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47.横綱待望論
青龍の「ひとり天下」が続いている。平成15年春場所で横綱に昇進し、同年の九州場所で横綱武蔵丸が引退。以後、つまり平成16年初場所から今日まで3年3カ月ものあいだ、ずっと1人横綱を貫いている。
その間、誰かに横綱の地位を脅かされたことはない。力が伯仲した力士も居ない。大関陣は相次いで故障し、常に誰かがカド番を迎えているという有様。26歳の朝青龍はこれから脂が乗ってくる時期だというのに、3大勢は揃って30代で下り坂にさしかかっている。
この膠着状態を打ち破ることを、琴欧洲と白鳳に期待したい。どちらも昨年昇進した新鋭大関。共に朝青龍より若く、朝青龍には無い魅力を持っている。この2人のうちどちらかが(あるいは両方が)横綱に昇進したとき、大相撲の歴史はようやく新たなページへと移行するのだろう。
欧洲や白鳳が横綱に昇進した場合、楽しみにしていることがある。それは、不知火型の土俵入りが見れるかもしれないということだ。横綱の土俵入りには2つの型があって、それぞれ雲竜型、不知火型と呼ばれている。現在の横綱・朝青龍はもとより、武蔵丸、貴乃花、曙、北勝海、大乃国、千代の富士…歴代横綱の多くが雲竜型。近いところでは、わずかに若乃花(3代)、旭富士、双羽黒といった横綱が不知火型を採用している。
琴欧洲は、先代師匠の琴桜が不知火型だったことから、それを踏襲する可能性が強い。白鵬の場合は、今の部屋の開祖である吉葉山が不知火型であることから、その伝統を受け継ぐものと考えられる。
挿絵と文章は関係ありません
竜型と不知火型の違いは「せり上がり」を見れば明らかで、片手を水平に伸ばし、片手を腹に当ててせり上がる雲竜は攻守兼備の型。一方、両手とも大きく開いてせり上がる不知火は、超攻撃的な型とされている。
歴代横綱の多くが雲竜型を選んだ理由は、ひたすら攻めるだけでなく、時には守ることも大切という相撲哲学に共鳴したからだろう。さらに言えば、盲腸を悪化させて現役で亡くなった玉の海、おかみさんに暴行して部屋を飛び出した双羽黒など、不知火型の横綱には不吉な影がつきまとう。横綱在位も、琴桜・双羽黒・旭富士が9場所、玉の海が10場所、3代若乃花が11場所、隆の里が15場所など、不知火型の横綱はほとんどが短命に終わっている。
れでも東西の花道から順次登場する横綱が、それぞれ異なる型の土俵入りを披露してくれるのは見ごたえがある。3代若乃花が不知火型を選んだのも、同時代の横綱だった曙と貴乃花が共に雲竜型だったから。ダイナミックな不知火型は華やかで、雲竜の「陰」に対して、「陽」のイメージがある。陰陽両方の土俵入りがそろって初めて、相撲という様式も完成形となる。
そろそろ次の横綱が誕生してもいい頃。その最右翼は琴欧洲と白鳳。いずれが昇進しても不知火型の土俵入りを行なう。それによって儀式が完結する。となれば、早くその瞬間が見たくてたまらない気落ちに駆られる。
(2007/03/01)
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