星取ニュース
2021/01/22
朝乃山の逆転優勝は厳しくなった。
照ノ富士に左上手を許し、寄り切られた。
完全に力負けした形で、対戦成績はこれで4戦全敗。
「どうしても上手を先に取りたかった。先に先に攻められ、形を作られた」と悔しがった。
この日は富山商時代の恩師、浦山英樹元監督の命日だった。
白星で飾れず、優勝争いからも後退し、「気持ちを切り替えて、千秋楽まで自分の相撲を取りきります」と気丈に話した。
正代は合口がいい竜電に2本差すと、難なく寄り切り、2敗を守った。
土俵際での逆転勝ちや、取り直しの末に相手の勇み足で星を拾った前日までの2日間の反省を踏まえ、ようやく本来の攻めを取り戻し、「今回は落ち着いて詰めができた」と胸をなで下ろした。
大栄翔とトップに並ぶ。
3敗の力士が消えても、2度目の優勝に向けて油断はできない。
大関は「あとはその日にできる一番いい相撲を取ることだけに集中できればいい」と気を引き締めた。
照ノ富士は大関・朝乃山を破って4場所連続の幕内勝ち越しを決めた。
朝乃山に過去3場所全勝の照ノ富士が、またも若き大関の壁となって立ちはだかった。
右の相四つ、新旧大関対決。
勝敗を分けたのは、元大関の先輩として見せた意地だった。
小細工なしの立ち合い、先に右を深く差した照ノ富士。
右のかいなを返し、相手に上手を許さない。
「そんなに深く考えていない」と語るが、長年稽古(けいこ)で鍛えた成果を体が勝手に発揮した。
互いの荒い息づかいが客席まで響く中で、先に左上手を取ったのも照ノ富士。
「どんな相手でも、まわしを取れば自分の方が上」と自信をみなぎらせ、最後は力いっぱいの攻めで大関を寄り切った。
観客は好勝負に圧倒されて拍手を忘れてしまったのか、少し遅れて大きな音が響いた。
御嶽海は、西前頭4枚目の玉鷲を巻き落としで下した。
7勝5敗とし、22日は西前頭6枚目の輝と対戦する。
立ち合いが合わず2度目で立つと、御嶽海はすかさず左差し。
こらえる玉鷲を左で巻いて転がし、今場所の勝ち越しまであと1勝とした。
今場所の輝は5勝7敗。
御嶽海は過去5度の対戦で全勝している。
新たな歴史が刻まれるのが恒例となってきた初場所。
今年は大栄翔が初の賜杯を抱いて時の人となるか。
好調の明生との正念場の一番は土俵際の逆転で星を拾い、何とか2敗をキープした。
互いに頭でぶちかまし、突きといなしの激しい応酬。
まわしを取られて寄られたが、半身で残しながら左ですくうように突き落とし、俵を伝うようにして相手が先に手をつくのを待った。
「(相手を)見過ぎて、(先に)まわしを取られた。最後まであきらめないでよかった」とゆっくりと息をついた。
自身より身長が20センチ、体重が74キロも上回る相手との初顔合わせに、翠富士は「昨日から怖かったので。ビビっていた。体の大きさとか、突き押しが怖くて。死ぬのかも知れないと思っていた」と率直な心境を明かした。
だが取組では堂々たる相撲で、左を差してからの代名詞・肩透かし。
新入幕での勝ち越しに、王手をかけた。
現役最年長の華吹が、偉業を達成した。
西序ノ口11枚目の桜(34=高田川)との、両部屋ちゃんこ長の対決。
立ち合いすぐに左を差して右上手を取ると、土俵中央付近で静止。
桜の下手投げに耐えると、上手投げで相手の体勢を崩し頭を押さえながらのはたき込みで料理した。
昨年5月28日に50歳になってから4場所目で初の勝ち越し。
実に116年ぶりの50歳以上力士の勝ち越しとなった。
2021/01/21
自分の型を持つ力士は強い。
調子が上がらず、苦境に立たされた朝乃山だが、「自分の相撲」を信じて5連勝。
勝ち越しを決め、初のカド番を切り抜けた。
立ち合い、すぐに右を差して前に出る朝乃山の相撲。
土俵際まで寄り立てたが隆の勝も一筋縄ではいかない。
右からすくった隆の勝にうまく体を入れ替えられて突き落とされかけたが、踏ん張った。
揺さぶられても大きくは崩れず、最後ははたき込み。
「踏ん張れたのはよかった」と、納得の表情で振り返った。
正代はよもやの形で命拾いした。
背中から落ちた取り直しの一番で、隠岐の海に勇み足。
行司差し違えの辛勝だった。
10日目に給金を直し、初めてのかど番の重圧を乗り越えたばかりだった。
そんな状況で迎えたこの日、大栄翔が逆転負けを喫して2敗に後退し、臨んだ一番。
どこかに硬さがあったのか、本来の前への攻めを発揮できなかったが、賜杯を獲得するにはこういった白星も必要だ。
優勝争いに向け、「いい方向にもっていかないと」と八角理事長。
九死に一生を得て、本人も「これを拾えたことが今後大きくなるんじゃないか。流れは来ているんじゃないかと思う」と前向きに捉えた。
大栄翔は相撲に勝って勝負に負けた。
立ち合いから阿武咲を一気に押し込む。
勝負は決まったかに思われたが、土俵際の突き落としで2敗目。
7日目から単独トップを守ってきたが、ついに正代に並ばれた。
ただ、相撲内容はよかったので「立ち合いはよかったんで」と重要視する立ち合いは満足。
土俵際のところだけ「あそこをしっかり見ていかないとダメでした」と反省した。
阿武咲が土俵際の逆転で、大栄翔を2敗に後退させた。
立ち合いから強烈な突きで一気に押し込まれたものの、俵に足がかかったところで相手の右喉輪をたぐって突き落とし。
「(一方的に押され)やばいと思ったけど、あそこで逆らうと体勢が崩れる。足が着いたところで勝負しようと。まぐれですけど良かった」。
冷静な判断が光り、勝ち越しに王手をかけた。
18日に新型コロナウイルス感染が判明した大相撲の九重親方(元大関・千代大海)が20日、入院した。
日本相撲協会の芝田山広報部長が明らかにした。
九重親方が師匠を務める九重部屋では19日までに幕内千代翔馬ら計14人の感染が判明。
19日に陽性が確認された幕下以下の力士4人と行司1人は部屋で隔離生活を送っている。
2021/01/20
左足首のけがを理由に途中休場し、負け越しが決まった大関貴景勝。
押し相撲では難しいとされた綱とりを前に、重圧も重なったか。
かつての指導者たちは異変を感じ取っていた。
小学3年から中学1年まで教えた関西奄美相撲連盟の山口久義会長は、初日の御嶽海戦を例に挙げた。
「押し相撲は足の運びと腕の回転が大事だが、前への圧力がない負け方だった」。
大関本人も「修正していかないといけない」とオンライン取材に答えていたが、左足首を痛めた3日目を含め、4連敗を喫した。
「半分は気力で取るタイプ。歯車が狂うと負け続けることもある」。
埼玉栄高の恩師、山田道紀監督=兵庫県浜坂町(現新温泉町)出身=は貴景勝の性格に不振の理由を求め、場所前にも気負いを感じたという。
「『(稽古を)やりすぎた』と連絡があった。胸の筋肉が付きすぎて、突き押しの手が出しにくい感じもした」と明かす。
貴景勝は今場所、負けが先行しても「しっかり準備して」と土俵に立ち続けたが、ご当所の大阪で予定される春場所は3度目のかど番となった。
山口会長は「(けがの休場は)割り切れる。体を休めて稽古すればいい」と思いやり、山田監督も完治を願った上で「勝ち越しを目標にするのではなく、また優勝を狙う気持ちで頑張ってほしい」とエールを送った。
朝乃山(26)=高砂=が立ち合いから抜群の出足で、玉鷲を寄せ付けなかった。
得意の右四つから盤石の寄り切り。
「しっかり踏み込めた。喉輪も下からはねのけたと思うし、自分の相撲が取れたと思います」と納得顔を浮かべた。
7日目から4連勝で7勝3敗とし、かど番脱出へあと1勝とした。
「考えれば考えるほど硬くなるので。一日一番。結果は付いてくると思います」と気を引き締めた。
正代が痛恨の2敗目。御嶽海に2本差されて先手を許すと、動きながら勝機を探ったが、両まわしを引かれて力尽きた。
「自分の力を出し切れなかった」と肩を落とした。
大栄翔が無傷の8連勝とし、結びで自身が敗れたため、8日目を終えて単独トップの平幕が後続に2差をつけた。
1場所15日制が定着した1949年夏場所以降では初の不名誉な事態となったが、まずはかど番脱出に意識を置く。気を取り直し、「自分の相撲を徹底し、最後まで集中してできたらいい」と話した。
大相撲初場所(両国国技館)8日目の17日、西前頭筆頭の大栄翔(27)=本名・高西勇人(はやと)=が破竹の8連勝で勝ち越しを決めた。
出身は埼玉県ながら、そのルーツを奥能登に持つ。
珠洲市内で暮らす親戚の高西利雄さん(72)は「(大栄翔の)祖父は体が大きく、飯田高の相撲部員だった」と明かし、「この勢いで優勝してほしい」と快進撃を見守っている。
同じ追手風部屋の遠藤より3歳下だが、入門は約1年早く兄弟子となる。
取組が迫ると、高西さんは珠洲市宝立町春日野の自宅でテレビにくぎ付けになる。
大栄翔の母恵美子さんはいとこに当たる。
17日の相手は郷土力士の輝だが、声援はもちろん親戚の「勇人」に向けられた。
土俵際でとったりを決めると「おー、勝った」と大喜びだった。
高西さんによると、大栄翔の祖父弘勝さんは珠洲生まれ。
身長が180センチ近くあったそうで「目元が似ている。相撲の道に進んだのは祖父の影響があるのかもしれない」と目を細める。
弘勝さんは若い頃に東京に移って鉄工所を営み、死後は家族が埼玉県に引っ越したという。
大栄翔は園児のころ珠洲の自宅に遊びに来た。
高西さんは「小さかった子がこんな立派な力士になるとは」と感慨にふける。恵美子さんとは年賀状のやりとりを続け、昨年秋に珠洲産米の「ひゃくまん穀(ごく)」30キロを贈ると、返礼として手形入りのサイン色紙などが送られてきた。
「今場所の活躍は珠洲の米のおかげかもしれない」と笑顔を見せる。
大雪のストレスも吹き飛ばす快進撃に心が弾む。
「知人や近所の人たちに、大栄翔の本名は『高西勇人』やぞ、と紹介してます。優勝して大喜びしたいね」と高西さん。
大栄翔ブームの広がりを期待し、声援を送り続ける。
遠藤は過去2勝7敗と苦手の貴景勝から一昨年秋場所以来の白星。
土俵中央での激しい押し合いから前に出るも大関の反撃に後退。
土俵際まで追い詰められたが、巧者らしく冷静にいなして引き落とした。
取組後、テレビ中継の殊勲インタビューに久しぶりに応じた遠藤。
涼しい顔で「我慢して相撲を取るだけでした。(後半戦は)できることを精いっぱいやるだけ」と語った。
輝は隆の勝との同学年対決。
過去3勝5敗と分が悪い相手だが、辛うじて白星をつかみ、4連敗を阻止した。
取組後のリモート取材では「ぎりぎりで何とか。必死に動かないとと思った」と振り返った。
後半戦に向けては「最後の詰めをしっかりできることが大事」と自戒を込めた。
東前頭15枚目の豊山(金沢学院高OB)は、東十両4枚目の松鳳山に辛勝し、6勝3敗。西十両8枚目の大翔丸(金沢学院高OB)は、同3枚目の美ノ海に押し倒しで敗れて3連勝を逃し、6勝3敗とした。
今年は関取として土俵に上がった。1月19日は横綱大鵬の命日。
直近2年のこの日は幕下で相撲を取っていた孫の西十両11枚目王鵬(20=大嶽)は、大翔丸にはたき込まれて7敗目。
「2年前から命日の日にたまたま相撲があるが1番も勝てていない。今日こそはという思いがあった」と悔しさをにじませた。
黒星が続く新十両の今こそ、耐え忍ぶ。
9日目からの土俵入りは「忍」の文字が入った化粧まわしを使用。
祖父が生前、好んでいた言葉だ。
師匠の大嶽親方(元十両大竜)によると、この「忍」は大鵬が直筆した字を「プリント」したもの。
化粧まわしを製作した知人に、希望の漢字1文字を問われて王鵬が選んだ。
「よく(祖父が)サインにも書いていた字。耐え忍んで、稽古も自分のためになることはきつい。それを忍んでやっていかなければということ」と王鵬。
自分なりに「忍」の意味をかみ砕く。
勝ち越しに向けて後がない状況となったが、相手の引きを怖がらず、前に出る相撲を貫いている。
「引いて負けるより、前に出て負けた方が星もついてくる」。
信念を持って、天国から祖父が見守る土俵に立っている。
大相撲初場所は11日目、20日から終盤戦です。1敗で単独トップに立つ前頭筆頭の大栄翔は平幕の阿武咲と対戦します。
大相撲初場所は大関 貴景勝が休場して戦後最多の関取17人が休場する異例の事態の中、前頭筆頭の大栄翔がただ1人1敗でトップに立っています。
2敗で大関 正代、3敗で大関 朝乃山、いずれも平幕の明生と逸ノ城が追う展開です。
大栄翔は、11日目の20日、平幕の阿武咲との対戦で、過去の対戦成績では3勝5敗と負け越しています。
大栄翔としては、ここまで続けている思い切りのいい突き押しで一気に勝負を決めたいところです。
阿武咲も同じ突き押しを得意とするだけに、どちらがより鋭く踏み込み、腰を落として下から攻めていけるかが勝負の鍵を握ります。
星の差1つで追う正代は、35歳のベテラン、平幕の隠岐の海との対戦で、過去の対戦成績は4勝5敗と負け越しています。
正代としては、四つ身のうまい隠岐の海を相手に、立ち合いから足を止めず一気に前に出ていきたいところです。
7勝3敗の大関 朝乃山は、角番脱出をかけて関脇 隆の勝との一番で、過去の対戦は朝乃山の2勝1敗です。
朝乃山は、得意の右四つに持ち込むために立ち合いでしっかり踏み込んで、隆の勝の出足を止めることが重要です。
幕下の取組で立ち合いが不成立になったものの力士どうしの頭が激しくぶつかり、1人がしばらく立ち上がれなくなりました。
審判団は、取組をどうするか協議し、力士も相撲を取れる状態になったことから仕切り直して行われる珍しい事態となりました。
東京 両国の国技館で行われている初場所10日目、幕下の湘南乃海と朝玉勢の一番は立ち合いが不成立になりましたが、2人は勢いあまって頭が激しくぶつかりました。
この衝撃で、湘南乃海がひざから崩れ落ち、何度か立ち上がろうとしましたが、足に力が入らない様子でふらふらする状態となりました。
2人は土俵の下に降りたものの取組が中断する形になり、審判団が取組の扱いについて協議することになりました。
協議の間に湘南乃海の状態が回復したとみられ、取組は続けられました。
仕切り直しの末に行われた取組では、しばらく立ち上がれなかった湘南乃海がはたき込みで勝ちました。
2021/01/17
貴景勝が持ち前の相撲を取り戻した。
立ち合いから低い当たりで栃ノ心をはじくと、相手に何もさせず突き押しで一気に土俵の外へ押し出した。
鋭い出足で攻めきる会心の内容を見せて「土俵で出さないと何も意味がない。また明日以降しっかり準備していく」と気を引き締めた。
7日目でようやく二つ目の白星。
初日から4連敗で目指した綱とりは絶望的だが、大関の役割は果たさねばならない。
後半戦の巻き返しに向け、「気持ちとか、精神的なものが(結果に)出てくる。自分がどこまでできるか。とにかく集中して力を出し切りたい」と力を込めた。
物足りなさが目立つ大関陣にあって、カド番の正代が1敗を守り、看板力士の面目を保っている。
この日は動きのいい阿武咲を右を差して組み止め、そのまま前に出て力強く土俵下まで押し出した。
「立ち合いから出足が良かった。落ち着いて取り切れている」と納得の表情だ。
関脇照ノ富士は、小結御嶽海を寄り切りで下して4勝目を挙げた。
元大関の真骨頂と呼べる一番だった。
立ち合いから素早く左上手を引くと、流れで右上手も取って外四つの形に。
腰の重い相手に胸を合わせると、そのまま力任せに寄り切った。
「(上手を)取れたのでよかった。取ったら安心という感じ。(相手は)差してくるだろうと思ったので」と、予想通りの展開での完勝に胸を張った。
迷いのない取り口は、いつもすがすがしい。
大栄翔は鋭く当たり、関脇隆の勝を大きく後退させた。
「先に攻めることができてよかった」。間髪入れずに重い突きを見舞い、何もさせずに土俵の外へと押しやった。
初日の大関朝乃山に始まり、今場所出場の役力士を全員撃破。
「内容もいいので力が付いてきたんじゃないかと実感できる」。
素朴な口ぶりに自信がみなぎっている。
平幕が初日から三役以上に7連勝したのは、1場所15日制が定着した1949年夏場所以降では初めて。
対戦する三役以上を全て破ったのは、西前頭3枚目だった91年秋場所の若花田(後の横綱3代目若乃花)以来の快挙だ。
両横綱が初日から不在の今場所。
けれん味のない大栄翔の姿に、八角理事長は「救世主が現れたというのかな。こういう内容で相撲を取ると期待が全然違うよね」とたたえた。
明瀬山が敗れて単独トップに。
平幕力士との対戦しか残っておらず、有利な立場にいるとも言えるが、「変わらずに、思い切って向かっていく気持ちでやりたい」と語る。
日本相撲協会の芝田山広報部長は16日、新型コロナウイルスに感染して入院していた荒汐部屋の協会員全員と、湊部屋の幕内格行司、木村元基が退院したと明らかにした。
2021/01/16
貴景勝の初日からの連敗がようやく止まった。
琴勝峰を右喉輪で起こすと、タイミング良く左から突き落とした。
「白星を挙げられたことが、いいきっかけになれば」。
表情を変えずに淡々と振り返った。
今場所の綱とりは遠のいたが、両横綱が不在の中、出場力士の最上位としての重責は変わらない。
「一生懸命やることしかできない。集中して一日一日準備していくだけ」と必死に前を向いた。
かど番の2大関は対照的だった。
正代は厳しい攻めで5勝目を挙げたが、朝乃山は詰めを誤って3敗となった。
栃ノ心にもろ差しを果たした正代はまわしも与えず、「体が動いてくれているので、この調子で最後までいけたらな」と言葉にも勢いがある。
朝乃山は宝富士と自分十分の右四つに組んだ後、相手に上手を与えて投げを食った。
「土俵際まで攻めたが、その後に攻め切れない自分がすごく悔しい」と自らを責めるように言った。
28場所ぶりの幕内で、明瀬山が存在感を発揮している。
初日から6連勝とした35歳は「素直にうれしい」と実感を込めた。
懐に入ってきた照強に一気に出られるピンチにも、冷静さが光った。
土俵際で残すと、右から逆転の突き落とし。
独特な体形で愛嬌(あいきょう)たっぷりなベテランの快進撃は止まらない。
故北の湖親方(元横綱)からも手ほどきを受けた右四つと、押しを武器に2016年春場所に新入幕を果たしたが、わずか4勝とはね返され、幕下まで転落。史上4番目に長いブランクを記録して再入幕した今場所は、見違えるような好成績だ。
そんな姿に、八角理事長(元横綱北勝海)も「真面目にやっていればいいことがあるという見本じゃないか。立派。お手本になる」。
08年初場所の初土俵から休場することなく土俵を務めてきた地道な姿勢も、下地になっていることだろう。
昨年1月の初場所では、同じ木瀬部屋で1学年下の徳勝龍が幕尻優勝。
もっとも本人は気負いはなく、「まだ前半も終わってないんだから」。
軽妙に語ると、にやりと笑った。
大相撲初場所は7日目、前頭筆頭の大栄翔はここまで三大関などを破って6連勝とし関脇 隆の勝と対戦します。
大栄翔は16日に勝てば、出場しているすべての役力士から白星を挙げることになります。
横綱不在の初場所 平幕2人が6連勝
横綱不在の初場所は、6日目を終えて役力士に勝ちっ放しがおらず、前頭筆頭の大栄翔と、前頭16枚目の明瀬山の平幕2人が、初日から6連勝としています。
上位陣では角番の大関 正代が1敗で追っています。
大栄翔は、16日に対戦する隆の勝から白星を挙げれば、出場している役力士全員に勝っての7連勝となります。
過去の対戦成績は大栄翔の2勝3敗で、ともに思い切りのいい押し相撲が持ち味です。
互いに相手の突き押しに対して、どこまで我慢して自分の相撲を貫けるか、地力の試される一番になります。
6連勝の明瀬山は、逸ノ城との対戦
同じく勝ちっ放しの明瀬山は、逸ノ城との対戦です。
両者ともに右四つを得意とする力士で、がっぷり四つに組み合う展開が予想されます。
35歳の返り入幕の場所で連日、土俵を沸かせている明瀬山が、体重およそ200キロと重い逸ノ城を相手にどのような相撲を見せてくれるのか楽しみです。
1敗で追いかける正代は、平幕の阿武咲との対戦で、対戦成績は正代の不戦敗を含めて2勝2敗です。
今場所の阿武咲は出足が非常によく、突き押しも強烈なだけに、正代としては前に出る相撲で退けて勢いに乗っていきたい一番です。
2021/01/12
「この年末年始も角界はコロナに振り回されっぱなしですよ…」と、疲労感のにじむ表情を浮かべるのはさる角界関係者だ。
1月10日に初日を迎えた大相撲1月場所は、開催前から予断を許さない状態が続いていた。
「昨年の大みそかに、荒汐部屋の若隆景(26)のコロナ感染が判明。翌元日には、荒汐親方を含む計11人のクラスター発生が確認されて、角界周辺は一気に慌ただしくなりました。一方で、20年度の収支決算が55億円の大赤字を見込んでいる相撲協会としては、緊急事態が発令されようが、約5000人を上限に、観客を入れた本場所開催の方針を曲げるわけにはいかなかった。5日には、横綱・白鵬(35)の感染も発表。昨年同様に難しい舵取りを迫られましたが、1場所5億円の放映権料と入場料収入のために中止の判断は下せなかったようです」
3日に嗅覚異常、4日にPCR検査を受けて感染が確認された白鵬は、3場所ぶりの本場所復帰が断たれたことになる。
くしくも引退の先延ばしに成功した白鵬だが、かつて大相撲界の一大勢力として君臨していた「モンゴル互助会」も、ヘッド不在で機能不全に陥っているという。
衰退の一途を辿るモンゴル人横綱から、学生相撲出身の正代(29)、朝乃山、貴景勝の日本人大関3人衆の時代へと政権交代が進むのも角界の飛花落葉。
中でも、初場所で大関からの一抜けに期待がかかるのは貴景勝だ。
相撲界のジンクスに打ち勝てるかどうかが綱取りの鍵を握っている。
1月12日発売の「週刊アサヒ芸能1月21特大号」では、もはや崩壊の危機に瀕する「モンゴル互助会」の近況と、21年の大相撲初場所で貴景勝が目論む「押し相撲クーデター」について詳報している。
大相撲初場所2日目は11日、東京・両国国技館で行われた。
カド番の大関・正代が熱戦を制し、3大関で唯一2連勝を飾った。
立ち合いから左が入ると、大関経験者の高安を土俵際まで押し込んだ。
反撃を試みる高安に上手を許しかけたが、いなして相手の体勢を崩すと、再び左が入り、前に出て寄り倒した。
激しい攻防を制し、正代は「立ち合いから前に出られた」と言い、「途中、相手の形になりかけて引いてしまい、良くなかった」と反省も忘れなかった。
新大関だった11月場所3日目の高安戦に勝った後、左足首を痛め、結局5日目から休場に追い込まれた。
因縁の相手との対戦に「決着後のけがだったので、そういう意識はない」とはいえ、難敵を退け、安心した様子だった。
大関2場所目で早くもカド番ながら、「(新大関だった)先場所に比べれば緊張していないかな。吹っ切れていると思う」と話していた。
両横綱が不在の中、綱取りがかかる貴景勝が初日から連敗し、同じカド番の朝乃山も初日に敗れた。
土俵下の錦戸審判長(元関脇・水戸泉)も「(3大関で)一番安定感があるように見える」と評価した。
正代は「負け越してもなるようになると考えて、一番一番取れれば、それなりの成績になるのではと思っています」。
気負いを感じさせず、連勝を伸ばしていくつもりだ。
大関かど番の朝乃山が北勝富士に快勝して初白星。
3度目で成立した立ち合いで思い切りよく踏み込み、すぐに右を差して自分の形に。
上手は引けなくても、圧力をかけて前へと攻め、すくい投げで仕留めた。
「これが自分の相撲だと思う。続けていきたい」と納得の口ぶりだった。
右肩を痛めて先場所を途中休場し、今場所の初日は黒星。嫌な流れを断ち切るような好内容に「かど番を脱出して、2桁勝って、優勝争いに加われたらいい」と意気込んだ。
大栄翔が大関を連破した。
初日の朝乃山に続いて貴景勝も重い突き押しで苦しめ、「自分でも内容がいいと思う。本当に自信になる」。
十分な手応えをつかんだ。
綱とりを目指す貴景勝は埼玉栄高の後輩に当たる。
特に仲の良い相手でもあるが、「普段と変わらず、大関に胸を借りるつもりで思い切りいった」と無心で攻めた。
先場所は西前頭2枚目で10勝を挙げながら三役復帰はかなわず、「1場所でも早く戻りたい」。
目標に向けて快調なスタートを切っている。
大相撲初場所(東京・両国国技館)2日目の11日、西小結・御嶽海(出羽海部屋)は東前頭2枚目・宝富士(伊勢ケ濱部屋)と対戦、寄り切りで敗れた。
3日目の12日は、結びの一番で東大関・朝乃山(高砂部屋)と対戦する。
御嶽海は攻めきれずに土が付いた。
立ち合いで踏み込んで押し込んだものの、右を差し勝って前に出たところでいなされて泳ぎ、体勢を入れ替えられて土俵を割った。
朝乃山は2日目に白星を挙げて1勝1敗。
過去6場所で5度当たり、対戦成績は御嶽海の3勝2敗となっている。
阿武咲が元大関の照ノ富士を圧倒した。
突き起こして上手を与えず、懐に飛び込むと、休まず攻めて寄り切った。
「思い通りの相撲が取れたのでよかった」と充実感たっぷりに振り返った。
西前頭3枚目。
3年ぶりの三役復帰を目標に掲げ、昨年12月の合同稽古では6日間休まず稽古に励んだ。
初日も高安に圧力勝ち。
「あと一息。しっかり集中して頑張りたい」と気合は十分だ。
新入幕の翠富士が「十八番」の肩透かしで初日から2連勝とした。
自身より約60キロも重い豊山に立ち合いで鋭く当たり、右を差すと間髪入れずに肩透かし。
見事に豊山を転がした。
十両優勝した先場所は10勝のうち4勝を決めた得意技で快勝し「出ましたね。しっかり(立ち合い)当たって、その流れの中で(肩透かしを)打てました」としてやったり。
目標の三賞に向かって絶好のスタートとなった。
大相撲初場所2日目は11日、東京・両国国技館で行われ、十両復帰2場所目の宇良(28)=木瀬部屋=は、新十両の納谷改め王鵬(20)=大嶽部屋=を押し出しで降し、2連勝とした。
元横綱・大鵬(故人)の孫で191センチ、170キロの大きな体で期待を集める王鵬に対し、175センチ、136キロの宇良。
立ち合いで頭を下げて当たってきた王鵬に「飛ばされないように」と、さらに下をいった。
胸に頭をつけると左を手繰って体を入れ替え、リズムよく押し出し。
両手を広げ、余裕の表情で客席を見渡した。
かつて幕内で「業師」として脚光を浴びた宇良だが、両膝のけがで一時は序二段まで番付を落とした。
気付けば期待の若手を迎え撃つ立場となり「自分も年を取ったな」と自嘲気味に笑う。
王鵬を「体も大きくて強そうだった」と認めつつ、持ち味を発揮して退けた。
「自分の相撲は取り切れた」と納得の表情の宇良。
目指す幕内復帰へ、好スタートを切った。
改名を機に「敗北」のイメージを拭い去る。
史上ワースト89連敗の記録を持つ、東序ノ口28枚目の服部桜改め勝南桜(しょうなんざくら、22=式秀)が、改名後初の取組に臨んだ。
西序ノ口27枚目大陸山になすすべなく押し倒され、昨年初場所の6番相撲から76連敗となったが「冷静に取れた」と気持ちを切り替えた。
生まれ育った神奈川県茅ケ崎市への思いから、昨年11月場所中に師匠の式秀親方(元前頭北桜)に改名を志願した。
当初は「湘南桜」だったが、師匠の提案で「勝南桜」に。
下の名前も高校生棋士、藤井聡太2冠から取って「聡太」にした。
自身もスマホのアプリで遊ぶなど将棋が好き。
縁起を担ぎ「希望通りのしこ名です」と声を明るくした。
「勝」「南」のそれぞれ対義語は「敗」「北」。
師匠の式秀親方(元前頭北桜)によると「『敗北』となったのは後で気付いた」と、偶然だったという。
師匠は「名前を変えたいと聞いてやる気になってるんだなと感じた。稽古も一生懸命やっているので、これから頑張ってほしい」と期待。
通算3勝210敗となったが、勝南桜は「勝ちにこだわりたい。今年で通算10勝くらいはあげたい」と目標を設定した。
◇師匠も教えてくれる
翠富士 新入幕で2連勝スタート。
豊山を得意の肩透かしで仕留め、「体重が増えて、押し込んでから決まるようになった。師匠(の伊勢ケ浜親方)も教えてくれる」と自信ありげ。
◇良くない
照ノ富士 阿武咲にいいところなく寄り切られて連勝ならず。立ち合いからの流れを問われ、「良くないと思う。まあ、あしたから」と淡々。
◇我慢して取れた
宝富士 御嶽海との攻防ある相撲で、最後は得意の左を差して寄り切る。
「我慢して取れた。きょう勝ったのは大きい。三役に戻れたらいい」
◇だいぶ良さそう
正代 高安に粘り勝ち、大関かど番で2連勝発進。
先場所で痛めた左足首は「だいぶ状態が良さそう。立ち合い自体もそんなに悪くない」と不安はない様子。
2021/01/11
初の綱とりに挑む初日。
貴景勝は「自分ではいつも通り」という心構えで臨んだが、初めて経験する重圧は計り知れなかったことだろう。
低く、重い攻めを貫けずに黒星。
厳しい船出となった。
照ノ富士が期待の若手、琴勝峰を豪快に押し倒した。
まわしは取れなくても構わず前に出て、土俵外まで飛ばした。
幸先良く新年を滑り出し、「よかった。自分のやれることだけをやろうと思っている」。
淡々と振り返った。
大相撲初場所(東京・両国国技館)は10日、初日を迎えた。
西小結・御嶽海(出羽海部屋)は結びの一番で東大関・貴景勝(常盤山部屋)を押し出しで破り、白星発進となった。
2日目の11日は東前頭2枚目・宝富士(伊勢ケ濱部屋)と対戦する。
御嶽海は立ち合いに踏み込んで頭で当たると、下からはね上げて貴景勝の攻めに応戦。
右に回り込みながら相手が引いたところを逃さず前に出て、綱とりの懸かる大関に土をつけた。
宝富士は、黒星でスタートした。
過去6場所で4度対戦し、御嶽海の3勝1敗となっている。
大相撲初場所が10日、東京都墨田区の両国国技館で初日を迎え、新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言下で、厳重な対策を講じて開幕した。
5千人を上限に観客を入れての興行。
翠富士が幕内デビューを白星で飾った。
立ち合い変化で“勝った”はずの相撲が立ち合い不成立。
仕切り直しは迷わず、思い切り当たって勝利した。土俵入りで「幕内」を実感したという。
「そうそうたるメンバーで『ハッ』となってちょっと緊張しましたね」。
それが逆に刺激となった。
場所前は「関取になって初めて」という1日40〜50番の猛稽古。
「稽古した自信がある」と旋風を狙う。
大相撲の序二段力士、琴貫鉄(22)=本名柳原大将、滋賀県出身、佐渡ケ嶽部屋=が10日までに、新型コロナウイルス感染を懸念して現役引退したことを自身のツイッターで表明した。
「このコロナの中、両国まで行き相撲を取るのはさすがに怖い」などとつづった。
関係者によると、既に同部屋で断髪式も行われた。
ツイッターによると、師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)を通じて日本相撲協会に大相撲初場所の休場を申し出たが、「コロナが怖い」との理由で休場はできないと伝えられたと主張。
「自分の体が大事」と引退を選んだという。
本場所の休場は医療機関の診断書の提出が義務付けられている。
相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は10日の代表取材に「協会は安全対策を取ってきた。それに対応ができないなら、本人が出処進退を考えるしかない」と説明した。
今場所の琴貫鉄は全休扱いとなる。
大相撲初場所は2日目、「綱とり」の場所で黒星スタートとなった大関 貴景勝は、前頭筆頭の大栄翔と対戦します。
初場所は両横綱を含む関取16人が休場する異例の事態の中、大関 貴景勝の「綱とり」に注目が集まりますが、初日は難敵 御嶽海を押し切れず黒星スタートとなりました。
2日目は前頭筆頭の大栄翔との対戦で、過去の対戦成績は不戦敗も含めて貴景勝の7勝3敗です。
ともに押し相撲の力士で、立ち合いの低さ前に出る圧力などは大関が上ですが、大栄翔も場所を重ねるごとに力をつけてきました。
貴景勝は突き押しを貫いて力の差を見せたい一番で、初日の取組のように引いてしまうことは禁物です。
一方、負け越せば大関から陥落する「角番」の朝乃山も初日敗れて黒星スタートとなりました。
2日目は押し相撲の実力者、前頭筆頭の北勝富士と対戦します。
過去の対戦では朝乃山が7勝2敗と勝ち越していて得意の四つ相撲に持ち込むことができれば優位です。
出足のいい北勝富士を相手に立ち合いでしっかり踏み込んで自分の形を作れるかどうかが鍵になります。
同じく「角番」の大関 正代は、大関経験者の高安と対戦します。
高安もここ数場所は力が戻ってきているだけに正代としては、立ち合いで当たり負けしないよう圧力をかけて白星を重ねていきたいところです。
大相撲の序二段の力士が新型コロナウイルスへの感染を恐れて休場を申し出たものの受け入れられなかったため現役を引退したと、ツイッターに投稿したことを受けて、日本相撲協会の芝田山広報部長は「コロナが怖いから休場させては理屈が通らない」と話し、休場は認められないという考えを明らかにしました。
大相撲の序二段力士、琴貫鐵は9日、自身のツイッターで現役引退を表明したうえで「このコロナの中、両国まで行き相撲を取るのはさすがに怖いので、休場したいと親方に伝え協会に連絡してもらった結果、協会からコロナが怖いで休場は無理だと言われたらしく、出るか辞めるかの選択肢しか無く」などと理由を説明しました。
これについて日本相撲協会の芝田山広報部長は「会社にもコロナが怖いから出社したくないっていう人もいるだろう。それをみんなが言っていたら仕事にならない。協会は安全対策をとってきた。コロナが怖いから休場させては理屈が通らない」などと話し、感染への懸念を理由にした休場は認められないという考えを明らかにしました。
そのうえで「対応ができないなら本人が進退を考えるしかない。本人の自由だから止めることもない。もう引退して断髪式もしたと聞いている」と現役引退についてもやむをえないという考えを示しました。
新型コロナウイルスの感染拡 大が続く中、大相撲初場所が10日、東京・両国国技館で初日を迎えた。
場所前のPCR検査で感染拡大が判明。
力士65人が休場する異例の事態となり、八角理事長(57=元横綱・北勝海)は初日恒例の協会あいさつで、異例の謝罪。
さらなる感染拡大なら打ち切りも視野に入る“緊急事態場所”が幕を開けた。
本場所途中での打ち切りも視野に入れた、試練の15日間が始まった。
東京を含めた1都3県は、緊急事態宣言下。
相撲協会は初日直前に878人の全協会員を対象としたPCR検査を実施し、九重部屋、友綱部屋の集団感染が判明するなど、全力士665人の約1割に及ぶ65人の力士を休場させて開催する異例の事態で初日を迎えた。
恒例の協会あいさつで八角理事長(元横綱・北勝海)は「このたびは場所前、相撲部屋において複数の感染者が判明し、多大なご心配をおかけしましたことを深くおわび申し上げます」と謝罪した。
いつもは観客に向けたお礼などを簡潔に話すが、この日は謝罪の言葉もあり、約2分30秒の長さとなった。
文字通り、異例ずくめの場所だ。
初日から関取が16人も休場するのは戦後初で、幕内の取組数は21番から18番に減少。
さらに深刻なのは十両で、28人のうち9人が休場し取組数は9番に激減した。
そのため、初日の取組開始時間は先場所初日より1時間15分も遅い午前9時50分。
2日目は午前10時に変更された。
入場者数も昨年11月の時点では最大5300人とする方針だったが、6日に売り止めとし上限を5000人に制限。
通常は払い戻しを認めていないチケットは、今場所に関しては前日までに要望があれば応じるとした。
さらに、館内ではちゃんこ販売を再開する予定だったが中止とし、飲食スペースも削減した。
力士が使うタオルは、そのまま支度部屋の上がり座敷に直接置かず、袋に入れるように指示。
協会員用の食堂で食事をする際は1テーブル1人と指定された。
地元・両国では「地元民として街の人の流れは気になる。無観客で開催する手はなかったのか」(会社員・久保田裕子さん、34)や「一人一人が感染防止に気を使っているし有観客開催は問題ないのではないか。通勤電車の方が感染の危険性はあると思う」など、賛否さまざまな意見がある。
中でも目立ったのは相撲協会に対する「責任と覚悟をもって頑張ってほしい」という声。
緊急事態場所の行方は、全国民が注目している。
新型コロナウイルスの感染急拡大で首都圏に緊急事態宣言が発令された中、大相撲初場所は10日、東京・墨田区の両国国技館で初日を迎えた。
場所前の緊急PCR検査で5力士の陽性が判明。
濃厚接触の可能性がある者や5日に感染が判明して入院した横綱白鵬(35)らを含め、コロナ関連で65力士が初日から休場した。
場所中に感染が拡大すれば打ち切りの可能性もある綱渡りの15日間。
戸惑いと手慣れた様子が交錯した。
新春にことほぐ、空気感はない。
緊急事態宣言下で、観客動員は上限5000人を厳格に守る初場所の土俵。
八角理事長(57)=元横綱北勝海=は、恒例の協会あいさつで謝罪の言葉を盛り込んだ。
「このたびは場所前、相撲部屋において複数の関係者の感染が判明し、多大なご心配をお掛けしましたことを深くおわび申し上げます」
場所直前、感染拡大防止を徹底するため親方、力士ら協会員878人を対象にPCR検査を行った結果、5力士の陽性が判明した。
濃厚接触の可能性がある者や感染が判明した白鵬らを含め、コロナ関連に関わる全休が全力士(665人)の約1割に当たる65人。
腰痛の横綱鶴竜(35)を含めて戦後最多となる関取16人が初日から休む異常事態となった。
28人のうち9人が休み、本来14番ある取組が9番となった十両の土俵入りでは、力士同士の間隔が皮肉にもソーシャルディスタンス(社会的距離)にならざるを得なかった。
東十両10枚目の宇良(28)は「いつもは(両隣と)もうちょっと詰めていた。どれくらいの距離を取っていいのかわからず、すぐに最後の力士が(土俵上に)呼ばれてびっくりした」と、東西で約4分間で終わった土俵入りを振り返った。
けがなどによる休場を合わせれば、初日から休んだ力士は98人となり取組数も大幅減少。
本場所は通常午前8時40分前後に開始されるが、昨年11月場所より1時間15分も遅らせて始まった。
それでも、土俵を掃き清める回数を増やすなど進行の時間を調整し、幕内土俵入りの時間は定刻(午後3時35分)より5分遅れた程度だった。
基本的に21番組まれる幕内の取組も18番になったが、結びの一番は午後5時50分すぎには終了。
進行に滞りや混乱はなかった。
自身初の綱とりに挑む大関貴景勝(24)は結びで小結御嶽海(28)に敗れて黒星発進となったものの「自分だけでなく、出ている力士は一生懸命やることで何かの活力になればと。自分も少しでも影響を与えられれば」と、出場する力士の番付最高位としての意識を示した。
芝田山広報部長(58)=元横綱大乃国=はこの日、15日間の懸賞申し込み総本数が約1400本だったと公表した。
新規は3件で力士の休場などでキャンセルは約100本。
先場所の懸賞総本数1040本を大きく上回り「非常に多くなっている。ありがたい」。心強い支えを感じながらも、場所中に力士らに感染が広がれば、途中打ち切りの可能性にも言及している。
一瞬の気の緩みが“黒星”に直結する。
2021/01/10
大相撲初場所は鶴竜とともに休場
大相撲初場所が10日に初日を迎えるが、横綱・白鵬は新型コロナウイルス感染のため休場となった。
先場所優勝した貴景勝の綱獲りがかかる場所で、腰痛の横綱・鶴竜とともに両横綱が不在となったのは残念だ。
昨年の11月場所後、白鵬と鶴竜は休場が多いとして、横綱審議委員会が引退勧告に次ぐ「注意」を決議。
それだけに名誉挽回するはずだった今場所の休場は、誰よりも本人が一番悔しいだろう。
とはいえ、白鵬の積み上げてきた実績が色褪せることはない。
改めてここまでの功績を振り返ろう。
通算勝ち星1170勝、驚異の勝率.826
モンゴルのウランバートル出身の白鵬はメキシコ五輪レスリング銀メダリストのジグジドゥ・ムンフバト氏を父に持つ。
15歳だった2000年に来日し、宮城野部屋に入門。
2003年11月場所後に十両昇進すると、2004年3月場所で優勝して十両をわずか2場所で通過し、新入幕を果たした。
2006年3月場所で13勝を挙げて大関に昇進。
翌5月場所で初優勝、2007年3月場所と5月場所では連続優勝を果たし、第69代横綱となった。
以降13年以上に渡って綱を張り続け、史上最多の44回優勝など数々の記録を打ち立ててきた。
通算勝ち星はダントツ1位の1170勝。
勝利数もさることながら、驚くべきは.826という勝率の高さだ。
史上初めて1000勝を挙げ、31回優勝した千代の富士でさえ.705、優勝24回の北の湖が.731だから、いかに白鵬が負けない力士かということがよく分かる。
ただ、白鵬が唯一超えられていないのが32回優勝の大横綱・大鵬。
872勝182敗で勝率.827と、白鵬をわずか1厘だけ上回っているのだ。
来場所14勝1敗なら大鵬超え
勝利数ベスト10に入っていない力士を見渡しても、22回優勝の貴乃花が794勝262敗で勝率.752、25回優勝の朝青龍が669勝173敗で勝率.795。
1場所で考えると12勝3敗で勝率8割なので、通算成績で勝率8割を超えるだけでも驚異的だ。
これまであらゆる記録を塗り替えてきた白鵬。双葉山の69連勝を超えられず、史上2位の63連勝でストップした連勝記録だけは、35歳という年齢を考えると更新は難しいだろう。
しかし、通算勝率の大鵬超えは射程圏内。
白鵬にとっては、残された「最後の頂」と言えるかも知れない。
ちなみに、もし来場所に出場して14勝1敗なら大鵬を上回るが、13勝以下なら超えられない。わずか1厘を伸ばすのも、このレベルになると相当大変だ。
大相撲の佐渡ケ嶽部屋に所属する序二段の琴貫鐵(22)が9日、自身のツイッターを更新し、新型コロナウイルスを理由に引退することを発表した。
「今日を持って引退することになりました。このコロナの中、両国まで行き相撲を取るのは怖いので、休場したいと佐渡ケ嶽親方に伝え協会に連絡してもらった結果、協会からコロナが怖いで休場は無理だと言われたらしく、出るか辞めるかの選択肢しか無く、コロナに怯えながら我慢して相撲を取ると言う選択肢は選べず引退を決意しました(原文から抜粋)」などとつづった。
日本相撲協会の宮田哲次主事によると、8日に佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)から電話で相談があったという。
宮田主事は同日に協会員878人を対象に実施したPCR検査で、陰性だった協会員のみが初場所に出場すると説明。
また、休場には診断書の提出が必要であることも説明したという。
佐渡ケ嶽親方は「詳細は宮田主事に聞いて下さい」と琴貫鐵との話し合いの内容は明かさなかった。
協会員のSNS使用は禁止されているが、琴貫鐵は「力士を引退してTwitter禁止は無くなったと思います」とSNS上で主張。
引退届も協会に提出済みだといい、アカウント名も「柳原大将(元琴貫鐵大将)」と本名を使用して更新を続けるとした。
大相撲初場所は10日、初日を迎えます。
新型コロナウイルスに感染した影響などで関取16人が休場する中、「綱とり」に挑む大関 貴景勝は初日に小結 御嶽海と対戦します。
初場所は横綱 白鵬など新型コロナウイルスの感染者と濃厚接触の可能性がある力士15人のほか、けがで休場する横綱 鶴竜の関取合わせて16人が初日から休場します。
こうした中、「綱とり」に挑む注目の大関 貴景勝は初日に小結 御嶽海と対戦します。
過去の対戦成績は貴景勝の9勝8敗ときっ抗しています。
ともに押し相撲を得意としていますが、立ち合いから突き放していけば貴景勝、密着して押し合う形になれば御嶽海が優位です。
貴景勝は難敵相手に初日から白星をあげて流れをつかみたいところです。
負け越せば大関から陥落する「角番」の2人のうち朝乃山は前頭筆頭の大栄翔と対戦します。
朝乃山は突き押しの威力が増してきた大栄翔の当たりを立ち合いで踏み込んで受け止め、まわしを取っての四つ相撲に持ち込みたいところです。
一方、大関2場所目で早くも角番の正代は前頭筆頭、北勝富士との対戦です。
過去の対戦では正代が6勝1敗と大きくリードしています。
正代が北勝富士の力強い当たりを受け止めることができるのか、11月場所の休場の原因となった左足首のけがの回復具合が気がかりです。
大相撲初場所(東京・両国国技館)初日前日の9日、両国国技館で土俵祭りが実施され、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)や審判部の親方、行司らが15日間の安全を祈願した。
新型コロナウイルス対策のため力士は出席しなかった。
先場所で2度目の優勝を果たし、初の綱とりに挑む大関貴景勝は土俵祭り後の優勝額贈呈式に臨み、引き締まった表情を見せた。
今場所は緊急事態宣言が発令された厳戒態勢での実施。
国技館のJR両国駅側には医療従事者への感謝を示すとともに、徹底した感染対策を行うことをアピールする横断幕が掲げられた。
異常事態の中で10日初日の大相撲初場所(東京・両国国技館)を迎える。日本相撲協会は9日、協会員878人を対象に実施した新型コロナウイルスのPCR検査の結果を発表。
九重部屋の西前頭13枚目千代翔馬(29)、西十両5枚目千代鳳(28)、幕下以下の力士2人、友綱部屋の幕下以下の力士1人の計5人の感染が判明した。
協会は直近で力士らの感染が判明した宮城野部屋、荒汐部屋、湊部屋を含む計5部屋に所属する親方や力士らの初場所全休を決定。
新型コロナの影響で、関取15人を含む力士65人が休場となった。
取組編成を担う審判部も休場力士の続出で対応に追われた。
PCR検査の結果を待つため1日遅れで初日、2日目の取組編成会議を開いた。
感染者と濃厚接触者が大量に判明し、本来は21番ある幕内は18番に、14番ある十両は9番となるなど取組数が縮減。
10日の取組開始は通常の場所初日より大幅に遅い午前9時50分となった。
電話取材に応じた伊勢ケ浜部長(元横綱旭富士)は「結構(休場者が)多いので割は難しいけど、つくっていかないといけない」と、緊迫感を漂わせた。
大関貴景勝の綱とりについては「そのときの流れ。結果を見てから決める」と慎重に言葉を選んだ。
休場力士の番付措置は場所後の27日に行われる番付編成会議で話し合う。
強行開催≠フ背景とは――。
大相撲初場所(東京・両国国技館)が10日に初日を迎えた。
日本相撲協会が実施した新型コロナウイルスのPCR検査で、陽性者が出た部屋の力士は全員が休場。
横綱白鵬(35)が感染した宮城野部屋など4部屋で計65人もの力士が大量休場する異常事態となった。
今後に新たな感染者が出れば、途中で打ち切りとなる可能性もある。
7日に1都3県に緊急事態宣言が発令され、世間からの逆風が強まる中、あえて開催に踏み切った舞台裏を追跡した。
日本相撲協会は9日に親方、力士、行司ら全協会員(878人、すでに検査済みの一部の部屋を除く)を対象に実施したPCR検査の結果を公表。九重部屋で幕内千代翔馬(29)と十両千代鳳(28)ら力士4人、友綱部屋で幕下以下の力士1人の計5人が新たに陽性判定を受けた。
感染者が出た部屋の力士は濃厚接触の可能性があるため、全員が休場することになった。
コロナ関連の休場者数は十両以上の関取だけで15人。
腰痛で休場する横綱鶴竜(35=陸奥)を合わせれば、戦後最多の16人だ。
幕下以下を含めた休場力士は4部屋で65人にも上り、これは全力士665人の約1割にあたる数字。
芝田山広報部長(58=元横綱大乃国)は初場所中に陽性者が出た場合は「一刻も早く(部屋を)封鎖していくしかない」としており、今後も一度に10人以上の単位で休場者が出る可能性もある。
尾車事業部長(63=元大関琴風)はさらに感染が拡大した場合の打ち切りの可能性について「もちろん、八角理事長(57=元横綱北勝海)の頭の中にはあると思う」と含みを持たせた。
本場所途中での中止は昭和以降で前例がない。そうなれば、大関貴景勝(24=常盤山)の綱取りや優勝力士などの取り扱いをめぐり、大混乱が生じることは避けられない。
一方で、国内でも感染者数が拡大の一途をたどる中での強行開催≠ノは、ネット上で「どういう神経をしてるのか」「中止にすべき」といった批判の声が噴出。相撲協会に対する風当たりは厳しさを増している。こうした世間の白い目≠承知の上で、開催にこだわる理由は何なのか。
角界関係者は「昨年はどん底だった。
せっかく一歩ずつ前進してきたのに、今さらゼロ≠ノ後戻りはできない」と事情を明かす。
昨年はコロナ禍の影響で3月の春場所を史上初の無観客で開催。5月の夏場所は中止を余儀なくされた。
7月場所からは観客の上限を約2500人、11月場所以降は約5000人に増やし「正常開催」への道筋をつくり上げてきた。
今年の春場所(3月14日初日、大阪府立体育会館)から地方場所を再開する方針も、その一環だ。
3月1日の番付発表は東京で行い、力士らは初日の3日前に大阪入り。
千秋楽後は3日以内に帰京する異例の強行日程で準備を進めている。
ここまでして大阪で開催するのは、地方のファン離れを防ぐ狙いがあるためだ。
相撲協会の2020年度の決算は中止や観客減の影響で約55億円の赤字となる見込み。
ただちに倒産危機≠ノ直面する状況ではないとはいえ、この状況が続けば協会の経営が一気に傾きかねない。
緊急事態宣言発令を受けて、初場所のチケット販売は6日で売り止め(終了)とする一方、有観客開催そのものは「譲れない線」(前出関係者)だったということだ。
今場所の開催にあたり、相撲協会は「安心・安全」を強調しているが…。
現状を見る限り、逆に不安が募るばかりだ。
2021/01/09
横綱鶴竜(35)=陸奥=が8日、初場所を休場することが決まった。
休場は自身ワーストタイの4場所連続で19度目。
初場所は3場所連続で初日から横綱不在という異常事態の中で幕を開ける。
鶴竜は出場の意向を師匠の陸奥親方(元大関霧島)に伝えたまま年を越していたが一転。
電話取材に応じた師匠は、「きのう電話あって。腰の調子。腰があんまり良くない。それと準備不足だと思うんだけどね。急にじゃないけど、まあぼちぼち胸出すのも数を増やしてきたんだけど、腰の調子が良くないということで、休場させてもらいます」と語った。
電話があったのは7日の夜。
師匠は「結構遅い時間だった。午後9時ぐらいかな。だいぶ迷ったんじゃないかな」と鶴竜の心中を思いやった。
持病の腰痛で関取衆との稽古はほとんどできないまま。
調整のルーティンだった出稽古もコロナ禍でままならない。
その状況は今後もしばらく続きそうだが、11月場所後の横綱審議委員会では史上初の「注意」を決議されている。
3月に予定されている春場所は「休場」という退路を断って臨む覚悟でいる。
師匠も「期待はしています。本人しか分からないからどうこう言えないんだけど、もう次はないよということで本人も来場所、引退かけて1日でも早く稽古出来る体を作って頑張りますっていうこと」。
次は正真正銘の進退場所となる。
小結御嶽海が初場所に向けて、都内の部屋で基礎運動などで調整した。
電話取材に応じ「目標は2桁。8勝じゃ物足りない。2桁を狙っていきます」と宣言。
昨年12月に28歳になり「ぐずぐずしていられない歳になった。優勝して大関に上がりたい」と大関昇進を見据えた。
角界でも新型コロナの渦が拡大しているが「自分のことだけを考えていく」と動揺はなかった。
日本相撲協会は8日、都内で臨時理事会を開き、1日あたりの観客数の上限を5000人として初場所を開催することを決めた。
当初は両国国技館の収容人数の約1万600人の半分にあたる、約5300人を上限としていた。
しかし、緊急事態宣言を受けて5000人に変更。
また、会場内でのちゃんこ販売の中止、グッズの売店を分散させるなどの感染防止対策を決めた。
電話取材に応じた芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「これまで以上の感染防止策を講じた上で安心安全な大相撲観戦にする」と話した。
7日に急きょ、実施を決めた協会員約900人へのPCR検査の結果は、まだ判明していない。
芝田山広報部長によると、この日中には判明する見込み。
年末から年明けにかけて新型コロナウイルスの集団感染が発生した荒汐部屋や、感染した横綱白鵬が所属する宮城野部屋の力士らの出場は、9日にあらためて判断するという。
「協会全体の状況を把握しないことには進んでいかない。感染症の先生方と執行部で話し合って、対応を決めて取組編成に入る」と検査結果を確認し、初場所初日前日の9日に取組編成会議を開くとした。
日本相撲協会は8日、臨時理事会を開き、大相撲初場所の開催を正式決定した。
「『緊急事態宣言』ならびに『東京都の緊急事態処置』と、協会の新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインに基づき、お客さまの健康と安全を確保するため、これまで以上の感染防止策を講じた上で安心安全な大相撲観戦とする」と発表した。
理事会では政府指針に沿い、観客上限5300人を15日間、5000人を上限に変更することを改めて説明された。
収容人数以外では協会員の外出、買い出しなど細かいルール。
お客さんの館内で利用する飲食スペースも席数を減らすこと。
ちゃんこの販売は中止することも決まった。
グッズの売店も分散させる。
職員のテレワークなども話し合われた。
会議後に広報部の芝田山部長(元横綱大乃国)が電話対応。
「テレワークに関しては場所中は困難ですけど、場所後はテレワークにも対応」と説明した。
昨年の12月中旬から立浪部屋、荒汐部屋、宮城野部屋の白鵬が感染した状況も報告された。
全協会員に対するPCR検査もこの日、行われ、初日前日の9日までには約900人の検査結果がまとまる見通しだ。
「昨日からみなさんにお伝えしている通り。結果が出て、それからどういう対応をするかというのは感染症の先生方と執行部で話し合って、対応を決めて取組編成に入る」と同部長は話した。
9日は土俵祭りの後、検査結果を待って、初日、2日目の取組を決める取組編成会議が行われる。
通常は初日の2日前に行う取組編成会議を初日前日に行うのは異例の事態だ。
「明日(9日)の夕方までにはちゃんと取組は決まると思いますけど」と同部長が見通しを示した。
白鵬、荒汐部屋の感染した全10人の力士は全休が確実ながら、白鵬以外、陰性だった宮城野部屋の力士の出場可否はまだ決まっていない。
同部長は「それも含めて専門家の話を聞いてからか今個別ではなくて、総まとめにしてやらなければいけないので。そういう話をまだ持つ段階ではないと。結果が出ないことには。宮城野部屋は陰性と出ていますが、それも含めて全部協会全体の状況を把握しないことには進んでいかないということ」と、手順を踏むことを強調した。
日本相撲協会は、8日、臨時の理事会を開き10日に初日を迎える初場所について、緊急事態措置に基づき要請されたイベントの開催にあたっての人数の上限、5000人以下を守って予定どおり開催することを決めました。
日本相撲協会は、10日に東京・両国の国技館で初日を迎える初場所について新型コロナウイルスの感染拡大を受け、6日で入場券の販売を取りやめた一方、観客を入れて開催する準備を進めてきました。
相撲協会は8日午後、臨時の理事会を開き、緊急事態宣言下で初場所を開催するかどうか協議した結果、政府の緊急事態宣言と、イベント開催の人数の上限を5000人以下とするなどとした都の緊急事態措置の要請に沿って予定どおり開催することを決めました。
相撲協会では、感染防止対策として観客席での飲食を避けるために飲食スペースを設けていますが、対策を徹底しようとスペースに入れる人数を制限するほか、予定していた「ちゃんこ」の販売を中止するということです。
相撲協会の芝田山広報部長は「緊急事態宣言が出されたことに対して相撲協会は政府などの要請に対応していますよということだ」と話しました。
また今月に入って感染者が出た部屋に所属するほかの力士の出場については、協会員全員を対象に実施しているPCR検査の結果を待って、場所前日の9日に判断するとしています。
芝田山広報部長は「どこが出場できるのかできないのかは、分けないとならないが、協会全体の状況を把握しないことには進まない。感染症の先生方と話し合って、対応を決めていく」と説明しました。
日本相撲協会は8日、臨時理事会を開き、大相撲初場所を予定通り10日から開催することを決定しました。
協会は前日に、全協会員およそ900人のPCR検査を実施。
9日までに結果が出る見通しです。
芝田山広報部長は電話取材で、「お客様の健康と安全を確保するため、これまで以上の感染防止策を講じたうえで安心安全な大相撲観戦とする所存です」と語りました。
日本相撲協会は8日、東京都墨田区の両国国技館で臨時理事会を開き、大相撲初場所(10日初日・国技館)について、徹底した新型コロナウイルス感染防止策を講じて開催することを確認した。
力士、親方ら約900人にPCR検査を実施。芝田山広報部長(元横綱大乃国)は今後、結果を受けて力士らの出場可否などを感染症の専門家と協議するとし「どこが出場できるのか、できないのかを分けていかないと。全体の状況を把握しないことには進んでいかない」と話した。
検査の判定を待つ必要があるため、通常は初日の2日前に開かれる取組編成会議を9日に実施することになった。
NHK厚生文化事業団は8日、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を踏まえ、毎年2月に東京・両国国技館で開催しているNHK福祉大相撲を今年は中止すると発表した。
福祉大相撲では幕内取組や力士と女性歌手らによる歌比べが行われ、純益などで福祉施設に福祉車両を寄贈してきた。
2021/01/08
大相撲の陸奥親方(元大関霧島)が7日に電話取材に応じ、3場所連続休場している弟子の横綱鶴竜(35)=陸奥=が初場所に出場する意向であることを明かした。
鶴竜は取材に応じなかった。
鶴竜と出場に関して話をしたのは「だいぶ前だけど」とし、「最初やるって言って、それ以来何も聞いてないよ。今場所やる。出るっていうことで」。
出場することで親方と鶴竜の考えが一致しているかと再度問われたが「私はそう思ってますけど」と語った。
ただ、「明日一応、霧馬山もそうだけど、若い衆もけがをしているのもいるので、聞きます」と8日に鶴竜本人と話をして最終確認する。
鶴竜は合同稽古にも参加したが、関取衆との申し合いは回避。
年末には霧馬山と稽古したが、霧馬山が膝を痛めており年が明けてからは申し合いができない状態。
ほとんどぶっつけ本番で進退をかける場所に挑むことになる。
「白星がなんと言っても薬になると思う。勝っていけば調子も出てくるだろうし。まあ体はそんなに落ちてないし、気持ちだけだと思うんですけどね」と期待を寄せる一方で、「自分の格好になって力が出ないような形になると、本人が自分でもう無理かなと思っちゃうと思うので。その辺は本人しか分からないと思いますよ」と話した。
大相撲初場所(両国国技館)は10日に初日を迎える。
11月場所で、稀勢の里以来となる大関として22場所ぶりの優勝を果たし、自身2度目の賜杯を抱いた貴景勝が初の綱とりに挑む。
綱とりの壁となるはずだった横綱白鵬は新型コロナウイルスに感染し、出場は厳しい状況となったが、出場すれば進退を懸けて土俵に立つことになる横綱鶴竜、ともに初のかど番で尻に火が付いている正代、
朝乃山の2大関、先場所の本割で敗れた照ノ富士など、越えなければならない障壁は多い。それでも貴景勝は「本当にいつも通り」と泰然とした口ぶりだ。
基礎鍛錬重ね、11月場所で結実
新型コロナウイルスに大きく左右された昨年を「見つめ直せた1年だった」と貴景勝は振り返る。
3月は無観客開催となり、5月場所は中止。
相撲を取る稽古ができない時期もあったが、「それが自分にとっていい気づきになった。基礎運動を増やしたことが大きい。応用よりもまずは当たる強さを磨こう、と根本的な意識が変わった」という。
出稽古禁止や番付発表前の合同稽古などイレギュラーな調整が続く中、こつこつと四股やすり足、スクワットで下半身を重点的に鍛えてきた成果が11月場所で結実した。
基礎鍛錬が中心になったとはいえ、実戦も十分に積んできた。
先場所前に続き2度目の開催となった12月の合同稽古には3日間参加。
朝乃山との三番稽古に加え、白鵬に胸を借りた。
「肌で感じるものが多く、得られたものがたくさんあった」と充実感を漂わせている。
立ちはだかるかど番の2大関
綱とりの難敵となるのが、ともに先場所を途中休場し、今場所がかど番の2大関だ。
昨年の対戦成績は朝乃山に1勝2敗、正代には3連敗と分が悪い。
朝乃山は「先輩大関に向かっていくだけ」。
正代も「(相手が)綱とりだろうと負けたくない気持ちは変わらない」。
かど番ということも相まって、いつも以上に闘志むき出しでぶつかってくるだろう。
2場所連続で全休中の鶴竜は先場所後に横綱審議委員会から「注意」の決議が出されたこともあり、次に本場所に出る時は並々ならぬ思いでの出場となる。
腰の故障もあって、先月末にようやく同部屋の霧馬山と相撲を取る稽古を始めた。
コンディションこそ十分とは言えないものの、出場となれば相当の覚悟で来るはずで、一筋縄ではいかないだろう。
周囲の注目とは裏腹に、本人には力みがない。
「プロに入った時からいい成績を残したいと思って毎場所臨んできた。(初場所は)大事な場所だけれど、何かを変える必要はない」。
突き押し一本で横綱になるのは難しいともいわれるが、「だからこそ目指す価値がある。無理と言われているからやりがいがある」と意に介さない。
「優勝するためには集中し切って自分の相撲を取るしかない」。
欲を出さず、培ってきた押し相撲に徹するのみ。24歳の若武者はやるべきことをわきまえている。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を控えた7日、大関正代(29=時津風)が東京・墨田区の部屋で稽古を打ち上げた。
幕下力士と相撲を取って立ち合いや出足を確認。
体の状態は「問題なく相撲は取れる。何とかここまで来れたかなあ〜というところ」と自己評価した。
2日から6日まで幕内豊山(27)と相撲を取るなど精力的に汗を流し、昨年11月場所で負傷した左足首も回復。
ただし「ぶつかり(稽古で胸)を出したり、最初から(後ろに)下がる前提でやるのは大丈夫なんですけど、ふいに押されたときにどうなるか。ちょっと心配はあります」と付け加える。
また、初優勝を決めた昨年9月の秋場所は「挑戦している側だったので、あんまり変に考えることもなかった」と振り返るが、カド番で迎える初場所は「今まで以上に厳しい場所になると思う」と精神的負担も大きくなりそうだ。
同じくカド番の朝乃山(26=高砂)、綱取り初挑戦の貴景勝(24=常盤山)と2大関にとっても大事な本場所となる。
それでも正代は「自分のことだけ考えて、カド番を脱出することに集中できたら」と自然体で臨む。
大相撲史に残るであろう復活劇は新年も続くか。
元大関の照ノ富士は両膝負傷や内臓疾患で転落した序二段からはい上がり、初場所(10日初日・両国国技館)を18場所ぶりの関脇で迎える。
20代最後の年に、くっきりと視界に入る「大関復帰」の4文字。
「いい締めをして30代に入りたい」と意欲も十分だ。
昨年、再十両を果たした初場所を優勝で飾ると、幕内に返り咲いた7月場所で5年ぶりに賜杯を抱いた。
「(現役を)続けてきて良かった。いろんなことがあったけど、笑える日が来ると信じてやってきた」とインタビューで実感を込め、見る者の心を打った。
1年前はまだ十両2場所目。
そこから負け越し知らずで東前頭3枚目まで出世した琴勝峰は、自らの歩みを「番付が止まることなく、上がり続けたことはよかった」と実感を込めて振り返る。
昨年11月場所は11日目に初めて結びで取り、埼玉栄高の先輩に当たる貴景勝に初挑戦。さすがに「まだ余裕がなかったというか、いっぱいいっぱいになった」そうだが、小細工せずに真っすぐ大関に当たり、圧力負けしなかった。
最後は突き落とされての黒星にも、「すごくいい経験になった」と前向きに捉える。
191センチ、156キロの恵まれた体格を生かし、右四つでも、突き押しでも取れる器用さを併せ持った幕内最年少の21歳。
元横綱朝青龍のおいで東前頭14枚目の豊昇龍、元横綱大鵬の孫で新十両の王鵬と同じ1999年度生まれ。
華やかな世代をリードしている。
もっとも、本人は浮かれるそぶりを見せず、「引っ張るとか、そういう意識はなく、競争という意識。いずれは同じようなところでやると思っている。自分は自分でどんどん上を目指していく」という心構えもいい。
白鵬、鶴竜の両横綱の休場が相次ぐ中、将来の看板力士候補としての大きな期待も背負う。
「もっともっと上に行きたいし、強くなりたい。限界を決めず、行けるところまで行きたい」。
それに応える意欲に満ちている。
1年前はまだ十両2場所目。
そこから負け越し知らずで東前頭3枚目まで出世した琴勝峰は、自らの歩みを「番付が止まることなく、上がり続けたことはよかった」と実感を込めて振り返る。
昨年11月場所は11日目に初めて結びで取り、埼玉栄高の先輩に当たる貴景勝に初挑戦。
さすがに「まだ余裕がなかったというか、いっぱいいっぱいになった」そうだが、小細工せずに真っすぐ大関に当たり、圧力負けしなかった。
最後は突き落とされての黒星にも、「すごくいい経験になった」と前向きに捉える。
191センチ、156キロの恵まれた体格を生かし、右四つでも、突き押しでも取れる器用さを併せ持った幕内最年少の21歳。
元横綱朝青龍のおいで東前頭14枚目の豊昇龍、元横綱大鵬の孫で新十両の王鵬と同じ1999年度生まれ。
華やかな世代をリードしている。
もっとも、本人は浮かれるそぶりを見せず、「引っ張るとか、そういう意識はなく、競争という意識。いずれは同じようなところでやると思っている。自分は自分でどんどん上を目指していく」という心構えもいい。
白鵬、鶴竜の両横綱の休場が相次ぐ中、将来の看板力士候補としての大きな期待も背負う。
「もっともっと上に行きたいし、強くなりたい。限界を決めず、行けるところまで行きたい」。
それに応える意欲に満ちている。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を控えた7日、幕内徳勝龍(34=木瀬)が電話取材に応じた。
この日は東京・墨田区の部屋で自主トレーニングを行い、立ち合いの確認などで調整。
3日後に迫った本場所へ「(仕上がりは)順調というか、いつも通りだと思います」と手応えを口にした。
先場所後の稽古では部屋の関取衆と相撲を取って体を仕上げてきた。
ただし、新型コロナウイルス禍は油断できず「体調を崩さないように気を付けてやっていました。予防はしっかりするしかないですからね」と気を引き締めている。
昨年初場所の優勝から1年。
「なんか、あっという間に1年って感じですね。早かったですね。お客さんの声援を思い出します」と当時を懐かしむ徳勝龍は初場所へ「まずはケガなく15日間しっかりやりきることだと思います」と気合十分だった。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を控えた7日、幕内志摩ノ海(31=木瀬)が電話取材に応じた。
この日は東京・墨田区の部屋で自主トレーニングを行い、四股やすり足など基礎運動で汗を流した。
ここまで納得の調整ができているようで「稽古はしっかりできているし、自分なりに先場所のいい感覚をしっかりつかみながら稽古できていると思います」と語った。
昨年11月場所は幕尻力士としてV争いに加わり11勝4敗。終盤3連敗と失速したものの、大きな注目を浴びた。
初場所でリベンジを狙っているかと思いきや、本人は「全然ないっす。波がある相撲取りなので。型にハマればいいんですが、ハマらなければ負けが続くこともある。優勝が近いとか考えてない」と自然体を貫く。
今年32歳を迎える志摩ノ海は「遅咲き三役を目指して頑張りたい」と意気込んだ。
角界屈指の業師に慢心はない。東十両10枚目の宇良(28=木瀬)が自主練習となった7日の朝稽古後、報道陣の電話取材に応じた。
何度も口にしたのは「不安」の2文字。
慎重を期して、関取復帰2場所目となる3日後に迫った大相撲初場所(1月10日初日、東京・両国国技館)に臨む。
ここまでの仕上がりは「良くないんじゃないですか」、不満があるかについては「ちょっと不安しかない」、それは膝か? の問い掛けには「全部です」、先場所は9勝を挙げたが「不安は変わらない」、自信より不安? の声には「不安しかない」、幕内を目指す気持ちは「視野に入ってはいない」−。3年半前には前頭4枚目まで番付を上げたが、膝の負傷で休場が続き三段目まで番付を落とした。
同じ轍(てつ)は踏むまいという、宇良流の思いが「不安」の2文字や、いっけんネガティブにとらえられがちな言葉に表れた。
ただ、周囲は心配する必要はなさそうだ。
ここまで、部屋の関取衆との稽古はもちろん、相撲を取る稽古もしていないが、それはいつものペースだという。
16場所ぶりの関取復帰となった先場所、宇良の代名詞ともいえる反り技の「居反り」も繰り出し、後ろもたれという珍手でも白星を挙げた。
「(技を)見せる相撲を取りたいという気持ちはないけど、来るべき時が来たら出す感じですね」と話すように、相撲の感性は体が覚えているということだろう。
不安なコロナ禍は「このご時世、いつどこでかかるか分からない。誰が悪いとか、そういうことではないと思う」と、こればかりは希代の業師でもコントロールできない。
そんな気の抜けない中でも、年末年始のつかの間の休息は、時間があるときは自己啓発本を読み、「砂糖しょうゆがいちばん好き」という切り餅をほおばりながら過ごした。
「膝の安定感を増していくこと。ほとんど今は、そればかりに集中してやっています」。
現状の課題もしっかり見据えながら、戦いの場に身を委ねる。
日本相撲協会は1都3県に緊急事態宣言が出されたことを受けて、今月10日からの初場所の観客の上限を5000人として開催する準備を進めていく方針を示しました。
日本相撲協会は、今月10日に東京・両国の国技館で初日を迎える初場所について新型コロナウイルスの感染拡大を受け、6日、夕方で入場券の販売を取りやめた一方、観客を入れての開催を前提に準備を進めています。
政府は1都3県を対象に「緊急事態宣言」を出し、対象地域に講じるとしている措置で、イベントの開催要件については人数の上限を収容人数の半分か、5000人の少ないほうとするなどとしています。
これについて相撲協会の芝田山広報部長は「初場所は開催する方向で行くが、足を運んでいただけるお客様への安心・安全という部分を含めて、感染予防をしていこうということだ。人数は大丈夫だ。5000人は守る」と話し、観客の上限を5000人として開催する準備を進めていく方針を示しました。
角界も緊急事態≠セ。
大相撲初場所(10日初日、東京両国国技館)が目前に迫る中、日本相撲協会は親方や力士ら約900人の全協会員を対象に新型コロナウイルスのPCR検査を緊急実施することを決定した。
角界では横綱白鵬(53=宮城野)が感染して衝撃が走ったばかり。
全員検査の結果次第では大混乱が生じる可能性もあるだけに、これまでにない緊張感に包まれている。
相撲協会は7日に各部屋へ検査キットを配布。
8日に回収して、その日のうちに検査を行う。
取組編成会議は検査結果が出てから開くため、通常の初日2日前(8日)から前日(9日)へ変更される異例の事態となった。
芝田山広報部長(58=元横綱大乃国)は「お客さまの安心安全を一番に頭に置いて、検査を決めた。信頼性を高めていくということ」と説明した。
角界内は昨年末からコロナ禍への対応に追われている。
荒汐部屋では幕内力士を含む12人の集団感染が発生。
湊部屋でも行司1人に陽性反応が出た。
そして、ついに横綱白鵬までもが感染し、大きな衝撃が走った。
こうした中で政府は首都圏の1都3県に緊急事態宣言を再発令。
力士らの健康を守るだけでなく、観客の不安を払拭するために緊急検査に踏み切った。
ただ、親方、力士、行司、呼出、床山ら全協会員の人数は約900人にも上る(検査実施済みの一部の部屋は除く)。
感染症に詳しい医療関係者は「PCR検査を実施すれば、1%は陽性反応を示す」と指摘した。
データ通りなら感染者ゼロは考えにくく、最低でも10人前後は陽性反応を示す計算になる。
集団生活を送る相撲部屋であれば、さらに人数が膨れ上がっても何ら不思議ではない。
しかも、全員の検査結果が判明するのは、初日を翌日に控えた9日になる見込み。
仮に大人数の陽性者が出た場合には、取組編成などをめぐって大混乱が生じる可能性もある。
芝田山部長は「万が一、検査で陽性者が出た場合は感染症専門の先生の話を聞きながら、どうするかを一つひとつ決めていく。なるようにしかならない。あとはどういうふうに対処するか」と話しているが…。
いずれにせよ、慌ただしい中での出たとこ勝負≠ニなる印象は否めない。
果たして、新年最初の場所は無事に初日を迎えられるのか。
今はただ、感染者が最小限にとどまることを願うばかりだ。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は6日、横綱白鵬の新型コロナウイルス感染を受けてPCR検査を行った宮城野部屋の力士ら関係者が、いずれも陰性だったと明らかにした。
同部屋の力士が初場所(10日初日)に出場できるかどうかは未定で、芝田山部長は「濃厚接触者に当たる可能性もある。ちょっと分からない」と話した。
2021/01/06
初場所で3場所連続休場からの再起を目指していた横綱白鵬(35)=宮城野=が5日、新型コロナウイルスに感染したと日本相撲協会が発表した。
3日に嗅覚の異常を感じ、4日にPCR検査を受け5日朝に陽性が判明した。
三役以上の感染は白鵬が初めて。
芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「病院に入院しました。特に高熱が出ているとか、そういう話は何も聞いてない」と状況を説明したが、出場に関しては「それはもう難しい。それはないと思います」。
初日まであと5日。
昨年末の合同稽古から好調ぶりを猛アピールし、ここまで順調にきていたが休場が決定的となった。
相撲協会は先月25日以降は原則外出禁止にして感染予防を徹底。
それでも感染を防ぎ切れなかった。
芝田山広報部長はあらためて各部屋に注意喚起を通達した。
白鵬は年明けに部屋で稽古。
内部での感染拡大も懸念される。
芝田山広報部長は「ほかには誰も症状を訴える者は出ていない」としたが、師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)、十両の石浦、炎鵬を含む関係者全員がこの日、PCR検査を受診した。
荒汐部屋では年末年始に幕内の若隆景ら計12人が感染。
初場所出場の見通しは立っていない。
宮城野部屋の所属力士に関しても「検査の結果にもよる。検査して誰もがみんな陰性であったなら専門家の先生の話を聞かないと。自分の方からは厳しいとは言えない」と検査結果を待って可否を判断する。
横綱鶴竜(35)=陸奥=が5日の稽古後に代表取材に応じ、白鵬がコロナに感染したことを受け「とにかく気をつけてやらないと。一層というか、しっかり結果を残さないといけないと思ってます」と話した。
この日は若い力士に胸を出して終了。
「いつもと比べて満足いく形ではないかもしれないですけど、体の状態はよくなってきているのはいいことかな」。
7日の稽古後に出場可否を判断する。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)で初の綱取りに挑む大関貴景勝(24=常盤山)が3日、東京・台東区の部屋で稽古始めを行った。
この日は基礎運動やぶつかり稽古などで調整。
初稽古を終えた貴景勝は「体の感触? いいと思います。新しい年になって、また気を引き締めて、また一年間頑張っていきたいという思いです」と気持ちを新たにした。
年末年始は休まず体を動かす一方、大みそかはボクシングのWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチをテレビ観戦。
4階級王者の井岡一翔(31=Ambition)が3階級王者の挑戦者、田中恒成(25=畑中)を8回TKOで退けた一戦に「日本人対決だし、面白かった。レベルの高い戦い。ボクシングファンとして見て、感情を震わせるものがあった。自分も相撲で人の感情を動かせるような相撲を取りたい」と刺激を受けた様子だった。
本番まで、あと1週間。
番付の頂点への挑戦を前に「あとは実戦あるのみ。体はもうできているので。相撲勘とか相撲の流れとかを磨いてやっていきたいと思います」と気持ちを引き締めた。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を控えた4日、大関正代(29=時津風)が東京・墨田区の部屋で稽古を行った。
幕内豊山(27)と3日連続で取り「体はよく動いていると思いますけど、もうちょっと動けるようにしたい」と語った。
11月場所で負傷した左足首にはまだテーピングを巻いているが「最初に比べるとだいぶ薄くなった」ようで、初場所では「できれば外せたらなと」と完全復活≠目指している。
すでに「前に出る分には怖いことはない」と恐怖心を克服しつつあるが「ちょっと左足が残ったりすると、ちょっと変な感じはします」と言う。
初のカド番に向けて「もうそろそろ緊張してくるんじゃないかなと思うので、そこらへんもしっかり備えていけたら」と話す大関。
体の仕上がりは「(100%のうち)60とか70くらい。ここからもうちょっと詰めていって100に」と意気込んだ。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を控えた3日、大関朝乃山(26=高砂)が東京・墨田区の部屋で稽古始めを行った。
この日は部屋の幕下力士と相撲を20番取るなどして汗を流した。
年末年始も稽古場に降りて四股やすり足などで調整。
新年を迎えて「大関の一個上の番付(横綱)を目指したいし、大関で優勝しないとその話は出てこない。そこが一番だと思う」と決意を語った。
大みそかは部屋で格闘技イベント「RIZIN.26」を観戦。
元十両貴ノ富士のスダリオ剛(23)がミノワマン(44)にKO勝ちした一戦や、堀口恭司(30)がRIZINバンタム級王者の朝倉海(27)を破り王座を奪還したメインなどに熱視線を送った。
朝乃山は「スダリオさんがミノワマンさんを(カーフ)キックで4発蹴って、ダウンして、そのまま立ち上がれなくなった。すごかった。スダリオさんもそうですし、朝倉兄弟(海)と堀口さんとの試合を見て興奮したので。自分も頑張ろうという気持ちになりましたね」と刺激を受けた様子だった。
昨年11月場所で負傷した右肩は順調に回復。
初のカド番で臨む初場所へ向けて「カド番を気にしてたら、上を目指せない。出場するからには、勝ち越しじゃなくて、優勝目指して頑張りたいです」と意気込んだ。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を控えた4日、「昭和の大横綱」大鵬の孫で新十両の王鵬(20=大嶽)が東京・江東区の部屋で稽古を行った。
約40番取って「ケガも体調を崩すこともなく、調子よくできている」と手応えを口にした。
新年は3日が稽古始めで、この日から本格的に再開。
そんな王鵬は新十両として初めて15日間、土俵に上がるため、体力面を課題に挙げている。
「スタミナ面が怖いところがある。最初、初めて付き人についたとき15日行くだけできつかった。それが相撲を取ると考えると…」
対策として食事はもちろん、睡眠を意識するようになったという。
昼寝は「今のところだと1時間くらいがベストなんですよね」と明かし、夜も「11時には寝るようにしています。(起床時間は朝が)弱いんでバラバラになっちゃうんですけど、しっかり8時間くらいは寝られるように」と関取リズム≠確立しつつある。
また、年末年始は特番が多かったが「録画してちょっとずつ見てます」と工夫しているようだ。
新十両会見後と先月24日には祖父の墓前で手を合わせ「今年はありがとう、来年もよろしくお願いします」と報告した王鵬。
初場所に向けては「15日間、自分らしい『王鵬、いい相撲取るな』と思われる相撲を取っていきたいですね」と力を込めた。
日本相撲協会は4日、湊部屋に所属する行司1人(木村元基=52)が新型コロナウイルスに感染したことを発表した。
協会によれば、この日に発熱とせきの症状があり、PCR検査で陽性が判明。陽性判明後は居住地の保健所から本人に連絡があり、状況のヒアリングが行われたという。
行動記録から同部屋の全員が濃厚接触者とは認定されなかったが、5日にPCR検査を実施し、今後は保健所の指示に基づいて家族など濃厚接触者の検査や当人の加療などの対応を行う予定。
同部屋では湊親方(52=元幕内湊富士)が先月14日に新型コロナ感染が確認され、同24日に退院していた。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を前に、角界が激震に見舞われた。
日本相撲協会は横綱白鵬(35=宮城野)が新型コロナウイルスに感染したことを発表。
3場所連続で休場中の大横綱は、初場所の出場も絶望的となった。
力士に陽性者が相次ぐ中でも白鵬の感染は衝撃的に受け止められており、協会内では最悪の事態≠ワでささやかれ始めている。
ついに、大横綱までもがコロナ禍の直撃を受けた。
白鵬は3日に嗅覚異常の症状があったため、4日に都内の病院でPCR検査を受検。
5日朝に陽性であることが判明した。
宮城野部屋の所属力士ら関係者全員もPCR検査を受けた。
白鵬以外の力士にも陽性反応が出た場合には、所属力士全員が出場できなくなる可能性もある。
白鵬は右ヒザの故障の影響で先場所の11月場所を全休。昨年5場所(5月の夏場所は中止)のうち4場所で休場し、横綱審議委員会からは横綱鶴竜(35=陸奥)とともに「注意」の決議を受けた。
再起を目指す大横綱は12月に国技館で行われた合同稽古に参加。
綱取りに初挑戦する大関貴景勝(24=常盤山)らと精力的に稽古をこなすなど、復帰への意欲を見せていた。
しかし、本番直前の時期になってコロナ感染が判明。
軽症で済んだとしても、隔離期間などを考慮すれば事実上、出場は絶望的な状況となった。
芝田山広報部長(58=元横綱大乃国)は「(白鵬は)病院に入院した。特に高熱が出ているという話は聞いていない。(初場所出場は)もう難しい。それはないと思う」と断言した。
角界では年明けに荒汐部屋で幕内若隆景(26)ら計12人の集団感染が発生したばかり。
そして、今度は第一人者までもが不在となる異常事態となった。
協会内でも「白鵬感染」の一報は衝撃的に受け止められている。
角界関係者からは「まさか横綱まで感染するとは…。もう誰が感染していてもおかしくない。場所中に集団感染が起きれば、15日間を乗り切れなくなる」と打ち切り≠フ可能性もささやかれ始めた。
昨年9月の秋場所前には玉ノ井部屋で力士24人が集団感染。
この時は所属力士28人全員を休場させることで封じ込めることができた。
しかし、初場所開催中にクラスターが発生すれば、感染の連鎖を完全に断ち切ることは困難。
本場所そのものが立ち行かなくなる可能性もある。
果たして、初場所は無事に千秋楽を迎えることができるのか。
新年最初の場所で、いきなり暗雲が漂い始めた。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本相撲協会は今月10日に初日を迎える初場所について、6日の夕方で入場券の販売を取りやめるものの引き続き、観客を入れて開催する方針を明らかにしました。
日本相撲協会は今月10日に初日を迎える初場所の入場券について、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、6日午後5時の時点で販売を取りやめると発表しました。
6日午後5時まではインターネットで購入できますが、それ以降は入場券の在庫があっても購入できず、場所中の当日券の販売も行われないということです。
これについて日本相撲協会の芝田山広報部長は「緊急事態宣言が出る手前で柔軟に対応する。その反面、あすまで売るというのは、何かないかぎりは通常開催をしますよという意味もある」と説明し、引き続き、観客を入れての開催を前提に準備を進めていく方針を明らかにしました。
角界に激震が走った。
日本相撲協会は5日、横綱白鵬(35=宮城野)が新型コロナウイルスに感染したことを発表した。
入院措置となり、初場所(10日初日、東京・両国国技館)出場は絶望的な状況。
三役以上では初の感染となった。
菅義偉首相は1都3県を対象とした緊急事態宣言の再発令について、7日に決定する方針を表明。
観客の上限を約5000人として開催を目指す初場所に向けて、危機感が高まりそうだ。
初場所は、両国国技館の収容人数の半分にあたる約5000人の観客を上限とした通常開催を目指している。
有観客開催が再開した昨年7月場所から観客間でのクラスターは確認されず、芝田山広報部長は「飲食スペースはちゃんと区切っているし。ソーシャルディスタンスをしっかりと協会は取っている」と強調した。
一方で政府の方針によっては、必要に応じて臨時理事会を開き対応を協議する構え。
新型コロナウイルスの感染が拡大する首都圏で、緊急事態宣言の再発令が検討に入るなか、大相撲初場所(両国国技館)は10日に初日を迎える。
日本相撲協会はあくまで通常開催を目指す構えだ。
協会は4日、執行部の定例会議を開催。今週末に迫る初場所について、芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「今のところは通常開催と考えています。方針が出された場合は、それに向けて対応を考えていく」と話した。
前回の緊急事態宣言が出た5月場所は中止にしたが、芝田山部長は「5月は何が感染を強めているのか分からなかった。状況を調べていくと、飲食メインということになっている。イベント関係からクラスターが出たことは1度もない」とキッパリ。
収容人員の半分となる約5000人を上限に、観客も入れて開催する方向で進めている。
昨年末の年寄総会で、2020年度の収支決算が約55億円の大幅赤字になる見込みと報告されたばかり。
中止となれば、1場所5億円とみられるNHKの放送権料が入ってこないため、最悪でも無観客で強行する構えを崩していない。
一方で年明け早々から、角界に押し寄せるウイルス禍の存在感は強まるばかりだ。
協会はこの日、発熱とせきの症状があった幕内格行司の木村元基(52)が、PCR検査で陽性と判明したと発表。
所属する湊部屋の力士らは濃厚接触者と認定されなかったが、5日に協会が検査を実施する。
去る1日には荒汐部屋所属の力士全10人、荒汐親方(元幕内蒼国来)、床山1人の集団感染が発表された。
この日になって西前頭2枚目の若隆景が退院も、「出場するには日数が足りない」(芝田山部長)といい、全力士が休場になりそうだ。
それでも、場所前だったのは不幸中の幸いか。
もし感染した力士が国技館に入り相撲を取っていたら、他の部屋にも感染が広がり大クラスターが発生する可能性が高い。
緊急事態宣言が出されても劇場や映画館は対象外とされているが、接触競技の大相撲が同じと判断してよいものか。
強行開催は危険な賭けとなりそうだ。
2021/01/04
土俵上の注目とは別に、角界に波乱を巻き起こしそうなのが2人の横綱、白鵬(35)と鶴竜(35)だ。
いずれも近年は休場が多くなり、11月場所後に横綱審議委員会から「引退勧告」の次に重い「注意」の決議を受けた。
1月場所も休むようなら、それこそどうなるか。
ケガがちの横綱2人だが、ここにきて「休場」という選択肢を断たれたに等しい。
親方のひとりは「まず、問題は鶴竜です」と、こう続ける。
■日本国籍取得
「腰椎のすべり症で、腰に力が入らない。12月の合同稽古にも参加したが、結局、相撲は取らずじまいだった。鶴竜は引退後は親方になる目標があり、現在は消滅した井筒部屋の再興が夢。これまでは親方になるための資格のひとつ、日本国籍を取得できていなかったから、ずるずると休場して引退を引き延ばしていた。その懸念も、12月に帰化したことで雲散霧消。初場所序盤で引退、あるいは本場所直前に『やはり相撲はもう取れません』と引退するのではないか、と角界ではウワサされている。それほど腰の状態は良くないということです」
一方、まだまだ引退するつもりのない白鵬。
本人が目標としていた「東京五輪での土俵入り」は、五輪そのものの開催が危ぶまれているものの、まだ中止が決定したわけではない。
開催するかもしれない以上、夏の東京五輪まで現役を続けたいはずだ。
■開き直り休場
ただ、こちらも休場癖があるのは変わらず。
序盤で星を落とすなど、優勝の可能性が遠のくや、ケガを理由にケツをまくってしまう。
近年はその傾向が顕著で、2017年からの23場所中、「優勝せずに本場所を完走」したのは、たったの3場所。
半分以上の13場所を休場した。
「白鵬は横審をナメているからね。以前、苦言を呈されたときも、『出場したときは結果を残しているのに』と、ブーブー文句を言っていた。
実際、今の横審は弱腰もいいところ。
1月場所も状態次第ではさっさと休場し、『さあ、引退勧告でも何でもしてみろ。どうせできないだろ?』と、開き直るかもしれない。実際、横審にその度胸はないだろうからね」
土俵上より、横綱2人の去就や言動に注目だ。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)で進退がかかる横綱鶴竜(35=陸奥)が3日、東京・墨田区の部屋で新年の初稽古を行った。
11月場所は持病の腰痛のため全休。
昨年5場所(5月の夏場所は中止)のうち4場所で休場し、横綱審議委員会から「注意」を決議された。
この日は基礎運動などで軽めの調整。
12月24日の番付発表後は幕内霧馬山(24)と相撲を取る稽古を再開しているものの、初場所の出場については「(腰の状態は)せっかくいい感じに持ってきているので、無理せずにやっていく。(本番まで)まだ何日かあるので。稽古ができて体の調子がもっと上がってくれば、そこで判断できるんじゃないかと思います」と慎重な姿勢を見せた。
新年を迎えて「(昨年は)本当にひどい年だった。(今年は)いい年にしたいなという気持ちは持っています。新たな年が始まるわけですからね」と話したが…。
果たして、どうなるか。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)で初の綱取りに挑む大関貴景勝(24=常盤山)が3日、東京・台東区の部屋で稽古始めを行った。
この日は基礎運動やぶつかり稽古などで調整。
初稽古を終えた貴景勝は「体の感触? いいと思います。新しい年になって、また気を引き締めて、また一年間頑張っていきたいという思いです」と気持ちを新たにした。
年末年始は休まず体を動かす一方、大みそかはボクシングのWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチをテレビ観戦。
4階級王者の井岡一翔(31=Ambition)が3階級王者の挑戦者、田中恒成(25=畑中)を8回TKOで退けた一戦に「日本人対決だし、面白かった。レベルの高い戦い。ボクシングファンとして見て、感情を震わせるものがあった。自分も相撲で人の感情を動かせるような相撲を取りたい」と刺激を受けた様子だった。
本番まで、あと1週間。
番付の頂点への挑戦を前に「あとは実戦あるのみ。体はもうできているので。相撲勘とか相撲の流れとかを磨いてやっていきたいと思います」と気持ちを引き締めた。
大相撲初場所(10日初日・両国国技館)をかど番で迎える大関正代が2日、東京都墨田区の時津風部屋で稽古始めを行い、平幕豊山と10番取った。
昨年の初場所では13勝して飛躍のきっかけとなった。
「出だしが重要。初場所に好成績を残して、その勢いで今年もいけたらいい」と意欲を語った。
関取と胸を合わせるのは昨年の11月場所で左足首を負傷し途中休場してから初めて。
8勝2敗だったそうで「そんなに問題なく踏み込めていると思う。下がったらちょっと恐怖感がある。そこを稽古でもうちょっと慣れさせていけたらいい」と初日まで約1週間の鍵を挙げた。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を控えた3日、大関朝乃山(26=高砂)が東京・墨田区の部屋で稽古始めを行った。
この日は部屋の幕下力士と相撲を20番取るなどして汗を流した。
年末年始も稽古場に降りて四股やすり足などで調整。
新年を迎えて「大関の一個上の番付(横綱)を目指したいし、大関で優勝しないとその話は出てこない。そこが一番だと思う」と決意を語った。
大みそかは部屋で格闘技イベント「RIZIN.26」を観戦。
元十両貴ノ富士のスダリオ剛(23)がミノワマン(44)にKO勝ちした一戦や、堀口恭司(30)がRIZINバンタム級王者の朝倉海(27)を破り王座を奪還したメインなどに熱視線を送った。
朝乃山は「スダリオさんがミノワマンさんを(カーフ)キックで4発蹴って、ダウンして、そのまま立ち上がれなくなった。すごかった。スダリオさんもそうですし、朝倉兄弟(海)と堀口さんとの試合を見て興奮したので。自分も頑張ろうという気持ちになりましたね」と刺激を受けた様子だった。
昨年11月場所で負傷した右肩は順調に回復。
初のカド番で臨む初場所へ向けて「カド番を気にしてたら、上を目指せない。出場するからには、勝ち越しじゃなくて、優勝目指して頑張りたいです」と意気込んだ。
小結高安は2日、東京都江戸川区の田子ノ浦部屋で今年の稽古を始め、部屋付きの荒磯親方(元横綱稀勢の里)と25番ほど取った。
相撲教習所で昨年12月に行われた合同稽古の後も番数を重ねており、報道陣の電話取材に「こつこつと体をつくってきた。きょうもいい稽古ができた」と充実感をにじませた。
2月には、妻で演歌歌手の杜このみさんとの間に第1子が誕生予定。
初場所(10日初日)に向け、元大関は「いい結果を出して、気持ちのいいスタートを切りたい」と初優勝を目標に掲げた。
日本相撲協会は、幕内の若隆景が新型コロナウイルスに感染したと発表しました。
日本相撲協会によりますと荒汐部屋に所属する前頭2枚目の若隆景は、38度以上の発熱とのどの痛みがあり、31日朝、医療機関を受診したところ新型コロナウイルスの感染が確認され現在は保健所の指示に従って隔離されているということです。
今後、同じ部屋の師匠や力士などがPCR検査を受けるということです。
また相撲協会は、すべての部屋で出稽古が禁止されていることから、ほかの部屋の力士との接触はなかったとしています。
日本相撲協会の芝田山広報部長は来月10日に初日を迎える初場所まで2週間を切る中での感染を受けて「本場所がどうなるか、今のところは何とも言えない。ほかの部屋との接触はしていないから部屋の中で感染をおさえることができると思う」と話しています。
大相撲初場所(来年1月10日初日、東京・両国国技館)に臨む琴恵光(29=佐渡ヶ嶽)が千葉・松戸市内の部屋で琴勝峰(21)、琴ノ若(23)と申し合い稽古し「トレーニングも稽古もしっかりできている」と順調に調整できているという。
課題となる立ち合いでは相手を押し込める圧力を意識しており、11月に現役を引退したばかりの秀ノ山親方(元大関琴奨菊)から助言を受けているという。
「いろいろなアドバイスをいただけるので自分に合うところを見つけていっている」と、さらなる進化を目指している。
来年の目標を「三役」に定め「自分の相撲が取り切れれば、しっかり結果が出ることもわかったし、それを15日間取り切るっていうのが重要になってくる」と語った。
大相撲の炎鵬(26)=金沢市出身、宮城野部屋、金沢学院大OB=が3日までに北國新聞社のインタビューに応じ、入門5年目の2021年は「起死回生」を信条に闘う決意を示した。
10場所ぶりに十両で迎える初場所(10日初日、両国国技館)に向け「一場所で幕内復帰を果たし、故郷に元気を与えられるように頑張りたい」と宣言した。
「心を込めて書かないと、思いが通じないですから」。
炎鵬はそう言うと、着物の袖をたくし上げ、真剣な表情で筆を走らせた。
書き初めの言葉もじっくり考えた。
困難を乗り越えて初めて立派な人間に成長するという意味の「艱難汝(かんなんなんじ)を玉(たま)にす」と「起死回生」の二つを候補に挙げ、後者を選んだ。
「2020年はなかなか自分の相撲ができず、一番悔しい1年になりました。十両に落ちたこともあり、起死回生の言葉がふさわしいと思いました。炎鵬はまだ死んでいないぞ、燃えているぞ、という姿を見せたいという気持ちも込めています」
昨年は首や手首のけがに苦しんだ。
ひどい時は、2時間ごとに首の痛みで起き上がる日もあるという。
11月場所は3勝12敗と大きく負け越し、9場所維持した幕内から十両に転落。
「手首も、ごまかしがきかないぐらい痛く、ほとんど握力が入らなかった。正直なところ、よく3勝もできたなと思うぐらいです」と明かす。
試練の1年となったものの、気力は失っていない。なぜなら「けがさえなければ、11月も勝ち越せた」と感じているからだ。
同月、自身初の写真集「炎鵬 燃える小兵」が北國新聞社から発売されたことも「やる気をたぎらせてくれた」という。
初場所は東十両3枚目で迎える。
「けがを治せば絶対に勝てる。そう信じて土俵に上がりたい」と炎鵬。
十両上位には幕内経験者がずらりと並ぶが、白星を積み上げて復活を証明する。
大相撲の荒汐部屋で新型コロナウイルスの集団感染が発生した。
日本相撲協会は1日、師匠の荒汐親方(36=元幕内蒼国来)、十両若元春(27)、幕内以下の力士8人、床山1人が新型コロナに感染したことを発表した。
荒汐部屋では12月31日に幕内若隆景(26)の感染が判明。
同日に師匠や力士ら関係者がPCR検査を受けたところ、新たに11人の陽性が確認された。
これで部屋の感染者は合計12人となった。
この日、芝田山広報部長(58=元横綱大乃国)は報道陣の取材に対応。
荒汐部屋の力士の初場所(10日初日、東京・両国国技館)への出場について「部屋で(一緒に)稽古をしていたからこうなった。この状況だと本場所も近いから(出場は)厳しい状況」と見通しを語った。
大相撲では昨年9月の秋場所前に玉ノ井部屋で新型コロナの集団感染が発生した。
力士24人が感染し、所属力士28人全員が秋場所を休場。
番付は据え置かれる救済措置が取られた。
荒汐部屋の力士については、今後に対応を協議する。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は2日、東京都の小池百合子都知事ら1都3県の知事が新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令するよう政府に要請したことを受けて、代表取材に応じ「国が協議をしてどんな見解を出すか。それを踏まえて協会はどう判断をするか。まず執行部で話し合い、必要なら理事会となる」と話した。
前日1日の段階では、初場所(10日初日、東京・両国国技館)開催について「(緊急事態宣言が出たとしても)我々はお客さん入れないでも何とかやりたい」と話していたが、この日は「きのうはそういう状況(緊急事態宣言)になっても相撲はやりたいと言ったけど、できるかできないかはこれからの段階」とした。
荒汐部屋では荒汐親方(元前頭蒼国来)や若隆景、若元春ら計12人が新型コロナウイルスに感染した。
芝田山広報部長は「それぞれ症状のある者は入院した。ぜんそくを持っている者もいる。せきが出たり、熱の症状とかもあるので。専門家の先生が動いてくれている」と説明。
一方で「それでも医療機関が逼迫(ひっぱく)しており、これ以上だと病院に入れるのが難しくなる」と危機感を募らせた。
2020/11/22
大相撲11月場所(東京・両国国技館)14日目の21日、上松町出身で東関脇の御嶽海(出羽海部屋)は東大関の貴景勝(千賀ノ浦部屋)に突き出しで敗れて6勝8敗となり、今場所の負け越しが決まった。
千秋楽の22日は東前頭6枚目の宝富士(伊勢ケ濱部屋)と対戦する。
御嶽海は立ち合いから、胸を突く相手の突っ張りに防戦一方となった。
上体を起こされたまま受け身にまわってしまい、形勢を覆せなかった。
今場所の宝富士は9勝5敗。
過去の対戦成績は御嶽海が6勝2敗で勝ち越している。
新関脇の隆の勝が、内容も伴う3連勝で給金を直した。
右のおっつけ、はず押しで宝富士の腰を浮かせて完勝し、「自分らしい相撲が取れた」と振り返った。
西前頭筆頭だった先場所に10勝を挙げ、自信を持って臨んでいたが、7日目から平幕に3連敗して「気持ちも落ちてきた」。
そんな中、家族に「自分の相撲を取ることしか考えなくていい」と励まされ、肩の荷が下りたという。支えを感じながら「また一番集中して頑張っていきたい」と、千秋楽へ気を引き締めた。
21歳の新鋭、琴勝峰が新入幕だった7月場所から3場所連続の勝ち越しを決めた。
高安のはたきにも難なく対応して攻め続け、元大関を押し倒し、「自分の取りたい相撲が取れたのでよかった。本当にうれしい」と納得の口ぶりだった。
西前頭5枚目で迎えた今場所は、三役初挑戦で新関脇の隆の勝から白星を挙げると、貴景勝との結びにも臨んだ。
大関には敗れたものの、「とてもいい経験ができたので、生かして次の場所につなげたい」と、全てを糧にする意欲を見せた。
新入幕の天空海が、琴恵光をはたき込みで破って勝ち越した。
目標は2桁白星だっただけに、「もっと早く勝ち越したかった。残念な気持ちと、うれしい気持ち」と複雑な表情だった。
序盤に追突事故に遭ったという。
首や腰が痛みながらも、土俵に上がることができ、「運に守られていると思った」。
災難も力に変えて給金を直したからこそ、「ケアをして体が柔らかくなったのかな。集中できるようになった」と言えた。
幕下は西15枚目の竜虎(22=尾上)が伊藤を寄り倒して7戦全勝。
内規により十両昇進を確実とし、昨年7月場所以来の再十両を果たす。
「幕下15枚目以内で全勝は十両に昇進」の内規ギリギリの地位で、その目標をクリアした。
「まだ十両に戻れるとは思っていなかった。得した気分です」は本音だった。
新大関正代と同じ、熊本・宇土市出身で同じ道場に通っていた。
元小結浜ノ嶋の尾上親方はおじにあたる。
順調に番付を上げながら新十両場所は4勝11敗と大きく負け越した。
その後も足首のけがなどで苦しみ、今場所も「信じられない、自分が優勝するなんて」という状態だった。
苦労した分、「気持ちが強くなった」という。
「また体を大きくして十両でも優勝できるよう、稽古していきたい」と誓った。
大相撲11月場所は千秋楽、1敗で優勝争いトップの大関・貴景勝と星の差1つで追う小結・照ノ富士が結びの一番で対戦します。
貴景勝が勝てば2回目の優勝が決まり、照ノ富士が勝てば優勝決定戦にもつれ込みます。
11月場所の優勝争いは21日の14日目を終えて、ただ1人1敗でトップに立つ大関・貴景勝と、2敗で追う小結・照ノ富士の2人に絞られました。
ことし最後の本場所の千秋楽の22日は、結びの一番で、優勝を争う貴景勝と照ノ富士が直接対戦します。
貴景勝と照ノ富士は過去2回対戦し、いずれも貴景勝が勝っています。
貴景勝は持ち味の低く当たる立ち合いから、突き押しで照ノ富士の胸を起こして攻めることができれば優位に立ちます。
貴景勝はこの一番に勝てば、おととしの九州場所以来となる2回目の優勝が決まります。
逆転優勝をねらう照ノ富士はこの一番に勝って、まずは優勝決定戦に持ち込みたいところです。
立ち合いから踏み込んでまわしに手をかけて、貴景勝の動きを止めることができれば、白星が近づいてきそうです。
照ノ富士にとっては今場所の優勝争いだけでなく、大関復帰を目指すうえで、来場所以降に向けて、「本割」で1つでも勝ち星を積み上げたいところです。
大相撲11月場所14日目は21日、東京・両国国技館で行われ、大関・貴景勝が関脇・御嶽海を降し、1敗を守った。
小結・照ノ富士は、幕尻の志摩ノ海との2敗同士の一番を制し、優勝争いは貴景勝と照ノ富士に絞られた。
千秋楽は2人の直接対決で、貴景勝が勝てば2018年の九州場所以来2度目の幕内優勝が決まり、照ノ富士が勝てば優勝決定戦に持ち込まれる。
新三役の関脇・隆の勝は、宝富士を押し出して勝ち越しを決めた。
「貴景勝が断然、有利なのは間違いないでしょう」。
優勝争いで1差をつけて小結照ノ富士(28=伊勢ケ浜)との千秋楽結びの一番に臨む大関貴景勝(24=千賀ノ浦)の優位性を、協会トップの八角理事長(57=元横綱北勝海)は見通した。
照ノ富士が2場所ぶり3度目の優勝を果たすには、本割と優勝決定戦と2連勝しなければならない。
「照ノ富士の体調を考えると2番取るのは大変。万全ではないから2番取れる、膝が持つか分からない」と、あくまでも2連勝の可能性について「貴景勝断然優位」と言及したもの。
「一番相撲となるとどうか」と、本割そのものの予想は言及を避けた。
一方で、貴景勝の立場から「負けてももう1番あるという気楽さもあるけど、そうなると集中力が欠けてくる。
後(優勝決定戦)のことは本割の後に考えればいいけど、本割が終わって(優勝決定戦までの)短い時間の中で切り替えるのも大変」。
本割の一番で決めるという気持ちが大事、ということを説いた。
88年春場所で、横綱大乃国(現芝田山親方)に千秋楽本割、優勝決定戦と連敗し13勝2敗で逆転優勝を許した経験がある。
「俺も2番続け(て負け)たことがある」と苦い経験を味わったからこそ話せる、リードした側の落とし穴を説いていた。
東京都の小池百合子知事が21日、墨田区の両国国技館で行われた大相撲11月場所14日目を視察した。
都と日本相撲協会は連携し、7月場所から3場所連続で「NO!3密」、「手洗いマスクの徹底」など新型コロナウイルス感染防止を啓発する懸賞旗スタイルの告知旗を掲出している。
小池氏は2階席に座り、幕内後半戦前に告知旗が土俵上で掲出される様子を見守った。
大相撲の高砂部屋を、部屋付きの錦島親方(39)=元関脇朝赤龍、モンゴル出身、本名バダルチ・ダシニャム=が継承することが20日、関係者の話で分かった。
同部屋には大関朝乃山らが所属しており、師匠の高砂親方=元大関朝潮、本名長岡末弘=は12月に65歳の定年を迎える。
高砂親方「いい師匠人生」元大関朝潮、11月場所後に定年
高砂部屋は明治時代から続く名門で、朝潮や前田山らの横綱を輩出。
現師匠は2002年に部屋を継承して横綱朝青龍や朝赤龍らを育てた。
錦島親方は17年4月に日本国籍を取得。
同年5月に現役を退き、部屋付きとして後進の指導に当たっている。
20年の本場所も、残すところ1日となった。
徳勝龍の幕尻優勝で始まり、新型コロナウイルスに振り回された1年。
21年の大相撲はどうなるのか−。
日本相撲協会で講習会などを開いてきた、東京大医科学研究所の四柳宏教授が分析した。
春場所は史上初の無観客開催、7月と秋場所は1日あたり約2500人の上限を設けた。
11月場所では両国国技館の定員の半数にあたる5000人に設定。
「場所中に力士の感染がなく、お客様からも連絡がなかった」と本場所期間中に協会員や観客の感染が確認されなかったため、増員を決めた。
また協会が、場所前後に段階的に各部屋に通知してきた、外出自粛などを盛り込んだガイドラインが効いているという。
ではファンが、角界が待ち焦がれている満員御礼の光景はいつ見られるのか。
「道筋は立っていないが、まずは地方場所が国技館での開催同様、安全にできることを確認してから」と地方場所の成功が鍵を握るとした。
協会は来年3月の春場所の、大阪開催を目指している。
全国での流行状況にもよるが、協会員やファンや我々が、感染対策を怠らずに過ごすことが日常を取り戻す1歩になる。
2020/11/21
押し相撲の志摩ノ海との1敗対決。
しっかり当たり、二の矢の突っ張りを繰り出す。
しぶとく攻め返してきた相手を再び突いて圧力をかけると、いなしを交えて崩し、最後は押し出した。
「集中していった」。
脳裏には、今年初場所の千秋楽の相撲が焼き付いていることだろう。
幕尻だった徳勝龍に立ち合いで十分に当たれずに完敗。
相手に賜杯も許し、「勢いにのまれた。大関の資格がない」。
その悔しさが消えることはない。
今度は格下相手に壁となって白星を並べ、ついに単独トップに立った。
八角理事長も「貴景勝にとっては大きいと思う」と言い、ひと山越えたとみた。
13日目を終え、一人で先頭を走るのは大関8場所目で初めて。
日増しに高まる緊張感を感じ取りながら、「期待に応えたい気持ちはあるが、応えるのも、裏切るのも自分次第。一生懸命頑張りたい」と覚悟を述べた。
また、大関貴景勝が12勝目を挙げて今年の50勝目とし、初の年間最多勝に単独で輝くことが正式に決まった。
48勝で2位につけ、休場中の大関正代が14日目の取組に入らなかった。
大関以上の年間最多勝は2018年の栃ノ心以来2年ぶり。
御嶽海との関脇対決を制し、勝ち越しに王手をかけた。
立ち合い踏み込んで2本差し、そのまま一気に押し倒した。
「中に入れたのが良かった。とにかく自分の相撲を取ろうという意識でした」。
突き押しに加え、差す形も板につき、春場所の12勝3敗から4場所連続の給金直しは目前。
「(三役での)勝ち越しが目標だったので。自分の相撲で勝てたらいいかな」と意気込みを新たにした。
地力の高さを見せつけた。
竜電が引いた左下手を切って頭をつけると、休まずに攻めて押し出し。
「体が勝手に動いているだけ。当たってから体に任せているだけ」。
2敗を守り、口ぶりには自信がにじんだ。
貴景勝を1差で追う状況は変わらない。
直接対決も残しているが、「特に何も考えていない」と言い、これまで同様の姿勢を貫く。
三役復帰を果たし、目標は大関への返り咲き。
三役での直近3場所の合計勝ち星が目安となるだけに、「伸ばして、33勝というのを考えている」。
立ち合い、妙義龍の厳しい攻めに後退を余儀なくされた千代の国。
俵に足がかかったが、脇を締めた右を相手のはずにあてがうと、強烈に押し返して起死回生の一撃とした。
前に出て再び当たり、最後はタイミング良くはたき込み。
「あまり褒められた内容ではない」と振り返りつつも、7勝目から2日足踏みして届いた給金直しに「うれしかった」と笑顔を見せた。
幕内での勝ち越しは、8勝を挙げた2019年初場所以来。
だが、その場所で「左膝複合靱帯(じんたい)損傷」の大けがをし、次の春場所から3場所連続で全休した。
幕下46枚目から再起し、再び幕内に返り咲いた今場所、「一日一日、後悔しないように」と全力の相撲で八つ目の白星をつかみ取った。
次なる目標は「まだ上がったことのない三役」。
志摩ノ海は大善戦も白星にはつながらなかった。
初の大関戦、初の結び。
「緊張はなかった」と貴景勝の圧力を受けても、下からあてがい、おっつけながら押し返す。
しかし、最後にいなされて体が泳ぐと「残せなかった」。
初優勝の夢は残り、14日目は照ノ富士との2敗対決。
「あと2番、自分の相撲をとるだけ。(優勝争いは)全く考えていない」と無心を強調した。
モンゴル生まれで札幌市東区出身の東三段目21枚目・北青鵬(19=宮城野部屋)が7戦全勝で三段目優勝を果たした。
先に相撲を取った西72枚目・大海(たいよう、19=尾上部屋)が初黒星を喫したため、東40枚目・魁清城(22=浅香山部屋)との7番相撲が優勝を懸けた一番となった。
右腕を手繰られて上体が起きる場面もあったが、前に出ながら左上手を取ってつかまえ、右から起こして寄り切った。
今年3月の春場所で初土俵を踏み、序ノ口デビューとなった7月場所、序二段だった9月の秋場所に続く全勝優勝。
デビューから無傷の21連勝となった。
リモート取材では「素直にうれしい」と喜びを口にした。
大関・貴景勝は13日目の20日、前頭17枚目、「幕尻」の志摩ノ海との1敗どうしの直接対決に勝ち、単独トップに立ちました。
星の差1つで志摩ノ海と大関経験者の小結・照ノ富士が追う展開です。
14日の21日、貴景勝は関脇・御嶽海と対戦します。
御嶽海はここまで6勝7敗と調子が上がっていないものの貴景勝との対戦成績は8勝8敗の五分で、突き押しでも四つ身でもうまさを見せる難敵です。
貴景勝としては突き放して一気に勝負をつけたいところですが、もろ差しなど御嶽海に密着される形になれば勝負はわからなくなります。
出足のいい2人だけに立ち合いでどちらがより鋭く踏み込んで有利な体勢に持ち込めるかが、勝敗を分けることになりそうです。
一方、2敗で追う照ノ富士と志摩ノ海は直接対決です。
照ノ富士には、四つに組んでの圧倒的な強さに加え、まわしを引けなくても一気に前に出ていける圧力があります。
志摩ノ海も今場所は決して下がらない辛抱強い相撲で白星を重ねていて相手に頭をつけながら低い姿勢で攻め続け勝機をうかがいたいところです。
「幕尻」での優勝がかかる志摩ノ海と、大関復帰を目指している照ノ富士、逆転優勝へ望みをつなぐためには負けられない両者の取組に注目です。
13日目、日本相撲協会が元十両飛天龍(36=立浪)の引退届を受理したことを発表した。
2000年春場所で初土俵を踏んだ飛天龍は、11年名古屋場所で十両に昇進したが、その後は左肩の大ケガなどで序二段まで転落。
昨年12月に腰の手術を受け、今年の7月場所で4場所ぶりに復帰していた。
2020/11/20
宝富士を問題にしなかった。
低く当たって相手を棒立ちにさせると、休まず攻めて突き出し。
会心の内容で1敗を守った。
13日目は、トップで並ぶ幕尻の志摩ノ海の挑戦を受ける。
「自分が強ければ勝つし、弱ければ負ける。あしたも集中して一生懸命頑張る」。
ただ一人出場する看板力士としての責任も痛感していることだろう。
八角理事長は「このプレッシャーを背負って優勝すれば、価値がある」と期待を寄せた。
元大関の照ノ富士が御嶽海を圧倒した。
当たってすぐに右を差すと、左で前まわしを引くのも素早く一気の寄り切り。
ここ数日は強引な取り口も目立った中、会心の内容で白星を2桁に乗せ「こういう相撲を取りたいので」と納得の様子だった。
2017年九州場所以来の三役で迎えた今場所。
初日を迎える前から何度も、大関復帰への強い思いを口にしてきたが、三役での10勝で返り咲きへの足掛かりができた。
「稽古があったからこそ、成績を残せている」。
序二段まで転落する原因の一つとなった両膝の状態も徐々に良くなり、今場所前は宝富士と何度も手合わせして充実。第一関門をクリアした。
優勝争いでも、トップを1差で追って残り3日を迎える。
貴景勝との直接対決も残しているが、「結果は後からついてくる」と賜杯へ興味は示さない。
「やっぱりここからが、一番一番が大事。(勝ち星を)11番にしたいという気持ちだけ」。
来場所以降を考えれば、今後の白星はより重みを増す。
見据えるのは念願の大関復帰だけ。
照ノ富士は目の前の一番に集中する。
「鉄人」がまた節目の記録を迎えた。
幕内最年長の36歳、玉鷲が通算連続出場を1298に伸ばし、飛騨乃花を抜いて単独8位に浮上した。
初土俵から17年間、1度も休場なく土俵に立ち続ける。
師匠の片男波親方は「押す力は去年と比べて弱くなっているかもしれないが、気力でカバーしている」と、年齢にあらがう弟子を見守る。
部屋の関取は玉鷲だけで力士は4人だけ。
コロナ禍で出稽古が禁止となり、普段通り高田川部屋などへ出稽古に行けない状況で、師匠は「基礎(運動)をいつもの倍やっていた」と述懐した。
千代の国が妙義龍を破って給金を直した。
左膝のけがで幕下まで転落して、9場所ぶりにはい上がった幕内での勝ち越しだけに、不屈の男は「素直にうれしい」と喜びをかみしめた。
「一日一日、後悔のないように全力を出し切ろう」と臨む今場所も残りは3日。
「一日一番集中して、前に出る相撲を取りたい」と全身全霊で土俵に上がる覚悟だ。
押し相撲だけでなく、巧みな出し投げも披露した。
幕尻の志摩ノ海が、1差で追う優勝争いのライバルを退けて1敗を守った。
竜電に一度はまわしをつかまれたが、巧みに腰を振って切り、頭を付けてこらえた。
「左前みつを取りたがっていた。根負けしないように」とひたすら我慢。
最後はつかんだ左の下手で出し投げを打ち、土俵に転がした。
先場所まで2場所連続で負け越し、「簡単に負けていた」と反省した。
「頭を上げないで粘っこく取る。稽古場(けいこば)でも簡単に頭を上げない」と諦めないことを心がけ、白星につなげている。
12日目、十両宇良が十両旭大星を押し出して8勝目(4敗)。
右ヒザの故障を乗り越えて関取復帰を果たした土俵で勝ち越しを決めた。
関取として勝ち越すのは、西前頭10枚目だった2017年夏場所(11勝4敗)以来、約3年半ぶり。
優勝争いは12日目を終えて、出場している幕内の力士で番付がもっとも上の大関・貴景勝と最も下の「幕尻」、前頭17枚目の志摩ノ海が1敗で並んでいます。
この2人を星の差1つで追うのが大関経験者で3年ぶりに三役に返り咲いた小結・照ノ富士です。
13日目の20日は、貴景勝と志摩ノ海が直接対決。
注目の取組は押し相撲どうしの初顔合わせとなりました。
大関として初めての優勝をねらう貴景勝としては、「幕尻」相手に敗れるわけにはいかず、低く鋭い踏み込みから圧力をかけ一気に押し出して貫禄を見せつけたいところです。
一方の志摩ノ海は、大関戦でも持ち味の一気の出足で押し相撲を貫くことができれば、勝機が見えてくるかもしれません。
2場所ぶり3回目の優勝を目指す小結・照ノ富士は、3敗の竜電と初めて顔を合わせます。
今場所の照ノ富士は、寄り切りや上手投げなど得意の形だけでなく、怪力を発揮して「つり出し」を見せるなどして白星を重ねています。
相手の竜電は、まわしを取ると頭をつけて粘りを発揮しますが、照ノ富士は、逆転優勝の可能性が残る中、20日の一番で確実に白星をつかみたいところです。
11月26日(木)、TOHOシネマズ 日本橋にて一夜限りのドルビーアトモス上映決定!!
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2020/11/19
埼玉栄高の後輩、琴勝峰の初挑戦をはね返して1敗を守った。
ひるまずに突き押しを繰り出してきた新鋭に対してやや後退したが、うまく体を開いて左から突き落とした。
かつては自身が、豪栄道ら高校の先輩に挑んだことを思い返し、「今まではずっと立ち向かっていた。埼玉栄からどんどん育ってくれているのはうれしい」としみじみ。
琴勝峰とは同じ二所ノ関一門。
その成長ぶりを感じており、「強い印象がある。いいものを持っていると思う」と期待を寄せた。
また、18日、大関貴景勝が今年の通算勝ち星を48とし、初の年間最多勝が確実となった。
新大関の正代が並んでいるが途中休場しており、再出場しなければ上回れなくなった。
照ノ富士はパワーで妙義龍を圧倒して2敗で踏みとどまった。
懐に入られてもろ差しを許したが、前日の翔猿戦と同様に相手の両腕をきめ、そのまま前進して勝負を決めた。
「落ち着いていった。何回もやっているので取り口は分かるというか」。
右四つに持ち込めない相撲が続いても、危なげなく白星を積み重ねた。
大関返り咲きの起点とするために2桁勝利が目標。
あと1勝に迫り「しっかり達成したい」と気合を込めた。
平幕の2敗対決は竜電が宝富士を送り倒した。
18年初場所の初顔合わせで寄り切ったものの、それ以降6連敗と苦手にしていた。
この日は相手得意の左差しを許す劣勢から辛抱強く立て直し、1分20秒に及ぶ長い相撲をものにした。
志摩ノ海が、新入幕の2019年夏場所以来の10勝目を挙げた。
幕尻ながら、大関・貴景勝と優勝争いの先頭を堂々と走っている。
立ち合いは、のど輪で起こされたが慌てなかった。
土俵際まで攻め立てられながらも脇を締めて、差し手を封じる。
「頭を付けていく。自分にはそれしかない」と、頭を下げて、右をのぞかせ、左でおっつける。
豊昇龍に横を向かせて、最後は押し倒した。土俵上で納得の表情を見せた。
11日目を終えて貴景勝と平幕の志摩ノ海の2人が1敗で並んでいます。
1敗の大関・貴景勝は、今場所ここまで3敗と好調の平幕・宝富士と対戦します。
過去の対戦では貴景勝が6勝2敗と勝ち越していて、立ち合い、低く踏み込んで圧力のある押し相撲に徹すれば大関が断然優位です。
一方の宝富士は17日、18日と連敗しましたが、得意の四つ相撲がさえてここまで3敗と好調です。
宝富士としては貴景勝の厳しい攻めをしのぎながら、四つ相撲に持ち込んで勝機をうかがいたいところです。
「幕尻」の前頭17枚目ながらここまで1敗の志摩ノ海は2敗の前頭10枚目・竜電と対戦します。
去年の秋場所では志摩ノ海が敗れていますが、今場所、押し相撲が光る志摩ノ海とまわしを取ると強さを発揮する竜電という対照的な持ち味の2人の対戦は楽しみな一番です。
竜電と同じ2敗の小結・照ノ富士は関脇・御嶽海と対戦します。
過去の対戦は照ノ富士の5勝4敗とほぼ互角です。
17日に引退が発表された大相撲の元小結・臥牙丸(33)=本名ジュゲリ・ティムラズ、ジョージア出身、木瀬部屋=が18日、オンラインで記者会見した。
「15年間、あっという間だった。日本語から人生まで学んだ。本当に楽しい時間だった」と、2005年九州場所からの力士人生を振り返った。
2020/11/18
貴景勝が落ち着いて連敗を阻止した。
妙義龍と突き合う展開になっても、前傾姿勢は崩さず相手を正面に置いて勝機を探った。
最後は圧力を十分に伝えてから、はたいて仕留め「相撲に集中できた」と振り返った。
初黒星を喫した9日目は、うるさい翔猿を警戒し過ぎて、しっかり当たらなかった。
消極的だった姿勢を反省した取り口を見て、八角理事長(元横綱北勝海)は「これであすから、またいける。大関一人で、よく頑張っている」と改めて期待を寄せた。
照ノ富士がまた一つ復活への歩みを進めた。
3年ぶりに三役復帰を果たした場所で、番付を駆け上がった頃を思い起こさせる豪快な攻めを披露し、10日目で給金を直した。
両膝に古傷を抱える中、動きの良い翔猿への対策は明確だった。
「ついていくだけじゃ負ける。動きを止めて強引にいこう」
懐に入ってきた相手を両方から抱え込んで一呼吸置くと、土俵中央で軽々と131キロを持ち上げた。
あとは右足から、1歩、2歩、3歩、4歩。
子ども扱いして土俵外に運んだ。
勝ち越しは、役力士としては大関時代の2017年夏場所までさかのぼる。
内臓疾患なども重なって序二段まで転落した後は、これで10場所連続。
着実に階段を上っているが、視線はもっと先にある。
「とりあえず元の位置に戻りたい」
賜杯争いでもトップと1差につけているが、「全く意識していない」とかわし、「とりあえずは今場所2桁以上は勝ちたい。ここから3場所が大事」。
念願の大関返り咲きへ。
今はその足場を早々と築くことを最優先し、白星の上積みを狙う。
北勝富士は取り直しの末、宝富士を下した。
相手に軍配が上がった最初の一番から「差させない。取らせない」と、徹底して相手得意の左四つを封じた。
取り直しでも左差しを許さず、下からしつこく攻めて押し切った。
6勝目の勝ち名乗りを受けた後の土俵下で、しゃがみ込んだほどの熱戦を「負けたくない気持ちが強く出て、粘りと押しにつながった」。
息も絶え絶えに振り返った。
宝富士は優勝争いから一歩後退する2敗目を喫し、取材には応じずに引き揚げた。
東前頭10枚目竜電(30=高田川)が、1月の初場所以来となる勝ち越しを決めた。
玉鷲ののど輪を外すと、もろ差しから一気の攻め。押し出して8勝2敗とした。
取組後のリモート取材では「いい相撲を取ろうと思って取りました。攻める意識がある。粘りも出ますから、いいと思います」と好調の要因を語った。
今場所から腰をリズミカルに揺らす独特な立ち合いを見せているが、その意図については「考えてやっています」と多くは語らなかった。
幕尻の志摩ノ海が千代の国を破って1敗を守った。
脇を締めて前へ出る好内容が続いており、「中途半端に取っていない。土俵で力を出し切ろうとしている」と自己分析した。
兄弟子の徳勝龍が初場所で幕尻優勝を果たした。
大関貴景勝とトップを並走する状況で、色気が出そうなものだが「何も考えていない。(師匠に)無心になっていけと言われている。それを実行できている」。
終盤戦も無欲を貫いていきたい。
大相撲11月場所は11日目、18日から終盤戦です。
1敗の大関・貴景勝は平幕の琴勝峰と対戦します。
11月場所は10日目を終えて、大関・貴景勝と平幕の志摩ノ海がトップの1敗で並んでいます。
貴景勝は11日目の18日、前頭5枚目の琴勝峰と初めて顔を合わせます。
大関として初めての優勝を目指す中、9日目に初黒星を喫しましたが、17日は実力者の妙義龍を退けて白星を伸ばしました。
18日の一番でも低く強烈な立ち合いから得意の突き押しなどで攻め手を緩めなければ白星が見えてきます。
一方、ことしの7月場所で新入幕を果たした21歳の琴勝峰は、幕内の2場所を勝ち越し今場所も6勝4敗と白星が先行しています。
押し相撲も四つ相撲もこなせる若手が、初めての大関戦でどのような相撲を見せるのか注目されます。
「幕尻」の前頭17枚目、志摩ノ海も1敗で、前頭13枚目の豊昇龍と対戦します。
初対戦の先場所は志摩ノ海が寄り倒しで制しましたが、物言いがつく際どい一番でした。
志摩ノ海は、土俵際での粘りが光る豊昇龍に対して、得意の押し相撲で一気に攻めきることが出来るかが勝負のカギを握りそうです。
2敗で追うのは3人で、小結・照ノ富士は妙義龍との一番、いずれも平幕の宝富士と竜電は直接、対決です。
大相撲11月場所は10日目、大関貴景勝と平幕の志摩ノ海がともに勝って1敗を守りトップに並んでいます。
中入り後の勝敗です。
▽十両の翠富士に千代翔馬は千代翔馬がはたき込みで勝ちました。
▽志摩ノ海に千代の国は志摩ノ海が寄り切りで勝って1敗を守りました。
▽琴ノ若に新入幕の天空海は琴ノ若が寄り倒し。
▽豊昇龍に佐田の海は豊昇龍が上手投げ。
佐田の海は先場所に続いての負け越しとなりました。
▽炎鵬に千代大龍は炎鵬が突き落とし。
▽明生に徳勝龍は明生が押し倒し。
▽魁聖に碧山は魁聖が寄り切り。
▽照強に豊山は豊山がはたき込み。
照強は先場所に続いての負け越しが決まりました。
▽逸ノ城に栃ノ心は逸ノ城が寄り切り。
▽遠藤に琴恵光は琴恵光が小手投げ。
▽玉鷲に竜電は竜電が押し出しで勝って、4場所ぶりの勝ち越しを決めました。
▽宝富士に北勝富士は北勝富士が取り直しの一番を制して押し出し。
宝富士は2敗目を喫しました。
▽大栄翔に隠岐の海は大栄翔が押し出し。
▽輝に霧馬山は輝が寄り切り。
▽若隆景に阿武咲は阿武咲が浴びせ倒し。
若隆景は負け越しです。
▽翔猿に小結 照ノ富士は照ノ富士がつり出し。
照ノ富士は連敗を2で止め勝ち越しを決めました。
▽琴勝峰に関脇 御嶽海は琴勝峰が送り出し。
▽新関脇 隆の勝に小結 高安は隆の勝が押し出し。
▽妙義龍に大関 貴景勝は貴景勝がはたき込みで勝って1敗を守りました。
11月場所は10日目を終えて、1敗が貴景勝と志摩ノ海、2敗で照ノ富士と宝富士、竜電の3人が続いています。
力士の談話
「幕尻」の前頭17枚目、志摩ノ海は同じ三重県出身の千代の国を破り「意識はせず、しっかり自分の相撲を取りきろうと思った。何度か対戦はあるが負けていたので、今場所は勝ててよかった」と振り返ったうえで、平幕でただひとり1敗を守ったことについて、「悔いの残らない相撲を取ろうと考えている。親方も無心でいけと。それを実行できているのではないか」と冷静に話していました。
立ち合いで当たらずに千代大龍を翻弄し白星の炎鵬は、「相手は立ち合い強いので、当たらないようにするにはどうすればいいか考えた結果だ。まだ2番勝っただけなので、1日、一番、自分の力を出すだけだ」と話していました。
琴恵光は6勝目、「四つにはなったが、体が起き上がることなく落ちついて最後まで相撲が取れた。後半戦も自分の流れで攻める相撲を見せていきたい」と話していました。
ことしの初場所以来の勝ち越しを決めた竜電は「勝ち越せてよかった。今場所は攻める意識があるので、粘りも出ていいと思う」と手応えを口にしていました。
北勝富士は取り直しの相撲を制して6勝目を挙げ「負けたくない気持ちがすごく出て、最後の押しにつながったと思う。体は動いてるので、もっと勝っていけると思う」と充実した表情でした。
大栄翔は勝ち越しまであと1勝、「きょうはいい相撲だった。内容は徐々によくなってきた。残りもしっかりこれを続けられるように、あしたもやっていきたい」と話していました。
豪快なつり出しで翔猿を破った小結・照ノ富士は「相手の動きをとめて強引にいこうと思っていた。小さい人には強引な相撲を取らないといけない。動きについていくだけでは負ける」と取組を振り返り、10日目での勝ち越しについては「ここから3場所が大事。またあしたから頑張りたい。元の位置に戻りたいので」と話していました。
琴勝峰は、「体がよく動いていたと思う。落ち着けているのは、幕内で経験したことが生きているのかなと思う」と話し、大関・貴景勝に挑む11日目に向けて、「いつも通り、しっかりと立ち合いに集中していきたい」と話していました。
三役以上でただひとり1敗を守った貴景勝は、「集中してあとは気持ちでやろうと思った。勝たないといけない世界。白星があがるのは何よりで、白星をあげるためには集中して、気合いを入れていかないといけない」と表情を引き締めていました。
きょうの“推し相撲” ○貴景勝ー妙義龍●
「勝たないといけない世界」。
初黒星を喫した翌日、白星でトップを守った大関・貴景勝は口にした。
二横綱・二大関が休場し優勝争いを引っ張らなければならない看板力士としての強い責任感がかいま見えたことばだった。
貴景勝は16日の9日目、翔猿に不覚を取り連勝が「8」でストップ。
「きのう(9日目)はどれだけ考えても帰ってこない」。
気持ちを入れ直して臨んだ10日目の土俵。相手の妙義龍とは過去10戦全勝だ。この1年の多くは得意の突き押しで一気に勝負をつけている。得意の相手に盤石の内容で圧倒し終盤戦に向けて再び勢いづきたいところだ。
しかし、万全の内容とはいかない取組となった。
正面から突いて土俵際に追い込んだが妙義龍に動かれ、すぐに攻めきれない。時間のかかる相撲は、敗れた前日の翔猿と同じ展開、嫌な流れになりつつあった。
それでも貴景勝は落ち着いていた。
研ぎ澄ませた集中力で相手の動きを見極め最後ははたき込みで白星を挙げた。
11月場所は18日から終盤戦。1敗で貴景勝と「幕尻」の志摩ノ海が並ぶ。横綱の休場で今場所最上位となる東の大関・貴景勝と最下位の2人がトップという展開だ。
初場所はこの「幕尻」の徳勝龍が涙の初優勝。7月場所も「幕尻」の照ノ富士がケガからの復活優勝を果たした。
1年のうち3場所も「幕尻」に優勝をされては横綱・大関陣の存在意義にもかかわってくる。貴景勝が口癖のように繰り返す“集中”を高め、ただ目の前の取組だけに向き合うことができれば結果はついてくるだろう。
徹底した番付社会の大相撲で今場所最上位の責任を果たし、最高の結果を残せるのか。終盤戦の貴景勝の戦いぶりから目が離せない。
2020/11/17
大相撲11月場所9日目(16日・両国国技館)大関貴景勝が翔猿のはたき込みに屈し、初黒星を喫した。
1敗の貴景勝らを2敗で照ノ富士と、平幕の竜電、千代の国が追う。
高安が照ノ富士との元大関同士の小結対決を制した。
相手十分の右四つになったが、上手を取って頭をつけ、出し投げで崩して送り出した。
我慢も実って白星を先行させ、「体が動いている」と手応えを口にした。
返り三役の序盤は1勝に終わったが、6日目から4連勝。
「どんどん相撲勘も良くなっている。厳しい相撲が取りたい」。
言葉にも勢いが戻ってきた。
この日はさらに、同じく体の小さい翔猿が、唯一勝ちっぱなしだった大関・貴景勝を下し、大いに沸いた。
先場所の躍進から一転、八日目までで2勝6敗と星につながっていなかったが、この日は大関に押されてもなかなか下がらず、突き押しで応戦。
ついには大関が引いてしまう場面もあり、最後は思い切ったはたき込みが決まった。
やはり、彼が勝つ取組も盛り上がる。
千秋楽まであと6日間。
炎鵬・翔猿をはじめとする小兵力士たちには、ひとつでも星を伸ばして、見にくるお客さんを沸かせてほしい。
判官贔屓な日本人の心をくすぐる取組が、あと何番見られるだろうか。
宝富士が隠岐の海に逆転勝ちし、自己最速タイで勝ち越した。
左四つで組んで上手を取られて寄られたが、土俵際で右からの突き落としを決め、「諦めずに最後までやったのがよかった」と執念を強調した。
場所前に照ノ富士とほぼ毎日手合わせするなど、充実した稽古が好調の要因。
優勝争いについては「まだ6日間あるので考えられない」と謙遜するものの、貴景勝らとトップに並んだ。
新型コロナウイルスの影響で通常開催ができなくなった3月場所以降、なかなか結果に結びついていない炎鵬。
すでに4場所連続の負け越しが決まっており、今場所の成績次第では、幕内残留も危ぶまれている。
特に先場所は、もともと99キロしかない体重が92キロほどに落ちてしまうなど、体力の低下が見られていた。
今場所はなんとか少し戻ったようだが、それでもやはり、昨年までのような体幹の強さが生かされていない。
毎日見ていて、自身のなかの歯車がかみ合っていないような、どうも空回りしている状態に見受けられていた。
コロナ禍における稽古とトレーニングの制限、さらには周囲からかなり研究されてきていることが、不振の要因としてささやかれている。
加えて筆者は、尊敬してやまない同部屋の横綱・白鵬の不在が大きいのではないかとも思っている。
昨年、筆者が行ったインタビューでは、角界入りを決めた理由を「この世界で一番強い横綱がいる部屋で、しかもその横綱に声をかけていただいたから。宮城野部屋だったから、挑戦してみようと思ったんです」と、力強く答えている。
横綱との日々の稽古が、彼を強い力士にしてきたことは間違いないし、「毎日横綱と稽古していること」が、彼の確固たる自信にもなっていたことだろう。
その横綱と、ここのところ十分な稽古ができていないとしたら――。
心身ともに、影響を受けないはずはない。
今場所初白星を挙げた九日目は、碧山との対戦。
自分より100キロ近く体重の重い大きな相手に対して、立ち合いから左に大きく動いた。
思い切って碧山の足を取ると、そのままスピードに乗って寄り切り。
疾走感あふれる、なんとも彼らしい会心の相撲に、国技館は割れんばかりの拍手に包まれ、なかなか鳴りやむことがなかった。
炎鵬本人は、つっかかりが取れたような安堵の心境かもしれないが、見ているお客さんは「待ってました」とばかりに、興奮と労いの気持ちをあの大きな拍手に乗せたのだろう。
この日の炎鵬の白星を見ただけで、彼の活躍と相撲人気が、高い相関関係にあることがよくわかる。
大相撲11月場所は9日目、大関 貴景勝は、平幕の翔猿に敗れて初黒星を喫し、勝ちっ放しがいなくなりました。
中入り後の勝敗です。
▽十両の明瀬山に新入幕の天空海は、天空海が寄り切りで勝ちました。
▽豊昇龍に琴ノ若は、琴ノ若がすくい投げ。
▽逸ノ城に魁聖は、魁聖が寄り切り。
▽豊山に志摩ノ海は、志摩ノ海が送り出しで勝って、自身最も早い9日目での勝ち越しを決めました。
▽佐田の海に千代大龍は、千代大龍が突き出し。
▽徳勝龍に千代の国は、千代の国が突き出しで勝って7勝目を挙げました。
▽千代翔馬に照強は、千代翔馬が上手投げ。
▽碧山に炎鵬は、炎鵬が寄り切りで勝って、今場所の初白星を挙げました。
▽明生に遠藤は、遠藤が突き倒し。
▽栃ノ心に竜電は、竜電がすくい投げ。
▽琴恵光に玉鷲は、玉鷲が押し出し。
▽宝富士に隠岐の海は、宝富士が突き落としで1敗を守り、勝ち越しを決めました。
▽輝に北勝富士は、北勝富士が押し出し。
▽大栄翔に若隆景は、大栄翔が押し出し。
▽霧馬山に阿武咲は、阿武咲が押し出し。
▽照ノ富士に高安の、小結どうしの一番は、高安が送り出しで勝ちました。
一方、照ノ富士は連敗で、2敗となりました。
▽琴勝峰に新関脇 隆の勝は、琴勝峰が突き落とし。
▽関脇 御嶽海に妙義龍は、妙義龍が寄り切り。
▽大関 貴景勝に翔猿は、翔猿がはたき込みで勝ちました。
貴景勝は、初日からの連勝が8で止まりました。
11月場所は9日目を終えて勝ちっ放しがいなくなり、1敗で大関 貴景勝と平幕の宝富士、志摩ノ海の合わせて3人が並んでいます。
力士の談話
新入幕の30歳、天空海は、4連勝で5勝4敗と白星先行に「思ったとおりにいけた。年下の子に負けていられないので、年長者として勝ち越しを決めたい」と話していました。
琴ノ若は、勝って5勝4敗、「我慢できたので、うまく対応できた。
慌てると相手の形になるので考えすぎずに落ち着いて相撲を取ることだけを意識した」と話していました。
8勝1敗と勝ち越しを決めた志摩ノ海は「相手の流れだったので、体が動いてくれてよかった。簡単に負けないぞという気持ちを持っているのでからだが動いてくれたのではないか。調子に乗らないで平常心でいきたい」と話していました。
返り入幕の千代の国は、連敗を2で止め7勝2敗。
「しっかり攻められた。連敗を止められたのはよかったと思う。いつもと変わらず、攻める相撲を取っていく」と、気持ちを込めていました。
初白星を挙げた炎鵬は「長かった。こんなときでも毎日応援してくれる人のおかげでここまでやってこられた。この1勝は本当にまわりの人たちに感謝したい」と話していました。
宝富士は、勝ち越しを決め「早く勝ち越せてうれしい。まだまだ6日間あるので、優勝は考えられない。2歳の息子にいい報告ができると思うのでよかった」と、時折、笑顔を見せていました。
小結 高安は1敗の照ノ富士を破り白星先行、「しっかりペースを握って展開できた。相撲を重ねるごとに感覚もよくなっているので、力強い取組をあすからもとっていきたい」と、手応えを口にしました。
翔猿は、大関 貴景勝を破り3勝目、大関戦初白星に「逃げずに攻められたのがよかった。思い切りいっただけなので、勝ててうれしい。みんな力強いしここから頑張っていく」と、巻き返しを誓いました。
一方、敗れた貴景勝は初黒星、「負けたので何も言うことはない。もう終わったので、またあす集中してやることしかできない。あすの相撲を一生懸命頑張っていきたい」と話していました。
2020/11/16
一人大関の貴景勝が初日から8連勝。
幕内でただ一人のストレート給金で、名実ともに今場所の先頭に立って土俵を締めている。
埼玉栄高の先輩で、押し相撲同士の北勝富士との一番。
貴景勝は立ち合いを「集中して、気持ちをしっかり入れてやろうと思った」。
頭で突き起こすと、かろうじてのぞかせてきた相手の左を思い切りはたく。
たまらず土俵にはった北勝富士を見下ろし、泰然と胸を張った。
土俵下の伊勢ケ浜審判長は「相手をよく見て相撲を取っていて良い」と、安定感を高く評価した。
平幕の大栄翔が全勝だった小結・照ノ富士に土をつけた。
立ち合いで左を差されると、右でおっつけながら回り込み、左喉輪で相手の上体を起こして逆襲。
一気に押し出した。
「立ち合いは本当に悪くて。その後は体が動いて離せたのが良かった」。
7月場所で優勝した元大関を破り「自信になります。ああいう相撲を取れれば、もっと良くなる」。
三役復帰を目指す場所で一層の奮闘を誓った。
宝富士が会心の内容で7勝目を挙げた。
けんか四つの琴恵光を押し込むと、得意の左四つに組んで一気の寄り切り。
「思い通りの相撲が取れた」と自賛すれば、師匠の伊勢ケ浜審判部長も、「前に出ている。きょうの相撲は良かった」と褒めた。
1敗で折り返すのは2013年初場所以来。
「出来過ぎじゃないか。まずは8勝で、10勝できたらいい」と控えめに目標を掲げた。
幕尻の志摩ノ海は、千代丸を寄り切り1敗をキープした。
回り込まれて土俵をぐるり1周しながらも、低い姿勢でしぶとく追いかけた。
「はたきを食わないように我慢して自分の相撲を取りきりました」。
師匠の木瀬親方から「幕尻だから思い切りやってこい!」とハッパを掛けられている。
今年初場所は兄弟子の徳勝龍が西前頭17枚目で幕尻優勝。
「あれを見て力を出し切れば成績が出ると思った」と野望を抱いている。
11月場所は、横綱・大関陣ではただ1人出場を続ける大関 貴景勝が8連勝で中日に勝ち越しを決め、単独トップに立って折り返しました。
貴景勝は9日目の16日、前頭4枚目の翔猿と対戦します。
過去、唯一の対戦となった先場所は、貴景勝がはたき込みで勝っています。
貴景勝は先場所と同様に、相手の動きを見ながら落ち着いて突いていけば優位は動きません。
一方、翔猿は、思い切った横からの攻めなどでまずは大関を慌てさせ、終始、自分から動くことができれば勝機も出てきます。
15日、今場所初黒星を喫した小結 照ノ富士は高安との小結どうしの対戦です。
過去の対戦成績は、お互いが大関だった場所を含めて照ノ富士が7勝9敗とリードされています。
照ノ富士は、高安のかち上げなど馬力のある立ち合いを受け止め、先にまわしをつかんで四つになって有利な体勢を作りたいところです。
照ノ富士と同じ伊勢ヶ濱部屋で前頭6枚目の宝富士は、ここまで7勝1敗と好調で、16日は前頭3枚目の隠岐の海と対戦します。
宝富士が左四つ、隠岐の海が右四つのいわゆるけんか四つで、立ち合いからの差し手争いに勝ったほうが優位になります。
平幕でもう1人の1敗、好調な前頭17枚目の志摩ノ海は前頭12枚目の豊山と対戦します。
2020/11/15
大相撲11月場所(東京・両国国技館)7日目の14日、上松町出身の東関脇・御嶽海(出羽海部屋)は東前頭4枚目の北勝富士(八角部屋)を押し出しで破った。
白星を3つ連ねて5勝2敗とした。
中日の8日目は、西前頭4枚目の翔猿(追手風部屋)と対戦する。
御嶽海は立ち合いに踏み込んで頭で当たると、下からあてがいながら押し込んだ。
相手が左に回り込みながら引くのに乗じて体を寄せて、危なげなく押し出した。
翔猿は今場所2勝5敗。
御嶽海との一番は初顔合わせとなる。
大栄翔が妙義龍との熱戦を制した。
互いによく動き、いなしやはたきを繰り出しても仕留め切れない。
やや距離を取って見合ってから、左から強烈な突きを2発続けて決着。
「よく我慢できた。こういう長い相撲に勝ててよかった」。
節目の幕内200勝は埼玉栄高の先輩から手にした。
秋場所後に遊離軟骨除去の手術を受けた右肘には、まだ不安を抱えている。
「もう少し手が交互に出れば、後半戦はもっと良くなる」。
白星先行の4勝目を挙げ、三役返り咲きに向けての課題を掲げた。
元大関で現役最年長関取の西十両3枚目琴奨菊(36=佐渡ケ嶽)が、引退を決意したことが大相撲11月場所7日目の14日、分かった。
15年ぶりに十両に転落した今場所は、6日目終了時点で1勝5敗と振るわず、この日に休場届を提出した。
日本相撲協会理事会の承認を経て、年寄「秀ノ山」を襲名する見通し。
<琴奨菊記録アラカルト>
▽通算出場回数 現役1位の1496回。
▽幕内出場回数 現役1位、史上6位の1332回。
▽幕内在位場所数 現役2位、史上7位の92場所。幕内連続在位は史上4位の91場所。関取在位は97場所。
▽通算勝利数 現役2位の828勝。
▽幕内勝利数 現役2位、史上6位の718勝。
▽関取最年長 36歳9カ月。
▽金星 大関陥落後に日馬富士、稀勢の里、白鵬を破り金星3個獲得。
貴景勝は中日、8日目の15日、埼玉栄高校の先輩で前頭4枚目の北勝富士と対戦します。
突き押し相撲の2人の対戦は、これまで貴景勝が9勝6敗と勝ち越しているものの、ここ2場所は敗れています。
貴景勝は先場所、立ち合いで当たり勝ちながらも引いて墓穴を掘りました。
貴景勝は立ち合いでしっかり踏み込み、持ち味の突き押しに徹することができるかが勝負の鍵になりそうです。
北勝富士も強烈な立ち合いが持ち味ですが、左右の押っつけで貴景勝の突き押しの威力を抑えながら前に出て勝機をうかがいたいところです。
三役に復帰した小結 照ノ富士もここまで7連勝で、前頭2枚目、大栄翔との取組が組まれました。
力強い相撲で白星を重ねる照ノ富士は、相手の出足を組み止めて四つの形を作れれば圧倒的に優位となります。
一方、大栄翔としては、突き押しに徹して圧力をかけ、まわしに触れさせなければおもしろい展開になりそうです。
1敗で追うのは3人で、宝富士は琴恵光と千代の国が遠藤と、志摩ノ海は十両の千代丸とそれぞれ対戦します。
2020/11/14
貴景勝は輝を問題にしなかった。
一気に押し込んだ後、左からいなして難なくはたき込み。
「とにかく集中していこうとだけ思っていた。まだ6日目。自分の相撲をどうするかを考えることが大事」と落ち着いた口ぶりで振り返った。
初日からの6連勝は、初優勝した一昨年の九州場所以来。
横綱、大関陣で唯一、出場して連日、内容も伴う取り口を披露している。
土俵下の藤島審判長(元大関武双山)も「自分の考えている相撲が取れている。安定している」と評価した。
押しを得意とする力士同士の一番。
新関脇の隆の勝がしつこく右から攻めると、北勝富士は徹底してこれを嫌う。
土俵中央で我慢比べをするようにして止まった場面には、館内から大きな拍手も。
1分近くの攻防の末、隆の勝が白星を手にした。
「この1勝はかなり大きい」。
新関脇は率直に言った。北勝富士には過去2戦2敗。
今回も右をねじ込もうとするたび、おっつけや体勢を低くして抵抗された。
最後は、相手が出ようとしたところではたき込み。
「体がよく動いている」と表情が緩んだ。
着々と力をつけ、番付を上げてきた。
2年前に貴景勝が千賀ノ浦部屋に転属してきてからは胸を借り、「大関の圧力を受けながら稽古して、体の中の力がだいぶ強くなったと思う」。
押しに加え、大関との稽古で右差しを磨いたのも大きい。
この日の北勝富士の警戒ぶりが、新たな武器の威力を物語っていたと言える。
4日目から3連勝とし、波に乗ってきた。
「好調は好調だが、集中してこれからも頑張りたい」。
両横綱に大関2人が休場した場所で、じわじわと存在感が増している。
照ノ富士が霧馬山を圧倒して6連勝。
しっかり踏み込んで外四つに組み止めると、つり上げるようにして寄り切った。
豪快な取り口で面目躍如の一番にも、「特に何も感じていない」と涼しい表情を崩さなかった。
三役に復帰し、返り咲きを目指す大関の地位に向けて足掛かりとしたい今場所。
2桁白星へ着々と星を伸ばすが、「毎日できることを全部やっているだけ」。
こんなところで一喜一憂はしない。
力士の立ち合い不成立は決して珍しいことではないが、これが先場所と同じ顔合わせ、同じような展開での“待った”となると反応は少し異なるようだ。
前頭15枚目の千代大龍(九重)と十両2枚目・松鳳山(二所ノ関)の一番において、視聴者から「デジャブ?」と声が上がるほど、再現性の高い“待った”が土俵上で展開された。
「手をついて」
行司の甲高い声が館内に響き渡ったことを受け、右手を土俵につけた千代大龍。
しかし、対する松鳳山はなかなか手を下ろそうとしない。
タイミングを逸した千代大龍が一度手を上げ、再び下ろそうとしたその時、勢いよくつっかけた松鳳山の諸手突きが千代大龍の頭をバシッととらえた。
「あぁ〜」
先ほどの甲高い声とは一転、行司が低い声でそれを制すと館内からはため息が。
呼吸が合わなかった両力士は互いに軽く触れながら、謝罪のような言葉を交わし、土俵下の審判に一礼したが、その様子が、先場所5日目のそれと酷似していたのだ。
ABEMAで解説を務めた元前頭・大岩戸は「(松鳳山は)張っていくと思ったのですが、諸手でしたね。もしかしたら、次は張り差しで行くかもしれません」と話すと、2度目の立ち合いは無事成立。
張り差しではなく、再び諸手で立った松鳳山が千代大龍のアゴを力強く押し上げたが、構わずにおっつけながら前に出た千代大龍の圧力が優勢。
負けまいと前に出た松鳳山が引かれて体勢を崩すも、ここは踏みとどまる。
しかし、体勢を崩した松鳳山は、千代大龍に一気に押し出されて5敗目を喫した。
千代大龍は4勝目を挙げた。
4連勝となった千代大龍に対して、2日目からの5連敗となった松鳳山について大岩戸は「気持ちが乗ってこない。元気がない。はたきを警戒しすぎて、前に出る圧力が足りなかった。気がついたら押し出されていたという感じだ」と話した。
この取組、とくに先場所と同じような展開になった立ち合いについて視聴者からは「仕切り長すぎて夜になっちゃうよ」「デジャブ?」などの反響が、中には「琴奨菊も松鳳山も不調で悲しい」といった声も寄せられていた。
11月場所は、横綱・大関陣では大関・貴景勝がただひとり出場し6連勝と土俵を締めています。
これまでは貴景勝が7勝3敗と勝ち越していて、鋭い立ち合いから持ち味の強烈な突き押しで一気に攻めきることができれば優位は動きません。
一方、隠岐の海は突き押しの大関を相手にしっかりと胸を合わせ、得意の右四つの形に持ち込んで勝機をうかがいたいところです。
三役に復帰した小結・照ノ富士も6連勝としていて前頭筆頭の若隆景と対戦します。
照ノ富士は、今場所も豪快な上手投げを決めるなど力強い相撲で白星を重ねていてここまでは、相手につけいる隙を与えていません。
スピードのある若隆景を相手に不用意に前に出すぎず、しっかりとまわしをつかんでから攻めに転じることができれば、白星は見えてきます。
若隆景としては、体重が40キロ以上も重い照ノ富士に対し素早く休まず動き続けて、まわしに触れさせずに相撲を取りたいところです。
平幕でただ1人6連勝としている千代の国は、豊昇龍との初顔合わせの一番です。
2020/11/13
貴景勝の立ち合いがピタッと決まった。
的の大きくない同じ押し相撲の大栄翔相手に、この立ち合いが出来るあたりに今場所の貴景勝の好調さがうかがえる。
丸い体で相手の懐に入れれば貴景勝の相撲。
押し切れなかったり距離が空いたりすると、いなしや引きなど相手に反撃の糸口を与えてしまうが、その隙が全くない。
3日目の霧馬山戦で苦戦した以外、今場所の貴景勝は終始、自分の相撲を取り切れている。
豪快にして繊細さが求められる押し相撲は15日間、同じようには取れない。
その確率を高められれば、自然と白星は積み重なるだろう。
照ノ富士のように圧力が伝わりにくい相手や四つの強い相手には、動きを止めないで横から攻めるなどの工夫が必要だが、それは本人も分かっているはずだ。
横綱、大関陣で1人だけ土俵に残された。
本来、看板を背負うのは横綱の役目。
重責はあるだろうが、過度に背負い込まずに臨んでほしい。
大相撲の新大関正代(29)が11月場所5日目の12日、日本相撲協会に「左遠位脛腓靱帯損傷で約3週間の安静加療を要する見込み」との診断書を提出し、休場した。
正代の休場は平成26年春場所の初土俵以来、初めて。
3日目に小結高安と対戦した際、土俵下へ落下して左足首を痛めた。
4日目の大栄翔戦では一方的に突き出され、初黒星を喫した。
病気静養中の師匠、時津風親方(元幕内時津海)の代わりに11日夜に話し合った部屋付きの枝川親方(元幕内蒼樹山)は「痛みもあるが、(相撲を取るのが)『怖い』といっていた」と説明。
この日朝、正代が決断した。
今場所は白鵬、鶴竜の両横綱が初日から休場。
複数の横綱全員が2場所連続で初日から不在という史上初の事態に加え、大関朝乃山も右肩の負傷で3日目から途中休場している。
2横綱2大関以上が休場するのは、3横綱2大関が休場した平成29年秋場所以来となる。
大関以上の出場は貴景勝だけとなった。
昭和以降、番付上の横綱、大関全員の休場は例がなく、まさに危機的状況だ。
芝田山広報部長(元横綱大乃国)は電話取材に「稽古量が足りないということ。けがをしないのも強さのひとつ。大関になったからではなく、これからなんだから」と厳しい注文をつけた。
今場所の最大の目玉だった新大関の離脱に、芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「目玉が休んだらいかんな。今場所の目玉は国技館カレーだ」と苦笑いするしかなかった。
先場所から販売したレトルト品で、1万食を完売。
今場所は5万食を用意したが、場所中の完売は確実で、5万食を追加発注したという。
照ノ富士が、北勝富士との4勝同士の一番で怪力ぶりを見せつけた。
左から抱え込んだ後に上手を取ると、引き付けて162キロの相手の体を浮かせて投げ捨てた。
取組後も表情を変えず、「上手を取れたのでよかった。一生懸命やっただけ」とさらりと言った。
休場明けの場所で序盤は5連勝の好成績だが、「場所は終わっていない。あと10日間頑張る」。
盤石の内容でも、気の緩みは全く感じさせない。
隠岐の海が高安との1分を超える一番を制した。
左四つで組み合ったが、互いに上手は取れずにこう着。
最後は寄られた土俵際で、右から逆転の突き落としを決めた。
粘り勝って1敗を守っても「終始攻められていた。立ち合いが良くなかった」と反省しきりだった。
28場所ぶりに高安から白星を挙げ、三役とも当たった序盤戦を好成績で終えたが、「ここで引き締めてまた5日間。さらに5日間」。
そう自らに言い聞かせるように話した。
勝った力士にとってはボーナスのような意味合いもある懸賞。
そんな特別ボーナスをもらい忘れそうになる珍場面が、「どうしたんだろう」「帰っちゃうとこだった!」と反響を呼んでいる。
前頭六枚目・玉鷲(片男波)が前頭八枚目・碧山(春日野)を押し出しで下した一番で、勝った玉鷲が勝ち名乗りを受け忘れてしまうという一幕があった。
玉鷲はこの日、立ち合いから得意の突っ張りで碧山を圧倒し、一方的な相撲内容で3勝目を挙げた。
圧勝だったものの、取組後に勝ち名乗りを受け忘れてしまい、行司から呼び止められるという珍しい展開に。
懸賞をまでもらい損ねてしまうところだった。
館内もざわついたこのシーンを受けて、ABEMAで解説を務めた元小結・旭道山は「懸賞がないって思ったのかもしれないです」と一言。
しかし懸賞がなくても勝ち名乗りは受けなければならないことに触れ、「なんかもう、勝ったからもういいやって感じで、スって帰ろうとして」と語った。
玉鷲の“珍プレー”を受けて、視聴者からは「帰っちゃうとこだった!」「負けたと思ったのかな?」「ふつうに勝った相撲なのに」「どうしたんだろう」といった声が相次いで寄せられた。
2020/11/12
大関貴景勝(24=千賀ノ浦)が初日からの連勝を4に伸ばした。
果敢に攻め込む東前頭2枚目阿武咲に、落ち着いて対処した。
押し込まれても慌てず、得意の左からのいなしで崩し、最後は押し出した。
安定した内容に「あまり作戦を考えず、自分がやってきたことを、集中して一生懸命やる」と淡々と振り返った。
三役以上の勝ちっ放しは貴景勝と小結照ノ富士だけとなった。
直前の取組で正代が敗れたが「自分の相撲で、そこはあまり関係なかった。気合入れていこうと思った」と影響はなし。
「相手がどうだからと意識せず、とにかく後悔しないような相撲を。今日終わったから、また明日に向けて一生懸命頑張っていきたい」。
17年初場所の稀勢の里以来となる大関優勝に向けて、一喜一憂せずに突き進む。
新大関の正代(29=時津風)が大相撲11月場所5日目の12日、休場することが決まった。
新大関の休場は、現行のかど番制度となった1969年名古屋以降、2019年夏場所の貴景勝以来9人目。
今場所は白鵬、鶴竜の両横綱が初日から不在で、大関朝乃山も3日目から休場。
2横綱2大関の休場は03年初場所(横綱武蔵丸、貴乃花、大関千代大海、魁皇)以来となった。
正代は3日目の勝った小結高安戦で、土俵際で逆転の突き落としを決めて土俵下に落ちた際に、左足首を負傷したとみられる。
4日目は左足首にテーピングを施して土俵に上がるも、三役返り咲きを狙う大栄翔の突き押しに粘ることなくあっさりと土俵を割っていた。
4日目まで3勝1敗だった正代は、このまま再出場しなければ、来年1月の初場所は大関2場所目にしてかど番で臨むことになる。
大相撲11月場所(東京・両国国技館)4日目の11日、上松町出身で東関脇の御嶽海(出羽海部屋)は東前頭筆頭の霧馬山(陸奥部屋)に肩透かしで敗れ、2勝2敗となった。
5日目は西前頭筆頭の若隆景(荒汐部屋)と対戦する。
御嶽海は立ち合いから張り差しでかく乱されると、相手に前傾姿勢を逆手に取られ、引き気味にすくわれて土を付けられた。
若隆景とは初顔合わせとなった9月場所で、御嶽海が下手投げで勝っている。
照ノ富士が隠岐の海との3勝同士の一番を制した。
相手が右上手出し投げで崩しにきたが、引いていた下手の方へ体を寄せて圧力をかけた。
「できれば右四つになって寄りたいけど、ああいう形になったので我慢して前に出た」と振り返ったように、落ち着いていた。
先場所は古傷を抱える左膝の状態が悪化して途中休場したが、今場所はここまで盤石の相撲で白星を並べている。
それでも「一番一番の積み重ねなので」と浮ついた様子はなかった。
北勝富士は動きが良かった。
高安を左喉輪や強烈なおっつけで攻めて泳がせると、向き直ろうとした元大関を難なく押し出した。
「足がいい感じに動いてくれている。上半身との連動もしっかりできている」と納得の表情だった。
先場所は敗れた妙義龍、大栄翔、高安への雪辱も果たして4連勝。
弟子に厳しい八角理事長(元横綱北勝海)も「いい当たりができているから、その後の流れもいい」と褒めた。
大けがを乗り越え、9場所ぶりに戻ってきた幕内の土俵で千代の国が躍動している。
右肩付近には大きなテーピングが目立つが、持ち味のきっぷのいい相撲で4連勝スタートを切った。
この日は腰の重い魁聖と右四つで組んだが、止まらずに積極的に攻めた。
やや強引に上手投げを打って相手の体勢を崩すと、左足を掛けて仕留めた。
終始動いての白星にも「攻めが遅い」と反省を忘れず、「一日一番なので、連勝は特に意識していない」と浮かれることはない。
右肩や右かかとなど、何度もけがをして番付を下げたが、そのたびに復活してきた。
昨年初場所で負った左膝のけがは深刻で、3場所連続全休に追い込まれた。
西幕下46枚目まで落ちた昨年秋場所前は、1時間近くかけてテーピングを施して稽古に臨み、序二段相手に苦しむこともあった。
今場所は幕内前半戦を盛り上げているが、視線は先にある。
「上がったことのないステージにいきたい」と言い、三役昇進をにらむ。
不屈の30歳は目標を達成するため、闘志を込めて一日一番に挑む。
2020/11/11
貴景勝も、さすがに肝を冷やしたか。
立ち合いでやや横に動いて左上手を取りにきた霧馬山に、右四つで寄られて土俵際まで追い込まれた。
窮地でも「どんな形になっても焦らず、自分がやってきたことを信じてやる」。
繰り出したのは左からの突き落とし。
土俵下に転げ落ちながらも気迫がこもった一撃で逆転。
3日目の「鬼門」を突破し、大関では初の初日から3連勝とした。
小結だった2018年九州場所で優勝を果たした後は、賜杯から遠ざかっており、場所前から「とにかく結果を残さないといけない」と自らを鼓舞してきた。
白鵬と鶴竜の休場で横綱不在となっただけでなく、この日から大関朝乃山も休み、出場力士の最上位として責任感は、一層強くなったことだろう。
そんな姿を見て、八角理事長(元横綱北勝海)は「あんまり意識すると、相撲が悪くなる」と心配しつつも、「自分の相撲に集中することが大切」と背中を押した。
本人もやるべきことは分かっている。
「今できることを考え、一生懸命やりたい」。
雑念を捨て、持てる力を出し切っていく。
大相撲の大関・朝乃山が右肩のけがで11月場所3日目の10日から休場することになりました。
朝乃山は再出場しなければ来年1月の初場所は「角番」となります。
11月場所で、大関・朝乃山は、初日に前頭筆頭の霧馬山と対戦し力強い寄り切りで白星を挙げましたが、9日の2日目には三役に復帰した小結・照ノ富士に上手投げで敗れ、今場所初黒星を喫しここまで1勝1敗の成績でした。
朝乃山は初日の取組で右肩を痛め、都内の病院で診察を受けた結果、右肩の「三角筋挫傷」でおよそ4週間の治療が必要と診断され、日本相撲協会に届け出て3日目の10日から休場することになりました。
ことしの春場所後に大関に昇進した朝乃山は、大関として最初に臨んだ7月場所では12勝、大関2場所目の先場所は10勝を挙げていました。
朝乃山の休場は、平成28年春場所の初土俵以来、初めてです。
10日対戦する予定だった前頭筆頭の若隆景は、不戦勝となります。
朝乃山は再出場しなければ、来年1月の初場所は負け越すと大関から陥落する「角番」になります。
高砂親方「これで終わりじゃない」
師匠の高砂親方は「初日の一番で霧馬山に腕に当たられて傷めたようだ。きのうも相撲を取ったが、痛くて取れないということで休むことになった。きのうの朝とけさも病院で調べて右肩を傷めているということだった」と説明しました。
そのうえで今場所の再出場について難しいかを問われると、「そうだと思う。痛みが取れればの話で、痛いうちは無理だと思う」と話していました。
高砂親方は「残念だが、けがなのでしょうがない。本人もショックだろうが、しっかり治すことだ。これで終わりじゃない」と再起に期待していました。
新大関正代(29=時津風)がまたも冷や冷やの白星で3連勝となった。
大関経験者の小結高安(田子ノ浦)と激しい攻防。
押し込まれ、引いたところを攻められたが、土俵際を右足だけで残し、かわしながらの突き落としを決めた。
勢いあまって土俵下に背中から転落し、最後は後頭部を打ちつけるほどの激しい相撲だった。
正代は「危ない相撲でしたね。そこらへんはちゃんと攻め勝ちたいですけどね」と反省。
何度かいなして相手の体勢を崩し、攻め込みながら攻めきれなかった。
「土俵際までいってあと1歩、2歩出られたらよかったが止まってしまった。そこは攻めきりたい」。
花道では「変な形で落ちてしまった」と左足を気にするそぶりも見せた。
「今のところ、普通に歩けてるんで大丈夫。(状態は)明日になってみてという感じですね」と話した。
照ノ富士が2戦2敗だった阿武咲に完勝した。
立ち合いでやや押し込まれたが、慌てず右から抱えて相手の動きを止め、休まずに出た。
「落ち着いて相撲を取るだけだと思っていた。特にやりにくい意識はなかった」と淡々と振り返った。
17場所ぶりに三役に戻り、次に見据えるのは大関復帰。
足場を築きたい場所で難敵を退けての3連勝と流れもいいが、「目標は2桁。一日一番しっかりやるだけ」と冷静だった。
元横綱大鵬の孫で元関脇貴闘力の四男、東幕下32枚目夢道鵬(19=大嶽)が、幕下2場所目も白星で発進した。
初顔の西幕下32枚目朝興貴(29=高砂)を寄り切り。
立ち合いはもろ手で突き放せず左四つとなったが、下手で振ってすかさずもろ差しになると、足を止めず前に出た。
「もろ手で持っていこうと思ったけど、相手の圧力も強かった。四つに組んだら組んだで、自信を持っていこうと思った」。
序ノ口デビューした1月の初場所から5場所連続で1番相撲を白星。
負け越し知らずで自己最高位を更新し続け、今場所は「(自分の)圧力が前に出て通用するか確かめる場所にしたい」と意気込む。
まげを結って初めての一番だった。
「力士に近づけたのかなと思う」と照れ笑い。
場所前は兄の西幕下筆頭納谷(20)と稽古を重ねて力をつけた。
「来場所、幕下の上位に上がれるように」と、さらなる出世を目指す。
大相撲11月場所は4日目、ここまで3連勝の大関・貴景勝は前頭2枚目の阿武咲と対戦します。
11月場所は、初日から休場した両横綱に続いて大関・朝乃山が右肩のけがで10日の3日目から休場しました。
番付上位として、土俵を締める役割が求められる貴景勝と正代の大関2人は、際どい相撲を制しながら3連勝としています。
大関として初優勝が期待される貴景勝は、11日は前頭2枚目の阿武咲と押し相撲どうしの一番。
過去の対戦では貴景勝が4勝2敗です。
貴景勝は10日の取組では、霧馬山に素早く上手を取られて不利な体勢に持ち込まれたものの土俵際で逆転での白星を挙げました。
貴景勝としては、立ち合いから低く鋭く踏み込んで持ち味の強烈な突き押しで時間をかけずに勝負を決めたいところです。
新大関・正代は、前頭2枚目、大栄翔との対戦です。
ここまで3連勝としていますが、初日に続いて、10日も逆転の突き落としで何とか勝ちを拾っていて安定感が見られません。
10日の取組後は、左足を気にするしぐさを見せていて「正直、わからない」と不安を口にしていました。
2人の過去の対戦は、正代が4勝5敗ときっ抗しています。
ここ4回の対戦では、2勝2敗と五分の成績です。
正代は大栄翔の突き押しを柔らかさでしのぎながら持ち味の圧力をかけた本来の相撲を見せられるかどうか注目です。
大関経験者で3年ぶりに三役に復帰した小結・照ノ富士はここまで3連勝、11日は平幕・隠岐の海と対戦します。
このほか新関脇・隆の勝は前頭筆頭の若隆景と対戦します。
これまで、大相撲十一月場所は「一年納めの九州場所」とうたわれてきたが、今年はその言葉が使えない。
新型コロナウイルスの影響で、恒例の福岡国際センターではなく、東京・両国国技館で初日(11月8日)を迎えたからだ。
振り返れば1月の初場所、幕内の最下位の地位にいた33歳のコ勝龍(木瀬部屋)が初優勝して「自分なんかが優勝していいんでしょうか」とコメントし、国技館の満員の観衆を感動させたことが遠い昔のように感じる。
感染が拡大した3月の春場所は、エディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)で無観客開催。
無事に千秋楽まで完走したものの、4月7日に緊急事態宣言が発令されると、相撲協会は5月の夏場所を中止することを決定した。
本場所の中止は、旧両国国技館の改修が間に合わなかった1946年夏場所、八百長メール問題が発覚した2011年春場所に続き3度目となった。
中止が決定した直後には、相撲部屋でクラスターが発生した。
力士たちは大部屋で集団生活するために感染のリスクが懸念されていたが、ひとつの部屋で親方・力士7人の陽性が確認され、ひとりが28歳の若さで急逝した。
部屋の兄貴分として弟弟子から慕われ、巡業では初っ切りを担当するなど誰からも慕われた力士の訃報は、角界にとって痛恨の極みだった。
相撲協会は専門家からアドバイスを受け、さらに感染対策を徹底した。
大部屋では終日マスクを着用。
弟子の体調に異変が出た場合は稽古を休ませるよう親方たちに伝え、食事もちゃんこ鍋や大皿に盛りつけていた料理を個々の食器に分けるようにした。
稽古場は常に換気し、肌を合わせる申し合い、ぶつかり稽古は禁止(6月25日に解除)。
四股、すり足、筋力トレーニングなど基礎稽古のみを行なうことが指導された。
迎えた7月の本場所は、初日を2週間延期して開催。
移動リスクを考慮し、名古屋のドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)での開催を断念して両国国技館で行なった。
58年から始まった名古屋場所が東京で行なわれるのは史上初のこと。
観客数は上限を2500人に定め、4人用の升席もひとりでの使用に限定するなどの対策が取られた。
続く9月の秋場所も、同じように観客数を上限2500人で開催したが、場所前に力士24人の集団感染が発生し、その部屋の力士28人全員が休場する事態になった。
相撲協会はこれまで、不要不急での外出をした力士や親方たちには厳しい処分を下してきたが、同部屋の力士に関しては全員の番付を据え置く措置を取った。
力士にとって"命"である地位を守る特例措置は、立派なコロナ対策と言っていい「英断」だった。
観客数の上限が5000人に緩和された十一月場所では、秋場所で初優勝し、大関昇進を決めた正代(時津風部屋)に期待がかかる。
昇進伝達式の口上では「至誠一貫」の四字熟語を盛り込み、これまで貫いた誠実な相撲で大関の責任を果たすことを誓った。
また、十一月場所の番付が発表された10月26日には、オンラインでの記者会見で「いつもより緊張感がある。責任が今までと違う」とさらに気持ちを引き締めた。
熊本県出身の大関誕生は58年ぶり。
九州場所が通常開催なら準ご当所への凱旋となったが、東京開催となったことには「九州に行けないのは残念ですが、いい相撲を取って土俵を沸かせたい」と意気込んでいる。
大関の自覚は秋場所後の行動にも表れている。
相撲協会が実施した相撲教習所での合同稽古に参加し、横綱・白鵬(宮城野部屋)、大関・貴景勝(千賀ノ浦部屋)らと精力的に稽古を重ねて手応えをつかんだ。
独特の胸から当たる立ち合いは、各方面から「腰高」とも指摘されるが、今の正代には弱点を補って余りある当たりの強さと、土俵際での粘り強さがある。
「大関としての存在感を示したい」と明かすように、06年夏場所の白鵬以来となる14年ぶりの「新大関V」に挑む。
そんな29歳の新大関に刺激を受けているのが、26歳の大関・朝乃山(高砂部屋)だ。
夏場所で昇進した大関の"先輩"だが、秋場所は初日から3連敗とつまずき、終盤には正代、貴景勝に連敗。
優勝を逃した悔しさを十一月場所で晴らそうと闘志を燃やす。
独特の立ち合いをする正代と違い、正攻法の右四つ左上手の型は、現在の3大関の中でも群を抜く安定感がある。
朝乃山本人も「(大関は)勝って当たり前の地位。自分の相撲を取り切れば結果はついてくる」と話すように、昨年の夏場所以来となる2度目の賜杯を狙う。
また、朝乃山には2年連続の年間最多勝もかかっている。
秋場所終了時点で、トップは正代の45勝。それを43勝の朝乃山が追いかける。
さらに、65歳の定年を迎える師匠の高砂親方(元大関・朝潮)にとっては最後の本場所。
近畿大の先輩で、角界に導いてくれた恩人の"花道"を優勝で飾りたいところだ。
秋場所は新入幕の28歳、翔猿(追手風部屋)の奮闘も目立った。
千秋楽まで優勝争いを演じ、11勝を挙げて敢闘賞を受賞。
身長175cmの小さな体で土俵狭しと動き回るきっぷのいい取り口と、端正な顔立ちに明るい性格も伴って人気が急上昇。
西前頭4枚目に番付を上げた十一月場所で、さらなる飛躍が期待される。
たくさんの支えを受けながら、コロナ禍の脅威と戦い続けてきた2020年。
力士たちは「一年納めの"両国"」で、正々堂々の相撲を見せて恩返しをしてほしい。
2020/11/10
大相撲11月場所(両国国技館)で大関朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は8日の初日に東前頭筆頭の霧馬山を破って白星発進したが、9日の2日目に大関復帰に向けて気勢を上げる東小結照ノ富士に敗れ、早くも初黒星を喫した。
定年を迎える高砂親方(元大関朝潮)に向け「土俵での白星が恩返し」と気合を入れ、切り替えて前を向く。
「連勝したい」と意気込み、この日の結びの一番で、新旧大関対決に臨んだ朝乃山。
立ち合いで左上手を狙うも届かず、逆に左前まわしを引かれて体を起こされ、左上手投げに転がった。
完敗のショックからか、倒されてもすぐには立ち上がらなかった。
八角理事長(元横綱北勝海)は「前に出させちゃ駄目。上手を取らせない工夫が大事になる」と照ノ富士戦について改善を期待。
先場所で初日から3連敗を喫した悪夢がちらつく敗戦となり、報道陣のリモート取材には応じなかった。
初日は立ち合いで右を差すと左からもおっつけて一気に走り、霧馬山を寄り切った。
得意の右四つでの取り口で、完璧な内容となり「これが自分の相撲」と納得顔だっただけに、悔しい展開となった。
大関の貴景勝と正代がともに2連勝とする中、連敗は避けたいところだ。
年間最多勝争いも注目を集める。
今場所前には正代から2差の2位につけていた。
だが「目指しているのは、そこではない」と見据えるのは優勝だ。
富山県民に向けて「(コロナ禍(か)のため)テレビの前で応援してくれれば。自分が期待に応えるだけ」と奮起を誓っていただけに、覇気を取り戻したい。
新大関の正代は薄氷だった初日とは違い、前に出て白星を並べた。
もろ差しとなって霧馬山を落ち着いて寄り切り、「当たった後によく足が出てくれた。なんとか修正できたと思う」とほっとした様子だった。
大関は国技館地下駐車場に車で乗り入れられるが、初日もこれまで同様に徒歩で帰路に就いた。
そこでもファンから祝福の拍手を受けたそうで「いろいろ注目されているんだなというのは実感します」。
大相撲11月場所(東京・両国国技館)2日目の9日、上松町出身で東関脇の御嶽海(出羽海部屋)は西前頭2枚目の大栄翔(追手風部屋)に突き落としで敗れた。
初日の8日は東前頭2枚目の阿武咲(阿武松部屋)との取り直しの一番を寄り切りで制しており、1勝1敗となった。
立ち合いから大栄翔の激しい下からの当たりに見舞われた。
鋭い突きと押しにも下がらず食い下がった御嶽海は、はたきに乗じて体を寄せ左をさすも前のめりの体勢。
左に回り込まれ、最後は突き落とされた。
3日目の10日は東前頭3枚目の輝(高田川部屋)と対戦する。
過去の対戦は御嶽海が4戦全勝している。
照ノ富士が3場所続けて朝乃山を撃破した。
当たってすぐに左前まわしを引き、右四つで組み合ったが大関に上手は与えない。
圧力をかけて寄ってから、上手投げで豪快に転がした。
大関を圧倒する内容にも、「体がよく動いてくれている。
どんな相手でも上手を取って前に出ようと思っている。たまたまうまくいっている」。
控えめな言葉の裏に、地力の高さと自信がにじむ。
両膝のけがなどで大関から序二段まで転落しながら、17場所ぶりに三役まで戻ってきた。
場所前から「ここからの3場所が大事」と公言してきた通り、今の目標は大関復帰だ。
同学年の正代が大関に昇進したことも大きな刺激になっており、「同級生ということで、こっちも燃えるものがある。早く追い抜きたい」と本音を隠さない。
目標は明確だが、「一場所、一場所、一番一番集中してやらないと。先を見ると今に集中できない」と自らに言い聞かせて、目の前の一番に集中する。
着実に復活の階段を上がってきた照ノ富士が、もう一段に向けて上々のスタートを切った。
返り小結の高安が輝を圧倒した。
立ち合いで相手をはね上げて、一気に押し出す完璧な取り口に「しっかり踏み込んで、前に出て勝つことができた」と納得の表情を見せた。
けがに苦しんだ元大関は三役まで番付を戻したが、「いつも通り。特に変わったことはない。集中してできている」。
そう言って平常心を強調した。
小兵の炎鵬が、自分よりも100キロ重い魁聖に八艘飛びを仕掛けた。
2メートル近い相手の肩辺りまで跳び上がって左上手を取りにいったが失敗。
着地で体勢を崩し、豪快に押し倒された。
奇襲を受けた魁聖は「何をやってくるか分からないから突っ込まないようにと思ったが、立ち合いからあんなことをするとは。びっくりした」と振り返った。
東前頭12枚目の豊山(新潟市北区出身)は豊昇龍に敗れ、1勝1敗。
「勝負所で決めきれない」
豊山は攻めきれずに1勝1敗となった。
豊昇龍との突き、押し合いから右四つで上手を引いた。
あと一歩のところで寄り切れず、右内掛けで倒された。
「勝負どころで決めきれないときつい」と肩を落とした。
初顔合わせとなった豊昇龍とは稽古で何度か番数を重ねたことがあり「右を差して組んでくるだろう」と、さまざまな想定をしていた。
ただ、持ち味を発揮する場面が少なく「(身上の)押しを出していきたかった」と反省した。
場所前の稽古で新大関正代にも胸を借り、状態は良いという。
2場所連続で負け越しているだけに「勝ち越したい」と言葉に力を込めた。
日本相撲協会の新型コロナウイルス感染予防講習会で講師を務めた東大医科学研究所の四柳宏教授が9日、相撲記者クラブの取材に文書で回答し、大相撲11月場所の集客上限を約5000人まで倍増する判断をした理由に、7月と秋場所を踏まえて「場所中の力士への感染がなく、お客さんからの連絡もなかった」ことを挙げた。
競技の特性上、力士が体をぶつけ合うことは避けられないが、その時間が比較的短いことから「土俵上での感染の可能性は少ない」との見解を示した。
屋内でも定員の50%以上の観客を入れるための課題は、5〜6時間滞在したり、飲食したりする人への対応だと指摘した。
日本相撲協会に設置された「大相撲の継承発展を考える有識者会議」の第8回会合が9日、東京・両国国技館で開かれ、弟子の育成、外国出身力士への教育、ガバナンス(統治)の3点を骨子として議論が交わされた。
山内昌之委員長(東大名誉教授)によると、親方衆の指導方法や、外国出身者が相撲を日本文化として理解するような教育の重要性が話し合われた。
同委員長は「師匠、親方たちが人材育成をしていくことを前提に、優れた力士を育てるシステムについて具体的に考える必要がある。それが伝統継承の骨格」と述べた。
大相撲の新型コロナウイルス感染予防策に携わる東大医科学研究所の四柳宏教授は9日、報道陣の質問に文書で回答し、今後も厳しい対策を継続する方針を示した。
出稽古の無条件解禁や地方巡業再開については「道筋が立っていない。まずは地方場所が(両国)国技館での開催同様、安全にできることを確認してからと思う」と説明した。
日本相撲協会は1年ぶりの地方場所として、来年3月の春場所を予定通り大阪で開催することを目指し、準備している。
親方や力士ら協会員は本場所初日までの約2週間、不要不急の外出が禁止されている。
行動制限に関して四柳教授は、感染した三段目力士が死去したことなどを踏まえ、当面変更しないとした。
2020/11/09
大相撲十一月場所は8日、東京・両国国技館で初日を迎え、秋場所で初優勝した正代関(29)=時津風部屋=が新大関としての第一歩を踏み出す。
熊本県出身力士の大関昇進は栃光関(天草市出身)以来58年ぶり。
郷里宇土市では取組を放映するパブリックビューイング(PV)が計画されるなど熱気が高まる。
地元後援会長は5日、29歳の誕生日を迎えた新大関にスマートフォンで「おめでとう、応援してますよ」と花火の絵文字付きメッセージを送信。
本人から「ありがとうございます」と返信があったという。
後援会は正代関の白星のたびに花火で祝福しており、「今場所も毎日打ち上げたい」と先場所に続く快進撃を待ち望む。
正代関が育った宇土少年相撲クラブや宇土鶴城中相撲部の選手たちは大先輩の活躍に刺激を受け、稽古に熱が入る。
同中の主将は「秋場所後に大関は練習を見に来てくれた。体が大きくて圧倒された」。
県新人戦を初日の8日に控え、「大関の立ち合いを参考にして着実に1勝を積み重ねたい」と意気込む。
市内43の飲食店でつくる市飲食業組合は、中日の15日に市民体育館ecowin宇土アリーナ前でPVを初めて開く。
組合長は「コロナ禍で暗い話題ばかりだった中、秋場所で最高の結果を届けてくれた。宇土の知名度が上がったので、私たちも負けじと頑張りたい」。
当日は先着200人に特製ちゃんこ鍋を振る舞うほか、地元の和太鼓団体も駆け付ける。
看板店のマエダ工芸社は秋場所の初優勝を受け、「相撲の町、くまもと宇土」と書いた特製看板を制作。
地元商工会が開いた10月末のイベントでお披露目済みで、15日のPV会場に飾る。
社長は「地元愛の強い大関の活躍に応えたかった。相撲を通じて多くの人に宇土を知ってほしい」と期待する。
秋場所後の先月8日に新大関の訪問を受けた市長も地元を挙げた応援を誓う。
「これまで通りの取組をしてもらえると結果はついてくる。終盤まで優勝争いをしてくれるなら感染症対策を徹底してPVを開催したい」と力を込める。
大相撲11月場所初日、関脇・御嶽海は取り直しの末、阿武咲に勝ちました。
上松町出身の御嶽海、初日の相手は東前頭二枚目の阿武咲。
土俵際まで押し込みましたが、はたきこまれて、手をつきます。
しかし、物言いがついて取り直しに。
取り直しでは御嶽海が寄り切って勝ち、白星発進としました。
2日目は西前頭二枚目の大栄翔との対戦です。
新関脇の隆の勝は、大栄翔の引き技に屈した。
押し込めず、上体が伸びたところを突き落とされ、「(初日で)緊張して受ける相撲になってしまった」と反省した。
先場所は、前に出続ける強烈な押しを発揮し、西前頭筆頭で10勝を挙げた。
「あしたからは攻める相撲を取れればいい。自分の相撲を取り切って、いい成績で終われたら」。
場所はまだ始まったばかりだ。
若隆景は大関初挑戦の一番で持ち味を存分に発揮した。
新大関の正代を右からおっつけて崩すと、もろ差しを果たして一気に前へ。
土俵際での突き落としに屈したが、「内容はよくできた」とさばさばと振り返った。
自己最高位の西前頭筆頭に番付を上げた今場所。
「思い切ってスピードのある相撲を取りたい。出せる力を出し切りたい」。
180センチ、129キロの25歳が、きっぷのいい相撲で三役に挑む。
8日に初日を迎えた大相撲11月場所は、新型コロナウイルス禍の中、観客数の上限を9月の秋場所までの2倍となる約5000人として実施され、館内の光景が一変した。
1人しか座れなかった升席を2人で使えるようになり、平幕の志摩ノ海は「普段の開催と同じぐらい入っているように見えた」と印象を語った。
午後1時の開場前には、両国国技館の前に多くのファンが集まった。
日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「この状況で来てくれるのはありがたい」と感謝し、新大関の正代は「とてもうれしいし、多くの人に見ていただきたい」と看板力士らしく言った。
大相撲11月場所は、東京、両国国技館で8日初日を迎えました。
新大関正代は前頭筆頭若隆景と対戦し、際どい相撲を制して白星スタートです。
中入り後の勝敗です。
◆志摩ノ海に十両の千代ノ皇は志摩ノ海が押し出し。
◆千代翔馬に新入幕の天空海は千代翔馬が下手投げ。
◆千代大龍に琴ノ若は琴ノ若が肩透かし。
◆千代の国に逸ノ城は千代の国が押し出し。
◆豊昇龍に魁聖は豊昇龍が下手投げで勝ちました。
◆豊山に炎鵬は豊山が押し倒し。
◆佐田の海に明生は明生が押し出し。
◆竜電に琴恵光は琴恵光が掛け投げ。
◆徳勝龍に照強は徳勝龍が押し倒し。
◆碧山に遠藤は遠藤が押し出しで勝ちました。
◆栃ノ心に玉鷲は玉鷲が押し出し。
◆宝富士に琴勝峰は宝富士が押し倒し。
◆北勝富士に妙義龍は北勝富士が押し出し。
◆翔猿に隠岐の海は隠岐の海が押し出し。
◆三役に復帰した小結照ノ富士に輝は照ノ富士が寄り切り。
◆大栄翔に新関脇隆の勝は、大栄翔が突き落とし。
◆関脇御嶽海に阿武咲は、御嶽海が物言いがつく際どい相撲を制して寄り切り。
◆新大関正代に前頭筆頭の若隆景は、正代も物言いがつく相撲を制し、突き落としで勝ちました。
◆霧馬山に大関朝乃山は朝乃山が寄り切り。
◆大関貴景勝に三役に復帰した小結・高安は貴景勝が押し出しで勝ちました。
休場の横綱鶴竜「腰椎すべり症」と診断
初日を迎えた大相撲11月場所を休場し、3場所連続休場となった横綱鶴竜について、日本相撲協会は腰のけがで休場が必要と診断されたことを公表しました。
横綱鶴竜は今年7月場所を右ひじ、9月の秋場所を腰のけがで休場していて、東京・両国の国技館で8日に初日を迎えた11月場所も3場所連続で18回目の休場を届けていました。
日本相撲協会は、鶴竜が今月4日に国技館内の相撲診療所で診察を受けた結果、「腰椎すべり症」で腰痛が悪化し、11月場所の休場が必要とする診断書を8日、公表しました。
国技館で初日を迎えた今場所は、横綱白鵬も今年8月に右ひざの手術を受けた影響で休場していて初日から横綱不在となっています。
相撲協会によりますと、番付に2人以上の横綱がいて、その全員が2場所連続で初日から休場するのは史上初めてです。
日本相撲協会八角理事長「横綱の土俵入りをファンに見せたい」
白鵬と鶴竜の両横綱が休場し、2場所連続横綱不在で初日を迎えたことについて、日本相撲協会の八角理事長は、「横綱の土俵入りをファンに見せたいという思いがある。次の場所には出るようにしてほしい。けがを治して相撲が取れる状態に持っていくことが横綱としての責任だ」と話しました。
また、物言いがつく際どい相撲となりながらも、新大関として初白星を挙げた正代については、「最初の取組なので硬くなる。関脇と大関では責任が違うし、勝たないといけないという気持ちが強かったんだと思う。今日のような勝ちがたまにあるのはしかたないが、もう少し前に出る安定感がほしい」と指摘したうえで、3人の大関がそろって白星スタートを切ったことについては、「内容はいろいろあるが、勝ったことは大きい」と話していました。
力士の談話
幕内に復帰した千代翔馬は白星を挙げ「落ち着いて相撲を取れた。幕内の土俵はやっぱり十両と違う。勝ってよかった」とうれしそうでした。
また、先月内視鏡を使った腰の手術をしたことを明らかにしたうえで「先場所が終わってからヘルニアのため手術をした。今場所は15日間を取りきりたい気持ちだ。完全に治ってはないが徐々によくなってきている。前向きに頑張っていきたい」と話していました。
琴ノ若は幕内に復帰しての白星に「相手のペースにならないで自分のペースで取れた。自分の相撲を取ることだけを意識した」と淡々と話していました。
千代の国も幕内に復帰し初日に白星を挙げ、「勝てたのがいいことだと思う。1日、一番でいきたい」とことば少なでした。
炎鵬は黒星に「途中までの流れはよかったが我慢が足りなかった。相手を見すぎてしまい、もうちょっと動けばよかった。先場所よりいい相撲を取ることを目標にしたい。体重はもとに戻りつつあるので体調は大丈夫かなと思う」と切り替えている様子でした。
先場所、新入幕で優勝争いをした翔猿は、「最後、引いてしまったのがいけなかった。今場所も一番、一番、集中して行けたらいい。どんどん前に出て思い切り集中していくだけ」と黒星にも前向きな様子でした。
一方、翔猿から白星を挙げた隠岐の海は「初日だったので勝ちたかった。一番、一番、頑張って結果がついてくればいい。お客さんが増えて最高だ。頑張っているところを見せたい」と意気込んでいました。
新関脇・隆の勝は初日黒星に「ちょっと上体が起きすぎてしまったのであす、修正して頑張りたい。新三役の初日は気持ちが違った。初日だからか緊張して相手を受けるようになってしまった。自分の相撲を取り切っていい成績で終われたらいいなと思う」と話していました。
照ノ富士は、三役に復帰しての白星スタート、「別に深く考えてないので、毎日、一生懸命やるだけです。小結に復帰したことも特に何も考えてない。いつもどおりだ。お客さんがどんどん入ってくれれば盛り上がる」と淡々としていました。
御嶽海は取り直しの一番を制して「同体だと思ったので取り直しを準備していた。二番目は引かないように前に出ることを意識した。ことし最後の場所なので自分の相撲を取って、大関陣に負けない存在感を出していきたい」と話していました。
新関脇・正代は、際どい相撲を制し、「土俵に上がったらいつもと違うというか、いつもより硬いというか、思ったように足も出なかった。初日で新大関として最初の相撲だったので、思うように体が動かなかったと思う。とりあえず白星発進でよかったと思う。体が動くようになったらもっと内容がよくなると思う」と振り返っていました。
例年は福岡市で九州場所が行われますが、ことしは新型コロナウイルスの影響で国技館で11月場所が開催されたことについて、熊本県出身の正代は「九州で開催できなかったのはとても残念だが、東京でも開催して頂けるだけでもとてもありがたい。しっかり成績を残して、地元の人にもいい相撲を見せることができたらなと思う」と決意を示していました。
朝乃山は万全の相撲で白星を挙げ、「きょうの相撲が自分の相撲だと思う。序盤と終盤が大事になってくると思うのでしっかりと自分の相撲を取れれば結果がついてくる」と手応えを感じている様子でした。
貴景勝は両横綱の不在で結びの一番に登場して白星を挙げ「一生懸命、あすも頑張っていきたい。番付がどうかとは考えず、若手らしく若々しく、一生懸命、きっぷのいい相撲を取りたい。お客さんが5000人に増えて花道より土俵のほうが温かくなる空気感があった。先場所の2500人ではなく、熱気というのが今場所はあると思う。ことし初場所以来感じられて、気合いも入った。ありがたいと思う」といつもどおり淡々と話していました。
大相撲11月場所は2日目、初日を白星で滑り出した新大関・正代は前頭筆頭の霧馬山と対戦します。
11月場所は、白鵬と鶴竜の両横綱がけがの影響で休場し、新大関・正代など三大関に番付上位として優勝争いに絡む活躍と土俵を締める役割が求められます。
正代は8日の初日に土俵際の逆転で辛くも大関として初白星をつかみ2日目の9日は前頭筆頭の霧馬山と対戦します。
正代は初日のように受け身に回る相撲は禁物で、四つ相撲が得意の霧馬山に対して立ち合いからしっかり踏み込み、みずから攻めて時間をかけずに勝負をつけたいところです。
一方、大関3場所目となる朝乃山は、大関経験者で小結まで番付を戻してきた照ノ富士と対戦します。
ともに右四つ、左上手が得意の両者の対戦は、ここ2場所いずれも照ノ富士が勝っています。
がっぷり組んで胸を合わせる展開になれば腕力で勝る照ノ富士が優位。
朝乃山としては、立ち合いから素早く踏み込んで浅くまわしを引き、一気に勝負を決めることができるかが勝負のポイントになりそうです。
初優勝から2年、大関となってからは初めての優勝を目標に掲げる貴景勝は、前頭筆頭の若隆景と初顔合わせの一番です。
貴景勝が相手の動きを見ながら落ち着いて突き押しに徹することができれば優位は動きません。
秋場所前に新型コロナウイルスの集団感染が発生した玉ノ井部屋の力士が、2場所ぶりに復帰した。
先場所は力士全28人が全休を余儀なくされたが、コロナ禍の特例措置として番付は据え置きに。
白星発進した十両東龍は「普通なら落ちている。皆さんに感謝したい」と話し、十両富士東は「土俵に立てることが僕たちは一番うれしいこと」とかみしめるように語った。
2020/11/08
大相撲11月場所(8日初日、東京・国技館)を休場する白鵬、鶴竜の両横綱について日本相撲協会の尾車事業部長(元大関琴風)が7日、「(次は)進退をかけて出てこないとダメじゃないでしょうか。そのくらいの気持ちをもって次は出てくることになるんじゃないか」と話した。
尾車事業部長は協会で八角理事長(元横綱北勝海)に続くナンバー2。
優勝44度の白鵬は今年5場所のうち4場所で休場。
師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)が5日に「もし(11月場所に)出られなかったら、来場所(来年初場所)に進退かけて頑張るしかない」と言及していたが、6日の休場表明後、「本意ではなく軽率だった」とする文書を協会を通じて出し、発言を取り下げていた。
■豊山関 コメント
このたび、アルビレックス新潟さんのエンブレムとロゴをデザインした反物で浴衣を製作させていただきました。
自分の夢であったアルビレックス新潟さんとのコラボが今回実現して、すごく嬉しく思っています。
これからも熱くアルビレックス新潟を応援していきます。
ぜひ豊山の応援もよろしくお願いします。
■豊山関プロフィール
1993年9月22日生まれ、新潟県新潟市北区出身。
身長185cm体重173kg。
東京農業大学から時津風部屋に入門。
幕下優勝1回、三段目優勝1回、敢闘賞1回。
一年納めの大相撲11月場所は8日に東京・両国国技館で始まる。
白鵬、鶴竜の両横綱が2場所続けて初日から休場する中、新たに昇進した正代のほか貴景勝、朝乃山の大関陣が優勝争いの中心になりそうだ。
ともに元大関の照ノ富士、高安の両小結、先場所活躍した平幕翔猿らの奮闘も楽しみだ。
7日は日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)ら幹部や審判部の親方衆が出席して国技館で土俵祭りが行われ、15日間の安全を祈願した。
新大関正代は初制覇した先場所に続く優勝が懸かる。
国技館での優勝額贈呈式出席後、報道陣の電話取材に「できるだけのことはやってきた。自分らしい相撲を取って期待に応えられたらと思う」と意欲を示した。
今年はここまでの4場所で初優勝者が2人と、混戦が多い。
尾車事業部長(元大関琴風)は「3大関が優勝争いをしてくれれば、一番土俵が締まるかなと思う。若手も上位に上がってきた。面白い優勝争い、内容のある相撲を見せられるように頑張ってほしい」と力士の奮起に期待した。
新型コロナウイルスの影響で、会場を福岡市から移した。
観客数の上限を先場所までの倍となる約5千人に引き上げて実施される。
2020/11/07
大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)を休場する横綱白鵬(35=宮城野)を巡って思わぬ騒動≠ェ起こった。
白鵬は8月に内視鏡手術を受けた右ヒザの回復が思わしくなく、6日に「右膝関節鏡手術 術後血症で約2週間の加療を要する見込み」との診断書を日本相撲協会へ提出。
これで今年は新型コロナウイルスの影響で中止となった夏場所を除く5場所で4度目の休場となった。
優勝44回の大横綱とはいえ、休場が度重なれば綱の責任≠果たせていないと判断され、進退問題に発展してもおかしくない。
師匠の宮城野親方(63=元幕内竹葉山)は、5日に「もし出られなかったらあれですよね。来場所(来年1月の初場所)に向けて進退をかけて頑張るしかないですよね」と話したほどだ。
ところが…本当に白鵬の休場が決定すると一気にトーンダウン。
宮城野親方は協会を通じ「昨日(5日)の電話取材において私は白鵬の進退にかかわる発言をいたしましたが、決して本意ではなく軽率だったと深く反省しております。訂正して取り消させていただきます。大変申し訳ありませんでした」と訂正文を発表したのだ。
師匠の前言撤回は本人の意思なのか、周囲の物言い≠ネのか定かではない。
鶴竜(35=陸奥)と合わせて2場所連続で複数横綱が不在となる異例事態の中、白鵬の視線は「来年の初場所では万全の状態で土俵に戻るべく、引き続き全力で努力いたします」と早くも来場所だが…。
このまま不問となるのだろうか。
大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)を控えた6日、大関朝乃山(26=高砂)が電話取材に応じた。
この日は取組編成会議が開かれ、初日は幕内霧馬山(24=陸奥)、2日目は小結照ノ富士(28=伊勢ヶ浜)との対戦が決まった。
特に照ノ富士には2場所連続で敗れており「勝てるようにしていかないと上に行けないですし、先にもつながらないので、負けたこと忘れて、自分の相撲をしっかり取りきるようにいきたいですね」と意気込んだ。
また、白鵬(35=宮城野)と鶴竜(35=陸奥)の両横綱が休場することについては「ニュースで見た」と明かし「自分の地位より上の人が休場したということは、やっぱり盛り上げないといけないので、しっかりその自覚をもって15日間戦いたいです」と語った。
11月場所後には師匠の高砂親方(64=元大関朝潮)が定年を迎えるため、弟子として臨むのは今回が最後。
先日の会見で親方に「(秋場所のように)初日から3連敗はやめてもらいたい」と指摘されたことが印象に残ったようで「本当にその通りだと思う。自分自身もそんなことはもうしたくないので」と振り返った。
報道陣から「ズバリ目標は」と問われ「優勝ですかね。でも、あんまり考えすぎると固くなるので…」と控えめに恩返し≠誓った朝乃山。
師匠の定年に花を添えるつもりだ。
大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)の取組編成会議が6日、国技館で開かれた。
初日の取組は、白鵬(35=宮城野)と鶴竜(35=陸奥)の両横綱が2場所連続で休場し、新大関正代(29=時津風)は幕内若隆景(25=荒汐)と対戦。
出場力士で最高位となる大関貴景勝(24=千賀ノ浦)は小結高安(30=田子ノ浦)と対戦する。
新入幕からちょうど1年。
若隆景は自己最高位を西前頭筆頭まで上げた。
「濃かった」。
そう語る張りのある声には、充実感も宿っている。
昨年11月の九州場所。
初日から4連勝とした取組で右足を痛め、5日目から休場した。
1場所で十両へと逆戻りする試練に「悔しい思いもした」と率直に振り返った。
一年納めの場所で存分に戦うことこそできなかったが、持ち味のスピードを生かして連勝できたことは大きな収穫。
当時は体重125キロの軽量ながら、「幕内の土俵でも相撲が取れる。あのときは自信にはなった」。
再入幕した今年の7月場所から2場所続けて2桁白星。先場所は優勝争いにも加わり、手応えが確かなものに変わりつつある。
福島県出身者では、2001年秋場所の玉乃島以来となる新三役も目前となり、頭に浮かんだのは祖父の元小結若葉山のこと。
東洋大から角界入りし、関取になる志を遂げてからは、次に見据えていたのが祖父の番付だった。
「一つの目標としてやってきた。いつかは超えたい気持ちもある」
横綱、大関陣と初めて総当たりする11月場所は、高校時代に被災した東日本大震災から10年の節目となる来年を良い形で迎える上でも重要な場所となる。
「まだ復興していない地域もたくさんある。少しでも活躍して、福島を盛り上げていけたらいい」。
今や父親にもなった25歳の誓いだ。
2020/11/06
大相撲の横綱・白鵬(35)=宮城野=の3場所連続での休場が6日、決まった。
日本相撲協会はこの日、11月場所(8日初日)会場の東京・両国国技館で取組編成会議を開いたが、白鵬は初日、2日目の取組に入らなかった。
白鵬が3場所連続で休場するのは自身初となる。
白鵬は7月場所を右膝負傷で途中休場。8月には同箇所の内視鏡手術を受け、9月の秋場所を全休した。
11月場所に向けては、10月16日から行われた合同稽古には参加し新大関・正代(時津風)と番数を重ねるなど調整を続けてきたが、間に合わなかった。
5日に電話取材に応じた師匠の宮城野親方(元幕内・竹葉山)は、白鵬は同日に病院で診察を受けたと説明。
6日朝までに出場の可否について横綱と話し合うと明かしつつ、「もし出られなかったら、来場所(来年1月の初場所)に進退をかけて頑張るしかない」と話していた。
今場所は、腰の負傷を抱える横綱・鶴竜(陸奥)も同じく3場所連続で休場することが決まっている。
初日から複数の横綱が不在となるのは秋場所で37年ぶりだったが、2場所連続では1場所15日制が定着した1949年夏場所以降、初の事態となる。
2020/11/06
大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)を控えた5日、横綱白鵬(35=宮城野)の師匠の宮城野親方(63=元幕内竹葉山)が代表取材に応じた。
白鵬は8月に右ヒザの内視鏡手術を受け、9月の秋場所を全休。
この日までに病院で再検査を受けた。
11月場所への出場の可否については取組編成会議が行われる6日朝までに師匠と横綱本人が話し合った上で判断する。
仮に休場となれば、今年の5場所(夏場所は新型コロナウイルスの影響で中止)で4度目の休場となる。
宮城野親方は「もし出られなかったらあれですね。来場所(来年1月の初場所)に進退かけて頑張るしかないですよね」とコメントした。
大相撲の横綱・鶴竜(35)=陸奥=が5日、11月場所(8日初日、東京・両国国技館)を腰痛のため休場することを表明した。
師匠の陸奥親方(元大関・霧島)は電話取材に応じ「負けたからまた休むとかね、それはもう無理なことだから。それぐらい本人は次と思って、覚悟していると思う」と弟子の気持ちを代弁。
来年の1月場所は進退がかかる認識を示しつつ、再起を願った。
鶴竜の休場は3場所連続。
自身6度目の優勝を果たした昨年の名古屋場所以降、6場所で皆勤は1度しかない。
右肘負傷で全休した秋場所後、横綱審議委員会からは度重なる休場を指摘された。
「言われるのはもう仕方ないこと。先場所も言ったけど、引退かけるぐらい、やっぱり。それも本人も思っていることだったんじゃないかな」と師匠。
鶴竜自身が一番つらいと思いやりつつ、「今場所はしょうがない。これ以上休めないと思う」と話した。
陸奥親方としては「なんとか立て直ってほしいんだけどね」。
体力的な面では落ちていないとし、「期待もしているんですけど」と語った。
鶴竜の精神面の状態も心配しつつ、「今場所しっかり休んで。今場所終わった後に何もなければ、出稽古なんかも復活すればやった方がいいと思ってる」と、本場所に臨める状態に戻ることを願った。
大相撲の新大関正代は5日、29歳の誕生日を迎え「年取ったなあという感じ。そんなにうれしく感じない。できるだけ若々しい相撲を取れたら」と11月場所(8日初日・両国国技館)へ意気込んだ。
東京都墨田区の時津風部屋で報道陣の電話取材に応じた。
新たに看板力士として迎える節目にも「特に変わらない。とりあえず、けがなく相撲を取り切れたらいい」と泰然としていた。
後援者からは賜杯を持つ姿が描かれたケーキを贈られたという。
6年前の入門当時と比べて肉体的な衰えを感じる部分もあり、「何歳まで続けられるのかなとか考える。30(歳)目前にして、悩みは絶えない」と吐露した。
大相撲で多彩な技が人気の宇良(28)=本名宇良和輝、木瀬部屋、大阪府出身=が約3年ぶりに十両に返り咲いた。
右膝の大けがを乗り越えて臨む11月場所(8日初日、東京・両国国技館)を控え、「長く時間がかかった分、うれしい」と喜びをかみしめている。
幕内上位にいた2017年秋場所で靱帯(じんたい)を断裂。
1年かけて復帰したが、19年初場所で再び同じ箇所を痛めた。
4場所連続の全休で番付は序二段に。
「関取に戻る日は来ないかもしれない」と不安を抱えながら、同年九州場所で再出発した。
翌場所から序二段、三段目と続けて全勝。
関取復帰を期待する周囲の声に「そんなに甘い話じゃない。自分の不安とのギャップが大きく、つらい部分があった」。
普段ならありがたい激励の言葉が、かえって負担になった。
それでも、リハビリを重ねながら馬力を戻し、幕下を2場所で通過した。
膝を痛め、取り口が慎重になりすぎた時期もあったが、「けがをしてもいい。自分らしい相撲を取って終わったなら、そっちのほうが気持ちいい」。
十両の土俵では、持ち味の大技も出し惜しみしない覚悟だ。
久々の土俵入りで、新しい化粧まわしを披露する。
贈ってくれたのは難病と闘う福岡県行橋市在住の酒井佐津恵さん(88)。
ファンレターのお礼に手形を送った縁で知り合った。
「僕の相撲で元気づけられる人がいるというのは、頑張る糧になる」。
化粧まわしには大きく「技」と記されている。
2020/11/05
またも空位≠ノ? 大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)を控えて、両横綱の出場が微妙な状況になっている。
8月に右ヒザの内視鏡手術を受け、9月の秋場所を全休した白鵬(35=宮城野)について、師匠の宮城野親方(63=元幕内竹葉山)は「普通通りやっている。(相撲を取る稽古は)関取衆とも2、3回やりましたし」と近況を説明。
白鵬は先月16日から22日まで国技館内の相撲教習所で行われた合同稽古に参加し、新大関正代(28=時津風)らと相撲を取るなど精力的に汗を流した。
体重も増量したとみられる。
この11月場所に向けて明るい材料が多いが、出場できるかどうかは別問題。
宮城野親方は「それ(右ヒザ)が完全に治ってるかはちょっと分からない。病院で検査してみないと。なんぼこっち側がいいと言っても、まだ今の状態じゃダメって言われる可能性もあるから」とあくまで慎重な姿勢を貫いている。
続けて「もう年も年だから、ある程度古傷とかそういうものは完璧に治していかないと。今の状態で中途半端に出てまたケガなんてなったら困るから」と話し、優勝44回の大横綱にムチャぶり≠するつもりはなさそうだ。
鶴竜(35=陸奥)も右ヒジの故障や持病の腰痛が影響し、思い通りの稽古ができていないという。
このタイミングで相撲も取っておらず「まだ足りてないって感じですかね」とポツリ。直近6場所で5度の休場と横綱の務めを果たせていないが「調整は自分のペースで? そうですね。出たときにちゃんと結果出さなきゃいけないですからね」と、出場は厳しい状態だ。
先場所に続いて両横綱休場となれば、周囲からの風当たりは一層強まりそうだが…。
新型コロナウイルス禍で角界全体が試練にある中、大黒柱が土俵に立つ姿は見られるのだろうか。
大相撲11月場所は8日、東京・両国国技館で初日を迎える。新大関の正代は平常心を強調。関脇に昇進した隆の勝は新三役として臨み、自己最高位の西前頭筆頭に番付を上げた若隆景は上位陣との総当たりに挑む。
◇白鵬、貴景勝とも手合わせ
看板力士としての責任を痛感しながらも、正代は冷静さを失っていない。
「緊張とかに強いタイプではないので、まず勝ち越しを目指し、そこから徐々に目標を上げていく。その日の取組に集中できたらいい」。
初優勝した秋場所同様、一日一番、自然体を貫く覚悟だ。
10月半ばには両国国技館内の相撲教習所で行われた合同稽古に参加。
横綱白鵬、大関貴景勝らと手合わせし、「出稽古は大事というのを実感した」と言う。
新型コロナウイルスの影響で部屋での調整が続いていただけに、直近の2場所に比べれば充実した鍛錬ができた。
胸から当たる立ち合いを馬力で磨き上げ、大関の座を手繰り寄せた。
ただ、腰高との指摘があるのも確かで、「もう少し前傾の方が、体重も圧力も乗るんじゃないかと思う」と試行錯誤する考えも。
重りを持ってのスクワットなどでパワーアップを重ねており、技術と体力がよりかみ合えば、安定感も増すだろう。
熊本県出身の新大関は58年ぶり。
先月上旬に凱旋(がいせん)した際には、故郷の熱気を肌で感じた。
「ここ数年、地元は暗いニュースが多かった。注目していただければうれしいし、また活気が出てくれればいい」。
例年なら準ご当所の福岡市で行われる一年納めの本場所が、今年はコロナ禍で東京での開催。
遠い郷里への強い思いも力にするつもりだ。
大相撲11月場所(11月8日初日、東京・両国国技館)を控えた4日、12月に定年を迎える高砂親方(64=元大関朝潮)がオンラインで会見を行った。
これまでの師匠生活を振り返り「やりきったとかいう感覚はまだない。高砂という名前じゃなくなるときにそういうものを感じるのかもしれない」と語った。
高砂部屋には部屋付きの若松親方(50=元幕内朝乃若)と錦島親方(39=元関脇朝赤龍)いるが、後継者については明言せず「まだ決まっていません。これからです」と話すにとどめた。
指導で心掛けていたことについては「力士の背中には日本相撲協会〇〇部屋の看板を背負っているんだから、その看板を汚したり、壊したりすることはするなと。1人のやったことはみんなに迷惑をかける。その部分をうるさく言った」と胸を張った。
親方は問題横綱≠ニして名を馳せた元横綱朝青龍(40)についても言及。
親方は「いろんな問題を起こす横綱もいましたしね。苦労はしましたよ」と述べ、暴力事件で引退した朝青龍に頭を悩ませていたことを明かした。
報道陣からは「もし、もう一度(朝青龍を)育てるとしたら?」と問われたが、高砂親方は「その質問にはノーコメントです」とキッパリ。
続けて「かばうにもかばいきれない部分もあるし、自業自得。本人にそう言っておいて」と冗談交じりに話していた。
大相撲の東京・墨田区にある旧井筒部屋の解体工事が4日、始まった。
足場が組まれた部屋周辺は閑散としていたが、別れを惜しむように立ち止まって写真を撮影する通行人の姿も見られた。
昨年9月に先代井筒親方(元関脇逆鉾)が急逝。
横綱鶴竜らは陸奥部屋に転属となり、以降は先代井筒親方の福薗杏里夫人が1人で生活していた。
跡地にはマンションが建設される予定。
2020/11/04
大相撲の宮城野親方(元前頭竹葉山)が3日、電話取材に応じ、2場所連続休場中の弟子の横綱白鵬について「普通通りに稽古はやっています」と話した。
白鵬は途中休場した7月場所で負傷した右膝の手術を8月に受け、秋場所を全休。
秋場所後に東京・両国国技館の相撲教習所で行われた合同稽古には参加していた。
現在は、部屋で幕内の炎鵬と十両石浦相手に稽古をしているといい「動きは全然いいですけど、完全に治っているかはちょっと分からない」と話した。
11月場所(8日初日、両国国技館)出場については「今の状態だとダメと言われる可能性もあるから、病院に行ってみないとまだ」とぎりぎりに決断する構えを見せた。
秋場所後に行われた横綱審議委員会(横審)による定例会では、断続的に休場が続いていることを指摘された。
同委員会の矢野弘典委員長は「来場所の様子を見て方向を決めていく」と話すなど、11月場所の結果次第では横審の内規に基づいた何らかの処分が下される可能性がある。
それだけに宮城野親方は「また途中で、となったら、今度は何だと言われても困る。そういうのが一番怖い。年も年だからある程度、古傷とかも完璧に治していかないと」と、白鵬が万全な状態で土俵に上がることを望んだ。
大相撲の横綱鶴竜(35=陸奥)が3日、朝稽古後に電話取材に応じ、自身が所属していた井筒部屋の建物が解体されることを明かした。
元井筒部屋所属だった力士が2日にSNSに解体するとの情報をあげ、報道陣に問われた鶴竜は「知っています。OBの皆さんで、ちょっと寂しいなっていう感じでやりとりはしています」と認めた。
解体工事の時期については「もう始まるんじゃないかなと思っています」と話した。
01年9月に来日し、井筒部屋に入門。
19年9月に先代井筒親方(元関脇逆鉾)が死去して現在の部屋に転属するまでの18年間、井筒部屋で過ごした。
「本当にただただ、もう壊されちゃうのかっていう。そういう寂しい気持ちだけですね」。
苦楽を過ごした空間なだけに「自分の家みたいなもんですから。いろんな思い出があります。写真や映像で残ってますけど、実際にはもうなくなっちゃうわけですから」と話した。
当然、思い出も「数え切れないくらいあります。話せば話すほど、思い出せば思い出すほどいっぱいあります」と語り尽くせない様子だった。
部屋は解体されても「それは消えることはない。自分が生きている以上、その記憶はなくなることはないですからね」と先代井筒親方の教えは、これからも心の中で生き続ける。
腰痛などの影響で2場所連続休場中で、11月場所(8日初日、東京・両国国技館)に向けては「まだ足りないって感じ。コロナになる前にいつもやってたことと比べると足りないのかなと感じます」と、調整は思ったようには進んでないという。
相撲を取る稽古も出来ていないといい「出たときにちゃんと結果を出さないといけない。8番でいいやとか、そういうのはダメだと思います」と話した。
大相撲の大関朝乃山(26=高砂)が30日、報道陣の電話取材に応じた。
この日の朝稽古では、幕下以下の力士と20番ほど相撲を取ったといい、仕上がり具合については「ボチボチ。来週から初日が始まるので、それまでに体を作っていきたい」と話した。
現在もトレーナーの指導による、週3日の筋トレは欠かさずに行っているといい「自分は弱いので、その辺でカバーしないといけない」と意欲を見せた。
話題は米大統領選へ。
トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染したことは当然、知っており、報道陣から話を振られると「体調を整えて欲しいですし、頑張って欲しいです」と話した。
昨年の夏場所で初優勝した際、千秋楽の表彰式で大相撲を初観戦したトランプ大統領から、米国大統領杯を直接受け取った縁がある。
あらためて当時を振り返り「僕より体が大きかったですよね」と話した。
1年の納めとなる11月場所(8日初日、東京・両国国技館)では、年間最多勝も狙える位置にいる。
45勝でトップの新大関正代に次ぐ、43勝。
だが「目指すはそこじゃないですから」と話し、報道陣から「一番上の番付か」と問われると「そうですね。目指すはそこだと思いますので」と横綱を意識した。
大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)まで1週間を切り「後は疲労を抜いてもう少し体を張らして自分のいい感覚であと1週間持っていくだけです」と現状について話した。
この日の朝稽古では相撲は取らずに、四股やすり足、重りを使ったトレーニングなどで汗を流したという。
「毎日稽古をしていくなかで、あとどれぐらいやったらいいか自分で分かっている。疲れてきたら疲労を抜いていい状態に持っていくとか感覚で分ける」と感覚派な一面を見せた。
秋場所後には、新大関が誕生した。
新大関正代に対しての意識を問われると「(大関として)先輩とかは別にない。誰と比べるわけではないけど、とにかく優勝したいという気持ちだけです」と、18年九州場所以来2度目の賜杯への思いを口にした。
また大関として「とにかく結果を残さないといけない。一生懸命に挑戦者の気持ちでいきたい」と覚悟を示した。
大相撲の西前頭5枚目琴勝峰(21=佐渡ケ嶽)が1日、11月場所(8日初日、東京・両国国技館)に向けて初の上位戦に意欲を示した。
千葉・松戸市での稽古後に電話取材に応じ「結びに取ってみたいと思ったことある。とにかく集中していきたい」と意気込んだ。
昨年九州場所での新十両から負け越し知らずで「止まらずにこられているというのはいいこと」と、順調な出世に手応えを感じている。
元横綱朝青龍のおいで幕内の豊昇龍や、元横綱大鵬の孫、幕下納谷らと同学年。
この日は部屋の関取衆と「15番くらい」相撲を取り、1週間後の初日に向けて調整した。
黄金世代の先頭を走る大器は「(10勝5敗だった)先場所のイメージはいいものがある。勝ち越しを目指して頑張ります」と気持ちを高めた。
大相撲の元横綱朝青龍のおいの東前頭13枚目豊昇龍(21=立浪)が2日、電話取材に応じ、9月の秋場所前に自身の血液型を知ったことを明かした。
モンゴル出身の豊昇龍は、これまで自身の血液型を知らなかったというが「体の検査みたいなのがあるじゃないですか。その時に血のかたち(血液型)がAB型って書いてありました」。
秋場所前に病院で検査を行った際、診断書にAB型と書いてあるのを見て初めて自身の血液型を知ったという。
AB型であったことを周囲に話すと「やっぱりな、と言われました」と納得されたという。
理由を問われると「何かやろうとしたら急に決めるからじゃないですか? 何日前からじゃなくて。予約とかするんじゃなくて急に決める人なので」と自己分析。
一方、「血のこととかはあんまり分からないです。日本に来てから知ったので」と気にしなかった。
大相撲の西前頭15枚目琴勇輝(29=佐渡ケ嶽)が1日、10月14日に都内の病院で左膝の内視鏡手術を受けたことを明かした。
千葉・松戸市の部屋での稽古後、電話取材に応じ「先場所くらいに痛みがひどかった。骨が変形し始めて、膝の裏側あたり、膝の腱のとこに引っかかっちゃって。それを削ってやらないと膝が伸びないとこまでいってた」と明かした。
再入幕となる11月場所(8日初日、東京・両国国技館)の出場は「現段階では思ったよりうまくいっていない。来週あたりから、もし動かせれればぶつかり稽古とか当たっていければいいなというレベル」と微妙な状況。
この日は腕立て伏せなどで上半身を鍛えた。
1月には両肘を手術し、1年納めの11月場所前には両膝の手術に踏み切った。
コロナ禍で相撲界も激動の1年間だったが「私自身もやっぱり1年に2回手術するというのはなかなか経験のないことで大変だった」。
来年4月に30歳となる関脇経験者は「来年からはまたしっかり自分らしい相撲が、応援してくれてるお客さんに届けられるように頑張っていきたいという意味では、すっきりした。自分の気になっている部分がきれいになったので良かったんじゃないか」と前向きに語った。
大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)に新入幕で臨む天空海(29=立浪)が2日、電話取材に応じ、年齢は気にせずに土俵に上がることを誓った。
11月場所前の6日に30歳の誕生日を迎える。
節目の年齢となるが「歳は関係ないと自分でも思っている。『もう30』じゃなくて『まだ30』」と意識を持っているという。
きっかけは元横綱日馬富士との出会いだ。
入門してまだ2、3年目だった頃、出稽古先で日馬富士と会ったという。
当時はまだ三段目だったため、日馬富士に胸を出してもらった記憶はないが「お前はどうやれ、こういけというのはあった。いい相撲の時にほめられたのがうれしかった」と指導を受けたという。
その数年後、27歳を迎える2017年の時だった。
巡業先のエレベーターで日馬富士と鉢合わせした際に「横綱は覚えてくれていないと思ったら『お前、何歳になったんだ?』と言われました」と声を掛けられたという。
その際に「もう27歳になりました、と答えたら『まだ27歳だ』と言われました。その時に、やっぱり『まだ27』と思うのが大事なんだなと考えました」と当時、30歳を超えても第一線で戦っていた横綱の言葉が胸に響いたという。
だからこそ、30歳を目前に新入幕を果たしたが「ようやくスタートライン。(入門して)10年かけてようやく立てるので、これからも立てるようにいきたい」とハツラツとした気持ちを持って土俵に上がる。
この日の朝稽古では、幕内の明生と豊昇龍との申し合い稽古で30番ほど相撲を取ったという。
「今日はもうバチバチに3人で。毎日ガチンコです。みんなばっちりです」と話すように、連日熱のこもった稽古で本場所に向けて仕上げている。
2020/11/03
大相撲の大関朝乃山(26=高砂)が30日、報道陣の電話取材に応じた。
この日の朝稽古では、幕下以下の力士と20番ほど相撲を取ったといい、仕上がり具合については「ボチボチ。来週から初日が始まるので、それまでに体を作っていきたい」と話した。
現在もトレーナーの指導による、週3日の筋トレは欠かさずに行っているといい「自分は弱いので、その辺でカバーしないといけない」と意欲を見せた。
話題は米大統領選へ。
トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染したことは当然、知っており、報道陣から話を振られると「体調を整えて欲しいですし、頑張って欲しいです」と話した。
昨年の夏場所で初優勝した際、千秋楽の表彰式で大相撲を初観戦したトランプ大統領から、米国大統領杯を直接受け取った縁がある。
あらためて当時を振り返り「僕より体が大きかったですよね」と話した。
1年の納めとなる11月場所(8日初日、東京・両国国技館)では、年間最多勝も狙える位置にいる。
45勝でトップの新大関正代に次ぐ、43勝。
だが「目指すはそこじゃないですから」と話し、報道陣から「一番上の番付か」と問われると「そうですね。目指すはそこだと思いますので」と横綱を意識した。
大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)で三役復帰を果たした小結高安(30=田子ノ浦)が10月31日、電話取材に応じ、現状の充実ぶりを明かした。
朝稽古では、部屋付きの荒磯親方(元横綱稀勢の里)と三番稽古を15番ほど取ったという。
「とても復調しているので、とてもいい稽古ができています。盤石に攻めるという、しっかり自分の形になって、土俵際をしっかり踏ん張っていくことを意識してやっています」と稽古内容を振り返った。
つらい時期を乗り越えて、三役復帰を果たした。
大関だった昨年名古屋場所を左肘の靱帯断裂で途中休場すると、翌秋場所は完治せずに全休。
九州場所は出場するも、ぎっくり腰で途中休場するなどケガが重なった。
今年の初場所で関脇に陥落したが、「正直なところ、だいぶ精神的にきついところがあったけど、応援してくれる方々がいましたので、もう1度体を作って頑張りたいという気持ちで日々やってきた」と腐ることはなかった。
再起を図った春場所で初日から3連敗すると、4日目の横綱鶴竜戦で左太ももを負傷して途中休場。
「本当に立て続けにケガが重なりましたので、ちょっと気持ちがだいぶぐらつきましたね」と精神的に追い込まれたという。
7月場所では番付を幕内下位に下げた。
そんな時も「妻もそうですけど、自分の両親とか、身の回りの人にだいぶ支えられた。それをモチベーションにして何とか頑張れた」と周囲の支えに何度も助けられた。
新型コロナウイルスの影響で5月の夏場所が中止となり、自粛期間が続いたことで自分を見つめ直す時間が増えた。
「自分の体を見つめ直す、とても貴重な期間になりました」。
ケガをしない体作りの他、体重管理に着手。今年7月に結婚した演歌歌手の杜このみのサポートもあり、現在の体重は170キロほどだという。
「妻には自分のパフォーマンスがよくなるように気を使っていただいている。特にこの時期は体の調子を自分でコントロールするしかないので、妻がいてくれて充実した毎日を送れています」と感謝した。
度重なるけがに苦しみながらも周囲の支えもあり、7月場所と秋場所で2場所連続2桁白星。
関脇だった初場所以来となる三役復帰を果たした。
「体の故障で番付を下げたけど、思ったより順調に番付をまた上げることができた。とてもポジティブに今は出来ている」と手応えを口にした。
簡単なことではないが、大関復帰については「1場所1場所結果を出していかないと。またひと回りもふた回りも成長して、しっかり結果を出して、また審判の皆さんに評価されるような相撲を取りたい」と話した。
1年納めの場所に向けては「会場に見に来てくださるファンの方もまた多くなる。そういった方々やテレビの向こうのファンの方々に元気な姿を見せたい。また大相撲の盛り上がりに少しでも尽力できるように頑張りたい」と意気込んだ。
大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)を自己最高位の西前頭筆頭で迎える若隆景(25=荒汐)が30日、電話取材に応じた。
朝稽古では実兄の十両若元春、幕下若隆元らと15番ほど相撲を取ったといい「体の調子は悪くない。もうちょっと番数をこなして体を作っていきたい」と現状を話した。
昨年の九州場所で新入幕を果たして1年がたった。
その九州場所は右足首を負傷して途中休場。
今年の初場所と春場所で十両を経験するも、再入幕となった7月場所で10勝、秋場所で11勝と結果を残してきた。
「十両に落ちて悔しい気持ちもあったけど、幕内で活躍できて濃い1年」と振り返る。
派手さこそはないが、下からの丁寧な攻めが武器。
「幕内上位でも相撲が取れるんだなと自信になった」と手応えをつかんだ1年でもあった。
祖父の若葉山の最高位、小結が目前に迫ってきた。
「入門した頃は関取に上がることを目標にやっていた。でも上がってからは祖父の番付を目指してやっています」と話した。
毎年、祖父の墓参りは欠かさず行っているという。
「いつかは超えたい」と天国で見守る祖父へ、土俵上で奮闘する姿を見せる。
大相撲の西前頭5枚目琴勝峰(21=佐渡ケ嶽)が1日、11月場所(8日初日、東京・両国国技館)に向けて初の上位戦に意欲を示した。
千葉・松戸市での稽古後に電話取材に応じ「結びに取ってみたいと思ったことある。とにかく集中していきたい」と意気込んだ。
昨年九州場所での新十両から負け越し知らずで「止まらずにこられているというのはいいこと」と、順調な出世に手応えを感じている。
元横綱朝青龍のおいで幕内の豊昇龍や、元横綱大鵬の孫、幕下納谷らと同学年。
この日は部屋の関取衆と「15番くらい」相撲を取り、1週間後の初日に向けて調整した。
黄金世代の先頭を走る大器は「(10勝5敗だった)先場所のイメージはいいものがある。勝ち越しを目指して頑張ります」と気持ちを高めた。
大相撲で宮崎県出身の西前頭9枚目琴恵光(28=佐渡ケ嶽)が1日、11月場所(8日初日)が通常の九州開催ではなく東京・両国国技館で行われることについて「やっぱり九州の方に見てもらいたかった。こっち(九州)で15日間取れたらなっていうのあります」と寂しい思いを語った。
同県出身の関取は現在、琴恵光だけで、地元から大きな期待を寄せられている。
実家は宮崎・延岡市でちゃんこ店を経営。
コロナ禍で実家に戻れない中、肉など「いろんなものを送ってもらったりが多い」と差し入れを送ってくれる両親のためにも、テレビ越しで活躍を届けたい。
1週間後に迫った初日に向けてこの日は関取衆を相手に約16番相撲を取って汗を流した。
幕内で2場所連続で勝ち越し中と好調な28歳は「自分の形で攻めきることができることが多くなった。(11月場所では)15日間、自分の持ち味を全部出すこと意識して土俵に上がる」と意気込んだ。
大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)で再入幕を果たした東前頭14枚目千代の国(30=九重)が31日、電話取材に応じた。
この日の朝稽古では相撲は取らず、基礎運動で汗を流したという。
「下半身の筋肉を落とさないようにということと、後はケガを増やさないようにということ。体の調子を見ながらという感じです」と現在の調整状況について説明した。
前頭だった昨年初場所で左膝靱帯を損傷して途中休場すると、完治まで時間がかかり、翌春場所から3場所連続全休で幕下まで番付を落とした。
その膝の具合は「まだ6割ぐらい。本当に徐々になんですけど、徐々に徐々に本当に少しずつよくなっている感じ」と話した。
今年で30歳となり「若さで乗り切れる年でもない。体の声も聞いていかないといけない」と慎重だ。
だからこそ、日々の積み重ねを大事にする。
復帰場所となった昨年秋場所前の8月に行った北海道合宿。
当時、部屋の序二段力士にも歯が立たず「三段目なんか強くて強くて。ひどかったですよ本当に」と振り返る。
だから「みんなより1時間早く起きて、先に1時間くらい四股を踏んだ。それで序ノ口から稽古していって、最初から入る感じだった」と当時、半年前まで幕内で相撲を取っていた千代の国だったが、おごることなく序ノ口相手に稽古を積み重ねた。
大相撲の西前頭15枚目琴勇輝(29=佐渡ケ嶽)が1日、10月14日に都内の病院で左膝の内視鏡手術を受けたことを明かした。
千葉・松戸市の部屋での稽古後、電話取材に応じ「先場所くらいに痛みがひどかった。骨が変形し始めて、膝の裏側あたり、膝の腱のとこに引っかかっちゃって。それを削ってやらないと膝が伸びないとこまでいってた」と明かした。
再入幕となる11月場所(8日初日、東京・両国国技館)の出場は「現段階では思ったよりうまくいっていない。来週あたりから、もし動かせれればぶつかり稽古とか当たっていければいいなというレベル」と微妙な状況。
この日は腕立て伏せなどで上半身を鍛えた。
1月には両肘を手術し、1年納めの11月場所前には両膝の手術に踏み切った。
コロナ禍で相撲界も激動の1年間だったが「私自身もやっぱり1年に2回手術するというのはなかなか経験のないことで大変だった」。
来年4月に30歳となる関脇経験者は「来年からはまたしっかり自分らしい相撲が、応援してくれてるお客さんに届けられるように頑張っていきたいという意味では、すっきりした。自分の気になっている部分がきれいになったので良かったんじゃないか」と前向きに語った。
大相撲秋場所前に新型コロナウイルスに集団感染した玉ノ井部屋の玉ノ井親方(元大関栃東)が30日、感染後初めて報道陣の電話取材に応じた。
当時の状況について「何も言葉が出てこない感じだった」などと振り返った。
秋場所前の9月5日に、幕下以下の弟子1人の感染が判明。
保健所の指導のもと、すぐさま他の力士らもPCR検査を受検すると、さらに18人の力士の感染が判明した。
協会作成のガイドラインのもと、マスク着用や手洗いうがいの徹底、不要不急の外出を控えるなど感染予防は万全なはずだった。
だからこそ「びっくりどころの話じゃない『えっ』って」と、まさかの事態に言葉が出てこなかったという。
玉ノ井親方も直接、弟子に対して肌を合わせながら指導していたといい「密着しながらいろいろとやっていたので、自分もうつっていると思ったけど幸いなことにうつってなかった」と話した。
秋場所前には19人の弟子の感染が判明したが、秋場所中の再検査ではさらに5人の感染が判明し、合計で28人中24人の弟子が入院した。
ただ重症者はおらず、弟子が入院する際には「治ったらすぐに戻ってこられるから早く治してきなさい」と1人1人に声を掛けたという。
「本人たちの顔色を見ていても『行ってきます』と言ってくれたので。そういうのを見て気分的には早くよくなって帰ってきてくれることを祈っていた。そういうことばかりを考えていた」と毎日祈る思いだった。
また、入院している弟子らと毎日連絡を取るなどして気に掛けていたという。
入院期間も長い弟子で2週間、早くて1週間ほどで部屋に戻ってくる弟子もいた。
秋場所14日目の9月26日には、入院した全員が部屋に戻ってきたといい「子どもたちを預かっている責任者ですから。きちんと対応していかないといけないと思った」と責任感を口にした。
11月場所(8日初日、東京・両国国技館)に向けて、相撲を取る稽古を10月中旬頃から再開したという。
それまでは落ちた体力や筋力を取り戻すために、筋力トレーニングなどに励んでいたという。
「急に体力が戻る訳ではない。少しずつ体調を戻しながら。少しずつ本来の形に戻ってこられたというのはありがたい」と当たり前だった日常に戻りつつあることに感謝した。
秋場所を全休となった弟子らの番付は、秋場所後に行われた番付編成会議で据え置きの措置が取られた。
「協会の親方衆もそうですけど、理事長もはじめ執行部の皆様方の考えでこういう風にして頂いたのは本当に感謝しきれないくらい有り難い話」と感謝。
だからこそ「本人(弟子)たちも土俵に上がれる喜びと感謝もそうですけど、とにかく土俵で先場所できなかったことをおもいきりやってくれればと思う」と弟子の奮闘に期待した。
2020/10/28
2場所連続休場中の横綱鶴竜(35=陸奥)が27日、7場所ぶり7度目の優勝を目指す大相撲11月場所(11月8日初日、東京・両国国技館)に向けて、近況を語った。
この日の朝稽古後、報道陣の電話取材に応じた。
この日は、部屋の関取で自己最高位の東前頭筆頭に番付を上げた霧馬山が、肩の状態不良で稽古を休んだため、鶴竜は四股などの基礎運動と、土俵に入っての稽古は若い衆にぶつかり稽古で胸を出す程度にとどめた。
腰の状態は「まあ、ボチボチ。いい感じと思う」とし右肘の状態については「負担がかかったり痛めたりしないように注意してやるしかない」と話した。
11月場所の出場については、ギリギリまで判断を待つといい、その判断基準は「相撲を取ってみて、だと思う。いつもやっていることが、できているかどうかだと思う」と話した。
コロナ禍で通っているジムにも行けず「ルーティンじゃないけど、そういうものが崩れる」と不安も口にした。
横綱の重責から「しっかり土俵に立ってやらないといけない」と言い聞かせた。
一方で、3人の子どもたちと「一緒に過ごせるから楽しくはやっている」と息抜きにはなるようだが「自由に(外に)出られないというのはしょうがない。(第3子が)生まれたばかりで、より気を使う」と不自由さも感じる。
自宅の目の前の公園に行くのが、現状では最善の息抜きになっているようだ。
前日はインフルエンザの予防接種を部屋全員で受けたという。
横綱審議委員会(横審)からは、秋場所後の定例会合で厳しい意見があり、師匠の陸奥親方(元大関霧島)からは「次の場所に進退も」という言葉があった。
それについては「(その意見を)覆すには結果しかないんでね。
あとはもう言われても仕方ない状態ですからね」と話した。
大好きなバスケットボールのNBAファイナルは「少しだけ携帯で見た」という。
同じ35歳のレブロン・ジェームズ率いるレーカーズが17度目の優勝を果たしたが「だいたいもう勝つだろうなと思って見てたから面白くなかった」。
同じ35歳が第一線で活躍していることには「もちろん、他の業界というか、そういう頑張ってる人というのは、刺激というね、負けられないというのはありますけどね」と刺激にはなっているという。
一年納めの場所でもあり「元気な姿を(自分も)見せるしかないですよね」と奮起を誓った。
大相撲の大関貴景勝(24=千賀ノ浦)が22日、東京・台東区の部屋で11月場所(8日初日、東京・両国国技館)に向けて調整した。
16日から20日まで両国国技館内の相撲教習所で行われた合同稽古に参加していたが、自身の体調を考慮して2日連続で参加を見送った。
「体の調子を見てやらないといけない。自分の調子は自分が一番よく分かっていますから。それに沿ってやっていくだけ」。
合同稽古の前半3日間では新大関の正代を指名して計35番の三番稽古をこなしたが、この日は相撲を取らず基礎運動に没頭。
バーベルを持った状態でのスクワットや、上がり座敷に手を着いて腕立て伏せを計100回行うなどして汗を流した。
週明けの26日が11月場所の番付発表で、以降は部屋での調整が続く。
「あとはもう少し足腰の安定感、基礎をしっかり磨いていって、また実戦をやって本場所を迎えるだけ」。
秋場所で逃した2度目の優勝を目指し、淡々と稽古を積み重ねる。
新大関の正代(28=時津風)が27日、都内の部屋で行った朝稽古後に報道陣の電話取材に応じた。
初優勝した秋場所後に地元・熊本に帰省。その際に、同じ宇土市出身の第8代横綱不知火諾右衛門の墓参りに行ったという。
実家から1キロほど離れた場所にあるというが「記憶に残っているうちでは初めて」となる墓参り。
「大関昇進の報告と、後は見守って頂けたら」と偉大な先輩へ手を合わせた。
「あまり大きなことは言いたくないけど、また(地元に)活気が出て欲しい」と、11月場所(8日初日、東京・両国国技館)での活躍を誓った。
日本相撲協会は26日、大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表し、天空海(あくあ、29=立浪)が新入幕を果たした。
茨城・つくばみらい市の部屋で新入幕会見に臨んだ天空海は「目標にしていたのでうれしいです」と声を弾ませた。
西十両6枚目だった秋場所で10勝5敗とし、新入幕はギリギリのラインだった。
今朝部屋に届いた番付を見て昇進を知り「もし上がれなかったとしても11月場所で勝ち越せればいいやと思っていたのでラッキーでした」と想定外の昇進だったという。
10年九州場所で初土俵を踏み10年。
「長かったなと。自分では遅かったかなと感じました」と苦労の末に目標にしていた新入幕を果たした。
十両だった18年秋場所を、腰椎椎間板ヘルニアにより途中休場して以来、腰の痛みと闘ってきた。
幕下に陥落した同年九州場所で勝ち越すも、19年初場所と春場所は思うような相撲が取れずに負け越した。当時を「諦めて辞めようかなという時期だった」と振り返る。
しかし当時、幕内にいた明生や幕下上位で奮闘する豊昇龍の2人の弟弟子に刺激を受けたことや、腰椎椎間板ヘルニアの新薬が体に合ったことなどもあり再起を決意した。
会見に同席した師匠の立浪親方(元小結旭豊)は「幕内に上がれるのは数えられた人間だけ。3人幕内はうれしい限り。いい弟子を持った」と胸を張った。
天空海の武器は強力な立ち合いだといい「幕内で勝ち越す力はある。期待して見たい」と話した。
天空海は「三役に最初に誰が上がるか競い合いたい」と、明生と豊昇龍との出世争いを意識した。
日本相撲協会は26日、開催地を通常の福岡から東京に変更して行う大相撲11月場所(11月8日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表した。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、7月場所と9月の秋場所は1日あたりの上限入場者数を約2500人に制限していたが、11月場所から約5000人に引き上げて開催される。
新番付にしこ名が載った力士総数は44部屋に、9月の秋場所から13人減の670人。
部屋別、出身地別のナンバーワンはどこか…。データを紹介します。
【部屋別力士数】
1位は佐渡ケ嶽部屋の35人。秋場所から2人減ったが、トップの座をキープし続けている。幕内力士4人も最多、関取予備軍の幕下も7人いて、部屋の活況ぶりもうかがえる。
2位は、こちらも秋場所から2人減ながら30人の木瀬部屋。常幸龍、宇良の幕内上位経験者が再十両を果たすなど、幕内2人、十両5人の関取7人は九重部屋(幕内3人、十両4人)に並び最多だ。力士総数ナンバーワンと2位は、この両部屋で定着しつつある。
3位以下は<3>玉ノ井部屋28人<4>九重部屋27人<5>境川部屋、高田川部屋、八角部屋の各23人<8>高砂部屋22人<9>追手風部屋21人<10>式秀部屋20人と続き、ここまでが20人以上の部屋になる。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)が26日、29日に臨時理事会を開いて来年3月に行われる春場所の開催方針について会議する意向を示した。
電話取材に応じ「議題は3月の開催について。大阪(場所)について今からリサーチ、打ち合わせをしておこうということ」と明かした。
地方場所の開催となれば、昨年3月の春場所以来1年ぶり。
今年7月の名古屋場所は東京・両国国技館で開催され、例年は九州で開催される11月場所(8日初日)も両国国技館で行われる。
芝田山広報部長は「大丈夫かどうか、4週間の滞在なのか、それとも期限を切って場所中だけなのか、話し合わないと。まだ具体的な内容はわからない。今後どうなっていくかという話が出てくると思う。その日に結論が出るかどうかはわからない。ただ、今から話しておかないと間に合わないということで」と説明した。
2020/09/28
関脇正代(28=時津風)が悲願の初優勝を果たし、大関昇進をほぼ手中に収めた。
新入幕で3敗を守る翔猿を下して、自己最多に並ぶ13勝目。熊本県出身の力士として、初の優勝を決めた。
打ち出し後、伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)が大関昇進を諮る臨時理事会の招集を八角理事長(元横綱北勝海)に要請した。
承認されれば30日の臨時理事会、11月場所の番付編成会議を経て「大関正代」誕生が正式に決定する。
ともえ戦に持ち込まず、本割で決めた。
小兵の翔猿に立ち合いのぶちかましが不発で、175センチの低さを生かした突き押しを受けると、いなされて体勢を崩した。
最後は両腕で抱えて、土俵際で逆転の突き落としを決めた。
13日目は貴景勝の突き押しに全く引かない相撲内容で、14日目は朝乃山を立ち合いで吹っ飛ばし、大関に連勝。文句のつけようがない初優勝だった。
関脇正代(28=時津風)がついに賜杯を手にした。
新入幕の翔猿に攻められ、追い詰められた土俵際で逆転の突き落としを決めた。
13勝2敗の好成績で審判部の伊勢ヶ浜部長(元横綱旭富士)は八角理事長(元横綱北勝海)に大関昇進を諮る臨時理事会の招集を要請。
恵まれた体を「ネガティブ」と言われた弱気な性格で生かせなかった大器が目覚め、初優勝と大関の夢を一気にかなえて涙した。
正代の快挙を、時津風部屋付きの井筒親方(元関脇豊ノ島)は全く不思議がらなかった。
「今年になって近い人には『(大関に)上がりますよ』と言っていた。地力がついている。(14日目に)朝乃山の体を浮かせたのはびっくりしたけど」と笑う。
4月に引退したばかりで現役力士の目線には近い。
「部屋の一員として、春場所の関脇での勝ち越し、7月の11勝で自信がついたんだと思う」と精神面の成長を語った。
場所前に師匠が不在となる異例の場所だったが「影響はなかった」という。
師匠代行の枝川親方らが審判部の職務で不在でも、部屋付き親方として稽古場で目を光らせていた。
躍進を支えたのが、腰高ながら破壊力のある立ち合いの当たり。
井筒親方も正代の入門当時から指摘してきたが「正代の場合は体を丸めることが逆にストレスになる」と気付き、ここ1年は矯正しなかったという。
「人がまねできない新しいかたちだね」と認めた。
絶好の“稽古台”だからこそ成長できた。
場所前には横綱鶴竜が出稽古に訪れ、巡業の三番稽古では横綱、大関陣に指名されることが多かった正代。
井筒親方は「高いレベルでやってきて着実に力がついたんでしょう」と分析する。
なぜ稽古相手として人気だったのか。
「正代はあごを上げてるから、やってる方もいい稽古台になる。思い切り当たれるから」。
のけ反るように胸から当たる立ち合い。
かつては弱点と呼ばれたが、成長のきっかけとなった。
関脇正代(28=時津風)が悲願の初優勝を果たし、大関昇進を手中に収めた。
新入幕で3敗を守る翔猿を下して、自己最多に並ぶ13勝目。
熊本県出身の力士として、初の優勝を決めた。
打ち出し後、伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)が大関昇進を諮る臨時理事会の招集を八角理事長(元横綱北勝海)に要請した。
八角理事長が承認すれば、30日の臨時理事会、11月場所の番付編成会議を経て「大関正代」誕生が正式に決定する。
ともえ戦に持ち込まず、本割で決めた。
小兵の翔猿に攻め込まれたが何度も体勢を立て直し、最後は土俵際で逆転の突き落としを決めた。
13日目は貴景勝の突き押しに全く引かない相撲内容で、14日目は朝乃山を立ち合いで吹っ飛ばし、大関に連勝。文句のつけようがない初優勝だった。
理事会招集を要請した審判部の伊勢ケ浜部長(元横綱旭富士)は「勝ち星が安定している。ここ5場所を見ても分かる通り」と目安の3場所通算33勝よりも、ここ1年の安定感を評価した。
今場所は両横綱が初日から休場。
そのため対戦がなかったが「とにかく安定して成績を残していることがいい」と話し、「大関になれば常に優勝争いしないといけない。みんなでその力があると認めた」と審判部の総意を明らかにした。
臨時理事会で正代の大関昇進が承認された場合、その後に行われる伝達式に謹慎中で師匠の時津風親方が参加できることとなった。
日本相撲協会関係者が「晴れの舞台だからいいだろう」と認めた。
時津風親方は秋場所前に、協会作成の新型コロナウイルス感染対策のガイドラインに基づく行動に違反したとして、同場所を休場、謹慎していた。
処分は場所後の理事会で協議される見通しとなっていた。
2020/09/27
大関貴景勝(24=千賀ノ浦)が3敗を死守して、優勝戦線に踏みとどまった。
立ち合いは踏み込まずに見ながら立ち、突っ張り合いからいなしで翔猿を崩す。
果敢に直進する相手を、最後ははたき込み。勢いある新入幕力士に大関の貫禄を見せた。
負ければ優勝の可能性が消滅する一番だったが「いつも通りあまり変わらず、自分の体の反応に任せてやった」と冷静だった。
小兵にはめっぽう強い。
照強や阿武咲、炎鵬ら身長180センチ未満(対戦時)の相手に対して、約2年間負けなし。
175センチの翔猿に勝って15連勝とした。
千秋楽で翔猿が正代に勝ち、自身が勝てば、3敗で並んだ3人による優勝決定ともえ戦にもつれ込む。
黒星が許されない千秋楽は結びで朝乃山との大関対決。
「自分の持っている力を全て出し切りたい」と静かに闘志を燃やした。
大関の優勝は17年初場所の稀勢の里以来、21場所遠ざかっているだけに出場最高位の意地を見せたい。
複数の横綱全員が初日から休場するのは83年夏場所以来。
その場所を制したのは、場所前に婚約した千葉有希奈さんの父で、当時関脇だった元大関北天佑だった。
天国で見守る“義父”の再現となるか。
関脇正代(28=時津風)が、悲願の初優勝に王手をかけた。
2連敗中だった大関朝乃山を圧倒。
力強い出足から最後は押し倒し、ただ1人2敗を守った。
千秋楽、新入幕の翔猿戦で熊本出身力士初の優勝を決める。
大関連破で審判部は「明日の相撲を見ての判断」と結果次第で大関昇進の可能性も示唆。
正代が人生最大の大一番を迎える。
まるで重戦車の突進だった。
「最近負けている相手なんで、思い切りいった」という正代の踏み込みは一瞬、大関朝乃山の体を浮かせた。
その圧力で横向きにさせると、左でたてみつをつかみ、休まずグイグイ前に出て最後は押し倒した。
「休まず前に出ることを意識した。当たり勝ったんで、止まったらまわしをとられるんで、そのまま出ました」。
3連敗から10連勝と勢いづいてきた大関さえも吹き飛ばす破壊力。
進撃の相撲でついに単独トップに立った。
「素直にうれしいです」と言いながら、表情は全く崩れなかった。
弱気な“ネガティブ力士”から変身のきっかけとなった要因のひとつが、朝乃山への“ライバル心”だった。
正代が2歳上だが、同じ学生相撲出身で巡業などでは「人に言えないぐらい、くだらない話をする」仲だ。
東農大2年時に学生横綱になった正代が、アマ時代の実績は圧倒。
しかし、大相撲の世界では初優勝も、大関の座もあっという間に追い越された。
朝乃山の活躍に「同じ学生相撲出身で悔しい思いはある」とメラメラした思いを隠さなかった。
「強い相手とはだれとも対戦したくない」と公言していた男が変わった。
「それなりに緊張はするけど、落ち着くところは落ち着いてメリハリができている」。
相撲への自信は、精神面の成長にもつながった。
阿武咲(24=阿武松)は先場所の“倍返し”級の勢いで白星を積み重ねていたが、隆の勝に敗れて優勝の可能性が消滅した。
来場所の新三役を確実にしている相手に右のど輪、左おっつけで出足を止めた。
土俵際まで追い込んだが、足がついていかなかった。
惜敗に「足があと1歩出なかった」。
先場所の13連敗から一転、今場所は2桁白星と大健闘。
優勝を逃したが「意識はない。最後集中する」と、千秋楽に向けて気を引き締めた。
自身初の結びで、初の大関戦。
新入幕で快進撃を続ける翔猿は「盛り上がり方が全然違う」と土俵上で興奮していた。
馬力のある貴景勝相手に、立ち合いは正面から思い切りぶつかった。
押し込むことはできなかったが、手を出し、足を出してくらいついた。
それでも攻略はできず、はたき込まれてトップから陥落。
「楽しくてしかたなかった。大関にどれぐらい通用するか思い切りいきました。まだまだ稽古が足りないですね」とやりきった表情を浮かべた。
3敗で優勝争いから後退したが、千秋楽は2敗の正代との対戦が組まれた。
勝てば、貴景勝の勝敗次第で優勝決定戦にもつれる。
1914年(大3)夏場所での東前頭14枚目の両国以来、106年ぶりの新入幕優勝はまだ途絶えていない。
「思い切りいくだけ」と無心で臨む。
師匠の追手風親方(元前頭大翔山)は「運がいいというか、乗っている。結果が出てるからいつも以上の実力が出ている。残りはいい意味で調子に乗っていってくれればいい」と弟子の快進撃を期待した。
千秋楽の27日は、毎週欠かさずに見ているTBS系の大人気ドラマ「半沢直樹」の最終回。
翔猿は「前座に僕の相撲を見て楽しんでもらって、半沢直樹で締めてもらえれば」と言って、報道陣を笑わせた。
泣いても笑っても、残り一番。
横綱不在の混戦場所を、歴史的快挙で締めくくるためにも、まずは正代に勝って望みをつなげる。
西十両11枚目千代の国(30=九重)が、3度目の十両優勝を飾った。
13勝目を挙げて、来場所の返り入幕にも前進した。
若元春が立ち合いで右にずれたが、全く慌てなかった。
体勢を立て直せない相手をすぐに左から突き落とし。
取組後のリモート取材では「(変化は)びっくりしたけど良かった。ちょっと緊張していたけど集中できた」と、大きく息を吐いた。
左膝複合靱帯の損傷から復帰し、幕内の舞台も見えてきた。
最高位は前頭筆頭。
古風な雰囲気で、好調の要因についても「気負わずに1日一番集中できている」と多くは語らないが、言葉には実感がこもっている。
場所前には先代九重親方(元横綱千代の富士)の優勝額が、JR両国駅に設置された。
先代師匠には「『おかげさまで』という言葉は伝えたい」と、感謝の言葉を伝えるという。
1年半ぶりの幕内復帰を手中に収めたい今場所最後の一番に向けて「あと1日取り切ることだけ考える」と静かに意気込んだ。
2020/09/26
関脇御嶽海を下し、3連敗から10連勝となった。
14日目は正代との対戦が組まれ、千秋楽は結びで貴景勝と対戦することが確実。
逆転優勝に向けて、引きずり落とすことはできるか。
貴景勝のいなしにも崩れなかった。
下から突き起こされても引かず、最後は左から突き落とし。
悲願の初優勝に前進した。
秋場所13日目の25日、日本相撲協会に「左変形性膝関節症により3週間の安静加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
11日目の妙義龍戦で勝ち越し、11月場所での三役返り咲きを確実にしていた。
「左腓腹筋(ひふくきん)筋膜炎、右足関節症で約3週間加療を必要とする見込み」との診断書を出して休場した。
新入幕として106年ぶりの優勝が懸かる翔猿は、隆の勝を破って2敗を守った。
1914年夏場所の両国以来となる新入幕優勝に、また1歩近づいた。
2020/09/25
朝乃山らしさが戻ってきた。
かつては苦手だった大栄翔を捕まえられなくても突き返し、左を差すと一気に体を預けながら出た。
力強い攻めで4日目から9連勝とし、「自分の相撲が取れれば、結果はついてくる」。
言葉にも自信が戻った。
2敗でトップの貴景勝や正代との対戦を残しており、逆転優勝に向けてここからが正念場。
「気合を入れ過ぎると空回りする。先のことは考えずに、自分の力を発揮できるように全力でいきたい」と集中し直した。
不戦勝で2敗を維持。
朝稽古後に遠藤の休場を知ったようだが、「同じことをやって明日も頑張る気持ち。不戦勝だからといって休みじゃない。流れを崩すわけにはいかない」と集中力を切らさなかった。
13日目は正代との2敗対決。
優勝を大きく左右する一番を迎えるが、「集中してやるだけ。毎日大事。明日に限って何か変わることはない」と大関候補との決戦を見据えた。
宝富士に完勝して10勝目。
左をのぞかせると、右をねじ込みながら圧力をかけて寄り切った。
攻め続けた一番に「立ち合いから足がよく出ていた」と納得の表情を浮かべた。
関脇で2場所連続の2桁白星とし、大関昇進への足固めに成功。
12日目での到達に「こんなに早く勝てるとは。良い流れだと思う」と喜んだ。
優勝争いのトップ並走で残り3日。
「ここで集中が途切れることがないように」と気を引き締めた。
足を止めることなく、前へ前へ。
隆の勝が持ち味の押し相撲で、自己最高位の前頭筆頭で勝ち越しを決めた。
新三役が近づく白星に、「うれしいですね」と笑顔がはじけた。
同じく押し相撲が得意の輝との一番は、立ち合いで思い切りよく頭からぶつかった。
低い姿勢で前に出て、右をのぞかせると、そのまま一方的に押し出した。
「前に攻めて押し出せて良い相撲」と納得顔だった。
混戦の優勝争いの行方を左右する平幕力士同士の2敗対決。
翔猿が勢いそのままに攻め切った。
若隆景が立ち合いで動いても「頭にあった」と慌てなかった。
相手の懐に入り、押し合いから最後ははたき込んだ。
「すぐ引かないで攻められたのが良かった」と振り返った。
元小結豊山で先代湊親方の長浜広光さんが19日に死去したことが24日、分かった。
日本相撲協会関係者が明らかにした。
72歳。
膵臓がんを患っていたという。
新潟・新発田農高では高校横綱に輝き、東京農業大に進学。
学生時代は元横綱輪島らとしのぎを削った。
時津風部屋に入門し1970年春場所に初土俵を踏み、71年九州場所で新入幕を果たした。
突っ張りや右四つを得意とし、幕内を51場所務めた。
殊勲賞1回、敢闘賞2回。81年夏場所限りで引退した。
82年に独立し湊部屋を創設し、元幕内湊富士(現湊親方)らを育てた。
2020/09/24
長い沈黙を破った。
初日から3連敗後に8連勝した11日目の取組後、初日以来10日ぶりに報道陣のリモート取材に対応。
「(3連敗は)ショックでした。休場しようかと思った。(取材対応は)白星が先行したり、勝ち越しを決めたらやろうかと…」。
を閉ざしていた理由を説明した。
「応援してくれる人は記事を見るので(メディアに)何も答えないと何かあったのかな?≠ニ思われる。自分は元気です」。
白星先行で表情にも明るさが戻ってきた。
ただ、8日目に幕内後半の西方力士全員が敗れて一人もコメントしない異例の事態になった事で、安治川親方が自身のブログで
「負けて悔しいのはわかるが『明日頑張ります』ぐらい言えないのかな」「取材する側、応援する側の気持ちになって考えてみてほしい」と苦言を呈していた。
9勝目を挙げてトップを守った大関貴景勝が、取組後に見せた右肩付近の動きについて「日常茶飯事です」と、何事もなかったことを強調した。
宝富士を倒れ込みながら押し出した直後のことだった。
なかなか起き上がれずにいると、首から右肩付近がけいれんするような動きがあった。
立ち上がると気にするようなそぶりは見せず、勝ち名乗りを受けて土俵下に座った。
取組後のリモート取材では「大丈夫です。日常茶飯事です」と多くは語らなかった。
正代が力強い取り口で高安を破った。
立ち合いから圧力をかけ、左喉輪をはね上げて相手を大きく崩して押し倒した。
「立ち合いの踏み込みが良かったので、その後の内容につながったと思う」と自己分析した。
2敗を守って貴景勝らと4人でトップに並んでいるが、「まだまだ接戦。意識はしていない」と冷静そのもの。
「とりあえず2桁いければ」。
まずは大関昇進へつながる次の1勝を目指す。
元大関で先場所優勝の照ノ富士が勝ち越し、三役復帰に前進した。
妙義龍に立ち合いから圧力をかけて土俵際まで追い込み、右を差して寄り切った。
膝の大けがなどを経て徐々に地位を戻す中、「三役に取りあえず上がれると思う。ちょっとずつ近づいているのかなと思う」とかみしめるように語った。
初日から2連敗した後に7連勝していたが、10日目に同じ前頭筆頭の隆の勝に敗れていた。
「きのうはきのう、きょうはきょう。過ぎたことを意識せず次のことを考える」と気持ちを切り替え、優勝争いをトップと1差の3敗で追う。
初顔合わせの千代大龍を退け、2敗を守った。
立ち合いで相手のもろ手突きを右に動いてかわし、手繰って回り込んだ。
下から攻め返すと、引く相手に乗じて押し出した。
トップを守ったが「そこは全然意識しない。あと4番思い切って自分の相撲を取りたい」と言葉に力を込めた。
4日目から8連勝して2桁勝利にも王手。
12日目は翔猿との2敗対決だが、「目の前の一番だけ集中して相撲を取っている」と落ち着いていた。
翔猿が阿武咲との2敗同士の一番を制した。
低い当たりから休まず攻め、左喉輪で起こすと、タイミング良くはたきを決めた。
「逃げずに攻めようと思った」と納得の表情で振り返った。
新入幕でトップを並走。
優勝もちらつく状況だが「意識しない。一番一番」と自らに言い聞かせている。
12日目も生き残りを懸け、相星の若隆景戦。
「そういうのを意識せずに思い切りいくだけ」と気負いなく話した。
2020/09/23
朝乃山は今場所2度目の不戦勝で3敗を守った。
大関の1場所2度の不戦勝は、2014年初場所の琴奨菊以来という珍事。
淡々と勝ち名乗りを受け、この日も報道陣のリモート取材には応じなかった。
関脇正代(28=時津風)が、西前頭3枚目照強(25=伊勢ケ浜)を下して勝ち越しを決めた。
昨年九州場所での対戦は、立ち合いで足を取られて押し出されていただけに「すごく嫌なイメージがあった。あまり踏み込まないようにしていた」と立つようにして照強の当たりを受けた。
左で抱えるようにして組み止めると、慌てることなく丁寧に寄り切った。
これで昨年九州場所から5場所連続で勝ち越した。
「全体的に攻めている。体もよく動いている」と手応えを口にした。
2敗を守り、大関貴景勝らと並んで優勝争いのトップに立つ。
「ただ単に好成績の5人の中の1人ということしか考えていない」と初優勝への意識はまだ薄いようだが「心に余裕ができたので次は2桁、ケガないようにいきたい。自分の相撲を取って悔いの残らないように徹底していきたい」と話した。
新入幕の東前頭14枚目翔猿(28=追手風)が勝ち越しを決めた。
長身の竜電に右を差して頭をつけると、出し投げで相手の体勢を崩し、最後は左前みつを取って下手投げ。
「胸を合わせたらしんどかった。胸を合わせないようにやった」と狙い通りの攻めだった。
10日目での勝ち越し。
「幕内で力を通じると、勝ち越せたのでうれしい」と笑みをこぼした。
8勝2敗としてトップを並走する。
106年ぶりとなる新入幕優勝の可能性も残す新鋭は「(優勝争いは)意識していない。勝ち越しただけ。まだまだ集中して、まだまだ暴れていきたい」と、気合を入れ直した。
西十両2枚目の琴ノ若(22=佐渡ケ嶽)が勝ち越しを決め、1場所での幕内復帰に前進した。
天空海(立浪)を土俵際、際どい勝負ながらすくい投げで破った。
勝ち越しに「けがした後の場所なんで素直にうれしく思う。ここで浮かれないようにしたい」と引き締めた。
幕内2場所目の7月場所は左膝のけがで8日目から休場。
14日目から再出場も負け越して十両から出直しとなった。
祖父は元横綱琴桜、父は元関脇琴ノ若の師匠佐渡ケ嶽親方というサラブレッド。
幕内復帰について「それは意識していない。15日間とりきって、その結果が(幕内復帰に)つながれば」と邪念を払って残り5日間に臨む。
元中学横綱の17歳のホープ、西幕下44枚目の吉井(時津風)が霧の富士(陸奥)を押し出し、3勝2敗で勝ち越しに王手をかけた。
「いい相撲がとれたと思います」と自画自賛。右差し得意の相手にさせじと脇を固め、低い立ち合いから一気の出足から、最後は相手に引かせる圧力をかけた。
「まだ次はありますけど、場所に来る前に部屋で稽古して体も動いている。調子は上がっている」と自信を口にした。
7月場所前に師匠の不適切指導で所属していた中川部屋が閉鎖となり、時津風部屋へ転籍となった。
部屋は両国国技館から近く、「プラスになっていると思います」。
初めて番付に載った昨年夏場所から7場所連続で勝ち越し中。
「今日みたいな相撲をとれるよう頑張りたい」。
目指す関取の座へ着実に前進している。
2020/09/22
2敗で“大混戦場所”を引っ張る大関貴景勝(24=千賀ノ浦)が、霧馬山を厳しい攻めで下し、2敗の首位を堅守した。
取組後、今場所初めてリモート取材に応じ、出場最高位として場所を引き締める思いを明かした。
2敗勢は相星対決以外は全員が勝利。
9日目を終えて6人がトップを並走するのは、6人の1敗勢が先頭を走った00年九州場所以来20年ぶりの混戦となっている。
前日の黒星も、先場所の黒星も、貴景勝は引きずらなかった。
左のはず押しで霧馬山を吹っ飛ばすと、反撃の隙を与えずに6・3秒で押し出し。
「(前日の取組は)終わったこと。後悔しないような相撲をと思ってやった」。
8日目は栃ノ心の変化に対応できず2敗目。連敗を避けたいこの日は、初顔だった先場所で敗れた相手だったが、厳しい攻めで不安を一蹴した。
“無言”に深い理由はなかった。
初日から報道陣のリモート取材には応じず国技館を引き揚げていたが、勝ち越しを目の前にして初めて取材に応じた。
リモート取材では支度部屋から出てきた力士を、日本相撲協会の広報職員が画面越しで報道陣が待つパソコンに誘導する形式。
取材に応じるかは力士の自由という中で「自分も勘違いして、リモートの要領を分かっていなかった。帰り道にこういう感じと分かった」。
10日目以降も取材に応じるか問われると「もちろんです」と力強くうなずいた。
看板力士としての責任を果たす。
2敗で首位の6人を、4人の3敗勢が追う大混戦。
両横綱の休場で、最高位として賜杯争いを引っ張る役割が求められる中で「結果残すことがそういうことにつながっていく。あまり考えずに集中していく」と平常心を強調した。
今場所から使用する黒い締め込みは、昨年の大関昇進時にもらったもの。
「気持ちを新たに、新たなスタートとして変えた」。心機一転の大関が、快勝で後半戦を滑り出した。
東前頭筆頭照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、東前頭2枚目北勝富士(28=伊勢ケ浜)を下して勝ち越しに王手をかけた。
北勝富士のはず押しを前に四つに組み止めることができなかったが、何とか抱えながら対抗。最後は体を開きながら、突き落とした。
過去3戦全敗だった相手に初勝利。
「昔は昔。(番付が)落ちてる時にばっかり当たってる」と気にしていなかった。
勝ち越しに王手をかけて、11月場所での三役返り咲きも見えてきた。
「とりあえず三役というのを確実にしたい」と意欲。
それだけではなく2敗を守ったことで、2場所連続優勝も視野に入る。
しかし、賜杯に関しては「特に何も考えていない。1日一番集中してやるだけ」と欲は見せなかった。
関取最年長で7日目から5日ぶりに再出場した西前頭11枚目琴奨菊(36=佐渡ケ嶽)が、徳勝龍に敗れて3勝目を逃した。
左四つで前に出たが、足がついていかず土俵際で突き落としを食らった。
2勝4敗3休。
幕内残留の目安となる残り3勝に向けて、白星を積み重ねることはできなかった。
琴奨菊は2日目の明生戦で左ふくらはぎを負傷し、3日目から「左下腿(かたい)肉離れにより全治2週間の見込み」との診断書を提出して休場していた。
幕内在位が15年を超える大関経験者は、再出場しなければ11月場所で十両に陥落することが確実だった。
再出場後、初めて取組後に取材に応じた琴奨菊は「(痛めた左足は)うまく付き合っていくしかない。できるから土俵に上がっている。幕内残留とかを目指してではなく、こういうときに一番自分の弱いところが出る。自分自身が(土俵に)上がっている以上はやるだけ」と、土俵に戻ってきた心境を明かした。
久々に取材に応じた理由については「昨日記事を見て力士が(取材対応に)なかなかこないということで。験を変えて参加させてもらいました」と、流れを変えるためだったと説明した。
新入幕の東前頭14枚目翔猿(28=追手風)が明生を力強い相撲で押し出して2敗を守り、新入幕勝ち越しに王手をかけた。
「攻め続けたんでよかったと思います」。
前日8日目に2敗目も引きずらず「(連敗しないと)乗っていけますね」。
小柄だけに体重131キロの維持に必死。
「全然食欲わかないけど食べてます。もういいかな、からごはんもう1杯多めに」。
はつらつとした相撲を失わず、土俵に臨む。
西十両11枚目の千代の国(30=九重)が、北はり磨(山響)をはたき込み、十両でただ1人1敗を守り勝ち越しを決めた。
昨年夏場所以来の返り十両。
けがに苦しんだが、先場所幕下優勝の勢いを持続し、まずは関取の座を死守する勝ち越しを決めた。
「勝ち越しはうれしいが、まだまだこれからなんで」と表情は緩めない。
幕内経験もある実力者。
十両優勝も過去に2度ある。
それでも優勝争いを聞かれると「そういうのは考えていない。1日1番で頑張ります」と謙虚に話した。
2020/09/21
朝乃山が照強の2度目の奇襲をはね返した。
立ち合いで照強が右に動いて左足を取りにきたが、両腕を前に出して対処。
動きが止まった相手をよく見て、冷静に押し出し。
優勝争いを演じていた7月場所14日目の対戦では同じ立ち合いから左足を取られて転がされ手痛い1敗を喫していた。
しかし今場所は落ち着いた対応で白星を先行させた。
東前頭筆頭照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、西前頭2枚目玉鷲(35=片男波)を下して6勝目を挙げた。
離れようとする玉鷲から、何度ものど輪を受けたが1歩も引かず。
前に出て圧力をかけ続けて、左を差して寄り切った。
「我慢して前に出ることしか考えてなかった。勝ててよかった」と狙い通りの相撲に満足した。
8日目を終えて2敗を守り、大関貴景勝や関脇正代ら8人と並んでトップに立つ。
2場所連続優勝の可能性も見えてきそうだが「まだ終わっていない。残り頑張りたい。目の前の一番に集中するだけ」と意識はしない。あと2つ白星を積み重ねて勝ち越せば、関脇だった17年九州場所以来の返り三役も見えてくる。
東前頭4枚目栃ノ心(32=春日野)が、波乱の展開を巻き起こした。
負ければ大関貴景勝が単独トップになる結びの一番。
注目の立ち合いで頭から突っ込んできた貴景勝を、変化気味に右に動いてはたき込んだ。
勝負は一瞬で決まり、結果、2敗が9人となった。
立ち合いについて栃ノ心は「作戦じゃない。たまたまそうなった。いつも通りやってやろうという気持ちだった」と話した。
また栃ノ心が勝ったことで幕内後半の取組は、東方の力士9人全員が勝利するという珍事が起きた。
若手の若隆景から始まり、先場所優勝の照ノ富士や好調の正代が順当に白星を挙げ、朝乃山は不戦勝。
自身の取組までに東方の力士が全勝だったことについて栃ノ心は「知らなかった。全然意識してなかった」と驚いた様子だった。
新婚パワーで大混戦場所から抜け出す。
東前頭6枚目高安(30=田子ノ浦)が、照強をはたき込みで破って2敗をキープ。
1敗の大関貴景勝と平幕の琴勝峰、翔猿の全員が負けたため、高安を含む9人がトップで並んだ。
8日目を終えて9人以上がトップに並ぶのは、2敗で10人が並んだ03年名古屋場所以来17年ぶり。
中日折り返しで1敗力士不在も同年以来。
横綱不在の混戦場所で、大関経験のある実力者が初賜杯を狙う。
実力者の高安はどっしりと構えていた。
「ボチボチですね。負けた相撲もしっかりと反省して明日に生かしたい」と言葉はシンプルだが声は明るい。
自身の取組前に、翔猿と琴勝峰が2敗に後退したが「勝ち越すことだけを目指す」と他人の結果は気にしなかった。
相撲もどっしりしていた。
初顔合わせの照強は、立ち合いで奇襲を仕掛けてくる不気味な相手。
この日はまっすぐぶつかってきたが、中に潜り込まれそうになったり、腕をたぐられたりとあの手この手で攻められた。
それでも慌てることなく丁寧に対処。
最後は冷静にはたき込み「自分の体勢になるまで我慢しようと思った」と狙い通りだった。
二人三脚で混戦から抜け出す。
昨年10月に婚約を発表した演歌歌手の杜このみ(31)と7月上旬に結婚。
婚約後に大関から陥落し、ケガで休場が続く時もあった。そんな時に支えられ、先場所で1年ぶりに勝ち越した時は「本当に2人で喜んだ。いろいろ気を使ってもらっているけど、精神的なサポートはとても大きい」と感謝。来年には第1子が誕生予定。
「妻の体調もサポートしないといけない。子どものためにも2人で力を合わせたい」と強い思いで土俵に上がっている。
賜杯の行方はまだまだ分からない。
「1日一番。しっかりベストを尽くすだけ」と高安。
無心で走り続けた先に、トップの景色が見えてくる。
西前頭8枚目若隆景(25=荒汐)が、西前頭5枚目宝富士(33=伊勢ケ浜)を破って2敗を守った。
立ち合い右のおっつけで宝富士の体勢を崩し、もろ差しになって寄り切った。
「相手が左差しでくるのは分かっていた。差させないように体をうまく動かした」と狙い通りだった。
オンライン取材で、今年1月に第3子となる長男が誕生していたことを明かした。
名前は秘密だといい、「家族のためにもより頑張りたいか」と問われて「そういう気持ちで頑張ってます」と多くは語らなかったが、言葉に力はこもっていた。
2敗で他8人とトップ並走だが「1日一番集中するだけ」と欲は見せなかった。
右足首の骨折で初日から休場していた西前頭13枚目石浦(30=宮城野)が、再出場の土俵で白星を挙げた。
おっつけが厳しい志摩ノ海から左前みつを取って頭をつけると、下手出し投げを決めた。
石浦は「右距骨骨折にて約3週間の加療を要する見込み」との診断書を提出していたが、この日は右ふくらはぎから足首にかけて分厚いテーピングを施して取組に臨んだ。
取組後はリモート取材に応じず、国技館を引き揚げた。
1敗を守ってきた3人全員が黒星を喫し、横綱不在の場所が混戦模様となったきた。
新入幕の東前頭14枚目翔猿は、佐田の海との激しい突き合いの応酬の末に敗れた。
途中でまわしに手を掛けられたが、1回転してほどくなど軽快な動きを見せた。
均衡を崩そうと右の蹴返しを試みるも不発。
体勢を崩して突き落とされた。逸ノ城と初顔合わせとなった東前頭12枚目琴勝峰は、怪力相手に左上手を与えて豪快な上手投げに屈した。
勝てば単独トップに立つ大関貴景勝だったが、結びの一番で栃ノ心の立ち合い変化に足がついていかず、負けて2敗に後退した。
これで2敗に大関貴景勝、関脇正代、平幕の照ノ富士、霧馬山、高安、若隆景、阿武咲、琴勝峰、翔猿の9人が並んだ。
2020/09/20
朝乃山が照強の2度目の奇襲をはね返した。
立ち合いで照強が右に動いて左足を取りにきたが、両腕を前に出して対処。
動きが止まった相手をよく見て、冷静に押し出し。
優勝争いを演じていた7月場所14日目の対戦では同じ立ち合いから左足を取られて転がされ手痛い1敗を喫していた。
しかし今場所は落ち着いた対応で白星を先行させた。
大関貴景勝(24=千賀ノ浦)が、三役以上で唯一1敗を守って中日を迎える。
平幕の豊山との激しい押し合いを制して、6勝目を挙げた。
左からのいなしを2度も繰り出すなど圧倒する一番ではなかったが、最後ははず押しで倒れ込みながら押し出した。
立ち上がると2、3度首を左に傾けて気にするしぐさを見せたが、勝ち名乗りを受けると何事もなく土俵から降りた。
立ち合いでもろ差しになったが深く入らず、右腕が抜けた。
左は深く差したが、巧者の隠岐の海に回り込まれながらの強烈な右のおっつけで突き落とされた。
「ちょっと(もろ差しの)入りが浅かった。結構おっつけられたのできつかった」と反省した。
すでに全勝力士はおらず、1敗を守りたかったところだが2敗に後退。
それでも横綱不在の場所とだけあって、優勝の行方はまだまだ分からない。
「今日の相撲はあまり振り返らないかな。悪いイメージを持ちたくないから」と先を見据える。
もちろん「立ち合いが甘いから徹底したい」と修正箇所は理解していた。
大関候補と期待されて久しい関脇御嶽海(27=出羽海)の低調ぶりを、協会トップの八角理事長(57=元横綱北勝海)が嘆いた。
過去、21勝2敗と圧倒していた平幕で同じ押し相撲の玉鷲(35=片男波)戦。
土俵中央での先手争いで、押せないとみるや安易に引き、相手を呼び込みアッサリ土俵を割った一番に「気力がないね。『一生懸命押すんだ』と『何となく』というかね」という表現で両者を対比。
「もっともっと相撲に気持ちをかけなきゃ。気持ちが、どっかに行ってしまっている感じがする」と、周囲も指摘する“気分屋さん”的な御嶽海の一面を察した。
「勝てば気分が乗るけど、負ければ乗らない。そういうのをなくさないと大関は難しい。調子が悪い時に、いかに力を発揮するかだから」と、期待すればこその苦言を呈した。
東前頭筆頭照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、17年夏場所以来の対戦となる小結遠藤(29=追手風)を破って5勝目を挙げた。
立ち合いで突っ込んできた遠藤の右手を手繰って背後に回り込んで、すかさず前に出て送り出した。
久しぶりの対戦だったが「普通にいこうと思った」と体が反応した。
返り入幕だった7月場所で幕尻優勝を果たし、今場所は前頭筆頭まで番付を上げた。
初日から三役以上との対戦が続き、この日で全ての三役以上との対戦を終えて5勝2敗と白星先行。
横綱不在なだけに、優勝の行方もまだまだ分からない。
ここからは番付下位との対戦が続くため、返り三役のチャンスも十分にある。
それでも「場所が終わったわけではない。残り引き締めていきます」と笑顔は見せずに話した。
関取最年長の西前頭11枚目琴奨菊(36=佐渡ケ嶽)が、再出場で2勝目を挙げた。
左の膝下にテーピングを施して出場した。
小兵の炎鵬を両腕で抱え込む体勢になると、出し投げで崩されかけたが、炎鵬が踏ん張ることができず尻もちをつくかたちとなり「腰砕け」となった。
琴奨菊は2日目の明生戦で左ふくらはぎを負傷し、3日目から「左下腿(かたい)肉離れにより全治2週間の見込み」との診断書を提出して休場していた。
幕内在位が15年を超える大関経験者は、再出場しなければ11月場所で十両に陥落することが確実だった。
東前頭12枚目琴勝峰(21=佐渡ケ嶽)が、ライバルの西前頭16枚目豊昇龍(21=立浪)を下して6勝目を挙げた。
右を差されて土俵際に追い込まれが、豊昇龍の下がった頭を左手で押さえながら突き落とした。
何とか勝ちを拾う結果となり「ちょっと意識した。なるべくしないようにしたけど、しちゃいました」と反省した。
豊昇龍とは17年九州場所でともに角界入りした同期であり、学年も同じ。
学生時代からのライバルとだけあって、この日の一番は力が入った。
幕内では初対戦で、角界入り後は通算4戦全勝。今後も対戦を重ねていくであろう豊昇龍について「競い合いながらお互いを高めあえる存在になりたい」と話した。
大相撲秋場所を13日の初日から休場している西前頭13枚目石浦(30=宮城野)が、20日の同場所8日目から出場する。
石浦は「右距骨骨折にて約3週間の加療を要する見込み」との診断書を提出していた。
8日目は東前頭15枚目志摩ノ海(31=木瀬)と対戦する。
新入幕の東前頭14枚目翔猿(とびざる、28=追手風)が、日を追うごとに存在感を放っている。
立ち合いの当たりが強烈な千代大龍と何度も押し合い、潜ってもろ差し。
右に開きながら下手出し投げを決めて、6勝1敗とした。
「前に前に攻めていこうと思った。(もろ差しは)たまたま入った。良かったです。立ち合い当たられてもどんどん出て行こうと思っていた」
積極的な攻めで、大関貴景勝、平幕の琴勝峰と並んでトップを守った。
ここ数場所は169センチの炎鵬が小兵力士として注目を集めていたが、翔猿も175センチ、131キロと幕内では体格が一回り小さい。
翔猿自身も炎鵬を意識しており、場所前から「お客さんを楽しませたい。会場を盛り上げたい」と意気込んでいる。
「タオルとかあると人気出てきたかなと思う。まだまだこれから名前を覚えてもらえるように頑張りたい」
新入幕の場所ながら、観客が掲げる力士のしこ名が書かれたタオルも確認できている余裕ぶり。
「まだまだ前半戦なので。これから。(優勝争いは)全然意識していない」と気を引き締めた。
日本相撲協会は黎大(れおん、21=式秀)の再出世を発表。
11月場所(11月8日初日、両国国技館)から番付にしこ名が載る。
新弟子検査合格者はモンゴル出身者1人のみで前相撲はビザ取得後の本場所となることもあり今場所の前相撲は行われなかった。
元横綱大鵬の孫で、元関脇貴闘力の四男、東幕下55枚目夢道鵬(18=大嶽)が、初めての幕下で無傷の4連勝で勝ち越しを決めた。
東幕下60枚目碧天(37=春日野)との3連勝同士の一番。
立ち合いでしっかりと当たり、引いた相手に左をのぞかせながら足を運んで押し出した。
幕下上位を経験したことのあるベテランを下して、序ノ口デビューの初場所から4場所連続で勝ち越しを決めた。
無心で土俵に上がるつもりが「勝ったら勝ち越しかと思うとちょっと緊張した」と初の幕下での勝ち越しが懸かった一番に、今までにない緊張感があったという。
それでも危なげない相撲を披露。
「稽古をしっかりとしてきて、やってることが合っているなと。自信になる」と安堵(あんど)した。
まだまだ満足はしない。
残り3番に向けて「勝ちたいです」と率直な思いを吐き出した。
結果はもちろんだが、相撲内容にもこだわりがある。
「最初の一番から自信をつける相撲を取りたいと思っていた。土俵際で投げたりはたいたりしても勝ちは勝ちだけど、前に出て勝ちたい」と話した。
2020/09/18
両大関が2日連続でそろって白星も、謎のだんまりを貫いた。
貴景勝は過去9戦全勝だった妙義龍を低い立ち合いから一気に押し出して4勝1敗とした。
朝乃山も玉鷲を得意の右差しからの攻めで圧倒して押し出し。
3連敗スタートから連勝と星を戻してきた。
横綱不在の今場所、波乱の序盤を終えたが取組後の取材には応じず。
貴景勝は初日から一言も発していない。
関脇正代(28=時津風)が、東前頭2枚目北勝富士(28=八角)を押し出しで下して、序盤戦を4勝1敗で終えた。
北勝富士の低く鋭い踏み込みの立ち合いを受けて上体が起きたが、1歩も引くことはなかった。
しっかりと前に出て右を差し、左で抱えながら最後は押し出した。
4日目の照ノ富士戦で初黒星を喫したが「昨日の負けを引きずらなかった。負けた相撲は振り返らないようにした」と気持ちを切り替えて土俵に上がっていた。
昨年九州場所と今年の初場所で2場所連続優勝次点と気を吐いた。
賜杯に届かなかった悔しさはもちろんあるが「自信もそうですし、その時の緊張感との接し方も分かってきた」と大きな経験となった。
優勝争いの行方はまだまだ分からないが、横綱不在の場所とだけあってチャンスは十分にある。
「最近はやってなかったけど今はゲームをしています」と話すなど、リラックスモードで中盤戦に臨む。
幕内でただ1人の全勝力士となった西前頭9枚目の阿武咲(24=阿武松)に、協会トップの八角理事長(57=元横綱北勝海)も期待を寄せた。
過去4勝5敗で同7枚目の碧山(34=碧山)を押し出して無傷の5連勝。
先場所は初日からの13連敗で2勝13敗と大負けし、押し相撲の難しさを露呈した阿武咲だが、歯車がかみ合った感のある今場所は正反対の連勝街道を走る。
その押し相撲で横綱まで上り詰めた八角理事長は「押し相撲というのは、1つ勝つと流れが良くなる。このまま連勝を伸ばしてほしいね」と、上位陣の奮起を求める意味でも、平幕の大暴れに期待した。
残り10日の相撲にも「頭で考えて動くのではなく、自分から動く、体が勝手に動くというよう(な感覚)になれればね」と期待を込めた。
東前頭16枚目の旭大星(30=友綱)が秋場所5日目の17日、日本相撲協会に「左アキレス腱断裂。約6週間の加療を要する見込み」との診断書を提出し、休場した。
4日目の志摩ノ海戦で寄り倒された際、左足を痛めていた。
旭大星の休場は2018年秋場所以来3度目。
今場所は4日目を終えて2勝2敗だった。
5日目の対戦相手だった明生は不戦勝になる。
2020/09/17
大関朝乃山(26=高砂)が待望の初日を出した。
力強い突き押しがウリの平幕の北勝富士を、寄り倒しで下して3連敗から脱出。
3連敗を喫した前夜、師匠の高砂親方(元大関朝潮)と一緒に食事をして気持ちを切り替えた。
横綱不在の場所で後れを取ったが、ここから巻き返しを狙う。
三役以上で唯一無傷だった関脇正代が、平幕の照ノ富士に負けて初黒星。
勝ちっぱなしは阿武咲と新入幕の翔猿の平幕2人だけとなった。
勝負を決めた朝乃山に明るい表情はない。
むしろ「まだまだ」と言わんばかりの厳しい顔つきだった。
2日目から3日連続で取材に応じなかった。
横綱不在の場所で初日から3連敗。
ようやくの初日に、満足するはずがなかった。
朝乃山らしい、前に出る力強い相撲だった。
立ち合いで右四つにはなれなかったが、引いた北勝富士に対して、しっかりと前に出てついていった。
はたきにも慌てることなく、体を寄せて右を差した。
土俵際で粘られたが生命線の右は差したまま。
最後は左手で豪快に土俵下に突き飛ばした。
3連敗を喫した前夜は、高砂親方と食卓を囲んだ。
弟子を気遣った師匠の計らいによるもので、たわいもない話に花を咲かせた。
精神面を気にした師匠から「大丈夫か?」と問われ「大丈夫です」と落ち込んだ様子は見せず。
高砂親方は「サバサバした感じだった。これなら大丈夫と思った」と安心したという。
師匠はこの日の相撲を「3日間は自分の形になれなかった。今日は右を差せたのが勝因」と評価。
連敗を引きずることなく、師匠も納得の相撲内容で白星を挙げた。
後れを取ったとはいえ、残りはまだ11日ある。
師匠からは「勝ち運に乗ってくれば流れが変わる。優勝争いを最後まで盛り上げる意味でも大関らしく千秋楽まで務めて欲しい」と期待された。
場所前には「引っ張っていかないといけない立場」と大関の自覚を口にしていた。
横綱不在の秋場所。
ここからその自覚を体現する。
2場所連続優勝を狙う東前頭筆頭照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、先場所敗れた関脇正代にリベンジを果たした。
立ち合いで左上手は取れなかったが、まわしにこだわらずに突いて出た。
最後は右をのぞかせ、土俵下に吹っ飛ばした。
先場所は14日目、勝てば優勝が決まる一番で圧力負けを喫した。
「先場所負けているのでしっかりと自分のかたちになってやろうと思っていた。リベンジというより今日の一番に集中した」。
2勝2敗と星を五分に戻した大関経験者は、5日目の大栄翔戦で関脇以上との対戦を終える。
「精いっぱいやるだけなので。明日から1日一番できることをやるだけ」と冷静に話した。
「おにぎり君」の愛称で人気の西前頭筆頭隆の勝(25=千賀ノ浦)が、3勝1敗の好成績で関脇以上との対戦を終えた。
関脇大栄翔を押し出し。
押し相撲同士の一番で、左おっつけ、右のはず押しが効果的に決まった。
「落ち着いて相手の突きをうまくいなせた。突きを止めることだけ考えていた。最後押し出すときは止められたので良かった」と手応え十分だった。
6人兄弟の大家族で育った25歳は、場所中に負けが込むと家族から「顔が死んでいる」などと指摘を受けるが、今場所はまだ連絡がない。
「勝ってるのであまり心配していないのかなと思う」と、笑顔で国技館を引き揚げた。
西前頭9枚目阿武咲(24=阿武松)が先場所からの連勝を6に伸ばした。
小兵の炎鵬に左を差されたが、構わずに抱えて寄り切り。
「とにかく焦らないことだけを意識して落ち着いていけた。(相手が小兵で)何がきても対応しようと思って、相手を見て落ち着いていけた」と、多彩な技を持つ相手を冷静に対処した。
初日から無傷の4連勝は阿武咲と新入幕の翔猿の2人だけ。
7月場所は初日から13連敗を喫するなど、苦しい場所を経験した。
先場所と比較した今場所好調の要因を「気持ちじゃないですか。しっかり集中してできている」と説明した。
新入幕の翔猿(28=追手風)が初日から4連勝を飾った。
192キロの魁聖(友綱)にまわしを与えず、はず押しから絶妙のタイミングのいなしから後ろにつき、送り出した。
「力負けせず、自分から動いてあせらされたと思います。前に出られてよかったと思います」と振り返った。
131キロの翔猿と約60キロ差。
体重差があるほど燃える。
「大きい相手に勝つほど、館内は盛り上がると思う」。
4連勝にも浮かれることなく、「ここから疲れも出てくると思う。集中していきたい」と引き締めた。
青森県十和田市出身の新十両・錦富士(24=伊勢ケ浜)が、初日から無傷の4連勝を飾った。
171キロと重い大翔鵬(追手風)を寄り切り。
「狙い通りではなかったが、我慢していった」。
部屋では7月場所で復活優勝を遂げた照ノ富士らの胸を借り、「勉強になっている」。
新十両場所だが気負いはない。
ここまで4日間を振り返り、「自分の相撲をとれていて、いいと思う」。
勝ち星とともに自信も重ねて、今後の土俵に臨む。
角界最年長力士、50歳の華吹(はなかぜ、立浪)が呼び出しにしこ名を間違えられるハプニングがあった。
東序二段84枚目の華吹はこの日、西序二段85枚目の神山(38=高砂)と対戦。
取組前、呼び出しの悠真(19)に「はなふくぃ〜」と呼び上げられてしまった。
悠真は兄弟子から間違いを指摘され、土俵上で呼び上げをやり直し。
今度は「はなかぜ〜」と正しく呼ばれた。
31歳年下のミスに、華吹はピリピリすることなく、柔らかい笑顔で見守った。
取組は、華吹が寄り切られて、今場所は1勝1敗。
50代最初の勝ち越しをかけて、残り5番に挑んでいく。
2020/09/16
大関朝乃山が、初日から3連敗を喫した。
7月場所で敗れた大関経験者の照ノ富士に上手投げで敗れた。
大関が初日から3連敗を喫するのは初場所の豪栄道(現武隈親方)以来。
先場所12勝の大関が、トンネルから抜け出せずにいる。
初日から2連勝の大関貴景勝は北勝富士に敗れ、今場所初めての黒星となった。
大関昇進を目指す3関脇は、正代が遠藤を圧倒して無傷の3連勝、御嶽海が初黒星、大栄翔が2敗目を喫した。
三役以上では正代以外が敗れる、波乱の1日となった。
正代が少しの迷いもなく相撲を取りきっている。
アゴが上がる、体が反り返る弱点を突かれようが今場所は、相手を自分の前に置いて馬力を生かした相撲を取るんだ、と集中しているようだ。
相手を目の前でなく、左右のどちらかに置くと弱点があだになるが、この日の遠藤戦のように2本差されようが相手を常に正面に置いて、体全体で攻めれば持ち前の体の柔らかさも生かせる。
最後に腹を使って圧力をかけたのも良かった。
早くも三役以上の勝ちっ放しは1人。
全勝は俺しかいない、などと意識すると肩に力が入ってしまう。
今場所も早くも混戦の様相だ。
7月場所で復活優勝を遂げた東前頭筆頭の照ノ富士(28=伊勢ヶ浜)が、大関朝乃山(高砂)を上手投げで今場所の初日を飾った。
「右四つでくると思ったら、もろ差しになられたんでちょっとあせりました」。
大関の流れで追い詰められた土俵際で左上手をつかむと、攻め返して最後は上手投げを決めた。
優勝を争った先場所も完勝した相手。
2連敗後の初白星となったが「特に何も。昨日の相撲は終わってるから。1日1番、自分のできることを思い切ってやりたい」と淡々と振り返った。
西前頭筆頭の隆の勝(25=千賀ノ浦)が、関脇御嶽海(27=出羽海)を押し出した。
立ち合いから押し込まれたが、相手の引きに乗じて前に足を運び、白星につなげた。
「落ち着いて取れたかなと思います。押して前に出ていけているので、力が伝わっているのかなと思います」と振り返った。
2日目の朝乃山戦に続き、上位撃破で2勝1敗。
「上の人と当たると、前に押すしかない。それだけを考えていくだけなので、変なことを考えずにすむのでやりやすいですね」と、勝因を口にした。
新入幕の翔猿(28=追手風)が初日から3連勝を飾った。
同じ2連勝だった琴勝峰(佐渡ケ嶽)を相手に動きよく、引っかけで勝利した。
「前に出てたんでいい相撲だったと思う」と自画自賛し、「ここから集中して白星につなげていきたい」と意欲を示した。
171センチ、131キロと幕内では小柄。「勝ったら自分はちっちゃいんで(館内が)盛り上がると思う。どんどん勝っていきたい」とこれからも勢いづく。
元横綱朝青龍のおい、西十両16枚目豊昇龍(21=立浪)が、2敗目を喫した。
右四つから旭大星に頭をつけられ、上手投げにも強靱な下半身で堪えたが、最後は寄り倒された。
張り差しを狙っていたが「失敗した。相手に読まれていた」と豊昇龍。
「相手が強いと思いました」と、幕内の壁を痛感した。
3日目を終えて1勝2敗となった。
21歳のホープは「今日の相撲を気にせずに切り替えていきたい」と前を向いた。
勝負審判が、取組の合間にトイレに行くという珍しい場面があった。
幕内後半の隆の勝−御嶽海戦後、審判を務めていた二子山親方(元大関雅山)が席を立った。
白房下が不在となり、NHK大相撲中継でアナウンサーが「お手洗いにいかれたようです」とリポートした。
二子山親方は、次の取組の正代−遠藤戦が始まる前に復帰。
時間前に立ち合うことがなかったため、進行には影響しなかった。
打ち出し後、電話取材に応じた伊勢ケ浜審判長(元横綱旭富士)は「腹痛を訴えていた。無理して座っていたらしい。差し込むような痛みで、どうしても我慢できずにトイレにいった」と説明した。
体調不良は打ち出し後に知ったという。
二子山親方の様子について「顔色も悪く、汗も出ていた」と明かした。
3日目から予定していた前相撲が行われないことになった。出場者が1人しかいないためで、昭和40年代に現行制度ができて以来初めて。
2020/09/15
元大関の西前頭11枚目・琴奨菊(36)=佐渡ケ嶽=は秋場所3日目の15日、日本相撲協会へ休場を届け出た。
協会に提出した診断書によると、「左下腿(かたい)肉離れで全治2週間の見込み」。
琴奨菊はこれまで1勝1敗で、この日取組が組まれていた東前頭11枚目・千代大龍(31)=九重=戦は不戦敗。
今後再出場することなく全休すれば、2005年春場所以来となる十両への陥落は免れなくなる。
電話取材に応じた師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)は「昨日(2日目)相撲を取ってる時に、『ブチッ』と音がしたということだった」と説明。
この日の朝、「まだ痛みがあり、今は足を着くことができない」と本人から電話で報告を受けたという。
今後の再出場の可能性については「よくなれば、本人は出たい気持ちはある。私は本人の気持ちを優先したい」と話した。
2020/09/15
連敗を喫した後に残った土俵下で、朝乃山はぼうぜんとした表情を浮かべた。
出場力士の中で最上位の東大関が初日に続く取りこぼし。
無念そうにうつむき、唇をかんだ。
ショックの色はありありで、珍しく報道陣の取材にも応じなかった。
過去2戦2勝だった隆の勝に不覚を取った。
おっつけられて右差しを封じられると、さらにはず押しで攻められた。
苦し紛れの小手投げで呼び込んで残す腰がなくなると、力なく寄り切られた。
初日の遠藤戦は攻め急いで落とし、この日は立ち合いの圧力を欠いて平幕に完敗。
場所前には「連敗したら上にいけないという覚悟を持ってやらないといけない」と気合を込めて語っていたが、皮肉なスタートになってしまった。
この2日間は、白鵬と鶴竜の両横綱不在によって一層重くなった看板力士の重責が空回りにつながったかのよう。
今こそ問われるのが、引きずらない精神面の強さだ。
初日に「切り替えて自分の相撲を取り切れるように頑張る」と誓った言葉を、胸に刻んで立て直していかなければならない。
休場明けの不安を払拭する貴景勝の連勝スタートだ。
頭で低くぶつかり、隠岐の海の胸あたりを両手で押す。
前傾姿勢を崩さす、一方的に押し出した。
初日の照ノ富士戦に続いての電車道。
先場所痛めた左膝は問題なく動いている。
取組後は集中力を高めているのか報道陣の取材に応じなかった。
代わって土俵下で見守った高田川審判長(元関脇安芸乃島)が解説。
「馬力がある。自分の一番いい形で取れている」と称賛の言葉を並べた。
大関昇進は昨年3月の春場所後。
以降、両膝や大胸筋などの負傷があり、目立った成績を残せていない。
本人にも危機感はある。
場所前には「地位が地位なので優勝しないと。前、優勝したのは小結のときだし。自分にハッパかけていかないといけない」と話していた。
元大関北天佑の次女と婚約も果たし、負けられない理由は増えた。
両横綱が休場し、同じ大関の朝乃山は序盤でつまずいている。
白星を重ね、番付の重みを示していきたい。
正代は馬力のある玉鷲を寄せ付けなかった。
やや立ち遅れたが、下がることなく右をのぞかせ、前へ前へと足を運んだ。
「立ち合いは少しおかしかったが、その後の出足はとても良かった」と納得の表情だった。
初日の隆の勝戦に続く快勝に「今のところは体がよく動いている。あとはこれを続けていくだけ」。
大関昇進も視界に入る場所で上々のスタートを切った。
大相撲秋場所(東京・両国国技館)2日目の14日、上松町出身で西関脇の御嶽海(出羽海部屋)は、東前頭筆頭・照ノ富士(伊勢ケ濱部屋)を送り出しで破った。
初日13日は東前頭2枚目・北勝富士(八角部屋)を押し出しで退けた。
大関昇進を視野に入れる御嶽海は、三役で2場所連続となる2桁白星に向け、弾みとなる連勝スタートを切った。
先場所、両上手を与えて手も足も出なかった照ノ富士に、今場所はまわしを許さなかった。
2度目で立った立ち合い、突き起こして先手を取ると、すかさず右に開いて相手を崩した。
北勝富士を立ち合いから圧倒して一気に押し出した初日とは違い、組まれないように考え抜いた相撲で2勝目を挙げた。
3日目の15日は、西前頭筆頭・隆の勝(千賀ノ浦部屋)と対戦する。
過去1勝1敗だが、立ち合いで後手に回る相撲が続く。
3月場所は押し出しに屈したが、7月場所は御嶽海が土俵際で踏みとどまり、はたきで仕留めた。
先場所、ともに11勝を挙げ今場所は大関昇進への足固めにしたい両関脇が、ともに快勝して連勝発進。
協会トップの八角理事長(57=元横綱北勝海)も相撲内容を含め評価した。
東関脇の正代(28=時津風)は押し相撲の玉鷲(35=片男波)を右、左とのぞかせながら、相手の突き押しを完全に封じ、お株を奪うように押し出した。
八角理事長が最初に発したのが「見違えるね」。
自身も押し相撲で最高位に上り詰めただけに「押し相撲の力士は、正代のように出られるのが一番いやなんだ。押し相撲の玉鷲に(いい内容で)勝って自信がつくだろう」と弾みがつくことを見通した。
ただ、胸を反らすような立ち合いについては「上位相手に、反っているようでは優位にいかない。もっとアゴを引いてほしいな」と注文も忘れなかった。
一方、先場所優勝の照ノ富士(28=伊勢ケ浜)を、いなして背後について送り出した西関脇御嶽海(27=出羽海)についても「押し勝って相手に力が伝わっているから、いなしが効く。押し勝つ相撲が大事」と「大関候補」と期待されて久しい優勝2回の実力者を評価。敗れた照ノ富士については「膝の不安が大きい気がする」と分析していた。
元大関豪栄道の武隈親方(34)が14日、断髪式(東京・両国国技館)を2022年1月の初場所後に延期することを明かした。
NHK大相撲中継の幕内解説の席で「世の中の情勢を踏まえまして、再来年の初場所後にやることになりました」と発表した。
今年初場所限りで引退した武隈親方は当初、来年1月31日に予定していた断髪式を同年6月5日に延期していたが、再延期を決めた。
大相撲の三役格行司、木村晃之助(55=九重)が、秋場所3日目から土俵に復帰する。
日本相撲協会は14日、秋場所3日目の取組表を発表し、幕内取組の行司に晃之助が加わった。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)はこの日、休場している晃之助について言及。
「木村晃之助は奥さんが(新型コロナウイルスの)接触確認アプリで通報があって、COCOAだったかな。それで大事を取って、きのう休んでPCR検査を受けて陰性と出た。奥さんも陰性。2人とも体調不良とかあったわけじゃないけど検査をして見極めたということ。いつ復帰とかちょっと聞いてないけど復帰してもおかしくはない」と説明していた。
2020/09/14
大関2場所目の朝乃山(26=高砂)が、小結遠藤に負けて黒星発進した。
立ち合いで得意の右四つになれなかったが、引いた遠藤に対して前に出て圧力をかけた。
しかし、勝負を決められずに攻めあぐねていると、遠藤に右差しを許し、左上手を取って強引に上手投げを狙ったが、すくい投げで転がされた。
「攻め急いで相手に形を作らせた」と反省した。
今場所は白鵬と鶴竜の2横綱が休場となり、東大関の朝乃山が出場力士の中で最高位となった。
新大関場所だった7月場所は12勝で優勝次点となり、弾みをつけてきた。
周囲からの期待も膨らんできただけに重圧がかかった可能性があるが「先場所と変わらないです」と平常心を見せた。
19年初場所以来となる初日黒星発進にも「明日から切り替えて頑張ります」と力強く話して会場を後にした。
小結遠藤が“朝乃山キラー”っぷりを発揮した。
結びで大関朝乃山と対戦。
もろ差しとなり相手の上手投げを堪えると、右足を引っかけてすくい投げ。
対戦成績を7勝4敗とし、合口の良さを示した。
小結に復帰した人気力士は「初日勝てて良かった。あまり細かいことを考えず、今日の一番を集中するだけだった」と無心を強調した。
7月場所は初日に横綱鶴竜から金星を挙げたが、今場所も初日に殊勲星。
「明日からまた頑張る。これからもっと(状態を)良くしていきます」と意気込んだ。
新入幕の翔猿(28=追手風)が、白星スタートを決めた。
志摩ノ海(木瀬)を寄り切り。
最後は砂かぶり席から土俵回りの記者席も跳び越える勢いだった。
「少しだけ緊張したが、自分の相撲を取り切れた。いい相撲でした」と自画自賛。
新しい締め込みは、後援者と相談の上、新型コロナウイルスと戦う医療従事者を激励する思いもこめて鮮やかな青色にした。
「コロナでみんなが大変な思いをしている。見ている人が楽しめる、元気づく相撲をとりたい」と意欲を示した。
ベテランの西前頭15枚目松鳳山(36=二所ノ関)が、コロナ禍のオンライン取材について寂しい胸の内を明かした。
張り手を交えて旭大星を押し込んだが、攻めきれずに押し出されて黒星発進。
取組後、先場所に続くリモートでの取材では「攻められたから良かった。先場所みたいにぺたっという(下に落ちる)負けはない。相手のうまさにはまった」と前向きに振り返った。
土俵には慣れたが、一方で新様式の取材にはなじめていない。
取組後は勝ち負けにかかわらず、ユーモアを交えた取材対応に定評のある36歳だが、リモートでの取材対応について「どうでしょう。なかなか難しい。真っ正面と画面越しでは若干温度差がある。対面で話したいですね」と“コメント力”を発揮できないもどかしさを明かした。
元横綱朝青龍のおい豊昇龍が新入幕初日を白星で飾った。
スピードある立ち合いから逸ノ城を寄り切り。
「集中していた。勝ってよかった」。
実績のある巨漢を相手に持ち味を発揮しての好発進。
「自分のことを信じて15日間取り切りたい」。
幕内の土俵に新風を吹き込むか。
新十両の西十両13枚目錦富士(24=伊勢ケ浜)が、関取1勝を挙げた。
同学年で同じ新十両の王輝を左から下手投げ。
「緊張感はなかった。上手かかったけど、(王輝の)まわしの質も違って一気に出ることはできなかった。これから感覚をなじませていきたい」と振り返った。
今場所から身につける青い締め込みは、横綱白鵬がかつて使用していた締め込みの色を意識した。
「白鵬関が関脇から大関に上がるくらいの締め込み。ダークな感じで小さいころからおしゃれだと思っていた」。
初日の1、2週間前から稽古でなじませてきた。
場所前には地元青森に戻ってあいさつ回り。
コロナ禍で短期間の滞在だったというが「青森県は相撲どころ。幕内に上がってなんぼだと言われた」と地元の期待を感じながら、さらなる出世を見据えた。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は秋場所初日の13日、力士19人の新型コロナウイルス感染が判明した玉ノ井部屋で陰性だった力士ら協会員が、この日から再検査を受けることを明かした。
「陰性になった訳だけど同じ空間にいる訳だから日を置いて発症することもある。見極めていく。部屋の消毒もしているけど100%ではない。発症するのがみんな同じ日ではないから」と検査理由を説明した。
陰性が再度確認された場合でも、力士らの途中出場はないとした。
また、新型コロナウイルス対策のガイドラインに違反したため、秋場所を謹慎している松ケ根親方(元前頭玉力道)と時津風親方(元前頭時津海)が、感染の有無を調べる検査を受けたことも明かした。
時津風親方は陰性で、松ケ根親方は結果待ちだという。
2020/09/13
大関貴景勝(24=千賀ノ浦)が、婚約発表後初めての場所を最高位として引き締める。
秋場所(13日初日、東京・両国国技館)を翌日に控えた12日、同所で恒例の土俵祭りが行われた。
貴景勝は初日に、大関経験者で7月場所優勝の前頭照ノ富士と対戦する。
両横綱の休場により、大関朝乃山とともに出場最高位力士として迎える今場所。
2年ぶりの優勝を果たし、公私をますます充実させる。
看板力士としての自覚は十分だった。
電話取材に応じた貴景勝は「番付最上位が両大関なので自分たちが一番、一生懸命やって結果を残していかないといけない」と責任感を口にした。
白鵬、鶴竜の両横綱が初日から休場。
1年で2度の幕尻優勝が生まれるなど波乱続きの本場所を、最高位として静める役割が求められる。
初日は照ノ富士との“新旧”大関対決が組まれた。
照ノ富士との対戦は17年名古屋場所の1度だけで、貴景勝が押し出しで勝利。
当時は貴景勝が西前頭筆頭で、照ノ富士が大関と逆の立場だった。
いきなり先場所覇者との顔合わせとなったが「自分が目指す相撲というのを取っていきたい。15日間どっかでやるんだから初日も何日も関係ない。やるか遅くやるかだけ」と、平常心を強調した。
“婚約場所”を飾りたい。
先月8月30日に元大関北天佑の次女で元モデルとの婚約を発表。
場所前には「1人の時も一生懸命やっているから特に変わることはないけど、いい成績を残したいと思うのはある」と意気込んでいた。
2度目の優勝を果たせば、嫁取り直後の綱取りが待っている。
大相撲秋場所(13日初日、東京・両国国技館)を翌日に控えた12日、同所で初場所と春場所の優勝力士への優勝額贈呈式が行われた。
初場所で幕尻優勝を果たした前頭徳勝龍(34=木瀬)と、春場所で44度目の優勝を達成した横綱白鵬の師匠、宮城野親方(元前頭竹葉山)が出席。
本来は5月の夏場所前に行われる予定だったが、夏場所が中止になり延期となっていた。
優勝額贈呈式の様子は日本相撲協会の公式ユーチューブチャンネルにてライブ配信された。
ライブ配信で徳勝龍は協会のインタビューに応じ「大相撲9月場所が明日から始まります。精いっぱい頑張りますので応援よろしくお願いします」とコメントした。
日本相撲協会の尾車事業部長(元大関琴風)は12日、報道陣の電話取材に応じて、現在禁止となっている出稽古について条件付きで解禁する可能性があることを明かした。
尾車事業部長は「場所後の休養期間を終えた後に出稽古をやっていけるんじゃないか」などと説明した。
秋場所前に力士会から、出稽古解禁の要望があった。
それに対して「コロナ禍の中では番付発表からの2週間の行動が一番大切。(感染した場合)2週間というのが1つの隔離期間。(感染者が出た場合)出稽古に行った部屋も(隔離)ということになる。だから番付発表前に出稽古を解禁できるように考えています」と説明した。
番付発表は原則、本場所初日の13日前に行われる。
番付発表後に出稽古を行い新型コロナウイルス感染が判明して2週間隔離となってしまうと、本場所初日に間に合わない計算となる。
そのため、本場所終了後から次の場所の番付発表までの間に出稽古を解禁できるよう、新型コロナウイルスの専門家らと話し合いを行って調整するという。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は12日、二所ノ関部屋付きの松ケ根親方(元前頭玉力道)に協会作成の新型コロナウイルス感染対策のガイドラインに基づく行動に違反したとして、秋場所(13日初日、東京・両国国技館)を謹慎させることを明かした。
松ケ根親方は7月場所後の8月6日に、PCR検査を受けた際に陽性反応が判明していた。
芝田山広報部長によると、詳しい内容は不明だというが不要不急の外出があったという。
同広報部長は「2週間ごとに指針が決まっていてそれに違反した。意識が薄い。部屋持ちではなくても親方は同じ。部屋に稽古を見にいくのだから(新型コロナウイルスを)持ち込む可能性はある。何のための講習会だったのか。協会が一丸となって持ち込ませないようにしている。浅はかすぎる。非常に軽く考えている」などと厳しい言葉を並べた。
11日には同様の理由で、時津風親方(元前頭時津海)が謹慎となった。
松ケ根親方の処分は時津風親方と同様に、危機管理委員会、コンプライアンス委員会で調査を行い、秋場所後の理事会で決まる見通しとなっている。
大相撲秋場所(13日初日、東京・両国国技館)を翌日に控えた12日、同所で本場所の安全を祈願する恒例の土俵祭りが行われた。
先場所に続き非公開で行われ、日本相撲協会の公式ユーチューブチャンネルにてライブ配信された。
新型コロナウイルス感染予防のため三役以上の力士は出席しなかったが、約700人の視聴者がライブ配信を通じて土俵祭りの様子を見守った。
2020/09/12
日本相撲協会審判部は11日、東京・両国国技館内で審判部による大相撲秋場所(13日初日、両国国技館)の取組編成会議を開き、初日と2日目の取組を決めた。
白鵬(35=宮城野)鶴竜(35=陸奥)の両横綱は、ともに診断書を提出し休場が決まった。
2人以上の横綱全員が初日から不在となるのは、1場所15日制が定着した49年夏場所以降では、83年夏場所の千代の富士、北の湖以来37年ぶりの事態となった。
白鵬は7月場所を右膝負傷で13日目から休場し、8月13日に内視鏡手術を受けていた。
診断は「右膝蓋大腿靱帯損傷と関節内巨細胞腫」で今後約3週間のリハビリを要する見込み、とされた。
宮城野部屋関係者によると、ここまで相撲を取る稽古までに至っていない状態だったという。
また7月場所を2日目から休場する原因となった右肘の負傷が完治には至らず、2週間ほどの加療が必要と診断された。
9日に報道陣の電話取材に応じた際にも、本格的な稽古を再開できていない状況を明らかにしていた。
大相撲の横綱白鵬(35=宮城野)が秋場所(13日初日、東京・両国国技館)を初日から休場することが決まった11日、師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)が白鵬の状態を説明した。
師匠によると、日本相撲協会には「右膝蓋大腿靱帯損傷、関節内巨細胞腫で今後約3週間のリハビリテーション加療を要する見込み」との診断書を提出。
8月13日に関節鏡視下手術を行い、その後は治療をしてきたという。
「これからリハビリして稽古という感じ。まだそんきょもできない状態。先生が言うには良くこの形で相撲を取れたねと不思議に思ったくらい悪かったみたい」と説明した。
11月場所の出場についても、師匠は「ギリギリ取れそうな感じですね。今の感じで行くと」と不安視していた。
大相撲の横綱鶴竜(35=陸奥)が秋場所(13日初日、東京・両国国技館)を初日から休場することが決まった11日、師匠の陸奥親方(元大関霧島)が「進退懸けてやらなきゃいけないところまできている」と、横綱として後がない状況まできているとの認識を示した。
鶴竜は7月場所では右肘の負傷を理由に2日目から途中休場した。
師匠によると、休場の原因はその右肘で「状態があんまり良くない」と説明した。
鶴竜は秋場所までの約1カ月の調整期間で、出稽古が解禁されないまま稽古を重ねる不安を何度も口にしていた。
9日に報道陣の電話取材に応じた際は、本格的な稽古が再開できていないことも明らかにしていた。
2場所連続休場明けとなる11月場所は、横綱の責任を果たさなければいけない場所になる。
師匠は「完全に100%良くなることはない。気持ち的にもうこれでやって、ダメだったらいろいろ考える部分もあると思う。本音はどうなのか分からないが、そういう気持ちはあるんじゃないか。休んでやることやって次の場所に取れれば、本人も答えが出るんじゃないかと思う」と、鶴竜の心境を察した。
大相撲秋場所(13日初日、東京・両国国技館)で2場所連続優勝を目指す東前頭筆頭照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、初日に大関貴景勝(24=千賀ノ浦)と対戦することが決まった。
2人の対戦は17年名古屋場所以来2度目。
当時の番付は正反対で照ノ富士が大関、貴景勝が西前頭筆頭だった。
3年ぶりの対戦に照ノ富士は「やれることやるだけなんで。別にどうこうってことは全くない」と多くは語らなかった。
照ノ富士が番付を下げている間に、貴景勝は大関まで駆け上がった。
24歳の大関の印象を照ノ富士は「もともと地力もありましたし、よう稽古してましたし、上がるなっていうのは分かってた」。
復活優勝を果たした先場所と違い、序盤から上位と当たる展開。
「逆にどうせ当たる。いつ当たってもいいようにと思っている」と、不安は口にしなかった。
「できるなら誰でも優勝したいと思ってますから。そのとき誰が一番頑張ったか、誰が一番調整できたかっていう人が優勝するんじゃないですか」
史上最大の復活劇を果たした大関経験者は、今場所も主役に名乗りを上げる。
25歳での若さの決断に、角界に衝撃が走った。
木瀬部屋の十両木崎海が、8月27日に現役を引退した。
引退の理由は慢性的に抱えていた首の痛みで、手にもしびれが及んでいたという。
鳥取城北高で高校横綱に輝いた木崎海は、日大では4年時に全日本選手権で3位となり、三段目100枚目格付け出しとして18年春場所でデビュー。
将来を嘱望されていた。
師匠の木瀬親方(元前頭肥後ノ海)は「真面目な人間。なあなあに取っていくのも心苦しかったんだと思う」と弟子の心境を察した。
首の痛みについて、師匠に相談はあっても弱音を吐くような様子はなかったという。
中途半端な状態で相撲を取るべきではないと判断した木崎海の意思を、木瀬親方は「勇気がいること。男らしいと思う」と評した。
実直な雰囲気で土俵外では“癒やし系”として知られていた。
十両の優勝争いに加わった昨年九州場所。
取材が終わると毎日、立ち止まって報道陣に「ありがとうございます」。
丁寧にペコリと頭を下げる姿は、関取の中でも異彩を放っていた。
最近の最も高い買い物を問われると、10万円の電動アシスト自転車と答え「出稽古まで行くのに坂が多いから助かるんです」と笑みを浮かべた。
巡業先では毎日欠かさず土俵に上がるなど、稽古熱心さでも存在感を放っていた。
木瀬親方も「相撲に対しては純粋に取り組んできた。巡業中も真面目に取り組んでいると聞いていたので」と誇らしそうに振り返った。
木崎海の出身地は沖縄県うるま市。
同県出身の関取は7月場所時点で兄の十両美ノ海(27=木瀬)と2人だけで「いい成績を残して地元を盛り上げたい」と何度も語っていた。
今後、両親と相談しながら治療先の病院を探すという。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は11日、新型コロナウイルス感染が判明した玉ノ井部屋の力士19人全員が、医療機関に入院したことを明かした。
協会は10日に、十両富士東と幕下以下の力士17人が新型コロナに感染したことを発表した。
5日感染した幕下以下の力士1人を含め、同部屋の感染者は19人となっていた。
10日の発表時点では19人の内、12人が入院しているとしたが、その後同日に加えて3人が入院したという。
そして、この日の午前にさらに4人が入院したことを明かした。
力士らが入院している医療機関について「1箇所ではなく、振り分けられて病院に入っている」と説明。
現在、玉ノ井部屋には陰性だった協会員しかいないというが「万が一があるから外には出せない」と話した。
日本相撲協会の伊勢ケ浜審判長(元横綱旭富士)が11日、10日に新型コロナウイルスの集団感染が判明し、秋場所(13日初日、東京・両国国技館)を休場することになった玉ノ井部屋の力士について、番付の扱いを場所後の番付編成会議で話し合うことを明かした。
取組編成会議が両国国技館で行われたこの日、電話取材に応じ「どうする、こうするとはっきり決めるんじゃなくて、やっぱり番付(編成会議)の時にまた考えて対処していきたい」と話した。
2日後に迫った秋場所については、2場所連続優勝を狙う弟子の東前頭筆頭照ノ富士(28=伊勢ケ浜)に期待を込めた。
照ノ富士は初日に大関貴景勝と対戦。
「照ノ富士は古傷というかけがもあるし完全に治っていない。自分の持っているもの出せるものをしっかりだして頑張って行くだけ」とエールを送った。
白鵬、鶴竜の両横綱が休場し、複数の横綱が休場するのは37年ぶりと異例の場所となった。
伊勢ケ浜審判長は「協会の看板が2人とも休場ということで、ちょっと残念な感じがします。けがとかそういうのがあればしょうがないというのはありますよね」と残念がった。
朝乃山、貴景勝の両大関が最高位となり「場所を盛り上げて、両大関が引っ張っていかないといけない」と看板力士としての役割を求めた。
7月場所では感染対策として、物言いがついた際は親方同士が土俵上で距離を取って協議を行った。
伊勢ケ浜審判長は審判部での感染対策について「先場所と同じです」と、秋場所も“ソーシャルディスタンス”での協議を継続することを明かした。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は11日、時津風親方(元前頭時津海)が協会作成の新型コロナウイルス感染対策のガイドラインに基づく行動に違反したとして、秋場所(13日初日、東京・両国国技館)を休場、謹慎させることを明かした。
時津風部屋の師匠代行は枝川親方(元前頭蒼樹山)が務めるという。
違反行動の詳細については明かさなかったが、同広報部長は「要するに外出といっても協会が決めている。場所が終わってからここまで知人との会食はいいですよとか、ゴルフ行ってもいいですよとか、映画いっていいですよとか決めごとがあったと思う。そういった中で違反行為があった」と大枠を説明した。
協会は徹底した感染対策に取り組んできた。
芝田山広報部長は「外に出るなと言っているわけじゃない」と前置きしつつ「師匠である以上、自分の弟子を抱えている以上、しっかりとそのあたりの管理をしなきゃいけない立場の人が、安易な行動違反をしてしまうことでこういうことになる」と強調した。
2020/09/11
日本相撲協会は10日、十両富士東(33)ら玉ノ井部屋に所属する18人の力士が、新たに新型コロナウイルスに感染したことを発表した。
同部屋では5日に幕下以下の力士1人の感染が確認されており、同部屋の感染者数は合計19人となった。
そのうちの12人はすでに医療機関に入院しており、いずれも軽症。
ほかの7人は無症状で東京・足立区の部屋内で隔離されており、近日中に入院治療を行う。
師匠の玉ノ井親方(43=元大関栃東)と所属力士28人は、陰性者も含めて全員が秋場所(13日初日、東京・両国国技館)を全休する。
芝田山広報部長(57=元横綱大乃国)は、所属力士の番付編成上の救済措置について「審判部が場所後の会議で決める。今の段階では申し上げられない」と前置きした上で「感染したことが悪いわけではない。何らかの形を取らないといけない」と検討する可能性を示唆した。
また、芝田山部長は秋場所の開催について「ほかの部屋から体調不良の報告はない。9月場所の開催に関しては全く問題ありません。感染対策をしっかりやっている」と説明した。
7月場所をケガで途中休場した白鵬(35=宮城野部屋)、鶴竜(35=陸奥部屋)の両横綱は調整が大幅に遅れ、秋場所への出場が厳しい情勢となった。
複数の横綱が初日から休場して不在となれば、1983年夏場所の千代の富士、北の湖以来、37年ぶりの非常事態となる。
関係者によると、この日の白鵬は稽古を回避して治療を受けたという。
先場所は初日から10連勝を飾りながら、右膝を負傷して13日目から休場。
8月に内視鏡による手術を受けたものの、稽古場で相撲を取れる段階には回復しなかった。
鶴竜は右肘を痛めて先場所2日目から休場し、それ以降は本格的な稽古を再開できていない。
9日には「体が全体的にできていない」と万全には程遠い状態を認めていた。
白鵬の師匠の宮城野親方(元幕内・竹葉山)、鶴竜の師匠の陸奥親方(元大関・霧島)はこの日、報道陣に対応しなかった。
両横綱は故障が目立ち、令和になってから7場所で、休場はともに4場所に及んでいる。
荒磯親方(元横綱・稀勢の里、本紙評論家)が東海ラジオ(本社・名古屋市)で冠番組を持つことになり、10日にリモートで初収録に臨んだ。
番組は10月5日スタートの「荒磯親方 横綱人生道」(月曜午後7時、本場所開催中を除く)。
現役の親方が民放ラジオ局にレギュラー出演するのは極めて異例で、大相撲の普及の一環として、少年時代からの生い立ちや相撲道で培った人生観などについて語る。
「荒磯親方に聞く!」のコーナーでは、視聴者からの質問や人生相談を受け付ける。
「プライベートの相談に乗るのは難しいが、どこか相撲に通じるところがあると思う」と元横綱の視点で答えていく。
また「横綱人生応援歌」では現役時代からの思い出の曲を紹介するという。
2020/09/04
横綱白鵬が右膝の手術を受け、秋場所の出場がピンチとなっていることが1日、明らかになった。
4カ月ぶりの再開となった7月場所で、白鵬は古傷の右膝を痛め、優勝の可能性を残しながら13日目から休場。
半月板損傷などで約2週間の加療を要する見込みとの診断書を提出し「今はただ一日も早く土俵に戻れるよう、新しいけがと自分の体に向き合い、治療致します」とコメントしていたが、8月に内視鏡による手術を受けていた。
柔軟運動はしているものの、四股やすり足を行うまでには至っていない状態。
初日まで2週間を切った段階で、本格的な稽古再開の見通しが立っていないという。
衰えが指摘されている白鵬は、ここ3年の17場所中、5度優勝も、10度が休場。
一昨年10月に右膝の内視鏡手術を受けた直後の九州場所は全休している。
関取最年長の琴奨菊がこの日、両国国技館を訪れ、新型コロナウイルス対策として禁止されている出稽古の解禁を、協会幹部へ要望した。
力士の意見をまとめ、1つの部屋に集まるのが難しいのであれば、国技館の土俵を使って広い空間で行うことなどを直談判したようだが、秋場所前は認められず。
芝田山広報部長は番付発表後の出稽古について、PCR検査を必要とし、陽性者が出た場合の対応の関係で日程的に困難との見解を示していた。
大関朝乃山が幕下力士から刺激を受けて秋場所に臨む。
東京・墨田区の高砂部屋での稽古後に報道陣の電話取材に応じた。
番付発表翌日の1日から相撲を取る稽古を再開し、2日は部屋の4人の幕下力士との申し合い稽古で10番ほど取ったという。
本来、場所前は出稽古で調整するが新型コロナの影響で禁止。
ただ、関取を目指す若い衆との稽古に「刺激になる部分がある。自分もそれに負けないように。自分の役目は4人の幕下の子たちを、上にあげること」と話すなど、大関としての自覚も芽生え、心身ともに充実している。
大相撲の大関貴景勝(24=千賀ノ浦)が3日、婚約発表後初めて電話取材に応じた。
8月30日に元大関北天佑の次女で元モデルとの婚約を発表。
秋場所に向けて「1人の時も一生懸命やっているから特に変わることはないですけど、いい成績を残したいと思うのはある」と淡々と意気込んだ。
周囲からの祝福は「ぼちぼち」受けたという。
伴侶を得て、身の回りのサポートを受けることによる好影響も「それは、やっぱり、はい」とうなずいた。
健康診断では、体重が前回から14キロ増えて183キロとなった。
「着物とか帯とか羽織の中に携帯を入れているから(計測は)あてにならない。(体重が増えた感覚は)変わっていない」。
違和感なく動けていることを強調した。
本場所に向けて“馬肉パワー”を注入している。
猛暑の中で馬肉を好んで食べていることを明かし「刺しでもいくし、桜鍋とか。タンパク質が高くて、脂質も少ない。食べやすいのもあって、おいしいからしっかり食べるようにしている。馬肉だけにこだわらずに、いろんなものをちゃんと、しっかり食べるようにしています」。
外出自粛期間中は栄養学を今まで以上に熱心に勉強してきた。
この日、都内の部屋で行われた朝稽古では、関取衆と相撲は取らずにぶつかり稽古などで体を動かした。
7月場所で途中休場する要因となった左膝の状態については「悪くないと思う」と説明。
初日まで10日間。
出稽古が解禁されないまま初日を迎えることになるが「うちは強いお相撲さんがいるので。しっかり仕上げて、頑張っていきたい」と、力強く話した。
大相撲の関脇正代(28=時津風)が3日、大関昇進に向けてマイペースを強調した。
3日、電話取材に応じ、大関とりの期待が高まっていることについて「ちらほら声をかけられますけど、まだそこまで意識というほどじゃない。変に自分の相撲を崩すことにならないように、自分の相撲を取りきってそういう結果もついてきたら」と意気込んだ。
秋場所(13日初日、東京・両国国技館)に向けてこの日は弟弟子の東前頭4枚目豊山(26)との三番稽古に臨んだ。
10番取って8勝2敗。
「まだちょっと体が硬い」と振り返ったが「特にけがもなく稽古ができている。(場所の)間隔が短いのはちょっと大変だけど、そこまで気にすることもない」と話した。
大関とりだけでなく、自身の“嫁とり”にも言及した。
先月30日に大関貴景勝が婚約を発表。
若い力士に結婚ラッシュが続いているが「行き遅れじゃないですけど(笑い)。変に周りに合わせてすることでもない。自分には自分のタイミングがある」と笑みを交えて語った。
新関脇の大栄翔が、健康体で大相撲秋場所(9月13日初日、東京・両国国技館)を迎えることをテーマに掲げた。
埼玉・草加市の部屋で、十両大奄美らと申し合い稽古。
19番取って16勝。
「立ち合い、しっかり当たることと突き押しで攻めること」を意識したという。
今年に入って、これまで以上に、体調面に気を使い始めた。
積極的に、多くの野菜を摂取しているという。
「病気が怖いので野菜をバランスよく食べないといけない。部屋では酢玉ネギを食べています。健康にいいらしい」。
相撲はもちろん、しっかりと体調も整える。
関取最年長の琴奨菊がこの日、両国国技館を訪れ、新型コロナウイルス対策として禁止されている出稽古の解禁を、協会幹部へ要望した。
力士の意見をまとめ、1つの部屋に集まるのが難しいのであれば、国技館の土俵を使って広い空間で行うことなどを直談判したようだが、秋場所前は認められず。
芝田山広報部長は番付発表後の出稽古について、PCR検査を必要とし、陽性者が出た場合の対応の関係で日程的に困難との見解を示していた。
大相撲の東前頭4枚目豊山(26=時津風)が、大関昇進を目指す兄弟子を手本に飛躍を目指すことを誓った。
31日、都内の時津風部屋で兄弟子の関脇正代(28)との三番稽古に臨んだ。
豊山は好調な兄弟子に続きたい。
三番稽古で大関候補の正代と10番取ってわずか2勝。
「もうめちゃくちゃ強い。力ついてきたというレベルじゃない」と差をつけられたが、正代が上位で安定して勝てるようになったのはここ3場所のこと。
豊山も「自分も1つ、殻を破れたり、自分の中ではじければ、何か変わると思って。そこは吸収できればいい」と、飛躍のきっかけを模索している。
2020/09/02
日本相撲協会は8月31日、東京・両国国技館で理事会を開き、この日、新番付が発表された大相撲秋場所(両国国技館)を当初の日程通り、9月13日初日で開催することを決定した。
▽変わらず 横綱、大関の顔触れは変わらず。大関で朝乃山と貴景勝の東西が入れ替わった。
▽新関脇 東西の正代、御嶽海はそのまま。大栄翔が新たに就いた。埼玉県出身は若秩父以来57年ぶり。3関脇は17年九州場所(御嶽海、嘉風、照ノ富士)以来で大関経験者なしの3関脇は11年秋場所(琴奨菊、稀勢の里、鶴竜)以来。
▽返り咲き 小結は先場所西の隠岐の海が東、西は遠藤が2場所ぶり復帰。
▽明暗 先場所幕尻優勝の照ノ富士が一気に16枚番付を上げて東前頭筆頭に。出場停止処分の阿炎は9枚下げ西前頭14枚目。
▽新入幕 翔猿は追手風部屋から10人目の幕内。兄英乃海との史上11組目の兄弟幕内。元横綱朝青龍を叔父に持つ豊昇龍はモンゴル出身では27人目、外国出身では50人目の幕内力士。
▽新十両 王輝は新潟県出身では戦後17人目、錦富士は青森県出身では戦後65人目。
大相撲秋場所(13日初日、東京・両国国技館)で再入幕を果たした東前頭13枚目明生(25=立浪)が、番付発表から一夜明けた1日、茨城・つくばみらい市の部屋で稽古を行った。
新入幕の豊昇龍や十両天空海らと計19番相撲を取った。
稽古熱心で知られる明生だが「暑いので長々とはできない。一番一番集中してやっていこうという感じ」と電話取材で話した。
1月に左肘を負傷し、体の管理についても考え方が変わったという。
「無理をしないように、けがをしないような体をつくらないといけない。でもけがをした後は自分の体をいたわってしまうので、そしたら追い込むことができない。それはだめだし、そこらへんが難しかった。でも学べたことだと思います」と明るい声だった。
以前からトレーナーを雇って肉体強化に励んでいるが、外出自粛期間が続くここ数カ月は週に3、4回来てもらっている。「こんなに長く雇ったことはなかった。見た目、体つきは変わった。腕が使えるようになってきた。体幹、腹筋を集中してやっている。強くなってきている」と効果を実感。トレーナーは怪力を競う「ストロングマン」の選手で、現在は大学のラグビー部などでトレーニングを指導している。「どういうところの筋肉を使っているとか、全部教えてくれる」と、頼もしい存在とともに力をつけている。
昨年九州場所には西前頭2枚目まで番付を上げた実力者は、関取ながら国技館への移動に電車を利用することで知られていたが、コロナ禍で7月場所は車で場所入りした。
「(運転してくれるのは)知り合いだったり、おかみさんだったり、助かっています」。恩返しには本場所での活躍が一番。2場所ぶりの幕内の土俵に向けて「最高位を更新したい」と意欲を燃やした。
大相撲秋場所(13日初日、東京・両国国技館)で新入幕を果たした西前頭16枚目豊昇龍(21=立浪)が、幕内デビューに向けて調整のペースを上げた。
元横綱朝青龍をおじに持つサラブレッドは、番付発表から一夜明けた1日、茨城・つくばみらい市の部屋で関取衆や若い衆を相手に計8番相撲を取った。
電話取材に応じ「番付発表の次の、初の稽古なので軽くトレーニングしたり、軽く相撲を取った」とコメント。
3月の春場所、7月場所で不安を抱えていた腰の状態についても「大丈夫だと思う」と力強く話した。
新入幕の吉報は故郷モンゴルでも反響があり「(連絡は)ありました。『おめでとうございます』と。ニュースになっていると思う」と喜んだ。
新十両昇進が決まった昨年10月に帰郷して以来、モンゴルに戻っていないため、寂しい思いは「します」と答えつつも「やっぱり目指していることがあるので、それのために頑張らないといけない」。
いまは早期の出世に向けて相撲に打ち込む。
7月場所では同学年の東前頭12枚目琴勝峰(21=佐渡ケ嶽)が8勝7敗で勝ち越した。
高校時代から対戦経験があり、大相撲では2戦2敗。
「なんか熱くなってしまう。高校のときは勝てたけど大相撲では勝ったことがない」と特別視。
99年度生まれの同世代では元横綱大鵬の孫、納谷も幕下上位で奮闘しており「強いのになんで上がってこないんだろうと思う」と、関取昇進を待ち望んでいた。
2週間を切った初日までに「できれば何キロでもいいから太りたい」と、現在131キロの体重を増やすことが目標だ。トマトなど「好き嫌いは多い」タイプだが、間食にお茶漬けなどをかき込んで食事量を増やしている。
今場所は幕内下位だが、将来的には横綱、大関との対戦も熱望している。
「そのうち戦うんじゃないですか。フフフ」と不敵に笑った。
大相撲の中村親方(元関脇嘉風)が1日、都内で行われた、「一般社団法人 APOLLO PROJECT」設立の記者会見にリモート参加した。
同団体はサッカーのC大阪で活躍した山内貴雄氏が代表理事を、元ラグビー日本代表の広瀬俊朗氏らの元アスリートらが理事を務め、アスリートのセカンドキャリアなどをサポートする団体。
中村親方は、同氏らが熱弁した自身の現役時代の体験や引退後の活動、おのおのが考えるアスリートの価値などについて耳を傾けた。
中村親方は昨年秋場所に現役を引退し、現在は尾車部屋で後進の指導に当たっている。
会見中に「決断力」について問われた同親方は「部屋の若い衆は親方の指示に従って稽古をする。ただ関取になると、私の部屋(尾車部屋)では(師匠の尾車親方から)『番付が上がるも下がるも自己責任』と言われてほとんどを任せられた」と現役時には高い自己決定力が必要だったことを明かした。
そんな中で「30歳を過ぎてから、33、34、35歳の時は若い時のように毎日相撲を取る稽古は行わずにトレーニングばっかりやっていた。トレーニングをやっていれば体は動くと勝手に仮説を立てていた」と悔やんだ。
一方で「たくさん稽古をして成績を残すということに疑問を抱いていた。晩年は若い衆と同じ稽古量はできないなと思っていた。実際に自分が若い時の100分の1ぐらいの量だったけど質は高めました」と現役時代の経験や考え方を明かした。
中村親方は、同団体が来年1月から展開する「アスリート向け教育事業(A−MAP)」に1期生として参加し、人材育成講義を受講するという。
同親方は「楽しみがたくさんある。1期生としてしっかり学んで、自分のいい所を発見して次につなげていきたい」と語った。
また「角界は辞めた後の次が厳しい。残れる人は少しだけ。指導者として何とかしたい。若い衆もだけど、関取衆もこの世界に残れる保証はない。そんな人に自分でよければアドバイスできればなと思う」と講義で学んだことを、後輩に伝えていく。
大相撲のドキュメンタリー映画「相撲道〜サムライを継ぐ者たち〜」が10月30日から公開されることが31日、分かった。
東京・墨田区のTOHOシネマズ錦糸町で10月30日から、中野区のポレポレ東中野で同月31日で始まり、ほかに全国で順次公開される。
制作会社によると、過去には初代若乃花など特定の力士に焦点をあてたドキュメンタリー映画はあるものの、大相撲全体をとらえる映画は初めて。
俳優の遠藤憲一がナレーションを務める。
18年12月から19年6月の半年間、元大関豪栄道(現武隈親方)らが在籍する境川部屋と、前頭竜電らが在籍する高田川部屋に密着した。
朝稽古や独特な相撲部屋での日常生活、本場所での激闘などを歴史、文化のさまざまな角度からひもとく。
相撲漫画家の琴剣淳弥さん(60)もコーディネートプロデューサーとして作品に加わり、劇中画を描き、自身も本編に登場する。
メガホンを取ったのは「マツコの知らない世界」をはじめ長年テレビの演出家として活躍し、本作が映画初監督作品となる坂田栄治氏。
坂田氏は「映画完成直後、新型ウイルスにより世界は変わり、大相撲の風景も変わりました。あの数カ月間、力士たちの激闘と観客の大声援を両国国技館で撮影できたのは偶然の奇跡。大迫力の大相撲の感動と、力士たちのドラマをぜひ劇場で体感してほしいです」とコメントした。
武隈親方は「相撲は、裸一つでぶつかり合う、シンプルでわかりやすい究極の闘いです。それが人の心を揺さぶり、奮い立たせてくれるのだと思います。若い世代にも、日本の伝統を守っている力士の姿を、劇場で見てほしいです」と呼びかけた。
竜電は「長期間の密着は初めての経験でした。所作の美しさ、力士の個性あふれる着物姿、武器を持たず自分の体だけで勝負する、語り尽くせない相撲の魅力を、相撲ファンはじめ、まだ相撲を知らない方や子どもたちに、映画を通じて感じてほしいです」と話した。
琴剣さんは「大相撲を体験した者としてお薦めできる映画。相撲界の“伝統”“厳しさ”の映像美そして音響の106分。この映画を見終わったあと、きっとあなたも国技館へ行きたくなっているでしょう」とコメントした。
2020/08/03
朝乃山(26=高砂)は、史上9人目の新大関優勝は果たせなかった。
自身の取組前に、単独トップの照ノ富士が勝って優勝。
偉業は達成できなかったが、関脇正代相手にしっかりと前に出る朝乃山らしい相撲で寄り切って、12勝で今場所を終えた。
「この2日間、悪い相撲を取ったし、最後はきっちりと大関らしい相撲、自分らしい相撲をと思った。目の前で優勝が決まったけど、自分は千秋楽の相撲があったので引き締めていきました」とすがすがしい表情を浮かべた。
初日から9連勝するなど、一時は優勝争いでトップに立ったが終盤に後退した。
12勝3敗という結果も「悔しい結果です。すごい自分は弱いなと思った」と厳しい自己評価。
横綱白鵬、鶴竜、大関貴景勝が途中休場するなどし「大関なので務めとか責任感とか考えすぎた」と、地位によるプレッシャーがあったという。
来場所に向けて「絶対に(悔しさを)晴らしたいです」と言葉に力を込めた。
関脇正代(28=時津風)は結びで大関朝乃山(高砂)に敗れ、11勝で終えた。
直前の相撲で照ノ富士が勝ち、その瞬間に優勝の可能性が消滅した。
「残念でした」。
ただ、相手は同じ学生相撲出身でライバル視する朝乃山。
過去3勝3敗の五分で意地をぶつけにいったが、押し出された。
「思い切りいった結果なんで」とサバサバと振り返り、「全体的に体もよく動いて反応もよかった」と今場所を総括した。
関脇で2場所連続勝ち越し、11勝をあげた。
大関へ着実に近づいている。「自信につながる場所。(大関に)上がれるよう頑張ります」と気合を入れ直した。
関脇御嶽海(27=出羽海)が自力で優勝の可能性をつなげられずに悔しがった。
照ノ富士(伊勢ヶ浜)に両上手を許し、強烈な圧力になすすべなく寄り切られた。
「しっかり自分の相撲を取りきれなかった。悔しい」と言った。
部屋に関取は1人だけ。新型コロナウイルス感染防止のため、出稽古も禁止された中、難しい調整で迎えた場所だった。
その中での11勝は「目標の2桁は達成できた」。
横綱白鵬を破るなど優勝争いを盛り上げ、殊勲賞を獲得した。
再び大関とりへの起点となる。
「来場所はその上を目指して頑張りたい」と早くも先を見据えた。
小結大栄翔が「勝てば」の条件付きの重圧を克服し、2度目の殊勲賞を獲得した。
2つの不戦勝も、11日目に横綱白鵬の連勝を止め、優勝争いを盛り上げた。
「しっかり自分の形で攻めることができた。4カ月空いたが、そこで考えながら稽古できた」と満足感を口にした。
三役で初めて勝ち越し、11勝まで星を伸ばした。
「続けてこの成績を残せるように」と意欲を示した。
14場所ぶりに幕内復帰した大関経験者の東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、30場所ぶり2度目の優勝を果たした。
◆記録ずくめの復活V 30場所ぶりの優勝は、琴錦の最長43場所ぶりのブランクに次ぐ。
優勝制度ができた1909年(明42)夏場所以降、平幕優勝は32人目。
幕尻優勝は00年春場所の貴闘力、今年初場所の徳勝龍に続いて史上3人目(1年に2度は史上初)。
返り入幕の優勝は徳勝龍以来。
優勝と優勝の間で十両以下に落ちたケースはなく、序二段まで落ちて幕内復帰を果たしての優勝は史上初。
照ノ富士が初優勝した15年夏場所は関脇で、関脇以下で2度の優勝は貴花田、琴錦、御嶽海らに続いて8人目。
同一年に平幕優勝が2度あったのは92年初場所の貴花田、名古屋場所の水戸泉以来28年ぶり。
東十両2枚目の翔猿(とびざる、追手風=28)が9勝目を挙げ、来場所の新入幕に前進した。
「うれしいですね。受け身になっていたが、前に出る相撲がとれた」。
今場所が自己最高位。
174センチ、120キロと小柄ながら、しこ名の通り軽快に動き回る相撲で、大きなチャンスを引き寄せた。
兄は西十両4枚目の英乃海(31=木瀬)。
幕内経験のある兄を目標にしてきたが、「前に出て攻める相撲をとっていきたい」と掲げた。
2020/08/02
優勝争いが、がぜん面白くなってきた。
自力優勝の可能性があるのは照ノ富士(28=伊勢ケ浜)だけで、千秋楽で3敗の御嶽海に勝てば復活優勝が決定。
負けた場合、御嶽海と並び、結びの一番に3敗同士で対戦する朝乃山(26=高砂)と正代(28=時津風)の勝者を含めた優勝決定戦ともえ戦に持ち込まれる。
この展開に協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は「(14日目の残り3番は)みんな優勝がかかった相撲だった。
横綱、大関の休場は申し訳ないが、これで(ファンには)勘弁してもらおう。役者がそろったような気がする」と興味深そうに話した。
優勝の可能性があるのは4人。
単独トップだけに「照ノ富士が有利だろうが、御嶽海も勝てば決定戦(に出られる)。集中力もあるし優勝経験もある。照ノ富士は(本割の)一発で決めたいだろう。いい相撲を取ってくれることを願ってる」と話した。
御嶽海が勝った場合、ともえ戦への“進出決定戦”となる結びの一番については、この日、照ノ富士を破った正代の力量を評価した。
「正代が力をつけているということ。押し上げて圧力をかけての、いなしだから効いた。それにしても堂々としていた。(大関候補の)自覚が出てきたような気がする。今までだったら(大関候補と)言われても『いやあ、僕は…』と言っていただろう。その気になってもらわないと困る」と期待。
一方の朝乃山については精神的重圧をおもんぱかった。
照強の奇襲、足取りに屈したことに「警戒は頭にはあっただろうが、集中が散漫だったのかな。優勝争いとか(番付最上位者として)勝たなければならないとか、いろいろなことで意識が散漫して集中できなかったのか。新大関にして、1人で背負うのは荷が重いのではないか」。
両横綱に、もう1人の大関(貴景勝)が途中休場。
角界の期待、重責を1人で背負わされたような朝乃山の心中を察するように話した。
関脇正代(28=時津風)が「混沌(こんとん)の千秋楽」に持ち込んだ。
単独トップだった元大関の照ノ富士を寄り切り、自身も初優勝の可能性をつないだ。
同じ関脇の御嶽海も3敗を守り、結びで大関朝乃山が照強に敗れる波乱で4人が優勝争いに残った。
正代か御嶽海が優勝すれば、13日目終了時点でトップとの2差を覆す史上初の大逆転劇となる。
異例の場所で最後にドラマをもたらすか。
興奮を抑えられない。照ノ富士を寄り切った正代はほえるように右の拳を振り上げた。
「好調な相手だったんで、前の日の夜から気合が入っていた。そういうのが出てしまったと思います」。
結果も内容も完璧な相撲に感情が爆発した。
「(対策は)いろいろ考えたけど、一番納得できる相撲は、自分は立ち合いなんで」。
勝負をかけた立ち合いはもろ差し。
左上手を許してもかまわず前に圧力をかけ、絶妙なタイミングの引き技でバランスを崩す。
逃さず右を差し、最後は土俵下まで吹っ飛ばした。
もろ差しは照ノ富士に抱え込まれるリスクもあった。
「きめられることも頭にあったが、中途半端に当たって持っていかれるなら、思い切って前に出ようと集中していた」。
13勝を挙げた今年初場所、14日目に徳勝龍に土俵際で突き落とされ、星1つ差で賜杯を逃した。
勝ちを意識して足が出ず、逆転された相撲を反省した。
味わった悔しさがこの日の相撲につながった。
自ら可能性をつないだ。
「(優勝は)意識しても硬くなる。頭の片隅に置いておくぐらいで」。
可能性がある4人でただ1人、優勝の経験がない。
追う立場でもあり、気持ちは楽に臨める。
「千秋楽なんで、楽しめればいいかなと思います」。
その千秋楽は結びで大関朝乃山に挑む。
先に照ノ富士が敗れていれば、決定戦への生き残りをかけた一戦。
そして賜杯が現実になれば、13日目終了時点で2差から初の逆転劇となる。
故郷の熊本・宇土市では毎場所、正代が勝つと3発の花火が打ち上がる。
もちろんこの日も。豪雨被害に見舞われた熊本の人々は願っている。
逆転優勝の可能性が残った御嶽海が、不敵な笑みを浮かべた。
単独トップの照ノ富士が2敗目を喫した後の一番で、琴恵光に力の差を見せつける会心の相撲で3敗をキープ。
相手の前に出る動きを利用しつつ、土俵際ですくい投げを決めて「土俵際は落ち着いてましたから。自分の相撲に集中できました」と照ノ富士の負けにも冷静だったことをアピールした。
千秋楽では1差につけた照ノ富士との対戦が組まれた。
勝てば結びの一番(朝乃山−正代)を待たずしてともえ戦が決まる。
場所前は出稽古禁止の影響からか弱音を吐くことが多かったが、ここまで地力を見せて優勝争いにしっかりと食い込んできた。
昨年秋場所以来、3度目の優勝に向けて「しっかり自分の相撲を取ることですね」と話し、一呼吸置いてから「最後に笑いたいなと思います」と締めて会場を後にした。
東前頭7枚目の照強(25=伊勢ヶ浜)が、初の結びで大関朝乃山(高砂)を破る波乱を起こした。
「昨日の夜から付け人の錦富士と相談して決めた」という作戦を実行した。
立ち合いすぐに潜って朝乃山の左足をとると、休まず一気になぎ倒した。
勝った瞬間、「頭が真っ白になった」と振り返った。
直前に同部屋の照ノ富士が2敗目を喫していた。
「照ノ富士関が負けたんで、もう1度単独首位に立たせてやろうと。それが実現できてよかった」。
自身の勝ち越しもかかっていたが、「自分の星どうこうより援護射撃の気持ちが強かった」という。
照ノ富士が再び単独トップに立って千秋楽。
169センチ、120キロの小兵は「部屋一丸となって盛り上げていければ」と最後まで気持ちでも援護する。
再出場した西前頭13枚目琴ノ若(22=佐渡ケ嶽)は、東前頭4枚目輝に敗れた。
押し相撲の相手を右四つで組み止めて前に出たが、仕留めきれなかった。
土俵際で体を入れ替えられ、テーピングを施した左膝でこらえる体勢になると、あっけなく土俵を割った。
8日目に「左膝(しつ)内障により7月場所の休場を要する」との診断書を日本相撲協会に提出して休場していた。
休場中は再出場を目指し「治療をしてしっかり治そうとやってきた」と振り返る。
元横綱琴桜の孫で、佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)の長男というサラブレッド。
師匠には「前に出るしかない。
とりあえず思い切りいけ」と言われていた。
左膝の状態については「力は入っている」と強調した。
千秋楽を残して4勝止まり。
幕内残留に向けて、千秋楽の竜電戦は負けられない一番になる。
西前頭17枚目琴勇輝(29=佐渡ケ嶽)が7月場所14日目の1日、日本相撲協会に「右膝外側側副靱帯(じんたい)損傷、右膝外側半月板損傷により全治1カ月の加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
琴勇輝は13日目まで6勝7敗の成績で、負け越しが決定した。
休場は今年の初場所以来で10度目。
14日目の対戦相手、松鳳山は不戦勝となる。
今場所の十両以上の休場者は白鵬、鶴竜の両横綱、外出しての会食が発覚した前頭阿炎らに続いて6人目となる(14日目から再出場の琴ノ若を含む)。
日本相撲協会の審判部は大相撲7月場所14日目の1日、打ち出し後に翌日の千秋楽の取組編成会議を行った。
2敗目を喫するも単独トップのままとなった平幕の照ノ富士は3敗の関脇御嶽海と、3敗に後退した新大関の朝乃山は同じ3敗の関脇正代との対戦が組まれた。
照ノ富士は勝てば優勝。御嶽海が勝つと、照ノ富士、御嶽海、正代−朝乃山戦の勝者、による優勝決定ともえ戦になる。
東幕下3枚目錦富士が5勝目を挙げ、来場所の新十両昇進を確実にした。
十両千代の海の突き押しをタイミング良くいなして送り出した。
幕下上位だった昨年秋場所で左肘を負傷し、2場所連続の休場から再起した。
「照ノ富士関も両膝のけがから復活した。『自分の相撲を取れ』と言われて、自信を持って臨めた」。
幕内で単独トップに立つ兄弟子を刺激に、関取の座に近づいた。
2020/08/01
横綱白鵬(35=宮城野)が7月場所13日目、日本相撲協会に「右膝半月板損傷、膝蓋大腿靱帯(しつがいだいたいじんたい)損傷、関節内血症により約2週間の加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
白鵬は12日目の関脇御嶽海戦で2敗目を喫して連敗し、取組後の土俵下で右足を気にするしぐさを見せていた。
休場は初場所以来。
13日目の相手、関脇正代は不戦勝で10勝3敗となる。
師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)は前日12日目の夜、白鵬が場所中に右膝を負傷していたことを明かしていた。
2場所連続45度目の優勝を目指していた白鵬は、10日目には横綱通算1000出場を記録。
初日から10連勝で節目の一番を飾り、優勝争いの単独トップに立っていたが、翌日の11日目に小結大栄翔に敗れて歯車が狂った。
鶴竜の休場で2日目から一人横綱として場所を引っ張ってきた。
2日目の取組直後には「託されたなと思って、1日1日頑張って千秋楽までやりたい」と話していたが、15日間を務めることができなかった。
4カ月ぶりに再開した本場所は、場所終盤に横綱不在となった。
御嶽海が輝を引き落とし、目標の2桁10勝に到達した。
攻め込まれた形だが「余裕あった。(俵までの距離が)分かっていたんで」と狙い澄ました引き技だった。
関脇で2桁は、12勝した昨年秋場所以来。
目指す大関への起点となる。それでも気を緩めることなく、「あと2日残っている。気を抜かないようにやっていきたい」と引き締めた。
隠岐の海がついに三役初勝ち越しを決めた。
小兵・炎鵬の動きをよく見て慎重に攻め、最後は体を浴びせるように押し倒した。
「うれしいです」としみじみ。
三役は今場所が7場所目(関脇2場所)。
7月29日に35歳となり、分厚い壁をようやく突き破った。
「あと2日あるんでしっかり、2桁を目指してやっていきたい」と緩めない。
大関経験者の東前頭13枚目高安(30=田子ノ浦)が、東前頭8枚目石浦(30=宮城野)を破って、昨年名古屋場所以来となる勝ち越しを決めた。
懐に潜り込もうとする石浦を何度もいなしながら、冷静に対応。
最後ははたき込みを決めて、1年ぶりの勝ち越しを決めた。
大関だった昨年名古屋場所は勝ち越すも、左肘の負傷で途中休場。
以降も左肩や右膝、腰を痛めるなどの故障が続いた。
昨年名古屋場所以降、皆勤したのは今年の初場所のみ。
番付も幕内下位にまで落ちた。
「立て続けにケガしましたから。苦しい1年だった」と振り返った。
それでも「励ましてくれた人がたくさんいたから、もう1回頑張ろうという気持ちになった。
『上位で戦う姿が見たい』と言われるので、これからまた頑張りたい」と周囲の声援が何よりの力になった。
5日目には現在単独トップに立つ照ノ富士に、唯一の土をつけた。
大関経験者同士の一番を「対戦した時は感慨深いものがあった。懐かしいような新鮮なような。自分より番付を落としたのに本当に励みになる」と振り返った。
今場所も残すところ2日。
「まずは今場所しっかりと自分の相撲を取って、来場所まで期間が短いからしっかりと準備していきたい」と秋場所(9月13日初日、東京・両国国技館)を見据えて、土俵に上がる。
新入幕の東前頭15枚目・琴勝峰(20=佐渡ケ嶽)が勝ち越しを決めた。
千代大龍(九重)に立ち合いは当たり負けも、うまく左からいなしながら、最後ははたき込んだ。
「内容はよくなかったが、勝てたのでよかった」。
勝ち越しに王手をかけてから3連敗と足踏みが続き、「(考えすぎは)あると思います。勝ちたい気持ちが強すぎた」。
気持ちの面で切り替えた。
「その日だけ反省して、次の日に持ち越さないようにしました」。
幕内最年少のホープ。
あと2番で2桁勝利の可能性もある。
「明日から前に攻められる相撲をとっていきたい」と気持ちを新たにした。
幕内トップの11勝1敗同士で優勝争いの大一番となった“新旧大関”による結びの一番は、大関から序二段まで落ちはい上がってきた幕尻の東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、新大関の朝乃山(26=高砂)に寄り切りで勝利。
2日を残し優勝争いで単独トップに立ち、1歩リードした。
協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は、報道陣の電話取材に対応。
取組前には「照ノ富士の柔らかさが生きるような気がする。(どちらにしても)いい相撲をお願いしますよ」と熱戦に期待を込めた。
その一番が終わり、照ノ富士の表情がテレビ画面に映し出されると「『俺が大関だっ』って感じだな」と意地を見せた大関経験者の心情をくみ取るように話した。
「(取組時間は)短かったけど、いい相撲だった」と振り返る一番で照ノ富士の勝因に挙げたのが「上手を切ったこと」とし「切り方がうまい。体も柔らかい」と分析。
敗れた朝乃山については、常々、話しているように上手の取り方、その位置について言及。
「あのような(横からつかむような)取り方だから。小さい人にはきくけど、大きい人を相手にすれば、このような結果になる。投げに行っても防戦一方だった」と振り返った。
場所は2日を残し、幕内優勝争いは1差をつけた照ノ富士がリードする展開。
それでも八角理事長は、照ノ富士有利かの問い掛けに「いや、そうとも限らない。まだまだ」とし、14日目の対戦が決まっている正代を含め「残りは正代と(対戦相手未定の)千秋楽は御嶽海でしょう」と予想。
両関脇が照ノ富士の復活優勝の鍵を握りそうだ。
さらに「朝乃山も、しぶとくついて行くこと。まだまだ千秋楽まで分からない」と、早ければ今日14日目にも決まる優勝争いが、千秋楽まで持ち込されることを期待した。
相撲観戦も“新様式”が求められている。
今場所は館内での飲食が奨励されていない。
開場時間は普段より5時間遅い午後1時で、観客が昼食を終えた時間を見越している。
横綱、大関の力士弁当は販売されず、食べ物は焼き鳥のみ。
焼き鳥は通常1日あたり約6万本作るが、今場所は同3000〜4000本と1割以下にとどまっている。
アルコールの販売は禁止。
観客同士で飲食しながら楽しむ今までの観戦スタイルは、当分できそうにない。
売店のグッズ巡りも寂しさが残る。
今場所の新商品はゼロ。
国技館内の販売を手がける「国技館サービス」の担当者も、10日目を終えた時点で来場所以降の課題として「グッズの少なさが一番」としている。
観客を入れての今場所開催が決定したのは初日の6日前。
在庫リスクを懸念して、新商品の販売を委託してくる外注先がなかったためだ。
一方で力士名が書かれたタオルが、オンラインでの販売を通じて売れ行き好調だ。
「感覚的には普段の4、5割は多い。自宅のテレビ観戦でタオルを掲げる需要がある」。
人気はぶっちぎりで新大関の朝乃山。
お茶の間から新しいかたちで声援が送られている。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は30日、新弟子のスカウト活動などを念頭に、協会員の原則的な外出禁止を7月場所後に緩和する方針を示唆した。
親方、力士ら協会員は、不要不急の外出禁止が続いている。
芝田山部長によると、千秋楽までに通達される予定。
同部長は「何らかの形で緩和してあげないといけない。緩和した中で感染予防を心掛けてもらわないといけない」と述べた。
外出先で泥酔し、厳重注意を受けた田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)はこの日から職務に復帰した。
2020/07/31
横綱白鵬(35=宮城野)が7月場所13日目、日本相撲協会に「右膝半月板損傷、膝蓋大腿靱帯(しつがいだいたいじんたい)損傷、関節内血症により約2週間の加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
白鵬はマネジャーを通じて「今はただ1日も早く土俵に戻れるよう、新しいケガと自分の体に向き合い治療いたします」と話した。
白鵬は12日目の関脇御嶽海戦で2敗目を喫して連敗し、取組後の土俵下で右足を気にするしぐさを見せていた。
休場は初場所以来。13日目の相手、関脇正代は不戦勝で10勝3敗となる。
師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)によると4日目の隆の勝戦で負傷し、前日12日目の御嶽海戦で悪化させた。
「血を抜いたり、水を抜いたり、いろいろやってここまできた。痛み止めを打ったようなかたちでやっていた」と師匠。
満身創痍(そうい)の中での本場所だったという。
2場所連続45度目の優勝を目指していた白鵬は、10日目には横綱通算1000出場を記録。
初日から10連勝で節目の一番を飾り、優勝争いの単独トップに立っていたが、翌日の11日目に小結大栄翔に敗れて歯車が狂った。
鶴竜の休場で2日目から一人横綱として場所を引っ張ってきた。
2日目の取組直後には「託されたなと思って、1日1日頑張って千秋楽までやりたい」と話していたが、15日間を務めることができなかった。
4カ月ぶりに再開した本場所は、場所終盤に横綱不在となった。
優勝争いは、1敗同士で13日目に直接対決が組まれた新大関の朝乃山と、返り入幕の照ノ富士が中心となる。
今場所の十両以上の休場者は鶴竜、12日目から休場した大関貴景勝、外出して数人との会食が判明した平幕阿炎らに続いて5人目となった。
2020/07/31
土俵際に思わぬ落とし穴が待っていた。
御嶽海に突き落としで敗れ、前日に続く連敗。
朝乃山、照ノ富士との優勝戦線から一歩後退した。
立ち合い、右で張って右上手をがっちり握った。
普段の横綱なら四つに組んで盤石の寄り、というところだが、少々違った。
左を差しきれず、両上手ながら土俵際へと寄り立てたが、御嶽海に体を開かれると勢いそのままに俵の外へ倒れ込んだ。
起き上がると、土俵に背を向けたまま膝に手をつき、大きく息をした白鵬。
痛めた膝をかばうように右足を引きずりながら、ゆっくり支度部屋へと戻っていった。
勝った御嶽海が「完璧に負けたと思った」と振り返れば、土俵下の高田川審判長も「いつもならもっと腰を落としてゆっくり、丁寧に取るはずだが……。膝かどこか、調子が悪いのか」と首をかしげる。
白鵬はここ連日、勝っても負けても取組後の取材を拒否。
言葉では語らないが、何らかの異変があるのは間違いなさそうだ。
北勝富士を豪快に投げてトップを守った。
左上手は遠く、右も深く差せなかったが、押し相撲相手に体を離さず前へ。
右で起こし続け、最後はその力で強烈にすくって土俵中央で裏返しにした。
白鵬が2敗に後退し、幕尻の照ノ富士と1敗で並んだ。
13日目はその大関経験者と直接対決。
以前、稽古した際には懐の深さや重さに驚いたといい、「胸を借りるつもりで思い切りいきます」。
賜杯の行方を左右する一番を見据え、気合を入れ直した。
12日目の30日、上松町出身で西関脇の御嶽海は、結びの一番で東横綱・白鵬を突き落としで破り、9勝目(3敗)を挙げた。
3場所ぶりの三役場所で大関とりの足場固めを狙う御嶽海は、目標の二桁勝利まであと一勝とした。
13日目の31日は、東前頭4枚目・輝と対戦する。
右で張られて右上手を許し、一気に攻め込まれた土俵際に逆転機が待っていた。
出足が足りない白鵬が勝ちを急ぎ、前のめりになった隙を見逃さず、浅く差した両腕を抜くように右に体を開き、横綱を土俵に転がした。
輝とは2年ぶりの顔合わせとなる。
平成30(2018)年7月場所が幕内での唯一の対戦で上背のある相手に対して御嶽海が距離を詰め、一気にもろ差しで仕留めた。
1敗を守った。
相手は栃ノ心。
ともに大関経験者の力自慢らしく、立ち合いから右四つがっぷりの力相撲になったが、相手の上手を切った照ノ富士が寄り切った。
全盛期を思わせる力強さ。
「今できることをやっているだけ」と冷静だが、今場所の目標にしてきた10勝目を早くも達成した。
「場所は終わっていない。やれることを全部やり切りたい」とさらなる復活を期す。
白鵬が敗れてトップに並び、面白い存在になってきた。
新大関の朝乃山と、一時は大関から序二段にまで番付を下げ、今場所幕内に戻ってきた前頭17枚目の照ノ富士が1敗で並び、優勝争いのトップに立っています。
13日目の31日は、その朝乃山と照ノ富士の直接対決が組まれました。
2人は初顔合わせで、いずれも右四つの形を得意とする力士だけに、がっぷり四つに組み合う展開が予想されます。
新大関の勢いと、どん底からはい上がってきた大関経験者の意地のどちらが勝るのか、ともに2回目の優勝を目指す力士どうし、底力が試される一番となります。
一方、横綱・白鵬は30日、関脇・御嶽海に敗れて2敗となり、トップの2人を星の差1つで追っています。
31日は、関脇・正代との対戦です。
過去の対戦成績は、白鵬が9勝2敗と勝ち越していますが、直近で対戦したことし3月の春場所では、正代が寄り切りで勝っています。
まともに胸を合わせれば、横綱の優位は動きませんが、正代には土俵際での独特の粘り腰があり、逆転勝ちも多い力士だけに、白鵬は得意の左上手を引くなど十分な形を作り、落ち着いて攻めていきたいところです。
ただ、白鵬は、30日の黒星のあと、土俵下で足を気にするしぐさを何度も見せていて、状態が心配されます。
2020/07/30
12日目、日本相撲協会に休場を届け出た。
前日の取組で8勝目(3敗)を挙げ、カド番を脱出していた。
師匠の千賀ノ浦親方によると左ひざの靱帯(じんたい)損傷との診断で、場所前の稽古で痛め、場所中に悪化したという。
貴景勝の休場は昨年名古屋場所以来。
12日目の相手、大栄翔は不戦勝。
2020/07/30
ただ1人全勝の牙城がついに崩れた。
立ち合い、大栄翔の圧力に足が滑ったようになり、押し返したもののいなされて後ろ向きに。
体勢を立て直せずに押し出された。
この日も取組後のリモート取材に応じず。
黙々と土俵に集中してきたが、思わぬ落とし穴にはまった。
11日目、御嶽海を押し出して勝ち越しを決め、カド番を脱出した。
突き押し同士の一番。
貴景勝が御嶽海のあごの下に頭から突っ込んだ。
とっさにはたき込まれて突っ伏したが勢いで勝り、僅差で白星。
今場所は、力強さに欠け、時折左膝を気にする仕草も見せており本調子ではないのは明らか。
だが、「万全です。人に何を言われようと、100%の準備をして土俵で一生懸命やって負けたら仕方ない」と一切言い訳をしない。
11日目、東前頭4枚目の輝を破り、10勝目を挙げた。
横綱白鵬が初黒星を喫し、元大関で東前頭17枚目の照ノ富士と3人が1敗でトップを並走する展開となった。
朝乃山は5場所連続の2桁勝利となった。
優勝争いを繰り広げる新大関は「まだ通過点。あまり口に出したくないが12番、13番、優勝が大関の務め。ここからが大事」と表情を一切変えなかった。
北陸対決を危なげなく制した。
輝の右喉輪をこらえてもろ差しになると、腰がよく下りた攻めで堂々と寄り切った。
10日目に初黒星を喫し「すごく悔しかった。けれど、自分の中ではうまく気持ちを切り替えられた」と振り返った。
錦戸審判長(元関脇水戸泉)は「盤石。大関相撲だ」とうなった。
看板力士として一つの責任を果たした。
大器が見据えるのはさらに先だ。
八角理事長(元横綱北勝海)も「これ(2桁勝利)で安心したら駄目」と話す。
2006年夏場所の白鵬以来となる新大関優勝に向け、残り4日間に全力を注ぐ。
ふるさと富山の期待を一身に背負う26歳は「緊張感を持っていく。自分自身との闘い。自分の相撲を取る」と力強く語った。
11日目、東大関・貴景勝に押し出しで敗れ、3敗目を喫した。
12日目の30日は、東横綱の白鵬と結びの一番で当たる。
御嶽海は立ち合いで相手の勢いにのまれた。
低く当たられ、上体が起きて引いたところを押されてあっけなく土俵を割った。
白鵬との対戦成績は一つの不戦勝を含めて3勝11敗。
前回対戦した3月の春場所では御嶽海が押し出しで敗れた。
11日目は全勝だった横綱・白鵬に土をつけ、7勝目を挙げた。
取組後にリモート取材に応じた大栄翔は「横綱とするときは毎回緊張しますけど、その中でも自分の力を出し切れた」と振り返った。
立ち合いは大栄翔が押し込むと、横綱がやや足をすべらせた。その後、横綱に押し返されるも、左に会心のいなし。
白鵬の後ろを取ると、そのまま押し出した。
土をつけられた横綱は表情に悔しさをにじませた。
2019年九州場所に前頭筆頭での金星奪取以来、3場所ぶりの白鵬撃破に「勝てたことは自信につながりますし、うれしいです」と白星をかみ締めた。
11日目、関脇正代から初白星を挙げた。
立ち合いで頭から激しくぶつかったが、正代にうまく受けられて押された。
土俵際へ一気に後退。
それでもタイミングよく体を開きながら、逆転の突き落としを決めた。
この日まで5戦全敗中だった正代から、初白星を挙げて勝ち越しに王手をかけた。
「自分の当たりを吸収される感じがあった」と正代に対して苦手意識があったというが「今日は踏み込みがよかったから突き落としが決まった」と納得の一番だった。
12日目は優勝争いでトップに立つ新大関の朝乃山と対戦する。
年齢も近く、プライベートでも仲がいい後輩に先に大関昇進を決められて「悔しい。その悔しさをぶつけたい」と意気込んだ。
11日目、約1年ぶりの勝ち越しを決めた。
低く当たってきた東7枚目照強を上から抱え込むようにして、懐に入られる前に一気に寄り切った。
「やってきたことをしっかり出せればと思って土俵に上がった」と胸を張った。
11勝を挙げた昨年春場所以来となる勝ち越し。
久しぶりに給金を直し「うれしいですね。自分の相撲が取れていることが、まだまだいけるという気持ちになる」と笑顔を見せた。
初場所、春場所は7勝8敗と、勝ち越しにあと1歩届かなかったが、しっかりと自分を見直して今場所に臨んだ。
「力を伝えるにはどうすればいいのか考えてきた。これからも固定概念をぶっ壊しながらやりたい」と若々しさを見せた。
1敗を守った。
相手は栃ノ心。
ともに大関経験者の力自慢らしく、立ち合いから右四つがっぷりの力相撲になったが、相手の上手を切った照ノ富士が寄り切った。
全盛期を思わせる力強さ。
「今できることをやっているだけ」と冷静だが、今場所の目標にしてきた10勝目を早くも達成した。
「場所は終わっていない。やれることを全部やり切りたい」とさらなる復活を期す。
白鵬が敗れてトップに並び、面白い存在になってきた。
12日目、1敗で横綱 白鵬と並んだ新大関 朝乃山は平幕の北勝富士と対戦します。
7月場所は盤石の相撲を続けていた白鵬が11日目の29日の一番で今場所初黒星を喫し、新大関の朝乃山と幕内復帰の照ノ富士とともに1敗で並びました。
12日目の30日、朝乃山は前頭5枚目の北勝富士との対戦です。
過去の対戦では5勝2敗と朝乃山が勝ち越しています。
朝乃山は足を止めずに攻めて、得意の四つ相撲に持ち込んで白星を伸ばしたいところです。
連敗を避けたい白鵬は、関脇 御嶽海との対戦です。
過去の対戦で11勝3敗と圧倒している白鵬は立ち合いから御嶽海の出足を止めて、まわしを取れば優位です。
一方、御嶽海は得意の突き押しに徹し距離を取り続けて、勝機を見いだしたいところです。
大関経験者で前頭17枚目の照ノ富士は優勝経験のある実力者、玉鷲との一番に臨みます。
29日に勝ち越しを決めた大関 貴景勝は、高校の先輩で同じ突き押し相撲の小結 大栄翔との対戦です。
2020/07/29
白鵬が節目の土俵で圧倒的強さを示した。
横綱で出場1000回目の前人未到の記録を打ち立て、北勝富士の挑戦をあっさり退けてただ1人無敗を守った。
直前に大関朝乃山に土がつくも、全く動じない。
取組後、リモート取材に応じなかったが、初日に語った「1日1日を大事にしていく」を言葉でなく、土俵の上で実践していく。
東前頭4枚目の輝(26=高田川)が、幼なじみ対決を制した。
同6枚目の炎鵬(25=宮城の)をはたき込み。
突き放しきれず、左足をつかまれそうになったが、上からのしかかって勝ちきった。
「やるべきことができました。前に圧力をかける相撲を取っていきたい」と話した。
2人は同学年で、金沢市立西南部中の相撲部に所属していた間柄。
輝は中学卒業後、炎鵬は金沢学院大を卒業後、それぞれ角界入りした。
巡業先で食事に行く仲で、中学時代から変わらず互いを「りょうや」「ゆうや」と呼ぶ。
対戦成績は、輝の3勝1敗となった。
春場所後からのコロナ禍での自粛生活は、力士にさまざまな影響を及ぼした。
多くの力士が、体重の変化を口にする。
ほとんどが「コロナ痩せ」で、中でも千代大龍は「春場所から20キロは落としました」と明かす。
春場所後は193キロあった体重を172キロまで落としたという。
減量方法は「本とか携帯で調べて、野菜中心の食生活にしました」。
5月の夏場所が中止となり、約4カ月続いた自粛生活を有効活用。
「動けるデブと言ったら変だけど、体が軽くなっていいっすね」としゃべりも軽快だ。
体を休めてケガを治した力士が多い中、魁聖は「コロナのせいで病院に行けなかった」とポツリ。
いくら休みがあるとはいえ、病院で治療を受けないと治せないケガもある。
しかし、通院すれば感染リスクは高まる。
魁聖は6月に結婚したばかりで「古傷とか、あちこち痛くなるよ。でも周りの人に迷惑かけられないから」と話す。
角界には糖尿病持ちが多く、容易に通院できない事情もある。
約4カ月ぶりの開催となった本場所。
稽古場以外でも努力や苦労を重ね、力士らは土俵に上がっている。
田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)が夜に外出して泥酔し、27日に鏡山危機管理部長(元関脇多賀竜)から厳重注意を受けた。
芝田山広報部長(元横綱大乃国)が28日、明らかにした。
田子ノ浦親方は居酒屋風の店内で眠っている写真がネット上で拡散されていた。
協会が新型コロナウイルス感染症対策のガイドラインを作成し、力士や親方ら協会員は基本的に外出禁止で、不要不急の外出をしないよう定めている中、不適切な行動と判断された。
電話取材に応じた同広報部長は、田子ノ浦親方が外出した時期については「本人が場所中かどうか分からないと言っている」と説明。
新型コロナウイルスの抗原検査は陰性だった。
同広報部長は「弟子を抱える師匠が泥酔状態で写真を撮られネットに載せられてしまうのは不適切なこと」と語気を強めた。
休場した東前頭5枚目阿炎と幕下以下の力士1人が、場所前から複数回キャバクラに行っていたことが明らかになった矢先のことだった。
接待を伴う場所ではなかったが、同広報部長は「泥酔はまずい。はなっからこういうことではどうすればいいんだよと。自覚がない」とあきれていた。
2020/07/28
横綱白鵬は碧山を下して、全勝をキープ。
3月の春場所に続く、2場所連続45度目の優勝へ突き進む。
朝乃山と白鵬が全勝を守り、優勝争いを引っ張る形となった。
かど番の大関貴景勝(23=千賀ノ浦)が、人気小兵の東前頭6枚目炎鵬(25=宮城野)との物言いがついた一番を制して6勝目を挙げた。
炎鵬を懐に入れずに突いて出たが、土俵際で左にかわされ、貴景勝も勢いあまって土俵下まで落ちてしまった。
行司軍配は貴景勝。
同体ではないかと物言いがついたものの協議の結果、炎鵬の体が出るのが早く、軍配通りとなった。
貴景勝はかど番脱出まで残り6日間で2勝となった。
取組後はリモート取材に応じず国技館を引き揚げた。
新大関の朝乃山が、小結隠岐の海との取り直しの一番を制して、初日から9連勝とした。
最初の取組は、土俵際で体勢を崩しながらも左上手投げを決めたかと思われたが、物言い。
協議の結果、同体と見なされて取り直しに。取り直しの一番でも立ち合いすぐに左上手を取ると、粘る隠岐の海を力ずくで再び上手投げで転がした。
新大関の初日から9連勝は、11年九州場所の琴奨菊と並ぶ昭和以降5位タイとなった。
関脇正代(28=時津風)が1敗を守って勝ち越しを決めた。
「立ち遅れましたね。相手に攻め込まれて危ない相撲だったと思う」と立ち合いから輝(高田川)に攻め込まれた。
しかし、土俵際で残すと、一気に前に出て押し出した。
「土俵際で残れている。体の動きは申し分ないと思う」。
体が自然に反応している。
9日目の勝ち越しは13勝をあげて優勝次点だった今年初場所以来。
「早いうちの勝ち越しは自信にもつながる。単純にうれしい。残りも変に気負うことなく、集中できるかな」と話した。
その初場所では、14日目に徳勝龍に敗れて、初の賜杯を逃した。
優勝争いについて「まだですかね。意識するほどではない」と話しながら、「初場所の経験が大きい」とも言った。
横綱、大関が全勝で走る中、正代も1差で食らいついていく。
相撲界が一丸となって新型コロナウイルス感染予防を徹底する中、場所前から複数回キャバクラに行っていた東前頭5枚目阿炎(26=錣山)を、日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)が27日、「超新人類」と評して皮肉った。
「俺らの時代は北尾(元横綱双羽黒)が新人類と呼ばれたけど超新人類だね」。
87年に師匠の立浪親方(元関脇安念山)ともめて部屋を飛び出し、騒動を起こして廃業した元横綱を引き合いに出した。
阿炎は前日26日に新型コロナウイルスの抗原検査で陰性だったが、現在は自宅で隔離されている。
同広報部長は「阿炎はこんな不適切なことをやらかして、陰性で済んだから良かったものの症状がなく万が一、陽性なら大変なことになっていた。所帯持ったんなら今場所は自宅で謹慎してもらうしかない」と怒りを隠さなかった。
阿炎の不適切行動を受け、芝田山広報部長は、協会が各部屋の協会員に対して八角理事長(元横綱北勝海)名で感染対策のガイドラインを熟読するよう通達する方針を固めたことも明かした。
30ページを超えるガイドラインは、協会員1人1人に手渡されている。
同広報部長は「理事長名の通達は各部屋の師匠、部屋の者にしっかり伝わるようになっている。30ページもあるガイドラインを最初から最後まで熟読するのは大変だけど、一般常識でも役立つ内容。熟知してもらわないと困る」と危機感を募らせた。
東前頭6枚目炎鵬(25=宮城野)は、物言いがつくも大関貴景勝(23=千賀ノ浦)に初勝利とはならなかった。
貴景勝の懐に潜り込めず、強烈な突き押しをくらい土俵際へ追い込まれた。
体勢を崩しながらも、貴景勝のもろ手突きをひらりと横に動いてかわすと、勢い余った貴景勝が土俵外へ飛び出るのとほぼ同時に自身も土俵外へ。
軍配は貴景勝。
物言いがついたが、軍配通りとなった。
取り直しになってもおかしくなかったほど、紙一重の一番だったが「残ったかなと感じたけど、終始圧倒されたからいいところはなかった」と相撲内容では完敗を認めた。
貴景勝には3戦全敗となり、黒星先行に。
「まだまだ力の差はあると思った。また明日につなげたい」と負けをしっかりと認め、残りの6日間につなげる。
東前頭14枚目の琴奨菊が同9枚目の玉鷲を寄り切り、元横綱稀勢の里を抜く単独6位の幕内通算715勝目を挙げた。
「押し合いの展開になると思った。しっかりいけてよかった」と元気いっぱいの相撲を振り返る。
記録については「1つ1つやり残しがないように頑張っていきたい。白星で応援してくれる方へ恩返しできればいいです」と謙虚に話した。
序二段から史上初の再入幕を果たした照ノ富士は、佐田の海を破って勝ち越しを決めた。
幕内での勝ち越しは、大関だった17年夏場所以来。
1敗も守り、優勝争いに加わっている。
東幕下3枚目錦富士(24=伊勢ケ浜)が5番相撲で勝ち越しを決め、来場所の新十両昇進に前進した。
三役経験を持つ西幕下4枚目常幸龍を上手出し投げで下して4勝1敗。
少し押し込まれたが、右上手を取って相手を転がした。
兄弟子で現役時代は付け人を務めた、部屋付きの安治川親方(元関脇安美錦)の存在が励みだ。
「自分も膝のけがなど数々抱えてきて、安治川親方もけがと付き合いながら現役を全うした。勇気をもらっている」
この日も取組前に、4番相撲で初黒星を喫した相撲が後手に回っていたと指摘され「しっかり当たってから四つになることを意識した」と話す。
同期の十両翠富士と切磋琢磨(せっさたくま)して幕下上位まで番付を上げたが、昨年秋場所で左肘を負傷し、同年九州場所は全休するなど幕下下位まで番付を落としていた。
「靱帯(じんたい)が切れただけでなく、筋肉からはがれて手術しないと腕に力が入らなかったので休場した。(稽古では今でも)痛くて途中で抜けて、ということもある。いろんな方に声をかけていただいて、それが自分の支えになった」
近大を中退して入門から約4年。
伊勢ケ浜部屋のホープが、関取の座を射程圏にとらえた。
2020/07/27
横綱白鵬は、通算50度目のストレート勝ち越しを決めた。
3年ぶりの顔合わせとなった前頭輝の突き、押しに、まわしを取ることはできなかったが、動きをよく見てはたき込んだ。
取組後、報道陣から50度目のストレート勝ち越しと聞いた白鵬は「50回目ですか。いい響きですね」と、現在44度の幕内優勝回数を、大台の50度にすることを大目標としているだけに、うれしそうに笑顔を見せた。
取組についても「できれば(まわしを)つかみたかったけど、輝関のうまさがあった。そのうまさを力でねじ伏せた感じかな」と、納得の様子だった。
全勝は新大関朝乃山と2人だけとなった。
その朝乃山の今場所については「もう、新大関ではないんじゃないですか。2、3年大関として相撲を取っているような内容。『新大関』という呼び方が、ふさわしくない」と、敬意を表して成長を認めていた。
新大関の朝乃山が、自身初の中日での勝ち越しを決めた。
200キロ近い巨体の碧山に対して立ち合いは互角も、終始前に攻め続けて最後は右四つで寄り切った。
新大関の初日から8連勝は、昭和以降では元横綱朝青龍らに並んで6位タイ。
最高の形で後半戦に突入する。
知人らと会食に行くなどして大相撲7月場所7日目の25日から休場している東前頭5枚目阿炎(26=錣山)が、場所前からキャバクラに複数回行っていたことが26日、関係者の話で分かった。
また初日から休場していたにも関わらず、幕下以下の力士1人が会食に同席していたことも判明。
本場所開催に向けて日本相撲協会が一丸となり、新型コロナウイルス感染防止を徹底してきた中での騒動に、協会内からは怒りの声が上がっている。
突然の休場から一夜明けたこの日、阿炎の会食事情が明らかとなった。
報道陣の電話取材に応じた協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は会食場所について「小池都知事が言う『夜の店』。スナックなのかラウンジなのかキャバクラなのかは分からない」と説明。
回数についても「場所前と場所中と2回」と話した。
しかし関係者によると、実際は接待を伴うキャバクラに場所前から複数回行っていたという。
しかも、阿炎とは別の部屋に所属する初日から休場していた幕下以下の力士が同席していた。
協会は場所前に「基本的に外出禁止とし、不要不急の外出をしない」などのルールを定めたガイドラインを各部屋に配布。
感染防止に向けて一丸となっていた。
それだけに会食が発覚した25日に「さんざん何回もやらかして、世の中がどんな状況か考えてほしい。子どもじゃないんだから」と激怒していた芝田山広報部長は収まらない。
「幕内の関取が場所中にああいう形で休場することにおいて1つの事案として場所後の理事会で報告されるのは間違いない。情状酌量の余地もない」と断言。場所後の理事会で議題に挙がることとなった。同じ違反でも通常なら関取より軽い処分となる幕下以下の力士についても、協会内では厳罰を求める声が上がっているという。
阿炎は25日に37度6分の熱を出し、同日に行った新型コロナウイルスの抗原検査の結果は陰性。
幕下以下の力士も25日に37度以上の熱を出すも、同検査の結果は陰性だった。
両力士はこの日も抗原検査を受けて再び陰性だったが、阿炎に対して「自業自得」と「懲罰休場」させた錣山親方(元関脇寺尾)と幕下以下の力士の師匠ともに、弟子の再出場を否定しているという。
同広報部長は「同じ部屋の力士や取組をした力士はガイドライン通りに感染予防を行っており、出場に問題はないという判断」と説明。
6日目までに対戦した力士や、錣山部屋の力士、幕下以下の力士が所属する部屋の力士らは休場しない。
6月に結婚したばかりで、初優勝を目指していたはずだった阿炎らの場所前、場所中のキャバクラ通い。
入念に準備をし、場所中も細心の注意を払ってきた協会を裏切る行為となった。
大相撲の西前頭13枚目琴ノ若(22=佐渡ケ嶽)が7月場所8日目の26日、休場した。
部屋関係者によると、左膝付近の負傷だという。
休場は2015年九州場所の初土俵以来初めて。
8日目の対戦相手、栃ノ心は不戦勝。
琴ノ若は祖父が元横綱琴桜(故人)、父が師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)で入幕2場所目の大器。
7日目まで4勝3敗だった。
今場所の十両以上の休場者は横綱鶴竜、外出して数人との会食が判明した阿炎に続いて3人目。
大関経験者で東前頭14枚目の琴奨菊が、幕内通算白星で、歴代6位の元横綱稀勢の里に並ぶ714勝目を挙げた。
立ち合いから右上手を取り、左を差す得意の形から一直線に千代大龍を寄り切り。
6勝2敗とし、来場所の幕内残留を決定的とした。
「自分の立ち合いができた。1日1日、やり残しがないようにやっている。(稀勢の里の714勝は)1つの目標にしていたので、うれしいですね」と、落ち着いて話した。
幕内通算白星は、1位が横綱白鵬の1073勝(8日目取組前時点)で、歴代5位の元横綱大鵬が持つ746勝が次の目標となる。
「先を見たらとてつもない。一番一番の積み重ねで、少しでも近づけるように頑張りたい」と、笑顔を見せながら話した。
2020/07/26
13枚目琴ノ若が8日目の26日から休場した。
日本相撲協会に「左膝内障で休場を要する」との診断書を提出した。
師匠の佐渡ケ嶽親方によると3敗目を喫した7日目の魁聖戦で痛めた。
本人に再出場の意思があるという。
琴ノ若は2015年九州場所で初土俵を踏み、休場は初めて。
2020/07/26
横綱・白鵬は、同じモンゴル出身の新鋭・霧馬山の初挑戦を一蹴した。
左で張って右前まわしを取ると、反撃の機会すら与えずに2秒1の寄り切り。
一人横綱の役目を果たす初日からの7連勝に、伊勢ケ浜審判長は「白鵬は気合が入っていた。(今場所初の)張り差しを使ってね。自分の相撲で寄っていった」と評価。
貴景勝が苦しみながらも連敗を免れ、5勝目を手にした。
立ち合いに本来の鋭さがなく、輝に押し込まれたが横に動いて左から突き落とした。
初日から動きに精彩を欠いているものの、かど番脱出まであと3勝。
土俵下の伊勢ケ浜審判部長は「連敗しなかったのはよかった。内容はともかく、勝ちがつくのはいい」と、白星の大きさを強調した。
新大関の朝乃山が初日からの連勝を7に伸ばした。
母校・近大の先輩、宝富士戦は低い姿勢から出て一度は回り込まれたが、得意とは逆の左四つでも構わず寄り切った。
「いなされても足がついていった。相手を見ながら攻められました」と手応え。
新大関の初日からの7連勝は11年九州場所での琴奨菊以来。
また、17年秋場所での新入幕後、1場所での7連勝も自己最長となったが「そういうのは何も考えない。一日一番、相撲を取りきる」と前だけを向いた。
25日、対戦相手の東前頭5枚目・阿炎が休場したため、不戦勝で7勝目を挙げた。
御嶽海の不戦勝は5度目で、今年1月場所5日目の鶴竜戦以来となる。
中日8日目の26日は、勝ち越しを懸けて東関脇・正代と対戦する。
元学生横綱同士で、幕下時代からの戦績は10勝10敗と全くの五分だ。
御嶽海が無敗で中日を迎えるのは、幕内初優勝を飾った平成30(2018)年の7月場所(11連勝)以来、ほぼ2年ぶり。
押し込まれても俵を伝いながら連日の逆転勝ち。
「内容は良くないが、反応は悪くない」と正代。
白星をまた一つ、積み上げた。
立ち合いから194キロの巨漢・碧山に防戦一方。
土俵際まで追い詰められたが、左に回り込みながら「入った」左の差し手で攻めをしのぐと、右に動いて最後は突き落とした。
丸い土俵を上手に使って勝利を拾い「本当は前に出て勝ちたいが、ラッキー」と運も引き寄せる。
自粛中で声援こそ飛ばないが、拍手を力に変えて「気負ってもいい相撲が取れるとは思わない。目指すのは前に出ること」と語る。
7日目(25日)に休場。
対戦相手だった関脇御嶽海は不戦勝となった。
NHKの大相撲中継で解説を務めた師匠の錣山親方は「数人のお客さまと会食に出たので休場させました。こういう時期(新型コロナウイスで厳戒態勢が敷かれる本場所中)に軽はずみな行動をした。申し訳ありません」と説明し、謝罪した。
立ち合いで幻惑し、勝利をたぐり寄せた。
左足を引きながら立つと、両手を前に出して身構え、玉鷲の動きを見た。
もろ手を伸ばして突っ込んでくると、相手の懐に潜り込み、見事に左下手を奪う。
首を抱えられて「苦しかったですね。何回かもうダメかと思いました」と圧力に屈しかけたが、懸命にこらえて寄り切った。
「中に入るのは初めから狙っていた。そこからよく我慢できた」。
らしい一番で4勝目。
白星を先行させた。
25日、高安を押し出し、1敗を守った。
休まぬ動きで元大関・高安を破った妙義龍。
「常に攻めの姿勢を見せられている」と、6勝目に納得顔だ。
高安得意の左差しを立ち合いで封じた。
相手の左の差し手を右で抱え込みながら、前へ前へ。
左から突き起こして高安の体を反転させると「勝負どころだと思った」。
粘る相手をかまわず土俵外へ追いやった。
両膝に古傷を抱えるが、今場所は「腰もよく下りているし、足の運びもいい」と妙義龍。
トレーニング好きで知られる33歳にとって、本場所がなかった4カ月間は自力を養う有意義な時間になったようだ。
新大関 朝乃山は碧山と対戦。
勝ちっ放しの新大関・朝乃山は平幕の碧山と対戦します。
新大関として注目が集まる朝乃山は初日から危なげない相撲を続け、25日は幕内で初めてとなる初日からの7連勝をしました。
中日8日目の26日は前頭4枚目の碧山との対戦で、過去の対戦成績は朝乃山の4勝3敗ときっ抗しています。
四つに組めば朝乃山が断然優位ですが、体重200キロ近い体を生かした碧山の突っ張りも威力があり、離れて相撲を取る展開になれば勝負は分からなくなります。
朝乃山としては、立ち合いで当たり負けしないよう今場所見せている鋭い出足でしっかりと踏み込み、前に出る相撲に徹することが重要です。
同じく初日から7連勝の関脇・御嶽海は、正代と関脇どうしの一番で、過去の対戦では御嶽海の10勝8敗です。
正代もここまで6勝1敗と好調で、もろ差しになって力を発揮する難敵だけに御嶽海としては立ち合いで踏み込んで突き放していくなど、有利な体勢を作れるかが勝負の分かれ目となりそうです。
もう1人7連勝の横綱・白鵬は平幕の輝と対戦します。
胸を合わせれば横綱が圧倒的に優位なだけに、輝としては長い腕を生かした突き押しで勝機を見いだしたいところです。
2020/07/25
商品購入版「会員専用室」におきまして、たまごゲームの結果表示において該当しない方に「継続中」と表示される不具合がありました。
大変ご迷惑をおかけ致しまして誠に申し訳ございませんでした。
現在は正常に表示されておりますので、ご確認お願い致します。
2020/07/25
横綱白鵬がけんか四つの宝富士を難なく退けた。
立ち合いで左を差して、右もおっつけながら圧力をかけて押し出した。
「前に出られたから気持ち良かった」。
全勝は3人となり「今は流れがいい。崩さないようにしたい」と、1人横綱として引っ張る。
「日を追うごとに状態は良くなっているか」の質問に「見ての通りでございます」と余裕の笑みで答えた。
関脇御嶽海(27=出羽海)が、小結隠岐の海(八角)を突き落とし、初日から6連勝を飾った。
「立ち合い遅れてしまった」と受けるような立ち合いも、まわしにこだわらず下から圧力をかけ、最後は右から突き落とした。
「左ものぞいてやばいと思ったが、我慢して前に出たのがよかった」と振り返った。
昨年九州場所以来の関脇復帰。
4カ月ぶりの本場所で初日から感触を確かめるように、徐々に状態を上げている。
「(調子は)悪くないんで。このまま自分の相撲をとっていきたい」と話した。
返り入幕の東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ヶ浜)が、20歳の新入幕・琴勝峰(佐渡ケ嶽)の連勝を5で止めた。
立ち合い、左上手をがっちりつかむと圧力をかける。
もろ差しを許し、投げで揺さぶられてもかまわず前に出て寄り切った。
「まだまだというところを見せてやりたいと思ってました」。元大関の貫禄だった。
両膝のけが、内臓疾患などで序二段まで落ちながら、18年初場所以来の幕内復帰を果たした。
前日5日目に高安に初黒星も、5勝1敗と力を示している。
「ここからが大事。1番(黒星)で落ち込んでいたら15日間、相撲とれない。気持ちを入れ替えてやらないと」。
幕内下位では圧倒的な存在感を示す。
2020/07/24
白鵬が左上手をがっちりつかみ、上手出し投げで阿武咲に手をつかせた。
3月の春場所で敗れた相手に対し「先場所は引いてしまった。今日は引かないようにという思いでいきました」。
初日から危なげない5連勝で序盤を終えた。
4カ月ぶりの本場所だけに「この5日間は大事だと思っていました。それを乗り切った」と話した。
第一人者はすでに、いつもの感覚を取り戻している。
新大関朝乃山(26=高砂)が、耐え抜いた相撲で5連勝を飾った。
霧馬山(陸奥)に左上手をとられ、右を差すが半身の状態。
「右が入ったんでじっくり攻めようと思った」。
上体が起きる苦しい体勢も、じっくりと耐え、最後は相手が左を巻きかえてきたところを一気に攻めて寄り切った。
「相手にいいところを取られて攻められたのは反省。絶対に負けない気持ちでいった」。
不利な体勢からも負けない粘りは、大関としての自覚。
序盤5日間を振り返り、「自分の中で緊張感があって、その中で体が動いて相撲がとれている。明日からまた切り替えてやりたい」と充実感を示した。
関脇御嶽海(27=出羽海)が遠藤(追手風)を押し出し、初日から5連勝を飾った。
立ち合い、頭からぶちかまし、一気に運んだ。
「しっかり前に出れた。運良く遠藤関の顔に頭が当たったんで」。
会心の内容を振り返った。
序盤5連勝に「当たり前じゃないですかね」と関脇としての自覚を示し、「(状態は)もうちょっとと思うが、徐々に上げていけば。気持ちはいいですね」。
幕内優勝2回の実力者が、しっかり星を重ねている。
高安が照ノ富士との元大関同士の対戦を制した。
右四つになったが腰を振って相手にまわしを取らせず、理詰めで寄り切った。
相手は序二段まで陥落しながらも今場所が再入幕。
「僕よりはるかに下からはい上がってきたお相撲さん。今日は精いっぱい取ろうと思っていた。とてもいい内容で勝つことができた」と振り返った。
西前頭14枚目の若隆景(25=荒汐)が、同17枚目の琴勇輝(29)を押し出した。
これが初日から5日間連続で、佐渡ケ嶽部屋の力士との対戦だった。
初日から琴奨菊、琴勝峰、琴恵光に3連敗したが、4日目から琴ノ若、琴勇輝に連勝。
2勝3敗とした。
若隆景は「昨日、5日目の割(取組表)を見て、びっくりしました」とコメント。
佐渡ケ嶽部屋勢が幕内13〜17枚目までに5人もひしめいていることが珍現象のきっかけになった。
新入幕の東前頭15枚目琴勝峰(20=佐渡ケ嶽)が、無傷で序盤5日間を終えた。
西前頭12枚目松鳳山を小手投げ。
左差しで寄られたが、土俵際で冷静に対応した。
新入幕の初日からの5連勝は、14年秋場所に13勝を挙げた逸ノ城以来、平成以降では10人目。
大手回転ずしチェーン「くら寿司」が、今場所から大相撲に懸賞を出している。
貴景勝、朝乃山、炎鵬を指定するなど、15日間通じて出し続ける。
同社の担当者は「食を通じて健康を提供していくくら寿司が、スポーツでも人々の健康を応援していきたい」と説明する。
昨年11月には本社がある堺市の野球場のネーミングライツを取得するなど、スポーツを応援する熱が高まっているという。
すしと相撲は日本を代表する文化で親和性も高い。
昨年には米国子会社が現地で上場。
海外進出を図る機会に、大相撲の力も借りる。
コロナ禍で企業の業績は打撃を受け、今場所は懸賞が大幅に減少した。
場所前の芝田山広報部長によると、今場所の懸賞申し込みは約1300本。
近年の東京場所は、申し込み時点で2000本を超えることも珍しくなかった。
観客を入れ始めた今場所だが、まだ国技館の定員の4分の1ほど。
「正直なところ観客が減る部分に関しては悩む部分はあった。ただ世間で『できない』『やらない』がまん延する中、観客数を減らしても工夫して開催に挑戦することを応援したい」と担当者。
かつてない開催方法に挑む大相撲をバックアップする。
2020/07/23
横綱白鵬(35=宮城野)が東前頭2枚目隆の勝(25)を突き落とし、初日から4連勝とした。
初対戦の若手に経験の差を示し、初顔合わせは横綱昇進後50勝4敗。
本来なら22日に競技が始まる予定だった東京五輪にも思いをはせた。
新大関の朝乃山(26)も4連勝を飾った。
右を差されて土俵際まで寄られたが、白鵬は慌てない。
左から突き落とし。「重さと圧力があったんじゃないかな」と隆の勝をたたえつつも、勝負を分けた身のこなしには「そのへんはやっぱり経験っていうのかな…。だったのかなと思いますけどね」と振り返った。
横綱昇進後の初顔合わせは50勝4敗で勝率9割2分6厘。
横綱初挑戦の平幕力士には負けたことがない。
隆の勝とは稽古で胸を合わせたこともあり、「体が硬いからね。稽古したことありますけど、体が硬い人、大好きですね」とも指摘する余裕もあった。
7月22日は、本来なら東京五輪の競技が開会式に先立って行われる日でもあった。
東京五輪開会式での土俵入りを希望し、現役を続ける上でのモチベーションにしてきたこともある。
五輪の話題を振られると「さみしいけど、延期ですからね。また来年、東京でオリンピックを見たいな、というのが今の気持ちです」とコメントした。
出稽古なしで迎える4カ月ぶりの本場所に違和感を覚える力士もいるが、始まってみれば白鵬はいつも通り。
報道陣は支度部屋に入れず、力士はパソコンの画面を通じてリモート取材に応じている。
白鵬はこの日、マスクを着けながらマイクに顔を近づけ、取材終わりにこう言った。
「近づくとちゃんと聞こえるでしょ? お疲れさんでした」。
異なる環境に順応し、結果を出す。
来年を語れるだけの強さがまだまだ、白鵬にはある。
関脇御嶽海が、2場所連続となる初日から4連勝を飾った。
前頭豊山の突き、押しに対応しつつ、はず押しで一気に押し込み土俵際へ。
押し返そうと前がかりになった相手をいなし、タイミング良く突き落とした。
立ち合いも「この(今場所の)4番の中ではよかった」と納得顔。
「丁寧に相撲を取れているかなと。体も動いているし、1番1番」と、落ち着いて話した。
初日から11連勝して初優勝を手にした、2年前の7月名古屋場所をほうふつとさせる動きの良さが出てきた。
東前頭6枚目の炎鵬(25=宮城野)が、勝っても納得いかない表情を見せた。
西前頭4枚目の碧山(34=春日野)を突き落とし、2勝2敗。
土俵際まで攻め込まれたが、前のめりになった相手をひらりとかわして土俵外に追いやった。
身のこなしのいい土俵際だったが、内容に不満の様子。
「体がよく反応した。でも、自分の中ではしっくりきてません。立ち合いもその後の動きも鈍いのかなと思います」。
5月の夏場所が中止になり、4カ月ぶりの本場所。
思うように動けない要因について「どうですかね。1場所空いたのは、場所に影響しているのかもしれません」と話した。
琴勝峰が大関経験者の高安を初顔合わせで破り、4連勝を飾った。
頭から当たると、回り込みながら突いて応戦し、タイミング良くはたき込んだ。
二所ノ関一門の連合稽古では胸を借りてきたが「意識しないようにした。同じ地位にいるので、勝つ気でいないといけないと思っていた。勝ててよかった」と、恩返しの白星を振り返った。
懸賞も初めて受け取り「うれしいです。(使い道は)これから考える」と笑顔で話した。
返り入幕の東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、危ない体勢をしのいで4連勝とした。
西十両筆頭の千代翔馬にもろ差しを許してしまい、上体が起き上がる。それでも両腕でがっちり固め、相手の動きを封じてきめ出し。
持ち味の大きな相撲で勝ちきった。
もろ差しを許したことには「精いっぱいやるだけ。できればそうなりたくないけど、なったからにはあきらめるわけにいかない」と執念を口にした。
東十両筆頭の明生(24=立浪)が初日から4連勝とした。
西十両3枚目の旭秀鵬(31=友綱)を立ち合いから圧倒して一気に寄り切り。
「鋭くぶつかって踏み込めたと思います」と振り返った。
今年の初場所中に左上腕二頭筋部分断裂で途中休場。
春場所で復帰したが、7勝8敗と負け越し、今場所は10場所ぶりの十両だった。
本場所がなかった4カ月間について「ケガした腕を春場所は状態がよかったのにどこか引きずっていた。
克服するにはケガしたところを入念にトレーニングするしかなかった」と振り返る。
右肩付近は筋肉で盛り上がり、体重も154キロまで増えた。
外出自粛期間中について「ストレスは何もなかったです」と言い切り、「幕の内に戻るというよりは、横綱と相撲をとりたいという気持ちです」と今後を見据えた。
2020/07/22
白鵬が初場所で不覚を取った遠藤に、厳しい相撲を見せた。
左右の厳しいおっつけで終始圧力をかけ続け、難なく押し出し。勢いあまって花道とは反対の通路まで走っていった。
初場所ではかち上げを攻略され、金星を配給していた相手。
雪辱を果たして初日から3連勝としたが、取組後はリモート取材に応じず、国技館を引き揚げた。
八角理事長(元横綱北勝海) 白鵬は30歳を過ぎてこの馬力。
(遠藤の)うまさを馬力で封じた。
元気じゃないかな。
朝乃山は動きが止まりかけたけど、よく足が出た。
圧力をかけて相手に何もさせなかった。
貴景勝はもっと、しぶとく押さなければだめだ。
新大関の朝乃山(26=高砂)が、西前頭筆頭の豊山(26=時津風)を下して初日から3連勝した。
立ち合いは左上手を取れず、豊山におっつけられて右も差せなかった。
一瞬引かれたが我慢。
体勢を立て直しながら強引に右を差すと、体を寄せて丁寧に寄り切った。
大関とりを懸けた春場所は、豊山に豪快なすくい投げで転がされた。
「先場所負けてますし、自分から圧力をかけたかった。引いた所はダメだったけど構わずに前に出られたのはよかった」と手応え。
右を差してからの流れについては「後はかいなを返してじっくり。焦った所があったのが修正点」と収穫と課題を挙げた。
新型コロナウイルスの影響で春場所以来、4カ月ぶりとなった本場所。
自粛期間などもあり、満足する稽古ができなかったはずだが、ここまで危なげない相撲内容で白星を積み重ねている。
「自分から攻めることを心がけているのがいい方向にいっている」と話した。
御嶽海が起死回生の首投げで無傷の3連勝を飾った。
阿武咲にもろ差しを許して「負けたと思った」が、土俵際で体を入れ替えながら投げを打った。
「必死で投げた。できすぎでした」と汗をぬぐった。
場所前は出稽古ができず、部屋の若い衆を相手に調整。
「(関取相手の稽古は)不足しているが、それ以上に体が動いている。順調じゃないですか」と手応えを語った。
小結に復帰した隠岐の海(34=八角)が、大関貴景勝を破って白星を先行させた。
立ち合いで押し込まれたが、強烈な右のど輪で対抗すると、貴景勝が背中から倒れた。
2場所連続の白星に「気持ちで負けないようにしっかり当たることを意識した。(のど輪は)たまたま。相手が引いたタイミングが良かったと思う」と振り返った。
三役は16年九州場所以来で約4年ぶり。
三役で勝ち越せば初めてとなるが「これから長いので頑張ります」と、残り12日間を見据えた。
自己最高位の東前頭2枚目隆の勝(25=千賀ノ浦)が初日を出した。
関脇正代を2場所連続で撃破。
押し込まれたが、いなして回り込んで送り出した。
「攻め込まれたけどうまくいなせて押し返した。良かったと思う。体がしっかり動いてくれたので良かった」。
初の上位総当たりで待望の白星となった。
「負けると勝つとでは気持ちの持ち方も違う。気分よく明日に臨める」とうなずいた。
4日目の相手は横綱白鵬で、初の横綱戦となる。
場所前から対戦を「楽しみ」と語っていた25歳は「思い切り当たって前に出るしかない。思い切って当たっていく」と意気込んだ。
琴勝峰が新入幕で3連勝を飾った。
低い立ち合いから錦木を一気に押し出す会心の内容。
「立ち合いから自分の流れでいけたのがよかった」。
組んでも、離れてもとれる強みを発揮した。
兄弟子で埼玉栄高の先輩、琴ノ若も連勝が続く。
「クラブチームからずっと一緒で意識するのはあります。ずっと刺激を受けてます。食らいついていきたい感じです」。
いい刺激を受けながら競り合っていく。
18年初場所以来の幕内復帰を果たした東前頭17枚目の照ノ富士(28=伊勢ヶ浜)が、初日から3連勝を飾った。
千代丸(九重)に攻めさせながら右四つ。
胸を合わせて起こして左上手をつかみ、即座の投げを決めた。
「体がよく動いた。(相手は)押し切れないと休んでくる。そこは狙っていった」。
会心の内容だった。
元大関が序二段まで落ちながら、再びはい上がってきた。
ここまでの内容について「終わってみないと分からないが、今のところちょっと体は動いている。精いっぱい、やれることを全部やっていきたい」と気合をこめた。
東幕下19枚目の元幕内・宇良(28=木瀬)が、元高校横綱の19歳のホープ北の若(八角)を珍しい技の首ひねりで下し、2連勝を飾った。
低い立ち合いで潜り込もうと狙うが、相手の圧力に押し込まれて体が浮く。
しかし土俵際、うまく体を回り込ませての首ひねりが決まった。
宇良は「あれは負けてましたね」と反省。
最後の逆転技も「たまたま結果では勝つことができたが、実力で勝った気はしない」と振り返った。
膝手術の長期離脱から番付を着実に戻してきた。
ただいまだ「(稽古で)番数は全然」と話し、「リハビリ的なことを中心にやっている」と明かす。
けがの再発防止を最優先にしながら、底力で白星を重ねる。
それでも「相手がすごく強い。ここから番付を上げていくのは大変だと思うが、勝ち越しを目指して頑張りたい」と謙虚に話した。
序二段の取組で、聡ノ富士(さとのふじ)が都島に居反りを決めた。
相手に上から覆いかぶせられて苦しい体勢になったが、背中に乗せて反り倒した。
居反りは幕内では64年夏場所の岩風、十両では93年初場所の智ノ花以降、出ていない珍手。
だが聡ノ富士にとっては得意技の1つで、18年秋場所以来16度目となった。
16歳で幕下昇進を果たした西幕下54枚目の吉井(時津風)が、初黒星を喫した。
高立(木瀬)の体を生かした攻めに押し込まれ、左からのすくい投げに屈した。
星は1勝1敗となった。
静岡県焼津市出身で、元中学横綱のホープ。
場所前に師匠の不適切指導で所属していた中川部屋が閉鎖となり、時津風部屋へ。
環境の変化など「あまり気にしないで。本場所中なんで相撲に集中したい」と気合を入れ直した。
5月に新型コロナウイルス感染による多臓器不全で弟子の勝武士さんを亡くした高田川親方が、7月場所を迎えた思いを語った。
打ち出し後に取材対応。
場所前に部屋の力士らに対して「来てくれているお客さん、テレビで見てくれているファンの方々、そして勝武士に恥ずかしくない相撲を取っていこう」と声をかけたことを明かした。
部屋頭の輝は白星先行。
高田川親方は「まだ始まったばかり。結果は後からついてくる」と話した。
2020/07/21
連勝発進した横綱白鵬(35=宮城野)が、一人横綱の自覚をにじませた。
この日は新三役を目指す西前頭筆頭豊山を上手投げで退けた。
立ち合いからすぐに左上手を取り、万全の形からすかさず上手投げ。
「いいところを取れた。いい投げ。気分が良かった」と、満足げに話した。
西の横綱、鶴竜が右肘の負傷で2日目から休場した。
4カ月ぶりに再開した本場所は、白鵬が一人横綱として引っ張る。
「残念ですけど早くけがを治すことが大事。託されたなと思って、1日1日頑張っていきたい」と気持ちを込めた。
横綱鶴竜(34=陸奥)が7月場所2日目の20日、日本相撲協会に「右肘靱帯損傷、肘部管症候群により約2週間の加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
鶴竜は初日、東前頭筆頭遠藤に「腰くだけ」で敗れ、金星を配給していた。
鶴竜の休場は2場所ぶり。
3月の春場所では12勝3敗で優勝次点だった。
2日目の対戦相手の小結大栄翔は不戦勝となる。
貴景勝がアマチュア時代のライバルに貫禄を見せつけた。
全中決勝で対戦経験のある同学年の阿武咲を立ち合いから押し込み、体勢を崩してはたき込んだ。
連勝でかど番脱出に前進も「終わったので明日また頑張ります」と淡々。
無観客の春場所は大関として15日間を皆勤して初めて負け越した。
半年ぶりの観客の存在に「やりがいがある。お客さんがいるのはありがたいこと」と強調した。
新大関の朝乃山(26=高砂)が2連勝発進した。
過去3勝6敗と合口の悪い平幕の遠藤を危なげなく寄り切った。
初日に続き、有利な体勢になれなくてもどっしりと構えている。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、長く続いた自粛期間中でのトレーニング効果が出ている証拠だ。
横綱鶴竜の休場により一人横綱となった白鵬、かど番の大関貴景勝も2連勝した。
土俵上に浮足立つ新大関の姿はない。
遠藤の低く鋭い立ち合いを、朝乃山は受け止めるように当たった。
得意の右は差せない。
ならばと左で上手を狙ったが、腕を手繰られながら、左に動かれた。
それでも崩れない。
すぐに体を相手に向きなおして、左上手を取ると勝負あり。
苦手としてきた遠藤に何もさせずに、落ち着いて寄り切った。
初日の隆の勝戦でも、立ち合いがやや遅れて相手の当たりをまともに受けた。
それでも、この日同様に落ち着いて対応。
「毎日相手のタイプは違うけど自分の相撲を取りきることしか考えていない」と心得ている。
番付がプラスになっている。
「大関となれば負けられない立場。他の関取衆も倒しにくるので負けられない」と、気合十分だ。
新型コロナウイルスの影響による自粛期間中、トレーニングの一環で縄跳びを始めた。
相撲を取る稽古ができない時期は、徹底した四股やすり足などの基礎運動で下半身を鍛えた。
それだけでは物足りない。
そこで思いついたのが縄跳びだった。
実は入門した際に、師匠の高砂親方(元大関朝潮)から勧められていたトレーニング。
部屋の屋上で、1分跳び続ける内容を5セット。
「結構、足腰にくる。それに普段やらないことをするといい刺激になる。腰も重くなった気がする」と効果を実感。
この2日間、慌てることなくどっしりと構えることができている。
ひとまずの2連勝だが、喜びはまだない。
「まずは休場なしで千秋楽まで取り続けたい」と大関として場所を全うすることを考えている。
さらに「国技館に来てくれたお客さん、テレビの前で応援してくれる人の期待に応えたい」と看板力士としての自覚を口にした。
昨年九州場所以来の関脇に復帰した御嶽海(27=出羽海)が、初日から連勝を飾った。
隆の勝(千賀ノ浦)の右からのおっつけに押し込まれたが、「ちゃんと相手も見えていた。あせりはなかった」と土俵際で抜群のタイミングのはたき込みを決めた。
3月以来の本場所。
自身も感覚を確かめながらの土俵になる。
「立ち合いの踏み込みが発揮できていないんでこれから。まだまだ自分の相撲がとれていないんで、徐々に上げていければ」と幕内優勝2度の実力者らしく冷静に先を見据えた。
人気小兵の東前頭6枚目炎鵬(25=宮城野)が、今場所の初日を出した。
西前頭7枚目徳勝龍の懐に潜り込んで右前まわしを取ると、出し投げで崩して一気に寄り切った。
「前みつは狙っていた。よく体が動いていると思う」と会心の内容にうなずいた。
これまでは赤い締め込みだったが、今場所から締め込みを渋い緑色に新調。
炎鵬は「オリーブ色ですね。周りにはグレーに見えると言われるんですけど。
もともと緑が好き。1度つけてみたいと思っていた」と笑顔を見せた。
個性的な色となったが「相撲で個性を見せたい」とニヤリ。
半年ぶりに観客の前で相撲を取る角界屈指の人気者は「お客さんがいることは1人でもありがたい。会場の雰囲気が違う。すごい力になっている」と力強く話した。
西前頭8枚目の千代大龍(31=九重)が、珍現象に苦笑いした。
右で張って左を差して一気に寄ったが、土俵際で玉鷲の小手投げをくらった。
ほぼ同時に土俵を割り、軍配は玉鷲。
しかし、物言いがついて協議が始まった。
思いも寄らぬ出来事が起こったのはここから。
今場所は新型コロナウイルスの影響により、審判の親方衆が土俵上に集まる際、通常よりも1歩分ほどの距離を取って協議をする。
その分、親方衆の声はいつもより大きくなる。
「審判の声が丸聞こえでした。『千代大龍の方が早く…』って3回ぐらい聞こえたから、その時点で負けだと思って『よし明日頑張ろう』と思った」と協議の結果がアナウンスされる前に気持ちの整理がついたという。
加えて「お客さんもいないから、(審判の)声が響いていた」と、“ソーシャルディスタンス物言い”を振り返った。
序二段の取組で、聡ノ富士(さとのふじ)が都島に居反りを決めた。
相手に上から覆いかぶせられて苦しい体勢になったが、背中に乗せて反り倒した。
居反りは幕内では64年夏場所の岩風、十両では93年初場所の智ノ花以降、出ていない珍手。
だが聡ノ富士にとっては得意技の1つで、18年秋場所以来16度目となった。
16歳で幕下昇進を果たした西幕下54枚目の吉井(時津風)が、1番相撲を白星で飾った。
武玄大(藤島)を左差しから一気の寄り切り。
「幕下に上がったら強い人ばかり」と言うが、「立ち合いも踏み込めていた。いい相撲がとれた」と手ごたえを口にした。
静岡県焼津市出身で、元中学横綱のホープ。
場所前に師匠の不適切指導で、所属していた中川部屋が閉鎖となり、部屋を移った。
「みなさんが優しく受け入れてくれた」と環境に順応。
「稽古場は稽古場で集中してやれた。(3月以来の本場所も)体作りに集中できていい時間だった」と前向きに話す。
「まず勝ち越しを目指して1番1番頑張りたい」。
8月1日が17歳の誕生日。
史上最年少の関取昇進は元横綱貴乃花(当時・貴花田)の17歳2カ月。
その記録更新は現実的に厳しいが、10代で関取へ、順調に幕下デビューを飾った。
2020/07/20
大相撲7月場所(東京・国技館)2日目の20日、横綱鶴竜(34)=モンゴル出身、陸奥部屋=が右ひじのけがのため、日本相撲協会に休場を届け出た。
前日の初日に遠藤に金星を配給。痛めていた箇所を取組中に悪化させたという。
鶴竜の休場は、今年の初場所以来で16度目。2日目の対戦相手、大栄翔は不戦勝となる。
2020/07/20
鶴竜(34=陸奥)が、横綱では初めて「腰砕け」で敗れた。
東前頭筆頭の遠藤(29=追手風)に対し、右足で裾払いを仕掛けたが、これが空振り。
バランスを崩して、自ら転倒した。
「決まり手」ではなく勝負結果として「腰砕け」と判定された。
日本相撲協会広報部の資料によれば、1955年(昭和30年)に決まり手を制定してい以来、横綱が腰砕けで敗れるのは初めて。
幕内では、昨年初場所2日目に隠岐の海が嘉風に勝って以来となる勝負結果となった。
金星を配給した鶴竜は「独り相撲を取ってしまった」と反省。
4カ月ぶりの本場所は、横綱であっても相撲勘が鈍りかねない難しさがあるのかもしれない。
待望の本場所で、待望の1勝を挙げた。
3月の春場所後に新大関に昇進した朝乃山(26=高砂)が、東前頭2枚目の隆の勝を送り出し、大関初勝利を挙げた。
1月の初場所以来、約半年ぶりとなる観客の前での相撲。
加えて、新型コロナウイルス感染予防のため支度部屋でのマスク着用が義務づけられるなど、通常の場所とは大きく異なりながらも安定した強さを見せた。
観客からの割れんばかりの大歓声、の代わりに拍手が新大関の体を包み込んだ。
記念すべき大関初勝利にも、朝乃山は取組前からの険しい表情は崩さず。
支度部屋へ引き揚げる時、出迎えた付け人とグータッチ。
そこで、ようやく柔らかい表情を見せた。
まさに大関の貫禄だった。
立ち合いは手を先に着き、やや遅れて立つと、隆の勝の当たりをまともに受けた。
上半身が伸び、伸ばした左手がまわしをつかめない。
それでも引かずに我慢の攻め。
再び懸命に左手を伸ばしてまわしをつかむと、前に出て体勢を崩した相手を送り出した。
新型コロナ感染防止のため、大声での声援を控えていた観客もたまらず「おーっ」と一瞬、歓声を上げた。
新大関の姿を、ようやく観客に披露できた。
1日の動員上限は約2500人で、この日はその8割程度が埋まった。
取組後に本場所初のリモート取材に応じると「観客がいる、いないでは全然違う。とても緊張したけど、自分の相撲を取りきりました」。
自身の取組についても「押されたけど、相手をよく見て左上手が取れた。自分の相撲が取れてよかった」と冷静に振り返った。
支度部屋ではマスク着用が義務づけられ、座る場所をアクリル板で仕切られているなど、史上初の無観客開催の春場所とはまた違う、異例の場所。
新大関場所で、気苦労もあるはずだが「みんな同じ条件。1日でも早く慣れたい」と言い訳にはしない。
八角理事長(元横綱北勝海)には「どっしりしてた。(朝乃山の)下半身が崩れないから(隆の勝は)壁を押してる感じで崩れた。しっかり調整してたのだろう。大関としての自覚は当然ある。自信満々という感じだった」と評された。
コロナ禍で開催された7月場所の意義について「新型コロナや豪雨で災害にあった方に、勇気と感動を与えられる相撲を取りたい」と話すなど、大関としての自覚は強い。
白星にも「まだ14日間ありますから」と浮かれない。残り14日間、大関として本場所を全うする。
東前頭筆頭の遠藤(29=追手風)が横綱鶴竜に勝ち、通算7個目の金星を獲得した。
相手の裾払いが空振りし、勝負結果は「腰砕け」だった。
遠藤は「やばいと思ったが、反応できてよかった」と淡々と振り返る。
その裏には、豪雨被害にあった熊本の友人の存在があったことを明かした。
「少しでも元気を届けられるようにと。横綱に勝てて少しは元気を届けられたと思う。1日でも多く、自分の相撲をとれるよう、頑張りたい」と話した。
西前頭6枚目の竜電(29=高田川)が切り返しで炎鵬を破り、白星発進した。
5月には自身の付け人も務めていた、同部屋で同じ山梨県出身の元三段目勝武士さんが、新型コロナウイルスに感染し、28歳の若さで亡くなった。
この日は「これからも一緒にやっていきたい」という思いで、土俵に立ったという。
白星発進したが「いい相撲を取って、喜んでもらえるように頑張りたい」と、故人を忘れずに土俵に立ち続けることを誓っていた。
西前頭13枚目で幕内2場所目の琴ノ若(22=佐渡ケ嶽)が、大関経験者で東前頭13枚目の高安(30=田子ノ浦)を破って白星発進した。
初顔合わせの相手に左を差され、胸を合わせてじりじりと寄られたが、土俵際で左からのすくい投げで逆転した。
二所ノ関一門の連合稽古では、胸を出してもらったこともあったが「思い切っていこうと思っていたので、それを出せたのはよかった」と振り返った。
半年ぶりに観客の前での本場所となり、高安を破ると大きな拍手が起きたが「ありがたかった」と感謝した。
今場所の目標について問われると「思い切って相撲を取りたい」話し、勝敗よりも土俵に立てる喜びを感じている様子だった。
琴勝峰が新入幕初日を白星で飾った。
「少し安心した。内容もよかったのでこのままいけたらと思います」。
幕内最年少の20歳。
191センチ、165キロの恵まれた体格を誇る期待のホープだ。
有観客での開催。
声援は禁止で拍手は認められているが「勝った時、拍手は聞こえなかった」。
無我夢中の幕内1勝だった。
東前頭17枚目の照ノ富士(28=伊勢ヶ浜)が、18年初場所以来となる幕内の土俵を白星で飾った。
「あまり緊張することなく、やれることをやった」と淡々。
ただ、有観客で大きな拍手を浴びたことには「ありがたいことですね」と感謝した。
元大関が序二段まで落ちながら再起を果たした。
気負いはなく、「変わりはない。やれることを全力でやるだけ。毎日優勝争いと思って、1日を大事にしていく。1日一番です」と力強く語った。
東幕下19枚目の元幕内・宇良(27=木瀬)が、欧勝竜(鳴戸)を寄り倒し、初日を出した。
立ち合いで左を差し、一気の攻めで寄り倒した。
宇良は「相撲をとれることが楽しい」と話し、結果に関しては「全部たまたま。うまくかみ合った」と謙虚に振り返った。
右膝手術の長期離脱から番付を着実に上げてきた。
有観客の土俵に「応援してもらってうれしいですね」と話し、「まだ初日なんで、勝ち越しを目指して頑張りたい」と誓った。
現役最年長力士の西序二段68枚目華吹(50=立浪)が“92歳対決”に敗れた。
93年春場所が初土俵の東序二段69枚目天一(42=山響)と対戦。
2人の年齢が合計して92歳となるベテラン同士の一番は、天一が立ち合いから一気に持っていく電車道で白星を挙げた。
合計92歳の対決は、昭和以降最高齢の記録になる。
2人の対戦は1996年(平成8年)名古屋場所以来、24年ぶり。当時は両者とも三段目で、華吹が改名前の立山口として押し出しで勝った。
今回、天一が雪辱するかたちとなった。
敗れた華吹は5月28日に50歳の誕生日を迎え、昭和以降では初となる50歳での現役力士となった。
86年春場所が初土俵。
現役で唯一、昭和、平成、令和の3つの元号をまたいで土俵に立ち続けてきた。
転籍した元中川部屋の力士が初日の取組で一番相撲に臨み、弓取りも務めた東序二段35枚目春日龍(36=友綱)が“元中川部屋1勝”を挙げた。
取組は観客が入っていない午前中に行われ、春日龍は突き落としで西序二段34枚目栃乃島(33=春日野)を破った。
取組後、リモート取材に応じた春日龍は「初めてなので分からないことばかり。いつもと違う場所。相撲に集中したい」と気を引き締めた。
中川親方(元前頭旭里)は弟子に暴力を振るうなど不適切な指導があり、懲戒処分を受けて、委員から平年寄へと2階級降格。
それに伴い中川部屋は閉鎖し、力士らは同じ時津風一門の部屋を中心に転籍した。
中川親方は時津風部屋の部屋付き親方となった。
元中川部屋の力士では序二段で春日龍のほかに4人が登場したが、4人はいずれも黒星発進となった。
東序二段115枚目吉沢(27=朝日山)は寄り切りで敗れ、東序二段85枚目笹崎(19=時津風)は体格を生かして前に出たが、相手の厳しいおっつけに屈して送り倒された。
西序二段48枚目木山(19=友綱)も一方的に押し倒され、西序二段37枚目大国里(27=追手風)も黒星を喫した。
ホープの西幕下6枚目旭蒼天(27=片男波)は、初日に東幕下7枚目千代嵐と対戦。
元中学横綱の西幕下54枚目吉井(16=時津風)は2日目に登場する。
新型コロナウイルス感染症の終息が見えないまま、大相撲7月場所が初日を迎えた。
コロナの影響で28歳で死去した勝武士さん(本名・末武清孝)が所属した高田川部屋の関取3人はそろって白星スタート。
部屋頭の東前頭4枚目輝(26)は「できることはしっかり相撲をとること」と決意を示した。
雑念を振り払うように土俵に集中した。
輝は碧山を押し出し、初日を白星で飾った。
「自分らしい相撲がとれた。圧力をかけて前に出ることだけ考えた」。無心で巨漢に立ち向かった。
いまだ終息がみえない新型コロナウイルスの直撃を食らった部屋だ。
5月に部屋の勝武士さんが新型コロナウイルス性肺炎による多臓器不全で亡くなった。
大きな傷を負った。
師匠の高田川親方(元関脇安芸乃島)も約1カ月後に「だれからも愛される大事な家族を失った悲しみは言葉にできません」とコメント。
無念の思いを背負った。
輝は言葉少なく、「変わらず自分の相撲をとるだけです。(自分が)できることはしっかり相撲をとるだけ」。
その思いは白星でつながった。
西前頭6枚目の竜電、西十両6枚目の白鷹山と部屋の関取3人衆はいずれも白星発進した。
竜電は「一番に懸ける思いは強いと思います。(勝武士さんへの思いは)もちろんそれはあります」。
白鷹山も「(勝武士さんと)これからも一緒にやっていきたいと思います。いい相撲を取って喜んでもらえるように頑張りたいです」。
それぞれの思いを結果で示した。
感染防止を徹底してきた。
稽古に関しても竜電が「やはり密にならないように1人でできることを重点的にやった」と語ったように自ら“規制線”を設けた。
いつも通りの調整とはいかなかったはず。
それでも思いを強く、土俵に上がった。
気持ちの勝利だった。
終わりが見えないコロナ禍の中、まずは無事に初日を終えた。
竜電は「いい相撲を取ろうと思って気合を入れてやりました。お客さんも入ってもらって、雰囲気のいいところで相撲を取れたので、すごく気持ちいいですね。また明日から、しっかり頑張っていきたいです」。
天国に旅立った勝武士さんへ、土俵の充実が供養となる。
4カ月ぶりに再開した本場所を、観客という立場で見届けた。
「チケット大相撲」でマス席の入場券を購入。
感染予防を徹底する現場の雰囲気を感じてきた。
普段より5時間遅い午後1時開場に合わせて、列の最後尾に並んだ。
フェースシールドを着用した誘導員に1メートルの間隔を指示されながら、並ぶこと約20分。
まずは手をアルコール消毒し、サーモグラフィーでの検温を終えると、入場券もぎり後再度、額に非接触の検温。
机に並べてある取組表などを自ら取って、入場完了となる。
今場所は木戸番を務める親方衆が不在。
往年の名力士と触れ合う機会がないのは、寂しい限り。
早速腹ごしらえを…と思い売店をのぞいたが、飲食物は限られていた。
人気の横綱、大関の力士弁当はなく、名物の焼き鳥10本(1400円)くらい。
その焼き鳥と、今場所から発売されたというアルコール入りウエットシート(20円)を購入した。
決済手段は現金のほかに15種類ほど。
店員によると電子決済は1月の初場所から導入されたという。
協会も非接触の電子決済を推奨しているため、クレジットカードを使用した。
4人用マス席には、座布団が1枚ぽつんと置いてあった。
隣の観客との距離は1メートルほど。
到着すると「お食事は可能な限り控えていただき…」というアナウンスがあった。
申し訳ございません。
罪悪感を覚えながら急いで焼き鳥を完食。
マスクを着用していない観客は、見渡す限りいない。
取組では観客がマスクを外して大声を出すなどの場面はなかった。
人気の炎鵬でさえ声援ではなく温かい拍手のみだったが、敗れると黄色い悲鳴が。
横綱鶴竜が金星を配給しても、座布団は飛ばなかった。
この日最も見応えのあった場面の1つが、横綱土俵入りだった。
普段なら「よいしょ」の掛け声が飛ぶが、代わりに四股を踏むたびに拍手。
大相撲の再開を歓迎するような、大きな拍手だった。
打ち出し後の退場誘導は2階の観客が1階の観客に3分遅れて退場するというもので、複雑ではない。
1階マス席の記者もよどみなく退場した。
館内はほとんどの扉が開放され、換気は十分だった。
アルコール消毒液もいたるところにある。
でき得る限りの感染対策を施している印象。
あとは無事に15日間乗り切ることを祈るしかない。
万感込み上げる思いを胸に八角理事長(元横綱北勝海)が、初日恒例の協会あいさつに臨んだ。
冒頭でコロナ禍や豪雨被害で亡くなった人へ「心よりご冥福をお祈り申し上げます」と述べた後、万全の感染防止策を施し名古屋から東京開催に至ったことを説明。
報道陣の電話取材には「この状況で(開催は)非常にありがたくうれしい。力士もよく我慢、辛抱してくれた」と応じた。
2日目以降を「ホッとはしていられないが相撲を含めいい流れになると思う」と話した。
日本相撲協会が特例事項を含む7月場所の運用ルールを協会員に通達していたことが18日、関係者への取材で分かった。
これまで八百長を防ぐために禁止されてきた、力士の支度部屋への携帯電話の持ち込みが可能になった。
本来は入場する際に国技館の南門にいる世話人に預け、退場する際に受け取るが、受け渡しによる感染予防を優先した。
また、力士が車やタクシーで入場する際に横綱、大関のみ使用が許されていた地下駐車場の利用は、全力士可能とした。
少しでも感染を予防するため、ファンとの接触を避ける狙いがある。
投げ合いの打ち合いとなり、軍配は大天馬に上がったが物言い。
審判の親方衆は土俵に上がると、通常よりも1歩分ほどの距離を取って協議した。
日本相撲協会は7月場所初日の19日、幕下以下の力士1人が発熱を訴え、新型コロナウイルスの抗原検査を受けて陰性だったと発表。
芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「発熱があった者がいたが、即座に病院で抗原検査をして陰性だった。場所中もしっかりと感染予防対策をやっていく」と説明。
相撲協会は今場所で陽性者が出ても途中で打ち切らず、15日間実施する方針を示している。
2020/07/19
大相撲7月場所(東京・両国国技館)を翌日に控えた18日、同所で本場所の安全を祈願する恒例の土俵祭りが行われた。
通常は三役以上の力士が出席するが、新型コロナウイルス感染防止のため力士の参加はなく、一般公開もなし。
八角理事長(元横綱北勝海)や審判部の親方衆は通常通りに出席するも、行司の出席者は資格者のみになるなど、厳かな雰囲気の中で行われた。
土俵祭り後には、協会執行部による会議が行われた。
報道陣の電話取材に応じた尾車事業部長(元大関琴風)は「3月と変わらずにコロナ禍の中で始まるから緊張感でいっぱいです」と現在の心境を明かした。
同会議では、感染防止策について再確認が行われたという。
「もちろん春場所も毎日緊張感あってやったけど、今回は場所も違うし、動線も違ってくる。なんてたってお客さんを入れることになりましたから。そこが一番大きいと思いますね。責任が増したということ」と観客が入ることで、より引き締まった。
1日の観客数の上限は約2500人。
満員時の4分の1程度だが「見届け人が多ければ多いほど、力士というのは緊張感も増す。今まで以上に体も動いて、力も出るんじゃないかな」と予想。
観客にはマスク着用を義務づけ、大声での声援を控えさせるなど、多くの制約をかけることになる。
それに対して「心苦しいけど、これも1つお客さんを守るという意味。感染症の専門家の先生と何度も意見交換をしながら進めてきた。ご協力いただきたいという気持ちです」と観客を思いやった。
観客同様に力士への制約も多い。
支度部屋ではマスク着用が必要で、アクリル板を立てて座る場所を仕切るなどの感染防止策が敷かれている。
「厳戒態勢みたいな感じ。命懸けの場所というような雰囲気になっていますけど、日本全体がそういうことですから」と説明。
「その中において結果を出し、自分の相撲を取るのがプロだと思います。とにかく力士には頑張ってくれという気持ち。文句を言いたいのもよく分かります。それ以上に協会は彼たちの命とか、大きな意味があってやっていることですから分かってくれよ、という気持ちです」と話した。
無観客で行われた3月の春場所、5月の夏場所中止を経て、ようやく開催される観客入りの本場所。
「会場に足を運んでいただくお客様、テレビで観戦していただくお客様に、いろんな意味で勇気とか希望を与えられるような場所になったらいい。それを期待して15日間頑張ろうというところです」と思いを込めた。
日本相撲協会は18日までに、新たな職務分掌を決めた。暴力問題により「委員」から「年寄」に2階級降格となった中川親方(元幕内旭里)は審判部を外れ、指導普及部に配属された。
同じ時津風一門で、巡業部・指導普及部の枝川親方(元幕内蒼樹山)が審判部も兼ねることになった。
また、15日に引退した元関脇栃煌山の清見潟親方は指導普及部に配属された。
大相撲7月場所(19日初日、東京・両国国技館)を翌日に控えた18日、同所で本場所の安全を祈願する恒例の土俵祭りが非公開で行われ、日本相撲協会の公式ユーチューブチャンネルにてライブ配信で放送された。
通常は三役以上の力士が出席するが、新型コロナウイルス感染予防のため力士の出席はなかった。
行司も資格者のみで、親方衆は審判部、名古屋場所責任者を務める出羽海担当部長(元前頭小城ノ花)らが出席した。
密集を避けるため、親方衆は椅子の間隔を広めに取って座った。
力士は参加しなかったものの、1000人を超える視聴者がライブ配信を通じて土俵祭りの様子を見守った。
日本相撲協会は18日、立行司の式守伊之助(60=高田川)が体調不良のため、7月場所を休場すると発表した。
木村庄之助は空位のため、今場所は立行司が不在となる。
この日午前に行われた土俵祭りでは、三役格行司の木村玉治郎(59=立浪)が祭主を務めていた。
大相撲行司の最高位、35代木村庄之助の内田順一さん(73)は、規則正しい生活に加え、愛犬との散歩で健康を維持している。
毎日午後2時から愛犬「カラニ」と約20分、その後も1人で約30分、近所を歩いている。
立行司になってから1度も差し違えたことがない名行司は、今も元気いっぱいだ。
千葉県市川市の閑静な住宅街で、35代庄之助の内田さんは生活している。
2011年9月に日本相撲協会を退職してからは、約4キロやせて体重は56キロ。規則正しい毎日を心掛けている。
「朝は5時に起きて、テレビを見ています。朝食は6時半くらい。パン、コーヒー、野菜。昼は麺類。夜はご飯は1杯まで。それ以上は入らないけど、満腹にならないようにしています。寝るのは午後11時すぎですね」
朝食後、NHKの連ドラを見て、昼ごろまでは新聞のクロスワードを解いているという。
「頭を使ってます。シミはあるけど、趣味はないよ(笑い)」と得意の駄じゃれで笑わせた。
行司を務めていた時は、足さばきが大事だったこともあり、時に膝が痛むものの、足腰はしっかりしている。
「午後2時から犬を連れて20分くらい。犬を家に入れてから、1人で30分くらい歩きます。食後2時間くらいがいいと、(医師の)先生に聞いています。散歩といっても速足で歩くので、汗をかきますね」。
愛犬はチワワで、名前は「カラニ」。
「名前は、息子がハワイのサーファーからとった。もう今年で11歳です」。
初代若乃花にあこがれ、中学卒業時に角界入り。
力士と違って、行司は基本的に年功序列。
1962年5月の初土俵から、一人前とみなされる十両格に昇進するまで20年以上かかった。
2007年5月に立行司に昇進。37代式守伊之助を襲名し、その1年後には35代木村庄之助に上り詰め、最高位を3年以上も勤め上げた。
立行司として、差し違えは1度もない。
「それが見せどころだからね。微妙な相撲もあったけど、集中力もありました」と振り返る。
現在の相撲界では、立行司は41代伊之助のみで、庄之助は不在。力量が認められなければ、空位は埋まらない。
「横綱が2人いるから、庄之助と伊之助がいないと格好がつかない。よく(一般の人から)聞かれるんですよ。『なぜ今は庄之助がいないのか』って」。
陰ながら、後輩たちの健闘を願っている。
厳戒態勢の中、いよいよ大相撲が始まる。
7月場所(東京・両国国技館)初日を翌日に控えた18日、同所で恒例の土俵祭りが行われた。
力士の参加、一般公開はなく、出席者も限定される中、本場所の安全を祈願。
新型コロナウイルスの影響で無観客で開催された3月の春場所、中止となった5月の夏場所を経て、協会の尾車事業部長(元大関琴風)が「命懸けの場所」と緊張感を強める15日間が幕を開ける。
静まり返った館内で、土俵祭りが始まった。
八角理事長(元横綱北勝海)をはじめ、出席した審判部の親方衆らはマスクを着用し、隣との間隔を空けて椅子に着席。
通常は出席する三役以上の力士は不参加で、行司も資格者のみの参加。
一般公開はなし。
徹底した新型コロナの感染防止策が敷かれた中で、土俵の安全を祈願した。
コロナ禍の中で開催される7月場所。
力士は支度部屋でもマスク着用が必須で、上がり座敷にはアクリル板を立てて座る場所を仕切るなど、いくつもの予防策が敷かれる。
報道陣の電話取材に応じた尾車事業部長(元大関琴風)は「厳戒態勢みたいな感じ。命懸けの場所というような雰囲気」と緊張感を強めた。
土俵祭り後には執行部による会議を行い、感染防止策の再確認を行ったという。
「感染者を出すようなことがあってはいけない。緊張感でいっぱいです」と明かした。
観客への注意も忘れない。
マスク着用や大声での声援を控える等の注意事項が書かれた看板が、館内の至る所に設置された。
1日の観客上限数は約2500人。
満員時の4分の1程度だが当然、油断はない。
「感染症の専門家の先生と何度も意見交換をしながら準備を進めてきた。コロナ禍で物事を進めていくには、それぐらいの注意喚起が必要」と強調した。
力士も、相撲ファンも待ちに待った本場所。
新大関の朝乃山や序二段から史上初の再入幕を果たした照ノ富士など、注目力士は多数いる。
尾車事業部長は「会場に足を運んでいただくお客様、テレビで観戦していただくお客様に、勇気とか希望を与えられるような場所になったらいい」と切に願った。
異例な場所が、いよいよ始まる。
日本相撲協会が特例事項を含む7月場所の運用ルールを協会員に通達していたことが18日、関係者への取材で分かった。
これまで八百長を防ぐために禁止されてきた、力士の支度部屋への携帯電話の持ち込みが可能になった。
本来は入場する際に国技館の南門にいる世話人に預け、退場する際に受け取るが、受け渡しによる感染予防を優先した。
また、力士が車やタクシーで入場する際に横綱、大関のみ使用が許されていた地下駐車場の利用は、全力士可能とした。
少しでも感染を予防するため、ファンとの接触を避ける狙いがある。
2020/07/18
日本相撲協会審判部は17日、大相撲7月場所(19日初日、東京・両国国技館)の取組編成会議を開き、初日と2日目の取組を決めた。
初日に注目の新大関朝乃山(26=高砂)は、自己最高位の東前頭2枚目に番付を上げた隆の勝(25=千賀ノ浦)の挑戦を受ける。
初顔合わせだった3月の春場所は、朝乃山が押し倒しで勝っている。
両横綱は、横綱白鵬(35=宮城野)が16年九州場所以来の返り三役となった小結隠岐の海(34=八角)と対戦。
鶴竜(34=陸奥)は、三役復帰を目指す東前頭筆頭の遠藤(29=追手風)との一番に臨む。
18年初場所以来の返り入幕を果たした東前頭17枚目の照ノ富士(28=伊勢ケ浜)は、幕内最初の一番で、再入幕の琴勇輝(29=佐渡ケ嶽)と対戦する。
新大関朝乃山(26=高砂)が待望の場所を迎える。
大相撲7月場所(19日初日)の取組編成会議が17日に会場の両国国技館で行われ、朝乃山は初日に自己最高位で臨む平幕隆の勝、2日目に三役復帰を目指す遠藤との対戦が決まった。
報道陣の電話取材に応じた朝乃山は「やっと初日の編成会議が行われ、やっと場所が始まるなという思い」と待ち切れない様子だった。
3月の春場所後に大関に昇進したが、5月の夏場所は新型コロナウイルスの影響により中止。
当初から新大関のお披露目の場を心待ちにしていた。
いざその時が近づくと「緊張してきました」と本音を漏らした。
隆の勝、遠藤にはそれぞれ、春場所では勝っている。
しかし「大関という地位は(高砂)親方が言うように、負けられない地位。序盤戦は先のことを考えたら体が硬くなるので、1日一番、3月場所同様にいきたい」と引き締めた。
都内の部屋で行った朝稽古では相撲は取らなかったが、本場所で使用する締め込みを着用して、すり足や若い衆への胸出しなどで汗を流したという。
場所前に出稽古は出来なかったが、部屋では6月から申し合い稽古をするなどして相撲勘を養ってきた。
「あとは自分を信じてやってきたことをやるしかない」と言葉に力を込めた。
足掛け3カ月にわたり、日刊スポーツ大相撲評論家の高砂親方(元大関朝潮)に部屋の近況やコロナ禍の思いなどを語ってもらう不定期連載「大ちゃん大分析〜特別編〜」も最終回。
有観客での開催が決まった7月場所(19日初日、両国国技館)で力士の奮闘に期待します。
観客を入れての7月場所開催が決まった。
もちろん制約は多い。
通常の4分の1の約2500人の入場者には歓声でなく拍手を推奨し、力士は支度部屋でマスク着用、アクリル板で仕切るとか感染防止対策のガイドラインは32ページにも及ぶ。
それを熟読するだけでも大変だろうが、力士には忘れてほしくない。
本場所で相撲が取れること、それも春場所からワンステップ上がって観客の前でだ。
感染症対策には多くの専門家から助言をもらい、相撲協会全体で知恵を出し合って開催にこぎ着けた。
場所に入っても不測の事態が起こり、多少の混乱はあるかもしれないが、それでも相撲を取れるありがたみを土俵の上で、かみしめてほしい。
私事で恐縮だが、12月に定年を迎える。
最後と思っていた11月場所も福岡から東京開催になる。
冬巡業も行われない。少し寂しい気もするが、コロナ禍や豪雨被害で泣かされ、今はそれどころではない人たちが大勢いる。
それを思えば何てことはない。
力士としての誇りを胸に、全国に元気を届けるような精いっぱいの相撲を取ってほしい。
大相撲7月場所のチケット販売に「異変」が起きている。
7月場所(19日初日、東京・両国国技館)を2日後に控えた17日、先着順による一般販売が始まったが、同日午後5時半現在、15日間すべてにおいてマス席もイス席も売れ残っている。
日本相撲協会は、13日に7月場所の実施を発表。
1日あたりの総観客数を約2500人に縮小(通常は約1万1000人)することを決めた。
新型コロナウイルスの感染拡大予防のための措置で、4人のマス席は1人で利用でき、イス席は横に3席空ける。
近年、本場所のチケットは前売り開始とほぼ同時に完売となったが、7月場所はなぜ売れ行きが悪いのか? 理由はいくつか考えられる。
まずは販売方法が限定されたこと。
公式販売サイト「チケット大相撲」でのウェブ販売のみとなり、コンビニ販売や電話予約がなくなった。
「チケット大相撲」では利用登録が必要になるため、やや煩雑になった。
ほかにも理由はいくつかある。
通常は午前中から入場可能で序ノ口の取組から観戦できたが、7月場所は午後1時から。
飲酒は禁止で、販売もなし。
食事の販売も限定される。
再入場も不可となり、例えば昼時に会場外で食事をすることもできない。
力士のファンサービスも中止され、いつものような写真撮影、サイン、握手は厳禁となった。
そもそも、東京都で連日、200人を超える新型コロナウイルスの感染者が発表されており、地方からは積極的に来場しにくい状況になっている。
毎場所、観戦に訪れているファンからは「みんなでキャッキャしながら観られないお相撲なんて国技館行く意味ないわい」「やっぱ、これだけ感染拡大してるとね…」「高齢のお客さんチケット大相撲で購入不慣れ説」などの声があがっている。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)が17日、7月場所(19日初日、東京・両国国技館)の懸賞本数が例年に比べて大幅に減少する見通しとなることを明かした。
代表取材に応じ「休場者があったりするけど、1200、1300本ってところかな。いつもの東京場所よりは全然少ない」と話した。
最後に東京で開催された今年1月の初場所では、15日間の懸賞総本数は1835本で、500本以上の開きがある。
芝田山広報部長は「企業さんも経済的に非常にダメージを受けている。出したくても出せないというところもかなりある」と説明。
無観客で春場所が開催された3月以上に、新型コロナウイルス感染拡大による影響で、各企業の業績が打撃を受けているという。
それでも「『今度(7月場所)は出しませんが、やめるんじゃなくて、出せる状況にないけれど、また回復したときにはお願いできますか』という温かい言葉もいただいたそうです」と、一時的な取りやめとなる企業もあると明かした。
新規では大手回転ずしチェーン「くら寿司」が、貴景勝と朝乃山の両大関、人気小兵の炎鵬に懸賞をかけるという。
芝田山広報部長は「お客を満員入れたときの東京場所からすると、もちろん少し下火になるようですけどね、でも大阪場所プラスアルファくらいになるんじゃないか」と見通した。
2020/07/17
大相撲の東前頭10枚目魁聖(33=友綱)が15日、先月20日に結婚していた。
相手は外国出身で、東京在住の日本国籍の20代女性。
知り合いの食事会で知り合い、交際期間は約5年。
ブラジル出身の魁聖は195センチで、相手の女性も170センチ超と互いに高身長。
「かわいくて、自分のために、いろいろ頑張ってくれる。とても良い子。支えてくれる」と相手の印象を話した。
「2人ともインドア派。俺が向こうの家に行って、映画みたりとか、たまにゲームとかも一緒にやりますね。向こうも、ゲームとか好きなので」と共通の趣味がある事も話した。
魁聖はまだ部屋に住んでおり、7月場所(19日初日、東京・両国国技館)後に同居する予定。
師匠の友綱親方(元関脇旭天鵬)には「これからはまた、結婚するから、もう1つ頑張れる理由ができたから、頑張らなきゃ」と声をかけてもらったという。
幕内で3場所連続の勝ち越しを目指す7月場所へ、魁聖は「勝ち越しができるように頑張ります。あと、コロナにならないように」と話した。
大相撲の元関脇栃煌山が引退し、年寄「清見潟」を襲名した。不器用だが、魅力にあふれた力士だった。
運動神経は鈍い。
体は硬い。
高知県安芸市出身。小2で相撲を始めた。
相手が怖くて「あっちいけ!」とか「さわるな!」と声を出しながら相撲を取った。
稽古を初めて見に行った両親があきれるほどだった。
サッカーのPKでは、ボールが止まっているのに空振りした。
幕内力士は、運動能力にすぐれたアスリートの集まりだ。
平均体重160キロにもかかわらず、その多くが自在に自らの肉体を操り、俊敏性にも富む。
そんな中、栃煌山が戦ってこられたのは、なぜか?
ある時聞くと、こう答えた。
「相撲は反復して覚える。体にしみつけばやれるんです」
とにかく根気強い。
中学横綱になり、高校は名門・明徳義塾で鍛えられた。
角界入りしてからも、センスがないことを自覚して、努力を繰り返した。
入門直後の栃煌山らしいエピソードがある。
ちゃんこ番で、初めて米とぎを命じられた時のこと。
「とぎ汁が透明になるまでやるんだぞ」と言われ、全力で40分も続けた。
すると米は粉々になり、いつもの半分しか炊けなかったという。
生命線は、鋭い立ち合い。
低く当たってからもろ差しか、右四つになって寄り切る。
これしかなかった。
技は少なく、劣勢になると、しのぐ動きはあまりない。
だから、あっけない負けもあるが、はまれば横綱も倒す。
金星は6個(白鵬、日馬富士、鶴竜から1個ずつ、稀勢の里から3個)。
昭和以降10位となる三役在位25場所。
三賞は殊勲賞、敢闘賞、技能賞を各2度ずつ獲得した。
本場所中、全体の稽古が終わっても1人土俵に残り、若い衆を相手に立ち合いの形を納得いくまで繰り返してきた。
春日野部屋でのいつもの光景が、本場所での下支えになっていた。
立ち合い変化は、めったにしなかった。
負けると、支度部屋ではほとんど話さなかった。
取組前、必ずユンケルを1本飲む。
入場前の花道では必ず、緊張してえづいた。
稽古熱心で裏表がないから、勝つと付け人が本気で喜んだ。
栃煌山。
十両に上がる時に本名の影山から改名した。
春日野親方(元関脇栃乃和歌)から「考えておいてください」と依頼された母の雪絵さんが、しこ名を考えた。
読みは「とちおうやま」ではなく、あえて「とちおうざん」にした。
やさしい性格に、もっと強さを加えたかったのだという。
分け隔てなく、誰からも好かれる性格は少年時代から変わらない。
雪絵さんは中学時代のことが忘れられない。
同学年に1人、不登校の子がいたが、影山少年にだけは心を開いていたという。
卒業時、校長からこう言われた。
「教師の立場ながら、この子の存在がありがたかった。こういう子は、最近では珍しい。やさしい、いい子っていうのとは違うオーラを持っている子やった。私だけでなく、教員全員がそう思っています」。
勝負の世界に入っても、やや天然な性格は周囲から愛され、現役生活をまっとうした。
コロナ禍にあり、15日の引退会見はオンラインだった。
どんな思いで稽古してきたのか聞かれると、こう答えた。
「器用な相撲は取れなかった。しっかり課題を持って体にしみこませるように常に稽古をしていた。なかなか最後、上の番付に上がることができなかったけど、自分のやってきたことに間違いはなかったと思う」
清見潟(きよみがた)親方、つまり引退を発表した元関脇栃煌山(33=春日野)と最後に話をしたんは春場所前、大阪・交野市にある宿所の朝稽古後でした。
「あいつ、言うてたんですよ。ボロボロになってまでやりたくないって」
あいつ、は豪栄道(現武隈親方)で、初場所後に引退していた。
同じ昭和61年度生まれの“花のロクイチ組”。
子供の頃から影山(栃煌山)と沢井(豪栄道)でやり合ってきた。
昨年の初場所は、これもロクイチ組、稀勢の里(現荒磯親方)の最後の対戦相手になった。
ライバルが去った土俵で、栃煌山は頑張った。自分のために。
そして、子として、父として。
18年5月30日。
都内の春日野部屋で栃ノ心の大関昇進伝達式があった。
部屋仲間の晴れ舞台に栃煌山も、栃煌山の父もいた。
夏場所後、後援会の行事で故郷・高知に出向き、前日に陸路、乗用車で半日かけて戻った。
車中、運転する父に頼まれた。
「“栃ノ心関の伝達式、ワシも現場で見てええかな?”って。まあめったにないことですから。でも“ああ、そういうのが見たいんやなあ”と思いました」
三役在位25場所、ずっと大関候補だった。
幕内優勝は12年夏場所、優勝決定戦の末に逃した。
当時31歳の身に大関の道は厳しくなりつつあったが、賜杯はまだまだ狙えた。
父に晴れ姿を見せたかった。
17年9月11日。妻せりさんが長女稟(りん)ちゃんを出産した。
「口に含んだお茶を、顔に吹きかけられたんです。もうぶわ〜って」。
支度部屋では真顔でぼそぼそしゃべる記者泣かせの男が、ニコニコして声を弾ませた。
年に3度は地方場所、合間には巡業もあり、都内の自宅に戻る機会は少ない。稟ちゃんは早くに「ママ」としゃべったが「パパ」は時間がかかった。
1年ほど前「嫁さんに聞いたら、テレビで俺を見たら、壁のカレンダーの俺の写真を指さすんですって。まだ、相撲はわからんでしょうけど」と少し悔しそうだった。
2度目の十両陥落で、引退を決めた。
不器用な分、自分の型にこだわった。
低く、速く、強く、差し身で前へ−。
独特の長い仕切りも、腰をしっかり入れるため。
朝稽古後は居残って、付け人相手にプラス30分、立ち合いを確認するのが常だった。
晩年は椎間板ヘルニアなど足腰の故障に苦しんだ。
ここ1、2年「立ち合い? 高いです。踏み込み? 1歩目がよくても2歩目が出んかったり」が口癖だった。
ボロボロになるまでやっても、どうしても前に出られなくなった。
努力、経験、心根、みんな持ってる。
きっとええ親方になると思う。
足掛け3カ月にわたり、日刊スポーツ大相撲評論家の高砂親方(元大関朝潮)に部屋の近況やコロナ禍の思いなどを語ってもらう不定期連載「大ちゃん大分析〜特別編〜」も最終回。
有観客での開催が決まった7月場所(19日初日、両国国技館)で力士の奮闘に期待します。
観客を入れての7月場所開催が決まった。
もちろん制約は多い。
通常の4分の1の約2500人の入場者には歓声でなく拍手を推奨し、力士は支度部屋でマスク着用、アクリル板で仕切るとか感染防止対策のガイドラインは32ページにも及ぶ。
それを熟読するだけでも大変だろうが、力士には忘れてほしくない。
本場所で相撲が取れること、それも春場所からワンステップ上がって観客の前でだ。
感染症対策には多くの専門家から助言をもらい、相撲協会全体で知恵を出し合って開催にこぎ着けた。
場所に入っても不測の事態が起こり、多少の混乱はあるかもしれないが、それでも相撲を取れるありがたみを土俵の上で、かみしめてほしい。
私事で恐縮だが、12月に定年を迎える。
最後と思っていた11月場所も福岡から東京開催になる。
冬巡業も行われない。
少し寂しい気もするが、コロナ禍や豪雨被害で泣かされ、今はそれどころではない人たちが大勢いる。
それを思えば何てことはない。
力士としての誇りを胸に、全国に元気を届けるような精いっぱいの相撲を取ってほしい。
大相撲で元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏(39)が16日、自身のツイッターで結婚を発表した。
大草原で婚約者とみられる女性と肩を寄せ合う写真とともに「結婚する事になりました。宜しく」と投稿した。
ダグワドルジ氏は02年に結婚、09年に離婚していた。
2020/07/16
大相撲の東前頭10枚目魁聖(33=友綱)が15日、先月20日に結婚していたことを発表。
相手は外国出身で、東京在住の日本国籍の20代女性。
知り合いの食事会で知り合い、交際期間は約5年。
ブラジル出身の魁聖は195センチで、相手の女性も170センチ超と互いに高身長。
「かわいくて、自分のために、いろいろ頑張ってくれる。とても良い子。支えてくれる」と相手の印象を語る。
「2人ともインドア派。俺が向こうの家に行って、映画みたりとか、たまにゲームとかも一緒にやりますね。向こうも、ゲームとか好きなので」と共通の趣味が距離を縮めたと語る。
魁聖はまだ部屋に住んでおり、7月場所(19日初日、東京・両国国技館)後に同居する予定。
師匠の友綱親方(元関脇旭天鵬)には「これからはまた、結婚するから、もう一つ頑張れる理由ができたから、頑張らなきゃ」と声をかけてもらったという。
幕内で3場所連続の勝ち越しを目指す7月場所へ、魁聖は「勝ち越しができるように頑張ります。あと、コロナにならないように」と話した。
2020/07/16
大相撲の元関脇栃煌山(33=春日野)が15日、現役引退と年寄「清見潟(きよみがた)」の襲名を発表。
春場所で負け越して2度目の十両陥落となっていた。
元横綱稀勢の里(現荒磯親方)らと同じ昭和61年度生まれで「花のロクイチ組」として、三役在位は通算25場所。
賜杯には届かなかったものの12年夏場所には優勝決定戦を経験した。
今後は春日野部屋の部屋付き親方として後進の指導にあたる。
一時は「大関候補」の呼び声も高かった栃煌山が、土俵に別れを告げた。
「ひとつの区切りがついた。次に落ちたときは自分でやめようと決めていた」。
昨年の九州場所で、07年春場所での新入幕から75場所守ってきた幕内から陥落。
1場所で返り咲いたものの、3月の春場所で3勝12敗と大きく負け越し、再び十両に転落して決断した。
鋭い寄りを武器に入門から約4年で新三役に昇進し、12年夏場所では旭天鵬と史上初となる平幕同士の優勝決定戦を争った。
努力家で「コツコツ長年積み重ねたものを出せるタイプ」と、リモート会見に同席した師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)。
賜杯と大関には届かなかったが、栃煌山自身も「しっかり課題を持って、体に染み込ませるように常に稽古をしていた。
なかなか最後、上の番付に上がることができなかったけど、自分のやってきたことに間違いはなかったと思う」と胸を張った。
元稀勢の里や、小学校からのライバルで同期の元大関豪栄道(現武隈親方)ら同学年の力士としのぎを削ってきた。
15年間の現役生活で最も印象に残る取組は、昨年初場所の稀勢の里戦。稀勢の里の現役最後の相手として、白星を挙げた。
「同学年で、自分が入門したときには関取に上がっていた。そういう人と最後に相撲が取れたことはうれしい気持ちもあったし、その次の日に引退して寂しい気持ちもあった」。
くしくも引導を渡す形になった。
「子どもの頃からずっと相撲しかやってこなかった。自分が相撲を取らないのが想像もつかない」。
今後は名門部屋の部屋付き親方として、次の関取を育てる。
「相撲に対して真面目で、粘り強い力士になれるように育てたい」。
◆花のロクイチ組 大相撲で昭和61年度生まれの関取の総称。
大関以上では元稀勢の里と元豪栄道、三役経験者では栃煌山のほか、宝富士、碧山、勢、魁聖、妙義龍の5人は現在も幕内で活躍。
初場所で史上2度目の幕尻優勝を果たした徳勝龍も同学年。
■プロフィール■
□栃煌山雄一郎(とちおうざん・ゆういちろう)本名・影山雄一郎。1987年(昭62)3月9日、高知県安芸市生まれ。
□安芸小2年で相撲を始め、安芸中で中学横綱。
□明徳義塾高では4冠。05年初場所初土俵。
□07年春場所新入幕。09年夏場所で新小結、10年秋場所で新関脇昇進。
□金星は6個、三賞は殊勲賞、敢闘賞、技能賞が各2回。
□幕内通算573勝563敗19休。得意は右四つ、寄り。
□187センチ、151キロ。
□血液型A。
□家族は夫人と1女。
コメント「栃煌山戦を最後に引退できて良かったと思えるほど、真面目でいい力士だった。独特の差し身は唯一無二で、本当に長く苦しめられた。番付は関脇だが、大関の力はあったと思う。今後は若い力士に今までの知識をふんだんに教えてあげてほしい。」
2020/07/16
大相撲の東前頭3枚目宝富士(33=伊勢ケ浜)が15日、7月場所(19日初日、東京・両国国技館)に向けて同じ新大関の朝乃山ら近大OBと相撲をとった。
この日は照ノ富士らと相撲を取り、本場所に向けて状態を仕上げている。
「準備はしてきたので悪くはないと思う。いろいろ厳しい条件だと思うので、環境に慣れるようにしたい」と、気を引き締めた。
同期の前頭徳勝龍は初場所で幕尻優勝、後輩の朝乃山は春場所後に大関昇進を果たしていることに「徳勝龍の優勝を見て悔しい部分もある。自分も優勝とまでは言わないが活躍できるように頑張りたい」と話した。
今場所は上位戦も予想され、朝乃山との対戦も予想される。
「いつもと変わらず、向こう(朝乃山)は新大関と硬くなる部分もあると思うし、自分は普通にいけたらいい」と話す。
7月場所は観客を入れての開催が決まり、「決まるまでは、もしかしたら開催されないのかなと思った。実感はなかったが、決まってお客さんは少ないが、入るのは前の場所と違うので、お客さんがいるのは気合が入る。先場所(お客さんがいるかいないかの違いを)すごく思ったので」と話した
支度部屋では準備運動の際もマスク着用が義務づけられるなど、協会員にも感染予防が徹底されることに対して、ベテランの宝富士でも「アップ中のマスク着用はちょっと。普段はマスクつけないで稽古するので息苦しさは慣れていないと思う」と、多少の戸惑いを隠さなかったが「マスクは配られるんですか? 通気性がいいやつとか持っていってもいいなら、一応準備はしようかなと思っています」と話した。
伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)が6日に60歳の誕生日を迎え、部屋のみんなでお金を出し合って還暦祝いにヴィトンの靴をプレゼントしたという。
大相撲の東前頭7枚目照強(25=伊勢ケ浜)が15日、自己最高位の場所に向けての代表取材に応じた。
「大阪場所は無観客で人がいないというのを味わった。少ない人数でも入って盛り上げられる相撲を取りたい」と意気込みを話した。
「(塩巻きは)気合の入り方違うし、見に来られない人もテレビで見てくれると思う。そういう人に向けて一つ一つ自分のできることをやっていきたい」と自らに言い聞かせるように話した。
現在は左膝を痛めており、関取衆との申し合いは控えている。
「(基礎運動や若い衆に胸を出すことで)しっかり調整していけたらいこうと思っている」と話した。
「大阪場所は地元開催でも、見に来られない人がいたので、そういう人に恩返しというか、困っているときはお互いさまだと思って」と、5月には地元の兵庫県南あわじ市にマスクを贈っている。
昨年7月の名古屋場所では12勝を挙げた。
「僕は結構夏が好きなので、みんなへたるときに自分の体力で頑張れたらと思います」と、今年の7月も大勝ちを目指す。
大相撲の大関経験者で序二段から再入幕を果たした東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、5年ぶり2度目の幕内優勝に意欲をのぞかせている。
15日、代表取材に応じ「やれることを精いっぱいやるだけ。1つ1つ集中して勝っていけば次につながるし、毎日の積み重ねが優勝にも勝ち越しにもつながっていく」と7月場所を見据えて話した。
「お客さんがちょっとでも入ってくれるので、いい相撲を見せて頑張りたい」と話し、18年初場所以来となる幕内の舞台で、支度部屋でも準備運動の際にマスク着用が義務づけられるなど、感染予防に細心の注意を払うことになるが「(心配事は)そんなに言うことはない。やれることを全部やりたい」と淡々としていた。
発奮材料がある。故郷モンゴルの祭典「ナーダム」で、地元の友人が優勝。
「頑張らなくちゃとなる。今場所友達が優勝したので、オレも負けていられない」と刺激を受けたと話した。
大相撲の安治川親方(元関脇安美錦)は15日、今年の10月4日に予定していた引退相撲(両国国技館)を来年5月30日に延期すると発表。
新型コロナウイルスの影響を考慮し、観客が安心して来場するために日程変更を決定。
販売済みのチケットはそのまま使用でき、キャンセルにも応じる。
安治川親方は「こんな状況でもチケットを買ってくれた人がいるので、なんとか10月にできないかと、いろいろ考えました。例えばマス席は1人にして間隔を空けたり、フェースシールドを配ったり…。断髪式では土俵上にアクリル板を立てて、手を入れてはさみを入れてもらうことも考えました。でも、無理してでなく、安心してきてもらうために延期を決めました」と説明。
今後はポスターやチラシを刷り直したり、新日程に向けた準備を進めていく。
来年の引退相撲では、史上初となるリモートチケットの販売も検討中。
「コロナウイルスが気になって、会場に来られない人のためにも考えているところ。どういうリモートがいいか考えています。全世界にチケットを売ろうかな(笑い)」と安治川親方。
リモートチケット購入者には、引退相撲の様子を映像で見られるようにするなどの特典を検討しているという。
大相撲の本場所で懸賞を出している森永製菓が15日、7月場所(19日初日、東京・両国国技館)において、観客の投票による懸賞「森永賞」を初のWEB形式での応募形式に変更して実施することを発表。
森永賞は初、夏、秋の東京場所での国技館の観客による投票懸賞で、その日1番の好取組に選ばれたものに懸けられる。
毎日午後3時半までに国技館内の投票箱に投票する形式で、1951年(昭26)初場所から始まり、今年で69年目だった。
アナログからデジタルの投票形式に切り替えることについて、森永製菓は「新型コロナウイルス感染症拡大により、大相撲7月場所が名古屋から東京・国技館の開催と変更になりました。また、観客を制限した開催となり、これまでの投票形式ではお客様にご参加いただけないことから、史上初のWeb応募型での『森永賞』を実施いたします。観戦に行けないお客様でも簡単に懸賞を懸けられる新しい取り組みで、国技大相撲を盛り上げてまいります」と説明。
「デジタル森永賞」は15日午前11時からサイトがオープンされ、19日の初日から8月2日の千秋楽まで、毎日午前8時半から午後2時までが応募期間となる。
2020/07/15
大相撲の大関貴景勝(23=千賀ノ浦)が14日、代表取材に応じ、前日13日に観客を入れて開催することが決まった7月場所(19日初日、東京・両国国技館)について「お客さんいた方が100%やりやすい」と前向きに受け止めた。
1日あたりの総観客数は、国技館の定員約1万1000人の4分の1にあたる約2500人に設定されているが「2500人入ってくれるだけで自分にとってはプラスになる」ときっぱり。
かど番脱出を期す7月場所へ、気持ちを高ぶらせた。
新型コロナウイルス感染対応のガイドラインについても、師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)を通じて内容を耳に入れた。
支度部屋では各関取の間がアクリル板で仕切られ、準備運動の際にもマスク着用が義務づけられるなど感染予防が徹底される。
異例の場所となるが「初めてなので分からないが、決められたことを現役力士はやるしかない。与えられた環境で一生懸命やるだけ」と話した。
11月の本場所は福岡ではなく東京開催となり、冬巡業の中止も発表された。
今年は年間を通して巡業が行われず、地方の大相撲ファンに勇姿を見せることはできないが「巡業がないのは残念だけど世間がこういうときなので、やっぱり健康が大事だししょうがない。
その分、本場所でいい相撲が見せられたら」と、本場所での活躍を誓った。
大相撲の東前頭2枚目隆の勝(25=千賀ノ浦)が、瞑想(めいそう)で心を整えて初の上位戦に臨む。
14日の稽古後、代表取材に応じた。
7月場所(19日初日、東京・両国国技館)が自己最高位で、初の上位戦となる25歳のホープは「自分の相撲がどこまで通用するのかというところ。楽しみでもあります」と話した。
今月に入り、整体師の母雅代さんから瞑想(めいそう)を推奨され、1日2回、昼寝前と夜の就寝前に行っているという。
あぐらの体勢で1回約20分、深呼吸を繰り返す。
「集中力と気持ちを抑えるじゃないですけど、平常心を保てるようになった。落ち着いて稽古でも相撲取れている」と効果を実感。
本場所に向けて精神面を見直してきた。
史上初の無観客開催だった春場所では、12勝3敗の好成績で優勝次点と旋風を巻き起こした。
今場所は6カ月ぶりに観客を入れて開催される。
お客さんの前では緊張してしまう一面もあると話すが「先場所で気持ちの持ち方というか、気持ちの整え方は分かってきたので。お客さんいても大丈夫」と力強かった。
自粛期間中で食事の量が減って体重が最大5キロ落ちたが、食事と稽古で戻してきた。
この日は十両貴源治と三番稽古を行い約10番。「立ち合いの鋭さ」を課題に取り組んでいる。
初日まで残り5日。
「本当に久しぶりの場所でもあるし、久しぶりにお客さん入れて場所ができるので、自分の相撲を一日一番、集中してとりきることだけ考えて頑張っていきたい」と意気込んだ。
アマチュア相撲を統括する日本相撲連盟が、日本相撲協会が11月の本場所を通常の福岡から東京・両国国技館に変更したことを受け、会場と開催日が重なる全国学生相撲選手権(インカレ)の日程変更を検討していることが14日、分かった。
11月場所の初日と、インカレの2日目が同月8日で重なった。
発表翌日の14日に協会から日本相撲連盟に連絡があり、11月場所の東京開催と、日程調整の協力要請を伝えられた。
担当者によると事前の連絡はなかったという。
日本相撲協会は14日、4カ月ぶりの本場所となる大相撲7月場所(19日初日・両国国技館)の開催を告知する「御免札」を東京都墨田区の国技館正面に設置した。
新型コロナウイルスの影響で5月の夏場所は中止。
新大関朝乃山が注目される今場所は、1日当たり約2500人の観客を入れて実施する。
観客動員は1月の初場所以来半年ぶり。
入場口の電光掲示板には大声での応援禁止や、マスク着用を呼び掛ける感染防止対策が掲示された。
館内では本場所の舞台となる土俵をつくる作業が始まっていた。
国技館近くに住む30代の女性は「大相撲が戻ってくるのは、うれしい。ただお客さんが入ることに少し不安な面もある。無事に終わってほしい」と話した。
2020/07/03
朝乃山が大関として初めて臨む晴れの本場所が、1場所延びた。
まあ焦ることはない。
稽古の方も、部屋の関取衆や幕下と1日10番から15番、取っている。
ケガもなく体の張りも、今のところ問題ない。
初日まで3週間以上ある。
じっくり腰を据えてやればいい。
自分が新大関になった時のことを思い出すな。
37年前の夏場所か。
今も大関以上は国技館の地下駐車場に入れるように、自分専用の車で場所入りできて、うれしかった。
同時に身が引き締まる思いもした。
公式行事も「三役以上」が出席できるものもあるけど、やっぱり「横綱、大関だけ」となると格が違う。
そんな時は背負う「看板」の2文字の重さを感じた。
大関とりに挑戦する時は、マスコミも勝って騒いでくれるけど大関は勝って当然。
「負けて騒がれるのか…」と地位の違いを思い知らされた。
もちろん大関になって初めて感じることばかりだ。
だから今の朝乃山に、アレやコレや言っても始まらない。
最近の大関は、かど番が多いから、それは困るけど、あとは自分が経験して初めて分かること。
無心になって臨めば道はおのずと開ける。
大相撲の東前頭5枚目の阿炎(26=錣山)が結婚していたことが28日までに、関係者への取材で分かった。
お相手は同じ埼玉県出身で20代の一般女性。
知人の紹介で知り合い、約3年の交際期間を経て、今月下旬に婚姻届を提出したという。
師匠の錣山親方(元関脇寺尾)や周囲の関係者には報告済みで、すでに都内で2人での生活を開始している。
阿炎はもろ手の立ち合いや、力強い突き押しを武器に三役経験のある実力者。
サービス精神旺盛で気さくな人柄もありファンから高い人気を得ている。
生涯の伴侶を得た実力者が、7月場所(19日初日、東京・両国国技館)で三役返り咲きを目指す。
6月中旬から申し合いを再開した錦木は「久々で体が痛いですよ」と笑った。
場所前は通常、出稽古を中心に番数を重ねていた。
コロナ禍の影響で当面、部屋での調整が続くため「場所でちゃんと相撲を取れるか不安」と本音を吐露しつつ「基礎はみっちり。やれることはやった」と力を込めた。
感染予防でアルコール消毒をする機会は増えたものの、アルコールの摂取量は減った。
「週8くらいで飲む」という大の酒好きだが昨年11月に第1子の長女、楓香(ふうか)ちゃんが誕生。
「酔っぱらってモノでも落としたら嫁さんに怒られる。しっかりしなきゃなと。最近は飲まなくて、むしろお酒弱くなったかも」。
桃代夫人にオムツの替え方を教えてもらい、外出自粛期間中は育児に協力。
「オムツにしても、基本は(地方場所などで)家にいなかったので難しい。この期間でやっぱり奥さんが一番大変だなと感じた」。
妻への感謝の思いが募った。
出身地の岩手で東京五輪の聖火ランナーを務めるはずが、1年延期になった。
「最終ランナーだったので残念です」。
一方で岩手のコロナ感染者がいまだゼロ。
錦木自身も初土俵から14年間、休場がない。
岩手県人は体が丈夫なのか? 「僕も驚いてます。たまたまじゃないですか(笑い)」。
昨年は幕内で年6場所全て負け越した。
再入幕の春場所でも6勝9敗。
7月場所は「とりあえず勝ち越したい」。
パパになった錦木は、巻き返しに燃えている。
◆錦木徹也(にしきぎ・てつや)本名・熊谷徹也。
1990年(平2)8月25日、盛岡市生まれ。
盛岡市立米内中を経て、中卒で06年春場所初土俵。
15年夏場所で新十両昇進を果たし、所要6場所で新入幕。
19年初場所の東前頭2枚目が自己最高位で、同場所で横綱鶴竜から初金星を挙げた。
視力は0・1を切り、土俵外ではメガネがトレードマーク。中学時代は卓球部に所属していた。
得意は押し、寄り。
185センチ、170キロ。
大相撲初場所限りで現役を引退した武隈親方(元大関豪栄道)の断髪式が、来年の21年6月5日に東京・両国国技館で行われることが分かった。
27日、師匠の境川親方(元小結両国)が明らかにした。
当初は来年の初場所後となる1月31日を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を見越して、日程を遅らせた。
境川親方は「宣伝を協力してもらう時間もある。先が見えない状況で今年はどこも準備が忙しいし、こちらの都合だけじゃない」と説明。
武隈親方は現役引退後、境川部屋の部屋付き親方として後進の指導にあたっている。
節目となる日が決まった弟子について、師匠は「良かった。日にちが決まると頑張れるよね」と話した。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)が29日、電話取材に応じ、「今の段階では(力士の)出稽古は難しい」との見解を示した。
29日は執行部による定例会議が行われ、無観客での開催を目指す7月場所(19日初日、東京・両国国技館)に向けての議論が行われたという。
出稽古解禁のめどは立たず「通常の形でやれるのは9月場所だろうね、という話。
今の状況では通常の形でできないだろうね」とコメント。
「支度部屋で力士はマスクをするなどのガイドラインを精査している。
専門家の先生が国技館内をいろいろ見た上でいろいろな提案を出してもらった」と場所中の予防策についても話し合ったという。
また7月場所の新弟子検査が、13日に行われることも明かした。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となった、夏場所の同検査を受ける予定だった新弟子も一緒に受ける。
大相撲の高田川部屋のブログが30日、2カ月ぶりに更新された。
前頭竜電(29=高田川)が投稿し、冒頭で「本日からブログを再開します。今日は勝武士が旅立って四十九日です」と報告した。
高田川部屋の三段目力士、勝武士さんは新型コロナウイルスによる多臓器不全で5月13日に死去。
高田川部屋のブログは4月24日を最後に更新が途絶えており、67日ぶりの更新となった。
竜電にとって勝武士さんは山梨県甲府市の同郷で幼なじみ。
付け人も務めてくれていた。
竜電はブログで「幼い頃からあたりまえのように近くに居た勝武士は今も変わらず見守ってくれてると思います。
これからも勝武士とともに戦い、まい進していきます」と誓った。
7月場所(19日初日、東京・両国国技館)まで3週間を切り「現在、7月場所に向けて部屋一丸となって稽古、トレーニングしております。応援よろしくお願いします」と記した。
土俵が3つの日体大相撲場。
相撲の授業があるため、珍しい道場。
まもなく創立130年の日体大、高齢のOBも多く同窓力士をテレビ桟敷から応援する。
楽しみは土俵入り。
「體大」の校章の化粧まわし。
紺地に太い金刺繍(ししゅう)のデザイン、愛校心が沸騰するらしい。
OB力士には、十両昇進時に化粧まわしを贈る。
日大、近大、東農大、東洋大、中大などの出身力士たちも校章入りの化粧まわし。
最近では、埼玉栄高の化粧まわしが目立つ。
土俵入りは、すでに学校対抗戦の始まりだ。
妙義龍が関取になった時、幕内に垣添(現雷親方)と嘉風(現中村親方)のOBがいた。
同じ「體大」では面白くないので、法人のシンボルマスコットのライオン図のまわしを贈った。
大変なことになる。「體大のまわしに変えろ!」の大合唱。
同窓会でも問題になる。
苦しまぎれに私は、「三役に昇格すれば変えます」と発言、その場をしのいだ。
ところが、次の場所で妙義龍が大活躍、小結に昇進。
やむなく「體大」入りのまわしを贈ることに。
ホテルニューオータニで盛大に贈呈式を行って祝う。
妙義龍だけに2本も大学が化粧まわしを贈ったことになる。
千代大龍が三役入りして大学に来た。
「新しい化粧まわしをもらえるんですね」という。
妙義龍の話が角界で拡散したらしい。
やむなく、のぼりを贈った。
嘉風が関脇に昇進した際は、ふとんを贈った。
肥後ノ城や千代の海のように十両と幕下を往復されるとドキドキハラハラ。
虫メガネで勝敗をスポーツ紙で見る。
友風のごとく早く出世しながら大ケガで休場の連続では心も痛む。
本場所中止で、ちょっとだけ友風のためには良かった。
北勝富士も小結から転落、がんばって欲しい。
元横綱の朝青龍の甥(おい)が、日体大柏高から立浪部屋に入った。
強くなって1年と少しで十両入り。
化粧まわしを贈ったが、デザインは妙義龍のあのライオン。
日体大相撲部には逸材がそろっている。
稽古をよく見るが、楽しみである。
夏の甲子園がなくなり、インターハイも中止。
悲しい思いをしている高校生、特に3年生は多いだろう。
今は割り切れないかもしれないが、それも人生の一部だと思ってほしい。
自分が高校生のころは鳴かず飛ばずというか、高知県内で2位はあっても全く目立たない存在だった。
それが、ひょんなことから近大への道が開けた。
当時、高知高に高校NO・1の選手がいて、そのスカウトに近大の監督が来たんだ。
自分も連れられて一緒にいたんだけど、いわば“おまけ”で入学が決まった。
室戸から、おやじも来ていて「よろしかったら息子もお願いします」ってね。
高校時代はもちろん、大学3年の途中までプロになるなんて夢にも思わなかった。
そんな力はないから、学校の先生になれればいいやと。
ただ地道な稽古で力を付けて、大学3年で学生横綱になってアレ? ってな。
アマ横綱にもなれて4年でも横綱2冠。
それでプロが現実的になった。
高校横綱やプロを目指した選手もいるだろう。
ただ活躍の場がなくなっても、日ごろの稽古はうそをつかない。
花が咲く日はきっと来る。
そうなればコロナ禍の今年は「記憶に残る夏」として一生、心に刻まれるだろう。
2020/07/14
日本相撲協会は13日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、大相撲7月場所(19日初日、両国国技館)の開催を正式決定し、観客を入れて実施することを発表した。
当初は無観客開催を検討していたが、新型コロナウイルス感染対応のガイドラインの作成や、専門家のアドバイスを受けるなど徹底した感染予防策を制定。
1日当たりの総観客数を約2500人に制限して開催することとなった。
本場所開催は無観客開催となった3月の春場所以来4カ月ぶりで、観客を入れて実施するのは1月の初場所以来6カ月ぶりとなる。
協会は7月場所の入場券について、協会公式販売サイト「チケット大相撲」でのウェブ販売のみと発表した。
14日午前11時から16日午前11時まで先行抽選受付が行われ、当選者には16日午後6時に当選メールが送られる。
また17日午前10時から先着順で一般販売する。
コンビニや国技館窓口での販売、電話予約はなし。
赤ちゃん抱っこチケットなどの企画チケットも販売しない。
1回あたりでの購入可能枚数は1人1枚となった。
2020/07/14
横綱白鵬「(無観客の)3月場所は不思議な感覚だった。お客さんが入るのはやりがいがあるというか、よし頑張ろうという気持ちになる。(本場所のマスク着用は)明日からでも稽古場で、ちょっと着けてやってみようと思う。一生懸命、やるしかない」。
大関朝乃山「1人でも、お客さんが入ってくれると僕らもうれしい。(プロ野球など)うらやましいなという気持ちはあった。見に来てくださる方はコロナに気をつけて応援に来てほしい。この地位では初めての場所なのでしっかり準備をして期待に応えたい」。
日本相撲協会は13日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、弟子に暴力を振るうなど不適切な指導があった中川親方(元前頭旭里)の懲戒処分について、降格(委員から平年寄へと2階級の降格)にすると発表した。
それに伴い、中川部屋を閉鎖することも発表した。
協会発表によると、中川親方は3人の弟子に対して暴力を働き、暴言を吐くなどしたという。
弟子Aに対しては2月ごろに、食事をこぼさずにはこぶよう注意した際、顔面中央付近を右手拳で1回殴打した。
3月の春場所中には、宿舎に届いた荷物を中川部屋へ郵送する手配に不手際があったとして、あぐらで座っていた弟子Bの背中を1回蹴り、左顔面を左平手で1回たたいたという。
また同じ春場所中に、タクシーで宿舎へ向かう際に居眠りした弟子Bに立腹し、宿舎に戻った後に正座をさせて説教しながら、腹を3回蹴り、胸部を手拳で2回殴打したという。
さらには去年の夏ごろ、出稽古から戻ってあいさつをした弟子Cに対し、浴衣の帯の結び方を注意した際に左こめかみ付近を手拳で1回殴打したという。
3人はいずれもケガはなかったが、1月ごろから3月ごろの間、3人の弟子に対して稽古中か否かにかかわらず、日常的に暴言を繰り返したという。
協会から事実関係の調査と処分意見の答申を委嘱されたコンプライアンス委員会は、師匠の暴力は責任重大であり、部屋を運営させるべきではないと指摘。
一方で暴力の際に道具は使用しておらず、ケガもなく、中川親方が深く反省しており、被害を受けた弟子も同親方の謝罪を受け入れて厳罰を望んでいないことから、降格の懲戒処分が妥当との意見を八角理事長(元横綱北勝海)に答申し、この日の臨時理事会で処分が決定した。
モンゴル出身の元前頭青狼(31=錣山、本名アムガー・ウヌボルド)が13日、引退届を提出し受理された。
05年名古屋場所初土俵で最高位は16年夏場所の西前頭14枚目。
幕内在位は3場所。
昨年九州場所から幕下に陥落していた。
日本相撲協会は13日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、大相撲7月場所(19日初日、両国国技館)の開催を正式決定し、観客を入れて実施することが関係者への話で分かった。
1日当たり2500人程度に制限する方向だという。
協会は5月4日の理事会で、新型コロナウイルスの影響により5月の夏場所中止を発表。
当初は7月場所の2週間延期と開催地を名古屋から東京に変更して、無観客での開催を目指すと発表していた。
本場所開催は史上初の無観客だった3月の春場所以来4カ月ぶり、観客を入れての本場所開催は1月の初場所以来6カ月ぶりとなる。
協会はこれまでに、力士らの原則的な外出禁止や出稽古禁止を通達するなど、新型コロナの感染予防に務めてきた。
また、希望する協会員を対象とした新型コロナの感染歴を調べる抗体検査も実施。
専門家の助言を踏まえたガイドラインの作成など、7月場所開催に向けて慎重に準備を進めてきた。
日本相撲協会は13日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、例年は11月の九州場所後に実施される冬巡業を、新型コロナウイルス感染拡大の影響で取りやめることを決めた。
協会は書面にて「九州地域における広範囲の移動および長期滞在によるさまざまなリスク、直前中止の場合の勧進元様への影響などを鑑み、『冬巡業は中止』とさせていただくことになりました」とコメントした。
春巡業、秋巡業は中止、夏巡業は東京五輪が予定されていたため計画されておらず、今年は巡業が行われないことになった。
1年を通して巡業が実施されないのは、八百長問題が起きた11年以来となる。
日本相撲協会は13日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、11月の本場所を通常の福岡ではなく、東京で開催することを決めた。
協会は書面にて「東京から九州への移動、長期滞在によるさまざまなリスクを鑑み、『日程を変えずに東京(両国国技館)での開催』を目指します」とコメントした。
協会が目指す日程は11月8日が初日、11月22日が千秋楽となっている。
番付発表日は10月26日。
7月場所の新弟子検査が13日、両国国技館で行われ、日体大出身の鈴木千晴(22=鳴戸)ら受検した10人全員が身長167センチ以上、体重67キロ以上の体格基準を満たした。
内臓検査の結果を待ち、初日に合格者が発表される。
2020/07/03
朝乃山が大関として初めて臨む晴れの本場所が、1場所延びた。
まあ焦ることはない。
稽古の方も、部屋の関取衆や幕下と1日10番から15番、取っている。
ケガもなく体の張りも、今のところ問題ない。
初日まで3週間以上ある。
じっくり腰を据えてやればいい。
自分が新大関になった時のことを思い出すな。
37年前の夏場所か。
今も大関以上は国技館の地下駐車場に入れるように、自分専用の車で場所入りできて、うれしかった。
同時に身が引き締まる思いもした。
公式行事も「三役以上」が出席できるものもあるけど、やっぱり「横綱、大関だけ」となると格が違う。
そんな時は背負う「看板」の2文字の重さを感じた。
大関とりに挑戦する時は、マスコミも勝って騒いでくれるけど大関は勝って当然。
「負けて騒がれるのか…」と地位の違いを思い知らされた。
もちろん大関になって初めて感じることばかりだ。
だから今の朝乃山に、アレやコレや言っても始まらない。
最近の大関は、かど番が多いから、それは困るけど、あとは自分が経験して初めて分かること。
無心になって臨めば道はおのずと開ける。
大相撲の東前頭5枚目の阿炎(26=錣山)が結婚していたことが28日までに、関係者への取材で分かった。
お相手は同じ埼玉県出身で20代の一般女性。
知人の紹介で知り合い、約3年の交際期間を経て、今月下旬に婚姻届を提出したという。
師匠の錣山親方(元関脇寺尾)や周囲の関係者には報告済みで、すでに都内で2人での生活を開始している。
阿炎はもろ手の立ち合いや、力強い突き押しを武器に三役経験のある実力者。
サービス精神旺盛で気さくな人柄もありファンから高い人気を得ている。
生涯の伴侶を得た実力者が、7月場所(19日初日、東京・両国国技館)で三役返り咲きを目指す。
6月中旬から申し合いを再開した錦木は「久々で体が痛いですよ」と笑った。
場所前は通常、出稽古を中心に番数を重ねていた。
コロナ禍の影響で当面、部屋での調整が続くため「場所でちゃんと相撲を取れるか不安」と本音を吐露しつつ「基礎はみっちり。やれることはやった」と力を込めた。
感染予防でアルコール消毒をする機会は増えたものの、アルコールの摂取量は減った。
「週8くらいで飲む」という大の酒好きだが昨年11月に第1子の長女、楓香(ふうか)ちゃんが誕生。
「酔っぱらってモノでも落としたら嫁さんに怒られる。しっかりしなきゃなと。最近は飲まなくて、むしろお酒弱くなったかも」。
桃代夫人にオムツの替え方を教えてもらい、外出自粛期間中は育児に協力。
「オムツにしても、基本は(地方場所などで)家にいなかったので難しい。この期間でやっぱり奥さんが一番大変だなと感じた」。
妻への感謝の思いが募った。
出身地の岩手で東京五輪の聖火ランナーを務めるはずが、1年延期になった。
「最終ランナーだったので残念です」。
一方で岩手のコロナ感染者がいまだゼロ。
錦木自身も初土俵から14年間、休場がない。
岩手県人は体が丈夫なのか? 「僕も驚いてます。たまたまじゃないですか(笑い)」。
昨年は幕内で年6場所全て負け越した。
再入幕の春場所でも6勝9敗。
7月場所は「とりあえず勝ち越したい」。
パパになった錦木は、巻き返しに燃えている。
◆錦木徹也(にしきぎ・てつや)本名・熊谷徹也。
1990年(平2)8月25日、盛岡市生まれ。
盛岡市立米内中を経て、中卒で06年春場所初土俵。
15年夏場所で新十両昇進を果たし、所要6場所で新入幕。
19年初場所の東前頭2枚目が自己最高位で、同場所で横綱鶴竜から初金星を挙げた。
視力は0・1を切り、土俵外ではメガネがトレードマーク。中学時代は卓球部に所属していた。
得意は押し、寄り。
185センチ、170キロ。
大相撲初場所限りで現役を引退した武隈親方(元大関豪栄道)の断髪式が、来年の21年6月5日に東京・両国国技館で行われることが分かった。
27日、師匠の境川親方(元小結両国)が明らかにした。
当初は来年の初場所後となる1月31日を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を見越して、日程を遅らせた。
境川親方は「宣伝を協力してもらう時間もある。先が見えない状況で今年はどこも準備が忙しいし、こちらの都合だけじゃない」と説明。
武隈親方は現役引退後、境川部屋の部屋付き親方として後進の指導にあたっている。
節目となる日が決まった弟子について、師匠は「良かった。日にちが決まると頑張れるよね」と話した。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)が29日、電話取材に応じ、「今の段階では(力士の)出稽古は難しい」との見解を示した。
29日は執行部による定例会議が行われ、無観客での開催を目指す7月場所(19日初日、東京・両国国技館)に向けての議論が行われたという。
出稽古解禁のめどは立たず「通常の形でやれるのは9月場所だろうね、という話。
今の状況では通常の形でできないだろうね」とコメント。
「支度部屋で力士はマスクをするなどのガイドラインを精査している。
専門家の先生が国技館内をいろいろ見た上でいろいろな提案を出してもらった」と場所中の予防策についても話し合ったという。
また7月場所の新弟子検査が、13日に行われることも明かした。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となった、夏場所の同検査を受ける予定だった新弟子も一緒に受ける。
大相撲の高田川部屋のブログが30日、2カ月ぶりに更新された。
前頭竜電(29=高田川)が投稿し、冒頭で「本日からブログを再開します。今日は勝武士が旅立って四十九日です」と報告した。
高田川部屋の三段目力士、勝武士さんは新型コロナウイルスによる多臓器不全で5月13日に死去。
高田川部屋のブログは4月24日を最後に更新が途絶えており、67日ぶりの更新となった。
竜電にとって勝武士さんは山梨県甲府市の同郷で幼なじみ。
付け人も務めてくれていた。
竜電はブログで「幼い頃からあたりまえのように近くに居た勝武士は今も変わらず見守ってくれてると思います。
これからも勝武士とともに戦い、まい進していきます」と誓った。
7月場所(19日初日、東京・両国国技館)まで3週間を切り「現在、7月場所に向けて部屋一丸となって稽古、トレーニングしております。応援よろしくお願いします」と記した。
土俵が3つの日体大相撲場。
相撲の授業があるため、珍しい道場。
まもなく創立130年の日体大、高齢のOBも多く同窓力士をテレビ桟敷から応援する。
楽しみは土俵入り。
「體大」の校章の化粧まわし。
紺地に太い金刺繍(ししゅう)のデザイン、愛校心が沸騰するらしい。
OB力士には、十両昇進時に化粧まわしを贈る。
日大、近大、東農大、東洋大、中大などの出身力士たちも校章入りの化粧まわし。
最近では、埼玉栄高の化粧まわしが目立つ。
土俵入りは、すでに学校対抗戦の始まりだ。
妙義龍が関取になった時、幕内に垣添(現雷親方)と嘉風(現中村親方)のOBがいた。
同じ「體大」では面白くないので、法人のシンボルマスコットのライオン図のまわしを贈った。
大変なことになる。「體大のまわしに変えろ!」の大合唱。
同窓会でも問題になる。
苦しまぎれに私は、「三役に昇格すれば変えます」と発言、その場をしのいだ。
ところが、次の場所で妙義龍が大活躍、小結に昇進。
やむなく「體大」入りのまわしを贈ることに。
ホテルニューオータニで盛大に贈呈式を行って祝う。
妙義龍だけに2本も大学が化粧まわしを贈ったことになる。
千代大龍が三役入りして大学に来た。
「新しい化粧まわしをもらえるんですね」という。
妙義龍の話が角界で拡散したらしい。
やむなく、のぼりを贈った。
嘉風が関脇に昇進した際は、ふとんを贈った。
肥後ノ城や千代の海のように十両と幕下を往復されるとドキドキハラハラ。
虫メガネで勝敗をスポーツ紙で見る。
友風のごとく早く出世しながら大ケガで休場の連続では心も痛む。
本場所中止で、ちょっとだけ友風のためには良かった。
北勝富士も小結から転落、がんばって欲しい。
元横綱の朝青龍の甥(おい)が、日体大柏高から立浪部屋に入った。
強くなって1年と少しで十両入り。
化粧まわしを贈ったが、デザインは妙義龍のあのライオン。
日体大相撲部には逸材がそろっている。
稽古をよく見るが、楽しみである。
夏の甲子園がなくなり、インターハイも中止。
悲しい思いをしている高校生、特に3年生は多いだろう。
今は割り切れないかもしれないが、それも人生の一部だと思ってほしい。
自分が高校生のころは鳴かず飛ばずというか、高知県内で2位はあっても全く目立たない存在だった。
それが、ひょんなことから近大への道が開けた。
当時、高知高に高校NO・1の選手がいて、そのスカウトに近大の監督が来たんだ。
自分も連れられて一緒にいたんだけど、いわば“おまけ”で入学が決まった。
室戸から、おやじも来ていて「よろしかったら息子もお願いします」ってね。
高校時代はもちろん、大学3年の途中までプロになるなんて夢にも思わなかった。
そんな力はないから、学校の先生になれればいいやと。
ただ地道な稽古で力を付けて、大学3年で学生横綱になってアレ? ってな。
アマ横綱にもなれて4年でも横綱2冠。
それでプロが現実的になった。
高校横綱やプロを目指した選手もいるだろう。
ただ活躍の場がなくなっても、日ごろの稽古はうそをつかない。
花が咲く日はきっと来る。
そうなればコロナ禍の今年は「記憶に残る夏」として一生、心に刻まれるだろう。
2020/07/01
先場所に引き続き立ち合い張り手が多い。
昨年名古屋場所以来4場所ぶりの連勝発進とし、東本大震災以降3月11日は毎年白星。
自身49度目の中日勝ち越し、6年3ケ月ぶりとなる千秋楽相星決戦を制し、2場所振り44回目の優勝。
35歳0ケ月の優勝は年6場所制以降3番目の年長優勝。
3場所連続の休場明けの場所。
38年ぶりの「横綱大関」で挑んだ場所。
場所前、怪我が回復し順調に稽古を積む。
立ち合いの低い踏み込みと、切替の速さが持ち味で12勝3敗で昨年名古屋場所以来、4場所ぶりの2桁勝利で綱の責任を果たす。
38年ぶりの一人大関。
場所前から左膝に違和感があり体調が万全ではなく、本来の馬力がなく、序盤5日間での3敗は、18年秋場所以来、1年半ぶりで、大関昇進後初めて。
8日目に再度膝を痛め精彩を欠き、9日目から3連敗とし千秋楽で負け越し。
夏場所はカド番で挑む。
春場所は大関昇進を目指す場所。
大関昇進目安の三役で33勝には1勝届かないが、理想的な右四つ左上手を目指す姿勢が評価され、大関昇進をはかる臨時理事会の招集を八角理事長に要請し承認され大関へ。
富山県出身では、111年ぶり。
19場所ぶりの関脇。
新三役だった2017年は関脇で7勝8敗、翌場所は小結で4勝11敗と振るわなかったが、春場所は2連勝スタート。
12日目に迫力のある相撲で、通算2個目の金星獲得。
14日目に三役では初めての勝ち越しで、3場所連続勝ち越し。
初土俵から初めて2場所連続負け越しを経験し迎えた春場所。
癖の引きが見られず、優勝した名古屋場所以来、初日から6連勝。
中盤で両横綱に2連敗するも、厳しい右のおっつけと落ち着いた取り口で9日目から3連勝とし、3場所ぶりの2桁勝利。
幕内25場所目。
今年初場所は新三役で跳ね返さる。
春場所は、3連敗スタートするも、下からの攻め、回転のよい突っ張りと前に出る相撲をみせ、4日目に大関を倒し7連勝。
勝越しがかかってから足踏みが続いたが、14日目に勝ち越し。
押し相撲だけに連勝連敗が多い力士。
幕内通算5場所目で自己最高位で挑んだ場所。
初日から関取になり初めての4連勝。
差しといなしが上手く低い腰で、自己最多の12勝挙げ2場所ぶりの勝ち越し。
13日目終了時点で優勝の可能性を残し、好成績などが評価され初の敢闘賞受賞。
幕内59場所目のベテラン力士。
春場所は三役復帰を目指す場所。
2日目大関倒すも3日目から3連敗。
懐が深く、体の柔らかさで、6日目から3連勝。
勝ち越す場所は、前半の白星が多い力士で、千秋楽に2場所連続勝ち越し。
入幕以来夏場所は、過去2度だけの勝ち越し。
2場所ぶりの小結。
第44回日本大相撲トーナメントを「右変形性肘関節症」との診断書を提出し休場。
2月10日に内視鏡で骨片を除去。
手術後、約3週間の加療が必要との診断受ける。
春場所は、安定感があるも、千秋楽に負け越し。
この1年上位に定着している。
2月1日、都内のホテルで挙式、披露宴を行い関取衆ら400人が出席。
18年秋場所以来、9場所ぶりの上位対戦、ライバル朝乃山に勝ち、中日から5連勝とし千秋楽に6場所連続の勝ち越し。
重心がしっかりしていて、負けず嫌いな力士。
差し、突きを抑える技術が高い。
小結だった2年前の初場所で、右膝を負傷し伸び悩んでいたが、初日から2連勝。前に落ちる相撲が減り、攻める内容で10日目に17年秋場所以来、2年半ぶりの2個目の金星を挙げ、2場所連続の勝ち越し。
優勝争いを混戦に持ち込んだことが評価され初の殊勲賞受賞。
幕内50場所目。
場所前、普段以上に稽古やトレーニングが充実。
終盤まで連敗がなく、落ち着いた取り口で4日目から3連勝、低く重い腰で中日から3連勝とし、12日目に3場所ぶりの勝ち越し9勝挙げる。
入幕以来2桁勝利が3度しかなく上位の壁は厚い、腕力が強い力士。
腰を落とし、長い腕を生かし回転のよい突き、押しで前によく出た場所。
交わされても、切替が早く慌てる相撲が減り、馬力が付き、中盤まで連敗がなく、千秋楽に3場所連続勝ち越し。
稽古熱心で中卒の叩き上げの力士。
負ける相撲は頭を下げすぎて、あっけなく土がつく。
幕内2場所目で自己最高位で挑んだ場所。
体が大きくなり幕内上位力士と稽古を重ね左前みつを掴むと力を発揮するも、7日目から4連敗。
持ち前の柔軟性で11日目から5連勝と9勝挙げ14日目に2場所連続の勝ち越し。
夏場所は、自己最高位で迎える。
技能派の力士。
ゲンのよい場所、春場所の無観客の会場に適応し、巨体を生かした立ち合いから、諸手突きからの押し相撲で初日から6連勝。
その後も、立ち合いの圧力で、中日から5連勝、終盤3連敗とするも11勝挙げ、体を生かした突き押し、押し相撲が評価され初の技能賞受賞。
3度目の小結の場所。
場所前は順調な仕上がりで、馬力と、前に落ちない相撲が持ち味の力士。
先場所に続いて2日目、通算7個目の金星を獲得するも、4日目から足運びが悪く8連敗、終盤ようやく自分の相撲が取れるようになったと語るも4勝止まり。
再度出直しとなる。
春場所は怪我のため、稽古不充分で挑んだ場所。
立ち合いからの激しい突きで3日目から3連勝。
上半身だけの叩きで、呼び込むことが多く11日目大関を倒すも、2場所連続負け越し。
懐が深く、独特の柔らかさで土俵際を残すことが上手い力士。
5月4日には26歳を迎える。
春場所は自己最高位で挑んだ場所。
慢性的な首の痛みを抱え場所前、稽古不足。
正面から見られ、終始連勝がなく、新入幕だった昨年夏場所以来、5場所ぶりの負け越し。
研究され白星が伸び悩むが、横綱白鵬と稽古を積んでいる為、今後の成長に期待が集まる力士。
入幕14場所目、両差しになって前に出るのが竜電の相撲。
腕が長く、左を差すと強い力士。
先手を取って攻め、両差しになる相撲が冴え渡ると好成績を残せる。
一方、小兵には手を焼く面がある。
春場所は圧力負けが少なく6日目から2連勝するも、5連敗が響き6勝止まり。
入幕7場所目。
場所前、左膝を痛める。
頭を下げずぎて、9日目まで黒星先行するも、小柄な体形を利用して、低く沈み、下からの速く重い攻めで10日目から3連勝。
場所前稽古は、積極的に出稽古に行く力士。
14日目に、3場所連続の勝ち越し。
前に出る力が付いてきた。
体がよく動いた場所。
金色の廻しに戻し、昨年春場所以来、初日から4連勝。
正面から見られ、10日目から2連敗するも、素早い動きと粘りで12日目に、2場所ぶりの勝ち越し。
横綱白鵬の指導の元、筋トレと基本運動を欠かさず行っている。
三役経験者。
立ち合いから強い当たりで、初日から3連勝。
4日目土俵下に転落の際、左足を負傷するも、5日目から3連勝で中盤まで白星先行。
馬力があり、立ち合い、胸と頭で当っていくも、通用しないと、あっさりと負ける力士。
終盤3連敗するも、14日目に勝ち越し。
春場所は、自己最高位西前頭2枚目で挑んだ場所。
土俵際での突き落としが通用せず、初日から5連敗するも、2015年夏場所以来、5年ぶりの横綱挑戦で初の金星獲得。
33歳6ケ月の初金星は、年6場所制となった58年以降、史上3番目の年長記録だが10日目に負け越し。
初土俵から約16年、休場のない鉄人。
春場所、足運びが悪く、腰高、立ち合いの馬力もなく、初日白星の後、2日目から5連敗。
終盤3連勝するも、11日目に2場所連続負け越し6勝止まり。
突っ張りが強く腕がよく伸び、稽古熱心な力士。
春場所は、頭からよく当たり、踏み込みがよく、圧力がある相撲が見られた場所。
土俵際まで追い込まれながらも、逆転勝が多い。
右差しと上手からの左前ミツという型が理想の差し手。
11日目から3連勝とし、十両から4場所連続勝ち越し。
ご当所では2年ぶり。
初日から3連敗するも、200キロの体重を活かし、8日目から5連勝とし、4場所連続の勝ち越し。
12日目、水が入ったひしゃくに誤って口をつけしまうアクシデント、ネットニュースやSNSでも話題とる。
ゲンのよい場所を迎えるが、ここ3年間、負け越しが続いている夏場所。
膝の怪我を克服し、厳しい左右からの押っつけが見らる。
低い重心で初日から2連勝するも土俵際で、決めきれず5日目から3連敗。
低い攻めで叩きに落ちない力士で終盤3連勝と14日目に4場所ぶりの勝ち越し9勝挙げる。
大関陥落場所である2019年5月場所も怪力は健在。
強い馬力で押し切る相撲が持ち味だが、元気のない場所で2連敗スタート、注文相撲や軽い相撲が目立ち、13日目に2019年名古屋場所から5場所連続の負け越し。
6勝止まり。
膝の状態がよくない。
体のメンテナンス、トレーニングに時間を掛けるストイックな力士。
引きつけて寄っていく力が強い。
立ち合い低く当たるも、足が出ない相撲で、2日目から3連敗、8日目から4連敗が響き、11日目に負け越し。
12日目から3連勝するも6勝止まり。
5月11日には33歳を迎える。
今場所、元気のない場所で、足運びが悪く、気持ちだけ前に出る相撲が多い場所で初日から4連敗。
立ち合いの当たりはよいが、突き押しに弱い力士。
立ち合いで、相手を引かせる相撲が得意だが、11日目に2場所連続の負け越し。
膝から崩れることの多い場所。
2016年夏場所以来の平幕の場所。
立ち合いはよいが、軽い攻めが目立ち、初日から4連敗。
4日目の取組で「左大腿二頭筋損傷、半腱様筋損傷、半膜様筋損傷」で約4週間程度の保存的安静加療必要見込みの診断書を提出し、入幕以来8度目の休場、怪我で伸び悩んでいる。
幕内48場所目。
初日に右繭を切り、8針縫う怪我で、初日から2連敗。
左方にテーピンをし怪我の影響か終始連勝がなく、通算出場1000回目の中日に白星挙げるも、4連敗が2度あり、10日目に2場所連続負け越しの4勝止まり。
動きの速い36歳のベテラン力士。
大関経験者、春場所は幕内90場所目。
幕内出場回数1300回は史上6位で現役1位。
幕内勝利数707勝は歴代8位。
重心の低い攻めで5日目から3連勝としたが、その後連勝がなく終盤2連敗で6場所連続負け越し。
幕内最年長の36歳でベテラン力士。
関取最年少20歳のホープ。
体格に恵まれ、柔軟性のある取り口で、連敗がなく10日目に勝ち越し12勝挙げ初の十両優勝とし新入幕へ。
本来は右四つだが胸が合えば左四つでも取れる力士。
新十両から3場所連続勝ち越し。
2017年11月初土俵から負け越しは、1度だけ。
15年九州場所で初土俵。
16年初場所で序ノ口優勝、所要4場所で幕下昇進。
柔軟性を生かした、冷静な相撲で連勝。
終盤4連敗するも、祖父の元横綱琴桜、父である元関脇琴ノ若の佐渡ケ嶽親方も果たせなかった新入幕での勝ち越しを14日目に決め9勝を挙げる。
立ち合いから前に出る姿勢を貫き、5日目から3連勝。
スピードのある相撲で13日目に2場所連続の勝ち越し。
10勝を挙げ3場所ぶりの帰入幕。
新入幕だった昨年九州は無傷の4連勝も、右足首負傷で途中休場。軽量ながら右四つに組み止めて寄り切る相撲が持ち味。
大関経験者。
相次ぐ怪我や病気で、一時は序二段まで番付を下げていたが、肘の怪我の影響か、中日から2連敗するも、12日目から3連勝し勝ち越し。
8年初場所以来14場所ぶりの帰り入幕。
身体に負荷のあるトレーニングを行っている。
春場所は8場所ぶりの十両。
初場所からの13連敗を止め、11勝を挙げ、4場所ぶりの勝ち越し。
幕内通算8場所経験者。
2016年頃までは攻め切れない場面が目立ち、土俵際の網打ちでの逆転を図ることも比較的多かったが、2017年頃から速攻相撲が徐々にみられるようになる。
7日目の打ち出し後の検温で38.6度の高熱、8日目の朝39.7度。
PCR検査は陰性。
最終的な診断結果は、蜂窩織炎と診断され、中日から休場。
右後に足袋、左のふくらはぎにテーピング施し、11日目から再出場するも千秋楽に負け越し。
4月17日に29歳を迎える。
2場所ぶりの帰り入幕、2月8日に18年9月に結婚した桃代夫人と挙式、披露宴を行う。
昨年11月には、第一子の長女が誕生。
春場所、初日から5連敗が響き、6勝止まり。
右からの小手投げで相手を呼び込んでしまう悪い癖を治さないと。
三役経験者。
「両変形性肘関節症」での手術後、初めての場所。
つかまると相撲にならず、2日目から5連敗するも、娘の誕生日に負けた悔しさから、中盤から星を盛り返し、千秋楽で勝ち越し。
幕内通算33場所目の押し相撲力士。
4月2日には29歳を迎える。
2020/06/29
7月場所は5月(夏)場所の本番付に従って行います。
2020/04/21
17日に引退し年寄「井筒」を襲名した大相撲の元関脇豊ノ島が19日、自らのツイッターで引退を報告した。
「今まで本当にあたたかいご声援ありがとうございました!! 親方になっても変わらぬご支援ご鞭撻よろしくお願いします。本当にありがとうございました」と感謝の言葉をつづった。
実直な性格を物語るように、正面を向き、頭を下げて引退を報告する動画もつけた。
2020/03/23
新型コロナウイルスの影響で異例の無観客開催となった大相撲春場所千秋楽(22日、大阪府立体育会館)、横綱白鵬(35=宮城野)が横綱鶴竜(34=陸奥)との相星決戦を制し13勝2敗で、2場所ぶり44度目の優勝を果たした。
横綱同士の千秋楽結びの一番は力のこもった好勝負に。
白鵬が四つ相撲に持ち込み、最後は万全の体勢で寄り切った。
大横綱健在を見せつけたが、館内は静寂に包まれたまま。
取組後の館内インタビューもなく、NHK中継内で「落ち着いてよく動けたと思う。(無観客開催は)モチベーションをどう持っていくのか浮き沈みが激しかったのが一番。自分だけではなく、みんなそういう思いだったと思う。ホッとしています」と安堵の表情だった。
異例ずくめの場所を35歳で制し「このような場所を経験したってことは、これからの相撲人生に生かしていきたい」とかみ締めるように話した。
また、全取組終了後に幕内力士と親方衆が土俵脇に集合し、日本相撲協会の八角理事長(56=元横綱北勝海)があいさつ。
時折、言葉を詰まらせながら、まずは相撲ファンからの応援、関係者の尽力に感謝の意を伝えると、こう続けた。
「この3月場所を開催するにあたっては一つの信念がありましました。万来、相撲は世の中の平安を祈願するために行われてまいりました。力士の体は健康な体の象徴とされ四股を踏み、相撲を取る。その所作は、およそ1500年前から先人によって脈々と受け継がれてまいりました。今場所は過酷な状況下の中、皆さまのご声援を心で感じながら立派に土俵を勤め上げてくれました全力士、そして、全協会員を誇りに思います。われわれはこれからも伝統文化を継承し、100年先も愛される国技、大相撲を目指してまいります」
無事に15日間を完走し、八角理事長の表情にも安堵した様子が見て取れた。
一人大関の貴景勝は完敗で負け越しが決まった。
差された左を切ったものの、そのまま押し込まれて膝から崩れた。
「まわしを引かれちゃったんで。それが全てかな」。
荒い息で力なく話した。
昨年は千秋楽に10勝目を挙げて大関の座をつかんだ地元場所だが、左膝に不安を抱える今場所は平幕に5敗するなど不振。
横綱白鵬戦が組まれない屈辱を味わい、最後も大関とりの懸かる朝乃山に意地を見せられなかった。
皆勤で負け越したのは、小結時代の2018年初場所以来だ。
かど番となる来場所へ「一生懸命、力を付けたい」と雪辱を誓った。
大相撲春場所千秋楽(22日、大阪府立体育会館)、大関貴景勝(23=千賀ノ浦)を押し倒しで下し、11勝目を挙げた関脇朝乃山(26=高砂)の大関昇進が確実となった。
日本相撲協会審判部長代理の境川親方(57=元小結両国)が昇進を決める臨時理事会の招集を八角理事長(56=元横綱北勝海)に要請。
同理事長はこれを受諾し、臨時理事会の行われる25日には「大関朝乃山」が誕生する。
大関昇進の目安は三役の地位で直近3場所合計33勝とされるが、朝乃山は合計32勝。
13日目(20日)の横綱白鵬(35=宮城野)戦、14日目(21日)の横綱鶴竜(34=陸奥)戦と連敗を喫した。
だが、安定した取り口に親方衆の評価は高く、境川親方も「力は十分についている。初日から内容も充実している。誰に対しても真っ向勝負をしているのも魅力。好感が持てる」と絶賛した。
朝乃山はどんな時でも真っ向勝負をする。
小学4年から相撲を始めてから、立ち合いで変化をしたことがないという。
「立ち合い変化で勝ってもそれは勝ちじゃない。自分の相撲じゃない。自分を否定することになる」。
どんな相手でも仕切りの時には先に手をつき、全力で真っすぐ当たるのを身上にする。
報道陣にもそうだ。
朝稽古後、報道陣の囲み取材に応じると、どんな質問にもかわさずに素直に答える。
20分ほどに及ぶこともしばしば。
「もう他にありませんか」と気を使って聞いてくるほどだ。
大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)千秋楽の22日、上松町出身で西前頭3枚目の御嶽海(出羽海部屋)は、西前頭5枚目・阿武咲(阿武松部屋)に押し出しで敗れた。自身初の2場所連続負け越しから再起をかけた場所を10勝5敗で終えた。最終盤の連敗で星を伸ばせなかったものの、来場所での3場所ぶりの三役復帰の可能性がある。 今場所は前に出る相撲を前面に初日から6連勝を飾った。2横綱に歯が立たずに連敗を喫するも引きずらず、2度目の優勝を飾った昨年秋場所以来の勝ち越しを10日目に決め、13日目には3場所ぶりの二桁勝利となる10勝に到達、終盤まで優勝争いに食い込んだ。木曽相撲連盟顧問の三村喜一郎さん(88)は「前半は体勢も低く、しっかりと腰を下ろした基本通りの相撲だった」と評価した。 一方で、後半は立ち合い負けする場面が増え、千秋楽の取組も阿武咲の重心の低い立ち合いに下から押し上げられての完敗だった。三村さんは「後半、立ち腰で突き起こされる場面が増えたのが残念」と悔しがった。 御嶽海が小学生の頃から指導をしてきた三村さんは「自分の相撲を取りきれば白星が付いてくることは今場所の前半戦で証明済み」とし、来場所に向けて「『しこ、すり足、一丁押し』の基本的な稽古を積んで精進を」とエールを送った。 夏場所(5月10日初日、東京・両国国技館)の番付は4月27日に発表される。
大相撲春場所の三賞選考委員会が開かれ、殊勲賞は西前頭5枚目・阿武咲(23)=阿武松=が初受賞した。
10日目、横綱白鵬に今場所初めて土をつけたことが評価された。
敢闘賞は東前頭9枚目・隆の勝(25)=千賀ノ浦。
14日目までに自己最多の11勝を挙げ、初めて三賞を獲得した。
技能賞は、終盤まで先頭に立っていた西前頭13枚目・碧山(33)=春日野=が初めて受賞した。
大相撲春場所千秋楽(22日・エディオンアリーナ大阪)盛岡市出身で西前頭14枚目の錦木(伊勢ノ海部屋、盛岡・米内中)は、東10枚目の佐田の海をつり出しで下し、6勝9敗で春場所を終えた。
錦木はもろ差しで両まわしを引いた。強引に出てきた佐田の海に対し、体を入れ替え、つって土俵外に出した。
大阪市内で21日に行われた大相撲春場所14日目で、本県ゆかりの琴ノ若(本名鎌谷将且)が、父の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若・尾花沢市出身)が果たせなかった新入幕での勝ち越しを決めた。
4連敗の悪い流れを断ち切った22歳に対し、県内の祖父母や支援者は「ほっとした」「度胸の良さを感じた」などと祝福の言葉を贈った。
東前頭18枚目で新入幕を果たし、初日は白星でスタート。
その後、7勝目からの4連敗という試練を乗り越えた。
188センチ、173キロと体格に恵まれた逸材が、母方の祖父・元横綱琴桜(故人)、そして師匠がともに負け越した新入幕時の成績を上回った。
佐渡ケ嶽親方の両親で、尾花沢市に住む琴ノ若の祖父母は喜びの声を上げた。
「連敗して心配していたが今回は調子が良かった。息子が新入幕した時と同じように見守っていた」と興奮冷めやらない様子。
「気持ちが優しいから後半負けが続くとかわいそうだった。毎日見て応援していたので、勝ち越してくれてほっとした」。
佐渡ケ嶽部屋の後援会長で、食品スーパー「おーばん」などを展開するおーばんホールディングス(天童市)の二藤部洋社長(70)は激励のため大阪入りした。
宿泊先のテレビで観戦し「まずはほっとした。連敗はしたが、じたばたしない度胸の良さを感じた」と成長を感じた様子だ。
勝ち越しを決めた取組後、親方と琴ノ若から「心配を掛けたが、なんとか勝ち越せた」と報告があったといい、「22日も取組はあるし、来場所が控えている。一歩ずつ力をつけていってほしい」とエールを送った。
大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)は22日、千秋楽を迎え、西十両2枚目の若隆景(福島市出身)が立ち合いから前に出る姿勢を貫いて、旭大星を押し倒しで下して10勝目を挙げた。
今場所は順調に勝ちを重ねて白星を2桁に乗せ、幕内返り咲きに大きく前進した。
昨年11月の九州場所で本県出身として6年ぶりに幕内力士になった。
スピードと力強い突き押しで初日から4連勝を挙げたが、右足首の負傷で途中休場した。
休場の影響で今年1月の初場所は十両に転落したが、9勝で勝ち越していた。
5月場所の番付は4月27日に発表される予定。
2度の右膝手術を乗り越え、幕内復帰を目指す関学大出身の宇良が三段目で優勝。
7戦全勝で並んだ南海力との優勝決定戦を制した。
かつて自身の付け人だった兄弟子との木瀬部屋勢対決。
「お互いの出方が分かっている」と慎重な差し手争いから、先に攻めてはたき込んだ。
「久しぶりに大阪で(相撲を)取れて優勝できて良かった」。
2度の長期離脱で地元場所は3年ぶり。
感慨はひとしおだった。
小柄ながら多彩な技を持つ人気力士。
最高位は前頭4枚目で金星も挙げた。
だが、3年前に右膝を負傷して大きく番付を下げた。
復帰後も古傷を痛め、再び序二段まで陥落。
「長いです。時間がかかるなと」との言葉に実感がこもる。
今も膝は万全とは言えない。
得意の居反りなどの無理な体勢はけがにもつながりかねず「きれいな相撲を取りたい」と宇良。
幕下復帰が濃厚な来場所も正攻法で挑む。
宇良(うら=本名宇良和輝)西30枚目、大阪府寝屋川市出身、木瀬部屋。関学大から15年春場所初土俵。
16年夏場所新十両。
17年春場所新入幕。
右膝負傷による2度の長期休場で序二段まで転落した。
得意は押し、足取り。175センチ、134キロ。27歳。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、史上初の無観客開催となった春場所が幕を閉じた。
発熱による休場者は平幕の千代丸ら3人出たが感染者は出ず、土俵周りでも大きなトラブルはなかった。
「無観客開催運営プロジェクトチーム」のリーダーを務めた芝田山広報部長(元横綱大乃国)は、「他のスポーツ界にも勇気を持ってもらえると思う」と胸を張った。
同チームは、広報部の高崎親方(元前頭金開山)が発案。
場所中に毎日、広報部や審判部、行司や呼び出しなど、各担当部署の代表者ら約25人が集まった。
前日の反省や今後の対応についてなど、約1時間の会議が連日行われ、会議内容や決定事項などは代表者が担当部署や所属部屋に伝達。
芝田山広報部長は「どんなささいなことも話し合い、みなさんに情報が回るように徹底した」と話した。
感染者を出さないための努力も当然あった。
会場入りする親方衆の専用入り口を作ったり、世話人が会場内に明け荷を運ぶ際の動線も場所前に何度もシミュレーションした。
力士らが行き帰りで使用するタクシーの待機場所や方向にもこだわるなど、密集による接触や混乱を回避するあらゆる方法を考え抜いた。
芝田山広報部長は「無の境地でやった。プロジェクトチームだけではなく全協会員が一丸となった結果」と15日間を振り返った。
スポーツイベントの中止や延期が国内外で相次ぐ中、15日間やり切ったことには大きな意味がある。
八角理事長が土俵の上で感極まった。
十両後半が恒例となっている千秋楽の協会あいさつは、表彰式前に全幕内力士を土俵下に整列させて行う異例の形。
「千秋楽にあたり、謹んでごあいさつ申し上げます。本日…」。
万感の思いが込み上げてきた。
目が潤む。
10秒の沈黙後「千秋楽を迎えることができましたことは…」と感謝の言葉を続けた。
毎年、あふれんばかりの人でにぎわうエディオンアリーナ大阪の正面玄関は15日間、固く閉ざされたままだった。
力士のしこ名が書かれたのぼりもなかった。
朝、就寝前と一日2度の検温を義務付けられた力士は公共交通機関を使用せず、タクシーなどで裏口から入館。
土俵上の力士の吐く息、ぶつかり合う音、うなり声が静けさの中に響く異例の場所だった。
「この3月場所を開催するにあたっては、一つの信念がありました。元来、相撲は世の中の平安を祈願するために行われて参りました。力士の体は健康な体の象徴とされ、四股を踏み、相撲を取る、その所作はおよそ1500年前から先人によって脈々と受け継がれて参りました」
協会員の全員が徹底したコロナウイルス感染予防に努め、不要不急の外出を避け、体調維持ができたために休場者も少なかった。
37度5分以上の熱が2日続けば休場、1人でも感染者が出た場合は中止。
極限状態の中でも親方衆、約650人の力士、行司、床山、呼び出しらから1人も感染者を出すことなく終えたことは、何かに守られている感じすらあった。
「今場所は過酷な状況下の中、みなさまのご声援を心で感じながら立派に土俵をつとめ上げてくれました。全力士、そして全協会員を誇りに思います。われわれは、これからも伝統文化を継承し、100年先も愛される国技大相撲を目指して参ります」
神事である大相撲の規律、目に見えない力を世界に知らしめた、歴史に残る場所となった。
史上初の無観客開催となった大相撲春場所は22日、千秋楽を迎え、NHK総合テレビが全取り組み後に催された出世力士手打ち式と神送りの儀式を異例の完全生中継した。
通常であれば、午後6時に終了する放送時間に間に合わないことがほとんどだが、白鵬の44回目の優勝が決まった結びの一番や表彰式が早く終わったことから儀式のもようを最後までカバーすることができた。
神送りの儀式では御幣を携えた行司が土俵の真ん中で力士から胴上げされるなど物珍しさが評判を呼び、ツイッターでも「表彰式がコンパクトだったので、出世力士手打式と神送りの儀式が見れたのは貴重でした」「これは激レアだね」「普段見られない神送りの儀式とかも感動したよ」と上々の反応があった。
行司の胴上げは土俵に降りてきた神様を天に送り返すために行う。
2020/03/22
大相撲春場所14日目は21日、エディオンアリーナ大阪で行われ、横綱・白鵬は平幕・碧山を上手投げで、横綱・鶴竜は関脇・朝乃山を下手投げでそれぞれ降し、ともに2敗を守った。
両横綱は22日の千秋楽で優勝を懸けて直接対決する。
横綱同士の千秋楽相星決戦は2013年九州場所で日馬富士が白鵬を寄り切った一番以来。
鶴竜「ここまで来たらやるだけ」
勝ちっぷりに両横綱の意地が詰まっていた。
白鵬と鶴竜は碧山と朝乃山の優勝の芽を摘み取り、千秋楽での横綱相星決戦に持ち込んだ。
先に土俵に上がったのは白鵬。
2敗同士の対決で、突き押しの強い碧山をつかまえることはできなかったが、前に出てくる相手の勢いを利用した。
左からいなしてバランスを崩させ、上手をつかんで倒れ込みながらの投げで転がした。
一方の鶴竜は冷静だった。
大関昇進を狙う朝乃山に攻め込まれたが、無理な投げを打って敗れた2019年秋場所の反省を生かし、左を巻き替えて双差しになって備え、土俵際で投げの打ち合い。
朝乃山に軍配が上がったが、「自分でしっかり(相手の肘がついたのが)見えていたので大丈夫」と勝利を確信。
物言いの末に行司差し違えで勝った。
白鵬は報道陣の問いかけに無言でミックスゾーンを通過したが、鶴竜は「ここまで来たらやるだけ」と言葉に力を込めた。
横綱の千秋楽相星決戦は13年九州場所の日馬富士―白鵬以来。
史上初の無観客で開催された今場所は、最後に東西の番付最高位の両雄で賜杯を争うことになった。
朝乃山は鶴竜を攻め込み、土俵際で投げの打ち合い。
軍配をもらったが、わずかに左肘が先に落ちており、物言いが付いて行司差し違えに。
「悔いはないんで。しっかり受け止めて」と自分を納得させるように話した。
横綱戦連敗。
大関昇進の目安とされる直前3場所で33勝には届かなくなった。
本人は「出直しです」と繰り返して「見送り」を覚悟していたが、境川審判部長代理(元小結両国)は迷っている様子。「力は十分についていると思う。内容は充実している」と評価しつつ「きのう、きょうのどっちか勝ちたかった。数字というのもね」と続け、千秋楽の貴景勝戦を踏まえて判断することになりそうだ。
正代が三役で初めて勝ち越した。
宝富士にもろ差しを果たすと、休まず前に出て寄り切り。
19場所ぶりに復帰した関脇で区切りの白星を手にし、「まだふわふわしている感じ」と余韻に浸った。
新関脇だった場所では、上位の雰囲気に気後れしたという。
無観客開催の今場所は「お客さんがいなかったので、自分の相撲に専念できた気がする」とも。
地道に前進してきただけに、本来の実力を満員の館内でも発揮できるよう、自信につなげたいところだ。
大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)14日目の21日、上松町出身で西前頭3枚目の御嶽海(出羽海部屋)は、共に3敗を守る東前頭9枚目の隆の勝(千賀ノ浦部屋)と初めて顔を合わせ、押し出しで敗れた。
10勝4敗となり、優勝の可能性がなくなった。
立ち合いで先手を取られた。
相手の右を差そうとしたものの、おっつけられまわしが取れず、土俵際で踏ん張り相手をはたき込んだが、相手の強い押しで先に土俵を割った。
千秋楽となる22日は西前頭5枚目の阿武咲(阿武松部屋)と対戦する。
幕内での対戦成績は3勝1敗。
直近では、平成30年の初場所で御嶽海が突き落としで勝っている。
琴ノ若は「素直にうれしいですけど、まだあしたがあるので」と表情を崩さずに喜びを表した。
4日間足踏みした後の勝ち越し。
父で師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)から「初日のつもりでいけ」と言われ、吹っ切れたという。
祖父の先代師匠(元横綱琴桜)も父もできなかった新入幕勝ち越しだが、「十両(通過)は自分の方が遅いので」と控えめ。
琴奨菊ら部屋の関取衆や付け人に「少し恩返しができたかな」と感謝していた。
大相撲春場所は20日、大阪市のエディオンアリーナ大阪で13日目を行い、東幕下49枚目の錦富士(23)=青森県十和田市出身=が旭蒼天(中川部屋、西22枚目)を送り出して7勝全勝とし、初の幕下優勝を決めた。
本名・小笠原隆聖。
十和田市立三本木小、十和田中、青森県立三本木農高を経て近大に進んだが中退し、2016年に角界入り。
同年秋場所が初土俵で、同九州場所の序ノ口、17年初場所の序二段でそれぞれ全勝優勝した。
17年九州場所に幕下へ昇進し、順調に番付を上げたが、19年秋場所で古傷の左肘を痛め、九州場所を休場して西幕下58枚目まで番付を落とした。
再起を懸けた今年初場所で4勝3敗と勝ち越し、今場所に臨んだ。
錦富士は「5連勝したあたりから安治川親方(元関脇安美錦)や翠富士関から『優勝を目指せ』と言われ、一つ一つを積み上げた。
けがをしないような強い体をつくり、師匠(伊勢ケ浜親方=元横綱旭富士)や安治川親方に恩返しがしたい」と語った。
大相撲春場所で、東序二段27枚目の雄亀湖(神戸市北区出身)が、7番相撲で勝ち越しを決めた。
立ち合いで上手を取らせず、相手の押し込みを吸収。
素早く左に回って寄り切った。
「うまく腰を使えた。(3勝4敗と4勝3敗では)全然違う」と笑みがあふれた。
これでご当所は3年連続で勝ち越し、「験のいい場所」と喜ぶ。
山響部屋に入って3年。
課題のあがり症を克服し、徐々に稽古場の力を出せるようになってきた。
神戸市立桜の宮小から姫路市立飾磨東中に進み、団体戦メンバーとして全国中学校体育大会に出場した。
個人戦3位に入った同級生のエースが、拓大紅陵高(千葉)を経て今春角界入りした立浪部屋の渉利(たつの市出身)だ。
「僕も稽古を積んできた。(番付を)抜かれたくない」。
まずは先場所まで2場所経験した三段目復帰を目指す。
大相撲春場所14日目の21日、立行司の第41代式守伊之助が結びの一番の鶴竜―朝乃山で軍配差し違えをして打ち出し後に八角理事長(元横綱北勝海)に口頭で進退伺を申し出た。
理事長からは「(際どい勝負で)軍配を上げるのは難しかっただろうけど、今後注意するように」と反省を促された。
土俵際の投げの打ち合いで朝乃山に軍配を上げた。
物言いの末に、朝乃山の左肘が先に落ちたとして覆った。
式守伊之助の差し違えは昨年初場所の立行司昇格後で、4場所連続4度目。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて観客を入れずに行われてきた異例の大相撲春場所は、22日、千秋楽を迎え、2敗で並ぶ白鵬と鶴竜の両横綱が結びの一番で対戦します。
白鵬が勝てば44回目、鶴竜が勝てば7回目の優勝が決まります。
今場所35歳になった白鵬は下位に2敗するなど調子の波はありましたが、立ち合いから一気に前に出る厳しい相撲はほかの力士を圧倒していて、第一人者の力が健在であることを示しました。
一方、3場所連続で休場していた鶴竜は前半戦、流れに乗れていませんでしたが、日を追うごとに立ち合いの集中力が増し、後半戦は万全の相撲を続けています。
観客のいない土俵で横綱の務めを果たしてきた2人による熱戦が期待され、白鵬が勝てば2場所ぶり44回目、鶴竜が勝てば4場所ぶり7回目の優勝が決まります。
一方、大関昇進を目指す関脇朝乃山は、ここにきて両横綱に連敗し、10勝4敗で千秋楽を迎え、7勝7敗の大関貴景勝と対戦します。
朝乃山が大関に昇進するためには、白星と相撲内容も求められそうです。
昇進を引き寄せるためにも得意の右四つの形で真っ向勝負し万全の相撲を見せたいところです。
勝ち越しがかかる貴景勝は、先輩大関としても負けられない一番です。
これからの土俵を担っていく2人だけに、力を出しきった好勝負が期待できそうです。
新型コロナウイルスの感染拡大による史上初の無観客開催となった大相撲春場所。
「観客の声援がない」なかで、会場となったエディオンアリーナ大阪の館内で記者が取材すると、普段は気がつかないことが、目と耳に入ってきた
無観客開催の春場所がNHK中継されたことで、行司や呼出の美声がテレビ桟敷でも話題になったが、館内で取材していると、土俵入りで横綱が土俵中央に進み、仁王立ちする際に、行司が「しーっ」と発する声に気づかされる。
「静かにしなさい」という意味がある「警蹕(けいひつ)」という所作だ。
弓取式の際には、行司が力士に「白鵬代、将豊龍〜」と声を掛けるのが聞こえる。
横綱の代わりに弓を受けるという意味だという。
「物言い」の場面でも、普段は聞こえない土俵上の“協議”の内容が耳に入ってきた。
無観客開催だと、土俵上で話し合う審判の声が3階席の報道陣にも届く。
細かい言葉まではっきりとは聞き取れないが、集まった審判の親方衆がほとんど協議をせず、審判長がビデオ室とのやり取りを他の審判に伝えているだけということがよくわかる。
大相撲も事実上のVAR(ビデオアシスタントレフェリー)の時代ということのようだ。
中入りでは立行司が翌日の取組を場内に読み上げるが、観客は誰もいないのに4方向に四股名が書かれた紙を見せながら読み上げていく。
この間、中継は実況席を映しているためその様子はテレビでも流れないが、すべて通常通りに行なう方針ということなのだろう。
NHKは今場所、実況席に特別ブースを設けている。
アクリル板があることで、実況・解説の声が力士に聞こえにくくなるようにしている。
記者席で聞き耳を立てても、音らしきものがブースのなかから聞こえてくるものの、その内容まではわからない。
静まりかえった館内に、北の富士氏の“辛口解説”が響き渡り、力士が気にするといったことが起こらないようにしているのかもしれない。
桟敷席に観客が誰もいないので、土俵の周りに陣取る審判部の親方衆の姿にも目がいく。
普段は気がつかないが、錦戸親方(元関脇・水戸泉)や二子山親方(元大関・雅山)がテレビに映らない足元では、あぐらではなく足を伸ばして座っていることや、親方衆が土俵に上がる時のために別の雪駄が用意されていることも見えた。
土俵正面の観客席の右奥には監察委員、左奥には札番の親方が座っている。
無気力相撲を防止する役割を担う監察委員は、通常は会場内の観察室から取組をチェックしている。
それが無観客ということで、客席に座って土俵を見ているわけだ。
おかげで4人の監察委員のうち1人の親方はボードを持って一番終わるごとに何かチェックをしている様子が見える。
他の3人の親方は腕組みをして目を閉じていたりする。
一番一番、無気力相撲かどうかの議論をしているわけではなかった。
静寂のなかだからこそ、聞こえ、見えてくるものがある本場所となった。
2020/03/21
大相撲春場所(大阪府立体育会館)で関脇朝乃山(26=高砂)の大関取りが現実味を帯びてきた。
12日目(19日)は幕内隆の勝(25=千賀ノ浦)を押し倒して10勝目(2敗)。
大関昇進は三役(関脇・小結)の地位で「3場所合計33勝以上」が一応の目安とされ、今場所の朝乃山の場合は12勝が必要。
ただ、平成以降で「32勝」で昇進したケースも3例ある。
元横綱稀勢の里(33)の荒磯親方も、そのうちの一人。
荒磯親方は解説を務めたNHKの大相撲中継の中で、朝乃山の33勝未満での大関昇進の是非を問われると「大関のような相撲。僕はそれでもいいのかなと思います」と見解を述べた。
あくまでも昇進の可否は審判部が判断することとはいえ、親方衆の間でも朝乃山は高い評価で一致している。
日本相撲協会の八角理事長(56=元横綱北勝海)も「ここ1年ぐらい、ずっと2桁(白星)。(昨年5月の夏場所で)優勝してから自信をつけた」と安定感を評価している。
大関の地位に“空席”があることも追い風だ。
大相撲の番付では東西に大関、関脇、小結の三役は欠かせない。
今場所は貴景勝(23=千賀ノ浦)が38年ぶりの一人大関となり、横綱鶴竜(34=井筒)が不在となった西大関を兼任している。
しかし、大関の力士が東西に並び立つのが本来の形。
残り3日間の内容次第では「33勝」に到達しなくても、昇進の機運が一気に高まる可能性がある。
朝乃山は「一日一番、自分の相撲を取り切るだけ」と目の前の一番に集中する構え。
初の無観客開催となった異例の場所で、看板力士の地位をつかめるか。
大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)13日目の20日、上松町出身で西前頭3枚目の御嶽海(出羽海部屋)は、東前頭7枚目・宝富士(伊勢ケ濱部屋)を寄り切りで下し、10勝目(3敗)を挙げた。
2桁勝利を達成したのは、2度目の優勝を飾った昨年9月の秋場所以来だ。
相手得意の左四つを許すまいと、右を固めて頭から当たった。
左を浅く差し、右からのおっつけで宝富士の差し手を封じると、そのまま膠着状態に。
じっくりと勝機をうかがう御嶽海との我慢比べに根負けした相手の引きに乗じて足を運び、2本差して寄り切った。
県相撲連盟選手強化副部長の中村協和さん(73)=木曽町福島=は「前に出る押し相撲が取れている」と今場所の御嶽海の相撲を評価する一方で「立ち合いの迫力は不足している。まだまだ本来の相撲ではない」と、175キロ程で推移する体重の影響を指摘する。
3場所ぶりの2桁勝利を喜びながら「残り2日間は来場所につながる相撲を。頑張ってほしい」とエールを送った。
白鵬、鶴竜、碧山が2敗でトップに並ぶ。
御嶽海は14日目の21日、朝乃山と共に3敗を守る東前頭9枚目・隆の勝(千賀ノ浦部屋)との初顔・相星対決に挑む。
協会員に1人でも新型コロナウイルス感染者が出た場合は中止──そんな条件のもと無観客で始まった大相撲春場所。
力士らには所属部屋で朝晩2度の検温を義務づけ、37.5度以上の発熱が2日続けば休場となり、容態によってはPCR検査を受診させるとしていた。
そんな状況下で「高熱力士」が出るたびに、相撲協会は右往左往の対応を迫られた。
相撲協会に“最初の危機”が訪れたのは初日(3月8日)の夜だった。
序二段の力士に40度近い熱が出た。
2日目に休場が判明したことで報道陣に注目されたが、親方がインフルエンザの検査を受けさせたところ陰性。
翌日の朝に36.7度まで下がると、この序二段の力士は5日目から土俵に復帰し、その日に寄り切りで白星を挙げた。
次の危機が訪れたのは6日目(3月13日)の昼頃。
序ノ口の力士の発熱が判明する。
病院では「胃腸風邪」と診断されたが、翌日の朝になっても38度から下がらなかった。
当然、2日連続で発熱したことでPCR検査を受けさせると思われたが、協会は「毎朝の検温を判断材料にしており、(前日の昼に発熱したので)2日連続に該当しない。明朝の検温で(PCR検査を受けさせるか)決める」(鏡山危機管理部長)という判断に。
強引な解釈にも思えるが、この序ノ口の力士もまた翌日(8日目)には平熱に戻った。
9日目から土俵に復帰し、歴代ワーストの89連敗の記録を持つ服部桜に勝利している。
「場所中に風邪を引いたりすると、扁桃腺が弱い力士などは高熱が出ることが少なくない。通常なら大事をとって千秋楽まで休ませる。ところが、今場所は熱を下げては即土俵に戻すという“スピード復帰”が繰り返された。とにかく、新型コロナウイルスではないことをアピールしたかったのではと勘ぐりたくもなる」
そして、最大のピンチがやってきた。幕内力士の千代丸(九重部屋)が40度の発熱で休場したのだ。
7日目(3月14日)の打ち出し後の検温で38.6度。
翌朝は39.7度とさらに上がった。
この時点で8日目の休場届を出したが、やはり「毎朝の検温を基準としているので(PCR検査に)該当しない」との判断。
宿舎2階の個室で隔離されたが、翌16日(9日目)の朝も40度の熱があり、ようやくPCR検査を受けることになった。
「力士の職業病ともいわれる、足の傷口から細菌が入る『蜂窩織炎』の疑いが強かったが、ルール上は新型コロナウイルスを調べるPCR検査をするしかなかった。
検査の結果は陰性。
協会幹部も胸をなでおろす一方で、千代丸もスピード復帰となった。
体温が下がったといっても10日目の朝の時点で37.7度の高熱。
蜂窩織炎は皮膚と皮下組織に細菌が感染し、増殖する急性感染症です。
激しい痛みを伴うことも多い。
にもかかわらず、検査結果が出るとすぐに11日目の取組を決める取組編成会議に間に合うように再出場の手続きをした。
この会議も通常は午前11時からのものが、今場所は午後1時に変更されていた。
審判部に大人数が集まらないようにする感染リスク軽減策のひとつだというが、結果としてアクシデントを予想していたかのような好都合の展開となった」
千代丸は7日目まで5勝2敗と好調で、まだ勝ち越しの可能性が残っていたとはいえ、熱があるなか3日の休みを挟むだけで11日目から異例の早さで土俵に復帰した。
それによって新型コロナウイルス感染の噂をかき消し、協会も中止の危機を回避できた。
綱渡りが続いた無観客場所の“殊勲賞”の候補のひとりだろう。
通常、翌日の取組は前日午前中の取組編成会議で決めることになっている。
ただ昨年から、優勝争いや三賞選考、勝ち越しや負け越しに絡むことなどを考慮し、千秋楽の取組は14日目の全取組終了後に決めることが、ほぼ慣例となっていた。
これを今場所は、14日目の取組もギリギリまで優勝争いを見据え、結果が出た時点で取組を編成することになった。
12日目終了時点で単独トップに立っていた平幕下位の碧山(33=春日野)が敗れ、トップは2敗で3人が並び、1差の3敗に3人がつけるという再び大混戦になった。
この結果を受けて14日目には、結びの一番は想定通りに横綱鶴竜−関脇朝乃山戦が組まれたが、その一番前は横綱白鵬−碧山の2敗対決が組まれた。
番付優先の通常なら白鵬−貴景勝の横綱、大関戦が組まれるが、6勝7敗の貴景勝の不振もあり、優勝争いを優先した格好だ。
千秋楽は白鵬−鶴竜戦の横綱対決が確実に組まれると思われる。
このため貴景勝は、横綱戦2つのうち白鵬戦が今場所、なくなることが確実となった。
審判部の柔軟ともいえる対応に八角理事長(元横綱北勝海)は「いい取組を作るために審判部がね(考えたこと)。
横綱、大関が少ない(3人)ということもある。普通なら横綱、大関陣で優勝争いだから」と、いわゆる「割崩し」に理解を示した。
今場所は史上初の無観客開催となっただけに、最後までより優勝争いを面白く−という意図がかいま見える判断だ。
大相撲春場所13日目、琴恵光の結果です。
延岡市出身で十両5枚目の琴恵光は20日、十両11枚目の翠富士を破り、10勝3敗としました。
十両初優勝を目指して、11勝2敗の琴勝峰を追っています。
大相撲春場所は20日、大阪市のエディオンアリーナ大阪で13日目を行い、東幕下49枚目の錦富士(23)=十和田市出身=が旭蒼天(中川部屋、西22枚目)を送り出して7勝全勝とし、初の幕下優勝を決めた。
本名・小笠原隆聖。十和田市立三本木小、十和田中、青森県立三本木農高を経て近大に進んだが中退し、2016年に角界入り。
同年秋場所が初土俵で、同九州場所の序ノ口、17年初場所の序二段でそれぞれ全勝優勝した。
17年九州場所に幕下へ昇進し、順調に番付を上げたが、19年秋場所で古傷の左肘を痛め、九州場所を休場して西幕下58枚目まで番付を落とした。
再起を懸けた今年初場所で4勝3敗と勝ち越し、今場所に臨んだ。
錦富士は「5連勝したあたりから安治川親方(元関脇安美錦)や翠富士関から『優勝を目指せ』と言われ、一つ一つを積み上げた。
けがをしないような強い体をつくり、師匠(伊勢ケ浜親方=元横綱旭富士)や安治川親方に恩返しがしたい」と語った。
西三段目84枚目の千代大豪(尼崎市出身)は元幕内、宇良(関学大出)との全勝対決で屈し、初優勝はならなかった。
「立ち合いは良かったが(宇良が)思ったより低く入ってきて引いてしまった」。
持ち味の突っ張りを出せず、5秒持たずに土俵を割った。
今場所は首の痛みと付き合いながらの大健闘だった。
「調子はいいが、力を出せない」。
幕下だった昨年夏、首の状態が悪化し、2場所連続で休場。
初場所で復帰しても治療は欠かせず、宇良戦の前日も電気施術とマッサージを受けていた。
新型コロナウイルス感染症の影響で実家に顔を出せず、掲げた目標は「勝ち越して親を喜ばせたい」だった。
手負いの状態ながらも6勝を挙げた22歳。
場所前の誓いを大きく上回り、存在感を示した。
大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)13日目の21日、富士市出身で西序ノ口22枚目の篠原(18)=本名篠原大河、藤島部屋=が序二段百7枚目の石原に勝ち、7戦全勝で序ノ口優勝を果たした。
この日は立ち合いから得意の突き押しで一気に押し出し。
3日目の2番相撲では、飛龍高校(沼津市)の同級生で高校横綱の実績がある西序ノ口21枚目の颯富士(18)=本名大桑元揮、伊勢ケ浜部屋=にも勝っていた。
「いい相撲が取れた。勝ち越しが目標だったので優勝はうれしい」とうなずいた。
高校2年で右手首を骨折。
3年時の全国高校総体では団体戦メンバーに入ったが、個人戦の出場はかなわなかった。
大学進学や就職を考える中、高校の一年先輩で現幕下の鈴木(19)=本名鈴木優斗、藤島部屋=の助言もあって入門を決意。
「目標は4年で関取になること。優斗さんに追いつき、追い越していきたい」と飛躍を誓った。
大相撲春場所は14日目、横綱白鵬と平幕の碧山が2敗どうしの対戦、同じく2敗の横綱鶴竜と大関昇進がかかる3敗の関脇朝乃山が対戦します。
観客を入れずに行われている春場所は20日、1敗だった平幕の碧山が敗れ、白鵬と鶴竜の両横綱を加えた3人が2敗で並びました。
この3人を関脇朝乃山といずれも平幕の御嶽海、隆の勝の3人が星の差1つで追っています。
14日目の21日は、白鵬と本来は横綱とは対戦しない番付の前頭13枚目、碧山の2敗どうしの異例の対戦が組まれました。
過去の対戦成績は、白鵬が21勝1敗と圧倒していてまわしをつかんで四つに組むことができれば、横綱の優位は動きません。
20日は、引き技で敗れた碧山は立ち合いから突き押しに徹して距離を取って攻め続け、横綱を慌てさせることができれば勝機も出てきます。
一方、7日目から7連勝し、今場所初めて優勝争いのトップに並んだ鶴竜は3敗に後退した朝乃山との対戦です。
過去の対戦は不戦勝を除いて1勝1敗の五分です。
右四つになりたい朝乃山と、左前まわしを取るか、もろ差しになりたい鶴竜の立ち合いからの攻防に注目です。
大関昇進を目指す朝乃山にとっては、直近3場所の勝ち星の数、さらには昇進への機運を盛り上げる意味でも横綱から白星をあげることが求められます。
このほか、御嶽海と隆の勝の3敗どうしの初顔合わせの対戦は、優勝争いの生き残りをかけた一番となります。
2020/03/20
白鵬が正代に敗れ、優勝争いのトップから後退した。
過去9勝1敗と圧倒していたが、張り手にこだわり手を振り回しているうちに中に入られ、もろ差しを許して土俵を割った。
よほど悔しかったのか、支度部屋を出る際に報道陣に声を掛けられたものの、今場所初めて無言で通り過ぎた。
右かかとや腰のケガから復帰し、尻上がりに調子を上げているように見えたが、10日目の阿武咲戦に続く黒星。
やはり終盤のスタミナが課題のようだ。
大関獲りの朝乃山が平幕・隆の勝を返り討ちにした。
立ち合いすぐ得意の右差しになって圧力をかけると、横へ逃げる相手が足を滑らせた。
4連勝で10勝目を挙げ4場所連続となる2桁勝利を決めた。
「自然に右が入った。あとは少し圧力をかけながら逃げたところをつかまえようとしたが、運良く(相手が)こけた。つかまえきれなかったのは反省点」と振り返った。
2敗対決を制して優勝争いに踏みとどまり、13日目は白鵬との大勝負を迎える。
大関昇進の目安「三役3場所計33勝」まで残り2勝となったが、「一日一番。切り替えて自分の相撲を取り切る。立ち合いから当たって前に前に出るだけ。それで負けたら仕方ない」と気合を入れ直した。
関脇・正代が17年春場所以来3年ぶりに白鵬を破った。
「よく我慢できて、攻め時までしのぐことができた」と粘って大横綱から2勝目。
無観客開催だが「応援の声がなかったのでいつも通りにできた。応援が多いと浮足立つ。冷静にいられたのかな」と正代にはプラスに作用した。
大きな勝利で五分の星に戻し、三役在位3場所目で初めての勝ち越しに望みをつないだ。
上松町出身で西前頭3枚目の御嶽海(出羽海部屋)は、西前頭13枚目の碧山(春日野部屋)に押し出しで敗れ、9勝3敗となった。
優勝争いから一歩後退し、昨年9月の秋場所以来となる2桁勝利はお預けとなった。
優勝争いトップを走る相手に、番付上位の力を見せつけることはできなかった。
立ち合いでわずかに当たり負けて上体を起こされ、一気に土俵際に追い込まれた。
いったん右に逃げたが、喉輪と突っ張りで休まず攻められ、形勢を逆転できなかった。
13日目の20日は、東前頭7枚目の宝富士(伊勢ケ濱部屋)と当たる。
対戦成績は御嶽海の4勝2敗。
初顔で黒星を喫して以来4連勝していたが、直近の対戦となった昨年11月の九州場所は6日目に寄り切りで敗れた。
平幕の碧山が御嶽海を押し出し、1敗キープで自身初の単独トップに立った。
先場所の徳勝龍に続いて平幕優勝のチャンスが巡ってきた。
横綱・白鵬は関脇・正代に寄り切られ2敗に後退。
両横綱と関脇・朝乃山が1差の2敗グループで追い、無観客場所は残り3日となった。
鋭い眼光そのままに獲物を追い詰めた。
碧山は御嶽海のいなしにも全く体勢を崩されることなく、前に出て押し出した。
1差追走の相手に完勝し、1敗を守った。
「当たって前に出ることしか考えていなかった。相手とはよく稽古しているので、稽古場を思い出して(相撲を取った)」。
幕内対戦成績は3勝4敗でも連合稽古などでは「100番やったら95回ぐらい勝っている」と“上から目線”でいった。
本場所でも平常心で戦った結果だった。
白鵬が2敗目を喫したため、自身初の単独トップに立った。
会場を後にした時点では横綱の取組は終わっていなかったが「一日一番」とだけ話し、優勝争いは考えないスタンスを強調した。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で外出できない分、夜は妻・ビオレタさんと電話で話すのが気分転換。
寝不足にならないように長電話はセーブしていると言いつつ「いつもは1時間30分ぐらい。2時間近く話していることも」。
これが力の源になっている。
一人で寂しい思いをさせている気掛かりはあるが、昨年の春場所後に飼い始めたトイプードルの「モリー」のおかげで心配は半減したという。
初場所の徳勝龍に続く平幕優勝の可能性が出てきたことで、錦戸審判部副部長(元関脇・水戸泉)は「単独(トップ)ですから。(今後の取組について)明日話し合いたい」と、横綱との対戦にも含みを持たせた。
無観客開催となった異例の場所の優勝争いが、がぜん面白くなってきた。
左下腿蜂窩織炎のため8日目から3日間休場した西前頭15枚目の千代丸(九重)が、元大関で西前頭9枚目の栃ノ心(春日野)を突き落としで破り、再出場後の初白星を挙げた。
左ふくらはぎにサポーターをつけて土俵に上がる千代丸が6勝目で、勝ち越しまで残り3日で2勝と望みをつなげた。
立ち合い両手で突くと、まわしを狙い前のめりになる栃ノ心を左にうまく回り込んで突き落とした。
13日目は西前頭10枚目の栃煌山(春日野)との対戦が組まれている。
新型コロナウイルスの影響で初の無観客開催となった大相撲春場所(大阪府立体育会館)は終盤戦に入っても異様なムードが続いている。
日本相撲協会は力士ら協会員に一人でも感染者が出た場合は打ち切る方針を示す中、幕内千代丸(28=九重)が高熱の症状で8日目(15日)から休場。
ウイルス検査で陰性だったため、11日目(18日)から再出場した。
今回の復帰にあたり、千代丸は相撲協会に「左下腿蜂窩織炎」の診断書を提出。
本来は休場に必要な診断書を出場するために提出するという珍事態となった。
左ふくらはぎにサポーターを装着して臨んだ取組では、幕内琴奨菊(36=佐渡ヶ嶽)に一方的に寄り切られて完敗を喫した。
ミックスゾーンでは報道陣からの問いかけに足を止めず、無言で会場を後にした。
普段なら相撲に負けた日でも気さくに取材に応じていた男が、まさかの“スルー”で独特の緊張感を漂わせた。
10日目(17日)に「(千代丸に)インタビューしてあげてください」と話していた幕内千代大龍(31=九重)も一転して沈黙。
千代丸の復帰は明るいニュースのはずだが、なぜか部屋全体がピリピリした空気を漂わせている。
これぞ電車道−。
西序二段49枚目の琴長浜(神戸市須磨区出身)は立ち合いから相手に時間を与えず、一気の押し出しで2勝目を挙げた。
中卒4年目の18歳。
父学さんが踏めなかった土俵に上がっている。
市川高OBの学さんは高卒で角界入りを目指したが、体調不良で断念。
その話を聞き「それなら自分がやってみようと。プロの世界で上に行けば恩返しになる」と入門した。
この日の白星も、親子の対話がきっかけ。
連敗中、大阪府内の宿舎を訪れた学さんに「立ち合いが遅い」「手だけが前に出ている」と指摘され、踏み込みの鋭さと手足の連動性を意識した結果、圧勝につなげた。
今場所は既に4敗を喫し、負け越しが決まっているが「落ちる番付を最小限に抑えるためにも3番勝つ」。
自身の千秋楽となる残り1番を連勝で締めくくる。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で無観客開催となった春場所は、感染予防のため力士に外出禁令が出されるなど厳戒態勢が敷かれている。
気分転換もままならない本場所の終盤戦。
日頃感じることのないフラストレーションを、取材の現場で“発散”する関取がいる。
36歳のベテラン・松鳳山(二所ノ関)は、10敗目を喫したこの日の取組後、「負けても呼んで下さい。ストレスたまってるから、しゃべりたいんです」と、報道陣に異例のお願いをした。
今場所は特別に、支度部屋の外に設けられたミックスゾーン。
報道陣との距離は2メートルほどに保たれ、負ければ素通りする力士もいる中、ここが“憩いの場”となっているようだ。
松鳳山といえば、勝っても負けても取材に応じる姿勢は変わらない。
負けた後でも淡々と、時には明るく報道陣の質問に答える。
この日も敗戦の後だったが、聞かれたことには真摯に対応。
「勝っても負けても話しをする。それがプロ」と、いつか聞いたことがある。
松鳳山によると、「出かけられないから、気分転換もできない」という今場所は、いつもより早く毎日が過ぎる感覚だという。
就寝までの時間は、スマートフォンで動画を見たり、ゲームをして過ごすそうだが、それも飽きてくる頃…。
発散する場所もないようで「また呼んで下さい。しゃべりたくてしょうがないので」。
取材の場が白星への一助となれば、これ幸いである。
通常、支度部屋には記者が自由に出入りする。
十両の取組が始まる頃には東西の支度部屋で記者が何人も待機するが、今場所は立ち入り禁止だ。
「メディアが支度部屋に入ると“監視役”の役割も果たす。2011年に発覚した八百長では、支度部屋が舞台のひとつとなった。東西の支度部屋を行き来する幕下力士が仲介役となり、携帯メールで星がやり取りされた。それ以降、支度部屋は携帯持ち込み禁止だが、今場所は緊急連絡用に許可されている。
急な体調不良への対応のためかもしれないが、それなら(無気力相撲をチェックする)監察委員の親方衆を観客席だけでなく、支度部屋に配す策などが必要ではないか」
様々なところで“監視の目”がなくなるなか、大関昇進がかかるのが関脇・朝乃山だ。
今場所は貴景勝が一人大関のため、西の横綱・鶴竜が番付表で「横綱大関」となる異常事態が生じ、新大関誕生が熱望されている。
「昨年11月の九州場所が11勝、初場所が10勝なので、『3場所33勝』の昇進ラインまでは、本来12勝が必要。ところが、土俵以外に注目が集まるなか、“10勝でも昇進”という声が出てきた。実際、初目に向正面の解説だった舞の海が“10勝ライン”に言及した」
緊張と思惑が交差するなか、春場所は続く。
「場所前の理事会では、中止の場合に力士の成績をどう扱うかの議論もあった。たとえば、11日目から中止になり、その時点で朝乃山が10勝0敗だったら昇進させるのか、という問題。結論が出ないまま開催が決まった」
例年とは違う意味で、“荒れる春場所”の後半戦で何が起きるのか。
2敗目を喫した白鵬は無言で報道陣の前を引き揚げる
横綱白鵬(35=宮城野)の“ご乱心”?を協会上層部は首をかしげた。
過去の対戦成績9勝1敗で、本場所以外では横審総見や出稽古でも「稽古台」のような存在だった関脇正代(28=時津風)相手に、心の変調ぶりを露呈した。
立ち合い、右で張った。ここまでは、よくある白鵬の姿だが、その張り手が決まって押し込んでも、さらに張り続けた。
2発目、3発目が不発に終わり、4発目は何とか当たったがバランスを崩し上体が起き、正代に脇をつかれ二本差しを許した。
なすすべなく寄り切られ2敗目。
優勝争いでトップの座を平幕で1敗キープの碧山(33=春日野)に譲り渡し、横綱鶴竜、関脇朝乃山にも並ばれた。
協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は「らしくない。興奮して気持ちを抑えられなかったのか。最初から冷静さを欠いて、2発目に空振りしてバランスを崩した」と話した。
さらに「気持ちが整ってなかったのか。どうしちゃったんだろう、勝負を早く決めたかったのかもしれないが、こうゆうの(白鵬の姿)は見たことがない」と心の乱れに驚きを隠せなかった様子だ。13日目は大関とりの朝乃山と対戦するが、この日の相撲の影響について「あるでしょう。ただ(単に)負けたのではなく、自分から墓穴を掘った。気持ちを立て直せるかだろう」と話した。
また土俵下で審判長を務めた審判部の錦戸副部長(元関脇水戸泉)も、変調ぶりを取組前の所作の一端から、垣間見たようだ。
「いつも塩を取りに行く時、サーッと走るのに、今日はちゅうちょしていた」。
さらに立ってからも「張り手の時は、張って差すか、まわしを取るかだけど、今日は張り手しかやってない」と二の矢が出なかった異変を察知。
「今日は少し高かった。いつも脇を締めているのに、振りかぶっていた」と、自滅した横綱の相撲を振り返った。
2020/03/19
北勝富士を圧倒して連敗を免れた。
鋭く踏み込んで、一直線に土俵外へ追いやる速攻。
前日に阿武咲に敗れた嫌な流れを断ち切り、「まあ、スカッとしたね」と納得の表情を浮かべた。
幕内最初の取組で碧山が1敗を守ったが、前半戦はあまり見ていなかったという。
「あすは近いところ(後半戦)で相撲を取るから注目して見てみたい」と余裕の口ぶりだった。
頭から当たって御嶽海を一蹴した8日目あたりから鶴竜の相撲にリズムが出てきた。
悪い時はこわごわと取って、いつ悪い癖の引きが出るんじゃないかという相撲が、今は立ち合いで踏み込んで、迷いなく手も足もよく前に出している。
自分の立ち合いはこれだ、というのを思い出したようにみえる。
正代戦も狙った左前みつは取れなかったが下から起こして突き放し、まわしにこだわらずに出た。
稽古場で負けない相手だからこそ、余計に本場所では気を抜けない。
精神的にもスキを見せなかった。
11日目、一人大関の貴景勝は立ち合いから阿炎を押し込んだが、回り込まれて形勢逆転。
突きにあっけなく俵を割って9日目から3連敗となる6敗目を喫した。
膝に不安を抱えており、影響について「ただの実力不足」と否定したが「横綱2人(との対戦)を残して6敗は相当厳しい」と苦しい胸中も吐露した。
「毎日一生懸命やっている。それを明日からもやるだけ」。
看板力士のプライドが試される。
大関を目指す朝乃山が落ち着いて9勝目を挙げた。
前に出ながらもろ差しを果たし、竜電を寄り切った。
「考えずに体が動いてくれた」。
得意の右四つでなくても、慌てることはなかった。
昇進の目安とされる直近3場所計33勝まで、あと3勝。
横綱、大関戦を残しているだけに、12日目の隆の勝戦は取りこぼしたくない。
「あとは悔いのないように取り切りたい。思い切りいくだけ」と気合を入れ直した。
11日目、上松町出身の御嶽海は東前頭筆頭の大栄翔に勝って9勝目をあげました。
きのう、3場所ぶりの勝ち越しを決め、優勝争いにも加わっている西前頭3枚目の御嶽海。
大栄翔の強烈なのど輪で上体を起こされ土俵際まで追い込まれましたが、うまく回り込んで最後は送り出しで勝ちました。
2敗を守った御嶽海は12日目のあす、横綱・白鵬とともに1敗で優勝争いの先頭を走る西前頭13枚目の碧山と対戦します。
小兵の石浦相手に右を差し、じりじり前に出て一方的に押し出した。
トップに1差で食らいつく9勝目。
「自分の相撲に自信を持って取れている」と納得の表情を浮かべた。
平成30年秋場所で新入幕を果たし、その場所後に貴景勝ら旧貴乃花部屋の力士が移籍してきた。
稽古相手に恵まれたことも飛躍の一因だ。
貴景勝から日々アドバイスをもらい、取り口の参考にしているという。
まだ25歳。伸びしろは大きい。
12日目は大関昇進がかかる朝乃山戦が組まれた。
今の力を試す格好の相手だ。
「やるしかない」と番狂わせを狙う。
目標にしてきた10勝にはあと1勝。
さらにその先へと期待は膨らむ。
大関経験者の東前頭13枚目琴奨菊が休場明けの西前頭15枚目千代丸を下し、元横綱武蔵丸を抜いて単独8位となる幕内通算707勝目を挙げた。
千代丸のもろ手突きに後退することなく、もろ差しから休まず攻めた。
「いいスペースを体で考えていて、しっかり自分の相撲が取れた」。
記録に関しては「うれしい。あまり実感はないけど、終わってからそのすごさが分かる」と笑顔を見せたが「そこのわくわくに飛びついたらダメになる。飛びつかないように、体で感じていきたい」と気を引き締めた。
6勝目で来場所の幕内残留にも大きく前進した。
幕内在位場所数は今場所が90場所目。
91場所に伸ばせば、元関脇安芸乃島に並んで7位の記録となる。
身長191センチ、体重193キロの巨漢・碧山の勢いが止まらない。
7日目に土はついたが、その後は再び連勝街道。
2019年春場所以来の2桁勝利に「大阪は験がいい」と笑った。
勝ち越しをかけた新入幕の琴ノ若に対し「思い切り行くしかない」と、持ち味を出すことを心掛けた。
当たった直後にかわされたが、焦らず、すぐに相手を正面に置き、長いリーチを生かしたのど輪攻めで突き放していく。
「体が反応してすぐ動いた。足で攻め、手を出せてよかった」と納得の取り口だ。
千代丸が4日ぶりに土俵に戻って来た。
無観客で歓迎の拍手も声援もない静かな復帰。
左ふくらはぎには患部を保護する痛々しいサポーターをつけた。
立ち合い、もろ手突きで琴奨菊の上体を起こすも、圧力に押し込まれて踏ん張りきれずに3秒9で土俵を割った。
8日目から高熱で休場を余儀なくされた。
一時40度にまで上がった熱は、17日朝には37・7度に下がった。
新型コロナウイルスの感染有無を調べるPCR検査も陰性と判明。
この日、日本相撲協会は「左下腿(かたい)蜂窩織炎で3月15日から17日まで療養安静が必要であった」との診断書を公表した。
あらためて再出場が可能だと証明された。
千代丸は休場までに5勝しており、残り4日での勝ち越しも諦めない。
初日から3連勝を決めた際は無観客について「雰囲気がピリついているけど、それが逆にいいのかな」と前向きに捉えていた。
12日目は元大関の栃ノ心戦。白星で、テレビの前で心配してくれたファンに元気な姿を見せ続ける。
大相撲春場所は12日目、1敗で優勝争いを引っ張る横綱 白鵬は関脇 正代と対戦します。
観客を入れずに行われている春場所は、横綱 白鵬と平幕の碧山が1敗で並び、2敗で4人が追う展開となっています。
白鵬は12日目の19日、関脇 正代と対戦します。
過去の対戦成績は、9勝1敗と白鵬が大きくリードしています。
白鵬が得意の右四つ左上手で組めば断然優位です。
懐の深い、正代は土俵際の突き落としなど粘りが持ち味なだけに白鵬としては、万全な形を作ってから勝負を決めたいところです。
平幕でただ1人1敗の碧山は、こちらも好調、2敗の御嶽海と対戦します。
過去の対戦成績は、碧山の3勝4敗ときっ抗しています。
立ち合いから腕を伸ばして突き放す展開になれば碧山、もろ差しになるか体を密着させて押す展開になれば御嶽海が優位です。
大関昇進がかかる関脇 朝乃山は、ここまで2敗を守り、19日は前頭9枚目の隆の勝と初顔合わせの一番です。
自力では朝乃山が上回りますが、隆の勝は今場所、前に出る相撲がさえてここまで2敗と好調です。
朝乃山は、立ち合いからまずは踏み込んで先手を取り、まわしをつかんで勝負したいところです。
大相撲春場所
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2020/03/18
阿武咲に不覚を取った。
突き合った流れの中で思わず引いて墓穴を掘り、「調子が良い分、体が反応してしまった」と淡々と振り返った。
阿武咲はかつて、自身が立ち上げた小中学生の相撲大会白鵬杯で活躍した。
「ようやくここまで。しっかり育っているなという感じ」とたたえる余裕も。
残り5日間に向けても「初日から一番、一番と心掛けている」と変わらぬ姿勢で臨む。
38年ぶりの1人大関・貴景勝は、関脇・正代と対戦。
連敗を阻止することができず、はたき込みで敗れ、5敗目を喫した。
動き回る炎鵬を懐に入れさせず、落ち着いて押し出した。
大関とりに向け、勝ち越しは通過点とあって「ありがたく思うけど、ここからが大事」と淡々。
白鵬が敗れ、自力で並ぶチャンスも出てきた。
横綱戦を終えて2敗の御嶽海が「(他の力士が)頑張ってくれるんじゃないですか」と期待していたと聞いて思わず笑ったが、「意識すると硬くなっちゃうんで付いていけるように」と、引き締め直していた。
初場所で幕尻優勝を果たした徳勝龍は負け越しが決まった。
隠岐の海に突き落とされると簡単に横転した。
6日目に鶴竜を破り初金星を手にしたが、上位陣総当たりの今場所はまだ2勝。
悔しさからか、引き揚げる際は報道陣の問い掛けに応じなかった。
西小結遠藤に押し出しで勝ち八勝二敗。
優勝した昨年九月の秋場所以来、三場所ぶりに勝ち越しを決めた。
立ち合いで張り手をもらい右で前回しを取られた御嶽海だったが、出足鋭く押し返した。
俵に足を掛けた遠藤を右のど輪でのけぞらせて押し出した。
十八日は東前頭筆頭の大栄翔と対戦する。
対戦成績は七勝三敗。
一月の初場所では寄り切りで勝っている。
23歳の阿武咲が、休まず攻めて大横綱から金星を挙げた。
白鵬のかち上げにもひるまず前に出た。
まわしを取らせないように動き続け、最後は横綱の引きに乗じて一気に押し出した。
「何をしてくるかわからない。しっかり対応したいと思った。理想的な形だった」とがむしゃらさが上回った。
宝富士に突き落とされ8勝2敗。
「立ち合いは悪くなかったが、その後は上体だけで押してしまった」と反省。
「これまでと同じ気持ちでいきたい」と懸命に切り替えた。
元大関で幕内90場所目の琴奨菊が幕内1300回出場の節目で栃煌山を破り、幕内706勝で史上8位の武蔵丸に並んだ。
「一日一番と思って。そういう積み重ねしかないので」。
言葉は淡々としていたが、自然と笑みがこぼれた。
5勝目を挙げて幕内残留も確実な状況。
新入幕の琴ノ若、十両3場所目の琴勝峰ら部屋の若手が台頭してきた中、幕内最年長の36歳は「琴勝峰の力強さと琴ノ若の柔らかさが欲しい。若さが欲しい」と熱望?していた。
志摩ノ海を圧倒し、「きょうも落ち着いていた」と余裕の表情。
「今場所は勝ちたい、勝ちたいという気持ちがない」と好調の要因を自己分析。
白鵬が敗れたためトップ並走で終盤戦に入る。
高熱のため15日から休場していたが新型コロナウイルス感染を調べるPCR検査で陰性だったと発表した。
千代丸は蜂窩織炎(ほうかしきえん)と診断され、11日目の18日から再出場する。
協会は力士ら協会員から一人でも感染者が出た場合、春場所を中止する方針を打ち出していた。
鏡山危機管理部長によると、千代丸は14日夜に38・6度と発熱し、15日朝も39・7度を測定したため、休場した。
16日朝も40度と熱は下がらず、師匠の九重親方がPCR検査を受けさせた。
17日朝も37・7度だったが、再出場することになった。
17日に敗れて1敗となった横綱・白鵬は小結・北勝富士の挑戦を受けます。
観客を入れずに行われている春場所は休場明けの白鵬が危なげない相撲を続けてきましたが17日、阿武咲に敗れて今場所、初黒星を喫しました。
白鵬は11日目、小結・北勝富士の挑戦を受けます。
過去の対戦成績は白鵬の6勝3敗で、右四つ・左上手の形に組み止めれば万全です。
北勝富士は17日負け越しが決まり調子は上がっていませんが、2日目には横綱・鶴竜を破るなど地力があるだけに徹底した押し相撲を貫けば勝機が広がります。
平幕でただ1人1敗の碧山は新入幕の琴ノ若との対戦です。
碧山はこれまでどおりのびやかな突き押し相撲で勝負したいところです。
大関昇進がかかる2敗の関脇・朝乃山は竜電と対戦します。
得意の右四つ・左上手で組めば朝乃山の優位は動かず、優勝争いに加わっていくには白星を積み重ねていくことが求められます。
大相撲春場所
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2020/03/17
勝ちっ放し。平幕2人が1差で続く展開に「引っ張っていけるよう、千秋楽まで一番一番やっていきたい」と余裕たっぷりに。
貴景勝が早くも4敗目を喫した。
豊山を押し込んだが、右腕をつかまれると攻めが雑になって押し出された。
支度部屋に戻る際にモニターで取り口を確認し、「失敗した」と舌打ちした。
場所前から違和感があったという左膝の状態も気掛かり。
普段は丁寧に取材に応じるが、この日は報道陣の問い掛けに無言だった。
大関を目指す朝乃山が、昨年九州場所から連敗していた正代を退けた。
我慢して右をねじ込んで圧力をかけ、最後は上手に手を掛けて寄り切り、「落ち着いて攻められた」。
得意の右四つになれなかった前日から立て直した。
大関昇進の目安とされる直近3場所計33勝まではあと5勝。
「先のことを考えても仕方ないと思うので、開き直って思い切っていく」。
勝負どころへ弾みがつく7勝目になったはずだ。
前に出て阿武咲を下し2勝目。
「しっかり最後までやらないと。応援してくれる人がいるから」。先場所優勝力士の自覚。
大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)9日目の16日、上松町出身で西前頭3枚目の御嶽海(出羽海部屋)は、東小結・北勝富士(八角部屋)を一気に押し出し、7勝目を挙げた。
前日の中日8日目は西横綱・鶴竜(陸奥部屋)に押し出しで敗れた。
初日から6連勝の後、2横綱に連敗を喫していた御嶽海は、力強い相撲で3連敗を回避。
流れの悪化を食い止めると共に、3場所ぶりの勝ち越しまであと一番とした。
立ち合いから一気に攻める相撲がよみがえった。
御嶽海は、相手に頭から突っ込まれるも踏み込みが良く、ものともしない。
左喉輪で突き放し、右はずで押し込んで一直線に仕留めた。
前日は低く当たった鶴竜に立ち合い負けだった。
横綱の厳しい攻めに手も足も出なかった2日間の相撲を払しょくする会心の内容だった。
10日目の17日は西小結・遠藤(追手風部屋)と対戦する。
過去7勝5敗と白星が先行し、先場所は、終始攻めた御嶽海が相手得意の左を使わせず、上手出し投げで勝っている。
高校の先輩、遠藤に今回は歯が立たず。
「先場所の良い感覚を信じていたが、相手のペースにはまってしまった。自分のペースで取りたかった」
迷いのない相撲だった。
隆の勝が自己最速9日目で勝ち越し。
玉鷲に押し込まれたものの右を差し、すくって形勢逆転。
すかさず押し込んで実力者を土俵外へ追いやった。
「膝が曲がって下半身で相撲が取れている。先場所より力がついていると思う」と相好を崩す。
一昨年秋場所で新入幕を果たした後、2場所で十両転落。
再入幕まで5場所を要したが、大関貴景勝に胸を借りて地道に力を蓄えた。
今場所前には右を差して押し込むこともあったといい「それが自信になっている」。
この日は大関から無理にでも右を入れた方が良いと助言を受けていた。
そのことを実践して手にした白星でもあった。
異例となった無観客の場所での躍進。
師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)は「稽古場で強いタイプ」と評価しながら、「お客さんが入った時も、声援を良い方に捉えてほしい」と期待した。
今年は三役昇進を掲げている。
先に上がった阿炎ら同学年への意識も強い。
目標に近づくためにも「2桁勝てるように頑張りたい」。
残り6日間も貪欲に白星を目指す。
大関経験者の東前頭13枚目琴奨菊(36=佐渡ケ嶽)が、元横綱武蔵丸(現武蔵川親方)に並ぶ幕内通算706勝目を挙げた。
立ち合いから左を差し込んで、出足に任せた一気の攻めで寄り切り。
「いい立ち合いでしたね。昨日(志摩ノ海戦は)ちょっと窮屈になったけど、しっかりスペースを空けていい立ち合いになった」と納得の表情を浮かべた。
記録をさらに伸ばし「ありがたいこと」と感謝。
「1日一番頑張って、その積み重ねです」と話し、笑みを浮かべた。
好調を維持する佐渡ケ嶽部屋の関取衆に刺激を受ける。
琴恵光が十両で勝ち越し一番乗りを果たし、新入幕で22歳の琴ノ若、20歳の十両琴勝峰が勝ち越しに王手をかけた。
「琴勝峰の力強さ、琴ノ若の柔らかさが欲しい。若さが欲しい」と冗談っぽく笑った。
碧山が4場所ぶりの勝ち越しを9日目で決めた。
巨漢同士の一番で、千代大龍を立ち合いから圧倒し、「久しぶりの勝ち越しで気持ちが楽になった」とほっとした様子。
先場所は7日目から9連敗するなど4勝11敗。勝ち星を意識し過ぎたという。
今場所は「思い切り当たって稽古場みたいに前に出ればいいと思って」。
無観客となり、稽古場で強い力士が有利とみる声があったが、それを実証する好調ぶりだ。
大相撲春場所を高熱のため8日目の15日から休場した西前頭15枚目の千代丸(28)=九重部屋=は16日も熱が下がらず、PCR検査(遺伝子検査)を受けることになった。
日本相撲協会の鏡山危機管理部長(元関脇・多賀竜)によると、15日朝の検温では39・7度で、16日朝に40度に上がったという。
師匠の九重親方(元大関・千代大海)から「熱が続いているので、PCR検査を受けさせる。体は元気。胸のレントゲンも異常なかった。病院では蜂窩織炎の疑いが強いと言われている」と説明があったという。
千代丸は現在、隔離されている。
協会は今場所、各部屋に起床時と就寝前の1日2回、検温するよう通達。
力士は起床時の検温で37・5度以上が2日続くと休場させることにしている。
また、協会員から一人でも感染者が出れば、春場所を中止にする方針を示している。
新型コロナウイルスの影響により、史上初の無観客開催となった大相撲春場所。
2日目、立浪部屋の序二段力士が40度の発熱で休場し、関係者はいきなり大騒ぎとなった。
立浪親方(元小結・旭豊)の報告を受けた鏡山危機管理部長(元関脇・多賀竜)は「ホテルに隔離」を指示。
インフルエンザ検査は陰性で翌日は36.7度に下がったという。
「場所前の理事会で『感染者が出た時点で中止』と決まっただけに、各部屋は相当ピリピリしている。
37.5度以上の熱が2日続いたらPCR検査となり、感染者を出した部屋の親方は中止の責任を問われかねないから当然でしょう」
報道陣はシャットアウトの状況で「立浪親方への直接取材もできない」という。
「今場所は発熱など体調不良の場合、診断書なしで休場可能となった。立浪部屋の件も当初は発表がなく、休場した力士についてメディアから協会に問い合わせて初めて、『40度以上の熱』だと発覚しました」
会場のエディオンアリーナ大阪も厳戒態勢だ。
力士はタクシーや自家用車でやってきて、裏口で消毒液を手にかけられて中に入っていく。
本誌記者も2日目に館内に入り取材したが、力士たちとは別の東口の受付では37.5度以上の熱がないか検温がある。
チェックが終わると、「検温済」の下げ札を受け取って中に入り、決められた通路を通って3階の記者用の椅子席へ向かう。
館内はピーンと空気が張り詰め、呼び出しや行司の声だけが響く。
会話どころか、咳払いも憚られる雰囲気のなか、炎鵬(前頭4)が逆転勝ちし、照強(前頭11)が仕切りで大量の塩をまく──普段なら大歓声の場面だが、当然ながら水を打ったような静けさのままだ。
館内の至るところに「関係者以外立ち入り禁止」の張り紙があり、親方衆とメディアの動線は全く異なる。
「各社、東西の通路に1人の記者を配すだけ。ミックスゾーンで力士と2mの距離を置いての取材になるが、お互いにマスク越しで声がよく聞こえない。これをスルーする遠藤(小結)のような力士もいる。審判部など各部署への取材は代表1社のみ。打ち出し後の理事長談話も電話による代表取材で、その内容が記者クラブに伝えられる。すべてのコメントが同じで、どの社の記事も似てしまう……」
大相撲春場所は10日目。
幕内でただ1人全勝の横綱 白鵬は平幕の阿武咲の挑戦を受けます。
観客を入れずに行われている春場所は休場明けの白鵬がただ1人全勝を守っています。
白鵬は17日、前頭5枚目の阿武咲の挑戦を受けます。
白鵬は過去の2回の対戦でいずれも勝っていて、日に日に状態を上げる中、左の上手を取って自分の形になれば断然優位です。
阿武咲は、まずは鋭く踏み込んで、得意の突き押しで前に出て横綱を慌てさせたいところです。
大関昇進がかかる関脇 朝乃山は2敗を守って、17日は前頭4枚目の炎鵬と対戦します。
朝乃山は先場所の初対戦で敗れていますが、動きの速い相手にまわしを取って力強く前に出ることができれば優位な展開に持ち込めます。
今場所、ここまで3勝6敗と苦しい炎鵬は、まずはつかまらないよう立ち合いで工夫し、動き回って勝機を探りたいところです。
休場明けの横綱 鶴竜は勝ち越しをかけて平幕の竜電と結びの一番で対戦します。
平幕で1敗の2人は、隆の勝が宝富士と、碧山が志摩ノ海と、それぞれ対戦します。
2メートル先に立つ力士の人間性が垣間見える瞬間がある。
春場所の取材は通路を仕切った「ミックスゾーン」と呼ばれる方式。
新型コロナウイルス対策のため、支度部屋でまげを直す間に質問を受ける通常の方式を避け、力士と取材陣の間を柵で隔てて、距離を置いて言葉を交わす。
場所の半ばを過ぎて力士も慣れてきたのか、異例の方式でも人柄を感じる瞬間は多い。
高安はこれまで、支度部屋の取材では負けた後にはほとんど言葉を発しなかった。
険しい表情で悔しさを押し殺すのが常だった。
だが今場所はミックスゾーンで、負けた後も足を止めた。
休場する前の3日目、白鵬に敗れた後、「ちょっと後手になった。横綱のペースでしたね」。珍しい敗戦の弁が悔しさを際立たせた。
支度部屋を出て帰る際に報道陣が声をかけるシステム。
支度部屋での取材は風呂上がりがほとんどだが、ミックスゾーンでは着替えてから報道陣に向かい合う。
服を着ると土俵での高ぶりが薄れ、取組を落ち着いて振り返る余裕が生まれるのかもしれない。
ほとんどの力士は呼び掛けられるまでは素通りしようとする。
だが4日目の琴奨菊は柵の前で自ら足を止め、「(取材はなしで)オーケー?」と確認してから帰路についた。
普段から丁寧に報道陣に答える人柄は方式がどうであれ変わらない。
同日の千代大龍も明るい人柄がそのまま表れていた。
取組で痛めた左足を引きずってゆっくりと歩きながら「もう治りました。見てください。ちゃんと歩いてる」。
心配する報道陣を和ませながらけむに巻き、翌日も立ち合いで強烈な踏み込みを見せた。
一方で呼び掛けに立ち止まらない力士もいる。
普段から質問にほとんど口を開かない記者泣かせの遠藤。
「関取、お願いします」という声にも目線すら向けず悠然と歩き去る。
「土俵の上がすべて」というメッセージなのか。
9日目までコメントはゼロ。
非日常の場所でも普段通りの自分を貫く精神力があるとも言えそうだ。
大相撲春場所
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2020/03/16
休場明けの白鵬は、難なく49度目の全勝ターン。
阿炎が喉輪攻めをしてきた右腕をうまく取って仕留め、「体が非常に動いている。阿炎関も立ち合いが速かったし、手の伸びも良かった」。
余裕たっぷりに相手も褒めた。
取りこぼさずに後半戦へ。
「今場所は一番一番と心掛けている。それができたのかな。残り1週間もまた一番一番」と上機嫌に言った。
貴景勝が北勝富士との激しい一番を制した。
まともに引く場面もあったが、左からいなして相手を崩すと、勝機を逃さずに押し出した。
「向こうも気持ちで取るタイプ。ちょっとしたことで白黒が変わる」と振り返った。
ただ一人の大関として臨む今場所は3敗で折り返し。
「実力が足りないが、それは場所後に見詰め直す。今はあしたの相手ことで頭がいっぱい」と9日目の豊山戦に目を向けた。
大関昇進を狙う朝乃山が2敗目を喫した。
同学年の豊山に右差しを封じられ、最後はすくい投げで転がされた。
よほど悔しかったのだろう。帰り際は険しい表情で、報道陣の問い掛けには応じなかった。
大関昇進の目安とされる直近3場所計33勝には12勝が必要。横綱、大関戦が残る今後を考えれば痛い黒星となった。
豊山がライバル意識をむき出しにした。
同じ26歳の朝乃山は学生時代から意識してきた存在。
大関昇進が懸かる相手を土俵に転がし、「気持ちよかった。時の人だから」。
支度部屋に戻ると、思わずガッツポーズが出た。
突いて距離を取り、左からはおっつけも繰り出した。
「右を使わせないように。ずっと練っていた」。得意の形になれなかった朝乃山がたまらず引いたところを逃さずに攻め、最後は左からすくって仕留めた。
ともに三段目付け出しで2016年春場所デビュー。
新十両、新入幕と先に昇進したが、左肘や左足首のけがなどで失速。
朝乃山が初優勝を遂げた昨年夏場所では自身は十両だった。「昨年5月から、こうやって取ることをずっと考えていた。苦い思い出も少しは報われたのかな」。
2年ぶりの対戦に燃えるものがあった。
先場所で11勝。
今場所は三役昇進を目標に掲げながら黒星先行の苦しい状況。
連敗を4で止め、「これをきっかけにしなきゃいけない」。
好敵手から挙げた3勝目で、気分はぐっと上がった。
立ち合いで大きく左に飛ぶなど、阿武咲に動き勝つ。
「立ち合いはきょうの朝に決めた。一日一番、自分のできることをやらなければ」
実力者の妙義龍を破り、自己最速での勝ち越しに王手。
「自信になる。この調子で白星を重ねていければ」と意欲十分。
2017年九州場所以来の初日から8連敗。
「徐々に良くなってきている。一番一番しっかり勝てるようにやっていきたい」と前を向く。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため無観客で開催している大相撲春場所8日目の15日、西前頭15枚目の千代丸(28)=本名木下一樹、鹿児島県出身、九重部屋=が発熱で休場した。
日本相撲協会の鏡山危機管理部長(元関脇多賀竜)によると、14日夕に38・6度の熱があり、15日朝には39・7度まで上がったという。
鏡山部長は師匠の九重親方(元大関千代大海)に対し、千代丸を病院で受診させ、大阪市東住吉区の部屋宿舎では他の力士らから隔離するよう指示した。
相撲協会は力士ら協会員に新型コロナウイルスの感染者が出た場合、即座に今場所を中止する方針。
新入幕で6勝目。
「あまり緊張せずに思い切って取れている。勝ち越すまでは星数は意識しないようにしたい」と引き締まった表情で。
大相撲春場所は9日目、16日から後半戦です。
初日からただ1人8連勝で勝ち越しを決めた横綱 白鵬は、平幕の竜電と対戦します。
観客を入れずに行われている大相撲春場所は、休場明けの横綱 白鵬が日ごとに調子を上げ、ただ1人初日から8連勝と勝ち越しを決めました。
白鵬は16日、前頭5枚目の竜電と対戦します。
過去の対戦は2回でいずれも白鵬が勝っています。
ともに四つ相撲が得意ですが白鵬が左の上手を取れば優位は揺るぎません。
竜電としては、白鵬に上手を許さず先にまわしを取って勝機を見いだしたいところです。
大関昇進がかかる関脇・朝乃山は15日黒星を喫し、2敗となりました。
16日は同じ関脇の正代との対戦です。
過去の対戦成績は、朝乃山が2勝3敗ときっ抗していて、ここ2場所では正代が続けて勝っています。
2人は右の相四つで、連敗は避けたい朝乃山としては、立ち合いから圧力をかけて得意の左上手を取りたいところです。
正代としては、相手に上手を取らせず距離を取りながら前に出る相撲を展開したいところです。
このほか1敗で追う隆の勝は玉鷲と、同じく1敗の碧山は、千代大龍とそれぞれ対戦します。
野球評論家の張本勲氏が15日、TBS系「サンデーモーニング」で、無観客で開催されている大相撲に言及。
懸賞金が出ていることに「文句いいたいのは賞金なんか出さないほうがいい」と持論を述べた。
優勝争いについて解説した後、新型コロナウイルスの感染拡大による無観客での雰囲気に「砂漠のなかでやっているみたい。ちょっと違和感ありましたから幕でも張ってくれたら良かったけど」と感想。
そして懸賞金について自ら話題を切り出し、「今の時期、賞金、お金のやり取りしちゃダメよ。企業のPRのために、関係者が土俵のまわり回っちゃだめよ。反感を買いますよ」とした。
「幕内の上位は力士は給料高いから、ひと場所くらい賞金なくてもいいんですよ。ましてや協会はばく大な貯蓄があるんだから」と張本氏。
進行役の関口宏が「私はそこまでよく分かりませんが…」と次の話題に移ろうしたが、「まだ終わってないから話は。最後まで聞きなさいよ。本当は喝を入れたいんですよ。厳正粛々、最後までやってもらいたい」ともの申した。
関口宏は「張さんの意見として聞いておきます」と語り、次の話題へ切り替えた。
大相撲春場所8日目の15日、西前頭15枚目の千代丸(28=九重)が発熱のため休場した。
日本相撲協会の鏡山危機管理部長(元関脇多賀竜)によると、千代丸は14日夜に38度6分の熱を出し、この日朝に39度7分の高熱を出したという。
午前中にインフルエンザ検査を受けたが、16日にも病院に行き検査を受けるとした。
十両以上の休場者は4人目だが、発熱による休場は初となった。
力士らは今場所、朝と夜の検温が義務づけられており、37度5分以上の発熱が2日続くと原則的に休場となっている。
しかし朝の検温を基準としているため、千代丸は該当しないとの認識を示した。
弟で十両の千代鳳は「昨日は元気だった。今朝は『体はすごく元気だけど熱がある』と言っていた。
ちょっと休んだらケロッと土俵に立つと思う」と話した。
また同部長は、同7日目の14日に38度ほどの熱を出して休場した幕下以下の力士が、平熱に下がったことも明かした。
相撲協会は力士ら協会員に新型コロナウイルスの感染者が出た場合、即座に今場所を中止する方針を示している。
まるで、かつてのサイレント映画でも見ているよう。
新型コロナウイルス対策のため“無観客開催”となった大相撲春場所が、3月8日から大阪市のエディオンアリーナ大阪で始まった。
大相撲観戦といえば、着飾ってマス席に陣取り、飲んで食って歓声を上げ、拍手を送る、というのが当たり前の光景だ。
しかし、それらがすべてなくなったのだから、まさに異様としか言いようがない。
「初日の大阪の朝はあいにくの雨で、ただでさえ人通りが少なかったのですが、正面玄関の入り口は固く閉ざされたまま。華やかな力士ののぼりも、にぎやかな寄せ太鼓もなく、事情を知らない人が表を通りかかっても、中で何が行われているか分からなかったんじゃないでしょうか。力士たちも裏口からこっそり入場し、全員マスク姿。あれでは、誰が誰だか分かりません。『そんなにまでして開催しなければいけなかったのか』とクビをひねる関係者もいました」
力士たちにとっても戸惑いの連続だった。
ファンの熱気や歓声、「ヨイショッ」という掛け声もないまま横綱土俵入りを行った鶴竜は、苦笑しきりだ。
「ここで拍手が来るかなと思ったところで掛け声もなく、(所作を)間違っているかと思った。こんな感覚の土俵入りは初めてです」
この“沈黙禍”は、人気者ほど大きかった。
いつも館内が割れんばかりの拍手や歓声に背中を押されて土俵に上がる炎鵬は、この心強い味方がないのに戸惑った1人で、初日、御嶽海に全くいいところなく敗れて黒星スタート。
「闘争心というか、アドレナリンが出なかったですね。何のために闘っているか、答えが見つけられなかった」
そう言って肩を落としていた。
関西出身で、いつもの春場所なら大声援が送られる大関の貴景勝も大きな違和感を抱いたようで、神妙な面持ちだった。
「あらためて歓声のありがたさが分かった。お客さんも大相撲を作ってくれている」
これでは、なかなか番狂わせも起こらない。
先場所、幕尻優勝をした徳勝龍も初日は完敗。八角理事長は協会あいさつで、次のような誓いを立てた。
「世界中に勇気や感動を与え、世の中に平安を呼び戻すことができるように努力する」
果たして、こんな状態でそれが達成できるのか。力士の反応を見る限り、簡単なことではなさそうだ。
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2020/03/15
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、史上初の無観客開催となった大相撲春場所8日目の15日、西前頭15枚目の千代丸(28=九重)が発熱のため休場した。
日本相撲協会の鏡山危機管理部長(元関脇多賀竜)によると、千代丸はこの日朝に39度7分の熱が出たという。
師匠の九重親方(元大関千代大海)には、すでに隔離するように指示。
この日、インフルエンザの検査をしたが、16日も病院に行き、検査するという。
十両以上の発熱休場は今場所初となった。
同部長によると、前日の取組後には38度6分の熱があったという。
今場所は朝と夜に検温して37度5分以上の発熱が2日続くと原則的に休場させるが、朝の検温を基準としているため、協会は千代丸については該当しないとの認識を示した。
十両以上の休場は4人目となった。
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2020/03/15
横綱白鵬(35=宮城野)が、平幕の御嶽海との全勝対決を制して単独トップに立った。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、史上初の無観客開催となった今場所。
さらには現役続行の最大のモチベーションになっている東京五輪も通常開催が厳しくなっている中、休場明けながら気を吐いている。
土俵内外で異常事態が起こっている今こそ、横綱の責任を果たす。
綱の重みを見せた。
左で張って出た白鵬は右手で御嶽海の前みつを探りつつ、相手の左腕の動きを封じながら前へ。
何とかしようともがかれたが、構わずに出続けて完勝。
先場所の右かかと負傷による休場明けながら、好調な相手を下して単独トップに立った。
「白星は薬と昔から言われている。一番一番です。今日は7日目が終わったということ」。
負けても座布団は舞わないが、無観客場所でもきっちりと無敗を守った。
4カ月後に迫った祭典が最大のモチベーションだ。
18年に死去した父ムンフバトさんは、レスリング選手として64年の東京五輪に出場。
それだけに「父親と同じ景色を見たい」と青写真を描く。
さらには「オリンピックが終わったら絶対に目標を失うのが見えている」とまで明言。
開会式での横綱土俵入りも夢見るなど、東京五輪に並々ならぬ思いを持ち続けている。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、東京五輪の通常開催が危機的状況に。
さらに今場所は無観客とあって、気持ちを奮い立たせるのが難しい。
それでも「今はやることをやるだけ。やっていくうちにいい流れになってくると思う。世界が喜ぶ大きな大会。今はこういう時期だけどみんなが待っていますから」と自分に言い聞かせるように言った。
横綱としての責任を、これまでも果たしてきた。
野球賭博問題でNHKの大相撲中継がなかった10年名古屋場所や、八百長問題で通常開催できなかった11年技量審査場所、元横綱日馬富士の暴行問題で揺れた17年九州場所など。
異例の場所を優勝で締めてきた。
だからこそ「こういう場所こそ引っ張っていくんだという気持ち」と自覚を持つ。
土俵の上から横綱の威厳を世の中に発信し続ける。
鶴竜は炎鵬を難なく下し連敗を免れた。
身長が18センチ低い相手。
立ち合いで突くと、距離を取って攻め、最後もよく見て押し倒した。
「中に入れないようにした。とにかく油断しないように」
6日目に敗れ早くも2敗目を喫していた。
しかし、「しっかり切り替えていくしかない」と気持ちを入れ直し、嫌な流れを断ち切った。
貴景勝が徳勝龍の挑戦をはね返した。
もろ手で当たって上体を起こすと、タイミングの良い突き落とし。
「しっかり準備していった。あすも変わらず気持ちをつくり直していきたい」と淡々と話した。
先場所は千秋楽で徳勝龍に敗れ、目の前で優勝を決められ、「やっぱり悔しかった」。
冷静な取り口で雪辱を果たした。
これで白星が先行。
「無観客の中でも不動心で臨むことが本当の強さ。感情に流されているようでは駄目」と自分に言い聞かせるように言った。
朝乃山が劣勢からの対応に進境を見せた。
相手は、うまさと柔らかさに手を焼いてきた遠藤。
4場所ぶりに勝ち星を奪い、6日目に土がついたことも引きずらなかった。
「体がよく動いてくれた」と納得の口ぶりだった。
これまでと同じように、もろ差しを許す苦しい展開。
しかし、ここからが違った。
胸を合わせて前進。
しっかり圧力を伝え、その反動を利用するように小手に振って転がした。
「勢いのままいったと思うが、攻めようという気持ちがああなった。気持ちで勝った」と藤島審判長(元大関武双山)。
安易な巻き替えなど、雑な攻めを封印し、「またあしたからいい相撲が取れるのではないか」。
場所後の大関昇進に期待が膨らむ取り口だった。
大願を果たすためにも、地位にふさわしい安定した成績を残すためにも、持ち味の右四つになれない形から立て直すすべの習得が不可欠だろう。
課題克服に向け、確かな一歩を踏み出した。
「先のことは考えないで一日一番頑張りたい」と朝乃山。
気の緩みはない。
豊山を押し出して「終始攻められたのでよかった」と自賛。
3連敗後の4連勝には「ここからしっかりやっていきたい」。
大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)7日目の14日、上松町出身で西前頭3枚目の御嶽海(出羽海部屋)は、東横綱・白鵬(宮城野部屋)に押し出しで敗れた。
結びの一番での無敗対決を落とし、今場所初黒星を喫した。
中日8日目の15日も結びの一番で、西横綱・鶴竜(陸奥部屋)に挑む。
横綱が放った厳しい左の張り差しに、初日から6連勝と好調の御嶽海の出足が止まった。
立ち合い右頬に張り手を受けた御嶽海は、あっけなく左四つを許した。
もろ差しを狙うも左腕を封じられてかなわない。
巻き替えで重心が浮き、左に回り込む動きが相手を呼び込み、残り腰なく一方的に寄り切られた。
勝ちっ放しの白鵬を1敗で御嶽海、朝乃山ら5人が追う。
今場所2敗の鶴竜との対戦成績は御嶽海の6勝7敗で、4度対戦があった昨年は2勝2敗の五分だ。
先場所は御嶽海の不戦勝だった。
横綱初挑戦は鶴竜に完敗。
「自分の弱さを痛感している。横綱と戦う力はまだまだ自分にはない」
6勝目。
「右を差して攻める形が良くなった。大関との稽古で何度か押し込めたのが、自信になっている」と手応え十分。
静寂に包まれた館内で、取組が行われている。心の持ちようは力士それぞれだ。
小兵の石浦は「あまり周りを見ないようにしている」と花道を通る時や土俵に上がる時に周囲を見渡さない。
いつもなら約7000人はいる観客が0。
目に入るのは審判、呼び出し、行司、出番前の力士ら数人のみ。
「1人1人の顔が印象に残ってしまって気になる」。
さらに「記者の方も…」と、2階席の一部にいる報道陣も気になるという。
無音に敏感になる力士も多い。
三役復帰を目指す栃ノ心は「お客さんがいないと不安になる。本当に静かで逆に緊張する」と静けさが重圧になるという。
一方で「誰も見てないから緊張しない」と魁聖。しかし声援がないからこそ「気合が入りにくい。いい緊張感が出ない」と正直だ。
錦木は「シャッター音が気になる」。
いつもなら声援にかき消されるはずの、報道陣のカメラのシャッター音に戸惑う時があるという。
「時間いっぱいになったらいつも気合が入りすぎて頭が真っ白になる。だからいつもと変わらない」と言うのは、十両上位からの幕内復帰を目指す照ノ富士。
史上初の無観客開催に、それぞれが経験したことのない心理状態で臨んでいる。
重い魁聖を寄り切って5勝目。
もろ手で突く立ち合いを見せ「自分の距離感で取りたかった。体が動いてくれている」と納得顔。
新型コロナウィルスの感染拡大を受け、無観客ながら開催となった大相撲春場所が今のところ、無事に折り返しを迎えようとしている。
1人でも感染者が出たら場所は打ち切りとなるだけに、力士は1日2回の検温で37度5分が2日続いたら理由を問わず休場、場所の行き帰りは公共交通機関を使わず自家用車やタクシーなどを利用して費用は全額協会持ち、会場入り後の外出は禁止など、厳戒態勢が敷かれている。
史上初の無観客場所では横綱が平幕力士に敗れるようなことが起きても当然、大歓声や拍手はなし。
座布団も飛ばず何とも味気ない。
普段の場所なら勝てば大喝采、負ければ大きなため息が館内にこだまする炎鵬は初日に敗れ「何のために戦っているのか、今日は見つけられなかった。どれだけ声援に力をいただいているのかを感じた」と違和感を覚えずにはいられなかった。
3日目の豊山戦は激しい突っ張り合いの後、近年の相撲では珍しい手四つの体勢となり、互いに相手の出方をうかがう場面も。
本来であれば、ヒートアップした館内のムードが日本人特有の判官びいきとも相まって99キロの小兵を後押しし、相手を“完全アウエー”の空気に飲み込んでいたかもしれない。
「何も閃かなかった」という炎鵬はいいところなく1分を超える熱戦の末、最後は押し倒されてしまった。
大量の塩を撒き、館内を盛り上げて自身の気合いを高める照強も「声援を力に変えようと思っても声援がないから」と序盤は戸惑いを隠せなかった。
土俵上の力士と観客が一体となって醸し出す独特な雰囲気は、時に番狂わせも演出するが今場所はそれがなく取組は淡々と進行していく。
拍手や声援のない相撲はまるで稽古場のようだ。
「あまり緊張しない」という言葉も多くの力士から聞こえてくる。
巡業の稽古などでは10連勝以上することも珍しくない碧山は、初日から6連勝とここ最近にない好調ぶりで「今場所は集中できている。稽古場みたい」と話すのがあたかも象徴的。
以前から稽古場の強さには定評がある男の面目躍如だ。そういう意味では、無観客場所は現状の力量が掛け値なしに如実に現れる場所なのかもしれない。
大相撲春場所は、中日8日目です。
初日からただ1人7連勝の横綱 白鵬は阿炎と対戦します。
観客を入れずに行われている春場所は、休場明けの横綱 白鵬が危なげない相撲を続けています。
14日は同じく勝ちっぱなしだった平幕の御嶽海に勝って、ただ1人初日から7連勝と異例の場所を引っ張っています。
白鵬は15日、三役経験のある阿炎との対戦です。
過去の対戦成績は不戦敗を除くと白鵬の2勝1敗で、まわしを引いて胸を合わせる形を作れば白鵬が圧倒的に優位です。
阿炎としては、長い腕を生かした突っ張りで徹底して相手を突き放し、勝機を探りたいところです。
1敗で追う御嶽海は、横綱 鶴竜との対戦です。
過去の対戦成績は、御嶽海が6勝7敗ときっ抗しています。
御嶽海は、今場所、重く鋭い立ち合いから一気に前に出る圧力が抜群で、相手を引かせる展開に持ち込めば十分に勝機があります。
すでに2敗の鶴竜としても難敵を退けて勢いに乗りたいところで、低い姿勢を保って前まわしを引くなど有利な形を作って攻めていく必要があります。
一方、大関昇進を目指す関脇 朝乃山もここまで1敗で、15日は学生時代からのライバル、豊山と対戦します。豊山も重い突き押しで力をつけているだけに、朝乃山としては、立ち合いで当たり負けせず相手に圧力をかけてから得意の四つ相撲に持ち込みたいところです。
大相撲春場所7日目の14日、序ノ口力士1人が発熱のため休場した。
日本相撲協会の鏡山危機管理部長(元関脇多賀竜)によると、13日の昼から夕方にかけて症状が表れ、病院で「胃腸風邪」と診断を受けた。
14日朝も熱が下がらなかったという。
「力士待ち」のタクシーが並ぶ光景が、会場のエディオンアリーナ大阪(大阪市)周辺で連日見られる。
新型コロナウイルスの感染拡大で初めて無観客で行われている大相撲春場所は、土俵外でも異例の事態が起きている。
力士たちの出入り口になる会場の裏口付近は、本来ならファンでにぎわう場所だが、今場所では力士との接触が禁止されているため、人影はまばらだ。
その代わりに空車のタクシーが何台も巡回したり、駐車したり。
混み合うと、警備員が移動を促す一幕もあった。
待機していたタクシーの男性運転手は「お相撲さん待ちです。コロナの影響で外出を控える人が多いが、こっち(会場周辺)は需要があるので」と明かす。
あるタクシー会社は相撲部屋に営業をかけていた。
大相撲の力士は番付によって移動手段が決められており、タクシー利用は「関取」と呼ばれる十両以上だけ。
幕内以上は運転手付きの車が認められ、大関以上は東京・両国国技館では地下駐車場に乗り入れることができる。
幕下以下の力士は電車やバスなどを利用するのだが、日本相撲協会は今場所、コロナウイルスへの感染予防のため、特例で全力士の会場出入りの際の移動手段をタクシーか自家用車に限定した。
通常は幕下以下の力士は公共交通機関の交通費が支払われるが、今場所はタクシー料金も全額を協会が負担する。
力士は約700人おり、関係者も含めて多数がタクシーを利用している。
初日に序ノ口デビューを果たした煌(きらめき)は所属の朝日山部屋の宿舎が奈良県橿原市にあり、「35分くらいかけて来た。(片道で)2万円かかった」と説明する。
車に乗ることに恐縮して「何か変な感じ」と漏らす力士もいる。
もっとも、タクシー会社も通常の場所よりもうかっているわけではない。
観客がいないからだ。
土俵の外ではタクシーが力士らを取り合う戦いが繰り広げられている。
大相撲春場所
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2020/03/14
豊山を一方的に寄り切り、「前に出られているし、流れも良い」。
7日目の御嶽海との全勝対決にも「まあ、一日一番ですね」と泰然。
初顔の徳勝龍に不覚。
左四つで完敗し「自分から組みにいったし、想定していたけど、あれよあれよという感じだった」と苦笑い。
貴景勝は炎鵬をもぐり込ませず、よく見て突き出した。
得意とする距離をしっかりと保ち、「そうすれば、勝つ確率が上がってくる。一生懸命にやった」と振り返った。
3日ぶりに勝ち名乗りを受け、星は五分に。
「相手のことを考えるより、自分がきちっとした相撲を取っていくということ。きのうも、おとといも一生懸命やった結果。負けたら負けたで、自分が納得すればいい」と落ち着いた口調で言った。
新型コロナウイルスの感染拡大で史上初の無観客開催となった大相撲春場所は13日、大阪・エディオンアリーナ大阪で6日目が行われ、大関獲りに挑む関脇・朝乃山は難敵・御嶽海との全勝対決に寄り切りで敗れて初黒星を喫した。
全勝は白鵬、御嶽海、碧山の3人となった。
7日目は白鵬は御嶽海との全勝対決に臨み、朝乃山は遠藤と対戦する。
3連敗から巻き返し、星を五分に戻す。
「良くなってきている。しっかりここからです」と気持ちを新たに。
初場所で優勝した平幕・徳勝龍が横綱・鶴竜を寄り切り、初めて金星をつかんだ。
15年夏場所の西前頭4枚目を更新する西前頭2枚目の自己最高位で臨む今場所は初日から5連敗。
ようやく出た初日は、年6場所制以降にデビューした力士として史上3位のスロー初金星となった。
全勝は横綱・白鵬、平幕の御嶽海、碧山の3人となった。
横綱を寄り切り、徳勝龍は「ふう〜っ」と大きく息を吐いた。
無観客開催のため座布団シャワーも歓声も拍手もない。
淡々と勝ち名乗りを受ける土俵は静かだった。
喜びをのぞかせたのはテレビのインタビュー。
「気合を入れて行くだけでした」などと冷静に答えながら、目を潤ませた。
立ち合いで得意の左を差し、押し込んだ。
相手が負けじと圧力を強めるところをタイミング良く左の下手投げで体勢を入れ替え、一気に勝負を決めた。
逆転の連続だった初場所終盤をほうふつさせた一番。
「左を差せたので思い切りやろうと。(内容は)あまり覚えてないです」。
33歳6カ月の初金星は、年6場所制となった58年以降に初土俵を踏んだ力士では3番目の年長記録となった。
金星よりも初日が出たことを喜ぶ言葉に実感がこもった。
「長かったなあという感じ」。
奈良出身で春場所は準ご当所。
先月22日には近大時代の恩師でプロへの道を開いてくれた伊東勝人監督のお別れの会に出席。
翌23日は近大の後輩と合同稽古で汗を流し、午後に奈良市内で臨んだパレードには約1万人が駆けつけていた。
発奮材料は豊富でも、5年ぶりに更新した自己最高位の西前頭2枚目で初日から5連敗。
明るい性格だが、前日のミックスゾーンでは「また明日」と言葉少なだった。
この日は大ファンであるプロ野球阪神に関する話題で、鳥谷のロッテ移籍について水を向けられ「タテジマはタテジマなので違和感ない。背番号00も格好いい」と笑みを浮かべた。
本領発揮の準備は整ったようだ。
八角理事長(元横綱・北勝海)徳勝龍は左が入って力が出せたんじゃないかな。
鶴竜は上手を取って、頭をつけるまでもないと思ったところを振られた感じだね。
御嶽海が意地を見せた。
朝乃山の右差しを封じて2本差すと休まず下から攻め、「上手は取られたが、我慢して前に出られたのはよかった。きょうの一番は大きい」。
大関昇進を目指す相手に土をつけ、手応え十分に振り返った。
三役の常連も、この2場所は平幕に番付を下げた。
それだけに朝乃山に対しては「いろんな思いがあるし、意識せざるを得ない」と正直に言う。
胸のすくような内容で難敵を破り、7日目は白鵬との全勝対決。
「このまま乗っていけたら」と気をよくしていた。
元関脇・寺尾こと錣山親方が、本場所の見どころや話題の力士について分析する隔月連載。
新型コロナウイルスの影響により、無観客で開催されることになった春場所(3月場所)についての率直な思いを語ってもらうとともに、異例な状況のなかで行なわれる場所での展望を分析してもらった。
3月8日から、大相撲春場所が始まりました。
その直前、世界的規模で蔓延している新型コロナウイルスの影響を重く受け止め、日本相撲協会は春場所の15日間を、無観客で開催することを決定しました。
大阪で開催される一年に一度の春場所。
観戦に行く予定だった方々、全国の大相撲ファンの方々には、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
その苦渋の決断のなか、力士たちは土俵上で奮闘。
慣れない環境に苦慮している部分もあると思うのですが、これまで稽古してきたことを糧にして、誰もががんばっています。
ファンのみなさんには、その姿を、テレビを通して見ていただければと思います。
そして、このような世界的な困難に直面し、気分が沈みがちになることも多いかと存じますが、力士たちの激闘を見ていただいて、みなさんがコロナウイルスのことを忘れる時間が少しでもあったらいいな、と思っています。
しかしながら、相撲協会の決定事項としては、力士を含む協会員の中から1人でも感染者が出た場合、場所の途中であっても、開催は中止にする、という状況下にあります。
その分、我々親方衆をはじめ、力士たちは毎日、細心の注意を払って生活しています。
無論、20数名の力士を抱える錣山部屋の師匠である私には、大きな責任があります。
それだけ多くの親御さんから、子どもである力士たちを預かっているわけですからね。
おかけで、誰かが感染被害に遭ってしまわないか、日々心配でなりませんし、私自身はその恐怖感でいっぱいです。
一日中、新型コロナウイルス関連のニュースをチェックして、新しい情報を得ることを心がけているため、ここ数日は、夢の中でもそれらのニュースに振り回されているほどです。
私だけでなく、各部屋の師匠も、不安でたまらないと思います。
とにかく今は、全力士が何事もなく、15日間の相撲を取り切ることを祈るのみです。
さて、この春場所の初日は、白鵬、鶴竜の両横綱に、大関・貴景勝の上位陣がそろって白星。
幸先のいいスタートを切りました。
場所前に行なわれた二所ノ関一門の連合稽古の際には、貴景勝は(初日の相手となる元大関の)高安とは分が悪い印象があったのですが、本場所の取組では、貴景勝の集中力が違いましたね。
押し出しで圧勝。
その強さには、驚かされました。
逆に、初日の相撲で少し硬さが見られたのは、関脇・朝乃山です。
昨年の九州場所(11月場所)で、小結で11勝。
先場所の初場所(1月場所)では、関脇で10勝を挙げて「大関候補」に名乗りを上げた、ということが影響しているかもしれませんね。
ともあれ、大関昇進の基準は「三役で直近3場所33勝」ですから、朝乃山は今場所で12勝すれば、昇進への期待が膨らみます。
硬さが見られた初日も、隠岐の海に何とか勝って、2日目も徳勝龍を下して2連勝。
先の初場所後には、長らく大関を務めてきた豪栄道が引退し、大関は現在、貴景勝ひとりということを考えれば、昇進への追い風は吹いている、と言えるのではないでしょうか。
注目力士と言えば、関脇の正代。
先場所では、千秋楽まで優勝争いに加わり、13勝を挙げて"準優勝"という結果を残しました。
その勢いは本物で、今場所でも要チェックの存在です。
そもそも正代は、東農大2年の時に学生横綱に輝いた実力者。
4年時にビッグタイトルを獲れなかったため、角界入り後は付け出し資格を得られず、前相撲からのスタートだったものの、柔らかい体から右四つで寄っていく相撲は、当時から光っていました。
そうして、順調に出世して、初土俵から11場所で新入幕(2016年初場所)。
その翌年の初場所では三役昇進を果たしています。
ところが、どういうわけか、ここ1、2年ほどはその実力が発揮できておらず、やや低迷。
前頭の中位をうろついていました。
それが、先場所あたりから、正代本来の力強い立ち合いがようやく見られるようになり、彼が番付を駆け上がってきた頃のような、速い攻めの相撲が戻ってきました。
初日の徳勝龍戦でも、そうしたいい面が出ていましたから、今場所も大いに暴れてほしいものです。
若手で気になる存在を挙げるなら、今場所新入幕を果たした22歳の琴ノ若です。
初日を見る限りでは、新入幕というプレッシャーを感じさせず、のびのびとした相撲を取っていると思います。
父親は元関脇の琴ノ若(現・佐渡ヶ嶽親方)で、祖父が元横綱の琴櫻という、相撲界の"サラブレッド"。
当初は、攻めが遅い印象がありましたが、最近はよく前に出るようになってきて、体に重さが出たというか、体に力がついてきたように思います。
私も、父親が自分の部屋の師匠(井筒親方=元関脇・鶴ヶ嶺)で、兄ふたりも力士だったため、周囲からあれやこれやと比較されるなど、琴ノ若の境遇はよくわかっているつもりです。
これからも、いろいろとつらいことがあるかもしれないけど、外野の声など気にせず、自分の相撲を精一杯取っていってほしいと思います。
ところで、先にも触れましたが、6年近く大関を務めてきた豪栄道が、初場所を最後に土俵から去りました。
カド番だった初場所は、5勝10敗と負け越しましたが、この春場所で、関脇で10勝を挙げれば、大関に復帰することができました。
でも、本人はだいぶ前から「大関から落ちたら、引退」と心に決めていたようです。
そのため、負け越しが決まったあとも、千秋楽まで全力で相撲を取って、引退を表明しました。
誰もが認める実力者だっただけに、33歳での引退は残念でなりません。
一方で、豪栄道らしい、潔さも感じました。
親方として、今後どんな力士を育てていくのか、興味深いですし、楽しみでもあります。
錣山(しころやま)親方元関脇・寺尾。
1963年2月2日生まれ。
鹿児島県出身。
現役時代は得意の突っ張りなどで活躍。
相撲界屈指の甘いマスクと引き締まった筋肉質の体つきで、女性ファンからの人気も高かった。
2002年9月場所限りで引退。
引退後は年寄・錣山を襲名し、井筒部屋の部屋付き親方を経て、2004年1月に錣山部屋を創設した。
現在は後進の育成に日々力を注いでいる。
大相撲春場所は7日目、ともに初日から6連勝としている横綱・白鵬と平幕の御嶽海が結びの一番で対戦します。
観客を入れずに行われている春場所は13日、平幕の御嶽海が大関昇進がかかる関脇・朝乃山との勝ちっ放しどうしの一番を制し、6連勝としました。
一方、休場明けの横綱・白鵬も初日から危なげない相撲を続けて6連勝とし、異例の場所を引っ張っています。
7日目の14日は、白鵬と御嶽海が結びの一番で対戦します。
過去の対戦成績は白鵬の10勝3敗で、白鵬が相手の出足を止めて胸を合わせる形を作れば圧倒的に優位です。
御嶽海としては立ち合いで鋭く踏み込み、もろ差しなどで厳しく攻めて勝機を見いだしたいところで、今場所の行方を占う大きな一番になりそうです。
13日敗れて5勝1敗となった朝乃山は、小結・遠藤との対戦です。
過去の対戦成績は朝乃山が2勝6敗と負け越しています。
最近は遠藤にもろ差しを許して敗れる相撲が目立っていて朝乃山としては、立ち合いでしっかり圧力をかけて相手を押し込んでから得意の右四つに持ち込むことが重要です。
平幕の炎鵬は横綱・鶴竜との一番で、人気力士の横綱への初挑戦にも注目です。
ちゃんこ番の手作り弁当が広がりを見せている。
新型コロナウイルスの感染リスクを避け、他人と接触する機会を減らすため、今場所は力士ら協会員の再入場が禁止。
会場入り後、昼食や買い物で外に出ることができない。
幕内力士の付け人を務める序二段力士は、自身の取組後、6〜8時間も会場に滞在することになる。
力士にとって空腹は取組後の最大の敵。
そんな状況を乗りきるため、各部屋のちゃんこ番が腕によりをかけている。
きっかけは相撲協会公式ツイッターの投稿だった。
高砂部屋の付け人力士が、手作り弁当を持参していると写真付きで紹介された。
これを機に、各部屋で栄養とボリュームのある手作り弁当を持参する新たな動きが出始めた。
協会公式ツイッターはその後、陸奥、佐渡ケ嶽、錣山、追手風部屋などの弁当も紹介した。
もともとは横綱鶴竜の付け人を務める、高砂部屋の序ノ口神山の発案。
全力士最長、10時間超も滞在する負担を軽減するため始まった。
弁当箱代わりのプラスチック製容器4個を購入した高砂部屋のちゃんこ長で序ノ口大子錦は「冷めてもおいしく食べられるものが中心」と毎日違う献立。
大子錦は今場所途中休場した分、サポートにも一段と力が入る。
フリーアナウンサーの徳光和夫さんが14日、パーソナリティーを務めるニッポン放送「徳光和夫とくモリ!歌謡サタデー」(土曜・前5時)に生出演した。
新型コロナウイルスの感染拡大でさまざまなスポーツ、イベントが中止、延期になっていることに徳光さんが「一番残念なのは高校野球ですね」とし「断腸の思いです」とセンバツ高校野球の中止を惜しんだ。
その上で大相撲春場所の無観客興行に「見ておりまして、大相撲こそ興行なんだよね」とし「だから、序ノ口とか序二段の相撲を見ているようですね」「横綱たちがそういった中で取組を見ておりますと力が入らない。ケガをしなければいいなと願ってやまないですね」と願っていた。
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2020/03/13
白鵬は、先場所で初優勝した徳勝龍の挑戦を退けた。
一気に勝負はつけられなかったものの、左四つで体勢を整えながら勝機を探り、最後は下手投げで転がした。
逆転の突き落としなどがある相手との一番を「万全でいくというのが出たのかね」と落ち着いた口ぶりで振り返る。
途中休場明けの序盤を無傷で乗り切り、「場面、場面で対応できるように。それが初日からできている」と話した。
鶴竜の攻めには気迫があった。
左足で鋭く踏み込んで先手を取ると、豊山の突きにも構わずどんどん前進。
一方的に押し出した。
過去2戦負けなしの相手に、抵抗の余地を与えない厳しい内容。
「流れの良い相撲だった」と納得の表情を浮かべた横綱を、八角理事長(元横綱北勝海)も「きょうは油断しなかった。鶴竜は良い相撲を取ると余裕が出てくる」と褒めた。
3場所連続休場明けで、皆勤できたのは優勝した昨年名古屋場所までさかのぼる。
それだけに再起に懸ける思いはひときわ強く、場所前の振る舞いからも伝わってきた。
今場所に向けた調整は初日まで1週間を切ると、出稽古から部屋中心に切り替え、ペース配分を考えた。
発熱などの影響で痩せてしまった先場所の反省を踏まえ、体重にも気を配った。
序盤を1敗で終え、一定の手応えは得られたはず。
それでも「それは終わってから。まだ3分の1ですから。結果が全て。本当に一日一番集中してやるだけ」。
気を緩めるのは禁物だと、十分に分かっている。
御嶽海にいいところなく敗れて黒星先行。
「攻めていければよかったが…。あしたからまた切り替えて、自分のやれることをやりたい」
大相撲春場所5日目。
大関とりに向け、ここまで4連勝と勢いに乗る朝乃山。
対戦予定だった高安がけがで休場したため朝乃山は不戦勝で5勝目を挙げました。
今場所、無敗の朝乃山。
6日目は出羽海部屋の前頭三枚目、御嶽海と対戦します。
2015年夏場所以来の横綱挑戦となった白鵬戦に敗れて5連敗。
「きょう勝って流れに乗りたかった。もっと攻めないと勝てない」
大相撲春場所5日目の12日、上松町出身で西前頭3枚目の御嶽海(出羽海部屋)は、東大関・貴景勝(千賀ノ浦部屋)を一方的に寄り切って、無傷の5連勝を飾った。
序盤戦を無敗で終え、6日目の13日は、東関脇・朝乃山(高砂部屋)との全勝対決に挑む。
これぞ御嶽海という相撲が続く。
低い体勢で頭からぶつかってきた貴景勝をしっかり受け止めてから前進。
鋭い寄りとはず押しで自分より小柄な相手の上体を浮かせ、反撃の隙を与えなかった。
初日からの5連勝は幕内5度目で、昨年初場所以来、7場所ぶりだ。
大関昇進を狙う朝乃山には過去3勝2敗で、先場所は、押し込んだ御嶽海が安易に引いて呼び込み、相手十分の形で寄り切られた。
松鳳山に快勝して初白星。
「連敗で始まると、調子が悪いと錯覚を起こすが、あまり得意ではない相手に恐れずできた」と納得顔。
東前頭12枚目の石浦(30=宮城野)がダブルショックに見舞われた。
琴奨菊に見せ場なく寄り切られ、初日からの連勝は「4」で止まった。
さらに選抜高校野球の中止が前日の取組後に決定し、母校で父の外喜義さんが校長を務める鳥取城北の甲子園出場がなくなった。
趣味がキャッチボールという野球好きだけに、一段と落ち込んでいた。
母校の後輩を勇気づける白星とはならなかった。
石浦は立ち合いから、琴奨菊の圧力にじりじりと後退。
運動量で上回り、勝機を探る狙いだったが、体を密着され、何もできないまま土俵を割った。
これで対戦成績は4戦全敗。「引かずに我慢したかったけど、菊関は圧力があった」。
兄弟子の横綱白鵬とともに、序盤戦無敗とはならなかった。
この日の今場所初黒星以前に、すでにショックな出来事があった。
前日の取組後、母校の鳥取城北が出場予定だったセンバツの中止が決定。
当初は「日程を合わせて(甲子園に)応援に行こうと思っていた」という。
だが次第に開催しても無観客という情勢へ。そして中止が決まった。
かつては野球少年でもあり、現在も趣味はキャッチボール。
しかも父が現在は校長を務めているだけに「楽しみにしていた」。
春は8年ぶり2度目の出場で初勝利を目指す後輩が活力源だった。
「どうしようもできないこと。また夏を目指してほしい」。
落ち込んでばかりはいられないのは、球児も自身も同じ。
無観客開催の独特な雰囲気も「思ったよりも早く慣れてきた」という。
最後にようやく吹っ切れた表情を見せ、後輩にエールを送る白星と、6日目からの再加速へ、自信をのぞかせた。
大相撲春場所は6日目、大関昇進がかかる関脇・朝乃山は優勝2回の実力者、御嶽海と5連勝どうしの対戦です。
四つ相撲の朝乃山と、突き押し相撲が好調の御嶽海が対決する今場所、注目の一番です。
観客を入れずに行われている大相撲春場所は、大関昇進がかかる関脇・朝乃山と前頭3枚目、御嶽海の5連勝どうしが対戦します。
朝乃山は、12日は不戦勝、御嶽海は大関・貴景勝を破りました。
四つ相撲の朝乃山は、突き押しの御嶽海に過去2勝3敗ときっ抗していて、今場所乗り越えなければならない難敵の1人です。
朝乃山は、前に出ながら圧力をかけて、得意の四つの形に持ち込めるかどうかが勝負のポイントになりそうです。
一方、御嶽海は、得意の突き押しで距離を取って攻めることができれば優位です。
大関・貴景勝は、自己最高位の前頭4枚目まで番付を上げた炎鵬との対戦です。貴景勝は今場所、立ち会いの馬力がいまひとつで、序盤戦を終えて2勝3敗。
持ち味の強烈な突き押しで相手に隙を与えず一気に勝負を決めたいところです。
炎鵬は、大関の突き押しをまともに受けると厳しくなるため、多彩な取り口で惑わすことができるかが、勝負の行方を左右しそうです。
このほか、休場明けで、ここまで5連勝の横綱・白鵬は、前頭3枚目の豊山の挑戦を受けます。
無観客開催で歓声も拍手もない大相撲春場所の一日の最後を締めくくるのが、弓取り式だ。
2020年初場所3日目から務める幕下・将豊竜(23)=本名・吉田将太、秋田県出身、時津風部屋=は12日、結びの一番で勝った横綱・白鵬の代わりに弓取り式を行うという意味で立行司の式守伊之助に「白鵬、代(だい)、将豊竜」と呼ばれ、弓を受け取ると、静寂を切り裂くように「ブンブン」と音を立てながら弓を振った。
「お客さんがいない方が、いつも以上に見られている感じがする。丁寧にやろうという意識が強くなる」という。
関係者たちの視線が一身に注がれている感覚になるそうだ。
通常なら弓を回せば歓声が上がり、四股に合わせて「よいしょ」の掛け声も飛ぶ。
「お客さんの声でタイミングを計っているところもある」だけに、今場所は勝手が違う。
かつて弓取り式を務めていた序二段・聡ノ富士から人づてに、弓の扱い方についてアドバイスが届いたという。
「テレビで見てくれたそう。すぐに実践して、やりやすくなった」と喜んだ。
新型コロナウイルス対策で外出禁止の力士たちがテレビ中継を見ることが増え、それが奏功した。
織田信長が相撲の勝者に弓を贈ったのが始まりとされる弓取り式は、1952年から場所中に毎日行われるようになった。
弓取り式を行う力士は、かつて横綱が行っていた名残で、横綱と同部屋や同じ一門の部屋から選ばれる。
4日目に将豊竜と同門の鶴竜が結びの一番に勝ち、「鶴竜、代、将豊竜」と、普段なら観衆のざわめきにかき消されてしまう行司の声が静かな館内に響いた。
付け人も務める横綱の代わりであることを将豊竜は実感して「うれしかった」と感慨深そうだった。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、無観客開催となっている大相撲春場所は12日に序盤戦を終えた。
歓声のない独特の雰囲気への感じ方はさまざまながら、力士たちは徐々に慣れてきたようだ。
豊山は5日目の鶴竜戦で力なく敗れた後、「声援によって、もうひと踏ん張りできるかどうかが違う」と振り返った。
取組前に気合を前面に出して観客を沸かせる北勝富士は「声援が欲しい」とぽつり。
静寂の中では気合が入らないとの嘆きも聞こえる。
集中力をうまく高めている力士もいる。
千代丸は「雰囲気がぴりついているのが逆に良い」と言い、照強は「普段もお客さんの声が聞こえないときがあるが、それは集中できている証拠」と前向きに捉える。
みんな条件は同じで、勝敗に対して言い訳はできない。
境川審判部長代理(元小結両国)は「稽古場で強い力士が結果を残すと思う。大事なのは集中力」。
大関貴景勝は「環境がどうとか言っていたら勝てる相撲も勝てなくなる」と自らに言い聞かせるように話す。
4月11日、市秋葉台文化体育館で開催が予定されていた大相撲藤沢場所が新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的に中止となる。
日本相撲協会が政府見解を受けて6日、発表した。
主催する藤沢場所実行委員会(最上重夫勧進元/(株)湘南営繕協会)では、およそ5千席の払い戻しの案内をすでに送付。
順次返金を進めていく。
最上勧進元は「残念な結果になったが、市民のみなさんやスタッフ、関係者の安全が第一。ご理解をお願いします」と話す。
今後に関しては例年同様、来春に開催を予定。
今年のチケット購入者には優先的な案内も予定している。
開催日時など詳細は未定。
藤沢場所は、これまで27回開催。
全ての回で満員御礼が出る人気イベントで、相撲協会からは「規模も回数も日本一の巡業」と評されている。
大相撲春場所
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2020/03/12
大相撲の平幕、高安が左足を痛めて、春場所5日目の12日から休場することになりました。
前頭筆頭の高安は春場所4日目の11日、結びの一番で横綱・鶴竜に「突き落とし」で敗れた際、顔をしかめて自力で起き上がることができませんでした。
下半身を痛めた様子で車いすで移動したあと、救急車で病院に搬送されていました。
高安は大阪市内の病院で診察を受けた結果「左大たい二頭筋損傷」などで、およそ4週間の安静と治療が必要と診断され、日本相撲協会に届け出て、5日目の12日から休場することになりました。
高安の休場は去年の九州場所以来8回目です。
高安は場所前、二所ノ関一門の連合稽古で大関・貴景勝に勝ち越すなど順調な調整ぶりを見せていましたが、初日から4連敗と精彩を欠いていました。
12日に対戦する予定だった関脇・朝乃山は不戦勝となります。
高安の師匠の田子ノ浦親方は「相撲を取れる状況ではなく、歩くのも難しい状況だったので休場を決めた。まずは治療に専念させたい。状況しだいで、それからのことは考えたい」と話しています。
大相撲の平幕 剣翔がことし1月に痛めた左ひざの症状が悪化するなどして春場所5日目の12日から休場することになりました。
前頭15枚目の剣翔は、ことし1月、左ひざの前十字じん帯を断裂するなどのけがをしていましたが、11日大阪市内の病院で診察を受けた結果、左ひざのけがや以前から痛めていた腰の症状が悪化し、およそ3週間の安静と治療が必要と診断されました。
剣翔は12日、日本相撲協会に休場を届け出て5日目の12日から休場することになりました。剣翔の休場は初めてです。
剣翔は11日黒星を喫しここまで1勝3敗でした。12日対戦する予定だった碧山は不戦勝となります。
大相撲春場所
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2020/03/12
横綱白鵬(宮城野)が笑顔なき誕生日星を飾った。
35回目の誕生日を迎えた11日、隠岐の海を寄り切り無傷の4連勝とした。
9年前に起きた東日本大震災、そして新型コロナウイルスの感染拡大で今場所が無観客開催という特殊な状況に笑顔はなく、神妙な表情で思いを語った。
大関とりの関脇朝乃山も4連勝。大関貴景勝が2敗目を喫した。
力強い相撲で4連勝を飾った取組後、「誕生日おめでとうございます」の声に「ありがとうございます」と返した。
その白鵬の表情に笑顔はなかった。
9年前にいまだいえない傷痕を残した3.11。
そして今場所は新型コロナウイルスの感染拡大で無観客開催となった。
「重ね重ねだから、喜んでいいのかというのが正直な気持ち」と言った。
「9年前、何で私はこの日に生まれてしまったのかと思った。怖さ、悲しみ。1日前でもよかったのにと思ったりしたけど、相撲で何ができるか、そういうふうに切り替えた。頑張っている姿を見せられたら、勝つことが勇気になってくれたらという思い」
9年前は26歳だった。
以降の3.11は、出場して取組があった場所はすべて白星を飾っている。
35歳まで相撲をとるイメージはあったか聞かれ「なかった。自分がそこにたどり着くとは思わなかった」。
白鵬自身も「励み」を与えられてきた。
実際、昭和以降に昇進した横綱で35歳を超えて引退したのは6人だけ。
白鵬は「20代は35歳というのはおじさんというイメージがあったけど、自分がその年になるとね。精神的には(普通の人に比べ)倍だけど、肉体的には動いているし。この年齢で土俵に上がれているのはうれしいというか、幸せ者だなと思う」。
2年前の春場所で単独1位となった横綱在位数は76場所となった。
長く務めるからこそ格別な思いがあった。
昨年9月3日に日本国籍を取得後、初めての誕生日でもあった。
この日の朝稽古後に「自分には誕生日が2回ある。(3月11日が)生みの親、(9月3日が)育ての親みたいなもの」と話した。
第一人者としての責務を背負う。
連日、誰も観客がいない中、横綱土俵入りで力強く四股を踏む。
初日の協会あいさつで八角理事長(元横綱北勝海)が言った、邪気を払う「大相撲の持つ力」を横綱が体現する。
八角理事長(元横綱北勝海)「白鵬は、これだけやってケガが少ないのも珍しい。準備運動をしっかりやっているからでしょう。若い頃に比べれば(衰えは)あるだろうが、よくやっている。朝乃山は堂々としたもの。押されない、という自信をつけた感じがする。」
幕内後半戦の藤島審判長(元大関武双山)「白鵬は右が入り左を探りながらという万全の相撲じゃないですか。朝乃山は元気な北勝富士相手に、あの相撲が取れるんだから力をつけた証拠。高安は投げの打ち合いで足が伸び片方に負担がかかったんでしょう。」
大相撲春場所4日目の11日、横綱・鶴竜は直近まで5連敗中だった高安相手にも冷静だった。
土俵際まで追い詰められながらも「変に慌てずに余計なことはしない」と言い聞かせていた。
頭をつけられて、まわしも取ることができずに苦しんだが、体を密着させることを意識。相手が前に出てきたところに乗じて、左からの強烈な攻めで突き落とした。
一方、敗れた高安は土俵上でうずくまったまま動けず。負傷箇所は明らかにされていないが、救急車で搬送された。
貴景勝がまた平幕に不覚を取った。
大栄翔の低い押しを我慢できず、引いて墓穴を掘る完敗。
「きょうに関しては相手が強かった」と認めるしかなかった。
兵庫県出身。
大関として初めて臨む準ご当所の場所で序盤は乗り切れていない。
「心と体が一致すれば、車輪みたいにすべてがうまく回ると思う」。
自らを励ますように話した。
朝乃山は慌てなかった。
右を差した後、北勝富士の強烈なおっつけにじりじりと後退したが、こらえて最後は右からのすくい投げで決着をつけた。
左上手を引いて攻めることができず「前に出られなかった。自分の相撲を取れなかった」と反省の弁。
しかし「落ち着いて相手を見ることができている」と、押し相撲の実力者から挙げた白星には納得の表情だった。
西前頭筆頭高安(30=田子ノ浦)が、横綱鶴竜との結びの一番で負傷し、救急車で病院に搬送された。
突き落としで敗れると、土俵にうつぶせで倒れたまま顔をしかめ、うめき声を上げた。
勝ち名乗りを受けた鶴竜が心配そうに声をかけるが、しばらく立ち上がることができず、協会関係者の肩を借り、左足を引きずりながら土俵下へ。
車いすに乗って救護室へ移動した。
取組を終えて15分後、会場の裏口駐車場に待機していた救急車に高安が乗り込む場面を、兄弟子の荒磯親方(元横綱稀勢の里)ら関係者が見送った。
初日から三役との対戦が続いて4連敗。
報道陣の問い掛けには「また、あした」と一言だけ。
2017年春場所以来の貴景勝戦勝利)相手が引いた。
立ち合いが良かった。
「(初日が出て)気持ち的には楽になる。ここからしっかりやっていきたい。」
初日から押し相撲で白星を重ねる御嶽海が、この日も低い前傾姿勢を保ちながら前に出る相撲を取り切った。
踏み込んで相手の出足を止めると、二の矢のもろ手突きを放って相手の上体を浮かせる。
すかさず体を寄せてもろ差しとすると、反撃する隙を与えずに一方的に寄り切った。
貴景勝には過去8勝7敗とわずかに勝ち越しているものの、先場所は、押し合いを制した御嶽海が相手を土俵際まで追い詰めるも攻めが甘く、右突き落としに屈した。
味わい深い42歳の同期対決を制した。
天一(山響)を寄り切って初日を出した東序二段17枚目の富士ノ風(伊丹市出身)は「勝った記憶がないぐらい苦手だった相手。この年までやっているのも少ないし、余計にうれしいね」と目尻を下げた。
16年前の幕下14枚目を最高位に、ここ10年は三段目と序二段を行き来しながら番付を下げてきた。
それでも土俵に上がり続けるのは、「いくつになっても勝ったときの喜びは格別」だから。
そして、「いい相撲を取りたい」という一念だ。
1993年に尾車部屋に入門して以来、角界のさまざまな出来事を見てきた大ベテランも、無観客開催は想定外。
「(ウイルスの感染予防で)どこにも行けず息苦しいし、中学の同級生も応援に来られなくなって残念」と静かな“ご当所”に少し寂しげだった。
大相撲春場所は5日目。
観客を入れずに行われる中、大関昇進がかかる朝乃山は、大関経験のある前頭筆頭、高安と対戦する予定です。
大関昇進がかかる朝乃山は、安定した相撲内容で初日から4連勝し、12日は、大関経験のある前頭筆頭の高安と対戦する予定です。
過去の対戦は、去年の名古屋場所の1回だけで、当時、大関だった高安が勝っています。
朝乃山は、立ち合いで当たり負けせず組み止めて、得意の右四つの形に持ち込むのが理想です。
高安は、11日の取組のあと自力で歩くことができず、救急車で搬送され状態が心配されます。
同じく初日から4連勝の横綱 白鵬は、先場所優勝した前頭2枚目の徳勝龍と対戦します。
過去の対戦は1回で、白鵬が勝っていて、左の上手を取れば優位は揺るぎません。
11日に2敗目を喫した大関 貴景勝とここまで4連勝と勢いに乗る前頭3枚目の御嶽海の一番も注目で、過去の対戦成績は7勝7敗の五分です。
連敗は避けたい貴景勝としては、低く鋭い立ち合いから持ち味の突き押しで圧力をかけたいところです。
一方の御嶽海は、今場所際立つ積極的に前に出る攻めを展開できるかが鍵となります。
日本相撲協会の決定により、3月8日から大相撲春場所が無観客で始まった。
チケットの約7割の委託販売をする“相撲茶屋”も危機的状況だ。関係者が嘆息する。
「大阪には相撲茶屋が8軒あり、年間収入の大半を大阪場所で売り上げている。すでにグッズや弁当の材料などの手配は済んでいます。八百長問題で中止になった2011年春場所では、協会から損失が補填されたが、今回はどうなるのか……」
一方で、懸賞金については「通常通り」の方針が決まった。
「懸賞幕が土俵周りを一周するのは会場向け。企業名などは場内放送で流すが、NHKの放送ではそこで音声を絞り、画面に対戦成績表を被せたりする。無観客ではスポンサーのメリットがなく、当然、大量のキャンセルが出た。それでも協会が懸賞を止めなかったのは、力士から不満の声が出るのが怖いから」
力士たちには外出禁止が厳命されている。
若手親方の一人は、こういう。
「感染者が出れば本場所は中止ですから、監視の目は厳しい。しかし、部屋の収入に直接響く面もあるのでどうなるか。親方連中の間で地方は“集金場所”と呼ばれ、関取は後援者の宴席に行くだけで数十万円の祝儀を手にします。
それが部屋に見学者も入れられなければ、稽古後のチャンコ会での祝儀も出ません。
場所前の激励会を中止した部屋は多かったが、協会も稽古場の取材を規制しながら、タニマチとの接触については各部屋の判断に委ねていた。それぞれの部屋に“経営判断”があるからでしょう
新型コロナウイルスが大相撲界も直撃だ。
日本相撲協会は3月1日、臨時の理事会を開き、同8日から大阪市のエディオンアリーナ大阪で開かれる春場所を「無観客」で行うことを決めた。
大相撲の取組が無観客で開催されるのは、戦争末期の1945年夏場所以来、75年ぶり、二度目のことになる。
当時は7日制で、戦争で傷ついた傷痍軍人たちの慰労のために招待した、という記録が残っている。
いずれにしても、いつもの超満員の中と違って観客が1人もいない、ガランとした場内で行われるだけに、各所への影響も大きい。
この無観客開催で最も損をするのは、間違いなく相撲協会だろう。
観客がいないということは、入場料が一銭も入ってこないからだ。
1日約7000万円の入場料収入は完全にパー。
15日間でざっと10臆5000万円、さらに館内の販売手数料などの雑収入を含めると、およそ11億円が吹っ飛んだことになる。
ちなみにNHKは、この異例の場所も通常通り中継するので、その中継料である5億円は変わらないという。
「去年の相撲協会の収支は未発表ですが、一昨年の収支は約5億円の黒字。これで今年は赤字に転落するのは必至となりました」
「(観客がいないのは)イメージできない。力士はあの声援に背中を押されて頑張ろうという気になるんですから。外出も控えないと」
大関取りがかかる朝乃山は、そう肩を落とす。
関西出身の大関・貴景勝や、先場所に幕尻優勝した徳勝龍、さらに人気者の炎鵬らも無観客というのは痛手だ。
とりわけ、貴景勝は去年も大阪のファンの熱い声援を背に大関昇進を成し遂げているだけに、ため息をついた。
「モチベーションがすごく大変。お客さんあっての相撲。(大阪について)毎年何かいい影響を与えてもらっているから、頑張りたい」
逆に、観客がいないことが追い風になりそうなのが白鵬、鶴竜の両横綱。先場所も白鵬が2個、鶴竜は3個と、このところ2人の金星献上数が急増している。
当然、負ければ大歓声が上がり、座布団が舞い、悔しさも倍加する。
ところが、無観客ではその歓声もなく、座布団が舞わないのだから、心が傷つかずに済むのだ。
大相撲春場所
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2020/03/11
張り手やいなしを交えて高安を下し、3連勝。
「流れで相撲を取った感じ。日に日に良くなっているが、まだ3日目が終わっただけ」
隠岐の海を退け、連敗を免れる。
「しっかり修正できた。きょうはきょう、あしたはあした。また集中していきたい」
貴景勝は遠藤にまわしを与えず、攻め続けた。
突き出して連敗を免れ、「きのうから修正することを頭に入れ、きょうも自分ができることに集中した」と普段通りの淡々とした口調で言った。
押し相撲が武器で上背はないだけに、得意とする距離を保てるかがより重要となる。
「ちょっとしたことで勝ち負けが変わるから、一生懸命にやるだけ」と肝に銘じた。
朝乃山は内容の濃い白星で3連勝。
まわしにこだわらず、合口が悪かった大栄翔を突き返して下し、「前に前に攻めようという気持ちがあるので、自然とできた」と満足そうに振り返った。
突き押しの相手への対応が大関を狙う上での課題とされてきたが、組み止めることができなくても、不安を感じさせなくなってきた。
「焦らず取ることを自分に言い聞かせている。落ち着いていたからよかった」と話し、確かな手応えを得ているようだ。
大相撲三月場所3日目。
これまで2連勝の富山市出身の朝乃山。
大関取りへ3連勝かけた大栄翔との一番です。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で無観客開催となっている三月場所。
2連勝と勢いに乗る朝乃山、3日目は、押し相撲を得意とする前頭筆頭の大栄翔と対戦です。
立ち合い、前に出た朝乃山。
大栄翔と激しい押し合いになりましたが、朝乃山はひくことなく突き返し、3連勝です。
これで3勝と大関昇進に向けて内容が良い相撲を見せる朝乃山。
4日目は八角部屋の小結、北勝富士と対戦です。
御嶽海に押し出されて初黒星を喫し、「相手の方が姿勢が低かった。一方的な相撲だった」と反省。
大相撲春場所3日目の10日、小結北勝富士と徳勝龍の一番で物言いがつき、高田川審判長(元関脇安芸乃島)が無観客の場内に対してマイクで協議内容と結果を説明した。
NHKは通常同様に中継している。
相撲は軍配通り、北勝富士が勝った。
豊山が炎鵬に初顔から3連勝。
懐に入れないように突いたり張ったりして距離を取り、手四つになる場面も。
「攻めづらかったが、向こうが先に引くのを待っていた」と振り返ったように、最後はタイミング良く押し倒した。
1分半ほど時間をかけて仕留め、「疲れたが、辛抱勝ち」と満足げだった。
大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)3日目の10日、上松町出身で西前頭3枚目の御嶽海(出羽海部屋)は、西関脇・正代(時津風部屋)を押し出しで下し、無傷の3連勝とした。
4日目の11日は、東前頭3枚目・豊山(時津風部屋)と対戦する。
腰を浮かさず下から攻めきる、盤石の相撲だった。低く当たった立ち合いから、すかさず左を差し、右おっつけで相手に左差しを許さない。
回り込まれても慌てず、下から圧力をかけ続けて着実に前進し、そのまま力強く押し出した。
学生相撲でもしのぎを削った豊山とは、互いに押し相撲を得意とする者同士の対戦で、過去1勝1敗だ。
前回の対戦は平成30年7月の名古屋場所で、御嶽海が初優勝を決めた翌日の千秋楽に激しい攻防の末、逆転の掛け投げで敗れている。
炎鵬は「何もできなかった」と落胆。
前回顔を合わせた昨年九州場所でも、立ち合いで豊山が当たってこずに攻めあぐねた。
「何もひらめかなかった。引き出しが足りない」。
金沢学院東高の1年先輩にお手上げの様子だった。
3連勝。
無観客の雰囲気には「全然慣れないが、硬くはなっていない。稽古場の方が緊張するから」。
大相撲春場所3日目(10日・エディオンアリーナ大阪)盛岡市出身で西前頭14枚目の錦木(伊勢ノ海部屋、盛岡・米内中)は東16枚目の東龍にはたきこみで敗れ、初日から3連敗となった。
錦木は左差しを許して出足を止められた。懐の深い東龍のまわしが遠く、下がった相手にはたかれて腹ばいになった。
4日目は西13枚目の碧山と対戦する。
大相撲春場所3日目(10日、エディオンアリーナ大阪)
横綱、大関は安泰。
白鵬はややてこずりながらも高安を寄り切って、白星を三つ並べた。
鶴竜は鋭い踏み込みから隠岐の海を問題にせず、貴景勝は遠藤を突き出して連敗を免れた。
大関昇進が懸かる朝乃山は大栄翔に快勝し、関脇復帰の正代を破った御嶽海とともに3連勝。
日本相撲協会の決定により、3月8日から大相撲春場所が無観客で始まった。
チケットの約7割の委託販売をする“相撲茶屋”も危機的状況だ。
関係者が嘆息する。
「大阪には相撲茶屋が8軒あり、年間収入の大半を大阪場所で売り上げている。すでにグッズや弁当の材料などの手配は済んでいます。八百長問題で中止になった2011年春場所では、協会から損失が補填されたが、今回はどうなるのか……」
一方で、懸賞金については「通常通り」の方針が決まった。
「懸賞幕が土俵周りを一周するのは会場向け。企業名などは場内放送で流すが、NHKの放送ではそこで音声を絞り、画面に対戦成績表を被せたりする。無観客ではスポンサーのメリットがなく、当然、大量のキャンセルが出た。それでも協会が懸賞を止めなかったのは、力士から不満の声が出るのが怖いから」
力士たちには外出禁止が厳命されている。
若手親方の一人は、こういう。
「感染者が出れば本場所は中止ですから、監視の目は厳しい。
しかし、部屋の収入に直接響く面もあるのでどうなるか。
親方連中の間で地方は“集金場所”と呼ばれ、関取は後援者の宴席に行くだけで数十万円の祝儀を手にします。
それが部屋に見学者も入れられなければ、稽古後のチャンコ会での祝儀も出ません。
場所前の激励会を中止した部屋は多かったが、協会も稽古場の取材を規制しながら、タニマチとの接触については各部屋の判断に委ねていた。
それぞれの部屋に“経営判断”があるからでしょう」
新型コロナウイルスの影響により、無観客で開催されることが1日に決定した大相撲春場所(大阪・エディオンアリーナ大阪)。
その決定通り春場所は8日の初日から無観客で行われ、早くも3日目の取組を消化した。
観客が誰一人いない中行われているとあって、ネットを中心に「お客さんがいない場内はやっぱり寂しいな」、「歓声が聞こえないと視聴者側も盛り上がらない」といったコメントが散見される今場所。
ただ、その一方で「無観客は無観客で楽しい部分もあるな」、「中継見てる分には新鮮」と、無観客相撲に新たな観戦ポイントを見出しているファンも少なくない。
無観客相撲となった今場所で、普段より際立っているのが「音」。
普段の本場所では観客が多数詰めかけ声援を送るため、取組で聞こえるのは立ち合いの衝突や張り手の音がほとんど。
ただ、無観客の今場所では体のぶつかり合いや四股はもちろん、息遣いやすり足の音もはっきりと聞こえることから、「普段聞こえない音が聞こえるから臨場感が凄い」といったコメントが数多く見受けられる。
また、今場所では力士だけでなく、行司や呼び出しが出す音も聞き取ることができる。
中でも、横綱土俵入りの際に行司が「しーっ」と大きく息を吐き、場内に静かにするよう求める「警蹕」という所作に対しては、「こんな所作があるのか、今まで会場に行ったことないから知らなかった」という声も多数寄せられていた。
無観客ならではの取り組みがされているのが、テレビ中継の「カメラアングル」。
大相撲中継では普段も正面、向正面、吊り屋根、花道といった場所にカメラが設置されているが、今場所では本来観客が座る場所にもカメラが設置されており、普段は見られないようなアングルも楽しむことができる。
中でもファンの反応を集めているのは、正面に座った勝負審判の背後から土俵上を映すアングル。
特に、スキンヘッドの藤島親方(元大関武双山)が映り込む時のインパクトは大きいようで、一部ファンからは「藤島親方の頭が存在感ありすぎて取組に集中できない(笑)」という声が挙がっていた。
今場所が無観客になったことを受け、日本相撲協会は少しでも場所を盛り上げようと、公式ユーチューブチャンネル上で親方衆による幕内取組解説を生配信している。
配信では岩友親方(元幕内木村山)、小野川親方(元幕内北太樹)、音羽山親方(元幕内天鎧鵬)の「解説親方」3名に加え、日替わりで登場するゲスト親方が取組を解説。
親方衆に会場警備やチケットもぎりといった仕事が課せられる普段の場所では実施が難しいとあって、ファンからは「ぜいたくな生配信だなあ」と好評を集めている。
ネット上ではこの他にも、土俵外に押し出された力士がその勢いのまま無人の客席を駆け上がっていく光景や、客席の前列から最後列付近まで隔離された向正面解説ブースなど、さまざまな見どころを挙げる声が集まっている。
初日から3日が経過した時点で、無観客ならではの魅力や見どころに気付けたファンも少なくない大相撲春場所。
残り12日間の中では、この他にも観戦ポイントが見出されるかもしれない。
がつんとぶつかる音、荒い息遣い。日ごろ、観客の声援やざわめきのなかで聞くことのできない大相撲の音がテレビから伝わってくる。
行司や呼び出しの名乗りもより鮮明に聞こえた。
新鮮な発見とともに、横綱土俵入りで観客から発せられる「ヨイショ」の掛け声が聞こえてこない。
立ち合いの時間に巻き起こる拍手もない。
分かってはいても拍子抜けである。
大相撲春場所は8日、新型コロナウイルス感染に配慮して無観客で幕を開けた。
15日間、慣れてはいくだろうが、改めて声援の大きさを思う。
本場所の無観客開催は戦時下の1945(昭和20)年6月の夏場所以来。
5月に予定されていたが、この年3月の東京大空襲で旧両国国技館の大屋根に穴が空き、晴天の日のみ7日間、傷病軍人らを招待しただけで一般には非公開で行われた。
あの角聖・双葉山の最後の土俵となった場所である。
近年では2011年春場所が八百長問題で中止され、夏場所は「技量審査場所」として無料公開された。
その11年度の日本相撲協会の事業収益は54億4000万円。
前年よりも29億8000万円減となり、赤字は48億円超に上った。
過去最大級であったことはいうまでもない。
ちなみに本場所収益は前年よりも27億2000万円減の48億6000万円。
いかに大相撲が本場所開催によって成り立っているかが分かる。
この春場所は1日約7000席の前売りチケットが15日分完売していた。
無観客開催となり、払い戻しが始まるが、金額は10億円を超えるという。
NHKの中継は通常通りで4億円とも5億円ともいわれる放送権料に変化はないものの、入場料収入の減収は協会財政に大きな影響を与えることは間違いない。
大相撲春場所は4日目。
観客を入れずに行われる中、大関昇進がかかる朝乃山は、小結 北勝富士と対戦します。
大関昇進がかかる朝乃山は、初日から3連勝と好スタートを切り、11日は北勝富士と対戦します。
過去の対戦成績では朝乃山が4勝2敗とリードしています。
朝乃山の持ち味は、右を差して左上手を取る右四つからの寄りですが、10日の大栄翔戦では突き押し相撲に応じても強さを見せました。
一方、北勝富士は横綱 鶴竜を破るなど、得意の突き押しに磨きがかかっています。
朝乃山が得意の四つ相撲に持ち込めば優位ですが、立ち合い、北勝富士のペースに持ち込まれ、突き押しの応酬となる展開も予想され、見応えのある一番となりそうです。
初日から3連勝の横綱 白鵬は、11日が35歳の誕生日で、平幕の隠岐の海の挑戦を受けます。
過去の対戦では21勝1敗と圧倒していて、白鵬が左の上手を取れば、優位は揺るぎません。
ここまで2勝1敗の横綱 鶴竜は、結びの一番で大関を務めた高安と顔を合わせます。
大相撲春場所
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2020/03/10
横綱・白鵬は大栄翔をすくい投げ。
3日目は、大関経験者の高安の挑戦を受ける。
休場明けの場所で2日目に初黒星を喫した横綱・鶴竜は前頭2枚目の隠岐の海との対戦です。
序盤から連敗となれば復活に向けて暗雲が漂い始めるだけに、まずは白星を先行させたいところです。
今場所、一人大関の貴景勝は9日、初黒星を喫しました。
10日は小結に復帰した遠藤との対戦です。
前まわしを取ってうまい相撲を見せる遠藤に対して貴景勝は低く当たって突き放し、一気に勝負を決めたいところです。
朝乃山
大関昇進がかかる関脇・朝乃山は初日から2連勝とし、10日は前頭筆頭の大栄翔と対戦します。
過去の対戦成績は朝乃山が3勝7敗と負け越しています。
朝乃山は、突き押し相撲の大栄翔に対して立ち合いで当たり負けせず、組み止める展開が理想です。
初場所で最後まで優勝を争った関脇・正代は大関経験者の高安を倒して2連勝。
体勢が不利になったので、思い切り、投げにいった。
体が動いている。
この現状で行けるところまで行きたい。
大関昇進が懸かる朝乃山は初場所で初優勝を果たした徳勝龍を上手出し投げで土俵にはわせた。
(近大の後輩・朝乃山に敗れて)土俵に上がれば先輩、後輩は関係ない。
突っ張りが嫌でしたね。
頭にはあったけれど、あそこから突き起こされてはたかれた。
大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)2日目の9日、上松町出身の西前頭3枚目・御嶽海(出羽海部屋)は、西前頭4枚目・阿炎(錣山部屋)に押し出しで勝ち2連勝とした。
昨年1月の初場所以来7場所ぶりに初日から二つ白星を並べた。
同じ突き押し相撲の相手を、ほぼ一直線に押し出す「電車道」で圧倒した。
右を伸ばしつつ、左を下からあてがい、前へ前へと力強く足を運んだ。
3日目の10日は、西関脇の正代(時津風部屋)と当たる。
先場所優勝争いを繰り広げ、今場所も2連勝と勢いがある。
対戦成績は御嶽海の9勝10敗。
先場所は千秋楽に押し出しで敗れて8敗目を喫しており、悔しさを晴らしたい。
大相撲春場所2日目(9日・エディオンアリーナ大阪)は、両横綱の明暗が分かれた。
白鵬は大栄翔をすくい投げで退けて2連勝としたが、鶴竜は小結北勝富士に送り倒され、早くも土がついた。
一人大関の貴景勝も隠岐の海の上手投げに屈して初黒星。
佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若・尾花沢市出身)の長男で東前頭18枚目の琴ノ若は、明生に肩透かしで敗れ初黒星。
十両の白鷹山(白鷹町出身)は千代鳳の引き落としに屈し2敗目となった。
「ちょっと慌てて、詰めのところで急ぎすぎた。でも体は動いていた。幕内は一日一日、勉強なので」
「大相撲春場所・2日目」(9日、エディオンアリーナ大阪)
春場所2日目の9日、立浪部屋の序二段力士が発熱のため休場した。
前日部屋に戻った後に40度近い熱があり、師匠の立浪親方(元小結旭豊)から危機管理部長の鏡山親方(元関脇多賀竜)に報告があった。
同部長によると師匠には「ホテルでいいので隔離してください」と指示。
インフルエンザ検査は陰性で同力士の熱はこの日朝、36.7度まで下がった。
今後快方に向かえば復帰する予定。
新型コロナウイルス感染予防が徹底される今場所は朝晩と検温し、協会への報告が義務付けられている。
37.5度以上の発熱が2日続けば休場となるが、1日の発熱でも同部長と師匠が話し合い、症状次第で休場措置の判断を下すとしていた。
昨年春場所で初土俵を踏んだ東三段目95枚目の藪ケ崎(兵庫県姫路市出身)は、粘る相手をすくい投げで破り、白星発進。
「先場所初めて負け越して、めちゃくちゃ悔しかった。絶対勝つと気合でいった」と喜んだ。
姫路の相撲教室「亀浜道場」に通い、姫路灘中時代は全国中学校体育大会に出場。
名門の鳥取城北高に進み、満を持して山響部屋に入門した。
「社会人1年目として上下関係や礼儀、あいさつを学んできた」と話す。
186センチ、155キロと堂々たる体格。
得意の押し相撲と左四つで番付を上げてきたが、今年7月に成人を迎える藪ケ崎は「まだ、じゃなくもう20歳」と成長曲線に満足しない。
しこ名は本名で、全国十数人しかいない珍しい名字とか。
「名前を広めるためにも、もっと活躍する」と誓った。
初の無観客開催となった大相撲春場所(大阪府立体育会館)をファンや周辺の商売人も残念がった。
初日(8日)、会場の正面入場口は門扉が閉じられたまま。
相撲ファンや通りすがりの人々が、門越しにスマホで写真を撮る光景が見られたものの、その数はわずかだった。
タクシーや自家用車で会場に乗り付けた力士や親方衆など関係者は裏口から入退場。
警備員が周辺に目を光らせ、厳戒態勢が敷かれた。
遠巻きに様子を眺めていた市内在住の男性は「毎年、見に来とるんやけど、早うに前売り券も買うてたのに全部払い戻しや。奈良出身の徳勝龍が初場所で優勝したし、個人的には大阪出身の勢が楽しみやったんやけどな。年に1回やから様子見に来たんやけど、正面は門が閉められとるし、裏口も警備員が『アカン』言うて注意して回っとるから、人がおらん。家に帰ってテレビで応援するわ」と立ち去った。
会場周辺の喫茶店関係者は「初日と千秋楽は、朝の9時40分くらいから午後4時くらいまで、ひっきりなしにお客様が来られますが、ご覧の通り。例年と比べると、売り上げは3割くらいです」と、空席が目立つ店内の状況を嘆いた。
駐車場も同様だ。
例年は午後2〜3時に車を預けに来る客がピークを迎えるというが「今日はさっぱりです。一人でも(感染者が)出たら場所を打ち切ると言ってますから、仕方ないですけど」とお手上げだった。
元日本ハムのエース投手で野球評論家の岩本勉氏(48)が9日、パーソナリティーを務める文化放送「岩本勉のまいどスポーツ」(月曜後6:00)に出演。
新型コロナウイルス感染拡大の影響でプロ野球開幕日が当初予定の今月20日から延期すると同日発表された件について言及した。
日本野球機構(NPB)とJリーグの両団体が設立した「新型コロナウイルス対策連絡会議」が9日に都内で第2回会議を行い、専門家チームから「延期が望ましい」との助言。
それを受け、プロ野球の臨時12球団代表者会議で開幕延期が決定し、斉藤惇コミッショナー(80)が東京都内で会見を開いて発表した。
だが、岩本氏は「感染症の専門家の意見も分かりますが、野球…日程やペナントレースの専門家はそこにいたのかっていう話。コミッショナーは専門家とは僕はちょっと違うと思ってるからね」と意見。
「無観客でオープン戦が成立したんであればシーズンもやって、日程調整で年間通しての観客動員というのを期待するべきだと思います。このままじゃクライマックス(シリーズ)もどうかという話でしょ?国技と言われている大相撲は頑張っているわけじゃないですか、無観客でね。僕は(予定通り)開催派だったんでね。ウイルスに感染された方、命を落とされた方もいるんで強くは言えないですけど、プロ野球の事情だけを考えるとそんな意見を持っていました」とし「公式戦もできたんではないか」と続けた。
新型コロナウイルスの感染拡大で史上初の無観客開催となった大相撲春場所が8日、大阪市浪速区のエディオンアリーナ大阪で初日を迎え、静寂の中で取組が行われた。
日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は恒例の協会あいさつで「世界中の方々に勇気や感動を与え、世の中に平安を呼び戻すことができるよう、15日間全力で努力する所存です」と述べた。
普段は三役以上の力士も土俵に上がるが、この日は八角理事長だけ。
白鵬、鶴竜の両横綱ら幕内力士らが土俵下に勢ぞろいし、異例の形式で実施した。
理事長は「ファンの方々の声援を心に感じ、ご期待にお応えするものと存じます」と決意を表明した。
大相撲春場所
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2020/03/09
新型コロナウイルスの感染拡大により無観客での開催となった大相撲春場所は8日に大阪市浪速区のエディオンアリーナ大阪で初日を迎えた。
44度目の優勝を狙う東横綱・白鵬は、結びの一番で小結遠藤を叩き込み、白星スタート。
もう一人の横綱・鶴竜は送り出しで前頭筆頭大栄翔を退けた。
38年ぶりの1人大関となった東大関・貴景勝は前頭筆頭高安を押し出し、白星発進となった。
大関獲りに挑む関脇・朝乃山は、前頭二枚目隠岐の海に土俵際で粘られたが寄り切り、大切な初日の相撲を制した。
関脇正代は、1月の初場所で初優勝を飾った西前頭2枚目の徳勝龍と対戦。
押し出しで下し、先場所のリベンジを果たした。
新型コロナウイルスの感染拡大で史上初の無観客開催となった大相撲春場所が8日、大阪市のエディオンアリーナ大阪で初日を迎え、拍手や歓声のない静寂の中で淡々と取組が行われた。
初日恒例の協会あいさつでは、幕内力士と審判部の親方が勢ぞろい。
八角理事長(元横綱・北勝海)はテレビ観戦するファンに向け、勇気や感動を届けることを誓った。
全てが異例の光景だった。
会場の正面入り口は金属製の門で閉ざされ、力士などののぼりも掲げられなかった。
いつもは正面から入場する力士らは裏口にタクシーや関係者の自家用車を横付けし、マスク着用で館内に入った。
午前8時40分の序ノ口の取組開始から幕内取組後の弓取り式が終わるまで、館内は静寂が支配した。
初日恒例の協会あいさつは通常、十両の残り3番のところに組み込まれるが、この日は幕内土俵入り、横綱土俵入りのあとの賜杯・優勝旗返還式終了後に実施された。
三役以上の力士が土俵に上がるのではなく、東西に両横綱をはじめとする幕内力士、向正面に審判部の親方が勢ぞろい。
土俵には八角理事長ただ一人が上がった。
八角理事長はあいさつで、相撲は神事であることを強調した。
「力士の四股は邪悪なものを土の下に押し込む力があると言われてきました。また横綱の土俵入りは五穀豊穣と世の中の平安を祈願するために行われてきました」。
無観客ながら本場所を開催することの意味について「世界中の方々に勇気や感動を与え、世の中に平安を呼び戻すことができるよう、15日間全力で努力する所存です」と訴えた。
無観客の中で初めて雲龍型の横綱土俵入りを披露した鶴竜は「ここなら拍手が来るかなと思ったところで掛け声もなく、(所作を)間違っているかと思った」と違和感は拭えなかった。
その上で「そういう意味では忘れられない一日」と異例の場所の感想を語った。
協会関係者に新型コロナウイルスの感染者が出た場合、中止とする見通しだ。
相撲協会はプロジェクトチームを立ち上げて感染予防に努めているものの、不安と背中合わせの土俵は続く。
その中で力士の奮闘が目立ち、初日に横綱、大関が安泰だったのは18年夏場所以来、11場所ぶりとなった。
幕内後半の審判長を務めた藤島審判部副部長(元大関・武双山)は「今日は勝ち負けというより、いい相撲が多かったと思う」と評価した。
貴景勝が高安を力強く押し出し白星発進した。
兵庫県芦屋市出身だが「ご当地」と言い切る大事な場所。
いつもの声援がない無観客に「全然雰囲気が違う」と話し「改めて歓声のありがたさが分かった。お客さんも大相撲を作ってくれている。自分のためとやったら力は出ない。応援してくれる人のために何か励みとか、こういう時だからこそ元気づけたい」と誓った。
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため無観客となった大相撲春場所が始まった8日、県内の関係者からは、十両から再起を期す延岡市出身・琴恵光関(28)=本名・柏谷充隆、佐渡ケ嶽部屋=に「集中して、まずは勝ち越しを」と期待する声が聞かれた。
新十両の翠富士(焼津市出身)は得意の押しが光り、関取初戦を白星で飾った。
若元春の突き、押しに土俵際まで下がりながら耐え、引きに乗じて一気にはずで攻めた。
「立ち合いから押していこうと思ったが、全然押し込めなかった。でも、結果オーライ」と表情を緩めた。
堂々とした相撲を取ったが、立ち合い前は関取としての所作に戸惑った。
「全然分からなくて恥ずかしかった」と、ちゃめっ気も見せた。
無観客開催のため土俵入りで声援はなし。
「来場所で十両に残ったら、また雰囲気が違うんだろうなと思った。しっかり勝ち越して頑張りたい」と語った。
新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、史上初の無観客開催となった大相撲春場所初日の8日、会場のエディオンアリーナ大阪の正面掲示板には「無観客で開催」と表示されていた。
例年なら、力士の入り待ちでにぎわう会場の門は閉じ、会場入りは裏門に限定。
人出も少なかった。
会場の様子を見に来たという相撲ファンの女性は「チケットをやっと、キャンセル待ちで取れたのに…」と残念がりつつも「(無観客は)しかたない」。
毎年、春場所の開催時期は「(近くの)駅でお相撲さんを見かけるのに、1人も見てない。(大相撲は)やってんの? と思って会場を見に来ました。人が全然いない。大阪の3月といえば相撲なんで」と話した。
今回はテレビ中継を見て、大好きな横綱鶴竜を応援するという。
無念の思いを抱えるのは、観客だけではなく、周辺の飲食店も同じ。会場近くに昨年オープンしたそばと日本酒が売りの「hanako first」では、大相撲観戦の客を期待していた。
混雑を見込み、アルバイトを3人体制で準備していたが、1人に減らしたという。
同店で働く北堂吉信さんは「(無観客でも)人通りがあると思っていましたが全然でした。見込みが外れた。相当なダメージですね」。
2月までは順調に売り上げを伸ばしていたといい、3月も相撲協会の関係者の来店などを期待していたが、感染防止のため出歩く人を見かけない。
「3月もいけると思っていたんですけど。(コロナウイルスの影響で)先が見えないです。(オープンしたばかりで)不安ですね」と悩みを口にした。
会場最寄りのカフェ「Cafe space Buzz」でも、苦悩を抱える。
会場は南海電鉄・難波駅の近くで、駅をはさんで反対側には吉本興業の本拠地・なんばグランド花月がある。
おりしも、花月での興行も休止が続いており、さらには、外国人をはじめ観光客の数も激減。
人通りの数そのものが減っている。
同カフェのオーナーは昨年の同時期に比べ売り上げが6割減になったと嘆く。
「大打撃です。うちが一番(会場から)近いので影響も大きいです」。
昨年までは、春場所の時期になると親方衆や取組前の関取衆らが訪れていた。
店を出るときはあいさつもしてくれていたという。
「教育を受けられているのか、礼儀正しい方が多い」と感謝しつつも、今年はそんな姿も見かけられなくなった。
場所中は朝から、幕内の取組が行われる午後4時前後までほぼ満席状態だった。
「イベントの自粛で4月も(同会場の)キャンセルが相次いでいると聞いています。
うちとしてはまだまだ厳しい。うちだけの悩みではないと思いますけど、長引くほどダメージを受ける。いつまで続くのか」と先行きの不透明さに心配がつきないようだった。
大相撲史上初の無観客開催となった春場所中「記者席から 緊急連載・厳戒の春」と題し、識者の見解や舞台裏などを15日間掲載する。
第1回は好角家で漫画家のやくみつる氏(60)に聞いた。
各プロスポーツが中止、延期とする中、いち早く無観客で開催し「よくぞ開催した」と評価した。
よくぞ開催した。
多くのお年寄りが集まる通常開催は、さすがに難しいが、相撲だけ特別視してほしくなかった。
本場所は昇格、降格に関わる仕事。
今も普通に仕事している、マスコミやメーカーなどの企業と同じように仕事をさせてあげたかった。
他のスポーツよりも早く、無観客で公式戦を行ったのは評価できる。
初日をテレビ観戦したが良しあしを感じた。
良かったのは神聖な面が出たところ。
横綱土俵入りで、初めて四股を踏む音、すり足の動作の音、化粧まわしと土俵の摩擦音、呼吸音まで聞こえた。
今まで考えもしなかったが「こういうタイミングで息を吐くのか」と知った。
相撲が神事であると見つめ直す機会になった。
理事長あいさつでも四股を「邪悪なものを抑え込む」と言っていた。
「コロナ」という言葉こそ使わなかったが、考えさせられた。
良くなかったのは淡々と進んでしまうところ。
お客さんの声は、今や熱戦の必要条件になっている。
炎鵬が吹っ飛ばされた場面は悲鳴が上がるところだが、淡々と進んでしまった。
残り14日間は土俵際などで攻防を見せないと。
休校の子どもたちが、初めて相撲を見たとしたら次も見たいと思わない。
相撲はもっと面白い、こんなモンじゃないという取組を見せてほしい。
無観客での開催に踏み切った大相撲春場所。
昨日、注目の初日を迎えた。
客席には座布団もなく、想像以上の静けさが会場を包んでいた。
NHKのアナウンサーは、普段の取組の進行に加えて、会場の様子や検温・アルコール消毒の徹底といった協会の対応についても教えてくれる。
淡々と進む取組。異例の事態ゆえ、いつも以上に多くの人が中継を見守ったのではないだろうか。
個人的にも注目していた「音」。
当然だが、普段よりも土俵上での音が鮮明に聞こえる。
呼出しの呼び上げや拍子木の乾いた音はもちろん、行司の「時間です」「まだまだ」という声や、横綱土俵入りの際の「しーっ」という声(警蹕)。
力士たちがまわしをたたく音や、足が土俵の砂を擦る音、取組中の息遣いも、いつも以上に大きく響く。
最後の弓取り式においては、弓が空を切る音さえも聞こえてきて驚いた。
また、多くのファンにとって特に印象に残ったのは、八角理事長からの協会挨拶ではないだろうか。
通常であれば、十両最後の三番前に行われる協会挨拶。
今回は、幕内と横綱土俵入りが終わり、賜杯・優勝旗の返還式の直後に行われた。
普段は三役力士が理事長とともに土俵に上がるが、土俵に上がったのは八角理事長のみ。
そして、幕内力士の全員が土俵下を囲んだ。
その光景は荘厳で、大相撲が神事であることを改めて認識させるものだった。
マイクに向かった八角理事長は、昨今の状況を鑑み、無観客での開催を決定したことを改めて伝えた上で、次のように語った。
「古くから、四股は邪悪なものを地面の中に押し込め、横綱土俵入りは邪気を払い、五穀豊穣を祈るものといわれてきました。力士の体は健康の象徴ともいわれます。床山が髪を結い、呼出しが木を打ち、行事が土俵を裁いて、力士が四股を踏む。こういった大相撲のもつ力が、人々に勇気や感動を届け、世の中に平安を呼び戻すことができるよう、15日間全力で努力していく所存です」
本来であれば中止したほうがよかったのではないかという意見も、もちろんある。
けれど私は、この心に響く八角理事長の言葉をまっすぐに受け止め、本場所の開催を素直に喜び、国技が国技たるゆえんや神事としての大相撲の意義を、改めて胸に刻もうと思った。
力士はもちろん、行司や呼出し、親方衆など、大相撲に関わる全ての人が、戸惑いながらも全力で戦っている。
全国の小中学校の休校や、企業における在宅ワークの広がりなどもあり、これまで以上に多くの人や子どもたちが、大相撲の中継を見てくれていると願いたい。
ピンチをチャンスと捉え、春場所が盛り上がりますように。
大相撲春場所
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2020/03/08
大関・貴景勝は、38年ぶりに大関が1人となった場所で、平幕の高安と対戦します。
貴景勝は、場所前の連合稽古で高安に3勝7敗と負け越していて、持ち味の突き押しで圧力をかけられるかが勝負のポイントとなりそうです。
大相撲春場所初日(大阪府立体育会館)を翌日に控えた7日、大関取りに挑む関脇朝乃山(26=高砂)が大阪市内の部屋宿舎で稽古を行った。
四股、すり足などの基礎運動のほか、立ち合いの動作を入念に確認。
大関昇進がかかる本番に備えた。
今場所は新型コロナウイルス感染拡大の影響で初の無観客開催。
力士全員にとって未知の戦いになる。
朝乃山は「(無観客開催が)1日に正式に決まって、気持ちを切り替えてきた。土俵の上に立ったら自分の相撲を取り切ることに集中したい。お客さんはいないけど、テレビの前で応援してくれると思う」と表情を引き締めた。
春場所の舞台となるエディオンアリーナ大阪から、大相撲の象徴が姿を消した。
例年は本場所の開催を華やかに彩る、力士や部屋の名前などが施された色とりどりの「のぼり旗」がない。
大阪の各所を回り、太鼓の音色を響かせて春場所到来を告げる「触れ太鼓」も行わなかった。
人が集まる状況を避け、ウイルス感染の可能性をできるだけ排除するのが理由だ。
大阪の街に春場所の足音は感じられない。
芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「(会場の入り口も)閉まっているから、何をやってるんだろう、となるかもしれないね。相撲は一生懸命取ってもらいたいけど…。切ないよね」と神妙に話す。
日本相撲協会は協会員に、不要不急の外出を控え、人が多く集まる場所に行かないよう通達している。
力士が外出できるのは部屋から近いスーパーへの買い出し程度。
街中で力士を見ることはほとんどない。
ファンに会ってサインや握手を求められても対応しないようくぎを刺されている。
例年、春場所の時期は浪速の街を飲み歩く力士の姿が多く見られる。
大阪随一の繁華街、北新地の女性飲食店主は「今年は一切力士の姿がない。力士を見かけると活気が出るものだが、とても寂しい」と肩を落とす。
力士たちはいつも通り稽古に精を出している。
例年は多くの部屋で行われる一般公開が、今場所はできない。
協会は部屋と縁がある後援者との接触も控えるよう求める通達を出している。
ある部屋のマネジャーは「一人が感染したら、部屋のみんなに感染する可能性がある。本来は来ていただきたいが、お断りしなければいけない」と苦しい胸中を明かす。
大阪のファンと触れ合えず、力士も心苦しい。
1月の初場所で初優勝した奈良県出身の平幕徳勝龍は「こういう時期なので仕方がない。できることをやっていきたい」と話す。
力士はテレビの向こうで応援してくれるファンを想像しながら、春場所の土俵に上がる。
大相撲春場所は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で史上初めて、無観客で8日から実施される。
会場となる大阪市浪速区のエディオンアリーナ大阪では初日前日の7日、土俵祭りが実施され、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)らが15日間の安全を祈願した。
異例の場所に向けての準備も進められた。
相撲協会は力士ら協会員に感染者が出た場合、途中で中止する方針。
春場所先発事務所によると、感染予防のためにマスク3千枚、消毒スプレー350本、除菌用の噴霧器22台を用意した。
土俵祭りの前に報道陣は体温チェックを受けた。
高島・春場所担当部長(元関脇高望山)は「感染が一番怖い。消毒やマスクは普段やり慣れないことだけど、徹底してもらいたい」と話した。
土俵祭りには通常、横綱白鵬ら三役以上の力士も出席するが、感染リスクを少しでも避けるために見送られた。
一般客への公開も控えた。
審判部の親方衆や行司らも参加し、一様に神妙な面持ちで儀式を見守った。
普段の場所と同様にNHKで中継され、力士の土俵入り、幕内取組への懸賞、幕内優勝力士への天皇賜杯授与などは通常通り。
総理大臣杯は調整中で、それ以外の外部表彰は協会が辞退した。
会場前ののぼりは立てず、優勝パレードもない。
また理事や副理事、普段は入場口でチケットを切る担当の親方衆らが館内で取組を見ることになった。
芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「力士の気持ちの引き締めになり、緊張感が出ると思う」と意図を説明した。
6日、相撲協会が発表した3月場所(8日初日、大阪)の初日、2日目の取組が、相撲ファン垂涎の好カードが目白押しとなったのだ。
初日の結びの一番は横綱白鵬(34)vs遠藤(29)。
先場所、白鵬は遠藤に立ち合いで張り手からのヒジ打ちのコンビネーションを仕掛けるも、そこは相撲巧者の遠藤。
左の張り手を食らった瞬間、白鵬の右側に回り込むことでエルボーを回避し、見事、金星を獲得した。
白鵬が逆襲するのか、返り討ちか。
手に汗握る対決になるだろう。
先場所Vの徳勝龍(33)は、千秋楽まで賜杯を争った正代(28)と初日に激突する。
さらに2日目の相手は近大の後輩、朝乃山(26)。
ここ2、3年、十両暮らしが多かった徳勝龍は、後輩の朝乃山と本場所で対戦することをモチベーションのひとつにしていた。
大関とりを狙う朝乃山にすれば、初日の隠岐の海、そして2日目に大学の先輩を下し、弾みをつけたいところだ。
2日目までの取組が本場所直前に発表されるのは通常通り。
上記の取組は番付を考えれば、いずれも序盤、あるいは前半で実現するであろうものばかり。
それでも、事前に明かされる中にこうも“詰め込む”のは何か狙いがあるのか。
ある親方は「ひとつはファンサービスや話題性でしょう」と言う。
「今場所、ファンはテレビ、ネット観戦が主になる。少しでも楽しんでもらおうという審判部の計らいだと思う。でも、一番重要なのは力士に発奮を促すこと。史上初の無観客開催に困惑している者は多く、『序盤は様子見で……』なんて考えている力士もいるだろう。そこで、当人たちが発奮せざるを得ない取組を序盤に組めば、そんなことも言ってられなくなりますからね」
興味深い取組はまだまだある。
初日の照強vs石浦は120キロと110キロの軽量級対決。
同じく初日の竜電vs阿炎は、去年の名古屋場所(7月)で同時に新小結に昇進したライバルだ。
昨年、阿炎がSNSへの不謹慎投稿で炎上した際は、本来出演するはずだったバラエティー番組に竜電が阿炎の代打で登場した。
無観客でも熱い戦いが繰り広げられそうだ。
日本相撲協会は春場所後に予定されていた春巡業は全日程を実施しないと発表した。
公式サイトで「新型コロナウイルス感染拡大防止ならびに2月26日の政府見解を受け、令和2年春巡業は延期・中止となりました。来場の皆さま、地域の皆さまの健康面と安全を第一に考慮し、判断させていただきました」と説明。
春日野巡業部長(元関脇・栃乃和歌)は「勧進元(主催者)の総意。
何年も前から(準備を)やっているのに…」と話した。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、初めて無観客で開催される大相撲春場所が8日、エディオンアリーナ大阪で初日を迎えた。
場所中は毎朝、場所への来場を勧める意味を込めてたたかれる「寄せ太鼓」もなく、8時40分の取組開始とともに、春場所が静かに幕を開けた。
春場所では例年、会場に「相撲茶屋」と呼ばれる相撲案内所のプレハブ小屋が設置される。
力士の名前が書かれた色とりどりののぼりも飾られ、大阪で年に1回開催される本場所の雰囲気を盛り上げる。
だが、今年は相撲案内所も、のぼりもない。
会場の正面入り口は閉鎖され、寂しさを感じさせた。
館内では審判委員の親方衆5人が土俵回りの定位置に着座して、取組が始まる。
序ノ口最初の取組は朝日山部屋の煌と湊部屋の艶郷が対戦。
勝負が付いた後に拍手も歓声もない中、異例の場所が始まった。
野球解説者の張本勲氏(79)が8日、TBS系の生番組「サンデーモーニング」に出演し、無観客でこの日から行われる大相撲春場所の中止を求めた。
張本氏は「なんでやるんでしょうね?今、国難、国の一大事ですよ」と、新型コロナウイルスの感染が拡大している現状での開催を疑問視。
さらに「ましてや相撲ね、お金のやり取り。絶対テレビ出さない方がいいですよ。それから宣伝、持って歩くじゃない、関係者が。あんなもんやったら大変なことになりますよ、この今の時期に。まだ自分の企業PRしたいのかと」と、土俵上での懸賞を控えるよう求めた。
また、「プロ野球もね、やめた方がいいですよ。延期した方が」と、プロ野球の開幕も延期を求めた。
選抜高校野球については「センバツは難しい。2〜3年必死で練習してね、ようやく手に入れたから、これは難しいけど」と、開催に理解を示していた。
大相撲初場所
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2020/03/07
新型コロナウイルスの感染拡大により、大相撲春場所は無観客で敢行される。
異例ずくめでの開催は、大関昇進を目指す関脇朝乃山(26)=本名石橋広暉、富山県出身、高砂部屋=にとっても試練となりそうだ。
春場所で12勝すれば昇進の目安とされる直近3場所での33勝に届く。
しかし、協会員に感染者が出れば、場所中でも中止。
高田川審判部副部長(元関脇安芸乃島)は、15日間を戦えなかった際も成績の取り扱いを終了後に検討する構えだ。
審判部の親方からはさまざまな意見が出ている。
中断した場所は「直近3場所」に含めるべきではないとの意見もあれば、新たな基準を設定し、5月の夏場所を含む4場所の結果で判断するという考えも。
ある親方は「前代未聞のことだから全員で知恵を絞らないといけない」。
条件は対戦相手と同じとはいえ、拍手も声援もない土俵で集中力を高めるのは簡単ではなさそう。
本来なら、近大時代を過ごした大阪のファンが心強い味方になるはずだった。
以前は無観客への不安も口にしていた朝乃山だが、「観客がいて声援もあると、頭の中で想像しながらやっていきたい。先のことは気にせず、しっかり自分の相撲を取り切ることが大事」。
初日を2日後に控えて肝を据えたようだ。
日本相撲協会は6日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で初の無観客開催となる大相撲春場所(8日初日・エディオンアリーナ大阪)の取組編成会議を同アリーナで開き、2日目までの取組を決めた。
最大の注目は関脇朝乃山の「大関とり」だ。
新小結だった昨年11月の九州場所は11勝、新関脇だった今年1月の初場所は10勝を挙げており、大関昇進の目安とされる「三役で直近3場所計33勝」には、今場所で12勝すれば届く。
大関が貴景勝1人ということを考慮すれば、これに満たなくても可能性がある。
初日は過去7勝1敗と相性が良い隠岐の海戦。
2日目は先場所優勝の徳勝龍戦という好取組が組まれた。
過去は1度対戦があり、敗れている。
朝乃山はこの日、大阪市中央区の高砂部屋で調整。
徳勝龍について「僕より体は大きいけれど横の動きがうまい。優勝して自信もついていると思う」と話し、「胸を借りるつもりで思い切りいきたい」と意気込んだ。
力士が1人でも新型コロナウイルスに感染すれば、その時点で場所を中止することになっており、その場合の成績がどう反映されるかは決まっていない。
「ここまで来たら中止になってほしくない。免疫を下げないように体調管理して15日間戦う」と朝乃山。声援のない異例の場所で悲願の大関昇進をつかみ取る。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱・大乃国)は5日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて無観客開催となる春場所(8日初日)で全力士の場所入りを原則、タクシーか自家用車にすることを明らかにした。
タクシー代は協会が負担する。
感染予防のため公共交通機関の利用を避けようと、当初は協会が送迎バスを準備する予定だった。
だが力士によって場所入りの時間が違うため、通常は公共交通機関限定で交通費が支給される幕下以下の力士のタクシー利用も例外的に認めることとした。
「大相撲春場所」(8日初日、エディオンアリーナ大阪)
日本相撲協会は6日、大阪市内で理事会を行い、副理事に若松親方(元幕内朝乃若)、藤島親方(元大関武双山)、高田川親方(元関脇安芸乃島)を選任すること決めた。
また、日本プロスポーツ協会(JPSA)からの脱退も理事会で決定した。
JPSAは内閣府から公益法人として組織ガバナンスについて是正を求める「勧告」、さらに次の段階の「命令」も受けた。
日本相撲協会はJPSAに設立当時から加盟。毎年成績優秀な力士らが表彰されてきたが公益法人として加盟し続けることは適切ではないと判断した。
JPSAからは、すでに日本野球機構(NPB)がすでに脱退している。
JPSAが制定する「日本プロスポーツ大賞」は過去にはプロ野球の長嶋茂雄氏や王貞治氏らが受賞し、スポーツ界でも権威ある賞とされる。
大相撲からは過去、横綱の大鵬、貴乃花、朝青龍、白鵬が大賞を受賞している。
日本相撲協会は春場所後に予定されていた春巡業は全日程を実施しないと発表した。
公式サイトで「新型コロナウイルス感染拡大防止ならびに2月26日の政府見解を受け、令和2年春巡業は延期・中止となりました。
来場の皆さま、地域の皆さまの健康面と安全を第一に考慮し、判断させていただきました」と説明。
春日野巡業部長(元関脇・栃乃和歌)は「勧進元(主催者)の総意。何年も前から(準備を)やっているのに…」と話した。
誰がターゲットになるのか。
当初、約1600本の懸賞が集まっていた8日初日の大相撲3月場所(大阪)。
1日の理事会で無観客開催が決定するや、懸賞を取り下げるスポンサーが続出し、現在は1000本程度に減ってしまった。
タニマチの嘆き
懸賞を出す企業の思惑はさまざまだが、あるタニマチ筋は「おおまかに2つに分かれる」と、こう続ける。
「1つは自社の宣伝と割り切っているもの。もう1つは純粋に力士を応援しているものです。前者はあくまで企業や商品名をアピールしたいので、『結びの一番指定』など注目度の高い取組に懸けることが多い。人気があって番付上位ならなおさら。今回なら貴景勝や、大関とりのかかる朝乃山あたりの取組が対象です」
後者は本当の意味でのタニマチだ。
「社長と仲がいい力士とか、企業にとって『おらが町の力士』とか……。
応援する力士へのご褒美として懸賞を出しているので、無観客だろうが何だろうが関係ない。
自社CMに出演する力士に懸賞を出すのも、どちらかといえばこっちのケース。
取り下げを申し出たスポンサーの大半は宣伝目的の企業でしょう」(前出のタニマチ筋)
の3月場所の懸賞は20000本
国技館開催の先場所も、ほぼ同数だった。
それが今回は半分だ。無観客で気合が入らないなら、懸賞目当てでモチベーションを高めるしかない。
さらに減る可能性も
そこで狙われるのが、常に懸賞が出される力士だ。
例えば遠藤は端正なルックスで人気が高く、長年、永谷園が懸賞を出していることで知られている。
勢も高須クリニックの高須院長に可愛がられており、幕内にいる限りは懸賞が途切れることはない。
企業が懸賞を出せる幕内力士の年収は、最低でも約1700万円。
懸賞は1本3万円なので、2本や3本では大した実入りにはならない。
それでも目の前にぶら下がるニンジンに発奮するのは、ヒトもウマも同様だ。
「人気と実力を兼ね備えた高見盛(現東関親方)は小結を2場所務めただけで、後はほとんど平幕だった。
番付が上がらなかった理由はさまざまだけど、『懸賞目当ての相手が目の色を変えてかかってきた』という事情もないわけではない」とは、ある親方。
そういえば、前出の高須院長もかつて週刊誌のインタビューで、「懸賞を出すと相手も頑張っちゃう。(勢が)負ける確率が高くなっちゃう」と嘆いていた。
懸賞は1000本からさらに減る可能性もある。
少ないパイをめぐって懸賞金争奪戦はいよいよ激化する。
新型コロナウイルスの感染防止のため大相撲春場所(8日初日、エディオンアリーナ大阪)を無観客開催する日本相撲協会は6日、力士が2日連続で37・5度以上の発熱があった場合、休場させることを決めた。
これまで1日でも37・5度の発熱があれば休場としていたが、感染症学の賀来満夫・東北大名誉教授の意見も受け決めた。
「1日だけの発熱では多数の休場者が出て開催の意味がなく一般人は4日連続(が標準)。
野球やサッカーも同様で賀来先生からも2日連続発熱(の基準)で十分と言われている」と協会関係者。蜂窩織炎やへんとう炎でも発熱するため1日だけの高熱での判断は避けた。ただ、だるさやせきが激しいなど容体によっては1日でも、また2日連続なら無条件で休場させる。1
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、大相撲春場所(3月8日初日、エディオンアリーナ大阪)は無観客での開催が決まった。
戦時中の昭和20年夏場所も一般公開せずに開催しているが、このときは傷病軍人が招待されていた。
完全に無観客で行われるのは初めてだ。横綱白鵬が「想像がつかない。(イメージが)わかない」と話すように、歓声が聞こえない前代未聞の本場所になる。
無観客での開催が決まったが、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は、力士が新型コロナウイルスに1人でも感染すれば、場所中でもその時点で中止にすると説明している。
そんな事態は何とか避けようと、同協会は今、感染者を出さない対策に躍起になっている。
一番は外部との接触を極力避けることだ。
力士の朝からの一日の流れを確認しながら、通常との相違点を見てみたい。
早朝から行われる朝稽古は通常、一般に公開する部屋が多い。
しかし、今場所は見学を断っている。
同協会では、つながりが強い後援者でさえも接触を控えるよう、各部屋に通達を出している。
会場のエディオンアリーナ大阪への交通手段も大きく変わる。
若い衆が場所入りするときは電車やバスなどの公共交通機関を使うのが一般的だが、今場所は自家用車かタクシーを利用するのが原則。
費用を負担する協会にとって大きな出費になるが、背に腹は変えられない状況だ。
さらに、力士ら協会員が会場にいったん入場すると、出たり入ったりすることはできない。
協会員の中には、午前に入場して夕方まで会場にいる人もいるが、その間の外出が禁じられている。
外部からウイルスを持ち込まないようにするためで、昼食をとる場合は持参する必要がある。
力士らが取組を終え、会場を離れた後も外部との接触機会はほぼない。
今場所は不要不急の外出や、人が大勢集まる場所への外出は控えるように通達が出ている。
関取の中には場所中でも夜の繁華街に繰り出す力士もいるが、今場所は部屋でおとなしくするしかない。
年に1度の大阪場所で、ファンとの触れ合いを楽しみにしていた力士にとっては非常につらいところ。
それでも場所が中止にならず、NHK中継を通じて全国のファンに相撲を届けられるのがせめてもの救いだ。
兵庫県出身で準ご当所の大関貴景勝は「テレビで見てくれる人に良い相撲を見せられれば」と話す。
お茶の間からの声援を想像しながら、精いっぱい土俵で熱戦を繰り広げてほしい。
大相撲初場所
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2020/03/06
春場所が観客を入れずに開催されることについて、横綱・白鵬は「テレビで力士が頑張っている姿を見せられればと思う」と話しました。
横綱・白鵬は2日、大阪・天王寺区で取材に応じ、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、今月の春場所が観客を入れずに開催されることについて「いろいろ経験しているが、こういう形で相撲を取るのは初めてだ。想像できないし浮かばない。正直そういう気持ちだ」と心境を話しました。
そのうえで、「テレビでは、今まで以上にぶつかる響き、音が聞こえるだろうし、改めて相撲がいいものだと知ってもらうきっかけになればよい。特に子どもたちに、力士が皆、頑張っている姿を見せられればなと思う」と一つ一つことばを選ぶように話していました。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、今月、大阪市で大相撲の春場所が観客を入れずに開催されることについて、横綱 鶴竜は「全く想像できないが決まった以上はやることをやるだけだ」と話しました。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて日本相撲協会は1日、大阪市で臨時の理事会を開いて、今月8日から大阪府立体育会館で始まる春場所を観客を入れずに開催することを決めました。
これを受けて2日午前、横綱・鶴竜が所属する陸奥部屋の宿舎がある大阪 堺市で報道陣の取材に応じました。
鶴竜は「全く想像できない。どういう心境で相撲を取っていいのかわからないが、決まった以上はやることをやるだけだ」と話しました。
感染予防については「常に消毒しているし、マスクを着用するなど対策をとっている。できることをやっていく」と話していました。
相撲協会は力士に対し、握手やサインといったファンヘの対応を極力行わないよう指示していて、鶴竜も宿舎を訪れたファンの求めに応じられない場面がありました。
鶴竜は「ファンとふれあえないのは残念だが、感染拡大を防ぐためにはしかたがない。本場所はテレビ中継があるのでテレビの前で応援してほしい」と呼びかけました。
そのうえで、「いつもどおり精いっぱい相撲をとりたい。稽古を充実させて臨みたい」と春場所に向けて意気込みを話しました。
春場所が観客を入れずに開催されることについて、大関・貴景勝は「年に1回の大阪での場所を生で見てもらえないのは残念だが、自分らしい相撲を一生懸命取りたい」と話しました。
貴景勝は2日、大阪 東大阪市で取材に応じ、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて今月の春場所が観客を入れずに開催されることについて、「決まったらやるしかないという気持ちだ。力士は会場の熱気や声援が力になる。どういう風になるのか想像はつかないが、それでもやっていかないといけない」と話しました。
兵庫県芦屋市出身の貴景勝は去年の春場所で10勝をあげ、場所後に大関に昇進しました。
節目の場所となった春場所に向けて貴景勝は「去年は地元関西の応援が大関昇進を目指す上で力になった。年に1回の大阪の場所を楽しみにしている人も多い。生で見てもらえないのは残念だが、テレビで応援してくれる方はたくさんいるので、自分らしい相撲を一生懸命取りたい。結局、戦う時はいつも1人だ。やることは変わらないので自分で打開するしかない」と力強く話しました。
そのうえで、健康管理については、「それは新型コロナウイルス以前の問題だ。手洗いやうがいを適当にして、体調を崩すのは自己管理の甘さだ。人にうつして迷惑をかけてはいけない」と話していました。
春場所が観客を入れずに開催されることを受けて、春場所で大関昇進がかかる関脇・朝乃山は、「理事会で決まったことだ。無観客の中で相撲を取るイメージは全くできない。チケットを買った人もたくさんいると思うので残念だが、テレビの前で応援してくれれば力士は精いっぱい頑張ると思う。15日間、挑む気持ちで、自信を持っていきたい。場所が始まって1人でも感染者が出たら中止になると思うので、夜の外出は控えめにして、帰ってきたら手洗いやうがいをしっかりしていきたい」と話していました。
観客を入れずに春場所を開催することを決めた日本相撲協会は、専門家の意見を取り入れながら力士の感染防止や感染の速やかな把握に向けてさまざまな対策を取る一方で、懸賞は、力士の士気をあげるためだとして通常どおりかけられるということです。
相撲協会ではまず、力士の体調管理が重要だとして2日から各部屋ですべての力士の体温を毎日測定します。
力士の平均体温を把握したうえで毎日体温を測定し、原則、37度5分以上の熱がある力士については、本場所に出場させない方針です。
力士の場所中の移動手段については、電車などの公共交通機関の代わりにバスや車などを手配する方針です。
さらに、取組前に力士が所作として行う力水については感染予防のために実際に口はつけずに行うということです。
また、春場所では観客は入れないものの、会場での力士と報道陣の動線については明確に分けるなどして、極力、力士との接触を避けるとしています。
千秋楽については、表彰式を簡略化するほか、優勝力士の大勢の関係者を支度部屋に招いての写真撮影やパレードを取りやめるということです。
一方で、場所中の土俵の進行については、土俵入りや場内アナウンス、それに物言いがついた際の審判の説明などは無観客でも行うほか、力士の士気をあげるためだとして、懸賞も通常どおりかけられるということです。
日本相撲協会によりますと、会場の大阪府立体育会館は、「満員札止め」の場合、7000人余りの観客が見込まれていて、前売りのチケットはすでに完売していました。
相撲協会の関係者によりますと入場料による収入は、15日間でおよそ10億円が見込まれていたということですが、そのほとんどが払い戻される見通しです。
チケットの払い戻しの方法について、相撲協会は決定次第発表し、ホームページなどで周知することにしています。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、日本相撲協会は臨時理事会で、今月、大阪市で予定されている大相撲の春場所について「社会全体で感染拡大を防いでいることなどを勘案した」などとして、観客を入れずに開催することを決めました。
相撲協会は、今後、力士などに感染者が出た場合は場所の途中でも中止にする方針です。
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、政府は大規模なイベントの主催者に、今月15日までの間、中止、延期、規模縮小などを行うよう要請し、各競技団体の大会の中止や延期の決定が相次いでいます。
日本相撲協会は1日午後から大阪市で臨時の理事会を開いて今月8日から大阪府立体育会館で始まる春場所について協議しました。
その結果、観客を入れずに開催することを決めました。
大相撲では昭和20年6月の夏場所を非公開で行い、軍人などが見学したケースがありますが、観客を入れずに本場所を開催するのは今回が初めてだということです。
理事会のあと記者会見した日本相撲協会の八角理事長は「政府の要請や社会全体で感染拡大を防いでいることを勘案し、このような判断になった。専門家の意見などを踏まえて、お客さんには迷惑をかけられないというのがいちばんの理由だ」などと説明しました。
そのうえで「無観客であっても力士の白熱した取組を約束する」と話しました。
また八角理事長は、今後、力士などに感染者が出た場合は、場所の途中でも中止にする方針を示しました。
春場所は前売りのチケットが8時間ほどで完売し、連日およそ7000人の観客が予定されていました。
相撲協会は今後、チケットの払い戻し方法を検討し、ホームページなどで周知するとしています。
大相撲春場所が観客を入れずに開催されることで、弁当やお土産を販売している相撲案内所、いわゆる「相撲茶屋」は会場での設営が取りやめられ、関係者は大きな痛手に落胆しています。
大阪に8軒ある「相撲茶屋」は、日本相撲協会からチケットの販売の委託を受けているほか、弁当や土産の販売も行っています。
しかし、新型コロナウイルスの影響で春場所が観客を入れずに開催されることになったため、大阪市にある会場の大阪府立体育会館では、「相撲茶屋」の設営が取りやめられました。
会場では2日昼ごろ、設営のために置かれていた木材や看板を作業員が運び出す様子が見られました。
大阪の「相撲茶屋」は、1年間の収入のほとんどが春場所の期間に集中しているということで、大きな痛手を受けることになります。
大阪大相撲案内所の組合長で、みずからも老舗の茶屋を経営する真喜代司さんは、会場を眺めながら「多くの案内所が準備も終わりつつあり、これから飾りつけをして開催を待つばかりという段階だったので大変さみしいですね」と話していました。
案内所は2日、相撲協会からチケットの払い戻しについての説明を受けたということですが、発注の終わった商品の損害などについては、これから協議を進めていくということです。
真さんは、「政府の要請が出た時点である程度、予測はしていたがそれが現実になって大変ショックを受けています。切符の売り上げも好調で大変期待をしていたので残念です。全く前例のない事態なので今後の対応も先が見えず、不安な気持ちでいっぱいです」と落胆した様子で話していました。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、無観客で開催する大相撲春場所(8日初日、エディオンアリーナ大阪)では力士が原則的に自家用車やタクシーで移動することに決まった。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)が5日、明らかにした。費用は相撲協会が負担する。
会場から離れた場所に宿舎を構えている相撲部屋もあり、従来は電車などの公共交通機関を使っての移動も多かったが、不特定多数の人との接触を避けるための措置だという。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は4日、新型コロナウイルスの感染拡大により初の無観客で開催する大相撲春場所(8日初日・エディオンアリーナ大阪)の幕内取組の懸賞について、当初申し込みの74社のうち、無観客実施の発表後に半数以上の39社から取りやめの連絡があったと明らかにした。
最終的な15日間の懸賞本数は千本前後になる見込み。昨年春場所は、地方場所最多を更新する1938本だった。大幅に減る見通しだが、芝田山広報部長は「こんな時でも懸賞をつけていただくのはありがたい。力士の励みになる」と話した。
同広報部長は感染予防のため、後援者との接触について必要に応じて予防策を講じるよう各部屋に通達したと説明した。
大相撲春場所(8日初日・エディオンアリーナ大阪)後に実施予定の春巡業が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で開催されないことが5日、関係者の話で分かった。
取りやめとなった巡業は来年以降の実施を目指す。日本相撲協会は春場所を史上初の無観客で開催することを決めている。
春巡業は29日の三重・伊勢神宮を皮切りに、関西や東海地方などを回って4月26日の千葉県成田市まで、26日間のスケジュールが組まれていた。
関係者によると、来年の日程調整で春巡業の予定とぶつかるなど開催スケジュールが合わない場合は、来夏以降の実施を視野に入れながら、各地の勧進元と相撲協会が協議を進めていくという。
巡業は本場所の合間に年4度実施されている。
大相撲初場所
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2020/03/05
無観客で開催される大相撲春場所(8日初日、エディオンアリーナ大阪)で、2場所ぶり44回目の優勝を狙う横綱白鵬(34=宮城野)が4日、大阪市東成区の時津風部屋で出稽古した。
連続優勝を狙った1月の初場所は「腰部挫傷、右踵部裂傷蜂窩織炎」のため4日目から休場。
その後は土俵に入っての稽古はしたものの、この日は「関取衆と稽古したのはケガしてからは初めてかな」と、約1カ月半ぶりに関取衆と相撲を取った。
平幕の小兵・照強(伊勢ケ浜)に連勝、十両の巨漢・逸ノ城(湊)に3勝1敗、関脇復帰の正代(時津風)に14連勝と合計20番で19勝。
逸ノ城にガップリ胸を合わされ一気に走られた以外は、四つに組み止めて、足の運びやまわしを取る位置を確認しながら、険しい表情の中にも楽しむように、相撲をジックリ取った。
「(土俵での)感触、感覚をですね」と確かめながら約30分間、第一人者の貫禄で土俵を独占した。
痛めた足については「右足は新しいケガで、体全体には、どこかしらに痛みはある。それはみんなそう。古傷も(治ったと思っても)突然(痛みが)来るもの。力を抜いたりしたときに古傷の痛みが来たり、まあ1つ1つという感じですかね」と説明した。
これまで話しているように、無観客開催の本場所は「どんなもんか想像がつかない。不思議な感じ」と、雲をつかむような話のようだ。
春場所4日目の11日に35歳の誕生日を迎える。
東日本大震災があった9年前のその日は八百長問題で春場所自体が中止、そして今回は戦後初の無観客開催と、深く心に刻まれることになる。
ただ、35歳という年齢には、数字から受けるアスリートとしての一般的なイメージとして「けっこう年を取ったと思う(思われる)だろうけど」と前置きしながら「全くないね」と精神的な若々しさを、あらためて強調。
一方で、ケガをしがちで慎重を期す意味でも「寒いから何とか頑張らんとね」とも付け加えた。
大関貴景勝(23=千賀ノ浦)が、無観客で行われる大相撲春場所(8日初日、エディオンアリーナ大阪)に向けて調子を上げてきた。
4日は東大阪市の部屋で東前頭9枚目の隆の勝(25)、十両の貴源治(22)と10番で8勝2敗。
「だいぶ疲れている中でパフォーマンスとしては悪くない」と順調を強調した。
無観客で行われる場所に関しては「こればかりは場所で慣れていくしかない。どんな感じか分からない」と戸惑いを隠せない。
ただ、大関としての地位をしっかりとらえ「優勝しないといけない(立場)んで、序盤からも後半からもない。しっかり相撲をとっていきたい」と力をこめた。
大会開催の決断を先送りしたことは、主催する高野連や毎日新聞社などの間で「開催派」と「中止派」の意見がまとまっていないことが原因だと思われる。
プロ野球のオープン戦と大相撲春場所が無観客開催となり、Jリーグと女子ゴルフは一部の試合を中止した。
興行の面が強いプロスポーツでさえ、通常開催を断念している。
学生によるアマチュアスポーツの高校野球が、例年と同じ形で開催することはありえない。
高野連の立場からすれば、無観客での開催は避けたいところだろう。
文部科学省が全国の小中学校や高校などに臨時休校の措置を要請したことや、大幅な収入減になることが理由だ。
監督官庁からの要請を無視して課外活動の全国大会を開催することは難しいし、世間の賛同も得にくい。
また、大会運営費の大半を入場料収入でまかなっている現状では、無観客での開催は赤字収支になることが避けられない。
一方で、せっかく代表に選ばれた32校の選手の心情を考えると、中止の判断はしのびないとの意見もある。
3月下旬に予定されていた他の高校スポーツの選抜大会が軒並み中止になっているが、高校野球は全国高校体育連盟(高体連)に属していない。
異なる判断が出ても、特別扱いとの批判は的外れだ。
「開催派」と「中止派」が見いだした妥協点が、この日の結論先送り。
それでも、1週間後には最終結論を出さなければならない。
主催者は苦渋の決断を迫られ、32校の選手は落ち着かない日々を過ごすしかない。
史上初の無観客開催となった大相撲春場所(8日初日=エディオンアリーナ大阪)で、気になるのが懸賞金の行方だ。
昨年の春場所前には2073本の申し込みがあり、東京場所と変わらない本数が懸かった。
今場所も懸賞旗は通常通り土俵を回るが、無観客で来場者の目にも触れないのでは、宣伝効果はゼロに等しいと思われる。
ところが、連日多くの懸賞を懸けることでおなじみの永谷園は「従来通り、今場所も懸けます」ときっぱり。
大関貴景勝と関脇朝乃山に連日懸けている、ウェルシア薬局も「ただ単に宣伝で懸賞を出しているわけではありません。大相撲を応援するという気持ちです」とブレない。
都内のある企業も懸賞を出し続けるとした上で、「NHKが中継をしなければ取り下げたでしょうが…」と意外な事情を明かす。
今場所もNHKはテレビ中継するが、公共放送で特定企業の宣伝は御法度だ。
懸賞旗が登場すると、遠くから土俵を映すか、力士のアップにカメラを切り替え。
対戦力士名や過去1年の対戦成績を表示するなど、懸賞旗が映らないよう工夫してきた。
場内に流れるスポンサー名のアナウンスにも消音で対処している。
ところが、この企業は「知り合いから『映ってたよ』と言われることも多い。広告、宣伝効果は意外にあります」。
今場所もNHKの“ポロリ”に熱い期待を寄せる。
こんなときだからこそ逆転の発想も。
最も懸賞が多い、結びの一番に懸けている企業は「懸賞旗が少なくなれば、目立つかもしれませんね」とニンマリ。
テレビで見るしかないだけに、視聴率が上がる可能性もある。
懸賞は昨年秋場所から8000円増の7万円となり、3万円が力士の取り分、3万円が納税充当金、1万円が協会の事務経費。初場所は315本の貴景勝がトップで、1890万円(手取りは945万円)を得た。
今場所で多くの企業が取り下げ、力士の副収入が激減という事態は避けられそう。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、無観客で開催する大相撲春場所(8日初日、エディオンアリーナ大阪)の懸賞が、昨年比で半減することが確実となった。
4日、日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)が明かした。
昨年の春場所は78社から計2073本の申し込みがあったが、今年は3日現在で35社から約1000本。
申し込みはこの日が締め切りで、協賛社は懸賞旗の製作など準備が必要なため、駆け込みでの急増は見込めない。
今年も一時は74社から申し込みがあったが、無観客開催が決まり、39社が撤退した。
残った35社のうち、33社は「検討中」だが、その内訳は懸賞そのものからの撤退を検討中なのか、どの力士や取組に懸けるのかを検討中なのかは明かされていない。
6日にも総本数などが発表される見込みだが、さらに減る可能性もある。
一方で永谷園など変わらず支援すると決めた企業もあり、芝田山部長は「こんな時でも懸賞を出してくれるのは、力士にとってありがたい」と感謝した。
懸賞の激減に続き、本場所の開催を告げる触れ太鼓、会場前ののぼりの取りやめも発表した。
芝田山部長は「ファンの入り待ち、出待ちもお断りすることになると思う。人を招くようなものは中止せざるを得ない」と苦い表情で話した。
連日報道されている通り、8日から始まる大相撲春場所は、コロナウイルスの影響により無観客での開催が決定している。
訪れるのを楽しみにしていた大阪のファンにとっては非常に残念ではあるが、テレビやネットを通してぜひ多くの人に応援していただきたい。
そこで、個人的に注目したい、無観客での大相撲の見どころを、妄想を膨らませながら紹介していこうと思う。
注目ポイントその1:音
まず、誰もが注目するであろうポイントは、ずばり音ではないだろうか。
野球の無観客試合においても、ボールがミットに収まる音やバットに当たる音などが、より鮮明に聞こえていた。
観客の声援がない分、仕切りの最中にまわしを叩く音、立ち合いでぶつかる「ゴンッ」「ガツッ」という激しい音、取組が長くなってきたときの力士たちの息遣いなど、吊り屋根裏のマイクがさまざまな音を拾って届けてくれるような気がする。
そうなると、もしかするとラジオも面白いかもしれない。
アナウンサーの心地よい声に乗せて、現場での臨場感がダイレクトに伝わってくるのではないだろうか。
今場所は一度、あえてラジオをつけてみようかな。
注目ポイントその2:力士の表情
もう一つは、異様な空気感のなか取組に臨まねばならぬ力士たちの表情。
彼らにとって、声援のないしんとした会場で相撲を取ることは、精神的に大きな負担としてのしかかるに違いない。
緊張で普段よりも顔が強張ったり、不安げな色を浮かべたりする者もいるかもしれない。
それを思うと大変気の毒だが、いかにその状況下で集中し、力を出し切るか。
特に上位陣においては、トップアスリートならではのプロ意識と、その表情にも注目したい。
注目ポイントその3:所作などの変化
最後のポイントは、所作。
感染を避けるために、ひしゃくに口をつけずに形だけ行う”エア力水”がニュースで話題になったが、いつもの癖で間違えてつけてしまったなど、序盤はそんなミスもあるかもしれない。
そのほかにも、普段と状況が異なることによって、力士たちの所作にも違いが出るのかどうか、着目しておきたい。
例えば、仕切り。
静かななかでむしろ集中力が高まり、お互いの息が合った場合、もしかしたら時間いっぱいを待たずして立ち合う、なんていう場面も出てくるかもしれない。
昔はたまに時間前に立つこともあったが、近年ではほとんど見られなくなった。
いつもと違う環境下だからこそ、そんな稀なことも起こるのではないかと、密かに期待しながら見守りたいと思う。
そのほかにも、テレビの解説者やアナウンサーがどんなことを話すのか、静かな土俵入りはどんな雰囲気になるのか、勝利者インタビューは実施するのかなどなど、思いを巡らせ始めるときりがないが、せっかく場所が開催されるのだ。
状況を悲観するのではなく、いつもと違う雰囲気すらも全部ひっくるめて、この異例の本場所を見守ろうではないか。
マイナス要素を逆手にとって、相撲人気がさらに高まりますように!
大相撲初場所
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2020/03/04
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、日本相撲協会が春場所(8日初日、エディオンアリーナ大阪)を初の完全無観客で開催することを決めて一夜明けた2日、横綱白鵬(34)、鶴竜(34)がともに率直な心境を吐露した。
協会はこの日、部屋持ち親方による師匠会を開き、事情説明や感染防止の手引きなどを配布。
新たな対応策も明らかになった。
44度目の優勝を目指す第一人者も戸惑いを隠せない。
白鵬は大阪市の宮城野部屋で「こういう形で相撲を取るのは初めてだし、想像できない」と神妙な表情を浮かべた。
春場所はNHKのテレビ、ラジオ中継を通常どおり行い、賜杯も授与される。
だが、開催期間中に力士の感染が判明した場合は中止となる先の見えない土俵が続く。
白鵬は相撲界の逆境に立ちはだかってきた。
平成22年名古屋場所、野球賭博問題で協会が天皇賜杯の表彰を辞退。
その中で史上初の3場所連続全勝優勝の偉業を達成し、賜杯のない優勝に涙を流した。
同23年5月は八百長問題の影響で、技量審査場所として異例の無料公開で開催。
白鵬はこの場所も制して7場所連続の優勝。このときも賜杯の授与はなかった。
「改めて相撲はいいものだなと思って(テレビで)初めて見る人もいるだろう。力士みんな頑張っているのを見せられれば」と誓った。
3場所連続休場からの復活を目指す鶴竜も、堺市の陸奥部屋で「初めての経験。全く想像できない。テレビの前で応援してくれていると思ってやる」と語った。
協会は師匠会で、不要不急の外出を控えることなどを要請。
場所中に体調不良を訴えた力士には、協会独自の診断書を準備する新たな方針も明かした。
場所中の各部屋での検温で37.5度以上あった力士は休場とする方針を前日1日に表明。
十両以上の関取が休場する場合は協会に休場届と医師の診断書提出が義務付けられているが、急な高熱で医師の診断書が間に合わない場合などに備える。
鏡山危機管理部長(元関脇多賀竜)へ報告し、協会作成の“臨時”診断書があれば休場を認めていくという。
大相撲春場所(8日初日・エディオンアリーナ大阪)に、38年ぶりの1大関として臨む貴景勝は3日、大阪府東大阪市の千賀ノ浦部屋での稽古で順調な調整ぶりを見せた。
新型コロナウイルスの感染拡大で史上初の無観客開催となった本場所へ「やるべきことは変わらない」と泰然と語った。
じっくりと体をほぐした後で同部屋の平幕隆の勝と計10番、相撲を取り、7勝3敗と力を示した。
左のおっつけを効かせて攻める場面もあり「いろんなことを想定しながらやっていかないと」と充実した様子だった。
今場所は普段と異なり、ファンの声援がないが「いい相撲を見せられるようにしたい」と闘志を込めた。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で史上初の無観客開催となった大相撲春場所(8日初日・エディオンアリーナ大阪)で、大関取りを狙う関脇・朝乃山(26)=高砂=は3日、時津風部屋で出稽古を行った。
関取衆との申し合い稽古では、東前頭7枚目・宝富士(33)、東十両3枚目・照ノ富士(28)=ともに伊勢ケ浜=、西関脇・正代(28)=時津風=を相手に立ち合いから圧力で押し込むなど、5連勝。
計12番を取り、9勝3敗で終えると、「体は動いているので大丈夫です」と順調をアピールした。
大関昇進の目安となる「三役で直近3場所33勝」には、今場所12勝以上が必要となる。
無観客開催により、土俵上で後押しする声援がない前代未聞の状況で挑む大関取り。
通常の本場所では人気力士として大歓声を受ける朝乃山は、「(無観客は)想像できない。応援してくれる人が目の前にいない」。
それでも、「自分の相撲を集中してやっていくだけ。初日から15日間集中して自分の相撲を取りたい。同世代、同年代が上位で戦っているので、若い人で盛り上げたい」。
極めて異例な春場所へ、準備を進める。
三役への返り咲きを目指す大栄翔は、「お客さんの声援は、ありがたいと思いながらもあるのが当たり前だと思っていたので、無観客開催となると寂しいし、逆に緊張しそうだなと思っています。
でも、気持ちのもっていき方はいつもと変わらず、テレビやネットで見ている人がたくさんいると思うので、いい相撲を取りたいです」と、ファンへの思いも語ってくれた。
初日を前に、炎鵬は「初めての経験なので、イメージが湧かないですね」と戸惑いを見せる。
一方で、「今は、手洗いうがいをしっかり徹底して、マスクもして体調管理しています。
土俵に上がる以上、やることはいつもと変わらないので、しっかりやるだけ。
戸惑いはあるけれど、(土俵に)上がってみないとわかりません。
しっかり気持ちをつくらないとケガにもつながるので、気を引き締めていきたいです」と力強く話した。
新型コロナウイルスの影響により、3月8日に初日を迎える大相撲春場所は、無観客での開催が決定した。
もし、場所中に1人でも感染者が出た場合は、その時点で中止。
この異例の決断の背景には、やはり「お客さんに迷惑をかけられない」というのが、最大の理由として挙げられた。
力士たちは毎朝体温を測り、37.5度以上であれば休場。
さらに、力水では実際に口をつけず、形だけ行うことになるという。
また、公共交通機関の利用を避け、専用のバスを使って移動することも検討されているそうだ。
場所中、会場に入れるのは、力士や親方などの協会員と報道陣のみ。
しかも、取材は2階席からに限り、土俵下での撮影や支度部屋での取材は禁止などと、報道陣には接触を避けるためのさまざまな規制がかけられる。
もちろん、前例のない対応になるため、協会は現在も多くの課題を抱えている。
完売している前売り券の払い戻し方法や、すでに発注しているであろう飲食物や土産物への対応など、挙げ始めるときりがないほど、決めなければならないことが山積しているはずである。
15日間の前売り券の代金は10億円にものぼると報道にあるが、それはあくまで席料のみの金額。
飲食代や土産代も考えれば、損失はさらに大きくなる。
協会やお茶屋といった関係者の苦労を思うと、頭が下がるばかりだ。
世論と伝統・興行の間で揺れる日本相撲協会だったが、お客さんの人命や力士たちの土俵への思いなど、すべてを考慮した上で、無観客での開催となった。
解決すべき課題は多くあるけれども、現段階で協会員の感染者がおらず、無観客とはいえ春場所が開催されることは、土俵へ臨む力士と取組を心待ちにしているファンにとっては、喜ばしいことなのではないか。
もちろん、力士たちは声援がないことに困惑しており、もろ手を挙げて「楽しみだ」とは言いにくい状況ではあるが、力強い四股で邪気を払い、華々しい取組で日本を沸かせてほしい。
お茶漬けなどで知られる永谷園が、無観客開催となる春場所でも通常通り懸賞を出すことが3日、分かった。
同社の担当者によると、無観客開催が発表された翌日の2日に会議を開き、春場所での懸賞買い付けの是非について話し合ったという。
土俵上で呼び出しが懸賞旗を掲げても観客はいないが、同社担当者は「20年以上関わっている大相撲なので、これまで通り接していければ」と説明した。
日本相撲協会は春場所の無観客開催を発表した1日、懸賞について、キャンセルを申し出る企業や団体には払い戻しに応じることを公表していた。
大相撲初場所
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2020/03/03
春場所が観客を入れずに開催されることについて、横綱・白鵬は「テレビで力士が頑張っている姿を見せられればと思う」と話しました。
横綱・白鵬は2日、大阪天王寺区で取材に応じ、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、今月の春場所が観客を入れずに開催されることについて「いろいろ経験しているが、こういう形で相撲を取るのは初めてだ。想像できないし浮かばない。正直そういう気持ちだ」と心境を話しました。
そのうえで、「テレビでは、今まで以上にぶつかる響き、音が聞こえるだろうし、改めて相撲がいいものだと知ってもらうきっかけになればよい。特に子どもたちに、力士が皆、頑張っている姿を見せられればなと思う」と一つ一つことばを選ぶように話していました。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、今月、大阪市で大相撲の春場所が観客を入れずに開催されることについて、横綱・鶴竜は「全く想像できないが決まった以上はやることをやるだけだ」と話しました。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて日本相撲協会は1日、大阪市で臨時の理事会を開いて、今月8日から大阪府立体育会館で始まる春場所を観客を入れずに開催することを決めました。
これを受けて2日午前、横綱・鶴竜が所属する陸奥部屋の宿舎がある大阪堺市で報道陣の取材に応じました。
鶴竜は「全く想像できない。どういう心境で相撲を取っていいのかわからないが、決まった以上はやることをやるだけだ」と話しました。
感染予防については「常に消毒しているし、マスクを着用するなど対策をとっている。できることをやっていく」と話していました。
相撲協会は力士に対し、握手やサインといったファンヘの対応を極力行わないよう指示していて、鶴竜も宿舎を訪れたファンの求めに応じられない場面がありました。
鶴竜は「ファンとふれあえないのは残念だが、感染拡大を防ぐためにはしかたがない。本場所はテレビ中継があるのでテレビの前で応援してほしい」と呼びかけました。
そのうえで、「いつもどおり精いっぱい相撲をとりたい。稽古を充実させて臨みたい」と春場所に向けて意気込みを話しました。
春場所が観客を入れずに開催されることについて、大関・貴景勝は「年に1回の大阪での場所を生で見てもらえないのは残念だが、自分らしい相撲を一生懸命取りたい」と話しました。
貴景勝は2日、大阪 東大阪市で取材に応じ、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて今月の春場所が観客を入れずに開催されることについて、「決まったらやるしかないという気持ちだ。力士は会場の熱気や声援が力になる。どういう風になるのか想像はつかないが、それでもやっていかないといけない」と話しました。
兵庫県芦屋市出身の貴景勝は去年の春場所で10勝をあげ、場所後に大関に昇進しました。
節目の場所となった春場所に向けて貴景勝は「去年は地元関西の応援が大関昇進を目指す上で力になった。年に1回の大阪の場所を楽しみにしている人も多い。生で見てもらえないのは残念だが、テレビで応援してくれる方はたくさんいるので、自分らしい相撲を一生懸命取りたい。結局、戦う時はいつも1人だ。やることは変わらないので自分で打開するしかない」と力強く話しました。
そのうえで、健康管理については、「それは新型コロナウイルス以前の問題だ。手洗いやうがいを適当にして、体調を崩すのは自己管理の甘さだ。人にうつして迷惑をかけてはいけない」と話していました。
新型コロナウイルスの感染拡大で、大相撲春場所(8日初日・エディオンアリーナ大阪)の史上初となる無観客開催が決まってから一夜明けた2日、力士たちは通常通りに稽古に励んだ。
大関昇進が懸かる関脇朝乃山は大阪市東成区の時津風部屋に出稽古し、引き締まった表情で汗を流した。
電話で取材に対応し、「決まったからにはやるしかない。力士はみんな同じ気持ちだと思う。テレビで見てくださる方がいる」と集中力を高めた。
横綱鶴竜は朝稽古後に堺市東区の陸奥部屋で取材に応じ、「序ノ口でもお客さまはいる。初めての経験で全く想像できない」と観客がいない本場所に戸惑いを口にした。
自身は3場所連続休場からの復活を目指し、「どういう心境で取っていいか分からないが、テレビの前で(ファンが)応援してくれていると思ってやるしかない。いつも通り、精いっぱい、いい相撲を取りたい」と気持ちを切り替えた。
横綱白鵬は大阪市天王寺区の宮城野部屋で非公開で稽古を行った模様だ。
日本相撲協会が新型コロナウイルスの感染拡大を受け、大相撲春場所の無観客開催を決めた1日、臨時理事会が開かれたエディオンアリーナ大阪(大阪市浪速区)周辺では、ファンから「残念」「延期でもいいから、観客を入れて開催してほしかった」と落胆の声が上がった。
アリーナには大勢の報道陣が押し掛けたが、理事会終了後に裏口から姿を見せた理事らは取材には応じず、待機していた車に乗り込んだ。
報道陣と一緒に約2時間待っていた同市阿倍野区の男性(70)は「テレビで見てもしょうがない。野球もだめ、相撲もだめ。おもろいもん何にもないわ」と頭を横に振った。
夫婦で30年以上春場所に通っているという同市東成区の60代主婦は「年に1回の楽しみだったのに。感染が収まるまで延期してほしかった」と声を落とした。
一方、新潟市北区出身の豊山関を幕下時代から応援する、地元の豊栄下町商店街振興会、小日向克司会長(70)は「こればっかりはしょうがない。開催するだけ良かったと思う」と話す。
先場所11勝を挙げた豊山関が、好調を維持して無観客の場所に臨めるか気をもむが、「番付上位を目指すためには春場所が大事。ぜひ頑張ってほしい。テレビで応援して、5月場所は行こうと思っている」と話した。
大相撲春場所(8日〜22日=エディオンアリーナ大阪)は、やはり中止ではなく無観客で強行され、NHKで中継されることが決定した。
新型コロナウイルス感染拡大を受け、日本相撲協会は1日、大阪で臨時理事会を開催。
八角理事長(元横綱北勝海)は「いろいろな意見があったが、ファンのためにぜひ開催したいという思いだった」と説明し、力士に感染者が出た場合は、その時点で中止する意向を示した。
力士数は650人で、親方、行司などを含めると、協会員は約900人。
幕下以下は大部屋で生活する。
体調管理を徹底させ、移動には公共交通機関をなるべく使わず接触を避け、感染リスクの減少を図るが、綱渡りの15日間となる。
春場所は昨年まで4年連続で満員札止めを記録。
今年は無観客開催で10億円超の入場料収入が消えた。
せめて1場所約5億円のNHK放送権料だけは確保したいという思惑で、強行に踏み切った感は否めない。
大相撲は2011年に八百長問題で春場所、巡業を中止、5月は無料の技量審査場所とし、2場所と巡業の入場料収入とNHKの放送権料(約10億円)が消滅。
相撲案内所や巡業勧進元(主催者)への中止による損失補てんなど3億7000万円が発生し、年間約49億円の大赤字となった。
当時は“冬の時代”で、春場所でも満員御礼になるのは数日。
5日だけだった春巡業も、今年は26日もあり、これらが中止となれば、当時とは比較できない収入減となる。
さらに懸念されるのは春場所後の余波だ。
東京場所の観客は、スカイツリー、浅草などを巡る外国人やツアー客が多いが、5月の夏場所で団体予約のキャンセルが相次いでいるという。
「われわれは人気商売。これからの方が大変かもしれない」と協会幹部は不安を募らせた。
もちろん春場所が途中で中止となれば、強行した協会執行部の責任は避けられない。
日本相撲協会は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、8日に大阪市で初日を迎える大相撲春場所を無観客で開催することを決めた。
賢明な判断である。
中止とならなくてよかった。
観客への影響を考慮したもので、安倍晋三首相はスポーツイベントなどの中止や縮小を要請していた。
NHKの中継は、通常通りに行われる。
政府は国民に、不要不急の外出も控えるよう求めている。
特に高齢者は、感染後に重症化する確率が高いことが指摘されている。
人混みを避けて自宅で静かにしていることが望ましいが、人には娯楽が必要である。
大相撲中継は、とりわけ高齢者に人気が高い。
日本相撲協会の八角理事長は「相撲ファンの皆さまにはテレビの前で相撲観戦をお楽しみいただけたら幸い。無観客ではあるが、力士の白熱した取組を約束する」と述べた。
力士にとって、何より力をもらえるのは観客の声援だという。
春場所はこれがなくなるが、一層の奮起でテレビ桟敷を沸かせてほしい。
国難に際しての、それが「国技」の役割である。
先場所、幕尻で優勝を飾った徳勝龍は「お客さんはテレビで見てくださっている。気の抜けたようなことはしたくない。お客さんが会場に入れない分、より頑張らないといけない」と話した。
同じ決意を、全ての力士が土俵上の相撲でみせてほしい。
場所中、力士は公共交通機関は使わず、毎日体温測定を行い、37.5度以上の場合は休場する。
ひしゃくで水を口に含んで清める力水は、形だけ行う。
力士に感染者が出た場合はその時点で場所を中止する。
細心の注意で千秋楽までファンを楽しませてほしい。
1日の東京マラソンでは、東京五輪代表の最後の1枠を争い、日本記録で駆け抜けた大迫傑の力走が、大いに楽しませてくれた。
スポーツの生中継は、やはり茶の間の娯楽に最適である。
平成23年の東日本大震災時、大相撲は八百長問題を受けて春場所を中止し、夏場所も技量審査場所として開催してNHKの中継はなかった。
被災と自粛ムードの中で国民を楽しませる役目を全うすることができなかった。
汚名をそそぐ機会でもある。
日本に相撲があってよかったと思えるよう、熱戦の連続を期待する。
大相撲春場所」(8日初日、エディオンアリーナ大阪)
日本相撲協会は1日、大阪市内で臨時理事会を開き、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で春場所を無観客で開催することを決定した。
1945年6月の夏場所は一般客に非公開で行われたが、完全な無観客は史上初。
開催中止も視野に2時間半、議論を重ね、力士1人でも感染者が出た場合はその時点で中止と決めて開催を選択した。
協会員には体温検査を義務付け、移動には送迎バス、取組前の水つけは形だけにするなど感染予防に細心の注意を払う。
約10億円の前売りチケット払い戻しなど、前例のない事態に問題は山積みで混乱は必至だ。
力士の感染リスクがあっても中止の選択は踏み切れなかった。
感染症学専門の大学教授も理事会に招き2時間半の議論で中止主張派を説得し、無観客開催で理事は一致。
八角理事長(元横綱北勝海)は「3月場所を楽しみにする全国のファンのため」と決断した最大の理由を説明した。
NHKでの相撲中継は通常通り。
「テレビの前で観戦してくれれば幸いです。力士の白熱した取組を約束します」と力を込めた。
会場に入るのは力士、親方、行司ら協会員と報道陣のみで史上初の完全無観客。
声援はなく土俵は静まりかえる。
「気持ちの高め方は難しいが、いかに高めるかが大切。ぜひやってもらいたい」と理事長は力士に訴えた。
理事会では力士に1人でも感染者が出れば途中中止と決定。
感染予防も徹底的に話し合われた。
協会員は毎日、体温検査し37.5度以上なら感染いかんに関わらず休場。
不要な外出はもちろん厳禁。
公共交通機関の使用はせず、各部屋への送迎バスを手配する方針。
力水は実際に口をつけず、形だけ行うことにする。
報道陣も入退場時に体温チェックを義務付け。
通常は取組後、力士がまげを直す間に行う取材も今回は支度部屋への立ち入りを禁止。
導線を作り、ミックスゾーンでの取材対応と、力士との接触を極力制限する。
懸賞は通常通りながら無観客では取りやめ続出の可能性もある。
表彰式は賜杯授与はあるものの優勝パレードはなし。
後援会、関係者らそろっての優勝記念撮影は行わない。
問題も山積みだ。親方衆はどこで見るか、職務はどうなるかなど協会は初日まで1週間、急ピッチで準備する。
途中中止となれば、そこまでの成績の扱いも未定。
場所後の春巡業は延期を検討する。
15日間の前売り券は完売しており約10億円の返金は途方もない作業。
大阪場所担当の高島部長(元関脇高望山)は「時間がかかる」と険しい表情だった。
大相撲初場所
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2020/03/02
春場所で大関昇進を目指す関脇朝乃山は1日夕、無観客での開催が決まったことを受けて大阪市中央区の高砂部屋宿舎で取材に応じ、「初日に向けて体をつくって、15日間挑む気持ちを持っていきたい」と意気込みを語った。
朝乃山は外出先から宿舎に戻る際、感染防止のため距離を取って立つ記者らの問い掛けに応じた。
無観客開催には「理事会で決まったことなので」と理解を示し「チケットを買った人もたくさんいると思うし、それは残念だが、しっかりテレビの前で応援してもらえれば。自分だけでなく力士は精いっぱい頑張ると思うので」とファンに呼び掛けた。
感染が拡大する中での場所に「協会で一人でも(感染者が)出たら中止になると思うので、夜は外出を控えめにして、手洗い、うがいをしっかりしたい」と予防にも気を配っていた。
日本相撲協会は1日、大阪市内で臨時理事会を開き、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、大相撲春場所(8日初日、大阪府立体育会館)を無観客で開催することを正式に決めた。NHKの大相撲中継は通常通り行われる予定。すでに完売している前売り券の払い戻し方法については決まり次第、協会のホームページなどで告知する。
2時間半以上におよんだ話し合いの最終結論は「無観客開催」だった。
八角理事長(56)は通常開催を断念した理由を「お客さまに迷惑はかけられない」と説明。
中止ではなく無観客にしたことについては「そういう選択肢(中止)もあったんですけれども、やっぱり3月場所を楽しみにしてくれるファンのためにぜひ開催したい。無観客ではありますけれども、全国のファンのために開催することに決めました」と話した。
いずれにせよ、完全な無観客での開催は大相撲史上初となる。
土俵入りや懸賞などは通常通り実施。
本場所中は力士は公共交通機関を利用せず、バスや車を手配して場所入りする。
幕内優勝力士には天皇賜杯と優勝旗が授与される一方で、それ以外の賞は未定。
報道陣は支度部屋の中で取材できず、別にミックスゾーンが設けられる。
力士に感染者が出た場合には、場所を途中で打ち切る方針。
行司や呼出など力士以外の協会員については「ケースバイケース」としている。
場所を途中で打ち切った場合の成績の扱いや番付編成については「検討中」とした。
八角理事長は「まだいろんなことが決まっていない。この1週間で考えたい」と話したが…。
本場所中の混乱も予想される。
8:25頃〜 前相撲
新弟子が取る相撲を前相撲といい、三日目(大阪場所は二日目)より行われる
8:35頃〜 序ノ口〜幕下取組
序ノ口、序二段、三段目、幕下力士の取組み
※十三日目以降は、10時頃から取組が始る
12:50頃〜 新序出世披露
成績優秀者から順に出世し「新序出世披露」で翌場所序ノ口の資格を得た力士披露
※新序出世披露は中日に行う(大阪場所は五日目、九日目)
14:15頃〜 十両土俵入り
化粧廻し姿の十両力士が取り組みを行う
化粧廻しを締め大銀杏を結い、関取と呼ばれ相撲界で一人前と見なされる
14:35頃〜 十両取組
体つき、ぶつかり合う時の音、迫力が違う
15:40頃〜 幕内土俵入り
力士が色鮮やかな化粧廻しを締め土俵を一周
土俵入りは奇数日は東方から、偶数日は西方から土俵にあがる
15:55頃〜 横綱土俵入り
横綱が右に太刀持ち、左に露払いを従え土俵入り
16:10頃〜 幕内取組
人気力士、強豪力士が、熱戦を展開
17時過ぎには小結、関脇、大関が登場
17:15頃〜 三役揃い踏み※千秋楽のみ
千秋楽では、結び三番を残して「三役揃い踏み」が行われる
東西各三人の力士が土俵に上がり、扇の形で正面を向き三人そろって四股を踏む
17:55頃〜 弓取式
結びの一番終了後、弓取りの力士が弓を華麗に振る儀式
※時刻については目安で多少の前後あり
大相撲本場所の一般非公開は、戦中の1945年6月に行われた夏場所以来75年ぶりで、史上2度目となる。
日本相撲協会関係者によると、この場所は傷痍(しょうい)軍人らが招待された。
今回は維持員などが観戦することもできないため、完全に無観客となる。
本場所を中止した例は、戦火にさらされた国技館の改修工事が遅れた影響を受けた46年夏場所と、八百長問題が発覚した直後の2011年春場所がある。
大相撲初場所
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2020/02/28
3月場所GET掲載の商品No9:電子体温計/ピアレグノが、メーカーの都合によりご注文を受けることが出来なくなりました。 ご迷惑をお掛け致しますが、変更がある場合は、3月13日までに道場又は当社までご連絡をお願い致します。
大相撲初場所
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2020/02/28
大相撲の横綱・白鵬(34)=宮城野=が27日、奈良・葛城市の相撲館「けはや座」で行われた開館30周年記念に伴う土俵地鎮祭に参加。
同館が30周年記念を迎え改修した土俵で、四股を踏んだ。
横綱土俵入りではなかったものの「相撲の基本は四股、すり足、テッポウ。テッポウはできなかったけど、そのうちの2つを皆さんに見せて(土俵の)邪気を払った」と、約200人の前で日頃の稽古の様子を披露した。
終了後には外で多くのファンが待っていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、現在現役力士らは直接の交流を制限されている。
サインを待つファンに白鵬は、関係者を間に通して間接的に受け渡す形で対応。
春場所(3月8日初日・エディオンアリーナ大阪)は通常通りの開催が困難となっている中、「(普段通りのことを)やっていくしかないね」と強調した。
日本相撲協会にはこの日までに、スポーツ庁から場所の規模縮小などの要請が届いている。
無観客の場所となる可能性も高まる中、白鵬は「まだ何も聞いてないので。聞いてからまた話します」と述べるにとどめた。
大関貴景勝(23=千賀ノ浦)が27日、新型コロナウイルスの影響により開催が危惧される大相撲春場所(3月8日初日、エディオンアリーナ大阪)について、複雑な心境を語った。
「(開催可否を決める臨時理事会が行われる)3月1日まで現役の力士は体を作っていくしかない」と話し、選択肢にある無観客について「お客さんあっての相撲と思っている。自分がとやかく言う問題ではないが、モチベーションが難しい」と力士の思いを代弁した。
兵庫県芦屋市出身の貴景勝にとって、春場所は「ご当所ですよ。毎年、いい影響を与えてもらっている」と大事にしている場所。
それだけにファンに相撲を見てもらいたい思いは強い。
この日は同じ部屋の隆の勝、貴源治と10番で8勝2敗。
「やるかやらないかフワフワした気持ちだが、やるべきことをやるしかない」と気持ちを込めた。
「大相撲春場所」(3月8日初日、エディオンアリーナ大阪)
大関とりに挑む関脇朝乃山(25)=高砂=が27日、大阪市内の時津風部屋に出稽古し、横綱鶴竜(34)=井筒=相手に6番取って全敗と振るわなかった。
立ち合い、低く鋭く踏み込む横綱に後退させられ、速攻で何度も寄り切られた。
持ち前の圧力をかけて右四つは封じられた。
「きょうは自分の形になるなと思っても攻められなかった。悪いところがたくさん出た。直していきたい。立ち合いで押されると自分の形になれない。そこを徹底的に押されない形にならないと自分の形は作れない。攻める気持ちも大事だけど、我慢する相撲も必要。稽古していかないと」と敗戦から多くの課題を手に入れた。
前2場所で21勝(11勝、10勝)を挙げており三役で3場所計33勝の大関昇進目安には今場所12勝で到達する。
ただ本人は「今場所の目標は優勝。高い目標を持って常にやっていく。1回優勝しているから今がある。優勝してるからこそ『優勝』と言える。ここまで上ってこられた。12勝と数字は明確。高い目標を持って挑む」と、気合十分に話した。
大相撲で本場所や巡業がない2月と6月は、力士にとって比較的ゆったりと過ごすことがきる月だ。
挙式披露宴などの個人的なイベントをこの時期に行う力士も多い。
今月も幕内の豊山(26)=時津風部屋=や十両の錦木(29)=伊勢ノ海部屋=が盛大に挙式披露宴を開き、大勢の出席者から祝福を受けた。
関取の披露宴といえば、大相撲関係者や親族、知人ら数百人が集まる大規模なものだ。
そこで良い報告をしたい、と直前の本場所では並々ならぬ闘志を燃やして土俵に上がる。
その気迫のせいか、愛の力か、好成績を収めて晴れの日を迎えるケースが多い。
1月の初場所を前頭9枚目で迎えた豊山は優勝争いを演じ、最終的に11勝を挙げた。
場所前は挙式披露宴を見据え、「目標設定は8番。8番勝てば丸く収まるかな」と勝ち越しを目指していたというが、それ以上の活躍だった。
場所前は挙式披露宴の準備で忙しく、「相撲どころじゃなかった。余計なことを考えなかったのがよかったのかも」と話す。
初場所を十両4枚目で迎えた錦木も11勝を収め、幕内復帰を確実にした。
このほか、昨年6月に挙式披露宴を行った幕内の竜電(29)=高田川部屋=も、その直前の夏場所で10勝を挙げて初の技能賞を獲得している。
次に巡業がない今年6月に挙式披露宴を予定しているのは幕内の北勝富士(27)=八角部屋。昨年10月に大阪府出身の中山真美さんと婚約を発表し、今年1月に婚姻届を提出した。
オフには互いの趣味である劇団四季のミュージカルを一緒に観に行ったり、温泉に行ったりと仲むつまじい。
平成27年春場所の新序出世披露の際に写真を一緒に撮ったのが最初の出会いだという。
その後、八角部屋の近くにある錦戸部屋の見学に来た際に偶然再会したのが交際のきっかけだった。
北勝富士は「自分が力士の嫁なんて絶対嫌。2カ月に1回死ぬ思いをするし」と話し、おいしい料理などで支えてくれる奥さんに対し「感謝しています」と気持ちを込める。
前頭2枚目だった初場所では11勝を挙げ、三役復帰を確実にした。
6月の挙式披露宴に向けて「5月場所が大事。負け越して式をしたくない。三役で式を挙げたい」と話す。
3月の春場所、5月の夏場所で好成績を収め、この地位を確実に守りたいところだ。
大相撲の幕内豊山(26)=時津風=が1日、都内ホテルで夫人(32)と挙式・披露宴を行い角界関係者ら400人から祝福された。
花嫁姿の愛妻に「めちゃくちゃかわいいでしょ」とデレデレだった。
19年名古屋場所後の7月26日に婚姻届を提出。
勝利の女神効果でそれ以降、3場所連続で勝ち越し、先場所は優勝争いを演じる11勝を挙げた。
「1人の男として頑張る。初場所で夢だった優勝が目標になった。春場所優勝を目指し三役、その上を目指す」と一家の大黒柱として頼もしく宣言した。
新型コロナウイルスの感染拡大で、開催可否が検討されている大相撲春場所について、準備を進める先発事務所は27日、無観客開催、中止になることも想定し、払い戻し対応などの準備を行っていることを明らかにした。
会場の設営作業は継続して進められている。
日本相撲協会は26日にスポーツ庁からスポーツイベントの中止、延期、規模縮小を要請する文書を受け取っており、同協会幹部は27日、春場所の通常開催は困難な状況との見通しを示した。
3月1日に臨時理事会を開き、通常開催、無観客開催、中止を選択肢に最終決定する。
大相撲初場所
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2020/02/27
昨年秋場所から3場所連続途中休場の横綱鶴竜(34=陸奥)が26日、復活を期す大相撲春場所(3月8日初日、エディオンアリーナ大阪)に向け大阪市内の時津風部屋への出稽古で本格始動した。
「今日はこの2人とやろうと決めていた」という関脇正代、東前頭3枚目・豊山を相手に17番で全勝。
豊山に「久々に感じた。あの圧力、重くて低いからビクともしない」と言わせた力強い相撲で先場所ともに2桁白星と活躍の両者を圧倒。
「いい稽古ができた。(内容は)皆さんに聞きたいね」と口も滑らかだった。
先場所は4日目までに3個の金星を配給し「左足関節炎」で途中休場した。
「体は十分にケアしてきた。後は土俵内の動き」。
3場所連続千秋楽まで土俵を務められなかった。
横綱の責任を果たせず、進退問題が問われる場所を、番付で38年ぶりに横綱が大関を兼ねる「横綱大関」として迎える。
ただ、新型コロナウイルスの影響で、場所開催の可否は3月1日の臨時理事会で決められる。
「力士はベストを尽くしていくしかない。若い衆が買い物とか外に出る機会が多いので、気をつけないといけない」と話し、自身の調整については「このままの調子で稽古を重ねていければ」と復活への手ごたえを語った。
3月8日初日の大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)に向け、大関昇進を狙う関脇朝乃山(高砂部屋)が26日、大阪府東成区の時津風部屋に出稽古に行った。
朝乃山は平幕霧馬山らと9戦し、5勝4敗だった。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、稽古場の前にアルコール消毒液が用意され、関係者もマスク着用で稽古を見守った。
春場所は開催の可否が決まっておらず、3月1日の臨時理事会で判断することになっている。
無観客での開催や中止になる可能性もある。
朝乃山は「無観客の開催ならばさみしい。力士は観客の声援を大事にして戦っている」と率直な思いを吐露。
感染拡大は深刻に受け止めており、「中止なら中止でもしようがない。これ以上感染者が出ないようにしないといけない」と話した。
朝乃山、遠藤、炎鵬、竜電、勢が、『大相撲三月場所』(エディオンアリーナ大阪)限定のコラボ企画「キット伝わる☆おしチョコ」のお披露目会に2月25日に登場。
2場所ぶりに三役へ返り咲いた小結・遠藤らが春場所に意欲を燃やした。
1月場所では鶴竜、白鵬の両横綱を下すなどして殊勲賞を受賞した遠藤は、「みなさんの声援に応えられるように頑張ります」と今場所も大物食いを目指す。
また大阪出身の前頭十二枚目・勢は、「地元なので全力でがんばります」、朝乃山も「大事な場所」とさらなる飛躍を誓った。
また、三役復帰を狙う竜電は、自身の写真がパッケージとなったオリジナルのキットカットを手に「いっぱい食べて、いっぱい応援してくれたら、自分もがんばれます」と笑顔をほころばせた。
身長168センチの小兵ながら先場所では1大関2関脇を撃破した前頭四枚目・炎鵬は、「日頃の感謝の気持ちをこめてメッセージを書かせていただきました。また読んでください」と手書きのメッセージをボードに貼り付けた。
特典付きの「キット伝わる☆おしチョコイスA席」は全席完売。
『大相撲三月場所』は3月8日から22日まで、「エディオンアリーナ大阪」(大阪市浪速区)でおこなわれる。
大関経験者の十両照ノ富士(28)=伊勢ケ浜=が26日、大阪市東成区の時津風部屋に出稽古し、居合わせた関脇朝乃山(25)=高砂=に右四つの技術指導を買って出た。
右四つを得意とする同士、居残って土俵で組み合った。
詳細は明かさなかったが、手ぶりを交えて「朝乃山はこっち(右腕)が強いけど、こっち(左腕)はまだ」と上手を取る動きのレベルアップを促した様子。
「勢いのある人と胸を合わせると、こっちも自信になる。せっかくのチャンスをつかんでほしい」と刺激を受けつつ、大関とりへエールを送った。
照ノ富士自身は、関取返り咲きを果たした初場所で十両優勝し、春場所は東十両3枚目で迎える。
この日も豪快なつり出しを見せるなど、動きは上々。
「10勝して上がりたい」と幕内復帰へ意欲満々だった。
「大相撲春場所」(3月8日初日、エディオンアリーナ大阪)
日本相撲協会は26日、新型コロナウイルス感染拡大を受け、中止となる春場所前の行事について発表した。
29日に予定していた大阪市内の住吉大社で行う協会の参拝、横綱奉納土俵入りは中止。
3月3日の大関、横綱らが参加する前夜祭も開催が見送られた。
本場所前日の恒例で15日間の無事を祈る7日の土俵祭りは関係者のみ参加、一般客の観覧は中止となった。
通常なら出席となる横綱、大関、三役以上力士も出席しない。
また、春場所の開催可否に関して、1日に臨時理事会を開催することも発表された。
猛威を振るう新型コロナウイルスの影響で大相撲の春場所(3月8日初日、エディオンアリーナ大阪)が中止、無観客開催となる可能性が25日、出てきた。
八角理事長(元横綱北勝海)ら日本相撲協会の幹部が大阪市内で緊急対策協議。
感染の広まり、政府の動向などを注視し3月1日にも臨時理事会を開き、最終判断する方針を固めた。
また尾車事業部長(元大関琴風)が力士会に出席し、握手などファンサービスの自粛を関取衆に指示した。
年に1度の大阪、春場所の開催が危機だ。
力士会に出席後、尾車事業部長は「無観客の開催になるのか、中止になるのか、通常開催なのか。今後の動向で日々変わってくる」と3つの選択肢を挙げ、中止、無観客の可能性があることを明言した。
中止となれば八百長問題で揺れた11年春場所以来。
一般客に非公開の本場所となれば1945年夏場所以来の非常事態となる。
同部長は場所前恒例の住吉大社での横綱奉納土俵入りが中止となったことを明かした。
今後の行事も再考材料。
Jリーグなど他競技でも中止、順延が相次ぐ中、春場所は約7000人収容の室内で15日間の興行というのはリスクが相当に高い。
春場所の開催可否に関し、この日の夕方に八角理事長ら協会幹部が約2時間半、緊急対策協議を行った。
無観客開催や中止となれば払い戻し作業もある。
3月1日にも臨時理事会を開き、最終審議する。
芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「自粛しろと言われているわけではない。1週間で動きがあると思う」と説明。
今後の感染拡大状況や政府とも連携しながら結論を下す。
現段階では通常開催に向け準備を進める。
力士会では尾車部長(元大関琴風)が注意喚起した。
「不要な外出は控えて感染予防してくれと。万が一、力士が1人でもコロナにかかると全体のことになる。本場所を中止せざるをえなくなる」と1人感染で中止になることを明示。
予防に関する資料も手渡し、握手、サインなども断るよう指示した。
大相撲春場所(3月8日初日、大阪府立体育会館)の開催をめぐって、角界が引き続き対応に追われている。
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、日本相撲協会の八角理事長(56=元横綱北勝海)ら幹部は25日、春場所の開催方法について協議。
「通常開催」「無観客」「中止」の3つの選択肢を想定し、3月1日に臨時理事会を開いて最終判断を下す方針を固めた。
他競技とは異なるファン層や本場所での“お約束”など難しい問題も抱えているだけに、動向に注目が集まる。
サッカーJリーグの試合開催が延期となり、プロ野球やラグビーなども開催の可否を問う情勢の中、春場所開催も無条件で、というわけにはいかなくなってきた。
とはいえ、大相撲は年6場所。
会場の確保や場所後に巡業が組まれていることを考えると、他競技のように「延期」という選択肢を入れられない。
もし無観客となれば戦後初、中止なら3度目の異常事態となる。
八百長事件などを受けて本場所の開催を中止し、2011年5月に行われた「技量審査場所」でも、ファンには無料公開した。
協会ナンバー2にあたる事業部長を務める尾車親方(62=元大関琴風)は「無観客なら力士も相撲を取りづらいんじゃないか。本当に大変なことになってきた。頭が痛い。他のイベントの動向も気になる」と顔を曇らせた。
だからといって、通常開催なら批判は避けられない状況。
ただでさえ大相撲は屋内開催で、升席などファン同士の距離も近い。
そのファンも高齢者が多く、感染リスクも高い。
また、横綱が敗れた時に“お約束”となっている座布団投げ(本来は禁止事項)があった場合は、ウイルスの飛散という観点でも危険極まりない。
同じ日に開かれた力士会では、尾車親方が新型ウイルスへの注意喚起を行った。
各力士に不要不急の外出の自粛を求め、握手やサインなどファンとの接触を伴う行為の禁止も通達。
「力士がウイルスにかからないようにしておくことが大事」と意図を説明した。
力士会会長を務める横綱鶴竜(34=陸奥)は「ファンの人と握手やサインができないのは残念。(感染予防に)今まで以上に気を付けたい」と神妙な面持ち。
横綱白鵬(34=宮城野)は「さまざまな問題を乗り越えてきたけど、これは目に見えないもの。ある意味、不思議な緊張感で稽古をして場所に臨むことになるでしょうね」と異様な状況を肌で感じている様子だった。
春場所の「主役」である力士たちにとっても、開催方法の行方は最大の関心事。
最終的な結論が出るまでの間は、落ち着かない日々が続くことになりそうだ。
大相撲初場所
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2020/02/26
[幕内力士]
明生
[十両力士]
英乃海
ただし、当社星取クイズ商品購入版は、あくまでも、予想番付に従って行います。
※英乃海は、十両の成績が対象となります。
大相撲初場所
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2020/02/26
3月から大阪で始まる大相撲春場所を前に昨年優勝した横綱白鵬が25日、大阪府庁に吉村洋文知事を訪れ、知事杯返還と引き換えに優勝盾を贈られた。
盾の贈呈後、「白鵬関より強い」と豪語する広報担当副知事「もずやん」が進み出て、写真撮影と勘違いした白鵬との立ち合いに持ち込んだ。
笑顔の白鵬が軽々と投げると、もずやんはバリッと音を立て、あえなく転倒。
吉村氏は「万一の際は労災補償しておきます」と笑いを誘っていた。
十両以上の力士で構成する力士会が25日、大阪市内で行われ、ほとんどの関取がマスク姿で集結した。
猛威を振るう新型コロナウイルス対策に関し、事業部部長の尾車親方(元大関琴風)が説明。
不要な外出、ファンとの握手など自粛するよう、要請があった。
本場所は現時点で開催方針が伝えられたが、初日まで2週間を切り、無観客開催、中止なども選択肢と、先は見通せなくなってきた。
異様な雰囲気の中、力士会後、両横綱が対応した。
力士会会長の鶴竜(陸奥)は「うがいして手洗いをして外で何かを触ったらアルコール消毒をして今まで以上に気を付けていきたい。残念ながらファンの人とは握手、サインができないというように尾車親方からは言われた」と残念がった。
白鵬(宮城野)は「今までさまざまな問題を乗り越えてきたけどこれは目に見えないもの。不思議な緊張感で場所に臨むことになるでしょう」話した。
本場所でも屈指の声援を受ける人気小兵の炎鵬(宮城野)は「怖くはないけど、かかると大変。(無観客開催となれば)さみしいけど、どんな状況でもやるしかない」と、土俵にのみ集中する。
地元大阪出身の幕内勢(伊勢ノ海)も浪速ファンの猛烈な声援を浴びる。
「怖いのは怖い。(新型コロナウイルスが)どんなものなのか分からないから。サインや握手を断れと言われても…」と困惑気味だった。
大相撲春場所(3月8日初日)を前に、兵庫県芦屋市出身の大関貴景勝への化粧まわし贈呈式が25日、神戸市中央区の県公館で行われた。
同場所で38年ぶりの「一人大関」となる貴景勝は「大阪で優勝したい」と力強く語った。
新しい化粧まわしは、世界遺産の姫路城が描かれ、サクラに囲まれたデザイン。
昨年11月に発足した県後援会(石井一会長、約900人)が贈った。
贈呈式には、後援会員約400人が集まり、大きな拍手を受けて貴景勝が入場。
後援会最高顧問の井戸敏三知事が「大阪場所は期待している。優勝して、県出身の横綱を目指してほしい」とエールを送った。
兵庫にちなんだ化粧まわしは初めてという貴景勝は「兵庫の象徴で世界遺産の姫路城に向かって突き進む気持ち。(春場所では)勝っても負けても貴景勝の相撲を見せたい」と誓った。
「エディオンアリーナ大阪」(大阪市で浪速区)で、3月8日から開かれる大相撲三月場所。
その場所中、期間限定でおこなわれる企画『キット伝わる☆おしチョコ』のお披露目会に、朝乃山、遠藤、炎鵬、竜電、勢が登場。
今場所での結果に大関昇進が懸かる関脇・朝乃山が意気込みを語った。
2場所前の11月場所で11勝、先場所の1月場所では10勝をあげた朝乃山。
昇進の目安は「直近3場所計33勝」とされており、大関とりには優勝戦線にも食い込む勝ち星が必要となる。
今場所への思いを尋ねられた朝乃山は、「大事な場所」と改めて気を引き締めた。
今回は、チョコレート菓子「キットカット」とのコラボ企画とあり、キットカットのパッケージに写る自身の姿を見て、「自分がキットカットの表紙になって、光栄です。これを食べて応援をしてほしい」と笑顔を見せるなど、リラックスしたムードもうかがわせた。
各力士にもメッセージカードが配布され、朝乃山は「今年も応援の程 よろしくお願いします!!」と力強く記入。
ファンの後押しも受けて、夢の大関昇進を目指す。
同企画は、初日3月8日から千秋楽3月22日までの「キット伝わる☆おしチョコイスA席」の購入者を対象とする特別企画で、全席すでに完売。
大相撲春場所(3月8日初日、エディオンアリーナ大阪)の新番付が24日に発表され、幕内の御嶽海(木曽郡上松町出身)は「西前頭3枚目」に下がった。
西前頭2枚目だった1月の初場所で7勝8敗と負け越していた。
番付降下は2場所連続で、5年前の同場所初土俵以来初めて。
御嶽海は堺市内の出羽海部屋宿舎で「自分が負け越したから(降下は)仕方ない。初土俵を踏んだ特別な大阪場所で、6年目のスタートに2桁勝ちたい」と挽回を誓った。
3年(18場所)ぶりに三役から平幕に落ちた初場所は11日目に勝ち越しに王手を懸けたが、4連敗で失速した。
朝乃山ら同世代や年下の力士も力をつけている中、「うじうじと先場所を振り返るよりも、過去2度優勝した場所の相撲や、得た自信を大事にし、2桁勝利への体と気持ちづくりを進めたい」と語った。
25日に部屋での稽古を再開する。
26日から遠藤、大栄翔がおり、宿舎が近い追手風部屋への出稽古を予定する。
3月8日からはじまる大相撲春場所の番付が2月24日発表されました。
甲府市出身の竜電関は番付けを3つ上げて、東の前頭5枚目となりました。
竜電関は、前頭8枚目として臨んだ1月の初場所で10勝5敗と、好調の取り組みで4場所ぶりに勝ち越しました。
日本相撲協会がこの日発表した大相撲春場所の番付けで、竜電関は、先場所から3つ番付を上げて東の前頭5枚目となりました。
竜電関は、「立ち合いの鋭さを磨いて三役復帰できるよう11勝したい」と話しています。
勝ち越して再び三役へ道筋をつけることが出来るか大事な場所となりそうです。
大相撲春場所は、大阪市のエディオンアリーナ大阪で3月8日に初日を迎えます。
大相撲春場所で新入幕を果たした琴ノ若は24日、大阪府松原市の佐渡ケ嶽部屋で記者会見に臨み「番付の一番上に名前が書かれるようにと思ってやってきた。まずは一つ達成できてうれしく思う」と喜びを語った。
父は師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若・尾花沢市出身)で、史上9組目の親子幕内。
「まだ全然足りないけど、親孝行を少しできた」とほっとした様子。
母方の祖父は元横綱琴桜(故人)で“親子3代”の幕内力士だ。
佐渡ケ嶽親方は「先代が元気だったら、どれだけ喜んでくれたか」と感慨深げで「先代のようにがんがん攻める相撲を取ってほしい」と期待を込めた。
前頭18枚目で幕尻の琴ノ若は「幕内は三役、大関と上を目指すために必ず通らないといけない道」と気構えを示した。
春場所へ「最低でも勝ち越して、三賞を狙っていきたい」と目標を掲げた。
【略歴】
琴ノ若(ことのわか=本名鎌谷将且)千葉県松戸市出身、佐渡ケ嶽部屋。
父は師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若・尾花沢市出身)
母方の祖父は元横綱琴桜の故・鎌谷紀雄氏。
埼玉栄高から2015年九州場所初土俵。
19年名古屋場所新十両。得意は右四つ、寄り、押し。
188センチ、173キロ。22歳。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本相撲協会は25日、大相撲春場所(3月8日初日、エディオンアリーナ大阪)の開催の可否などを3月1日に開く予定の臨時理事会で協議し、最終判断することを明らかにした。
尾車事業部長(元大関琴風)によると、通常開催、無観客での開催、または中止の可能性がある。
尾車事業部長は「今後の動向によって日々変わってくる」と述べた。
可否の判断について、芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「あと1週間で国内のウイルスの状況がどうなるか、政府がどういう発言をするかなどを踏まえる」とした。
尾車事業部長はこの日、エディオンアリーナ大阪で行われた力士会に出席。
関取衆に「協会員が一人でもかかったら、本場所を中止せざるを得ない。しっかり感染予防をしてほしい」と注意喚起し、ファンとの握手などを控えるように通達した。
29日に予定されていた住吉大社での横綱奉納土俵入りは中止になった。
「大相撲春場所」(3月8日初日、エディオンアリーナ大阪)
十両以上の関取で構成する力士会が25日、大阪市内で行われ、日本相撲協会の尾車事業部長(元大関琴風)が出席し、感染拡大が続く新型コロナウイルスに関し注意喚起した。
「不要な外出は控えて感染予防してくれと。万が一、力士が1人でもコロナにかかると全体のことになる。本場所を中止せざるをえなくなる。各自でしっかり感染予防に努めてくれ」と指示し、予防に関する資料も手渡した。
握手、サインなども断るよう求めた。
「今は粛々と開催に向けて準備をしていると力士には言った」。
現時点では春場所開催の方針も伝えた。
一方で初日まで2週間を切り、感染は連日、広がるばかり。
スポーツなどイベントは中止、順延が相次ぎ、今後の情勢次第では春場所の通常開催は不透明になってくる。
尾車部長は「無観客の開催になるのか、中止になるのか、通常開催なのか。今後の動向で日々変わってくる」と3つの選択肢を挙げ、今後、協会で話し合っていく考えだ。
場所前には住吉大社での横綱奉納土俵入りや、土俵祭りなど行事もある。
本場所の開催に関し、この日の夕方には協会幹部が緊急対策協議を行う予定。
無観客開催や中止となれば払い戻し作業もある。
「(春場所の)直前というわけにはいかない」と、開催の可否は早期に判断する。
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2020/01/26
大相撲の西大関豪栄道(33)=本名沢井豪太郎、大阪府出身、境川部屋=が現役を引退する意向を固めたことが27日、分かった。
師匠の境川親方(元小結両国)から、日本相撲協会に伝えられた。
引退の手続きを経て、正式に発表される。
今後は境川部屋付きの親方として後進の指導に当たる見通し。
豪栄道は初場所12日目の23日、関脇朝乃山に寄り切られて8敗目を喫して2場所連続での負け越しが決まり、3月の春場所で関脇に転落することが決まっていた。
左足首のけがで昨年11月の九州場所を途中休場し、初場所は9度目のかど番で迎えていた。
名門の埼玉栄高で高校横綱に輝き、境川部屋に入門して2005年初場所で初土俵。
右四つで頭をつけた低い攻めを武器に、07年秋場所で新入幕を果たした。
14年の名古屋場所後に大関に昇進し、在位期間は史上10位となる33場所。
16年秋場所で唯一となる優勝を全勝で飾った。
近年はけがに苦しみ、休場とかど番を繰り返した。
昨年の九州場所は左足首を痛めて2日目から休場。
初場所も初日から3連敗するなど不振で5勝10敗だった。
三賞は殊勲賞が5回、敢闘賞と技能賞をそれぞれ3回獲得。
通算成績は696勝493敗66休。
次の春場所は大関が貴景勝だけとなり、1982年初場所の琴風(現尾車親方)以来38年ぶりに1大関となる。
豪栄道らしい、潔い引き際だ。
地元大阪で迎える次の春場所で10勝すれば大関に復帰できるが、その道を選ばずに現役を退くことを決めた。
硬派な力士だった。
土俵に上がる以上、負けても言い訳は一切しなかった。
けがをしていても、痛いだのかゆいだのという言葉を聞いたことがない。
だが本当は、周囲が考える以上に、33歳の体が限界を迎えていたようだ。
大関に昇進した際の口上は「大和魂を貫く」。
その真意を「日本人の我慢強さや、潔さを込めた」と語った。
入門から15年、その通りの相撲道を貫いた。
口上を述べた伝達式は、師匠の境川親方の誕生日だった。
一連の行事が終わると、部屋の若い衆が誕生日ケーキを式の会場に持ち込んだ。
しかし、親方は「今日は豪太郎(豪栄道の本名)の日じゃあ!」と一喝。
豪栄道の潔さは、師匠譲りだった。
結果的に最後の相撲となった初場所千秋楽の阿武咲戦。
右四つの得意の形になりながら豪快に投げられた。
右腕から背中に土をべっとりつけた大関は、悔しいというより神妙な表情でゆっくりと土俵を踏み締め、一礼して土俵を下りた。
10歳下の若手に完敗したこの時、すでに気持ちを固めていたのかもしれない。
稀勢の里(現荒磯親方)、栃煌山、妙義龍など同学年の力士とともに、一時代を築いた。
くしくも同じ「黄金世代」の徳勝龍が初優勝した場所で、土俵に別れを告げる。
早すぎる気もするが、自らの相撲道を貫く決断なのだろう。
大相撲 豪栄道
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2020/01/26
かど番の場所を5勝で終え、「自分が持っている力は全部、出し切った」。
来場所は地元の大阪での春場所。
巻き返しを問われ、「今はまだ答えられない」。
優勝が懸かっていた徳勝龍に結びで敗れる。
「勢いにのまれた。負けた者は何も言えない。一生懸命やったが、大関の資格がない」
新関脇の朝乃山(25=高砂)が、1つ上の番付に挑戦する。
平幕の竜電を浴びせ倒しで破って10勝目を挙げ、春場所(3月8日初日、大阪・エディオンアリーナ)での大関とりの挑戦権を得た。
小結だった昨年九州場所は11勝で、これで合計21勝。
「三役で3場所33勝」が大関昇進の目安となっている中、近大出身の朝乃山にとって第2の故郷とも言える大阪で気を吐く。
圧倒的な力強さを、朝乃山が見せつけた。
すでに10勝を挙げている好調な竜電に、立ち合いでつっかけられた。
それでも動揺は全くない。
2度目の立ち合い。
強烈な右のかち上げでぶつかり、瞬時に右を差してまわしを取った。
得意の右四つになると、一気に前に出て豪快に浴びせ倒した。
「勝っても負けても次につながる相撲を取りたかった」。
その言葉どおり、10勝目を挙げたことで春場所での大関とりが現実的となった。
審判部の境川審判部長代理(元小結両国)は「右差しにこだわるのは立派」と評価。
春場所が大関とりになることについては明言こそしなかったが「権利、チャンスはあると思う。両横綱が出て堂々といい成績なら。そういう(大関とりの)声が出るように頑張って欲しい。力は十分にある」と期待をかけた。
支度部屋で髪を結ってもらう時、ちょうど結びの一番がテレビ画面に映った。
近大の先輩の徳勝龍が優勝したのを見届けると「うれしいけど、悔しいです」と本音をポロリ。
場所中の18日深夜に同大相撲部の伊東監督が急逝。
優勝争いに絡むことはできなかったが「2桁勝って恩返しができたと思います」と柔和な表情を見せた。
大関昇進の目安となる「三役で3場所33勝」のためには、春場所で12勝以上が必要。
加えて横綱、大関を撃破するなど、内容も問われる。
大関とりの場所については「今は考えません」と一言。
つかの間の休みで充電し、第2の故郷の大阪で大暴れする。
殊勲賞はこの他、2横綱1大関を破った東前頭筆頭の遠藤が初受賞で、三賞は5度目。
2横綱を倒し、初の殊勲賞。
後半戦はもたつきながらも、9勝を挙げて「自分の相撲を立て直せた。来場所もしっかり頑張る」。
押しを武器に11勝を挙げて2度目の技能賞を受賞。
「想像していなかった。技能として評価されたのはうれしい」と笑顔。
大相撲初場所千秋楽の26日、上松町出身の西前頭二枚目の御嶽海(本名大道久司、出羽海部屋)は、西前頭四枚目の正代に押し出しで負け、七勝八敗で終えた。
先場所に続く負け越しで、二場所連続は初めて。
優勝争いをしている正代に、御嶽海は立ち合いで低く当たり、左で前まわしを狙ったが、正代の出足鋭く、差しにいった右も封じられて押し込まれた。
俵に足をかけて粘ったが、いなそうと体を右に開いたところを押され、土俵を割った。
2017年初場所以来の平幕で迎えた今場所。
序盤に朝乃山、高安、貴景勝といった上位陣に勝てず波に乗れなかった。
9日目からの3連勝で勝ち越しにあと1勝と迫るも、12日目から4連敗を喫した。
西前頭4枚目で千秋楽まで優勝を争って13勝の正代が2場所連続4度目。
新入幕で11勝の活躍だった23歳の霧馬山も受賞した。
新入幕の場所を8連勝で締めて11勝。
敢闘賞を獲得し、「最後も自分の相撲を取ろうと思った。場所前の稽古が良かった。うれしい」。
大相撲初場所千秋楽(26日、東京・両国国技館)で大関貴景勝(23=千賀ノ浦)を下し、14勝1敗で初優勝を飾った幕内徳勝龍(33=木瀬)が、ウィットに富んだ優勝インタビューで館内を沸かせた。
2000年春場所の貴闘力以来の幕尻Vに「優勝していいんでしょうか…」と話して観衆を爆笑させると、歓声を浴びて「喜んでもらえて良かったです」と笑顔で語った。
さらにインタビュアーから優勝をいつ意識したか問われ「意識することなく…」と言ったところで「めっちゃ、意識していました」「バリバリ(優勝)インタビューの練習していました」と続けてちゃめっ気たっぷり。
笑顔でインタビューを受けていた徳勝龍の表情が変わったのが、18日に恩師の近大相撲部・伊東勝人監督が55歳で急死したことに触れたとき。
「監督が見てくれていたというより、一緒に戦ってくれた」と言い、涙を浮かべて天を仰いだ。
それでも、最後は「もう33歳ではなく、まだ33歳と思って頑張りたい。(番付は)いけるとことまでいきたい」と力強く締めた。
ベテランらしいインタビューの受け答えで、今後も注目を集めそうだ。
大相撲初場所で大関豪栄道の陥落が決まり、昇進する力士もいないため、3月の春場所では大関が貴景勝1人になる。
番付上の1大関は、琴風だけだった1982年初場所以来で38年ぶり。
大相撲初場所(東京両国国技館)
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2020/01/25
貴景勝は朝乃山を攻め切れず、上手を与えて投げを食う痛恨の黒星。
2度目の賜杯獲得が消滅し、負け残りの土俵下では悔し涙をこらえるかのように歯を食いしばった。
白鵬と鶴竜の2横綱が休場した場所。
大関として千秋楽まで優勝の可能性を残せず、「もっと強くならないといけない。負けて得るものもあるが、勝って得るものの方が多い。きょうが大事だった」と自らのふがいなさを責めた。
新関脇の朝乃山(25=高砂)が、令和初の天覧相撲で意地の9勝目を挙げた。
優勝争いに絡んでいた大関貴景勝を上手投げで撃破。
3月の春場所での大関とりに向けて足固めとなる10勝に王手をかけた。
優勝争いでトップに立つ、近大相撲部先輩の徳勝龍に刺激を受けながら千秋楽に向かう。
徳勝龍に負けた正代が1差に後退し、貴景勝の優勝は消滅した。
賜杯を抱くことはできなくても、絶対に負けられない一番だった。
馬力のある大関相手に、立ち合いで突き放されて土俵際へ。
体を密着させて何とかこらえて、左上手を取った。
「絶対に離さない」。執念でつかみ続け、土俵際で上手投げ。
次は貴景勝に驚異的な粘りで残られたが、再び上手投げ。
ぎりぎりまで体を残して、貴景勝が先に落ちるのを見届けた。
まさに注目の一番だった。
優勝に向けて後がない貴景勝と、来場所での大関とりに向け2桁勝利が必要な朝乃山。
取組前に八角理事長(元横綱北勝海)は、天皇陛下に「どちらも負けられない一番です」と説明。
熱戦をご覧になった天皇陛下は「いい一番でしたね」とお話しになり、八角理事長は「よく残ったと思います」と話した。
それでも朝乃山本人は「本当は前に出ないといけない。相撲内容は悪かった」と反省した。
先輩の背中を見て発奮する。
優勝争いトップの徳勝龍は、同じ近大出身で7学年上の先輩。
巡業では食事に誘ってもらうなどしてかわいがってもらっているという。
「青木さん(徳勝龍)の相撲を見ていたので」と徳勝龍が勝ったことで、より気合が入っていた。
「ここまで来たら頑張って欲しい」と言いつつも、すぐに「でも優勝したらやっぱり悔しい。いい刺激になる」と引き締めた。
2桁白星に向けて「自分の相撲を取り切るだけです」と欲は出さない。
「本当は優勝争いに入りたかったけど、もたもたして入れなかった。後は来場所につながる相撲を取りきるだけ」と静かに闘志を燃やした。
輝を押し出して、東前頭2枚目で自己最多に並ぶ11勝目。
「相手は上体が高いので、下から攻めていった。これも日々の積み重ね」
勝ち越しに王手をかけてから3連敗で千秋楽へ。
「負けても自分の相撲を取れればいいんじゃないですか」とぶっきらぼうに。
大相撲初場所(東京・両国国技館)で幕内炎鵬(25=宮城野)が“主役級”の大活躍だ。
自己最高位の西前頭5枚目で1大関を含む三役陣4人を撃破。
13日目(24日)には勝ち越しも決めた。
関取最小兵となる身長168センチ、体重99キロの体から繰り出す多彩な技で大きな相手を翻弄。
いまや横綱や大関にも負けない人気を誇っている。
来場所以降も「炎鵬旋風」は続くのか。
炎鵬は小結阿炎(25=錣山)の突っ張りをかいくぐって懐に飛び込むと、相手の左足を両腕で抱えながら鮮やかな足取り。
三役陣と初めて顔を合わせた今場所は1大関、2関脇、1小結を撃破し、白鵬(34=宮城野)と鶴竜(34=陸奥)の両横綱が不在の中、ファンを沸かせている。
強敵揃いの幕内上位での勝ち越しに「自分でも驚いています。今まで(場所の)後半戦で勝てないことが多かった。少し成長できたのかな」と大きな手応えを得た様子。
兄弟子で休場中の白鵬に対しては「いい報告ができる」と喜んだ。
次の春場所(3月8日初日、大阪府立体育会館)では、さらなる番付上昇が確実。
そこで好成績を残せば、新三役の地位も夢ではない。
今後も「炎鵬旋風」は続くのか。
審判部副部長の錦戸親方(57=元関脇水戸泉)は「相手が炎鵬の術中にはまっている。タイミングをずらすのがうまい。体が小さいから、やりにくいだろうね」と好調の要因を分析する。
一方で「あとはケガ。舞の海も小錦に押しつぶされてケガをした」と指摘した。
小兵力士の代表格である舞の海は1996年7月場所で体重が約200キロ重い小錦にのしかかられて左ヒザを大ケガ。
2場所連続で休場し、それ以降は番付も下降線をたどった。
今場所の炎鵬も取組後の支度部屋では首から背中にかけて入念にアイシングを施すなど、体が悲鳴を上げつつある。
大型力士との激闘が続けば、故障のリスクが高まるのは小兵の宿命。
幕内屈指の人気者の今後はそんな宿命との闘いにかかっている。
幕内700勝。
区切りの白星で幕内残留も確実にし、「すごいことだよね。これからの頑張りが一つ一つ、ご褒美になっていくと思う」。
碧山に逆転勝ちし、新入幕で10勝目。
「相手の突っ張りが強くて危なかったが、勝ててよかった。あしたもいつもの気持ちでやりたい」と笑み。
大相撲初場所14日目(25日、東京・両国国技館)、幕内徳勝龍(33=木瀬)が幕内正代(28=時津風)を突き落として13勝目。
1敗同士の直接対決を制して、初優勝に王手をかけた。
取組後は「自分は一番下の番付(西前頭17枚目)。
それより下がないので思い切りいくだけ。
(優勝は)いろいろ言われるけど、全然意識することはない。千秋楽までしっかりやりたい」と表情を引き締めた。
千秋楽(26日)は徳勝龍が大関貴景勝(23=千賀ノ浦)に勝てば優勝が決定。
1差で追う正代が負けた場合も徳勝龍の優勝となる。
2敗同士で並んだ場合は、両力士による決定戦が行われる。
徳勝龍が優勝すれば奈良県勢としては1922年の鶴ヶ浜以来、98年ぶりの快挙となる。
大相撲初場所、26日の千秋楽は優勝争いで単独トップに立つ前頭17枚目の徳勝龍が結びの一番で大関・貴景勝と対戦します。
千秋楽の結びで、幕内で最も下位の番付、「幕尻」の力士が相撲を取るのは昭和以降では初めてです。
初場所は25日の14日目、前頭17枚目の徳勝龍が前頭4枚目の正代との1敗どうしの直接対決を制し、単独トップに立ちました。
日本相撲協会の審判部は、この結果を受けて26日の千秋楽の取組を決め、結びの一番で徳勝龍と大関貴景勝との対戦が組まれました。
千秋楽の結びの一番で平幕の力士が相撲を取るのは48年ぶりで、「幕尻」の力士は、昭和以降では初めてです。
初場所は26日の千秋楽で先に土俵に上がる正代が敗れるか、結びの一番で徳勝龍が勝てば、徳勝龍の初優勝が決まります。
日本相撲協会の審判部長代理を務める境川親方は、「横綱不在の場所で本来なら大関どうしの対戦になるが、豪栄道は成績があがっていないし優勝のかかっている一番だからこのようにした」と説明していました。
天皇、皇后両陛下と長女愛子さまは25日、両国国技館(東京都墨田区)で開かれた大相撲初場所の14日目を観戦された。
令和になって初めての天覧相撲で、両陛下の観戦は2017年5月以来、約2年半ぶり。
ご一家は午後5時頃に会場入りし、貴賓室から幕内の9番を観戦。
身を乗り出すように土俵を見つめ、一番が終わるごとに大きな拍手を送られた。
愛子さまは幼い頃、力士のしこ名や出身地を覚えるほどの相撲ファンで、約12年半ぶり3回目の観戦となったこの日は、メモを取りながらご覧になっていた。
説明役を務めた日本相撲協会の八角理事長によると、優勝争いをしていた貴景勝関と朝乃山関の一番で、朝乃山関が上手投げで勝利すると、陛下は「いい一番ですね」と話された。
愛子さまも「土俵の高さは何センチですか」などと熱心に質問されていた。
同協会によると、国技館での天覧相撲は戦後の1955年に始まり、昭和時代は40回、平成時代は23回行われた。
両陛下は皇太子夫妻時代に計7回、国技館で観戦されている。
大相撲初場所(東京両国国技館)
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2020/01/25
貴景勝は気迫十分だった。
高安のかち上げにひるまず、左差しを許さない。
激しい突っ張りを受けても前進し、はたきやいなしにも落ちなかった。
「気持ちと気合をしっかり入れて夢中でやった」。
鼻血を出すほどの激しい応酬を制した。
炎鵬、自己最高位で給金
正代と徳勝龍が白星を挙げ、敗れれば優勝の可能性が消えていた一番でも心は乱れなかった。
「自分が硬くなる必要はない。また集中して取っていきたい」。
逆転での賜杯奪取へ気持ちを高めた。
大相撲初場所(東京・両国国技館)で世代交代が本格化する兆しを見せている。
白鵬(34=宮城野)と鶴竜(34=陸奥)の両横綱が途中休場したのに加えて豪栄道(33=境川)が大関からの陥落が決定。
30代半ばの看板力士が総崩れとなる一方で、20代の力士たちの活躍が目立っている。
このまま新旧交代が加速していくことになるのか。
初場所12日目(23日)、カド番大関の豪栄道が新関脇朝乃山(25=高砂)に寄り切られて痛恨の負け越し(8敗目)。
関脇へ転落することが決まった。
取組後は「(負け越しは)力がなかったということ」と肩を落とした。
昨年11月場所は左足首のケガで途中休場。
相撲を取る稽古を再開したのは年明けからで、調整不足も響いた。
師匠の境川親方(57=元小結両国)は「しっかり下半身をつくって稽古をすれば、まだまだ力はある」と現役を続行させる構え。
次の春場所(3月8日初日、大阪府立体育会館)で大関復帰(10勝以上)を目指す方向だ。
ただ、4月で34歳となるだけに、大関への復帰条件となる10勝は決して簡単ではない。
日本相撲協会の八角理事長(56=元横綱北勝海)も「相当な覚悟と気力が必要」と指摘した。
大関が関脇へ陥落するのは、昨年の名古屋場所から4場所連続。
来場所の大関は貴景勝(23=千賀ノ浦)だけとなり、1982年初場所の琴風(現尾車親方)以来38年ぶりに一人大関となる。
八角理事長は「現状では仕方がない。若手がチャンスだと思って頑張らないといけない」と若手力士の奮起を求めていたが、すでに土俵では世代交代の兆候が表れている。
豪栄道が負けた相手が次の大関をうかがう朝乃山だったのは象徴的。
優勝争いも1敗の幕内正代(28=時津風)を筆頭に3敗までのV圏にいる6人中5人が20代の力士だ(12日目終了時点)。
十両でも琴ノ若(22=佐渡ヶ嶽)、豊昇龍(20=立浪)ら若い世代が白星を先行させている。
新年最初の場所を節目に、このまま一気に新旧交代が進んでいくのか。
今後の動向に注目が集まる。
新関脇で勝ち越しも「通過点じゃないですか。目標にしてきた2桁白星のチャンスはある。諦めずに取り切りたい」。
7場所ぶりの負け越し。
「悔しいが場所前に調整ができなかったので仕方ない。また一から頑張ろうと思った」とさばさば。
2横綱1大関を破る3連勝スタートから後半戦に失速したものの給金を直す。
「年が変わって最初の場所で勝ち越せてよかった」と安堵の声。
大相撲初場所13日目(24日・両国国技館)大関貴景勝は関脇高安を押し出して2敗を守った。
平幕の正代、徳勝龍はともに1敗を保って首位をキープし、賜杯の行方はこの3人に絞られた。
正代は輝を寄り切り、徳勝龍は豊山を突き落とした。
日本相撲協会広報部によると、13日目を終えて複数の平幕力士でトップを占めるのは、1場所15日制が定着した1949年夏場所以降初めて。
大相撲初場所13日目は24日、両国国技館で行われ、炎鵬が小結阿炎を破り、勝ち越した。
国技館全体が揺れるような大歓声に包まれた。
炎鵬が阿炎を足取りで破ると、炎鵬コールが館内に響いた。
「体が震えるほどうれしかった」。
3連勝で勝ち越しを決め、168センチで幕内一の小兵は感慨を込めた。
「小よく大を制す」という相撲の醍醐味が存分に詰まった一番だった。
長い腕から繰り出される阿炎の突っ張りに、土俵際まで押し込まれた。
とどめを刺そうと相手が腕を伸ばした瞬間、形勢を一変させた。
しゃがみこんで視界から消えると、目の前にあった右脚を抱えた。
渾身の力で持ち上げて阿炎の体を宙に浮かせると、そのまま土俵外に運び出してみせた。
阿炎は155キロで、炎鵬は99キロ。
歴然とした体格差での完敗に、阿炎は目を丸くした。
「久しぶりに抱っこされた。力が強いですね」。
悔しさより驚きが大きかった。
炎鵬は自己最高位の前頭5枚目で今場所を迎えた。
両横綱が休場したこともあり、役力士との対戦が続いた。
豪栄道、朝乃山、高安と実力者を相次いで撃破し、三役相手に5戦4勝。
土俵で存分に暴れ、ファンに優勝争いとはひと味違った楽しみを届けている。
炎鵬自身、格上の力士との対戦が楽しくて仕方ないのだろう。
「『一丁やってやるか』みたいな。相手も嫌でしょうし」とニヤリ。
残り2番で、自身初の2桁勝利を目指す。
兄弟子の正代と優勝を争う徳勝龍を押し込みながら逆転負け。
「援護射撃を、と思っていたけど見事に不発でした」
大相撲初場所13日目の24日、十両は元大関の照ノ富士(モンゴル出身、伊勢ケ浜部屋)が初日からの13連勝で2013年秋場所以来、2度目の十両優勝を果たした。
幕下は魁渡(新潟県出身、浅香山部屋)、三段目は勇磨(大阪府出身、阿武松部屋)がともに7戦全勝で制した。
序ノ口は埼玉栄高出身で先場所初土俵の二本柳(東京都出身、阿武松部屋)が7戦全勝で優勝。
序二段は元幕内で右膝の大けがにより番付を落としている宇良(大阪府出身、木瀬部屋)と旭勇幸(神奈川県出身、中川部屋)が7戦全勝で並び、千秋楽の26日に優勝決定戦を行う。
大相撲初場所は14日目、1敗で優勝争いのトップに並ぶ平幕の正代と徳勝龍が注目の直接対決を迎えます。
初場所は13日目を終えて、前頭4枚目の正代と前頭17枚目の徳勝龍の平幕2人がともに1敗、2敗でただ1人、大関 貴景勝が追う展開です。
14日目の25日は、正代と徳勝龍が直接、対戦します。
2人の過去の対戦は、平成28年春場所の1回だけで、正代が寄り切りで勝っています。
今場所の正代は、前に出る圧力が増し組んでも離れてもみずからのペースに持ち込んで白星につなげてきました。
一方、徳勝龍は、3日続けて土俵際からの突き落としで逆転勝ちをするなど、際どい相撲を制してきました。
正代は土俵際でも慌てず、相手の動きをしっかり見極める落ち着いた相撲が求められます。
徳勝龍は、正代の体格をいかした強烈な立ち合いを止めることができるかが勝負の鍵を握りそうです。
貴景勝は、大関昇進に向けて足固めをしたい関脇 朝乃山との対戦です。
これまでの対戦では、貴景勝の3勝2敗ときっ抗しています。
先場所敗れた貴景勝は、場所前の稽古総見で朝乃山に6勝4敗と勝ち越したものの四つに組まれると不利になる場面も見られました。
貴景勝が立ち合いから持ち味の強烈な突き押しで一気に勝負をつけて優勝争いに踏みとどまることができるのか注目です。
朝乃山は、得意の左上手を取ってしっかりと胸を合わせて寄り切りたいところです。
2020年初場所もすでに終盤。
冬の巡業で皆勤し場所前も好調と伝えられていた優勝候補筆頭の横綱白鵬は、初日は勝ったものの2日目から2連敗。
大方の予想通り、前半戦で連敗した後の休場。
横綱鶴竜も同じく5日目から休場。
これでまた初優勝力士が誕生するか注目が集まっている。
世間では一昨年あたりから白鵬、鶴竜以外の力士が優勝すると、世代交代か、両横綱はもう限界か、と言われていたが実はただ単に両横綱が休場、または途中休場している間に他の力士が優勝しているだけだ。
言い方を変えれば、両横綱が休場し次の場所に合わせ調整をして万全な状態で皆勤すれば、他の力士はまだまだ両横綱に太刀打ちできない状況が続いている。
特に白鵬に関しては、万歳三唱、手締め、自らの取組で自らが行った物言いなど許しがたい暴挙や、立ち合いの張り差しやエルボー、ダメ押しで審判部親方を負傷させるなど議論になるような事を散々行い、相撲界だけではなく世間からも叩かれているがどこ吹く風と優勝を重ねている。
とりあえず東京オリンピックまでは今までの通り、のらりくらりと“横綱業”を続けていくだろう。
今場所白鵬を撃破した遠藤についてこれでやっと世代交代かという声も聞かれているが、ある親方はこう言っていた。
「白鵬のかち上げに対応し勝ったのは良かったが、遠藤をはじめ他の力士は何をやっていたのか。かち上げを禁止にしろとか品格がないという声もあるが、反則ではない以上対応し勝機を見出す工夫が必要。あれだけ脇が開けば逆にこちらに有利になる。今の力士は工夫もなければ闘志もない。質が低すぎる」
千代の富士との猛稽古で番付を手に入れた八角理事長(元横綱北勝海)や、地獄の猛稽古と言われ、多くの関取を生んだ佐渡ヶ嶽部屋で耐え抜いて大関の地位を手に入れた事業部長の尾車親方(元大関琴風)は今の力士に何を思うのだろうか。
質、量ともに稽古に裏打ちされた自信を持ち、相撲に対する姿勢を親方衆からも尊敬されるような力士はこれから現れるのだろうか。
2020年初場所を前にした1月5日、大相撲ファンにとっては衝撃的ともいえるニュースが伝えられた。
大関候補1番手で新関脇の朝乃山が、引退して1年も経っている元横綱稀勢の里の荒磯親方と稽古を行い、17番取って1勝16敗と完敗。
引退の原因となった怪我が癒えてきているとはいえ、稽古も本格的にしていない親方に成す術もなく敗れるのが大関候補1番と呼ばれる体たらくだ。
「3年先の稽古」と相撲界では古くから言われているが、稀勢の里の現役時代は入門からライバル関係にあった元大関琴欧洲をはじめ、朝青龍に白鵬、日馬富士、鶴竜といったモンゴル勢、千代大海、魁皇、琴光喜、琴奨菊、把瑠都といった個性的な力士と切磋琢磨し、自分を追い込んで稽古をして頂点に上り詰めた。その稽古貯金は引退してたった1年では大した目減りはせず、大関候補1番手を簡単に土俵に転がしていた。
言い換えれば、目減りしていても関脇クラスに余裕をもって勝てるほど、若手力士が劣化している。
琴奨菊、玉鷲、松鳳山は35歳、白鵬、鶴竜、隠岐の海は34歳。30歳以上の幕内力士が19人もいる現状は、絶え間ない努力の賜物ではあるが、若手の力量不足も現役を長く続けていける理由だろう。
世間をどよめかせた、1939年1月15日。
今から80年ほど前、69連勝中の横綱・双葉山が前頭の安芸ノ海に敗れるという大番狂わせが起こりました。
世間は「双葉が敗れた」と言って、天地が引っ繰り返るほどの騒ぎだったといいます。
なぜ、そんなに大騒ぎしたのでしょうか。
当時の大相撲は春秋の2場所制で、1場所が11日間。
1937(昭和12)年から13日制。
15日制になるのは、双葉山が敗れた次の場所となる1939年秋場所からなのです。
双葉山は 1936年1月場所の7日目から丸3年間も勝ち続け、 盤石の強さを見せつけました。
この時期の相撲人気はすさまじく、観衆は前夜から国技館に押し掛けました。
年6場所、1場所15日間の現在では想像もできない盛況でした。
1939年1月15日は、大相撲1月場所4日目。
日曜日で、藪入りの日でした。
初入幕の安芸ノ海が勝負後に打った電報
双葉山は初日から3日間勝ちっぱなしで、前人未到の69連勝。
この日の相手の安芸ノ海は前場所に初めて入幕を果たした新鋭です。
この取り組みに勝つと節日の70連勝に達するので、観衆は大きな期待を寄せ、盛んな声援を送りました。
仕切り直しを10回重ねて時間いっぱい、両者は立ち上がりました。
安芸が突っ張り、双葉がそれを突き返す。
安芸が右の前まわしを引き、右上手を取って頭をつけた。
双葉は上手が取れないまま、右からすくい投げを2度打つが決まらない。
双葉の体が後ろに反り返ったとき、 安芸は右前まわしを引きつけ、とっさに外がけを放った。
その瞬間、双葉の体は左から崩れて土俵下に落ちた
無敵の双葉山が負けた、場内は騒然となりました。
新聞は驚き、号外を出す騒ぎになりました。
大相撲初場所(東京両国国技館)
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2020/01/24
薄氷を踏む思いで10勝目を挙げた。
栃ノ心に右差しで走られたが、捨て身の小手投げで逆転。
「一番させてはいけないことをしてしまった。勝負に勝って相撲で負けた」と敗者のような口ぶりだった。
正代と徳勝龍が1敗を堅持。
15日制が定着した1949年夏場所以降、12日目を終えて初めて平幕2人がトップを並走する中、ただ一人2敗で踏みとどまった。
「優勝争いに残っていることは感謝しないといけない。追いかける立場だけど、緊張することもないでしょ」。
残り3日。賜杯を抱いた経験を生かすのはここからだ。
朝乃山に寄り切られて8敗目を喫し、2場所連続負け越しで来場所の関脇への陥落が決まった。
大阪府出身の豪栄道にとってご当所となる次の春場所で10勝を挙げれば大関に復帰できる。
豪栄道は負け越しについて、「力が無かったということ」と多くは語らなかった。
九州場所で左足首を負傷した影響もあり、白星を伸ばせなかった。
大関陥落は貴景勝、栃ノ心、高安と続いており、これで4場所連続。
春場所で大関は貴景勝だけとなることが確実で、1大関は1982年初場所の琴風以来38年ぶりとなる。
大関を巡る異例の事態は、世代交代の時期が迫っていることを厳しく突きつけている。
正代は1敗を守ったものの、前日の大栄翔戦に続く防戦。
阿炎の突きを受けてのけぞり、土俵際の突き落としで逆転勝ちした。
「きのうの悪いイメージが残っていて、きょうも勝つイメージがなくて」と取組前の不安を明かしたが、「最後まで相手がよく見えていた」と言うあたり、落ち着きは失っていないようだ。
トップに並んであと3日。
「(優勝争いは)初めてなんで。硬くなりつつあるような気はするけど」。
まだピンとこない様子だが、「一番一番、集中して」と自分に言い聞かせていた。
「大関候補」の呼び声も高い新関脇・朝乃山を破り、6勝5敗と白星を先行させた。
立ち合いで頭を下げ、朝乃山の懐に潜り込むようにして、左腕を相手の右脚に伸ばした。
狙いは「昨日の夜、急にひらめいた」という足取り。
だが、左手は朝乃山の膝の裏をわずかにかすめただけ。
それでも、慌てさせるには十分だった。
「足を取れないことも想定していた。迷いはなかった」と準備万全だった炎鵬。
突きにきた朝乃山に対し、今度はその右腕を手繰って引き寄せ、バランスを崩すことに成功した。
俵の上にかろうじて足を残した朝乃山を、最後にひと押しして、土俵から出した。
金沢学院東高時代の炎鵬にとって、隣県の富山商高で1学年上の朝乃山は良い稽古(けいこ)相手だった。
しかし、それぞれ金沢学院大、近大に進むと、朝乃山の体が大きくなったことで太刀打ちできなくなった。
そんな学生時代だったから、「勝てるとは思っていなかった」と感慨深げに話した。
遠藤、豪栄道では飽き足らないとばかりに今度は気鋭の朝乃山。
初顔の実力者を次々と破る快進撃だ。
「楽しいですね。毎日が経験です。自分はチャレンジャーだから、思い切りいくことしかできない。『何でもしてやろう』という気持ちです」と、目を輝かせた。
勝ち込んでくると、とっさの技も決まるようだ。
徳勝龍は輝に右上手を引き付けられ、自分は取れない苦しい体勢。
寄られて俵に詰まったが、右からの突き落としが決まった。
「タイミングが良かった。狙ってできるもんじゃないので」3日目から10連勝。
優勝争いの話題は「一番下(幕尻)なんでプレッシャーを感じることもない」と受け流すが、土俵入りや取組前の歓声は日増しに大きくなる。
「やっぱりうれしい。モチベーションが上がります」。
古典的なお相撲さんらしい顔が少し緩んだ。
優勝に王手をかけた。
2敗で追っていた西5枚目・大翔鵬との優勝争いの直接対決を制し、無傷の12連勝。
2敗力士が消えたため、13日目に勝てば2013年秋場所以来、6年4カ月ぶり2度目の十両優勝が決まる。
「思い通りの相撲だった」という通り、危なげない内容だった。
「まずは先に上手を取って、相手に取らせないで、じっくりと寄っていく」。
戦前の狙い通りにすぐに右四つとなり、左上手はいったん切れたがすぐに取り直し、右の下手も引きつけて寄り切り。
好調な相手を全く寄せ付けなかった。
優勝が近づいても「1番ずつ、来場所につながる相撲を取る。勝っても負けてもいいので」と意識は変わらない。
対戦相手が誰になるか少しは気にしているが「誰とやってもやることは一緒」と自分の相撲を取りきることだけに集中している。
元大関魁皇の浅香山親方は、初場所12日目の23日、幕下の取組で審判をしていた際に力士が土俵下に倒れ込み、右股関節を痛めた。
すぐに車いすで館内の診療所に運ばれ、以降の取組は1人欠いたまま続け、幕内後半は振分親方が代わりに入った。
13日目からは玉垣親方が代役を務める。
大相撲初場所(東京両国国技館)
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2020/01/23
宝富士に何もさせなかった。
低く当たって相手の上体を起こすと、休まず攻めて押し出し。
連日の快勝にも「きょうは終わり。あしたはあしたの風が吹く」と表情を変えなかった。
他の役力士が軒並み振るわない中、平幕の2人を1差で追う。
「追い掛ける立場なのに優勝を意識する必要があるのかな、という感じ。自分の力が発揮できればいい」。
気負いはなさそうだ。
角番で既に7敗の豪栄道と、今場所後の大関復帰を逃した高安。
寂しい顔合わせになったが、豪栄道が先手を取って攻め、踏みとどまった。
両者とも休場があり、互いに大関だった2019年春場所以来の対戦だった。
立ち合いで低く当たったのは豪栄道。
左まわしは取れなかったが、構わず足を運んで得意の右差し。
かいなを返して相手の腰を浮かせ、寄り切った。
「今日のような相撲が取れればいい」と光を見いだしたようだ。
同じ出羽海一門の玉ノ井親方(元大関・栃東)は「力が落ちているわけじゃない。歯がゆいのは本人が一番分かっている」と、4月に34歳になる大関の心中を思いやる。
既に7敗し、「腹を決めてやるしかないんでね」と豪栄道。
危ない場面をしのいで10勝目。
11日目を終えて2人の平幕力士がトップを走るのは1956年夏場所以来となった。
大栄翔に押し込まれながら、持ち味の土俵際の粘りを発揮。
「相手のペースだったが最後まで諦めなかったのがよかった」とほっとした表情を見せた。
「大関候補」の呼び声も高い新関脇・朝乃山を破り、6勝5敗と白星を先行させた。
立ち合いで頭を下げ、朝乃山の懐に潜り込むようにして、左腕を相手の右脚に伸ばした。
狙いは「昨日の夜、急にひらめいた」という足取り。
だが、左手は朝乃山の膝の裏をわずかにかすめただけ。
それでも、慌てさせるには十分だった。
「足を取れないことも想定していた。迷いはなかった」と準備万全だった炎鵬。
突きにきた朝乃山に対し、今度はその右腕を手繰って引き寄せ、バランスを崩すことに成功した。
俵の上にかろうじて足を残した朝乃山を、最後にひと押しして、土俵から出した。
金沢学院東高時代の炎鵬にとって、隣県の富山商高で1学年上の朝乃山は良い稽古(けいこ)相手だった。
しかし、それぞれ金沢学院大、近大に進むと、朝乃山の体が大きくなったことで太刀打ちできなくなった。
そんな学生時代だったから、「勝てるとは思っていなかった」と感慨深げに話した。
遠藤、豪栄道では飽き足らないとばかりに今度は気鋭の朝乃山。
初顔の実力者を次々と破る快進撃だ。
「楽しいですね。毎日が経験です。
自分はチャレンジャーだから、思い切りいくことしかできない。
『何でもしてやろう』という気持ちです」と、目を輝かせた。
連日の突き押し相撲で松鳳山を圧倒、難なく料理した。
「体が良く動いているし、いい内容だった」と顔をほころばせた。
立ち合いはほぼ互角。
突き合う展開となった。潜り込もうとする相手の動きを封じ、まわしを許さない。土俵際まで追い詰め、押し倒した。
「きれいに相撲を取ろうとすると相手に分がある。厳しく攻めることに徹した」。うなずきながら汗を拭った。
1敗で優勝戦線の先頭を走る正代が前日に松鳳山を破っている。
「昨日勝ってくれたのでいい形で入れた」と同じ時津風部屋の兄弟子に感謝する。
とはいえ、ともに賜杯を狙うライバル。
「同じ部屋で優勝を争うことはそうない。行けるところまで行きたい」と気合を入れる。
昨年は順調に滑り出しながら終盤で息切れするパターンが目立った。
今場所はその癖を修正し、日に日に自信を深めているように映る。
「一日一日必死にやっているだけ」と控えめだが、表情は晴れやかだ。
この日、豊山を含む2敗までの5人は全員が勝ち、大混戦の構図は変わらない。
あと4日、脱落するわけにはいかない。
「必死にやれば結果はついてくる」。風呂上がりに報道陣に語った。
三役経験豊富なベテラン、栃煌山を破っても顔色一つ変えずに花道を引き揚げていく。
ポーカーフェースで知られる輝らしく、首位と1差で臨む終盤戦にも「別に全然気にならない」。
普段通り、泰然自若として賜杯レースに食いついている。
物言いがついた際どい一番を制し、「本当にたまたまうまくいっている。落ち着いて、やるべきことをやりたい」と気を引き締めた。
“相撲発祥の地”奈良県出身の力士として、98年ぶりとなる優勝も視野に入ってきた。
幕尻Vなら2000年春場所の貴闘力以来2度目となる。
正代も1敗を堅持。11日目を終えて平幕2人が首位に並ぶのは1956年夏場所の大晃、双ツ竜以来だ。
師匠の木瀬親方は「徳勝龍を慕って部屋に入る子もいる。うちの部屋にとって“福の神”だよ」と、人望の厚い弟子の躍進がうれしそうだ。
高校、大学の3学年後輩で、弟弟子でもある平幕の志摩ノ海も「面倒見がいいし、先輩ぶらない」と尊敬のまなざしを向ける。
優勝争いの中心として迎える残り4日。「周りは気にしません」。高い求心力をうかがわせる33歳は、どっしり構えて勝利も引きつける。
旭大星を破って、初日からの連勝を11に伸ばした。
部屋は違えど同じ伊勢ケ浜一門同士、稽古を長年ともにしてきた仲。
距離を取られても焦らず、右に動かれても足を運んで対応した。
常に相手を正面に置くことを意識して、体を寄せながら右を差して寄り切って無敗を死守した。
「昔から稽古やってますからね。そんなに当たってくる相手ではない。落ち着いていく意識でやりました」と狙い通りの相撲に表情は柔らかかった。
この日は弟弟子で東幕下2枚目の翠富士が、勝ち越しを決めて新十両昇進へ前進。
「うれしいね。かわいい後輩だから」とほおを緩めた。
自身もここまで好調で、そろそろ優勝も視野に入るころだが「1個ずつ重ねていきたい」と短い言葉に力を込めた。
熊本県宇土市は22日、地元出身で、大相撲初場所で優勝争いを続ける正代関を市民挙げて応援しようと、パブリックビューイング(PV)を市民体育館ecowin宇土アリーナで始めた。
地元後援会との共催。
地元住民ら約30人が大栄翔関との一番を見守った。
正代関が土俵入りすると正代コールが湧き起こり、盛り上がりは最高潮に。
正代関が粘り腰で10勝目を挙げると、大歓声に包まれた。
正代関の母校の鶴城中2年で、相撲部主将の大手希星[きら]さんは「正代関は地元のヒーロー。
自分も稽古して正代関のようになりたい」と興奮気味だった。
PVは23日以降も午後5時から実施予定。
千秋楽の26日は午後4時半から。
市教育委員会スポーツ振興係TEL0964(23)2642。
大相撲初場所(東京両国国技館)
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2020/01/22
初顔の炎鵬を相手にしても、大関はどっしりと構えていた。
何を繰り出すか分からない厄介な小兵。
貴景勝は「やり方を変えると、自分を見失う。特別な意識を持たずにいった」。館内の興奮をよそに至って冷静だった。
正代、反応良く 大相撲初場所
炎鵬を正面に置き、押し、はたきで距離を保った。
懐には入れさせず、勝負は急がない。
一気には出て行かないから、相手は逃げ場をじわじわと失った。
回り込もうとしたところを飛びかかるようにして押し出し。
連日土俵を沸かせている人気力士の勢いをしっかりと食い止めた。
小学生の頃から、2歳年上の炎鵬の存在を意識していたという。
「あの体で今の番付に上がるには、相当頭を使ってきたはず」。
自身も身長は175センチ。
体重こそ違うが、巨漢がそろう幕内の土俵でともに戦う者として、共感できる部分もあるようだ。
連敗はせず、1差で平幕の正代、徳勝龍を追う。
八角理事長(元横綱北勝海)は精神的な強さを評価し、「大関の責任を果たしている。終盤戦は貴景勝が中心になる」と言った。
「勝ちにこだわらずに挑戦者のつもりでやりたい」とは貴景勝。
この姿勢だけは揺るがない。
大相撲初場所(東京・両国国技館)で、大関が“絶滅危機”に直面している。
9日目(20日)は今場所の大関返り咲きを目指していた関脇高安(29=田子ノ浦)が幕内宝富士(32=伊勢ヶ浜)に押し出されて6敗目。
大関復帰の条件となる10勝に届かないことが確定した。
取組後は報道陣からの問い掛けに無言を貫いた。
昨年7月の名古屋場所で左ヒジを負傷してから本来の力強い攻めは鳴りを潜めた。
日本相撲協会の八角理事長(56=元横綱北勝海)は「高安は気持ちに体がついていっていない。ヒジが悪いから強引にいけない」と指摘。
「体を治して稽古を積めば、また気力も湧いてくる。大関復帰を目指して頑張ってほしい」と奮起を促した。
とはいえ、次世代の横綱候補と目された高安も2月で30歳。
年齢的にもベテランの域に差し掛かっている。
現行制度での大関復帰は陥落直後に関脇で10勝して返り咲いた例が大半(6人7例)。
それ以外で大関に再昇進したのは過去に魁傑一人しかおらず、復活は簡単ではない。
この日は大関カド番の豪栄道(33=境川)も関取最小兵の幕内炎鵬(25=宮城野)に押し出されて6敗目。
大関残留に“黄信号”が点灯した。
取組後は「取りづらさ? 同じだと思うけど、あんまりいないし…」と声を絞り出した。
昨年7月場所から貴景勝(23=千賀ノ浦)、栃ノ心(32=春日野)、高安が相次いで大関から陥落(貴景勝は1場所で復帰)。
3場所連続で大関から降下力士が出るのは昭和以降初めてのことだ。
4場所連続となれば、まさに異常事態。
貴景勝の一人大関となった場合は、1982年1月場所の琴風(現尾車親方)以来38年ぶりとなるが…。
朝乃山は元気がない栃ノ心に力負け。
左上手を引きながら、相四つの元大関が連発した下手投げでぐらつき、最後は土俵下へ転げ落ちた。
「詰めが甘かった。細かいことも必要」と課題を口にした。
この日は、富山商高時代の恩師、浦山英樹さんの命日。
特別な日を白星で飾れなかった悔しさは胸にとどめ、「自分の相撲を取り切るだけ」と残り5日に視線を向けた。
遠藤(追手風)は御嶽海(出羽海)に敗れ、3連敗で6勝4敗となった。
御嶽海も星を6勝4敗とした。
御嶽海の寄りを残したものの、二の矢で放たれた上手出し投げを残せず、土俵に転がされた。
今場所は初日から2横綱、1大関、2関脇と上位力士を立て続けに撃破した遠藤だったが、8日目から炎鵬(宮城野)、阿炎(錣山)、御嶽海に敗れ3連敗を喫した。
11日目は妙義龍(境川)と対戦する。
御嶽海は小結阿炎(錣山)と顔を合わせる。
妙義龍を押し出し、7日ぶりの白星で7敗に踏みとどまる。
ほっとした表情で、「最近の自分の相撲はあまり面白くなかった。見てよかったという相撲が取りたかった」。
正代はうるさい松鳳山に防戦となったが、左が入ってからの反撃が速かった。
右もうまく使って一気の寄り切り。
あまりの圧力の強さに相手が浮き上がるほどの豪快な攻めでトップの1敗を守り、「よく反応できている」と振り返った。
弟弟子の豊山も2敗を堅持。
「部屋としての流れがいいし、自分としても負けられない。あっちも負けたくないと思っているのでは」。
東農大の後輩の奮闘も刺激に変え、いよいよ終盤戦を迎える。
貴景勝に敗れ、9日目の豪栄道に続く大関撃破はならず。
「何一つ通用しなかった。これが今の実力。向こうの方が何枚も上手だった」
新潟市出身で西前頭9枚目の豊山(26=時津風)は東龍(32=玉ノ井)と対戦。
押し出しで8勝目を挙げ、5場所連続勝ち越し。
豊山は「ホッとした。今年は覚悟というかやらなきゃいけない思いがある。(優勝争いは)いけるところまでついていって狙っていきたい」。
貴景勝、輝とともに2敗で、1敗の徳勝龍、正代を追っている。
今日22日は9勝目をかけ松鳳山と対戦する。
負け越したら十両落ちの幕尻で前日に勝ち越しを決めていたが「負けてもいいやという相撲は一番もない」と徳勝龍。
気合のこもった表情に、安堵の様子はなかった。
この日の立ち合いは劣勢。
千代丸のもろ手で上体を起こされ押し込まれた。
それでも、軽快な足運びで左に逃れると、鋭い右の突き。
つんのめった相手はそのまま場外へ落ちていった。
幕内で過去6戦全敗の天敵を破り首位を守っても「まだですよ。(自分は番付が)一番下なので」と謙虚に笑うだけだ。
最後に幕内で勝ち越したのは3年前の夏場所。
十両でもがく期間が長く「自分はずっと十両なのかな」と弱気になったこともあったが、大関豪栄道や栃煌山ら三役経験者と同学年の33歳は「自分も、という気持ちはあります」とひそかに闘志を燃やす。
大学時代に指導を受けた近大相撲部の伊東勝人監督が今月、急逝した。
「勝ち越したら一番に報告しようと思っていた」という恩師に直接伝えることはかなわなかったが「変な相撲を取ったら(監督に)笑われる」。
終盤戦へ向け、一段と気を引き締めた。
大相撲初場所(東京両国国技館)
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2020/01/21
詰めを誤って2敗に後退。
「準備をしてきたつもりだが仕方がない。明日から切り替えてやるだけ」。
言葉とは裏腹にショックの色も。
カド番で6敗目。
炎鵬の初挑戦をはね返せず、「よく考えてきたんじゃないか」と淡々とした口調で。
大相撲初場所9日目で関脇の高安が平幕の宝富士に敗れて6敗目を喫し、今場所10勝以上をあげての来場所の大関復帰がなくなりました。
高安は左ひじのけがで去年の秋場所を初日から休場したあと、先場所も腰を痛めて途中休場し2場所連続で負け越したため、今場所は関脇に陥落していました。
高安は今場所10勝以上をあげれば来場所、大関に復帰できましたが、19日の中日までに3勝5敗と精彩を欠きました。
そして9日目の20日、高安は宝富士に押し出しで敗れ6敗目を喫しました。
高安は今場所10勝に届かず来場所で大関に復帰する可能性はなくなりました。
日本相撲協会の八角理事長は「今日の相撲を見ても、自分から攻めていないし、左ひじが悪いから強引にも行けない。まずは体を治して、稽古を積めば、また気力が湧いてくる」と話しました。
そのうえで「応援しているファンもいっぱいるので、また大関を目指さないといけない」と奮起を促していました。
朝乃山は大栄翔の厳しい攻めをしのいだ。
過去2勝7敗だった相手の突き押しに後退した中、土俵際で左上手を取ると反撃開始。
豪快な投げで仕留め、「決していい相撲ではないが、最後は自分の本領を発揮できた」と一息ついた。
8日目の正代戦の黒星は引きずらずに6勝目。
ここまではようやく手にした白星も目立つだけに、八角理事長(元横綱北勝海)は「勝ちたい気持ちが強いのかな。もうちょっと伸び伸び相撲を取ってほしい」と注文をつけた。
人気の遠藤を一気に突き出す。
「腕を取りにきたから、重心が後にあったのでしょう」と相手の動きなどを振り返り、白星先行には「うれしいですねえ」と破顔一笑。
炎鵬がまた館内の喝采を浴びた。
大関初挑戦となる豪栄道との一番は、立ち合いの呼吸が合わずに仕切り直し。
「頭が真っ白になったが、体が反応した。しっかり集中していけた」との言葉通り、思い切りよく右に動きながら相手の左腕をたぐって崩すと、休まず攻めて押し出した。
8日目に遠藤を倒した際は聞こえなかったという大歓声だが、「今日は聞こえた、というか、体の芯からふるえるものがあった」。
会心の白星とともに、大きな自信も手に入れた。
大相撲初場所(両国国技館)9日目の20日、西前頭9枚目の豊山(新潟市北区出身)は阿武咲を押し出しで破り、7勝目を挙げた。
志摩ノ海を問題にせず、2連勝で7勝目。
「もっともっと体重を前にかけようと思った。もともと、引きずらないので」と体も気持ちも前へ。
幕尻の徳勝龍が早々と給金を直した。
剣翔を難なく寄り切り、「番付が本当に一番下なので勝ち越すしかない。負けたら下(十両)に落ちるので」。
後のない地位が、かえって迷いのない取り口につながっているようだ。
幕内での勝ち越しは2017年夏場所以来。
「十両が長くなっていたが、精神面でちょっとは成長したかな。ほんのちょっとだけだけれど」と胸中を明かした。
大相撲初場所は10日目、20日に大関貴景勝を破って勝ち越しを決めた1敗の正代は松鳳山と対戦します。
初場所は9日目を終えて、ともに平幕の正代と徳勝龍が1敗で、貴景勝、平幕の豊山、輝が2敗で追う展開となっています。
20日に貴景勝を破って勝ち越しを決めた前頭4枚目の正代は10日目の21日、前頭7枚目の松鳳山と対戦します。
過去の対戦成績は正代の10勝3敗で、今場所、力強さが増した立ち合いから松鳳山の突き押しに対して距離を詰めることができれば優位です。
一方、20日に2敗目を喫した貴景勝は人気の平幕炎鵬と初顔合わせの一番です。
貴景勝は持ち味の鋭い立ち合いから突き放して威力のある突き押しで一気に勝負を決める相撲が理想です。
20日、大関豪栄道を倒した炎鵬は低く相手の懐に潜り込んで多彩な技を繰り出し、勝機を見いだしたいところです。
前頭17枚目で1敗の徳勝龍は前頭12枚目の千代丸と対戦します。
初場所中の大相撲に衝撃が走った。
名門、近大相撲部の伊東勝人監督が18日、55歳の若さで急死した。
新関脇朝乃山(25)=高砂=を始め、現在幕内の宝富士(32)=伊勢ケ浜、志摩ノ海(30)=木瀬、徳勝龍(33)=木瀬、十両の朝玉勢(高砂)らを育成。
若松親方(元幕内朝乃若)楯山親方(元幕内誉富士)らも教え子だ。
アマチュア相撲の名将は、現役時代もすご腕だった。
身長は高くはないものの、がっちり筋肉質体形。
1991年、全日本選手権の決勝は強烈なインパクトを残した。
土俵際に追い込まれながら、繰り出したのは珍手中の珍手「居反り」。
しゃがみこみ、のしかかる相手の膝を抱え、押し上げて後方に反り返り、後ろに相手を落とす大技だ。
ただこの一番の勝敗は微妙だったため、審議の末、取り直しとなった。
そして2度目。
伊東監督は何と、最初から居反りにいった。
今度は土俵中央で相手を抱え込み、後方に相手を落とした。
文句のない居反りで勝利。
初のアマチュア横綱を手にしたのだ。
愛称は「居反りの伊東」。
22年後、この「居反りの伊東」に救われたのが、のちに「居反り」を引っさげ、角界入りした元幕内、現序二段の宇良(27)=木瀬=だった。
関学大3年時の2013年、ロシアで開催された「第2回ワールドコンバットゲームズ」の相撲で世界一に輝いた。
同大会の日本チームに伊東監督も同行していた。
宇良によれば、準決勝で居反りを決めた。
勝ったと思ったが、外国人主審は相手方に軍配を上げた。
見たこともない技に外国人が戸惑うのも無理はない。
その時、副審を務めていた伊東監督が「違うよ、違うよ」と猛然と物言いを付けたのだ。
混乱の中、確認作業を終え、主審の勝敗は差し違え。
宇良が決勝に進出した。
「物言いを付けてくれて判定が覆った」。
伊東監督がいなければ、世界一の称号はなかった。
居反りがつないだ運命の巡り合わせ。
宇良はアクロバット力士として入門前からテレビでも取り上げられ、注目。
15年春場所で初土俵を踏み、多彩な技とスピードを武器にスピード出世した。
現在は2度の右膝手術を乗り越え、序二段で一歩ずつまた白星を重ね番付を上がっている。
伊東監督は青森県出身で五所川原商高−近大と伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)の直系の後輩。
同親方は「くにもん(同郷)だから。プロに入るか入らないか、うちの部屋に入らないかという話はした」と話し、プロ入りに悩む伊東監督の相談に乗ったこともある。
「居反りの伊東」が角界に来たなら、宇良のように、どれほどワクワクさせる相撲を取っていたか。
それでも、指導者の道を選んだ。
大相撲の土俵を沸かす教え子らは我がことのようにうれしかっただろう。
昨年末、記者は近大で伊東監督を取材した。
「基本は育てて強くしたい選手を勧誘して強くしているのが正直なところ。未完の素材が好き」。
完成された子よりも、大学4年で大きく伸ばすことが監督の喜びだった。
今春の新入生もそれぞれ、「未完の大器」を自身の目で選び全国からスカウトしていた。
「おもしろい子がいるんですよ」と1人1人の特長を挙げて情熱いっぱいに語っていた。
「また学生日本一を獲りたい」との言葉はかなわぬまま。
まだまだ道半ばで天国に旅立った。
残念でならない。
大相撲初場所(東京両国国技館)
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2020/01/20
1敗を守った大関・貴景勝は「相手は止めていこうと思っていて自分は突き放していきたい。
途中、相手のペースになったが体はしっかり動いているので気にせずにいった。
自分が思ったとおりの相撲は毎日取れないからその辺りは脳がよく反応してくれた。
ただ悪いところはあった。
今日のような相撲で勝ちきれたことを調子がいいと捉えるか、調子が悪いと捉えるか、考えたらきりがない。
前半戦は普通だ。
後半戦に向けて大事なのは精神的なスタミナだ。
体のスタミナは精神でカバーできるが、逆はできない。
毎日、リセットして千秋楽のつもりでやれればいい」と落ち着いた様子で話していました。
5敗となった角番の大関・豪栄道は「あと一歩でしたね。土俵際、ついていけなかったですね。残りがあるのであすから考えて精いっぱいやります」と淡々と話していました。
新関脇・朝乃山は2敗目を喫した。
「突っ張って中に入りたかった。考えすぎというか入れなかった。足が滑ったがそれは言い訳になる。
ただ相撲は悪くはないと思う。前に出られていれば次につながる相撲なので大丈夫だ。
きょうは勝ちたい勝ちたいという気持ちが出て、強引にいって投げられた。後半戦に向けても変わらず自分の相撲を取るだけだ」と悔しさをにじませながら話していました。
高安はスタミナが切れて北勝富士に屈した。
左の差し手を強烈におっつけられて腰が伸び、最後は息が上がって土俵を割った。
左肘のけがや腰痛の影響で関脇に転落。
今場所で10勝すれば大関に復帰できるが、早々と後がない状況に追い込まれた。
支度部屋では表情を変えずに終始無言。
八角理事長(元横綱北勝海)は「稽古をしていないと重さが出てこない。こんなはずではないと思っているだろう」と胸中を察していた。
星を五分に戻した阿炎は「土俵際、すごく落ち着いていて相手がよく見えていた」と振り返りました。
大相撲初場所中日の19日、上松町出身の西前頭二枚目御嶽海(本名大道久司、出羽海部屋)は西前頭筆頭の妙義龍に寄り切りで敗れ、四勝四敗の五分で折り返した。
頭から当たった御嶽海は、右腕を差して前に出ていったが、左肩が上がった不安定な体勢に。
土俵際で回り込んだ妙義龍に左上手を取られた。
右手でまわしを探ったものの、強く引きつけられると抵抗できず、土俵を割った。
20日は東前頭四枚目の隠岐の海と対戦する。
対戦成績は一勝三敗。
昨年12月の九州場所では寄り切られている。
正代が持ち前の馬力も生かして連敗を免れた。
朝乃山にとって不十分の左四つに組み止めると、相手が強引に出てきたところを逃さずにすくい投げ。
「立ち合いから常に圧力をかけられた」と満足そうに振り返った。
1敗を守っての折り返しを「出来過ぎだと思う」と自己評価しつつ、「欲を出しても仕方ない。いつも通りやるだけ」とも。
冷静に先を見据えた。
炎鵬と遠藤。
屈指の人気力士による初顔合わせに館内は沸き、呼び出しの声が通らない。
しこ名が入った「応援タオル」が360度を埋め尽くした中、土俵上の炎鵬は「全く歓声が聞こえなかった」。
それほどに集中し切っていた。
先手を奪い、機敏に動き回った。
遠藤が狙った前まわしは与えず、低い姿勢からつぶれそうになっても踏ん張る。
最後は相手の左をたぐって回り込み、休まず押し出した。
笑みはない。
放心したような表情で「信じられない。うれしいかどうかも分からない」と率直に言った。
憧れ続けた相手だけに、白星を手に入れたという現実をすぐにはのみ込めなかった。
同じ石川県出身で、中学校、高校も同じ。
アマチュア時代から華々しい成績を残してきた先輩は「雲の上の存在」だった。
「こんな日が来るとは思っていなかった」と感慨がこみ上げる。
自己最高位の西前頭5枚目に番付を上げ、自らたぐり寄せた遠藤との初対戦。
目標を一つ遂げて、9日目は豪栄道に挑む。
初の大関戦に、「毎日、チャレンジャーの気持ちで思い切りぶつかるだけ」。
鋭い目つきで後半戦をにらんだ。
栃ノ心は、低く立った宝富士の狙いを見透かすように右に変化。
あっけなく3勝目を手に入れた。
それでも表情がさえないのは、「先場所、骨が折れた相手だった」から。
昨年九州場所の対戦では、四つ身になって強引に引きつけたのが災いし、右肋軟骨を骨折。
休場に追い込まれた。
「それが頭にあって体が勝手に動いた」と注文相撲の理由を説明した。
2敗目を喫した照強は「勝機はあったのだが。体は動いているし、土俵際で残っているし悪くはないと思う。
疲れが出てきていて今がふんばりどころだ。素早い相撲を取らないといけない。長い相撲を取ると疲れるから」と話しました。
大関経験のある琴奨菊を破って7勝目を挙げた徳勝龍は「1日1日淡々と過ごしている。琴奨菊関に憧れて角界に入ったこともあり対戦が目標の1つだった。
勝ってうれしいが、調子に乗らないようにしたい」と落ち着いた様子で話していました。
大関経験のある十両、照ノ富士は8連勝で中日勝ち越しを決め「上手を取れば大丈夫だと思っていた。
あと7日残っているが一安心した。残りをしめないと来場所につながらない。幕下の七番より自分は十五番のほうがよい。
毎日、同じペースで体を作っていけばよいので、七番だと7日間休みがあったり場所の感覚がなくなる。
1つの負けで番付の上がり下がりが大きいが十五番あると1つや2つ負けても次があるという気持ちになる。
1場所1場所、力が入るようになってきている」と淡々と話していました。
大相撲初場所(両国国技館)8日目の19日、先場所で右膝の大けがによる5場所連続休場から復帰した東序二段28枚目の宇良(27)。
西序二段30枚目の奄美将(22)をはたき込みで下し、無傷の4連勝で勝ち越しを決めた。
頭で当たると、相手が突っ込んできたところで右に開いてタイミングよくはたき込んだ。
「(勝ち越しは)うれしいですね。(奄美将は)けっこう、僕の前で相撲をとること多くて。圧力あるのかなと思っていました」と冷静な分析力が光った。
18日未明に近大相撲部時代の監督、伊東勝人さんが急死した。
近大相撲部出身の朝乃山や宝富士らも大きなショックを受けていたが、居反りの使い手として注目を浴びたこともある宇良にとっても、世界王者への道を“アシスト”してくれた恩人だった。
2013年にロシアで開催され、世界一に輝いたワールドコンバットゲームズ。
関学大に所属し、軽量級で出場した宇良は準決勝で居反りを決めた。
だが、主審は相手選手の勝利と判定。
そのとき、副審を務めて物言いをつけてくれたのが伊東監督だった。
「外国人の主審でしたが、差し違えになりました。物言いを、『違うよ、違うよ』といってつけてもらいました。
(大会期間中には)バスタオルを巻いて歩いていて、『みっともないぞ』と怒られましたね」と業師は振り返る。
伊東監督は、平成3年の全日本相撲選手権の決勝で物言いがつき2番とったが、どちらも居反りを仕掛けて優勝し「居反りの伊東」の異名がついた。
宇良のプロ入りまでの道のりで、珍手の使い手同士の不思議な縁も背中を押してくれた。
大相撲初場所8日目の19日、立行司の第41代式守伊之助が結びの一番の豪栄道−阿炎で軍配差し違えた。
打ち出し後に八角理事長(元横綱北勝海)に口頭で進退伺を申し出た。
理事長からは「(行司の)最高位だから気を付けるように」と奮起を促された。
式守伊之助は土俵際で阿炎のはたきに落ちた豪栄道に軍配を上げ、物言いの末に覆った。
昨年初場所の立行司昇格以来3度目の差し違えに「大変申し訳ない。明日(9日目)から頑張ります」と話した。
大相撲の前頭宝富士関(青森県中泊町出身)、関脇朝乃山関らを育てた近畿大学相撲部監督の伊東勝人さんが滞在先の東京都内のホテルで昏睡状態に陥り、18日午前0時30分、搬送先の病院で死亡が確認された。
55歳。五所川原市出身。通夜、葬式の日程は未定。
五所川原商業高校から近畿大に進み、在学中に西日本学生相撲選手権を2度制覇するなど活躍した。
卒業後の1987年に近畿大相撲部コーチに就任。
91年、全日本相撲選手権で優勝し第40代アマチュア横綱に輝いた。
2001年7月から近畿大相撲部監督。
全国学生選手権の団体優勝2度。
現日本学生相撲連盟副理事長。
毎年母校の五所川原商業で夏合宿を行っており、昨年8月にも学生たちと寝食をともにしながら基礎を丁寧に指導するなど元気な姿を見せていた。
伊東さんが五所川原商業相撲部時代に指導に当たった同部の葛西孝彦監督は、訃報に触れ「残念だ」と言葉を絞り出し、「今は受け入れられない」と心境を語った。
「遠藤の相撲は素直、優しすぎる」
元横綱の花田虎上氏が、遠藤が2敗目を喫した直後にそう言って苦笑いを浮かべた。
石川県出身同士となった前頭五枚目の炎鵬(宮城野)と前頭筆頭・遠藤(追手風)の一番は、炎鵬が押し出して4勝目を挙げ、星を五分に戻した。
対する遠藤は2敗目を喫した。
立ち合い左を差しに行った炎鵬に対して、上手が取れなかった遠藤。
炎鵬はその後も突き放して遠藤にまわしを与えず、同時に遠藤の腕をうまく手繰りながら低い姿勢をキープ。
この動きに対して遠藤は反撃のきっかけを掴めずに炎鵬に押し出された。
AbemaTVで解説を務めた元横綱の花田虎上氏は「遠藤は上手を取って炎鵬の体を起こしたかったが、炎鵬が突き放しながらまわしを取らせなかった」と話すと、炎鵬の勝因について「遠藤に対して、アゴの下の良い位置に当たっている。下に引くような動作も、足腰が良いのでこうした技ができる。遠藤の腕も上手く手繰りましたね。遠藤はやりにくそうでしたね」と解説した。
ひと呼吸おいた花田氏は「いや〜、遠藤の相撲は素直ですね。優しすぎる。正直すぎるので……」と再び口を開くと「今場所横綱に勝った相撲は考えていたのですが、逆に受けすぎる。
もっと厳しく攻めていけば、結果はまた違ってくると思うんですけど」と何とも言えない表情を浮かべた。
大相撲初場所(東京両国国技館)
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2020/01/19
大相撲初場所は中日8日目、三役以上ではただ一人1敗の大関 貴景勝は平幕の隠岐の海と対戦します。
初場所は横綱不在の中、7日目を終えて大関 貴景勝と平幕4人の合わせて5人が1敗で並んでいます。v
中日8日目の19日、貴景勝は前頭4枚目の隠岐の海と対戦します。
過去の対戦成績は貴景勝の5勝1敗です。
貴景勝は四つ相撲の隠岐の海に対して、立ち合いから持ち味の突き押しを徹底し、距離を取って攻めることができれば優位は動きません。
豪栄道が正代に土をつけた。
押し込まれたが、素早く俵伝いに回り込み、右からの突き落としで形勢逆転。
たたみかけて送り倒し、「相手は圧力があった。危なかった」と、やや紅潮した顔で振り返った。
大関カド番。
連勝で3勝目を挙げ、立て直してきている中、「動きはまだまだ。これから一番一番、集中していきたい」と言葉に力を込めた。
高安が4日ぶりの白星でようやく3勝目。
土俵の中央で動きが止まった後、右から張って妙義龍を誘い出し、相手の首投げにも動じずに押し出した。
1場所での大関返り咲きには2桁白星が条件。
苦しい戦いが続く中、「あしたも頑張る」と短い言葉で質問に応じ、集中力を高めていた。
今場所好調の遠藤(追手風)が玉鷲(片男波)を破って1敗を守った。
立ち合い、当たってから相手の腕をたぐって相手を土俵の外まで転がした。
決まり手はとったりだった。
8日目は炎鵬(宮城野)と対戦する。
玉鷲は小結大栄翔(追手風)と顔を合わせる。
遠藤はすでに関脇以上の番付の力士との対戦を終えており、どこまで星を伸ばすか注目される。
初顔の炎鵬を寄り倒す。
「昔から背が高く、ずっと小さい人とやってきて慣れているが、立ち合いは変化される怖さがあった」
初日からの連勝が、18日「6」で止まった前頭4枚目の正代は、2敗の新関脇 朝乃山と対戦します。
対戦成績は2勝2敗の五分で、先場所は正代が朝乃山に得意の左上手を与えず勝っています。
2人は右の相四つで、朝乃山が左上手を取れば優位、正代は上手を取らせない展開に持ち込みたいところで両者の立ち合いの踏み込みが勝負の鍵を握ります。
8日目は同じ石川県出身で、高校の先輩に当たる遠藤と初対戦。
「胸を借りるつもりでやります」と気合十分。
栃ノ心は、低く立った宝富士の狙いを見透かすように右に変化。
あっけなく3勝目を手に入れた。
それでも表情がさえないのは、「先場所、骨が折れた相手だった」から。
昨年九州場所の対戦では、四つ身になって強引に引きつけたのが災いし、右肋軟骨を骨折。
休場に追い込まれた。
「それが頭にあって体が勝手に動いた」と注文相撲の理由を説明した。
大相撲初場所(両国国技館)7日目の18日、西前頭9枚目の豊山(新潟市北区出身)は千代大龍に突き倒され、2敗目を喫した。
豊山は攻め込みながら勝ちきれず、突き倒されて2敗目を喫した。
真っ向から当たり「立ち合いは負けてなかった」。
引きに乗じて前に出たが、誤算だったのは土俵際。体が離れ、向き直ったタイミングで千代大龍の左かち上げをもろに食らい、あおむけにされた。
「事故ですよ」との表現がぴったりだ。
後手に回って敗れたわけではなく「自分から攻めて負けるならしょうがない。逃げて吹っ飛ばされるより、明日につながる」と表情に暗さはない。
今場所は踏み込みの良さを実感しており、8日目へ向け「折り返しだから、しっかり気持ちをつくりたい」と気合を入れ直した。
好内容で6勝目を挙げて「前に出られている」と手応え。
近大時代の恩師、伊東監督が急死し、「相撲で恩返しするしかない。見ていてくれると思う」。
幕下元林(鳴戸)が琴太豪(佐渡ケ嶽)に寄り倒され、プロ初黒星を喫し、3勝1敗。
序ノ口からの連勝は歴代3位の24でストップした。
「全然ダメです。自分の相撲が取れなかった。切り替えてやっていく」と反省した。
この日の朝、近大の恩師、伊東勝人監督が急死したことを聞いた。
「きょうの朝知りました。(思い出は)全日本選手権の団体戦です」と悲痛な表情だった。
近大相撲部の伊東勝人監督が急死したことが18日、分かった。
55歳だった。
関係者によれば17日夜、都内で食事後、体調不良を訴え、宿泊先に戻った。
就寝後に大学関係者が異変に気付き、病院に搬送されたが、そのまま息を引き取った。
伊東監督は91年、アマチュア横綱に輝くなど現役としても実績。
近大監督として幕内の関脇朝乃山(高砂)、宝富士(伊勢ケ浜)、志摩ノ海(木瀬)、徳勝龍(木瀬)、十両の朝玉勢(高砂)らを輩出した。
昨年は近大4年の谷岡倖志郎がアマチュア横綱を獲得し、監督も会場で喜んでいた。
青森県出身で五所川原工高−近大と伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)の直系の後輩。
同親方は「大阪に行ったときはいつでも会う。連絡して行く日を決めようとしていたところ。高校、大学の後輩で実家も近い。くにもん(同郷)だから。プロに入るか入らないか、うちの部屋に入らないかという話はした。思いはいっぱいありすぎて、まだボーっとしている。朝、聞いたばかりだから」と、信じられない様子で話した。
大相撲初場所(東京両国国技館)
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2020/01/18
大相撲初場所(東京・両国国技館)を途中休場した横綱鶴竜(34=陸奥)が正念場を迎えている。
今場所は体調が整わない中で強行出場。
本番では準備不足を露呈して3場所連続の休場となった。
白鵬(34=宮城野)に続くリタイアで横綱不在の事態となったが、両者の置かれた立場は大きく異なる。
鶴竜の場合は近いうちに結果を残さなければ、進退問題に発展しかねない状況だ。
今場所の鶴竜は金星3個を配給するなど低迷。
5日目(16日)に日本相撲協会に「左足関節炎で2週間の患部安静」との診断書を提出して途中休場した。
師匠の陸奥親方(60=元大関霧島)は「左足首が痛くて、踏ん張りが利かなかった」と話す一方で「なかなか風邪が治らなかった。体重が10キロ近く落ちて心配していた」と明かした。
鶴竜は年末年始にかけて風邪の症状を訴え、本番直前にも再び体調を崩した。
本人も「体重が落ち過ぎた。パワーが伝わっていない」と不振の理由を挙げていた。
今回の休場の引き金となったのは、一連の体調不良だった可能性が高い。
最初から出場を回避する選択肢もあったはずだが、簡単には休めない事情もあった。
ここまで鶴竜は2場所連続で休場中。
しかも先場所は初日に腰痛で休場する大失態まで演じてしまった。
今回の強行出場には、3場所連続休場だけは避けたいとの思いがあったのか。
陸奥親方は「2場所休場して、焦っている部分もあったのでは」と横綱の心中を推し測った。
白鵬も故障がちになったとはいえ、連続休場は2場所が最長。
周囲から限界説が持ち上がる前に、復活優勝して雑音を封じ込めてきた。
実際、先場所は休場明けでV43を達成し、健在を誇示している。
同じ横綱の休場でも、鶴竜と白鵬とでは置かれている立場が大きく異なるということだ。
次の春場所(3月8日初日、大阪府立体育会館)は最低でも優勝争いができなければ、逆風が強まることは避けられそうにない。
日本相撲協会の八角理事長(56=元横綱北勝海)は「今度は万全の状態で出てきてほしい」と話しだ。
ここから復活した姿を見せられるのか。
大相撲初場所は横綱が不在の中、6日目を終えて勝ちっ放しが平幕の正代ただ1人、1敗で大関 貴景勝や三役経験のある遠藤などが追う展開です。
7日目の18日は、三役で唯一1敗を守っている大関 貴景勝が結びの一番で小結 阿炎と対戦します。
過去の対戦成績は1勝1敗、突き押しが得意の力士どうし、立ち合いから互いに激しい攻め手を出すことが予想されます。
貴景勝は鋭く踏み込み得意の強烈な突き押しで相手の出足を止め、休まず一気に攻めて勝負を決めたいところです。
玉鷲を一方的に押し出し2勝目。
カド番で苦戦が続いていたが、「内容は良かったと思う。この相撲をいいきっかけにしないといけない」。
朝乃山が連敗の悔しさを一掃する一気に前に出る相撲で、妙義龍を寄り切った。
「うまく運べたと思う。(上手は取れずも)右が入ったならかまわず出ていこうと。連敗していたんでホッとしています」。
3連勝からの2連敗は消極的な内容でもあった。
「過去には戻れない。でも負けたことは、これからの相撲人生につながってくる」。
悔しい連敗から抜け出しまた1歩、階段を上がった。
大相撲初場所は7日目、小結 阿炎は大関 貴景勝と対戦します。
阿炎は、長い手を生かした回転の速い突っ張りで相手を突き放し距離を取って攻め続けることができれば勝機が出てきそうです。
東前頭筆頭の遠藤(29=追手風)が、関脇高安(29=田子ノ浦)を突き出し、1敗を守った。
かち上げをしのぐと、下から攻め、相手の引きに乗じて前に出た。
1敗を守り、優勝争いに踏みとどまった。
支度部屋では、いつも通りに言葉少な。
「勝って良かったです」「しっかり集中できています」とだけ口にし、静かに帰り支度をした。
大相撲です。
初場所6日目。
三役復帰を狙う御嶽海は、大関の貴景勝と対戦しました。
16日、横綱・鶴竜の休場で不戦勝となり、3勝2敗となった御嶽海。
17日の相手は大関の貴景勝。
過去の対戦は7勝6敗で御嶽海がリードしていますが、御嶽海は「突き落とし」で敗れ、3勝3敗となりました。
7日目は小結の大栄翔と対戦します。
両横綱不在の場所で、西前頭4枚目正代(28=時津風)が単独トップに立った。
大関経験者の西前頭6枚目栃ノ心を下して、15年秋場所の新十両昇進以降では自身最長となる、初日から6連勝とした。
6日目の平幕単独首位は昨年秋場所の隠岐の海以来。
出身の熊本で東京五輪の聖火ランナーとして走る予定の関脇経験者が好調だ。
大関貴景勝、遠藤ら平幕5人が1敗を守った。
約3年間三役から遠ざかる正代が、無欲に先頭をひた走っている。
右差し、左ははず押しで、栃ノ心にまわしを与えないまま電車道の快勝。
「立ち合いが良かった。当たって2歩目、すごく前に出ている」。
11勝を挙げた先場所に続く好調ぶり。
単独トップに立ったが「緊張しますね。まあ1敗もたくさんいるから」と、人ごとのように笑った。
「すごい調子がいいってわけじゃない…なんで連勝しているんだろ」と首をかしげる。
年末年始は熊本・宇土市の実家に帰省して1週間滞在。
「ぐうたらしてたら太りました」と、普段165キロ前後の体重は170キロ近くまで増えた。
「いいボディーバランスなのかも。それが(好調の)原因だったら怖いですね」。
その熊本で、郷土力士として東京五輪の聖火ランナーを務める予定だ。
場所が終われば、必ずと言っていいほど実家に帰省するほど地元愛は強い。
「光栄なことですよね」と、素直に喜んだ。
五輪競技に相撲はないが、ユーチューブで視聴することも多いボクシングに注目する。
16年のリオ五輪にライト級で出場した成松大介(自衛隊)は熊本農高、東京農大でともに2学年上。
「大学の時に面識がある。すごいですよね」。
東京五輪のボクシング会場は国技館。
身近な存在に刺激を受けながら、五輪前に同じ会場で大暴れしている。
昨年は同じ大卒で自身より若い朝乃山が初優勝を果たし、発奮材料となっている。
昨年12月の冬巡業では「朝乃山関や若い子がでてきているので、僕も負けないように頑張りたい」と発言するなど、燃える対抗意識を隠さない。
今年の目標は三役に戻ること。
「まだまだ前半戦。何も考えてません」。
年始に引いたおみくじは末吉だったが、現状の視界は良好だ。
昨年は4戦全敗だった輝に土をつけ、「同世代でよく知っている相手。絶対に負けたくなかった」。
1敗を守って「どうなるか分からない場所にしたい」と意欲。
平成7年1月17日、兵庫県・淡路島を震源に未曽有の被害をもたらした阪神大震災から、まもなく節目の25年となる。
「その日」の夜、震源地に近い兵庫県洲本市の病院で誕生したのが、大相撲前頭14枚目の照強(24)=本名・福岡翔輝、伊勢ケ浜部屋=だ。
「自分は運命の日に被災地で生まれた。頑張る姿を見せることで、故郷の人を笑顔にできれば」。
初めて幕内で迎えた初場所は、12日の初日から3連勝。
「スポーツの力」を体現する天命を背負い、土俵に上がり続ける。
自宅で激しい揺れに襲われた母親が洲本市の病院に運ばれ、男の子を出産したのは地震発生から約15時間後の17日午後9時。
体重2922グラム。
負傷者を搬送する救急車が出入りし、院内がごった返す中で生を受けた。
もちろん、自身に震災に遭った記憶はない。
だが「母親からは、病院に行ったら救急車のサイレンがすごかったことや、けが人がいっぱいいる中で生まれたことなど、震災の大変さは聞いている」と話す。
幼いころは体が小さく病弱だったが、小学4年のとき、飛び入り参加した地域の相撲大会で準優勝したのをきっかけに、相撲道場に通うようになった。
中学3年のときに全国大会でベスト16入りし、卒業後に伊勢ケ浜部屋に入門。
しこ名は被災地への思いも込め「周りを照らすように強くなれ」と、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)がつけてくれた。
初土俵は22年3月の春場所。
身長169センチの小兵ながら、元横綱日馬富士や元関脇安美錦らを抱えていた大所帯の伊勢ケ浜部屋で相撲道を突き進んだ。
特別な日に生まれたという意識が、関取衆でも20番以上申し合いを重ねる日がある名物の猛稽古を耐えさせた。
28年11月の九州場所を全勝で制して十両に昇進。
昨年3月の春場所で淡路島出身の力士としては53年ぶりとなる新入幕を果たした。
7月には出身地の南あわじ市から、知名度アップに貢献してほしいと初の「ふるさと応援大使」に委嘱された。
11月の九州場所も8勝7敗で勝ち越し、今年の初場所を幕内力士として迎えることができた。
「幕内で自分の誕生日に土俵に上がるのは初めて。これも一つの運命かな」と照強。
震災から25年となる今年は、自身にとっても入門から10年の節目の年。
今後の相撲人生を懸けた重要な一年となる。
例年、誕生日の「1月17日」は初場所中。
これまでも、その日の朝には欠かさず、震災の犠牲者に黙祷をささげてから土俵に上がってきた。
だが、自身の相撲までは変えない。
取組前に大量の塩をまき、持ち味のスピードを生かして攻める。
「誕生日だからといって頑張るのではなく、一番一番大事に取っていきたい。自分自身が集中して相撲を取ることで、応援してくれる人にも恩返ししたい」。
その気持ちが、ぶれることはない。
一方で、四半世紀が過ぎ、阪神大震災を知らない世代が増えている。
「でも、阪神大震災以降も自然災害がいっぱい起こって、被災する人は増えている。相撲中継を見ていて照強が出てきたら、阪神大震災を思い出してもらえたら。そして、一人でも応援してくれる人が増えたら、自分の励みにもなる」。
震災の日に生まれた「運命の子」は、自身の活躍が被災者を勇気づけると信じ、土俵に向かう。
照強翔輝(てるつよし・しょうき=本名・福岡翔輝)
平成7年1月17日生まれ、兵庫県三原町(現南あわじ市)出身。
南あわじ市立三原中学校から伊勢ケ浜部屋に入門。
28年の九州場所で幕下優勝を飾り、十両に昇進。
30年の夏場所から5場所連続で勝ち越す活躍をみせ、31年の春場所で新入幕。
名古屋場所では12勝3敗と好成績を収め、敢闘賞を受賞した。
17日に行われた大相撲6日目、十両・木崎海と平幕・勢の取組が、ネット上の相撲ファンの間で物議を醸している。
木崎海は0勝5敗、勢は1勝4敗と、どちらも黒星が大きく先行している中で迎えた今回の取組。
立ち合い、踏み込んだ勢は左に回り込みながら逃げる木崎海を攻め、最後は自らも倒れ込みながら土俵外へ押し倒して勝利を収めた。
しかし、木崎海は勢に押し倒された勢いで頭から土俵下に落下。
その衝撃による影響からか、うつ伏せの状態のまま1分ほど起き上がることができず。
この光景に会場は騒然とした空気に包まれ、ネット上のファンからも「もしかして首を痛めたのか」、「脳震盪の可能性もあるかも」と心配の声が多数挙がった。
問題となっているのは、落下の衝撃で動けなくなっている木崎海への対応。
力士が取組の際に生じたアクシデントで動けなくなった場合、裏手に用意されている車椅子が搬送に用いられることが一般的。
しかし、今回車椅子は用意されず、木崎海は駆け付けた若者頭・栃乃藤の肩を借りる形で、自力で歩いて裏手に下がっていった。
おぼつかない足取りで下がっていく木崎海の姿を受け、ネット上のファンからは「なんで車椅子使わず歩かせてるの?おかしくない?」、「首を痛めたかもしれない人間を自力で歩かせるとか協会は何考えてるんだ」、「無理矢理立たせて状態が悪化したらどうするんだ、現場の人間もちょっとは考えろよ」と批判が噴出している。
なお、この後の取組では平幕・志摩ノ海に寄り倒しで敗れた平幕・剣翔が左足を痛めて動けなくなるアクシデントも発生したが、剣翔は裏手から出てきた車椅子で搬送されている。
ファンの中にはこの2番を比較して、「剣翔には車椅子使ってるのに、なんでさっきの木崎海には使わなかったんだ」と苦言を呈する人物も複数見受けられた。
その後、土俵下に落下した際に首を強打したことが判明し、車椅子で病院に向かったとも伝えられている木崎海。
多くのファンが軽傷であることを願っており、協会の公式発表や各メディアによる続報は大きな注目を集めることになるだろう。
なお、17日19時30分時点では、なぜ木崎海に車椅子を用いなかったのかについて協会の公式サイト、及びに公式ツイッターでは特に発表や見解は出されていない。
こちらについても続報が待たれるところだ。
大相撲初場所6日目(17日・両国国技館)盛岡市出身で東十両4枚目の錦木(伊勢ノ海部屋、盛岡・米内中)は、西筆頭の千代翔馬を小手投げで下し、4勝目(2敗)を挙げた。
錦木は相手の右変化にバランスを崩し、もろ差しを許すも抱えてこらえる。
左を巻き替えたところで、寄ってくる千代翔馬をタイミングよく右小手投げで転がした。
7日目は中入り後に東前頭15枚目の東龍と対戦する。
大相撲初場所(東京両国国技館)
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2020/01/17
大相撲初場所(東京・両国国技館)で途中休場した横綱白鵬(34=宮城野)に「2020年問題」が浮上だ。
かねて東京五輪が開催されるまでは現役を続けることを公言。
その目標が近づくと、今度は「優勝50回」など五輪後を見据えた新たな目標を打ち出してきた。
大横綱は本当に“五輪ロス”に陥ることなく土俵に立てるのか。
角界内でも大きな関心事になっている。
今場所の白鵬は白星スタートを切ったものの、その後は2日連続で金星を配給。
4日目(15日)に日本相撲協会に「腰部挫傷、右踵部裂傷蜂窩織炎、今後約2週間の加療を要する見込み」との診断書を提出して途中休場した。
師匠の宮城野親方(62=元幕内竹葉山)によると、2日目(13日)の幕内遠藤(29=追手風)との取組で腰を負傷。
場所前に痛めた右足の傷から菌が入って蜂窩織炎になり、発熱の症状もあるという。
宮城野親方は「ここ何年かは1月場所で優勝していなかったから、本人は優勝したい気持ちが強かった。(白鵬は)『残念だ』と言っていた」と横綱の無念を代弁した。
昨年は年6場所のうち皆勤は3場所だけ。
今年も最初の場所で休場となり「年も取ってきているし、古傷もある。(状態が)いい場合もあれば、悪い場合もある。うまくケガと付き合っていくしかない」と出場を続けることの難しさを指摘した。
かねて白鵬は東京五輪開催までの現役続行を公言してきた。
その目標が現実味を帯びてくると、昨年11月場所で43回目の優勝を達成した直後に「優勝50回」という壮大な新目標を設定。
「五輪が終わったら、目標を失うことが目に見えている。達成できるかできないかは別にして、大台50回があればモチベーションを持って五輪後もやっていける」と熱弁を振るった。
それだけではない。
年明けには十両豊昇龍(20=立浪)や幕下納谷(20=大嶽)ら現在20歳前後の若手力士が成長することを念頭に「1、2回の対戦で終わるのではなく5、6回対戦して終わる」と来年以降も現役を続ける前提で話している。
今場所直前には今年の目標に「35歳で年間最多勝」をブチ上げた。
そのいずれもが、簡単には達成できないものばかりだ。
角界関係者も「いったい、いつまで現役を続けるつもりなのか」と大横綱の“真意”を測りかねている。
今の白鵬の姿は、あえて高いノルマを自らに課すことによって必死に気力を奮い立たせようとしているようにも映る。
白鵬は先場所で優勝したばかり。
いくら周囲が「世代交代」や「限界説」を唱えようとも、すぐに進退問題が浮上する状況ではない。
今後の進退を決めるのは、あくまでも白鵬自身だ。
大相撲の横綱・鶴竜が16日から休場することになり横綱不在の初場所となった。
15日の初場所4日目、平幕の妙義龍に敗れここまで1勝3敗と黒星が先行した鶴竜。
一夜明けた16日、5日目から休場することが決定、師匠の陸奥親方によると、鶴竜は風邪をひいており左足首に痛みがあるとのこと。
これで鶴竜の休場は3場所連続15度目となる。
すでに15日から横綱・白鵬が腰やかかとの痛みから休場しており初場所5日目にして去年の秋場所以来、2場所ぶりの横綱不在の事態となった。
貴景勝は低く踏み込み、馬力のある玉鷲の上体を起こした。
昨年の対戦成績は不戦敗を除けば2勝2敗。
構わず出てきた難敵を突き落とし、「気持ちだけでいった。体が動いてくれた」と振り返った。
左からの突き落としで仕留めたことは、本人にとって大きな意味を持つ。
「名前は突き落としでも、俺の中では横方向の突き。技を出すにはパワーが必要」。
昨年の秋場所千秋楽で痛めた左胸がしっかり回復したと実感できた。
大関に昇進した昨年は、右膝のけがもあって十分に務めを果たせず、今年こそはとの思いもあるだろう。
白鵬、鶴竜の両横綱が早々と休場した今場所。
貴景勝は上位として引っ張ることを期待され、八角理事長(元横綱北勝海)も「一番自覚があるんじゃないか」と頼みにする。
残る力士で番付最上位となった東の大関は、「勝てば責任が果たせると思う。一日一日積み重ねたい」と力を込めた。
幼少期からの厳しい指導で培われてきた精神力の強さは折り紙付きだ。
かど番の豪栄道が、早くも4敗目を喫した。
隠岐の海との投げの打ち合いで軍配をもらいながら取り直しとなり、もう一丁ではとったりを決められた。
2番取った疲れとショックからか、負け残りの土俵下ではうつろな表情だった。
左足首のけがからの休場明けで、「思い通りにいかないところもある」と珍しく弱気な言葉も。
厳しい状況の中で「思い切りいくしかない。気持ちだけ」と懸命に自らを奮い立たせていた。
大相撲1月場所は5日目、朝乃山の一番です。
今場所、4日目に初めて土がつき連敗は避けたい新関脇、朝乃山。
3勝1敗で迎えたのは同じく3勝の追手風部屋の遠藤。
北陸勢同士の対決です。
遠藤とは、これまで2勝5敗と分の悪い相手です。
朝乃山は右四つ、対する遠藤は左四つ、お互いに得意な四つが違う力士同士の対戦です。
立ち合い激しい刺して争いで、朝乃山は右を差しにいきますが遠藤のおっつけに右のまわしをとられ寄り倒しで土がつきました。
これで3勝2敗の朝乃山。
6日目は、今場所、2横綱を倒し勢いのある境川部屋の妙義龍との対戦です。
遠藤が、新関脇の朝乃山との1敗対決を鮮やかに制した。
左を差し勝って先手を取ると、巻き替えも許さない。
いったん離れても、すぐさま2本差して畳み掛け、最後は体を預けるように寄り倒した。
前日は貴景勝に攻め返されて土がつき、横綱、大関総なめとはならずも、「しっかり集中して相撲が取れた」と気にも留めない。
持ち味のうまさで連敗を免れたことで、再び乗っていけるか。
「またあしたから頑張ります」と気合を入れ直した。
正代が好調の北勝富士を馬力で圧倒した。
差し手にこだわらず、休まず前に出て突き出し「よく足が出たのがよかった」と納得の表情だった。
10場所ぶりに初日から5連勝としたが「気持ちも乗ってくるけど、あまり浮かれないようにしたい」。
昨年は3月の春場所に10敗、9月の秋場所に12敗を喫するなど苦杯をなめただけに、慎重な口ぶりで先を見据えた。
過去4戦全敗だった松鳳山を引き技で破る。
「相手のペースにならないように考えてやった。スカッとする勝ち方ではないけど」と淡々。
西前頭7枚目の阿武咲(23=阿武松)が、東前頭6枚目の宝富士(32=伊勢ケ浜)との、幕内唯一の東北人対決を送り出しで制し、20年初白星を挙げた。
今場所の東北出身幕内力士は、同じ青森・中泊町が同郷の2人だけ。
相撲人気も高い東北6県で2人しかいないのは、年6場所制となった1958年(昭33)以降、2012年(平24)初場所以来2度目となる。
阿武咲は三役定着だけでなく、貴ノ浪(青森・三沢市出身)以来の東北人大関への基盤を作る。
阿武咲が本来の姿を披露し、5日目でようやく20年の初日を挙げた。
同郷で小中学校や中里道場で10学年先輩の宝富士に厳しい立ち合い。
持ち味の下からの突き押し。
相手の重い腰をおこして、右からの強烈ないなし。
くるりと相手を1回転させて後ろにつくと、左手を強く伸ばして土俵下に送り出した。
今年初の勝ち名乗りだけでなく、岩手・一関市出身の行司・木村晃之助(54=九重)から3本の懸賞金も受け取った。
「やっとですね。勝ちというより、自分の相撲がとれたし、感覚的な問題が収穫。しっかり相手を見て、対応できたと思います」。
風呂上がりの支度部屋で安堵の表情を浮かべた。
歴史的にも東北出身力士が大相撲を盛り上げてきた。
年6場所制となった58年初場所では、前頭21枚目までの幕内全55人中13人が東北勢。
今場所まで幕内力士不在は1度もない。
だが、今場所は豪風と安美錦の2人だった12年初場所に並ぶ最少人数タイ。
「やっぱり少なくなっちゃって寂しいですよ。その分、みんなが見てくれていると思うので頑張らなくっちゃと思いますね」。
青森県は、横綱を北海道の8人に次ぐ6人を輩出。
関取の在籍は、130年以上継続している。
未来の力士のためにも東北勢の先頭を走るつもりだ。
18年初場所で右膝後十字靱帯損傷。
十両からはい上がってきたが、昨年は1度も2ケタ勝利はなく、納得した結果は出ていない。
「いろいろな試練があっても、どれだけひたむきに自分を出せるかが大事。ここからです。自分の勝ちパターンも出ましたし、この1勝をどう良いイメージにつなげていくか」。
小学生からの宿敵でもある大関貴景勝(23)に、まずは肩を並べる飛躍の年にする。
大相撲初場所(両国国技館)4日目の15日、西前頭9枚目の豊山(新潟市北区出身)は碧山を押し出しで下し3勝目を挙げた。
豊山は193キロの碧山との押し相撲対決に完勝し3勝目を挙げた。
しっかり踏み込むと、相手の突っ張りを下からあてがってさばく。
休まず前に出て中に入ると、力強く相手の胸に腕を伸ばして押し出した。
「受け身ではなく(攻めの)流れを自分でつくることができた。こういう相撲を取れば自然と勝ちがついてくる」と自画自賛の内容だった。
元関脇の碧山は2018年の冬巡業で稽古をした際に左足首を負傷した相手だった。
それ以来、胸を借りるのを控えていたというが、この白星で嫌なイメージも振り払った。
「これで、一緒に稽古ができる」と意欲的だった。
歴代10位に並ぶ幕内697勝。
「うれしいね。今はまだ実感が湧かないが、(現役が)終わった後にすごい記録だと思えるんじゃないか」
5場所ぶりの幕内で、ようやく初日。
前日の取組で左脚を痛めながらも「もう、気持ちでいった。押せなくても押そうとすることに意味がある」と自身に言い聞かせた。
大相撲初場所は6日目、4勝1敗で序盤戦を終えた大関・貴景勝は平幕の御嶽海と対戦します。
大相撲初場所は白鵬と鶴竜が相次いで休場し、横綱不在となる中、看板力士の大関・貴景勝が小結以上で、ただ1人1敗を守っています。
6日目の17日は平幕の御嶽海との対戦で過去の対戦成績は貴景勝が6勝7敗と負け越しています。
貴景勝としては低い当たりから突き放す相撲を徹底し、難敵から白星を挙げて中盤戦以降への弾みをつけたいところです。
一方、御嶽海はもろ差しなど体を密着させての相撲に持ち込めば優位で、どちらが立ち合いで有利な体勢を作れるかが勝負のポイントになりそうです。
2横綱1大関を破って4勝1敗と序盤戦を盛り上げている平幕の遠藤は大関復帰を目指す関脇・高安との対戦です。
過去の対戦成績では遠藤が7勝10敗と負け越していますが、今場所の遠藤は持ち前の相撲のうまさに加えて低い当たりから前に出る力強さがあります。
先場所まで大関の高安相手に前みつを取るなどして得意の形で攻めていきたいところです。
ここまで5連勝と好調の平幕、照強は徳勝龍と対戦します。
照強は阪神・淡路大震災が発生した25年前の1月17日に兵庫県の淡路島で生まれました。
誕生日に初めて迎える幕内の土俵を白星で飾れるかにも注目です。
大相撲の鶴竜が初場所5日目の16日から休場した。
4日目には白鵬が休み、新春の土俵は序盤で横綱不在となった。
鶴竜は、体調不良に伴う調整の遅れを取り戻すため、場所前は精力的に汗をかいた。
横綱審議委員による稽古総見では遠藤と手合わせし、北勝富士とは出稽古先で相撲を取って復調ぶりをアピールしたが、ふたを開ければ両者に金星を与えた。
2014年春場所後に最高位に就いてから、昨年まで13度休んだことを踏まえ、新年の目標に年6場所皆勤を掲げた直後だった。
白鵬も遠藤、妙義龍に連日不覚を取った末の休場。
1年前に稀勢の里が引退した後、両横綱がそろって皆勤したのは2場所だけだ。
八角理事長(元横綱北勝海)は「まげを振り乱して稽古する姿を見せないと。そういう気力を期待したい」と奮起を促すが、責任を全うするのが現実的に厳しくなった以上、世代交代に向けて、いよいよ待ったなしの気配が漂い始めた。
伊那市新山小学校の5年生4人は、育ててきた古代米「白毛餅」の稲わらを、東京・両国国技館で行われている大相撲初場所の土俵作りに提供した。
17日には国技館を訪れて初場所を観戦する。
実際に土俵で使われている様子を見て、これまでの活動成果を感じる機会にしようと計画。
児童たちは「どのように使われているのか、自分たちの目で確かめたい」と期待に胸を膨らませている。
総合学習の一環として、児童は昨年4月から学校近くの田んぼで、伊那谷に伝わるもち米「白毛餅」を栽培。
児童の米作りを支えてきた上伊那農民組合(南箕輪村)の紹介で、大相撲の土俵に使う俵を作る「南信州米俵保存会」(飯島町)の呼び掛けに応じ、わらをすべて提供した。
収穫した稲わらは200キロほど。
保存会代表の酒井裕司さん(44)によると、白毛餅はコシヒカリより草丈が40センチほど長く、太くて丈夫なため土俵作りに適しているという。
保存会がわらを編み、土を入れて使う俵の材料「こも」にして届けた。
大相撲の土俵は本場所ごとに作り替え、地方場所を含め年6回製作する。
同校のわらは初場所で使用され、土俵場にある円の外側に設けた正方形の枠「角俵」の一部と、土俵に上がる段として東西南北に配置された「踏み俵」に使われている。
16日は同校で大相撲観戦の打ち合わせがあり、子どもたちが日程や予算を確かめた。
日帰り旅行の費用には、10月に恒例行事「新山まつり」で販売した白毛餅の売上金を充てた。
男子児童は「わくわくする。調べているうちに相撲に興味が湧いた」。
女子児童は「土俵のどの部分に使われているのかしっかりと見て、家族に教えたい」と笑顔を見せた。
酒井さんは「自分たちの育てたわらが国技を支えるという体験を通して、誇りや相撲への興味を持ってもらえたら」としている。
保存会では今後、希望のあった小学校からわらを預かり、修学旅行の日程に合わせて土俵作りに生かしていくという。
大相撲初場所(東京両国国技館)
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2020/01/16
大相撲の横綱白鵬(34=宮城野)が初場所(東京・両国国技館)4日目の15日、日本相撲協会に「腰部挫傷、右踵部裂傷蜂窩織炎により、今後2週間の加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
白鵬は初日白星発進も、2日目に遠藤、3日目は妙義龍に敗れて2日連続で金星を配給。
白鵬にとって2日連続の金星配給は、18年初場所以来2年ぶり2回目だった。
師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)はこの日午前、都内の部屋で報道陣に対応。
「番付発表前にかかとが割れていた。菌が入り昨日の夜に熱が出た」と説明。
加えて遠藤戦で、腰を土俵上に強く打ちつけたという。
宮城野親方は「本人も頑張りたい気持ちがあった。歳も歳で古傷もある。腰も高くて出足もなかった」と弟子の思いを代弁した。
白鵬の休場は2日目から休場した昨年秋場所以来、2場所ぶり14度目。
4日目の対戦相手、東前頭2枚目北勝富士(27=八角)は不戦勝となる。
鶴竜は妙義龍に苦杯を喫し、今場所に与えた金星が3個目となった。
場所前の体調不良もあって体重が落ち、またも攻め切れずに後退。
「パワーが伝わっていない。一つ勝ったのもたまたま」と口ぶりに覇気はなかった。
昨年9月の秋場所を途中休場した直後、師匠だった井筒親方(元関脇逆鉾)が死去。
翌場所も腰痛で休んだだけに、新年を迎え、今場所に懸ける思いは強かった。
心身の歯車がかみ合わず、「この相撲では取り切れない。体をつくり直さないといけない」とも。
弱気な言葉ばかりが口を突いた。
貴景勝が、勢いに乗る遠藤を止めた。
右で前まわしを狙いながら出てくる相手に苦戦して後退したが、ふりほどくようにして応戦し、右からの突き落としで仕留めた。
遠藤は鶴竜、白鵬、豪栄道を撃破していただけに、「横綱、大関が4タテを食らうのは非常にまずいと思っていた」と貴景勝。
看板力士としての面目を保ち、「まだ4日目。ここから」と気を引き締めた。
かど番でようやく初日を出す。
埼玉栄高の後輩、大栄翔に逆転の首投げを見舞って意地を見せ、「気分を良くしてあしたからいける」と意欲的に。
朝乃山は持ち味を発揮できずに土がついた。
もろ手で出た阿炎に上体を起こされると、回転のいい突っ張りを受けて後退。
四つに組めないまま豪快に押し倒され、「駄目な相撲だった」と声を落とした。
昨年の顔合わせでは4勝1敗で、今場所は白星がなかった相手に取った不覚。
「悔しい。前に出て相撲を取りたい」と立て直しを誓った。
20代の活躍が目立つ中、33歳の妙義龍が気を吐いている。
白鵬に続き、鶴竜からも金星獲得。
「負けん気でいった。こんな経験はないし、うれしい」。
連日の結びで番狂わせを演じ、その喜びに浸った。
右、左とねじ込み、勝負をはやる横綱の出足を止めた。
低い体勢を保ったまま相手の引きに乗じて走ると、苦し紛れの首投げにも動じず、押し出す。
「慎重にいかずに、がむしゃらに出たのがよかった」。
引き技でもぎ取った前日とは違い、持ち味が存分に詰まった白星だった。
三役の常連と称されて久しい。けがに苦しむうち、埼玉栄高の後輩に当たる貴景勝が初賜杯、大関の座もつかみ取るなど若手の台頭も著しくなったが、「自分はきょうみたいな相撲でやってきただけ」。
対抗心は胸に秘め、自然体を強調する。
西前頭筆頭。
内容を伴って星を戻し、三役復帰を目指す今後の土俵へ弾みもつけた。
「気分を良くしていける。まだあるから頑張る」。
187センチ、157キロの均整の取れたいでたち。
さっそうと歩く後ろ姿は頼もしく映った。
白鵬の休場による不戦勝で白星を手にし、初日から4連勝。
「気持ちも体もゆっくりできた。残りもしっかり勝ちにつなげられるようにしたい」
大相撲初場所。
三役復帰を狙う御嶽海ですが、ここまで1勝2敗とさえません。
4日目のきょう15日は、前頭三枚目の玉鷲と対戦しました。
きのう、高安に敗れて、2敗目を喫した御嶽海。
連敗は避けたいところです。
4日目の相手は玉鷲。
過去20勝2敗と相性のいい相手です。
御嶽海が、押し出しで勝ち、2勝2敗と星を五分に戻しました。
あすの5日目は、横綱・鶴竜と結びの一番で対戦します。
関取最軽量99キロの炎鵬が、栃ノ心につられ、相手の膝付近で足をバタバタ。
深い位置で左下手を引いてもろ差しを果たしたが、両まわしを許してつかまり、高々とつり上げられた。
初対戦で大関経験者の怪力ぶりを見せつけられ、「想像していたよりも力強かった。上手を取られて腰が浮いちゃった。もう少し相撲になるかと思った」と脱帽していた。
大相撲初場所(両国国技館)4日目の15日、西前頭9枚目の豊山(新潟市北区出身)は碧山を押し出しで下し3勝目を挙げた。
豊山は193キロの碧山との押し相撲対決に完勝し3勝目を挙げた。
しっかり踏み込むと、相手の突っ張りを下からあてがってさばく。
休まず前に出て中に入ると、力強く相手の胸に腕を伸ばして押し出した。
「受け身ではなく(攻めの)流れを自分でつくることができた。こういう相撲を取れば自然と勝ちがついてくる」と自画自賛の内容だった。
元関脇の碧山は2018年の冬巡業で稽古をした際に左足首を負傷した相手だった。
それ以来、胸を借りるのを控えていたというが、この白星で嫌なイメージも振り払った。
「これで、一緒に稽古ができる」と意欲的だった。
大相撲初場所は5日目、ここまで3勝1敗の大関 貴景勝は平幕の玉鷲と対戦します。
大相撲初場所は2場所連続優勝を狙っていた横綱 白鵬が15日の4日目に休場し、一人横綱となった鶴竜と大関 豪栄道がともに1勝3敗と本来の相撲とはほど遠い内容です。
上位陣の不振の中、大関 貴景勝は15日、好調の遠藤を退け3勝1敗としていて、看板力士として場所を引っ張っていく役割が求められます。
その貴景勝は平幕の玉鷲との対戦です。
過去の対戦成績は不戦敗を含めて貴景勝の7勝5敗で、ともに押し相撲が得意なだけに激しい突き押しの応酬が予想されます。
貴景勝としては、立ち合いからより低い当たりで相手を突き起こし、徹底して前に出ていきたいところです。
15日、今場所初黒星を喫し3勝1敗となった新関脇 朝乃山は、同じく1敗の遠藤との対戦で、過去の対戦成績では2勝5敗と分の悪い相手です。
朝乃山としては強く当たって相手を押し込み、左上手を取る得意の形に持ち込むことが重要です。
一方、遠藤は今場所は二横綱一大関を破るなど相撲のうまさが光っていて、低い姿勢を保って攻めていきたいところです。
ともに平幕で4連勝の北勝富士と正代の対戦も楽しみな一番です。
大相撲初場所(東京両国国技館)
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2020/01/15
座布団が乱れ飛び、興奮が最高潮に達した館内を横目に、白鵬は寂しそうに土俵を下りた。
2日連続で金星を与えるのは2年ぶり。
それも、よもやの格好でだった。
右差し、左上手を狙う立ち合いで妙義龍を捕まえにいった結果、裏目に出た。
かつてはこの取り口で難なく料理してきたが、過去20勝1敗だった相手に右も差せず、上手も取れず、両足がそろったところで突き落としを食い、ばったりと両手をついた。
前日の遠藤戦に伏線があった。
このところ多用してきた張り差しとかち上げを安易に選択した揚げ句、それを想定されて防戦一方となり、あおむけになった。
「きのうのこともあったし、気持ちが空回りしたのではないか」と八角理事長(元横綱北勝海)。
同じ手に頼っての失敗は許されない。
そんな一抹の不安を取り除くために繰り出した本来の攻めが効かず、衰えも感じさせた。
鶴竜も取りこぼした直後の結びを締められず、番付上の2横綱がそろって金星を与えるのは、1997年名古屋場所以来の不名誉な事態。
第一人者の看板が静かに傾き始めていることを予感させた連敗に、白鵬は「あしたは、あしたにならんとね」。
言葉に力がなかった。
鶴竜が3日目で2個目の金星を与えた。
北勝富士を一度は押し込んだが、喉輪で反撃されると、我慢できずに引いて自滅。
「(休場明けだが)相撲勘などの問題ではない。相手に全然力が伝わっていない」と声を落とした。
場所前に発熱などで体調を崩した影響で、「痩せ過ぎてしまった」という。
「今できることをやって、少しずつ体重を戻したい」と、もどかしそうに言った。
かど番で3連敗。
遠藤に突き落とされ、「もっと密着して攻めないと駄目。立ち合いの後の動きがかみ合わない」。
大栄翔を押し出し、「勝っても負けても力を出し切ろうと思っていた。また切り替えて、あしたからしっかりやっていきたい」。
朝乃山は右四つの持ち味を発揮した。
右を差して左上手も引くと、隠岐の海を難なく寄り切り。
「自分の形になれた。体がしっかり動いている」と満足そうに振り返った。
役力士の中ではただ一人の3連勝となったが、「何も意識していない」と淡々。
両横綱が敗れるなど波乱が起きた3日目に、大関昇進を目標に掲げる新関脇が存在感を示した。
白星先行。
御嶽海をはたき込み、「立ち合いからしっかり当たれた。落ち着いて相撲が取れた」。
遠藤は連日の金星獲得に続いて豪栄道も撃破。
大関の張り差しにも全く動じるところがなく、うまく体を開いて突き落とし、「しっかり動けてよかった」と淡々と振り返った。
初日からの3連勝は、東前頭6枚目だった2018年名古屋場所以来だが、「特にいつもと変わらない」と言う。
勢いに乗る中、「あしたからも自分の相撲を取るだけ」と自然体を強調した。
北勝富士は鶴竜から金星を奪って3連勝。
我慢して右喉輪で押し返し、横綱がたまらず引いたところで勝負をつけた。
場所前には出稽古で胸を借りており、「その成果がしっかり出てくれたのではないか」と満足そう。
豪栄道、貴景勝の両大関も撃破。
この調子なら、三役復帰も十分に見込めるだろう。
「定着しないと話にならない。自分のいいところが出れば、しっかり白星も上がってくる。普段通り気持ちを固めて」と自身に言い聞かせた。
3連勝。
「新年だし、気分がいい。自分がこんなにポジティブだと、あしたは雪が降るのでは」。
本来の明るさも取り戻し、納得顔で。
明生を下手出し投げで破り、「(動きは)まだまだ遅いが、下手な相撲なりに勝ててよかった」。
右肩付近を痛めており、支度部屋では顔をゆがめながらも「大丈夫です」。
大相撲初場所2日目(13日・両国国技館)盛岡市出身で東十両4枚目の錦木(伊勢ノ海部屋、盛岡・米内中)は、東3枚目の大翔丸に突き落とされ、1勝1敗となった。
錦木は大翔丸の右おっつけと左はずに手を焼き、十分な体勢をつくれなかった。
強引に振りほどき、右喉輪で前進したが足がついていかない。
左に回った相手の突き落としを食った。
3日目は西3枚目の木崎海と対戦する。
白鵬、鶴竜の2横綱がともに金星を配給した。
鶴竜は北勝富士をつかまえられずに押し出され、白鵬は妙義龍の突き落としに屈して2日連続金星配給。
複数の横綱がそろって金星を配給するのは1997年名古屋場所3日目の貴乃花、曙以来23年ぶり。
白鵬、鶴竜とも1勝2敗と黒星が先行し、休場危機に陥った。
全勝は新関脇の朝乃山、平幕の遠藤、北勝富士、正代、輝、照強の6人となった。
波乱の連続で、またしても座布団が舞った。
鶴竜が敗れた後の結びの土俵。
白鵬は立ち合いで左前まわしを引けず、足が止まった。
勝機をうかがおうとしたところで妙義龍の左突き落としを食らうと、簡単に前に落ちた。
花道を引き揚げる際にはテレビモニターを凝視。
「足が流れている。それをチェックした」と敗因を分析した。
横綱在位75場所目で25個目の金星配給。
2日目は遠藤に敗れており、2日連続の配給は18年初場所の3日目に北勝富士、4日目に嘉風に敗れて以来、2年ぶり2度目となる。
横綱昇進後に序盤で2敗したのは4度目。
過去3度はいずれも2敗目を喫した翌日に休場している。
4日目以降については「明日は明日にならないと」と出場は明言しなかった。
鶴竜も厳しい攻めが鳴りを潜めている。
北勝富士の右喉輪で出足を止められ、左おっつけに体が起きると悪癖の引きが出て墓穴を掘った。
「軽い。それに尽きる。相撲勘とかではない。ちょっと痩せすぎ。力が伝わっていない。自分で分かる」。
九州場所は初日の朝に腰痛を発症し、2場所連続途中休場。腰への負担を軽くするため160キロ前後だった体重を153キロまで落としたが、それが裏目となっている。
金星配給は30個の大台に乗ってしまった。
八角理事長(元横綱・北勝海)は「白鵬は勝ちたい気持ちが出て空回りした。鶴竜も気力を振り絞っていかないといけない。思い切りがない」と両横綱の奮起を期待したが、巻き返すことはできるのか。
16年以降、初場所は初優勝力士が続いている。
今年も“荒れる初場所”の様相だ。
番付にいる2人以上の横綱がそろって平幕に敗れる(不戦敗を除く)のは、03年名古屋場所5日目に朝青龍が旭鷲山に反則負け(記録上は金星にならず)、武蔵丸が高見盛に寄り切られて以来、17年ぶり。
横綱がそろって金星配給となった97年名古屋場所3日目は、貴乃花が蒼樹山に押し倒しで、曙は貴闘力に引き落としで敗れた。
大相撲初場所2日目が2020年1月13日、東京・両国国技館で行われ、横綱白鵬(34)=宮城野=が、平幕遠藤(29)=追手風=に切り返しで敗れ2日目にして黒星を喫した。
昨年11月の九州場所で白鵬が立ち合いで遠藤をかち上げて波紋を呼んだだけに、白鵬の立ち合いに注目が集まっていた。
昨年の九州場所では、立ち合いで白鵬が右からかち上げ、右肘が遠藤の顎に直撃。
さらに張り手を顔面に食らわせ、遠藤は鼻から出血。
場所後に横綱審議委員会から立ち合いに関して苦言を呈された。
このような経緯を踏まえ、この日、NHKのテレビ解説を務めた舞の海秀平氏(51)は「白鵬本人も批判の声が上がっているのは分かっていると思う。なぜ批判されるかということも白鵬は考えてほしいです」と反省を促すような発言をした。
注目の立ち合いは、呼吸が合わず白鵬の待ったで始まった。
2度目の立ち合い、白鵬が左から張って出た。
先場所同様、右からかち上げようとするも遠藤に外される形で不発に終わった。
右上手をつかみ、2度3度、投げを打ったが遠藤がこれをこらえ、最後は遠藤が切り返し。白鵬は背中から土俵に落ちた。
遠藤のリベンジに館内は「遠藤コール」で応えた。
舞の海氏は「おそらくお客さんは先場所の相撲も記憶しているから。そこからの今日の勝利ですから喜びもひとしおなんでしょうね」とファンの心理を解説し、殊勲の遠藤に対して「先場所、ああいう負け方しながらよく怖がらずに踏み込みましたね」と称賛した。
「どういう気持ちで相撲を見守ってきたか」
横審から苦言を呈されながらも「かち上げ」は「禁じ手」ではなく、今後も自身の流儀を貫くことを公言している白鵬。
一方で白鵬の「かち上げ」は「肘打ち」とみる関係者、ファンがいることも事実で、「かち上げ」の際に顎を直撃する白鵬の右肘のサポーターも物議をかもしている。
舞の海氏はこれまでも白鵬の立ち合いに苦言を呈しており、先場所も「過去の横綱はこういう立ち合いはしなかった」と批判的なコメントをしていた。
また、この日のテレビ解説では「日本人が昔からどういう気持ちで相撲を見守ってきたか」と白鵬に問いかけるように話した。
大相撲初場所(東京両国国技館)
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2020/01/14
土俵に背中から落ちた白鵬は、口を真一文字にきつく結んだ。
因縁の対決だった。
昨年の九州場所12日目、立ち合いで遠藤は白鵬の左の張り手と右のかちあげをまともに食らい、敗れ、鼻血を流した。
横綱審議委員会が、「横綱として見苦しい」と白鵬に苦言を呈した一番だ。
迎えたこの日。
立ち合いに衆目が集まった。
白鵬は横審の苦言を意に介さないかのごとく、先場所と同じく左の張り手と右のかちあげを繰り出した。
ただ、遠藤は同じ手はくわなかった。
藤島審判長(元大関武双山)は「かちあげを読んでいた」。
左にまわりこんで、かちあげをかわした。
左下手を深くとり、横綱得意の右差しを許さない。
強引にきた上手投げを3度耐えて、最後は左足で外掛けをし、白鵬を仰向けに土俵にたたきつけた。
鶴竜は阿炎のもろ手突きを受けて後退したが、うまくはたき込んで連敗を免れた。
途中休場した昨年秋場所を最後に白星から遠ざかっていただけに「そういった意味では一つ断ち切れたね」と一息ついた。
白鵬と貴景勝が敗れ、早くも横綱、大関陣に土つかずがいない状況となった。
「まだ何も始まっていないということ」と言い、「そんなに良い相撲ではなかったが、こういう感じで一日一日を重ねて、感覚が戻ればいい」と先を見据えた。
新関脇の朝乃山は、張り手を交えて攻めてきた玉鷲に「一瞬カッとなった」という。
直後に安易なはたきで流れを悪くしかけたが、左の下手を引いて事なきを得た。
御嶽海に続いて苦手の玉鷲も退けたが「悪い癖が出た。冷静に落ち着いて取らないと」と反省した。
好調な滑り出しにも「まだ2日目。切り替えて自分の相撲を取れるようにしたい」と慎重な口ぶり。
白鵬と貴景勝が敗れて早くも上位陣に連勝がいなくなり、ますます注目を集めそうだ。
クールな遠藤が珍しく感情を出した。
白鵬をあおむけに倒すと土俵上で小さくうなずき、にやつきを抑えるように舌も出した。
九州場所の雪辱を果たそうと、期するものがあったのだろう。
「勝ってよかった」。
短い言葉に充実感がにじむ。
先場所の白鵬戦では左で張られた後、乱暴なかち上げを受けて鼻血を流した。
同じようにやられるわけにはいかない。
「しっかり集中して相撲が取れている」という相撲巧者は、立ち合いから考えた取り口を見せた。
ずれるように当たって、うまく左を差した。
結び目の奥までつかんだ下手を生命線に、白鵬の執拗な投げを左足も巧みに使って残した。
最後は切り返しながら、のしかかるようにして倒した。
2日続けての金星獲得。
八角理事長(元横綱北勝海)は「これで浮かれる力士じゃない。あしたもやってくれると思う」。
豪栄道戦にも期待した。
殊勲星に送られた遠藤コールは「うれしかった」と素直に振り返った。
横綱戦を終えても館内を沸かせるチャンスはまだまだある。
12日に初日を迎えた大相撲初場所。
三役から平幕に落ちた御嶽海は新関脇・朝乃山に敗れ黒星スタートです。
先場所負け越し3年ぶりに平幕に落ちた前頭2枚目の御嶽海。
今場所、勝ち越して三役復帰を目指します。
初日の相手は新関脇・朝乃山でした。
御嶽海は鋭い立会いで前に出ますが押し切れずに引いてしまいます。
その後は朝乃山に上手を引かれ寄り切りで敗れました。
黒星スタートです。
2日目は大関・豪栄道と対戦します。
大相撲初場所初日の12日、西前頭5枚目の炎鵬は北陸製菓(金沢市)の揚げあられ「ビーバー」のキャラクターをあしらった化粧まわしを着けて幕内土俵入りに臨んだ。
白星を飾った炎鵬は「(高崎憲親)社長も来ていたので、勝つ姿を見せられて良かった」と喜んだ。
化粧まわしは、ビーバーが炎鵬と同じ赤色の締め込みを着けているデザインとなっている。
高崎社長が金沢市西南部中時代に炎鵬の兄と同級生だったこともあり、北陸製菓が寄贈した。
炎鵬は幕内土俵入り直後に、白鵬の横綱土俵入りで太刀持ちを務めるため大慌て。
急いで化粧まわしを変えて横綱土俵入りに臨み、「久々に走った」と笑った。
高崎社長は「本当にうれしかった。取組も逃げずに前に出る姿勢が感じられて感動した。思わず叫んでしまった」と話した。
大相撲初場所2日目の結果です。
延岡市出身前頭十三枚目の琴恵光は、前頭十二枚目千代丸を押し出し今年の初白星。
1月14日は前頭十四枚目志摩ノ海との取り組みです。
成人の日に十両の土俵で20歳の琴勝峰と豊昇龍がそろって白星を挙げた。
昨年九州場所が新十両の琴勝峰は矢後を寄り切って連勝発進。
この日は師匠や関取衆とお祝いの食事会があるそうで、「勝ててよかった。昨年以上に躍進していきたい」と決意を述べた。
元横綱朝青龍のおいの豊昇龍は、元小結の千代鳳を押し出して新年初白星。
「きのうは本当に緊張していたが、これで自信がついた。今年はできるだけ番付を上げていきたい」と抱負を語った。
大相撲初場所(東京両国国技館)
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2020/01/13
結びの一番で、白鵬が先場所唯一、負けた新小結・大栄翔を料理して白星発進した。
立ち合いは張り差しで左四つに組み止めて、押し相撲の相手の長所を消すと、もがく相手を逃がすことなく前に出て慎重に片付けた。
「いいスタートが切れた。結び前で鶴竜関が負けていたので、締めていこうという気持ちだった。リベンジできて気分がいい」。
この日は横綱審議委員会(横審)が館内で見守った。
横審は白鵬が繰り出すエルボーのようなかち上げや張り手を批判している。
そんな中、館内にパチンという音が響き渡るほどの強烈な張り手をさく裂させるなど、新年初日からお構いなし。
最強横綱は「とにかく2020初白星で気分がいい」とご満悦だった。
まわしを欲しがりに行く立ち合いでは相手に圧力がかからない。
朝乃山が良かったのは、まず強く当たろうと心がけたこと。
それでも立ち合いは御嶽海の方が上で押し込まれた。
そこを辛抱して残した後、今度は引かれた。
前にバッタリ倒れてもおかしくないが、あれを残したのは普段のぶつかり稽古をしっかりやっているからだろう。
残した後は前傾姿勢を保ち右四つの形を作った。
上手こそ先に御嶽海に取られたが休まず攻めたからこそ、土俵際に詰まらせ自然と相手の上手が切れ、万全の体勢を作れた。
立ち合いの当たり、普段の稽古の蓄積、前傾姿勢、休まず攻め続けること。
御嶽海の引きで勝ちを拾った感もあるが、初日としては朝乃山の良さが全て出た内容だった。
小結や平幕上位と違い横綱、大関戦が後半に残る関脇の地位は初めて。
関脇に陥落した高安(田子ノ浦)は、玉鷲(片男波)に一方的に押し出された。
立ち合いで激しく当たろうとしたが、玉鷲の突きを浴びる。
右ののど輪一発で上体を起こされると、なすすべなく押し出された。
かど番の先場所、8日目から途中休場となり、3勝5敗7休で関脇に陥落した高安。
規定により今場所で10勝以上挙げれば大関復帰となる。
それだけに初日から勢いをつけたいところだったが、一方的な相撲で黒星スタートとなった。
日本相撲協会は12日、大相撲初場所を休場した西前頭3枚目の琴勇輝(28)=本名榎本勇起、香川県出身、佐渡ケ嶽部屋=の診断書を公表し、両肘の変形性肘関節症との内容だった。
師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)によると、20日に両肘の骨片を除去する内視鏡手術を受ける予定で、3月の春場所の出場を目指す。
人気の小兵・炎鵬が観衆の期待に応えた。
相四つの宝富士に左差しを警戒しながら、左を差し込み、頭をつけて土俵際まで寄った。
相手の上体が伸びたところで下手投げ。
69キロ重い相手を転がすと、会場の声援を一気に浴びた。
「先場所と比べても声援も(自身のしこ名が書かれた)タオルもすごく増えた」と感謝。
「ファンの皆さんのためにいい相撲を取れるように毎日やっていきたい」と力を込めた。
場所前のけいこ中に同部屋の宝香鵬とケンカ騒ぎを起こして減俸とけん責処分を受けた石浦は、千代大龍のもろ手突きに飛ばされて土俵の外へ。
黒星発進に「やってはいけないことをやってしまって、反省するのはもちろん、それでも応援して下さる方のために、いい相撲を取りたい」と神妙な面持ちで話し、「相撲とか生き方、これからの人生、言葉じゃなくて行動で示さないと」と誓った。
新入幕の東前頭17枚目霧馬山(23=陸奥)が、土俵際の大逆転による白星で幕内デビューを飾った。
十両だった先場所で敗れた、西前頭17枚目魁聖(33=友綱)との顔合わせ。
もろ差しを許して土俵際まで追い詰められたが、首投げから右に回り込むと、魁聖は勢い余って土俵外へ。
決まり手「引き落とし」で幕内1勝をもぎ取り「最後は(勝ったか)分からなかったけど、先場所負けていたので今日は負けたくなかった」と、支度部屋で満面の笑みを見せた。
十両を5場所で通過して幕内の土俵に立ち「お客さんがすごい。十両と全然違う。いつもより緊張した」と、会場の雰囲気に圧倒された。
兄弟子の横綱鶴竜による土俵入りでは露払いを務めた。
場所前は稽古後に、横綱とともに露払いを何度も練習したという。
「ダメなところがあったらどうしようと思ったけど、今日は良かった」と、胸をなで下ろした。
取組後はNHKのインタビュールームで幕内初勝利の喜びを語った。
モンゴル出身の23歳。
初土俵から約5年で、まだ日本語はたどたどしく、付け人の兄弟子に「ちょっと何言ってるか分からないところもあった」と突っ込まれ、苦笑いを浮かべていた。
朝乃山は一瞬の勝機を逃さなかった。
立ち合いの当たりは御嶽海の方が良かったが、土俵際まで押し込まれたところで相手が引いてくれた。
あの場面で御嶽海が引かなければ、朝乃山は防戦一方だっただろう。
御嶽海にすれば、あそこまで押し込んだのだから、簡単に引き技を食うだろうと安易に考えたのではないか。
最後の攻めというか、詰めが甘い。
一方の朝乃山は御嶽海が呼び込んでくれたおかげで、右を差してすぐに反撃に出ることができた。
左でまわしを引きつけながら前に出て寄り切った。
立ち合いから攻め込まれたことは本人としては納得できないかもしれないが、勢いのある相手に初日に勝てたのは大きい。
本人は2桁白星を目標にしているようだが、今場所は先場所休場した力士が全員出てきている。
一日一番。目の前に集中し取り切る心構えでいけばいい。
休場明けの横綱・鶴竜が人気者の遠藤に敗れ黒星スタートとなった。
馬力のあるタイプではない遠藤に立ち合いから押し込まれ、土俵際で足を送りながら相手の押しをかわしていたが、最後は足の先が蛇の目についた。
物言いがついたものの行司軍配通りで、金星を配給する痛い1敗を喫した。
館内の役員室で見守った八角理事長(元横綱・北勝海)は「この辺が相撲勘。初日は大事。特に休場明けはね」と横綱らしくない相撲内容に物足りなさそうに話した。
勝った遠藤の取口については「立ち合いは積極的だったよね。いなしも効いた。(横綱の)バランスを崩したよね。肘も伸びていた」と評価した。
場所前の横審稽古総見では鶴竜が元気なところを見せていたが「稽古と本場所は違う。稽古場でいいと本場所で大事に取ろうとする。思い切りがなくなるというかね」と見解を示した。
その一方で、総見などの稽古で横綱相手に力を出し切らない力士に対し「もう少し力を出さないといかんわな。力を出さないと大関(に上がるの)は難しい。稽古で(横綱相手に)力を出して、何番か勝って、だんだんと力をつけていくもの。やらなきゃダメなんだ。そういう時に要領を使って力を抜いてちゃ相撲にならない」と苦言を呈していた。
大相撲初場所は2日目、2場所連続の優勝を目指す横綱 白鵬は、平幕の遠藤と対戦します。
先場所43回目の優勝を果たした横綱 白鵬は、12日の初日、先場所敗れた新小結 大栄翔を厳しい相撲で退け、平成29年以来の連覇に向けて順調に滑り出しました。
2日目の13日は、前頭筆頭の遠藤と対戦します。
過去の対戦成績は、白鵬が11勝1敗と大きくリードしています。
先場所の取組では、白鵬が立ち合いで左から張ったあと、右からのかち上げで遠藤の動きを完全に封じて勝ち、場所後の横綱審議委員会で苦言が出るなど横綱の取り口が物議を醸しました。
場所前の稽古総見でも相手にかち上げを見せていた白鵬が、遠藤に対してどのような立ち合いを見せるのか注目が集まります。
一方、先場所小結で11勝を挙げた新関脇 朝乃山は前頭3枚目の玉鷲との対戦です。
押し相撲に威力がある玉鷲に対し、朝乃山は過去1勝3敗と負け越しています。
大関昇進への足固めをしたい朝乃山は、優勝経験がある実力者を相手に得意の右四つに持ち込めるかが勝負の鍵を握ります。
2場所連続休場明けの横綱 鶴竜は初日に黒星を喫し、13日は小結 阿炎との一番です。
休場明けとはいえ、初日から連敗となれば一気に暗雲が立ちこめるだけに、まずは今場所初白星を挙げて流れをつかみたいところです。
日本相撲協会が大相撲初場所初日の12日、風邪やインフルエンザ予防策として、東京・両国国技館内の支度部屋や審判部室などの前に注意喚起の紙を張り出し、手の消毒液を置く措置を講じた。
東西の支度部屋の出入り口付近には張り紙で、うがいや手洗いの徹底、マスク着用の協力などを訴えた。
4年前の初場所では力士らにインフルエンザによる休場者が続出。
昨年12月の冬巡業はインフルエンザによる離脱者が相次いだ。
八角理事長(元横綱北勝海)は「1人がかかると周囲に迷惑がかかってしまう。少しでも防げれば」と話した。
大好きな阪神タイガースをしこ名にする西序二段32枚目の朝阪神(19)=高砂=が多良浪(立浪)に寄り倒され、黒星発進した。
1度目の立ち合い、突っかけて、2度目は左に動いた。
相手に付いて来られ組まれてると力が出せなかった。
「変なことしなければ良かった。思い切りいければ良かった。一気に持っていかないと厳しい」と悔やんだ。
大阪府泉大津市出身で幼少期よりプロ野球・阪神の大ファン。
18年春場所、朝塩本から改名した。
今年は「植田に期待」と好守の植田海に注目する。「何とかAクラス。外国人が打てば」と、控えめに予想した。
自身も本家に負けず、上だけを見る。
「まだ6日間ある。まずは勝ち越し。今年こそ三段目にいかないとダメ。頑張ります」と切り替えた。
大相撲初場所(東京両国国技館)
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2020/01/12
大相撲初場所(東京・両国国技館)の初日を翌日に控えた11日、同所で恒例の土俵祭りが行われ、三役以上の力士が出席した。
2場所連続となる44度目の優勝を目指す横綱白鵬(34=宮城野)は、初日で新三役の小結大栄翔と対戦。
優勝した先場所で唯一敗れている相手に、連敗は許されない。
17年以来3年ぶりの年間最多勝を視野に、まずは20年最初の場所で好スタートを切る。
昨年の夏場所以来、4場所ぶりに東横綱の“定位置”に就いた白鵬は淡々としていた。
「(東西で)目線も変わってくるし、土俵入りも変わってくる。その辺を思い出してやっていきたい」。
この日は土俵祭り出席後、国技館のエントランス前で九州場所の優勝額を贈呈された。
「あとはやるのみです」。スイッチが入ったかのように、緊張感を漂わせた。
初日は突き押し相撲のホープ、大栄翔を迎え撃つ。
九州場所では立ち合いのかちあげが不発で、一方的に押し出された。
6日の横綱審議委員会(横審)による稽古総見では、三番稽古でその大栄翔を指名して相撲を取った。
「いろいろ試してみたかった」と、横審委員から批判を浴びているかち上げを多用。
大栄翔の出足を止めて12番を全勝と圧倒し、本場所へのイメージを膨らませた。
白鵬にとって、初場所は年6場所の中で最も優勝回数が少ない。
昨年も初日から10連勝と賜杯へ一直線だったが、3連敗して失速すると右膝の違和感などで無念の途中休場。
15年以来5年ぶりとなる5度目の優勝を飾り、相性の悪さを拭い去りたい。
「(今年の3月で)35歳になる。35歳で年間最多勝というのがあってもいいのかもしれないね」。
年6場所制となった58年以降では、59年に年間最多となる77勝を挙げた34歳の元横綱栃錦が最年長。
数々の記録を塗り替えてきた第一人者は、新たな記録をモチベーションに20年を出発する。
大相撲初場所(12日初日、東京・両国国技館)を翌日に控えた11日、同所で恒例の土俵祭りが行われ、三役以上の力士が出席した。
大関貴景勝は平常心で初日に臨む。
前日の土俵祭りを終えた心境を「普通ッス」と表現した。
昨年はケガもあり大関昇進、陥落、大関復帰と激動の1年を過ごした。
今年は目標の綱とりへ、まずしっかり足場を固めていきたい。
初日は妙義龍だが「しっかり集中してやるだけ。ケガのないよう、していきたい」と大関の地位をまっとうすることを誓った。
大相撲初場所(東京・両国国技館)の初日を翌日に控えた11日、同所で恒例の土俵祭りが行われ、三役以上の力士が出席した。
新関脇として土俵祭りに参加した朝乃山は「気持ちは変わりません。15日間自分の相撲を取るだけです」と平常心だった。
昨年は夏場所で初優勝し、秋場所から2場所連続2桁勝利中。
勢いに乗って迎える初日の相手は、過去1勝3敗と合口の悪い前頭の御嶽海。
「気持ちは先場所と同じ。挑戦者として相撲を取るだけです」と番付は気にせず1日一番に集中する。
右脚の負傷で状態が不安視される小結・阿炎について、師匠の錣山親方(元関脇・寺尾)は東京都江東区の錣山部屋で「大丈夫。(初場所に)出られますよ」と説明した。
4場所連続小結の阿炎は7日の出稽古で相撲を取った際に右膝付近をひねるような体勢になり、途中で稽古を切り上げていた。
病院での検査結果も踏まえ、出場の判断をしたという。
関脇だった昨年九州場所で負け越して18場所ぶりに三役から平幕に陥落した御嶽海(27=出羽海)は、昨年秋場所の優勝額贈呈式に出席した。
「またこの気持ちを味わいたい」と自身3度目の優勝へ意気込んだ。
朝乃山との新旧関脇対決に向けて「楽しみ。負けるわけにはいかない。自分は27歳で今が一番力が出ると思う」と1学年下の相手に対抗心を燃やした。
日本相撲協会は10日、人気小兵力士の西前頭5枚目炎鵬(25=宮城野)に、初場所で初めて15日間指定の懸賞がつくことを明らかにした。
自身がCM出演して話題となった「そごう・西武」など、4社から指定の懸賞がついて合計62本。
担当者によると昨年九州場所での指定懸賞数は1桁台だったというが、番付を上げるとともに人気も上昇。
力士指定懸賞は大関貴景勝が唯一の100本超えとなる218本で最多。
申込み総数は2021本となった。
12日に初日を迎える大相撲初場所(東京・両国国技館)を前に、前頭七枚目の松鳳山(二所ノ関)がインタビューに応じた。
8勝7敗で勝ち越した九州場所については「身体も動いてすごいよかった」と振り返りながらも「勝ち越してから連敗したので、そこがよくなかった」と反省も口にした。
6日目の炎鵬(宮城野)戦については「(変化のことは)あんまり頭になかったですね。でも土俵から飛び出すかと思いました。やばい!みたいな。俵が一気に迫ってくる感じだったので、よく止まれて振り返れたなと思います」と振り返った。
今年の抱負については「1年通してケガをせずにいい相撲を取り続けられて、若手みんな上がってきてますから、その若手に負けないような元気な相撲を取れればいいかなと思います」と語っている。
石浦は所属する宮城野部屋で4日に行われた朝稽古中、兄弟子の幕下・宝香鵬にダメ押しをされたことに立腹して膝蹴りや拳で殴るなどし、宝香鵬もこれに応戦したことで殴り合いの喧嘩に発展。
これを受けて協会はコンプライアンス委員会からの意見も踏まえ、9日の臨時理事会で処分を決定するとしていた。
協会が定める暴力禁止規定では、関取の暴力は1場所出場停止が基準とされている。
しかし、9・10日の各メディアの報道によると、協会は石浦を1場所出場停止にはせず、1カ月の報酬減額(20%減)とけん責処分に。
また、応戦した宝香鵬についてもけん責処分のみにとどめたため、両名は共に初場所へ出場する見込みであるという。
基準より軽い処分を下した協会に対し、ネット上のファンは「処分が甘すぎる、こんなのお咎めなしと変わらないじゃないか」、「石浦が先に仕掛けたんだから、基準通りの出場停止が妥当だろ」、「こんな処分で済ませてたらまた同じようなことが起こるぞ」と反発。
同時に、「貴ノ富士と扱い違いすぎるだろ」、「拓郎よりも軽い処分なのは意味不明」、「貴ノ富士や拓郎と比べても明らかに不公平な処分」と、元十両・貴ノ富士や元立呼び出し・拓郎を絡めた批判も複数寄せられている。
「貴ノ富士はしこ名が『貴公俊』だった2018年3月に付け人への暴力により1場所、拓郎は2019年10月に後輩呼び出し2名へ手を上げたことにより2場所の出場停止処分を受けています。協会に異議を唱えるファンは、今回の処分内容が過去の事例と比べて『フェアじゃない』という思いを抱いているようです」
処分を伝える報道の中では、協会やコンプライアンス委員会が“石浦、宝香鵬は共にこれまで暴力を振るったことはない”、“両名に怪我はなくどちらも猛省している”、“いじめや制裁といった要素もない”といった事柄を理由に、今回の一件を「悪質性は高くない」と判断したと伝えられている。しかし、その判断に納得していないファンも多いようだ。
大相撲初場所は12日に東京・両国国技館で初日を迎える。
石川・七尾市出身の西前頭11枚目・輝(25)=高田川=は、2020年の目標に「三役、金星、優勝」を掲げた。
10年春場所で初土俵を踏んでから間もなく10年。
輝にとって節目の1年が始まった。「もたもたしている場合ではない。(10勝した)先場所でいい相撲が取れたが、今場所それを出さないと」と気合を入れた。
1学年上で、富山市出身の関脇・朝乃山(25)=高砂=が昨年夏場所で優勝したことが、刺激となった。
16年春場所で初土俵の朝乃山は年上だが、角界では輝が兄弟子だ。
それだけに「同年代が優勝すると、うらやましいし、悔しい。自分も優勝したい。まだ三役(経験)も金星もないので」と活躍を誓った。
飛躍の年にするためにも、好発進したいところ。
「やるからには誰にも負けるつもりはない。目標は優勝だが、2桁勝ってもっと上に行きたい」と闘志を燃やした。
日本相撲協会審判部は10日、東京・両国国技館で取組編成会議を開き、同所で開催される大相撲初場所(12日初日)の、初日と2日目の取組を発表した。
前任の阿武松部長(元関脇益荒雄)の退職で空席となっていた審判部長を、代理で務めることになった九州場所担当部長の境川理事(元小結両国)も会議に出席。
「横綱、大関にとっては(三役以下の)上位が元気だから、初日からたいへんでしょう。面白い取組になるのでは」と熱戦を期待した。
次期大関候補と目される新関脇の朝乃山(25=高砂)については「誰と当たっても力は拮抗している。頭1つ、2つ抜けているのはいない」と若手成長株とはいえ、飛び抜けた存在でないことで混戦にも期待。
「いかに上手に出だしを行く(滑り出す)かがカギ」と見通しを示した。
9度目のかど番で臨む愛弟子の大関豪栄道(33)については「尻上がりに良くなっている」と期待を込めた。
平成から令和へと元号が変わった昨年納めの場所を制したのは、34歳の横綱白鵬だった。
世代交代が叫ばれている昨今だが、43度目の優勝を果たした先場所の相撲内容を見る限り、他の力士との実力差は依然として大きな開きがあると言わざるを得ず、いまだ若手にとって大きな壁として立ちはだかっている。
遠藤戦のかち上げは物議を醸したものの対戦相手によってさまざまなバリエーションを見せる立ち合いからは、強さだけでなく誰よりも研究熱心であることも垣間見える。
1月6日に行われた横審稽古総見では先場所唯一、黒星を喫した新小結の大栄翔を稽古相手に指名すると計12番。
右からかち上げて相手の出足を封じて四つに組み止めるといった万全の内容で圧倒した。
現役最強ではあるが幕内最古参の白鵬。
場所前の調整ぶりから白鵬にこれと言った死角は見当たらない。
しかし、連覇となると2年半前の平成29年7月場所まで遡らないといけない。
しかも39回目の優勝を果たしたこの場所以降、賜盃を抱いた翌場所は休場というパターンが続いている。
現役最強ではあるが幕内最古参でもあり、優勝で場所を締めたときの代償は体力的にも小さくなく、ケガや疲労からの回復力が全盛期に比べて衰えているのかもしれない。
また、前半で星を1つ、2つ落とすとモチベーションが大きく低下するのか、休場を決め込む傾向にもある。
新たに「優勝50回」という目標を公言したが、適度に休場を挟みながら万全に仕上げた場所のみに出場していけば、その良し悪しはともかく不可能な数字ではないだろう。
横綱鶴竜は「年6場所皆勤」目標。
対照的に2場所連続休場から再起を期す横綱鶴竜は「年6場所皆勤」を今年の目標に掲げる。
しっかりと土俵を務めれば、優勝回数もおのずと積み重ねることができるということだろう。
稽古総見では遠藤、御嶽海、大栄翔を相手に計12番を完勝。
翌日も出稽古先の時津風部屋で同じく出稽古に来ていた新関脇朝乃山と10番を取って全勝だった。
低く鋭い立ち合いから左前褌を取って相手の右差しを封じ込めながらの攻めは相変わらず力強い。
3場所ぶりの賜盃奪還に向けて充実ぶりがうかがえるが、場所では1つの黒星をきっかけに大きく崩れることも珍しくなく、そのあたりが気がかりだ。
朝乃山は一気に大関取りムードへ。
1月場所最大の注目は三役での連続2桁勝ち星を目指す朝乃山だ。
新三役の先場所は白鵬と優勝を争って11勝。
今場所は大関取りに向けて足場をしっかり固めたいところ。
場所前は前述した鶴竜や元横綱稀勢の里の荒磯親方との稽古で“惨敗”を喫したが、それも決してマイナスではない。
「馬力だけでは勝てない。前傾姿勢で体を起こさないように意識しないと。悪いところを少しずつ直していきたい」と貪欲に語る。
横綱を倒してハイレベルの結果を残せば、一気に場所後の大関取りへとムードも高まるだろうが「一日一番しっかり自分の相撲を取り切ることだけ考えている。常に挑戦者の気持ちで挑む」と気負いはない。
朝乃山相手に堂々の押し相撲。
優勝争いに絡みそうなのが大関貴景勝と関脇高安だ。
大関復帰を果たした先場所は9勝に終わった貴景勝だが、稽古総見では朝乃山を相手に10番を取って6勝4敗。
内容的にも四つに組ませず押し込むなど優勢だった。
1月8日、尾車部屋で行われた二所一門の連合稽古でも高安と10番肌を合わせ、相手の強烈なかち上げにも上体が起きることなく、下から押し上げる本来の相撲を取り切った。
貴景勝「常に優勝をどん欲に目指していかないと」
現在の貴景勝は、昨年に負った右膝や左大胸筋のケガの影響も全く感じさせず、「今場所は不安なく久しぶりに本場所を迎えられる」と体調面が好調であるばかりか「最後の番付になるためには優勝しかあり得ない。常に優勝をどん欲に目指していかないといけない年」と気力も充実。
さらに上の地位も見据えている。
高安「優勝争いに加わって初場所を面白く」
貴景勝との稽古ではやや引けを取ったが、高安も元気なころの取り口が戻ってきた。
15場所務めた大関から陥落し、今場所で10勝以上挙げれば返り咲きとなるが「千秋楽までしっかり優勝争いに加わって初場所を面白くしたい」と初賜盃も視野に入れる。
他にも三役には阿炎、新小結大栄翔が顔を揃え、さらに平幕上位には北勝富士、御嶽海ら若手がひしめくが、両横綱の盤石ぶりばかりが際立った稽古総見を見た八角理事長(元横綱北勝海)は彼らについて「みんなおとなしい」と思わず漏らした。
待っているだけでは世代交代はやって来ない。
次世代力士には更なる奮起が求められる。
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2020/01/11
大相撲初場所(12日初日)の取組編成会議が10日、東京・両国国技館であり、初日と2日目の取組が決まった。
2019年11月の九州場所で43回目の幕内優勝を果たした横綱・白鵬は、初日は九州場所で唯一敗れた新小結・大栄翔、2日目は遠藤と対戦する。
九州場所まで2場所連続休場の横綱・鶴竜は初日が遠藤、2日目が小結・阿炎に決まった。
日本相撲協会は10日、東京・両国国技館で取組編成会議を開き、大相撲初場所(12日初日、両国国技館)の幕内と十両、2日目の幕内の取組を決めた。
初場所の成績次第では大関取りの機運が高まる新関脇・朝乃山(25)=高砂=は、初日に前頭2枚目まで番付を下げた実力者・御嶽海(27)=出羽海=、2日目は東前頭3枚目・玉鷲(35)=片男波=と対戦。
幕内優勝経験のある難敵が待ち受ける序盤となった。
この日、朝乃山は都内の高砂部屋で朝稽古に励んだ。
本場所で使用する紫の締め込み姿で四股やすり足などで調整。
最後は入念に立ち合いの確認を行った。
初日に御嶽海戦が組まれたことに「いきなりですね。初日から気合を入れていかないといけない。自分には右四つの形があるし、命をかけても(右四つに)なるという気持ちで、初場所に臨みたい。初日からピークに持っていく」と表情を引き締めた。
大相撲初場所が、明日12日から始まります。
3年ぶりに三役から落ち、平幕で迎える御嶽海は、上を目指し「挑戦者で行く」と意気込みを語りました。
「(仕上がりは)悪くは無いと思います。しっかり稽古を積んでこられたので、結果につながれば」
去年は、9月場所で2度目の優勝を果たし、次の九州場所で大関とりに挑みましたが、結果は6勝9敗の負け越し。
17場所続いた三役から陥落し、初場所は3年ぶりの平幕・前頭2枚目で挑みます。
「ずっと三役守ってきて、大関になれるかもしれないという重圧はなくなった。守ることもなくなったので。また新たに上を目指してやれるんじゃないかと思う」
御嶽海が今年、重点を置いているのが立ち合いです。
持ち味の押し相撲の鋭さを取り戻すため、立ち合いのスピードを意識し、稽古を重ねています。
「足の踏み込みが弱くなっていると思っていたので、踏み込みをどれだけ早く出せるかは意識した」
三役復帰がかかる初場所。
挑戦者の気持ちで臨み、巻き返しを狙います。
「落ちたからこそ得るものもあったので、上を目指して頑張るだけ。挑戦者で行きますよね。番付は上ばっかりなので、立ち向かう、胸借りるつもりで行きたい」
大相撲の平幕で、小豆島町出身の琴勇輝が12日、初日を迎える初場所を休場することになりました。
琴勇輝は先場所で8勝7敗と勝ち越し、12日、初日を迎える初場所では、番付を上げて西の前頭3枚目となっていました。
師匠の佐渡ヶ嶽親方は「以前から痛めていた両ひじの状態が悪く、ぎりぎりまで出場を目指して頑張ったが休場させることにした」と話していました。
日本相撲協会は9日、朝稽古中にけんかをした宮城野部屋の西前頭10枚目石浦(29)=本名石浦将勝、鳥取県出身=を報酬減額(1カ月、20%)とけん責、西幕下16枚目宝香鵬(30)=藤田宏作、埼玉=はけん責の懲戒処分とした。
東京・両国国技館で臨時理事会を開き、コンプライアンス委員会の答申通りに処分を決めた。
協会の暴力禁止規定では、稽古中に握り拳で殴るなど禁じ手を故意に暴力として用いる行為を禁止している。
関取の暴力事案の処分は出場停止1場所が基準だが、相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「過去の事案は(立場が)上の者が下の者に継続して行っていたが、今回は気合が入り熱くなった中で起きたという点で違う」と説明した。
その場にいて防げなかった師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)には報酬減額(3カ月、20%)の処分を科した。
両力士は4日に宮城野部屋で三番稽古をした際、駄目押しをされた石浦が立腹して膝蹴りするなどし、宝香鵬が応戦して殴り合った。
日本相撲協会は10日、大相撲初場所(12日初日、両国国技館)の懸賞の申し込み本数を発表し、個人最多は大関・貴景勝(千賀ノ浦部屋)で218本だった。
2位の大関・豪栄道(境川部屋)の92本を大きく引き離し、昨年秋場所から3場所連続のトップとなった。
幕内5場所目で自己最高位の西前頭5枚目となった炎鵬(宮城野部屋)は新規申し込みとなった「そごう・西武」「御福餅本家」など4社から初めて15日間通しの懸賞がつき、計62本で個人4位まで浮上してきた。
新関脇・朝乃山(高砂部屋)は48本だった。
琴勇輝の休場により取りやめた懸賞を除いた全体の本数は2021本で、昨年初場所の2127本からは幾分減った。
結びの取組を指定した懸賞は約400本だった。
12日に初日を迎える大相撲初場所。
最大の注目は新関脇の朝乃山だ。
先場所は小結で11勝を挙げており、来場所を「大関取り」の場所にするためにも2桁勝利が期待される。
優勝に準ずる成績を収めれば、今場所後の大関昇進の可能性もある。
この日は東京都墨田区の高砂部屋で朝稽古を行い、立ち合いの踏み込みを入念に確認した。
初日の御嶽海、2日目の玉鷲はともに過去1勝3敗と苦しんでいる難敵。
「体は動いている。初日から気合を入れていかないと」と気を引き締めた。
優勝争いは不安要素が見当たらない白鵬が軸になりそうだ。
鶴竜は昨年末からしばしば熱が出るなど体調面に苦しんだ。本人は「問題ない」と話すが、影響がどう出るか。
大関昇進後は負傷が続いた貴景勝は久々に順調に稽古をこなし、「優勝しないと」と力を込める。
左足首の負傷で先場所休場した豪栄道は「だいぶ戻ってきた」と状態は上向きだ。
大関復帰を狙う高安も稽古で元気な姿を見せており、台風の目になり得る。
友風は先場所痛めた膝の怪我で休場。
先場所の時点で全治未定で尾車親方も1年はかかると話していた。
前任の阿武松部長(元関脇益荒雄)の退職で空席となっていた審判部長は、九州場所担当部長の境川理事(元小結両国)が代理で務める。
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2020/01/10
大相撲の白鵬(宮城野部屋)が8日、東京都墨田区の時津風部屋に出稽古し、白鵬は新入幕の霧馬山(陸奥部屋)、平幕・正代(時津風部屋)と17番取って全勝。
白鵬は最初に霧馬山を指名して5番取り、右からのすくい投げ、左上手投げなどで転がした。
相手を正代に代えると、四つに組んで出る相撲が多くなり、立ち合いで相手の圧力がかかっていないと感じると「当たれ」と奮起を促した。
最後はもろ手突きからの攻めも見せた。
ぶつかり稽古では元横綱・朝青龍のおいで十両の豊昇龍(立浪部屋)をたっぷりと鍛えた。
鶴竜(陸奥部屋)横綱が8日、東京都墨田区の時津風部屋に出稽古し、鶴竜は平幕・北勝富士(八角部屋)と15番で12勝3敗だった。
発熱のため6日に点滴を受けた鶴竜は左上手を狙う攻めを繰り返した。
まわしに手が届かず3敗したものの「(体調は)回復に向かっている。まだ100%ではないけど。場所までには問題ない」と焦りや不安はない。
腰痛のため九州場所は急きょ初日に休場した。
腰に負担をかけないようにするため減量に着手。
「九州場所で160キロ台だったのが今は153キロぐらい。あと2、3キロ増やしたい。腰回りを絞ってから増やした方がいいと思ったから」と説明した。
2日連続で出稽古に来た新関脇の朝乃山は5番取っただけで2勝3敗だった。
出稽古はこの日で打ち上げになるもようで「あとは気持ち。体調管理をしっかりして、初日までもっていくだけ」と話した。
大関として迎える初めての新年。
貴景勝は自覚十分に言い切った。
「優勝しないと始まらない番付。毎場所、優勝という高い目標を立て、それに向かってやっていきたい」。
相撲界を背負う看板力士となり、賜杯の先にある綱とりも意識する。
春場所後に大関に昇進した昨年は相次ぐけがに苦しんだ。
夏場所で右膝を痛め、秋場所の優勝決定戦では左胸を負傷。
大関として唯一、皆勤した九州場所も万全ではなかったが、状態も変わった。
「けがの不安なく本場所に臨める。最後の番付を目指せるようにやりたい」と言い、自分の相撲に集中できる環境が整ってきた。
6日にあった横綱審議委員による稽古総見では、大関候補の朝乃山と三番稽古。
持ち前の低い姿勢で攻め、本来の突き押しではなく、もろ差しを果たす場面もあった。
「理想は(当たって)そのまま持っていくことだが、本場所では押し切れないところも出てくる。応用できればいい」。
8日には、手合わせした高安に優勢。
けがからの回復を優先した最近数場所とは異なり、稽古内容も充実してきている。
白鵬、鶴竜の両横綱が30代半ばとなり、角界の世代交代が待たれて久しい中、貴景勝は番付の頂点へ最も近い存在と言える。
「自分は体が大きくないので人より負担が大きい。何年後までに(横綱)と条件を甘くするとよくない」ときっぱり。
強い覚悟を胸に前進する。
左足首を痛めて先場所2日目から休場し、初場所(12日初日、東京・両国国技館)をかど番で迎える大関豪栄道(33=境川)は、幕内上位を相手に7勝2敗と復調をアピールした。
6日、東京・両国国技館で行われた横綱審議委員会(横審)の稽古総見に参加。
小結阿炎、東前頭筆頭遠藤、西前頭4枚目正代と3番ずつ取った。
最後に指名した正代には、疲労もあって1勝2敗だったが、阿炎、遠藤には負けなし。
「いろんなタイプとやりたかった。(状態は)思ったよりはいい」と、収穫を口にした。
昨年末までは基礎運動などを中心に、相撲を取る稽古は行っていなかった。
4、5日と同部屋の前頭佐田の海と相撲を取っており、他の部屋の力士と相撲を取ったのは、休場前の先場所初日以来、約2カ月ぶりだった。
手応えと課題の割合については「半々かな」と、まだ物足りなさも感じている。
それでも「先場所は、場所前の調子が良すぎたから」と笑顔で話し、しり上がりに仕上げ、上り調子のまま、まずはかど番脱出をクリアするつもりだ。
ひと皮むけた朝乃山に次期大関の期待が高まっている。
昨年は夏場所で初優勝し、九州場所では新小結の重圧を感じさせずに11勝を挙げた。
三段目100枚目格付け出しデビューから4年で関脇まで昇進した中、「もう一つ上の番付に上がれば自信が確信に変わる」。
貪欲な姿勢は変わらない。
苦手だった突き押しの相手も克服しつつある。
すぐに左上手を取れなくても焦らず、圧力をかけて得意の右四つに持ち込めるようになってきたが、5日の田子ノ浦部屋への出稽古では新たな課題を突き付けられた。
けんか四つの荒磯親方(元横綱稀勢の里)との三番稽古は1勝16敗と散々だった。
左おっつけで差し手を封じた荒磯親方は「まだ右脇が緩んでいる。上位の力士はつけ込んでくる」と指摘。
「悔しかった。白星を届けて恩返ししたい」と発奮させられた。
関脇は横綱、大関戦が勝負どころの場所後半に組まれるだけに「疲れがピークにくるとき。もっと体力をつけないといけない」。
食事や睡眠から見直す必要性も感じている。
師匠の高砂親方(元大関朝潮)が12月で定年を迎える。
今年中に使者を迎えたい思いは強く、「初場所が大事になる。絶対に自分の形にして、毎日攻め切りたい」。
右四つの完成度を追求することが、大願成就への近道となる。
大関復帰を目指す高安が8日、東京都江東区の尾車部屋で行われた二所ノ関一門の連合稽古に参加し、大関貴景勝とは10番取った。
劣勢が目立った中、本来の力強い当たりから押し出す場面も。
「内容の悪いところはあったが、全体的には良かった。膝がしっかり曲がり、浮つかない相撲が多かった」と納得の口ぶりだった。
昨年の名古屋場所で左肘を負傷。
その影響も残った九州場所は腰痛を発症して途中休場し、大関の座を明け渡した。
返り咲きの条件となる2桁白星に向け、「番付も落ちたので初心を思い出してやりたい。力強く、冷静に15日間、ベストを尽くしたい」と意気込みを示した。
大栄翔が掲げた2019年の目標は「三役昇進」「初の三賞」「初金星」だった。
東前頭筆頭で臨んだ一年納めの九州場所で勝ち越し、優勝した白鵬に土をつけて殊勲賞も獲得。
「全部かなって、すごくよかった」。念願の新小結で新年を迎えるにあたり、口ぶりにも自信がにじんだ。
その19年の夏場所には、埼玉栄高の後輩に当たる貴景勝が新大関として土俵に上がり、同学年の朝乃山は初優勝。
身近な力士の活躍を目の当たりにした。
26歳となり、「もう若くない」と自らに言い聞かせた。
膨らんだ危機感を抱えながら自分の取組映像を見返すと、武器の突き押しで攻め込んだ末に苦しくなってはたいたり、安易な四つ相撲に頼ったりして、流れを悪くしているのに気付いた。
「今のうちしかできない。稽古しないと駄目」。
そう肝に銘じ、疲労が蓄積した状況でも、我慢して押し切ることを意識して励むようになったという。
6日の横綱審議委員による稽古総見では、白鵬と鶴竜の胸を借りた。
かち上げや張り手、左四つなど横綱の多彩な攻めを受け、みるみる砂まみれに。
「そんなに甘くはない」と改めて痛感した中、「きょう学んだことをしっかり修正してやっていきたい。いろいろ恩返しができるようにしっかり頑張りたい」と意を決した。
大きな壁を前にしても臆せず、歩みを止めない気概を示した姿に確かな成長の跡が見える。
7日の出稽古で右膝付近を痛めていた小結・阿炎(錣山)は、初場所に出場する見通しとなった。
8日に行われた二所ノ関一門の連合稽古は欠席し、同日に病院で受診。
関係者によると出場へ強い意欲を示しているという。
2013年夏場所の初土俵からこれまで休場はなし。
当初は足を引きずりながらの歩行だったが、足の痛みなども快方に向かっているという。
人気小兵の炎鵬は都内の友綱部屋への出稽古で、初場所に向けた本格的な調整を終えた。
申し合いで十両旭大星らと12番取り、ぶつかり稽古ではともに出稽古に来た兄弟子の横綱白鵬に約10分間胸を借りた。
「やれることはやった」。
年が明けてから、自身が起用されている百貨店のCMがインターネットなどで流れている。
初のCM起用に「自分ではない不思議な感じ。(CMが)きっかけになって相撲でみせられるようにしたい」と話した。
日本相撲協会は9日午後、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、大相撲初場所(12日初日・両国国技館)に向けた4日の稽古中、同じ相手と連続して相撲を取る三番稽古で、ともに拳を振り挙げ暴行騒動を起こした、宮城野部屋の幕内力士で西前頭10枚目の石浦(29)と幕下の宝香鵬(30)、及び師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)への処分を決めた。
宮城野親方は3カ月20%の報酬減額、石浦は1カ月20%の報酬減額とけん責の併科、宝香鵬はけん責の、それぞれ処分が下された。
3人は理事会に個別に呼ばれ、それぞれ通知された。
同協会はこの案件について、コンプライアンス委員会(青柳隆三委員長=弁護士)に調査と処分意見の答申を委嘱。
前日8日までに関係者の事情聴取を終え、この日午前、同所で行われた同委員会で答申をまとめた。
これを受けて臨時理事会が開催され、処分が決まった。
同委員会は、2人の行為は稽古の範疇を逸脱し暴力禁止規程第4条の「稽古中において、握り拳で殴るなど、審判規則禁じ手反則第1号に掲げる禁じ手を故意に暴力として用いる行為」に該当すると判断した。
一方で<1>だめ押しがきっかけとなった突発的な暴力<2>双方にけがはなかった<3>過去に暴力を振るったことや両者間のトラブルトラブルはなかった<4>暴力の継続性、反復性はなく、いじめや制裁など陰湿な要素はない<5>両名の深い反省の態度、など悪質性は高くない事案、と指摘した。
過去の処分例から、関取の暴力事案は出場停止1場所が基準だが、これらの理由から石浦については、最初に膝蹴りをしたことや幕内力士である点などから併科が妥当、宝香鵬については石浦に応戦した側面からけん責が相当との処分意見を答申した。
また宮城野親方については、暴力の場面を見落としたこと、過去に監督責任を問われた処分歴があるにもかかわらず、本件の防止、抑制に適切な対応を怠ったとして報酬減額が相当とした。
今後の対応については、2月に行う「研修ウイーク」で師匠、力士に対し、稽古の範疇を逸脱した禁じ手の応酬が2度と起きないよう注意、啓発を行うとしている。
またコンプライアンス委員会は、再発防止の観点から宮城野部屋の視察を実施するという。
大相撲初場所(12日初日、東京・両国国技館)で新入幕の霧馬山(23)が9日、東京都墨田区の時津風部屋に出稽古に行き、勝った力士が次の対戦相手を指名する「申し合い稽古」で15番取り9勝。
九州場所で11勝を挙げて敢闘賞に輝いた正代(28)らを次々と破り、「体がよく動いた」と笑顔を見せた。
霧馬山は十両5場所目で西5枚目だった九州場所で11勝。
4人による優勝決定戦では敗れたが、新入幕にこぎ着けた。同じモンゴル出身の横綱・鶴竜(34)が、2019年9月に井筒親方が死去したのに伴い陸奥部屋に転属して兄弟子になったことも成長を促した。
「相手に合わせないように」と指導され、得意の左四つにこだわらず「攻めて自分の形になる」ことを意識するようになったという。
この日の稽古では、強い立ち合いから相手に圧力をかけ続けて圧倒する相撲が目立った。
「足もよく動いたし、上半身もちゃんとついていった」と成果を実感しているようだ。
初場所では鶴竜の土俵入りで露払いを務める予定で、「取組より緊張するかも」と苦笑い。
初場所の目標については「あまり大きなことを言うと恥ずかしいけれど、まずは勝ち越し。できれば2桁いきたい」と話した。
鶴竜もこの日、時津風部屋の稽古場に顔を見せたが、コンディションが万全でないため相撲は取らなかった。
冬巡業中に風邪をひき、年末まで発熱や下痢に苦しんだ。
初場所については、「もちろん出場する。体調はもう大丈夫でしょう。あと2日あるから、やれることをやるだけ。いい場所にしたい」と話した。
昨年11月の九州場所で右膝に重傷を負った十両・友風について、師匠の尾車親方(元大関・琴風)は初場所を全休することを明らかにした。
25歳の友風は九州場所2日目に負傷し「右膝関節脱臼でじん帯損傷を伴う」と診断された。
今後、じん帯修復手術を受ける予定で、長期休場が濃厚。尾車親方は「まず、しっかり治すことを考えるしかない」と話した。
大相撲の西十両13枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が8日、都内の時津風部屋に出稽古し、初場所(12日初日、東京・両国国技館)に向けて自信をのぞかせた。
新関脇の朝乃山や前頭の北勝富士、正代、豊山らと相撲を取り、計7番取って6勝1敗。
「先場所よりは今場所という感じでよくなってきているのは事実」と手応えを口にした。
申し合い稽古を行う前には、土俵まわりで入念にすり足を行うなど、準備に余念がなかった。
稽古中の表情は、引き締まりながらも明るく「前よりも体調はいい。汗もよく出る。(準備を)ただやるだけよりも、意識してやっている」と意図を持って稽古している。
膝の負傷と手術、内臓疾患などで番付を大関から序二段まで落とし、1度は引退を心に決めたが再起。
4場所連続全休から昨年春場所で復帰し、初場所には10場所ぶりに関取として戻ってくる。
理想の自分とはまだ程遠いが「ちょっとずつ足の軽さが取れてきたし、怖さも少しずつ取れてきている。昔感じたことが最近、復活している。1場所1場所ずつ上がっていけばいい」と復調を自分でも実感していた。
日本相撲協会は9日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、大相撲初場所(12日初日・両国国技館)に向けた4日の稽古中。
ともに拳を振り挙げ暴行騒動を起こした宮城野部屋の西前頭10枚目の石浦(29)と幕下の宝香鵬(30)、及び師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)への処分を決めた。
宮城野親方が3カ月の報酬減額20%、石浦が1カ月20%の報酬減額とけん責、宝香鵬をけん責とした。
重い処分とはならなかった。
協会から事実関係の調査と処分意見の答申を委嘱され調査したコンプライアンス委員会が会議を開き処分意見を答申。
その後、臨時の理事会で審議し、答申通りの処分が決まった。
芝田山広報部長(元横綱大乃国)によると、3人は1人ずつ会議室に呼ばれて処分を言い渡され、八角理事長(元横綱北勝海)から「次はありえないよ」と言われたという。
宮城野親方は都内の部屋で取材に応じ「重さは重々承知しています」と反省の表情を浮かべた。
関取による暴力事案は、1場所出場停止が基準となっている。
当然暴力は許されざる行為。
しかし今回は、稽古中に熱が入るあまり、互いに拳を振り挙げてしまったというもの。
両力士にけがはなく、突発的でいじめの要素がないなどと同委員会が判断した。
芝田山広報部長は「土俵を割っての暴力は論外。ただ、真剣な熱い稽古をしないと心身の教育にならない。(処分を)厳しくし過ぎて力士を萎縮させてはいけない」と話した。
協会は2月に行う研修会で、師匠や力士らに注意、啓発を行うとした。
日本相撲協会の暴力禁止に関する処分は、暴力禁止規定の第5条に明記。
処分は軽い順にけん責(将来を戒める)、報酬減額、出場停止、業務停止(協会事業への従事を停止する)、降格、引退勧告、懲戒解雇の7項目。
引退勧告を受けた者がすみやかに引退届を提出しない場合は、懲戒解雇とすることができる。
力士の暴力に対する処分基準では、大関以下の関取の場合は1場所出場停止が一応の基準だが、内容、程度、情状などを考慮して適切な処分を行う。
横綱の場合は引退勧告以上が基準になる。
大府市と日本相撲協会は9日、地方巡業「大相撲大府場所」を十月十五日に大府市横根町のメディアス体育館おおぶで開くと発表した。
9月に市制五十周年を迎える記念事業の一つで、大府市で開催するのは初めて。
会見には岡村秀人市長、日本相撲協会巡業部の立田川親方(元小結豊真将)らが出席。
立田川親方は「大府は名古屋場所が開かれる名古屋に近いが、本場所と違って地元の人と触れ合うのが巡業の魅力。テレビで見るお相撲さんの大きさを、間近で感じてほしい」と話した。
大府市では、名古屋場所開催期間に芝田山親方(元横綱大乃国)の芝田山部屋が市内の豊田自動織機大府工場に宿舎を構えて稽古を公開するなどの縁があり、岡村市長は「この地域は相撲に関心がある。五十周年の目玉事業として、市民や近隣のファンに来てもらいたい」と呼び掛けた。
大府開催の決め手を問われた立田川親方は「スポーツが盛んだというところに一番ひかれた。大府から次代のお相撲さんになりたい子が増えてくれれば」と願いを込めた。
巡業には150人の力士と130人の裏方の計280人の力士団が参加する予定。
午前8時から稽古、禁じ手を面白おかしく解説する「初っ切り」、相撲甚句、横綱の土俵入りなどがある。
一般向けのチケットは7月ごろから発売する予定。
ネスレ日本は、陸奥部屋協力のもと、「陸奥部屋 ポリフェノールたっぷり ちゃんこ鍋セット」を、1月8日から26日までの期間限定でネスカフェ 原宿(東京都渋谷区神宮前1-22-8)で提供する。
「陸奥部屋 ポリフェノールたっぷり ちゃんこ鍋セット」は、ポリフェノールを摂取する習慣を提案するネスレが、2020年大相撲1月場所の開催期間に合わせて展開するもの。
ポリフェノールが豊富に含まれるコーヒーと共に提供する「ちゃんこ鍋」は、陸奥部屋の力士たちが日常的に食べているレシピをもとに、ポリフェノールが含まれる10種類以上の食材を使ったカラダにうれしいメニューとなっている。
陸奥部屋のちゃんこ鍋は、醤油味ベースのスープにみそを加えており、相撲部屋のちゃんこ鍋ではめったに使わない薄口醤油を使っている点がポイントという。
セットの価格は1000円(税込)だが、1月12日〜26日に開催される大相撲1月場所で、陸奥部屋所属の霧馬山(モンゴル・ドルノドゥ出身)関が白星となった翌日は、半額の500円(税込)で提供される。
8日にネスカフェ 原宿で開かれた発表会では、1月場所から新入幕となる霧馬山関への化粧まわしの贈呈式も行われた。
これは、2015年から陸奥部屋がネスレのコーヒーマシンを設置し、力士や関係者が「ネスカフェ」のコーヒーを日常的に飲んでいることが縁になっているという。
霧馬山関は、新たな化粧まわしについて「とても嬉しい。これで頑張れます」と語った。
ネスレ日本は、今回のちゃんこ鍋を展開する企画について、「活性酸素と戦う“抗酸化物質”のひとつで、健康維持に大切な役割を果たすポリフェノールが豊富に含まれるコーヒーとちゃんこ鍋のセットメニューで、寒い年明けの皆様のカラダをサポートします」としている。
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2020/01/09
8日、東京都墨田区の時津風部屋へ出向き、白鵬は正代と新入幕の霧馬山を相手に17番取った。
白鵬は鋭い踏み込みで機先を制し、前まわしを引き付けて寄り切るなど、2場所連続の優勝が懸かる初場所(12日初日)に向けて順調な仕上がりぶりを披露した。
8日、東京都墨田区の時津風部屋へ出向き、鶴竜は北勝富士と15番取った。
鶴竜は北勝富士の低い当たりに起こされ、引く場面もあったが、出し投げや足技を交えた攻めは軽快で持ち前のうまさを発揮。
先場所を休む要因になった腰も問題ないといい、「最近は年6場所、全部出られていないから皆勤したい。そのためにも、何があっても気持ちがぶれないようにしたい」と意欲十分だった。
大関として迎える初めての新年。
貴景勝は自覚十分に言い切った。
「優勝しないと始まらない番付。毎場所、優勝という高い目標を立て、それに向かってやっていきたい」。
相撲界を背負う看板力士となり、賜杯の先にある綱とりも意識する。
春場所後に大関に昇進した昨年は相次ぐけがに苦しんだ。
夏場所で右膝を痛め、秋場所の優勝決定戦では左胸を負傷。
大関として唯一、皆勤した九州場所も万全ではなかったが、状態も変わった。
「けがの不安なく本場所に臨める。最後の番付を目指せるようにやりたい」と言い、自分の相撲に集中できる環境が整ってきた。
6日にあった横綱審議委員による稽古総見では、大関候補の朝乃山と三番稽古。
持ち前の低い姿勢で攻め、本来の突き押しではなく、もろ差しを果たす場面もあった。
「理想は(当たって)そのまま持っていくことだが、本場所では押し切れないところも出てくる。応用できればいい」。
8日には、手合わせした高安に優勢。
怪我からの回復を優先した最近数場所とは異なり、稽古内容も充実してきている。
白鵬、鶴竜の両横綱が30代半ばとなり、角界の世代交代が待たれて久しい中、貴景勝は番付の頂点へ最も近い存在と言える。
「自分は体が大きくないので人より負担が大きい。何年後までに(横綱)と条件を甘くするとよくない」ときっぱり。
強い覚悟を胸に前進する。
ひと皮むけた朝乃山に次期大関の期待が高まっている。
昨年は夏場所で初優勝し、九州場所では新小結の重圧を感じさせずに11勝を挙げた。
三段目100枚目格付け出しデビューから4年で関脇まで昇進した中、「もう一つ上の番付に上がれば自信が確信に変わる」。
貪欲な姿勢は変わらない。
苦手だった突き押しの相手も克服しつつある。
すぐに左上手を取れなくても焦らず、圧力をかけて得意の右四つに持ち込めるようになってきたが、5日の田子ノ浦部屋への出稽古では新たな課題を突き付けられた。
けんか四つの荒磯親方(元横綱稀勢の里)との三番稽古は1勝16敗と散々だった。
左おっつけで差し手を封じた荒磯親方は「まだ右脇が緩んでいる。上位の力士はつけ込んでくる」と指摘。
「悔しかった。白星を届けて恩返ししたい」と発奮させられた。
関脇は横綱、大関戦が勝負どころの場所後半に組まれるだけに「疲れがピークにくるとき。もっと体力をつけないといけない」。
食事や睡眠から見直す必要性も感じている。
師匠の高砂親方(元大関朝潮)が12月で定年を迎える。
今年中に使者を迎えたい思いは強く、「初場所が大事になる。絶対に自分の形にして、毎日攻め切りたい」。
右四つの完成度を追求することが、大願成就への近道となる。
大関復帰を目指す高安が8日、東京都江東区の尾車部屋で行われた二所ノ関一門の連合稽古に参加し、大関貴景勝とは10番取った。
劣勢が目立った中、本来の力強い当たりから押し出す場面も。
「内容の悪いところはあったが、全体的には良かった。膝がしっかり曲がり、浮つかない相撲が多かった」と納得の口ぶりだった。
昨年の名古屋場所で左肘を負傷。
その影響も残った九州場所は腰痛を発症して途中休場し、大関の座を明け渡した。
返り咲きの条件となる2桁白星に向け、「番付も落ちたので初心を思い出してやりたい。力強く、冷静に15日間、ベストを尽くしたい」と意気込みを示した。
大栄翔が掲げた2019年の目標は「三役昇進」「初の三賞」「初金星」だった。
東前頭筆頭で臨んだ一年納めの九州場所で勝ち越し、優勝した白鵬に土をつけて殊勲賞も獲得。
「全部かなって、すごくよかった」。
念願の新小結で新年を迎えるにあたり、口ぶりにも自信がにじんだ。
その19年の夏場所には、埼玉栄高の後輩に当たる貴景勝が新大関として土俵に上がり、同学年の朝乃山は初優勝。
身近な力士の活躍を目の当たりにした。
26歳となり、「もう若くない」と自らに言い聞かせた。
膨らんだ危機感を抱えながら自分の取組映像を見返すと、武器の突き押しで攻め込んだ末に苦しくなってはたいたり、安易な四つ相撲に頼ったりして、流れを悪くしているのに気付いた。
「今のうちしかできない。稽古しないと駄目」。
そう肝に銘じ、疲労が蓄積した状況でも、我慢して押し切ることを意識して励むようになったという。
6日の横綱審議委員による稽古総見では、白鵬と鶴竜の胸を借りた。
かち上げや張り手、左四つなど横綱の多彩な攻めを受け、みるみる砂まみれに。
「そんなに甘くはない」と改めて痛感した中、「きょう学んだことをしっかり修正してやっていきたい。いろいろ恩返しができるようにしっかり頑張りたい」と意を決した。
大きな壁を前にしても臆せず、歩みを止めない気概を示した姿に確かな成長の跡が見える。
大相撲の幕内・石浦(29)=宮城野=が7日、東京・墨田区の部屋で取材に応じ、兄弟子の幕下・宝香鵬(30)と4日の稽古中に殴り合いのけんか騒動を起こした件について、「自覚が足りなかった。互いに熱くなった時に、番付が上の自分が口頭で対応できず情けない」と猛省した。
日本相撲協会は6日に今回の事実調査と処分意見の答申をコンプライアンス委員会に委嘱。
同委はこの日、都内で両力士からの事情聴取を開始した。
今後は稽古場にいた師匠・宮城野親方(元幕内・竹葉山)からも事実確認を行う予定。
協会は調査報告を待ち、処分などを含め理事会で審議することになっている。
大相撲初場所(12日初日、両国国技館)で新入幕を果たした霧馬山(23)に8日、ネスレ日本から化粧まわしが贈られ、東京・原宿の「ネスカフェ 原宿」で贈呈式が行われた。
ネスカフェのロゴ入りの化粧まわしには赤地にコーヒーカップを持った霧馬山のイラストが描かれた。
「いい顔してますね。いい化粧まわしを作ってもらってうれしい」と関取はご満悦だった。v
2015年から陸奥部屋に同社のコーヒーマシンが設置され、陸奥親方(元大関霧島)や力士たちが愛用。
「ネスカフェ 原宿」では新入幕を祝い、陸奥部屋のレシピをベースにした「陸奥部屋 ポリフェノールたっぷり ちゃんこ鍋 セット」を26日まで販売する。
通常は税込み1000円だが、霧馬山が勝利した翌日は半額となる。
縁の深い同社の全面サポートを受け、霧馬山は「勝ち越し、2桁を目指して頑張ります」。
初場所への意気込みを口にした。
大相撲の西十両13枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が8日、都内の時津風部屋に出稽古し、初場所(12日初日、東京・両国国技館)に向けて自信をのぞかせた。
新関脇の朝乃山や前頭の北勝富士、正代、豊山らと相撲を取り、計7番取って6勝1敗。
「先場所よりは今場所という感じでよくなってきているのは事実」と手応えを口にした。
申し合い稽古を行う前には、土俵まわりで入念にすり足を行うなど、準備に余念がなかった。
稽古中の表情は、引き締まりながらも明るく「前よりも体調はいい。汗もよく出る。(準備を)ただやるだけよりも、意識してやっている」と意図を持って稽古している。
膝の負傷と手術、内臓疾患などで番付を大関から序二段まで落とし、1度は引退を心に決めたが再起。
4場所連続全休から昨年春場所で復帰し、初場所には10場所ぶりに関取として戻ってくる。
理想の自分とはまだ程遠いが「ちょっとずつ足の軽さが取れてきたし、怖さも少しずつ取れてきている。昔感じたことが最近、復活している。1場所1場所ずつ上がっていけばいい」と復調を自分でも実感していた。
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2020/01/08
大相撲の横綱白鵬(34=宮城野)をめぐる「品格問題」が迷走中だ。
白鵬は昨年11月の九州場所で43回目の優勝を果たした一方で、横綱審議委員会は立ち合いの荒っぽい張り手やヒジ打ちに近いカチ上げを「見苦しい」と問題視。
日本相撲協会に対して指導を要請した。
ただ、白鵬にルール違反の行為はなく、相撲協会は静観する構え。
横審も“処分”を下すことには及び腰になっている。
初場所(12日初日、東京・両国国技館)を控えた6日には、横審による稽古総見が国技館で行われた。
横審は11月場所後の会合で白鵬が見せた荒っぽい立ち合いに「見苦しい」と苦言を呈し、相撲協会が指導を行うように要請。
白鵬は横審の主張に対して「禁じ手ではない」と真っ向から反論した。
その意味で今回の総見は両者にとって因縁の顔合わせでもあった。
その白鵬は新小結大栄翔(26=追手風)を指名し12戦全勝と力の差を見せつけた。
さらに「何が悪い」と言わんばかりに張り手やカチ上げを連発。
稽古後は「(大栄翔の指名は)先場所で唯一負けた相手だったので。いろいろ試しました。厳しい攻め?そうかな」と涼しい表情を浮かべた。
この日の稽古では白鵬の張り手やカチ上げは本場所に比べて控えめだったことは確か。
横審の矢野弘典委員長(79=産業雇用安定センター会長)も「(荒っぽい立ち合いは)それらしいのが1番あったけど。見た感じではまともにやっている」と特に問題視はしなかった。
一方で、初場所の白鵬の取り口については「ちゃんと見ていきたい」と引き続き注視していく構え。
「白鵬=乱暴」の見方は崩していない。
ただ、横審と相撲協会の間には“温度差”がある。
芝田山広報部長(57=元横綱大乃国)は「白鵬は反則をしているわけでも何でもない。協会からは何も言えない。協会とは別に、横審からお伝えいただくしかない」との見解だ。
横審の内規では「横綱としての体面を汚す場合」には出席委員の3分の2以上の決議により本人に「注意」などを行う権限を有している。
横審が本気で白鵬の行動を改めさせたいと考えるのなら、協会を通す必要はないということだ。
ところが…矢野委員長は白鵬本人に「注意」などを与える可能性については及び腰。
インタビューに対して「横審から注意?そういうことはない。協会がやること」と大きくトーンダウンした。
今回の問題も結局のところ、「おとがめなし」で終わる公算が大きい。
取り口の是非は別にして、白鵬の隙を攻め切れない相手のふがいなさが目立つことも確か。
現状を打破する若手力士が出てこない限り、2020年も大横綱の時代が続く。
大相撲の横綱白鵬と鶴竜が7日、東京・明治神宮で新春恒例の奉納土俵入りを行った。
降雨により、例年の社殿前から社殿へと場所を移して披露。
白鵬は「(12日初日の)初場所がよければ、今年は走れる気がする。オリンピックもあるし、頑張りたい」と言い、44度目の優勝へ意欲を見せた。
大相撲初場所(12日初日、東京・両国国技館)を5日後に控えた7日、横綱鶴竜(34=陸奥)が高熱による体調不良に見舞われていたことを明かした。
この日、東京・墨田区の時津風部屋への出稽古で、三番稽古で新関脇の朝乃山を指名して10番を全勝。
左前ミツを素早く取る場面が目立ち、寄りや投げなど多彩な技で圧倒したが「稽古はもうちょっとやりたかった。熱がある。昨日(6日)点滴を打った。(熱は)38度ちょっと。インフルエンザではない」と明かした。
この日の午後は、東京・明治神宮で横綱白鵬とともに奉納土俵入りを行った。
通常は社殿前の石畳で行われるが、雨天のため社殿内での披露となり「新鮮だった。雨はしょうがない。雨の中でもたくさんの方がいらっしゃってくれた」と、悪天候の中で駆け付けた約200人のファンに感謝した。
元関脇逆鉾の師匠が亡くなったのに伴い、昨年9月の秋場所後に陸奥部屋へ転属。
今回は弟弟子に当たる新入幕の霧馬山を従え、「後輩が露払いで、いい感じでできた。ここに来るといつも新鮮な気持ちになる」と表情を崩した。
2場所連続休場中で、初場所では6度目の優勝を果たした昨年7月の名古屋場所以来の15日間皆勤を目指す。
「15日間取り切ることを意識したい。稽古をしてしっかり体をつくりたい」と話した。
大相撲の大関貴景勝(23)がこのほど、毎日放送(MBS)のスポーツ番組「戦え!スポーツ内閣」(8日午後11時56分=関西ローカル)の収録に参加した。
貴景勝は昨年、「夢をかなえられた」と大関昇進を果たしたが、新大関として迎えた夏場所で右ヒザ靭帯を損傷。
その影響で2場所で大関から陥落した。
秋場所で好成績を収め大関復帰となったものの、優勝決定戦では左大胸筋を部分断裂するという波乱の一年を経験した。
2つのケガの原因となった取組の相手はどちらも幕内御嶽海だった。
貴景勝は左胸を負傷した秋場所千秋楽の優勝決定戦について「御嶽海関に悪い(ことをしてしまった)なと思います」。
続けて「『御嶽海がケガをさせた』と心ないことを言われるほうがつらかった。『我に怪しい』と書いて『怪我』という教わり方をしたので、自分にすべて原因があるのに」と心情を吐露し、番組MCを務める武井壮(46)や「ブラックマヨネーズ」小杉竜一(46)をうならせた。
さらに、今年の目標を聞かれた貴景勝は「次は横綱しかない」ときっぱり。
横綱昇進の原則が2場所連続優勝であることに触れ「まずは(自身の)2回目の優勝をしないと始まらない。優勝を狙いたいと思います」と力強く宣言した。
大相撲初場所(12日初日・両国国技館)を前に、横綱審議委員会による稽古総見が6日、東京・両国国技館内の相撲教習所で行われた。
自身2度目の優勝で綱取りへの足がかりを目指す大関・貴景勝(23)=千賀ノ浦=が、三番稽古で大関候補の新関脇・朝乃山(25)=高砂=を指名。
角界の未来を担う「押し相撲VS四つ相撲」は計10番で6勝4敗と突き押しの貴景勝が上回った。
白鵬、鶴竜の両横綱はともに12番で全勝。
朝乃山は四つ相撲の意地を見せた。
貴景勝に得意の形にさせてもらえず苦戦も、2勝5敗で迎えた8番目。
左上手をがっちりつかむと、右四つに持ち込み、土俵際で寄り倒し。
「押されてますけど、しっかり残して、自分の形で寄り切れた相撲もあってよかった」と持ち味を発揮した。
勝敗上は4勝6敗と下回ったが「指名してもらって、普段できない三番稽古。充実して一番、一番できた」と手応えを口にした。
5日は新年初の出稽古で田子ノ浦部屋の荒磯親方(元横綱・稀勢の里)の胸を借りるなど調整は順調。
成績次第では大関昇進の機運が高まる初場所には「2ケタ以上勝って、その上の番付を目指していきたい」と意気込む。
「上位は厳しい。命を懸けて右四つにならないと」。
代名詞を磨き上げ、本場所で貴景勝への雪辱を狙う。
1場所での大関復帰を目指す関脇高安は、都内の時津風部屋への出稽古で状態の良さをアピールした。
新関脇の朝乃山らと18番取って14勝。
立ち合いのぶちかましから、力強い突き押しで圧倒する場面が目立った。
「めちゃくちゃ良かった。次から次と手順通り動けていた」と納得の表情。
稽古を見守った相撲解説者の舞の海秀平氏(元小結)も「馬力がかなり戻ってきた。取り口の甘さが少しあるが、それがなければ2桁勝てる」と、大関復帰へ太鼓判。初場所に向けて、高安は「優勝争いに加わりたい」と意気込んだ。
大相撲初場所(12日初日・両国国技館)を前に、横綱審議委員会(横審)の稽古総見が6日、国技館の相撲教習所で行われた。
西前頭5枚目で、上位との対戦が予想される注目の炎鵬(金沢市出身、宮城野部屋、金沢学院大OB)はぶつかり稽古で大関復帰を狙う関脇高安の胸を借り、「チャレンジャーの気持ちで臨む。元気な姿を見せたい」と気持ちを高ぶらせた。
関取最軽量99キロの小兵が土俵に上がると、カメラマンが次々とシャッターを切った。
炎鵬は兄弟子の横綱白鵬から「足を出せ」とアドバイスを受け、最後は息を切らしながら高安を押し込んだ。
2019年は夏場所で幕内に昇進し、令和元年納めの九州場所は3場所連続の勝ち越しで締めくくった。
上位との対戦については、東前頭筆頭の遠藤(穴水町出身、追手風部屋、金沢学院高OB)らの名を挙げ「高校時代からすごいと思っていた。緊張とわくわくの半々」と話し、対戦を心待ちにした。
三役復帰を目指す遠藤は横綱鶴竜や大関豪栄道らと対戦した。
角界で若手が台頭しており、29歳の相撲巧者も正念場だ。
初場所に向け「体の調子はいつもと変わらない。頑張ります」と決意を示した。
西前頭11枚目の輝(七尾市出身、高田川部屋、金沢市西南部中OB)は東前頭2枚目の北勝富士らと対戦し、上々の動きを見せた。
九州場所は10勝を挙げ、幕内初の2桁勝利となった。
身長192センチ、体重166キロの恵まれた体格を生かした相撲に磨きをかけ、初場所は2場所連続の勝ち越しを狙う。
大相撲の前頭石浦と幕下宝香鵬が東京・墨田区の宮城野部屋で行われた4日の稽古中に拳で殴打し合うなどした件について、日本相撲協会のコンプライアンス委員会は6日、都内で石浦、宝香鵬の両力士に事実調査を行った。
この件について石浦は、「自覚が足りなかった。互いに熱くなったときに、番付が上の自分が口頭で対応できず情けない」と反省の弁を述べた。
事実調査には協会の宮田主事、コンプライアンス委員会の青沼隆之委員長らが同席。
この日、都内で取材に応じた宮田主事は、明日8日以降、師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)にも聴取を行うことを明かした。
初場所(12日初日、東京・両国国技館)が5日に迫り、宮田主事は「(初日までに調査が)終わればという思い」と話した。
日本相撲協会は本件の事実調査と処分意見をコンプライアンス委員会に委嘱。
コンプライアンス委員会からの調査報告と処分意見の答申を待ち、理事会で審議する。
石浦は、明治神宮奉納土俵入りで同部屋の横綱白鵬の露払いを務める予定だったが、「部屋に迷惑をかけた」として師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)に辞退を申し入れ、同じ一門の平幕照強と交代した。
この件で日本相撲協会から調査と処分意見の答申を委嘱されたコンプライアンス委員会がこの日、両力士から事情を聴いた。
今後は宮城野親方からも事実確認を行う予定。
大相撲初場所(12日初日、東京・両国国技館)に向けて、序ノ口デビューから無敗で21連勝中の東幕下14枚目、元林(23)が7日、東京都墨田区の浅香山部屋に出稽古に行き、元十両で東幕下筆頭の魁勝(24)の胸を借りた。
デビューからの連勝記録の更新や関取昇進も視野に入る初場所に向けて「先を見ないで、一日一番に集中する」と話した。
元林は東大阪市出身。
大関・貴景勝と同学年で、近大付高時代には埼玉栄高に在籍していた貴景勝と4度対戦して2勝2敗と渡り合ったという。
近大に進み、2017年の全国学生選手権で準優勝した。
昨年の名古屋場所でデビューすると、力強い突き押しを武器に序ノ口、序二段(秋場所)、三段目(九州場所)と全て7戦全勝して優勝。
土つかずの21連勝で、初場所は幕下に昇進した。
序ノ口デビューからの連勝記録は、東幕下32枚目の常幸龍(31)が11〜12年に記録した「27」が最多。
元林が初場所で7戦全勝すれば28連勝で記録を更新するだけでなく、初土俵から所要5場所で史上最速(幕下付け出しを除く)の十両昇進となる可能性もある。
6日の横綱審議委員会の稽古総見。
元林は魁勝との相撲で「良い稽古ができた」ことから、師匠の鳴戸親方(元大関・琴欧洲)の勧めで7日も魁勝の胸を借りることにした。
この日は魁勝と10番取り、4勝6敗。
鋭い立ち合いは見せたが、元十両に低く当たられてはじき返されたり、まわしを取られて寄り切られたりと、実力を見せつけられた格好になった。
「下から押す相撲ができず、まわしを取りにいってしまった。前に圧力をかけ続けないといけない」と反省した。
鳴戸親方からは「とにかく前に出る相撲を取るように」と教え込まれ、足腰を鍛え抜く日々だ。
「入門当初より下半身は強くなった」と手応えも感じる。
「初場所は、相手も格上ばかり。胸を借りるつもりで勝ちにいきたい」と話し、「いつか(同学年の)貴景勝関と対戦できるよう頑張る」と昇進を誓った。
大相撲初場所(12日初日・両国国技館)の新弟子検査が6日、東京・両国国技館で行われた。
静岡・飛龍高で昨年の全国高校総体個人を制した大桑元揮(18)=静岡県出身、伊勢ケ浜部屋=
海洋高相撲部3年の竹岡隼人(18)=東京都出身、尾車部屋=
受検した10人全員が身長167センチ以上、体重67キロ以上の体格基準を満たした。
内臓検査の結果を待ち、初日に合格者が発表される。
大桑は168センチ、134キロでパスし「まずは関取になりたい」と抱負を述べた。
ウクライナ出身で初の力士を目指すセルギイ・ソコロフスキー(22)=入間川部屋=は191センチ、162キロで通過した。
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2020/01/07
大相撲初場所(12日初日、両国国技館)へ向けた横綱審議委員会(横審)の稽古総見が6日、東京・両国国技館内の相撲教習所で行われた。
2場所連続44度目の優勝を狙う横綱白鵬(34)は新小結大栄翔(26)を指名し、12番取って全勝。
昨年も横審の会合で“問題視”されたかち上げを連発し、われ関せずの道を行く。
禁じ手でも反則技でもない。
とがめられる筋合いはない、という白鵬の意思にもみえた。
昨年11月の九州場所で唯一の黒星を喫した大栄翔に対し、立ち合いで最初から5番連続して右のかち上げ。
さらに10番目はあご付近に当たり、大栄翔の足がよろめいた。
「先場所、負けている相手。いろいろ試したかった。もうちょっと(感触が)ほしかったな」
九州場所で遠藤戦のかち上げは肘打ちのように顔面へ当て、激しい張り手で流血させた。
場所後の横審会合では「横綱としての振る舞いではない」「見苦しい」との意見が相次いだ。
横審の矢野弘典委員長(78)=産業雇用安定センター会長=はこの日、明確な苦言は避けつつも「(初場所も)ちゃんと見ていく」とくぎを刺した。
さらに、八角理事長(元横綱北勝海)らが関脇高安や小結阿炎に対し横綱の胸を借りるよう促したが、白鵬は大栄翔と取り続けた。
相撲解説者で元横綱の北の富士勝昭氏(78)は「(白鵬が)反旗を翻した。無視したな。ワンマンショーをみせつけられた」と嘆息しながら引き揚げた。
大相撲初場所(12日初日、東京・両国国技館)を控えた6日、横綱審議委員による稽古総見が国技館の相撲教習所で一般に非公開で行われ、白鵬、鶴竜の両横綱は動きも良く、順調な調整ぶりを披露した。
2場所連続の優勝が懸かる白鵬は新小結の大栄翔と12番取って全勝。
腰痛により先場所を休場した鶴竜も、遠藤らとの12番で負けなしだった。
大相撲初場所(12日初日、東京・両国国技館)を前に、横綱審議委員会(横審)の稽古総見が6日、両国国技館内の相撲教習所で行われた。
押し相撲が身上の大関・貴景勝は、右四つが得意の新関脇・朝乃山と10番取った。
貴景勝が懐に入って押し出す取り口が目立ったが、朝乃山もまわしを引いて対抗する場面も。
貴景勝は「真っ向勝負で、いい稽古ができた。立ち合いも確認できた」と充実感を漂わせ、朝乃山は「押されても残して自分の形にし、寄り切れたところもあった」と語った。
日本相撲協会の八角理事長(元横綱・北勝海)は「(2人は)内容のいい稽古をしていた。将来、2人が綱を張ってもらうのが一番。頑張ってほしい」と期待を込めた。
2場所連続44回目の優勝を狙う白鵬は、昨年11月の九州場所で唯一敗れた新小結・大栄翔と12番取り、立ち合いで張り手やかち上げを織り交ぜて圧倒した。
白鵬は昨年の九州場所後、かち上げなどに関して横審から苦言を呈された。
この日、横審の矢野弘典委員長(産業雇用安定センター会長)は「それらしいのがあった。これからも見ていく」と話した。
カド番の豪栄道は阿炎らと9番。
大関復帰を目指す高安は、主に平幕と取って3勝3敗だった。
12日初日 大相撲初場所
大相撲の新関脇・朝乃山(25=高砂部屋)が5日、都内の田子ノ浦部屋に出稽古し、荒磯親方(元横綱・稀勢の里)と異例の三番稽古を行った。
17番取ったが得意の右四つに組ませてもらえず、まさかの1勝16敗。
課題が見つかった大関候補は、初場所(12日初日、両国国技館)で活躍して荒磯親方に恩返しすることを誓った。
どちらが現役か分からないような相撲が続いた。
右四つを得意とする朝乃山は、昨年初場所の引退から1年が過ぎている荒磯親方に右差しを封じられた。
左四つで胸が合うと何もできず、不十分な体勢で前に出ると突き落とし、投げで転がされた。
本場所での対戦はなかった親方から1勝しか挙げられず「左おっつけで上体が起きてしまった。相撲を取りながら“そんなに甘くないぞ”と伝えてもらった。まだまだ弱い部分がある」と自分の相撲を見つめ直した。
一門は違うが、所属する高砂部屋の若松親方(元幕内・朝乃若)が荒磯親方に稽古をつけてくれるように要請して実現した三番稽古。
荒磯親方は「力いっぱいやりました」と全てを出し切った。
徹底して右差しを封じたのは朝乃山のため。
「固めて当たってくるところで右が緩んでいる。上位はそこを突いてくる。本場所のためにあえて厳しくいった」と説明。
その上で「課題は形と馬力。そこがついていけば物凄く強い大関になる。今年が楽しみ。朝乃山の時代が来るんじゃないか」と期待した。
朝乃山にとっては反省ばかりではなく「勝てなかったけど、しっかり当たれて前に出て負けることが多かった。これからの相撲人生につながる」と収穫もあった。
「土俵の上で勝って、白星を届けるのが恩返し」。
貴重な経験を大関に続く道で生かしていく。
大相撲の新関脇朝乃山(25)が5日、東京・江戸川区の田子ノ浦部屋へ出稽古し、元横綱稀勢の里の荒磯親方(33)と三番稽古(同じ相手と何度も取る)を行い、17番取って1勝16敗。
11月の九州場所を腰痛のため途中休場し、初場所で大関から関脇へ転落した高安は、自身の調整に充てた。
連日、出稽古を敢行しており、訪れた朝乃山にはぶつかり稽古で胸を出した。
荒磯親方と朝乃山の三番稽古を見守り、「朝乃山はこれからじゃないですか。自分もまた(朝乃山と)一緒に稽古していきたい」。
初場所で10勝すれば大関へ復帰できる。
大相撲初場所(12日初日、東京・両国国技館)で再十両を果たした大関経験者の西十両13枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が6日、同所の相撲教習所内で行われた横綱審議委員会(横審)による稽古総見に参加した。
ホープの琴ノ若、豊昇龍ら十両力士と計5番取って4勝と上々の動きを披露。
昨年春場所には番付を序二段まで落とし、久々の参加となった横審の稽古総見を終えて「番数は多くなかったけど、一番一番少しずつ良くなったと思う」と話した。
西序二段48枚目から所要5場所で関取に復帰した。
「『先場所より今場所の方がいい』と毎場所感じている」。
20年は幕内の座も視界に入ってくる。「今年中に幕内に戻りたい。
自分の体と相談しながら、やれることをやりきる。自分がどこまでやれるか試したい」。
大関経験者の瞳に、自信がみなぎってきた。
最大9連休となったこの年末年始。
各地で仕事始めとなった6日、国技館では、恒例の稽古総見が一般公開で行われた。
両国国技館で行われているのは、横綱審議委員による新春の稽古総見。
12日から始まる初場所で、2場所連続優勝を狙う白鵬らが、熱の入った稽古を見せた。
そして、2020年に大関昇進の期待がかかる新関脇・朝乃山も、気合十分の取り組みを見せた。
また、2019年の台風19号で大きな被害を受けて、およそ1週間休校になった宮城・丸森町の中学校では、授業日数確保のため、予定より2日早い始業式になった。
丸森中学校・松崎隆校長「どの学校よりも早く活動をスタートすることで、気持ちの部分でも自覚や自信を高めて、災害で起きた精神的なハンデをはね返してほしい」
生徒「(ことしの目標は)友達や家族との時間を大切にすることです。先生方への感謝の気持ちを忘れずに、日々を過ごしていきたいです」
生徒たちは気持ちを新たに、新学期を迎えている。
一方、東京都の小池知事も6日から仕事始め。
2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向け、意気込みを語った。
小池知事「いよいよ、ことしはオリンピック・パラリンピックイヤーの到来であります。都庁一丸となって、関係者の皆さんとも連携しながら、まさに『ワンチーム』となって、オリンピック、そしてパラリンピックを成功へと導いてまいりましょう」
7月の開催に向け、準備も大詰めとなり、大忙しの1年になりそう。
正月のお祝い気分に水を差すかのように、かの一休禅師はこう詠んで皮肉った。
「門松は冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」
昨年の大相撲秋巡業。幕内輝と会話した際に、平成30年10月に亡くなって間もなく一周忌を迎えようとしていた元横綱輪島、輪島博さん(享年70)の話題になった。
輝にとって輪島さんは父方の遠縁にあたり、通夜には地方巡業がはねてから急ぎ帰京して参列。
焼香もそこそこに次の巡業地へ向かっていったことを思い出す。
だが、仏から授かる名前は「まだ、知らないんです」とつぶやいた。
おせっかいを承知で、関係者にあたってもらうと、その法名(浄土真宗)は「盡性院釈大士」。
同じ石川県出身。
輝のしこ名は「輪島大士」の「大士」をもらって「輝大士」。
「たいし」と読ませる。
輝に法名を伝えると、「やはり『大士』が入っていましたね」。
法名の「大士」はしこ名にちなんだばかりではない。
「摩訶薩」という仏教の漢訳語で、大乗の菩薩と同じ意味。
阿弥陀如来の大きな願いの船に乗って、荒海のような人生を仏道として全うせんとする精神を表す、という。
石川県内の同じ宗派の寺ではこの法名をもとに法話ができた、と聞く。
生と死はまさに表裏。それをつなぐ縁。
年頭に、さかづきを傾けながら黙考するいっときがあってもいい。
大相撲宮城野部屋の稽古場で力士同士がけんかをする騒動を起こした問題で、日本相撲協会は6日、コンプライアンス委員会(委員長=青沼隆之・元名古屋高検検事長)に事実関係の調査と処分意見の答申を委嘱したと発表した。
発表によると、5日に危機管理部長の鏡山親方(元関脇多賀竜)が、当事者の幕内石浦(29)と幕下力士(30)から事情を聞いた。
石浦は4日の稽古中にだめ押しをされたと感じて幕下力士に手を出し、幕下力士もやり返したと説明したという。
2人とも反省の言葉を述べたというが、相撲協会は今後、コンプライアンス委員会の答申を受け、理事会で審議する方針。
大相撲初場所(12日初日・両国国技館)の新弟子検査が6日、東京・両国国技館で行われ、ともに飛龍高で、昨年の全国高校総体個人を制した大桑元揮(18)=伊勢ケ浜部屋=や篠原大河(18)=藤島部屋=ら受検した10人全員が身長167センチ以上、体重67キロ以上の体格基準を満たした。
内臓検査の結果を待ち、初日に合格者が発表される。
ウクライナ出身で初の力士を目指すセルギイ・ソコロフスキー(22)=入間川部屋=は191センチ、162キロで通過した。
体格検査を通過した大桑は「自分は小さいけれど、大きい力士とやって勝っていきたい。(師匠の伊勢ケ浜)親方(元横綱旭富士)に指導していただければ大丈夫」と力を込めた。
昨年の高校横綱は168センチ、134キロと小さな体に負けん気の強さを秘め、馬力を生かした突き、押しが武器だ。
小学1年で相撲を始め、幼少期は横綱朝青龍の闘いぶりに胸を躍らせたという。
憧れは同じ伊勢ケ浜部屋で小兵の幕内照強。
昨年の全国高校総体後もトレーニングは続けており「まずは関取になりたい」と声を弾ませた。
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2020/01/06
大相撲初場所(1月12日初日、東京・両国国技館)で2場所連続となる44度目の優勝を目指す横綱白鵬(34=宮城野)が26日、東京・墨田区の部屋で稽古を再開させた。
四股やテッポウなどの基礎運動や、立ち合いの確認を行った。
この日は若い衆に指導する場面が目立ち、初場所で西前頭5枚目と自己最高位を更新する炎鵬(25=宮城野)には土俵際から胸を出して押させるなど厳しく鍛えた。
ロケなどのテレビ出演や取材などで多忙な弟弟子。
「(炎鵬は取材などで)引っ張りだこだから稽古ができていなかったと思う。(今日は)土俵まわりを動いていて調子がいいのかと思って稽古をつけた」と話した。
12日に初日を迎える大相撲初場所(東京・両国国技館)に向けて、宮城野部屋が4日、東京・墨田区内の部屋で新年2日目の稽古を行ったが、熱が入るあまり三番稽古(同じ相手と連続して相撲を取る)の途中で、両者がケンカまがいの“乱闘”にまで発展してしまう場面があった。
幕内力士で西前頭10枚目の石浦(29)と、兄弟子にあたる幕下力士が三番稽古。
勝負が決まった後に、勝った方がだめ押ししたことや、立ち合いの張り差しなども発端となった。
負けた石浦が左太ももで蹴りを入れ、次の1番では負けて上がり座敷に倒れ込んだ幕下力士に、襲いかかるようにのしかかった。
たまりかねた横綱白鵬(34)が「いいかげんにしろ。せっかくのいい稽古が台無しになるぞ」とたしなめ、上がり座敷にいた宮城野親方(元前頭竹葉山)も注意した。
その後は何番か、内容の濃い相撲を取り続け冷静さを取り戻したかにみえた。
だが心の“導火線”に火が付いていた二人が、再び勝負の決した後に拳を握りながらの、さながらボクシングかと見まがうような“乱闘”を演じてしまった。
ここ数年、角界で問題になった陰湿で、加害者と被害者が明らかな事案とは質が異なる。
第三者不在の、密室や陰でふるわれていた暴力とも違う。
激しい稽古で感情むき出しになるのも同情の余地はあり、一昔前なら看過されていてもおかしくないシーンだ。
ただ、一連の暴力事案を受けて日本相撲協会では、研修会開催など暴力根絶に向けて一丸となっている。
さすがに見過ごすわけにはいかないと判断した宮城野親方は、両力士から事情聴取。
「何回もだめ押しがあって、ちょっと(石浦が)熱くなってしまった。悪気はないだろうが、きつく注意する以外にない。お互い反省しているが、あれ(乱闘)を見せられては(他の力士や雰囲気に悪い)影響を与える」と両者に注意。
さらに「暴力は暴力。当たり前のことです」と、同じ伊勢ケ浜一門の理事(高島親方)と危機管理部長(鏡山親方)に電話で報告したという。
迅速な対応ではあるが、協会の仕事始めは週明けの6日のため、この日はそれ以上の動きはなかったが、親方によれば両理事の反応は「稽古場のことだから仕方ない」とのことだったという。
当事者も反省しきり。
石浦は「中学の先生に『心は熱く、頭は冷静に』と言われていましたが…。ちょっと熱くなりました。(師匠からは)『冷静にやれ』と言われました」。
幕下力士も「一生懸命(稽古を)やった末のことですから」と常軌を逸した感のある稽古を振り返っていた。
去年の夏場所で新大関に昇進したあと、たび重なるけがに悩まされてきましたが、リハビリと稽古を重ねて復活を果たしました。
得意の突き押しには十分な威力があるだけに、ことしは万全な状態を維持できれば、綱とりへの期待の声も高まります。
12日に初日を迎える大相撲初場所(東京・両国国技館)に向けて、出羽海一門が3日、東京・両国の出羽海部屋で新年の稽古始めを行った。
左足の関節靱帯損傷で、昨年11月の九州場所を2日目から休場し、初場所は9度目のカド番で臨む大関豪栄道(33=境川)は、十両力士3人を相手に立ち合いから受ける稽古を23番、取って汗を流した。
既に年末から部屋の若い衆に胸を出す稽古は行っており「だいぶ踏ん張りがきくようになった。場所には間に合うと思う」と話した。
初日まで9日あるが「そんなに日にちがない」ととらえ、相撲を取る稽古も「明日、あさってぐらいからやりたい」と言い、出稽古も「状態が良ければ行きたい。そこは状態を見て」と、6日の横審稽古総見後を見据えた。
カド番も「まあ何回か経験している。緊張感はあるけど、そんな中で自分の相撲を、1日1日集中してやりたい」と話した。
もっとも新年の抱負を聞かれると、長いスパンでは考えられないようで、直近のことしか頭にない。
「とりあえず初場所が勝負なんで、そこに集中してやるだけ」の言葉を2度、繰り返した。
イキのいい若手関取衆で活況を呈した連合稽古に刺激されたのか、大関として壁になることに「そういう気持ちでやるのが大事」とも話した。
大相撲の新関脇朝乃山(25)が5日、東京・江戸川区の田子ノ浦部屋へ出稽古し、元横綱稀勢の里の荒磯親方(33)と三番稽古(同じ相手と何度も取る)を行い、17番取って1勝16敗。
昨年初場所中に現役を引退してちょうど1年の同親方にねじ伏せられた。
初場所(12日初日、両国国技館)の成績次第では大関昇進の可能性もある気鋭は、白星を重ねて恩返しする。
投げをくらい、土俵際で突き落とされる。
朝乃山がサラリーマンのような髪形の荒磯親方と、17番取って11連敗を含む16敗。
圧倒された。
同親方の現役時の武器だった強烈な左おっつけで、右四つ得意の朝乃山の右差しは完全に封じ込まれた。
朝乃山は「差させてもらえない(左の)おっつけはめったにない。上体が起きて、横綱のかたちになってしまった」と、最後は息が上がってしまった。
荒磯親方は引退後、同じ部屋の関脇高安以外に胸を出したことはない。
朝乃山とは一門も違う。
本場所での対戦もないが、今回の稽古は朝乃山が所属する高砂部屋付きの若松親方(元幕内朝乃若)からの依頼を受けて、荒磯親方が一肌脱いだ。
朝乃山は平幕だった昨年9月の秋場所で10勝、新三役(小結)だった11月の九州場所で11勝を挙げて新関脇に昇進。
四つ相撲の型を持つが、同親方は「右を差す力は強いから、(相手は)それを殺しにかかってくる。それが上位力士のうまさ。まだ、右が緩い」と指摘。
朝乃山は「勝てなかったが、前には出られた。これからの相撲人生につながる」と感謝した。
力士ではなく、親方の胸を借りることを目的とした画期的な育成交流。
けんか四つの究極の攻防を肌で教えた荒磯親方は「オレはサンドバッグ。大関に上がるために協力していきたい。今年が楽しみ。朝乃山の時代が来ると思うよ」。
大相撲初場所(来年1月12日初日、東京・両国国技館)で三役復帰を目指す西前頭2枚目御嶽海(27=出羽海)が28日、東京・墨田区の部屋で稽古を行った。
若い衆を相手に、立ち合いの踏み込みの確認を約20回行うなど、精力的に汗を流した。
番付発表後の25日以降は出稽古に来た春日野部屋の関取衆と相撲を取って稽古を重ねたが、この日、春日野部屋では餅つきが行われたため、相撲は取らず基礎運動に終始する1日となった。
年内は31日まで稽古を行う予定。
今年の年初と同様、年明けは東京・台東区の浅草寺での初詣を計画している。
「今年おみくじを引いたときは『大凶』だった。初場所のときもそうなった(けがで7日目から休場)ので『そういう年か〜』と思っていた」。
それでも9月の秋場所では2度目の優勝を果たし、存在感を示した。
「そのおみくじにも『いいことも悪いこともある』と書いてあった。でもそれって、当たり前じゃんって。あてになりませんね」と、苦笑いを浮かべた。
九州場所では6勝9敗と負け越し、17場所連続で在位した三役の地位から陥落した。
出直しとなった大関昇進に向けて、25日に行われた力士会の体重測定で175キロを記録した体重を落とすことから始める。
「しっかり絞ろうと思います」と、明るい表情で話した。
12日に初日を迎える大相撲初場所(東京・両国国技館)に向けて、出羽海一門が3日、東京・両国の出羽海部屋で新年の稽古始めを行った。
関取衆が熱のこもった申し合い稽古を行う中、東前頭5枚目の明生(24=立浪)は、土俵の外でのすり足などで汗を流した。
実は昨年末の12月28日の、部屋での稽古で左上腕部と肘の筋肉を部分断裂したという。
相撲を取る稽古で「普通に押すところを強引に差しにいったら、音が鳴りました」とケガをした状況を説明した。
以後は稽古は回避し治療やリハビリに専念したというが「まだ痛い。やっと曲げたり動かせるようになった状態。最初は指を動かすことも出来なかった」という。
初日まで1週間以上あるが、本場所出場は「たぶん」と前置きした上で「大丈夫。まあ出るつもりでやってます」と歯切れが悪い。
それでも努めて前向きにとらえているのか「今はちょっと体を休ませないといけない時期。ちょっと、やり過ぎだったし、これもいい方向に持っていきたい」と話した。
若手成長株として、今年は幕内上位、三役を目指したい。
「今年1年は勝負の年。何事も挑戦、勝負していきたい。いい1年になると思う」と、思い直すように明るい表情で新年の抱負を語っていた。
中日スポーツ、東京中日スポーツ制定の第56回大相撲幕内最優秀新人賞に26日、西前頭5枚目の炎鵬(25)=宮城野=が選考委員による投票で決まった。
年明け1月12日の初場所初日中入り前、東京・両国国技館の土俵上で表彰式が行われる。
東京都墨田区の宮城野部屋からほど近い東京スカイツリーを背に、関取衆の中で一番小さな炎鵬が受賞の喜びを爆発させた。
「新人賞というのがあることを知らなかったのでびっくりです」
夏場所で新入幕を果たすと、炎鵬ブームが巻き起こった。
168センチで100キロに満たない炎鵬が懸命に前へ攻め、多彩な技も繰り出す。
あっという間に人気力士となっていった。
九州場所まで4場所の幕内成績は、勝ち越し3場所。
技能賞1回。その数字だけを見れば、11人の候補者の中で少し見劣りするかもしれない。
だが、本紙評論家の北の富士勝昭さんはこう評価する。
「大勝ちもないが、大負けがない(7勝8敗)のが立派。小兵でありながら、立ち合いに変化をしないのが素晴らしい」。
そして、相撲内容とは別に「人気が絶大なのが新人賞にふさわしい」と付け加えた。
炎鵬は「そういう評価をしていただけるのは光栄なことです。賞をもらって、さらに頑張っていかなきゃ、という気持ちです」と目を細めた。
土俵に上がると館内随一の大声援。
「最初はそれがプレッシャーになってましたけど、最近はそれを自分の力に変えなきゃと思ってます」とファンと一体となって白星を目指す。
今年を振り返ると「苦しい1年でした。終わってみればいい1年だったと言えるかもしれませんけど、やってるときはどうなるか分からない。一日、一日が苦しかったです。精神的に自分との戦いです。(今年を漢字一文字で表すと)『苦』ですね」と疲労感をにじませた。
それでも「来年は、今より強くならないといけない」。
一歩でも、半歩でも前進したい。そんな懸命さが炎鵬をさらなる飛躍へ導いてくれる。
5日、日本テレビ系「行列のできる法律相談事務所 3時間SP」にゲスト出演した。
大ファンのフリーアナウンサー、田中みな実(33)に終始デレデレだった。
番組では、炎鵬の会いたい人として田中が登場。
この日のMCを務めたタレント、明石家さんま(64)は他の番組で共演した際に「あの女だけは本当にやめとけよ」と釘を刺していたというが、さんまの助言もむなしく炎鵬は昨年12月に発売され、累計30万部を超える大ヒットとなった田中の処女写真集「Sincerely yours…」を購入。
食い入るように見たと明かした。
さらに、田中から「何冊あってもいいかなと思って」とサイン入りの写真集と未公開写真をプレゼントされるとニヤニヤが止まらず。
お気に入りのページにサインをもらい、田中から「初場所、頑張ってください」と激励された炎鵬は「がんばります!」と力を込めた。
「大相撲初場所」(12日初日、両国国技館)
幕内石浦(29)=宮城野=が4日、都内の部屋で同部屋の幕下宝香鵬(30)と相撲を取る稽古を行った際、熱くなり横綱白鵬の目の前で殴り合いとなった。
土俵外で“ダメ押し”を食らい思わず蹴りが出ると双方、にらみ合い。
その後も収まらずにパンチの応酬に発展し最後は白鵬が割って入り“レフェリーストップ”した。
稽古自体は熱のこもった真剣勝負で同学年ゆえ、負けん気に火が付いたもよう。
師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)は稽古後、両者に対し注意。
「お互いがきつく反省して心得ないと。回りで見てる子らにも影響を与える」と兄弟子として模範になるべき2人の“ケンカ”を重く捉えた。
石浦は「冷静に稽古しないと」と猛省した。
「暴力は暴力」と師匠が日本相撲協会に報告。
協会からは「稽古場のことだから」と言われ処分には相当しない。
とはいえ、昨年も角界は元十両貴ノ富士の暴力事件などに揺れ、昨年末、協会は暴力再発防止強化策をまとめたばかり。
稽古場とはいえ、新年早々、あきれるほかない。
大相撲の元横綱琴桜の孫で、佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)の長男、東十両2枚目琴ノ若(22=佐渡ケ嶽)が5日、初場所(12日初日、東京・両国国技館)に向けて千葉・松戸市の部屋で稽古を行った。
申し合いで西前頭13枚目琴恵光(28)、西十両8枚目琴勝峰(20)と計17番取って13勝。
幕内に定着している兄弟子と成長著しい弟弟子を相手に、組んで良し、離れて良しの安定感のある相撲を披露した。
順調な調整ぶりを印象づけたが「稽古場と本場所は違うので」と、控えめに話した。
“親子3代”の関取として注目を浴びる中、新十両だった昨年7月の名古屋場所から3場所連続で勝ち越している。
昨年12月の力士会で行われた体重測定では173キロを記録。
昨年8月から9キロ増加し、体の厚みも増してきた。
1週間後に始まる初場所の成績次第では、3月の春場所で新入幕昇進の可能性もあるが「そこは全く意識していない。目の前のことに集中していくだけ」と淡々と話した。
父で師匠の佐渡ケ嶽親方は「(新十両昇進で)壁を乗り越えた感じがあるが、まだ上の番付がある。目指すところは先代(琴桜)の番付だと思う。これからがスタート」と、さらなる飛躍を期待した。
大相撲の荒磯親方(元横綱・稀勢の里)が5日、東京都江戸川区の田子ノ浦部屋に出稽古に来た新関脇の朝乃山(25=高砂部屋)と三番稽古を行い、25分間で17番取って16勝1敗と圧倒した。
最初の相撲は左四つから朝乃山に出られたが左すくい投げで転がした。
その後も左からのおっつけで朝乃山の右差しを封じ、不十分な体勢でも前に出てくる相手を翻弄。
昨年初場所での引退から約1年がたっているが、胸が合うと地力の違いを見せつけた。
12番目の相撲では上体を起こされて右上手を許して寄り切られたが、敗れたのはこの相撲だけ。
現役力士と見まがう内容で、稽古を見た解説者の舞の海秀平氏は「(現役時代の)腰高も直っている。朝乃山よりも腰が低い。一番強いんじゃないの」と舌を巻いた。
荒磯親方は引退後も弟弟子の高安の稽古相手を務めているが、他の部屋の関取と稽古したのは初めて。
「力いっぱいやりました」と全てを出し切った。
徹底して右差しを封じたのは朝乃山のためで「右を差す力が強いから、みんな殺しにかかってくる。本場所のために、あえて厳しくいった」と説明した。
息が上がるのも朝乃山の方が先で「もっと型にこだわっていけばいい。そうすれば息が上がらない。型と馬力が課題」と指摘。
その上で「それができればものすごく強い大関になる。今年は楽しみ。朝乃山の時代が来るんじゃないか」と太鼓判を押した。
朝乃山が所属する高砂部屋の部屋付きの若松親方(元幕内・朝乃若)が荒磯親方に要請したことで、この日の稽古が実現した。
朝乃山は現役時代の荒磯親方と本場所で対戦したことはなく、稽古をしたのも「自分が新入幕(17年秋場所)だった時の巡業以来」だった。
三番稽古が終わると、ぶつかり稽古では関脇・高安に何度も転がされた。
「いい稽古ができた。勝てなかったけど、しっかり当たれて前に出て負けることが多かった。これからの相撲人生につながる」と収穫を得た様子だった。
大相撲の新関脇朝乃山(25)が5日、東京・江戸川区の田子ノ浦部屋へ出稽古し、元横綱稀勢の里の荒磯親方(33)と三番稽古(同じ相手と何度も取る)を行い、17番取って1勝16敗。
大相撲解説者の舞の海秀平氏(51)が田子ノ浦部屋を訪れ、荒磯親方を「最強親方ですね」と絶賛した。
腰を落として土俵際での逆転のすくい投げなどを見て「(現役時の)腰高も直っている。朝乃山より低いし、初場所に出ても優勝でしょ。(現役)復活制度とかないですかね。今が一番強いんじゃないですか」と持ち上げた。
返す刀で朝乃山には、「辞めて1年たった相手に勝てないのは深刻に受け止めた方がいい」と手厳しかった。
相撲愛では誰にも負けない自負がある。
「自分にとって唯一無二の存在。なぜこんなに好きなのかは分からないけれど」と笑う。
だがどんなに好きでも、長く寄り添えば、マンネリ化は免れない。おしどり夫婦にも、倦怠期があるように。
平幕を上下していた20代後半はまさにそんな時期だった。
「上を目指すどころか、幕内にいられたら十分と下ばかり見ていた。勝ち越しにさえこだわっていなかった」という。
番付の下げ幅は、負け越した星の数が目安になる。
幕尻まで7枚あれば4勝11敗、3枚なら6勝9敗で目標達成だ。
「周りにもそう公言して、恥ずかしいとも思わなかった。頑張ってケガをするより、多くを望まなければそれなりの生活もできるし」
絵に描いたような"サラリーマン力士"に転機が訪れたのは、30歳を過ぎたころである。
巡業先で大ケガを負い、リハビリに通っていた師匠の尾車親方(元大関琴風)から「せっかく自由に動く体があるのだから頑張りなさい。(番付が)落ちるのは早いぞ」と発破をかけられた。
同じ頃、妻がふと「あなたの対戦相手はみんな三役になっているのに、あなたはなんでなれないのかな」と漏らした。
これで心に火が付いた。
土俵で猛稽古をするのは年齢的に厳しい。
地道な基礎運動を繰り返すのも性に合わない。
「消去法」の末、身銭を切って専門家につき、食生活の改善とトレーニングで肉体強化を図った。
「大した稽古もせずに幕内に居続けられたのだから、運動神経は悪くないという変な自信があった。体をつくればもっと上でやれるだろう、と」。もくろみは当たり、見違えるような相撲を取り始めた。
32歳になった2014年、初場所から2場所連続の2桁勝利で新三役に昇進。
名古屋場所では史上最年長(当時)となる初金星も手にした。
その後も7つの金星を積み上げ、次々と三賞を受賞した。
上位陣を苦しめたスピード感あふれる取り口は「アドリブです」という。
「一瞬で勝負がつく相撲はジャンケンのようなもの。事前にあれこれ考えても仕方ない。横綱大関戦はあいこで粘って、ワンチャンスで勝つイメージでした」
土俵との別れは突然やって来た。
今年6月、故郷の大分で観光PRの川下りに参加した際、右足を岩に打ち付けて重傷を負い、ヘリコプターで運ばれた。
装具をはめた右足首はいまもほとんど動かない。
引退を決めると、母から「足がもげでもしないと辞めないのだから、あなたらしい辞め方だ」とねぎらわれた。
将来の独立を見据えつつ、当面は尾車部屋で後進の指導に当たる。やりがいは感じるが、現役に未練がないといえば嘘になる。
「誰かを恨んでいるわけではない。でも辞めるなんて想像できなかった。足が治って土俵にもう一度立てるなら、何億円でも出しますね」。
やるせない寂しさは、時が癒やしてくれるのを待つほかない。
大相撲の十両以上の関取による力士会が25日、東京・両国国技館で開かれ、日本相撲協会の尾車事業部長(元大関・琴風)がインフルエンザ予防接種の時期を見直すことを説明した。
協会は例年、11月の九州場所後に東京でインフルエンザの予防接種を行っている。
場所後の冬巡業に参加する力士は後回しになることが多く、今年の冬巡業ではインフルエンザで休場する力士が続出。
十両・貴源治がインフルエンザ感染との診断を受けたにもかかわらず、取組に参加する事態も起きた。
尾車事業部長は「巡業に出る力士は、遅くても九州場所が行われる福岡で予防接種を受けられるようにするなど、一番いい方法を考える」と話したという。
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2019/12/26
大相撲初場所(来年1月12日初日、東京・両国国技館)の新番付が発表され、11月の九州場所で4場所ぶり43回目の優勝を達成した横綱白鵬(34=宮城野)に注目が集まる。
九州場所千秋楽の翌日(11月25日)には新たな目標として「優勝50回」をブチ上げた。
この時は優勝した勢いで思わず走った印象も与えたが、実際には白鵬なりの考えがあったという。
24日の会見では「言うつもりはなかったけど、皆さんにあおられて(笑い)」と冗談を交えながら「年が明けて五輪が終わったら、目標を失うのが目に見えている。『絶対にそうなる』と感じているんでね」と説明。
「夢は追いかけていくもの。達成できるかできないかは別として、大台50回があれば五輪後もモチベーションを持ってやっていける」と力説した。
かねて白鵬は東京五輪が開催される2020年までの現役続行を公言。
土俵に立ち続ける原動力となる一方で、五輪終了後は「燃え尽き症候群」に陥る可能性もあった。
過去には大鵬の優勝32回などの大目標を達成した直後にモチベーションが著しく低下した経験があるだけに、自ら先手を打って新目標を掲げたというわけだ。
その大横綱は「今年は優勝2回なので、来年は3回」とノルマを設定。
先場所で見せた張り手やカチ上げに横綱審議委員会が苦言を呈したことについても「禁じ手ではないからね」と全く意に介していない。
その強気な表情からも現時点では新たな一年をラストイヤーにする気はなさそうだ。
大相撲の新関脇朝乃山(25)が25日、東京・墨田区の高砂部屋で番付発表後の稽古を再開。
白色の稽古まわしも新調し、四股、すり足、ぶつかり稽古などで汗を流した。
来年1月の初場所(12日初日、両国国技館)へ向けて、年明けから出稽古を開始するという。
昇進を機に、現在の薄紫色の締め込みを未使用の黒色のものにする考えもあるが、体になじませる時間がなく「まだ硬くてうまく腰が割れるか、どうか」と思案中だ。
今年は平幕だった5月の夏場所で初優勝。
新三役(小結)だった11月の九州場所では11勝を挙げ、初場所で西前頭8枚目だった番付を関脇まで押し上げた。
だが、「うまくいきすぎた。来年もうまくいくとは思っていない。新しい壁、試練が待っている。それを乗り越えないと上にはいけない」。
大みそかは故郷・富山県で迎えるが、「勝っておごらずですね」。頭を垂れて年を越す。
カド番だった九州場所を腰痛で途中休場して関脇に転落した高安が、いきなり体調不良に陥った。
都内の部屋で行われた朝稽古を四股だけで途中で切り上げ、午後に行われた力士会も欠席。
関係者によると、インフルエンザに感染したとの連絡があったという。
初場所での2桁勝利が大関復帰の条件だが、今後の調整が懸念される。
来年一月十二日に東京・両国国技館で初日を迎える大相撲初場所の番付が二十四日に発表され、上松町出身の御嶽海(本名大道久司、出羽海部屋)は西前頭二枚目となった。
九州場所まで十七場所連続で維持した三役から降格し、二〇一七年初場所以来の平幕で土俵に上がる。
都内の出羽海部屋で取材に応じた御嶽海は「悔しい」と何度も口にし、「また上を目指して頑張りたい」と表情を引き締めた。
九州場所では右まぶた上を切るけがも影響し、六勝九敗と負け越した。
秋場所優勝を受け、大関昇進への期待を担って臨んだが不本意な結果となった。
精神面での課題を挙げた一方「久々の平幕。暴れたい」と気合も見せた。
取材終盤には、母校の木曽町中学校の相撲部員らからこの日の朝に届いた動画の応援メッセージをスマートフォンで見て、ほほ笑んだり、目頭を押さえたりする場面もあった。
25日、27歳の誕生日を迎えた。
都内の両国国技館で行われた力士会に参加して27歳の目標を発表。
「(体重の)マイナス10キロを目指します」と宣言した。
自身のベスト体重を「165キロ」とする中、この日の体重測定では175キロを計測。
九州巡業で「暴飲暴食」をしてしまったと明かし「付け人と一緒に太った。鶴竜関にも『また太った?』と言われた」と頭をかいた。
急激なダイエットは体に負担をかけるため「来年の九州場所には12.3キロ落としておきたい」と計画的に減量に励む予定。
九州場所で負け越し、約3年間守った三役から落ち一からのスタートとなるが、まずは体重管理からストイックになる。
「かっこいい体を目指そうかな」と、心機一転を誓った。
大相撲の初場所(来年1月12日初日、両国国技館)の新番付が24日に発表され、西十両5枚目だった九州場所で11勝4敗の好成績を残した霧馬山(23)=陸奥=が新入幕を果たした。
「(新入幕は)十両に上がった時からの次の目標だった」。
モンゴルに住む両親には「これで15日間、テレビで(自分の)相撲が見れるよと報告したい」と笑顔を見せた。
転機は横綱・鶴竜の陸奥部屋への移籍だった。
今年9月に井筒親方(元関脇・逆鉾)が死去。
同じモンゴル出身の横綱が兄弟子になった。
「毎日、胸を出してもらい『どんな相手でも自分の相撲を取るようにしないさい』というアドバイスも貰いました」
食事面でも横綱の目がキラリと光った。
九州場所中、毎日の食事でも横綱が隣に座り「もっと食べろ」と言われたという。
普段はご飯がどんぶり2杯の食生活が3杯になり、体重も10キロ以上増えて140キロ台になり、取り口にも重さが出た。
初場所では尊敬する横綱の露払いも務める。
「新入幕は横綱のおかげです」と感謝の言葉も忘れなかった。
モンゴル・ドルノド県セングレン村の出身。父・ビャンブチュルンさん(49)は羊を飼育する遊牧民だった。
幼い頃から父の仕事を手伝いながら乗馬などで自然と足腰が鍛えられた。
2017年の九州場所で三段目優勝した時は日本語もほとんど話すことが出来ず、近くを通りかかった同じモンゴル出身の力士が通訳を務めたほどだった。
番付と同じように日本語も急上昇で流ちょうになった。
陸奥部屋では2008年の白馬以来、11年ぶりの新入幕。
師匠の陸奥親方(元大関・霧島)は「本人の目指しているのはもっと上。それも本人がやる気にならないと難しいが、本人にやる気があるので、これからも厳しい事を言う。本人がどこまで自分を追い込めるかだ」と期待を寄せていた。
大相撲初場所(来年1月12日初日、東京・両国国技館)で関取に復帰する大関経験者、西十両13枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が25日、東京・両国国技館の相撲教習所で行われた力士会に出席した。
力士会は関取衆で構成され、再十両の照ノ富士にとって久しぶりの参加となり、周りの関取衆からも声をかけてもらったという。
「うれしかった。以前と変わらないけど、久しぶりだった」と、懐かしげに話した。
初場所に向けて九州場所前と同様に、時津風部屋への出稽古で調整を進める方針。
両膝のけがなどからカムバックした28歳は「お客さんに元気な姿を見せられるように頑張りたい」と、決意を語った。
大相撲の十両以上の関取で構成する力士会が25日、東京・両国国技館で開かれ、公傷制度の復活を日本相撲協会側に要望した。
同制度は03年を最後に廃止されたが、近年は異常な程に重傷者が続出。
要望を受けた協会の尾車事業部長(元大関琴風)も検討する意向を示した。
先場所は横綱鶴竜に大関は豪栄道、高安が休場。
貴景勝、栃ノ心、高安と3場所連続で大関降下者が出た。
元大関照ノ富士や人気業師の宇良も序二段まで番付を落とし、再起ロードを歩んでいる。
番付降下を避けるため強行出場し悪化させるケースも多く力士生命に関わる問題。
かつては公傷認定による休場力士が続出したため廃止となった経緯はあるが、明らかに本場所で負った重傷と認められるなら再考の余地はある。
今後、制度適用基準など協議される。
また冬巡業でインフルエンザがまん延。
十両貴源治が感染したにもかかわらず、相撲を取らせた問題も発覚。
尾車部長は、これまで冬巡業後に行っていた予防接種を、冬巡業前に前倒しする対策案を示した。
大相撲初場所前の力士会が25日、東京・両国国技館で開かれ、力士会から公傷制度復活の要望が出された。
本場所中にけがをして翌場所を休場しても、公傷が認められればその次の場所も同地位にとどまれるという同制度は、2003年九州場所を最後に廃止されていた。
力士会会長の横綱鶴竜は「公傷制度の話が出ました。要望を提出しました」とした。
九州場所では9関取(本場所中に8人)と多くの休場者が出ていた。
力士会では尾車事業部長(元大関琴風)が対応し、参加した関取の1人は「前向きに対応してくれる感じがした」と話した。
また、冬巡業でインフルエンザが流行したことで、尾車事業部長は「巡業に出る力士は、出る前に予防接種をできるようにできないか」など検討していくと話した。
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2019/12/25
日本相撲協会は24日、来年1月の大相撲初場所(12日初日、両国国技館)の新番付を発表。
横綱白鵬は4場所ぶりに東に戻り、東京・墨田区で会見。
43度目の優勝を果たした先場所後、「優勝50回」の目標を掲げたが「五輪が終わったら目標を失うというのが見えた。大きい夢があればモチベーションを保ってやっていける」と説明した。
横綱審議委員会から、かち上げや張り手に苦言も上がった。
それでも「自分は自分の相撲を取るだけ。禁じ手というわけでもない」と意に介さなかった。
<第8回日刊スポーツ大相撲大賞(7)>
大関貴景勝(23=千賀ノ浦)が「敢闘精神にあふれたで賞」を、文句なしで受賞した。
日本相撲協会は本場所中、来場者や協会公式アプリの有料会員から幕内、十両の「敢闘精神あふれる力士」としてアンケートを募っている。
6場所90日のうち、貴景勝が幕内1位を23回獲得して最多。
さらに1位を3点、2位を2点、1位を1点で算出しても、唯一の3桁となる102点でトップに立った。
新大関だった5月の夏場所を途中休場、7月の名古屋場所を全休。
休場数は25回に及んだが、迫力ある押し相撲を武器に、土俵に立てば圧倒的なファンの支持を集めた。
3月に大関昇進を果たした一方で、その後は右膝や左胸の負傷にも苦しんだが、その経験も前向きにとらえる。
「いいことも悪いこともたくさんあった。大関にも上がってけがもあったけど、この1年で自分の中では深みが増した気がする。来年にも生きてくると思う」。
冬巡業の朝稽古では幕内力士の中でも早く稽古場に現れ、土俵下で幕下、十両の稽古の様子を観察。
四股や腕立て伏せなどの基礎運動をこなしながら、琴勝峰や豊昇龍、霧馬山らホープに稽古をつけ、看板力士として巡業を盛り上げた。
来年1月の初場所(12日初日、東京・両国国技館)に向けて「体をしっかりつくって臨みたい」と、静かに闘志を燃やした。
“武士道精神”を重んじる23歳が、来年20年も角界の顔になる。
令和元年秋場所以来、自身9度目のカド番。
日本相撲協会は24日、来年1月の大相撲初場所(12日初日、両国国技館)の新番付を発表。
新三役(小結)だった11月の九州場所で11勝を挙げた朝乃山(25)が新関脇へ昇進し、東に座った。
今月64歳の誕生日を迎えた師匠の高砂親方(元大関朝潮)は1年後に定年となる。
東京・墨田区の高砂部屋で会見した朝乃山は、それまでに大関昇進の吉報を届けられるよう自らを奮い立たせた。
年は改まっても、番付を駆け上がる勢いは止まらない。
先場所は新小結で11勝、新春の土俵は新関脇で立つ朝乃山は「今の番付より、もっと上を目指す。常に挑戦者の気持ちで挑んでいる」と目線を上げた。
会見に同席した師匠の高砂親方も新小結の昭和55年夏場所で10勝し、朝乃山と同じく翌場所に新関脇へ。
その地位でも11勝を挙げ大関候補とされながら、実際に手が届いたのは3年後だった。
右四つ左上手の型を持つ弟子に「オレは惰性でやっていたから。しっかり自分の相撲をつかみ取る気持ちでやらないと…」と注文する。
同親方は来年12月に協会の定年の65歳となる。
初場所の成績次第では大関とりが実現する可能性もある朝乃山は「2桁勝たないと意味がない。親方の期待に近づけるように頑張りたい」と明言した。
高砂部屋は例年、年明け3日に稽古はじめ。
その後に先々代5代目(元横綱朝潮)、先代6代目(元小結富士錦)の歴代高砂親方へ墓参する。
朝乃山ら若い力士は面識がないが、部屋の伝統を肌で感じる大切な時間だ。
朗らかな現師匠とのやりとりも、きっと財産になる。
朝乃山は年末、富山県へ帰郷するという。
それを聞いた高砂親方は間髪を入れず「『秘密のトレーニング、山籠もりでもする』といっておけばいい。『どこの山ですか』と聞かれたら『富山』です、と。一緒だっちゅうの。最後にオチをつけました!」。
大関降下は11月の九州場所の栃ノ心以来。
3場所連続で大関降下力士が出るのは昭和以降初めて。
初場所で2桁勝利を挙げれば陥落場所の特例で大関に返り咲く。
平成18年名古屋場所〜19年初場所の稀勢の里以来、4場所連続の小結。
24日に発表された大相撲初場所(来年1月12日初日)の新番付で、大栄翔が新小結に昇進した。
埼玉県草加市の追手風部屋で記者会見し、「今年の目標だったので、すごくうれしい。場所を重ねるごとに力が付いていると実感できた」と喜んだ。
追手風部屋からの新小結は平成30年夏場所の遠藤以来。
埼玉県からは令和元年名古屋場所の阿炎以来、戦後5人目。
3月の春場所から幕内上位で一進一退し、ようやく壁を越えた。
先場所2日目には白鵬に土をつけ、「自信になった。自分は前に出るしかないと改めて思った」という。
得意の突き押しで真っ向勝負し、東前頭筆頭での勝ち越しにつなげた。
年始に掲げた「三役昇進」「初の三賞」「初金星」の目標全てを達成した。
「目標の三役にやっとなれた。同年代が多いので負けられない」
「また新しい一年が始まる。東京五輪もあるが、自分は相撲で盛り上げたい」と役力士としての自覚を口にした。
日本相撲協会は24日、大相撲初場所(来年1月12日初日・両国国技館)の新番付を発表した。
先場所8勝の豊山(新潟市北区出身)は、変わらず西前頭9枚目。
来月12日から始まる大相撲初場所の番付が発表されました。
宮崎県延岡市出身の琴恵光関は、前頭13枚目でのぞみます。
日本相撲協会が24日発表した大相撲初場所の番付。
延岡市出身の琴恵光関は、先場所から番付を6つ下げ、西の前頭13枚目で幕内8場所目となる土俵にのぞみます。
琴恵光関は先場所、前頭7枚目で土俵に上がりましたが、5勝10敗と負け越しました。
大相撲初場所は来年1月12日に初日を迎えます。
大相撲初場所(来年1月12日初日)の番付で新入幕を果たした霧馬山が24日、東京都墨田区の陸奥部屋で記者会見に臨み、「十両になった時の次の目標だった。今度は三役を目指したい」と抱負を述べた。
陸奥部屋からの新入幕は、平成20年夏場所の白馬以来。
「幕内ならモンゴルでもテレビで映るのがうれしいし、楽しみ。次の目標は三役」
相撲未経験ながら、初土俵から5年足らずで出世した。
飛躍のきっかけは、師匠の死去に伴い9月の秋場所後に転属してきた鶴竜。
モンゴルの大先輩に見守ってもらう中、ノルマを課されていた食事をこなせるようになって体重が増え、前まわしを引いて頭をつける攻めに迫力が増したという。
師匠の陸奥親方(元大関霧島)は「喜びは一瞬。けがをしない体をつくりながら、稽古量を増やしてほしい」と期待を寄せた。
元関脇の勢は5場所ぶりの幕内復帰。
同じく関脇経験者の栃煌山と魁聖も再入幕。
元大関の照ノ富士は10場所ぶりに十両に復帰した。
元大関の照ノ富士が10場所ぶりに十両に復帰した。
他の再十両は元小結の千代鳳、朝玉勢、美ノ海、魁。新十両はいなかった。
大相撲の十両貴源治(22)=千賀ノ浦=が冬巡業で、インフルエンザ感染中に相撲を取らされたことが発覚。
日本相撲協会は23日、事実関係を認めたが、関係者への処分はなく、浮き世離れした言い訳に終始した。
11日の佐賀巡業で体調不良を訴えた貴源治は、病院で「インフルエンザA型」の診断を受け、「少なくとも5日間または解熱後2日間は自宅安静を要する」との診断書を提出。
しかし、春日野巡業部長(元関脇栃乃和歌)の判断で取組に出場するよう指示された。
芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「相撲を取らせてしまったことは間違いだった。今後の対策として、そうなった場合は、すぐに隔離すると、しっかりまとめました」と報告。
「十両はたまたま(冬巡業の)最終日。病院に行って帰ってきたのが取組の寸前で、対策がなかなか取れなかったところは落ち度」と弁明した。
貴源治の師匠である千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)に対しても、八角理事長(元横綱北勝海)が謝罪したという。
九州を中心に1日から始まった冬巡業では、インフルエンザで少なくとも関取衆8人以上が休場。
そんな状況で、感染力士を取組に出場させた管理責任を、真っ先に問われるべきは巡業部トップの春日野部長だろう。
ところが、春日野部長は「自分の言うことは広報部に話した」と答えるのみ。
芝田山部長は「取組、土俵入りの人数が少なくなる中で、巡業部長もいろいろ苦心していたと思います」と擁護し、処分は下されなかった。
また、巡業は力士と観客が接する機会も多く、会場が狭いため感染拡大のリスクも大きいが、そこまで気が回らなかったのか、来場者に対するお詫びは一切なかった。
2016年初場所では、安美錦(現安治川親方)がインフルエンザで6日目から休場も、2日休んだだけで8日目から再出場した例がある。
職場や学校ではインフル感染者は、本人の意思にかかわらず発症から5日程度の強制隔離が当然のルール。
2日で出てくることなど考えられないが、角界では特に問題視されることもなかった。
客商売でもある相撲協会全体が、いかにインフルエンザに対する認識が甘いかが、今回の件で改めて露呈した形だ。
監督官庁でもある文部科学省が、徹底的に指導に乗り出すべきだろう。
1918(大正7)年5月の大相撲夏場所は休場者が相次いだ。
流行性感冒によるもので世間は「相撲風邪」と呼び、「力士病」ともいわれた。
これが悪名高い「スペイン風邪」の日本における先がけとなった。
39万人が亡くなったスペイン風邪の日本での大流行は同年秋で、相撲風邪は後年「春の先触れ」と呼ばれる。
この時は力士に死者はなく、大流行の際も相撲界では感染者が少なかった。
予防注射の役割を「先触れ」が果たしたらしい
相撲界と流行性感冒といえば、江戸時代に無敵をうたわれた横綱・谷風が「風邪」で亡くなったのも有名な話である。
力士間の感染症流行は世の注目を集めてきただけに予防策は万全と思ったが、実際はそうでもなかったようである。
大相撲の十両・貴源治がインフルエンザに感染しながら、協会の指示で巡業の取組に出ていたとして問題になった。
感染の報告が取組間際だったために対応できなかったというが、当然ながら今後は直ちに休養させる方針を確認した。
この巡業では関取ら約30人が感染、休場者が相次いでいたという令和版・相撲風邪である。
今季のインフルエンザは流行開始が早く、最新のデータでも全国的な感染が例年に比べて広がっている。
流行のピークは年明けとなりそうだ。
つい先日は長野県で小6女児がインフルエンザ脳症で亡くなった。
子どもや高齢者らの命を守るためにも、感染を広げぬ努力にわずかな隙も作りたくない。
令和版・相撲風邪からくみ取るべき教訓である。
大相撲の元関脇豪風(本名・成田旭、北秋田市出身)が1月、39歳で現役生活に終止符を打った。
東十両12枚目で臨んだ初場所は、懸命の取組が続いたが結果は伴わなかった。
9敗すれば幕下転落が避けられない状況で、9日目に早々と負け越し。
10日目の1月22日に現役引退を表明した。
「悔いは一つもない。長くやった分、多くの方に見ていただけた」と満足感を漂わせた。
幕下付け出しでデビュー以来、通算100場所を務め、98場所を関取として戦った。
生涯戦績は687勝746敗46休だった。
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2019/12/23
上機嫌の白鵬が口にしたひと言が重かった。
「一番稽古をしている自信がある」
1年を締めくくる九州場所。
朝稽古で1時間以上かけて基礎運動に励んだ。
これまで通りの綿密さに加えて「今場所はてっぽうが多かった」という。
右手小指を骨折して秋場所を休場し、その不安を補うような稽古を重ねた。
誰よりも努力しているという自負を示したのは、その九州場所の一夜明け会見。
言葉通りに受け止めれば、背中を追うはずの若手はさらに差を広げられてしまう。
ほかの力士に「もっと稽古をしろ」と促しているようにもとれる。
2019年の大相撲はけがに満ちていた。
左の胸や腕の負傷に苦しんだ横綱稀勢の里が1月に引退し、白鵬を含めて横綱、大関は毎場所のように痛みを訴えて休場を繰り返した。
さらに、近づいていると言われる世代交代を担うべき若手もけがで足踏みした。
目立ったのが、大関昇進で最も明るい話題をもたらした貴景勝。
新大関の夏場所で右膝を痛めて一度は関脇に陥落し、大関復帰を決めた秋場所の千秋楽にも左胸を負傷した。
いつもどこかに不安を抱え、稽古に打ち込めない時期が長く続く。
九州場所では「まずはけがをしないこと」と繰り返した。
力を蓄えて上を目指すというより、まず15日間の場所をどう乗り切るか。
九州場所で右目の上を切ってから力が出せなかった御嶽海も含めて、現実的な問題に精いっぱいだったとも言える。
34歳になった白鵬もけがは多い。
休場も多い。
ただ、出る場所では体調を整えてくる。
長い間の稽古で培った体力と経験に、類いまれな体の軟らかさと丈夫さといった多くの要素があるからだろう。
相撲そのものの強さだけでなく、稽古を通して闘う体に仕上げる能力は並外れている。
白鵬ほどの経験と実績のない若手が世代交代の針を進めるには、鍛えながら結果を出し続けるしか道はない。
貴景勝や御嶽海の押し相撲に比べて、けがのリスクが低いとされる四つ相撲の朝乃山は、その意味で大きな可能性を持つ。
大栄翔や明生も、稽古熱心さでは定評がある。
今年は壁の高さを見せつけた白鵬も、安定感は年々失われつつある。
いつかはくるはっきりとした世代交代が来年であってもおかしくはないが、けがをして稽古ができなければその争いに参加できない。
上位に休場が相次ぐ中で新しい時代をたぐり寄せるには、年6場所を通して体調を整える力が求められる。
<第8回日刊スポーツ大相撲大賞(5)>
今年6場所すべて幕内に在籍した力士の中で、1番あたりの平均時間が最も長い「相撲を楽しんだで賞」は、白鵬(34=宮城野)だった。
不戦勝、不戦敗を除いた出場57番の平均は13・8秒。
2位逸ノ城より0・6秒長かった。
07年秋場所では、わずか平均4・93秒で横綱昇進後初、通算4度目の優勝を飾っている第一人者は「それは面白いデータだね」と、目を見開いた。
「隠岐の海、御嶽海…。もろ差しを許すことが多くなった。脇が甘くなったということかな」と、苦戦の多さが要因と分析する。
それでも包丁を扱う人に例え「包丁を素人は1週間でダメにする。少し上手な人は1カ月。でも達人は自然とさばくから、いつまでも刃こぼれしない」と説明。
力任せに取組相手を料理するのではなく、時には相手の力を利用する。
取組時間は長くても、実は自身に負荷をかけず料理できる現在こそ、技術の粋と自任する。
また平均では白鵬よりも1・5秒短いが、年間の取組時間が最も長い「土俵に長くいたで賞」は竜電(29=高田川)だった。
皆勤で不戦勝もなく、90番の総取組時間は1102・9秒。
「長い相撲になったら拍手が起きるような力士になりたい」。
じっくり攻めてスタミナ勝ちこそ真骨頂だ。
2人に共通したのは「取組時間の長さ=誇り」ということだった。
東京朝乃山後援会の発足を祝う会が20日、東京都千代田区の大手町サンケイプラザで開かれた。
東京富山県人会連合会(桑山征洋会長)のメンバーや都内のファンら500人が出席。
「横綱を目指せ」と激励を受け、朝乃山関(25)=富山市呉羽町出身=は「稽古に励み、番付を上げるよう頑張る」と決意を語った。
朝乃山関は5月の大相撲夏場所で初優勝。
9月の秋場所で横綱鶴竜関を破って初金星を挙げ、11月の九州場所では新三役で11勝した。
来年1月の初場所での新関脇が濃厚で、今後の活躍を支えようと東京後援会を設立した。
発起人代表の桑山会長が「今年は幕内優勝を達成し、年間最多勝を獲得した。これからは横綱、日本のヒーローになってほしい」とあいさつし、土俵入りなどで着ける化粧まわしの目録を贈った。
山崎康至副知事と高砂親方(元大関朝潮)が祝辞を述べた。
中川忠昭県議会議長、朝乃山関の父の石橋靖さん、発起人の駒澤北日本新聞社長らを交えて鏡開きを行い、乾杯した。
あいさつに立った高砂親方は、やんちゃだったモンゴル出身の元横綱朝青龍関を育てたことを念頭に置き、「えらい目に遭いました」と冗談っぽく話し、会場を笑わせた。
続けて「今度は和製横綱。一緒に花を咲かせたい」と話すと、大きな拍手に包まれた。
高砂親方は来年12月に65歳で日本相撲協会の定年となる。
これまで「横綱を目指せ」と言われた記憶がないという朝乃山関は「定年まであと1年。少しでも近づけるよう頑張る」と、親方の思いに応えることを誓った。
昨年12月、付け人に暴力を振るい引退した大相撲の元幕内貴ノ岩(29)が20日、TBS系で放送された「爆報!THEフライデー」に出演。
引退後、40キロも激やせしたことを明かした。
現在、ウランバートル在住という元貴ノ岩は、「マイナス40キロになりましたよ」と40キロやせたことを笑顔で告白。
暴行事件の際に「マスコミに追っかけられてる時が一番辛かった」と振り返った。
今年3月にモンゴルに帰国したが、ほぼ引きこもり状態。母国でも“横綱日馬富士を引退に追い込んだ男”としてバッシングを浴び、食事も喉を通らず、引きこもり状態となったという。
日馬富士は17年秋、貴ノ岩を暴行し、引退している。
同じモンゴル出身の元横綱日馬富士とは「故郷が一緒だし、男同士だし、もうわだかまりはないですね」と今の心境を語った。
現在は牧場を経営。牛100頭、馬300頭を育てているという。
元師匠の貴乃花光司氏に対しては「申し訳ないという気持ちはあります。お父さんのような存在です。自分の中では心では表せないぐらい感謝の気持ちでいっぱいです」と話していた。
大相撲の横綱白鵬関と押尾川親方(元関脇豪風)=本名・成田旭、北秋田市出身=を囲む会が20日、東京・文京区のホテル椿山荘東京で開かれた。
来年2月1日に両国国技館で開く「豪風引退・押尾川襲名披露大相撲」を前に、押尾川親方は「豪風の最後の大銀杏(おおいちょう)姿と断髪式を多くの人に見届けてもらいたい」と思いを語った。
囲む会は、引退相撲を盛り上げようと、押尾川親方と親交の深い岡田裕介東映会長が代表発起人、豪風後援会の佐藤暢男会長らが発起人となり開催。
豪風の師匠尾車親方(元大関琴風)や県選出の自民党衆院議員ら約110人が出席した。
引退相撲では断髪式のほか、相撲甚句の披露、十両と幕内の取組、櫓太鼓の打ち分け実演、横綱締め実演などを行う。
チケットは販売中。
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2019/12/21
大相撲の大関・貴景勝(23)=千賀ノ浦=が19日、「Yakult(ヤクルト)1000」の新しいCMキャラクターに起用され、都内で発表会に出席した。
初のCM出演で、この日のトークセッションでは人気お笑いトリオ「ダチョウ倶楽部」と絶妙な掛け合いを見せた。
ダチョウ倶楽部とは初対面で、さっそく肥後克広、寺門ジモンから上島竜平の代わりに、とスカウトされたが「熱い風呂が苦手なので…」。
お決まりの“熱湯風呂”にかけて苦笑いする一方「熱いちゃんこなら食べられるんですけど」と切り返して“つかみはOK”。
3人をうならせた。
その後ダチョウ倶楽部は、ストレス軽減に効果があるとされる商品にちなみ新ネタを披露。
しかし、審査員を務めた貴景勝は、2連発で「×」の札を挙げ、芸歴30年以上のベテランのギャグに「全然(ストレス)取れないです」と満面の笑みでダメ出しした。
最後は“リベンジ”を誓った上島から腕相撲の挑戦を受けたが、秒殺で返り討ち。
終始リラックスした表情で、会場を盛り上げた。ヤクルトからは新しい化粧まわしと同商品1年分も贈られ「初場所でいい成績を残せるように頑張る」と決意。
新CMは、来月下旬から放送される。
大相撲の小結朝乃山(25=高砂)が、師匠の高砂親方(元大関朝潮)から初めて、横綱を期待する言葉を掛けられた。
「東京朝乃山後援会」が発足した20日、都内で「発足を祝う会」が開催され、師弟で出席。
壇上であいさつした高砂親方は、弟子でモンゴル出身の元横綱朝青龍を引き合いに「今度は和製の横綱で、一緒に花を咲かせたい」と話し、約500人の参加者を盛り上げた。
朝乃山は「横綱」と直接言われたことについて「記憶にない」と初めてだと明かし、驚いた。
高砂親方は今月、64歳の誕生日を迎えた。
朝乃山は「横綱」の言葉を受け「定年まであと1年。難しいかもしれないけど少しでも近づきたい。まずはその前」と力説。
他ならぬ高砂親方に「関脇で2ケタ勝つまで『大関』を口にするな」と言われてきただけに、番付こそ明言しなかったが、大関、横綱への意欲は強まった。
「来年はもっと活躍したい」。大関、横綱へと一気に駆け上がることが、来年6場所の目標となった。
<第8回日刊スポーツ大相撲大賞(4)>
横綱稀勢の里の引退に始まり、新大関貴景勝誕生、トランプ米大統領観戦、暴力問題で十両貴ノ富士が引退など、さまざまな出来事が起きた2019年の大相撲。
今年1年間、幕内を務めた全29人の力士が対象の連載「第8回日刊スポーツ大相撲大賞」は、そんな陰で生まれた好記録や珍記録を表彰する。
本場所会場まで移動時間が最も長い「通勤が大変で賞」を獲得したのは、大方の予想通り。
前頭明生(24=立浪)だった。
茨城・つくばみらい市の部屋から東京・両国国技館まで、電車で往復2時間。
大阪の春場所、名古屋場所、九州場所の宿舎からは車で、マップアプリなどを駆使して計算したところ総時間は8670分=約145時間。
明生は「遠いと思っていた」と、苦笑いを浮かべながら、納得した様子だった。
東京場所では、立浪部屋の関取衆は明生以外も電車を利用。
他部屋の関取と違って車で移動しないのは「渋滞が怖いから」。
部屋から国技館方面へ向かう夜の常磐自動車道はよく混むそう。
「毎日同じ時間に着くからリズムも一定になる」と、ルーティンを崩さない意図もある。
ここ数場所の活躍で知名度が上がったためか、電車では幅広い年齢層のファンに声をかけてもらう機会が増えた。
九州場所では自己最高位の西前頭2枚目。
年間で最も決まり手の多い「年間彩多賞」も受賞した。
三役目前のブレーク候補は「今年はまずまずだったので来年はさらに飛躍したい」と誓った。
大相撲の巡業中に付け人を殴打して現役引退したモンゴル出身の元幕内・貴ノ岩(29)が、20日放送のTBS系「爆報!THE フライデーSP」(金曜・後7時)に出演。
2017年11月、角界で起きた暴行事件を語った。
横綱・日馬富士による幕内力士暴行事件だ。
地方巡業の打ち出し後、日馬富士とモンゴル出身の後輩力士たちとの宴席で、酔った日馬富士が貴ノ岩に絡み、殴打したというものだった。
当時27歳の貴ノ岩は前頭8枚目。
報道によると宴席で横綱・白鵬が後輩力士に説教をしている中、貴ノ岩は彼女へメールを送るためスマートフォンを触っていた。
同郷の大先輩であり、格上でもある白鵬を前にしての態度に腹を立てた日馬富士は、貴ノ岩を平手で10数発、さらにカラオケのリモコンでも頭を殴打した。
事件が明るみに出たのは地方巡業後、11月場所が始まった矢先。
連日、マスコミは横綱・日馬富士の責任問題を追及し、その結果、日馬富士が責任を取って引退するという幕引きとなった。
ところが、この暴行事件から1年後の2018年12月、暴行の被害者だった貴ノ岩が、なんと自身の付け人に暴行していたことが発覚する。
元貴ノ岩は昨年12月4日夜、宿舎の行橋市のホテルで、付け人を務める弟弟子を平手と拳で4、5回殴った。
協会の聴取に、頼んでいた風邪薬を付け人が忘れて言い訳をしたことが理由だと説明。
貴ノ岩も日本中から大バッシングを受け、発覚から3日後に引退する大騒動となった。
引退会見は開いたものの、マスコミの追及に多くを語ることはなく、表舞台から姿を消した。
貴ノ岩は当時の事件を「(付け人に)厳しすぎて、やり過ぎたのは事実」と説明。
「マスコミに追いかけられてるときが一番つらかった」と2019年3月にモンゴルに帰国。
しかし、故郷に帰っても英雄の元横綱・日馬富士から暴行を受け、引退に追い込んだことにバッシングが止まることはなかった。
自身が起こした騒動から1年。
番組では元貴ノ岩が今、日本を離れ、謎の男にかくまわれて潜伏生活中という情報をキャッチ。
徹底調査の末、その謎の男とのコンタクトに成功した番組スタッフが元貴ノ岩に取材交渉した。
暴行事件騒動以降、全ての取材を拒否していた元貴ノ岩は「真摯に取材してくれるなら」という条件のもと、取材に応じてくれることに。
番組スタッフとの待ち合わせ場所に姿を現した彼の風貌は現役時代から大きく変わっていた。
このことで引きこもり生活を余儀なくされ、現役当時より40キロ痩せてしまったが、突然、日馬富士から「一緒に相撲をとらないか。学校を作るんだ、手伝ってほしい」と連絡があった。
日馬富士が手がける小中高の一貫校で相撲を教える事になったという。
「同郷ですし男同士なので、わだかまりはない。『相撲を取ろう』って言ってくれたので」と現在は和解していると話した。
貴ノ岩は現在、町から60キロ離れたところで、東京ドーム約600個分の広さで牛100頭、馬300頭という大規模な牧場を経営している。
師匠の貴乃花親方には「申し訳ないって気持ちはあります。部屋に入れてくれて、幕内まで育ててくれて。お父さんみたいな存在。自分の中ではもう、言葉に表せないぐらい感謝している」と話した。
龍ケ崎市は19日、来年の大相撲1月場所での力士たちの活躍を願い、式秀部屋(同市佐貫)に地元食材を差し入れた。
地元産のコシヒカリ10キロのほか、ハクサイやダイコンなどの野菜、豚肉10キロ、国産鶏肉5キロを届けた。
飲食店などで構成する「コロッケクラブ龍ケ崎」もご当地グルメの「龍ケ崎コロッケ」を贈った。
中山一生市長は「活躍してほしいという市民の思いがこもっている」と激励し、市のふるさと大使でもある同部屋の式守秀五郎親方(48)=元幕内、北桜=は「毎年、米や新鮮野菜、日本一の龍ケ崎コロッケをいただいている。日本一の相撲部屋に近づけるようにしっかり頑張って成績を残したい」と話した。
式秀部屋には三段目、序二段、序ノ口の力士19人が所属し、爆羅騎や冨蘭志壽など、個性的なしこ名の持ち主がいる。
式守親方は「龍ケ崎出身の有望な力士が出てくれば『龍ケ崎』のしこ名を付けたい」と語った。
全国高校総体の相撲個人戦で優勝し令和最初の高校横綱に輝いた飛龍高校3年の大桑元揮選手が、出身地の藤枝市で北村正平市長を訪問し、大相撲・伊勢ケ濱部屋への入門が決まったことを報告しました。
身長170センチ、体重の130キロと力士としては小柄ながらも、力強い突き押し相撲でインターハイで優勝した高校横綱です。
北村市長は「ケガをしない体を作ることが大事。早く関取になるよう応援します」と大桑選手を激励しました。
大桑元揮選手:「体がすごい小さいけど気持ちで負けないように貴景勝関や照強関のように気持ちで負けない自分で下から攻める相撲を目指して頑張りたい」
「目指すは関取」大相撲の伊勢ヶ濱部屋に入門する高校横綱の大桑元揮さんが決意を伝えました。
大桑選手は今月24日に部屋に入り、来月には初土俵を迎える予定です。
13日に血管肉腫により41歳の若さで死去した大相撲の東関親方(本名・佐野元泰さん)=元幕内・潮丸=の葬儀・告別式が19日、東京・葛飾区の東関部屋で高砂一門葬として営まれた。
親方衆や小結・朝乃山(高砂)ら約500人が参列。
葬儀委員長を務めた日本相撲協会の八角理事長(元横綱・北勝海)は遺影を前に「残念で、残念でなりません。誠実な人柄は弟子に慕われ、先輩親方からは大変かわいがられた。私もその人柄にほれ、ひと回りも若いあなたにいろいろと相談してきました。本当に素晴らしい人でした」と涙ながらに弔辞を読み上げた。
大相撲の横綱白鵬関と押尾川親方(元関脇豪風)=本名・成田旭、北秋田市出身=を囲む会が20日、東京・文京区のホテル椿山荘東京で開かれた。
来年2月1日に両国国技館で開く「豪風引退・押尾川襲名披露大相撲」を前に、押尾川親方は「豪風の最後の大銀杏姿と断髪式を多くの人に見届けてもらいたい」と思いを語った。
囲む会は、引退相撲を盛り上げようと、押尾川親方と親交の深い岡田裕介東映会長が代表発起人、豪風後援会の佐藤暢男会長らが発起人となり開催。
豪風の師匠尾車親方(元大関琴風)や県選出の自民党衆院議員ら約110人が出席した。
引退相撲では断髪式のほか、相撲甚句の披露、十両と幕内の取組、櫓太鼓の打ち分け実演、横綱締め実演などを行う。
チケットは販売中。
大相撲の元横綱・若乃花でタレントの花田虎上が19日に自身のアメブロを更新。
800gの焼豚をほぼ1人で完食したことを明かした。
この日花田は「夕食、今夜はビールタイム」「妻が朝から仕込んでいた焼豚、蓮根金平、ほうれん草こ胡麻和え」(原文ママ)と夕食のメニューを紹介。
「娘が好きなので今日スーパーマーケットで見つけて買ったジーマーミ豆腐」「妻も同じように、娘が好きなので海ぶどうを買ってきていて沖縄の食卓のようになりました」と偶然にも沖縄風の食卓になったことを説明した。
また、焼豚は800g用意されていたものの、空になった皿の写真とともに「あっという間に完食しました」と報告。
「食べたのはほとんど私です」と告白しブログを締めくくった。
この投稿に読者からは「美味しそう」「お料理上手な奥様」「プロ級の腕前ですね!」「作りかた教えてください!」などの声が寄せられている。
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2019/12/20
大相撲の大関貴景勝(23)が、自身初めてのテレビCMに起用された。
19日、東京・港区のヤクルト本社で「Yakult(ヤクルト)1000」CMキャラクター発表会に参加した大関は「小さいころから飲んでいた。一番、一番、一日、一日が勝負のプロにはありがたい商品」とPRした。
東京・台東区の千賀ノ浦部屋の稽古場で撮影されたCMは、来年1月下旬に公開される。
ヤクルト史上最高菌数の同商品は「乳酸菌シロタ株」を含み、一時的な精神ストレスをやわらげ、睡眠の質を向上させる機能性表示食品。
最先端の研究から生まれた商品とあって、筋肉の鍛え方や栄養学など多くの専門書を熟読している貴景勝に白羽の矢が立った。
また、同社から朱赤の地にヤクルトの形状がデザインされた化粧まわしが贈られ、「色合いが素晴らしい。赤色の化粧まわしは初めて」と見入っていた。
発表会にはお笑いトリオ、ダチョウ倶楽部も応援参加。
大関は左腕一本、メンバーの上島竜平には両手によるハンデを与えた腕相撲対決も披露され、大関が圧勝する場面も。
大相撲の元幕内潮丸で、13日に血管肉腫のため41歳の若さで死去した東関親方=本名・佐野元泰=の告別式が19日、東京都葛飾区の東関部屋で高砂一門葬として営まれた。
参列した親方や現役力士ら約500人が最後の別れを惜しんだ。
葬儀委員長を務めた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「あなたが支えてくれていたことにいつも感謝していました。誰もが認める素晴らしい人柄のあなたが41歳という若さで旅立たなければならないことに、運命の残酷さを痛感しています」などと言葉を詰まらせながら弔辞を読んだ。
出棺前には妻で女将が参列者に挨拶。
「親方と出会い、相撲という世界に触れ、女将さんという素晴らしい経験をさせてもらい、感謝しかありません。本当に素晴らしい部屋の師匠であり、愛すべき夫であり、父親でした」と気丈に述べた。
13日に血管肉腫により41歳の若さで死去した大相撲の東関親方(本名・佐野元泰さん)=元幕内・潮丸=の葬儀・告別式が19日、東京・葛飾区の東関部屋で高砂一門葬として営まれた。
親方衆や小結・朝乃山(高砂)ら約500人が参列。
葬儀委員長を務めた日本相撲協会の八角理事長(元横綱・北勝海)は遺影を前に「残念で、残念でなりません。誠実な人柄は弟子に慕われ、先輩親方からは大変かわいがられた。私もその人柄にほれ、ひと回りも若いあなたにいろいろと相談してきました。本当に素晴らしい人でした」と涙ながらに弔辞を読み上げた。
幕内を12場所務めた東関親方は2009年夏場所限りで引退し、東関部屋を継承。
相撲協会では審判委員などを務めた。
大相撲の元幕内潮丸で、13日に血管肉腫のため41歳の若さで死去した東関親方の通夜が18日、都内の東関部屋で営まれた。
師匠だった元関脇高見山の渡辺大五郎氏(75)らが参列。
兄弟子の元横綱曙(50)も昼に人目を避け、焼香に訪れた。
プロレスラーに転向した曙は、一昨年4月に福岡で試合後に急性心不全で入院。
一時は生命の危機に陥った。
今も記憶障害などで闘病中だが、「(東関親方が)亡くなったときも、『何かできることはないか?』と電話がありました。歩くことはできなかったけど、みんなのことも覚えていたし、元気そうでした」(部屋関係者)。
かわいがっていた元付け人のため、動くのも大変な体でお別れに駆け付けた。
曙氏は心臓疾患による後遺症で闘病中の身にありながら、自身の付け人を務めた東関親方に最後の別れを告げるために部屋を訪れたのだろう。
関係者によると、曙氏は落胆した様子で涙が止まらなかったという。
東関親方は現役時代、付け人として曙氏の身の回りの世話などをしてきた。
当時、大相撲を担当していた記者は、東関親方が支度部屋で黙々と仕事をこなしていた姿をみてきた。
中学を卒業したばかりで、角界のしきたりに慣れるのに精いっぱいという感じだった東関親方を、曙氏はまるで弟のようにかわいがっていた。
東関親方がまだ序二段だったころ、曙氏が語っていたことが思い出される。
「こいつのことを今からよく取材したほうがいいよ。必ず強くなるから。関取になったら相手にされないかもよ」。
まだ満足にマゲが結えない序二段力士のポテンシャルを曙氏は見抜いていたのだろう。
曙氏は東関親方の強さについて、こう言っていた。
「とにかくえびすこが強いんだよ。俺もびっくりするくらい。よく食べる力士は強くなる。こいつはけいこもよくするし、性格もまじめ。すぐに出世するよ」
「えびすこ」とは角界の隠語で大食漢を指し、力士の間ではたびたび「えびすこが強い」という表現が用いられる。
「付け人にご飯を食べさせるといつも財布がカラになるよ」。
困ったはずの話なのに、どこかうれしげに話す曙氏の表情が印象的だった。
曙氏は2001年1月に現役を引退し、曙親方として後進の指導に当たった。
曙氏の期待に応えるように東関親方は02年1月場所で新十両となり、弟弟子の高見盛(現振分親方)とともに東関部屋の屋台骨を支えてきた。
曙氏は03年に角界を去ったが、東関親方とはその後も親交があったという。
東関親方の師匠だった元関脇・高見山の渡辺大五郎氏は「残念。まだ若い。こういうことになってしまって…。もう少しいてほしかった。(定年まで)あと25年あった」と悲しみに暮れた。
大相撲の春巡業「筑西場所」が来年4月19日、筑西市上平塚の下館総合体育館で開かれる。
同市誕生から来年で15年となるのを記念して開催する。
チケットは22日午前10時から、筑西市役所本庁舎地下1階で先行販売される。
筑西場所は2017年10月以来2年半ぶりで、関取(十両以上の力士)は原則全員が参加する。
当日は午前9時に開場。
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2019/12/19
朝乃山 英樹(あさのやま・ひでき)本名・石橋広暉。
1994年3月1日、富山市生まれ。25歳。
小4から相撲を始め富山商から近大に進学。
2016年春場所、前年5月創設の三段目付け出し第1号で高砂部屋から初土俵を踏み、2019年夏場所で幕内初優勝。
殊勲賞2、敢闘賞3、技能賞1。
下の名は富山商時代の恩師、浦山英樹氏(故人)にちなんだ。
188センチ、171キロ。得意は右四つ、寄り。
報知新聞社制定「2019報知プロスポーツ大賞」の受賞者が17日に決まり、大相撲の朝乃山(25)=高砂=は、自身初の吉報にはにかんだ笑顔を見せた。
「プロに入って、スポーツ賞というのはもらったことがない。初めてなので、うれしいです」。
5月の夏場所で幕内初V(12勝3敗)を飾り、トランプ米大統領から大統領杯を受け取った25歳。
「世界のアサノヤマ」として一躍時の人となった。
秋場所では、横綱・鶴竜(陸奥)を破って自身初金星。
10勝を挙げ、九州場所での新三役を射止めた。
新小結で臨んだ九州も11勝で、優勝次点。
右を差し、左上手を取って攻める盤石の相撲は、横綱・白鵬(宮城野)も太鼓判を押す。
来年初場所の成績次第では、大関取りも見えて来る。
今や角界の顔となりつつある、四つ相撲の代表格だ。
各界の名だたるアスリートが受賞者として顔を並べる今回。
「プロ野球選手やラグビーの選手もいるんですよね。同じ舞台に立てると思うと、うれしいです」と喜びを表現。
一方で、「周りに報告することはしません。自分からは、もっと上の番付にいって報告したいので」。
その言葉には、更なる高みを目指す覚悟がうかがえる。
飛躍を遂げた2019年から、大関、横綱昇進を目指す2020年へ。
「来年は、大事な年になってくるけど焦らずに。先の事は見ずに、1場所ずつやっていけたら。今年より、充実した1年にしていきたい」と抱負を語る。
世代交代の波が押し寄せる角界で、大関・貴景勝(千賀ノ浦)らと土俵を盛り上げる。
勢いに乗る大器が、大相撲の新時代をリードする。
全国を巡る大相撲の巡業は15日に冬巡業が幕を閉じ、今年の全日程を終えた。
力士にとっては鍛錬の場でもあり、これをしっかりと生かして躍進につなげた現象も起きた半面、課題も見えた。
巡業を飛躍のきっかけにしたのが小結朝乃山だろう。
「一度しかない力士人生だから、できる限りやる。上を目指す」と決意。
春巡業から精力的に土俵に上がり、他の関取衆の胸を借りた。
5月の夏場所で平幕優勝。
その後もよく稽古し、大関候補に名乗りを上げた。
審判委員として冬巡業に同行した玉ノ井親方(元大関栃東)は期待を込めて朝乃山に注文をつける。
「四股、すり足が少ない。もっと突き詰めないと本当の強さは身につかない。その点でも一番やっているのは白鵬だった」と指摘した。
各部屋での稽古と違い、間近に見られる第一人者の姿勢。
学ぶものは多そうだ。
相撲の普及も巡業の大きな役割の一つだが、日本相撲協会は安全面を理由に昨年の夏巡業から子どもの稽古を休止。
貴重な触れ合いの場が失われたままだ。
力士会会長の横綱鶴竜は引き続き復活を求めていく意向で「子どもたちにもっと相撲を知ってもらいたい。未来に向けて大事なこと」と熱弁していた。
大相撲冬巡業を途中離脱した前頭大栄翔(26=追手風)が18日、東京・両国国技館の相撲診療所でインフルエンザの予防接種を受けた。
冬巡業には初日の1日から参加していたが「溶連菌感染症」により4日の熊本・人吉市に参加せず帰京。
「前の日(3日)の夜から体調が悪かった。体の節々が痛くて、熱も38度あった」。
帰京後は4日間安静に努め、8日から埼玉・草加市の部屋でまわしを締めて稽古を再開させたという。
「(溶連菌には)初めて感染した。病気に気をつけようと思った」と話した。
11月の九州場所では東前頭筆頭で8勝7敗と勝ち越し、優勝した横綱白鵬から金星を奪って殊勲賞も獲得した。
来年1月の初場所(12日初日、東京・両国国技館)では新三役の可能性もあるホープは「巡業に参加できなかったぶんも自分で考えながら稽古していきたい」と、力強く語った。
大相撲の元横綱朝青龍のおい、十両豊昇龍(20=立浪)の新十両昇進パーティーが18日、都内のホテルで行われた。
九州場所で新十両昇進を果たした豊昇龍を、パーティーに出席した部屋後援者ら130人が祝福した。
九州場所は負け越したものの7勝8敗に踏みとどまり、来年1月の初場所(12日初日、東京・両国国技館)も十両として臨む見通しの豊昇龍は「皆さんの支えがあって十両に昇進することができた。九州場所は負け越してしまったが、初場所から絶対に番付を上げていきたい」と力強く意気込んだ。
パーティーには歌舞伎役者の市川九團次(47)が、後援者の紹介を通じて出席した。
部屋頭の前頭明生、十両天空海、そして豊昇龍の立浪部屋関取衆3人にシャンパンを贈呈。
九團次から「これからも頑張ってほしい」とエールを送られ、豊昇龍は「ありがとうございます」。
だが師匠の立浪親方(元小結旭豊)から「まずは初場所で(十両)優勝してからだな。(シャンパンを)飲むのはそれから」と冗談めかしてクギを刺された。
血管肉腫のため13日に41歳で死去した大相撲の元幕内潮丸の東関親方(本名佐野元泰=さの・もとやす)の通夜が18日、東京都葛飾区の東関部屋で営まれ、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)、先代親方の渡辺大五郎さん(元関脇高見山)ら約550人が別れを惜しんだ。
2009年に部屋を引き継ぎ、18年に部屋開きをしたばかり。
先代親方は「まだ若く、これからだった。もう少しいてほしかった」と言い、大きくため息をついた。
遺影には笑みをたたえた写真が選ばれた。
同じ高砂一門の八角理事長は「笑顔が絶えず、みんなに慕われていた。とても残念に思う」と話した。
13日に血管肉腫のため死去した大相撲の元幕内潮丸の東関親方(本名・佐野元泰、享年41)の通夜が18日、東京・葛飾区の東関部屋で営まれた。
師匠だった元関脇高見山の渡辺大五郎氏(75)=前東関親方=をはじめ、約60人の現役親方を含む約550人が参列した。
部屋が所属する高砂一門葬として執り行われ、日本相撲協会・八角理事長(元横綱北勝海)が葬儀委員長を務めた。
渡辺氏は「まだ若い。これからですよ」と早すぎる死を悼んだ。
部屋関係者によると、兄弟子にあたり現役時代に付け人も務めた元横綱曙(50)がこの日昼、焼香に訪れた。
現在は心機能停止による重度の記憶障害で自力歩行も難しい状況だが、関係者が連絡すると「(通夜へ)行く」と即答し、介護タクシーを使って駆けつけたという。
稽古場に設けられた祭壇の遺影は、昨年2月に部屋開きを行った際のもの。
戒名は名跡と本名から文字をとった「大優院東元泰善居士」。
13日に血管肉腫のため41歳の若さで死去した大相撲の東関親方(本名・佐野元泰さん)=元幕内・潮丸=の通夜が18日、東京・葛飾区の東関部屋で営まれ、約550人が参列した。
この日昼過ぎには、同部屋所属だった元横綱でプロレスラーの曙太郎(50)も部屋を訪れて手を合わせた。
かつて自身の付け人を務めた同親方のひつぎの前で対面すると、「悲しい。早すぎる」と静かに語りかけ、何度もタオルで目頭を拭った。
曙は心臓疾患による後遺症で闘病中。
旧知の角界関係者とも再会し、「(付け人で)一番仕事ができた」と約1時間も弟弟子のそばを離れようとしなかった。
帰り際には、部屋付きとして力士を指導する振分親方(元小結・高見盛)を呼び、「(高見)盛関、部屋を頼んだぞ」と固い握手をかわした。
振分親方は「久しぶりに(横綱と東関親方の)3人で写真が撮れた」と、ほほえむ遺影の前に立ち、姿勢を正した。
通夜では先代師匠で元関脇・高見山の渡辺大五郎氏(75)も「残念。これからですよ…」と弟子との別れを惜しんだ。
戒名は本名も盛り込まれ「大優院東元泰善居士」に決まった。
19日の葬儀・告別式も同部屋で高砂一門葬として実施される。
2020年東京五輪の聖火ランナーが17日に発表され、2016年の地震で甚大な被害にあった熊本県からはバドミントンの元日本代表でキャスターとしても知られる陣内貴美子さん、大相撲の幕内正代らが選ばれた。
陣内貴美子さん(バルセロナ五輪バドミントン女子ダブルス出場)
「(東日本大震災や熊本地震など)それぞれの災害からの復興には時間がかかりますが、東京大会でのアスリートの躍動する姿はきっと、被災された方々の心を癒やし、前を向く力となるでしょう。私も、育ててもらった街・熊本を、心を込めて走り、聖火のともしびがすべての皆さんの心を明るくできればうれしいです」
正代直也(大相撲幕内)
「56年ぶりの東京五輪で自分が生まれ育った故郷を聖火ランナーとして走れることを光栄に思い、また、大変うれしく思います。五輪競技に相撲はありませんが、このような形で関わりが持てること、五輪に参加できることをうれしく思います」
永野竜太郎(熊本県益城町出身のプロゴルファー)
「震災以降、復興に向けて進んでいる地元の熊本・益城町出身として聖火を東京へとつなげていけたらと思います」
20年東京五輪の聖火ランナーを務める大相撲の前頭錦木(29=伊勢ノ海)が18日、東京・両国国技館相撲診療所でのインフルエンザの予防接種後に「名誉なことだし、なかなかないこと。地元のために走りたい」と意気込みを語った。
出身地の岩手・盛岡市内で予定されており「(距離は)200メートルくらいと聞いています」。
聖火の持ち方については「太刀持ちと一緒なのかな?」と、同じ時津風一門の横綱鶴竜の土俵入りをイメージしていた。
タレント・神田うの(44)が18日までに自身のインスタグラムを更新。
大相撲第69代横綱・白鵬(34)=宮城野=の妻・紗代子さんと会食したことを報告した。
うのは「ずっと行ってみたかった白鵬関のちゃんこ鍋のお店『鵬』にて 内助の功が素晴らしい紗代子ちゃんと横綱の優勝お祝い&尊敬する働くママのナオミさんと千晶ちゃんのお誕生日のお祝いをしました」と報告。
「ちゃんこはとーっても美味しかったです」とつづった。
インスタには紗代子夫人との2ショットや友人と料理を楽しむ写真を公開。
「『おめでとう』を言い合うお祝い会っていいですね」と記していた。
フォロワーからは「素敵なお店 皆さまお美しいです」「うのちゃんの巻き髪ステキ!! 女子会楽しそう」「ちゃんこ鍋でお祝い良いですね」などのコメントが寄せられている。
2019年の大相撲界は「世代交代」というキーワードで語られてきた。
貴景勝が3月の春場所後に22歳で大関に昇進し、5月の夏場所では25歳の朝乃山が初優勝と、次世代勢力の伸びがあった。
ただ、幕内優勝力士を見ると白鵬2度、鶴竜と玉鷲が1度ずつと年6場所のうち4場所で30代が賜杯を抱いた。
3場所はともに現在34歳の両横綱で、若手から中堅とされる力士たちが最高位の牙城を崩すまでには至っていない。
▽鬼の居ぬ間に‥
夏場所の朝乃山以外で20代の優勝者が出たのが9月の秋場所で、26歳の御嶽海が2度目の制覇を果たした。
ただ両場所を振り返ると、夏場所で白鵬は全休(鶴竜は11勝4敗で朝乃山と対戦なし)、秋場所でも白鵬は2日目から、鶴竜も8日目から休場と不在だった。
もちろん優勝した力士たちには全く非はないが、この傾向は昨年から続いており、昨年11月の九州場所で貴景勝が初優勝した際には白鵬と鶴竜は全休、稀勢の里は途中休場だった。
同7月の名古屋場所で御嶽海が初めて賜杯を抱いたときも白鵬と鶴竜が途中休場、稀勢の里は全休と対戦がなかった。
こと白鵬に焦点を当てれば、横綱以外が優勝した場所で白鵬が皆勤していたのは2017年初場所の大関稀勢の里の初優勝にまでさかのぼる。
まさに「鬼の居ぬ間に‥」の状態といえる。
先月の九州場所では白鵬が14勝1敗で43度目の制覇。
場所中、朝乃山は「同世代の若い人たちで今年最後の場所を盛り上げていきたい」と話していた。
11勝と健闘したものの、結果的に白鵬に3差を許した。
白鵬と鶴竜にけがによる休場が目立ってきたことは寄る年波を感じさせるが、体調を整えて皆勤した場合にはまだまだ壁になっているというのが現状だ。
▽同情
白鵬の九州場所の取り口については、横綱審議委員会から苦言が飛び出すなど批判が起きた。
多用した張り手や、前腕部を突きつけるようなかち上げが、横綱として見苦しいという意見だ。
特に12日目は、対戦相手の遠藤が土俵で鼻血を出したこともありクローズアップされた。
一方、元大関魁皇で、現在は審判委員として土俵下から勝負を見守る浅香山親方は「反則でも何でもない。今は対戦相手が白鵬を怖がって何もできず、かち上げを食らって同情を買っている状態。情けない」と話す。
ある三役力士も、遠藤戦の白鵬の攻め方について「全然OKでしょう。プロだから勝ちに徹するのも、(大相撲は)神事というのもどちらも正解。横綱にならないと分からないものもある」との見解を示した。
歴代最多の幕内在位107場所を誇る浅香山親方は若貴兄弟や曙、武蔵丸、朝青龍ら多くの横綱と激闘を繰り広げていた。
「自分たちの頃は、横綱と当たるときには興奮して眠れないくらいだった。何としても倒してやろうってね。今の20代の力士からは、怖がることなく全力でぶつかるという姿勢が伝わってこない」と残念がる。
さらに同親方は「前への圧力があればかち上げは効かないし、張り手もできないものだ」と指摘。
確かに九州場所で白鵬にただ一人、土をつけた大栄翔も右かち上げに対してしっかりと踏み込んでこらえ、すぐに突き、押しを繰り出して快勝した。
3年前の名古屋場所では、白鵬の左張り手、右かち上げに対し、宝富士がそこまで体勢を低くせずに左からかち上げ気味に当たった。
これで攻撃の威力を見事に封じて横綱を破った一番もあるように、さらに対抗策を練ることは有効だ。
▽社会状況
”ミスターラグビー”と呼ばれ、先見の明を持っていた平尾誠二氏は生前、「スポーツって社会にすごく影響を受けている」と語っていた。
昔に比べて平均寿命が長くなっている昨今、日本は少子高齢化。
加えて、子どもにある程度の学歴を望む社会状況などは、若手がベテランの横綱陣を崩し切れていない角界にも無関係ではなさそうだ。
中卒たたき上げの日本出身関取が減っている。
九州場所の三役以上で25歳未満は貴景勝だけと、上位陣を”若さあふれる”とは形容しがたい。
相撲界は、けんかっ早くて親の手に負えない子や、家庭の経済環境が苦しい子たちの受け皿になっていた面があり、その中から、親孝行やいい生活を夢見て厳しい鍛錬の末に出世する中卒の新弟子が多くいた。
複数の親方によると、近年は「せめて高校までは出てほしい」と願う保護者が増えており昔とは事情が異なる。
医療などの技術発達も見逃せない。
けがを負っても優れた治療法で回復したり、稽古を補助する有益なトレーニングが筋力維持の一助になったりと、力士寿命を伸ばす環境がある。
自らの血液を利用した「再生医療」を施したことのある鶴竜は「昔と比べて30代でも元気に相撲が取れるようになった。体のケアやトレーニングは関係していると思う」と語り、時の流れに言及した。
▽義務
だからといって、白鵬と鶴竜がさらに年齢を重ねて衰えるのを待っているだけでいいのか。
当然それでは寂しい。
稽古をつけてもらった兄弟子を破ることが相撲界の「恩返し」であるし、先輩に勝って引導を渡すことは、ある意味で次世代を担う力士たちの義務だろう。
先人たちはポイントとして、普段の稽古を挙げる。
亡くなった元横綱千代の富士の前九重親方はよく「なんでみんな白鵬のところに出稽古へ行かないのか。一番強い人のところに行けば当然力がつくのに」と指摘していた。
普段から白鵬の胸を借りて身をもって相手を体感していれば、本場所で張り手やかち上げを受けたとしても対処が違ってくるかもしれない。
元横綱大乃国で、日本相撲協会広報部長を務める芝田山親方は「今は稽古のときに土俵際で残さなかったり、全体的に番数も少なかったりする。自分たちが若い頃も”新人類”とか言われたけど、これが現代の関取衆ってことなのかな。土俵でいい相撲を見せないとお客さまはついて来ない」と危機感を口にした。
白鵬や鶴竜に果敢に挑み、自分たちの力で自分たちの時代を勝ち取ってみせる気概。
次世代の力士たちが躍動して時代を動かす土俵には、男が体一つで大事を成し遂げる大相撲のロマンが漂い、伝統がしっかり受け継がれていく形も浮かび上がる。
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2019/12/18
大相撲の冬巡業は15日、沖縄県うるま市で11日間の全日程を終了した。
今年の巡業は皆勤となった横綱白鵬は「最後に暖かい場所(沖縄)での一年納め。気分がいい」と満足げな表情で話した。
稽古では激しい動きが持ち味の平幕松鳳山を指名して8戦全勝。
足技や投げなど多彩な攻めで圧倒し「相手はスピードもあるし、相撲勘を意識した。
たくさんのお客さんに来ていただいたから、見せる稽古も意識した」とうなずいた。
九州場所を腰痛のため全休した横綱鶴竜は患部の状態を見ながら慎重に稽古を重ねてきた。
初場所に向け「まだ4週間ほどあるし大丈夫だと思う。やることをやっていく」と引き締めた。
大相撲高砂部屋の激励会は16日、東京都内のホテルで開かれた。
県関係者ら大勢の支援者が駆けつけ、今年の夏場所で初優勝した小結の朝乃山関(25)=富山市呉羽町出身=に「来年は大関、横綱になってほしい」と声援を送った。
一人ずつ力士が紹介された後、高砂親方(元大関朝潮)が「朝乃山が優勝し、部屋の力士たちに『俺たちもやればできる』という気持ちを植え付けてくれた」と振り返った。
朝乃山関に対しては「九州場所で大勝ちし、大関とりの足場固めになった。来年、さらに飛躍できるかだ」と奮起を促した。
東京富山県人会連合会の桑山征洋会長の発声で乾杯。
テーブルを回った朝乃山関は支援者から続々と激励を受け、「頑張ります」と笑顔で応えていた。
大相撲のネクストブレーク候補、幕内明生(24)=立浪=が「来年の主役になる」と意気込んでいる。
今年、地力を蓄えた若手の1人だ。
夏場所と秋場所で2度、2桁勝利。
秋場所では優勝争いを演じた。
一方で初の上位総当たり戦となった名古屋場所は4勝11敗と完敗。
自己最高位、前頭2枚目で迎えた先場所の九州場所は序盤、4勝1敗と好発進しながら、終盤、失速し6勝9敗。
上位の壁に2度、跳ね返された。
先場所千秋楽、宝富士に上手出し投げで敗れた際は珍しく悔しさをあらわにした。
「自分の弱さを知った。悔しい、しか出て来ない」。
地元の鹿児島・奄美大島から両親も観戦に来ていた。
「最後を締めたかったし、自分のやってきたものを出せずに負けた」。
課題が明白になった1年だ。
「自分がダメなところが分かった。上位で相撲を取れた。2回目の(上位)挑戦で勝ち越すのが理想だったけどまた足りないものが分かった。(先場所の)後半は思うように体が動かなかった。疲労なのか。体が重かった。気持ちはあっても体と足が付いてこなかった。初めての体験だった。スタミナはなくはない方なのに。これが上位の圧力」
上位との差を埋める自信を今年は身につけたのも確か。
「誰が相手でもどんな状況でも自分のやりたいことをやる精神面が一番。技術的にもいろんな欠点が見つかった。来年、そこを直せば一つ上が見えてくる。上位は立ち合いの鋭さがある。さらに『型を持ちながら型にはまらない強さ』がある」。
自分の形でなくとも勝ちに結び付ける強さを身をもって知った。
毎年、目標を立てて成長し続けててきた。
今年の目標「上位戦を経験」はクリアした。
来年は「三役になって優勝争い」と、明確に言葉にして掲げた。
新入幕以来、「優勝」を常に意識する。
「優勝を経験すれば、レベルアップできる。優勝に絡んでいく実力があれば、自然と関脇になっている。三役というより、その上。三役で優勝。目標というよりならないといけない。早い段階で経験することが頭一つ抜け出すことになる。誰かと比べるというより、(来年は)自分が主役になりたい。来年は25歳になる。もう中堅。若手じゃない」。
新時代スター争いの主役に名乗りを挙げた。
今では少なくなってきた中卒のたたき上げ。
腰のヘルニアで一時は引退も覚悟したが、克服してはい上がった。
苦労人で努力する姿を周囲は見ている。
巡業でも連日、土俵に上がり人一倍、稽古を重ねる。
白鵬(宮城野)、鶴竜(陸奥)の両横綱も成長に注目。
親方衆も「稽古で身につけた」と評価は高い。
左四つに組んで速攻、突き押しも強い。
何より稽古熱心なのが、さらなる成長を確信させる。
「稽古してきた人が優勝しているのを見てきているので。自分は不器用なので稽古をやらないと強くならない。(番付が下がる)初場所が勝負になる」。
昨年は大関貴景勝(千賀ノ浦)が九州場所を制した後、一気に駆け上がった。
今年は小結朝乃山(高砂)が夏場所で初優勝後、大躍進。
ともに豊富な稽古量で知られるだけに、明生にも、期待がかかる。
<第8回日刊スポーツ大相撲大賞(2)>
横綱稀勢の里の引退に始まり、新大関貴景勝誕生、トランプ米大統領観戦、暴力問題で十両貴ノ富士が引退など、さまざまな出来事が起きた2019年の大相撲。
今年1年間、幕内を務めた全29人の力士が対象の連載「第8回日刊スポーツ大相撲大賞」は、そんな陰で生まれた好記録や珍記録を表彰する。
年間で最も多く投げ手で白星を挙げた「最優秀投手賞」は、松鳳山(35=二所ノ関)が受賞した。
5種類14勝。
投げ技で12勝した横綱白鵬を上回り「横綱を何か1つでも上回れたというのは誇らしいことですね」と、胸を張った。
176センチと小柄な体格から多彩な技を繰り出すが、投げは最も好きな技だ。
中学2年のときに約1年習っていた柔道でも、投げばかり狙っていたという。
「投げが決まったときは死ぬほど気持ち良かったことを覚えている」。
当時から変わらず、投げで重要視する点は「体の回転」。
ルーツは他競技にあるのかもしれない。
決めてみたい投げ手がある。
「やぐら投げです。今までも惜しいところまでいったことはあるので、そろそろ決めたい」。
両まわしで相手を引きつけ、膝を相手の内股に入れて太ももに体を乗せ吊り気味に持ち上げ、振るようにして投げ落とす大技。
幕内では15年九州場所7日目に、白鵬が隠岐の海を相手に決めている。
「体重が重い相手に決めたい。今(の相撲界)は全体的に巨大化しているからこそ、ひっくり返すように決めたい」。
幕内で2番目の年長力士となるベテランは、好奇心たっぷりに笑みを浮かべていた。
静岡市出身で大相撲の元・幕内「潮丸」の東関親方が12月13日、亡くなっていたことが分かりました。
41歳でした。
関係者によりますと、東関親方はこれまで闘病生活を続けてきましたが、13日夜、東京・葛飾区の東関部屋で血管肉腫のため家族に見守られながら、息を引き取りました。
41歳の東関親方は静岡市出身で、相撲は未経験でしたが母親を楽にしてあげたいとの思いから東関部屋に入門しました。
1994年の春場所で初土俵を踏み2002年の秋場所で新入幕を果たし、押し相撲を武器に幕内を12場所務めるなど活躍しました。
2009年の引退後、県内出身者としては初めて部屋を持った親方となり後進の指導が期待されていました。
愛媛県新居浜市角野中学校の3年、松木一真さん(14)=同市=が来年2月、大相撲の田子ノ浦部屋(東京)に入門する。
未経験ながらも挑戦を決め「基本を学び、少しでも多く勝ち星を挙げたい」と静かに闘志を燃やす。
松木さんは身長177センチ、体重78キロ。
田子ノ浦部屋の高安関のファンという母彰子さん(47)の勧めで、日本相撲協会のスカウトと面談した。
大きな手足や胸板の厚い体がスカウトの目に留まり、入門を打診された。
松木さんは九州場所前の10月に稽古を見学。
高安関と荒磯親方(元横綱稀勢の里)の稽古を見て入門を真剣に考えたという。
「体が震えるほどの衝撃。かっこよかった」と振り返り「未経験の自分に声が掛かることなんて普通はない。縁があったと思って、母やファンに応援してもらえるよう努力したい」と話す。
小学校で少林寺拳法、中学校で卓球に励んだ。彰子さんと父の敏充さん(44)は「やる気になっているので挑戦させたい」と見守る。
6日、田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)が角野中を訪問。
田子ノ浦親方は「まずは生活に慣れて相撲のための体をつくるところから。能力は高く足首も柔らかいので、努力次第で面白い力士になる。素直な性格も良い」と期待した。
松木さんは新弟子検査を経て来年3月の春場所で前相撲に臨む。
大相撲沖縄場所2019年冬巡業が14日、うるま市具志川ドームで開幕した。
幕内から序二段までの力士らが迫力の取組を見せ、白鵬、鶴竜の両横綱の土俵入りが会場に詰め掛けた大相撲ファンの視線をくぎ付けにした。
木崎海(木瀬部屋)、美ノ海(同)の兄弟ら5人の県勢力士がそれぞれ勝って沸かせた。
沖縄場所は5年連続の開催。
ことしからうるま市に会場が移った。
取組のほか、相撲の禁じ手を面白おかしく紹介する初っ切りや美声の力士が土俵上で手拍子などに合わせて歌う相撲甚句など、巡業ならではの内容もあり、写真撮影やサインなど力士との交流を楽しむ場面もあった。
■取組みを行う力士を呼び出す「呼出し」
大相撲は、力士と行司のほかにも力士の髷を結う「床山」、前相撲の進行や勝負結果の記録と普段の下位力士(幕下以下)の指導・監督などを行う「若者頭」、競技用具の管理や客の世話、若者頭の補助的な仕事をする「世話人」などによって支えられています。
これから取組みをする力士を土俵上に呼び出す「呼出し」も、そんな大相撲を支える仕事の1つです。
「呼出し」とはいっても、ただ取組みを行う力士を呼ぶだけが仕事ではありません。
その実態は、意外と仕事がいっぱいで大忙しのようです!
■こんなにあるの!?呼出しの仕事
呼出しが行う仕事は、なんといってもその名のとおり、取組みを行う東西の力士の四股名を呼び上げること。
大相撲中継を見たことのある方ならまず聞き逃さないであろう「ひが〜し〜、◯の〜は〜な〜、◯の〜は〜な〜、に〜し〜、◯の〜や〜ま〜、◯の〜や〜ま〜」という独特の節回しで呼び上げられますが、東西の力士を呼ぶ順番は奇数日は東方から、偶数日は西方から(1日のみの地方巡業の場合は東が先)と決められています。
その他に「触れ太鼓」「櫓太鼓」「寄せ太鼓」など、大相撲に欠かせない太鼓を叩くのも、呼出しの仕事です。
さらに本場所の取組みや巡業・各部屋の稽古で使われる土俵を作り、その掃除やメンテナンスを行ったり、土俵入りなどで拍子木を打ったり、力士の使うタオル・塩・力水・力紙などの管理・補充を行ったり、負けた力士の代わりに次に相撲を取る力士に力水をつけたり、懸賞の垂れ幕を持って土俵を回ったり、審判員を務める親方や怪我をした力士の世話をしたり、所属する部屋の雑用をしたり…
これらの他にも、まだまだたくさんの仕事があるのです。
また力士が土俵下に落ちてきて当たると大怪我をする危険があるため、土俵下に控えている呼出しは力士の動きをよく見て、必要なときには水桶や塩入れなどを持って逃げることもあるのだとか。
本場所中の呼出しには、休むどころか、ボーッとしている暇すらなさそうですね!
■呼出しになるには?呼出しにも階級があるの?
呼出しになるための資格は「義務教育を修了した満19歳以上の男子」と定められていて、これは行司や床山の場合と全く同じです。
日本相撲協会の規定で、呼出しの定員は45名と決められています。
呼出しも行事や床山と同じように相撲部屋に所属し、その部屋の親方が「呼出し会」を通して相撲協会へ申し込みをします。
呼出し候補生は1場所の研修期間後に面接を経て、晴れて正式に採用となります。
また力士に「序ノ口〜横綱」、行司には「序ノ口行司〜立行司」という階級があるように、呼出しにも下から順に
・序ノ口呼出し
・序二段呼出し
・三段目呼出し
・幕下呼出し
・十両呼出し
・幕内呼出し
・三役呼出し
・副立呼出し
・立呼出し
という階級があり、十両呼出し以上にはそれぞれ定員が定められています。
呼び上げる取組みの数も階級によって異なり、立呼出しは結びの1番のみ、副立呼出し〜十両呼出しまでは基本的に1人が2番ずつと決まっています。
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2019/12/17
大相撲、今年最後の九州場所は横綱・白鵬が43回目の優勝を決め、幕を閉じた。
千秋楽翌日、福岡市内で開かれた一夜明け会見でも、白鵬はご機嫌そのもの。
「夕べはおいしいお酒をいただきました」と赤ら顔で現れ、次のようにぶち上げた。
「(来年の)目標は45回(優勝)。その後は分からないけど、50回ですかね。ということは(引退時期は)東京オリンピックを超すな」
この発言に「いつまであの卑劣な“延命相撲”を見せるつもりだ」と、眉をひそめた大相撲関係者は少なくなかった。
九州場所だけでなく、このところの白鵬は、勝つためには手段を選ばない相撲が目立つ。
その1つが“かちあげ”というよりは“ヒジ打ち”、さらに激しい“張り手攻撃”で相手力士をKOし、被害者の遠藤が鼻や口からおびただしい出血をした12日目の相撲だ。
場所後の横綱審議委員会で問題になったのも当然。
「見苦しい。そういうことをしなくても勝ってほしい、という気持ちです」
矢野弘典委員長(産業雇用安定センター会長)はこう話し、相撲協会に異例の指導を要望した。
ある意味で、この取り組み以上に目に余ったのが、千秋楽の貴景勝戦だった。
押し相撲一本で、「四つになったら十両以下」と陰口される貴景勝を、得意の右四つ、上手すらやらない万全の体勢に持ち込みながら、まるでなぶり殺しでもするように腰を引いてなかなか攻めず、諦めるのをじっくり待って寄り切ったのだ。
この相撲をNHKで解説していた北の富士さんは、「あの(白鵬がなかなか攻めない)時間、貴景勝は何を考えていたんでしょうか」と同情し、翌日のスポーツ新聞には、「まるで蛇の生殺しだ」とまで書いた。
遠藤は幕内きっての人気力士で、貴景勝は次期横綱候補。
横審がかちあげ、張り手を非難したとき、白鵬は「勝てないと生き残れませんから」と開き直ったことから、自分の地位を脅かす力士に狙ってやったことは明らかだ。
稽古では激しい動きが持ち味の平幕松鳳山を指名して8戦全勝。
足技や投げなど多彩な攻めで圧倒し「相手はスピードもあるし、相撲勘を意識した。たくさんのお客さんに来ていただいたから、見せる稽古も意識した」とうなずいた。
九州場所を腰痛のため全休した横綱鶴竜は患部の状態を見ながら慎重に稽古を重ねてきた。
途中で風邪をひき、スロー調整を余儀なくされたが、初場所(来年1月12日初日・両国国技館)に向け「まだ初日まで4週間ほどあるし、大丈夫だと思う。腰は常に気をつけないといけない。やることをやっていく」と引き締めた。
大相撲の冬巡業が沖縄県うるま市で行われ、11日間の全日程を終了。
秋場所で左大胸筋を負傷した大関・貴景勝は土俵下で四股などの基本運動で汗を流した。
相撲を取る稽古はせずに打ち上げた理由については「万全にしたいというのがあるし、しっかり基礎をつくっていこうというのがあった」と説明した。
今回の巡業ではインフルエンザがまん延し、幕内だけで5人、十両、付け人らも含めると30人あまりが離脱。
体調管理に細心の注意を払い「(インフルエンザに)ならないようにする気の張り方がきつかった」と振り返った。
帰京後のプランについては「リセットして初場所に向けてやっていきたい」と話した。
大相撲の小結北勝富士(27=八角)が、来年20年の飛躍を誓った。
15日、沖縄・うるま市で行われた冬巡業に参加。
全11日間の巡業を皆勤して「自分のやるべきことはできた。首も痛めていたので、考えながら調整した」と、充実した表情を見せた。
九州場所では7勝8敗で負け越し、来年の初場所(1月12日初日、東京・両国国技館)は平幕として臨む見通し。
「来年はしっかり三役に定着したい。優勝も狙っていきたい。チャンスはあると思う」と意気込んだ。
この日は高校時代の思い出の地に立った。
会場「具志川ドーム」は9年前の全国高校総体の個人で優勝し、高校横綱となった場所。
前日14日も同所で冬巡業が行われ、会場を見渡して「懐かしいですね」と和やかな表情を見せていた。
巡業に参加した力士らの中でインフルエンザが流行していたが「冷えないように腹巻きをしたり、手洗いとうがいも入念にやった」と、万全な予防で乗り切った。
初場所の番付が発表される24日に向けて「(帰京後は)若い衆に胸を出しながら調整したい」と話した。
大相撲の元前頭潮丸の東関親方(本名・佐野元泰=さの・もとやす)が13日午後9時52分、東京・葛飾区の部屋で血管肉腫のため死去した。
14日に日本相撲協会が発表。41歳だった。
東関親方は体調不良のため、昨年の九州場所から休場していた。
東関親方の死去は巡業参加者にも伝わり、多くの力士が悲しんだ。
同じ高砂一門の隠岐の海は、新十両だった09年春場所で1度対戦したことがあり、そのときは敗戦。
「若いときは出稽古で胸を出してもらったり、食事も何度か。かわいがってもらったので悲しい」と沈痛な思いを語った。
同門の小結朝乃山、北勝富士もそれぞれ「びっくり。すごく残念」「何度かお見舞いに行ったことがある。悲しいです」と話した。
大相撲冬巡業が14日、沖縄・うるま市で行われ、同市出身の十両木崎海(24=木瀬)が凱旋した。
約5分間のぶつかり稽古では前頭碧山の胸を借り、会場を沸かせた。
中学進学後は相撲留学で同市を離れたが、この日は「小学校の友達が会場でスタッフをやっていて、懐かしくてうれしかった」と笑顔。
九州場所では2桁白星をマークした。
この日ともに参加した2歳上の兄、幕下美ノ海は来年の初場所(1月12日初日、東京・両国国技館)での再十両が濃厚。
「(兄と)一緒に盛り上げていければ」と話した。
日本相撲協会は16日、13日に41歳で死去した元幕内潮丸の東関親方(本名・佐野元泰)の葬儀を「高砂一門葬」として実施すると発表した。
通夜は18日午後6時、告別式は19日正午から、それぞれ東関部屋(東京都葛飾区柴又2の10の13)にて。
喪主は妻の佐野真充さん、葬儀委員長は日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)が務める。
木更津市高柳の高柳幼稚園(加藤淳園長、園児数二百八人)は十三日、大相撲九重部屋の千代嵐と千代大豪を招き、園児との餅つきを行った。
餅つきは、千代嵐が卒園生という縁から、新しい年を迎える行事として二年に一回実施。
「よいしょー」の掛け声に合わせ、園児と一緒にきねを振り下ろすと、三十キロのもち米があっという間につき上がった。
児童、職員らがきな粉餅にして食べたほか、記念撮影や年長児との「チビッコ相撲」も行われ、にぎやかなひとときとなった。
飛龍高3年の大桑元揮(18)=藤枝市立高洲中出=の大相撲伊勢ケ浜部屋入門が決まり、14日、入門報告会が沼津市内で開かれた。
大桑は「体をつくり、関取を目指したい」と決意を語った。
7月の全国高校総体で県勢として21年ぶりの個人優勝を果たし、高校横綱となった。
1日の全日本選手権でもベスト32の好成績を収めた大桑は「高校横綱の名をプレッシャーではなく、自信にして頑張りたい」と前を見据えた。
テレビで見た大相撲に憧れ、小学1年から焼津市の「やいづ相撲クラブ」に通った。
中学校卒業時に入門する力士も多い中、実力が足りないと考え飛龍高に進んだ。
伊勢ケ浜部屋からはどこよりも早く誘いをかけられ、その熱意と体験入門で感じた雰囲気の良さに引かれて部屋入りを決めた。
報告会に同席した伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「前に攻めるところが成長している。押し相撲を伸ばし、横綱を目指してほしい」と期待を込めた。
大桑は身長170センチ、体重130キロ。
1月場所の新弟子検査を受ける予定。
大相撲の春巡業「湯浅場所」が来年3月31日午前8時〜午後3時、湯浅町の湯浅スポーツセンターで開かれる。
チケットは今月14、15の両日、同町民に先行販売した後、17日から一般向けに売り出す。
同町で地方巡業が行われるのは、1988年以来、32年ぶり3回目という。
町民有志らでつくる実行委員会(会長・上山章善町長)の主催。
同町は2016年度から、春場所(大阪場所)の幕内優勝力士に、特産の湯浅醤油しょうゆにちなんで醤油樽だるを模したトロフィー(湯浅町長賞)を贈っている。
その縁もあって巡業が実現したという。
9月30日には、日本相撲協会と実行委が湯浅場所開催の調印式を町役場で行い、千田川親方(元小結・闘牙)らが出席した。
約2400席を用意。
チケット(消費税込み)はタマリS席(1人、弁当付き)1万5000円、2人マス席2万4000円、ステージ席(イス席)1万2000円、2階イス席7000円など。
いずれも記念座布団付き。
日本相撲協会は16日、東京・両国国技館で来年1月の初場所(12日初日、両国国技館)の御免祝いを開き、同場所前後の日程を発表した。
主な行事は下記の通り。
《2019年12月》
□24日 新番付発表
□25日 力士会
《2020年1月》
□6日 横綱審議委員会稽古総見、新弟子検査
□7日 明治神宮参拝・土俵入り
□10日 取組編成会議
□11日 土俵祭り
□12日 初日
□26日 千秋楽
□27日 横綱審議委員会
□29日 春場所番付編成会議
《2020年2月》
□1日 豪風引退押尾川襲名披露大相撲
□9日 フジテレビ大相撲トーナメント
□11日 NHK福祉大相撲
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2019/11/25
白鵬は待ったを1回、すぐに右四つに組み止めて勝利を確信する。
しかしどういうわけか、じっと止まって動かない。
慎重と言う人もいるが、そうではあるまい。すぐに勝負をつけるにはもったいないのでじっくり勝負の瞬間を味わったに違いない。
いくら何でもあの時間のかけ方は異常とも思える。
白鵬のこことだから腹に一物あるのかもしれない。
邪推だろうか。あれでは貴景勝が気の毒だ。まるで蛇の生殺しである。
屈辱的でもあったろう。貴景勝に本当の胸の内を聞いてみたい。
大関3場所目で初めて皆勤。
「もっと良い緊張感で自分の相撲を取りたかった。実力的にまだまだ。根本的に強くならないといけない」
御嶽海が阿炎の動きに翻弄され、行司差し違えの一番を落として痛恨の9敗目。
大関昇進に向けての機運を高められなかったどころか、17場所維持してきた三役の座を守るのが極めて厳しい状況になった。
支度部屋では報道陣に背を向け、帰り際に「負けたら意味がない」とつぶやいた。
小結阿炎が来場所の新関脇を確実にする9勝目を挙げた。
御嶽海を突いて攻めながら土俵狭しと動き回り、土俵際で逆転のはたきを決めた。
全6場所で勝ち越した一年を白星で締め、来年初場所では師匠の錣山親方(元関脇寺尾)と地位で並ぶことになりそう。
「ずっと上を目指してきた。これからも一歩ずつ前進したい」と決意を新たに話した。
新小結で11勝した朝乃山は、来年初場所での新関脇が濃厚だ。
カド番で途中休場した高安は関脇に落ち、特例による10勝以上での大関復帰を目指す。
令和元年の年間最多勝争いを、新小結朝乃山が制した。
小結以下では初の快挙だが、勝利数も勝率も過去最低を更新した。
成績が拮抗する原因は突き抜ける力士の不在。
背景に、押し相撲の興隆がありそうだ。
「自分の相撲が取れたと思う。来年が勝負。さらに上を目指したい」。
一年納めの場所を11勝で終えた朝乃山の言葉には次の大関候補としての自負がにじむ。
右差し、左上手の型を築きつつある25歳は夏場所の初優勝を機に台頭した。
昇進を預かる審判部の評価では、先場所優勝しながら負け越した御嶽海と逆転した。
ただし、55勝(35敗)は年6場所となった1958年以降で最低。
勝率6割1分1厘も、これまでの最低だった92年の貴花田が記録した6割6分7厘(60勝30敗)を下回った。
朝乃山から10勝差以内にいるのは12人。
力の差が縮まっている構図が浮かび上がる。
横綱、大関の力が落ちて全体の成績が団子状態になるのは、近年続く傾向。
過去にも世代交代の時期に起きた現象だが、今回は別の理由が透けて見える。
力士の取り口の変化だ。
白鵬戦で金星を挙げた大栄翔は自己最高位の前頭筆頭で勝ち越し、新小結が予想される。
初の三賞となる殊勲賞。
千秋楽を白星で飾れず、「今場所は良い相撲と悪い相撲があった。まだまだ稽古をしないといけない」。
会心の相撲で給金を直し、九州場所は8年連続の勝ち越し。
「とにかく自分の相撲をと思った。縁起のいい場所。今年は初場所に優勝したし、いい1年だった」
14日目に優勝が決まっているので何となく場内も静かで、楽日独特の緊張感もない。
それでも炎鵬の相撲だけは別である。7勝7敗。
対戦する相手は大栄翔。
すでに勝ち越しを決め、来場所の小結昇進も決まったようなもの。
おまけに白鵬に土をつけているので殊勲賞も頂きである。
よりによって何もこんな強いのと当てなくてもよいのに。
審判部も情け容赦ないものだ。
私の予想は突っ張り2、3発で土俵外、負け越しである。
ところが。炎鵬は大栄翔の右の突っ張りを巧みにかわし、十分の左差しを果たした。
こうなれば話は別である。
大栄翔は目標を外されて上体が大きく泳いだ。
その機を逃すまいとばかり、左を深く差してすくい投げで大栄翔を鮮やかに転がした。
大栄翔はある程度変化も予想したかどうか分からないが、定位置で見てしまったのが敗因だった。
炎鵬は大きな一番を会心の相撲で勝利をもぎ取った。
師の白鵬に勝った大栄翔に勝ったのだから大したものだ。
時代劇なら見事「仇討ち」を果たしたということになる。
白鵬もインタビューでそのことをうれしそうに語っていた。
露払いの石浦も勝ち越したのだから三重の喜びだろう。
正代が「千秋楽で勝てば」の条件付きだった敢闘賞を射止めた。
右を差して朝乃山に左上手を取らせず、体全体で圧力をかけて寄り切った。
「今場所一のいい形だった」と機嫌良く振り返った。
かつては「将来の大関候補」と呼ばれた熊本県出身の28歳。
最近は番付を下げていたが、今場所は優勝争いに加わった。
「今日のような相撲が15日間取れればもっと良くなる。また上位に戻りたい」と意気込んだ。
松鳳山を破り、幕内では初めての2桁白星。
「最後に自分らしい相撲が取れた。収穫がたくさんあった場所。(良かった部分を)しっかり伸ばし、初場所に備えたい」と満足そうに。
一年納めの九州場所が24日に福岡国際センターで千秋楽を迎え、3年続けて年6場所の全90日で大入りとなった。
懸賞は鶴竜らの休場もあり、約1500本の見込みを下回る1234本だった。
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2019/11/24
大相撲九州場所14日目(23日・福岡国際センター)、横綱白鵬(34・宮城野)が関脇御嶽海(26・出羽海)を外掛けで下して13勝目(1敗)。
今場所は上位陣を中心に休場者が続出するなか、大横綱が番付最高位としての責任を果たした。
忍び寄る衰えと若手の追い上げに基礎運動と作戦で立ち向かう「準備の横綱」。
積み重ねた白星で、30代の優勝は10度目の大台に乗った。
右で張って左四つ。
強烈に引き付けると、御嶽海の体が伸びた瞬間を逃さず、右の外掛けで仰向けにした。
得意は右四つだが、今場所は朝乃山戦でも狙って左四つになっている。
2日前の遠藤戦は「肘打ち」と張り手。
前日はかち上げを警戒する阿炎に対し、当たって素早く左上手を取りにいった。
連日の取り口を「考えて、考えて、考え抜いた相撲でした」と自賛する白鵬。
御嶽海は「強烈過ぎた。厳しい相撲だった」と、白鵬が見せた集中力と反応にお手上げだった。
白鵬は遠藤戦の「肘打ち」についても「テッポウがいつもより多かったので。私は、テッポウは『手のしこ』だと思ってますから」と胸を張ってみせた。
テッポウとは、太い柱を足腰も使いながら突く相撲の基礎運動の一つ。
休場がちになっても、そうした「準備」の反復で現役寿命を伸ばし、30代になってからの優勝は10度目になった。
千秋楽を待たずに4場所ぶり43回目の優勝を決めた。
白鵬にとっては9月の日本国籍取得後の初優勝。
新元号「令和」で優勝するのも初めてだ。
取組後の支度部屋では「やっぱり(自分が)勝って優勝が決まるのはいいものですね。日本人で初優勝?うれしいですね。(新元号での優勝は)令和元年に間に合って、良かったなと思います(笑い)」と喜びをかみ締めた。
九州場所の優勝回数は9度目。
千代の富士に並んで最多となった。
白鵬は「大先輩に近づいたということですね。先輩方は偉大ではありますね」と敬意を表したが、千代の富士は30代で19回優勝し、最後は35歳5カ月だった。
19回は無理でも、横綱の最年長優勝記録(年6場所制以降)は来年秋場所で優勝すれば超えられる。
親方になるためには、国籍はあくまで資格の一つで、年寄名跡の手当てが必要になるが、関係者によると、まだクリアできていない問題が幾つもあるという。
昨年は皆勤2場所、優勝1回。
今年は皆勤3場所、優勝2回と復調はしたが、この間に鶴竜や大関陣の休場が増え、今場所も「上位陣が休場し、引っ張らなければと、背中に重いものがありました」と白鵬。
決して巷間いわれるようなマイペースの延命を決め込むわけにいかず、増えるけが、衰えや重荷を抱えながら、薄氷の上でしこを踏むような現役生活は、来年も続きそうだ。
御嶽海は白鵬に歯が立たなかった。
横綱の外掛けにあっけなく崩れて負け越しも決まり、「厳しい相撲だった」と完敗を認めた。
先場所の優勝を大関挑戦へと生かせないのは「情けない」が、17場所連続で維持してきた三役の座を守るために、千秋楽の阿炎戦は重要な意味を持つ。
「白星で終わりたい」と祈るように言った。
阿炎が貴景勝を破り、3場所続けて小結で勝ち越した。
阿炎は幕内で唯一、今年全6場所で勝ち越した。
立ち合いは貴景勝をもろ手で突き、即座に引くと前のめりの相手をわずか1秒6で送り出した。
「はたくつもりはなかった。横に動くつもりが、大関の圧力が強くて、はたく形になった」と振り返った。
それでも「夢を見ている気分」と、付け人に何度も「8番勝ったよね」と確認していた。
年間最多勝の可能性は消滅したが「それは気にしていない。勝ち越しはいつもうれしい」と、笑顔を見せた。
納めの場所の千秋楽は御嶽海戦。
「終わりよければすべてよし。あすも勝って、よかったとなりたい」と話した。
玉鷲との激しい一番を物にし、「よかったです」。
7勝7敗で迎える千秋楽に向けて「自分の相撲を見せたい」と静かに闘志を高める。
角界の世代交代に注目が集まるなか、新小結の朝乃山(25・高砂)が新たな看板力士として急浮上だ。
大相撲九州場所13日目(22日・福岡国際センター)、幕内琴勇輝(28・佐渡ヶ嶽)を押し出して10勝目(3敗)。
今年通算54勝とし、年間最多勝を確定させた。
横綱大関以外では過去に大鵬(1960年・関脇)と貴花田(92年・関脇)の2人だけ。
小結では朝乃山が初めてだ。
三役(関脇・小結)の地位で2桁白星をマークし、大関取り(3場所合計33勝以上)のスタートラインにも立った。
日本相撲協会の八角理事長(56・元横綱北勝海)は今場所を通じて「堂々としている」「地力をつけている」「来年は上(大関)を目指してほしい」などと高評価を連発。
他の親方衆の評判もうなぎ上りだ。
朝乃山は「昔からあまり褒められたことがないので、褒められても…」と戸惑いつつも、ひそかにネットなどを通じて親方衆のコメントをチェックしているとか。
「ちゃっかり見ています(笑い)。理事長、尾車親方(62・元大関琴風)、藤島親方(47・元大関武双山)、高田川親方(52・元関脇安芸乃島)、荒磯親方(33・元横綱稀勢の里)…。親方衆にそう思ってもらえるのは、うれしいですね」とまんざらでもない顔だ。
今場所は関脇御嶽海(26・出羽海)の大関取りが「白紙」となる一方で、朝乃山が次の大関の有力候補に浮上した格好。
13日目の取組後は「まだ2日あるので集中していきたい。さらに星を伸ばす?来場所のためにもつなげていきたい」と気持ちを引き締めた。
大栄翔が自己最高位の東前頭筆頭で勝ち越した。
阿武咲との激しい攻防に一歩も引くことなく突き出し。
「前に出ることと、はたきもあったのでよく見ていこうと思った」と納得顔だった。
2日目には白鵬に土をつけた。
自身初の三賞となる殊勲賞の有力候補に挙がるとみられるが、「自分が決めることではない。あしたも自分の相撲を取り切って締めくくりたい」。
新三役も目前の地位で最後までひたむきに戦う覚悟だ。
西前頭筆頭。14日目に負け越しが決まったが、表情は変えずに「あと一番頑張る。それだけ」。
10勝を挙げていた正代を破り、星を五分に戻す。
「集中していければと思っていた。反応が良かった」と満足そうに。
大相撲九州場所(福岡国際センター)14日目の23日、西前頭9枚目の豊山(新潟市北区出身)は押し出しで輝に敗れ8勝6敗となった。
4敗目。
妙義龍に一方的に寄り切られたことがこたえたようで、絞り出すように「もうちょっと何かしたかった」。
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2019/11/23
横綱・白鵬は小結・阿炎を寄せ付けず、押し出しで1敗を守って優勝に王手をかけた。
3敗で追う新小結・朝乃山は琴勇輝を押し出した。
平幕・正代も白鵬と同じ宮城野部屋の炎鵬を寄り倒し、10勝3敗とした。
大関・貴景勝は秋場所の優勝決定戦で敗れた関脇・御嶽海を突き押しで圧倒し、9勝目を挙げた。
14日目に白鵬が御嶽海に勝つか、朝乃山と正代がともに敗れれば、白鵬の4場所ぶり43回目の優勝が決まる。
貴景勝が、因縁のある御嶽海を下した。
低い当たりから休まず攻め、一方的に突き出し。
「深く考え過ぎずに、しっかり自分の相撲を取った」と納得の表情だった。
今年は御嶽海との顔合わせで2度もけがをした。
新大関だった夏場所では右膝を、全休明けの先場所は優勝決定戦で左胸を負傷。
一年納めの場所での快勝は、苦い記憶を振り払うには十分だろう。
単独トップの白鵬が勝ち、九州場所の2連覇はなくなったが、「またあした頑張りたい」。一日一番で臨む姿勢は、これまでと変わりはない。
関脇御嶽海が、勝ち越しへ後がなくなった。
優勝した9月の秋場所千秋楽の決定戦で勝利した、大関貴景勝に突き出されて6勝7敗。
出足が鈍く、貴景勝の突き押しに最後は引いてしまった。
貴景勝は前日12日目の竜電戦では注文相撲で敗れており、「昨日の竜電関のこともあって立ち合いは見にこられた感じだった」と振り返る御嶽海。
「下から中に入りたかった」とイメージしていたが、鋭く踏み込まない相手のペースに合わせてしまう格好となった。
勝ち越しへ残り2日、横綱白鵬らに連勝することが求められる。
御嶽海は「久々に追い詰められている感じ」と話し、緊張感を漂わせた。
新小結の朝乃山が勝って今年通算の勝ち星を54勝に伸ばし、年間最多勝利が確定。
番付が小結以下の力士が年間最多勝利となるのは初めて。
九州場所で新小結の朝乃山は13日目、前頭4枚目の琴勇輝に押し出しで勝って10勝目を挙げ、今年通算の勝ち星を54勝に伸ばした。
千秋楽まで2日を残し、年間の勝利数は54勝の朝乃山がトップで、22日に敗れた小結 阿炎が52勝で続くため星の差が2つ開き、朝乃山の年間最多勝利が確定した。
日本相撲協会によると、年6場所制となった昭和33年以降、横綱・大関以外の年間最多勝は昭和35年の関脇 大鵬、平成4年の関脇 貴花田の2人だけで、小結以下の力士では今回の朝乃山が初めて。
今年は横綱や大関の休場が相次ぐなど安定して勝ち星を積み重ねる力士がおらず、二場所で負け越している朝乃山が最多勝利となった。
朝乃山は「ことしは負け越した場所でも諦めず、大きな負け越しがなかったことがよかった。今場所はまだ2日間あるので集中していきたい」と話した。
新三役を狙う大栄翔が妙義龍を押し出して7勝目。
立ち合い直後に引きにきた相手を突いて後退させ、土俵際で右に逃れる相撲巧者を押し出し、「中に入れさせないことを意識した」と振り返った。
残り2日で白星を挙げれば念願の三役に加え、横綱を撃破しているだけに三賞も見えてくる。
26歳は「自分の相撲を取り切る」と今後を見据えた。
正代が初顔の炎鵬を圧倒した。
潜り込まれたところを抱え、両まわしを引いて持ち上げると、勢いにも任せて寄り倒し。
「いつものようには踏み込まず、(相手を)見ていこうと思った」と狙い通りに仕留めた。
熊本出身とあり、準ご当所での声援を背に奮闘している。
白星は2桁に到達したが、「変に欲を出さないように、いつも通りやる」と自然体を強調した。
東前頭14枚目照強が2場所ぶりの勝ち越しを決めた。
西前頭7枚目琴恵光に、差した右を抱え込まれて土俵際まで寄られたが、最後は左から突き落とした。
支度部屋で付け人相手に突き落としを練習していたという。
照強は「突き落としはもともと得意。頭の中でイメージできていた」と納得の表情を見せた。
同部屋の西幕下10枚目照ノ富士が、7戦全勝で幕下優勝を果たし、再十両を確実にした。
かつて照ノ富士の付け人を務めたこともある照強は「心の底からというか、素直にうれしい。さっき(照ノ富士と)グータッチもした」とよろこんだ。
「部屋が活気づく。自分も弟弟子に指導していかないといけない」。
付け人を務める東幕下12枚目翠富士も7番相撲を残して5勝をマークするなど好調。
“チーム伊勢ケ浜”が乗ってきた。
元大関で西幕下10枚目の照ノ富士が7戦全勝で幕下優勝を決め、10場所ぶりの関取返り咲きも確実にした。
両膝のけがや内臓疾患などで休場が続き、序二段まで番付を落としただけに、「新十両の時よりうれしい。どっしりと構えていれば大丈夫だと思った」と喜びをかみしめた。
3月の春場所に序二段で復帰。
大関経験者が幕下以下で取るのは初めてだったが、自身の体調と向き合いながら稽古を重ねて地力を発揮し、5場所連続で勝ち越し。
やめたい気持ちも抱いた中、親方衆の励ましが力になったという。
「落ちてから分かったことは多い。もう一度、どこまで通用するか試したい」と先を見据えた。
今年夏場所で初土俵を踏んだ近大出身で東三段目21枚目の元林(23=鳴戸部屋)が3場所連続全勝優勝を飾った。
「親方(鳴戸親方=元大関・琴欧洲)から“自信を持っていけ、おまえなら勝てる”と言われて、それが自信になって優勝につながった」。
序ノ口デビューからの21連勝(優勝決定戦を除く)は、炎鵬らに並んで史上4位タイの記録となった。
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2019/11/22
横綱白鵬が小結遠藤を力ずくではたき込んで1敗を守った。
13日目にも優勝が決まる展開になってしまったことに加え、白鵬の荒っぽい取り口。
場内には微妙な空気が漂った。
相手を起こせたわけではなかった立ち合いを、「狙い通りにはならなかったが」と聞かれて、「最終的にはたき込みになりましたから」。
硬い表情で答えた白鵬。
優勝争いについても「1番1番」と答えて口を結んだ。
大関として初の勝ち越しを決めた貴景勝は、竜電に突き落とされ4敗目。
立ち合いで力強く踏み込んだが、変化についていけずあっけなく体勢を崩した。
首位の白鵬との差は3に広がり、優勝争いに手痛い1敗となったが、「しっかり踏み込めた。また明日頑張ります」と言葉を絞り出し、自らを奮起させた。
御嶽海が関脇の意地を見せて6勝目。
優勝争いを繰り広げる朝乃山を「何も警戒していない。自分の相撲を取れば怖くない」と言うように、素早く土俵際に攻め込み一気に寄り切った。
11日目の敗戦で2桁勝利を逃し、大関とりは白紙になったが「しっかり気持ちを整えて」と冷静に話す。
残り3日、勝ち越しに向けて食らいつく。
阿炎が玉鷲を突き倒して7勝目を挙げ、今年の全6場所勝ち越しに王手をかけた。
立ち合いのもろ手突きから、はたきをまじえた速い動きで主導権を握り「落ち着いて取れた。圧力のある人なので考えていかないと」と満足げ。
朝乃山は御嶽海にもろ差しを許して後退。
土俵際で粘ったが左上手も切れて寄り切られ、痛恨の3敗目を喫した。
「あっちの攻めが早かった。自分の形に絶対必要なやつ(左上手)がとれたのに、攻めきれなかったのが悔しい。小結と関脇の違いをみせつけられた」と唇をかんだ。
白鵬との差は2に広がったが「優勝のことは全然見ていないんで」。
切り替えて残り3日を戦い抜く。
関取最軽量98キロの炎鵬は、同じ25歳で前頭12枚目の隆の勝にはたき込みで敗れ、6勝6敗になった。
立ち合いで相手の懐に潜り込んだのは、炎鵬らしい相撲。
頭を相手の胸に付け、右前みつと左下手をつかんだところまではよかったが、そこで「ちょっと安心してしまった」。
手詰まりを打開しようと、左のまわしを放して相手の足を取ろうと手を伸ばしたが、これで上体が傾いたところをはたかれ、土俵にはわされてしまった。
「あの形になったのに勝てないのはダメだ」とうつむいた。
豊山は阿武咲に浴びせ倒しで敗れ、5敗目を喫した。
豊山はいい形になりながら合口の悪い阿武咲に5敗目を喫し、勝ち越しはお預けとなった。
立ち合いに右から張り、左四つで土俵際まで阿武咲を追い込んだ。
だが、相手に右首投げから体重を乗せられて下半身が崩れ、浴びせ倒された。
これで阿武咲に6戦全敗。
「左四つになったのは、まさに狙い通りだった。(左から)すくいにいこうか迷ったタイミングで体を寄せられた。あれで勝ち切れないのはおかしい」と苦笑した。
残り3日間で、十両時代を含めて4場所連続となる給金直しを目指す。
「勝ち越しにリーチを懸けている。そういった意味で考え過ぎた」と自らを戒めていた。
正代が4連勝を飾り、白鵬を2差の3敗で追う展開となった。
大翔丸との2度目の立ち合いは、もろ差しを狙ったが深く差せず、土俵際まで寄ってから1度引いた。
だが再び前進し、今度は右を差して寄り切り。
「2度目の立ち合いは、変化もあるかと内心焦っていた。苦戦した」と、ホッとした表情。
優勝争いについては「全然考えていない」と、無欲を強調していた。
福岡市の福岡国際センターで開かれている大相撲九州場所で、升席からスマートフォンで会場内の売店に飲食物を注文する新サービスが試験的に実施されている。
日本相撲協会の担当者は「伝統と技術の融合を目指す」と話した。
大相撲では「お茶屋」と称される相撲案内所のスタッフが、席への案内に加えて飲食の注文も受ける。
地方場所は九州場所だけ案内所がなく、これまでは観客自ら売店に足を運ぶ必要があった。
試行中のサービスは「売り子(コ)ール」と呼ばれる。
升席にあるQRコードをスマホで読み取り、表示された画面で弁当などを注文する。
法被を着たスタッフが客の代わりに商品を店で受け取り、席へ運ぶシステムだ。
現金払いの他、クレジットカードでの決済もできる。
缶ビールなどを注文した福岡市城南区の会社役員、渡辺聖子さん(46)は「迷わずにできて、すごく楽。取組を見逃すこともなくてありがたい」と話した。
導入を推進した九州場所担当の雷親方(元小結垣添)は「気持ちよく相撲を見てもらうことが第一」と語った。
新サービスで売り上げが想定の2倍以上になっている店もあるといい、継続的な実施に意欲的だった。
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2019/11/21
横綱白鵬は竜電に寄り切りで勝ってただ1人1敗を守った。
竜電にもろ差しを許しながらも力強い相撲で1敗を守った横綱白鵬は「差せるにこしたことはないけど差せなかった」と話したうえで優勝争いについては「まあ一番一番」と答えた。
在位3場所目で大関として初めて勝ち越した。
東前頭5枚目碧山の突き押しをものともせず、一方的に押し出し。
5連勝で優勝争いに食らいついた。
新大関だった5月の夏場所から半年。
けがとも闘いながら区切りの白星を挙げた。
上位陣の負傷や休場が目立つ場所で、貴景勝が看板力士として土俵を引き締めている。
6日目までに3敗して存在感を出せなかった序盤戦がうそのように、内容を伴う5連勝で給金を直した。
理想の展開だった。
自身より約15センチ高く、30キロ重い巨漢を下から何度も突き起こし、最後は相手を引かせた。
前日の取組で左目が相手の突きと接触。
この日も左目下は内出血で紫色に変色していたが「全く大丈夫」と、血走った左目を力強く見開いた。
節目の1勝としながら、一息つく様子はなかった。
「ここで気を抜いたらかっこわるい。残りも自分の100%を出せるように、しっかり準備するだけ」。
1年納めの場所で、遅まきながら主役候補に躍り出てきた。
御嶽海が早くも5敗となった。
左四つで出たが、懐が深い竜電にまわしを引かれて形勢逆転。
体を入れ替えられると、力なく土俵を割った。支度部屋では無言を貫き、悔しさをにじませた。
八角理事長は「まわしを取りにいくのが早過ぎた。勝ちたい気持ちが出ちゃったのかな」と首をひねった。
2度目の優勝を遂げた先場所は12勝。
大関への望みをつなげるためにも、今場所で2桁白星を挙げたいところだが、残り5日間で1敗もできない状況に追い込まれた。
朝乃山が力強い取り口を見せた。
立ち合いでしっかりと圧力をかけ、けんか四つの宝富士に右を差し勝つと、左でおっつけながら出て勝負を決めた。
「突き落としがあるので、それも頭に入れながら前に出た」と詰めも誤らなかった。
新小結の場所で2桁白星に王手をかけ、賜杯争いではトップの白鵬を1差で追う。
そんな状況でも目の前の一番に集中する姿勢は変わらない。
「初日から一日一番と決めている。悔いのないように自分の相撲を取りたい」ときっぱり言った。
関取最軽量98キロの炎鵬は大翔鵬との激しい相撲を制して6勝5敗とし、3度白星を先行させた。
「執念で勝ち取った」という。取組中に左目を痛め、ほとんど見えない状態でも、勝負勘を失うことはなかった。
幕内では3勝負けなしと合口のいい大翔鵬に立ち合いでかち上げを食らい、左目付近を負傷した。
視界が遮られたが、いなすなど身軽な動きができたのは「いつも稽古(けいこ)でやっているから」。
大振りになった大翔鵬の右の張り手をすり抜けて懐に飛び込むと、一気に寄り切った。
西前頭9枚目の豊山は千代丸を押し出しで破り7勝目を挙げた。
豊山は3敗と好調だった千代丸を終始攻め、7勝目を挙げた。
力強い内容に「先手を取れたのが大きかった。流れが良かった」と笑みを浮かべた。
もろ手突きの立ち合いから左おっつけで前進。
突き、押しの応酬で攻勢に立ち、右張り手も交える。
攻め手を緩めずに押し出し「立ち合いで差されないようにした。引いてくるのも分かっていた」と話した。
令和になって勝ち越しが続く。
「朝起きて、体が痛くないということが一番いい。春先は不安なところがいっぱいあった」と状態も良好。
勝ち越しにあと1勝で「いい意味で意識してやりたい」と自信に満ちていた。
正代が持ち味を発揮し、鮮やかな逆転勝ち。
佐田の海に寄られて両足が俵に掛かりながら、体の柔らかさを生かしてのうっちゃり。
「ちゃんと返せたか、すごく不安だった。勝ち名乗りを受けるまで、すごく長く感じた」そうだが、物言いもつかなかった。
先場所は3勝に終わったが、入門から5年続けて勝ち越していた九州で11日目に給金を直した。
熊本出身。実家の近所から応援団が駆け付けた中でいいところを見せ、「来年につなげていけたら」と気をよくしていた。
西前頭13枚目の輝が東前頭7枚目の剣翔を押し出し、勝ち越しを決めた。
立ち合った直後は一瞬押し込まれたが、相手のはたきに落ちることなく、一気に前に出た。
「今場所は自分の芦田出ていて、自分の相撲ができている。先場所だったら落ちそうなところを残せています」。
3月の春場所以来4場所ぶりの勝ち越し。
11日目での勝ち越しは、幕内での自己最速となった。
幕内での最多勝利は9勝で、まだ2桁勝利がない。
それでも星数は口にせず「あと4番あります。勝ち越しているので、いい形を試せる。しっかりものにしたい」と相撲内容へのこだわりを示した。
西前頭14枚目の錦木は西4枚目の琴勇輝に押し出され、3勝8敗と負け越した。
初場所から6場所連続の負け越しとなった。
錦木は防戦一方だった。
頭から当たるが、琴勇輝の突き、押しに上体がのけ反る。右に回り込むも突き起こされて土俵を割った。
大関経験者で、番付を序二段まで落として以降、4場所連続勝ち越しで順調に関取復帰の道を歩む西幕下10枚目の照ノ富士が、全勝対決で同28枚目の将豊竜を下し、無傷の5連勝をマークした。
残る2番に勝てば、10場所ぶりの関取復帰が確実視される状況となった。
相手の上突っ張りを、腰をドッシリ構え下からあてがいながら対応。
左からおっつけて相手の体勢を崩すと、ここが勝機とばかりに組み止めた。
左を抱えながら前に出て右が深く入ると、かいなを返しながら棒立ちの相手をねじ伏せるように、すくい投げで倒した。
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2019/11/20
大相撲九州場所10日目(19日・福岡国際センター)横綱白鵬は碧山を難なく寄り切って9勝目。
1敗で単独首位を守った。
カド番の大関高安(29・田子ノ浦)が次の初場所(1月12日初日、東京・両国国技館)で関脇に陥落することが確実になった。
九州場所8日目(17日)に持病の腰痛のため取組を直前になって回避。
日本相撲協会に「急性腰痛症で約1週間の治療を要する見込み」との診断書を9日目に提出して休場していた。
師匠の田子ノ浦親方(43・元幕内隆の鶴)は「腰は大事な箇所だし、今場所は休んで治療を優先させることにした。しっかり治して来場所で頑張ってほしい」と再出場させないことを明言し、2場所連続の負け越しが決定的に。
今場所前に美人演歌歌手(30)と婚約を発表した高安は「これをきっかけに優勝を目指して、番付を上げていきたい」と意気込んでいたが、厳しい現実が待っていた。
大関に復帰した貴景勝(23・=千賀ノ浦)が、勝ち越しに王手をかけた。
初顔合わせの西前頭4枚目琴勇輝(28・佐渡ケ嶽)を下して7勝3敗と星を伸ばした。
稽古でも巡業でも肌を合わせたことがない相手で「本物の初顔」と貴景勝。
立ち合い、琴勇輝のもろ手突きをはね除けると、関脇経験者を一気に土俵際まで持っていき突き出した。
一歩的な展開だったが、勝ち名乗りを受ける間に何度か顔をしかめた。
左目を赤く腫らして支度部屋に戻ると「入っちゃったみたい」と、取組の中で琴勇輝の突きが接触したと説明した。
それでも「全然大丈夫」と、視界に影響はないことを強調。
「格闘技の世界だから。その世界にいて(痛いなど)言うべきじゃない」と、アクシデントをものともしなかった。
1敗の横綱白鵬とは2差だが、終盤戦で直接対決が組まれることは確実。
優勝争いに食らいつきたい23歳は「星勘定で見られる世界だけど、あと5日じゃなくて明日、明後日としっかりいい準備をするだけ」と、地に足をつけていた。
御嶽海が早くも5敗となった。
左四つで出たが、懐が深い竜電にまわしを引かれて形勢逆転。
体を入れ替えられると、力なく土俵を割った。
支度部屋では無言を貫き、悔しさをにじませた。
八角理事長(元横綱北勝海)は「まわしを取りにいくのが早過ぎた。勝ちたい気持ちが出ちゃったのかな」と首をひねった。
2度目の優勝を遂げた先場所は12勝。
大関への望みをつなげるためにも、今場所で2桁白星を挙げたいところだが、残り5日間で1敗もできない状況に追い込まれた。
阿炎が狙い通りの取り口を披露した。
得意のもろ手突きで北勝富士を起こすと、のど輪攻めの右もよく伸びる。
低い当たりが武器の相手だけに「押し相撲の人は、こんな相撲をされたら嫌だろうなと思った」と納得の口ぶり。
2連敗中だった難敵を難なく攻略した。
3場所連続での小結。
リーチの長さや、運動神経の良さもあって安易な引き技に頼ることも多かったが、着実に力を付けてきた印象がある。
上位陣への挑戦などで経験を積み、相撲とより真剣に向き合うように。
「自分が少しずつ変わっていかなければいけない。引き出しが増えた」と手応えをつかんできた。
八角理事長(元横綱北勝海)も成長ぶりを認める。
「以前は勝てば一緒という感じだったと思うが、今は勝っても負けても前に出ている。こういう相撲を取らなくてはいけない。看板力士なんだから」と期待を寄せた。
場所直前には、インターネット交流サイト(SNS)に不適切な動画を投稿したとして厳重注意を受けた。
反省の一心で「一番に懸けている」といい、信頼回復へ日々の土俵に全力を注ぐ。
同世代では貴景勝や御嶽海、朝乃山らが注目を集める中、阿炎も負けていない。
新小結の朝乃山(25・高砂)が「進化」と「節制」で堂々の優勝争いだ。
大相撲九州場所9日目(18日、福岡国際センター)は幕内大栄翔(26・追手風)をはたき込んで7勝目(2敗)。
賜杯レースでトップに立つ横綱白鵬(34・宮城野)を1差で追走している。
取組後は「落ち着いて相撲を取れたと思う。一日一番、自分の相撲を取りたい」と表情を引き締めた。
この日の大栄翔を含めて、今場所は苦手にしていた突き押し相撲の相手を克服。
大関貴景勝(23・千賀ノ浦)、小結北勝富士(27・八角)、小結阿炎(25・錣山)と撃破している。
朝乃山は「相手を苦手だと思ったら勝てない」ときっぱり。
「今までの出稽古は(稽古相手が)組む相撲が多かった。今回は押し相撲がいる部屋に行こうと考えた」と場所前の稽古に手ごたえを感じている。
かねて、本場所中は禁酒を実践。
今回は期間を“前倒し”して2日から酒を一滴も飲まずに本番に備えてきた。
場所中に食事に出かける際に口にするのはお茶や水、炭酸水など。朝乃山は「初日の1週間前は、もう飲みに行かないと決めていた。場所が終わったら、たくさん飲みたいですね(笑い)」と体調管理にぬかりはない。
ここまでくれば、当初の目標に掲げた新三役での勝ち越しは通過点。
大関取りの起点となる2桁10勝、さらには2度目のVの期待も膨らむ。
朝乃山は「上位の休場者もいるし(休場者が)全員出ていたらここまで勝てない。まぐれ」と冷静に話す一方で「(役力士として)土俵の上に立って戦っていることを自信にしていきたい」。
初Vの5月場所の再現を狙う。
速攻で遠藤に快勝。
「一番良い相撲だったんじゃないか。きょうみたいに取れば、良いイメージができる。それを大事にやっていく」
千代丸の懐に潜り込めず、突き出される。
星がまた五分に戻り、「ちょっと消極的になっている。あと5日間、思い切ってやるだけ」。
阿武咲に抵抗できず、ご当所で負け越し。
「老け込む年ではない。失うものもないし、しっかりいけばいいのに」と自らに言い聞かせるように。
大相撲九州場所10日目(19日・福岡国際センター)鹿児島県出身の千代丸がご当地場所で7勝目を挙げ、昨年初場所以来の幕内勝ち越しに手をかけた。
小兵の炎鵬をよく見て攻め込んで突き出し。
「落ち着いて取れば、押されることはない。中に入られないようにだけ警戒した」と満足げだった。
人気者に大声援が飛ぶ中でも冷静さが光った。
「完全アウェーで、見渡す限り(ファンが応援で掲げる)炎鵬のタオルだったけど、1枚だけ千代丸があった。それが救いだった」と頬を緩める。
平幕ながら3敗で優勝戦線にも踏みとどまり「幕内初の2桁勝利をできたらいい」と高い志を示した。
7日ぶりに白星を挙げ、7敗で踏みとどまる。
「いったん(悪い)流れが切れた。落としちゃいけない。残り全部勝たなきゃいけない」
元横綱大鵬の孫で、元関脇貴闘力の四男の夢道鵬(むどうほう・18・大嶽)が、偉大な祖父の化粧まわしを締めて、新序出世披露に臨んだ。
大鵬の地元・北海道で有名な、すずらんがあしらわれた化粧まわしは、兄で幕下の納谷も昨年初場所の新序出世披露で締めたもの。
2人目の「大鵬の孫」として角界入りした夢道鵬は「気持ちが引き締まる。これから頑張らないといけないと、あらためて思った」と、初々しく話した。
夢道鵬について、恩師で多くの幕内力士を輩出する埼玉栄高の山田監督は「プロの体になれば化ける可能性がある」と、将来性を高く評価する。
183センチ、135キロの体を一回り成長させ、十両、幕内へと番付を上げることを期待した。
ところが今場所の前相撲で、夢道鵬は1勝2敗だった。
再出世力士に勝っただけで、今場所初土俵の他2人に負けた。
モンゴル出身の出羽ノ龍(出羽海)が3勝、埼玉栄で夢道鵬の1学年上の二本柳(阿武松)が2勝1敗。
半年間の研修などを経た出羽ノ龍は「やっと前相撲を取れた」と笑った。
二本柳は昨夏に負った右膝の大けがからの再起だけに「化粧まわしの重みを感じた」。
逸材ぞろいの3人。数年後「伝説の新序出世披露」となる日が来るかもしれない。
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2019/11/19
九州場所は初日の「結びの一番」が、いきなり横綱の不戦敗という“波乱”で幕を開けた。
東の正横綱・鶴竜(34)が、当日になって休場を決めたからだ。
初日から休場する力士は本来、その2日前となる金曜午前中までに届け出る必要がある。それを過ぎると取組編成会議で初日と2日目の対戦相手が決まってしまい、2日目については割り返し(取組の再編)が必要になって大変な手間がかかるのです。今回、鶴竜は初日に小結・朝乃山(25)、2日目に隠岐の海(前頭筆頭、34)といずれも過去に金星を献上しているガチンコ力士と組まれていた。腰のケガがあるとはいえ、“敵前逃亡”と思われても仕方がない。
鶴竜が所属していた井筒部屋では、先場所中に井筒親方(元関脇・逆鉾)が急逝したため、力士たちは場所後に陸奥部屋へ移籍している。
「もともと陸奥部屋にいた力士と元井筒部屋の力士によるトラブルを恐れてか、陸奥親方(元大関・霧島)の指導は遠慮がちで、鶴竜も部屋の居心地が悪いのか、福岡入りしてからは出稽古ばかりだった。親方は出場できるか、鶴竜の状態の確認もままならなかったようだ」(協会関係者)
両横綱とも休場が多いにもかかわらず、2018年初場所から2年間で鶴竜が与えた金星は12個もある。
横綱・白鵬(34)は平幕の大栄翔(前頭筆頭、26)に一方的に押し出され、衰えを感じさせる取組だった。
その翌日のスポーツ紙では元横綱・北の富士勝昭氏が〈私の予想より急速に落ちている〉と酷評している。
白鵬は横審から立ち合いの張り差しやカチ上げを批判されて控えていたが、大栄翔やその翌日の朝乃山との取組では、“解禁”している。ガチンコ力士相手には、カチ上げでもしないと勝てないほどに力が衰えているということでしょう。
両横綱とも休場が多いにもかかわらず、2018年初場所から2年間で白鵬が与えた金星は6個。
9日目18日日、本人では初となる、史上最多43度目の優勝を目指す一人横綱の白鵬が、優勝争い単独トップを守った。
初日の小結・遠藤(29)との取組で負傷した大関・豪栄道(33)も翌日から休場。
来年初場所は大関在位32場所で実に9回目となるカド番で迎える。
歴代3位という不名誉な記録である。
取組の直前に休場する大失態を演じた大関高安(29=田子ノ浦)の関脇陥落が濃厚となった。
大相撲九州場所8日目(17日、福岡国際センター)、会場に到着する前から腰痛を発症。
幕内土俵入り後に支度部屋の風呂で患部を温めて出場を目指したが、痛みは一向に治まらない。
大関の異変を伝え聞いた九州場所担当部長の境川親方(57=元小結両国)が支度部屋に駆けつけて事情を聴くと、高安は「痛くて四股も踏めません…」。
急きょ、休場が決まった高安は報道陣からの問いかけに無言。
付け人の肩を借りながら引き揚げた。すでに9日目(18日)の割(取組)が決まっていたため、審判部では取組を変更する「割返し」が行われた。
横綱白鵬(34=宮城野)が昨年7月場所で午後2時すぎに休場を届け出たケースはあるが、土俵入り後の休場は前代未聞だ。
境川親方は「ギックリ腰。歩けないんだから、しようがない。こっち(会場)に来る前から痛かったみたい」と説明。
今場所はカド番で簡単には休めない事情もあった。
師匠の田子ノ浦親方(43=元幕内隆の鶴)は体調不良で休場中とはいえ、有事の際にストップをかける立場。
境川親方が田子ノ浦親方に連絡し「(休場なら)もっと早く連絡せんかい!」と一喝する場面もあった。
師弟の意思疎通不足も露呈した格好だ。
日本相撲協会の八角理事長(56=元横綱北勝海)は「本当にお客さんに申し訳ない」と謝罪した。
この日の不戦敗と9日目の休場で3勝6敗。
仮に再出場できたとしても大関残留は極めて厳しくなった。
来年1月の初場所で関脇へ転落することが確実になってくる。
師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)が18日に再出場しない方針を示し、2場所続けて負け越す見通しとなったため。
初場所で10勝すれば復帰できる。
田子ノ浦親方は「中途半端に出て、来場所で大変なことになるよりも、しっかり治して臨んだ方が(大関に)戻れると思う。それだけの力はある」と述べた。
高安は左肘のけがのため先場所を全休。
3度目のカド番だった今場所は、9日目まで3勝5敗1休だった。
貴景勝は鼻血を流し、勝ち名乗りを受けた。
立ち合いで頭から当たって突き起こしたが、北勝富士も突き押しで応戦。
激しい攻防を繰り広げ、最後はタイミング良く左から突き落とした。
「同じ押し相撲で、相手も気持ちで取るタイプ。力を出し切ってくるだろうと思ってやった」と気迫十分だった。
鶴竜、豪栄道、高安が不在の中、白鵬を2差で追う状況。
「とにかく自分のことに集中する。疲れはあるけど、力を出し切れるようにするだけ」と足元を見詰めた。
玉鷲を寄り切って3連勝で白星先行。
「スピードのある相撲だった。ここから。2桁勝利を目指して頑張る」と力強く。
大器とはいえ、極端に合口が悪い相手がいれば、出世街道の障害になりかねない。
朝乃山にとって、それが大栄翔。
重い突き押しにも屈して7連敗中だった苦手を破り、「これからの相撲人生につながる白星にしたい」と決意を込めて言った。
鋭い踏み込みに、同じ過ちは繰り返さないという気迫を込めた。
力強いかち上げから先手を奪い、相手の武器を封じた。
すかさず右をのぞかせると、これを嫌った大栄翔が頭を下げたところを逃さず、押しつぶすようにはたき込み。
「落ち着いて取れた」と自賛の内容だった。
最後に勝ったのはいつか。「新入幕の時以来ですよね」。そう即答できるほど、苦杯を喫し続けた難敵にようやく借りを返し、「今場所だけでなく、毎場所克服していきたい」。
一度の成功だけで形勢を逆転できないことは重々、承知の上だ。
自身を勢いづけそうな白星で、新小結での勝ち越しに王手をかけた。
「休場した上位が全員出ていたら、これだけ勝てない。まぐれだ」と謙遜しつつ「自信にはしたい」とも。
真摯に課題と向き合う姿も頼もしかった。
4日ぶりの勝ち星で白星先行。
妙義龍に圧力負けせず、「きのうまでは内容が悪かったが、きょうは踏み込みが良かった。前に出ようと意識できた」と納得顔。
2016年名古屋場所以来となる白鵬への挑戦。
歯は立たなかったが、「ただ負けたのではなく、勉強になったこともある。次に生かしたい」と収穫も強調。
炎鵬が動きの良さで琴奨菊を破った。
左にずれるように立つと、相手の右腕を取りながら左下手を引いた。
投げは決まらずに一度離れたが、今度は左腕を引っ掛けて土俵外へ追いやった。
70キロ以上重い元大関を翻弄し、「うまく圧力を殺して、逃がして。体がよく動いてくれた」と自賛した。
大歓声を受けながらご当所の琴奨菊を破って再び白星先行。
連敗も3で止めた人気者は「期待に応えたいという思いでやっている。自分の良さを出していきたい」と表情を引き締めた。
阿武咲との激しい攻防を制して6勝目。
35歳は息を切らしながら、「3日分は体力を使った。若い子に動き負けずに頑張っている」。
休場者が相次ぐ九州場所を盛り上げているのが前頭13枚目の輝だ。
志摩ノ海に快勝して2敗を守り、優勝争いに顔を出している。
「最近の何場所かに比べるとやりたいことができている」と手応えも上々だ。
身長192センチの大柄な体を小さく丸めて頭からぶつかった。
右を差し、左でおっつけながら前に出る。
相手が逃げられないように体を密着させ、危なげなく押し出した。
石川県出身でしこ名は北陸新幹線「かがやき」にちなんで付けられた。
長い腕を生かしたスケールの大きな相撲で将来を嘱望されたが、新入幕からもうすぐ4年。
幕内中位から下位にとどまり、存在感は薄れていた。
今場所は一転、快調に白星を並べている。
「意識が変わってきた。一気に踏み込んで自分の形を作れるようにしている」。
かつては突きを繰り出すものの足が前に出ず、ばったり倒れることがあった。
今は右を差して相手を捕まえる相撲で、勝利を重ねている。
まだまだ伸びしろはある。
熱心な指導で知られる師匠の高田川親方(元関脇安芸乃島)は「もっと下から、膝を曲げて。気が優しいのかもっと荒々しくいかないと」とさらなる成長を期待する。
勝ち越しに王手。
幕内で経験のない2桁勝利も見えている。
「良い感じで相撲を取れている。この感覚でしっかりやっていきたい」。
星勘定よりも、目の前の一番に集中する。
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2019/11/18
17日に行われた大相撲九州場所中日、横綱・白鵬(宮城野)と前頭四枚目・玉鷲(片男波)の結びの一番は館内が騒然とする異様な雰囲気の中での決着となり、白鵬が見せた振る舞いに対して、元横綱・若乃花の花田虎上氏が「残念です」と苦言を呈する場面があった。
幕内における両者の対決はこれまでに16回あり、白鵬の15勝と横綱の圧倒的優位だ。
しかし、1度目の立ち合いで白鵬がつっかけて迎えた2度目の立ち合いで館内の様子は一変する。
今度は立ち合いが合わずに玉鷲がつっかけると、玉鷲の胸を目掛けて白鵬が右腕一本で激しく突き返したのだ。
この行動に対して館内は騒然となった。
ざわめきが収まらない中で3度目の立ち合い、左の張り差しから左上手を取った白鵬が一気の寄り切りで勝負を決すると、AbemaTVで解説を務めた元横綱・若乃花の花田虎上氏は「ん?」と唸り、言葉を選ぶように「土俵の上では平等です」と話すと次のように続けた。
「立つ前にああいうことをやられてしまうと、玉鷲が萎縮して(白鵬に)合わせなければいけなくなってしまう。横綱の立ち合いで立たなければいけなくなるが、玉鷲は押し相撲。少しでも早く立たなければいけないが、それができなくなる。残念です」と話した。
白鵬は7日目にも前頭三枚目の宝富士(伊勢ヶ浜)をはたき込みで下した際、左腕を振り上げるガッツポーズのような仕草を見せている。
このことについても、花田氏は取組前に「これはよくない。我慢しないと、また言われてしまう」と残念そうに話していた。
2日目に前頭筆頭の大栄翔に敗れたものの中盤から徐々に安定感が増し、17日は押し相撲の玉鷲を組み止めて寄り切ってただ1人、1敗を守りました。
9日目の18日は、前頭4枚目の琴勇輝と対戦します。
過去3回の対戦は、いずれも白鵬が勝っていて、組み止めれば横綱の優位は動きません。
大相撲の大関カド番、高安(29・田子ノ浦部屋)が九州場所8日目の17日、腰痛により急きょ休場した。
土俵入りの後、不調を訴えた。
取組直前の休場は極めて異例。
福岡国際センターから帰る際には、付け人の肩を借りながら車に乗り込んだ。
支度部屋で状況を確認した九州場所担当部長の境川親方(元小結両国)は「ぎっくり腰。こっちに来る前から痛みはあったようだ。歩けないから仕方ない」と述べた。
日本相撲協会の審判部は、既に決めていた9日目の取組を編成し直す「割り返し」を行った。
相撲協会によれば、取組直前の休場は1989年秋場所で、控えで出番に備えていた幕内の富士乃真(現陣幕親方)が土俵上からの力士の落下によって負傷し、休んだ例がある。
高安は今場所が3度目のカド番。
8日目の対戦相手、宝富士は不戦勝で、高安は3勝5敗となった。
再出場して勝ち越さなければ、来年1月の初場所は関脇へ転落する。
高安の休場は、左肘の怪我により途中で休んだ名古屋場所から3場所連続で、通算7度目。
本来の力強さが戻ってきた。
貴景勝が初顔合わせの明生を一蹴。
今場所は高安をはじめ役力士4人を倒すなど成長著しい相手を問題にせず、左胸に抱える不安からの復調を印象付けた。
「自分の相撲を取ろう」と自身に言い聞かせた。
その言葉通り、得意のもろ差しを狙ってきた明生に低く当たると、すかさず突き起こして懐には飛び込ませない。
攻め手を緩めずに押し出し、「自分の力を出し切れた」と納得顔だった。
7日目の妙義龍戦に続く完勝。
師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)は「昨日は初めていい相撲が取れた。押し相撲は一つのきっかけで変われる」という。
序盤戦では精彩を欠くこともあったが5勝3敗で折り返し、ペースが上がってきた。
2連勝で星を5分に戻す。
「体は動いている。あと6番勝って10勝。それ以上も意識してやっていく」と力強く。
年間最多勝を争う朝乃山に押し出されて完敗。
「差させず、組ませないようにと意識し過ぎた。頭を使わないで、感じるままにやらないといけない」
3連勝。
熱戦の末、北勝富士を押し出し、「まあよかった」。
星を5分に戻しての折り返しにも、普段と変わらない淡々とした口調で。
小結の阿炎を危なげなく押し出して6勝目。
9日目の今日は、前頭筆頭の大栄翔との対戦です。
朝乃山は、押し相撲の大栄翔相手に、今場所ここまで見せている、立ち合いの鋭い踏み込みで勝り、得意の右四つに組み止めて勝負したいところです。
高安が急きょ休場となって不戦勝。
支度部屋では出番へ向けた準備をしており、「まげを直している時に聞いた。びっくりした」。
豊山が炎鵬に作戦勝ち。
「流れの中での相撲は相手の方が強い」と警戒し、3度目に成立した立ち合いでも当たらず距離を取り、見合う形に持ち込んだ。
その後は、懐に飛び込もうとしてきた小兵をよく見て攻め、両足がそろったところを見計らって押しつぶすようにはたき込み。
「きょうは落ち着いていた」と自賛した。
石浦が珍手の三所攻めを決めた。
当初、外掛けとアナウンスされた決まり手は、右手で錦木の左脚を取るなど、同時に3カ所を攻めていたと判断され、訂正となった。
この技を決めたのは、幕内では1993年秋場所での舞の海以来、26年ぶり。
「初めて。アマチュア時代にもやったことがない」と驚いた様子だった。v
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2019/11/17
「相手に力を出させず落ち着いてその辺は、うまく取れたなと思う」と振り返りました。
報道陣から「序盤、場所がばたつく中で横綱がどっしりとしてきたように見えるが」という質問に対しては、「まあ、その思いでやってますからね」と話していました。
ようやく3勝目を挙げ、「きょうは、自分らしい相撲が取れてよかった。これをきっかけに内容のいい相撲を取っていきたい」といつもどおり淡々と話していました。
難敵を破って連敗脱出。場所の折り返しを前に、角番大関の高安に復調の兆しが見えてきた。
立ち合いから玉鷲の強力な突き押しに後退した。
だが、土俵際で右からおっつけて形勢逆転。相手の体勢が崩れたところを前に出て突き倒した。
高安は「今日は自分らしい相撲が取れた」と手応えをつかんだようだ。
高安は7月の名古屋場所で玉鷲と対戦した際に左肘を痛め、その後途中休場に追い込まれた。
秋場所を全休して回復に努めたが、9月末の全日本力士選士権で再び痛める不運も重なり、稽古が十分ではない状態で今場所を迎えた。
初日こそ快勝したが4日目からは3連敗。
会場が大きなため息に包まれたこともあった。
同じ二所ノ関一門の尾車親方(元大関・琴風)は「左の突きが出ていない」と負傷の影響で本調子でないと見ている。
大関としての責任を果たせないのでは、という声も聞こえてくるが、尾車親方は「開き直ってやるしかない」と奮起を促した。
今場所前には婚約を発表し、発奮材料が増えた。
高安は「これをきっかけに、いい内容の相撲を取れるようにしたい」と、まずは角番脱出を目指す。
貴景勝が本来の押し相撲で妙義龍を破り、白星を一つ先行させた。
立ち合いで右ほおを張られたがひるまず前へ出ると、腕を伸ばして一方的に押し込んだ。
場所前から取材に対して無言を通してきたが、この日は質問に返答。
初優勝を果たした昨年の九州場所を「懐かしい。(当時は)背負うものがなかった。今はありがたい圧もある」と率直に思いを語った。
連敗を止め、「集中して毎日毎日、自分の中では、後悔しないようにやっている。星があがっていなくても、準備して同じことをやって臨んでいる。ただまだ半分以上残っているので、15日間、同じことをやりきればいい。変えることはない。どんな精神状態でも強いやつは強い。悪い時でも星を残せるようにならないと長く力士をやれない。勝たないといけない。勝つことが何よりなのでそのへんはよかった。優勝をねらわないと”何をしているんだ”となる。こういう成績だが諦めずにとにかくやっていくだけ。内容は悪くないので最後まで集中していきたい」と今場所初めて、支度部屋で報道陣の質問に答えていました。
連敗を「3」で止め、「思い切った相撲が取れてしっかり足が出たと思う。連敗も1つの試練だと思って、きょう勝ったのが大きいね。自分の相撲を全力で取っていきたい。ここから連勝していきたい」と前向きな様子でした。
大相撲九州場所を5日目から休場していた関脇・栃ノ心が17日の中日8日目の取組に入らず、今場所10勝以上を挙げての来場所の大関復帰がなくなりました。
栃ノ心は先場所、6勝9敗で2場所続けての負け越しとなり関脇に陥落し、九州場所で10勝以上を挙げての大関復帰を目指していました。
今場所は、初日、2日目と得意の左上手を取る形に持ち込んでも連敗するなど精彩を欠いていました。
さらに2勝目を挙げた4日目には右脇腹の辺りを痛めて右の脇腹の軟骨を折り、3週間の安静と治療が必要と診断され5日目から休場していました。
栃ノ心はこのまま休場を続け、16日に発表された17日の中日8日目の取組に入らず、今場所10勝以上を挙げての1場所での大関復帰がなくなりました。
阿炎が3連勝で白星を先行させた。
もろ手から長いリーチを生かした突き押しで主導権を握ると、体が起きた碧山を休まず攻めて快勝。
「作戦がかみ合った。序盤戦で負けた相撲が生きている」と納得の表情だった。
この白星で年間勝利が幕内最多タイの49勝となった。
8日目は最多で並ぶ朝乃山との対戦。
「思い切った相撲が取れればいい」と気を引き締めた。
2敗を守り、「上手は1枚だったがしっかり引きつけられている。三役の雰囲気にも慣れてきたので、1日、一番やっていくだけだ。横綱についていきたい」と落ち着いた様子で話していました。
新小結・朝乃山が前頭筆頭の隠岐の海を降し、三役の中で唯一2敗を守った。
立ち合いでがっちりとつかんだ左上手を離さず、隠岐の海の投げ技にも耐えて寄り切った。
貫禄すら漂わせた内容だったが、「(相手の)投げを呼び込んでしまった」と反省し、慢心はない。
初めて経験する三役の重責に「前頭のときとは雰囲気が違うが、それだけ。一日一番、しっかりやるだけ」と気合を込めた。
高安に突き倒され、35歳の誕生日を白星で飾れず。
「バランスを崩してしまった。熱くなり過ぎた」と反省。
好調の明生に初勝利。
中学時代にも勝てなかったそうで「昔から強かった。稽古場では五分だし、苦手意識もないのに…」と苦笑い。
3敗目を喫し、「立ち合い、ふわっといってしまった。技が中途半端になってしまったのが敗因。1番やってはいけない相撲、もったいない。一番、一番、出しきることが仕事で、それができないのが自分のすべて」と淡々と話していました。
大相撲九州場所(福岡国際センター)7日目の16日、西前頭9枚目の豊山(新潟市北区出身)は、剣翔に突き落としで敗れ、4勝3敗となった。
5勝2敗として「立ちあいで差すかどうか迷っていた。その迷いがよかったのかもしれない。好調の要因はわからない」とほっとした様子でした。
連敗を止め、正代も5勝目を挙げ「圧力をかけられたのでよかった。相手の引きは気にしていた。連敗を止めたことが1番よかった。
負けた相撲は、立ち合いから流れが悪かった。前に出る相撲を続けていきたい」と話していました。
大相撲九州場所(福岡国際センター)
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2019/11/16
大相撲九州場所6日目は15日、福岡国際センターで行われ、一人横綱の白鵬が平幕明生を危なげなく上手出し投げで下し、1