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10.不思議な制度
980年代あたりから力士の大型化が叫ばれ始めた。双羽黒や大乃国が横綱に、小錦が大関になった頃で、平幕にも大きな力士が多数を占めた。あれから20年が過ぎ、今や身長180cm前後なら「小兵」。体重130kg台なら「軽量」の部類に入る。
そんな力士の大型化がケガを続発させた。大きくて重い体は、相手を一気に持っていく突進力や、マワシを取られても動じない利点がある。だが一方で、引かれたり変化されたりすると危うい。倒れたときは自分自身の重さもダメージに加わる。巨大化した力士たちは、ちょっとした転倒で筋肉が引き裂かれ、骨が押し潰された。ケガを負って休場する力士が相次ぎ、近ごろは幕内に限っても10人以上が千秋楽に出て来ないありさまだ。
場所から「公傷」が撤廃される。いいことだ。なぜもっと早く行わなかったのか不思議なくらいだ。
公傷制度が、休場を助長したことは間違いない。例えば先場所の武双山は、公傷が認められていれば迷わず休場していたはずだ。公傷にならなかったら、出なければ大関を陥落するから、無理を押して出てきたのだ。
休んだ力士はどんどん番付を落とせばいい。そうなればケガをしがちな力士が淘汰され、ケガをしにくい力士だけが残る。たぶん、少し「小型化」するだろう。そうなれば相撲も技巧的になり、スピードや変化のある面白い取り組みが増える。外国人力士も、体が大きいというだけでは出世できなくなる。公傷制度を廃止すると、(力士にとっては大変だが)見る側にとってはいいことずくめだ。
挿絵と文章は関係ありません
のように、ブームに関係なく相撲を見、星取を愛好する者にとって、相撲人気の低迷はむしろ歓迎したい。なぜなら、相撲協会が重い腰を上げてくれるからだ。協会は相撲人気を回復させるべく様々な改革を行っている。公傷制度の廃止もその一環。改革すべきことはまだまだある。
どうにかしてほしいのは同部屋の対戦だ。なぜ同じ部屋にいる力士が対戦してはいけないのだろう。若貴が横綱だったときにそうなっていれば、もっともっと名勝負が生まれたに違いない。安芸乃島は金星の数をさらに増やしただろうし、貴ノ浪や雅山は大関になれなかったかもしれない。この制度は、上位キラーや弱小部屋の力士を確実に不利にしている。
撲を、欧米発祥のスポーツのようにどこまでも合理的にする必要はない。古いもの、儀式的なものを残していくことも大切だ。だが、こと勝負に関しては徹底的にシビアであってほしい。見ていて、そのほうが楽しい。ファンサービスなどと言って観客に媚びる必要はない。迫力あるガチンコの勝負が見たいだけだ。
(2003/12/01)
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