TEL:0176-23-5714
受付:09:00〜17:00 定休日:日曜、祝日
相撲期間は毎日営業 偶数月の土曜日は休業
ライン

51.最年長大関昇進
相撲人気が低迷してしまった一因は、若の里と琴光喜にもあったと思う。この同年代の実力者2人が、朝青龍の独走を許してしまったからだ。若の里は幕内52場所中26場所で三役を張り、うち17場所は関脇で、6場所連続で関脇を務めたこともあった。
琴光喜のキャリアはさらに輝かしい。幕内42場所中30場所で三役を張り、うち22場所が関脇で、11場所連続で関脇を務めている。だが朝青龍にまるっきり歯が立たないのが玉に傷。かつては朝青龍をして「琴光喜は俺のライバル」と言わしめながらの27連敗。ライバルどころか、すっかりカモにされてしまい不甲斐ないこと甚しい。
から、そんな琴光喜が先の名古屋場所で大関昇進に大手をかけても、私は微塵も期待しなかった。むしろ惨敗を予想して、星取クイズから外したほどである。場所直前の新聞報道も、私の予想を裏打ちしていた。こうである。
朝青龍が佐渡ヶ嶽部屋に出稽古に来た。その日、体調不良の琴欧州と琴奨菊は稽古を欠席。よって琴光喜が一人で横綱の相手を務めなければならない状況だった。だが琴光喜は、わずか5分前に稽古を終えたことを理由に、横綱との稽古を辞退。朝青龍は門前払いを食らった格好で、ムッとしながら帰って行った。
横綱が帰ったあと、琴光喜が記者にしたコメントが驚いた。
「稽古が終わった後でよかった。あと5分長くやってたら、横綱との稽古を断るわけにはいかなかった。大関取りのかかった大事な場所でケガなんかしたくないからね」
挿絵と文章は関係ありません
れが、今まさに大関になろうとする者の言葉だろうか。横綱直々に稽古場へ 来てくれたのだから、マワシを締め直してでも稽古場に立つのが筋だろう。それを、こともあろうに「5分早く稽古を終えていて助かった」とは泣けてくる。この弱気の虫を退治しない限り今場所も、いや、いつまでたっても琴光喜の大関昇進は無理だと思った。
琴光喜は、早くから大関に値する実力を備えていた。名門の日大相撲部で歴代2位のアマタイトル27個を獲得して(最多は久島啓太の28個)角界入り。入幕場所では三賞をトリプル受賞し、翌場所(入幕2場所目)で早くも関脇に就いている。あれから6年半、琴光喜は常に三役もしくは平幕上位をキープし続けてきた。

去に4回ほど大関昇進のチャンスもあった。それをことごとく逃してきたのは「ノミの心臓」と揶揄される極度の緊張癖。心の弱さだった。「5分早く稽古を終えていて助かった」という言葉も、そんな琴光喜を象徴している。
ところが、いったい何がどう変わったのであろう。名古屋場所の琴光喜は初日から破竹の10連勝。11日目に苦手の朝青龍に苦杯を喫したものの、最終的には堂々の13勝。過去3場所の合計が35勝という、圧倒的な成績で大関昇進を決めた。若武者は、気がつけばいつしか31歳3ヶ月になっており、史上最も高齢な新大関となった。とりあえず今は苦労人の前途を祝したい。
(2007/08/01)
バックナンバー 次のエッセイを読む

お知らせ


ホームページがリニューアル致しました。
一部現行のページで運営致しますが、随時更新してまいりますので、よろしくお願い申し上げます。

■新ホームページへ■



リンク

ツイート