
前日と同じ短い言葉を並べた。
2021/09/24
12日目、新横綱・照ノ富士は新関脇・明生に下手投げで不覚を取り、2敗目を喫した。
ただ一人2敗だった平幕の妙義龍も敗れたため、単独トップは守った。
12日目、大関・貴景勝が西前頭5枚目・宝富士を押し出しで下して8勝目。
自身4度目のカド番を、12日目に脱した。
勝ちを確信した直後、一つ息をはいた貴景勝。
立ち合い当たってからいなし、張ってひるんだ相手を一気に押し出した一番を「積極的にやろうと思っていました」と振り返った。
12日目、明生が2011年技量審査場所で前相撲を踏んだ同期の照ノ富士に、序ノ口時代から7度目の対戦で初めて勝った。
横綱戦としてもこれが初勝利。
「いやぁもう、無我夢中でした。同期生という前に、相手は横綱なんで、そういうこと考えず思い切っていこうと思ってました」
右から外掛けにいくシーンもあったが、「ちょっと覚えてないです」と、言葉通り無我夢中で先手を取って攻め立てた。
新関脇で既に7敗目を喫しているが、「強い横綱に勝つことができて、すごくいい一番だった」。
今後に向け、大きな財産となる白星を手に入れた。
元大関で小結の高安が臀部(でんぶ)のけがで秋場所12日目の23日から休場した。
11日目の照ノ富士戦で負傷し、日本相撲協会に「右大臀筋筋挫傷の疑いで約2週間の安静加療が必要」との診断書を提出した。
阿武咲が格上の御嶽海を圧倒した。
突き押しで休まず攻め、最後は観念した様子の相手を押し出した。
「よく攻められた。しっかり前に出ようと思ったので、よかった」。
手応え十分の内容に、土俵上で小さくうなずいた。
前日の黒星を引きずらず、単独トップの照ノ富士に1差で食らい付く。
13日目は大関正代との一番が組まれた。
「やることは変わらない。自分の相撲を取り切りたい」。
これまで通り、無心を貫く構えだ。
12日目、左大腿(だいたい)二頭筋損傷で名古屋場所5日目から途中休場した遠藤が復帰した場所で快進撃を続けている。
2連敗中だった隆の勝を土俵際のはたき込みで破り9勝目を挙げた。
あまりオンライン取材に姿を見せない遠藤も、この日は勝ち越しを決めた11日目に続いて登場。
「しっかり自分の相撲を取ることだけ考えていました。明日も頑張ります」と意気込んだ。
2021/09/23
大相撲の東小結、高安が秋場所12日目の23日、休場した。
8敗目で負け越しが決定。
7敗目を喫した11日目の横綱照ノ富士戦で土俵下へ転落後にしばらく立ち上がれなかった。
休場は2場所連続10度目。
12日目の対戦相手、玉鷲は不戦勝。
2021/09/23
11日目、新横綱の照ノ富士が高安の粘りに苦しみながらも、1敗キープで単独トップを守った。
持久戦にも慌てず、落ち着いた内容で元大関を寄り切った。
「相手の(形の)左四つなので、何があるか分からない。じっくり前に出ようと思った」。
通算成績で負け越している難敵を下し、2場所ぶりの優勝へまた一歩、近づいた。
前へ、前へと攻め抜き、正代が勝ち越しを決めた。
「勝ち越しが懸かっていたので硬くなった」と打ち明けた立ち合い。
得意の右を差せず、左はおっつけられて自分の形に持ち込めなくても、止まらない。圧力をかけながら左上手を引くと、新関脇の明生を振り回し、投げ捨てた。
「ひと安心。先場所は(勝ち越しが)千秋楽に持ち越したから」。
大関としてはいただけないせりふだが、正代らしい言葉に実感が詰まる。
貴景勝は頭で当たって阿武咲の上体を起こすと、反応良く体を開いて引き落とした。
今場所、好調な相手に相撲を取らせず、「しっかり準備してやろうと思っていた」。
集中力は高く、短い言葉の中に手応えをにじませる。
かど番で迎えた今場所は初日から3連敗と苦しんだが、7日目からの5連勝で勝ち越しまであと1勝。
「15日間やってみないと分からない。あすの一番に集中する」と厳しい表情は崩さなかった。
11日目、東関脇の御嶽海は西前頭4枚目の大栄翔を押し出し、連勝で8勝目(3敗)を挙げて5場所連続の勝ち越しを決めた。
立ち合いで踏み込み、大栄翔の突きに後退せずに下から応戦。
引きに乗じて前に出て、土俵の外に運んだ。
大栄翔には十両時代から通算11勝7敗。
12日目の相手は西前頭6枚目の阿武咲。
11日目、34歳の妙義龍が初顔の一山本を寄り切り、9勝目を挙げた。
「ぐいぐい、もろ手で当てるイメージ。あまり前のめりにならないように、足で取ろうと思った」と入幕2場所目の相手に経験の差を見せつけた。
優勝争いでは新横綱照ノ富士と1差だが「特にない。別に」と関心は示さなかった。
幕尻の千代の国が連日、きっぷのいい突き押し相撲で館内を沸かせている。
この日も持ち味を発揮し、11日目にして勝ち越しを決めた。
「しっかり集中できている」。表情にも充実感が漂っている。
2021/09/22
10日目、新横綱・照ノ富士は、人気業師の幕内・宇良を上手投げで下し、9勝目を挙げた。
9日目は、平幕・大栄翔に寄り切りで敗れ、金星を初めて配給したが、連敗はしなかった。
10日目、大関正代が幕内大栄翔を下し7勝目(3敗)を挙げた。
前日9日目に新横綱照ノ富士に初黒星をつけた大栄翔の強気な突きの攻勢に手を焼きながらも、さばきながら回り込み、はたき込んで勝利した。
取組後は「馬力、立ち合いの圧力が強いと思っていたので、負けないように踏み込んでぶつけにいった。結局さばくような形になってしまったがよく体が反応した」。
金星奪取で勢いづいた相手に番付の違いを見せつけた。
10日目、かど番の大関貴景勝は新関脇の明生を圧倒しての4連勝で6勝目をあげた。
かど番脱出へあと2勝。本来の力強い押し相撲を取り戻してきた。
「集中してやろうと思いました。また明日から相撲がとれるように準備したい。(応援に)感謝して頑張ります」。
11日目は同じ押し相撲で勢いのある阿武咲の挑戦を受ける。
10日目、東関脇の御嶽海は東前頭3枚目の若隆景を押し出し、7勝目(3敗)を挙げた。
若隆景には通算5勝1敗。
10日目、左ひざのけがのため、休場することになりました。
今場所、自己最高位の前頭3枚目で迎え、9日目は、宝富士との攻防のある相撲の末、下手投げで敗れここまで3勝6敗の成績でした。
21日、千葉県内の病院で診察を受けた結果、左ひざのじん帯と半月板の損傷で全治10日間と診断され、10日目の21日から休場することになりました。
休場は、去年7月場所で左ひざを痛めて以来、2回目です。
過去、1勝5敗と合口の悪かった遠藤を破った。
まわしを与えず、よく見て突っ張ると、休まず押し出し。
弾みをつける好内容で給金相撲を物にし、「手も足も出ていたのでよかった」と実感を込めた。
好調の要因を「無駄な力が入らず、集中できている」と自己分析したが、11日目の貴景勝との同学年対決でも平常心を貫けるか。
「土俵に上がったら関係ない。しっかり勝ちにこだわっていきます」と誓った。
10日目、新横綱・照ノ富士に上手投げで屈し、6敗目を喫した。
だが、驚異的な粘りを見せた。
約1分30秒の激闘。
左の上手を肩越しに取られると、照ノ富士が豪快に投げ飛ばしにかかるが、右手一本をまわしにかけ、くの字に体を曲げブリッジのような体勢で残し、観客を沸かせた。
10日目、西前頭10枚目妙義龍は隠岐の海に対し、左差し右前まわしで寄り切った。
「立ち合いで勝負かけていました。踏み込んで前みつ取って前に出ることができたんでよかったですね」。
自身は今年初場所以来、4場所ぶりの勝ち越し。
気を緩めることなく、「また明日から頑張ります」と厳しい表情だった。
新型コロナウイルス感染者が出て横綱白鵬ら18人の所属力士全員が大相撲秋場所を全休措置となった宮城野部屋が21日、東京都墨田区の同部屋で稽古を再開させた。
関係者によると、四股などの基本運動で汗を流したという。
宮城野部屋では新十両北青鵬の感染が今月1日に判明。
6日には力士1人の陽性も確認、全力士の休場が決まった。
日本相撲協会審判部の伊勢ケ浜部長は11月の九州場所番付に関し、同部屋勢は据え置きを軸に検討する方針を示している。
2021/09/21
新横綱照ノ富士の連勝が8で止まった。
まわしを取ることができず大栄翔の下からの攻めに土俵を割った。
悔しそうな表情を浮かべながら花道を引き揚げ、報道陣のリモート取材には今場所、初めて応じなかった。
9日目、大関正代が幕内千代翔馬を退けて6勝目(3敗)を挙げた。
立ち合いは千代翔馬の変化を警戒。
土俵際まで押し込まれる場面もあったが、最後は落ち着いて押し出した。
取組後は「とりあえず1歩だけ踏み込んで、むやみに走らないようにしました。相手も考えてくるだろうと想像して見ていった」と振り返った。
この日は全勝だった新横綱照ノ富士に土がつき、優勝争いのトップとは2差に接近。
残り6日間での逆転優勝へ向けて「今のところケガもないですし、このままの調子でいけたら」と気持ちを引き締めた。
9日目、かど番の大関貴景勝が、今場所初めて白星を先行させた。
馬力のある小結高安を立ち合いで弾くことはできなかったが、いなして体勢を崩して優勢に。
必死の押しやのど輪で攻めて押し出して5勝目を挙げた。
初日から3連敗などしたが、何とか持ち堪えて白星を先行させた。
それでも気持ちに緩みが出るはずもなく、「一生懸命力を出し切ることだけ。星勘定しないように頑張るだけです」と短い言葉に力を込めた。
9日目、豊昇龍が驚異的な粘りから、柔道を思わせる豪快な一本背負いで白星をつかんだ。
立ち合いから若隆景に押し込まれたが、土俵際でのけぞりながら残すと、相手の右腕を抱えて最後は投げ飛ばした。
際どい勝負に軍配は相手に上がったが、協議の末、差し違えで勝利を手にした。
幕内では2017年初場所8日目に豪風が魁聖に決めて以来、4年8カ月ぶりの大技で「勝負が終わるまであきらめなければ大丈夫。体が反応できてよかった」と振り返った。
照ノ富士の独走に「待った」をかけたのは、大栄翔だった。
新横綱から最初の金星を獲得した。
四つ相撲で無類の強さを誇る照ノ富士に対し、大栄翔は「まわしを取られたら話にならない。自分の押し相撲で向かっていった」。
立ち合いでいきなり横綱の左が伸びてきてまわしをかすめたが、つかまれたのはさがりだけ。
なおもまわしを狙われ続けたが、死守した。
必死で重たい体を突き起こし、一気の攻めで寄り切った。
肩を落として土俵を下りた横綱を尻目に、万雷の拍手の中で堂々と勝ち名乗りを受けた。
「自信になる相撲だった。この先もしっかり、こういう相撲を取れるように」と、手応えを得た様子だ。
9日目、東十両筆頭水戸龍が日本相撲協会に「腰椎椎間板ヘルニアにより休場を要する」との診断書を提出して休場した。
休場は2018年秋場所以来3度目。
今場所の十両以上の休場者は宮城野部屋に新型コロナウイルス感染者が出て全休措置が取られた横綱白鵬ら10人(再出場を含む)となった。
2021/09/20
中日、新横綱照ノ富士は平幕玉鷲を寄り切り、初日から8連勝で勝ち越し。
単独首位を守った。
新横綱のストレート給金は、1場所15日制が定着した昭和24年以降6人目。
カド番の貴景勝が3連敗スタートから巻き返し、4勝4敗で前半戦を終えた。
「集中していった。押し相撲同士。気持ちで積極的にいこうと思った」と淡々とした口ぶりだ。
2日連続で強烈なぶちかましを披露し、先場所に首を痛めた影響を取り口からは感じさせない。
高田川審判長は「今日の立ち合いが一番良かった。だんだん上向いている」と復調を感じ取っていた。
8日目、東関脇の御嶽海は西関脇の明生を引き落とし、6勝目を挙げた。
明生には幕下時代から通算5勝2敗。
8日目、大関正代から初白星を挙げた。
「うれしい。自分の力を出して、向かっていくことしか考えていなかった。立ち合いに持っていかれたが、しっかりと出し切れたと思う。気持ちの面でプラスになるし、自信にもなる」と喜びをかみしめた。
19日、大相撲秋場所の新序出世力士3人と再出世力士3人を発表した。
11月の九州場所から番付に加わり、序ノ口で相撲を取る。
※かっこ内は出身、部屋
□新序出世
浦崎(三重、立浪)桝谷(兵庫、山響)中西(三重、二子山)
□再出世
千代獅子(富山、九重)艶郷(埼玉、湊)福湊(東京、湊)
2021/09/19
7日目、ここまで6勝負けなしの新横綱・照ノ富士が、前頭3枚目・琴ノ若との結びの一番。
立ち合い、照ノ富士は琴ノ若に「のど輪」で少し距離をとられますが、落ち着いて右手で回しをつかみます。
その後、体を引きながら脇を締める琴ノ若に対し、十分な体勢がとれなかった照ノ富士ですが、右手を巻き返すと最後は「寄り切り」で勝利。
安定した取り組みで唯一の全勝を守りました。
7日目、大関・正代が東前頭4枚目・玉鷲を寄り切り、2敗をキープした。
昨年秋場所で初優勝して大関に昇進したが、その後は思うような成績を残せず、賜杯には届いていない。
大関の誇りにかけて、無傷7連勝でトップを独走する新横綱・照ノ富士に食らいついていく。
7日目、大関・貴景勝は、東前頭3枚目・若隆景を押し倒しで破って3勝目。
カド番で迎えている今場所、前日からの連敗は避けた。
2度目で立った立ち合いは、強烈なぶちかましで「ゴスッ」と鈍い音が響いた。
一度はたかれても踏ん張り、低く押し込んで相手を吹っ飛ばした。
「あんまり覚えてないですけど、集中してやることしかできないので。明日もそういう準備をしていきたい」。
名古屋場所で負傷した首の不安も感じさせず、取組後は淡々と振り返った。
5日目の16日に「急性扁桃(へんとう)炎」の診断で休場した東前頭筆頭、豊昇龍が、8日目の19日から再出場する。
8日目は小結・逸ノ城との対戦が組まれた。
豊昇龍は16日に発熱があったが、師匠の立浪親方によると新型コロナウイルスのPCR検査は陰性で、体調を見て再出場する意向を示していた。
7日目、前頭・妙義龍が志摩ノ海を寄り切りで破り6勝1敗とした。
横綱・照ノ富士が幕内で唯一全勝を守って突き進む中、34歳の妙義龍が1敗で食らいつき、意地を見せている。
しぶとい相撲を持ち味とする力士同士の一番。
志摩ノ海も頭を下げた良い出足だったが、妙義龍の方が「立ち合いが良かった」。
脇を締めて足を前に運び、相撲の教科書のような姿勢で攻め立てる。
右四つに組み合えば、どっしりと腰を沈めたまま万全の寄りで制した。
7日目、前頭11枚目・遠藤と前頭17枚目・千代の国の一番は、激しい攻め合いで、場内がどよめく激闘となった。
遠藤はあわやの場面もあったが、顔面から流血しながらも最後は千代の国を寄り切りで下した。
視聴者からも「これは名勝負だった」「よく耐えた」という称賛の声が寄せられた。
2021/09/18
6日目、まさに閂(かんぬき)だった。
横綱照ノ富士は若隆景の両腕をがっちりときめると、悠然と前に出てきめ出した。
強さを見せつけ6連勝。
千代の国が敗れたため、一人横綱が早くも単独トップに立った。
「落ち着いていこうと思ってました。焦らずという感じで考えていました」
「残りまだ9番残っているので、一日一日集中してやりたいと思ってます」と語る。
6日目、関脇・御嶽海が、新鋭の西前頭3枚目・琴ノ若の挑戦を一蹴した。
一気の押し出しで1敗をキープした。
今場所で、三役在位は26場所目で昭和以降8位タイ。
優勝も2回と実力者ながら壁を破れずにいる。
大関候補返上に向け、無傷6連勝で単独トップとなった新横綱・照ノ富士を1差でピタリ追走する。
6日目、西前頭2枚目の霧馬山は大関正代を寄り切って5勝目を挙げた。
白星は2大関を含む、いずれも三役以上から奪った。
玉鷲が貴景勝を破り、大竜川に並ぶ史上5位の通算連続出場1367回に花を添えた。
モンゴル出身で2004年初場所の初土俵から一度も休まず土俵に上がる36歳は「意識していなかったが、良かった」と笑みを浮かべた。
約2年ぶりに福岡市で開かれる大相撲九州場所を前に、5人の親方が17日、福岡市役所を訪問しました。
17日午前、福岡市の中村副市長を表敬訪問したのは、境川親方や三保ヶ関親方ら、九州場所の運営を担う5人の親方です。
去年の九州場所は新型コロナウイルスの影響で開催地が東京の両国国技館に変更されたため、福岡市での開催は2年ぶりとなります。
九州場所担当部長・境川親方は、「コロナ禍の中で来ていただいたお客さんには少しでも喜んでいただけるように安心して観戦していただけるように努めてまいりたいです。」
中村副市長は「博多の風物詩として、一緒に盛り上げていけるよう、私たちもがんばります」と話しました。
大相撲九州場所は11月14日から28日まで、福岡国際センターで開催され、前売り券は10月2日からインターネットで販売されます。
2021/09/17
照ノ富士が序盤を無傷で乗り切った。
好調の霧馬山に低い体勢で頭を付けられて攻めあぐねたが、「慌てずにやろうと思っていた」と半身で我慢。
相手の巻き替えに乗じ、胸を合わせて寄り切った。
緊張感漂う新横綱場所でも、膝を曲げた前傾姿勢でじっくり対処する相撲が崩れる気配はない。
照ノ富士は「一日一番、集中してやるだけ」と表情を変えなかった。
正代が苦手とする若隆景を圧倒した。
立ち合いの当たりで相手の体を浮かせると、そのまま一気に押し出した。
3連敗中の悪いイメージはあったというが、「いろいろと考えずに、思い切り走ることだけを考えていた」と無心を強調した。
横綱照ノ富士は5連勝。
このまま1差で追って大関の責任を果たしたいところだ。
正代は「こういう相撲が増えていけば成績もついてくる」と自信を示した。
5日目、東前頭筆頭の豊昇龍が国技館到着後に「急性へんとう炎」と診断され、急きょ休場した。
新型コロナウイルスのPCR検査は「陰性」だった。
幕内の土俵入りが終わり、新横綱照ノ富士の横綱土俵入りが始まる直前にその一報は伝わった。
国技館に姿をみせていた豊昇龍が、国技館内の相撲診療所で診察を受けた結果、「急性へんとう炎」と診断され「約2日の自宅療養を要する」との診断書を提出して、休場が決まった。
芝田山広報部長によると、38度ほどの発熱があったという。
取組を編成する審判部では、すでに6日目の取組を発表しており、豊昇龍は宝富士との対戦が決まっていた。
だが、取組を再編成する「割り返し」が行われ、5つの取組がかわった。
師匠の立浪親方によると、この日朝に発熱がありPCR検査を受けて「陰性」だった。
豊昇龍が「相撲を取る」と希望したため国技館入りしたが、頭痛がおさまらなかったと説明。
「審判部にご迷惑を掛けて申し訳ない」とし、様子をみて再出場するという。
5日目、東前頭2枚目北勝富士が「右膝内側側副じん帯損傷」の診断書を提出して休場した。
4日目の横綱照ノ富士戦で右ヒザを負傷。
ここまで2勝2敗だった。
休場は2018年夏場所以来2度目。
5日目、やはり、宇良の相撲から目が離せない。
幕内では朝青龍が2005年九州場所で決めて以来、16年ぶりの送りつり出し。
大技でファンの期待に応えた業師は、「これでどや!」とばかりに土俵でドンと胸を張った。
隙をついて大栄翔の背後へつき、162キロを持ち上げながら左へ回転。
経験があるレスリングの裏投げのように、ひねりをきかせて、そのまま土俵外へ追いやった。
5日目、千代の国が魁聖を下した。
幕尻の千代の国が奇麗に白星を並べている。
6連勝発進だった昨年11月場所以来となる初日からの5連勝で、勝ちっ放しは新横綱の照ノ富士と2人だけ。
中卒たたき上げの31歳は、「一日一番でしっかり集中できている」と端正な顔立ちをかすかにほころばせた。
幕内で2番続けて不戦敗となるのは、22年ぶり6度目の異例の事態となった。
5日目、午前中には北勝富士の休場も発表されており、豊昇龍の休場によって幕内後半戦で組まれていた「北勝富士−隆の勝」「高安−豊昇龍」が2番続けて不戦敗となる異例の事態に陥った。
幕内での2番連続不戦敗は、平成11年春場所11日目「□平幕寺尾−大関千代大海■」「□平幕栃乃洋−横綱貴乃花■」以来22年ぶり6度目の珍事。
2021/09/16
4日日、新横綱照ノ富士が、北勝富士を引き落とし、三役以上でただ1人の全勝を守った。
相手はつかまらないよう、動き回ってくるが「落ち着いていけたと思います」と平然。
相手が何とかかく乱してこようとしても、どっしり構えて動じない。
優勝争いをリードするが、「一生懸命やっているだけですね。悪くはないと思います。残り頑張りたいと思っています」。
普通の言葉に自信がにじみ出た。
4日目、大関正代が幕内隆の勝を突き落とし、2日目から3連勝に伸ばしトップと1差をキープした。
昨年秋場所で初優勝し大関昇進を果たしてから1年。
地位の責任感を胸に逆転連覇へ勢いづいてきた。
4日目、必死だった。
なりふり構っていられない。
そこには大関らしい落ち着きは見られない。
貴景勝から見えたのは、ただ勝ちへの執念。
それがなんとか実った。
4日目にしてようやく出た初日。
「毎日、準備してやっているんで。勝たないといけないけど、これ(結果)ばかりは仕方ないこと。毎日、準備することだけ考えています」。淡々と話し
新関脇の明生が星を五分に戻した。
琴ノ若の力任せの攻めを右の下手を命綱にして残し、相手が出てくるところを体を入れ替えるように出し投げ。
伸び盛りの若手を破り、「自分のことに集中した。(最後は)いい反応だった」と納得の表情を見せた。
豊富な稽古量で番付を上げてきた26歳。
次の目標を大関に定めている。
連勝でようやくエンジンもかかってきたようだ。
「自分を信じて最後までやり切ろうと思う」と表情を引き締めた。
4日目、霧馬山の攻めは本当にしぶとい。
まわしを引いて、逸ノ城の懐に頭をつけた。
逸ノ城に得意の右を差し許したが、ここは我慢。
66キロの体重差をものともせず、食らいついて寄り切り。幕内で自身初の初日から4連勝を決めた。
「まわしを取って、頭をつけて、それでちょっと落ち着いたっすね」。
場所前にコロナに感染し、調整が不十分だった逸ノ城が相手とはいえ、過去2度の対戦では敗れている。
上位で通用し始めた霧馬山の成長を感じさせる一番だった。
4日目、妙義龍が初日から4連勝とした。
34歳の妙義龍が奮闘している。
初日から4つの白星を並べるのは5連勝発進だった今年春場所以来。
「このまま行ければいい。場所はもう始まっているのだから、変わらずに日々、淡々とやっていくだけ」と歴戦のベテランらしく静かに残りの土俵を見据えた。
4日目、打ち出し後に電話取材に応じた芝田山広報部長によると「40度くらいまで上がった」という発熱に見舞われた。
休場で4日目の千代の国戦は不戦勝。
PCR検査の結果は陰性で、同広報部長は「蜂窩(ほうか)織炎の可能性もある」と説明していた。
剣翔は5日目から再出場する。
2021/09/15
新横綱照ノ富士は、西前頭筆頭の隆の勝を下し、初日から無傷の3連勝を飾った。
激しく動く相手に序盤はまわしを取れなかったが、前に出て圧力をかけた。
捕まえて抱え込んで万全。
最後は寄り切った。
立ち遅れて北勝富士のおっつけをまともに浴びても、この日の正代にはどっしりと受け止めるだけの馬力があった。
わずかに差した左を糸口にして相手をはねのけるように一歩ずつ前進。そのままゆっくりと寄り切った。
「内容も体の動きも悪くない。このままの流れで自分の相撲を取り切れたら」と語る。
初日からの3連敗は、大関昇進前を含めても3度目。
かど番の貴景勝は「一生懸命にやって負けたから弱いわけだし…。勝てるように日々やっているが、なかなかそう簡単にはいかない」と表情を曇らせた。
明生は若隆景を突き落とし、新関脇の初日をようやく出した。
「よかったです」とあっさりしたコメント。
「まだまだ長いんで、集中していきたい。相手どうこうじゃなく、自分自身の相撲に集中したい」と語った。
霧馬山が高安との我慢比べを制した。
馬力のある元大関の攻めを半身になって耐え、機をみて右から引き落とした。
3分以上の熱戦に「相手も苦しいと思っていた。頑張ってよかった」。
肩で大きく息をしながら勝ち名乗りを受けた。
三役以上との対戦が続く中で、初日から白星を三つ並べた。
部屋付きの鶴竜親方からも連日のように助言をもらい、好結果につなげている。
西前頭5枚目の宝富士が、現役1位を記録した記念日を白星で飾った。
同じ近大相撲部で、左の合四つの志摩ノ海に攻め込まれたが、土俵際で突き落としを決めた。
「危なかったけど、最後まであきらめずにいけた」。
2011年九州場所での再入幕から、幕内連続出場768回は、横綱白鵬を超えて現役1位となった。
「自分にそういう記録はほかにない。大事にしていきたい」。
休まず土俵を務めてきた要因を「しっかり稽古をしてきた。力士は休んじゃいけない」と言った。
癒やし系のま〜るいおなかは健在だが、以前と比べてどことなくほっそりしている。
「20キロぐらい落としました。なんか、ちょっとずつ落ちていって」と千代丸九重。
今場所の体重は新十両に昇進した8年前と同じ176キロ。
土俵際で軽やかに左へ回り込んで一山本にすくい投げ。
若返ったような動きで初日から3連勝を決めた。
2021/09/14
横綱・照ノ富士が前頭筆頭・豊昇龍を寄り倒しで下し、初日から2連勝を飾った。
安定感のある内容に、視聴者からは「さすが横綱」「気迫がすごい」といった声が相次いだ。
新横綱の危なげない相撲内容に、ABEMAで解説を務めた元横綱・大乃国の芝田山親方は「問題ないですね」と感嘆するように一言。
続けて「豊昇龍が右の下手を差しにきたときに、包み込むように照ノ富士が左の上手を取りにいきましたよね。自分の懐に包み込むような形で」と解説すると、照ノ富士について「万全ですね」と賛辞を送った。
大関・正代が難敵を降して初日を出した。
大関経験者の高安と頭を付け合う体勢から自ら動いて相手の上体を起こし、最後は押し出した。
「常に相手を正面に置けたのがよかった。圧力をかけることができ、全体的に自分の方が攻めていたのではないか」と振り返った。
高安には8月下旬の合同稽古(げいこ)で圧倒されていた。
「いいイメージがなかったが、あれから自分も稽古して、体は動くようになった」と大関としての実力を示した。
2日目、大関カド番の貴景勝が幕内霧馬山に一方的に押し出され、平幕相手に2連敗。
本来の力強い押し相撲が鳴りを潜めている。
角界内では痛めている首の状態が場所前から懸念されており、一部では「休場説」もささやかれていたほど。
このままズルズルと負けが込めば、2度目の関脇転落が現実味を帯びてくる。
取組後は「いい相撲を取りたいと思ったけど、取れなかった」と悔しさをにじませた。
審判部副部長の高田川親方は「調子のいいときは我慢をして相手の中に入り込むが、いなしてから呼び込んでしまっている」と敗因を指摘した。
霧馬山が自身4度目の大関撃破で2連勝した。
立ち合いでのもろ手つきは空を切ったが、体勢を整えて突いて前へ。
力なく後退した貴景勝を一気に押し出した。
場所入り前には部屋付きの鶴竜親方から「ちゃんと当たって前に出ろ」とアドバイスを受けたという。
「今日みたいな相撲を取っていきたい」と自信をつける一番となった。
130キロの若隆景が、200キロを超える小結逸ノ城を鮮やかに倒した。
右下手を命綱に頭をつけ、まわしを与えない。
しびれを切らし出てきた相手の勢いを利用するように下手投げ。
反応の良さを発揮し、「小よく大を制す」を体現した。
初日の小結高安に続いて三役を破った。
余韻には浸るつもりはなく「しっかり自分の相撲に集中していきたい」と言葉にも勢いがあった。
琴ノ若は、大栄翔を破り初日を出した。
父と祖父から受け継いだものがある。
自己最高位に番付を上げた琴ノ若が「四つ」と「押し」の二刀流を武器に初の上位戦に挑んでいる。
本来の型は父で師匠の佐渡ケ嶽親方から受け継いだ左四つ。
一方で母方の祖父は頭からぶちかまし、猛牛の異名をとった元横綱琴桜。
四つ相撲だけじゃない。
琴ノ若は押しでもやれることを証明してみせた。
2021/09/13
第73代横綱の照ノ富士が、本場所で初めて「不知火型」の土俵入りを披露した。
また、早くも独走Vの予感だ。
初日、小結逸ノ城を危なげなく寄り切って白星発進。
取組後は「よかったです。今までやってきたことを信じて、一生懸命やるだけ」と納得の表情を浮かべた。重圧がかかる大事な初日を難なく乗り切った。
カド番の大関・貴景勝は、平幕・北勝富士に押し出しで敗れて初日黒星。
立ち合い当たって右おっつけで起こされ、横向きになって粘ったが土俵を割った。
名古屋場所では逸ノ城(湊)戦で首を負傷し、途中休場。
「いい相撲を取りたいと思っていた」とこの日の取組を振り返った貴景勝は、患部については「大丈夫です」とキッパリ語った。
切り替えが何よりの持ち味の大関。
2日目からの巻き返しを誓う。
御嶽海が幕内隆の勝を一方的に押し出して白星発進した。
取組後は「しっかり踏み込んで前に出れた。調子はいい感じはします。自分の持っているスピードのある相撲が取れた。気分がいいですね」と納得の表情を浮かべた。
豊昇龍は大関正代を寄り切って白星発進した。
押されながらもこらえて逆襲。
相手を土俵外に退け「体が上がらないように我慢していたので良かったと思います」と安堵した。
大関を破った豊昇龍は「気持ちとしてうれしいですね」と率直な感想を述べ、通算3勝で正代キラー≠ノなっていることには「得意というのはないけど集中して良かった」と振り返った。
北勝富士が、大関貴景勝を押し出しで破って白星発進した。
1度目の立ち合いはつっかけてしまい仕切り直しに。
2度目の立ち合いで、しっかりと踏み込んで頭からぶつかった。
貴景勝に圧力勝ちし、腕を伸ばしながら前進。
土俵際で貴景勝が逃れるようにくるんと体を反転させたが、落ち着いて押し出した。
三役復帰に向けて幸先のいいスタートを切った。
「踏み込みがしっかりできて良かった。前に出る意識を持っていて、それが本場所で出せて良かった」と安堵(あんど)の表情。
2021/09/12
初日を翌日に控えた11日、両国国技館で土俵祭りの後、優勝額贈呈式が行われ、夏場所で優勝した新横綱照ノ富士が参加した。
新横綱Vへ向け、いざ出陣。
ファンに対し「皆さんにいい相撲を見せられるように。横綱としてこれからも頑張っていく」と意気込んだ。
東京開催場所の責任者、尾車事業部長も“1強”と見る。
「一番安定した成績を残している。一人横綱でしっかりと勝ち進んで締めてもらいたい」と信頼した。
11日は国技館で土俵祭りが行われ、日本相撲協会の八角理事長や審判部の親方衆らが15日間の安全を祈願した。
報道陣の電話取材に応じた尾車事業部長は照ノ富士に対し「ここ数場所は一番安定した成績を残している。気負ったところがなければ、今場所もやってくれるんじゃないか。一人横綱だが、しっかりと勝ち進んで締めてもらいたい」と期待した。
12日、現役最年長の西序二段101枚目華吹(51=立浪)が、今場所の1番相撲に臨み、東序二段101枚目浪速武蔵(17=武蔵川)との34歳差対決を制した。
立ち合いから左四つにつかまえると右上手で振りまわし、最後は体を預けながら下手投げ。白星発進に成功した。
先場所は3勝4敗で惜しくも勝ち越しを逃していた。
今場所は歴代最多を更新する212場所目。
初場所以来4場所ぶりの勝ち越しを目指す場所となる。
日本相撲協会は東京・両国国技館の売店などで人気の「名物国技館カレー」の発売1周年を記念して「横綱北の富士カレー」を新発売した(400円)。
大相撲中継で解説を務める元横綱の北の富士勝昭氏が監修。
ユーチューブの協会公式チャンネルで、北の富士氏が自ら包丁を握って試作する様子が公開されている。
国技館カレー、国技館ハヤシとのセットで通販限定の販売。
2021/09/11
10日、取組編成会議を行い、初日、2日目の取組を決めた。
新横綱の照ノ富士は初日、小結逸ノ城、2日目に東前頭筆頭の豊昇龍を迎える。
取組編成を担う審判部の伊勢ケ浜部長が会議後に電話取材に対応。
横綱白鵬は部屋で新型コロナ感染者が出た影響により全休。
いきなり一人横綱となる弟子の照ノ富士に関し「初めての横綱の場所で、いろんな思いがあるだろうけど優勝を目指して頑張らないといけない」とハッパ。
2017年春場所、稀勢の里以来、昭和以降7人目の新横綱Vを指令した。
10日、両国国技館で取組編成会議を開き、大相撲秋場所の初日、2日目の取組を決めた。
初日に新横綱の照ノ富士と対戦する。
8月27日に新型コロナウイルス感染が確認された小結逸ノ城は、隔離期間を経て稽古を再開したのは8日で、万全ではない状況で新横綱照ノ富士との一番に臨む。
同日に電話取材に応じた師匠の湊親方は、感染の後遺症の症状がみられないとし「どうなるかは分からないが、できる限り頑張ってほしい」と話した。
10日、初日、2日目の取組を決め、取組編成を担う審判部の伊勢ケ浜部長が会議後に電話取材に応じた。
白鵬、幕内石浦、十両炎鵬、北青鵬ら宮城野部屋の力士全員が全休。
来場所の番付に関し「番付は基本、据え置きという形できている。加味しながら決めていく。(前回は)十両は全員が半枚落ちた。公平な形でやっていかないといけない。なるべく落ちないようにやっていく」と説明した。
日本相撲協会の芝田山広報部長は10日、秋場所後の全日本力士選士権を中止すると発表した。
新型コロナウイルスの影響で昨年に続いて開催を取りやめる。
2021/09/10
9日、都内の部屋で基礎運動、ぶつかり稽古を中心に調整した。
稽古後、電話取材に応じ「本当にいつも通りっていう感じ」と語った。
2年前に優勝した秋場所で目指すはV3。
最大の敵は新横綱照ノ富士になる。
対戦は5連敗中で5戦すべて寄り切られて完敗しており「最近、番狂わせを起こせなくなってしまったんで、ちょっと新横綱に初黒星を付けたいなという気持ちではいる」と一矢報いたい思いは強い。
東前頭筆頭の豊昇龍、西前頭3枚目の琴ノ若ら20代前半の若手も番付を上げてきた。
大関候補と呼ばれ続ける28歳は「下から若い者たちがきているので、譲れない部分はある」と意気込んだ。
日本相撲協会の芝田山広報部長は9日、秋場所15日間の懸賞申し込み本数が1519本であることを明らかにした。
前回東京で開催された5月の夏場所は、申し込みの段階で1345本だった。
電話取材に応じた芝田山広報部長は「直近3場所、昨年同じ場所からすると増えている」と説明。
新規も9件あったという。
「企業さん、こうやって出していただける、非常にありがたい。いつも話してはいますが、力士にとっては大きな励みになる」と感謝していた。
今場所から日刊スポーツ新聞社の新たな評論家に、元横綱若乃花の花田虎上さんが就任。
本場所中は「若乃花の目」と題したコラムで、取組を柔軟に解説。
11日の紙面にて、秋場所の展望を掲載。
2021/09/09
大関貴景勝が8日、カド番で迎える12日初日の秋場所への出場を明言した。
電話による代表取材で明らかにした。
名古屋場所で首を痛めて途中休場。
立ち合いからのぶちかましが生命線の大関だけに秋場所への影響が心配されたが、貴景勝はけがについて「もう治っています」と説明。
「毎場所優勝を狙っているので、カド番はあまり関係がない。一生懸命やりきることが大事だと思っている」と話した。
8日、小結高安が報道陣の電話取材に応じた。
先月23日から4日間行われた合同稽古に参加した高安は、同じく参加者の小結逸ノ城が新型コロナに感染したことで自宅待機期間があったという。
それでも「(待機は)2、3日ですね。自宅でもできるようなトレーニングもありますから。腹筋でも背筋でも、体を動かしていましたので、体がなまったというところはなかった」と振り返る。
本場所で実力を発揮するためにも「痛いときは無理をしないというのは考えてますね。一番は場所の15日間で痛いところなく、ベストなコンディションで取れるというのがベストですから。しっかり考えて場所前の稽古を過ごしてきました」と語る。
2021/09/08
新関脇の明生が7日、東京都台東区の立浪部屋での稽古後に報道陣の電話取材に応じ「まずは勝ち越し。上を目指して自分の相撲を貫いていきたい」と意気込みを語った。
この日は幕下以下と20番程度こなした。
26歳のホープは番付発表後の記者会見で、早くも大関昇進を視野に入れる発言をした。
まず2桁勝利が求められるが「自分にはまだ大関の力はない。そういう力をこの地位でつけていきたい」と謙虚に話す。
180センチ、148キロでスピード感あふれる攻撃が持ち味。
「自分の相撲に集中してやるだけ。相手よりも自分の精神面」と闘志を燃やした。
8月27日に新型コロナウイルス陽性反応が出た小結逸ノ城は出場が決定。
「まだはっきりした状況は協会に報告されていないが、問題なく出場できる。時間的には問題ない」(芝田山部長)。
豊昇龍が7日、都内の部屋で稽古後、電話取材に応じ、「押し合いの、強い当たりの、いい稽古をしていますので」と、充実感を漂わせた。
自己最高位の今場所、増量に取り組み、先日の健康診断では132キロ。
「立ち合いのことを意識して、体ももうちょっと大きくしないといけないと思ってやってきた。まだ体重を測ってはないけど、体が重くなっている感じはしますね。いつもより多く食っていますので」と、“食トレ”の効果も出てきた。
横綱白鵬が部屋で新型コロナウイルス感染が出た影響により全休が決まった。
叔父とも熱戦を繰り広げた偉大なモンゴルの先輩への初挑戦がお預けとなった。
「やっぱり一番やりたかった人だったので、先場所もできなかったし、今場所やっとやれると思って楽しみにしていたけど、コロナでできなくなった」と残念がった。
2021/09/07
照ノ富士は、白鵬の休場によって新横綱としては2003年春場所の朝青龍以来、18年ぶりに一人横綱を務めることになった。
大関正代が6日、稽古後に電話取材に応じ、12日初日の秋場所に向けた決意を示した。
昨年の秋場所で初優勝を果たし、大関に昇進して1年。
2度のかど番も経験し「この1年間よく守り抜いたなという感じなので。ここからは守るのではなく攻めていけたら」と意気込みを示した。
11月5日で30歳。
同世代の照ノ富士も横綱に昇進した。
20代最後の場所となる今場所に向けて「今のところは人は人。とりあえず自分のことだけやっていけたらと思っているが、一応目指してはいきたいと思っている」と目標を語った。
小結逸ノ城が感染した湊部屋については、まだ最終的な検査結果が報告されていない様子。
秋場所は、観客上限5000人で開催する方針だが、芝田山部長は「今回、入場されるお客さまに関しても、布マスクをされている方には協会から不織布マスクをお渡ししようかという話も出ている」と説明。
協会員へ注意喚起の通達を改めて出したことも明かした。
日本相撲協会は6日、横綱・白鵬ら宮城野部屋に所属する全力士が大相撲秋場所を休場すると発表した。
宮城野部屋では、1日に新十両の北青鵬が新型コロナウイルスに感染したことが判明。
その後も力士に陽性者が出たため、感染拡大防止のために判断したという。
幕内力士:白鵬、石浦
十両力士:炎鵬、北青鵬
自宅で大麻を所持したとして、警視庁は7日までに大麻取締法違反の疑いで、大相撲の元幕内貴源治を書類送検した。
捜査関係者への取材で分かった。
捜査関係者によると、書類送検容疑は7月、東京都板橋区の自宅で微量の大麻を所持した疑い。
警視庁が自宅を家宅捜索した際、テーブルの上にあった吸引用の水パイプの受け皿から微量の大麻の燃えかすなどが見つかった。
2021/09/06
大関の灯を絶やさず、次につなげられるか。
8月30日に発表された大相撲9月場所の番付。
そこで新関脇に出世したのが明生(26)だ。
中卒で立浪部屋に入門し、腰のヘルニアに悩まされながらも稽古に邁進。徐々に番付を上げ新小結だった先場所を8勝7敗で勝ち越した。
会見では「大関への足がかりをつくりたい。ここからが大事」と、さらなる昇進に意欲を燃やしている。
自己最高位の西前頭3枚目に番付を上げた琴ノ若が3日、千葉県松戸市の部屋で稽古した後、電話取材に応じた。
先の名古屋場所は12勝の好成績で初の三賞を受賞。
今場所は初の上位総当たりとなるが、注目は横綱白鵬戦。
父で師匠の佐渡ケ嶽親方も2度対戦しており、親子二代で挑むことになる。
「親子で対決できる可能性があるということで、なかなか経験できることじゃないので。師匠が現役のときから上で取っていて、自分が上がったときにまだ取っているっていうのはすごいことだと思います。そこに向かっていけるというのも楽しみというのはあります」と話した。
日本相撲協会の芝田山広報部長は3日、前日2日に新型コロナ感染が確認された尾車部屋の世話人・錦風の症状について「発熱は収まり自宅で療養ということです。現状では無症状のようで、当面は自宅で経過観察」と説明した。
現状で濃厚接触と認定されていない尾車部屋力士の、秋場所(12日初日、東京・両国国技館)出場については「現状では問題なさそう」と話した。
一方、やはり2日に感染が確認された宮城野部屋の新十両北青鵬(19)について、この日は状況についての情報が入っていないとし、宮城野部屋の力士の同場所出場については「力士が稽古していたということで(判断は)検査の結果、状況をみて」と、あらためて説明した。
鳥取城北高校出身の大相撲・照ノ富士関が横綱に昇進したことを受けて、同校相撲部後援会(浜崎晋一会長)は、横綱が土俵入りをする際に用いる太刀を寄贈することにした。
太刀は6、7の両日、県庁1階ロビーで一般公開される。
後援会によると、1576年作製の備前国長船の日本刀で、長さは約1メートル。
横綱にふさわしいものをと探し、入手したという。
12日に初日を迎える9月場所から、土俵入りの脇を固める「太刀持ち」が掲げる。
同校の石浦外喜義(ときよし)校長によると、横綱は8月の明治神宮での奉納土俵入りには親方の刀を借りて臨んだという。
3日に県庁であった太刀のお披露目式で、石浦校長は「本人は『この刀でしっかりと土俵をつとめたい。感謝しかありません』と喜んでいた」と話した。
元横綱・稀勢の里の荒磯親方が師匠を務める荒磯部屋が始動した。
10代の若手を含む4人の力士と行司1人とともに田子ノ浦部屋から独立し、茨城県阿見町に来年夏に部屋が完成するまでは、同県つくば市の筑波大の施設を利用する。
「みなさんに応援されるような強い力士を育てたい」と意欲をみなぎらせている。
2021/09/03
右膝の大けがなどで序二段まで番付を落とした宇良が2日、東京都墨田区の木瀬部屋で相撲記者クラブの電話取材に応じ、東前頭6枚目で臨む秋場所に向け、「自分の今出せる良好な状態をつくって挑みたい」と意気込みを語った。
21場所ぶりに幕内復帰を果たした7月の名古屋場所では10勝。
「実力以上の結果。運が良かっただけ」と謙遜するが、自己最高位の東4枚目に近づき、「過去の自分に追い付いた。自信を持って前の所に戻ってきたと言っていい」と力強い口ぶりだった。
日本相撲協会は2日、尾車部屋に所属する世話人の錦風が新型コロナウイルスに感染したことを発表した。
電話取材に応じた芝田山広報部長は「稽古場には行っていたみたいなので、部屋の他の力士ほか、みんなをPCR検査したところ全員陰性でした」。
さらに「稽古は見に来ていてもマスクはしていたみたいだから。保健所からの話ではそういうことで直接携わっていないので、濃厚接触にはあたらないとの判断でした」と語った。
気になる力士らの秋場所出場については、近日中に実施する全協会員対象のPCR検査の結果を踏まえて判断する。
芝田山部長は「それで大丈夫であれば大丈夫だと。保健所は濃厚接触者と認めていないので」と明かした。
一方、十両北青鵬の感染が判明した宮城野部屋も力士らは全員陰性だったが、尾車部屋とは扱い≠ェ異なるという。
芝田山部長は「宮城野部屋は力士なので、そういうこともあって状況がまだね。もう一度検査をして症状だとか今後出てこないとかを見てどうするかというのは先生方の判断に委ねるということですね」と理由を説明した。
十両北青鵬の感染が判明した宮城野部屋も力士らは全員陰性だったが、尾車部屋とは扱い≠ェ異なるという。
芝田山部長は「宮城野部屋は力士なので、そういうこともあって状況がまだね。もう一度検査をして症状だとか今後出てこないとかを見てどうするかというのは先生方の判断に委ねるということですね」と理由を説明した。
2021/09/01
日本相撲協会の芝田山広報部長は1日、十両北青鵬が新型コロナウイルスに感染したことを明らかにした。
北青鵬はこの日、風邪の症状が出たため検査を受けたところ陽性反応が出たという。
芝田山部長は「(部屋の)他の者に関してはどこまでが濃厚接触者かというのは分かりませんが、北青鵬は部屋にいるので、みんなが濃厚接触者にあたるのではないかと思います。
他の者の検査結果はとにかく明日しか出ないようです」と説明。
また、横綱白鵬に関しては「(部屋に)行っているのか行っていないのかはわからないが、部屋に行っていればその中に入りますよね」と付け加えた。
また、途中出場の可能性については「部屋全体が間違いなく大丈夫ですよ、という(専門家の)先生からの確認が取れないことには、途中出場だって難しい」という。
2021/08/27
合同稽古の最終日が26日、同所の相撲教習所で行われ、平幕の妙義龍は精力的に汗を流した。
「参加している人が多いので、ずっと行きたいとは思ってました」。
新型コロナウイルス感染拡大により出稽古が制限されている中で、昨年秋から行われている合同稽古は他の部屋の関取衆と肌を合わせる貴重な機会。
34歳のベテランは25日から合流。
今回が初めての参加だった。
「なかなか来るタイミングがなくて、今回(全協会員を対象とした22日の)PCR検査で陰性だったので。こうやっていろんな相手とね、できるっていうのはいいんで、いい稽古だったですね」。
この日は関取衆との申し合いで計9番相撲を取り、巨漢の逸ノ城を四つ身で持っていく場面もあった。
「逸ノ城、重たかったです(笑い)。重たかったけど、やっぱり前に持って行けたんで、こういう気持ちでまた場所まで行こうかな」と手応えを語った。
合同稽古が24日、国技館内の相撲教習所で行われ、逸ノ城が精力的に番数をこなした。
「(師匠に)言われているのは、腰を下ろしてまわしにこだわらず前に出ること。その辺を考えてやっている」との言葉通り、実力者の御嶽海を押し出す場面もあった。
7月の名古屋場所で10勝した。場所前の合同稽古が開催されず、関取衆との実戦機会がなかった分、基礎運動などに時間をかけて臨み、2桁勝ち星。その経験が自信につながっているという。
秋場所は2019年夏場所以来の三役復帰が濃厚。
「(番付が)下がらないようにしっかりやっていきたい」と短い言葉に力を込めた。
2021/08/26
合同稽古が26日、両国国技館内の相撲教習所で4日間の日程を終え、打ち上げられた。
先場所、復活の45回目優勝を果たした横綱白鵬は相撲は取らず、連日、ストレッチ、四股、すり足、鉄砲など基礎運動を入念に行った。
関取衆の稽古中、関脇御嶽海(出羽海)、幕内逸ノ城(湊)らに技術面などをアドバイス。
ぶつかり稽古では御嶽海に胸を出し、積極的に体を動かした。
稽古後は取材には応じず引き上げた。
前日から参加したが実戦はまだ回避。
前日には「ちょっと体を作ってからというかね。まだ番付発表前ですからね」と話しており、体と相談しながらの調整になる。
進退を懸けた先場所、手術した右膝の痛みに耐えながら全勝優勝。
患部の回復には「良くなったり悪くなったり」と話し、状態を見極め強度を上げていく。
合同稽古3日目が25日、国技館内の相撲教習所で行われた。
初めて合同稽古に参加している幕内・隆の勝(常盤山)は初日から精力的に汗を流し、この日は3日目からの参加となった横綱・白鵬(宮城野)に約3分間、ぶつかり稽古で胸を借りた。
新入幕以来という横綱との稽古を「ありがたいです。横綱に教えていただけることはなかなかないですし、貴重な機会です」と振り返った。
技術的な面でも、「右ばかりを使うのではなく、もっと左も使って攻めていったほうがいい」と、助言をもらったという。
関取衆との申し合い稽古では、24番取って12勝12敗。
7月の名古屋場所では勝ち越し、返り三役を目指す隆の勝は「非常にいい稽古をさせてもらっています。こうやってみんなで集まれる機会はなかなかないし、合同稽古があって本当に良かったと思います」と充実した様子で語った。
大相撲の連敗記録を持つ序ノ口の勝南桜(しょうなんざくら、23=式秀)が7月の名古屋場所を最後に引退したことが25日、分かった。
今月7日に茨城・龍ケ崎市の部屋で断髪式を行い、引退届も提出済み。
先場所更新した自身が持つ連敗記録「104」を止められず、土俵に別れを告げる。
2021/08/24
大相撲秋場所(9月12日初日)前の合同稽古が23日、両国国技館内の相撲教習所で始まった。
初日は計13人の関取が参加し、大関以上では正代がただ一人顔を見せて汗を流した。
名古屋場所は千秋楽に勝ち越すなど、存在感を見せられずにいる正代。
関脇高安と15番続けて相撲を取ったが、元大関の圧力に屈する場面が目立つなど本調子にはほど遠い稽古内容だった。
親方衆から厳しく叱咤しったされる一幕もあり、「まだ動いていない。これから(調子は)上がっていくと思う」と話した。
合同稽古は26日までの4日間行われる。
合同稽古が23日、始まり、関脇御嶽海が東洋大後輩の五輪戦士からパワーをもらい躍進へと意気込んだ。
「(東洋大の)後輩たちが頑張ってくれていたので。(陸上の)リレーの方は残念ですけど、水泳の方で頑張ってくれて、僕も刺激になった。(萩野)公介が決勝まで残ってくれたことだけでうれしかったですし、その前に大橋(悠依)さんが2冠を取ってくれたのでうれしいですね」と刺激を大いに受けた。
23日、東京・両国国技館で4日間の日程で行われる合同稽古の初日に参加した。
関取衆との申し合い稽古のほか、大関正代との三番稽古では12勝3敗と圧倒。
稽古後は「いい稽古できました。力を出し切っていい相撲取れましたので。熱の入った稽古になったと思います」と充実感を漂わせた。
合同稽古が23日、始まり、幕内隆の勝が関取衆との申し合い稽古で12勝4敗と気を吐いた。
左おっつけで巨漢の逸ノ城(湊)を起こし寄り切るなど実力を発揮。途中7連勝する勢いもあった。
押し相撲ながら右を差しての寄りも得意。
さらに左からの攻めも効いていた。
「いろいろと試行錯誤をして。どれが効いてどれが効かないか試していた。左も意識して。右からだけだとしょうがない」と上々の手応え。
合同稽古は初めてとなる。
部屋の関取衆は大関貴景勝が首痛で先場所、休場。
十両貴源治は大麻使用で解雇された。
これまでは部屋での調整を優先してきたが、実戦経験を求めて参加した。
「いろいろあって行ってみようと。いろんなタイプの関取と相撲が取れるし、いい経験になっている。自分がどれだけ調子がいいのか、体が動けているのか、いろいろと考えながら。まあ、まだきょうが初日なので。4日とも来るつもり」と実りある4日間とする。
合同稽古が23日、国技館内の相撲教習所でスタート。
十両・炎鵬(宮城野)が初参加。
幕内・阿武咲(阿武松)ら他の部屋の関取衆と相撲を取る稽古を行い「(体としては)まあまあ。稽古はできるかなという感じですね」と汗を拭った。
2021/08/23
日本相撲協会は22日、新横綱に昇進した照ノ富士の横綱推挙状授与式と奉納土俵入りを、24日に東京都渋谷区の明治神宮で実施すると発表した。
新型コロナウイルス対策として一般客は入れず、協会の公式ユーチューブで映像を配信する。
照ノ富士は7月の名古屋場所後に73人目の横綱に昇進。
既に横綱の「綱打ち」を行い、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)から不知火型の土俵入りを伝授されていたが、新型コロナの影響を考慮して、明治神宮での行事は延期されていた。
日本相撲協会は22日、親方、力士らを含む全協会員を対象にPCR検査を行い、幕内呼び出しの利樹之丞(47=高砂)が陽性だったことが分かった。
芝田山広報部長が明らかにした。
親方、力士は全員陰性だった。
芝田山部長は「利樹之丞の奥さんが陽性だった」と説明し、家庭内感染の可能性を指摘。
23日からは合同稽古を4日間行い、27日からは外出禁止となる。
全協会員を対象にした検査は本場所1週間前にも実施するという。
日本相撲協会は18日、大相撲秋場所(9月12日初日、東京・両国国技館)に向けて、国技館内の相撲教習所で合同稽古を行うことを発表した。
電話取材に応じた芝田山広報部長(元横綱大乃国)が明かした。
期間は23日から26日の4日間とした。
合同稽古の実施は、夏場所前以来2場所ぶりとなる。
名古屋場所前は、国技館が東京五輪のボクシング会場となっており、準備のため使用できなかった。
合同稽古前日の22日には、合同稽古に参加する力士だけでなく全協会員を対象にPCR検査を行う。
新型コロナウイルスの感染拡大が続いているだけに、同広報部長は「合同稽古出席者だけでなく、協会員全員(PCR検査を)やろうということになった。
(全国的に)感染が広がっているから。陰性の者だけが合同稽古に出席できる」と説明した。
今年3月26日に60歳で亡くなった、元力士で相撲漫画家・琴剣淳弥さんの初のイラスト作品集「相撲絵師 琴剣大相撲イラスト集」(出版・株式会社ホビージャパン、税込み2750円)が20日に発売される。
琴剣さんはスポーツ報知の相撲漫画で約30年にわたり紙面を彩った。
月刊誌「相撲」(ベースボール・マガジン社)など多くの連載を担当した。
今回の書籍では相撲ファンになじみの深いイラストに加え、なかなか見ることができない力士の結婚披露宴用に描かれたウェルカムボードなどの貴重な絵も掲載。
現役時代に見た相撲風景をベースに、元力士でしか描くことのできないリアルな描写が特徴となっている。
大相撲の大関朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)の父、石橋靖さん(64)=同市呉羽町=が16日に死去していたことが17日、関係者の話で分かった。
2021/08/02
7月27日、大相撲で73人目の横綱に昇進した照ノ富士(29)が土俵入りで締める横綱の「綱打ち」が東京都江東区の伊勢ケ浜部屋で行われた。
伊勢ケ浜一門の力士ら約30人がマスク姿で参加し、純白の綱をより合わせた。
真新しい綱を締めた照ノ富士は電話取材に応じ、「実感が湧いている。何キロという重さではなく、自覚を持って行動しなきゃいけない重さを感じた」と話した。
土俵入りは不知火型。
師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)から手ほどきを受け、「実際にやってみて、こんなに難しかったんだなと感じた。もっと練習して、いい姿を見せたい」と述べた。
荒磯親方が師匠を務める荒磯部屋の部屋開きが1日、茨城県つくば市の筑波大で行われた。
茨城県阿見町に部屋が完成する来年夏まで、同大の施設を利用する。
田子ノ浦部屋の力士4人らと独立した荒磯親方は稽古場で早速、約2時間半の稽古を行った。
オンラインで取材に応じた荒磯親方は「いよいよ始まるなという感じ。応援されるような、強い力士を育てたい。今は自分が前に立っているが、いつか自分の存在がわからないくらいの力士が出てくるといい」と抱負を語った。
7月30日、日本相撲協会は臨時理事会を開催し、7月場所中の大麻の使用が判明した十両・貴源治(常盤山部屋)に懲戒解雇の処分を下した。
賞罰規定で最も重い処分となったが、大麻所持で逮捕された若ノ鵬(2008年8月)、抜き打ち検査で陽性反応が出た露鵬と白露山(同9月)、大麻所持で逮捕された若麒麟(2009年1月)はいずれも懲戒解雇処分となっており、コンプライアンス委員会も懲戒解雇処分が相当と答申していた。
理事会では監督責任が問われた師匠の常盤山親方(元小結・隆三杉)に対して、「委員」から「年寄」への2階級降格の懲戒処分が決まった。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は30日、相撲記者クラブの代表取材に応じ、新型コロナウイルスの検査で幕下以下の力士2人が陽性と判定されたことを明らかにした。
うち1人は27日に7人の陽性が発表された高砂部屋の所属で、同部屋の陽性者は計8人となった。
2021/07/22
21日午前、東京都内で大相撲秋場所の番付編成会議と臨時理事会を開き、大関照ノ富士の横綱昇進を満場一致で決めた。
2017年初場所後に昇進した稀勢の里に続く73人目の横綱が正式に誕生した。
理事会後、相撲協会の使者として理事の高島親方と審判部の浅香山親方が東京都江東区の伊勢ケ浜部屋に赴き、照ノ富士と師匠の伊勢ケ浜親方に昇進を伝達。
照ノ富士は「謹んでお受けいたします。不動心を心掛け、横綱の品格、力量の向上に努めます」と口上を述べた。
21日、都内で理事会を開き、同日付で鏡山部屋所属の協会員全員の『伊勢ノ海部屋転属』と『鏡山部屋封鎖』を承認した。
また、11月場所の福岡開催を発表。
1日の観客数は、会場の福岡国際センターの収容人数の半分以下となる3700人を上限にする。
9月の秋場所は、これまで通りに、東京・両国国技館で1日の観客数5000人以下で開催。
基本的に午後1時開場だが、新序出世披露が行われる8日目は正午、後半戦の13日目以降は午前10時開場となる。
芝田山広報部長は「少しずつ元の状態に戻していきたい」と話した。
2021/07/19
18日、千秋楽での全勝対決。
横綱・白鵬が小手投げで大関・照ノ富士を下し、7場所ぶり45回目の優勝を全勝で飾りました。
白鵬はこれで16回目の全勝優勝。自身のもつ最多記録を更新しました。
立ち合い後の序盤は両者が強烈な張り手の打ち合い。
その後、白鵬が照ノ富士の両まわしをとると、最後は小手投げで勝利。
優勝が決まった瞬間、白鵬は雄叫びをあげ、喜びをあらわにしました。
白鵬は「全てを懸けようと思って、気合を入れてやりました。これでまた前に進める」と語り、横綱としての完全復活を印象付けました。
18日、14勝1敗の優勝次点だった大関照ノ富士の横綱昇進を諮る臨時理事会の開催を八角理事長に要請し、了承された。
横綱昇進が確実となった。
理事長は19日の横綱審議委員会に諮問し、推薦を受けた上で、21日の秋場所番付編成会議と理事会で正式に決定する。
横審の内規では、横綱推薦の基準を「大関で2場所連続優勝か、それに準ずる成績」と定めている。
新横綱誕生は、2017年初場所後に昇進した稀勢の里以来で73人目。
モンゴル出身では、朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜に続いて5人目となる。
新小結の明生が千秋楽に勝ち越し、三役の座を死守。
「ホッとしているが、毎日が必死だった」と15日間を振り返った。
輝の突き、押しに後退しながら、冷静に引き落とし。
「負けが先行して苦しい展開もあったが、最後に勝てたので良かった」と充実感を漂わせた。
高安が負け越し、来場所の新関脇昇進へ可能性が広がった。
「集中して稽古していく」と早くも来場所を見据えた。
初三賞となる技能賞を獲得した豊昇龍は北勝富士をはたき込み、自身初の2桁10勝に到達した。
「めちゃくちゃうれしい。千秋楽で勝って終わることができたので良かった。ちょっとずつ自信がついてきたし、まだまだ体が小さいのでこれから大きくしていきたい」。
体格は1メートル86、131キロで幕内平均160キロより軽い。
叔父の元横綱・朝青龍をほうふつさせる機敏な動きが持ち味で、大関・正代を破った11日目など足技を絡めた攻めが評価された。
琴ノ若は剣翔を寄り切って自己最多の12勝に達し、祖父の元横綱・琴桜(故人)、父で師匠の佐渡ケ嶽親方と3代続けての三賞受賞となった。
「(祖父と父のことは)あんまり考えていなかったけど、獲れてうれしい」と喜んだ。
1メートル88、167キロの体格は父譲りで今場所は前に出る好内容が目立った。
佐渡ケ嶽親方は「この1勝は大きい。重圧の懸かる相撲に勝ち、成長を感じさせた」と目を細め、初の幕内上位で挑む来場所へ期待した。
18日、人気力士の西前頭13枚目・宇良が、千代翔馬を押し出し、2桁10勝で終えた。
張り手を食らいながら、下から攻め抜いた。土俵を下りる際に呼び出しの肩を借りるほどだったが「大丈夫です」。
両膝の大けがで序二段106枚目まで落ちながら、17年九州場所以来の幕内復帰を果たし、2桁の白星を挙げた。
18日、前頭十七枚目・一山本が前頭十四枚目・千代ノ皇を送り出しで下し、新入幕の場所で千秋楽にうれしい勝ち越しを決めた。
勝ち越しにあと1つと迫る7勝目を挙げてから、まさかの5連敗を喫し、しびれる7勝7敗で千秋楽を迎えた一山本。
脱サラ力士、さらには話し方が「ギャルっぽい」「YouTuber風」と、いろいろな話題を振りまいてきたが、勝てば勝ち越し、負ければ負け越しという一番で積極的に攻め、土俵際でも緩めず送り出しで8勝目を手にした。
大相撲名古屋場所は18日に千秋楽を迎え、懸賞総数は1088本だった。
1日当たりの最多は千秋楽の100本。名古屋開催は2年ぶりで、東京・両国国技館で行われた昨年7月場所は1000本だった。
2021/07/18
14日目、横綱白鵬が大関正代を退けて無傷の14連勝とした。
千秋楽は、同じく全勝の大関照ノ富士と約4年ぶりに激突する。
白鵬の構えに、会場がざわついた。
立ち合い。仕切り線から目いっぱい遠ざかり、両足が俵にかかりそうな位置で腰を落とした。
そっと立って正代に近づき、左で張って体をぶつけた。
おっつけてから強烈な張り手を見舞う。
一度はまわしを引きかけたが、再び離れ、最後は右四つで組み止めて浴びせ倒した。
土俵下で見届けた藤島審判長は「実力者の正代に当たられて両差しになられるのが嫌だったと思う」と白鵬の心中を推し量った。
八角理事長は「奇襲は弱い方がやること。これだけ優勝している横綱がああいうことをしてはいけない」と苦言を呈した。
大関照ノ富士が名古屋場所後に横綱に昇進することが17日、ほぼ確実となった。
同日の14日目に関脇高安を下して14連勝とし、優勝争いの首位を守った。
審判部は千秋楽の18日に昇進について会議を開く。
昇進問題を預かる日本相撲協会審判部の伊勢ケ浜部長は優勝か優勝に準ずる成績で、昇進の可能性があるとしていた。
照ノ富士の師匠でもある同部長は13勝した時点で「優勝するに越したことはないが、成績的には十分満たしている」との見解を示していた。
14日目、関脇御嶽海が幕内豊昇龍を寄り切って4場所連続の勝ち越しを決めた。
元横綱朝青龍のおいとして注目を集める豊昇龍は、11日目に大関正代を撃破して自己最速で勝ち越しを決めるなど勢いに乗る相手。
しかし、格の違いを見せつけるように危なげなく寄り切り、取組後は「しっかり相手を見て前に向けられた。ヒヤリとしたが。自分の相撲ができた」と振り返った。
14日目、玉鷲が歴代6位となる通算1360回連続出場を白星で飾った。
11勝は優勝した19年初場所以来。
記録には「現役中にはあまり感じない。辞めてから『よかった』と感じると思う」。
横綱白鵬と並ぶ幕内最年長の36歳だが衰え知らず。
「まだ若手には負けたくない。人を興奮させる相撲を見せたいと思います」と若々しい意欲をたぎらせた。
14日目、幕内琴ノ若が自己最多となる11勝目(3敗)を挙げた。
幕内宝富士に土俵際まで追い込まれる場面もあったが、最後は寄り切った。
取組後は「体勢的には悪かった。褒められた相撲じゃなかったが慌てなかったのがよかった。星数は意識せず一日一番(の気持ち)で臨めている」と振り返った。
14日目、宇良は平幕下位力士としては珍しく、幕内後半戦の土俵に上がった。
小結明生を寄り切りで破って9勝目。
自身の取組内容よりも「(幕内)後半はお客さんがすごい」と結びから3番前の館内の雰囲気に驚いた。
取組を知った前日は「とんでもないとこに当たった」。
ただ、白星を挙げて「いい経験ができたと思う」と喜びを口にした。
2021/07/17
白鵬も盤石の内容で全勝を守った。
巧みなとったりで難敵の高安を撃退。
「体が動いている。タイミングも良かったし、横にじゃなくて下に投げたのが勝利につながった」と満足げに話した。
右張り差しが決まらず中へ入られそうになるも冷静。
瞬時に左へ動き、右腕を抱えて鮮やかに転がした。
千秋楽は照ノ富士戦が確実。
ともに勝ち続ければ、12年名古屋場所の日馬富士―白鵬以来6度目の全勝決戦となる。
「頑張ります」と短い言葉で結んだ。
12日目、大関・照ノ富士の横綱昇進に“当確ランプ”がともった。
大関・正代との一番を押し出しで制し、土つかずの13連勝を決めた。
師匠で、番付を編成する審判部の伊勢ケ浜部長は「成績的には十分満たしている」との見解を示した。
進退を懸ける横綱・白鵬も全勝を守り、賜杯のゆくえは2人に絞られた。
13日目終了時で全勝が2人は、2013年夏場所の白鵬と大関・稀勢の里以来となった。
照ノ富士が、ついに73代横綱の椅子に手をかけた。
初日から13連勝をかけた正代戦。
立ち合いから攻め込んだところを一度すくわれ俵を背負ったが、こらえて前進。
押し切って、大関戦を制した。
「焦ることなくやろうと思っていた。良かったかなと思う」。初の綱取り場所で、自己最多タイの白星を重ねた。
豊昇龍が逸ノ城との取り直しの一番を制した。
右四つから巻き替えてもろ差しに。
200キロの巨体を右から引きずるように投げて、土俵にはわせた。
力を使い果たしたかのように付け人の肩に手を置いて支度部屋へ引き揚げ、「今までで一番重かった」。荒い息のまま振り返った。
幕内で初となる2桁白星まであと1番としたが、「初日から一日一番と思っている。一日一日を大事にしていきたい」と表情を変えなかった。
幕内最年長で36歳の玉鷲が節目の取組を会心の勝利で飾った。
厳しい攻めで宝富士を押し出し、6場所ぶりの2桁白星に到達。
「本当に久しぶりなので、凄くうれしく思う。本当に良かった」と感慨に浸った。
この日、1359回連続出場となり、史上6位の寺尾(現錣山親方)に並んだ。
04年初場所の初土俵から一度も休場がない鉄人は「記録は意識していない。自分の相撲を取りきって、見ているお客さんを盛り上げるのが一番」と語った。
13日目、21場所ぶり幕内に返り咲いた人気業師の宇良が190キロ巨漢魁聖を連続技で転がしたが、反則負けで5敗目(8勝)を喫した。
立ち合い、相手の足をとり、さらに腕をたぐって懐に飛び込み、もろ差し。
上手を取られ組まれたが、相手の脇をすり抜け何と反り技。
これは不発ながら、くるり一回転し、相手を右から出し投げで崩した。
業師の本領に観客も沸いたが、物言い。
高田川審判長が「宇良がまげを引っ張っており、反則負けで魁聖の勝ちとします」とアナウンス。
投げる際に宇良の左手が魁聖のまげにかかっており、軍配が覆って、9勝目はならなかった。
13日目、西前頭16枚目の石浦が横綱秘伝の下手投げで勝ち越した。
左下手をがっちりつかみ、右手で志摩ノ海の右膝付近を押さえながら豪快に投げた。
「相手の膝を押さえての下手投げは横綱に教えてもらった技」と兄弟子の白鵬に教わった技で白星。
それだけに「小さいことかもしれないけど恩返しができたと思う」としみじみと話した。
16日、優勝争いのトップを並走する横綱・白鵬と大関・照ノ富士が全勝を守り、初日から無傷の13連勝を遂げた。
白鵬と照ノ富士の13連勝を受けて、ABEMAで解説を務めた元小結の臥牙丸は「楽しみですね、あと2日間」と一言。
続けて「千秋楽がとても楽しみじゃないですか。照ノ富士関は横綱がかかっているし、横綱は久しぶりの優勝がかかっているから、2人とも凄く力を出しますので、面白いと思います」と語り、千秋楽結びの一番に期待を寄せた。
連勝が止まらない白鵬と照ノ富士の活躍に、視聴者からも「強すぎる」「圧倒的だな」「千秋楽の全勝対決が見たい!」「どっち勝つんだろう」「全勝決戦間違いなし」と直接対決での”優勝決定戦”に期待する声が続々と寄せられた。
来場所の新十両が確実な西幕下2枚目の北青鵬(宮城野部屋)が石崎(高砂部屋)を全勝対決で退け、幕下以下で全て優勝を果たした。
昨年7月場所の序ノ口から序二段、三段目と制した。
「序ノ口優勝した時に『1年で(十両に)上がる』と言ったので、自分の口から出した言葉にはしっかり責任を持って頑張った」と胸を張った。
2021/07/16
12日目、6場所連続休場明けで進退をかける白鵬は関脇御嶽海を寄り切り、全勝を守った。
かねて横綱の2桁≠ニ位置付ける12勝に無傷で到達。
取組後は「今場所の目標だった。とてもうれしいですね。ホッとしている」と安堵の表情を浮かべた。
優勝争いは照ノ富士との一騎打ちの状況が続いている。
「明日(13日目)起きたら、また気持ちを切り替えていかないと。いい流れで来ているので、崩さずにいきたい」と45回目の優勝に視線を向けていた。
12日目、綱とりに挑む大関照ノ富士が新小結明生を豪快にきめ倒して、初日からの連勝記録を自己新の「12」に伸ばした。
八角理事長(元横綱北勝海)らは内容も結果も絶賛し、昇進へまた一歩、前進した。
照ノ富士の“横綱相撲”だった。
動きのいい明生に左、右と差されたが慌てない。
下半身をどっしり構え、強烈な張り手を見舞って、引っ張り込んだ。
外から右腕をきめ上げると相手はもん絶。最後は豪快に投げ捨てた。
ついに自己新の12連勝。
「落ち着いて取れて良かった。一日一番の気持ちでやっているだけ。(12連勝も)特別な思いはない」と自信満々に言い切った。
15日、霧馬山が関脇高安に初勝利で勝ち越しを決めた。
「我慢していったのがよかった。今まで勝ったことがないんで、先に上手を取らせないようにした」。
激しい攻防で長い相撲を制した。
それだけに喜びも大きい。
「いい相撲で勝ち越せてうれしいです。最後までいい相撲をとって終わりたい」と意欲を示した。
15日、宝富士が初場所以来3場所ぶりの勝ち越しを決めた。
一山本ののど輪を何発も受けたがひるまず前へ。
おっつけで土俵際まで押し込み、タイミング良く引き落としを決めた。
「素直にうれしい。慌てると、いなしやはたきがうまい相手なので、じっくり攻めようと思っていた」と狙い通りの相撲だった。
15日、「鉄人」、東前頭10枚目玉鷲が小兵の石浦を押し出して9勝3敗と星を伸ばした。
立ち合いは呼吸が合わず2度目で立ったが、左を差されつつも小手で振りながら圧力をかけた。
「しっかり気を引き締めて、下から逃がさないようにいった」。
9勝を挙げるのは、10勝した昨年7月場所以来1年ぶりとなった。
13日目の出場で初土俵からの連続出場回数が1359となり、歴代7位の元関脇寺尾に並ぶが「いえいえ、それはとんでもないです。内容が大事。自分より親方の方が内容がいい。自分は数なので」と謙虚に語った。
12日目、多くの力士に勇気を与えるカムバックだ。
人気力士の宇良が、元大関の栃ノ心を突き落として勝ち越しを決めた。
17年九州場所以来の幕内復帰で、勝ち越しは同年夏場所以来。
苦難の時を乗り越え、最後は頭から土俵下に転落して1回転した宇良は、まるで子どものような笑みを浮かべた。
取組後は勝ち越しに「うれしいです」と話すも「まだ終わっていない気持ちが強い。残りの相撲があるんで、そっちに集中したい」と表情を緩めなかった。
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下記が投稿された方のツイッターです。
@changasano
なんだか、すごく和みました(^^)
2021/07/15
11日目、6場所連続休場明けで進退をかける横綱白鵬が、新三役の小結若隆景を下し初日から11連勝とした。
よく動く相手をしっかり組み止め、寄り倒しでの勝利に「(相手のおっつけは)いいものはあった。でも若隆景関は考えが浅かったかな」と振り返った。
綱獲りの照ノ富士は御嶽海を圧倒した。
初日から11連勝は15年秋場所に並ぶ自己最長だが「特にない。必死に一日一日やっているだけ」と淡々と話した。
立ち合いで浅く左上手を引くと、優勝2度の関脇を一気に寄り切り。
終盤でも取り口は安定している。
琴ノ若が3敗に後退し、白鵬との一騎打ちの様相がさらに濃くなり「これからが大事。一日に全力を尽くしていく」と集中力を高めた。
11日目、翔猿戦で主導権を握り続けた。
立ち合いで強く当たって突っ張り合う。
いなされても冷静についていき、土俵中央付近で動きが止まってからタイミングよくはたき込んだ。
圧力をかけ続けた一番を、「じっくりいって落ち着いて対応できた」と振り返った。
3日目から途中出場の高安が、今場所の焦点の行方を左右するキーマンに浮上。
進退の懸かる白鵬、綱取りに挑んでいる照ノ富士の両全勝力士との対戦を残して自身も勝ち越しを目前にする実力者は、「ベストを尽くしていい相撲を取りたい」と力を込めた。
逸ノ城が隆の勝を押し出して勝ち越しを決め、19年夏場所以来の三役復帰が見えてきた。
左上手をつかめなくても右差しで圧力をかけ続けて圧倒。
「(三役へ)もちろん上がりたい。そのためにも残りの相撲もしっかり集中して取っていきたい」
11日目、幕内豊昇龍が大関正代を寄り倒して8勝目(3敗)。
看板力士を撃破して自己最速となる11日目での勝ち越しを決めた。
取組後は「当たって前に攻めたら何とかなると思った。
何より勝って良かった。とりあえず、あと4日間を一日一番、大事にしていきたい」と表情を引き締めた。
かねて元横綱朝青龍のおいとしても注目を集める存在。
元横綱からはこれまでもツイッターで「なめられたら終わり」「また負けか?」などと辛口のエールを送られてきた。
この日の白星には早速「勝ち越し! 先ずおめでたい。後勝て!」(原文ママ)と祝福のツイート。
母国のモンゴルから遠く離れていても常に気に掛けられ、豊昇龍も叱咤激励を発奮材料にしている。
11日目、玉鷲が昨年11月場所以来、4場所ぶりの勝ち越しを決めた。
新入幕の一山本を、立ち合いから強烈な突き押しで攻め立てた。
いつも通りの力を発揮したようにも見えたが「心の中は結構やばかった」と緊張。
次に狙うは1年ぶりの2桁白星。
「勝ち越したけど落ち着いている場合ではない。楽しみながら取っていきたい」と話した。
11日目、2度の右膝手術を乗り越え、21場所ぶり幕内復帰した人気業師の宇良が難敵の霧馬山を肩すかしからすくい投げの鮮やかな連続技で破った。
3連勝で7勝目を挙げ、2017年夏場所以来4年ぶり幕内での勝ち越しに王手をかけた。
リモート取材で鮮やかな逆転と問われると、返答を熟慮。
そして「自分から仕掛けているので逆転とは思っていない」と、業師のプライドをにじませた。
11日目、十両阿炎が若元春を押し出し、勝ち越しを決めた。
立ち合いからもろ手で突いて出ると、休まず攻め立てた。
7連勝から3連敗して足踏みしていたが、ようやく勝ち越し。
「素直にうれしいです」と安どの表情を浮かべた。
昨年7月に協会が定めたガイドラインを違反して3場所の出場停止となり、幕内から幕下に転落。
今年の春場所で土俵に復帰し、関取復帰となった今場所も星を伸ばした。
2021/07/14
白鵬は盤石の内容で10連勝。
右で張ってから左を差すと、隠岐の海に何もさせずに寄り切った。
報道陣のリモート取材には応じなかったが、花道を引き揚げる表情には余裕が感じられた。
綱とりに挑む照ノ富士と互いに譲らず、終盤戦に向かう。
三役以上との対戦を控えるが、八角理事長(元横綱北勝海)は「あしたから気合が入るだろう。膝も万全の感じがする」と印象を述べた。
綱獲りの照ノ富士が労せず10勝に到達した。
立ち合い不成立と判断したのか棒立ちになった千代大龍をあっという間に寄り切った。
「一瞬待ったかなと思ったけど、そのままいった。冷静にできた」と淡々と話した。
三役以上との対戦が確実な残り5日間へ「自分のやってきたことを信じてやるだけ」と気を引き締めた。
高安が新小結・若隆景を落ち着いてさばき、逆転勝ちした。
おっつけ、喉輪、はず押しなどで攻め込まれたが、相手の押しに後退しながらも懸命に抵抗。
最後は土俵際で右から突き落とした。
これで6勝目をマークし、大関復帰への望みを来場所へつなげたい。
「腰を落として、しっかり自分の相撲を取っていきたい」と横綱、大関戦が予想される終盤へ力を込めた。
10日目、前頭5枚目の豊昇龍が7勝目を挙げ、勝ち越しにあと1勝とした。
優勝25度の元横綱朝青龍を叔父に持つ豊昇龍が、着実に力を伸ばしている。
うるさい翔猿をつかまえて料理し、2場所ぶりの勝ち越しに王手。
「体の動きがよく、落ち着いて相手を見て相撲が取れている。いい感じです」と手応えを口にする言葉も弾む。
13日、前頭十枚目・照強が前頭十四枚目・大奄美を素早い動きで翻弄し、押し出しで下して5勝目を挙げた。
華麗なフェイントに視聴者からは「さすが策士」「作戦勝ち!」といった声が続々と寄せられた。
身長169センチの小兵ながら持ち前のバランス感覚とスピードを活かした相撲内容で技巧派として知られている照強。
大奄美と対戦した十日目の取組では、立ち合いで八艘飛びをするようにふわりと上体を起こしたものの、すぐに向きを変え下に潜り込んで相手の左足を奪取。
バランスを崩した大奄美はなすすべもなくよろめき、そのまま照強が鋭く前に出て押し出しを決め勝ち星を挙げた。
10日目、西前頭11枚目・琴ノ若が、自己最速での勝ち越しを決めた。
新入幕で東同17枚目・一山本との2敗対決を寄り切りで制した。
元横綱・琴桜は祖父、師匠の佐渡ケ嶽親方は父と相撲一家の23歳が、全勝でトップを走る横綱・白鵬、大関・照ノ富士の2人に食らいついていく。
13日、西前頭16枚目の石浦が7連勝で勝ち越しに王手をかけた。
栃ノ心との一番は、立ち合いやや左へずれ、得意の左前まわしを引き、さらには右まわしも取った。
絶好の体勢となり、出し投げで相手を崩し、前に出た。
「いいところの前みつが取れたので、自分の攻めができました」と満足顔の石浦。
場所前に腰を痛めた影響で、序盤は苦しんだが、癒えると白星を重ねた。
同じ部屋の白鵬から「15日間長いから、徐々に調子を上げるように」と助言されているそうで、その通りの上り調子となった。
13日、十両五枚目・炎鵬と十両筆頭・松鳳山の一番で、最後まで粘る炎鵬の攻めに館内が盛り上がる一幕があった。
視聴者からは「残念」「惜しい」といった声が寄せられた。
張り手を交えた厳しい攻めを見せる松鳳山に対して、素早く手を出して応戦していった炎鵬。
四つに組み合うことなく激しい攻防戦を繰り広げると、土俵際に追い込まれた後も粘りを見せ、ラグビーやレスリングのタックルでもするように、相手の下半身めがけて突っ込んだ。
客席からは大きな歓声が沸き起こったが、あと少し手が届かず最後ははたき込みで敗れ、今場所負け越しとなる8敗目を喫した。
2021/07/13
9日目、白鵬は馬力のある千代大龍を相手にしなかった。
体当たりをはたいていなし、体勢を崩したのを見逃さず。
右を差して一気の寄り切りで下した。
6場所連続休場明けで、進退を懸けて臨んだ場所ながら初日から無傷の9連勝。
取組後はオンライン取材に応じず、会場を後にした。
昨年春場所以来45度目の優勝を虎視眈々(たんたん)と狙う。
新たな戦闘服≠ナ悲願を達成する。
9日目、綱取りに挑む大関照ノ富士が幕内隠岐の海を力強く寄り切って無傷の9連勝。
横綱白鵬とともに全勝を守った。
取組後は「必死にやっているだけ。重圧? やることは一緒なので、特に何もない」と表情を引き締めた。
いかにも隆の勝らしい、柔和な笑みが戻ってきた。
連敗スタートから気持ちを立て直して5連勝とし、今場所初めて白星が先行。
「いい感じで、どんどん調子が上がってきている」。その声は明るい。
先場所まで4連敗していた大栄翔に真っすぐ当たった。
「お互いに変化をしないと分かっている。思い切りいった」。
あてがうようにして使って相手を崩した右をすかさず差せば得意の形に。休むことなく一気に押し出した。
先場所は7場所ぶりに負け越し、4場所続けて務めた関脇から平幕へと転落した。
精神的なもろさだけでなく、下半身に粘りが足りないと痛感し、足腰の鍛錬に励んできた。
自身と入れ替わるようにして、年の近い若隆景と明生が新小結に昇進。
「負けてはいられない」と、強い対抗心も芽生えた。
豊昇龍が若隆景を豪快に転がした。
右四つに組み、先に上手を与えたものの、思い切りよく、振り回すような下手投げ。
新小結を破っても、「あまり何も考えていない」と淡々と振り返った。
兄弟子の明生が、今場所新小結。
「自分も早く上がりたいと体がすごく燃えていた」。
そう闘志を抱く。西前頭5枚目で6勝目を挙げ、「一日一番と思って、大事にしていきたい」と先を見据えた。
有望株の琴ノ若が好調を維持している。
千代の国を突き、押しで上回り、一方的に突き出し7勝目。
「自分の中でめりはりをつけ、切り替えることができた。体も動いている」と満足感を示した。
新入幕・一山本が元気だ。
3連勝で2敗を守り、目標の勝ち越しに王手をかけた。
立ち合い、千代丸のもろ手突きに臆さず前に出た。
直後の引きにも動じず右四つに組む。
「攻め手がなかった」と、体重185キロの相手の体勢を崩せない。
それでも上手は与えず、我慢強く1分以上かけて寄り切った。
2021/07/12
8日目、進退をかける横綱白鵬が幕内琴恵光を一方的に寄り切り、自身51回目の中日勝ち越しを決めた。
取組後は「6月初めからしてみれば想像できなかったが、場所に入ってからは行きそうだなと。まあ一つクリアしたことになるのかな」と安堵感を漂わせた。
8日目、綱とりを狙う大関照ノ富士が“くせ者”の幕内翔猿をはたき込み、中日勝ち越しを決めた。
相手は前日7日目に、トリッキーな動きで横綱白鵬を翻弄した小兵だったが、盤石の相撲で完勝。
取組後は「落ち着いて正面に置いて相撲を取ろうと思っていた。動きのいい相手なんでしっかり見ていこうと思っていた」と振り返った。
これで2場所連続のストレート給金。
だが「これからです。残り1週間頑張ります」と相変わらず淡々と答え、通過点としか捉えていない。
8日目、元大関の関脇高安が、関脇御嶽海を破り4勝目を挙げた。
途中、こう着状態になるなど我慢の相撲を強いられたが、最後は寄り切った。
過去18勝(6敗)で直近も5連勝中と合口のいい相手からきっちり白星を拾い「まわしが取れたのでじっくり見てできた」としてやったりの表情を見せた。
8日目、隆の勝が低い当たりで千代大龍を引かせ、右に逃げる相手に足を運んでついていった。
腰を落としたまま前に行き、右を差して寄り切り。
初日から4連敗も5日目から4連勝で星を五分に戻した。
「やっと星が戻った。明日から初日の気持ちでという感じ」。
転機は4日目の白鵬戦。
「善戦できて自信がついて緊張もほぐれた。ここからです」と話した。
8日目、逸ノ城は圧力をかけて足を滑らせる形になった若隆景をはたき込み、三役以上との対戦を5勝3敗の好成績で終えた。
「落ち着いていけて、タイミングがよかったのもあると思います。相手の動きにも対応できたと思う」。
全勝の横綱、大関には完敗もさすがの実力を発揮。
後半戦も星を伸ばして19年夏場所以来の三役復帰を狙う。
8日目、東前頭10枚目の玉鷲が千代の国を押し出しで下し、2敗同士のサバイバル戦を制した。
予想通りに激しい相撲となったが、玉鷲が覚えているのは「最後だけ」。
「最後は突きで押して、しっかり決められました。自分の相撲を取り切れて良かった」と目を細めた。
「楽しんで相撲を取っていきます」と若々しかった。
新入幕で、東前頭17枚目の一山本が魁聖を破り6勝目を挙げた。
立ち合いから押し込まれたが、うまく回り込んで左上手を取ると、「ここが勝負」と一気に寄り切った。
2敗をキープ。その活躍ぶりはキラリと光る。
「幕内はみんな強いので、勝つことで少しずつ自信になってくる。少し疲れはあるけど、しっかり寝れているので、回復できています」と笑みを浮かべた。
2021/07/11
7日目、進退を懸ける横綱白鵬が、初顔となった翔猿のトリッキーな“モンキー相撲”を冷静にさばいて無傷7連勝に伸ばした。
長いお見合い、フェイント…、コントのような爆笑“猿回しショー”に場内は盛り上がったが、横綱は怒りの表情。
最後は上手投げでたたき付けた。
7日目、綱とりに挑戦する大関照ノ富士が、初日からの連勝を「7」に伸ばして勝ち越しに王手をかけた。
東前頭4枚目琴恵光に対して得意の右四つ、左上手を取って難なく寄り切った。
2場所連続3度目のストレート給金に王手。
3場所連続優勝と横綱昇進が懸かる場所で、最高の形で中日を迎えることになった。
関脇・御嶽海が大栄翔をはたき込み、5勝目を手にした。
大関獲りの足場固めには2桁10勝が必要。
折り返し地点の8日目を前にその半分に達した。
出身地の長野と近い名古屋では18年に初優勝を飾った験のいい場所。
全勝の横綱・白鵬、大関・照ノ富士を懸命に追う。
幕内最年少の22歳、豊昇龍が動きの良さを見せている。
34歳のベテラン宝富士を得意の足技で破り、2敗を守った。
立ち合いから右上手を引き、頭を付けた。
外掛けで相手の体勢を崩すと、動きながら再び外掛けで関脇経験もある実力者を倒した。
7日目、琴ノ若が上手ひねりで英乃海で下した。
横綱の血を受け継ぐ23歳の琴ノ若が、全勝の白鵬と照ノ富士に食らいついている。
英乃海を下し、ただ1人となった1敗を死守。
充実の7日間を終え、「形が悪くなっても冷静に動いて対応できている。これからも続けていければいい」と穏やかに振り返った。
7日目、31歳の誕生日に旭大星を寄り切り2敗を守った千代の国。
実は前日の9日に次女が誕生していたことを明かし「昨日、おかげさまで生まれました。お昼ごろです。(場所後に会うのを)楽しみにしてます」と頬を緩めた。
無事に出産したことを聞いてから臨んだ6日目は負けてしまい「昨日勝ちたかったんですけどね」と悔しさはあるものの「相撲は変わらず一日一番で頑張っていきます」と2児の父としての責任を力に変えていく。
日本相撲協会の新型コロナウイルス感染予防のガイドライン(指針)に違反し、今場所から6場所出場停止の処分を受けた朝乃山が大関から陥落することが10日、決まった。
カド番で迎えた今場所、8日目の取組が組まれず負け越しが確定。
秋場所で関脇に転落する。
朝乃山は、不要不急の外出が禁止されていた夏場所前にキャバクラに通うなどし、場所中に問題発覚。
同場所を途中休場し、負け越していた。
師匠の高砂親方によれば、今場所中も部屋で稽古をしているという。
同親方は「またしっかり稽古をさせていただく」と再起への思いを代弁した。
2021/07/10
白鵬は北勝富士を危なげなく退けて6連勝とした。
前のめりの相手を左に回り込みながらはたき、腹ばいにした。
「(立ち合いで)圧力がある分、引きも決まった」と自賛した。
休場明けで進退を懸けた場所で安定感を示し「体が動いているね」と納得の表情。
7日目は翔猿と初対戦する。
宮城野部屋で炎鵬、石浦と小兵力士に胸を出しているだけに「うちにも小さい2人がいる。その分、頑張りたい」と意気込んだ。
9日、大関・照ノ富士が平幕・逸ノ城を破った。
かつてのライバルを全く問題にしなかった。
綱取りの照ノ富士が、今場所一番の内容で連勝を6に伸ばした。
正代が4日ぶりの白星。
琴恵光を難なく組み止め、落ち着いて寄り切った。
持ち味の馬力が影を潜めて序盤に3連敗し、「気持ち的にも悪い方向にいっていた」という状況から、ようやく立ち直った。
今場所の話題の中心にいる白鵬と照ノ富士が無傷で並走している中で、大関としてこれ以上取りこぼすわけにはいかない。
気を取り直し、「ここから星を伸ばしていけたら」と話した。
3日目から出場している関脇・高安が大栄翔を突き落として3勝1敗2休。
場所後の大関復帰は厳しい状況だが、再挑戦へ弾みをつける勝利となった。
望みをつなげるための、いい仕切り直しになったのかもしれない。
大関返り咲きが5日目に絶望的となった高安だが、ショックを引きずることなく大栄翔を冷静に仕留めて連敗を回避。
「今日の一番に集中できた」と短くうなずいた。
琴ノ若がただ一人、1敗を守った。
徳勝龍に攻め込まれるも土俵際で右から突き落とし、「流れの中、体が動いてくれたと思っている」と淡々と振り返った。
後退しても前傾姿勢を保つなど、普段の稽古場からやっていることを無意識に出せているという。
祖父は元横綱琴桜、父も元関脇琴ノ若という相撲一家で育った23歳は「勝ち星一つ取れたのは大きい。直すところを直してあしたから臨みたい」。
7日目以降へ気を引き締め直していた。
7日目の10日、西序ノ口24枚目・勝南桜が3敗目を喫し、100連敗を記録した。
幕下以下の連敗は公式に集計されていないが、過去に89連敗したことがある勝南桜は2019年初場所の5番相撲で挙げた通算3勝目を最後に2年半、白星がなく、自己ワースト記録を更新している。
7日目、現役最年長の東序二段100枚目華吹が「35歳差対決」に敗れて2敗目を喫した。
4番相撲での西序二段97枚目千代天照との一番。
立ち合いから相手の低い当たりに上体を起こされ、立て直すことができないまま送り出された。
連勝は2でストップ。
2勝2敗となり、残り3番で勝ち越しを目指す。
夏場所後の5月28日に51歳の誕生日を迎えた。
先場所は3勝4敗で惜しくも負け越しを喫した。
今場所は歴代最多を更新する211場所目。
初場所以来3場所ぶりの勝ち越しを目指す場所となる。
2021/07/09
5日目、巨漢の逸ノ城に上手を取られてしまう。
横綱白鵬にとっても想定外だっただろう。
ただそこから、華麗なるテクニックで大向こうをうならせた。
「安易に立ってしまって不利な体勢になりましたけど、なんとかうまさでカバーした」
右からの投げで、まずもろ差しに。
次に腰と肘を使って逸ノ城の左上手をあっさりと切る。一瞬にして形勢を逆転すると、200キロを軽々と寄り切った。
注目される場所の序盤を無傷で乗り切った。
綱とりに挑む照ノ富士が初日から5連勝。
北勝富士の攻めを冷静にさばき、「思った通りだったのかな、と思う」。
淡々と振り返る姿に揺るぎない自信がのぞいた。
立ち合いでずれて立った北勝富士に動き回られたが、左で抱え、右ものぞかせ組み止めた。
怪力で差し手を返しながら前へ。
逃れようとする相手を小手投げで難なく転がした。
新小結の明生が今場所初めて相撲を取って白星を挙げた。
高安におっつけながら組ませず、左からいなし、押し込んでから肩透かしで仕留めた。
元大関を退け、「(動きが)良かった」と自賛した。
3日目に組まれた貴景勝戦は、相手の休場により不戦勝だった。
これで2勝目。
「ここから頑張ろうという気持ち」と中盤戦での巻き返しを誓った。
5日目、平幕・大栄翔は、新小結・若隆景を突き出しで下し、初日が出た。
一度は背後を取られかけるも、強烈ないなしで立て直して反撃。
攻め手を緩めずに土俵外に吹っ飛ばした。
今場所初白星を挙げ、「まだまだ実力不足なんですけど、この一番をきっかけにしてここから盛り返していきたいと思います」と巻き返しを誓った。
翔猿はよく動いて正代を翻弄(ほんろう)した。
突きを交えて四つに組ませず、最後は低い姿勢から一気に押し出し。
3度目の挑戦で正代から初白星を挙げ、「ずっと悔しい思いをしていたので、勝ててよかった」と充実感に浸った。
先場所は西前頭2枚目で5勝10敗と苦しんだが、番付運に恵まれ西3枚目にとどまった。
初の横綱戦が組まれる地位におり、「楽しみ。上位でもっともっと活躍できるように頑張る」と威勢がよかった。
5日目、最高位小結で、東十両14枚目の阿炎が、無傷の5連勝を飾った。
「勝ち星は意識せず、自分の相撲に集中するだけですね」。
昨年7月場所中のコンプライアンス違反で3場所連続休場の処分を受けた。
ちょうど1年で関取に復帰。
「最初からスタートする気持ちでやっています。一番一番に集中して相撲に向き合うことが大事と思っています」。
気持ちを新たに、白星も積み重ねている。
6日目、序ノ口の勝南桜が大典翔に寄り切られ、平成31年初場所の6番相撲から続く連敗が99になった。
今場所が序ノ口デビューで2連敗中だった15歳を相手に、立ち合いふわっと立つとふところに入り込まれて一気に寄られた。
勝南桜は今場所の2番相撲でも白星をあげられず、大相撲史上ワースト連敗記録を更新。
大台「100」にあと1つと迫ってしまった。
2021/07/08
遠藤が名古屋場所5日目の8日、日本相撲協会に「左大腿二頭筋損傷で約3週間の安静加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
4日目までは1勝3敗だった。
5日目の対戦相手、関脇御嶽海は不戦勝。
休場は3月の春場所以来8度目。
今場所の十両以上の休場者は、首を負傷した大関貴景勝、新型コロナウイルス対策のガイドライン違反で出場停止処分を受けた大関朝乃山ら6人となった(途中出場者を含む)。
2021/07/08
4日目、進退を懸けて土俵に上がっている横綱白鵬が、鮮やかな反転攻勢で初日から4連勝とした。
平幕の隆の勝に背中を取られる場面があったものの、軽やかな身のこなしからの突き落としで逆転。
6場所連続休場による相撲勘への不安を払拭(ふっしょく)する相撲内容だった。
苦戦の末に白星を手にした照ノ富士は土俵上で首をひねった。
大栄翔に押し込まれ、中に入られる場面も。何とかしのぎ、最後は寄り切った。
3日目まで見せていた冷静さは感じられなかったものの、「相手もいるので、思い通りにいかないこともある」と言い、既に気持ちは切り替えているよう。
綱とり場所もまだ序盤。
「勉強しながらやっていきたい」とゆったり構えていた。
3日目から出場した高安が好内容で2連勝。
遠藤に差させず、距離を取りながらうまく横から崩し、「落ち着いて、しっかり厳しい相撲を取れた」と納得顔だった。
腰の痛みで数日、稽古をできなかったそうだが、「2日、3日で一生懸命に体をつくった。今は体調もいい」という。
三役で2場所続けて2桁白星を挙げている元大関の復調ぶりが頼もしい。
4日目の7日、御嶽海は西前頭3枚目・翔猿に押し出しで勝ち、連勝を3にのばした。
5日目の8日は遠藤と対戦する。
御嶽海は安定した相撲で快勝した。
翔猿の攻めを受けるも動じず、捨て身の蹴返しにも冷静に押し出した。
遠藤はここまで1勝3敗。
過去6場所では、御嶽海が2勝1敗と勝ち越している。
4日目、新三役の小結若隆景が、大関撃破で星を2勝2敗の五分に戻した。
得意のおっつけがさえ、大関正代を押し出し。
正代には、これで3月の春場所から3連勝で通算3勝1敗と、すっかりキラーぶりを発揮している。
4日目、今場所で幕内在位71場所目、幕内最年長の36歳となった東前頭10枚目玉鷲が、幕内で初の初日から4連勝。
「それは言わないでください」と年齢の話題は笑って受け流したが、23歳の琴ノ若を送り出しで下し、元気いっぱいだ。
2019年の初場所で初賜杯を手にしたこともあるベテランは衰え知らず。
「心、元気にしていい相撲を見せたいと思います」と笑顔で取材に応じていた。
2021/07/07
横綱白鵬が危なげない相撲で白星を挙げた。
押し相撲が武器の大栄翔相手だったが、鋭い踏み込みから勢いを止め、すくい投げを決めた。
「昨日(2日目)からスピードがあるような気がしますね。速い相撲だったと思います」と納得の表情を浮かべた横綱。
前夜は宿舎で夕食時に「気を抜かずに頑張っていこう」と若い衆に声をかけたという。
幕下の北青鵬の活躍などから力をもらい3連勝とした。
大関照ノ富士が初めてかいなひねりで白星を挙げ、初日から3連勝とした。
隆の勝とお互い頭を付け合い膠着(こうちゃく)状態になったところで、相手の左手首を取ってひねり、土俵上に転がした。
稽古場でたまに繰り出すそうだが、「場所で出るとは思わなかった。体が反応してくれた感じです。ギリギリのところで技が出るのは良かったと思います」。
稽古のたまもののようだ。
3日目、この日から出場した高安は逸ノ城を寄り切り、初日を出した。
場所直前に腰を痛めて初日から休場していた高安。
出遅れを感じさせない力強さで2日遅れの白星発進だ。
「ばたばたせず、頭を上げないように」と、立ち合いから前傾姿勢を崩さず勝機をうかがった。
最後は左が入り、体重200キロの逸ノ城を寄り切った。
土俵下の高田川審判長も「どこが痛かったんだろうというような相撲でしたね」と評する内容だった。
遠藤が大関撃破で初日を出した。
鋭い踏み込みから右をのぞかせると、素早く体を開いて正代を引き落とした。
先場所は千秋楽まで優勝を争い11勝。
今場所は返り三役を目前としている。
金沢市出身で名古屋は地元からほど近い。
「応援に応えられるように頑張ります」と、故郷のファンの期待を背負って土俵に上がっている。
前頭十枚目・玉鷲が前頭九枚目・英乃海を小手投げで下し、初日から3連勝を飾った。
これで幕内通算500勝となり、視聴者からは「おめでとう」「まだまだ若いね!」と祝福のコメントが続出した。
2021/07/06
5日、横綱・白鵬は平幕・遠藤を降した。
横綱のリズムが整い始めてきた。
6場所連続休場明けの白鵬は、遠藤を危なげなく退けた。
立ち合いは珍しくもろ手突き。
懐に入れたらうるさい相手だけに、距離を取って突き押しで圧力をかけた。
一度は前まわしに手を掛けられたが、素早く体を開いて体勢を崩させ、最後は左上手から出し投げを決めた。
「判断よく動けている。今日もスピードがあった」と自賛の内容だった。
照ノ富士が慌てることなく新小結の若隆景を下した。
初日に続く白星で綱とりの場所を順調に滑りだし、「落ち着いて取れたので良かった」と表情を変えずに話した。
序盤は動きの激しい攻防だった。
左の前回しを取られ、右も差される不利な体勢。
それでも落ち着いていた。
両腕で抱え込みながら、サッと左で上手をつかむ。
動きが止まると、態勢を整えて攻勢に転じ、左腕に力を込めながら前へ。
土俵際に追い詰め、そのまま休まず寄り切った。
大関貴景勝が名古屋場所3日目の6日、日本相撲協会に「頸椎(けいつい)椎間板ヘルニアによる神経根症により1カ月間の休養加療を要する」との診断書を提出して休場した。
貴景勝は前日2日目の逸ノ城戦で、右四つに組み止められて力なく寄り切られると、土俵下で右肩付近を気にしながら、しばらく動けなくなる場面があった。
若者頭に車いすに乗せられ、左手で右腕を押さえながら花道を引き揚げた。
2日目の打ち出し後に電話取材に応じた師匠の常盤山親方は「思い切りいったら電気が走った。本当に痛がらない男なので心配」と説明していた。
打ち出し後は病院で診察し、自力で歩行できる状態だったという。
貴景勝の休場は今年1月の初場所以来。再出場して勝ち越さなければ、9月の秋場所はかど番となる。
3日目の対戦相手、新小結の明生は不戦勝となった。
正代が大栄翔を難なく下して2連勝発進。
過去5勝8敗だった相手を意識してしまい、立ち合いは3度目で成立したが、馬力自慢に当たり負けすることなく、押し込んでからの突き落とし。
「きのう、きょうと一歩目の出足が良く、踏み込めて体重がかけられている」と納得顔だった。
負け越した3月の春場所は初日に、かど番だった先場所は2日目に黒星を喫しただけに、「体もよく動いている。いいスタートじゃないか」と、表情は明るかった。
腰痛のため、初日から休場した関脇・高安が3日目の6日から出場することが5日、決まった。
平幕・逸ノ城との対戦が組まれた。
春、夏場所と三役で連続10勝し、一昨年九州場所で陥落して以来となる今場所後の大関復帰を目指したが、1日の稽古後に痛みが出て「急性腰痛症で約10日間の安静、休養が必要」と診断されていた。
大相撲名古屋場所2日目、小兵力士、炎鵬は貴源治との対戦で、取組続行不可能と判断されて無念の「不戦敗」となった。
十両以上の関取では初めてとなる、審判規則が適用された。
1月の初場所、幕下の取組で両力士の頭が衝突。
立ち合い不成立ながら一方の力士が脳振とう状態で立てなくなった問題を機に、日本相撲協会は同場所後に審判規則を一部変更。
「不戦敗」の項目を追加した。
2021/07/05
今場所に進退を懸けて土俵に上がった横綱白鵬が、辛くも白星発進した。
新小結の明生との一番は、左四つがっぶりになったがすぐには勝負を決められず。
土俵際に押し込まれる場面もある中、耐えて掛け投げで退けた。
6場所連続休場中で、3月には右膝を手術するなど不安要素を抱える。
それでも歴代最多44度の優勝を誇る横綱が、意地を見せる形で勝利をもぎ取った。
綱取りに挑む大関・照ノ富士は、先場所敗れた前頭筆頭・遠藤を寄り切りで下し、白星発進を決めた。
因縁の相手に会心の内容でリベンジを果たし、「落ち着いて取れてよかった」とうなずいた。
今場所は、昨年3月に無観客で開催された春場所以来、1年4か月ぶりの地方開催。
圧倒的な存在感を見せる大関は「久しぶりの地方ということで、自分がお客さんを盛り上げる立場になっていきたい」と力強く意気込んだ。
日本相撲協会審判部の伊勢ケ浜部長は、名古屋場所初日の4日、先場所12勝3敗で優勝同点だった大関貴景勝の綱とりについて「レベルが高い優勝。全勝優勝くらい」が求められるとの見解を示した。
横綱昇進の内規は「2場所連続優勝、もしくはそれに準ずる成績」。
内規通りなら先場所優勝の大関照ノ富士と同じく、貴景勝も今場所は綱とりに位置づけられるが、伊勢ケ浜部長は「ただ優勝すればいいというわけじゃない。レベルが高い優勝。全勝優勝くらい。そうすればそういう声も出るんじゃないの」と、終盤戦までの成績次第では機運が高まるとした。
前頭三枚目・翔猿が、前頭四枚目・琴恵光を蹴返しで下し、初日を白星で飾った。
素早い動きと巧みな技が持ち味の翔猿。
素早い出足で琴恵光に立ち合いからプレッシャーをかけると、相手の上体が浮き上がり、右足に体重がかかったところでタイミングばっちりの蹴返し。
強さ以上にバランスを崩すことに成功すると、琴恵光もたまらず両手を土俵につくしかなかった。
21場所ぶりに幕内に戻った宇良が、館内を沸かせた。
大奄美の喉輪にのけ反りながらも、うまく回り込んで突き落とし、土俵にはわせた。
右膝の大けがなどで番付を序二段まで落としただけに、故障につながるような相撲を取らないように気を付けているという。
白星スタートに「勝負になると、体が勝手に粘る方向にいく」と反省したが、久々に感じた幕内の熱気は格別だったよう。
「ここでまた、この位置で取れる喜びはある」とかみしめるように言った。
新入幕の一山本が、西前頭16枚目石浦をはりま投げで破って白星発進した。
立ち合いはもろ手つきで出たが、低く潜られて空を切った。
中に入られて不利な状況となったが、低い体勢となった石浦の頭越しに左上手を取り、土俵際に押し込まれながらも、右足一本で残って後方に投げた。
幕内の土俵ではりま投げが決まったのは18年春場所5日目の栃煌山以来で、令和になってからは初となった。
一山本にとっても人生初だったようで「人生最初で最後だと思う」と苦笑いしながらも、「とりあえず勝てたのはよかった。緊張したけど勝ててよかった」と安堵の表情を浮かべた。
午後1時の開場前から、入場を待つ長い列ができた。
2年ぶりに活気が戻った7月のドルフィンズアリーナ。
日本相撲協会の八角理事長は、初日恒例の協会あいさつで「名古屋で本場所を開催できることは協会員一同、喜びに堪えません」と言葉に実感を込めた。
芝田山広報部長は「感染を抑え、次の九州場所につなげていくのが大事なこと」と気を引き締める。
白星発進した正代は「違った感覚で相撲を取れた」と喜び、三重県出身の志摩ノ海は「久々なので気合が入っている」。
ファンだけでなく、力士も格別な思いを抱いている。
東十両14枚目・阿炎が、西十両14枚目・矢後を引き落としで下して初日白星。
1年ぶりに関取として立った土俵で、好スタートを切った。
立ち合い鋭く当たって前に出ると、土俵際で冷静に引き落とし。
取組後は「白星発進なのでうれしいです」と語った。
2021/07/04
大相撲名古屋場所初日を翌日に控えた3日、日本相撲協会の尾車事業部長が報道陣の電話取材に応じ、進退をかける横綱白鵬について言及。
「初日が大事」とポイントを挙げた。
大横綱にとっては、勝負となる名古屋場所。
これまで同様の強さを見せつけるか、それとも…。
尾車事業部長は「強い白鵬というか、一番番付の上に君臨する人ですから。できれば勝ち進んでいってもらって、綱の責任を果たしてもらえれば」と期待を口にした。
“史上最弱力士”西序ノ口24枚目の勝南桜が白猿に押し出され、初日黒星スタートとなった。
自身の持つ史上ワースト連敗記録は「98」に伸びた。
67キロの小兵相手に立ち合いから一方的に押し込まれ、なすすべなく土俵を割った。
1年4か月ぶりの地方開催となる大相撲名古屋場所は4日に、ドルフィンズアリーナで初日を迎える。
3日は場所前恒例の土俵祭りが行われた
。八角理事長(元横綱・北勝海)は、大雨による新幹線の運転見合わせで急きょ欠席したが、出羽海名古屋場所担当部長(元幕内・小城ノ花)らが15日間の安全を祈願した。
新型コロナウイルス感染対策で一日の観客数上限は、収容人数の50%に当たる3800人で実施する。
今場所は横綱・白鵬が進退を懸けて出場する。
電話取材に応じた尾車事業部長は「(白鵬は)一番番付の上に君臨する。勝ち進んで、綱の責任を果たしてもらえたら」と期待を寄せた。
新型コロナウイルス感染拡大で本場所の中止や観客制限など大きな影響を受けている角界だが、意外なところにもその影響が及んでいる。
引退後も断髪式ができず、ちょんまげ姿の親方が目立っているのだ。
世代交代の時期とも重なり現役を引退する力士が続く中、コロナ下で今後の状況も見通せず困惑する親方衆は多い。
2021/07/03
5月場所にて発表させて頂きました、優秀番付につきまして、
一部の印刷物、ホームページ掲載のPDFにおきまして、
横綱の点数が「一一八一三点」と記載されておりました。
正しくは「一八一三点」です。
大変ご迷惑をおかけ致しまして誠に申し訳ございませんでした。
今後十分注意致しますので、宜しくお願い申し上げます。
優秀番付表はこちら
http://www.jtng.com/sumo_touoh/m_quizu/images/y_ban202105.pdf
2021/07/03
歴代最多44度の優勝を誇る横綱白鵬が進退を懸け、名古屋場所に臨む。
昨年3月の春場所で賜杯を抱いた後、6場所連続で休場。
2007年に新横綱として土俵に立った思い出の名古屋場所がくしくも正念場となる。
3月の春場所は途中休場し、右膝の内視鏡手術を受けた。
5月の夏場所は全休。
関係者によると、今場所前は、本場所を中継するNHKも含めてほとんどの取材を断った。
師匠の宮城野親方は、「気持ちが、開き直っている感じが見える」と言った。稽古を積んで体の張りも戻りつつあり、表情も明るいようだ。
綱獲りの大関・照ノ富士は初日に平幕の遠藤と対戦する。
緊張の綱獲り初日。
照ノ富士は難敵を迎えることになった。
過去の対戦は4勝5敗。
夏場所14日目の対戦では、土俵際の際どい勝負となり軍配差し違えで敗れた。
1年4カ月ぶりの地方開催。
取材に応じた師匠の伊勢ケ浜審判部長は部屋にケガを抱えている関取衆が多く、相撲を取る稽古が十分ではないと説明した上で「やれることをしっかりやり、結果はその後に付いてくる」と期待した。
3月の春場所、5月の夏場所を制しており、直近6場所で3回優勝と安定感は抜群。
師匠は審判部長として「優勝も2回続けているし、それに準ずる成績であれば十分可能性はある」と昇進の条件の見解を示した。
名古屋市上下水道局は2日、日本相撲協会においしい水道水「名水」を寄贈したと発表した。
名古屋場所の初日(4日)と中日(11日)に熱中症対策とPRで来場者に配られる。
名水は木曽川が水源で、木曽川流域の長野県木曽郡上松町出身の御嶽海は「うまい!!地元の水を力に変えて頑張ります」とコメントした。
関西学院大学は、2度の大けがを乗り越え、7月4日に開幕する大相撲名古屋場所で幕内復帰を果たした宇良関に、学長賞を贈ることを決定しました。
場所前のため、授与式は行わず、学長賞の授与が決まったことを宇良関に報告、宇良関からコメントをいただきました。
賞状代わりのクリスタルの楯と奨励金は場所後に贈ります。
■宇良関のコメント
「学長賞を授与いただき、たいへん光栄に存じます。この度、おかげさまをもちまして幕内に復帰することができ、場所に向けての更なる励みとなりました。いただいたご声援を力に変え、私からも相撲を通じてたくさんの方に元気や勇気を与えられるよう、一日一番を全力で取り組みたいと思います」
■村田治・関西学院大学学長のコメント
「2度の大けがで序二段まで番付を下げたにもかかわらず、不屈の闘志で幕内まで復帰されました。努力と鍛錬の賜物だと思います。コロナ禍のなか、母校関西学院大学の後輩たち、学生や教職員に大きな勇気を与えてくれました。その努力と頑張りに関西学院大学として、学長賞を贈りたいと思います」
元音羽山親方で元前頭光法の峯山賢一さんが、2日までに死去していたことが関係者への取材で分かった。
大相撲名古屋場所で進退を懸けて臨む横綱白鵬の兄弟子で、47歳だった。
関係者によると、峯山さんは新型コロナに感染し名古屋市内の病院に入院していた。
2021/07/02
大相撲名古屋場所を休場することが決まった関脇高安について、師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)が2日、報道陣の電話取材に応じ「急性腰痛症。ぎっくり腰みたいなもの」と、休場理由を説明した。
高安は2場所連続で10勝しており、今場所の成績次第では19年九州場所以来となる大関復帰の可能性があった。
高安が腰を痛めたのは前日1日の稽古後。
「歩くのに支障があった。本人も出たい気持ちがあったみたいだけど、昨日(1日)の夜遅くに(休場を)決めた」と師匠。
病院では加療10日間と診断されたという。
高安自身は腰の状態が回復すれば、出場する意向を示しているという。
現在は都内で治療中で、3日までに名古屋入りする予定。
田子ノ浦親方は「どの場所も大事だが、今場所はいろんな意味で大事だった。具合によってはいつ出るか、考えながらやっていきたい」と話した。
2021/07/02
大相撲の6場所連続休場中の横綱白鵬が進退を懸けるとしている名古屋場所に出場することが決まった。
取組編成会議前日の1日、報道陣の電話取材に応じた師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)が明言した。
6月27日に宿舎のある愛知・豊田市に移動した。
同28日から稽古を再開し、平幕の石浦や十両炎鵬ら関取衆と相撲を取る稽古を行ってきたという。
「普通通りに稽古している。徐々に上がっている」と白鵬の現状を説明。
3月の春場所を途中休場し、右膝の手術を行った当時と比べると「前の体に戻ってきた感じはある。最初の1カ月間ぐらいはお尻がしょんぼりしていた。今は肉が張っている」と仕上がっているようだ。
大相撲名古屋場所で大関返り咲きに挑む関脇高安が1日、東京都江戸川区の田子ノ浦部屋での稽古後に報道陣の電話取材に応じた。
8月1日付で独立する荒磯親方(元横綱稀勢の里)の胸を借りる最後の機会だったとし「気を引き締めていい稽古ができた。感謝の気持ちでいっぱい」と実感を込めた。
同じ茨城県出身で背中を追ってきた兄弟子と20番。
「(通算)1万番以上やっていると思う。15歳で入門してから稽古をつけていただいているので、その時のことを考えながら身を入れて精いっぱいやることができた」と感慨に浸った。
2日に名古屋入りする予定という。
新三役の小結若隆景が1日、名古屋市内の部屋で十両若元春、新十両荒篤山と申し合い稽古を行った。
稽古後、電話取材に応じ、「体調自体は悪くない」と語った。
直前まで東京で調整し、前日6月30日に新しい名古屋の宿舎に入った。
コロナ禍による異例の地方場所調整ながら「しっかり稽古して、しっかり体調管理して場所に向けて準備したいと思います」と気を引き締めた。
初日へ向け力士たちが続々と名古屋へ移動している中で1日、武蔵川部屋は感染対策としてチャーターした大型バスで力士ら15人で出発した。
今回は「相撲列車」として風物詩になっている新幹線での団体移動はなく、白鵬は先月27日に名古屋に入り、高安は2日に移動を予定など各部屋ごとに移動。
新幹線利用以外にも、自家用車に分乗するなど各部屋が感染対策を実施している。
大須商店街に部屋がある武蔵川親方(元横綱武蔵丸)は「新幹線の方が楽だけど、コロナに感染したら全員アウト。無事に病気、けがなく終えられたら。部屋と稽古場の往復だけで相撲に集中させる」と徹底。
「久しぶりに外へ出るから、緊張してるよ」と話した。
2021/07/01
チャンスを目の前に悠然と構えている。
6月21日の新番付発表の記者会見。
綱とりが懸かる名古屋場所への気負いを問われた照ノ富士が、ふっと表情を緩めた。
「(自分は)いつも緊張してますか?」と聞き返した後、「あまりしていないと思う」。
にやりと笑う姿から自信が垣間見えた。
相撲を取る稽古は、古傷を抱える両膝の具合を見ながら慎重に。
その分、土俵周りでの筋力トレーニングなどでみっちり汗を流し、「人より3倍ぐらい、という気持ちでやっている」と言い切る。
今できることを精いっぱいにこなす日々だ。
「稽古でやってきたことしか出ないから、準備が一番大切」。勝負の場所へ、無心で力を出し尽くすことを肝に銘じている。
大相撲名古屋場所を新小結で迎える明生が30日、名古屋市内の宿舎で稽古を行い、代表の電話取材に応じた。
鹿児島県奄美大島出身。
「毎日食べてます」という地元から送られてきたパッションフルーツで暑い名古屋を乗り切る。
1年4カ月ぶりの地方場所となる名古屋へ足を踏み入れたのは27日。
名古屋は2年ぶり。
すでに稽古を再開している明生は、「本当に久しぶりの名古屋の宿舎での稽古はすごい新鮮な感じ」と新たな気持ちで豊昇龍、天空海と申し合いを重ねている。
暑さを乗り切る源は7月にも世界自然遺産に登録される地元、奄美大島特産のパッションフルーツ。
意外にも「唯一食べられる果物」だ。
「(ほかの果物は)全部駄目っすね。ただパッションフルーツだけはすごいおいしいって感じで食べてます。真っ二つにして、中に種が入ってるんで、果実と種ごと食べるみたいな。暑い時期に届きますね。この時期にいっぱい送られてきます」とベータカロテン豊富な果物が貴重なビタミン源となっている。
今場所は早々に横綱戦が組まれる。
過去、白鵬と鶴竜との対戦があるが未勝利。
横綱戦初勝利へ向けて「集中して相撲を取りたいと思います。久しぶりの名古屋場所なので、名古屋のみなさんの前で頑張りたいなという気持ちです」と新三役場所へ意気込んだ。
大相撲名古屋場所の会場であるドルフィンズアリーナ内が30日、報道陣に公開された。
2年ぶりの開催となる名古屋場所は、コロナ禍のもと開催される初の地方場所。
そのため新型コロナウイルス感染防止対策に万全の対策が施されている。
マスク着用、消毒はもちろん、網戸を設置して窓は全て開放、さらには升席下に大型扇風機を16台設置するなどした。
会場外には民間の救急車も2台配備された。
名古屋場所担当部長の出羽海親方(元幕内小城ノ花)は「換気と、密にならないようにやっている。初めてのことだから慎重に準備を進めていきたい。感染防止対策をしっかりやっていくので、お客さまには安心して見にきていただきたい」と話した。
また、同日、会場の名古屋・中区のドルフィンズアリーナで、感染対策が発表されました。
入場者数は、会場の収容人数の50%にあたるおよそ3800人に抑え、4人用のマス席を2人で使用したり、イス席は座席の前後左右を空けて、密にならないようにします。
また体調不良者が出たときのために、民間の救急車両を配置し、医療機関へ搬送する体制を取ったり、巨大な扇風機16台を設置して、会場内の換気にも力を入れます。
「感染防止対策をしっかりやっているので、(観客には)安心・安全に相撲を楽しんで欲しい」(出羽海親方)
2021/06/30
大相撲の横綱・白鵬の主治医で、整形外科医の杉本和隆氏がこのほど、スポーツ報知のオンライン取材に応じた。
進退を懸けるとしている名古屋場所へ向けた調整は「想定よりは優秀」と評価。
3月の右膝手術も執刀した同氏は、出場に関して「変なこと(アクシデントなど)をやらない限りは間に合うと思う」との見通しを示した。
若隆景(荒汐部屋)が新三役の小結に昇進して名古屋場所に挑む。
1メートル82センチ、130キロと幕内力士の中では小柄ともいえる体格ですが、強い足腰と「おっつけ」(手から肘を使って相手の腕やわきの下を絞り上げるように押しつける技)を武器に、3月の春場所に10勝、5月の夏場所に9勝を挙げてともに技能賞を獲得。
祖父の若葉山(昭和20年代から30年代に活躍した)の最高位・小結に並んだ。
7月4日の初日に向け、大相撲名古屋場所(愛知・ドルフィンズアリーナ)の開催準備が着々と進んでいる。
新型コロナウイルスの感染拡大により、大阪での昨年春場所を最後に1年4カ月も遠ざかっていた地方場所。
軽やかな寄せ太鼓の音が鳴り響くのを、多くのファンが心待ちにしている。
2021/06/29
名古屋場所の担当部長を務める出羽海親方が25日、名古屋城の「金シャチ」に触れ、2年ぶりの名古屋場所の成功を祈願。
25日、名古屋・栄で行われている「金シャチ特別展覧」の会場を訪れ、もともと城を火災から守る厄除けの意味がこめられていたと伝わる金のしゃちほこに、新型コロナの退散と名古屋場所の成功を祈願した。
出羽海親方は「金シャチが疫病退散ということで、名古屋場所がコロナに負けないように無事に開催でき、また無事に千秋楽を迎えられればなと思いまして、やってまいりました」と述べた。
1位 貴景勝 3320票
2位 照ノ富士 2329票
3位 朝乃山 2233票
4位 遠 藤 2221票
5位 若隆景 1923票
6位 大栄翔 1906票
7位 隆の勝 1887票
8位 明瀬山 1621票
9位 翔 猿 1539票
10位 正 代 1462票
第10回大相撲総選挙の結果はこちら!
https://www.nikkansports.com/battle/sumo/election/
閉鎖された旧東関部屋に埼玉・所沢を拠点としていた二子山部屋が移転し、5月1日に始動した。
葛飾区は2016年、地域活性化などを目的として相撲部屋の誘致を発表し、2018年、同地に東関部屋が開設。
2019年12月に先代東関親方(元前頭・潮丸)が死去し、元小結・高見盛が部屋を継いだが、4月1日付けで閉鎖された。
二子山親方は「葛飾区には九重部屋もある。関取もたくさんいる大きい部屋で、それに比べると二子山部屋はまだ若い部屋。強くて人間的にもしっかりとした力士をどんどん増やして、九重部屋と一緒に葛飾区を盛り上げていきたい」と意気込む。
2021/06/28
大関正代は22日、相撲記者クラブの電話取材に応じ、名古屋場所に向けて「かど番を脱出したことで、伸び伸びと相撲が取れたらいい。優勝争いにも加わりたい」と意気込みを示した。
23日、新型コロナウイルスのワクチン接種のため東京・墨田区の両国国技館を訪れた。
厳罰を受けてから公の場に姿を見せるのは初めてで、報道陣の質問に対して「大変申し訳ありません。今は何もお話しすることができません。すいません」とだけ話して去っていった。
人気の業師、宇良が2017年九州場所以来、21場所ぶりに幕内の土俵に戻ってくる。
報道陣の電話取材に応じ「一方的にやられるのではなく、ちゃんと相撲を取って、勝ち越しを目指して勝負したい」と意気込みを語った。
22日は29歳の誕生日だった。
誕生日プレゼントに欲しい物を聞かれ「締め込みを新調したい。色はあの色(本場所で締めているピンク色)でいいです。新十両から(この色で)結構頑張っているので」と答えた。
21日に引退と年寄「春日山」襲名を発表した大相撲の元関脇・勢(34)=本名・東口翔太、伊勢ノ海部屋=が25日、リモートで会見し「やれるだけのことはやって納得している。気持ちもすっきりしています」と心境を述べた。
また、女子ゴルフの比嘉真美子(27)が23日、大相撲の夏場所後に現役を引退した元関脇勢の春日山親方(34)との婚約を昨年末に解消していたことを明らかにした。
綱とりに挑む大関の照ノ富士にうれしい援護だ。
自動車販売業のグッドズピード社(本社・名古屋市東区、加藤久統社長)が25日、新しい化粧まわしを制作し贈呈すると発表した。
化粧まわしは『気』という文字をモチーフにデザイン。
照ノ富士が最高位の横綱、同社がスポーツタイプ多目的車(SUV)販売台数日本1位を目指すという経営ビジョンを掲げているということで日本一高い富士山と、縁起物の鶴も描かれている。
7月10日前後に完成予定で、名古屋場所の後半に着用予定という。
自衛隊を経て再入門した異色の経歴を持つ大相撲の元関脇・玉ノ富士で、先代片男波親方の大野茂(おおの・しげる)さんが21日に大分県内の病院で肝臓がんのために死去した。
24日、日本相撲協会が発表した。
71歳だった。
葬儀・告別式は家族葬にて執り行われた。
2021/05/25
貴景勝は最後まで見せ場をつくったものの、賜杯を手にすることはできなかった。
本割では、立ち合いで強く当たって照ノ富士の体を起こすと、突き落としで巨体を転がした。今場所ずっと独走を許していた相手を千秋楽でようやく捉えたが、決定戦では先手を取れないまま苦杯。万雷の拍手の中で突っ伏し、立ち上がって天を仰いだ。
自力で逆転優勝の可能性を引き寄せたが、あと一歩届かず。顔をしかめながら花道を引き揚げた。悔しさはいかばかりか、取材には対応せずに国技館を後にした。
ただ、横綱は不在、大関朝乃山が途中休場となる中、大関として最後まで重責を果たした。
大相撲夏場所千秋楽から一夜明けた24日、2場所連続、大関として初の優勝を果たした照ノ富士がリモートでの記者会見に臨み、「大関での優勝がないと、次の番付が見えてこないと思っていた」と喜びを語った。
今場所は安定した強さを発揮し、13日目まで1敗で単独トップ。
しかし14日目、千秋楽と連敗し、貴景勝に3敗で並ばれた。
優勝決定戦の一番を振り返り、「体に任せた。一生懸命、全力を出し切ることを考えた。自分を信じてやった」と無心を貫いた相撲だったことに胸を張った。
7月の名古屋場所は綱とりが懸かる。
両膝のけがや病気などで序二段まで陥落する苦労を味わっただけに気負うことはなく、「できなかったら、できなかったでいい。力を振り絞って最後までやりたい」。
淡々とした口調の中に最高位への思いをにじませた。
大相撲の横綱審議委員会の定例会合が24日、東京・両国国技館で開かれた。
横審の矢野弘典委員長は夏場所で大関初優勝を果たした照ノ富士について「どん底まで落ちて、よくここまで戻ってきたなということで、称賛の言葉があった。ファンの心をつかんだんじゃないか」とねぎらった。
また、照ノ富士が優勝後のインタビューで「一日一番のつもりで土俵に務めていましたので、それがこうやって優勝につながったかなと思います」などと話していたことを受けて「浮かれたところがまったくなくて好感が持てた」と評価。
綱取りとなる名古屋場所に向けては「横綱を目指す場所になる。他の大関も含めましてみんなで競い合ってほしい」と期待を寄せた。
幕内後半戦の審判長を務めた藤島審判長は、名古屋場所の成績次第で関脇高安が大関に再昇進することを示唆した。
高安は小結だった初場所で10勝を挙げ、今場所も10勝を挙げた。
大関昇進の目安は「三役で3場所33勝以上」で、同審判長は「13勝以上で優勝なら、そういう話しも出るんじゃないですか。今までの大関もそうやってきた。そういう地位ですから」と話した。
千秋楽、御嶽海は腰を落としながらもろ差しになり、巨漢の逸ノ城を押し出しで下した。
「当たって中に入って、自分の相撲ができた」と納得の一番。
昨年7月場所以来の2桁白星を挙げて、大関とりの足がかりを作った。
「いろんな人に先を越されて悔しさはある。上に行く意識で引き締めていきたい」と大関の地位を意識した。
来場所の新三役が確実となっている若隆景が、二場所連続二度目の技能賞に輝いた。
千秋楽は東前頭十二枚目、琴恵光に敗れて九勝六敗となり、二場所連続の二桁勝利は逃した。
それでも、二大関を破るなど好成績を支えたおっつけの技術が、三賞選考委員会で評価された。
春場所に続いて技能賞のトロフィーを手にした若隆景関は「自分でも力が付いたと思うし、自信につながる。来場所も自分の相撲を見せられるように頑張りたい」と語り、名古屋場所での活躍に意欲を示した。
約3年半ぶりの幕内復帰を確実にしている宇良が十両優勝で花を添えた。
立ち合いで潜って武将山の右脚を取り、そのままもろ差しになって寄り切り12勝3敗。
2017年九州場所以来の幕内返り咲きとなる来場所へ「力を出し切れるように頑張りたい」と控えめに意気込みを示した。
2019年以来2年ぶりに名古屋市で開催を予定する大相撲名古屋場所(7月4日初日、ドルフィンズアリーナ)に向けて、主催する日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)と中日新聞社の大島宇一郎社長が24日、東京・両国国技館で会談を行った。
昨年の7月場所は東京開催だった。
地方場所開催は大阪で行われた昨年春場所以来、観客を入れての開催は2019年九州場所以来となる。
代表取材に応じた八角理事長は「昨年は東京開催となり、名古屋の皆さまは残念だったかと思います。今年は感染対策を万全に行い、安心、安全な会場で、迫力ある大相撲をご覧いただければと思っております。まずは名古屋場所を再開し、成功させ、各地で相撲文化が廃れないようにしていきたい」と話した。
2021/05/21
夏場所直前、キャバクラ通いが報じられた大関朝乃山関に対し20日、「3場所連続出場停止」以上の厳罰が下る可能性が高まり、大関陥落は避けられない見通しとなってきた。
新型コロナウイルス対策のガイドライン違反に関し、当初は否定していたが一転させ報道内容を認めた。
協会幹部からは怒り、批判の声が相次いだ。
部屋で「謹慎」措置となり12日目から休場。
故郷富山の親しい関係者に電話で号泣して謝罪を繰り返したことも分かった。
激しい突き合いの最中、大関貴景勝の右膝がガクンと折れた。
黒星がちらつきかけたが、なんとか持ちこたえた。
勝利への執念を見せ、再び攻勢に出る。
最後は192センチ、200キロの巨漢逸ノ城を押し出した。
照ノ富士との差は1のまま。
まだ直接対決を残しており、自力での優勝の可能性を残している。
「一生懸命、一日集中して、明日からもやっていきます」。
照ノ富士との対戦の前に負けるわけにはいかない。
かど番の正代が苦しみながら7勝目を手にした。
隆の勝の厳しい攻めを受けて後退したが、左からのすくい投げで逆転し、「よく対応できた。最後まで諦めなかったのがよかった」と胸をなで下ろした。
8日目から3連敗するなど苦しんだが、ようやく勝ち越しに王手。
「早く心を落ち着かせたい。あと一つしっかり勝って、そのまま最後まで気を抜かないようにできたらいい」と気持ちを奮い立たせた。
前日に相手のまげをつかんでしまったことによる反則負けを喫した大関照ノ富士は、阿武咲と対戦し、寄り切って優勝争い単独トップとなる1敗を守った。
関脇高安は、対戦相手の大関朝乃山が休場したため、不戦勝により勝ち越しを決めた。
相手の休場を知ったのは、この日の稽古後だったという。
昨年11月場所の三役復帰から4場所連続の勝ち越しとなった。
先場所は小結で10勝。
今場所も10勝以上の白星を重ねて“再”大関とりの足固めとしたい。
「(残り3日間は)精神的にリラックスして、メリハリをつけて自分の相撲を取りきりたい」と意気込んだ。
1敗で優勝争い単独トップの大関 照ノ富士が平幕の逸ノ城と対戦します。
横綱不在の夏場所の優勝争いは1敗の大関 照ノ富士が単独トップで、2敗で大関 貴景勝、3敗で平幕の遠藤が追う展開です。
13日目の21日、照ノ富士は前頭6枚目の逸ノ城とモンゴル出身どうしの一番です。
照ノ富士が過去7勝2敗としていますが、この1年は対戦がありません。
照ノ富士としては、重さのある逸ノ城を相手に古傷のひざに負担がかからないような相撲を取りたいところです。
逸ノ城は、身長1メートル92センチ、体重200キロの体格をいかして大関から白星をもぎ取りたいところです。
結びの一番では大関 貴景勝が前頭8枚目、遠藤の挑戦を受けます。
過去の対戦では貴景勝が7勝3敗と勝ち越しています。
貴景勝は遠藤のうまさや粘り強さに足をすくわれることなく、照ノ富士との直接対決までは白星を重ねていきたいところです。
このほか角番脱出へあと1勝の大関 正代は平幕の宝富士と対戦します。
大関朝乃山について、日本相撲協会の八角理事長が組織の最高責任者として、謝罪の言葉を述べた。
結びの一番の、3番前から始まる報道陣の電話取材に対応。
報道陣の問い掛けの前に「(朝乃山の件について)こちらから」と発した後に「本当に申し訳ないと思っています。(取組が)1番、なくなるわけですしケガとか(が不戦勝負の理由)なら仕方ないけれど」とし「詳しくは広報部長に聞いてください」と続けた。
さらに報道陣からの「4大関の1人がいなくなるわけですし」という問い掛けに「お客さんに本当に申し訳ない。こういうこと(を起こしたこと)で自覚が足りないというか…。お客さんに対して本当に申し訳ない」と謝罪の言葉を並べた。
西十両2枚目の宇良は離れて取る千代の海に対して頭を下げて慎重に攻め、相手の引きに乗じて前に出た。
土俵際で体が泳いだが、何とか押し出し、「紙一重の勝負だったと思う」と胸をなで下ろした。
膝のけがに苦しみ、一時は序二段まで落ちた人気力士。
9勝目を挙げ、来場所は21場所ぶりの幕内復帰が濃厚になったが、「それは場所が終わってからの結果の話。あと三つ、白星を重ねられるように頑張りたい」と気を緩めることはなかった。
2021/05/20
大関朝乃山が12日目の20日、日本相撲協会に休場を届け出た。
19日、週刊文春のウェブ上で、夏場所直前、キャバクラ通いが報じられた。
新型コロナウイルス対策のガイドライン違反の疑いがあり、日本相撲協会の聞き取りに対し、一部を認めていた。
当初は「事実無根」と完全否定していたが、19日の再調査では改める回答。
虚偽報告の疑いもあり、場所後の理事会で厳罰が下る可能性がある。
朝乃山は11日目まで7勝4敗と勝ち越しに王手をかけていたが、負け越しは確実で来場所が、かど番。
処分次第では大関陥落の危機となる。
度目の賜杯を抱くためには、貴景勝にこれ以上の負けは許されない。
「一生懸命やるだけ」との姿勢は不動。重圧を背負いながらも、厳しい攻めで高安をはね返した。
好調の相手との一番には、「気持ちで負けないように」との一念で臨んだ。
顔面に激しい突きを何度も受けながら、はね上げるようにして応戦。
前に圧力をかけて高安のバランスを崩し、好機を逃さずに送り出した。
先場所は千秋楽で照ノ富士に敗れ、目の前で優勝を決められた。
その悔しさは、今も胸の奥にあるだろう。
朝乃山、正代の両大関が本調子とは言えない中、「とにかく集中してやるしかない」。
独走を許すまいと、必死に白星を重ねている。
照ノ富士によもやの反則負けによって土がつき、直接対決を残す貴景勝に自力優勝の可能性が復活。
ただ、八角理事長が「同じ大関でも、今の貴景勝と照ノ富士には力の差がある。一つの差はなかなか重い」と言うように、逆転への道のりは平たんではない。
「また、あしたの相撲に集中したい」と貴景勝。短い言葉に決意を込めた。
正代が4日ぶりの白星。
馬力のある阿武咲に当たり負けせずに圧力をかけ、休まずに前進して勝負を決めた。
本来の攻めを発揮し、「立ち遅れずに(体を)ぶつけることができた。久しぶりにああいう相撲が取れた」と納得の口ぶりだった。
初日から10連勝していた大関照ノ富士が、平幕の妙義龍に反則負けで初黒星を喫した。
力強い小手投げ。照ノ富士は妙義龍を土俵にたたきつけ、どうだと言わんばかりの表情を浮かべた。やっぱり強い。
観衆も拍手に加え、ため息を漏らしたほどだ。しかし、それもつかの間。物言いがつき、国技館がざわついた。
土俵上で繰り広げられる協議を、じっと見詰める照ノ富士。
戸惑い、いら立ち。その表情はいつもと違った。そして、まさかの結末が待っていた。
「まげをつかんで引っ張っており反則」。行司の差し違えで妙義龍の白星となったのだ。
21歳の豊昇龍を圧倒して7勝目を挙げた。
右からのおっつけが強烈で、2大関を撃破して勢いに乗る相手に何もさせなかった。
文句なしの相撲ぶりだったが、取組後は表情を変えることなく、「下からいい攻めができた。よかったと思う」と冷静に言った。
遠藤が難敵を退けて2敗を守った。
立ち合いで千代大龍の強烈な当たりにのけ反ったが、直後の引きにも耐えて逆襲開始。
横へ動きながら引いてくる相手を逃さず押し出した。
5連勝で9勝目を挙げてトップの照ノ富士とは1差。
逆転優勝へと望みをつなげる白星をつかみ取った。
12日目は琴恵光と対戦する。
19日に初黒星を喫したものの依然として単独トップの大関・照ノ富士は、平幕、阿武咲と対戦します。
夏場所は大関に復帰した照ノ富士が盤石の相撲を続けてきましたが19日、妙義龍との一番でまげをつかんで引っ張る反則負けで今場所初黒星となりました。
1敗で依然単独トップの照ノ富士を2敗で大関・貴景勝と平幕の遠藤が追っています。
12日目の20日、照ノ富士は平幕の阿武咲の挑戦を受けます。
過去の対戦成績は照ノ富士の1勝4敗と合い口が悪い相手です。
右四つに組めば照ノ富士が優位ですが、過去の対戦では阿武咲の出足を止められずにもろ差しを許すなどして敗れる相撲がたびたびありました。
どちらがしっかりと踏み込んで有利な体勢を作れるか、立ち合いが勝負を決めそうです。
2敗で追う貴景勝は、平幕の逸ノ城との対戦です。
過去の対戦成績は貴景勝の7勝3敗ですが、逸ノ城もおよそ200キロの巨体に加えて今場所は前に出る圧力があり、ここまで3敗と好調です。
貴景勝としては立ち合いの当たりで相手を突き起こし、一気に前に出て勝負を決めたいところです。
一方の逸ノ城は、組み止めて胸を合わせる展開に持ち込めば勝機があります。
平幕でただ1人2敗の遠藤は、琴恵光と対戦します。
スピードのある相手だけに遠藤としてはまわしを引いて四つ相撲に持ち込みたいところです。
2021/05/18
白星を先行させても、朝乃山の表情がさえない。
阿武咲に土俵際まで押し込まれる場面もあり、「また立ち合いが駄目だった。上体が起きて、押されてしまった」と首をひねった。
今場所は平幕相手に4敗するなど、本調子とは言えない状態が続く。
「相撲内容はあまりぱっとしないが、しっかり元気な相撲を取りたい」と気持ちを奮い立たせた。
自身にとって、一番の難敵と言える相手を下した。
物言いがついた高安との際どい一番で、苦しみながら白星をつかんだ照ノ富士。
少し険しい表情で勝ち名乗りを受けた。
照ノ富士9連勝、貴景勝2敗 大相撲夏場所9日目
今場所、盤石の相撲を見せてきた大関が初めて苦戦した。
大きな体を前傾させてまわしを狙っても、高安に突き放される。
頭を押さえ込まれ、バランスを崩しかけたところで前に出られたが、何とかこらえてはたき込み。
「残った感覚があった」と言う。
軍配通りの決着となった。
高安には、幕内に復帰した昨年7月場所から4戦全敗だった。
この日も、自分の相撲は取らせてもらえなかったものの、「我慢してよかった」という短い言葉に安堵(あんど)感がにじむ。
幕内で無傷の9連勝は、大関だった2015年秋場所以来。
この場所で右膝を痛めてけがとの闘いが始まった。
序二段まで落ちた後、劇的な復活劇を見せ、元の地位まで戻ってきた。
貴景勝が敗れ、後続とは2差に。
まだ中盤戦ながら、このまま独走しそうな雰囲気が漂う。
果たせていない大関としての優勝へ、大きな弾みがつく1勝になった。
大相撲夏場所9日目は17日、両国国技館で行われ、御嶽海は若隆景を上手投げで破った。
注目の一番はあっという間に決着が付いた。
立ち合いで御嶽海が左に変化。
今場所2大関を倒している若隆景が土俵に前のめりに落ちた。
熱戦を期待した館内からは「あー」というため息。
消化不良感を残しつつ御嶽海が2敗を守った。
若隆景は母校・東洋大の2学年下の後輩。
今場所前には「今は勢いで上がってきている。ずっと上位にいる力がついていけば、すごいなと注目するけど」と辛口の評価をしていた。
先場所まで3戦3勝と苦にしていたわけでもない。
受けて立つべき相手に変化し、ばつが悪かったのか、報道陣の取材に応じなかった。
土俵下で見守った藤島審判長(元大関武双山)は「2敗で勝ちたいのでしょうけど、これからのことを考えるとよくない。いいものを持っているんだから」と苦言を呈した。
御嶽海は決して注文相撲が多い力士ではない。
ただ、どうしても勝ちたい場面でたまに変化することがある。
優勝した令和元年秋場所では14日目に変化し、勝利を手にしている。
今場所は貴景勝や正代を倒すなど、この日で7勝を挙げ、2桁勝利が見えている。
全勝の照ノ富士ともまだ2差で、逆転優勝の目がないわけではない。勝利への貪欲さが相撲に表れたとプラスに捉えるべきか。
8日目に正代を会心の相撲で破った後には「自分の持ち味の前に出る相撲を取っていけば、後半戦も前半戦同様に取れると思う」と話していた。
残り6日。そんな理想的な内容で優勝戦線に食らいついてほしい。
豊昇龍が連日の大関撃破。
正代にもろ差しを果たすと、右から外掛けを決めた。
「大関は力が強いので、絶対に差されないようにと思っていた。体の反応が良かった」と笑顔。
朝乃山戦と同様に鮮やかな足技を披露した。
4日連続で組まれた大関戦が終わり、「大変だったが、いい勉強になった」と言う。
おじの元横綱朝青龍の反応はやはり気になるようで、「見ていると思うから、怒られないようにいい相撲を取りたい」と気を引き締め直した。
前頭6枚目の逸ノ城(28)=湊=が、隠岐の海との2敗対決を制して7勝目。優勝戦線に食らいついている。
得意の右四つから堂々の寄り。
「自分の形になったんで出るしかないと思って。自分から前に出る、相手に圧力をかける、体を生かした相撲を取りたい」といい、200キロの巨体を武器にする。
ただ、今の番付はまだ通過点。
「早く(上位に)戻りたい」と貪欲に勝ち進む。
前頭14枚目の千代大龍(32)=九重=が、十両の白鷹山を寄り切って2敗を守った。
2011年の技量審査場所で初土俵を踏んだ同期生。
「ちょっと負けたくないという気持ちはありました」と気合が入った。
優勝争いにも加わっているが、まずは勝ち越し。
「立ち合いで変化せず、中途半端な当たりで引くこともなく、土俵際も動いて動いて最後まであきらめずというのが白星につながっている」と乗っている。
大相撲夏場所は10日目、ただ1人9連勝で優勝争いを独走する大関・照ノ富士は、平幕の霧馬山と対戦します。
夏場所は大関に復帰した照ノ富士がきわだった集中力で白星を重ねていて、きのうは苦手としていた関脇・高安との一番を物言いがつく際どい相撲で制しただ1人9連勝としました。
1敗はいなくなり、大関・貴景勝と小結・御嶽海など5人が2敗で追う展開です。
10日目の18日、照ノ富士は平幕の霧馬山との対戦で、過去の対戦成績は照ノ富士の2戦2勝です。
照ノ富士としてはしっかりまわしを引きつけ前に出ていけば万全で、終盤戦に向けて平幕相手に確実に白星を挙げたいところです。
霧馬山は勝機を見いだすため、頭をつけて前みつを取るなど有利な体勢を作ってしぶとく食らいついていくしかありません。
17日敗れて2敗に後退した貴景勝は、同学年で小学生のころからライバル、阿武咲との対戦です。
過去の対戦成績は貴景勝の6勝3敗です。
阿武咲は貴景勝と同じく押し相撲を得意とするだけに激しい突き押しの応酬が予想されます。
どちらがより低い体勢で下から突き上げていけるかが勝負の鍵を握りそうです。
2敗の御嶽海は、大関・朝乃山と対戦します。
過去の対戦では御嶽海が6勝4敗とリードしています。
御嶽海は、三役以上との対戦は今場所最後で優勝争いに残るためには大事な一番です。
大相撲夏場所(東京・両国国技館)9日目の17日、東小結・御嶽海(出羽海部屋)は東前頭筆頭・若隆景(荒汐部屋)に上手投げで勝った。
連勝を3に伸ばし、星を7勝2敗とした。
10日目の18日は勝ち越しを懸け、東大関・朝乃山(高砂部屋)と対戦する。
御嶽海は立ち合いで左に変化し、頭から突っ込んできた若隆景をかわすと、上手をつかんで投げを打った。
朝乃山はここまで5勝4敗。
過去6場所では5場所対戦し、御嶽海が3勝2敗と勝ち越している。先場所は朝乃山に軍配が上がった。
元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏が、おいの活躍を喜んだ。
9日目打ち出し後の午後7時すぎ、ツイッターで「今日また大関食ったらしいな。ダイジスト見ます。勢いに乗ってがんばれー♪」(原文のまま)。
その約1時間後には「今相撲見ました。いいんじゃない? がんばれ」と連投した。
おいの豊昇龍はこの日、大関正代を外掛けで破った。
8日目は朝乃山に内掛けを決めており、2日続けて足技で大関を連破。
NHKのインタビュールームに呼ばれて、おじの朝青龍について聞かれると「多分、見ていると思いますけど、怒られないようにいい相撲を取りたいです」と話していた。
2021/05/17
平幕・豊昇龍が大関・朝乃山を内掛けで破った。
立ち合いから低い姿勢で当たり、すぐに右を差す。
がっぷり四つに組まれたが、右で投げを打って揺さぶり、右足を相手の左足に絡め大関をあおむけに倒した。
前日の貴景勝戦は、立ち合いで右に変化し墓穴を掘った。
結果よりもその取口に「相撲を安易に考えすぎている」と“おかんむり”だった八角理事長(元横綱・北勝海)もこの日は一転。
「やればできる。こういう相撲ですよ、将来を思えば。勝って自信になると思う。大関をあおむけにしたわけだから。跳んだり跳ねたりするんじゃなくて、苦労して前みつを取るとかね。そういう相撲を取れば、勝っても負けても将来につながる」と評価した。
大関の貴景勝(24)=常盤山=が危なげない相撲で7勝目を挙げ、1敗を守った。
過去12戦全勝と合口のいい妙義龍(34)=境川=相手に、力強く当たり押し込んでから、タイミング良くはたき込んだ。
「集中することだけを考えてやりました」と普段と同じような言葉を発し「明日も相撲に集中して、(白星を)毎日積み重ねていくだけだと思います」と言い、引き揚げた。
鋭い踏む込みから、どんどん前へと出る。
照ノ富士(29)=伊勢ケ浜=の圧力に、大栄翔(27)=追手風=は何もできない。
相手の突き押しも意に介さず、あっという間に土俵外へと押し出した。
「思い切ってやることだけを考えていました。足がよく動いてくれたんでよかったです」。
納得の一番で唯一人、初日から8連勝。
「別に意識していない」と涼しい顔だが、2015年秋場所で11連勝して以来のストレート給金だ。
先場所で優勝し、21場所ぶりに大関に復帰。
4大関となったが、ここまでの取り組みを見ると、力は群を抜いている感じだ。
八角理事長(元横綱北勝海)も「悪い相撲がない。自分から攻めているというのかな。そういう印象です。強い所しか見せてない。前に出れば圧力があるから、安定感がある」と認める。
9日目は高安(31)=田子ノ浦=戦。
通算で7勝12敗と合口が悪く、最近も4連敗中で天敵ともいえる。
だが、今場所は死角らしい死角もなく、充実している。
「一生懸命やるだけなんで」。
前に出る相撲で、最初の難関も突破してみせる。
大相撲夏場所(東京・両国国技館)中日の16日、東小結・御嶽海(出羽海部屋)は東大関・正代(時津風部屋)に押し出しで勝った。
今場所2度目の連勝で、6勝2敗で折り返した。
9日目の17日は、東前頭筆頭・若隆景(荒汐部屋)と戦う。
御嶽海は、正代の左差しをものともせずに圧倒した。立ち合いに踏み込みよく当たり、左はずで起こすと、右から挟み付けるように一気に土俵の外に運んだ。
若隆景は5勝3敗。直近6場所は3度の対戦が組まれ、戦績は御嶽海の3勝となっている。
大相撲夏場所7日目 琴恵光の結果です。
延岡市出身、前頭12枚目の琴恵光は、前頭14枚目の千代大龍に寄り切りで敗れ、4勝3敗となりましました。
16日は、大奄美との取り組みです。
大相撲夏場所8日目は16日、東京・両国国技館で行われた。
元横綱・朝青龍のおい、豊昇龍が大関戦初勝利を挙げた。
朝乃山を内掛けで倒し、「いい立ち合いだった。勝ててよかった」と喜んだ。
入幕5場所目で大関初挑戦となった6日目の照ノ富士戦は完敗し、7日目の貴景勝戦は立ち合いで変化して敗れた。
「勝ちたい、勝ちたいと思っていた。集中して、自分から当たっていきたいと思った」と反省を生かし、真っ向勝負で白星をつかんだ。
22日に22歳になる豊昇龍は、モンゴルからレスリング留学で千葉・日体大柏高に入学したが、両国国技館で大相撲を観戦して興味を持ち、角界入り。2018年初場所で初土俵を踏んだ。
同学年の琴勝峰や元横綱・大鵬の孫、王鵬らと出世を争ってきた。
初めて役力士と対戦する地位まで番付を上げ、早速大関から白星を挙げて「自信になる」と笑顔を見せた。
高安 霧馬山との長い相撲を制して6勝目。「きのう負けているので、ここでしっかり勝つことに意味がある」と満足げ。
◇気持ち乗っている
御嶽海 正代に快勝して6勝目。自信ありげに「しっかり自分の相撲が取れた。今場所は気持ちが乗っているのがいい」。
◇自分の相撲を
若隆景 隆の勝を押し出す。関脇以上との対戦を終えて5勝3敗で後半戦へ。「とにかく必死だった。(残りも)しっかり自分の相撲を取り切りたい」
◇踏み込み甘い
朝乃山 初顔の豊昇龍に不覚を取って4勝4敗に。「踏み込みが甘いので自分の相撲が取れていない。あしたから気持ちを切り替えて」
宇良(28)=木瀬=が2017年秋場所2日目以来1343日ぶりに幕内の土俵に上がり、魁聖(34)=友綱=をすくい投げで破り、7勝目を挙げた。
190キロの魁聖の足を取りにいく宇良らしい取り口に、日曜日に足を運んだ多くの観客が拍手で応援。
「まだ(幕内に)上がったわけではないので、十両としてですけど」と謙虚に話していたが、勝ち越せば21場所ぶりの幕内復帰が見えてくる。
日本相撲協会は夏場所8日目の16日、先代時津風親方(元前頭時津海)の長男木竜皇(18=立浪)と次男春雷(16=立浪)ら新序出世力士11人(再出世1人を含む)を発表した。
2021/05/12
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)が11日、夏場所千秋楽翌日の24日に横綱審議委員会(横審)の定例会を開催する方針を明らかにした。
6場所連続休場中で一人横綱の白鵬への言及に注目が集まる。
白鵬は途中休場した春場所後に右膝の手術を受け、7月の名古屋場所で進退を懸ける意向。
横審は昨年11月場所後、白鵬に対して「引退勧告」に次ぐ重さの「注意」を決議。
春場所後の定例会ではこの措置を継続し、名古屋場所の結果を見て最終判断するとの意見でまとまった。
大関貴景勝(24=常盤山)は連敗を許さなかった。
2連敗中の西前頭筆頭北勝富士(28=八角)を押し出して2勝目。
立ち合いで相手を突き起こし、一気に押し込んだ。
白星を挙げた初日の若隆景戦と同様、回転の速い突っ張りが光った。
「いろいろな突き押しのやり方がある。そういうものがプラスになるように、稽古したものが出ればなと思っています」と話した。
無観客開催の3日間が終わり、4日目以降は上限5000人で観客が入る。
24歳の看板力士は「明日からお客さんにいい相撲を見せればなと思います。やれることを出し切るしかない。明日の相撲に集中して頑張りたいと思います」と意気込んだ。
かど番の大関正代(29=時津風)が“かえるジャンプ”で大きな白星を手にした。
先場所まで3連敗と苦手の大栄翔と対戦。
攻め込まれた土俵際で突き落とし。
正代は大栄翔の体の流れを見るようにしながら、最後は両足をそろえてのかえる跳びのように土俵外へ。
大栄翔の体が出るタイミングと微妙で物言いがついたが、軍配通りで正代の勝ちとなった。
「自分としてもタイミングがどうだったか、あまり自信はなかった」。
立ち合いは踏み込めたが、その後の流れで主導権を奪われただけに相撲内容としては満足できない。
一方で、その中で拾った大きな白星となる。
「こういうのを地道に積み重ねて、早い段階でかど番を脱出できたら」。
勝ち負けで白星先行か、黒星先行か、厳しい分け目となっていただけに結果は喜びしかなかった。
ただ、相撲内容には満足できない。
「反省してまた明日に生かしていきたい」と誓った。
大関復帰の照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が、この日も力強い相撲で、大関陣ただ一人の3連勝。
協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は、ここまで「冷静さ」を好調の要因に挙げた。
相手は小兵の翔猿(29=追手風)。
挑戦する立場として策を仕掛けることが予想されたが「翔猿が、いろいろと考えて取るかなと思ったけど逆だった」と同理事長。
立ち合いで踏み込んだ翔猿の右腕を瞬時に手繰り、左上手を結び目近くの深く取り、休まず豪快に上手から投げ飛ばした。
「照ノ富士は、よく考えていた。(翔猿の)かいなを手繰っての(左上手の)取り方。冷静に相手が見えている。どうすれば自分の相撲になるか、よく考えている」と照ノ富士の“技巧派ぶり”を高く評価していた。
高安の攻めの相撲に圧力があった。
かち上げや体当たりではなかったが、腰が決まっているから立ち合いの踏み込みがいい。
あの元気な明生もズルズル下がるばかりだった。
回り込む相手を最後まで冷静にさばいて、腰が浮いたところで押し倒した。
大関経験者だから序盤は勝っても驚かないが、目前で優勝を逃した先場所のことがある。
手放しでは喜べないだろうし、2日目は少しバタバタした相撲を取ったが、ここまで3日間は無難に取っている。
先場所、終盤で崩れたのは優勝経験がない精神面のもろさが出たと思う。
どんな状況でも自分の相撲を取りきることが、いかに大事かと思い知ったはずだ。
いい経験をさせてもらった、苦い経験を土俵に生かそうと切り替えて今場所に臨んでいればいい。
1日で15番を取るわけではない。
一番一番の積み重ねを自分に言い聞かせればおのずと結果は出る。
東前頭筆頭若隆景(26=荒汐)が、2場所連続で2大関を撃破した。
大関朝乃山を寄り倒して2勝1敗。
前日2日目には正代を破っており、連日の大関戦勝利となった。
立ち合いは左に変化すると、懐に潜り込んでもろ差しに。
巻き替えられて相手得意の右四つとなったが、左上手を命綱に体勢を立て直して頭をつけると、出し投げで崩して休まず攻めた。
「我慢して攻められたのが良かった」。
一度は右四つに組まれたが、左上手は最後まで許さず「左上手は先場所取られて相撲にならなかったので(左上手を取らせない)そういう意識はありました」と振り返った。
先場所は10勝5敗で技能賞も獲得。
新三役が期待される26歳は4日目以降に向けて「いい相撲を取っていきたい」と意気込んだ。
西前頭7枚目宝富士(34=伊勢ケ浜)は、無観客開催の雰囲気について言及した。
この日は大関経験者の東前頭7枚目栃ノ心を押し出して2勝目。白星先行で3日間を終えた。
観客がいないことに寂しさを覚えながらも「無観客が少し影響というか、静かだと集中できている気がする」と、少なからず好影響を感じていた。
4日目以降は上限5000人で観客を迎える。
「明日からお客さんも入るので集中していきたい」と意気込んだ。
元横綱大鵬の孫、西十両14枚目王鵬(21=大嶽)が、西十両13枚目錦木を破って初日を出した。
立ち合いは両手で突いていき、前に出ながら左を差した。
右上手は取れず、錦木に左四つを許したが我慢。
がぶるように前に出て行き、寄り切りで破った。
焦ることなく我慢の相撲で白星を挙げたようにも見えたが「立ち合いからはじいていけるのがいい」と納得はしていない。
しかし、ようやく初日が出たことで「とりあえず良かったです」と安堵(あんど)感をにじませた。
明日4日目からは、有観客での開催となる夏場所。
「やってみないと分からないけど、盛り上がっている方がいいと思う。しっかりやっていきたい」と声援を味方に2連勝を目指す。
現役最年長、50歳の西序二段94枚目華吹(はなかぜ、立浪)が、2番相撲で東序二段94枚目風武(22=武蔵川)に寄り切られて、今場所初黒星を喫した。
左四つに組み止めたがまわしに手が届かず、力なく土俵を割った。1勝1敗で星が五分となった。
初場所では東序ノ口9枚目で勝ち越し、50歳以上で勝ち越しは116年ぶりという偉業を成し遂げた。
先場所は2勝5敗。
86年春場所で初土俵を踏み、今場所は歴代最多を更新する通算210場所目。
5月28日に51歳の誕生日を迎える。
先代時津風親方(元前頭時津海)の長男の木竜皇と次男の春雷(ともに立浪部屋)が前相撲デビューを果たした。
兄は向中野を下手投げで退けて「自分の夢だった土俵に立てて、身が引き締まる」と感慨深げだった。
父は初場所中にマージャン店に出入りするなど、協会の新型コロナウイルス感染対策ガイドラインに違反。
2月に退職勧告の懲戒処分を受けて協会を去っていた。
今春に青森・三本木農高を卒業した木竜皇は当初、父が師匠を務める時津風部屋に入門する予定だったが、千葉・柏第二中を卒業した弟の春雷とともに立浪部屋に入門。
「小さい頃から夢だった。こういうことがあろうと挑戦しようと思っていた」。
宮城に逆転の居反りを食らって敗れた春雷も「10代で関取になれるように頑張る」と意気込んだ。
伝統の懸賞がアナログから脱して、間もなく1年が経過する。
森永製菓が掲出する「デジタル森永賞」は昨年7月場所から始動。
同賞は初、春、秋の東京場所で、ファン投票によって選出された一番に懸賞を懸ける。
1951年(昭26)初場所から始まり70年の歴史があるが、コロナの波が押し寄せた昨年、姿を変えた。
従来はキャラメルなど森永製品の空箱に取組や氏名、住所を記入して投票箱に入れる投票形式。
投票対象者は国技館の来場者に限られていた。
同社担当者によると「デジタル−」に変わり、誰でも投票可能に。
直近の初場所では2万超の票が集まったという。
「日によっては菓子箱を使った投票の5倍以上の投票数になることもあります」。
大関貴景勝を筆頭とした4大関が人気だ。
ウェブ投票への転換は、コロナ禍により観客数の制限がかかっている影響が大きい。
「観戦に行けないお客様でも簡単に懸賞を懸けられる新しい取り組みで、国技大相撲を盛り上げたい」と意図を説明する。
従来の形式では集計も手作業で行っていた。
古き良きを重んじる大相撲ではあるが、ファンの目線に立ち、懸賞の形も変化している。
2021/05/11
結びの一番に臨んだ大関朝乃山(27=高砂)が、小結大栄翔を下して4大関安泰を演出した。
立ち合いは大栄翔ののど輪を受けて押し込まれたが、俵に足をかけて耐えた。
上体をのけ反らせながらも、左が深く差さると体をうまく入れ替えて送り出した。
「しっかり足が俵にかかったので残れたけど相撲はよろしくない」と反省した。
自身の取組の前に、照ノ富士、正代、貴景勝の3大関が白星を挙げていた。
それだけに「気にはしました。目の前で勝つと自分も勝たないといけないと思った。そういう気持ちがありました」と力が入った。
重圧がかかる中で白星を挙げて「初日に勝つのと負けるのでは違う。勝てて良かったです」と安堵(あんど)した。
昨年の春場所後に新大関に昇進してから1年がたった。
同年7月場所での12勝が大関としての自己最多だが、大関として優勝はまだ経験していない。
場所前には優勝を目標に掲げ、この日も「出る力士の最高位として優勝が求められる。それが結果です」と、あらためて優勝への思いを口にした。
大関貴景勝(24=常盤山)が、小結御嶽海に押し倒されて今場所初黒星を喫した。
突きを下からはね上げながらも土俵際まで押し込んだが、低い姿勢を維持する御嶽海を押し込めなかった。
4大関は照ノ富士以外の3人がそろって敗れた。
立て直しに向けて、4大関最年少の貴景勝は「明日また集中してやります。どっちにしてもやるしかないと思うので、気持ちだと思います。一生懸命やるだけ。明日集中して頑張るだけです」と自らを奮い立たせた。
かど番の大関正代(29=時津風)が、東前頭筆頭若隆景に寄り切られ、連勝発進を逃した。
若隆景の低い当たりを受け、相手得意の右おっつけを攻略することができずに後手に回った。
後退した土俵際で右差しを許し、寄り切られた。
物言いがついたが、軍配通りとなった。
立ち合いの踏み込みについては「押し込むことができた」と感触があった。
しかし、「その後に自分の形になることができなかった。いろいろとバタバタしてしまった」と攻めきれなかったことを反省した。
若隆景のおっつけは警戒していたが「動きの中で差せると思ったけど厳しかった」と想定外の強さだった。
初日にそろって安泰だった4大関の中で、2連勝したのは返り咲きの照ノ富士だけだった。
北勝富士のおっつけに苦戦したが引かず、右を差して送り出した。
集中力を高めるかのように、報道陣の取材には応じずに会場を後にした。
4大関で先陣を切った朝乃山は、明生にもろ差しを許して押し出された。
照ノ富士の後に上がったかど番正代は、若隆景の得意のおっつけに屈した。
おっつけは警戒していたが「動きの中で差せるかなと思っていたけど厳しかった」と想定外の強さだった。
結びの一番に臨んだ貴景勝は、御嶽海を土俵際まで追い込むも押し切れなかった。
早くも1敗を喫し「どっちにしろやるしかない。気持ちだと思う。一生懸命やるだけ」と自分に言い聞かせるように言った。
小結大栄翔(27=追手風)が、我慢の四つ相撲で今場所初白星を挙げた。
東前頭4枚目霧馬山の張り差しで組み止められると、四つ身の展開になった。
左四つから右上手を引きつけると、外掛けで崩しながら寄り倒した。
突き押し相撲を信条とするだけに「内容は本当に悪いので、修正していかないとダメ。我慢できたのは良かったが、突き押し相撲なのでしっかり突いていかないといけない」と猛省。
ただ、突き押しへ本格的に転向したのはプロ入り後で、埼玉栄高時代は四つでも取っていた。
「高校生のころの話なので。高校の相撲がプロ、上位で通用しないと思うので…どうなんですかね」。
この日の取組で12年初場所の初土俵から、連続出場が700回となった。
「知らなかった。そう聞くとそんなに長い回数なんだなと思いますし、これからもケガなく取っていきたい」。
1月の初場所では13勝2敗で初優勝。
優勝経験を持つ27歳は、3日目以降に向けて連勝を目指す。
かど番の大関正代(29=時津風)を破った東前頭筆頭の若隆景(26=荒汐)について、協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)が、その技能相撲を高く評価した。
先場所、初の三賞を受賞した身上のおっつけが、この日も奏功。
正代の左の差し手を何度も、この右からのおっつけで差し込まさせず、下からあてがうように封じた。
正代の敗因を探すことより「今日は若隆景の攻めが良かった」と八角理事長。
「うまい相撲を取った。おっつけながら相手の差し手を差させない。右からおっつけながら(正代の左を)振りほどいて出ている。右からの攻めが良かったですね」と何度も「おっつけ」の言葉を並べた。
小兵力士は珍しくない。
土俵狭しと動き回り、相手の足を取ったり、相手を幻惑させる多彩な技で人気力士も多い。
ただ、そんな小兵力士との違いを、八角理事長は力説もした。
「跳んだり跳ねたりするのとは、同じ小兵力士でも(若隆景は)違う。実力で、いい相撲を取っている」。
派手さはないが、正攻法で体格差のハンディを克服する182センチ、127キロの若隆景を褒めた。
東前頭2枚目明生(25=立浪)が、2場所連続で大関を撃破した。
大関朝乃山を押し出して今場所初白星となった。
圧力負けしたが、土俵際の反応が光った。
右を差して相手の得意な左上手を与えず、押し込まれながらもすくい投げで崩して一押し。うまく体を入れ替えた。
朝乃山には、場所前の4月に行われた合同稽古で胸を借りていた。「(合同稽古で)挑戦できたので良かったです」。
先場所は2大関を破って10勝5敗。今場所は自己最高位に並び、新三役が期待される。「しっかり勝ち越せるように頑張ります」と意気込んだ。
西前頭筆頭の北勝富士(28=八角)が、大関照ノ富士に送り出され、初日から2連敗となった。
立ち合い低くぶつかり、下からの低いおっつけですぐにはまわしを与えなかった。
その後も、時折いなしながらの下からのおっつけで攻めたが決定打に欠け、粘り負けして右差しを許して送り出された。
足もよく動き、見応えのある一番となり「ガムシャラにやるだけだったので悔しい」と振り返った。
初日は大関正代、2日目は大関照ノ富士、3日目には大関貴景勝との一番が組まれるなど、初日から試練の大関3連戦に。
「早い段階で白星が欲しいけど大関戦が続くのはこの地位のさだめ。1日一番、しっかりやった結果が勝ち越しにつながってくると思う」と意気込んだ。
日本相撲協会は夏場所初日の9日、東前頭3枚目碧山(34=春日野)の「急性腰痛症により約2週間の安静加療を要する見込み」、西前頭15枚目翠富士(24=伊勢ケ浜)の「腰椎椎間板ヘルニアにより手術を要する見込みで全治2カ月を要する見込み」との診断書を公表した。
西十両2枚目の宇良(28=木瀬)が、東十両筆頭・炎鵬との業師対決に2連勝した。
「完全に流れは負けてましたね」と宇良。
立ち合い、左を差されて一気に土俵際まで追い詰められ、体ものけぞるピンチに陥った。
そこから何とか残し、差された右を抱えて投げを打ち、きめ出した。炎鵬は右肘を抱えるようにうずくまった。
宇良は勝負を決めた場面を「ここで逃したらダメだと。絶対に逃さない気持ちだった」と振り返った。
先場所に続く注目の一番だったが、今回は無観客。
「お客さんも入ってなかったので、前とは違って落ち着いてとれた」と話す一方で、「しんどいですね。意識するというより、当たるといやな相手とは思う。何をしてくるか分からない」と言った。
幕内復帰が見えてきた番付で、2連勝と好発進を決めた。
難敵を突破し「残りも自信を持って一番一番、相撲をとっていきたい」と意気込みを新たにした。
東幕下7枚目阿炎(27=錣山)が、西幕下6枚目平戸海をはたき込みで破って、白星発進した。
「非常に柔らかい人だったので前に出すぎずに様子を見ながら」と、立ち合いから突いて距離を取った。
相手が距離を詰めてきたのを見計らってはたき込み。取組後の表情には余裕があった。
昨年の7月場所前と場所中に、新型コロナウイルス感染対策のガイドラインに違反した。
3場所出場停止の処分を受け、幕内上位から幕下下位に転落。復帰した3月の春場所では全勝優勝を果たし、今場所は全勝優勝なら十両復帰も狙える位置にいる。
「一番、一番と思っている」と欲は出さず。
場所前の4日には27歳の誕生日を迎え「先場所も言ったけど1歩ずつ進まないといけない。人として成長できる年にしたい」と誓った。
元中学横綱の17歳のホープ、西幕下37枚目の吉井(時津風)が、鈴木を送り出して白星発進した。
先場所は初めて番付に載ってから10場所目で初めて負け越した。
その悔しさから稽古に精進「自分には得意(の型)がないんで」と立ち合い、左前みつを狙う形に取り組んでいる。
「携帯でいろんな力士の方の相撲を見て研究しました」。
最も参考にしているのが元大関豪栄道(現・武隈親方)という。
「前みつを取って相手を起こしていく相撲をとっていきたい」と明確な目指す形を示した。
8月には18歳になる。目標の関取の座へ、前進していきたい。今場所の目標を「全勝優勝です」とキッパリ。
「場所前の稽古も調子よかった。全勝できるように一番一番、気を引き締めて頑張りたい」。
先場所の初負け越しで後退した分を一気に取り戻す。
若い意欲に燃えている。
先月14日に現役を引退した元関脇琴勇輝の君ケ浜親方(30=佐渡ケ嶽)が9日、都内で会見に臨んだ。
「少しホッとしている。安堵(あんど)感もあるけど、これから親方として気の引き締まる思い」と心境を明かした。
「いろんな人に応援してもらった」と周囲への感謝を口にすると言葉が詰まり、涙をぬぐう場面もあった。
引退を決断した要因は、相撲を取る恐怖心からだったという。
昨年11月場所前に左膝の内視鏡手術を受けた影響で休場し、十両に陥落した初場所は4勝11敗と負け越して幕下に陥落。
たび重なる膝の負傷を乗り越えてきたが「土俵に上がるのが怖いという気持ちが先行していた。勝負師として終わり。いろいろ考えて決断した」と、リハビリの中で気持ちを立て直すことができなかった。
現役生活で印象に残る一番は、16年春場所3日目の日馬富士戦で挙げた金星。
この場所は上位総当たりで12勝3敗の好成績を残して殊勲賞も獲得し、翌場所は新関脇昇進も果たした。
「とにかく稽古場通りの自分の立ち合いがどこまで通用するかという気持ちだった。結果的に12番勝ったというのも分からなかったくらい、体もよく動いていた」。
会見に同席した師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)は「私の中ではもう少しできるんじゃないかと思っていた」と、弟子の引退を惜しんだ。
「負けず嫌いなところが相撲に出る力士。本当にいい力士だった。先代師匠が元気だったら、琴勇輝の相撲を喜んで見ていたと思う。先代に似ている部分があった」と「猛牛」と呼ばれた亡き先代佐渡ケ嶽親方(元横綱琴桜)に姿を重ねた。
一時は立ち合いの直前に「ホウッ」と気合のこもった声を発することでも注目を浴びていた。
琴勇輝は「関取になってからかなり注目されるようになったけど、もっと前からやっていて、地位が上がるにつれて覚えてもらえるきっかけになっていった。しっかりと気合を入れて、おなかに力を入れるイメージだった。一気に自分の気合が入るようなルーティンになった」と振り返った。
2021/05/10
◇9日 大相撲夏場所初日(両国国技館)
大関朝乃山(27)が土俵際で小結大栄翔(27)を送り出して逆転勝ち。
「先場所みたいに持っていかれそうになった。よろしくない」と反省したが、2連敗していた相手を下してのスタート。
4大関がそろって勝ったのは2016年九州場所5日目以来でもあり、「(取組前は)やっぱり気にしますね。自分も勝たなくちゃいけないという気持ちはありました」とホッとしていた。
貴景勝は若隆景を問題にしなかった。
先場所、不覚を取った相手に反撃の機会を与えずに押し出し。
会心の取り口にも、「あまり覚えていない。稽古場でやっていることしか出ないので、考えずに集中してやった」と無心の攻めを貫いた。
照ノ富士の返り咲きで4大関となった。
新横綱の誕生が待望される中、「毎日、一生懸命やり切ること。強くなるしかないので。自分の力を全部出し切りたい」と己に言い聞かせるように話した。
大相撲夏場所初日(9日、東京・両国国技館)、カド番の大関正代(29=時津風)は幕内北勝富士(28=八角)を突き落として白星発進。
取組後は「(立ち合いから)よく踏み込めたんじゃないか」と振り返った。
春場所を7勝8敗で終え、今場所も負け越せば大関陥落となる。
課題に挙げていた立ち合いからの踏み込みや圧力については「初日なので何とも言えない」と控えめだが「初日に勝つか負けるかでは気持ちの持ちようも違うのでよかった」と安堵の表情を見せた。
「早い段階で勝ち越しを決めてカド番を脱出できれば」と正代。
8日には相撲協会の尾車事業部長(64=元大関琴風)が「『8番勝てばいい』と思った時点で、8番勝てない。だから常に上を目指して土俵に臨まないと」と話していたが…。
今のところ、目標設定に変更はなさそうだ。
次は番付の頂点で――。
大相撲夏場所初日(9日、東京・両国国技館)、大関に復帰した照ノ富士(29=伊勢ヶ浜)が幕内明生(25=立浪)をきめ出して白星発進。先場所に続く連覇に向けて上々のスタートを切った。
2017年秋場所以来、21場所ぶりに大関返り咲きとなったが、この快進撃はまだまだ終わりそうにない。
そんな中、ゆかりの地からは横綱となっての“凱旋”を期待する声が上がっている。
まさに“大関相撲”だった。
照ノ富士は明生にもろ差しを許しても全く動じない。
両腕で抱えながら前へ出ると、そのまま力でねじ伏せた。
取組後は「前に足が出たのでよかった」と淡々と振り返った。
両ヒザの故障や内臓疾患などで一時は序二段まで転落。そこから不屈の精神ではい上がり、17年秋場所以来の大関に返り咲いた。
大関での白星は実に1355日ぶりとなったが「特に深い考えはない」と意に介さなかった。
史上最大の復活劇とも言われる照ノ富士の大関復帰には、ゆかりの地からも喜びの声が上がっている。
神奈川・出雲大社相模分祀の草山清和分祀長は「多くの人の励みになりますよね。(ヒザは)まだ痛いと思うんですが、それでも痛みをこらえて一生懸命いい相撲を取っていますよ」と称賛した。
同分祀では師匠の伊勢ヶ浜親方(60=元横綱旭富士)が現役時代から節分の豆まきを行い、引退後は部屋の弟子たちとともに参加している。
ケガや病気に苦しんだ照ノ富士も例外ではない。
草山氏が「下(序二段)に落ちたときも来てくれた」と話すように、ここまで“皆勤”を続けているという。
ところが、約40年続く恒例行事も新型コロナウイルス禍により、昨年から2年連続で実施できていない。
ワクチン接種が普及するなど終息しなければ再開のメドは立たないが、同分祀関係者からは「こうなったら横綱に上がって豆まきに来てもらえたら」と、番付の頂点での“凱旋”を期待する声が上がっている。
その出雲大社と相撲の関係は古く、出雲国造第13代野見宿禰(のみのすくね)は「相撲の祖」と伝えられている。
一方で、縁結びとともに病気平癒のご利益もあるとされ、体調面で不安を抱える大関にとっては、ありがたい神様に見守られているのかもしれない。
この日は自身を含めて4大関が揃って白星。
連覇と綱取り挑戦に向けて第一歩となった照ノ富士は「(15日間)全力を出して頑張りたい」と力を込める。
横綱不在の今場所も土俵の「主役」を務めることになりそうだ。
<大相撲夏場所>◇初日◇9日◇東京・両国国技館
新関脇から4場所連続の勝ち越しを目指す関脇隆の勝(26=常盤山)が、西前頭3枚目千代の国(30=九重)を押し出し、初日白星を飾った。
立ち合いはやや押し込まれたが、体勢は崩れず一気に逆襲。
「立ち合いちょっと起こされたんですけど、そこからの攻めが良かったと思う」と振り返った。
昨年春場所以来の無観客開催。
4日目以降は観客を入れるとはいえ「寂しいし、お客さんが盛り上がっていないと物足りない気持ちもある。いつも通りになってくれればいい」と望んだ。
三役で2桁白星に到達したことはない。
次期大関候補は「2桁狙って1日一番集中していきます」と明確に目標を掲げた。
高安は、動きのいい翔猿を中に入らせることなく突き出した。
完勝に「自分の考えた攻めがしっかりできた」と涼しい顔で振り返った。
先場所は優勝争いをしながら、13日目からの3連敗で失速。敗れた相手の一人が翔猿だった。
高安は「ふがいない相撲もあったが、そこは終わってしまったことなので。しっかり反省して次に生かしたい」と集中した様子で言った。
前頭十枚目の照強(伊勢ケ浜)が前頭十一枚目・琴ノ若(佐渡ケ嶽)を足取りで破って初日を飾った一番。
その取組前にちょっとしたハプニングが発生すると、元横綱・若乃花の花田虎上氏が「それは一番マズいですね」と苦笑いを浮かべる一幕があった。
新型コロナウイルス感染拡大、さらに緊急事態宣言などを受け、無観客で初日を迎えた大相撲五月場所。観客のいない静かな国技館の土俵上に、ソルトシェイカーとしても人気のある照強が、手から溢れんばかりの大量の塩を豪快にまいた。
塩の一部は土俵を通り越すほどの勢いだったが、そのことについてABEMAで実況を務めた清野茂樹アナウンサーが「照強の塩まきが土俵の外まで飛んでいきました」と話すと、これを受けた元若乃花が「お客さまがいないから遠慮ないですね」と笑顔で応じた。
しかし、清野アナが「正面審判の藤島親方(元大関・武双山)にかかってると思うのですが…」と続けると一転、元若乃花は「それは一番マズいですね…」と苦笑いを浮かべた。
「ご覧のように、土俵はずいぶん白くなりました」の一声とともに時間を迎えたこの取組。
立ち合い頭を下げ、素早く右に変化した照強が琴ノ若の左足をとって背後に回り込むと、琴ノ若は前のめりにバランスを崩し、両手を土俵について黒星スタートとなった。
さらに成す術なく黒星を喫した琴ノ若について元若乃花は「足が揃ってしまいましたね。怖いからどうしようという感じで手をついてしまったのでは。プロであれば、もう少し体の動きが速くならないといけないですね。これぐらいで怖がっていたらダメですね。厳しいことを言わせていただくと。これでは見ている方が、『お相撲さんって、あれで倒れちゃうの?』って思ってしまう」と話し、奮起を促していた。
大相撲・夏場所初日、前頭12枚目の琴恵光は、前頭11枚目の千代翔馬を小手投げで破り、白星スタートです。
10日は前頭13枚目の明瀬山との取り組みです。
大相撲夏場所は2日目、大関に復帰した照ノ富士は初日を白星でスタートし、10日は前頭筆頭の北勝富士と対戦します。
白鵬の休場で今場所も横綱が不在となる中、期待がかかる4人の大関はいずれも初日を白星でスタートしました。
このうち21場所ぶりに大関に復帰した照ノ富士は、初日に平幕の明生を破り2日目は前頭筆頭、北勝富士との一番です。
過去の対戦成績は、照ノ富士の4勝3敗でこのところは4連勝中です。
照ノ富士が北勝富士の当たりを受け止め、まわしをつかむか、抱え込んでしまえば断然優位です。北勝富士としてはしつこく押っつけるなど、照ノ富士を正面に置かずに攻めることができれば勝機が出てきます。
角番の大関・正代は前頭筆頭の若隆景との対戦です。
若隆景は動きの早い相撲で自己最高位に番付を上げてきて勢いがあり、正代は受け身に回ると危なくなりそうです。
立ち合いでしっかりと圧力をかけられるかが鍵になります。
また大関・貴景勝は小結・御嶽海との対戦です。
過去の対戦成績は、貴景勝が10勝9敗とかろうじてリードしています。
ともに押し相撲が持ち味ですが、突き放して離れて取る形になれば貴景勝、密着して押すことができれば御嶽海が優位です。
貴景勝は、序盤で難敵を退けて流れをつかみたいところです。
もう1人の大関・朝乃山は前頭2枚目の明生と対戦します。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は9日、夏場所の懸賞申し込みが1345本あったことを明らかにした。
今場所は3日目まで無観客で行われる。
芝田山部長は「こういう状況の中でも力士の励みになる」と感謝を込めて話した。
新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言により、昨年3月に大阪で開催された春場所以来となる無観客で始まった夏場所。
静寂の中での土俵で、務めを果たそうとする力士の姿に、八角理事長(元横綱北勝海)は「気持ちの持ちようが大変だと思うが、頑張ってほしい」と述べた。
コロナ禍によって声援の自粛が求められていたものの、拍手だけでも力士には励みとなる。
正代は「一度経験して慣れたと思っていたが、いざやってみると静かで違和感があった」と明かした。
「自分たちは一生懸命やるだけ」とは貴景勝。集中して、目の前の一番と向き合った。
制限が緩和される4日目からは、国技館に観客のにぎわいが戻る。
大栄翔は「4日目以降はたくさんの方が入ってくれる。それまでに白星を重ねていきたい」と心待ちにした。
2年ぶりの開催となった大相撲夏場所初日、土俵で珍しい出来事があった。
3月の春場所の新弟子検査合格者のうち、付け出しや休場者を除く31人の新序出世披露が行われた。
卒業式に出席するため、感染を防ぐ上で1場所遅れとなった。
日本相撲協会の尾車事業部長(元大関・琴風)は「すべてがイレギュラー。経験したことのないようなことがいっぱい起きている」。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨年は春場所が無観客開催、そして夏場所は中止された。
地方場所の東京開催など角界の「緊急事態」は今も続く。
昨年5月には三段目だった勝武士(本名・末武清孝さん)が亡くなった。
共同生活が基本の相撲部屋で感染防止を図るため、協会は力士らに不要不急の外出自粛を求めてきた。
今場所を前に約900人の協会員を対象に実施したPCR検査では、全員が陰性だった。
尾車事業部長は「日ごろから一人一人が自覚を持って注意して生活した結果」と安堵(あんど)した。
一方で、範を示すべき立場の関取や親方らの不適切な行動は後を絶たない。
今場所はガイドラインに抵触するような行動があったとして、勝武士の兄弟子である前頭・竜電が休場し、場所後に調査を受ける。
個々の力士らが、さらに自らを律する自覚を持つことが求められる。
今日5月9日から大相撲の夏場所が開幕する。
連日熱い取り組みが期待される一方で、今年3月の春場所後には痛ましい事故も起きた。
三段目の力士だった響龍が、4月28日、急性呼吸不全のため東京都内の病院で死去したのだ。
響龍は春場所13日目にすくい投げで敗れた際、頭部・頸部を土俵に強打。
そのまま動けなくなり、救急搬送され入院していた。
大相撲同様、激しいコンタクトスポーツであるアメリカンフットボールの本場アメリカでは、10年以上前から試合中・練習中の頭部や頸部のアクシデントに関して非常に厳格な措置が取られるようになっている。
その専門家はこの事故をどう見たのか。
スタンフォード大アメリカンフットボール部コーチの河田剛さんに聞いた。
今回の力士の事故に関しては、映像で取り組みとその後の処置を見ました。
もちろん実際の現場にいたわけではないので、細かな部分にまでは言及できません。
ただ、大相撲と同じような激しいコンタクトスポーツであるアメリカンフットボールに携わる者としては、いくつか非常に気になったポイントがありました。
■ポイント1 土俵周りに医療関係者が配備されていなかった
まず1番は、土俵周りに医療関係者が配備されていなかったことです。
大相撲という危険性の高いコンタクトが日常茶飯事である競技にもかかわらず、その現場の周囲に医療関係者が立ち会っていないというのは驚きを隠せませんでした。
アメリカンフットボールの場合、NFLでもカレッジでもゲームはもちろん、日常の練習でも医療関係者の立ち合いが義務付けられています。
試合ともなれば1人ではなく10人近い専門家がスタンバイしているのが普通です。
その理由は各々に専門があり、アクシデントが起きた際に例えば肩のケガなのか、膝のケガなのか、それとも脳震盪なのかによって対応が全く違ってくるからです。
特に頭部や頸部へのケガの場合、確認しなければならない要素が非常に多いです。
呼吸、脈拍、手足の麻痺、意識レベル…生死に直結するケガに成り得るものですから、その確認はとても大切です。
中でも意識レベルの確認の際に最も重要なのが、「複数の医療関係者で意識確認を行う」ことだと言われています。仮に誰か1人が「大丈夫だ」と言っても、それだけでは危険性が残る。
ダブルチェック、トリプルチェックが重要なのです。
そこで一定レベル以上の意識障害がある場合は、首から上をしっかりと固定したうえで、絶対に大きく動かさないように気をつけながら担架で救急車に運び、病院に搬送することになります。
アメリカンフットボールの試合ではスタジアムに救急車の待機も義務付けられていて、危険な事故の場合はすぐに病院へ搬送できるようにスタンバイしている。
もちろん競技ごとで予算や規模の違いはあるでしょうが、少なくとも興行として成立しているプロスポーツである以上は、そのくらいの備えは必要であるように感じます。
■ポイント2 対応に時間がかかっている
また、2つ目としてその後の対応にかかった時間に関しても疑問が残りました。
映像を確認すると、取組後に負傷した力士はうつぶせのまま動けず、倒れてから約1分後に呼び出しなどの関係者が3人であおむけにしています。
その約3分後、国技館内の相撲診療所からようやく医師が到着し、力士の状態を確かめ、担架に乗せて土俵を降りています。
その後、救急搬送されたと報じられていますが、一連の対応に約6分以上の時間を要しています。
アメリカンフットボールでは選手が立ち上がれないような事故が起こった時には、フィールド外にいる医療関係者が、それこそ肉離れせんばかりの勢いでフィールドに猛ダッシュしてきます。
それは1分1秒が選手のその後を左右することを分かっているからです。
今回の事故のように、倒れた選手をそのままにして、勝ち名乗りを続行するというのはあまりにも異様な光景だったように思います。
また、医療関係者ではないスタッフたちが倒れた力士を無造作に動かしているというのも信じられない衝撃を受けました。
■ポイント3 頭部や頸部に関するケガへの意識
最後に最も気になったのが、頭部や頸部に関するケガに対する関係者と力士たち自身の意識の部分です。
今年1月の初場所では、ある取組で頭からぶつかった力士の片方が立てなくなったにもかかわらず、回復直後に取り直しの一番が行われたことがありました。
それもあってようやく「勝負がつく前でも審判団が危険だと判断した場合は、その力士を不戦敗として相撲を取らせない」という決まりができました。
大相撲の競技特性を考えるとおそらくこれまでも似たような事態は起きていたはずです。
そういった状況について関係者も力士たち自身も、本当に深刻に考えていたでしょうか。
歴史や慣例というのは確かに大切なものだと思います。
ですが、それと比べるまでもなく、人の命や若い力士の将来はもっと重要です。
もし、関係者や力士たちがこれまでのケースから真剣に対応を考えていたのなら、今回のような事故が起きた際に、医学的知識も何もない審判団の判断に事を委ねるということは起きなかったように思います。
2015年にウィル・スミスが主演した映画『コンカッション』が話題になりました。
NFLの選手たちが引退後も脳震盪などの後遺症に悩まされていることに気づいた医師の物語です。
そういった作品にも代表されるように、NFLではここ10数年ほどで明らかに脳震盪をはじめとする選手の負傷に対する注意意識が上がっている。
これは周囲のスタッフや経営陣はもちろんのこと、選手たち自身も強く考えていることでもあります。
■NFLではトレーニングの場を労組がチェック、脳震盪3回で引退
例えば、NFLではオフの練習に関する制限がものすごく厳密に決まっています。
チームとしてはレギュラーシーズンで結果を出すために、もちろん各選手に練習をさせたい。
でも、そこは選手会や労働組合にあたるNFLPAがちゃんと主張する。
「NFLは世界で一番儲かっているのに、選手の平均寿命は短い。そういうスポーツだからこそ、セカンド・キャリアや家族との時間、プライベートを含めた『ワークライフバランス』を重視するべきだ」と言うわけです。
具体的に言えば、9月〜翌年2月の通常シーズン中以外のオフシーズンに行うチームの全体練習は、決められた期間内に10回だけしか許されません。
その10回しかない練習も、ヘルメットだけを着けた状態で行う軽い練習が中心で、激しいコンタクトや競争を煽るようなシビアな練習は許されていません。
また、2年目以上のベテラン選手がチームの施設に滞在していいのは4時間までとも決められています。
2018年にはオフシーズン中にボルティモアのチームが「規定を超えたコンタクト練習をした」という理由で、10回しかない練習を8回に減らされています。
オーナーには1000万円以上の罰金も科せられました。
さらに一定以上の脳震盪を3回起こした選手は有無を言わさず引退になります。
実際にスタンフォードのOB選手でも、NFLのチームに入団した有望なルーキーだったにも関わらず、1年目に2度の脳震盪を起こしたため自身の判断で引退した選手もいました。
その選手は「夢の舞台で危険を冒しながらプレーすることよりも、命や将来の方が大事だ」と言っていました。
■「伝統」を隠れ蓑にせず、改善すべき安全性
アメリカンフットボールも大相撲も、スポーツ選手としてのキャリアはもちろん大事です。
それまでその選手が積み上げてきたものは並大抵のものではないでしょう。
それは十二分に理解できます。
ですが、実際には引退後の人生の方がはるかに長いわけです。
それを軽んじてまでスポーツにすべてを懸けるのは、明らかに間違っている。
最近ではスタンフォード大のアメフト部は、ヘルメットの上にさらにショックパッドをつけて練習をしています。
例えば相撲界でも、稽古の時にヘッドギアをつけたりすることはできると思います。
もちろん大相撲とアメリカンフットボールは全く違う競技ですし、大相撲には「伝統」という側面もあるかと思います。
ですが、そういった言葉を隠れ蓑にして、力士たちの命を危険にさらすというのはもはや時代にそぐわないのではないでしょうか。
そういった部分は、競技に関わらず改善されていかなければならないと思っています。
シンプルに考えて欲しいのは、伝統を守る事と人の命や若者の将来、どちらが大事なのかということです。
今回の事故のように若い命や将来が犠牲になることは、決してあってはならないと思います。
2021/05/09
大相撲夏場所(9日初日、両国国技館)を前に8日、尾車事業部長(元大関琴風)が4大関に奮起を促した。
大関陣の優勝は昨年11月場所の貴景勝が最後で、2017年初場所の稀勢の里以来22場所ぶりだった。
今年になっても大栄翔の平幕優勝から始まり、3月は関脇の照ノ富士が優勝。
昨年も2度の平幕優勝に、関脇正代の優勝が1回。
横綱の休場、引退があっても大関陣が結果を残せないでいる。
今場所は2019年名古屋場所以来となる4大関。
尾車部長は「平幕優勝も面白いというか、エーッと思う意外性としては確かに沸くんだけど4大関そろって出てるわけだから。平幕優勝とか平幕がトップを走ることになられたんでは。見ているお客さんに番付って何なんだと思われないようにね。ここは大関の責任は大きいと思います」とハッパを掛けた。
これも期待の裏返し。
「どの大関も横綱を狙える大関だと思う。志高く持って、おれたちの中から優勝しないといけないんだと目標を立てて、あしたから臨んでもらいたいと思う」と話した。
大相撲夏場所は9日、初日を迎える。
8日は会場となる東京・墨田区の両国国技館で土俵祭りが催され、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)や審判部の親方衆らが参加して15日間の安全を祈願した。
21場所ぶりに照ノ富士(29)が大関へ復帰し、令和元年名古屋場所以来の4大関時代に。
協会のナンバー2、尾車事業部長(元大関琴風)は、2度目のかど番で迎える大関正代(29)に活を入れた。
■令和で大関の優勝1度だけ「責任は重い」■
夏場所は緊急事態宣言発令を受け、3日目(11日)までは無観客開催。
東京都で大規模イベントの人数制限が緩和される4日目以降は上限約5000人の観客を入れる。
東京開催場所の責任者でもある尾車事業部長は「お客さんが入ることで、力士も激しい相撲が見せられる」と歓迎した。
昨年の夏場所はコロナ禍で中止され、開催は2年ぶり。
土俵は4大関が名を連ねる。だが、令和になって大関の優勝は1度だけ。
5、4大関時代を経験した尾車部長は「平幕優勝も意外性で沸くが、お客さんに番付ってなんだと思われないように。大関の責任は重い」と奮起を促した。
春場所で7勝8敗と負け越し、夏場所は大関在位4場所目で早くも2度目のかど番となる正代は今場所の目標を「とりあえず勝ち越せたらいい」と繰り返している。
尾車部長は名指しこそ避けたが、正代に苦言を呈す。
一人横綱の白鵬は6場所連続休場し、大関陣は出場する力士の番付最高位。
「勝ち越しなどに目標を置かず、志を高く持って。8番勝とうと思って取っていると、8番も勝てない」。
耳に届いてほしい一喝だ。
大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)を翌日に控えた8日、同所で恒例の土俵祭りが行われた。
力士は参加しなかったが、春場所覇者で大関復帰場所となる照ノ富士(29=伊勢ケ浜)は、その後の優勝額贈呈式に出席。
公式ユーチューブチャンネルで「今場所もいい成績を残せるように頑張ります」と意気込みを語った。横綱白鵬の休場により照ノ富士を含めた4大関が出場最高位。電話取材に応じた尾車事業部長(元大関琴風)も「どの大関も横綱を狙える。早く横綱を張る人が出てきてほしい」と期待を寄せた。
緊急事態宣言の下、5月9日に大相撲夏場所が初日を迎える。
厳しい感染予防態勢の元でどんな気迫に満ちた取組を力士たちは見せてくれるのか。
全国の相撲ファンの視線が集まる。
そしてその視線の中に、小結・安の巻き返しを特別な想いで待ち望む元アスリートがいる。
女子バレー日本代表のエースとして一世を風靡した大山加奈さんだ。
「安関が頑張っている姿にいつも力を貰っているので、今場所も自分らしく戦って欲しいです」
大山さんとその家族にとって、恩人とも言える存在となった高安への想いを聞いた。
2人の縁は2016年春の巡業に始まる。
大山さんが知人の紹介で巡業先の支度部屋を訪れ、一緒に写真を撮った際にメールアドレスを交換、やりとりする仲になった。
大山さんは東京都江戸川区出身。
安の所属する田子ノ浦部屋も江戸川区小岩にあり、「家から車で5分ほどの距離です。地元の部屋ということもあり両親が熱心に応援してましたし、相撲が大好きだったので、場所がある度にテレビで応援する姿を見ていました」と話す。
一方の安は、少年時代から大山さんに憧れていた。
6歳年下の安がまだ中学生の頃、全日本で大ブレイクし『メグカナブーム』を巻き起こした大山さんを見て、バレーボール観戦に夢中になった。
187センチの長身で活躍する姿に「自分も早くこんな風に大きくなりたい」と憧れていた。
そんなお互いを意識し合うアスリート同士。
大山さんにとって、生涯忘れることの出来ない一番が生まれる。
4年前に他界した母・久美子さん(享年55歳)に膵臓ガンが見つかり、ガン専門病院に入院していた時のことだ。
「発見された時にはステージ4でかなり進行している状況で、もう手術は出来なかったんですよね。それで抗がん剤で、なんとか延命じゃないですけど治療していた」頃だという。
2017年1月、初場所の9日目。小結の安が格上の横綱・白鵬に挑んだ。
「病院のラウンジで、母と一緒にテレビで見ていました。他にも患者さんが沢山いて、この取組を注目していました」
この一番は、安と同部屋の兄弟子・稀勢の里(当時大関)が、白鵬と優勝争いを繰り広げる最中での戦いでもあった。
「安関はもちろん自分のために戦っていたと思いますが、兄弟子の稀勢の里関のためという思いもヒシヒシと伝わって来た」と大山さんは言う。
固唾をのんで見守る中、立ち会いから安が右で当たり、横綱を相手にかち上げた。その圧力に後ずさりする白鵬。あとはその好機を逃さず安が押し出した。
大山さんは、「安関が勝った瞬間、歓声が起きてみなさん一緒になって喜んでいました。ガン専門の病院だったので、どうしても重たい空気が流れていたんですけど、その空気が一変して明るいポジティブな空気になりました。
母も安関に初めて合った巡業の時に、一緒に支度部屋でお会いしたので、応援する熱量も高かったですね。私のファンだということを知ってから、さらに特別な存在になっていたので、声を出しながら応援して、喜んでいました」と振り返る。
この一番に、当時大山さんは自身のツイッターにこう書き綴っていた。
文面には、病気と闘っている母たちを元気付けてくれた安への感謝と、スポーツの力への想いが溢れた。
この取組から約1ヵ月後の2月、大山さんは田子ノ浦部屋の稽古場に、両親を連れて見学に訪れていた。
当時、母・久美子さんの病状は「厳しい状況で、治療はもう何も出来ない状況」であり、ガン専門の病院でも施せる治療がなくなり、残された時間を家族と一緒に過ごし始めていた。
大山さんの家族3人が、安の計らいで見守る中、初場所の優勝で新横綱に決まったばかりの稀勢の里との激しい稽古が始まった。
気迫の込もった三番稽古。2人は繰り返し繰り返し、何番もぶつかり合った。
「土俵の空気がピリピリしていて、あの場にいられて幸せだなって思いました。なかなか感じることが出来ない空気感でしたし、あんなに間近で本気のぶつかり合いを見ることはないので、すごく貴重な経験をさせて貰いました」
この稽古を目の当たりにした母・久美子さんは、「ちょっとうるうるしていました。あの空気感は無条件に心が動かされるものでした」と大山さんは語る。
そして稽古の後、安が久美子さんの手を握り、励ましの言葉を贈った。
「何より嬉しそうで、顔色もずっと悪かったんですけど良くなって、すごく大きなパワーを貰いました」
家族にとって、かけがえのない思い出の時間となった。
母の他界から4年、偶然にも2人は今年2月に子の親となった。
大山さんは双子の女の子を出産し、安には長女が生まれた。
現在の生活ぶりを大山さんに聞くと「大変ですが幸せを噛み締めながら過ごしています。
双子なので2人同時に泣かれると、どうしようもなくて大変ですが、偶然にも同じ時期に女の子の親になるというのはご縁を感じました」という。
一方の安は3月場所を終えた後、出産のために里帰りしていた妻が待つ北海道へ迎えに赴き、今は東京で一緒に生活を始めている。
沐浴を手伝ったり、ミルクをあげたり安の顔を見るとニコニコと笑みを返してくれるという。
この夏場所は、父親となった事をあらためて実感しながら戦うことになる。
大山さんは「守るものが増えて責任とか覚悟を感じていると思いますが、すごい真面目な方なので、難しいですが重荷にせずに、ポジティブなパワーに変えてもらいたいと思います」とエールを送る。
それでも怪我と戦いながら31歳で挑む戦いは、決して平坦ではない。
かつて大関の看板を張ったその地位への帰り咲きという期待も、確実に生まれて始めている。
「安関ならまた大関に帰り咲いてくれると信じています。身体もしんどくなるし、怪我もあって厳しいとは思うんですけど、きっとお嬢さんの存在が力になってくれると思うので、自宅で癒やされながら頑張って欲しいです」
先場所、安は終盤まで単独トップを守り、初優勝まであと一歩と迫りながら最後に力尽きた。
人々の期待を集める力士として、そして一人の父親として、飛躍をかけた15日間の土俵が明日から始まる。
大相撲初場所で初優勝を果たした小結大栄翔(27=追手風)が8日、東京・両国国技館で行われた優勝額贈呈式に出席した。
縦約3メートル、横約2メートルの額を贈られ「その大きさに驚いた。間近で見ると、すごく大きいんだなと。2場所前ですけど、改めて優勝の実感を味わいましたね」と感想を語った。
翌9日に控えた夏場所(国技館)の初日に向けて「自分のできることをやってきたつもり。しっかり力を出し切りたい。自分の相撲を取り切ることが一番」と気持ちを引き締めた。
今場所は初日から3日目(11日)までは無観客、4日目(12日)以降は観客を入れて開催される。「お客さんに入ってもらって拍手があることで、自分も力が出ると思う。ありがたいし、より一層気合が入る」と話していた。
大相撲夏場所(東京・両国国技館)初日を翌日に控えた8日、日本相撲協会の尾車事業部長(64=元大関琴風)が報道陣の取材に応じた。
前日7日、幕内竜電(30=高田川)が相撲協会が定める新型コロナウイルス対策のガイドラインに違反したことが判明。師匠の高田川親方(54=元関脇安芸乃島)の判断で夏場所を休場することになった。
尾車部長は「コンプライアンス委員会できちんと調査することになると思う。場所後に話(調査報告)を聞いて、処分しなきゃいけないような案件になるなら処分をする」と話した。
大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)を翌日に控えた8日、同所で本場所の安全を祈願する恒例の土俵祭りが行われた。
先場所に続き、新型コロナウイルス感染予防のため非公開で行われ、三役以上の力士は出席しなかった。
土俵祭りの様子は日本相撲協会の公式ユーチューブチャンネルでライブ配信された。
「大相撲夏場所」(9日初日、両国国技館)
優勝額の贈呈式が8日、東京・両国国技館で行われ、春場所で3度目優勝の大関照ノ富士(29)=伊勢ケ浜、初場所で初優勝した小結大栄翔(27)=追手風=が参加した。
21場所ぶり大関返り咲きの照ノ富士は日本相撲協会のYouTubeに「今場所もいい成績を残せるように頑張ります」と短く意気込みを語った。
今場所は一人横綱の白鵬(36)=宮城野=が休場。出場最上位の4大関、朝乃山(27)=高砂、貴景勝(24)=常盤山、正代(29)=時津風、照ノ富士で、次の横綱を目指す争いも過熱する。
東京開催場所の責任者、尾車事業部長(元大関琴風)は「どの大関も横綱を狙える大関だと思う。横綱がいない中、俺たちの中で優勝しなきゃダメという気持ちで臨んでもらいたい。早く横綱を張る人が出てきてほしい」と、4大関で場所を引っ張ることを求めた。
最近は群雄割拠の様相で誰にでも優勝チャンスがあるものの、番付の威厳も問われる。
尾車部長は「平幕優勝もおもしろいし、意外性で沸くけれど、4大関がそろって出て平幕優勝、平幕トップを走る、そうなられたら見ているお客さんは番付ってなんだと思われる。大関の責任は大きい」とハッパをかけた。
平幕上位にも大関候補の勢いある若手がいる。
「若隆景(荒汐)が上に上がってきて楽しみ。相撲がおもしろい。明生(立浪)とか元気な若手がいいんじゃないですか」と、期待した。
大相撲夏場所は9日、初日を迎えます。21場所ぶりに大関に復帰した照ノ富士は、平幕の明生との対戦です。
夏場所は9日、初日を迎え、先場所中に右ひざの手術を受けた白鵬が6場所連続で休場することになり横綱不在となりました。
今場所の出場力士で最高位となる四大関のうち、21場所ぶりに大関に復帰した照ノ富士は前頭2枚目の明生と対戦します。
過去2回の対戦はともに照ノ富士が勝っています。
先場所、持ち味の圧力のある四つ相撲で白星を重ね3回目の優勝を果たした照ノ富士は、動きのいい明生を相手にがっぷりと組むことができれば優位は動きません。
一方、自己最高位まで番付を戻した25歳の明生は、まずは休まず動き回って攻め照ノ富士を動かして勝機を伺いたいところです。
このほかの大関陣は、先場所10勝の朝乃山が過去6勝9敗と負け越している小結・大栄翔との一番、角番の正代は前頭筆頭の北勝富士と、貴景勝は前頭筆頭の若隆景と顔を合わせます。
大関経験者で、7場所ぶりに関脇に復帰した高安は、過去2回の対戦でいずれも黒星を喫した前頭2枚目、翔猿との対戦です。
大相撲夏場所は9日、東京・両国国技館で初日を迎える。
8日は土俵祭が行われ、場所中の安全を祈願した。3月の春場所で取組中に土俵に頭部を強打し救急搬送された三段目・響龍(本名・天野光稀さん)が4月28日に急性呼吸不全で亡くなったことから、日本相撲協会審判部の親方らは7日に応急対応処置の講習会を受け、本場所に臨む。
夏場所は昨年、新型コロナウイルス感染拡大で緊急事態宣言が延長されて中止になり、2年ぶりの開催となる。今年も緊急事態宣言が出される中、3日目までは無観客で、大規模イベントの人数制限が緩和される4日目の12日からは5000人を上限に実施する。
尾車事業部長(元大関・琴風)は「感染対策が一番。無事に15日間、千秋楽を迎えることを目標に頑張っていきたい」と話した。
また、協会が策定した新型コロナウイルス感染対策のガイドラインに違反する行動があったとして夏場所を休場する前頭・竜電について、コンプライアンス部長も兼ねる尾車部長は「場所後に調査し、処分しなければならないなら処分する」と述べた。
大相撲の三段目力士、響龍さん=本名・天野光稀、山口県出身、境川部屋=が4月28日午後、急性呼吸不全のため東京都内の病院で死去した。
28歳だった。日本相撲協会が29日に発表した。
響龍さんは3月26日の春場所13日目にすくい投げで敗れた際、頭部を土俵に強打。
そのまま動けなくなり、救急搬送され、入院していた。
現役力士の死去は、昨年5月に新型コロナウイルス性肺炎による多臓器不全で亡くなった三段目の勝武士さん以来。
1月の初場所では不成立となった立ち合いで頭をぶつけあい、意識がもうろうとなった力士がそのまま相撲を取ったケースがあった。
場所後に審判規則を変更し、脳しんとうなどで相撲を取れる状態ではない場合、不戦敗とすることを決めるなど、協会として安全対策を強化したばかりだった。
日本相撲協会審判部は8日、東京・両国国技館での土俵祭り終了後に、力士への迅速な応急処置の徹底を再確認した。
同協会は7日にスポーツ現場の事故対応専門家を招いて講習会を実施。
大相撲夏場所初日を翌日に控え、伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)が改めて処置の徹底を求めた。
審判部によると、応急処置の方法を説明したDVDも配布されたという。
負傷者が出た場合は全ての対応が終わってから、勝ち名乗りを上げることも申し合わせた。
大相撲では1月の初場所取組で力士が脳振とうを起こすケースが発生。
3月の春場所では土俵に頭部を強打した三段目力士、響龍の天野光稀さんが4月下旬に急性呼吸不全のために亡くなる極めて異例の事態も起きた。
2021/05/08
3月に持病の右膝を再手術した横綱白鵬(36)=宮城野=が7日、相撲協会に休場を届け出た。
昨年7月場所から6場所連続での休場となり、年6場所制となった1958年以降で、横綱としては史上3番目(ワーストは稀勢の里の8場所連続)の長さとなった。
白鵬は名古屋場所(7月4日初日、ドルフィンズアリーナ)で進退を懸ける意向を示しているが、伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)は「横綱の責任を果たしているのか果たしていないのかということになりますよね。そういう意味でこれだけ休んでいるんですから、横綱としてきちんと判断しないといけない。正直言って、ここまで休まれると、あんまり期待というものもこれから先できない」と苦言。
「出ていない人(白鵬)のことを考えても…。白鵬どうこうではなく、まず大関陣が頑張って横綱になってほしいと思ってますけど」と話した。
大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)を控えた6日、大関朝乃山(27=高砂)が電話取材に応じた。
初日向けて部屋の幕下を相手に汗を流してきた朝乃山は「手応えとかは分からないですけど、しっかり自信を持っていきたい」と意気込んでいる。
また、4都府県を対象に発出されている緊急事態宣言が延長となる見込みだが、これについては「無観客(開催)が延びる可能性もある。自分たちは精いっぱい相撲取ることが大事」と気を引き締めた。
そんな初日は母の日。これまで何かを贈った経験はないようだが「白星を届けることが一番のプレゼントじゃないですかね」と話す。
大関昇進から1年。朝乃山は「大関の地位で出場して求められるのは優勝」と言葉に力を込めた。
大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)を控えた6日、大関正代(29=時津風)が電話取材に応じた。
先月の合同稽古後は部屋で十両豊山(27)や幕下らと胸を合わせてきた。
「(1日)15番以上を目標に。問題なく調整はできたんじゃないかなと思います」。
また、春場所で課題に挙げていた立ち合いの圧力については「初日を迎えてみないとなんとも言えないですけど、意識して稽古してきたつもりです」と語った。
本来であれば、5日は地元の熊本・宇土市で聖火リレーの走者を務める予定だったが、新型コロナ禍で断念。
それでも「参加できなかったのは残念ですけど本職は力士。力士である以上協会のルールに則って生活するのが義務なので、場所で活躍して地元の人に頑張っている姿を見ていただけたら」と前を向いてる。
自身2度目のカド番となる夏場所へ「早い段階で勝ち越して、早いうちに安心したい」と正代。土俵で存在感を発揮するしかない。
大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)の取組編成会議が7日開かれ、初日と2日目の取組が決まった。
21場所ぶりに大関に返り咲いた照ノ富士は初日に先場所10勝した明生、2日目に三役経験のある北勝富士と対戦する。
師匠の伊勢ケ浜審判部長(元横綱・旭富士)によると、照ノ富士は古傷の膝が本調子ではないというが、「出るからには大関の責任を果たせるように、2桁(勝利を)目指して頑張ればいい」と話した。
横綱・白鵬は6場所連続休場。
途中休場した春場所中に右膝の手術を受け、7月の名古屋場所で進退を懸ける意向を示している。
日本相撲協会の芝田山広報部長は7日、東前頭14枚目の竜電(30)=高田川部屋=に協会が策定した新型コロナウイルス感染対策のガイドラインに抵触する行為があり、夏場所を休場すると明らかにした。
緊急事態宣言中は無観客で行われる大相撲5月場所の注目は、御嶽海(28)と大栄翔(27)の両小結だ。
対戦成績は御嶽海の8勝7敗と、ほぼトントン。
大関を目指す者として双方ともに負けられないだろう――が、この2人、相撲に関しては正反対だ。
御嶽海は平幕在位9場所に対して、三役在位が5月で24場所目。
一見凄い数字に見えるものの、稽古不足がたたって「強いのに安定しない」というだけの話だ。
むしろ昇進できない「万年三役」と言うべきだろう。
一方、大栄翔は地道な努力の人。
昨年から幕内で頭角を現し、今年1月場所で自身初優勝した。
御嶽海、大栄翔とも大関の朝乃山、正代に勝ち越すなど、上位陣には強い。
ある親方は「御嶽海が昇進するなら今年がラストチャンスではないか」と、こう続ける。
「素質はピカイチなのに稽古をしない。
本人は今場所に向けて『2ケタしか考えていない』と話していたが、もはや角界でも彼の大関昇進を期待する声は皆無ですよ。
“三年先の稽古”をおろそかにしてきたのだから、いつ下降線に突入してもおかしくない。
大栄翔はその逆。
苦労がようやく実を結び、今後も伸びていく力士です。
先場所序盤は気持ちだけが空回りした雑な相撲で4連敗を喫したが、その後は持ち直した。こっちの方が断然期待できますよ」
とはいえ、御嶽海も優勝2回。
忘れた頃にいつの間にか賜杯を掴んでいる。
努力家が勝つか、それとも天才肌があざ笑うのか……。
日本相撲協会は7日、大相撲夏場所4日目の12日から観客を入れて開催すると発表した。
政府が東京都などに発令中の緊急事態宣言の延長を決めた際、当初期限だった11日まで「原則無観客」としていたスポーツなど大規模イベントの制限を緩和したことを受けて、協会は観客を入れた開催が可能と判断した。
すでに上限5000人の想定でチケットを販売済みで、新たな販売は行わないという。
9日に初日を迎える大相撲夏場所(両国国技館)では、新三役の座を狙う前頭筆頭の若隆景(わかたかかげ)(26)と前頭2枚目の明生(めいせい)(25)が注目される。
ともに3月の春場所で10勝を挙げ初三賞を獲得。
スピード感あふれる取り口も共通している。
初日、2日目はいずれも大関戦が組まれ、力が試される。
東洋大出身の若隆景は3兄弟の三男。
同部屋の長男若隆元(わかたかもと)(幕下)、次男若元春(わかもとはる)(十両)と兄弟力士として注目されてきた。
低い体勢からの押っつけを武器に、前頭2枚目の先場所は技能賞に輝いた。
師匠の荒汐親方(元幕内蒼国来(そうこくらい))は「前は立ち合いが軽かった。それをなくすために意識して稽古している。そこが思ったより早くできてきた」と成長を認める。
初日の貴景勝、2日目の正代は先場所倒しており、再現を狙う。
若隆景は「自分の相撲を取り切って勝ち越しを目指したい」と三役を見据えている。
明生は中卒で角界入りして10年が経過した。
「学生(出身)の人たちに負けたくない」と話すように、負けん気の強さと豊富な稽古量で頭角を現した。
先場所は前頭3枚目で敢闘賞を受賞し、勢いに乗る。
三役が視界に入る夏場所へ、「自分の相撲を信じて15日間取り切れば大丈夫」と力強い。
初日は大関に復帰した照ノ富士戦が組まれた。
同期入門で強く意識している相手だ。
結果を出して弾みをつけたい。
日本相撲協会審判部は7日、東京・両国国技館で取組編成会議を開き、大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)の初日と2日目の取組を決めた。
3月の春場所を3日目から途中休場し右膝を手術した横綱白鵬(36=宮城野)は、かねて師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)が示唆していた通り、休場届を提出。
6場所連続休場が決まった。
年6場所制となった58年以降で、横綱として6場所連続休場は3番目の長さとなった(最長は稀勢の里の8場所連続)。
これにより出場する番付最上位は、今場所から4人になった大関陣となった。
十両以上の休場は白鵬の他、平幕の碧山(34=春日野)、竜電(30=高田川)、翠富士(24=伊勢ケ浜)の4人で、28人の十両で休場力士はおらず、14番が組まれた。
その十両で注目は4場所ぶりの幕内返り咲きを狙う炎鵬(26=宮城野)。
東前頭筆頭の最上位で、勝ち越せば昨年11月場所以来の幕内復帰は確実だ。
初日は西筆頭の千代ノ皇(九重)と対戦する。
また、こちらも17年九州場所以来の再入幕を目指す宇良(28=木瀬)も、西十両2枚目の好位置につけておりファンの期待は高まる。
初日は東龍(玉ノ井)と対戦する。
大相撲の力士が取組でケガをして倒れた際などに、審判や警備を担当する親方がどのように対処すべきかを学ぶ講習会が開かれ、担架で搬送し、医師に引き渡すまでの手順を確認しました。
この講習会は、東京 両国の国技館で開かれ、審判や警備担当の親方のほか、国技館内にある診療所の医師など、およそ60人が参加しました。
スポーツの現場で安全な環境作りを支援するNPO法人の担当者の指導を受けながら、力士が取組で頭を打つなどして、うつぶせや、あおむけの状態で動けなくなった際、安全に担架に乗せて搬送し、医師に引き渡すまでの手順を学びました。
参加した人たちは、力士に見立てた親方の首を固定し、あおむけにしてから担架に乗せたあと、慎重に搬送していました。
相撲協会の警備本部長を務める春日野親方は「医師に少しでも早く力士の状態を判断してもらうためには、迅速な対応が必要だ」と話していました。
大相撲では、ことし春場所の取組で土俵に頭を打ちつけて搬送され、入院を続けていた三段目の力士が急性呼吸不全のため、亡くなりました。
1月の初場所では、幕下で立ち合いが不成立となった際、頭でぶつかりあった力士がしばらく立ち上がることができず、仕切り直した取組があり、相撲協会は、立ち合いの成立前に力士が脳しんとうを起こすなどして危険な状態だと判断された場合、相撲を取らせず不戦敗とできるよう審判規則を変更しています。
大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)を控えた7日、伊勢ヶ浜審判部長(60=元横綱旭富士)が電話取材に応じ、6場所連続休場の横綱白鵬(36=宮城野)に苦言を呈した。
白鵬は春場所に出場しながらも右ヒザの状態が悪化して3日目から途中休場。
その後、右ヒザを再手術し、名古屋場所(7月4日初日、愛知県体育館)で進退をかける意向を示している。
しかし、6場所連続の休場は年6場所制となった1958年以降、横綱としては史上3番目の長さ(ワーストは稀勢の里の8場所連続)。
こうした状況に伊勢ヶ浜部長は「ケガして痛くて出れないんだろうけども、こういう状態がずっと続いているのは結果として出ている。じゃあ、ここで横綱の責任を果たしているか、果たしていないかということになる。そういう意味ではこれだけ休んでいるわけだから、そこでどうかというのは、自分が横綱としてきちんと判断しないといけないこと」と厳しく指摘する。
続けて「正直言ってここまで休まれると、期待というものもこれから先できない状態。これは当たり前のことで、誰もがそう思うこと」と言いきった。
白鵬自身は術後のリハビリを経て再び土俵に立つ決意だが、伊勢ヶ浜部長は「早く治して出てほしいという気持ちもあるが、毎回同じこと言ってますから。
ここまで来てしまうと、もう本人の問題。なので、白鵬がどうこうではなく、まず大関陣が頑張って横綱を目指して頑張ってほしい」と、出場力士最上位≠ノ奮起を促した。
春場所後に開かれた横綱審議委員会の定例会合では、昨年11月場所後に決議した「注意」が継続となったが…。
優勝44回の大横綱への風当たりは強まるばかりだ。
大相撲の序ノ口力士、勝南桜(22=式秀)が、3月の春場所で90連敗を喫した。
もう2年以上、白星がない。不謹慎ながら、対戦が決まった相手は戦う前から勝ったも同然、ラッキーだと思うのだろうなと勝手に考えていた。
ところが違った。
春場所後、勝南桜と対戦したある力士に聞くと「すごいプレッシャーでした。絶対に負けちゃいけないので」と打ち明けた。
その力士の師匠も「そりゃあ、プレッシャーですよ。負けたらヤフーニュースになってしまいます。相撲に絶対はありませんから」と話していた。意外な事実だった。
確かに、相撲に絶対はない。力の差があっても、実力上位が足を滑らせることもある。
何が起きるか分からない。
90連敗と言っても、その一番一番をよく見ると、かなり善戦している取組もあるのだ。
勝南桜は2015年九州場所で序ノ口デビュー以来、3勝224敗1休。最長の連敗記録を現在継続中で、次の白星は、これまでの3勝以上に注目されるだろう。
ここで思い出すのは、二子山親方(元大関雅山)の行動だ。
以前、二子山部屋の力士が服部桜(現在の勝南桜)に負けた。
二子山親方がまずやったことは、弟子をしかることではない。
ほかの兄弟子らに連絡を入れ、こう言った。
「いいか、絶対にバカにしちゃだめだぞ。服部桜だって一生懸命稽古して、強くなっているんだ」
頭が真っ白になったであろう、その力士の気持ちを思いやり、相手も尊重した。
その一番で負けた力士は盛り返し、その場所で勝ち越した。
私は4年前、勝南桜(当時は服部桜)が所属する式秀部屋の稽古を見たことがある。
本場所では立ち合いの当たりを怖がっているように見えたが、稽古場ではその改善に努めていた。
式秀親方(元幕内北桜)の熱血指導のもと、強度を徐々に高めながら頭と頭をぶつけ合ったりと、本場所を意識して稽古していた。
内容も濃い。
これを続ければ、もっと勝てると思えた。
やる気も感じた。
どうやら、稽古場の力を本場所で発揮できないタイプのようだ。
まもなく夏場所が始まる。
幕内が最高レベルであることは言うまでもないが、序ノ口には序ノ口なりの意地や重圧がある。
それを心の片隅に置きつつ、勝負を見守りたい。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱・大乃国)は6日、電話取材に応じ、力士659人に行ったPCR検査で、全員が陰性であったことを発表した。
力士以外の協会員約260人も3日までに検査を受け、陰性。
同部長は「協会員約900人ちょっと、感染者ゼロということで結果がでています。とくに発熱者、体調不良者の報告は受けていません」と説明した。
場所前の全協会員を対象としたPCR検査は今場所で3度目だが、1人も陽性者が確認されなかったのは初めて。
芝田山部長は「協会員がみんな感染予防対策に対して、一生懸命取り組んで協力してくれている一つの証だと思います」と語った。
夏場所(東京・両国国技館)は9日初日と目前だけに「今日も協会員にはPCR検査の結果とともに、引き続き、感染予防対策に努めてもらいたいと伝えた」という。
今場所は緊急事態宣言下で初日を迎え、3日目までは無観客開催となる。
宣言が延長される可能性も高まっており、この日の定例会議でも対応を話し合ったという。
万全の状態で初日を迎えるべく、同部長は「場所に入れば人と人との接触も多くなる。引き続き、感染予防対策をして、行動して下さいと通達した」と話した。
2021/05/07
3月に右膝を手術し、夏場所で6場所連続休場が確実視される横綱白鵬は、都内の部屋で術後初めて四股を踏んで汗を流した。
師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)が明らかにした。
7月の名古屋場所で進退を懸ける意向。
術後はリハビリに努め、経過は良好だという。
苦境に立つ横綱について、同親方は「本人が一番分かっていると思う。いい相撲を取れるようにしていくだけ」と語った。
大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)の初日まで3日となった6日、大関朝乃山(27=高砂)が朝稽古後に、報道陣の電話取材に応じた。
先月19日から4日間の日程で行われた合同稽古では、連日の三番稽古(同じ相手と連続して相撲を取る)で、同じ大関の正代(29=時津風)や小結御嶽海(28=出羽海)らと約60番取り、実戦感覚を磨いた。
その後の部屋での稽古は関取衆不在のため連日、幕下以下の若い衆と稽古。
この日は「勝敗に関係なく番数を取ろうと思って20番ぐらい」(朝乃山)取った。
調整に入る時期でもあるため少なめのようだが、番付発表後は30番ほど取ったという。
2年前の夏場所は、トランプ前米国大統領から大統領杯を贈られた記念すべき初優勝。
昨年の夏場所は新大関として臨むはずが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて中止。
何かと縁深い場所を前に「気付けばもう大関になって1年がたちます。大関になってふがいないし、納得いかない結果になっている。大関に求められるのは優勝ですから」と、休場を除けば8場所連続2ケタ勝利中にも、さらなる向上を自分に求めた。
結果的には2ケタ勝利を挙げても、番付下位への取りこぼしで優勝争いには、なかなか加われない状況が続く。
「自分より下の番付(の力士)に負けないことが大事。それを突破しても大関同士で(の対戦)も勝っていかないといけない」と本人も重々、承知のことだ。
大関昇進時に先代の師匠(現錦島親方=元大関朝潮)から「13勝で優勝しなければダメだ」と言われたことも頭にあり「12番しかないので、それ以上、勝たないといけない」とクリアすべき数字も明確に挙げた。
季節がら相撲界では関取衆が、後援者らに日頃の感謝のしるしとして贈る、浴衣地の反物を作るシーズンだ。
朝乃山は今年、チューリップをデザインした反物を作った。出身地・富山の名花で「地元のやつを何か入れようかなと思ってチューリップがあるので。皆さんに喜んでいただけるように、少しでも地元を入れたいと思って」と説明。
夏場所初日は母の日でもあり「5月場所と(母の日が)重なるので白星を届けることが一番のプレゼント」と話すように、浴衣地の反物同様、感謝の思いを土俵上の白星とともに送る。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)にかど番で臨む大関正代(29=時津風)が6日、都内の部屋で行った朝稽古後に、報道陣の電話取材に応じた。
この日は、幕下以下の若い衆と約20番相撲を取ったと説明。
「とりあえず初日を迎えてみないと何とも言えないけど、立ち合いの圧力や出足は意識して稽古はしてきたつもりです」と感触を口にした。
かど番は初場所以来2度目となる。
春場所では、思うような立ち合いが出来ずに7勝8敗と及ばず。
同場所後は、立ち合いの確認を入念に行ってきたという。
「できるだけ番数をなるべく多く取って、どういう状況でも出足と圧力が相手に伝えられるように、いろいろ試しながらやった」と説明。
大関4場所目にして、早くも2度目のかど番だが「前回のかど番に比べるとモチベーションといいますか、そういうのは安定はしている。あまり考えないようにしている」と自然体を強調した。
本来であれば5月5日に、東京五輪の聖火ランナーとして地元・熊本を走る予定だった。
しかし、時期が本場所4日前だったことや新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより辞退。
直接、地元で勇姿を見せることはできなかったが「参加できなかったのは残念だけど本職は力士。
今回は残念でしたけど、場所の方で活躍して地元の人に頑張っている姿を見ていただけたら、それでいいかなと思っています」と言葉に力を込めた。
かど番脱出を目指す夏場所は、緊急事態宣言発令に伴い、3日目までの無観客開催が決まっている。
しかし、緊急事態宣言は延長される可能性があり、それに合わせて4日目以降も無観客開催となる可能性も出てきた。
「去年の3月に無観客の経験はしているので違和感はそこまでない。あまり影響を受けずに自分の相撲を取り切れたら、テレビで見ていただいている方にも楽しんでもらえると思う」と話した。
「とりあえず勝ち越せたらいい。今回に関しては勝ち越さんと話にならないので」と、かど番脱出に全神経を集中させる。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)で6場所連続の三役在位となる小結御嶽海(28=出羽海)は2日、都内の部屋で基礎運動を中心に稽古を行った。
報道陣の電話取材に応じ、緊急事態宣言下のため3日目まで無観客開催となる夏場所へ「無観客だからこそ頑張らないといけない」と意気込んだ。
故郷の長野県上松町でスナックを経営する母マルガリータさんは、1年以上も観戦に訪れていない。
母がテレビ画面越しで声援を送る本場所へ「2桁。そこしか見えていない」と、10勝以上を目標に掲げた。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)で返り三役2場所目となる小結大栄翔(27=追手風)が28日、埼玉・草加市の部屋で関取衆との申し合い稽古などを行い汗を流した。
報道陣の電話取材に応じ「今日は20番くらい。いつも通り本当にいい稽古ができています」と話した。
初場所の優勝力士として迎えた春場所では、初日から4連敗を喫しながらも、中盤以降は立て直して千秋楽で勝ち越しを決めた。
「まだまだやっぱり実力も安定していない。力もまだまだなのかなという思いですね」と、さらなる成長を期す。
昨年春から日大大学院に通い文武両道を実践中。
コロナ禍のため授業は全てリモート形式という。
直近では4月の入学生との自己紹介や、修士論文の方向性などについて話し合った。
「だいぶ慣れてきましたね。まだまだですけど。大学院も稽古も(外に)出られないからこそ時間をいいふうに利用してやっている」と時間を効率よく使う。
春場所後には埼玉・朝霞市の実家に日帰りで帰省。愛犬チロルとの散歩でリフレッシュした。
夏場所は照ノ富士が大関に復帰して4大関となる。
次の大関候補として期待される27歳は「出るからにはいい成績残して、上を目指すという思い。やっぱり今は関脇に上がりたいですね」と意欲を示した。
緊急事態宣言下のため3日目まで無観客開催。
「テレビの前でたくさん見ている方がいると思う。4日目以降はお客さんもたくさん入ってくれると思うので、しっかりいい相撲見せられるように頑張りたいです」と意気込んだ。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)に自己最高位の東前頭筆頭で臨む若隆景(26=荒汐)が28日、都内の部屋で申し合い稽古を行った。
報道陣の電話取材に応じ、兄で十両の若元春らと約20番取ったと説明。
番付発表前に実施された合同稽古にも参加しており「合同稽古でもいい稽古が出来たと思う。これからもう少ししっかり体を作ってやっていきたい」と話した。
西前頭2枚目で臨んだ3月の春場所では、10勝して初の技能賞を獲得するなど奮闘した。
しかし、同場所では関脇、小結陣が全員勝ち越すなど、番付運に恵まれずに新三役の座はつかめなかった。
それでも「しっかりやろうという気持ち。番付発表があったので、また気が引き締まる気持ちです」と気にすることはなかった。
また、春場所では貴景勝と正代の2大関を撃破。
「慣れてきたかと言われたら分からないけど、緊張はせずに思い切ってやれると思う」と夏場所では春場所の経験を生かす。
春場所での技能賞獲得につながった強烈なおっつけは「相撲を小学1年生からやってますけど、その頃から下からの攻めというのは常日頃ずっと言われてきたこと」と20年以上磨いてきたものだという。
原点を磨いた地元・福島には、春場所後に日帰りで帰省した。
英気を養い「自分の相撲を取りきって、勝ち越しを目指したい」と宣言するように、2場所連続勝ち越しと今度こそ新三役の座をつかみ取る。
大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)で東前頭2枚目に就いた明生(25=立浪)が新三役への思いを語った。
5日、茨城・つくばみらい市での部屋での稽古後、報道陣の電話取材に応じた。
春場所では2大関撃破を含む10勝5敗で、初めての敢闘賞も獲得するなど飛躍。
自己最高位に並ぶ夏場所に向けて「しっかり気持ちを強く持って自分の相撲を信じて、15日間取り切れば大丈夫。まずは三役に上がりたい気持ちを強く持っています」と意気込んだ。
左上腕の負傷で昨年初場所を休場して以降、専属トレーナーをつけた効果が出ているという。
「(専属トレーナーとのトレーニングを)週4回くらい、2時間くらいやっている。相撲は動きがある中でのトレーニングなので、動きを取り入れたトレーニングだったり、そういうことを意識しながらやっている。全部(相撲に)生きていると思う」。
稽古熱心で知られるが、けがをするまでは土俵外でのトレーニングに頓着していなかった。
「相撲を強くなるのは相撲しかないという意識ではいたので、そこの意識、考え方が少し変わった」と明かした。
11年技量審査場所が初土俵で、夏場所から11年目となる。
大関復帰を果たした照ノ富士や、幕下15枚目付け出しでデビューした日体大出身の千代大龍らが同期。
中学を卒業して15歳で入門した明生は「学生の人たちに負けたくないなとずっと思ってましたね」。
新弟子のとき、教習所の稽古ではレベルの高いA土俵へ勝手に乗り込んでいたと振り返る。
「吹っ飛ばされていた。(相手は)学生ばっかりで。何か負けたくなかったので(A土俵に)いったんですけど、全然相手になっていなかったと思います」。
元来の負けず嫌いだった。
入門から丸10年がたち、三役目前の地位まで番付を上げた。
「やはり三役とかそういうことより、入門したときからずっと横綱になりたくて入ってきた。簡単なことではないが、横綱にと思ってやってきて入ってきたので、ずっと思って10年たった」。
高い志を持って今後も出世を目指す。
この日は平幕の豊昇龍、天空海らを相手に約20番取って汗を流した。
初日まで残り4日。
「上位なので厳しい戦いになると思う。しっかり勝ち越せるように強い気持ちで土俵に上がりたい」と話した。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)まで10日となった29日、平幕の千代の国(30=九重)が朝稽古後に、報道陣の電話取材に応じた。
3月の春場所は、8勝目を挙げ勝ち越しを決めた翌日の13日目から休場した。
「右母趾(ぼし)脱臼、左肋骨(ろっこつ)骨折」の診断だった。
右手親指は5日目の竜電戦で突いている途中で痛め、左脇腹は「10日目ぐらいより前から、ちょっとおかしいなという感じがあった。右手の親指が痛くて右が使えない分、ちょっと左の脇の方に負担がかかっちゃったのかなと思う」と言う。
5日目に右手親指を痛めたが「ケガしてからの(相撲)内容が悪すぎる。引きとか逆転が多くなってきて、体に負担が倍以上かかって、結果的に休場となっている。まずはケガをしないということ」を先場所の反省点とした。
膝のケガで幕下以下に落ちるなど、幾度も泣かされてきた。
克服するのに「少しずつ少しずつ、コツコツコツコツという感じで」と話すように、焦りや気負いを自制する大切さを自分に言い聞かせた。
それは「今回のケガで、より意識するようになった。前のケガより、よりいっそうという感じで。前は『休んじゃダメ、休んじゃダメ』と無理して(本当の)心の声を聞いてあげられなかった。今は毎日、体の声を聞いてあげながら無理しないで毎日続けている」と継続の重要性を理解した。
春場所は8勝5敗2休で、1点の勝ち越しだった。
それでも番付運が味方し今場所は、東前頭9枚目から西前頭3枚目と、一気に6枚も番付を上げた。
最高位は4年前の同じ夏場所の東前頭筆頭で、上位総当たりは約3年ぶり。
久々に、荒々しい敢闘精神あふれる千代の国らしい相撲が、幕内後半戦で見られる。
「特に気負いとかはないけど、どこまで通用するのか。変に気負っちゃうとダメなので、いつも通りじゃないですかね」と自制を言い聞かせる一方、念願の新三役への思いは「もちろん、もちろんですよ。ずっと本当に、ここ何年も目標にしていることなので」と意気込みは隠せない。
愛夫人と長女との公園遊びが、つかの間の息抜きになっているという。
「もうね、子どもは公園が好きなんで。出来るときは公園に連れて行ってあげています。その時は相撲のことも考えないし、息抜きになる。一緒に散歩したり」と笑いながら父親の一面ものぞかせていた。
大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)で東前頭5枚目に就いた元横綱朝青龍のおい、豊昇龍(21=立浪)が3日、約3年半過ごした茨城・つくばみらい市の部屋から通う最後の場所に向けて「最後の場所となるので、何とか力を出し切るしかないですね」と意気込んだ。
夏場所後に部屋がつくばみらい市から、2月中旬まで常盤山部屋が使用していた東京都台東区の建物に移転する。
稽古後に報道陣の電話取材に応じ「(つくばみらい市の部屋は)入門してからずっといたので。(両国国技館に)近くなるのはいいけど、自分は茨城の部屋が好きでしたよ」と話した。
自然豊かなモンゴル出身。部屋から車で1時間半ほどの筑波山(つくば市、標高877メートル)を登るのが好きだった。
「関取になってからよく登りに行っていた。1カ月に1回は行ってました。トレーニングより気持ちのリフレッシュ。モンゴル人は山に登るの好きなんで。昔のことを思い浮かべる。筑波のいろんな場所はモンゴルに似ている感じがして。引っ越しても行きたいね」。
移転先からほど近い浅草には、高さ634メートルの東京スカイツリーがあるが「スカイツリーは山じゃないね(笑い)」と笑い、現時点での高い関心は示さなかった。
現部屋での最後の場所は、自己最高位で役力士と対戦する可能性もある。
「番付を見たとき、わくわくして早く場所始まらないかなと。体もわくわくして半端なかったです」。
おじからは「アドバイスはなかったけど『立ち合い甘いな』と(言われて)、立ち合いのことを意識しました」という。
目標は勝ち越し。
「早くやりたい。上位倒したらどんだけ気持ちがいいかと」と興奮気味に語った。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)で西前頭12枚目に就いた隠岐の海(35=八角)が1日、昨年春場所以来となる無観客開催の場所に向けて気持ちを高めた。
都内の部屋での稽古後、報道陣の電話取材に応じ「(無観客は)そんなに嫌じゃない。逆にお客さんが入ってもシーンとしている方が緊張しますよ。自分結構土俵に上がるとむせるタイプなので、せき払いとかしづらいなあとか無観客の時はありましたけど、意外と稽古場みたいで自分は嫌いじゃないですけどね」と話した。
昨年秋場所から4場所連続で負け越しており、「やっぱり体が硬いですよ。小さなけがをかばっていると思いますし、その積み重ねが良くないのかもしれない」と不調の原因を分析する。
7月には36歳の誕生日を迎えるベテラン。
「もうひと花、もうひと花と思いながらやっているけどね。もうひと花と言いながら5年も10年もたっている」と笑った。
春場所後に旧東関部屋の力士が八角部屋に転属したため、計30人という大所帯となった。
「いい雰囲気ですよ。東関部屋の魂もですね、(19年12月に41歳で死去した)前親方の潮丸関の気持ちを引き継いで一生懸命やってほしいですよね」と期待を寄せた。
悲しいニュースもあった。
先月28日に境川部屋の三段目力士、響龍(ひびきりゅう)の天野光稀(あまの・みつき)さんが急性呼吸不全のため東京都内の病院で死去。
響龍さんは春場所13日目の取組で、すくい投げを食った際に頭部を強打し、自力で立ち上がることができず都内の病院に救急搬送され、入院先で寝たきりの状態が続いていた。
「つらいと思いますよ。対戦相手の子も。何もないと思ったって感じることがあるだろうし、自分らだってきついから」。
土俵に頭を打つなどの衝撃で電気が走り、腕が上がらなくなるなどのアクシデントは、力士にとって珍しくないという。
「よくあることって『大丈夫、大丈夫』ってなっちゃうんですよね。
やっぱり『それを乗り越えて先がある』ってなっちゃうし、顔から落ちろっていう指導もあるし。でも本当に危ないときは手を着かないといけないと思いましたよ」。
自身も巡業の稽古で投げの打ち合いの結果、頭から落ちて腕のしびれが半日なくならなかったことがあるという。
「紙一重なところをいっているんですよね。それを怖がって相撲にならないのもいけないですしね。こればかりは難しいですよ。だから我々は一生懸命にやるだけ。それが最大限の予防」と話した。
日本相撲協会の理事長を務める師匠の八角親方(元横綱北勝海)からは、響龍さんの死去を受けて力士に話があったという。
「とにかくそれだけ危ないことをやっているんだという話はありましたね。気を引き締めてやらないとダメだ、と。改めて気を引き締めてやろうということはありましたね。それ以上、あまり言い過ぎても、かえってびびっちゃうし、頭にみんな残っていますからね、衝撃が。考えれば考えるほど怖いだろうし。一生懸命やるのが正解なんじゃないですかね」と話した。
大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)で2場所ぶりの幕内復帰を果たした東前頭17枚目天空海(30=立浪)が5日、春場所中に再び追突事故に巻き込まれていたことを明かした。
茨城・つくばみらい市の部屋での稽古後、報道陣の電話取材に応じ「(春場所)2日目ですね。びっくりですよ。ぎりぎり(土俵入りに)間に合ったから良かったけど」と当時の心境を明かした。
天空海は場所中、つくばみらい市の部屋から父の送迎で国技館まで移動している。
所要時間は約1時間、渋滞時は約1時間半という。
昨年11月場所中も部屋から両国国技館に移動している最中、高速道路を下りて出入り口で信号待ちしているところで、後方からダンプカーに追突された。
当時乗っていた車の後方部はへこみ、自身は大事には至らなかったものの病院でむち打ちの診断を受けた。
春場所で巻き込まれた2度目の追突事故は、高速道路の料金所を出たところで「左後ろから突っ込まれた」と説明。
「本線に入った後ですね。本線入って、あっちは一番左の料金所から入ってきて、急いでたんじゃないですかね。しかも向こうは無保険、無車検だったんですよ。やんなっちゃいますよ、踏んだり蹴ったり(笑い)。勘弁して欲しいですよ。(昨年11月場所で追突事故に巻き込まれた)前の車から買い替えたばっかで、事故車になっちゃいました、すぐに」。
車の修理費は約60万円で、現状は自腹。
「(向こうは)保険も入ってないから。(修理費は)自分の保険を減らすしかない」と嘆いた。
自身は後部座席で追突の衝撃をもろに受けた。
事故時は頸椎(けいつい)を捻挫したというが、痛みを抱えながらも8勝7敗で勝ち越し。
「がむしゃらに出ようと思って出たりしていたら、勝ちがどんどん重なってって感じですね。当てられた場所は勝ち越しているんですよね。当たりがいいのかもしれないですね」と自身の“超人”ぶりに驚いていた。
自動車保険に加入していたことも幸い。
保険会社からの懸賞を期待したいかと問われると「自分は日新火災なので日新火災が希望です」と笑った。
再入幕の夏場所まで残り4日。
同部屋の明生と豊昇龍は幕内上位に就いただけに「早く追いつけるように大勝ちして。追いついて抜かしたいですね」と意気込んだ。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)で西十両2枚目に就いた人気業師の宇良(28=木瀬)が3日、“ミニマリスト”になったことを明らかにした。
報道陣の電話取材に応じ「最近ミニマリストに憧れていた。本格的に始めたのは去年の4月くらい。いろいろメリットがあるので」と説明した。
物欲が強いタイプではないが、もらい物などを部屋にため込んでしまう傾向があったという。
「(昨年春に)大阪に帰ってから、ずっとユーチューブで勉強して、本も読んできた。(何冊読んだかは)読み過ぎて分からない」。
現在は服なども必要な分だけ残し、Tシャツは5枚に厳選。
服選びに費やす時間や、部屋掃除の時間が減った。
「自分に必要なものは何かを見つめ直せた。整頓もしなくていい。置く場所も決まっている。モノの住所を決めるじゃないけど、自然とちらからないような部屋になった」。
紙媒体で読んでいたミニマリスト関連の書籍は古本屋に売り、電子書籍に切り替える徹底ぶりだ。
ミニマリストに転身したことで、本業の相撲でも「(プラスになったことは)ありますよ。自分が日常で何をやるか明確になった。自分に使う時間も増える」と強調する。
関取復帰3場所目となった先場所は、左ふくらはぎの負傷で途中休場がありながら2桁白星に到達。
17年九州場所以来の幕内復帰も見えてきた。
公称の体重は143キロ。
「自分で言うのもなんなんですが」と前置きした上で「昔(幕内で活躍していた時期)の動きにはついていけないが、絶対体は強くなっている。失ったものを別のもので補っている感じ」と説明。
アクロバティックな動き以上に、力強くなった押しの威力を好調の要因に挙げた。
押しに磨きをかけるため、さらなる体重増が必要と考えている。
自身の食の細さを認める宇良。
「楽しく(食事を)している人がうらやましい。僕はけがもあって仕方なくこういう形で取っているけど、仕方ないからやっているだけ。僕は痩せたいです」と冗談っぽく話し、笑いを誘った。
大相撲東十両12枚目、千代の海(28=九重)が1日、長野県出身の看護師の女性(28)と4月29日に結婚したことを明らかにした。
師匠の九重親方(元大関千代大海)の誕生日に合わせて婚姻届を提出した。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)で自己最高位の東前頭6枚目に就いた英乃海(31=木瀬)が3日、兄弟同時三役への思いを語った。
都内の部屋での稽古後に報道陣の電話取材に対応。
弟の西前頭筆頭2枚目翔猿(28=追手風)が新三役に迫っていることについて「負けずに頑張りたい」と刺激を受けていた。
春場所で再入幕を果たし、史上9組目の同時幕内となった。
「今までも何組もいますからね。上には上がいる。
一番上だと両方横綱(3代目若乃花と貴乃花)という人たちがいたのであれですけど。お互い三役くらいになったらうれしい」と話した。
翔猿への対抗心については「全くないといったらウソ」と高め合う存在だが「敵対心はない」という。
「弟ですから。『(上位に)上がりやがってこの野郎!』とかはない」。
普段から連絡を取る関係ではないものの、仲はいい。
この日の取材でも翔猿の性格について「兄とか他人とか関係なく人に興味がないんですよね。すみません、言い方間違えたけど、男の人には興味がなくて。今は女の子と相撲のことしか頭にないんじゃないですか」といじり倒した。
翔猿以上に刺激を受ける存在が兄弟子の明瀬山(35=木瀬)だ。
自身も先場所まで幕内での勝ち越しがなかったが、明瀬山は今年の初場所で35歳にして初めて幕内で勝ち越しを決めた。
「何がきっかけになって奮起しましたかと聞かれて、弟さんですか? とよく聞かれるけど、意外とそんなことはなくて、最近思ったのは明瀬山関は本当にすごいなと。あの年齢で初めて勝ち越した。全然まだまだやれるなと思ったのは、それがきっかけ」。
自身も15年名古屋場所に新入幕を果たしたが、5年以上も幕内と十両をいったりきたりだった。
年齢を重ねても諦めない兄弟子がお手本だ。
明瀬山は埼玉栄高、日大の先輩でもあり、仲もいい。
「いつも僕は明瀬山関のことが好きだからいじっていて、そういう(尊敬している)ことを言うといじってると思われて、また怒られちゃうから言ったことはないですけど、本当に思っているし、かわいがってもらえている。あの人は本当にコツコツやる人ですし、すごいなと思います」。
2場所連続2桁白星を目指す来場所。
先場所は「自分でもびっくりするくらい内容も成績も良かった」と振り返る。
場所後の6月に32歳の誕生日を迎える。
「30超えて勢いだけで相撲取れない。頭を使って相撲を取りたい。今までは前に出て流れで何とか勝てればという相撲だったが、考えて相手の弱いところを攻めないと馬力負けしてしまう」。
夏場所は緊急事態宣言下のため3日目まで無観客開催。
「相手のタオルがめちゃくちゃ多いと、めちゃくちゃやる気が出る。めちゃくちゃ燃えますね。勝ったら『どうだ』って感じになります。3日以降(観客が)入るといいんですけどね」と望んでいた。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は6日、大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)に向けて実施した力士659人の新型コロナウイルス感染を調べるPCR検査の結果について、全員が陰性であったことを発表した。
報道陣の電話取材で明かした。
検査は5日に実施。
これで親方衆らを含めて、PCR検査を受けた協会員約900人全員が陰性という結果になった。
全員が陰性という結果について「協会員みんなが感染予防策に対して、一生懸命取り組んで協力してくれている1つの証だと思う。今回は0を達成できた。非常によかった。これから(夏場所)初日を迎える。場所に入れば人と人との接触も多くなる。引き続き、感染予防対策をして行動して下さい、と通達した」などと話した。
緊急事態宣言を受けて、夏場所は宣言期間と重なる3日目までの無観客開催が決まっている。
しかし、同宣言が延長される可能性があり、延長された場合の対応については「状況が出ないことにはお話しできない」と話した。
大相撲の先代時津風親方(元前頭時津海)を父に持つ長男の木竜皇(18、本名・坂本博一)と次男の春雷(16、本名・坂本正真)がそろって立浪部屋に入門し、夏場所(9日初日、東京・両国国技館)で初土俵を踏む。
先月28日の新弟子検査合格を経て前相撲でデビューする予定。
将来性豊かな坂本兄弟に、周囲も期待の声を寄せる。
坂本兄弟はすでに、部屋の幕下を相手に相撲を取っている。
5日に報道陣の電話取材に応じた天空海は「持ち前のセンスというか、真面目ですよ。びっくりするくらい。みんな見習うくらい。自分らを見直しちゃうくらい、まじめで謙虚ですね」と2人の稽古姿勢を褒めれば、千葉・柏第二中の先輩でもある豊昇龍は「すぐ上がってくると思いますね」と早期の出世を予感。
師匠の立浪親方(元小結旭豊)は「関取(明生、豊昇龍、天空海)の次の勢力になってもらうように期待しています」と期待を寄せていた。
3学年差の2人はともに名門、柏相撲少年団のOBでもある。
飛躍が期待される坂本兄弟について、同少年団の監督を務め2人を指導した永井明慶氏は「(兄弟ともに)中1の時から親元を離れて努力してきた。兄弟仲もいい」と振り返る。
兄弟だが性格は違う。
兄の木竜皇は「ユーモアな人間性があって、そこをつぶさないように育ててきた」と永井氏。
弟の春雷は「すごく真面目で、我が強くてストイック。兄は言われたことをどんどんやるタイプだけど、弟は自分で決めたことをやり通すタイプですね。どちらにも良さがあると思います」と説明する。
先代時津風親方の時津海は、四つ身の技術が光る相撲巧者だった。
2人は父と同じ右四つ。永井氏いわく「兄は“受け”が強くて、弟は“攻め”が強い」。木竜皇は父と似て組んでからの攻めが光り、春雷は前に出る力強さがあるという。
入門前の1カ月間は、同少年団の稽古に参加して角界入りの準備を進めてきた。
永井氏は「2人でどんどん稽古していた。これから雑用やいろんな苦労があると思うけど、そこは兄弟でうまく苦労を“山分け”して乗り切っていってほしい」とエールを送る。
先月28日の新弟子検査を受けた坂本兄弟は「やっている人たちに目標とされるような力士になりたい」(木竜皇)、「部屋の関取たちのようなお相撲さんになりたい」と目を輝かせた。
2人のしこ名が番付に載るのは7月場所となる流れ。夢への階段を上り始める。
大相撲の待乳山(まつちやま)親方(元小結播竜山)が4日に70歳の誕生日を迎え、日本相撲協会を定年退職した。
三保ケ関部屋に入門し、15歳で初土俵を踏んでから55年。
「この業界にずっとお世話になって、肩の荷が下りたというか、やり遂げたという感じですね。一言で55年と言いますが、こんなにやったのかと。いろんなことがありました」と振り返った。
現役時代の最高位は小結。
横綱北の湖、大関北天佑とともに三保ケ関部屋をもり立て、北の湖の土俵入りの際は露払いなどを務めた。
33歳で引退後は、部屋付き親方として後進の指導に当たってきた。
相撲界での一番の思い出には、病気で苦しんだ時期を挙げた。
「昭和53年は上り調子で、一番いい時の54年に肝炎にかかった。体がやせ細り、黄疸(おうだん)が出て目も黄色くなった。体重は140キロ以上あったのに、25キロくらいやせましたからね。部屋の関取衆も、ばたばた倒れた」。
1979年春場所ごろから三保ケ関部屋で流行性A型肝炎がまん延し、幡竜山ら10人以上が入院。
名古屋場所は医師の許可を得て強行出場したものの連敗し、3日目から休場。
その3場所後、幕下に陥落し、そこから1年かけて幕内に復帰した。
「今でも思い出すけど、病院の窓から外を見て、表を歩いている人がうらやましかった。もうダメかと思ったけど、そこから復活して幕内に戻ったんです」。
どん底の時に励ましてくれた女性がのちの妻で、「ミス着物」にも選ばれたことがある真知子さんだった。
引退後は、長期間にわたってチケット担当として国技館の入場券売り場に詰めた。
現金での手売りのみだった時代から始まり、カード払いや、チケットぴあなどネットを介した販売に移行する時期をすべて経験した。
今では考えられないが、1マスで4人が座れるチケットを売ることが、当時のデジタル化では難題だったという。
「例えば、あるマス席を売る時、1つの席にチケットが4枚ある。コンピューターでは、これがダブルブッキングになってしまってできないんです。そういう面で苦労しました」。
チケットが売れる時も、売れない時も経験した。
「若貴の時は、勢いがすごかった。手売りの時代です。売り出しの日は、国技館のエントランスに売り場を設置すると、お客さんがばーっと並ぶ。通路の下から上まで人が来ました」。
15日間分が、わずか1日で売り切れた時代だった。
今はコロナ禍にあり、観客の上限を設けておきながらも、チケットが余る日は珍しくない。
待乳山親方は「コロナが収まっても、すぐに(客足が)戻るわけではない。一からまたやり直しになると思う。心配ですよ」と今後を案じた。
今後については「ゆっくり考えたこともなかったですけどね。人生の区切り。のんびりしようとかと思うけど、さみしい面もありますよ」。まずは9日から始まる夏場所を、テレビで見ながら楽しむという。
◆播竜山孝晴(ばんりゅうやま・たかはる)本名・田口孝晴。
1951年(昭26)5月4日生まれ、兵庫県出身。三保ケ関部屋に入門し、1966年11月初土俵、74年7月新十両、75年3月新入幕。敢闘賞1回、十両優勝4回。
引退後は、部屋付き親方に。三保ケ関部屋閉鎖後は、春日野部屋へ転籍した。
2021/04/30
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)まで2週間を切った27日、大関朝乃山(27=高砂)が都内の部屋での稽古後に報道陣の電話取材に応じ、静寂の夏を盛り上げる覚悟を語った。
前日26日に、夏場所の初日から3日目までの無観客開催が正式に決定した。
無観客開催は昨年春場所以来。
「今まで人がいて相撲を取るのが当たり前だったけど、(昨年)3月場所無観客で取っているときは、お客さんがいない時はさみしかったですし、勝っても負けても拍手がなかったですから、改めてお客さんが大事だなと思いました」と振り返った。
前回無観客開催だった昨年春場所では大関昇進をつかんだ。
「15日間出るからには、今の番付は優勝を求められますので、しっかりと結果を残したい」と意気込む。
緊急事態宣言が延長しなければ4日目から観客が入る。
「お客さんがいれば自分以外の力が出ると思いますし、でも、自分自身の気持ち(が重要)だと思うので集中して、目の前の一番で自分の相撲を取れるかの問題ですね」と話した。
19日から22日まで両国国技館内の相撲教習所で行われた合同稽古は全4日間を皆勤した。大関正代、小結御嶽海ら上位陣と相撲を取り「いろんな人と稽古ができたので良かった」。
上位に定着し始め、得意の右四つの形が研究されていることを自覚している。
「徹底的に研究されているからこそなかなか右四つになれないというのが多分あると思う。
15日間戦う相手は1人1人タイプが違いますので、それをどうやって攻めるのかを決めていかないといけないですね」と対策を練る。
夏場所は2年前の19年に平幕で初優勝をつかんだ場所。
米トランプ前大統領から表彰され注目を集めた。
昨年の夏場所は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止。
2年ぶりの夏場所を再び飛躍の場所にする。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)を、2度目のかど番で臨む大関正代(29=時津風)が、番付発表から一夜明けた27日、都内の部屋で稽古を再開した。
この日は基礎運動後、十両豊山と約1週間ぶりに相撲を取った。
新型コロナウイルス感染防止のため、報道陣の入室が禁じられ、あくまでも本人の“自己申告”で「10番ぐらいで3番ぐらい負けました」。
稽古場の土俵整備などで、基礎運動などで体は動かしていたが、相撲を取る稽古は久しぶりとあって「ちょっと日にちが空いたので、今日は感覚を確かめる感じで」と10番ほどに抑えた。
東京都に緊急事態宣言が発出されているため、夏場所は3日目まで無観客開催が決定。
ただ、昨年は夏場所が中止になったこともあり「場所を開いていただけるだけでも、とてもありがたいと思う。開催されることをポジティブに考えていけたらと思います」と前向きにとらえた。
昨年3月の大阪での春場所は全日程で無観客開催。
「初めて経験したときは戸惑いで慣れない感じだったけど(今回は)初めての経験じゃないので、そこは大丈夫かなと。4日目からは、お客さんも入れると思うので、そんなに気にしてはいないです」不安はないようだ。
刺激を受ける場所になる。
今場所は19年名古屋場所以来の4大関となった。
「これから、さらに相撲界が盛り上がると思う。その中で優勝争いに絡んでいけたらいい」とし、とりわけ大関復帰の照ノ富士(29=伊勢ケ浜)については「一応、同い年。昔から部屋の方に出稽古に来ていただいていたので、お互いに同い年ということで意識もすると思う。お互いに負けたくない気持ちは強いかなと思う」とカンフル剤にしたい思いだ。
優勝争いの前に、まずはかど番脱出というクリアすべきことがある。
「かど番を脱出しないことには、どうしようもないので、とりあえずそれを目指したい。意識しすぎて硬くなるのも良くないので、ノビノビ取れればいいと思っている」と心構えを自分に言い聞かせた。
先場所、負け越した大きな要因として、立ち合いを挙げる正代。
「出来るだけタイミングとか、踏み込みというか、そこらへんは徹底したい。立ち合いが良ければ、それなりの相撲になると思う」と馬力を生かすためにも、立ち合いが第一であることを再認識した様子だった。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)で返り三役2場所目となる小結大栄翔(27=追手風)が28日、埼玉・草加市の部屋で関取衆との申し合い稽古などを行い汗を流した。
報道陣の電話取材に応じ「今日は20番くらい。いつも通り本当にいい稽古ができています」と話した。
初場所の優勝力士として迎えた春場所では、初日から4連敗を喫しながらも、中盤以降は立て直して千秋楽で勝ち越しを決めた。
「まだまだやっぱり実力も安定していない。力もまだまだなのかなという思いですね」と、さらなる成長を期す。
昨年春から日大大学院に通い文武両道を実践中。
コロナ禍のため授業は全てリモート形式という。
直近では4月の入学生との自己紹介や、修士論文の方向性などについて話し合った。
「だいぶ慣れてきましたね。まだまだですけど。大学院も稽古も(外に)出られないからこそ時間をいいふうに利用してやっている」と時間を効率よく使う。
春場所後には埼玉・朝霞市の実家に日帰りで帰省。愛犬チロルとの散歩でリフレッシュした。
夏場所は照ノ富士が大関に復帰して4大関となる。
次の大関候補として期待される27歳は「出るからにはいい成績残して、上を目指すという思い。やっぱり今は関脇に上がりたいですね」と意欲を示した。
緊急事態宣言下のため3日目まで無観客開催。
「テレビの前でたくさん見ている方がいると思う。4日目以降はお客さんもたくさん入ってくれると思うので、しっかりいい相撲見せられるように頑張りたいです」と意気込んだ。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)に自己最高位の東前頭筆頭で臨む若隆景(26=荒汐)が28日、都内の部屋で申し合い稽古を行った。
報道陣の電話取材に応じ、兄で十両の若元春らと約20番取ったと説明。
番付発表前に実施された合同稽古にも参加しており「合同稽古でもいい稽古が出来たと思う。これからもう少ししっかり体を作ってやっていきたい」と話した。
西前頭2枚目で臨んだ3月の春場所では、10勝して初の技能賞を獲得するなど奮闘した。
しかし、同場所では関脇、小結陣が全員勝ち越すなど、番付運に恵まれずに新三役の座はつかめなかった。
それでも「しっかりやろうという気持ち。番付発表があったので、また気が引き締まる気持ちです」と気にすることはなかった。
また、春場所では貴景勝と正代の2大関を撃破。
「慣れてきたかと言われたら分からないけど、緊張はせずに思い切ってやれると思う」と夏場所では春場所の経験を生かす。
春場所での技能賞獲得につながった強烈なおっつけは「相撲を小学1年生からやってますけど、その頃から下からの攻めというのは常日頃ずっと言われてきたこと」と20年以上磨いてきたものだという。
原点を磨いた地元・福島には、春場所後に日帰りで帰省した。英気を養い「自分の相撲を取りきって、勝ち越しを目指したい」と宣言するように、2場所連続勝ち越しと今度こそ新三役の座をつかみ取る。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)で西前頭2枚目に就いた翔猿(29=追手風)が28日、埼玉・草加市の部屋で関取衆との申し合い稽古などを行って調整した。
春場所では10勝5敗の好成績。
報道陣の電話取材に応じ「楽して勝とうとせずに、我慢して我慢して取ってるのがよかったのかなと思います」と振り返った。
注目される取組ほど燃えるタイプ。
「やっぱり一矢報いてやろうという気持ちはいつでもあります」。
夏場所は自己最高位を更新し、昨年から目標に掲げている新三役も見えてきた。
「一番一番大事にしたい。チャンスは何度も来るもんじゃないし」と意気込む。
東京・江戸川区出身で競泳女子の池江璃花子とは同郷。
白血病から復帰し、先日の日本選手権で東京五輪の内定を決めた泳ぎには「めちゃくちゃ感動しましたね。すごかったですね。僕も頑張ろうと思いました」と感激していた。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)まで10日となった29日、平幕の千代の国(30=九重)が朝稽古後に、報道陣の電話取材に応じた。
3月の春場所は、8勝目を挙げ勝ち越しを決めた翌日の13日目から休場した。
「右母趾(ぼし)脱臼、左肋骨(ろっこつ)骨折」の診断だった。
右手親指は5日目の竜電戦で突いている途中で痛め、左脇腹は「10日目ぐらいより前から、ちょっとおかしいなという感じがあった。
右手の親指が痛くて右が使えない分、ちょっと左の脇の方に負担がかかっちゃったのかなと思う」と言う。
5日目に右手親指を痛めたが「ケガしてからの(相撲)内容が悪すぎる。引きとか逆転が多くなってきて、体に負担が倍以上かかって、結果的に休場となっている。まずはケガをしないということ」を先場所の反省点とした。
膝のケガで幕下以下に落ちるなど、幾度も泣かされてきた。
克服するのに「少しずつ少しずつ、コツコツコツコツという感じで」と話すように、焦りや気負いを自制する大切さを自分に言い聞かせた。
それは「今回のケガで、より意識するようになった。前のケガより、よりいっそうという感じで。前は『休んじゃダメ、休んじゃダメ』と無理して(本当の)心の声を聞いてあげられなかった。今は毎日、体の声を聞いてあげながら無理しないで毎日続けている」と継続の重要性を理解した。
春場所は8勝5敗2休で、1点の勝ち越しだった。
それでも番付運が味方し今場所は、東前頭9枚目から西前頭3枚目と、一気に6枚も番付を上げた。
最高位は4年前の同じ夏場所の東前頭筆頭で、上位総当たりは約3年ぶり。
久々に、荒々しい敢闘精神あふれる千代の国らしい相撲が、幕内後半戦で見られる。
「特に気負いとかはないけど、どこまで通用するのか。変に気負っちゃうとダメなので、いつも通りじゃないですかね」と自制を言い聞かせる一方、念願の新三役への思いは「もちろん、もちろんですよ。ずっと本当に、ここ何年も目標にしていることなので」と意気込みは隠せない。
愛夫人と長女との公園遊びが、つかの間の息抜きになっているという。
「もうね、子どもは公園が好きなんで。出来るときは公園に連れて行ってあげています。その時は相撲のことも考えないし、息抜きになる。一緒に散歩したり」と笑いながら父親の一面ものぞかせていた。
大相撲の西十両3枚目の東龍(33=玉ノ井)が29日、東京都内の病院を退院した。
東龍は19日に発熱の症状があり、医療機関で検査を受けた結果、新型コロナウイルスへの感染が判明。入院して療養に努めていた。
夏場所(5月9日初日、両国国技館)の出場について、師匠の玉ノ井親方(元大関栃東)は、「状態を見て、本人と話します。できる限り出場する方向ですが、調整不足の面もあるので、様子を見ます」と話した。
大相撲の境川部屋の三段目力士、響龍が、急性呼吸不全のため東京都内の病院で28日に死去した。
日本相撲協会が29日、発表した。
28歳だった。
響龍さんは、春場所13日目の取組で頭部を強打。
救急搬送されて入院中だった。
現役力士の死去は、昨年5月に新型コロナウイルス性肺炎による多臓器不全でなくなった三段目の勝武士さん以来。
取組で負傷した力士が死亡するのは異例の事態となった。
◆最近の土俵上のアクシデント
初場所10日目、幕下の湘南乃海−朝玉勢戦でのこと。
最初の立ち合いは手つき不十分だったとみられ、行司が待ったをかけた。
しかし、頭同士がぶつかり、湘南乃海がフラフラになって立てなくなった。
脳振とうになったとみられる。
審判団が協議し、本人の意思を確認した後に取組をやり直した。
だが、この判断は危険だったとされ、日本相撲協会は初場所後の理事会で審判規則の一部を変更。
「審判委員は、力士の立ち合いが成立する前に、相撲が取れる状態でないと認めた場合には、協議の上で当該力士を不戦敗とすることができる」とした。
大相撲の立浪親方(元小結旭豊)が28日、先代時津風親方(元前頭時津海)を父に持ち、夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)で初土俵を踏む坂本兄弟に大きな期待を寄せた。
報道陣の電話取材に応じ「やはり力はある。44ぐらい部屋がある中で縁があってうちの部屋を選んでくれたし、必ず強くしなきゃっていう気持ちはあります。大変な気持ちはあったと思いますけど、そこを全部守りますよという話で家族と話したので」と語った。
今春に青森・三本木農高を卒業した先代時津風親方の長男、坂本博一(18)は当初、父が師匠を務める時津風部屋に入門する予定だったが、父の退職をきっかけに入門部屋を再考。同じく今春に千葉・柏第二中を卒業した次男の坂本正真(16)とともに立浪部屋入門を決断した。
坂本兄弟はこの日、両国国技館で夏場所の新弟子検査を受検した。
師匠の立浪親方によると兄弟のしこ名はすでに決定しており、兄の博一が「木竜皇(きりゅうこう)」、次男の正真が「春雷(しゅんらい)」に決定。
坂本兄弟の関係者が名付けたという。
坂本兄弟はすでに部屋の幕下、三段目を相手に稽古を行っているという。
力士としての特徴について「お兄さんは(先代時津風親方に)似ているのかな。頭を中に入れて取るタイプ。顔は似ていますよね」と立浪親方。
「関取の次の勢力になってもらうように期待しています」と期待を寄せた。
坂本兄弟もこの日、新弟子検査後に報道陣の電話取材に応じた。
兄の博一は「プロに入ったので頑張るぞっていう心が引き締まった感じです」と角界入りを実感。
「木竜皇」のしこ名の由来は「まだ聞いていない」というが「格好いい名前いただいた。ここからこの素晴らしい名前に負けないように強くなります」と意気込んだ。
弟の正真は兄へのライバル意識を隠さない。
「兄ですが負けたくないので、勝てるように頑張りたい」。
高校進学の道もありながら、プロ入りを選んだ理由については「高校の先生が転任になってしまい、兄もプロ行くと言ったので僕もプロに行こうと思いました」と説明。
部屋には新三役を目前にしている明生や、元横綱朝青龍をおじに持つ豊昇龍ら有望株がそろう。
「(稽古は)中学の時より全然きつくて、必死についていけるように頑張ります。部屋の関取たちのようなお相撲さんになりたいです」と目標を掲げた。
坂本兄弟の父である先代時津風親方は、初場所中にマージャン店に出入りするなど、協会作成の新型コロナウイルス感染対策ガイドラインに違反。
2月に退職勧告の懲戒処分を受け、協会を退職した。
日本相撲協会は26日、大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表した。
現役力士の今場所達成可能な歴代10傑入りなどの記録は以下の通り(在位したことで達成済みも含む)。
【通算勝利数】
先場所、3日目から休場したものの2勝を上積みした横綱白鵬(35=宮城野)が、1172勝で歴代トップに君臨。
今場所は既に休場を“表明”しており、7月の名古屋場所で更新できるか。
現役2位の785勝だった横綱鶴竜(現鶴竜親方)が引退したため、現在の現役2位は玉鷲(36=片男波)の673勝。
歴代10位で860勝の元関脇寺尾(現錣山親方)までは、あと187勝で、歴代10傑入りは苦しいか…。
ちなみに現役3位は、西序二段94枚目の50歳力士・華吹(立浪)の670勝。単純比較は出来ないが、元横綱朝青龍の669勝を1つ上回る立派な記録だ。
【幕内在位場所数】
先場所で白鵬が、旭天鵬(元関脇=現友綱親方)を抜き歴代単独2位の100場所となり、今場所が101場所目。
歴代1位の元大関魁皇(現浅香山親方)の107場所まで、あと1年、現役を続ければ並ぶ。
なお、新入幕からの幕内連続在位は先場所、史上初の100場所となり、これも101場所に更新した。
【幕内出場回数】
白鵬が歴代8位の1265回だが、今場所は休場する方向で上積みは来場所以降になる。
7月の名古屋場所で皆勤すれば、9月の秋場所初日に、歴代7位の安芸乃島(元関脇=現高田川親方)に並ぶ。
歴代1位は、元関脇旭天鵬(現友綱親方)の1470回。
【幕内勝利数】
白鵬が1078勝で、2位の魁皇に199勝もの差をつけ歴代トップ。
現役2位は玉鷲の490勝、3位は栃ノ心(33=春日野)の488勝。
【通算連続出場】
初土俵以来、無休の「鉄人記録」。歴代7位に1331回の玉鷲が入っている。
04年春場所の序ノ口デビューから足かけ18年の「皆勤賞」だ。
歴代6位の寺尾まで、あと28回。2場所皆勤で5位に浮上する。
ちなみに1位は元関脇青葉城の1630回。
【金星獲得】
現役力士で歴代10傑(9個で三根山ら5人)入りは不在だが、ただ1人、現在8個で西前頭6枚目の逸ノ城(28=湊)に10傑入りのチャンスがあった。
だが、白鵬休場で横綱戦はなし。
横綱がいなければ獲得できないものだが、7個の北勝富士(28=八角)や遠藤(30=追手風)にも今後、10傑入りのチャンスがありそうだ。
大相撲夏場所は5月9日に初日を迎える。
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、昨年の7月場所から丸1年、6場所連続東京・両国国技館での開催となる。
ただ今年の7月場所(7月4日初日、ドルフィンズアリーナ=愛知県体育館)は、東京五輪・パラリンピック開催で両国国技館が使用される関係上、名古屋で行われる方向。
昨年は東京に開催変更となり、開催がなかった。
名古屋のお茶屋さんに話を聞いた。
−昨年は東京に代替開催
お茶屋さん 直前のことで対応も苦慮しました。
(損失は)数千万円になると聞いております。
−今年は名古屋で
お茶屋さん これまでのごひいきさんから、すでに購入していただいております。
ただ、どうなるか分からない情勢ですので「開催できるかどうかは分かりません」と話しております。
−食事、土産ものは
お茶屋さん まだ発注できていません。
開催が決まった時点で発注したいと思っています。
発注してから中止となると、相当なダメージを受けます。
昨年のケースを受けて、慎重に対処したいと思っています。
名古屋場所は年に1度。
そのイベントをふまえて、1年以上前から営業活動を行っているが、新型コロナウイルスの影響は想定できるはずもない。
各地方場所の「お茶屋さん」は、死活問題に直面している。
2021/04/27
4都府県に対する緊急事態宣言発出を受け、日本相撲協会は26日、夏場所を初日から3日間、無観客開催とすることを正式発表した。
5月11日までの宣言期間に合わせ、政府の要請に添った変更。
宣言延長がなければ4日目から有観客で開催する。
当初は先場所までと同様、初日から観客上限5000人で開催する予定だった。
昨年3月、大阪での春場所は15日間、無観客で開催したが、東京開催で無観客は初めて。
2021/03/29
貴景勝は照ノ富士を一度は押し込んだものの、攻め切れずに敗れ、優勝決定ともえ戦に持ち込むことはできなかった。
「勝たないことには始まらない。今場所に関しては自分の方が弱いから負けた」と悔しさを押し殺すように言った。
左足首のけがによる途中休場明け。
かど番で臨み、10勝を挙げた。
来場所は4大関となる。
「お互いに力を存分に発揮できればと思う。一生懸命稽古をやっていきたい」と先を見据えた。
大相撲春場所千秋楽は28日、東京・両国国技館で行われ、東関脇の照ノ富士(29)=本名ガントルガ・ガンエルデネ、モンゴル出身、伊勢ケ浜部屋=が、幕尻優勝した昨年の7月場所以来、4場所ぶり3度目の優勝を果たした。
貴景勝を破って12勝3敗とした。
関脇以下の地位で3度優勝した力士は初めて。照ノ富士は大関に14場所在位した後、けがで休場が続き序二段まで転落。
昨年7月場所で幕内に復帰後、今回で2度目の優勝となった。
日本相撲協会審判部は、照ノ富士の大関復帰を諮る臨時理事会の開催を八角理事長(元横綱北勝海)に要請し了承された。
31日の夏場所番付編成会議と臨時理事会で正式に決まる。
高安は10日目終了時点で後続に2差をつけながら、終盤にまさかの3連敗で初優勝を逃した。
碧山にはたき込まれ優勝の可能性が消えると、オンラインの取材を受けずに引き揚げた。
悔しさは計り知れないが、三役復帰から3場所目で2桁勝利。
八角理事長は「堂々と来場所から仕切り直してほしいですね」と話し、伊勢ケ浜審判部長も「(大関とりの)起点になるんじゃないか」と来場所以降に期待した。
大相撲春場所(東京・両国国技館)千秋楽の28日、西小結・御嶽海(出羽海部屋)は西前頭6枚目・逸ノ城(湊部屋)を押し出しで下し、勝ち越しを決めた。
12日目に7敗目を喫したが、最後は3連勝して帳尻を合わせた。
御嶽海が巨漢を相手に持ち味を見せた。
立ち合いに踏み込んで頭で当たると、左でおっつけるなど終始、下から攻め、腰が伸びた逸ノ城を土俵の外に運んだ。
5月場所は両国国技館で5月9日に初日を迎える。
番付発表は4月26日となっている。
若隆景は立ち合いで左に動いて北勝富士を泳がせ、難なく押し出した。
自身3度目の2桁勝利。初の三賞となる技能賞を獲得し、「(評価されたのは)おっつけなのかなと思う。幼い頃から練習してきたのでうれしい」と声を弾ませた。
新型コロナウイルスに感染して1月の初場所を全休。
場所前の稽古では、体力面で不安を感じることもあった。それでも終わってみれば2大関を破り、優勝争いをリードしていた高安も倒す充実ぶりだった。
福島県出身。「(東日本大)震災から10年の節目の年でもあったので活躍する姿を見せたかった。いい場所を締めくくれたと思う」と胸を張った。
大相撲春場所の十両は、山形県出身の白鷹山が11勝4敗で初めての優勝を果たしました。
十両の優勝争いは14日目を終えて高田川部屋の白鷹山と常磐山部屋の貴源治が10勝4敗のトップで並び、星の差1つで5人が追う展開でした。
28日の千秋楽の取組で先に土俵に上がった貴源治が敗れ、白鷹山が千代丸に押し出しで勝ったため、白鷹山が11勝4敗で初めての十両優勝を果たしました。
白鷹山は山形県白鷹町出身の25歳。平成23年5月の技量審査場所で初土俵を踏みました。
身長1メートル86センチ、体重165キロの体格を生かした突き押しが持ち味で、平成30年夏場所で新十両に昇進しました。
その後、幕下への陥落を2回経験し、去年4月には新型コロナウイルスに感染しましたが、西十両9枚目で迎えた今場所は、力強い突き押しで白星を重ね、初めての十両優勝を果たしました。
白鷹山は「緊張していたがいい相撲を取れた。誰も止められないような押し相撲が自分の目標だ。それを考えて稽古をして次の場所に臨みたい」と話していました。
大相撲春場所は28日に千秋楽を迎え、懸賞総数は1191本だった。
1日当たりの最多は千秋楽の96本。
新型コロナウイルスの影響で通常開催できていない昨年春場所以降では、今年初場所の1270本が最多。
大相撲春場所千秋楽(28日、両国国技館)NHK大相撲中継の公式ツイッターが、テレビ解説を務めた北の富士勝昭氏(元横綱)のオフショットを掲載した。
この日、79歳の誕生日を迎えた北の富士氏は「あ〜終わったな! 巴戦はなかなかなるもんじゃないよ 俺もあと一年だな! もう来年80だよ」と苦笑。
同ツイッターは「いえいえ! これからも末永くよろしくお願いいたします!」と期待を寄せていた。
2021/03/27
朝乃山が大関同士の一番を落として4敗となり、賜杯争いから後退した。
立ち合いから貴景勝の間合いで距離を取られ、つかまえられない。
いなしから相手を崩して勝機を見いだしたが、不十分な体勢のまま出て、土俵際ではたかれた。
自身の取組を迎える前に高安が3敗となった。
貴景勝に勝っていれば、自力優勝の可能性が復活していただけに痛恨の黒星。
取材に応じることなく、国技館を後にした。
大相撲の東前頭9枚目、千代の国(30)=本名沢田憲輝、三重県出身、九重部屋=が春場所13日目の26日から休場した。
日本相撲協会に「右母指脱臼、左肋骨(ろっこつ)骨折で約2週間の加療を要する」との診断書を提出した。師匠の九重親方(元大関千代大海)によれば、いずれも場所中に負傷したという。
千代の国は12日目の妙義龍戦で8勝目を挙げていた。13日目の対戦相手、剣翔は不戦勝。
大相撲春場所は、26日に13日目を迎える。
幕下と序二段は6戦全勝同士の直接対決があり、勝った方が優勝。三段目と序ノ口は、勝敗次第で優勝者が決まる可能性がある。
幕下 西56枚目の阿炎(26=錣山)と、東15枚目の時栄(24=時津風)が6戦全勝で並んでおり、直接対決で全勝、優勝を争う。
阿炎は最高位小結で、昨年7月場所中のコンプライアンス違反で3場所連続出場停止などの処分を受け、今場所から復帰。時栄は勝てば7戦全勝となり、新十両昇進が確実になる。
三段目 中大相撲部出身で今場所三段目100枚目格付け出しデビューの西川(22=境川)が6戦全勝で、勝てば千秋楽の優勝決定戦に進出する。
他に全勝は西45枚目の高麗の国(30=芝田山)と西68枚目の欧鈴木(23=鳴戸)で、両者は直接対決する。
序二段 西48枚目の熱海富士(18=伊勢ケ浜)と西79枚目の千代大和(20=九重)が6戦全勝で直接対決する。
序ノ口 西21枚目の村山(18=鳴戸)がただ1人6戦全勝で、13日目に秋山に勝てば優勝が決まる。
1敗は秋山ら5人。
大相撲春場所の序ノ口は、千葉市出身の村山が7戦全勝で優勝しました。
春場所の序ノ口は、ただひとり6戦全勝としていた鳴戸部屋の村山が13日目の26日、八角部屋の秋山を押し出して7戦全勝で優勝しました。
村山は千葉市出身の18歳。
新潟県の強豪、県立海洋高校から鳴戸部屋に入門し、ことし初場所の前相撲で初土俵を踏みました。
初めて番付にしこ名が載った今場所は、西の序ノ口21枚目で身長1メートル68センチと小柄ながら得意の押し相撲で順調に白星を重ねてきました。
村山は「最初に結果を出せたうれしさもあるが、次の場所からどのように活躍できるかが大切だ。体が小さいので、大関・貴景勝関のような相撲を取って上を目指したい」と話していました。
三段目の響龍(28)=境川=が今福(二所ノ関)に投げられた際、首付近から土俵に落ち、動かなくなるアクシデントがあった。
うつぶせのまま、土俵上でぐったり。
館内は騒然となった。
審判の親方もぼう然と見守るしかない状況。
5分たち、医者が土俵に到着。たんかに乗せられ、国技館内の相撲診療所に運ばれた。
中継のNHKは「話すことはできるが首から下が動かない。意識はある。救急車が到着し病院に向かう」などと説明した。
探求心の強さは土俵外でも変わらない。
昨年10月に早大大学院スポーツ科学研究科の修士課程1年制に合格した荒磯親方(元横綱稀勢の里)。
修士論文が最優秀論文として表彰された。
荒磯親方は現在、田子ノ浦部屋付きの親方として後進の指導にあたっているが、将来的には独立して部屋を興す意向があり、論文のテーマは「新しい相撲部屋経営の在り方」。
大学院で荒磯親方にスポーツビジネスなどを指導し、論文の推薦者でもある平田竹男教授(61)は「ここまでのデキになるとは思わなかった。想像以上に勉強熱心」とたたえた。
平田ゼミでは、過去に現プロ野球巨人の桑田真澄投手チーフコーチ補佐や、元テニスプレーヤーの伊達公子さんら多くのアスリートが学んだが、角界からは初めて。
意欲十分に取り組む荒磯親方の姿は「同級生にも強い影響を与えていた」と断言する。
授業では他競技から多くの学びを得た。
欧州の名門サッカークラブが実践する下部組織の育成法などを、慣れないリポート作業でまとめることもあった。
時にはJリーグなど他競技の公式戦を観戦して、競技運営の知見も得た。
11年に亡くなった先代師匠(元横綱隆の里)が糖尿病に苦しんだこともあり、栄養学の勉強にも改めて着手。
生活習慣病への理解も深めたという。
授業で得たことから、理想的な相撲部屋の設計も研究した。
角界では土俵の数は「部屋に1つ」が常識だが「2つ以上あれば効率的に稽古ができるということ」と平田教授。
土俵を使う力士らの「待機時間」は間違いなく減る。
さらに稽古場には複数のカメラを設置し、部屋内には親方や弟子が話し合えるミーティングルームがあり、観光客用に部屋オリジナルグッズなどを置いたお土産コーナーも設置する−−。
スペース確保の問題こそあるものの、固定観念にとらわれず、今までにない相撲部屋をイメージしてきたという。
4月からは安治川親方(元関脇安美錦)が入学し、同教授が指導する。
すでに対面しており「謙虚で真面目で、けがと闘って長く力士を務めた方。4月から楽しみです」と平田教授。
荒磯親方に対しても「修士論文で書いたことをぜひ実現してほしい」とエールを送った。
研究熱心の親方衆が、角界に新たな風を吹き込みそうだ。
大相撲春場所13日目(26日、東京・両国国技館)
小結の高安は若隆景に寄り倒され、3敗に後退。
大関復帰が懸かる照ノ富士が正代を圧倒して10勝目を挙げ、高安とトップで並んだ。
朝乃山は貴景勝との大関同士の一番に敗れ、ともに9勝4敗。正代は6敗となった。
4敗は若隆景、碧山、英乃海を含む5人。小結の大栄翔は白星先行。
2021/03/26
大関朝乃山が優勝争いに踏みとどまった。
過去3勝6敗と苦手の小結御嶽海と対戦。
「先場所は胸からいって持っていかれている。思い切りいきました」と立ち合い、頭からかまして寄り切り。(9勝)3敗を守った。
「何も考えず、自分の相撲をとりきることだけを考えた相撲です」。
後がない状況で無心になった。
優勝争いも「特に何も。気持ちは変わっていない。1差なんでついていくだけです」と強調した。
残り3日。
2大関に関脇照ノ富士と実力者を相手に1つも落とせない。
「しっかり前に出る自分の相撲がとれているのは、いい方向に向いていると思う。あと3日しかないんで、悔いがないようとりきりたい」と気持ちを入れ直した。
大関貴景勝が3度目のかど番を脱した。
低い立ち合いで、隠岐の海を土俵際に追い込むと、最後は前傾姿勢で飛び込むように一気に押し出し、国技館の観客から拍手を浴びた。
「毎日一番、一生懸命やることしか考えていない」。
12日目での勝ち越しに安堵(あんど)することはなかった。
淡々とオンライン取材に答えるのはいつも通りだが、「テレビで良い相撲を見せることが、地元の人にも喜んでもらえる」と応援に心から感謝した。
万全の相撲ではなかったが、勝ったことがすべてだ。
大関復帰を目指す照ノ富士が玉鷲に勝ち、大関昇進の目安となる「三役で直近3場所33勝以上」に到達した。
立ち合いからじりじりと前に出たが、差した左をたぐられて体勢を崩した。
再び向き合うも、玉鷲の突き押しの前にまわしを取れず、一気に後退。俵に足が掛かり、のど輪でのけぞらされたが、最後はなんとかこらえて突き落とし。
大きく息を吐き、ほっとしたように眉間(みけん)のしわを緩めた。
高安が、東前頭2枚目北勝富士を押し出しで下し、単独首位を守った。
立ち合いで力強く踏み込むと、北勝富士ののど輪をはねのけた。
右のおっつけで相手の体勢を崩し、一気に前へ出た。
「立ち合いがとてもよかった。しっかり厳しく攻めたかったので考えていきました」と納得の一番だった。
三役での10勝は、大関だった19年春場所以来2年ぶりとなった。
「本当に三役で久しぶりの2桁。ただ終わりではないので引き締めていきたい」と引き締めた。
初優勝に向けても、後続に2差つけて残り3日の土俵に上がる。
日に日に優勝への期待が高まるが「なるようにしかならない。しっかり準備して精いっぱいやりたい」と意気込んだ。
2敗で単独トップの小結 高安は、平幕の若隆景と対戦します。
春場所は2敗の小結 高安が単独トップで、星の差1つで大関 朝乃山と関脇 照ノ富士が追う展開です。
初優勝を目指す高安は13日目、前頭2枚目の若隆景と対戦します。
これまでの対戦では高安が1勝2敗です。
今場所の高安は、押してもまわしを引いても強さを見せていて、26日も立ち合いから持ち味の強烈なあたりで押し込むことができれば優位に立ちます。
若隆景としては持ち味のスピードで休まず動き回ってチャンスをうかがいたいところです。
照ノ富士は、25日、9勝目を挙げて直近3場所の勝ち星の合計で大関昇進の目安とされる33勝に到達しました。
26日は大関 正代との対戦です。
2人の過去の対戦は6勝6敗の五分で、照ノ富士がまわしを取って得意の四つの形を作れば優位は動きません。
照ノ富士としてはさらに勝ち星を重ねて大関復帰を確実にしたいところです。
大関 朝乃山は角番から脱出した貴景勝との大関どうしの対戦で優勝争いから脱落しないためにも白星を挙げたいところです。
2021/03/25
横綱鶴竜の現役引退が24日、日本相撲協会から発表された。
進退を懸けて臨むはずだった春場所を左脚の負傷で休み、5場所続けて休場していた。
25日に本人と師匠の陸奥親方が会見する。
2020年12月に日本国籍を取得しており、年寄「鶴竜」として日本相撲協会に残り、後進の指導に当たる。
鶴竜の引退により、12年秋場所以来の白鵬の一人横綱となる。
横綱の引退は19年初場所の稀勢の里(現荒磯親方)以来。
大関朝乃山が力強い取り口で結びの一番を締めた。
当たってすぐに右を差して圧力をかけ、上手も取ると万全の体勢。
そのまま寄ってベテランの妙義龍に何もさせなかった。
「しっかりと踏み込めて右を差せたので、落ち着いて体を預けられた」と納得の表情を見せた。
横綱鶴竜の引退が発表されたこの日、今後の相撲界を引っ張っていくべき3大関が、今場所初めて安泰。
正代がトップを走る高安を破り、貴景勝も霧馬山に完勝
。
「2人の大関が目の前で勝ったので、負けられない気持ちになった」。
気合を入れ直して上がった土俵で、大関の存在感を示した。
鶴竜には感謝の思いも抱いている。
「本場所でも対戦したし、出稽古先でも稽古をつけていただいた」と振り返る。
横綱に胸を出してもらえたからこそ、力がついた実感もあるという。
前日まで五分の星で3大関で最も元気のなかった正代が、今場所、強さを見せてきた1敗の小結・高安に土を付け、11日目にしてようやく大関そろい踏みとなった。
正代は「残りの相撲にもいい影響があるのではないか」と手応えを得るとともに、「教えられたことを生かしていきたい」。
引退した横綱・鶴竜への思いも口にした
。
翔猿は、敢闘賞に輝いた昨年秋場所以来の勝ち越し。
「今までは楽に勝とうとしていたが、厳しい相撲で勝ち越せて良かった。めっちゃうれしい」と満面の笑みを見せた。
右四つから上手を引いた琴恵光の寄りに後退したが土俵際で耐えた。体を反らしながら左突き落としで逆転。
「攻められて危なかった。余裕はなかった」という薄氷の勝利。
平幕ただ一人の3敗となり「一番一番集中していく」と意気込んだ。
優勝争いは小結・高安が24日に2敗目を喫したものの依然として単独トップで、25日は平幕の北勝富士と対戦します。
春場所は大関経験者で小結の高安が24日、大関・正代に敗れて9勝2敗となりましたが、依然として単独トップに立っています。
星の差1つで大関・朝乃山と関脇・照ノ富士、それに平幕の翔猿が追う展開です。
初優勝を目指す高安は12日目の25日、前頭2枚目の北勝富士と対戦します。過去の対戦は7勝7敗の五分です。
ともに馬力の強さには定評があり、立ち合いの踏み込みで勝ったほうが優位となります。
押し相撲が持ち味の北勝富士に対して、高安は左四つでも相撲が取れるだけに、立ち合いの当たりのあとどのような展開になるのか注目されます。
ここまで3敗の照ノ富士は前頭6枚目の玉鷲との対戦です。照ノ富士は突き押しに威力がある玉鷲に対して、受けにまわるとひざにも負担がかかるだけに、ひざを曲げてしっかり踏み込み自分から攻める展開が理想です。
目標の大関復帰に向けてこの一番に勝ち、直近3場所で33勝の目安にまずは到達したいところです。
このほか3敗力士のうち大関・朝乃山は小結・御嶽海と、平幕の翔猿は明生と対戦します。
2021/03/24
1敗単独トップの元大関、小結・高安(田子ノ浦)は、カド番大関・貴景勝(常盤山)との新旧大関対決に勝ち1敗を守った。
立ち合いから互いに突き放し、頭四つに。
互いにしばらく動けない状態となったが、しびれを切らした貴景勝が蹴返しに来たタイミングで、左四つになると右上手投げで転がした。
取組前に2敗力士が消えたため初優勝に向け10日目で2差に。
「いい緊張感でできています。楽しんで頑張りたい」と語った。
大相撲春場所(東京・両国国技館)10日目の23日、西小結・御嶽海(出羽海部屋)は西前頭筆頭・阿武咲(阿武松部屋)に寄り切りで勝った。
星を五分に戻し、5勝5敗とした。
11日目の24日は東前頭2枚目・北勝富士(八角部屋)と対戦する。
御嶽海は立ち合いに鋭く頭で当たると、阿武咲の突っ張りをはねのけ、右を差して一気に前に出て寄り切った。
北勝富士とは過去6場所で5度対戦し、御嶽海が4勝1敗と分が良い。
昨年9月の秋場所からは3連勝している。
志摩ノ海が大関復帰を狙う照ノ富士を破った。
まわしを取らせないように左脇を固めながら、右のおっつけで攻めた。
左右によく動き、うまく回り込んで突き落とし。
「頭を下げながら脇を固めて、集中して我慢できた」と声を弾ませた。
自身初の三役撃破にもなり「何も考えてなかった。チャレンジャーの気持ちで向かっただけ」と無心だった。
大相撲の東前頭5枚目遠藤(30)=追手風部屋=が春場所10日目の23日、日本相撲協会に休場を届け出た。
遠藤の休場は昨年秋場所以来、7度目。
今場所は9日目を終えて5勝4敗の成績だった。
師匠の追手風親方(元幕内大翔山)によると、左ふくらはぎの肉離れで、春場所初日の約1週間前の稽古で痛めたという。
サポーターをつけて出場していたが、勝利した9日目の琴ノ若戦で悪化させた。再出場はしない見通し。
10日目の対戦相手だった明生は不戦勝となる。
翔猿が鮮やかに小またすくいを決め、7勝目を挙げた。
突っ張ってから右を深く差すと、左で千代翔馬の脚を抱えて転がし、「自分の相撲で攻めていこうと思った」と満足そうに振り返った。
新入幕だった昨年の秋場所は千秋楽まで優勝を争った。
今場所も2連敗スタートから盛り返し、10日目を終えてトップの高安と2差の位置にいる。
終盤戦に向け「集中して頑張る」と意気込んだ。
大相撲春場所は11日目、24日から終盤戦です。9勝1敗で単独トップに立つ小結 高安は、大関 正代と対戦します。
春場所はここまで小結 高安が安定した相撲で白星を重ね、23日は大関 貴景勝との一番を制し9勝1敗として単独トップを守りました。
2敗はいなくなり、大関復帰を目指す関脇 照ノ富士や大関 朝乃山など4人が星の差2つで追う展開です。
11日目の24日、高安は大関 正代との一番です。
過去の対戦成績は高安が8勝11敗と負け越していて、特にこの1年では4戦全敗と苦手にしています。
ただ、今場所の高安が大関時代を思わせる馬力で前に出る相撲を続けているのに対し、正代は23日勝ってようやく5勝目を挙げ本調子ではありません。
高安が立ち合いの当たりで大関を下がらせ、どんどん圧力をかけていけば十分に勝機があります。
一方、これ以上負けられない正代としても立ち合いでしっかり踏み込めるかが鍵になってきます。
3敗の照ノ富士は関脇 隆の勝との対戦です。
過去の対戦は2戦2敗と苦手にしていて、得意の右差しを相手のおっつけで封じられて敗れる相撲が続いています。
照ノ富士としては立ち合いで相手をしっかり押し込んでから得意の右四つに組むことが重要です。
終盤戦は上位陣との対戦が続くと予想されるだけに、24日勝ち越しを決めて大関復帰へ前進したいところです。
同じく3敗で優勝へ望みをつなぎたい朝乃山は平幕の妙義龍と対戦します。
2021/03/21
正代が幕内志摩ノ海を下して3勝目(4敗)。
前日までの連敗を3で止めた。
志摩ノ海に土俵際まで押し込まれてヒヤリとする場面もあったが、最後は上手投げで何とか白星をつかんだ。
取組後は「自分の形にならなくて慌てた」と辛勝を反省。
両横綱が不在で出場力士では番付最上位となる大関は「ここからいい流れになるように。集中してやっていきたい」と巻き返しを誓った。
朝乃山が痛い黒星を喫して2敗に後退した。
しっかり踏み込んでいったが、左上手を狙ってややずれて当たってきた霧馬山の動きに対応できず。
出し投げで崩されると、最後は後ろにつかれて簡単に土俵を割った。
前日は得意の右四つで快勝し、いい流れが生まれつつあっただけに悔やまれる一番。
この日は取材に応じなかったが、土俵下の藤島審判長は「思い切りいくのは大事だが、相手によっては、よく見ないと。もったいない。今後を考えると、この1敗は痛い」と話した。
かど番の大関貴景勝が、明生に押し出されて前半戦で早くも3敗目を喫した。
立ち合いで突き放せず、まともに引いたところを一気に出られた。
「また明日、切り替えてやるしかないですね」と絞り出す。
「相撲がしっくりこないか?」の問いにも「そんなことはない。明日、また相撲があるんで、それに向かってやるしかないんで」とだけ話した。
照ノ富士は、御嶽海を寄り切り、1敗を守った。
照ノ富士は、立ち合いで左前まわしを引くと、右もつかんで万全の形。
2度の優勝経験を誇る実力者をもろともせずに、土俵外へと運んだ。
これで大関昇進目安の「三役で直近3場所33勝」までは、残り3勝とした。
高安が宝富士との約3分に及ぶ相撲を制して6連勝。
ともに得意は左四つで、半身になる守勢が続いたが、腰も使って相手の上手を切ると、すぐに右でまわしを引き、出し投げで仕留めた。
今場所はここまで、粘り強さも光る。
度重なるけがもあって、大関陥落から1年余り。八角理事長は「相撲に重さが出ているような気がする。稽古を積み重ねて、ようやく戻りつつあるんじゃないか」と評価。
8日目は照ノ富士との元大関同士の一番が組まれ、理事長は「いい相撲になればいい」と期待を寄せた。
明生が、2日続けて大関を破った。
この日は貴景勝を相手に立ち合いで左前まわしを狙い、切られてからも休まず前に出て押し込んだ。
最後は相手の引きに乗じて押し出し。
取組後は繰り返しうなずきながら喜びをかみしめ、オンライン取材には「鋭くいけた。良かった」と語った。
両横綱が不在で大関陣も安定感に欠ける中、平幕で白星を伸ばしているのが千代の国だ。
土俵際の逆転勝ちで平幕でただ一人、1敗を守った。
立ち合いから差してきた明瀬山の右を小手に巻いて、下がりながら181キロの巨体を転がした。
「攻め込まれた。あまりいい内容ではない」と素っ気なかったが、「精いっぱいやった。負けよりは白星のほうがいい」と結果には納得していた。
十両の宇良が一瞬のうちに土俵スレスレまで上体を沈み込ませた。
矢後からしてみれば、消えたように感じただろう。
その次の瞬間、矢後の右足を抱えて反撃に転じ、寄り倒して5勝目を決めた。
「負けていたような勝負でしたね。けがもあるので、あんまり理想とはしないですけど。落ち着いて最後、詰められたのがよかったですね、焦らず」。
幕内力士に劣らない拍手を浴びる人気力士でありながら、冷静に自分を見つめるのは大けがを乗り越えてきた過去があるからだ。
2021/03/20
大相撲三月場所は6日目、大関・朝乃山は若隆景との一番で貫録の相撲を見せました。
ここまで3連勝で1敗を守っている朝乃山。対するは前頭二枚目、荒汐部屋の若隆景です。
右のおっつけからうまく差した朝乃山。貫録の大関相撲で寄り切って4連勝です。
1敗を守った朝乃山。6日目を終え5勝1敗と白星を積み上げました。
7日目は前頭四枚目、陸奥部屋の霧馬山と対戦です。
正代が早くも4敗目を喫した。強引に前へ出て右を差したが、明生に巻き替えを許すと体を入れ替えられ、粘れずに寄り切られた。
土俵際まで攻めた後の詰めの甘さを敗因に挙げ、「力強く寄り切れるようにしたい」と肩を落とした。
かど番で迎えた先場所は故障明けながら11勝と奮闘したが、今場所は初日につまずき、さらに4日目から3連敗。「どこかで流れを変えたいとは思っている」と苦しい胸の内を明かした。
関脇照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が大関復帰へ再加速した。
東前頭4枚目霧馬山を豪快につり出して5勝目。
大関昇進目安の「三役で3場所33勝」まで残り4勝とした。
5日目に初黒星を喫したが、不安を一蹴する内容。
唯一勝ちっ放しだった平幕の妙義龍に土。正代が3連敗となり、この日も3大関安泰とはならなかった。
クレーン車のごとく、相手を宙に浮かせた。
霧馬山の得意な左四つに組んだが、左下手、1枚まわしの右上手をがっちり引くと照ノ富士の怪力ぶりが発揮される。
関取としては細身とはいえ、137キロある霧馬山を高々とつり上げること約2・5秒。館内がどよめく中、土俵外へ運び出した。
観客も喜ぶド派手な一番にも、「できることをやっているだけなので」と冷静に振り返った。
今場所最高の相撲だった。
初日から4連勝も強引な投げが目立ち、5日目は阿武咲に会心の相撲を取られて初黒星。
まわしを取って前に出た内容に、幕内後半戦の審判長として土俵下から取組を見守った師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)も「(大事なのは)やっぱり前に出ること。今日は落ち着いて取れていた」と評価した。
3場所で計29勝となり、大関復帰の目安まで残り4勝とした。
全勝の妙義龍が敗れたため、前半戦ながら1敗で賜杯争いの先頭を並走する。
4日目以来2日ぶりにリモート取材に応じ「1日一番なので」。
一喜一憂せず、17年秋場所以来の大関返り咲きへ歩みを進める。
阿武咲に快勝し、1敗を守る。
「このまま勝ち続ければいいかなと思う。食欲は落ちていないし、疲れもない」
御嶽海を下して5連勝。
「体調がいいことが今場所の結果につながっている。けがをしないようにして、我慢強い相撲を取りたい」
先場所優勝の大栄翔を押し倒して初日。
「とりあえず、ほっとしている。全力で前に出ようと思っていた」
北勝富士が好調な妙義龍に土をつけた。
頭を下げて押し合い、いなしにも崩れず、攻め続けて押し出した。
高校、大学の先輩を破り、「我慢して、辛抱強くできてよかった」と振り返った。
場所前は稽古以外のトレーニングも順調に積めて、「一日一日を大切に過ごせた」と体調面には自信を見せる。
4日目の正代戦で負傷したまぶたを3針縫って出場したが、「問題ない」と力強く話した。
6日目で土がついたが、さばさばと振り返り、「勝負を決め切れなかった。攻め切れなかった。またあしたから」。
気鋭の弟に負けじと奮闘――していればいいのだが……。
今場所、2018年3月場所以来となる幕内に返り咲いた英乃海。
今となっては「翔猿の実兄」と言った方がわかりやすいかもしれない。
「知名度ではすっかり3歳下の弟に水をあけられたが……」と、某親方がこう続ける。
「だからといってライバル心などはなさそうなんだよな。翔猿に対しては本当にいいお兄ちゃん。向こうは追手風部屋だが、入門時から気にかけて電話やメールなどでアドバイスを送っていた。さすがに関取に昇進してからは遠慮するようになったらしいけど。翔猿が話題になっていた時も素直に喜んでいたし、『負けたくないだろ』と水を向けても『頑張ってほしいですね』と笑顔だった。あまり欲がないタイプかもしれない」
さるタニマチ筋も「本心では弟と一緒の部屋でやりたかったみたい」と言う。
「日大から木瀬部屋というのはある意味、定番のルート。でも、翔猿は追手風部屋を選んだ。英乃海は弟も木瀬部屋に来るものだと思い込んでいたらしいからね。でも、『アイツは追手風の方が合ってるかも』とも話していた。木瀬部屋は各自の自主性に任せた稽古が特徴。追手風部屋は反対にノルマがあるというか、やらされる稽古が多い。どっちが良い悪いではなく、そこは本人の取り組み方次第だからね」
英乃海も日大時代は1年時からレギュラーに名を連ねるなど素質は一級品。
しかし、素質頼みのところもあったのか、3年以降は後輩にレギュラーの座を奪われ、やる気を失った時期もあったという。
35歳の明瀬山を筆頭に木瀬部屋は徳勝龍(34)、志摩ノ海(31)ら高齢関取が多い。
闘争心を前面に出して、弟を上回る活躍ができるか。
本意ではない注目の集め方だった。
場所前に大関正代が、熊本県宇土市で走る予定だった東京オリンピック(五輪)の聖火ランナーを辞退することを表明。
日本相撲協会が新型コロナウイルス感染対策として場所前2週間の外出を原則禁止としており、走行予定の5月5日が夏場所(5月9日初日)の4日前にあたるためだった。
スケジュール調整の問題などを理由に、聖火ランナーの辞退者が相次いでいる。
大役に前向きだった正代は「(辞退は)仕方ない」と受け止めつつ、他の辞退者との発表時期が重なり「タイミング的には嫌だった」と本音を吐露していた。
一方で聖火ランナーを務める協会員もいる。
十両錦木(30=伊勢ノ海)は地元の岩手県盛岡市を、押尾川親方(元関脇豪風)は応援大使を務めるなどゆかりのある秋田県大潟村を走る。
2人の走行日はともに6月上旬で、現時点では、予定通り走ることになっている。
錦木は「僕もギリギリでOKだった」と明かす。
「(正代の辞退は)しょうがないと思うけど、走れる力士は少ないので残念。自分はまず相撲を頑張りたい」と話した。
2021/03/16
横綱白鵬(宮城野)が、前頭筆頭宝富士(伊勢ケ浜)と対戦。
土俵中央で豪快な小手投げを繰り出し、連勝スタートとなった。
攻め返して阿武咲を下す。
「連敗しなくてよかった。ここ2日、出足がないので、考えないといけない」
攻めの姿勢を貫いて、貴景勝が大栄翔との一番を制した。
何度も頭で当たっては突き放し、主導権を握る。
相手の足がそろったところを左からの突き落としで難なく仕留めた。
先場所の優勝力士を好内容で下して2連勝。
「実力があるので、自分もしっかりと向かっていく気持ちでやった」。
取組後は普段通り、表情を変えることはなかったが、初日から4連敗した先場所とは相撲ぶりが違う。
体重は、前回発表から17キロ減って166キロ。
その効果もあるのだろう。
初の綱とりに挑んだ先場所は左足首を痛めて途中休場し、かど番として臨む今場所。
動きからは、けがの影響を感じさせない。
八角理事長(元横綱北勝海)は「負けない気持ちで押し勝ったいい相撲。押し込んでいるから、いなしが効く。先に動けている」と心身ともに充実しているとみる。
再び綱とりに挑戦するには、3度目の賜杯獲得がまずは条件。ここまでの攻めなら、期待も膨らむ。
「またあしたに向かって、しっかり準備していきたい」と引き締まった表情で言った。
高安が大関朝乃山を破って初日を出した。
立ち合いで左四つを許しかけたが、右で抱えて回避。
先に左上手を取ると、うまく体を動かしながらまわしを与えず、右四つになって寄り倒した。
「有利な形になることだけを考えた。相手にまわしを取らせなかったのがよかった」と納得の一番。
大関復帰を見据える苦労人は「内容のいい相撲を取っていく」と意気込んだ。
明生を圧倒して2連勝。
「体の状態はいい。自分の相撲を取れば、絶対に負けない」と自信たっぷり。
初優勝の翌場所は連敗スタート。
「立ち合いも攻めも、あまり良くない。しっかり切り替えてやっていかないといけない」
鋭い踏み込みから、志摩ノ海を寄り切って連勝スタート。
「全体的によかった。いつも通り、またあした集中して頑張る」
大相撲春場所2日目(15日、両国国技館)の郷土勢は、東前頭8枚目の琴ノ若(千葉、佐渡ケ嶽親方の長男)が千代の国をはたき込み、今場所初白星を挙げた。
十両の白鷹山(白鷹)は松鳳山に送り出しで敗れた。
序二段の琴大興(東根)は峻峰に押し出された。
序ノ口の最上錦(大蔵)は房州山を突き落としで下した。
ほかは取組がなかった。
明瀬山が照強を送り出しで下し、再入幕の先場所に続いて初日から2連勝。
「まだまだこれからです。とりあえず明日に集中するだけなので」。
人気力士の東十両4枚目・炎鵬(26=宮城野)が2連勝と幕内復帰へ好スタートを切った。
突き放してくる巨漢の千代丸が相手。
「引きにいこうかと何度も思ったが、我慢していった」。
潜り込もうと狙い続け、最後は左からの下手投げで崩して引き落とした。
昨年春場所、自己最高位の東前頭4枚目から4場所連続負け越して19年春場所以来の十両。
先場所は新型コロナウイルス感染症の影響で部屋全体が休場となった。
出直しの場所をいい形で再出発できた。
「思ったように体は動けている。まだ2日間。継続してやっていきたい」と話した。
2021/03/15
8カ月ぶりの本場所の土俵で白鵬が、どんな立ち合いをするのか。
思った通り右から張っていった。
物議を醸した立ち合いだが自分の一番、得意な形を出したかったんだろう。
押し相撲の出足を止めるにも最良の選択だった。
その後の足の運びには多少のぎこちなさも感じたし、最後もどっちが先に出たかとなると際どかったが、大栄翔は宙に浮き完全に攻め勝った。
立ち合いから勝負どころまで、今場所にかける必死さを感じさせる一番だった。
白鵬にとってそれほど、この一番が持つ意味は大きい。
勝てば8カ月の空白が埋められ流れに乗れる。
負ければ「3場所全休は厳しい。やっぱりダメかな」という落胆になりかねない。
しかも相手は先場所の覇者。
負けて世代交代を感じるか、勝って「まだまだ若いもんには負けん」という気持ちになれるか雲泥の差だ。
苦手な御嶽海に攻め返されて黒星スタート。
「詰めが甘い。全体的に硬かった。少し焦ったのもある」と反省の弁。
先場所は影を潜めた貴景勝の代名詞が戻ってきた。
低い立ち合いから阿武咲を突き起こすと、一歩も引かず一方的に押し出した。
中学時代からのライバルが「終始低く、がんがん内に入ってきた」と圧倒されるほどの突き押しで3度目のかど番初日を飾った。
兵庫県出身で108年ぶり2人目の最高位を目指した初場所は左足首の負傷で途中休場。
初の綱とりは初日から4連敗で遠のき「ただ単に実力がなかったから負けた。もう一回頑張って、稽古を積むしかない」と鍛え方を変えた。
体重は昨年秋場所前の測定から17キロ減の166キロ。
この日も、間合いを詰めて押し込むなど動きは軽快だった。
照ノ富士は、大関復帰が懸かる春場所の初日を「緊張なんかしない」と振り返った。
その言葉通り、北勝富士に狙った右差しを封じられても動じない。
すぐに左四つで組み止めると、機を見て豪快に投げ捨てた。
三役に返り咲いた昨年の11月場所から13勝、11勝と好成績を続けてきたように、安定感のある攻めを早速披露した。
「まずは9番勝ってそこから、という感じで。一日一番、力を出し切って臨めればいい」。
両膝に抱える古傷を物ともせず、着実に歩を進める構えだ。
所属部屋で新型コロナウイルス感染者が出た影響により、初場所は全休。
白星発進に「落ち着いて取れたと思う。(休場が)プラスになるように結果を出したい」
外出自粛期間中に接待を伴う飲食店に出入りし、昨年7月場所後に3場所出場停止などの処分を受けた阿炎(26)=錣山=が、東前頭5枚目から西幕下56枚目に番付を下げて復帰。
泉川を上手投げで下し、「体が震えました、緊張で。土俵に上がれることは幸せなんだとしみじみ感じました」と感謝の気持ちを表していた。
初日のこの日から、新型コロナウイルス感染対策の一環として、テレビ中継で解説者の北の富士勝昭氏(元横綱)と実況アナウンサーがマスク姿で登場した。
感染防止策強化で初の試みで、今場所はこのまま続ける方針。
場所直前のPCR検査で社会貢献部の親方2人の陽性が判明し、親方では濃厚接触者の5人が全休。
同部で一緒に業務に従事した親方15人は再検査で陰性だったが、経過観察で4日目まで休場となった。
大相撲の元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏(40)が14日、新たな音声SNS「クラブハウス」に予告通り”降臨”した。
2月14日に自身のツイッターで「場所中 club houseで朝青龍部屋開きます。オモロイかも笑笑 生声で指導するよ」とつぶやき、この日もあらためて告知。幕内取組が始まると、自身の経験などをふまえながら、相撲ファンと音声で交流した。
クラブハウスのルール上、話した詳細は記せないが、おいの豊昇龍が敗れた際には、厳しい直接指導をしたい旨も口にした。
元朝青龍氏は2月12日にクラブハウスのアカウント(@asashoryu68)を取得した。プロフィール欄に「毎場所朝青龍部屋開きます。生声聞きたいですよね。」と書き込んでおり、日本時間14日午後8時時点で38000人以上のフォロワーがいる。
次回は春場所8日目にクラブハウスでの生解説を行うという。
2021/03/14
大相撲3月場所(東京・両国国技館)の初日を翌日に控えた13日、大関正代(29=時津風)が電話取材に応じた。
この日は基礎運動などで調整。2日前まで幕内豊山(27)と相撲を取って体を仕上げてきた正代は「万全というか、まあ可もなく不可もなくという感じです」と淡々と語った。
初場所後に前師匠(元幕内時津海=47)が協会を退職し、時津風親方(36=元幕内土佐豊)が部屋を継承して迎える初の本場所。
それでも正代は「師匠が代わったからといって結局やってきたことは変わらないので。
いつも通り成績を残せたらいい」と自然体を強調する。
そんな時津風親方は10日が36歳の誕生日だった。
しかし、新型コロナ感染対策で本場所の2週間前から原則外出禁止のため「今は物を準備することができないので。場所が終わって何か用意できれば」と大関。まずは土俵で存在感を示すつもりだ。
今場所は横綱白鵬(36=宮城野)が4場所ぶりに出場する。
正代は「当たるとしたら後半になると思うので、それまでになるべく多く星を重ねておきたい」と気を引き締めた。
日本相撲協会は13日、大相撲春場所(14日初日、東京・両国国技館)の2日目までの取組を発表した。
西大関の朝乃山(27)=富山市出身、高砂部屋、写真=は、初日に東前頭筆頭の宝富士(伊勢ケ浜部屋)、2日目に東小結の高安(田子ノ浦部屋)と対戦する。
報道陣の電話取材に応じた朝乃山は「初日から連勝し、後半戦に向けて波に乗りたい。優勝を目指して頑張る」と活躍を誓った。
朝乃山は1月の初場所で11勝を挙げ、かど番を脱出。
春場所では、2019年夏場所以来2度目の賜杯獲得を目指す。
先場所は初日から6日目までに3敗を喫した。
今場所の初日に当たる宝富士とは過去に7勝2敗、高安には2勝1敗とリードしているが、いずれも左四つを得意とする実力者。
朝乃山は「けんか四つなので、しっかりと自分の右四つに持っていけるように。思い切って前に出て行く」と気を引き締めた。
優勝を目指すには、これまで勝ったことのない東横綱白鵬(宮城野部屋)や東関脇照ノ富士(伊勢ケ浜部屋)との対戦がポイントになる。
特に番付が下の照ノ富士には「勝たないと結果もついてこない。『次こそは』という気持ちはある」と静かに闘志を燃やした。
東京・両国国技館には、朝乃山や1月場所で優勝した大栄翔ら力士のカラフルなのぼり旗が並んだ。
応援する力士の旗をスマートフォンで撮影するファンの姿があった。
14日に始まる大相撲春場所(東京・両国国技館)の初日と2日目の取組が13日、発表された。
西小結の御嶽海(上松町出身、出羽海部屋)は、初日に東大関・正代(時津風部屋)と、2日目は東前頭3枚目・明生(立浪部屋)と対戦する。
元学生横綱同士で1歳上の正代とは、幕下時代から数えて通算23戦目。
3場所ぶりに顔を合わせた先場所は、常に先手を取って動いた御嶽海が攻防ある相撲を制し、戦績を11勝11敗の五分に戻した。
明生は、御嶽海が幕下10枚目格付け出しで初土俵を踏んだ平成27(2015)年3月8日、初白星を挙げた相手だ。
対戦は令和元年11月場所以来で、過去3戦とも御嶽海が寄り切りで勝っている。
朝日村社会福祉協議会はこのほど、地域でボランティア活動をしている「あさひ有償生活支援サービス『いいせ』」の研修会を開いた。
ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を使って他地域で同様の活動をしている団体とオンラインで結び、交流を楽しみながら人と人との「つながり」の大切さを学んだ。
東日本大震災から10年、津波で大きな被害を受けた茨城県大洗町出身、大相撲の西十両筆頭・天空海(あくあ、30)=立浪=が故郷への思いを語った。
「まだ4万1000人以上の人が避難所にいて帰れない人がいるというのをニュースとかで見て壮絶だったんだなあと。そして、きょう(3月11日)になって特に本当に丸10年になったんだな、と思うと、やはり忘れてはいけないことだと思う。これからも将来の人たちにも、これから生まれてくる人たちにも伝えていかないといけないことだと思う」と、かみしめた。
海に面し茨城県のほぼ中央に位置する大洗町は津波での死者は出なかった。
被害が甚大だった東北各地の被災地に比べれば、知られていないものの、水没し破壊された故郷の光景は忘れられない。
当時、立浪部屋に入門し、豊乃浪のしこ名で新弟子だった。
11年初場所は序ノ口で勝ち越した。相撲と同時に、茨城県水戸市の専門学校に通い、自動車整備士の国家資格を取るために勉強。
卒業を控え本格的に力士一本を志していた時だった。
震災の午後2時46分は同専門学校にいた。
「ちょうど周りが田んぼのところだったので、地盤沈下とかを目の前で見ながらびっくりしたのを思い出しますね」と振り返る。
両親や家族の安否は同日の夕方に確認できた。
街は津波にのみ込まれたが実家は幸い高台にあり「半壊の手前」の一部損壊だった。
水戸市内で一時、避難し実家には同級生の車で送ってもらい同日中に何とか帰れた。
道中は「すごい渦潮巻いててびっくりした。これで大丈夫かなと不安だった」と言う。
実家に戻ると、隣村に住む祖母の家をまず訪れ安否を確認。
「行く時は大丈夫だった道が、夜だったからあまり見えてなくて、次の日の朝、また大洗の方に帰る時に反対車線、要は来た時の道が半分崩れていたんですよ。2メートルぐらい段差になって、地盤沈下しちゃって。その道を夜走ってきたんだと思ったらすごい鳥肌が立ったのを覚えています」と、恐怖に震えた。
知人、友人は無事だったが同級生の家や町役場が1階まで水没した。
「車とか船とか建物の上に乗っちゃっていたのも見えていましたね。中央分離帯のところにセルシオとかひっくり返っていたりとか。すごい覚えていますね。すごい光景だったですもんね。アウトレットとかで火事場泥棒もあったりして。うわー、ひでーなーと思いながら」と、無法地帯にもなっていた。
ざんばら髪の力士が町の復興のため、できるのは力仕事。
「祖母の知り合いが撤去をやっていて、その手伝い。銅線とか入っていて一番危ないと言われている壁というか、ブロック塀なんですけど、それをバラバラにして撤去したり。大谷石(おおおやいし)を重機で持ち上げたり」と、朝から夕方5時くらいまで毎日、がれきを撤去し続けた。
余震もある中、損壊する実家に住むのも怖かった。
電気は1週間ほどで復旧したが、水は10日以上かかった。
その間、トイレは外。「トイレが流れないから。それが大変だった。暗い中、用を足した。寒かった」と言う。
見上げた夜空をよく覚えている。
「夜は死ぬほど、星がきれいだった。すごい、初めての経験だった。明るい中の星空しか見ていないけど、あんな暗い時の空ってすごいきれいなんだって覚えている。日本どうなるのかなあ、と思いながら星空を見上げていましたね。きれいだけど、これって電気がないからきれいに見えているだけ。怖かった。大丈夫なのかなと。テレビも写っていないから。大丈夫なのかなと、これって復旧するのかなと、思っていた」と、美しい星空が逆に不安をかきたてた。
四股など踏む暇もない程、復旧のため働いた。
「今から相撲を挑戦することを優先するのか、地元に残って、地元で働いた方がいいのかなとも考えて、葛藤で、やっている場合と言ったらおかしいが、挑戦することが正解なのかなと、自分で迷って。家もあれ(修理)するために、こっちで働いた方がいいのかなと考えて迷って。貢献できるように、街のために…」と相撲どころではなかった。
相撲をあきらめようと思った時、父が言った。
「俺たちのこと考えなくていいから、お前がそっちに行って活躍すれば、俺らだけでなくて家族も親戚もそうだし、大洗の名前も知ってもらえるようになる。喜んでくれる人もいる。俺らのこと気にせず、頑張りなさいと後押ししてくれた。って感じですね。父の言葉にやろうと決めて、やっていて正解だったですね」と後押しがあり、5月場所(技量審査場所)に戻った。
14年春場所で角界屈指の“キラキラしこ名”に改名した。
地元のアクアワールド茨城県大洗水族館から命名。港町・大洗をイメージして、天と空と海の漢字を当てた。
2018年初場所で新十両、昨年11月場所で新入幕と順調に出世。
現在、同水族館には何と「頑張れ天空海翔馬関」と記された応援水槽まで設置された。
水槽内には「白星を連想させる白星赤藻海老(シロボシアカモエビ)」、「白星を重ねるスターとなることを願うシースターヒトデ」、「体の色がしこ名の空を連想する出歯雀鯛(デバスズメダイ)」が展示され、自身の勝利が願われている。
家族には恩返しも果たした。
数年前に天空海が一軒家を両親にプレゼント。大洗町の隣の鉾田市に「いいところあったんで」と即決。父の海沿いの希望をかなえた。
昨年12月に自身が新型コロナウイルスに感染した。
先場所は5勝10敗と負け越し、幕内から陥落。感染の影響はあったが、言い訳はせず、「やりきれたことがやっぱりすごく良いこと」と、悔しさは春場所にぶつける。
震災後の春場所は特別だ。
「2桁以上勝って元の地位までは戻って、幕内に。そこからどんどん(同僚の幕内)明生に、豊昇龍に早く追いついて。そうすれば3人で目立って、部屋も目立つし、(大洗の)町とかも一緒に応援してもらえるようになる。町が目立って他の人からあそこは立浪(部屋)の天空海が住んでいた町だとなればうれしいし、だから俺はどうにか自分自身、頑張らないと目立てないと何にもならないから」。
故郷のため、故郷を思い、キラキラ天空海は輝く。
大相撲春場所は14日、初日を迎えます。4場所連続休場から復帰する横綱 白鵬は、先場所優勝した小結 大栄翔と対戦します。
大相撲春場所は、新型コロナウイルスの影響で、会場を大阪市から東京 両国の国技館に変更して14日、初日を迎えます。
4場所連続で休場していた横綱 白鵬は、初日に先場所、初優勝を果たした小結 大栄翔との一番が組まれました。
過去の対戦では白鵬が6勝2敗と勝ち越していますが、最後に対戦した去年の7月場所では敗れています。
白鵬はことし1月に新型コロナウイルスに感染し、場所前には調整について不安も口にしていました。
先場所、持ち味の突き押し相撲が光った大栄翔に対して、休場明けの白鵬が立ち合い、鋭い踏み込みから安定した相撲を見せられるか、注目されます。
今場所、大関復帰をかける関脇 照ノ富士は平幕の北勝富士と対戦します。過去の対戦は3勝3敗の五分ですが、このところは照ノ富士が3連勝しています。
四つ相撲の照ノ富士が、突き押しの北勝富士を立ち合いから組み止められれば、有利な展開となります。
角番の貴景勝は、先場所敗れた阿武咲との一番です。過去の対戦では貴景勝が5勝3敗と勝ち越しています。
日本相撲協会の尾車事業部長(元大関琴風)は13日、相撲記者クラブの電話取材に応じ、大相撲春場所(14日初日)の期間中に新型コロナウイルスの感染者が出た場合について、「濃厚接触者は休むことになると思うが、場所自体を中止することはないと思う」との見通しを示した。
春場所に向け、原則として全協会員を対象としたPCR検査では、親方2人の陽性が判明したが、力士の感染者は確認されなかった。
「力士は行動を制限して、やれることを精いっぱいやっている。本当によく真面目にやってくれているなと感心した」と述べた。
1月の初場所では、コロナ関連で計65力士が全休した。
2021/03/13
大相撲春場所(14日初日、東京・両国国技館)を休場する横綱鶴竜(35=陸奥)が横綱審議委員会(横審)による“最後通告”を免れる可能性が出てきた。
当初は今場所で進退をかける構えを見せていたが、左太ももを負傷して5場所連続の休場。
一方で、師匠の陸奥親方(61=元大関霧島)には現役続行の意思を伝えている。
横審は昨年11月場所後の定例会合で休場の多さを理由に史上初の「注意」を決議。
今回の休場を受けて、最も重い「引退勧告」の決議を下す可能性もあった。
ただ、現時点では今後の横審の予定は“白紙”の状態。
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の影響で初場所後の会合は中止となっており、今場所後も開催が見送られる可能性があるという。
日本相撲協会の芝田山広報部長(58=元横綱大乃国)は「今場所はやるかどうかわからない。緊急事態宣言が延長される場合もある」と説明した。
横審が開かれなければ、引退勧告が決議が下されることもない。
結果的に、鶴竜の“延命”をアシストする格好となるが…。果たして、どうなるか。
大相撲春場所は14日に初日を迎える。
新型コロナウイルスの影響で、今年は例年の大阪ではなく東京・両国国技館で開催。大関から陥落し辛酸をなめてきた二人の三役が返り咲きを期しており、関脇照ノ富士は場所後の復帰を、小結高安は足場固めを狙う。
◇今場所で決める
2度目の大関昇進を懸ける照ノ富士は、「やっと近づいてきた。今場所で決めておかないと」と腕を鳴らす。
小結だった昨年11月場所で優勝同点の13勝、関脇の初場所で11勝。
春場所で2桁に届けば復帰がかないそうだ。
最初に昇進したのは初優勝した2015年夏場所後。
勢いで番付を駆け上がった。
力任せの取り口も多く、それが両膝のけがにつながった。
内臓疾患も重なって低迷。
5場所連続の休場も経験し、19年春場所には序二段まで転落した。
その間には引退も考えた。
しかし、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)の説得を受けて土俵に戻ると、「元いた地位へ」が悲願となった。
稽古ぶりが変わり、すり足などの基礎を重視。
筋力トレーニングで強化を図るなど地道に積み上げてきた。
照ノ富士は「目の前のことを精いっぱいやっているから結果が出ている」と泰然と話す。
試練の時を経て精神的にも成長。土俵上では強引さが影を潜めた。
まずは押し込み、得意の右四つに持ち込んで出る相撲に、かつてなかった落ち着きがうかがえる。
6年前と違う姿で目指す大関の地位。
「今はそれ(当時)よりいい部分もあるだろうし、冷静にやれている」と手応えもある。
コロナの影響で出稽古はできないが、さまざまなタイプの関取がそろう部屋の環境も、大望の実現を後押し。
勝負の春場所に「変わらずいつも通り」と平常心で臨む。
◇大関復帰へ意気盛ん=高安、父の自覚ひしひし
2月末に誕生日を迎えた小結高安は、30歳だった一年をこう振り返った。
「苦しかったが、充実していて、本当に勉強になった」。
一時は東前頭13枚目まで番付を落としながら、大関復帰を目指して出直しを図ってきた。
2017年夏場所後に大関に昇進してからは、腰痛など度重なるけがに悩まされ、19年九州場所を途中休場して陥落。
「自分の体の弱さを痛感した」と反省し、「自由奔放にやってきた」という生活面から見直した。
食事を制限して無駄な脂肪を減らすなど、健康には特に気を配るようになった。
2月下旬には、相撲教習所での合同稽古に加わり、大関朝乃山を圧倒するなど元気な姿を見せた。
体の張りには自信があるようで、三役に戻って3場所目となる春場所では「そろそろ、いい結果が出せるんじゃないか」。
兄弟子の荒磯親方(元横綱稀勢の里)の胸も借り、入念に仕上げている。
心の支えも増えた。
妻で演歌歌手の杜このみさんとの間に第1子となる女の子が誕生し、「自慢のお父さんだと言われるように、家族のために精いっぱいベストを尽くしたい」と意気込む。
看板力士として活躍する背中を見せたい思いは強い。
元大関照ノ富士の復活劇にも心を揺さぶられ、「まだ闘志は消えていない。最高位を目指して頑張りたい」。これまで以上の気概に満ちている。
「大相撲春場所」(14日初日、東京・両国国技館)
取組編成会議が12日行われたが、春場所初日、2日目の取組発表は初日前日、13日午後まで異例の延期となった。
複数の親方が新型コロナウイルスのPCR再検査を13日に予定し、結果を待ち確定する。
万が一、陽性者が出れば力士65人が全休した先場所に続き、休場者多発の可能性があり混乱は必至。
前日、感染が判明した音羽山親方(元幕内天鎧鵬)が所属する尾上部屋は協会発表を前にSNSで同部屋の休場を掲載するなどフライング。
緊急事態宣言下、今場所も一気に緊迫感が高まってきた。
通常は2日前となる初日の取組発表は今場所も1日延期された。
先場所は初日前日、九重、友綱部屋で陽性者が発覚。
結局、力士65人が全休となり、混乱の中、緊急事態宣言下の場所が幕を開けた。
今場所も全協会員約900人がPCR検査を受検。
力士の感染はゼロと安どの結果ながら、小野川親方(元幕内北太樹、山響部屋)、音羽山親方の陽性が11日に判明した。
両親方は社会貢献部に所属し、協会のYouTubeを場所前から配信。
同業務をともにした親方らは陰性だったものの、自宅待機措置の上、親方と協会職員15人前後を再検査することとなった。
再検査の結果は13日の午後に判明予定。
万が一、陽性者が出れば濃厚接触者を特定し、出場可否を判断する必要がある。最悪、先場所同様、大量の協会員休場の事態に陥る。
芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「(取組を)きょう(12日)発表してしまうと、どんでん返しを食らってしまう。なのできょうの時点では休場者も出しません」と説明した。
陽性となった両親方が所属する部屋の出場可否も13日に発表する。
ただ、尾上部屋はすでに部屋のSNSで所属する全員が春場所を休場することを掲載。
フライング発表に芝田山部長は「勝手に発表しているみたいだけど。
まだ、どこで変わるか分からないからSNSで勝手に出されると困る」と苦言を呈した。
場所直前のドタバタ。コロナ禍の中、6場所目の本場所も緊迫感が漂う。
日本相撲協会の芝田山広報部長(58=元横綱大乃国)が12日、電話取材に応じ、尾上部屋がフェイスブックで「休場」と公表したことに苦言を呈した。
協会は11日に同部屋付きの音羽山親方(36=元幕内天鎧鵬)と山響部屋付きの小野川親方(38=元幕内北太樹)が新型コロナのPCR検査で陽性が確認されたことを発表。
これを受けて尾上部屋は同日、フェイスブック上に「相撲協会の決定を受け今場所は休場となりました」などとつづった。
だが、芝田山広報部長は「部屋に住んでいない裏方さんは休場にはならない」と指摘。
続けて「力士の休場は仕方ないとして、まだどこでどう変わるか分からないからSNSで勝手に出されると困る」と語った。
また、この日は大相撲3月場所(14日初日、東京・両国国技館)取組編成会議が開かれ、初日と2日目の取組が決まったが、発表は13日に延期となった。
通常は初日2日前の発表だが、PCR検査の結果待ちが理由で、芝田山広報部長は「再検査を予定している親方が万が一、陽性となった場合、濃厚触者を特定する必要に迫られる。今日発表してしまうと、どんでん返しを食らってしまう」と説明した。
青森県十和田市の十和田中学校(附田篤校長)の1、2年生134人が10日、同校卒業生で大相撲十両復帰を果たした錦富士関(24)の母と姉に応援メッセージを贈った。
錦富士関の中学時代を題材にした道徳の授業を3日に受け、刺激を受けた生徒たちが感謝の思いを込めた。
2021/03/12
まさかの現役続行だ。大相撲の横綱鶴竜(35=陸奥)が春場所(14日初日、東京・両国国技館)を休場することになった。
今場所に進退をかけて臨む構えを見せていたが、9日の稽古中に左太ももを負傷して出場を断念。
師匠の陸奥親方(61=元大関霧島)には、引き続き土俵復帰を目指す意思を伝えた。ただ、地位にしがみついているだけにも見える姿に周囲の風当たりは強まるばかり。劇的な復活を見せない限り横綱としての“寿命”は残り1場所となりそうだ。
出場か、引退か。
誰もが鶴竜の進退問題を二者択一と考えていた中、本人が出した結論は休場した上での現役続行だった。
昨年5場所のうち4場所で休場し、横綱審議委員会からは史上初の「注意」を決議された。
今年1月の初場所も持病の腰痛のため全休。
今場所で進退をかける構えを見せていた。
しかし、9日の稽古中に左太ももを負傷。
11日には師匠と休場と進退についての話し合いが行われた。
陸奥親方は「今場所は出ないということ。まだ気持ちは切れていない。
『(現役を)やめる選択もある』と言ったんですけど、本人は『まだやりたい』と言っていた」と説明。
今後は横審で「注意」より重い「引退勧告」が決議されることも予想されるが「それはもう覚悟しています。(引退勧告が出た場合は)また本人と話をする」と神妙な様子で話した。
いずれにせよ、次の夏場所(5月9日初日、国技館)では今度こそ「待ったなし」で進退を問われることは不可避となった。
ただ、ここから奇跡の復活を果たす可能性は限りなくゼロに近い。
左太ももを痛める以前から、復帰への強い意欲がうかがえなかったからだ。
鶴竜は2月、国技館で6日間の日程で行われた合同稽古に参加した。
しかし、相撲を取ったのは最初の2日間だけ。
相手は実力者とはいえ、稽古で力を発揮しないタイプの小結御嶽海(28=出羽海)だった。
その後は若手に軽く胸を出しただけで、最後の2日間は姿すら見せなくなってしまった。
この様子を伝え聞いた親方の一人は「必死さが伝わってこない」。
半年以上にわたる休場から復帰を目指す力士とは、とても思えない調整ぶりだった。
次の夏場所まで2か月足らず。
今回の休場と現役続行を受けてネット上では「現役続行はあり得ない」「地位にしがみついている」などと厳しい意見が噴出している。
ひとまずは“延命”を選択したものの、引退の瞬間は刻々と近づいていると言えそうだ。
大相撲春場所は14日に初日を迎える。
新型コロナウイルスの影響で、今年は例年の大阪ではなく東京・両国国技館で開催。大関から陥落し辛酸をなめてきた二人の三役が返り咲きを期しており、関脇照ノ富士は場所後の復帰を、小結高安は足場固めを狙う。
2度目の大関昇進を懸ける照ノ富士は、「やっと近づいてきた。今場所で決めておかないと」と腕を鳴らす。
小結だった昨年11月場所で優勝同点の13勝、関脇の初場所で11勝。
春場所で2桁に届けば復帰がかないそうだ。
最初に昇進したのは初優勝した2015年夏場所後。
勢いで番付を駆け上がった。
力任せの取り口も多く、それが両膝のけがにつながった。
内臓疾患も重なって低迷。5場所連続の休場も経験し、19年春場所には序二段まで転落した。
その間には引退も考えた。
しかし、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)の説得を受けて土俵に戻ると、「元いた地位へ」が悲願となった。
稽古ぶりが変わり、すり足などの基礎を重視。
筋力トレーニングで強化を図るなど地道に積み上げてきた。
照ノ富士は「目の前のことを精いっぱいやっているから結果が出ている」と泰然と話す。
試練の時を経て精神的にも成長。
土俵上では強引さが影を潜めた。
まずは押し込み、得意の右四つに持ち込んで出る相撲に、かつてなかった落ち着きがうかがえる。
6年前と違う姿で目指す大関の地位。
「今はそれ(当時)よりいい部分もあるだろうし、冷静にやれている」と手応えもある。
コロナの影響で出稽古はできないが、さまざまなタイプの関取がそろう部屋の環境も、大望の実現を後押し。
勝負の春場所に「変わらずいつも通り」と平常心で臨む。
2月末に誕生日を迎えた小結高安は、30歳だった一年をこう振り返った。
「苦しかったが、充実していて、本当に勉強になった」。
一時は東前頭13枚目まで番付を落としながら、大関復帰を目指して出直しを図ってきた。
2017年夏場所後に大関に昇進してからは、腰痛など度重なるけがに悩まされ、19年九州場所を途中休場して陥落。
「自分の体の弱さを痛感した」と反省し、「自由奔放にやってきた」という生活面から見直した。
食事を制限して無駄な脂肪を減らすなど、健康には特に気を配るようになった。
2月下旬には、相撲教習所での合同稽古に加わり、大関朝乃山を圧倒するなど元気な姿を見せた。
体の張りには自信があるようで、三役に戻って3場所目となる春場所では「そろそろ、いい結果が出せるんじゃないか」。
兄弟子の荒磯親方(元横綱稀勢の里)の胸も借り、入念に仕上げている。
心の支えも増えた。
妻で演歌歌手の杜このみさんとの間に第1子となる女の子が誕生し、「自慢のお父さんだと言われるように、家族のために精いっぱいベストを尽くしたい」と意気込む。
看板力士として活躍する背中を見せたい思いは強い。
元大関照ノ富士の復活劇にも心を揺さぶられ、「まだ闘志は消えていない。最高位を目指して頑張りたい」。これまで以上の気概に満ちている。
「大相撲春場所」(14日初日、両国国技館)
2011年3月11日。東日本大震災から10年、福島市出身、荒汐部屋の大波3兄弟は特別な日を迎えた。
10年前の被災時、学法福島高の学生だった三男の幕内若隆景(26)、次兄の十両若元春(27)は長兄の幕下若隆元(29)の所属する荒汐部屋(東京都中央区)に1カ月、身を寄せた。
当時の恐怖は忘れたことがない。
稽古後、電話取材に応じた若隆景は「毎年そうだけど3月11日が来ると、あの日を思い出し、また頑張ろうという気持ちになる。10年の節目もあって何日も前からあの日のことを思い出していた。地震の揺れとか被災された方とか」と神妙に語った。
若元春は「揺れた時のことをよく思い出しますよね。よく思い出すというか、すごい今まで経験したことない揺れ」と思い返す。
震災後1年で高校を卒業しプロ入り。
「年に1回くらい帰ると、福島がどんどん復興していくのを見ると、早いなというふうになります」と、10年はあっという間だった。
祖父は小結若葉山、父は幕下若信夫の相撲一家。
若元春は「10年前は自分が相撲を見ている側だったんで、やっぱりそういう姿を見て、巡業とかも来てくださったり、何て言うんですかね、やっぱり盛り上がるんで、そういうところを見ると。そういった面では自分が今は逆に相撲で頑張って、福島を少しでも勇気づけられたらなと思います」と、使命感を口にする。
先場所は新型コロナウイルスに感染し全休。息苦しさなど後遺症もあったが、今は大丈夫。
「今場所、上位戦もあるので、そういうところで活躍していい相撲を見せられるようにしたい」と、先場所の分まで暴れる。
「(福島は)果物がおいしい。地元に帰って桃狩りとかも行くので、それは自分が好きで行っているので、やっぱり福島の桃はすごいおいしい」と故郷の魅力をアピールした。
日本相撲協会は11日、山響部屋付きの小野川親方(元幕内北太樹)と尾上部屋付きの音羽山親方(元幕内天鎧鵬)が新型コロナウイルスに感染したと発表した。春場所(14日初日・両国国技館)へ向け、力士と親方計750人を対象としたPCR検査で陽性が判明。
2人は春場所を全休する。力士は全員陰性だった。
芝田山広報部長(元横綱大乃国)によると、感染した2親方と同じ部屋の力士らが濃厚接触者に該当するかどうか調査を進めており、濃厚接触していたとみなされた協会員も春場所を休場する可能性がある。
12日の取組編成会議までに結果が判明する見通し。
両親方と同じ協会業務に従事した親方衆や職員は初日前日の13日に再検査を行う。
大麻を所持したとして、警視庁が大相撲の十両力士だった元若麒麟(わかきりん)、鈴川真一容疑者(37)を大麻取締法違反(所持)容疑で現行犯逮捕したことが11日、池袋署への取材でわかった。
同庁は認否を明らかにしていない。
池袋署によると、鈴川容疑者は8日、東京都豊島区のJR池袋駅構内で、微量の乾燥大麻を所持した疑いがある。
警察官の職務質問を受け、その際に「自分のものではない」と床に投げ捨てた器具に乾燥大麻が残っていた。器具は大麻を砕くためのものだったとみられるという。
2021/03/11
大相撲で史上最多44度の優勝を誇る横綱・白鵬(36)=宮城野=が、年寄名跡「間垣」を取得する方向で調整を進められていることが10日、複数の関係者の話で分かった。
モンゴル出身の白鵬は、2019年9月に日本国籍を取得し、日本相撲協会が定める年寄名跡襲名の条件をクリア。
名跡取得となれば引退後も協会に残ることができ、将来的な部屋創設への道筋も整うことになる。
白鵬が引退後も相撲協会に残る資格を得る方向となった。
複数の関係者によると、年寄名跡「間垣」の取得へ向けた調整が進められているという。
同名跡は2月まで元幕内・土佐豊の現時津風親方が襲名していたが、前時津風親方(元幕内・時津海)の坂本正博氏(47)が、不適切行動のため退職勧告処分となり、協会を去った。
それに伴い現時津風親方が名跡を交換したために空き名跡となっている。
間垣の名跡は、かつて元横綱の2代目・若乃花や、同じモンゴル出身の先輩でもある元小結・時天空らも襲名していた。
正式には今後の年寄資格審査委員会の承認を経て、最終的に理事会で認められることで取得が決まる。
白鵬は19年9月に日本国籍を取得し、相撲協会が定める年寄名跡襲名の条件をクリア。
帰化の際には「日本人として恥じないように頑張ります。今まではモンゴルという国があったけど、2つの国が背中にのしかかってくる。18年間、相撲一筋にやってきたことが今日につながった」と相撲への感謝の気持ちを示していた。
取得となれば名実ともに、引退後も相撲協会に親方として残ることができる。
また、十両・石浦(31)、炎鵬(26)らを角界へスカウトしているが、引退後の独立への道筋も整うことになる。
一方で土俵上に目を向けると、11日に36歳の誕生日を迎えた白鵬は現在、4場所連続休場中。休場の多い状況に、昨年11月場所後には横綱審議委員会(横審)から史上初めて、内規による「注意」の決議が横綱・鶴竜(35)=陸奥=とともに出された。
ただ、今年1月の初場所は新型コロナウイルス感染のため、休場を余儀なくされた。
名跡取得に向けては大きく前進したが、横綱として春場所(14日初日、東京・両国国技館)での復活を狙う。
◆白鵬 翔(はくほう・しょう)本名同じ。1985年3月11日、モンゴル・ウランバートル市生まれ。
36歳。2001年春、宮城野部屋から初土俵。
04年初、新十両。同年夏、新入幕。
07年夏場所後に第69代横綱昇進。
10年に史上2位タイの63連勝。
同年春から11年技量審査場所(八百長問題による夏場所の代替開催)にかけ、史上最多タイの7連覇。
19年9月に日本国籍を取得した。
得意は右四つ、寄り。
192センチ、158キロ。
◆年寄名跡 日本相撲協会が定めている資格で、引退した力士は、この年寄名跡を取得襲名して初めて協会の年寄(親方)になれる。
襲名資格は日本国籍を有する者で、幕内通算20場所以上、幕内・十両を通算28場所以上、三役を1場所以上、また横綱・大関を務めた力士に限られる。
部屋を新設し師匠になるにはさらなる条件があるが、横綱経験者はそれをクリアしている。
協会の「年寄名跡目録」に記載されているのは105で現在の空きは間垣と君ケ浜の2つ。
著しい功績のあった横綱に対しては、その個人一代限りにおいて年寄待遇される「一代年寄」があり大鵬、北の湖、貴乃花の例がある(なお千代の富士は辞退)。
小結・御嶽海が電話取材に応じ、「目標は2桁以上。それしか考えていない」と言い切った。
先場所優勝した大栄翔が大関候補に名乗りを上げ、今場所は照ノ富士が大関復帰に挑む。
過去に2度優勝しながら出世争いでは貴景勝、朝乃山、正代に先を越された。
「一番負けたくない(大関)3人でもある。ずっと意識して取り組んでいきたい」とライバル心をむき出しにした。
「大相撲春場所」(14日初日、両国国技館) 西前頭8枚目の翔猿(28)=追手風=が8日、埼玉県草加市の部屋で関取衆の申し合いで約10番取って調整した。今場所は兄の英乃海(31)=木瀬=が再入幕を果たし、史上9組目の兄弟同時幕内を果たした。 直近では千代丸・千代鳳(ともに九重)兄弟以来。初の兄弟横綱の若貴が有名ながら、江戸時代から数えて、兄弟同時幕内は9組しかない。「意外と少ないですね。すごいですね。あんまり気持ちは変わらずに、頑張れたらいいんじゃないですかね。兄弟で」とともに活躍へ意気込んだ。 まだ直接、話はしてないものの、2人で優勝決定戦となれば歴史的。「すごいですね、それは」と、夢として今場所、戦い抜く。 昨年秋場所、新入幕で11番勝ち、優勝争いに加わった。ただ、その後は連続で6勝9敗と調子が出ない。 「やっぱり勝ち越していないので、とりあえず勝ち越し以上を目指してどんどん前に出る相撲を取っていきたい」と力を込めた。 敗因は「楽に勝とうとしていていた。すぐに引いたり相手をなめたり」と言う。相手をなめるのは、昔からの悪い癖だという。 「やっぱり、格上だと思いっきりいこうとなるんですけど、こういう言い方も悪いんですけどなめていくと、こんくらいで勝てるから引いてやろうと余計なことばっかり考えて、良い相撲にならないですね。調子下ろし(相手を見くびり手を抜く)まくりです」と、猛省した。 部屋の同僚、小結大栄翔が先場所、優勝。「コツコツ努力しているのを見てきたので、優勝して自分にも手が届かないところにはないので、コツコツ努力してやっていきたいと思います。みんな自信にはなっている。優勝力士と胸を合わせることで自信にはなります」。大いに刺激を受け、“モンキー旋風”の再現を目指す。
大相撲の西前頭14枚目剣翔(29=追手風)が8日、埼玉・草加市での部屋での稽古後、報道陣の電話取材に応じ、昨年春場所以来1年ぶりの返り入幕となる春場所(14日初日、東京・両国国技館)に向けて「夢は大きく優勝を目指して。やるからには全勝するつもりでと思ってる」と意気込んだ。
1月の初場所で同部屋の大栄翔が初優勝を果たし、自身も十両優勝するなど波に乗る。「追手風部屋幕内連続優勝したい」と意欲的に語った。
新入幕だった19年秋場所では終盤まで優勝争いに絡み、10勝5敗で敢闘賞を獲得して存在感を示したが、昨年春場所で左膝の前十字靱帯(じんたい)を断裂して途中休場した。
翌場所から十両に陥落し、1年かけて幕内に返り咲き。
左膝の前十字靱帯(じんたい)は切れたままで「多少の痛みと多少のぐらつきはある」。
左膝を悪化させないために「新入幕の時よりも前に出る相撲」を心掛けているという。
1年ぶりの幕内で“悪役”ぶりを発揮したい。
「相手の相撲を見て研究して、自分の得意な体勢よりも相手の不利な体勢でやりたいと思っている。
僕は右四つなんですけど、相手の右肘が甘かったら左差しにいきますし、相手の嫌なことを研究して嫌なことをやりたいと思っている」。
相手の嫌がる相撲を理想に掲げており、優勝を争った19年秋場所では自身を「バイキンマン」と評するなど、角界のヒール役を目指している。
「バイキンマンは健在かもしれませんね。剣翔とやるの嫌だなと思ってほしいですね」。
春場所での活躍に向けて報道も利用? する。
持ち味は約10種類あるという立ち合いの引き出しで「今日はどんな立ち合いがくるんだろうと相手に思わせるのが僕の狙いなんですよ」と力説。
「基本的にみんな立ち合い一緒じゃないですか。右四つだったら右でくるんだな、左だったら左でくるんだなとか、押し相撲だったらかましてくるんだなって分かるじゃないですか。僕はどうやってくるのか分からないのを目指している。そうすると相手は思いきり当たってこれないですよね。というのを記事にしてほしいです。それを見た相手がまた混乱するので」とまくしたてた。
誰が悪いということではなく、すべてが悪い方向に転がってしまった。
9日、元小結高見盛(44)が師匠を務める東関部屋が閉鎖の危機に瀕していることが明らかになった。
東関部屋の創設者は初の外国出身関取で、関脇まで出世した“ジェシー”こと高見山(76)。
定年退職後は弟子の潮丸(元前頭)が後を継いだものの、2019年12月に急逝。昨年1月から、当時部屋付きの振分親方だった“ロボコップ”高見盛が3代目東関親方として指導をしていた。
だが、高見盛は「1年限定」を前提に引き受けた暫定師匠。
その間、高砂一門内から後継者を探していたが、交渉はことごとく不調に終わったという。
現時点で誰もなり手がおらず、横綱曙らを輩出した部屋はこのまま閉鎖となるのが濃厚だ。
事情を知るある親方が「高見盛は最初から部屋の継承に難色を示していた」と、こう続ける。
「彼はいわば、超個人主義。極端に言えば他人に興味がなく、協調性に欠けるタイプです。現役時代から面倒見もよくなかったので、後輩から慕われているという話も聞いたことがない。高見盛はそんな自身の性格を自覚していることもあって、最初から『自分に弟子は育てられない』と固辞していた。1年限定と条件をつけたのも、妥協の産物です」
高見盛の事情は仕方ないにせよ、なぜ一門内から後継者が出なかったのか。
部屋持ちになれるチャンスではないのか。
■建物の所有者は先代一家
「現在の東関部屋は土地は葛飾区から借りているが、上物は先代師匠の遺族の持ち物。高見盛も彼らに家賃を払っていた。潮丸の遺族と今の部屋に問題が生じていたわけではありませんが、部屋の所有権が先代側にある場合、トラブルが起こりがちなんです。過去には、先代の夫人や家族が部屋の運営方法や稽古にまで口を挟み、当代師匠とモメにモメたという例がゴマンとある。こうなると穏便に済んだ事例はひとつもない。今の東関部屋にはそんな雰囲気はなくても、今回のような部屋の継承が難しいことは、親方衆ならみんな分かってますから」
この状況で他の部屋から、「今日から俺が師匠だ」と乗り込むのは誰しも腰が引ける。
弟子といっても知らない顔ばかり。
東関部屋には元力士の敏腕マネジャーがいるので部屋運営に負担はかからないものの、裏を返せば自分の色も出しにくい。
ハナからトラブルを抱え込むようなものなのだ。
先代が急逝した時点で、東関部屋閉鎖は避けられない運命だったのかもしれない。
日本相撲協会とKDDIは3月10日、大相撲の観戦体験向上に向け、AR (拡張現実) などの先端技術を活用してファンと力士がバーチャル交流できるムービーサイネージ「Movie Wall」、ユーザーでは撮影できない場所からプロ仕様の構図で記念写真の撮影が可能な「マチカメ」を3月14日から開催の大相撲三月場所から提供すると発表した。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う感染防止対策のため、声を出しての応援の禁止や座席数の制限、観客と力士の接触を伴うファンサービスの禁止など、大相撲の観戦方法が変化しており、従来と同じような楽しみ方の提供が難しくなっている。
2021/03/10
白鵬、鶴竜の両横綱は、ともに4場所連続休場中で大相撲春場所は試練の土俵になる。
昨年11月場所後、横綱審議委員会が引退勧告の次に重い「注意」を決議して以降では初めての出場で、2人には厳しい視線が注がれることになる。
鶴竜は進退をかける。
最後の白星は昨年3月の春場所まで、優勝は令和元年7月の名古屋場所までさかのぼる。
不調の要因は腰椎の一部がずれる「腰椎すべり症」で、痛みが消えず満足に稽古ができなかった。
今年に入って明るさが戻ってきた。
腰の状態が回復し、体を自由に動かせるようになった。
休場した1月の初場所後には、週2回ジムに行き、筋力や持久力強化に努めた。
2月の合同稽古では久々に他の部屋の力士と胸を合わせ「やっと元気になってきた」と笑った。
絶対的な技はなく、生命線は瞬時の判断や体の反応になる。
4場所連続休場が“土俵勘”に影を落とす可能性はある。
「始まってみないと分からないが、そこ(ブランク)を気にしてもしようがない。相手というよりまず自分との闘い」と覚悟を決めている。
白鵬は加齢による衰えとともに、1月上旬に感染した新型コロナウイルスからの回復具合が焦点になる。
合同稽古では同じく新型コロナ感染明けの平幕若隆景(わかたかかげ)相手に30戦全勝した一方、勢いのある平幕阿武咲(おうのしょう)には20勝10敗と苦しんだ。
稽古場でこれほど負ける白鵬は非常に珍しく「私の相撲勘が鈍っている部分もある」と話した。
番数を重ね、回復状況は「上出来」とも語った。
合同稽古後は取材に応じず、所属部屋で汗を流している。
11日には36歳を迎え、今場所で幕内在位100場所目を迎える。
優勝44度を誇る第一人者は、「3月場所を東京で取るのは初めて。まあ初めてのことが好きだからね」と不敵に笑った。横綱の真価が問われる。
大相撲春場所は14日、新型コロナウイルスの影響で大阪から東京・両国国技館に会場を変更して初日を迎える。
休場明けの横綱、大関昇進を狙う三役、巻き返しを期す大関?と、見どころが多い場所に向かう力士たちを追った。
小結・御嶽海が電話取材に応じ、「目標は2桁以上。それしか考えていない」と言い切った。
先場所優勝した大栄翔が大関候補に名乗りを上げ、今場所は照ノ富士が大関復帰に挑む。
過去に2度優勝しながら出世争いでは貴景勝、朝乃山、正代に先を越された。
「一番負けたくない(大関)3人でもある。ずっと意識して取り組んでいきたい」とライバル心をむき出しにした。
先場所、初優勝を果たし3場所ぶり三役復帰した小結大栄翔(27)=追手風=が8日、埼玉県草加市の部屋で関取衆と申し合いを行い、約25番取って調整した。
稽古後、電話取材に応じ、「休まず毎日やってます」と連日、番数を重ね、順調な仕上がりを明かした。
コロナ禍での稽古環境はNo.1だ。部屋には相撲巧者の遠藤をはじめ、くせ者の翔猿ら多才な幕内力士がそろい実戦漬け。
「遠藤関は前さばきとかトップレベル。自分も本当に突き押しを鍛えられます」と充実感あふれ、連続Vも夢ではない。
11日に10年となる東日本大震災の被災者へ力を届けたい思いもある。
大栄翔自身は当時、埼玉栄高2年で何と、海外ボランティアに選ばれ、ロサンゼルスに滞在中だった。
「テレビで見て、すごいニュースになっている、どこの国かな、と思ったら日本だった」と異国で見た東北の惨状は今も心に残る。
「本当に大変な時間だったと思う。自分の突き押しを見てもらって勇気を与えたりできれば」と活躍を誓った。
日本相撲協会の芝田山広報部長(58=元横綱大乃国)が8日、電話取材に応じ、大相撲3月場所(14日初日、東京・両国国技館)に向けて行司、呼び出しら裏方155人にPCR検査を実施し、全員陰性だったことを明らかにした。
今回のPCR検査は初場所前同様、全協会員を対象にしており、親方や力士ら約750人は10日に検体を提出する。
第1段階を感染者ゼロ≠ニし、芝田山広報部長は「場所を開催していくということが私たちの一番の目標。辛抱し合って、検査も受けて、クラスターという感染にならないようにみんなで気をつけてやっていくことが大事だということ。家庭を持っている者は部屋に行っていないのもあるだろうし、裏方だから部屋住みもいる。そんな中で全員陰性ということで、まずよかったなと」と話した。
大相撲の東関部屋が春場所(14日初日、東京・両国国技館)後にも閉鎖される方向であることが9日、関係者の話で分かった。
19年12月に先代の東関親方(元幕内・潮丸)が41歳で急逝し、現師匠の東関親方(元小結・高見盛)が暫定的に継承。
所属する高砂一門内で後継者選びが難航しているという。
同部屋は米ハワイ出身の先々代の東関親方(元関脇・高見山)が86年2月に高砂部屋から独立し、外国出身者として初めて部屋を構えた。
同郷の曙を横綱に育て、人気者の高見盛、潮丸らの力士を育てた。
09年に定年となることに伴い、先代が部屋を継承。
18年には東京・墨田区の東駒形から葛飾区の柴又に移転した。
先代の死去に伴い、一時は同じ一門で日本相撲協会理事長を務める八角親方(元横綱・北勝海)が師匠を務める八角部屋預かりとなっていたが、20年1月30日付で現師匠が継承していた。
東関親方は電話取材に、「ノーコメントでお願いします。場所も近い。今は力士たちが(新型コロナウイルスに)感染しないようにということで頭がいっぱい」と話すにとどめた。
関係者によると、八角部屋に吸収合併される可能性もあるという。
2021/03/09
大相撲の大関朝乃山(高砂)が7日、稽古後に報道陣の電話取材に応じ、今年の目標に大関としての初優勝を掲げた。
1日に27度目の誕生日を迎えてから、初の取材対応。
今年の抱負を問われ「もっと上の番付を目指すには優勝しかない。優勝しないと次へ進めない」と意気込んだ。
昨年の春場所で大関昇進を決めたが、賜杯を抱いたのは平幕だった19年夏場所が最後。
優勝も横綱昇進もいばらの道。
それでも「大関まで来たらもう1つ上を、もう1回頑張りたい」と春場所(14日初日、東京・両国国技館)で2度目の優勝を狙う。
大相撲の小結高安(31=田子ノ浦)が5日、都内の部屋で行った朝稽古後に、報道陣の電話取材に応じて近況を語った。
この日は相撲は取らずに基礎運動などで汗を流したと説明。
部屋付きの荒磯親方(元横綱稀勢の里)と「昨日まで2日間(相撲を)取りました。
立ち合いも思い切り当たってくれますし、土俵際も力を抜かないので、とてもいい稽古になっています」と話すなど、春場所(14日初日、東京・両国国技館)に向けて稽古は充実している。
ここ2年間は相次ぐ負傷で大関から陥落したが、昨年11月場所で三役に復帰すると、小結として2場所連続勝ち越しを決めた。
「場所を追うごとに結果を出せている」と手応えをつかむ一方、「そろそろいい結果を出せるんじゃないかという気持ちはある。何回も優勝争いしたこともありますけど、その時よりも稽古内容もそうだけど、だいぶよくなってきている」と初賜杯への思いが強まっている。
2月に妻で演歌歌手の杜このみが、第1子となる長女を出産した。
地元・北海道での出産で、現在も母子共に北海道にいるために会えていない。
「電話で声聞いたりしかできないけど、すごく励みになっている。励みにしながら3月は頑張りたい。しっかりと結果を出して、また会えればいいかなと思っています」と意気込んだ。
また、2月28日には31度目の誕生を迎えたこともあり「自分にとって素晴らしい、濃い1年にしたい。まだまだ闘志は消えてない。もう1回上を目指して、最高位目指して頑張りたい」と気合を入れた。
小結御嶽海は、2月の合同稽古で負傷した右胸部について、順調に回復していることを明かした。
この日は都内の部屋で若い衆と約20番相撲を取った。
合同稽古2日目の横綱鶴竜との三番稽古で右胸付近を痛め「つった感じ。力も入らなかった部分があった」。現在は「しっかり治療できたので今のところ問題はない」と万全を強調した。
大相撲初場所で初優勝した小結大栄翔(27=追手風)が8日、埼玉・草加市の部屋での稽古後、報道陣の電話取材に応じ、自身の“番付運”について言及した。
優勝した初場所は西前頭筆頭で13勝2敗。
照ノ富士と隆の勝の両関脇、高安と御嶽海の両小結が勝ち越すなど三役に“空き”はなかったものの、春場所(14日初日、東京・両国国技館)では関脇復帰を予想する声も多かった。
「そこまで自分が気にしても仕方ないこと。やっぱり、どの番付にいても成績を残さないと意味がないことなんで。まずは三役に戻ることが目標だったんで、まずは良かったですし、ここからまたいい成績を残していければなと思います」と前を向いた。
一方で小結と関脇では上位陣との対戦順が変わってくる。
先場所同様、序盤に横綱、大関陣との対戦を迎える見通しだが「自分はそこまで(意識は)ないですけどね」と淡々。
先場所は初日から7日目まで役力士に全勝。
平幕が初日から三役以上に7連勝したのは、1場所15日制が定着した49年夏場所以降では初めての快挙だった。
「前半は勝つことで先場所は乗っていけた。やっぱり上位の方はみんな強いので、前半どんな相手にも勝てれば乗っていけるのかなと思う」。
真価が問われる今場所も、2場所連続となる“ロケットスタート”を目指す。
大相撲春場所(14日初日、東京・両国国技館)に自己最高位で臨む、東前頭8枚目琴ノ若(23=佐渡ケ嶽)が6日、稽古後に報道陣の電話取材に応じ、近況を語った。
この日は平幕の琴恵光と琴勝峰と申し合い稽古を行ったという。
「番数は数えていない。だいたい時間でやっている。1時間くらいかと思うけど、自分たちの感覚でしっかりやっている。番数とかに縛られずにやれることをやっている」と連日、納得するまで稽古している。
昨年春場所で新入幕を果たし、1年がたった。
同場所では9勝するも、同年7月場所では左膝を負傷して途中休場して十両に陥落。
しかし、翌秋場所で9勝を挙げて1場所で再入幕を果たすなど踏ん張った。
「けがをするというのは弱かったということなので、その部分をしっかり鍛えたりとか。考え過ぎないでやることも大事なのかなと思って、がむしゃらにやることだけを考えてやっていました。勉強した1年だったと思います」と振り返った。
1月の初場所では、自己最多の10勝を挙げた。
勢いに乗る若手の1人は「地力をしっかりつけて、当たり負けしないとか、基礎的な部分が大事になってくると思う。先場所の成績は自分の中では自信になりましたし、土台を作る上での経験になったかなと思います」と地に足をつけている。
スポーツの強豪校の埼玉栄高時代には、プロ野球の19年育成ドラフト1位で西武に入団した出井敏博と、3年間同じクラスだったという。
「結構しゃべってました。本人も(プロを)目指してましたし、入ってからもお互い頑張ろうと言って」と親交があったという。
現在も連絡を取り合う仲で「向こうもキャンプだったりで忙しいと思う。おのおのでいい報告ができればいいんじゃないかなと思います」と、それぞれの舞台での切磋琢磨(せっさたくま)を誓った。
大相撲春場所(14日初日、東京・両国国技館)が入幕4場所目となる西前頭8枚目翔猿(28=追手風)が8日、埼玉・草加市の部屋での稽古後、報道陣の電話取材に応じ、ビッグマウス? ぶりを発揮した。
6勝9敗で2場所連続の負け越しとなった1月の初場所の感想を求められると「楽に勝とうとしていたのが敗因ですね、すぐに引いたり相手をなめたり…。調子おろしまくりです。わざとじゃないんですけど、昔からなんですよ、人をなめる悪いクセが出るのは」と回答。
相手によって油断が生まれていたことを明かした。
昨年秋場所では新入幕ながら千秋楽まで優勝争いに絡み、知名度を一気に高めた。
きっぷのいい相撲と端正なマスクに加えて、素直なインタビュー対応や、土俵上で感情を前面に出す姿でも相撲ファンを引きつけた。
同場所では自身より番付が上の相手との対戦がほとんど。
「やっぱり、格上だと思いっきりいこうとなるんですけど、こういう言い方も悪いんですけど(相手を)なめていくと、こんくらいで勝てるから引いてやろうと余計なことばっかり考えて、いい相撲にならないですね」と反省。
春場所では自身の姿勢を見直し「誰とやっても思い切りいく。そこが一つの目標でもある」と“改心”を誓った。
春場所では兄の西前頭15枚目英乃海(31=木瀬)が18年春場所以来3年ぶりの幕内復帰を果たし、史上9組目の兄弟幕内となった。
「意外と少ない。すごいですね」と快挙に驚きつつ「あんまり気持ちは変わらずに、頑張れたらいいんじゃないですかね。兄弟で」と平常心を強調した。
大相撲の小兵・翠富士(24=伊勢ケ浜)が、試練の春場所(14日初日、東京・両国国技館)に挑む。
得意の肩すかしを武器に、新入幕だった初場所で9勝。
技能賞を獲得し、土俵を沸かせた。
春場所での活躍に期待がかかる中、「腰がヘルニアになってしまった。場所休みが終わって1週間、2週間たってぐらいですかね」と2月の稽古中にヘルニアを発症してしまったという。
負傷当初は、歩行も困難だったという。
「前々から痛いなとは思っていたけど、一気に痛みがきた。調べてもらったらヘルニアとか椎間板がつぶれてたり…」と説明。
稽古も思うようにできない日々が続いていたが、今週になってようやく、四股を踏めるようになったという。
この日は、幕下以下の若い衆と一番だけ相撲を取り「歩いたりは全然できる。一時期は本当にヤバかったけど、今は大丈夫です。場所には間に合うだろうなという感じ。いけそうな雰囲気はありました」と前向きだった。
自信は持って土俵に上がる。
初場所は得意の肩すかしだけで5勝。
計9勝で三賞を獲得し「本当に自信になった。昔からテレビで見ていたり、大きい人ばっかりだったので。その中で9番勝って自信になりました」と振り返った。
思うように稽古が出来ない中でも、取組の動画などを見てイメージトレーニングもしているといい「不安もあるけど勝ち越しを目標にしたい」と意気込んだ。
大相撲の西前頭11枚目琴勝峰(21=佐渡ケ嶽)が6日、稽古後に報道陣の電話取材に応じ、近況を語った。
この日は、平幕の琴ノ若と琴恵光と申し合い稽古を行った。
「よく右半身にはんるクセがあるのでそうならないように意識して稽古した。悪いクセ、自分がよくなる形にならないように意識してやっている」と話した。
初場所は初日から11連敗するなど、試練の場所になった。
「初めての経験でどうしていいか分からないところはあった。1日の相撲に集中しようと思ったけど、それでも下向きになった」と泥沼にはまった。
12日目に連敗を止めたが、終わってみれば2勝13敗。
「あまり勝ちにこだわらない。勝つか負けるかしかないので、勝つことばかり意識しないで思い切っていくことが大事。こだわらないことも大事だと思った。経験を生かさないと意味がないので生かしていきたい」と苦い経験も無駄にしない。
息抜きはマンガを読むこと。電子版で読んでいるといい、風呂場でも読めるようにiPadの防水ケースを購入。
「キングダム」や「呪術回戦」といった、人気作品を熟読してリラックスしているという。
初場所で13敗を喫したが、幕内になんとか残った。
「純粋に強くなりたいと想っています。早ければ早いほうがいい」と幕内にいる限りは、新三役昇進を目標に土俵に上がる。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)が8日、報道陣の電話取材に応じ、7日までにPCR検査を受けた行司、床山、呼び出し、若者頭、世話人の裏方と呼ばれる155人の協会員全員が陰性だったことを明らかにした。
同広報部長は「昨日の夜(検査結果が)出まして、おかげさまで全員陰性でした。今までのいろんな状況と流れを見て、みんな自粛してくれているんだと思う」と感謝した。
協会は1月の初場所に続き、春場所(14日初日、東京・両国国技館)でも場所前に全協会員にPCR検査を実施する。
力士と親方衆を合わせた約700人は10日までに検査を受ける予定。
同広報部長によると、8日に行われた協会執行部による定例会で、体調不良を訴える力士の報告はなかったが「無症状っていうところが一番のネック」と警戒心を緩めなかった。
外国人力士のパイオニアが創設し、優勝11回の横綱を輩出した東関部屋(東京都葛飾区柴又)が、大相撲春場所(3月14日初日、東京・両国国技館)を最後に、閉鎖される可能性があることが8日、関係者への取材で分かった。
現師匠である東関親方(44=元小結高見盛)の後任選びが難航しているためで、このままの状況が続けば約35年の歴史に幕を閉じるという。
東関親方は、19年12月に41歳の若さで死去した先代東関親方(元前頭潮丸)の死去に伴い、部屋付き親方だったことから、年明けの昨年1月、部屋を継承した。
ただ、部屋の運営には師匠としての精神的負担から難色を示し、関係者によれば1年ほどの“暫定的”な継承として師匠の座を引き継いだという。
そのため高砂一門内で、次期継承者を模索。
先代高砂親方(現錦島親方=元大関朝潮)の定年に伴い、高砂部屋を継承しなかった若松親方(元前頭朝乃若)らが候補に挙がったが、不調が続き現状では候補者不在。
前述の「1年間」のリミットが切れる状況では、部屋封鎖もやむなしの方向で話が進んでいるという。
東関部屋は、ハワイ出身で高砂部屋付きだった12代東関親方(元関脇高見山)が、86年2月に高砂部屋から分家独立して東京・東駒形に創設。外国出身者による初めての部屋で、ジェシーの愛称で人気を博したこともあり話題を集めた。
同じハワイ出身の曙が横綱に上り詰め、高見盛や潮丸らの関取を輩出。09年6月の定年後は、当時小野川親方の先代東関親方が部屋を継承。
18年1月に現在の部屋に移転した。
現在の部屋は、地域活性化の狙いで誘致した葛飾区が、区有地を有償で貸し出した土地に建築された。
行政側との問題なども残り「完全には(撤退は)決まっていないが、その方向にはある」と関係者は話し、その際には東関親方と力士6人は、同じ高砂一門の八角部屋(師匠=元横綱北勝海)に移籍する方向性も示されているという。
○…部屋の存続問題について東関親方は、電話取材に「自分がどうこう言っても悪い方にとられてしまう。正直、ノーコメントです」と話した。
14日初日の春場所が迫っていることもあり「場所も近いし余計なことは言いたくありません」とも付け加えた。コロナ禍で力士の生活環境も厳しい状況が続く。
「自分も力士も外出はしてませんが、こんな状況ですから、いつ感染するかもしれない。(いつ感染するか分からないという)覚悟はしています」と予断を持たずに責務を全うする姿勢を示した。
2021/03/03
正代は2日、初日まで2週間を切った春場所(14日初日)に向け、東京都墨田区の時津風部屋で豊山と10番ほど取った。
相撲記者クラブの電話取材に応じ、「いつもならまだ調整している時期だが、もう相撲が取れている。いい流れかなと思う」と好感触を口にした。
昨年11月場所で左足首を痛めており、先月に相撲教習所で実施された合同稽古には大事を取って参加しなかった。
「痛みは感じないが、変な感覚が残っている」。
けがを悪化させないためにも、下がらないことを強く意識している。
大相撲3月場所(14日初日、東京・両国国技館)の新番付が発表された1日、大関復帰を目指す関脇照ノ富士(29=伊勢ヶ浜)がオンラインで会見を行った。
ヒザの故障などで一時は序二段に陥落しながらも、不屈の闘志ではい上がってきた照ノ富士は「やっと近づいてきたかなと。今場所で決めないとまた最初からのことになるので、頑張らないと」と率直な思いを語った。
大関復帰の目安は三役の地位で33勝。
照ノ富士は直近2場所で計24勝を挙げており、3月場所で9勝以上の成績が求められる。
これには「内容が一番大事。
数字も大事だけど、とりあえず33勝を達成しないと始まらないことなので、それを目標にして全力を出していい相撲を取りたい」と冷静に話した。
先月11日に挙式し、大関復帰につなげたいところだが、本人は「挙げたことはありがたいと思って次に進もうと思う」としながらも「気合いが入っているといって、変に硬くなるのは嫌なのでいつも通りにやっている」と、あくまで平常心を貫いている。
苦しい時期を乗り越え、ようやく勝負の15日間に臨む元大関は「過ぎたことを考えてもしょうがない。目の前のことを精いっぱいやっているから今の結果に出ていると思うし、落ちて上がっているから注目されている部分もあると思うし、別にどうこう考えはない」ときっぱり。
どん底からの復活劇を果たせるか注目が集まる。
大相撲・春場所の新番付が発表され、上松町出身の御嶽海は、初場所と同じ西小結で臨むことになりました。
初場所を9勝6敗で終えた御嶽海は、大関とりにつなげるためにも去年の7月場所以来の2桁勝利を目指します。
春場所は、14日に東京の両国国技館で初日を迎え、新型コロナの感染防止で観客を5000人までに制限して行われます。
日本相撲協会は3月1日、大相撲春場所(両国国技館)の新番付を発表した。
三重県伊賀市出身の千代の国関(30)=九重=は初場所と同じ東前頭九枚目で、初日は14日。
春場所は今回、開催地が大阪から東京に変更。
1月の初場所では、開幕前に九重など4つの相撲部屋で新型コロナウイルスの集団感染が発生。
所属する力士は陰性だった千代の国関を含め全員が全休になった。
今月14日に初日を迎える大相撲春場所の番付が発表され、琴恵光は、東前頭14枚目となりました。
前頭11枚目で臨んだ初場所で6勝9敗で負け越した琴恵光。
今回番付を3枚下げ、東前頭14枚目となりました。
春場所は今月14日から両国国技館で始まります。
2021/01/29
28日、東京・両国国技館で理事会を開き、大相撲3月場所は例年の大阪ではなく、東京・両国国技館へ会場を変更して開催することを決定した。
新型コロナウイルスの国内での感染状況を考慮した。
この日、電話取材に応じた芝田山広報部長は、会場変更について「感染症の先生も(実際に)足を運んでいるが『国技館並みの感染対策は非常に困難を要するだろう』と。それからコロナ禍で宿舎を確保できない部屋が出てくる可能性があり、宿舎を貸していただく方との共用、接触も危惧している」と説明した。
番付発表を東京で行い、本場所直前に大阪入りする案もあったが「基礎疾患があって重症化リスクの高い力士が感染しても、入院が困難な可能性がある」と指摘したように、リスクは少なくない。
また、緊急事態宣言についても「2月7日までだが、いっぺんに解除になる可能性は低いんじゃないか」とした上で「準備するリミットもあれば、今の感染状況、会場、宿舎の感染対策など積み重なり、それら相対的に考えたら今年は(大阪開催は)難しいということになった」と語った。
大相撲の地方場所は昨年3月、大阪で史上初の無観客で開催。7月の名古屋場所、11月の九州場所(福岡)は東京で開催された。相撲協会は3月場所から1年ぶりに地方場所を再開する方針だったが、新型コロナの影響で困難と判断。これで東京での開催は、昨年7月場所から5場所連続となる。
また、協会は東京五輪開催のため夏巡業を中止することを発表した。
2021/01/22
朝乃山の逆転優勝は厳しくなった。
照ノ富士に左上手を許し、寄り切られた。
完全に力負けした形で、対戦成績はこれで4戦全敗。
「どうしても上手を先に取りたかった。先に先に攻められ、形を作られた」と悔しがった。
この日は富山商時代の恩師、浦山英樹元監督の命日だった。
白星で飾れず、優勝争いからも後退し、「気持ちを切り替えて、千秋楽まで自分の相撲を取りきります」と気丈に話した。
正代は合口がいい竜電に2本差すと、難なく寄り切り、2敗を守った。
土俵際での逆転勝ちや、取り直しの末に相手の勇み足で星を拾った前日までの2日間の反省を踏まえ、ようやく本来の攻めを取り戻し、「今回は落ち着いて詰めができた」と胸をなで下ろした。
大栄翔とトップに並ぶ。
3敗の力士が消えても、2度目の優勝に向けて油断はできない。
大関は「あとはその日にできる一番いい相撲を取ることだけに集中できればいい」と気を引き締めた。
照ノ富士は大関・朝乃山を破って4場所連続の幕内勝ち越しを決めた。
朝乃山に過去3場所全勝の照ノ富士が、またも若き大関の壁となって立ちはだかった。
右の相四つ、新旧大関対決。
勝敗を分けたのは、元大関の先輩として見せた意地だった。
小細工なしの立ち合い、先に右を深く差した照ノ富士。
右のかいなを返し、相手に上手を許さない。
「そんなに深く考えていない」と語るが、長年稽古(けいこ)で鍛えた成果を体が勝手に発揮した。
互いの荒い息づかいが客席まで響く中で、先に左上手を取ったのも照ノ富士。
「どんな相手でも、まわしを取れば自分の方が上」と自信をみなぎらせ、最後は力いっぱいの攻めで大関を寄り切った。
観客は好勝負に圧倒されて拍手を忘れてしまったのか、少し遅れて大きな音が響いた。
御嶽海は、西前頭4枚目の玉鷲を巻き落としで下した。
7勝5敗とし、22日は西前頭6枚目の輝と対戦する。
立ち合いが合わず2度目で立つと、御嶽海はすかさず左差し。
こらえる玉鷲を左で巻いて転がし、今場所の勝ち越しまであと1勝とした。
今場所の輝は5勝7敗。
御嶽海は過去5度の対戦で全勝している。
新たな歴史が刻まれるのが恒例となってきた初場所。
今年は大栄翔が初の賜杯を抱いて時の人となるか。
好調の明生との正念場の一番は土俵際の逆転で星を拾い、何とか2敗をキープした。
互いに頭でぶちかまし、突きといなしの激しい応酬。
まわしを取られて寄られたが、半身で残しながら左ですくうように突き落とし、俵を伝うようにして相手が先に手をつくのを待った。
「(相手を)見過ぎて、(先に)まわしを取られた。最後まであきらめないでよかった」とゆっくりと息をついた。
自身より身長が20センチ、体重が74キロも上回る相手との初顔合わせに、翠富士は「昨日から怖かったので。ビビっていた。体の大きさとか、突き押しが怖くて。死ぬのかも知れないと思っていた」と率直な心境を明かした。
だが取組では堂々たる相撲で、左を差してからの代名詞・肩透かし。
新入幕での勝ち越しに、王手をかけた。
現役最年長の華吹が、偉業を達成した。
西序ノ口11枚目の桜(34=高田川)との、両部屋ちゃんこ長の対決。
立ち合いすぐに左を差して右上手を取ると、土俵中央付近で静止。
桜の下手投げに耐えると、上手投げで相手の体勢を崩し頭を押さえながらのはたき込みで料理した。
昨年5月28日に50歳になってから4場所目で初の勝ち越し。
実に116年ぶりの50歳以上力士の勝ち越しとなった。
2021/01/21
自分の型を持つ力士は強い。
調子が上がらず、苦境に立たされた朝乃山だが、「自分の相撲」を信じて5連勝。
勝ち越しを決め、初のカド番を切り抜けた。
立ち合い、すぐに右を差して前に出る朝乃山の相撲。
土俵際まで寄り立てたが隆の勝も一筋縄ではいかない。
右からすくった隆の勝にうまく体を入れ替えられて突き落とされかけたが、踏ん張った。
揺さぶられても大きくは崩れず、最後ははたき込み。
「踏ん張れたのはよかった」と、納得の表情で振り返った。
正代はよもやの形で命拾いした。
背中から落ちた取り直しの一番で、隠岐の海に勇み足。
行司差し違えの辛勝だった。
10日目に給金を直し、初めてのかど番の重圧を乗り越えたばかりだった。
そんな状況で迎えたこの日、大栄翔が逆転負けを喫して2敗に後退し、臨んだ一番。
どこかに硬さがあったのか、本来の前への攻めを発揮できなかったが、賜杯を獲得するにはこういった白星も必要だ。
優勝争いに向け、「いい方向にもっていかないと」と八角理事長。
九死に一生を得て、本人も「これを拾えたことが今後大きくなるんじゃないか。流れは来ているんじゃないかと思う」と前向きに捉えた。
大栄翔は相撲に勝って勝負に負けた。
立ち合いから阿武咲を一気に押し込む。
勝負は決まったかに思われたが、土俵際の突き落としで2敗目。
7日目から単独トップを守ってきたが、ついに正代に並ばれた。
ただ、相撲内容はよかったので「立ち合いはよかったんで」と重要視する立ち合いは満足。
土俵際のところだけ「あそこをしっかり見ていかないとダメでした」と反省した。
阿武咲が土俵際の逆転で、大栄翔を2敗に後退させた。
立ち合いから強烈な突きで一気に押し込まれたものの、俵に足がかかったところで相手の右喉輪をたぐって突き落とし。
「(一方的に押され)やばいと思ったけど、あそこで逆らうと体勢が崩れる。足が着いたところで勝負しようと。まぐれですけど良かった」。
冷静な判断が光り、勝ち越しに王手をかけた。
18日に新型コロナウイルス感染が判明した大相撲の九重親方(元大関・千代大海)が20日、入院した。
日本相撲協会の芝田山広報部長が明らかにした。
九重親方が師匠を務める九重部屋では19日までに幕内千代翔馬ら計14人の感染が判明。
19日に陽性が確認された幕下以下の力士4人と行司1人は部屋で隔離生活を送っている。
2021/01/20
左足首のけがを理由に途中休場し、負け越しが決まった大関貴景勝。
押し相撲では難しいとされた綱とりを前に、重圧も重なったか。
かつての指導者たちは異変を感じ取っていた。
小学3年から中学1年まで教えた関西奄美相撲連盟の山口久義会長は、初日の御嶽海戦を例に挙げた。
「押し相撲は足の運びと腕の回転が大事だが、前への圧力がない負け方だった」。
大関本人も「修正していかないといけない」とオンライン取材に答えていたが、左足首を痛めた3日目を含め、4連敗を喫した。
「半分は気力で取るタイプ。歯車が狂うと負け続けることもある」。
埼玉栄高の恩師、山田道紀監督=兵庫県浜坂町(現新温泉町)出身=は貴景勝の性格に不振の理由を求め、場所前にも気負いを感じたという。
「『(稽古を)やりすぎた』と連絡があった。胸の筋肉が付きすぎて、突き押しの手が出しにくい感じもした」と明かす。
貴景勝は今場所、負けが先行しても「しっかり準備して」と土俵に立ち続けたが、ご当所の大阪で予定される春場所は3度目のかど番となった。
山口会長は「(けがの休場は)割り切れる。体を休めて稽古すればいい」と思いやり、山田監督も完治を願った上で「勝ち越しを目標にするのではなく、また優勝を狙う気持ちで頑張ってほしい」とエールを送った。
朝乃山(26)=高砂=が立ち合いから抜群の出足で、玉鷲を寄せ付けなかった。
得意の右四つから盤石の寄り切り。
「しっかり踏み込めた。喉輪も下からはねのけたと思うし、自分の相撲が取れたと思います」と納得顔を浮かべた。
7日目から4連勝で7勝3敗とし、かど番脱出へあと1勝とした。
「考えれば考えるほど硬くなるので。一日一番。結果は付いてくると思います」と気を引き締めた。
正代が痛恨の2敗目。御嶽海に2本差されて先手を許すと、動きながら勝機を探ったが、両まわしを引かれて力尽きた。
「自分の力を出し切れなかった」と肩を落とした。
大栄翔が無傷の8連勝とし、結びで自身が敗れたため、8日目を終えて単独トップの平幕が後続に2差をつけた。
1場所15日制が定着した1949年夏場所以降では初の不名誉な事態となったが、まずはかど番脱出に意識を置く。気を取り直し、「自分の相撲を徹底し、最後まで集中してできたらいい」と話した。
大相撲初場所(両国国技館)8日目の17日、西前頭筆頭の大栄翔(27)=本名・高西勇人(はやと)=が破竹の8連勝で勝ち越しを決めた。
出身は埼玉県ながら、そのルーツを奥能登に持つ。
珠洲市内で暮らす親戚の高西利雄さん(72)は「(大栄翔の)祖父は体が大きく、飯田高の相撲部員だった」と明かし、「この勢いで優勝してほしい」と快進撃を見守っている。
同じ追手風部屋の遠藤より3歳下だが、入門は約1年早く兄弟子となる。
取組が迫ると、高西さんは珠洲市宝立町春日野の自宅でテレビにくぎ付けになる。
大栄翔の母恵美子さんはいとこに当たる。
17日の相手は郷土力士の輝だが、声援はもちろん親戚の「勇人」に向けられた。
土俵際でとったりを決めると「おー、勝った」と大喜びだった。
高西さんによると、大栄翔の祖父弘勝さんは珠洲生まれ。
身長が180センチ近くあったそうで「目元が似ている。相撲の道に進んだのは祖父の影響があるのかもしれない」と目を細める。
弘勝さんは若い頃に東京に移って鉄工所を営み、死後は家族が埼玉県に引っ越したという。
大栄翔は園児のころ珠洲の自宅に遊びに来た。
高西さんは「小さかった子がこんな立派な力士になるとは」と感慨にふける。恵美子さんとは年賀状のやりとりを続け、昨年秋に珠洲産米の「ひゃくまん穀(ごく)」30キロを贈ると、返礼として手形入りのサイン色紙などが送られてきた。
「今場所の活躍は珠洲の米のおかげかもしれない」と笑顔を見せる。
大雪のストレスも吹き飛ばす快進撃に心が弾む。
「知人や近所の人たちに、大栄翔の本名は『高西勇人』やぞ、と紹介してます。優勝して大喜びしたいね」と高西さん。
大栄翔ブームの広がりを期待し、声援を送り続ける。
遠藤は過去2勝7敗と苦手の貴景勝から一昨年秋場所以来の白星。
土俵中央での激しい押し合いから前に出るも大関の反撃に後退。
土俵際まで追い詰められたが、巧者らしく冷静にいなして引き落とした。
取組後、テレビ中継の殊勲インタビューに久しぶりに応じた遠藤。
涼しい顔で「我慢して相撲を取るだけでした。(後半戦は)できることを精いっぱいやるだけ」と語った。
輝は隆の勝との同学年対決。
過去3勝5敗と分が悪い相手だが、辛うじて白星をつかみ、4連敗を阻止した。
取組後のリモート取材では「ぎりぎりで何とか。必死に動かないとと思った」と振り返った。
後半戦に向けては「最後の詰めをしっかりできることが大事」と自戒を込めた。
東前頭15枚目の豊山(金沢学院高OB)は、東十両4枚目の松鳳山に辛勝し、6勝3敗。西十両8枚目の大翔丸(金沢学院高OB)は、同3枚目の美ノ海に押し倒しで敗れて3連勝を逃し、6勝3敗とした。
今年は関取として土俵に上がった。1月19日は横綱大鵬の命日。
直近2年のこの日は幕下で相撲を取っていた孫の西十両11枚目王鵬(20=大嶽)は、大翔丸にはたき込まれて7敗目。
「2年前から命日の日にたまたま相撲があるが1番も勝てていない。今日こそはという思いがあった」と悔しさをにじませた。
黒星が続く新十両の今こそ、耐え忍ぶ。
9日目からの土俵入りは「忍」の文字が入った化粧まわしを使用。
祖父が生前、好んでいた言葉だ。
師匠の大嶽親方(元十両大竜)によると、この「忍」は大鵬が直筆した字を「プリント」したもの。
化粧まわしを製作した知人に、希望の漢字1文字を問われて王鵬が選んだ。
「よく(祖父が)サインにも書いていた字。耐え忍んで、稽古も自分のためになることはきつい。それを忍んでやっていかなければということ」と王鵬。
自分なりに「忍」の意味をかみ砕く。
勝ち越しに向けて後がない状況となったが、相手の引きを怖がらず、前に出る相撲を貫いている。
「引いて負けるより、前に出て負けた方が星もついてくる」。
信念を持って、天国から祖父が見守る土俵に立っている。
大相撲初場所は11日目、20日から終盤戦です。1敗で単独トップに立つ前頭筆頭の大栄翔は平幕の阿武咲と対戦します。
大相撲初場所は大関 貴景勝が休場して戦後最多の関取17人が休場する異例の事態の中、前頭筆頭の大栄翔がただ1人1敗でトップに立っています。
2敗で大関 正代、3敗で大関 朝乃山、いずれも平幕の明生と逸ノ城が追う展開です。
大栄翔は、11日目の20日、平幕の阿武咲との対戦で、過去の対戦成績では3勝5敗と負け越しています。
大栄翔としては、ここまで続けている思い切りのいい突き押しで一気に勝負を決めたいところです。
阿武咲も同じ突き押しを得意とするだけに、どちらがより鋭く踏み込み、腰を落として下から攻めていけるかが勝負の鍵を握ります。
星の差1つで追う正代は、35歳のベテラン、平幕の隠岐の海との対戦で、過去の対戦成績は4勝5敗と負け越しています。
正代としては、四つ身のうまい隠岐の海を相手に、立ち合いから足を止めず一気に前に出ていきたいところです。
7勝3敗の大関 朝乃山は、角番脱出をかけて関脇 隆の勝との一番で、過去の対戦は朝乃山の2勝1敗です。
朝乃山は、得意の右四つに持ち込むために立ち合いでしっかり踏み込んで、隆の勝の出足を止めることが重要です。
幕下の取組で立ち合いが不成立になったものの力士どうしの頭が激しくぶつかり、1人がしばらく立ち上がれなくなりました。
審判団は、取組をどうするか協議し、力士も相撲を取れる状態になったことから仕切り直して行われる珍しい事態となりました。
東京 両国の国技館で行われている初場所10日目、幕下の湘南乃海と朝玉勢の一番は立ち合いが不成立になりましたが、2人は勢いあまって頭が激しくぶつかりました。
この衝撃で、湘南乃海がひざから崩れ落ち、何度か立ち上がろうとしましたが、足に力が入らない様子でふらふらする状態となりました。
2人は土俵の下に降りたものの取組が中断する形になり、審判団が取組の扱いについて協議することになりました。
協議の間に湘南乃海の状態が回復したとみられ、取組は続けられました。
仕切り直しの末に行われた取組では、しばらく立ち上がれなかった湘南乃海がはたき込みで勝ちました。
2021/01/17
貴景勝が持ち前の相撲を取り戻した。
立ち合いから低い当たりで栃ノ心をはじくと、相手に何もさせず突き押しで一気に土俵の外へ押し出した。
鋭い出足で攻めきる会心の内容を見せて「土俵で出さないと何も意味がない。また明日以降しっかり準備していく」と気を引き締めた。
7日目でようやく二つ目の白星。
初日から4連敗で目指した綱とりは絶望的だが、大関の役割は果たさねばならない。
後半戦の巻き返しに向け、「気持ちとか、精神的なものが(結果に)出てくる。自分がどこまでできるか。とにかく集中して力を出し切りたい」と力を込めた。
物足りなさが目立つ大関陣にあって、カド番の正代が1敗を守り、看板力士の面目を保っている。
この日は動きのいい阿武咲を右を差して組み止め、そのまま前に出て力強く土俵下まで押し出した。
「立ち合いから出足が良かった。落ち着いて取り切れている」と納得の表情だ。
関脇照ノ富士は、小結御嶽海を寄り切りで下して4勝目を挙げた。
元大関の真骨頂と呼べる一番だった。
立ち合いから素早く左上手を引くと、流れで右上手も取って外四つの形に。
腰の重い相手に胸を合わせると、そのまま力任せに寄り切った。
「(上手を)取れたのでよかった。取ったら安心という感じ。(相手は)差してくるだろうと思ったので」と、予想通りの展開での完勝に胸を張った。
迷いのない取り口は、いつもすがすがしい。
大栄翔は鋭く当たり、関脇隆の勝を大きく後退させた。
「先に攻めることができてよかった」。間髪入れずに重い突きを見舞い、何もさせずに土俵の外へと押しやった。
初日の大関朝乃山に始まり、今場所出場の役力士を全員撃破。
「内容もいいので力が付いてきたんじゃないかと実感できる」。
素朴な口ぶりに自信がみなぎっている。
平幕が初日から三役以上に7連勝したのは、1場所15日制が定着した1949年夏場所以降では初めて。
対戦する三役以上を全て破ったのは、西前頭3枚目だった91年秋場所の若花田(後の横綱3代目若乃花)以来の快挙だ。
両横綱が初日から不在の今場所。
けれん味のない大栄翔の姿に、八角理事長は「救世主が現れたというのかな。こういう内容で相撲を取ると期待が全然違うよね」とたたえた。
明瀬山が敗れて単独トップに。
平幕力士との対戦しか残っておらず、有利な立場にいるとも言えるが、「変わらずに、思い切って向かっていく気持ちでやりたい」と語る。
日本相撲協会の芝田山広報部長は16日、新型コロナウイルスに感染して入院していた荒汐部屋の協会員全員と、湊部屋の幕内格行司、木村元基が退院したと明らかにした。
2021/01/16
貴景勝の初日からの連敗がようやく止まった。
琴勝峰を右喉輪で起こすと、タイミング良く左から突き落とした。
「白星を挙げられたことが、いいきっかけになれば」。
表情を変えずに淡々と振り返った。
今場所の綱とりは遠のいたが、両横綱が不在の中、出場力士の最上位としての重責は変わらない。
「一生懸命やることしかできない。集中して一日一日準備していくだけ」と必死に前を向いた。
かど番の2大関は対照的だった。
正代は厳しい攻めで5勝目を挙げたが、朝乃山は詰めを誤って3敗となった。
栃ノ心にもろ差しを果たした正代はまわしも与えず、「体が動いてくれているので、この調子で最後までいけたらな」と言葉にも勢いがある。
朝乃山は宝富士と自分十分の右四つに組んだ後、相手に上手を与えて投げを食った。
「土俵際まで攻めたが、その後に攻め切れない自分がすごく悔しい」と自らを責めるように言った。
28場所ぶりの幕内で、明瀬山が存在感を発揮している。
初日から6連勝とした35歳は「素直にうれしい」と実感を込めた。
懐に入ってきた照強に一気に出られるピンチにも、冷静さが光った。
土俵際で残すと、右から逆転の突き落とし。
独特な体形で愛嬌(あいきょう)たっぷりなベテランの快進撃は止まらない。
故北の湖親方(元横綱)からも手ほどきを受けた右四つと、押しを武器に2016年春場所に新入幕を果たしたが、わずか4勝とはね返され、幕下まで転落。史上4番目に長いブランクを記録して再入幕した今場所は、見違えるような好成績だ。
そんな姿に、八角理事長(元横綱北勝海)も「真面目にやっていればいいことがあるという見本じゃないか。立派。お手本になる」。
08年初場所の初土俵から休場することなく土俵を務めてきた地道な姿勢も、下地になっていることだろう。
昨年1月の初場所では、同じ木瀬部屋で1学年下の徳勝龍が幕尻優勝。
もっとも本人は気負いはなく、「まだ前半も終わってないんだから」。
軽妙に語ると、にやりと笑った。
大相撲初場所は7日目、前頭筆頭の大栄翔はここまで三大関などを破って6連勝とし関脇 隆の勝と対戦します。
大栄翔は16日に勝てば、出場しているすべての役力士から白星を挙げることになります。
横綱不在の初場所 平幕2人が6連勝
横綱不在の初場所は、6日目を終えて役力士に勝ちっ放しがおらず、前頭筆頭の大栄翔と、前頭16枚目の明瀬山の平幕2人が、初日から6連勝としています。
上位陣では角番の大関 正代が1敗で追っています。
大栄翔は、16日に対戦する隆の勝から白星を挙げれば、出場している役力士全員に勝っての7連勝となります。
過去の対戦成績は大栄翔の2勝3敗で、ともに思い切りのいい押し相撲が持ち味です。
互いに相手の突き押しに対して、どこまで我慢して自分の相撲を貫けるか、地力の試される一番になります。
6連勝の明瀬山は、逸ノ城との対戦
同じく勝ちっ放しの明瀬山は、逸ノ城との対戦です。
両者ともに右四つを得意とする力士で、がっぷり四つに組み合う展開が予想されます。
35歳の返り入幕の場所で連日、土俵を沸かせている明瀬山が、体重およそ200キロと重い逸ノ城を相手にどのような相撲を見せてくれるのか楽しみです。
1敗で追いかける正代は、平幕の阿武咲との対戦で、対戦成績は正代の不戦敗を含めて2勝2敗です。
今場所の阿武咲は出足が非常によく、突き押しも強烈なだけに、正代としては前に出る相撲で退けて勢いに乗っていきたい一番です。
2021/01/12
「この年末年始も角界はコロナに振り回されっぱなしですよ…」と、疲労感のにじむ表情を浮かべるのはさる角界関係者だ。
1月10日に初日を迎えた大相撲1月場所は、開催前から予断を許さない状態が続いていた。
「昨年の大みそかに、荒汐部屋の若隆景(26)のコロナ感染が判明。翌元日には、荒汐親方を含む計11人のクラスター発生が確認されて、角界周辺は一気に慌ただしくなりました。一方で、20年度の収支決算が55億円の大赤字を見込んでいる相撲協会としては、緊急事態が発令されようが、約5000人を上限に、観客を入れた本場所開催の方針を曲げるわけにはいかなかった。5日には、横綱・白鵬(35)の感染も発表。昨年同様に難しい舵取りを迫られましたが、1場所5億円の放映権料と入場料収入のために中止の判断は下せなかったようです」
3日に嗅覚異常、4日にPCR検査を受けて感染が確認された白鵬は、3場所ぶりの本場所復帰が断たれたことになる。
くしくも引退の先延ばしに成功した白鵬だが、かつて大相撲界の一大勢力として君臨していた「モンゴル互助会」も、ヘッド不在で機能不全に陥っているという。
衰退の一途を辿るモンゴル人横綱から、学生相撲出身の正代(29)、朝乃山、貴景勝の日本人大関3人衆の時代へと政権交代が進むのも角界の飛花落葉。
中でも、初場所で大関からの一抜けに期待がかかるのは貴景勝だ。
相撲界のジンクスに打ち勝てるかどうかが綱取りの鍵を握っている。
1月12日発売の「週刊アサヒ芸能1月21特大号」では、もはや崩壊の危機に瀕する「モンゴル互助会」の近況と、21年の大相撲初場所で貴景勝が目論む「押し相撲クーデター」について詳報している。
大相撲初場所2日目は11日、東京・両国国技館で行われた。
カド番の大関・正代が熱戦を制し、3大関で唯一2連勝を飾った。
立ち合いから左が入ると、大関経験者の高安を土俵際まで押し込んだ。
反撃を試みる高安に上手を許しかけたが、いなして相手の体勢を崩すと、再び左が入り、前に出て寄り倒した。
激しい攻防を制し、正代は「立ち合いから前に出られた」と言い、「途中、相手の形になりかけて引いてしまい、良くなかった」と反省も忘れなかった。
新大関だった11月場所3日目の高安戦に勝った後、左足首を痛め、結局5日目から休場に追い込まれた。
因縁の相手との対戦に「決着後のけがだったので、そういう意識はない」とはいえ、難敵を退け、安心した様子だった。
大関2場所目で早くもカド番ながら、「(新大関だった)先場所に比べれば緊張していないかな。吹っ切れていると思う」と話していた。
両横綱が不在の中、綱取りがかかる貴景勝が初日から連敗し、同じカド番の朝乃山も初日に敗れた。
土俵下の錦戸審判長(元関脇・水戸泉)も「(3大関で)一番安定感があるように見える」と評価した。
正代は「負け越してもなるようになると考えて、一番一番取れれば、それなりの成績になるのではと思っています」。
気負いを感じさせず、連勝を伸ばしていくつもりだ。
大関かど番の朝乃山が北勝富士に快勝して初白星。
3度目で成立した立ち合いで思い切りよく踏み込み、すぐに右を差して自分の形に。
上手は引けなくても、圧力をかけて前へと攻め、すくい投げで仕留めた。
「これが自分の相撲だと思う。続けていきたい」と納得の口ぶりだった。
右肩を痛めて先場所を途中休場し、今場所の初日は黒星。嫌な流れを断ち切るような好内容に「かど番を脱出して、2桁勝って、優勝争いに加われたらいい」と意気込んだ。
大栄翔が大関を連破した。
初日の朝乃山に続いて貴景勝も重い突き押しで苦しめ、「自分でも内容がいいと思う。本当に自信になる」。
十分な手応えをつかんだ。
綱とりを目指す貴景勝は埼玉栄高の後輩に当たる。
特に仲の良い相手でもあるが、「普段と変わらず、大関に胸を借りるつもりで思い切りいった」と無心で攻めた。
先場所は西前頭2枚目で10勝を挙げながら三役復帰はかなわず、「1場所でも早く戻りたい」。
目標に向けて快調なスタートを切っている。
大相撲初場所(東京・両国国技館)2日目の11日、西小結・御嶽海(出羽海部屋)は東前頭2枚目・宝富士(伊勢ケ濱部屋)と対戦、寄り切りで敗れた。
3日目の12日は、結びの一番で東大関・朝乃山(高砂部屋)と対戦する。
御嶽海は攻めきれずに土が付いた。
立ち合いで踏み込んで押し込んだものの、右を差し勝って前に出たところでいなされて泳ぎ、体勢を入れ替えられて土俵を割った。
朝乃山は2日目に白星を挙げて1勝1敗。
過去6場所で5度当たり、対戦成績は御嶽海の3勝2敗となっている。
阿武咲が元大関の照ノ富士を圧倒した。
突き起こして上手を与えず、懐に飛び込むと、休まず攻めて寄り切った。
「思い通りの相撲が取れたのでよかった」と充実感たっぷりに振り返った。
西前頭3枚目。
3年ぶりの三役復帰を目標に掲げ、昨年12月の合同稽古では6日間休まず稽古に励んだ。
初日も高安に圧力勝ち。
「あと一息。しっかり集中して頑張りたい」と気合は十分だ。
新入幕の翠富士が「十八番」の肩透かしで初日から2連勝とした。
自身より約60キロも重い豊山に立ち合いで鋭く当たり、右を差すと間髪入れずに肩透かし。
見事に豊山を転がした。
十両優勝した先場所は10勝のうち4勝を決めた得意技で快勝し「出ましたね。しっかり(立ち合い)当たって、その流れの中で(肩透かしを)打てました」としてやったり。
目標の三賞に向かって絶好のスタートとなった。
大相撲初場所2日目は11日、東京・両国国技館で行われ、十両復帰2場所目の宇良(28)=木瀬部屋=は、新十両の納谷改め王鵬(20)=大嶽部屋=を押し出しで降し、2連勝とした。
元横綱・大鵬(故人)の孫で191センチ、170キロの大きな体で期待を集める王鵬に対し、175センチ、136キロの宇良。
立ち合いで頭を下げて当たってきた王鵬に「飛ばされないように」と、さらに下をいった。
胸に頭をつけると左を手繰って体を入れ替え、リズムよく押し出し。
両手を広げ、余裕の表情で客席を見渡した。
かつて幕内で「業師」として脚光を浴びた宇良だが、両膝のけがで一時は序二段まで番付を落とした。
気付けば期待の若手を迎え撃つ立場となり「自分も年を取ったな」と自嘲気味に笑う。
王鵬を「体も大きくて強そうだった」と認めつつ、持ち味を発揮して退けた。
「自分の相撲は取り切れた」と納得の表情の宇良。
目指す幕内復帰へ、好スタートを切った。
改名を機に「敗北」のイメージを拭い去る。
史上ワースト89連敗の記録を持つ、東序ノ口28枚目の服部桜改め勝南桜(しょうなんざくら、22=式秀)が、改名後初の取組に臨んだ。
西序ノ口27枚目大陸山になすすべなく押し倒され、昨年初場所の6番相撲から76連敗となったが「冷静に取れた」と気持ちを切り替えた。
生まれ育った神奈川県茅ケ崎市への思いから、昨年11月場所中に師匠の式秀親方(元前頭北桜)に改名を志願した。
当初は「湘南桜」だったが、師匠の提案で「勝南桜」に。
下の名前も高校生棋士、藤井聡太2冠から取って「聡太」にした。
自身もスマホのアプリで遊ぶなど将棋が好き。
縁起を担ぎ「希望通りのしこ名です」と声を明るくした。
「勝」「南」のそれぞれ対義語は「敗」「北」。
師匠の式秀親方(元前頭北桜)によると「『敗北』となったのは後で気付いた」と、偶然だったという。
師匠は「名前を変えたいと聞いてやる気になってるんだなと感じた。稽古も一生懸命やっているので、これから頑張ってほしい」と期待。
通算3勝210敗となったが、勝南桜は「勝ちにこだわりたい。今年で通算10勝くらいはあげたい」と目標を設定した。
◇師匠も教えてくれる
翠富士 新入幕で2連勝スタート。
豊山を得意の肩透かしで仕留め、「体重が増えて、押し込んでから決まるようになった。師匠(の伊勢ケ浜親方)も教えてくれる」と自信ありげ。
◇良くない
照ノ富士 阿武咲にいいところなく寄り切られて連勝ならず。立ち合いからの流れを問われ、「良くないと思う。まあ、あしたから」と淡々。
◇我慢して取れた
宝富士 御嶽海との攻防ある相撲で、最後は得意の左を差して寄り切る。
「我慢して取れた。きょう勝ったのは大きい。三役に戻れたらいい」
◇だいぶ良さそう
正代 高安に粘り勝ち、大関かど番で2連勝発進。
先場所で痛めた左足首は「だいぶ状態が良さそう。立ち合い自体もそんなに悪くない」と不安はない様子。
2021/01/11
初の綱とりに挑む初日。
貴景勝は「自分ではいつも通り」という心構えで臨んだが、初めて経験する重圧は計り知れなかったことだろう。
低く、重い攻めを貫けずに黒星。
厳しい船出となった。
照ノ富士が期待の若手、琴勝峰を豪快に押し倒した。
まわしは取れなくても構わず前に出て、土俵外まで飛ばした。
幸先良く新年を滑り出し、「よかった。自分のやれることだけをやろうと思っている」。
淡々と振り返った。
大相撲初場所(東京・両国国技館)は10日、初日を迎えた。
西小結・御嶽海(出羽海部屋)は結びの一番で東大関・貴景勝(常盤山部屋)を押し出しで破り、白星発進となった。
2日目の11日は東前頭2枚目・宝富士(伊勢ケ濱部屋)と対戦する。
御嶽海は立ち合いに踏み込んで頭で当たると、下からはね上げて貴景勝の攻めに応戦。
右に回り込みながら相手が引いたところを逃さず前に出て、綱とりの懸かる大関に土をつけた。
宝富士は、黒星でスタートした。
過去6場所で4度対戦し、御嶽海の3勝1敗となっている。
大相撲初場所が10日、東京都墨田区の両国国技館で初日を迎え、新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言下で、厳重な対策を講じて開幕した。
5千人を上限に観客を入れての興行。
翠富士が幕内デビューを白星で飾った。
立ち合い変化で“勝った”はずの相撲が立ち合い不成立。
仕切り直しは迷わず、思い切り当たって勝利した。土俵入りで「幕内」を実感したという。
「そうそうたるメンバーで『ハッ』となってちょっと緊張しましたね」。
それが逆に刺激となった。
場所前は「関取になって初めて」という1日40〜50番の猛稽古。
「稽古した自信がある」と旋風を狙う。
大相撲の序二段力士、琴貫鉄(22)=本名柳原大将、滋賀県出身、佐渡ケ嶽部屋=が10日までに、新型コロナウイルス感染を懸念して現役引退したことを自身のツイッターで表明した。
「このコロナの中、両国まで行き相撲を取るのはさすがに怖い」などとつづった。
関係者によると、既に同部屋で断髪式も行われた。
ツイッターによると、師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)を通じて日本相撲協会に大相撲初場所の休場を申し出たが、「コロナが怖い」との理由で休場はできないと伝えられたと主張。
「自分の体が大事」と引退を選んだという。
本場所の休場は医療機関の診断書の提出が義務付けられている。
相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は10日の代表取材に「協会は安全対策を取ってきた。それに対応ができないなら、本人が出処進退を考えるしかない」と説明した。
今場所の琴貫鉄は全休扱いとなる。
大相撲初場所は2日目、「綱とり」の場所で黒星スタートとなった大関 貴景勝は、前頭筆頭の大栄翔と対戦します。
初場所は両横綱を含む関取16人が休場する異例の事態の中、大関 貴景勝の「綱とり」に注目が集まりますが、初日は難敵 御嶽海を押し切れず黒星スタートとなりました。
2日目は前頭筆頭の大栄翔との対戦で、過去の対戦成績は不戦敗も含めて貴景勝の7勝3敗です。
ともに押し相撲の力士で、立ち合いの低さ前に出る圧力などは大関が上ですが、大栄翔も場所を重ねるごとに力をつけてきました。
貴景勝は突き押しを貫いて力の差を見せたい一番で、初日の取組のように引いてしまうことは禁物です。
一方、負け越せば大関から陥落する「角番」の朝乃山も初日敗れて黒星スタートとなりました。
2日目は押し相撲の実力者、前頭筆頭の北勝富士と対戦します。
過去の対戦では朝乃山が7勝2敗と勝ち越していて得意の四つ相撲に持ち込むことができれば優位です。
出足のいい北勝富士を相手に立ち合いでしっかり踏み込んで自分の形を作れるかどうかが鍵になります。
同じく「角番」の大関 正代は、大関経験者の高安と対戦します。
高安もここ数場所は力が戻ってきているだけに正代としては、立ち合いで当たり負けしないよう圧力をかけて白星を重ねていきたいところです。
大相撲の序二段の力士が新型コロナウイルスへの感染を恐れて休場を申し出たものの受け入れられなかったため現役を引退したと、ツイッターに投稿したことを受けて、日本相撲協会の芝田山広報部長は「コロナが怖いから休場させては理屈が通らない」と話し、休場は認められないという考えを明らかにしました。
大相撲の序二段力士、琴貫鐵は9日、自身のツイッターで現役引退を表明したうえで「このコロナの中、両国まで行き相撲を取るのはさすがに怖いので、休場したいと親方に伝え協会に連絡してもらった結果、協会からコロナが怖いで休場は無理だと言われたらしく、出るか辞めるかの選択肢しか無く」などと理由を説明しました。
これについて日本相撲協会の芝田山広報部長は「会社にもコロナが怖いから出社したくないっていう人もいるだろう。それをみんなが言っていたら仕事にならない。協会は安全対策をとってきた。コロナが怖いから休場させては理屈が通らない」などと話し、感染への懸念を理由にした休場は認められないという考えを明らかにしました。
そのうえで「対応ができないなら本人が進退を考えるしかない。本人の自由だから止めることもない。もう引退して断髪式もしたと聞いている」と現役引退についてもやむをえないという考えを示しました。
新型コロナウイルスの感染拡 大が続く中、大相撲初場所が10日、東京・両国国技館で初日を迎えた。
場所前のPCR検査で感染拡大が判明。
力士65人が休場する異例の事態となり、八角理事長(57=元横綱・北勝海)は初日恒例の協会あいさつで、異例の謝罪。
さらなる感染拡大なら打ち切りも視野に入る“緊急事態場所”が幕を開けた。
本場所途中での打ち切りも視野に入れた、試練の15日間が始まった。
東京を含めた1都3県は、緊急事態宣言下。
相撲協会は初日直前に878人の全協会員を対象としたPCR検査を実施し、九重部屋、友綱部屋の集団感染が判明するなど、全力士665人の約1割に及ぶ65人の力士を休場させて開催する異例の事態で初日を迎えた。
恒例の協会あいさつで八角理事長(元横綱・北勝海)は「このたびは場所前、相撲部屋において複数の感染者が判明し、多大なご心配をおかけしましたことを深くおわび申し上げます」と謝罪した。
いつもは観客に向けたお礼などを簡潔に話すが、この日は謝罪の言葉もあり、約2分30秒の長さとなった。
文字通り、異例ずくめの場所だ。
初日から関取が16人も休場するのは戦後初で、幕内の取組数は21番から18番に減少。
さらに深刻なのは十両で、28人のうち9人が休場し取組数は9番に激減した。
そのため、初日の取組開始時間は先場所初日より1時間15分も遅い午前9時50分。
2日目は午前10時に変更された。
入場者数も昨年11月の時点では最大5300人とする方針だったが、6日に売り止めとし上限を5000人に制限。
通常は払い戻しを認めていないチケットは、今場所に関しては前日までに要望があれば応じるとした。
さらに、館内ではちゃんこ販売を再開する予定だったが中止とし、飲食スペースも削減した。
力士が使うタオルは、そのまま支度部屋の上がり座敷に直接置かず、袋に入れるように指示。
協会員用の食堂で食事をする際は1テーブル1人と指定された。
地元・両国では「地元民として街の人の流れは気になる。無観客で開催する手はなかったのか」(会社員・久保田裕子さん、34)や「一人一人が感染防止に気を使っているし有観客開催は問題ないのではないか。通勤電車の方が感染の危険性はあると思う」など、賛否さまざまな意見がある。
中でも目立ったのは相撲協会に対する「責任と覚悟をもって頑張ってほしい」という声。
緊急事態場所の行方は、全国民が注目している。
新型コロナウイルスの感染急拡大で首都圏に緊急事態宣言が発令された中、大相撲初場所は10日、東京・墨田区の両国国技館で初日を迎えた。
場所前の緊急PCR検査で5力士の陽性が判明。
濃厚接触の可能性がある者や5日に感染が判明して入院した横綱白鵬(35)らを含め、コロナ関連で65力士が初日から休場した。
場所中に感染が拡大すれば打ち切りの可能性もある綱渡りの15日間。
戸惑いと手慣れた様子が交錯した。
新春にことほぐ、空気感はない。
緊急事態宣言下で、観客動員は上限5000人を厳格に守る初場所の土俵。
八角理事長(57)=元横綱北勝海=は、恒例の協会あいさつで謝罪の言葉を盛り込んだ。
「このたびは場所前、相撲部屋において複数の関係者の感染が判明し、多大なご心配をお掛けしましたことを深くおわび申し上げます」
場所直前、感染拡大防止を徹底するため親方、力士ら協会員878人を対象にPCR検査を行った結果、5力士の陽性が判明した。
濃厚接触の可能性がある者や感染が判明した白鵬らを含め、コロナ関連に関わる全休が全力士(665人)の約1割に当たる65人。
腰痛の横綱鶴竜(35)を含めて戦後最多となる関取16人が初日から休む異常事態となった。
28人のうち9人が休み、本来14番ある取組が9番となった十両の土俵入りでは、力士同士の間隔が皮肉にもソーシャルディスタンス(社会的距離)にならざるを得なかった。
東十両10枚目の宇良(28)は「いつもは(両隣と)もうちょっと詰めていた。どれくらいの距離を取っていいのかわからず、すぐに最後の力士が(土俵上に)呼ばれてびっくりした」と、東西で約4分間で終わった土俵入りを振り返った。
けがなどによる休場を合わせれば、初日から休んだ力士は98人となり取組数も大幅減少。
本場所は通常午前8時40分前後に開始されるが、昨年11月場所より1時間15分も遅らせて始まった。
それでも、土俵を掃き清める回数を増やすなど進行の時間を調整し、幕内土俵入りの時間は定刻(午後3時35分)より5分遅れた程度だった。
基本的に21番組まれる幕内の取組も18番になったが、結びの一番は午後5時50分すぎには終了。
進行に滞りや混乱はなかった。
自身初の綱とりに挑む大関貴景勝(24)は結びで小結御嶽海(28)に敗れて黒星発進となったものの「自分だけでなく、出ている力士は一生懸命やることで何かの活力になればと。自分も少しでも影響を与えられれば」と、出場する力士の番付最高位としての意識を示した。
芝田山広報部長(58)=元横綱大乃国=はこの日、15日間の懸賞申し込み総本数が約1400本だったと公表した。
新規は3件で力士の休場などでキャンセルは約100本。
先場所の懸賞総本数1040本を大きく上回り「非常に多くなっている。ありがたい」。心強い支えを感じながらも、場所中に力士らに感染が広がれば、途中打ち切りの可能性にも言及している。
一瞬の気の緩みが“黒星”に直結する。
2021/01/10
大相撲初場所は鶴竜とともに休場
大相撲初場所が10日に初日を迎えるが、横綱・白鵬は新型コロナウイルス感染のため休場となった。
先場所優勝した貴景勝の綱獲りがかかる場所で、腰痛の横綱・鶴竜とともに両横綱が不在となったのは残念だ。
昨年の11月場所後、白鵬と鶴竜は休場が多いとして、横綱審議委員会が引退勧告に次ぐ「注意」を決議。
それだけに名誉挽回するはずだった今場所の休場は、誰よりも本人が一番悔しいだろう。
とはいえ、白鵬の積み上げてきた実績が色褪せることはない。
改めてここまでの功績を振り返ろう。
通算勝ち星1170勝、驚異の勝率.826
モンゴルのウランバートル出身の白鵬はメキシコ五輪レスリング銀メダリストのジグジドゥ・ムンフバト氏を父に持つ。
15歳だった2000年に来日し、宮城野部屋に入門。
2003年11月場所後に十両昇進すると、2004年3月場所で優勝して十両をわずか2場所で通過し、新入幕を果たした。
2006年3月場所で13勝を挙げて大関に昇進。
翌5月場所で初優勝、2007年3月場所と5月場所では連続優勝を果たし、第69代横綱となった。
以降13年以上に渡って綱を張り続け、史上最多の44回優勝など数々の記録を打ち立ててきた。
通算勝ち星はダントツ1位の1170勝。
勝利数もさることながら、驚くべきは.826という勝率の高さだ。
史上初めて1000勝を挙げ、31回優勝した千代の富士でさえ.705、優勝24回の北の湖が.731だから、いかに白鵬が負けない力士かということがよく分かる。
ただ、白鵬が唯一超えられていないのが32回優勝の大横綱・大鵬。
872勝182敗で勝率.827と、白鵬をわずか1厘だけ上回っているのだ。
来場所14勝1敗なら大鵬超え
勝利数ベスト10に入っていない力士を見渡しても、22回優勝の貴乃花が794勝262敗で勝率.752、25回優勝の朝青龍が669勝173敗で勝率.795。
1場所で考えると12勝3敗で勝率8割なので、通算成績で勝率8割を超えるだけでも驚異的だ。
これまであらゆる記録を塗り替えてきた白鵬。双葉山の69連勝を超えられず、史上2位の63連勝でストップした連勝記録だけは、35歳という年齢を考えると更新は難しいだろう。
しかし、通算勝率の大鵬超えは射程圏内。
白鵬にとっては、残された「最後の頂」と言えるかも知れない。
ちなみに、もし来場所に出場して14勝1敗なら大鵬を上回るが、13勝以下なら超えられない。わずか1厘を伸ばすのも、このレベルになると相当大変だ。
大相撲の佐渡ケ嶽部屋に所属する序二段の琴貫鐵(22)が9日、自身のツイッターを更新し、新型コロナウイルスを理由に引退することを発表した。
「今日を持って引退することになりました。このコロナの中、両国まで行き相撲を取るのは怖いので、休場したいと佐渡ケ嶽親方に伝え協会に連絡してもらった結果、協会からコロナが怖いで休場は無理だと言われたらしく、出るか辞めるかの選択肢しか無く、コロナに怯えながら我慢して相撲を取ると言う選択肢は選べず引退を決意しました(原文から抜粋)」などとつづった。
日本相撲協会の宮田哲次主事によると、8日に佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)から電話で相談があったという。
宮田主事は同日に協会員878人を対象に実施したPCR検査で、陰性だった協会員のみが初場所に出場すると説明。
また、休場には診断書の提出が必要であることも説明したという。
佐渡ケ嶽親方は「詳細は宮田主事に聞いて下さい」と琴貫鐵との話し合いの内容は明かさなかった。
協会員のSNS使用は禁止されているが、琴貫鐵は「力士を引退してTwitter禁止は無くなったと思います」とSNS上で主張。
引退届も協会に提出済みだといい、アカウント名も「柳原大将(元琴貫鐵大将)」と本名を使用して更新を続けるとした。
大相撲初場所は10日、初日を迎えます。
新型コロナウイルスに感染した影響などで関取16人が休場する中、「綱とり」に挑む大関 貴景勝は初日に小結 御嶽海と対戦します。
初場所は横綱 白鵬など新型コロナウイルスの感染者と濃厚接触の可能性がある力士15人のほか、けがで休場する横綱 鶴竜の関取合わせて16人が初日から休場します。
こうした中、「綱とり」に挑む注目の大関 貴景勝は初日に小結 御嶽海と対戦します。
過去の対戦成績は貴景勝の9勝8敗ときっ抗しています。
ともに押し相撲を得意としていますが、立ち合いから突き放していけば貴景勝、密着して押し合う形になれば御嶽海が優位です。
貴景勝は難敵相手に初日から白星をあげて流れをつかみたいところです。
負け越せば大関から陥落する「角番」の2人のうち朝乃山は前頭筆頭の大栄翔と対戦します。
朝乃山は突き押しの威力が増してきた大栄翔の当たりを立ち合いで踏み込んで受け止め、まわしを取っての四つ相撲に持ち込みたいところです。
一方、大関2場所目で早くも角番の正代は前頭筆頭、北勝富士との対戦です。
過去の対戦では正代が6勝1敗と大きくリードしています。
正代が北勝富士の力強い当たりを受け止めることができるのか、11月場所の休場の原因となった左足首のけがの回復具合が気がかりです。
大相撲初場所(東京・両国国技館)初日前日の9日、両国国技館で土俵祭りが実施され、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)や審判部の親方、行司らが15日間の安全を祈願した。
新型コロナウイルス対策のため力士は出席しなかった。
先場所で2度目の優勝を果たし、初の綱とりに挑む大関貴景勝は土俵祭り後の優勝額贈呈式に臨み、引き締まった表情を見せた。
今場所は緊急事態宣言が発令された厳戒態勢での実施。
国技館のJR両国駅側には医療従事者への感謝を示すとともに、徹底した感染対策を行うことをアピールする横断幕が掲げられた。
異常事態の中で10日初日の大相撲初場所(東京・両国国技館)を迎える。日本相撲協会は9日、協会員878人を対象に実施した新型コロナウイルスのPCR検査の結果を発表。
九重部屋の西前頭13枚目千代翔馬(29)、西十両5枚目千代鳳(28)、幕下以下の力士2人、友綱部屋の幕下以下の力士1人の計5人の感染が判明した。
協会は直近で力士らの感染が判明した宮城野部屋、荒汐部屋、湊部屋を含む計5部屋に所属する親方や力士らの初場所全休を決定。
新型コロナの影響で、関取15人を含む力士65人が休場となった。
取組編成を担う審判部も休場力士の続出で対応に追われた。
PCR検査の結果を待つため1日遅れで初日、2日目の取組編成会議を開いた。
感染者と濃厚接触者が大量に判明し、本来は21番ある幕内は18番に、14番ある十両は9番となるなど取組数が縮減。
10日の取組開始は通常の場所初日より大幅に遅い午前9時50分となった。
電話取材に応じた伊勢ケ浜部長(元横綱旭富士)は「結構(休場者が)多いので割は難しいけど、つくっていかないといけない」と、緊迫感を漂わせた。
大関貴景勝の綱とりについては「そのときの流れ。結果を見てから決める」と慎重に言葉を選んだ。
休場力士の番付措置は場所後の27日に行われる番付編成会議で話し合う。
強行開催≠フ背景とは――。
大相撲初場所(東京・両国国技館)が10日に初日を迎えた。
日本相撲協会が実施した新型コロナウイルスのPCR検査で、陽性者が出た部屋の力士は全員が休場。
横綱白鵬(35)が感染した宮城野部屋など4部屋で計65人もの力士が大量休場する異常事態となった。
今後に新たな感染者が出れば、途中で打ち切りとなる可能性もある。
7日に1都3県に緊急事態宣言が発令され、世間からの逆風が強まる中、あえて開催に踏み切った舞台裏を追跡した。
日本相撲協会は9日に親方、力士、行司ら全協会員(878人、すでに検査済みの一部の部屋を除く)を対象に実施したPCR検査の結果を公表。九重部屋で幕内千代翔馬(29)と十両千代鳳(28)ら力士4人、友綱部屋で幕下以下の力士1人の計5人が新たに陽性判定を受けた。
感染者が出た部屋の力士は濃厚接触の可能性があるため、全員が休場することになった。
コロナ関連の休場者数は十両以上の関取だけで15人。
腰痛で休場する横綱鶴竜(35=陸奥)を合わせれば、戦後最多の16人だ。
幕下以下を含めた休場力士は4部屋で65人にも上り、これは全力士665人の約1割にあたる数字。
芝田山広報部長(58=元横綱大乃国)は初場所中に陽性者が出た場合は「一刻も早く(部屋を)封鎖していくしかない」としており、今後も一度に10人以上の単位で休場者が出る可能性もある。
尾車事業部長(63=元大関琴風)はさらに感染が拡大した場合の打ち切りの可能性について「もちろん、八角理事長(57=元横綱北勝海)の頭の中にはあると思う」と含みを持たせた。
本場所途中での中止は昭和以降で前例がない。そうなれば、大関貴景勝(24=常盤山)の綱取りや優勝力士などの取り扱いをめぐり、大混乱が生じることは避けられない。
一方で、国内でも感染者数が拡大の一途をたどる中での強行開催≠ノは、ネット上で「どういう神経をしてるのか」「中止にすべき」といった批判の声が噴出。相撲協会に対する風当たりは厳しさを増している。こうした世間の白い目≠承知の上で、開催にこだわる理由は何なのか。
角界関係者は「昨年はどん底だった。
せっかく一歩ずつ前進してきたのに、今さらゼロ≠ノ後戻りはできない」と事情を明かす。
昨年はコロナ禍の影響で3月の春場所を史上初の無観客で開催。5月の夏場所は中止を余儀なくされた。
7月場所からは観客の上限を約2500人、11月場所以降は約5000人に増やし「正常開催」への道筋をつくり上げてきた。
今年の春場所(3月14日初日、大阪府立体育会館)から地方場所を再開する方針も、その一環だ。
3月1日の番付発表は東京で行い、力士らは初日の3日前に大阪入り。
千秋楽後は3日以内に帰京する異例の強行日程で準備を進めている。
ここまでして大阪で開催するのは、地方のファン離れを防ぐ狙いがあるためだ。
相撲協会の2020年度の決算は中止や観客減の影響で約55億円の赤字となる見込み。
ただちに倒産危機≠ノ直面する状況ではないとはいえ、この状況が続けば協会の経営が一気に傾きかねない。
緊急事態宣言発令を受けて、初場所のチケット販売は6日で売り止め(終了)とする一方、有観客開催そのものは「譲れない線」(前出関係者)だったということだ。
今場所の開催にあたり、相撲協会は「安心・安全」を強調しているが…。
現状を見る限り、逆に不安が募るばかりだ。
2021/01/09
横綱鶴竜(35)=陸奥=が8日、初場所を休場することが決まった。
休場は自身ワーストタイの4場所連続で19度目。
初場所は3場所連続で初日から横綱不在という異常事態の中で幕を開ける。
鶴竜は出場の意向を師匠の陸奥親方(元大関霧島)に伝えたまま年を越していたが一転。
電話取材に応じた師匠は、「きのう電話あって。腰の調子。腰があんまり良くない。それと準備不足だと思うんだけどね。急にじゃないけど、まあぼちぼち胸出すのも数を増やしてきたんだけど、腰の調子が良くないということで、休場させてもらいます」と語った。
電話があったのは7日の夜。
師匠は「結構遅い時間だった。午後9時ぐらいかな。だいぶ迷ったんじゃないかな」と鶴竜の心中を思いやった。
持病の腰痛で関取衆との稽古はほとんどできないまま。
調整のルーティンだった出稽古もコロナ禍でままならない。
その状況は今後もしばらく続きそうだが、11月場所後の横綱審議委員会では史上初の「注意」を決議されている。
3月に予定されている春場所は「休場」という退路を断って臨む覚悟でいる。
師匠も「期待はしています。本人しか分からないからどうこう言えないんだけど、もう次はないよということで本人も来場所、引退かけて1日でも早く稽古出来る体を作って頑張りますっていうこと」。
次は正真正銘の進退場所となる。
小結御嶽海が初場所に向けて、都内の部屋で基礎運動などで調整した。
電話取材に応じ「目標は2桁。8勝じゃ物足りない。2桁を狙っていきます」と宣言。
昨年12月に28歳になり「ぐずぐずしていられない歳になった。優勝して大関に上がりたい」と大関昇進を見据えた。
角界でも新型コロナの渦が拡大しているが「自分のことだけを考えていく」と動揺はなかった。
日本相撲協会は8日、都内で臨時理事会を開き、1日あたりの観客数の上限を5000人として初場所を開催することを決めた。
当初は両国国技館の収容人数の約1万600人の半分にあたる、約5300人を上限としていた。
しかし、緊急事態宣言を受けて5000人に変更。
また、会場内でのちゃんこ販売の中止、グッズの売店を分散させるなどの感染防止対策を決めた。
電話取材に応じた芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「これまで以上の感染防止策を講じた上で安心安全な大相撲観戦にする」と話した。
7日に急きょ、実施を決めた協会員約900人へのPCR検査の結果は、まだ判明していない。
芝田山広報部長によると、この日中には判明する見込み。
年末から年明けにかけて新型コロナウイルスの集団感染が発生した荒汐部屋や、感染した横綱白鵬が所属する宮城野部屋の力士らの出場は、9日にあらためて判断するという。
「協会全体の状況を把握しないことには進んでいかない。感染症の先生方と執行部で話し合って、対応を決めて取組編成に入る」と検査結果を確認し、初場所初日前日の9日に取組編成会議を開くとした。
日本相撲協会は8日、臨時理事会を開き、大相撲初場所の開催を正式決定した。
「『緊急事態宣言』ならびに『東京都の緊急事態処置』と、協会の新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインに基づき、お客さまの健康と安全を確保するため、これまで以上の感染防止策を講じた上で安心安全な大相撲観戦とする」と発表した。
理事会では政府指針に沿い、観客上限5300人を15日間、5000人を上限に変更することを改めて説明された。
収容人数以外では協会員の外出、買い出しなど細かいルール。
お客さんの館内で利用する飲食スペースも席数を減らすこと。
ちゃんこの販売は中止することも決まった。
グッズの売店も分散させる。
職員のテレワークなども話し合われた。
会議後に広報部の芝田山部長(元横綱大乃国)が電話対応。
「テレワークに関しては場所中は困難ですけど、場所後はテレワークにも対応」と説明した。
昨年の12月中旬から立浪部屋、荒汐部屋、宮城野部屋の白鵬が感染した状況も報告された。
全協会員に対するPCR検査もこの日、行われ、初日前日の9日までには約900人の検査結果がまとまる見通しだ。
「昨日からみなさんにお伝えしている通り。結果が出て、それからどういう対応をするかというのは感染症の先生方と執行部で話し合って、対応を決めて取組編成に入る」と同部長は話した。
9日は土俵祭りの後、検査結果を待って、初日、2日目の取組を決める取組編成会議が行われる。
通常は初日の2日前に行う取組編成会議を初日前日に行うのは異例の事態だ。
「明日(9日)の夕方までにはちゃんと取組は決まると思いますけど」と同部長が見通しを示した。
白鵬、荒汐部屋の感染した全10人の力士は全休が確実ながら、白鵬以外、陰性だった宮城野部屋の力士の出場可否はまだ決まっていない。
同部長は「それも含めて専門家の話を聞いてからか今個別ではなくて、総まとめにしてやらなければいけないので。そういう話をまだ持つ段階ではないと。結果が出ないことには。宮城野部屋は陰性と出ていますが、それも含めて全部協会全体の状況を把握しないことには進んでいかないということ」と、手順を踏むことを強調した。
日本相撲協会は、8日、臨時の理事会を開き10日に初日を迎える初場所について、緊急事態措置に基づき要請されたイベントの開催にあたっての人数の上限、5000人以下を守って予定どおり開催することを決めました。
日本相撲協会は、10日に東京・両国の国技館で初日を迎える初場所について新型コロナウイルスの感染拡大を受け、6日で入場券の販売を取りやめた一方、観客を入れて開催する準備を進めてきました。
相撲協会は8日午後、臨時の理事会を開き、緊急事態宣言下で初場所を開催するかどうか協議した結果、政府の緊急事態宣言と、イベント開催の人数の上限を5000人以下とするなどとした都の緊急事態措置の要請に沿って予定どおり開催することを決めました。
相撲協会では、感染防止対策として観客席での飲食を避けるために飲食スペースを設けていますが、対策を徹底しようとスペースに入れる人数を制限するほか、予定していた「ちゃんこ」の販売を中止するということです。
相撲協会の芝田山広報部長は「緊急事態宣言が出されたことに対して相撲協会は政府などの要請に対応していますよということだ」と話しました。
また今月に入って感染者が出た部屋に所属するほかの力士の出場については、協会員全員を対象に実施しているPCR検査の結果を待って、場所前日の9日に判断するとしています。
芝田山広報部長は「どこが出場できるのかできないのかは、分けないとならないが、協会全体の状況を把握しないことには進まない。感染症の先生方と話し合って、対応を決めていく」と説明しました。
日本相撲協会は8日、臨時理事会を開き、大相撲初場所を予定通り10日から開催することを決定しました。
協会は前日に、全協会員およそ900人のPCR検査を実施。
9日までに結果が出る見通しです。
芝田山広報部長は電話取材で、「お客様の健康と安全を確保するため、これまで以上の感染防止策を講じたうえで安心安全な大相撲観戦とする所存です」と語りました。
日本相撲協会は8日、東京都墨田区の両国国技館で臨時理事会を開き、大相撲初場所(10日初日・国技館)について、徹底した新型コロナウイルス感染防止策を講じて開催することを確認した。
力士、親方ら約900人にPCR検査を実施。芝田山広報部長(元横綱大乃国)は今後、結果を受けて力士らの出場可否などを感染症の専門家と協議するとし「どこが出場できるのか、できないのかを分けていかないと。全体の状況を把握しないことには進んでいかない」と話した。
検査の判定を待つ必要があるため、通常は初日の2日前に開かれる取組編成会議を9日に実施することになった。
NHK厚生文化事業団は8日、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を踏まえ、毎年2月に東京・両国国技館で開催しているNHK福祉大相撲を今年は中止すると発表した。
福祉大相撲では幕内取組や力士と女性歌手らによる歌比べが行われ、純益などで福祉施設に福祉車両を寄贈してきた。
2021/01/08
大相撲の陸奥親方(元大関霧島)が7日に電話取材に応じ、3場所連続休場している弟子の横綱鶴竜(35)=陸奥=が初場所に出場する意向であることを明かした。
鶴竜は取材に応じなかった。
鶴竜と出場に関して話をしたのは「だいぶ前だけど」とし、「最初やるって言って、それ以来何も聞いてないよ。今場所やる。出るっていうことで」。
出場することで親方と鶴竜の考えが一致しているかと再度問われたが「私はそう思ってますけど」と語った。
ただ、「明日一応、霧馬山もそうだけど、若い衆もけがをしているのもいるので、聞きます」と8日に鶴竜本人と話をして最終確認する。
鶴竜は合同稽古にも参加したが、関取衆との申し合いは回避。
年末には霧馬山と稽古したが、霧馬山が膝を痛めており年が明けてからは申し合いができない状態。
ほとんどぶっつけ本番で進退をかける場所に挑むことになる。
「白星がなんと言っても薬になると思う。勝っていけば調子も出てくるだろうし。まあ体はそんなに落ちてないし、気持ちだけだと思うんですけどね」と期待を寄せる一方で、「自分の格好になって力が出ないような形になると、本人が自分でもう無理かなと思っちゃうと思うので。その辺は本人しか分からないと思いますよ」と話した。
大相撲初場所(両国国技館)は10日に初日を迎える。
11月場所で、稀勢の里以来となる大関として22場所ぶりの優勝を果たし、自身2度目の賜杯を抱いた貴景勝が初の綱とりに挑む。
綱とりの壁となるはずだった横綱白鵬は新型コロナウイルスに感染し、出場は厳しい状況となったが、出場すれば進退を懸けて土俵に立つことになる横綱鶴竜、ともに初のかど番で尻に火が付いている正代、
朝乃山の2大関、先場所の本割で敗れた照ノ富士など、越えなければならない障壁は多い。それでも貴景勝は「本当にいつも通り」と泰然とした口ぶりだ。
基礎鍛錬重ね、11月場所で結実
新型コロナウイルスに大きく左右された昨年を「見つめ直せた1年だった」と貴景勝は振り返る。
3月は無観客開催となり、5月場所は中止。
相撲を取る稽古ができない時期もあったが、「それが自分にとっていい気づきになった。基礎運動を増やしたことが大きい。応用よりもまずは当たる強さを磨こう、と根本的な意識が変わった」という。
出稽古禁止や番付発表前の合同稽古などイレギュラーな調整が続く中、こつこつと四股やすり足、スクワットで下半身を重点的に鍛えてきた成果が11月場所で結実した。
基礎鍛錬が中心になったとはいえ、実戦も十分に積んできた。
先場所前に続き2度目の開催となった12月の合同稽古には3日間参加。
朝乃山との三番稽古に加え、白鵬に胸を借りた。
「肌で感じるものが多く、得られたものがたくさんあった」と充実感を漂わせている。
立ちはだかるかど番の2大関
綱とりの難敵となるのが、ともに先場所を途中休場し、今場所がかど番の2大関だ。
昨年の対戦成績は朝乃山に1勝2敗、正代には3連敗と分が悪い。
朝乃山は「先輩大関に向かっていくだけ」。
正代も「(相手が)綱とりだろうと負けたくない気持ちは変わらない」。
かど番ということも相まって、いつも以上に闘志むき出しでぶつかってくるだろう。
2場所連続で全休中の鶴竜は先場所後に横綱審議委員会から「注意」の決議が出されたこともあり、次に本場所に出る時は並々ならぬ思いでの出場となる。
腰の故障もあって、先月末にようやく同部屋の霧馬山と相撲を取る稽古を始めた。
コンディションこそ十分とは言えないものの、出場となれば相当の覚悟で来るはずで、一筋縄ではいかないだろう。
周囲の注目とは裏腹に、本人には力みがない。
「プロに入った時からいい成績を残したいと思って毎場所臨んできた。(初場所は)大事な場所だけれど、何かを変える必要はない」。
突き押し一本で横綱になるのは難しいともいわれるが、「だからこそ目指す価値がある。無理と言われているからやりがいがある」と意に介さない。
「優勝するためには集中し切って自分の相撲を取るしかない」。
欲を出さず、培ってきた押し相撲に徹するのみ。24歳の若武者はやるべきことをわきまえている。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を控えた7日、大関正代(29=時津風)が東京・墨田区の部屋で稽古を打ち上げた。
幕下力士と相撲を取って立ち合いや出足を確認。
体の状態は「問題なく相撲は取れる。何とかここまで来れたかなあ〜というところ」と自己評価した。
2日から6日まで幕内豊山(27)と相撲を取るなど精力的に汗を流し、昨年11月場所で負傷した左足首も回復。
ただし「ぶつかり(稽古で胸)を出したり、最初から(後ろに)下がる前提でやるのは大丈夫なんですけど、ふいに押されたときにどうなるか。ちょっと心配はあります」と付け加える。
また、初優勝を決めた昨年9月の秋場所は「挑戦している側だったので、あんまり変に考えることもなかった」と振り返るが、カド番で迎える初場所は「今まで以上に厳しい場所になると思う」と精神的負担も大きくなりそうだ。
同じくカド番の朝乃山(26=高砂)、綱取り初挑戦の貴景勝(24=常盤山)と2大関にとっても大事な本場所となる。
それでも正代は「自分のことだけ考えて、カド番を脱出することに集中できたら」と自然体で臨む。
大相撲史に残るであろう復活劇は新年も続くか。
元大関の照ノ富士は両膝負傷や内臓疾患で転落した序二段からはい上がり、初場所(10日初日・両国国技館)を18場所ぶりの関脇で迎える。
20代最後の年に、くっきりと視界に入る「大関復帰」の4文字。
「いい締めをして30代に入りたい」と意欲も十分だ。
昨年、再十両を果たした初場所を優勝で飾ると、幕内に返り咲いた7月場所で5年ぶりに賜杯を抱いた。
「(現役を)続けてきて良かった。いろんなことがあったけど、笑える日が来ると信じてやってきた」とインタビューで実感を込め、見る者の心を打った。
1年前はまだ十両2場所目。
そこから負け越し知らずで東前頭3枚目まで出世した琴勝峰は、自らの歩みを「番付が止まることなく、上がり続けたことはよかった」と実感を込めて振り返る。
昨年11月場所は11日目に初めて結びで取り、埼玉栄高の先輩に当たる貴景勝に初挑戦。さすがに「まだ余裕がなかったというか、いっぱいいっぱいになった」そうだが、小細工せずに真っすぐ大関に当たり、圧力負けしなかった。
最後は突き落とされての黒星にも、「すごくいい経験になった」と前向きに捉える。
191センチ、156キロの恵まれた体格を生かし、右四つでも、突き押しでも取れる器用さを併せ持った幕内最年少の21歳。
元横綱朝青龍のおいで東前頭14枚目の豊昇龍、元横綱大鵬の孫で新十両の王鵬と同じ1999年度生まれ。
華やかな世代をリードしている。
もっとも、本人は浮かれるそぶりを見せず、「引っ張るとか、そういう意識はなく、競争という意識。いずれは同じようなところでやると思っている。自分は自分でどんどん上を目指していく」という心構えもいい。
白鵬、鶴竜の両横綱の休場が相次ぐ中、将来の看板力士候補としての大きな期待も背負う。
「もっともっと上に行きたいし、強くなりたい。限界を決めず、行けるところまで行きたい」。
それに応える意欲に満ちている。
1年前はまだ十両2場所目。
そこから負け越し知らずで東前頭3枚目まで出世した琴勝峰は、自らの歩みを「番付が止まることなく、上がり続けたことはよかった」と実感を込めて振り返る。
昨年11月場所は11日目に初めて結びで取り、埼玉栄高の先輩に当たる貴景勝に初挑戦。
さすがに「まだ余裕がなかったというか、いっぱいいっぱいになった」そうだが、小細工せずに真っすぐ大関に当たり、圧力負けしなかった。
最後は突き落とされての黒星にも、「すごくいい経験になった」と前向きに捉える。
191センチ、156キロの恵まれた体格を生かし、右四つでも、突き押しでも取れる器用さを併せ持った幕内最年少の21歳。
元横綱朝青龍のおいで東前頭14枚目の豊昇龍、元横綱大鵬の孫で新十両の王鵬と同じ1999年度生まれ。
華やかな世代をリードしている。
もっとも、本人は浮かれるそぶりを見せず、「引っ張るとか、そういう意識はなく、競争という意識。いずれは同じようなところでやると思っている。自分は自分でどんどん上を目指していく」という心構えもいい。
白鵬、鶴竜の両横綱の休場が相次ぐ中、将来の看板力士候補としての大きな期待も背負う。
「もっともっと上に行きたいし、強くなりたい。限界を決めず、行けるところまで行きたい」。
それに応える意欲に満ちている。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を控えた7日、幕内徳勝龍(34=木瀬)が電話取材に応じた。
この日は東京・墨田区の部屋で自主トレーニングを行い、立ち合いの確認などで調整。
3日後に迫った本場所へ「(仕上がりは)順調というか、いつも通りだと思います」と手応えを口にした。
先場所後の稽古では部屋の関取衆と相撲を取って体を仕上げてきた。
ただし、新型コロナウイルス禍は油断できず「体調を崩さないように気を付けてやっていました。予防はしっかりするしかないですからね」と気を引き締めている。
昨年初場所の優勝から1年。
「なんか、あっという間に1年って感じですね。早かったですね。お客さんの声援を思い出します」と当時を懐かしむ徳勝龍は初場所へ「まずはケガなく15日間しっかりやりきることだと思います」と気合十分だった。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を控えた7日、幕内志摩ノ海(31=木瀬)が電話取材に応じた。
この日は東京・墨田区の部屋で自主トレーニングを行い、四股やすり足など基礎運動で汗を流した。
ここまで納得の調整ができているようで「稽古はしっかりできているし、自分なりに先場所のいい感覚をしっかりつかみながら稽古できていると思います」と語った。
昨年11月場所は幕尻力士としてV争いに加わり11勝4敗。終盤3連敗と失速したものの、大きな注目を浴びた。
初場所でリベンジを狙っているかと思いきや、本人は「全然ないっす。波がある相撲取りなので。型にハマればいいんですが、ハマらなければ負けが続くこともある。優勝が近いとか考えてない」と自然体を貫く。
今年32歳を迎える志摩ノ海は「遅咲き三役を目指して頑張りたい」と意気込んだ。
角界屈指の業師に慢心はない。東十両10枚目の宇良(28=木瀬)が自主練習となった7日の朝稽古後、報道陣の電話取材に応じた。
何度も口にしたのは「不安」の2文字。
慎重を期して、関取復帰2場所目となる3日後に迫った大相撲初場所(1月10日初日、東京・両国国技館)に臨む。
ここまでの仕上がりは「良くないんじゃないですか」、不満があるかについては「ちょっと不安しかない」、それは膝か? の問い掛けには「全部です」、先場所は9勝を挙げたが「不安は変わらない」、自信より不安? の声には「不安しかない」、幕内を目指す気持ちは「視野に入ってはいない」−。3年半前には前頭4枚目まで番付を上げたが、膝の負傷で休場が続き三段目まで番付を落とした。
同じ轍(てつ)は踏むまいという、宇良流の思いが「不安」の2文字や、いっけんネガティブにとらえられがちな言葉に表れた。
ただ、周囲は心配する必要はなさそうだ。
ここまで、部屋の関取衆との稽古はもちろん、相撲を取る稽古もしていないが、それはいつものペースだという。
16場所ぶりの関取復帰となった先場所、宇良の代名詞ともいえる反り技の「居反り」も繰り出し、後ろもたれという珍手でも白星を挙げた。
「(技を)見せる相撲を取りたいという気持ちはないけど、来るべき時が来たら出す感じですね」と話すように、相撲の感性は体が覚えているということだろう。
不安なコロナ禍は「このご時世、いつどこでかかるか分からない。誰が悪いとか、そういうことではないと思う」と、こればかりは希代の業師でもコントロールできない。
そんな気の抜けない中でも、年末年始のつかの間の休息は、時間があるときは自己啓発本を読み、「砂糖しょうゆがいちばん好き」という切り餅をほおばりながら過ごした。
「膝の安定感を増していくこと。ほとんど今は、そればかりに集中してやっています」。
現状の課題もしっかり見据えながら、戦いの場に身を委ねる。
日本相撲協会は1都3県に緊急事態宣言が出されたことを受けて、今月10日からの初場所の観客の上限を5000人として開催する準備を進めていく方針を示しました。
日本相撲協会は、今月10日に東京・両国の国技館で初日を迎える初場所について新型コロナウイルスの感染拡大を受け、6日、夕方で入場券の販売を取りやめた一方、観客を入れての開催を前提に準備を進めています。
政府は1都3県を対象に「緊急事態宣言」を出し、対象地域に講じるとしている措置で、イベントの開催要件については人数の上限を収容人数の半分か、5000人の少ないほうとするなどとしています。
これについて相撲協会の芝田山広報部長は「初場所は開催する方向で行くが、足を運んでいただけるお客様への安心・安全という部分を含めて、感染予防をしていこうということだ。人数は大丈夫だ。5000人は守る」と話し、観客の上限を5000人として開催する準備を進めていく方針を示しました。
角界も緊急事態≠セ。
大相撲初場所(10日初日、東京両国国技館)が目前に迫る中、日本相撲協会は親方や力士ら約900人の全協会員を対象に新型コロナウイルスのPCR検査を緊急実施することを決定した。
角界では横綱白鵬(53=宮城野)が感染して衝撃が走ったばかり。
全員検査の結果次第では大混乱が生じる可能性もあるだけに、これまでにない緊張感に包まれている。
相撲協会は7日に各部屋へ検査キットを配布。
8日に回収して、その日のうちに検査を行う。
取組編成会議は検査結果が出てから開くため、通常の初日2日前(8日)から前日(9日)へ変更される異例の事態となった。
芝田山広報部長(58=元横綱大乃国)は「お客さまの安心安全を一番に頭に置いて、検査を決めた。信頼性を高めていくということ」と説明した。
角界内は昨年末からコロナ禍への対応に追われている。
荒汐部屋では幕内力士を含む12人の集団感染が発生。
湊部屋でも行司1人に陽性反応が出た。
そして、ついに横綱白鵬までもが感染し、大きな衝撃が走った。
こうした中で政府は首都圏の1都3県に緊急事態宣言を再発令。
力士らの健康を守るだけでなく、観客の不安を払拭するために緊急検査に踏み切った。
ただ、親方、力士、行司、呼出、床山ら全協会員の人数は約900人にも上る(検査実施済みの一部の部屋は除く)。
感染症に詳しい医療関係者は「PCR検査を実施すれば、1%は陽性反応を示す」と指摘した。
データ通りなら感染者ゼロは考えにくく、最低でも10人前後は陽性反応を示す計算になる。
集団生活を送る相撲部屋であれば、さらに人数が膨れ上がっても何ら不思議ではない。
しかも、全員の検査結果が判明するのは、初日を翌日に控えた9日になる見込み。
仮に大人数の陽性者が出た場合には、取組編成などをめぐって大混乱が生じる可能性もある。
芝田山部長は「万が一、検査で陽性者が出た場合は感染症専門の先生の話を聞きながら、どうするかを一つひとつ決めていく。なるようにしかならない。あとはどういうふうに対処するか」と話しているが…。
いずれにせよ、慌ただしい中での出たとこ勝負≠ニなる印象は否めない。
果たして、新年最初の場所は無事に初日を迎えられるのか。
今はただ、感染者が最小限にとどまることを願うばかりだ。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は6日、横綱白鵬の新型コロナウイルス感染を受けてPCR検査を行った宮城野部屋の力士ら関係者が、いずれも陰性だったと明らかにした。
同部屋の力士が初場所(10日初日)に出場できるかどうかは未定で、芝田山部長は「濃厚接触者に当たる可能性もある。ちょっと分からない」と話した。
2021/01/06
初場所で3場所連続休場からの再起を目指していた横綱白鵬(35)=宮城野=が5日、新型コロナウイルスに感染したと日本相撲協会が発表した。
3日に嗅覚の異常を感じ、4日にPCR検査を受け5日朝に陽性が判明した。
三役以上の感染は白鵬が初めて。
芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「病院に入院しました。特に高熱が出ているとか、そういう話は何も聞いてない」と状況を説明したが、出場に関しては「それはもう難しい。それはないと思います」。
初日まであと5日。
昨年末の合同稽古から好調ぶりを猛アピールし、ここまで順調にきていたが休場が決定的となった。
相撲協会は先月25日以降は原則外出禁止にして感染予防を徹底。
それでも感染を防ぎ切れなかった。
芝田山広報部長はあらためて各部屋に注意喚起を通達した。
白鵬は年明けに部屋で稽古。
内部での感染拡大も懸念される。
芝田山広報部長は「ほかには誰も症状を訴える者は出ていない」としたが、師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)、十両の石浦、炎鵬を含む関係者全員がこの日、PCR検査を受診した。
荒汐部屋では年末年始に幕内の若隆景ら計12人が感染。
初場所出場の見通しは立っていない。
宮城野部屋の所属力士に関しても「検査の結果にもよる。検査して誰もがみんな陰性であったなら専門家の先生の話を聞かないと。自分の方からは厳しいとは言えない」と検査結果を待って可否を判断する。
横綱鶴竜(35)=陸奥=が5日の稽古後に代表取材に応じ、白鵬がコロナに感染したことを受け「とにかく気をつけてやらないと。一層というか、しっかり結果を残さないといけないと思ってます」と話した。
この日は若い力士に胸を出して終了。
「いつもと比べて満足いく形ではないかもしれないですけど、体の状態はよくなってきているのはいいことかな」。
7日の稽古後に出場可否を判断する。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)で初の綱取りに挑む大関貴景勝(24=常盤山)が3日、東京・台東区の部屋で稽古始めを行った。
この日は基礎運動やぶつかり稽古などで調整。
初稽古を終えた貴景勝は「体の感触? いいと思います。新しい年になって、また気を引き締めて、また一年間頑張っていきたいという思いです」と気持ちを新たにした。
年末年始は休まず体を動かす一方、大みそかはボクシングのWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチをテレビ観戦。
4階級王者の井岡一翔(31=Ambition)が3階級王者の挑戦者、田中恒成(25=畑中)を8回TKOで退けた一戦に「日本人対決だし、面白かった。レベルの高い戦い。ボクシングファンとして見て、感情を震わせるものがあった。自分も相撲で人の感情を動かせるような相撲を取りたい」と刺激を受けた様子だった。
本番まで、あと1週間。
番付の頂点への挑戦を前に「あとは実戦あるのみ。体はもうできているので。相撲勘とか相撲の流れとかを磨いてやっていきたいと思います」と気持ちを引き締めた。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を控えた4日、大関正代(29=時津風)が東京・墨田区の部屋で稽古を行った。
幕内豊山(27)と3日連続で取り「体はよく動いていると思いますけど、もうちょっと動けるようにしたい」と語った。
11月場所で負傷した左足首にはまだテーピングを巻いているが「最初に比べるとだいぶ薄くなった」ようで、初場所では「できれば外せたらなと」と完全復活≠目指している。
すでに「前に出る分には怖いことはない」と恐怖心を克服しつつあるが「ちょっと左足が残ったりすると、ちょっと変な感じはします」と言う。
初のカド番に向けて「もうそろそろ緊張してくるんじゃないかなと思うので、そこらへんもしっかり備えていけたら」と話す大関。
体の仕上がりは「(100%のうち)60とか70くらい。ここからもうちょっと詰めていって100に」と意気込んだ。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を控えた3日、大関朝乃山(26=高砂)が東京・墨田区の部屋で稽古始めを行った。
この日は部屋の幕下力士と相撲を20番取るなどして汗を流した。
年末年始も稽古場に降りて四股やすり足などで調整。
新年を迎えて「大関の一個上の番付(横綱)を目指したいし、大関で優勝しないとその話は出てこない。そこが一番だと思う」と決意を語った。
大みそかは部屋で格闘技イベント「RIZIN.26」を観戦。
元十両貴ノ富士のスダリオ剛(23)がミノワマン(44)にKO勝ちした一戦や、堀口恭司(30)がRIZINバンタム級王者の朝倉海(27)を破り王座を奪還したメインなどに熱視線を送った。
朝乃山は「スダリオさんがミノワマンさんを(カーフ)キックで4発蹴って、ダウンして、そのまま立ち上がれなくなった。すごかった。スダリオさんもそうですし、朝倉兄弟(海)と堀口さんとの試合を見て興奮したので。自分も頑張ろうという気持ちになりましたね」と刺激を受けた様子だった。
昨年11月場所で負傷した右肩は順調に回復。
初のカド番で臨む初場所へ向けて「カド番を気にしてたら、上を目指せない。出場するからには、勝ち越しじゃなくて、優勝目指して頑張りたいです」と意気込んだ。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を控えた4日、「昭和の大横綱」大鵬の孫で新十両の王鵬(20=大嶽)が東京・江東区の部屋で稽古を行った。
約40番取って「ケガも体調を崩すこともなく、調子よくできている」と手応えを口にした。
新年は3日が稽古始めで、この日から本格的に再開。
そんな王鵬は新十両として初めて15日間、土俵に上がるため、体力面を課題に挙げている。
「スタミナ面が怖いところがある。最初、初めて付き人についたとき15日行くだけできつかった。それが相撲を取ると考えると…」
対策として食事はもちろん、睡眠を意識するようになったという。
昼寝は「今のところだと1時間くらいがベストなんですよね」と明かし、夜も「11時には寝るようにしています。(起床時間は朝が)弱いんでバラバラになっちゃうんですけど、しっかり8時間くらいは寝られるように」と関取リズム≠確立しつつある。
また、年末年始は特番が多かったが「録画してちょっとずつ見てます」と工夫しているようだ。
新十両会見後と先月24日には祖父の墓前で手を合わせ「今年はありがとう、来年もよろしくお願いします」と報告した王鵬。
初場所に向けては「15日間、自分らしい『王鵬、いい相撲取るな』と思われる相撲を取っていきたいですね」と力を込めた。
日本相撲協会は4日、湊部屋に所属する行司1人(木村元基=52)が新型コロナウイルスに感染したことを発表した。
協会によれば、この日に発熱とせきの症状があり、PCR検査で陽性が判明。陽性判明後は居住地の保健所から本人に連絡があり、状況のヒアリングが行われたという。
行動記録から同部屋の全員が濃厚接触者とは認定されなかったが、5日にPCR検査を実施し、今後は保健所の指示に基づいて家族など濃厚接触者の検査や当人の加療などの対応を行う予定。
同部屋では湊親方(52=元幕内湊富士)が先月14日に新型コロナ感染が確認され、同24日に退院していた。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を前に、角界が激震に見舞われた。
日本相撲協会は横綱白鵬(35=宮城野)が新型コロナウイルスに感染したことを発表。
3場所連続で休場中の大横綱は、初場所の出場も絶望的となった。
力士に陽性者が相次ぐ中でも白鵬の感染は衝撃的に受け止められており、協会内では最悪の事態≠ワでささやかれ始めている。
ついに、大横綱までもがコロナ禍の直撃を受けた。
白鵬は3日に嗅覚異常の症状があったため、4日に都内の病院でPCR検査を受検。
5日朝に陽性であることが判明した。
宮城野部屋の所属力士ら関係者全員もPCR検査を受けた。
白鵬以外の力士にも陽性反応が出た場合には、所属力士全員が出場できなくなる可能性もある。
白鵬は右ヒザの故障の影響で先場所の11月場所を全休。昨年5場所(5月の夏場所は中止)のうち4場所で休場し、横綱審議委員会からは横綱鶴竜(35=陸奥)とともに「注意」の決議を受けた。
再起を目指す大横綱は12月に国技館で行われた合同稽古に参加。
綱取りに初挑戦する大関貴景勝(24=常盤山)らと精力的に稽古をこなすなど、復帰への意欲を見せていた。
しかし、本番直前の時期になってコロナ感染が判明。
軽症で済んだとしても、隔離期間などを考慮すれば事実上、出場は絶望的な状況となった。
芝田山広報部長(58=元横綱大乃国)は「(白鵬は)病院に入院した。特に高熱が出ているという話は聞いていない。(初場所出場は)もう難しい。それはないと思う」と断言した。
角界では年明けに荒汐部屋で幕内若隆景(26)ら計12人の集団感染が発生したばかり。
そして、今度は第一人者までもが不在となる異常事態となった。
協会内でも「白鵬感染」の一報は衝撃的に受け止められている。
角界関係者からは「まさか横綱まで感染するとは…。もう誰が感染していてもおかしくない。場所中に集団感染が起きれば、15日間を乗り切れなくなる」と打ち切り≠フ可能性もささやかれ始めた。
昨年9月の秋場所前には玉ノ井部屋で力士24人が集団感染。
この時は所属力士28人全員を休場させることで封じ込めることができた。
しかし、初場所開催中にクラスターが発生すれば、感染の連鎖を完全に断ち切ることは困難。
本場所そのものが立ち行かなくなる可能性もある。
果たして、初場所は無事に千秋楽を迎えることができるのか。
新年最初の場所で、いきなり暗雲が漂い始めた。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本相撲協会は今月10日に初日を迎える初場所について、6日の夕方で入場券の販売を取りやめるものの引き続き、観客を入れて開催する方針を明らかにしました。
日本相撲協会は今月10日に初日を迎える初場所の入場券について、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、6日午後5時の時点で販売を取りやめると発表しました。
6日午後5時まではインターネットで購入できますが、それ以降は入場券の在庫があっても購入できず、場所中の当日券の販売も行われないということです。
これについて日本相撲協会の芝田山広報部長は「緊急事態宣言が出る手前で柔軟に対応する。その反面、あすまで売るというのは、何かないかぎりは通常開催をしますよという意味もある」と説明し、引き続き、観客を入れての開催を前提に準備を進めていく方針を明らかにしました。
角界に激震が走った。
日本相撲協会は5日、横綱白鵬(35=宮城野)が新型コロナウイルスに感染したことを発表した。
入院措置となり、初場所(10日初日、東京・両国国技館)出場は絶望的な状況。
三役以上では初の感染となった。
菅義偉首相は1都3県を対象とした緊急事態宣言の再発令について、7日に決定する方針を表明。
観客の上限を約5000人として開催を目指す初場所に向けて、危機感が高まりそうだ。
初場所は、両国国技館の収容人数の半分にあたる約5000人の観客を上限とした通常開催を目指している。
有観客開催が再開した昨年7月場所から観客間でのクラスターは確認されず、芝田山広報部長は「飲食スペースはちゃんと区切っているし。ソーシャルディスタンスをしっかりと協会は取っている」と強調した。
一方で政府の方針によっては、必要に応じて臨時理事会を開き対応を協議する構え。
新型コロナウイルスの感染が拡大する首都圏で、緊急事態宣言の再発令が検討に入るなか、大相撲初場所(両国国技館)は10日に初日を迎える。
日本相撲協会はあくまで通常開催を目指す構えだ。
協会は4日、執行部の定例会議を開催。今週末に迫る初場所について、芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「今のところは通常開催と考えています。方針が出された場合は、それに向けて対応を考えていく」と話した。
前回の緊急事態宣言が出た5月場所は中止にしたが、芝田山部長は「5月は何が感染を強めているのか分からなかった。状況を調べていくと、飲食メインということになっている。イベント関係からクラスターが出たことは1度もない」とキッパリ。
収容人員の半分となる約5000人を上限に、観客も入れて開催する方向で進めている。
昨年末の年寄総会で、2020年度の収支決算が約55億円の大幅赤字になる見込みと報告されたばかり。
中止となれば、1場所5億円とみられるNHKの放送権料が入ってこないため、最悪でも無観客で強行する構えを崩していない。
一方で年明け早々から、角界に押し寄せるウイルス禍の存在感は強まるばかりだ。
協会はこの日、発熱とせきの症状があった幕内格行司の木村元基(52)が、PCR検査で陽性と判明したと発表。
所属する湊部屋の力士らは濃厚接触者と認定されなかったが、5日に協会が検査を実施する。
去る1日には荒汐部屋所属の力士全10人、荒汐親方(元幕内蒼国来)、床山1人の集団感染が発表された。
この日になって西前頭2枚目の若隆景が退院も、「出場するには日数が足りない」(芝田山部長)といい、全力士が休場になりそうだ。
それでも、場所前だったのは不幸中の幸いか。
もし感染した力士が国技館に入り相撲を取っていたら、他の部屋にも感染が広がり大クラスターが発生する可能性が高い。
緊急事態宣言が出されても劇場や映画館は対象外とされているが、接触競技の大相撲が同じと判断してよいものか。
強行開催は危険な賭けとなりそうだ。
2021/01/04
土俵上の注目とは別に、角界に波乱を巻き起こしそうなのが2人の横綱、白鵬(35)と鶴竜(35)だ。
いずれも近年は休場が多くなり、11月場所後に横綱審議委員会から「引退勧告」の次に重い「注意」の決議を受けた。
1月場所も休むようなら、それこそどうなるか。
ケガがちの横綱2人だが、ここにきて「休場」という選択肢を断たれたに等しい。
親方のひとりは「まず、問題は鶴竜です」と、こう続ける。
■日本国籍取得
「腰椎のすべり症で、腰に力が入らない。12月の合同稽古にも参加したが、結局、相撲は取らずじまいだった。鶴竜は引退後は親方になる目標があり、現在は消滅した井筒部屋の再興が夢。これまでは親方になるための資格のひとつ、日本国籍を取得できていなかったから、ずるずると休場して引退を引き延ばしていた。その懸念も、12月に帰化したことで雲散霧消。初場所序盤で引退、あるいは本場所直前に『やはり相撲はもう取れません』と引退するのではないか、と角界ではウワサされている。それほど腰の状態は良くないということです」
一方、まだまだ引退するつもりのない白鵬。
本人が目標としていた「東京五輪での土俵入り」は、五輪そのものの開催が危ぶまれているものの、まだ中止が決定したわけではない。
開催するかもしれない以上、夏の東京五輪まで現役を続けたいはずだ。
■開き直り休場
ただ、こちらも休場癖があるのは変わらず。
序盤で星を落とすなど、優勝の可能性が遠のくや、ケガを理由にケツをまくってしまう。
近年はその傾向が顕著で、2017年からの23場所中、「優勝せずに本場所を完走」したのは、たったの3場所。
半分以上の13場所を休場した。
「白鵬は横審をナメているからね。以前、苦言を呈されたときも、『出場したときは結果を残しているのに』と、ブーブー文句を言っていた。
実際、今の横審は弱腰もいいところ。
1月場所も状態次第ではさっさと休場し、『さあ、引退勧告でも何でもしてみろ。どうせできないだろ?』と、開き直るかもしれない。実際、横審にその度胸はないだろうからね」
土俵上より、横綱2人の去就や言動に注目だ。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)で進退がかかる横綱鶴竜(35=陸奥)が3日、東京・墨田区の部屋で新年の初稽古を行った。
11月場所は持病の腰痛のため全休。
昨年5場所(5月の夏場所は中止)のうち4場所で休場し、横綱審議委員会から「注意」を決議された。
この日は基礎運動などで軽めの調整。
12月24日の番付発表後は幕内霧馬山(24)と相撲を取る稽古を再開しているものの、初場所の出場については「(腰の状態は)せっかくいい感じに持ってきているので、無理せずにやっていく。(本番まで)まだ何日かあるので。稽古ができて体の調子がもっと上がってくれば、そこで判断できるんじゃないかと思います」と慎重な姿勢を見せた。
新年を迎えて「(昨年は)本当にひどい年だった。(今年は)いい年にしたいなという気持ちは持っています。新たな年が始まるわけですからね」と話したが…。
果たして、どうなるか。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)で初の綱取りに挑む大関貴景勝(24=常盤山)が3日、東京・台東区の部屋で稽古始めを行った。
この日は基礎運動やぶつかり稽古などで調整。
初稽古を終えた貴景勝は「体の感触? いいと思います。新しい年になって、また気を引き締めて、また一年間頑張っていきたいという思いです」と気持ちを新たにした。
年末年始は休まず体を動かす一方、大みそかはボクシングのWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチをテレビ観戦。
4階級王者の井岡一翔(31=Ambition)が3階級王者の挑戦者、田中恒成(25=畑中)を8回TKOで退けた一戦に「日本人対決だし、面白かった。レベルの高い戦い。ボクシングファンとして見て、感情を震わせるものがあった。自分も相撲で人の感情を動かせるような相撲を取りたい」と刺激を受けた様子だった。
本番まで、あと1週間。
番付の頂点への挑戦を前に「あとは実戦あるのみ。体はもうできているので。相撲勘とか相撲の流れとかを磨いてやっていきたいと思います」と気持ちを引き締めた。
大相撲初場所(10日初日・両国国技館)をかど番で迎える大関正代が2日、東京都墨田区の時津風部屋で稽古始めを行い、平幕豊山と10番取った。
昨年の初場所では13勝して飛躍のきっかけとなった。
「出だしが重要。初場所に好成績を残して、その勢いで今年もいけたらいい」と意欲を語った。
関取と胸を合わせるのは昨年の11月場所で左足首を負傷し途中休場してから初めて。
8勝2敗だったそうで「そんなに問題なく踏み込めていると思う。下がったらちょっと恐怖感がある。そこを稽古でもうちょっと慣れさせていけたらいい」と初日まで約1週間の鍵を挙げた。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を控えた3日、大関朝乃山(26=高砂)が東京・墨田区の部屋で稽古始めを行った。
この日は部屋の幕下力士と相撲を20番取るなどして汗を流した。
年末年始も稽古場に降りて四股やすり足などで調整。
新年を迎えて「大関の一個上の番付(横綱)を目指したいし、大関で優勝しないとその話は出てこない。そこが一番だと思う」と決意を語った。
大みそかは部屋で格闘技イベント「RIZIN.26」を観戦。
元十両貴ノ富士のスダリオ剛(23)がミノワマン(44)にKO勝ちした一戦や、堀口恭司(30)がRIZINバンタム級王者の朝倉海(27)を破り王座を奪還したメインなどに熱視線を送った。
朝乃山は「スダリオさんがミノワマンさんを(カーフ)キックで4発蹴って、ダウンして、そのまま立ち上がれなくなった。すごかった。スダリオさんもそうですし、朝倉兄弟(海)と堀口さんとの試合を見て興奮したので。自分も頑張ろうという気持ちになりましたね」と刺激を受けた様子だった。
昨年11月場所で負傷した右肩は順調に回復。
初のカド番で臨む初場所へ向けて「カド番を気にしてたら、上を目指せない。出場するからには、勝ち越しじゃなくて、優勝目指して頑張りたいです」と意気込んだ。
小結高安は2日、東京都江戸川区の田子ノ浦部屋で今年の稽古を始め、部屋付きの荒磯親方(元横綱稀勢の里)と25番ほど取った。
相撲教習所で昨年12月に行われた合同稽古の後も番数を重ねており、報道陣の電話取材に「こつこつと体をつくってきた。きょうもいい稽古ができた」と充実感をにじませた。
2月には、妻で演歌歌手の杜このみさんとの間に第1子が誕生予定。
初場所(10日初日)に向け、元大関は「いい結果を出して、気持ちのいいスタートを切りたい」と初優勝を目標に掲げた。
日本相撲協会は、幕内の若隆景が新型コロナウイルスに感染したと発表しました。
日本相撲協会によりますと荒汐部屋に所属する前頭2枚目の若隆景は、38度以上の発熱とのどの痛みがあり、31日朝、医療機関を受診したところ新型コロナウイルスの感染が確認され現在は保健所の指示に従って隔離されているということです。
今後、同じ部屋の師匠や力士などがPCR検査を受けるということです。
また相撲協会は、すべての部屋で出稽古が禁止されていることから、ほかの部屋の力士との接触はなかったとしています。
日本相撲協会の芝田山広報部長は来月10日に初日を迎える初場所まで2週間を切る中での感染を受けて「本場所がどうなるか、今のところは何とも言えない。ほかの部屋との接触はしていないから部屋の中で感染をおさえることができると思う」と話しています。
大相撲初場所(来年1月10日初日、東京・両国国技館)に臨む琴恵光(29=佐渡ヶ嶽)が千葉・松戸市内の部屋で琴勝峰(21)、琴ノ若(23)と申し合い稽古し「トレーニングも稽古もしっかりできている」と順調に調整できているという。
課題となる立ち合いでは相手を押し込める圧力を意識しており、11月に現役を引退したばかりの秀ノ山親方(元大関琴奨菊)から助言を受けているという。
「いろいろなアドバイスをいただけるので自分に合うところを見つけていっている」と、さらなる進化を目指している。
来年の目標を「三役」に定め「自分の相撲が取り切れれば、しっかり結果が出ることもわかったし、それを15日間取り切るっていうのが重要になってくる」と語った。
大相撲の炎鵬(26)=金沢市出身、宮城野部屋、金沢学院大OB=が3日までに北國新聞社のインタビューに応じ、入門5年目の2021年は「起死回生」を信条に闘う決意を示した。
10場所ぶりに十両で迎える初場所(10日初日、両国国技館)に向け「一場所で幕内復帰を果たし、故郷に元気を与えられるように頑張りたい」と宣言した。
「心を込めて書かないと、思いが通じないですから」。
炎鵬はそう言うと、着物の袖をたくし上げ、真剣な表情で筆を走らせた。
書き初めの言葉もじっくり考えた。
困難を乗り越えて初めて立派な人間に成長するという意味の「艱難汝(かんなんなんじ)を玉(たま)にす」と「起死回生」の二つを候補に挙げ、後者を選んだ。
「2020年はなかなか自分の相撲ができず、一番悔しい1年になりました。十両に落ちたこともあり、起死回生の言葉がふさわしいと思いました。炎鵬はまだ死んでいないぞ、燃えているぞ、という姿を見せたいという気持ちも込めています」
昨年は首や手首のけがに苦しんだ。
ひどい時は、2時間ごとに首の痛みで起き上がる日もあるという。
11月場所は3勝12敗と大きく負け越し、9場所維持した幕内から十両に転落。
「手首も、ごまかしがきかないぐらい痛く、ほとんど握力が入らなかった。正直なところ、よく3勝もできたなと思うぐらいです」と明かす。
試練の1年となったものの、気力は失っていない。なぜなら「けがさえなければ、11月も勝ち越せた」と感じているからだ。
同月、自身初の写真集「炎鵬 燃える小兵」が北國新聞社から発売されたことも「やる気をたぎらせてくれた」という。
初場所は東十両3枚目で迎える。
「けがを治せば絶対に勝てる。そう信じて土俵に上がりたい」と炎鵬。
十両上位には幕内経験者がずらりと並ぶが、白星を積み上げて復活を証明する。
大相撲の荒汐部屋で新型コロナウイルスの集団感染が発生した。
日本相撲協会は1日、師匠の荒汐親方(36=元幕内蒼国来)、十両若元春(27)、幕内以下の力士8人、床山1人が新型コロナに感染したことを発表した。
荒汐部屋では12月31日に幕内若隆景(26)の感染が判明。
同日に師匠や力士ら関係者がPCR検査を受けたところ、新たに11人の陽性が確認された。
これで部屋の感染者は合計12人となった。
この日、芝田山広報部長(58=元横綱大乃国)は報道陣の取材に対応。
荒汐部屋の力士の初場所(10日初日、東京・両国国技館)への出場について「部屋で(一緒に)稽古をしていたからこうなった。この状況だと本場所も近いから(出場は)厳しい状況」と見通しを語った。
大相撲では昨年9月の秋場所前に玉ノ井部屋で新型コロナの集団感染が発生した。
力士24人が感染し、所属力士28人全員が秋場所を休場。
番付は据え置かれる救済措置が取られた。
荒汐部屋の力士については、今後に対応を協議する。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は2日、東京都の小池百合子都知事ら1都3県の知事が新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令するよう政府に要請したことを受けて、代表取材に応じ「国が協議をしてどんな見解を出すか。それを踏まえて協会はどう判断をするか。まず執行部で話し合い、必要なら理事会となる」と話した。
前日1日の段階では、初場所(10日初日、東京・両国国技館)開催について「(緊急事態宣言が出たとしても)我々はお客さん入れないでも何とかやりたい」と話していたが、この日は「きのうはそういう状況(緊急事態宣言)になっても相撲はやりたいと言ったけど、できるかできないかはこれからの段階」とした。
荒汐部屋では荒汐親方(元前頭蒼国来)や若隆景、若元春ら計12人が新型コロナウイルスに感染した。
芝田山広報部長は「それぞれ症状のある者は入院した。ぜんそくを持っている者もいる。せきが出たり、熱の症状とかもあるので。専門家の先生が動いてくれている」と説明。
一方で「それでも医療機関が逼迫(ひっぱく)しており、これ以上だと病院に入れるのが難しくなる」と危機感を募らせた。
2020/11/22
大相撲11月場所(東京・両国国技館)14日目の21日、上松町出身で東関脇の御嶽海(出羽海部屋)は東大関の貴景勝(千賀ノ浦部屋)に突き出しで敗れて6勝8敗となり、今場所の負け越しが決まった。
千秋楽の22日は東前頭6枚目の宝富士(伊勢ケ濱部屋)と対戦する。
御嶽海は立ち合いから、胸を突く相手の突っ張りに防戦一方となった。
上体を起こされたまま受け身にまわってしまい、形勢を覆せなかった。
今場所の宝富士は9勝5敗。
過去の対戦成績は御嶽海が6勝2敗で勝ち越している。
新関脇の隆の勝が、内容も伴う3連勝で給金を直した。
右のおっつけ、はず押しで宝富士の腰を浮かせて完勝し、「自分らしい相撲が取れた」と振り返った。
西前頭筆頭だった先場所に10勝を挙げ、自信を持って臨んでいたが、7日目から平幕に3連敗して「気持ちも落ちてきた」。
そんな中、家族に「自分の相撲を取ることしか考えなくていい」と励まされ、肩の荷が下りたという。支えを感じながら「また一番集中して頑張っていきたい」と、千秋楽へ気を引き締めた。
21歳の新鋭、琴勝峰が新入幕だった7月場所から3場所連続の勝ち越しを決めた。
高安のはたきにも難なく対応して攻め続け、元大関を押し倒し、「自分の取りたい相撲が取れたのでよかった。本当にうれしい」と納得の口ぶりだった。
西前頭5枚目で迎えた今場所は、三役初挑戦で新関脇の隆の勝から白星を挙げると、貴景勝との結びにも臨んだ。
大関には敗れたものの、「とてもいい経験ができたので、生かして次の場所につなげたい」と、全てを糧にする意欲を見せた。
新入幕の天空海が、琴恵光をはたき込みで破って勝ち越した。
目標は2桁白星だっただけに、「もっと早く勝ち越したかった。残念な気持ちと、うれしい気持ち」と複雑な表情だった。
序盤に追突事故に遭ったという。
首や腰が痛みながらも、土俵に上がることができ、「運に守られていると思った」。
災難も力に変えて給金を直したからこそ、「ケアをして体が柔らかくなったのかな。集中できるようになった」と言えた。
幕下は西15枚目の竜虎(22=尾上)が伊藤を寄り倒して7戦全勝。
内規により十両昇進を確実とし、昨年7月場所以来の再十両を果たす。
「幕下15枚目以内で全勝は十両に昇進」の内規ギリギリの地位で、その目標をクリアした。
「まだ十両に戻れるとは思っていなかった。得した気分です」は本音だった。
新大関正代と同じ、熊本・宇土市出身で同じ道場に通っていた。
元小結浜ノ嶋の尾上親方はおじにあたる。
順調に番付を上げながら新十両場所は4勝11敗と大きく負け越した。
その後も足首のけがなどで苦しみ、今場所も「信じられない、自分が優勝するなんて」という状態だった。
苦労した分、「気持ちが強くなった」という。
「また体を大きくして十両でも優勝できるよう、稽古していきたい」と誓った。
大相撲11月場所は千秋楽、1敗で優勝争いトップの大関・貴景勝と星の差1つで追う小結・照ノ富士が結びの一番で対戦します。
貴景勝が勝てば2回目の優勝が決まり、照ノ富士が勝てば優勝決定戦にもつれ込みます。
11月場所の優勝争いは21日の14日目を終えて、ただ1人1敗でトップに立つ大関・貴景勝と、2敗で追う小結・照ノ富士の2人に絞られました。
ことし最後の本場所の千秋楽の22日は、結びの一番で、優勝を争う貴景勝と照ノ富士が直接対戦します。
貴景勝と照ノ富士は過去2回対戦し、いずれも貴景勝が勝っています。
貴景勝は持ち味の低く当たる立ち合いから、突き押しで照ノ富士の胸を起こして攻めることができれば優位に立ちます。
貴景勝はこの一番に勝てば、おととしの九州場所以来となる2回目の優勝が決まります。
逆転優勝をねらう照ノ富士はこの一番に勝って、まずは優勝決定戦に持ち込みたいところです。
立ち合いから踏み込んでまわしに手をかけて、貴景勝の動きを止めることができれば、白星が近づいてきそうです。
照ノ富士にとっては今場所の優勝争いだけでなく、大関復帰を目指すうえで、来場所以降に向けて、「本割」で1つでも勝ち星を積み上げたいところです。
大相撲11月場所14日目は21日、東京・両国国技館で行われ、大関・貴景勝が関脇・御嶽海を降し、1敗を守った。
小結・照ノ富士は、幕尻の志摩ノ海との2敗同士の一番を制し、優勝争いは貴景勝と照ノ富士に絞られた。
千秋楽は2人の直接対決で、貴景勝が勝てば2018年の九州場所以来2度目の幕内優勝が決まり、照ノ富士が勝てば優勝決定戦に持ち込まれる。
新三役の関脇・隆の勝は、宝富士を押し出して勝ち越しを決めた。
「貴景勝が断然、有利なのは間違いないでしょう」。
優勝争いで1差をつけて小結照ノ富士(28=伊勢ケ浜)との千秋楽結びの一番に臨む大関貴景勝(24=千賀ノ浦)の優位性を、協会トップの八角理事長(57=元横綱北勝海)は見通した。
照ノ富士が2場所ぶり3度目の優勝を果たすには、本割と優勝決定戦と2連勝しなければならない。
「照ノ富士の体調を考えると2番取るのは大変。万全ではないから2番取れる、膝が持つか分からない」と、あくまでも2連勝の可能性について「貴景勝断然優位」と言及したもの。
「一番相撲となるとどうか」と、本割そのものの予想は言及を避けた。
一方で、貴景勝の立場から「負けてももう1番あるという気楽さもあるけど、そうなると集中力が欠けてくる。
後(優勝決定戦)のことは本割の後に考えればいいけど、本割が終わって(優勝決定戦までの)短い時間の中で切り替えるのも大変」。
本割の一番で決めるという気持ちが大事、ということを説いた。
88年春場所で、横綱大乃国(現芝田山親方)に千秋楽本割、優勝決定戦と連敗し13勝2敗で逆転優勝を許した経験がある。
「俺も2番続け(て負け)たことがある」と苦い経験を味わったからこそ話せる、リードした側の落とし穴を説いていた。
東京都の小池百合子知事が21日、墨田区の両国国技館で行われた大相撲11月場所14日目を視察した。
都と日本相撲協会は連携し、7月場所から3場所連続で「NO!3密」、「手洗いマスクの徹底」など新型コロナウイルス感染防止を啓発する懸賞旗スタイルの告知旗を掲出している。
小池氏は2階席に座り、幕内後半戦前に告知旗が土俵上で掲出される様子を見守った。
大相撲の高砂部屋を、部屋付きの錦島親方(39)=元関脇朝赤龍、モンゴル出身、本名バダルチ・ダシニャム=が継承することが20日、関係者の話で分かった。
同部屋には大関朝乃山らが所属しており、師匠の高砂親方=元大関朝潮、本名長岡末弘=は12月に65歳の定年を迎える。
高砂親方「いい師匠人生」元大関朝潮、11月場所後に定年
高砂部屋は明治時代から続く名門で、朝潮や前田山らの横綱を輩出。
現師匠は2002年に部屋を継承して横綱朝青龍や朝赤龍らを育てた。
錦島親方は17年4月に日本国籍を取得。
同年5月に現役を退き、部屋付きとして後進の指導に当たっている。
20年の本場所も、残すところ1日となった。
徳勝龍の幕尻優勝で始まり、新型コロナウイルスに振り回された1年。
21年の大相撲はどうなるのか−。
日本相撲協会で講習会などを開いてきた、東京大医科学研究所の四柳宏教授が分析した。
春場所は史上初の無観客開催、7月と秋場所は1日あたり約2500人の上限を設けた。
11月場所では両国国技館の定員の半数にあたる5000人に設定。
「場所中に力士の感染がなく、お客様からも連絡がなかった」と本場所期間中に協会員や観客の感染が確認されなかったため、増員を決めた。
また協会が、場所前後に段階的に各部屋に通知してきた、外出自粛などを盛り込んだガイドラインが効いているという。
ではファンが、角界が待ち焦がれている満員御礼の光景はいつ見られるのか。
「道筋は立っていないが、まずは地方場所が国技館での開催同様、安全にできることを確認してから」と地方場所の成功が鍵を握るとした。
協会は来年3月の春場所の、大阪開催を目指している。
全国での流行状況にもよるが、協会員やファンや我々が、感染対策を怠らずに過ごすことが日常を取り戻す1歩になる。
2020/11/21
押し相撲の志摩ノ海との1敗対決。
しっかり当たり、二の矢の突っ張りを繰り出す。
しぶとく攻め返してきた相手を再び突いて圧力をかけると、いなしを交えて崩し、最後は押し出した。
「集中していった」。
脳裏には、今年初場所の千秋楽の相撲が焼き付いていることだろう。
幕尻だった徳勝龍に立ち合いで十分に当たれずに完敗。
相手に賜杯も許し、「勢いにのまれた。大関の資格がない」。
その悔しさが消えることはない。
今度は格下相手に壁となって白星を並べ、ついに単独トップに立った。
八角理事長も「貴景勝にとっては大きいと思う」と言い、ひと山越えたとみた。
13日目を終え、一人で先頭を走るのは大関8場所目で初めて。
日増しに高まる緊張感を感じ取りながら、「期待に応えたい気持ちはあるが、応えるのも、裏切るのも自分次第。一生懸命頑張りたい」と覚悟を述べた。
また、大関貴景勝が12勝目を挙げて今年の50勝目とし、初の年間最多勝に単独で輝くことが正式に決まった。
48勝で2位につけ、休場中の大関正代が14日目の取組に入らなかった。
大関以上の年間最多勝は2018年の栃ノ心以来2年ぶり。
御嶽海との関脇対決を制し、勝ち越しに王手をかけた。
立ち合い踏み込んで2本差し、そのまま一気に押し倒した。
「中に入れたのが良かった。とにかく自分の相撲を取ろうという意識でした」。
突き押しに加え、差す形も板につき、春場所の12勝3敗から4場所連続の給金直しは目前。
「(三役での)勝ち越しが目標だったので。自分の相撲で勝てたらいいかな」と意気込みを新たにした。
地力の高さを見せつけた。
竜電が引いた左下手を切って頭をつけると、休まずに攻めて押し出し。
「体が勝手に動いているだけ。当たってから体に任せているだけ」。
2敗を守り、口ぶりには自信がにじんだ。
貴景勝を1差で追う状況は変わらない。
直接対決も残しているが、「特に何も考えていない」と言い、これまで同様の姿勢を貫く。
三役復帰を果たし、目標は大関への返り咲き。
三役での直近3場所の合計勝ち星が目安となるだけに、「伸ばして、33勝というのを考えている」。
立ち合い、妙義龍の厳しい攻めに後退を余儀なくされた千代の国。
俵に足がかかったが、脇を締めた右を相手のはずにあてがうと、強烈に押し返して起死回生の一撃とした。
前に出て再び当たり、最後はタイミング良くはたき込み。
「あまり褒められた内容ではない」と振り返りつつも、7勝目から2日足踏みして届いた給金直しに「うれしかった」と笑顔を見せた。
幕内での勝ち越しは、8勝を挙げた2019年初場所以来。
だが、その場所で「左膝複合靱帯(じんたい)損傷」の大けがをし、次の春場所から3場所連続で全休した。
幕下46枚目から再起し、再び幕内に返り咲いた今場所、「一日一日、後悔しないように」と全力の相撲で八つ目の白星をつかみ取った。
次なる目標は「まだ上がったことのない三役」。
志摩ノ海は大善戦も白星にはつながらなかった。
初の大関戦、初の結び。
「緊張はなかった」と貴景勝の圧力を受けても、下からあてがい、おっつけながら押し返す。
しかし、最後にいなされて体が泳ぐと「残せなかった」。
初優勝の夢は残り、14日目は照ノ富士との2敗対決。
「あと2番、自分の相撲をとるだけ。(優勝争いは)全く考えていない」と無心を強調した。
モンゴル生まれで札幌市東区出身の東三段目21枚目・北青鵬(19=宮城野部屋)が7戦全勝で三段目優勝を果たした。
先に相撲を取った西72枚目・大海(たいよう、19=尾上部屋)が初黒星を喫したため、東40枚目・魁清城(22=浅香山部屋)との7番相撲が優勝を懸けた一番となった。
右腕を手繰られて上体が起きる場面もあったが、前に出ながら左上手を取ってつかまえ、右から起こして寄り切った。
今年3月の春場所で初土俵を踏み、序ノ口デビューとなった7月場所、序二段だった9月の秋場所に続く全勝優勝。
デビューから無傷の21連勝となった。
リモート取材では「素直にうれしい」と喜びを口にした。
大関・貴景勝は13日目の20日、前頭17枚目、「幕尻」の志摩ノ海との1敗どうしの直接対決に勝ち、単独トップに立ちました。
星の差1つで志摩ノ海と大関経験者の小結・照ノ富士が追う展開です。
14日の21日、貴景勝は関脇・御嶽海と対戦します。
御嶽海はここまで6勝7敗と調子が上がっていないものの貴景勝との対戦成績は8勝8敗の五分で、突き押しでも四つ身でもうまさを見せる難敵です。
貴景勝としては突き放して一気に勝負をつけたいところですが、もろ差しなど御嶽海に密着される形になれば勝負はわからなくなります。
出足のいい2人だけに立ち合いでどちらがより鋭く踏み込んで有利な体勢に持ち込めるかが、勝敗を分けることになりそうです。
一方、2敗で追う照ノ富士と志摩ノ海は直接対決です。
照ノ富士には、四つに組んでの圧倒的な強さに加え、まわしを引けなくても一気に前に出ていける圧力があります。
志摩ノ海も今場所は決して下がらない辛抱強い相撲で白星を重ねていて相手に頭をつけながら低い姿勢で攻め続け勝機をうかがいたいところです。
「幕尻」での優勝がかかる志摩ノ海と、大関復帰を目指している照ノ富士、逆転優勝へ望みをつなぐためには負けられない両者の取組に注目です。
13日目、日本相撲協会が元十両飛天龍(36=立浪)の引退届を受理したことを発表した。
2000年春場所で初土俵を踏んだ飛天龍は、11年名古屋場所で十両に昇進したが、その後は左肩の大ケガなどで序二段まで転落。
昨年12月に腰の手術を受け、今年の7月場所で4場所ぶりに復帰していた。
2020/11/20
宝富士を問題にしなかった。
低く当たって相手を棒立ちにさせると、休まず攻めて突き出し。
会心の内容で1敗を守った。
13日目は、トップで並ぶ幕尻の志摩ノ海の挑戦を受ける。
「自分が強ければ勝つし、弱ければ負ける。あしたも集中して一生懸命頑張る」。
ただ一人出場する看板力士としての責任も痛感していることだろう。
八角理事長は「このプレッシャーを背負って優勝すれば、価値がある」と期待を寄せた。
元大関の照ノ富士が御嶽海を圧倒した。
当たってすぐに右を差すと、左で前まわしを引くのも素早く一気の寄り切り。
ここ数日は強引な取り口も目立った中、会心の内容で白星を2桁に乗せ「こういう相撲を取りたいので」と納得の様子だった。
2017年九州場所以来の三役で迎えた今場所。
初日を迎える前から何度も、大関復帰への強い思いを口にしてきたが、三役での10勝で返り咲きへの足掛かりができた。
「稽古があったからこそ、成績を残せている」。
序二段まで転落する原因の一つとなった両膝の状態も徐々に良くなり、今場所前は宝富士と何度も手合わせして充実。第一関門をクリアした。
優勝争いでも、トップを1差で追って残り3日を迎える。
貴景勝との直接対決も残しているが、「結果は後からついてくる」と賜杯へ興味は示さない。
「やっぱりここからが、一番一番が大事。(勝ち星を)11番にしたいという気持ちだけ」。
来場所以降を考えれば、今後の白星はより重みを増す。
見据えるのは念願の大関復帰だけ。
照ノ富士は目の前の一番に集中する。
「鉄人」がまた節目の記録を迎えた。
幕内最年長の36歳、玉鷲が通算連続出場を1298に伸ばし、飛騨乃花を抜いて単独8位に浮上した。
初土俵から17年間、1度も休場なく土俵に立ち続ける。
師匠の片男波親方は「押す力は去年と比べて弱くなっているかもしれないが、気力でカバーしている」と、年齢にあらがう弟子を見守る。
部屋の関取は玉鷲だけで力士は4人だけ。
コロナ禍で出稽古が禁止となり、普段通り高田川部屋などへ出稽古に行けない状況で、師匠は「基礎(運動)をいつもの倍やっていた」と述懐した。
千代の国が妙義龍を破って給金を直した。
左膝のけがで幕下まで転落して、9場所ぶりにはい上がった幕内での勝ち越しだけに、不屈の男は「素直にうれしい」と喜びをかみしめた。
「一日一日、後悔のないように全力を出し切ろう」と臨む今場所も残りは3日。
「一日一番集中して、前に出る相撲を取りたい」と全身全霊で土俵に上がる覚悟だ。
押し相撲だけでなく、巧みな出し投げも披露した。
幕尻の志摩ノ海が、1差で追う優勝争いのライバルを退けて1敗を守った。
竜電に一度はまわしをつかまれたが、巧みに腰を振って切り、頭を付けてこらえた。
「左前みつを取りたがっていた。根負けしないように」とひたすら我慢。
最後はつかんだ左の下手で出し投げを打ち、土俵に転がした。
先場所まで2場所連続で負け越し、「簡単に負けていた」と反省した。
「頭を上げないで粘っこく取る。稽古場(けいこば)でも簡単に頭を上げない」と諦めないことを心がけ、白星につなげている。
12日目、十両宇良が十両旭大星を押し出して8勝目(4敗)。
右ヒザの故障を乗り越えて関取復帰を果たした土俵で勝ち越しを決めた。
関取として勝ち越すのは、西前頭10枚目だった2017年夏場所(11勝4敗)以来、約3年半ぶり。
優勝争いは12日目を終えて、出場している幕内の力士で番付がもっとも上の大関・貴景勝と最も下の「幕尻」、前頭17枚目の志摩ノ海が1敗で並んでいます。
この2人を星の差1つで追うのが大関経験者で3年ぶりに三役に返り咲いた小結・照ノ富士です。
13日目の20日は、貴景勝と志摩ノ海が直接対決。
注目の取組は押し相撲どうしの初顔合わせとなりました。
大関として初めての優勝をねらう貴景勝としては、「幕尻」相手に敗れるわけにはいかず、低く鋭い踏み込みから圧力をかけ一気に押し出して貫禄を見せつけたいところです。
一方の志摩ノ海は、大関戦でも持ち味の一気の出足で押し相撲を貫くことができれば、勝機が見えてくるかもしれません。
2場所ぶり3回目の優勝を目指す小結・照ノ富士は、3敗の竜電と初めて顔を合わせます。
今場所の照ノ富士は、寄り切りや上手投げなど得意の形だけでなく、怪力を発揮して「つり出し」を見せるなどして白星を重ねています。
相手の竜電は、まわしを取ると頭をつけて粘りを発揮しますが、照ノ富士は、逆転優勝の可能性が残る中、20日の一番で確実に白星をつかみたいところです。
11月26日(木)、TOHOシネマズ 日本橋にて一夜限りのドルビーアトモス上映決定!!
ドルビーアトモスで制作された日本初のドキュメンタリー映画作品、全席が砂かぶり席!
国技館にいるような、臨場感あふれる音を映画館で体感せよ!!
大迫力の映像と臨場感あふれる音とともに強き男たちの生き様を描いた世界初“大相撲”のエンターテイメント・ドキュメンタリー『相撲道〜サムライを継ぐ者たち〜』が只今絶賛上映中です。
ドルビーアトモス フォーマットで制作された本作の待望のドルビーアトモス上映が、TOHOシネマズ 日本橋にて一夜限りで実施されることが決定しました。
2020/11/19
埼玉栄高の後輩、琴勝峰の初挑戦をはね返して1敗を守った。
ひるまずに突き押しを繰り出してきた新鋭に対してやや後退したが、うまく体を開いて左から突き落とした。
かつては自身が、豪栄道ら高校の先輩に挑んだことを思い返し、「今まではずっと立ち向かっていた。埼玉栄からどんどん育ってくれているのはうれしい」としみじみ。
琴勝峰とは同じ二所ノ関一門。
その成長ぶりを感じており、「強い印象がある。いいものを持っていると思う」と期待を寄せた。
また、18日、大関貴景勝が今年の通算勝ち星を48とし、初の年間最多勝が確実となった。
新大関の正代が並んでいるが途中休場しており、再出場しなければ上回れなくなった。
照ノ富士はパワーで妙義龍を圧倒して2敗で踏みとどまった。
懐に入られてもろ差しを許したが、前日の翔猿戦と同様に相手の両腕をきめ、そのまま前進して勝負を決めた。
「落ち着いていった。何回もやっているので取り口は分かるというか」。
右四つに持ち込めない相撲が続いても、危なげなく白星を積み重ねた。
大関返り咲きの起点とするために2桁勝利が目標。
あと1勝に迫り「しっかり達成したい」と気合を込めた。
平幕の2敗対決は竜電が宝富士を送り倒した。
18年初場所の初顔合わせで寄り切ったものの、それ以降6連敗と苦手にしていた。
この日は相手得意の左差しを許す劣勢から辛抱強く立て直し、1分20秒に及ぶ長い相撲をものにした。
志摩ノ海が、新入幕の2019年夏場所以来の10勝目を挙げた。
幕尻ながら、大関・貴景勝と優勝争いの先頭を堂々と走っている。
立ち合いは、のど輪で起こされたが慌てなかった。
土俵際まで攻め立てられながらも脇を締めて、差し手を封じる。
「頭を付けていく。自分にはそれしかない」と、頭を下げて、右をのぞかせ、左でおっつける。
豊昇龍に横を向かせて、最後は押し倒した。土俵上で納得の表情を見せた。
11日目を終えて貴景勝と平幕の志摩ノ海の2人が1敗で並んでいます。
1敗の大関・貴景勝は、今場所ここまで3敗と好調の平幕・宝富士と対戦します。
過去の対戦では貴景勝が6勝2敗と勝ち越していて、立ち合い、低く踏み込んで圧力のある押し相撲に徹すれば大関が断然優位です。
一方の宝富士は17日、18日と連敗しましたが、得意の四つ相撲がさえてここまで3敗と好調です。
宝富士としては貴景勝の厳しい攻めをしのぎながら、四つ相撲に持ち込んで勝機をうかがいたいところです。
「幕尻」の前頭17枚目ながらここまで1敗の志摩ノ海は2敗の前頭10枚目・竜電と対戦します。
去年の秋場所では志摩ノ海が敗れていますが、今場所、押し相撲が光る志摩ノ海とまわしを取ると強さを発揮する竜電という対照的な持ち味の2人の対戦は楽しみな一番です。
竜電と同じ2敗の小結・照ノ富士は関脇・御嶽海と対戦します。
過去の対戦は照ノ富士の5勝4敗とほぼ互角です。
17日に引退が発表された大相撲の元小結・臥牙丸(33)=本名ジュゲリ・ティムラズ、ジョージア出身、木瀬部屋=が18日、オンラインで記者会見した。
「15年間、あっという間だった。日本語から人生まで学んだ。本当に楽しい時間だった」と、2005年九州場所からの力士人生を振り返った。
2020/11/18
貴景勝が落ち着いて連敗を阻止した。
妙義龍と突き合う展開になっても、前傾姿勢は崩さず相手を正面に置いて勝機を探った。
最後は圧力を十分に伝えてから、はたいて仕留め「相撲に集中できた」と振り返った。
初黒星を喫した9日目は、うるさい翔猿を警戒し過ぎて、しっかり当たらなかった。
消極的だった姿勢を反省した取り口を見て、八角理事長(元横綱北勝海)は「これであすから、またいける。大関一人で、よく頑張っている」と改めて期待を寄せた。
照ノ富士がまた一つ復活への歩みを進めた。
3年ぶりに三役復帰を果たした場所で、番付を駆け上がった頃を思い起こさせる豪快な攻めを披露し、10日目で給金を直した。
両膝に古傷を抱える中、動きの良い翔猿への対策は明確だった。
「ついていくだけじゃ負ける。動きを止めて強引にいこう」
懐に入ってきた相手を両方から抱え込んで一呼吸置くと、土俵中央で軽々と131キロを持ち上げた。
あとは右足から、1歩、2歩、3歩、4歩。
子ども扱いして土俵外に運んだ。
勝ち越しは、役力士としては大関時代の2017年夏場所までさかのぼる。
内臓疾患なども重なって序二段まで転落した後は、これで10場所連続。
着実に階段を上っているが、視線はもっと先にある。
「とりあえず元の位置に戻りたい」
賜杯争いでもトップと1差につけているが、「全く意識していない」とかわし、「とりあえずは今場所2桁以上は勝ちたい。ここから3場所が大事」。
念願の大関返り咲きへ。
今はその足場を早々と築くことを最優先し、白星の上積みを狙う。
北勝富士は取り直しの末、宝富士を下した。
相手に軍配が上がった最初の一番から「差させない。取らせない」と、徹底して相手得意の左四つを封じた。
取り直しでも左差しを許さず、下からしつこく攻めて押し切った。
6勝目の勝ち名乗りを受けた後の土俵下で、しゃがみ込んだほどの熱戦を「負けたくない気持ちが強く出て、粘りと押しにつながった」。
息も絶え絶えに振り返った。
宝富士は優勝争いから一歩後退する2敗目を喫し、取材には応じずに引き揚げた。
東前頭10枚目竜電(30=高田川)が、1月の初場所以来となる勝ち越しを決めた。
玉鷲ののど輪を外すと、もろ差しから一気の攻め。押し出して8勝2敗とした。
取組後のリモート取材では「いい相撲を取ろうと思って取りました。攻める意識がある。粘りも出ますから、いいと思います」と好調の要因を語った。
今場所から腰をリズミカルに揺らす独特な立ち合いを見せているが、その意図については「考えてやっています」と多くは語らなかった。
幕尻の志摩ノ海が千代の国を破って1敗を守った。
脇を締めて前へ出る好内容が続いており、「中途半端に取っていない。土俵で力を出し切ろうとしている」と自己分析した。
兄弟子の徳勝龍が初場所で幕尻優勝を果たした。
大関貴景勝とトップを並走する状況で、色気が出そうなものだが「何も考えていない。(師匠に)無心になっていけと言われている。それを実行できている」。
終盤戦も無欲を貫いていきたい。
大相撲11月場所は11日目、18日から終盤戦です。
1敗の大関・貴景勝は平幕の琴勝峰と対戦します。
11月場所は10日目を終えて、大関・貴景勝と平幕の志摩ノ海がトップの1敗で並んでいます。
貴景勝は11日目の18日、前頭5枚目の琴勝峰と初めて顔を合わせます。
大関として初めての優勝を目指す中、9日目に初黒星を喫しましたが、17日は実力者の妙義龍を退けて白星を伸ばしました。
18日の一番でも低く強烈な立ち合いから得意の突き押しなどで攻め手を緩めなければ白星が見えてきます。
一方、ことしの7月場所で新入幕を果たした21歳の琴勝峰は、幕内の2場所を勝ち越し今場所も6勝4敗と白星が先行しています。
押し相撲も四つ相撲もこなせる若手が、初めての大関戦でどのような相撲を見せるのか注目されます。
「幕尻」の前頭17枚目、志摩ノ海も1敗で、前頭13枚目の豊昇龍と対戦します。
初対戦の先場所は志摩ノ海が寄り倒しで制しましたが、物言いがつく際どい一番でした。
志摩ノ海は、土俵際での粘りが光る豊昇龍に対して、得意の押し相撲で一気に攻めきることが出来るかが勝負のカギを握りそうです。
2敗で追うのは3人で、小結・照ノ富士は妙義龍との一番、いずれも平幕の宝富士と竜電は直接、対決です。
大相撲11月場所は10日目、大関貴景勝と平幕の志摩ノ海がともに勝って1敗を守りトップに並んでいます。
中入り後の勝敗です。
▽十両の翠富士に千代翔馬は千代翔馬がはたき込みで勝ちました。
▽志摩ノ海に千代の国は志摩ノ海が寄り切りで勝って1敗を守りました。
▽琴ノ若に新入幕の天空海は琴ノ若が寄り倒し。
▽豊昇龍に佐田の海は豊昇龍が上手投げ。
佐田の海は先場所に続いての負け越しとなりました。
▽炎鵬に千代大龍は炎鵬が突き落とし。
▽明生に徳勝龍は明生が押し倒し。
▽魁聖に碧山は魁聖が寄り切り。
▽照強に豊山は豊山がはたき込み。
照強は先場所に続いての負け越しが決まりました。
▽逸ノ城に栃ノ心は逸ノ城が寄り切り。
▽遠藤に琴恵光は琴恵光が小手投げ。
▽玉鷲に竜電は竜電が押し出しで勝って、4場所ぶりの勝ち越しを決めました。
▽宝富士に北勝富士は北勝富士が取り直しの一番を制して押し出し。
宝富士は2敗目を喫しました。
▽大栄翔に隠岐の海は大栄翔が押し出し。
▽輝に霧馬山は輝が寄り切り。
▽若隆景に阿武咲は阿武咲が浴びせ倒し。
若隆景は負け越しです。
▽翔猿に小結 照ノ富士は照ノ富士がつり出し。
照ノ富士は連敗を2で止め勝ち越しを決めました。
▽琴勝峰に関脇 御嶽海は琴勝峰が送り出し。
▽新関脇 隆の勝に小結 高安は隆の勝が押し出し。
▽妙義龍に大関 貴景勝は貴景勝がはたき込みで勝って1敗を守りました。
11月場所は10日目を終えて、1敗が貴景勝と志摩ノ海、2敗で照ノ富士と宝富士、竜電の3人が続いています。
力士の談話
「幕尻」の前頭17枚目、志摩ノ海は同じ三重県出身の千代の国を破り「意識はせず、しっかり自分の相撲を取りきろうと思った。何度か対戦はあるが負けていたので、今場所は勝ててよかった」と振り返ったうえで、平幕でただひとり1敗を守ったことについて、「悔いの残らない相撲を取ろうと考えている。親方も無心でいけと。それを実行できているのではないか」と冷静に話していました。
立ち合いで当たらずに千代大龍を翻弄し白星の炎鵬は、「相手は立ち合い強いので、当たらないようにするにはどうすればいいか考えた結果だ。まだ2番勝っただけなので、1日、一番、自分の力を出すだけだ」と話していました。
琴恵光は6勝目、「四つにはなったが、体が起き上がることなく落ちついて最後まで相撲が取れた。後半戦も自分の流れで攻める相撲を見せていきたい」と話していました。
ことしの初場所以来の勝ち越しを決めた竜電は「勝ち越せてよかった。今場所は攻める意識があるので、粘りも出ていいと思う」と手応えを口にしていました。
北勝富士は取り直しの相撲を制して6勝目を挙げ「負けたくない気持ちがすごく出て、最後の押しにつながったと思う。体は動いてるので、もっと勝っていけると思う」と充実した表情でした。
大栄翔は勝ち越しまであと1勝、「きょうはいい相撲だった。内容は徐々によくなってきた。残りもしっかりこれを続けられるように、あしたもやっていきたい」と話していました。
豪快なつり出しで翔猿を破った小結・照ノ富士は「相手の動きをとめて強引にいこうと思っていた。小さい人には強引な相撲を取らないといけない。動きについていくだけでは負ける」と取組を振り返り、10日目での勝ち越しについては「ここから3場所が大事。またあしたから頑張りたい。元の位置に戻りたいので」と話していました。
琴勝峰は、「体がよく動いていたと思う。落ち着けているのは、幕内で経験したことが生きているのかなと思う」と話し、大関・貴景勝に挑む11日目に向けて、「いつも通り、しっかりと立ち合いに集中していきたい」と話していました。
三役以上でただひとり1敗を守った貴景勝は、「集中してあとは気持ちでやろうと思った。勝たないといけない世界。白星があがるのは何よりで、白星をあげるためには集中して、気合いを入れていかないといけない」と表情を引き締めていました。
きょうの“推し相撲” ○貴景勝ー妙義龍●
「勝たないといけない世界」。
初黒星を喫した翌日、白星でトップを守った大関・貴景勝は口にした。
二横綱・二大関が休場し優勝争いを引っ張らなければならない看板力士としての強い責任感がかいま見えたことばだった。
貴景勝は16日の9日目、翔猿に不覚を取り連勝が「8」でストップ。
「きのう(9日目)はどれだけ考えても帰ってこない」。
気持ちを入れ直して臨んだ10日目の土俵。相手の妙義龍とは過去10戦全勝だ。この1年の多くは得意の突き押しで一気に勝負をつけている。得意の相手に盤石の内容で圧倒し終盤戦に向けて再び勢いづきたいところだ。
しかし、万全の内容とはいかない取組となった。
正面から突いて土俵際に追い込んだが妙義龍に動かれ、すぐに攻めきれない。時間のかかる相撲は、敗れた前日の翔猿と同じ展開、嫌な流れになりつつあった。
それでも貴景勝は落ち着いていた。
研ぎ澄ませた集中力で相手の動きを見極め最後ははたき込みで白星を挙げた。
11月場所は18日から終盤戦。1敗で貴景勝と「幕尻」の志摩ノ海が並ぶ。横綱の休場で今場所最上位となる東の大関・貴景勝と最下位の2人がトップという展開だ。
初場所はこの「幕尻」の徳勝龍が涙の初優勝。7月場所も「幕尻」の照ノ富士がケガからの復活優勝を果たした。
1年のうち3場所も「幕尻」に優勝をされては横綱・大関陣の存在意義にもかかわってくる。貴景勝が口癖のように繰り返す“集中”を高め、ただ目の前の取組だけに向き合うことができれば結果はついてくるだろう。
徹底した番付社会の大相撲で今場所最上位の責任を果たし、最高の結果を残せるのか。終盤戦の貴景勝の戦いぶりから目が離せない。
2020/11/17
大相撲11月場所9日目(16日・両国国技館)大関貴景勝が翔猿のはたき込みに屈し、初黒星を喫した。
1敗の貴景勝らを2敗で照ノ富士と、平幕の竜電、千代の国が追う。
高安が照ノ富士との元大関同士の小結対決を制した。
相手十分の右四つになったが、上手を取って頭をつけ、出し投げで崩して送り出した。
我慢も実って白星を先行させ、「体が動いている」と手応えを口にした。
返り三役の序盤は1勝に終わったが、6日目から4連勝。
「どんどん相撲勘も良くなっている。厳しい相撲が取りたい」。
言葉にも勢いが戻ってきた。
この日はさらに、同じく体の小さい翔猿が、唯一勝ちっぱなしだった大関・貴景勝を下し、大いに沸いた。
先場所の躍進から一転、八日目までで2勝6敗と星につながっていなかったが、この日は大関に押されてもなかなか下がらず、突き押しで応戦。
ついには大関が引いてしまう場面もあり、最後は思い切ったはたき込みが決まった。
やはり、彼が勝つ取組も盛り上がる。
千秋楽まであと6日間。
炎鵬・翔猿をはじめとする小兵力士たちには、ひとつでも星を伸ばして、見にくるお客さんを沸かせてほしい。
判官贔屓な日本人の心をくすぐる取組が、あと何番見られるだろうか。
宝富士が隠岐の海に逆転勝ちし、自己最速タイで勝ち越した。
左四つで組んで上手を取られて寄られたが、土俵際で右からの突き落としを決め、「諦めずに最後までやったのがよかった」と執念を強調した。
場所前に照ノ富士とほぼ毎日手合わせするなど、充実した稽古が好調の要因。
優勝争いについては「まだ6日間あるので考えられない」と謙遜するものの、貴景勝らとトップに並んだ。
新型コロナウイルスの影響で通常開催ができなくなった3月場所以降、なかなか結果に結びついていない炎鵬。
すでに4場所連続の負け越しが決まっており、今場所の成績次第では、幕内残留も危ぶまれている。
特に先場所は、もともと99キロしかない体重が92キロほどに落ちてしまうなど、体力の低下が見られていた。
今場所はなんとか少し戻ったようだが、それでもやはり、昨年までのような体幹の強さが生かされていない。
毎日見ていて、自身のなかの歯車がかみ合っていないような、どうも空回りしている状態に見受けられていた。
コロナ禍における稽古とトレーニングの制限、さらには周囲からかなり研究されてきていることが、不振の要因としてささやかれている。
加えて筆者は、尊敬してやまない同部屋の横綱・白鵬の不在が大きいのではないかとも思っている。
昨年、筆者が行ったインタビューでは、角界入りを決めた理由を「この世界で一番強い横綱がいる部屋で、しかもその横綱に声をかけていただいたから。宮城野部屋だったから、挑戦してみようと思ったんです」と、力強く答えている。
横綱との日々の稽古が、彼を強い力士にしてきたことは間違いないし、「毎日横綱と稽古していること」が、彼の確固たる自信にもなっていたことだろう。
その横綱と、ここのところ十分な稽古ができていないとしたら――。
心身ともに、影響を受けないはずはない。
今場所初白星を挙げた九日目は、碧山との対戦。
自分より100キロ近く体重の重い大きな相手に対して、立ち合いから左に大きく動いた。
思い切って碧山の足を取ると、そのままスピードに乗って寄り切り。
疾走感あふれる、なんとも彼らしい会心の相撲に、国技館は割れんばかりの拍手に包まれ、なかなか鳴りやむことがなかった。
炎鵬本人は、つっかかりが取れたような安堵の心境かもしれないが、見ているお客さんは「待ってました」とばかりに、興奮と労いの気持ちをあの大きな拍手に乗せたのだろう。
この日の炎鵬の白星を見ただけで、彼の活躍と相撲人気が、高い相関関係にあることがよくわかる。
大相撲11月場所は9日目、大関 貴景勝は、平幕の翔猿に敗れて初黒星を喫し、勝ちっ放しがいなくなりました。
中入り後の勝敗です。
▽十両の明瀬山に新入幕の天空海は、天空海が寄り切りで勝ちました。
▽豊昇龍に琴ノ若は、琴ノ若がすくい投げ。
▽逸ノ城に魁聖は、魁聖が寄り切り。
▽豊山に志摩ノ海は、志摩ノ海が送り出しで勝って、自身最も早い9日目での勝ち越しを決めました。
▽佐田の海に千代大龍は、千代大龍が突き出し。
▽徳勝龍に千代の国は、千代の国が突き出しで勝って7勝目を挙げました。
▽千代翔馬に照強は、千代翔馬が上手投げ。
▽碧山に炎鵬は、炎鵬が寄り切りで勝って、今場所の初白星を挙げました。
▽明生に遠藤は、遠藤が突き倒し。
▽栃ノ心に竜電は、竜電がすくい投げ。
▽琴恵光に玉鷲は、玉鷲が押し出し。
▽宝富士に隠岐の海は、宝富士が突き落としで1敗を守り、勝ち越しを決めました。
▽輝に北勝富士は、北勝富士が押し出し。
▽大栄翔に若隆景は、大栄翔が押し出し。
▽霧馬山に阿武咲は、阿武咲が押し出し。
▽照ノ富士に高安の、小結どうしの一番は、高安が送り出しで勝ちました。
一方、照ノ富士は連敗で、2敗となりました。
▽琴勝峰に新関脇 隆の勝は、琴勝峰が突き落とし。
▽関脇 御嶽海に妙義龍は、妙義龍が寄り切り。
▽大関 貴景勝に翔猿は、翔猿がはたき込みで勝ちました。
貴景勝は、初日からの連勝が8で止まりました。
11月場所は9日目を終えて勝ちっ放しがいなくなり、1敗で大関 貴景勝と平幕の宝富士、志摩ノ海の合わせて3人が並んでいます。
力士の談話
新入幕の30歳、天空海は、4連勝で5勝4敗と白星先行に「思ったとおりにいけた。年下の子に負けていられないので、年長者として勝ち越しを決めたい」と話していました。
琴ノ若は、勝って5勝4敗、「我慢できたので、うまく対応できた。
慌てると相手の形になるので考えすぎずに落ち着いて相撲を取ることだけを意識した」と話していました。
8勝1敗と勝ち越しを決めた志摩ノ海は「相手の流れだったので、体が動いてくれてよかった。簡単に負けないぞという気持ちを持っているのでからだが動いてくれたのではないか。調子に乗らないで平常心でいきたい」と話していました。
返り入幕の千代の国は、連敗を2で止め7勝2敗。
「しっかり攻められた。連敗を止められたのはよかったと思う。いつもと変わらず、攻める相撲を取っていく」と、気持ちを込めていました。
初白星を挙げた炎鵬は「長かった。こんなときでも毎日応援してくれる人のおかげでここまでやってこられた。この1勝は本当にまわりの人たちに感謝したい」と話していました。
宝富士は、勝ち越しを決め「早く勝ち越せてうれしい。まだまだ6日間あるので、優勝は考えられない。2歳の息子にいい報告ができると思うのでよかった」と、時折、笑顔を見せていました。
小結 高安は1敗の照ノ富士を破り白星先行、「しっかりペースを握って展開できた。相撲を重ねるごとに感覚もよくなっているので、力強い取組をあすからもとっていきたい」と、手応えを口にしました。
翔猿は、大関 貴景勝を破り3勝目、大関戦初白星に「逃げずに攻められたのがよかった。思い切りいっただけなので、勝ててうれしい。みんな力強いしここから頑張っていく」と、巻き返しを誓いました。
一方、敗れた貴景勝は初黒星、「負けたので何も言うことはない。もう終わったので、またあす集中してやることしかできない。あすの相撲を一生懸命頑張っていきたい」と話していました。
2020/11/16
一人大関の貴景勝が初日から8連勝。
幕内でただ一人のストレート給金で、名実ともに今場所の先頭に立って土俵を締めている。
埼玉栄高の先輩で、押し相撲同士の北勝富士との一番。
貴景勝は立ち合いを「集中して、気持ちをしっかり入れてやろうと思った」。
頭で突き起こすと、かろうじてのぞかせてきた相手の左を思い切りはたく。
たまらず土俵にはった北勝富士を見下ろし、泰然と胸を張った。
土俵下の伊勢ケ浜審判長は「相手をよく見て相撲を取っていて良い」と、安定感を高く評価した。
平幕の大栄翔が全勝だった小結・照ノ富士に土をつけた。
立ち合いで左を差されると、右でおっつけながら回り込み、左喉輪で相手の上体を起こして逆襲。
一気に押し出した。
「立ち合いは本当に悪くて。その後は体が動いて離せたのが良かった」。
7月場所で優勝した元大関を破り「自信になります。ああいう相撲を取れれば、もっと良くなる」。
三役復帰を目指す場所で一層の奮闘を誓った。
宝富士が会心の内容で7勝目を挙げた。
けんか四つの琴恵光を押し込むと、得意の左四つに組んで一気の寄り切り。
「思い通りの相撲が取れた」と自賛すれば、師匠の伊勢ケ浜審判部長も、「前に出ている。きょうの相撲は良かった」と褒めた。
1敗で折り返すのは2013年初場所以来。
「出来過ぎじゃないか。まずは8勝で、10勝できたらいい」と控えめに目標を掲げた。
幕尻の志摩ノ海は、千代丸を寄り切り1敗をキープした。
回り込まれて土俵をぐるり1周しながらも、低い姿勢でしぶとく追いかけた。
「はたきを食わないように我慢して自分の相撲を取りきりました」。
師匠の木瀬親方から「幕尻だから思い切りやってこい!」とハッパを掛けられている。
今年初場所は兄弟子の徳勝龍が西前頭17枚目で幕尻優勝。
「あれを見て力を出し切れば成績が出ると思った」と野望を抱いている。
11月場所は、横綱・大関陣ではただ1人出場を続ける大関 貴景勝が8連勝で中日に勝ち越しを決め、単独トップに立って折り返しました。
貴景勝は9日目の16日、前頭4枚目の翔猿と対戦します。
過去、唯一の対戦となった先場所は、貴景勝がはたき込みで勝っています。
貴景勝は先場所と同様に、相手の動きを見ながら落ち着いて突いていけば優位は動きません。
一方、翔猿は、思い切った横からの攻めなどでまずは大関を慌てさせ、終始、自分から動くことができれば勝機も出てきます。
15日、今場所初黒星を喫した小結 照ノ富士は高安との小結どうしの対戦です。
過去の対戦成績は、お互いが大関だった場所を含めて照ノ富士が7勝9敗とリードされています。
照ノ富士は、高安のかち上げなど馬力のある立ち合いを受け止め、先にまわしをつかんで四つになって有利な体勢を作りたいところです。
照ノ富士と同じ伊勢ヶ濱部屋で前頭6枚目の宝富士は、ここまで7勝1敗と好調で、16日は前頭3枚目の隠岐の海と対戦します。
宝富士が左四つ、隠岐の海が右四つのいわゆるけんか四つで、立ち合いからの差し手争いに勝ったほうが優位になります。
平幕でもう1人の1敗、好調な前頭17枚目の志摩ノ海は前頭12枚目の豊山と対戦します。
2020/11/15
大相撲11月場所(東京・両国国技館)7日目の14日、上松町出身の東関脇・御嶽海(出羽海部屋)は東前頭4枚目の北勝富士(八角部屋)を押し出しで破った。
白星を3つ連ねて5勝2敗とした。
中日の8日目は、西前頭4枚目の翔猿(追手風部屋)と対戦する。
御嶽海は立ち合いに踏み込んで頭で当たると、下からあてがいながら押し込んだ。
相手が左に回り込みながら引くのに乗じて体を寄せて、危なげなく押し出した。
翔猿は今場所2勝5敗。
御嶽海との一番は初顔合わせとなる。
大栄翔が妙義龍との熱戦を制した。
互いによく動き、いなしやはたきを繰り出しても仕留め切れない。
やや距離を取って見合ってから、左から強烈な突きを2発続けて決着。
「よく我慢できた。こういう長い相撲に勝ててよかった」。
節目の幕内200勝は埼玉栄高の先輩から手にした。
秋場所後に遊離軟骨除去の手術を受けた右肘には、まだ不安を抱えている。
「もう少し手が交互に出れば、後半戦はもっと良くなる」。
白星先行の4勝目を挙げ、三役返り咲きに向けての課題を掲げた。
元大関で現役最年長関取の西十両3枚目琴奨菊(36=佐渡ケ嶽)が、引退を決意したことが大相撲11月場所7日目の14日、分かった。
15年ぶりに十両に転落した今場所は、6日目終了時点で1勝5敗と振るわず、この日に休場届を提出した。
日本相撲協会理事会の承認を経て、年寄「秀ノ山」を襲名する見通し。
<琴奨菊記録アラカルト>
▽通算出場回数 現役1位の1496回。
▽幕内出場回数 現役1位、史上6位の1332回。
▽幕内在位場所数 現役2位、史上7位の92場所。幕内連続在位は史上4位の91場所。関取在位は97場所。
▽通算勝利数 現役2位の828勝。
▽幕内勝利数 現役2位、史上6位の718勝。
▽関取最年長 36歳9カ月。
▽金星 大関陥落後に日馬富士、稀勢の里、白鵬を破り金星3個獲得。
貴景勝は中日、8日目の15日、埼玉栄高校の先輩で前頭4枚目の北勝富士と対戦します。
突き押し相撲の2人の対戦は、これまで貴景勝が9勝6敗と勝ち越しているものの、ここ2場所は敗れています。
貴景勝は先場所、立ち合いで当たり勝ちながらも引いて墓穴を掘りました。
貴景勝は立ち合いでしっかり踏み込み、持ち味の突き押しに徹することができるかが勝負の鍵になりそうです。
北勝富士も強烈な立ち合いが持ち味ですが、左右の押っつけで貴景勝の突き押しの威力を抑えながら前に出て勝機をうかがいたいところです。
三役に復帰した小結 照ノ富士もここまで7連勝で、前頭2枚目、大栄翔との取組が組まれました。
力強い相撲で白星を重ねる照ノ富士は、相手の出足を組み止めて四つの形を作れれば圧倒的に優位となります。
一方、大栄翔としては、突き押しに徹して圧力をかけ、まわしに触れさせなければおもしろい展開になりそうです。
1敗で追うのは3人で、宝富士は琴恵光と千代の国が遠藤と、志摩ノ海は十両の千代丸とそれぞれ対戦します。
2020/11/14
貴景勝は輝を問題にしなかった。
一気に押し込んだ後、左からいなして難なくはたき込み。
「とにかく集中していこうとだけ思っていた。まだ6日目。自分の相撲をどうするかを考えることが大事」と落ち着いた口ぶりで振り返った。
初日からの6連勝は、初優勝した一昨年の九州場所以来。
横綱、大関陣で唯一、出場して連日、内容も伴う取り口を披露している。
土俵下の藤島審判長(元大関武双山)も「自分の考えている相撲が取れている。安定している」と評価した。
押しを得意とする力士同士の一番。
新関脇の隆の勝がしつこく右から攻めると、北勝富士は徹底してこれを嫌う。
土俵中央で我慢比べをするようにして止まった場面には、館内から大きな拍手も。
1分近くの攻防の末、隆の勝が白星を手にした。
「この1勝はかなり大きい」。
新関脇は率直に言った。北勝富士には過去2戦2敗。
今回も右をねじ込もうとするたび、おっつけや体勢を低くして抵抗された。
最後は、相手が出ようとしたところではたき込み。
「体がよく動いている」と表情が緩んだ。
着々と力をつけ、番付を上げてきた。
2年前に貴景勝が千賀ノ浦部屋に転属してきてからは胸を借り、「大関の圧力を受けながら稽古して、体の中の力がだいぶ強くなったと思う」。
押しに加え、大関との稽古で右差しを磨いたのも大きい。
この日の北勝富士の警戒ぶりが、新たな武器の威力を物語っていたと言える。
4日目から3連勝とし、波に乗ってきた。
「好調は好調だが、集中してこれからも頑張りたい」。
両横綱に大関2人が休場した場所で、じわじわと存在感が増している。
照ノ富士が霧馬山を圧倒して6連勝。
しっかり踏み込んで外四つに組み止めると、つり上げるようにして寄り切った。
豪快な取り口で面目躍如の一番にも、「特に何も感じていない」と涼しい表情を崩さなかった。
三役に復帰し、返り咲きを目指す大関の地位に向けて足掛かりとしたい今場所。
2桁白星へ着々と星を伸ばすが、「毎日できることを全部やっているだけ」。
こんなところで一喜一憂はしない。
力士の立ち合い不成立は決して珍しいことではないが、これが先場所と同じ顔合わせ、同じような展開での“待った”となると反応は少し異なるようだ。
前頭15枚目の千代大龍(九重)と十両2枚目・松鳳山(二所ノ関)の一番において、視聴者から「デジャブ?」と声が上がるほど、再現性の高い“待った”が土俵上で展開された。
「手をついて」
行司の甲高い声が館内に響き渡ったことを受け、右手を土俵につけた千代大龍。
しかし、対する松鳳山はなかなか手を下ろそうとしない。
タイミングを逸した千代大龍が一度手を上げ、再び下ろそうとしたその時、勢いよくつっかけた松鳳山の諸手突きが千代大龍の頭をバシッととらえた。
「あぁ〜」
先ほどの甲高い声とは一転、行司が低い声でそれを制すと館内からはため息が。
呼吸が合わなかった両力士は互いに軽く触れながら、謝罪のような言葉を交わし、土俵下の審判に一礼したが、その様子が、先場所5日目のそれと酷似していたのだ。
ABEMAで解説を務めた元前頭・大岩戸は「(松鳳山は)張っていくと思ったのですが、諸手でしたね。もしかしたら、次は張り差しで行くかもしれません」と話すと、2度目の立ち合いは無事成立。
張り差しではなく、再び諸手で立った松鳳山が千代大龍のアゴを力強く押し上げたが、構わずにおっつけながら前に出た千代大龍の圧力が優勢。
負けまいと前に出た松鳳山が引かれて体勢を崩すも、ここは踏みとどまる。
しかし、体勢を崩した松鳳山は、千代大龍に一気に押し出されて5敗目を喫した。
千代大龍は4勝目を挙げた。
4連勝となった千代大龍に対して、2日目からの5連敗となった松鳳山について大岩戸は「気持ちが乗ってこない。元気がない。はたきを警戒しすぎて、前に出る圧力が足りなかった。気がついたら押し出されていたという感じだ」と話した。
この取組、とくに先場所と同じような展開になった立ち合いについて視聴者からは「仕切り長すぎて夜になっちゃうよ」「デジャブ?」などの反響が、中には「琴奨菊も松鳳山も不調で悲しい」といった声も寄せられていた。
11月場所は、横綱・大関陣では大関・貴景勝がただひとり出場し6連勝と土俵を締めています。
これまでは貴景勝が7勝3敗と勝ち越していて、鋭い立ち合いから持ち味の強烈な突き押しで一気に攻めきることができれば優位は動きません。
一方、隠岐の海は突き押しの大関を相手にしっかりと胸を合わせ、得意の右四つの形に持ち込んで勝機をうかがいたいところです。
三役に復帰した小結・照ノ富士も6連勝としていて前頭筆頭の若隆景と対戦します。
照ノ富士は、今場所も豪快な上手投げを決めるなど力強い相撲で白星を重ねていてここまでは、相手につけいる隙を与えていません。
スピードのある若隆景を相手に不用意に前に出すぎず、しっかりとまわしをつかんでから攻めに転じることができれば、白星は見えてきます。
若隆景としては、体重が40キロ以上も重い照ノ富士に対し素早く休まず動き続けて、まわしに触れさせずに相撲を取りたいところです。
平幕でただ1人6連勝としている千代の国は、豊昇龍との初顔合わせの一番です。
2020/11/13
貴景勝の立ち合いがピタッと決まった。
的の大きくない同じ押し相撲の大栄翔相手に、この立ち合いが出来るあたりに今場所の貴景勝の好調さがうかがえる。
丸い体で相手の懐に入れれば貴景勝の相撲。
押し切れなかったり距離が空いたりすると、いなしや引きなど相手に反撃の糸口を与えてしまうが、その隙が全くない。
3日目の霧馬山戦で苦戦した以外、今場所の貴景勝は終始、自分の相撲を取り切れている。
豪快にして繊細さが求められる押し相撲は15日間、同じようには取れない。
その確率を高められれば、自然と白星は積み重なるだろう。
照ノ富士のように圧力が伝わりにくい相手や四つの強い相手には、動きを止めないで横から攻めるなどの工夫が必要だが、それは本人も分かっているはずだ。
横綱、大関陣で1人だけ土俵に残された。
本来、看板を背負うのは横綱の役目。
重責はあるだろうが、過度に背負い込まずに臨んでほしい。
大相撲の新大関正代(29)が11月場所5日目の12日、日本相撲協会に「左遠位脛腓靱帯損傷で約3週間の安静加療を要する見込み」との診断書を提出し、休場した。
正代の休場は平成26年春場所の初土俵以来、初めて。
3日目に小結高安と対戦した際、土俵下へ落下して左足首を痛めた。
4日目の大栄翔戦では一方的に突き出され、初黒星を喫した。
病気静養中の師匠、時津風親方(元幕内時津海)の代わりに11日夜に話し合った部屋付きの枝川親方(元幕内蒼樹山)は「痛みもあるが、(相撲を取るのが)『怖い』といっていた」と説明。
この日朝、正代が決断した。
今場所は白鵬、鶴竜の両横綱が初日から休場。
複数の横綱全員が2場所連続で初日から不在という史上初の事態に加え、大関朝乃山も右肩の負傷で3日目から途中休場している。
2横綱2大関以上が休場するのは、3横綱2大関が休場した平成29年秋場所以来となる。
大関以上の出場は貴景勝だけとなった。
昭和以降、番付上の横綱、大関全員の休場は例がなく、まさに危機的状況だ。
芝田山広報部長(元横綱大乃国)は電話取材に「稽古量が足りないということ。けがをしないのも強さのひとつ。大関になったからではなく、これからなんだから」と厳しい注文をつけた。
今場所の最大の目玉だった新大関の離脱に、芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「目玉が休んだらいかんな。今場所の目玉は国技館カレーだ」と苦笑いするしかなかった。
先場所から販売したレトルト品で、1万食を完売。
今場所は5万食を用意したが、場所中の完売は確実で、5万食を追加発注したという。
照ノ富士が、北勝富士との4勝同士の一番で怪力ぶりを見せつけた。
左から抱え込んだ後に上手を取ると、引き付けて162キロの相手の体を浮かせて投げ捨てた。
取組後も表情を変えず、「上手を取れたのでよかった。一生懸命やっただけ」とさらりと言った。
休場明けの場所で序盤は5連勝の好成績だが、「場所は終わっていない。あと10日間頑張る」。
盤石の内容でも、気の緩みは全く感じさせない。
隠岐の海が高安との1分を超える一番を制した。
左四つで組み合ったが、互いに上手は取れずにこう着。
最後は寄られた土俵際で、右から逆転の突き落としを決めた。
粘り勝って1敗を守っても「終始攻められていた。立ち合いが良くなかった」と反省しきりだった。
28場所ぶりに高安から白星を挙げ、三役とも当たった序盤戦を好成績で終えたが、「ここで引き締めてまた5日間。さらに5日間」。
そう自らに言い聞かせるように話した。
勝った力士にとってはボーナスのような意味合いもある懸賞。
そんな特別ボーナスをもらい忘れそうになる珍場面が、「どうしたんだろう」「帰っちゃうとこだった!」と反響を呼んでいる。
前頭六枚目・玉鷲(片男波)が前頭八枚目・碧山(春日野)を押し出しで下した一番で、勝った玉鷲が勝ち名乗りを受け忘れてしまうという一幕があった。
玉鷲はこの日、立ち合いから得意の突っ張りで碧山を圧倒し、一方的な相撲内容で3勝目を挙げた。
圧勝だったものの、取組後に勝ち名乗りを受け忘れてしまい、行司から呼び止められるという珍しい展開に。
懸賞をまでもらい損ねてしまうところだった。
館内もざわついたこのシーンを受けて、ABEMAで解説を務めた元小結・旭道山は「懸賞がないって思ったのかもしれないです」と一言。
しかし懸賞がなくても勝ち名乗りは受けなければならないことに触れ、「なんかもう、勝ったからもういいやって感じで、スって帰ろうとして」と語った。
玉鷲の“珍プレー”を受けて、視聴者からは「帰っちゃうとこだった!」「負けたと思ったのかな?」「ふつうに勝った相撲なのに」「どうしたんだろう」といった声が相次いで寄せられた。
2020/11/12
大関貴景勝(24=千賀ノ浦)が初日からの連勝を4に伸ばした。
果敢に攻め込む東前頭2枚目阿武咲に、落ち着いて対処した。
押し込まれても慌てず、得意の左からのいなしで崩し、最後は押し出した。
安定した内容に「あまり作戦を考えず、自分がやってきたことを、集中して一生懸命やる」と淡々と振り返った。
三役以上の勝ちっ放しは貴景勝と小結照ノ富士だけとなった。
直前の取組で正代が敗れたが「自分の相撲で、そこはあまり関係なかった。気合入れていこうと思った」と影響はなし。
「相手がどうだからと意識せず、とにかく後悔しないような相撲を。今日終わったから、また明日に向けて一生懸命頑張っていきたい」。
17年初場所の稀勢の里以来となる大関優勝に向けて、一喜一憂せずに突き進む。
新大関の正代(29=時津風)が大相撲11月場所5日目の12日、休場することが決まった。
新大関の休場は、現行のかど番制度となった1969年名古屋以降、2019年夏場所の貴景勝以来9人目。
今場所は白鵬、鶴竜の両横綱が初日から不在で、大関朝乃山も3日目から休場。
2横綱2大関の休場は03年初場所(横綱武蔵丸、貴乃花、大関千代大海、魁皇)以来となった。
正代は3日目の勝った小結高安戦で、土俵際で逆転の突き落としを決めて土俵下に落ちた際に、左足首を負傷したとみられる。
4日目は左足首にテーピングを施して土俵に上がるも、三役返り咲きを狙う大栄翔の突き押しに粘ることなくあっさりと土俵を割っていた。
4日目まで3勝1敗だった正代は、このまま再出場しなければ、来年1月の初場所は大関2場所目にしてかど番で臨むことになる。
大相撲11月場所(東京・両国国技館)4日目の11日、上松町出身で東関脇の御嶽海(出羽海部屋)は東前頭筆頭の霧馬山(陸奥部屋)に肩透かしで敗れ、2勝2敗となった。
5日目は西前頭筆頭の若隆景(荒汐部屋)と対戦する。
御嶽海は立ち合いから張り差しでかく乱されると、相手に前傾姿勢を逆手に取られ、引き気味にすくわれて土を付けられた。
若隆景とは初顔合わせとなった9月場所で、御嶽海が下手投げで勝っている。
照ノ富士が隠岐の海との3勝同士の一番を制した。
相手が右上手出し投げで崩しにきたが、引いていた下手の方へ体を寄せて圧力をかけた。
「できれば右四つになって寄りたいけど、ああいう形になったので我慢して前に出た」と振り返ったように、落ち着いていた。
先場所は古傷を抱える左膝の状態が悪化して途中休場したが、今場所はここまで盤石の相撲で白星を並べている。
それでも「一番一番の積み重ねなので」と浮ついた様子はなかった。
北勝富士は動きが良かった。
高安を左喉輪や強烈なおっつけで攻めて泳がせると、向き直ろうとした元大関を難なく押し出した。
「足がいい感じに動いてくれている。上半身との連動もしっかりできている」と納得の表情だった。
先場所は敗れた妙義龍、大栄翔、高安への雪辱も果たして4連勝。
弟子に厳しい八角理事長(元横綱北勝海)も「いい当たりができているから、その後の流れもいい」と褒めた。
大けがを乗り越え、9場所ぶりに戻ってきた幕内の土俵で千代の国が躍動している。
右肩付近には大きなテーピングが目立つが、持ち味のきっぷのいい相撲で4連勝スタートを切った。
この日は腰の重い魁聖と右四つで組んだが、止まらずに積極的に攻めた。
やや強引に上手投げを打って相手の体勢を崩すと、左足を掛けて仕留めた。
終始動いての白星にも「攻めが遅い」と反省を忘れず、「一日一番なので、連勝は特に意識していない」と浮かれることはない。
右肩や右かかとなど、何度もけがをして番付を下げたが、そのたびに復活してきた。
昨年初場所で負った左膝のけがは深刻で、3場所連続全休に追い込まれた。
西幕下46枚目まで落ちた昨年秋場所前は、1時間近くかけてテーピングを施して稽古に臨み、序二段相手に苦しむこともあった。
今場所は幕内前半戦を盛り上げているが、視線は先にある。
「上がったことのないステージにいきたい」と言い、三役昇進をにらむ。
不屈の30歳は目標を達成するため、闘志を込めて一日一番に挑む。
2020/11/11
貴景勝も、さすがに肝を冷やしたか。
立ち合いでやや横に動いて左上手を取りにきた霧馬山に、右四つで寄られて土俵際まで追い込まれた。
窮地でも「どんな形になっても焦らず、自分がやってきたことを信じてやる」。
繰り出したのは左からの突き落とし。
土俵下に転げ落ちながらも気迫がこもった一撃で逆転。
3日目の「鬼門」を突破し、大関では初の初日から3連勝とした。
小結だった2018年九州場所で優勝を果たした後は、賜杯から遠ざかっており、場所前から「とにかく結果を残さないといけない」と自らを鼓舞してきた。
白鵬と鶴竜の休場で横綱不在となっただけでなく、この日から大関朝乃山も休み、出場力士の最上位として責任感は、一層強くなったことだろう。
そんな姿を見て、八角理事長(元横綱北勝海)は「あんまり意識すると、相撲が悪くなる」と心配しつつも、「自分の相撲に集中することが大切」と背中を押した。
本人もやるべきことは分かっている。
「今できることを考え、一生懸命やりたい」。
雑念を捨て、持てる力を出し切っていく。
大相撲の大関・朝乃山が右肩のけがで11月場所3日目の10日から休場することになりました。
朝乃山は再出場しなければ来年1月の初場所は「角番」となります。
11月場所で、大関・朝乃山は、初日に前頭筆頭の霧馬山と対戦し力強い寄り切りで白星を挙げましたが、9日の2日目には三役に復帰した小結・照ノ富士に上手投げで敗れ、今場所初黒星を喫しここまで1勝1敗の成績でした。
朝乃山は初日の取組で右肩を痛め、都内の病院で診察を受けた結果、右肩の「三角筋挫傷」でおよそ4週間の治療が必要と診断され、日本相撲協会に届け出て3日目の10日から休場することになりました。
ことしの春場所後に大関に昇進した朝乃山は、大関として最初に臨んだ7月場所では12勝、大関2場所目の先場所は10勝を挙げていました。
朝乃山の休場は、平成28年春場所の初土俵以来、初めてです。
10日対戦する予定だった前頭筆頭の若隆景は、不戦勝となります。
朝乃山は再出場しなければ、来年1月の初場所は負け越すと大関から陥落する「角番」になります。
高砂親方「これで終わりじゃない」
師匠の高砂親方は「初日の一番で霧馬山に腕に当たられて傷めたようだ。きのうも相撲を取ったが、痛くて取れないということで休むことになった。きのうの朝とけさも病院で調べて右肩を傷めているということだった」と説明しました。
そのうえで今場所の再出場について難しいかを問われると、「そうだと思う。痛みが取れればの話で、痛いうちは無理だと思う」と話していました。
高砂親方は「残念だが、けがなのでしょうがない。本人もショックだろうが、しっかり治すことだ。これで終わりじゃない」と再起に期待していました。
新大関正代(29=時津風)がまたも冷や冷やの白星で3連勝となった。
大関経験者の小結高安(田子ノ浦)と激しい攻防。
押し込まれ、引いたところを攻められたが、土俵際を右足だけで残し、かわしながらの突き落としを決めた。
勢いあまって土俵下に背中から転落し、最後は後頭部を打ちつけるほどの激しい相撲だった。
正代は「危ない相撲でしたね。そこらへんはちゃんと攻め勝ちたいですけどね」と反省。
何度かいなして相手の体勢を崩し、攻め込みながら攻めきれなかった。
「土俵際までいってあと1歩、2歩出られたらよかったが止まってしまった。そこは攻めきりたい」。
花道では「変な形で落ちてしまった」と左足を気にするそぶりも見せた。
「今のところ、普通に歩けてるんで大丈夫。(状態は)明日になってみてという感じですね」と話した。
照ノ富士が2戦2敗だった阿武咲に完勝した。
立ち合いでやや押し込まれたが、慌てず右から抱えて相手の動きを止め、休まずに出た。
「落ち着いて相撲を取るだけだと思っていた。特にやりにくい意識はなかった」と淡々と振り返った。
17場所ぶりに三役に戻り、次に見据えるのは大関復帰。
足場を築きたい場所で難敵を退けての3連勝と流れもいいが、「目標は2桁。一日一番しっかりやるだけ」と冷静だった。
元横綱大鵬の孫で元関脇貴闘力の四男、東幕下32枚目夢道鵬(19=大嶽)が、幕下2場所目も白星で発進した。
初顔の西幕下32枚目朝興貴(29=高砂)を寄り切り。
立ち合いはもろ手で突き放せず左四つとなったが、下手で振ってすかさずもろ差しになると、足を止めず前に出た。
「もろ手で持っていこうと思ったけど、相手の圧力も強かった。四つに組んだら組んだで、自信を持っていこうと思った」。
序ノ口デビューした1月の初場所から5場所連続で1番相撲を白星。
負け越し知らずで自己最高位を更新し続け、今場所は「(自分の)圧力が前に出て通用するか確かめる場所にしたい」と意気込む。
まげを結って初めての一番だった。
「力士に近づけたのかなと思う」と照れ笑い。
場所前は兄の西幕下筆頭納谷(20)と稽古を重ねて力をつけた。
「来場所、幕下の上位に上がれるように」と、さらなる出世を目指す。
大相撲11月場所は4日目、ここまで3連勝の大関・貴景勝は前頭2枚目の阿武咲と対戦します。
11月場所は、初日から休場した両横綱に続いて大関・朝乃山が右肩のけがで10日の3日目から休場しました。
番付上位として、土俵を締める役割が求められる貴景勝と正代の大関2人は、際どい相撲を制しながら3連勝としています。
大関として初優勝が期待される貴景勝は、11日は前頭2枚目の阿武咲と押し相撲どうしの一番。
過去の対戦では貴景勝が4勝2敗です。
貴景勝は10日の取組では、霧馬山に素早く上手を取られて不利な体勢に持ち込まれたものの土俵際で逆転での白星を挙げました。
貴景勝としては、立ち合いから低く鋭く踏み込んで持ち味の強烈な突き押しで時間をかけずに勝負を決めたいところです。
新大関・正代は、前頭2枚目、大栄翔との対戦です。
ここまで3連勝としていますが、初日に続いて、10日も逆転の突き落としで何とか勝ちを拾っていて安定感が見られません。
10日の取組後は、左足を気にするしぐさを見せていて「正直、わからない」と不安を口にしていました。
2人の過去の対戦は、正代が4勝5敗ときっ抗しています。
ここ4回の対戦では、2勝2敗と五分の成績です。
正代は大栄翔の突き押しを柔らかさでしのぎながら持ち味の圧力をかけた本来の相撲を見せられるかどうか注目です。
大関経験者で3年ぶりに三役に復帰した小結・照ノ富士はここまで3連勝、11日は平幕・隠岐の海と対戦します。
このほか新関脇・隆の勝は前頭筆頭の若隆景と対戦します。
これまで、大相撲十一月場所は「一年納めの九州場所」とうたわれてきたが、今年はその言葉が使えない。
新型コロナウイルスの影響で、恒例の福岡国際センターではなく、東京・両国国技館で初日(11月8日)を迎えたからだ。
振り返れば1月の初場所、幕内の最下位の地位にいた33歳のコ勝龍(木瀬部屋)が初優勝して「自分なんかが優勝していいんでしょうか」とコメントし、国技館の満員の観衆を感動させたことが遠い昔のように感じる。
感染が拡大した3月の春場所は、エディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)で無観客開催。
無事に千秋楽まで完走したものの、4月7日に緊急事態宣言が発令されると、相撲協会は5月の夏場所を中止することを決定した。
本場所の中止は、旧両国国技館の改修が間に合わなかった1946年夏場所、八百長メール問題が発覚した2011年春場所に続き3度目となった。
中止が決定した直後には、相撲部屋でクラスターが発生した。
力士たちは大部屋で集団生活するために感染のリスクが懸念されていたが、ひとつの部屋で親方・力士7人の陽性が確認され、ひとりが28歳の若さで急逝した。
部屋の兄貴分として弟弟子から慕われ、巡業では初っ切りを担当するなど誰からも慕われた力士の訃報は、角界にとって痛恨の極みだった。
相撲協会は専門家からアドバイスを受け、さらに感染対策を徹底した。
大部屋では終日マスクを着用。
弟子の体調に異変が出た場合は稽古を休ませるよう親方たちに伝え、食事もちゃんこ鍋や大皿に盛りつけていた料理を個々の食器に分けるようにした。
稽古場は常に換気し、肌を合わせる申し合い、ぶつかり稽古は禁止(6月25日に解除)。
四股、すり足、筋力トレーニングなど基礎稽古のみを行なうことが指導された。
迎えた7月の本場所は、初日を2週間延期して開催。
移動リスクを考慮し、名古屋のドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)での開催を断念して両国国技館で行なった。
58年から始まった名古屋場所が東京で行なわれるのは史上初のこと。
観客数は上限を2500人に定め、4人用の升席もひとりでの使用に限定するなどの対策が取られた。
続く9月の秋場所も、同じように観客数を上限2500人で開催したが、場所前に力士24人の集団感染が発生し、その部屋の力士28人全員が休場する事態になった。
相撲協会はこれまで、不要不急での外出をした力士や親方たちには厳しい処分を下してきたが、同部屋の力士に関しては全員の番付を据え置く措置を取った。
力士にとって"命"である地位を守る特例措置は、立派なコロナ対策と言っていい「英断」だった。
観客数の上限が5000人に緩和された十一月場所では、秋場所で初優勝し、大関昇進を決めた正代(時津風部屋)に期待がかかる。
昇進伝達式の口上では「至誠一貫」の四字熟語を盛り込み、これまで貫いた誠実な相撲で大関の責任を果たすことを誓った。
また、十一月場所の番付が発表された10月26日には、オンラインでの記者会見で「いつもより緊張感がある。責任が今までと違う」とさらに気持ちを引き締めた。
熊本県出身の大関誕生は58年ぶり。
九州場所が通常開催なら準ご当所への凱旋となったが、東京開催となったことには「九州に行けないのは残念ですが、いい相撲を取って土俵を沸かせたい」と意気込んでいる。
大関の自覚は秋場所後の行動にも表れている。
相撲協会が実施した相撲教習所での合同稽古に参加し、横綱・白鵬(宮城野部屋)、大関・貴景勝(千賀ノ浦部屋)らと精力的に稽古を重ねて手応えをつかんだ。
独特の胸から当たる立ち合いは、各方面から「腰高」とも指摘されるが、今の正代には弱点を補って余りある当たりの強さと、土俵際での粘り強さがある。
「大関としての存在感を示したい」と明かすように、06年夏場所の白鵬以来となる14年ぶりの「新大関V」に挑む。
そんな29歳の新大関に刺激を受けているのが、26歳の大関・朝乃山(高砂部屋)だ。
夏場所で昇進した大関の"先輩"だが、秋場所は初日から3連敗とつまずき、終盤には正代、貴景勝に連敗。
優勝を逃した悔しさを十一月場所で晴らそうと闘志を燃やす。
独特の立ち合いをする正代と違い、正攻法の右四つ左上手の型は、現在の3大関の中でも群を抜く安定感がある。
朝乃山本人も「(大関は)勝って当たり前の地位。自分の相撲を取り切れば結果はついてくる」と話すように、昨年の夏場所以来となる2度目の賜杯を狙う。
また、朝乃山には2年連続の年間最多勝もかかっている。
秋場所終了時点で、トップは正代の45勝。それを43勝の朝乃山が追いかける。
さらに、65歳の定年を迎える師匠の高砂親方(元大関・朝潮)にとっては最後の本場所。
近畿大の先輩で、角界に導いてくれた恩人の"花道"を優勝で飾りたいところだ。
秋場所は新入幕の28歳、翔猿(追手風部屋)の奮闘も目立った。
千秋楽まで優勝争いを演じ、11勝を挙げて敢闘賞を受賞。
身長175cmの小さな体で土俵狭しと動き回るきっぷのいい取り口と、端正な顔立ちに明るい性格も伴って人気が急上昇。
西前頭4枚目に番付を上げた十一月場所で、さらなる飛躍が期待される。
たくさんの支えを受けながら、コロナ禍の脅威と戦い続けてきた2020年。
力士たちは「一年納めの"両国"」で、正々堂々の相撲を見せて恩返しをしてほしい。
2020/11/10
大相撲11月場所(両国国技館)で大関朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は8日の初日に東前頭筆頭の霧馬山を破って白星発進したが、9日の2日目に大関復帰に向けて気勢を上げる東小結照ノ富士に敗れ、早くも初黒星を喫した。
定年を迎える高砂親方(元大関朝潮)に向け「土俵での白星が恩返し」と気合を入れ、切り替えて前を向く。
「連勝したい」と意気込み、この日の結びの一番で、新旧大関対決に臨んだ朝乃山。
立ち合いで左上手を狙うも届かず、逆に左前まわしを引かれて体を起こされ、左上手投げに転がった。
完敗のショックからか、倒されてもすぐには立ち上がらなかった。
八角理事長(元横綱北勝海)は「前に出させちゃ駄目。上手を取らせない工夫が大事になる」と照ノ富士戦について改善を期待。
先場所で初日から3連敗を喫した悪夢がちらつく敗戦となり、報道陣のリモート取材には応じなかった。
初日は立ち合いで右を差すと左からもおっつけて一気に走り、霧馬山を寄り切った。
得意の右四つでの取り口で、完璧な内容となり「これが自分の相撲」と納得顔だっただけに、悔しい展開となった。
大関の貴景勝と正代がともに2連勝とする中、連敗は避けたいところだ。
年間最多勝争いも注目を集める。
今場所前には正代から2差の2位につけていた。
だが「目指しているのは、そこではない」と見据えるのは優勝だ。
富山県民に向けて「(コロナ禍(か)のため)テレビの前で応援してくれれば。自分が期待に応えるだけ」と奮起を誓っていただけに、覇気を取り戻したい。
新大関の正代は薄氷だった初日とは違い、前に出て白星を並べた。
もろ差しとなって霧馬山を落ち着いて寄り切り、「当たった後によく足が出てくれた。なんとか修正できたと思う」とほっとした様子だった。
大関は国技館地下駐車場に車で乗り入れられるが、初日もこれまで同様に徒歩で帰路に就いた。
そこでもファンから祝福の拍手を受けたそうで「いろいろ注目されているんだなというのは実感します」。
大相撲11月場所(東京・両国国技館)2日目の9日、上松町出身で東関脇の御嶽海(出羽海部屋)は西前頭2枚目の大栄翔(追手風部屋)に突き落としで敗れた。
初日の8日は東前頭2枚目の阿武咲(阿武松部屋)との取り直しの一番を寄り切りで制しており、1勝1敗となった。
立ち合いから大栄翔の激しい下からの当たりに見舞われた。
鋭い突きと押しにも下がらず食い下がった御嶽海は、はたきに乗じて体を寄せ左をさすも前のめりの体勢。
左に回り込まれ、最後は突き落とされた。
3日目の10日は東前頭3枚目の輝(高田川部屋)と対戦する。
過去の対戦は御嶽海が4戦全勝している。
照ノ富士が3場所続けて朝乃山を撃破した。
当たってすぐに左前まわしを引き、右四つで組み合ったが大関に上手は与えない。
圧力をかけて寄ってから、上手投げで豪快に転がした。
大関を圧倒する内容にも、「体がよく動いてくれている。
どんな相手でも上手を取って前に出ようと思っている。たまたまうまくいっている」。
控えめな言葉の裏に、地力の高さと自信がにじむ。
両膝のけがなどで大関から序二段まで転落しながら、17場所ぶりに三役まで戻ってきた。
場所前から「ここからの3場所が大事」と公言してきた通り、今の目標は大関復帰だ。
同学年の正代が大関に昇進したことも大きな刺激になっており、「同級生ということで、こっちも燃えるものがある。早く追い抜きたい」と本音を隠さない。
目標は明確だが、「一場所、一場所、一番一番集中してやらないと。先を見ると今に集中できない」と自らに言い聞かせて、目の前の一番に集中する。
着実に復活の階段を上がってきた照ノ富士が、もう一段に向けて上々のスタートを切った。
返り小結の高安が輝を圧倒した。
立ち合いで相手をはね上げて、一気に押し出す完璧な取り口に「しっかり踏み込んで、前に出て勝つことができた」と納得の表情を見せた。
けがに苦しんだ元大関は三役まで番付を戻したが、「いつも通り。特に変わったことはない。集中してできている」。
そう言って平常心を強調した。
小兵の炎鵬が、自分よりも100キロ重い魁聖に八艘飛びを仕掛けた。
2メートル近い相手の肩辺りまで跳び上がって左上手を取りにいったが失敗。
着地で体勢を崩し、豪快に押し倒された。
奇襲を受けた魁聖は「何をやってくるか分からないから突っ込まないようにと思ったが、立ち合いからあんなことをするとは。びっくりした」と振り返った。
東前頭12枚目の豊山(新潟市北区出身)は豊昇龍に敗れ、1勝1敗。
「勝負所で決めきれない」
豊山は攻めきれずに1勝1敗となった。
豊昇龍との突き、押し合いから右四つで上手を引いた。
あと一歩のところで寄り切れず、右内掛けで倒された。
「勝負どころで決めきれないときつい」と肩を落とした。
初顔合わせとなった豊昇龍とは稽古で何度か番数を重ねたことがあり「右を差して組んでくるだろう」と、さまざまな想定をしていた。
ただ、持ち味を発揮する場面が少なく「(身上の)押しを出していきたかった」と反省した。
場所前の稽古で新大関正代にも胸を借り、状態は良いという。
2場所連続で負け越しているだけに「勝ち越したい」と言葉に力を込めた。
日本相撲協会の新型コロナウイルス感染予防講習会で講師を務めた東大医科学研究所の四柳宏教授が9日、相撲記者クラブの取材に文書で回答し、大相撲11月場所の集客上限を約5000人まで倍増する判断をした理由に、7月と秋場所を踏まえて「場所中の力士への感染がなく、お客さんからの連絡もなかった」ことを挙げた。
競技の特性上、力士が体をぶつけ合うことは避けられないが、その時間が比較的短いことから「土俵上での感染の可能性は少ない」との見解を示した。
屋内でも定員の50%以上の観客を入れるための課題は、5〜6時間滞在したり、飲食したりする人への対応だと指摘した。
日本相撲協会に設置された「大相撲の継承発展を考える有識者会議」の第8回会合が9日、東京・両国国技館で開かれ、弟子の育成、外国出身力士への教育、ガバナンス(統治)の3点を骨子として議論が交わされた。
山内昌之委員長(東大名誉教授)によると、親方衆の指導方法や、外国出身者が相撲を日本文化として理解するような教育の重要性が話し合われた。
同委員長は「師匠、親方たちが人材育成をしていくことを前提に、優れた力士を育てるシステムについて具体的に考える必要がある。それが伝統継承の骨格」と述べた。
大相撲の新型コロナウイルス感染予防策に携わる東大医科学研究所の四柳宏教授は9日、報道陣の質問に文書で回答し、今後も厳しい対策を継続する方針を示した。
出稽古の無条件解禁や地方巡業再開については「道筋が立っていない。まずは地方場所が(両国)国技館での開催同様、安全にできることを確認してからと思う」と説明した。
日本相撲協会は1年ぶりの地方場所として、来年3月の春場所を予定通り大阪で開催することを目指し、準備している。
親方や力士ら協会員は本場所初日までの約2週間、不要不急の外出が禁止されている。
行動制限に関して四柳教授は、感染した三段目力士が死去したことなどを踏まえ、当面変更しないとした。
2020/11/09
大相撲十一月場所は8日、東京・両国国技館で初日を迎え、秋場所で初優勝した正代関(29)=時津風部屋=が新大関としての第一歩を踏み出す。
熊本県出身力士の大関昇進は栃光関(天草市出身)以来58年ぶり。
郷里宇土市では取組を放映するパブリックビューイング(PV)が計画されるなど熱気が高まる。
地元後援会長は5日、29歳の誕生日を迎えた新大関にスマートフォンで「おめでとう、応援してますよ」と花火の絵文字付きメッセージを送信。
本人から「ありがとうございます」と返信があったという。
後援会は正代関の白星のたびに花火で祝福しており、「今場所も毎日打ち上げたい」と先場所に続く快進撃を待ち望む。
正代関が育った宇土少年相撲クラブや宇土鶴城中相撲部の選手たちは大先輩の活躍に刺激を受け、稽古に熱が入る。
同中の主将は「秋場所後に大関は練習を見に来てくれた。体が大きくて圧倒された」。
県新人戦を初日の8日に控え、「大関の立ち合いを参考にして着実に1勝を積み重ねたい」と意気込む。
市内43の飲食店でつくる市飲食業組合は、中日の15日に市民体育館ecowin宇土アリーナ前でPVを初めて開く。
組合長は「コロナ禍で暗い話題ばかりだった中、秋場所で最高の結果を届けてくれた。宇土の知名度が上がったので、私たちも負けじと頑張りたい」。
当日は先着200人に特製ちゃんこ鍋を振る舞うほか、地元の和太鼓団体も駆け付ける。
看板店のマエダ工芸社は秋場所の初優勝を受け、「相撲の町、くまもと宇土」と書いた特製看板を制作。
地元商工会が開いた10月末のイベントでお披露目済みで、15日のPV会場に飾る。
社長は「地元愛の強い大関の活躍に応えたかった。相撲を通じて多くの人に宇土を知ってほしい」と期待する。
秋場所後の先月8日に新大関の訪問を受けた市長も地元を挙げた応援を誓う。
「これまで通りの取組をしてもらえると結果はついてくる。終盤まで優勝争いをしてくれるなら感染症対策を徹底してPVを開催したい」と力を込める。
大相撲11月場所初日、関脇・御嶽海は取り直しの末、阿武咲に勝ちました。
上松町出身の御嶽海、初日の相手は東前頭二枚目の阿武咲。
土俵際まで押し込みましたが、はたきこまれて、手をつきます。
しかし、物言いがついて取り直しに。
取り直しでは御嶽海が寄り切って勝ち、白星発進としました。
2日目は西前頭二枚目の大栄翔との対戦です。
新関脇の隆の勝は、大栄翔の引き技に屈した。
押し込めず、上体が伸びたところを突き落とされ、「(初日で)緊張して受ける相撲になってしまった」と反省した。
先場所は、前に出続ける強烈な押しを発揮し、西前頭筆頭で10勝を挙げた。
「あしたからは攻める相撲を取れればいい。自分の相撲を取り切って、いい成績で終われたら」。
場所はまだ始まったばかりだ。
若隆景は大関初挑戦の一番で持ち味を存分に発揮した。
新大関の正代を右からおっつけて崩すと、もろ差しを果たして一気に前へ。
土俵際での突き落としに屈したが、「内容はよくできた」とさばさばと振り返った。
自己最高位の西前頭筆頭に番付を上げた今場所。
「思い切ってスピードのある相撲を取りたい。出せる力を出し切りたい」。
180センチ、129キロの25歳が、きっぷのいい相撲で三役に挑む。
8日に初日を迎えた大相撲11月場所は、新型コロナウイルス禍の中、観客数の上限を9月の秋場所までの2倍となる約5000人として実施され、館内の光景が一変した。
1人しか座れなかった升席を2人で使えるようになり、平幕の志摩ノ海は「普段の開催と同じぐらい入っているように見えた」と印象を語った。
午後1時の開場前には、両国国技館の前に多くのファンが集まった。
日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「この状況で来てくれるのはありがたい」と感謝し、新大関の正代は「とてもうれしいし、多くの人に見ていただきたい」と看板力士らしく言った。
大相撲11月場所は、東京、両国国技館で8日初日を迎えました。
新大関正代は前頭筆頭若隆景と対戦し、際どい相撲を制して白星スタートです。
中入り後の勝敗です。
◆志摩ノ海に十両の千代ノ皇は志摩ノ海が押し出し。
◆千代翔馬に新入幕の天空海は千代翔馬が下手投げ。
◆千代大龍に琴ノ若は琴ノ若が肩透かし。
◆千代の国に逸ノ城は千代の国が押し出し。
◆豊昇龍に魁聖は豊昇龍が下手投げで勝ちました。
◆豊山に炎鵬は豊山が押し倒し。
◆佐田の海に明生は明生が押し出し。
◆竜電に琴恵光は琴恵光が掛け投げ。
◆徳勝龍に照強は徳勝龍が押し倒し。
◆碧山に遠藤は遠藤が押し出しで勝ちました。
◆栃ノ心に玉鷲は玉鷲が押し出し。
◆宝富士に琴勝峰は宝富士が押し倒し。
◆北勝富士に妙義龍は北勝富士が押し出し。
◆翔猿に隠岐の海は隠岐の海が押し出し。
◆三役に復帰した小結照ノ富士に輝は照ノ富士が寄り切り。
◆大栄翔に新関脇隆の勝は、大栄翔が突き落とし。
◆関脇御嶽海に阿武咲は、御嶽海が物言いがつく際どい相撲を制して寄り切り。
◆新大関正代に前頭筆頭の若隆景は、正代も物言いがつく相撲を制し、突き落としで勝ちました。
◆霧馬山に大関朝乃山は朝乃山が寄り切り。
◆大関貴景勝に三役に復帰した小結・高安は貴景勝が押し出しで勝ちました。
休場の横綱鶴竜「腰椎すべり症」と診断
初日を迎えた大相撲11月場所を休場し、3場所連続休場となった横綱鶴竜について、日本相撲協会は腰のけがで休場が必要と診断されたことを公表しました。
横綱鶴竜は今年7月場所を右ひじ、9月の秋場所を腰のけがで休場していて、東京・両国の国技館で8日に初日を迎えた11月場所も3場所連続で18回目の休場を届けていました。
日本相撲協会は、鶴竜が今月4日に国技館内の相撲診療所で診察を受けた結果、「腰椎すべり症」で腰痛が悪化し、11月場所の休場が必要とする診断書を8日、公表しました。
国技館で初日を迎えた今場所は、横綱白鵬も今年8月に右ひざの手術を受けた影響で休場していて初日から横綱不在となっています。
相撲協会によりますと、番付に2人以上の横綱がいて、その全員が2場所連続で初日から休場するのは史上初めてです。
日本相撲協会八角理事長「横綱の土俵入りをファンに見せたい」
白鵬と鶴竜の両横綱が休場し、2場所連続横綱不在で初日を迎えたことについて、日本相撲協会の八角理事長は、「横綱の土俵入りをファンに見せたいという思いがある。次の場所には出るようにしてほしい。けがを治して相撲が取れる状態に持っていくことが横綱としての責任だ」と話しました。
また、物言いがつく際どい相撲となりながらも、新大関として初白星を挙げた正代については、「最初の取組なので硬くなる。関脇と大関では責任が違うし、勝たないといけないという気持ちが強かったんだと思う。今日のような勝ちがたまにあるのはしかたないが、もう少し前に出る安定感がほしい」と指摘したうえで、3人の大関がそろって白星スタートを切ったことについては、「内容はいろいろあるが、勝ったことは大きい」と話していました。
力士の談話
幕内に復帰した千代翔馬は白星を挙げ「落ち着いて相撲を取れた。幕内の土俵はやっぱり十両と違う。勝ってよかった」とうれしそうでした。
また、先月内視鏡を使った腰の手術をしたことを明らかにしたうえで「先場所が終わってからヘルニアのため手術をした。今場所は15日間を取りきりたい気持ちだ。完全に治ってはないが徐々によくなってきている。前向きに頑張っていきたい」と話していました。
琴ノ若は幕内に復帰しての白星に「相手のペースにならないで自分のペースで取れた。自分の相撲を取ることだけを意識した」と淡々と話していました。
千代の国も幕内に復帰し初日に白星を挙げ、「勝てたのがいいことだと思う。1日、一番でいきたい」とことば少なでした。
炎鵬は黒星に「途中までの流れはよかったが我慢が足りなかった。相手を見すぎてしまい、もうちょっと動けばよかった。先場所よりいい相撲を取ることを目標にしたい。体重はもとに戻りつつあるので体調は大丈夫かなと思う」と切り替えている様子でした。
先場所、新入幕で優勝争いをした翔猿は、「最後、引いてしまったのがいけなかった。今場所も一番、一番、集中して行けたらいい。どんどん前に出て思い切り集中していくだけ」と黒星にも前向きな様子でした。
一方、翔猿から白星を挙げた隠岐の海は「初日だったので勝ちたかった。一番、一番、頑張って結果がついてくればいい。お客さんが増えて最高だ。頑張っているところを見せたい」と意気込んでいました。
新関脇・隆の勝は初日黒星に「ちょっと上体が起きすぎてしまったのであす、修正して頑張りたい。新三役の初日は気持ちが違った。初日だからか緊張して相手を受けるようになってしまった。自分の相撲を取り切っていい成績で終われたらいいなと思う」と話していました。
照ノ富士は、三役に復帰しての白星スタート、「別に深く考えてないので、毎日、一生懸命やるだけです。小結に復帰したことも特に何も考えてない。いつもどおりだ。お客さんがどんどん入ってくれれば盛り上がる」と淡々としていました。
御嶽海は取り直しの一番を制して「同体だと思ったので取り直しを準備していた。二番目は引かないように前に出ることを意識した。ことし最後の場所なので自分の相撲を取って、大関陣に負けない存在感を出していきたい」と話していました。
新関脇・正代は、際どい相撲を制し、「土俵に上がったらいつもと違うというか、いつもより硬いというか、思ったように足も出なかった。初日で新大関として最初の相撲だったので、思うように体が動かなかったと思う。とりあえず白星発進でよかったと思う。体が動くようになったらもっと内容がよくなると思う」と振り返っていました。
例年は福岡市で九州場所が行われますが、ことしは新型コロナウイルスの影響で国技館で11月場所が開催されたことについて、熊本県出身の正代は「九州で開催できなかったのはとても残念だが、東京でも開催して頂けるだけでもとてもありがたい。しっかり成績を残して、地元の人にもいい相撲を見せることができたらなと思う」と決意を示していました。
朝乃山は万全の相撲で白星を挙げ、「きょうの相撲が自分の相撲だと思う。序盤と終盤が大事になってくると思うのでしっかりと自分の相撲を取れれば結果がついてくる」と手応えを感じている様子でした。
貴景勝は両横綱の不在で結びの一番に登場して白星を挙げ「一生懸命、あすも頑張っていきたい。番付がどうかとは考えず、若手らしく若々しく、一生懸命、きっぷのいい相撲を取りたい。お客さんが5000人に増えて花道より土俵のほうが温かくなる空気感があった。先場所の2500人ではなく、熱気というのが今場所はあると思う。ことし初場所以来感じられて、気合いも入った。ありがたいと思う」といつもどおり淡々と話していました。
大相撲11月場所は2日目、初日を白星で滑り出した新大関・正代は前頭筆頭の霧馬山と対戦します。
11月場所は、白鵬と鶴竜の両横綱がけがの影響で休場し、新大関・正代など三大関に番付上位として優勝争いに絡む活躍と土俵を締める役割が求められます。
正代は8日の初日に土俵際の逆転で辛くも大関として初白星をつかみ2日目の9日は前頭筆頭の霧馬山と対戦します。
正代は初日のように受け身に回る相撲は禁物で、四つ相撲が得意の霧馬山に対して立ち合いからしっかり踏み込み、みずから攻めて時間をかけずに勝負をつけたいところです。
一方、大関3場所目となる朝乃山は、大関経験者で小結まで番付を戻してきた照ノ富士と対戦します。
ともに右四つ、左上手が得意の両者の対戦は、ここ2場所いずれも照ノ富士が勝っています。
がっぷり組んで胸を合わせる展開になれば腕力で勝る照ノ富士が優位。
朝乃山としては、立ち合いから素早く踏み込んで浅くまわしを引き、一気に勝負を決めることができるかが勝負のポイントになりそうです。
初優勝から2年、大関となってからは初めての優勝を目標に掲げる貴景勝は、前頭筆頭の若隆景と初顔合わせの一番です。
貴景勝が相手の動きを見ながら落ち着いて突き押しに徹することができれば優位は動きません。
秋場所前に新型コロナウイルスの集団感染が発生した玉ノ井部屋の力士が、2場所ぶりに復帰した。
先場所は力士全28人が全休を余儀なくされたが、コロナ禍の特例措置として番付は据え置きに。
白星発進した十両東龍は「普通なら落ちている。皆さんに感謝したい」と話し、十両富士東は「土俵に立てることが僕たちは一番うれしいこと」とかみしめるように語った。
2020/11/08
大相撲11月場所(8日初日、東京・国技館)を休場する白鵬、鶴竜の両横綱について日本相撲協会の尾車事業部長(元大関琴風)が7日、「(次は)進退をかけて出てこないとダメじゃないでしょうか。そのくらいの気持ちをもって次は出てくることになるんじゃないか」と話した。
尾車事業部長は協会で八角理事長(元横綱北勝海)に続くナンバー2。
優勝44度の白鵬は今年5場所のうち4場所で休場。
師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)が5日に「もし(11月場所に)出られなかったら、来場所(来年初場所)に進退かけて頑張るしかない」と言及していたが、6日の休場表明後、「本意ではなく軽率だった」とする文書を協会を通じて出し、発言を取り下げていた。
■豊山関 コメント
このたび、アルビレックス新潟さんのエンブレムとロゴをデザインした反物で浴衣を製作させていただきました。
自分の夢であったアルビレックス新潟さんとのコラボが今回実現して、すごく嬉しく思っています。
これからも熱くアルビレックス新潟を応援していきます。
ぜひ豊山の応援もよろしくお願いします。
■豊山関プロフィール
1993年9月22日生まれ、新潟県新潟市北区出身。
身長185cm体重173kg。
東京農業大学から時津風部屋に入門。
幕下優勝1回、三段目優勝1回、敢闘賞1回。
一年納めの大相撲11月場所は8日に東京・両国国技館で始まる。
白鵬、鶴竜の両横綱が2場所続けて初日から休場する中、新たに昇進した正代のほか貴景勝、朝乃山の大関陣が優勝争いの中心になりそうだ。
ともに元大関の照ノ富士、高安の両小結、先場所活躍した平幕翔猿らの奮闘も楽しみだ。
7日は日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)ら幹部や審判部の親方衆が出席して国技館で土俵祭りが行われ、15日間の安全を祈願した。
新大関正代は初制覇した先場所に続く優勝が懸かる。
国技館での優勝額贈呈式出席後、報道陣の電話取材に「できるだけのことはやってきた。自分らしい相撲を取って期待に応えられたらと思う」と意欲を示した。
今年はここまでの4場所で初優勝者が2人と、混戦が多い。
尾車事業部長(元大関琴風)は「3大関が優勝争いをしてくれれば、一番土俵が締まるかなと思う。若手も上位に上がってきた。面白い優勝争い、内容のある相撲を見せられるように頑張ってほしい」と力士の奮起に期待した。
新型コロナウイルスの影響で、会場を福岡市から移した。
観客数の上限を先場所までの倍となる約5千人に引き上げて実施される。
2020/11/07
大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)を休場する横綱白鵬(35=宮城野)を巡って思わぬ騒動≠ェ起こった。
白鵬は8月に内視鏡手術を受けた右ヒザの回復が思わしくなく、6日に「右膝関節鏡手術 術後血症で約2週間の加療を要する見込み」との診断書を日本相撲協会へ提出。
これで今年は新型コロナウイルスの影響で中止となった夏場所を除く5場所で4度目の休場となった。
優勝44回の大横綱とはいえ、休場が度重なれば綱の責任≠果たせていないと判断され、進退問題に発展してもおかしくない。
師匠の宮城野親方(63=元幕内竹葉山)は、5日に「もし出られなかったらあれですよね。来場所(来年1月の初場所)に向けて進退をかけて頑張るしかないですよね」と話したほどだ。
ところが…本当に白鵬の休場が決定すると一気にトーンダウン。
宮城野親方は協会を通じ「昨日(5日)の電話取材において私は白鵬の進退にかかわる発言をいたしましたが、決して本意ではなく軽率だったと深く反省しております。訂正して取り消させていただきます。大変申し訳ありませんでした」と訂正文を発表したのだ。
師匠の前言撤回は本人の意思なのか、周囲の物言い≠ネのか定かではない。
鶴竜(35=陸奥)と合わせて2場所連続で複数横綱が不在となる異例事態の中、白鵬の視線は「来年の初場所では万全の状態で土俵に戻るべく、引き続き全力で努力いたします」と早くも来場所だが…。
このまま不問となるのだろうか。
大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)を控えた6日、大関朝乃山(26=高砂)が電話取材に応じた。
この日は取組編成会議が開かれ、初日は幕内霧馬山(24=陸奥)、2日目は小結照ノ富士(28=伊勢ヶ浜)との対戦が決まった。
特に照ノ富士には2場所連続で敗れており「勝てるようにしていかないと上に行けないですし、先にもつながらないので、負けたこと忘れて、自分の相撲をしっかり取りきるようにいきたいですね」と意気込んだ。
また、白鵬(35=宮城野)と鶴竜(35=陸奥)の両横綱が休場することについては「ニュースで見た」と明かし「自分の地位より上の人が休場したということは、やっぱり盛り上げないといけないので、しっかりその自覚をもって15日間戦いたいです」と語った。
11月場所後には師匠の高砂親方(64=元大関朝潮)が定年を迎えるため、弟子として臨むのは今回が最後。
先日の会見で親方に「(秋場所のように)初日から3連敗はやめてもらいたい」と指摘されたことが印象に残ったようで「本当にその通りだと思う。自分自身もそんなことはもうしたくないので」と振り返った。
報道陣から「ズバリ目標は」と問われ「優勝ですかね。でも、あんまり考えすぎると固くなるので…」と控えめに恩返し≠誓った朝乃山。
師匠の定年に花を添えるつもりだ。
大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)の取組編成会議が6日、国技館で開かれた。
初日の取組は、白鵬(35=宮城野)と鶴竜(35=陸奥)の両横綱が2場所連続で休場し、新大関正代(29=時津風)は幕内若隆景(25=荒汐)と対戦。
出場力士で最高位となる大関貴景勝(24=千賀ノ浦)は小結高安(30=田子ノ浦)と対戦する。
新入幕からちょうど1年。
若隆景は自己最高位を西前頭筆頭まで上げた。
「濃かった」。
そう語る張りのある声には、充実感も宿っている。
昨年11月の九州場所。
初日から4連勝とした取組で右足を痛め、5日目から休場した。
1場所で十両へと逆戻りする試練に「悔しい思いもした」と率直に振り返った。
一年納めの場所で存分に戦うことこそできなかったが、持ち味のスピードを生かして連勝できたことは大きな収穫。
当時は体重125キロの軽量ながら、「幕内の土俵でも相撲が取れる。あのときは自信にはなった」。
再入幕した今年の7月場所から2場所続けて2桁白星。先場所は優勝争いにも加わり、手応えが確かなものに変わりつつある。
福島県出身者では、2001年秋場所の玉乃島以来となる新三役も目前となり、頭に浮かんだのは祖父の元小結若葉山のこと。
東洋大から角界入りし、関取になる志を遂げてからは、次に見据えていたのが祖父の番付だった。
「一つの目標としてやってきた。いつかは超えたい気持ちもある」
横綱、大関陣と初めて総当たりする11月場所は、高校時代に被災した東日本大震災から10年の節目となる来年を良い形で迎える上でも重要な場所となる。
「まだ復興していない地域もたくさんある。少しでも活躍して、福島を盛り上げていけたらいい」。
今や父親にもなった25歳の誓いだ。
2020/11/06
大相撲の横綱・白鵬(35)=宮城野=の3場所連続での休場が6日、決まった。
日本相撲協会はこの日、11月場所(8日初日)会場の東京・両国国技館で取組編成会議を開いたが、白鵬は初日、2日目の取組に入らなかった。
白鵬が3場所連続で休場するのは自身初となる。
白鵬は7月場所を右膝負傷で途中休場。8月には同箇所の内視鏡手術を受け、9月の秋場所を全休した。
11月場所に向けては、10月16日から行われた合同稽古には参加し新大関・正代(時津風)と番数を重ねるなど調整を続けてきたが、間に合わなかった。
5日に電話取材に応じた師匠の宮城野親方(元幕内・竹葉山)は、白鵬は同日に病院で診察を受けたと説明。
6日朝までに出場の可否について横綱と話し合うと明かしつつ、「もし出られなかったら、来場所(来年1月の初場所)に進退をかけて頑張るしかない」と話していた。
今場所は、腰の負傷を抱える横綱・鶴竜(陸奥)も同じく3場所連続で休場することが決まっている。
初日から複数の横綱が不在となるのは秋場所で37年ぶりだったが、2場所連続では1場所15日制が定着した1949年夏場所以降、初の事態となる。
2020/11/06
大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)を控えた5日、横綱白鵬(35=宮城野)の師匠の宮城野親方(63=元幕内竹葉山)が代表取材に応じた。
白鵬は8月に右ヒザの内視鏡手術を受け、9月の秋場所を全休。
この日までに病院で再検査を受けた。
11月場所への出場の可否については取組編成会議が行われる6日朝までに師匠と横綱本人が話し合った上で判断する。
仮に休場となれば、今年の5場所(夏場所は新型コロナウイルスの影響で中止)で4度目の休場となる。
宮城野親方は「もし出られなかったらあれですね。来場所(来年1月の初場所)に進退かけて頑張るしかないですよね」とコメントした。
大相撲の横綱・鶴竜(35)=陸奥=が5日、11月場所(8日初日、東京・両国国技館)を腰痛のため休場することを表明した。
師匠の陸奥親方(元大関・霧島)は電話取材に応じ「負けたからまた休むとかね、それはもう無理なことだから。それぐらい本人は次と思って、覚悟していると思う」と弟子の気持ちを代弁。
来年の1月場所は進退がかかる認識を示しつつ、再起を願った。
鶴竜の休場は3場所連続。
自身6度目の優勝を果たした昨年の名古屋場所以降、6場所で皆勤は1度しかない。
右肘負傷で全休した秋場所後、横綱審議委員会からは度重なる休場を指摘された。
「言われるのはもう仕方ないこと。先場所も言ったけど、引退かけるぐらい、やっぱり。それも本人も思っていることだったんじゃないかな」と師匠。
鶴竜自身が一番つらいと思いやりつつ、「今場所はしょうがない。これ以上休めないと思う」と話した。
陸奥親方としては「なんとか立て直ってほしいんだけどね」。
体力的な面では落ちていないとし、「期待もしているんですけど」と語った。
鶴竜の精神面の状態も心配しつつ、「今場所しっかり休んで。今場所終わった後に何もなければ、出稽古なんかも復活すればやった方がいいと思ってる」と、本場所に臨める状態に戻ることを願った。
大相撲の新大関正代は5日、29歳の誕生日を迎え「年取ったなあという感じ。そんなにうれしく感じない。できるだけ若々しい相撲を取れたら」と11月場所(8日初日・両国国技館)へ意気込んだ。
東京都墨田区の時津風部屋で報道陣の電話取材に応じた。
新たに看板力士として迎える節目にも「特に変わらない。とりあえず、けがなく相撲を取り切れたらいい」と泰然としていた。
後援者からは賜杯を持つ姿が描かれたケーキを贈られたという。
6年前の入門当時と比べて肉体的な衰えを感じる部分もあり、「何歳まで続けられるのかなとか考える。30(歳)目前にして、悩みは絶えない」と吐露した。
大相撲で多彩な技が人気の宇良(28)=本名宇良和輝、木瀬部屋、大阪府出身=が約3年ぶりに十両に返り咲いた。
右膝の大けがを乗り越えて臨む11月場所(8日初日、東京・両国国技館)を控え、「長く時間がかかった分、うれしい」と喜びをかみしめている。
幕内上位にいた2017年秋場所で靱帯(じんたい)を断裂。
1年かけて復帰したが、19年初場所で再び同じ箇所を痛めた。
4場所連続の全休で番付は序二段に。
「関取に戻る日は来ないかもしれない」と不安を抱えながら、同年九州場所で再出発した。
翌場所から序二段、三段目と続けて全勝。
関取復帰を期待する周囲の声に「そんなに甘い話じゃない。自分の不安とのギャップが大きく、つらい部分があった」。
普段ならありがたい激励の言葉が、かえって負担になった。
それでも、リハビリを重ねながら馬力を戻し、幕下を2場所で通過した。
膝を痛め、取り口が慎重になりすぎた時期もあったが、「けがをしてもいい。自分らしい相撲を取って終わったなら、そっちのほうが気持ちいい」。
十両の土俵では、持ち味の大技も出し惜しみしない覚悟だ。
久々の土俵入りで、新しい化粧まわしを披露する。
贈ってくれたのは難病と闘う福岡県行橋市在住の酒井佐津恵さん(88)。
ファンレターのお礼に手形を送った縁で知り合った。
「僕の相撲で元気づけられる人がいるというのは、頑張る糧になる」。
化粧まわしには大きく「技」と記されている。
2020/11/05
またも空位≠ノ? 大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)を控えて、両横綱の出場が微妙な状況になっている。
8月に右ヒザの内視鏡手術を受け、9月の秋場所を全休した白鵬(35=宮城野)について、師匠の宮城野親方(63=元幕内竹葉山)は「普通通りやっている。(相撲を取る稽古は)関取衆とも2、3回やりましたし」と近況を説明。
白鵬は先月16日から22日まで国技館内の相撲教習所で行われた合同稽古に参加し、新大関正代(28=時津風)らと相撲を取るなど精力的に汗を流した。
体重も増量したとみられる。
この11月場所に向けて明るい材料が多いが、出場できるかどうかは別問題。
宮城野親方は「それ(右ヒザ)が完全に治ってるかはちょっと分からない。病院で検査してみないと。なんぼこっち側がいいと言っても、まだ今の状態じゃダメって言われる可能性もあるから」とあくまで慎重な姿勢を貫いている。
続けて「もう年も年だから、ある程度古傷とかそういうものは完璧に治していかないと。今の状態で中途半端に出てまたケガなんてなったら困るから」と話し、優勝44回の大横綱にムチャぶり≠するつもりはなさそうだ。
鶴竜(35=陸奥)も右ヒジの故障や持病の腰痛が影響し、思い通りの稽古ができていないという。
このタイミングで相撲も取っておらず「まだ足りてないって感じですかね」とポツリ。直近6場所で5度の休場と横綱の務めを果たせていないが「調整は自分のペースで? そうですね。出たときにちゃんと結果出さなきゃいけないですからね」と、出場は厳しい状態だ。
先場所に続いて両横綱休場となれば、周囲からの風当たりは一層強まりそうだが…。
新型コロナウイルス禍で角界全体が試練にある中、大黒柱が土俵に立つ姿は見られるのだろうか。
大相撲11月場所は8日、東京・両国国技館で初日を迎える。新大関の正代は平常心を強調。関脇に昇進した隆の勝は新三役として臨み、自己最高位の西前頭筆頭に番付を上げた若隆景は上位陣との総当たりに挑む。
◇白鵬、貴景勝とも手合わせ
看板力士としての責任を痛感しながらも、正代は冷静さを失っていない。
「緊張とかに強いタイプではないので、まず勝ち越しを目指し、そこから徐々に目標を上げていく。その日の取組に集中できたらいい」。
初優勝した秋場所同様、一日一番、自然体を貫く覚悟だ。
10月半ばには両国国技館内の相撲教習所で行われた合同稽古に参加。
横綱白鵬、大関貴景勝らと手合わせし、「出稽古は大事というのを実感した」と言う。
新型コロナウイルスの影響で部屋での調整が続いていただけに、直近の2場所に比べれば充実した鍛錬ができた。
胸から当たる立ち合いを馬力で磨き上げ、大関の座を手繰り寄せた。
ただ、腰高との指摘があるのも確かで、「もう少し前傾の方が、体重も圧力も乗るんじゃないかと思う」と試行錯誤する考えも。
重りを持ってのスクワットなどでパワーアップを重ねており、技術と体力がよりかみ合えば、安定感も増すだろう。
熊本県出身の新大関は58年ぶり。
先月上旬に凱旋(がいせん)した際には、故郷の熱気を肌で感じた。
「ここ数年、地元は暗いニュースが多かった。注目していただければうれしいし、また活気が出てくれればいい」。
例年なら準ご当所の福岡市で行われる一年納めの本場所が、今年はコロナ禍で東京での開催。
遠い郷里への強い思いも力にするつもりだ。
大相撲11月場所(11月8日初日、東京・両国国技館)を控えた4日、12月に定年を迎える高砂親方(64=元大関朝潮)がオンラインで会見を行った。
これまでの師匠生活を振り返り「やりきったとかいう感覚はまだない。高砂という名前じゃなくなるときにそういうものを感じるのかもしれない」と語った。
高砂部屋には部屋付きの若松親方(50=元幕内朝乃若)と錦島親方(39=元関脇朝赤龍)いるが、後継者については明言せず「まだ決まっていません。これからです」と話すにとどめた。
指導で心掛けていたことについては「力士の背中には日本相撲協会〇〇部屋の看板を背負っているんだから、その看板を汚したり、壊したりすることはするなと。1人のやったことはみんなに迷惑をかける。その部分をうるさく言った」と胸を張った。
親方は問題横綱≠ニして名を馳せた元横綱朝青龍(40)についても言及。
親方は「いろんな問題を起こす横綱もいましたしね。苦労はしましたよ」と述べ、暴力事件で引退した朝青龍に頭を悩ませていたことを明かした。
報道陣からは「もし、もう一度(朝青龍を)育てるとしたら?」と問われたが、高砂親方は「その質問にはノーコメントです」とキッパリ。
続けて「かばうにもかばいきれない部分もあるし、自業自得。本人にそう言っておいて」と冗談交じりに話していた。
大相撲の東京・墨田区にある旧井筒部屋の解体工事が4日、始まった。
足場が組まれた部屋周辺は閑散としていたが、別れを惜しむように立ち止まって写真を撮影する通行人の姿も見られた。
昨年9月に先代井筒親方(元関脇逆鉾)が急逝。
横綱鶴竜らは陸奥部屋に転属となり、以降は先代井筒親方の福薗杏里夫人が1人で生活していた。
跡地にはマンションが建設される予定。
2020/11/04
大相撲の宮城野親方(元前頭竹葉山)が3日、電話取材に応じ、2場所連続休場中の弟子の横綱白鵬について「普通通りに稽古はやっています」と話した。
白鵬は途中休場した7月場所で負傷した右膝の手術を8月に受け、秋場所を全休。
秋場所後に東京・両国国技館の相撲教習所で行われた合同稽古には参加していた。
現在は、部屋で幕内の炎鵬と十両石浦相手に稽古をしているといい「動きは全然いいですけど、完全に治っているかはちょっと分からない」と話した。
11月場所(8日初日、両国国技館)出場については「今の状態だとダメと言われる可能性もあるから、病院に行ってみないとまだ」とぎりぎりに決断する構えを見せた。
秋場所後に行われた横綱審議委員会(横審)による定例会では、断続的に休場が続いていることを指摘された。
同委員会の矢野弘典委員長は「来場所の様子を見て方向を決めていく」と話すなど、11月場所の結果次第では横審の内規に基づいた何らかの処分が下される可能性がある。
それだけに宮城野親方は「また途中で、となったら、今度は何だと言われても困る。そういうのが一番怖い。年も年だからある程度、古傷とかも完璧に治していかないと」と、白鵬が万全な状態で土俵に上がることを望んだ。
大相撲の横綱鶴竜(35=陸奥)が3日、朝稽古後に電話取材に応じ、自身が所属していた井筒部屋の建物が解体されることを明かした。
元井筒部屋所属だった力士が2日にSNSに解体するとの情報をあげ、報道陣に問われた鶴竜は「知っています。OBの皆さんで、ちょっと寂しいなっていう感じでやりとりはしています」と認めた。
解体工事の時期については「もう始まるんじゃないかなと思っています」と話した。
01年9月に来日し、井筒部屋に入門。
19年9月に先代井筒親方(元関脇逆鉾)が死去して現在の部屋に転属するまでの18年間、井筒部屋で過ごした。
「本当にただただ、もう壊されちゃうのかっていう。そういう寂しい気持ちだけですね」。
苦楽を過ごした空間なだけに「自分の家みたいなもんですから。いろんな思い出があります。写真や映像で残ってますけど、実際にはもうなくなっちゃうわけですから」と話した。
当然、思い出も「数え切れないくらいあります。話せば話すほど、思い出せば思い出すほどいっぱいあります」と語り尽くせない様子だった。
部屋は解体されても「それは消えることはない。自分が生きている以上、その記憶はなくなることはないですからね」と先代井筒親方の教えは、これからも心の中で生き続ける。
腰痛などの影響で2場所連続休場中で、11月場所(8日初日、東京・両国国技館)に向けては「まだ足りないって感じ。コロナになる前にいつもやってたことと比べると足りないのかなと感じます」と、調整は思ったようには進んでないという。
相撲を取る稽古も出来ていないといい「出たときにちゃんと結果を出さないといけない。8番でいいやとか、そういうのはダメだと思います」と話した。
大相撲の大関朝乃山(26=高砂)が30日、報道陣の電話取材に応じた。
この日の朝稽古では、幕下以下の力士と20番ほど相撲を取ったといい、仕上がり具合については「ボチボチ。来週から初日が始まるので、それまでに体を作っていきたい」と話した。
現在もトレーナーの指導による、週3日の筋トレは欠かさずに行っているといい「自分は弱いので、その辺でカバーしないといけない」と意欲を見せた。
話題は米大統領選へ。
トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染したことは当然、知っており、報道陣から話を振られると「体調を整えて欲しいですし、頑張って欲しいです」と話した。
昨年の夏場所で初優勝した際、千秋楽の表彰式で大相撲を初観戦したトランプ大統領から、米国大統領杯を直接受け取った縁がある。
あらためて当時を振り返り「僕より体が大きかったですよね」と話した。
1年の納めとなる11月場所(8日初日、東京・両国国技館)では、年間最多勝も狙える位置にいる。
45勝でトップの新大関正代に次ぐ、43勝。
だが「目指すはそこじゃないですから」と話し、報道陣から「一番上の番付か」と問われると「そうですね。目指すはそこだと思いますので」と横綱を意識した。
大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)まで1週間を切り「後は疲労を抜いてもう少し体を張らして自分のいい感覚であと1週間持っていくだけです」と現状について話した。
この日の朝稽古では相撲は取らずに、四股やすり足、重りを使ったトレーニングなどで汗を流したという。
「毎日稽古をしていくなかで、あとどれぐらいやったらいいか自分で分かっている。疲れてきたら疲労を抜いていい状態に持っていくとか感覚で分ける」と感覚派な一面を見せた。
秋場所後には、新大関が誕生した。
新大関正代に対しての意識を問われると「(大関として)先輩とかは別にない。誰と比べるわけではないけど、とにかく優勝したいという気持ちだけです」と、18年九州場所以来2度目の賜杯への思いを口にした。
また大関として「とにかく結果を残さないといけない。一生懸命に挑戦者の気持ちでいきたい」と覚悟を示した。
大相撲の西前頭5枚目琴勝峰(21=佐渡ケ嶽)が1日、11月場所(8日初日、東京・両国国技館)に向けて初の上位戦に意欲を示した。
千葉・松戸市での稽古後に電話取材に応じ「結びに取ってみたいと思ったことある。とにかく集中していきたい」と意気込んだ。
昨年九州場所での新十両から負け越し知らずで「止まらずにこられているというのはいいこと」と、順調な出世に手応えを感じている。
元横綱朝青龍のおいで幕内の豊昇龍や、元横綱大鵬の孫、幕下納谷らと同学年。
この日は部屋の関取衆と「15番くらい」相撲を取り、1週間後の初日に向けて調整した。
黄金世代の先頭を走る大器は「(10勝5敗だった)先場所のイメージはいいものがある。勝ち越しを目指して頑張ります」と気持ちを高めた。
大相撲の元横綱朝青龍のおいの東前頭13枚目豊昇龍(21=立浪)が2日、電話取材に応じ、9月の秋場所前に自身の血液型を知ったことを明かした。
モンゴル出身の豊昇龍は、これまで自身の血液型を知らなかったというが「体の検査みたいなのがあるじゃないですか。その時に血のかたち(血液型)がAB型って書いてありました」。
秋場所前に病院で検査を行った際、診断書にAB型と書いてあるのを見て初めて自身の血液型を知ったという。
AB型であったことを周囲に話すと「やっぱりな、と言われました」と納得されたという。
理由を問われると「何かやろうとしたら急に決めるからじゃないですか? 何日前からじゃなくて。予約とかするんじゃなくて急に決める人なので」と自己分析。
一方、「血のこととかはあんまり分からないです。日本に来てから知ったので」と気にしなかった。
大相撲の西前頭15枚目琴勇輝(29=佐渡ケ嶽)が1日、10月14日に都内の病院で左膝の内視鏡手術を受けたことを明かした。
千葉・松戸市の部屋での稽古後、電話取材に応じ「先場所くらいに痛みがひどかった。骨が変形し始めて、膝の裏側あたり、膝の腱のとこに引っかかっちゃって。それを削ってやらないと膝が伸びないとこまでいってた」と明かした。
再入幕となる11月場所(8日初日、東京・両国国技館)の出場は「現段階では思ったよりうまくいっていない。来週あたりから、もし動かせれればぶつかり稽古とか当たっていければいいなというレベル」と微妙な状況。
この日は腕立て伏せなどで上半身を鍛えた。
1月には両肘を手術し、1年納めの11月場所前には両膝の手術に踏み切った。
コロナ禍で相撲界も激動の1年間だったが「私自身もやっぱり1年に2回手術するというのはなかなか経験のないことで大変だった」。
来年4月に30歳となる関脇経験者は「来年からはまたしっかり自分らしい相撲が、応援してくれてるお客さんに届けられるように頑張っていきたいという意味では、すっきりした。自分の気になっている部分がきれいになったので良かったんじゃないか」と前向きに語った。
大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)に新入幕で臨む天空海(29=立浪)が2日、電話取材に応じ、年齢は気にせずに土俵に上がることを誓った。
11月場所前の6日に30歳の誕生日を迎える。
節目の年齢となるが「歳は関係ないと自分でも思っている。『もう30』じゃなくて『まだ30』」と意識を持っているという。
きっかけは元横綱日馬富士との出会いだ。
入門してまだ2、3年目だった頃、出稽古先で日馬富士と会ったという。
当時はまだ三段目だったため、日馬富士に胸を出してもらった記憶はないが「お前はどうやれ、こういけというのはあった。いい相撲の時にほめられたのがうれしかった」と指導を受けたという。
その数年後、27歳を迎える2017年の時だった。
巡業先のエレベーターで日馬富士と鉢合わせした際に「横綱は覚えてくれていないと思ったら『お前、何歳になったんだ?』と言われました」と声を掛けられたという。
その際に「もう27歳になりました、と答えたら『まだ27歳だ』と言われました。その時に、やっぱり『まだ27』と思うのが大事なんだなと考えました」と当時、30歳を超えても第一線で戦っていた横綱の言葉が胸に響いたという。
だからこそ、30歳を目前に新入幕を果たしたが「ようやくスタートライン。(入門して)10年かけてようやく立てるので、これからも立てるようにいきたい」とハツラツとした気持ちを持って土俵に上がる。
この日の朝稽古では、幕内の明生と豊昇龍との申し合い稽古で30番ほど相撲を取ったという。
「今日はもうバチバチに3人で。毎日ガチンコです。みんなばっちりです」と話すように、連日熱のこもった稽古で本場所に向けて仕上げている。
2020/11/03
大相撲の大関朝乃山(26=高砂)が30日、報道陣の電話取材に応じた。
この日の朝稽古では、幕下以下の力士と20番ほど相撲を取ったといい、仕上がり具合については「ボチボチ。来週から初日が始まるので、それまでに体を作っていきたい」と話した。
現在もトレーナーの指導による、週3日の筋トレは欠かさずに行っているといい「自分は弱いので、その辺でカバーしないといけない」と意欲を見せた。
話題は米大統領選へ。
トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染したことは当然、知っており、報道陣から話を振られると「体調を整えて欲しいですし、頑張って欲しいです」と話した。
昨年の夏場所で初優勝した際、千秋楽の表彰式で大相撲を初観戦したトランプ大統領から、米国大統領杯を直接受け取った縁がある。
あらためて当時を振り返り「僕より体が大きかったですよね」と話した。
1年の納めとなる11月場所(8日初日、東京・両国国技館)では、年間最多勝も狙える位置にいる。
45勝でトップの新大関正代に次ぐ、43勝。
だが「目指すはそこじゃないですから」と話し、報道陣から「一番上の番付か」と問われると「そうですね。目指すはそこだと思いますので」と横綱を意識した。
大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)で三役復帰を果たした小結高安(30=田子ノ浦)が10月31日、電話取材に応じ、現状の充実ぶりを明かした。
朝稽古では、部屋付きの荒磯親方(元横綱稀勢の里)と三番稽古を15番ほど取ったという。
「とても復調しているので、とてもいい稽古ができています。盤石に攻めるという、しっかり自分の形になって、土俵際をしっかり踏ん張っていくことを意識してやっています」と稽古内容を振り返った。
つらい時期を乗り越えて、三役復帰を果たした。
大関だった昨年名古屋場所を左肘の靱帯断裂で途中休場すると、翌秋場所は完治せずに全休。
九州場所は出場するも、ぎっくり腰で途中休場するなどケガが重なった。
今年の初場所で関脇に陥落したが、「正直なところ、だいぶ精神的にきついところがあったけど、応援してくれる方々がいましたので、もう1度体を作って頑張りたいという気持ちで日々やってきた」と腐ることはなかった。
再起を図った春場所で初日から3連敗すると、4日目の横綱鶴竜戦で左太ももを負傷して途中休場。
「本当に立て続けにケガが重なりましたので、ちょっと気持ちがだいぶぐらつきましたね」と精神的に追い込まれたという。
7月場所では番付を幕内下位に下げた。
そんな時も「妻もそうですけど、自分の両親とか、身の回りの人にだいぶ支えられた。それをモチベーションにして何とか頑張れた」と周囲の支えに何度も助けられた。
新型コロナウイルスの影響で5月の夏場所が中止となり、自粛期間が続いたことで自分を見つめ直す時間が増えた。
「自分の体を見つめ直す、とても貴重な期間になりました」。
ケガをしない体作りの他、体重管理に着手。今年7月に結婚した演歌歌手の杜このみのサポートもあり、現在の体重は170キロほどだという。
「妻には自分のパフォーマンスがよくなるように気を使っていただいている。特にこの時期は体の調子を自分でコントロールするしかないので、妻がいてくれて充実した毎日を送れています」と感謝した。
度重なるけがに苦しみながらも周囲の支えもあり、7月場所と秋場所で2場所連続2桁白星。
関脇だった初場所以来となる三役復帰を果たした。
「体の故障で番付を下げたけど、思ったより順調に番付をまた上げることができた。とてもポジティブに今は出来ている」と手応えを口にした。
簡単なことではないが、大関復帰については「1場所1場所結果を出していかないと。またひと回りもふた回りも成長して、しっかり結果を出して、また審判の皆さんに評価されるような相撲を取りたい」と話した。
1年納めの場所に向けては「会場に見に来てくださるファンの方もまた多くなる。そういった方々やテレビの向こうのファンの方々に元気な姿を見せたい。また大相撲の盛り上がりに少しでも尽力できるように頑張りたい」と意気込んだ。
大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)を自己最高位の西前頭筆頭で迎える若隆景(25=荒汐)が30日、電話取材に応じた。
朝稽古では実兄の十両若元春、幕下若隆元らと15番ほど相撲を取ったといい「体の調子は悪くない。もうちょっと番数をこなして体を作っていきたい」と現状を話した。
昨年の九州場所で新入幕を果たして1年がたった。
その九州場所は右足首を負傷して途中休場。
今年の初場所と春場所で十両を経験するも、再入幕となった7月場所で10勝、秋場所で11勝と結果を残してきた。
「十両に落ちて悔しい気持ちもあったけど、幕内で活躍できて濃い1年」と振り返る。
派手さこそはないが、下からの丁寧な攻めが武器。
「幕内上位でも相撲が取れるんだなと自信になった」と手応えをつかんだ1年でもあった。
祖父の若葉山の最高位、小結が目前に迫ってきた。
「入門した頃は関取に上がることを目標にやっていた。でも上がってからは祖父の番付を目指してやっています」と話した。
毎年、祖父の墓参りは欠かさず行っているという。
「いつかは超えたい」と天国で見守る祖父へ、土俵上で奮闘する姿を見せる。
大相撲の西前頭5枚目琴勝峰(21=佐渡ケ嶽)が1日、11月場所(8日初日、東京・両国国技館)に向けて初の上位戦に意欲を示した。
千葉・松戸市での稽古後に電話取材に応じ「結びに取ってみたいと思ったことある。とにかく集中していきたい」と意気込んだ。
昨年九州場所での新十両から負け越し知らずで「止まらずにこられているというのはいいこと」と、順調な出世に手応えを感じている。
元横綱朝青龍のおいで幕内の豊昇龍や、元横綱大鵬の孫、幕下納谷らと同学年。
この日は部屋の関取衆と「15番くらい」相撲を取り、1週間後の初日に向けて調整した。
黄金世代の先頭を走る大器は「(10勝5敗だった)先場所のイメージはいいものがある。勝ち越しを目指して頑張ります」と気持ちを高めた。
大相撲で宮崎県出身の西前頭9枚目琴恵光(28=佐渡ケ嶽)が1日、11月場所(8日初日)が通常の九州開催ではなく東京・両国国技館で行われることについて「やっぱり九州の方に見てもらいたかった。こっち(九州)で15日間取れたらなっていうのあります」と寂しい思いを語った。
同県出身の関取は現在、琴恵光だけで、地元から大きな期待を寄せられている。
実家は宮崎・延岡市でちゃんこ店を経営。
コロナ禍で実家に戻れない中、肉など「いろんなものを送ってもらったりが多い」と差し入れを送ってくれる両親のためにも、テレビ越しで活躍を届けたい。
1週間後に迫った初日に向けてこの日は関取衆を相手に約16番相撲を取って汗を流した。
幕内で2場所連続で勝ち越し中と好調な28歳は「自分の形で攻めきることができることが多くなった。(11月場所では)15日間、自分の持ち味を全部出すこと意識して土俵に上がる」と意気込んだ。
大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)で再入幕を果たした東前頭14枚目千代の国(30=九重)が31日、電話取材に応じた。
この日の朝稽古では相撲は取らず、基礎運動で汗を流したという。
「下半身の筋肉を落とさないようにということと、後はケガを増やさないようにということ。体の調子を見ながらという感じです」と現在の調整状況について説明した。
前頭だった昨年初場所で左膝靱帯を損傷して途中休場すると、完治まで時間がかかり、翌春場所から3場所連続全休で幕下まで番付を落とした。
その膝の具合は「まだ6割ぐらい。本当に徐々になんですけど、徐々に徐々に本当に少しずつよくなっている感じ」と話した。
今年で30歳となり「若さで乗り切れる年でもない。体の声も聞いていかないといけない」と慎重だ。
だからこそ、日々の積み重ねを大事にする。
復帰場所となった昨年秋場所前の8月に行った北海道合宿。
当時、部屋の序二段力士にも歯が立たず「三段目なんか強くて強くて。ひどかったですよ本当に」と振り返る。
だから「みんなより1時間早く起きて、先に1時間くらい四股を踏んだ。それで序ノ口から稽古していって、最初から入る感じだった」と当時、半年前まで幕内で相撲を取っていた千代の国だったが、おごることなく序ノ口相手に稽古を積み重ねた。
大相撲の西前頭15枚目琴勇輝(29=佐渡ケ嶽)が1日、10月14日に都内の病院で左膝の内視鏡手術を受けたことを明かした。
千葉・松戸市の部屋での稽古後、電話取材に応じ「先場所くらいに痛みがひどかった。骨が変形し始めて、膝の裏側あたり、膝の腱のとこに引っかかっちゃって。それを削ってやらないと膝が伸びないとこまでいってた」と明かした。
再入幕となる11月場所(8日初日、東京・両国国技館)の出場は「現段階では思ったよりうまくいっていない。来週あたりから、もし動かせれればぶつかり稽古とか当たっていければいいなというレベル」と微妙な状況。
この日は腕立て伏せなどで上半身を鍛えた。
1月には両肘を手術し、1年納めの11月場所前には両膝の手術に踏み切った。
コロナ禍で相撲界も激動の1年間だったが「私自身もやっぱり1年に2回手術するというのはなかなか経験のないことで大変だった」。
来年4月に30歳となる関脇経験者は「来年からはまたしっかり自分らしい相撲が、応援してくれてるお客さんに届けられるように頑張っていきたいという意味では、すっきりした。自分の気になっている部分がきれいになったので良かったんじゃないか」と前向きに語った。
大相撲秋場所前に新型コロナウイルスに集団感染した玉ノ井部屋の玉ノ井親方(元大関栃東)が30日、感染後初めて報道陣の電話取材に応じた。
当時の状況について「何も言葉が出てこない感じだった」などと振り返った。
秋場所前の9月5日に、幕下以下の弟子1人の感染が判明。
保健所の指導のもと、すぐさま他の力士らもPCR検査を受検すると、さらに18人の力士の感染が判明した。
協会作成のガイドラインのもと、マスク着用や手洗いうがいの徹底、不要不急の外出を控えるなど感染予防は万全なはずだった。
だからこそ「びっくりどころの話じゃない『えっ』って」と、まさかの事態に言葉が出てこなかったという。
玉ノ井親方も直接、弟子に対して肌を合わせながら指導していたといい「密着しながらいろいろとやっていたので、自分もうつっていると思ったけど幸いなことにうつってなかった」と話した。
秋場所前には19人の弟子の感染が判明したが、秋場所中の再検査ではさらに5人の感染が判明し、合計で28人中24人の弟子が入院した。
ただ重症者はおらず、弟子が入院する際には「治ったらすぐに戻ってこられるから早く治してきなさい」と1人1人に声を掛けたという。
「本人たちの顔色を見ていても『行ってきます』と言ってくれたので。そういうのを見て気分的には早くよくなって帰ってきてくれることを祈っていた。そういうことばかりを考えていた」と毎日祈る思いだった。
また、入院している弟子らと毎日連絡を取るなどして気に掛けていたという。
入院期間も長い弟子で2週間、早くて1週間ほどで部屋に戻ってくる弟子もいた。
秋場所14日目の9月26日には、入院した全員が部屋に戻ってきたといい「子どもたちを預かっている責任者ですから。きちんと対応していかないといけないと思った」と責任感を口にした。
11月場所(8日初日、東京・両国国技館)に向けて、相撲を取る稽古を10月中旬頃から再開したという。
それまでは落ちた体力や筋力を取り戻すために、筋力トレーニングなどに励んでいたという。
「急に体力が戻る訳ではない。少しずつ体調を戻しながら。少しずつ本来の形に戻ってこられたというのはありがたい」と当たり前だった日常に戻りつつあることに感謝した。
秋場所を全休となった弟子らの番付は、秋場所後に行われた番付編成会議で据え置きの措置が取られた。
「協会の親方衆もそうですけど、理事長もはじめ執行部の皆様方の考えでこういう風にして頂いたのは本当に感謝しきれないくらい有り難い話」と感謝。
だからこそ「本人(弟子)たちも土俵に上がれる喜びと感謝もそうですけど、とにかく土俵で先場所できなかったことをおもいきりやってくれればと思う」と弟子の奮闘に期待した。
2020/10/28
2場所連続休場中の横綱鶴竜(35=陸奥)が27日、7場所ぶり7度目の優勝を目指す大相撲11月場所(11月8日初日、東京・両国国技館)に向けて、近況を語った。
この日の朝稽古後、報道陣の電話取材に応じた。
この日は、部屋の関取で自己最高位の東前頭筆頭に番付を上げた霧馬山が、肩の状態不良で稽古を休んだため、鶴竜は四股などの基礎運動と、土俵に入っての稽古は若い衆にぶつかり稽古で胸を出す程度にとどめた。
腰の状態は「まあ、ボチボチ。いい感じと思う」とし右肘の状態については「負担がかかったり痛めたりしないように注意してやるしかない」と話した。
11月場所の出場については、ギリギリまで判断を待つといい、その判断基準は「相撲を取ってみて、だと思う。いつもやっていることが、できているかどうかだと思う」と話した。
コロナ禍で通っているジムにも行けず「ルーティンじゃないけど、そういうものが崩れる」と不安も口にした。
横綱の重責から「しっかり土俵に立ってやらないといけない」と言い聞かせた。
一方で、3人の子どもたちと「一緒に過ごせるから楽しくはやっている」と息抜きにはなるようだが「自由に(外に)出られないというのはしょうがない。(第3子が)生まれたばかりで、より気を使う」と不自由さも感じる。
自宅の目の前の公園に行くのが、現状では最善の息抜きになっているようだ。
前日はインフルエンザの予防接種を部屋全員で受けたという。
横綱審議委員会(横審)からは、秋場所後の定例会合で厳しい意見があり、師匠の陸奥親方(元大関霧島)からは「次の場所に進退も」という言葉があった。
それについては「(その意見を)覆すには結果しかないんでね。
あとはもう言われても仕方ない状態ですからね」と話した。
大好きなバスケットボールのNBAファイナルは「少しだけ携帯で見た」という。
同じ35歳のレブロン・ジェームズ率いるレーカーズが17度目の優勝を果たしたが「だいたいもう勝つだろうなと思って見てたから面白くなかった」。
同じ35歳が第一線で活躍していることには「もちろん、他の業界というか、そういう頑張ってる人というのは、刺激というね、負けられないというのはありますけどね」と刺激にはなっているという。
一年納めの場所でもあり「元気な姿を(自分も)見せるしかないですよね」と奮起を誓った。
大相撲の大関貴景勝(24=千賀ノ浦)が22日、東京・台東区の部屋で11月場所(8日初日、東京・両国国技館)に向けて調整した。
16日から20日まで両国国技館内の相撲教習所で行われた合同稽古に参加していたが、自身の体調を考慮して2日連続で参加を見送った。
「体の調子を見てやらないといけない。自分の調子は自分が一番よく分かっていますから。それに沿ってやっていくだけ」。
合同稽古の前半3日間では新大関の正代を指名して計35番の三番稽古をこなしたが、この日は相撲を取らず基礎運動に没頭。
バーベルを持った状態でのスクワットや、上がり座敷に手を着いて腕立て伏せを計100回行うなどして汗を流した。
週明けの26日が11月場所の番付発表で、以降は部屋での調整が続く。
「あとはもう少し足腰の安定感、基礎をしっかり磨いていって、また実戦をやって本場所を迎えるだけ」。
秋場所で逃した2度目の優勝を目指し、淡々と稽古を積み重ねる。
新大関の正代(28=時津風)が27日、都内の部屋で行った朝稽古後に報道陣の電話取材に応じた。
初優勝した秋場所後に地元・熊本に帰省。その際に、同じ宇土市出身の第8代横綱不知火諾右衛門の墓参りに行ったという。
実家から1キロほど離れた場所にあるというが「記憶に残っているうちでは初めて」となる墓参り。
「大関昇進の報告と、後は見守って頂けたら」と偉大な先輩へ手を合わせた。
「あまり大きなことは言いたくないけど、また(地元に)活気が出て欲しい」と、11月場所(8日初日、東京・両国国技館)での活躍を誓った。
日本相撲協会は26日、大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表し、天空海(あくあ、29=立浪)が新入幕を果たした。
茨城・つくばみらい市の部屋で新入幕会見に臨んだ天空海は「目標にしていたのでうれしいです」と声を弾ませた。
西十両6枚目だった秋場所で10勝5敗とし、新入幕はギリギリのラインだった。
今朝部屋に届いた番付を見て昇進を知り「もし上がれなかったとしても11月場所で勝ち越せればいいやと思っていたのでラッキーでした」と想定外の昇進だったという。
10年九州場所で初土俵を踏み10年。
「長かったなと。自分では遅かったかなと感じました」と苦労の末に目標にしていた新入幕を果たした。
十両だった18年秋場所を、腰椎椎間板ヘルニアにより途中休場して以来、腰の痛みと闘ってきた。
幕下に陥落した同年九州場所で勝ち越すも、19年初場所と春場所は思うような相撲が取れずに負け越した。当時を「諦めて辞めようかなという時期だった」と振り返る。
しかし当時、幕内にいた明生や幕下上位で奮闘する豊昇龍の2人の弟弟子に刺激を受けたことや、腰椎椎間板ヘルニアの新薬が体に合ったことなどもあり再起を決意した。
会見に同席した師匠の立浪親方(元小結旭豊)は「幕内に上がれるのは数えられた人間だけ。3人幕内はうれしい限り。いい弟子を持った」と胸を張った。
天空海の武器は強力な立ち合いだといい「幕内で勝ち越す力はある。期待して見たい」と話した。
天空海は「三役に最初に誰が上がるか競い合いたい」と、明生と豊昇龍との出世争いを意識した。
日本相撲協会は26日、開催地を通常の福岡から東京に変更して行う大相撲11月場所(11月8日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表した。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、7月場所と9月の秋場所は1日あたりの上限入場者数を約2500人に制限していたが、11月場所から約5000人に引き上げて開催される。
新番付にしこ名が載った力士総数は44部屋に、9月の秋場所から13人減の670人。
部屋別、出身地別のナンバーワンはどこか…。データを紹介します。
【部屋別力士数】
1位は佐渡ケ嶽部屋の35人。秋場所から2人減ったが、トップの座をキープし続けている。幕内力士4人も最多、関取予備軍の幕下も7人いて、部屋の活況ぶりもうかがえる。
2位は、こちらも秋場所から2人減ながら30人の木瀬部屋。常幸龍、宇良の幕内上位経験者が再十両を果たすなど、幕内2人、十両5人の関取7人は九重部屋(幕内3人、十両4人)に並び最多だ。力士総数ナンバーワンと2位は、この両部屋で定着しつつある。
3位以下は<3>玉ノ井部屋28人<4>九重部屋27人<5>境川部屋、高田川部屋、八角部屋の各23人<8>高砂部屋22人<9>追手風部屋21人<10>式秀部屋20人と続き、ここまでが20人以上の部屋になる。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)が26日、29日に臨時理事会を開いて来年3月に行われる春場所の開催方針について会議する意向を示した。
電話取材に応じ「議題は3月の開催について。大阪(場所)について今からリサーチ、打ち合わせをしておこうということ」と明かした。
地方場所の開催となれば、昨年3月の春場所以来1年ぶり。
今年7月の名古屋場所は東京・両国国技館で開催され、例年は九州で開催される11月場所(8日初日)も両国国技館で行われる。
芝田山広報部長は「大丈夫かどうか、4週間の滞在なのか、それとも期限を切って場所中だけなのか、話し合わないと。まだ具体的な内容はわからない。今後どうなっていくかという話が出てくると思う。その日に結論が出るかどうかはわからない。ただ、今から話しておかないと間に合わないということで」と説明した。
2020/09/28
関脇正代(28=時津風)が悲願の初優勝を果たし、大関昇進をほぼ手中に収めた。
新入幕で3敗を守る翔猿を下して、自己最多に並ぶ13勝目。熊本県出身の力士として、初の優勝を決めた。
打ち出し後、伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)が大関昇進を諮る臨時理事会の招集を八角理事長(元横綱北勝海)に要請した。
承認されれば30日の臨時理事会、11月場所の番付編成会議を経て「大関正代」誕生が正式に決定する。
ともえ戦に持ち込まず、本割で決めた。
小兵の翔猿に立ち合いのぶちかましが不発で、175センチの低さを生かした突き押しを受けると、いなされて体勢を崩した。
最後は両腕で抱えて、土俵際で逆転の突き落としを決めた。
13日目は貴景勝の突き押しに全く引かない相撲内容で、14日目は朝乃山を立ち合いで吹っ飛ばし、大関に連勝。文句のつけようがない初優勝だった。
関脇正代(28=時津風)がついに賜杯を手にした。
新入幕の翔猿に攻められ、追い詰められた土俵際で逆転の突き落としを決めた。
13勝2敗の好成績で審判部の伊勢ヶ浜部長(元横綱旭富士)は八角理事長(元横綱北勝海)に大関昇進を諮る臨時理事会の招集を要請。
恵まれた体を「ネガティブ」と言われた弱気な性格で生かせなかった大器が目覚め、初優勝と大関の夢を一気にかなえて涙した。
正代の快挙を、時津風部屋付きの井筒親方(元関脇豊ノ島)は全く不思議がらなかった。
「今年になって近い人には『(大関に)上がりますよ』と言っていた。地力がついている。(14日目に)朝乃山の体を浮かせたのはびっくりしたけど」と笑う。
4月に引退したばかりで現役力士の目線には近い。
「部屋の一員として、春場所の関脇での勝ち越し、7月の11勝で自信がついたんだと思う」と精神面の成長を語った。
場所前に師匠が不在となる異例の場所だったが「影響はなかった」という。
師匠代行の枝川親方らが審判部の職務で不在でも、部屋付き親方として稽古場で目を光らせていた。
躍進を支えたのが、腰高ながら破壊力のある立ち合いの当たり。
井筒親方も正代の入門当時から指摘してきたが「正代の場合は体を丸めることが逆にストレスになる」と気付き、ここ1年は矯正しなかったという。
「人がまねできない新しいかたちだね」と認めた。
絶好の“稽古台”だからこそ成長できた。
場所前には横綱鶴竜が出稽古に訪れ、巡業の三番稽古では横綱、大関陣に指名されることが多かった正代。
井筒親方は「高いレベルでやってきて着実に力がついたんでしょう」と分析する。
なぜ稽古相手として人気だったのか。
「正代はあごを上げてるから、やってる方もいい稽古台になる。思い切り当たれるから」。
のけ反るように胸から当たる立ち合い。
かつては弱点と呼ばれたが、成長のきっかけとなった。
関脇正代(28=時津風)が悲願の初優勝を果たし、大関昇進を手中に収めた。
新入幕で3敗を守る翔猿を下して、自己最多に並ぶ13勝目。
熊本県出身の力士として、初の優勝を決めた。
打ち出し後、伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)が大関昇進を諮る臨時理事会の招集を八角理事長(元横綱北勝海)に要請した。
八角理事長が承認すれば、30日の臨時理事会、11月場所の番付編成会議を経て「大関正代」誕生が正式に決定する。
ともえ戦に持ち込まず、本割で決めた。
小兵の翔猿に攻め込まれたが何度も体勢を立て直し、最後は土俵際で逆転の突き落としを決めた。
13日目は貴景勝の突き押しに全く引かない相撲内容で、14日目は朝乃山を立ち合いで吹っ飛ばし、大関に連勝。文句のつけようがない初優勝だった。
理事会招集を要請した審判部の伊勢ケ浜部長(元横綱旭富士)は「勝ち星が安定している。ここ5場所を見ても分かる通り」と目安の3場所通算33勝よりも、ここ1年の安定感を評価した。
今場所は両横綱が初日から休場。
そのため対戦がなかったが「とにかく安定して成績を残していることがいい」と話し、「大関になれば常に優勝争いしないといけない。みんなでその力があると認めた」と審判部の総意を明らかにした。
臨時理事会で正代の大関昇進が承認された場合、その後に行われる伝達式に謹慎中で師匠の時津風親方が参加できることとなった。
日本相撲協会関係者が「晴れの舞台だからいいだろう」と認めた。
時津風親方は秋場所前に、協会作成の新型コロナウイルス感染対策のガイドラインに基づく行動に違反したとして、同場所を休場、謹慎していた。
処分は場所後の理事会で協議される見通しとなっていた。
2020/09/27
大関貴景勝(24=千賀ノ浦)が3敗を死守して、優勝戦線に踏みとどまった。
立ち合いは踏み込まずに見ながら立ち、突っ張り合いからいなしで翔猿を崩す。
果敢に直進する相手を、最後ははたき込み。勢いある新入幕力士に大関の貫禄を見せた。
負ければ優勝の可能性が消滅する一番だったが「いつも通りあまり変わらず、自分の体の反応に任せてやった」と冷静だった。
小兵にはめっぽう強い。
照強や阿武咲、炎鵬ら身長180センチ未満(対戦時)の相手に対して、約2年間負けなし。
175センチの翔猿に勝って15連勝とした。
千秋楽で翔猿が正代に勝ち、自身が勝てば、3敗で並んだ3人による優勝決定ともえ戦にもつれ込む。
黒星が許されない千秋楽は結びで朝乃山との大関対決。
「自分の持っている力を全て出し切りたい」と静かに闘志を燃やした。
大関の優勝は17年初場所の稀勢の里以来、21場所遠ざかっているだけに出場最高位の意地を見せたい。
複数の横綱全員が初日から休場するのは83年夏場所以来。
その場所を制したのは、場所前に婚約した千葉有希奈さんの父で、当時関脇だった元大関北天佑だった。
天国で見守る“義父”の再現となるか。
関脇正代(28=時津風)が、悲願の初優勝に王手をかけた。
2連敗中だった大関朝乃山を圧倒。
力強い出足から最後は押し倒し、ただ1人2敗を守った。
千秋楽、新入幕の翔猿戦で熊本出身力士初の優勝を決める。
大関連破で審判部は「明日の相撲を見ての判断」と結果次第で大関昇進の可能性も示唆。
正代が人生最大の大一番を迎える。
まるで重戦車の突進だった。
「最近負けている相手なんで、思い切りいった」という正代の踏み込みは一瞬、大関朝乃山の体を浮かせた。
その圧力で横向きにさせると、左でたてみつをつかみ、休まずグイグイ前に出て最後は押し倒した。
「休まず前に出ることを意識した。当たり勝ったんで、止まったらまわしをとられるんで、そのまま出ました」。
3連敗から10連勝と勢いづいてきた大関さえも吹き飛ばす破壊力。
進撃の相撲でついに単独トップに立った。
「素直にうれしいです」と言いながら、表情は全く崩れなかった。
弱気な“ネガティブ力士”から変身のきっかけとなった要因のひとつが、朝乃山への“ライバル心”だった。
正代が2歳上だが、同じ学生相撲出身で巡業などでは「人に言えないぐらい、くだらない話をする」仲だ。
東農大2年時に学生横綱になった正代が、アマ時代の実績は圧倒。
しかし、大相撲の世界では初優勝も、大関の座もあっという間に追い越された。
朝乃山の活躍に「同じ学生相撲出身で悔しい思いはある」とメラメラした思いを隠さなかった。
「強い相手とはだれとも対戦したくない」と公言していた男が変わった。
「それなりに緊張はするけど、落ち着くところは落ち着いてメリハリができている」。
相撲への自信は、精神面の成長にもつながった。
阿武咲(24=阿武松)は先場所の“倍返し”級の勢いで白星を積み重ねていたが、隆の勝に敗れて優勝の可能性が消滅した。
来場所の新三役を確実にしている相手に右のど輪、左おっつけで出足を止めた。
土俵際まで追い込んだが、足がついていかなかった。
惜敗に「足があと1歩出なかった」。
先場所の13連敗から一転、今場所は2桁白星と大健闘。
優勝を逃したが「意識はない。最後集中する」と、千秋楽に向けて気を引き締めた。
自身初の結びで、初の大関戦。
新入幕で快進撃を続ける翔猿は「盛り上がり方が全然違う」と土俵上で興奮していた。
馬力のある貴景勝相手に、立ち合いは正面から思い切りぶつかった。
押し込むことはできなかったが、手を出し、足を出してくらいついた。
それでも攻略はできず、はたき込まれてトップから陥落。
「楽しくてしかたなかった。大関にどれぐらい通用するか思い切りいきました。まだまだ稽古が足りないですね」とやりきった表情を浮かべた。
3敗で優勝争いから後退したが、千秋楽は2敗の正代との対戦が組まれた。
勝てば、貴景勝の勝敗次第で優勝決定戦にもつれる。
1914年(大3)夏場所での東前頭14枚目の両国以来、106年ぶりの新入幕優勝はまだ途絶えていない。
「思い切りいくだけ」と無心で臨む。
師匠の追手風親方(元前頭大翔山)は「運がいいというか、乗っている。結果が出てるからいつも以上の実力が出ている。残りはいい意味で調子に乗っていってくれればいい」と弟子の快進撃を期待した。
千秋楽の27日は、毎週欠かさずに見ているTBS系の大人気ドラマ「半沢直樹」の最終回。
翔猿は「前座に僕の相撲を見て楽しんでもらって、半沢直樹で締めてもらえれば」と言って、報道陣を笑わせた。
泣いても笑っても、残り一番。
横綱不在の混戦場所を、歴史的快挙で締めくくるためにも、まずは正代に勝って望みをつなげる。
西十両11枚目千代の国(30=九重)が、3度目の十両優勝を飾った。
13勝目を挙げて、来場所の返り入幕にも前進した。
若元春が立ち合いで右にずれたが、全く慌てなかった。
体勢を立て直せない相手をすぐに左から突き落とし。
取組後のリモート取材では「(変化は)びっくりしたけど良かった。ちょっと緊張していたけど集中できた」と、大きく息を吐いた。
左膝複合靱帯の損傷から復帰し、幕内の舞台も見えてきた。
最高位は前頭筆頭。
古風な雰囲気で、好調の要因についても「気負わずに1日一番集中できている」と多くは語らないが、言葉には実感がこもっている。
場所前には先代九重親方(元横綱千代の富士)の優勝額が、JR両国駅に設置された。
先代師匠には「『おかげさまで』という言葉は伝えたい」と、感謝の言葉を伝えるという。
1年半ぶりの幕内復帰を手中に収めたい今場所最後の一番に向けて「あと1日取り切ることだけ考える」と静かに意気込んだ。
2020/09/26
関脇御嶽海を下し、3連敗から10連勝となった。
14日目は正代との対戦が組まれ、千秋楽は結びで貴景勝と対戦することが確実。
逆転優勝に向けて、引きずり落とすことはできるか。
貴景勝のいなしにも崩れなかった。
下から突き起こされても引かず、最後は左から突き落とし。
悲願の初優勝に前進した。
秋場所13日目の25日、日本相撲協会に「左変形性膝関節症により3週間の安静加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
11日目の妙義龍戦で勝ち越し、11月場所での三役返り咲きを確実にしていた。
「左腓腹筋(ひふくきん)筋膜炎、右足関節症で約3週間加療を必要とする見込み」との診断書を出して休場した。
新入幕として106年ぶりの優勝が懸かる翔猿は、隆の勝を破って2敗を守った。
1914年夏場所の両国以来となる新入幕優勝に、また1歩近づいた。
2020/09/25
朝乃山らしさが戻ってきた。
かつては苦手だった大栄翔を捕まえられなくても突き返し、左を差すと一気に体を預けながら出た。
力強い攻めで4日目から9連勝とし、「自分の相撲が取れれば、結果はついてくる」。
言葉にも自信が戻った。
2敗でトップの貴景勝や正代との対戦を残しており、逆転優勝に向けてここからが正念場。
「気合を入れ過ぎると空回りする。先のことは考えずに、自分の力を発揮できるように全力でいきたい」と集中し直した。
不戦勝で2敗を維持。
朝稽古後に遠藤の休場を知ったようだが、「同じことをやって明日も頑張る気持ち。不戦勝だからといって休みじゃない。流れを崩すわけにはいかない」と集中力を切らさなかった。
13日目は正代との2敗対決。
優勝を大きく左右する一番を迎えるが、「集中してやるだけ。毎日大事。明日に限って何か変わることはない」と大関候補との決戦を見据えた。
宝富士に完勝して10勝目。
左をのぞかせると、右をねじ込みながら圧力をかけて寄り切った。
攻め続けた一番に「立ち合いから足がよく出ていた」と納得の表情を浮かべた。
関脇で2場所連続の2桁白星とし、大関昇進への足固めに成功。
12日目での到達に「こんなに早く勝てるとは。良い流れだと思う」と喜んだ。
優勝争いのトップ並走で残り3日。
「ここで集中が途切れることがないように」と気を引き締めた。
足を止めることなく、前へ前へ。
隆の勝が持ち味の押し相撲で、自己最高位の前頭筆頭で勝ち越しを決めた。
新三役が近づく白星に、「うれしいですね」と笑顔がはじけた。
同じく押し相撲が得意の輝との一番は、立ち合いで思い切りよく頭からぶつかった。
低い姿勢で前に出て、右をのぞかせると、そのまま一方的に押し出した。
「前に攻めて押し出せて良い相撲」と納得顔だった。
混戦の優勝争いの行方を左右する平幕力士同士の2敗対決。
翔猿が勢いそのままに攻め切った。
若隆景が立ち合いで動いても「頭にあった」と慌てなかった。
相手の懐に入り、押し合いから最後ははたき込んだ。
「すぐ引かないで攻められたのが良かった」と振り返った。
元小結豊山で先代湊親方の長浜広光さんが19日に死去したことが24日、分かった。
日本相撲協会関係者が明らかにした。
72歳。
膵臓がんを患っていたという。
新潟・新発田農高では高校横綱に輝き、東京農業大に進学。
学生時代は元横綱輪島らとしのぎを削った。
時津風部屋に入門し1970年春場所に初土俵を踏み、71年九州場所で新入幕を果たした。
突っ張りや右四つを得意とし、幕内を51場所務めた。
殊勲賞1回、敢闘賞2回。81年夏場所限りで引退した。
82年に独立し湊部屋を創設し、元幕内湊富士(現湊親方)らを育てた。
2020/09/24
長い沈黙を破った。
初日から3連敗後に8連勝した11日目の取組後、初日以来10日ぶりに報道陣のリモート取材に対応。
「(3連敗は)ショックでした。休場しようかと思った。(取材対応は)白星が先行したり、勝ち越しを決めたらやろうかと…」。
を閉ざしていた理由を説明した。
「応援してくれる人は記事を見るので(メディアに)何も答えないと何かあったのかな?≠ニ思われる。自分は元気です」。
白星先行で表情にも明るさが戻ってきた。
ただ、8日目に幕内後半の西方力士全員が敗れて一人もコメントしない異例の事態になった事で、安治川親方が自身のブログで
「負けて悔しいのはわかるが『明日頑張ります』ぐらい言えないのかな」「取材する側、応援する側の気持ちになって考えてみてほしい」と苦言を呈していた。
9勝目を挙げてトップを守った大関貴景勝が、取組後に見せた右肩付近の動きについて「日常茶飯事です」と、何事もなかったことを強調した。
宝富士を倒れ込みながら押し出した直後のことだった。
なかなか起き上がれずにいると、首から右肩付近がけいれんするような動きがあった。
立ち上がると気にするようなそぶりは見せず、勝ち名乗りを受けて土俵下に座った。
取組後のリモート取材では「大丈夫です。日常茶飯事です」と多くは語らなかった。
正代が力強い取り口で高安を破った。
立ち合いから圧力をかけ、左喉輪をはね上げて相手を大きく崩して押し倒した。
「立ち合いの踏み込みが良かったので、その後の内容につながったと思う」と自己分析した。
2敗を守って貴景勝らと4人でトップに並んでいるが、「まだまだ接戦。意識はしていない」と冷静そのもの。
「とりあえず2桁いければ」。
まずは大関昇進へつながる次の1勝を目指す。
元大関で先場所優勝の照ノ富士が勝ち越し、三役復帰に前進した。
妙義龍に立ち合いから圧力をかけて土俵際まで追い込み、右を差して寄り切った。
膝の大けがなどを経て徐々に地位を戻す中、「三役に取りあえず上がれると思う。ちょっとずつ近づいているのかなと思う」とかみしめるように語った。
初日から2連敗した後に7連勝していたが、10日目に同じ前頭筆頭の隆の勝に敗れていた。
「きのうはきのう、きょうはきょう。過ぎたことを意識せず次のことを考える」と気持ちを切り替え、優勝争いをトップと1差の3敗で追う。
初顔合わせの千代大龍を退け、2敗を守った。
立ち合いで相手のもろ手突きを右に動いてかわし、手繰って回り込んだ。
下から攻め返すと、引く相手に乗じて押し出した。
トップを守ったが「そこは全然意識しない。あと4番思い切って自分の相撲を取りたい」と言葉に力を込めた。
4日目から8連勝して2桁勝利にも王手。
12日目は翔猿との2敗対決だが、「目の前の一番だけ集中して相撲を取っている」と落ち着いていた。
翔猿が阿武咲との2敗同士の一番を制した。
低い当たりから休まず攻め、左喉輪で起こすと、タイミング良くはたきを決めた。
「逃げずに攻めようと思った」と納得の表情で振り返った。
新入幕でトップを並走。
優勝もちらつく状況だが「意識しない。一番一番」と自らに言い聞かせている。
12日目も生き残りを懸け、相星の若隆景戦。
「そういうのを意識せずに思い切りいくだけ」と気負いなく話した。
2020/09/23
朝乃山は今場所2度目の不戦勝で3敗を守った。
大関の1場所2度の不戦勝は、2014年初場所の琴奨菊以来という珍事。
淡々と勝ち名乗りを受け、この日も報道陣のリモート取材には応じなかった。
関脇正代(28=時津風)が、西前頭3枚目照強(25=伊勢ケ浜)を下して勝ち越しを決めた。
昨年九州場所での対戦は、立ち合いで足を取られて押し出されていただけに「すごく嫌なイメージがあった。あまり踏み込まないようにしていた」と立つようにして照強の当たりを受けた。
左で抱えるようにして組み止めると、慌てることなく丁寧に寄り切った。
これで昨年九州場所から5場所連続で勝ち越した。
「全体的に攻めている。体もよく動いている」と手応えを口にした。
2敗を守り、大関貴景勝らと並んで優勝争いのトップに立つ。
「ただ単に好成績の5人の中の1人ということしか考えていない」と初優勝への意識はまだ薄いようだが「心に余裕ができたので次は2桁、ケガないようにいきたい。自分の相撲を取って悔いの残らないように徹底していきたい」と話した。
新入幕の東前頭14枚目翔猿(28=追手風)が勝ち越しを決めた。
長身の竜電に右を差して頭をつけると、出し投げで相手の体勢を崩し、最後は左前みつを取って下手投げ。
「胸を合わせたらしんどかった。胸を合わせないようにやった」と狙い通りの攻めだった。
10日目での勝ち越し。
「幕内で力を通じると、勝ち越せたのでうれしい」と笑みをこぼした。
8勝2敗としてトップを並走する。
106年ぶりとなる新入幕優勝の可能性も残す新鋭は「(優勝争いは)意識していない。勝ち越しただけ。まだまだ集中して、まだまだ暴れていきたい」と、気合を入れ直した。
西十両2枚目の琴ノ若(22=佐渡ケ嶽)が勝ち越しを決め、1場所での幕内復帰に前進した。
天空海(立浪)を土俵際、際どい勝負ながらすくい投げで破った。
勝ち越しに「けがした後の場所なんで素直にうれしく思う。ここで浮かれないようにしたい」と引き締めた。
幕内2場所目の7月場所は左膝のけがで8日目から休場。
14日目から再出場も負け越して十両から出直しとなった。
祖父は元横綱琴桜、父は元関脇琴ノ若の師匠佐渡ケ嶽親方というサラブレッド。
幕内復帰について「それは意識していない。15日間とりきって、その結果が(幕内復帰に)つながれば」と邪念を払って残り5日間に臨む。
元中学横綱の17歳のホープ、西幕下44枚目の吉井(時津風)が霧の富士(陸奥)を押し出し、3勝2敗で勝ち越しに王手をかけた。
「いい相撲がとれたと思います」と自画自賛。右差し得意の相手にさせじと脇を固め、低い立ち合いから一気の出足から、最後は相手に引かせる圧力をかけた。
「まだ次はありますけど、場所に来る前に部屋で稽古して体も動いている。調子は上がっている」と自信を口にした。
7月場所前に師匠の不適切指導で所属していた中川部屋が閉鎖となり、時津風部屋へ転籍となった。
部屋は両国国技館から近く、「プラスになっていると思います」。
初めて番付に載った昨年夏場所から7場所連続で勝ち越し中。
「今日みたいな相撲をとれるよう頑張りたい」。
目指す関取の座へ着実に前進している。
2020/09/22
2敗で“大混戦場所”を引っ張る大関貴景勝(24=千賀ノ浦)が、霧馬山を厳しい攻めで下し、2敗の首位を堅守した。
取組後、今場所初めてリモート取材に応じ、出場最高位として場所を引き締める思いを明かした。
2敗勢は相星対決以外は全員が勝利。
9日目を終えて6人がトップを並走するのは、6人の1敗勢が先頭を走った00年九州場所以来20年ぶりの混戦となっている。
前日の黒星も、先場所の黒星も、貴景勝は引きずらなかった。
左のはず押しで霧馬山を吹っ飛ばすと、反撃の隙を与えずに6・3秒で押し出し。
「(前日の取組は)終わったこと。後悔しないような相撲をと思ってやった」。
8日目は栃ノ心の変化に対応できず2敗目。連敗を避けたいこの日は、初顔だった先場所で敗れた相手だったが、厳しい攻めで不安を一蹴した。
“無言”に深い理由はなかった。
初日から報道陣のリモート取材には応じず国技館を引き揚げていたが、勝ち越しを目の前にして初めて取材に応じた。
リモート取材では支度部屋から出てきた力士を、日本相撲協会の広報職員が画面越しで報道陣が待つパソコンに誘導する形式。
取材に応じるかは力士の自由という中で「自分も勘違いして、リモートの要領を分かっていなかった。帰り道にこういう感じと分かった」。
10日目以降も取材に応じるか問われると「もちろんです」と力強くうなずいた。
看板力士としての責任を果たす。
2敗で首位の6人を、4人の3敗勢が追う大混戦。
両横綱の休場で、最高位として賜杯争いを引っ張る役割が求められる中で「結果残すことがそういうことにつながっていく。あまり考えずに集中していく」と平常心を強調した。
今場所から使用する黒い締め込みは、昨年の大関昇進時にもらったもの。
「気持ちを新たに、新たなスタートとして変えた」。心機一転の大関が、快勝で後半戦を滑り出した。
東前頭筆頭照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、東前頭2枚目北勝富士(28=伊勢ケ浜)を下して勝ち越しに王手をかけた。
北勝富士のはず押しを前に四つに組み止めることができなかったが、何とか抱えながら対抗。最後は体を開きながら、突き落とした。
過去3戦全敗だった相手に初勝利。
「昔は昔。(番付が)落ちてる時にばっかり当たってる」と気にしていなかった。
勝ち越しに王手をかけて、11月場所での三役返り咲きも見えてきた。
「とりあえず三役というのを確実にしたい」と意欲。
それだけではなく2敗を守ったことで、2場所連続優勝も視野に入る。
しかし、賜杯に関しては「特に何も考えていない。1日一番集中してやるだけ」と欲は見せなかった。
関取最年長で7日目から5日ぶりに再出場した西前頭11枚目琴奨菊(36=佐渡ケ嶽)が、徳勝龍に敗れて3勝目を逃した。
左四つで前に出たが、足がついていかず土俵際で突き落としを食らった。
2勝4敗3休。
幕内残留の目安となる残り3勝に向けて、白星を積み重ねることはできなかった。
琴奨菊は2日目の明生戦で左ふくらはぎを負傷し、3日目から「左下腿(かたい)肉離れにより全治2週間の見込み」との診断書を提出して休場していた。
幕内在位が15年を超える大関経験者は、再出場しなければ11月場所で十両に陥落することが確実だった。
再出場後、初めて取組後に取材に応じた琴奨菊は「(痛めた左足は)うまく付き合っていくしかない。できるから土俵に上がっている。幕内残留とかを目指してではなく、こういうときに一番自分の弱いところが出る。自分自身が(土俵に)上がっている以上はやるだけ」と、土俵に戻ってきた心境を明かした。
久々に取材に応じた理由については「昨日記事を見て力士が(取材対応に)なかなかこないということで。験を変えて参加させてもらいました」と、流れを変えるためだったと説明した。
新入幕の東前頭14枚目翔猿(28=追手風)が明生を力強い相撲で押し出して2敗を守り、新入幕勝ち越しに王手をかけた。
「攻め続けたんでよかったと思います」。
前日8日目に2敗目も引きずらず「(連敗しないと)乗っていけますね」。
小柄だけに体重131キロの維持に必死。
「全然食欲わかないけど食べてます。もういいかな、からごはんもう1杯多めに」。
はつらつとした相撲を失わず、土俵に臨む。
西十両11枚目の千代の国(30=九重)が、北はり磨(山響)をはたき込み、十両でただ1人1敗を守り勝ち越しを決めた。
昨年夏場所以来の返り十両。
けがに苦しんだが、先場所幕下優勝の勢いを持続し、まずは関取の座を死守する勝ち越しを決めた。
「勝ち越しはうれしいが、まだまだこれからなんで」と表情は緩めない。
幕内経験もある実力者。
十両優勝も過去に2度ある。
それでも優勝争いを聞かれると「そういうのは考えていない。1日1番で頑張ります」と謙虚に話した。
2020/09/21
朝乃山が照強の2度目の奇襲をはね返した。
立ち合いで照強が右に動いて左足を取りにきたが、両腕を前に出して対処。
動きが止まった相手をよく見て、冷静に押し出し。
優勝争いを演じていた7月場所14日目の対戦では同じ立ち合いから左足を取られて転がされ手痛い1敗を喫していた。
しかし今場所は落ち着いた対応で白星を先行させた。
東前頭筆頭照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、西前頭2枚目玉鷲(35=片男波)を下して6勝目を挙げた。
離れようとする玉鷲から、何度ものど輪を受けたが1歩も引かず。
前に出て圧力をかけ続けて、左を差して寄り切った。
「我慢して前に出ることしか考えてなかった。勝ててよかった」と狙い通りの相撲に満足した。
8日目を終えて2敗を守り、大関貴景勝や関脇正代ら8人と並んでトップに立つ。
2場所連続優勝の可能性も見えてきそうだが「まだ終わっていない。残り頑張りたい。目の前の一番に集中するだけ」と意識はしない。あと2つ白星を積み重ねて勝ち越せば、関脇だった17年九州場所以来の返り三役も見えてくる。
東前頭4枚目栃ノ心(32=春日野)が、波乱の展開を巻き起こした。
負ければ大関貴景勝が単独トップになる結びの一番。
注目の立ち合いで頭から突っ込んできた貴景勝を、変化気味に右に動いてはたき込んだ。
勝負は一瞬で決まり、結果、2敗が9人となった。
立ち合いについて栃ノ心は「作戦じゃない。たまたまそうなった。いつも通りやってやろうという気持ちだった」と話した。
また栃ノ心が勝ったことで幕内後半の取組は、東方の力士9人全員が勝利するという珍事が起きた。
若手の若隆景から始まり、先場所優勝の照ノ富士や好調の正代が順当に白星を挙げ、朝乃山は不戦勝。
自身の取組までに東方の力士が全勝だったことについて栃ノ心は「知らなかった。全然意識してなかった」と驚いた様子だった。
新婚パワーで大混戦場所から抜け出す。
東前頭6枚目高安(30=田子ノ浦)が、照強をはたき込みで破って2敗をキープ。
1敗の大関貴景勝と平幕の琴勝峰、翔猿の全員が負けたため、高安を含む9人がトップで並んだ。
8日目を終えて9人以上がトップに並ぶのは、2敗で10人が並んだ03年名古屋場所以来17年ぶり。
中日折り返しで1敗力士不在も同年以来。
横綱不在の混戦場所で、大関経験のある実力者が初賜杯を狙う。
実力者の高安はどっしりと構えていた。
「ボチボチですね。負けた相撲もしっかりと反省して明日に生かしたい」と言葉はシンプルだが声は明るい。
自身の取組前に、翔猿と琴勝峰が2敗に後退したが「勝ち越すことだけを目指す」と他人の結果は気にしなかった。
相撲もどっしりしていた。
初顔合わせの照強は、立ち合いで奇襲を仕掛けてくる不気味な相手。
この日はまっすぐぶつかってきたが、中に潜り込まれそうになったり、腕をたぐられたりとあの手この手で攻められた。
それでも慌てることなく丁寧に対処。
最後は冷静にはたき込み「自分の体勢になるまで我慢しようと思った」と狙い通りだった。
二人三脚で混戦から抜け出す。
昨年10月に婚約を発表した演歌歌手の杜このみ(31)と7月上旬に結婚。
婚約後に大関から陥落し、ケガで休場が続く時もあった。そんな時に支えられ、先場所で1年ぶりに勝ち越した時は「本当に2人で喜んだ。いろいろ気を使ってもらっているけど、精神的なサポートはとても大きい」と感謝。来年には第1子が誕生予定。
「妻の体調もサポートしないといけない。子どものためにも2人で力を合わせたい」と強い思いで土俵に上がっている。
賜杯の行方はまだまだ分からない。
「1日一番。しっかりベストを尽くすだけ」と高安。
無心で走り続けた先に、トップの景色が見えてくる。
西前頭8枚目若隆景(25=荒汐)が、西前頭5枚目宝富士(33=伊勢ケ浜)を破って2敗を守った。
立ち合い右のおっつけで宝富士の体勢を崩し、もろ差しになって寄り切った。
「相手が左差しでくるのは分かっていた。差させないように体をうまく動かした」と狙い通りだった。
オンライン取材で、今年1月に第3子となる長男が誕生していたことを明かした。
名前は秘密だといい、「家族のためにもより頑張りたいか」と問われて「そういう気持ちで頑張ってます」と多くは語らなかったが、言葉に力はこもっていた。
2敗で他8人とトップ並走だが「1日一番集中するだけ」と欲は見せなかった。
右足首の骨折で初日から休場していた西前頭13枚目石浦(30=宮城野)が、再出場の土俵で白星を挙げた。
おっつけが厳しい志摩ノ海から左前みつを取って頭をつけると、下手出し投げを決めた。
石浦は「右距骨骨折にて約3週間の加療を要する見込み」との診断書を提出していたが、この日は右ふくらはぎから足首にかけて分厚いテーピングを施して取組に臨んだ。
取組後はリモート取材に応じず、国技館を引き揚げた。
1敗を守ってきた3人全員が黒星を喫し、横綱不在の場所が混戦模様となったきた。
新入幕の東前頭14枚目翔猿は、佐田の海との激しい突き合いの応酬の末に敗れた。
途中でまわしに手を掛けられたが、1回転してほどくなど軽快な動きを見せた。
均衡を崩そうと右の蹴返しを試みるも不発。
体勢を崩して突き落とされた。逸ノ城と初顔合わせとなった東前頭12枚目琴勝峰は、怪力相手に左上手を与えて豪快な上手投げに屈した。
勝てば単独トップに立つ大関貴景勝だったが、結びの一番で栃ノ心の立ち合い変化に足がついていかず、負けて2敗に後退した。
これで2敗に大関貴景勝、関脇正代、平幕の照ノ富士、霧馬山、高安、若隆景、阿武咲、琴勝峰、翔猿の9人が並んだ。
2020/09/20
朝乃山が照強の2度目の奇襲をはね返した。
立ち合いで照強が右に動いて左足を取りにきたが、両腕を前に出して対処。
動きが止まった相手をよく見て、冷静に押し出し。
優勝争いを演じていた7月場所14日目の対戦では同じ立ち合いから左足を取られて転がされ手痛い1敗を喫していた。
しかし今場所は落ち着いた対応で白星を先行させた。
大関貴景勝(24=千賀ノ浦)が、三役以上で唯一1敗を守って中日を迎える。
平幕の豊山との激しい押し合いを制して、6勝目を挙げた。
左からのいなしを2度も繰り出すなど圧倒する一番ではなかったが、最後ははず押しで倒れ込みながら押し出した。
立ち上がると2、3度首を左に傾けて気にするしぐさを見せたが、勝ち名乗りを受けると何事もなく土俵から降りた。
立ち合いでもろ差しになったが深く入らず、右腕が抜けた。
左は深く差したが、巧者の隠岐の海に回り込まれながらの強烈な右のおっつけで突き落とされた。
「ちょっと(もろ差しの)入りが浅かった。結構おっつけられたのできつかった」と反省した。
すでに全勝力士はおらず、1敗を守りたかったところだが2敗に後退。
それでも横綱不在の場所とだけあって、優勝の行方はまだまだ分からない。
「今日の相撲はあまり振り返らないかな。悪いイメージを持ちたくないから」と先を見据える。
もちろん「立ち合いが甘いから徹底したい」と修正箇所は理解していた。
大関候補と期待されて久しい関脇御嶽海(27=出羽海)の低調ぶりを、協会トップの八角理事長(57=元横綱北勝海)が嘆いた。
過去、21勝2敗と圧倒していた平幕で同じ押し相撲の玉鷲(35=片男波)戦。
土俵中央での先手争いで、押せないとみるや安易に引き、相手を呼び込みアッサリ土俵を割った一番に「気力がないね。『一生懸命押すんだ』と『何となく』というかね」という表現で両者を対比。
「もっともっと相撲に気持ちをかけなきゃ。気持ちが、どっかに行ってしまっている感じがする」と、周囲も指摘する“気分屋さん”的な御嶽海の一面を察した。
「勝てば気分が乗るけど、負ければ乗らない。そういうのをなくさないと大関は難しい。調子が悪い時に、いかに力を発揮するかだから」と、期待すればこその苦言を呈した。
東前頭筆頭照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、17年夏場所以来の対戦となる小結遠藤(29=追手風)を破って5勝目を挙げた。
立ち合いで突っ込んできた遠藤の右手を手繰って背後に回り込んで、すかさず前に出て送り出した。
久しぶりの対戦だったが「普通にいこうと思った」と体が反応した。
返り入幕だった7月場所で幕尻優勝を果たし、今場所は前頭筆頭まで番付を上げた。
初日から三役以上との対戦が続き、この日で全ての三役以上との対戦を終えて5勝2敗と白星先行。
横綱不在なだけに、優勝の行方もまだまだ分からない。
ここからは番付下位との対戦が続くため、返り三役のチャンスも十分にある。
それでも「場所が終わったわけではない。残り引き締めていきます」と笑顔は見せずに話した。
関取最年長の西前頭11枚目琴奨菊(36=佐渡ケ嶽)が、再出場で2勝目を挙げた。
左の膝下にテーピングを施して出場した。
小兵の炎鵬を両腕で抱え込む体勢になると、出し投げで崩されかけたが、炎鵬が踏ん張ることができず尻もちをつくかたちとなり「腰砕け」となった。
琴奨菊は2日目の明生戦で左ふくらはぎを負傷し、3日目から「左下腿(かたい)肉離れにより全治2週間の見込み」との診断書を提出して休場していた。
幕内在位が15年を超える大関経験者は、再出場しなければ11月場所で十両に陥落することが確実だった。
東前頭12枚目琴勝峰(21=佐渡ケ嶽)が、ライバルの西前頭16枚目豊昇龍(21=立浪)を下して6勝目を挙げた。
右を差されて土俵際に追い込まれが、豊昇龍の下がった頭を左手で押さえながら突き落とした。
何とか勝ちを拾う結果となり「ちょっと意識した。なるべくしないようにしたけど、しちゃいました」と反省した。
豊昇龍とは17年九州場所でともに角界入りした同期であり、学年も同じ。
学生時代からのライバルとだけあって、この日の一番は力が入った。
幕内では初対戦で、角界入り後は通算4戦全勝。今後も対戦を重ねていくであろう豊昇龍について「競い合いながらお互いを高めあえる存在になりたい」と話した。
大相撲秋場所を13日の初日から休場している西前頭13枚目石浦(30=宮城野)が、20日の同場所8日目から出場する。
石浦は「右距骨骨折にて約3週間の加療を要する見込み」との診断書を提出していた。
8日目は東前頭15枚目志摩ノ海(31=木瀬)と対戦する。
新入幕の東前頭14枚目翔猿(とびざる、28=追手風)が、日を追うごとに存在感を放っている。
立ち合いの当たりが強烈な千代大龍と何度も押し合い、潜ってもろ差し。
右に開きながら下手出し投げを決めて、6勝1敗とした。
「前に前に攻めていこうと思った。(もろ差しは)たまたま入った。良かったです。立ち合い当たられてもどんどん出て行こうと思っていた」
積極的な攻めで、大関貴景勝、平幕の琴勝峰と並んでトップを守った。
ここ数場所は169センチの炎鵬が小兵力士として注目を集めていたが、翔猿も175センチ、131キロと幕内では体格が一回り小さい。
翔猿自身も炎鵬を意識しており、場所前から「お客さんを楽しませたい。会場を盛り上げたい」と意気込んでいる。
「タオルとかあると人気出てきたかなと思う。まだまだこれから名前を覚えてもらえるように頑張りたい」
新入幕の場所ながら、観客が掲げる力士のしこ名が書かれたタオルも確認できている余裕ぶり。
「まだまだ前半戦なので。これから。(優勝争いは)全然意識していない」と気を引き締めた。
日本相撲協会は黎大(れおん、21=式秀)の再出世を発表。
11月場所(11月8日初日、両国国技館)から番付にしこ名が載る。
新弟子検査合格者はモンゴル出身者1人のみで前相撲はビザ取得後の本場所となることもあり今場所の前相撲は行われなかった。
元横綱大鵬の孫で、元関脇貴闘力の四男、東幕下55枚目夢道鵬(18=大嶽)が、初めての幕下で無傷の4連勝で勝ち越しを決めた。
東幕下60枚目碧天(37=春日野)との3連勝同士の一番。
立ち合いでしっかりと当たり、引いた相手に左をのぞかせながら足を運んで押し出した。
幕下上位を経験したことのあるベテランを下して、序ノ口デビューの初場所から4場所連続で勝ち越しを決めた。
無心で土俵に上がるつもりが「勝ったら勝ち越しかと思うとちょっと緊張した」と初の幕下での勝ち越しが懸かった一番に、今までにない緊張感があったという。
それでも危なげない相撲を披露。
「稽古をしっかりとしてきて、やってることが合っているなと。自信になる」と安堵(あんど)した。
まだまだ満足はしない。
残り3番に向けて「勝ちたいです」と率直な思いを吐き出した。
結果はもちろんだが、相撲内容にもこだわりがある。
「最初の一番から自信をつける相撲を取りたいと思っていた。土俵際で投げたりはたいたりしても勝ちは勝ちだけど、前に出て勝ちたい」と話した。
2020/09/18
両大関が2日連続でそろって白星も、謎のだんまりを貫いた。
貴景勝は過去9戦全勝だった妙義龍を低い立ち合いから一気に押し出して4勝1敗とした。
朝乃山も玉鷲を得意の右差しからの攻めで圧倒して押し出し。
3連敗スタートから連勝と星を戻してきた。
横綱不在の今場所、波乱の序盤を終えたが取組後の取材には応じず。
貴景勝は初日から一言も発していない。
関脇正代(28=時津風)が、東前頭2枚目北勝富士(28=八角)を押し出しで下して、序盤戦を4勝1敗で終えた。
北勝富士の低く鋭い踏み込みの立ち合いを受けて上体が起きたが、1歩も引くことはなかった。
しっかりと前に出て右を差し、左で抱えながら最後は押し出した。
4日目の照ノ富士戦で初黒星を喫したが「昨日の負けを引きずらなかった。負けた相撲は振り返らないようにした」と気持ちを切り替えて土俵に上がっていた。
昨年九州場所と今年の初場所で2場所連続優勝次点と気を吐いた。
賜杯に届かなかった悔しさはもちろんあるが「自信もそうですし、その時の緊張感との接し方も分かってきた」と大きな経験となった。
優勝争いの行方はまだまだ分からないが、横綱不在の場所とだけあってチャンスは十分にある。
「最近はやってなかったけど今はゲームをしています」と話すなど、リラックスモードで中盤戦に臨む。
幕内でただ1人の全勝力士となった西前頭9枚目の阿武咲(24=阿武松)に、協会トップの八角理事長(57=元横綱北勝海)も期待を寄せた。
過去4勝5敗で同7枚目の碧山(34=碧山)を押し出して無傷の5連勝。
先場所は初日からの13連敗で2勝13敗と大負けし、押し相撲の難しさを露呈した阿武咲だが、歯車がかみ合った感のある今場所は正反対の連勝街道を走る。
その押し相撲で横綱まで上り詰めた八角理事長は「押し相撲というのは、1つ勝つと流れが良くなる。このまま連勝を伸ばしてほしいね」と、上位陣の奮起を求める意味でも、平幕の大暴れに期待した。
残り10日の相撲にも「頭で考えて動くのではなく、自分から動く、体が勝手に動くというよう(な感覚)になれればね」と期待を込めた。
東前頭16枚目の旭大星(30=友綱)が秋場所5日目の17日、日本相撲協会に「左アキレス腱断裂。約6週間の加療を要する見込み」との診断書を提出し、休場した。
4日目の志摩ノ海戦で寄り倒された際、左足を痛めていた。
旭大星の休場は2018年秋場所以来3度目。
今場所は4日目を終えて2勝2敗だった。
5日目の対戦相手だった明生は不戦勝になる。
2020/09/17
大関朝乃山(26=高砂)が待望の初日を出した。
力強い突き押しがウリの平幕の北勝富士を、寄り倒しで下して3連敗から脱出。
3連敗を喫した前夜、師匠の高砂親方(元大関朝潮)と一緒に食事をして気持ちを切り替えた。
横綱不在の場所で後れを取ったが、ここから巻き返しを狙う。
三役以上で唯一無傷だった関脇正代が、平幕の照ノ富士に負けて初黒星。
勝ちっぱなしは阿武咲と新入幕の翔猿の平幕2人だけとなった。
勝負を決めた朝乃山に明るい表情はない。
むしろ「まだまだ」と言わんばかりの厳しい顔つきだった。
2日目から3日連続で取材に応じなかった。
横綱不在の場所で初日から3連敗。
ようやくの初日に、満足するはずがなかった。
朝乃山らしい、前に出る力強い相撲だった。
立ち合いで右四つにはなれなかったが、引いた北勝富士に対して、しっかりと前に出てついていった。
はたきにも慌てることなく、体を寄せて右を差した。
土俵際で粘られたが生命線の右は差したまま。
最後は左手で豪快に土俵下に突き飛ばした。
3連敗を喫した前夜は、高砂親方と食卓を囲んだ。
弟子を気遣った師匠の計らいによるもので、たわいもない話に花を咲かせた。
精神面を気にした師匠から「大丈夫か?」と問われ「大丈夫です」と落ち込んだ様子は見せず。
高砂親方は「サバサバした感じだった。これなら大丈夫と思った」と安心したという。
師匠はこの日の相撲を「3日間は自分の形になれなかった。今日は右を差せたのが勝因」と評価。
連敗を引きずることなく、師匠も納得の相撲内容で白星を挙げた。
後れを取ったとはいえ、残りはまだ11日ある。
師匠からは「勝ち運に乗ってくれば流れが変わる。優勝争いを最後まで盛り上げる意味でも大関らしく千秋楽まで務めて欲しい」と期待された。
場所前には「引っ張っていかないといけない立場」と大関の自覚を口にしていた。
横綱不在の秋場所。
ここからその自覚を体現する。
2場所連続優勝を狙う東前頭筆頭照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、先場所敗れた関脇正代にリベンジを果たした。
立ち合いで左上手は取れなかったが、まわしにこだわらずに突いて出た。
最後は右をのぞかせ、土俵下に吹っ飛ばした。
先場所は14日目、勝てば優勝が決まる一番で圧力負けを喫した。
「先場所負けているのでしっかりと自分のかたちになってやろうと思っていた。リベンジというより今日の一番に集中した」。
2勝2敗と星を五分に戻した大関経験者は、5日目の大栄翔戦で関脇以上との対戦を終える。
「精いっぱいやるだけなので。明日から1日一番できることをやるだけ」と冷静に話した。
「おにぎり君」の愛称で人気の西前頭筆頭隆の勝(25=千賀ノ浦)が、3勝1敗の好成績で関脇以上との対戦を終えた。
関脇大栄翔を押し出し。
押し相撲同士の一番で、左おっつけ、右のはず押しが効果的に決まった。
「落ち着いて相手の突きをうまくいなせた。突きを止めることだけ考えていた。最後押し出すときは止められたので良かった」と手応え十分だった。
6人兄弟の大家族で育った25歳は、場所中に負けが込むと家族から「顔が死んでいる」などと指摘を受けるが、今場所はまだ連絡がない。
「勝ってるのであまり心配していないのかなと思う」と、笑顔で国技館を引き揚げた。
西前頭9枚目阿武咲(24=阿武松)が先場所からの連勝を6に伸ばした。
小兵の炎鵬に左を差されたが、構わずに抱えて寄り切り。
「とにかく焦らないことだけを意識して落ち着いていけた。(相手が小兵で)何がきても対応しようと思って、相手を見て落ち着いていけた」と、多彩な技を持つ相手を冷静に対処した。
初日から無傷の4連勝は阿武咲と新入幕の翔猿の2人だけ。
7月場所は初日から13連敗を喫するなど、苦しい場所を経験した。
先場所と比較した今場所好調の要因を「気持ちじゃないですか。しっかり集中してできている」と説明した。
新入幕の翔猿(28=追手風)が初日から4連勝を飾った。
192キロの魁聖(友綱)にまわしを与えず、はず押しから絶妙のタイミングのいなしから後ろにつき、送り出した。
「力負けせず、自分から動いてあせらされたと思います。前に出られてよかったと思います」と振り返った。
131キロの翔猿と約60キロ差。
体重差があるほど燃える。
「大きい相手に勝つほど、館内は盛り上がると思う」。
4連勝にも浮かれることなく、「ここから疲れも出てくると思う。集中していきたい」と引き締めた。
青森県十和田市出身の新十両・錦富士(24=伊勢ケ浜)が、初日から無傷の4連勝を飾った。
171キロと重い大翔鵬(追手風)を寄り切り。
「狙い通りではなかったが、我慢していった」。
部屋では7月場所で復活優勝を遂げた照ノ富士らの胸を借り、「勉強になっている」。
新十両場所だが気負いはない。
ここまで4日間を振り返り、「自分の相撲をとれていて、いいと思う」。
勝ち星とともに自信も重ねて、今後の土俵に臨む。
角界最年長力士、50歳の華吹(はなかぜ、立浪)が呼び出しにしこ名を間違えられるハプニングがあった。
東序二段84枚目の華吹はこの日、西序二段85枚目の神山(38=高砂)と対戦。
取組前、呼び出しの悠真(19)に「はなふくぃ〜」と呼び上げられてしまった。
悠真は兄弟子から間違いを指摘され、土俵上で呼び上げをやり直し。
今度は「はなかぜ〜」と正しく呼ばれた。
31歳年下のミスに、華吹はピリピリすることなく、柔らかい笑顔で見守った。
取組は、華吹が寄り切られて、今場所は1勝1敗。
50代最初の勝ち越しをかけて、残り5番に挑んでいく。
2020/09/16
大関朝乃山が、初日から3連敗を喫した。
7月場所で敗れた大関経験者の照ノ富士に上手投げで敗れた。
大関が初日から3連敗を喫するのは初場所の豪栄道(現武隈親方)以来。
先場所12勝の大関が、トンネルから抜け出せずにいる。
初日から2連勝の大関貴景勝は北勝富士に敗れ、今場所初めての黒星となった。
大関昇進を目指す3関脇は、正代が遠藤を圧倒して無傷の3連勝、御嶽海が初黒星、大栄翔が2敗目を喫した。
三役以上では正代以外が敗れる、波乱の1日となった。
正代が少しの迷いもなく相撲を取りきっている。
アゴが上がる、体が反り返る弱点を突かれようが今場所は、相手を自分の前に置いて馬力を生かした相撲を取るんだ、と集中しているようだ。
相手を目の前でなく、左右のどちらかに置くと弱点があだになるが、この日の遠藤戦のように2本差されようが相手を常に正面に置いて、体全体で攻めれば持ち前の体の柔らかさも生かせる。
最後に腹を使って圧力をかけたのも良かった。
早くも三役以上の勝ちっ放しは1人。
全勝は俺しかいない、などと意識すると肩に力が入ってしまう。
今場所も早くも混戦の様相だ。
7月場所で復活優勝を遂げた東前頭筆頭の照ノ富士(28=伊勢ヶ浜)が、大関朝乃山(高砂)を上手投げで今場所の初日を飾った。
「右四つでくると思ったら、もろ差しになられたんでちょっとあせりました」。
大関の流れで追い詰められた土俵際で左上手をつかむと、攻め返して最後は上手投げを決めた。
優勝を争った先場所も完勝した相手。
2連敗後の初白星となったが「特に何も。昨日の相撲は終わってるから。1日1番、自分のできることを思い切ってやりたい」と淡々と振り返った。
西前頭筆頭の隆の勝(25=千賀ノ浦)が、関脇御嶽海(27=出羽海)を押し出した。
立ち合いから押し込まれたが、相手の引きに乗じて前に足を運び、白星につなげた。
「落ち着いて取れたかなと思います。押して前に出ていけているので、力が伝わっているのかなと思います」と振り返った。
2日目の朝乃山戦に続き、上位撃破で2勝1敗。
「上の人と当たると、前に押すしかない。それだけを考えていくだけなので、変なことを考えずにすむのでやりやすいですね」と、勝因を口にした。
新入幕の翔猿(28=追手風)が初日から3連勝を飾った。
同じ2連勝だった琴勝峰(佐渡ケ嶽)を相手に動きよく、引っかけで勝利した。
「前に出てたんでいい相撲だったと思う」と自画自賛し、「ここから集中して白星につなげていきたい」と意欲を示した。
171センチ、131キロと幕内では小柄。「勝ったら自分はちっちゃいんで(館内が)盛り上がると思う。どんどん勝っていきたい」とこれからも勢いづく。
元横綱朝青龍のおい、西十両16枚目豊昇龍(21=立浪)が、2敗目を喫した。
右四つから旭大星に頭をつけられ、上手投げにも強靱な下半身で堪えたが、最後は寄り倒された。
張り差しを狙っていたが「失敗した。相手に読まれていた」と豊昇龍。
「相手が強いと思いました」と、幕内の壁を痛感した。
3日目を終えて1勝2敗となった。
21歳のホープは「今日の相撲を気にせずに切り替えていきたい」と前を向いた。
勝負審判が、取組の合間にトイレに行くという珍しい場面があった。
幕内後半の隆の勝−御嶽海戦後、審判を務めていた二子山親方(元大関雅山)が席を立った。
白房下が不在となり、NHK大相撲中継でアナウンサーが「お手洗いにいかれたようです」とリポートした。
二子山親方は、次の取組の正代−遠藤戦が始まる前に復帰。
時間前に立ち合うことがなかったため、進行には影響しなかった。
打ち出し後、電話取材に応じた伊勢ケ浜審判長(元横綱旭富士)は「腹痛を訴えていた。無理して座っていたらしい。差し込むような痛みで、どうしても我慢できずにトイレにいった」と説明した。
体調不良は打ち出し後に知ったという。
二子山親方の様子について「顔色も悪く、汗も出ていた」と明かした。
3日目から予定していた前相撲が行われないことになった。出場者が1人しかいないためで、昭和40年代に現行制度ができて以来初めて。
2020/09/15
元大関の西前頭11枚目・琴奨菊(36)=佐渡ケ嶽=は秋場所3日目の15日、日本相撲協会へ休場を届け出た。
協会に提出した診断書によると、「左下腿(かたい)肉離れで全治2週間の見込み」。
琴奨菊はこれまで1勝1敗で、この日取組が組まれていた東前頭11枚目・千代大龍(31)=九重=戦は不戦敗。
今後再出場することなく全休すれば、2005年春場所以来となる十両への陥落は免れなくなる。
電話取材に応じた師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)は「昨日(2日目)相撲を取ってる時に、『ブチッ』と音がしたということだった」と説明。
この日の朝、「まだ痛みがあり、今は足を着くことができない」と本人から電話で報告を受けたという。
今後の再出場の可能性については「よくなれば、本人は出たい気持ちはある。私は本人の気持ちを優先したい」と話した。
2020/09/15
連敗を喫した後に残った土俵下で、朝乃山はぼうぜんとした表情を浮かべた。
出場力士の中で最上位の東大関が初日に続く取りこぼし。
無念そうにうつむき、唇をかんだ。
ショックの色はありありで、珍しく報道陣の取材にも応じなかった。
過去2戦2勝だった隆の勝に不覚を取った。
おっつけられて右差しを封じられると、さらにはず押しで攻められた。
苦し紛れの小手投げで呼び込んで残す腰がなくなると、力なく寄り切られた。
初日の遠藤戦は攻め急いで落とし、この日は立ち合いの圧力を欠いて平幕に完敗。
場所前には「連敗したら上にいけないという覚悟を持ってやらないといけない」と気合を込めて語っていたが、皮肉なスタートになってしまった。
この2日間は、白鵬と鶴竜の両横綱不在によって一層重くなった看板力士の重責が空回りにつながったかのよう。
今こそ問われるのが、引きずらない精神面の強さだ。
初日に「切り替えて自分の相撲を取り切れるように頑張る」と誓った言葉を、胸に刻んで立て直していかなければならない。
休場明けの不安を払拭する貴景勝の連勝スタートだ。
頭で低くぶつかり、隠岐の海の胸あたりを両手で押す。
前傾姿勢を崩さす、一方的に押し出した。
初日の照ノ富士戦に続いての電車道。
先場所痛めた左膝は問題なく動いている。
取組後は集中力を高めているのか報道陣の取材に応じなかった。
代わって土俵下で見守った高田川審判長(元関脇安芸乃島)が解説。
「馬力がある。自分の一番いい形で取れている」と称賛の言葉を並べた。
大関昇進は昨年3月の春場所後。
以降、両膝や大胸筋などの負傷があり、目立った成績を残せていない。
本人にも危機感はある。
場所前には「地位が地位なので優勝しないと。前、優勝したのは小結のときだし。自分にハッパかけていかないといけない」と話していた。
元大関北天佑の次女と婚約も果たし、負けられない理由は増えた。
両横綱が休場し、同じ大関の朝乃山は序盤でつまずいている。
白星を重ね、番付の重みを示していきたい。
正代は馬力のある玉鷲を寄せ付けなかった。
やや立ち遅れたが、下がることなく右をのぞかせ、前へ前へと足を運んだ。
「立ち合いは少しおかしかったが、その後の出足はとても良かった」と納得の表情だった。
初日の隆の勝戦に続く快勝に「今のところは体がよく動いている。あとはこれを続けていくだけ」。
大関昇進も視界に入る場所で上々のスタートを切った。
大相撲秋場所(東京・両国国技館)2日目の14日、上松町出身で西関脇の御嶽海(出羽海部屋)は、東前頭筆頭・照ノ富士(伊勢ケ濱部屋)を送り出しで破った。
初日13日は東前頭2枚目・北勝富士(八角部屋)を押し出しで退けた。
大関昇進を視野に入れる御嶽海は、三役で2場所連続となる2桁白星に向け、弾みとなる連勝スタートを切った。
先場所、両上手を与えて手も足も出なかった照ノ富士に、今場所はまわしを許さなかった。
2度目で立った立ち合い、突き起こして先手を取ると、すかさず右に開いて相手を崩した。
北勝富士を立ち合いから圧倒して一気に押し出した初日とは違い、組まれないように考え抜いた相撲で2勝目を挙げた。
3日目の15日は、西前頭筆頭・隆の勝(千賀ノ浦部屋)と対戦する。
過去1勝1敗だが、立ち合いで後手に回る相撲が続く。
3月場所は押し出しに屈したが、7月場所は御嶽海が土俵際で踏みとどまり、はたきで仕留めた。
先場所、ともに11勝を挙げ今場所は大関昇進への足固めにしたい両関脇が、ともに快勝して連勝発進。
協会トップの八角理事長(57=元横綱北勝海)も相撲内容を含め評価した。
東関脇の正代(28=時津風)は押し相撲の玉鷲(35=片男波)を右、左とのぞかせながら、相手の突き押しを完全に封じ、お株を奪うように押し出した。
八角理事長が最初に発したのが「見違えるね」。
自身も押し相撲で最高位に上り詰めただけに「押し相撲の力士は、正代のように出られるのが一番いやなんだ。押し相撲の玉鷲に(いい内容で)勝って自信がつくだろう」と弾みがつくことを見通した。
ただ、胸を反らすような立ち合いについては「上位相手に、反っているようでは優位にいかない。もっとアゴを引いてほしいな」と注文も忘れなかった。
一方、先場所優勝の照ノ富士(28=伊勢ケ浜)を、いなして背後について送り出した西関脇御嶽海(27=出羽海)についても「押し勝って相手に力が伝わっているから、いなしが効く。押し勝つ相撲が大事」と「大関候補」と期待されて久しい優勝2回の実力者を評価。敗れた照ノ富士については「膝の不安が大きい気がする」と分析していた。
元大関豪栄道の武隈親方(34)が14日、断髪式(東京・両国国技館)を2022年1月の初場所後に延期することを明かした。
NHK大相撲中継の幕内解説の席で「世の中の情勢を踏まえまして、再来年の初場所後にやることになりました」と発表した。
今年初場所限りで引退した武隈親方は当初、来年1月31日に予定していた断髪式を同年6月5日に延期していたが、再延期を決めた。
大相撲の三役格行司、木村晃之助(55=九重)が、秋場所3日目から土俵に復帰する。
日本相撲協会は14日、秋場所3日目の取組表を発表し、幕内取組の行司に晃之助が加わった。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)はこの日、休場している晃之助について言及。
「木村晃之助は奥さんが(新型コロナウイルスの)接触確認アプリで通報があって、COCOAだったかな。それで大事を取って、きのう休んでPCR検査を受けて陰性と出た。奥さんも陰性。2人とも体調不良とかあったわけじゃないけど検査をして見極めたということ。いつ復帰とかちょっと聞いてないけど復帰してもおかしくはない」と説明していた。
2020/09/14
大関2場所目の朝乃山(26=高砂)が、小結遠藤に負けて黒星発進した。
立ち合いで得意の右四つになれなかったが、引いた遠藤に対して前に出て圧力をかけた。
しかし、勝負を決められずに攻めあぐねていると、遠藤に右差しを許し、左上手を取って強引に上手投げを狙ったが、すくい投げで転がされた。
「攻め急いで相手に形を作らせた」と反省した。
今場所は白鵬と鶴竜の2横綱が休場となり、東大関の朝乃山が出場力士の中で最高位となった。
新大関場所だった7月場所は12勝で優勝次点となり、弾みをつけてきた。
周囲からの期待も膨らんできただけに重圧がかかった可能性があるが「先場所と変わらないです」と平常心を見せた。
19年初場所以来となる初日黒星発進にも「明日から切り替えて頑張ります」と力強く話して会場を後にした。
小結遠藤が“朝乃山キラー”っぷりを発揮した。
結びで大関朝乃山と対戦。
もろ差しとなり相手の上手投げを堪えると、右足を引っかけてすくい投げ。
対戦成績を7勝4敗とし、合口の良さを示した。
小結に復帰した人気力士は「初日勝てて良かった。あまり細かいことを考えず、今日の一番を集中するだけだった」と無心を強調した。
7月場所は初日に横綱鶴竜から金星を挙げたが、今場所も初日に殊勲星。
「明日からまた頑張る。これからもっと(状態を)良くしていきます」と意気込んだ。
新入幕の翔猿(28=追手風)が、白星スタートを決めた。
志摩ノ海(木瀬)を寄り切り。
最後は砂かぶり席から土俵回りの記者席も跳び越える勢いだった。
「少しだけ緊張したが、自分の相撲を取り切れた。いい相撲でした」と自画自賛。
新しい締め込みは、後援者と相談の上、新型コロナウイルスと戦う医療従事者を激励する思いもこめて鮮やかな青色にした。
「コロナでみんなが大変な思いをしている。見ている人が楽しめる、元気づく相撲をとりたい」と意欲を示した。
ベテランの西前頭15枚目松鳳山(36=二所ノ関)が、コロナ禍のオンライン取材について寂しい胸の内を明かした。
張り手を交えて旭大星を押し込んだが、攻めきれずに押し出されて黒星発進。
取組後、先場所に続くリモートでの取材では「攻められたから良かった。先場所みたいにぺたっという(下に落ちる)負けはない。相手のうまさにはまった」と前向きに振り返った。
土俵には慣れたが、一方で新様式の取材にはなじめていない。
取組後は勝ち負けにかかわらず、ユーモアを交えた取材対応に定評のある36歳だが、リモートでの取材対応について「どうでしょう。なかなか難しい。真っ正面と画面越しでは若干温度差がある。対面で話したいですね」と“コメント力”を発揮できないもどかしさを明かした。
元横綱朝青龍のおい豊昇龍が新入幕初日を白星で飾った。
スピードある立ち合いから逸ノ城を寄り切り。
「集中していた。勝ってよかった」。
実績のある巨漢を相手に持ち味を発揮しての好発進。
「自分のことを信じて15日間取り切りたい」。
幕内の土俵に新風を吹き込むか。
新十両の西十両13枚目錦富士(24=伊勢ケ浜)が、関取1勝を挙げた。
同学年で同じ新十両の王輝を左から下手投げ。
「緊張感はなかった。上手かかったけど、(王輝の)まわしの質も違って一気に出ることはできなかった。これから感覚をなじませていきたい」と振り返った。
今場所から身につける青い締め込みは、横綱白鵬がかつて使用していた締め込みの色を意識した。
「白鵬関が関脇から大関に上がるくらいの締め込み。ダークな感じで小さいころからおしゃれだと思っていた」。
初日の1、2週間前から稽古でなじませてきた。
場所前には地元青森に戻ってあいさつ回り。
コロナ禍で短期間の滞在だったというが「青森県は相撲どころ。幕内に上がってなんぼだと言われた」と地元の期待を感じながら、さらなる出世を見据えた。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は秋場所初日の13日、力士19人の新型コロナウイルス感染が判明した玉ノ井部屋で陰性だった力士ら協会員が、この日から再検査を受けることを明かした。
「陰性になった訳だけど同じ空間にいる訳だから日を置いて発症することもある。見極めていく。部屋の消毒もしているけど100%ではない。発症するのがみんな同じ日ではないから」と検査理由を説明した。
陰性が再度確認された場合でも、力士らの途中出場はないとした。
また、新型コロナウイルス対策のガイドラインに違反したため、秋場所を謹慎している松ケ根親方(元前頭玉力道)と時津風親方(元前頭時津海)が、感染の有無を調べる検査を受けたことも明かした。
時津風親方は陰性で、松ケ根親方は結果待ちだという。
2020/09/13
大関貴景勝(24=千賀ノ浦)が、婚約発表後初めての場所を最高位として引き締める。
秋場所(13日初日、東京・両国国技館)を翌日に控えた12日、同所で恒例の土俵祭りが行われた。
貴景勝は初日に、大関経験者で7月場所優勝の前頭照ノ富士と対戦する。
両横綱の休場により、大関朝乃山とともに出場最高位力士として迎える今場所。
2年ぶりの優勝を果たし、公私をますます充実させる。
看板力士としての自覚は十分だった。
電話取材に応じた貴景勝は「番付最上位が両大関なので自分たちが一番、一生懸命やって結果を残していかないといけない」と責任感を口にした。
白鵬、鶴竜の両横綱が初日から休場。
1年で2度の幕尻優勝が生まれるなど波乱続きの本場所を、最高位として静める役割が求められる。
初日は照ノ富士との“新旧”大関対決が組まれた。
照ノ富士との対戦は17年名古屋場所の1度だけで、貴景勝が押し出しで勝利。
当時は貴景勝が西前頭筆頭で、照ノ富士が大関と逆の立場だった。
いきなり先場所覇者との顔合わせとなったが「自分が目指す相撲というのを取っていきたい。15日間どっかでやるんだから初日も何日も関係ない。やるか遅くやるかだけ」と、平常心を強調した。
“婚約場所”を飾りたい。
先月8月30日に元大関北天佑の次女で元モデルとの婚約を発表。
場所前には「1人の時も一生懸命やっているから特に変わることはないけど、いい成績を残したいと思うのはある」と意気込んでいた。
2度目の優勝を果たせば、嫁取り直後の綱取りが待っている。
大相撲秋場所(13日初日、東京・両国国技館)を翌日に控えた12日、同所で初場所と春場所の優勝力士への優勝額贈呈式が行われた。
初場所で幕尻優勝を果たした前頭徳勝龍(34=木瀬)と、春場所で44度目の優勝を達成した横綱白鵬の師匠、宮城野親方(元前頭竹葉山)が出席。
本来は5月の夏場所前に行われる予定だったが、夏場所が中止になり延期となっていた。
優勝額贈呈式の様子は日本相撲協会の公式ユーチューブチャンネルにてライブ配信された。
ライブ配信で徳勝龍は協会のインタビューに応じ「大相撲9月場所が明日から始まります。精いっぱい頑張りますので応援よろしくお願いします」とコメントした。
日本相撲協会の尾車事業部長(元大関琴風)は12日、報道陣の電話取材に応じて、現在禁止となっている出稽古について条件付きで解禁する可能性があることを明かした。
尾車事業部長は「場所後の休養期間を終えた後に出稽古をやっていけるんじゃないか」などと説明した。
秋場所前に力士会から、出稽古解禁の要望があった。
それに対して「コロナ禍の中では番付発表からの2週間の行動が一番大切。(感染した場合)2週間というのが1つの隔離期間。(感染者が出た場合)出稽古に行った部屋も(隔離)ということになる。だから番付発表前に出稽古を解禁できるように考えています」と説明した。
番付発表は原則、本場所初日の13日前に行われる。
番付発表後に出稽古を行い新型コロナウイルス感染が判明して2週間隔離となってしまうと、本場所初日に間に合わない計算となる。
そのため、本場所終了後から次の場所の番付発表までの間に出稽古を解禁できるよう、新型コロナウイルスの専門家らと話し合いを行って調整するという。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は12日、二所ノ関部屋付きの松ケ根親方(元前頭玉力道)に協会作成の新型コロナウイルス感染対策のガイドラインに基づく行動に違反したとして、秋場所(13日初日、東京・両国国技館)を謹慎させることを明かした。
松ケ根親方は7月場所後の8月6日に、PCR検査を受けた際に陽性反応が判明していた。
芝田山広報部長によると、詳しい内容は不明だというが不要不急の外出があったという。
同広報部長は「2週間ごとに指針が決まっていてそれに違反した。意識が薄い。部屋持ちではなくても親方は同じ。部屋に稽古を見にいくのだから(新型コロナウイルスを)持ち込む可能性はある。何のための講習会だったのか。協会が一丸となって持ち込ませないようにしている。浅はかすぎる。非常に軽く考えている」などと厳しい言葉を並べた。
11日には同様の理由で、時津風親方(元前頭時津海)が謹慎となった。
松ケ根親方の処分は時津風親方と同様に、危機管理委員会、コンプライアンス委員会で調査を行い、秋場所後の理事会で決まる見通しとなっている。
大相撲秋場所(13日初日、東京・両国国技館)を翌日に控えた12日、同所で本場所の安全を祈願する恒例の土俵祭りが行われた。
先場所に続き非公開で行われ、日本相撲協会の公式ユーチューブチャンネルにてライブ配信された。
新型コロナウイルス感染予防のため三役以上の力士は出席しなかったが、約700人の視聴者がライブ配信を通じて土俵祭りの様子を見守った。
2020/09/12
日本相撲協会審判部は11日、東京・両国国技館内で審判部による大相撲秋場所(13日初日、両国国技館)の取組編成会議を開き、初日と2日目の取組を決めた。
白鵬(35=宮城野)鶴竜(35=陸奥)の両横綱は、ともに診断書を提出し休場が決まった。
2人以上の横綱全員が初日から不在となるのは、1場所15日制が定着した49年夏場所以降では、83年夏場所の千代の富士、北の湖以来37年ぶりの事態となった。
白鵬は7月場所を右膝負傷で13日目から休場し、8月13日に内視鏡手術を受けていた。
診断は「右膝蓋大腿靱帯損傷と関節内巨細胞腫」で今後約3週間のリハビリを要する見込み、とされた。
宮城野部屋関係者によると、ここまで相撲を取る稽古までに至っていない状態だったという。
また7月場所を2日目から休場する原因となった右肘の負傷が完治には至らず、2週間ほどの加療が必要と診断された。
9日に報道陣の電話取材に応じた際にも、本格的な稽古を再開できていない状況を明らかにしていた。
大相撲の横綱白鵬(35=宮城野)が秋場所(13日初日、東京・両国国技館)を初日から休場することが決まった11日、師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)が白鵬の状態を説明した。
師匠によると、日本相撲協会には「右膝蓋大腿靱帯損傷、関節内巨細胞腫で今後約3週間のリハビリテーション加療を要する見込み」との診断書を提出。
8月13日に関節鏡視下手術を行い、その後は治療をしてきたという。
「これからリハビリして稽古という感じ。まだそんきょもできない状態。先生が言うには良くこの形で相撲を取れたねと不思議に思ったくらい悪かったみたい」と説明した。
11月場所の出場についても、師匠は「ギリギリ取れそうな感じですね。今の感じで行くと」と不安視していた。
大相撲の横綱鶴竜(35=陸奥)が秋場所(13日初日、東京・両国国技館)を初日から休場することが決まった11日、師匠の陸奥親方(元大関霧島)が「進退懸けてやらなきゃいけないところまできている」と、横綱として後がない状況まできているとの認識を示した。
鶴竜は7月場所では右肘の負傷を理由に2日目から途中休場した。
師匠によると、休場の原因はその右肘で「状態があんまり良くない」と説明した。
鶴竜は秋場所までの約1カ月の調整期間で、出稽古が解禁されないまま稽古を重ねる不安を何度も口にしていた。
9日に報道陣の電話取材に応じた際は、本格的な稽古が再開できていないことも明らかにしていた。
2場所連続休場明けとなる11月場所は、横綱の責任を果たさなければいけない場所になる。
師匠は「完全に100%良くなることはない。気持ち的にもうこれでやって、ダメだったらいろいろ考える部分もあると思う。本音はどうなのか分からないが、そういう気持ちはあるんじゃないか。休んでやることやって次の場所に取れれば、本人も答えが出るんじゃないかと思う」と、鶴竜の心境を察した。
大相撲秋場所(13日初日、東京・両国国技館)で2場所連続優勝を目指す東前頭筆頭照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、初日に大関貴景勝(24=千賀ノ浦)と対戦することが決まった。
2人の対戦は17年名古屋場所以来2度目。
当時の番付は正反対で照ノ富士が大関、貴景勝が西前頭筆頭だった。
3年ぶりの対戦に照ノ富士は「やれることやるだけなんで。別にどうこうってことは全くない」と多くは語らなかった。
照ノ富士が番付を下げている間に、貴景勝は大関まで駆け上がった。
24歳の大関の印象を照ノ富士は「もともと地力もありましたし、よう稽古してましたし、上がるなっていうのは分かってた」。
復活優勝を果たした先場所と違い、序盤から上位と当たる展開。
「逆にどうせ当たる。いつ当たってもいいようにと思っている」と、不安は口にしなかった。
「できるなら誰でも優勝したいと思ってますから。そのとき誰が一番頑張ったか、誰が一番調整できたかっていう人が優勝するんじゃないですか」
史上最大の復活劇を果たした大関経験者は、今場所も主役に名乗りを上げる。
25歳での若さの決断に、角界に衝撃が走った。
木瀬部屋の十両木崎海が、8月27日に現役を引退した。
引退の理由は慢性的に抱えていた首の痛みで、手にもしびれが及んでいたという。
鳥取城北高で高校横綱に輝いた木崎海は、日大では4年時に全日本選手権で3位となり、三段目100枚目格付け出しとして18年春場所でデビュー。
将来を嘱望されていた。
師匠の木瀬親方(元前頭肥後ノ海)は「真面目な人間。なあなあに取っていくのも心苦しかったんだと思う」と弟子の心境を察した。
首の痛みについて、師匠に相談はあっても弱音を吐くような様子はなかったという。
中途半端な状態で相撲を取るべきではないと判断した木崎海の意思を、木瀬親方は「勇気がいること。男らしいと思う」と評した。
実直な雰囲気で土俵外では“癒やし系”として知られていた。
十両の優勝争いに加わった昨年九州場所。
取材が終わると毎日、立ち止まって報道陣に「ありがとうございます」。
丁寧にペコリと頭を下げる姿は、関取の中でも異彩を放っていた。
最近の最も高い買い物を問われると、10万円の電動アシスト自転車と答え「出稽古まで行くのに坂が多いから助かるんです」と笑みを浮かべた。
巡業先では毎日欠かさず土俵に上がるなど、稽古熱心さでも存在感を放っていた。
木瀬親方も「相撲に対しては純粋に取り組んできた。巡業中も真面目に取り組んでいると聞いていたので」と誇らしそうに振り返った。
木崎海の出身地は沖縄県うるま市。
同県出身の関取は7月場所時点で兄の十両美ノ海(27=木瀬)と2人だけで「いい成績を残して地元を盛り上げたい」と何度も語っていた。
今後、両親と相談しながら治療先の病院を探すという。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は11日、新型コロナウイルス感染が判明した玉ノ井部屋の力士19人全員が、医療機関に入院したことを明かした。
協会は10日に、十両富士東と幕下以下の力士17人が新型コロナに感染したことを発表した。
5日感染した幕下以下の力士1人を含め、同部屋の感染者は19人となっていた。
10日の発表時点では19人の内、12人が入院しているとしたが、その後同日に加えて3人が入院したという。
そして、この日の午前にさらに4人が入院したことを明かした。
力士らが入院している医療機関について「1箇所ではなく、振り分けられて病院に入っている」と説明。
現在、玉ノ井部屋には陰性だった協会員しかいないというが「万が一があるから外には出せない」と話した。
日本相撲協会の伊勢ケ浜審判長(元横綱旭富士)が11日、10日に新型コロナウイルスの集団感染が判明し、秋場所(13日初日、東京・両国国技館)を休場することになった玉ノ井部屋の力士について、番付の扱いを場所後の番付編成会議で話し合うことを明かした。
取組編成会議が両国国技館で行われたこの日、電話取材に応じ「どうする、こうするとはっきり決めるんじゃなくて、やっぱり番付(編成会議)の時にまた考えて対処していきたい」と話した。
2日後に迫った秋場所については、2場所連続優勝を狙う弟子の東前頭筆頭照ノ富士(28=伊勢ケ浜)に期待を込めた。
照ノ富士は初日に大関貴景勝と対戦。
「照ノ富士は古傷というかけがもあるし完全に治っていない。自分の持っているもの出せるものをしっかりだして頑張って行くだけ」とエールを送った。
白鵬、鶴竜の両横綱が休場し、複数の横綱が休場するのは37年ぶりと異例の場所となった。
伊勢ケ浜審判長は「協会の看板が2人とも休場ということで、ちょっと残念な感じがします。けがとかそういうのがあればしょうがないというのはありますよね」と残念がった。
朝乃山、貴景勝の両大関が最高位となり「場所を盛り上げて、両大関が引っ張っていかないといけない」と看板力士としての役割を求めた。
7月場所では感染対策として、物言いがついた際は親方同士が土俵上で距離を取って協議を行った。
伊勢ケ浜審判長は審判部での感染対策について「先場所と同じです」と、秋場所も“ソーシャルディスタンス”での協議を継続することを明かした。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は11日、時津風親方(元前頭時津海)が協会作成の新型コロナウイルス感染対策のガイドラインに基づく行動に違反したとして、秋場所(13日初日、東京・両国国技館)を休場、謹慎させることを明かした。
時津風部屋の師匠代行は枝川親方(元前頭蒼樹山)が務めるという。
違反行動の詳細については明かさなかったが、同広報部長は「要するに外出といっても協会が決めている。場所が終わってからここまで知人との会食はいいですよとか、ゴルフ行ってもいいですよとか、映画いっていいですよとか決めごとがあったと思う。そういった中で違反行為があった」と大枠を説明した。
協会は徹底した感染対策に取り組んできた。
芝田山広報部長は「外に出るなと言っているわけじゃない」と前置きしつつ「師匠である以上、自分の弟子を抱えている以上、しっかりとそのあたりの管理をしなきゃいけない立場の人が、安易な行動違反をしてしまうことでこういうことになる」と強調した。
2020/09/11
日本相撲協会は10日、十両富士東(33)ら玉ノ井部屋に所属する18人の力士が、新たに新型コロナウイルスに感染したことを発表した。
同部屋では5日に幕下以下の力士1人の感染が確認されており、同部屋の感染者数は合計19人となった。
そのうちの12人はすでに医療機関に入院しており、いずれも軽症。
ほかの7人は無症状で東京・足立区の部屋内で隔離されており、近日中に入院治療を行う。
師匠の玉ノ井親方(43=元大関栃東)と所属力士28人は、陰性者も含めて全員が秋場所(13日初日、東京・両国国技館)を全休する。
芝田山広報部長(57=元横綱大乃国)は、所属力士の番付編成上の救済措置について「審判部が場所後の会議で決める。今の段階では申し上げられない」と前置きした上で「感染したことが悪いわけではない。何らかの形を取らないといけない」と検討する可能性を示唆した。
また、芝田山部長は秋場所の開催について「ほかの部屋から体調不良の報告はない。9月場所の開催に関しては全く問題ありません。感染対策をしっかりやっている」と説明した。
7月場所をケガで途中休場した白鵬(35=宮城野部屋)、鶴竜(35=陸奥部屋)の両横綱は調整が大幅に遅れ、秋場所への出場が厳しい情勢となった。
複数の横綱が初日から休場して不在となれば、1983年夏場所の千代の富士、北の湖以来、37年ぶりの非常事態となる。
関係者によると、この日の白鵬は稽古を回避して治療を受けたという。
先場所は初日から10連勝を飾りながら、右膝を負傷して13日目から休場。
8月に内視鏡による手術を受けたものの、稽古場で相撲を取れる段階には回復しなかった。
鶴竜は右肘を痛めて先場所2日目から休場し、それ以降は本格的な稽古を再開できていない。
9日には「体が全体的にできていない」と万全には程遠い状態を認めていた。
白鵬の師匠の宮城野親方(元幕内・竹葉山)、鶴竜の師匠の陸奥親方(元大関・霧島)はこの日、報道陣に対応しなかった。
両横綱は故障が目立ち、令和になってから7場所で、休場はともに4場所に及んでいる。
荒磯親方(元横綱・稀勢の里、本紙評論家)が東海ラジオ(本社・名古屋市)で冠番組を持つことになり、10日にリモートで初収録に臨んだ。
番組は10月5日スタートの「荒磯親方 横綱人生道」(月曜午後7時、本場所開催中を除く)。
現役の親方が民放ラジオ局にレギュラー出演するのは極めて異例で、大相撲の普及の一環として、少年時代からの生い立ちや相撲道で培った人生観などについて語る。
「荒磯親方に聞く!」のコーナーでは、視聴者からの質問や人生相談を受け付ける。
「プライベートの相談に乗るのは難しいが、どこか相撲に通じるところがあると思う」と元横綱の視点で答えていく。
また「横綱人生応援歌」では現役時代からの思い出の曲を紹介するという。
2020/09/04
横綱白鵬が右膝の手術を受け、秋場所の出場がピンチとなっていることが1日、明らかになった。
4カ月ぶりの再開となった7月場所で、白鵬は古傷の右膝を痛め、優勝の可能性を残しながら13日目から休場。
半月板損傷などで約2週間の加療を要する見込みとの診断書を提出し「今はただ一日も早く土俵に戻れるよう、新しいけがと自分の体に向き合い、治療致します」とコメントしていたが、8月に内視鏡による手術を受けていた。
柔軟運動はしているものの、四股やすり足を行うまでには至っていない状態。
初日まで2週間を切った段階で、本格的な稽古再開の見通しが立っていないという。
衰えが指摘されている白鵬は、ここ3年の17場所中、5度優勝も、10度が休場。
一昨年10月に右膝の内視鏡手術を受けた直後の九州場所は全休している。
関取最年長の琴奨菊がこの日、両国国技館を訪れ、新型コロナウイルス対策として禁止されている出稽古の解禁を、協会幹部へ要望した。
力士の意見をまとめ、1つの部屋に集まるのが難しいのであれば、国技館の土俵を使って広い空間で行うことなどを直談判したようだが、秋場所前は認められず。
芝田山広報部長は番付発表後の出稽古について、PCR検査を必要とし、陽性者が出た場合の対応の関係で日程的に困難との見解を示していた。
大関朝乃山が幕下力士から刺激を受けて秋場所に臨む。
東京・墨田区の高砂部屋での稽古後に報道陣の電話取材に応じた。
番付発表翌日の1日から相撲を取る稽古を再開し、2日は部屋の4人の幕下力士との申し合い稽古で10番ほど取ったという。
本来、場所前は出稽古で調整するが新型コロナの影響で禁止。
ただ、関取を目指す若い衆との稽古に「刺激になる部分がある。自分もそれに負けないように。自分の役目は4人の幕下の子たちを、上にあげること」と話すなど、大関としての自覚も芽生え、心身ともに充実している。
大相撲の大関貴景勝(24=千賀ノ浦)が3日、婚約発表後初めて電話取材に応じた。
8月30日に元大関北天佑の次女で元モデルとの婚約を発表。
秋場所に向けて「1人の時も一生懸命やっているから特に変わることはないですけど、いい成績を残したいと思うのはある」と淡々と意気込んだ。
周囲からの祝福は「ぼちぼち」受けたという。
伴侶を得て、身の回りのサポートを受けることによる好影響も「それは、やっぱり、はい」とうなずいた。
健康診断では、体重が前回から14キロ増えて183キロとなった。
「着物とか帯とか羽織の中に携帯を入れているから(計測は)あてにならない。(体重が増えた感覚は)変わっていない」。
違和感なく動けていることを強調した。
本場所に向けて“馬肉パワー”を注入している。
猛暑の中で馬肉を好んで食べていることを明かし「刺しでもいくし、桜鍋とか。タンパク質が高くて、脂質も少ない。食べやすいのもあって、おいしいからしっかり食べるようにしている。馬肉だけにこだわらずに、いろんなものをちゃんと、しっかり食べるようにしています」。
外出自粛期間中は栄養学を今まで以上に熱心に勉強してきた。
この日、都内の部屋で行われた朝稽古では、関取衆と相撲は取らずにぶつかり稽古などで体を動かした。
7月場所で途中休場する要因となった左膝の状態については「悪くないと思う」と説明。
初日まで10日間。
出稽古が解禁されないまま初日を迎えることになるが「うちは強いお相撲さんがいるので。しっかり仕上げて、頑張っていきたい」と、力強く話した。
大相撲の関脇正代(28=時津風)が3日、大関昇進に向けてマイペースを強調した。
3日、電話取材に応じ、大関とりの期待が高まっていることについて「ちらほら声をかけられますけど、まだそこまで意識というほどじゃない。変に自分の相撲を崩すことにならないように、自分の相撲を取りきってそういう結果もついてきたら」と意気込んだ。
秋場所(13日初日、東京・両国国技館)に向けてこの日は弟弟子の東前頭4枚目豊山(26)との三番稽古に臨んだ。
10番取って8勝2敗。
「まだちょっと体が硬い」と振り返ったが「特にけがもなく稽古ができている。(場所の)間隔が短いのはちょっと大変だけど、そこまで気にすることもない」と話した。
大関とりだけでなく、自身の“嫁とり”にも言及した。
先月30日に大関貴景勝が婚約を発表。
若い力士に結婚ラッシュが続いているが「行き遅れじゃないですけど(笑い)。変に周りに合わせてすることでもない。自分には自分のタイミングがある」と笑みを交えて語った。
新関脇の大栄翔が、健康体で大相撲秋場所(9月13日初日、東京・両国国技館)を迎えることをテーマに掲げた。
埼玉・草加市の部屋で、十両大奄美らと申し合い稽古。
19番取って16勝。
「立ち合い、しっかり当たることと突き押しで攻めること」を意識したという。
今年に入って、これまで以上に、体調面に気を使い始めた。
積極的に、多くの野菜を摂取しているという。
「病気が怖いので野菜をバランスよく食べないといけない。部屋では酢玉ネギを食べています。健康にいいらしい」。
相撲はもちろん、しっかりと体調も整える。
関取最年長の琴奨菊がこの日、両国国技館を訪れ、新型コロナウイルス対策として禁止されている出稽古の解禁を、協会幹部へ要望した。
力士の意見をまとめ、1つの部屋に集まるのが難しいのであれば、国技館の土俵を使って広い空間で行うことなどを直談判したようだが、秋場所前は認められず。
芝田山広報部長は番付発表後の出稽古について、PCR検査を必要とし、陽性者が出た場合の対応の関係で日程的に困難との見解を示していた。
大相撲の東前頭4枚目豊山(26=時津風)が、大関昇進を目指す兄弟子を手本に飛躍を目指すことを誓った。
31日、都内の時津風部屋で兄弟子の関脇正代(28)との三番稽古に臨んだ。
豊山は好調な兄弟子に続きたい。
三番稽古で大関候補の正代と10番取ってわずか2勝。
「もうめちゃくちゃ強い。力ついてきたというレベルじゃない」と差をつけられたが、正代が上位で安定して勝てるようになったのはここ3場所のこと。
豊山も「自分も1つ、殻を破れたり、自分の中ではじければ、何か変わると思って。そこは吸収できればいい」と、飛躍のきっかけを模索している。
2020/09/02
日本相撲協会は8月31日、東京・両国国技館で理事会を開き、この日、新番付が発表された大相撲秋場所(両国国技館)を当初の日程通り、9月13日初日で開催することを決定した。
▽変わらず 横綱、大関の顔触れは変わらず。大関で朝乃山と貴景勝の東西が入れ替わった。
▽新関脇 東西の正代、御嶽海はそのまま。大栄翔が新たに就いた。埼玉県出身は若秩父以来57年ぶり。3関脇は17年九州場所(御嶽海、嘉風、照ノ富士)以来で大関経験者なしの3関脇は11年秋場所(琴奨菊、稀勢の里、鶴竜)以来。
▽返り咲き 小結は先場所西の隠岐の海が東、西は遠藤が2場所ぶり復帰。
▽明暗 先場所幕尻優勝の照ノ富士が一気に16枚番付を上げて東前頭筆頭に。出場停止処分の阿炎は9枚下げ西前頭14枚目。
▽新入幕 翔猿は追手風部屋から10人目の幕内。兄英乃海との史上11組目の兄弟幕内。元横綱朝青龍を叔父に持つ豊昇龍はモンゴル出身では27人目、外国出身では50人目の幕内力士。
▽新十両 王輝は新潟県出身では戦後17人目、錦富士は青森県出身では戦後65人目。
大相撲秋場所(13日初日、東京・両国国技館)で再入幕を果たした東前頭13枚目明生(25=立浪)が、番付発表から一夜明けた1日、茨城・つくばみらい市の部屋で稽古を行った。
新入幕の豊昇龍や十両天空海らと計19番相撲を取った。
稽古熱心で知られる明生だが「暑いので長々とはできない。一番一番集中してやっていこうという感じ」と電話取材で話した。
1月に左肘を負傷し、体の管理についても考え方が変わったという。
「無理をしないように、けがをしないような体をつくらないといけない。でもけがをした後は自分の体をいたわってしまうので、そしたら追い込むことができない。それはだめだし、そこらへんが難しかった。でも学べたことだと思います」と明るい声だった。
以前からトレーナーを雇って肉体強化に励んでいるが、外出自粛期間が続くここ数カ月は週に3、4回来てもらっている。「こんなに長く雇ったことはなかった。見た目、体つきは変わった。腕が使えるようになってきた。体幹、腹筋を集中してやっている。強くなってきている」と効果を実感。トレーナーは怪力を競う「ストロングマン」の選手で、現在は大学のラグビー部などでトレーニングを指導している。「どういうところの筋肉を使っているとか、全部教えてくれる」と、頼もしい存在とともに力をつけている。
昨年九州場所には西前頭2枚目まで番付を上げた実力者は、関取ながら国技館への移動に電車を利用することで知られていたが、コロナ禍で7月場所は車で場所入りした。
「(運転してくれるのは)知り合いだったり、おかみさんだったり、助かっています」。恩返しには本場所での活躍が一番。2場所ぶりの幕内の土俵に向けて「最高位を更新したい」と意欲を燃やした。
大相撲秋場所(13日初日、東京・両国国技館)で新入幕を果たした西前頭16枚目豊昇龍(21=立浪)が、幕内デビューに向けて調整のペースを上げた。
元横綱朝青龍をおじに持つサラブレッドは、番付発表から一夜明けた1日、茨城・つくばみらい市の部屋で関取衆や若い衆を相手に計8番相撲を取った。
電話取材に応じ「番付発表の次の、初の稽古なので軽くトレーニングしたり、軽く相撲を取った」とコメント。
3月の春場所、7月場所で不安を抱えていた腰の状態についても「大丈夫だと思う」と力強く話した。
新入幕の吉報は故郷モンゴルでも反響があり「(連絡は)ありました。『おめでとうございます』と。ニュースになっていると思う」と喜んだ。
新十両昇進が決まった昨年10月に帰郷して以来、モンゴルに戻っていないため、寂しい思いは「します」と答えつつも「やっぱり目指していることがあるので、それのために頑張らないといけない」。
いまは早期の出世に向けて相撲に打ち込む。
7月場所では同学年の東前頭12枚目琴勝峰(21=佐渡ケ嶽)が8勝7敗で勝ち越した。
高校時代から対戦経験があり、大相撲では2戦2敗。
「なんか熱くなってしまう。高校のときは勝てたけど大相撲では勝ったことがない」と特別視。
99年度生まれの同世代では元横綱大鵬の孫、納谷も幕下上位で奮闘しており「強いのになんで上がってこないんだろうと思う」と、関取昇進を待ち望んでいた。
2週間を切った初日までに「できれば何キロでもいいから太りたい」と、現在131キロの体重を増やすことが目標だ。トマトなど「好き嫌いは多い」タイプだが、間食にお茶漬けなどをかき込んで食事量を増やしている。
今場所は幕内下位だが、将来的には横綱、大関との対戦も熱望している。
「そのうち戦うんじゃないですか。フフフ」と不敵に笑った。
大相撲の中村親方(元関脇嘉風)が1日、都内で行われた、「一般社団法人 APOLLO PROJECT」設立の記者会見にリモート参加した。
同団体はサッカーのC大阪で活躍した山内貴雄氏が代表理事を、元ラグビー日本代表の広瀬俊朗氏らの元アスリートらが理事を務め、アスリートのセカンドキャリアなどをサポートする団体。
中村親方は、同氏らが熱弁した自身の現役時代の体験や引退後の活動、おのおのが考えるアスリートの価値などについて耳を傾けた。
中村親方は昨年秋場所に現役を引退し、現在は尾車部屋で後進の指導に当たっている。
会見中に「決断力」について問われた同親方は「部屋の若い衆は親方の指示に従って稽古をする。ただ関取になると、私の部屋(尾車部屋)では(師匠の尾車親方から)『番付が上がるも下がるも自己責任』と言われてほとんどを任せられた」と現役時には高い自己決定力が必要だったことを明かした。
そんな中で「30歳を過ぎてから、33、34、35歳の時は若い時のように毎日相撲を取る稽古は行わずにトレーニングばっかりやっていた。トレーニングをやっていれば体は動くと勝手に仮説を立てていた」と悔やんだ。
一方で「たくさん稽古をして成績を残すということに疑問を抱いていた。晩年は若い衆と同じ稽古量はできないなと思っていた。実際に自分が若い時の100分の1ぐらいの量だったけど質は高めました」と現役時代の経験や考え方を明かした。
中村親方は、同団体が来年1月から展開する「アスリート向け教育事業(A−MAP)」に1期生として参加し、人材育成講義を受講するという。
同親方は「楽しみがたくさんある。1期生としてしっかり学んで、自分のいい所を発見して次につなげていきたい」と語った。
また「角界は辞めた後の次が厳しい。残れる人は少しだけ。指導者として何とかしたい。若い衆もだけど、関取衆もこの世界に残れる保証はない。そんな人に自分でよければアドバイスできればなと思う」と講義で学んだことを、後輩に伝えていく。
大相撲のドキュメンタリー映画「相撲道〜サムライを継ぐ者たち〜」が10月30日から公開されることが31日、分かった。
東京・墨田区のTOHOシネマズ錦糸町で10月30日から、中野区のポレポレ東中野で同月31日で始まり、ほかに全国で順次公開される。
制作会社によると、過去には初代若乃花など特定の力士に焦点をあてたドキュメンタリー映画はあるものの、大相撲全体をとらえる映画は初めて。
俳優の遠藤憲一がナレーションを務める。
18年12月から19年6月の半年間、元大関豪栄道(現武隈親方)らが在籍する境川部屋と、前頭竜電らが在籍する高田川部屋に密着した。
朝稽古や独特な相撲部屋での日常生活、本場所での激闘などを歴史、文化のさまざまな角度からひもとく。
相撲漫画家の琴剣淳弥さん(60)もコーディネートプロデューサーとして作品に加わり、劇中画を描き、自身も本編に登場する。
メガホンを取ったのは「マツコの知らない世界」をはじめ長年テレビの演出家として活躍し、本作が映画初監督作品となる坂田栄治氏。
坂田氏は「映画完成直後、新型ウイルスにより世界は変わり、大相撲の風景も変わりました。あの数カ月間、力士たちの激闘と観客の大声援を両国国技館で撮影できたのは偶然の奇跡。大迫力の大相撲の感動と、力士たちのドラマをぜひ劇場で体感してほしいです」とコメントした。
武隈親方は「相撲は、裸一つでぶつかり合う、シンプルでわかりやすい究極の闘いです。それが人の心を揺さぶり、奮い立たせてくれるのだと思います。若い世代にも、日本の伝統を守っている力士の姿を、劇場で見てほしいです」と呼びかけた。
竜電は「長期間の密着は初めての経験でした。所作の美しさ、力士の個性あふれる着物姿、武器を持たず自分の体だけで勝負する、語り尽くせない相撲の魅力を、相撲ファンはじめ、まだ相撲を知らない方や子どもたちに、映画を通じて感じてほしいです」と話した。
琴剣さんは「大相撲を体験した者としてお薦めできる映画。相撲界の“伝統”“厳しさ”の映像美そして音響の106分。この映画を見終わったあと、きっとあなたも国技館へ行きたくなっているでしょう」とコメントした。
2020/08/03
朝乃山(26=高砂)は、史上9人目の新大関優勝は果たせなかった。
自身の取組前に、単独トップの照ノ富士が勝って優勝。
偉業は達成できなかったが、関脇正代相手にしっかりと前に出る朝乃山らしい相撲で寄り切って、12勝で今場所を終えた。
「この2日間、悪い相撲を取ったし、最後はきっちりと大関らしい相撲、自分らしい相撲をと思った。目の前で優勝が決まったけど、自分は千秋楽の相撲があったので引き締めていきました」とすがすがしい表情を浮かべた。
初日から9連勝するなど、一時は優勝争いでトップに立ったが終盤に後退した。
12勝3敗という結果も「悔しい結果です。すごい自分は弱いなと思った」と厳しい自己評価。
横綱白鵬、鶴竜、大関貴景勝が途中休場するなどし「大関なので務めとか責任感とか考えすぎた」と、地位によるプレッシャーがあったという。
来場所に向けて「絶対に(悔しさを)晴らしたいです」と言葉に力を込めた。
関脇正代(28=時津風)は結びで大関朝乃山(高砂)に敗れ、11勝で終えた。
直前の相撲で照ノ富士が勝ち、その瞬間に優勝の可能性が消滅した。
「残念でした」。
ただ、相手は同じ学生相撲出身でライバル視する朝乃山。
過去3勝3敗の五分で意地をぶつけにいったが、押し出された。
「思い切りいった結果なんで」とサバサバと振り返り、「全体的に体もよく動いて反応もよかった」と今場所を総括した。
関脇で2場所連続勝ち越し、11勝をあげた。
大関へ着実に近づいている。「自信につながる場所。(大関に)上がれるよう頑張ります」と気合を入れ直した。
関脇御嶽海(27=出羽海)が自力で優勝の可能性をつなげられずに悔しがった。
照ノ富士(伊勢ヶ浜)に両上手を許し、強烈な圧力になすすべなく寄り切られた。
「しっかり自分の相撲を取りきれなかった。悔しい」と言った。
部屋に関取は1人だけ。新型コロナウイルス感染防止のため、出稽古も禁止された中、難しい調整で迎えた場所だった。
その中での11勝は「目標の2桁は達成できた」。
横綱白鵬を破るなど優勝争いを盛り上げ、殊勲賞を獲得した。
再び大関とりへの起点となる。
「来場所はその上を目指して頑張りたい」と早くも先を見据えた。
小結大栄翔が「勝てば」の条件付きの重圧を克服し、2度目の殊勲賞を獲得した。
2つの不戦勝も、11日目に横綱白鵬の連勝を止め、優勝争いを盛り上げた。
「しっかり自分の形で攻めることができた。4カ月空いたが、そこで考えながら稽古できた」と満足感を口にした。
三役で初めて勝ち越し、11勝まで星を伸ばした。
「続けてこの成績を残せるように」と意欲を示した。
14場所ぶりに幕内復帰した大関経験者の東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、30場所ぶり2度目の優勝を果たした。
◆記録ずくめの復活V 30場所ぶりの優勝は、琴錦の最長43場所ぶりのブランクに次ぐ。
優勝制度ができた1909年(明42)夏場所以降、平幕優勝は32人目。
幕尻優勝は00年春場所の貴闘力、今年初場所の徳勝龍に続いて史上3人目(1年に2度は史上初)。
返り入幕の優勝は徳勝龍以来。
優勝と優勝の間で十両以下に落ちたケースはなく、序二段まで落ちて幕内復帰を果たしての優勝は史上初。
照ノ富士が初優勝した15年夏場所は関脇で、関脇以下で2度の優勝は貴花田、琴錦、御嶽海らに続いて8人目。
同一年に平幕優勝が2度あったのは92年初場所の貴花田、名古屋場所の水戸泉以来28年ぶり。
東十両2枚目の翔猿(とびざる、追手風=28)が9勝目を挙げ、来場所の新入幕に前進した。
「うれしいですね。受け身になっていたが、前に出る相撲がとれた」。
今場所が自己最高位。
174センチ、120キロと小柄ながら、しこ名の通り軽快に動き回る相撲で、大きなチャンスを引き寄せた。
兄は西十両4枚目の英乃海(31=木瀬)。
幕内経験のある兄を目標にしてきたが、「前に出て攻める相撲をとっていきたい」と掲げた。
2020/08/02
優勝争いが、がぜん面白くなってきた。
自力優勝の可能性があるのは照ノ富士(28=伊勢ケ浜)だけで、千秋楽で3敗の御嶽海に勝てば復活優勝が決定。
負けた場合、御嶽海と並び、結びの一番に3敗同士で対戦する朝乃山(26=高砂)と正代(28=時津風)の勝者を含めた優勝決定戦ともえ戦に持ち込まれる。
この展開に協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は「(14日目の残り3番は)みんな優勝がかかった相撲だった。
横綱、大関の休場は申し訳ないが、これで(ファンには)勘弁してもらおう。役者がそろったような気がする」と興味深そうに話した。
優勝の可能性があるのは4人。
単独トップだけに「照ノ富士が有利だろうが、御嶽海も勝てば決定戦(に出られる)。集中力もあるし優勝経験もある。照ノ富士は(本割の)一発で決めたいだろう。いい相撲を取ってくれることを願ってる」と話した。
御嶽海が勝った場合、ともえ戦への“進出決定戦”となる結びの一番については、この日、照ノ富士を破った正代の力量を評価した。
「正代が力をつけているということ。押し上げて圧力をかけての、いなしだから効いた。それにしても堂々としていた。(大関候補の)自覚が出てきたような気がする。今までだったら(大関候補と)言われても『いやあ、僕は…』と言っていただろう。その気になってもらわないと困る」と期待。
一方の朝乃山については精神的重圧をおもんぱかった。
照強の奇襲、足取りに屈したことに「警戒は頭にはあっただろうが、集中が散漫だったのかな。優勝争いとか(番付最上位者として)勝たなければならないとか、いろいろなことで意識が散漫して集中できなかったのか。新大関にして、1人で背負うのは荷が重いのではないか」。
両横綱に、もう1人の大関(貴景勝)が途中休場。
角界の期待、重責を1人で背負わされたような朝乃山の心中を察するように話した。
関脇正代(28=時津風)が「混沌(こんとん)の千秋楽」に持ち込んだ。
単独トップだった元大関の照ノ富士を寄り切り、自身も初優勝の可能性をつないだ。
同じ関脇の御嶽海も3敗を守り、結びで大関朝乃山が照強に敗れる波乱で4人が優勝争いに残った。
正代か御嶽海が優勝すれば、13日目終了時点でトップとの2差を覆す史上初の大逆転劇となる。
異例の場所で最後にドラマをもたらすか。
興奮を抑えられない。照ノ富士を寄り切った正代はほえるように右の拳を振り上げた。
「好調な相手だったんで、前の日の夜から気合が入っていた。そういうのが出てしまったと思います」。
結果も内容も完璧な相撲に感情が爆発した。
「(対策は)いろいろ考えたけど、一番納得できる相撲は、自分は立ち合いなんで」。
勝負をかけた立ち合いはもろ差し。
左上手を許してもかまわず前に圧力をかけ、絶妙なタイミングの引き技でバランスを崩す。
逃さず右を差し、最後は土俵下まで吹っ飛ばした。
もろ差しは照ノ富士に抱え込まれるリスクもあった。
「きめられることも頭にあったが、中途半端に当たって持っていかれるなら、思い切って前に出ようと集中していた」。
13勝を挙げた今年初場所、14日目に徳勝龍に土俵際で突き落とされ、星1つ差で賜杯を逃した。
勝ちを意識して足が出ず、逆転された相撲を反省した。
味わった悔しさがこの日の相撲につながった。
自ら可能性をつないだ。
「(優勝は)意識しても硬くなる。頭の片隅に置いておくぐらいで」。
可能性がある4人でただ1人、優勝の経験がない。
追う立場でもあり、気持ちは楽に臨める。
「千秋楽なんで、楽しめればいいかなと思います」。
その千秋楽は結びで大関朝乃山に挑む。
先に照ノ富士が敗れていれば、決定戦への生き残りをかけた一戦。
そして賜杯が現実になれば、13日目終了時点で2差から初の逆転劇となる。
故郷の熊本・宇土市では毎場所、正代が勝つと3発の花火が打ち上がる。
もちろんこの日も。豪雨被害に見舞われた熊本の人々は願っている。
逆転優勝の可能性が残った御嶽海が、不敵な笑みを浮かべた。
単独トップの照ノ富士が2敗目を喫した後の一番で、琴恵光に力の差を見せつける会心の相撲で3敗をキープ。
相手の前に出る動きを利用しつつ、土俵際ですくい投げを決めて「土俵際は落ち着いてましたから。自分の相撲に集中できました」と照ノ富士の負けにも冷静だったことをアピールした。
千秋楽では1差につけた照ノ富士との対戦が組まれた。
勝てば結びの一番(朝乃山−正代)を待たずしてともえ戦が決まる。
場所前は出稽古禁止の影響からか弱音を吐くことが多かったが、ここまで地力を見せて優勝争いにしっかりと食い込んできた。
昨年秋場所以来、3度目の優勝に向けて「しっかり自分の相撲を取ることですね」と話し、一呼吸置いてから「最後に笑いたいなと思います」と締めて会場を後にした。
東前頭7枚目の照強(25=伊勢ヶ浜)が、初の結びで大関朝乃山(高砂)を破る波乱を起こした。
「昨日の夜から付け人の錦富士と相談して決めた」という作戦を実行した。
立ち合いすぐに潜って朝乃山の左足をとると、休まず一気になぎ倒した。
勝った瞬間、「頭が真っ白になった」と振り返った。
直前に同部屋の照ノ富士が2敗目を喫していた。
「照ノ富士関が負けたんで、もう1度単独首位に立たせてやろうと。それが実現できてよかった」。
自身の勝ち越しもかかっていたが、「自分の星どうこうより援護射撃の気持ちが強かった」という。
照ノ富士が再び単独トップに立って千秋楽。
169センチ、120キロの小兵は「部屋一丸となって盛り上げていければ」と最後まで気持ちでも援護する。
再出場した西前頭13枚目琴ノ若(22=佐渡ケ嶽)は、東前頭4枚目輝に敗れた。
押し相撲の相手を右四つで組み止めて前に出たが、仕留めきれなかった。
土俵際で体を入れ替えられ、テーピングを施した左膝でこらえる体勢になると、あっけなく土俵を割った。
8日目に「左膝(しつ)内障により7月場所の休場を要する」との診断書を日本相撲協会に提出して休場していた。
休場中は再出場を目指し「治療をしてしっかり治そうとやってきた」と振り返る。
元横綱琴桜の孫で、佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)の長男というサラブレッド。
師匠には「前に出るしかない。
とりあえず思い切りいけ」と言われていた。
左膝の状態については「力は入っている」と強調した。
千秋楽を残して4勝止まり。
幕内残留に向けて、千秋楽の竜電戦は負けられない一番になる。
西前頭17枚目琴勇輝(29=佐渡ケ嶽)が7月場所14日目の1日、日本相撲協会に「右膝外側側副靱帯(じんたい)損傷、右膝外側半月板損傷により全治1カ月の加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
琴勇輝は13日目まで6勝7敗の成績で、負け越しが決定した。
休場は今年の初場所以来で10度目。
14日目の対戦相手、松鳳山は不戦勝となる。
今場所の十両以上の休場者は白鵬、鶴竜の両横綱、外出しての会食が発覚した前頭阿炎らに続いて6人目となる(14日目から再出場の琴ノ若を含む)。
日本相撲協会の審判部は大相撲7月場所14日目の1日、打ち出し後に翌日の千秋楽の取組編成会議を行った。
2敗目を喫するも単独トップのままとなった平幕の照ノ富士は3敗の関脇御嶽海と、3敗に後退した新大関の朝乃山は同じ3敗の関脇正代との対戦が組まれた。
照ノ富士は勝てば優勝。御嶽海が勝つと、照ノ富士、御嶽海、正代−朝乃山戦の勝者、による優勝決定ともえ戦になる。
東幕下3枚目錦富士が5勝目を挙げ、来場所の新十両昇進を確実にした。
十両千代の海の突き押しをタイミング良くいなして送り出した。
幕下上位だった昨年秋場所で左肘を負傷し、2場所連続の休場から再起した。
「照ノ富士関も両膝のけがから復活した。『自分の相撲を取れ』と言われて、自信を持って臨めた」。
幕内で単独トップに立つ兄弟子を刺激に、関取の座に近づいた。
2020/08/01
横綱白鵬(35=宮城野)が7月場所13日目、日本相撲協会に「右膝半月板損傷、膝蓋大腿靱帯(しつがいだいたいじんたい)損傷、関節内血症により約2週間の加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
白鵬は12日目の関脇御嶽海戦で2敗目を喫して連敗し、取組後の土俵下で右足を気にするしぐさを見せていた。
休場は初場所以来。
13日目の相手、関脇正代は不戦勝で10勝3敗となる。
師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)は前日12日目の夜、白鵬が場所中に右膝を負傷していたことを明かしていた。
2場所連続45度目の優勝を目指していた白鵬は、10日目には横綱通算1000出場を記録。
初日から10連勝で節目の一番を飾り、優勝争いの単独トップに立っていたが、翌日の11日目に小結大栄翔に敗れて歯車が狂った。
鶴竜の休場で2日目から一人横綱として場所を引っ張ってきた。
2日目の取組直後には「託されたなと思って、1日1日頑張って千秋楽までやりたい」と話していたが、15日間を務めることができなかった。
4カ月ぶりに再開した本場所は、場所終盤に横綱不在となった。
御嶽海が輝を引き落とし、目標の2桁10勝に到達した。
攻め込まれた形だが「余裕あった。(俵までの距離が)分かっていたんで」と狙い澄ました引き技だった。
関脇で2桁は、12勝した昨年秋場所以来。
目指す大関への起点となる。それでも気を緩めることなく、「あと2日残っている。気を抜かないようにやっていきたい」と引き締めた。
隠岐の海がついに三役初勝ち越しを決めた。
小兵・炎鵬の動きをよく見て慎重に攻め、最後は体を浴びせるように押し倒した。
「うれしいです」としみじみ。
三役は今場所が7場所目(関脇2場所)。
7月29日に35歳となり、分厚い壁をようやく突き破った。
「あと2日あるんでしっかり、2桁を目指してやっていきたい」と緩めない。
大関経験者の東前頭13枚目高安(30=田子ノ浦)が、東前頭8枚目石浦(30=宮城野)を破って、昨年名古屋場所以来となる勝ち越しを決めた。
懐に潜り込もうとする石浦を何度もいなしながら、冷静に対応。
最後ははたき込みを決めて、1年ぶりの勝ち越しを決めた。
大関だった昨年名古屋場所は勝ち越すも、左肘の負傷で途中休場。
以降も左肩や右膝、腰を痛めるなどの故障が続いた。
昨年名古屋場所以降、皆勤したのは今年の初場所のみ。
番付も幕内下位にまで落ちた。
「立て続けにケガしましたから。苦しい1年だった」と振り返った。
それでも「励ましてくれた人がたくさんいたから、もう1回頑張ろうという気持ちになった。
『上位で戦う姿が見たい』と言われるので、これからまた頑張りたい」と周囲の声援が何よりの力になった。
5日目には現在単独トップに立つ照ノ富士に、唯一の土をつけた。
大関経験者同士の一番を「対戦した時は感慨深いものがあった。懐かしいような新鮮なような。自分より番付を落としたのに本当に励みになる」と振り返った。
今場所も残すところ2日。
「まずは今場所しっかりと自分の相撲を取って、来場所まで期間が短いからしっかりと準備していきたい」と秋場所(9月13日初日、東京・両国国技館)を見据えて、土俵に上がる。
新入幕の東前頭15枚目・琴勝峰(20=佐渡ケ嶽)が勝ち越しを決めた。
千代大龍(九重)に立ち合いは当たり負けも、うまく左からいなしながら、最後ははたき込んだ。
「内容はよくなかったが、勝てたのでよかった」。
勝ち越しに王手をかけてから3連敗と足踏みが続き、「(考えすぎは)あると思います。勝ちたい気持ちが強すぎた」。
気持ちの面で切り替えた。
「その日だけ反省して、次の日に持ち越さないようにしました」。
幕内最年少のホープ。
あと2番で2桁勝利の可能性もある。
「明日から前に攻められる相撲をとっていきたい」と気持ちを新たにした。
幕内トップの11勝1敗同士で優勝争いの大一番となった“新旧大関”による結びの一番は、大関から序二段まで落ちはい上がってきた幕尻の東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、新大関の朝乃山(26=高砂)に寄り切りで勝利。
2日を残し優勝争いで単独トップに立ち、1歩リードした。
協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は、報道陣の電話取材に対応。
取組前には「照ノ富士の柔らかさが生きるような気がする。(どちらにしても)いい相撲をお願いしますよ」と熱戦に期待を込めた。
その一番が終わり、照ノ富士の表情がテレビ画面に映し出されると「『俺が大関だっ』って感じだな」と意地を見せた大関経験者の心情をくみ取るように話した。
「(取組時間は)短かったけど、いい相撲だった」と振り返る一番で照ノ富士の勝因に挙げたのが「上手を切ったこと」とし「切り方がうまい。体も柔らかい」と分析。
敗れた朝乃山については、常々、話しているように上手の取り方、その位置について言及。
「あのような(横からつかむような)取り方だから。小さい人にはきくけど、大きい人を相手にすれば、このような結果になる。投げに行っても防戦一方だった」と振り返った。
場所は2日を残し、幕内優勝争いは1差をつけた照ノ富士がリードする展開。
それでも八角理事長は、照ノ富士有利かの問い掛けに「いや、そうとも限らない。まだまだ」とし、14日目の対戦が決まっている正代を含め「残りは正代と(対戦相手未定の)千秋楽は御嶽海でしょう」と予想。
両関脇が照ノ富士の復活優勝の鍵を握りそうだ。
さらに「朝乃山も、しぶとくついて行くこと。まだまだ千秋楽まで分からない」と、早ければ今日14日目にも決まる優勝争いが、千秋楽まで持ち込されることを期待した。
相撲観戦も“新様式”が求められている。
今場所は館内での飲食が奨励されていない。
開場時間は普段より5時間遅い午後1時で、観客が昼食を終えた時間を見越している。
横綱、大関の力士弁当は販売されず、食べ物は焼き鳥のみ。
焼き鳥は通常1日あたり約6万本作るが、今場所は同3000〜4000本と1割以下にとどまっている。
アルコールの販売は禁止。
観客同士で飲食しながら楽しむ今までの観戦スタイルは、当分できそうにない。
売店のグッズ巡りも寂しさが残る。
今場所の新商品はゼロ。
国技館内の販売を手がける「国技館サービス」の担当者も、10日目を終えた時点で来場所以降の課題として「グッズの少なさが一番」としている。
観客を入れての今場所開催が決定したのは初日の6日前。
在庫リスクを懸念して、新商品の販売を委託してくる外注先がなかったためだ。
一方で力士名が書かれたタオルが、オンラインでの販売を通じて売れ行き好調だ。
「感覚的には普段の4、5割は多い。自宅のテレビ観戦でタオルを掲げる需要がある」。
人気はぶっちぎりで新大関の朝乃山。
お茶の間から新しいかたちで声援が送られている。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は30日、新弟子のスカウト活動などを念頭に、協会員の原則的な外出禁止を7月場所後に緩和する方針を示唆した。
親方、力士ら協会員は、不要不急の外出禁止が続いている。
芝田山部長によると、千秋楽までに通達される予定。
同部長は「何らかの形で緩和してあげないといけない。緩和した中で感染予防を心掛けてもらわないといけない」と述べた。
外出先で泥酔し、厳重注意を受けた田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)はこの日から職務に復帰した。
2020/07/31
横綱白鵬(35=宮城野)が7月場所13日目、日本相撲協会に「右膝半月板損傷、膝蓋大腿靱帯(しつがいだいたいじんたい)損傷、関節内血症により約2週間の加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
白鵬はマネジャーを通じて「今はただ1日も早く土俵に戻れるよう、新しいケガと自分の体に向き合い治療いたします」と話した。
白鵬は12日目の関脇御嶽海戦で2敗目を喫して連敗し、取組後の土俵下で右足を気にするしぐさを見せていた。
休場は初場所以来。13日目の相手、関脇正代は不戦勝で10勝3敗となる。
師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)によると4日目の隆の勝戦で負傷し、前日12日目の御嶽海戦で悪化させた。
「血を抜いたり、水を抜いたり、いろいろやってここまできた。痛み止めを打ったようなかたちでやっていた」と師匠。
満身創痍(そうい)の中での本場所だったという。
2場所連続45度目の優勝を目指していた白鵬は、10日目には横綱通算1000出場を記録。
初日から10連勝で節目の一番を飾り、優勝争いの単独トップに立っていたが、翌日の11日目に小結大栄翔に敗れて歯車が狂った。
鶴竜の休場で2日目から一人横綱として場所を引っ張ってきた。
2日目の取組直後には「託されたなと思って、1日1日頑張って千秋楽までやりたい」と話していたが、15日間を務めることができなかった。
4カ月ぶりに再開した本場所は、場所終盤に横綱不在となった。
優勝争いは、1敗同士で13日目に直接対決が組まれた新大関の朝乃山と、返り入幕の照ノ富士が中心となる。
今場所の十両以上の休場者は鶴竜、12日目から休場した大関貴景勝、外出して数人との会食が判明した平幕阿炎らに続いて5人目となった。
2020/07/31
土俵際に思わぬ落とし穴が待っていた。
御嶽海に突き落としで敗れ、前日に続く連敗。
朝乃山、照ノ富士との優勝戦線から一歩後退した。
立ち合い、右で張って右上手をがっちり握った。
普段の横綱なら四つに組んで盤石の寄り、というところだが、少々違った。
左を差しきれず、両上手ながら土俵際へと寄り立てたが、御嶽海に体を開かれると勢いそのままに俵の外へ倒れ込んだ。
起き上がると、土俵に背を向けたまま膝に手をつき、大きく息をした白鵬。
痛めた膝をかばうように右足を引きずりながら、ゆっくり支度部屋へと戻っていった。
勝った御嶽海が「完璧に負けたと思った」と振り返れば、土俵下の高田川審判長も「いつもならもっと腰を落としてゆっくり、丁寧に取るはずだが……。膝かどこか、調子が悪いのか」と首をかしげる。
白鵬はここ連日、勝っても負けても取組後の取材を拒否。
言葉では語らないが、何らかの異変があるのは間違いなさそうだ。
北勝富士を豪快に投げてトップを守った。
左上手は遠く、右も深く差せなかったが、押し相撲相手に体を離さず前へ。
右で起こし続け、最後はその力で強烈にすくって土俵中央で裏返しにした。
白鵬が2敗に後退し、幕尻の照ノ富士と1敗で並んだ。
13日目はその大関経験者と直接対決。
以前、稽古した際には懐の深さや重さに驚いたといい、「胸を借りるつもりで思い切りいきます」。
賜杯の行方を左右する一番を見据え、気合を入れ直した。
12日目の30日、上松町出身で西関脇の御嶽海は、結びの一番で東横綱・白鵬を突き落としで破り、9勝目(3敗)を挙げた。
3場所ぶりの三役場所で大関とりの足場固めを狙う御嶽海は、目標の二桁勝利まであと一勝とした。
13日目の31日は、東前頭4枚目・輝と対戦する。
右で張られて右上手を許し、一気に攻め込まれた土俵際に逆転機が待っていた。
出足が足りない白鵬が勝ちを急ぎ、前のめりになった隙を見逃さず、浅く差した両腕を抜くように右に体を開き、横綱を土俵に転がした。
輝とは2年ぶりの顔合わせとなる。
平成30(2018)年7月場所が幕内での唯一の対戦で上背のある相手に対して御嶽海が距離を詰め、一気にもろ差しで仕留めた。
1敗を守った。
相手は栃ノ心。
ともに大関経験者の力自慢らしく、立ち合いから右四つがっぷりの力相撲になったが、相手の上手を切った照ノ富士が寄り切った。
全盛期を思わせる力強さ。
「今できることをやっているだけ」と冷静だが、今場所の目標にしてきた10勝目を早くも達成した。
「場所は終わっていない。やれることを全部やり切りたい」とさらなる復活を期す。
白鵬が敗れてトップに並び、面白い存在になってきた。
新大関の朝乃山と、一時は大関から序二段にまで番付を下げ、今場所幕内に戻ってきた前頭17枚目の照ノ富士が1敗で並び、優勝争いのトップに立っています。
13日目の31日は、その朝乃山と照ノ富士の直接対決が組まれました。
2人は初顔合わせで、いずれも右四つの形を得意とする力士だけに、がっぷり四つに組み合う展開が予想されます。
新大関の勢いと、どん底からはい上がってきた大関経験者の意地のどちらが勝るのか、ともに2回目の優勝を目指す力士どうし、底力が試される一番となります。
一方、横綱・白鵬は30日、関脇・御嶽海に敗れて2敗となり、トップの2人を星の差1つで追っています。
31日は、関脇・正代との対戦です。
過去の対戦成績は、白鵬が9勝2敗と勝ち越していますが、直近で対戦したことし3月の春場所では、正代が寄り切りで勝っています。
まともに胸を合わせれば、横綱の優位は動きませんが、正代には土俵際での独特の粘り腰があり、逆転勝ちも多い力士だけに、白鵬は得意の左上手を引くなど十分な形を作り、落ち着いて攻めていきたいところです。
ただ、白鵬は、30日の黒星のあと、土俵下で足を気にするしぐさを何度も見せていて、状態が心配されます。
2020/07/30
12日目、日本相撲協会に休場を届け出た。
前日の取組で8勝目(3敗)を挙げ、カド番を脱出していた。
師匠の千賀ノ浦親方によると左ひざの靱帯(じんたい)損傷との診断で、場所前の稽古で痛め、場所中に悪化したという。
貴景勝の休場は昨年名古屋場所以来。
12日目の相手、大栄翔は不戦勝。
2020/07/30
ただ1人全勝の牙城がついに崩れた。
立ち合い、大栄翔の圧力に足が滑ったようになり、押し返したもののいなされて後ろ向きに。
体勢を立て直せずに押し出された。
この日も取組後のリモート取材に応じず。
黙々と土俵に集中してきたが、思わぬ落とし穴にはまった。
11日目、御嶽海を押し出して勝ち越しを決め、カド番を脱出した。
突き押し同士の一番。
貴景勝が御嶽海のあごの下に頭から突っ込んだ。
とっさにはたき込まれて突っ伏したが勢いで勝り、僅差で白星。
今場所は、力強さに欠け、時折左膝を気にする仕草も見せており本調子ではないのは明らか。
だが、「万全です。人に何を言われようと、100%の準備をして土俵で一生懸命やって負けたら仕方ない」と一切言い訳をしない。
11日目、東前頭4枚目の輝を破り、10勝目を挙げた。
横綱白鵬が初黒星を喫し、元大関で東前頭17枚目の照ノ富士と3人が1敗でトップを並走する展開となった。
朝乃山は5場所連続の2桁勝利となった。
優勝争いを繰り広げる新大関は「まだ通過点。あまり口に出したくないが12番、13番、優勝が大関の務め。ここからが大事」と表情を一切変えなかった。
北陸対決を危なげなく制した。
輝の右喉輪をこらえてもろ差しになると、腰がよく下りた攻めで堂々と寄り切った。
10日目に初黒星を喫し「すごく悔しかった。けれど、自分の中ではうまく気持ちを切り替えられた」と振り返った。
錦戸審判長(元関脇水戸泉)は「盤石。大関相撲だ」とうなった。
看板力士として一つの責任を果たした。
大器が見据えるのはさらに先だ。
八角理事長(元横綱北勝海)も「これ(2桁勝利)で安心したら駄目」と話す。
2006年夏場所の白鵬以来となる新大関優勝に向け、残り4日間に全力を注ぐ。
ふるさと富山の期待を一身に背負う26歳は「緊張感を持っていく。自分自身との闘い。自分の相撲を取る」と力強く語った。
11日目、東大関・貴景勝に押し出しで敗れ、3敗目を喫した。
12日目の30日は、東横綱の白鵬と結びの一番で当たる。
御嶽海は立ち合いで相手の勢いにのまれた。
低く当たられ、上体が起きて引いたところを押されてあっけなく土俵を割った。
白鵬との対戦成績は一つの不戦勝を含めて3勝11敗。
前回対戦した3月の春場所では御嶽海が押し出しで敗れた。
11日目は全勝だった横綱・白鵬に土をつけ、7勝目を挙げた。
取組後にリモート取材に応じた大栄翔は「横綱とするときは毎回緊張しますけど、その中でも自分の力を出し切れた」と振り返った。
立ち合いは大栄翔が押し込むと、横綱がやや足をすべらせた。その後、横綱に押し返されるも、左に会心のいなし。
白鵬の後ろを取ると、そのまま押し出した。
土をつけられた横綱は表情に悔しさをにじませた。
2019年九州場所に前頭筆頭での金星奪取以来、3場所ぶりの白鵬撃破に「勝てたことは自信につながりますし、うれしいです」と白星をかみ締めた。
11日目、関脇正代から初白星を挙げた。
立ち合いで頭から激しくぶつかったが、正代にうまく受けられて押された。
土俵際へ一気に後退。
それでもタイミングよく体を開きながら、逆転の突き落としを決めた。
この日まで5戦全敗中だった正代から、初白星を挙げて勝ち越しに王手をかけた。
「自分の当たりを吸収される感じがあった」と正代に対して苦手意識があったというが「今日は踏み込みがよかったから突き落としが決まった」と納得の一番だった。
12日目は優勝争いでトップに立つ新大関の朝乃山と対戦する。
年齢も近く、プライベートでも仲がいい後輩に先に大関昇進を決められて「悔しい。その悔しさをぶつけたい」と意気込んだ。
11日目、約1年ぶりの勝ち越しを決めた。
低く当たってきた東7枚目照強を上から抱え込むようにして、懐に入られる前に一気に寄り切った。
「やってきたことをしっかり出せればと思って土俵に上がった」と胸を張った。
11勝を挙げた昨年春場所以来となる勝ち越し。
久しぶりに給金を直し「うれしいですね。自分の相撲が取れていることが、まだまだいけるという気持ちになる」と笑顔を見せた。
初場所、春場所は7勝8敗と、勝ち越しにあと1歩届かなかったが、しっかりと自分を見直して今場所に臨んだ。
「力を伝えるにはどうすればいいのか考えてきた。これからも固定概念をぶっ壊しながらやりたい」と若々しさを見せた。
1敗を守った。
相手は栃ノ心。
ともに大関経験者の力自慢らしく、立ち合いから右四つがっぷりの力相撲になったが、相手の上手を切った照ノ富士が寄り切った。
全盛期を思わせる力強さ。
「今できることをやっているだけ」と冷静だが、今場所の目標にしてきた10勝目を早くも達成した。
「場所は終わっていない。やれることを全部やり切りたい」とさらなる復活を期す。
白鵬が敗れてトップに並び、面白い存在になってきた。
12日目、1敗で横綱 白鵬と並んだ新大関 朝乃山は平幕の北勝富士と対戦します。
7月場所は盤石の相撲を続けていた白鵬が11日目の29日の一番で今場所初黒星を喫し、新大関の朝乃山と幕内復帰の照ノ富士とともに1敗で並びました。
12日目の30日、朝乃山は前頭5枚目の北勝富士との対戦です。
過去の対戦では5勝2敗と朝乃山が勝ち越しています。
朝乃山は足を止めずに攻めて、得意の四つ相撲に持ち込んで白星を伸ばしたいところです。
連敗を避けたい白鵬は、関脇 御嶽海との対戦です。
過去の対戦で11勝3敗と圧倒している白鵬は立ち合いから御嶽海の出足を止めて、まわしを取れば優位です。
一方、御嶽海は得意の突き押しに徹し距離を取り続けて、勝機を見いだしたいところです。
大関経験者で前頭17枚目の照ノ富士は優勝経験のある実力者、玉鷲との一番に臨みます。
29日に勝ち越しを決めた大関 貴景勝は、高校の先輩で同じ突き押し相撲の小結 大栄翔との対戦です。
2020/07/29
白鵬が節目の土俵で圧倒的強さを示した。
横綱で出場1000回目の前人未到の記録を打ち立て、北勝富士の挑戦をあっさり退けてただ1人無敗を守った。
直前に大関朝乃山に土がつくも、全く動じない。
取組後、リモート取材に応じなかったが、初日に語った「1日1日を大事にしていく」を言葉でなく、土俵の上で実践していく。
東前頭4枚目の輝(26=高田川)が、幼なじみ対決を制した。
同6枚目の炎鵬(25=宮城の)をはたき込み。
突き放しきれず、左足をつかまれそうになったが、上からのしかかって勝ちきった。
「やるべきことができました。前に圧力をかける相撲を取っていきたい」と話した。
2人は同学年で、金沢市立西南部中の相撲部に所属していた間柄。
輝は中学卒業後、炎鵬は金沢学院大を卒業後、それぞれ角界入りした。
巡業先で食事に行く仲で、中学時代から変わらず互いを「りょうや」「ゆうや」と呼ぶ。
対戦成績は、輝の3勝1敗となった。
春場所後からのコロナ禍での自粛生活は、力士にさまざまな影響を及ぼした。
多くの力士が、体重の変化を口にする。
ほとんどが「コロナ痩せ」で、中でも千代大龍は「春場所から20キロは落としました」と明かす。
春場所後は193キロあった体重を172キロまで落としたという。
減量方法は「本とか携帯で調べて、野菜中心の食生活にしました」。
5月の夏場所が中止となり、約4カ月続いた自粛生活を有効活用。
「動けるデブと言ったら変だけど、体が軽くなっていいっすね」としゃべりも軽快だ。
体を休めてケガを治した力士が多い中、魁聖は「コロナのせいで病院に行けなかった」とポツリ。
いくら休みがあるとはいえ、病院で治療を受けないと治せないケガもある。
しかし、通院すれば感染リスクは高まる。
魁聖は6月に結婚したばかりで「古傷とか、あちこち痛くなるよ。でも周りの人に迷惑かけられないから」と話す。
角界には糖尿病持ちが多く、容易に通院できない事情もある。
約4カ月ぶりの開催となった本場所。
稽古場以外でも努力や苦労を重ね、力士らは土俵に上がっている。
田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)が夜に外出して泥酔し、27日に鏡山危機管理部長(元関脇多賀竜)から厳重注意を受けた。
芝田山広報部長(元横綱大乃国)が28日、明らかにした。
田子ノ浦親方は居酒屋風の店内で眠っている写真がネット上で拡散されていた。
協会が新型コロナウイルス感染症対策のガイドラインを作成し、力士や親方ら協会員は基本的に外出禁止で、不要不急の外出をしないよう定めている中、不適切な行動と判断された。
電話取材に応じた同広報部長は、田子ノ浦親方が外出した時期については「本人が場所中かどうか分からないと言っている」と説明。
新型コロナウイルスの抗原検査は陰性だった。
同広報部長は「弟子を抱える師匠が泥酔状態で写真を撮られネットに載せられてしまうのは不適切なこと」と語気を強めた。
休場した東前頭5枚目阿炎と幕下以下の力士1人が、場所前から複数回キャバクラに行っていたことが明らかになった矢先のことだった。
接待を伴う場所ではなかったが、同広報部長は「泥酔はまずい。はなっからこういうことではどうすればいいんだよと。自覚がない」とあきれていた。
2020/07/28
横綱白鵬は碧山を下して、全勝をキープ。
3月の春場所に続く、2場所連続45度目の優勝へ突き進む。
朝乃山と白鵬が全勝を守り、優勝争いを引っ張る形となった。
かど番の大関貴景勝(23=千賀ノ浦)が、人気小兵の東前頭6枚目炎鵬(25=宮城野)との物言いがついた一番を制して6勝目を挙げた。
炎鵬を懐に入れずに突いて出たが、土俵際で左にかわされ、貴景勝も勢いあまって土俵下まで落ちてしまった。
行司軍配は貴景勝。
同体ではないかと物言いがついたものの協議の結果、炎鵬の体が出るのが早く、軍配通りとなった。
貴景勝はかど番脱出まで残り6日間で2勝となった。
取組後はリモート取材に応じず国技館を引き揚げた。
新大関の朝乃山が、小結隠岐の海との取り直しの一番を制して、初日から9連勝とした。
最初の取組は、土俵際で体勢を崩しながらも左上手投げを決めたかと思われたが、物言い。
協議の結果、同体と見なされて取り直しに。取り直しの一番でも立ち合いすぐに左上手を取ると、粘る隠岐の海を力ずくで再び上手投げで転がした。
新大関の初日から9連勝は、11年九州場所の琴奨菊と並ぶ昭和以降5位タイとなった。
関脇正代(28=時津風)が1敗を守って勝ち越しを決めた。
「立ち遅れましたね。相手に攻め込まれて危ない相撲だったと思う」と立ち合いから輝(高田川)に攻め込まれた。
しかし、土俵際で残すと、一気に前に出て押し出した。
「土俵際で残れている。体の動きは申し分ないと思う」。
体が自然に反応している。
9日目の勝ち越しは13勝をあげて優勝次点だった今年初場所以来。
「早いうちの勝ち越しは自信にもつながる。単純にうれしい。残りも変に気負うことなく、集中できるかな」と話した。
その初場所では、14日目に徳勝龍に敗れて、初の賜杯を逃した。
優勝争いについて「まだですかね。意識するほどではない」と話しながら、「初場所の経験が大きい」とも言った。
横綱、大関が全勝で走る中、正代も1差で食らいついていく。
相撲界が一丸となって新型コロナウイルス感染予防を徹底する中、場所前から複数回キャバクラに行っていた東前頭5枚目阿炎(26=錣山)を、日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)が27日、「超新人類」と評して皮肉った。
「俺らの時代は北尾(元横綱双羽黒)が新人類と呼ばれたけど超新人類だね」。
87年に師匠の立浪親方(元関脇安念山)ともめて部屋を飛び出し、騒動を起こして廃業した元横綱を引き合いに出した。
阿炎は前日26日に新型コロナウイルスの抗原検査で陰性だったが、現在は自宅で隔離されている。
同広報部長は「阿炎はこんな不適切なことをやらかして、陰性で済んだから良かったものの症状がなく万が一、陽性なら大変なことになっていた。所帯持ったんなら今場所は自宅で謹慎してもらうしかない」と怒りを隠さなかった。
阿炎の不適切行動を受け、芝田山広報部長は、協会が各部屋の協会員に対して八角理事長(元横綱北勝海)名で感染対策のガイドラインを熟読するよう通達する方針を固めたことも明かした。
30ページを超えるガイドラインは、協会員1人1人に手渡されている。
同広報部長は「理事長名の通達は各部屋の師匠、部屋の者にしっかり伝わるようになっている。30ページもあるガイドラインを最初から最後まで熟読するのは大変だけど、一般常識でも役立つ内容。熟知してもらわないと困る」と危機感を募らせた。
東前頭6枚目炎鵬(25=宮城野)は、物言いがつくも大関貴景勝(23=千賀ノ浦)に初勝利とはならなかった。
貴景勝の懐に潜り込めず、強烈な突き押しをくらい土俵際へ追い込まれた。
体勢を崩しながらも、貴景勝のもろ手突きをひらりと横に動いてかわすと、勢い余った貴景勝が土俵外へ飛び出るのとほぼ同時に自身も土俵外へ。
軍配は貴景勝。
物言いがついたが、軍配通りとなった。
取り直しになってもおかしくなかったほど、紙一重の一番だったが「残ったかなと感じたけど、終始圧倒されたからいいところはなかった」と相撲内容では完敗を認めた。
貴景勝には3戦全敗となり、黒星先行に。
「まだまだ力の差はあると思った。また明日につなげたい」と負けをしっかりと認め、残りの6日間につなげる。
東前頭14枚目の琴奨菊が同9枚目の玉鷲を寄り切り、元横綱稀勢の里を抜く単独6位の幕内通算715勝目を挙げた。
「押し合いの展開になると思った。しっかりいけてよかった」と元気いっぱいの相撲を振り返る。
記録については「1つ1つやり残しがないように頑張っていきたい。白星で応援してくれる方へ恩返しできればいいです」と謙虚に話した。
序二段から史上初の再入幕を果たした照ノ富士は、佐田の海を破って勝ち越しを決めた。
幕内での勝ち越しは、大関だった17年夏場所以来。
1敗も守り、優勝争いに加わっている。
東幕下3枚目錦富士(24=伊勢ケ浜)が5番相撲で勝ち越しを決め、来場所の新十両昇進に前進した。
三役経験を持つ西幕下4枚目常幸龍を上手出し投げで下して4勝1敗。
少し押し込まれたが、右上手を取って相手を転がした。
兄弟子で現役時代は付け人を務めた、部屋付きの安治川親方(元関脇安美錦)の存在が励みだ。
「自分も膝のけがなど数々抱えてきて、安治川親方もけがと付き合いながら現役を全うした。勇気をもらっている」
この日も取組前に、4番相撲で初黒星を喫した相撲が後手に回っていたと指摘され「しっかり当たってから四つになることを意識した」と話す。
同期の十両翠富士と切磋琢磨(せっさたくま)して幕下上位まで番付を上げたが、昨年秋場所で左肘を負傷し、同年九州場所は全休するなど幕下下位まで番付を落としていた。
「靱帯(じんたい)が切れただけでなく、筋肉からはがれて手術しないと腕に力が入らなかったので休場した。(稽古では今でも)痛くて途中で抜けて、ということもある。いろんな方に声をかけていただいて、それが自分の支えになった」
近大を中退して入門から約4年。
伊勢ケ浜部屋のホープが、関取の座を射程圏にとらえた。
2020/07/27
横綱白鵬は、通算50度目のストレート勝ち越しを決めた。
3年ぶりの顔合わせとなった前頭輝の突き、押しに、まわしを取ることはできなかったが、動きをよく見てはたき込んだ。
取組後、報道陣から50度目のストレート勝ち越しと聞いた白鵬は「50回目ですか。いい響きですね」と、現在44度の幕内優勝回数を、大台の50度にすることを大目標としているだけに、うれしそうに笑顔を見せた。
取組についても「できれば(まわしを)つかみたかったけど、輝関のうまさがあった。そのうまさを力でねじ伏せた感じかな」と、納得の様子だった。
全勝は新大関朝乃山と2人だけとなった。
その朝乃山の今場所については「もう、新大関ではないんじゃないですか。2、3年大関として相撲を取っているような内容。『新大関』という呼び方が、ふさわしくない」と、敬意を表して成長を認めていた。
新大関の朝乃山が、自身初の中日での勝ち越しを決めた。
200キロ近い巨体の碧山に対して立ち合いは互角も、終始前に攻め続けて最後は右四つで寄り切った。
新大関の初日から8連勝は、昭和以降では元横綱朝青龍らに並んで6位タイ。
最高の形で後半戦に突入する。
知人らと会食に行くなどして大相撲7月場所7日目の25日から休場している東前頭5枚目阿炎(26=錣山)が、場所前からキャバクラに複数回行っていたことが26日、関係者の話で分かった。
また初日から休場していたにも関わらず、幕下以下の力士1人が会食に同席していたことも判明。
本場所開催に向けて日本相撲協会が一丸となり、新型コロナウイルス感染防止を徹底してきた中での騒動に、協会内からは怒りの声が上がっている。
突然の休場から一夜明けたこの日、阿炎の会食事情が明らかとなった。
報道陣の電話取材に応じた協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は会食場所について「小池都知事が言う『夜の店』。スナックなのかラウンジなのかキャバクラなのかは分からない」と説明。
回数についても「場所前と場所中と2回」と話した。
しかし関係者によると、実際は接待を伴うキャバクラに場所前から複数回行っていたという。
しかも、阿炎とは別の部屋に所属する初日から休場していた幕下以下の力士が同席していた。
協会は場所前に「基本的に外出禁止とし、不要不急の外出をしない」などのルールを定めたガイドラインを各部屋に配布。
感染防止に向けて一丸となっていた。
それだけに会食が発覚した25日に「さんざん何回もやらかして、世の中がどんな状況か考えてほしい。子どもじゃないんだから」と激怒していた芝田山広報部長は収まらない。
「幕内の関取が場所中にああいう形で休場することにおいて1つの事案として場所後の理事会で報告されるのは間違いない。情状酌量の余地もない」と断言。場所後の理事会で議題に挙がることとなった。同じ違反でも通常なら関取より軽い処分となる幕下以下の力士についても、協会内では厳罰を求める声が上がっているという。
阿炎は25日に37度6分の熱を出し、同日に行った新型コロナウイルスの抗原検査の結果は陰性。
幕下以下の力士も25日に37度以上の熱を出すも、同検査の結果は陰性だった。
両力士はこの日も抗原検査を受けて再び陰性だったが、阿炎に対して「自業自得」と「懲罰休場」させた錣山親方(元関脇寺尾)と幕下以下の力士の師匠ともに、弟子の再出場を否定しているという。
同広報部長は「同じ部屋の力士や取組をした力士はガイドライン通りに感染予防を行っており、出場に問題はないという判断」と説明。
6日目までに対戦した力士や、錣山部屋の力士、幕下以下の力士が所属する部屋の力士らは休場しない。
6月に結婚したばかりで、初優勝を目指していたはずだった阿炎らの場所前、場所中のキャバクラ通い。
入念に準備をし、場所中も細心の注意を払ってきた協会を裏切る行為となった。
大相撲の西前頭13枚目琴ノ若(22=佐渡ケ嶽)が7月場所8日目の26日、休場した。
部屋関係者によると、左膝付近の負傷だという。
休場は2015年九州場所の初土俵以来初めて。
8日目の対戦相手、栃ノ心は不戦勝。
琴ノ若は祖父が元横綱琴桜(故人)、父が師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)で入幕2場所目の大器。
7日目まで4勝3敗だった。
今場所の十両以上の休場者は横綱鶴竜、外出して数人との会食が判明した阿炎に続いて3人目。
大関経験者で東前頭14枚目の琴奨菊が、幕内通算白星で、歴代6位の元横綱稀勢の里に並ぶ714勝目を挙げた。
立ち合いから右上手を取り、左を差す得意の形から一直線に千代大龍を寄り切り。
6勝2敗とし、来場所の幕内残留を決定的とした。
「自分の立ち合いができた。1日1日、やり残しがないようにやっている。(稀勢の里の714勝は)1つの目標にしていたので、うれしいですね」と、落ち着いて話した。
幕内通算白星は、1位が横綱白鵬の1073勝(8日目取組前時点)で、歴代5位の元横綱大鵬が持つ746勝が次の目標となる。
「先を見たらとてつもない。一番一番の積み重ねで、少しでも近づけるように頑張りたい」と、笑顔を見せながら話した。
2020/07/26
13枚目琴ノ若が8日目の26日から休場した。
日本相撲協会に「左膝内障で休場を要する」との診断書を提出した。
師匠の佐渡ケ嶽親方によると3敗目を喫した7日目の魁聖戦で痛めた。
本人に再出場の意思があるという。
琴ノ若は2015年九州場所で初土俵を踏み、休場は初めて。
2020/07/26
横綱・白鵬は、同じモンゴル出身の新鋭・霧馬山の初挑戦を一蹴した。
左で張って右前まわしを取ると、反撃の機会すら与えずに2秒1の寄り切り。
一人横綱の役目を果たす初日からの7連勝に、伊勢ケ浜審判長は「白鵬は気合が入っていた。(今場所初の)張り差しを使ってね。自分の相撲で寄っていった」と評価。
貴景勝が苦しみながらも連敗を免れ、5勝目を手にした。
立ち合いに本来の鋭さがなく、輝に押し込まれたが横に動いて左から突き落とした。
初日から動きに精彩を欠いているものの、かど番脱出まであと3勝。
土俵下の伊勢ケ浜審判部長は「連敗しなかったのはよかった。内容はともかく、勝ちがつくのはいい」と、白星の大きさを強調した。
新大関の朝乃山が初日からの連勝を7に伸ばした。
母校・近大の先輩、宝富士戦は低い姿勢から出て一度は回り込まれたが、得意とは逆の左四つでも構わず寄り切った。
「いなされても足がついていった。相手を見ながら攻められました」と手応え。
新大関の初日からの7連勝は11年九州場所での琴奨菊以来。
また、17年秋場所での新入幕後、1場所での7連勝も自己最長となったが「そういうのは何も考えない。一日一番、相撲を取りきる」と前だけを向いた。
25日、対戦相手の東前頭5枚目・阿炎が休場したため、不戦勝で7勝目を挙げた。
御嶽海の不戦勝は5度目で、今年1月場所5日目の鶴竜戦以来となる。
中日8日目の26日は、勝ち越しを懸けて東関脇・正代と対戦する。
元学生横綱同士で、幕下時代からの戦績は10勝10敗と全くの五分だ。
御嶽海が無敗で中日を迎えるのは、幕内初優勝を飾った平成30(2018)年の7月場所(11連勝)以来、ほぼ2年ぶり。
押し込まれても俵を伝いながら連日の逆転勝ち。
「内容は良くないが、反応は悪くない」と正代。
白星をまた一つ、積み上げた。
立ち合いから194キロの巨漢・碧山に防戦一方。
土俵際まで追い詰められたが、左に回り込みながら「入った」左の差し手で攻めをしのぐと、右に動いて最後は突き落とした。
丸い土俵を上手に使って勝利を拾い「本当は前に出て勝ちたいが、ラッキー」と運も引き寄せる。
自粛中で声援こそ飛ばないが、拍手を力に変えて「気負ってもいい相撲が取れるとは思わない。目指すのは前に出ること」と語る。
7日目(25日)に休場。
対戦相手だった関脇御嶽海は不戦勝となった。
NHKの大相撲中継で解説を務めた師匠の錣山親方は「数人のお客さまと会食に出たので休場させました。こういう時期(新型コロナウイスで厳戒態勢が敷かれる本場所中)に軽はずみな行動をした。申し訳ありません」と説明し、謝罪した。
立ち合いで幻惑し、勝利をたぐり寄せた。
左足を引きながら立つと、両手を前に出して身構え、玉鷲の動きを見た。
もろ手を伸ばして突っ込んでくると、相手の懐に潜り込み、見事に左下手を奪う。
首を抱えられて「苦しかったですね。何回かもうダメかと思いました」と圧力に屈しかけたが、懸命にこらえて寄り切った。
「中に入るのは初めから狙っていた。そこからよく我慢できた」。
らしい一番で4勝目。
白星を先行させた。
25日、高安を押し出し、1敗を守った。
休まぬ動きで元大関・高安を破った妙義龍。
「常に攻めの姿勢を見せられている」と、6勝目に納得顔だ。
高安得意の左差しを立ち合いで封じた。
相手の左の差し手を右で抱え込みながら、前へ前へ。
左から突き起こして高安の体を反転させると「勝負どころだと思った」。
粘る相手をかまわず土俵外へ追いやった。
両膝に古傷を抱えるが、今場所は「腰もよく下りているし、足の運びもいい」と妙義龍。
トレーニング好きで知られる33歳にとって、本場所がなかった4カ月間は自力を養う有意義な時間になったようだ。
新大関 朝乃山は碧山と対戦。
勝ちっ放しの新大関・朝乃山は平幕の碧山と対戦します。
新大関として注目が集まる朝乃山は初日から危なげない相撲を続け、25日は幕内で初めてとなる初日からの7連勝をしました。
中日8日目の26日は前頭4枚目の碧山との対戦で、過去の対戦成績は朝乃山の4勝3敗ときっ抗しています。
四つに組めば朝乃山が断然優位ですが、体重200キロ近い体を生かした碧山の突っ張りも威力があり、離れて相撲を取る展開になれば勝負は分からなくなります。
朝乃山としては、立ち合いで当たり負けしないよう今場所見せている鋭い出足でしっかりと踏み込み、前に出る相撲に徹することが重要です。
同じく初日から7連勝の関脇・御嶽海は、正代と関脇どうしの一番で、過去の対戦では御嶽海の10勝8敗です。
正代もここまで6勝1敗と好調で、もろ差しになって力を発揮する難敵だけに御嶽海としては立ち合いで踏み込んで突き放していくなど、有利な体勢を作れるかが勝負の分かれ目となりそうです。
もう1人7連勝の横綱・白鵬は平幕の輝と対戦します。
胸を合わせれば横綱が圧倒的に優位なだけに、輝としては長い腕を生かした突き押しで勝機を見いだしたいところです。
2020/07/25
商品購入版「会員専用室」におきまして、たまごゲームの結果表示において該当しない方に「継続中」と表示される不具合がありました。
大変ご迷惑をおかけ致しまして誠に申し訳ございませんでした。
現在は正常に表示されておりますので、ご確認お願い致します。
2020/07/25
横綱白鵬がけんか四つの宝富士を難なく退けた。
立ち合いで左を差して、右もおっつけながら圧力をかけて押し出した。
「前に出られたから気持ち良かった」。
全勝は3人となり「今は流れがいい。崩さないようにしたい」と、1人横綱として引っ張る。
「日を追うごとに状態は良くなっているか」の質問に「見ての通りでございます」と余裕の笑みで答えた。
関脇御嶽海(27=出羽海)が、小結隠岐の海(八角)を突き落とし、初日から6連勝を飾った。
「立ち合い遅れてしまった」と受けるような立ち合いも、まわしにこだわらず下から圧力をかけ、最後は右から突き落とした。
「左ものぞいてやばいと思ったが、我慢して前に出たのがよかった」と振り返った。
昨年九州場所以来の関脇復帰。
4カ月ぶりの本場所で初日から感触を確かめるように、徐々に状態を上げている。
「(調子は)悪くないんで。このまま自分の相撲をとっていきたい」と話した。
返り入幕の東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ヶ浜)が、20歳の新入幕・琴勝峰(佐渡ケ嶽)の連勝を5で止めた。
立ち合い、左上手をがっちりつかむと圧力をかける。
もろ差しを許し、投げで揺さぶられてもかまわず前に出て寄り切った。
「まだまだというところを見せてやりたいと思ってました」。元大関の貫禄だった。
両膝のけが、内臓疾患などで序二段まで落ちながら、18年初場所以来の幕内復帰を果たした。
前日5日目に高安に初黒星も、5勝1敗と力を示している。
「ここからが大事。1番(黒星)で落ち込んでいたら15日間、相撲とれない。気持ちを入れ替えてやらないと」。
幕内下位では圧倒的な存在感を示す。
2020/07/24
白鵬が左上手をがっちりつかみ、上手出し投げで阿武咲に手をつかせた。
3月の春場所で敗れた相手に対し「先場所は引いてしまった。今日は引かないようにという思いでいきました」。
初日から危なげない5連勝で序盤を終えた。
4カ月ぶりの本場所だけに「この5日間は大事だと思っていました。それを乗り切った」と話した。
第一人者はすでに、いつもの感覚を取り戻している。
新大関朝乃山(26=高砂)が、耐え抜いた相撲で5連勝を飾った。
霧馬山(陸奥)に左上手をとられ、右を差すが半身の状態。
「右が入ったんでじっくり攻めようと思った」。
上体が起きる苦しい体勢も、じっくりと耐え、最後は相手が左を巻きかえてきたところを一気に攻めて寄り切った。
「相手にいいところを取られて攻められたのは反省。絶対に負けない気持ちでいった」。
不利な体勢からも負けない粘りは、大関としての自覚。
序盤5日間を振り返り、「自分の中で緊張感があって、その中で体が動いて相撲がとれている。明日からまた切り替えてやりたい」と充実感を示した。
関脇御嶽海(27=出羽海)が遠藤(追手風)を押し出し、初日から5連勝を飾った。
立ち合い、頭からぶちかまし、一気に運んだ。
「しっかり前に出れた。運良く遠藤関の顔に頭が当たったんで」。
会心の内容を振り返った。
序盤5連勝に「当たり前じゃないですかね」と関脇としての自覚を示し、「(状態は)もうちょっとと思うが、徐々に上げていけば。気持ちはいいですね」。
幕内優勝2回の実力者が、しっかり星を重ねている。
高安が照ノ富士との元大関同士の対戦を制した。
右四つになったが腰を振って相手にまわしを取らせず、理詰めで寄り切った。
相手は序二段まで陥落しながらも今場所が再入幕。
「僕よりはるかに下からはい上がってきたお相撲さん。今日は精いっぱい取ろうと思っていた。とてもいい内容で勝つことができた」と振り返った。
西前頭14枚目の若隆景(25=荒汐)が、同17枚目の琴勇輝(29)を押し出した。
これが初日から5日間連続で、佐渡ケ嶽部屋の力士との対戦だった。
初日から琴奨菊、琴勝峰、琴恵光に3連敗したが、4日目から琴ノ若、琴勇輝に連勝。
2勝3敗とした。
若隆景は「昨日、5日目の割(取組表)を見て、びっくりしました」とコメント。
佐渡ケ嶽部屋勢が幕内13〜17枚目までに5人もひしめいていることが珍現象のきっかけになった。
新入幕の東前頭15枚目琴勝峰(20=佐渡ケ嶽)が、無傷で序盤5日間を終えた。
西前頭12枚目松鳳山を小手投げ。
左差しで寄られたが、土俵際で冷静に対応した。
新入幕の初日からの5連勝は、14年秋場所に13勝を挙げた逸ノ城以来、平成以降では10人目。
大手回転ずしチェーン「くら寿司」が、今場所から大相撲に懸賞を出している。
貴景勝、朝乃山、炎鵬を指定するなど、15日間通じて出し続ける。
同社の担当者は「食を通じて健康を提供していくくら寿司が、スポーツでも人々の健康を応援していきたい」と説明する。
昨年11月には本社がある堺市の野球場のネーミングライツを取得するなど、スポーツを応援する熱が高まっているという。
すしと相撲は日本を代表する文化で親和性も高い。
昨年には米国子会社が現地で上場。
海外進出を図る機会に、大相撲の力も借りる。
コロナ禍で企業の業績は打撃を受け、今場所は懸賞が大幅に減少した。
場所前の芝田山広報部長によると、今場所の懸賞申し込みは約1300本。
近年の東京場所は、申し込み時点で2000本を超えることも珍しくなかった。
観客を入れ始めた今場所だが、まだ国技館の定員の4分の1ほど。
「正直なところ観客が減る部分に関しては悩む部分はあった。ただ世間で『できない』『やらない』がまん延する中、観客数を減らしても工夫して開催に挑戦することを応援したい」と担当者。
かつてない開催方法に挑む大相撲をバックアップする。
2020/07/23
横綱白鵬(35=宮城野)が東前頭2枚目隆の勝(25)を突き落とし、初日から4連勝とした。
初対戦の若手に経験の差を示し、初顔合わせは横綱昇進後50勝4敗。
本来なら22日に競技が始まる予定だった東京五輪にも思いをはせた。
新大関の朝乃山(26)も4連勝を飾った。
右を差されて土俵際まで寄られたが、白鵬は慌てない。
左から突き落とし。「重さと圧力があったんじゃないかな」と隆の勝をたたえつつも、勝負を分けた身のこなしには「そのへんはやっぱり経験っていうのかな…。だったのかなと思いますけどね」と振り返った。
横綱昇進後の初顔合わせは50勝4敗で勝率9割2分6厘。
横綱初挑戦の平幕力士には負けたことがない。
隆の勝とは稽古で胸を合わせたこともあり、「体が硬いからね。稽古したことありますけど、体が硬い人、大好きですね」とも指摘する余裕もあった。
7月22日は、本来なら東京五輪の競技が開会式に先立って行われる日でもあった。
東京五輪開会式での土俵入りを希望し、現役を続ける上でのモチベーションにしてきたこともある。
五輪の話題を振られると「さみしいけど、延期ですからね。また来年、東京でオリンピックを見たいな、というのが今の気持ちです」とコメントした。
出稽古なしで迎える4カ月ぶりの本場所に違和感を覚える力士もいるが、始まってみれば白鵬はいつも通り。
報道陣は支度部屋に入れず、力士はパソコンの画面を通じてリモート取材に応じている。
白鵬はこの日、マスクを着けながらマイクに顔を近づけ、取材終わりにこう言った。
「近づくとちゃんと聞こえるでしょ? お疲れさんでした」。
異なる環境に順応し、結果を出す。
来年を語れるだけの強さがまだまだ、白鵬にはある。
関脇御嶽海が、2場所連続となる初日から4連勝を飾った。
前頭豊山の突き、押しに対応しつつ、はず押しで一気に押し込み土俵際へ。
押し返そうと前がかりになった相手をいなし、タイミング良く突き落とした。
立ち合いも「この(今場所の)4番の中ではよかった」と納得顔。
「丁寧に相撲を取れているかなと。体も動いているし、1番1番」と、落ち着いて話した。
初日から11連勝して初優勝を手にした、2年前の7月名古屋場所をほうふつとさせる動きの良さが出てきた。
東前頭6枚目の炎鵬(25=宮城野)が、勝っても納得いかない表情を見せた。
西前頭4枚目の碧山(34=春日野)を突き落とし、2勝2敗。
土俵際まで攻め込まれたが、前のめりになった相手をひらりとかわして土俵外に追いやった。
身のこなしのいい土俵際だったが、内容に不満の様子。
「体がよく反応した。でも、自分の中ではしっくりきてません。立ち合いもその後の動きも鈍いのかなと思います」。
5月の夏場所が中止になり、4カ月ぶりの本場所。
思うように動けない要因について「どうですかね。1場所空いたのは、場所に影響しているのかもしれません」と話した。
琴勝峰が大関経験者の高安を初顔合わせで破り、4連勝を飾った。
頭から当たると、回り込みながら突いて応戦し、タイミング良くはたき込んだ。
二所ノ関一門の連合稽古では胸を借りてきたが「意識しないようにした。同じ地位にいるので、勝つ気でいないといけないと思っていた。勝ててよかった」と、恩返しの白星を振り返った。
懸賞も初めて受け取り「うれしいです。(使い道は)これから考える」と笑顔で話した。
返り入幕の東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、危ない体勢をしのいで4連勝とした。
西十両筆頭の千代翔馬にもろ差しを許してしまい、上体が起き上がる。それでも両腕でがっちり固め、相手の動きを封じてきめ出し。
持ち味の大きな相撲で勝ちきった。
もろ差しを許したことには「精いっぱいやるだけ。できればそうなりたくないけど、なったからにはあきらめるわけにいかない」と執念を口にした。
東十両筆頭の明生(24=立浪)が初日から4連勝とした。
西十両3枚目の旭秀鵬(31=友綱)を立ち合いから圧倒して一気に寄り切り。
「鋭くぶつかって踏み込めたと思います」と振り返った。
今年の初場所中に左上腕二頭筋部分断裂で途中休場。
春場所で復帰したが、7勝8敗と負け越し、今場所は10場所ぶりの十両だった。
本場所がなかった4カ月間について「ケガした腕を春場所は状態がよかったのにどこか引きずっていた。
克服するにはケガしたところを入念にトレーニングするしかなかった」と振り返る。
右肩付近は筋肉で盛り上がり、体重も154キロまで増えた。
外出自粛期間中について「ストレスは何もなかったです」と言い切り、「幕の内に戻るというよりは、横綱と相撲をとりたいという気持ちです」と今後を見据えた。
2020/07/22
白鵬が初場所で不覚を取った遠藤に、厳しい相撲を見せた。
左右の厳しいおっつけで終始圧力をかけ続け、難なく押し出し。勢いあまって花道とは反対の通路まで走っていった。
初場所ではかち上げを攻略され、金星を配給していた相手。
雪辱を果たして初日から3連勝としたが、取組後はリモート取材に応じず、国技館を引き揚げた。
八角理事長(元横綱北勝海) 白鵬は30歳を過ぎてこの馬力。
(遠藤の)うまさを馬力で封じた。
元気じゃないかな。
朝乃山は動きが止まりかけたけど、よく足が出た。
圧力をかけて相手に何もさせなかった。
貴景勝はもっと、しぶとく押さなければだめだ。
新大関の朝乃山(26=高砂)が、西前頭筆頭の豊山(26=時津風)を下して初日から3連勝した。
立ち合いは左上手を取れず、豊山におっつけられて右も差せなかった。
一瞬引かれたが我慢。
体勢を立て直しながら強引に右を差すと、体を寄せて丁寧に寄り切った。
大関とりを懸けた春場所は、豊山に豪快なすくい投げで転がされた。
「先場所負けてますし、自分から圧力をかけたかった。引いた所はダメだったけど構わずに前に出られたのはよかった」と手応え。
右を差してからの流れについては「後はかいなを返してじっくり。焦った所があったのが修正点」と収穫と課題を挙げた。
新型コロナウイルスの影響で春場所以来、4カ月ぶりとなった本場所。
自粛期間などもあり、満足する稽古ができなかったはずだが、ここまで危なげない相撲内容で白星を積み重ねている。
「自分から攻めることを心がけているのがいい方向にいっている」と話した。
御嶽海が起死回生の首投げで無傷の3連勝を飾った。
阿武咲にもろ差しを許して「負けたと思った」が、土俵際で体を入れ替えながら投げを打った。
「必死で投げた。できすぎでした」と汗をぬぐった。
場所前は出稽古ができず、部屋の若い衆を相手に調整。
「(関取相手の稽古は)不足しているが、それ以上に体が動いている。順調じゃないですか」と手応えを語った。
小結に復帰した隠岐の海(34=八角)が、大関貴景勝を破って白星を先行させた。
立ち合いで押し込まれたが、強烈な右のど輪で対抗すると、貴景勝が背中から倒れた。
2場所連続の白星に「気持ちで負けないようにしっかり当たることを意識した。(のど輪は)たまたま。相手が引いたタイミングが良かったと思う」と振り返った。
三役は16年九州場所以来で約4年ぶり。
三役で勝ち越せば初めてとなるが「これから長いので頑張ります」と、残り12日間を見据えた。
自己最高位の東前頭2枚目隆の勝(25=千賀ノ浦)が初日を出した。
関脇正代を2場所連続で撃破。
押し込まれたが、いなして回り込んで送り出した。
「攻め込まれたけどうまくいなせて押し返した。良かったと思う。体がしっかり動いてくれたので良かった」。
初の上位総当たりで待望の白星となった。
「負けると勝つとでは気持ちの持ち方も違う。気分よく明日に臨める」とうなずいた。
4日目の相手は横綱白鵬で、初の横綱戦となる。
場所前から対戦を「楽しみ」と語っていた25歳は「思い切り当たって前に出るしかない。思い切って当たっていく」と意気込んだ。
琴勝峰が新入幕で3連勝を飾った。
低い立ち合いから錦木を一気に押し出す会心の内容。
「立ち合いから自分の流れでいけたのがよかった」。
組んでも、離れてもとれる強みを発揮した。
兄弟子で埼玉栄高の先輩、琴ノ若も連勝が続く。
「クラブチームからずっと一緒で意識するのはあります。ずっと刺激を受けてます。食らいついていきたい感じです」。
いい刺激を受けながら競り合っていく。
18年初場所以来の幕内復帰を果たした東前頭17枚目の照ノ富士(28=伊勢ヶ浜)が、初日から3連勝を飾った。
千代丸(九重)に攻めさせながら右四つ。
胸を合わせて起こして左上手をつかみ、即座の投げを決めた。
「体がよく動いた。(相手は)押し切れないと休んでくる。そこは狙っていった」。
会心の内容だった。
元大関が序二段まで落ちながら、再びはい上がってきた。
ここまでの内容について「終わってみないと分からないが、今のところちょっと体は動いている。精いっぱい、やれることを全部やっていきたい」と気合をこめた。
東幕下19枚目の元幕内・宇良(28=木瀬)が、元高校横綱の19歳のホープ北の若(八角)を珍しい技の首ひねりで下し、2連勝を飾った。
低い立ち合いで潜り込もうと狙うが、相手の圧力に押し込まれて体が浮く。
しかし土俵際、うまく体を回り込ませての首ひねりが決まった。
宇良は「あれは負けてましたね」と反省。
最後の逆転技も「たまたま結果では勝つことができたが、実力で勝った気はしない」と振り返った。
膝手術の長期離脱から番付を着実に戻してきた。
ただいまだ「(稽古で)番数は全然」と話し、「リハビリ的なことを中心にやっている」と明かす。
けがの再発防止を最優先にしながら、底力で白星を重ねる。
それでも「相手がすごく強い。ここから番付を上げていくのは大変だと思うが、勝ち越しを目指して頑張りたい」と謙虚に話した。
序二段の取組で、聡ノ富士(さとのふじ)が都島に居反りを決めた。
相手に上から覆いかぶせられて苦しい体勢になったが、背中に乗せて反り倒した。
居反りは幕内では64年夏場所の岩風、十両では93年初場所の智ノ花以降、出ていない珍手。
だが聡ノ富士にとっては得意技の1つで、18年秋場所以来16度目となった。
16歳で幕下昇進を果たした西幕下54枚目の吉井(時津風)が、初黒星を喫した。
高立(木瀬)の体を生かした攻めに押し込まれ、左からのすくい投げに屈した。
星は1勝1敗となった。
静岡県焼津市出身で、元中学横綱のホープ。
場所前に師匠の不適切指導で所属していた中川部屋が閉鎖となり、時津風部屋へ。
環境の変化など「あまり気にしないで。本場所中なんで相撲に集中したい」と気合を入れ直した。
5月に新型コロナウイルス感染による多臓器不全で弟子の勝武士さんを亡くした高田川親方が、7月場所を迎えた思いを語った。
打ち出し後に取材対応。
場所前に部屋の力士らに対して「来てくれているお客さん、テレビで見てくれているファンの方々、そして勝武士に恥ずかしくない相撲を取っていこう」と声をかけたことを明かした。
部屋頭の輝は白星先行。
高田川親方は「まだ始まったばかり。結果は後からついてくる」と話した。
2020/07/21
連勝発進した横綱白鵬(35=宮城野)が、一人横綱の自覚をにじませた。
この日は新三役を目指す西前頭筆頭豊山を上手投げで退けた。
立ち合いからすぐに左上手を取り、万全の形からすかさず上手投げ。
「いいところを取れた。いい投げ。気分が良かった」と、満足げに話した。
西の横綱、鶴竜が右肘の負傷で2日目から休場した。
4カ月ぶりに再開した本場所は、白鵬が一人横綱として引っ張る。
「残念ですけど早くけがを治すことが大事。託されたなと思って、1日1日頑張っていきたい」と気持ちを込めた。
横綱鶴竜(34=陸奥)が7月場所2日目の20日、日本相撲協会に「右肘靱帯損傷、肘部管症候群により約2週間の加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
鶴竜は初日、東前頭筆頭遠藤に「腰くだけ」で敗れ、金星を配給していた。
鶴竜の休場は2場所ぶり。
3月の春場所では12勝3敗で優勝次点だった。
2日目の対戦相手の小結大栄翔は不戦勝となる。
貴景勝がアマチュア時代のライバルに貫禄を見せつけた。
全中決勝で対戦経験のある同学年の阿武咲を立ち合いから押し込み、体勢を崩してはたき込んだ。
連勝でかど番脱出に前進も「終わったので明日また頑張ります」と淡々。
無観客の春場所は大関として15日間を皆勤して初めて負け越した。
半年ぶりの観客の存在に「やりがいがある。お客さんがいるのはありがたいこと」と強調した。
新大関の朝乃山(26=高砂)が2連勝発進した。
過去3勝6敗と合口の悪い平幕の遠藤を危なげなく寄り切った。
初日に続き、有利な体勢になれなくてもどっしりと構えている。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、長く続いた自粛期間中でのトレーニング効果が出ている証拠だ。
横綱鶴竜の休場により一人横綱となった白鵬、かど番の大関貴景勝も2連勝した。
土俵上に浮足立つ新大関の姿はない。
遠藤の低く鋭い立ち合いを、朝乃山は受け止めるように当たった。
得意の右は差せない。
ならばと左で上手を狙ったが、腕を手繰られながら、左に動かれた。
それでも崩れない。
すぐに体を相手に向きなおして、左上手を取ると勝負あり。
苦手としてきた遠藤に何もさせずに、落ち着いて寄り切った。
初日の隆の勝戦でも、立ち合いがやや遅れて相手の当たりをまともに受けた。
それでも、この日同様に落ち着いて対応。
「毎日相手のタイプは違うけど自分の相撲を取りきることしか考えていない」と心得ている。
番付がプラスになっている。
「大関となれば負けられない立場。他の関取衆も倒しにくるので負けられない」と、気合十分だ。
新型コロナウイルスの影響による自粛期間中、トレーニングの一環で縄跳びを始めた。
相撲を取る稽古ができない時期は、徹底した四股やすり足などの基礎運動で下半身を鍛えた。
それだけでは物足りない。
そこで思いついたのが縄跳びだった。
実は入門した際に、師匠の高砂親方(元大関朝潮)から勧められていたトレーニング。
部屋の屋上で、1分跳び続ける内容を5セット。
「結構、足腰にくる。それに普段やらないことをするといい刺激になる。腰も重くなった気がする」と効果を実感。
この2日間、慌てることなくどっしりと構えることができている。
ひとまずの2連勝だが、喜びはまだない。
「まずは休場なしで千秋楽まで取り続けたい」と大関として場所を全うすることを考えている。
さらに「国技館に来てくれたお客さん、テレビの前で応援してくれる人の期待に応えたい」と看板力士としての自覚を口にした。
昨年九州場所以来の関脇に復帰した御嶽海(27=出羽海)が、初日から連勝を飾った。
隆の勝(千賀ノ浦)の右からのおっつけに押し込まれたが、「ちゃんと相手も見えていた。あせりはなかった」と土俵際で抜群のタイミングのはたき込みを決めた。
3月以来の本場所。
自身も感覚を確かめながらの土俵になる。
「立ち合いの踏み込みが発揮できていないんでこれから。まだまだ自分の相撲がとれていないんで、徐々に上げていければ」と幕内優勝2度の実力者らしく冷静に先を見据えた。
人気小兵の東前頭6枚目炎鵬(25=宮城野)が、今場所の初日を出した。
西前頭7枚目徳勝龍の懐に潜り込んで右前まわしを取ると、出し投げで崩して一気に寄り切った。
「前みつは狙っていた。よく体が動いていると思う」と会心の内容にうなずいた。
これまでは赤い締め込みだったが、今場所から締め込みを渋い緑色に新調。
炎鵬は「オリーブ色ですね。周りにはグレーに見えると言われるんですけど。
もともと緑が好き。1度つけてみたいと思っていた」と笑顔を見せた。
個性的な色となったが「相撲で個性を見せたい」とニヤリ。
半年ぶりに観客の前で相撲を取る角界屈指の人気者は「お客さんがいることは1人でもありがたい。会場の雰囲気が違う。すごい力になっている」と力強く話した。
西前頭8枚目の千代大龍(31=九重)が、珍現象に苦笑いした。
右で張って左を差して一気に寄ったが、土俵際で玉鷲の小手投げをくらった。
ほぼ同時に土俵を割り、軍配は玉鷲。
しかし、物言いがついて協議が始まった。
思いも寄らぬ出来事が起こったのはここから。
今場所は新型コロナウイルスの影響により、審判の親方衆が土俵上に集まる際、通常よりも1歩分ほどの距離を取って協議をする。
その分、親方衆の声はいつもより大きくなる。
「審判の声が丸聞こえでした。『千代大龍の方が早く…』って3回ぐらい聞こえたから、その時点で負けだと思って『よし明日頑張ろう』と思った」と協議の結果がアナウンスさ